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13回国会参議院1952/03/25

厚生委員会 第12号

発言数
22
登壇者
5
会派数
4
開催日
1952/03/25

会議録

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 只今から厚生委員会を開きます。公報で御通知申上げてあります通り、優生保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案者の説明を求めます。

谷口弥三郎民主クラブ

○谷口弥三郎君 只今議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概略を御説明いたします。  優生保護法は不良なる子孫の出生を防止するという優生上の目的と、妊娠から生ずる母体の健康障害を防止するという母体保護の目的とを併せ持つていることは御承知の通りでございます。今回の改正案は、この二つの目的を達成することを企図しまして、一方においては優生手術の可能範囲に必要な是正を加えますと共に、他方におきましては、人工妊娠中絶の手続の適正化を図りまして、又受胎調節に関連する條項を整備することを主な内容としているのでございます。先ず最近受胎調節が奨励されまして、その普及成功の率が知能的に優れた階層に多くなるので、知能的に逆淘汰の起る虞れがあります上に、従来のままでは優生手術の施行数が極めて少く、更に一月から十月までの十カ月中におきましても、強制優生手術の施行数は僅かに三百五十七例というのであります。今回は配偶者が精神病若しくは精神薄弱の場合には、同意がありますれば医師の認定によつて優生手術を行い得るように拡大をしております。なお別表に掲げてあります遺伝性のもの以外の精神病、精神薄弱にかかつているものについても、保護義務者の同意がありますれば審査の上同手術を行い得ることにいたしているのでございます。そのほか婦人が妊娠又は分娩のためにその生命に危險を及ぼすようなものでありましても、而も本人に手術を行うことができないという場合には、その配偶者に優生手術をすることができるように改正したのが第一の狙いでございます。  次に優生保護法施行以来の実績に徴しますと、同法によらない人工妊娠中絶が跡を絶たない実情でございます。その数はこれを的確に把握することは困難でありますが、昭和二十五年におきましては十二万から五十万と言われているような闇による人工妊娠中絶があります。このためにこの闇の手術は、拙劣な技術によりますところの中絶手術の結果母体の健康を害します。他面におきましては合法的な手術費用に比較いたしまして多額の経費を取られますために、これによる経済的の浪費を伴うのでございます。これらのいわゆる闇の人工妊娠中絶が行われざるを得ないという理由は、今日の経済と人口とのアンバランスが根本的な原因でありましようが、優生保護法の要求する手続が余りにも煩雑に過ぎるということもその大きな理由の一つになつているのでございます。優生保護法の目的の一つである母体保護の見地からの適正化を図ることによりまして闇による人工妊娠中絶を合法的な線に乗せて行くことが必要であります。このために健康上の理由とか、姦淫されて妊娠した場合の人工妊娠中絶については、従来のように他の医師又は民生委員の意見書の添附、審査会の審査を要せずに指定医師の認定だけで行い得ることといたしたのであります。これが改正案の第二の狙いであります。  次に人工妊娠中絶は出生抑制の止むを得ざる手段でありますが、好ましい方法ではありません。若し受胎調節によつて抑制が可能ならばそのほうが一層望ましい方法でございます。そこで行政部門においては今年度から積極的な受胎調節の指導を行うことになつているのでございます。この行政措置による受胎調節の奨励策に便乗いたしまして、不徳義な業者が介入しますと、折角のよき企図もその目的を達することができなくなりますので、そのために知識技能に欠くる者の受胎調節に関する実地指導を禁止することにいたしたのであります。これが改正案の第三の点でございます。  そのほかに優生保護法の実績に照らしまして、不都合、不均衡と考えられる点を是正することにいたしました。その一つは優生結婚相談所の名称を改めまして、その設置に関する條項を現実に即するように改正をしたことであります。その二は届出の期日及び方法、過料及び罰金などの額の是正などの改正であります。  以上が今回の改正案の要点でございます。どうぞ愼重御審議を頂きまして御質問を賜わるよう御願い申します。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 次に質疑に入ります。何か御質疑ございませんか。

谷口弥三郎民主クラブ

○谷口弥三郎君 提案者の一人といたしまして、この優生保護法の一部改正に当りまして二、三の要望を申上げておきたいと思います。  その第一は、従来優生保護法につきましては都道府県の衛生部並びに保健所から民間への指導が徹底しておらん憾みがあるのでございますから、今後は十分徹底するように御指導して頂きたいと存じます。第二は、従来この古い法の第十二條におきましては、人工妊娠中絶をやりました場合に届出の規定を免除していたのでございます。勿論四カ月後のものにつきましては死産届を出していたのでございますが、三カ月以内のものは人口動態を知る必要からいたしまして、それらの手術数を明らかにすることが必要でありますので、母性保護医協会におきましてはこれを集計して府県の衛生部又は厚生省に提出していたのでございますが、今回の改正に当りまして全部のものを取りまとめまして翌月の十日にこれを提出することになつておりますが、事務簡素化の上からいたしまして、母性保護医協会をしてこれに当らしめ、最後の集計を厚生省統計調査部においてされるように十分なる連絡をとつて頂きたいというのが第二の要望であります。第三の要望は、受胎調節を実地に指導せしめるために、今回医師のほかに都道府県の指定を受けた助産婦、保健婦又は看護婦をして行わせしむることとなつたのでありますが、これに必要なる講習会の基準を厚生大臣が定める場合には、助産婦は少くとも一週間、保健婦は一カ月、看護婦は二カ月程度の講習を行わしめること、又その指導者の名称は優生保護指導員とかというような名前を付けて頂きたい。又保健婦助産婦看護婦法の第三十七條にあります医薬品を授與し又は指示してはならないという項目がございまするからして十分考慮されて、安心して助産婦、看護婦、保健婦が仕事のできるように御注意を願いたいと存じます。第四は、受胎調節を徹底させますためには、生活保護法の適用者、適用を受けているような者に対しましては器具並びに薬品を無料でか、或いは軽減した価格を以て與えることが必要であるのでありますから、今後は政府におかれましても、適当な予算などを組んでこの方面に支出して頂くようにお願いしたいと思います。第五は政府は優生保護相談所の設置並びにその運営に要する費用を今後とも引続いて必ず補助するというようなことにして頂きたい。又かかる相談所は相互病院とか並びに指定医にも容易に設置し得るように、その設置基準を簡單にして頂きたい。  以上五項目をこの際要望する次第であります。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 発案者のほうから要望事項五点ございましたが、なお要望事項、或いは質疑の点がございましたらお願いいたします。速記をとめて。    〔速記中止〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて。

山下義信日本社会党(第二控室・右)

○山下義信君 質疑を打切りまして、討論を省略して、直ちに採決されんことの動議を提出いたします。  なおこの際私は一言申上げたいと思うことがあります。それは本改正案の提案者でありまする同僚谷口委員の優生保護法上における功績についてであります。同君は前回の参議院議員に当選せられまして以来、人口問題、産兒制限の問題につきまして、非常に熱心に御努力になつており、遂に優生保護法の制定に画期的な功績を残されました。爾来この問題につきまして非常に国会におきましても御盡力、御貢献に相成つておるのでございますが、今回又更に一層進んだ改正案を御提案に相成りましたことにつきましては、私ども同僚といたしまして誠に感謝に堪えませんし、同君の御努力に対しまして讃辞を呈して惜しまないものでございます。私ども立法府の一員として、かくのごとく專門的な分野で有益な、国政の上に裨益する立法をいたしたいものであると、同君の功績に対しまして欽羨の情に堪えないものでございます。且つ今回の改正案の同君の立案に際しまして、法制局その他の関係の諸君、又政府部内の関係のかた等々が裏におられて御協力に相成りましたそれらの御盡力に対しまして多大の敬意を表したいと考えるのでございます。一言申述べまして只今の動議を提出いたします。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 只今の動議は討論を省略いたしまして、直ちに採決ということでございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) それではさよう決定をいたします。原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされたかたは順次御署名を願いたいと思います。   多数意見者署名     長島 銀藏  大谷 瑩潤     藤森 眞治  河崎 ナツ     山下 義信  谷口弥三郎     松原 一彦

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 御署名漏れはございませんか。署名漏れないと認めます。  なお本会議における委員長の口頭報告につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 異議ないものと認めます。速記をとめて。    〔速記中止〕

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて。只今可決せられました優生保護法の一部を改正する法律案に対して、政府側のこの法案に対する御所見をお願いいたします。

山口正義厚生省公衆衛生局長

○政府委員(山口正義君) 只今の優生保護法の一部改正に際しまして、提案者から政府に対しまして五点の御要望がございました。その一つ一つにつきまして私ども行政の運用上やつて参ます点は御要望に副うように実施して参りたいと存じております。  なお予算を伴うものにつきましては、二十七年度におきまして、或る程度の予算を計上しておりますが、今後更に予算の増加を必要といたしますものにつきましては、極力その線に沿つて努力して参りたいと存じております。特に先ほど第三の点で御要望のございました、厚生大臣が定めます講習の基準につきまして、助産婦につきましては大体十日乃至二週間程度のことを考えております。又保健婦、看護婦等につきましては、更に長期、少くも一カ月くらいの講習のことを考えております。なお細部に亘りましては、それぞれ專門家の意見を求めまして細目を決定いたしたいと、そういうふうに存じております。その他の点につきましては、先ほど申上げましたように、行政運用上御趣旨に副うように努力して参りたいと思つております。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) ほかに、政府側から……この程度でよろしうございますか……。それでは優生保護法の一部を改正する法律案に対する議題を終ります。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案に対する、政府側の提案理由の説明をお願いいたします。

松野頼三自由党厚生政務次官

○政府委員(松野頼三君) 只今提案になりました兒童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。  改正の第一点は、兒童相談所において一時保護を加えている兒童が兒童の福祉を損なう虞れのある物を所持しているときには、兒童相談所長は当該兒童の福祉のために、その兒童に対して一時保護を加えている間、その物を保管することができるといたしたことであります。即ち、従来は、この規定が欠けていたのでありますが、兒童相談所が、一時保護を加えた兒童のうちには、犯罪行為又は不良行為に深い関係を有する物を所持している者が多い現状でありますので、当該兒童の福祉のためにこれを保管することといたし、その物が当該兒童以外の者の所有に属するときはできるだけ速かにその物につき返還請求権を有する者に返還することとし、その物が当該兒童の所有に属するときは一時保護を解除するときその物を当該兒童に返還することにいたしたのであります。なお、その物が当該兒童以外の者の所有に属し、而も具体的にその所有者を知ることができないときは、公告をし、そのまま一年経過するとその物は都道府県に帰属するとして物の帰属関係を明らか導いたしたのであります。又これと関連いたしまして、一時保護を加えている間に、兒童が逃走した場合等に遺留物があるときは、右とほぼ同様の方法によつてこれが処理をしようとつするものであります。  第二点は、兒童の福祉を阻害する行為として、深夜道路その他これに準ずる場所において、兒童に物品の販売や靴磨等を業務としてさせること及びカフエー、キヤバレー等の風紀上兒童にとつて好ましくない場所などに兒童を出入させて花売その他物品の販売を業務としてさせることを禁止いたしたのであります。従来は、これらの行為は、労働基準法に基く労働関係にない場合には、これを禁止する規定がなく、従つて保護者その他の大人が深夜に兒童を使つて街頭労働をさせたり又は兒童をカフエー、キヤバレー等に出入させていわゆるいたいけなさを利用し醉客等に対し花や菓子等を売らせて来たことが間々見受けられたのでありますが、それらの雰囲気が兒童の心身に及ぼす悪影響は計り知れないものがありますので、今回、兒童福祉の見地からかかる行為をさせることを禁止しようと思うのであります。  第三の改正点は、兒童の福祉を阻害する行為の禁止規定の罰則について新たに両罰規定を創設しようとするものであります。  以上がこの法案の概要でありますが、何とぞ愼重御審議の上、可決せられんことをお願い申上げる次第であります。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 次に船員保險法の一部を改正する法律案に対する提案理由の説明を聽取いたします。

松野頼三自由党厚生政務次官

○政府委員(松野頼三君) 只今議題となりました船員保險法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申上げます。  今回の改正の主眼とするところは、最近の船員保險運営の実績に徴しまして船員保險制度の合理化並びに船員保險財政の健全化を図らんとするものでありまして、その改正の要点は、第一に標準報酬につきまして船員保險における標準報酬が従来最低が三千五百円、最高が二万四千円となつておりまするのを、最近における船員給與の実態に即応せしめると共に、適正な保險給付と保險経済の健全化を図るために、最低の三千五百円を四千円に引上げこれを第一級とし、最高の二万四千円を三万六千円に引き上げこれを第二十一級として、二十一級に区分するようにいたしたことであります。第二に失業保險についてでありますが、季節的に雇用される者は一般の海上労務者と異なり、離職いたしましても一般的継続的に失業の状態にあるとは考えられませんので、これらの船員につきましては失業保險の適用はいたさないことといたしたのであります。  第三に現在失業保險金の支給日額の最高額を三百円としているのでありますが、これを陸上の失業保險法と同調せしめて二百七十円まで引上げるごとにいたしたほか、若干の條文の整備を行うこととした次第であります。  以上船員保險法の一部改正法律案の大要につきまして御説明申上げたのでありますが、何とぞ速かに御審議の上御可決あらんことを御願い申上げる次第であります。   —————————————

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 次に麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案に対する提案理由の説明をお願いいたします。

松野頼三自由党厚生政務次官

○政府委員(松野頼三君) 只今議題となりました麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明いたします。  現行の麻薬取締法におきましては、国民の医療上簡單に使用できる家庭麻薬の生産が一般麻薬の生産と全く同様の強い規制を受けておりますため、甚だしい不便をこうむつておる状況でありますので、新たに家庭麻薬に関する業種を増加し、その販売手続を簡略にして国民の利便を図る必要があります。これが麻薬取締法の改正の第一点でございます。  次に近い将来において麻薬保有量の不足等の事態も予想され、当然麻薬の輸入が行われることとなりますが、この麻薬の輸入の手続について十分な規定を設ける必要があります。これが改正の第二点でございます。又近時蘇薬に関する違反事犯の増加している情況に鑑み、営利或いは常習の目的でなす事犯については特に刑罰の加重をいたしまして麻薬事犯の撲滅を図り国際的信用を得ると同時に取締面の完璧を期する必要があります。これが改正の第三点でございます。  次に大麻取締法につきましては、大麻取扱者の報告を緩和いたしまして大麻の増産を図りたいと存じ、このために必要な改正を行おうとするものでございます。  以上改正の大要を御説明申上げたのでありますが、何とぞ愼重御審議の上速かに可決せられんことを切望いたします。

梅津錦一日本社会党(第四控室・左)

○委員長(梅津錦一君) 以上で三法案の提案理由の説明を終りましたが、本日は提案理由の説明のみにとどめておきまして、これで散会いたします。    午後二時三十九分散会

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