外務委員会 第38号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/06/06
会議録
○委員長(有馬英二君) それでは只今から外務委員会を開会いたします。 千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。提案理由の説明を求めます。
○政府委員(石原幹市郎君) 只今議題となりました千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約につきまして、提案理由を御説明いたします。 千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約は、政府間の合意により画一的な原則及び規則を設定することによつて、海上における人命の安全を増進することを目的とし、千九百二十九年の同名の条約を改正して、これに代えるため千九百四十八年四月二十三日からロンドンで開催された海上における人命の安全のための国際会議で作成された条約であります。千九百二十九年の条約作成のための会議には、我が国はこれに参加し、千九百三十五年これを批准してその当事国となか、爾来第二次世界大戦の勃発まで忠実にこの条約の規定を遵守して参りましたが戦時中及び戦後は一時この条約の適用を停止せざるを得なかつたのであります。その後昨年八月、我が国は改めて同条約の履行を宣言し、条約に基く証書の発行を行なつて今日に至つているので、現在では同条約の加盟国としての地位が保たれているものと考えてよいのであります。 千九百四十八年の条約は、前述の千九百二十九年の条約成立後の航海学の進歩及び第二次世界大戦中の著しい技術の発達の結果かもし出された機運により作成されたものであつて、その趣旨において千九百二十九年の条約と差異あるものではありません。 およそ国家として自国の船舶に対し、人命の安全を確保するための措署をとらせることは条約の締結を待ずとも当然のことでありますが、更にこの条約はその当事国となることにより海上における相互扶助の精神を発揮させることを義務ずけており、この条約に加入することによつて、外国の港において不当な検査を受けて船舶の運航に支障を来すことのないようにすることは、極めて重要なことであり、この一事のみからもこのような国際条約に加入することの意義は計り知れないものがあります。なお、我が国は昨年九月八日サンフランシスコにおいてこの条約に加入することを宣言しておりますので、一日も早くこれを受諾して、この分野における国際協力に積極的に参加することが我が国の国際的信用を高めるゆえんであると共に、一方この条約そのものの効力発生の日が本年十一月十九日である点からみて、我が国の受諾がこの日の前に行われていることが望ましいのであります。よつてこの国際文書の受諾についての御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上、本件につき速かに御承認あらんことを切に希望いたす次第であります。
○委員長(有馬英二君) それでは概略の説明を海上保安庁海事検査部長松平直一君にお願いいたします。
○政府委員(松平直一君) それではの条約の内容につきまして簡単に御講明申上げます。只今提案理由にありましたような目的を以て作られました条約なんででございますが、この内容は極めて船舶に関する技術的な問題ばかり非常に細かく規定しておる条約でございますが、大別いたしますと、ともかくも船それ自体が海上においていろいろな外的な条件に会いましても、なかなか沈まないようにすることが一つ、それからもう一つは、火災が起りますることを非常にあらゆる方面から防止をする措置を講じています。更に若しも火災が起りました場合、それを消火する設備を又細かく規定しております。又万が一遭難をいたしましても、乗組員の危険が迫りました場合には速かにその船から救命艇に乗るなり、或いはその他の救命機具によりまして脱出をいたして、安全に逃れることができるように規定してあります。大体そのほかにはお互いに航海の安全を期するために、例えばどの方面にこういう低気圧があつて非常にしけている、或いはこういう漂流物があつて危険であるから注意せよということの通報の義務が与えられております。又更に他船に助けに行かなければならない義務がございますが、これは自分の船が危険に瀕しました場合、無線電信によつて他船に救いを求めるわけでございますが、この通信を一日のうち一定時間是非聴取をしなければならない義務を与え、その聴取を聞きました場合には、予定のコースを変更してでも助けに行かなければならないというようなすべて船自体を守ることと、船に遭難事件が起りましたときはそれをお互いに助け合う、こういうことをきめたものでございます。 この条約は非常に分厚なものでございますが、内容は極めて細かく而も技術的な面ばかりであると申上げても過言ではないと思ます。以上簡単でございますが……。
○委員長(有馬英二君) これに関する質疑は次回に譲ります。 —————————————
○委員長(有馬英二君) それでは次に請願陳情を議題といたします。専門員をして趣旨の説明をいたさせます。
○専門員(坂西志保君) 安全保障条約締結に関する請願陳情が出ておりますから、それを一括して申上げます。請願第八五九号、安全保障条約締結に伴う横須賀駐留地域決定に関する請願、請願者神奈川県横須賀市長石渡直次、紹介議員、三木治朗君、山田節男君、岡本愛祐君。戦前横須賀にはみるべき産業がなかつたが、現在七十余の会社工場が操業しており、又旧軍港の一部(長浦港)は貿易港として戦後の日本経済に重要な地位を占めるに至つたが、接収地域の不確定な現状では、経済的にも政治的にも立市政策が確立せず、又市民の再建意欲にも重大な影響を来しているから、基地供与地域は現在以上絶対に拡大しないこと、特に重要産業に転用されている追浜地域長浦港地域は、基地供与地域から除外されると共に基地に供与すべき施設については事前に十分市長の意見を徴せられたいとの請願であります。 次は第八六〇号、安全保障条約締結に伴う呉駐留地域決定に関する請願、請願者広島県呉市長鈴木術外一名、紹介議員三木治朗君、山田節男君、岡本愛祐君、呉市は、終戦後六年間の努力によつて、旧軍港都市から産業都市として発展の途上にあるが、行政協定に伴う駐留軍並びに保安施設等として旧軍用施設を再使用する場合には、木市の転換計画及びその実情を再検討の上、最善の処置を講ぜられたいとの請願であります。 次は第八六一号、安全保障条約締結に伴う舞鶴駐留地域決定に関する請願、請願者京都府舞鶴市長嵯峨根達雄、紹介議員岡本愛祐君、三木治朗君、山田節男君、日米行政協定に伴い旧軍港地域の一部が米軍駐留地として指定される由であるが、舞鶴市においては、舞鶴市転換計画を樹立し、これが具現に努力中であるから、軍の駐留と、同市の平和産業港湾都市建設事業の実施とが両立し、住民の福祉が支障なく増進せられるよう配慮せられたいとの請願であります。 次は請願九七三号でございまして、安全保障条約の締結に伴う神奈川県追浜、長浦地区の再接収に関する請願であります。請願者は神奈川県横須賀市本町二二ノ二横須賀地区労働組合協議会内水野春吉外六名、紹介議員は三木治朗君、山田節男君、田中一君であります。横須賀市追浜、長浦地区は昨年来総司令部の調達下命により再接収の段階にあるが、再接収の行使は三十社二千人に及ぶ従業員と家族の生活を根本から奪取するものでありますから、旧軍港市転換法の趣旨に基き接収地を他地域に変更するよう取計らわれたいとの請願であります。 次は請願一〇〇二号でありまして、安全保障条約締結に伴う横須賀市追浜地区の接収反対に関する請願であります。請願者は神奈川県横須賀市長石渡直次外一名でありまして、紹介議員は岡本愛祐君、小串清一君、稻垣平太郎君、山田節男君、藤野繁雄君、青山正一君、横須賀市追浜地区は、旧軍用施設を転用し、五年間の努力によつて育成された重要工業地帯で、現在二十二の会社工場があつて、その生産は年二億余円に達している、かかる地区を万一基地として提供されることになると、関係者数千の従業員とその家族は、生活の根拠を失い、更に本市の復興再建に重大な影響を与えることになるから、行政協定締結に際しては同地区を基地供与地域より除外せられたいとの請願であります。 請願二四九九号、行政協定に伴う基地供與および施設の一部除外に関する請願でありまして、請願者は神奈川県横須賀市長石渡直次、紹介議員は青山正一君、三木治朗君、岡本愛祐君、横須賀市においては、久里浜漁港計画の総合的施設として東京水産大学の存置育成を計画し、着々その事業を遂行している。而して昭和二十一年五月、本市久里浜所在の旧海軍通信学校跡に水産大学を誘致したのであるが、昭和二十五年の警察予備隊創設に際し同校の予定地及び施設の大部分が予備隊によつて割譲され、大学は存廃の岐路に立つているから両者の競合を調整するため基地として供与を予定されている本市武山地区所在の旧海軍第二、第三海兵団及び大楠工機学校跡の地域及び施設を基地供与から除外されるよう取り計らわれたいとの請願であります。 次に請願二五九一号でありまして、愛知県小牧飛行場拡張に関する請願であります。請願者は愛知県西春日井郡北里村長牧野真吉外四百八十七名でありまして、紹介議員は加藤武徳君、愛知県小牧飛行場の拡張が伝えられているが、関係農民はこの飛行場拡張によつて農地は狭隘となり、住みなれた祖先伝来の地を家屋と共に転住の止むなきに立ち至り、而も農業以外に活きる途を知らず、遂には生活の破滅を見るのは当然であるから、飛行場は他の適当な地を選定せられたいとの請願であります。 次は陳情の一一〇四号、大分県久住高原地区の駐留軍用地調達反対に関する陳情でありまして、陳情者は大分県直入郡久住町久住地区軍用地調達阻止対策委員会内後藤安吾氏であります。今回久住高原地区一帯を駐留軍演習地としての接収審議が進められている由であるが、万一これが実現すれば、火山灰土層の高冷地帯である本町の農家は畜産面は勿論農業経営面に甚大なる損害を受けることになるから、このような農家経営の壊滅を招来する牧野の軍用地調達には反対であるとの陳情であります。 次は一二二一号でありまして、大分県久住高原地区の駐留軍用地調達反対に関する陳情であります。陳情者は大分県直入郡城原村直入郡町村会内河野満長ほか十六名であります。今般大分県久住地区一帯が在日駐留米軍の演習地として接収されるとの報が伝えられているが、同地区内には二千町歩の耕地、山林、原野及び人家八戸と県立種畜場があり、若し接収になると同地方の営農は根底から破壊され、農産物は三分の一の減収となり、関係農民の死活問題となるから、同地区の接収を取り止めるよう取り計らわれたいとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 以上九つの請願並びに陳情について御質疑のおありのかたは御質疑願います。
○團伊能君 只今の九つの請願陳情につきましては、いずれも行政協定に伴いまして新しく米軍供与地区に関するものでございますが、それらの各請願の中に明らかに講和条約或いは安全保障条約、或いは行政協定にすでに条約として決定いたしておりますものを含んでおります場合には別といたしまして、これらの問題につきまして、各地方民の実情というものを政府においても十分調査して頂く必要もあろうかと存じまして、各地区についての実情はこの委員会も出張いたして調査いたしたわけでありますが、大体それがこの請願陳情に反映して来ておると思いますので、これを採択いたすことが適当かと思いますが、なお質問といたしまして、明らかに他の条約等で決定しておるものに関するものがあるかどうか、専門員からでも政府からでもどちらでも結構ですから聞かせて頂きたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) 只今出ております請願、陳情の中で、すでに接収がきまつたとか、他の条約でどうとかというものはございません。只今合同委員会でいろいろ論議しておるものはあります。それから施設や区域の拡張として論議されて、まだ向うから、大体要望は持つておるけれども、正式にまだその範囲とか区域が出て来ていないもの等がございまして、すでに確定しておるものはございません。それから只今のところやはりこの請願の趣旨にありましたごとく、県や市と連絡してやつてくれということについては十分連絡してやつて行きます。
○委員長(有馬英二君) ほかに御質疑はございませんか。 別に意見もなければ、本請願、陳情は議院の会議に付するを要し、内閣に送付すべきものと決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。
○専門員(坂西志保君) 次に請願二〇四六号、佐世保船舶工業株式会社に旧佐世保海軍工しよう第四ドツク使用許可の請願、請願者は長崎県佐世保市議会議長辻一三外一名でありまして、紹介議員は藤野繁雄君、秋山俊一郎君であります。現在接収中の旧海軍工廠第四ドツクは、佐世保船舶工業株式会社がが多額の経費をかけて管理保全並びに運営しているのでありまするが、同社は、米国趨大型油送船及び鉱石運搬船の引合を受けていながら、施設不十分のため一万五千トン以上の大型船を建造できない状態にあるのでありますから、造船業の振興と佐世保市の発展を図るため、佐世保船舶工業株式会社に右ドツクの使用を許可せられたいとの請願であります。
○委員長(有馬英二君) 只今の請願に対しまして御質疑はございませんか。 御質疑がなければ本請願は採択することにいたしまして、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するものと決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認め、採択することにいたします。
○専門員(坂西志保君) 次は陳情一〇六六号でございまして熊本県大矢の原演習地接収反対に関する陳情であります。陳情者は大分県議会議長岩崎貢氏であります。最近熊本県大矢の原演習地を拡張し、これに大分県久住町、白丹村及び都野村の地域を含めて在日米軍の演習地として接収される由伝えられているが同地帯は、県営久住種畜場を始め一千八百町歩に亙る広大な牧野を有し、大分県畜産の中心地であり、一方阿蘇国立公園の一環として国際観光上重要な役目を持つ地域でありますので、同地域の接収を取り止めるよう取り計らわれたいとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 御質疑はございませんか……御質疑がなければ採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
○専門員(坂西志保君) 次は請願一六三六号でありまして、日米行政協定第十二条の駐留軍調達に関する請願であります。請願者は東京都千代田区神田岩本町三全国特別調達庁職員労働組合内今井三男氏でありまして、紹介議員は和田博雄君、佐々木良作君、カニエ邦彦君、堀眞琴君、日米行政協定第十二条の駐留軍物資調達に関しては、労務、不動産業務を除いては、米軍による直接調達によつて行われる方針が米側により強力に主張されており、米側の体制も着々として進められているが、若しこれが実現すると、五千三百名の特別調達庁職員の身分安全はもとより、日本経済に及ぼす影響は誠に甚大でありますから、講和条約発効後の駐留軍調達は、日本政府機関を通じて行うよう取り計らわれたいとの請願であります。 陳情八五〇号、行政協定による駐留米国軍部隊に関する陳情であります。陳情者は東京都千代田区平河町二ノ六全国市長会長金刺不二太郎氏であります。今回締結された米国軍部隊の駐留については、目下考慮中のことと思われますが、一、供与すべき施設及び便益については、政府は事前に関係市町村の意見を徴すること、二、供与すべき施設及び便益についての細目協定は、直接当該市町村と交渉すること、三、折衝に当つては中央又は地方に責任ある米国渉外官庁を設置すること等関係市町村の要望について考慮せられた いとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 以上請願一六三六号、陳情八五〇号、この二件について御質疑ありましたらば、御質疑を願います。 別に御質疑もなければ採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
○専門員(坂西志保君) 次は陳情四六九号でございまして、行政協定の裁判管轄問題に関する陳情であります。陣信者は東京都千代田区霞ケ関一ノ一第一東京弁護士会館内日本弁護士連合会内奥六郎氏であります。行政協定の方式としては、北大西洋条約の行政協定方式が国際法の発展に即応する合理的なものであり、対等の主権国間の関係においては、これに準拠するのが適当であります。然るに目下交渉中の日米行政協定においては属人主義を採り、極めて広範囲な裁判管轄権が米国に認められる由でありますが、これは終戦以来の軍事占領と変ることなく、平和条約の根本精神にも反することになるのでありまするから、日米行政協定には最初から合理的な方式を採用せられたいとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 御質疑ございませんか……御質疑がなければ採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議がないものと認めます。
○専門員(坂西志保君) 次は請願一六〇一号でありまして、在外同胞引揚促進撃に関する請願であります。請願者は福島県議会議長蓮沼竜輔氏であります。紹介議員は油井賢太郎君、講和条約の発効による主権回復を目前に控え、今日なお祖国帰還を許されず、ソ連、中共地区において苦しんでおる抑留同胞及び現在戦犯者として外地拘置所において日夜労役に服する同胞のあることは、国民感情を暗然たらしむる最大の遺憾事でありまするから、講和条約発効を機に残留者全員の帰還と服役者の減刑及び内地送還の方途について関係各国に図られたいとの請願であります。 次は一六二七号でありまして、在外同胞引揚促進等に関する請願、請願者は福島県議会内伊藤幟氏であります。紹介議員は木村守江君、講和条約の発効による主権回復を目前に控え……、文句は同じであります。 次の請願、一七八一号、これも同じでございます。陳情五二六号、七二五号、八七一号皆同じものでございます。
○委員長(有馬英二君) 以上請願三件、陳情三件合計六件に関しまして御質疑はございませんか。
○團伊能君 只今ここに上程されております在外同胞引揚促進に関する一連の請願及び陳情につきましては、丁度紹介議員もここに御出席になつているようでありますが、そのかたから御趣意を伺うと共に、引揚促進に関しましては、従来すでに国会におきましては特別委員会まで作りまして、非常な怒力を重ねて来たところでございますが、依然現状の通りでございますが、これにつきまして、この請願が単にこれらの引揚を促進してくれというのでございますか、更に具体的な方法をとつてくれということでございますか、その辺の事情を紹介議員からちよつと御説明願いたいと思います。
○委員外議員(石原幹市郎君) 紹介者としまして一言申上げます。これは今までもたびたび行われておるのでありまするが、ここの表題にはちよつと出ていなかつたのでありますけれども、未帰還同胞の引揚促進並びに在外戦犯者の減刑、内地送還方懇請についてという表題になつておるのであります。それで引揚げ促進のことについては県会或いはその他で議決等もいたしておりまするので、それを取り次いだほうがいいかと思いましたのと、それから戦犯者の減刑、内地送還、これらの問題につきましては、講和発効と共に最近澎湃としてそういう意見が盛り上つて来ておるのであります。この点につきましては、近く留守家族の国民大会も開催されようとしておりまするし、別に具体的の策をここに掲げておるわけではございませんが、一刻も早く内地に送還され、又減刑の恩典に浴することができるようにして欲しい、こういう概念でございます。
○團伊能君 次に外務省に伺いたいのであります。先日岡崎外務大臣の御出席がありましたときにもちよつと伺いましたが、その後的確の御返事をまだ頂いておりませんと思いますが、国際連合の捕虜引揚委員会に日本政府から報告が出ておりますのは、多分ソ連地区に在留しておる同胞が七万余、この数字の根拠、或いは捕虜引揚委員会との今までの交渉の経過を一応伺いたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) この数字のお話でございますが、これは昭和二十六年七月二十五日、当時の外務省情報部から発行しておりまする引揚問題に関する外務省発表情報部長談、並びに国際連合総会議長宛外務大臣書簡、このパンフレツトに載つておるのでありまするが、つまりシベリア及びその他のソ連領、南樺太、千島北鮮、関東州、これに分けまして、生存者数、死亡者数、生死不明者数、合計、こういう数字を出しておるのであります。そのうちいろいろの資料から大体生存しておるものと認められるべき数が七万七千六百三十七ということになつておるのでありまして、團委員の言われますのはこの数字を言つておられるのではないかと思います。
○團伊能君 只今御説明がありますが、これは引揚委員会にそういう報告を一度出されたことは承知いたしておりますが、その以後引続きこの委員会に対して陳情か或いは何らかの働きかけをしておいでになりますか、その経過を伺いたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) これは私もこの仕事に関係しましてからたびたび言つておるのでありますが、その後いろいろ情報であるとか、いろいろのことで若干数字の動き等もありはしないかということは考えられるのでありまして、そういうものによりまして整理をするようにということを言つておりまするが、たまたま国連の捕虜引揚委員会にもそういうことを更に整備いたしまして、訂正すべきところがあればこれを訂正して、一層信憑力を持たしめるということで、只今その調整中でございます。
○團伊能君 了承いたしました。
○委員長(有馬英二君) 以上在外同胞引揚促進に関する請願及び陳情六件につきましては、以前にも同様の趣意の請願、陳情もありまして、採択になつておりまするから、当然これは当委員会におきましても採択いたしまして、特に政府に対し強力なる促進方につきまして要望をしたいと考えておりますから、本請願、陳情は採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。次に請願第一四〇〇号等について……。
○専門員(坂西志保君) 請願第一四〇〇号、戦犯服役者の内地送還および留守家族の援助に関する請願、請願者は鹿児島県議会議長米山恒治氏、紹介議員は島津忠彦君であります。現在戦犯者は、連合軍の厚意ある取り計らいにより、その大部分が内地に送還されて服役中であるが、いまだ比島およびマヌス島からは内地に還されず、依然異郷の鉄窓にしんぎんしている状況であり、またこれら戦犯者の留守家族は、一般留等家族に与えられているような未復員者給与法等の適用も受けられず物心両面に苦しい生活を続けているから、これら戦犯者の内地送還による服役、減刑、仮出所等について、関係方面と密接に折衝せられるとともに、戦犯者留守家族についてもその生活の安定保障につき、特段の措置を講ぜられたいとの請願であります。次は請願一六六二号ソ連、中共地区その他の戦犯者減刑等に関する請願、請願者は岩手県議会議長村上順平氏、紹介議員は川村松助君であります。ポツダム宣言第九条によつて速かに行われる筈であつた捕虜送還が、戦後七年を経た今日未だに完了せず、特にソ連政府は一九五一年タス通信をもつて一部の者を除き送還完了を声明したのであるが、事実はこれと相違して未だに十万余名の未帰還者が推算されることは、講和発効、自由独立への門出に際して誠に遺憾であるから(一)ソ連政府の認めている戦犯ならびに戦犯容疑者の氏名、刑期理由、待遇その他の情報の提供、(二)右の者に対する内地との交通許可、(三)右の者に対する減刑ならびに内地服役、(四)ソ連が中共政府に引渡した戦犯者の氏名の通報等、関係方面と折衝の上、これが実現について万全の措置を講ぜられたいとの請願であります。次に陳情第七七二号、インドネシア共和国における生存者送還および戦没者供養に関する陳情、陳情者は山口県小野田市北中川町南方遺族会内三隅俊一外二名、聞くところによれば、インドネシアにおける我が国戦没者の数は二十一万柱に及び、而もこれらの墓標はすでに見る蔭もなく人馬に踏み荒され、またニユーギニア島その他においては十一万の白骨が山野にさらされているとのことであるが、これは、日本軍占領下の三ヵ年にわたる同国民の犠牲やうつ憤による激怒の影響もあるから、我が国とインドネシア共和国との理解と親善を図るとともに、風雨にさらされているこれら多数の英霊を供養し、生存者の送還等について善処せられたいとの陳情であります。次に陳情第一一二二号、海外抑留戦犯者の内地送還等に関する陳情、陳情者は前橋市田中町甲五九群馬県復員引揚促進家族連盟内北川光雄氏であります。講和の発効に伴い、内地においては恩赦等の処置が行われているが、海外に抑留されている戦犯者は、その家族とともに悲嘆に暮れているから、すみやかにこれら戦犯者の内地送還および内地服役戦犯者の即時釈放を実施せられたいとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 以上請願二件、陳情二件につきましては、御質疑はございませんか。
○政府委員(石原幹市郎君) 請願の千六百六十二号のソ連、中共地区その他の戦犯者減刑等に関する請願でありまするが、この中で「ソ連政府の認めておる戦犯並びに戦犯容疑者の氏名、刑期理由、待遇その他の情報の提供」、「右の者に対する」云々、或いは又「ソ連が中共政府に引渡した戦犯者の氏名の通報」云々ということがあるのでありますが、日本の只今の立場としては、このソ連、中共、向うの認めておる戦犯というようなものの考え方は日本政府は持つていないのでありまして、ソ連、中共におる者はすべて未帰還者或いは抑留者という考え方でおるのであります。それでこの請願をそのままの形で認めるということになれば、何らかソ連或いは中共の戦犯というものもあるような感じになるのでありまして、その点御一考を煩わしたいと思うのであります。
○金子洋文君 そうしますと、関東軍の最高将官の人々がソ連に抑留されておるわけですね。これも戦犯者じやなくて抑留者として見るということになりますか。例えば山田乙三氏のようなかたが抑留されておるのでありますが、それはどういうことになりますか。
○政府委員(石原幹市郎君) こちらの扱いでは未帰還者といいますか、抑留者ということになつております。
○委員長(有馬英二君) 陳情一一二二号、海外抑留戦犯者の内地送還等に関する陳情、陳情七七二号、インドネシア共和国における生存者送還及び戦没者供養に関する陳情、請願一四〇〇号、戦犯服役者の内地送還及び留守家族の援助に関する請願、以上三件は大体において内容が非常に似ておるのでありますが、先ほど政務次官からお話がありました請願一六六二号のソ連、中共地区と明記をされておりますこのものと、先ほど申しました三件とは別に取扱うことにいたしまして、右三件は如何いたしましようか。採択することにいたしましようか。採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) それでは右三件を採択することにいたします。請願一六六二号のソ連、中共地区その他の戦犯者減刑等に関する請願は如何いたしましようか。
○杉原荒太君 請願は請願として聞いてやつていいじやないですか。
○委員長(有馬英二君) 聞くだけ聞きますけれども、政府としてはどうですか。
○杉原荒太君 今後とも努力はして行くのですから……。
○委員長(有馬英二君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて下さい。それでは請願一六六二号は採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。次に陳情第六四五号、だ捕抑留船舶および乗組員の返還等に関する陳情。
○専門員(坂西志保君) これはだ捕抑留船舶および乗組員の返還等に関する陳情でありまして、陳情者は福島県知事杉本勝次です。最近しきりにマッカーサーライン近くの九州海域に出漁中の船舶、船員がだ捕され、関係者を深く憂慮させているから、これらだ捕抑留船舶および乗組員の返還要求その他保護援助について充分なる方途を講ぜられたいとの陳情であります。
○委員長(有馬英二君) 御質疑はございませんか……同様の請願、陳情は以前から多数に上つておると記憶しております。いずれも採択しておると存じております。右は採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。
○杉原荒太君 委員長、ちよつと議事の進行ですが、もう四時になるのですが、今日大臣が来て日華条約をやりますか。
○委員長(有馬英二君) 今日は大臣が出席を約束しておりませんから今日は……。
○杉原荒太君 今日は日華条約はやらないのですね。
○委員長(有馬英二君) やりません。
○杉原荒太君 ああそうですが。
○委員長(有馬英二君) それでは、まだありますが、請願、陳情をこれにて打切りまして、国際情勢等に関する調査、国際音楽評議会日本代表選任に関する件を議題といたします。
○金子洋文君 その件でございますが、実はユネスコ国際音楽評議会、IMCの会長のローラン・マニユエルというかたから徳川頼貞氏に次のような書簡が参つておるわけであります。それを先ず読み上げます。拝啓国際音楽評議会は、一九五一年七月十七日——二十日、巴里で開催の第二回総会に於て、徳川頼貞侯を其の日本に於ける代表と指名致しました。国際音楽評議会の規約に依れば、此の指名は、日本政府当局の承認を得た時、初めて有効となります。其処で、小生は此の指名を有効とする為、貴下の御承認を得らるるや否やを御通知下されば、大変幸甚と存じます。規約上代表は各国内諸機構及政府当局との連絡に当り、各国に於ける国際音楽評議会国内委員会が総会に於て認められた時に其の任務が終了することになつてゐます。敬具これと同文の書簡が在パリの日本在外事務所長の荻原さんにも行つておるようであります。そこでこの件について外務当局はすでに御了承になつておるかどうか、その点を取りあえず政府委員にお聞きいたします。
○政府委員(柿坪正義君) 国際音楽評議会の規約十条によりますと、只今お話になりました評議会の日本代表の指名が確定いたしますのは、日本のごとく国際連合の国内委員会のまだ存在していない、いや音楽国内委員会の存在しない国におきましては、ユネスコの国内委員会とパリの評議会とが協議するが、併しその国際連合国内委員会が存在しない場合においては日本の政府と評議会と協議をしてそうして日本代表をきめるということに相成つております。ところで政府といたしましては、国際連合国内委員会というものが早くできることを期待いたしまして、努力して参つたのでありまするが、この委員会の設立が予想外に手間どりまして、未だに設立に至らないのであります。併し政府といたしましては、早い機会にこれが設立されることを期待いたしております。若し早くできますれば、国際連合国内委員会と評議会との協議によつて、それを確定するということにいたしたいと思います。ところが若しこの国内委員会の設立が手間取るというようなことに相成りますれば、政府みずからこの評議会と協議して決定するということにいたさなければならなくなると思つております。
○金子洋文君 そうしますと、国内委員会の成立の見通しは如何でございましようか。
○政府委員(柿坪正義君) ユネスコ国内委員会の設立の時期の見通しでございますが、はつきりしたことは申上げられませんでございますが、七月頃にはできるのじやないかということを期待いたしております。
○委員長(有馬英二君) ほかに御質疑がございませんか。
○徳川頼貞君 私個人のことに触れますが、これは私個人のことでなくして、日本楽壇全体が非常に熱望しておることでございますので、重ねて伺いますが、只今局長のお話によりますると、日本の国内委員会ができるというようなことでありまするが、そうすれば本日までの、昨年の七月に一応オブザーバーとして評議会に出ました。そのあれをコンフアームするということは政府においてはしておいでにならないということでございますか。或いは若しそのことについてコンフアームなさる御意向がありますか、その辺をちよつと伺いたいと思います。
○政府委員(柿坪正義君) そのコンフアームも成るべくならばユネスコ国内委員会とそれから向うの評議会との協議でやりたいというふうに考えておりましたのでございますが、非常に遅れております。そこで若しこれがなお一層遅れるというような情勢に相成りまするようでございましたならば、政府はこの国内委員会の設立を待たないでコンフアームするということに相成ると思います。
○徳川頼貞君 そうすると、昨年の評議会が行われましてからまさに一年にならんとしているわけでありまするが、その間日本のあれは空席になつているということになりますが、その責任は政府がお持ちになるということでございますか。
○政府委員(柿坪正義君) 我々といたしましては、ユネスコの国内委員会がこんなに設立が手間取るとは夢にも思わなかつたのでございまして、もうできるだろう、もうできるだろうと一日延ばしに今日までに相成つたわけであります。併し余り長く放つておくわけにも行きませんので、適当に善処しなければならぬというふうに考えております。私も情報文化局長に相成りましたのはまだ本当に最近でございますので、むずかしいことはよく存じません。
○金子洋文君 それは今国内委員会の成立の過程をずつと見ておりますと、国会においては、衆議院では四名、参議院では三名国内委員が選任されることになつております。この国会のほうは民間よりも割方早くできそうに思われますが、いろいろな関係上、これもなかなか見通しは手間取りそうです。そこで七月の会議には恐らく間に合うまいという大体見通しがされるわけなんです。でありますから、その設立を待つておやりになつては手遅れになる虞れがありますので、二本建くらいに、二筋道ぐらいに国内委員会にも期待し、そうでない場合もお考えになつて準備なされたほうがよろしいのではないかという希望を添えて、以て政府に進言いたしたいと思います。
○徳川頼貞君 今の問題につきまして重ねて申上げまするが、金子委員は多少誤解しておいでになると思うのでありますが、このIMC即ちインターナシヨナル・ミユージック・カウンシルというのは、実はユネスコの総会が行われました直後にあるのがこれが普通になつております。そこで今度のユネスコの総会は実は十一月になつております。従つてこれはすぐその直後でありまするから、十一月の末か十二月になると思いますけれども、併し少くとも昨年のこの評議会の日本代表というものに対してコンフアームを与えていないということは、次の会議に対する上から言つても甚だ面白くない結果を来たすと思いますので、この際私は政府がいち早くコンフアームして頂くことを希望いたしますことを述べて、私はこの問題はこれで打切ります。続いて文化局長に伺いたいと思いまするが、最近新聞紙上でみますると、日本へ来られたロック・フエラー君の非常なる熱意と好意を以ちまして、日本とアメリカの間に文化交流が行われ、日本の相当の文化人が文化使節としてアメリカへ行くようになつたということを聞きまして、私として非常に愉快に且つ喜ばしく思うのでありますが、又他方新聞のバツクによりまして、画壇の梅原或いは宮本というような人々がこれ又渡欧されるということでありまするが、外務省はこれらの人人に対してどういうような援助をなさつておりまするか、その点を承わりたいと思いますのと、これに関連いたしまして、今後文化関係におきます国際会議に対しまして、只今お話しいたしましたようなIMC或いはITI即ち国際演芸協会のようなユネスコに関係している諸団体に対して、今後情報文化局としてはどういう措置をとられるかを伺いたい。
○政府委員(柿坪正義君) ロックフエラー財団から招請されまして、日本の著名な文化人のかたが六名行かれるということは私も新聞で承知いたしました。政府といたしましては別に補助金も差上げてないし、何もいたしておりません。それから梅原画伯、安田画伯ですか、二人のかたがイタリーに行かれた、そういう問題に関しましても、政府といたしましては補助金というようなものは差上げていません。ただこれらの渡航に関しましては渡航審議会というのがございまして、それをパスして行くわけで、その場合に外務省といたしましてはこれらのかたのパスがうまく行くように、早く行くように努力いたしております。それから向うに行かれた場合の受入れ方なんですが、それについて出先に連絡いたしまして支障のないように手配はいたしております。それからその他ユネスコ関係、いろいろな事業はございます。又外務省の情報文化局といたしましては、非常に広汎な文化活動をいたしております。例えばユネスコ駐日代表というようなものを通じてユネスコ本部と日本との間の連絡だとかいうような、その他百般の事柄に亙つております。併し遺憾ながら非常に予算が少ない、そのために思うような活動ができないという現状であります。一例を申上げますと、国際文化振興会、この協会は戦前及び戦時中を通じまして、文化交流のために非常に立派な役割を果して来た文化団体であります。それに関しましては戦争前及び戦争中は外務省から相当程度の補助金を出しておりまして、そして活撥に活動をいたしておつたのであります。ところが終戦以来今日まで政府による補助金は禁止されました、一文も出しておりません。そこで最近も伺つたのですが、国際文化振興会の責任者のかたが終戦以来六年半余、政府の補助金を一文も貰わないで、自力で各方面の寄附によつて今日までやつと運営して来たが、どうにも行かないから何とかやつてくれということを言われております。政府がやるか、或いは補助金を出すなり何とかせよ、どらも文化に対して熱意が足らんということで、私たちは叱られておるわけです。同じようなことは国際学友会についても言われます。国際学友会というのは、外国の学生が日本に留学に来る、その場合に寄宿舎を提供し、或いは日本語の勉強の便宜を計つたり、或いは辞引をこしらえてやる、例えばシャム語などの辞引、いわゆるコンマーシヤル・べースでは引合わないようなことを、そういうふうなことをやつて来たのでありますが、これも補助金がありません。ところが一方外国からはそういう便宜供与に対する希望はたくさんございます。非常に皮肉なものでございまして、戦前日本が外国へたくさん金を持つて行つて大いに日本宣伝をやろうとしたときに、もう外国では要らんと、折角送つたパンフレツトを返して来ております。最近は、金がなくなつてから至る所から送つてくれと、こういうことを言つて来ております。ブラジル方面からも非常に熱望が出て来ております。御承知のように最近では、マタラツソというサンパウロの有力者が日本へやつて参りまして、こういうことは戦前にはなかなか行われなかつたが、向うでは来年に日本の美術展をやるから、こちらからも日本の美術品を出して協力してくれといつたようなことを言つておる。それから又日本の映画だとか、文献だとか、いろいろなものを一つ貰いたいということを言つて来ております。それから又東南アジア、この方面からは日本の文化、そういう文献もさることながら、留学生が非常にこつちに来たいと言つておる。これは日本が戦争中向うを占領して、日本人によく接したという関係もあると思いますが、非常に日本の文化に憧れている。子弟を送つて、そうして教育して貰いたいという申込がたくさん来ております。又将来賠償でも実現すれば、賠償のプログラムによつてたくさんやつて来ると思います。ところが現状を申上げますと、遺憾ながらこれらの学生を受入れる受入施設がございません。これらの学生を受入れてそういう宿舎を提供する、或いは日本語を教える、或いは辞書をこしらえる、そういうことのためには相当の予算が要るのであります。そういう予算を頂きまして、映画もやりたいと思つております。又日本の映画は御承知のように世界的に進出いたしまして、非常に御同慶の至りでございますが、これ又なかなか政府の思うようなものはできない。やはり政府が相当いい映画ならば買上げてやるとか、或いはコンマーシヤル・ベースでなしに、国の本当の姿を現わすというものを作つてもらいたい。或いは日本のトーキーに、英語なりフランス語なりイタリー語なり、向うの言葉の字を、タイトルを入れてわかるようにしてやる、これにも相当金がかかります。ところが普通の業者ではなかなかこれはやれないといつたことがございます。そこでこういうことを可能ならしめるためにはやはり金が要る。又国際連合のテクニカルシステム、技術援助、そういつたプログラムにより向うの人が来る場合に便宜を供与するとか、向うの国際会議に向うが要望しておる専門家を、或いは最近行われましたような労働者教育のゼミナルといつたものに来てくれと言われる。そうすると大体会議の主催地はヨーロツパが多い。文化の程度から言いましてもヨーロッパが多い。ヨーロッパと言いますと、飛行機で行けば短いが旅費は相当かかります。ところがこれらの旅費を出せる民間団体というものは非常に少い。ところが今の大蔵省の方針で言いますと、或る程度予算はございますが、渡航の旅費はございますが、ところがその政府予算は民間の人が使つてはいけない、そういうことになつておるそうでありまして、従つて労働者を代表するそういうゼミナルに行くといつた場合に、政府の予算が出せない。そうすればそういう金が出せる豊かな民間団体は行けるが、優秀な団体だが、金がなければいけないといつたような状況になつておりまして、そういうことも一つ改善して行きたい。又国立大学の生徒ならば行けるが、私立では行けない。そういうような非常に困つたことが生じております。そこで若し外務省に或る程度の補助金を出せるような予算がございますならば、そういう民間団体の渡航者に補助することができるということに相成るのであります。従いまして非常に計画規模だけは大きいのでございますが、それを実現させるためには、どうしても予算の裏付けというものが必要になつて来ると思いますので、皆さまの御協力を願いたいと思つております。
○徳川頼貞君 今柿坪局長のお話になりました国際文化振興会は、実は最初から私関係しておりました。従つて私と近衛君、樺山君、岡部君というような人々で始めた団体であります。従つてその事業の内容については一番私が知つておるものの一人かと思うのでありますが、只今お話のように、いろいろ隘路があります。文化事業というものは誰でもちよつと手を出し易く、誰もがしたいようなものでありますが、併し文化事業というものは決して思い付きでやれるものではないのであります。長年の経験と長年の研究によつて行くべきものでありまして、柿坪さんもすでに御承知のように、イギリスのブリテイッシュ・カウンセルは文化振興会によつてできたものであります。そういうようなわけでありますから、今後対外関係についても、特に文化関係については、十分その辺のことを政府当局として御考慮願いたいと思います。例えば只今お話の映画のごときも、実はたやすいようでありますが、一つの例を申上げますと、日本を代表する灌漑に使う足で踏む水車、これなどは日本を知らすのに一番いいものだといつて、とにかく日本の紹介の中に出て来るのでありますが、これはヨーロッパの人々には非常にそれがエキゾテイックに感ずる点もあるのでありますが、これが南方或いは南米になると、日本の国民はこんなにプリミティブかというふうに考えて、逆効果を来す。それではどういうのがいいかといえば、例えば丸ビルとか、日本の立派な船とかいうものを見せれば、日本はこんなに進んでおるのかと彼等は驚く。これを又欧米に持つて行くと、何んだ自分のところの真似じやないかということになる。そういうところがなかなかむずかしいことだと私は考えます。そういう点で、十分今後文化方面で、政府の御指導を願いたいと思うと同時に、只今お話のいわゆる外務省の外郭団体となつている文化団体、ほかにいわゆるいろいろの国際親善のめの団体がたくさんございます。例えば日英協会にしても、或いは日米協会にしても、或いはフイリッピン協会、それからタイ協会、数えると随分いろいろとあると思います。これらが戦争中或いは眠つておつたのが大部分でありまするが、国際関係が復活すると同時に、経済、文化方面の交流及び必要が非常にエンフアサイズされておる今日、これらの外郭団体が大いに活動をしなければならない時に今面しているのではないかと思うのでありますが、こういうようなものに対して外務省は今後どういうふうにされるか、その御意向を承わりたいと思います。
○政府委員(柿坪正義君) お説の通り、戦争前はそういつたたくさんの国際親善団体がございました。外務省は或る程度補助もいたしておりました。ところが戦後は全然補助が打切られましたので、実は非常に行詰つているわけであります。 〔委員長退席、理事徳川頼貞君委員長席に着く〕 来年の予算には或る程度の増額を認めてもらいまして、各方面を動員いたしまして、国際親善の増進を図りたいと思つております。国際連合協会のごときもその一つでありますが、これは非常にいい仕事をいたしております。国際連合との協力というのは平和条約にも書いてある。ところが国際連合憲章一つ配れない。それをたくさん刷つてみんなに配るという金もない。国際連合というのは金を持つておりませんから。これに対して補助金も出しておりません。そういう国際連合の平和、殊に現在の日本の平和は危殆に瀕しておる。これは少し言い過ぎかもしれませんが、平和問題が非常にやかましくなつておる。こういう場合に国際連合の思想を啓蒙し、普及するということが非常に大事なのでありまして、こういう協会に対しても何とか財政的な援助ができればして行きたいというふうに考えております。又先ほどの国際文化振興会は、今非常によい仕事をしておるのでありまして、只今国際文化振興会のちよつと代りのようなことをやつておるのが日本交通公社、ところが交通公社は自分の利益のために、即ち外客の誘引に必要なようなものしか作らない。パンフレツト、例えば芸者とか富士山とか、而も英語だけしか作らない。我々はそういう芸者とか富士山とかいうようなことでなしに、日本の古来の美術とか文化とかいうことで真の姿を、英語のみならず、スペーン語でもイタリー語でも、あらゆる国語に翻訳して、視野を開いて、これは広く頒布して、そうして日本の姿を知つてもらいたい。又南方諸国では非常に日本に対する誤解がございます。この誤解は日本国とそれらの国との将来の国交の妨げにもなりますし、従つて貿易の伸長、経済協力の妨げにもなつておりますので、従つて日本としてはこれらの南方諸国、日本に占領されました南方諸国に対しては誤解を一掃する。今日の日本は戦争中の日本とは違うということを、本当の姿を知らせるのが一番大事じやないかと思つております。そういう観点からいたしまして、本当の姿というものを世界に知つてもろうということのために、できるだけ予算を頂きまして、一つ勉強いたしたいと思つております。
○理事(徳川頼貞君) ほかに御質問ございませんでしようか。
○曾祢益君 私遅れて来たんで、少し重複するかとも思いまするけれども、折角柿坪君が来ておりまするから、柿坪君でもよろしいし、或いは次官の政策全体についての御答弁でもいいのですが、今抱負経編を述べられて結構なんですが、実際今年の予算では文化事業費というようなものは取つているんですか、取つているとすればどのくらい取つているか。それを一つ……。
○政府委員(柿坪正義君) 私はよく知らないんです。少いということだけは知つております。どのくらいあるか知らないんです。
○曾祢益君 事業費というのは取つていないのですか。
○政府委員(柿坪正義君) 非常に少いのです。補助金的なものが出ているが、或る程度は事務局にはございます。だから細々ながらやつていることはやつているんです。
○曾祢益君 どういう予算のあれで取つているんですか。
○政府委員(石原幹市郎君) 予算書を持つておりませんので、ちよつと正確を期せませんが、例えば一例を申上げますれば、国際学友会なども出ておりますが、これは相当の予算を取つております。相当といつてもたしか四、五百万だと思います。そのほかは今ちよつと私の覚えておるものはありませんが、一例を挙げればそういうものです。
○曾祢益君 それで国際学友会だつて補助でしよう。結局補助金になるのでしよう。
○理事(徳川頼貞君) それでは伺いますが、その補助金とするならば、その標準はどの辺に立つのですか。何を標準として、或るものは補助を出し、或るものは補助をしないという、その標準はどこにあるのですか。
○政府委員(柿坪正義君) 民間の自力でできそうなものは成るべくやつてもらう。国家的に見て有効だけれども、どうしても金が出ないというものを手堅くたたきまして、計算して出すということになります。この学友会などは、その留学の希望者を言つて来ますから、何人ぐらい希望がある、それに対して大学のほうで何人ぐらい受入能力があるかということを調べまして、それで一人幾らという工合に割出してやつております。
○政府委員(石原幹市郎君) その学友会は、私も予算折衝のときに関係したので覚えておるのですが、東南アジア開発といいますか、そういうことと関連して、向うの留学生をこつちで教育するということは、非常に後進地の経済開発の意味でいいじやないかというので、大蔵省に足を運んだ記憶がありますが、そういう意味から、補助金の形で出るのか、どういう形で出るのか、ちよつと私記憶してません。
○曾祢益君 これは是非文化事業費として、結局補助金の恰好になると思うのですが、これは相当速かに、補正予算でも坂つて、そうして一般的に、徳川委員も御発言になつたような重要問題もありますし、今政務次官も言われたように、もう少し……、必ずしも文化事業だけでなく、東南アジアに対する技術援護というような、そういつたような政治的な目的も含めた、併し形としては文化事業、こういうものの費用をどういうふうにして出すかは別として、それからさつき柿坪君が言われたことも私は非常に重要なことで、労働組合なんかからも非常に要求があるのですが、ゼミナルや労働組合として国際会議なんかに、ものによつては文化振興の見地から補助の途を開く、これは確かに金持ちの団体だけ行けるということでないように、その途も是非開いて行く必要がある。そういうような事業の計画を立てられ、そうしてそれを予算化することについて、もつと具体的にこの委員会で諮つて頂きたい。協力したいのはやまやまだけれども、計画自身も何らここに諮られていない。ただ大蔵省と、官庁と官庁の折衝だけでなく、国会の援助をもつと具体的に求めるということを是非やつて頂きたい。我々としてはそういうものに大いに援助したい気持があるのですから、そういうことを申上げます。
○理事(徳川頼貞君) ほかに御質問ございませんか……。ございませんければ、本日はこの程度で散会いたします。 午後四時三十一分散会