労働委員会 第20号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/06/09
会議録
○島田委員長 これより会議を開きます。 日程に入ります前にお諮りいたしますが、去る二日理事の森山欽司君が一旦委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になつております。この際御事の補欠選任をいたさねばなりませんが、これは前例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長 御異議がなければ森山欽司君を再び理事に指名いたします。 なお珪肺病対策小委員会におきまして、小委員金原舜二君が去る六日、益山欽司君が去る二日、いずれも一旦宋員を辞任されておりますので、ただいま珪肺病対策小委員に欠員を生じております。この際小委員の補欠選任をいたさねばなりませんが、これについても委員長より指名いたすことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長 御異議がなければ珪肺病対策小委員に金原舜二君及び森山欽司君を御指名いたします。 —————————————
○島田委員長 これより労働金庫法案、参議院提出、参法第六号を議題と いたします。まず提出者より提案理由 の説明を求めます。一松政二君。
○一松(政)参議院議員 ただいま、提案になりました労働金庫法案の提案理由を御説明いたします。 わが国におけるいわゆる労働金庫は、昭和二十五年岡山県において岡山県勤労者信用協同組合として設立されたのが初まりでありまして、以来各地においてこれにならうもの多く、今日では北海道、宮城、福島、千葉、埼玉、東京、神奈川、長野、新潟、大阪、兵庫、広島、山口、愛媛、大分等、すでに十六の都道府県においてその設立を見たばかりでなく、福岡、愛知、三軍、静岡、群馬、山形、岩手等の各県におきましても、近く設立されようとしております。しかもこれらの労働金庫は、労働組合を初め、消費生活協同組合その他の労働者の団体を主たる構成員とする協同組織の形態をとり、その事業は、一方において労働組合や消費生活協同組合の組合資金及びその構成員たる労働者の預貯金を広汎に吸収し、他方において、その資金をこれらの団体の行う労働者のための福利共済活動の資金として貸し出したり、あるいは各労働者に対しその生活資金として貸し出しているのでありまして、自主的組織により労働者の間に存在する遊休資金を集めて、これを従来の金融体系においては比較的等閑に付されていた労働者大衆自身のための生活資金金融の道に活用するもので、社会的にも大きな意義を有するものであります。しかるに労働金庫は、これまでそのための独自の法制がなかつたため、中小企業等協同組合法に基いてもつぱらその信用協同組合として設立運営されて来たのでありますが、元来中小企業等協同組合法の規定するところは、本来の労働金庫とはその構成組織も、金融の性格、目的も異なり、そのため事業の運営にも幾多の不便を感じて来たのであります。しかし労働金庫が今日の段階まで来ました以上、労働金庫の健全な発達をはかるためには、その本来の性格に即した独自の法律を制定し、もつてその基礎を明確にするとともに、監督の適正を期することが必要であると考えまして、本法案を提案いたした次第であります。以下本法案の規定の建前の主要点を御説明いたします。 第一に、本法案では労働金庫の構成員を労働組合や消費生活協同組合その他労働者をもつて組織する権利共済のための団体としており、会員としての議決権の行使、役員の選任等金庫の運営についてもその建前に立つて規定を設けたのであります。これは労働金庫が労働組合運動の一環として行われており、労働者を団体として把握するごとによつて初めてその設立運営が可能となるばかりではなく、広汎な労働者から預貯金の吸収や労働者に対する貸付金の回収の確保等の金融機関としての労働金庫の業務もこれらの団体を通ずることによつてのみその円滑にして確実な運営を期待し得ると考えるからであります。 第二に、本法案では労働金庫の組織運営については、金融機関たる性格に反しない限り協同組織の原則をかたくとつているのでありまして、この建前から預貯金の受入れ、資金の貸付等の労働金庫の業務は、もつばら会員たる団体及びこれに加入する労働者のみをその対象としております。これは労働金庫が会員たる団体による労働者の相互扶助の組織である以上当然のことであり、またそれによつて初めて労働金庫の健全な運営が期待されるからであります。 その他本法案は、労働金庫が多数の労働者の零細な預金やその他労働者の福祉のための貴重な資金を預かる金融機関でありますから、その安全確実な運営を確保するために必要な規定を設けるとともに、行政官庁の監督についても極力その適正をはかつております。 なおこの法律を遂行する行政官庁といたしましては、大蔵大臣及び労働大臣といたしたのでありますが、これは労働金庫が広く労働者の福祉の増進と労働組合の運動とに密接な関連を有するものでありますから、労働行政の必要上、これを労働大臣に所管せしめるとともに、労働金庫は、また一種の金融機関でありますので、金融行政上からは大蔵大臣の監督下に置いた次第であります。 以上、本法案の要旨を御説明いたしたのでありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決されるようお願いする次第であります。
○島田委員長 次に補足説明を求めます。今枝説明員。
○今枝参議院法制局参事 それでは法案の中身に即しまして、本法案の特色を現わしておると考えられますところの規定につきまして、概略の御説明を申したいと思います。 まず第一に本法案におきまして、その目的といたしましては、第一條に規定いたしておるのでありますが、ここにおきましては、この法律が労働組合その他の労働者の団体の協同組織であるところの労働金庫の制度を確立するということ、それからその団体の行う福利共済活動のために金融の円滑をはかるということが、本法案の目的であるということを規定いたしておるのであります。従いましてここにおきまして本法案によりますところの労働金庫が、団体組織をもつてできるものであるということ、それからその行う金融が、その団体の行う福利共済活動ということに目的を置くということからいたしまして、つまりその金融の性格が事業金融といいますよりも、生活金融であるといつた特徴をここで現わしておるのであります。 次にこの法律で予定しておりますところの労働金庫は、労働金庫と労働金庫の連合会の二つの種類があることを三條で規定しております。 次に金庫の事業につきまして、第六條で、金庫の事業は大蔵大臣と労働大臣の免許を受けなければならないということを規定いたしました。これは一つにはその事業が免許制であるということでありまして、たとえば中小企業協同組合法によりますところの信用協同組合の場合におきましては、その制度が認可制になつております。認可制と申します趣旨は、その事業が法令の定める一定の規準に該当しておりますれば、必ず認可されるという建前の認可制になつておるわけでありますが、労働金庫の場合におきましては、そういつた一種の法規裁量的な自由認可の建前をとりますと、設立の場合におきまして、その設立にあずかる労働者の組織系統等の対立関係からいたしまして、濫立になるおそれが昂るということが考えられますので、そういつたことにならないように、適当な規制をして、堅実な事業が行われるようにする必要がある、こういう見地からいたしまして免許制にいたしておるということが、六條の第一点であります。それからこの條文においてその免許は大蔵大臣と労働大臣、両大臣によつて行われるということにしておる点が、第六條の第二点であります。つまり先ほど提案理由にも説明がありましたように、この免許の所管は金融の大臣としての大蔵大臣と労働関係の所管大臣としての労働大臣、両方の大臣によつて所管されるということを特に規定いたしたわけであります。 次に出資に関する規定といたしまして、第七條に金庫の出資の最低限度を規定いたしておる次第であります。その最低限度につきましては、大体組織労働者の数の多寡によりまして二つの段階を設けまして、組織労働者の多い一定の地域におきましては、出資総額が七百万円を要する、少くとも七百万円でなければならぬということにいたしまして、その他の場合につきましては三百万円ということに規定いたしているわけであります。これは一面におきましては設立されますところの金庫の基礎が堅実であるという要素と、他面におきましては労働組織の実情からいたしまして実現可能な限度の金額を規定する、この二つの要素を考慮に入れて、ただいま申しましたような規定にいたしておるわけであります。なお今申しましたのは単位金庫についてでありますが、連合会につきましては同様な趣旨からいたしまして、総額の最小限は七千万円以上を要するということに規定いたしておるわけであります。 次に金庫の会員となるものの資格につきまして、第十一條に規定を設けております。この規定におきまして、労働金庫が団体組織の機関であるということを明らかにいたしております。そういたしまして、その会員となるべきものは労働組合、それから消費生活協同組合及びその連合会、国家公務員の組織いたしますところの団体、地方公務員の組織いたします団体、健康保険組合、その他の社会保険的な団体、なお最後にそのほかの労働者の共済活動等のために組織しますところの団体でありまして、その組織員の過半数が労働者をもつて占められているというものを金庫の構成員になることのできる団体として規定いたしたわけであります。なお連合会につきましては、言うまでもなく単位金庫が会員となるということを同條で規定いたしております。一次に金庫の出資につきまして、第十二條に規定を設けておるわけでありますが、その中で特に第三項におきまして、「一会員の出資口数は、出資総口数の百分の二十五をこえてはならない。」ということで、出資口数は最大限出資総口数の百分の二十五というように規定いたしております。この規定は中小企業等協同組合法によりまする信用協同組合の場合には十分の一ということになつておりまして、本法案におきましては、それよりも最高限度を多くしておるわけであります。この制限規定は、主として一会員で多数の出資を持ちます場合には、その会員が脱退いたしました等の場合において、一時に出資の総額が少くなりまして、その機関の基礎を薄弱にすることを防ぐための規定と考えられるわけであります。本法案によります労働金庫の場合におきましては、後に説明いたしますように、会員の脱退につきましては、一定の制限を設けておりまして、そういつた制限からいたしまして、ただいま申しましたような弊害をある程度防ぐことができるということと、他の一面におきましては、地方によりましては、労働者の大多数がある一つの組合に組織されておりまして、その他の労働者の組織は非常に小さいというような場合におきまして、この最大限をあまり小さく限りますと、現実におきましては実施がむずかしいというようなことの起る場合がありますので、そういつたことを考慮に入れまして、本法案におきましては最大限を四分の一ということに規定いたしております。 次にこの金庫におきましての議決権のことにつきまして、第十三條に規定いたしておるわけでありますが、この場合におきましては、特に本法案においての特色といたしますところは、この法案で代議員と称しておる制度を設けたことであります。すなわちそれは、金庫が団体を構成員として設けられる機関でありますので、その議決権を行使しますものは、常にその団体を代表する何らかの自然人であることが必要になつて参りますので、その団体のために議決権を行使する一定の人を必ず定めておいて、これを代議員ということにして、その者が議決権を行使するという制度をここで設けておるわけであります。 次に、先ほど申しました脱退の関係のことにつきまして、第十六條で規定を規けておるわけでありますが、すなわちここにおきましては、会員が脱退しますときには、必ず持分の全部を譲渡した上で脱退しなければならない、こういうように規定いたしまして、通常の場合におきますような自由な脱退はできないという建前をとつておるわけであります。もし脱退をしようとするときにおいて、その持分を譲り受けるものが見つかりません場合には、金庫自身に対してその譲り受けを請求することできる、こういうことにいたしまして、ひとまずそのものの持分は金庫においてこれを譲り受けて持ち、そのかわり金庫が讓り受けました持分は、すみやかに処分して、だれかにその持分を取得させるという措置を講じなければならないということを第二十一條の二項において規定いたしまして、両々相まつて、先ほど申しました脱退によつて金庫の基礎が薄弱になることのないように措置いたしてあるわけであります。 次に設立関係のことといたしまして、特に金庫の会員が最小限度どれだけを要するかということにつきまして、第二十二條の二項で規定いたしておりますすなわち労働金庫の会員は少くとも五十以上であることを要する。なおその会員に所属いたしております個人の員数が二万人以上でなければならない、こういうように規定いたしております。これも中小企業等協同組合の場合におきましては「会員の最低数が三百人ということになつておりますが、これは個人構成を基礎といたしておりますために、こういう多い数になつているわけであります。団体構成を考えております本法案による労働金庫におきましては、これを五十ということに規定いたしたわけであります。これもまた要するに、金庫の基礎を確実にするということと、それから実行性の伴い得る限度ということとの要素からいたしまして、このような数を規定いたしているわけであります。 次に金庫の役員のことに関しまして、第三十四條に規定をしているわけでありますが、この規定の中におきまして、特に役員は代議員のうちから選任するという規定を設けております。つまり先ほど申しました代議員の中から役員を選任する。これも金庫が団体構成であるということの必要から起つて来た事柄であります。なお第四項におきまして、原則としては役員は代議員から選任するのでありますが、代議員以外の者からも定数は選任することができるということにいたしております。つまり金庫の構成とは直接の関係のない人からも役員を選ぶことができるということの規定を設けております。これはつまり労働金庫が金融機関であるということからいたしまして、構成員の中から選ばれた代議員が、必ずしも金融の仕事に適しているということが言えない場合も想像されますので「金庫の構成とは関係のない分野の人からでも、会立敵事業に通じた適当な人があります場合には、そういう人を役員に選ぶことができるという道を開いた規定であります。次に金庫の事業に関しまして、第五十八條で規定いたしているわけでありますが、原則といたしましては、金庫の事業は、会員の預金または定期積金の受入れをすること、それから会員に対して資金を貸し付けること、会員のために手形の割引をするごと、これだけが法律上当然の金庫の事業ということに規定いたしております。つまり会員に対する関係のものでありますから、預金の受入れ、資金の貸付等、すべて会員たる団体に対してこれを行う。団体から受入れ、また団体に対して貸し付けるということが、金庫本来の業務であるという趣旨の規定を置いております。それに附加いたしまして、ただいま申しました事業のほかに、金庫は会員たる団体を構成しておりますところの個人に対しても貸付をしたり、あるいは預金の受入れをすることができるということを第二項で規定いたしました。つまり原則としては団体に対する預金の受入れまたは貸付であるが、さらに従属的な事業の建前としては、所属員に対してもこれらのことをなし得るというような趣旨の規定を設けているわけであります。 大体以上申し述べましたところが、本法案におきまして、労働金庫が他の機関ごとに中小企業等協同組合法による組合の場合に比較しまして、特色と考えられる主たる事項であります。その他の事柄につきましては、原則としては中小企業等協同組合法の場合と同様な各種の必要な規定を網羅いたしておりまして、なお特に金融機関ということに着眼いたしましては、金融機関面から必要な各種の監督規定を設けた、こういうことになつております。 なお附則におきまして、現在中小企業等協同組合法によつてできておりますところの労働金庫が、本法案によります労働金庫に移りかわつて行くための必要な規定を設け、なお最後に労働金庫に対して免税等の特典を與えるための規定を設けたわけであります。 以上をもつて大体の補足説明を終ります。
○島田委員長 ちよつと速記をやめて。 〔速記中止〕
○島田委員長 それでは速記を始めてください。 次に労資関係に関する件を議題といたします。質疑を許します。青野武一君。
○青野委員 私は労働金庫法の提案理由の説明がありまして、特に緊急質問を労働大臣にしたいと思いましてお願いをしておいたのでございますが、御質問申し上げる内容は、今問題になつております国鉄公社と国鉄労働組合の夏季手当の要求に関することでございます。大体公務員は、予算関係から行きましても、夏季手当は五千円程度のものがもらえるようになつておるが、公企労法の適用を受けております国鉄は、その点について明破な線が出ておらない。そこで大体国鉄労働組合は八千五百円、同じく機関車労組は九千五百円の夏季手当を要求して、数次交渉が持たれておるように私どもは新聞紙を通じて知つておつたのでございますが、どういう事情がありますか、大体団交が決裂をして、今その手がかりがないような新聞の報道もございますので、この点について労働大臣に、団体交渉の決裂に対する経過がどういうことになつておるかということを、第一点としてお尋ね申し上げたいと思います。
○吉武国務大臣 お尋ねの国鉄及び機関車労組の夏季手当の問題でありますが、これは組合側からは、大体ベース・アップをしたものの〇・五を夏季手当としてほしいという要求をしておるようであります。政府の方と申しますか、公社の方といたしましては、大体予算には一年分の手当として〇・五を組んでおる。そこで夏季手当に現在のベースの〇・五でありましても、これを使つてしまいますと、年末の手当がなくなつて、おもしろくないのじやないかということであります。そこで問題は、それでは一般の公務員は〇・五であつて、国鉄だけがそれだけ出ないのはどういうわけかという疑問がすぐ出て来るわけでありますが、これにつきましては、御承知でありましようが、昨年国鉄及び専売のベース・アツプの際にベース・アツプをとるか、あるいは賞與として別に残すかという問題がございました際に、いわゆる賞典としての手当はベースに含まれてもいいから、ベース・アップを承認してほしいというところで、一応妥結した。従つて御承知のごとく一般公務員より国鉄のベースは若干高いわけであります。そごが一般公務員と国鉄との違いのあるところ、従つて手当につきましても、一般官吏は一年を通じで一箇月分の手当が予算に組んである。国鉄の方は〇・五が予算に組んである。そこでそれを今度の夏季手当としてどれだけ使うかという問題になりまして、一般公務員の方は半々にして、この際は〇・一五を夏季手当として使おう、こういうことであります。だからその率からいいますと、国鉄の方は一年分が〇・五でございますから、半分にすると〇・二五ということになるわけでございます。これはもちろんそういう経過からなつておるわけでございまするが、さて実際の実情になつてみますと、一般の役人には〇五十た。国鉄の方はその半分しか出ないということになると、今までの経過はみんな知りませんから、どうしておれのところだけ少いのだということになりがちであります。そ暑いろいろの経過はそうであろうが、実際の実情を考えて、もし公社の方で、組合諸君の努力によつてうんと能率を増すとか、あるいはうんと節約をして財源の捻出ができれば、いわゆる若干のプラスというものは出ないものであろうかということを、私どもあつせんをしている最中でございます。公社の方もなかなか予算がきゆうくつでございまして、簡単にそんな予算がすぐ出るわけではございませんので、いろいろ苦心をされておりますが、目下私ども、運輸大臣も努力中でございまするので、さよう御了承いただきたいと思います。
○青野委員 もう一つお尋ね申します。新聞によりますと、夏季手当の内容については、今の御説明程度は大体わかつておつたのでございますが、問題は、団体交渉が決裂をするその影響がどこにしわ寄せするかということを考えますと、私どもは非常に事態を憂慮すをわけであります。何も賜暇戰術がいい悪いという批評をするわけではございませんが、そういうように全国一斉に賜暇戦術をとり、それが国民生活にどう影響するかというような点を考えてみますと、そこに往々にして警察官の実力行使というものが考えられるのであります。これは例でございますが、ちようど土曜日に、羽田の飛行場のところに、三百五十名くらいですが、渡辺製鋼所というのがございまして、これは労使間で団体交渉を持ち、経営者側はもう一時間、あるいはもう二時間、もう三十分ほど会社の都合で待つてくれないかと言つておつたのです。ところがそういう責任者が、トラックの上に乗つて、スクラムを組んでおる労働者の中を全速力でつつ走り、そのために労働者が一人けがをして五針ぐらい縫うたのでありますが、そういつたふうに問題が紛糾して来る。その上会社側は、委託品をトラックで運送するのを労組側が妨害しているからというので、蒲田の警察署に出動してくれ、こういう依頼をした。そうすると相当数の警官が出て行つて団交が始まらぬようであれば実力を行使する、こういうことで土曜日の晩私どもは十一時ごろまであそこに行つておつたのでありますが、団交が切れることによつて、そういうような問題が往々にして起るのでございます。ですから、国鉄諸君の要求するものは新しく要求しているベース・アップの金額に対する〇・五ですが、これは当事者間で団体交渉を持つて解決すべき問題でございます。それが感情の対立になつて、公社側が一方的にもう団交をやらないのだといつて、事実上団体交渉のできないようにつつばなされますと、勢い労働組合側はいろいろな戦術をとらざるを得ないのであります。たとえば賜暇戦術を一斉にとるといたしますると、やはり政府側の見解といたしましても、それは労働法の保護を受けない、あるいは公社側といたしましても、そういうような行き方はわれわれは認めるわけにはいかないということになつて、勢い官憲の出動といつたことになりますると、そこに無用の摩擦を引起して、また五月一日のような、けが人を出したり、あるいは紛糾するような場合を私どもは考慮いたします。むしろこういう事態に追い込めたのは公社側の責任ではないか政府の努力をしていることは認めますが、もう少し熱意と誠意を持つて国鉄労組との団交を継続すべきである。一方的に団交のひもを切つてしまうという行き方は、彫る意味からいえば卑怯な行き方ではないか、こう考えるのです。政府といたしましてもその点について努力をしておられるというお答えを今承りましたが、その点についていつも議会で問題となりまするように、公労法の三十五條は当事者双方を拘束するが、十六條は予算上、資金上支出不可能だ。実際公労法の適用を受けている労働組合は、仲裁裁定によつても満足な回答が得られないまま今日まで来ておる。その上に団交炉一方的に破棄せられて行くというような状態に追い込まれると、勢い相当ひどい戦術をとらざるを得ないところに私は追い込められて行くと思う。そういう行為をした者だけを処罰をする、原因をつくつた者は涼しい顔をして上の方で腕を組んで見ておる。こういう行き方は、私は問題をことさらに紛糾せしむること以外に何も役に立たないのではないか、かように考えるのでございます。これは国家資金による特別事業でございまするから、そういう紛糾を起さないように、ある程度は政府の責任において努力してもらわなければならぬと考えますが、政府よりこの点について、一日も早く団体交渉を持つて、平和的な解決に努力するように具体的に動いておられるかどうか御答弁を聞いて、私の質問を終ります。
○吉武国務大臣 この問題については、政府としても平和的に解決すべく努力していることは、先ほど申した通りでありまして、公社におきましてもこの点は誠意をもつて努力されつつあると私は思つております。ただ組合の方で、言い出したことを全部が全部聞かなければおれたちは何でもやるぞという態度は、私は平和的な解決のやり方ではないと思います。現在の国鉄は必ずしもそういう態度をとつておられるようには見受けませんけれども、やはり双方とも歩み寄つて、平和的に解決をするという粘りと努力が必要だと思います。政府としても十分本問題につきましては、解決に努力するつもりであります。
○島田委員長 熊本虎一二君。
○熊本委員 二、三点お尋ねいたします。 第一には今の国鉄の問題ですが、青野君からいろいろお聞きに皆著たが、それについて労働大臣が非常にお骨折りになつておる、こういうことでございますから、まことにけつこうでございますが、問題は時日があまり長びいておるので、特にお急ぎを願いたいと思うのでございますが、それに関連いたしまして国鉄は昨年のベース・アップのときのいきさつもあるかもしれませんが、当初より一年を通じて。五の賞典を見積つておる。しかしこれからの成績は、どうなるかということについて、相当の見通しが大事であろうと思う。そこで私はお尋ねいたしますが、これはちよつと労働大臣だけでは困難だと思いますけれども、ものを処理するために努力を願う労働大臣としては、その点まで資料としてお持ちになろうかと思うのでお聞きをいたしますが、国鉄の最近の経営の実情、これは一体よくなりつつあるか、あるいは従来通りであるかということ、そうして金額の数字等がおわかりになつておればお聞きしたい。さらに輸送総トン数の昨年あたりと本年あたりとの成績状況、このことを考えずして、單に国鉄が昨年のベース・アツプで、賞與よりベースの方だと言つたから、だから一般公務員より少くてよろしいのだ、こういうりくつは私は成り立たぬと思う。従つて私のお尋ねいたしたいことは、もし労働大臣がおわかりでなければいいのでありますけれども、私どもから見ますると、国鉄の輸送量も相当に上つているはずであり、成績は十分上りつつあるはずである。従つて收入金額も相当上つておると私は思う。従つて成績が上りつつある、あるいいは輸送量がどんどんと成績よく増加しておる、こういう爽消でありまするならば、国鉄経営の経営面から見て、ただちに経済、財政が許すというわけではないにいたしましても、その努力に対しては相当無理を加えなければならな。せめて公務員並のものは出すべきであると私は考えておる。この根本となるべき国鉄経営の成績状況というものについて、今申し上げまするように、金額と輸送総トン数の成績状況がおわかりになつておればお知らせ願いたい。 それからさらに進んで私が報告を受けておりまする点から行きますると、行政整理の面もありまするけれども、その後非常に退職等による自然減員ができておるということでありまして、一年間ぐらいの間に、二十三、四年からいたしますと十五、六万人の減員があるということを聞いております。そうして今日では行政整理の後における定員にもまだ満ちておらないというような実情である。にもかかわらず一方には非常な成績を上げておるということを私は聞いている。はたしてそういう実情があるかないかということが、今度の問題解決の重要なる焦点であると思う。でありますから、せつかく御努力、御奮闘を願いまする労働大臣に、この基本となるべきものについてお調べが願つておればここでお聞かせ願いたい、かように考えます。 それから今一点は第三波ストの実情でございますが、私はこの前の第二波のときの実際の影響というものについて、資料を出してくれと言つておきました。賀來労政局長はただちに出すと言つておりましたけれども、今日までもらつておりません。私も労働省から必ずしももらわなくてもある程度わかつたので、ことさら請求もいたしておりませんが、今日は第三波のストに関しましてどういうような実情であり、影響があるかを承つておきたいと思う。これはなぜ私がこういうことを特に聞こうとするかというと、日にちが違うわけでもない、今日ただいまというべきでありますが、まあ三時間ばかり前であります。ようやく登院して二階に上つたとたんに、農林大臣廣川君からおいくと声をかけられました一何であろうかと思つて行つてみますと、七日のストはあれはどういうものだと言う。何かと思いましたら、あれは二、三万しかやらなかつたそうだな、こういうことを人の前で潮笑的に私に言つております。少くともだ、(「廣川の放言だからいいじやないか」と呼ぶ者あり)いかに放言だといつても、閣僚としてそういうべらぼうなことを人の前で言うがごときことは、はなはだもつて不見識きわまると思う。でありますから、あらためて第三波のストの現状について労働大臣の手元に持つておられる資料、これらに対する影響についてあらためて聞いおきたい、かように考えますから、その点について労政局長もおらぬようでありますから、あまり大臣は詳しいことは御存じないかもしれませんが、大体でもお聞きできれば幸いかと存じます。
○吉武国務大臣 国鉄の輸送成績の点でございますが、これは私資料を持つておりませんので、お答えがしにくいのでありますが、ただ先般公社の総裁と話をしまして、いろいろ相談しているうちに、輸送成績は必ずしもよくないそうであります。 それから第二に御指摘になりました自然減耗でありますが、これはどこの役所といえども、また企業体といえども、一年を通ずれば若干の自然減というものが出るわけであります。ただその際どうしても補充しなければならないものと、あるいは何とかくめんすればそのままで行けるものとがあるのではないかと思います。従いまして先ほど申しましたように、予算の建前及びベース・アップのときの建前から理論的に言えば、ベースが高いかわりに手当としては一年を通じて〇・五、それから一般公務員の方はベースが低いかわりに一年を通じて一箇月ということでありますから、理論的に言うならば、差があるのはこれをやむを得ぬと思います。ただ実情として今日国鉄の職員の生活というものも決して楽ではないし、一方で〇・五とるならば、自分のところへももらいたいというのが、これは人情でありますから、何とか節約の方法なり、能率を上げる方法なり、あるいは自然耗を補充しないで、みんなでその分を勉強するというようなことで、財源の捻出はできないものかということを、政府も公社も鋭意研究をやつているようなわけでございます。 それから第三の三波ストの状況でございますが、これは私の方に届きました昨日の夜までの報告によりますと、大体二十四時間ストに入りましたのが二万九千人、それから二時間ないし四、五時間というような時限ストに入りましたのが五万六千八程度でございます。あとは職場大会その他の方法をとつたのであります。ストライキに入りましたのは、以上のようにわれわれは報告を受けております。
○熊本委員 私も国鉄の問題をここでだしぬけにお尋ねすることはちよつと無理かと思いましたけれども、ただお考え願いたいことは、少くとも一方に半月の手当が出されておるのに対して、国鉄の方は冷遇の実情にあるから問題が紛糾するわけです。従つてこれが妥当であるかないかは大臣が言われるように、やはり日常の賃金と賞典との関連における交渉中にどういう話があつたかということは、これの解決のためにはならない。あくまでも国鉄の経営内容がこれを左右するかぎだと私は信じております。せつかく御努力を願うならば、所管が違うからはなはだ困難な場合のところがあろうかとは存じまするが、少くとも根本的な国鉄経営の実情を把握されて、その上から妥当なあつせん案というものが出されなければならない。従つて人員の問題につきましても、人員の減少はどこにもある実例かもしれません。しかしああいうような経営体の中における人員の減少というものは、ただちに経営の実績との上に比較対照して重大な関係がある。それと成績の問題をにらみ合せて、そうして国鉄従業員諸君の要求されておることは、断じて無理ではないという考えを持つておるにかかわらず、当局がしいてこれを拒んでおるところに疑惑を持つておるわけでありますから、大臣といたしましては十分その点をお含みの上、多少所管違いでお骨が折れるかもしれませんが、手をもつてこれの真相をきわめていただくとともに、妥当にして、しかも急速なる解決に御努力願いたい、これは希望を申し上げておきます。 第三波ストの問題につきましては、もう少し資料をもつてお尋ねすればよいのでございますが、そういうようなあまりにも侮辱的な態度、私は個人的には長い関係がありまして、よく知つておる親しい仲でありますから、私個人にものを言われるのならばそういうことを言いません。しかしながら大勢の中で人を呼びとめて侮蔑するような、そういう態度をなされたということはこれが今日の吉田内閣の本質であるとすれば、ゆゆしき重大問題だと思う。でありますから、その意味において大勢のおるところで、私はこれを好意的注意とか何とかいうのでしたら憤慨はしなかつたのでありますが、どんなに吉武労働大臣が苦労をし、これが最悪事態に至らざるがごとき努力をされましても、閣僚の一人にそういう軽薄にして、横着な態度をとる者があつたならば、これは吉武労働大臣の努力が水泡に帰するわけでありまして、一応お含みおき願いたいというように考えて、申し上げた次第であります。
○島田委員長 中原健次君。
○中原委員 私は最初に委員長に申し上げておきたいのでありますが、きようはかねて私がお願いいたしましたように、国鉄総裁並びに国鉄の組合の代表者に御苦労願つて、そうして労働委員会としても與野党を問わず、委員会としているく質問もし、あるいは希望も申し入れ、願わくばこの問題のよりよき解決のために何かのチャンスをつくるべきだというように考えたのであります。しかしいろいろ手続的なお骨折りはいただけたことと思いますが、両者ともに遂に参つておりません。これがもし手続上の何らかのあやまちのために関係当事者が来ていないとすれば、これははなはだ遺憾しごくに思うのでありますが、そうでなくて、もし向うの横着から来ていないとすれば、これは国会として一言なからざるを得ないわけであります。このことにつきましては特に御留意を願つておきます。特別な御回答をいただこうとは思いませんが、このことを最初に申し上げておきます。 大臣に対するお尋ねを二点だけ申し上げたいと思います。大体労働大臣にお尋ねするのが少々無理じやないかという感じもいたしますし、意味も実際には薄いのではないかというふうに感じますが、先ほど国鉄採算の問題がちよつと出ておりましたので、私はこれについて一言申し上げなければならぬと思います。大臣の受取り方では、国鉄の企業内容は必ずしもよくはなさそうだというふうに言われておりましたが、実際は国鉄の今日の経理事情の中にも、いろいろ私どもが問題が奪と思う点があります。従つて国鉄の経理内容が悪いから、組合側の要求に対して国鉄の当事者がいい答えを出すことができないという意味ではなくて、経理の立て方にもともと問題があるので、出そうにも出せないように仕組まれておるというところに、私は問題があると思うのであります。従つてこれはやはり国鉄経営に対する根本問題として議論が当然必要になつて参りますし、また大蔵省自身としてもそこに大きな問題点が出来ると思うのであります。 〔委員長退席、船越委員長代理着席〕 そういう意味で、この点については労働大臣としてもう少し真相を容赦なく究明される方がいいのではないか、必ずしもよくはないそうだというふうな見解でお考えになられますと、やはり労働組合の方がその経営内容の悪いのにかかわらず、無理を言つているというふうな解釈が生れて参りましようし、そういう解釈が生れて参りましたのでは、せつかくいろいろお骨折りを願うとしても、的がはずれて来るように考えられるのであります。私聞いております範囲では、大体損益勘定等を見ますと、工事費の経費の中へどんどん繰入れをしておる。繰入れを絶対にしてはいかぬとは申しません。場合によれば工事費に幾分の繰入れをすることもあり得ましようが、しかしこれはもともと根本的には、利益金をそこへどんどんつぎ込んで行くというような経理操作は問題があると私は思います。従つて国鉄の職員諸君の骨身を削りながら、そこへ繰り入れをどんどんやつておるということになつておると思うのです。そういうことでは従業員諸君はとうていたまつたものではありません。やはり経理は納得の行くような経理事情にしておいて、それでなおかつどうにもならぬというのであるならば、またそこにはおのずから別の議論も出て参りましようけれども、ただいまの国鉄の経理事情から申しますと、利益金をもともと振りかえて鍾らぬようなものへ、また振りかえることが無理であると考えられるものへどんどん振りかえておる。そういうことを内容として経理事情が悪いということになつておるのでありますから、これは必ずしも国鉄の経理内容は非常に悪いのだという概念で判断するわけには行きませんし、ことに人件費と物件費との振合いを考えましても、ずつと前は人件費が五十五、六パーセントぐらいの率を占めておつたと思うのです。ところが最近はまた逆転いたしまして、物件費が七〇拓前後に及んでおる。そういうような比率で人件費がまかなわれておるのでありますから、国鉄の職員諸君の非常に過激な働きにもかかわりませず、いろいろな誠実を傾けた努力にもかかわりませず、待遇的には報いられないという結果が出て来るように思います。先ほど熊本さんもおあげになつておりましたように、取扱いの貨物トン数などはどんどんふえております。これは決して減るどころではなく非常にふえておる。最近は現在の減員率をもつて考えますと、とうていその仕事をこなすごとさえ困難であるという無理なところに追い込まれておるのが、現実の国鉄の従業員諸君の実情であります。そうであつてみればこれでは何か方法がつくはずのものも方法がつかないような條件を織り込んで、しかも先ほど大臣も答弁せられたように、また実情もそうなつておりますように、年末の手当を含んで〇・五というような予算をちやんと組んで、そういうわくをはめ込んでしまうという措置にもおのずからなつて来ておるのであろうと考えるのであります。従つてそういう無理があるから、そこに労働組合の諸君がいろいろ騒ぎ立てる。何としても要求を貫き通さなければやめないという態度に出て来るのは、そこに主張する根拠がある。これは決して無理なことをむちやくちやに言つておるのではない。そこに言うべき根拠がある。理論的な根拠を持つておるからこそ、これでは承知ならぬということが表面上出て来ておるわけなのでありまして、従つてそういうかれこれの諸関係を御考慮願わぬことには、せつかくのお骨折りをしておいでになるといたしましても、意味が非常に薄くなるばかりか、的がはずれて来るのではないかというふうに考えるのでありまして、こういう諸点について一応御見解を承つておきたい。 なお第二は、先般政府の労政局長の名前で、労闘ストは違憲行為であるという通達を出しておいでになる。一体わざわざそういうものを出して、労働者側に正面から争いをいどむという態度、しかもその法的、理論的根拠については、ここでも幾たびか論議された二とでありますが、相当疑義があるわけです。相当疑義のある問題を一方的にとりきめて、そういう通達を出して、そうして経営者側に何らかの協力を政府自身がするということは、これはほんとうに対等な立場において労働問題を処理解決せしめるための方向とは違う。私どもはそのように思う。この二つの点につきまして、大臣の御見解を承つておきたい。
○吉武国務大臣 第一点の御質問は国鉄の予算上の問題でありますが、お説のごとく予算は自由自在に使えるようにはなつておりません。もちろん企業体でございまして、得ました利益を、利益があつたからといつて、給與に使うべきものではございませんで、一定の方針に基いて工事費に繰入れて行くことは、企業体として、国鉄ばかりではなく、どの企業体といえども当然であろうと思います。従つて一時のように工事費が残つたからといつて、その金があるではないか、それを給與に使つたらどうかというようなことでは企業体が成り立ちませんから、今日の国鉄の予算には一定のわくが設けられておるということはお話の通りであります。先ほど申しましたように、そのわく内においてもやはり努力のいかんによつては、いろいろ節約の余地があるのではないか。もし節約の余地があるならば、それか労働者の努力によるものであるならば、報奨の形において若干のプラスは考えられぬものでもないとわれわれは考え、また公社においても目下考慮されているところであります。 それから第二の先般の通牒の問題でございますが、これは中原さんがしばしば御質問になつておられまして、私は本委員会でもしばしば繰返して申した通りであります。とにかく憲法二十八條に保障するところのストライキ権は、使用者に対して団体交渉の結果解決しない場合の最後の手段として行われるものであり、それを憲法が保障しておる。使用者と関係のないところの政府の法律その他の施策に対して、これを使用すべきものでないことは明瞭であります。これはいずれの国においても同様でありますし、わが国の最高裁判所の判例の中にもその趣旨をうたつてあるところは、一、二にとどまらないのであります。これは私は決して組合の活動を抑制するために出したわけわけではございませんで、たまたま地方庁の方から再三その回答を迫られましたので、正しき解釈を與えることがいいことだと思いまして、通牒を出したわけであります。今日中原さんも御承知かもしれませんが、中原さんのような御見解を持たれて指導されておる組合員もあるわけであります。そうしますと知らずして善良なる労働者がその犠牲になる。そういうことは私は見るにしのびない。やはり正しいものは正しくこれを通牒して、誤りなからしめることが政府の責任である、私はかように存じまして通牒を出した次第であります。
○中原委員 まず最初に国鉄の問題ですが、工事費が余つたからこれを人件費に使う、そういうふしだらな金の使い方をすべきであるというふうに私は申しておりません。われわれもそういうふうに考えません。そうではなくて、その場合に工事費の中へ利益金を繰入れをしておる、その繰入れの仕方が非常に、何というか惜しみなくされておるわけであります。やはり一つの事業経営体というものは、その経営体が成り立つための従業員諸君全体の労働再生産のためを考えながら、つまり労働者自身をどのように待遇するかということがまず最初に問題になる。しかるべき待遇の後に余剰が出て参りまする場合に、それを惜しみなく出すという出し方ではなくて、これこそ計画的に適切に出すべきだ。ごとに工事費、特に永久性のある工事などというものは、その利益からどんどんそれをまかのうて行けたら、これはたいへんな事業だと私は思うのです。どのような事業だつて、それはとうていできつこはないのであつて、やはり借入金なりその他の方法を通しまして、永久性のある工事費はまかのうて行く。そしてその利益で適当に償還して行くという立て方がほんとうなのです。ところが去年、今年を見ましてもわかりますように、国鉄の借入金を去年よりは今年はずつと減らした。そのかわり逆に利益からの繰入金を七十億も八十億もふやしておる。そういうやり方なのです。そうなつてみれば、根限りしぼれるだけしぼつてておいて、労働賃金の支拂いを根限り引下げて、いわば低賃金政策を強行しておいて、そうして余剰をその中からつくり上げて行く、そうしてどんどん支出を計画して行くというようなやり方になつております。問題の根本は工事費が余つたとか余らぬとかいろ問題ではなくて、その立て方にあるわけであります。従つてそういろやり方はもう一度検討を要する事項として、これはあなたと私とでりくつを言つてみても意味がないのでありますから、従つて前述いたしましたように、労働大臣に話を持ち込んで行つてもしかたがないと思います。従つて私はその点はよく了承いたしておりますが、いずれにいたしましても、そういうような無理な採算経理事情の中で仕組まれた問題であるということを私は申し上げておる。だから無理に仕組まれた国鉄の経理事情、経営事情、こういうことになつておるのでありまして、これは何としてもそれだけの資金がない、いわゆる予算措廣がむずかしいというような、そういうきゆうくつなわくをはめて、予算措置をあえて紛糾の起るような状況の中にきめてかかつたところに問題があるのであります。従つて国鉄当局はこの際もつと腹をすえて、従業員諸君の、しかもやむにやまれざる最低限度の要求に対して、こたえるだけの熱意を示すあらゆる努力が携われなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。従つてそういう観点から大臣としてもごあつせんを進めらるべきである、こういうふうに思います。もちろんそのことについてここでとやかく申し上げても、これ以上らちはあきません。やはり関係当事者を呼び、あるいは大蔵省当事者を呼んで、こういう問題は十分に論議すべきことでありますし、また協議も懇談もすべきでありましよう。しかし政府あるいは国鉄自身がほんとうにそういうことに熱意を示して、国会の要請にこたえるようにすべきでありまして、国会の要請に対して非常に逃げを打ち、なるべくそごをのがれようというような態度のようにうかがわれることはまことに遺憾しごくでありまして、そういうことが結局いろいろ紛争を起し、困難な状態に追い込んで参りました。従つておもしろからざる情勢が出て来たといたしましても、そのおもしろからざる情勢というものは、一体いずれに責任があるか、その責任の所在についての問題が出て来ると思います。そういう場合に、一概に労働者側にすべての責任をおおいかぶせておいて、公社なり政府なりが、いろいろ有力な宣伝機関を利用して、国民の前にじやんじやん反対の事を流して行く、唐突とまつたく逆なことを流して行くというような措置がとられるということは、われわれとしてもまことに遺憾というよりも、むしろ憤りをさえ感ずるのであります。そういうことではだめだと思います。そういうことでなくて、やはり真に亡の問題の処理解決のためのあり方を正当に究明して行き、そうしてよき答えを出して行くということがない限りは、労働者としては、どうしても労働者に許される最大限度の方法をもつて行動をするよりほか道がないということになつて参るわけであります。 さらに第二点の通達の問題でありますが、これだつて全然無関係とは考えられません。やはりそこに一連の関連があるわけであります。そういうような通達を政府の一方的な見解でとりきめて行き、しかも責任ある通達を出すというがごときは、私は一層この問題を混乱せしめる一つの條件をつくつたというふうに考えます。なるほど大臣は、経営者側と政府というものをまつたく別のように説明されますが、たとえば今度の労闘スト違憲伝々の通達に対して、日経連はどういう声明を出したか、何とかいう常務理事が新聞ではありましたが談を発表しておる。その談話の発表によれば、まだ足りない、そんなことじやだめだということでありますが、とにかく政府の見解と一致しておるという点です。これはいつの場合にも私どもはなはだ疑わしく感ずる点なのであります。でありますから今日のような場合に、政府と経営者団体との見解がしばしば一致し、また経営者団体の圧力が政府をして行動せしめるというような場合場しばしばあるとすれば、これは労働者としては、政府と経営者というものを一体に兇ざるを得ないのです。それを一体に見るとするならば、ゼネスト的な態勢をとつて、たとえば法的措置に対して反対をする、権益を剥奪されようとするその瞬間に、その権益を取返すために闘いをいどむという態度になるということは、これは純粋な対政府との問題ではないのです。やはりそこに解釈上はどうあつても、政府と資本家との一体関係において、それに対抗する手段としてゼネストのよろな形に至らざるを得ないわけであります。ここに不回避的な方向があるわけでありまして、それさえもそうでないというのは、これはほんとうに厳然たる中立性を持つことができたときに初めてそういうことが言えると思います。こういう点については大臣の立場、大臣の責任上、何としても私の議論を承服するわけには参りますけいけれども、国民大衆はこれをきびしく批判するだろうと思います。国民の厳粛な批判の前に立てば、政府はやはりうしろめたいものを感ずるであろうと私は考えます。従つて労闘の違憲行為云々の通達に対しましても、おそらく今後ともに痛烈な批判を受けるでありましようし、それを通して政府の姿がだんだん描き出されて来るであろうと私は考えます。吉武労働大臣が常に言われますように、政府の中立性といいますか、超越性といいますか、そういうふうなものは遺憾ながら片方からこわれつつあると私は思わざるを得ません。従つて政府がどうしても中立性を説明しようとするならば、行動の上においてもそうでなければならないと私は思います。この通達のごときは、中立性を保ち得ないということをみずから裏書きしたものであるということを私は考えざるを得ない。この通達に関しましても、今後大臣は一層強い立場をもつて、強い方針をもつて労働組合に臨み、そして労働組合に上からきつい重圧を加えてねじ伏せて、経営者側の要求を守り抜こう、こういうふうに行動なさるのかどうか、私はこんな質問をしなければならないことをはなはだ遺憾に思いますが、このことをお尋ねしておきます。
○吉武国務大臣 政治ストの違法であるという見解につきましては、中原さんとはもう何回となく繰返しておりますから、これ以上私は申し上げるのはむだだと思います。とにかく私どもの見解と経営者側の見解とが同じであるかないかは別として、法律の解釈というものは一つであります。正しき解釈は二つあるはずはありません。もしかりに組合の方が正しい解釈をされれば、組合の解釈とわれわれの解釈は一致するかもしれません。正しい解釈を正しく大衆に知らしめるということは、やはり政治の上においては必要であります。中原さんはそういうようにお信じになつておられるかもしれませんけれども、すでに今日日本における最高裁判所の判決の中にも、政治ストは法律上の保護を受けないものであるということをはつきり言つております。これはどこの国だつて同様なのです。ですから中原さんがおれは見解が違うぞと言われればそれまででありますが、労働大衆諸君がそういう見解のもとに、もし間違つた行動をとられるとすれば、私は責任の地位にある者として決してほつておくべきものではない、やはり注意の上には注意を促すことが親切なやり方だと私は信じております。
○中原委員 大臣も指摘されたように、私もそう思います。議論はする必要はないのですが、しかし私どもの見解がきわめて一方的であつて、あるいは労働組合の見解が独断であつて、政府が一番公正な判断を下し得るものかのような、そういうお言葉がよく繰返されるのです。そうすると吉武労働大臣の判断は、いつの場合にも一番正鵠を得ておるというふうに、一体だれが立証するのか、問題があると思う。しかも憲法の規定に反するか反しないかについては、憲法の精神そのものに対してその行為が背反する場合にそういうことが言えるのであつて、憲法そのものの保障する精神に背反するものは一体いずれなのかということになつて、これは疑問があるわけです。ですから独断的に言い切られるのは、これはやはり一つのフアッシヨ的な、独裁的なものの考え方につながつておると思うのです。そういうことは、絶えず民主主義を口にされる大臣のお言葉としては、はなはだいかがわしく私は思うのであります。しかしもはや議論の余地はないと思います。ただ政治ストということをはつきりと言われました。しかしはたしてそれが政治ストなのかどうか。政治ストと経済ストとの限界について、あなたはそうあつさり簡単に結論を出されるのは、少々軽率ではないかと私は思う。今度のゼネストのことについても、あなたの言われる政治ストか、それとも経済的内容を要因としたところの、いわゆる政府の政治方針に対する闘争なのか、これは私は内容的には大いに問題がわかれて来ると思うのです。あまり独断的なことはおつしやらない方がいい。これは少し言い過ぎだと思うのです。
○船越委員長代理 中原君に申し上げますが、次の質問者の時間の関係もございますので、簡潔に願います。
○中原委員 この点につきましても、問題は今後に残りましようが、大臣のお立場からいたしましても、そういうふうにきつぱり割切れない問題であるはずにもかかわらず、割切つて言われるところに恐るべきあやまちがどんどん高じて行くのじやないかというふうに感じますので、そのことを一言つけ加えて質疑は終ります。
○船越委員長代理 森山欽司君。
○森山委員 労闘ストの第三波の第一陣が七日の目に行われたのですが、電源ストがあつたと思います。今までのストで、電源ストが大体どういう規模であつたか、伺いたいと思います。
○吉武国務大臣 電源ストの詳しい話はまだ報告を受けておりませんが、大体三千人でしたかと思います。三千八余りがこれに参加した程度であります。従いまして実際の影響につきましては、今手元には数字を持つておりません。
○森山委員 電源ストは初めてですね。
○吉武国務大臣 そうです。
○森山委員 労闘ストに電源ストが入つて来たということは、私は相当重要視すべき問題だと思います。そこで第三波の第二陣が十七日に行われるそうですが、これの労闘が掲げておる目標について御解説を願いたい。並びに第三波第二陣の規模の目下のところの予想について伺いたい。
○吉武国務大臣 十七日のスト計画の目標は、労働法に置いておるようであります。これは総評の内部において、破防法に主眼を履くかあるいは労働法の改正に主眼を置くかということで、相当議論になつたようでありまして、七日にストをやろうという人々は破防法に主眼を置き、十七日にストをやろうという人々は労働法に主眼を置こうということで、二つにわかれたように私は聞いております。従いまして十七日の目標は、労働法に書かれておるのではないかと思う。その規模につきましては、私どもは今のところ新聞に伝わつている程度しか聞いておりません。これはまだ日にちもございますし、その間にどういうふうな状況になるか、注意をしております。
○森山委員 労働法の修正に目標が置かれておるとすれば、どうですか大臣、この辺で緊急調整の旗をおろすつもりはございませんでしようか。
○吉武国務大臣 ございません。
○森山委員 先般労闘ストの前に、労闘ストに関する通牒を御発表になつたようであります。これについて日経連から、政府のやり方は経営者にばかり負担を負わせてまことにけしからぬというような趣旨の声明があつたと思いますが、これに対する御所見はいかがですか。
○吉武国務大臣 私どもは経営者に責任を持たせるつもりはございません。労働法は、憲法二十八條によつて保障された範囲においては、普通の場合には法律の違反になりもしくは身分その他の不利益を受けるにもかかわらず、労働者の権利の保障として保護されておるのであります。従いまして憲法二十八條に保障しない行為については、それらの保護を受けないというのが建前でありますから、われわれは当然のことを当然に申しておるわけであります。ですからそれは経営者にどうせいこうせいというわけではございません。法律に触れる事項は法律に触れるでありましよう。職場の規律に触れる問題は、経営者がどうするかの問題であります。経営者が処分しないものを政府がかつてに処分することはできません。経営者が損害賠償をするというのをさせないということもできません。ですから私どもは、法律上当然のことを当然に申し上げておるにすぎません。
○森山委員 それはわかつております。ただ日経連の専務理事か何かが新聞紙上発表した談話によれば、労闘ストの対策として政府が先般出した通牒は、経営者の方だけ負担を與えるものであつて、政府はもう少し一歩進んでひとつゼネ禁でも出すようにしなければならぬのだ、それを出すように自分たちは国民運動を展開するというそこまで言つたかどうか知りませんが、そういう程度のことを言つたと思います。あなたは労働者側からいじめられ、また経営者側からいろいろ文句を言われるので、あなたのお立場はまことにお気の毒ですが、そういうことを言われてどういうことをお感じになるか、それに対するあなたの御見解をちよつと伺いたい。
○吉武国務大臣 法律上許されない行為がしばしば繰返されるということであれば、おそらく輿論というものがこれを許さないようになるであろうという感じを受けます。でありますから私は、そういうことのないようにということを、労働大臣の立場において労働者諸君にしばしば注意をしでおるわけであります。できるだけ労働者の権利は拘束しないのがよいにきまつでおりますから、そういう事態に立ち至らたいようにというために、私は最善の努力を拂いつつあるのであります。
○森山委員 最近の労働組合の動向を見ておりますと、非常に政治的偏向の色が濃い。大体ゼネストというものは伝家の宝刀で、そうたやすく抜くべからざるものだが、最近の労働組合を見ておりますと、一週間に一回くらいずつ伝家の宝刀を抜いている。こういう行き方は私は支持できない。その点は大臣と見解を同じくする点があるのでありますが、しかしそうかといつて、最近の労働法の改正問題等を見ると、吉武さんも少し頑迷なところがある。ともかく十七日に労闘スト三波をやる。その際労働法の修正ということが目標のようであります。幸い私が名案を一つ出しておいたので、ぜひその線に沿つて大臣にこの際御再考をお願いしたい。なお一つ質問をして私の質問を終りますが、労働金庫法というものが参議院からまわつて参りました。これは衆議院が第一院なので衆議院に出すべきでありますが、参議院の方に行つたのはどういうわけかわからない。衆議党は自由党という絶対多数党がおるので、こういう進歩的法案は通らぬと見たのかどうかわかりませんが、自由党にあらざる私どもは、非常に不愉快な感じがする。第一院である衆議院が、第二院的な取扱いをされておる。労働金庫法のとりまとめを要望しておるグループの人たちに対して、私はそういう意味で憤怒を禁じ得ないのです。そこで労働金庫法というものについて、政府は一体どういうふうにお考えにたつておるか、簡単にお答えを願いたい。
○吉武国務大臣 第一の緊急調整の点でありますが、森山さんは、ゼネ禁すら出したらどうかと言われる御意向の方が、緊急調整を削られるということについては、どういう御意図のもとにおつしやるのか、私は了解に若しみますが、目下のところ、私は緊急調整を削除するつもりはございません。 なお労働金庫法の関係で熱りますが、これは議員立法でございまして、政府から提案しておるのではございません。労働者の金融のために、そういう金庫ができるという趣旨は、私は必ずしも悪くないと思います。しかし金融機関というものは、ただつくつたらうまく行くというものではございません。いわんや零細なる労働者の醵金になる金を預かるところでありますからよほど慎重にお考えをいただかないと、その運営上、万一労働者の醵金に影響があるというようなことになりましては、たいへんなことでありますから、その点につきましては十分慎重に御審議あるべきであると私は考えております。
○森山委員 どうも労働大臣けしからぬことをおつしやる。私は一体いつゼネ禁をやつていいと言いましたか。その速記録を取調べて——そういう何か証拠があつて、あなたはそういうことをおつしやるかどうか。ゼネ禁がいいという人間が、緊急調整をおろせとは少しおかしいじやないかというあなたの御返事は、どうもげせぬ。私はゼネ禁がいいと言つたことは一回もない。少くとも大臣ともあろう者が、そういうようなことを言われるのは、はなはだ不愉快ですが、ゼネ禁がいいということを、私が一体いついかなる席上で申し上げたかひとつ大臣の御答弁をお願いします。そういうことを言われるならば、三時半になつてもお帰りになつていただきたくない。
○吉武国務大臣 もしあなたがそういう御意向でなかつたとするならば、私の聞き間違いかもしれません。私の聞いておりました感じからいうと、どうもそういうふうな感じがしたのであります。その点誤りでございましたら取消します。
○船越委員長代理 本日はこの程度にて散会し、次会は明後十一日午後一時より開会いたします。 午後三時三十四分散会