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13回国会参議院1951/12/20

厚生委員会遺族援護に関する小委員会 第1号

発言数
47
登壇者
11
会派数
3
開催日
1951/12/20

会議録

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 只今から遺族援護に関する小委員会を開会いたします。  本日はこの問題に関する参考人といたしまして、社会保障制度審議会事務局長小島徳雄君、旧軍人の関係でいらつしやいます杉沼修治君、それから兵庫県遺族更生会長鈴木富太郎君、全国未亡人団体協議会事務局長山高しげり君、恩給関係に非常にお詳しい鷲尾弘準君、以上五君の御出席を煩わしました次第でございます。  先ず最近の政府部内の関係当局でお考えになつておられまするこの問題について、政府のお考えの一端を簡単に承わりまして、参考人の皆様がたの御意見を拝聴することにいたしたいと存じます。政府のほうの御出席は、引揚援護庁の田辺援護局兼復員局長、三橋内閣恩給局長、厚生省の木村社会局長、慶徳人事院給與局次長、以上御出席でございます。それでは田辺援護局長からお話を願うことにいたします。

田辺繁雄引揚援護庁援護局長

○説明員(田辺繁雄君) 簡単に概要を御説明申上げたいと思います。  戰残者遺族及び戰傷病者等の処遇の改善につきましては、厚生省といたしましても、今年の春頃から具体的な研究を始めたのでありますが、占領下の我々といたしまして、御承知の通りの制約がある関係上、大つぴらにこれをやつて行けない事情にあつたのでございますが、具体的な研究は進めておつた次第でございます。又恩給局におきましても、又大蔵省におきましても、その他におきましても、それぞれの関係におきまして熱心に御研究を進めているかに伺つております。又国会におきましても、衆参両院の厚生委員会におきまして、それぞれ遺族援護の小委員会が設けられまして、これ又極めて御熱心に具体的に研究を進めて、私どもと密接な連絡の下に調査研究を進めておられたのであります。大体そうした議論が出講した状況であつたのでありますが、たまたま先般の臨時国会においてこの問題が公式に取上げられまして、少くとも調査費として一億円を計上する必要があるということから、これが決定になりまして、補正予算に計上になつた機会に、各方面の意見、政府部内における各方面の意見を総合調整しまして、政府部内としてのまとまつた意見を作り上げようということから、厚生省にこの問題についての各省の連絡打合会が設けられまして、厚生大臣の諮問に応じまして、処遇改善についての総合的な研究打合会を開催いたした次第でございますが、前後六回に亘りまして研究をいたしたのでございます。その際最も根本的な議論といたしましては、二つの考え方があつた。第一は、旧軍人等に関係する処遇の改善につきましては、恩給法の規定を復活いたしまして、処遇の改善を図るという考え方でございます。勿論その際旧軍人に関する特別の厚遇、特別の恩恵的な、特権的なものは削除いたしまして、文官の恩給と均衡のとれたように修正いたしまして復活するのでありますが、いずれにいたしましても、恩給法という線に沿つてこれを取扱つて行くという考え方が一つの考え方であります。これに対しまして厚生省の考えましたのは、厚生省という役所の性質上当然にそうなるわけでありますが、恩給法の復活ということが、今日の国家財政或いは内外の情勢において困難であるとするならば、これを社会保障という見地から若干修正を加えまして、これを実現して行く、こういう考え方でございます。いずれの案をとるかという問題は、これは極めて重要な問題であつて、今後の内外における影響が極めて重大な問題でございます。根本的な施策に属することであるので、閣議において御決定を頂かなければならん問題であるということを考える次第でございます。その点につきましては新聞等において御承知と思いますが、政府におきましても閣僚懇談会等を開催いたしまして、合いろいろ考え方をまとめておられるような状況に承わつております。なおいずれの案をとりましても、旧軍人以外の戰歿者遺族或いは戰傷病者、つまり昔の広義における軍属、更に進んでは徴用になつた船員或いは民間工事に徴用によつて働いておりまして、戦時災害によつて死歿したかたがた或いは負傷したかたがた、更に進んでは学徒勤労或いは女子挺身隊という形において国家の急務に協力されている間に戦時災害によつて傷害を受けられたかたがた、これをどうするかという問題があつたわけでありますが、この問題につきましては、厚生省といたしましては国家財政の許す限り広く取上げて参りたい、こういう考え方でおるわけでありますが、勿論その際過去においてこういうかたがたに一定の処遇があつたわけでありますので、過去における処遇と睨み合せまして、その処遇の内容には厚薄がございましようが、それぞれ合理的に処置をして行きたいと、こういう考えで進めておるような次第でございます。  厚生省のような考えをとりました際に、具体的に範囲がどうなるか、それからその範囲の者につきまして、具体的にどのような処置をするかというような問題につきましては、未だ予算等の関係もありますので、具体的には決定いたしておりません。目下各方面、財務当局方面と折衝の段階に入つております。いずれ来年度の通常国会に提出されます予算の時期までにこの問題を審議しなければならないと思います。今急いでその最後的な話合をまとめるように努力を続けなければならん。以上簡単でございますが、大体を申上げました。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 次は三橋恩給局長から御意見を承わりたいと思います。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) 大体の政府の現在とつておりまする処置につきましては、いま田辺局長から御説明がありましたので、私はその点につきましては、かれこれ説明することを省きまして、ただ軍人軍属の恩給が今日どういうふうになつて来ているかというこの経過につきまして、御参考までに一言申上げてみたいと思います。昭和二十年の十一月二十四日に連合国最高司令官から日本政府に対しまして、恩給及び給與に関する覚書が発せられたことは御承知のことと思いますが、この覚書に基きまして、昭和二十年勅令第五百四十二号、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例が制定せられまして、この勅令によりまして軍隊勤務による恩給は廃止又は制限せられて今日に至つておるのであります。  即ち軍人について申しますれば、傷病者以外の者の恩給につきましては、普通恩給、扶助料、一時恩給、一時扶助料の各秘の恩給はすべて廃止せられることになつたのであります。又傷病者の恩給につきましては、従来下士官以下の軍人に給せられていました傷病賜金の中で、傷病の程度の低い軒に給されておりました傷病賜金は廃止せられることになり、第七項症の増加恩給、即ち不具廃疾者に給せられておりましたところの増加恩給の第七項症及び傷病年金、即ち不具廃疾者の程度には至りませんが、永続性が比較的程度の高い傷病者に給せられておりました年金、これも廃止せられてしまつたのであります。そうして僅かに存続を認められました不具廃疾者に給せられた増加恩給の年金にいたしましても、従来の金額に比較いたしまして著しく制限支給することにさせられたのであります。又軍属たる官吏につきましては、軍属たる官吏の中の判任文官につきましては、警察、監獄職員以外の判任文官につきましては、恩給を給することを許されたのでありまするが、警察、監獄職員につきましては、軍人と同様に恩給を廃止又は制限されたのであります。又軍属の中で高等文官たる者につきましては、優遇奏任官等のごときいわゆる各省の理事官クラスでありますが、そういうような人たちの恩給につきましては、従来通りの支給を認められたのでありますが、その他の高等官たる陸海軍部内の軍属に対しましては、軍人と同様に恩給の支給を廃止又は制限されたのであります。そうして今日に至つて来たのであります。このような状況になりましたので、この軍人の遺族又は傷病軍人、老齢軍人等のかたがたからは、この廃止又は制限された恩給の復元につきまして、政府又は国会に対して強く陳情又は請願せられて参り、又直接に場合によりましては、連合国最高司令部にまでも陳情せられたこともあつたように聞き及んでおるのでありまするが、総司令部におきましては、先ほど申上げました覚書の趣旨を固く守つて、その復元は占領下の今日においては不可能であろうという態度をとられて来たのであります。政府におきましても、又司令部の方針に従つた態度をとつて今日に至つて来たのであります。又国会の本会議や委員会におきましても、たびたび政府の当局に対してまして、いろいろ質問をされて、軍人恩給に関する所信を質されて来たのでありまするが、そのたびごとに政府当局といたしましては、連合国の最高司令官の命令に基き、軍人軍属の恩給は廃止又は制限されたのでありまして、占領下の今日におきましては如何ともいたしがたいと答弁して参つたのであります。従つて講和條約の効力が発生いたしまして、右の連合国最高司令官の命令がその効力を失うことになつて来ますれば、当然恩給法の特例は廃止せられて、軍人の恩給は復活するか、又はその他適当な処置が講ぜられるものでなかろうかと、こういうふうに一般には考えられておるものであろうと、こう考えておるのでありまして、又政府当局におきましても、或る、そのような考え方の下に、いろいろとその対策を考慮しておるような次第であります。その点ちよつと一言申上げておきます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) それではこれより逐次参考人のかたの御意見を拝聽することにいたします。なお、只今大蔵省の岩動主計官が忙がしい中を繰合せて出席するという通知がございましたので、同主計官が出席いたしまして、何か説明がありましたらば、その間に差挾みまして、主計官の意見を聞きたいとも存じますので、およそ三十分くらいしか間がないということでございます。あらかじめお含みおきを願いたいと思います。それでは小島徳雄君から御意見を一つ承わりたいと思います。

小島徳雄社会保障制度審議会事務局長

○参考人(小島徳雄君) 本日私のお呼出を受けました趣旨は、恐らく社会保障制度審議会の全体の空気、私個人の意見と申しますより、そういうものにつきましてのこの問題に対する考え方をお聞きのためにお呼出を願つた、こういうふうに考えております。そういう趣旨で大体御説明いたします。  戰争遺家族傷痍者に関する問題につきましては、御承知の通り昨年社会保障制度審議会が政府に対しまして社会保障制度に対する勧告をなした場合におきましても、その勧告案の作成につきまして、いろいろ考慮いたしたのでございます。併しながら御承知の通り当時の、昨年の勧告当時の実情におきましては、そういう戦争による遣家族傷痍者に対し、特別な保護を、政策を講ずることは、当時の情勢下におきましては、非常に困難であつたということは皆さま御承知の通りでございます。従いましてその後審議会は、最近におきまして講和会議が開かれまして、その調印も終わりまして、いよいよ独立の日本が近く批准を見るに及びまして形成されんとするときにおきまして、審議会といたしましても、この問題を再びそういう立場から自主的に一つこの問題を研究すると、こういう考え方からいたしまして、この問題につきましては、特に社会保障制度審議会といたしましては、特別な委員会を、戦争遺家族に関する特別な委員会を設けまして、更に従来ありました社会保障制度審議会の委員会である第二委員会と合同いたしまして、この問題に関する審議会としまして、どのような対策を講ずることを政府に意見を申述べるかということにつきまして愼重に研究を重ねて参つたのであります。委員会といたしましては、この問題に対して、約数皿の会合を開きまして、いろいろ各委員のかたの意見を聞き、更にいろいろ事務局といたしましても、いろいろ資料を提出いたしまして、今日までいろいろの問題について審議を重ねて参つたのでありますが、今日までの勧告の経過におきましては、御承知の通り去る十月の二十日に第二と申しますか、社会保障制度推進に関する勧告を、審議会といたしましては重ねて政府に提出いたしたのでありまするが、そのうちの一項目といたしまして、戦争による遺家族、傷痍者に対し、社会保障的な見地から、これに対する対策を講ずるということを正式に政府に対しまして勧告をいたして提出いたしたような次第であります。なおその後におきまして委員会といたしましては、この問題につきまして更に細かいいろいろの内容につきまして検討を重ねて参つたのでありますが、今日までの段階といたしましては、委員会としましては、まだ決定的な最後的な結論を得たわけでございませんが、大体委員会としまして、委員の大体において一致した意見を中間報告としまして、去る最後の委員会が開かれました今月十三日の総会におきまして、大体委員会としての中間報告というものを総会に提出いたしまして、更に総会におきまして愼重に意見を交換いたしまして、必要あらば政府に勧告の形か、或いは意見の具申の形か、いろいろな形におきまして、その問題につきましての政府に対する施策の推進をされたい、こういう考え方で審議会といたしましては推進して参つたのであります。従いまして、ここで申上げますることは、社会保障制度審議会という最後的の勧告の段階でなくて、委員会といたしまして、この特別の委員会、審議会が設けられた内部の意見としまして、大体の中間的な成る程度まとまつた意見として総会に報告した。その内容につきまして御報告申上げたい。かように考えておるのであります。大体の趣旨を簡單に朗読したほうがよくわかりやすいと思いますから、委員会が考えましたことを読上げたいと思います。   戦争による遺家族、傷病者に対する措置方針案、   社会保障制度審議会第二及び戦争犠牲者対策合同委員会案、   戦争に原因する遺家族、傷病者等の援護問題は終戦以来の懸案であり、本審議会においてもすでに第一次勧告の当時何らかの措置を必要とする見地から種々検討を試みたのであるが、当時の情勢下においては遺憾ながらこれらの者を対象とする特別の制度の実現は困難であつた。講和自立と共に本問題が取上げられるようになつたが、本措置を進めるについては二つの基本的立場がある。第一は国家補償の観点に立つものであり、第二は社会保障の見地に立脚するものである。   いま第一の立場を考えて見るに、戦争による損害に対し、国家が補償するという観点に立つときは、物的人的にあらゆる視野から全国民に対し平衡を期する必要がある。併しこれは財政的にも巨額に達するばかり   でなく、かかる措置は対外的な損害賠償問題とも並行して考えねばならないであろう。従つて国家的責任に帰すべき負担も最低限度において考慮するほかはあるまい。   従つて、一のことは社会保障的観点において考慮せらるべきである。併しながら国家的強制起因し、全く自己の責任に帰すべからざる事由によつて生活の手段を失つた遺家族、傷病者等に対する保障は、他の事由に基くものとは、おのずから異つた見地において考慮されねばならない。即ち一般生活困窮者に対する単純な扶助の観念とは別個に援護せらるべきものである。  以上の、ごとき観点から、戦争による遺家族、傷病者等に対する措置は諸般の情勢をも勘案し、社会保障的見地を重視して左のごとき方針によるべきものと思考する。  こういう前文の下に、対象とか、給付の問題、傷病者措置の問題につきまして、いろいろ大まかな要項を規定しておるであります。これをも委員長、御説明申上げたほうがよろしいでしようか……。一応この程度にして、細かい問題につきましては差控えたほうがよろしいと思います。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 資料として各委員の皆さまがたに只今お廻しいたしておりますのでございますが、どういたしましようか、省略いたしましようか、一応概略承わりましようか。

小島徳雄社会保障制度審議会事務局長

○参考人(小島徳雄君) 概略申上げます。問題は対象の問題でございます。対象の問題が軍人軍属に限るか、そうでなくて、広くどの程度まで及ぼすかという問題が非常に問題になつたわけでざごいます。この問題につきましては、審議会の委員会といたしましては、いろいろ研究いたした結果、戦争による被害というものは軍人ばかりでないという考え方が強くございまして、軍人、準軍人、軍属のみに限らず、徴用者等、公務によつて動員されたものをも包含せしめる。こういう考え方で強制的な法的措置に伴うようなことによつて戦死したとか、或いは怪我をしたというような、そういうような問題につきまして広く考えるのが適当であろう。こういう考え方が、大体の今日までの委員会としましては、そういう考え方が多かつたのであります。それから給付といたしまして、遺族年金といたしまして二本建にしたらどうか、この問題は、一つには今日非常に対外的な賠償関係と睨み合せましてこの問題が非常にデリケートな問題である。こういうような考え方からいたしましてその国家の財政全般の問題と関連をいたしまして、又対外賠償との問題も関連しまして、非常に微妙な関係にあるという関係で、その給付の方法につきましても、いろいろ予算の多いか、少いかによりましても、やり方について多少手加減を要する問題もありまして、非常に困難な問題が伴うわけでございますが、一応この委員会としましては、先ほども申上げました基本方針によりまして基本年金と増加年金の二本建にいたす。こういう考え方が適当なのではないかという考え方で、いわゆる基本年金は所得の如何にかかわらず支給するという考え方、増加年金は非常に社会保障的な見地が強く出ておるわけで、所得とか、扶養義務者の数を勘案して支給するという考え方、一面においては、先ほど申しました国家補償均な考え方を基本年金の形において入れ、一面においては社会保障的な見地を強く重視いたしまして増加年金は扶養家族の政と所得を勘案してやる、こういうこと。というふうに申しますのは、少い国家財政におきましても、できるだけ余計この問題について財政を支出することは結構なことには違いないが、それが非常に困難な場合においては、少い金で効果的に遺家族、傷痍者の問題に対し適切な措置を講ずる場合においては、そういうような社会保障的な考え方から、所得とか、扶養家族というようなものを考慮して非常に高い人にはこれらの増加年金は支給しない。或いは減額するということによつて重点的に必要な方面に余計保護を與える。こういう考え方は審議会としては大体の意見であります。従いまして基本年金の額は均一とするが、遺族年金の受給者の範囲及び順位につきましては、大体現行法によつていますが、大体そのほうによつておるわけでありますが、かように増加年金を基本年金と分けて増加年金を非常に強く出しまして、これを社会保障的な見地から所得とか、家族数につきまして考えるというところに、審議会の委員会といたしましての大体の考え方が強く出ているわけです。それからもう一つ問題は、現在生活保護法に該当しておるような遺家族、傷病者賜金問題がある場合におきまして、今度の年金ができましても、その年金額というものが総額において生活保護法の額より場合によつては少い所帶もあり得るわけであります。そういたしますと、決してそういう生活保護のような関係にあるような人々については却つてこの問題につきまして、何らの恩典にも浴しないというようなことが考えられる。それは社会保障的な見地で考える場合におきましても、又特別に今度の遺族の問題を強く政府が対策を講ぜられるというような場合におきましても現状に適しない。こういうような考え方で、基本年金の給付額というものは生活保護法上の收入とみなさないというような特別な考慮を、生活保護法の改正か、或いはその運用において改正するという方法によつて、それらの措置を講ずるという考え方、即ち現在一番気の毒な家庭にある人々にもこの年金の保護が行くんだし、同時にハンデイキヤツプの人につきまして、一番強くこの問題の保障が得られる、非常に高額の所得のある人については最小必要限度の保障がされる、こういう考え方で下に厚く上に薄く、重点的に少い予算におきまして、これを按配するということが現下の国家財政並びに対外関係においても適当じやないか、こういう考え方、従いまして損害賠償の場合におきましての、先ほど申上げましたようなことを非常に考える場合よりは、社会保障的なことによつた方が、財政的にも又対外関係においても、よりいい考え方ではないか、こういう考え方から審議会の委員会としては、そういうような考え方、傷病者につきましては、大体今のに準じたようなことで、ただ傷害の程度によりましてこれを、支給するという考え方で、大体の方針は遺族年金と同じような問題、これを全額国庫補助によつて、国庫の負担によつてこれを実施するというような考え方から、来年の四月一日から施行できるように願いたいということで、なおいろいろ細かいことにつきましては、皆さまお手許に参考資料として配付してあるのでありますから、それを御覧頂ければ大体おわかりと思いますが、大体大きい線といたしましては、審議会はかような考え方で現在委員会としての大体の結論を得まして、近く総会においてこの問題を更に研究いたしまして、何らかの措置が講ぜられる。かように考えております。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 有難うございました。先ほど申上げましたように、大蔵省の岩動主計官の出席を頂きました。御承知のごとく只今といたしまして非常に御多忙であります。およそ二、三十分という繰合せで出席を頂いているのであります。非常にこの問題について御心配に預かつておりまするお方でございますので、この際何かお話を伺つておくほうがいいんじやないかと思いますが、上は御無理願つたのであります。岩動主計官、お話願いたいと思います。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 軍人遺家族並びに傷痍軍人の掛渡対策につきましては、今日においては最も重夫な、而も解決についても急速に何らかの対策を講じなければならないといつたよな、非常に重大な問題だと私ども考えておるわけであります。この問題につきましては、本年度の補正予算におきましても一億円の調査費を計上いたしまして、早急に各方面のいろいろなデータを集めて、その施策の基礎にいたしたいというふうに考えて、目下いろいろな調査に着手いたしているわけであります、併しその調査を待つて、いろいろなことを考えるのでは到底間に合いかねるというので、それと並行いたしまして、その精密なデータの出る前におきましても、基本的な考え方等につきましては、かねてからいろいろと関係方面とも打合せをいたして参つて来ておるわけであります。この辺の事情につきましては、先ほど関係の各省からお話があつたと思いますので省略いたしますが、大蔵省といたしましても、財政の許す限り、できるだけのことをいたしたいと考えまして、日夜この問題について検討をいたし、たびたび会議もいたし、今日まで事務的には、もうすでに二十も三十も案ができておるといつたような状態であります。併しながら、財政の全般的な来年度の見通しにつきまして、まだ確実な見通しが付いていないような状態であります。御承知のように、講和関係諸費が幾らになるかということがやはり基本的な問題でありまして、遺家族援護の経費も純粋に申せば、これは国内経費とも言えるのでありますけれども、やはり全般的な関係におきましては対外的な考慮も相当必要でありますし、又たとえこれを何らかの形において実施するといたしましても、非常に多額の金を要しますので、財政的にもなかなかきまりかねるというような状態であります。従いまて、いろいろなすでに二十も三十もできた案と申しまのも、いろいろな條件を考慮してこうした場合に幾らになるだろうか、こういう條件を取入れたら幾らになるだろうかというような、非常に細い案が幾つもできておるわけでありますが、結局その案も今申したような諸般の関係から、遺家族援護の経費を幾らにするかといつたような大きな財政的な観点からの、数字からの案が出て来るというような関係で、筋からばかりこの問題を取上げるということにもなりかれるような状態なのであります。そこに我々事務当局といたしましては、非常な苦心と又いろいろな工夫が要るわけでありますが、只今のところまだどれで行くというはつきりした線は出ておりません。ただ大蔵省といたしましては、恩給の復活というような方法では到底財政的な負担には堪えられないという考えから、厚生省の考えておりますような線でこの問題を解決したほうがいいのではないかということを考えて、そういつた線でいろいろ予算的な計数も工夫いたしておるというような現状であります。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 議事の都合で、何か岩動主計官に対して御質問のありますかたは、どうか御質疑を願いたいと思います。昨日の新聞に掲載されてありましたが、遺家族擁護費というものがおよそ二百八十億でございましたか、概算、枠ができているようでございましたが、あの新聞の報道は事実でございましようか。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 新聞の記事は私どもは全然関知いたしておりません。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) そうですか。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 全然関知しないとおつしやいますけれども、ああいうふうなものは、今お考えになつておるものとは全然違うとおつしやるのでございましようか。どうぞ今日は真劍でございますから、余りこう隠さないようにね、ざつくばらんに言つて頂きたいと思うのです。お互いに国をどうしようという考えは同じだと思いますので……。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 朝日新聞にたしか出ておつた数字のことをおつしやるのだと思うのでありますが、あの数字は、ただ遺族援護費として二百八十数億計上したということを表に出しておつたわけでありますが、その内容等につきましては、何を基礎にして、どういう計算でですね、でき上つておるかということは、私どもは全然わからないのです。新聞の記事につきまして、私どもも責任は持ちかねるわけでありますが、ただ私どもが二十も三十も案を計算した中には、もう数百億から幾らでも刻みができておりますので、その数字が、私共計算した数字には合つているかどうか私わかりませんが、又朝日新聞がどういう根拠でその数字を出したか、私共は存じておりません。

藤原道子日本社会党(第四控室・左)

○藤原道子君 もう一ぺんお伺いしたいのですが、この頃地方へ参りますと、政府が早くから宣伝されましたので、この暮の越冬資金には問に合うようなつもりで待ち焦れている人がいるんです。今日はぎりぎり一ぱい、最近においてお考えになつている件だけでもお漏し願えないでしようか。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 只今申上げましたように非常に重大な問題で、又早急に解決を要するということは私共よく存じております。全国の遺家族の皆様が待ち焦れておることもよく了解できることであります。ただこの問題は、先ほど申しましたように、いろいろな財政の枠の点から申しましてもなかなかきめがたい点であります。従つてどういう案があるということを申すわけにも参りませんし、又仮に二十なり三十なりの案を御披露申上げるということは非常に混乱を招くだけでありまして、そのどれかきまつたところでやはり政府として申上げたい。

鈴木富太郎兵庫県遺族更生会会長

○参考人(鈴木富太郎君) 参考人として今日呼び出されました者からも御質問申上げて差支えありませんでしようか。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) よろしうございます。許可いたします。

鈴木富太郎兵庫県遺族更生会会長

○参考人(鈴木富太郎君) 主計官殿にお尋ねいたしますが、昨日の新聞にも或る数字が発表され、今日まで全国の新聞にたびたび異つた額が発表されておりまするが、只今のお話によるように御責任の持てない、どこからその教学を得られたか全く関知すらせざるところであるというお話でありまするが、全国の私共地方におりまする遺家族達は、如何なる新聞にこれが発表されましてもその数字に一喜一憂非常に関心をもつておるわけであります。さような立場で私共、できまするならば当局の方から大よその額でもこんな程度にあるということを御発表が願えれば大変結構だと思いまするけれども、只今のお話によるとこれも不可能かと存じます。但し二百八十何億にせよ、或いは四百数億にせよ、或いは八百、千億にせよ、そういつた数字が出まするについては、新聞社の方でも全然何も根拠のないところからはお出しになつておらぬと地方においては想像しております。さような立場で私が只今お伺いいたしたいのは、二十も三十もの案をお立てになつたとおつしやいましたが、その案による大よその額はどの辺にありますものですか。できましたたらばこれを二十、三十の案の平均した額でもよろしうございますが伺いたいと思います。私、地方から出て参りましておみやげの一部としてでも承わつて帰りたい。もしこれを発表することが早過ぎるということでありますれば発表は他にはいたしませんが、大よそ二十、三十の案の平均した辺の数字をお聞かせが願えれば大変仕合せでございます。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 甚だ申訳ありませんが、私共といたしましては愼重にこの問題を考えておりますので数字については只今申し上げかねます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 他に御質疑がございませんようですから……もう一つ岩動主計官に伺いたいのでございますが、非常にまあいろいろ重大な責任の地位に立つていらつしやいますので御答弁もむずかしいと思いますが、大体何でございましよう。お見通しとしては大蔵省の案なり、あなたのお手許で大体おまとめになりますのは年内一ぱいでございましようか。或いは一月の中頃でございましようか。これは私共小委員会としては、実は明日でも一応の結論を出したいというので明日開会するのでございますが、なるべく御参考に国会側の意見にも資したいと思いますので御作業の御見通しを承わつておきたいと思います。

岩動道行大蔵省主計局主計官

○説明員(岩動道行君) 遺家族援護の予算と申しますか、方針がきまり予算の計上の見通しがつきますのは恐らくここ一両日ということはあり得ないと思つております。又年内ということも全般の情勢から申しますと相当困難ではないかというふうに考えております。恐らく年があけてからきまるようなことになるのじやないかと思います。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 有難うございました。主計官は若しお時間の許す限り御在席になりまして、参考人の方の御意見をお聞き願いたいと思います。それでは次に杉沼修治君の御意見を承わりたいと思います。

杉沼修治復員関係

○参考人(杉沼修治君) 私この参考人として出ますことを承りましたのが四、五日前のことで、何の材料も持つておりませんので誠に申上げることが甚だ簡單なのでございますが、それで遺家族の援護、傷病者等の援護につきましては、ほかの方からいろいろ御意見が述べられますようでございますからその点は暫くおきまして、先刻ちよつとお話がございました軍人の恩給の復活ということにつきまして一言申述べてみたいと思うのでございます。先刻恩給は廃止というようなことを承わりましたのでございますが、私共承知いたしておりますのは恩給の停止ということになつておるのでございますが、これはどちらがあれでございますか、我々といたしましては恩給は停止ということにこれまで承知いたしておりました。軍人の恩給は文官と違いまして、各階級によつてそれぞれ額がきめられてございまして最初は何ら国庫の納金というようなものがございません。あれは昭和二年あたりから一般軍人もたしか国庫納付金をするようになつたのじやないかと思います。それから軍人は満十一年、つまり十二年で恩給がつくことになつておつたのであります。  それからもう一つ、軍人の特典といたしましては戦場に出たものは加算が二年つく、内地で働いたものは一年、或いは守備等に行つたものは一年で約半年というようなその加算額が参つた。それがために年限が割合に低くて恩給を貰うような状態にありましたのでございますが、当時の軍人の給料と申しますか、そういうものは外の文官に比較して非常に低かつたのであります。で恩給はそういうような恩典があつたのでございますが、一般的には生活というものは、下級者などはもう特に、そう申しますと弊害があるのでありますが、恩給が早く貰えるというようなことで勤めをしておつたものであります。それから軍人は一般社会生活には全然その、全然でもありませんが暗いものが殆んど大部分であつたのであります。恩給によつて生活しておるというような軍人が非常に多かつたのであります。ところが今のように急に停止になりましたものでありますから、どうもその一般社会生活をやるという上につきまして非常に悲惨な状態に陷りまして、私の知つております某佐官のごときは、その後小学校の小使をやつてやつと生活をしておるというような人もございます。そういうような状態でございまして、それと相当の年配になりました者は今のような社会生活に暗いものがあり、且つ老年者などはもう全くどうにもその生活に困ると、非常に悲惨な状況にある現状なのであります。何とか恩給を復活して頂きますれば、今後余命を全うするに助かるのじやないかと、こう考えておるのでございます。まあ要するに当時の我々軍人の精神としましては、一意国に報ずるというようなところから来ておりまして、比較的金銭には冷淡であつたのでありますが、今日の観念で当時のことを考えますと、いろいろ合わないことがあるかも知れませんのでございますが、そういうような状況でございますから、無論今日の乏しい政府の財政で全部これを復活して頂くというようなことはできないかも知れませんのでありますが、或る程度の復活をお願いできますれば、恩給者一般にとりまして非常に幸福じやないかと思うのでございます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 今の問題で御質疑ございましようか。

松原一彦第一クラブ

○松原一彦君 今の廃止か停止かという問題どうでしようか。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 廃止か停止かその点如何でございましようか。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) 軍人に関しまする恩給を廃止又は制限いたしました昭和二十一年の勅令第六十八号には、軍人に関する恩給は法文には「給セズ」とはつきり明言しておるのでありまして、廃止ということになつておるのであります。この昭和二十一年の勅令第六十八号は、その当時の恩給法にはつきり軍人には恩給を給すると規定いたしたため、その特例といたしまして恩給を給せずと、こういうように変えたのであります。従いましてこの特例がありまする限りにおきましては軍人の恩給は廃止せられている、こういうことであります。併しこれは私一般的に申しておるのでありまして、傷病者の恩給につきましては、御承知の通り廃止されているのじやなくて制限されているようになつているのであります。従いまして講和條約の効力の発生に伴いましてこの昭和二十一年勅令第六十八号の制定の理由、根拠となつておりまするところの連合軍の最高司令官の命令そのものの効力がなくなりますれば、この勅令の根拠も又なくなつて来るということになるわけです。従つて政府といたしましては、この勅令の通りに今後軍人恩給の廃止又は制限を続けて行くか、或いは又この勅令を廃止してしまうことにするかということが問題になるのであります。この勅令を撤廃してしまいますと、これは軍人の恩給は元へ復活するということになります。法制的にはそういうことになるのであります。で、或いは又その勅令は撤廃する、併しながら従、来通りの軍人の恩給を復元することはしない。従来の軍人の恩給の取扱に対して相当のまあ修正を加えてそうして恩給を復活する。或いは又そのほかに現在の恩給法の取扱にも改正をして、即ち従来の軍人恩給の取扱に改正を加えると同時に、現在の恩給法の取扱にも改正を加えて、新らしい相当大きく改正をしたところの恩給を適用するかということが又一つの問題になつて来るわけであります。或いは又この勅令は廃止すると同時に一切軍人に対しては恩給は給しない。従つて傷病軍人に対する恩給も、遺族に対する恩給も、又老齢者に対する恩給もすべて一切国家は今後は給しない。その代りこれらの軍人であつた人又は軍人の遺族のかたがたに対しては、恩給制度以外の新たなる制度を設けて、そうして善後処置を講ずる、こういうような方針をとるということが問題になる、こういうことであります。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) そうすると、つまり生存者の場合の軍人恩給の復活は、覚書の二項に従つて勅令も失効しますから自動的に復活するという考え方もできますし、又別途に復活するということを何らか立法措置によりまして意思表示するという考え方もあり、いろいろそこであるわけですね。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) 今のお尋ねでございますが、この「昭和二十年勅令第五百四十二号『ポツダム』宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件ニ基ク」各種の命令が出ておるわけでございます。こういう各種の命令をどういうふうなことにするかということが問題になるわけであります。それにつきましてはすでに国会に新しく法律案が出されることになつております。今のお話のようにこの連合軍最高司令官の命令がなくなつて、そこでその恩給法の特例の基礎となつておるところの根拠命令がなくなつたら当然この特例がなくなるというふうに考えるか、或いは一定の期間は存続するようにしておきまして、そうしてこの改正法律も出さなければその場合におきましては自動的に消滅するというようにするか、そういうようなことは新しい立法措置が講ぜられることになつております。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) わかりました。いずれにしても立法措置が要るわけですね。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) そうです。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 大体これは見通しとしては、政府のほうではこの老齢の軍人恩給は大体復活して行こうというお考えが強いのでございますね。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) 政府のほうにおきましては、先ほど田辺局長からもお話になりましたように、又岩動君から申しておりましたように、どういうようにするかということは、はつきり明言するまでに至つておりません。併しながら私当局者といたしましては、これは復元する、復活するとしますならば、どういうような考え方に基いて復活するという考え方が起つて来るのか、又どういうふうにしなければならないのかというようなことにつきましては、局長としてのいろいろなことは考えておるのでありますが、併し政府といたしましてどういうような処置をとるかということにつきましてはまだ決定をみるに至つておりません。

松原一彦第一クラブ

○松原一彦君 関連してお尋ねしたいのでありますが、恩給局長にお尋ねしますが、この敗戦によつて特別の覚書による勅令が出て軍人の恩給が支給せられないことになつておりますが、その覚書の根本條件は日本から軍国主義的な思想を抜くといつたような、初めは方針であつたように聞いてもおりますが、併し今この勅令によつて恩給の廃止を受けて困つておられる状況は、只今杉沼さんからも懇々お話がありました通りで、特に太平洋戦争に関係のない、明治、大正、昭和時代の古い軍人及びその未亡人等の扶助料まで一切が今は廃止になつておつて誠に気の毒な状況にある。今度の戦争に直接参加した人達が一つの処罰的な意味で停止せられるということならばわかりますが、何ら関係のない古い人々、殊に老齢で寄る辺もない人、或いは單に陸地測量部の技師といつたような文官的な仕事をしておつた者が、高等官であつたためにこれ又恩給を、取上げられているのであります。罪なくして連座しているといつたような私どもには感じが深い。軍人の作戦計画等に当つた人々の高級な責任者は今日なお追放にかかつておりますから、これは問題はありませんけれども、すでに追放は解除せられた、そうして一面においては遺族にも賠償があろうという今日に、軍人そのものに別に罪があつたわけじやない、軍人が弱かつたわけでもない、その責任の全部をば軍人に負わせて、軍人のみは肩身狭くいつまでもさらしものにしておくということは、私は国の政治の面から見て許さぬと思う。この点におきまして、特に老齢者或いは今度の戦争に全く無関係の古い人々、その未亡人等に関する処遇を何とかお考えになる御用意はないでしようか、承わつておきたい。

三橋則雄総理府恩給局長

○政府委員(三橋則雄君) 今松原委員のお説に対しましては私全く同感で、ございまして、及ばずながらそういうようなお考えの実現できるように努力いたしたいと、こう考えております。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) それでは引続きまして参考人の鈴木富太郎君から御意見を拝聽したいと思います。

鈴木富太郎兵庫県遺族更生会会長

○参考人(鈴木富太郎君) 実は、私は一昨日上京して参考人として今日出まするようにというお電話を或る方面から頂きまして参つた者でありますが、お尋ねに対して参考人としてお答えする立場にあるかと思いまして、まとまつた考えを御発表申上げるということが只今できない立場にあります。ただ先刻大蔵省、厚生省方面でお触れになりました点にだけ対して一言私の考えておりますることを発表さして頂きます。  それは国家補償によるか、社会保障的な立場でこの問題を扱うかという点であります。私は当然国家が補償すべきものであるということを確信しておるものであります。これは全国大多数の遺族たちがさように考えておると思います。先刻審議会のほうからの御報告のお言葉のうちにもありましたように、私どもの肉身の者は国家の至上命令によつて御奉公いたしました。そうして勿論各方面において戦死いたしまして公報を頂いたものであります。さような立場でこれに対しては公務に殉じたものでありまするが故に、文官たると武官たるとを問わず当然国家がこれに対して償いをなすべきものであるとこう考えております。職業軍人ではなかつたものが大多数であります。私のことを申上げて甚だ失礼でありまするが、私の伜も商大を出まして会社員となつて直ちに召集されて軍籍に入れられたのであります。これは至上命令による赤紙によるものであります。本人は実業方面において国家に御奉公しようとしておつたものでありまするが、ときの国家の方針としてこれを軍籍にお入れになつたのであります。一般社会があとは引受けたから身も霊も国家に捧げよということで喜んで国家の犠牲となつたものであります。かかるが故に国がかようの者に対しては、当然償わなければならぬ責任義務があると思うのであります。これは生活に家族の者が困難であるが故に扶助してやれとか保護してやれという立場でなくて、国家としては国家が命令して命を捧げさしたものでありまするからして、国家がこれに対して当然償いをなすべきものであると思うのであります。極めて卑近な例をもつて申しますれば、例えばここに私が一台の自動車を借りて来た、途中で私が事故を起したと、当然これに対して償いをなすべきものであります。かような立場において、これは例えば交通関係の職業者であろうと或いは警察関係のかたがたであろうと、この人たちがその職業のために殉職した場合には、当然これに対して会社なり或いは国家なりが償いをしております、補償をしておりすす。同じ立場において文官武官を問わずこれは国家が補償すべきものであるということを私ども全国の遺家族たちは信じております。かような立場でありまするからして、困つておるからお情けで生活を扶助してやれ、恵んでやれというお考えではなく、国家の責任義務として当然これは償うべきものであるからして償つてやるんだと、又私どもとしてはお情のほうも困つておる者には有難く頂戴いたしまするけれども、当然私どもとしては国家から補償して貰うべき、国家に責任義務がありまするように、私どもには又これを要望し要求するところの権利があるとさえ私どもは確信しております。どうかこの点を一つ私どもの考えておりますることを御了解をお願いしておきます。  又先刻一言触れましたが、これが一生涯の職業であつて、早く申せば職業軍人であつて戦い、武運つたなくして命を捧げて参りますることは、これは自分の一生涯の職掌柄当然のことであります。けれども実業界その他の方面において同じように国家に盡すべく準備をして参りました者の立場から申しますれば、これは自分の生涯の職業以外のことでありまして、国家の至上命令でその方面に余儀なく参つて命を捧げたものであります。さような立場を一つ御了承願いたいと思います。  それからもう一つ恩給関係で、政府、或る方面ではこれを恩給法によつてとお考えのようでありまするが、私共はその点についてこういう考えを持つております。これは勿論誤りでありますれば御叱正を願いたいと思いますが、過去五年、十年、三十年、五十年勤めたからして、それに対して恩給を給する、これは従来の考えであります。私共が全国百七、八十万の遺家族の家庭から申しますると、漸く中学を出し、高等学校を出し、或いは大学を貧困なる家庭でかろうじて卒業させまして、これから三十年、五十年働いて貰いまするところの可能性を持つた者たちを同家に犠牲者として捧げたのであります。こういつた者は軍籍にあること最も短かきものは二日、三日、一カ月、或いは一年、二年にして国家のために犠牲となつております。かような君たちは過去の軍籍におけるところの期間は非常に短いものでありまするが故に、旧来の恩給の立場から申しますると極めて小額なるものであり、従つてこういう者に対する遺家族への扶助料というものも甚だ小なるものであります。但しこれらの私共がかろうじて大学を出しました子供たちが、その妻子を養いつつ今後三十年、五十年に亘つて働くところの準備を持ち、体質を持ち、力を持つておつた著たちが倒れたのであります。かような立場においてこういつた点をも御考慮を願わなければ、今後の恩給支給の上に国民の大多数が不満を感じ、当然改正を要望するようなことになつて来ると思います。例えば、事業会社に関係の方々もここには多数おいでと思いまするが、会社で或る職員が殉職した場合、当然これから後どのくらい働ける体力を持つておるかというようなことを考慮いたします。例えば負傷した場合でも一本の腕を機械によつてなくした、一本の足をなくしたというような場合、その者に対するところの一時金にせよ、或いは年金にせよ、今後の何年間、この人間はどのくらいの給料で働けるかというようなことまで考慮するような進んだる世の中になつて参つたのであります。かような立場で恩給支給に対しましても、勿論戦死した者は直ちに十年勤めた者、或いは十五年勤めた者と同じような立場に御考慮下さるかとも思いまするけれども、そういう点を相当御考慮を願わなければならん。而も職業軍人でなくその方面に入つた、ほんの短期簡單籍にありました君たちの立場を十分御考慮をお願いしたいと思つております。今この程度にとどめておきます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 有難うございました。それでは引続きまして山高さんお願いいたします。

山高しげり全国未亡人団体協議会事務局長

○参考人(山高しげり君) 私全国の未亡人団体協議会をお預りしております立場で本日はこの席に罷り出でましたけれども、格別まとまつた発言の用意がございませんことをお詫びを申上げておきたいと思います。只今全国未亡人団体協議会の組織に参加しております未亡人は、いわゆる戦争未亡人ばかりではございませんで、一般未亡人をも併せまして約三十万ぐらいな未亡人が組織に参加をしておるのでございます。で、戦争未亡人の実数が幾らであるかというようなことは政府御当局ですでに御調査が何らかの形で行われておると思いますけれども、私が直接関係しております組織の中には相当数の戦争未亡人も入つておられる。そこで戦争未亡人というものは勿論御遺族の中の一人でおいでになるわけでございますが、その一部分である戦争未亡人の声も私ども組織を通じてやや知つておるという関係でこれから申述べたいのでございます。  現在御立案中の遺族援護の対策につきましては、先ほど小鳥社会保障制度審議会事務局長がお述べになりましたような方針に、只今まで全国未亡人団体協議会としても大体の結論の方針を出しております。従つて対象はできるだけ広くお願いを申上げたい。それから給付費に関係いたしましても、基本年金と増加年金というふうな二本建にお願いを申上げたい。戦争未亡人のかたがたが常に言われますことは、心持とすれば、自分たちは最初本当に夫を返せ、ほかの御遺族が子を返せとお叫びになるのと同じ気持であつた。併しそのあとの未亡人の辛い生活を通して考えたときに、遺族擁護についてはできるだけ広い対象でそうして二本建でお願いをしたいというのであります。戦争未亡人の中には子供を抱え、内職をしようとしても内職もなく、生活困難であるがために、いわゆる今様常磐御前というような生活をしている未亡人は、何も一般未亡人に限らないということ、夫を戦争で失つた戦争未亡人の中にも残念ながら女性の最後のものを提供して子弟を養つておる未亡人も存在しておりますことを、非常に残念でございますがこの席でやはり申述べておかなければならないと思います。  そこで年金の額そのほかに関係がございましようけれども、一応未亡人全体が希望しておりますように、基本年金或いは増加年金という二本建で年金を行うといたしましても、相当数の戦争未亡人が生活困難という実情にやはり取残されなければならない。そこで未亡人たちは社会保障制度の確立ということを最初から非常に望んでおるのでございますけれども、少くとも現状におきまして、広汎な社会保障制度の確立が日本の現在の財政上早急に望めないといたしますれば、少くともこの戦争未亡人の大多数を含んでおります母子世帶のために何らか福祉の方策を講じて頂きたい。これについては地方的には厚生の措置が講ぜられております。例えば母子相談所の設置とか、母子相談員を置くとかいうようなサービス的なお仕事が二十県近くの地方で行われておりますが、これはこの席においでになります田辺援護局長もお聞き及びと存じますけれども、戦時中、経済力がなくて小さな子供を抱えて行かなければならない戦没新寡婦のために、当時政府で相当行届いた対策をとられました。そのたくさんございました対策の中の一つに、この婦人の相談所或いは相談員等の設置というようなことを国が相当の予算を以て当時なされたのでございまして、実績も相当挙つたことと思つております。現在は地方的に過去の戦時中の対策をまねてやつておられる。併しこれらも相当の成績を挙げておりますけれども、これが若しも全国的に国の制度で行われたら、現在行われておらない地方の未亡人たちも日の目を見ることができると思います。それから又未亡人は働く希望を持つておるのでございますが、現在生活保護法でこれらの人の措置をとつておられます。働きたいという人たちのために授産とか或いはいろいろな金融面の問題がございますが、これも地方的に今行われておりますけれども、こういう場合に、やはり未亡人の生活実態に立脚して御考慮願う場合には、一般の生活困窮者に対する金融対策の中で一緒に突つ込んでやられるということについてはいろいろな問題がございますので、それですでに十数県においては、この母子世帯を対象とした資金の制度、金融制度というものを設けておられますので、こういうことも国として当然御考慮願わなければならないのじやないか。  それから次に育英の問題でございます。未亡人の大多数が幼い子供を抱えて、亡くなつた夫に対して子供を立派に育て上げたいという涙ぐましい気持を以て生活と闘つておるわけですけれども、生活保護法で、その対策については新制中学まで義務教育の教育扶助を行なつておりますけれども、未亡人はどうしてもこれらの子弟をせめて新制高等まで上げたい、併しそれをやればもう生活保護法からは見離されなければならないといつたような現行法の欠陥もございますので、未亡人は口をそろえて未亡人の母子のための育英制度というものを望んでおるのでございますが、これも地方的にすでに十二の地方では母子のための育英資金制度というものを特設しておられます。先日洩れ聞きましたところでは、この遺族の子弟のための育英資金制度は必要であるというような御意見が一部分に叫ばれておるということが伝わつて参りましたけれども、先般開かれました全国未亡人団体協議会の理事会では、その点について遺族だけの特別の育英資金では困る、なぜ困るかというと、子供にとつてなぜ家のお父さんは戦争で死んでくれなかつたんだろうというようなことを叫ばせるような結果は、母親としてたとえ戦争未亡人であつても考えなければならないと思うということを戦争未亡人が申しました。一つの母子寮の中に、現在は父を戦争で失つた子供も、病気で失つた子供も一様に母親に育くまれて生活を辛うじて続けておるのでございます。けれども若しも戦争で亡くなつたからその家族にだけ光がさして来るというようなことが、同じ母子寮の中で行われるというようなことは、当然母子寮管理者もはたと当惑なさるでありましようけれども、戦沒者寡婦である母は、それは誠に辛いことだと申しました。このことはどうぞ一つ委員の先生がたもお考え下さいまして、未亡人の生活にさまざまな問題があるのでありますから、  そこで現在は御遺族援護が一日も早く発足いたしますことを全未亡人が渇望しておりますと同時に、現在考えられております遺族対策の範囲外にどうもはみ出しておると思われます未亡人母子の生活に対する福祉の面は、若しもこの際母子福祉法というような単独法の制定というようなことによりまして、只今申上げましたような欠陷を埋めて頂くことができますれば、これは予算額等も、方策をお作りになる玄人の政府のかたがたのお考え一つで大きくも小さくも作ることはできるのではないかと未亡人たちは考えております。とにかく子供を抱えている母親が生活に苦しむということ、子供の将来の問題、これが大きいのでございまして、今日戦争未亡人がまとまつた子弟の養育費を得るために、子供を人に預けて、母親は料理屋とか旅館とかいうところに住込んで生活をしておる者が非常に多いというようなこと、子供は母と共におることが最も仕合せであるということを私ども考えましたときに、昔日本は母子保護法というような、母子不可分の原則に基く、母を護り子を護る法律を持つておつた。それは生活保護法に吸収されてしまいましたけれども、今もう一度あの法律を御考慮願つてもいいときではないかと未亡人たちが申しておりますということをお伝えさせて頂く次第でございます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 有難うございました。大変お蔭様で順序よく進みました。それではもう一かた伺いまして午前中で終りたいと思います。鷲尾弘準君御陳述をお願いしたいと思います。

鷲尾弘準恩給関係

○参考人(鷲尾弘準君) 私は先刻お話が出ました、総司令官の命令がなくなりまして国家がどういうふうにこれを扱うべきかということについての考えを簡単に申上げたいと思うのであります。  只今も恩給局長のお話がございましたが、軍人恩給は只今のところでは形式上は廃止になつたのだというお話でございまするが、我々は総司令官の命令がなければ当然に恩給というものは軍人にも支給せられておるもので、いわば命令で差とめを食つておる、拂うなということでともかくやめられておるので、これがなくなればどう片付けるかという問題がすぐ起つて来るのでございますが、総司令官の命令というものも、我々冷静にこの問題を考えますと非常な不公平が起つておるのであります。例えば軍属の例をとりますと、階級が一階級違うので一方は全部差とめられて、一方は戦時の加算が向うに一年おつたのが四年になるというような計算もついて非常な不合理が生じております。こういう点を睨み合せ公平に戻されるということが当然起つて来るものと思いまするが、それよりも根本問題といたしまして、国家が法律を以て文武官即ち平たく申しますれば使用人に対して、これだけ勤めればこれだけのことをしてやるということになつておりますものを、そのまま文官だけは残して武官はそのまま棄ててしまうということになりましたのでは国家としての筋も立ちませんし、いわんやその相手方の不満というものも到底いやすことができません。或いは又軍人の中には、職業として軍人を選びましたいわゆる職業軍人というものと、何らの希望もなければそういう趣味もない者を戦争に際しての必要上、義務として駆り立てて職場に送りました大多数の者があるのであります。その者に対しては国家は一段とそれに対して恩給以上のものを加えなければならんのでありまするけれども、何分にも戦争のときの、そういう人たちが多いのであります。戦死者と戦傷者とかいうものの数が多いということが想像せられますので、国家の財政上も到底たまり決せんから、個々のお手当は非常に軽く、恩給法でも従来きまつておりましたが、それできまつておりましたけれども、全体の数といたしましては軍人の恩給はこの頃どうか知りませんが、二十年くらい前の私どもの記憶では大体八割が軍人に関する恩給でありましたが、兵卒の恩給とか、或いはその兵卒が戦争で死にました遺族に対する救助の層を厚くすることもできなかつたのはどうもいたし方のないことと思つておつたのでございまするが、それでこの職業の軍人と義務で引張られた兵隊さんのことは分けて考えければなりませんが、一応それは問題は別といたしまして、この文武官だけの比較をいたしましても、文官のほうの中には先般司令官の通牒と申しますか、メモで追放になつておつたかたなどもずいぶんあるのであります。この追放というものはいろいろ気の毒な立場の人もありましたのでありましようが、とにかく国として好ましからざる人物というような判定を受けておりましたために、追放になつたということになつておりますが、この追放者が追放の解除になりまするというと、恩給は当然に復活するという取扱になつておりまして、いわんや追放中の分までも追放の解除によつて回復せられたかたもあるのであります。これらと比べまするというと、軍人の殊に義務兵として徴兵令によりまして、兵役法でございますか、その法律によりまして召されて命を捨てたという者との間に、余りにどうも実際上から見ましても権衡がとれませんので、これらを何とかするということまで行かなくても、せめて昔法律で約束をしてありましただけの救済をしないことには、将来の日本の再軍備などの、これはまあ好むと好まざるとにかかわらず将来起るかも知れんと予想せられるのでありまするが、この問題を正当に合理的に解決をして置かなければ、再軍備などは到底問題にならんと思うのです。  それともう一つは、近頃私ども頗る胴に落ちんのでありまするが、この軍人遺家族に対する援護とか或いは社会保障とかいろいろ言われておりまするが、これは一つの只今もお話が出ましたが、もらうほう側から言えば一つの権利であります。国家としての義務でありまして、それでこの社会保障なんというものはそういうこの義務関係のない一般社会を対象として論ずべきものであつて、こういう特別の権利を持つておるもの、又国家として義務を持つておるものというのはその義務を果し、権利を満足さして、その上でなお気の毒なものがあればそれを援護とか、或いは保障してやるとかいうことが起つていいのでありまして、先ずすべきことをしておいて、その上気の毒であるというので援護の手を伸ばすことが私社会援護でなかろうかと思うのであります。当然もらうべきものと信じておるその軍人の従来の受恩給者、並びにその戦争で死にました遺家族の待遇といたしましては、先ず国家が義務として約束してありましたものを果して、その上に余裕がありますれば社会の恩典を延ばすということが当然の筋ではなかろうかと思われるのであります。もとよりこれを昔の通りの恩給法の規定に照らしまして金を出すということになりまするというと、大変な高になると思われる点もありまするし、これは今日の日本の財政上の関係なり、諸般の状況を考慮せられまして、その金額なり支給方法なりは適当に御措置になつて、これはいたし方ないことと思いまするが、少くとも貧民救済とか、或いは救うてやるという観念はここで捨てて考えなければならんものじやないかと私どもは思うのであります。ここに先ほども軍人でいらつしやいましたかたなどのお話を承わりましても、又近頃ラジオに出ます朝の「私たちの言葉」などの放送を聞いて見ましても、そういう考え方は一般的に持つておるのでありまして、今日軍人の淡家族、軍人はもとよりでございますが、遺家族などは何だかこの世間に、戦争に出て国のために働いたことが悪事をしたことのように肩身の狭い思いをさせられておる感じがないでもないのであります。この感じは是非ともきれいに拂いのけてあげなければすまんものでないかと思うのであります。で、今朝も丁度私家を出る前に聞きましたのに一つございましたが、これは恩給のほうの余り詳しくないかたの御意見であつたと思いますが、一つ御紹介しておきますと、職業軍人であつた者の何は階級的に恩給をそれはやつていい。ところが義務で召集せられた軍人で、それが死んでその遺家族に貧乏人扱いして救うとか、何とかいうのはけしからん。又一方にそういう義務で死んだ者についてもその遺族の何は階級とか何とかいうことにかかわらず、同一な金を出すべきものだというような御議論がありましたけれども、その中で私ども共鳴しましたのは、社会救済とかいう意味で貧民扱いしてもらつちや困る。当然出すべきものは出し、もらうべきものはもらうという建前でなくては困る。こういう私どもの考えと同じなことを言うておられましたが、結局私どもはこの社会救済というもののほうは勿論必要でありまするし、仮にこの軍人恩給のほうが全都前の通り復活せられましても、兵隊さんのは階級としては極く少くて、低くありまして、もらう金も極く少いのであるからして、それだけで救うことができるものではりませんし、いわんや財政のことを考えまするというと、或る程度、極く少い金しか出る道はないと思うのであります。恩給の建前によつて救助をせられまして金を出されましても、社会保障といいますか援護といいますか、そのほうはあろうと考えますけれども、第一段の権利に属するものはこれは生かして、そうして精神上の恵みと幾分なりとも経済上の恵みをここで與えるということが、将来国家を護つて行く上において最も必要であるのじやないかと私どもは考えます。社会保障というものは少くとも権利を持つておる者に対してやるべきことじやないと思うのです。それを済まして、国家は約束した義務を十分と行かなくても或る程度履行いたしまして、その上のことであると私どもは思うのであります。従つて貧民扱いをするような社会保障によるということは、これは一応の恩給的の給與のできましたその上でのことであるべきだと考えております。これは只今もお話が出ましたが、私もいわゆる貴族の一人かも知れませんが、長男が出かけまして行つてすぐ死にました。そういうので自分は遠慮しなければならん立場かも知れませんが、これは政府全体として考えて申上げておるのであります。私どもは恩給そのままでなくても、多少規則なり取扱方法なりが変りまして、国家で抑える程度でもらつても結構でございまするが、社会救済という一般的国民を対象としているものと、別の地位に置かれて命令によつて命を捨てましたものというものは、少くとも国家が使用人として、又これに報ゆるの道として定めてありまする恩給の制度のほうから救済をしてもらうということが必要じやないかと存じております。一応申上げておきます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) 以上で参考人のかたの大変御貴重な御意見を拝聴いたして終了いたしたのでございますが、最後に、皆さまがた相互に御質疑や御意見がございますれば、補足的に御質疑の応答をして頂きまして、午前中にすべて終りたいと存じます。

小島徳雄社会保障制度審議会事務局長

○参考人(小島徳雄君) 先ほど大体審議会の委員会としての考え方を申上げたのでありますが、その後参考人からいろいろ御意見を聞いておりますと社会保障という考え方を非常に誤解しておられるということ非常に遺憾に思つております。今日、社会保障というものは、貧民を救済するという考え方を脱却しております。生活保護法においてもいわゆる権利としているという概念が認められております。この問題につきましては御承知の通り面接とか、或いはいわゆる財産調書とかいうようないろいろ調査がございまして、その受ける者から言いますと、非常に卑屈感を與えるような状態でありまするが、ここで審議会が遺族の問題を社会保障として考えるのは貧民救済という考え方では毛頭考えておりません。今日の社会保障の考え方は御承知の通りいわゆる生活保護法というような、考え方が非常に遅れておるが、社会保険、保険制度が中心で社会保障がなければならぬ、我々が病気になつた場合に、保険料を納めておりまして病気になつた場合一部負担をして、或いは無料で医療を受ける、会社の重役でも社長でも今は病気に罹つた場合には保険を受けるというふうで、何も会社の重役、社長を君貧乏人扱いして医療の場合にいるというような考え方では毛頭ございません。社会保険はお互いに保険料を納めて、当然それの権利として受けるという考え方で進む。ただこの場合、この遺族の問題につきまして社会保障と考えるのは、それは醵出じやない、無醵出年金、審議会が昨年勧告しました一般国民に対する無醵出年金、老齢と遺族とそれから傷病者に対して無醵出年金を考えたのは、今までその思想の発展が、今日傷痍者の問題につきましてたとえ社会保障的に考えるにいたしましても、先ほど私が審議会の意見として述べましたように、権利の保障として、生活保護というような考え方では毛頭なくて、特別な制度として当然の権利として国家が保障してやらなければならぬという意味の社会保障的な立場から申しますと、ただ今日財政の問題もいろいろありますし、国家の財政が豊かになれば、非常に高い階級におられる人々に対しても当然相当の命題を出すのが或いは当然かと考えまするが、非常に財政にも制約されまするし、いろいろ国際関係にも微妙な関係のある場合におきまして、効果的に財政を適当な人に強く保護する場合におきましては、所得の問題等も勘案し、或いは扶養家族の問題も勘案して、そうして適切に必要なところに厚く保護するというのが、より少い予算でより妥当に行くという考え方から、社会保障的見地においてこの問題を論ずべきだということを審議会としては考えておるのでありまして、いやしくも貧民を救済し、戦争に行つた者に対して、特別に貧乏な者を救済して行くという考え方は、たとい社会保障的見地に考えてみましても毛頭審議会としては考えていないということをこの際はつきり申上げて、皆さまの御理解を頂きたいと思います。

鈴木富太郎兵庫県遺族更生会会長

○参考人(鈴木富太郎君) 今の社会保障制度の立場からの御説明、よくわかりました。これは当然かくあるべきであると思います。社会保障制度の行き方は全国の民生の安定を得るという立場で、十年、五十年、百年に亘つて変らざる立場で国家が保障するという行き方であると思うのであります。戦争が起り、非常な大きな台風が来たり、非常な異変のあつた場合には、国家は平衡交付金なり予備金なり、特別なる会計を以てこれを扱わなければならんのは当然であります。さような立場において、第二次世界大戦のごとき大異変のあつた場合は、普通の社会保障制度を以つて、五十年、百年に亘るその行き方の物差でこれは計るべきものでないと私は思うのであります。一時に起つた大きな異変の波は、これは数年にして、或いは十数年にして当然平常に帰すべきものでありまするからして、今国家、政府として考えておられまするような、その社会保障的な扱いはこれは平時に一般に用うべきものであつて、第二次世界大戦のごとき大異変のそれに備うべき国家の対策は、これは非常手段を以て扱うべきものであると私は思います。さような立場において、僅か数年にして数十万数百万というような犠牲者を出しまする場合には、これには特別な補償法を以て償つて行くのが国家の行くべき道であると思うのであります。さようの立場において、今度の戦争犠牲者に対するところの国家の扱いは、今申しまするような、社会保障制度的な、平時に充つべきそれで行くことは、私は間違いであると思うのであります。かような考えは私一人でなく多数の遺家族たちが、又その他の者が持つておる考えであります。どうか非常時に対して、大異変に対してはこれに対する特別対策を講ずべきである。であるからして、今度の戦争犠牲者に対する対策というものは特別なる国家補償の立場においてこれを善処し、平時に対する社会保障的な線はこれをこれから先長い間において実行して行くと、こうやつて考えれば、戦争犠牲者に対しての特別の国家の補償措置というものが決して不合理ではなくなり、これが当然の措置であると思います。卑近な例を引きまするというと、昨年のジエーン台風に対して、平常持つておるところの国家の、又被害府県の予算を以てはこれを如何ともすることができなかつたのであります。さような立場で国家としても又府県といたしましても、特別なる予算を非常時には組んでおります。戦争のような非常時にあたつては、非常手段を以て、平常の予算に組んでないからとか、国家の財政が困難だからというようなことで躊躇すべきものではなく、これは非常手段を以て対処せなければならん。特にこの度の戦争遺家族たちを扱う立場においては、先刻ちよつと御発言のありましたように、私どもは国家の近い将来を憂うるが故にこの遺家族たちを一日も早く十分に手当するようにということをお願いするのであります。これは午後御質問のあつたときに申上げようかと思つておりましたのですけれども、一言お話をさして頂きまするが、批准が済みますれば、当然日本は自主独立国家として世界四大国の一つとして立つて参ります。みずから自衛しなければなりません。この際に、よし精鋭なる武器は連合国方面或いは他の方面から日本は貸與されましようけれども、これらの武器を持つて立つところの、その国を護る人たちが案山子であつては国を本当に護ることはできんのであります。我々八百万の遺族たちはこういうことを考えております。今後このままで行つて若し召集でもあるような不幸な目に会いまする場合には、私どもは自分たちの残つておりまする子供に対して、親戚の君たちに対してこういうことを言う、今度は命は捨てるなよ、お前の妻子たちを飢え死はさせるなよ、どんなことをしてでも命だけは持つて帰れ、こういうことを私ども遺家族としては今度万一召集された場合には、出征に当つてそう言いたい気持であります。恐らくそう言うであろうと思う。国家の近い将来を憂えまするが故に、どうかこの際国家として非常手段を講ずる考えを以つて善処して頂きたいと思います。このままで行きまするというと、案山子に銃剣を持たしたと同じことで、本当に命を国家のために犠牲にして国を護つて行くという者が一体何人あるかということを私どもは憂うるものであります。私どもは国のために喜んで命を捧げる血を分つておるところの八百万の遺族であります。こういう着たちは今八千数百万の中、最も国を護るに忠実なる者であるというような、自惚れではありましようが、自信さえも持つておるものであります。どうか一つ近い将来の日本を立派に護つて行くことのできるような道を政府においても、又国会のかたがたにおかれても、有識者はみんな持つて頂きたい。さような立場においてどうか大きな世界第二次大戦の波であるからして、この波の治まるのは、近い将来に勿論又穏やかなる海になりまするはずでありまするからして、どうか非常手段を以てこれに当つてもらうようにして頂きたい。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○委員長(山下義信君) よくわかりました。御意見承わつておきます。この際委員長として一言いたしておきますが、委員会で審議いたしておりまする方針は、決して遺族のかたがたの貧困救済とか、生活救済とか、そういう考え方では絶対審議いたしておりません。たとえ国家補償の見地或いは社会保障的の見地、考え方、アイデイアはいろいろありましても、そういうふうな救済的な、救貧的な考え方でこの対策を審議いたすなどということは我々毛頭考えておりません。それから又この対策は何か再軍備に必然的な関連性があり、それがための必要手段というような考え方では審議をいたしておりません。問題はおのずから別個でありまして、要するところ、戦争犠牲者に対しまして、如何に国がそれに対処するかという観点からいたしておるのでございます。どうかその辺我々審議をいたしておりまする委員会の基本的な態度として関係者の各位にも御了承を願つておきたいと存じます。それでは本日の小委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時四十五分散会

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