労働委員会 第29号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/07/29
会議録
○島田委員長 ただいまより会議を開きます。 この際お諮りいたします。前会において開会中審査申出の決定をいたしましたが、それに関連いたしまして、失業対策、労使関係及び労働基準に関する件について、議院の議決で特に付託されました場合において、調査のために委員を派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長 御異議がなければ、委員派遣承認申請の決定をいたしたいと存じます。派遣の目的といたしましては、港湾労働、珪肺病対策及び労働金庫の実態調査とし、なお派遣委員の選定、派遣期間及び派遣地の決定は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長 御略議がなければさよう決定いたします。 —————————————
○島田委員長 これより労働金庫法案、参議院提出、参法第六号を前会に引続き議題として質疑を進めます。柳澤君。
○柳澤委員 大蔵省の方にお尋ねいたしたいのですが、参議院から参りましたただいま審議中のこの法案によりますと、労働組合、生活協同組合その他の団体を中心とするということになつておるのですが、監督官庁の立場でこれを見たときに、生活協同組合は法人格がありますけれども、法人格のないその他の労働者のすべての団体を入れるようにしばしば説明を受けているのですが、そういうようなことになりますと、法人格のない団体の加入ということは、現行法の上でどういうようにして取扱われるか、私はもつばら民法上の問題だろうと思います。法人格なき社団の観念もないではありませんが、現行の民法上の考えからいうと、まず問題になつて来るのは消費貸借契約、それから寄託、弁済さらに大きくは担保契約という問題になつて来る。こういうような問題はすべてが現行民法の支配を受けなければならない。こういうときに一体だれを契約の当事者として行くか、だれを担保権者として行くか、組合を中心とした構成概念から行くと、組合に法人格があればこれらは問題はないことですが、もしそうでない場合は、結局個人を対象とした運営の実際上の取扱いになるのではないか、これを大蔵関係の方から見たら、どのようにして処理し監督して行けるものか、これを運営して行く上についての見通しというものをはつきりしていた、だきたいと思います。
○賀來政府委員 現在できておりまする労働金庫におきましても、労働組合がこれに加入いたしておりますが、法人格のない組合が現在加入いたしておるのであります。労働組合法の立場から言いますと、いろいろな便宜を與える意味からいたしまして、労働組合は法人格をとり得るという規定はありまするが、これは強制いたしておりません。しからばお尋ねのような点に関連しまして、労働組合は法律上どう扱われておるかといいますると、人格のないものでありましても、現在下級裁の判例の上から見ますると、訴訟当事者としての能力がありというふうに認められておりますので、債務不履行の場合、訴訟上これを追究する場合等支障ないものというふうに考えられておりまして、労働組合の代表者といたしまして、そういうふうに取扱いを受けておる例があります。しかしながらわれわれといたしましては、御質問のような点は確かに多少の疑義もありますので、今後はこれらに加入いたしまする労働組合につきましては、でき得る限りすみやかに法人格を得させるように努力をいたして行きたい、勧奨いたして行きたい、かように考えておる次第であります。
○柳澤委員 ただいまの政府委員のお話ですと、民事訴訟等において、現在いわゆる法人格のない団体が民訴の対象になつておるという例があるから、これはそういう点に支障はないとおつしやられる。これは現行民事訴訟法の規定によれば、かつての旧民訴と違つて、いわゆる法人格なき社団というものを法が明定しております。そこでその規定によつて当然法人格のない社団といえども、訴訟の便宜上これを対象となし得ることは一点疑いのないところである。これは御説明を聞くまでもないことであります。しかしながらそれは訴訟手続における併合の形をもつてする便宜的な規定であり、これは民訴の規定においてのみ許されることである。これは訴訟手続の話で、はつきりわかつておりまするが、私の申し上げるのは訴訟の問題じやない。いわゆる消費貸借契約が行われる、まずこの契約の当事者はだれなのか、弁済する場合において、この民法上の弁済の規定は一体だれを対象にして行われるのか、担保の提供においてしかり、そういつたような実態法の関係をお尋ねしておるのであつて、人格のない社団がこれらすべての場合においてその対象となるということは、現行民法の上では一体考えられない問題ではないか。しからば現在行われていると申しましても、現在行われているのは、やはり個人というものが対象になつておる。それでただまとめて集団的にやつておると思うのであります。契約は個人個人である。これが現在の取扱いのように一切の資料によつて考えられております。そしてそれをとりまとめて組合でやつておるということを先日来もいろいろ答弁を承つております。その点は私は現在の法規によれば当然そういうことになるし、今度かりにこの法案をこのまま通すといたしましたならば、そこに、この法規で取扱われるところの団体なるものが、ただいまの民法のすべての規定は団体として取扱われる、いわば法人格を実質的に認める、あるいは民訴のように人格なき社団というものを特に認めるのだという規定を置かれるならばこれはさしつかえないのですが、そうでなくて、本質的に契約の規定等、一切の民法上の規定の適用がこのまま団体にどういうふうにして適用されるのか。この点をはつきりさしてもらいたい。ことに労働組合については、先ほど来お話があつた通り法人格を得させるということができるでしようけれども、このねらいはその他労働者の団体の一切を含む、どんな形でもよろしい、従つて千差万態のいろいろな労働者の集まりをみな取入れるのだということは、最初から立案者の説明によつてはつきりされているところであります。それらが一々これを契約の対象として取扱うのかどうか、これをお聞きするのです。
○賀來政府委員 現在の労働金庫の取扱いの状況を見ますと、法人格のないものにいたしましても、委員長あるいは組合長が代表いたしましてその取引の対象として実際に動いておりますけれども、私どもの聞いておりますところでは、金融関係から見ますればさような例は認められる、かように承知いたしておるわけであります。ただ不動産担保等の場合になりますと、不動産を持つております労働組合はほとんど法人格を得ておりますので、この点につきましては問題はない、かようにわれわれ考えている次第であります。
○柳澤委員 実際に取扱われておるとかなんとかいうことを聞いておるのではない。この現行民法の適用をどうするのか、一体現行民法における当事者はだれなのかということをはつきりさせていただきたい。法人格のない場合でも全部その組合が当事者なのか、それをお尋ねしております。
○賀來政府委員 現在動いております労働金庫の取扱いの実情は、法人格のない団体でありましても、その代表者をもつて取引の対象としてその取扱いができているようであります。
○柳澤委員 現行民法の建前とすれば、どうにもそこがはつきりいたさないのでありまして、団体の長というものがそつくりまとめて自分の個人の資格でやつておるのか。実際の問題はいろいろ取扱われおりましようけれども、その場合の権利義務の帰属は一体だれなのか。これは大方人格のない契約当事者というものがいかに現在の取扱いといいながら、民法の規定を越えてやつて行くことはできないのではないかと思いますが、その点はいかがでしようか。
○賀來政府委員 ただいまの御質問関連いたしましては、立案者も御意見があるようでありますが、大蔵省の方からもお見えになつておるようでありますから、その方から御答弁願いたいと思います。
○柳澤委員 私は労働省のお考えをお聞きいたしておる。しかしてどういう立場において指導してこれができたものか、労働省の御意見をはつきり聞きたい。
○賀來政府委員 労働省の立場といたしましては、現在の労働金庫は支障なく動いておりますので、現在の慣行でさしつかえないものと考えております。
○柳澤委員 どうもそれははなはだ無謀な御答弁であります。日本の民法の適用を受けないというお話でありますが、当然消費貸借契約も結ばれれば、寄託、弁済の規定も、担保の問題も起つて来るのであります。これらを除外してはできないはずです。これは法律的には、あるいは一まとめにして代表者がその人の名前にして契約の当事者になつておるかもしれない。あるいは個々一人々々が当事者であるけれども、便宜上それをまとめてとりきめておるのかもしれない。いずれにしても相手方となるべきものは、自然人であるか法人であるかでなければ、民事訴訟法のような、人格なき社団として取扱うべき何らかの根拠がなくてはならぬ。私は法律で生活を立てておるものでありますけれども、今のような根拠がわからないので、その根拠をお示し願いたいと思う。
○賀來政府委員 詳しい法律論になりますと、とても柳澤さんにかないませんので、なお研究してあとでお答え申し上げたいと思います。
○柳澤委員 この点は私決して皮肉にお聞きするわけでも何でもない。きわめて常識的な問題であり、必ず契約の問題として、またことに履行の問題になれば、相当うるさい問題が関連して起つて来る。しかもそれが円滑に運営されておる間はよろしいのですが、契約の当事者のどちらかに傷がついて問題が起つて来るときには、担保権のごときはことにそうでありますが、すべての問題について絶えない論争が考えられる。こういう際に、結局は民法の規定によつて押して行かれるということになれば、これは何も知らないで、ただ一まとめにひつくるめてやられるところの零細なる労働者、零細なる金を集められて扱われるところの者にとつては、大きな問題であります。必ずそういう問題が次から次へと起つて来るし、来ておる現実にある。また起ることは火を見るよりも明らかであります。こういう問題がやはり明確にされてなければ、この運用、指導は完全にできない。そこで私はこの点は労働者当局としても、ただ漫然と考えられては困りますので、権利義務の主体を明確にしていただいて、契約の当事者がだれであるかもはつきりさせていただきたい。この法律によつて、特にそういう取扱いを新たに設定するならば、それもまた何とも申しません。そうすれば民法を越えるところの一つの特別規定として、私どもも考えないわけではありませんけれども、そういうようなお考えもないし、またそうかというて、ただの取扱いがいがとおつしやられるのであつては、必ず論争が起つてつまずいて、そういうような法理的な分析が行われる。これは私は今ぜひともはつきりしておきたいところなのであります。しかしながらただいまのようなお答えであれば、賀來政府委員にこれ以上お尋ねしてもしようがないので、とりあえず今のお言葉に従つて、後にさらに詳しくお聞きすることとして、この点についての大蔵省のお考えはどうなのでございましようか。
○有吉説明員 ただいまの御質問は、まず第一に人格なき組合なり団体が、この法律上においてどういうふうに取扱われておるかの解釈と伺つてよろしいかと思いますが、大蔵省といたしましては、この法律によりますところの人格なき組合なり団体なるものの性格の問題と申しますのは、先ほどから御説明になつておりますように、一般の権利能力なきところの社団の法律関係を越えて他に考えることはできない。労働金庫法の内部においての人格のない組合なり団体というものについても、民法上におきます権利能力のない社団の関係によつて、一律に律すべきものである、かように考えたわけでおります。従いましてその際おきましては、権利能力なきかかる団体なり組合なりというものが、一つの会員として起しますところの法律関係は、若干の疑義が将来の問題として存して来ることは御説の通りと考えるわけであります。ただその際におきまして、これらのものを法の規制のもとに制約いたしまして、ここに掲げることが当であるか不当であるかという問題は、別にかかつておりますので、一応私どもの解釈といたしましては、一般の民法の権利能力なき社団に属すべきものだと考えております。
○柳澤委員 一般の民法の規定に従うということになりますれば、結局法律上の人格なき組合は任意組合であると私どもは解釈いたします、あるいはそのほかに超法律的解釈があるのでしようけれども、一応そういうふうに考えますと、民法上の任意組合は契約の当事者として取扱われる場合は一個人であるわけであります。そういうことに考えて来ると、この條文にこのままに、いわゆる組合というものだけを単位として書き込むということは意味のないことであつて、組合だけをこの規定の単位に入れましても、この金庫の行う事業の内容がもつぱら消費貸借天ある。あるいはその他のいろいろな法律関係が起るにしでも、弁済、担保等すべて民法の規定に支配される場合においては、やはりこれは個人と何も口別がないように考えられるのであります。あるいはまたここにこのように組合だけだというような規定を設けると、この法律に限り人格なき社団に対する特別な一つの法律概念を新たにつくるものであるというようにも解釈されはしまいかと思う。つまり前の考え方からすれば、個人だというても組合だというても、何ら法律関係にかわりはない。またあとの考え方からすれば、これはゆゆしき問題である。民法を越えた一つの社団概念をこの法律で創成するということになつたら、これは重大な問題である。これこそもつともつと深く各方面から検討しなければならぬ問題になると思います。そういうことになつて、そのいずれからいたしましても、これを個人の観念を越えた団体だけだという考え方のこの規定は、何も意味がないのじやないか。あるいは特にこういう団体の概念を創成する意味だとすれば、これはもつともつと検討すべき大きな問題がある。かように考えますと次の第二の、いわゆる新規の法律概念を構成するのでないという先ほどの政府委員のお話を前提として考えるときに、個人として考えても法律的な取扱いにおいて何らかわりはない。特にこれを団体主義だ。団体主義だと主張し、個人を除外されるということは、結局これが運営において何の意味があるか、こういうふうに私どもは疑念を持つのです。これが法律的に、先ほどの民法の任意組合と考える政府側のお考えからすれば、個人をここに入れようと、団体と表示しようと、その法律関係、この行う事業の直接の、領金とか、これが領かる担保、弁済といつたようなことについて、何のかわりもないのだというように考えますけれども、しいて団体を固執しなければならないという大蔵省の考え方を聞きたい。
○有吉説明員 しいてこの中に入れなければならぬという大蔵省の考えを聞きたいというお言葉でございますが、実はこれは私ども提案しておりませんので、率直にこの入れたらいいかどうかの問題についての大蔵省の考え方として答弁さしていただきたいと思います。 先ほど権利能力のない任意組合である。他の任意組合と同じ法律関係に立つのだということを申し上げましたが、その際に、ただちに任意組合であるから、單にその任意団体の代表者だけの個人関係であるということになりますと、民法の解釈といたしましては、若干異論があるのではなかろうかという気がいたすわけであります。ただこれは法律の解釈の問題でございまして、私の解釈ということでお聞き願いたいと思いますが、権利能力のない社団の外部に対する関係の問題ということが出て参るわけでございますが、なるほど権利義務というものは、ただそれ自体に属するということは認めることはできないわけでございます。この権利義務自体の効果は、その構成員全体に帰属するものであるということが言われるわけでございます。もしその個人がその任意組合の代表者としまして、あるいは預金し、あるいは登記するという関係におきましては、その関係が公示されておる限りにおきましては、やはりその財産は、その代表者個人に帰属されるということではなくして、單に信託的にこの代表者に帰属させておるのだ。従いまして第三者もこれを名義人の個人的な財産として扱うことはできない。任意組合全体の社員に帰属するものだという解釈も成り立ち得るものと考えておるのであります。従いましてその関係におきましては、特にそれらの任意組合を会員といたしまして規定する効果もあろうかという気がいたすわけであります。あとの問題といたしましては、労働金庫法におきまして、かようなる任意組合を入れまして、さらに完全な権利義務のないところの団体、人格のないものを入れまして、後に法律的な問題が残るということと、これらの任意組合を排除してもその点をすつきりするか。その間の当、不当の問題にすべての帰趨がかかつて来るのではないかと考えるわけであります。結論を申し上げまして恐縮でございますが、私どもといたしましては、若干問題は残りましても、やはり任意組合をそのまま法律の中に入れて、法律的には若干問題が残りますが、その点につきましても会員として扱う方が妥当ではなかろうかという気がいたすわけでございます。
○柳澤委員 たいへん進歩した任意組合に対する御解釈でありまして、私ども現在の一つの理想的な学説として、いわゆる新民法的な、あるいは社会法的ないろいろな立場で議論されていることもあるし、判例等でも理想を示されているものもあるけれども、まだまだ現行民法はさように規定をしておらない。きわめて明確な懸度ですべての法律は処理されなければならないと私意いますので、われわれ立法に携わる者の建前として、多くの疑点があるにもかかわらず取入れるということに対しては、非常に危険のある、しかも不親切な考え方であると考えておりますが、ここであなたと法律論をかわしても何らの利益がありませんから、これはあなたのきわめて変つた御説明をお伺いするにとどめまして、さらに運営について現在の経営面から見るところの私の疑問を二、三お尋ねいたしたい。 現在できております労働金庫なるものは、いずれも日が浅い。従つて発展形懸を決算の上から見ることは必ずしもできないかもしれない。しかしながら私の考えでは、現在までのところ集まつた資料によりますと、まずどの組合も赤字である、このように考えられる。たとえば本年三月三十一日現在の千葉県の労働金庫の場合、ここに示されてある資料に基きましても、百二十一万四千二百三十四円九十一銭を当期損失金として計上しておる。さらにまた他の資料によつて見ましても、北海道の労働金庫の場合を見ますと、本年三月三十一日現在の損益は、当期純損金として百三十九万七百五円十銭をあげておる。また広島県におきましても本年三月三十一日現在の対照表には当期損失金が百十八万二千百九十四円五銭、こうした数字をあげております。そのほかにも、私が収集したところによると、割合と少額の預金でありながら、ほとんどみな半期に百万以上の欠損を計上しておる。こういうことを考えてみますと、一体これで成り立つて行くのかどうかということを非常に心配するのです。どこを見てもみな相当金額、しかもかなり厖大な数字が赤字に食い込んでおる。ちよつと見ても貸付金の一割にも当ろうかと思うところが多いのであります。このようなことで、しかも最初から見越しておつたものでも、本年こしらえたものでも、福島のものなんかは本年の見込みでつくつたものですが、これの対照表を見ましても、本年度損失金を小さいのでも四十六万円見込んでおる。かように考えて来ますと、零細な資金を集める労働金庫なるものが、こうも赤字で一体どうして経営が立つて行くのであろうか。この点、私どもは今この審議の最後におきまして非常な危惧を持つのです。というのは、私は実は信用組合にも直接関係をしておりまして、信用組合の育成に非常に骨を折つております。何としても赤字になつてしまう。しかも信用組合というものは地域的に非常に人口の多いところを中心にしてこしらえて、人口の稀薄の方まで手を延ばさないでいるのです。私の関係するところも今度初めてある市へ一つ、ある中心の町へ一つ、二つの支店を出しましたけれども、そういうようにきわめて狭い地区でもつて、一つの店舗で外交員全部で強制的に相当、金を貸すよりも、むしろ積立金のとれる預金方法を、いわゆる月掛預金をかなり顔をきかして集めてさえもずいぶん困難をしておる。ところがかつて私がずいぶん扱いました信用組合の整理を通じてみますと、小さな信用組合はほとんどめちやくちやにつぶれてしまつた過去の経験を知つております。現在ようやくにして、その中で人口の集中したところの比較的店舗の数が——もちろん店舗の数は一つか二つで、そうして経費のかからないところでようやくにして今日立ち上つておる。それで中には大きいものに至つては数億の預金をこしらえて堂々とやつておるものがありましても、店舗の数などは非常に少くて、地域も狭くしておる。これを見ますと、一県一つだというような場合にはかなり広い地区にわたらなければならない。しかもきわめて金に縁の少い、と言うたらしかられますが、市中銀行の対象にならない人たちをもつぱら包容して行くのでありますから、この預金額も推して知るべしで、ずつと低く計算しなければならない。地域は広い、従つて費用はかかる。そこへ持つて来て零細な資金である。伝票の数だけ考えてみたつて、これはなるほど手数がかかる。しかも現在やつておるのを見ると、ほかの銀行の窓口を利用してそれを借りてそこへ頼んでやつておる。これなら結局なくても同じような形です。大きな銀行の窓口に委託してやつておる。これではまるで共済組合の形そのままなんです。そういうようにして組合を通じ、あるいは共済組合のようなかつこうでほかの窓口を利用してやつても、一つ二つの店舗は広い区域で持たなければならない。千葉県で現に今度野田にもりつぱな店舗を新設した。私は発展することを心から願うのだが、さてこれがどのくらいの金が集まつたら十分に経営ができるのかしらんと思う。千葉県などは実に堅実な経営方法をとつておるようですが、今後おそらくこの法律ができれば陸続としてできる。そういうようなあかつきにおいて、はたしてこれが倒れずに満足に伸びて行けるものかどうかということを考えると、過去の信用組合の発展史と思い合せて、ずいぶん心配になるのです。ことに私はこの経理についても、学生時代から、私は計理士をやつておりまして、これを拝見して、どうもまだまだ堅実な表示ではないわれわれの資料としての表示であると思われる点が多々あります。現に金庫に臨んでみて、うまくできておるけれども、まだつけばつけるなという点があります。決してごまかしておるとかなんとかいうのじやありません。そういうように見て行つたら、いろいろな物の評価、たとえば回収不可能な固定資産の評価などにつきましても、これでいいのかしらんという点もあるが、これは経営者としては無理からぬことで、赤字で計上するわけには行きませんからそういうことにもなりましようが、現在ここに現われておる本年・度の対照表で、赤字でないものがそこの辺におありでしようか。監督官庁の手におありでしようか。一つとしてないと私どもは考えておる。あつたとしても、その内容をもう一ぺん私に検討させていただきたい。するならば、決して黒字が黒字でないというようなことを考えますと、この成立を思えばこそ、非常に大きな危惧の念を抱くのですが、こういう点に対して、金融の監督官庁たる大蔵省においてどういうようなお見通しを持ち、現在の状況を監督されておるか。こういうような赤字の対照表、しかも厖大な率の赤字の対照表をごらんになつて、どういうお考えであるか。今後における発達をどのようにお見通しなさるか。これはしつかりした見通しで御返事願いたいのです。今行き当りばつたりの御答弁で将来ばたく倒れるものがあつて、零細な金を集めたものが、返されない場面ができたり、政府が、これを倒れてしまつたら、しかたがないからというので、税金で赤字を補填しろというようなことになつたらたいへんなのでありまして、その辺のお考えをできるだけ詳しく伺いたいのであります。
○有吉説明員 お話が現在の信用協同組合法によりますところの労働金庫の点の内容分析からお述べになりましたので、私もその関係につきまして御説明いたし、あわせて今後の労働金庫の趨勢と申しますものを、私どもの考えといたしまして申し上げたい、かように存ずる次第でございます。 すでに御承知の通り、岡山県におきまして信用協同組合法に基きます労働金庫が最初にスタートしたわけでございます。当時大蔵省といたしましても、かかる労働者を中心といたしますところの労働金庫、いわゆる信用協同組合である労働金庫が健全なる発達をするかどうかという問題につきましては、相当深甚なる考慮をいたしたわけでございます。当時の私どもの考えといたしましては、消費生活協同組合を母体とする信用協同組合という形におきまして、労働金庫の設立を認めて来たわけであります。ただいわゆる岡山県の労働金庫というものを、一つのテスト・ケースとして考えて行きたい、かような見地から当時、二十五年の九月の一日にこれが生れたわけでございます。その後地域的には兵庫県なり、北海道、千葉、埼玉というところに労働金庫として広がつたわけでございますが、それぞれその当時の申請の内容から見まして、こうであろうという点から、われわれといたしましても、信用協同組合としての免許を與えた次第でございます。 その間におきまして、現在これらの組合がなほ赤字ではないかという御指摘が出て来ると承知するわけでございますが、信用協同組合に関係なさつている柳澤委員に私から申し上げることはまことに恐縮の至りでございますが、金融機関が創設されまして、これが黒字に転換するというのには相当の時日を要することは、すでに御承知の通りだと思います。今申しました兵庫なり、北海道、千葉、埼玉なりと申しますのは、二十六年の六月から七月にかけて創設されたものでございまして、六月末現在をとりましてもなお短期間のものでございます。その間におきましては、創業いたしまして店舗の充実なり、職員を資金量以上にかかえなければならぬという点が出ているわけでございます。今後預金の増強によりまして、単位職員当りの資金量の増大ということがはかられ、またその内部におきましては労働金庫の会員自身が労働金庫を愛する。自分の預金はあげて労働金庫に持つて行くんだという気持が動き、また経営者におきまして人を得るならば、労働金庫の前途というものは今後ますます伸びて来るのではないか、かように考えるわけでございます。ただ現在におきまして御指摘の点は、時期の点に非常に大きな問題が出て来るだろうと思います。なるほどお説の通り信用協同組合におきましては区域の狭い、また人口の密集しているところによつて、その信用協同組合が伸びるのである。漠然と区域を広め、店舗をむやみに多くした場合におきましては、赤字の累積が増大するのではないかという御懸念は、まことにごもつともであります。この点は労働金庫の今後の運営上におきまして、最も大きな問題になろうと考えるのであります。 〔委員長退席、船越委員長代理着席〕 将来の点から申しますと、われわれといたしましては、できるならば健全なる労働組合の基盤に基きまして、健全なる経営指導者を得まして、しかして会員が一様に労働金庫の必要性を認めて行くようにすべきであると考えられます。金融機関の公共性ということから申しますと、一様にすべての区域においてスタートをするということにつきましては、私どもといたしまして多大の疑念を持つわけでありまして、全国一様に一箇所の場合におきましては、労働金庫として成り立ち得るのでありますから、これは労働金庫の性格を無視するというわけには参らない。これは各地方の事情と金庫を構成すべき内容、人的の内容、将来性、すべてをあわせ考えて判断をしてしかるべきものだ、かように考える次第であります。
○磯部参議院労働専門員 ただいまの有吉さんの御説明で十分だと思いますが、柳澤委員から、現在黒字になつているものがあるかどうかというお話でございますが、ただいまお話にもございましたように、大体三年は赤字を覚悟するというのがこの方面の常識だそうでありまして、労働金庫運動といたしましても、最初からそういうことはあらかじめ覚悟して出発しているのでございます。それでまだ二年には達しておりませんが、兵庫県のごときはすでに黒字に転化しつつあるのでありまして、月々十万ないし十五万ずつ償却しているそうでございます。なおその詳細な数字は後ほどお手元に差上げたいと思います。 それからこの労働金庫が赤字を出すことをたいへん御心配いただきましたことは、これと同じようにたいへん重要な問題でございますから、その点は特に注意して今後労働金庫の指導に監督官庁は当つていただかなければならぬと思つているのでございますが、地域が非常に広いから、営業費がよけいかかるだろうという御心配もごもつともでございますが、先ほどからお話がございました例の団体を通じていろいろな預金もするし、また貸出しもするという形になつております関係上、割合に営業費というものが普通の信用協同組合よりも安上りで済むというので、現在従業員一人当り預金の扱い高が約言百万から四百万というところまで行つているのでありまして、この数字はもつと上るだろうと思います。そういう点で非常に経済的な利点があることを、この際お耳に入れておきたいと思うのであります。 それから法人でない団体の問題につきまして、先生の非常に深い法律的な学識から来る御批判と御心配をいただいたのでございますが、この点につきましてちよつと立案者としての意見を簡単に申し述べさせていただきたいのでございます。この労働金庫に団体主義をとりましたのは、いつも申し上げておりますように、労働者というものは非常に経済的な力の弱いものでございますので、これを把握して預金を吸収し、かつこれに貸付をいたしますためには、どうしても団体をつくらせてその団体の信用、団体の力というものを相手にしてやつて行くことが安全でもあり、またそうしなければこの事業の発達を望み得ないという見地に立ちまして、団体主義をあくまで堅持するというところから出発しているのでございます。そこで法人格のない団体について代表者が、これはおそらく各団体の構成員の委任を受けて、その名前ですべての取引をすることになつておると私は考えておるのでございますが、これはあえて労働金庫に限らずとも、現在同窓会であるとかあるいは社交団体であるとか、その他法人格のない団体がたくさんございます。そしてそれらはそれぞれ財産を持ち、また預金もし、借入れもしておるものもあるかと思いますが、それらの団体が銀行なりそれらの金融機関となしておる関係から考えまして、そういう場合必ずしも団体としての取引というものがなくて、個人としての行為にならなければならないというふうに私ども考えなくてもいいのではないかと思うのでございます。先ほども申し上げましたように、どうしても労働金庫の仕事を将来発達させるためには、団体をキヤツチして行かなければならないということから考えまして、もちろん先生のおつしやる通りに、あくまですべての団体が法人格を持つて法律上何ら間然することのない形で行くことは理想でありますが、それにつきましては労政局長からもそういうふうに将来指導したいというお話がございましたので、それをわれわれは期待しおるわけでございますが、過渡的な状態として、今日までの労働金庫の運動の上においてそれでやつて来ておりますし、今後もそういう形で過渡期を過して行かせてみたい、こう考えておるわけでございます。
○柳澤委員 前の持株金融課長のお話ですが、何だかお話を聞きますと、ただいまの信用協同組合法によるところの労働組合の経営状態はその通りだが、法律をこしらえれば何かもうかるような経営の立つように聞えるお答えなんです。特にただいまの法律下における労働組合ということを強調されておつた。しかしこれは変な話で、もちろん現在あるものはただいまの法律下でこしらえられたものにきまつておる。しかもこれを土台にしてこれをいかに育成するか。今のやり方を全然考えることなしに新しい、まつたく新しい方法で行こうというのじやない。少くとも現在のものを公認して行こうという点にわれわれのねらいはあるのだ。今度法律を新しくすればもうかるの、だという答えに聞えますことは、はなはだもつて現在の状況を認識しないにもほどがある。これははなはだ不承知です。そんなことは聞けたものではない。それでこそもつともつと現在の状況をよく見、しかもまずいところをよく直して行かなければ、この法律はどこのところを直したらいいかわからない。まつたく法律を直したからといつたつて、金がもうかるわけではない。ただいまのお答は私ははなはだ不満と思います。さらにただいま参議院の専門員の方がいらぬことをおつしやられましたが、先ほど私の尋ねていた法人の資格のない団体、共済組合であろうが何であろうが、みな長の名前でやつていることは当然です。それだから私がお聞きしたい問題は、要するにこれが失敗をするような場合が起きて来るというと、個人というもの離れてしまう。その点に大きな疑念がある。金を預けたものがかりにとれなかつたような場合、また預けたものが逃げたような場合、金を借りたものが逃げてしまつたような場合とか、少くともこういうトラブルが起つたときには、その契約については必ず問題が起つて来るであろうということに大きな疑念がある。おのおのの責任が明確にされないと、結局責任のなすり合いが起つて来ると思うのです。そういうような点で結局片づけるためならば、団体としてひつくるめて片づけられるということは、民法上大きな迷惑が起つて来るのではないかということを先ほどから聞いているのです。しかし今の答弁はそのことについてお答えをされているわけではないのですが、それはそれでけつこうです。 それから先ほど来お二人のお答えの中で非常におかしいと思うのは、こういう金融機関というものは、二年間赤字は覚悟であるというのはどういうわけです。赤字のないようにやつてほしいということを心配している。しかも莫大な赤字である。この赤字が二年は当然覚悟だとおつしやいましても、小さな組合が百万以上も半期にちやんと対照表に載せて、純損失金としてやつて来ている。これにはいろいろ買つたものは載せていない。買つたものはほとんどたいていのものは資産勘定で残している。純粋の損失だけを百万以上先ほど読み上げたようにみな計上している。そういうような預金の相当厖大なパーセント、それを小さな信用組合が百何十万という損失を半期いずれも見積つているのを見て、漫然とこの法律に賛成をすることは簡単であるけれども、それがゆえにたくさん設立を見、しかも衆議院における政府当局の答弁は、二年は赤字は覚悟であると言つておつたのでは、どうもまことに情ない。人の金を預かつてする仕事なんだ。自己資金をそこにたくさん持つてやる商売ではな、少くともそういう厖大な赤字を初めから出さないようにして行かなければならないのです。しかもそれが半年か一年しかたたないのに、今度は莫大な利益になるとおつしやる。そんなにもうかるものを労働金庫でやられてはたまらぬ。それほど高利をむさぼらなければならないようなものでは困るのです。やはり金利も決してほかよりは高くないようして融通されなければならない、そのときにおいてそんなにべらぼうにもうかるという考え方がまず間違つている。市中金融の銀行や信用組合でさえもそうは行かない。いわんや零細な金をまとめて、それが莫大な損失を平気で、ともかく二年でも当然だと考えて指導されたのでは、この法律案を通したらあぶなくてしかたがない。私どもは万全を期して損をかけないようにしたいというのが大きな願いなんです。ですからほかの金融機関とは違つて、できるだけそういう点を何とかカバーできる方法を案出したい。これが一つの大きな願いです。しかも少したつたら莫大にそれを償却し、もうかつて行くというような準営利的な考え方であるならば、この金庫の使命はまつたく抹殺されるのです。もうかるためにこしらえるのならば、われわれ労働金庫の名称をぬぐい、この法案は抹殺いたします。少くとももうからなくても倒れないというところに私どもの願いがあるのです。そういう観点から今でき上つている多くのものを見ましても、きわめて日が浅い。どれをとつて将来をそんたくしてみても、これではあまりに日が浅いのです。おそらくあなた方だつて保証はつかないと思う。そういうふうに考えて来ますと、私どもは今度は古くからできているものの実情を一度ほんとうに調べてみたいと思います。さらにそういうことによつてわれわれは、なるほどこういうふうに法律を直して行けば、これだけの損害はカバーできるというような点の発見に努めたいと思います。しかしこのままではとうていそれはできない。いわんや半年か一年しかたたないものばかり材料として並べられて、これで単行法をつくつて保障しようじやないか、これを運営して行く立場のものを強化しようと言わんばかりの法律案が出されたとしても、これはまつたく対照比較するのに何ものもない。ある程度の期間の実績をよく調べて、しかる上に誤りなき法律をつくりたいと考えるのです。だからこそすみやかに解決したいと思いながら、その危険を考えるときに、きようにもあすにも決定できないで、私どもはあちらからもこちらからも資料をもらつて検討し、長引いておるのです。決してこれを通すことがわれわれのためでないとか、あるいはなるべく握つておいてやれというような浅薄な考えではないのです。どうしても健全なものをつくり、時宜に適した処置であらねばならない。相当な期間をかけて実績を検討してみるということができないのははなはだ残念なのです。それをただ漫然と法律をつくつてくれさえすれば今度はもうかりますといつたような御説明で、はいそうですかと私ども承認できない。いわんや先ほど言つたように団体であればもうかるのだ、団体であればもうかるならば、個人もそこに合せ入れたらもつとたくさんかき集めることができて、完全なものだけに貸したらいいと思う。預金を集めたら必ず貸せということはない。そういう点からいつても、団体主義を固執することは、決してこれの完全を願うという意味には私はならないと思う。いろいろな点から私どもはいまだ非常に疑義があります。しかしながらこれに対しては実際まかの問題と違うので、零細な資金を集めて、骨身を削つて貯金したものが倒れてしまい、一部のものの費用になつてしまつたからといつて、とりもどしはできない。しかもこの規定に役員の無限責任規定がない。これらは労働省初め、大蔵省も責任者に対して絶対的な無限の責任を負わせるということをもちろん考えてもらわなければならないことです。おれがやつておる間だけはそれでよかつたということでは困る。ふんどし一つになるまで徹底したやり方でなければ金融はやつて行かれない。そういういろいろな点から、まだまだ私は十分に納得できませんけれども、ただいまひな壇にいらつしやる方々にこの点をお伺いしたところで、これはとうてい無理なことかもしれません。私ども進んで実態調査をして、できるだけ健全なものをつくる義務があると思いますので、私の質問はとりあえずこれで打切ります。 〔船越委員長代理退席、委員長着席〕
○島田委員長 森山欽司君。
○森山委員 まず委員長にお伺いしますが、きようは提案者側からどなたが御出席になつておられるのですか、ちよつと伺いたい。
○島田委員長 提案者側からは磯部専門員が来ております。
○森山委員 磯部専門員は議員じやないので、立案者のほんとうの意思を私は知りたいと思う。大体こういう法案の審議にあたつて議員が一人も出ていないというのは、一体どういうわけか伺いたい。
○島田委員長 中村参議院労働委員長は先ほどまで両院協議会に出席しておりまして、あとから来ることになつておりますので、いましばらくお待ち願いたいと思います。
○森山委員 発議者が十一人もありますから、そのうちの一人くらいちやんと出て、われわれの聞きたいことに対してお答え願うような態勢がほしいと思うのです。この法案を見ますと、まで若干疑義がございます。そういう問題について、参議院の方々がどの程度の御認識を持つてこの問題をお取上げになつたかということを私どもはよく知つておきたい。参議院の法案の取上げ方を少し詳細に調べたい。磯部さんの話では、この前もちよつと聞いたのですが、私の問いに対してはまるで返事にならない。一体これから質疑をしようとしても、だれに質疑をしていいのか非常に了解に苦しむのです。そこで発議者に対するところの質疑は後ほどに留保いたしまして、この際御出席になつておられる関係者の方にお伺いしたいと思います。 まず第二條に消費生活協同組合を労働者の団体の一つの例示規定としてあげておるのでございますが、これは消費生活協同組合イコール労働者の団体として考えること自体に、多少無理があるのではないかというふうに考えておるのであります。そこで消費生活協同組合の実態について、ひとつ社会局長さんから、この法案に消費生活協同組合を乗せなければならない理由について、またその乗せた方がよいであろうと思われるならばその理由について、御説明願いたいと思います。
○安田政府委員 消費生活協同組合の実情から御説明申し上げます。御承知のように前は産業組合法によりまして消費組合ができておつたのでありますが、その後昭和二十三年の七月に現在の消費生活協同組合法が制定されまして、それに基いて現在ありますところの消費生活協同組合ができ上つておるわけでございます。二十三年の当時は約七百でありましたのが、現在は千四百ばかりになつております。そのうち職域が三百四十五、地域組合が千百二十七組合になつております。職域の組合は、申すまでもございませんけれども労働者が職域においてつくつている組合でございますし、また地域の消費組合におきましても、やはりわずかな収入でほとんど労働者がその大部分でございますけれども、生活をいたしているところの市民の協同組合でございますので、そういう意味で私は本法案にも関係があるのではないか、かように存ずる次第でございます。 それから現在の消費生活協同組合で、資金の問題が非常に困つております。御承知のように産業組合の時代には産業組合中央金庫というものが、いわば親金融機関のようなかつこうでございました。その後これが農業協同組合、中小企業協同組合等にわかれました場合に、農業協同組合につきましては農林中金があるわけでございます。中小企業協同組合等につきましては商工中金等がその役割を果しておる。ひとり生活協同組合につきましてはそういう金融機関がないのでございます。これにはいろいろわけがございまして、当時国民金融公庫をそういつた働きをする団体にしたらどうかというような話もあつたのでございますけれども、関係方面との話合いでうまく行かなかつたというような実情でございます。先ほども、森山委員がお見えになる前に大蔵省の課長からもお話があつたのでございますが、大蔵省でもこういつた生活協同組合の資金関係についてはいろいろ御心配を願つておりまして、岡山でいわゆる労働金庫ができ上りましたときにも、先ほどのお話では、協同組合というものを中心に考えたらどうかというようなお考えまであつたようでございます。そういうようないきさつもございますし、現在の消費生活協同組合の金融面の実情から申しましても、ぜひひとつここで第一條に入れていただきますことは、そういう意味から意味があるのではないか、かように私どもは存じておる次第でございます。
○森山委員 「労働組合等の労働者団体」というふうにこの立法の趣旨に書いてある論理的な帰結からいたしますと、しかも第二條に、「労働者とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる收入によつて生活する者をいう。」とある。これは労調法でも労働組合法でも労働基準法でも、ほぼこれに似た規定をしておるのです。そういう見地から見たところの労働者の団体という立場から、論理的に消費生活協同組合がただちに入るかということになると、私は問題があると思う。もちろん職域の消費生活協同組合につきましてはそういう点を考えることができると思うのですが、職域以外の地域の問題については、そこまで拡張して考えることは疑念があると私は論理的に思うのであります、いかがでありましようか。
○安田政府委員 労働者の団体の中に地域の消費生活協同組金が論理的にびしつと入るかということでございまして、そういう点につきましては、森山委員のお話のような点が確かにあると思うのであります。しかしながら大体実情は、地域の組合におきましてもそういつた賃金収入者、賃金労働者を主としたものが入つておりますし、そういうものが合理化しようというので組合をつくつておるような実情でもございますし、また金融というものにつきましての沿革も、先ほど申し上げましたように協同組合というものに何とかそういつた道を講じたいというような従来のいきさつもございますので、いろいろ御疑問もあるかと思いますが、この際ぜひひとつ第一條に入れていただきたいと私どもは考えております。
○森山委員 そうすると社会局長は、論理的に言えばそれは疑念があるけれども、実情として金融面でぜひそれを入れた方がいいという御見解でございますか。
○安田政府委員 確かに森山委員のおつしやるような点もあるのでございますけれども、しかし先ほどから繰返しますように、地域の消費生活協同組合全然無関係だとも言えませんし、それから今おあげになりましたような実情もございますので、私どもといたしましてはそういうようなことを希望いたす次第であります。
○森山委員 それからこれは立案者に聞かなければわからないのですが、「これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑を図り、」とあります。この福利共済活動の中には、いわゆるストライキ資金が入るのかどうかということをひとつ承りたい。これは立案者に聞くのがほんとうだと思うのでありますが、まず磯部専門員から、あなたはどう考えておるかを参考までに伺つておきます。
○磯部参議院労働専門員 私の意見とおつしやいますのでお答えをさせていただきますが、福利共済活動の中には争議資金は入らないと思います。
○森山委員 そうすると労働金庫のやる金融には、争議資金は一切入らないというふうに了承してさしつかえございませんか。
○磯部参議院労働専門員 通常労働法上の用語といたしまして福利共済という言葉が使われる場合には、争議という問題ではなくて、いわゆる保健施設であるとか、レクリエーシヨンであるとか、あるいは傷病の際の資金であるとか、そういうようなものをさすと私どもは理解いたしております。
○森山委員 これは私は非常に重大だと思うのでありますが、労働組合側、特に左派社会党の指導するところの労働組合の方々がこの労働金庫について質疑応答した際には、ストライキ資金は入るというふうな解釈になつておるのであります。それをあなたは入らないというふうにおつしやるのですが、この点は非常に重大だと思うのです。東京労金の設立準備金において、この一点についての質疑応答があつたのです。今それが手元にありませんが、そういう点も入るということが、かなり労働組合をひきつけておるのではないかと思う。それがこの法の目的である福利共済活動のために金融の円滑をはかるという中に、争議資金は含まれないということになりますと、労働組合の理解しておる問題と、立法者、特に立法者ではないかもしれませんが、労働委員会の専門員であるあなたの御回答がずれて来るのです。この点は今後とも非常に問題になるので、明確にしていただきたいと思う。
○磯部参議院労働専門員 ただいまお引きになりました例は、私まだ存じていないのでありますが、大体労働金庫運動が始まつたときから、争議資金に貸し出すという趣旨で始まつたのではないと私どもは承知しております。ことにある労働金庫の規約におきましては、はつきり明文をもつてスト資金の貸出しはしないということを書いておる例もございますので、少くともすべての労働金庫関係労働者は、福利共済という言葉の中にスト資金を含まないということが確定いたしましても失望することはなく、むしろそれをこそ健全な労働金庫を育成しようと思つておる労働者ならば賛成してくれると思うのです。但しこの福利共済の言葉の中には、生活資金という言葉が重大な比重を占めております。従いましてストライキをすることが労働者の権利であることは御承知の通りでありますが、ストライキをした結果、生活が非常に窮乏した場合に、生活資金として貸し出す場合はこれはまた別であると思います。
○森山委員 あなたはそうおつしやいますが、たしか東京労金の準備会のときの質疑応答によりますと、ストライキは労働者の生活を守るために必要なものであるから、それに対する資金は貸し付ける。但し返済が確実なものでなければならないというふうな質疑応答になつておるのです。ところがこの法律の目的が、これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑をはかるというのならば、福利共済活動の中にストライキというものが入るのかどうかということを私が伺うと、あなたは入らぬとおつしやるが、東京労金の準備会においては、それは入ると言つておる。入るけれども返済確実なものでなければならぬということを言つておる。だからここで立法者と申してよいかどうか知りませんが、実際上あなたがやつておるわけですが、参議院の議員さんたちは一体何を考えておるのかということを、私はこの際はつきりしておきたいと思う。こういうことをはつきりしないでやつて行きますと、この法案の取扱い上、今後に非常に問題が生ずると思う。それではつきり明確な御答弁を伺いたいが、あなたの御答弁では争議資金は入らぬという。しかしできて見ると、これは入りますということで運用されたのでは話が違うということになりますので、この点をはつきりさせていただきたい。磯部さんの方では、こういう目的からいつて争議資金は入らぬと、この法文の確定的解釈を下してよいのですね。争議のために必要になつた生活資金というものは別としても、いわゆる狭義の争議資金は入らないのだ、こういうふうに解釈してさしつかえございませんか。
○磯部参議院労働専門員 私の意見としてはその通りであります。
○森山委員 労政局長がお出でですが、今の問題をどうお考えですか。
○賀來政府委員 東京労金の準備金のときにどういう問答が行われたかは、面接詳しくは承知しておりませんが、そういう問答が各地の労金の設立にあたつて行われた事例があるやに聞いております。そのときの答え方といたしまして、担保が十分なものについては、こういうことを言つておるやに聞いておるのであります。このことはわれわれといたしましてはおそらくある労働組合が争議資金と申しますか、自己資金で数千万円持つており、これを労金に預金をいたしておる。たまたまストライキが起りましたときに、組合としてはいろいろ資金が必要であるので、その預金なりを担保にしまして金を借りて行く場合に、労金といたしましては、いやこれは争議中であるから貸さないというふうなわけには参りません。従つてさような場合における争議のときの資金には、この預金がさような意味で使われるのだというふうな意味で説明したにわれわれは聞いておるのであります。さてわれわれといたしましては、この立法者の御趣旨はともかくといたしまして、この法案に書いてありますように、労働金庫そのものは労働者の相互の共済を目標といたしまして福利の向上をはかる、かような意味合いからいたしまして、森山委員の御質問のいわゆる狭義の意味の争議資金、あるいは何らさような担保力がないにもかかわらず、特別に労金から資金を借りてやるというふうなことは、この立法の趣旨に反するものである、かように考えておりますし、さような運用につきましては、今後われわれといたしましては指導にあたりましてもあるいは監督にあたりましても、十分留意をいたして行きたい、かように考えておる次第であります。
○森山委員 参議院の磯部専門員と、それから賀來労政局長のお話の中には、食い違いがあります。すなわち磯部専門員は福利共済活動のためにというこの立法の趣旨からすれば、少くとも狭義の争議資金は入らぬという先ほどの御言明であつた。賀來労政局長の話だと、狭義の争議資金でもこれに対する担保力が十分だと貸し出すという御議論だと思う。そこに私は若干の議論があるのではないか。組合員の金を担保にして金を借りるということになりますれば、実質上その預金に対して不測の損害を生じ得るということも私は考えざるを得ないのであります。そうするとここで労政局長と磯部専門員の話の中に食い違いがある。これをあなたはどういうふうにされるか。賀來さんにもう一度あらためて伺いたい。
○賀來政府委員 私の申し上げようが足りませんでしたために、食い違いがあるやに御指摘がござましたが、私といたしましては磯部専門員のお答えと違う考え方を申し上げたのではないのであります。労働省といたしましては、立法者の趣旨につきましてはただいま磯部専門員が御説明になりましたように考えるのでありますが、それはともかくといたしまして、労働省といたしましては、森山委員の御指摘のように狭義の、しかも担保力のない労働組合に対しまして、労働金庫の危険を顧みずこれに融資するがごとき行為につきましては、今後指導並びに監督の上におきまして、さようなことのないように注意をいたしたい、かようにお答えしたつもりでありますので、もし誤解がありましたならば、さような食い違いがないものというふうにお答えを申し上げたいと思うのであります。
○森山委員 それではあらためてお伺いしますが、この労働金庫の目的が福利共済活動のための金融の円滑をはかるということでありますから、福利共済活動の中にはこういう狭義の争議資金は少くも入らないのであるというふうに理解してさしつかえございませんか。
○賀來政府委員 先ほど磯部専門員もお答えを申しておつたようでありますし、森山委員もお認めのようでありますが、争議の結果生活が非常に困難になりまして、その生活資金を担保能力の範囲において借りて行くというふうなことを、これを争議資金と言われるならば別でありますが、おそらく御質問の趣旨は、非常に危険の多い、しかも労働金庫全体の趣旨を無視したような争議資金の貸出しがあつてはならないのじやないかという御質問だと思うのでありますが、その意味におきましては、御意見の通りにわれわれは考えておる次第であります。
○森山委員 大分賀來さんのお話は前置きが長いのでありますが、要するに福利共済活動の中にはストライキというものが入つておるのかどうか。もちろんストライキをやつておる間は賃金をもらえませんから、そのために労働者が非常に困る、そういう場合に担保力の範囲内において金を出すということは異存がないのでありますが、狭義の争議資金、組合全体の争議資金、そういうものはこの中に入らないというふうに考えてさしつかえありませんか。
○賀來政府委員 御質問の通りにわれわれは考えております。
○森山委員 私はこの労働金庫に対する今後の監督は、大きな労働政策の見地並びに金融政策の見地と両面から把握されると思うのでありますが、この法律によるところの労働政策のわくというものを、福利共済活動のための金融というふうに局限して考えるというように私は解釈いたします。それで中村委員長がおいでになりましたからお伺いいたしたいのでありますが、これは今お見えにならなかつたので、あなたのところの専門員と賀來労政局長に伺つたのでありますが、この国体の行う福利共済活動のための金融という中には、争議資金というような争議のための金融、これは争議をやつておれば賃金をもらえませんから、その間労働者の担保力の範囲内において生活資金をとるということはまた別ですが、しかし争議の遂行資金、狭義の争議資金と申しましようか、そういうものは福利共済活動のための金融ということに目的から言つて入らないのであるというのが、あなたの方の専門員と賀來労政局長の結論でありましたが、委員長はそれでさしつかえないのであるかどうか、立法者として御確言を願いたいと思います。
○中村参議院議員 森山君のお考え通り、福利共済活動の中に狭義の争議資金は入つておりません。
○森山委員 次にお伺いいたしたいことは、最近労働金庫というものが各府県にできると思うのでありますが、従来は一県一行主義というような原則的なものが立てられておつたと思うのであります。もちろん労働組合あるいは労働者の少い府県においては、一県一行すら維持するのが困難なところがある。半面において大きな都市においては一県一行以上やつてもよいというようなところもないことはないであろうが、原則としては一県一行ということでありますが、大阪においては左派社会党と右派社会党の党派的な関係がかなり重要な要素をなして、二つの労働金庫が出現しておるように聞いておるのであります。こういうような二つの労働金庫は立法者としては今後どういうふうに調整されるつもりか。各府県別にどういうような態様において労働金庫を立てるつもりでおやりになつたか、伺いたい。
○中村参議院議員 労働金庫の規模につきましては、條文の第七條にありますような規模であれば、法律上は当然一つの県に幾らでもできるわけでありますが、もちろん立法者といたしましては、現在の労働情勢その他を考えまして、一府県に一金庫ということを大体の原則と考えて立案いたしたわけであります。しかしながら東京、大阪等の特殊な経済都市においては、場合によつては二つの設立を認める場合も、これは今後労働大臣なり大蔵大臣が現実に当該地区の事情に即して考慮し得べき問題だ、かように考えております。
○森山委員 労働大臣及び大蔵大臣が当該地域の事情に即して考えるべきものであるというお話でありますが、すでに問題が起きておるので、きのうは労働省のお考えを承つたかと思うのでありますが、それでは大蔵省側の御意見をひとつ承りたいと思います。
○有吉説明員 ただいまの御質問は、一つの例といたしまして大阪府におきますところの現在の二つの労働金庫を、将来どうするかの問題に帰着すると思います。先ほど立案者の御説明通り、各府県における労働金庫の設立につきましては、私どもといたしましても深甚なる注意を拂つて参らなければならぬと思います。と申しますのは、金融機関の設立、さらに運営におきまして問題の存する金庫につきまして、われわれといたしましてはなるべくその数は一府県に一つということに制約して考えて行かなければならぬと思います。と申しますのは、この金融機関の健全なる運営がなし得るかどうかということは、一にその労働金庫がその県内におきまするところの会員の数を多く持つかどうかということにかかつて参るだろうと思うわけであります。かかる見地から、金融機関として健全に経営をいたして行く立場から申しますと、なるべく少くして行くという筋に相なりますが、但し大阪、東京というような大きな人口を擁している府県につきましては、その設立については、単位金庫の経営の能力の問題とにらみ合せまして具体的な問題として解決して行きたいと考えている次第であります。
○森山委員 具体的な問題を考慮したいといいましても、すでに二つでき上つている現実のこの問題は、すでにきのうやきよう初めてお聞きになつた問題ではないと思います。この問題を大蔵省においては労働省と話合いをされたことが一体あるのかどうか承りたいと思います。
○有吉説明員 まだ話合いをしたことはございません。
○森山委員 労政局長に伺いますが、ともかくこの労働金庫設立については、労働省は非常に御関心が深かろうと思います。あのような大都市でありますから二つあつてもいいという考えも出るでありましようし、また発足まぎわに二つできること、しかもこれが党派的関係にわかれているということについて好ましくないという事態も考えられますが、労働省はこの問題について大蔵省側と内相談と申しますか、話をされたことはないのでございますか、またないとすればなぜないのですか。
○賀來政府委員 ただいま有吉課長からお答えいたしましたように、具体的に大阪の労働金庫が二つあるものをどうするかという打合せをいたしたことはございません。ただ一般論といたしまして、先般来われわれは大蔵省とも十分連絡をとつておりまして、先ほど有吉課長からお答え申しましたような基本の線で、労働金庫というものが健実な経営をなし得るような方法で行きたいという一般的な方針については、打合せをして参つたのであります。大阪の場合につきましては、先日森山委員にお答えをいたしましたような意味合いからいたしまして、大阪に二つの労働金庫ができそうな情勢になりましたので、われわれといたしましてはでき得るならば一県一つの立場でやつてもらいたいという意向は、大阪府の方に一応は伝えておいたのであります。しかしながら二つできましたにつきましては、いろいろな事情があつたようでありまして、森山委員の御指摘のようなこともあるいは原因の一つかと考えるのでありますが、さような経過でございまして、御承知のように現在の信用組合法によりますと、大阪府知事限りにおいて認可ができる状況で、大阪府知事といたしましては、二つ認可してしかるべしということから認可いたされてしまつたのであります。さようなことでその点自体につきましての具体的な取扱いについての打合せはやりませんでしたが、一般方針に基きましての意向は一応打合せまして、大阪府の方に伝えたという事実はございます。今後もしこの金庫法が成立をいたすようなことになりますならば、この金庫法の趣旨に従いましてこの問題をどう処置するかということにつきましては、大蔵省と十分協議をいたし、しかも銀行当事者とも十分協議をいたしまして善処いたしたい、かように考えておる次第であります。
○森山委員 善処したいというのは、希望としては一つにしたいということですか。二つを認めてもいいということですか。どちらですか。
○賀來政府委員 これは有吉課長からもお答えいたしましたように、この法律が成立いたしました上は、この法律の精神に従いまして、具体的に銀行の両当事者とも打合せまして決定をいたしたいというのでありまして、今ここで一つにするか、二つにするかということについてお答えを申し上げることは遠慮をさしていただきたい、かように考える次第でございます。
○森山委員 現実に起つておる問題について、しかもきのうやきようでない問題であるにもかかわらず、大蔵省と労働省との間に話合いもできていない、今どつちにするか返事ができないというのでは、これからこの法案を運用してもらおうとするわれわれといたしましては、この法案を通すことについて少したよりないと思うのです。しかしあまり追究しても何ですから、あとはひとつあなた方にうまくやつてもらうことにしまして、この際有吉さんに伺いたいのですが、生活協同組合の話が先ほど出て、厚生省の社会局長から、りくつから言えば多少ずれるが、ぜひひとつ入れてやつてほしいというお話がございましたが、大蔵省側のお考えもひとつ伺わせてほしいと思います。
○有吉説明員 先ほどのお話の通り、消費生活協同組合がすなわち労働者の団体そのものであるということは、理論的に申しまして疑義がある。そのゆえをもちまして、目的の第一としましては、特にこの法律では労働組合及び消費生活協同組合というものを明細に掲げてあるものと、かように考えるわけでございます。さて消費生活協同組合に対しまして労働金庫の会員とするということの当否の問題ということに相なりますと、本来私先ほど申しました通りに、信用協同組合の前提といたしますところの労働金庫につきましては、消費生活協同組合を母体といたしまして労働金庫というものを考えて、今日まで大蔵省として運営をして来た次第でございます。消費生活協同組合それ自身が金融の道をどこかに開いておくということの必要性を、大蔵省としては認めて参つた次第でございます。それが信用協同組合であるところの労働金庫にも一つの現われとして出て参つたいきさつもございます。この際消費生活協同組合も労働組合と並びまして、労働金庫のメンバーに入れるということにつきまして、私どもは賛意を表する次第でございます。
○森山委員 先ほどの問題ですが、福利共済活動のための融資の中に、ストライキ資金が入るかどうかという問題については、昨年の八月二十三日以来六回の会合を重ねて、具体的問題について討議した。これは「東京労働金庫設立準備協議会では、去る八月二十三日以来六回の会合を重ねて具体的問題について討議するとともに、東京都労働者及び各単産の協力を得、都内に二十数回にわたり研究会を開いて趣旨の徹底をはかつたが、そのとき多数の組合より貴重な意見を聞き、また活発な討論が行われた。これらに基き定款案及ば業務関係諸計画案を立案するとともに各種の資料を作成配付した。左に掲げるものは、右の会合において出された問題点について今までの結論を集約したものである。もちろんこれは完成された結論でなく、これを今後の検討の資とし、さらに研究改善して理想的な東京労働金庫の設立に至りたい。」、こういう資料の中に「ストライキ資金を貸すか」という項があるわけです。そこに「ストライキは労働者の福祉を守る最後の力を発揮するときであるから貸し出すのが当然である。但しあくまで返済が確実であり、かつ返済方法においても他の加入者に迷惑をかけないことが先決である。」というような書き方がしてある。こういう労働者側の理解というものと、それから先ほどの磯部専門員、賀來労政局長、参議院の中村労働委員長の御答弁は、ここに明らかに食い違いがあるから、この際これをはつきりしておきたいというのが私の趣旨であつたのであります。その点をひとつよろしく御了察を願いたいと思います。
○中村参議院議員 御承知のように現在は、労働金庫ができてなくて信用協同組合でやつているわけなんで、それと今度新たに制定しようという労働金庫法とは関係ないわけです。従つて現行法律に基きましていかような金融機関ができ薫るかは、われわれのタツチすべき問題ではない。今後新たに制定いたします労働金庫法は、第一條に言つておりますように、福利共済活動というはつきりした目的を明示しておるわけです。従つてたとえばストライキに入つた場合に、この金庫に入つている会員であるところの組合員が生活に困るという場合に対して、生活資金その他につきましては当然この目的によつて救われるわけです。従つて森山君の懸念になつております狭義の争議資金というものが第一條にうたつてあるかどうかは、この福利共済活動という字句からお考えになつても明白ではないかと思います。そういう懸念は、具体的な場合になりますればいろいろ見解のわかれる点もあるかもしれませんけれども、争議資金の貸出しというようなことが第一点に含まつておらないということは、十分御了解できると思います。
○森山委員 われわれは労働委員ですから、もちろん経営者側の出方いかんによつては大いにストライキもやるべし、またそのためには、できるならばこういう金庫から狭義の争議資金も借り得るならば借りてけつこうであるとさえ思つておりますが、実際問題として設立間もなく、基礎いまだ固まらない労働金庫に、その種の資金が融資されることになりますと、経営の基礎を薄弱にし、かえつて労働者に迷惑をかけるのではないか、そういうことを心配するから私は先ほど来こういう質問をしております。またそれから特に最近の労働運動の実情はきわめて政治化しております。特に平和闘争の一翼として労働運動が使われておる傾向が濃厚であります。こういう政治スト資金なんかがこんなところから出るのは言語道断であると私ども考えておるので、そういう点もまた私の危惧の念の一つとして先ほど来御質問したのであります。 そこで話題をかえまして、第五十八條に金庫が行う業務といたしまして、「会員の預金又は定期積金の受入」「会員に対する資金の貸付」「会員のためにする手形の割引」というような項目が上つております。私はこの実際のやり方を聞きたいのでありますが、個々の労働組合員が預金を直接するのではなくて、まず労働組合の預金部みたいなものに預金して、それが労働金庫に預金するようになるのか、御説明を願いたい。
○中村参議院議員 第五十八條を見ていただきますと、第二項の第四号に「会員に所属する者の預金又は定期積金の受入」とありますから、会員である労働組合に所属しております組合員は、直接預金できるわけであります。
○森山委員 「会員に所属する者の預金又は定期積金の受入」というと、労働組合員は直接に労働金庫に預金するのであつて、労働組合の中に預金部をつくつて、それがやるというのではないのですか。
○中村参議院議員 そういう方法もできますけれども、組合員が直接預金もできる。どちらでもできるわけであります。つまり第五十八條の第二項第四号で、組合員が直接できますし、また組合口員が直接しない場合に、会員であります労働組合自体が、一つの貯蓄組合というものをこしらえますれば、その会員名義でできる。かように御了解を願いたいと思います。
○森山委員 そうすると第二項第四号は、貯蓄組合をつくるということでございますか。
○中村参議院議員 それ以外の直接預け入れする場合を四号は意味しておるわけであります。
○森山委員 そうすると先ほどの貯蓄組合というのはどういうわけでありますか。
○中村参議院議員 一応大蔵省の説明員から答弁させます。
○有吉説明員 私この法律の内容について説明する立場ではないのでございますけれども、解釈としましては、第五十八條の第一項第一号「会員の預金又は定期積金の受入」と申しますのは、労働組合なり任意組合の持つておる金を面接に金庫に預入する場合と、それ以外に、第五十八條の第二項第四号に「会員に所属する者の預金又は定期積金の受入」とございますので、労働組合員も直接労働金庫に預け入れることができる、かように解釈したいと思います。なお国民貯蓄組合の点も申されましたが、労働金庫の会員である団体が、その組合から預金を受入れるということの趣旨におきましては、あるいは国民貯蓄組合というものを別個につくりまして、そのあつせんによつて組合員の預金を集めることは可能であろうと解釈をいたしておりりす。
○森山委員 そうすると労働組合の中に貯蓄部をつくつてやるのではなくて、労働組合の中に国民貯蓄組合をつくつて、組合員の預金を集めて労働金庫に貯金する、こういうことですか。
○中村参議院議員 五十八條の第一項の第一号、第二項第四号にありますように、会員であります一つの組合自体の金は、その組合として預金できるし、また労働組合に所属いたしまする組合員は、直接できるということになつておれば、別に会員であります組合が、貯蓄組合をこしらえまして、組合員のを集めて貯蓄するというような事態は、法律上は想定できますけれども、実際は第五十八條の第一項の第一号か、第二項の第四号で大体事足りるのではないか、実際問題としましてはさように考えております。
○森山委員 これで大分はつきりしたのでありますが、そこで会員に対して資金を貸し付ける場合に、会員が登記をした労働組合、あるいは生活協同組合というような場合にはいいのでありますが、登記がない場合、すなわち人格なき社団というような場合における金の貸借の権利義務はどうなるのか承りたい。
○島田委員長 ちよつと森山君に申し上げますが、この問題は先ほど柳澤君がくどいほど質問して、一応速記録に載つておるはずですが、お聞きになりますか。
○森山委員 立法者がどの程度御検討になつているか承りたいと思うのです。
○中村参議院議員 今の御質問は、法人格のない社団の場合を御質問になつておられるわけですが、これは民法上の一般理論に従つてやるわけであります。従つて、御承知のように法律上は組合の代表者が金庫との契約の債務名義者となるわけであります。従つて実際問題としましては、できるだけ法人格を取得しておるものの加入を慫慂したいということは考えております。しかし法人格なき社団といえども、民法上の法人格のない社団といたしまして、契約の債務名義者となることはできると思います。
○森山委員 そうすると、会員に対する賃金の貸付は、たとえば国鉄横浜支部というものがありました場合には、支部長名義で借りるということで、国鉄横浜支部としては借りられないということでございますか。
○中村参議院議員 会員に対する貸付という御質問でありまして、今例示されました国鉄労働組合の横浜支部ということを例にとりますと、やはり名義にその組合の代表者となりますけれども、代表者個人に貸すというのではなくて、どこまでもその組合に貸すという民法上の解釈の通りにやつて行きたいと思います。
○森山委員 そうするとその際金が返せなくなつた場合は一体どうなりますか。
○中村参議院議員 担保力その他は、法人格はありませんけれども、組合の財産その他が、強制執行その他の対象になる民法上の一般理論に従つて処理するわけであります。
○森山委員 あなたは民法上の一般理論とおつしやいますが、現在の学説並にび判例において、疑義が起きるような事態が、そういう御解釈で生じないかどうか承りたいと思います。中村さんが不適当であるといたしますならば、大蔵省の特殊金融課長に、こういう場合に一体どういう事柄になるのか、法の論理的な問題を御説明願いたい。実はこの問題は、先ほど法制局の第二部長のところに行つたのですが、第二部長返事ができない、そういう状態なのです。
○有吉説明員 この点につきましては、先ほど柳澤委員にお答えした通りなのでございまして、まず最初に労働金庫法に規定しておりますところの、任意組合の法律的構成はどうであるかという問題につきましては、一般の任意組合、つまり権利能力のない組合である、かように解釈いたしたい。しからばこの組合員が貸借関係に立つた場合は、いかなる民法上の解釈が成り立つかということに相なるわけでございますが、民法上の解釈としましては、現在のところ私どもの解釈しておりますところにおきましては、この任意組合の外部関係、外部の債権、債務の関係につきましては、当然権利能力がございませんし、直接権利義務はその組合にに帰属するということはありません。ただしかしながら、その組合を構成しておりますところの全体の社員に帰属するということが考えられるわけでございます。そこでたとえばその組合の代表者名義によりまして預金をする、あるいは財産を取得するという場合におきましては、その代表者の個人の財産であり、あるいは預金であるというわけのものではありません。單に代表者は信託的にその組合に帰属されているという関係に立つものではながろうか。その関係が公に公示されている、たとえば任意組合の代表者何某という関係が公示されておりますならば、第三者もこれをその名義人の個人的財産として取扱うことはできない、かように解釈して参りたいと思うわけでございます。ただ問題といたしましては、かかる場合において、実際上の裁判の関係ということになると、判例そのものがものを言うわけでございますが、私遺憾ながら、その点までの判例の研究をいたしておりませんので、現在におきまして判決がいかなる方向においてきめられておるかということを承知いたしておりません。そこで今後の問題といたしましては、法律的に相当疑義を残して来るのではなかろうかという疑いを持つわけでございます。ただそういう疑点が残りましても、かかる任意組合を労働金庫の対象から除外することが妥当であるかどうかという問題は、比較検討の問題に入つて来るのではなかろうか、かように考えますと、私の考えを申し上げましてはなはだ恐縮でございますが、かかる法律的な解釈は一応あるといたしましても、かかる任意組合を一応労働金庫の会員としては認める方が妥当ではなかろうかという考えを持つているわけでございます。
○森山委員 法律上の論理構成として疑義があるという点ですが、私はこれは重要だと思うのです。というのは、金の貸借関係というのは、借りるときには必ず返すという約束のもとに借りるのです。しかし世の中にトラブルが起るのは、必ず返すと言いながら返さないことによつて起る。そういう場合の責任追求は、現在の民法の建前から申しますと五十八條においては私は問題が残るのではないか、少くともこの問題に対するところの手だけは打つておく必要があるのではないかと思うのであります。それをやらなくてもともかくいいのだというのは、やろうと思えばやれるわけです。たとえば労働組合を登記しようとすればできるのではないかと私は思うのです。ただ大きな電産の一支部あたりが登記することができるかどうか存じませんけれども、何とかそういうことで、民法上の権利義務関係について、あとで疑義が生じないような文句をこの際ここに入れる必要があるのではないかと思うのであります。ことにこの問題は、民法については重大なる例外規定を設けることになりますので、私はこれは相当重要じやないかと思うのであります。中村委員長に伺いたいのですが、参議院でこれを御検討になりましたときに、そういう問題を一体御検討になられたのかどうか。人格なき社団というのは、学者として学説上はやつておりますが、実際上はなかなかむずかしい。実際は判例上の処理でやつておると思う。法律上認めておる例は、これは当事者の訴訟能力だけしか今のとこう認めておりません。それ以上の能力を認めるということになれば、なかなか問題があると思うのです。それから一体こういう金融法規の上において、人格なき社団を公然と認めた例があるのかどうか、これも有吉さんに伺つておきたい。
○中村参議院議員 参議院におきまする審議の経過でありますが、ただいま森山君の説明なさいました労働組合等でありますと、これは登記さえ慫慂すれば、ただちに法人格をとれるわけでございます。従つて労働組合に関します限りにおきましては、これは登記すれば法人格は当然とれるわけで問題ないと思います。それ以外の任意組合がお説の焦点になるのではなかろうか、こう思うわけであります。しかしながら大体現在の一般の社会の状態を見ますと、大蔵省の説明員が申し上げましたように、大体代表者が信託的に持つておつて、何々組合の代表というふうに公示されておるということになれば、組合員に全部それが帰属するという解釈がとられておるわけでありますしまた単に労働金庫だけでなくして、一般の金融機関につきましてもこういう問題は起きるわけであります。何も人格のない社団が金を借りるのは労働金庫だけではない、一般の金融機関にもこれと同じ問題が起るわけであろうと思います。いずれにいたしましても、参議院におきましては法人格をとるように慫慂するということは議論されて、その方向へ進みたいということは考えられておつたわけであります。
○森山委員 大体こういう金融機関には経理基準というものがあるわけですが、大蔵省はこの経理基準において、そういう権利義務の帰属関係を明確にするようなことができるか承りたい。
○有吉説明員 労働金庫につきましても、この法の制定のあかつきにおきましては、労働金庫が健全な活動をなし得るがごとき経理をやつて行くためには、一つの基準を定めてこれに従わすということをやつて参りたい、かように考えているわけでございます。ただその経理基準の内容といたしましては、経理の基準でございまして、あくまでもどの程度に貸出しをするか、あるいは準備をどの程度に押えるかというような点が問題になつておるわけで、会員の資格その他につきまして云々するということには参らない、かように考えるわけであります。 なお先ほど御質問のございましたこういつた人格なき団体の法律的な規制が、他の金融法規にあるかないかという問題でございますが、現在のところ見渡しますと、貸金業等の取締に関する法律におきまして、貸金業者は届出書を主管官庁に出して初めて営業をなし得るわけでありますが、その際におきまして、届出書の記載要領として、「法人でない社団若しくは財団であるときは、」云々という言葉によつて表わされている文句がございます。法人でない社団または財団というものは、法人格のあるものを同一に扱われまして、記載事項その他を規定しておるというこの法律があるだけであります。これは対外的な権利義務の関係ではございません。対官庁の間の問題でございますので、この場合の例証にはならぬかと思いますが、それ以外に法律的に規定してあるものはございません。ただ先ほど中村委員長のお話等に、金融関係と申しますか、貸借関係におきまして、法人格なき社団がそれぞれの貸借関係をやつておるということは現在事実でありまして、その間におきまして特に問題が起つたという例証は現在のところ聞いておりません。
○森山委員 この種法規としては前例がないというお話でありますが、権利義務関係が未確定な人格なき社団という場合における不測の事態に対応するために、大蔵省としては金融的な立場から一種の行政指導をはつきりするということはこの際お約束できますか。
○有吉説明員 先ほど申しましたように、この点の明確なる規定を欠いておりますと、将来にわたりまして法律的な疑念が出て来ることに相なることは私も承知をいたすところでありますが、さりとは言いながらこの点を行政的な指導で、抽象的に規制して参るというわけには参らぬかど存じます。
○森山委員 そうするとこの法における不備というものは、問題が起きたとき、判例の解釈にまつということになるわけでございますか。
○有吉説明員 法律上の決定にまつということになろうかと思います。
○森山委員 しかしともかく不測の事態が生じ得る余地があるのでありますから、それを法文上何か予防措置を講ずるとか、あるいはそうでないとするならば、大蔵省の方の行政指導をやるとか、どちらかのことができないでしようか。
○有吉説明員 法律的にこの点を割切りますと、労働金庫法におきましてかかる任意組合は法人格を持つかのごとく決定しなければならぬということになるわけでございまして、もしもさような規定を入れることにいたしますと、民法の原則というものを労働金庫法によりまして打ちこわすということに相なるわけでございまして、かかる任意組合が労働金庫法によりまして法人格を與えられ、それが対労働金庫との間あるいは労働金庫の他の会員との間の権利義務だけの関係にとどまらず、国民一般の法律関係におきましても、やはり人格を持つというような関係に相なるわけでございます。かかる関係になりますと、民法の原則をまつこうから打破るということに相なるわけでございます。従いましてここに労働金庫法にかかる民法の大原則を打破るがごとき規定を置くことは、適当ではないと考えたわけでございます。なおかかる問題を起しますことは、行政的な指導によつて行うことはなおさらできないことだろう、かように存ずる次第であります。
○森山委員 私が伺うのは、現在の規定でさえも、民法の原則から行くと、相当例外的な規定になるわけです。そういうことに対する不測の事態が起きないように、何らかの法的規制を加える必要はないかと言つたのは、何も現在の民法の大原則を破れと言つておるのじやないのです。たとえば一例として、会員は団体加入ですから、とにかく法人格を持たなければならない。その団体は法人格を持たなければならぬという建前をつけて行くというのは、一つの方法であろうかとも私は思うのです。さもなければ、法人格を持たないままであつたものについては、たとえば借りるときには、国鉄の横浜支部という名義でなく、支部長何の太郎兵衛という名前で借りる。その場合において生ずる事態についてはどうするか、担保についてはどうするかということを統一的にきめて、契約書の中に織り込んで行くというようなことをやつておけば、いざというときには困らないで済むのじやないかということを私は考えるから、あなたに申し上げるのです。要するに民法上の約束としてやつて行く。そういうような行政指導をするか、さもなければ、民法の大原則を破らないとすれば、法規の上に法人格を持たすということを明記するか、どちらかやらなければならないと思う。とにかく不測の事態が生じ、この法五十八條は突き詰めて行けば、法理論的には実際問題としても、私は長い将来必ず起きるであろうところの問題、その問題については現在立法の立場に立つわれわれにおいて手を打つか、さもなければ、行政指導においてそういうことのないように手を打つか、どちらかしかないと思う。大蔵省はやらぬ。それで国会もそのまま欠陷があるけれども、通してしまうのだということはおかしいのじやないか。だから有吉さんの方で何か手があるのでしよう。どうでしよう。
○有吉説明員 ただいまのお話の中で、任意組合であるけれども、その代表者何某ということを明記するというような考え方は、すでに民法上の解釈といたしまして、任意組合のとる妥当なる処置であろう、かように考えるわけでございます。その限りにおきましては、行政指導とするまでもなく、当然任意組合としての権利義務の発生を前提として考えるべきでありまして、その点につきましては、従来の民法的解釈で足りるのではなかろうか、かように考えるのであります。
○森山委員 そうすると従来の民法的な解釈で、困つた事態は起きないであろう、こういうことでありますか。
○有吉説明員 先ほど申しました通り、従来の民法的な解釈によりまして、この運用をはかつて参る。ただそれにおきましては権利義務、完全なる人格を備えないものが表面に出て来るわけでございますので、将来法律的な問題は残るということを申し上げたわけでございます。
○森山委員 だから、法律的な問題が将来に残るから、その問題についても契約の中にそれが残らないように識り込んで行くわけに行かないか。そうしてその契約の中に識り込んで行くことについて行政指導をする必要はないかということなんです。
○中村参議院議員 ただいまの森山君の御質問は、実際の運用でそういうふうにやつて行けるのではないかと思うのですが、これは労働金庫に限らず、一般の金融機関につきましても、そういう人格なき社団に貸し付けることはあり得ると思うのです。そのときに、やはり貸付をする場合には、何と言つても回収の確保ということが問題になるわけで、法律にあろうがなかろうが、行政的な指導をしようとしまいと、やはり貸すという点になつて来れば、返済の確保ということを考えますから、従つて人格なき社団の代表者の担保力によつて貸す場合もありましようし、あるいはそれがなければ、適当な担保を提供させて貸す場合もありましようし、そういう実際の問題が起きることは、労働金庫に限らず、一般の問題にもあるわけでありますし、また実際金融の運用をやる理事者とすれば、そういう問題の起らないように、最善の措置をとると思いますから、これは行政指導の面を考えなくても、法律で明記しなくても、実際の運用で万全を期せられると私は考えております。
○森山委員 いろいろ質問したいことがありますが、会期も終り近く、時間もあまりございませんから、このくらいで遠慮したいと思うのですが、ただこの法案の成立について労働金庫、それから生活協同組合の方からも非常に熱心にこの委員会に傍聴して来ておられるので、願わくは最後に委員会の終る前に、その人たちの意見も参考人として、あとでもし時間があれば聞くように、委員長において、後刻理事会等に相談の上、おとりはからい願いたいと思う。
○島田委員長 森山君の御説はよく了承しました。時間やらその他とにらみ合せて、御相談申し上げたいと思います。 この際暫時休憩いたします。 午後六時三十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕