労働委員会 第24号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1952/06/23
会議録
○島田委員長 ただいまより会議を開きます。 前会に引続き、労働金庫法案、参議院提出、参法第六号を議題として質疑を進めます。船越弘君。
○船越委員 労働省の方に、この労働金庫法案を審議するにあたりまして、労働省の御意見を二、三お伺いしてみたいと思います。この労働金庫法は、結局労働者が従来いろいろな金融機関から救済されておらない、そこで労働者の生活的な援助とか、あるいはまた福利厚生の意味でこの法案ができたのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。ところがこの原案によりますと、これは団体加入になつておる。団体加入といいますると、組織されないところの一般労働者はこの労働金庫法によつて救済されないことになると思うのであります。そこで労働省といたしましては、未組織労働者をもあげてこの法案の中に包含され救済さるべきであるとお思いになるのか。この原案をそういう点でどういうふうにお考えになつておるのか伺いたい。
○賀来政府委員 ただいま御質問で御指摘のように、労働組合というものは、その沿革におきましては、特に労働組合組織の先進国の状況を見てみましても、大体相互扶助というところから始まり、その相互扶助活動が逐次組織的になるとともに、使用者に対して団結による経済的地位の向上を要求するというふうな状況に発展し、さらにそれが政治的な面についても利益を守ろうというふうな活動に入つておるのが、大体の傾向であるにかかわりませず、日本における戦後の状況を見ますと、いろいろな事情があつたかもしれませんが、おおむね経済的活動と同時に、政治活動に偏向する傾向が出て参つたのであります。現在組合運動の最も大きい弱点は、相互に扶助し合おうではないかという気持がまだ十分でないという点にあると考えるのであります。もう一つの面から申しますと、自立経済、独立後の日本における経済問題を考えてみますと、今日までのようなインフレの状況が続くとは考えられないと同時に、国際的な経済環境から申しましても、今日までのような組合運動の実情では乗り切れないのではないかと考えるのであります。さような意味から申しましても、労使関係を安定するという建前から申しましても、また労働者が安心して能率の向上に資するという面から申しましても、労働者みずからが相互の救済によつて生活安定をはかつて行こうとすることは非常にいいことではないかと考えておるわけであります。現在十六府県に労働金庫ができて、非常に短い期間でありますが、大過なく過しておる状況、また今後もなおこの運動が全国的に広まろうとしておる状況それ自体は、労働省としても期待をいたしたいと考えておるわけでございます。しかしながら現在日本における労働組合法に基く労働組合の組織率は五割をちよつと出たというところにありますとともに、未組織労働者の生活状態というものは、組織した労働者の状態よりもやや低い目にあるのではないかと考えられるのであります。そこでただいま御質問になりました点については、労働省としては、この未組織の状態にある労働者についても、相互扶助の形による経済的な保護ができ得れば幸いであると同時に、またその面についても積極的にやつて行く必要があるのではないかと考えておるわけであります。しかしながら一面から考えて見ますと、労働省といたしましては、かような労働金庫かできて行くということは、一応けつこうだと考えるのでありますが、御承知のように世界各国における労働金庫の歴史から見ますると、経営につきましては慎重な態度でやる必要があるわけであります。零細な労働者の金を集め合つてやるわけでありますから、労働省といたしましても特にその点について慎重な態度で臨むべきだ、かように考えておるわけであります。従つて本法案におきまして、いわゆる団体主義をとつておること自体については、未組織のものをどうするかという点について考慮の余地があると考えるのであります。しかしながらこの金庫法がとつております団体主義は、労働省において危惧いたしておりますところの、金庫の経営の確実性を保持し、かつ経費の節減にも資するというような効果をねらつた団体主義ということについては、われわれも了解ができるのであります。従つてこの金庫法における団体というものが、労働組合法による組合のみに限るということになりますと、この点については労働省といたしましても、もう少し広い範囲でやつてもらうべきであつて、労働組合法による組合だけを主体とする団体主義というものについては、われわれも批判的な意見を持たざるを得ないのであります。しかし承るところによりますと、この団体というものは、相当広い範囲であつて、未組織の諸君の加入につきましても、いろいろ考慮をしておるのだというふうに承つておるのであります。もしさようなことであります。ならば、たとえばなるべく個々の人の加入というよりも、経営の確実性をはかるため、及び相互扶助の傾向を助長するために、貯金組合なりあるいは何らかの形において一応団体的な組織を持つてこの金庫に加入するような考慮か払われますならば、両全の策としてわれわれが考えております方向に近いものになり得るのじやないか、かように考えておる次第でございます。
○船越委員 今の御説を承りますと、労働組合法による組合のみならず、そのほか広汎な団体の加入を許しておるというお話でございますが、今後どういうふうに推移するかわかりませんが、労働組合法以外のあらゆる福利共済組合というようなものをもひつくるめて、この労働金庫法ができ上りました場合に、現在の勤労階級のどのくらいが救済されるか、どのくらいが加入することができるか。現在労働組合法によるところの労働組合の数は五〇%余りだというお話でございますが、これが少くとも八〇%あるいは九〇%までが労働金庫法の会員になり得るかどうか、御意見を承りたいと思います。
○磯部参議院労働専門員 ただいまの御質問でございますが、現在のところでは労働金庫は出発後まだ日が浅うございまして、組織労働者のまたその何パーセントというものしか吸収していないかもしれません。問題は今後にあるのでございまして、幸いにしてこの法律が通過施行せられることになりまするならば、今お話がございましたように、生活協同組合を初めといたしまして、健康保険組合、国民健康保険組合、あるいは公務員の共済組合等は必ずしも労働組合と範囲を同一にしてはおりませんので、御承知の通りこれらのものは吸収できるということになつております。それらのものが全部加入されるようになりますれば、おそらくこの加入数は相当上つて来るだろうと思います。 それからただいまの未組織の人たちの加入の問題でございますが、これらにつきましては、今労政局長からお話がございましたように、団体をつくりさえすれば入れるわけでありますから、その方面を今後の労働行政の行き方として奨励されるならば、これも相当救済し得るのではないかと考えております。
○船越委員 団体主義をとつておるこの団体とは二名以上を団体としてお認めになりますかその点いかがでございますか。
○磯部参議院労働専門員 お説の通りでございます。
○船越委員 労政局長にお伺いしたいのでございますが、零細な預金を集めるのでございますから、もちろん労働金庫というものは堅実性を考えて行かなければならぬことは当然でございますが、金融機関を監督しておる大蔵省がこの堅実性をやかましく言うなら一応わかります。ところが労働省の労政局長としては、その堅実性を言う前に、広汎なる勤労階級、労働者の福利共済の意味の労働金庫ができ上るべきだ、こういう考えをお持ちになるのが私は労働省の建前ではないかと思う。そうしますと、今私が聞きましたように団体という意味は二名以上をもつて団体とするということになりますと、今後これに加入するために非常にたくさんな団体ができて来ると思いますが、そういう場合には特別に団体をつくるについての認可であるとか、あるいは許可であるとか、いろいろな問題が起きるかと思いまするし、またこの団体は任意団体であつてもさしつかえないのではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
○賀来政府委員 ただいま御指摘になりましたように、労働省といたしましては、労働者、特に未組織のような、平均いたしましてやや低目の状態にあります労働者の相互共済によりまする利益を受けるという面に対しまして、積極的な態度をとるべきだということは御指摘の通りでございますし、われわれもさように考えたいと思つておるのであります。ただ先ほど私から申し上げましたように、どうも各国におきまする労働金庫の例を見ますると、非常に注意を要する点もありまするし、特に現に国内におきましてもこの行き方については労働金庫という形のものにつきましては識者においても非常にその点慎重な態度をもつて臨むべきだという意見もあるのであります。従いまして漸進的な方法によりましてあやまちなきを期したいというのが基本的な考えになつておるわけであります。さような意味合いからいたしまして、任意的な相互の団体がつくられまして、納得づくでお互いに助け合うという気持の上に立つてのこの運動に参加するという方向に持つて行きたい、行き得ますならば、それが現在の状況においては、次善の策といたしましてよいのではないかと考えておるのであります。従いましてまたさような団体につきまして、認可制あるいは許可制等をとるべき筋合いのものではないと考えるのであります。認可制をとつてみましても、実際にその組合に参加しております人たちが真に納得ずくで、その趣旨がわかつての上でなければ、単に形式に流れると考えるのであります。さような意味におきまして、金庫の活動に対しまして行政的な協力を与えて行くべきであろう、かように考えておる次第であります。
○船越委員 この労働金庫によりまして集まつた預金がストライキの場合、たとえて言いますと、われわれはこのたびの第三波ストなんかも政治ストだと解釈いたしております。そういう政治ストの資金に利用されることがあるいはあるかもしれません。そういう場合には、労働省としてはどういう御措置をおとりになるおつもりであるか。その点についてお伺いしたい。
○賀来政府委員 実はその点につきまして、われわれといたしましてもいろいろ研究いたしたのでありますが、一つの点といたしましては、労働組合がストライキ資金、特に経済的な基盤のない政治ストという問題について今後どういう方向をとるであろうかという見方であります。今次のストライキに対しまして、労働省といたしましては、おそらくこの政治ストというものはみずから自覚する結果を生むであろう、かように見ておつたのでありますが、おおむね組合といたしましては政治ストというものには限界があるということを自分の経験を通じて自覚いたしたようでございますので、今後起り得ると考えます政治的なストライキにつきましては、やはりおのずから限界があるという建前によりまして、慎重な態度で出るだろう、かように一応見ておるのであります。政治的なストライキでなくても、経済的なストライキに関連いたしましても、争議資金にこれが使われるということにつきましては、もちろんその労働金庫におきます理事がお互いに相談の上、その運営の方針をきめるわけでありまして、これに干渉すべきではないと考えますが、われわれ労働省といたしましては、これがストライキ資金に使われるということについては賛成をいたしていないのであります。と申しますのは、今日までストライキのありましたときに、そのストライキ資金の動きを見ておりますと、とかくそのストライキ資金の使い方が限度を越しておるような状況でありまして、どうしてもストライキ資金の使い方については、労働金庫という建前について賛成をいたしかねるのであります。もちろん各組合が持つておりますストライキのための積立金をこの労働金庫に預金するということを拒否すべき筋合いではないと考えておりますし、その預金をその組合がストライキをやるときに引出すことについては干渉すべき筋合いではないと考えておるのでありますが、さようでない組合に対しまして、ストライキのための資金としてこれを貸し付けるという貸付方法につきましては、にわかに賛意を表しがたい。と同時に、将来もしこれが法律になりまして運営されるような時期になりましたときに、監督の立場にあります大蔵省と労働省とが十分協議をいたしまして、ただ単にストライキをきらうという意味でなくして、労働金庫の正常なる運営をはかる、その確実性を保持するという意味合いにおきまして、十分この点は監督をして行きたい、かように考えておる次第であります。
○船越委員 労働省の方の側といたしましては、これは望ましくない。しかも労働組合は次第に健全化して行き、そういう政治ストはおのずから少くなつて行くであろう、こういうふうな御期待を持つておられるようでございますが、もし将来政治ストにこれが利用された場合に、この法律をもつてしてはどうすることもできないのじやないか。ただ残るのは、行政的な立場から、労働者が何かの監督をなされるという程度のことじやないかと思います。そういうことでは私は絶対にいけないと思う。こういうものがたびたび政治ストに利用されまして、この零細なる資金が争議資金になるということは、私は何とかこの法律の中でとめるような方法を講じなければならぬのじやないかと思つておるわけです。この法案によりますと、そういうものを阻止することができるようになつておるかどうか。あるいはできないとすれば、労働省としてはぜひともそういうものを禁止するような条項をこの法案に含めてもちいたい、こういう御意向があるかどうか、御両所にお伺いをしたい。
○磯部参議院労働専門員 ただいまのスト資金の問題でありますが、ただいま労政局長からお話がございましたように、現在の法文には、そのことは何ら明記していないのでございます。また実際を申し上げますと、兵庫県の労働金庫の定款には、明らかにスト資金の貸出しは禁止いたしてあるのであります。ほかの金庫にはその条項はございませんが、スト資金への貸出しはいまだ一件も見ておりませんし、スト資金には貸出しをしないということは、金庫の経営を安全ならしめるためにおいて必要であるというこの一線を堅持することが、今日の労働金庫界における常識になつていると私は伺つております。定款には書いていなくても、そういう貸出しをしないというのが申合せになつておるのでございます。 ついででございますから申し上げますが、むしろこの貸出しによつてストを寸前に中止せしめたという例が兵庫県にございます。というのは、昨年の暮れに越年資金をめぐつて私鉄の争議がございました。ストに入ろうというやさきにおきまして、山陽電鉄へ五百万円、神戸電鉄へ二百万円という資金を貸出しすることによりまして、不可避と見られていた四十八時間ストを寸前において防止したという例もあるのでございます。そういう現状でございますので、現状におきましては、特にそういういたずらに刺激するようなスト資金貸出しの禁止の規定を設けませんでも、指導によりまして、十分その目的に達し得ると私どもは考えております。
○賀来政府委員 労働省といたしましては、まずこの法文を拝見いたしますと、金庫の目的自体は、労働者の福利厚生のために運用さるべきであり、かつ消費面に使われるということを目標としていると考えられるのであります。従いまして、これはきわめて広義に解釈いたしまして、ストライキをやることによる経済生活の向上は、やはり福利厚生であるというようなことをう者が出て来ればとにかく、これは良識ある解釈によりますならば、この法文の示しておりますところからいたしまして、ただちに直接的にストライキ資金、いわんや政治的なストライキ資金にこれを貸し付けることは適切な運営ではないと考えるのでありまして、さような面につきましては、やはり監督によりましてその運営を是正することは可能性があるものと考えるのであります。 なお実際問題といたしましては、ただいま御説明がございましたように、さようなことは良識的な運営をやります場合にはやらないであろうという御答弁もございましたので、労働省といたしましては、この際条文の中に、ストライキ資金には貸さないということを入れること自体についてはいかがかと考えるのでありますが、御質問の、あるいは労働金庫の経営を確実ならしめ、労使関係の安定に資するためには、その点非常に懸念せられるというお気持は十分了承できますけれども、法文の中に入れるということにつきましてはいかがかと考えている次第でございます。
○船越委員 そういたしますると、その定款に、争議資金にはこれは使うことができないという一項目を必ず入れることによつて初めて認可をする、こういうふうな行政的な措置をおとりになるお考えはございませんか。
○賀来政府委員 先ほど来申し上げますように、御懸念の点につきましては了解ができますとともに、われわれといたしましても十分注意をして行きたいと考えておりますので、この点につきましては御趣旨の趣を十分拝承いたしまして、大蔵省と今後研究をいたしたい、かように考える次第でございます。
○高橋(權)委員 今船越委員との間に質疑応答されている点についてちよつと伺いたいのであります。当局は組織労働組合は完全なものと見ておられるのでありますか、変なことを伺つて、はずれるようですが、金庫について承りたいから、ちよつと聞いておきたいのであります。
○賀来政府委員 現在の組合の状況は、おおむね健全な方向に向きつつあると考えますけれども、全部が全部健全なる組合になつておるとは考えられません。
○高橋(權)委員 先ほどの船越委員に対しての御答弁によりますと、何だか労働金庫に対しては不安を感ずるが、組織についてはあまり不完全でないような答弁であつた。それで伺いますが、労働運動の幹部にして——下々の人間は知らぬ、機械的に動く人間は熱心に騒いでおるが、競輪や競馬、このごろはパチンコまでやつているという話を聞くのでありますが、そういうことを研究しておられるかどうか。
○賀来政府委員 高橋委員は非常に下情に御通じでありまして、非常に御研究の向きでございますが、最近、幹部とは限りませんけれども、競輪に大分打込みましたり、あるいは競馬、特に競輪が多いようであります。パチンコまでは実は調べておりませんが、競輪につきましては、相当組合としても取上げておるところもございます。と申しますのは、ある大きい組合でありまするが、どうも競輪が行われた日は、労働者の出勤が非常に悪くなるというふうなこと、それからこれに伴いまして、やはり金を使い込みましたり、あるいは給料を家に持つて帰らなかつたりいたしまして、いろいろ問題を起しておるということを聞くことが多いのでございます。但し、これは労働組合という建前よりも、現在の労働者あるいはさらに労働者のみに限らず、一般にそういう傾向にあるのではないかと考えておる次第でございますが、労働組合といたしましても、さような面につきましては、何とか能率を増強する意味において、あまり度を越すものについては是正したいというふうな運動も漸次現われているように承つておるのであります。これは一般的な問題として取上げざるを得ないだろうと考えておるのでございます。
○高橋(權)委員 もう一つ大事な問題で伺いたいのでありますが、今度の日暮里の災難はどういう原因から起つたかということを御研究になつているか、ちよつと質問いたします。
○賀来政府委員 新聞で拝見いたしている以上には存じませんので、はなはだ申訳ありませんがその程度でございます。
○高橋(權)委員 これは私の公平なる立場から言うと、幹部が労働争議にのみ没頭して、どのくらいにブリッジがいたんでいるかいなやということを調べていなかつた結果も大いにあると思うのであります。大体この災害の原因は労働組合に責任があるべきものである。もしあなた方がほんとうの労働官吏であるならば、なぜそういうことに頭を用いなかつたか。私をしてあなた方だつたらもう少し気のきいたことをやる。どうしてあのラツシユ・アワーにますます人間が混雑したかというと、電力をにぶくした結果にある。そのために電車が終点まで行かないで途中でとどまり、回数を減じた結果ああいうラツシユ・アワーにますます混雑を来したということになるのであります。私はあくまで運輸省のみを追究することはできないと考える。私は霊感的の人間でありまして、ここに私をきらいな人があつても、そういう人の先祖まで毎日水ごりをして礼拝しております。有縁無縁の霊魂という。そういうことを考えているからよくわかるのだが、なぜあの日暮里のような問題が起つたかということは、当局としてはより以上御研究になつてしかるべきだと思う。あなたを攻撃するのじやない。全部に言うのだ。これはやれストライキだ、ゼネストだと、変でこなことに頭を用いている幹部の責任だ。もし彼らにして騒がなかつたならば、ああここは危い、ここはネジが腐つているからとりかえて締め直しておこうかということまで考えるべきはずだ。そこで私はきようは幸いにして神の用人としてここに出席した。これは笑いごとじやない。この間も参議院や野党の連中が背負い投げを食わせるかもしれぬと予言したことが、その通りになつている。ふしぎな力を持つているのだ。冗談ではない。人の質問中は笑うことをやめなさい。当局はこの日暮里事件は新聞紙上に出ている以上知らぬと言うが、新聞も間違つたことを書くものだ。私みたいに、前に繃帯して出席しても、八日間無届け欠席というようなことを書く新聞雑誌もある。新聞をもつてということではなくて、なぜじかに行つて研究をしないかということを言うのだ。今後はそういうことのないように、そして全国に対して、今度の災害の最大原因は労働組合の幹部にあるということを公表していただきたいのであります。そのお考えがあるかないか、ないならば今日からそういうお考えになつていただけるやいなやを質問いたします。
○賀来政府委員 そういう御批判の方もあろうかと思いますが、労働組合法の第一条の趣旨は、労働者が労働組合をつくりまして、経済生活の維持向上をはかるとともに、国民経済あるいは日本全体の経済の振興に資するということを目標とすることになつておるのであります。従いまして労働組合運動のためにもしもさような結果を来すというようなことがあつては遺憾であると考えるわけでありまして、われわれといたしましてはさようなことのないように、今度の事件に限らず、常時注意をいたしまして、もしさようなことがございますれば労働組合に反省を求めるにやぶさかではないのであります。
○高橋(權)委員 やぶさかではないとおつしやいますが、私の言うように、最大原因は十分に運べる電車が途中でとまつたり、いろいろな事故の結果人間がより以上に多くなつた、そのためにあせつてなおさらこういうことになつたということは明らかであります。神である人間ならばすぐわかるはずだ。私は、全国の労働組合の幹部に向つて忠告を与えるとともに、何かの方法で、新聞紙上でもいいから、その最大原因は電力量を減らしたために運転回数が少くなつた、そのためにより以上の人間を一時に出した結果、あせつてこういうことになつたということを発表してもらいたい。物質的のことのみ考えられることははなはだ困る。得がたい人命である。ここにいる人間はだれだつて命が惜しい。高橋權六はさあというときにはいつでも命を投げ出すが、私は人命のいかに貴重であるかということを考えて、新聞紙上その他官報でもいいから、そういうことのないように当局から全国に厳命なさるお考えがありやということを最後に伺つて私の質問を打切ります。
○賀来政府委員 人命を大切にすべきであるとともに、経済あるいはわれわれの生活にいたしましても、物質的な面だけでなくして精神的な面が非常に重要である。従つて労働組合と申しましても、ただ賃上げというだけでなくして、全体の立場から見まして、自分らの置かれた立場、労働者の立場ということを十分考えなければならない。これは御意見の通りでありまして、われわれもその点につきましては、御注意のありましたように行政上十分気をつけて行かなければならないものと考えておるのであります。従いまして先ほど申しましたように、全般的な問題といたしまして、労働組合もさような傾向があるといたしますならば、慎重に研究いたさなければならない、かように考えておる次第であります。
○島田委員長 本日はこの程度にて散会いたします。 次会は明後二十五日午後一時より開会いたします。 午後三時十八分散会