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第13回国会衆議院1952/07/28

労働委員会 第28号

発言数
40 件
登壇者
7 名
会派数
3
開催日
1952/07/28

会議録

島田末信自由党

○島田委員長 ただいまより会議を開きます。  これより本委員会に付託されました請願の審査に入ります。  日程第一、第二、第四、第五は、いずれも労災病院を各地区別に設立されたいという同趣旨の請願と認められますので、一括議題として審査を進めます。中原健次君。

中原健次労働者農民党

○中原委員 この件は、中国並びに四国ブロツクの労災病院を岡山市に設置することの請願、福島県下に労災病院の設置並びに札幌市に同様の労災病院の設置を、それぞれ関係地区並びにそのブロツクから請願をいたしておる件なのであります。  申し上げるまでもございませんが、これは労災保険法による施設の一環でありまして、当然政府においても着々これに対する企画をお進めになつておることと思いますが、たまたまこの際これらの関係重要地域からそれぞれの請願が提出されておるわけであります。これらはそれぞれ重要な、見のがすことのできない根拠を持つておるわけであります。たとえば中国、四国ブロツクの労災病院を岡山市に設置することを請願する理由は、その地理な関係が示しますように、中国、四国をつなぐ交通上の路線としましては、非常に適当な條件を岡山市が持つておるということと、それから岡山市は明治の初めから岡山医専の付属病院がございまして、今日では岡山医科大学の付属病院となつておりますが、この病院施設はとりわけ労災病院を必要とする要請にこたえるための諸條件を具備いたしておるわけであります。そういう関係から病院にとつて絶対逸すべからざる條件が、すでに用意されておるという自然の條件があるわけであります。なおそればかりでなくて、鉱山を初めとする各種の重工業の中心的な地点をなしておることと、その他各種の要請條件が具備いたしておる関係から、この岡山市地区に対する中国、四国ブロツクの労災病院要請のことは、客観的に見ましても、第三者的に見ましても、きわめて妥当適切な措置であるということになつておるわけでありまして、そういうような見解からこの請願が提出されておる次第であります。  なお福島県下におきまして同様労災病院の設置の必要を指摘するに至りましたのは、御存じのように主としてあの数多い炭鉱地帯をかかえており、ことに東北関係各県のいわば一つの枝のもとをなすというような地点にあるという関係から、福島県下における病院設置の條件もまた適切なるそれぞれの要件を備えておると考えられるわけであります。また北海道における札幌の労災病院の問題に関しましても、これは当然北海道の中心地点でありますことと、また北海道地域はことに巨大な炭鉱地域であります関係上、もはや論ずることの必要のないほどに必要な條件を備えておることと考えるのであります。これら三地区に対する労災病院の設置の要請問題に関しましては、詳細な諸点はそれぞれの請願者によつて御検討を願いたいと考えますが、要するに本請願の趣旨を十二分に御理解願いましで、積極的にこれらの地区に対する労災病院建設の施策をお進め願いたい、このように切望してやまない次第でありまして、きわめて簡單でありますが、ただ要点だけ申し上げましてこれらの請願に対する説明といたす次第であります。

島田末信自由党

○島田委員長 政府側より御意見を承ることにいたします。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 労災病院につきましては、災害を受けました労働者に対しまして、できるだけすみやかにその治癒をはかりますために合理的な医術を加えまする見地から、また労災保険経済の運営の上におきまして、法律の上で要求されておる事柄であります。われわれとしましては、まずブロツク別の総合病院をつくります計画を立てておる現在では、東北地区、関東地区、関西地区、九州地区にそれぞれ設けられておりまするが、逐次労災病院を拡充して参りたいということでございますので、請願の趣旨につきましては十分検討いたしまして、できるだけそのすみやかなる実現をはかりたいと考えております。     —————————————

島田末信自由党

○島田委員長 次に日程第三、岩国地区英連邦軍関係労務者の取扱に関する請願、青柳一郎君紹介、第四一九七号を議題といたします。紹介議員がおられませんので、かわつて天野公義君より説明を求めます。

天野公義自由党

○天野委員 本請願の要旨は、岩国地区英連邦軍労務者を、一、直接雇用より米軍労務者と同様間接雇用に改められたい。二、給與條件を米軍労務者と同様にし、かつ日本国法律たる労働三法その他関係法令を確実に適用して、身分保障的措置を講ぜられたい。三、雇用関係の変動にあたつても整理者を出さず、かつ万一そのような場合においては政府において的確な対策をすみやかに講ぜられたいというのであります。

島田末信自由党

○島田委員長 政府側より御意見を承ることといたします。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 英連邦軍と申しますか、国連軍といたしまして、岩国地区はもちろんでありまするが、国連軍全体の取扱いにつきましては、目下相手方と政府といろいろ交渉たしている段階であります。大体政府側の考え方の趣旨といたしましては、ただいま請願に申し述べられましたような事項を十分了解いたしまして、できるだけその希望に沿うように努力をいたしている次第でございますので、いずれ近くきまると思いまするが、さような取扱いをできるだけいたしたい、かように考えている次第でございます。     —————————————

島田末信自由党

○島田委員長 御質疑もないようでありまするから、これより陳情書の審査に入ります。  日程第一ないし第五を一括議題として、まず順次その趣旨を濱口専門員より説明いたさせます。

濱口金一郎專門員

○濱口専門員 日程第一、国立産業安全博物館設立に関する陳情、日本保安用品協会会長辻二郎君提出の要旨は、労働安全、労働衛生及び鉱山保安等、産業安全の確保こそ、産業労働者の人権の確保であり、かかる見地より産業安全に貢献するため、多くの賛同者を得て近く国立産業安全博物館期成協力会を設立することになつたが、政府においても、次項についてしかるべく配慮されたいとして、一、現在の産業安全参考館を国庫補助による労働省直轄の国立産業博物館にすること、二、現在の産業安全研究所は国立産業安全博物館の附属研究所とすること等を希望しているものであります。  日程第二、失業対策事業の運営に関する陳情、全国市議会議長代表、川崎市議会議長高須康次君提出の要旨は、失業対策事業の運営について、失業対策事業就労者の稼働日数が少くとも二十日間を下らないことが、その労働力の維持保全と生活の安定をはかる上に絶対に必要である。同事業の賃金基本日額は、昨年十月に全国的改訂が行われたが、その後の経済情勢より、すみやかに地方の実情に即した賃金引上げを行うこと、日雇い労働者の福利厚生施設に対して国庫補助を交付すること、同事業の起債対象額の範囲を事業費中地方負担の総額に拡張すること等の措置を希望しているものであります。  日程第三、労働諸法規改正に関する陳情、山形県労働組合評議会代表八鳥文雄君提出の要旨は、政府は今次国会に講和後の治安維持についての立法並びに労働諸法規の改正を企図しているとのことであるが、これが民主主義の精神に相反するような立法並びに改正になることを憂慮している。よつて人権尊重の基調に立つて、いささかも民主主義の発展を阻害することのないよう、国内外の情勢を十分考慮に入れて、公正な労働條件及び労働基本権の確立を希望しているものであります。  日程第四、労働諸法規改正に関する陳情、全日本海員組合秋田地区労闘委員長飯塚貞一郎君提出の要旨は、日程第三に同じであります。  日程第五、日雇労働者に関する陳情、大阪府会労働常任委員会委員長西山彦治郎君提出の要旨は、日程第二と同趣旨であります。

島田末信自由党

○島田委員長 政府側に御意見があれば承ります。別に御意見もないようであります。

中原健次労働者農民党

○中原委員 いろいろ請願なり陳情なりが本日だけにかかわらず提出されているわけでありますが、これらの事項に対して政府が誠実を傾けて施策を進められることはきわめて当然のことでありますが、しかしまたしばしばこの請願、陳情というものが、実はおざなりに終る危険性、憂いがないとは保しがたいのでありまして、この場合に私は政府当局がほんとうに腹をつつ込んで、これらの請願、陳情に対する誠実なる答えを出していただくように期待いたすものであります。つきましては、これもかねがね数次にわたりまして請願になつている諸点でありますが、日雇い労務者の今後の待遇問題について、このままの現状を続けたのではおそらく日雇い労働者諸君がその業につくための熱意を持つことができなくなるのではないか、こういう疑惧を私は持つているものであります。ことに最近の傾向を見ますと、失業者の数はむしろ漸増する傾向にあるものと考えます。従つて失業者の数が漸増するという国家施策についての一応の議論を必要と考えますが、そのことはこの場合別にいたしまして、ともかく失業者が漸次ふえようとする傾向がなおさらのことこれらの失業者を対象としての日雇い労務者に対する施策について、特に深甚の考慮を必要とすると考えるものであります。しからばその諸点について一体どういう問題が処置されなければならないかと申しますれば、まず第一番には日雇い労務者に対する失業保険金の増額の問題並びにその待期期間の撤廃を敢行すること、さらにまた健康保険の適用の問題があると思います。これらの点についてはもとより政府がいろいろ御研究のことと考えますが、事迫つている問題でありますので、早急にこれに対する答えを出すように御努力願いたい、このように思うのであります。なお日雇い労務者の賃金の水準につきましてはもとよりすでに議論は盡されていると考えますので、この賃金の値上げの問題はとりわけ積極的にこれが実現方を努力されたい、このように希望してやみません。なお完全就労の問題ですが、これはいろいろその季節によつて相違すると考えますが、大体年間を通して月二十五日以上は絶対これを確保するという態勢をとるようにされたいと思います。これらの点につきましても現状ははなはだ遺憾な状態にいるわけでありまして、これも十二分に御配慮願いたいと思います。  以上の諸点についての実現方について、当局はどのようにお考えになつておいでになりますか。この場合政府当局の考え方並びに現実にこれに対して進められている諸策の実施を拝聴いたしたいと考えます。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 ただいまの御質問の事項は安定局長の所管でございますが、安定局長さしつかえございまして今出ておりませんので、主管局長ではございませんが、一応御質問がございましたので知つている程度につきまして御参考までに申し上げまして、詳細に関しましては、安定局長並びに大臣に伝えました上で、いずれ別の機会において主管局長より、あるいは大臣よりお答えを申し上げるようにいたしたいと考えるのであります。  請願、陳情の扱いにつきましては、御指摘もございましたが、われわれといたしましては、いずれも誠意を持つてこれを取扱うようにいたしておるのであります。ただ問題の内容によりましては、実現の可能性につきまして程度もございますし、あるいは方法、時期等におきましても、いろいろな條件に制約せられますので、常に全部が全部ただちに実現が困難な事情があることは、御了承願つておきたいと思うのであります。  失業対策事業におきます日雇い労務者の賃金の問題につきましては、すでに生活保護の方の給與も上つておるような実情でございますので、かねてから安定局におきましては研究をいたしておりましたが、御承知のようにこの賃金は、大体PWの線に従いまして措置をすることになつておるわけであります。目下PWの集計ができて参りまして、近くこれが公表される予定になつておるのであります。この線に従いましてできるだけ早い期間に、もしできますならば八月あたりからでも、失対の日雇いの方の賃上げにつきましては実現の可能性があるのじやないか、かように考えておるそうでございます。なお失業者の失業保險につきましても、御指摘のような点につきまていろいろ研究をいたしておるようであります。たとえば何日失業した場合に、あぶれたならばこれにやるかというような條件につきましても、あるいは給與の増額等につきましても、いろいろ研究をいたしておるようでありますが、やはり本年度の予算としては至難ではなかろうか、かように考えておられるようであります。  完全失業の問題でありますが、現在は全国平均二十日をめどにして取扱つておるようでありまして、二十五日ということはおそらく実現不可能と考えますけれども、しかしできるだけこれを二十一日とか二十二日とかいう程度には、予算の状況から考えまして、これも来年度におきましてはできれば実現をしたいという方向に従つて研究をいたされておる、かようにわれわれは聞いておるのであります。この程度で御了承を願いまして、その他詳細かつ確実なる問題につきましては、主管局長からお答えを申し上げるようにいたしたいと考えております。     —————————————

島田末信自由党

○島田委員長 次にお諮りいたしたいことがあります。国会法第四十七條には、委員会は各議院の議決で特に付託された事件については、閉会中もなおこれを審査することができるという規定があります。本委員会は、今議会初め国政調査の承認を得ましたが、なお閉会中といえども引続き調査を進める必要があると思います。つきましては、閉会中審査の申入れをすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

島田末信自由党

○島田委員長 御異議なしと認め、それでは閉会中審査すべき事項は、失業対策、労資関係及び労働基準に関する件とし、閉会中審査の目的は、失業対策、労資関係及び労働基準に関する調査とすることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

島田末信自由党

○島田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。後刻委員長より文書をもつて議長にその旨申し入れることにいたします。     —————————————

島田末信自由党

○島田委員長 これより労働金庫法案、参議院提出、参法第六号を議題として質疑を進めます。森山欽司君。

森山欽司改進党

○森山委員 では逐條別に労働金庫法案について質疑をいたしたいと思います。  第一條に、この労働金庫の目的として、労働金庫を組織するものとして、労働組合、生活協同組合その他労働者の団体ということが掲げられてありますけれども、消費生活協同組合イコール労働者の団体と考える考え方は、多少疑念があると思います。提案者ではないと思いますが、賀來労政局長の御見解を承りたいと思います。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 生活協同組合自身が、狭義におきまする労働者の団体でないではないかというふうな御意見でございますならば、あるいは現在の生活協同組合はさような意味の労働者の集団でないかとも思うのであります。しかしながら原則と申しますか、全体といたしましては、生活協同組合の組合員というのは、ほとんど全部が賃金労働者でありまして、これに関連いたしまして、生活協同組合の健全な発達をはかるというふうな意味合いにおきまして、あるいは平素の生活の全体が賃金労働者でない人々も加わつておるものもあると考えておるのでありますが、しかし大体におきましては、この第一條に書きました提案者の趣旨は、おおむねは賃金労働者の組織しておるものである、かような意味合いにおいてこれを加えたものだと考えるのであります。

森山欽司改進党

○森山委員 生活協同組合の中で、労働者の職域組織になつているものは労働者の団体といつてもよいと思うのでありますが、地域的な生活協同組合について、これを本労働金庫のいわゆる労働者の団体とすることは、これは概念的に申しますとややずれていないかという印象を受けるのでありますが、いかがでしよう。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 この点につきましては、御指摘の趣旨は、われわれといたしましても了解ができるのであります。しかしながら提案者の考え方といたしまして、われわれが承つておるところによりますと、労働金庫自体は、諸外国の例から見ましても、労働組合及び生活協同組合が基本になつている例が多いのでありますとともに、わが国におきまする現在の労働金庫につきましても、沿革的に見まして生活協同組合が労働組合と緊密なる連絡あるいは共同をいたしまして組織をいたしておりまする例があるやに聞いておるのであります。さような意味合いから、この第一條にかような書き方をいたしたものと聞いておるのであります。御指摘のように職域になりますると賃金労働者の組織であるということが明確でございまするが、地域になりますとややその点が少しはぼやけて来る点があろうかと思いますが、この第一條の趣旨は先ほど私が申しましたような趣旨で書かれたと承知いたしておるのであります。

森山欽司改進党

○森山委員 消費生活協同組合の主務官庁はどこですか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 厚生省が主務官庁でありまして、全体の政策等につきましては労働者がその協議を受けることになつておるのでございます。

森山欽司改進党

○森山委員 労働省が協議を受けるというのは、何か法規上の根拠がございますか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 生活協同組合にさような意味の規定があつたやに承知いたしておりますが、今のところはつきり覚えておりません。

森山欽司改進党

○森山委員 労働省は厚生省と生活協同組合の運営の実態について幾らか御関與になつておられますか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 労働省といたしましては、労働組合の健全な発達並びに労働者の生活の向上という意味合いからいたしまして、職域生活協同組合のあり方並びにこれが健全な発達につきましては、相当広範囲にわたり協力をいたしておるのでございます。ただ地域のものに関しましては、労働省自体はさほど深い実際上の関連は持つていないのが現状でございます。

森山欽司改進党

○森山委員 この第一條の目的として「労働者の経済的地域の向上に資する」ということが書いてありますが、最近の労働運動の推移を見まするに、労働者の経済的な問題は、イコール政治的な問題というふうなとらえ方が、大勢としてはなされておるのでございます。先般の労闘ストを見ましてもそうでありますし、現在の労働組合の大数を占めておる総評のいろいろな動きを見ましても、経済的な問題イコール政治的な問題というふうに把握しております。従つて労働者の経済的地位の向上に資することを目的とする労働金庫は、すなわち労働者の政治的地位の向上に資することを目的とするがごとき運営をされないか。端的に申しますと、最近生じます各種の政治スト等に対する資金的な裏づけを、この金庫がすることにならないかどうかということについて、どういうお考えか承りたいと思います。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 労働省といたしましては、労働組合自体の動きといたしまして、労働組合が自然政治に深い関心を持ちまして、政治的な面につきまして意思表示をして行くということにつきましては、これはやむを得ないことでもありまするし、またさようなことがあつてもいいと考えるのであります。ただ問題といたしましては、労働組合はあくまで経済的な生活向上を目的するものでありまして、政治的な活動を目的とするものではないという点につきましては、明確な一線を画して行動をすべきであるという考え方を基本的には持つておるのであります。御指摘のように最近におきまする労闘の問題でありますとか、あるいは総評の今次大会におきます決議の状況から見ますると、政治的な動きが非常に強く出ておるのでありますが、これにつきましてはわれわれ労働省いたしましても非常に遺憾であると考えておるのであります。今後労働組合自体は、経済生活の向上のために政治の動きについて深い関心を持ち、意思表示をすることはさしつかえないのでありますけれども、少くとも政党の下請的な動きでありましたり、あるいは一部政党に偏向するというが、ごときことなくして、常に政治的には中立的な立場をとつて行くべきであるというふうな考え方については、十分労働省といたしましても趣旨の徹底をはかりたいと考えるのであります。さような趣旨が徹底いたしますならば、おそらくこの金庫の資金が政治的に使われるということはあり得ないと考えるのであります。しかし御指摘のような御懸念につきましては、われわれといたしましても十分注意をいたして行かなければならない、いな十分以上に労働金庫がいやしくも政治活動の面にひつぱり込まれることのないように、さような行動がないように注意をいたして行かなければならないと考えておるのであります。さような意味合いにおきまして、現在すでに二十行に達しようといたしておりまする労働金庫に対しましては、とにかく形のいかんを問わず、さような法案がすみやかに実施をされまして、現在これが監督並びに設置につきまして地方庁の責任になつておるような状態を、中央の労働省及び大蔵省の所管に移しまして、さような運営のされることのないように、厳重な監督と指導をして行きたいと考えておる次第でございます。

森山欽司改進党

○森山委員 今の労政局長のお話を承りますと、最近の労働運動の傾向からすれば、この金庫の目的が労働者の経済的な地位の向上に資することにあるにもかかわらず、これが政治的に運用され得る可能性と申しますか、すきがあるやに承つたのであります。そういうおそれに対してこれを担保する方法は、労働金庫法を制定して、これを大蔵省並びに労働省の監督下に置くことによつてそれを担保するということでありますが、一体それだけで足りるのかどうか、もう少しそういう問題についてそういうおそれのないような方法を、この法文の中に入れて置く必要があるのではないかという意見も私は出得ると思うのですが、その御見解はいかがでございましようか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 実は私が先ほど申しましたのは、現在の労働組合の動きといたしまして、政治的偏向に陥るおそれがあるのではないかということを申し上げたのでありまして、現在の労働金庫の運営におきまして、さようなおそれがあるとは考えていないのであります。と申しますのは、この点につきましては労働金庫の経営に当つております者及びこれが組織に参加いたしておりまする労働組合その他の団体も厳重に注意をいたしておるようでありまして、目下のところさような懸念はないと考えておるのであります。ただ将来にわたりましては、かように組合の大勢自体が動いて行くということになりますると、どうしてもさような点につきましては、特に労働省、大蔵省といたしましても留意をして行かなければならないということを申し上げたのでございます。ただわれわれといたしまして、これらのものが政治的に動くということを法文で禁止いたしますこと自体につきましては、これはわれわれといたしましても、にわかに賛成をいたしかねるのであります。と申しますのは、現在並びに将来にわたりましても、さような点については懸念があるかもわからないという程度でありまして、われわれといたしましては事実問題としてさようなことは起り得ないだろう、かように考えておりますので、この法文におきまして、明確に労働金庫というものは経済生活の向上に費するということを規定をいたしまして、そのあり方を明示し、かつその監督指導の面におきまして、十分留意をいたして行きますならば、特にまたかような衆議院におきます審議の過程におきまして、森山委員からも、あるいはまたその他の方々からも、特にこの点について、いわゆる金庫の運営の健全性、その健全性から出ますところの政治的偏向の排除という点につきまして、非常に御懸念の御発言があつたという記録が残りますならば、われわれといたしましても、法文に入れてまでこれを書いて置く必要はないのじやないか、かような考え方をしておる次第であります。

森山欽司改進党

○森山委員 現に大阪の労働金庫が二つできておるそうでありますが、一つは左派社会党、一つは右派社会党系だそうであります。あるいは総評の右とか左とか、どういう区別になるのか知りませんが、とにかくそういう従来の労働運動の系統からして、労働金庫が二つできておるということは、すでに労働金庫発生の事態からして、政治的なるものを含んでおるということを私は意味しているのじやないか、しかも今日の労働運動一般の傾向がその背後にあるといたしますならば、私は労働金庫というものが、非常に気の毒な労働者の人たちに対して、これに対する救いの手を差延べるということについては、何とかしなければならぬと思うのでありますが、それがとかく政治的に曲げられて、思わぬ方向に行つてしまうのじやないかという懸念を私は持たざるを得ない、ですから大阪における二つできておるような問題は、労政局長はどういうふうにお考えになつてておるか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 大阪におきましては、労働金庫が二つできておる点、及び内情あるいは経過等につきましては、森山委員の御指摘のようだ、かように承つておるのであります。この点につ冒しては、われわれといたしましては非常に遺憾に思つておるのでありますが、いろいろ事情を承りますと、單にいわゆる組合運動の系統別からのみ来たものとも思えない点がありまして、労働金庫自身のあり方につきましての考え方の差異というものが、そこに現われているということも聞いておるのであります。さらにまたわれわれといたしまして考えますことは、これは信用協同組合法に基きまする認可をいたしておるのでありまして、この点につきまして二つができます前から、われわれといたしましては、十分この点について注目をいたしまして、大阪府当局が認可権を持つておりますので、大阪府当局ともいろいろ打合せをいたしまして、何とか確実なもの一つに努力をしてもらいたいというような意向を伝えたのでありまするけれども、遂にこれは二つ認可されるような形になつたのであります。従いまして、われわれといたしましては、この大阪府の過去の一つの事例からいたしましても、この際に労働金庫のあり方を明示する法律をすみやかにつくりますとともに、地方でかような認可権を持つておりますると、どうしても地方的な、政治的な影響というものが強く働きますために認可したようなことが起きてはならないというふうなことも考えまして、さようなことが一つの動機になりまして、われわれといたしましては、できるだけすみやかに明確な金庫法というようなものがあつてしかるべきもの、かように考えておるようなわけであります。

森山欽司改進党

○森山委員 労政局長いろいろおつしやいますが、最近の労闘ストが政治ストであるかどうかという問題の際に、現在の労働運動の主流を占める者たちの考え方によるならば、経済的なるものはすべて政治的なるものであるという考えを持つておるのです。ですからいかにこれが労働省が経済的地位の向上に資すると言いましても、それはすぐ裏をひつくり返すと政治的なものだという考え方を持たれれば、労働省がいかにそう解釈しようとも、労働運動の主流がそう解釈しなければ、後にまた御質疑申し上げたいのですが、この労働金庫の構成員からいたしまして、どんな方向にだつて向けて行かれるのじやないか。しかも立法の趣旨がどうあろうとも、おれたちはそう解釈するのだとがんばつて来られたら、打つ手が一体あるかどうかということについて、私は疑念があるのであります。そこでまだ、たくさん質疑事項がありますが、今の大阪の問題などは二つできておるのですが、今後労働金庫ができるとすれば、これは一県一行主義でやつて行くものであるかどうであるか。大体これには一県一行主義と何も書いてないのですが、幾つもつくつていいものかどうか、そういう点を伺いたいと思います。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 この点につきましては、まだ大蔵省と具体的に打合せていないのでありまして、今ただちに明確な方針としてということを申し上げる段階には至つていないのでありますが、従来われわれのとつて参りました方針といたしましては、経営の堅実性を確保するという意味からいたしまして、大体の考え方といたしましては、少くとも岡山県程度の組織労働者のある県が、大体全県一県に一行という程度であつて、それ以下の二万あるいは三万というふうな少い組織労働者の県におきましては、一県一行さえもあぶないのではないかというふうな考え方でセーブして参つたような状況であります。従いましてわれわれといたしましては、大阪府のごとき、特に労働者の多いところで、一県に二行あつても経営ができるというふうな立場を持つかもしれませんが、原則といたしまして一県一行というふうな考え方で参らなければならないのではないか。場合によりましては一県一行というふうなかた苦しい言い方でなしに、あるいはもう少し全体といたしまして、少くとも従来考えましたような考え方で行くべきではなかろうか、かように考えておる次第であります。

森山欽司改進党

○森山委員 原則として一県一行だが、例外としてか何か、今ちよつと御答弁があつたのですがよくわからないのですが……。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 大阪のごとき二行もあつてしかるべしというふうな行き方から、二行を認めるというような考え方でなしに、原則はあくまでそういう点でありまして、たとえば東京都におきましても一県一行という立場をとりたい。一県一行であるからといつて、島根県等に必ず一県一行でなくてはならぬというふうな行き方については考えたい、かようにお答えを申し上げた次第であります。

森山欽司改進党

○森山委員 すると大阪の今二つあるものは、どういうふうに処理される御方針ですか。

賀來才二郎労働事務官(労政局長)

○賀來政府委員 この点につきましては、この法案が成立いたしましたならば考えなければならぬと思いますが、われわれといたしましては、あの金庫が二つできました経過並びにその考え方からいたしまして、もし労働金庫というものがこの法案のように性格が明確になり、あり方が明確になりましたならば、やはりその線に沿いましてこの両金庫は一本化さるべきものである。そのように考えまするし、強権によらずして両者の話合いによりまして、一県一行というふうな形に持つて行き得るならば非常にけつこうだ、かような考え方をいたしておる次第であります。

島田末信自由党

○島田委員長 次会は明二十九日午後一時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十分散会

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