水産委員会 第21号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/03/26
会議録
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。 法案に移る前に公報に掲載してありまする伊東鉱区設定に関する件につきまして、只今静岡漁連会長の佐野君がお見えになつておりますので、調査に入る前に、一応同君を参考人として発言を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは佐野会長に発言を求めます。
○参考人(佐野寅雄君) 私佐野でございます。実は静岡県の伊東市に金山の鉱区の問題が起きまして、市を挙げての問題として騒いでおつたのでありますが、これが発掘するようになりますと、海に出る。そうしますと、あそこは静岡県唯一の定置漁場、又は沿岸漁場であります。又「てんぐさ」も漁場の周囲に一面にありますので、これに対する影響は大きいのでございまして、漁民は非常に心配しまして、県の連合会へ陳情に参りましたり、又このたびこちらへ陳情に罷り出でたわけでございます。よろしくどうぞお願いいたします。
○委員長(木下辰雄君) 只今佐野寅雄君の発言は、文化都市として指定されてありまする伊東漁港の附近に金山の発掘をして、あそこで精練をすると、非常に水質が汚されるというような陳情のようであります。幸い鉱業課長の平塚保明君がお見えになつておりますから、一応この問題について御説明を願いたいと思います。
○説明員(平塚保明君) 鉱業課長の平塚でございます。只今御質問のありました件につきまして、私から御説明申上げたいと思います。 伊東温泉の周辺に金山の出願、これは前からあるわけでございまするが、これは通産省といたしましては、温泉或いは只今の御質問にございましたような、いろいろの漁業その他の関係もありまするが、一部の地域を鉱害地として指定いたしておりまして、その範囲におきましては鉱区の設定を禁止いたしております。それで、現在までに鉱区を設定いたしておりまするところは一鉱区ございまするが、この鉱区につきましては、鉱区は、御承知のように、地上権、土地所有者とは関係なしに権利を取得し得るものであります。併し、鉱業を営みますには、必ず地上権と関係がございます。土地を持つております者の了解がなければ仕事ができないわけであります。前にございました鉱区も、土地所有者との話合いがつかずに、常に今紛争を続けて来たりしたわけでございますが、これは伊東市が取得いたしまして、従つて現在までのところは、今すぐ鉱業を営もうという者は誰もおりません。又権利を持つておる者もおらないという状態でございますから、従つて、只今のような御心配は、現在のところございません。併し、その後伊東温泉の発展のために、ここにその周辺に鉱区の出願をいたしておりますが、これを掘られたんでは水源に影響がある、或いは温泉に影響がある、或いは只今御発言のありましたように、漁区その他に関係があるというようなことで、鉱害地の拡大申請が県から出ております。従つて、通産省といたしましては、現在のところ出願は受理いたしておりますが、権利は確定認定いたしておりません。それで、この件につきましては、只今土地調整委員のほうの手に入つておりまして、ここで認定をいたしまして、鉱害地の拡大をするということになると思つておりますが、いずれこの問題につきましては、只今土地調整委員でいろいろと案を練つて、現地の調査もいたしております。これによつて決定されるわけであります。その場合に、それではどの辺まで拡大できるかということについては、私は直接の当事者でございませんので、ここで御説明申上げかねるのですが、万が一、一部その周辺に鉱区が設定される程度に、鉱害地が決定されるといたしまして、それではその場合どうだということを参考に申上げてみまするが、伊東地区の金山はこれは前からかねがね問題になつておりまするが、現在のような金の価格が安い折から、到底私は成立たないというように考えております。これは大戰前に日本が産金奨励を非常にやりまして、補助金なども出しまして、大いに金を掘らせました。そのときも、一つは先ほど申上げましたように、土地所有者との話合いがつかなかつたということに起因をいたしておりまするが、あの地帶には一つも鉱山が開鉱されておりません。さようなわけで、又その後の調査の結果を見ましても非常な立派な、優秀な鉱区は残念ながら認められておりません。それと、もう一つは、あの地帯の金山は、すべてあの金山と申しますると、金だけが出るのじやございませんので、金と緒に例の肥料の生産に必要な硫化鉱、これは鉄と硫黄と結び付いたものでありますが、そのほか銅や亜鉛、鉛が入つておりますが、そういうものが随伴して出て参りまして、これを掘りますと硫化鉱が酸化して、亜硫酸になり、硫酸になつて、これがいわゆる酸性の水を流す。これが海に入りまして、その辺を荒らすというようなことになるわけでありますが、あの地帶には、金山と言いましても、硫化鉱が非常に少い。従つて万が一ありましても、酸による溶け水というものは先ず考えなくていい。これは植村という理学博士に鑑定を、現地の調査を依頼したのでありますが、植村博士の報告に基きましても、そういう心配は先ず要らないだろうという結論に至つております。併し、これは若し時代が変りまして、金が非常に必要である、例えば通貨基金にも近々入るということになつておりますが、これに入ればどうしても経営費は金で以て拂わなければならんということになつておりますので、そういう状態になりますと、日本が少くとも金を現状以上に出さなければならんということになるわけであります。そういうような状態になりましたときに、そういうふうな、今申上げましたように、被害としては比較的少いような鉱山をやる。繰返して申上げますると、現在日本の金山は北海道から九州にかけましてあり、伊豆は一つの金山地区となつて、日本では優秀な所でございまするが、主として大きな金山は西海岸に近いほう、土肥、持越、清越、湯ケ島というように、天城山の西側にございまして、東側には繩地というのが一つございますが、これはやつておりません。それから南のほうに参りまして連合寺、これは日本鉱業等がやつておりまするが、さようなわけで、私は今すぐの問題として御心配になるには及ばない。御心配ないというふうに私は考えております。なお鉱区の設定とかにつきましては、これは直接的には東京通産局で扱つております。又若し設定されて仕事をやるような場合に、それではどうなるか。鉱害に対してどういうような措置をするのかということでございまするが、それにつきましては、御承知のように、鉱業法並びに鉱山保安法、この二つがございまして、常に鉱業のほうを主に優先して考えております。尤も今までの既存の鉱山が必ずしもそれでは排水排煙問題で、すべてに実際の害なしにやつておるかという御質問がございますれば、この点は誠に申訳ないのでございますが、この点につきましても徐々に改善しつつあるということをはつきり申上げていいと思います。さようなわけで、これは我々のほうの直接の行政の面から言いますと施業案というのを出されまして、その中に設備一切それの運営一切を記載させまして、その施業案が鉱害を及ぼさないように十分できているかということを認定して、その仕事をやらせますから、先ずそこで仕事をやる場合に抑えますし、又万が一、若干のそういうような汚水というようなものが出ます場合は、鉱山保安法で十分取締つて御迷惑のかからないようにすることも十分心掛けるつもりでおります。只今のところ、私はざつと申上げたのでありますが、なお御質問頂いてお答えしたいと思いますか……。
○委員長(木下辰雄君) 何か御質問ございませんか……。御質問がありませんから、私がちよつと希望しておきたいと思います。水産のほうでは水産資源保護法ができまして、目下その法律の実行に入つておるような程度であります。併し漁業法も前から水質汚濁という問題がありまして、相当やかましい問題が起つておりますが、最近パルプ工場とか或いは人絹工場とか或いは鉱山とかいう方面から、大変汚水を流されまして、水質を汚濁し、そのために水産物の減産を来たしておるという状況が多いのですからして、若し鉱区設定をおやりになるという場合においては、その辺を十分一つお考えになつて水産に影響ないようにお願いいたしたいと思います。
○説明員(平塚保明君) 只今委員長のお話、伺いまして誠に御尤もでございます。私ども鉱山関係の産業を担当いたしておりますものといたしましても、これもやはり国の経済に寄與しようというふうに考えております。只今のお話のように水産のほうを無視してまでやつても全体のバランスをとつてみれば、結局マイナスになつて行く、そういうことは今の御趣旨の通り十分に頭に入れまして今後するつもりでおります。
○秋山俊一郎君 只今の問題につきまして水産庁当局にお伺いいたしますが、今委員長からお話の出ました水産資源保護法というものは過般制定せられておるわけでありますが、これについては政令を以て各種の細目を規定することになつておるはずであります。この法案が衆参両院を通過せんとする際におきまして、通産省方面からの強い意見が出まして法文の一部をやむを得ず修正した事実もあるのでありますが、同時にかような水質を汚濁するところの事実につきましては、水産庁が処置するときに限らず、通産省が処置する場合にもお互いに会議をしなければならないはずなのでありますが、その点通産省から農林当局或いは水産庁当局に会議するような制度に政令なり或いは施行規則なりというものができておるか、或いは今そういうことになりつつあるか、その辺の事情を水産庁当局から伺いたいと思います。
○説明員(尾中悟君) 只今の御質問でございますが、水産資源保護法の実施につきまして水産庁といたしまして、今後政令なり或いは省令の準備をいろいろ進めておるわけでありますが、この点につきましてはなお部内で十分研究いたしまして法令の施行についてはやつて参りたいと思つております。他省との関係でございますが、これはそれぞれ水産資源保護法の成立する前に改正がございまして、通産大臣或いは建設大臣なり関係のある場合には会議の上やるということになつておりますので、その線に沿いまして今後施行の省令或いは政令の準備を進めて参るわけであります。
○秋山俊一郎君 今日の、ここに法律文を持つておりませんので條文について伺うことができませんが、たしかあのときの修正は、資源保護のために林大臣が保護水域と申しますか、保護水面を設定する場合において、関係主務大臣即ち建設大臣であるとか或いは通産大臣とかいうものと協議をしなければならんということに、たしかなつたと記憶しておりますが、逆に建設省並びに通産省等が今の鉱区を設定するとか、或いは河川の流域を云々というような場合にも十分農林大臣と協議をするようなことにして行かなければならないと思います。従いまして、只今の問題になつております伊東の金山の鉱区のごときにいたしましても、これが今後認可をする、或いは施行するという際に農林大臣との間に話合いをつけてやることができるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○説明員(尾中悟君) 私、通産関係の鉱業の、例えば今の鉱区の指定の際に、従来の例から申しますと法律的に水産庁なり農林大臣のほうと協議しなければならないというふうになつているかどうか、ちよつとはつきりしたことを知りませんが、事実上今問題になつておりますのは河川なんかの場合でございまして、例えば発電所を設けるとか、その他いろいろな、いわゆる内水面関係で漁業と関連ある場合には、いろいろ事務的は折衝をやつているという程度でございます。ただ今後近く河川法の改正が予想されておるようでありますが、この点につきましてははつきり明文を以ちまして農林大臣とも協議の上、河川の使用なり何なりについてはやるというふうな方法で改正されるように我々としては申入れておる程度であります。
○秋山俊一郎君 只今のお話では、大体河川乃至内水面にのみそういうふうに重点を置いておられるようでありますけれども、従来の例から見ますと、河川も勿論でありますが、沿岸に対しましても相当大きな被害が随所にありまして、そうして関係業者は非常に苦しんでおる例があります。例えば炭鉱のあれであるとか、或いはパルプ工場の汚水が海中に流込むというようなことで、海草が採れなくなる、或いは養殖しておる貝類が斃死してしまうというような事実もしばしば現在あるようでありますが、そういう意味におきまして單に内水面だけでなく、海に対しましても同様な処置を考えて、今後の政令を作りますなら、そういう際に周到な用意をして頂きませんというと、水産関係が設定をする場合にのみ会議して、一方、通産建設のほうでやるものに対しては知らずに通つたということでは、何らの価値がないと思いますので、その点を特に注意をいたして置きたいと思います。
○千田正君 私は、その点において鉱業法との間の問題が起ると思いますが、今の秋山委員の質問に対しまして、通産省のかたから承わりたいと思いますが、鉱業法の施行細則その他について、今のようないわゆる事業に利益を及ぼすような場合におけるところの補償とか、或いはその前に関係各省との間に折衝しなければならないというような法文がありますかどうか。私は浅学菲才でなかなかそこまでわかりませんので、一応その点を承わりたいと思います。
○説明員(平塚保明君) 只今の御質問の件にお答えいたしまするが、鉱区設定につきましては、地元の了解を得なければ鉱区の設定をいたしておりません。従つて通産省は、出願人の出願をただ通産省側だけでは認めておらないのであります。それから今の紛争のような問題におきましては、これは土地調整委員会が、裁定をいたすことになつております。今回、御質問がありました伊東の鉱区の件につきましても、現在土地調整委員会でこれを取上げております。広く各方面から検討いたしまして、これを決定いたすことにしております。どうか一つ御了承を願いた いと思います。
○千田正君 それは、海底における鉱区の設定の場合においても同じような方法をとられておりますか、その点を承わりたいと思います。
○説明員(平塚保明君) 海底の鉱区の設定につきましては、実は私はメタルのほうを担当いたしておりますので、石炭関係を担当いたしておりません。甚だ申訳ないのでございまするが、その点については確たる御回答はできません。甚だ恐縮であります。
○委員長(木下辰雄君) 後日御回答を願いたいと思います。
○説明員(平塚保明君) これは後日書面で委員長のお手許に差上げたいと思います。
○秋山俊一郎君 今お話の、地元との了解の下にというお話がありましたが、これは当然なことだろうと思います。鉱区の地元と申しますのはどういう範囲を含みますか、いわゆる有害物資が流出するということは必ずしもその地元だけでなく、及ぶ範囲は、相当流れて来れば海岸まで及ぶ。その地元というのは、海岸であれば勿論海岸が地元になりますが、奥の山であつた場合に、それが流れて被害が海岸まで及んで来る場合、被害が海岸であるその場合に、山の中の土地調整委員会と相談して見たところで、何ら海のほうの相談にはならないのじやないかと、こういうふうに考えるのでありますが、土地調整委員会というのはどういうものでありますか、私どもその方面をよく知りませんけれども、どういうことになつておりましようか。
○説明員(平塚保明君) 只今の御指摘は誠に御尤もであると思います。私が申上げましたのは鉱区の設定をするのかどうかという点についてお答えを申上げたのでありますが、只今のお話は鉱区を設定されて、それを仕事をしてから、あとにその被害が及ぶと、これが若し十分なる施設をしておらなければ、これが河川にまで影響を及ぼす。これが河川、更に海にまで及ぶということになりますから、それに対しましては鉱業法の規定でいろいろ施設をさせます。鉱害防止施設をいたします。それによつて施業案を出させまして、その施業案で、これならば排水の問題で下まで影響を及ぼさないだろうという認定をいたしまして、許可をいたしておりますから、その場合施業案に反する行為をいたしますれば、これは取消しというようなことも強制ができるというようにやつております。さような次第でございますから、私が最初に申上げましたのは、土地の鉱区の設定の場合…、それから設定後の仕事をやる場合には又別途のところで取締をいたします。
○秋山俊一郎君 鉱区を設定する場合には、勿論それが仕事をするという前提の下に設定するだろうと思いますので、これが先ず第一前提となつて、鉱区を設定すればいつの日にかは、直ちにやるか或いは時間を置いてやるか、とにかくやるものだということには変りはないと思うのです。たまたまそれが今日も仕事をしないところがあるかも知れませんけれども、少くとも設定する場合にはこれは仕事になるんだということの見通しでやる。そうすればその仕事によりましては有害物資が流出するということも幾多の例があるのであつて、こういう鉱山についてはこういう鉱害があるということもわかるのだと思います。水産物に対するこの鉱山から出て来る有害物質というものは、そんなにその濃度の高いものでなくて、極めて稀薄なものにおいても非常に大きな影響を来たす場合があるのであります。これは専門家にお聞き下さるとわかるのですが、ちよつと検出のできないくらいの程度の薄いものであつても、これが多数の水産物に大きな害を與えて、一遍に死滅するというようなこともあるわけであります。その辺を私どもは将来非常に憂えるのであつて、従つて資源保護法というものを制定したゆえんもそこにあるわけであります。従つてこの鉱害を除去するためには、鉱区を設定するとか或いはその鉱区が事業に着手するとかいうような場合は、従来往々にして当局、即ち鉱山であれば通産省の当局が認定をして、これじや大した鉱害はない、或いは鉱害があるだろうというふうな認定によつて処置をせられる。一方相手方の水産業者から見ると、そんなことではとても駄目だというような見解の違いがあり、又全体が大きな違算を来たすことがあるわけなので、今後私たちは水産資源保護法によつて、そういう場合に双方が相談をして取極めをして行くようにするならば万全が期せられるのじやないか、そこに多少の意見の相違もあり、紛争があるかも知れませんが、事が起つてからの紛争よりも、未然の紛争のほうが片付きやすい、かように考えますので、通産当局及び水産当局は、その点に今後の資源保護法の施行規則なり或いはその他の政令を出しますときに、とくと御留意の上でいろいろな規定を出して頂きたい、かように希望するわけであります。
○委員長(木下辰雄君) 御質問が盡きたと思いますので、鉱区設定に関する件はこれを以て打切ります。
○説明員(平塚保明君) ちよつと……先ほど御質問がございました土地調整委員についてお答えを申上げます。これはその土地が例えば何に使つたら一番いいか、例えばここに発電所を作りたいといつたような場合に、鉱区がございました場合、鉱山経営に影響があるから困る、こういうような問題が出て参ります。その都度、主務官庁から総理府にございまする土地調整委員会に提訴をいたしまして、そこで裁定を仰ぐということになつております。現在までさような問題で土地調整委員会が取上げてやつております件が数件ございますが、これは風致の問題、いわゆる国立公園の風致を害するからいかん、鉱害はやめてくれ、こういうふうな問題、或いは只今の伊東の温泉並びに水産その他に影響がある、或いは発電所のダム工事がいいか悪いか、これは建設省からの依頼、こういうようなのをやつております。 —————————————
○委員長(木下辰雄君) 次に漁船損害補償法案及び漁船損害補償法施行法案を議題に供します。先ず提案の理由の説明を求めます。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 漁船損害補償法案及び漁船損害補償法施行法案の提案の理由を説明さして頂きます。 ここに改めて申上げるまでもなく漁船は、漁業をする上に欠くことのできないものであると共に、漁業者にとつては重要な財産であります。従つて、この漁船が一度不慮の事故により、損害を受けた場合には、船主は勿論その漁民は、深刻な打撃をこうむり、漁業経営の安定を脅かされ、延いては、漁業生産上にも重大な悪影響を及ぼすことになります。 このような場合に対する特別な制度としては、昭和十二年六月から実施されて来ました、現行漁船保險法による保險制度があるだけであります。この制度は、創始以来漁業者に或る程度の貢献をして来たのでありまするが、これを利用する者は、甚だ少いのであります。即ち、全国の漁船が約四十三万隻あるうち、現在この保險に加入をしておる漁船は、僅かに約三万隻という現況であります。この原因は、どこにあるかというと、先ず、四十三万隻の漁船の、一隻当りの平均トン数は僅かに四トンに満たない小型船で、これが全国に散在しているという状態であつて誠に零細なる漁業であり、漁民には資力が乏しいという惡條件の下にありますから、漁民の保險料の負担が過大となり、保險経営の業務費の増嵩を来たし、加うるに漁民の保險思想も乏しく、従つて、保險事業の普及もその経営も極めて困難であります。このような実情であるにかかわらず、現行漁船保險制度は、漁民を大型商船の持主と同様に取扱い、漁船保險事業の経営に、保險会社並びに独立採算制を強いているのであつて、ここに根本的な問題があると信ずるものであります。 翻つて、漁業経営の実情を見まするに、漁獲物は、取引の相手方に格付され、常に低廉なる魚価と高騰する所要資材の価格との鋏状差に悩されるばかりでなく、漁獲物は保存性が乏しいために、たとえ豊漁の場合といえども、安く買い取られる場合が多いのであります。このように、漁業者が経済的に極めて不利な立場に置かれておることは、必然的に経済的弱者となり、その信用の低下を来たして、融資に困難を伴い、漁業生産や生計上にも惡い結果を来たしておる次第であります。 かくのごとく、経済的に不利な立場にある漁業者に対しては、国は、財政的援助等適切なる施策を講じなければならないものと信じます。そこで、保險が、誰でも利用できるという、いわゆる社会性を有するところから、保險を通じて漁船の事故による損害に対して補償を行うことが、最も適当な方法であると思いまして、漁業経営の安定対策の一環とし、保險を主軸とするこの法律を制定をしようとするものであります。これが、この法律案を提出する理由であります。 次に、この法案の内容を申上げます。先ず、その骨子は、各地方の漁船保險組合が行う漁船相互保險に対して、政府が再保險をすることであります。この事務費は国が負担又は補助すると共に、一定の漁船について義務加入制を設け、保險料の一部を国が負担するというのであります。 第一は、漁船保險組合であります。この組合は、現行制度と同様に、漁船の所有者を以て組織し、組合員の所有する保險の目的たる漁船につき、相互保險としての損害保險事業を行うのであります。この漁船保險組合を業態組合と地域組合との二種とし、業態組合は、特定の漁業に従事する大型漁船のみを保險の目的とし、その所有者を以つて組合員とするものであります。次に地域組合は、業態組合の保險の目的となつていない漁船を保險の目的とするのでありまして、その区域は、原則として都道府県の区域を区域とし、国の財政援助は主にこれに注がれることになつております。 なお、漁船保險組合の行う保險は、普通保險と特殊保險との二種であつて、そのおのおのの内容は、大体現行の漁船保險と同様であります。 第二は、義務加入制であります。これが、今回の補償制度における本質的な特長でありまして、漁業協同組合の区域内に住所を有する一定の漁船を所有する者の三分の二以上の決議又は同意があつたときは、これらの者のすべてが、その所有する一定漁船の全部につき、普通保險に付する義務を有することであります。この一定漁船というのは、昭和二十七年度においては、取りあえず総トン数二十トン未満の小型漁船のうちで、義務加入に適当なものを政令で定めることに参なつております。 第三は、政府の再保險であります。これは、殆んど、現行漁船保險制度と同様であります。 第四は、保險料等の国庫負担であります。先ず、義務加入をする地区内に住所を有する者の所有する総トン数二十トン未満の漁船で、保險価額の百分の五十以上の保險金額を普通保險に付したときは、国は、その保險価額の百分の五十に相当する保險金額に対する純保險料の百分の五十を負担するのであります。 これらの義務加入等の漁船について、漁業協同組合が、保險料を取り立てて、その組合員に代つて、漁船保險組合に拂込をしたときは、漁船保險組合は、漁業協同組合に一定の事務費を交付するものでありまするが、国は、その一部を補助することになつております。また、政府の再保險については、附加再保險料を徴收せず、その業務取扱費は、その金額を国が負担するほか、漁船保險組合に対しても、その事務費に相当大幅の補助が行われることになりまして、昭和二十六年度に比較すると、その約八倍の補助金が、交付されることになつております。 第五は、新たに、漁船保險組合は、漁船保險事業の健全な発達を図るため、全国に一つの漁船保險中央会を設定することができるようにいたしましたことであります。 以上が、漁船損害補償法案の概要であります。 次に漁船損害補償法施行法案について申上げます。この法律案の主な点は、現行漁船保險法を廃止し、漁船損害補償法を施行するために必要な経過措置等を規定したものであります。即ち、漁船保險法に基く漁船保險組合は、漁船損害補償法の施行後、八ケ月以内に、その定款を変更して漁船損害補償法に基いた組合となり、旧組合の権利義務を承継することができます。若し、旧組合が、八ケ月内に、この措置を探らなかつたときは、解散することになつております。 以上が、両法案に対する提案の理由とその概要であります。何卒愼重に御審議の上、速かに御賛成下さいますよう御願申上げます。
○委員長(木下辰雄君) なお法案につきまして、水産当局から御説明を願います。
○松浦清一君 その御説明の前にちよつと提案者にお伺いしたいのですが、提案理由説明書の中でプリントの間違いか、お読み違いか、ちよつと意味の違う所があるのでお伺いしたいのですが、一枚目の裏の最後から四行目の下のほうの「保險会社並の」と私のプリントにあるのですが、「並びに」とお読みになつたんですが、これはどつちが本当ですか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 「並の」です。
○松浦清一君 それではプリントが正しいのですね。それからもう一枚めくつて、三枚目の最初から四行の下のほうに「決議又は」とあるのを、ここは消してあるのですが、これをお読みになるときは「決議又は」とお読みになつたのですが、これは消してあるのが本当ですか。
○衆議院専門員(徳久三種君) そうです。
○松浦清一君 それからもう一枚めくつて、三枚目の裏のほうの最後から六行目の上のほうに「全額」とプリントにあるのですが、「金額」とお読みになつたのですが、これはどちらが本当ですか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) これは「全額」が本当です。さよう御訂正願います。
○委員長(木下辰雄君) では法案の説明をお願いいたします。
○説明員(伊藤茂君) 法案につきまして大体のところを申上げます。 第一章総則、(この法律の目的)というところと、次に漁船保險事業、政府の再保險事業、漁船保險中央会、第五章の、保險料の負担及び補助金の交付、こういう点が概略この法案のまあ山と申上げてよろしいかと思うのでありまして、この範囲につきまして御説明申上げます。 この法律の目的は、第一條に挙げておりますが、「この法律は漁船につき、不慮の事故によつて生じた損害を補償して、その復旧を容易にし、もつて、漁業経営の安定に資することを目的とする。」、で、損害を生じた場合に復旧を容易にすることは勿論でありますが、今まで小型漁船においては保險の利用が殆んどできませんので、金融方面にも非常に不利な立場にありますので、保險の普及を図りまして金融の打開ということも一つの目的になつておるわけでございます。 第二條の「漁船損害補償は、漁船保險組合が行う漁船保險事業及び政府が行う再保險事業により行う。」、これは漁船損害補償といういわゆる社会保險を、漁船保險組合が行う保險事業と政府が行う再保險事業というものを通じてこれを実施する、こういう意味であります。 第三條の定義におきまして、この法律において漁船保險とは、保險の目的たる漁船——漁船法の第二條第一項に規定してあります漁船をいうのですが、これにつき滅失、沈没、損傷その他の事故によつて生じた損害を填補する相互保險であると定義しております。なお、漁船保險は、第三條第二項で、特殊保險及び普通保險とし、特殊保險というのは、戰争、変乱その他政令で定める事故を保險事故とする保險であるとなつておりますが、これは只今の問題になつております捕獲、拿捕及び抑留による事故を主として扱つておるわけであります。それから普通保險というのは、それ以外の事故を保險事故とする保險を指しておるわけであります。 それから次に、第二章の第七條でございますが、今まで漁船保險組合というものには、明確な地域、業態という区別はありましたけれども、これは法律的にはつきりきまつておりませんでしたが、これを今度はこの第七條で「組合は、地域組合及び業態組合とする。」、二項、「地域組合の区域は、都道府県の区域とする。但し、北海道及び兵庫県の区域において設立されるものについては、省令で特別の定をすることができる。」、これは省令におきまして北海道及び兵庫県の区域における地域組合の区域は、当分の間現に存する漁船保險組合の区域とする。但し合併による組合の変更は妨げないものとする、こう政令で定めることになつております。で、現状を先ず尊重しよう、こういうわけであります。それから三項で「業態組合とは、政令で定める特定の漁業に従事する特定の漁船のみを保險の目的とする組合をいう。」、これは政令で業態組合の保險の目的たるべき漁船は左の各号に掲げるものとしまして、捕鯨漁業、以西トロール、以西底曳網漁業、かつお・まぐろ漁獲物運搬業、北海道の以東底曳、これもやはり現状に照らし合せて、現状を尊重して、それをそのまま採用するようになつております。 次にずつと飛びまして、あとは組合の設立、組合員というような一応普通に規定されるものでありますので、十八頁の、第四節、漁船保險事業というところに参りたいと思いますが、第三十條「保險の目的たるべき漁船は、総トン数千トン未満の漁船とし、業態組合にあつては政令で定める漁業に従事する漁船であつて政令で定める総トン数以上のもの、」、この政令で定める総トン数以上のものというのは二十トン以上を指すはずでございます。で、「地域組合にあつては業体組合の保險の目的となつていない漁船とする。但し、地域組合にあつては、業態組合の保險の目的となつていない漁船であつても、水産業協同組合以外の法人で常時使用する従業員の数が三百人以上で、且つ、使用漁船の合計総トン数が三百トン以上のものが所有する政令で定める総トン数以上の漁船については、定款で別段の定をした場合の外は、保險の目的とすることができない。」、ここの趣旨は、一応業態組合で引受けていない船は地域組合はどれでも引受けることができる、但し大きい法人の持つております船で、政令で定める総トン数以上というのも、ここもやはり二十トンでございまして、登簿船で、大きい会社等が持つておる船につきましては、特に定款で定をした場合のほかは引受けてはならない、こういう精神でございます。それから「漁具は、定款の定めるところにより特約がある場合に限り、その属する漁船とともに保險の目的とすることができる。」、併しこれは省令でたしか縛つておりますが、一応漁具は船に載せる網、或いは延繩等でありますけれども、全損事故だけを対象とする保險を差当り開始できるようにしておりまして、分損は扱わないようになつております。 それから三十一條は、これは正当な事由がなければ保險の引受を拒むことができない、当然の規定であります。 第三十二條がいわゆる義務加入の規定でございまして、非常に大きい條文になつております。「漁業協同組合の地区内にその住所を有し且つ政令で指定する漁船を所有する者(以下本條において「指定漁船の所有者」という。)の総員の三分の二以上の者が、政令で定める手続により指定漁船の所有者はすべてその所有する当該漁船の全部につき普通保險に付すべきことにつき同意をしたときは、指定漁船の所有者のすべての者(同意があつた後指定漁船の所有者となつた者を含む。)は、その所有する当該漁船の全部につき、普通保險に付さなければならない。」これがいわゆる義務加入の法文でありますけれども、ここで政令で指定する漁船を所有する者というのは、いわゆる漁業協同組合の地域を單位としまして、そこに住所を有し……、この政令で指定する漁船というのは、ここでは政令で第四條に二十トン未満一トン以上の動力漁船ということを主として目標にしておりまして、無動力或いは一トン未満の小型動力船は一応後に出て参りますが、任意加入の建前で、而も保險料の国庫負担が受けられるような工作をしております。で、手続等は代表者が市町村長に申出まして……。その次にございます二項「前項の規定による同意があつたときは、その代表者は、当該地区を区域内に含む市町村(地方自治法第百五十五條第二項の市にあつては区)又は特別区(以下「市町村」という。)の長にその旨を通知するものとし、その通知を受けた市町村の長は、その旨及び前項の規定の適用を受ける地区を公示しなければならない。」、これを公示する、三項、「第一項の規定による同意があつたときは、その代表者は、当該地区の漁業協同組合に対し、その同意を証する書面を添えて、当該漁業協同組合の組合員たる指定漁船の所有者が組合に支拂うべき保險料を集牧してその者に代り組合に拂い込む事業を行うべき旨の申出をしたときは、当該漁業協同組合は、正当な事由がある場合の外は、その申出に係る事業を行わなければならない。」、これは保險料を集收して組合員に代つて保險組合に拂込む仕事をしてもらいたいと申出た場合には、その漁業協同組合はその事業をやるようにきめてあります。第四項「前項の規定による事業を行う漁業協同組合は、当該漁業協同組合の組合員からその所有する第一項の政令で指定する漁船以外の漁船で保險の目的たるべきものにつき普通保險に付することに関し前項と同様の申出があつたときは、正当な事由がある場合の外は、当該漁船についても、前項の事業を行わなければならない。」、これは指定漁船の以外の船、いわゆる任意加入のものにつきましても同じ仕事をやつてもらいたいと申出があつた場合にはその事業を行うべきである。第五項「第三項の規定による事業を行う漁業協同組合は、その組合員以外の者であつてその地区内に住所を有する者の所有する漁船に係る普通保險についても、第三項の事業を行うことができる。」、これは組合員外の利用の場合を示しておるのであります。それをやはり斡旋してやつてもよろしい。第六項「第一項の規定により漁船を普通保險に付する場合における保險金額並びに第四項及び前項の規定の適用を受くべき漁船の普通保險の保險金額は、政令で定める金額を下るものであつてはならない。」、これは政令で保險価額の百分の五十に該当する金額ということをきめてございます。つまり船価の半額だけは入らなければならない、これがやはり組合加入の一つの條件になるわけでございます。七項「組合は、第三項の事業を行う漁業協同組合に対し、その事務費として、政令で定める金額を交付しなければならない。」、これは徴収保險料の百分の十に該当する額を政令で定めます。八項「第一項から第五項までの規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。」、これは重複加入とか、或いは指定漁船の共有者の場合とか、異議の申立とか、そういう関連した場合を措置することが政令で定められております。 あとは組合の合併、解散というようなこと、損害填補のこととか普通の登記、そういつたようなことでありますので、この点は略さして頂きます。 五十九頁の、政府の再保險事業、これは大体現行と同じでございます。 第百十四條「政府は、組合が漁船保險事業によつてその組合員に対して負う保險責任を再保險するものとする。」、第百十五條「組合と組合員との間に保險関係が成立したときは、これによつて政府と当該組合との間に再保險関係が成立するものとする。」、これは組合と組合員との間に保險関係が成立しますと、自動的に政府との間に組合が再保險関係を持つことになります。 その次の百十六條「再保險金額は、保險金額の百分の九十とする。」、これは現行と同じでありまして九割の再保險率が法律で確定したわけでありまして、今まではこれを政令できめておりましたが、今度はこれが法律事項になりました。 それから第百十八條に飛びまして、これは「政府は、組合が第三十八條の規定により保險料の拂戻をしたときは、政令の定めるところにより、再保險料の一部を拂い戻すことができる。」、この三十八條というのは飛ばしましたが、或る場合には組合が組合員に保險料の拂戻ができるという規定を三十八條に設けました。その大きな狙いは特殊保險事故で以て全損した船がありましたときに、普通保險の保險料の未経過分を返せる、或いは又漁具の場合も返せるということを規定した條文でございます。この場合に政府の再保險も、そのまま関連して返して差上げる、こういう條文でございます。 そのほか大体現行通りでございまして、六十四頁、第四章の漁船保險中央会は新らしい條文でございます。第百二十七條は「組合は、漁船保險事業の健全な発達を図るため漁船保險中央会を設立することができる。第百二十八條「漁船保險中央会(以下「中央会」という。)は、全国を通じて一箇とする。」、このようにいたしまして、組合を会員とする中央会ができます。 第百三十二條に「中央会は、定款の定めるところにより、左の事業を行うものとする。 一 保險料率の算出、二 損害の発生の予防及び防止に関する事項の調査及び指導、三 会員たる組合の委託によつてする保險引受のための漁船の調査及び保險の目的たる漁船についての損害の調査、四 漁船保險の普及宣伝、五 会員たる組合の職員の指導及び福利厚生、六 その他漁船保險事業の健全な発達を図るための調査及び指導、七 前各号の事業に附帶する事業」、こういう工合になつておりまして第一号に掲げました保險料率の算出というようなことが今までは全く天降りでありましたが、今度は中央会で一応試算いたしまして資料を作りまして、これに基きまして農林大臣が決定するということになります。 その次に七十二頁に飛びまして、第五章、保險料の負担及び補助金の交付というところに参ります。第百三十九條「国庫は、第三十二條第一項の規定により保險に付した漁船及び政令で定める漁船についての同條第六項の政令で定める金額に相当する保險金額に対する純保險料の百分の五十を負担する。」、これは義務加入になつたものについては先ほど御説明申上げました通り第三十二條第六項で船価の保險価額の百分の五十に該当する保險金額を一つの條件としております。半額までは入らなければならない、その半額に対する純保險料の又半分を国で負担する、こうきめておるわけであります。 それから先は手続でありまして、第百四十一條「政府は、予算の範囲内において政令の定めるところにより、組合が第三十二條第七項の規定により漁業協同組合に対し交付する事務費交付金の一部を補助することができる。」、これは収集保險料の百分の十を漁業協同組合に対して漁船保險組合は交付するということが三十二條の第七項にきめてありましたが、その中の一部……現在の予算措置では大体予想通りに加入があると仮定いたしますると、その中の六だけ……つまり百分の十を交付しますが、百分の六だけを政府が負担するような予算措置になつております。 それから次は第百四十二條「政府は、予算の範囲内において政令の定めるところにより、毎会計年度組合の事務費の一部を補助することができる。」、これは先ほど松田先生からの御説明にもありました通り、漁船保險組合の事務費の補助でございまして、現行の約八倍にこれが持上るはずでございます。大体賦課保險料の、いわゆる事務費の三分の一を国が持つという建前で予算を組んでおります。 第百四十三條「政府は、再保險事業の業務の執行に要する経費に相当する金額を、毎会計年度の」、これは「予算」が抜けております。これはミス・プリントでありまして、「予算の定めるところにより一般会計から漁船再保險特別会計に繰り入れるものとする。」、これは現在まで賦課再保險料と称しまして、組合の取られた賦課保險料の中から政府が一部頂きまして、政府の事務費に充てておつたのでありますが、これを全面的に廃止する、こういう規定でございます。 大体以上が、本法に対する各條文の特に必要と思われる分だけを説明申上げました次第であります。 なお漁船損害補償法施行法案につきましては先ほど松田先生から御説明がありました通り、大体現行漁船保險組合は定款を変更することによりまして、八カ月以内に新法の組合に乗移るという規定でございまして、権利義務をそのまま承継する、こういうことになつております。以上であります。
○委員長(木下辰雄君) どういたしましようか。逐條審議をいたしましまか。その前に先ず総括的質問をいたしましようか。
○千田正君 今の説明で大体わかると思いますが、むしろ重点的に了解のできない点だけ質問されたほうがいいのじやないでしようか。
○委員長(木下辰雄君) それでは第一章につきまして御質問がございましたらお願いいたします。第一條、第二條、第三條であります。
○松浦清一君 ちよつとその前に伺います。この法案は、松田さん、提案者に伺いますが、いつまでに通過すればいいのですか。簡單に……。
○委員長(木下辰雄君) ちよつと申上げますが、この法律は本月中に本会議を通過させんければちよつと実行上困るという案であります。これに伴う大蔵委員会に出ております特別会計のほうはもうすでに委員会は決定したと思います。
○松浦清一君 大分お急ぎのようでありますから、できるだけ早く審議を結了する必要があると思いますが、今までの漁船保險とこれとの変つた要点を言うと、どういうところなんでしようか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 今までの漁船保險というのは、大体において先ほど私が申述べたように保險金が、例えば百万円の保險を漁船にかけた、ところが全損した場合においては八十万円くらいより来ないことになつておつたのであります。それはどういうわけでこういうことになつておるかというと、水産庁でこれを担当しておるかたがたは二十二名ほどある。ところが本当の、水産庁の予算の中で働いている職員というものは八名よりない、あとの者は全部保險組合の掛金によつて賄われておつた。而も鉛筆から紙、そういうものまですべてがそういうわけであつて、そういうことで非常に保險料というものを高く取らなければならないし、それから経費がかかつている、こういうようなことで保險をかけなければ、このたびのキテイ台風の場合なんかのように何隻も傷んでおつても、保險をかけていないばかりに非常な漁民は迷惑をするようなことが多い、これでは到底いけないのじやないか、又そういう場合においては、国は何とかこれの救済の途も講じなければならないのじやないかというようなことがあつて、要するに漁民全体の福利を増すために、経済の安定をするために、又は金融の対象にもなれるように、保險を付けさせなければならないじやないか。それには低廉な保險料ということでやつて行かなければならん。国はこれに対して援助して行かなければならないじやないかという趣旨の下に、この法律案を作つたような次第であります。 それからもう一つは、二十トン未満という問題につきまして、我々はせめて以東底曳又はかつお、まぐろ船、こういうような優秀な船を持つておるものは、これはまあとにかく別としても、百トン未満くらいの船は全部保險組合加入できるように、要するに漁船というもののすべてが加入できるようにという考え方を持つておつたのであります。ところがその数は、御承知のように動力船が十二万隻あり、その十二万隻の中の僅かに六千艘というものが二十トン以上の船である。ところが、それによつて非常に予算の上から多額の予算になるというので、十分折衝いたしましたが、その予算措置ができ得ないために二十トン未満ということになつたのであります。この点一つ、今後明年度にでもなりましたならば衆参両院でよく協議いたしまして、漁船という漁船を全部つけて行きたいという考え方を持つておるのであります。そのときは一つ御協力を願いたい。こう存じておるのでありまして、漁船のこの法案を作つた理由はさような趣旨からやつたのであります。
○松浦清一君 昨年最初に漁船の損害補償のことが問題になりましたときに、現存する保險では保險料が高いという関係等があつたりして加入するものが非常に少い。少くなればなお保險料が高くなつて保險組合の運営に支障が起つて来る。こういう実情の報告を聞きまして、できれば強制保險にこれをして、全部加入ができるような方法にしたいという業界等の希望もございましたので、私どもは大蔵省に行つてこれを強制保險にするという方法はないか、政府が適当な保助金を出してそれをやるべきである、こういうことを申入れをしたはずなのであります。そのことについては、その種のものを強制保險にするということは、現行保險制度の建前からいつてなかなか困難であるというお話は聞いておりましたが、衆議院のほうではこの法律案をお作りになりましても、大蔵省等に対して強制加入のできるような保險にすべきであるという見解に基いて、政府当局と折衝をされたことがあるかどうか伺いたい。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 私どももお説と同様に強制保險の線で以て進んで行かなければいけないのじやないかという考え方を以て折衝したのであります。併し法制局のほうで、現行憲法の上において、強制という字句は誠に OKをとるために困るということで、こういうように柔らかくせざるを得ないような状態だということで、こういうことになつたのでありまして、御了承願いたいと存じております。
○松浦清一君 そういたしますと、この保險の性格の問題になりますけれども、やはりこれは任意保險という形なんですね。
○衆議院議員(松田鐵藏君) まあ立派な保險でありますから、大抵入つて下さるということで、これがいいことじやないか、又御指導を願いたいと思つております。
○松浦清一君 政府のほうに伺うのですが、先ほど御説明がありました隻数として、事務費が全部入るものとして、事務費の補助額はどれくらいになりますか。
○説明員(伊藤茂君) 只今の計画は現行保險制度では三万隻くらいの加入でございますけれども、今度の予算措置ではその約三倍、九万隻が加入するものとして、すべて計算を立ててあります。その場合に、政府の事務費が約一千四百六十万円、それから地域漁船保險組合に対する事務費が二千二百万円、それから漁業協同組合に斡旋事務費として交付するのが約五百五十万円、保險料の国庫負担が九千万円、合計一億三千三百万円ばかりになります。
○松浦清一君 今までとはどれくらいの違いがございますか。今まで三万隻として考えられて来たわけでしよう。それを九万隻として来年度の予算にその措置を講じようとするわけなんですが、三万隻に対して九万隻に殖えたということだけなんですか。今まで事務費の補助はやつていなかつたのですか。
○説明員(伊藤茂君) 全然ありませんと言つていいくらいでありまして、僅かに一般会計の負担は六百万円ほどでございました。
○松浦清一君 そうすると、新らしくこの保險を作ることによつて、一億三千万円という政府補助が新らしくできたということになるわけですね。大体そう了承してよいのですね。
○説明員(伊藤茂君) さようでございます。
○松浦清一君 もう一点伺いますが、大体中央会のやるべきことはここに書かれておりますけれども、中央会というもののその性格ですね、條文を検討して研究すればわかるでしようけれども、一口に言うと、どういうものなんですか。
○説明員(伊藤茂君) 中央会は各漁船保險組合を会員とする全国一つの団体でございまして、ここで自主的に保險料の算出をして参考資料を作る。それからなお、損害発生の場合におきまして、填補額を甲乙、不公平のないような一応基準を作るというようなことに主とした仕事の中心がありまして、なお損害発生の予防だとか、或いは損害の調査或いは引受漁船の調査、普及宣伝だとかいうことを附帯的にやつて行きたい、こう考えております。
○松浦清一君 その中央会の設立については政府は干渉なさいますか。自主的にやらせることなんですか。
○説明員(伊藤茂君) これは全く自主的なものでありまして、百三十六條に役員の選任方法が書いてございますが、全部無記名投票によつて役員を選挙するというようなことでありまして、政府は別段干渉する意思はないのであります。
○松浦清一君 一億三千万円の政府支出が伴つて来るわけですから、その保險の会計の検査であるとか、或いは運営の内容の調査監督というようなことは、やつぱり政府は権限を以ておやりになるわけですか。
○説明員(伊藤茂君) これは監督ということが第二章第八節にありまして、農林大臣の権限でいつでも帳簿を検査するようになつております。年に一度くらいずつは監査を実施いたしまして、監督を嚴にいたしたいと存じております。
○松浦清一君 大体の総括的な質問はあとで……。
○千田正君 中央会の事務費その他の費用はどういうふうな行き方でやるのですか。
○説明員(伊藤茂君) これは政令で規定いたしますが、賦課金で賄うことになつております。
○千田正君 この保險を全たからしれるためには、むしろ政府からこれに対する助成金とか、そういうものを捻出する方法を考えておられるのですか。
○説明員(伊藤茂君) 全然今のところ予算はありません。
○千田正君 むしろ中央会にもこれは或る一定の助成なり何なりを出してやらんというと、仕事が捗らないじやないかと我々は考えるのです。それは末端の協同組合その他から集つた賦課金によつてのみ中央会が動くことになると、なかなか容易じやないと思うので、将来、今度このままとしましても、この次の改正の場合はそれは中央会というものを動かして、且つ又農林大臣がそれに対して或いは監査するとか、いろいろなことをやる以上は、政府は一応の助成を出してもいいと我々は考えるのです。この次の、こういう問題について改正の場合は中央会を存続して、なお且つ、この保險の目的を達成させる場合にはやはり政府からも一応の助成を出すべきものだと、私はそう考えておるので、希望を附して置く次第であります。
○秋山俊一郎君 この保險制度は、従来の保險制度から見まして一歩前進をして、或いは数歩前進しているということにおいて漁民のために非常に仕合せすることと思いますが、従来この補償制度の要望につきましては、いろいろな点が関係業者から要望されておつたのでありまして、先ず現在の段階におきまして、何と申しますか特殊保險がいわゆる不法拿捕、不法襲撃といつたようなことにおいて非常に大きな損害を受けておるのでありまして、これらの損害というものは国家がこれを補償すべきものであるということは、この法律によりましても現われておるのでありますが、これは再保險が九〇%ということになつておるのであります。これを全額国庫負担ということにすることが現状においては至当ではないか、かように考えておるのでありますが、現在九〇%となつておりますことは何かそこにそういうわけに行かないという理由がありますか、又今後これを九〇%を一〇〇%と、全額といつたようなことに増額するような御意見があるかどうか、これは水産当局に伺うほうがいいと思いますからお尋ねいたします。 それから更に小型漁船の満期保險というのは初め計画せられておつたようであります。御承知のように小型漁船の持主は蓄積資本も非常に乏しいのでありまして、漁船が耐用年数を経過して、更に新船を建造しようといつたような場合は建造資金に非常に困るのであります。そういう場合に非常に無理な金策をしてこれを造らなきやならんといつたようなこともありますので、こういう場合に備えて満期保險というものを、この際織込んだらといつたような計画あつたのでありまして、しばしばそういうものの陳情もあつたはずでありますが、これらが織込まれていないということにつきましては、如何ような御見解を持つておられますか、これは提案者にお伺いいたします。それから又、今後そういつたものを制定する御意思があるかどうかということ。 それから第三に、この法案によりますと、まだはつきり條文的に質問をしなければわからんかと思いますが、保險料率、この地域組合の指定する漁船に対する保險金額というものが、指定する金額というのがありまして、先ほどのちよつと御説明によりますと、船価の五〇%が指定された金額である。少くともそれ以上掛けなければならないということになつておるそうでありますが、仮に二百万円の船であるならば、少くとも百万円以上掛けなければならない。そうすると百八十万円を掛けた場合にも、やはり百万円に対する純保險料の五〇%を政府が持つと、こういうことになるのでありましようか。何故にそういうふうなことになつておるのか。全額に対する、いわゆる二百万円に対する五〇%ならば五〇%ということになるのでありますか、その辺がどうもはつきりしませんが、それを一つ御説明を願いたいと思います。先ず以上お尋ねいたします。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 第一の御質問は、我々のほうの考え方は全額の再保險は業者側の、只今の御質問にもあつたように希望として尤もなことなのでありまするが、差当り漁船保險組合の自主保持の建前から、何と言つてもこの財政当局が我々の意見を聞き入れてくれなかつたのであります。さような点からして、まだ我々は相当の、今にも遭難した場合があつた場合、直ちにその支拂うべき金も必要じやないか、それに約二億円ほど要求したのでありましたが、それも遂に出なかつた。まあ取りあえず何でもいいからこれを作つて、衆参両院協議いたしまして次に改正する場合において、相協力して、そういう線に向つて行かなければならないじやないかという考え方で、これを取りあえず第一歩として、ここまで持つて来たのであります。 それから第二の質問の点は、この保險制度の必要は尤もと皆さんも喜んで下さると思つておりますが、未だ危險率や損害補填の補助率についても十分我々は研究したいと、こう考えておるのでありまして、これもよく今後において御相談申上げて御協力願いたいと我々も考えておるのであります。 それから第三の点に対しましては、純保險料の、国家負担の保險価額の五〇%の半額にとどまるので、これ以上の加入分は全額自己負担となつておるのでありまして、保險料の負担率等適用漁船の範囲を拡張することは、やつぱり如何しても、新らしい法案を作るときにおける大蔵当局の認識がないのでありまして、この点我々も随分力説いたしましたし、又参議院のほうからも十分にお話を願つたのでありまするが、如何とも予算の関係ででき得ないというので、この程度にするより止むを得なかつたのが現状でございます。取りあえずこれを通しておいて、次の段階にうんと希望通りに衆参両院で以て我々の希望を達したい、こういう考え方を私どもは持つておるのであります。よろしく一つ御協力を願いたいと思います。
○秋山俊一郎君 更にこの今の五〇%の問題でありますが、この率で行きますと、五〇%と言いますけれども、保險を一ぱいにかけた場合には二五%ということにしかならないのでありまして、体裁は五〇%でいいけれども、実際は二五%の補償だということにしかならないのでありまして、我々としてはこれでは余りにも少い。政令に定めた最低の保險金額というものは五〇%であつても、実際に加入する場合には一〇〇%、或いは八〇%で加入するものが多かろうと思いまするそれに対しての五〇%ならばまだ聞き得るのでありますが、半分の半分ということになりますと四半分になるのであつて、特にこれを引上げる必要があるのじやないかと考えますが、その点どういうかうにお考えになつておりますか、もう一度お尋ねいたします。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 同感であります。
○秋山俊一郎君 それから次に第三十二條にあります政令で定める漁船以外の漁船ということは、どういうことなんでございましようか。
○説明員(伊藤茂君) 政令で定めるそれ以外の漁船というのは、二十トン未満の動力を有する漁船、一トン以上の動力漁船というのを、その範囲で政令で定めております。いわゆる指定漁船としておりますが、それから洩れました無動力漁船、或いは一トン未満の動力漁船、そういうようなものを指しております。それらが任意加入の形で入つて来たときには、やはり国庫負担がある、こういうことであります。
○松浦清一君 この問題は、こちらのほうでも大分長いこと予備審査をやつておりましたので、天体概念はあるのですけれども、法律案として衆議院から回付されたのを拝見するのは今日が初めてでございます。全部見て行けばわかるかも知れませんが、今秋山委員が問題にされておりました第三十二條の「漁業協同組合の地区内にその住所を有し且つ政令で指定する漁船を所有する者(以下本條において「指定漁船の所有者」という。)の総員の三分の二以上の者が、政令で定める手続により指定漁船の所有者はすべての所有する当該漁船の全部につき普通保險に付すべきことに同意をしたとき」、そのときはその区域内における指定漁船が全部保險に加入する、こういうことになつておるのですが、三分の二で決定したにもかかわらずあとの三分の一のものがどうしても加入しない、こういうふうになつた場合にはどう処置をなさるわけですか。この條文の中に書いてありますか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) 実際問題として、そういう場合はないのじやないかという考え方を持つておるのです。その強制加入というほうまで持つて行きたいと思つておつたのですが、先ほど申上げたような次第ででき得なかつたのであります。併し実際問題として自分の営業をまじめに、又財産を擁護するということから言つたならば、そういうことはあり得ないことだという、善意に我々は解釈して、かように柔らかくしたようなわけなんでありますが、一つ善意に御解釈を願いたいと存じます。(笑声)
○千田正君 これは災害補償法というようなものとの関係はどうなりましようか。この間の北海道の震災のような場合、或いはいろいろな台風のような場合によつて生ずるところの大きな零細漁船の損害があるのでありますが、そういう場合の対象としまして、仮に漁船保險に入つているものは災害補償の対象にならないというふうにとられる場合もあり得ると思うのでありまして、こういうような場合に関してはどういうふうにお考えになつておられるか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) ああした大きな災害の場合においては、当然国は或る種の手段を講じなければならんと思うのであります。併しそれにしても、こうした保險に入つておれば非常に安心感を持つ。併し保險が、先ほどの御質問のように五〇%より認めないというようなときにおいては、そうした場合当然国が別な方角からやつて行かなければならないのじやないか。両々相待つて漁民の経済の安定を来たすように考えて行かなければならんのじやないか、こういう考え方を持つているのであります。
○松浦清一君 この法律案の目的とするところは、申上げるまでもなく日本の漁船の災害を防止して、そうして船が災害を受けても、それでその業者が潰れないように保護して行こう、こういうことが、簡單に申上げて目的なんですが、本来から言いますと、そういう目的のために作ろうとする法律であります以上は、日にちがあれは公聴会でも開いて、一遍関係業界の意見を十分に開き取る、こういうことが必要になつて来るのですが、予算の関係等で三月一杯に上げる必要がある、こういう提案着の御趣旨でありますから、その点はわかりますので、今日幸い業界のかたかたが大分お見えのようですが、誰か代表者を一人選んで、正規の公聴会とか公述という意味でなしに、一遍我々か審議する参考上、この法律案に対する希望等があればお伺いしておいたほうが甚だ都合がいいのじやないか、こう思うのですが、如何でしようか。
○委員長(木下辰雄君) 只今松浦委員の御発言がありましたが、ここに見えております漁船保險関係者を臨時参考人にして意見を聞きたいという御意見のようでありますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋山俊一郎君 異議ありませんが、その前に一つ伺つておきたいと思います。只今の動議とは関係ありませんが、今の三十二條のうちに、今松浦委員から質問がありましたが、若し三分の一の者が加入しなかつた場合はどうかという問題であります。これに対しまして国庫が事務費の一部を補助し、或いは保險組合が事務費を補助するという場合に、この全員が加入しなかつた場合には、これは成立しないのであるかどうか。成立しないということは、即ちそういう補助金の対象にならないかどうか、こういうことなんです。三分の二は入つたが、三分の一は入らないという場合には、それに対してはそういう補助金を交付しないかどうか、三分の一でも交付するのかどうか、その点を伺いたい。
○説明員(伊藤茂君) その場合は残念ながら無資格、資格が欠けるわけです。それで、その地区は保險料の国庫負担は勿論、それに対する賦課保險材、補助金も出ないというような考え方で参つております。
○委員長(木下辰雄君) それに関連しますが、三分の二の同意によつて、あと全部入つた。全員が入つたとしても保險料を拂わない場合はどうなりますか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) それは漁業協同組合に責任があるのですし、そこで指導して、そこまで持つて行くことが漁民のために最も適切なことであつたならば当然そうなるべきだという我々の考え方から持つて行つたのであつて、それには余り心配していないのであります。
○千田正君 今の委員長の質問に附随してお聞きしたいのですが、中央会におけるところの費用ですね。これはさつきから僕は気になつているのですか、保險料が容易に負担のできないような状況の場合において、中央会に出すところの保險料まで果して十分にできるかどうかという点も、非常に杞憂と言えば杞憂かも知れませんが、松田さんから見れば杞憂に過ぎないと言われるかも知れませんが、往々にして納めにくい場合があるのでありまして、その点も非常に考慮してもらいたいと思いますが、どういうふうにお考えになつておりますか。
○衆議院議員(松田鐵藏君) まあ明年度までお待ちを願いたいと思います。
○委員長(木下辰雄君) 先の松浦君の御発言に御異議はないようでございますから、ここに見えております傍聴人の中から二、三人の参考人を選定いたしまして、この法案に対する賛否或いは意見を求めたいと思います。
○千田正君 ちよつと伺いますが、実際この補償法というものについて御存じなんですか。
○委員長(木下辰雄君) 十分知つております。
○千田正君 それならば結構です。
○委員長(木下辰雄君) 協会長おりますか。……おりましたらこの法案に対する御意見を……。
○参考人(大浜喜一郎君) 今度の漁船損害補償法案につきましては、私ども協会側といたしましてもよく役所と連絡をとりまして、実は下相談にあずかつた次第であります。その内容もよく存じている次第であります。漁船保險法が施行されましてから丁度十五年に当りまして、その間、実際のことを申上げますると、業績というものはまだ思うように上つておらない。そうして、どうしてもこの際、制度の改革をいたしまして、この保險法というものの恩典を零細漁民に及ぼしまして、そうして、農業の社会保險のように、漁民に対しましても恩典を得さしめることが必要である。特に漁民は保險に関する観念が非常に鈍いのです。その点から申しましても、どうしても或る種の力を加えなければ入つて来ないというような実情であります。その点からして今度のような法制が必要になつたと思うのでありますが、それにつきましては、どうしてもそれと並んで財政的の援助がなければ、どうもその制度がうまく行かないということで、財政上の面につきましても国庫のはうから十分な御補助を頂きたいと思つておつた次第であります。ただ私どもが考えておりましたような線まで参りませんでございましたけれども、ただこの際、速成的でもとにかく実施を見まして、そうしてこの困つている漁民を一刻も早く潤おしたいというのが我々の念願であります。いろいろ御審議にあずかりまして、多大の御援助、その他御心配をかけまして、とにかくこの法律案というものはこの辺まで漕ぎつけまして、実施の運びになり得るところまで、皆さんのお力を得ましたことを、私ども業者としては大変喜んでいるところであると同時に、深く感謝を申上げる次第であります。ただ従来は中央会の役目というものは漁船保險協会でやつたのでありますが、今度は法律の内容を見ますというと、中央会の権限が従来の協会に比較しまして多大の責任と仕事を負わされるような形になります。併しそれに伴う予算がなくてはどうも思う存分の働きがなし得ないと思う。そこで来年度は予算の裏付がありませんけれども、次の機会におきましてはどうか皆さんのお力で十分な中央会の活動をなし得るよう方法に持つて行つて下さることを切に希望申上げます。
○委員長(木下辰雄君) 次に漁船保險協会の副会長。
○参考人(佐野寅雄君) 私は静岡県漁船保險組合長、漁船險保協会の副会長佐野でありますが、この法案は地方にとつても、漁民にとつても非常に喜ぶべき法案であります。今や協同組合の育成強化を唱えているとき、この法律が通つたならばとにかく水揚げでこの貯蓄を奨励して行く。組合は今貯蓄を奨励しているときでありますから一挙両得ということにもなると思います。今日この法案のためには我々組合長会議は中央にしばしば招集を受けまして、内容もよく聞かして頂いております。松田先生のお言葉もこの次の改正の折にはとにかく全海洋漁業まで行くようなはつきりしたものにして頂きたい。さもなければ現在の保險組合は、全国で漁民のやつている保險組合というものは幾つもないのであります。大部分が県庁で保險組合をやつているのであります。従つて県で非常に熱心にやつているところとまだ熱心の足りない県もございまするが、今回の改正法で行きまするならば相当県が熱心にやつてくれ、漁民代表として保險組合をやつているところは喜んでこれをやるという、たとえ三分の二という規定があつても、あとは指導で行かなければならんと深く保險組合長は覚悟しておりますし、又この保險に対しては非常に感謝をして、これまでに運んで下さつた経過に対しては、衆議院に対しても非常に感謝をいたしておりますし、又参議に対してもしばしばこの問題で御相談に伺つたのですから、一日も早く第一段階を通して頂いて、次の是正を要望している次第であります。
○委員長(木下辰雄君) 細川さんおられますか。
○参考人(細川良平君) 私は山口県遠洋漁船保險組合長をしております細川良平であります。前に二人の者が述べましたのと大差がないのでありまするが、少し具体的な要望を申上げて置きたいと思うのであります。この法律の根本の精神につきましては、先刻衆議院の松田先生より提案理由がありましたところが真髄でありまして、あの真髄を最も活かすためにはこの法律案は未だ十分ではないと思うのであります。と申しまするのは、現在の四十三万隻に余る零細漁民の持つ漁船を災害より救済して、我が国の漁業経営の維持増進を図ろうといたしまするためには、もつと強力なる手段によつて全漁民が喜んでこの制度を利用するような建前にしなければならんのではないかと思うのであります。そのためには第一番に、連年繰返しますところの台風その他によるところの災害時において、現在のこの法律案の裏付になつておりまする予算案を以てしては極めて不安を持たれるのでありまして、この点につきましては先刻千田議員さんより御指摘があつた通りでありまして、この法律案が成立いたしました曉におきましては、そういつた異常災害による多数漁船の損害の場合には、別途に一般国庫よりこれに対して援助の財政支出をするということを是非できるようにいたしてもらいたいのが一点であります。 それからもう一つは、この組合活動が何と言いましても必要でありまするが、そのうちでも第一線の業務を担当いたしまする漁業協同組合が如何にこの仕事に力を入れるか入れないかということによつて、この事業が消長の岐れ道であると思うのであります。それがためには、現在の漁業協同組合は改組されてまだ日なお浅く、而も財政基礎が多くは弱いのでありまして、それがためには漁業協同組合自体の強化という点に大いなる手を打つ必要がなければならんと思うのであります。差当り保險加入の斡旋に対する事務費の一部補助というような程度でなくして、根本的に漁業協同組合の強化育成という手を、合せてこれに用いることが必要と思います。そのためには更に各方面より検討いたしました漁業協同組合の強化に必要なる政府の財政援助が必要であると思うのであります。 次に漁船保險組合につきましても、現在の組合が新法律成立の曉はこれに移行して権利義務を継承するのでありますが、現在なお相当保險料の未収のある組合があるのでありまして、これらの組合の再建のためには今後絶大なる努力が必要と思うのであります。このたびの予算措置のみによつて、従来のそういつた組合の持つ未収を背負つて新組合が新らしい理想の下に出発するには、非常に旧来の荷が重過ぎておると、こういうように考えております。従いまして、これらの旧組合の持つ保險料の未収等の負担の軽減について、政府において思い切つてこれが整理をするという方策を立てなけば、必ずしも期待するがごとき効果が挙げられないのではないかということを心配いたしております。 その次は、先刻秋山議員さんより御指摘のありましたいわゆる満期保險でありまするが、御指摘のように、小型漁船は船の更新期に対しまするところの消極積立は全然できないのであります。従いまして遂に船が老朽に際しました際に、これを更新する手段がないのであります。それには私どもの人間が養老保險をやつておると同じような精神におきまして、小型漁船についての満期保險というものを損害保險と併せて実施するということは、單に漁業者が船の更新ができるというばかりでなく、又この漁船保險制度が極めてこの漁業者より有効に活撥に利用せられて、折角制定いたしまする本法の精神が活かされて来ると思うのでありまして、これは早急に実施いたしてもらいたいと思うのでありまするが、ただ漁船に関しまする保險につきましては今までそういつた先例もありませんし、又資料も十分整つておりませんために、具体的な用意が進んでいないと聞いておるのでありまするが、この次の機会には是非政府におきましてもそういう研究調査を十分にとりました上、そういつた制度が、実施できることを切に期待いたしておるのであります。 もう一つは特殊保險でありまするが、現在主としてこれが問題になつておりまするのは、百三十度以西におきまするところの底曳網漁船に対する拿捕の問題でありまするが、現在の底曳網業界の実情は限られたマツカーサー・ラインの中で極めて能率の低い操業装備をいたしておる半面に、コストは非常に高くなつておるのであります。その際に普通保險と特殊保險と両方に加入いたしまするために、保險料は従来の二倍の負担にこれがなつておるのであります。この保險料の負担も個々の業者にとりましては極めて大きい負担に年間を通ずればなつておるのでありまして、こういつた事情にありまするところに特殊保險の起りまする事態というものは、全くこれは船主或いは乗組員の故意或いは過失等によるものでなくして、全く日本政府みずからにおいても措置し得ないようないわば現状においては不可抗力に近いようなことによつて惹起されておるのであります。従つてこれに対して政府は理論としては別であるが、一つの政治問題としては全部拿捕船に対するところの補償というものは解決してやるべきではないかと思つております。併し今その途は開かれておらず、漸く特殊保險制度によつてこれをカバーしておるような状況であります。従つて特殊保險については全部政府が全額再保險をして、そうして行くというのでなければ、現在のように九割保險でありましては、組合は一割の負担は持てないのであります。従つて実情は一千万円の保險をかけておる人は実際に事故があつた場合には九百万円の支拂しか受けておらないという事情でありまして、非常に一割と申しましても金額が大きいのでありまして、漁業者の受ける損害は大きいのであります。従つてこれは是非一つ早急に実施いたしてもらいたいと思うのでありまして、先刻衆議院の松田さんよりその間のことについて御説明がありましたが、私は組合の自主性というよりも、これは根本的に政府が政治的に解決すべき問題と思うのでありまするから、組合の自主性云々は一つの財政負担を成るべく軽くしたいという財政当局の一つの逃げ口実ではないかと想像しておるのであります。従いまして、この問題はこの法律案がこうはなつておりまするが、私はできればこの参議院においてでも、更に衆議院とも相談して頂いて、全額再保できるようにして頂くことを切望いたすのであります。具体的な内容といたしましては、只今申上げたような次第でありまして、いずれもそれらの実現を期待するのでありまするが、従来の保險制度に比べまするなれば、このたびの法律案は飛躍的に革新されております。又漁業者の要望も相当盛り入れられておると思うのであります。従いまして、私ども保險組合の運営を担当いたしておりまするものも、今後この法律運用の如何によりましては、十分に御心配頂いておりまする議員各位の御期待に副えるような方法はあると思うのでありますので、取りあえず現状においては万止むを得なければ、この提案になつておるもので、次の改革の機会を待つことは止むを得ないと考えておるのでありますが、併しそれは飽くまでも私どもが改善を要望しておる諸点につきましては、早急にこれが実現せられることに大いなる期待を持つてここににこの法律案が速かに成立いたしますことを心から希望いたしておる次第でありまするので、何とぞ参象両院の議員の皆様がたにおかれましては、できるだけ速かに実施して下さるように切にお願いいたしまして、私の希望なり意見を申上げた次第であります。
○委員長(木下辰雄君) ちよつと細川さんにお伺いいたしますが、満期保險ということを今言われましたが、私どもは満期保險に非常に賛成するのですが、人間であれば二十まで生きる人もあれば八十まで生きる人もある、或いは百まで生きる人もあるというので保險会社が立つているが、一体漁船というものはできた時分からすでに壽命がきまつておる。大概木船であれば十年とか七年とかきまつておる、今二十トンの船を作るには最低三百万円要る、最高五百万円くらい私はかかると思う。そのうち半分を保險しても二百万円、それを十カ年で保險するとなると非常に高価な保險料を拂わなければならんが、一体成立するというお見込みですか。
○参考人(細川良平君) 結局現在の、我々の生命についてやつておる簡易保險、これに似たような形になつて、計算上から申しますと、御指摘のような点が出ると思うのですが、ただ損害保險を併用いたしますることによつて、積立金に近い制度であるが、万一途中において損害を受けた場合は保險が添付されるということになりますので、必ずしもそういつた完全に更新期に来るまでの満期ということではなくして、考えれば成立するのではないかと思いまするし、同時にそういう制度になりますならば、又これに対する政府の財政援助の方式も又別の角度から考えられていいし、又できることではないかと思いますので、そういつた点をいろいろ取混ぜれば、一つの制度として成立し得る可能性があるものと私は信じております。
○委員長(木下辰雄君) 如何いたしましようか、若しお差支えなければ明日もう一遍委員会を開いて審議したいと思いますが、これから続けますか、もう少し…。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。只今松浦委員から御発言のありましたように、この法律については、参議院としてもかねてから十分研究しておつた点でありますし、相当参議院の意向も織込まれて修正もされたというような関係もありますので、なお質問を継続して質問がなければ直ちに討論、採決に入りたいと思いますが、御審議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) それでは御質問をお願いいたします……。それでは質問は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。本案に対して賛否を明らかにして御発言を願います。
○松浦清一君 私は只今提案になつておりまする漁船損害補償法案に対しまして賛成をいたします。本来申しますと、衆議院で如何ように御審議になりましても、参議院は参議院としての特殊事情がございますから、各條文に亘つて、なお多くの審議を行うべきであると思いますが、この問題はすでにもう前国会以来仮の法律案がこちらに提示されまして予備審査を行なつて参つておりますし、保險対象である漁船の関係のかたがたの方面からもなお将来に対する多くの希望はございますけれども、大体本年度の状態においては、この辺で予算措置に支障のない期間内に通過せしめることを希望をいたしておる趣を拜承いたしておりますので、逐條審議を省略されたわけだと了解いたします。従つて、今いろいろ御意見を伺いましたように、この法律案は次善の策として本年はこしらえられたが、この次の早急の機会において改正をせらるべき幾多の点が要望せられておると思います。その要望せられておりまする問題点は、自主的に設定せられます中央会に対する政府の十分の補助が行なわれない、中央会の任務は申すまでもなく、従来の全く任意保險当時の漁船保險に対して加入をしないものがかなりあつた、それは保險に対する認識が非常に稀薄であつたということと、保險料が非常に高過ぎる、こういう二つの理由に基いて加入をしなかつたものが多かつたのであります。従つてこの法律で三分の二以上の賛成を得て決議すれば全部加入するのだということがきめられておりますけれども、飽くまでも強制保險でない以上は、保險の対象となるべき人たちが合意の上で、承諾の上で加入をしなければならん、こういう建前でありますから、中央会はこれらの認識の足らない人たちに対して保險の特質というものを十分普及徹底せしめる必要がある。併しながら、考えられておる現在の政府の補助金の範囲内、又中央会に対する政府の財政支出の配慮が拂われていないという点から考えて、最も必要である中央会の任務を全うすることに、この状態では不便である。ですから将来できるだけ早い機会に政府の了承を得て、中央会に対しても相当の補助を與えて、そうしてその目的が完全に達成せられることを希望の一点として申上げて置きたいと思います。 それから異常災害のあつた場合に、只今業界のかたから御意見がございましたように、拿捕という問題ばかりでなしに、まだまだ朝鮮問題があのような状態でありますから、このままの状態で始末がつきますと問題が残りませんが、不幸にして又発展して来るということになりますというと、東支那海方面における以西底曳のこうむるべき被害というものは、縮小されることなしに、将来まだまだ拡大されるということを予想しなければならん、まだまだ拡大されて来るということになりますと、保險経済というものはこれは非常に大きな打撃を受けるわけでありますから、こういう異常災害に対しては政府がやはり特別な措置を講じて、財政補助をする必要があるということを考えますので、この点についてもできるだけ早い機会に政府が適当な措置を講ずるように建言する必要があると思います。 それから全般を加入せしめるということは、中央会の宣伝普及が徹底しなければならんということは勿論でありますが、地区の協同組合のやはり宣伝普及という問題が非常に重要になつて参りますから、先ず基本的には漁業協同組合の育成強化というものに対して、政府は相当の努力を拂われなければならん、こういうふうに思います。 それからなお旧来の保險料の未納分がある、それをそのままに放任するというわけには行かない。どういうことになりますか、免除するということにもなならんかと思いますけれども、それに対しては適当の措置を講じて、整理をする必要がある、免除をして新らしく切替えにするとか、或いは今まで溜つている保險料をどのようにして処理をするというような方針を考えて処理するのでなければ、今までの保險料はまあ掛けないほうが得だつたと、こういうような形では困る。こういうふうなことを思いますので、その点に対しても考慮を拂うべき必要があると思います。こういうふうにいろいろ考えて行きますというと、この法律案の中にはまだ食い足らないところがたくさんございますけれども、最初からいろいろ御意見も出ましたように、できるだけ早い機会にこれらの諸種の要望がこの法律の改正となつて具現するように、政府関係の御配慮を希望いたしまして私は賛成をいたします。
○秋山俊一郎君 私もこの法案に賛成をするものであります。只今同僚議員の松浦委員より述べられましたごとく、この法律案は従来水産業者、特に零細漁業者が、農業その他の産業と比べまして、社会保險の恩典に浴することが殆んどなかつたのでありますが、この法律によりまして、それが一部芽を出して来たということは漁業者の非常に喜びとするところであろうと存じます。従いまして、この制度が一日も早く普及することによつて、漁業者がそれだけの利益を受けるわけでありますが、私どもの憂うるところは、現在の三万隻を九万隻にまで第一次において引延ばそう、増加せしめようという提案者の御意思を達成するためには、現在の協同組合が十分活躍をしなければその目的はなかなか困難だろう思います。従来の料金の点等におきましても、加入を困難ならしめた事実がたくさんありましたが、それらの面もこの法律によりまして大分緩和されまして、国庫の負担というものが出ておりますので、従来と変りまして加入者も殖えることとは存じまするが、何を申しましても先ほど来の質疑によりまして判明したことく、協同組合の全船がこれに加入しなければその恩典に浴し得ないということはなかなかこれはむずかしい問題ではなかろうか、ここに中央会にいたしましても、或いは水産当局にいたしましても、この保險協会の加入斡旋ということを特に重視されまして、格別の指導をする必要があるのではないかと考えます。これに伴う国庫の負担につきましても、現段階におきましては、保險料、保險金額の二割五分、五〇%というのは五〇%の五〇%でありますから、二五%程度しか国庫の負担がないのでありまして、この点も誠に物足らない感じがいたします。今後これらのものを漸次引上げまして、そうして四十三万隻の漁船の大部分がこれに加入することになりますならば、保險料率もぐつと下つて来ると思います。そうして漁船を持つている漁業者は非常な安心感を得ることによりまして、漁業の発展はますます旺盛になる。かように考えるのでありまして、私はこの保險料率の国庫負担を漸次増加せしめるということが一点と、協同組合の活動を促進せしめる、そうして多数の漁船が団体加入をなし得るように関係当局並びに関係組合の格段の努力を期待いたしまして、この法案に賛成いたします。
○委員長(木下辰雄君) ほかに御意見ございませんか。
○玉柳實君 私ちよつと席を外しております間に、すでに賛否の討論に入られたようであります。この法案の要綱につきましては、事前審議のあつたことでもございます。併しながら條文として見ますのは本日が初めてでございます。而も百五十條に亘る相当長文のものでございます。ただ事前の審議も相当に行いました関係上、昨年の臨時国会におきまして水産資源保護法の審議を急ぎまして、本会議でああいうような再修正になりましたような醜態は起きないかも知れませんけれども、併しながらなお個々の條文につきまして、私といたしましてはなお若干の検討をいたしました上で賛否の討論をしたい、かように考えておりまして、実は先刻、委員長まで議事の進行につきましてその希望を申上げたいと、かように考えておつたのでございまするが、ちよつと席を外しました関係上、かように進行いたした結果に相成つたわけであります。勿論この法律案自体は多年業界の希望するところに向つて、完全でないとは言え数歩前進したものでございまして、その根本の趣旨において、何ら反対するところはないのでございまするけれども、本日ただ一日の審議を以ちまして、百五十條に亘る長文の審議に対して直ちに賛否の意見を申述べますことは、議員の職責を完うする上において如何であるかというようなことを恐れるわけでございまするが、私といたしまして、この討論を次回に讓らして頂くというようなことには議事進行上困難でございましようか、如何でございましようか。
○委員長(木下辰雄君) ちよつと、討論になりましたから、その点は……速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記を付けて。ほかに御意見ございませんければ、討論は盡きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは漁船損害補償法案並びに漁船損害補償法施行法案、この両案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(木下辰雄君) 全会一致を以て二法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なおこの二法案についての委員長の本会議における報告は、先例によつて委員長に御一任あられたいと存じますが、御異議、ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それではさよう取計らいます。 それから例によりまして多数意見者の御署名をお願いいたします。 ————————————— 多数意見者署名 秋山俊一郎 玉柳 實 青山 正一 松浦 清一 千田 正 —————————————
○委員長(木下辰雄君) それから次に先般の調査の御報告をお願いいたしたいと思います。
○松浦清一君 私どものほうの第一班は、昨日帰つて参りましたばかりで、まだ報告事項をまとめておりませんので、次回の委員会まで報告の延期方をお願いいたします。
○委員長(木下辰雄君) 第二班の御報告を秋山さんからお願いいたします。
○秋山俊一郎君 第二調査班は三月二十二日の朝東京を出発いたしまして、静岡県、神奈川県の漁港を調査したのでございます。先ず静岡に下車いたしまして、県庁を訪問いたしました。同行は委員長と私と二人でございまして、副知事その他経済部長等と面会をいたしまして、現下の港湾のあらましの状況及び燒津の漁港、小川村漁港についてかなり突き込んだ意見の交換をいたしました。更に又静岡県の水産場につきましても、いろいろ調査をいたしまして、晝過ぎに焼津の漁港に参りました。そうして漁港修築事務所に先ず立ち寄りまして、計画の概要及び施行の状況等をつぶさに調査をいたしたのでございます。我々はこの焼津の漁港につきましては、急速なる発展途上における同港の修築工事は現段階においては忽ちに狭隘を告げて、将来更に拡張する必要があるのではないかということを痛切に感じましたが、経費その他の関係上急速にこれを引伸ばすこともできないようでありまして、現在主として護岸の工事をやると同時に、更に新設の工事をやつておるようであります。これらについて市当局の意見及び施行に当つておりまする事務所長等の意見もよく拜聴いたしまして、今後の燒津の発展には今少しく拡張の必要があるのではないかというようなことを感じました。更に隣の小川村の漁港に参りましたが、これも燒津と同じように陸地に入り込んだ港でありまして、更に今後一億八百万円を投じて背後地の掘さくに取りかかつております。この小川村と燒津というものは、普通の状態から見れば、一つの行政区域としか見られない近接した場所でありまして、ここに二つの漁港ができることはどんなものであろうか、評しろ村を市に合併して大きなものを一つ作つたほうがよかつたのではないかというような意見も出ておりますし、我々もそれを強く感じましたが、又一面から申しますというと、小川港は燒津港の補助港として、むしろ機能をそういう方面で発揮することが便利ではないか、将来これが合併は別問題としても、二つの港があつて、それぞれの性格によつて、一方の補助港として行くことも今後も又大いに意義あることだというような御意見もあつたのであります。ずれにいたしましても、燒津港は静岡県における最も大きな漁業地であり、漁獲物の集散地でありますので、これの完成の曉には静岡県の水産業は一段の光輝を発揮することであると考えますと同時に、小川漁港が又これに加えまして、それぞれの立場から一層の発展を期待し得ると存じます。工事の内容等につきましては長くなりますので、ここでは省略いたしますが、続いて翌日沼津市の希望によりまして、沼津漁港の調査をすべく朝七時半に出発をして現地に参りました。当日は非常に風が強く暴風にも等しいような風でありまして、港の状況は非常によくわかつたのであります。如何なる状態であるかということがよくわかりましたが、沼津港も静岡県にお分る有力な港でありまして、この港が比較的湾内が狭いということと、それから今後これを拡張することに非常に困難があるというような点から、沼津港の発展にはなお大きな努力を拂わなければならないのではないか、かように考えた次第であります。併し沼津の漁港は、現在は運輸省の港湾の管轄下にありますので、直ちに漁港としてこれに手を入れるということは、現段階においては困難な事情にあるかに承知いたします。市及び漁業関係者の御意見等も十分調査をして参りました。そうして、続いて神奈川県の真鶴の漁港を拜見いたしました。真鶴も現在におきましては、復旧工事をやつておりまして、一昨年の台風によつて折角修築しておつた防波堤が壊れ及び岩壁を壊されまして、これが今復旧工事を急いでおつたのでありますが、真鶴漁港はあの方面における稀な港でありまして、これの利用は相当に多く期待されておるようであります。今後これが拡張につきましても、いろいろと計画があることを承わつて帰りました。 更に又、小田原の漁港について我々の予定以外に視察を要請されましたので立寄つたのでありますが、小田原の漁港は御承知のように、小田原には港というものがないので、小し風が強いと魚の荷揚げに非常な困難を来たすということであります。現在防波堤を築造いたしておりますが、それの工事船は二時間を費して真鶴港から出ておる、往復四時間を空費しておるような実情の所でありますので、この漁港は非常に急を要することに相成つておりまして、市内の外れの早川という部落のうちに現在防波堤を築造しつつあり、これが完成を見た曉に、土地を掘り込んで丁度燒津、小川村のような港を造りたいということに相成つておりますが、ただここで私どもがよく市当局並びに漁業者の意見を伺いましたのに、現在の設計による港口の方向が最も不利に、台風時における丁度東南の風を受けるべき東南のほうに口が向いておる。こういうことのために台風のときには到底船の安全は期せられない、こういう業者の一致した意見であつたのであります。これが設計者及び施工者は現在の計画がむしろ適当であるということを強硬に主張しておるようでありますが、これは実際にこの港、或いは船から引揚げておる業者の長年の体験による意見が最も傾聴すべきものである、学者、技術者といえども多年の経験に対して、或いは多年の事実に対しては、これは耳を蔽うことはできないのではないか。従つて市当局といたしましても急速にこの港を進めなければならんのであるが、そういうような関係から実は防波堤の築造も或る程度まで行けば逡巡するといつたような恰好にありますので、この問題は折角港を作つたあとにおいて、その港の活用ができないということでは、多くの費用を費やして何にもならないばかりでなく、貴重な船を損ずるということになるのでございまして、当委員会といたしましては、この施工者及び小田原の業者を来たる金曜日の委員会に招致いたしまして、そうして両者の意見をよく聞いて、そうしてこの港の築造の万全を期したいというような考えをまとめまして、二十四日の午後三時に東京に帰つて参つた次第であります。 これを大体かいつまんで考えますと、焼津にいたしましても、或いは小川村にいたしましても、又小田原の部分にいたしましても、国庫の補助を仰いでやりつつあるのであるが、年々の国庫の支出額が極めて僅少である。そのために工事が中途半端、力一ぱいやれないで途中までやつたら休まなければならない。非常なそこに無駄があつて、いま少しく補助金を増額してもらうことが熱望されておつたのであります。これは勿論国の予算の関係がありますことで、直ちにこれを受入れて頂けないかも知れませんけれども、これはひとりこの一、二の港にとどまらず、現在の漁港の修築における共通した難点であろうと考えておりますが、如何せん、多数の漁村から漁港の修築を要望いたしまして、指定を受けた以上、どうもその予算は十分に年々支出し得ないという憾みがこれはあるのでありますが、何とかこういう面を是正いたしませんというと、防波堤にいたしましても中途半端なときに台風を喰つて、殆んど今までやつたものが無駄になつてしまうという例も多分にありますので、この点は我々といたしまとても将来特に考えるべき必要があるということを痛感して帰つて参つた次第であります。大体以上であります。 —————————————
○委員長(木下辰雄君) 只今秋山委員の述べられました通り、金曜日の、この次の委員会において、小田原漁港に関する参考人として山田又市氏ほか一名を呼ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。 それでは本日の委員会はこれにて散会いたします。 午後四時二十一分散会