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13回国会参議院1952/03/04

建設委員会 第11号

発言数
127
登壇者
9
会派数
3
開催日
1952/03/04

会議録

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。  住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案を議題に供します。本案に対して御質疑のございますかたは順次御発言を願います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私はこの前の審議のときに遅刻しましたので、赤木さんが相当質疑をしたものと考えまして、或いは重複する点があるかとも考えますが、一応伺いたい点をお願いいたします。  第一に、旧法の運営について御説明を願いたいと思うわけです。なぜ旧法のことを質問するかといいますと、この法律がただ緊急措置令の廃止という点だけにとどまらず、あとの方針についても規定しておる関係上、旧法の運営がどうなつておつたか、殊に一番大きな問題としましては、こちらのこの提案理由にあるところの第二の点、この後半のほうの建物所有者が蒙むる事実上の損失は少くないのでありまするが、これについては何らの補償も支払われておらず、建物所有者に不当に犠牲を強いている実情であります。こうした緊急措置令が出ておつて、非常な強い法律ができておりながら、何らの補償も支払われておらず、建物の所有者に不当に犠牲を強いておる実情というものは、これはこの法ができましてから、六年を経過しておるにかかわらず、一体実情はどうなつておつたか。まあ強いて言えば、しやあしやあとしてこうした提案理由を出すという政府の考え方について甚だ不満を表明するものであります。従つてこれがどうなつておつたか。殊に措置令の、旧法の損失補償委員会の官制が出ております。これにあるところの損失補償委員会ではどうしたものを調査審議し、又その結論をどういう形で地方長官或いは起業者に向つて答申し、或いは如何なる実績を挙げておつたかという点についてこの法を審議する前に政府に向つてお伺いしておきたいと思うのです。殊に損失補償委員会というものはこの官制を見ますと、一体何をするか、ただ漠然とその権利に属せしめたる事項を調査審議すとありますが、この損失補償委員会というものはどういう形で運営されておつたか。その結論としてここに政府が提案理由として出したところに、「何らの補償も支払われておらず建物所有者に不当に犠牲を強いておるという実情であります。」ということが提案理由にあるということは、甚だ恐らく国会としても十分なる不満の意を表さなければならんと思います。この点についてはつきりした実情をお示し願いたいと思います。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) お答え申上げます。前回赤木委員に御説明したとははつきり記憶しておりませんが、どなたかにこの席で一応御説明いたしましたが、先般資料で差上げました内容を見て頂きますとおわかりのように、起業者は当時はなかなかしつかりした公益法人であつたのでございます。と申しますのは、例えば東京都貸家組合とか貸家組合連合会とか、或いは同胞援護会というようなしつかりした団体であつたわけでございまして、急速にこういう公益法人がいろいろの事情で弱体化いたしまして、この緊急措置令の起業者としてちよつと気の毒な状態になつてしまつたわけであります。その後は專ら公共団体がその後ろ楯になつて建物所有者と折衝しておつた実情でございます。二十二年度頃からは專らこの居住者をほかの適当な建物へ移しまして、所有者に返すという措置が公共団体によつてとられておりましたので、それで勿論審査会はこの公共団体に諮問を受けて意見を具申しておつたのでございますが、なかなか入居者のほうも地代家賃統制令の値上りに応じて値上げを納得して呉れない。と申しますのは、建物の修理費が非常に嵩む関係から、その使用料だけでは到底その修理ができない、自然どちらでも、例えば公共団体におきましてもそういう予算がとれないというような状況で、ややつつかけ持ちになつて、非常に建物所有者も入居者も管理者も困つたという現状でございます。政府といたしましても非常にその点は手落ちと申しますか、甚だ申訳ない次第でございますが、二十三年頃からはそういつた問題で公共団体の担当者も入居者も、それから建物所有者も非常にお互いに困つて現在まで引摺つて来ておるという現状でございまして、誠に責任を追及されますと一言もない次第でございます。惡しからず御了承願います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今の局長の御答弁は甚だ不満でございます。何かどうもはつきりと私が質問している要点をおつかみにならないのじやないかと思います。漠としてただ起業者並びに入居者の間がうまく行かんために、或いは物価の値上りやなんかのために、適当なる価格なり家賃なりなんなりが算定できんために困つたという漠然たるお話ですが、大体この損失補償委員会というのは何をする委員会なんですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) お答えいたします。損失補償委員会は旧令におきましては、例えば旧令の第十條第三項に規定してございますように、この補償金額について審議する機関であります。損失補償委員会の審議の結果によつて知事が金額を決定する、その審議機関になつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 審議をするその審議の結論というものが、今まで現在残つておるのですら、これだけの件数が残つておるのですが、これを審議した結果の報告書は何かございますか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) お答えいたします。ちよつと只今具体的な数字の資料を持つて来ておりませんが、東京と神奈川につきましてはわかつております。その審議決定されました補助金額の実際の支払状況も一〇〇%に行つておりません。決定した金額より非常に下廻つた支払いをしておるということになつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 御説明のようなことであれば、この提案理由にこうしたことは書かずに、政府の怠慢により、(笑声)非力により止むを得ずこれをするのだというふうにお書きになるのが一番筋の通つている行き方なんです。これはこの法律の起業者の権限が地方長官にある、地方長官は一体何をしておつたかということですね。ただ抽象的にこういうことを書いて実にいけしやあしやあとして……これはとてもこういう提案理由では納得できない。再びこの法案が、この廃止に関する跡始末の措置として新らしい法案ができても同じことです。やはり同じことをしなければならん、同じような結果になるということは火を見るよりも明らかです。終戦当時アメリカの占領軍からの何でこうしたものをやつたに違いない。無論個人の所有というものをこういう一方的な机上措置でやつたということに対して、又こういう立派な法律があるのに何らそれが十分……十分どころじやない。半分でも四分の一でもやれなかつたということは何かそこに理由がある。その理由は何かというと、結局その法律を執行するところの政府に誠意がないということに落着くのじやないかと思うのです。先ず私は不満なのはこの提案理由について、こうした頬被り主義のものでなくて、もう少しせめてこの委員会には正しい数字をお出し願つて、実情はこうであつた、こういう理由で以て不十分であつたという点を明らかにしなければ、この法案の審議に入れんと思うのです。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) ちよつとこの提案理由説明のことにつきまして補足申上げたいと思います。只今田中委員が非常にお叱りになりましたのですが、誠にお叱り御尤もだと思いますが、ちよつと書き方が少し足りない点もありますし、又一面強調し過ぎたような点もありまして、この補償の問題は現在の令の第十條では、使用権の設定その他これこれの使用によつて生ずる損失を補償することを要すと、而もその損失は通常生ずべき損失とする。こういうふうになつておりまして、従来現行の令によりまする補償金額の算定は、直接建物の使用によつて生ずる損害に対する対価として算定されておりまして、これを家賃の形で取つておつた、その家賃収入のうちから管理費、修繕費等を除きました残りを建物所有者に払つておつたという実情であります。その金額が先ほど申しましたように、入居者の事情やなんかで十分に払われていない、又必要な修理費や税金を賄う程度にも引上げられておらなかつたという実情であります。その点も足らないのです。ところがここではつきり補償されていない面は、工場等が本来ならば早く再開して工場として復帰したいというのが、それができない。これは考えようによりましては営業権の補償という問題に相成ります。それから更にいろいろその間仕切りをしたり、窓をぶち壊して戸を付けたり、そういう何といいますか、工作した点を本来の用途に供するためには原状に回復させなければならん、そういうことの補償は全然考えられてない、その点を何らの補償もせられておらんという表現をしたのでありますが、ちよつと舌足らずの点がありまして、誠に申訳ないと思います。どうぞ一つ……そういう趣旨でございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 その提案理由の点と、旧法によつて何が施行されておつたかということは、後ほどその実情を書類にして御提出願いたいと思います。無論これに旧法の運用に関連しまして新法の価値が判断されるわけです。どんな立派な法律を作つても、あなたがた執行権を持つ者、行政官が完全にその法を施行しなければ何にもならないのです。旧法においては完全に施行しなかつたということを暴露しておられるのですが、新法を審議されるに当つてこの問題が一応明確にならなければ同じことです。  次に私が勉強が足らないからわからないのですが、第二條の収用委員会というものは、各都道府県には必ず現在できておるものですか、できておらないものですか。できておる所もあるし、できておらない所もあるのですか。必ずこれはあるものですか。御説明願いたいと思います。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) お答えいたします。これは御承知のようにあの土地收用法によります収用委員会でございまして、先般の土地收用法の大幅な改正に伴いまして、今後全国的にできることになつておるようであります。今までできておるものは勿論ございますが、この法律が施行されますると、できてない所では当然作らなければならない、かようと考えております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうすると、従来は収用委員会ができていない所もあるということなんですか。無論これは新らしい土地收用法ができれば必ず収用委員会を持たなければならないことになるのですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 土地收用法の規定の建前では私ははつきり……、或いは間違いかも知れませんが、収用法を発動する事例が考えられる場合に作つておつたのではないかと思います。併しながら従来この緊急措置令の関係は補償審査委員会がありましたのを今度は収用委員会にただ振替えるというのでございますから、補償審査委員会の代りに必ず収用委員会を設置するとこういうように考えておるのであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 この新らしい土地收用法を見ますと、第五章の一節第五十一條、に「この法律に基く権限を行うため、都道府県知事の所轄の下に、収用委員会を設置する。」と設置しなければならないとは書いてないのですが、これは設置するというのは必ず置かなければならないという定義でしたか、ちよつとこれは私党えてないけれども……。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 必ずします。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 しなければならないという定義でしたか、これは。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) この法文の表現の問題でありますが、どうでもいいという場合には設置することができるというふうに規定いたしまして、設置するという場合には必ずするとこう解釈されるのであります。ただ民間の国民に義務付けるような場合には、はつきりしなければならないと、或いはその知事に義務付ける場合でもそれが一般の民衆に直接影響のあるような問題につきましてはしなければならないということはありますが、そうでない場合には單にするとか、するものとする、というような表現で、実際はそれはその場合には必ずするのであります。そういうふうに解釈いたしております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 するとこの新らしい法律が出ますと、今まで収用委員会が設置せられていない所では必ず設置しなければならないことになるのですね。この委員会に対する予算措置はどうなつておりますか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) ちよつとあとで連絡してお答えしたいと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 これは確か地方で持つだけでしたかな。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) ちよつと今電話で連絡して……。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 第四條の明渡命令の点ですが、これも赤木委員から先般質問があつたのかとも考えますけれども、移転させる住宅のない場合には、明渡命令に対してはどういう形にそれを実現さして行くのか、お伺いしたい。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 入居する先の見通しが付かない以上明渡命令は出さないつもりであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 第五條の原状回復の点ですが、この点で第三項の「当該建物等を原状に復するための工事の内容及び工事を完了すべき」……工事の内容、こういう点は原則は原形復旧の原則でやられるのでしようか、補償されるのでしようか。どういう形で補償されておるのですか、原状に復するという限界は。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 大体原状回復の範囲は間仕切りの撤去というのが主でございまして、それ以外まあ大体現在予定しておりますのは、坪当り五百円程度の原状回復費を見ておる次第でありますが、それでありまするから、原状回復の対象となる部分は建物全体ではなく、使用上支障があると認められる部分を原状に回復する、そうして当初の用途に供することができるようにするわけです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 大体これは局長に伺いたいのですが、これを一つの例として木造家屋にします。木造家屋を六年間貸しておつた、と言つても家賃をとつて貸しておつた。家賃は無論その建物が腐朽する、或いは滅損して行くものに対する家賃だということになるのだと、こう考えますが、この家賃が適当なものであつた、そうして今度又原形復旧のものが今御説明のように余分に造つたり、壊したりしたものを修復するのだという程度のものならば、このいわゆる償却と言いますか、減損するものに対する補償というものは考えておらないように考えますが、この点は原形復旧というものと、六年経てば六年経つたで家賃で払つているのですが、まあ居住者の場合は相当建物そのものを汚損するわけです、この点についても何ら補償の対象にならないわけなんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 入居者が入つて故意にやつた汚損のほかは自然の損害として考慮に入れなかつたわけです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 これを、この緊急措置令を以て居者を入れた場合、何か写真か何かで以てその一番最初の状態を撮つて置くとか、記録でどれはどうなつておる、あれはああなつているということを、この原状を証明する何らかの措置をとられておつたかどうか、伺いたいのです。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 当時丁度終戦の昭和二十年の年末だつたと記憶いたします。写真に撮つたのもございますが、非常に一斉に大規模にやりました関係上、全部揃つているというわけには行かんと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 それは何年ですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 昭和二十年の年末から二十一年の春にかけて撮つております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうしますと、その当時の記録によつてそれが原形というような認定の下に、それに対する変化とその点に対する補償をしろというわけですね。そうすると今私が伺つている、六年の風雨にさらされておれば自然に、資本で言えば償却という形で以て来ますが、その額に対しては家賃で支払つているからそれは負担しないというこういう原則なんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) そういうふうに考えております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 家賃とか、何とかそういうようなものが支払われておらない場合には、これは起業者と所有者と、或いは入居者との関係は民事的なもので、法律には何らそれに対する訴訟とか、何とかそれを解決する方途を持たない、この法律では規制しない、こういうわけなんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 旧令により処分することになりますから、そういう措置は特別とつておらんと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 どうも私はいよいよ新らしい法律ができて、いろいろ強権を以てやられたこの現状に対してですよ、所有者に対してもう少し何らかの形のこれに対する補償を考えて頂きたいと思うのです。ただその原状復旧、原形復旧という原則だけであつてはならないのじやないかと思うのです。又恐らく二十年か二十一年頃にきめたところの家賃というものは相当低額なものだと思うのです。結局所有者が泣き寝入りの形で以て終るのではないかと思うのです。もう少し考えてやれんものかとも考えるわけです。殊に計上しました予算面では五百三十万というような低額、これは後ほど伺いますが、五百三十万というものの算定の基準を伺いたいと思いますが、それは別といたしまして、もう少し当時の実情から言つて、今日に至つた現状から見て補償の範囲を拡げて頂くことができないかと思うわけですが、その点如何ですか。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記をとめて頂きます。    〔速記中止〕

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 第六條の優先入居の問題ですが、私はこの住宅緊急措置令によるところの入居者に対してのみ優先入居を認めるという点を甚だ不満を感ずるものなんであります。御承知のように我々は前の国会で公営住宅法を審議する際においてもこの国庫住宅、いわゆる厚生省が管理しておるところの国営住宅というものに対して同じような、これは枠外に持つて行こうというので、公営住宅法のほうを一応修正したわけです。この際、緊急措置令によるところの入居者だけが優先入居を認められるというこの法律を作つて、まだほかに厚生省が持つておるところの国営住宅の入居者が仮にここに入る場合には一体優先入居を認めないのかという点を考えますときに、ただ住宅緊急措置令によるところの転居者が優先入居を認められるという点だけでは不満足なんです。この点については引揚援護庁又は厚生省からどなたかわざわざお見えになつておるようですから、私が申上げておる点について、俺のほうはかまわんよという御意見なら、御意見のように私御説明を願いたいと思います。住宅困窮者は結局戦災者であろうと何であろうと、結局同じことであろうと思いますから、そういう点について住宅局長並びに厚生省のほうの御意見を伺いたいと思うのです。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 国営住宅というのは、引揚者の住宅のことなんでしようか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そういう意味で申上げておるのです。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 引揚者の住宅につきましては、只今引揚援護庁のほうから係の者が参りますので、そのとき又改めてお話するかと思いますけれども、いろいろお話のように、家に困つております者は、本日問題になつておりますところの住宅緊急措置令廃止の問題だけではないと思うのです。併し、いわゆる緊急度その他から申しましても、こちらの法律からは二十八年三月までに片付けるということならば非常に急ぐということもございますし、それからいろいろ承わつておりますと、数も非常に少いように承わつておりますので、まあ厚生省といたしましては、まあまあ程度は止むを得んだろうと、こういうことであります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今の社会局長の御答弁は、結局厚生省が持つております枠内の住宅に対しては優先入居がなくてもよろしいと、こういう御見解ですか。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 優先入居と申しますのは、緊急措置令のほうではみ出したもの優先入居の意味なんでしようか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私の伺つているのは、厚生省が引揚者住宅と申しますか、引揚者住宅というもののかたがたが、私はこの引揚者住宅そのものがここに二十年、三十年住めるとは考えていないのですよ、甚だしいバラツクです、実際のところ。こういうかたがたが一応自分の生計が立ち、一応見通しが付いて、これでは困るから今度公営住宅に入りたいという場合に、お前は優先的に入居できないのだということで以て同じ住宅困窮者なんだから、この点についてあなたのほうで、少しも厚生省自身はかまいませんでしようけれども、入居者がそういう気持を起さないかどうかということです。その場合にあなたはどう考えるかということです。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 引揚者住宅に現在入つております者が更に公営住宅に対して優先入居するとこういう問題とございますが、これは現在のところでは公営住宅関係につきましては、ここにおられます住宅局のほうと私どものほうが管理面のほうに多少タツチしておるのでございますけれども、私どものほうでは今いろいろ公営住宅の施行令に書いてありますような條件を満す者から優先的にやつて行く、その原因がいろいろ引揚者であるとかいろいろあるが、大体まあ実際の運営に当つてはそういうことも條件になるかも知れませんけれども、一応まああすこに示したような條件でやつて行きたいとこういうふうに思つておるのです。ちよつと廻りくどくなりまして……。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう少し簡單でいいですから……私は実は建設委員会ではまだ社会局の引揚者住宅というものに対して詳しく伺つたことがないものですから、了解できない点があるかわかりませんけれども、もう少し端的に御説明願いたいと思うのです。私の伺つておるのは、住宅困窮者というものは緊急措置令の廃止によつてその家を出なければならん、二十八年三月三十一日までに、こういう人間に優先入居を認めるという法律ができるわけですが、法律で裏付けなければならんわけです。併し一般の間借をしておる人間にしても或いは八疊に七人も八人も住んでおる人間も同じように一軒の住宅が欲しいのです。その場合に一応この人間だけが優先入居するという原則を打立てていいかどうか、一般の問題は一般の問題として……。厚生省が持つておる引揚者住宅に住んでおる人たちは永久におれるものと考えていないのです。本当に拝見しますとバラツクみたいで、こんなものに国費を使つて何のために造つたか、これは建築技術的に見ても申訳的な家を造つて、一時的な措置で、結局住宅緊急措置令と同じ行き方なんです、精神は。一時凌ぎの問題です。そういう点から見て、住むに耐えなくなつたという場合に、やはり同じように優先入居を認めるというようにしないでよろしいか、そういう差別を付けてもよろしいかということを伺つておるのです。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 田中委員がおつしやることはよくわかるのです。つまり住宅緊急措置令によつて、住宅に入つておる者だけでなくて、引揚者住宅にいたしましても、その他の一般住宅にいたしましても、住宅に困つておる者はたくさんあるのです。そういう者をのけておいて、これだけに法律の特権を與えていいかという御質問だと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 その通り。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 併し、現在いろいろ八疊の部屋に親子で入つておる人もありましよう。それから引揚住宅は永久的なものでなくて一時的なものだ、将来又それから出なければならん事情の者もございましよう。或いは片つ方から申しますと、住宅緊急措置令のほうはとにかく法律で以て来年の三月三十一日には放り出すということでございますから、そこにまあ若干の私は差があるのじやないかというような気がいたすのであります。従来の経緯を見ますと、厚生省においても、こういうことは止むを得んだろうという態度をとつておる、一方には公営住宅を成るべく早く造つて、そういう者を収容するように努めたいのであります。こういう気持でおります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうすると、それは引揚者住宅に入つておる引揚者の入居者の意思と局長はお考えになつて代弁なすつておるわけですね。あとに相当問題が起きないように希望します。そう理解してよろしうございますか。

安田巖厚生省社会局長

○政府委員(安田巖君) 最初私お断りいたしましたように、引揚援護庁の関係は援護庁の係官がいらつしやるのでございますけれども、取りあえず私がまとめて答弁したので、もう少しお待ちになりましたら責任ある答弁ができると思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 わかりました。その点はまあ保留しておきます。  この参考資料の九頁に二十五年十二月三十一日までの余裕住宅の開放状況がございますが、勧奨が七万四千幾ら、命令が八千七百幾ら、その成立したのは五万六千幾らというようになつておりますが、命令というのはいわゆる緊急措置令に基くところの法の発動と解釈してよろしうございますか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) この三に書いてあります余裕住宅の開放状況の中で命令件数と申しますのは、これは使用権の設定ではございませんで、契約の締結について命令した場合の問題でございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 契約の締結というのは、入居者と所有者が話合いで以て契約を締結したとこういうわけですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 現行令の第十三條の三によりますと、所有者とそれから占有者、即ち入居者ですね、これに対して……。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 三ですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 「十三條ノ三」でありますが、所有者と占有者に対しまして、「所有者又ハ占有者」に対して「貸付クベキ旨ヲ勧奨スルコトヲ得」と、これは契約を締結しなさいという趣旨なんでございます。入居者と所有者又は占有者と貸借契約を締結する、これを勧奨することでございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私は勧奨し又命令しの、その勧奨と命令との区別は大分違うのじやないかと思うのですが、その点は旧法でどこにどうなつておるのですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) それはさつき申上げようと思つておりましたが、次の「第十三條ノ四」を御覧頂きますると、先ほど申しました貸付契約の締結の勧奨をきかない場合に、なおどうしても余裕住宅を開放させたほうがいいという場合におきましては貸付けることを命ずることができる。これも契約の締結を命ずることができると、こういう解釈になつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 無論これは法律によつてやることですね、法律によつてやる場合は今の緊急措置令の、その前の八頁にあるところの使用権設定とまで行かないでも同じ趣旨のものではないかと私は思うのです。ただ勧奨し、命令して個人々々の契約を締結させた。こいつはそつちへ……勝手だということでは、今後の新らしい法律を運営する上において片手落ちな点があるのじやないかと思うのですが、それはあなたがおつしやるような形で以てそれは恐らく個人々々の契約だから、法律ではどうにもならん。こういうことを言うが、結局、これは住宅緊急措置令によるところの、強権によるところの勧奨としても実態においてはちつとも変りない。実態において変りないと思いますか、変りあると思いますか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 只今の田中委員の御意見は御尤もでございまして、命令によつて開放さした分は実態におきましては変りないものが大半だろうと思います。ただ幸いなことに、と申しましては恐縮ですが、田中委員の御懸念の点は実はもう解消いたしておりまして、その次の頁の四の状況を御覧頂きますると、これは昨年の六月現在で改めて確認いたしたのでございまするが、命令によつたものは全部契約が解消いたしております。こういう状況になつておりまするから、どうぞ御了承を願います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 次に先ほど申上げました五百三十万円の内訳ですね。この予算を組んだ算定基準をお示し願いたいと思います。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 補償の補助金といたしましては五百三十三万三千円を予定いたしておりまして、折衝当時の数字といたしましては、現在使用権設定中のもの一万三千七百九十六坪、そのうち間仕切撤去を要するものは九千十三坪、原状回復を要するものは五千七百八十三坪、それからその單価は間仕切り撤去に要するものが坪当り五百円、補助率を二分の一、それから原状回復を要するもの坪当り三千円としまして補助率二分の一と考えて算出いたしております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 これで今この法律で以て該当する戸数、入居者ですね、これは解決が付くのですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 大体つき得る見込であります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 先ほど局長がおつしやつたもう少し金がとりたいけれどもとれ、なかつたというのは、これによつて押付けてやるという考えですか。それともこれじや不当だけれども金がないからやむを得んというのですか。若しあなたがたが技術者として考えて、これが可哀そうだというならば、もう少し適当な補正予算の方式でもあれば或いは二十八年度の予算で計上してもよろしいし、これはやはり建設省の技官としてもう少し良心的な算定基準を明らかにして頂きたいと思うのです。どの程度のものが五百円で、どの程度のものが三千円が、それをもう少し明確に伺いたいと思うのです。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 建物の状況によつていろいろ事情が違いますので、明確といわれましてもちよつと困るのでございます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 私も今田中さんの質問に関連して質問をいたします。普通の災害ならば突発的に起りますから、或いは家が流れてしまうとか、そういう場合にどういうふうな家であつたか、一々原状を認めることは困難だと思います。併しこういうふうに余裕住宅或いは戰災で残つた一部の建物でも貸せるという際でありますから、その建物は保存していたに違いないんですから、そういう建物を余裕住宅とか何とかいうけれども、この前の法令によつて一般に開放して貸した場合には、一々そういう家の内部の構造、建物の原形、それが一々立派に取つてあつたんですか、それがない以上は原状に対する補償といつてもできないはずなんでございますが、建物について一々そういうものはあつたんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 先ほど申上げましたように、当時非常に急いでおりましたので、必ずしも全部揃つているとは申上げにくいのでございますが、平面図は一通りあるつもりでございます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 それならば一坪についてなんぼというふうな平均單価を以て補償なさるのでありますか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 一応私どもとしてはそういつた面を勘案してこの程度が平均と信じて数字を彈いたわけでございます。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 とつさの場合が一々家の内容を、平面図以外には詳しいものはないと言われますけれども、その家を貸したほうの立場になると非常に不合理なものになると思います。普通の災害でさえ災害復旧なら前の工作物はある。こういう家屋なんか必ずあつたんですからして、それをとつさの場合ただ平面図しかないから、こつちで出そうとしているものを補償として與える、與えられるほうでは非常にこれは幸不幸がある。そういうふうな幸不幸に対してどこえも訴える方法もない、泣き寢入りする以外に方法はないということになりますが、そういう点に対する考えはどうなんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 今度の法律で第九條で一応訴える道は開けているわけでございますが、事情を申上げますと、余裕住宅のほうは相当事実いい建物と惡い建物の差がございます。まあいいほうが多いかも知れませんですが、この措置令におけるものは工場の倉庫とか、或いは元工場の寄宿舎だというようなものだつたものでございますから、比較的質は惡いほうが多いように私記憶しております。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 補償なさる金額は時価においてなさるんですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 第五條の三項にございますんで、やはり時価を或る程度参考にするのではないかと思います。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 無論時価を補償なさる対象となすが、この予算をお作りになつた場合と、実際これを適用する場合に多少時期のズレもあります。建築なんかは非常に時期によつて違うと思いますが、それに対するお考えはどうなんでしよう。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 対象になつている建物が先ほど申しましたように比較的戰時中に建てたものが多いようでございますので、その点は余り実は考慮せずにおつたわけなんであります。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 止むを得ないかも知らんが、補償を受けるほうだと非常に割切れんものがある気がするのです。それで田中さんの御質問通りに、この金にしても何だか私総括的に考えまして非常に不十分でないかというふうな考えがします。但し今申す通りに、初めの設計図を使えれば我々でもそれを多少審議することができましようが、單に簡單な平面図よりほかないとおつしやるならば審議しようもない。実際に非常に私その点に不満がありますけれども、これは質問しても同じことでありますから質問しません。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 赤木さんの質問に関連するのですが、八條の「又は原状に復するために必要な費用を補償するために要する費用については、予算の範囲内において、」予算の範囲内というのは一方的に国がきめた予算の範囲内という意味ですか。それともあなたのお示しになつたような間仕切り等を変更するためには坪五百円、それから五百円の二分の一、それから原形復旧の場合には坪三千円の二分の一ということを説明しているのですか。予算の範囲内においてという規定は立法上どういうものですか、これは何を指しておるのですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 予算の範囲内においてという点ですが、現在きまつている予算の範囲内で私たちやり得ると信じております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 予算の範囲内というのは、建設省が、二十七年度予算に計上したところの五百三十万というものの予算の範囲内ですか、それとも何の予に算の範囲内ですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 五百三十万の予算の範囲内です。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 法律を作るのに、私は余りその方面に詳しくありませんけれども、予算の範囲内においてということをきめる法律なんというのは、今までそういう立法の例があるならばちよつと今お示し願いたいと思うのですが、これは補償の問題です。対象があるのです。国が新しい事実をやるというのではなく、国が一方的にきめる予算の範囲内というような法律を作つた例があるならばお示し願いたい。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) お答えいたします。予算の範囲内においてという言葉をまあ補償に関する規定について入れた例は寡聞にして今ちよつと存じませんが、あとで又例を一つ探して来ますが、ちよつとこの第八條の規定の立案の経緯の一端を申上げて御参考に供したいと思います。実は政令で定めるところによりという言葉を私どものほうで初め入れたのでございます。これは今の補助率を主に書きたい、ところがこれを入れただけでは困るということを大蔵省当局が言い出しましたのは、單に率だけ入れましても、実際の費用の何といいますか、一つの標準的なものを押えることを考えないと、実際に非常に費用がかかつたというようなことで收用委員会で議決されますと、それに併つてまあ国の補助予算のほうもスライドして殖える、それはどうも予算処理上困るので、そういう、昔補充使途というあれがありましたけれども、要つただけ出すというそういうことは今の予算のあり方からしてちよつと困るということで、予算の範囲内おいてという言葉があとで入つたのであります。これを入れなければどうも閣議決定へ持つて行つても通らない。止むを得ず入れたのでありまして、先ほど局長が申上げましたように、この予算の範囲内においてというのが入つている以上一応五百三十三万円ということになつております。大体これで何とかやりくりして納めたいという気持であります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今私参議院の法制局長をここにお呼び願うことを希望します。私が申上げるのは、これは参議院先議の法律ですから、衆議院に行つて同じような問題が起きる。法制局長に来て頂きたい。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 今呼びにやります。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 今の問題は非常に私も不可解に思います。予算の範囲内で云云とおつしやいますが、どれほど余裕住宅を貸した、それは今度対象になる家もわかつているはずです。それに対して一軒について何ぼという数があるならば、予算がはつきりわかつてすつきりしたものができているはずだと思う。それがないというのは非常にこの点は変ですね、これはどうなんです。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) この予算の折衝をしておりました当時はまだ詳しく実は調べが参つておりませんものでございますから、二十五年の三月末の資料で折衝いたした次第でございます。その後先般お手許に差上げましたように、各対象件数がはつきりして参りましたので、現在はそういう調べをやろうと思えばできるわけであります。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 やはりこれは法律としては、予算の範囲内ということはむしろないほうがよくないのですか。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記をとめて頂きます。    〔速記中止〕

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私は今審議の経過を御承知になつておるものと考えて伺うのですが、住宅緊急措置令によるところの法律によつて転居させるという居住者を優先的に公営住宅に入れるということを法律で規定しようとしているんです。私はこの住宅困窮者というものは特定のどこに間借りしておる人間でも、或いは緊急措置令によつて入居せる人間でも、或いは先ほど出ましたように余裕住宅に入居せる者でも、或いはお茶の水にバラツクを建てて住んでおる人間でも同じように立法の精神というものは均等に機会を與えて均霑するというのが主眼なんです。それを一方的にこの人間だけを公営住宅に入居させるということは穏当でないという考え方が一つと、厚生省が引揚援護費ですか、従来は抽象的な内容の余りはつきりしないような費用で予算をとつておつた。昨年は七億ですか六億ですかありましたし、その金を使つて、いわゆる国営住宅、厚生省が建設して引揚者を入れて住宅を造つております。二十七年度の予算を見ましてもそれに対して三億円、三億四千万ですか、四千万円が修繕費で三億が新営費というようなことを見ております。併しこの引揚援護庁が造つておりますところの国営住宅、引揚者住宅と称するものが、これは永久に行けるものじやないのです。これも住宅緊急措置令の精神と同じような行き方で建設されたものと私は考えておるのです。従つてこの人たちがもう耐えられんというので新らしく公営住宅に入居したいという申出があつた場合に、引揚援護庁は責任を以てその何万か何千家族かの入居者の意思を代表してこの住宅緊急措置令によるところの人間だけが優先入居を認められる、自分のほうは一向差支えないということを、引揚者住宅に居住しておるところの人たちの意思を代弁してここではつきり表明して頂くことができるかどうか。できなければ厚生委員会においてこの問題について取上げられて、その結論が出ておるのかどうか、そういう点を明確に伺いたいと思うのです。

安福信雄引揚援護庁援護局引揚課課長補佐

○説明員(安福信雄君) お答え申します。引揚者住宅国営で云々というお話がございましたが、これは国営でございませんで、やはり都道府県に補助をいたしまして、都道府県なり市町村が設置主体になつて造つておりますので、これは公営住宅とやり方は殆んど同様でございます。それから緊急措置令で、その措置令に該当しておる住宅に住んでおる人は優先的に入居の機会が得られる。然るにもかかわらず引揚者住宅は非常にぼろな住宅におるので、これに対して優先入居の方途がないので不均衡ではないか、これに対して何か対策を持つておるかどうかという御質問だと考えますが、第一番に引揚者住宅の経緯を簡單に申上げますと、引揚者住宅は昭和二十二年度までは兵舎とか或いは工員宿舎等を臨時応急的に転用いたしまして、これに充当いたしておりましたのでありますが、これで造りました住宅が約七万世帶くらい入つております。昭和二十三年度以降はさような兵舎とか工員宿舎がすでにもう殆んどなくなつたということもございますが、主たる原因はかような兵舎とか工員宿舎等に引揚者を入居させるということは居住環境が惡いし、生業との関連性も乏しく、更生上非常に支障があるという見解に立ちまして、二十三年度以降は大体公営住宅を少し規模を小さくいたしました個別住宅を造つております。でありますから御質問の趣旨の非常にぼろであるという住宅は恐らく昭和二十二年までに造つたものであろうと考えるのでありますが、この二十二年度までに造りました住宅は先ほども申しました通り、兵舎とか工員宿舎を転用いたしましたものでありますので、その居住環境も非常に惡いし、それから生業との関連性も乏しいのであります。でこれに対しましては、昨年度よりその各施設の実情をよく調べまして、どうしても居住環境が惡くて住むことができない、こういうものと、これに対して補修を加えたならばまあ非常に立派なものにはならないにいたしましても、現在の住宅事情からも勘案いたしまして、これならば当分の間御辛抱願つてお住み願うというようなものと二種類に分けまして、前者、即ち居住環境、生業との関連性等から考えまして住むことがとても耐えられないというものに対しましては、私のほうの仕事のほうの言葉といたしまして疎開という言葉を使つておりますが、疎開住宅を建てまして、そこに転居して頂く、それから後者即ち何とか手を加えれば当分の間居住に耐えて行くだろうというようなものにつきましては、間仕切り或いは雨漏りを補修するなり、排水なり、炊事設備、便所等を改造し直すというような、いわゆる補修工事を続行いたしております。大体この前者であります疎開は大体二十五年度、二十六年度、二十七年度で終らせたいという意向で、先ほどお話もありましたような予算を以ちまして現在進捗をし、そこに転居をして頂いております。それから補修につきましても、昭和二十四年度以来本年度まで相当の経費を出しまして補修をなしつつあるのでございます。でありますから要約いたしますと、緊急措置令の関連性とも睨み合せまして、引揚者住宅につきましては非常に住宅の環境の惡いものにつきましては、別に新らしい家を建てて、それに転居をして頂くという施策を目下講じつつある次第でございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私が伺つているのは、私は大体、私見を入れますけれども、厚生省は今のような公営住宅よりもつと規模の小さいバラツクを造るということに反対なんです。公営住宅法を作るときにもその点を意思表示してあるのです。併し本年度二十七年度の予算の上においてはつきりと引揚者住宅の新営費三億円と、それから修繕が四千万円と出ております。従来はそういう項目がないのです。従来引揚援護費という形の中でやつて、それを金が余つたから家を造つて渡すというような形でしておつよたうに私は記憶しておるのですが、私自身は公営住宅法が布かれ、今日においてはもう講和の発効も間近に迫つて、引揚者だからその住宅問題に対しては厚生省に相談しなければならない。或いはほかの戰災者、それから一般の、引揚者以外の者は公営住宅で補助してやるのだというような考え方はもうやめなければならない時期に来ている。その際にあなたの御説明を伺うと、本年度あたりで、二十七年反あたりで大体終るのだという御意見であります。あなたは技術家のかたかとういうかたかまだ存じませんけれども、一体引揚者住宅というものは何年壽命が持つか、殊に低家賃で借りている住宅が一体十年持つものなら五年で住むに耐えぬ不良住宅になるということは常識なんです。その際、この緊急措置令は二十八年三月三十一日までとなつていますが、それができない場合には、この法律の規定では延長もできるのです。その際恐らくもう二十年度に造つたような、或いは二十一年度に作つたような引揚者住宅というものは住むに耐えん家があります。その場合にその人たちがやはり二十八年三月三十一日で終るのじやなくて、もつとそれ以上行くかも知れんと思うのです。この法律は、その場合に五年も六年も経つて住むに耐えん不良住宅に引揚者だけが晏如としてそれに耐え忍んで行つて、これに該当するものだけは優先的に公営住宅に入居できるということで以て、あなたがたが今管理しておるところの引揚者が納得しているかどうか、責任を以てそのあなたがたがやつているところの、その入居しているとこの引揚者がこの法律ができて差別待遇されてもかまわんという意思であるならば、それを代弁して頂きたいと申上げておるのです。若しそれがあなた自身で以て明確に意思を表明できないならば、即刻あなたのほうの引揚庁の庁議をまとめまして、引揚者に対してこの問題に対して諮問して、特に厚生委員会において、公営住宅の問題でも厚生委員会でもいろいろ修正意見もありましたから、厚生委員会でこれを論議するか何かしないで、建設委員会でこの法案を上げてよろしいかどうかということを伺つておるのです。私は実際戰災者であろうと引揚住宅の引揚者であろうと、住宅困窮者は同じような権利を與え、入居させる方針でなければならないと思つておるのです。その点を伺つておるのです。今鉄筋コンクリートの立派な永久建築に引揚者が住んでいるならあえて申しません。この御答弁ができなければ、この建設委員会で勝手にこれをきめてよろしいなら、皆さん委員の御意見をまとめて恐らく委員長が採決するでしようし、それができなければ一遍あなた自身のほうの庁議をまとめるなり、或いは引揚者の意思をお聞きになつて……。

安福信雄引揚援護庁援護局引揚課課長補佐

○説明員(安福信雄君) 只今の、或いは私の説明が足りなかつたかと存じますが、兵舎とか、工員宿舎等に住んでおります者で非常に環境の惡いものは現に順次建直しておるのでございます。それが建直して新らしく建ちました住宅の規模とか構造ということについても、もう非常に規模が小さいとか或いは構造がお粗末だというような点もあろうかと思いますが、これはまあ建設省の住宅政策とも関連性のあることでございまして、引揚者住宅だけを特に規模をよくし、或いは構造をよくするということはいろいろ検討の余地もあろうかと思いますが、只今申しました通り、兵舎とか、工員宿舎等で現在住むに耐えないというようなものは、そこにAという工員宿舎を転用した住宅に住んでおるかたがたに対しましては、そのAという施設に百世帶が若し住んでおれば百戸という家を建てて、その新らしい家に百世帶の人に転居して頂いて、A施設というものは会社から借りておれば会社に返すなり、或いはもう耐用期限が来ておればそれを一応壞してしまうという仕事をやつておるのでありまして、大体まあ仕事のやり方といいますか、実質的効果は緊急措置令と非常に似たような仕事をやつておるのでございます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私はやつぱりあなたの御説明に不満足です。私は管理者の厚生省に伺つているのではなく、厚生省が管理しているところの入居者が差別待遇されて、こういう現状にあつても納得するかどうかということを伺つているのです。自分はわからんならわからんとおつしやれば結構です。そうすれば私は委員長に向つてすぐ一つの提案を示すきりなんです。あなたに伺つているのは、現況はよくわかつております。わかつておりますから、何千世帶いるか詳しく存じませんけれども、この人たちに対してこの住宅緊急措置令によるところの立退者が優先的に公営住宅に入ることができるというこの法律の裏付をするわけなんです。その場合に引揚者住宅におる者が、もう昭和二十二年に造つたものがひどいものだとあなたもおつしやつている通り、それよりもやめて早くこつちへ来たいという人がある場合に、この待遇に、この公営住宅入居に対して差別待遇されてもよろしいかどうかということを伺つておるのです。

安福信雄引揚援護庁援護局引揚課課長補佐

○説明員(安福信雄君) その点はここに引揚者住宅で昭和二十一年頃に造りましたのがこれは実数でございますが、大体四万世帶ございます。そのうちで私のほうで疎開する必要があると感じておりますのは、疎開と申しまするのは先ほど申しましたような内容でございますが、約一万六千世帶ぐらいあろうというので、その約一万六千世帶の家を今建てつつあるわけでございます。その引揚者が納得しておるかどうかという問題は一万六千世帶が疎開する必要があるか、或いは四万世帶全部疎開する必要があろうかと、ここによつてきまるのじやなかろうかと思うのでございますが、いろいろの国家財政の見地、或いは現在の一般の住宅事情から勘案いたしまして、大体四万世帶のうちの一万五、六千世帶を建直しまして、その人々に転居して頂けば大体住んでいる人らにも或る程度御納得願え、或いは一般社会の住宅事情との睨み合せも不均衡に失しないというような見解でやつておる次第でございます。でありますから、四万世帶のうち全部四万世帶を疎開するか、一万五千世帶でとめるか、それより更に二万世帶ぐらいまで殖すかどうかという問題でなかろうかと考えます。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 私は、厚生省が持つているところの引揚者住宅を云々しているのじやないのですよ。住宅緊急惜置令によるところの立退者が優先的に公党住宅に入居できると、今あなたの言う通り一万何千かの人間はあなたは疎開という表現をしておりますが、疎開さすのに優先的に公営住宅に入居できるという資格を得ないでもよろしいかということを聞いているのです。それでいいものならばいいとおつしやればいい。困るならば困ると言つてくれればいいのですよ。答弁できなければできないと言つてくれればいいのです。

安福信雄引揚援護庁援護局引揚課課長補佐

○説明員(安福信雄君) 御質問の趣旨は帰りまして庁議に諮りまして、十分検討はいたしたいと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今引揚庁のほうでもそういう御意見のようですから、この問題はできるならば、私は先ほどの厚生省並びに建設省の住宅政策の調整ということはこれは別個の問題です。現在考えられるところは同じような環境にあるところのものなんですよ。片方は公営住宅に優先的に入居が認められる法の裏付を受け、片方のものはそういうふうに放任されておるという実情は、殊にもう講和発効というものが真近いのですから、この際においてその調整をとつてもらわんと、本当の意味の住宅困窮者全体に対する住宅政策にならんと思います。従つてこれは厚生委員会なり何なりの結論が来て、或いは場合によつたらば厚生委員会と共同の連合委員会でもお持ちになるか、或いは厚生委員会の意思をお聞きになつて結論を見出すように希望するわけなんです、この今の問題については。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 法制局長に伺いたいのですが、この法律の第八條の「又は原状に復するために必要な費用を補償するために要する費用については、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用の一部を補助することができる。」ということになつていますが、「予算の範囲内」というのは、現在二十七年度の予算として組まれている五百三十万何がしの金を指しておるということなんです。こういうことが立法上あり得るかどうか。これは基本的なものを法律できめるのであつて、こうした予算の編成権は政府が持つておる。従つて現在政府の意思のみによつてこれが動くという形がとられるのじやないかと思うのです。法制局長の御見解を伺いたい。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) こういつたような「予算の範囲内において」云々ということは、ほかの例もたくさんございます。そしてこの法律によりますると、起業者としましては、第五條で無制限に補償或いは原状回復の義務があつて、その費用の一部分について国家が予算の範囲内において一部を補助することができるということになりまして、この法律が若し仮に、あとに、だんだん来年度にも続いて行くということになりますれば、その年において組んでおります予算の範囲内において補助する。一年限りのものでありますれば、今年度の予算の範囲内ということになると思うのでありまして、まあこういう例はほかにもあると思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 ほかにあるのなら一つ教えて頂きたい。何でもいいです。

武井篤常任委員会專門員

○專門員(武井篤君) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第八條の第二項に「前項の場合において、国は、第四條の規定による国の負担率が決定する前でも、予算の範囲内において、当該年度において施行される災害復旧事業の事業費の三分の二に相当する額を下らない額により、負担金を概算交付することができる。」というのが一つの例であります。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 局長に伺いたいのですが、これは全部無論参議院先議ですからお調べになつたと思いますが、結局補償の問題です。今の局長の意見は、補償の政令で大体間仕切りを直すという程度のものは、これは坪五百円の二分の一の補助、原状復旧の場合は坪三千円の二分の一補助、こういうことだつたのです。ところがこれだけにとどめておきたいと思つたところが、結局行政官の認定ですね、認定が若し多くなると予算外にはみ出す。それじや困るから一応この「予算の範囲内」という枠をきめて、この枠で押えた、こういうわけなんです。併しこの間仕切り程度のものを直すのに五百円、原状復旧に三千円というものははつきりした根拠は持つていないということを局長は言つています。完全に把握ができないと言つているのです。その際、結局補償の問題です。結局この法律によつて侵害された個人の権利が一方的な政府の意思によつて局限されるということなんです。こういう場合に立法上の方法としてはどういうものでしようか。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) これを読んで見ますと、第五條で起業者は全面的に補償の義務、或いは原状回復の義務があるので、起業者に対しては無制限と申しますか、本当に必要な費用全部、或いは原状回復に必要な費用の請求権が與えられておるのでありまして、起業者に対して国家が補助する範囲だけについて、政令で或る制限を設けて一部分だけを補助するということになつておつて、所有者と起業者との間においては、必要なだけ所有者が請求できるというふうに五條は読めると思います。ですから国が起業者へ補助してやる分だけについてはそういう制限はありますけれども、本当の損害をこうむつた所有者には起業者から全部取れる建前になつております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そういう解釈ならばそういう解釈で結構ですが、住宅局長にお伺いしたい。一体本当はどの線が正しいのですか。私の伺つているのはそういう見方で予算を編成されておるということは一応納得できますが、常にあなたの考えは、あなたは技術家として考えて頂きたいと思うのは、常に地方長官ですか、起業者ですか、裁判の問題は都道府県知事の決定にかかるものは起業者に向つてこれは訴訟を起すという形ですね。その場合にそういう訴訟をあつちにもこつちにも起さすのが主眼なんでしようか。今局長の言つたようなもう金も何も要らないから出てくれという意思がほの見えるから、この辺なら話合いが付くだろうというお考えでやつているのか、どつちが本音ですか。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 本音はあとのほうです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 これは法制局長にお伺いしますが、本音は結局あとのほうで、結局僥倖を恃んで立法する、法律を作るということは考えられますか。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) 建前では飽くまでこの五條によつて所有者は完全な補償が得られるはずでありますけれども、若し得られなければ訴訟等の道があるだろうと思うのですが、その上で行政措置等によつて和解的なことがそういうことも考えられないことはないと思いますが、建前としては五條によつて飽くまで完全な補償を得られる建前になつております。

赤木正雄緑風会

○赤木正雄君 法制局長にちよつとお伺いしますが、今お話の通りに所有者は所有権の補償をしてもらう権利がありますね。その際に一方のほうで補助しようという場合に、国が仮に二分の一の補助をしようと、そういうことは先におつしやいましたが、その場合に、一面においては二分の一と予算の範囲と、そこに非常に矛盾があるのですね、補助率を変えれば予算の範囲だということは言えますけれども、二分の一を補助しようと限定しておいて、そうして一方のほうでは全部の金を請求し得る、その間に何だか矛盾があるのではないでしようか。実際問題といたしまして、むしろ補助率を二分の一と限定しなければいいんだと思うのです。予算の範囲内と言えると思います。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) それは、二分の一というのは、補償として実際にかかつたものに対する二分の一ということになればいいわけなんですけれども、あらかじめ或る金額をきめて、その二分の一ということはないと思いますが、政府の予算でありますから、その二分の一がどれくらいになるかということが一応なければ予算が立たないのじやないかと、そうなると現実に払つた金が予算と食い違いがあるということがやはり起るかも知れないと思います。その点御指摘のような矛盾が、ずれがある場合があるのではないかと思いますが、そういう場合には更に又予算の増額とか何とかやらなければならないのじやないかと思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 今法制局長のお話はわかりました。従つて住宅局長に伺いたいのですが、若しも訴訟の結果増額しなければならないときまつた場合には、この法律で以て「予算の範囲内」とあるからこれでなければならないのだと、政府が勝つ見込で、起業者が勝つ見込みで考えておりますが、負ける場合があると考えておりますか、どちらですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 今法制局からもお話がありましたが、私からもちよつと今田中委員の御質問と併せて申上げたいと思いますが、補償をいたしまするのは、都道府県が補償をすることになつております。従いまして、都道府県が、仮に十分な補償をしたという場合、或いはその訴訟の結果負けて更に補償金額を追加しなければならないということになる場合があり得るわけでありますが、国といたしましては、予算の範囲内におきまして一つの目安、見積りを立てて、それに対して二分の一の補助をすると、こういうことになると思います。補助の性格と補償の性質の違いがあると思います。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 そうすると、政府は一定のきめたところの予算の範囲の二分の一しか補助しない、あと訴訟を起して地方長官のほうが負けた場合には、そのほうは地方長官が勝手に払えばいいのだというそういう行き方なんですね、そういうふうに了解していいわけですね。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 勝手に払えということはちよつと語弊がございますが、地方庁の負担が本省の見積り以上に殖えることがあり得るわけでございます。この点はやはり国と地方の分担関係のバランスの問題でいろいろ考えたのでございますが、国としては補助をする場合には予算計画を以てしなければならんと、こういう意向で止むを得ず私どものほうでそういうことに落着いたわけです。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 若しそうすると、訴訟を起して負けた場合には、次年度にでも地方に対して適当な補償の補助をしようというお考えですか、お考えはないですか。

鬼丸勝之建設省住宅局住宅企画課長

○説明員(鬼丸勝之君) 県が負けまして、補助金額が殖えましたようなずれがありましても、これはまあ現実の問題になつて見ませんと、どの程度の金額が負担になるかわかりませんが、それほど大きな額とは考えられませんので、国としては恐らくこれに対して追加補助をすることは困難じやないと思つております。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 もう一遍法制局長に伺いたいのですが、そうした一方的な強権を以て取つておいて、一方的な枠で以ておつ放すというようなことは、今のこの憲法から考えまして矛盾というか、矛盾撞著があるのではないかという考え方が持ち得ませんか。

奧野健一法制局長

○法制局長(奧野健一君) その前に、先ほどの赤木さんの御質問に対してちよつと足りないところがあつたかと思いますので、お答えいたしますが、この「予算の範囲内において、政令で定めるところにより、」というのも、政令の定め方如何によつて非常に違つて来ると思います。ただ実際に要つた費用の半分だけは補助するということになつておれば、費用が多くなれば二分の一も多くなつて来ますから、予算のずれが起きて来て追加計上をしなければならない場合も起ると思いますが、ただ一坪について幾らの補助をするというようなことになつておれば、それだけに補助するということもあると思います。  今田中さんのお話でありますが、まあ強権を以てこれを取上げたのではありますが、所有者との関係においては完全に補償される建前になつておりまして、憲法の所有権を侵すということは、完全に補償されればないのじやないかと思います。ただ国と起業者といいますか、府県といいますか、それとの関係でありますが、この関係は直ちに憲法との抵触という問題はなかろうかと思いますが、ただ財産を持つておる所有者との関係において完全に補償さえできれば、憲法二十九條の要請は満たしておるものと思います。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) ほかに……これでよろしゆうございますか。

田中一日本社会党(第二控室・右)

○田中一君 質疑はやめます。

大村巳代治建設省住宅局長

○政府委員(大村巳代治君) 先ほど土地收用委員会はもうできておるかという御質問でございますか、調べてみましたら、神奈川県はできておりまして、東京都は目下任命の手続中であります。

廣瀬與兵衞自由党

○委員長(廣瀬與兵衞君) じや、本日はこれを以て閉会いたします、    午後零時二十八分散会

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