外務・人事連合委員会 第3号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1952/03/28
会議録
○委員長(有馬英二君) それでは只今から外務委員会を開会いたします。 前回に引続きまして外務公務員法案を議題といたします。質疑のおありのかたは順次御質疑をお願いいたします。
○森崎隆君 第十條、選考による外務職員の任命でございますね。そこから十一條は、外務職員の昇任の問題でございますが、これも国家公務員法の第三十三條、三十六條、三十七條と、こういうような規定がありますのですが、これは選考、昇任試験等につきましては、外務省令で定めるということになつておりますが、人事院のほうにお聞きいたしたいのですが、この選考又は試験等につきましては、外務公務員の選考試験等についての能力は人事院にはないといつたようなことにもとれるわけでございまするが、わざわざこういうように国家公務員法といつた工合の行き方をとるようになりましたことにつきまして、外務省の案に人事院が承認を与えられたといたしましたならば、承認を与えた根拠をお開きいたしたいと思います。
○政府委員(岡部史郎君) 只今の森崎さんの御質問にお答えいたしますが、この法律が国家公務員法の特例法であるということが、実はこの任用制度につきましての十條、十一條にはつきり出ていると考えております。と申しまするのは、御承知の通り、第十一條は外務職員の昇任について規定してございます。外務職員の採用につきましては、これは何ら規定していない、従いまして、外交官、領事官等のいわゆる外交官の採用は專ら国家公務員法の原則によりまして、人事院が試験機関として行うというのが、この原則でございます。それでありまするから、それは国家公務員法の規定によつてやりまするから、この法律につきまして、採用のことは一切触れない。それで昇任につきましては、これは国家公務員法によりまして、試験又は選考によるわけでありまするが、実際問題といたしまして、ここが特例問題になりますが、在外公館に勤務する外交官の昇任につきましては、試験又は選考によると申しましても、これは実際人事院で手が届かんことは御了解頂けることだろうと思います。然らば本省のほうはどうかと申しますと、これは本省のほうにつきましては、やれるわけであります。従いまして純粋理論的に申しますると、本省に勤務する外務省の職員については、ほかの各省と昇任につきましては同じ扱いをしていいじやないかという考えが当然出て来ると思います。これは全く理論的にはその通りだろうとは思うのでありますが、然らば実際問題としてどうなるかと申しますと、採用試験につきましては、これは主として人事院がやることになりますが、昇任試験につきましては、これは実際問題としては、かなり各省にお任せする点が多くなるわけであります。各省の職員を一つの等級からその上の等級に昇任させるということは、これは各省の任命権者の見るほうが十全の結果が得られる場合が多いわけでありまして、それにつきましては、人事院としてせいぜいできますこと、客観的な基準、最小限度の資格要件を定めるというのが主になるだろうと思うのであります。そういう意味におきまして、昇任につきましては、これは殊に在外公務員との関係もあるので、この点は外務省にお任せしようというのがその趣旨であります。それから第十條は、これはこういうように承わつておるわけでありまして、従来外務省の在外公館、即ち大使館、公使館のほかにいろいろな各省の出先の事務所があつたわけであります。その出先の事務所はそれぞれ本省の事務官の身分を以て駐在していた、そういう制度をなくいたしまして、すべて従来の在外事務所のものを、外務省に外交一元化の趣旨に従つて、全部外務公務員の身分を以て外務省の公館に統一するために特にこのような選考の方法を必要とする、こういうわけでありまして、これは特にそういうような趣旨に則つたものであります。これは試験によらないで、專ら專門的な技術に着目する制度でありまするから、この点は選考によつてやる、で、勿論国家公務員法におきましても、三十六條におきまして、競争試験のほかに選考によつて採用することを認めておるわけでありますから、この選考による採用の方法も、この際におきましては適当ではないかと考えております。
○森崎隆君 この御質問を申上げた私の意図は、大体日本の官制というものにつきましては、実際は自分でその能力がないにかかわりませず、すべてその権力といつたものを集約的に握りまして実際の仕事は末端にやらして行くというような、私に言わせれば、非常にこれはよくない官制の惡影響というものが私はあると思う。そういう行き方が随分あるわけなんですね。これは私は本当は排除したいと思う。趣旨としては、こういうことはよくわかるんですけれども、ただそういうような一つの慣習的な行き方の中で、国家公務員法が現存している現状で、特に承認並びに任命の問題がこういうように枠外に外されて、特に三十七條等の方法を忌避するような形に打出されたということは、この方面の公務員の承認並びに任命のことにつきましては、人事院は何とかしてこれを自分で掌握しないと思つたが、もうその能力はとてもないといつてあきらめて投げたといつたように見えやすいのでございますね。そうなると、私は気持を申上げるのでございまするが、言換えまするならば、やはり国家公務員法並びに人事院というものの権威という面から考えまし、それがある限りはやはりそれを守つて頂くのがあなたがたの私は責任じやないかという気持から特に御質問申上げたのであります。根本的に各省にそういう仕事を全部委任するということになれば、それは又別問題です。この外務公務員だけにつきまして、人事院が試験の実施、選考等の問題を、これを除外するということになれば、今度は警察の問題、国家警察等の職員の問題等、皆これは向うでやつている。併し一応人事院が責任と権限をちやんと掌握した形になつておる。これだけを外したということは一体どうなるか、そこのこれだけを外すその理由を実は私聞きたかつた。そこにこの外務公務員法の特例法たるゆえんがあるとおつしやれば、それまででございますが、どうもその点に納得の行かない点がある。そこなんです。それを実はお聞きいたしたかつたのであります。どうも私はこのあたりも人事院で押され、流されて行つたといつたような形跡歴然たるものがあるように思いまして、一番当初に総括的にお聞きいたしました線の具体的な現われだと私たちはそう考えておるわけであります。非常にこれは遺憾に存ずる次第なのであります。
○千葉信君 只今の森崎委員の質問に関連するのでございますが、第十條に言われておる外交領事事務に従事させるため、こういう外交領事事務の従事員という範囲というのは、本案の第二條の第四項にあつた外交領事事務という條項について私が御質問申上げたその事務の範囲だと思うのです。而もこの外交領事事務ということの範囲が非常に広く解釈されておる。第二條の場合には一般的補助業務に従事するものも外交領事事務の分野の中だというふうに御答弁を頂いておりまするし、それから又その人員数のごときは現在の外務省に勤務する約千五百名の中の半数が、この外交領事事務に従事する職員という非常に広い解釈が行われておりまするが、第十條の場合においても私どもここにある外交領事事務というのは、ここに成るほど、財務、農務、商務、労働等に関するという項目は挙つてありまするけれども、その従事する人員の数は大体第二條に関連して御答弁を頂いた約半数の外務職員等を包含する仕掛の範囲だと了解して差支えないか、政務次官にお聞きいたします。
○政府委員(石原幹市郎君) これは第十條のほうは、財務、農務、商務、労働と、こういうふうに限定いたしまして、等とあるのは、その他文化とか、厚生とかというようなものも入るような意味からでありますが、而も主として在外で勤務するというような場合を考えるものでありまして、先に御説明申上げましたような非常な広い意味には我々は立つていないのでありまして、従つてその数等も非常に限定されて参ると思います。
○千葉信君 そういたしますと、この第十條の包含する職員というのは、これは在外公館に勤務する職員だけの場合に限るということになりますか。
○政府委員(石原幹市郎君) 我々が只今考えておりまするのは、さようでございまして、主として在外に勤務するもの、併し時に職務の都合上本省に勤務するというようなこともあり得ると思いまするが、考えておりまする主眼点は主として在外に勤務するもの、こう考えております。
○千葉信君 非常にそうなると不明確になると思うのですが、第二條の場合の第四項にありまするその一般的補助業務に従事する者というのは、この際別といたしましても、「外交領事事務及び」というその外交領事事務については、この間の御答弁では、あえて在外勤務者とは限らないという、そういう範囲でこの間の御答弁を頂いておりました。そうなりますと、第二條の場合と第十條の場合では外交領事事務に従事するという者の範囲が御答弁では大分その範囲が変つて参ります。この点は如何ですか。
○政府委員(石原幹市郎君) これは先ほどお答えいたしたところにあるのでありますが、つまり第十條のほうは仕事の範囲を限定と言いまするか、專ら財務、商務、こういう特定の仕事のために他のほうから外務職員として選考任命をしようという建前でございまして、特殊な仕事の範囲に限定しているものを考えているのでありまして、第二のほうは本省におりまする者でも例えば官房の者であるとか、或いは会計をやつているようなものと、直接これはやはり本省の中で外交領事事務と極めて直接に深い関連を持ちまするので、ここにこれを含む、こういうふうに書いておるのであります。
○千葉信君 その点は一応それでいいといたしましても、この第十條に関する限り外交領事事務に従事させるため、そのため「特に必要がある場合には、」という中に、今お話のように主として在外勤務者を主体としまして、外交領事事務、それからそのほかにこの第十條では「その他特に必要がある場合には、」といつて選考による任命の範囲というものが非常に広範囲に亘る虞れが相当あると思います。従つてその点について、私今度それでは「その他特に必要がある場合」というのは、一体外務省ではどういうふうに、具体的には考えを持つておられるか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(石原幹市郎君) これは一例を挙げて見ますると、大使や公使で一度やめた人が又特に復職するというような場合などを考えておるのでありまして、なおこの際十條、十一條に関連しまして申上げたいと思うのでありますが、この外務省令は、この法律にありまするように人事審議会できめて行くわけであります。人事審議会には、このほうにありまするように、人事院のほうからも勿論参画されるのでありまして、外務省が独断的にいろいろのことをきめて行くというようなことは考えていないということをここで併せて申上げて置きたいと思います。
○千葉信君 人事審議会のほうは、これは又話が別でございます。この人事審議会については相当大きな問題を孕んでおりまするから、まだ私の質問はそこまで参つておりませんから、その点についてはあとから又御質問を申上げたいと思います。ここで問題になりますことは、非常に今の御答弁でも、大体外交領事事務という第二條の規定の場合には、非常に広汎に外交領事事務の範囲を拡大して答弁されておられるし、第十條の場合には、ここに項目の挙げてある職務その他主として在外勤務者だけを指すものだというふうに、第十條の場合には非常にこれは狭小な範囲において御答弁をされておりますが、併しいずれにいたしましても、私どもは第十條によつて外務職員を任命することのできる権限が外務大臣に移行されるということについて非常に不安の念を持たざるを得ないのです。最初の外交領事事務に従事する従業員としては、前日の御答弁では、大体これは外務省関係の千五百人のうちの半数はその事務に従事するのだというお話でございましたから、仮に今日の徒答弁によつて考えられる主として「財務、商務、農務、労働鮮に関する外交領事事務又は特別の技術を必要とする外交領事事務」、而もこれは外国に勤務する職員を主とするのだという、こういう御答弁でありますと、かなり第二條の場合よりも範囲が限定される形でありますから、この場合では半数と御答弁になつた職員の数からはかなり減少するとは思います。減少するとは思いまするけれども、併し私ども仮に相当人員が少いものであつても、やはり今後外国に設けられる領事館の数であるとか、或いはその職員等の数を考えますると、少いとは言つても、我我としてはやはり相当な人員がこの外交領事事務に従事するという形において外務大臣の任命権内の、而もこれは選考によつて外務大臣が外務省令によつて任命できるという形にはつきりなるわけでございます。私どもここで問題としなければならない点は、国家公務員法が設けられたことの一つの民主的な條件として、いい條件として私どもは歓迎せざるを得なかつたことは、従来のややもすれば機会均等という状態が閉塞されていて、そうして何らかの紹介による、或いは又権力による、或いは又相当恣意的な状態において公務員が任命されているというような状態から脱却して、そうして国民に対して等しく機会均等の立場を与えたという條件において、私どもは国家公務員法の第三節、「試験及び任免」という條件に対して双手を挙げて賛成したところなんです。ところが今度この外務公務員法の場合にありましては、第十條の任命という問題だけに関して、たとえ人事審議会のどういう審議があるにしろ、結局は外務省できめた省令によつて外務大臣が外務職員をどんどん試験にもよらずに採用できるという途を開くということ、これは私は国家公務員法の精神をこの点においても相当紊乱させるということになると思います。もう少しこの外務省令等について、どういう條件を選考の條件としておきめになるかという点についても、この際はつきりしたお見通しを承わりたい。
○政府委員(石原幹市郎君) この第十條に掲げておりまするものは、もう少し具体的に申上げましたならば、例えば従来からありましたとろの財務官であるとか、商務官であるとか、こういうものを大体指しておるのでございまして、それでこれは在外公館においていろいろそういう特殊の行政、仕事を、外交をやつてもらいまするために、特にお願いする場合、或いは又国内でもそういう外交交渉が行われます場合に、特に必要がある場合にはどうしてもお願いする。それから特別の技術というのは、電信技術であるとか、通訳であるとか、或いは翻訳とか、こういうものを指すものでございまして、先ほどから申上げておりまするように、極めて專門的な、或いは特殊の技術を有しまするものを国際情勢から判断いたしまして、外交交渉が行われたり、いろいろな場合に採用して行こうと、こういうふうに考えておるのでございまして外務省でいろいろ考えておりままする点は、大江官房長から補足いたさせたいと思います。
○政府委員(大江晃君) この第十條におきまする「財務、商務、農務、労働等に関する外交領事事務」、これを広く民間から採用いたしまする場合も予想されまするのでございまするが、現在実際に在外事務所等におきましても、ILOの関係であるとか、或いは国際連合の農業機構の関係その他におきまして、特別の專門的の知識を要するために関係の各省から来て頂く、この数は全体から考えますると極めて少いのでありまして、大体三十人前後であろうと思うのでありまして、これは将来外務省が選考いたしまする際には、人事院規則で定めまする転職の基準による、これ以外の規定を特に定めるというようなことは考えておらないのであります。又広く一般から、民間から採用いたします場合には、これはいろいろな場合が考えられまして、專門の仕事に従事しておられた在職の年数であるとか、或いは経歴、こういう特別の技術の経験というものを織込みまして採用いたすというようなふうに考えておりまして、この十條の特例によりまする選考任用というものは、全体といたしましては、極めで少いものだ、こう思つております。
○千葉信君 そういたしますると、只今の質疑で判明しましたところによると、例えば財務官等のごときは従来でも選考によつて、選考ではないかも知れないけれども、この第十條の措置のような状態によつてやつておる。而も今の官房長の答弁では、実際にその対象となる人員はそう多くない。それから又一方では転職その他の條件等については人事院規則を準用するつもりで、余りそれとは隔たつたものは作るつもりはない、こういう御答弁でございますと、私ども今度は逆に、一体それではなぜ、何の必要があつてこの第十條などというものを特に設けて、国家公務員法の第三十三條等を適用する方法をとらなかつたかという疑問を持たざるを得ないのです。国家公務員法の第三十三條によりまして、例えば「その者の受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基いて」、こういうふうになつておりまして、或る程度一定の基準に基いて、総括的に公務員に対してこういう方法をとりながら、この選考に準ずるような方法というものも考えられなくはないと思います。そうなりますと私どもはこの場合にこういう第十條を設けなければならなかつたという理由というものが薄弱になるし、逆に言えば外務大臣の勝手にできるような形に持つて行くために第十條を設けたとしか考えられないのですが、一体国家公務員法の第三十三條等をどうしてこの場合に排除してこの一項を設けなければならなかつたか、その理由を承わりたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) これはまあ今回この外務公務員に関しまする特例その他外務公務員に関する一般の法令をここにまとめるという意味からいたしまして、その選考、任用をするとか、或いは昇任、こういう規定をここに一つに設けて規定してある、こう申上げるより方法はないと思います。
○千葉信君 それでは次の十一條、いいですか……。
○團伊能君 ちよつと十條に連関して質問したいと思いますが、今の千葉君の御質問にちよつと附言して私伺いたいと思いますが、千葉君の御質問にあるように、この財務、商務その他に関する外交領事事務ということの言葉が少し明瞭じやないように思いますが、臆測いたしますのに、従来海外にありました領事館或いは公使館以外に財務官、商務官、農商務省の出張員及び陸海軍武官というようなものは常住的に大体各省から向うに出ていられたかたでありまして、いわゆる各省を代表する出先機関というものが非常に複雑な形でございましたが、これを読みますと、一応臆測されるところは、全部それをやめて外務省の外務外交領事事務官といたすのでごいざますか、その点をちよつと詳しく御説明願いたい。
○政府委員(石原幹市郎君) これは只今團委員からお話のありました通りでございまして、今後は外交一元化と申しますか、一本にいたしまして、それぞれの各省から特別の駐在派遣官等はないようにいたして参りたいと、かような考えでおります。
○團伊能君 そういたしますと、これはこういう意味にとつてよろしうございますか、外交領事事務の中で專ら財務、商務、農務等に関するものという意味に解したほうが適当のように思いますが、その点を伺いたいと思います。先ほどの千葉君の御質問でも、外交領事事務というものは非常に広範囲だから、ここではその広範囲に亘る外交領事事務の中で特に專ら財務、商務云云というような工合に我々受取りますけれども、この文字はとにかくそういう意味であるということに理解してよろしうございますか。
○政府委員(石原幹市郎君) これはどつちにでも言廻しはできると思うのでありますが、今團委員が言われたように、外交領事事務の中で專ら財務、商務と説明してもいいと思います。又この労働、農務方面でも、先ほどお話のありましたように、国際労働会議の面であるとか、農業機構においてもいろいろ国際会議がたくさんある、財務方面におきましても、財務官というような立場の借款、借入或いはいろいろの財政方面の問題がございまするが、外交領事に、直接領事事務に関連を持つこの方面の仕事と、説明はどちらからでも付くと思いまするが、大体御意見のように考えていいと思います。
○團伊能君 若しも在外機関が、従来は外交一元化を非常に主張されて来ながらも、各省の要求或いは各省自身の強い主張を、これをとどめることができなく、非常に多くの省が、各省ことごとく出張員を置き、更に東京都その他の大都市ものうのうと出張員を置き、そういう形におきまして非常に煩雑なものでございましたが、これが本当に一元化されるということはなかなか容易ならざる、又單に外務省がこうお考えになるだけではなかなかできない。各省間の非常に完全な協力或いは意見の決定がなければできないと思いますが、その辺はすでにでき上つておりますのでございますか。
○政府委員(石原幹市郎君) 一応の話合はもうでき上つておるのでございまして、たしか定員関係におきましても、一方の定員は減らして外務省の定員に入れ、外務省の定員の中に置くとか、そういうことになつております。
○團伊能君 それからなお一つ附加えて聞きたいと思いますが、この「外交領事事務又は特別の技術」という中には、只今次官の御説明にありましたいろいろの特殊電信とか、通信とか、いろいろな專門家もございますが、このあとの條にございますが、外国人で外交領事事務に従事させるもの、特に実際の例といたしまして、相当外国人におきまして、外国に国簡を有する日本人、即も二世のようなのを大分使つており、又将来非常に使う傾向があると思いますが、それはこの中にやはり入りますのですか。
○政府委員(石原幹市郎君) 外国人は、これは普通の雇用関係で採用する場合にも採用の形になるのでありまして、ここに言う外務職員ですか、外務公務員の中には外国人の国籍を持つておるものは考えていないのであります。
○團伊能君 有難うございます。
○カニエ邦彦君 ちよつと先に戻ります。八條の二項でありますが、八條の一項の場合の大使、公使の任命、これはまあ前回も天皇がこれを認証するということについて、まあ多少そういう必要がないんじやないかということも申上げておつたのですが、それはそれとして、二項の政府代表及び全権委員、これらの代理、顧問及び随員というのが、一項の場合の天皇の認証と代つて内閣がこれを行う、こういう特に差を付けなければならないということの理由について伺いたいと思います。と申しますのは、政府代表或いは全権委員というようなものも、大使、公使よりも実質的な権限においても、仕事の上から言つても、かなり重要なものでなければならないにもかかわらず、現行の場合において天皇の認証を必要とするというなら、この場合においてもただ單にこれは外務大臣の権限において内閣が行うというような、特に差を設けた理由について伺いたい。
○政府委員(石原幹市郎君) 第二項のほうはやはり政府代表、全権委員、代理、顧問、随員という非常に幅が広いのでありまして、第一項のごとき国を代表する方面の大公使等の任免ということよりは広い範囲になつておりますので、これを全部随員に至るまで認証というようなことも必要があるまい、こういう考えであります。
○カニエ邦彦君 それであるならば、この政府代表並びにこの金権というものを、この重要な任務に就くものを大使、公使のこの八條の一項の中に入れて、二項には顧問、随員の任命がなされる、こういうことにしたほうが、そういう趣旨であれば適当でなかろうか、こう考えられるのですが、その点はどうですか。
○政府委員(石原幹市郎君) これは、大使は御案内のごとく、前からいわゆる親任官として従来ずつとこういう形で行われておりまして、そういう関係で今回も認証官とするということであります。それから、いわゆる第二項のほうは、従来そういう形がなかつたのでありまして、殊に全権委員の中で、特派大使或いは特派公使のごとき資格を持たれる場合には、勿論これは又第一項の大使の認証の範囲に入るかと思うのであります。そういうことから規定いたしたのでございます。
○カニエ邦彦君 そうすれば、やはりこういう法律案を作るときには、やはりそういう点を明確に謳つておかれたほうがいいんじやないかと思うのですが、その点はどうなんですか。これを明確にされておいたほうがはつきりして、そんな解釈で事をやるというようなことでなく、やはりこれは重要な国のいわゆる代表者としての権限とか、或いは資格の問題に関連するのだから、だからやはり明確にそれを謳つておかなければ、行く人としても、やはり随員並みとかいうことにされるということじや気分的にも面白くないし、やはり国の体面の上から言つてもどうも面白くないのじやないか。だからやはりこれは明確にしておいたほうがいいんじやないか。何もそれをするために非常な手数がかかるわけのものでも何でもない。ただ一條こちらのほうのをこちらに移すかどうかということだけなんです。その点どうですか。
○政府委員(石原幹市郎君) 大使、公使は国の代表といたしまして常時先方におるわけでありまするが、政府代表、臨時全権委員というのは、まあ特殊の目的のためにそのときに出かけるというのでありまして、而もこの全権の場合には全権委任状というものを持つわけでありまするが、これは第九條において天皇がこれを認証すると、こういうことになつておるのでありまして、まあ大体この程度でいいのではなかろうか、かように考えるわけであります。
○カニエ邦彦君 どうも今の御答弁では、第九條で信任状或いは委任状、解任状の認証を天皇がするのだということであれば、なお更この際そういう、その大使、公使より、又それ以上或いはそれと同等な重要な権限を持つものに対しては、やはりこれと同じように扱うべきであると、私はそういうように考えております。併しまあこれについては時間もないようでありますから、余り……。これはもうこの程度にしておきたいと思います。次に浅井人事院総裁がお見えになつたので、ちよつと本法律案を審議するのについて参考ともなろうかと思うので伺つておきたいと思うのですが、我々はまあこの国家公務員法の体系、そうしてこれらのいわゆる人事管理の問題が、適切且つ妥当、公平に行われるということについて、いろいろまあ審議をし、議論をやつておるのですが、政府の今回の行政機構の改革に当つて人事院を廃止するとか、或いは又これを極端に縮小するとかいうような、その意思があるというようなことで、それと並行して、この外務公務員法が、いずれその人事院の機構がなくなつて行くんだ、或いは又縮小されて行くんだから、従つてこういうようないわゆる内容を持つ外務公務員法案を出して来るのだと、こういうような考え方があるのかどうかということと、それからちよつと今朝一部の新聞にも出ておりましたが、そういうような意見が政府として現在あるということなのか、その点一つお聞きしておきたい、こう思うのであります。
○政府委員(浅井清君) 行政機構の改革については、まだ私としては何も具体的に聞いていないのであります。それからこの外務公務員法がこの行政機構の改革によつて、人事院に、或いは起るであろう変化と関連があるかということは私は信じません。これは一番初めから、公務員法を二十二年にこしらえまするときから、外交官、領事官につきましては、こういう特例を設けるということがございまして、現にこれよりはもつと特例の程度の高い教育公務員法或いは検察庁法のごときもあるのでありますから、それは無関係だと私は考えております。それからちよつと私から補足いたしまするが、さつきの八條の認証云々の問題でございまするが、一体この認証という制度は憲法に基礎がございまするので、これは官吏の任命に対して認証する、こういうことでございます。この官吏が何であるか、これを公務員と現在においては読み替えるかどうかは問題でございますが、官吏と申せばこれは一定の、相当の期間勤務する者、こういうことになつておりまするから、大使、公使は、いわゆる昔で言えば官吏に該当する、そうしてすでに外務省設置法におきましては、これは認証官、こういうことになつておりまするが、第二項のほうは或る特定の目的を持つて一時的になるものであるように思いますので、その辺に区別があるのじやないかと思つております。
○カニエ邦彦君 先ほどの行政機構の改革において、人事院を縮小し、或いは廃止するというようなことは現在聞いていないというお答えでしたが、併し聞くところによりますれば、どうもそういうような考え方が政府にあるということもうすうす聞いておるのですが、こういう措置が政府としてとられる場合において、人事院総裁としてのあなたのお考えなり、それに対するところの態度というものについてはどういう工合に考えておられますか。
○政府委員(浅井清君) まだ政府から縮小云々ということが、一体現在の公務員法によつて人事院に与えられておりまする権限のどの部分がどうなるかということはまだ何も聞いていないのでありますからして、私として只今それはここでお答えをすることは少し先走るように思いますが、併し公務員法の、つまり維持して行きまする上において、かようなる独立機関というものが必要であるという線は変りはないと思います。
○カニエ邦彦君 それではもう一つ。これは各條に関係ない、総体的のことですが、この外務公務員法案が新たにここででき上るとなると、そうすると、外務省設置法案との関連において、外務省設置法案の一部を改正するというようなことが必然的に起きて来るかどうかという点について、外務省に伺いたいと思います。それはどういうことになるのですか。
○政府委員(石原幹市郎君) これは附則の第五項に、外務省設置法の一部を次のように改正する、つまり外務人事審議会の機構を一つ加えることになりますので、附則五項でその設置法の一部を改正する次第でございます。
○カニエ邦彦君 その点については、いずれ今現在進行しつつあるこの十條、十一條、逐條のときに詳しく御質問申上げたいと思つておりますが、これも審議会或いはその他の委員会等に対する政府の方針というもの、それから政府が一本刀のように言つて来られておるところの行政機構の改革、それから行政事務の簡素化というような点から考えて見て、この今回の案の中に盛られておるところの審議会の新たな設置というようなものは、これはもう政府の基本的な考え方、方針には逆行するものではないか、こういうのはですね、仮に人事院において現在やつておるこの仕事を外務省に取上げて、そうして新たに外務省の中に審議会を設置する、そうしてその審議会がやつて、その審議会で又できなくなつた場合には又元へ戻つて人事院が審議会に又かける、こういうような二重の手数を殊更やらなければならないというような理由、それからそういうようなことをやるということは明らかに或る一種の二重行政であるという考え、こういう行き方から考えて行くなれば、この政府の基本的な考え方、行政機構の改革或いはその他の簡素化の方針、こういうものに逆行してまで一体これをやつておるということについてはどうなんですか、それとそれから政府のそういう考え方に対しては反していないのかどうか、こういうことについてお伺いしたい。
○政府委員(石原幹市郎君) 外務公務員法を設けた趣旨につきましては、たびたび申上げましてように、外務公務員の勤務の特異性から、こういうものを設けたわけでありますが、併しこれらの運用につきまして、これが外務大臣の独断に陥るとか、いろいろなことがあつてはいけない。これは皆さん方も御心配されておる点であろうと思いますが、そういう意味で、まあ俗な言葉で言えば民主的にこれらを運用して行こうという意味で外務人事審議会を設けておるわけでございまして、この人事院のほうの機構についても、これを大きくするとか、小さくするとかいうような問題はあるだろうと思いますが、こういう意味の審議会的性質のものは、そういう人事を運営して行きます上においてやはり私は当然必要なものではないか、新らしい行政のあり方としては必要なものではないかと、かように考えております。
○カニエ邦彦君 いや、これはですね、ただその審議会の問題でなくして、この法案なるもの全体を通して見て随所に現われておる傾向なのであり、人事院の人事行政の中から取上げてしまうなら、完全にこれは取上げて、そうして一本化すとかというのならともかく、そうでもない。場合によつては人事院のいわゆる拘束を受ける箇所もあるかのようになつておる、そうして場合によれば非常にその外務省の独裁化を図ろうとしておる。こういうような点について全体を眺めて見て、政府の言つておるところの行政機構の簡素化ということ、それから行政の簡素化に基く国費の軽減というような趣旨には副わないのじやないか。要はただそれが人事院でもそういう機構ではなしに、外務省だけでやるんだということであれば、又これはそれに対していろいろ違つた角度から意見があつたとしても、そうということになるのじやないか、こう思われるのですが、これはまあ一応逐條のほうに移して最後に総括的に又改めて御質問したいと思いますから、この程度にしておきます。
○委員長(有馬英二君) ちよつとお諮りいたしますが、只今議長から特に要請と申しますか、議場に議員さんが少ししかおいでにならないので、ちよつとでもいいから入つてくれという要請があつたのでありますが、それで十分間ほど休憩して入つて頂きます。速記を止めて下さい。 午前十一時三十六分速記中止 —————・————— 午前十一時五十五分速記開始
○委員長(有馬英二君) それでは速記を始めて下さい。先刻に引続きまして御質疑をお願いいたします。
○千葉信君 「第十一條の問題について浅井さんにお尋ねしたいのですが、これは外務職員の昇任は今度は外務省令で、外務大臣のほうで「試験又は選考によつて行う。」ということになつて、国家公務員法の第三十七條から外務職員は排除されるわけです。私どもの立場からすれば、排除するという考えを持たざるを得ないのですが、そういうことになりますと、国家公務員法第三條の職員の「諸般の方針、基準、手続、規則及び計画を整備、調整、総合及び指示」、こういう官職全体に対する総合的な立場からの人事院の調整、整備、総合という問題から、少くとも外務職員は外れることになりまするし、従つて又そういうことになりますと、同じく国家公務員法第三條第三項第二号の「政府の人事行政に関する調査、研究及び監察並びにこれらに関連する事項」というところで、少くとも職員の昇任に関する問題等について、総合的な立場からの人事院のこれの研究、調査若しくは重大な監察などという事項から外されることになるわけですが、人事院としては一体こういう状態になつても懸念するところが起らないという見通しの下にこの第十一條に賛成されるかどうか。この点を総裁から御答弁頂きたい。
○政府委員(浅井清君) 御尤もでありまするけれども、これは特例法的なものでありまするからして、全部公務員法の任用の制度が外されておるというのでないことは御承知の通りであります。第十一條は外務職員の昇任が外務省令に委任されるということでありましてちよつとこれを見ますると、昇任に関する限り、すつかりもう外務大臣か何でも勝手にやつてしまうのだということになりますが、実はこれは新らしい任用制度のことについてまだ人事院として発表いたしておらないものですから、そこでそういう御論議も出るように思いますが、人事院といたしましては、新らしい任用制度におきましては、成るべく昇任について任命権者にだんだんと、任せて行くと、こういうような方針をとるようになつております。この新らしい任用制度につきましては、最近にきめ次第に人事委員会には御報告いたすであろうと思つております。新らしい任用制度におきましては、例えば大体少くとも課長以上は試験をやりませんで、選考任用の形になつております。結局第十一條と、これからの全体の任用制度というものは、そんな違いは出ないのじやないか、こういう意味で賛成をいたしております。
○千葉信君 この第十一條の昇任の問題について、只今の浅井さんの御答弁では、何かこの昇任の問題についてもまだこれらに対する監察若しくは総合調整等の仕事は人事院の権限として残るのだというような御答弁でございますが、この外務公務員法の第三條によりますと、「国家公務員法並びにこれに基く法令の規定は、この法律にその特例を定める場合を除く外、」と、こうなつております。そうすると、ここに第十一條がはつきり規定されていることになりますと、少くとも昇任等に関する限りは外務省令によつて外務大臣がやるということになつて、人事院の権限のほうから排除されることになると思います。一体その点について、人事院としてまだ外務職員の昇任等に関しては人事院の権限内にあるという点は、どういう点からそれが解釈されますか。
○政府委員(浅井清君) ちよつと私の御答弁申上げたところが二つのことが一緒になつておりましたので、前半に外務公務員法が必らずしも国家公務員法全般を排斥するものでないということだけ申上げたのでありまして、昇任の問題に関しましては千葉さんの御見解通りであります。これは二つのものを一緒にお答えしたから、そうなつたわけであります。そこで第十一條のごとくでありますれば、昇任に関する人事院の権限がおおむねなくなるのじやないか、こういう御懸念でありまするが、それは今申上げたように、大体昇任は任命権者に任せてこれからもやる、こういうふうな考えで人事院はおりますから、これはひとり外務省に限つたことはないのであります。それは只今申上げた新らしい任用制度を御覧頂ければ大体わかるだろうと思いまするから、決して外務公務員だけが非常に勝手なことをする、こういう趣旨ではないのであります。
○千葉信君 只今の御答弁では、昇任等についてはできるだけこれを委任する、将来も委任する方針であるというお話でございましたが、その委任の内容に問題があると思うのです。国家公務員法に基く全体の官職に対する総合調整の責任を人事院が負いながら、これを委任するのでございましたら、この点私は問題はないと思います。併し将来の委任の方針はどうであるにいたしましても、現在の外務職員に対する委任の状態は、人事院が国家公務員法によつて官職全体に対する総合調整の責任を負つている。その責任が人事院から今度排除されるわけです。たとえ人事院が何らかの計画或いは立案を以てしても、外務職員に関する限りは人事院の権限は及ばないということにこの法律ではなることになると思う。この点に関しては如何ですか。
○政府委員(浅井清君) それは只今申上げたことを繰返すようでございますが、全体としまして、現在の国家公務員法第三十七條の昇任の方法という枠があるのでありまするが、この範囲内におきましても、人事院といたしましては、外務公務員のみならず、他の省庁に対しても昇任については成るべく任命権者に任せたいと、こういう方針でおりますから、その任用全体の規則が出ません先に丁度第十一條が法律の形で出ておりまするから、目立つわけでありまするが、第十一條は他の全体の将来における昇任の形と余り違いはないもののように私は思つております。又人事院といたしましても、何から何まで人事院がやるということはできませんので、成るべく任命権者に委任し、それによつてやりたいと思つております。それからなお第三條を御引用になりまして、人事院の総合調整云々の権限をお引き下さいましたが、一体この三條を御引用になりますと、非常に迷惑いたしますので、この第三條はいわば総目録のようなものでありまして、それ自体に積極的な意味があるのではなくて、公務員法全体に跨がつておりまする人事院の権限を一つの熟字で現わしたとでもいうのが第三條でありますから、この第三條自体独立した意味が私はないと思つております。併し御質問が成るべく人事院の権限をお守り下さるという意味では有難く拜聽をいたしておる次第であります。
○千葉信君 私は別に何も人事院の立場を守ろうとするためにこういう発言をしているのじやなくて、公務員全体に対する公平と、民主的な状態において公務員諸君の身分が保障される必要があるし、利益が保障される必要があるというために、私はこういう点について不公平を招来する慮れがあるから御質問申上げているのですから、その点については誤解のないように一つお願いしたいと思います。第十一條の委任の仕方について、どうも必らずしも私は今の浅井さんの御答弁では、その委任の方式がどうも納得できないのですが、この点については又あとに譲ることにいたしまして、次の問題に入りたいと思います。第十二條の問題について外務政務次官にお尋ねしたいと思います。簡單な問題ですが、第十二條の第四項ですが、ここに「待命の大使又は公使には、前項の規定により臨時に外務省本省の軍務に従事する場合を除く外、待命の期間中、俸給及び勤務地手当のそれぞれ、百分の八十を支給するものとする。」となつておりますが、待命の期間中の給与はわかりますけれども、外務省本省の事務に従事する場合のこれらの給与はどういうふうに現在お考えになつておられますか、その点をお伺いしたい。
○政府委員(石原幹市郎君) 全額を給与することになつております。
○千葉信君 全額と言いますと、例えば勤務地手当等のごときはどういう状態になるのですか。
○政府委員(大江晃君) 本俸と勤務地手当の全額でございます。
○千葉信君 只今の勤務地手当の問題なんかも関係すると思うのですが、次に第十三條に言われておりまする外務公務員の給与に関する法律というのは、いつ頃国会のほうに提出される予定ですか。
○政府委員(石原幹市郎君) 間もなく提案されることと思つております。
○千葉信君 外務公務員法によりますと、いろいろ例えば欠格事項の問題とか、外交機密の漏洩に関する失職の問題とか、相当嚴格な條件なんかもあるようですが、これらに対しては外務公務員の利益を保障するという立場から、この外務公務員の審議には、やはりその裏付としての給与の問題に無関心であることはいけないと思うのです。今この機会に、若し現在御計画があるとすれば、どの程度の給与を考えておられるか、おわかりでございましたら、簡單にでも承わつておきたいと思います。
○政府委員(大江晃君) 在外公館に勤務いたします外務公務員の給与に関しましては、本法は国内の一般公務員も外務公務員もこれは同じでございまして、海外に出ておりまするものは、在勤俸、それから加俸、この加俸の中には兼任の加俸であるとか、配偶者加俸、こういうようなものがございます。どのくらい支給いたしますかに関しましては、これは近く法律案を御審議願う際に見て頂くということにいたしたいと思います。
○委員長(有馬英二君) ちよつと申上げまするけれども、人事院総裁はちよつとお昼過ぎに御用がおありになるということであります。午後外務委員会を開く予定になつておりますので、できるだけ今人事院総裁のおいでになる間に総裁に御質問のほうを先にして頂きたいと思います。さよう御承知を願います。
○森崎隆君 それでは午後には総裁は出られないのでございますね。これはまあ逐條審議のような形で逐次進んでおりますが、あとのほうに実は総裁にいろいろお聞きしたい問題がたくさんございますので、それを又抜出すと混乱するのじやないかと思います。私案は今発言を要求しましたのは、十二條の問題について外務当局のほうにお願いをしたいという意味で申上げたのでございまして……。
○委員長(有馬英二君) 大変どうも長くなりまして、十二時過ぎましたので、昼食の時間でございますが、人事院総裁が一時頃までよろしいというお話ですから、如何いたしましようか。一時まで続行いたしまして、それから昼食にいたしましようか、皆さんの御都合のいいように……。
○兼岩傳一君 議事進行について、それは人事院総裁がどう都合があろうが審議は十分徹底的に尽した後に外務委員会をおやりになればいいので、そういうふうに切り詰めた考え方に対して私は反対いたします。十分審議を尽されることを私は望みます。
○委員長(有馬英二君) ではこのまま甚だ気の毒でありますけれども、暫らく空腹のまま続行いたします。
○森崎隆君 私はやはり十二條に関連しまして、大江さんでも石原さんでも結構でありますが、待命という一つの制度のような形になつておりますけれども、これはどういう必要からでございましようか。ここには一応書いてあるのでありますけれども、実はこれに裏があるような気がして仕方がないし、又これまで長い間の外交官関係の慣習というものも一部漏れ承わつている点もありますし、さつきの第八條のところで浅井人事院総裁のお話もあつたように、この大使、公使というかたがたが特別職でありまする関係上、やはり特別職であれば、これははつきりと本人の責任においてなすべき勤務というものはあるべきはずのものであるわけです。ところが待命ということになりますると、これは身分のみ存して、身分即ち身分と給与とだけ存しまして、仕事の内容というものは何もないというおかしなことになりはしないかと思うのです。これは又例えば全権委員とか、政府代表というようなまあ断続と言いますか、條件的なものでない場合には又別の性格も考えられまするけれども、一応特別職の職員という形から考えますると、待命というものはおかしい、ここに出ておりますように、他の国、他の在外公館に転勤を命ぜられるまでの間ということになりますると、一般の国家公務員が出張所から本庁とか、或いは又ほかの出張所に転勤を命ぜられた場合の身分、こういつたものは全然考えられない、転勤をするに必要な期間、旅費等の規定はちやんとそこにあるわけでございまするが、この待命制度をお作りになりました真意というものは、これはざつくばらんに一つお聞かせ頂きたいのです。どういうところに意図があるのでございましようか。例えば、もう当然退職をしてもらわなければならないといつた大使、公使に対しまして、最後の一年間を何と申しますか、まあ不労所得的な恩典として待命という形で一年間遊ばせるといつたようなことにまあ解釈されるものだと思いまするが、その点につきましては、本当にこういう制度を置かなければならないとすれば、もう少し具体的に切実な理由を一応お聞かせ頂きたい。その点一つ御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) これは従来からもある制度でございまして、まあ例えて申上げましたならば、甲国の大使を乙国へ変える、乙の国の大使を丙国に変えて、両国の大使を本省勤務に戻す、こういう一連の人事をやらなければならん、やろうというときに、人事の国内の手続はこれは何でもできるのでありますが、甲国の大公使を乙国に廻そうという場合に、乙国のアグレマンと言いますか、承認を得なければならん、又乙国の大公使を丙国に廻そうとするときに、丙国のアグレマンを得なければならん、そういう関係で、その人事が国内の局長をぐるぐると変えるとか、異動を行うというふうには行かないのであります。アグレマンが出るまで待つていなければならないとか、一部のものはこちらに帰して行くというようないろいろなことがありますので、その間をいわゆる待命にしてアグレマンが出るまで待たしておく、そういう意味から、これは大公使の異動等をやりまする際に、どうしてもそういうものが必然的に出て来るのであります。かような意味から待命の制度を設けたのが主たる理由でございます。
○森崎隆君 アグリーメントの問題は私は一応これはわかつておるのですけれども、それではその問題と第二項の問題との間に、この第二項は今のような理由がただ一つの理由だといたしますれば、乙国のほうへまあ転任を意図して折衝した結果、アグリーメントを得られなかつた場合には、これは自然いわゆる退職、職を免ぜられるのかどうか、第二項というのは、なぜここに入れてありますか、この点……。
○政府委員(石原幹市郎君) これはアグレマンがとれました場合には、すぐその国へ行けるわけでありますが、併しそれを無制限に待つておるというわけにも行きませんので、一応一年をきりといたしまして、一年経つてもなおそういう事態にありまする際には、一応その職を免じよう、こういう建前でできております。
○森崎隆君 これはまあ特別職の職員である限り、大使、公使の身分というものに対して非常にこれはおかしなことになりはしないかと思うのですね。若しあの大使が気に食わないから辞めさせようという場合には、この第二項をうまく運用すればできるわけですね。例えば或る国に今大使をしております者を故意に他の国のほうに転勤を命じて、その国の外務関係との間にいろいろまあ話合をしてアグリーメントを出してもらえない。一年間遅らしてもらう、そうしたならば、その結果一年の後にはその大使は自然罷免されることになるわけですね。それでいいのでありましようか、そう解釈して……。そうなると、これはとんでもない問題になると私は考えるのですがね。そういうこともあり得ると思いますね。私はこの第二項はさつき申しましたように、そういうような意味にとらないので、これは最後の一年間ですね、有給の休暇というほかの公務員にはない、病気、いわゆるその結核休職なんかとは意味の違つた健康休職という形で、そういうようにどうも私は考える次第なんでございますけれども、そういうふうなあれも結構ですけれども、それが何で必要なんだと説明を頂きましたら、あえて反対するわけでもないけれども、そのところを形式のお話でなく、ざつくばらんのお話を承わつたらいいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) これは先ほど申上げたのがざつくばらんのことでございまして、これは大、公使は特別職でございまするから、辞めてもらうとか、何とかいう場合に、これはもう即刻でも罷免しようと思えば罷免ができるのであります。先ほど申しましたように、大公使の異動の際には必然的にどうしても若干そういうギヤツプができる場合がございまするので、こういう制度を設けた。それでアグレマンというのはなかなかこれは得られないからと言いまして、すぐこれを引下げるというわけにも行きませんので、相当の期間を要する場合のあることも予想されますが、併し余り長くなつてそのままというわけにも行きませんので、一応一年、こういう期間を置いておるのでありまして、別段森崎委員が考えられるような意図でこの規定を置いたものでない、これはもう率直な、ざつくばらんのことでございます。
○森崎隆君 まあこれ以上お聞きしても仕方がないから、これは打切りますが、結局この法律化された場合、その後の運営の実際面でこれは証明されて来るのでございますから、一応預りたいと思いますが、第四項で、千葉委員のほうから聞かれたのかも知れませんが、勤務地手当というように書いてあるのでございますけれども、これは百分の八十とかなつておる、この給与の問題は第四章と一緒にしてこれは出されないと審議できないのですね、これも勿論私たちが委員会の委員としての権威を保持する意味から、嚴粛な意思を以て申上げますならば、この第四章の具体的なものが出なければこの法案全体の審議は我々は拒否できる、私はそう思う、第四章がこんなに書いてあつて中味が全然わからない、この第十二條の四項の問題もやはり給与に関連しておりますが、これだけぽつんと出して、これだけ承諾させて、その全体の問題が全然ここでは出て来ていないということは、私は法案の審議をする我我に対して、これは当局者として誠意の点で欠けた面があるのじやないかと私は思うわけなんです。私は是非一つ同時にこれは出して頂くことを特に切望する次第でございまするが、例えば勤務地手当というのは、例えば勤務地というのは一体どこを指すのかというようなこと、それから百分の八十と言いましても、今これだけを妥当だとか、おかしいとかということは私としてはやはりできないのでございまするから、私は個々の問題と勤務地手当のことだけはお聞きしまして、あとこの給与に関する第四章、第十三條の問題、この問題は一応一つ質疑を保留させて頂きたい、人事委員会の我々が特に外務委員会にお願いをいたしまして、合同審査をこうしてさせて頂きまする我々の真意が、特に第四章の給与という問題も一番中心になる問題であるということを私たちは考えて、お忙しい中をこうして割込んでおる次第でございまするが、これが出ないことには、どうにもこの発展のしようがないことだけはあらかじめ申上げておきたいと思います。勤務地というのは一体どこを指すのでございますか。
○政府委員(石原幹市郎君) 勤務地というのは東京、本省所在地の東京という考えでございます。
○團伊能君 その今の御質問につきまして、待命ということが外交官にあるということは、従来において想像されるのに、外交官になる資格者が非常に少なかつた場合には、非常にこれを優遇された意味であつたと思いますが、そのために何と申しますか、治外法権じやないのですけれども、属人主義というような権利のようなものが認められて来たような形があると思いますが、このたびはそういう観念を再び復活すべきでもないと思いますが、待命という人に属する、その資格者に属する資格であつて、ほかのまあそういうアグレマンの場合のごときは、対外的には大公使を辞めても或る期間一つのこちらとして大使待遇をとつて行くことができると思いますが、無住所大使のごときもございますので、できると思いますが、この待命ということにつきまして、以前の特殊な、外交官という特殊技術者という観念がありましたのが、ここにまだ残つておるように思いますが、その辺如何でございましようか。
○政府委員(石原幹市郎君) ちよつとよく聞き取れなかつた点もあるのでありますが、従来一種の恩典のような意味で待命のようなことが行われておつたのではないかというような考え方から、いろいろ御質問があつたと思うのでありますが、今回のこの十二條の第二項の規定を設けましたのは、先ほどからたびたび申上げておるような意味からこの規定を設けたのでございまして、決してそういう恩典的の意味は考えておりません。それで従来はその待命の期間もたしか三年ぐらいであつたかと思うのでありますが、今回は一年としておるのでありまして、全く先ほど申上げましたように、実務的な意味から規定を設けておる次第でございます。
○團伊能君 今次官の御説明にありましたように、従来待命は非常に長いのです。これは或る人でなければ大使になつて行けないというように、特殊な人だけがなるというように考えられておりましたために、十人なら十人の人が次のポストがあくまで非常に長い間待命をしておるというような形でありましたが、今日の場合は非常に根本的に違うのじやないかと思うのです。大公使をそういうような限定された人に限らないで、一般的からとり得る形になつた。形体として外交官の待遇としては非常に私たち矛盾しておるように考えますので質問しましたが、その点なおお伺いしたいと思います。
○政府委員(石原幹市郎君) 團委員のお話しの通りでございます。
○森崎隆君 今の團委員のお話で一つ思い出しましたが、この第四項でございまね。待命期間中の俸給及び勤務地手当は、これもさつき申しましたように、私たちとしては審議のしようがないわけであります。俸給はどんなものか私わかりませんが、今の俸給というものが私たちが期待しておりますように、この俸給がまあ次官級のように、例えば六万円なら六万円という形におきまして、これがアメリカなり、イギリスへ行つた場合に、その勤務地の物価その他滞在費の実情に応じて、勤務地手当が大幅に加算されるということになりますと、待命期間中は六万円なら六万円という基本給だけで、それに八割なら八割多いということはわかる、ところが別の参考資料によれば、アメリカ合衆国のようなところは、一級は二方五千ドルということになつておる、これは本給のようなことになつておる、待命中も二万五千ドルとすると、年間九百万円、待命で何にもしなくてとれるということは、どうもこの点納得ができないというところから、やはりこの給与の案ですね、第四章の給与に関する第十三條で規定するところの法律というものを一緒に出してもらわないと、この第十二條の四項等につきましては、私たちはどうにも質問のしようがないのです。
○政府委員(石原幹市郎君) この大公使の俸給及び勤務地手当、この大公使の俸給は特別職の職員の給与に関する法律というすでに法律がございまして、これの別表で、例えば大使は三号俸六万四千円である、公使は三号俸が六万円である、こういうふうにきまつておるのでありまして、この俸給と、それから勤務地手当というのは東京のいわゆる勤務地手当、これの百分の八十を支給すると、こういうことになつておるのでありまして、もうこれはきまつておる問題でございます。それから第十三條の給与でございまするが、これはもう俸給とか、扶養手当、年末手当と、こういうようなものは特別職の職員の給与に関する法律或いは一般職の職員の給与に関する法律の規定に基くのでありまして、特にこの在外公館に勤務する外務公務員については、在勤俸であるとか、先ほど官房長から申上げましたように加俸として、配偶者加俸であるとか、或いは館長代理の加俸であるとか、兼勤の加俸であるとかいうようなものが出て来るわけであります。手当には特殊語学の手当というようなものがあるかと思うのでありますが、そういう在勤俸、加俸のようなものにつきまして、ここに改めて特別な法律を以て御審議を願いたい、こういうことになつておるのでありまして、このほうの法律がいろいろの何で少し遅れておるのでありますが、間もなく出ると思うのでありますが、十三條に規定しておりまするものは、在勤俸その他の加俸についてだけのことが特別に規定されるものであるということをお考えおきを願いたいと思います。
○中山福藏君 ちよつとお尋ねしておきますが、政府代表と全権委員の区別が第二條の第二項、三項によつて規定されておつて、政府代表と全権委員の区別というものは、結局條約に署名調印する権限が附与されない、一方はされると、これだけの区別のように考えられるのですが、そこでお尋ねしておきたいのは、国際機関に政府代表が参加するその場合において行動する権限が附与されておる。そうすると、行動する権限の行使について申合せとか、いろいろなことが、結局機関の各部の代表が集まつて来てその機関の行動としてやる場合に行われるわけなんです。そうすると、そういうふうな申合せとか、いろいろなものは政府を拘束するというような力が出て来るのですか、出て来ないのですか、それを一つお尋ねして見たいと思います。これはただその機関に参与して遊戯をやるようなことじやちよつと困るわけですね、何らかのここに代表という資格があるのだから、結果として何ものかが現われて来なければならんと思うのでありますが、そういう点はどうなのですか。
○政府委員(石原幹市郎君) これは会議に出まして、会議で表決が行われるような際には投票して意思を表明するというようなこともございまするし、その他会議でいろいろ申合せ等があることもあると思うのでありまするが、これは政府代表として出ておりまする以上は、その申合せに参加して来れば、そういう意味では政府を拘束する面も出て来ると思うのでありまするが、全権のほうは特に條約に署名する、国家を代表いたしまして條約に署名する特別の全権委任状というものを持ちまして出て行きまするものを特に全権委員と申しておるのでありまして、政府代表も或る意味において政府をいわゆる代表しておるのでありまするから、政府を拘束するということは、これは当然のことであろうと思います。
○中山福藏君 そこで多分この二項の問題は国際連合に出席するという意味から、これが出発して規定せられたものだと私は想像するのです。やはり二項、三項というものの間に区別を置かずに、一項にまとめるということがこれは必要じやないかと思うのです。そうしないというと、仮に議定書とか、いろいろなものをこしらえて署名捺印をする権限がないということになると、非常にその間に時間を要し、あらゆる経費というものが加わつて来ると思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
○政府委員(石原幹市郎君) 仮に議定書に署名調印する、いわゆる條約に署名調印するというような問題が起きまする際は、これは直ちに全権委任状を送りまして、いわゆる全権委員として身分資格を持つようになると思うのでありまするけれども、そういう場合だけでなく、單に今お話のありましたような国際会議に出たり、いろいろな国際連合の附属の国際機関がございます。現在はオブザーバーでいろいろ出たりする場合等もあるのでございまするが、政府代表というのは広くそういう場合に一般に用いたい、こういう意味で政府代表と全権委員の二本建にしてあるわけであります。
○中山福藏君 これは二項、三項共に政府を代表しているという言葉が使つてありますようですから、これは私は規定の中に弾力性を持たせるということが必要じやないかと思うのですが、これは二つに、こういうものを別個にこしらえてやると、政府代表のいわゆる事務を掌握させるということは、こういう点は規定の中に置いて弾力性というものを嵌込んでおいて、これはあらゆる点から敏活と簡捷を図るということが必要じやないかと思うのですが、これは一遍一つよくお考えを願いたいと思います。それからもう一遍お尋ねしておきたいのは、それは第十九條なんですが、外務職員が外交機密の漏洩によつて国家の重大な利益を毀損したという場合には懲戒処分を受ける。その場合におけるその処分に対して不服のある者は審査の請求というものができるということになつております。国家公務員法の第九十條の規定にかかわらず、外務大臣に対してこれをやるということになつております。そこでこの審議会におきましては、いろいろなことが結局事実詳審的な立場に立つ審判官と申しますか、そういうような機関によつてこれがいろいろ審議されて、その結果というものは外務大臣に報告されることになつている。そうすると、いわゆる公訴、分けの訴えを起す者は結局外務大臣の指揮下にあると申しますか、外務大臣がいわゆる公訴を提起する、そうすると審議会においてこれを審議する、而もこの第二十一條によりまして、どうなつて来るかというと、「外務大臣は、前條に規定する審議会の調査の結果に基いて事案を判定し、且つ、その判定に基いて当該処分を承認し、修正し、又は取り消さなければならない。」、こうなつております。公訴する人と最後に審判する人とが同一人になるというような結果になつて来るのじやないか、これはどういうふうにお考えになつておりますか。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○政府委員(石原幹市郎君) この第十九條以下の規定はいわゆる外交機密というものが、つまり国家の利益と結付く度合が非常に強いのでございまして、秘密の保持につきましても、高度の秘密保持をやらなければならない、こういうような意味からこの特例を設けたわけでありまして、それでこれは外務大臣がそういう場合に、その事案の判定をするのでありまするが、その際に外務人事審議会に事前にいろいろの事案の調査をしてもらう、こういう意味の規定でありまして、まあいわば従来の訴願のような形になつておるのでありまするが、その際に大臣が自分の独断の判断でなしに、外務人事審議会の公平なる調査に付して、その結果に基いて最後の判断をきめて行く、いわゆる先ほど申上げましたように、従来の請願のような形をとつた、これはまあ外交の高度の秘密性保持という意味から、個人の身分保障の必要性と、国家の利益の保護という両方を調整する意味におきまして、こういう特例を設けておる次第なのであります。
○中山福藏君 これは身分保障ということと、裁判制度というものと二様に並行して動いている、規定している。従つてこれは検事と裁判官を一緒に同一人がやるという結果になります、結果としては……。だからこれは国家のいわゆる高度の機密を、外交的な高度の機密を守る点より言えば、成るほど外務次官がおつしやつた通りなんです。併しそれでその高度な機密を守れば守るほど、それを取扱うところのいわゆる審議会とか、最後の判定者でありまする外務大臣というものの立場というものは、国民が、何人がこれを聞き、或いはこれを見ても納得のできるような制度を確立しておかなければ、私は駄目じやないかと思う。それを検事の立場と裁判官の立場と同一人に持つて行くというようなことは、これは、浅井人事院総裁もお隣りに坐つておられますから、人事の関係、身分を保障する関係において、外務次官或いは浅井総裁から、共に一つこの点についての御見解を、時代にふさわしい御見解を聞きたい。過去においてはそういうふうな取扱いがあつたかも知れません。併しながら事理を明白にさせるために、或いは條理を透徹させるために、これは総裁からもお聞きしておきたいとこう考える。
○政府委員(浅井清君) 誠に御尤もの御質疑だと思つております。結局それは推し進めますれば、首切るのが外務大臣、その首切りがいいか惡いかをきめるのも外務大臣、それでは結局身分保障ができないじやないかということになるじやないかと思つております。そこでその点は外務省側からお答えを申上げると思いまするが、一般のほうはどうなつておるかということと関連があると思いまするので、そのほうを申上げますると、公務員法の八十四條によりますれば、懲戒処分というのは任命権者が行う。外務省の職員は外務大臣が行う。人事院の職員は人事院が行う、こういうことになつております。併しその第二項によりますれば、人事院は又懲戒権を持つておるのであります。でありまするから、人事院が外務省の職員を懲戒処分に付し得る場合もある。それはまだ実例もございませんが、そういう場合もある。そうすると、懲戒権というものは、任命権者と人事院が現行制度では両方が持つておる。一応こういう前提になつております。さてその首切られた者が今度は人事院へ訴えて参ります。若しも任命権者が首切つた者が人事院へ訴えて参りますれば、人事院は赤の他人として裁判をいたしまするが、若し人事院が外務省の職員を首切つた場合は赤の他人ではあり得ない。つまり人事院が首切つた者でありながら、又一方においてそれを裁判しなければならん、こういうこともまだ実例はございませんが、あるのでございます。そこで人事院ではどういたしておるかと申しますると、人事院と申しまするのは、三人の人事官で組織しておる会議体でありまするが、これが直接審理をいたしませんで、公平委員会というものを別に組織いたしまして、ここで審理をいたします。その公平委員会の判定の結果が、理由を付して人事院へ持ち出される、そうすると、三人の人事官で組織いたしておりまする人事院がいいか惡いかをきめるというのでございまするから、結局この外務大臣が一人であるか、人事官が三人であるかと、こういうこともあるわけでございます。ところで実際の我々の過去に起きた実例でございますが、ちよつと考えますると、公平委員がどのような意見を具申して参りましようとも、我々は自由にこれを変えられるのでありまするが、先ず従来の例としては、そういうことは殆んどないのでございます。公平委員会の判定というのは、常に公平なものでございまして、人事院のほうでこれを勝手に曲げるとか、何とかいうことは、事実もないし、又そういうことは実際やりようがないのでございます。そこで只今御論議になつておりまするところの点も、ちよつと考えますると、御懸念のような筋もあると思いまするが、先ず大体において、外務大臣は外務審議会の答申通りにきめるほかはないのであつて、自分が首切つたから外務人事審議会の答申を退けて自分の我意を通すということは、先ず常識のある運用の上におきまして、又法律はすべて一応は良識のある運営を基礎として組立てられておりまするからして、お疑いになれば、これはきりのないことでありまするが、我々の経験としては、先ずこれでやれるのじやないか、こういうように考えております。
○中山福藏君 私は人事院総裁からそういう法律離れをしたお話を聞きたくない。あなたは法律によつて人事院総裁の地位に立たれて、いわゆる人間の生きて行くすべ、生きて行くところの道筋を立てられるという、あなたは保障官吏です。(「然り然り」と呼ぶ者あり)でございますから、私はその点はもう少し嚴粛に、一つ日本国民官吏で公務員全般のためにお考え願いたい、こういうことをお願いいたしておきます。非常に浅井総裁は頭がいいのでございまして、非常に御答弁をうまく練れてお答えになりまして、私どもちよつと困るのであります。それはもう少し法律をこれは立てるとか、法律の上に国民を法治国民として私どもは持つて行かなければならんと思つております。だから筋道の立たないことは、立法に参与する委員としては、これは到底忍ぶことができないと思います。これは検事と判事と両方兼ねておるような法律には、たとえ過去においてどうであろうとも、私どもが現在この参院議に席を持つておる以上は許すことのできない問題じやないかと思うのであります。又さように移つて行かなければならん問題じやないかと思うのであります。そうしなければ、常識論と情実論と過去の歴史的事実によつていろいろなことが判定されるということになりますれば、これは参議院におつて私どもは立法する必要がないのであります。どうかそういうことは一つ十分お考え願いたい。そこで石原政務次官に一つお尋ねしておくのですが、これは飽くまでもこの十九條、二十一條の規定というものをこのままで推し進めて行かれるおつもりか。成るほど審議会が一応決議して答申案をこしらえて外務大臣に出す、外務大臣はそれに従つてやると言いますけれども、これは当然それは道行きですから、そうなつて来る。だから審議会の意に反して外務大臣が自分の思いのままにそれを裁決することはないということも、おつしやつたように、常識的には考えられますけれども、これは人によります。証拠の見方は人によつて違うのであります。ものの判断も人によつて違うのであります。審議会がどう答えようとも、これを実際裁断するのは最後の外務大臣である。これはよほど一つ成文の上に表現するところのこういうような文句の使い方を、外務省としても十分お考えにならんといかんと思う。私は常識論をここでやりたくありません。道徳論もやりたくない。ただ立法府としての責務を完全に果すために、欠陥のない法律を作つて置きたいという考え方から、これは外務政務次官に御意見をもう一遍最後にお伺いして置くのであります。
○政府委員(浅井清君) 中山さんにお叱りを受けて恐縮なんでありますが、私は決して法律論を離れてしまつて申し上げたわけではないのでありまして、只今首切つた者と訴えを裁く者とが同一なのがおかしいと仰せでございましたが、その点につきまして、法律的に申しまして、この公務員法の八十四條の二項では、人事院が人事院の職員以外の職員を首切ることがある、その訴えは人事院に来ることも法律的にあるということを申したにとどまるのであります。
○政府委員(石原幹市郎君) これは先ほども申上げましたように、いわゆる外交の機密保持ということから来ます国家利益の保護ということと、個人の身分保障の必要性とを調整する意味合いからいたしまして、こういう特例と言いまするか、特別の規定ができたのでございまして、先ほど人事院総裁からいろいろお話になりました点と、それから又この外務人事審議会には人事院の職員も入ることになつておりまするし、他の審議会委員についても最も公平を念とするというような人を選定するというようなことについて留意をしで行かなければならんと思いまするが、その運用につきましては、先ほど人事院総裁の言われましたような線に沿いまして、十分考えて参らねばならんと思います。なお最後の点といたしましては、いわゆるこの一般の訴訟と言いまするか、裁判によつて最後のまあできる途があるのでありまして、そういう途もありまする以上、外務大臣が專横なことを行うというようなことは実際問題といたしましても、できないことではないかと私は考えております。
○中山福藏君 私どもは外交の機密に関する事項を、飽くまでも国民全体のために機密を漏洩させないということは、これは常識的によくわかります。併しながら審議会のこの委員の任命とか、何とかいうのは、これは若し長期の政権担当政府が任命するということになりますると、これは或る意味においてその政府に極めて懇意な立場にある人々がよく任命される。而もこの審議会はこれは非公開、いわゆる公開されないこれは審議会なんです。すべて証拠の提出或いはその両方の意見の陳述ですね、それが非公開の席上においてこれはやられる問題なんです。いわば原則上の裁判の制度に反するところの例外的なこれは取扱の審議の方法なんです。従つてこういういわゆるその審議会委員というものは、どの内閣によつて任命されたかというような事柄からも、その人間、その人々の陳述する意見というものはこれは違つて来ると思うのです。これは人情の弱いところです。私は先般追放解除の問題につきましても、一昨年でありましたか、こうごうたる非難が新聞、雑誌に掲載されて、そうしてそういうふうな審議委員というものがが人身攻撃を受けておつた事実を知つております。その適否は別として、知はそういうことを聞くことだに不愉快を禁じ得ないのでありますから、こういうことについてはもう少し突込んで一つお考えになつて見る必要があるんじやないかと思うのでございますが、もう余計なことは水掛論になりますから、申上げませんが、十分政府のほうではお考えになつておいて頂きたい。私どもはこの外交の問題を極めて高く、何と申しますか、国家の利益において評価しておるわけなんですから、無碍にいろいろなことを無茶苦茶にあなたがたと論議しようと思つてはおりません。これは私を離れて公の立場に立つて、私は一つ政府に反省を促しておきたい、かように考える次第であります。
○委員長(有馬英二君) それでは本日の連合委員会はこれで散会いたします。 午後零時五十五分散会