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13回国会参議院1952/05/29

外務委員会 第34号

発言数
97
登壇者
9
会派数
5
開催日
1952/05/29

会議録

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 只今から外務委員会を開会いたします。前回に引続きまして、国際連合への加盟について承認を求めるの件を議題といたします。外務大臣が出席されておりますから、外務大臣に御質疑を願います。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 この間の委員会で私質問しましたのに対して、外務省のほうでその答弁が保留されておりましたが、それを一つ最初にお答え願いたいと思います。外務大臣が出られて大臣から答弁するということでありましたので……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私も大体の話は聞いていろいろ考えてみましたが、御質問と合わないといかんので、御質問に対して答えるようにしたら如何でしようか。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 それではこの間の委員会で、政府委員のほうから、平和条約の発効に従つて日本と連合国との関係というのが、降伏文書によつて律せられるのじやなくて、平和条約によつてとつて代られたという趣旨の見解を発表されましたので、それに関連していろいろ問題がありますが、殊に問題の中心となる点は、その見解を日本とソ連との関係にあてはめた場合に一体そういうことが言えるか、言えるとすればそこにいろいろ関連の問題が起つて来るが、それはどう考えているかということです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろ段階がありまして、前に条約局長ですか、そういう趣旨のことを述べたというのも、非常に正確な法律的な意見というのではないのじやないかと思います。政治的な意見も入れた上だと思いますが、私の考えでは、純法律的に言えば、例えば平和条約に調印した国であり、これを批准を了した国は、勿論これはポツダム宣言なり降伏文書なりがなくなつて、平和条約がこれにとつて代る。両国の間は平和条約によつて規制される。それから条約のない国、条約のない国というのは、条約を調印したけれども批准しない国についても、国交が回復すればこれは批准したと同様な関係とみなす。これは外交使節を交換するというようなことですが、それから更に新らしく条約を作るような国においても同様でございます。条約さえできれば。そこで、その他の国についてはどうなるかという問題になるわけですが、例えばサンフランシスコで調印しました四十八の国々があるわけでありますがこれは日本がポツダム宣言なり降伏文書の義務を真面目に実行したと、こう認めて平和条約に調印したものと考えております。従つてこの調印国につきましては、すでに批准を了した国は勿論でありますが、今批准を進めつつあるのでありますから、事実上はもう平和関係と同様の状態に入つておると私も考えておるのでありますが、ただ法律的にはまだ、極く正確に言えばそうはなつていない。併しこの関係はソ連でも同様でありまして、サンフランシスコの会議に臨んだということは、日本が降伏文書等の義務を実行したので、平和条約を結んでいいと考えたからしたのだろうと思う。ただ条約の内容について意見が合わなかつたので、サンフランシスコのあの特定の平和条約には調印しなかつたけれども、もう平和条約を日本との間に作り上げていいのだというところは、これはほかの国と同様だと思います。そこでソ連を、今お話になりましたから、ソ連を対象にして申しますと、今までの、何と申しますか、オーソドツクス的な国際法から言えば、現在の段階では法律的には、テクニカルにはステイト・オブ・ウオアと言いますか、状況にあると認めざるを得ないと思います。これはソ連のみならず、ほかの国においてもそうでありまして、例えば一、二の国が極く最近でも戦争状態終了の宣言をする。こういうことは、とりも直さず、法律的にはその前に戦争状態というものが存在していると見られるからだと思います。従つてソ連についてもテクニカリーには戦争状態があるのだということになり得ると思いますが、併し事実上から見ますると、終戦以来すでに七年に近い期間が経つて、この間戦闘行為というものは全面的に停止されておる。それからソ連と共同して対日戦争を行なつておつた大部分の国がすでに平和条約の批准を了しておるか、或いは戦争状態終了の宣言とか、国交回復の措置とかいうものをとつて、日本との間に平和関係を回復せしめており、又回復せしめつつあるのでありますから、日本とソ連との関係も実際的には今までの国際法だけの観念で律し得ないのではないかと思います。従つてポツダム宣言なり降伏文書なりの効力につきましても、ソ連もこういうものに対する日本の義務は履行されたと思つたからして、今申したようにサンフランシスコで条約を作ろうと、こういうところまで来たのでありますから、この点はすでにポツダム宣言なり降伏文書なりの日本に関する義務は履行されて済んでしまつておる。こう考えて差支えないのじやないかと思います。そこで他方においては、連合国による占領管理というものは、これはもう最高司令部等が消滅しておるわけであります。終滅しておる。従つて日ソ両国の間の今残つておるポツダム宣言なり降伏文書なりによつてまだ履行が完全に行われてないか、まだずつと引続き履行されるべき性質のものであると考えられる点は休戦といいますか、要するに両国間で戦闘行為をしないということ、及び抑留者の送還、こういう二つの点になるのじやないかと思います。この二つの点を除きましては、すでに降伏文書等は履行を尽されて、従つて自然に消滅していると、こう言えると思いますから、それから帰結してみますると、日本とソ連との関係は、事実上は休戦に関する一般の国際法の原則が適用されるべきものである、こう考えるのであります。連合国による占領とか、占領管理というようなものは今申した通り終了しておりますので、日ソ間の関係もこれはもう降伏関係でなくして休戦関係である。こう私は考えておるのであります。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 今の御説明は、結果的には大体私も同じ意見なのでありますがこの問題について国際法的の関係、これが問題が若し小さいものでありますならば、私はあまりそう重ねてお尋ねするつもりはないのですけれども、今後のソ連との外交の政策面からいたしましても、この問題は相当徹底した考えを以てやつて行かなければならんと思うから、少しばかりお尋ねしたいと思うのです。只今の、お話の中に、両方の戦闘行為の全面的の停止ということが一つあるのですけれども、これは降伏文書なりポツダム宣言の内容を見ますると明らかなように、連合国側の敵対行為の停止については一言も謳つていない。日本側の敵対行為の停止ということは明確に言つているけれども、連合国側のことについては何にも言つていない。そういう点から見て、この降伏文書というものの性質から見まするというとこれを従来の国際法の観念によつて休戦条約と見ることは当らないのじやないかと私は思う。そうじやなくて、やはり文字通りこれは降伏条約の性質を私は持つているものだと思います。ただそれに関連して多少附随する点がありますが、主たる内容をとつてみますれば、やはり降伏の条項をきめた降伏条約という性質のものだと思います。それからもう一つ、今までの平和条約ができるまでの連合国と日本との関係を考えてみまするというと、それがどういう関係にあつたかということを戦争状態というが、それがもう少し中味について言うとどういう関係か。国際法上から戦争状態というと、言うまでもなく戦時国際法によつて規律される関係ということに外ならない。その関係をもう少し分けると、つまり降伏文書というのが一つの規律する関係の基準、つまりこれが一つの特別法をなしておる。それからそのほかは一般国際法によつて律せられる。その一般法と特別法の両者によつて規律する関係にあつたものだと思う。そうして今度その特別法たる降伏文書の関係、降伏条約の関係というものは、成るほど今度履行によつて全的に効力を喪失すると解するのが本当じやないか。あとは一般国際法によつて律せられる関係になつて行く、その部分だけが残つている、こういうふうに解すべきじやなかろうかど私は思う。  それともう一つは、降伏文書の締結、つまり降伏条約の締結と共に、それと同時に黙示的に休戦的の関係が成立した。黙示的な合意によつて、つまり連合国側も敵対行為はしないという黙示的な合意があつたと見るべきじやなかろうか。黙示的な休戦関係、そういうふうに解するのがずつと具体的に当つて見て事実に合致しているのではないかと私は思う。従つて依然として黙示的な休戦関係というものがあるからして、それが一般国際法の適用によつて、今戦闘行為の停止、敵対行為の停止ということがやはりまだ続いている。そこで一つ問題として残るのは俘虜の関係が残るわけですけれども、これはむしろ一般国際法と言いますか、或いは国際条理と言いますか、人道的の問題と言いますか、或いは自然法的な関係というか、むしろそつちのほうによつて律せられる関係になつて行くんじやないか。降伏文書の中、或いはポツダム宣言の中で、見方によつてはこちら側の都合のよいところだけが残る。そうでない部分は消滅するとかいうのは、これは不合理なきらいがあるのではないかというふうに考える。いずれにしましても、併しこの間言明されたソ連との関係も含めて、一般的に平和条約によつて降伏文書にとつて代られるという関係は、これは降伏文書にとつて代られるものは平和条約じやないのだから、ソ連との関係においては……。そういうことはいけないのじやないか。そういう点どういう……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 私も、一般的な国際法の大きな枠があつて、その中で特定の問題について降伏の文書は作られておると考えております。但しその意味ではポツダム宣言もやはり一種の特定の問題を連合国側できめたものだと思います。つまりポツダム宣言はいろいろ見方もありましようけれども、「吾等ノ条件ハ左ノ如シ」と言つて、この条件についていろいろの日本側との交渉はしない。併しながらこの条件は日本側が無論守ること掛当然であるけれども、連合国側もこの条件に縛られるのだという意味と我々は解しておるのであります。ただその条件を交渉によつて、ネゴシエイシヨンによつていじらないという点が、私は当時から連合国側で言つておつた無条件降伏という内容であろうと、その当時からラジオ等で始終日本に呼び掛けていたのはその趣旨であります。そこで無論国際法の観念から言いましても、日本側に対して戦闘停止を約束せしむる降伏文書を作つておつて、相手方のみが戦争を続けるというようなことはこれは考えられない話でありますから、降伏文書を調印して、列国もこれに対してサインした以上は、あなたの言われるような黙示的な休戦ということは双方、これは私は当然だと思います。それのみならずポツダム宣言の最後のところの第一項の一番終いのところにも、「今次ノ戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ」と、こういうことできまつておるのであります。ポツダム宣言の目的は戦争の終結ということでありまするから、いずれにしてもこの戦闘行為の中止ということはこれは両方であつて、日本だけがしないで、向うが幾らでもやつて来ていいと、そんな意味でないことは私当然だと思います。従つて履行された部分は全部これはもう済んでしまつたことである、こう考えるのは当然だと思います。  俘虜の送還ということについては、一般の国際法の観念から言つてもこれは送還すべきものであることは当然であります。又特殊の規定において俘虜を送還するということもあるのでありますから、これは私はいずれにしてもその義務は連合国側に残つておると、こう思うのであります。  先ほども私から申したように、平和条約が全面的に今直ちにすべての国に対して、降伏文書なりポ宣言なりにとつて代るというのほこれは少し言い過ぎだと思うのです。今申したように、批准を了したという国については、これは無論特定的にとつて代ります。調印したけれども今批准中だというのは、今とつて代りつつあるというふうに言えるのじやないか。その他の国については、今申したように休戦関係ということは残る、こう思つておるのであります。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 次に将来に対する関連を持つて行きますのでお尋ねしますが、戦争終了の方法として、インド等が例の戦争終結の宣言をやつておるわけです。戦争終了の方法について、一方的の意思表示によつて戦争が終了し得るという見解であるか、戦争終了には合意を必要とするという見解であるか、その点をちよつとお伺いしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これも私は非常な専門家ではないので、むしろ杉原君に教えて頂きたいくらいに思うのですが、過去の例を見ますると、必ずしも一定していないように私は思います。例えば戦争終了のために平和条約等を結んだ場合には、これは無論合意の上であろう。或いは平和条約を結ばなくても、事実上の外交関係を再開するとか、或いは通商航海条約を作るとかいうような実際上の措置によつて、戦争が終つて平和関係に入るという場合もこういうようなものができるのでありますから、双方の合意によると思います。併しながら稀な例ではあるけれども、戦争をしていて途中で戦闘行為がだんだんなくなつてしまつた。もうかなり時日がたつたために、自然に戦争が終つて来ると認められる。その間に又ぼつぼつ一方の国から何か使節が出るとか、或いは他方の国から条約交渉があるとか何とかいつて、事実上戦闘行為が終止し、それから自然に、何らの特殊の措置をとらずに、自然に戦争が終了して平和関係に入つたと見られておる国際法の本等には幾つも載つております。こういう場合には必ずしも合意というようなはつきりしたものでなくして、自然にそうなつたと見られる点もありますので、まあいろいろ一定していないというより仕方がないと思います。が、これはむしろ国際法的にいえば、一般にもうあの国とあの国とは、戦争は前にしておつたのだけれども、だんだん何年かたつてしまつて、平和関係に入つたと、よその国が認めておるので、その国自体はそう考えていないかも知れないが、そういう事態のあることは国際法の例にしばしば見るところであります。ただ、現実の日本の場合につきましては、今までのところ戦争終了宣言というようなものをする場合におきましても、常に日本政府と協議をしまして、相談の上でやつて来ておるのでありまして、現実、この我が国の場合におきましては双方の合意によつておる、こう見られるのであります。これは今申したように、自然に戦争が終つて平和関係に入つておるという状況でなくして、戦争終了宣言をやると同時に外交使節の交換をやるとかいうことがついて来るものですから、事実上相談をして、協議の上、合意によつてできたというのが日本についての実情であります。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 つまりインドやその他のいわゆる戦争終結宣言をした国との関係において戦争が終了したという効果が発生するのは、それらの国が一方的に宣言を発したということによつて直ちに戦争終了の効果が発生するのじやなくして、日本側との協議、つまり合意によつてその効果が発生した、こう認めてよろしいのでございますね。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) この点は、私少し御意見が違うかも知れません。というのは、日本は降伏文書に調印しましてそうしてこちら側としてはもう戦争はしないことに、戦闘行為は停止しておるわけであります。それから事実日本の置かれておる地位からいえば、一つの国でも余計に戦争終了宣言をやつて平和関係に入ることが望ましいのでありますから、一方的に戦争終了宣言を仮にやつたとしましても、日本としては異議を申すべき理由はないと考えます。従つて仮に一方的にやりましても、私は、日本としてはその効果を認めるつもりであります。ただ事実上一方的にやつておらない、こういうことでおります。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 その次に一つお尋ねしたいのは、ソ連との関係ですが、やはりソ連との関係においてこの今の戦争終了宣言というものを考える場合に、日本側から戦争終了の宣言をするということは法律的に可能であるか。政策上これをすることは別として、法律上可能であると考えておるかどうか。どういう見解ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) この点は、今杉原委員のおつしやつたのは、日本側が先方の意向を別段考慮することなくして、一方的に戦争終了宣言をやれる。それができるか……。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 法律的には可能であるかという……。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 日本側としては、ちよつとこれは問題だろうと思うのでありますが、この点はもう少しよく研究しましてお答えします。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 よろしうございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 先ほど杉原君と外務大臣との応酬に関連いたしまして、私は外務大臣がこの平和条約と降伏文書との関係についていろいろ説明された点について、必ずしも納得しない点もあるのですが、例えばソ連も平和会議に出席したいだから、従つて日本が降伏文書或いはその内容であるポツダム宣言を履行しておると認めるようなお話がありましたが、現実にはソ連はあの会議の席上、いわゆる代案と言いまするか、ソ連の修正案というものを出して、その中に、例えば日本の民主化ということを平和条約の中に更に約束させるといつたような項目を入れておるという点から見ましても、ソ連の意思としては少くとも、降伏文書及びポツダム宣言の内容を日本が従前に履行したから、そういう見方であの平和会議に出て来たものとは考えられないのであります。併しこの問題は、なぜ杉原委員或いは私も外務大臣の改めて御答弁を要求したかと言いますると、西村条約局長の答弁を私は知りませんが、過日の本委員会における政府の答弁では、少くとも日本とソ連との関係が法律的にいわゆる平和条約第一条に基く二十三条を引用したところの平和関係でないことはこれはわかつておりますけれど、併し一方において政府の言い方のように、降伏文書或いはポツダム宣言は日本が平和条約を結んだために完全に履行されつちまつた、或いはシユーパーシードされたという見解だけで、果してソ連と日本との然らば如何なる法律的関係が残るかということを非常に危虞されましたので、御質問したわけです。そこで降伏文書そのものの国際法上の性質についていろいろ見解はあろうと思いますし、或いは杉原委員の言われるように、降伏文書は飽くまで降伏条約であるが、併し現実には降伏に伴う、降伏文書調印に伴うたその後の事態等から見ましても、事実上の休戦というふうにも見られましようし、或いはポツダム宣言そのこと自身が一つの軍隊的な無条件降伏、いわゆる降伏に関しての戦争終了宣言のネゴシエーテツド・ピースでないという格好はとりつつも、やはりこれは終戦への一つの大きな意味の政治的な連合国側の契約ともとられるという見方もございましよう。従つて結果論から言うならば、少なくとも現在日本とソ連との関係においては、事実上の休戦の約束ができたと同様の関係はこれは残つている。少なくともそれが平和条約第一条と第二十三条に基く完全な交戦関係の終了でないという理由を以て、直ちに日ソ関係は然らば現実的な戦争でも、戦時国際法の適用を受けるものでもない、この点を先ず明らかにしておくことが非常に重要であると思つて、まあそういう意見を述べつつ政府の御見解を求めたのであります。その結果から言うならば、その点は休戦的効力はあるということでございまするから、従つてそれに関連して、降伏文書の一部分がまだ効力があるとかないとか言うことは、私の見地から言えばやや第二義的になるように思うので、その点は深く問題にいたしません。私は、日本としてはこのいわゆる軍事占領に伴うところの日本の民主化等の義務はこれは履行している、かように考えてよろしいと思いまするが、その点はいずれにいたしましても、問題は飽くまで日本とソ連との現状における平和条約以後の事態の法律的な性格、これをお尋ねしたわけですが、その点については、政府が言われたような休戦関係は残るのである、而してその点については降伏文書の調印と、それに伴うその後の事態というものが何ら変るものでない、これは平和条約によつて効力が変つたのではないという意味だと思いますので、その点を了承いたします。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) ほかに御発言ございますか。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 私は岡崎大臣でなければちよつと答弁しにくいだろうという問題を持つているのですが、だが、昨日から降伏文書と平和条約との関係なぞについての論議かあり、それについて大山先生からお尋ねがあるようですし、私もちよつとそれを質したいと思つておりますが、この数日の議事の進行と睨んで、どういうふうに私の二つの事項の質問を委員長はお許し願えるでしようか。これは岡崎国務大臣のこれからの今日の時間の都合もございましようし、それによつてどちらの質問を先にするか。つまり大山委員の御質疑のほうを先にされるか、私の……私は国連軍の今後の駐留に関する問題について、これは一つやはり大臣でないと都合が悪いと思いますから、それを質したい。それとも今の問題、どちらがよろしいですか。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 速記をやめて下さい。    〔速記中止〕

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 速記を始めて

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 私の大臣にお尋ねしたいのは、日本に駐留する国連軍が、講和発効後九十日以内に日本を去るということになつておりますが、これについて目下日本政府は誰とどういう交渉をしておられるか、大臣から御発表願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍が九十日以内に日本を去るということはどこにも書いてありません。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そうすると国連軍は、あなたの解釈によると無制限に日本に駐在するという御理解ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これはサンフランシスコで行ないました吉田・アチソン交換公文、これは国会の承認を得ておりますが、これの規定に基いて行われるのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 即ちどういうことになりますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 「将来は定まつておらず、不幸にして、国際連合の行動を支持するための日本国における施設及び役務の必要が継続し、又は再び生ずるかもしれませんので、本長官は、平和条約の効力発生の後に一又は二以上の国際連合加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には、当該一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容易にすること、」こういうことになつております。これを承知しております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そうするとどういうことになりますか。どういう方針を持つておられますか。国連軍に対する講和発効後の措置としては。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) この書簡の通りで、平和条約の効力発生後においても、一又は二以上の国連加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には、このような加盟国の軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本が許している。ですからそういう事態があれば、日本国はこの軍隊の日本国内にいることを許容いたします。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そういう文書に基く抽象的な議論ではなくて、具体的に現在朝鮮で国連軍の名の下に戦つております。その国連軍が今後日本に出たり入つたりする、現に日本の基地を使つているわけです。日本の基地から爆撃が行なわれ、日本の基地において艦船の修理が行なわれ、日本から特需の形で軍需品が買われて、現にそれらが行なわれているわけです。その国連軍、講和発効後に日本政府はこれに対してどういう方針を持つべく、どことどういうふうに交渉しておられるかということをこの外務委員会において御発表願いたい。こういうわけです。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは交渉する問題ではなくして、すでに交換公文を国会において承認を受けておる。従つて国連軍を日本国内に置くことを日本政府は許容しております。それは国会の承認を得た上でやつておるのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そうすると九十日以内に日本を去るのではなくて、今後国連軍は日本に残ると、残る方針ですでに国会の承認を受けて、さように政府は取計らつておられると、こういうように了解していいのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 九十日というのは占領軍の関係の規定でありまして、国連軍とは全然関係はない問題で、国連軍については、平和条約効力発生の後に極東において行動する必要がある場合に、日本政府としてはその軍隊の国内における駐留を許容するということを国会で承認を得まして認めておるのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 だから許容するかしないかの問題ではなくて、許容するにきまつておると、こういうふうに言われるのですね。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そのために国会の承認を得たのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 それではそれについてお尋ねいたしましよう。然らばこの解釈そのものについては、論議の余地が十分ありますから、これは質疑としてはこれ以上論議に亙らないことにして然らばこのあなたの解釈の通り、国連軍が日本国に今後必要な限り長く残るといたしまして、裁判の管轄権、駐留の費用、軍事基地の利用、公共施設、関税、出入国等に関する特権、これらについてどういう方針で駐留を許容するかということについて、その具体的な方針、及びこれについて誰とこういう問題の折衝を現在しておられるか、或いは今後誰と折衝しようとしておられるか、この点を一つ具体的に外務委員会において公表願いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 一国の軍隊が他国に駐留する場合には、国際法の規定及び国際慣例に基いて一定の特権を付与されることになつております。その範囲の特権は日本政府としては当然付与するつもりでおります。  それから費用等の問題については、これは交換公文をお読み願いますと結構ですが、この交換公文の中には、「日本の施設及び役務の使用に伴う費用が現在どおりに又は日本国と当該国際連合加盟国との間で別に合意されるとおりに負担されることを、確認する幸栄を有します。」ということになつております。なお「合衆国に関する限りは、日本国と合衆国との間の安全保障条約の実施細目を定める行政協定に従つて合衆国に供与されるところをこえる施設及び役務の使用は、現在どおりに、合衆国の負担においてなされるものであります。」交換公文にこう書いてあります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 それから基地と、それからその他の公共事業、公共施設、関税、出入国等の特権についての方針は如何ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 日本においては基地というものはないのでありまして、その他税とか、公共施設とかは一般外国軍隊が他国に駐屯するときの国際慣例にならつてこれを供与いたします。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そうすると、あなたの表現は非常に不十分ですが、言い直して見ると、こういうことになるとおつしやるわけですか。政府の方針は、裁判の管轄権についても、駐留の費用についても、基地という文句があなたは気に入らないのでしたら、日本語を英語に直して言つてもいいです。英語でも結構です。エアリア、フアシリテイという言葉を使われても結構ですが、そういうもの、公共施設、公共事業、関税、その他の特権、これらは安保条約に基いてアメリカ軍に許容するところの治外法権その他のやり方に大体同じものを連合国、国連各国の軍隊に対して許容する方針である、こういうように了解していいのですか。そうでないとすれば、アメリカの軍隊に対して安保条約及び行政協定に基くものとどういう点において異なるか、例えば裁判の管轄権についていえば、我々は承認できないようなこの治外法権を吉田政府はやつておられるが、これは我々承認できんのでありますが、これを又イギリス、フランス、イタリー等の国連十数ヵ国或いは数十ヵ国までこれを拡大して行く。駐留費用、それから基地、公共事業、関税、出入国の特権等々において又同じ、こういうふうにあなたの説明から行くととれるのですが、多少細かな点については違うにしても、基本的な点においては同一である、同一の方針であると、こういうようにあなたの説明からとれると思いますが、そうとつて正しいかどうか、もう少し具体的に一つ御答弁を願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 先ず第一に、私は治外法権という言葉に異議を申立てます。これは前にこの当委員会においても盛んに論議された通り、治外法権というものは絶対にないのであります。  第二に、行政協定によるものは、その当時説明いたしました通り、国際法及び国際慣例は一、二方針的にこの原則がきまつていても、実際の適用については必ずしも一つになつてはいない。そこで行政協定によつてはつきりさしたものでありますが、元来日本政府がアメリカ軍隊が日本に駐屯することを依頼しまして、日本の直接の安全を保障するために来ておる、こういう軍隊であります。国連軍は朝鮮において、今その行動に従事しておるのでありましてこれは勿論日本の安全の保障にも非常な大きな関係があるのであります。むしろ日本の安全保障のために戦つておるとも言えるくらいなのでありますから、これに対してもできるだけの便宜は供与したいつもりでありますが、必ずしも行政協定と同様にはならないのであろうと考えております。そこでこういう点で、原則はわかつておるけれども、細かい点ははつきりきまつておらないというのでありまするから、できるだけ早く別個の協定を結んで、はつきりしない点ははつきりさせたいと、こう思つております。併しそれができるまでは、一国の軍隊が外国に駐屯する場合の国際法、国際慣例に準拠しまして、一切の特権等を処理するのでありまして、若しその点で双方に意見が合わない場合には、事件が起つたときに、個々の事件について交渉をいたして、その特定の事件の解決に当る。これが過去において各国でもやつておりました例でありますから、その方法に従つてやつて行つて、できるだけ早くはつきりした協定を結びたい、こう考えております。その内容はこれは話合いをして見なければわかりませんのでありますが、又原則的にいえば仁政協定よりも多少特権の範囲等が少いものになろうと考えております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 大分はつきりして来たのでありますが、そういたしますと、誰と交渉するかという、誰といつ交渉するかというその内容の問題になつて来ますが、誰と交渉をするかという問題について、一般的に国連軍というものを相手にするのでなくして、それを構成しておる各国々と個別的に今後なさるという方針ですか。或いは現にしつつおられるのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 只今も下話を進めておりますが、これは国連軍司令官が各国連軍を代表して、日本政府と話をしております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 そうすると、国連軍の司令官がやつておられるというわけですね。そうしてその方針は、行政協定より幾らか厳格なものであると言われますが、その内容が、これは日本国民としては最も問題になる点なんですが、治外法権という言葉とか、軍事基地という言葉が大分外務大臣はお嫌いのようだから、もつと適当な他の熟語によることにしますが、裁判の管轄権、これは如何ですか。あなたの言われる属人主義というようなものでやられるのですか。それとも日本の国土においては如何なる国の、外国の軍人であろうと、家族であろうと、軍属であろうと、日本の国土において犯した犯罪は、日本の裁判において、日本の裁判所においてこれを裁判するという原則は、今度のアメリカを除く国連各国に対しては貫徹されるのですか、如何ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 国際法を御覧になるとわかりますが、一国の軍隊が他国に駐屯する場合には、裁判管轄権についても特権のあることは明瞭であります。又ソ連とルーマニア、ブルガリアその他の国との軍隊の駐屯の状況を見ますと、これは全部排他的に裁判管轄権をソ連側に保留しております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 軍属及び家族は如何ですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そういう問題は将来の交渉の一つの題目であります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 次に駐留の費用は、アメリカとの関係では半分のような形をしているが実質上は半分より遙かに大きな部分を負担することにいろいろ計算してみるとなつておるのですが、この駐留の費用についてどういうような方針を以て交渉をしつつあられるのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) アメリカの負担が事実上日本の負担よりも遙かに少いとおつしやるならば、その数字的根拠を示して頂きたい。国連軍との費用の問題は、先ほど読み上げたような吉田・アチソン交換公文によつて行われるのでありまして、これも「別に合意されるとおり」という文句があり、これも今後の交渉の一つの題目であります。併し原則としては、国連軍側の国連軍による費用は自分のほうで払う、こういう原則を立てております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 次に区域及び施設ですが、区域及び施設で権利、権能、権力、あらゆるオールマイテイを持ち、最近では富士山の頂上まで欲しいというようなことが問題になつているようですが、ああいうことを国連軍の十数ヵ国、数十ヵ国にやられますと、非常に困ると国民は考えておりますが、区域及び施設について、演習場、それから飛行場をも含めまして、国連軍の駐留によつて更に区域及び施設、演習場、飛行場の滑走路などはこれ以上殖えるということについてはどういう方針を持つておられますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) 国連軍でも日本に軍隊として駐留を希望しておるのは英濠軍のみでありまして、ほかの国は休暇等によつて日本に来て休養したり、病院に入つたり、そういうことの希望は無論あるのでありますけれども、軍隊として日本に駐留するという希望は聞いておりません。なお英濠軍につきましても、今までの占領軍として使用している施設及び区域よりは狭い範囲だけで国連軍としては足るものと了解しておりまするが、その範囲については只今実地に当つて検討中であります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 検討中であるが、殖えることはないであろうというふうに了解できますか。そうは行かないのですか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) そうお考えになつて結構だと思います。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 それから公共施設、公共事業、水道、ガス、道路、その他関税における特権、それから出入国などの特権について行政協定のやり方については、国民はひとしくこれは唖然としているわけですが、羽田の飛行場のごときも一体どこの国の飛行場かというようなことが或る新聞にさえ載つているような状態になつているが、国連軍についてもかような特権を認められるという方針になるんでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○国務大臣(岡崎勝男君) これは将来の問題で、今下交渉をしつつありまするが、軍隊に対して国際法の認めている範囲の特権は認めるつもりであります。なおたびたび例に出して恐縮でありますが、東ヨーロツパにおけるソ連軍の飛行場等はこれは到底羽田のような問題でないことは(笑声)各種の協定等によつてはつきりしております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 これは時間が大体不足で、時間が参りましてちよつとあれのようですが、この問題は国連に加盟する問題について幾つか根本問題がございましようけれども、国民の利害に関する点については私非常に重大な問題たと考えます。そして台湾の問題或いは朝鮮の問題で、この政府のやり方は国連軍の名の下に日本が戦争に引込まれる危険性を多分に包蔵しているから、やはりこういう点は明快にしたいと考えますが、今非常に時間を考えてやつたので、大体は明らかになりましたが、まだ二、三質したい点は機会がありましたらしたいと考えますので、いずれ今のソヴイエトとの関係、降伏文書との関係、ポツダム宣言等の関係で、大山委員それから杉原委員等にも関連して、あとで又時間がございましたらその機会を与えて頂きたい。今日はこれで……。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 外務大臣が退席されますが、なお政府委員がおられますから、若し政府委員が御質問に答えて差支えがないとお考えであれば質疑を続行いたしたいと思いますけれども、如何ですか、これで打切りますか。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 昨日でしたか、私質問を残しておいたと思うのでありますが、そうして又政府から御答弁をもらつたのでありますが、それは甚だ不十分であつたというようなわけで、改めてお答え願いたい。  それは第一は侵略ということに対してどういう考えを持つておられるか。漠然としているような考えしかない。標準も何もなしにその場その場できまるものだという御答弁であつたけれども、これでは国際連合というものはすべてつまらんもので、国際連合への加盟について承認を求める件というものをお出しになつても、これではみずから参加をしないようにと言つておられるようなものだと思うのでありますが、もつとはつきりした具体的にどのくらいなものの標準があるのかという標準をはつきりして頂きたい。その場その場で現実的にきまるのだというのでは国際連合に加入するなと言われるのと同じことだ。まさかそういうつもりで国際連合に加入することの承認をお求めになつたのじやないと思う。こういう点をはつきり御答弁を願います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) これは国連憲章を議しましたときのサンフランシスコ会議におきましても、やはりいろいろ議論は出たようでありまするが、併しこれを基準をきめるとか、定義をきめるとかいうようなことはなかなか困難である。抽象的に言いますれば、他国の領土、主権、独立を侵すとかいうようなことが言えると思いまするが、結局理事会においてそのケースによつて決定をして行こう、こういうことになつたように承知をしております。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 それでは全然標準がないというお考えなんですか。

須山達夫外務省国際協力局第一課長

○説明員(須山達夫君) 侵略の定義につきましては、国連の総会はこの問題に取組んで、一昨年の秋の総会と今度の総会においても或る程度の論議はいたしております。併しながら侵略の定義を出すことが可能であるということと、その他のことを実際議決しておりますけれども、まだその定義そのものを決定するには至つてはおらない状況であります。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 それでは侵略の定義もわからないのに、侵略のあつた場合にはこうこうこういうことをするという非常に重大な条項を設けたというのはどういうようなお考えなんですか。  それからもう一つ、これは分けてでなくても一緒にまとめて質問してもいいと思いますが、侵略ということは我我の常識は、国際法ではどうなつているか知りませんが、併し我々の常識では国と国との間のことであると思うのであります。即ち一ヵ国が他国を襲撃する、そういうときに侵略の問題が生ずると思うのであります。併し政府のほうでは必ずしも国家と国家との間のことではなくても一国の二つのセクシヨンが相争うときにも侵略ということが生ずるというそういう考えでおられるのですか。この点をはつきりと聞きたい。つまり侵略に対する大体の標準を……。もう一つは今いわゆる国家と国家との間のことでなくても侵略という問題が起り得るか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 先ほどもちよつと申上げましたように、侵略ということは極めて抽象的に言えば、他国の領土を侵す、或いは主権を侵害する、独立に脅威を与え、独立を侵す、こういうことが一応侵略ということに該当すると思います。  それから第二の朝鮮の問題でございまするが、これは当初におきましては、国際の平和を害するというようなことであの発動が行われたようでありまするが、その後中共方面でこれを支援しているというような情勢等が判明して来るにつれまして、只今のような状態になつた、こういうふうになつたと承知しております。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 私は国際連合のこの安全保障理事会で侵略だというふうに決定したと、こういうふうに聞いております。それから日本の政府も頻りにあのときに北鮮を見ろ、北鮮の侵略だと、それをアメリカのほうで追つ払つてくれているから日本は安心していいのだということを繰返し繰返し政府は言つておられます。今日は材料を何も持つておらないので、これを突きつけることはできないのですが、たしか二十五日か二十八日かの安保理事会で、北鮮を侵略者と見るというふうに言つたと思うのですが、次の委員会で材料を提出してもらいたいと思います。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 大山君に伺いますが、答弁は要りませんか。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 答弁を聞きたいと思いますが、このままの答弁ではいつまでたつても時間が空費されるばかりだと思いますから、資料を提出して根拠を示して頂きたい。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 関連して……私は今大山委員の御質疑の問題は、国連加盟の問題について最も根本的な問題の一つだと思うので、而もそれは今政府委員の答弁を聞いていると、何か大学の研究室か何かでやるような答弁で、それなら親から学費でももらつて研究会でもやつたらいいでしよう。併し私たちが問題にするのは、第一に朝鮮の現実の問題は、停戦協定が一歩誤まれば満州の爆撃が行われて、アジアの平和が即刻覆えされる。この問題が一つの現実的な政治問題としてのしかかつておるということ。それから第二に台湾は、若しも蒋介石政権が大陸反攻と称して大陸へ攻めて行つたときにこれは侵略であるかないか。それから逆に中華人民共和国が正当なカイロ、ヤルタ、ポツダムその他の協定及び条約に基いて台湾は領土なりとして、これを解放のための戦争を実行した場合にこれは侵略と見るか見ないか。直ちに朝鮮問題から台湾の問題、続いてビルマの問題、ヴエトナムの問題、あらゆるアジアの国々においては侵略の問題をどう解釈するかという、この解釈が基本的な今後の日本の国民の運命をゆさぶる問題である。だから大山委員が聞いておられる。それに対して政府委員は侵略の定義さえ大学の研究室か何かのような答弁しかできんというのなら出直してもらつて、そしてはつきりと朝鮮の問題、先ず朝鮮の問題に対して明確な態度、我々と意見が一致しかくてもいいのですよ、政府が明確な能度を以て国連加盟の、今後かような方針の下に国連に加盟をするのだ、そういうことを明確にして欲しい。  続いて台湾の関係について私は関連質問として、蒋介石の大陸反攻の場合にこれは侵略であるかないか、或いは中華人民共和国の解放の旗印の下に行われるこの台湾に対する攻撃、これは侵略であるかどうか。こういう歴史の日程にすでに上つている、次に日華条約というものがすでに予備審査として提出されて来ておる、こういうふろに現実の政治と極めて関係し、明日の、一年二年先ではなくて、明日の日本の運命に関係ある問題、これが侵略という定義の論争になるのだから、こういう点についてはそういうお座なりの答弁だつたら即刻この委員会は閉鎖して、もつと政府は研究して出直して来て、大山委員の御質疑に対して答える、台湾問題については明確に答弁できなければ、そのときはちよつと待つて下さいと言つて引下つたらいいと思う。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 兼岩君からいろいろのお話でありまするが、先ほども言いましたように、国連憲章を議するサンフランシスコ会議においても又その後の総会においても、侵略の定義ということについていろいろ論議を交されたけれど、今日までまだいわゆる定義というものを下すことは結論を得ていないということを申上げたのであつて、あなたは何か我々が研究室の話みたいなことをするというようなお話だけれども、あなたの質問自体も逆に言えば我々そうとれるので、それで侵略ということはどういうことであるかと言えば、一応抽象的に言えば領土なり、主権なり、独立を侵すことがこれは侵略である、こういうふうに私は申上げておきます。  それから朝鮮の今回の行動につきま川して、大山委員から資料ということでございますから、資料というのはどういうことかわかりませんが、当時の安保理事会等で決定されたときの議事録というか、こういう意味であろうと思います。これはいずれにしてむ安保理事会がきめたことでありますから、その当時の記録をできるだけ集めまして、資料として何したいと思います。先ほどちよつと触れましたように、これは国際平和の破壊であるから、こういう行動はやめたらどうだという一応の勧告というか指示をした、併しそれに対してやめない、これでは国際の平和は侵される、侵害されるかも知れんというところであの行動は開始されたと思うのでありますが、その後翌一九五一年の二月一日におきまして、この総会において中共政府は朝鮮においてすでに侵略をしているものを直接援助したことにより、みずから朝鮮において侵略に従事しているものと認めると、こういう総会において米国提案を基礎とする中共非難決議案が採択もされておるのでありまして、こういう関係からいたしまして、朝鮮において米軍の行動が行われるとこういうふうに私は考えております。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 僕は、あなたが僕の発言をさようにとられるのは心外だと思います。政府は何か研究のための研究や、何か遊び半分にこの委員会をやつている、そうではなくて国連へ加盟するという重大な案件を出して来ておられる、そして国連に加盟という事実が、台湾で一歩誤まれば、或いは朝鮮の問題でも現実に起つている問題が一歩誤まれば、直ちに日本の国土を焦土とし、或いは日本の青年を肉弾とするような事態に発展して来る、政府の方針によつてそれは明らかである。従つて、そういう重大な案件を出す以上は、侵略という問題について、我々と意見は一致しなくていい、当然一致しない、全く正反対だから。政治的責任を以て独立国日本の政府として、日本の外務省として、外務当局として侵略という字句を、朝鮮については、及び台湾についてはこういう理解を持つておるという点及びその論拠をこの国会において明確にしておかれる、そうしなければ政治的責任はあなた政府としてとられないじやありませんか。そのための論議であり質問であるじやありませんか。そんな青じろい誰かが何と言つた、そしてこういう議論もある、ああいう学説もある、そんなことは必要ない。そういうことに触れてもいいだろうが、私たちは政治的責任を以て将来誰が戦争の犯罪人であるかということが問題になつて来る。必ず歴史的な裁きの日が来る。従つて政府は、いいですよ我々と全然違つた意見であつていいです、併しながらその論旨とその態度を明確にしておくということが第一に政治的責任として必要であり、そして現実の問題が起きて来たときに、台湾なり朝鮮で現実の問題が起きて来たときに、必ず全国民に訴えて、そして全国民的な規模においてこの問題を解決しなければならんじやないか。従つて侵略の定義についてもう少し責任のある、内容のある明確な答弁をあなたはすべきではありませんか。台湾の問題については併せてその所見を展開して下さい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) この国連加入の議題もすでに衆議院、参議院を通じまして、たしか一ヵ月近く論議されておると思うのでありまして、我々も衆議院、参議院を通じまして、いろいろの御質疑にできるだけ誠意を以て答えて来ているつもりであります。侵略のことをくどく繰返されるようでありますが、これは侵略の定義はどういうことかという御質問でありまするから、その定義はなかなかこれはむずかしい、実は国連の総会でもまだはつきりした定義を下し得ない状況であるということを私は言つたのであります。併しながらこれは大体先ほど言つているように侵略ということは、領土なり、主権なり、独立を侵すことが前提となつての平和の破壊でありまするから、抽衆的に言えばそういうことであろう。それからいずれにいたしましても、今回の朝鮮における措置は、国連の理事会において決定されたことでありまして理事会の多数を以て決定されたことであつて、多数の国が侵略と認めて行動を起しておる。その国連の行動なり、平和の維持、破壊防止のために協力をして行くということはこれは民主主義の国家として当然であろと思うのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 それが独立国日本の外務次官の態度ですか。あなたは、あなた任せですか。国連任せですか。日本の平和を維持し、日本の国民を保護する必要からいつて、国連へ加盟する必要があると考えて案件を提出しておられるならば、当然侵略についてどこでどういう学説があろうとどういう議論があろうと、政府の見解は明確であり、侵略に対する明確な規定を……、定義と言つて悪ければ規定と言つてもいいです。概念と言つてもいいです。それをはつきり持つて、そうしてさような侵略に対抗して日本を救うためには加盟が必要であるという、さような方針の下に案件は提出されておるのでしよう。然らば、大山委員は、非常に学術的な質問の仕方をしておられますが、私は関連的にもつとそれを政治的に引き直して、朝鮮において北鮮が南鮮に対してとつた行動を侵略と認められるのかどうか。国連軍の名のもとにアメリカは他国の領土に兵隊を進めておることを、我々はアメリカ側の侵略であると考えざるを得ないけれども、併し政府はそうでなくて北鮮が南鮮に侵略した、鴨緑江まで攻め寄せられて来た場合に、止むを得ず中共の義勇軍が出たのを以て、中共が朝鮮或いはアメリカを侵略したというように解釈しておられるかどうか、これは現実の問題。それから台湾で今大陸反攻が起きた場合及び中華人民共和国が台湾の攻撃をあえてしたときに、それを侵略というあなたの、政府の現在持つておられる規定からしていずれと解釈されるのか、この二点に互るおのおのの二項目の点を明確にされることなくして、こういう案件を提出されるというのなら、むしろ撤回されたらどうですか。そんなことが明確にできんような態度なら……。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 日本は国連の決議がありまして、それに基いて勧告があつたわけでありますが、それを我が国としては正当とみずから認めてこれに協力しておるのでありまして、先ほど兼岩さんが言われましたいろいろの話とは我々は全く見解を異にしておるのであります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 答弁が残つております。そんなものは私の質問に対して何分の一の答弁にもなつていません。朝鮮と台湾の問題について明確にして下さい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 具体的に言つてくれ。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 具体的に言つたじやないか。あとで速記録を渡してやつて下さい。どうも耳からは入らんらしい。目から入れたほうがいい。僕があれほど正確に朝鮮と台湾について、私は非常に発言しにくいのですけれども、努力して申上げているのですがね。あとでそれでは……委員長それでは私はやめますから、だから先ほどの速記録をよく読んで、次の委員会で答弁して頂きたい。そういうことを要求いたします。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 ちよつと関連して……、先ほどの兼岩委員の御質問に対する答弁の中で、政務次官は理事会で多数を以て侵略ということをきめたと言われたが、私はそういう事実はないと了解するのですが、その点はつきりしておいて下さい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 最初答えましたときに総会と答えておつたつもりでありまするが、総会の決議によつて……。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 さつきそう言われたから、総会ならわかるけれども、理事会じや非常に違うから……。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 総会でも理事会でもつまり国連の機関だからどつちでもその点は……、それは事実問題だから争つても仕方がないけれども、今のお話じや侵略の定義がきまつていないのに、勝手に片一方を侵略者というレツテルを貼つておくということになる。これは正しい態度と思われるのですか。これは我々は国連がしたからどんなことでも正しい、こういう無批判的な態度はとりたくない。これから国連に加盟しようかしないかをきめる場合だから十分に徹底的に国連を批判しなければならない。ただ国連がしたことだから悪いこともいいことになるというように感ずる。このユナイテツド・ネーシヨンズのしたことだから何でも正しいのだというふうにしてしまうのは、中世紀の王権神授説のような、神様を前にしておるような非常に非民主的な考え方を持つている人があるから、ポツダム宣言云々というような問題が起つたのだと思つております。だからこの点をはつきりしなければならない。それからさつきの御答弁だが、他国の主権を侵すような場合に侵略という問題が起り得る。こうなつて来ると、国家と国家との場合のみ侵略ということがあり得ると、こういう結論になるわけであります。そうすると、朝鮮において二つのセクシヨンが争つているのを片一方のほうに侵略者というレツテルを貼るということが間違つておる。国連としてもそういうおかしな奇妙なことをしている。そういう国連に入れと言つても仕方がないことになつてしまうわけです。その点をもつとはつきりとして頂きたい。つまり南鮮と北鮮と争つている。北鮮に侵略者という定義をつけたというのは正しいことか。それから又問題をもつと前に遡つて、国連がしたことは何でもいいことだというふうに我々は鵜呑みにしてはならない。そういうような態度で政府は現在おられるかこの点をもつとはつきりして頂きたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 私もいろいろ専門家ではありませんので、或いは用語の使い方に間違いがあるかも知れませんが、そういう場合には御指摘によつて訂正して行かなければならんと思うのでありますが、要するに今言われましたように、侵略であるかどうかとい問題は、なかなかその当時のいろいろ情勢判断、総合的に判断して行かなければならん問題が多々あるであろうと思うのでありまして、そういうことから結局侵略というのはこういうことであるという、言葉でいわゆる簡潔なる定義を下すというようなことがなかなか困難である。それが今日までいわゆる侵略の定義というか、基準というか、こういうことの最終的決定を見ていない私は一つのゆえんではないかとも考えられるのでありまして、朝鮮の場合はあの行動がつまり国際平和なり極東の平和安全を侵害する、破壊する虞れがある。だからこれはやめたらどうか、勧告といいますか注意に対してもこれをやめない、そういうことから国連の安保理事会における措置の勧告、平和維持への措置の勧告に基いて行動がなされたのじやないかと思います。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 今少しもお答えされなかつたように思うのですが、質問が二つにも三つにもなつたからそれで戸惑つておいでになるのじやないかと思うので、簡単に質問を一つにして見ようと思います。先ず第一に国連のほうでまだ侵略ということに対する定義も概念もきまつておらないのだ、そういうようなときに国連が或る国の或る一部分に対して侵略というレツテルを貼る、こういう態度が正しいのか、我々は国連を批判しようとしておる。批判できないとおつしやるならもう問題ないので、この問題は葬つてしまうより仕方がない。これから国連へ加入しようとかしないとかいう問題を今議しておるのだから、この問題を徹底的に批判しなければいけない。マッカーサーは日本人は長者におもねるというようなことを言つたが、そうではない、飽くまで長者におもねるのじやなくして理性というものに愬えるという態度をとろうとしておるのだから、国連を先ず第一に批判しなければならない。ところが国連が侵略の定義も何もきまつておらないのにつの国家のうちの或る一部分に対して侵略のレツテルを貼つてしまう、こういう態度が正しいのか正しくないのか、国連を批判する態度でこれにお答え願いたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 結局同じようなことを繰返すことになるかも知れませんが、侵略というのは結局具体的な場合に、その具体的ないろいろの要素、又そのときのいろいろ背後関係、情勢等を総合判断して結局きめて行かなければならないのじやないか、それから又いろいろのケースがだんだん固まつて参りまするというと、それは大山委員が今言われまするような基準なり定義というものがいわゆる確立して来ることがあるかも知れませんが、要するに具体的な場合、具体的な要素を、各般の情勢を総合判断して具体的にきめて行かなければならないというのが今の段階じやないかと思います。それで而もそれは一つの判断だけでないのでありまして、いわゆる多数の者が集まりまして、そこに一つの判断を下して行くという、多数によつてきめられて行くのであります。その結論に従いまして、又日本においても判断を下して処して行くこういうことになるのではないかと思います。

大山郁夫第一クラブ

○大山郁夫君 政府のほうでは侵略ということを軽く見ておいでのようでありますが、併し我々はこの問題を考えるときに、例えば安保理事会が或る国又は或る国の一部を侵略者と認めてしまつたときには、そのときには国際連合の加盟国に対していろいろな要求を出すことができるということが憲章に規定してある。その要求の一番大きなところは、即ち加盟国に向つて武装軍隊並びに援助及び通過権を含む便益を提供しろ、こういうような大きな結果を含んでいるような規定があるのでありますが、ともかくそうするというと、国連が或る国又は或る国の一部を侵略したということを認めた場合には、日本が仮に加盟しているとすると軍隊を出せとか、或いは又援助を出せとか、或いは通過権を認めろとか、いろんな要求があるに違いない。それが非常に重大な結果になる。例えば具体的にするというと、大抵日本がアジアの近隣の諸民族と戦う、日本人の手でこれらの人間を殺せというような要求になるわけでありますから、なかなか日本の将来の問題として非常に大きな問題であろう。現在我々は今日の日本の国民に対して責任を持つておりますが、次の時代の国民に対しても責任を持つているのだし、それから同時に又我々がアジア人としては全アジアに対して大きな責任を持つておるのだから非常に重大な問題である。我々は国連への加入の問題をきめようとすると、先ず第一に侵略というものはどんなものであるかということをきめてかからなければならぬ。何となれば、それは即ち国連が或る国又は或る国の一部を侵略者と認めた以上は国連が要求する。この要求が日本の立場からすればとんでもない大きな要求なんであります。日本の国連に関係することは日本の滅亡さえ意味することが含まれているような大きな問題なんだから、侵略ということはそう軽く見るべきものではないのだから、先ず第一に政府は非常に軽く見ているのじやないかということからお尋ねしたい。侵略の定義を知らなくてそういう態度をとつておられるのか、大きな国民に対する責任だから、今の現在の国民に対する責任と、次の時代の国民に対する責任、又アジア全体に対する責任があるという立場から一つ御答弁を願いたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 我々がこの国連に加入を最も希望しまする点は、この国連憲章の前文にもありまするように、「われわれの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と、人間の尊厳及び価値と、」云々と、こういう戦争の惨害から将来を救いたいと、こういう点に最も共鳴、共感を感じてこの国連憲章への加入を考えるのでありまして、先ほどからのいろいろの問題も、世界の平和を害し、再び戦争の惨害が起り得るというような危険がある場合には、当然それに対しまして国連がいろいろの行動をとるということはあり得ると思うのであります。その勧告の趣旨に基ずきまして、日本がこれに協力して行くと、こういうことでありまするから、立場々々でいろいろな議論もあると思いまするが、我々といたしましても、これはもう世界の平和維持、将来への戦争の防止、こういう観点から国連に対して加盟をし、今後も協力して行きたい、こういう気持でおるのでありまして、結局大山委員が言われる、望まれることと、我々が望むところと何ら結論において相違はない、かように考えております。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 議事進行について……。先ほどから大山委員と政府委員の質疑応答を見ておりますと、一つも進まないのですが、もう少し問題を具体的に取扱うために一番いいと思う方法は、この総会で侵略の決議をした、併しこの決議というのは性質上の勧告である、それだからそれを受諾した国もあれば受講しない国もある、つまり同意しなかつたとか同意したとか、侵略の烙印を下したのに対して日本は同意した、そうすると、そのときのその同意した理由をおつしやればもう少し具体的になるのじやないですか。

平林太一自由党

○平林太一君 私は只今大山委員から先日来切々として侵略の定義に対して御質疑がありました。政府はこれに対して答弁いたしておりますが、私はこの際私の意見を述べまして、併せて侵略の定義に対しまする取扱い方というようなものに対しての議事の進行の上からも申上げたいと思うのであります。只今大山君のお話になりましたその侵略の定義に対しまする非常な御蘊蓄でありますが、併しその御蘊蓄といえども、この最終に到達いたしました場合には、やはりこの国連が、国際連合が侵略の定義をどのように判定しておるかということでありますが、ところがこれは大山君御自身が今御発言になつておりますけれども、国連自体においてすらこの定義というものが明確になつていない、こういうことでありますから、この点に対しまして、いわゆる今回我が国が国際連合に加入するということに対しましての是非、及び承認に対しまする是非を今検討をいたしておるわけでございまするから、それでありますから、およそこの定義というようなものに対しましては、いずれ追つて侵略というものが起つた場合、実際にその侵略というものが行為の上に現われた場合と、現われない場合においてのいわゆる定義というものに対して、おのおの私はそれに対しまして判断の下し方があると思います。国際連合もいろいろそれに対して解決に苦しんでおられる、こういうことじやないかと思います。又朝鮮の場合におきましては、朝鮮のその事態に対しましてそれぞれ定義というものを下して、そうしてその現実を無視することのできない、それに即応した処置を、取扱いをいたしておるということであるのでありますから、この定義に対しましては、これ以上は私といたしましては、いわゆる国際連合の総会の席上なり、国際連合の場所においてこの定義に対する断定、判定に対してこれを進めるべきものでありまして、今日の我が国の立場におきましては、すでに平和条約におきまして国連加入のことを前提といたしまして、あの条約の締結というものの基本をなしているということを思うにつけまして、今日の我が国の置かれた諸般の現実の実情というものを深く勘案いたしまして、この定義の問題に対しまして非常な何と言いますか、臆測或いは恐怖を持つてこれに臨むべきものではない。やはりこの問題はむしろ国連に加入いたしまして、そうして国連の機関を通じまして、この定義を誤まりなからしむることを期して、そうして現実の上にこれを誤まりなからしむるために、世界の平和を最終の目的としておるこの国連の行為というものは進めらるべきものである、このように私は考えるのでありますが、これは私の意見といたしましてこの際申上げておきます。従いまして、この定義の問題はこれを論議いたしますれば、これは何と言いますか、恐らく政府といたしましても大山君が御納得行くような御答弁のできるものではないと思う。それは国際連合自体がすでにそういうことはできないということになつているのでありますから、そういうことが非常に想像されるのでありますので私は議事進行の上に重大なるこれは一つの懸案となるべきものであると思いますから、取りあえず私の意見を申述べておく次第であります。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 議事進行について。私は今杉原委員の適切な議事進行に対する御提案に賛成し、委員長がさように取り計われれば、問題は明確になつて、或いは平林委員の御趣旨に副う結果になるかも知れんと思いますからお諮り願いたいと思います。それが一つ。それからもう一つ一体委員長を補佐すべき専門員その他はどこに行つているのですか。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 只今日米協議会でアメリカの大使が重大な発言をするので、それを聞きにやつているのです。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 二人ともですか。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) そうです。参考のために聞いて来いと言つて私が許可をいたしまして……。

兼岩傳一日本共産党

○兼岩傳一君 然る場合はやはり調査員なりが補佐されてその席に着かれて我々がいろいろ、例えば私が今言つた朝鮮の場合における三つの問題、台湾の場合における二つの問題、そういうことはやはり委員長の側にいて明確に記録して、無論速記に載つていますが、そういうことの実行について委員長が善処されるように事務局は委員長の補佐をもう少し事務的にやつてもらいたいと思う。それを要求します。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 只今石原君から答弁があるそうですから……。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) これは先ほど杉原委員の言われましたように、私もその意味をちよつと先ほども触れておいたのですが、国連の決議によりまして勧告があつたわけでありまするが、その国連の決議案で採択されたいろいろの項目がありまするが、その中で中共が朝鮮で侵略行為を犯したものと決定するという一つの項目があるわけであります。まあその他ありまするがその勧告に関連いたしまして、中共に対する経済措置について国連から勧告があつたのであります。そこでこれを日本におきましても正当とみずから認めまして、今日まで協力の措置をとつて来ている、こういう次第であります。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 議事進行について。只今いろいろの御質疑を伺つておりますると、国連においては侵略に関する定義がないという事実はもうわかつているわけなんであつて、それから北鮮と南鮮との問題、或いは台湾と中共との関係、いわゆる国内内乱の問題を侵略と見るか見ないかという問題もありますが、併し大分話が混線しておつて、北鮮を侵略者と判定したということは私はまだ聞いていないので、中共は侵略者と総会の多数を以て判定しているわけなんですが、さような問題も非常に混線しておりまするが、この問題についての今後の質疑応答をどういうふうにするか、或いはこのまま続けておやりになるのであるか、それとも質疑を打切つて討論採決にするのであるか。この今後の議事進行について一つきめて頂きたいと思います。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) それでは、私はこういう工合に考えているのですが、この問題は非常に重大な問題でありますので、又質問をされるかたが答弁に納得されないように私は認めますから、外務大臣の出席を待ちまして、外務大臣から一つ答弁をして頂くということで御了解を得たい。それから一つ議事を進行して行きたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ昔あり〕

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君)  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 速記を始めて下さい。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時四十八分散会

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