建設委員会 第57号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/07/10
会議録
○委員長(廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。 調査案件を議題に供します。本日はダイナ台風及び豪雨災害状況と、田中委員の御要求による住宅及び建築行政について調査をいたします。政府側よりは建設大臣、河川局長、河川局次長、大蔵省主計局長及び厚生省保険局長が御出席になる予定でございます。ダイナ台風及び豪雨災害状況について、目黒河川局長より御説明を願います。
○政府委員(目黒清雄君) ダイナ台風の被害はその後だんだん増加して参りまして、現在手許に集まりました被害の報告は、これは農林省も入つているのでありますが、建設省、農林省全部の被害総額は八十八億となつております。ただこれは一応の報告でございまするから、これに対して或る程度査定を加えなければならんので、我々の仮定予想としては一応六十八億程度ではないか、こういうふうに考えております。これに対する国庫補助は結局四十四億七千九百万円でありまして、現在ではこの国庫補助に対して一応繋ぎ融資をしたいという折衝をいたしておりまするが、その額は現在の状態においては五億二千五百万円となつております。まだ我々としてはこれに対して折衝を続けておりまするので、この額は多少変化をみるのではないかというふうに考えております。その被害が融資の対象としては余り少い県には繋ぎ融資をしないという原則に相成つております。そこでダイナ台風で一番大きな災害を受けましたのは静岡と岐阜であります。 〔委員長退席、理事田中一君委員長席に着く〕 この静岡と岐阜に対して、特に岐阜の長良川の破堤につきましては、このほかに国が直接応急費を出しまして、本堤の復旧に万全を期しておるのでございます。これもだんだん被害の状態が判明するにつれまして、更に増加をしなければならんだろうということで、この折衝に移つておる次第でございます。 簡単でございますが、以上その後判明いたしましたことを申上げました。
○理事(田中一君) 局長の説明に対して質問がありましたら。……それでは黒部も一緒に……。 〔理事田中一君退席、理事小川久義君委員長席に着く〕
○政府委員(目黒清雄君) このダイナ台風は比較的被害の額としてはそれほどでありませんでしたが、その後六月二十九日から七月一日に亘りますところの低気圧による、不連続線による豪雨が各個所に起つたのであります。この豪雨は大きいところは最初島根、富山或いは新潟というような裏日本一帯に起つたのでありまするが、そのうち最もひどいと思われるのは富山県であります。富山県も東部のほうの常願寺川或いは黒部川というような附近の雨がひどかつたのでありまして、殊に常願寺は今までの記録以上の、計画以上の雨が降つたのであります。そこで一部が破堤いたしたのでありますが、幸いにしてこれは下流部分の大体直轄で仕事をやつております区間は、この点には破堤がないので、その水は堤内には入りましたが、急流河川と霞堤の関係で下流においては本流に戻つたということで、一般に対する災害が比較的寡少で済んだということは不幸中の幸いと考えております。常願寺は多少の破堤はありましたが、これも小矢部川はまだ未改修の地点が多いのでありまして、これから相当溢水いたしましてこれで比較的耕地の被害が多かつたのであります。島根は小河川の氾濫によりまして県の災害が相当多いのでありまするが、これもだんだん災害の全貌がわかつて参つております。 そこで現在手許にありまする被害の総額は恐らくダイナ台風よりも多く、五十億以上と相成ると思うのであります。現在まとまりましたものは七十二億九千三百万円と相成つておりますが、これも単に報告でありますので、これを査定いたしますと多少変化が出て来る、こういうふうに考えております。 そこで常願寺、黒部というような急流河川の今度の破堤の原因につきましては結局改修がそれほど進んでおらなかつた。既改修の箇所は破堤を見ないで、未改修の所に破堤を見たということになつておりますので、結局改修工事を促進しなければこの災害は防げんというふうに考えられるのであります。
○理事(小川久義君) 質疑のあるおかたは順次御発言を願います。
○田中一君 先般の本会議場で大野君から緊急質問があり、不正工事云々ということが大きく浮び出て来ているのですが、建設省のほうの今日までの調査では、農林省関係でありますけれども、そういう事態があると思うということをお考えになつているのですか。
○政府委員(目黒清雄君) 不正工事があるというのは、不正工事の観念でありまするが、設計そのものがよかつたか悪かつたかという問題と、請負人がこの設計通りに施工されたかどうかという二つの点に不正という言葉があるのじやないかと思いますが、我々としては一応農林省に対しては或る程度の条件を付けて仕事をさせたのであります。その条件は御承知の通りにああいう工事の性格から言つて、大体基礎工事が主要なる部分であります。それでこの基礎工事を調べるということは又水中に没している主要なる部分でありますので、これを水替えして調べなければならんということもありますので、一応その不正か不正でないかを調べる前に、我々としては地元に安心を与えるべく仮工事、いわゆる締切工事を盛んにやつているのであります。まだ今工事中で、もう暫らくすると完成いたすと思うのであります。そこで完成いたしますれば中の水替えをやりたいと考えております。その水替えをやつて調べる。農林省は一応漏水による破堤であるということは確かでありまするから原因を調査したいと言つておりまして、我々のほうには共同調査を申出でておるのでありまするから近く我々と共同でこれの調査にかかりたい。これをやりますると下部のほうの基礎工事の点がはつきりして来ると思うので、そこで我々の条件が満たされた仕事がされているか、或いはそれが場合によると請負人が途中で設計通り、手落ちをしてやらなかつたかというようなことが明らかになつて来るのじやないかと思います。いずれにいたしましてもこの工事は今の樋管から漏水があつて、その漏水を水防によつて食止め得なかつた。而も水位は計画洪水の十分下であつたということから推して見まして原因はそこにあるということは考えられまするが、それを細かくどこに欠陥があるかということまではまだはつきりいたさないのであります。
○田中一君 大体併行して工事は進めて行くものだと思うのですが、やはりこちらの設計で農林省が施工するのか、或いは農林省の設計を建設省がチエックしましてやつて行くのか、或いは総体的な監督はどこが監督をして行くのか、その点はどうなんですか。
○政府委員(目黒清雄君) これは各省関係のことでありまして、監督の程度というものは非常にむずかしいのでございます。併しながら我々としては一応河川を管理している立場をとりますから、河川管理上このくらいの設計でなければ危ないぞ、技術的に条件は付けてやられるわけでありまするが、それでその条件を付けたのを、農林省が仕事をする場合は農林省が請負人を監督する方法、或いは程度がどうであるかというようなこと、或いは請負人を直接こちらが現場を監督するということは同じ役所内のことでありますので非常にその点はやりにくいのであります。それから又農林省の人格を尊重して一応はそこまでタツチすることを差控えておるのであります。併しながらこの設計上の、図面上のチエツクは我々のほうでやらなくちやならん、又やつておるのであります。
○田中一君 昨年の京都府下のあの平和池の問題にしても、これはまあ農林省の工事ですが、この長良川の問題にしましても結局図面上の問題はチエツクするけれども、監督の問題は向うに任して置く、この程度のものにせよということの申入れはしてあるという程度で、そういうようなあり方で工事を進めて行くとするならば、まだほかにもこうしたような問題はまあ心配な個所、そうしたような形のものはたくさんあるはずですね。それに対しては今後どういう対策をとりますか。
○政府委員(目黒清雄君) 我々としては結局監督を民間出願工事と同様に扱うのが恐らく一番正しい行き方だと思います。監督権を本当に働かせる意味におきましては民間工事に対しましては何と言いましても相当工事までタツチして、場合によりますと例えば発電をやる場合にはダムの岩盤の現場をやつて、それから初めて上の構造物を作らせるというようなことをやつておりますので、基礎地盤或いは基礎区域というようなところまで技術的にタツチして行かないと安心はできんと思うのでありますが、ただここに問題がありまするのは、両省にこういう仕事が分れておるという、そのことなんであります。そこで一つの今までの行き方としては、我々は農林省と話し合つてこの仕事を建設省に委託すべし、委託してくれということを言う場合もあります。又委託を受けたものもあります。委託を受けたものもありますが、これはどこまでも話合いの姿でありまして、その話合いができない場合には、やはり農林省自身がおやりになるということになるわけであります。勿論我々農林省の技術を、君たちの技術は低劣であるということは到底我々の立場では言えませんから、向うの技術を信頼するというのが両省のお互いの立場だと思うのであります。でありまするから、一応は今後は話合いをして委託を受けるつもりではありますが、一方農林省自身の技術のプライドからそれができないというようなことになりますと、やはり監督を今度は厳重にして行くという建前をとる以外には方法はないのではないかと思います。
○田中一君 長良川はかりでなく、長良川もそうですが、そのほかにまだ用水の取入れ口が相当あるものと思うののです。そういうものに対してこの技術から見て、今これ以外の用水の取入れ口に対する監督と言いますか、何と言いますか、工事上建設省が見たような設計通り行つているかいないかということを検査することはできないのですか、又そういう意思は持たないのですか。
○政府委員(目黒清雄君) 勿論我々の考え方は事務的には一応この問題がありましてから各地建或いは府県知事に対して河川の管理上の注意を促しております。又厳重に管理をしてくれ、監督してくれと言つておりますが、御承知の通りに河川管理者は第一線は知事であります。知事でありますが、知事が国営工事に対して監督するわけであります。そこに現在は、知事は御承知の通りにちやんとした立派な人格がありまするが、片方知事というデリケートな立場がありますので、果して知事が国営工事、上級官庁という観念がまだ抜け切れない今日においては、それがどこまで行けるかということを我々は非常に心配するものであります。その点について非常に実は困つておるのであります。やはりもうちよつと知事の立場とか、知事の立場の自覚とかいうようなものがはつきりしまして、どこまでも地方自治体の長官であるというような形になつて参りますると、これはやれるかも知れませんが、なかなかそこまではデリケートでやり得ないのじやないかと、我々は心配をいたしておるのであります。でありまするから、第一線は知事でありまするが、直轄河川以外の知事の管理する河川はまあいいとしましても、直轄でありまする河川、国が直接施工しておりまする河川につきましては、少くともその施工区間は十分なる援助、勧告を知事に与えて行きたいというつもりで、我々のほうの出先の建設局を督励して参りたいと考えております。
○田中一君 長良川にはこの個所だけでなくて、ほかにも取入れ口があるわけです。それをこれから検査をするという、こういう結果になつたら、勿論この上流或いは下流にあるものは何かの場合にこれと同じような問題が起るのではなかろうかという予想の下にそれを調査するということはせんか、するかということです。
○政府委員(目黒清雄君) 一応危険なる個所は調査をして応急措置をとるべしということを一応公文で出しております。
○理事(小川久義君) 別に御質疑がなければ、二番目の住宅及び建築行政についてその概要を厚生省保険局長からお伺いしたいと思います。
○田中一君 先般新聞紙上で厚生年金が厚生省に還元されない代りに、大蔵大臣はその幾分かの金を厚生省の思うように使わせようというような意味から、産業住宅に使わせようというような案が出たように聞いております。殊に現在事務当局として建設省並びに厚生省の間にはそれをどうするかという問題の折衝が行われておるように仄聞しておるのです。最近郵便貯金その他が郵政省に還元されたという考え方から厚生省も厚生年金は一つ俺のほうに使わせてくれというようなことから、厚生大臣の交渉があつたものと考えられます。それが今日産業住宅に融資されるということになりますと、ここに住宅政策の二元化というようなものが現われて来るわけです。これに対して伺いたいのは、今日では建設省が大体住宅政策は所管しておりますが、そういう形が厚生省は希望であるのかどうか。大臣が来てくれれば一番はつきりするわけですが、その産業住宅に金を使う、融資するということになりました経緯、それから現状、現在はどういう形で以てそれが話合いになつておるかということを一応御説明願いたいと思います。
○政府委員(久下勝次君) お尋ねの問題につきましては私から概略の経緯と現状を申上げたいと思います。 御承知の通り厚生年金保険法は施行せられまして今日まで満十カ年を経過しておるのであります。現存被保険者 総数七百万になつておりまして、現状で申上げますると、五人以上の従業員を使つております事業所の従業員はすべて法律上強制的に年金保険法の被保険者になることになつております。この勤労者の積立金、勿論同額を事業主が負担をしておるのでありますが、今日五百億を少し突破した金額に上つておるのであります。今日では毎月十一、二億ぐらいずつ積立てられておるのでありまして、私どものほうでこの仕事を取扱いまして、集まりました金は預金部に預託をいたしておるのでございます。さような性格のものでございまするので、これに直接の利害関係を持つておりまする事業主、特に被保険者でありまする勤労者といたしましては、かねてからこうした積立金の利用につきまして、我々の利益になるように還元をして使つてもらいたいという要望が、非常に熱心な年来の要望であつたのでございます。私どもといたしましてもこの要望に応えまするために、年来財政当局とも折衝を続けておつたのでございました。御承知の通り連合軍の指令並びにこれに基いておりまする現行の資金運用部資金法によりまして、預金部資金の運用が限定せられておりましたので、直接勤労者の利益のために還元をするということがなかなか実現を見なかつたのでございますが、昭和二十七年度の資金運用計画を立てるに当りまして、そうした要望に応えまするために、先ず第一着手として、勤労者の利用に供する病院建設のため六億の還元融資をするということが、資金運用計画の中に原案が出されたのでございまして、私どもの立場といたしましては、そういう案が出ましたことにつきましては、かねてから念願をしておりましたことでもありまするししますので、先ず第一着手としての六億の病院建設のための還元融資といたしましては、運用の要領等につきまして、関係の向きと相談をして、現在申請書が相当出ておるのでございまして、審査しておる段階であります。その後本年度に入つてからと思いまするが、勤労者の住宅建設のために十億円の還元融資をするということが、同じく資金運用審議会の原案として提案をされたのでございます。このようになりました詳しい経緯について私は存じないのでありますけれども、少くともそういう案が審議会の幹事会に示されまして、私も幹事の一人といたしまして、いずれにしましても私どもはかねて念願をしておりましたことでもありまするので、ということを申しまして賛成をいたし、これは委員会、審議会を通りまして一応計画としてはきまつたのでございます。この病院並びに住宅に対しまする還元融資の仕方でございまするが、現存資金運用部資金法が現存をしておりまする関係上、いずれも地方公共団体に先ず融資をいたしまして、それから適当なところに又貸しをする、転貸をするというような形式でやることになつておるのでございます。この辺のことにつきまして、従つてこの問題は形式的には地方財政委員会が権限を持つ関係になるのでございまして、先ほど申上げました病院建設のための還元融資につきましても、地方財政委員会と私どものほうで相談をいたしたのでございます。住宅建設のための還元融資につきましても、形式的には同様の法律上の取扱をいたしまする関係に一応なつておるのでございまするが、この問題につきましては、実は労働省のほうにも労働施設をやつております関係もありますので、相当な意見もあるようであります。お話の通り建設省からも住宅計画の立場から又御意見のあることを承知いたしております。私どもといたしましては、只今のところまだこの十億の金を実際的にどういうようなところに貸付けるか、どういう条件で……大体のことはきまつておりますけれども、細かい条件につきましてどういう条件でやるかということにつきまして、何ら今のところ確定した案がございませんので、お話にありましたような、各省からの御意見もありますので、これらと十分連絡を密にいたしまして、結果的に住宅政策が二元的なものになるというようなことのないように、又この融資がもともと、先ほど来申上げておりまするような性格のものでもございまするので、この性格も又尊重いたしませんと、七百万被保険者等のいろいろなかねてからの要望との関係もありますので、これらの点は十分調整をしてやりたいと思いまして、目下関係方面と打合せをしております。事務的な打合せをしておるところであります。
○田中一君 無論運用部資金がその目的に向つて使用される場合、その目的の事業面を担当する官庁がそれを所管するのは当り前だと思うのです。建設省はこれはあなたのほうの所管じやないでしようけれども、引揚援護庁で現に昨年度は二、三億、四億くらいでしたか、本年度も引揚者の援護費として約三億何千万かの金を準備しておりまして、二十七年度に若しこれが引揚者が帰らん場合は、これを利用して引揚者の住宅を作る、これは御存じの通りだと思うのです。併しながらこれは予算上、住宅を作るための予算ではないのです。私はこれは再三この前本国会の最初から援護庁から来てもらいまして、こうしたものは予算の組替えをして、実際その金が使えない場合には、国に返上をするというか、大蔵省に返上するか、次年度に繰入れるか、さもなければ、若し住宅を作るならば、建設省にこの金を組替えて廻す、無論家を建てるのが、この金の使い方じやないのです。従つて事務費その他の引揚者に対する受入態勢の事務機構というものはそこに残しておいて、その経費は無論この中から賄う。併し実際援護費として使うべき金が余つたならば、次年度の会計年度に還元するか、さもなければ組替えしまして、住宅を作るなら、住宅の主務官庁にそれを持つて行くという形をとるのが望ましいと思うのです。併しながらいろいろ厚生省はその金を本年度において約三億、疎開住宅の補助金とかいう名目で出しておる、こういう形のものがあつてはならないという考え方をとつておるのですが、この点については予算の調査の場合にも再三申上げておるのであります。今度厚生年金が五百億あるそうですが、この中から十億だけを産業住宅、いわゆる加入者の福利のために使いたいという考え方、それが目的が若し住宅であるならば、当然これは建設省のほうに移管をするということが、私は正しい行き方だと思うのです。この行政面の混乱を避けまして、殊に役所間のセクシヨナリズムを絶滅する意味においてもこれは好ましいことと思うのです。そこでこの使い方について若し産業住宅ということに限定せられるならば、これは建設省が持つておりますところの公営住宅、或いは住宅金融公庫から貸出すところの一般庶民の住宅、これと何ら変りはない。特別にこの七百万の厚生年金の加入者だけが受けるということでなく、これは公営住宅然り、それから住宅金融公庫の貸出し方針も然り、無論七百万の加入者に均霑されなければならんわけです。この際あなたが交渉、折衝中と申しますが、あなた自身の考え方は、私が今縷縷申上げましたような線が正しいものとお考えになつておるか、或いはこれは自分のほうで当然持つべきものだから、自分のほうで新らしく産業住宅として地方公共団体にこれを貸付け、そうしてその監督を自分がするというような考え方が正しいとお考えになるか、お答え願いたいと思うのです。
○政府委員(久下勝次君) 私の意見ということでございますが、お尋ねの点は各省の所管問題に関係をいたします極めて重要な点に触れると思いますので、こういうところで私の一存を申上げるのは如何かと存ずるのでございます。と申しまするのは、実は先ほど来申上げましたように、この関係につきましては労働大臣であられる吉武厚生大臣も相当な関心を持つておられることでもございます。そういう意味合いにおきまして労働省がいろいろと意見を出しておるのでございます。ただ私どもの考え方といたしましては、先ほ ど来申上げておりまするように、年々百数十億積立てられておりまする金の少くとも半額は労働者の負担でございまして、この負担をしておりまする労働者、又半額を負担しております事業主の方面からは非常に熱心な要望がかねてからあることでもございまして、この要望に応えまするためには、厚生年金保険の仕事を扱つておりまする私どもとして無関心でいるわけには行かないと思うのであります。そういう意味合いにおきまして私どもはかねてからこの還元融資につきましては、法律制度は別といたしまして、何とか実現をしてもらいたいということを、先ほど申上げたように年来要望して参つたものであります。そういうことが今日僅かではありまするけれども実を結んで参りました第一歩でございます。この辺の取扱につきましては私どもとしても勿論重要な関心を持つておりまするし、又この運用を誤まりますと、誤まるというのは誤弊がございまするけれども、かねてからの被保険者並びに事業主の要望に応えるような運用をいたしませんと、又私どもが非難をされるもとにもなると思いますので、私どもとしては少くともこの問題について重大な関心を持つておるということだけを申上げさして頂きたいと思います。
○田中一君 どうも妙な言い廻しで、なかなかはつきりした説明ができない のだろうと思います。あなたの今のお考え方だと、例えば厚生省が持つてお るところの公営住宅は厚生年金に加入している人間には貸さないという建前 から来ておるのじやないかと思うのです。無論公営住宅は主として厚生年金の加入者にお貸ししておるわけなんです。例えば商業を営んでおる者その他は、自分の家を持ち、或いは店舗を持つておるものですから、そこに住んでおる。大体において公営住宅には、あなたの今言われたような厚生年金に加入しておる者が主として入つておるのです。それにもかかわらずその上に、なお且つその十億の金は、あなたの説明ですと、そういう厚生年金に加入しておる連中は公営住宅には入れられていないのだ、だからこの金をとつて厚生年金の加入者に向つて住宅を提供するんだというような説明に聞えるのですが、これはちよつと苦しい御答弁じやないかと思うのです。公営住宅そのものが皆あなたのおつしやつておるところの七百万の厚生年金加入者だけのものなんです。あなたのところに、例えばそういう団体か何かありまして、これを還元融資してくれという要望というのはどこから来ているのですか、どこの何という団体の誰がそういう要求をしているのですか、明確に御説明願いたいと思うのです。再三再四そういう何と言いますか、請託があり、自 分もその人たちの意図と違つたような運用をしてはならないからという御説明ですが、どこの誰からそういう請願が来ているのですか、ちよつと御説明願いたいと思うのです。
○政府委員(久下勝次君) 先ず最初に申上げたことにつきましてもう少し私から付加えさして頂いたほうがいいかと思いますが、実は厚生年金の積立金は殆んど大部分が地方公共団体の起債の財源に廻されております。地方公共団体の仕事をやつておりますことは、勿論私から申上げるまでもなく、一般市町村住民なり都道府県住民のための仕事をしておるわけでありますから、その多数を占めております労働者も又その均霑にあずかつておるということは申すまでもないことでございます。にもかかわりませずこの問題がやかましいのは、そういうことでは満足しないというのが被保険者なり事業主の気持なのであります。そうではあろうけれども、直接自分たちの利益になるようなことにも使つてもらつてもいいじやないか、全部が全部というわけじやないかということが勤労者の要望であると私は理解しておるのでございます。そういう意味合いにおきまして今度の問題はそれが了解をされて、私どもは実現をされたものと考えておるのでございます。 どこから要望が出ているかということでございますが、私は実は現在の職に就きまして半年でございまして、私が参りましてからは直接文書では参りませんでありますが、私どものほうの関係団体に、例えば健康保険組合連合会でございますとか或いは社会保険協会、これは前に申上げたのは組合管掌、組合それ自身が管理をしております健康保険、同時にこの被保険者は厚生年金の被保険者でありまするから、一体的なものと言えます。政府管掌の関係の健康保険の団体は各府県と中央に社会保険協会というのがあります。この社会保険協会は厚生年金の関係と政府管掌の健康保険と二つを取扱う外郭団体でございます。こういう方面か らは折にふれて私も何度も聞かされております。これは何とかしなきや困るぞということを言われております。又正式なと申せますかどうか、経営者団体もございます。こういうものが私どものほうと仕事の関係の常々ありますものでありますから、そういう関係者からも私は何回となくこの要望は聞いております。このことは私が聞いたのみでございませんで、かねて数年に亘りまする問題でございまするので、前任者からもこれはやかましいものだということを、私は事務の引継を受けておりますような状況でございます。
○田中一君 私はこの金の還元融資を産業住宅に持つて行くのがいけないと いうのじやないのです。大いに歓迎すべきことなんです。先だつての建設白書を見ましても三百数十万戸足りないということを言つております。産業住宅に融資されるのは歓迎すべきことなんです。歓迎すべきことなんですが、これは恐らくあなたのほうへの、今言われたいろいろな組合、協会、経営者団体の希望は、これを厚生省が持つてくれなくちや困るというのじやないと思うのです。ただ産業住宅が欲しいという要求であつて、厚生省が是非それを所管していてくれということじやないと思うのです。従いまして私の今質問しておる要点というものは、産業住宅にますます融資が大きくなるのは望ましいのであつて、建設省が持ち、厚生省が持つてやるということはどういうものかという質問をしておるのです。現に住宅金融公庫の貸付の方針にしましても、はつきり産業住宅に対して貸付できるようになつておる。併しながら現在の池田大蔵大臣はそれじやさせない、こう言つておるそうです。これは私じかに聞いたのです。各産業会社は産業住宅という特定のものの融資は一般金融操作でできる。そういう枠を付けずに一般国民大衆に向つて貸出すのが趣旨だということを言つて、住宅金融公庫の理事者に向つて抑制しておる。併しながらそういう要求がたくさんあるために、無論法律で規定してあります。ありますから一応やつておりますけれども、ただ扱いとしては大蔵大臣はそういう考えを持つておるのです。大蔵大臣の意図は、あなたの御説明を伺うと、そういう場合に法律では住宅金融公庫法で産業住宅の融資は認めておるけれども、おれがさせてないのだ、差止めておるのだ、だから厚生省に産業住宅として十億融資する。これは大蔵大臣自身、住宅政策として還元融資というものをおれがやつておるのだという意思のように聞える。私の希望するところは率直に厚生省も、この還元融資というものは……勤労者の住宅ということになるならば建設省がやつております。通常国費を以てやつているのですから建設省の、或いは公庫の資金の中に繰入れなければできない。住宅金融公庫のこの枠を通じての産業住宅に対する融資ということが一番好ましい仕方ではないかと思います。この点についてどう考えるか。
○政府委員(久下勝次君) 先ほどもちよつと申上げました今度の資金計画が追加更正できまりますときにも、実はお話の点につきましては幹事会で触れておりましたので、私は関係者の発言等も記憶しておりますが、その際にも問題になりましたことは、住宅金融公庫に対する出資としてやる途もあるのではないかというような意見が出たのでございます。これにつきましては確かこれは五月頃きまつたと思つておりますが、幹事会だつたと思いますが、すでに予算はきまつているし、あれは予算の変更をしないとできないことであるということが一つと、それからもう一つは住宅金融公庫の金は、或いは事務当局の話と違うかも知れませんが、大蔵事務当局の話では住宅金融公庫の金は別に産業労働者を除外する意思は毛頭ないので、一切を包括したものに対して金融をするという建前になつている。そういうふうにそれが又仮に予算措置が可能であるといたしましても、別に勤労者の資金という枠を中に作るということは、ほかの一般のものには勤労者は入つていないのだというような印象を与えることになつて、却つてまずいのじやないかというような発言がございまして、これは私は直接の関係のことではございませんけれども、そういうやり取りを聞いておりまして、一応尤もな筋ではないかというように感じたのであります。従いまして問題は、住宅金融公庫の関係とはやはりそういう意味において切離したほうがいいのじやないかという結論でございます。併し問題はそれでは解決しないのでございまして、お話の要点は、仮に住宅金融公庫の問題は別としても、先ほど来申していることを御承認頂く。つまり一般的に住宅金融公庫が勤労者の住宅も含んでやつているからということでは厚生年金被保険者は納得しないので、病院とか住宅とか、直接そういうものにも関連融資するのだという考え方を了承して頂くといたしまして、それらは建設省でやつたらいいじやないかというのがお話の筋だと思います。この点につきましては、私は今私の立場から結論的なことを申上げるほど関係省との話合いもまとまつておりません。部内におきます相談も従つて進んでおりませんので、こういうところで私個人の考えを申上げることは差控えさせて頂きたいと思いますけれども、私どもとしては建設省との連絡なり、或いは一般住宅事情なりというものを無視した運用をすべきでないということは、十分承知いたしております。そういう意味合いにおきまして国の住宅政策、少くとも国庫の資金が出ているわけでございますので、そういう意味合いにおきまして、資金運用につきまして一般住宅事情を無視した勝手なやり方ができないことは当然だと思います。又同時に半面、先ほど来申上げております今度の融資の本質的な行き方というものにつきましても相当な考慮を加える必要があるという意味で、私実は結論的にはどちらとも付かないような申上げ方をせざるを得ないような現状でございます。
○田中一君 これだけ伺つておきますが、仮にこの十億の金を産業住宅へあなたのほうで融資するという説をとると仮定しますと、恐らく住宅金融公庫がとつておる方針を一歩も出ないと思う。或いは建設省が住宅政策に対してとつておる方針から一歩も出ないと思う。これは出るような案をお持ちならば、これは早速あなたのほうで建設省のほうに申出たらよいと思う。結局住宅政策というものが二元化されるということは事実です。これはもう現政府の政策の大きな問題であるところの機構改革の問題にしても、そのように行つておると思う。この際これ以上の質問はやめますが、希望いたしますのは現在建設省がやつておるところの住宅政策、又は住宅金融公庫が預金部運用資金を使つてやつておるところの政策そのものに不満があるならば、新らしく一つの方法を立てるのも結構です。併しそれを結局厚生省が産業住宅というものを運用して主管するというような形は、これは恐らく自由党内閣の政策ではないと考えるのです。ただ吉武厚生大臣は労働大臣をも兼任しておつて、発言力も強いと思います。建設省の野田建設大臣よりも強いと思う。又建設大臣は行政管理庁長官をやつておるので、なかなか政府部内における摩擦もあるのではないかと思う。この際あなたがた、その下に行政官としておられるかたがたは良識を以て、非常に常識的な国民の納得する形において善処されるように、或いは進言されるように希望して置きます。 それからもう一言お願いしておきますが、この問題についてもう少しあなたがたの話合いが進んだ後に、もう一遍経緯の御説明に来て頂きたいと思いますので、そのこともお願いして置きます。
○理事(小川久義君) 他に御質問ございませんですか……。質疑もないようですから、本日はこれを以て散会いたします。 午前十一時四十六分散会