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13回国会参議院1952/04/03

厚生委員会 第14号

発言数
31
登壇者
5
会派数
3
開催日
1952/04/03

会議録

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) ではこれから会議を開きます。  運営委員会で問題になつておりました在外同胞引揚特別委員会が設置されることの見通しがつきませんので、厚生委員会で当然引揚問題を扱うことになりました結果から見まして、小委員会を作りたいと思いますけれども、殊にこの問題に関しては、遺族小委員も大きな関心を今まで持たれておりました点に鑑みまして、引揚問題並びに遺族小委員会というように、本日から遺族小委員会を改めまして引揚問題に関する件をこの委員会に付託したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) さよう決定いたします。  なお委員は小委員長山下義信君、委員長島銀藏君、同じく中山壽彦君、同じく大谷瑩潤君、同じく常岡一郎君、同じく藤原道子君、同じく谷口弥三郎君、同じく松原一彦君、同じく草葉隆圓君、なお藤原道子君と申上げましたが今河崎ナツ君が代つておりますので河崎ナツ君に委員を指名いたします。従いまして従前ありましたところの遺族小委員会は自然解消という結果になります。  本日の予定は衆議院のあの援護法の法案の出ようを見て対策を立てるはずでありましたが、まだ衆議院では委員会が議決しておりませんので問題を議題とすることができないので残念でございますが、それは次回に讓りたいと思います。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) なお昨今問題になつておりまする結核新薬に対して、相当新聞はにぎわつておりますし、なお全国の結核患者がこれに対する期待も大きいだろうし、或いは考えておる以上、或いは伝えられている以上効果が顕著なものか、或いは現在幾つかの製薬会社が製造しておりますその状態についても誠に未知でありまするので、政府当局に対してこれらに関する調査、並びに御見解についてお伺いしたいと思います。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 私その点についてお願いして質問してみたいと考えておつたのでありますが、発言してよろしうございますか。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) どうぞ。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 今委員長から議題に供されたのでありますが、或いは常識的に考えましてまだ政府当局の見解を承わるのには時期が適当でないかとも考えられますが、併しすでに世間で非常にかれこれ問題が高くなつておりますこの際でありまするので、政府に対してお尋ねしたいのでありますが、昨今新聞紙上に伝えられておりまするイソニコチン酸ハイドロジツトという新薬につきまして、どういう情報が政府には入つておりますか、ということを第一に承わりたいと思うのであります。現在我が国には国策といたしまして結核対策が組織的に計画的に行われておるのであります。従いましてこういう新薬に関しまする新らしい諸情報は常に当局もキヤツチしておいでになることであろうと推測しておりますが、現在問題になつておりまするこの新薬につきましての諸情報についてお聞かせ願いたいと思うのであります。  なお、今委員長から触れられましたが、こういうことが何と申しますか、学術的に又実際的に確実なものになりません前に非常に一般的に関心を集めまして騒ぎ立てますと、現在政府が行なつておりまする結核対策のそれらの実際の治療上の運営上につきましても支障を来すのではないかと思う。事実どういうふうな状況になつておりますかどうか。又薬務局長も見えておりますが、これは何も專売特許ではなくしてこの製造が自由であるということでありますが、それは大体何と申しますか、製造過程でありますか、そういうことは学問的に発表に相成つておるのでありましようか、その内容などは不明でありまして、関係者がいろいろ製造に要しまする必要な資料の獲得に狂奔しているというような状態でもありますが、わからないものでありましようか。そういうことを一応一般的に所管の公衆衛生局長から所見と政府の対策を承つて、製薬関係のことにつきましては薬務局長から承りたいと思います。その余は專門の同僚諸君がおられますから、今日の段階につきましても又御質疑があろうかと思います。私は以上の点を承りたいと思います。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 政府の御回答を頂く前に、引揚問題並びに遺族小委員会は御指名申上げるのが一人洩れておりましたので、恐縮でございますが申上げます。藤森眞治君。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) では山口公衆衛生局長。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 只今山下委員からお尋ねのございました最近新聞紙上に報道されております結核の最新薬イソニコチン酸ハイドロジツトのことについては、最近のアメリカの学術的な雑誌でなく、いわゆる週刊雑誌のようなものに相当詳細に報告されております。私どものほうにはまだ学問的な細かい資料、向うの実験データなど得ておりません。そういう点につきまして詳しく御報告申上げる段階には至つておりません。只今まで私どものほうに入りました資料によりまして、一応私どものこれに対する態度というものをお答え申上げたいと存じます。  この結核の新薬そのものにつきましてはあとで薬務局長から詳細に説明して頂きたいと存じておりますが、これはビタミンBの複合体の一種のイソニコチン酸とハイドロジンの結合物であるイソニコチン酸ハイドロジツトという化学薬品でございまして、これはずつと以前に一九一二年にオーストリアの化学者によつて合成されたもので、ございまして、その後アメリカのロツシユ或いはスクイプという会社におきまして、いろいろ結核の化学療法としての薬品を検討中にこれが結核に有効であるということが発見されて参りました。そうしてそれをアメリカのニユーヨークのシーヴユー・ホスピタルそのほかにおきまして臨床実験をやつておつたのでありますが、それらの所におきます臨床実験もまだ十分な数を得ておりません。これは十分新聞紙上でもお目にとまつていることと思いますが、まだ十分な数を得ておりません途中にこれが発表されまして異常なセンセーシヨンを巻起した次第でございます。アメリカ自体におきましても、それが余りに早く発表されたということについて遺憾の意を表しているのでございます。殊にアメリカの薬品のほうの監督官庁であります食糧薬品管理局におきましても、まだこれらの薬に対して発売許可を與えていない状態でございます。併しながらその発表の内容が相当これが結核に対して非常に有効であるというような報道が出ておりますために、アメリカにおいてもこの結核病棟の建設を中止する、或いは外科的療法を受けたくないというようなことを言い出している者さえある実情にございます。で日本におきましても、この情報が新聞紙上において伝えられましてから一部におきましてはすでに外科的療法を受けるようにすすめられ、又それを決心しておつた患者がこういういい薬ができた以上は療法を受けたくないということを言い出している人も現実にあるというふうなことを聞いております。又甚だしい場合には国の結核対策を根本的に覆さなければならんのじやないかというふうなことを言われておるような向もあるようでございますが、併しながらアメリカにおきまして実施されました実験例もまだ十分な数になつておりませんし、殊にこういう結核に対します化学療法の効果の判定ということにつきましては、私どもといたしましては十分愼重にこれをやつて行かなければならないと存じておりますので、我が国自体としてもこれを取上げて研究をして行かなければならないというふうに考えております。ただそういう我が国におきますいろいろの研究の成績がはつきり出て参りますまでは徒らにこれを過信して、今まで結核対策としてとつて参りました方針をここで曲げるというようなことは嚴に愼まなければならないと、こういうふうに考えております。これが非常に有効なものであると万人に認められるようになりますれば、それを取上げて結核対策の中に盛込んで行かなければならないということは当然でございますが、そういう成績が出ますまではかるがるしく事を処してはならない、そういうふうに考えておるのでございます。又一般の人たちも、新聞に報道されました内容によりまして相当先ほどまでも申上げましたように、結核患者として動揺しておられるかたもありますので、そういう点を誤解のないようにしたいという意味から、先般これは薬務局のほうでいろいろ心配して頂いたのでありますが、三月十一日附で主として新聞発表をいたしまして、そうして現在までの経過を簡單に記し、そうしてはつきりした成績が出るまで徒らに動揺しないようにというふうな注意を喚起したのでございます。それと同時に私どもの厚生省におきましても、先ほど山下委員から御指摘のございましたように、国策として結核対策を大きく取上げて実施しておりますので、今後問題をどういうふうに取上げて行くべきかということを検討いたしますために、先月の二十七日に薬務局長と私との名前で在京の結核の專門家のかたたちに集つて頂きまして、今後この薬品につきまして実験に使います薬剤の品質をどういうふうに統一して行くか、これはまあ薬務局のほうに心配して頂くわけであります。そういう問題、それから今後実験、研究の方法をどういうかうにして行くか、それを統制して余りばらばらになつてやらないようにということ、その内容といたしましては試験管内の実験をどういうふうにするか、或いは動物実験をどういうふうにするか、臨床実験をどういうふうにするかというようなことをよく打合せて実験をいたしましたその結果を持ち寄つて、そうして日本における成績を判定して今後これをどういうふうに取上げて行くかというふうにしなければならんということで、三月二十七日に協議会を開いたのでございます。その際にあまり細部までは決定いたさなかつたのでございますが、今後どういう機関において、どういう人たちによつて研究をやつて頂くかということは、明日、大阪で現在結核病学会が開かれておりますが、そこに結核の專門家が多数集つておられますので、結核研究協議会が具体的にどこでどういうふうに研究をして頂くかということをきめるという打合せをいたしたのでございまして、細部につきましては明日大阪においてそれを決定いたしたいと、そういうふうに考えております。厚生省からも係官を派遣いたしましてその会議に出席させているのでございます。現在まで私どものほうに入つております情報といたしましては、学問的なあまり細かい情報は入つておりません。そこで細部に亘つて御報告を申上げる段階に至つておりませんことをお答え申上げたいと存じます。  なお我が国にアメリカから入つております薬剤は極く僅かでございまして、予防衛生研究所の柳沢博士のところに極く少数参つております。なお今朝の新聞にも出ておりましたが、河辺博士が五十人分を昨日持つて来たわけでありますが、これを今後政府との関連においてどういうふうにやつて頂くかということを、先ほど薬務局長と相談いたしましたときに薬務局長からいろいろ心配して頂いたのでありますが、今度の研究班の中に河辺氏も入つて頂いて、又その持帰られた薬剤を勝手にあちらこちらで使われるということでなしに、今後実験を進めて行きますのについての一つの材料として使つて頂きたいと、そういうふうに考えておるのであります。薬剤の実際の、今後どういうふうに製造して実験用として使つて行くかということにつきましては、薬務局長からお答え申上げたいと思います。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) 先ず私、大体山口公衆衛生局長から経過についてのお話が、ございましたが、それに二三補足いたしたいと存じます。で、この薬が新聞に出ましたのは三月の九日でございましたが、直ちに厚生省といたしましては極めて重大なことであるという意味で十日の省議にかけまして、そうしん只今山口局長から申しましたところの新聞発表を十一日にやつた次第でございます。その際にきめましたことは、三月二十七日に行いましたこの專門家たちの協議会を開催するということでございました。その協議会におきましては実際結核の臨床の権威と、それから細菌学的な権威と、今一つはその製造に関しまするところの薬学者の権威者、この三者のかたがた二十名ばかり集つて頂いた次第であります。そうして一方このものは比較的簡單に製造できるということのために、すでに或いは新聞の発表を見まして、乃至はその新聞が発表されます以前の情報等によりまして、我が国の製薬業者ですでにあの試製を行なつておつた者もございますので、従つてこれらにつきましては直ちにその規格をきめておかないと危いということで、その規格案を国立衛生試験所で極く粗案でございますけれども作つた次第でございます。その粗案につきましても三月二十七日の会議において検討されまして、且ついま一つは原料を如何なるものに頼るかということが問題になりまして、多少專門的になりますが、ピリジンと申しまする石炭タールの産物を原料とすることが最も純粋な品で安いということになつた次第でございます。  ついででございますからこの製造等に関して触れたいと存じますが、原料になりますところのピリジンは、八幡製鉄或いは富士製鉄等のごとき製鉄会社が大きな供給者でございまして、大体私どもの計算によりますれば、たとえ我が国の全結核患者にこの薬が使われるときがあつたといたしましても、その原料は国産品で十分賄い得るという見当がついておる次第でございます。なおこの製造に関しましては、只今も山口局長から話がありました通り、イソニコチン酸ハイドロジツドそのものが、これはすでに非常に古く作られたものでございまして、従つて特許と申しますのは昔すでにできたものに対しては特許はございませんので、その意味において我が国においてもこれが作り得る次第でございますし、なお製法は比較的簡單でございますのでそこで多くの会社がこれを作つて供給したいという考えを持つております。でこれがばらばらに作られまして供試品の名の下に供試されますことは極めてけんのんでございますので、すでに私どものほうでは製造を開始せんとする会社を集めまして、そうしてその基準を示し又基準に対する意見を聞きまして、そうしてできました品は、必ず先ほども話がございました結核療法研究協議会のきめました病院においてこの実験を行うということを申し伝えている次第でございます。  なおアメリカにおいてはこのものは未だ政府の正式の製造の許可になつておりませんけれどもすでにこのアメリカのロツシユ会社の本社でありますところのスイスのロツシユ会社はこのものを大量生産の域に移し、又同じくロツシユ会社の英国におきます工場におきましても大量生産を始めたということであります。そうしてそれらのものを我が国に輸入する申請がすでに出ておりますが、これは愼重に扱いまして輸入されました品についても未だ我が国ではこれが許可されておらないのでありますから、従つて臨床の研究に使われるという形においてのみ取扱いたいと存じておる次第でございます。なおアメリカにおきましてもロツシユ或いはスクイプなどという会社以外の会社もかなりすでにその製造に着手したようであります。併しながらこの効果に関しましてはなお不明な点があることは、昨日帰朝されました河辺博士の説によつても明かでございます。その意味におきまして、この取扱いはよほど愼重を期さなければならないと考えておりまして、実は一両目の間に我々といたしましては、再度この製造業者に対しまして勧告を発する予定でございます。と申しますわけは実はこのものの使用量が比較的少量であり、従つて日本全体の結核患者にたとえ使われることがあつたにしてもその量は限られたものであるという意味からして、余りこれを多くの人々が手をつけましてそうしていたずらに泥試合をやるというようなことを防ぎたいという一つの勧告と、なお原料に関しましても、これを買いあさるというような必要はなく、即ち十分な供給が我が国においても可能であるということ、並びに外国の品は当然これは、或る程度入つて来ることが予想される。従つてその価格においてもよほど考えなくてはならないということを忠告する所存でおります。  なお我々のほうに入つておりまするところの情報は、先ほど山口局長が申した通りでございますが、それ以外には多少学説的なものも入つております。それはアメリカの結核学会が極く簡單な報告を出しておりますが、その報告も入つておりますし、なおこの製造会社でございまするところのロツシユと申します会社が多少学問的な報告を出しております。更にいま一つの製造会社でございまするところのスクイプという会社が多少学問的な報告をよこしておりまして、これらはタイプに打ち、或いはその翻訳をいたしまして、各結核の研究者たちにすでに配付いたしておるものであります。  なおついでながら申上げますと、これも新聞に出ておつたことでございますが、我が国におきましても、このイソニコチン酸ハイドロジツドはすでに東大の薬学科の菅沢教授が別の目的を以て作つておつたものでございます。その意味におきまして、これらの製法に関しましても、我が国の薬学の権威君たちが十分協力を與えてくれることを信じておる次第でございます。  以上大体今日までの経過、製造等に関しまして御報告申上げました次第であります。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 両局長の御説明で大体概略の経過は素人の私までもまあわかつたのですが、今のお話を承わつた我々の印象としては相当やはりこれは非常に何と申しますか大問題で、この結核治療の方面に相当かなり有望なようなふうに印象を受けるのでありますが、やはりそういうものでありましようかどうか。  それからこの我が国で、製法が簡單であり従つて原料もあり製造が可能であるということでありますが、若し有効なものであるとすれば大変結構なことでありますが、いろいろ実験をせられ、いろいろな研究を重ねられ、どうでしようか、若しかなり有効だというようなことになつたとしましてそれらの実際の治療の上に使用せらるるような時期の見通し等ということになりますと、これも何かにこう出ておつたようでありますが、或いは夏頃には若干実際の使用になるのじやないかというようなふうにも伝えられておつたようでありますが、そんなものでしようか。  それから価格がまあ何んでも大変闇で以て入手に狂奔している云々というようなことがありましたが、実際にそれはまあすべての新薬のたどりまする何もありますが、この価格などが普通の状態になりましたときには、国内産の製品はどのくらいの価格になるか、およそのところでもよろしうございますが、およその見当がつきますものでございましようか、そういう諸点を伺いたいと思うのですが。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 今まで報告されました臨床によりますと、これの使用によりまして体重が増加する、或いは喀痰の排出が少くなる、或いは喀痰中の結核菌が非常に少くなる、体温が平常に近くなつて来るというような非常にいい報告が出ております。果してそれがすべての結核患者にうまく現われて参りますかどうかということは、今後実験を重ねて参りませんと確たることは申上げられない、そういうふうに存じますが、今まで報告されておりますのでは、相当効果があるように出て参つております。  それから日本でこれを実際によく臨床的に使い得るようになる時機のお尋ねでございますが、これは先ほども申上げましたように、明日協議会で大体どこの病院で臨床的に始めてもらうかというようなことにも関係して参ると存じますが、やはりこの結核患者の観察というものは、或る程度長期観察いたしませんと、それが本当に効果があるのかどうかというようなことを決定いたしますのはなかなかむずかしいと存じますので、これは私個人の見通しでございますが、今年の夏から始められるというようなことはちよつと早過ぎはしないかというふうにも感ずるわけでございます。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) 只今山口局長の申しましたことについて言追加をさして頂きますと、申すまでもなくあらゆる薬が結核に有効であるかどうかということは、よほどな例証がなくては断言できませんです。殊に結核のごときものは非常に長期の観察、これは動物実験におきましてもそうでございまするけれども、いわんや人体の実験においては長期の観察を必要とするものでございます。然るにこのものの発表は最初に山口局長も申されましたように、御存じのごとくまだ学問的な意味での発表はないのでございます。而もそれに対する我々の得ております情報、乃至は新聞紙上等でも御覧になります通り、僅かに二、三百人の例に過ぎないということでありまして、その例からしてこれに対しまして断言をすることは極めて危険でございます。  なお我が国におきましては、最初にとりかかられますのは試験管内において結核菌を殺すかどうかという問題でございますが、これも実はやつととりかかりましてまだ結論は出ておりません。ただ或る程度有望であるという程度までは、実は極く最近我々が持ちました協議会においてそういう報告は得ておる次第でございます。  更にこのものの価格につきましてはこれは何とも今のところでは見当がつきませんでございます。ただ新聞紙の伝えるところによりますると、一日分二十五セントで済むというようなことも書いてございまするし、又或るものによりますと十セントくらいということでございますが、これは全く見当がつきません。と申しますわけは量産の程度にもよりますので、どれくらいの量がどのくらいのスケールで造られるかということによつてきまる次第でございますし、又どれくらいの原料からどれくらいの品が幾らばかりできるかということによつてもきまるものでございますから、まだ実験中でございましてそこまでは的確な数字を申上げる段階には達していない次第でございます。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 私は門外漢で何もわかりませんのでごく幼稚なお尋ねをしたわけですが、まあ薬など、殊に難治といわれております病気に対する新薬などが、日進月歩の学問的な種々の発見等によりまして新薬ができますことは、これはもうたくさんいろいろ新薬ができるのだろうと思う。外国の結核の新薬のみでなく、日本においてもいろいろ研究せられてあつて、まあ非常な大げさな宣伝をするかしないかで、良心的な学者のかたがたが、いろいろ立派な新薬の研究をしておられるようなこともあるのじやないかと考える。従つて新薬のできたたびごとにびつくりしてばかりおりましても際限のないことでありますが、併し私は今日冒頭に申上げましたように、非常な国費を投じましてそうして国会が協賛をいたしまして、一定の方針の下にこの我が国にとりまして最大の問題でありまする結核対策を立てておりまする政治的立場から申しますと、この種の新薬が世間にいろいろとセンセーシヨナルな報導せられ、だんだんとそれが一般の国民殊にその病人等に伝わつて参りまするようなことになりますると、勢い先ほど来から政府が御説明に相成りまして私も大体におきまして安心しているのでありますが、権威がある政府筋の見解が速かに表明せられまして効果或いはその実際の採用、いろいろそれらに対する対策等が権威がある筋によりまして、即ち政府筋によりまして、国民が安心し得るような方法と申しますか、手段と申しますか、又それらの各実共に適切なる価値判断等々がもう適切に、且つ時宜を失しないで行われるということが、極めて私は必要ではないかと考えるのであります。私両局長の御説明によりまするといろいろ今後の対策もお考えであり、すでに御協議等も持たれたようでありますが、今後国民はこの新薬に対しまする適切なる或いはその使用若しくは製造、両者に亘りまして、その措置に対しまして政府の権威ある御処置を、政府を信頼してお待ち申しておつてよろしいと考えてよろしいのでありましようか、どうでありますか。両局長から一つ御答弁願つておきたいと思います。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 只今山下委員から誠にありがたい御注意を頂いたわけでございますが、先ほども申しましたように三月十一日に新聞発表は第一回をいたしたわけでございますが、その後先ほどから申上げましたような措置を私どものほうでとつておりますが、国民の一般のかたがたがこれを過信されない又迷われないように、必要に応じて今後政府当局としてはつきりした態度を発表するようにして参りたいと存じております。政府当局を信頼していいかどうかというお尋ねでございますが、私ども結核問題という非常に重要な問題に直接関係している事柄でございますので、厚生省当局といたしまして、政府当局といたしまして全責任を以てこの問題を処理して参りたいと、かように考えております。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) 只今山下委員から仰せになりましたように、確かに新らしい薬というものは恐らく、殊に最近におきまして先ず日進月歩というも間違いはございませんのです。そこでたしかに新らしい薬が出ましたたびごとにいろいろうろたえておりましたのは大変でございますが、併し仰せになりましたように、私どもがこれにつきましていろいろ愼重な態度をとり且つ協議等をいたしておりますわけは、申すまでもなくこの薬が結核という特殊な病気に対するものであり、これは又日本政府といたしましても、或いは日本国全体として最も関心を持たれ且つ最も深く十分に処置されなければならない病気に対する薬であるからでございます。その意味におきまして私どもといたしましては、この製造或いは供給に関しましてできるだけ愼重に且つ万全に而も迅速な措置を講ずる所存でございますからその点御了解願いたいと思います。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 政府を信頼いたします。私は蛇足を加えておきますが、実は国民が政府の機宜な処置又政府を信頼したいという考えの半面には、例えば今の川辺君と言いますか、その人が新らしい薬をサンプルに持つて帰つた、その人以外には持つていないといつたような状態に非常に不安を感ずる。そこで若しスイスその他において大量生産され、或いは我が国におきましても只今お話の学者がすでに製造も御承知又そういう学者によりましても入手されるということ等があり、政府におかれましても政府の力によつてああいう個人のかたですらも幾らかのサンプルは持つて帰つておる。その個人だけがそういうふうに專有して、全く何と申しますか玉手箱のような形であつて、政府が一向そういうような資料も材料も持つていないというようなことがあると不安を感ずるのでありまして、ですからそういう点につき一まして政府は今後御研究に相成り御実験に相成る等々この対策をお進めになります上におきまして、私どもが一個人以上に日本政府が努力して頂きますことになります等、その辺に十分一つ御期待申上げたいと存じておるわけであります。ですから実験用のそういうことにつきましても、それは今即座に十分というわけに行きませんでしようけれども十分一つ御努力が願いますかどうかということを蛇足でありますが、なお承りたいと存じます。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) 当然仰せになりましたごとく、むしろ私の考えでは川辺氏の持つて来られた量よりもたくさんのものがすでに今日では実験用に供給し得るという状況にある次第でありまして、その意味におきまして実験は着々進め得ることとこう考えております。その点御安心を願いたいのであります。但しこれらの品が無統制にばらばらに、而も十分な批判のできないようなところで使用されないように、その点を嚴に学者側並びに患者側の了解の下に行いたいとこう考えておる次第であります。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 それを聞きまして大変安心いたしました。

松原一彦第一クラブ

○松原一彦君 それに関連してお尋ねしますが、これはお見込では、従来のように非常に高価なものでしようか。大量生産になつたならば比較的安く分けられることになりましようか、どうなんでしようか。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) これは実は只今申しましたように本当のところは、値段は全くわかりません。というのはまだ計算しておりませんから。併しながら量が非常に少いのでございます。量が少いというのは、大体情報によりますと百ミリということであります。百ミリというのは、これを簡單に素人にわかり易く申しますと〇・一グラムということです。〇・一グラムということをわかり易く申しますと大体アスピリンが〇・五グラム一回に使います。一日三度使いますから一・五グラム飲むわけです。ところがこれは一日に〇・一グラム、即ちアスピリンの十五分の一でいいということになります。従いましてたとえどんなに高くついても何しろそういう少しの量を使うのですからそう高いものにはならない、こういうふうに想像できる次第です。ですから具体的に何円につくであろうということはちよつと何とも言えませんが、ただアメリカの情報によりますと、一日量が二十五セントとかいうのであります。二十五セントでありますと百円でございます。併し恐らく私は、これが大量にできるようになれば、その前提といたしまして、このものが使えるとして、大量にできるようになつたならば、もつとはるかに安く供給できるものと私は考えております。

松原一彦第一クラブ

○松原一彦君 ついでに、これは錠剤であつて注射は割合少いということが書いてあるのですが、錠剤なんでしようか。

慶松一郎厚生省薬務局長

○政府委員(慶松一郎君) 今日まで参つておりますサンプルはすべて錠剤でございます。注射も使うということは情報に書いてございますが、大体は錠剤で飲ませるということのようでございます。

松原一彦第一クラブ

○松原一彦君 そういうふうにその錠剤であると非常に使いいいし、使用量を誤ることもないし、それが比較的大量生産ができて安く取扱われるということになりますと非常に福音だと思うのです。今まで私は未復員の結核患者、特例患者の取扱でどうしたらよかろうかと思つて今から頭を痛めているのですが、一つ政府でああして困つておられるような患者でもあるのですから、せい一ぱい実験をお急ぎ下さいまして、そうして早くこういう気の毒な患者を一つ救い出して頂きたいと思うのですが、熱望するのです。これであらゆる難問が解決しはせんかと思うて非常な期待をかけているわけです。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 只今松原委員の御注意でございますが、先ほどから慶松局長からも申上げておりますように、化学薬品を結核の治療に使います場合に、我々としては十分の証明と十分の期間観察した上でなければ、それを十分に信頼するということがなかなかむずかしいと存じます。又薬だけですべて解決できるということもなかなかそう簡單には考えられないと存じます。又川辺氏も外科的療法は併用しなければならんと言つておられます。又現在使用しておりますストレプトマイシン或いはパラアミノサリチル酸そういうものを当然今後もやはり使つて行かなければならん、そういうふうに考えております。少くともこれにつきましての私どもとしては十分信頼できるような実験成績をできるだけ早く得たいと考えております。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 一つお伺いしたいのですが、副作用的な報告が今までに、少い資料ですけれどもありましたかどうですか。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 今まで私どもの見ておりますものは、服用することによつて副作用の主なものは目まいが生ずる、そういうのが出ております。そのほか肝臓に或る程度影響がある。肝臓機能の障害のある人には効果が少いというようなことが報告されております。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 本日はその新医薬に対してはこの程度で打切りたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) さよういたします。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 医療に関する小委員会が一名欠員になつておりますので草葉隆圓君を補欠として指名いたします。  今日はこれで委員会を閉じまして、このあと打合会を開きたいと思いますが如何でございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十二分散会

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