労働委員会 第16号
- 発言数
- 227 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/05/21
会議録
○島田委員長 これより会議を開きます。 労働関係調整法等の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法案の三案を一括議題として審査を進めます。 なお質疑に入ります前に、本日参考人として国鉄労働組合中央執行委員野々山一三君、日本都市交通労働組合同盟中央執行委員長岡本丑太郎君、以上二名の方がお見えになつておりますので、まず両参考人上り三案に対する御意見を拝聴することといたします。 この際委員長上り参考人の方々に一言御あいさついたします。本日は御多忙中にもかかわらず、わざわざ当委員会に出席していただきまして、まことにありがとうございました。どうか腹蔵なき御意見の御開陳をお願いする次第であります。日本都市交通労働組合同盟中央執行委員長岡本丑太郎君。
○岡本参考人 私は日本都市交通労働組合連合会執行委員長岡本丑太郎であります。ただいまから参考人としての意見を述べさせていただきますが、当初本委員会で公述の機会が与えられていなかつたのでありますけれども、当委員のいろいろの御配慮によりまして、われわれ地方公営企業関係労働者の意見をこの機会に述べさせていただくようにおとりはからいを得ましたことを、深くお礼申し上げる次第であります。 今日までの公聴会におきまして、いろいろ意見が述べられたようでありますが、私は地方公営企業の立場に立つ者といたしまして、今度の公営企業労働関係法について、一応私の意見を述べてみたいと思うのであります。 この機会に都市交通の沿革ともいうべきものを申し上げてみたいと思うのです。われわれとしては、すでに大正年間の半ばころから、各都市に交通関係の労働組合を組織いたし、全国的には日本交通総連盟を結成いたしまして、労働者の待遇改善あるいはその他の問題に携わつて参つたのであります。しかしこの間にはやはり争議も繰返したのでありますが、終戦後われわれは労働組合を結成いたしまして、現在の日本交通労働組合、都市交通労働組合連合会を結成いたして参つたのでありますが、現在全国組織といたしましてはわずかに三万程度にすぎないのであります。地方公営企業関係とすれば、水道、交通、電気、ガスというようなものを全部含めれば、これよりはるかに多くなるかと思いますが、直接の場合にはそういう程度でございます。そして終戦後の労働組合運動がまだ軌道に乗らない当時からいたしまして、われわれとしては、終戦後の日本の労働組合のあり方といたしまして、きわめて堅実な組合運動を進めるということに終始いたして参つたわけであります。従いまして、いたずらに紡争を起すというようなことを極力避けて、しかも当時罷業権も與えられておりましたが、この罷業権の濫用というようなこともなく運動をして参つたのであります。特に二・一闘争当時におきましても、あの二・一ゼネストの闘いの最終的立場においても、経済的な問題をわれわれは団交において解決をすべきであるというような主張を、当時の態度としても持つておつたということであります。こういうようなぐあいにいたしまして、われわれの組合は今申し上げるようなきわめて民主的に、堅実な組合発展をはかつて来たということであります。しかるに昭和二十三年の七月二十二日に政府は政令二百一号をマ書簡に基いて出された。二十三年の七月三十日から政令二百一号の適用を受けて参つたのであります。これは明らかに憲法違反の内容を持つている悪法である。これに対してはわれわれは反対の態度をとつたのでありますが、しかし占領下であり、最高司令官の命令であるという解釈の上に立つて、やむを得ずこれに対してはわれわれは服して参つたのであります。この間われわれといたしましては団体交渉権、罷業権、調停、仲裁というような一切の権利が停止されて参つたということであります。ところが本年の四月十一日に法律第八十一号、勅令五百四十二号廃止に関する法律で、政令二百一号の百八十日の延長が行われたわけであります。これは講和発効後当然この政令が廃止されて、われわれは元の基本権というものが復活するものと考えておつたのでございますが、こういうような措置がとられて、再び政令二百一号適用と同じような、諾権利の停止を現在受けつつある。これに対しては、われわれの諸権利が明らかに憲法に保障されておつた。この憲法上の保障に対する違反の疑いがあつて、非常にこの点に対しては不満を持つておるわけであります。 今度の地方公務員法の附則二十項におきまして、われわれとしては特例の身分取扱いが認められた。しかしながらこれに対して附則二十一項によつて、将来地方公営企業法の組織、会計経理等を定める法律とともに、職員の身分取扱法を制定することが約された通り、法律で制定されたわけであります。今度の国会にこの法律とともに地方公営企業法を現在提出されているわけであります。地方公営企業法における身分の取扱いには、当時われわれは地方公務員という原則からはずされるというように期待いたしておつたのでございますが、原則的には地方公務員である。こういうような原則に基いて法律によつてきめられたのでありまして、従つてその取扱いについては、われわれが期待したその予期に反しまして、全体的のやはり奉仕者であるというような意味できわめて多くの封建的な規定が置かれている。これは公営企業法の中にあるのでありますが、この点については今日ここで触れることは避けたいと存じております。 地方公企労法の問題については、われわれとしては、憲法の二十八条により、まず勤労者であるという、こういう立場に規定されなければならない。それから労働組合法の第三条の労働者おる、こういう立場にわれわれは当然立つべきである。従つてこの労働組合法、労調法は当然直接適用をせられるべきである。こういうような考え方をわれわれとしては持つておるものであります。しかしながらいろいろの関係から、ある程度の特例を定めることについては、絶対的に反対するものではないが、その特例の性格は、やはり地方公務員法に対する特例でなくて、あくまでも労働組合法、それから労調法に対する特例でなければならないのではないか。本質的には勤労者であり労働者であるという立場からする特例として設けなければならないのではないか。こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。今度の法案によるならば、その思想には、あくまでもやはり奉仕者思想が強く、絶対的服従を強要した——これはあまり強い言葉であるかもしれませんが、そういう服従を強要したような、過去の封建的な官僚支配の考え方が、この法案の内容を貫いて強く現われておるということであります。それから労働関係法について、やはり政府の官僚支配の機会が多く、労組と当局との自主的解決をむしろ阻害するような内容が見られる。従つて企業の発展に寄与する労働組合の意義と価値を著しく軽視しているということが考えられるわけであります。労働法規の基本的原則である労使対等の原則を、これではむなしくしているのではないか。やはりあくまでも対等な立場に立つて、労使の関係の平和的解決をはかつて行くことが、民主的労働組合の堅実な発展の上にはぜひとも必要ではないかというふうに、われわれは考えているわけであります。そういうような総括的な各立場からこの法案を考えて、地方公営企業労働関係調整法の各逐条的なものについて、若干触れてみたいと思うのであります。 まず第五条の職員の団結権に関する問題でございます。これについてはわれわれとしては、第五条はむしろ全文を削除すべきであるという見解を持つておるわけであります。第五条の規定は、むしろ団結権の不当侵害である。労働基本権を大幅に制約した政令二百一号でさえ団結権は無きずで認めておる。第一項本文は職内約款の禁止であり、同項但書は労組法第二条の規定と重複し、無意味であるというふうに考えられる。第二項は労組法第五條の第一項のいわゆる資格審査で、使用者の利益を代表する者の範囲がおのずから定まることになつているので、この点で十分ではないか。第三項は団結の自由権の侵害である。いわゆる「職員でなければ、職員の労働組合の組合員又は役員となることができない。」こういうふうに規定いたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、むしろこの点は削除すべきではないか、こういうふうな制限を付した団結権というものはあり得ないというふうな考え方を、われわれは持つておるわけであります。 それから第七条の団体交渉の範囲に関する問題でございますが、団体交渉の範囲の制定は、労働者の基本権である団交権を制限しているので、この点は基本的にはまず賛成できない。ただ第一項の経営権は、使用者のいわゆる経営権に対する専属権であるという意味の理念上の表現規定してわれわれは了解する。しかしながらこのことは、地方公営企業の特異的なものではなく、一般産業の場合においても同様であつて、従つてあえて規定化の必要はない。以上のような観点からいたしまして、われわれとしては第一項の管理及び運営については第一項但書及び第三項の制定を要求するが、第二項は、第四号の「前各号に掲げるものの外、労働条件に関する事項」で、われわれの主張する団体交渉の追加事項はすべて包含されておるものと考えるが、労働関係の混乱を防ぐ意味において、明確に規定することがよろしいのではないかというふうにわれわれは考えておる。 それから第十一条の争議行為の禁止の問題でございます。争議行為に関しましては「同盟罷業、意業その他」云云といたしまして、一切の行為をすることができないと、以下ずつと禁止いたしておるのでございますが、この点は、当然罷業権は憲法第二十八条の規定によつてすべて労働者に保障せられた基本的権利である。この基本的権利は法律をもつて禁止することはできないのではないか。ただ憲法の第十二条及び第十三条にいう公共の福祉という理由のみが基本権を制約し得るただ一つのものではなかろうか。で、公営交通の立場から参りますと、その企業目的におきまして公共の福祉と利益追求に区分いたしまして、公営企業としての交通事業の労働者からは罷業権を剥奪して、私鉄の労働者には罷業権を与えておることは、きわめて皮相の見解に基くものである。両者のスト権行使による国民生活に及ぼす影響を考えた場合は、むしろ私鉄の十三万と公営交通のわずか四万を比較して、そのいずれが重大であるか、きわめて明白な問題である。この場合における憲法第十二条及び第十三条の公共の福祉は、事業の公益性すなわち国民生活に及ぼす影響でなくてはならない。この点東京の地下鉄には罷業権があるが、大阪の地下鉄には罷業権がない。広島の市電には罷業権があるが、呉の市電には罷業権がない。これはバスでも、東京都内を走るバスについて、私鉄のバスには罷業権があるが、都営のバスには罷業権がない。こういうような矛盾が生じておるわけであります。規模の上から、公益性の上から言いましても、またその点が今申し上げるようになつておる。これは明らかにわれわれとしては納得の行かないところであるというふうに考えて、十一条の争議行為の禁止の問題はこれを削除すべきではなかろうかというふうに、われわれとしてはこの点強く主張いたしておるわけであります。ことに十一条の争議行為の禁止が行われて、これにもし違反するということになりますならば、十二条におきまして、解雇するというふうになつておるわけですが、当然この規定も削除すべきであるとわれわれとしては考えております。 なお条例と規程、規則、協約との問題でございますけれども、この点については、せつかく労働組合が当局と平和的に団交を続けまして、一致点が見出されても、条例、規程、規則に抵触するものは、ただちに効力を生ずることができないという内容になつておるのでありますが、国鉄、専売等の公企関係法によりましても、団体協約の立場からこれを拘束するという規定はないわけでありまして、この点ではむしろ、本法案の第二条に「主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」と規定しておる精神から参りましても、団体協約また団交によつて結論されたものに、規程、規則までが優先するということでは、実際に団交、協約というものが意味をなさなくなつて来ると考えるので、この点をやはり修正すべきではないかとわれわれとしては考えておるわけであります。かくこまかい条項について、われわれとしてはこのほかにもいろいろ修正の意見の持つておるわけでありますので、これらの点については、なお本委員会に、私どもとしては後日修正の意見を提出したいというふうにも考えておるわけでありますが、まず今申し上げたような団結権に関する問題、罷業権の禁止に関する問題、それから協約と条例に関する問題、こういう問題については、せつかくこの法律案をこしらえて、基本的、平和的な労働関係を確立して、公共の福祉と事業の発展に寄与するという立場から考えて行くならば、今申し上げたようなことになるのじやないかと考えておるわけであります。大体以上のようなわれわれ公共企業の立場からする主張を述べて私の陳述を終りたいと思います。
○島田委員長 国鉄労働組合中央執行委員野々山一三君。
○野々山参考人 私は国鉄労働組合並びに全専売労働組合を代表いたしまして、ただいま国会に提案されておる労働関係調整漁等の一部改正に関して参考意見を述べ、各位の参考にしていただきたいと存ずるのであります。 今回提案されております労働関係法全般に対しての意見については、すでに、一昨日、昨日ともに労働者側の委員が公述いたしておりますので、一般的な問題についてはなるべく省略させていただいて、私どもが、公労法が制定されて以来二年有余、実際に仕事をやつて参つたものといたしまして、労働問題を解決するためにつくられておる法律は一体どうあつたらよいのか、こういう観点から申し上げたいと思うのであります。一般的に申し上げまして、いろいろの言葉は使われておりますが、今回の法律自体を、私どもすなおに労働者の一人として受取つてみる場合、最もさわるべきところにさわつていないし、さわつたところが実はさわるべきところでなかつたというところにあるようであります。特に緊急調整の問題を中心といたしまして、さらに調停請求却下の権限等は、実質的に労働者の基本的な権利を国家公共の福祉に反するという名のもとに制限しようとするのであります。一体労働問題を取扱つてみる場合に、法律で何もかも縛りつけて行くことが、実際問題として友好的に労働問題の解決なり、それを通じての産業の再建なり、復興なりというものを貫徹することができるだろうかといいますと、私は労働問題は、そう簡単に法律だけで縛つて問題が解決するものでない、こういう基本的な立場を持つておるのであります。また実際問題として見ましても、何もかも几帳面に行くということでなくて、その基本はやはり労資の自主的な責任というものにゆだねることによつて問題が解決すると思うのであります。そういう意味からいたしまして、労働組合法並びに労調法の一般的な改正は、私ども今回長い間労働関係法審議会におきましても主張いたして参りましたが、今回出ております政府案はきわめて遺憾でありますが、審議会等の意見も十分に盛られておりませんし、さらにほんとうの意味で一体労働問題を友好的に解決して行こうという思想があるのだろうかと疑わざるを得ない点を遺憾に思うのであります。 さて公共企業体労働関係法に眼を移してみますと、卒直に申し上げてこれまたきわめて遺憾な話でありますが、公労法ができましてから三年間、年末行事の一つといたしまして、国会の両院の大問題にされました仲裁裁定はどうあるべきであろうかということについて議論された問題については、何ら触れるところなく、末梢的な問題にだけしか触れておらぬ。今日まで三年間裁定問題をめぐつて国鉄、専売等の労働組合ないしは経営者側を含めましていろいろ失敗もし苦労をいたしました問題を解決していないのでありましてきわめて遺憾に思うのであります。 さて具体的に私は今回提出されております法案について、実際問題を扱つております者の立場から論及し、先生方の批判の材料に供したいと思うのであります。逐条的に特に問題になる点を指摘いたしまして批判をし、さらに私どものこうありたいと考えますことについて述べたいと思うのであります。 第一は、団結権に関する問題であります。従前の法律によりますと、公共企業体の職員でございますれば、組合に加入することができない。さらに役員になることができない。また組合員になる者の資格要件については、労働組合法の二条の適用を受けておりますにもかかわらず、さらに法律四条に基きまして機密の事務を取扱う者ないしは管理、監督の業務に従事する者ということで、さらに条件を付加し、さらにこれを政令でもつてきめるということになつておるのでありますが、それから公共企業体の役員及び二箇月未満の雇用契約を持つ者については組合に入ることはできないとあります。役員については問題はないのでありますが、二箇月未満の雇用契約の者については以下申し上げるような理由でたいへん問題があるのであります。一体公共企業体の職員なるがゆえに、あるいは国が全額出資をいたしている企業体の職員なるがゆえに、団結権について労働組合法の二条の適用をさせておきながら、さらに公共企業体労働関係法でそれを規定しようといたしていることは、一体どういう理由なのか、私どもにはよくわからないのであります。根本的に国家公共の福祉という言葉はあまり当らないのではないかと思うのであります。従つてこのあたりでは国が全額出資しておる企業体の組合であろうとも、先ほども岡本参考人が申し上げましたように、憲法がいつております労働者でもあり、当然労働組合法の適用を受けておる労働者でもあると思います。従つてここで新たに別な労働者というものができて来るはずはないと思うのでありまして、当然この点は労働組合法の適用を受けてしかるべきものだ、こういうふうに思うのであります。 さらに職制の問題にいたしましても、今回の改正法によりますと、不当労働行為制度との関係と並行いたしまして、今回の労働組合法の七条の各号の規定を適用いたしまして、従前の公労法第五条不平等取扱いの規定を廃止いたしました。この点については一歩前進しているかの感があるのでありますが、七条一号の但書の職制に関しては、これを排除をいたしておるのであります。私どもは公共企業体の労働組合といえども、りくつ拔きに何もかもオープン・シヨツプではいけないのだ、クローズト・シヨツプ・ユニオン・シヨツプでなければいけないのだ、こういつておるのではないのであります。現行労働組合法の七条一号にありましては、同一の事業場内において過半数の労働者諸君が賛成した場合に限つてユニオン・シヨツプを採用してもよい、こう言つておるのであります。公共企業体の職員といえども、やはりそういつたくらいのことは認められてしかるべきだ、これを制限する理由はないと私どもは思うのでありまして、きわめて遺憾に思う点であります。 さらに先ほどちよつと触れましたが、不当労働行為制度であります。憲法二十八条に規定しておる団結権を保障するにあたつて不当労働行為が団結権を侵害するものを守る規定であります。一体公共企業体に団結権を認めておるのにかかわらず、不当労働行為制度の一部を適用して、今回法律の中できわめて遺憾に思うのは、不当労働行為が事実あつて、それを摘発され、仲裁委員会の決定に基いてそれが違反であると判断をされ、命令なり指示がなされた場合に、これを履行しなかつたものについて救済の方途が講じられていないのであります。これは一方で不当労働行為制度を適用しておるのだ、こういうふうに言つておるのでありまするが、実際には経営者側が不当労働行為を取消しなさいと命ぜられても、命令は受けましたが、取消さないと言つたら、それでおしまいで、完全に団結権というものが保障されるのか、一体不当労働行為制度の本旨が保障されておるのかということになるのであります。ぜひともこの点については労働組合法の二十七条及び二十八条、三十二条の適用がされるようにしていただきたいと思うのであります。そういたしませんと、やはり公共企業体なりあるいは今度新しく法律に参加をいたして参ります電通、郵政等、あるいはその他の現業部門の長に対して本当労働行為の取消しがなされても実際問題としてかりに首を切られた場合に、それが不当労働行為であつたということになつても、救済がされなければ何の効用もないの港あります。これは何か法律案をつくられたときの誤りではないかと思うのであります。 さらに組合の資格要件と審査に関する問題であります。今回の改正によりまして、今まで労働組合法の五條ないしは二条の適用を受けておりました規定の中で、さらに公共企業体の労働関係法でよく似たことを七めんどうくさく条件をつけて、これこれの条件が満たされなければこの法律に規定する権利を得ることはできないという中に、外部の会計監査人の云々ということが同じような規定でさらに重複して併課されておつたのであります。これが今回の改正によつて改められたことについては私どもは多少進歩したと思うのでありますがしかし資格審査については、従前通り附則の三項さらには三十八条をもちまして、労働大臣の行政権限なりあるいは労働省の行政範疇にその審査行為あるいは認定行為をゆだねておるのであります。これぐらいの仕事については実は直接お役人にやつていただくほどの問題でもないし、もつと労働関係というものを民主化して行こうというならば、三者構成である労働委員会なりあるいはほかの判定機関において審査をさせることが必要ではないか。さらに労働組合法の五条にきめております事柄等については、最近の事情からいたしますならば、かくまで法律が指導をして行かなければならぬ事態にはないと思う。さらに結社、団結の自由というものを認めておる建前からいたしまするならば、その筋は貫いていただきたいと思うのであります。従つてそういう意味から、五条の改正と審査関係の義務についてはもつと民主的な方法で、直接お役人が仕事をするというような形から改めていただきたいと思うのであります。 第三は、組合事務専従者に関する公労法七条の規定であります。この規定は、公共企業体が一定の数を限つて組合事務に専従する者を許可することができる。但しその場合給与等は支払つてはならぬ、こういう規定であります。私どもは、組合事務専従者に給料を払つてくれということは言つていないのであります。でありますから、私どもは全額組合員から醵出をいたしました組合費でもつて組合事務専従者の給与その他全般についてまかなうことに了解をし、実際問題としてそうやつておるのであります。しかるにもかかわらず、組合専従者はこれこれであるといつて企業体がかつてに人数をきめてしまうのは、少し労働組合に関する干渉ということになるのではないか。さらに実際問題を見てみますと、具体例で恐縮でありますが、昨年まで私どもの組合では六百七十名ほどの専従者がおつたのであります。ところが今年度になりまして、実際問題としてある程度まで協議をいたして参りましたが、いよいよ話がまとまらぬということで法律七条を発動いたしまして、一方的に約百名程度の減員を強行されたのであります。一体今日の段階において、労働組合を民主的に正常に育成しようとする御意図がおありであるならば、そういつた法律をお入れになつておくことは正常ではないと思うのであります。一般の労働組合の場合でもこういう規定はないのでありまして、ぜひともこれについては、私どもがかつてにきめるものをもつてきめてくれという言い方をしているのではなくて、労使の協議によつて専従者の数、条件というものをきめるのだという労使対等の条件をこの際にも主張をしておきたいと思うのであります。 第四は、団体交渉に関する規定であります。一つは団体交渉の範囲であります。第二には交渉単位制の問題、第三には交渉委員に関する問題であります。団体交渉の範囲に関する八条の規定では、今日まで実際問題として起りましたことについてこの際ごひろう申し上げ、御参考に供したいと思うのでありますが、第一項は、公共企業体の管理、運営に関しては一切団体交渉をやつてはいかぬということであります。第二項は、次に掲げる事項については団体交渉の対象にし、これについての労働協約を締結することを妨げないというわけで、八項目の規定があるのであります。実際問題として労使間で今まできわめて深刻な論争をいたした問題は、ある事案について、一体これが法律第八条一項に言つております管理、運営なのか、団体交渉の対象である労働条件なのかということで一つの争いが起き、問題が解決しないで余分な紛争が起つておるのであります。従つてここに一つ問題がある。第二には、八条二項に並べてあります事項は、一体制限列挙なのか、例示列挙なのかという問題のために、労使間できわめて深刻な争いが起ります。第三には、この中に安全という字句がありますが、一体労働基準法から見まして、安全と衛生とは切り離せるものだろうか。おそらく切り離せないものであり、労働基準法においても労働衛生と安全とは不離一体の扱いをしております。それにもかかわらず、公労法の場合には、安全だけだというようなことで、一体衛生に関する問題は労働条件ではないのかというような問題、あるいはそれでは一体衛生という問題は団体交渉の対象にならぬのかといつたような問題で、これまたよく議論が起るところであります。さらには福利厚生等については当然団体交渉の対象であるべきはずであると私どもは思うのでありますが、法律に書いてないので団体交渉の対象にするわけには行かぬということで、実は法律は、交渉委員というもので団体交渉を円滑に行つて労使間の紛争を解決するという目的で、団体交渉も認めておるのでありますが、その認めた法律が実は余分な争いを起すようになつておるのであります。従いまして、こういう規定につきまして、従前私どもが労働組合法の適用を受けておる当時から、たとえば人事権に関与しては組合がどういう立場になるのか、一体経営権にそれぞれの組合がタツチしたらどうなるかということについては、私ども十分承知いたしております。さらに当然慣行ができつつあります。でありますから、願わくば団体交渉の範囲対象を規定することによつて、余分な労使間の争いが起ることのないようにしていただきたい。でありますから、八条二項は削除を願いたいと思います。けれどもいろいろ議論もありましようから、むやみやたらに削除するということではなくて、この方式は制限列挙だという解釈をとらずに、例示列挙だという解釈をとつていただきたいのであります。さらに今回の法律改正によりまして、従前就業規則が団体交渉の対象になつておつたものが削除されておるのであります。そのために実に労働省の事務官は、今回の改正によつて多少範囲が広まつたのだ、こういう説明を私どもにはいたしておりますが、実際問題としては就業規則が団体交渉の対象事項から削除されたことによつて、労使間では範囲が狭まるといつたような現象が起るのであります、この点は従前認めておつた項目でありますから、もしこの規定を入れるならば例示の方式をとり、さらに具体的に労使間の争いの起らないように十分な配慮をされ、就業規則等についても団体交渉の対象である旨を明らかにしていただきたいと思うのであります。 第二の交渉単位制の問題であります。具体的な問題を提供して恐縮でありますが、今日私ども国鉄労働組合と機関車労働組合というものができて、交渉単位の問題でいろいろ論議をいたしております。一体交渉単位制というものは何のために取入れられたのだろうかということでありますが、一言にいつて、当時の法制定の経緯から申しまして、単位というものをきめ、交渉委員という特定の排他的代表者をきめることによつて、共産党を組合の支配から排除しよう、こういう意図があつたように思うのでありますが、今日の現状、組合の内部ではそういつたことはないと思います。こういうものをきめなくてもよいと思います。さらに立法者は、交渉単位制というものをつくれば、労働組合の内部の統一なり、あるいは運営なりというものが簡単になり、しかも組合の民主化を促進するよいものだから、ぜひこの際取入れるべきだという主張を終始なされておつたのでありますが、実際問題といたしましては、日本の労働組合の場合は諸外国の場合と違いまして、ほとんど産業別なり企業別に労働組合を組織いたしております。そういう中に単位制というものを持つて参りますれば実は効用が逆に、害だけを表面に出すようになるのであります。そのためにまた労働省等においても余分に予算を組まなければならないし余分な法律も政令もつくらなければならぬというようなことが今までもなされておる。さらに毎年毎年行事のようになつて来ておることはきわめて遺憾であります。もつと労働組合法の筋に合せておいたら、何もこんなことのためにむだな経費を使い、労働法律をつくらなくてもいい。こういうことでやつて行けるのでありますから、この際ぜひ廃止をされることを要望いたしたいと思うのであります。大臣も傍聴席におられるようでありますが、私ども公労法の改正について大臣に要請をいたしましたときに、大臣からもなるほど交渉単位制はよくないことだ、おれも直すことに賛成しようというお言葉をいただいたのでありますが、法律案は直つておらないのでありまして、まことに残念に思います。どうぞ御協力を願いたいと思います。 第三には、交渉委員制度の問題でありますが、これまた一般労働組合法の適用を受けてない組合といえども当然法人権を持ち、あるいは所要の手続をもつて資格を取得いたしておるのであります。でありますから団体交渉に関してのみ交渉委員という特定の制限を附加しなくても、当然労使対等の條件を保障される立場に立つておる労働組合法でありますならば、交渉委員制度は当然排除されていいものだ、取除かれていいものだと思うのでありまして、交渉単位制を含めてこの点も修正願いたいと思うのであります。 第四は、調整機関と判定機関の問題であります。今回の法律改正によりますと、従前の専売、国鉄の調停委員会を一つにいたしまして、公共企業体等調停委員会と公共企業体等仲裁委員会ということで、やはり従前の考え方をそのまま取入れられて、多くの現業関係の企業が公労法の適用を受けることになりましたから、一つの調停委員会、仲裁委員会にすることになつておるようでありますが、実際問題を私どもが扱つて参りますと、ぜひこの点は御注意願いたいと思うのでありますが、調整機関が、仲裁委員会なるがゆえに、調停委員会なるがゆえにということで、実は労使関係の紛争の中に入つて円満解決をする努力を果されるはずの調停委員会と仲裁委員会が、上だ下だといつて機関争いをして、お前の方から仲裁請求が来ていないからおれの方は仲裁を開始しないとか、あるいは調停委員会が調停打切り宣言をしないから仲裁を開始しないということで、労働紛争がいたずらに長びくのであります。でありますから仲裁と調停は別々にさるべきでなくて、もつと機動的に迅速に労働争議を解決するという建前を立てるならば、これを一元化することが必要だと思うのであります。そうしますならば労使間の紛争ではなくて、仲裁委員会と、調停委員会との争いで今まで遅れて、そのために紛争が長びくというようなことが排除せられるのでありますから、ぜひこの点は改めていただきたい。同時に公共企業体等調停委員会なり仲裁委員会ということで、一般の労働調整委員会と切り離して処置されておるのでありますが、この点につきましては、私は労働争議の解決に当られる労働委員会なりあるいは調停委員会なりが、それぞれの企業の実態なり、労使関係に精通をされるという意味で、単能化されることについては賛成であります。しかしながらそのことのゆえをもつて調整機関を多くつくることはどうしても、実際問題にあたつて労働争議の円満解決にはさほど役立たない結果になります。さらには調停委員会と労働委員会といつたようなことでいろいろな争いが事務上の問題で起つておるようでありまして、できるだけこういうものは一元化して行くことが必要だ、従つて調停委員会、仲裁委員会というものを労働委員会の管轄下に全部含めていただくように願いたいと思うのであります。労働委員会の構成人員等を多少考えていただきますならば十分業務は遂行できる状態にあると思うのでありまして、法律でその点をぜひ改めていただきたいと思うのであります。 さらにもう一つ、二つつけ加えたいのでありますが、一つは最初に申し上げましたように、現行公労法の十六条第一項、二項と三十五条との関係であります。前段申し上げましたように、毎年の年末国会で専売、国鉄の仲裁裁定の問題でいろいろお話合いを願つておることも、実は公労法を制定された当時の立法者の意思は、ああいつたようなことが起るとは毛頭考えていないし、同時にマ書簡によつて争議権は認めないが、これにかわる仲裁制度によつて公共企業体等の職員の生存権と基本的人権を保障する建前に立つのだ、こういう強い要請に基いて仲裁制度というものができたのであります。ところが実際問題になつて参りますと、賀来労政局長でさえも——法律をつくつた当時の解釈が政治的な場面になりますと通用しないことになつてしまうことは遺憾であります。こういうようなことだけでなくて、そのことのゆえをもつて、実際問題として公共企業体等の職員の給与問題は、今日なお昭和二十四年に起りました事件が解決しておらない。おそらく今月か来月中には最高裁の判決が出るといわれておりますが、裁判までかけてこの問題を争わなければならないといつたようなことは、およそ労働問題の解決ということには縁の遠い話でありまして、本筋を離れた問題であると思うのであります。そういう意味からいたしましても、ぜひとも仲裁裁定の効力並びにこれに対する取扱い方について改めていただきたいと思うのであります。 ここに私どもの改正しようと考えております条文を朗読いたしまして御賛同を得たいと思うのであります。第三十五条の一項として、「労働委員会のなした裁定は関係当事者及び政府をも拘束する。」第二項として、「裁定は労働協約と同一の効力を有する。但し左に掲げる場合については、その手続きを経なければならない。(一)公共企業体の予算上又は資金上直ちに支出不可能な内容をもつ裁定又は協約については、国会に場おいて所定の措置がなされるまでその履行が猶予される。(二)前項の協約又は裁定がなされたときは、政府はその締結後十日以内にこれに必要な予算を付して国会に付議してその承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。」こういうふうに改めていただきたいと思うのであります。すなわち仲裁裁定というものが両当事者を拘束する、一般的建前については労働組合法の場合といえども同一であります。さらに労働協約と同一の効力を持つということは一般的に異論のないところであるにもかかわらず、公共企業体労働関係法の十六条の運用については、仲裁裁定が調停案のごとく扱われていることは、それによつて一方に犠牲を負わせ、本質をゆがめておるものといわなければならないのであります。従つてぜひとも先ほど申し上げましたように、改めていただくことを御賛同願いたいと思うのであります。 最後に争議権についてであります。公労法が制定されましたときは、何といつても占領政策遂行ということのためにマ書簡が発せられ、これに基いて政令二百一号が発令され、そして公共企業体労働関係法なり、また国家公務員法ができましたのは周知の事実でございますが、一体日本の憲法は、労働者について法律でもつて一切を制限することが許されて曲るかというと、私はおそらくそうでないと思うのであります。従つてそういう建前からするならば、先ほども岡本参考人が言われましたように、憲法第十二条第十三条の公共の福祉の建前から論及され制限がされておつたことになる以外にないと思います。従つてその事業の性質からいたしまして、労調法第八条にきめておるように、専売、国鉄が公益事業の中に含まれることはやむを得ないと私どもは思います。さらにこれに独占企業だという理由がつくといたしますならば、若干の制限が附加されることはやむを得ないといたしましても、根本的に争議権を否認することは絶対に私は許されないと思うのであります。従つて争議権は認めるという立場に立ち、若干の制限について、私ども労働組合は一切合財あつてはいけないということを強調しているのではないのでありまして、私の真意を十分了解願いたいと思います。一つは公益事業の指定、さらにはそれに伴つて冷却期間なり予告制度なり、事情によつては職権仲裁もやむを得ないと考えます。でありますからぜひともこの際本来の趣旨に立ちかえられまして、争議権を認められるよう処置されることを切に要望いたしたいと思うのであります。 以上公労法の今回の改正案について批判し、私どもの考えておりましたことについて述べたのでありますが、特にこの際私は専売、国鉄を代表いたしまして皆様方に要請いたしたいのであります。労働関係法によりましてある程度緩和をされたといたしましても、審議会等におきましても問題になりましたが、一体専売公社と労働組合、国鉄公社と労働組合との関係において、完全な意味で当事者能力を持つているのか、当事者能力を持たない者同士で——公社側に能力を持たせないでおいて、問題の円満なる解決を期待するのが正常な関係であろうかというと、これは少し無理があると思うのであります。で私は労使対等の条件に立たせることを主張しているのでありまして、その意味でこのことが労働問題の円満解決、早期解決のかぎであると考えます。従つてそういう意味では日本国有鉄道法なり専売公社法によりまして、給与準則というものをきめさせ、さらに予算総額の範囲内において給与準則をきめ、これを一歩も出てはならないというようなものもあるし、あるいは予算総則におきまして、給与の総額についてはこれよりは一銭も出てはならないとか、予算の流用をこの項に関してはすることはできないとか、そういうような措置をされますと、労働関係法におきましてかりに先ほど申しましたような法律ができたといたしましても、ほんとうの意味での企業者側における能力というものが欠けておるのであります。でありますからこれでは問題の解決にはなりません。現行法にいたしましても同じことが言えるのであります。本委員会が労働法の改正の問題を論議されるにあたりまして、これらの問題を根本的にぜひ御研究をなさることが、ほんとうの意味での労働法の改正になると思うのであります。その点をつけ加えまして公共企業体側の労働者を代表いたしまして参考意見を述べた次第であります。以上で終ります。
○島田委員長 これにて各参考人の御意見の公述は終了いたしましたので、参考人に対する質疑を許します。船越弘君。
○船越委員 岡本さんにちよつと伺います。このたびの地方公営企業労働関係法によりまして、占領治下許されていなかつた団体交渉権が与えられるようになりました。ところがあなたのお話によりますと、逐条いろいろ不満な点をるるお述べになりまして、結局この法案には反対である、結論は、争議権を得なければ何にもならない、こういうふうな御所論のように聞いたのであります。そこで団体交渉権を認められるような本法案が出ても、たとい権利の復活があつても、憲法で許されたすなわち二十八条の労働基本権が許されざる限り反対である、こういうふうなお考えでございましようか、あるいはまたそこまでは行かなくても、今まで認められなかつた団体交渉権でございますから、この法案には多少賛成する部面がある、こういうふうなお考えであるか、その点をはつきり伺いたいと思います。
○岡本参考人 私はこの法案について、全面的に反対だという考え方ではございません。従つてこの法案の中においても、われわれとしては非常によいと思うところもある。しかしながら基本的にその中心となるべき十一条の問題とか、第五条の団結権の制限といつたような問題が当然排除されてほしいという考え方だということを申し上げたのであります。
○船越委員 そうしますと、つまり占領治下におけるところの制限よりは緩和されておるから、その面においてはよろしいというふうなお考えでありましようか。
○岡本参考人 政令二百一号の中では、団結権については何ら制限を加えていない。むしろその点については、この法案の方が団結権に一つの制限を加えている。そういうような事情がある。従つて私どもは、当然そこにあの政令二百一号と比較していずれがよいかというふうな一つの考えが出て来るのでありますけれども、むしろ二百一号の内容から見て、これが著しくそれよりよいというふうには、必ずしもわれわれとしては考えない。その点は、今言つたようないろいろな制限、それから処罰の内容などを見て来ると、かわりのないものになつてしまうというふうに考えます。
○船越委員 そうしますと、政令二百一号と大差ないというふうなお考えでございますか。
○岡本参考人 そうです。
○船越委員 それから次に、先ほど例を申されました広島市あるいは呉市の市電が、片一方は私企業であるがゆえに争議権を認められ、片一方は私企業でないから争議権は認められない。結局地方公務員であるというわくがあるために、つまり身分があるためにそういう争議権が認められない。だからそういう面から見て、あなた方は公務員のわくをはずしてもらいたい、そうして争議権を与えていただきたい、こういうふうな御要求でありましようか、いかがでございましようか。
○岡本参考人 これは地方公務員法ができる際に、私どもは議会にしばしば請願をいたしました。各都市電の交通労働者は、地方公務員から原則的にはずしていただきたいということを、議会にもしばしば請願したわけであります。御承知のように私どもは、電車のハンドルを持ち、ハンマーを持ち、つるはしを持つてやる肉体的労働が、ほとんど全企業を通じて八〇%以上にわたつておるわけであります。そういうような観点から、当然そうあらなければならないと考えて要請したのてありますが、遺憾ながらこの点は、附則第二項において特例を認められたということと、今回国会に上程されておりますところの公営企業法の中においては、これを原則的に公務員からはずさないという一つの法文の制約を受けている。その立法の立場から、今度の公営企業労働関係法がつくられているというような観点からいたしまして、その制約を受けて来ているということで、本質的には私どもはその原則をはずしてもらいたいということと、それからこれとは不可分一体の関係にあるということであります。
○船越委員 私は事実はどうかよく知りませんが、現業職員でございましても、やはり恩給というものはあるのでございましようか。
○岡本参考人 ございません。
○船越委員 それからいま一点だけお尋ねしたいのですが、この法案によると、私の聞き間違いかもしれませんが、条例あるいは規則が仲裁裁定よりも優先するようになつている、こういうふうな参考意見を申し述べられたと思いますが、そうでございますか。
○岡本参考人 私の申し上げたことは、団体交渉等において、交渉によつて妥結した点ないしは協約締結にあたつて条例、規程、規則というものがこれに抵触する場合においては、規程、規則というものがやはり優先するという原則を立てておる、こういうことを申し上げておるのであります。
○船越委員 私がこの条文を読んだところでは、条例は優先するが、規則は優先しないように見受けるのであります。と言いますのはも第九条によりますと、「地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関は、その定める規則その他の規程にてい触する内容を有する協定が締結されたときは、すみやかに、その協定が規則その他の規程にてい触しなくなるために必要な規則その他の規程の改正又は廃止のための措置をとらなければならない。」当然にそういう措置を地方公共団体の長はとるべきであるというふうに指示しております。そうすると、私は裁定は規則に優先するものだというふうに解釈しておりますが、いかがでございましようか。
○岡本参考人 ただいまの点は裁定に関する問題だと思うのですが、規程、規則の場合にその措置をとらなければならないということについては、当然協定の履行に必要な手続をこれはむしろ二重化すというような問題ではないかと思う。当然市長なりあるいは管理者と組合が団交をして、そうしてきめたということを規程、規則にまでこの手続を経なければ効力を発生しないということは、これは二重化を来すものである、こういうふうに考えておるし、それから場合によつては協定されたものの履行を延引する一つの口実にも利用されるおそれがあるのではないか、われわれとしてはこういうような一つの危惧を持つ、従つてこの点については、むしろこれを一元化して行くことが当然考えられるのではないか。このことを申し上げます。
○船越委員 だから九条には「すみやかに」と書いてある。そしてこれは当然改訂すべきであるという条文ですから、私は規則より優先すると思います。それよりもやはり優先しないということになりますか。
○島田委員長 答えられますか。——お答えがないようでありますから御了承を願います。森山君。
○森山委員 野々山君に伺いますが、不当労働行為をやつたときに、これに対して命令または指示ができる、しかしそれ以上の救済措置がないじやないかというお話であります。そしてあなたはそれに対して、労働組合法二十七条以下を適用すればよろしいということですが、公共企業体労働関係法を見ると、使用者側も労働者側も罰則というものは全然ないのです。ですからあなたが使用者側に罰則をつけることを御希望になるならば、労働者側に罰則をつけてもさしつかえないのではないかとあなたは思いますか。
○野々山参考人 不当労働行為制度の本質に触れてみたいと思います。不当労働行為制度というものは、諸外国の場合を見ますと、法律に基いて、労働法をきめ、労働組合の関係を重点として取扱いをしておるのであります。そういう意味で不当労働行為については両者に不当労働行為の義務を課しておるわけであります。ところが日本の場合においては、憲法二十八条に基く基本的権利として団結権を保障しておる。従つてその団結権を侵害した行為についてはこれを処罰する、こういう建前に立つておるのであります。そこで不当労働行為制度に関して処罰なり救済手続なりというものについて、私どもが主張をするとするなのは、その他の部面についてはどうなのか、こういう御意見のようでありますが、私は不当労働行為制度に関してのみこの問題は論及さるべきだと思う。従つて現行法によりますと十七条の怠業、罷業等を行うためにあおつたりそそのかしたりした行為については、十八条によつて懲戒あるいに解雇することができる、こういう規定を入れておること、さらには労働法の民事上の免責規定といつたことについて、公労法ではそれを免責していない。そういう意味で、十七條違反をした行為については民事上の免責をいたしておりませんから、民事上の訴追を受けるような仕組みになつておるのであります。一般組合法の適用を受けておりますものについては、民事上の免責を受けておりますが、公労法関係では免責を受けてないという、その関係においての理論でありますれば、先生のおつしやつておる議論は通用するかと思うのでありますが、不当労働行為に関しては、単に問題を求めて労働者側に義務を負わすべきものではないと考えるのであります。
○森山委員 公労法は罰則は全然設けてない。ですからあなたは、使用者側で不当労働行為をやることがあれば、労働組合法二十七條以下を適用して、それに対して罰則を適用しろというお話ですが、たとえば労働者側で公労法十七條の争議行為禁止に違反するようなことをやつた場合においては、少くとも労調法三十七條の抜打ち争議禁止違反の場合に処罰されると同じようなことをやつてもさしつかえない。一体公労法上、労働法上の問題におきまして、刑罰をもつて処置するというようなやり方でやつて行くのは、労働法の精神として正しいかどうか。あなたは使用者側を責めるの余り、労働法に対する基本的考え方が少し違うのじやないですか、いかがです。
○野々山参考人 私は労働問題に関する限り、刑罰でもつてとやかくいう科罰主義はできるだけとりたくないという思想であります。しかしながら先ほど申し上げましたように不当労働行為制度というものを設けております本旨は、基本権である団結権の侵害に関する行為に対しまして、団結権を保障するという建前に立つのであります。そこで労働組合法の趣旨からいたしまして、不当労働行為に対する救済、さらにはこれに違反をした行為に対する罰則というものが特別に設けられておるのでありまして、単に経営者側だけその責を負担すべきではないという主張は当らないものと思うのであります。
○森山委員 それでは争議行為の禁止については、労調法第三十九條のような規定を設けてさしつかえないか。
○野々山参考人 公労法の現行法の仕組みは、違反行為については解雇を最大の懲戒措置といたしております。この趣旨は貫かれておるものだと思います。ただ争議行為なり何なりによつて損害を與えた場合に、民事上あるいはそれに関連する刑事上の問題が起りますれば、それによつて免責を受けるようにはなつていないのであります。でありますから民事上の損害等については、民事上の訴追を受けることは、争議行為を禁止しておるという建前に立てば、やむを得ないと思うのであります。私どもの本来の主張は、先ほども申し上げましたが、争議権を認められるべきであり、さらにこれに関連をする民事上の重責、その他刑事上の免責についても当然措置さるべきものである。従つて行政上の行為につきましても、措置されてしかるべきものだと基本的には考えておるのであります。
○森山委員 ですからあなたのおつしやるように、不当労働行為があつた場合における担保措置は、科罰主義の立場からいえば不十分であるかもしれませんけれども、現在の公労法の建前かいうと、労使双方とも刑罰によつて最後の結着をつける建前になつておらない。あなたの議論は多少労働者側の虫のいい議論のような感じがするのであります。あなたが労働者側としてそういう議論をされるならば、同時に使用者側からいつても、争議行為の禁止に違反したときには、やはり罰金を払つたり縛られてもやむを得ないということを前提として考えなければならぬ。そういうことは公労法の建前からいうと違つて来る問題じやないか。不当労働行為について、これに処罰しろということを言われるならば、自分たちもまた処罰される場合を十分了承の上にお話にならなければ、一方的な御主張になると思うのであります。その他いろいろのお話は非常に参考になつたのでありますが、一つあなたにお伺いしておきたいことは、交渉単位について吉武労働大臣は、これを廃止することについて御同意になつたという話ですが、それはいつどういう機会の席上で言われたのか、この際御説明願いたい。
○野々山公述人 答弁の前に、先ほど御意見のありました点について少し述べさしていただくことをお許し願いたいと思うのであります。特に先生の御見意を取上げて云々いたすのは恐縮でありますが、仲裁裁定の問題にいたしましても、不当労働行為の問題等と関連して見る場合に、先生も仲裁裁定に関する限り、労働協約と同一の効力を持つべきである、こういう主張をなさつておる。それを履行されない場合はないのだという前提に立つておられるのだと思います。不当労働行為につきましても、やつたことが悪いことだと公機関が判断されたことが、現実に取消さるべきものであるならば、私は刑罰をもつて、また処罰をもつてとやかくということを主張するという考えはないのであります。その点は間違いなく御理解を願いたいと思います。 それから交渉単位制の問題につきましては、大臣が言明されたのは、私今期日はちよつと記憶がありませんので、後ほど調べて申し上げますが、場所は労働大臣室で、私ども国鉄労働組合の役員と専売労働組合の役員が大臣に対しまして、審議会が終つた直後に、私どもは審議会の経緯にかんがみまして、これこれの条章について公労法の改正を要請いたしますと、要請を いたしたのであります。その際大臣は、いろいろ他の資格審査あるいは不当労働行為の問題、専従者の問題等につきましては、運用でやることがいいじやないか、なるべく法律はかえたくないのだという御意見でありました。しかしながら交渉単位に関する限りひとつ考えようじやないか、なくするように考えよう、ひとつ事務官はそれについて準備をして研究してくれ、こういうふうにその場で御意見がありました。従つて私どもは、その際単位制はなくすることであるか、こういう質問をいたしましたら、そういうふうにしたいというような御回答でありましたので、その期日は追つてまた後ほど調べて御返事をいたしまするが、そのときの経緯については今申し上げたようなことであります。
○森山委員 野々山君から非常に有益なお話がたくさんあつた。特に交渉単位の問題については、大臣がそういうはつきりした御返事をなされたそうであります。午後からのわれわれの質疑において、ひとつ大臣にもう一度その真偽を私の方でただしてみたい、かように考えます。
○島田委員長 熊本虎三君。
○熊本委員 岡本君に二、三伺つておきたいと思います。それは第五條の問題について削除を主張されておるわけでございますが、なるほど組合の立場ではそうだと思いますけれども、これについての字句修正を根本的にやれば、大体において了解ができるのじやないかと私は思うわけですが、その点をお伺いしておきたいと思います。この法律では「労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」などと書いてありますので、これを根本的に修正して、精神だけをうたえば削除しなくてもいいのじやないかと私は考えるのです。その点について伺いたい。 それから第七條の管理及び運営に関する事項ですが、問題は、その範囲が問題であろうと思いますし、だれがどこだきめるかが問題であつて、そのことがこの法文の中に書いてない。言いかえれば、経営者が単独でその範囲をきめて独善的に行うというところに、大きな組合側の問題があろうと思うので、これを明確にすれば、この問題も一応了解がつくのじやないか、私はそう考えます。その点を伺つておきたい。 それから第八條の條例、規程の問題でありますが、これについては昨日の水道局長の公述によりますと、十日じや困るという意見もありましたが、実際は労働組合側から見まして、大体十日間ぐらいの問題と、あとの但書があれば、その程度を最高限としていいか。これは地方自治体の運営の面から、何か参考に聞かしていただいておけば幸いだ、かように存じます。 それから問題は、第十條の問題に触れられなかつたようでございますが、先ほど来国鉄の方から言われておりますように、あの公企労法の第十六條、第三十五條、この二項目が常々不備からいたしまして死文化のきらいがある。これが地方公共体になれば一体どういう影響があるかということは、非常に重大であろうと思うので、この点に関する組合側の意見を参考のため伺いたい。 それから十一條の問題でございますが、これは罷業権を獲得すべきであるという原則に立脚されておりますから、お答えはあるいはできぬかもしれないと思いますけれども、この法令から行きますとまことに片手落ちである。しかもその中には一方に禁止しておいて、その行為に対してそそのかしたり、あるいはあおつてはならないというようなことが書いてある。こうなりて参りますと、次の罰則規定にはめようと思えばどこまでも入つてしまうということになるわけであつて、こういうような問題が制約されれば、さしあたりはがまんができるかどうかというようなことについて、参考にしたいと思いますが、この点は罷業権獲得の根本原理から言うとお答えできぬかもしれませんから、お答えできなければかまいません。
○岡本参考人 第五條の問題につきましては、これは二項、三項の修正があればむしろ削除しないでもよろしいのではないかというようなことであつたと思うのですが、われわれとしてはむしろ労組溝の第二條の規定をそのまま適用してもらいたいということであります。従つて修正の精神というものが労組法第二條の規定の精神で修正されるということであれば、これは先ほど熊本さんの言われた通りでもけつこうであります。 それから第七條の問題であつたと思うのでございますが、この点は公営企業の管理及び運営に関する事項は団体交渉の対象とすることができないということであつたと思うのであります。われわれとしては経営それ自体の問題についてまで云々するものではないのでありますが、しかしながら労働條件に関連して来る問題が運営上当然生じて来るわけでありますから、そういう場合においては、当然組合に瞬いて交渉なり何なりができるというような精神がなければならないのであり、従つてこの管理及び運営に関する事項と団体交渉事項、つまり第一項と第二項の問題が競合するような事項については、団体交渉の対象として取扱うという考え方を持つていただきたい、こういうふうにこの点については考えておるのであります。 それから第十條の予算上、資金上不可能な支出を内容とする協定という問題の点でございますが、この点については、地方公営企業法案第二十九條の一時借入金による企業における予算内の資金操作が管理者の権限に属しておる内容になつておるのであります。従つてわれわれとしては、これとの関連において予算上、資金上という問題は不必要になつて来るのではないか、むしろわれわれとしては、この事業を独立採算制という特別経済をもつてやつて行くところの今度上程されている企業法からいうと、その関連においてこの問題については当然今申し上げたような方向で行きたいという考え方を持つておるのであります。 それから前にもどりまして、先ほどの第八條の十日という期限の問題でございますが、この点はやはり組合と当局との団体交渉が成立した場合に、成立した事項が條例に抵触し、あるいは規程、規則との関連が生じて来る場合においては、そこに一つの手続を経るということになる。この場合期間はできるだけ短かいことがよろしい。少くとも団体交渉で結論に達するまでには相当の日時を経過しているというような事態から、結論が出て手続を得るまでの期間が長いということはいけない。だからこれはできるだけ短かく、むしろ十日を五日くらいに短縮できるものならば、その方がかえつてよろしいだろうとわれわれとしては考えております。 それから十一條の争議禁止の問題については、組合としては基本的考え方としてこれはあくまでも削除すべきである、当然われわれにも争議権が与えられてしかるべきであるという考え方でございますから、ひとつその点御了察を願いたいと思います。
○島田委員長 柄澤登志子君。
○柄澤委員 国鉄の中央執行委員野々山さんにお聞きしたいと思います。先ほど森山委員からも御質問があつたのですけれども、あなたの方の組合の長年の懸案でありました組合統一問題について、機関車労組が分裂いたしまして量、交渉単位のことでいろいろ御努力になつて来たということをお述べになつておられたのでございますが、そういたしますと国鉄労組としては、交渉単位として統一された形で政府は認めているというふうな御見解に立つておいでになるのでございますか。
○野々山参考人 本年三月二十六日に大臣名をもちまして単位問題に関する裁定が出されました。私どもとしては単位が一つであること、同時に多数の組合員を持つ組合が、その単位内の代表権を持つのだという主張であり、機関車労働組合の方では単位を二つにすべきである、同時にそれぞれの単位に所属する組合員なり職員を代表する者が団体交渉をするのであるという主張でありましたが、大臣決定によりまして単位は一つである、しかしながら組合のいかんにかかわらず交渉委員会が一つになる、従つて交渉委員はそれぞれの組合から人頭比率等の措置により協議によつてきめろという趣旨のものが出されたのであります。従いまして単位は一つであり、その単位を代表して団体交渉する交渉委員会は一つであります。しかるにもかかわらず労働組合は二つあるわけでありまして、決定を出した側の大臣なり労働省としては、これによつて統一するのではないかとの希望を持つておられるようでありますが、実際問題といたしまして、主張なりあるいは日常の組合活動なりに多少見解の相違がありまして、私たちは分裂をしたくなかつたのでありますが、割れてしまつたのであります。その結果、交渉単位制あるいは交渉委員会制度を持つて来て一つの方向、一つの意見によつて団体交渉をしろというふうに外の力に命ぜられたといたしましても実際問題はなかなか運用困難であります。従つて単位制度ができて初めて大臣決定を受けるに至つたのでありまして、四月一日以降当然正常の形によつて団体交渉がさるべきでありますが、遺憾ながらお互いの組合の間で主張が一致いたしませんために、つい三、四日前まで、実際問題として具体的には団体交渉ができない状態にあつたのであります。これは経営者側にとつてはあるいは好都合かもしれませんが、団体交渉をさせ、そして労使間の紛争を円満にそのルールに基いて解決しようとする法律の意図からするならば、それによつて時日が濫延するなり、団体交渉が実際において解決されないゆえをもつて、組合なり職員からの要求なり、あるいはいろいろの紛議というものが解決しないとか、どこかにふつ飛んで行つてしまうものではないと思うのであります。その意味からすれば、まつたく労働法に従つて団体交渉をさせようとする意図がくずれないことが大事であります。さらには、先ほど申し上げましたように、日本では諸外国の場合と違いまして、組合の発生の形態が違いますから、結局単位制をとれば、おれたちの集団が団体交渉が自由にできるようにといつた意味での争いになつて行くのであります。ですから単位制を置いておきますれば、統一どころか、分裂を促進するような結果になつてしまう危険性があるのであります。危険性でなくて私どもの組合が分裂いたしたのはそういうことであります。そういうことからいたしましてもうまくない。それから経営者側といたしましても、いろいろの組合ができ、いろいろの単位をつくるために二箇月も三箇月も労使間で単位設定のために十八條に基き争議をしている、しかしこれがきまらない、ついに大臣の決定にまで持つて行くということは得策ではないと思います。その意味からも単位制はぜひとも除いていただきたいし、先生の御質問の、統一されておるのかということについては、表面上は統一されておるかの感をもつて決定者は出しておるかもしれませんが、実際問題はなかなか困難であることをお答えしておきます。
○柄澤委員 三月二十六日の大臣裁定の内容に対して、あなた方は二十八日の日付で声明を出しておいでになると思います。そこには、二十七年度の交渉単位の決定をめぐつて、政府並びに自由党が国鉄労働組合を職能別連合に切りかえ、生活と民主主義と平和を守るわれらの旗をかえようとする野望が今や明白になつたという冒頭で、抗議が声明されておると思うのでございます。先ほどの御証言では、この三月二十八日の国鉄労組の政府並びに自由党に対する抗議の要求がもつとよく展開して、職能別連合体として弱めて行こうとするのではなしに解決の道がついたという御報告に承つたので、私は先ほどの質問をしたわけです。その事態は依然としてかわつておらない、交渉も依然として進んでおらないというのが実態だというふうに拝承してよろしゆうございますか。
○野々山公述人 御指摘のように実際問題としては団体交渉はうまく行つておりません。そのことが具体的に職能別への動きにまで発展をする危険性を包蔵しておることは事実であります。 それから私どもが声明をいたしました態度について少しだけ言及しておきますが、実際問題として、私どもの耳に入りましたのは、単位制の大臣決定をめぐつて、国鉄労働組合の改組という問題が中心的に議論をされておるやに承知をいたしているのであります。労働省部内あるいはその筋を通じて議論をされておつたようでありまして、交渉単位制は、そのときどきの都合によつてどのようにでも組合を形成させ、あるいは組織を改めさせるような形に使う道具になることは確かであります。これは私どものまつたく遺憾に思う点であります。それとはまた別に、単位制がそのきめ方によつて、憲法が当然保障している組合の団結権なり、団体交渉権などの関係において学界、労働法学会等においても、あれは違憲ではないかという議論も流れているのであります。この二面を御考察くださいまして、単位制の廃止に御賛同願いたいと思います。
○柄澤委員 公益事業のスト権をめぐりまして、ここ数日やはり問題の中心が大分集中されて来ているのでございますが、今日の両参考人の御意見を承りましと、大体今度の改正では占領下とはかわりがない状態で、何ら労働三権の基本的な確立というようなものではないのだということが中心であつたと思います。それに対して、政府の方では公益事業並びに国民生活に重要な影響を与えるような事業ということで、公益事業の範囲を拡大しているのでございますが、先ほどの岡本参考人の御公述によりますと、船越議員の質疑との交渉の経過を見ておりますと、船越議員のやはりねらつているというのか、明らかにしておきたいような重点はここへ来ているのであります。つまり公益事業だからスト権がないのだ、それでは私鉄の方なりあるいは私営の事業であればこれはスト権が出るのだから、その方がいいのかと言わんばかりのことにも追い込まれて行くようにも拝承されるわけでございます。これはもちろん自由経済を主張し、国有鉄道まで公共企業体に切りかえて行つた政党としての御見解ならば、もちろんそこに根拠が出て来ると思うのでございますが、私どもの考えている、明らかにしたいと思うのは、皆さん方公営事業に働いていらつしやる労働者が、公益事業の公益性を守るためにも、スト権というものが必要ではなかろうかというこの点でございます。その点を明らかにしていただきたいと思うのでございます。 それから労働者の労働三権の確立ということが、民主主義の確立とともに日本に新しく確立されましたのは、一部の、一握りの資本家だの、財閥だの、軍閥だののための政治であつた日本を、国民大衆の主権在民の憲法に切りかえて、大衆の生活を中心にした政治に切りかえたときに、スト権の確立ということが労働者に与えられたのでございまして、公益事業の労働者がスト権を持つということが、公益性をそこなうのではないかという点が今度の強制調停とか、罷業権の制限ということの政府の基本的な考え方になつていると思うのでございます。だからその点が明らかになりません限り、皆さん方の罷業権をもらいたいという御要求の御趣旨が、どうも少し弱まつて来るのではないかと思うのであります。その点につきまして両参考人の御意見をひとつ承つておきたいと思うのでございます。私の質問の参考にお聞きしておきたいと思うのは、たとえば戦後、国鉄などもいろいろな事件を起しまして、あの八高線の惨事、数百人の人が死んでいる、あるいは桜木町の惨事というようなことも、やはり公益ということよりも、当時の政府の政策というものが中心になつてやられて来たところに、あの惨事の原因があるというふうに私ども考えているわけでございますが、その考えは同じでも違つてもよろしゆうございます。しかしその点について、ぜひひとつ両参考人の御意見をここで承つておきたいと思うのでございます。
○野々山参考人 私どもが争議権の基本として要求しておりますのは、憲法の労働の人権と生存の基本権、政府は労働の基本権を認めております。これは憲法の趣旨を貫くためであります。同時にそのことのゆえをもつて、公益あるいは公共の福祉を侵害をしたりしようという意図を持つておるものでないことを明らかにしておきたいと思うのであります。国なり地方公共団体の全額出資による企業の労働者といえども、当然前段申し上げました基本の権利というものは、保障されてしかるべきものだと思うのであります。その中で公益の福祉との調整において争議権というものが議論されるならば、それはあり得ると思うのであります。現在の形の中では、一体そういうような仕組みになつおるのかといえば、私はそうなつていないと思う、基本権はまつたく法律によつて否定をしておる。この点は違憲論にまで発展をするところであります。私どもといえども、当然労働の権利というものは保障されてしかるべきものだ、こういう建前に立つております。
○岡本参考人 私どもは公営企業の経営の基本的なあり方というものを、根本的にかえて行こうにいうような考えは持つていない。それからわれわれのスト権は、今野々山氏も言われたように、当然生活権というものが基本的に尊重されなければならない。これはやはり公共の福祉という立場と、両々相まつて考えられてしかるべきだ。労働者の基本的権利が一方的に抹殺され容姿の上において、公共の福祉というものが確保されるということ、一方に大きな犠牲を強要しつつ、公共の福祉を確保するというようなあり方は、やはり犠牲を不均衡な形において払わしめる。こういうような形になつて来ると考える。従つてわれわれとしては、公共の福祉とわれわれの基本権というものは、ともに並行して尊重されて行くべきものだという考え方を持つておる。そういう立場からわれわれのスト権というものも当然確保されてしかるべきである。もちろんこれについては、これを濫用するというような考え方はわれわれとしては持つていない。こういうことでございます。
○島田委員長 青野武一君。
○青野委員 私は最初に野々山参考人と岡本参考人に一点お伺いしておきたいと思います。きのう私が労働委員会の公聴会に出て参りました吾孫子さんという、日本国有鉄道運輸総局の職員局長に、公労法の十六條と三十五條の点について質問いたしましたときに、あとから同僚の委員の質問に多少修正をせられましたが最初は三十五條の規定は当事者を拘束するものである。しかし十六條に、資金上予算上支出不可能なものは政府は拘束されない。それは今まで御承知のように、専売裁定も国鉄裁定も幾多の問題が残つておりまして、今野々山参考人のお話を聞きましても、近く最高裁で最後の判決が下るということもお聞きしたのでありますが、それについて簡単に最初は仲裁、裁定を事実上実施するような一つの方法を私は希望する、こういつたようなお話がありましたが、あとでほかの委員の質問に答えて、誤解があつてはいけない。国会の審議権を無視するような規定をつくつてくれと言つたのではありません。仲裁裁定が下れば、支出不可能であるかどうか、最後の意思決定は国会がするのでありますから、国会の審議権を侵そうとは思いませんが、ただちに公社は予算をつくつて政府にこれを出して、政府は大蔵大臣なんかが中心になつて、頭から予算上、資金上支出不可能だといつて問題を紛糾させるのではなく、一応まじめに予算を編成して、国会に出すようにスムーズに行くようにしてもらいたい、こういう答弁が昨日ありました。ところが野々山参考人も岡本参考人も御承知のように、国鉄の労働組合の代表者であり、都市交通労働組合の委員長でございますので、この点が——ここに出ております地方公営企業労働関係法の中にも、公労法第三十五条、十六条に匹敵する内容が、少しかわつておりますが、出ておる。これはおそらく全国的にこういう問題が繰返して、地方公営企業労働関係法を通じて各所に頻繁に出て来る問題だと私は思います。そこできのう吾孫子公述人が、国有鉄道の職員局長の立場からお話がありましたのを、私は非常にいいお答えであつたと考えておる。その点について将来問題が相当紛糾して来ると想像しておりますのでお二人にその点について、どういう考えを持つておられるかということを、この機会に承つておきたい。
○野々山参考人 ただいま議案として出されております公労法の十六條、三十五條及び地方公労法の十條等の規定このままが通過をし、実施される段階になれば、特に地方自治体等の関係に対しましては、おそらく全国的に不統一の状態が起きる、しかも実際問題といたしまして、実施困難な問題が起きるものと私は思います。特に私どもがこの法案が出される前に、労働省の事務官といろいろ話をいたしました際に、公労法が今のまま通り、あるいは地方公労法が当時のような議案あるいは今出されておるようなもので通るとすれば、元労政局の法規課長をやつておりました松崎さんは、私どものような仕事をやる者が労働省にたいへんたくさんいなければ、おそらく全国的に問題の解決にならぬであろうということを申されました。私もまつたくその通りだと思うのでありまして、ぜひとも先ほど公述の際に申し上げましたように、両当事者を拘束し、予算上、資金しただちに支出不可能な場合のあります問題については、議会で所要の手続がなされるまでの間、履行が猶予され、当然将来ともに履行の責は負うのであるが、議会で所要の手続がなされるまで、履行が猶予され、そのために政府あるいは理事者は拘束され、所要の手続をもつて議会に付議し、承認を求める、こういう義務を負つていただかなければならぬと思うのであります。私はもちろん御指摘のように、憲法の五十五條以下の国会の審議権を裁定がただちに拘束するものだということにしなければならぬと主張するものではないのであります。当然それが国会でも実施さるべきものだ、こういうふうに期待をしておるのであります。同時に仲裁委員会なりあるいは労働委員会が、三者構成なりあるいは公益委員だけで構成いたしました仲裁裁定でありますならば、すべて国の利益、公共の利益というものを考えて裁定を出されて、結果的に第三者的立場に立つて、国の総意を盛つた裁定を出さるべきであると思うのであります。従つて議会もそういうものが提案されれば、それが実施されるようなこういう手続がとらるべきだというふうに思うのであります。
○岡本参考人 ただいま言われました予算上、資金上の問題と、仲裁裁定の問題等につきましては、私どもの関係する組合は、大きい団体もございますが、地方においてはかなり小さい公共団体の組合が多いわけであります。五百人以下百人程度の組合も相当あるわけでございまして、これが地方別に扱われることになると、やはり市当局者なり議会との関連において、第十条の内容が明確にされて来ないと、せつかく仲裁裁定なんかができても、これの履行にあたつては、ただいま野々山さんの言われたように非常に紛争を持つのではないか。ことに今申したように、百名程度の組合も相当ありまして、そういう小さい組合においては力が非常に弱い。こういうような関係から、封建的な地方理事者の考え方によつては、この問題の履行にかなり不十分な点が出て来るきらいがありはしないか。その点はやはり仲裁裁定というものが明確に両当事者を拘束するような、一つのはつきりとしたものが打立てられることが、われわれとしては最も望ましいことである。もちろんこのことについては地方議会との関連も出て来ますが、そうしたものとの関連において、最大限に今言つたような精神がこの法文の中に明確にされて来ることが必要であるというふうに、私ども考えております。
○青野委員 きのうの吾孫子職員局長の御答弁と野々山、岡本両参考人の意見、これは公社側、国鉄労組、おそらく全専売もそうだと信じております。今問題になつておりまする地方公営企業労働関係法の中に、ただいま私が御質問申し上げましたような、いわゆる公労法の三十五條、十六條に関連して、ただ一部字句がかわつておるだけでそういう規定ができておる。この点について三者がほとんど同じ意見であるということは、非常に有益なことであり、将来の参考になるので、私は厚くお礼を申し上げます。それに引続きまして岡本参考人にもう一点お尋ねしておきたいと思いますることは、きのう東京都労働組合連合会の執行委員長の河野氏が私の質問に対して、地方公労法の第十三條に苦情処理共同調整会議というものが持たれて、十三條は苦情処理の関係でありますが、こういう幅のせまいものではだめだ、現に私どもは経営協議会といつたようなものを持つて、たいていの問題は平和裡に労使双方で解決しておるから、もつと幅の広いものを持たせて、効果の上るような機関を置かなければだめだと思うと言つて、実際にやつておられる実例を説いて、私の質問に対してお答え願つたのでございますが、岡本参考人はどういうようにお考えになつておられるか。 もう一つお尋ねしておきたいのは、ただいま御質問申し上げましたように、予算上、資金上の問題で五十人とか百人とか、多いところで三百人、五百人といつたような地方公共団体の経営するところの地方鉄道事業、軌道事業、自動車運送事業、電気事業、ガス事業、水道事業という六通りの地方公営の事業に関係する人たちが、そういう点ではこの法文では不明確になつておる。非常に力の弱い組合は自分の意思を通すことができないようになるだろう。しかもその反面には十一條には明らかに争議行為の禁止規定がある。しかもそれを破つた場合には十二条はいきなり解雇を宣言している。しかも解雇された人たちは、労働組合法であるとか、労働関係調整法に規定する手続に参与したり、または救済を受けることができない、いわば武装解除の後に死刑の宣告にひとしい候文がここに出ている。一方ではあいまいだ、一方ではこういう明文がぴたりと出ておることは、非常にこの点について私たちは不満を持ち、不公平であると考える。こういう規定については削除せよと岡本参考人は先ほどの公述の中でおつしやつておられましたが、私どももその点については同感でございます。こういう点についてあなた自身が公述なさつたことが、あなた自身の御意見であるか、ただいま私が申しましたように、地方公共企業体の労働者は六つの組織を持つているし、ガス事業、水道事業、自動車運送事業、電気事業とかわつてはおりますが、おそらく全面的に反対をしておると思いますが、あなたの先ほど御公述になりました内容は、大体公益関係の労働者の意思を代表しておつしやられたのか、個人的であるか、あるいは一定の都市交通なら都市交通という組合の一つの機関にかけて、御決定になられました御意見であるかどうかということも、御参考までにひとつ承つておきたい。以上でございます。
○岡本参考人 第十五條の苦情処理の問題については、私どもはこの條文について多くの期待を持つていないということであります。私どもも、むしろ今までの実際の運動の経歴から申しますると、事業の運営と労資の円満な関係を確立して行くという上に立つては、従来から持たれておつた経営協議会を通じてやつておつたわけでありますが、今度の法文の中には、この団体交渉の範囲の中にも経営協議会というものを設けてやるというような点は明らかになつていない。むしろ私たちは、苦情処理が経営協議会にかわるものか、ないしは交渉範囲の中に場おいて経営協議会を設置してやることについでは一向さしつかえないという見解を持つておるのか、その点を明確にしてもらいたいという考えを持つておる。これは賀来労政局長との話合いの中においても、経営協議会を設置してやることについては、これは何ら支障のないものであるという見解を述べられたこともあるわけでありますが、今申し上げたように、むしろそういう点を私どもは明確にしてもらいたい。それから十三條の今言つたような苦情処理の問題については、やはりこれとの関連があると思います。従つてこれを強力に、あるいは範囲を広げて行くということについては、どの程度までどういうふうにということが明瞭になつておりませんが、これについて私どもは別段期待を持つていないということであります。 それから私が先ほどから申し上げた公述は、これは単に私個人の見解ではございません。都市交通労働組合連合会といたしまして機関の決定に基いた意見であるということを御了承願いたいと同時に、またこれは単に私どもそうしたものだけでなしに、地財法に基くところの電気、ガス、水道というような、われわれと友好関係にあるそれぞれの団体との連絡の上に立つて、私かかわつてこの意見を述べたということでございまして、どうぞそういう点をあわせて御了承願いたいと思います。
○青野委員 実ははなはだ参考人に対して失礼な御質問をしたのですが、ちようど昨日の公聴会で日鉱の代表者である重枝公述人が、いわゆる労使、公益、そういつた立場に立つ人が全部賛成して、労働基準法の一部改正案が出て来た。しかしその際審議会に出参席していた小椿委員は、炭労の代表機関の意見でなく、個人の意見を開陳したのでありますと、これは他の委員の質問に対しての答弁でありました。事が昨日ときようでありまして、労働基準法の改正に関する点は、年少者の深夜業の問題、あるいは女子の労働問題といつたようなことで、炭鉱坑内における労働関係に非常に重要なものが、それぞれ所属する労働組合の機関に持たれずに、個人的な意見であつたというので、かなり質疑応答が続きましたので、私はまことに失礼だとは思いましたが、念のためにお聞きしたようなわけでありますから、その点をひとつ御了承願いたい。
○中原委員 私はまず都市交通の岡本さんにお伺いいたしたい。岡本さんの公述の前提で、いわゆる占領政策がなくなる、あるいは占領目的阻害の取締り処罰というものがなくなつて、どうやら今度は、今までいろいろ圧迫されておつた部面も解放的な方面に発展し得るのではないかという期待を持つておつたが、しかしやはり地方公務員その他一般の公益関係者を初めとする労働者階級が、どうも封建的な規定に縛られるような、そういうおもしろからざるものを内包した法律改正が出て来たというように御指摘になられましたが、私どももまことにその感を深くいたすのであります。どうしてそれならこの段階において、そういうふうないわば反動的な性格を持つた法律規定が、しかもあわただしく急速に必要とされるに至つたか、ここにいろいろ意見があると思うのでありますが、だからこそ岡本さんの御指摘になられましたように、まず最初にむずかしいりくつは拔きにして、労働者はまず憲法二十八條の勤労者という立場、あるいは労働組合法の第二條の労働者という立場、その立場をまず基底にして、その上に実際のことを考えて行きたいし、またそういうふうな法律規定も要請したいというふうに御指摘になられました。そこで私は特にあなたの直接御関係になりまする今度の地方公企法に関連しまして、非常に大きな問題に最初からなると思いますのは、労働委員会の性格ということだと思います。調停あるいは仲裁等のことが、一にかかつて労働委員会の処理決定にまつということになりますから、やはりその場合に現行の労働委員会というものの性格、これがこのままでよろしいかどうかという疑問が起つて参るのであります。すなわち現行の労働組合法第十九條に、労働委員の選考の手続は、結局は労働大臣の任命あるいは罷免権、要するに労働大臣のもとにこの任命、罷免が支配されるという形になつている。だからすべてのことは労働大臣の管理下に属するというようになつておると思いますが、そういうような手続なり性格づけをされた労働委員会が、地方公営企業の労働諸問題に対して、期待し得るような結論を出すことは構成上十分期待できるかどうか、こういうことなんです。こういうことについて御見解を伺いたい。
○岡本参考人 その点は非常に微妙な関係を持つて参ると思います。今御指摘になりましたように、労働委員が——われわれの場合ですと、これは当然地方の労働委員会にかかつて来ると思いますが、地方の労働委員は都道府県知事の職権任命になる、こういう形になつておる。しかも労働條件に関する問題が、団交が加えられて調停、仲裁に持ち込まれる。これは団交の対象が管理者であり、同時に管理者だけではできない事項がたくさんある。従つて市長なり知事との直接団体交渉が行われなければならないような問題が出て来る、そういうものはうまく行かないで、労働委員会にこれが調停、仲裁に持ち出されて行く場合に、知事なり何なりの任命した労働委員会で扱われるということになると、その点は非常にデリケートな問題が出て来やしないかということもわれわれは心配しておるわけでございますが、むしろそういう関連の上に立ちまして、この問題を扱う上について、労働委員会がこれをどうするかということについて、今ただちに私どもこれについての意見をきめてはおりませんけれども、一応そういう点を憂慮しておるものであります。
○中原委員 私は、まず労働委員会の委員の選任の手続等について、現行労働組合法の十九條の改正が要請される段階になつて来たのではないか、どうしてもこれは必要ではないかと思います。最初お互いに経験しましたように、労働組合つまり労働者代表は労働組合の選考によつて、つまり労働者自身によつて選考を決定するということになつて来れば、労働者代表としては、直接労働者の意思を強く代表するということに手続的にはなつて来ると思います。それならばその構成の仕方は、現在労働委員会の労働者代表の労働委員もわれわれは信頼できないというふうに私は申し上げておるのではありません。これは非常にりつぱな方ももとよりおいでになるわけでありますから、全体としてそうであるというわけではありません。しかし御答弁でうかがえますように、どうも手続の上において、そこにわれわれとしてもちよつと考えなければならない点があるのではないか。まずもつてここで私は関連いたしまして、労働組合法の第十九條の労働委員選考の手続あるいはその任命、委嘱の方法について、法の改正を必要とするということを強く感じますので、この場合そこまで行くべきかどうかについての、御両氏の御見解を拝聴しておきたいと思います。
○野々山参考人 現行の十九條の特に七項の職権任命をするという規定でありますが、私どもは、本来三者構成の委員会でありますから、推薦によつて、職権任命ということで、事実上従来もややもすればしばしばとられて参つたことでありまするが、七名に対して九名の推薦者を出す、あとは適宜労働大臣が拾い上げるといつたような形は好ましくないと思います。三者構成でありますから、純然たる三者構成という立場をとつて行くべきではないか。公益委員については、これは労働側の委員の同意によつて公益委員をきめる、こういう形の三者構成委員会でありますから、構成任命にそうした手続をとることが必要だと考えております。
○岡本参考人 私どもも、労組側から出る労働者代表については、その選任方法をかえるべきであるというふうに考えます。ということは、現実の問題として、労働組合が相寄りまして、相当協議して候補者を推薦する。この場合に、任命されて来る委員に、たまたまわれわれの意に反したような委員が任命されたような実例も過去においてはあるわけでありまして、そういう点等から考えましても、むしろこの委員は、今申し上げたような方法に改正するということについては、私どもも賛成したいというふうに考えております。
○中原委員 せつかくこの与えられた機会でありまして、いろいろ御高見を拜聽したいと実は楽しんでおつたのでありますが、時間の制約が非常にありますので、あと一点だけ、これも御両氏の御見解を拜聽しまして私の質疑を終らせたいと思います。それは野々山さんのお言葉の中にもうかがえたのでありますが、專従者の制約の問題について御発言になつた中に、組合運動に対する干渉があまりにも拡大されているのではないか、いわゆる不当介入、不当干渉というようなことを意味するものがだんだんこの労働関係法規の中に現われて来る、この二点の御指摘がありました。私どももそのように非常に深い感を持つておりますが、それにつきまして、労働関係調整法の中の第三十五條の二項の、今度非常に問題になつております緊急調整の問題、これはやはりそれを最も明らかにしておる一点かと思うわけであります。労働大臣の権限が今度非常に強化拡大されて来るというふうに感じるのであります。従つてその労働大臣の意を受けた地方機関もまたそういうような形にだんだんなつて参りましようが、これは少くとも労働組合運動の正常な発達をこいねがう者の立場から考えますと、われわれは一大事だと思うのであります。こういうふうような重大な措置が、しかも当然でもあるかのような論理を構成した上に、どんどん打出されて行くというような形になつて来たかと思うのでありますが、この第三十五條の二項における緊急調整の発動といいますか、この問題につきまして、この場合御見解を拜聽いたしたいと思います。
○野々山参考人 労働関係に関する限り、その基本はすべての場合通用することだと思うのでありますが、労使の自主的な解決、労使の責任ある態度、これによつて労働問題の円満なる解決というものはなされるものであり、その筋をはずれますれば、勢い労働問題というものはこじれて行くものだと私は思うのであります。たとえば従前の労調法の規定で冷却期間を採用いたしておりましたが、冷却期間をもつてこの間に労働争議をうまく解決しようと思われたのであろうと思うのでありますが、その結果は実は争議権をとるために、あるいは極端な言い方をしますならば、三十日前に調停請求をしておいて、その間争議の準備をする。経営者側も、所詮は冷却期間が終つたらストライキをやるのだから、おれの方は一歩も折れぬといつたような態度で、実は冷却期間がまつたく効用をなさなかつたのもそれだと思います。さらには三十八條によつて労働大臣が職権調停をされておるが、一回だつて成功していないのは、やはり第三者の手によつて労働問題を解決しよう、法律によつて強制して安易に解決をはかろうということで、実は労働大臣の名において職権調停を開始してみたものの、労働大臣が失敗に終つたと言う結果になつたのであります。従つて今回の緊急調整の問題にしても、これは労働問題の解決という筋をまつたく離れた強権的な法規だと思います。特に労働大臣の胸三寸によつて、国民生活に重大な損害を与えると認めたという抽象的な表現を、どのようにでも解釈できる。しかもそれによつて五十日間のスト制限をやる。それでは一体その間に争議の解決ができるか。その間三十五条の四に基いて、あつせんなり、調停なり仲裁なり、その他必要な措置をとるというのでありますが、これまた両当事者にとつてはまつたく不本意なあつせんになる場合もあるし、調停あるいは仲裁のなされる場合もありましよう。それによつて問題が解決されるならばまだしもという言い方もできましようが、実際は今までの十八條五号が発動されたり、あるいは冷却期間によつてたいへんな失敗をされたより以上の大きな失敗を繰返すにすぎないと、私は思うのであります。しかもそのことによつて円満な労働慣行もできないだろうし、さらには正常なる産業の発展というものに与える影響というものを考えると、むしろ後退するような場面になつて来はせぬ在ろうか。経営者にいたしましても、労働者にいたしましても、法規でもつてどんどんと締めて参りますれば、どうしてもやはり事が起きて来るような気持もいたします。ちよつとそれて恐縮でありますが、たとえばサンドイツチマンを出したり、あるいはすわり込みをやつたり、一体私どもはああいうことはやりたくないし法律の手続によつて所要の処置がなされるならば、あんなことはやらなくてもできるしまたあんなことをやつていて労働問題がうまく行つていると言われるならば、これはまつたく誤つた認識だろうと思うのであります。従つてそういう意味からいたしましても、今回の緊急調整に関する規定の、国民生活に重大なる損害を与えると考えるという抽象的な表現、さらには労働大臣の胸三寸によつて争議制限の五十日が課せられる。さらには経営著にも労働者にも意に反するような調停なりあつせんがなされても、実際問題として、労働問題の素直なる、永久の解決、正常な労働慣行ができるものとは思われない。そういう意味から私はこれに反対しておるのであります。以上をもつてお答えにかえたいと存じます。
○岡本参考人 今野々山さんの言われたような御意見に私もほとんど同感でありますので、重複を避けたいと思います。
○島田委員長 これにて三法案に対する参考人よりの意見聴取は終了いたしました。参考人各位にはどうも御苦労さまでした。 それでは午後二時まで休憩いたします。 午後一時三分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分開議
○島田委員長 休憩前に引続いて会議 を開きます。 午前中は参考人より意見を聴取いたしたのでありますが、ただいまより前会に引続いて三法案に対する質疑を続行たします。三浦寅之助君。
○三浦委員 私は駐留軍関係についてお尋ねいたしたいと思います。それは終戦後、駐留軍関係に働くところの労務者が相当多いと思いますが、現在どのくらいの者が働いておるか、その数をまずお尋ねいたします。
○根道政府委員 ただいま二十一万弱であります。
○三浦委員 そうすると、将来もそのくらいの数は働くことになりますか。
○根道政府委員 ただいまのところ、大した変化は生じないものと予想いたしております。
○三浦委員 そうすると、駐留軍関係に働く労務者の雇い主はだれになつて、その支給関係はどういうことになりますか。
○根道政府委員 駐留軍関係労務者の雇用主は日本政府であります。それが現実には駐留軍に働いておるという状態であります。給与その他は、一切日本政府においてこれを取扱つております。
○三浦委員 そうすると、日本政府が雇い主で、日本政府が給与を支払う。実際働くのは駐留軍で働くということになりますと、その身分関係は、公務員法か何かの取扱いを受けるということになりますか。
○根道政府委員 ただいま国家公務員法等の一部を改正する法律案が本国会にかかつております。すでに衆議院においては、その関係の法案は通過いたしておりますが、その法案の以前におきましては、従来の要員は国家公務員の特別職ということに相なつております。そうして国家公務員法の適用は除外されております。
○三浦委員 国家公務員の取扱いをして、公務員法の適用を除外するというのはどういうわけですか。
○根道政府委員 それは特別職であるので除外されておるわけであります。
○三浦委員 そうすると、駐留軍関係の要員に対しては、労働三法の適用はどういうことになりますか。
○根道政府委員 労働三法の適用はあることになつております。
○三浦委員 労働三法の適用があるとすれば、団結権とか、団員体交渉権とか、争議権というものはどうなつておりますか。
○根道政府委員 これも法規の定めるところによりまして、あることになつております。
○三浦委員 実際において労働三法の適用によつて、労働者に保護されておるただいまのような権利を、十分に行使できるという御確信がありますか。
○根道政府委員 ただいまのところ、労働三法の適用を阻害さるべき事実はないと考えております。
○三浦委員 その点について、実際に使用するものが駐留車で、日本政府ではないというならば、その関係において駐留軍当局と十分な話合いはできておりますか。
○根道政府委員 そういうような問題が起りますときには、労務者あるいは組合等より、政府側に対していろいろな申出がございます。もし労働法規の関係において誤つた事態があれば、すみやかに是正する方策を政府としてはとつております。
○三浦委員 実際にとれますか。
○根道政府委員 ただいままでのところ、非常に困つた問題は起つておりません。もちろん講和條約発効以前におきまして、占領軍という建前において使用しておりました時代には、あるいは現実に多少の無理がありまして、いろいろお耳に入つたようなことがあつたかもしれません。しかしながら現在におきましては條約に基く駐留軍でありまして、駐留軍としても完全に日本の労働法規を尊重するということを條約上明白に約束をしております。この点将来も問題は起らないだろうと考えております。
○三浦委員 それならたいへんけつこうであります。ただ実際に働く職場の関係上、ただいまの労働者の保護の問題については、相当憂慮されることであろうと思いますが、そういうような点に対しまして、もし御心配がないというのでありますればたいへんけつこうでありますが、十分御考慮を願いたいと思います。 そういうような駐留軍の要員に対しても、国家公務員法上の立場から、いろいろな救済、厚生の問題、健康保健の問題、災害補償の問題、あるいは失業保険というような問題についてはどうなりますか。
○根道政府委員 ただいまお述べになりましたようなことは全部適用されております。ただ失業保険につきましては、ただいま労働省方面といろいろ相談しておるところであります。
○三浦委員 恩給はどうですか。
○根道政府委員 恩給はございません。
○三浦委員 そうすると厚生問題についても、安心して駐留軍に働くことのでき得るような処置を講じられるという確信はあるわけですね。
○根道政府委員 一般に申しまして、労働者の受くべき保護を、ただいまの点を除きまして全部保護の手が延べられておると考えます。
○三浦委員 私は駐留軍に働くところの要員は、ただいまのお話のように、実際の雇い主は日本の政府でも、働くところの実際の職場は駐留軍でありまするから、この駐留軍の人々が使用するというような関係にあり、あるいは労働法の適用の問題、あるいはただいまのような恩給の問題——適用にならないそうでありますが、恩給の問題であるとか、健康保険の問題であるとか、災害補償の問題、失業保険の問題であるとかいつたような、いろいろ特殊な問題が起きると思うのであります。そういうような特殊の関係において、駐留軍の要員に対して特殊な法律をこしらえて、身分関係をはつきりさせるということは、将来の駐留軍要員に対する問題としては当然なすべきことであろうと思うのでありますが、そういう特別立法の問題についてのお考えはありませんか。
○根道政府委員 駐留軍の労務者、かつては占領軍関係の労務者でありますが、初め国家公務員法ができましたときに、政府の雇用するものは一応公務員であるという建前になつておりまして、当時の占領軍要員も、全部一時国家公務員の一般職のうちに入つてしまつたのであります。ところがこれにつきましては労務者側より要求がありまして、自分たちは一般の政府の職員たる公務員とは違うのだ、われわれは特殊な労務者である、従つて政府が金を払つておる以上は公務員であつてもしかたがないが、公務員法の適用を排除して、一般の労務者と同じように、労働関係法規等の適用のある特別職にしてもらいたい、こういうような要望がありまして、その要望にこたえまして、政府としてはこれを一般職よりはずしまして、特別職にしたわけであります。特別職になつておりますと、御承知のごとく一般の公務員とは違いまして、労働関係法規の適用もあるわけであります。またその後におきまして労務者側よりは、今の特別職であるということは意味がない、名前だけが特別職ということはおよそ意味がない、こういうものははずしてもらいたい、何でもない普通の労務者の扱いとして、また労務者としての完全な権利を持ちたい、こういうような組合側の希望でございました。これによりまして今回特別職のうちからもはずすことになつたわけであります。
○三浦委員 それは今の説明でわかりました。ですからただ日本政府が雇つて、日本政府との関係において働くというような、他の公務員なりあるいは労働者の立場と同一ならば問題はないのです。別にあらためて私が質問を申し上げる必要はないのです。ただ行政協定によつて、これが駐留軍に働くというような立場において、実際に使用する場合においては、おそらく日本政府がそれに干渉できないのではないだろうかと思います。またそういう特殊な関係にある場合に、私はやはり特殊なこの労務者に対しましては、特殊な寸法措置か、それともまた何か労働三法の中にそういうようなことを特に明記するというようなことも必要があるように考えるのでありまして、そういう点の必要があるかないかということを、念のために聞いておきたいと思います。
○根道政府委員 駐留軍に働いております労務者のことについては特別な状態にあるということは、政府としても認めておるのでありまして、従いまして、その給与その他の勤務條件につきましては、ただいま本国会で御審議を願つておりまする法案におきましては、「駐留軍労務者の給与その他の勤務條件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務條件を考慮して、調達庁長官が定める。」というふうに特別の規定を設けておる次第であります。
○三浦委員 もう一点、今審議されておる法案というのは、国家公務員法や何かの改正とからんでおるわけですか。
○根道政府委員 さようでございます。
○三浦委員 私はもしこれを純然たる労働者として取扱うというならば、そういう公務員法などの中に駐留軍要員の問題を定めることは誤つているような気がするのであります。むしろこれは労働省所管の労働法規の中に定むべきだと思うのでありますが、それはどうですか。
○根道政府委員 従来公務員法の中に駐留軍労務者の身分のことが規定されておつたのであります。それを今般はずしたわけでありまして、公務員法の改正ということになつたわけであります。
○前田(種)委員 調達庁長官に、関連して二、三お聞きしますが、講和とともに切りかえられました駐留軍関係の労務者の退職手当の問題は、予算の審議に関連して一応たな上げになつておるはずですが、組合側からは少くとも退職手当を支給してもらいたいという要望が強くなされたと思います。これに関連してどういう処置をとられたかということと、それからこの切りかえと同時にやめた人も相当あるのではないか、そういう人に利する退職手当の問題は、滞りなく支払い済みになつておるかという点を、まず一点お聞きしたいと思います。
○根道政府委員 組合側よりは、講和状約発効を機として退職手当を払つてもらいたいというような要求が相当前にあつたわけでありますが、その後組合側と政府側との話合いによりまして、ただいま本国会にかかつておりますような法案の内容になつたわけであります。なおまたやめる者につきましては、そのやめる都度退職手当は支払われております。
○前田(種)委員 先ほど三浦委員の質問に対して長官は、駐留軍労務者に対しては完全に労働三法を適用するとおつしやいましたが、これは大事なところでございますから、労働三法いわゆる国内法はすべて適用されるという点について、もう一ぺん確証をいただいておきたいと思います。
○根道政府委員 完全に適用され得る状態にあると考えております。
○前田(種)委員 完全に労働三法が適用されるという場合に、行政協定十二条に基いてということになつておりますが、御承知のように国内法特に労働三法は、使われる労務者だけ完全に法の適用をいたしましても協全な保護は受けられないのです。いわゆる労使対等の立場に立つところの使用者の方も国内法で拘束しない限りにおいては、対等な保護が受けられないというのが労働三法の建前です。駐留軍の関係はいわゆる使用者という立場に立つものが駐留軍です。駐留軍は要するに法の適用から除外されておるというのが行政協定の基本をなしておる点であつて、はたしてそれで労働三法が完全に適用されるというように長官は思つておられるかどうか。言いかえますならば、労働三法の点については、使用者の方に対しても相当責任を負わせ、義務を負担させて、そうして労働者の保護規定が確保されております。そういう場合に、駐留軍関係にはたしてどれだけの責任と義務とそれから労働者保護の立場を強要するだけの権限があるかないかという点について、はつきりとお答え願いたいと思います。
○根道政府委員 駐留軍の労務者に対しましては日本政府が雇用主であります。従いまして雇用主としての立場においては、政府として労働関係法規によつてとるべき責任を全部とらなければならぬのであります。現実の問題として万一労働者の権利が侵されるというようなことが起りました場合には、政府として責任をとつて是正しなければならぬと思います。また先般申し上げましたように、駐留軍においても、日本の労務者の権利はすべて日本の法律の定めるところによつて認め、これを監督するというようなことを確約してございますので、この点において駐留軍当局において不都合な所為はなかろうと、私は信じている次第でございます。
○前田(種)委員 今の長官のお言葉を聞いておりますと、日本政府の雇でない駐留軍並びに駐留軍の家族、軍属の直接雇用の労務者は一人もないということになりますか。
○根道政府委員 調達庁において所管しております労務者と申しますのは、現在はすべて米国駐留軍に勤めている職員でございまして、かつ日本政府が雇用している者であります。それ以外にただいま申されましたように、駐留軍が直接に雇用している者があるわけであります。これは調達庁としては所管の外にあります。
○前田(種)委員 調達庁以外の問題を長官に聞くことはあるいは無理かもしれませんが、私は全体を含めての完全な労働三法の適用ができるかどうかという点をお聞きしたのですが、局限して調達庁関係の労務者のみを対象といたしましても、日本政府が雇用者であるから、日本政府の責任において労働三法を確保して守るというお答えでございました。日本の使用者と同様にその点は政府の責任において完全に確保できるかどうか、言いかえますならば、相当軍が無理を言うという今までの実績があるのです。これは占領下であつたから相当無理も認められて来たわけです。しかし独立後はその無理は許されないと私たちは認識する。それだけに日本政府はもつとしやんとしなければならぬ。そういう無理は許さないという立場に立つて労働者の保護が守れるかどうか、これは大事な点でございますから、その点を長官ははつきり把握されてお答えになつたと思いますが、もう一度お聞きしておきたいと思います。
○根道政府委員 ただいまの御質問は、私が御答弁申し上げる筋ではないかもわかりませんけれども、私といたしましては、日本政府は当然の権利としてその立場において適用さるべき労働関係法規の適用をオブザーブする立場にあるものと考えております。
○前田(種)委員 そういたしますと、従来占領下であつた場合は、直接勤務に従事している労務者に対して、出入口などの身体検査その他の面においても相当厳重であつたわけです。これもほんとうに独立国家の国民としての扱い方をいたしますならば、ああいう厳重な方法をとることは遠慮してもらわなければならぬという点で、それぞれの事業場に相当問題を起しております。おそらく今後はそういうことも是正されると思いますが、はたしてそういうことが完全に是正されるか、あるいは是正されるというだけの自信を持つて指示されるかどうかという点について、もう一度お聞きしておきたいと思います。
○根道政府委員 軍が管理しております地域に出入りする労務者に対して、ある程度の管理権を軍側において行使することは事実上やむを得ないかと考えます。もちろんこれが行き過ぎて、労務者の権利あるいは人権を侵すという程度にまで行われるようなことがありましたならば、日本政府としてもこの点は十分注意しなければならぬと考えております。
○前田(種)委員 軍の管理している重要な管理物件の中であるから、ある程度のことはやむを得ないというその点が大事だと思います。少くとも日本の国民は独立国家の国民になつたはずです。もちろん不都合なことをやつた者はそれぞれ処罰されることは当然でございますが、出入口その他の面につきましても、少くとも独立国家の国民でないような取扱いが現に行われていると聞いている。そういう点は、独立国となつた以上、日本の国民もアメリカの国民も対等の立場で、信用された上に立つた労務の提供でなければならぬと思います。この点に対して、依然として過去七年間のしきたりと同様に、占領軍の延長の駐留軍の関係によつて、遠慮しなければものが言えないというような日本政府の態度であつてはならぬと私は思います。この点が大事でありますから、もう一度明確にお答え願つておきたいと思います。
○根道政府委員 軍の管理する地域の出入口における検査等のことは従来あつたわけであります。もちろん形式的に、いかなる物を持ち出すことか持ち込むというようなことのための検査であつたはずであります。ずつと以前には、よくつまらぬタバコなどを持ち出すというようなことで、そのためにも調べたようなことがあつたわけであります。たとえばタバコの持ち出しなどは、日本人がある程度自由に買えるということになれば、そういう方面の検査は当然なくなるわけであります。また特殊な勤務場所であつて、そこから物を持ち出してはならぬというのに、かさばつた物を持ち出すというようなことがあれば、いついかなる場合でも調べることはやむを得ない。しかしこれが人権躁礪あるいはそれ以上に及ぶようなことに行く場合には、日本政府としても当然注意を換起しなければならぬ問題であると思つております。
○島田委員長 森山君。
○森山委員 ただいまの質疑に関連してお尋ねをいたしたいと思います。昨日の毎日新聞によりますと、参議院の外交委員会で曾祢議員から、英連邦軍に雇用されておる労務者の件について質疑がありましたが、英連邦軍に雇用されておる労務者は、特別調達庁とどういう関係であるか承りたい。
○根道政府委員 英濠軍に勤務しております日本人労務者は、講和発効と同時に日本政府の雇用をはずれたわけであります。その後の状態につきましては、まだ日本政府との間に話合いがまとまつているということを聞いておりません。
○森山委員 しからば英連邦軍に雇用されている労務者は、従来の制約が全然なくなつて、完全に日本の法律下に置かれておるのだと考えてよろしいので、ございましようか。
○根道政府委員 英連邦軍に雇用されている労務者は、当然に日本法規関係によつて律せらるべきものと考えます。
○森山委員 昨日これに対する岡崎外務大臣の答弁は、新聞によれば、「呉地区の英連邦軍によつて労務者約一万人が四月二十八日以降調達庁を通さず、直接に雇用されているが、英連邦軍は予算がないからという理由で従来より二、三千円賃金を切り下げ、退職金も支払わないことになつている。」と言つているそうであります。これについての労働大臣の所見を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 呉地区にいる英濠軍に使われる労務者は、お話のごとく、独立後は英濠軍直接雇用になつておるようであります。従つて法律が直接適用になることは、ただいま調達庁長官のお答えの通りであります。 なお御指摘になりました呉地区に雇われている者が、英濠軍の方で予算の関係その他で従来通りの給接が払えないから、若干切り下げなければならぬということを言つているようであります。そういうことで組合側あるいは個個の労務者側と話を進めているようであります。これは労働條件のことでありますから、労働條件は雇用主と雇われる者との間で自主的に解決して行く筋合いのものでございますので、私はできるだけ円満に解決することを希望いたしております。と同時に、従来の雇用條件はできればそのまま存続して行かれんことを要望している次第であります。
○森山委員 労働大臣は従来の労働條件がそのまま存続せられることを要望されたそうでありますが、具体的にどういう要望をされたか、だれに対してどういう意思表示をされたか、伺いたいと思います。
○吉武国務大臣 これは渉外関係になりますので外務省を通じて話させております。
○森山委員 もし労使双方の話がまとまらない場合には、日本の労働法によるところの一切の労働行為が許されると見てさしつかえありませんか。
○吉武国務大臣 その通りでございます。
○柄澤委員 これは昨日も当委員会で御質問申し上げたのでございますけれども、ただいま森山委員から触れられました、英濠軍の駐留費支払い義務がどちらにあるかということに関連いたしまして、労働大臣の御答弁並びに長官の御答弁を聞きますと、特調関係ではないということになりまして、労働三権がこれは適用されるのだというふうに政府側の御見解として結論が出たと思うのでございますが、そのように了承してもよろしゆうございますか。
○根道政府委員 そのように考えております。
○柄澤委員 次にお伺いしたいのでございますが、特調関係に所属いたします労務者が駐留軍にかわりましてから、あなたは完全に労働三法が適用される條件にあるというような御答弁をなさつたようでございますけれども、それがどのくらいの範囲で、どういうふうに具体的に適用される條件にあるかということを、総括的でよろしゆうございますから御説明いただきたいと思います。
○根道政府委員 どの範囲と申されましてもちよつとお答えいたしかねますが、労働三法のごとき完全適用がある状態になつている、こう申し上げたいと思います。
○柄澤委員 そういたしますと、英濠軍が特調関係からはずれたということでございますが、そういうふうに特調関係からはずれましたものはどのくらいの範囲でございますか。
○根道政府委員 約一万二千名であります。
○柄澤委員 先ほども御質問申し上げましたが、その他の現在特調関係として実際に役務に従事している者はどのくらいあるかということも伺いたいと思います。
○根道政府委員 先刻申し上げましたように二十一万弱であります、
○柄澤委員 五月十八日の朝日新聞を拝見いたしますと、合同委員会で予備調査班が、駐留軍の使用する施設並びに区域の決定に対しての交渉を進められているようでございます。その結果相当北海道から関東、中部、中国、九州に至るまでの広汎な地域が指定されておるようでございます。そういたしますと、これらの合同委員会で決定されましたところの地域に働いている労働者というものは、あなた方の特調関係の労務者として、行政協定の十二条に保障されているような範囲で、これが保護されて行くのかどうかということも重ねてお伺いしておきたい。
○根道政府委員 そういうところに働いております労務者には、先刻も申し上げましたように二種類あると思います。そのうちで大部分が日本政府の雇用に属しておりまして、調達庁において所管しておる関係の労務者であります。
○柄澤委員 日本政府の雇用にかかわるものであるとすれば、政府が全責任をもつて、公務員としての待遇を保障するというのが特別職の給与規定の中にあつたと思うのでございますが、それが今度ははずされたという御答弁だつたのでございましようか。
○根道政府委員 その関係の法案がただいま本国会において審議をされておりまして、衆議院はすでに通過いたしたのであります。
○柄澤委員 従来公務員は給与べースが非常に不十分な形で、ベース・アツプになりましたときでも、占領軍関係の労務者というものは非常に差別がございまして、特別な條件のもとで働いておるということで、非常に人権蹂躪のあつたことは御承知の通りだと思うのでございます。この銃や武器を持つておる占領軍に使われておるという考え方は、私どもから言いますと、このような労働者に対しては実に不親切で、基準法をろくに実施せず、監督もしないというような政府でございましても、まだ日本政府に使われた方がいい、外国の軍隊に使われることはいやだというのが日本の労働者の素朴な考え方であつたと思うのでございます。それが行政協定の実施によつて、駐留軍がまだどれだけふえるかわからない、どういう状態になるかわからないということが、一方的に政府の独断でもつて国民に押しつけられておる今日、今度の法律で今まで以上に——今日の参考人の御答弁を聞きましても、占領下と同じようである。占領下よりも今度の法律ではよくならない。こういうことを言つておるのでございますが、あなたのおつしやるように、労働條件が確かに完全に適用され、三法が適用される状態だという抽象的なお言葉だけでは、私ども納得行かないのでございます。だから今度の強制調停とか、あるいは刑事特別法というものが出まして、軍事機密保護法以上の悪法で、たとえばジエツト機が飛んだと言つただけでもひつかかるというような悪法のもとで、どうして労働三権が保障されて行くか。それから現実に行われておるいろいろな基準法違反とか、人権蹂躪に対して、特別調達庁長官は責任をお感じになつておらないのか。従来の通りか、労働三権が確立されていたのだから、今までのような状態は少くとも保つて行けるというお考えなのか、その辺につきまして、今までは人権蹂躙もあつたし、いろいろな不都合な点もあつたが、今後はこういうようにして、労働者の基本的な労働三権は確立して行けるようになるというような根拠につきまして、できましたならば御答弁願いたいと思います。
○根道政府委員 初めのころ申されましたことでありますが、労務者の状態は前よりは悪くなつておらぬのであります。行政協定におきましては、日本政府が雇用して軍に使用させることも、あるいは軍が直接に雇用することもできる建前になつております。しかしながら労務者側の要求によりまして、日本政府において雇用主の立場をとつてくれ、こういうようなことでありましたので、政府といたしましても、現在間接雇用の形式をとつておるわけであります。なお労働関係法規の適用につきましては、占領当時の日本とは違いまして、現在独立国たる日本でありますので、その点昔ありましたようなことがあるというようなことは、私は想像しておらぬのであります。もしも万一労働関係法規を侵すような事柄が起りましたときには、政府は責任を持つて是正すべきものである。こう考えておるわけであります。
○島田委員長 柄澤君に申し上げますが、あなたの質疑の時間のときに、必要があればまたお呼びしてもいいですから……。
○柄澤委員 それではもう一点だけ……。今まではとにかくどんなものでございましても、特別職の給与の中に、一般の公務員並に扱われるのだという保護があつたわけであります。それが実施されてもされなくてもでございます。しかしながら今後はたして不十分ながら、国家公務員並の保護も保障されるのかどうか。
○根道政府委員 従来駐留軍関係労務者の給与は、公務員側の給与が上れば、当然これに準じて上げておつたわけであります。
○柄澤委員 実施されていないのです。
○根道政府委員 実施されておつたのであります。現実の給与ベースは実質的には一割程度余分であつたのであります。たとえば調達庁長官であります私よりもはるかに上の給与をとつておる労務者も相当多数あるわけであります。それがその後におきまして、政府といたしましては、一般公務員の給与をもとにし、またその他一般民間の事業等における給与等も勘案して、調達庁長官が定めるということにいたしてあるのでありますので、もちろん公務員以下の基準においてものを考えようとはいたしておりません。
○森山委員 先般の公聴会で北岡公述人は、わが国における真実の民主主義者や自由主義者が、この種の立法に反対する理由といたしまして、日本政府を信用しないのだということを言つておられます。これは外国でも同様である。日本政府はこれを濫用するであろう、改悪するであろうという疑念を持つておるということであります。私はその際、そういう政府とは吉田自由党内閣かと聞いたところが、それだけではなくて、一般的にどうも日本政府はそういうふうな見方をされるのであるという御返事であつた。これは私どもとしては深く戒心しなければならない一面を持つておりますが、その際北岡氏は、そういうような考え方がある以上、内外に対して国際労働條約を批准すればいいという意見を出されたのであります。ところで社会保障制度審議会が、社会保障の最低基準に関する国際労働條約案について、ILOの総会で賛成すべきであるという意見を本日申し入れるやに聞いております。これは国際労働條約という意味において、かつまた吉武労働大臣は厚生大臣も兼ねておられるわけでありますので、国際労働條約に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 国際労働條約は、日本は戦前におきましてもできるだけこれを尊重し、批准をする努力を続けたのでありますが、戦後におきましても、日本の労働法は大体国際條約をもとにいたしましてつくつておるはずであります。従いまして国際労働條約できめられたことで、日本で現に行つておるものにつきましては、できるだけこれを批准いたしたいと考えております。その点は社会保障につきましても同様でございます。
○森山委員 それでは労働法改正の逐條の質疑をいたしたいと思います。今回の労働法の改正の中で、労調法の改正問題が一番重要だと思うのであります。その中で冷却期間を十五日に減少はするけれども、却下という制度を設けるという改正がなされておるのであります。ところですでに中央労働委員会規則第七十条第二項には次のように書いてあります。「労調法第十八條第一号、第三号又は第三号の規定に基いて調停申請書が提出された場合でも、委員会が労調法第二條後段並びに第四條の規定の趣旨に基き、関係当事者間において事件の自主的解決についての努力が極めて不充分であり、なお、交渉の余地があると認めたときは、一応申請を取り下げて交渉を続行するよう勧告することができる。この場合には、関係当事者にその理由を明示しなければならない。」というのであります。ところが実際従来の三十日の冷却期間を見ますと、中央労働委員会規則第七十條第二項の規定にもかかわらず、これはスト権獲得のために、ストができるという切符をとるために利用されておるのです。ですから、今度の労調法の改正で、冷却期間を十五日に短縮したのは一応了とするといたしましても、これに対して却下という制度を設けたところで、結局同じことになるのではないかと思うのであります。現にこれについては昨日、一昨日の二日間にわたる公述人の話を聞いておりますと、却下という制度に対して、大きな期待を持つておる者はほとんどないといつてさしつかえないと思う。これは吉武さんもこの公聽会を終始熱心に傾聴されて、私も深く敬意を表しておるところでありますけれでも、よくお聞きになつたところであろうと思います。しかも法律上見ますと、この却下というものが違法であるか、不当であるかというようなことに、学説上問題がある。かりにこれが不当ではなくして、違法であるということになりますと、裁判所の問題になつて、また一問題起してもめるのであります。そういう点から見ますと、今度冷却期間を十五日に減らしましたけれども、却下という制度を設けるようなことはおよそナンセンスなことではないかと私は考えますが、大臣の御所見を承りたい。なお私はこれに対する代案として、十五日間の予告制度ということにしたらどうかという見解を持つておるものでありますが、大臣の所見を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 御指摘のごとく、従来といえども中労委において自分のところの内部的な規則において、これは不十分だと思つたときには、勧告をするようにいたして、また勧告したこともあります。しかしそれは行われていない。なぜ行われないかというと、やはり法律に明文がないからであります。でありますから、言うことを聞かない。それで私も実は公聴会は熱心に傾聴いたしましたが、公聽会で述べられましたどなたさまも、現在の冷却期間の三十日間は有名無実であると述べられておるのであります。私もかように存じまして、今回の改正をいたしたのでありますいういろいろ御意見はございましたが、現在の冷却期間の制度があれでよいという方は、たしか野村さん一人だつたかと私は記憶いたしております。実際に経験されました中労委の方は、労働者側の代表の方でありましても、使用者側の代表の方であつても、また公益の代表の細川さん、あるいは藤林さんも、みんな同じ意見です。ただこれについて注意すべき点は、御指摘になつておりますように、ただ却下するといつても実際できるだろうかという御意見もありますし、またこれをむやみに却下したのでは、実際に争議を抑圧しやしないかという御意見もあります。これは御心配される点は無理からぬ点だとは思いますけれども、冷却期間を置いたゆえんのものは、公益事業はただちに争議に入らないで、できるだけその間に調停をさせようという趣旨のものでありますならば、今までのように、ただ切符を買うというやり方はできるだけ是正をして、かりにそれが効果があるかないかはわからぬにしても、一応自主的な交渉のない場合は、もう一度ひとつやつてごらんになりませんかという処置をとることは、必要であろうと思うのであります。それから今御指摘になりましたように、そう役に立たぬものなら予告期間でいいじやないかというお話でありますが、そうなると、この冷却期間の規定は精神が全然かわつて参ります。つまり今までの有名無実の三十日間を、そのまま文字をかえて置くことにしかならない。そういうことは、公益事業としてはできるだけその間に話合いを進めて、まとめようという方の努力というか、真意というものが没却されるのでありまして、その結果がどうなるかというと、勢い緊急調整の方に、みな持ち込まれるのであります。私は先般申しましたように、緊急調整というのは、実際真に緊急の事態があつて、これは国家としてほつておけない。従つてやむを得ず、そういう場合には緊急調整なる措置によつて、できるだけ平和的な解決をさせようというねらいから、予告すれば時間の経過によつて、みな断つてしまいますから、そうすると争議になつてしまう。それが解決をつけないと、みんな緊急調整に入るということは、私はかえつてよくないと思います。でありますから公益事業においては、従前のように却下すれば三十日というのは、私長いと思いますから、法制審議会の答申のように、十五日でけつこうでありますが、その間に労働委員会は、始終労使間の関係を見ておりますから、不十分であれば、もう一度ひとつお話合い願えないかということで、話を進める。その間に労働委員会としては、これはまとまるものか、まとまらないものか。もし持ち込まれたときにどうしようかという用意があると思います。ですからぜひひとつこの改正の趣旨は、精神をかえないで、このままひとつお認め願いたいと思つております。
○森山委員 この問題について経団連の箕浦さんは、こういつております。交渉努力の事実の認定の基準はむずかしい。従つて却下制度は、実効性がないのだということを言つている。これは要するに、使用者側の代表でも認めているのですが、同じことは、法律ではなかつたのですが、労働委員会の規則にちやんと載つている。あなたはふだんから法律がなければ何にもできないというような考えは間違いでございます、ということを何回も何回も言つておられますが、今度は法律をつくればできるのだ、そういうような趣旨では一貫しない。そういうような話は、私は受取れません。大体三十七條の冷却期間は、表面上から見れば抜打ち争議の禁止ということだ。拔打ち争議の禁止という、少くともその程度のことは、十五日程度の予告期間ならできる。ところがどんなことをお考えになろうと冷却期間は十五日に減らしだが、却下という制度を設けたから今度は煮つまつてからでなければ、十五日の冷却期間はかわらないのだというような独善的なことを言われるかもしれません。しかし敗戦後今日までの、実際上成立しておりますところのものは別としても、労働関係を法律をもつてしても急速にかえることができるなどということは、とんでもない料見違いである。あなたのふだんの申分からいうと、非常に前後撞着しておる。矛盾しておる。そういう点は、よくあなたは御了解になつていると思うのであります。なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、講和発効後において、法の不備があるからじやないかということを非常に心配して、大臣に質問したときに、いや心配はない。法があれば何でもできるということはありません、と言つてあなたは大みえを切つた。ところがあなたごらんなさい。五月一日にメーデー暴動事件が起きておる。取締り法規がないじやありませんか。堂々と「アカハタ」が発刊された。徳球の写真のプラカードをかついだりして、この国会の前を堂々と行進する。しかも手がつけられない。しかし法だけではどうにもならないという点は私はよくわかります。わかりますけれども、今度の改正案に却下という制度を、法律上設けるからできる。今までは規則だからできなかつたという言い方は、三百代言的の言い方です。この三十七條は、拔打ち争議の禁止というところにあるならば、十五日の冷却期間で十分であつて、この期間が過ぎたら、緊急調整に入つてしまうというような考え方が大体おかしいと思うのです。労働者は決してストライキをやろうと思つてやつているのじやありません。ストライキは手段としてやつておる。どうもあなたが、ふだん、日本の労働組合は健全に成長していると言われておりますが、健全に成長しつつある労働組合は決してストライキを目的としておりません。ストライキを手段としているのです。こういうことから考えれば、あなたのおつしやるような十五日間の冷却期間に、却下という制度でもつてやれば、よりよい事態ができるのだということは、これはとうていできません。だからどうですか、吉武さん、十五日の予告期間にあなたの考えを直すおつもりがないかどうか伺いたい。
○吉武国務大臣 私は、今そのつもりがないということを申し上げたつもりでありますが、重ねての御質問でございますから申し上げます。三十日は拔打ち争議をさせないためだ。そういうこともありましよう。しかし有名無実だということは、立法の趣旨はそうでないということを裏書きしている証拠であります。もし予告だけであるならば、現在三十日の切符をただ買つて、三十日たつて争議をするということですから、もし有名無実をそのまま正しいとするならば、それは確かに予告であります。けれども皆さんが有名無実だとおつしやることは、この立法の趣旨はそうでないということを言つておるのでありますから、そうであるならば、この立法の趣旨を生かす努力をすべきであるということを申し上げておるのであります。私は法律で何でもできるものでないということは、今でも相当確信を持つております。しかしながら、それだから法律はいらないといつた覚えはありません。法律は法律として、できるだけ整備すべきものは整備すべきでありましよう。しかし法律さえつくれば世の中が何ら心配なしに行くとは考えておりません。メーデー事件を御指摘になりましたが、あれは法律がないからだとおつしやいますが、法律がありましても、法律を守らないで違反をしようというものにつきましては、いくら法律をつくつても同じことであります。
○森山委員 そういう観念論で論争をしたくはありませんけれども、メーデーの暴動事件は、法律がないから起きたのだということを私は申しているのじやない。法律があつたらなおよかつたろうと申し上げておるのです。しかし法があつても、何でもできるものではないというあなたのおつしやる趣旨はよくわかる。あなたが従来中央労働委員会の規則に同じような規定がある。また立法の趣旨も、頭の中では労働組合も使用者側も労働委員会もわかつておる。わかつておりながらこの三十日間の冷却期間は本来の趣旨から離れておつた。実際は抜打ち争議の禁止という使命を果しておつたわけであります。そうなればどうせ今度の案で十五日に減らして、却下という制度をやつても、使用者側である箕浦さんまでが、これは実効性がないというはんこを押しておる。私はよく聞かなかつたが、中労委の公益委員の方も、あまり自信がないような発言をしておられたように思います。そういうことを考えてみますと、なるほど大臣のおつしやるように、目的が達成されるだろうか、実際は目的を達しないであろう。達しないばかりでなく、却下をめぐつてさらに一紛争が起きるということならば、私は十五日間の予告期間にかえるということの方が、立法の立場としてはよいやり方ではあるまいかというふうに考えておるのでございます。しかしこれ以上は議論になりますから、私の見解だけを述べまして、次の質疑に移りたいと思います。 さて私の議論によつて十八條の一号から三号までが十五日という予告期間でやるということになりますと、四号、五号は従来の冷却期間をかりに残しておくといたします。法規の上ではそのまま残しておく、現行法通りであります。どういうことになりますか。そうなると緊急調整というものはあまりいらなくなつてしまう。緊急調整の條文を私は見でみたいと思う。緊急調整で何をやるか。第一番にあつせんを行う。緊急調整というような段階では、もうすでに法のあつせん員なんかによるあつせんなんかを行うべき事態ではない。調停を行うのはけつこうです。仲裁を行うといつても三十條各号に該当する場合に限りというのですから、この條文は死んでおる。実情を調査するというのは労働委員会の権限としてできます。公表することは実際新聞でやつております。解決をするために必要な措置をとることを勧告する、これも実際やつております。そうしますと、実際上現行法を生かすだけで、これは何ら緊急調整という文句を使わないでもやれるんじやないですか。それをことさら大臣は緊急調整というような大なぎなたを大上段に振りかざして、労働者に立ち向うような印象を与える。もちろん私は吉武さんのように進歩的な方はそういう木逞な考え方は持つていないと思う。労働者のことを非常に心配されておると思いますが、ともかく最近政府のやり方を見ますと、破壊活動防止法、警察法の改正あるいは公安條例の法律化、あるいは伝えられるところによりますとゼネスト禁止法を出すやら出さないやら言つておる。そういうさ中にあつて、労働法体系の中に緊急調整といつた、いわばゼネ禁と同種構想のものを入れることは適当ではないと思います。大体大臣は、四月八日の読売新聞に拔かれたところの法律案の改正要綱によりますと、総理大臣の差止め命令権というものを入れておる。総理大臣の差止め命令権とこの緊急調整というものは、これはくつついておつた。なぜこれを抜いたか。要するにゼネ禁というものを労働法の中に入れて考えておつた。ですから根本的に今日の時期においては、こういうものを設けるよりも、現行法規のわく内におけるやり方をやつたらどうかと私は考えます。そこで大臣に一つの提案をしたい。現行法十八條の五号の「公益事業に関する事件又はその事件が規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす事件」これは今度の緊急調整と文句が一言半句も違つていない。ただ少しこれに條件がつくわけです。「これを放置することにより国民生活に重大な損害を与えると認めるとき」これは現行法のままでやりますと、緊急調整より実際は重くなつてしまう。それでは困る。そこでわれわれはこれに対して、せつかく労働者のために緊急調整というような御構想をお持ちになつたことでございますから、国民生活に重大な損害を与えると認めたとき、これも労働大臣だけが認めては困る。吉武さんがいつまで労働大臣をやつているかわからない。将来吉武内閣というものができるかもわかりません。ですから吉武さんが労働大臣をいつまでもやつていないとみるのが大体の常識でございますので、これについては少くも労働委員会の意見を聞くというようなことをお加えになることです。そうすればこれは緊急調整とちつとも違わないのではないか。現行法よりもむしろ緩和したことになるわけです。それだけではちよつと私ども困ると思うのです。というのは、公益事業だけについては冷却期間の適用があるけれども、公益事業以外には適用がないわけです。事件の規模が大きいとか、あるいは特別の性質の事業に関するものであるとか、公益に著しい障害を及ぼす、しかも国民生活に重大な損害を与えるようなもの、これをそのまま放置するというようなことも特に緊急調整の精神にのつとればどうかと思うのであります。これについても三十日間の冷却期間を入れる、こういうふうにしたらどうか、そうすれば公益事業についての法律はずつとよくなる。そうでないところの公益事業外のものであつても、今申し上げましたような非常に重大な要件を持つて来るならば、それを三十七條の改正案の中に入れれば、これは緊急調整と同じようなことが現行法のわく内でできるのではないか。ことさら緊急調整というようなものを使つて——きようの朝日新聞にも、一番冒頭に「緊急調整に争点」と書いてある。ゼネスト禁止の語句と同じようなものを置かなくても、やろうと思えば現行法のわく内においてできるのです。そもそも今回の労働法の改正は、大臣の頭はゼネスト禁止とか治安立法という考え方から出て来た。その両方から出て来た考え方が今日の結果になつたのではないか。すなおに物事を考えて行けば、私の言うように現行法のわく内でできます。大臣はこれについてどういう御所見を持つておられるか。ちつとも違わないじやないかということについて、あなたの御賢察を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 森山さんのお説を聞いておりますと、現在十八條の五号について強制調停の規定がある、従つてこの規定を改めて、緊急調整的なものによつてやれば行けるのではないかというお話なのであります。それはそういう方法もとれるでありましよう。しかしそれをとりますと、すべてを緊急調整でやるという運用をやることになるのであります。私が先ほど申しましたように、争議というものはできるだけ自主的に解決し、制限的に行くべきものでない。ただ公益事業、または大規模であつてこれを放置するときには国民生活に重大な損害を及ぼす、政府としてこれをほつておけない、国民としてもやかましい。そういうときにそれを争議に上らないで合理的な機関にかけて解決しようというのが最後の緊急調整であります。これを十八條に持つて行つて、これでやれば行けるじやないかということは、それも一つの方法でありましようが、それはすべて緊急調整で争議を片づけるという行き方でございまして、私はそれはとるべきでないと思います。もし森山さんが、いや、十八條の五号は緊急調整的なものは考えていないのだ、厳格に普通の場合だけだとおつしやるならば、さらに私はお尋ねいたしますが、そういう方法を講じてもなお争議解決せずして、そうして国民生活に重大な損害を及ぼしてこれが放置できないような事態になつたとき、これをいかに処理するかという問題が残るのであります。でありますから、できるだけ普通の争議は、公益事業等は自主的に解決をさせる、それもうまく行かぬときにはやむを得ず強制調停等によつて処理をしていただけば、あるいはそれで片づくでありましよう。しかしながらそれでも片づかないで、国民生活に重大な損害を及ぼして、国として放置できない状態にやむを得ず緊急調整の処置をとろうというのが今回の処置であります。でありますから、これを一本でまとめたら簡單ではないかとおつしやつても、なかなかそうは行かない。 それから強制調停の場合であつても緊急調整の場合であつても、同じあつせん、調停という文字を使つておるではないかということであります。なるほど文字は同じであります。しかし普通の争議の場合のあつせんと、こういう緊急事態のときのあつせんとは、おのずから力の入れどころ、あるいはまたやり方についても、文字は同じでもなかなかそう簡単ではございません。皆さん御承知でありましようが、普通争議にはあつせん、調停、仲裁というような方法があるわけでありますが、要はいかにして解決するかということでありまして、文字が同じだから同じではないか、こう言われましても、なかなかそう簡単ではない、かように存じております。
○森山委員 お答えいたしますとこう言いますと、こちらが大臣のようになりますから、いずれ大臣になつてからそういうお答えをしなければならぬ、しかしお尋ねがありましたのでお答えいたしたいと思います。まず私は、常常日本の労働運動における政治的偏向に対して強く警告を発しております。これを強く戒める一員であることは、大臣もよく御存じのところだと存じます。しかもなお私は、現在の日本の労働運動の健全な発達を祈つております。大臣は健全に発達しつつあるという御認識でございます。これは大臣が再三再四おつしやつておる。そういうお考えの方が、こういう非常事態になつたときどうするというようなことをお考えになること自体がおかしい。今日の段階においては、すでに破防法その他いろいろな手は打つてあるのであります。私はそういう事態が来ないことを日本の労働運動のために確信いたしております。しかし万が一必要なときはどうするかというならば、それはその必要なる事態の認識にもよりますが、これは労働法上そういうことをおやりにならない方がよい。新聞紙上伝えられるところによればというよりは、むしろこの労働委員会の席上においても、木村法務総裁は、何とか今国会に間に合うようにゼネスト禁止立法をやりたいということを言明しておるのです。一方においてゼネスト禁止法をやりながら、労働法の中にゼネスト禁止的な意味を持つところの緊急調整というようなものを置くことは、労働法の体系をこわすものですよ。しかも平素の労働運動に対する吉武さんの、健全に発達しつつあるという御認識——この問題では大分吉武さんと論争いたしましたが、健全に発達しつつある労働運動ならなぜ一体こういうゼネ禁的な緊急調整が必要なのだと私は言わざるを得ないのであります。しかも十八條五号が従来適用になつたのはわずか三回しかないのです。もちろんその間には司令部の介入等があつたでありましよう。しかし今後大臣以下の関係官の方々がそれにまさる努力をすれば、これはもう少し適用があつても何らさしつかえありません。それを今度越えるような事態、これは私は今日想像したくないのであります。また大臣の御見解も同様であろうと思う。一方においてゼネスト禁止を唱え、しかも他方においてこの労働法の中に緊急調整というような條文を置くことは、決して正しい行き方ではないと私は思います。できることならば現行法のわく内でおやりになつたらいかがですかと申し上げる。現行法のわく内でやるということは長谷部君も了承しておる。十八條の五号でやれるではないかということを長谷部君も言つておる。公益事業以外について冷却期間をかけることについてはいろいろ議論があろうと思う。しかし公益事業についてはかける要件がずつと重くなつておる。そうであるならば、国民生活に重大な影響を与えるという事態においては、公益事業も公益事業でないものもわずかの差しかないと思う。その意味においては、公益事業以外も労働組合の方に忍んでいただいて入れれば、緊急調整と同じことが現行法のわく内でできるのです。ことさら緊急調整ということを置く必要はないと私は思う。私は吉武さんの善意の方面を理解してこういうような一つの案を考えた。もしこれが反対せんがために反対するというような共産党のやり方をするならば、簡單なんです、反対と言つて手さえあげればいいのですから。私はそういうことをしたくないのであります。健全な野党はやはり一個の自分の案をもつて示さなければならぬ。そういう意味で私は吉武さんにまじめに提案をしておるのであります。これは与党の方も十分耳を傾けて聞いていただきたいと思うのであります。
○吉武国務大臣 私が先般日本の労働組合は健全に育ちつつあると申しましたのは、決して完全に健全だという意味ではございませんで、まず健全に育ちつつあるという意味であります。なお若干心配の点は御指摘の通りであります。ただ健全だからそういう緊急事態のようなことはないと断言ができるかというと、私はそうも行かないと思います。森山さんは自分もそういう政治的なものがあり得ると予想されるから、それは治安立法でやれ、こう言われるのでありますが、(「必要があればですよ」と呼ぶ者あり)そうです。それも私は全然ないとも申しません。しかしながら健全なものであつたからといたしましても、争議になれば、争議でありますから非常事態に立ち入ることもあり得るのであります。今アメリカの例をひくのもおかしな話でありますが、今日アメリカにおける組合、AFLにいたしましても、CIOにいたしましても、私は労働組合としてはまず国際的に健全に育つておると思うのでありますが、そのアメリカでも、やはり緊急事態の立法をしておるのであります。ですから私はこういう法律をいたしましたからといつて、これをそう再々適用をしたくはございません。もし適用しないで済めば非常にけつこうだと私は思つております。しかし心配があればそういう事態に対処するところの処置を講ずることは、特に今日のような独立後におきましては必要である、かように思うのであります。私はそうだから治安立法はいらないとは申しませんが、これはあなたの御指摘になりましたように、よほど考えてやるべきだと存じまして、一応労働面につきましてはこの程度の処置が必要であろう、かように存じております。
○森山委員 大臣の今の御弁明は、ちよつと根拠が薄いと私は思うのです。これも見解の差でありますから申しませんが、大臣にこの際お伺いしたい。この間木村法務総裁は、ゼネスト禁止法をぜひとも今国会に出したいということをここで言明されました。吉武労働大臣は閣僚の一員として、これにどういう御見解をお持ちでありますか。
○吉武国務大臣 私はゼネスト禁止の法律を出すということは言つておりません。そういう緊急事態に対しての治安上の立法処置が必要かどうかという点につきましては、必要であろうという感じを持つております。それにつきましては、事法務府でございますので、今法務府の方で検討されております。これがこの国会に出されるか出されないかは、まだ検討中でございますので、何とも申し上げられません。
○森山委員 逐條で、次の三十九條の問題に移りたいと思います。今度の改正案の三十九條は個人罰になつておるのでありますが、これはむしろ前の規定のように、団体罰というふうにした方が適当なのではないか。個人罰にした理由について承りたいと存じます。
○吉武国務大臣 組合は大体団体として行動をするを例といたしますから、団体罰が適当であろうと思つて、この前の立法のときはそうしたのであります。ところがその後の実績によりますと、森山さんも御承知かもしれませんが、一昨年の七月でありますか、国鉄その他の組合におきましては、執行部で争議をやらないということに決定しておりましても、いわゆる山ねこ争議と申しますか、末端ではそれぞれ争議をやつておる例がたくさんあるのであります。そうしますと、これはただ代表者を罰するというわけには参りませんので、そういう不法行為を行つた者を処罰せざるを得ないという意味におきまして、今回個人罰にいたしたわけであります。
○森山委員 今度の改正法案によりますと、もし三十七條違反の罪があつて、冷却期間を破つてストに全部入つたといたしますと、これは全員が三万一円以下の罰金ですか、千人もし入ると情状が重いというので三千万くらいの国庫の雑収入になるというような、こういうところまで想定されておるのでしようか。
○吉武国務大臣 およそ裁判の際は、情状によつて処罰の刑量がきまると思います。従いましてそういう場合には、その代表的な責任者が重く罰せられることは当然であろうかと思います。
○森山委員 私は労働法の上であまり罰則を置かない方がよいという見解を持つております。従つて公労法の上では全然罰則がないのであります。私はだから公労法いうものはなかなかおもしろい法律だと思います。ところが労調法ではこういう罰則がある、しかもそれが個人罰というふうに切りかえられた。これはもちろん大臣のおつしやる通り、山ねこ争議等があるので、ひとつこういうふうにやつた方がよかろうという御見解かもしれませんが、これはむしろ罰則ならばやはり団体ということが本則であるべきじやないかと思うのであります。一応労働運動はできるだけ自由にする。しかし治安上やむを得ない場合は、これはそのときの必要性いかんによりますけれども決して私は遠慮すべきじやないと思う。労働運動の範囲内においては、できるだけ罰則等は設けない方がよいという考え方を持つております。そこで個人罰になつたということは、労働運動の実際問題としては相当きつくなりはしないかということを、私は心配するのであります。例外的な山ねこ争議その他をお考えになれば、そういうことも言えましようが、それはおよそ罰則中の例外の場合であります。そうなればやはり従来の方がよいのではあるまいか、こういうような見解を持つのでありますが、いかがでありましようか。
○吉武国務大臣 先ほども申しましたように、およそ団体的に行動した場合には、その団体の代表者が責任を負うということが本則であることはもちろんであります。しかしながら団体の執行部が指導をしないでも末端においてやつた場合においては、その責任を組合の代表者にかけることは酷であると存ずるわけであります。従いましてそういう違反をした行為者を罰するのが、これが刑罰の建前であろうかと存じます。
○森山委員 ちよつと公労法に入りたいのでありますが、公労法の第二條に、これに附帯する事業というのがありますが、それについては郵政関係の方から郵便局にこれを委託しておるというような問題があるのであります。そういうことも附帯する事業に含むというように考えてよろしいのかどうか承りたいと存じます。
○吉武国務大臣 現業官庁は、現業の実態において国鉄その他と非常に似た点がありますので、この際団体交渉権を認めようとしておるのでありますから、その趣旨はできるだけ尊重して行くべきであると思います。従いまして附帯事業をやつておりますれば、その性質を見なければわかりませんが、同じ現業的なものであるならば、これは含めて従業員の権利を保障する方に解釈をして行くべきであろうと存じております。
○森山委員 そうすると特定郵便局等における電通省の委託業務に従事する職員にも団体交渉権が与えられると理解してよろしうございますか。
○吉武国務大臣 さようでございます。
○森山委員 公労法においては組合員の範囲を政令できめるようになつております。これは今回の改正案には漏れているのでありますが、政令できめられるようになつております。これを労使協議のやり方でやつて参りたいという意見がございますが政府の御見解はいかがでございますか。
○賀來政府委員 この点について、公共企業体の関係にありましては、いろいろ従来の経験から組合側にさような意見ありまして、われわれは研究をいたしたのであります。ところが御承知のように公共企業体におきましても、その職員は公務員と同様とみなすという規定があります。同時に国有鉄道法を見ましても、その職員は職務に専念すべき義務があるということにもなつておりますし、やはり明確に一線を引いて置かなければならない点があるわけであります。また今度の改正におきまして入れて参りましたところの国家公務員の現業員につきましては、やはり国家公務員法が大部分適用になつておるわけであります。しかもその一部の現業につきましては、国家公務員法の一部の適用をはずすということになるのでありまして、この線の引き方によりまして、国家公務員法が全面的に適用になるものと、それから一部排除になるものが出て参るのでありますが、これらの線を引くことを団体交渉のみにまかせておきますことは非常は現実において困つた問題が出るわけでありますから、この点はやはり団体交渉によらずして定めるべきであるということにいたしておるのであります。 〔委員長退席、船越委員長代理着席〕 ただしかし政令で定める場合におきましても、やはり実情につきましては十分聞く必要があるわけであります。これは権利を与えるという建前から、十分慎重に扱わなければならないのでありますから、われわれといたしましては、労使双方の意見を十分聞きました上で、この定め方をいたしたいと考えておる次第でございます。
○森山委員 次に公労法の今度の改正案で、三十六條に「命ずる」と従来あつたものが「指示し、又は命ずる」とあるのでありますが、指示と命ずるとはどういう差があるのか承りたいと思います。
○賀來政府委員 今度の改正案によりまして、従来公社のみでありましたものに、国が相手方に入つて来ておるわけでありますから、公社の場合には命令という言葉でいいのでありましたが、国に対しては適当でありませんので、国に対しては指示することにいたしたのであります。
○森山委員 国に対しては指示する、公社に対しては命令するということはわかりましたが、指示または命令に対して聞かなかつたらどうするか、その担保措置を承りたいと思います。
○賀來政府委員 御指摘の点は国が聞かなかつたならばということでおろうと思うのでありますが、またそれに対して罰則もないじやないかというお話かもしれませんが、国または公共企業体はそういうことはないと思います。
○森山委員 私は罰則まで設けろということは言つておりません。先ほど国鉄労組の人から罰則まで設けるという話があつたので、私はそういうことは誤りであるということをさとしたのです。しかしあなたのお話を聞いておると、国や公共団体は守らないことはないとおつしやるキング・ダズ・ノツツロングという要するにまことに古いお考えの上に立つておるのじやないか。一応取消しを指示し、または命令したらそれは聞くだろうと言うのですが、聞かなかつた場合どうするかということを規定していないというのは、法の不備ではありませんか、おかしくはありませんか。賀來さんのお話だと、国や公共団体はそういうことはしないのだと言うが、そういうことはあるかもしれません。そういう場合は一体どういうことになるのか。これではどうもけじめがつかないのです。三十六條の規定は、今度の改正案をもつてしてもけじめがつかない。はつきりけじめをつけていただきたい、ほかの法規はみんなあるのですから。
○賀來政府委員 国というものは、その意思はまつたく一本でありまして、予盾するということはないはずでありまするし、公社は運輸省の監督下にあるのでありまして、決してさようなことはないと考えております。
○森山委員 反することはないと言つたつて、あつたらどうするのだと私は言つているのです。私は法律上の問題を聞いておるのです。
○賀來政府委員 繰返しはなはだ恐縮でありますが、われわれといたしましては、決してさようなことはないと考えております。
○森山委員 繰返しはなはだ恐縮でありますが、違反した場合は一体どうなるのか伺いたいのでありますが、もうこれ以上言つても始まりませんからやめます。しかし私は、罰則をもつて臨めということは、国あるいは公共企業体あるいはその責任者たる個人等についても決して考えておるわけではないのであります。 次に労働組合側から、組合の専従職員について企業体が一方的にきめておるという話があります。労使協議という線にしてもらえないのかというような意見があります。組合員の範囲については、なるほど先ほど賀來さんが言われたように、もつともな面があると思いますが、専従職員について、これを企業体が一方的にきめるというのはどうでしようか。
○賀來政府委員 この点につきましても、公労法施行後、毎年公社と組合との間にいろいろ話がありまして、御指摘のように、組合側はどうも公社は一方的にきめられるということに籍口して、だんだんに減らして来る傾向があるので困るということを言つておつたのであります。いろいろ調べてみますと、組合の言うほどのことはないのでありまするが、なるほど毎年この点でいろいろ組合側に不平があることはわかつておつたのであります。そこで研究をしてみましたが、やはり先ほどお答えしたときに申し上げました通りに、公共企業体の職員は、公務員としての取扱いを受けておりまして、やはり専念の義務がありまするし、さらに国の一般職の現業につきましては、公務員法に基いて専念の義務があるわけであります。ところで専従者にいたしますことは、この専念の義務をはずすことになるわけでありますし、これを団体交渉等によつてその専念の義務をはずす範囲をきめることは法の建前から適当でございませんので、やはり公社側は、法律に基いてこれを取扱い得ることにいたしたのであります。しかしながらこれも過去二年の状況を見ておりますると、決して公社側が一方的に強行した例はないのでありまして、一応やはり話合いは続けておるようであります。われわれといたしましては、組合が危惧するような態度に公社側が出るということ、たとえばこの法律をたてにとりましてやるようなことにつきましては、公社側あるいは管理者側に十分注意をいたしたいと思つておりまするが、専念の義務を規定しておりまする法律の建前からいたしまして、やむを得ないことと考えておる次第でございます。
○森山委員 どうも賀來さんの今の説明は大分苦しいと私は思います。実際使用者側と協議してやつておつたのだというならば、法の建前も労使協議ということにきめたらどうか、それがまとまらなければこれを調停委員会にでも仲裁委員会にでも出してきめたらよいのではないか、このくらいのところは法は認めてもよいではないかと思うのであります。しかし政府の御見解がそういうことでありますから、これは承つておきたいと思います。 次に団体交渉の対象についてであります。公労法の第八條によりますと、いろいろなことが規定されております。きよう国鉄労組の方が、この団体交渉の対象をこういうふうにきめられたことについて、いろいろ苦情を言つてておられた。ここに一から八までありますが、これは制限列挙的なものであるのか、例示的なものであるのか、承つておきたいと思います。
○賀來政府委員 これは制限列挙をいたしておるのであります。
○森山委員 制限列挙ということによつて、実際上ぐあいが悪い事態が起つておるようであります。そういう事例を賀來労政局長は御存じだろうと思いますが、どういうようなぐあいの悪い事例があつたか、御説明願いたいと思います。
○賀來政府委員 現行法の書き方におきましては、たとえて申しますと、安全が入つて書いてありますが、衛生が書いてないというようなことからいたしまして、この衛生は団体交渉外であるというふうなことで論争があつたようなことも聞いているわけであります。従いまして今度の改正では、これを整理して明確にいたしたいと考えまして、この案にいたした次第であります。
○森山委員 そうすると、そういう意味で今度の公労法の八條の改正、それから地方公労法の立案をなさつたということになるわけでございますか。
○賀來政府委員 公労法は、先ほど申し上げたような趣旨でありまして、地方公労法におきましては、この趣旨を盛つて行つたのであります。
○森山委員 次に交渉単位制という條文が公共企業体にあるのでありますが、これは一体どういうことを言つておるのか、大臣から御説明願いたい。
○吉武国務大臣 御承知のように、団体交渉をいたす場合にだれが相手方になるかという問題でありまして、これは相当やかましい問題であります。従つて労働組合が一つであります場合は、もちろんこの交渉單位というものは一つでありましようが、それがいろいろありまして、これをそれぞれみなばらばらに許すことになりますと、話をまとめるのに非常に困る場合があるのであります。国鉄のようなものは、初めは一つでありましたが、御承知のように、機関労働組合というものができて二つにわかれる。二つが交渉するくらいのことは大したことでもございませんが、これがだんだんわかれて幾つもの団体交渉が始まり、その間にお互いに物の考え方が違つて来ますと、同じ国鉄に勤めておる従業員でも、その條件がばらばらになるおそれがございますから、でき得るならば私は一つでやることが望ましい、かように考えており現行法もその趣旨でできておる次第であります。
○森山委員 公労法上はそういう御解釈かもしれませんが、交渉単位というものは、何かアメリカから輸入の制度だそうでありまして、アメリカではAFLとかCIOとかに組合は属しておる。一つの組合がAFLにに入るかCIOに入るかというようなときに、何か交渉単位というものが使われておるというように聞いておるのですが、私は一体交渉単位というようなものを設ける意味があるのかどうか、労働組合法のペースに合しておやりになつても何らさしつかえないのではないかというような感じがいたします。交渉委員の点はひとまずおいても、交渉單位というものは、公労法の円滑な運営上欠くべからざるものであるかどうか、御意見を承りたい。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、労働組合はそれぞれ団体交渉権を持つておるのでありますから、それぞれの組合がそれぞれ団体交渉をすることが建前であります。また、一つの企業の中で一つの組合であるならば、これは言わぬでも一つであることは当然でありますから、規定する必要はないのであります。それがたくさんできますと、同じ企業の中において同じに働いておるのに、ただ組合を異にするために団体交渉の際別の交渉が始まり、まとめるのになかなかむずかしい。かりにまとまつて別々のものができても困る場合が起るだろうと思います。でありますから組合が二つであろうと三つであろうと、交渉單位を一本にして経営者側とぶつかつて行つて妥結するということが望ましい。そのことがこの公労法にそのまま規定してあるのであります。
○森山委員 今国鉄労組のほかに機労というものがありますが、機労は別個の交渉単位とお考えでありますか。また先般の労働大臣の決定によれば、交渉委員を割振つたようなことも聞いておるのでありますが、これは一体どういうことですか。
○吉武国務大臣 国鉄で例をとつて申しますと、国鉄の一般の組合が一つの団体交渉権を持ちます。機労ができますれば、機労も一つの団体交渉権を持つております。そうすると団体交渉権を持つ単位が二つになつて、一つの企業者と団体交渉を行うことになるのであります。そういうことでうまく行く場合もあるでしようが、多くの組合ができてやりますと、実はお互いに困る場合が多いのであります。そういうときには交渉単位を一つにまとめて、そのかわりその中に国鉄の一般の代表者も加わり、また機労の代表者も加わりまして、連合をして一つの交渉単位で企業者と交渉し、妥結をして行くという行き方をとることが、できれば望ましい。それが先般私どものとつた態度であります。それに対して、どちらの組合もまあやむを得ぬであろうということで了承されております。
○森山委員 大臣は交渉單位は一つが好ましいとおつしやるのですが、法の建前は団体交渉を行うに適当な單位を決定しなければならない。これは日本語では単数だか複数だかわかりませんが、おそらく外国だつたら複数でSがついているのではないか。日本だつたら一単位ということになるのじやないかと思いますが、実際問題として第十條は必要なものでしようか。特に機労についてそういう御決定をされたとすれば、一体どの程度の実効性がある規定なのか。どうも私は頭が悪いので、団体交渉を行うに適当な單位の決定というのが、少くとも現行労働法体系の中では理解できないのでありますが、いかがでございますか。
○吉武国務大臣 これは別に深い意味があるわけではありませんで、今申した通りであります。たくさんの交渉単位がございますと、話を進めるのに非常に複雑になつて来る。組合がたくさんある場合には、それぞれが交渉單位を持つて交渉するのが建前であります。ですから話がまとまらなければそういう方法もこれはやむを得ない。しかしそれが一つで行けるなら一つで行くことができれば望ましいという意味で、交渉単位制というものを置いておるのです。ですから一つでまとまらなければ二つで行く場合もあります。一つで行くか二つで行くか、あるいは三つにするかということをそのときどきによつて治まりいいようにして行くというのが、交渉単位制を置いてあるゆえんであります。先般も私は国鉄の両方の組合の間に立ちまして、あつせんをして話がまとまつたわけではございませんが、双方の言い分を聞いて、これが最も適当だということで、交渉単位は一つにする。そのかわりその交渉単位の代表の構成はそれぞれの組合からそれぞれの職能に応じて公正に出すという裁定をしてきめたのであります。そのこと自体には両方とも異議はなかつたわけであります。しかしながら交渉單位をその都度いろいろ話をまとめるということはめんどうであります。めんどうだからほつたらかしたらいいじやないかという議論も立つでありましようが、そうすることがはたして団体交渉を円滑にまとめて行ける手段になるかどうかという点は、よほど愼重に考えて行きたいと存じます。
○森山委員 交渉単位制については御再考願いたいのですが、交渉委員制というのは、一つの労働慣行としてずつとやつておるわけです。組合ではこれを廃止して、労働法のペースに合してもらいたいという意見がありますが、これについて御見解を承りたい。
○賀來政府委員 組合がどういうふうに申したかはよく知りませんが、関係当事者におきましても、この交渉單位制において認められておりまする交渉委員制度、言いかえますならば、この交渉単位制におきましては、交渉に当ります着はどういう形で選出し、その数は何人として、どの範囲の問題についてどういうふうにお互いに権限を明りかにしてやるということになつておりまして、団体交渉に当つて従来とかくとられましたところの、地域闘争あるいはむちやくちやに分裂したところの交渉方式によつて、交渉が円滑に行かなかつた点を是正し、円滑に行くようにしておる点は非常に特徴がある。こういうふうなことが言われておつたと承知いたしておるのであります。
○森山委員 今度の公労法の改正は、従来一番問題になつておる十六條に全然触れておらないのです。大臣は何ゆえに十六峰に全然手を触れないで公労法の改正をお出しになつたか、心境を承りたい。
○吉武国務大臣 これは先般の労働委員会でも詳しく申し上げたはずでございますが、十六条及び三十五条に規定いたしておりまするものは、仲裁があつた場合は原則として労働法制上、両当事者を拘束するということはあたりまえなんです。ただ事いやしくも国家予算でまかなわれておるものにつきましては、仲裁が国会で議決すべきものまで拘束するというわけに行かないから、三十五條但書において、十六條に該当する場合はこの限りでないということが、條件付になつておるのであります。でありまするから、十六條をごらんになりますと、十六條で予算上、資金上それが不可能である場合においては政府を拘束しない。しかし拘束しないからといつてほつておいていいというわけではございませんで、二項で何日間に国会にそれがいいか悪いかという承認を求めて、そうして国会がそれをのむべきだという承認を与えれば、初めてそこにおいて政府が国会の意思に従つて行動しなければならない。国会がのむべからずということになれば、それに従うべきである。要は公務員なりあるいは国家予算でまかなわれる者については、最終決定は国会がきめるという建前をとりまする以上、私どもが現在解釈している通りにせざるを得ないのであります。そういうことならば、そういうふうにはつきり書いたらどうかという御意見もございました。しかしそれはもうすでに解釈も成り立つて、数度慣行ができておる。でありまするからわざわざ明文にそううたわなくても、すなおにお読みになれば、そういうふうになつておるわけでありまするから、改正いたしません。ただ一方社会党の方で、前田さんあたりの御意見によると、これは国家も拘束すべきだ、国もそれに拘束されて、予算を認むべきだという建前にお立ちになれば、これは十六條なりあるいは三十五條を改正いたしまして、仲裁裁定は、即両当事者のみならず、政府を拘束するということも一つであります。しかしそれも、国会が最後に予算を決定する権能を持つておりまするものまで拘束するということは、私はとるべきではない、かように存じております。
○森山委員 大臣のお話を承つておりますと、国会を尊重するから今のやり方がいいのだとおつしやいます。しかし国会が十六條二項の承認をしまして、政府はどういう責任を負うかということになると、道義的責任しか負つていないのです。法律上の責任を負つていないのです。それじや十六條二項なんというものは空文になつてしまう。政府を拘束するというのはそういう意味なんです。国会が承認したら、法律上政府はそれを履行しなければならないところの責任を持つということにしなければならないと思う。ところが今の十六條の解釈は、池田大蔵大臣は少くもそういう解釈をとつておらない。そういうふうに国会で承認したつて、最後は大蔵大臣が、聞くか聞かないかは、道義上の責任であるということを言つておるのです。だからこれは法律上の責任を負うというふうにして、少くもその範囲内において政府を拘束するものでなければならない。かつそうするためには、国会に出すときに予算案をくつつけて出すというような形もとらなければならないという考え方をもつてやる方が、これはすなおな見方ではないでしようか。労働大臣のお話を聞いておると、すなおに見ると、ちつとも問題にならないのです。骨抜きです。大蔵大臣はもう十六條二項は、私は死んだものだと思つていますということを言つておるのです。国会で承認をするといつたところで、政府がこれに対して予算案を提出するところの法律上の責任はない、道義上の責任しかない、こう言つておるのです。これは法律上死んだも同然なことは確かです。しかるに予算総則上、御承知の通りわくががんじがらめにこれをやつてあるということになれば、十六條なんか死文じやないですか。公労法の精神から言えば、一方においてストライキ権を押えておるならば、両者の自主的交渉のほかに、調停、裁定というような一切の手を毒して、最後にきまつたものは国家が聞くというやり方でなければ、これは全然公労法の趣旨に合わないわけなんです。ですから今回公労法を改正しようというならば——これは現業公務員を入れたことはもとよりけつこうなことであります。まず第一に現業公務員を入れたところで、十六條が生きて来なければ何にもならないのであります。ですから公労法を改正するならば、一番最初に十六條の改正をしなければならない。そういう十六條の改正をしないでもつて、今回の労働法改正に及ぶということは、いささか私は疑義を感ずるのです。ですから少くも予算案をくつつけて一応出す。そうして国会できまつたならば、そのことは政府を拘束するのだ。大蔵大臣はとにかくそれに従わなければならぬのだということだけは、はつきりする必要がないでしようか。公労法の精神からいつて、私はそうだと確信するのでありますが、大臣の所見を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、国会の承認を得てきまるものであります。従いましてそれに関係をするものは、まず国会の承認を求める処置を講じて、それに従うべきであると思います。今まで国会の承認を得た事項で、それは道義的責任であるから国家は知らないなどと池田君が言つたかどうかは私は存じません。よもやそういうことを言つたはずはないと思いますし、また国会の承認を得た事項にして、国家がそれを尊重しなかつた公労法についての実例は、ないはずでございます。すべてその承認を得た事項につきましては、国家はその趣旨に従つて行動をとつておるはずであります。
○森山委員 池田大蔵大臣が言つたか言わないかということについては、かつて国鉄裁定の際、共産党の林委員から次のような質問をしました。「これは国会が承認するかしないかの場合の、われわれの材料として使わなければならないのだが、かりに承認した場合は、どういう財源をもつて充てようとしておるか。」それに対して池田国務大臣は、「仮定の問題でお答えするのはどうかと思いますが、」——これは実に総理によく似ております。「私の私見をもつてすれば、国会が差額を支給すべしという決議をなさつた場合におきましては、国会に法律上の責任はございませんが、政府としては政治上の予算提出の責任は負わなければならぬのではないかと考えております。ただ問題は、国会に予算の提出権がないというのは御承知の踊りであります。従つて裁定につきまして、どうしても法律的に政府が出さなければならぬということでなしに、政治上の問題だと私は考えております。」ということをはつきり言つておる。私はそれを砕いて先ほど申し上げたのであります。その考えは昨年の専売裁定の際も、いささかもかわつていないのでございます。ですから今回公労法をほんとうに生かすというならば、まず十六條をかえてかかるべきではないか。私は單純に政府を拘束しろと言うのではない。国会がきめたら、政府がそれによつて法律上義務づけられて予算を提出しなければならないということがぜひとも必要です。そうでなければ公労法は死んでいるのです。私は吉武さんが大蔵大臣であるならば、立場が違うからそういうむちやな言い方をしてもやむを得ない。池田さんは中小企業者の五人や十人は死んでもいいのだということを言われるくらいだから、そんなことは言いかねませんが、ヒユーマニストであられる吉武労働大臣は、そういうことはお考えにならぬだろうと思います。そうすると十六條は、池田さんがそういうことをはつきり言つておるのだから、どうしても少くともこのように法律をおかえにならなければいけないのではないかと思う。どうですか、私がこう申し上げたら、あなたは返答ができまいと思うのです。
○吉武国務大臣 今お読みになりましたことが事実といたしましても、その中で池田は、かりに承認を求めても責任がないとは言つてないのであります。それは法律上責任がなくても、政治上の責任はあるのだと言つておるのでありまして、およそ政府は、法律上であろうと政治上であろうと、国会の承認を得たものに対して責任があると言う以上は、それに従うということでありまするから、御心配は無用だと存じます。
○森山委員 公労法の改正というのは、われわれは政治談義だけしているのではないのです。法律体系の整備ということを考えているのです。しからば法体系に政府が法律的責任を負うのがいいのだ、しかし政治的に責任を負つているのだから心配がないと言う以上は、法体系の整備という点を考えれば、そこをはつきりしたらどうですかということを私は申し上げておる。政治上必ず尊重しようと言うならば、法律上尊重するようにやつたらどうですか。これは少くもわが改進党内閣ができても、いささかも困らない。森山労働大臣になりましたならば、ただちにこの改正をいたしたいと思つておりますが、吉武労働大臣はこれを改正する意思がありやいなや承りたい。
○吉武国務大臣 私は改正する意思はございません。
○森山委員 それでは公労法関係の質疑は、もうこれ以上やつてもむだでございます。これに関連して承りたいのでありますが、今回の改正に漏れた現業公務員、それから地方公務員法附則二十一項の單純労務者に、それぞれ公労法及び地方公労法を準用したらどうかと私は考えるのであります。もとより大きな事業所で、現業の單純労務というのは給仕さんくらいしかない所にそれを準用しろと言うのじやない。今度の現業公務員のように、形では一体化しておらないけれども、それに準じて縦割り現業としてこれを持つてもいいようなものには、公労法とか地方公労法を準用することにした方が、趣旨に合うのじやないかと私は考えているのです。今申し上げましたように、今回の改正に漏れた現業国家公務員を全部しろというのじやない。また單純労務者を全部しろというのじやない。縦割り現業という見地から見て、これならいいだろうと思われるものには、さしあたり公労法及び地方公労法を準用するということが、公労法の精神に合つたやり方じやないかと私は思う。吉武労働大臣の御見解を承ります。
○吉武国務大臣 單純労務につきまてはいろいろ問題がございます。似た点もあれば必ずしもそうも行かぬ点もございまして、先般も申し上げましたように、私どもはこれはなお検討いたしたいと思つているわけであります。今森山さんがおつしやつたようなことも一つでございましようけれども、しかし縦割り現業だけでいいかどうかといえば、やはりそれでも議論になるところがございます。従いましてこの際はまずさしあたり国鉄、専売に似たような国の現業企業に従事する者及び地方の公営企業に従事する者について同等の取扱いをする。将来の問題といたしましては、お説の点は十分検討いたしたいと思つております。
○森山委員 今から三年前の昭和二十五年十二月八日——これは太平洋戦争の始まつた日だから覚えておるのでありますが、時の労働大臣が、単純労務についてはできるだけ早く何とかしましようということを言つて今日に及んでおるのであります。この種の問題の解決は、できるだけ何とかしましようというようなことでは話にならないのです。ですからきようもし承れるならば、吉武さんがおやりになる気があるなら、次の国会に考えるとか、検討するなら検討するらしい明確な御返事をいただけまいか。実はこれについて私も修正案を用意しているのでございます。しかし御返事のいかんによつて、次の国会においては必ずお考えになるというならば、私はそれまで待つてもよろしい。昭和二十五年が二十七年までやつて、今度の労働法の大改正でもまだ持つて来ない。今やらなければ一体いつやるのだという危惧の念が持たれますので、もう少しはつきりしたことを言つていただきたい。
○吉武国務大臣 私は先ほど申し上げましたのは、まじめな意味で申し上げまして、将来検討するということを言つているのであります。今回も独立にあたつてまず今までの国鉄、専売に似たような現業官庁は同等に取扱うべきであるというところで改正をしておるのでありますから、その点はひとつ御信用をいただいて、将来の検討をお待ちいただきたいと思います。
○森山委員 重ねて申し上げますが、今年暮れか来年初めに総選挙があります。総選挙があれば吉田自由党内閣は瓦解するのだ。われわれが内閣をとつたらもちろんやります。しかし吉田内閣のもとにおいておやりになるつもりがあるなら、それは今年中ということになるわけです。従つて現実の問題としては次期国会ということですよ。もちろん私はここで党略的なことを意図して申し上げるのではなく、早くおやりになるということはけつこうですが、すでに現内閣の官房長官が労働大臣時代に、何とかやりましようと言つて三年間たつてしまつた、今またあなたが同じようなことを言われるのじやないか。私的な場所であなたとお話をするのならさしつかえないのでありますけれども、こういう公的な場所でございますので、できるだけ何とかしたいと言われるだけでなくて、ある程度めどのついたようなお話を承われないものか。この問題について、前の官房長官の労働大臣時代にああいう発言をしたという前例がなければいいのです。労働大臣吉武先生はこれには全然責任がないかもしれませんが、すでに労働大臣としては前科があることなのであります。ですからこの際もう少しはつきりした御返事をいただいたら、私は仕合せだと思つております。くどいようでありますが御返事をお願いできますまいか。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、将来の問題でありますから、いつ出すというようなことは申し上げられませんが、この単純労務の問題につきましては、将来十分検討するということを申し上げたのであります。 せつかくのお言葉でありますが、吉田内閣はまだ続くつもりでございますから御安心願いたい。
○森山委員 それでは公労法に関連して国家公務員法の適用除外が非常に少いと思う。せつかく公労法を適用するならば、できるだけ大幅に国家公務員法の適用除外を認めてやつた方が趣旨に合うのではないか。少くとも今度の改正案以上認めてやつたらどうかと思うが、大臣の所見はいかがですか。
○吉武国務大臣 その点は立案の際に十分検討したつもりでありまして、ただ公務員であるという身分に関する問題は依然としてかわらないのであります。ただ現業職員の性質にかんがみ、労働條件について国鉄その他と同じような取扱いをする、すなわち団体交渉によつて給与がきまるということが従業員についての最も大事なところでありますから、その点をできるだけ団体交渉の範囲に入れておるのであります。おそらく森山さんは、身分についてもそういう意味の御趣旨であろうと思いますが、公務員である以上はかわらない。アメリカでも公務員につきましては厳重な抱束があるわけでありますから、その点は御了承願いたい。
○森山委員 地方公営企業労働関係法について昨日ですか、一昨日かの公述人から、地方公営企業法と適用範囲がいささか違う、これは合せてもらいたいというような御意見があつたのでありますが、御意見はいかがですか。
○賀來政府委員 われわれの承知しておるところでは、公営企業法におきましては五十人以上の企業に対して公営企業法を適用することにいたしております。ところで労働関係につきましては五十人以上であるから適用し、以下だからしないということは取扱いにくいのでありまして、公営企業の職員であります以上は当然全員に適用するというふうにいたしております、この点が食違いということであれば食違いということになりますが、そのほかに食違いはないと考えております。
○森山委員 そういう点は食い違つてもさしつかえないわけですか。
○賀來政府委員 さしつかえないのみならず、われわれの方の取扱い方の方がいいと考えております。
○森山委員 この地方公営企業の中の水道事業の中に下水関係がないのでありますが、これはどういうわけですか。
○賀來政府委員 今度の場合は一応経済性、企業性を持つており、かつ一体としての現場を持つておりますものについて適用しましたが、下水事業は経済性、企業性という性格を持つておりませんので、除外しておる次第であります。
○森山委員 先ほどの大臣に対する質疑もからまつておりますが、上水道は地方公営企業労働関係法において認めている。ところが下水道は別だとなると、一つの市役所なら市役所の中で非常にびつこな事態が起きて来るのではないかと思うのであります。従つてその程度のものは準用したらどうか。準用する方がよりベターではないかという点については、賀來労政局長、事務的にどうでしようか。
○賀來政府委員 先ほど大臣からもお話がありましたようにいろいろ研究もいたしているわけでございますが、事務的に考えてみましても、まだ十分の研究ができずして、いまただちにこの公労法を適用いたしますと、確かに御指摘のように除外しておりますがための不便もございますが、反面におきまして、いまただちにこれを適用するがために起る不便もありますので、とりあえずこの状態で適用する方が円滑な施行ができる。かように考えている次第であります。
○森山委員 水道については水道局の場合もあるし、土木局というところでやつている所もあるそうでありますが、一体になつてやつている所があるようでありまして、私はいろいろ問題が起ると思います。そういうことの根源は、やはり單純労務者を除いてあるところに問題が起きているのではないかと思うのです。ひとつこれについてできるだけ早い機会に御検討をお願いいたしたいと考えるわけであります。 そこで一、二、こまかいことでありますが、お伺いいたしたいと思います第八條に協定が締結後十日以内にこれを当該地方公共団体の議会に付議する。ところが昨日か一昨日の公述人の話ですと、十日以内では困る、水道局長さんのお話ですと議会の手続に七日間くらいはいるのだ、そういうことになりますと十日以内というのでは無理ではないかという話がありますが、こういう点はどうですか。
○賀來政府委員 この点につきましては、立案の途中におきましても一応問題になりましたし、また立案の途中において各都市の意見も聞いたのでありますが、大体これで取扱い上はさしつかえなかろうということになりましたし、労働省の立場といたしましては、二十日間というのは公労法の規定から見ましても長きに失すると考えましたし、関係方面も了承せられましたので、十日ということにいたしたのであります。そのときに都の水道局長は、やはり十日ではということを申されましたが、労働問題という実態から、これでひとつがまんをしてもらいたいということを言いまして、一応の了承は得ておつたはずでございます。
○森山委員 地方公営企業のことについて最後にお尋ねしたいのですが、この十二條に、「地方公共団体は、前條の規定に違反する行為をした職員を、直ちに、解雇することができる。」という規定がございます。それに対して公労法の第十八條は、「前條の規定に違反する行為をした職員は、この法律によつて有する一切の権利を失い、且つ、解雇されるものとする。」とありますが、「直ちに」というのはえらいどぎつい、何といいますか、手荒い言葉を使つてある。同じような文句を使えばいいのになぜこういうような言葉を使つたのか承りたいと思います。
○賀來政府委員 公労法の場合におきましても、これは基準法に違反しない範囲におきましてただちに取扱える趣旨であつたわけであります。と申しまして地方公労法に「直とに」ということをつけてあるがために特別の意味を持つているのではないのでありまして、これはいわば精神規定であるというふうにわれわれは軽く考えている次第であります。
○森山委員 非常に刺激する言葉ですからこれは削つてもさしつかえありませんな。
○賀來政府委員 ひとつ慎重に御審議をお願いいたしたいと思います。
○森山委員 最後に労働基準法について伺いたいと思います。基準法に関して年少労働者の坑内作業、あるいは婦人労働者関係について、昨日でありましたか労働組合の一部からあれは改正しなければならぬ、あれについては反対だというような意見がありました。労働省の御説明によると、労働基準法の今回の改正は三者の意見の一致を見たものであるというお話なんです。ところが労働組合の一部でそれに対して反対する議論をはくものがある。これは労働省側の言うことが間違つてはおらないと思うのでありますが、なぜああいう議論をはくのか、もとつ労働大臣の御所見を伺いたい。
○吉武国務大臣 数多くの労働者の中でありますから、意見を異にされる方があろうかと思いますが、三者構成の労務法制審議会の労働代表を選任することに対しましては、双方に意見を聞きまして適当な人を選んだわけであります。その代表者が意見を述べられるのは個人の意見にあらずして、もちろん団体の意見をまとめてお述べになつているものと私は確信いたしております。
○森山委員 これが最後でありますが、珪肺病その他の職業病なり機能障害についての問題であります。御承知の通り、本委員会では珪肺病対策に関する小委員会が設けられておりまして、船越委員長代理が小委員長としてわれわれは御指導を願つておるのであります。これについて今回の改正案を見ますと、一切手を触れておりません。これは私はまことに残念に思います。国会におきまして真剣に取上げておる問題について、今回の労働法の改正、特に基準法の改正において、三者の意見が一致したものだけを出しておる。われわれが最も今日重要視しておる問題について、全然触れないような改正を出すということは、私は今回の改正態度としてははなはだ遺憾の意を表せざるを得ないのであります。これについて労働基準法の第八十一條にあります療養期間の延長、現行の三年を五年とするというようなことについて、どういうお考えか。すでに基準法が施行されて三年に満期になつたところの患者があるのであります。そして非常に苦しい立場に追い込まれておる。この窮況は私どもは見るに忍びないものがございます。特に特殊の珪肺その他の職業病なり、機能障害というものについては、現行三年を五年とするようなことについて、大臣の御見解を承りたい。先般の労働委員会における大臣の御答弁は、非常に味もそつけもないつつ放したような御返事なんです。これは私はまことに残念であると思います。ひとつ大臣からこれについての誠意ある、また温情に満ちたところの御返事をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
○吉武国務大臣 これは先般も申し上げましたように、珪肺病病について当労働委員会でこれを取上げて御審議願つておる点については、私は敬意を払つておるつもりであります。珪肺も確かに気の毒でございます。でありますがこの職業病は一珪肺だけでございませんで、いずれの職業病につきましても、それぞれ特殊な病気でございまして気の毒であります。でありますから珪肺だけを三年を五年にするというのは、われわれ考働行政を受け持つ面からいたしますとちよつときめかねます。従いまして私はこれらの職業病にいたしましても、あるいは業務上の障害にいたしましても、気の毒な者に対する手当処置というものは、現状でいいとは考えておらないのでありまして、今後できるだけこれを向上させて行く努力を払うべきであるという点については、決して異存はございません。しかしながら今ここでおれたちがやつたから珪肺だけ取上げればいいのじやないかとおつしやいましても、そう簡單に参りませんで、もしやるといたしましたならば、私はやはり全部の職業病につきあるいは全部の機能障害につきまして、そういうような一生直りにくい気の毒な者につきましては、もつと十分な処置を講ずべきものであろう、かように存じまして、なお、将来検討いたしたいと申し上げたわけであります。
○森山委員 私は三年、五年という程度にしてもらいたい。大臣の御返事は、話はわかります。考えたいというお話でありますが、考慮いたしますとか何とかいうのは、大臣の通常やる返事の慣例語であります。ですからごく近い将来にそういうことを実現するようにお考えになつておるかどうか承りたい。
○吉武国務大臣 私は申し上げることには相当責任を感じて愼重な発言をしておりますから、誠意を持つて努力いたすつもりであります。
○森山委員 それと関連して休業補償等の基礎となる平均賃金の算定について、賃金水準の変動によるスライドというようなことを認めるという点については、御見解いかがかと思うのであります。もとよりこの場合の補償という概念は、無過失損害賠償というような理論の上に立つ。それで賃金水準の変動によるスライドを認めるということになると現在の制度の建前上筋が合わないというようなことをお考えかもしれませんけれども、労働基準法というものの他の精神から考えれば、無過失損害賠償理論だけでなく、他のフアクターが加わつて、賃金水準の変動によるスライドというようなものを認めることは私はさしつかえないのじやないかと思う。大臣の御見解を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 この点は私はごもつともな御議論だと思うのでありますが、実は私の方でも検討中でございます。こういうふうに賃金のスライドをあとで考えるということは、法律上ちよつと困難な点があるのであります。従いまして実質的にそれにかわるものを目下考慮をいたしております。でありますから実質的には森山さんの御趣旨に沿うことにいたしたい、かように考えております。
○森山委員 賃金水準の変動によるスライドを実質的に認めるというお話はわかりましたが、そうすると療養期間の延長について、ごく近い時期にお手を触れるつもりはないかどうか。実は私これも修正案を用意しておりまするので、近く吉武さんの方でおやりになるというのなら、ことさらこれは出さなくてもいいものであります。そこでひとつ御見解を承りたいと思います。
○吉武国務大臣 せつかくの御希望であり、私もその熱意を持つものであります、労務法制につきましては、やはりできるだけ三者構成の意見を聞いて、その趣旨に沿うて行くことが私は望ましいと思つております。今般提案いたしましたのも、ほとんど労務法制審議会もしくは基準審議会の答申及び答申がないものは公益委員の意見に従つておるわけでありますから、森山さんのお説の点は、将来基準審議会等にも御相談をいたしてみようかと思つております。
○船越委員長代理 それでは次会は明二十二日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会