水産委員会 第25号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/04/01
会議録
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。 日程には載つておりませんが、日程に追加いたしまして、十勝沖地震による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案が本日委員会に付託になりましたので、これを議題に供したいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。その順序を、先ず提案理由を説明してもらいまして、その次に実情調査に行かれました千田委員から実情の御報告をお願いいたしたいと思います。先ず本法案の提案理由の御説明を願います。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 只今議題となりました十勝沖地震による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案につきまして、提案者を代表いたしましてその提案理由を御説明いたします。 去る三月四日北海道及び東北地方を襲つた十勝沖地震はその震源地が北海道の襟裳岬東方七十キロの海底であつた関係から、北海道としては曾つてない大地震であり、又この地震は津浪を惹起し北海道釧路地方及び東北地方の沿岸各地においては波の高さ三メートルにも及ぶ津浪が数度に亘つて来襲したのであります。なおこの津浪は北海道においては時期的に流氷が来ている時でありましたのでこれを俘つて来襲いたしたるため、その威力を倍加しこれが被害は誠に甚大なものがあつたのであります。特に水産関係におきましては漁船、漁具養殖施設その他漁業施設のこうむつた損害は特に甚大なるものがあります。而も雪融けと共に本格的なる漁期を控えて出漁準備を整えていたその直前においてこの災害に見舞われたのでありますからこれが復旧対策については真に緊急を要する次第であります。 そこで、図らずもこの地震が発生いたしましたその当日衆議院の本会議を通過いたしました昨年十月の台風による災害の復旧に対する法律と同様の措置をこのたびの地震による災害に対してもりと、漁民の受けた損害の復旧を容易にするため政府が金融機関がした融資について損失の補償及び利子の補給をして漁民生活の安定と国民食糧確保に資したいと存ずる次第であります。 なお先のルース台風による特別措置法審議の結果に基き此のたびは政令で定める漁業共同利用施設に対する融資についても、損失の補償及び利子補給の対象にいたしこれが復旧の円滑化をも図つたことであります、その他復旧資金の総額を六億円としたほか、その内容については前の法律と同様であります。 以上簡單でありますが御説明いたします。何とぞ愼重御審議の上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
○委員長(木下辰雄君) 千田委員から実地報告をお願いいたします。
○千田正君 先般三月四日突然に北海道及び東北地方を襲いました震災につきまして、いち早く参議院といたしましては、この不幸な現地を調査、且つお見舞をすべきであるということになりまして、院議を以て各常任委員会から現地に急行することになりましたが、幸い当委員会からは皆さんの御推挽によりまして私が行くことになつたのであります。以下現地をお見舞し且つ視察しました実情を御報告申上げます。 先ず地震の概況は、三月の四日北海道及び東北地方を襲つた地震は、北海道としては曾つてなかつた、いわゆる今まで体験しなかつた大地震でありまして、札幌管区気象台の調査によりますと、発震時は三月四日十時二十一分四十四秒が震源地での発震時であります。震源地は北海道日高国襟裳岬東方七十キロ、(東経百四十四度、北緯四十二度)の海底と推定されておりますが、これが十勝沖地震と名付けられたゆえんであります。地震の規模は昭和五年の北伊豆の地震、昭和二十三年の福井地震の約四倍、大正十二年九月一日の関東地震と大体同じ程度で、昭和八年三月三日の三陸津浪地震の約三分の一程度であるということであります。被害状況といたしましては、このため北海道の十勝、釧路、日高、胆振の四地方を中心にして全道に亘つておりまして、更に又岩手県、青森県等三陸、沿岸一帯に亘つて直接地震により又それに伴う津浪によりますところの甚大な被害を及ぼしておるのであります。北海道においては道路、河川、堤防、海岸、港湾等の土木関係施設、鉄道、通信の施設、農林水産業、鉱工業等各種産業に亘りまして総被害額は約百四十億円を超えると言われまするが、沿岸漁村においては七割までは漁民部落でありまして、従つて直接水産施設の被害は勿論でありまするが、その他これらの被害を総括的に見て漁民のこうむつた被害は誠に甚大なものがあるのであります。水産関係の被害を申上げますると、このうち直接こうむつた水産関係の被害額は、北海道庁におきまするところの三月十一日現在の調べによりますと、被害漁船の数は一千十六隻、三億百五十二万円、被害漁具が九百十一家、三億十八万円、冷蔵庫その他の施設が八百六十七施設、五千八十三万円、海藻礁の被害一億七千三百万円、貝類の被害が二百一万坪、二億七千八百三十八万円、海藻の被害が三十八万四千坪、三億五千九百五十八万四千円、津浪による減産被害が二億五千四百五十五万五千円、これを合計して見ますると、十五億一千八百四万九千円となつております。このほかに漁港関係としては、防波堤、護岸、荷揚場等が八方町村十港に亙り被害をこうむり、被害金額が六千五百三十万円となつております。又漁港ではありませんが、港湾が三カ市町村四港湾、四千一百八十万円の被害をこうむつております。又漁民の人的被害は死亡五、重傷七、軽傷六十六、合計七十八名、漁家の被害、流失家屋八十三、全壊百七十一、半壊五百九十五、合計八百四十八戸、直接地震及び津浪によつて被害を受けているのは、釧路地方の浜中村、混布森村、厚岸町、白糠町、釧路市、十勝地方の大津村、大樹村、広尾町、旦局地方の門別村、新冠村、靜内町、三石町、荻伏村、浦河町、様似村、幌泉村、胆振地方の伊達町、嶋川村、厚真村等十数個の市町村の沿岸一帯であります。 そのうち被害の最も甚大であつた浜中村の霧多布、厚岸町、床潭、釧路市、大津村、浦河町等を中心に現地の状況を詳細に視察いたしましたが、直接地震のため漁民の家屋、倉庫等の共同施設、護岸、防波堤等が倒壊或いは破壊されております。又地震の直接の損害のほかに、更に襲来しました五、六尺の高さのあるところの津浪のため、而も流氷時期のために大きな氷塊を打上げて建物の破壊、流失のほか、漁船、漁具の流失を初め、この地帯は昆布、ぎんなん草等の海藻の産地でもあり、これらの海藻類を根こそぎ洗い流し、又貝類を陸上に打上げております。霧多布の部落及び厚岸の床潭等は多数の昆布を滞貨中で、販売直前のこれらの海産物を流失され、又海水に浸されておるのでありまして、昆布のごときは霧多布の部落のみにても約四千万円の損失と言われております。家屋の倒壊、漁具の流失のため、日高地方のすけそ延繩、めぬき延縄漁業、釧路、浜中方面の蛸壷釣竿の沿岸漁業が甚大な被害をこうむつております、而も本格的な出漁期を控えてこれが復旧は容易なことではないと考えられたのでありますが、北海道庁、支庁及び市町村等の地元当局は、災害復旧対策本部を設けまして、又漁業協同組合は道連合会を中心に北海道漁村震災地救済対策委員会等を設け、これが復旧対策に努力中でありまするが、これに関して種々要望がありましたのでありますので、その主なるものを申上げますと、今回の罹災者は零細漁民であり、又地元市町村の財政窮乏の状況も甚だしいのでありますので、これが救済のため生業資金の貸付を願うほか、特に水産施設の復旧については、農林漁業特別会計から五億五千万円を漁船、漁具、及び倉庫、冷蔵庫等水産施設に対し抵利長期融資を配慮されたい。又藻礁被害による海藻等の収獲減に伴う漁民の生活対策としましては、浅海増殖事業、例えば投石を実施するため、事業費一億一千二百五十万円、延べ約四十五万人を全額国庫補助を以て措置されたい。又災害復旧に関する法令上の措置について、農林水産業施設災害復旧国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律百六十九号)の臨時特例を制定して、漁港に関するものは現行手分の五の補助を十分の十とせられたい。水産業用施設についても、水産加工場、水産物収納倉庫及び漁具庫、漁船、漁具等個人のものについても半額補助の対策をするよう追加されたい。農林漁業資金融通法についても、震災による農林漁業施設の復旧対象の範囲を拡大し、個人施設についても資金を貸付又共同使用施設の復旧に対する一事業当り貸付金の制限排除等の措置を講ぜられたい。なお災害を受けた漁船の復旧に要する木材は三万六千石であり、このうち濶葉樹二万四千石は道内産のものを充当するのであるが、針葉樹一万二千石は内地産の杉長木材等の長物のものが必要であるから、この良質な国有林材を得る途を講ずると共に、出荷について、特段の配慮を願いたい。以上国会、政府に対して要望いたしますという、北海道側の罹災地の誠に緊急にして且つ特に要望された条項であります。 更に帰途岩手県に廻りましたのでありますが、次に岩手県の状況について簡單に御報告申上げますと、北海道同様三月四日午前十時二十分突如強震がありまして、いわゆる十勝沖地震でありまするが、このため震源地に近い岩手県の久慈港は高潮約三メートル、宮古港においては高潮約同じように三メートル等を示しまして、この地方は高潮のために港湾施設や建物の損傷、道路の決潰、船舶の流失、漁場の施設の流失等、特に水産関係及び沿岸に相当甚大な被害があつたのであります。あたかも前日が昭和八年三月三日の三陸強震津浪記念日で、避難訓練を行なつたばかりで、災害予防に人畜の被害を軽微に食い止め得たことは、沿岸の被害としましても、かくのごとく一つの防災訓練をされた賜と言わざるを得ないと思つております。沿岸の被害は釜石市、宮古市、気仙郡、上閉伊郡、下閉伊郡、九石郡二十七カ市町村に亘りまして、被害が三月七日現在は、約二億円、内訳は、漁港、船溜施設は一億二千八百五十三万円、漁港船溜附帯施設が千五百十五万円、増殖施設が三千百六十万三千円、漁船が三百七十一万二千円、漁具が三百七十一万二千円、その他一千三百五十六万二千円、更にこれから釜石の漁港、岸壁、護岸、防波堤或いは防砂堤、桟橋、漁業組合経営の魚市場の上屋等が被害甚大でありまして、三陸の要衝である、その他の面もありますけれども、釜石を中心として又宮古方面に亘る被害が相当甚大であつたように見受けられて参つたわけであります。 岩手県からの特に要望といたしましては、速かに地方債の起債の枠の増大をして、且つ又農林漁業融資法に基き漁港施設への融資金の増額を緊急措置されることを要望する。それから漁港船溜施設の問題につきましては、四割の国庫補助とほかに融資の方途を講ぜられたい。増殖施設に対しましては、国庫補助又は農林中央金庫より特別融資の途を考慮を願いたい。それから魚田開発補助又は農林中央金庫より特別融資の途を講じて、介藻類の増殖施設の災害の補償に当つて頂きたい。それから漁船の面につきましては、これ又農林中央金庫より特別融資の方途を講ずると共に、国庫より補助金又は金利補給について考慮されたい。漁具、船具等につきましてはこれ又特別融資並びに国庫より金利補給の途を講ずるよう考慮されたい。介藻類、乾製品の流失等の災害については、災害補償制度を早急に制定され、同制度により被害者の生活の安定を図られたいという要望があつたのであります。 青森県のほうは直接地震による被害は殆んどないのでありまするが、その後に襲来しました津浪のため漁港関係に被害がありまして、八戸溝及び八戸漁港が防波堤、護岸が破損したのを初めといたしまして、種差漁港及び大畑漁港が一部防波堤の損傷が見られたのであります。青森県の損害総額が四千三百三十万円。 以上は北海道並びに岩手県、青森県におきますこのたびの十勝沖の地震によりますところの被害の概略でありまして、いずれの地におきましても殆んど大部分は零細漁民でありますので、特に一日も早くこれの復旧並びに救援を国会並びに政府に望むというその罹災民の人たちの誠に悲痛なる要望でありましたので、何とぞ皆様におかれましては、この終戦後十分じやない経済状況に更にかてて加えてかような大損害を受けた人たちに対して一日も早く政府としての、又国会としての救援の手及び復旧の手を講じて頂きたいと思うのであります。 以上簡単でありまするが、私どもの視察並びに調査、お見舞をいたしましたこのたびの概況を報告申上げる次第であります。
○委員長(木下辰雄君) 実地調査は只今お聞きの通りであります。その結果といたしましてここにこの法案が立案されたのでありまして、その提案の理由は只今松田君から説明された通りであります。それで次にこの法案の内容に移りますが、大体この法律案はルース台風による措置法と殆んど大同小異のようであります。ただ違うところは第一条に「又は政令で定める漁業共同利用施設」という文字が入つたのと、第六条に「組合員又は会員」という字が入つております。その連合会にも及んでおります。それと融資の金額が十五億円が六億円になつたという程度と思います。あとは殆んど大同小異であります。それで一応衆議院の専門員或いは農林省から朗読して頂きたい。法案を全部朗読してもらいたい。
○衆議院専門員(徳久三種君) 朗読いたします。 十勝沖地震による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法(案) (この法律の目的) 第一条 この法律は、漁業者又は水産協同組合が昭和二十七年三月の十勝沖地震によつてその所有する漁船漁具、水産動植物の養殖施設又は政令で定める漁業共同利用施設(以下「漁業施設」という。)について受けた損害の復旧を円滑にするため、政府が当該復旧に要する資金の融通について損失補償及び利子補給を行うことを目的とする。 (損失補償及び利子補給) 第二条政府は、農林中央金庫その他政令で定める金融機関(以下「融資機関」という。)が十勝沖地震によつて漁業施設に損害を受けた漁業者若しくは水産業協同組合でその復旧のために融資を受けようとするもの又はその者の加入する水産協同組合でその者につきその漁業施設の復旧のために融資をしようとするものに対して融資をするときは、政令の定めるところにより、当該融資をすることによつて受けた損失を補償し、且つ、当該融資につき利子の補給をする旨の契約を当該融資機関と結ぶことができる。 2 前項の規定により政府と融資機関が契約を結ぶことができる融資はこの法律施行の日から昭和二十八年三月三十一日までにされ、且つ、その償還期限が昭和三十三年三月三十一日以前のものに限る。 3 政府が第一項の規定による契約を結ぶことができる融資の総額は、六億円を限度とする。 (損失の基準及び損失補償限度) 第三条 前条第一項の損失とは、融資元本の償還期限到来後一年の範囲内で政令で定める期間を経過してなお元本又は利子(政令で定める遅延利子を含む。)の全部又は一部について回收されなかつた場合におけるその回收されなかつた金額をいう。 2 前条第一項の規定による契約に基いて政府が行う損失補償の金額の限度は、融資機関ごとに、当該融資機関のした同条同項の融資(以下「融資」という。)の総額の百分の三十に相当する金額とする。 (利子補給の基準) 第四条 第三条第一項の規定による契約に基いて政府が補給する利子は政令の定めるところにより、融資機関がした融資の融資残高に対し年四分の割合で計算した金額とする。 (利率) 第五条 第二条第一項の規定による契約を結んだ融資機関のする融資の利率は、当該融資機関が通常それと同種類の貸付を行う場合に定める利率を年四分引き下げた利率で当該契約の条件とされたものをこえてはならない。 (水産業協同組合が組合員又は会員に対してする貸付) 第六条 水産業協同組合がその組合員又は会員の漁業施設の復旧のために融資機関から融資を受けた資金をその組合員又は会員に貸し付ける場合の利率は、当該融資機関から受けた当該融資の利率をこえてはならない。 (債権の保全及び回收) 第七条 融資機関は、第二条第一項の規定による契約に基いてした融資についてこの法律の規定による損失補償を受けた後も、当該融資に係る債権を善良な管理者の注意をもつて保有し、且つ、回收に努めなければならない。 2 前項の場合において融資機関は当該融資に係る債権の回收によつて得た金額のうちから債権行使のために必要とした費用を控除し、残額があるときは、これを当該融資について損失補償を受けない損失のてん補に充当し、なお残額があるときは、この法律の規定により政府から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を政府に納付しなければならない。 (法令等の違反に対する措置) 第八条 政府は、融資機関がこの法律若しくはこの法律に基く命令又は第二条第一項の規定による契約に違反したときは、当該融資機関のした融資について、補給すべき利子の全部若しくは一部について補給をせず、補給すべき損失の全部若しくは一部について補償をせず、又は既にした利子の補給若しくは損失の補償の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。 (施行規定) 第九条 この法律に定めるものの外この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。 附則 この法律は、公布の日から施行する。 以上であります。
○委員長(木下辰雄君) この法案全部に対して御質疑ありましたらお願いいたします。
○千田正君 これは十勝沖の地震による災害の復旧資金の融通に対する法律でありますが、勿論北海道が大部分でありまりすけれども、北海道及び岩手、青森を通じても、漁業だけのその損害は、もう十億を超えておると思います。にもかかわらずここで総額は六億程度ということにしますというと、これは大体北海道といえども、これでは勿論十分じやないと思いますけれども、金額を六億円と限定した理由はどういうわけでありますか。
○説明員(濱田正君) この法案に書いてありますように、漁船、漁具、水産動植物の養殖施設、これはルース台風と違つて、共同利用施設と、これまでを加えた計算をいたしますと、漁船が一億七千六百万円、漁具が二億七千二百万円、養殖施設が五億四千五百万円共同施設が一億一千一百万円、計十一億四百万円ということになつております。以上の十一億四百万円をべースにして、大蔵省との折衝が始まつたわけでおります。
○委員長(木下辰雄君) ちよつとお尋ねしますが、それは三陸も加わつておりますか。
○説明員(濱田正君) 全部加わつております。
○千田正君 十一億何がしという今のお答えでありまするが、その十一億以上の損害に対して六億円を限度とする融資で大体復旧ができるかどうかということをお尋ねしておるのであります。
○説明員(濱田正君) これの大蔵省との折衝の経過を先ず申上げたいと思います。これはルース台風の場合の査定と言いますか、でありますと、もつと減るのでありますが、北海道並びに東北地方における漁業者の実情かちしてルース台風なみよりはもう少し有利にしてもらわなくちやならんということで折衝を始めたわけであります。そこで、その内容は、大体これは各県から来た生の数字をそのまま何らの検討を施さず、十一億として出したわけであります。そこで、一般の事業の査定と同じように、その三割程度は、これは生の数字だから、これは三割程度は査定するのはどこでも同じような査定の仕方をやつているのだ、こういう話で、七億七千二百万円……ラウンドで言いますと、三百万円、これを先ず被害の復旧額を見なくちやならんだろう。これをべースにして先ず考えるのだ。その次は、この七億七千三百万円というものが、金は要るのだが、全部が全部、この法律の対象として利子補給並びに三割補償として全部が全部やるというのは困る、まあ若干部分はこの法律の対象にしなくても、いわゆる一般融資だつてできるものがあるはずだ、こういう考え方で、ルース台風では三割ぐらいであつたはずだ、こういうのですが、この場合は、先ほど言いましたように、北海道、三陸の漁民の事情からして相当三割というのは無理だろう、二割程度くらいにせり上げてもらいたいというので、八割にしまして、六億一千八百万円という数字が出てこの六億一千八百万円というものをこの法律の対象として、利子補給並びに三割補償という形で行こう。その中でも或る程度は自己負担というものもあるだろう。それをまあルース台風では二割と踏んでおつたのでありますが、これも先ほど言いましたように、北海道、三陸の事情からして二割というのはひどいので、一割ぐらいにしてもらつて、これもせり上げてもらいたいというので九割、九割のものがこの法律で融資をして行くという形にするほうがいいだろう。そうしますと、五億六千六百万円になる。五億六千六百万円では端数が出るから一つ六億に切り上げてもらいたいということで六億ということにしたわけであります。それからちよつと速記をとめて頂きたいのですが……。
○委員長(木下辰雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。
○千田正君 大体震災とか或いは台風とかいうときは、正確にその損害は直ちにはわからないと思うのでありますけれども、いつでも大蔵省あたりの考え方は、被害者の人たちが眞実に報告してもそれを眞創に受取つてくれない。むしろ過小評価するという癖があつて、いつでもこういう法文に現われて来た面は、被害者側の要望の半分ぐらいしか出さない。こういうことであつては、報告が、いつでも災害地の報告は過大報告であるというふうにとられるのでありますが、これに対しまして水産庁といたしましては、いわゆる現業官庁といたしまして、実際に調査団なり何なりを派遣して十分に調査されて、今度の法案の提出に間に合うようなはつきりした調査を收集しておつたのでありますか、どうですか。その点を承わりたいと思います。
○説明員(濱田正君) 実は水産庁自身も本当のことを言いますと、人数も少く、被害の範囲も広いので、実際は細かく見て調べてはおりません。各道県から来たものをそのまま生の数字で集計した、こういうのが実際であります。
○千田正君 仮に本日この法案が通つて即日効力を発生するにいたしましても、恐らく六億円程度では復旧はしないと思うのであります。特に資材は値下りしてない。むしろいろいろな面において物価が高騰している今日においては、ルース台風のときのあれを基準として、今度の災害の面を必ずしもその基準に副うて採用するということはどうかと思いますが、仮に通過した場合においても、なお且つ相当の復旧を必要とする場合における対策を水産庁当局として立てておりますかどうか。例えば、この法案以外に何かの方法を考えておられるかどうか。その点を水産庁として承わつておきたいと思います。若し不足であつた場合はどうするか。
○説明員(濱田正君) 先ほど言いましたように、この六億で手を打つと言いますか、そのときの気分としましては、まあ道庁なり、県庁の連中からも聞いて見て、この程度で行けそうだというところで手を打つたということになつておりますので、その次の段階は実はまだ考えてはおりません。
○千田正君 恐らく当時はそういう状況下にあつて、現在の物價なり何なりを一つの基準として報告されていると思いますが、復旧が金が出て来て実際に始まる頃になるというと、私は相当の開きがあると思います。そういう際にも万全を期するように水産庁としても今後十分に検討されて、この法案が通過して、これでもなお不足な場合は、どういうような方法をやるかという点については、今後の水産庁の行政手腕に待つわけでありますが、十分に検討されて準備して頂きたいということを要望しておきます。
○委員長(木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。
○松浦清一君 こういう災害によつて受ける被害の実被害を知るということは、これはなかなかむずかしいことであるということはよくわかるのですが、今現場を調査された千田委員の報告を伺い、又水産庁の各県庁から寄せられた報告による数字を伺いましても、千田委員の調査に基くところは十五億一千万円である。それから水産庁の調べておるのは十一億円である。ここにはや四億円の開きがあるわけですが、おつしやる通り、或いは所によつてはその所自身が的確に被害の実体というものをつかむことができなくて、大体見当で報告された所もあると思うのですが、水産庁の言われるごとく十一億円と仮定しても、損失補償を予定して融資機関と政府が契約を結ぶことのできる総額というものは六億円である。そういうことになりますと、実際にそれを融資をする場合に実際の被害というものを再調査やりますか、やりませんか。
○説明員(濱田正君) 先ず最初の十五億と十一億の問題でありますが、実はここの先ほど私が申上げましたのは、漁船、漁具養殖施設、共同施設で、いわゆる公共の事業に入つておる漁港は入つておりませんのであります。それから次の問題は、これはもう一々又調べ直してこれをやるというと、実際問題としまして、折角法律が通つて金を持つておつて、又調べ直すというのも大変ですから、大体各県から出た被害復旧状況を大まかにつかんで割当をして何ぼか保留分を残して置いて、いわゆる実際の進行、実際の被害状況に応じてその保留分で調整して行くと、このほうが拙速と言いますか、早く行くだろう、こういう考えを以ちまして調査と言いますか、先ず第一は実情に大体合つておると、各県の報告が……。それで割当て更に事情に合わせるために保留分でその辺の調整をしよう、こういう考え方でおるのであります。
○松浦清一君 その保留分というのは六億円のうちの何%くらいを予定しておられますか。
○説明員(濱田正君) そこまでまだ細かく予定しておりませんが、一億ぐらい、これは非常に大ざつぱな話をして恐縮ですが、一億円ぐらいは保留分に取つておかなくてはいかないのではないか、かように考えております。
○松浦清一君 そうしますと、こういうものの考え方はちよつと心配をし過ぎるかも知れませんけれども、非常に正直に被害報告をしておる所と、非常に水増しをやつて報告をしておる所とが実際の問題としてはあり得ると思うのです。通常の社会においても正直者が馬鹿を見るという譬もあるから、良心を以て報告している所と、どうせ削られるというので水増しをうんとやつて報告をしている所とあると思う。そういうことを再調査されないというと、実害に対する融資の総額の率の関係が被害の実態の割合に比べて損をする所と、表現が悪いけれども、比較的うまく行つたと、こういう所とできると思う。若しかしたらそういうことが予想されるのですが、その心配はございませんか。
○説明員(濱田正君) 松浦委員のお考えは尤もであります。その通りそうがつちり細かくやつておつたら、折角法律が通つてもこれを割当てしてやつて使うというのが遅れてしまいますので、そういう点もなきにしもあらずでありますが、そこの所は何と言いますか、多年の勘で何ぼかこうわけて保留分は取らざるを得ないと思います。実際運用としては、保留分でその松浦先生の言われるところを、何と言いますか、不公平にならないように考える、こういうところでやらしてもらわんと実際遅れてしまう、こういう考えが正直なところの気持です。
○松浦清一君 大変柔かいお話でその点はわかります。討論の際に申上げますが、それからもう一点は、ルース台風の際の利子の補給に関する予算ですね、これは三千万円ですか二十七年度の予算に組まれている。その場合の予算的な措置はどういうことになつておりますか。
○衆議院議員(川村善八郎君) 昨日その問題で司令部から予算措置がないのじやないかということで、大蔵省に昨日OKを與える時分に質問が来たそう、でありました。そこで私早速大蔵省の佐竹主計官に会つて、大蔵省はまだ現在の二十七年度の予算には織込んでおらんが、二十七年度の予備費からでも出せるだろうし、又現在その措置を、予備費で支出するという措置を講じておいて、この次の臨時国会に補正予算を出すということであるならば了解をつけてくれるはずだから、大蔵省からその旨を関係方面に直ちに連絡してくれということで話合つたのですが、やはり只今私申上げましたように、予算措置は講じておらないが、最悪の場合は二十七年度の予備費からでも出し、それからそのうちに来たるべき臨時国会に、おいて補正予算を出すということになつております。
○松浦清一君 水産庁のほうに伺いますが、損害を受けている者に対して融資をする場合に何か担保を取りますか。今までどうだつたか知りませんけれども。
○説明員(濱田正君) これは金融機関の自由ということにしております。
○松浦清一君 そうすると第七条の終りのほうに「当該融資に係る債権を善良な管理者の注意をもつて保有し、」とあるのですが、法律で善良な良識に訴えるというような文句を使つたのは、私非常に浅い知識なんですけれども、こういう字句というのは少いように思うのです。そうすると担保……確実に支拂われるということの保証があつて融資をした場合には損害というものは少いわけですが、そうでなかつた場合には損害というものは大きいことを予想しなければならんわけですね。そうすると善良な管理者の注意をもつて債権を保有するということであつても、若し担保を取らないで融資機関が損害をこうむつた人に融資をするという場合に、その損害は相当大きくなるということも逆に予想されるわけですね。そうするとその六億までは損害補償をやるわけですか、借りたものを拂わなくても……。
○説明員(濱田正君) 六億円の三割です。一億八千万円までが限度です。だから金融機関が六億まるまる損をしても一億八千万円しかもらえない、そういうことになります。
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんか。この法案はまだ予備審査でありまして、衆議院を通過して参つておりません。本日はこの程度にいたしまして、三日の日に委員会を開きまして、この法案をやりたいと思います。四日は本会議がありますから……。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十五分散会