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13回国会参議院1952/05/29

外務・大蔵連合委員会 第1号

発言数
42
登壇者
6
会派数
4
開催日
1952/05/29

会議録

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 只今から外務、大蔵連合委員会を開会いたします。千九百二十三年十一月三日にジユネーヴで署名された税関手続の簡易化に関する国際條約及び署名議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。御質疑のおありのかたは順次御質疑を願います。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 外務委員会ではこの内容の説明は聽取されたわけですか、條約の内容は。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 提案理由の説明は済んだのです。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 逐條的な説明は……。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) いや一般の説明です。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それでは一応逐條的な説明を願いたいと思います。それから説明の前に提案理由にも多少書いてありますが、この一九二三年に日本は署名しておるのにかかわらず、その批准が今日まで延期しておるということは、ただ提案理由に書いてあるように、内閣が更迭したというだけの理由なのか、何か特に逐條的な説明の際に、こういうところに問題があつたというところがあれば、併せて御説明願いたい。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) それでは政府より説明を聞きます。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) この條約はそもそものきつかけを作りましたのが我が国でありまして、その後、国際連盟におきましてこの問題をいろいろ検討しました結果、一九二三年に作られたものでございます。この條約は前文とそれから本文三十ヵ條から成つております。その前文におきましては、国際通商を不必要な過重な又は恣意的な税関手続の負担から解放することが、通商の衡平な待遇の原則を実現する上に非常に重要なことであるということを確信して、相互主義に基く国際協定によることが、又この目的を達成する上において非常に大切であるということを考慮して、この條約を作るということを謳つておるのであります。  本文のほうは、実体的な規定とそれから形式的な規定と、二つに分れておりまして、第一條乃至第十六條は実体的な規定をいたしております。第十七條以下三十條までは形式的な規定をいたしております。  第一條におきましては、締約国は税関手続を簡素化し、対外貿易に対する障害を除去するために必要な立法、或いは行政上の措置をとるということを約束しております。第二條におきましては、衡平な待遇をお互いに與える、税関の手続に関しまして衡平な待遇をお互いに與えるということを約束しております。第三條は、一番最初に、輸出入の禁止及び制限を最小限に減ずるため、いろいろの措置を採用し、これを実施することを約束しております。そうして輸出入の許可に関してとるべき措置を(a)(b)(c)(d)(e)五つ挙げて得おります。この趣旨は要するに、輸出入の許可に関する手続は非常に明瞭であつて、而も正確なもので、而も一般に周知させる必要があるということ、それから簡單なものがなければならない、それから許可を出すような場合には、できるだけ速かにやるということなどを謳つております。第四條は、いろいろな税関手続を知らないために、関係者が不利益をこうむることのないように、或る税関規則を新らしく出したり、或いはこれを変えたりする場合には、あらかじめこれを公表してからこれを実施する、公表しない前にこれを実施しないということを約束しております。第五條は、関税率が一目瞭然にわかるような表を作つて、関係者が容易に税率がわかるようにするということを約束しております。  それから第六條は、第四條に言つております税関手続の規則、それから第五條の関税率、これに掲げるすべての措置、これらの第四條及び第五條に掲げる措置が、締約国及びその国民に速かにわかるようにするために、外交代表その他特に指定されるものに対して、それらの規則とか或いは税率表の刊行物を送るということを約束し、同時にその刊行物を国際連合の事務局に送ること、それからブラツセルの関税裏刊行国際事務局にその十部を送るということを約束しております。第七條は、若し税関その他のこれに関係する事項によりまして不公正な取扱いを受けたものに対して、その救済ができるような措置、立法的或いは行政的な措置をとることを約束しております。  それでこの第七條までにおきまして、衡平な取扱いをする、衡平な待遇をするということ、それからいろいろな手続、それから税関の手続、それから関税率の公表ということを定め、又その税関の手続によつて不利益をこうむつた人に対する救済措置をするということを約束しております。  第八條は、関税率の適用その他に関連しまして、争訟の目的、対象となつた貨物は、その輸入が禁止され、且つ争訟解決のためにその提出を必要とする場合を除くほか、申告者の請求によつてその申告者の処置にゆだねることができることを規定しております。それから第九條は、この條約に基きまして税関手続の簡易化について各締約国においてなされた進歩を示すために、簡易化を実施するためにとつたすべての措置の摘要書を、この條約国が自分の国について効力を生じた日から十二ヵ月以内に国際連盟事務総長に提出することを規定しているのであります。  第十條以下第十六條まではやや技術的な規定でありまして、第十條は見本及びひな形を無税で一時輸入することについていろいろ定めております。又第十一條は、原産地証明書について定めております。原産地証明書を必要とする場合をできるだけ少くするために締約国は約束しているわけであります。又一定の場合には原産地証明書を要求してはならないということを規定しております。第十二條は「領事仕入書」につきまするものでありまして、これもできるだけそれを必要とする場合を少くするように規定しております第十三條は、或る一定の貨物についてその構成、純粋度、品質、衛生状態、生産地域その他の事項につきまして、特殊の技術的な條件を必要とします場合には、締約国はこれらの條件が満たされているということの保障を與えるために輸出国で與えられました証明書、印章その他記号等が送られております場合には、輸入国で貨物について再分析その他の試験を行わずに輸入されるような、そういう協定を締結することに努めるということになつております。第十四條は「貨物の迅速な通関」、旅行者の手荷物の検査或いは貨物保税制度、倉敷料その他本條附属書に掲げる事項に関しまして、できるだけ手続を簡易化するということを述べております。第十五條は、例えば陸上で国境を接しておるような国の間におきまして、運送業者がその荷物を国境における税関で検査を受けずに、その領域内の適当な税関で検査を受けることができるということを約束しております。第十六條は、一定の品物、例えば製造工程を保つために輸出されるもの、或いは展覧会用のもの或いは実験用、展示用の装置、乗用車又は家具運搬車、見本等のものにつきまして、附属書に定められております方針によりましてできるだけ手続を簡易化するということを約束しております。第十七條は、例外的な措置が認められる場合について定めておるわけであります。その国の安全又は重大な利益に影響を與える緊急事態の場合に、止むを得ずとる一般的又は特定の例外的措置は、この條約の下においても許されるということを定めております。併しこの場合でも或る特定の国に対して特に不利益な措置をとつてはならないのでありまして、この場合にも通商の衡平な待遇の原則はできるだけ守らなければならないということを定めております。  第十八條は、国際連盟加盟国としての権利義務と、この條約の権利義務との関係を述べております。第十九條は、一九二三年十一月三日前に締約国が締結した條約又は協定に基くいろいろな税関の規則に関するこの締約国の義務を排除するものではないということを規定しております。ただ排除するものではありませんので、事情の許す限り速かに若しこの條約とそれらの條約との間に食違いがあります場合には、できるだけ速かにこの條約の規定に合うように必要な修正を加えるということを約束しております。第二十條は、これは第一次大戰後における暫定的なこの條約の義務の適用免除を規定しておるのであります。その場合にも通商の衡平な待遇の原則というものはできるだけ守らなければならないということを規定しております。第二十一條は、例えば、英国とそのドミニオンとの間におきまして、特別の権利義務をこの税関手続その他によつて取つております場合には、この條約によつて決して規制を受けるものではないということを謳つております。第二十二條は紛争の解決方法を定めております。その條約の規定の解釈又は適用につきまして締約国間に紛争が起り、当事者間或いは他の適当な方法で解決されない場合には、国際連盟理事会の任命する機関に対してその紛争を付託することができる、それでも若しそれが駄目な場合又はそれに代えて仲裁手続又は司法手続に訴えることができるということを第二項で規定しておりまして、第三項におきましては或る特定の紛争につきましては当事者のいずれか一方の要請によりまして、その前にこの第一項で定める手続をとつたらどうかということを問わないで、常設国際司法裁判所の決定に母さなければならないということを規定しております。第二十三條は署名に関する規定であります。第二十四條は批准に関する規定であります。第二十五條は加入に関する規定であります。第二十六條は條約の効力について規定しております。第五番目の批准書を国際連盟事務総長が受領したのち九十日目に効力を発生し、その後にこの條約に入る場合にはこの批准書又は加入通告書の受領の日から九十日目に効力を発生するということを規定しております。第二十八條は廃棄に関して規定しております。締約国は国際連盟事務総長に宛てた文書による通告でいつでも廃棄することができることになつております。併しながらこの廃棄の効力は、文書を事務総長が受領したのち一年で効力を生ずることを規定しております。第二十九條は植民地、海外属地、保護領又はその主権若しくは権力の下にある海外領土につきましては、その一部又は全部に対してこの條約を適用しないことを署名、批准又は加入の際に宣言できることを規定しております。又その後これらの地域について條約を適用しようとする場合には、その意思を宣言することによつてできることになつております。第三十條は改正に関する規定であります。  そのほかに税関手続の簡易化に関する国際條約議定書というものが附いておりまして、この條約の義務は、人間、動物若しくは植物の健康保全、公衆道徳の維持又は国際安全に関する国際條約若しくは協定の義務に何ら抵触するものではないということを、この議定書によつて規定しているわけであります。この人間、動物若しくは植物の健康保全に関する條約の一つとしましては、阿片に関する国際條約があります。又公衆道徳の維持に関するものとしましては、婦人兒童の売買禁止に関する国際條約があります。  第三の国際の安全に関する国際條約としましては、当時におきましては国際連盟規約、現在では国際連合憲章等がございます。この條約には我が国も積極的に参加したのでありますけれども、現在まで批准が行われておりませんが、それは説明書にも書いてありますようにたびたび批准を奏請しましたが、その都度内閣の更迭又は條文の不備発見等によりましてその奏請は返戻され、その後国際情勢が変つて参りましたので結局現在まで批准されるに至らなかつたのでありますが、その條約批准の際に非常に問題になりました点は十一條原産地証明書のところでございまして、これは十一号の第二のところにございますが、「原産地証明書は、締約国の公的機関のみでなく、必要な権限を有し、且つ、必要な保証があるその他の機関であらかじめ各関係国が特に承認するものも、また発給することができる。」ということになつておりますが、当時の我が国の関税法施行規則におきましては発給機関を公的機関のみに限つておつたのでありまして、この点が当時非常に問題になつたのでございます。簡單でございますが税関手続の簡易化に関する国際條約及び議定書の説明を申上げました次第であります。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 只今のこの條約の批准が遅れた、まあ條文上の問題としては原産地証明書の発給機関の問題であつたということでありますが、丁度外務政務次官も見えておるようでありますが、ただ單に今の説明程度のことなら当時の関税法の施行法を直すことによつて問題ないでしようし、即応した措置がとられると思うのですが、而もそういうことだけのためにその條約を批准しないということによつて、国際的に蒙る不信用というか、それは非常に大きかつたと思うのですが、そういう点についてもつと根本的な問題があつたのじやないか。ただ單純にそういうことだけで批准をしなかつたのかどうか今の説明ではちよつと納得できないのですが。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 只今説明員から申上げましたように一番根本的な問題は、日本の当時の現行法当時の法律は原産地証明の発給機関として政府機関だけになつておつたのであります。ところがこの條約では御承知のように政府機関並びにその他の機関も出せる、こういうことになつておりまして、そこらの関係からいろいろ意見が出ておつたのでありまするが、その後満洲事変が始まり、或いは国際連盟脱退というようなところまで行きまして、つまり連盟関係の條約関係はだんだんあと廻しといいまするか、論議の対象から後退したと、こういうことになりました。そういう技術的の問題から政治的のところへ発展して今日まで来ておる。今日では御承知のごとく関税法施行規則にも政府機関その他の機関、こういうふうに法制が整備されておりまして延びました理由はそれでございます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君  一九二三年というと今から二十九年ほど前であります。結局大正の末、昭和の初めなのでありますが、満洲事変の始まるより大分前の、満洲事変までにも可なり、五、六年の年限があるわけで、その間にやれないはずはないと思うのです。当時の外交責任者でありますが、現在の外務当局がないわけですから言つてみてもしようがないのですが、そういうことが相当国際不信の原因になつておる。單純にそういうことであつたら非常に遺憾に思うわけです。  そたでは逐條的にお尋ねを申しますが、第二條の第二項です。「前記の原則は、」云々というのは、この締約国の中で一つの国と一つの国とが締約をして、一般的な締約條件よりも便益の多い協定を結ぶという場合は、それは全部の締約国が同様の取扱いを受けるということになるわけですか。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) その通りでございます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それから第三條の「締約国は、輸出入の禁止及び制限が国際貿易にもたらす重大な障害を考慮して、事情の許す限りすみやかにその禁止及び制限を最少に減ずるためのすべての措置を採用し、且つ、実施することを約束する。」、こういうことでありますと、最近英本国等が取締ろうとしておる日本製品に対する輸入禁止或いは制限というような措置については、この條約に加入すれば何かもう抗議の申込みというか、有利な外交折衝ができますか。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) この條約はもともと税関の手続を簡易化するということを主たる目的として作られておるものでございます。併しながらこの條約よりも平和條約に定めておりますところ、或いは通商航海條約に定めておりますところのほうが優先するわけであります。いずれにもせよこの規則の主たる目的は、手続を簡易化する、手続を簡易化するということが主たる目的でございます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それは手続が主たる目的であるということは当然なわけですが、それで特に珍らしい條項が入つておると思つてお聞きしたわけですが、まあ通商航海條約云々ということでありますが、併しはつきりここにこういう規定を、こういう條項を入れ、実施することを約束するというのでありますから、少くとも日本製品等について輸入禁止或いは制限の措置をとるということであれば、あらかじめ十分相互に納得してやるというような措置がこの條約批准後においては、我々が批准した後においてはとられるべきじやないか。そうすると今のような説明だと、これは本当の枕詞であつて、何も意味はないとこういうことになるわけですが、併しそういう言葉にしては余りにもはつきり書き過ぎてある。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) 言葉そのものは非常にはつきりしておりますが、併し同時に、事情の許す限りすみやかにというような言葉もありますし、非常に簡單なる原則だけを言つておりますから、これを楯にとつていろいろ他の締約国に対して抗議を申入れたりすることは困難ではないかと考えます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 私は逆にこの署名当時の国際情勢というか、我が国の情勢等からいつて、こういう條項があるから大分批准を澁つたのじやないかというようにも思うのですが、先ほどの政務次官等の説明の批准が遅れたということの原因は、日本側におけるこういう條項が当時の日本の事情として困る問題があつたというようなことはなかつたのですか。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) 第十七條には例外的措置を定めておりまして、「その国の安全又は重大な利益に影響を與える緊急事態の場合にやむを得ず執る一般的又は特定の例外的措置を妨げるものではない」ので、勿論これにつきましても「通商の衡平な待遇の原則」は、これはできるだけ守らなければならんというような規定もありまして、この原則は先ず第三條に「事情の許す限りすみやかに」というような修飾する言葉がありますし、第十七條に例外的措置を認めておりますので、或る締約国が事情が許さないと認定し、又は緊急事態があつて止むを得ないと認定しまして、いろいろな制限的措置をとる場合には、この條約で認められることになつておるのでございます。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 それはその程度にしておきます。それから次にその第三條の(c)項、「割当量を定める場合において輸入国が要求する手続は、輸入が許可された貨物の数量の衡平な割当を妨げるようなものでないこと。」、「輸入が許可された貨物の数量の衡平な割当を妨げる」ということを、ちよつと具体的な設例で説明をしてもらいたいと思います。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) 輸入の割当量、或る一つの物資について割当量を定めます場合に、例えば過去の代表的な期間を取りまして、その期間における輸入実績によつて割当をするというような場合には、この許可された貨物の数量の公平な割当を妨げる措置と解されるものだと思います。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) それでは皆様にお諮りいたしますが、波多野委員外議員が発言を要求されておりますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。波多野君。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) 第三條をもう少しはつきり一つ答弁して頂きたいのですが、今小林委員の御質問に対して政府側の答弁は、第三條というのはあつてもなくても同じようなものだという趣旨の答弁だつたのですが、それで間違いないですか、そう理解して。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) 一応輸出入の「禁止及び制限を最少に減ずる」という原則に対して例外が認められておるわけであります。従つてその例外に該当しない場合には、この原則が適用されるわけでありますから、ただ現在におきましては、非常にその例外的な事態が多いために、非常にこの原則が十分に実行されておりませんけれども、併しその実行しないのは、その例外の限度に限られるわけでありますから、その意味においては決して存在の意義がないとは言えないものと考えます。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) 今例外と言われるのは第十七條のことでしよう、第十七條のことを意味しているのでしよう、そうでしよう。そうしますと、第十七條で、例えば或る国が日本からの輸入の制限というようなことの方針を取つたということは、即座に「その国の安全又は重大な利益に影響を與える緊急事態の場合」だと我々は認定しなければならんのです。すぐ認定しなければならない。ちよつと説明員じやなしに、もう少し責任あるものから答弁してもらいたい。初めから認定して、相手国が緊急止むを得ないからやつたものだと諦きらめてしまわなければならないものか、責任者から一つ答弁してもらいたい。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 相手国、締約国の一つは、この十七條を援用といいまするか、こういう措置を取りました際に抗議を申入れると申しますか、こちらからいろいろの意見を言うということは、これは不可能ではないと思いますが、併し相手国がそういう立場からそういう措置を取つたという場合に、こちらは一応抗議を言うということでございまして、若しもこの條約の規定の解釈又は適用によつて、それが発展して紛争になつたというような場合には、この第二十二條によりまして紛争の処理を行つて行くこういうことになるのではないかと思います。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) そうしますと、例えば相手国が貿易制限をやつたということを、我が国は相手国の安全に関係あるからやつたんだという、初めからきめてかからなくてもいいのであつて、一応我が国としては、相手国がやつた行為が第十七條に該当するや否やということに疑問をおいて抗議を申出るということは当然のことなんですね、第三條によつて。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) それはそうだと思います。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) 当然のことですね。そうすると、先ほどの説明員の言い方はまるで間違つたことになる。  それからもう一つお聞きしておきたいのは、「事情の許す限りすみやかにその禁止及び制限を最少に減ずるため」ということでありまして、これが今まで輸入割当量をやつておつたという、その割当量を緩和するとかといつたようなことをできるだけ早くやろうという約束なんですから、新たに制限を加えて行くということについては、更に問題は重大だと私は思う。今まであつた制限をできるだけ早く緩和して行こうという約束をする。その約束をしておきながら、今まであつた制限を緩和しないどころか、新たに制限を追加して行くということは明白に第三條の規定に反するということじやないですか。そうではありませんか。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) これは具体的な問題についてなにしなければぴんと来ないことになるかも知れんと思いまするが、締約国の一方が、その国の安全或いは重大な利益に影響を與えるというふうな考え方から、例外的の措置を取つて来た場合に、これは一応十七條で妨げるものでないとなつております。併しそれが一方、つまり我が方といたしましてそうでないじやないかと考えられまする場合には、抗議を申し出で、それが紛争に出で、それが紛争になつた場合には、先ほど申上げましたように二十二條で行こう、こういうことになつております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) だから政府の方針を聞きたいのですがね、現在すでに輸入の制限及び禁止に等しいようなことをやつて行きつつある国がたくさんあるわけです。皆さん御承知の通りなんで、この條約に我々が加入した場合に、速かにこの第三條の規定に基いて、相手国に対してそういうことを締約国に対して抗議をするという決心をしておられるかどうか、それを聞いておるのです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) まあお説のようなことにも相成るかと思いまするが、大体この條約は、税関手続の簡易化に関する国際條約という建前になつておりまして、このほかにまあこれから通貨基金の加入であるとか、或いは例のGATTへの加入とか、そういういろいろな追加的と言いますか、このあとにできまするいろいろな條約への加入の問題がございます。そういう條約への加入と関連いたしまして、そういう措置と言いまするか、方途が講じ得るようになるかと思つております。

波多野鼎日本社会党(第二控室・右)

○委員外議員(波多野鼎君) ほかの條約のことを今問題にしていないので、私はこの條約を問題にしておる。この條約の第三條を、問題にして募りますから、ほかのことを言われないほうがいいと私は思う。この三條は、今あなたがたがぼやかしかけて来たけれども、税関手続の簡易化の問題である。これは條約の大体がそういうものであるということは、私どももこれはわかる。ただ第三條があつたから、この第三條は生きておるものかどうかということを一遍問題を直さなければならんことになる。そんなごまかしちやいかん。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 今の波多野委員の発言と大いに関連するというか、その発言を推進するわけですが、どうも政府の態度は、これは昨年の九月八日のサンフランシスコにおいてこの條約及び議定書に加入することを宣言した、そこでまあその延長としてずるずるとこういうものに批准をしようというだけの気持であつて、よく條約の内容を検討して、今の波多野委員のような気持で大いに考えなければ、いやしくも批准する以上、積極的に利用するということを考えなければならんと思います。而もそれを考える上において、我々が曾つてこの條約の批准を渋つたという事情は、恐らく当時の我が国の情勢から言つて、この第三條の今問題になつておるところを逆に我々がそういう措置を、今英国が取つておるような措置を取る情勢があつたから相当躊躇したのだというように私は推察するわけですが、そういうようなことであれば、波多野さんの言われるようにうんと、いやしくもこれに批准する以上は、その精神に反するような、條項に反するような措置を取る締約国に対しては、積極的な抗議を申込むべきだと思うのです。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 私先ほど申上げましたのが、これが主として手続の簡易化に関する規定を中心にしておるものであるということを申上げたるでありまするが、勿論この第三條の條項は嚴として存するのでございまするから、小林委員なり波多野委員から御発言のありました問題につきましては、これは十分考慮して対処して、研究して行かなければならん問題であるということは考えなければならんと思います。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 先ほど小林委員の質問に対する政府側の説明の中に、第三條の規定よりも平和條約及び通商條約のほうが優先するという御説明があつたのだが、それは私には理解できないが、国連憲章に基く義務は他の條約に基く義務より優先するということは国連憲章に書いてある、書いてあるからそうなるのであつて、そういう一般法理があるということはどうも理解できないが、その点はどうですか。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 もう少し研究してもらつて又改めて……。

瓜生復男外務省條約局第二課長

○説明員(瓜生復男君) 平和條約の第十二條(d)におきまして、「この條の適用上、差別的措置であつて、それを適用する当事国の通商條約に通常規定されている例外に基くもの、その当事国の対外的財政状態若しくは国際収支を保護する必要に基くもの、又は重大な安全上の利益を維持する必要に基くものは、事態に相応しており、且つ、ほしいままな又は不合理な方法で適用されない限り、それぞれ内国民待遇又は最恵国待遇の許與を害するものと認めてはならない。」という規定がありまして、この規定によりましてとられました制限的な措置というのは、第三條だけからでは許されない場合にも認められるものだと考えます。

杉原荒太自由党

○杉原荒太君 今のは説明になりませんよ、それは根本が違う、前のほうに最恵国待遇とか、内国民待遇の原則を規定してあつて、それの例外というか、適用のない場合をそれは書いてあるのであつて、これの場合とは全然別のことです。今の説明を根拠にして、平和條約のほうが優先するという立論は何ら成立しないと思う。

小林政夫緑風会

○小林政夫君 最初に尋ねましたこの條約の批准を我が国が澁つたという事情についても、今の政務次官を初めとしての説明はまだ我々としては納得できないので、当時恐らく枢密顧問会議等の議事録もあるはずでありますから、そういう点を十分研究されて、もう少し政府当局においてこの條約内容について検討、或いは当時の二ユアンス等も研究して我々の質疑に対して答えてもらいたいと思います。

石原幹市郎自由党外務政務次官

○政府委員(石原幹市郎君) 一応調べた限りにおきまして、先ほど申上げましたような事情ということであつたのであります。小林委員の重ねての何でありまするから更に精査して見ることにいたします。

有馬英二民主クラブ

○委員長(有馬英二君) それでは本日はこれを以て散会いたします。次回は改めて両委員長において協議いたしまして御通告申上げます。    午後三時三十分散会

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