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13回国会衆議院1952/02/21

予算委員会第三分科会 第2号

発言数
255
登壇者
25
会派数
5
開催日
1952/02/21

会議録

庄司一郎自由党

○庄司主査 これより予算委員会第三分科会を開きます。  昭和二十七年度一般会計予算を議題とし、文部省所管に関し昨日に引続き質疑を許します。この際石野委員に発言を許します。

石野久男労働者農民党

○石野委員 文部大臣にお尋ねいたします。昨日の新聞で高校に漢文の科目を復活させたいというような意向が、文部大臣にあるということを見ましたが、そういう御意向でありますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 漢文はすでに高等学校にあります。ですから別に復活というようなことは考える必要はないのであります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 さきに国民実践要綱等の問題もありまして、いろいろとその間問題が起きたために、これも文部大臣は当初の考え方をひつ込めるというようなこともわれわれ聞いております。この漢文の復活の問題についてわれわれ考えさせられることは、文部大臣の日本の清和後におけるところの教育の大方針と申しますか、今後に対する考え方が最近になりまして相当程度おかわりになつて来ておるのではなかろうか、こういうように思われるのであります。日本の民主化の方向と、いささか逆に復古調が多分に出て来ておるのではないかと考えるのでありますが、そういう点に対する文相の考え方はどうですか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私はすべて中正に物はやつて行きたいという考えを持つております。戰後はそれはよくなつたこともたくさんありますけれども、いかに善意によつてなされたことでも行き過ぎておることはありはしないか、そういう点は検討して中正の立場にもどそうというので、決して民主化の線を乱そうというわけではございません。

石野久男労働者農民党

○石野委員 文教の問題は一国がどういうふうになるのかという分岐点を決する非常に重要な問題であります。きのうから各委員からもいろいろその点に対して質問があつたわけでありますが、この際にはつきり教育の大方針と申しますか、文部大臣が今後の日本の方向に対する大方針としてお持ちになられていることを、明確にここでまず予算の審議にあたつて示していただきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私の今後進もうという方針は、教育基本法の方針でございます。あれは私も参加してつくつたものでありますから、あの方針でやります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 そういうことについてはわれわれ十分なことはわからないので、この際簡單にそういうことについてでなしに、世上いろいろと文部大臣の抱いておる教育の方針というものに対して疑惑を持つておる面があると思いますから、この際明確に日本の民主化の線に対して、どういう点とどういう点をはつきり確立しようかという点についての丁寧な御意見を聞かしていただきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 個人の人格の尊厳、要するに人間を尊重して行くという考え方、従つて人間は勤労をたつとぶとか、お互いに敬愛して行くとか、そういうことを教育基本法へ私どもは入れたのですが、そういう線でもつてやつて行こうという考え方であります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 お聞きしておきますが、二十七年度の予算の方向は、われわれの見るところでは多分に安保條約を契機といたしまして、再軍備的傾向が盛られておると思うのであります。漢文を学科に再び復活させるという考え方や、あるいはかつて文部大臣が持つておつた国民実践要綱というような考え方、皇道精神への復活というようなものがもし抱かれておるといたしますと、この予算の方向とにらみ合せて、おそらくまた学校に教練の復活などというようなことも出て来るのではないかと思いますが、そういう点については文部大臣は一応お考えになつておられますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は自分の教育方針を皇道などということにもどそうなんて考えは全然持つておりません。石野さんも御承知でしようけれども、皇道によつて迫害されて来た人間として、そういう考えは全然ない。人間はそんなにたちまちにして考えをかえてしまつたり、人間自身をかえてしまつたりということは、できるわけのものではございませんので、そういう考えは全然持つておりません。

石野久男労働者農民党

○石野委員 なるべく文部大臣の考え方を一朝にしてかえないように、われわれは希望しております。それと同時に心配なのは、昨日も風早委員から質問等がありましたように、最近青年学級だとかあるいは産業教育等を契機といたしまして、多分に戦時中の学徒動員のような形のものが、復活するような傾向をわれわれは見るのであります。それをまた他面では青年団とか、あるいは消防団等が非常に奨励されるような傾向が出ております。警察国家的な風潮が非常に濃厚になつて来ておるときに、もし学校教育の中に竹やりを持つたり、あるいはまた鉄砲を持たなくちやならないような教育が復活するようになつたら、これは非常に恐るべきことだと存じております。この際にはつきりしておきたいのは、そういうような学校教練等の復活に対するきざしをどういうふうにして食いとめるか、また文部大臣としてはそれをはつきり食いとめるだけの御意思を持つておられるかどうかということを、この際お開きしておきたいと思います。それから第二点といたしましては、文部大臣の平和に対する考え方でございますが、ちまたには戰争反対の声が非常に盛んになつております。特に学生の戰争に対する反対の動きは、一昨日でありましたか、澁谷の駅頭においても強く盛り上げられておるような状態でありますが、こういう戦争反対の動きが特にあなたの所管されております学生の中に出ておりますが、こういう問題に対して文部大臣はどういう御所見を持つておられるか、この二点についてお伺いしたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 第一の点に関しては、私は決して学校をそういう警察予備隊のようにする考えは持つておりません。それから第二の点については、それと同じことで、平和を望むことはだれでも望んでおる。ただいかにして平和を来すかということにおいて、いろいろ考えがあると思いますが、学生がただちにそういう直接の行動を起すということは、私は好ましくないことだと思つております。

石野久男労働者農民党

○石野委員 学生が戦争反対に対する運動をするということは——私は直接の運動というのはどういうことを意味するかわかりませんが、決して直接行動ではない、これはもう本然の平和愛好の動きだ、こういうふうに思うのですが、学生の直接の運動というのは、どういうことなのでありますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 学生が直接大勢集まつて、もし社会秩序を乱すような行動に出るならば、それはやはり望ましくないと思うのです。

石野久男労働者農民党

○石野委員 私は平和に対する文部大臣の意向は、もうはつきりしておると思うのでございます。それだけに特に純真な学生生徒が、ほんとうに世界の平和を望んで、日本の平和国家確立のための動きをすることは、若人がほんとうにその国を背負つて行くという純真な気持から出ておるやむにやまれないものだ、こういうふうに思うのであります。むしろ私はこういう気風こそ、文部大臣は育成して行かなくちやならないのじやなかろうか、こういうふうに思いますけれども、それに対して大臣の所見を伺いたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 平和を愛し、また平和に対する情操を育成するということの必要については、私は石野さんと同意見でございます。しかしその方法はいろいろ考えられると思います。

石野久男労働者農民党

○石野委員 今のお答えに対してお聞きしておきますが、方法はいろいろあると言われておるのですが、たとえば学生が社会に対して戦争反対の動きを、集会を持つてやるというようなことについては、文部大臣としては徹底的に取締るような現在の政府の方針を、そのままやつて行かれる所存なんですか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 学生はやはり指導される立場において、指導する立場におりませんから、学生本来のあり方とすると、そういういろいろな社会に出て、社会を不安にするような直後の行動は望ましくないというふうに思つております。

石野久男労働者農民党

○石野委員 学問の普及の問題について、最近の学校の教育の方向があとからまた非常に問題になりますけれども、私学の経営困難とか、一般の子弟の授業料が非常に高額になつて来るというようなこと、生活の困窮さと比較して、就学率が非常に偏在化して行くのではないか、言いかえれば有産者階級に対する教育が進んで、一般の困窮者の教育が非常に疎遠になつて来る憂いはないかと思うのであります。二十七年度予算におけるところの、たとえば育英事業費のために使われる経費等についても、必ずしも学問の普遍化が行われないように思うのであります。文相はこの際学問の普遍化という問題について、どういうような考え方を持つておりますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 石野さんのお考えは私は大体において同感でございます。ただよく考えてみますと、育英会費も私はこれをできるだけ増額しようと思いまして、御承知のように九億のものを十五億にし、二十六年度は二十四億にし、今度は二十九億にというようにいたして参つて——これでよいとは思いませんけれども、これをたとえば青年学級などの費用に比べたら、こちらの方が実によくなつて来ておる。石野さんの言われたように、いわば有産階級が入り得るような上級学校に厚くして、義務教育だけでよしてしまう青年学級などの、五百万人以上いるところへ五百万円きりしか出さぬということは、自分らも実に行き届かないと思つて、深く反省をいたしておる次第でございます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 学問の普遍化の問題につきましては、日本における学校の分布配置という問題が、おのずから重要な問題になつて来ると思うのであります。しかも国家予算で一応規定される国立学校というものと、それからある程度の補助を出しております私学との問題が、おのずから出て来るのであります。この際私は文部大臣に私学奨励の方向についての確固たる信念を聞いておきたいと思うのです。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 本来から言うならば、私学が国にたよるということは本来的ではないでございましよう。けれども日本の実情としては国家が私学を育成するということは非常に必要だと考えております。私はそういう考えから、たとえば二十六年度に十億の金を私学に出した、当時六・二建築の金がほしくてたまらなかつたのですが、あの中から一部ほしいと思つても、ほんとうにがまんして自分たちは私学に出したつもりであります。二十七年度においても私学の振興会、共済組合また産業教育を通じての私学への援助というように、自分たちが現在できる範囲においては、私学の振興にできるだけの力を注ごうといたしており、今後もそういう方針で参る考えでございます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 私学のために文部大臣ができる限り力を注ぎたいという意面は、非常によいことだと思います。しかしながら実情は私学に対する現況からいたしまして、必ずしもそれに沿わない面があると思います。この際に私学を積極的に育成するためには、どうしてもやはり私学の経営の問題に触れて来なければならぬのじやないか。私どもは、私学経営において最も困難をきわめておるものは、私学における教授陣営をどういうふうにして充実させるかということだと思うのであります。この教授陣営を充実させるための大きなネックになつているものは、何といつても教授に対する給與が低いということである。それからその教授が国立学校におけるように、恩給制度等での身分的な保障がないということ、それから責任講座の担当時間というものが非常に多くて、給與とのつり合いからいつてもなかなかうまく調整がとれないということ、あるいはまた私学全体としての教育施設が足りないとか、いろいろ他の面で多くの障害があると思うのでございます。私はこういう観点からいたしまして、これらの私学奨励の方向というものは、国立学校と私学との間におけるところの分担のことも一応考えなければならぬじやないかと思います。私はこの際国立学校は理料系統のものをしつかり充実させて、文科系統のものはむしろ私学にまかしてしまうというような考え方をすれば、私学経営というものは案外簡易に行くのじやなかろうかというふうに考えますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は実は私立中学を出て、そして私立の大学にも現在関係を持つているものとして、私学の実情はある程度まで知つておるものであります。そういう点で、私学に非常に困難があるが、どうかしてその困難を打破して、できるなら私学をそれぞれ独得な学風を持つたものにしたいと熱型するものでございます。日本のように国立大学だけがりつぱな大学で、私学がそうでないというような考えは非常にいけない。私は大学の学校差というものは、日本の非常な弱点だと思つております。だからそういう方針については石野さんとまつたく同感ですが、ただちに文科をまかす方がいいかとうか、確かにこれも一案だと思いますけれども、今たちにそれに賛成だということは私として言いかねます。しかし御方針は全然同感であるということを申し上げます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 それと同様にこの私学に職をとつておられる教授等について、たとえば大学に籍を持つている者は、他の団体役員になるとか、あるいは研究調査機関等に職を持つとかいうような兼職を、多くの場合禁止せられていることが多いと思うのであります。これは国立大学では相当程度兼職が認められておつて、そういう自由が與えられておるのでございますが、私学等に対するそういう兼職の自由というようなことを、積極的に緩和させるような方向をとつてやることが、この際ぜひ必要なのじやなかろうかと思いますが、そういう点に対してどういうような御意見でありますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私も端的に言えば、私学の教授の生活をよくするということは、非常に必要だという考えから、共済組合というものにも、本年わずかではありますが予算を計上しておるようなわけであります。今おつしやつたようなことは私はそれをよく存じておりませんが、調べてみてそういう方向に善処いたしたいと存じます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 私学における授業料の問題が、やはり非常に子弟の教育に障害となつて来ていると思うのです。先ほど文部大臣は相当程度育英資金の増額についての考慮を払われたということを言つておりまするが、実質上は文部省の最初の案でありまするものが、大蔵省に切られておるのでございますので、この機会に文部省の案でありました四十億というものを、復活させることがぜひ必要だと私は思うのであります。これがなければ教育報国というようなことが、おそらくできないのじやないかと思う。この四十億の復活というものについての今後の見通しと、それから御決意をひとつ聞かしていただきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 そういう点ではまだ不十分でございますから、今後努力をいたしたいと思います。

石野久男労働者農民党

○石野委員 ただ努力するだけでは困るのであつて、それはやはり積極的な文部大臣の熱意がなければならぬと思います。ことに大蔵大臣が非常に強引な立場で削られておるということを考えますと、これは積極的にやらなければほとんど不可能じやないかと思います。私はこの育英事業費といいますか、それの増額について、本委員会もそうですが、文部省当局が熱意を持つて当つていただきたいということを特にお願いしておきます。それから文教の施設、特に六・三制の問題についてば、まだまだ非常に不十分な点があると思いますが、文部省の考え方では六・三制の施設、特に教室の完備について、大体昭和何年度くらいに完成を見ようという計画でおられるか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私どもは小学校が〇・七坪というのでは実は満足しないで、〇・九坪、中学なら一・二坪くらいまで進めたいという考えを持つておりますが、さしあたつて〇・七坪を二十八年度をもつて完成したい考えであります。それ以後〇・九坪ということをやるためには、そこに新しい一つの義務教育の国庫負担制度とか、そういうものを確立することによつて、だんだん進めて行きたい考えであります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 二十八年度で大体〇・七坪を完成さしたいという意向があるにもかかわらず、大蔵当局は一時だけでなく、さきごろまでも二十七年度で一旦六・三制の方は切上げたいという意見を持つておつたと、われわれは信じておるのです。昨日は、来年度相当それに対する折衝の余地を残しておるということを言われておりますけれども、大蔵省との折衝の過程を、もう少しはつきり聞かしていただきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 大蔵省と文部省とで計算に違いがあつたのです。大蔵省でも今年度で〇・七坪を完成しよう、文部省もそうしようと思つたのです。ところが計算のずれがありましたから、ずれの分は二十八年度において考慮するということを、大蔵当局が言つておられるわけであります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 六・三制教室の問題については、どこへ行きましても非常に困難をきわめておるし、このことが非常に、今までもそうでありますけれども、平衡交付金との関係において困難をきわめておる。ことに地方においては六・三制の教室を拡充するために、たいてい寄付金等の要請によつて、今まで完成されておると思うのでございますが、私はこの寄付金の方向で行こうという形は、地方財政が窮迫しておる今日では、非常に無理だと思います。今後ともこの寄付金政策で六・三制を完成させようということについては、何とかひとつやめてもらわなければならぬと思いますが、文部大臣としてはやはりまだこの寄付金政策を堅持されますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 寄付金ということはぜひやめたいという考えが、私などが今新しい義務教育国庫補償制度を考えておる一つのポイントでございます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 寄付金をなるべくやめたいという方向であるにかかわらず、なかなかそうは行かない。やはりこの寄付金制度が、六・三制の趣旨を貫徹するために、地方財政を圧迫しておるということを認めていただいて、これを何とか打破していただきたいと思う。地方財政委員会のお方がおいでになつておりますか。

庄司一郎自由党

○庄司主査 地財委は呼んでおりますが、まだ見えておりませんから、催促いたします。

石野久男労働者農民党

○石野委員 では地財委の方はあとにして、昨日風早委員の給食の問題に関する質問に対して御答弁がありましたが、これによりますと従来の給食に比較して、本年度の給食に対する各父兄の負担が、たとえばパンとかミルク等を通じて、約三倍の負担額になつて来るということがはつきりしたのであります。これもやはり学校教育に対する一般の父兄への寄付要請ということになつて来ると思うのであります。こういう考え方は非常にまずい。やはり育英事業費を拡大する、あるいは給食に対する予算的措置を確立することから来なければならぬと思うのでありますけれども、こういう点について、何とかパンやミルク等の給食費の父兄負担金を減らすような処置を講ずる意思はございませんか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は育英会のことについても、熱意は十分持つておるのですが、なかなか思うように行かない点があるのです。たとえば高等学校などは今三%ですが、これはぜひ五%にしなければならぬと考えております。同様に給食のことも、今おつしやることはまつたく同感なんであります。そういう方向に、機会をとらえては進めたい進めたいと考えておる次第であります。

庄司一郎自由党

○庄司主査 石野さんに申し上げますが、あなたの三十分がもう来ておりますから、取急いで願います。

石野久男労働者農民党

○石野委員 寄付金をなるべくとらないようにしたいと思つておるだけではいけないのであつて、具体的に予算的措置をどういうふうにするかということを聞きたい、それが一点。  それから、義務教育費国庫負担法というものを、文部省でも考えておると聞いておりますが、それに対する構想等についても、われわれの得ておる情報の中には、いろいろまちまちな点があるので、この際文部大臣の所見をはつきり伺いたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 要するに私どもは、そういう父兄の負担とかいう問題を、義務教育費の国庫負担制度というものによつて、解決しようという考えを持つておるのです。それはどういうことかと申しますと、先ほども申し上げましたけれども、平衡交付金の中に義務教育費が入つておるということになりますと、どうしても義務教育費が流用されるおそれがある。ところが義務教育費はほかの経費と違つて、はつきりと計算できるものですから、ちやんと計算をして、その一部分を地方が負担をし、残りは国が負担する。地方の財政能力に従つて、その地方の分担の額をきめよう、大体こういう考え方でございます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 今の国庫負担の問題についてはわかりましたが、たとえば給食だとか六・三制の問題等において、必然的に地方で父兄が分担しなければならない。これを食いとめるために、給食の問題等について——いろいろ大蔵省の意見もあると思うのでございますが、増額分は国庫がめんどうを見てやる、地財委の方でめんどうを見させるように、何とか措置ができないかどうか、その点についての文部大臣のお考えを承りたいと思います。

庄司一郎自由党

○庄司主査 ただいま地財委が到着しました。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私どもは石野さんの言われるような意向を持つておるわけでございます。しかし、なかなかそれを自分らの思う通りに実現して行くことが困難なんですけれども、できるだけそういう方面に推進しようとしておるわけでございます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 地財委の方がおいでになりましたので、お聞きしたいと思うのですが、時間も大分追い詰められておるので、端折つてお尋ねします。  六・三制の問題が非常に重要な問題となつておりまするけれども、平衡交付金との関係から、スムースな進行がどうしてもできない。ことに文部当局としては、六・三制を二十八年度で実施したいという意向を今も承つたわけですが、地財委の方では、それに即応する処置をどういうふうに考えておられるかということが一つ。それと関連する問題で、おのずから義務教育費国子負担の問題と地剤委の意見を承りたい。

奧野誠亮総理府事務官(地方自治庁財政課長)

○奧野政府委員 地方財政平衡交付金制度のために、六・三制の進行が円滑に行つていないというお話でありますが、具体的にどういうふうに円滑に行つていないのか、了解に苦しむわけであります。たとえば新制中学の建築が、かりに地方財政平衡交付金制度のために、円滑におこなつていないとするならば、私は逆だと思うのであります。三分の一を国が負担することになつております。従つて、そこから新制中学の建設費の分量が生れて来るわけであります。その分量だけでは足りないものだから、市町村が四苦八苦している。国と回顧のものを支出すれば、一応円滑に行くはずなんでありますけれども、それだけでは足りないものだから、より以上の金を継ぎ足しまして——継ぎ足す財源が地方財政の計画上にはございませんので、それがために非常な混乱に陷つているのではないか、と考えているわけであります。しかしながら非常に大切なことでありますので、できる限り円滑に行きまするよう、いろいろお気づきの点を教えていただきまして、努力いたして参りたいと考えております。  第二の義務教育費国庫負担の制度をどう考えるかという問題でありますけれども、御承知のように昭和二十四年まではいろんな問題につきまして、三百数十種類にわたる補助金が出ておつたのでありますけれども、これらの補助金制度にはいろんな弊害があつたわけであります。そこでこれらの補助金をを原則としてやめまして、ただ地方団体の事務となり切つていないもの、こういうものについては国からある程度のひもつきの財源を流すよりしかたがないが、地方団体の事務になつておる限りにおいては、地方団体の経費でまかなつて行く。しかしながらそれぞれの地方団体がやらなければならないところの仕事の分量に必要な財源だけは、国として確保して行く、すなわち地方税なり、地方財政平衡交付金なり、ひもつきでない財源を確保して行くという考え方をとつたわけであります。あまり多くの補助金を国から流して参りますと、補助金による行政だけしておればよろしいというようなことになつて、自然地方団体が自主的に判断して、その地方の実情に適合した運営に心がけて行くというくふうがなくなつてしまうわけであります。そういうことが最も恐れられておつたわけでありまして、そのほか補助金のたずなを通じまして、いろいろの干渉の機会も與えて行くというようなことから、原則として地方団体の事務になつておるようなものに対しては、国からひもつきの財源は交付しないという形になつて参つておるわけであります。しかしながらどの地方におきましても、国としてのある程度の助成は期待しておるわけでありますから、基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保証して行こうというねらいのもとに、またそれらの基準だけの財源は確保するという考え方のものに、今の地方財政平衡交付金制度が生れておるわけであります。どの市町村においても、どの府県においても教育費にはどれだけ金がかかる、土木費にはどれだけ金がかかる、こういう計算をするわけでありますから、そのような基準の設定を通じまして、地方行政が計画的に運営されるだけの財源は確保して行きたいという考え方をいたしておるわけであります。それらはひもつきではございませんので、全体として確保さるべき財源の総額を定める、しかしながらある程度それを参考にしながら地方団体を運営して行く、こういうふうなところをねらつておるわけであります。なお具体的な問題がございましたら、お答えさせていただきます。

石野久男労働者農民党

○石野委員 今のお話によりますと、たとえば平衡交付金の問題について、地方に対する措置がなかつたということですが、私どもから言わせれば、平衡交付金自体の総額が足りないために、地方がいろんな迷惑をしていると考えるのであります。あなた方は事務の面からいえば、なるほど與えられた中心ではやるだけのことはやつておるのだということはよくわかりますけれども、あなた方がしなくちやならないことは、やりたいことはたくさんあるが、金がないということ、それをどういうふうにふやすか、それをどういうふうに地方にまわすかということであろうと思うのです。私はあなたの私に対する反撥のような考え方は、当局者としてはよくわかるけれども、政治の面からいえばそれは納得できない。もし地方財政委員会がそういう考え方だとすると、それは大きな間違いではなかろうか。おそらく地方財政委員会の考え方はそうではなかろうかと思うのですが、いま一度それに対する所見を聞いておきたい。  それから義務教育費国庫負担の問題についての御意見でございましたが、なるべく地方の創意くふうを阻害しないようにという着意はよくわかるけれども、今日の国民の生活の程度、あるいは地方の財政問題等を勘案しまして、文部当局でさえも、やはり義務教育の問題については、なるべく国庫が負担してやるということの方がいいという考え方を持つておられると思うのであります。先ほども文部大臣はそういうふうに言つておられた。地方財政委員会としては、その考え方に対してどういうような御所見を持つておるかということを私は聞きたい。その二点をひとつ。

奧野誠亮総理府事務官(地方自治庁財政課長)

○奧野政府委員 御指摘のように、地方財源が全体として不定いたしておりますために、いろいろな面において不自由であります。地方財政委員会といたしましても、これらの事情を常に国会に訴えまして、いろいろと御検討をお願いいたしているわけであります。新制中学の問題につきましても、地方財政委員会としては、現在の国の計画のままでは不足しているのではないだろうかというふうな考え方も、しばしば持つて参つているわけなんでありまして、六・三制の円滑な進行のためには、政府全体といたしまして、なお検討をして行くべき余地もあるのじやないだろうか、こういうふうなことで、いろいろとなお相談をし続けて参つているわけなんでありまして、できる限り十分でない財源の中でも、非常に大切な仕事でありますだけに、円滑に運営されて行きまするように、あらゆる意味において研究、努力して行きたいという考え方を持つているわけであります。第二の義務教育につきまして、国が直接ひもつきの財源を出した方がよろしいのではなかろうか、こういうお考えでございますけれども、われわれといたしましては、まず確保しなければならないのは、どういう施設を義務教育について府県なり市町村なりが置いて行くかということであろうと思うのであります。しばしば問題になります府県の義務教育費の内容について言いますと、もつぱら教員給與の問題であります。それじや一体何人の教員を確保しなければならないのか、教員の待遇はどの程度確保して行かなければならないのか、こういう問題だろうと思うのであります。そういう問題がもし確保されない場合には、どうやつて確保しなければならないかという措置を考えるべきだと思うのであります。ところがすぐに財源の問題に話を持つて行つてしまわれますので、話の根本があいまいになつてしまうと思うのであります。現在、それじや府県が設置しております教員数が足りないのかどうなのか、あるいは給與が低過ぎるのかどうなのか、給與が低過ぎるかどうかということになりますと、逆に国家財政につきましては、国家公務員に比べまして、地方公務員である教員の給與が高過ぎるといわれておるのであります。それでは地方は犠牲を払つてまで、地方財政の計画の上ではもう少し低い給與でしか財源が見込まれていないのにかかわらず、一部高い給與を出している、そうなりますとやはり義務教育費を国がひもつきにするという問題よりも、一体義務教育の内容に、どのような各階が起きているのかということを考えなければならない、こういう考え方を持つております。

庄司一郎自由党

○庄司主査 首藤新八君。

首藤新八自由党

○首藤委員 神戸市に商船大学を設置する問題につきましては、今日まで文部委員会におきまして、文部省当局との間にしばしば質疑応答が繰返されたのでありまするが、いまだ満足なる結論を得ていないことに、非常な遺憾の意を持つものであります。と同時に国家の現状から考えまして、この問題は緊急に解決すべきものであるという考え方のもとに、さらに本日はこの問題に対しまして、質疑をいたしたいと存ずるのでありますが、大蔵省の政府委員はどなたか見えておりますか。

庄司一郎自由党

○庄司主査 岩動主計官が見えております。

首藤新八自由党

○首藤委員 終戦後日本の一番重大な課題は、いかにして経済を一日も早く自立するかということにあることは、何人も異論がないと存じます。それがためにもろもろの対策がとられておるのでありまするが、特に自立経済達成のために、貿易の振興、これが一番大きいフアクターであることも、また異論のないところであります。同時にまた貿易促進のために船を必要とする、海運を強化するということも、当然不可分の関係におきまして、促進しなければならぬということも、またこれ常識であると思います。従いまして、すでに、財政困難の折柄にもかかわらず、造船のためには—数百億という資金が投ぜられておるのでありまして、しかもその資金は、見返り資金あるいは政府のあつせんの民間銀行の資金というものが、大部分充てられておるのでありまして、他のいろいろの国内行政も、ある程度これがために犠牲にされておる。それほど主要性のあるものでありますとともに、閣議におきましても、この造船問題につきましては、資金を中心として、しばしば論議されておるかのように承つておりまするので、大臣もこの造船の急速な拡充ということにつきましては、十二分に御認識があると私は考えておるのであります。しかるにこれに関連いたしまして、商船大学がどうしてももう一校必要であるということから、自由党の政調会、総務会、並びに文部委員会、各機関が、全部措置を必要とするということに意見が一致しまして同時にまた文部省の方もこれを尊重いたしまして、昨年本予算の申請を大蔵省にされたところが、大蔵省の方では財政困難という理由のもとにこれを拒否した——全面的拒否ではありません。十万円の準備費ということだけは計上されておりまするが、しかし要請の全部の経費は財政困難ということで拒否されております。この拒否の理由は、われわれが今日まで承つておりまする財政困難ということが全部の理由であるか、あるいは他にもまだ理由があるか、この点を文部大臣並びに大蔵政府委員からお開きしたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 大蔵省が財政困難という理由によつて拒否されたということだけ、私ども大蔵省に関する限り承知いたしております。それ以外の大蔵省に関する詳しいことは、私は何も承知しておりません。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 神戸商船大学を設置する問題につきましては、予算折衝の際にもいろいろ文部省からもお話がありました。また国会方面のいろいろな御意見等も、私ども伺つておりました。しかしながらただいま首藤委員からお話がありましたように、日本において海連の振興、そして船員の養成ということは非常に大事なことである、また必ずこれを充足して行かなければならないという点におきましても、大蔵省は十分に考えております。またただいまのお話で、さらにその感を深くいたしたのでありますが、政府といたしましては、ただいまのところ清水に商船大学がございます。ここでなお相当の生徒を養成して行くことも可能であるという点が一つと、また先ほど財政的な観点と申されましたが、それらに関連いたしまして、神戸に設置いたしますとすれば、相当の施設を要することになります。また今後相当の経常費もいるようなことになります。今日の情勢におきましては、国立大学が非常に多くありますので、そのすでにでき上つた国立大学、これもみなそれぞれの必要に応じて、でき上つたものでありまして、これをまず充実するということも、政府としては十分に考えて行かなければならないというので、なかなか新しく相当金のかかる大学をつくるということについては、愼重に処置しなければならない、かように考えまして、さしあたり明年度の予算におきましては、この神戸の商船大学を設置するかどうかということについて、十分な政府としての調査研究をいたしたいという趣旨で、経費を計上したということであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 大蔵政府委員のお話を承ると、清水一校あるから、これで足りるじやないかというような御意見のようでありまするが、およそこれほど認識不足のものが政府、特に大蔵省におるかということを考えますと、まことに私は失望せざるを得ないのであります。現に清水一校で足りておるか、足りていないかということは、本年度の卒業生に対して四倍の要求がある。さらにまた本年度の入学希望者が、所定の人員の十一倍に現在達しておるということを見ましても、そうして各一般の大学の卒業生が就職に全員が困難を来して、知己あるいは父兄その他ありとあらゆる方法をとりまして就職運動をあえてしておるにもかかわらず、その何分の一よりか就職ができない、しかるに一方において、清水の大学は四倍以上の要求があつて、学校当局ではその卒業生の配分に困難を感じているというような事情になつておることを、大成当局は知つておるか知つていないか。またそういう状態がどういう原因によつてもたらされているかということについて、どういう考えを持つておるか、その点お伺いしたい。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 船員の養成計画につきましてはこれはむしろ運輸大臣の御所管でお話を申し上げる方が適当であろうと思うのでありますが、それには現在すでに相当予備船員もおり、またそれの再養成、再教育というような点も、相当いろいろ問題になつているように、私は聞いておるのであります。ただ新しく学校をつくつて、そこで学生の養成をするということは、なかなか容易でない問題でありまして、また先ほど申し上げましたように、その施設、あるいはそれに所要の船舶を用意するというようなことも、なかなかたいへんな財政負担を伴うものであります。従いまして、大蔵省といたしましては、まず清水の商船大学をできるだけ可能な限りにおいて活用して行く。それでもなお足りない場合には、なお別途の方法を考えるという方針で参りたいというふうに考えておるのであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 新たに大学をこしらえるためには、莫大な費用がかかるということでありますが、おそらく文部省からの神戸商船大学設置に必要とする経費の要求は、来年度においては一億円内外と推察しておるのでありますが、それ以上はるかに莫大な金額に達しておるものかどうか。もう一つは大蔵政府委員は本年度の十万円は、来年度からやるべきか、やるべからざるかの調査費だということを言われておりまするが、先般大蔵大臣は文部小委員会に出席いたしまして、十万円は準備費である、来年度から設置するのだ、その来年度から設置するための準備費だということを、はつきり言明されたのでありまするが、大蔵政府委員はそういう点を御承知なくて、かつてな答弁をされておるのか、この点をお伺いしておきたい。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 来年度一億の金がかかるかどうか、私はまたそこまで精細なお話を承つておりませんが、いずれにいたしましても、将来相当の校舎の設備をし、教員をかかえ込み、そうして船舶も用意するということになりますれば、これは相当の金額に上るであろうということは、容易にわかるところであります。またただいま大蔵大臣が、二十八年度においては設置するのだということをはつきりおつしやつたと申しますが、私は速記録を見ておりませんのでわかりませんが、大臣がそうおつしやつたとすれば、それが政府の方針であります。

首藤新八自由党

○首藤委員 大臣と政府委員の答弁に食い違いがありまするが、しかし大臣が責任者でありまする関係上、私はその政府委員の答弁は間違つておつても、それ以上は追究はいたしませんが、先ほども申し上げましたごとく、すでに七次船まで進行いたして、そうしてそれに必要とするところの高級船員が不足であることは、先ほど申し上げました通り、卒業生に対して四倍の需要があつた。さらにまた昨年来運賃の外貨をなるべく節約いたしまして、それだけでも自立経済の達成に寄與いたしたいという考え方から、中古船の輸入をやりまして、すでにその契約が五十五隻に達しておる。そのうち三十隻が内地に入りまして、現在修繕その他をいたしておるのでありまして、近くこれらが全部就航することになる段階になつておるのであります。続きまして残りの一十五隻もこの秋までにはそれぞれ就航するような状態になつておるのであります。現在におきましてもなおかつ四倍の需要がある。いわんや、今後これら中古船の輸入の五十五隻がそれぞれ就航いたしますると、いよいよ船員の不足は明白な事実となつて参るのであります。さらにまた前年度におきましても、三十五万トンの増船計画が進められておるというようなことを、かれこれ総合しまして考えますると、いよいよ船員の不足ということが痛切に感じられる状態になつておるのであります。運輸省におきましては、この欠陥を補いまするためにほんとうに応急の措置として、下級船員の再教育をやつておりまするが、現在すでに各船全社とも船員が不足である。従いまして、せつかく再教育が行われているにもかかわらず、それを遊ばして学校にやるという余裕がないということは、学園における定員と、現在入つております入所者の人員、これが二分の一ないし三分の一程度にとどまつていることでも、はつきりすると思うのであります。従いまして、いかに運輸省が再教育で事足りると主張いたしましても、事実はまつたくこれに逆行しているのが現在の実相であります。従つて当初再教育で足りるということを主張して、商船大学の設置に反対しておつたところの運輸省も、究極におきましてはその必要性を認め、そうしてこの設備を文部省に譲渡するという承諾を與えたことによりましても、運輸省の方ではそれまでの主張が單なるセクシヨナリズムにとらわれているということを申し上げてもよいと思うのであります。しかしながら、結局事実がこれをそういう方向に持つて行かざるを得ないという認識から、設備その他を文部省の方に譲渡することに決定したのであります。それほど海運政策の強化が焦眉の急である、またそれに不可分の関係を持ちますところの高級船員の養成が緊急を要するものであることば、すでに議論の余地がないのであります。この緊急な施策に対しまして、大蔵省は予算がないということで断つたということであります。しかるに一方におきましては、文部省の計画しておりますところの近代美術会館、これに対しまして文部省の所要経費は一億円である。それは二十六年度の予算に計上されており、しかも二十七年度の予算に対しましても、さらに同額の一億円が計上されておる。一方におきましては、経済自立のために最も緊急的に処置せられなければならぬところの施策、いわゆる商船大学の設置は、予算不足ということでこれを拒否している。一方におきましては必要であるかもしれませんけれども、しかし日本経済の自立のために、しかも緊急を要する場合に、美術会館の設置ということは、さようにしかく急ぐものであるかどうか、われわれはこの認識に対しまして、非常に疑惑の念を持つものでありますが、この点につきまして、文部省並びに大蔵省の方で、かような海運政策を並行して強化することよりも、なおかつ近代美術会館の設置が、日本のために緊急的に必要であるがどうか。これを主張されるところの理由を一ぺんお伺いいたしたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私どもは両方を必要だと考えて、両方の予算を出したわけであります。

庄司一郎自由党

○庄司主査 この際ちよつと御紹介申し上げておきます。風早委員より御要求の大蔵大臣は、本日は病気のゆえをもつて登院ができず、ただいま本院には御欠席の現実にございます。よつて本委員会には大蔵大臣が来られないということが明らかになりました。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それでは大蔵省の次官でもよろしいです。

庄司一郎自由党

○庄司主査 この際委員各位にお諮りしたいと思います。ごらんの通り時間も迫つておりますけれども、主査としては、なるべく多くの委員各位の御希望を入れて、文部大臣に直接御答弁を希望される各位には、たといその時間が三分でも五分でも、十分御満足を與えたいと思うのであります。しかるに文部大臣はただいま参議院の方より出席要求の矢の催促のようなリポートが来ております。けれども、文部大臣にはでき得るだけこの分科会に御臨席願わなければなりません。よつてお諮りしたい結論は、文部大臣に直接、たとい一間なりとも絶対に御必要の方々は、時間をお守りいただきまして、たとえば五分ぐらいずつ御希望者は一問一答していただくというようなことに、おとりはからいをしたいと考えますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

庄司一郎自由党

○庄司主査 文部大臣に対する御希望者は四名あられるのでございます。でございますから、五分ずつでも二十分かかる傾向にありますので、もし皆様の御了承がございますれば、たとい三分なりとも、五分なりとも、お互い自粛し合つて、ひとつ御了解を願いたいと思うのですが……。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今の主査のお話、大体今の実情として、一応は私は了承したのです。しかし文部大臣はこれで来られないというのではないと思うのですが、午後なら午後、明日なら明日と、はつきり来られる時間を今から約束してもらいたいと思います。その点をお諮り願います。

庄司一郎自由党

○庄司主査 大蔵省の主計局長がまもなく来られるそうでございます。これは風早君にお答え申し上げておきます。  ただいま風早君より議事進行の御相談がございましたが、大体の予定は、本日の午後は厚生省の説明を聞いて、厚生省関係の御質問を願う。明日は、願わくば定時ジャスト十時に開会して、労働省関係の説明を用いて、明日の午後三、四時ごろまでには一応質問を終り、その後皆様の総意によつて、再質問と申しますか、重要な点の総くくりをあげたいと考えておるのでありまして、むろん午前中だけで文部大臣を放免する考えはございません。ぜひもう一度おいでを願い、適当な時間に皆さんの御質問に答えていただきたい、こう念願しております。午後の適当な時間か、あるいは最悪の場合は明日、文部大臣にせめて一時間なり、一時間半なりおいでを願つて、答弁をしてもらいたいということを、主査としては文部大臣に強くお願いしたいのであります。

若林義孝自由党

○若林委員 ちよつと関連して——ただいま大蔵省側から、商船大学に関する調査研究ということで、二十八年から置くか、置かぬかを調査研究するという御説明があつた。文部大臣は過般の委員会におきまして、二十八年度から置くということを前提とする準備費であるという御説明があつたのでありまして、全然御説明の趣が異なつておりますが、調査費と準備費との御説明の区別を、文部大臣と大蔵省と両方からひとつ伺つておきたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は準備費と解釈いたしております。それは来年度から新設するという意味であります。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 私の方も準備費といたしまして、ただ準備をするためにいろいろな調査研究を要する。従つて準備費の中味をそういうふうに申し上げたわけであります。

若林義孝自由党

○若林委員 先ほどの御説明では、置くか置かぬかを調査研究するというふうに言われたのでありますが、設置を前提としての研究ということに今は御説明がかわつたようでありますが、さよう承知していいのでしようか。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 私ども予算を査定して、十万円を計上するということをいたした場合には、設題をするということを必ずしもはつきり意識いたしませんで、とにかくこれで研究してみるという趣旨で考えておりましたが、その後国会側の御意見、また政党側の御意見、また大臣等の御意見によつて、そういう設置を前提としてこれを考えるというふうになつて参つたようでありますので、私の先ほどの答弁は訂正をさせていただきたいと思います。

首藤新八自由党

○首藤委員 大臣が非常にお急ぎのようでありますから、私はもう一点だけ大臣にお尋ねしておきたいと思います。  ただいま商船大学設置と近代美術会館の設置に対しまして、大臣は並行すべきであるという御答弁であります。しかしながら、先ほど申し上げましたごとく、日本の現在における一番重要な課題は経済自立にあるということは、おそらく何人も御異論がないと思います。従いまして、その一環として商船大学の設置が叫ばれており、しかも大臣もその設置の必要を認めておられるのであります。一方、近代美術会館というものが、しかくさように商船大学の設置と同様のウエイトを持つものであるかどうか。私の常識から考えますればまつたく反対でありまして、近代美術会館がここ二年三年遅れましても、日本の経済にはさして大きな影響はない。いわんや、すでに博物館の設備がありまして、ある程度そういう面の目的も達せられているのであります。これらの点を考えますと、近代美術会館と商船大学の設置というものは、まつたく比重上の大きな相違がある。しかるに大臣はこれを並行してやるべきだというふうに御答弁になつておつたのでありますが、私は大臣の人格の高潔なることを信じております。この際いたずらに文節省の立場からセクシヨナリズムにとらわれることなく、真に大所高所から、国家のためにどういう政策を先にすべきかという御意見を、率直にお述べくださることを希望してやみません。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は、すべてのことにおいてセクシヨナリズムには、全然とらわれていないつもりでございます。ただ、ものは成立ちがございますから、抽象的にこつちが重要だ、あつちが重要だということだけではいかないものがあると思います。詳しい成立ちは御承知のことと思いますが、そういう成立ちから二つが予算に上つて来た以上は、二つとも成立させるがよいという考えで、抽象的にどつちが重要、どつちが重要でないということは、私の問題とするところでなくして、成立の過程を問題としているわけであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 一歩讓りまして、大臣の言われるごとく並行するということに了解いたしましても、実際問題としまして、片方の重要性を持つと思われるものの方が予算を創られて、それよりもはるかに比重の軽いと思われる近代美術館の予算がとれた。しかも財政困難と言われている折柄にもかかわらず、それが二十六年度、二十七年度と二軍に予算がとれている。おそらく予算折衝の結果、文部省の省議において詳細に説明があり、省議においてこれをいかにするかという御審議があつたと私は想像するのであります。もし大臣が並行するというようなお考え方でありましたならば、幸いここに予算が二重になつておる。そのいずれかをこれにまわすべきではないかというお考えが、当然起るであろうというふうに想像されるのであります。今日の事態から考えますれば、そういうことにも処置されていないように見受けるのでありますが、もしほんとうに並行すべきであるというお考えでありますならば、そういう処置を当然おとりになるべきではありませんか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 ものには成立ちがあるからして——近代美術館ということは先からできていることでございまして、あとから商船大学ということができて来たのですから、それを二つ並べて出したのでありますが、片方が大蔵省で取上げにならなかつたから片方を、来年度のをそちらにまわすということも、予算の技術上できることでありましようが、そこらは私のつまびらかにしないところであります。

庄司一郎自由党

○庄司主査 どうですか、在野党の方にも希望者があるのですが、まだですか。

首藤新八自由党

○首藤委員 まだようやく序の口です。

庄司一郎自由党

○庄司主査 それでは困ります。主査はあくまでも公正にやりたいと思いまして、一問か二問だけは許容いたしますが、他に文部大臣への質疑者が四名もございますから、あなたにだけ多量の時間は差上げられないのであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 それでは大臣に対してもう一点だけお伺いいたします。昨日寺中局長から、いまさらこの予算の科目の変更は不可能だという御答弁がありました。この予算が国会を通過した後でありますならば、寺中局長の言われることは了解いたします。しかし現在は審議中でありまして、審議権は国会にあるのであります。と同時に、政府の方におきまして、これがまだ通過しないうちは自発的に修正も可能と考えるのであります。そこでこれの質疑応答を続けた結果、この際これを修正するという方向に結末がついた場合、大臣はこれに御同意くださると存じますが、この点いかがでございましよう。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 国会がそういうふうにおきめになれば、それで私はよろしいだろうと思つております。

庄司一郎自由党

○庄司主査 岡委員。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 大臣に二、三点お伺いしたい。第一点は、平衡交付金が実施されましてから、これが必ずしも満足すべきものでないために、地方財政上大きなウエイトを占めている義務教育費が、非常に不当な圧迫を受けていることは大臣も御存じの通りだろうと思うのであります。しかも累年その減少が著しいというふうに地方も訴えております。そういう事情を勘案いたしましたときに、やはり義務教育費についての適当な負担額と申しまするか、こういうものを算定して、最終的な責任は国が持つてこれをまかなうというような、義務教育費国庫負担法とでも申しましようか、そういう措置でもつて地方財政上の圧迫を緩和しつつ、かつ義務教育をその名のごとく国の責任において通行して行く、こういうようなことについて、地方でも相当要望があるのでありますが、また大臣のお耳にも達しておると思いますが、文部省といたしましては、そういう要求に対して近い将来こたえられる御意思があるかどうかという点をお伺いいたします。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 できれば本国会に法案を提出したいという考えを持つております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 それは何しろ相当な予算を伴うものでありまするが、本国会に提出されましたる場合においては、その法制的措置に伴う予算的措置についても、大臣としては確信を持つておやりになるお考えでございますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私の考えておりますことは私どもと申しますか、文部省で考えておりますことは、今さしあたつてすぐ予算の増額とかそういうことは必要としない計画でございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 ぜひとも文部省の方でも成案を急がれて、本国会に御提出を心から希望いたします。それから私どもの観点からすると、科学教育の予算が非常に乏しいと思うのであります。何しろ戦争中から戦後にかけてかなり大きな空白の時代があつて、諸外国の人文の発達に遅れておるというかつこうでありますので、この空白をできるだけ早くとりかえすということが、やはり日本の独立完成の大きな要件であろうと思うのでありますが、その点予算面だけを見まして、われわれ非常に遺憾な思いがするのであります。この科学振興について文部省は、たとえばどの程度の予算を大蔵省に御請求になつているかというような点、また根本的にどういう建前でもつて、この振興を期そうとせられているかという点についてお伺いいたします。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 科学振興に関する岡さんの御意見は、私も全然同感でございまして、その点はたえず大蔵当局の御了解を求めることに努めて参つて、不十分でございますが、二十六年度においては大学の講座費を倍にいたしました。今年は科学研究費を十億要求したと記憶いたしておりますが、六億程度にしかできなかつたことは、非常に自分も残念でございますが、日本はそういう点もつとやらなければいけない、せつかく能力のある国民を持ちながら、こういう不完全なことではいかぬという考えは強く持つて、今後もますますこの点推進して参りたいと考えております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 関連してお尋ねいたしたいのでありますが、これは新聞の伝えたニュースでありますが、日本で最初のノーベル賞を受賞された湯川博士の賞金を基金といたしまして京都大学で記念館のようなものを設置する——申し上げるまでもなく理論物理学ないし原子論的物理学が今日平和のかぎともなり、大きな進歩を示しているのでありますが、この記念館が新聞の写真を見ますると、まつたく中途平端なままで野ざらしになつておる。これに対する国の思いやりというか、これをやはり日本における科学のシンボルとするだけではなく、科学への気持を大きく国民の上に沸き立たしめるためにも、非常にわれわれとしては美しい企てだと思うのでありますが、これに対する政府の方の思いやりというか、そういう計画に対する助成については、非常にわれわれとしては納得のできないような新聞ニユースを聞いておりますが、その後どういうふうにあれがなつておるか、政府として具体的にこれを進捗するというような御意思があるかどうか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 その点も私は全然同感でございます。湯川記念館も、できるだけあれを推進したい考えであつて、現在この建築は進行中でございます。私どももできるだけのそれに力を入れたい考えでございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 具体的に予算の面で、どういう程度の補助なり、助成をなさる御計画でございますか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 それはあとで事務当局が調べてお答え申し上げます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 これは幸いその方面の熱心に研究しておられる大蔵省の岩動さんがおられるので、大臣と兼ねてお尋ねするのでありますが、岩動さんは長らくヨーロツパ諸国において、社会保障なり文教の点について、予算的な観点からいろいろ御研究でありますが、イギリスなりあるいは西ドイツなり、フランスなり、スイスなり、またイタリア等において、この文教予算の一九五一年度における総予算における比率はどういうことになつておりますか、このお答えを得てから、文部大臣に御所見を伺います。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 たいへん恐縮なお言葉をいただきました。実は私そのような調査をいたして参つておりませんので、ただいまお答えをいたしかねます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 それではこれは確かに御存じと思いまするが、一九五一年における英国の総予算における——あるいは一九五〇年でもけつこうでございますが、文教費の総予算における比率、並びに英国の国防費と文教費との比率、これは言動さん確かに御存じだと思いますから、お伺いいたします。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 ただいま手元に正確な資料を持つておりませんので、はつきりしたパーセンテージも申し上げかねるのでありますが、イギリスにおける一九五〇年から五一年にかけての予算におきましては総額約三十七億ポンドのうち、文部省系統の予算が二億数千万ポンドであつたと記憶いたしております。従いまして十%以下の比率であつたと記憶いたしております。ただイギリスにおきましては、日本と教育制度等も非常に異つておりますのでいたずらに比率で日本と比較するということは、危険なことではないかと考えております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 これは専門の岩動さんの御所見に訂正を加えるのはどうかと思いますが、確かにイギリスではあの十二億ポンド以上の社会保障費の中に、義務教育費全額国庫負担費四億六千万ポンドが加つておつたと思います。そういたしますと、文部省予算とほかに社会保障費の中に含まれておる義務教育費全額国庫負担費を加えますと、七億ポンドに近いものがあると思うのであります。そういたしますと、大体総予算の二割近いものが文教費にさかれておる。それに対しまして軍事費はあの当時は七億六千万ポンドということでありますが、軍事費と大体どつこいどつこいの予算が組まれておる。ところがこれはイギリスと日本ではいろいろ事情も違いますが、二十七年度の予算に現われた文教費というものは、数字の上では三%にも出ないというような実に乏しい予算でありますが、天野文部大臣も相当な御抱負を持つて、また御構想を持つて文教の衝に当つておられますが、何と申しましても、予算の額だけが文教のウエートを決定するものではないにいたしましても、日本の実情はやはりこの予算的措置というものが、相当大幅に文教面に要求されておることは言うまでもないと思うのでありますが、そういう点において、非常にいわば片手落ちな予算は、ある意味において非文化的予算ではないかという感がするのでありますが、そういう点について一体日本が文化国家として、あるいはまた文化的な要素をたたえた独立の姿が、はたしてこういうことでできるかどうかという点、われわれは非常に懸念をするのでありますが、文部大臣の率直な御見解を承れれば幸いだと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 今の総予算に対する比率は四%ないし五%になつております。私どもも今おつしやつたような点について、日本がもし非常に文教費予算というものが少いならば、それを——これは打明けた話でありますが、たてにとつて大蔵省にもつと迫り得ると思いまして、ある非常に有力な経済学者に頼んで、ひとつ私にそれを調べてくれませんか、そうしたらそれについて大蔵省と話合いができるからと言つたところが、ある有名な学者が調べて来てくれて、天野さんだめです、こういう外国との比較をしたら何も得にならない。なぜならば、日本のパーセンテージというものは簡単に言えない。これは地方費でもたくさん使つておる、そういうものを全部ひつくるめますと、パーセンテージをとるということだけでは、この問題は解決できないという答えを私は得て、このパーセンテージということはよほど研究してみなければいけない、ただ総予算に対して出ているものだけではきまらないということを聞いたのですけれども、それなら現在の教育費で満足するかというと、決して満足しているわけではございませんから、今後とも大いにこれをやつて行かなければならないと考えております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 時間が非常に制限がありますから、せつかく天野文部大臣においでを願つて、いろいろ根本的な教育方針について御所見を承りたいと思いましたが、それは午後なり明日の機会に譲ることにしまして、今幸い大蔵省からも主計局長が見えておりますから、予算上の問題に限つて二点だけお尋ねしたいと思います。第一は六・三建築についてこれは一人当り〇・七坪の計算で、文部省としてはその案ができ、そのつもりですべてやつて来られたのでありますが、それが大蔵省の計算違いで、しかも二十三億の計算違いで、そのまま二十三億少い予算が計上せられておる、こういう問題があることは、すでに予算委員会でも、またこの分科会でも昨日問題にしたところであります。これについては、大蔵省もすでにその計算違いであつたということは、これは明確に承認されたと聞いておるわけであります。従つて文部大臣とされては、日本の教育制度の根幹をなしておるこの六・三制、しかもその六・三制の根幹である六・三建築費について、こういう誤差があつて、そのままにこれを済ましておかれることはできないと思います。この点について文部大臣はどういう方針並びに実際をやつておられるか、その点を伺いたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 大蔵省の計算が間違つておるなんと言つたことは決してございませんです。ただ計算の仕方に違いがあるということでございます。決して間違つているなんて言つたことはございません。それからそういう計算の仕方から出たずれは、二十八年度において私は大蔵省に向つて承認してもらいたいと思つております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 計算の仕方と計算の間違いとは、またたいへんな違いで、きのうの速記録を見ていただきたいと思います。しかしながら一歩讓つて、計算の仕方の間違いにしましても、文部省の計算の仕方と文部省としてはおとりになる限り、つまり来年度にこれは計上すると言われるのは、すでに文部省の本年の計算の仕方というものをやはりとつておられる。それを前提としておるというふうに了解できるのでありますが、その場合二十八年度の予算に譲るということは、これは一年間この計算の仕方の間違いのままで何とか糊塗するということになるのでありまして、これは文部当局としてははなはだ遺憾な態度ではないかと思うのであります。一年間指をくわえて見ておるというわけには行かぬだろうと思います。この六・三建築の内訳につきましては、昨日非常にここで時間をもらつて詳しくいろいろ問題を出したわけでありまして、なかなかこの二十三億が加わつたところで、十分な建築ができるわけではないのです。そういう場合に、もう少し文部省としては、はつきり計算の仕方の間違いであるということが認められた限りは、この会期中に補正を組まれる、こういうはつきりした態度をとるべきでないかと思う。一応そういう態度をとつて何らかの折衝をされたのかどうか、そういう点もお尋ねしたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は決して間違いということは申しません。計算の仕方であります。それからまた人口増です。この両点から、そこに計算の上に違いが出て来たということでございます。その違いは二十七年度において、できれば繰越したくはございませんけれども、大蔵省の方の国家財政の見地から、それがむずかしいということであるから、二十八年度の予算においてあとを補充したいという、こういう考えでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 すでに大蔵省の計算の仕方をとられないということは、もはや明瞭なんでありまして、そうした場合、今間に合うのです。今この会期中に出されれば、おそらくこれは異常の諸君といえども、この問題について二十三億くらいの金をほかからくめんするということは、たとい総額をかえないでも何とかくふうができるわけです。そういう点で、あなたはただやむを得ないと言われますが、どういう努力をされたかということを今聞いておるわけです。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 今までそれを二十七年度に計上したいと思つて努力して来たのでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 どういう努力ですか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 どういう努力というのは、いつでも文部事務当局が、大蔵事務当局と折衝して、私も大蔵大臣に直接に話して、そういうような努力をして来ました。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 私は神戸商船大学の設置の件につきまして、文部大臣初め当局にお尋ねしたいと思つておりましたが、お急ぎのようでありますから、私一点だけお尋ね申し上げたいと思います。ただいま岩動主計官の御答弁の中に、神戸商船大学の件につきましては、具体的な数字はわからない。一体どういうぐあいになつておるか、詳細は存じておりません、こういうような御答弁であつたようでございます。岩動主計官は、この方は御承知のように文部、厚生の専門の所管の主計官でございまして商船大学の設置等につきましては、おそらくあらかじめ具体的な数字が十分おわかりだろうと私は思つておつたところが、非常に意外な御答弁で、私は驚いた次第なんです。ところで文部大臣はしばしば委員会その他におきまして、商船大学の設置については決して熱意を持つておらないわけではない、文部当局としては十分考慮しておられる、こういうような御答弁でございましたが、私どもといたしましては、どうも文部当局の御熱意が薄いように感じておつたわけでございまして、もし御熱心であれば、私どもは何回かごの商船大学の設置の件について、詳細な数字にわたりまして検討を重ねたわけなんでございまするので、文部当局が大蔵省に具体的な折衝を重ねておつたんだ、こういうぐあいに私は感じておつたのですが、今の御答弁で何もしておらないという感じがいたしましたので、この際再びお尋ね申し上げるのですが、商船大学の件につきまして、当局はほんとうに熱意を持つておられるのかどうか、この点につきましてひとつお尋ねいたしたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 これは成行きをほんとうは御説明しないといけないのです。ここで私は打明けて御説明いたしておいた方がよいかと思いますが、実は文部省は七十一の大学をつくるについては、総理に対してこれ以上はつくらぬという約束で、七十一の大学をつくらしてもらつた。総理からはこの大学を完成するということができないのに、何で新しい大学をつくるかというようなお考えを聞いております。そこが文部省の持つている一つの悩みであり、また他方においては、運輸当局から自分たちの方が足りないんだから、あなた方はやつてくれ、やつてくれということではない。そういう点からおのずからこれが延びて来た。けれども私は自由党内閣は自由党の政調会のきめたことに従つて行くべきだ、こういうことを考えますから、それですぐそういう措置をして、予算も提出しました。こまかいこともみな事務当局から折衝しております。岩動さんはただいまどうおつしやつたか私は忘れましたが、岩動さんの御承知のことです。みんな事務当局に出しておることでございます。そういうようにして、自分らは一旦自由党政調会においておきめになつたことは実現しよう、ただ急なために間に合わないから、準備金を入れて来年度は実現しよう、今まで一つでも言い出してその年にすぐできた大学はないと記憶いたしております。その準備金を入れて、次につくるという方針で文部省は参つたわけでございます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 詳しいお尋ねは数字にわたりますので、私はこの際あとひとつ当局にお尋ねしたいと思いまするので、これで私は文部大臣に対する質問は終ります。

若林義孝自由党

○若林委員 文部大臣のおられる間に、ひとつ念を押しておきたいのでございまするが、産業教育の振興費についてであります。三分の一、二分の一という問題は大臣には拔きにいたしまして、地財委の方から私たち聞きますというと、残りの三分の二というものは、平衡交付金の算定の基礎の中に入つておるということを伺つたのでありますが、文部大臣それは御承知でありましようか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は詳しいことは存じませんが、それは入つていないから起債によつてやろうという考えを持つております。しかしあとで事務当局から私の説明を補足していただいたら、けつこうだと思います。

若林義孝自由党

○若林委員 この点ひとつ文部大臣から岡野大臣に御折衝願いたいと思います。われわれとしまして二分の一の起債を認めよということを言うたのでありますが、困難だと言う、そのあとへこの三分の二というものは、地方の平衡交付金の中に入れてある。そこで非公式ではございますが、文部次官とそれから地財委の方から通牒をもつて、これをひとつはつきりと各府県に言うてもらいたい、こういう要望をきのういたしたのであります。これは非公式でありますから、きようこれは正式のところで、ひとつはつきりいたしたいと思つておりますが、地財委の方から御答弁願いたいと思います。

奧野誠亮総理府事務官(地方自治庁財政課長)

○奧野政府委員 産業教育振興関係の設備に対しましては国から補助される。それに伴いまして、地方負担もあるわけでありますが、そういう所要経費は地方財政計画上の歳出所要額に全額算定しているわけであります。地方財政の上で歳出総額が大体七千億余りになると思つておりますが、歳出に伴う財源は、地方税でございますとか、地方財政平衡交付金でございますとか、地方債でございますとか、大小はありますけれども、それらのものを考えておるわけであります。同じ平衡交付金で見て行くということは穏当じやありませんけれども、地方財政全体の計画の中に織り込みまして、所要経費は確保できる、こういうように考えておるわけであります。

若林義孝自由党

○若林委員 それでは大臣が三分の一は起債でやるようにあつさりお考えになつておるのと非常な食い違いがあるのでありますが、その点大臣はどうお考えですか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 要するに私は国が三分の一持ち、地方が三分の二持つというように今なつておるけれども、その三分の二のうちのどれだけかは起債によつてやるべきものだと私は承知いたしておりましたが、そういうこまかい点についてはあとで事務当局によくお尋ねいただきたいと思います。

庄司一郎自由党

○庄司主査 ただいま近藤監理局長より、湯川記念館に関しこまかい数字に関する答弁をしたいとの発言を求められておりますので、詳細な御報告を求めることにいたします。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤(直)政府委員 先ほど岡さんからの御質問でございました湯川記念館の予算でございますが、ただいま調査ができました。鉄筋コンクリートの三百四十坪でございます。二十五年度の継続事業といたしまして、二十六年度に二千三百八十五万円の予算が計上されております。

石野久男労働者農民党

○石野委員 先ほどの質問でちよつと要領を得なかつたものですから、地財委の奥野課長にちよつとお尋ねいたしますが、義務教育国庫負担に関しましては、文部省としてはそれを積極的に進めようという意見を持つておるように聞いておるのであります。地方財政の立場からしまして、あなた方の考え方はどうかということを私は先ほど聞いたのですけれども、いろいろこまかい技術的な説明はたくさん並べられましたが、結論的な意見を承ることはできなかつたのです。地方財政委員会の方の考え方としては、自治庁の考え方としてはどういう考え方を持つておるか、この際簡潔に承つておきたいと思います。

奧野誠亮総理府事務官(地方自治庁財政課長)

○奧野政府委員 二十七年度の国の予算案が決定されます前に、文部省から伺つたことがあるのであります。現在なおどう考えておられるか承知いたしませんが、当時文部省からは教育財政平衡交付金制度をつくりたいという考え方があつたのであります。その案の内容は、各地方団体ごとに教育費を算定いたしまして、それだけの経費を別途に確保したいという考え方であります。しかしながら富裕の団体に対してまでも、国から直接交付金を出すということは穏当じやないから、地方団体ごとに所得税額の一定割合というふうに、ある程度の金額を差引きまして、なお不足する額だけを個々の各団体に交付して行きたいという考え方でありました。言いかえれば、地方財政平衡交付金制度におきましても、教育費のみならず土木費その他を合せまして、全所要経費というものを算定いたしまして、半面に全歳入を測定いたしまして、差額をその団体に交付するというふうな行き方をしておるわけであります。そこで両者の考え方には、第一には、教育費だけを別途に算定するということが問題のようであります。別途に算定するということは、それだけ支出義務を課そうというところにねらいがあるのではなかろうかと思うのであります。これに地方財政委員会としては異論を持つておるわけであります。確保しなければならないのは、教育の施設の内容であつて、金を使うことではないのじやなかろうかということであります。第二は、一定金額を差引くといたしましても、教育費に見合つた一定金額とは幾ばくかということの正しい結論は得られないと思います。そういう点に第二の異論を持つておつたわけであります。そのほか一般に国庫補助金制度が伴いますならば、いたずらにそれだけ事務を煩瑣にするのではないかということ、あるいは不当な干渉の機会を與えることになりはしないだろうかということ、あるいは総合行政の推進を阻害しはしないだろうかというようなこと、あるいはまた支出義務を考えるようになると、それらの経費の算定を通じまして、行政内容が強制されるといいますか、多分に画一的になつて来るおそれがあると思うのであります。こういう点をおそれておつたわけであります。さらに地方の行政機関では教育委員会というものが、かなり府県の機構から独立した性格を持つておりまして、教育費の算定が中央で一方的にきめられて行くということになつて参りますと、教育委員会と府県とが密接な連絡をとりながら、ともどもに短を補いながら総合行政の妙味を発揮して行くという見地が薄れて行くんじやないか。地方行政がますます分裂して行くような傾向をたどりはしないだろうか。こういう点がわが国の政治の発展の上から見まして、必ずしもいい結果をもたらさないのではないだろうか、こういう点をおそれておつたわけであります。従いまして、現在通り義務教育費といいましても、全額を地方団体が負担する行き方がいいという考え方を、地方財政委員会としては持つておるわけであります。

石野久男労働者農民党

○石野委員 今地方財政委員会の意見は、義務教育費国庫負担の問題には、いろいろな観点から強い反対の意見があるようであります。これに対して、文部省としての考え方なり、あるいは先ほどは文部大臣から積極的に義務教育費国庫負担の問題を取上げて行きたいという所見かあつたのでありますが、地財委の意見に対してはどういう考えを持つておりますか。

今村忠助自由党文部政務次官

○今村政府委員 文部大臣も先ほど申しました通り、義務教育費の国庫負担は、憲法に明記するところでもあり、何とかいろいろの点から努力して参りたいと考えております。また党といたしてもその点は強く考えていると思うのでありまして、今後なおいろいろの方向から折衝して行くつもりであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 私は先ほど文部大臣と大蔵省の政府委員に御意向をただしたのでありますが、文部大臣の答弁はありましたが、大蔵省の政府委員からの答弁はまだありませんので、この際大蔵省の政府委員から御答弁を願いたい。それはもう一度繰返しますが、自立経済という国策の大局的見地から考えて、貿易の伸長と商船隊の拡充化問題が、日本として最も緊急かつ重要な課題である。それがために高級船員の養成も不可分の関係にありまして、商船隊の拡充と同様の緊急性を持つものである。そしてそれは党の政調会、総務会、文部委員会、いわゆる政党内閣の主要機関が全部これを決議して、文部省もこれを尊重している。しかるに一方においてはこれの予算が財政困難ということで創られておる。そしてかわりに近代美術会館には二重の予算を計上されておる。さように考えました場合に、大蔵省の政府委員の、どちらを重点的に取上げるべきか、どちらを先行すべきかという点について、われわれの考え方と非常な相違があると思うのでありますが、これに対しまして、この際あらためて大蔵省の御意向をただしておきたいと思うのであります。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 先ほど文部大臣もおつしやいましたように、私どもといたしましても、どちらも非常に大事な問題であると考えております。ただ近代美術館につきましては、二十六年度の予算において、国会の議決を得て許されたものでもございますので、まずそれの実行ということが、われわれの予算執行の立場におきましては、義務と考えておるわけであります。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 ただいま岩動主計官が申しましたように、いずれも重要なものである、と考えておる次第であります。

首藤新八自由党

○首藤委員 大蔵省の政府委員は、文部大臣と同様並行すべきだという御意向のようでありますが、これと同時に二十六年度の国会で一億円を承認されておるからということであります。しからば二十七年度に重ねて一億円を計上した理由いかん。海員の養成という緊急課題と並行すべきほど重要性を持つものでありまするならば、二十六年度の予算は通過いたしておるのでありますから、昨年の四月以降今日までにこの一億円というものは、当初の計画通りに近代美術会館のために当然使つておらなければならないということが、われわれの常識であります。しかるに今日までこの一億円の使途に、はたしてどれほどの熱意を文部省が持つておるかどうか。しかも二十七年度において再びこれを計上するということは、二十六年度において使い切れないというような一つの杞憂から、あらためて二十七年度の予算を要請したと思うのでありますが、ほんとうに国家的に必要なものでありまするならば、あらゆる困難を克服いたしまして、この年度内において当然これは使うであろう。一日も争つてこれを使うということが、重要性があるかないかによつて決定される問題だと、われわれは考えるのであります。しかるに漫然一年を延期いたしまして、さらに二十七年度においてこれを計上する。一方においては予算がないということから、この緊急な大学の設置に反対されておる。そして片一方では二重の予算を組んでおる。こういう二重の予算を組むことを大蔵省として妥当とお考えになるかどうか、この点をお伺いしたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 近代美術館の経費につきましては、二十六年度に一億円入つておるのでありますが、この近代美術館をいかなるものにすべきか。ことに当初の考え方といたしましては、神宮の紀念絵画館等を買収するというような話もありましたし、あるいは新設した方がいいというようないろいろなお話がございまして、今に至るまで実は具体的に——ある程度の計画はあるのでありますが、非常に画期的な事業でもありまするし、そのやり方について非常に愼重を期しておるわけであります。そういつた関係で、今年度内にもしその議がまとまつて具体的な計画ということに相なりますと、支出することになるわけでありますが、万一これができなかつた場合におきまして、この予算を繰越して明年度に使う意思はないのであります。従いまして、年度内まで今や二箇月しかないのでありますが、もしこの経費が使われなかつた場合においては、予算をとつた目的に沿わないことに相なりまするので、そういつた関係で、明年度にやはり一億円というものを計上いたしたわけであります。もし今年度において使われるということになりまするならば、明年度の予算はいらなくなります。運営費はいると思いますが、建設費はいらなくなると思います。今年度において支出しないということになりますれば、これは不用額としてそのまま使わないことに相なるわけであります。

首藤新八自由党

○首藤委員 財政困難という建前をとつておる大蔵省が、まことに御丁寧な予算をお組みになつておる。われわれはこの大蔵省の意思のなへんにあるかを理解するに非常に苦しむものであります。と同時に私がお尋ねしておりますのは、国家の緊急最大の課題は自立経済だ。そしてそれがために商船大学を設置することが一日早ければ一日早いほど、国家経済に大きな寄與をする。近代美術会館はそれほどの緊急性を持たないのではないか。現に持たない証拠には、文部省の方においてせつかく一億という予算を獲得しながら、荏苒一年これを放任しておる。おのおの事情があることは了解しておりますけれども、いかに事情がありましても、ほんとうに熱意があり、ほんとうにこれが国家の政策として重要性を持つものであるという認識がありまするならば、どんな事情でもこれを克服して、今日までにすでにこの予算は使つておるであろう。これがわれわれの常識であります。しかるにこれが今日まで放任されて、あるいは使わないかもしれないという事情に立ち至つておりますことは、真に国策的に緊急必要欠くべからざるものでないということを、文部省みずからが暴露しておるのだというように、われわれは考えるのでありますが、かようなものをこの緊急な商船大学というものと思い合せて、この緊急性を持つものをあとまわしにして、必ずしも緊急でない近代美術会館の方の予算を優先的に二重に組むということは、どの点から見ても不穏当だと考えるのでありますが、あなたの方でなおかつこれを不穏当とお考えになりませんかどうか聞きたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 近代美術館の設立につきましては、準備委員会をつくりまして、去年の夏ごろからいろいろ検討をされておるのであります。何しろこれは先ほど申し上げましたように、わが国としてはこういつた事業について、国費でこれだけの金を出すという画期的な問題でありまして、この委員には各方面の権威者を集めて、もう十数回にわたつて会議をやつておるわけであります。そういつたことで、いやが上にも愼重を期しております。現在までにそういつたことに相なつておらないことは、考えようによつてはまことに遺憾とも存ずるのでありますが、われわれとしては、いやしくもつくる以上はりつぱなものをつくりたい。もはや年度も迫りましたので、これの繰越しができないというような法制的な建前になつておりますので、その場合においてはせつかくの予算が使えなくなるということは、目的自体の御承認を得ました建前上、非常に遺憾であると存じまして、明年度にもさような経費を計上いたしたわけであります。少くとも本年度本館が設立になりますれば、運営費について、あるいは調度について相当な金がいることであろうと私は考えております。

首藤新八自由党

○首藤委員 私はさような観念的なことをお聞きしておるのではないのでありまして、国家の至上命令である経済自立のためにとるべき商船大学の問題と、不急と考えられる近代美術会館の設置とについて、本末転倒した処置をとつておりはせぬか。要するに近代美術会館の方は、財政困難であるならば、ここ一年や二年延期しても日本経済にはさして大きな影響は與えないが、片一方は日本経済に非常な関係を持つ、しからば当然この緊急性を持つものを先行して、不急のものをあとまわしにすべきじやないか、こういうふうに考えるにもかかわらず、それが逆行している、しかもそれが御丁寧にも二重の予算を組まれている。これは不当ではないかということを私はお尋ねしているのであつて、観念的なその他の問題をお尋ねしているのではないのですから、お尋ねした件についての御回答をお願いしたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 私は不当であるとは考えておらないのでありまして、つまり自立経済も大切でありますが、教育文化ということも大切であろうと思うのでありまして、これのどちらが優先すべきものであるかというような考え方は持たないのであります。財政の見地からはもちろん金額的な問題もございますが、バランスをとつて進んで行く。従つていずれも大切なことである。財政の許す限りできるだけのことをいたすべきであると私は考えております。

首藤新八自由党

○首藤委員 どちらも同じ重要性を持つておるという御答弁のようでありまするが、もしさようなことを主計局長がほんとうにお考えになつておるならば、私は主計局長の認識あるいは地位というものを疑わざるを得ないのであります。かような軽重の差がはつきりしたものに対しましても、同等であるというような認識を持つておる。それが大蔵省の主要な職責を持つておるという点に思いをいたしますると、今後国政を運用する上におきましても、まことに遺憾な結果を生ずるであろうことをおそれるものであります。しかも先ほど来申し上げておりまするように、造船計画のために国家はいかに格別の措置を考えておるか。さらに見返り資金も、当初は七割とか七割五分、民間の融資が二割か三割であつたと思います。これが最近は五割、五割になつておりまするが、しかも民間銀行の融資が全融資金額の一割九分という大きな額を占めておることによりましても、国家がいかに造船計画に不断の熱意を持つておるかということは、はつきり証明されると思うのであります。ことに主計局長はその方面の担当者でありまする関係上、何人よりもその点ははつきり認識を持つておると思うのであります。しかるに片一方では、これほど重要であるから格別の措置を講じておる近代美術館を、どういう観点から高級船員の養成という緊急的な課題と同等に扱われなければならぬという重要性を持つておるかどうか。要するに国民の納得するような理由を、ひとつはつきりお聞かせ願いたい。

河野一之大蔵事務官(主計局長)

○河野(一)政府委員 先ほどたびたび申し上げましたように、いずれも重要なことであり、相並んでやつて行くべきものだという考え方にかわりはございません。

庄司一郎自由党

○庄司主査 首藤委員に御紹介申し上げたいのであります。時計の針はごらんの通りでございます。そこにまたきわめて御熱心に労働大臣兼厚生大臣が御臨席になつておる。そこで私は商船大学昭和二十七年度開設御要望の問題は、あなたを初め各委員より相当御熱心に御検討をくだされ、それに対して政府もそれぞれ誠意を示されておるようでございまするが、ただ断の一字をもつて文部省が大蔵省と御折衝の上、御要望を断行されるかいなか。これが最後の問題であると思うのであります。第三分科主査としては、皆様のさように御熱心なる御要望に対しては、予算総会にそのまま皆さまの御希望の表現を——総会ならは附帯決議という方法がございまするが、分科会にはそれがございませんから、ただかような熱烈なる御要望があられたということを、附帯決議的な意味を含めて、主査は予算総会に報告し、もつて予算総会の各位の方によく御了解を願つた上において、総会は総会としての御善処を望みたいのであります。そこでいかがでございましようか。一問一答ということがございまするが、御希望の方にごく簡単にお願い申上げることとし、かつ今村政務次官におかれましては、党出身の方としてこの熱烈なる御要望がよくおわかりであると思いますので、近代美術館も文化の面においては大切である。あるいは商船大学ももとより大切である。軽重がない、平等であるというような御答弁のようでございますが、東洋道徳、東洋仏教哲理の原理には、平等の中に差別あり、差別の中に平等あり、ここにほんとうの妙味があるのでありますから、これは政務次官の責任がきわめて重大になつて参つたと思うのであります。どうかひとつ責任をもつてこの御要望のある点を断行するように御奮励をお願い申し上げたい。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 私は少し喘息をわずらつておりまして、非常に気息えんえんとしておるのでありますが、商船学校の設置の件につきましては、事すこぶる重大と思いまして、きようは予算委員の方にかわつていただいて、予算委員になつてお伺いしたようなわけでありますので、たくさんはおしやべりいたしませんが、せつかくここに出て参つたのでございますし、ごくわずかでございますから、しばらく時間をお與えくださることを切望いたします。私は長く質問をすることは、ほとんどないのでありますから、五分間くらいで切り上げます。  そこでまず文部当局にお尋ねいたしますが、ちよつと数字のことになりますが、昭和二十七年度概算要求額事項別表、こういうものはおそらく私ども文部委員にはずつと前に渡らなければならなかつただろうと思いますが、今ここで見たのでございます。これは大体いつおつくりになりましたか、ひとつ御答弁をお願いしたい。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 文部省の概算要求は、大蔵省にいわゆる予算要求として、文部省の要望をとりまとめて提出をした資料でございまして、それはたしか昨年の十月ごろ提出したものでございます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 昨年の十月ごろといたしますれば、われわれの手に入らぬといたしましても、文部専門員室あたりにはとうに入つておらなければならぬ資料と思いますが、専門員室あたりでもきのうかおとといかきよう、ごく最近この表をいただいた、こういうことなのですが、その点はいかがでございますか。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 これは実は事務的な資料としてつくつておるのでありまして、別に説明の材料といたしましては、いろいろの刷りものをつくつておりますが、それについて専門員室にもるる御説明を申し上げた機会はあつたと存じております。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 そういたしますと、これは事務的な資料であるから、この中の数字は責任を持てないか、持てますか。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 この数字は、文部省の概算要求として責任の持てる数字でございます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 それではお尋ねいたします。二十七年度の一般会計予算の四百九十一ページの款項目の項目の十五番目、そこに近代美術館設置費となつておりまして、二十七年度の要求額が一億円、前年度が一億円、こうなつております。これは近代美術館の設置費でございます。それからただいま私が示しましたこの事項別表の二十三ページを見ますると、国立近代美術館運営に必要な経費、こういうぐあいになつておる。事項はこちらは近代美術館設置費、こつちの方は国立近代美術館設置運営に必要な経費、こうなりまして、前年度の予算額として一億円、それからこれはおそらく二十七年度の概算要求というのでございましようが、それが四千五百七十四万五千円と、こういうぐあいに相なつておる。こういう関係がすこぶるどうも解釈に苦しむところでございまして、この点につきまして寺中局長さんでございましようか、どなたかひとつ御答弁願いたい。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 この近代美術館設置の経費につきましては、今主計局の方から御説明もありましたように、昭和二十六年度におきまして予算がついて、美術館の建築費並びにそれに伴う諸経費を一億円から出すということで、その実施を急いで来たわけでございますが、その実施計画についていろいろめんどうなことが起りまして、新設ができないという結論になつて、この予算の問題をいろいろやつておりましたときには、実ははつきりした見通しがつかなかつたのでございます。そこでただいま大蔵省から御説明がありましたように、二十六年度において設置しなければならないものが、諸般の予測を許さなかつた事情のためにもし使えないということになれば、これは責任としても考えなければならぬというような意味において、もし繰越せれば繰越すのであるが、繰越しができなければ、二十六年度の経費が不用になつた場合には来年度の経費として考慮するという意味で、一億円が認められたのでありますが、要求の際に出しました数字は、来年度一億入れるということは、この査定のときに最後にきまつたことでございますか、十月ごろに要求を出しましたときには、ことしの二十六年度の一億で適当な設備を買い、あるいは設置をしまして、そうして来年度にはその運営費として四千五百万円くらいの金がいるということを要求したわけでございます。要求の時期、結果がきまりました時期等に齟齬がございますので、要求のときは運営費を要求し、結果的にはことしの一億を引継いだ一億が来年度に入つた、こういう次第でございます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 どうも非常に説明が複雑で、われわれはちよつと了解に苦しみます。こちらの二十七年度の予算書には、この要求額としてはつきり一億円を計上しておる。それを時期のずれとかなんとかおつしやいますけれども、ここでは項目まで近代美術館の設置費としておきながら、こちらでは運営費、こういうような目にすりかえておるのです。しかも数字も予算書のとは全然違つておる。こういうことは私どもがいかに正しく善意に解釈しようと思つても、解釈に苦しむところでございまして、もう一度ここははつきりわかるようにひとつ御説明願いたいと思います。こういうことはどうも困る。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 昨年度文部省から予算を提出いたしますときに、その事項といたしまして必要な仕事の内容といたしまして、近代美術館設置運営費を要求した次第であります。それはことしの一億によつて施設を確保いたしまして、それの運営に必要な経費として四千五百万円を要求するという態度で、これを提出した次第でございます。それが予算書になつて参りますときには、これをいろいろ検討した結果、ことしの設置費がもし不用になるような場合には、繰越しをするかわりに設置費を入れる必要があるというので、この設置費という名目で、これが予算書に載つて来たわけでありまして、この設置費の中から、もしことし一億の金で施設が確保された場合には、運営費もこの中から出すということになつております。設置費という意味は、施設の確保の経費と同時に、運営費も含めましてこの設置費という科目が設けられたのでありまして、どういう科目で予算書に載せるかということは、大蔵省においてこれを整理して、その科目を表示することになつておるのであります。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 まだどうもちよつとわかりません。ほんとうの正直のところ……。それではもう一度お尋ねしますが、この事項別表のつくられたのと、この予算書の原稿のつくられたのとは、どつちがどつちですか。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 この要求書はさつき申し上げましたように、昨年の十月ごろ実際の要求をとりまとめた資料としてつくつたものでありまして、ずつと早いのであります。この予算書ができましたのはこれはいわば大蔵省で査定をした結果を、大蔵省としての国会提出の予算書としてできたものでありまして、これは国会提出直前にできたものでありますから、時期的には非常にずれがあります。

今村忠助自由党文部政務次官

○今村政府委員 この際ちよつと発言させていただきます、  ただいま事務当局のものの、大蔵省との折衝の過程に数字上あるいはそのあり方というようなことについて、多少の相違があつたという御指摘でありますが、これを要するに、近代美術館というものが本年度予算内に設置できるかどうか、できぬ場合においてという一つの見通しの相違だと思うのであります。十月ごろの見通しとしては、本予算年度内においてできるだろうと思つたのでありますが、いよいよ最後の折衝段階になつたころには、予算年度内においては、とうてい設置困難ではないかという一つの見通しにまたかわつたわけであります。要するに、近代美術館が本予算年度に設置見込みあるやどうかというところにかかつておるのでありまして、実はその後の折衝等から見まして、近代美術館はあるいはこの予算年度に実現するのではないかというように、また三回目にかわつて参つておるのであります。要するに近代美術館ができ、その上に神戸商船大学ができるように、文部当局ではしたいと考えておるのでありますから、この点はなお事務的にも近代美術館の設置が、本予算年度において確実にできるかどうかということを再検討いたしまして、委員各位の要望されるところの神戸商船大学の設置、これは当然文部省におきましても、大臣以下係それぞれ実現を期しておるのでありますから、要は予算編成上にあるものをどう変化修正するかという点にかかつておるようにも考えるのであります。これらの点を事務的にも十分研究いたしますとともに、党の御方針等も承りまして、善処し実現するよう努力いたしたい、こう考えます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員 私は與党の委員でありますから、気持としては実はこれ以上追究したくございません。今、今村政務次官の御答弁のニュアンスをとれば、近代美術館もやるし、それから商船学校もつくる。こういう点においては今村次官としては、大いに熱意があると私は見ておる。しかしこの数字を見ますと、これはいろいろそうでないと御答弁されるに相違ないと思いますが、こういうものを十月につくつたのを、今ごろようやくわれわれの手に、しかも一部か二部しか入らない。しかもその中に項目も全然別の、内容を一にして数字が全然違つておるという、こういうようなでたらめと言うと、はなはだこれは語弊があるかもしれぬけれども、こういう数字を出すということは、私はどうも承服ができないのです。しかしまあ今村次官の御答弁もございましたから、われわれはあなたの言を信用いたしまして、二十七年度に絶対にこれを通していただきたい。これは首藤委員からも、るる御説明があつた通りでありまして、党の面目にかけ、そうして民主主義的な政党政治を今確立しようとするこのときにおいて、われわれの要求が通らぬということは、とうていこれは考え得られないことでおりますから、どうか二十七年度に絶対に通していただくという決意を、ひとつ固めていただきたいと私はお願いする。われわれはおとなでございますから、礼儀も節度も全部わきまえておるつもりだ。個人的には、りつぱな当局の方々でございますから、決してとやかく申し上げたくございませんが、しかしわれわれも何十年間この政党政治で飯を食つておるので、最後には、上れわれには筋金が入つておる。どうしても当局がやらぬとすれば、私どもは絶対にやる。こういう気持でおりまするから、どうかわれわれの決意を十分おくみとりくださいまして、今小委員長さんのおつしやられた通り、それをわれわれは申合せ事項としてお願いしたいと思いましたが、あなたからそういう申合せをしていただくということでございますから、予算委員会におきまして、十分私どもの熱意のほどをお伝えくださらんことを、切にお願いいたしまして、私の質問を終ります。

庄司一郎自由党

○庄司主査 お諮りいたします。時刻はごらんの通り一時五分を過ぎております。われわれはわれわれの委員会において、真剣にまじめに晝飯も食べずにぶつ通すことは、もとより党悟でございますが、相当今朝来御質問もあり、あるいは御答弁があられたようであります。またごらんの通り労働大臣兼厚生大臣も大体この時間だろうというので、すでに二十五分も待たしておるのでございますから、この際皆様の御了解をいただき、文部省所管の予算に関する質疑は、一応この程度にとどめます。     —————————————

庄司一郎自由党

○庄司主査 次に昭和二十七年度一般会計予算、並びに特別会計予算を議題といたし、まず吉武厚生大臣よりその説明を聴取したいと思うのであります。  なおそこで委員各位の御了解をいただいて、一応厚生大臣の予算説明を聴取し、文部、厚生等に関連しての諸問題もございまして、特にただいま岡委員より要望がございました。皆様の総意によつて休憩をせずにぶつ通しやるか、あるいはライスカレーでも食べる十五分くらいの小休憩をするか、これは後刻皆様の総意にお諮りいたします。一応厚生大臣の説明を聴取するのに御同意をお願い申し上げたいのであります。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

庄司一郎自由党

○庄司主査 御異議なしと認めます。よつてこれより吉武厚生大臣の説明を聽取したいと思います。吉武厚生大臣。     〔主査退席、若林主査代理着席〕

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 それではたいへん御無理を申し上げまして恐縮でございますが、昭和二十七年度厚生省所管の予算につきまして説明をさしていただきます。ただいま議題となりました昭和二十七年度厚生省所管予定経費要求額の概要について御説明を申し上げます。  昭和二十七年度厚生省所管一般会計予算の要求額は、七百九億九千四百五十一万一千円でありまして、これを昭和二十六年度予算額四百六十億一千七百七十七万八千円に比較いたしますと、二百四十九億七千六百七十二万三千円の増加と相なつておるのであります。今右予算のうち、特に重要なる事項についてその概要を申し上げますと、まず第一は、結核及び癩対策であります。わが国で保健衛生上最も緊要事でありますところの、結核の撲滅につきましては、本年度より画期的な対策を講ずるに至つたのでありますが、明年度も引続きこれを強化することとし、百三億四千二百九十四万余円を計上いたしたのであります。そのおもなる内容といたしましては、調査、研究、技術者養成等に必要な経費二千六百五十四万余円と、結核予防法に基き、都道府県の負担する健康診断費、予防接種費、医療費、在宅患者の訪問指導費等の補助に必要な経費二十二億二千四百三十六万円と、国立結核療養所の経営に必要な経費及び公立、法人立の結核療養所の経常費を補助するために必要な経費七十億一千二百十一万余円のほか、さらに結核病床の増床として、国立一千五百床、公立四千床、法人立  一千五百床及び社会保険立三千床、計一万床を整備するために必要な経費十億七千九百九十二万余円を計上いたしております。また癩対策といたしましては、国立癩療養所に一千五百床の増設を行い、未収容患者を早急に収容する措置を講じますとともに、癩予防法に基き、都道府県の予防費及び私立癩療養所の経常費を補助するための経費等、合せて十四億二千五十七万余円を計上いたしたのであります。  次に第二は、上・下水道に関する経費でありまして、公衆衛生上、上・下水道の施設を整備することは、国民保健の向上をはかりまする上に、また伝染病の発生を防止するために、きわめて重要でありますので、この施設の新設改良工事を、地方公共団体が施行するために必要な事業費、及び過去における台風及び地震等による上・下水道施設の災害復旧事業費を補助するために必要な経費四億五千五百四万余円と、飲用水に基因して特に赤痢等の消化器系伝染病が多発する地域に、簡易水道を新設する工事費を補助するために必要な経費一億二千五百五万円と合せまして、五億八千五百九万円を計上いたしたのであります。  次に第三は、最近人工妊娠中絶が激増の傾向にありまするので、受胎調節を普及することによつて、人工妊娠中絶による障害を未然に防止し、母体の健康を保護することが必要でありますので、全国三百二十九箇所の優生結婚相談所を整備して、受胎調節の適切なる指導を行うこととして、これに必要な経費二千二百六十五万余円を計上いたしております。  次に第四は、国立病院の地方移譲についてでありますが、わが国における医療体系の整備の一環として、現在九十九箇所の国立病院のうち、今後とも国において引続き経営する必要のあるものを除きまして、残余の施設六十箇所の都道府県その他の公的機関への移譲を実施することといたしたのでありまして、その移譲される病院につきましては、施設の整備に必要な経費を国において補助することといたし、これに必要な経費六億四千四百万円を計上いたしたのであります。  次に第五は、生活保護に必要な経費でありまして、生活保護法に基いて、地方公共団体が生活困窮者の保護のために、支弁した経費に対する補助及び地方公共団体の経営する保護施設の整備費に対して補助するために必要な経費として、二百四十八億一千四百万円を計上いたしたのであります。扶助の種類は、前年度と同様、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の七種類でありまして、それぞれ各費目とも扶助の基準を若干引上げることといたしておるのであります。  次に第六は、旧軍人戰傷病者及び戰歿着遺家族等の援護対策でありますが、最近の状勢にかんがみ、旧軍人の戰傷病者及び戰歿者の遺家族等に対し、援護を講ずる必要がありますので、遺族に対しましては、遺族年金または遺族一時金を支給し、戰傷病者に対しましては、障害年金を支給するとともに、その再起更生をはかるために、医療または補装具の支給及び職業の補導、雇用のあつせん等の措置を講じ遺家族の子弟に対しましては、育英制度の充実をはかる等、各般の施策を講ずるほか、全国市町村において、合同慰霊式典を執行するために必要な経費を補助することといたしたのであります。  以上の援護の実施は、関係各省庁において、実施せられるのでありまして、これに必要な経費は、二百五十七億五千五百八十万余円と相なるのでありますが、このうち厚生省予算には、厚生省において実施する分についての必要な経費、二百二億六千三百六十四万余円を計上したのであります。  次に第七は、社会保険の充実整備であります。社会保険財政の強化確立をはかることは、きわめて緊要でありますので、健康保険及び船員保険について、保険者の事務費の全額を国庫で負担することといたしましたほか、国民健康保険については、特にその再建整備をはかるため、赤字保険者に対して、一定の條件のもとに、その赤字額の二分の一を長期融資するために必要な経費四億五百四十三万余円と、保険料の徴収成積を向上させることによつて、今後における保険財政の確立をはかり、その事業の運営を改善するために必要な施策として、保険料徴収成績の良好なる組合に対して、特別振興奨励金を交付するため、四億六百五十六万余円を計上したのであります。  以上特に重要なる施策の若干について申し上げたのでありますが、このほか保健衛生及び社会福祉の各費目に関しては、前年度に引続き所要の経費を計上いたしておるのでありまして、組織別に簡単に申し上げますと、まず官房関係の経費が八億三千九百六十万三千円でありまして、これは十七箇所の国立公園及び三箇所の国民公園の維持運営をはかるために必要な経費、厚生行政関係の統計の充実をはかる経費、厚生行政の普及徹底に必要な経費及び人口問題研究所の運営に必要な経費等であります。  次に公衆衛生並びに予防衛生対策に関する経費六十七億四千百三十万余円でありまして、前に述べました結核及び癩対策、水道並びに受胎調節に関する経費のほか、優生保護法の施行に必要な経費、伝染病の発生を未然に防止するため、都道府県及び市町村の予防費に対して補助するために必要な経費、公衆衛生の向上増進をはかり、国民保健に貢献するため、全国七百二十四箇所の保健所を運営する経費を補助するために必要な経費、保健所、その他公衆衛生関係施設の整備に必要な経費などのほか、国立公衆衛生院、国立栄養研究所、国立予防衛生研究所、国立精神衛生研究所、検疫所等の附属機関及び駐在防疫官事務所の運営に必要な経費等を計上いたしたのであります。  次に医務対策に関する経費は百四億三千六百三十八万余円でありまして、前に述べました国立結核療養所及び国立癩療養所の運営及び増床に必要な経費、国立病院の地方移讓に伴う整備費の補助に必要な経費のほか、医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦及び診療エツクス線技師の国家試験を行うために必要な経費、社会保障制度の一環として、医療機関の整備をはかるために、これが建設費に対して補助するために必要な経費、及び国立病院特別会計における施設費等に充てるため、所要の財源を同会計へ繰入れるための経費等のほか、国立精神頭部療養所、国立脊髄療養所の経営及び施設を整備するために必要な経費、及び全国八箇所の医務出張所の運営に必要な経費を計上いたしておるのであります。  次に薬務対策に関する経費は二億四千七百五十四万余円でありまして、医薬製造業の生産に関する実態を調査するために必要な経費、薬事法に基いて、医薬品、用具、化粧品及びワクチン等の国家検定を実施するために必要な経費、薬剤師国家試験を実施するために必要な経費及び急性伝染病の予防のため、コレラ、インフルエンザ、発疹チフス、痘病等のワクチンの生産を確保し、配給の円滑を期するため、国家買上げを実施するために必要な経費等のほか、国立衛生試験所の運営に必要な経費及び全国八箇所の麻薬取締官事務所及び府県駐在取締官の運営に必要な経費を計上いたしておるのであります。  次に民生安定に関する経費が四百三十六億二千四百六十九万余円でありまして、前に述べました生活保護法の実施に必要な経費及び旧軍人戰傷病者、戰歿者遺家族等の援護費のほかに、社会福祉事業関係職員の養成並びに再教育を行うために必要な経費、身体障害者の保護更生をはかるため、都道府県の実施した巡回相談指導、補装具の給與等の経費に対して補助するために必要な経費、市町村が支弁する公益質屋の設備費を補助するために必要な経費、災害救助法に基いて、都道府県の支弁する応急救助費を補助するために必要な経費等のほか、国立光明寮、国立身体障害者更生指導所の経営に必要な経費等を計上いたしておるのであります。  次に兒童福祉に関する経費が六億七千二百四十六万余円でありまして、母子衛生に関する施策を強化徹底するため、都道府県の負担する妊産婦、乳幼兒の健康診断保健指導を行う経費を補助するために必要な経費、身体障害兒の福祉増進をはかるため、都道府県が介護用具を給與する経費に対して補助するため必要な経費、兒童福祉法の施行に伴う各種兒童福祉施設を整備する経費に対して補助するため必要な経費等のほか、国立教護院を経営するため必要な経費を計上いたしております。  次に社会保險対策に関する経費が、五十四億九千三百八十三万余円でありまして、前に述べました社会保險の財政確立に必要な経費及び結核病床の増床のうち、社会保險立分三千床に関する経費のほかに、従前に引続き健康保險法、厚生年金保險法及び船員保險法に基いて、保險給付費及び業務取扱費の財源の一部をそれぞれの特別会計へ繰入れるために必要な経費、国民健康保險法に基いて前年度に引続き事務費の全額、保險施設費、直営診療機関の設置費を補助するために必要な経費等を計上いたしたのであります。  次に引揚げ援護対策に関する経費が二十九億三千八百六十六万余円であります。前に述べました旧軍人戰傷病者及び戰歿者遺家族等の援護を実施するに必要な事務費のほかに、外国から承邦へ引揚げる者に対して、各種の援護の措置を講ずるとともに、地方公共団体が引揚者の住宅の建設、または災害復旧に必要な経費を補助するために必要な経費、未復員者の調査、死歿者の遺骨伝達等の事務処理に必要な経費等を計上いたしておるのであります。  以上昭和二十七年度厚生省所管一般会計予算の大要について御説明申し上げたのでありますが、次に厚生省所管の特別会計の大要について申し上げます。  まず第一、厚生保險特別会計でありまして、健康勘定においては歳入歳出とも二百九十七億六千六百八十万八千円、年金勘定においては歳入二百十七億八百五十三万五千円、歳出五十億四千四百五十四万四千円、また業務勘定におきましては、歳入歳出とも三十一億三千百三十万六千円と相なつております。  次に第二は、船員保險特別会計でありますが、歳入二十九億九千七百三十二万四千円、歳出二十四億七千二百九十二万五千円と相なつております。  次に第三は、国立病院特別会計でありますが歳入歳出とも五十五億七千九百四十八万七千円と相なつております。  以上昭和二十七年度厚生省所管一般会計及び特別会計の予算について、概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算の成立につきましては、格別の御力添えを御願い申し上げる次第でございます。

庄司一郎自由党

○庄司主査 お諮りいたします。この際関連とは言いにくいのでございますが、便宜上皆様のお許しをいただいて、労働大臣より、労働省関係の簡單な説明を聽取したいと思います。何とぞ御忍耐を願います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 大分御難理を申し上げて申訳ございませんが、それでは労働省関係もあわせてお聞きとりをいただきたいと思います。  今回提案されました昭和二十七年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明申し上げます。  労働省所管の会計は、一般会計と労働者災害補償保險及び失業保險の両特別会計にわかれておりまして、まず第一に、昭和二十七年度労働省所管一般会計歳入歳出予算について申し上げますと、歳入において総額一億九千九百三十三万三千円で、前年度の二億一千三百十一万四千円に比較して、一千三百七十八万一千円の減となつておりますが、これは歳入の主である労務供給事業の免許料の減額と、特別会計等の失業者退職手当負担金の受入れ額の減少によるものであります。  なお、歳入については、ほかに郵政省所管の郵政事業特別会計に労働基準法に基いて行う安全、衛生、技能養成関係の検査、検定、試験等の手数料として五千五百七十一万九千円が計上されております。  一方歳出においては、総額百六十六億九千六百七十四万三千円で、前年度の百六十四億四百三十九万三千円に比較して二億九千二百三十五万円の増となつており、なおほかに建設省所管の官庁営繕費に三千九百七十万一千円が労働省関係分として計上されております。  今この歳出の内容について概略御説朗申し上げますと、大臣官房においては各省共通の事務を行う経費のほか、さきに国会の承認を得てその再加入を見ましたI・L・O関係に必要な経費及び国際貿易の進展に伴い、わが国労働事情に関し積極的な国際信用の獲得に努力するため、労働に関する海外広報活動を盛んにするために必要な経費と、労働経済の統計を調査分析して、的確なる資料を労資双方に提供し、いたずらな紛争議を予防し、もつて産業平和の保持に寄與するため、特に労働統計調査の整備拡充を重視し、これに必要な経費、あわせて労働保護官署、職業官署の庁舎買収に必要な経費として四億七千四百九十五万六千円を計上いたしております。  次に自由にして建設的なる労働組合を育成し、中正健全なる労働運動を助長するとともに、労使関係の合理的かつ円滑なる調整を期し、労働関係の安定をはかるため、労働教育の刷新強化並びに労働組合の福祉厚生活動の助長等の施策を推進するに必要な経費として、五千二百七十八万円を計上いたしております。  次に労働基準法の趣意の徹底を期するとともに、労働科学の振興による合理的労働力の活用、さらに進んでは労働者の労働環境の整備に努め、労働者の福祉と、能率の向上をはかるために必要な経費として、九億九千六百六十五万一千円を計上いたしております。  次に婦人及び年少労働者の保護並びに婦人の地位の向上をはかるため必要な経費として、四千四百八十一万五千円を計上いたしております。  次に労務の需給の状況が今後の経済状勢から推してなお楽観を許さない情勢にありますので、求人開拓、職業補導、失業者応急対策事業等の失業対策事業を活発にして、失業者に就労機会の増加をはるために必要な経費として、失業対策事業補助金七十六億円、政府職員失業者退職手当三億五千万円、失業保険特別会計へ繰入れ四十九億九千九百三十六万九千円、職業補導施設費三億四千四百三十四万円、一般職業指導斡旋費十七億六千三百四十四万五千円、計百五十億五千七百十五万四千円を計上いたしております。  次に労使関係を合理的に調整して、産業の平和を維持し生産の向上をはかるため設けられている中央労働委員会、公共企業体労働関係調整委員会の業務運営のための経費として、七千三十八万七千円を計上いたしております。  第二に労働者災害補償保険特別会計について御説明申し上げます。この特別会計は御承知の通り労働者災害補償保険法によつて、労働者の業務上の事由による負傷、疾病、廃疾または死亡に対して災害補償を行い、あわせて労働者福祉に必要な施設をなすことを目的とした全額使用者負担の保険事業会計でありまして、二十七年度は特に事業主負担の公平を考慮して定めた保険料率による保険料の完全徴収に努めるとともに、他方において災害補償費の公正かつ迅速なる支払いと、保険施設の拡充等のことにより保険経済の安定確立をはかるよう配意してこの予算を編成したのでありまして、歳入歳出とも百五十五億六千五百六十九万一千円で、前年度の百三十四億三千二百六十六万二千円に比較すると、二十一億三千三百二万九千円の増となつており、歳入の主たものは保険料収入百二十四億五千九百万円歳出の主たるものは、保険金百二億三千六百四十万円であります。  第三に、失業保険特別会計について御説明申し上げます。この特別会計は御承知の通り失業保険法によつて、労働者が失業した場合に失業保険金を支給して、その生活の安定をはかることを目的として、政府、事業主、労働者の三者が持寄りの保険事業会計で、最近の受給者の現況等を考慮して、この予算を編成したのでありまして、歳入歳出とも二百億五百五十七万二千円で、前年度の百六十六億三千三百九十一万九千円に比較して、三十三億七千百六十五万三千円の増となつており、歳入の主たるものは一般会計よりの受入れ四十九億九千九百三十六万九千円、保険料收入百四十二億二千八百九十五万二千円、歳出の主たるものは保険金百四十七億四百万円、予備費四十四億五千六百二十八万五千円であります。  以上をもちまして労働省所管関係予算の大要の説明を終りますが、この予算の成立については愼重御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。

庄司一郎自由党

○庄司主査 それでは一応休憩いたします。午後は二時より再開いたしたいと思います。     午後一時三十一分休憩      ————◇—————      手     午後二時三十三分開議

庄司一郎自由党

○庄司主査 それでは休憩前に引続き、これより会議を続行いたします。  厚生省所管の予算に対する質疑を、これよりお許しいたします。その前に厚生省の会計課長太宰博邦君より、厚生省関係の予算を便宜上簡潔に御説明したいとの希望があります。これを太宰政府委員に許します。

太宰博邦厚生事務官(大臣官房会計課長)

○太宰政府委員 お手元に差上げました資料についてちよつと簡單に申し上げておきたいと思います。ガリ版ずりのものがたしか行つておると思いますが、その中に昭和二十七年度歳出事項別予算額調というのがあります。その次に一枚の紙で遺家族等援護に要する経費というのを差上げてあると存じます。これはやはり予算の中で遺家族援護関係だけを、その項目と数字だけを取上げたものでございます。それからその次にやはり何枚かをとじましたもので、社会保障経費内訳というのが差上げてあると存じますが、これは社会保障というものが、厚生省の予算の中でも関係経費が大半を占めておるような状況でございまして、前年度あたりから社会保障経費の内訳がどうなつておるかというのを、御参考に差上げたらというので差上げておるわけでありますが、これは順序といたしまして、社会保障制度審議会の勧告の順序に従つて、そこに二十五年度、二十六年度及び二十七年度三箇年間の数字を出してございます。最初の1が社会保険でございまして、この中に厚生保険、船員保険、健保組合、国民健康保険というような順で書いてございます。一枚めくつていただきましたところに国家扶助及び社会福祉費というのが2にございましてその中には(1)の生活保護費、それから(2)の身体障害者保護、めくつていただきまして児童保護費というような順序で、続いて更生資金、公益質屋というものが載つてございます。それからめくつていただきましたところに、公衆衛生及び医療という項目が3として、ございまして、そのうちの(1)が保健所費、それから二番目が医療機関建設費、整備と申します。それから三番目に結核対策が出ております。(3)結核対策それがずつと続きまして、一枚めくつていただきまして、その以外の伝染病予防とか、結核以外の国立療養所の経費などというのが一括して出ております。さような順序で、これは何かと御便宜になるかと思つて差上げてございますので、ちよつと申し上げておきます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 厚生行政の問題は、厚生常任委員会でも予算委員会でもいろいろお尋ねをいたしましたが、重複を避けて、なおさらに大臣の責任ある言明をいただきたい点もありますので、ものによつてはいささか重複をいたしまするが、質疑をさせていただきます。  そこでまず統計調査部長にお伺いいたしますが、最近日本における死亡が非常に減つて来ているようでありますが、その数字ないしその原因等、またその死因は何が多いか。また一昨年と比較して特に著しい点はどういう点であるかということをちよつとお伺いいたします。

曽田長宗厚生事務官(大臣官房統計調査部長)

○曽田政府委員 お答えいたします。昨年の死亡数を見ますと、十二月の数字はまだ最後的にまとまつておりませんのでありますが、一月から十一月末まで合算いたしますと、約七十七万という数字が出ておりまして、一昨年は一箇年に約九十一万死亡しておりますが、十二月の数字を大体概算いたしまして想像いたしますると、昨年は大体八十三万ないし四万くらいになるかと考えられます。かようにいたしてみますれば、大体一昨年よりも約七、八万減ずるというような模様でございます。一昨年の人口千に対しましての死亡率が十一でございますので、それと比べますれば、昨年は十を少し出るくらいかと予想されるのであります。かなり顯著な、約一割の減ということになつておりまして、これは明治三十三年日本で人口動態が整いましてから以来の最低率になるのではないかというふうに考えて、非常に喜んでおる次第でございます。そのうち最も減少いたしましたのは結核でございまして、一昨年は約十三万ばかりでございましたのですが、昨年は先ほども申し上げました通り、十二月の数字は推算でございますが、おそらく二十六年の総結核死亡が九万三千程度と予想いたしております。これもほとんど四分の一程度が減少したというふうに考えられまして、これは従来から長い間十万以下に結核死亡を下げたいというふうに考えておりました理想が到達された次第でありまして、これまた非常に喜んでいる次第でございます。そのほかに減少いたしましたものとしましては、大部分の急性伝染病でございます。そのほか百日ぜき、あるいは胸膜炎といいますものも顯著に減少いたしております。これに対しまして増加いたしました疾病は、率で申しますと、麻疹が一番ふえておるのであります。けれども、これはたまたまれ昨年が流行の年次に当りましたためでありまして、全体の傾向といたして、特に麻疹が最近年にふえて来たというわけでもないと考えております。そのほかにふえて参りましたものは、いわゆる脳溢血等を含んでおります中枢神経系の血管損傷というようなものであります。またそのほかに、悪性腫瘍の増加も明らかに認められるのであります。そのほかに糖尿病というようなものがふえて参つております。ことに中枢神経系の血管損傷は、結核に比べまして従来第二位を占めておりましたのでありますが、いよいよ昨年昭和二十六年からは結核よりも上に上りまして第一位を占め、従つて結核が第二位ということになり、第三位はがん等を含みます悪性腫瘍というものになるようでございます。大体以上申し上げましたようなことでありますが、なおこまかいことになりますれば、あとでまた申し上げます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 けつこうですが、それから次には特に生産年齢の人口は、本年どれくらい増加する推定であるか。また将来にわたつて生産年齢の人口の増加の傾向は、どういう数字を大体推定予想されるかという点について……。

曽田長宗厚生事務官(大臣官房統計調査部長)

○曽田政府委員 御承知のように戦時中には数年間かなり低い出生率でございましたので、これも新聞等で伝えておりますように、本年の小学校新入学生等は、今までになく少数となつておるのでございます。こういうような意味で、この戦争の影響による出生減、それが生産年齢に成長して参りますれば、この影響を若干受けるどいうふうに考えられるのでありますけれども、一方ただいま申し上げましたように、いろいろな原因によります死亡が減少しておる。ことに青年期におきましての結核の減少がきわめて顯著でありますために、ここしばらくの間は生産年齢の人口の増加は、普通に予想されますよりも幾分遅れるかと存じますけれども、減少を見るという状況にまでは立ち至らないものと考えておるのであります。またその戦争中を過しました後におきましては、御承知のように戦後きわめて高い出生率が現われておりますが、むしろその後においてかなり著しい増加を来します。その後出生率がまたかなり顯著に減少を示して来ております。昨年は人口千について二十八くらいございますが、本年予想いたしておりますのは、二十六余りというように見ておりまして、この傾向は今後もまだ顯著になつて行くものと考えられますので、また再びこの出生による人口の増というものは、幾分緩和して参ると考えられますが、昭和二十六年におきましても、大体推定されております出生数が二百十六万くらいでございまして、それに対して死亡がただいま申し上げました通り八十三、四万というくらいでございますので、まだまだ百四、五十万のものが年々ふえて参つておるような状況でございます。こういうようなことを考えますれば、生産年齢に該当いたします人口の増加というものは、まだ当分の間かなり著しいものがあるというふうに予想しております。ただいま正確な数字は持つておりませんけれども、傾向としては、ただいま申し上げたようなことであります。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 死亡率が減り、なかんずく死亡の大きな原因であつた結核の死亡率が、非常に減つて来ておるということは、まことにけつこうなことですが、一方ではまだまだ少くとも再三、四十万はふえる。中でも生産年齢満十六歳以上の人口が、年々九十万以上はふえるという統計も、政府は発表しておられるようでありますが、そういうふうに労働人口がどんどんふえて行くということについてこれは労働大臣としての吉武さんにお尋ねしたいのですが、失業対策費については七十数億今度は支出されておられますが、一体、日本の失業者数はどれくらいを推定され、またその推定のもとにこの失業対策費を通じて、就労の機会を與えられる失業者は、一体どれだけであるかということ、あわせて、こういうふうに政府の統計によつても、はつきり増加しつつある生産年齢人口に対して、労働省の立場から、あるいはまた経済安定本部の方からでもけつこうですが、日本の経済自立に伴う雇用計画というものは、これは計画でけつこうですが、数字としてお示しを願いたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 お話のごとく日本は人口がだんだん増加をして参ります。毎年百万以上からの人口がふえて行くわけでありますから、この問題に対することは相当重要な点でございます。ただ現在のところにおきましては、一時失業者が非常に出て、どうかと心配をいたしておりましたが、二十五年七月を頂点といたしまして、毎年減少の傾向をたどつておるのであります。二十五年七月が四十八万ぐらいございましたが、それが昨年の同期ごろになりますと、約三十九万人ぐらいになりまして、その後だんだん減つて、一時三十一万ばかりになつたこともございます。その後若干ふえたこともございまするが、大体四十万前後のところで横ばい状況にあるわけであります。また一方、日雇い労務の方の失業対策事業の関係を見ましても、二十五年の七月ごろは約四十五万人ぐらいの登録をいたしておりましたが、それが昨年の終りごろは三十五万ぐらいの状況でございまして、現在の段階におきましては、私まだそう心配なものではない、こう思つております。それは一方産業がだんだんと復興して参り、生産規模が拡大をしておるからだと思うのでありまして、この点の関係は、独立後におきましても、私は同様の過程をたどつて行くのじやないか、かように存じております。従いまして今のところは、私は来年度の予算におきましても、大体失業対策事業も一億円程度の減でございまして、前年と大体同じでございますし、一方公共事業費は千億余りのものが千三百億ぐらいにふえ、そのほか電源開発等もありまするので、私はここ当分は心配はないと思います。ただ今から何年か後の問題になりますと、これは人口問題として相当考えなければならぬことだと思うのであります。今ただちに移民と申しましても、なかなか容易なことではございませんので、私どもは、できるだけ国内の生産規模を拡大いたしまして、そうしてこの人口を吸収して行くという方法を考えざるを得ない。また安本等におきましての経済の樹立においても、だんだんと生産規模拡大に向つて行く考えを持つておるのであります。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 実は私がお願いをしたがつたのは、こういうふうに死亡が減つてかつ人口がふえる、その人口の中でも特に働く人々がふえて来る。これらの人々に働く場所を與えるための計画というものを、安本あたりが当然用意をしておられるのじやないか、特に日本の人口増加の問題は、国際的にも注目を浴びておる問題でもありますので、具体的な数字を政府の方で持つておられると思いますから、別の機会にでもぜひお示しを願いたいということ、それからいま一つは、失業対策と申されますが、御存じのようにこういうふうに年々ふえておる生産年齢人口が、どちらかというと日本のいわゆる家族制度というふうな建前の中で、いわば扶養されておる。しかもこれは当然それらの家庭にとつての大きな経済的負担になつておるのであつて、これがもうある程度まで限界に達しておるということも、特に農村などでは考えられまするし、また失業というカテゴリーに該当する人で、一週間のうち二日なり三日なり働いておるというような人たちを半失業者とか、いろいろな名目で呼んで、いわゆる失業の対象から除外をするというふうな取扱いも見受けられるので、そういうことになりますると、結局就労の多少の機会はあるが、その機会をもつてしては生活の維持ができないというような、いわゆるボーダー・ラインの分野が非常にふえて来るということが考えられますから、そういうことをあわせて一応具体的な資料があつたら、後刻でけつこうでありますがお示しを願いたいと思います。  それからなお委員長にお願いしたいのですが、遺家族の補償の問題及び健康保険に対する予算の問題について、大蔵省並びに文部省の育英資金を取扱つておられる局長、それからいま一つは体力テストというものが新聞に出ておりますので、これを取扱つておる文部省の局長をぜひとも御招致願いたい。  次に国立病院の地方移譲に関しましてお尋ねをいたします。国立病院に対する一般会計からの繰入れは年次別にどういうパーセンテージで繰り入れられておつたかという点をお聞きしたい。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 国立病院特別会計に対しまする一般会計からの繰入れは、割合について申し上げますと、昭和二十四年度二五・五%、二十五年度二五・三%、二十六年度二五・九%、二十七年度の予算におきましては一〇・八%、さようになつております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 二十七年度は、急に二五%のものが一〇%に減額された理由をあわせて承りたいと思います。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 二十七年度におきましては、病院の歳入といたしまして、單価の値上り、点数の増点等に伴いまして収入が増加いたします。そういつたことをおもなる理由として減額したわけであります。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 むし返しになりますから数字の点はこれでやめますが、いつも申します通りに、国立病院は現在その施設の内容等は十分じやないという段階にありますので、むしろこれにもう少し力こぶを入れて、国立の名にそむかない程度のものにするというくらいの努力が、当然あつてしかるべきだと思うし、かつまた入院料がふえて来て、一点單価は多少上つたと申しますが、しかし療養所にいたしましても病院にいたしましても、食費は昨年度が八十二円、ことしも八十二円。これでは物価なんか相当値上りをし、主食も奔騰しておるときに、特にカロリーの必要を認められる病人の食生活は何ら顧みられていない。むしろ病院の収入がふえたならば、それを施設の改善やあるいは患者の待遇にまわすというのが、国立病院の経営に当られる諸君の任務でもあり、また政府の当然の責任じやないかと思うので、そういうふうな理由から減らされたということは、私どもは納得ができない。特に国立病院の性格から申しましても、そういう形で一般会計からの繰入れが少くなりますと、病院当局者とすればなるたけ收入を上げる、いわば非常に営利的な方向に動こうとすることは当然でありまして、せつかくの国立病院というものの性格が、むしろ営利的な事業に追い込められるということは、特にわれわれとしては遺憾な点だと思うのです。  そこで次に厚生大臣にお伺いしたいのでありますが、今度の予算書を見ますと、九十九箇所の国立病院の中で六十箇所は地方移譲ということになつております。また十五箇所はこれを結核療養所に転換をして、そのベッドにふり充てたいというお考えでありまして、政府は先般開議で国立病院の地方移譲を採択されておりますが、いかなる理由によつて地方移讓をなさることになつたのか、その間の事情をお聞かせ願いたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 御承知のように現在国立病院が九十九ございます。これが国の要請に応じてだんだんと増設をして来たということでありますと、それを一挙にまたかえるということは、これは相当慎重に考えなければならぬことだと私は思うのです。ところが御承知のようにこの九十九箇所というのは、終戰直後にそれまで陸海軍の持つておつた病院をどう処置するかということで、国が引取つたというかつこうなんです。そういう経過において出て来た病院でありまするので、実はそこに非常に無理がある。実際国が全国に九十九箇所持つてこれを管理し行き届いた処置をとるということは非常にむずかしいのであつて、それよりも一方また各府県の自治体等におきましては、自分の地域々々に病院を持ちたいという空気もあるわけであります。あるいは増設をしようという動きもあるわけであります。それならばそれを地方に移譲をして、そうして地方長官などが管理して行きますならば身近に管理ができ、一般の国民から見るならば、国が経営しようと自治体が経営しようと、手の届いた管理をしてもらう方がいいのじやないか、私はかように存じまして、九十九のうち六十箇所余りは地方へ移譲しよう、しかし全部移譲すると申しましても、やはり地域々々におきましては総合的に指導的に国が持つてやつて行くということも、これはまた必要なことであろうと思いまして、約二十四箇所ばかりはこれをとどめ、また国といたしましても一方結核のベッド等もふやしておる状況でございますから、その万に一部は転換をして行くということが、私はすなおな考え方じやないだろうか、かように存じておるわけであります。しかしこれも相手のあることでありまして、国がそういう方針を持つからといつて、強制的に押しつけるというようなことは、決してやるべきことじやございませんので、相談ずくの上で進めたい、かように存じております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 大臣の言われることにも一応の筋が通つておるようではあります。いくさに負けた、そこで軍病院を急激にかかえ込んだ、その事情はわかります。しかしいくさに負けた日本は新しい憲法で、国民の健康は国の責任において保障しようという考え方を、はつきりうたつておるわけであります。しかも現在において国立病院はやはり相当な信頼を地元において持たれておる、しかもそこに勤めておる諸君も、やはり国立病院の形でこれが経営されて行きたいということを望んでおるのであるし、そういうような事情を考えるならば、單にいくさに負けた結果、急激に軍病院をかかえ込むところがなくて国がかかえ込んだ、これを地方で要求している向きもあるからして移譲しようということだけでは、この問題を強く地方に移譲しなければならないという理由にはならないと思うのですが、これ以上は理論的な論争みたいなことになりますからやめます。そこで移譲する病院の名前ですが、これを全部九十九箇所お伺いするのも何ですが、結核療養所に転換をするということに予定をしておられる病院はどことどこであるか、この点をお伺いいたします。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 実は先ほど申し上げましたように、移譲する数は一応六十くらいを予定し、残すものとしては総合病院として三十四、それから結核療養所として十五くらいを計画はいたしております。しかし移譲するといつても、これは相手方と相談ずくの上ででなければなりませんので、こちらがかつてに、どこは結核療餐所にする、どこは残すんだと言いましても、その通りに行かぬわけであります。従つてまだ箇所的にはきめておりません。それで大体の計画としては、もし移譲いたしましても、移譲ですぐやれるところはやつてもいいんですが、まあ二十八年度から移譲をやるというくらいのことで、一年の間に地方々々の実情に応じ、相談ずくで行こう、こう思つておるものですから、実はその箇所まで決定していないのであります。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 予算書には六億九千万円ばかりの費用が、この移譲に伴う経費として計上されておるのでありますが、この六億九千万円というものの積算の基礎をお伺いしたい。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 今お話の経費は、大部分が施設の整備に要しまする経費でございますが、これにつきましては、各施設ごとにここをこういうふうに直したい、ここをこういうふうに改めたいというような希望なり意見が、それぞれありましたので、それらの点を従来のそういつた意見等に基いて総合いたしまして、積算をして出した数字でございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 しかし事務当局の方で、この六億九千万円が、一応具体的にどこをどう改善するんだということをはつきり出して、しかもこれが移譲に伴う経費として計上されておるということであるならば、一応厚生省としては、これは全部じやなくてけつこうですが、結核療養所にする十五箇所はどことどこか、こういうことがはつきりしなくては六億九千万円は出て来ないはずだと思うのだが、その辺のお取扱いはどういうとかうにしておられるか。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 今お話のように理論的に申されればちよつと苦しい点もありますが、概算と申しますか、直すことにつきましてもそれぞれのタイプがありますので、それらの点の種類というものも考えまして、こういうふうな数字になつたわけであります。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 この六億九千万円ではたして病院が整備できるかどうかも問題ですが、それは別といたしまして、地方財政も大臣御存じの通りずいぶんきゆうくつであります。そこで私どもの耳に入つておる存置せられる国立病院は、比較的経営状態がいいようであります。従いまして移譲されるものが比較的悪いと一概には申しませんが、やはり残されるものよりも、収支の状況があまりおもしろくない、成績があまりよくないように思いますが、いずれにいたしましても、これを地方が引取るという場合には、地方財政としてもいろいろな意味で直接大きな影響をもつて来るわけでありますが、その点について、地方財成委員会としては、はたして赤字になり得るような病院を引受けられるかどうかについて、現在の地方財政の立場からどうであるかということと、もう一つは、厚生大臣として、あるいは厚生省として、公式にこういう商旭について地財委等と了解がついておるかどうか、この点を承りたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 これはまだ方針を決定したばかりでございまして、地財委との関係はいたしておりません。ただ主務大臣の岡野氏とは、もちろん閣議の決定の際に了解を得ておるわけであります。地方財政の点ももちろん考えなければなりませんが、実は一方で地方自治体の方では病院を建てる計画が相当あるのであります。その際に片一方では国がかかえ込んで困つておる。片一方ではまた別に自治体がどんどん新しいものをつくつておる。これは国家全体から見れば私は不経済だと思う。自治体に出す税金であろうと、国に出す税金であろうと、国民から出す税金は同じふところから出るわけであります。従つてこういう問題は、私は自治体と話し合えば、一口には行かぬと思いまするけれども、そういうことであるならば、まあ新しく建てるよりも、それじや讓つてもらおうということは、あり得るんじやないかというように思います。

武岡憲一総理府事務官(地方財政委員会事務局財務部長)

○武岡政府委員 ただいま厚生大臣からお話がございましたように、地方財政は総体的に申しますれば、相当窮乏いたしておりまするが、団体によりましては、その貧富の度合いと申しましようか、財源のあり方というものは、必ずしも一律でないわけでございます。で団体によりましては相当こういう施設に困つておるような団体もございまして、そのためには相当の財源をさいてもやむを得ないというような団体もあるわけでございまするし、今回の方針でも、強制的にこの病院の措置をどうしようというわけでもございませんようでございまするから、ただいま大臣のお話のように、話合いによりましては措置もできるような団体は必ずあると思います。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 大臣のお言葉について申しますと、一体府県の中で、どこが病院を欲しておるのか、はたしてちようどそこへ国立病院が該当しているのかどうかというようなデータが必要になつて来ますが、そうなるとうるさいからよしますが、一応しかし大臣のお話のような形にするといたしましても、現在この公的医療機関の体系を整備しようというので、医療機関に関する整備審議会というものができておりまするが、一体大臣は国立病院を中心として、そうしてまた県立病院を設け、あるいはまた国民健康保険の頂診所に連なる。こういうふうな医療機関の大きな具体的な体系こういうものをもつて、この体系の上に立つて初めて、これは府県営がよろしい、またここは無医村なんだからここをつくる。やはりこういうふうにちやんと筋道の立つた医療機関の体系というものがあつて、その上に立つてどことどこはごうするというふうな措置もまた生れて来ると思う。そういう点で、日本の医療機関の具体的な体系というふうなものについて、何らかの構想を持つておられるならばお漏らしを願いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 お話の通りでございます。ただ移譲と言つて無計画に移譲ということでは意味がないと思います。ただ財政だけでこういう問題は考えられない。ただしかし御指摘の点を一々こまかく数字をあげて計画を立てるというところまで至つておりませんが、大体私の構想としては、今お話の中にもありましたように、地域々々に国立の総合的な病院を置いて、それを中心にして各府県に県立の病院を置いて、そうしてそのもとにいわゆる国民健康保険であるとか、その他の公的な医療機関というものを、おおよそ人口と申しまするか地域と申しまするか——人目たけで計算して病院が何ぼいるというふうな機械的なこともできぬかとは思いますけれども、おおよそそういう組織というものは考えなければならぬ、かように存じております。ただ今ここにそのこまかい点までの計画まではつくつておりませんけれども、移譲の際にはもちろんそれは頭に置きながらやるべきである、かように存じております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 何と申しましても移譲というものが日程に上せられる前には、国のそういう具体的な構想というものが大前提だと思いますので、その御用意がきわめてまだ整つておらない。そしてこれが移譲が強制——強制と言つては何ですが、移譲が行われるということになりますと、これは国の医療行政そのものの立場から見て、非常に遺憾だと思います。この問題はいずれ厚生常任委員会にも医療体系に関する小委員会がありますので、その節に十分政府としての意のあるところを承ることにしてこの程度にいたしますが、関連して一言お尋ねしておきたいことは、今この予算書には国立病院は移譲を前提として、九箇月の予算が組まれておりますが、もし地方でこれを受けないというような場合には、これは追加補正等でもちろん十二箇月予算を組まれるということに承知していて、さしつかえないのでございますね。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 もちろん全然できないということになれば結論的にはそうなります。しかし私どもは全然できないとは思つていないので、相当話合いの上においては話が進むものだということで進めております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 しかしながら先ほど来お尋ねをいたしました点で、この国立病院に対する取扱い方の流れを見ましても、あるいはまた地方財政委員会なり、都道府県知事会議なりの空気を見ましても、なかなかそう大臣のお考えのようにすらすらとしたわけには行かないような形勢も見えておりますし、そこに勤めている医者や看護婦の事務職員の諸君にも、かなりな強い意見もあることも御存じの通りでありますし、また移譲に伴う六億九千余万円のお金にいたしましても、きわめてあいまい模糊たるものであるというようなことを考えますと、私といたしましてはこの問題につきましては、決して国としてもいわゆる強制的な措置を講ずべき——講じないと言うておられまするが、講ずべきものでもないし、またそういうふうに移譲することについての基礎的なお考えについても納得ができない。予算的取扱いについてもはつきりしない面があることを遺憾といたします。  次に今体カテストの関係の方が来られましたのでお尋ねいたしまするが、今度文部省の方で農村の青年を対象として、何か体力検査のようなことをやろうということが二、三日前の新聞に出ておりましたが、はたしてそういう御計画があるのか。もしあるとすればどういう基準、どういう目的でそういうことをなさるのか。またどういうふうな実際のテスト方式を御採用になるのか。またそれは今一応たな上げになつておりまする国民体力法というふうなものの復活のような形も考えられまするが、そういう法律との関連性はどういうものであるか。こういう点について承りたいと思います。

新井英夫文部事務官(初等中等教育局保健課長)

○新井説明員 ただいまのお話でございますが、私ども学校保健の方を関係している者が参つたものですから、主管課でないので連絡がはつきりしないものですから、そういう新聞紙上に出た問題については後刻連絡をし直しまして出ていただかなければならないのじやないかと思つております。帰りましてすぐ連絡をいたします。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 それではその問題はまた後刻お見えになつてからただしたいと思いますが、それでは遠見育英資金の問題について、稻田大学学術局長がお見えですからお伺いしたいと思います。昨日この委員会での御報告によれば、対象となる遠見は七千六百である、そうしてまたその予算は六千七百万円ということでありますが、私どもが厚生省からいただいた数字によりますと、遺族の中で大学あるいは高等学校に現在学んでいる君の数は、一万四千数百名という資料をいただいております。もちろんこれも抽出して統計を締められたのでありますから正確なものとは言いがたいと思いまするが、私どもの考えからすればもつとふえるのではなかろうかとも、実は考えているのでありまするが、これを七千六百と押えられた根拠をお伺いしたい。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 御質問の点でございますが、お話のように遺兒の正確な数につきましては、今日までただちに利用し得る数を持つていないのでございまして、それにつきましては厚生省関係の調査事業を育英会と文部省の調査局とにおいて御委嘱を受けて、目下調査中でございます。あるいはお話のように、実際計算いたします場合に、学生数の方が上まわることもあろうかと考えております。ただ現在の育英会法の條章によりますと、單に遺家族であるとか、あるいは生活上扶助を要するというだけでなくて、学生それ自身の学力と申しますか質というような面も、十分調査しなければならないというような次第でございますので、育英会奨学金の適用におきましては、全遺兒に及ぼすということもあるいは不可能かと思つております。與えられました予算を元にしまして配賦の適正を期し、また将来調査の上に明らかになりますれば、将来予算を組みます機会に十分考慮いたしたいと思います。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 あと二、三点だけ、この遺兒の問題だけ片付けさせていたたきたいと思いますが、今の御答弁では、問題がちよつとはつきりしませんので、ひとつ羅列してお尋ねします。日露戦争のときなどは戦死者の子供の授業料は払わなくても済んだわけですね。ところで今度遺家族大会等がありまして、中央でも地方でも、お父さんが死んで家が貧しいので、上の学校に行けないというような涙ぐましい声が、遺兒の皆さんから訴えられている。そこで今小学校の方はPTAの会費というものが非常に多い。百億ばかりのPTA会費はいらなくなるということだつたのだが、現在も、去年まで七十億ぐらいのPTA会費をとつている。これはあなたの所管ではないが、文部省としても、こういうものを、遺兒の場合は、できる子、できない子の別なく、当然免除する——これはPTAの問題ではありますが、校長さんなどがそういうふうにお話になればできることなんで、そういうふうな処置をとるべきものだと思うのだが、どういうふうなお考えかということ。それから第二点は、育英資金が一箇月に大学、高等学校でそれぞれどのくらいのものが遺兒について支払われるかということ。それから第三点は、大臣にお伺いしたいのですが、今の局長のお答弁のようでありますと、この遺児の育英ということが早く法律で出てもらいませんと、これは間に合いません。もうすでに一般の育英資金は受付けておるのですから、二十億の育英資金がその方にどんどん出てしまつては、来年度においては遺兒に対する育英などはとうていできなくなるということは、これは事務上当然なことですが、この点について、いつ法律を出して、その資格を遠見に與えられるのかという点についての責任ある御返答を承りたい。またこれがなかなか国会の審議において間に合わないかもしれない。そういうような場合には、一応予算上は見積つて、少くとも遺児の育英については、何らか特定な便宜をはかつて、昭和二十七年度からは、法律ができなくても、衆議院を通過しなくても、とにかく始めるというようなことにしていただきませんと、せつかくの遺兒育英資金というものが、すつかり一般の育英に食われてしまうか、さもなくてもこれに大きく食い込まれるようなことになつて来る危険もあるわけで、そういう点についてどういうふうに扱われるか、責任のある御答弁を願いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 育英資金につきましては、ただいま文部当局からもお話のありましたように、来年度予算として、一般的な育英資金としてはたしか二十八億余りあつたはずだと思います。そのほかに、今回特に遺族の方だけに限つて六千八百万円の予算をとりまして、その方にやつて行く、こういうことであります。従つて、先ほど数字を示されましたが、従来の育英資金でやつている分の中にも、遺族の方でこれを受けられている方も相当ある。しかしこれは実は正確な数字がないものですから、一応推定しているわけです。それで一般の中に含まれて行くというだけでは気の毒であるというので、今回特に六千八百万円というものを組んだわけであります。これの処置につきましては、別に法律をもつてでなければならぬということでなくて、予算的措置さえ講ぜられれば、文部省でやれるのではないか。文部省がどういう方針をおとりになるかは別といたしまして、私どもとしては別に法律をつくらぬでもできるのではないか、かように存じております。従つて遺族だけに使う六千八百万余田の予算については、これは予算が通らなければ今から処置をどうというわけにも行かぬと思いますが、しかし従来の一般的にあります二十八億円余りの育英資金については、これはもちろん従来通りの方針でやつて行くよりほかない。そのときに遺兒だけといつても、これは一般ですから、遺兒という点も考慮に入れて行くということになるのではないか、かように存じます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 それで時間も何ですが、実は私はまだ一時間ほど質問をしようと思つておつたのですが、一点だけ大臣にお伺いします。これはこの間予算委員会でも御答弁がありましたが、とにかく未復員者給與が六億四千万円、特別未帰還者給與が十一億九千万円という数字が一応出ております。しかしそれは現行法で行くと厚生大臣は説明をしておられますが、予算書では、留守家族年金というような名目になつておりますので、これは大臣の取扱いの言明と非常に矛盾をしておるので、その点を一点と、それからもう一つは、いわゆる特別未帰還者の中に含まるべきもので除外されているものがありますが、それは当然除外さるべき理由ありとして除外されておりますが、その中で、厚生省の方でわかつておる年少者等、その対象になつておるものの数字はどれだけあるかという点、またこういうものも当然特別未帰還者の中に含まるべきものではないかと思いますが、そういう点のお取扱いについてのお考えを承りたいことと、もう一つは、援護庁長官にお伺いしたいのですが、六千八百万円の遺兒に対する育英資金がふえたといたしましても、その取扱い上、これは特に遺兒であるということについて、何らか多少優先的な——頭の悪い子供をむりにと言うこともございませんが、大学なり何なりに入つておるとすれば、当然こういうものについては何らか特殊な多少優先的な含みを持つた取扱いをなさるかどうかということと、いま一つは、大学の授業料が六千何ぼに値上げになりますが、これはなかなかな負担であります。やはり遺兒についてはこの六千円の授業料ぐらいは免除してやつてもらいたいと思うが、こういうことをなさつていただけるかどうか、この点を承りたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 未復員者の給與の点でありますが、予算の組み方が、従来未復員者給與として組まれておつたのを、留守家族援護として組んであるという、名前はかわつておりますけれども、この留守家族援護というのは、未復員者の留守家族の援護でございますから、従つて実質的には一向かわりませんし、また法律もこうかえないつもりでおります。それから今の特別未復員の件は、他の係から説明させます。

木村忠二郎厚生事務官(引揚援護庁長官)

○木村(忠)政府委員 特別未帰還の範囲の拡張等につきましては、いろいろと御意見もあるようでございますが、現在未復員者給與法並びに特別未帰還者給與法の建前といたしましては、一つの給與を払うという形、考え方でもつて処理いたしております。従いまして、ただいま御指摘のようなものを入れますためには、当然別個のものをもつて考えて行かなければならぬだろうというように考えております。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 先ほどの質問と一緒にお答えいたします。育英資金の單価は、高等学校において月額五百円、大学におきまして下級学年千九百円、上級学年二千百円でございます。この貸付を審査いたします場合には、もとより遺兒という点につきまして十分考慮を払つて貸付けるように、育英会と話し合つております。なお地方のPTAの寄付の問題につきましては、地方教育委員会に対しまして、今日の法制上文部省が命令することはできないのでありますけれども、そうした趣旨につきましては十分話合いをいたしたいと考えております。なお授業料の免除につきましては、おおよそ五%程度の人員に対しまして免除の用意がございます。従いまして遺兒において、家庭の経済状況等を考慮いたしますれば、その中に免除該当者は考え得ることだと考えております。

庄司一郎自由党

○庄司主査 ちよつと稻田さん。今岡委員の御質問の中には、留守家族の子弟の関係も聞かれております。あなたのおつしやる遺兒の中に含まれておりますか。

稻田清助文部事務官(大学学術局長)

○稻田政府委員 留守家族につきましては、育英会資金につきまして、別に予算的のわくは持つていないのでありますけれども、もとより奨学資金を支払います場合に、その家庭の経済状況を考えますから、そうした要件も考慮に入れ得ることと考えております。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 ただいまの御答弁に関連してですが、厚生省の方では、そういう特別未帰還者給與法に該当しないものについては、法律を改正しなければならないというお考えですが、私がお聞きしたいことは、法律をかえないでも、含めてやるべきではないか。もう一つは、年少者とかそういうもので、現行においては該当しないものの数字が、あなたの方でわかつているはずですが、大体どれくらいあるのですか。

木村忠二郎厚生事務官(引揚援護庁長官)

○木村(忠)政府委員 ただいまお話の数字につきましては、今ここに資料を持ち合せておりませんので、後刻お答えいたしたいと思います。

川端佳夫自由党

○川端委員 私は時間の制限もありますから、重複しないように、私の質問予定の項目についても、岡さんの質問で相当明らかになつた点もございますから、その点を省いてお尋ねをいたします……。

庄司一郎自由党

○庄司主査 川端さんに申し上げますが、御要求の国鉄の方の政府委員が見えております。

川端佳夫自由党

○川端委員 まず私は遺家族等の実態の問題について伺いたいのでありますが、過般の臨時国会において調査費が一億出まして、調査の計画を立てたわけでありますが、この調査費の一億の効果について伺いたいのであります。実は厚生省関係のこの遺族の調査の係の方に、一億の金が実際に組みかえられておらないという話を聞いておるのでありますが、大蔵省関係の主計官に伺いたいと思うのであります。

岩動道行大蔵事務官(主計官)

○岩動説明員 昭和二十六年度の補正予算で、遺家族等の援護に関する調査費を一億計上いたしましたが、これは全額その方面の調査に使うように厚生省で計画を立てて、実行いたしておるはずであります。

川端佳夫自由党

○川端委員 そういう御答弁ならけつこうです。あえて申し上げませんが、それではこの調査費を中心にしてお伺いしたいのでありますが、今年度の予算にも、遺家族や留守家族の調査等も考えられておるようでありますが、この調査の対象に満州国の軍隊、あるいは開拓移民団関係というものは、どういうふうな扱いを受けるようになつておるのでありましようか、お伺いいたしたいと思います。従来まで、今度ももちろん遺家族の補償の対象にもなつておらないようでありますが、これは御承知のように、満州国の軍隊に入つたものは、自分の特別志願によつて入つたというような行きがかりでないことは、御承知の通りであります。ある程度強制的に組み込まれたというような形のものであつたと、われわれは記憶いたしておるのであります。こういう満州国の軍隊関係、あるいは開拓移民は多少性格は異なりますが、軍人、軍属というような取扱いが準用されるのかどうか、お伺いいたしたいのであります。

木村忠二郎厚生事務官(引揚援護庁長官)

○木村(忠)政府委員 昭和二十六年度の補正予算によつて調査いたしております調査の対象は、旧軍人並びに軍属に該当するものだけでございます。その他のものにつきましては、調査をいたしておりません。

川端佳夫自由党

○川端委員 それでは引揚者、遺家族の特別委員においても、非常に問題になる基本数字でございますが、この機会に今度の遺族援護の予算と関連いたしまして、遺家族並びに引揚者の未帰還者の数を、実際に最近の調査から、どういうようにごらんになつておるかを伺いたいのであります。

木村忠二郎厚生事務官(引揚援護庁長官)

○木村(忠)政府委員 現在軍人軍属等の遺家族の数は、世帯数は百七十六万七千世帶、人員にしますと、これに入りまする妻、子、父母、租父母、孫、兄弟といつたいろいろなものがありますから、これらと数字等については非常にこまかい数字でありますので、それのとり方によつて人数が非常にかわつて参りますが、今申しましたようなものを総計いたしますと、大体十八歳未満の子供、父母、租父母、十八歳未満の孫、兄弟等は三百七十万ばかりの数字になります。なお未引揚者の数字でございますが、これにつきましては外務省で発表いたしております数字、これを日本政府における公式の数字といたしております。

川端佳夫自由党

○川端委員 それでは最近のかわりばえのした数字の御答弁でもございませんので、あえてこのあとは申し上げません。  それでは今私たちの手元に盛んに陳情等も参つておるのでありますが、療術師法の問題であります。この療術師法の問題は、御承知のように昭和三十年十二月以後、この指圧の関係の方々の仕事ができなくなる。これは二十二年十二月に改正をされまして、法律第二百十七号によつて、あんまさんたちの職業と身分が保障されましたが、そのときに療術業者は確然と区別されて、期限つきで禁止になるようになつたことは御承知の通りであります。これによつて、今療術師法の制定をはかつてもらいたいというような陳情も盛んに参つております。また一方におきましてはこの療術師法ができますと、かつての二百十七号で保障されている盲人、あんまさん連中の身分法が否定されるのだというような憶測であるかどうかわかりませんが、そういうような反対の陳情も参つておるのでありますが、三十年十二月以降この療術師が開業ができなくなるというような、この身分の問題についての取扱いを将来どういうふうにお考えになつておるか、伺いたいと思うのであります。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 今お話のありました件につきましては、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整腹師法という法律に規定をさせられたことであろうと思います。それによりますと、あんま、はり、きゆう、柔道、整腹以外のいわゆる療術と称するものにつきましては、昭和三十年までということになつておる次第でございます。そのいわゆる療術といううちには、非常にたくさんの種類がございまして、そのうちには医療上の見地から相当考えなければならないものも少くないように、当時考えられておりましたし、その他の見地から、一応三十年ということに期限を切りまして、その間に種々検討をするというようなことで、この法律ができたと承知いたしておる次第でございます。御承知のように、この療術と申しますのは、今申し上げましたように、非常に複雑な内容を持つておりますし、医療上も相当愼重に考えなければならない事項が少くありませんので、それらの点を総合的に今せつかく検討中でございます。

川端佳夫自由党

○川端委員 そうしますると、今療術師法は議員提案でもつて立法化したいというような意向が一方においてあるのでありまするが、この議員立法で考えておる問題でありまするから、役所の方では直接この釈明を望んでも、あるいは答弁に責任を持たないかもわかりませんが、十分関係の業者からも陳情もあり、役所当局にもこの間の事情を了承されておるのじやないかと思います。私たちはここで簡単に伺いたいのは、今度療術師法によつて、さきに二百十七号という法律で保障されておるあんま、はり、きゆうの連中の身分を否定するようなことになるのでありましようか、お聞き及びであれば、役所のお考えを聞かせてもらいたいと思うのであります。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 ただいまお話の、いわゆる療術師法とか称するものにつきましては、私たち承知いたしておりませんので、ここでそれとの関係についてお答え申し上げるわけには参りませんが、あんま、はり、きゆう、柔道、整復等につきましては、御承知のように明治年代からこれは認められた営業であると承知いたしております。

川端佳夫自由党

○川端委員 私はこの問題はそう深くお尋ねをいたすというのもいかがかと思いますが、将来これはあんま、はり、きゆう、盲人等を中心にして営んでいるこういう業も保障をして、成り立つて行くようにして参らなければならぬと同時に、こういう療術師の連中の身分も保障するようにして行かなければならないのじやないか。両々相まつてこういう業界の成り立つて行くように盡して参りたいと思うのでありまするが、政府も関係の役所の方々も、その点をよく了とされて、将来の御協力をお願いいたしたいと思うのであります、  なお関連的に申し上げまするが、内閣の政令諮問委員会において、行政簡素化に伴つて、あんま、はり、きゆうなどの試験免許制度を廃止するということが答申されているということでありまするが、これはどういうふうに将来お取扱いになりましようか。これについては従来は非常にめんどうな試験を受けてなつて来た連中が、ここで簡単に試験を廃止されまして、だれでもできるというようなかつこうにされれば、ほうとうに修業をし、かつ衛生的にも間違いのないようにやつて行きたいという努力に反するようになり、そして自分たちのせつかく良心的な仕事をしておる分野を侵害されるというようなことで、非常に心配いたしておるようでありまするが、御意見があれば伺いたいと思うのであります。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 今の地方行政簡素化という立場からしますいろいろな意見につきましては、全般的にこの問題をどういうふうに取扱うか、厚生省の関係だけでなしに、内閣全般として検討をされることと存じます。今お話がありましたあんま、はり、きゆう等の試験免許に関しまする私どもの考えといたしましては、こういつたたぐいのものにつきましては、何しろ事柄の性質が人体の生命にも場合によつては関係することでもございますので、やはり相当の教養と、それから相当のいわば質を維持する必要があろうかと思います。そういう意味におきまして、従来設けられておりました試験でありますとか、免許でありますとかという点は、そういう見地から十分考慮されなければならないと思つておる次第であります。

川端佳夫自由党

○川端委員 こまかい点をもう一、二点伺います。それは保険の関係でありまするが、船員保険に関連いたしまして、現在マッカーサー・ラインの内側等で違反漁業でなくして、拿捕された船がたくさんございます。そうしてその船員は拿捕をされまして、どこかに拉致されておるのでありますが、こういう連中は船員保険の準用を受けることになつておらないようでありまするが、こういう問題は厚生省ではどういう、ふうにお考えになりますか。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 お尋ねの問題につきましては、ただいまの取扱いといたしましては、船員保険の問題としてではなしに、運輸省の船員局におきましてこの問題を取扱つておるので、私からお答えをいたしかねます。     〔主査退席、川端主査代理着席〕

風早八十二日本共産党

○風早委員 吉武厚生大臣に御質問したいと思います。まず第一は国立病院の地方移譲問題であります。この問題については、すでに全日本国立医療労働組合の諸君や、また全日本患者同盟の代表者たちがたびたび国会並びに政府に陳情や請願を直接やつておるわけであります。吉武厚生大臣も直接これに面接されたと思いますから、これは十分御承知と思いますが、こういう国立病院の地方移譲に対して反対である、また特に独立採算制の問題は、国立病院の趣旨からいつてもこれは非常に困るのだ、こういう趣旨であると思いますが、これに対して吉武厚生大臣はどういう御見解をとつて来られ、また今日とつておられるか、これをまずお尋ねしたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 この問題は先ほど岡さんからもお尋ねがございまして、お答えした通りでございます。今日国十病院が九十九ございますが、この九十九は、国の必要に応じてだんだん増設をして行つた九十九ではない。御承知のように終戦後今まで陸海軍が持つておりました病院をどうしようかということで、一応国が引受けたというかつこうで、今日まで続けて来ておるのであります。従いまして、九十九を全部国が維持管理するということは容易でない。しかも一方地方は地方で地方的な病院というものの要請が相当あるわけでありまするから、そこでわれわれとしては、これは社会保障制度やまたその他の関係の委員会等におきましても、しばしば勧告を受けております。一部は移譲すべきではないかという勧告も私ども受けておりまして、ごもつともであります。そこで今回これを取上げまして、そのうち結核療養所として活用できるものは十五余りこれを残して活用しよう、それからまた移譲するにしても、地方々々において総合病院として国がこれを指導して行くということも、また医療上必要であろうということで二十四というものを残しております。そうしてあとの六十につきましては、地方と折衝した上で移譲して行く、かように存じておるわけであります。私はやはり病院というものは間近に置いて、そうして常に行き届いた管理をすべきものでありまして、府県等にこれを移譲しますれば、府県知事にいたしましても、あるいは府県自治体におきましても、行き届いたこともできるのではないか、かように存じまして、今回これを思い立つたわけであります。職員組合等からも意見を聞きました。しかしこういう国策の決定は、職員がこうあるからいいということによつてきめるべきものではなくして、国全体の立場から検討すべきものである、かように存じます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 むろん労働組合の意見をそのままこれを国策と認めるべきかどうか、こういうようなことは別問題であります。ただ問題は、その労働組合が国立病院の実際の運営に当つておる職員を包含しておるものである関係から、最も実情に即して知つておるということが一つ大きな問題であります。もう一つは、労働組合が患者の側の立場も同時に考慮してやつておる。しかもこれは全患同盟も一体となつてこの反対をやつておるという意味におきましても、そこには絶対に無視できない一つの根拠があるわけであります。従つて問題はその内容にあるのであります。それはどこが言い出したからという問題ではないのであります。内容にある。そこで私はお尋ねしたいのでありますが、一体この国立病院というものは、国の必要によつてこういうふうに九十九箇所もできたのではない。番最初のこの国立病院というものは、陸軍病院からの結局引継ぎのようなものでありますから、これはいろいろそこに問題があつたかもしれません。しかしながら実際問題として今日国立病院の必要がないかといえば、これは社会保障制度の建前から申しても、今日押すな押すなで、この国立病院に入りたいという人が押し寄せているわけです。これは実際に統計をとつても十分におわかりだと思う。統計もとられておる。しかしもうあそこへとても入れない。いつも一ぱいだから入れないというので、ほとんど受けつけておらない。受けつけたものだけでも、昨年十月の統計でも大体七千もあると言われておりますが、その背後に一体何万、何十万、どのくらい入りたいと考えても入れない者があるかわからない。これは国の必要がないどころじやない、非常にあるわけです。この点でまず最初お答えありましたが、国の必要に応じてできたのではないと言われることは、少くとも今日においては当てはまらないと考えるのでありますが、この点はいかがですか。特につけ加えておきますが、国立病院というものの社会保障制度としての役割というものについて、どういうお考えであるか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 社会保障制度の病院は、国が直接やらなければならないと私は考えております。社会保障制度による医療というものは、自治体も当然やつておるし、やるべきであり、国ももちろんやるでありましよう。ですから、社会保障制度の医療は、府県はやるべきでないという前提に立たれれば、国が全部これは責任を負うということでありますけれども、それは自治体あるいは健康保険その他もやつておるわけでありまするから、つまりそれをどこか管理するのが最も患者のために行き届くかということによつて考えなければならない、私はかように存じます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 もちろん社会保障制度は中央の政府に限つたものではありません。しかしどこまでも社会保障制度というものは社会的なものであり、公のものであるのでありますから、国もしくは県、地方自治体がこれを受持たなければならぬわけです。そのことを私は特にわけて言つておるわけではない。しかしながら実際問題として、地方財政が今どういうことになつておるかは百も御承知だと思う。今日地方財政がまた新しく国家から負担を移讓されるということは、とてもその余地がないことは御承知であると思います。でありますから、地方の長官に至るまでこの問題に対しては決して賛成じやない。これはよく御承知と思います。そういう実情を知りながらこれを地方へ移譲するというところに問題があるというのです。これは結局この制度というもの、社会保障制度としての国立病院の役割というものを否定し、結局こんなものは今どうにもならぬ、こういうようなお考えとしかわれわれとしては受取れない、その点について大臣はどう考えておるか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 先ほど私は岡さんに申し上げましたが、地方の自治体がこれを経営して行こうと、国が経営して行こうと、これは国民の負担で行われるのであります。国民から見れば同じふところから出る金で、つまり地方へ出さないで済むからといつたつて、国でやれば国がやはり負担しなければならないのであります。でありまするから、こういう問題というものは、実情に即してものを考えて行かないとりくつでものを取扱えるものではないと思います。ですからいくら社会保障的なものがあるからといつても、病院は、建前というものは独立採算の建前であるべきもので、国が全部これをただ負担する、見てやるというべきものではないと私は思います。     〔川端主査代理退席、主査着席〕

風早八十二日本共産党

○風早委員 私が今聞いておるのは、実際問題——あなたの言う実際問題として地方財政にその負担能力がないと言つておるのだ。国が負担能力がないと言つておるものが、地方財政に負担能力がありますか。今日その実際に即して、この移讓は、実際はもう国立病院というものを無視するというその前提に立たなければやれない政策であるということを私は申しておるので、形式論を言つておるのではないのです。実際問題として、地方財政はその負担能力がないのだということについて、あなたは一体今までのこの国立病院に対する国庫負担を、今度は地方が引受けるという、その保証がどこにあるというのですか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 私は国立病院の移譲は国に負担能力がないから移讓するとは言つておりません。

風早八十二日本共産党

○風早委員 言いました。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 そんなことは言つておりません。言つたら速記録を見てひとつ調べてください。私は絶対にそういうことは言つておりません。

風早八十二日本共産党

○風早委員 国費でやることも容易でないということをあなたは言つた。はつきり書いてある。私が聞いておることに対してはまだお答えがない。地方財政でしからばこの国費に入れかわつて負担をするその保証がどこにありますかということを聞いておるわけであります。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 財政委員会からのお話がございまして、地方にしても負担し得るものもあるということでございまするし、またこういう病院は、国立病院移管を別個にして、地方にも、現に府県にしろ自治体にしろそこの必要なる病院を建てようという計画もあるわけでありまして、負担能力が全然なく、また社会保障的なこういう病院も自治体はやれない。やらないという建前ならば、そういう計画があろうはずはない。しかし一方にはそういう計画がある。そうすると、国立の病院は国立の病院でそこに置き、また府県は府県でかつてに新しい病院を建てる。しかし一体だれがその負担をするかというと、同じ国民が負担するのであります。そんな二重のむだなことをするよりも、こういう病院があるならばそれの移譲を受けて、そして地方でやるという希望があれば、それに対して移譲をするということが、私は当然ではないかと思う。

風早八十二日本共産党

○風早委員 あなたはただ当然だと言われるけれども、実際に地方財政でこの負担能力があるという何らの根拠を示されない。負担能力がない証拠は、今回特に独立採算制というものを強化される——というよりもいわば独立採算制にする。つまり独立採算制というならば、経費と見通される収入とが大体見合えば、これは独立採算制でありましよう。しかしながら今あなたは全然打つてかわつて、その計上されておる必要な経費というものをずつと上まわつて、四億円も上まわつてこの収入が見通されておるという問題があるわけです。これは一体いかにしてこういうことが出て来るか。これは病院をもうけ主義に転換させようということです。つまりこれは地方財政が国庫の負担を肩がわりするというのではなくして、病院自身に自分のもうけによつてまかなえということにほかならない。この点は、私ははつきりした事実に基いて言つておるのであります。この予算上にもそれがはつきり出ておる。そういう点をあなたはまつたくすりかえている。だから地方財政にこの負担能力があるという根拠を示すことができない。この独立採算制の問題については、これがはたして社会保障制度としての国立病院の本旨に合うかということは、どうお考えになりますか。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 国立病院の特別会計に対しましては、予算の書類にも書いてありまするように、二十七年度におきまして一般会計から約六億近くの繰入れをすることになつております。この繰入れの率は、昨年度等に比べますと多少減つておりますから、これは今お話のように独立採算のわくにしやにむにはめ込もうという意図のもとに、そういうような操作をしたわけではございませんので、先ほどもちよつと申し上げましたように、保險の点数の單価の点と、それから点数の増ないしは収納率の上昇、そういうことによりまして相当收入の増額が見込まれますし、片一方支出の面におきましても、燃料費あるいは衣料費等につきましては、かなり單価等を引上げております。それぞれ彼此総合いたしまして、こういうふうな結果になつておるのでございまして、従いまして、歳出を上まわつて歳入をはかつておるということは、この数字の上からは出て参らないと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今までは、大体経費に対して收入は下まわつておりました。今度はそれが一応同じに合してある。しかしながら今度は診療收入などは、実際四四%もこれが増を見込まれておるわけです。これは単価が引上つた。あるいは入院料や外来患者の点数が上つた。こう言われますが、そこに重大問題があるわけです。実際問題として四億というものは増、つまり四億というものは確かに経費以上にはみ出して見込まれておる。われわれはそういうふうに見ておるわけでありますが、この問題が結局患者の負担になる。これは社会保障制度の一つとして国立病院を運営して行く上においては、その運営者にとつては非常に大きな転換でなければならないと思うのです。そういう点をどこまで考慮されているか。この国立病院がなかつたら、それでなくても結核患者のごときは非常に困るわけです。今日だれが見ても医療を受けなければならないという結核患者が百五十万もあるわけですが、ベッドは十万しかない。このわずかばかりの国立病院の設備というものが、これがもうみなの的になつている。そういうものに行こうとすると、今度は非常に上げられている。なかなか入れない。現に傷痍軍人の諸君も入れなくなつてしまつておる。これはずつと減つております。決してなおつたから減つたわけではない。実際、無理に出されたものもある。しかし新しく入ろうとすれば非常に無理があるのです。念のために伺いますが、実際国立病院に入つておる患者の区わけというものは、社会保険の適用を受けておる人たち、あるいはまた生活扶助の適用を受けておる人たち、及びどちらも受けられない人たち、いわゆる減免といいますか、全額負担しなければならない、あるいはまたその負担を減じてもらわなければどうにもならない、どれも適用されておらない人、しかもこういう人が一番多いのでありますが、こういうふうな人たちがどういう割合で、この患者が構成されておるかということをまず伺つておきたい。

高田浩運厚生事務官(医務局次長)

○高田(浩)政府委員 患者のうち、大観いたしまして生活保護を受けておりますのが約三五%、それから健康保険、国民健康保険、共済組合あるいは未復員者給與法の関係のものが五五%、自分の費用で入つておりますのが約一〇%でございまして、そのうち減免を受けておるものは、ごくわずかであると思つております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 問題は、今あなたがお示しの資料にも出ておるように、実際減免を受けておる人たちは、ほとんど問題にならない。こういう人は入れない。しかしこういう人たちが実際問題として——これは資本主義の法則と言つてもいいのでありますが、つまり生活水準の非常に低い人、貧乏であれば貧乏であるほど疾病率は高いということは、これは嚴然たる法則であります。しかもこういう人が実際国立病院が必要であるけれども、そこには入れない。こういう人がたくさんあるわけです。おそらく数十万、数百万とあると思うのです。そういうふうな人たちのために、ますます国立病院は国費でもつてふやさなければならぬ。吉武大臣はこの税金負担はどうせ国民のふところを痛めるのだと言われるが、こういう負担は当然国民の義務として負わなければならない。これはお互いの共同生活の当然のことであります。国民は再軍備や大砲や軍艦をつくるための税金を今払おうとはしておらない。しかしながら同じ戦争犠牲者であり、また戦後の政策の犠牲者であるこういう窮貧者の疾病者に対して、これを保護するということについて、だれも異議を申し立てる者はないと思う。そういう費用を出すことに何ら臆するところはないはずである。厚生大臣が真に厚生事業の最高の責任者である限りは、この国立病院の本旨というものを、もう少し反省さるべきであると思う。私はその見地から、この独立採算制の建前というものは、非常に本旨に反しておるのではないかと信ずるのでありますが、大臣はどうお考えですか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 風早さんは多少誤解されておるのではないかと思うのですが、国立病院は社会保障制度のためにできておるというだけの国立病院ではありません。社会保障制度というものは、国立病院であろうと府県の病院であろうと、どこの病院であろうと、実際生活に困つておる者について保障しておる。国立病院だけが社会保障の対象になる療養をするということはありません。また府県だつて同じです。府県知事は、その府県における行政をやるのに、社会保障に関する医療の仕事はやらない、これは国だ、知事はそれ以外の医療をやるのだということは、だれも言つている人はありません。私がさつき言つたように、国立病院というものをたくさん国が直接管理するよりも、そのひざ元で知事その他が管理すれば行き届く、それだから国に必要な限度は国が保有して管理をし、府県でやれるものは府県がやる、こういう建前です。ですから社会保障の保護を受ける人は、国の病院であろうと府県の病院であろうと、現在府県の病院で社会保障の医療を受けておる人もたくさんございます。これをあなたは混同されておるのじやないかと私は思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 よくひとつ聞いておいてもらいたいのです。私が今聞いておるのは、問題が次に移つておる。地方負担であるか、あるいは国庫負担であるか、こういうことについては先ほど申した通りです。実際あなたは地方負担でも一向これはさしつかえないと言われるが、その通りなのです。しかし地方負担が実際できるか、この国費を地方負担で肩がわりすることができるかということについては、何ら根拠が示されておらない。問題はこれで終つているのです。今聞いておるのは、独立採算制の問題なのです。この社会保障制度をとるということと、独立採算制の建前で行くということは矛盾しはしないか、これが私の質問の論点なのです。つまり独立採算制といいますが、現実の実際の收支の見通しを見ましても、これはさらに独立採算制以上だと私が言つたのはそれなのです。つまり経費以上の收入を上げるという、こういうもうけ主義の方針で行かない限りは、やれないような見通しになつておる。それでは社会保障制度としての国立病院の役割は果せないのではないか、こう聞いておるわけであります。よくひとつ質問を聞いて答弁してもらいたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 あなたもよく政府が答弁するのを聞いていただきたいのです。先ほど高田君は言つておるでしよう。収入は経費よりオーバーしてとつていない、むしろ若干の繰入れをしておる、しかし建前は独立採算の建前で行くべきものである、かように言つているのです。どこに収入を経費より上まわつてよけいとつておりますか。よくひとつ政府の説明を聞いてから質問してもらいたい。何べんも同じことを聞かれては困ります。

庄司一郎自由党

○庄司主査 岡委員、先ほどあなたのお尋ねの身体のテストの問題で、文部省の手中政府委員が来られておりますが、この際あの御回答をおとりになられたらいかがでございますか。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 文部省の社会教育局長にお尋ねいたします。これは先般新聞紙上に伝えられておつたことでありますが、文部省の方では、広く農村を中心として、青年の体力テストとでもいうようなものをやりたいという意向がある、こういうことが伝えられておつたのであります。その点に関して、はたしてそういうことをおやりになられるのかどうか、またやられるとすれば、いつおやりになるおつもりなのか、またそのテストの方式は、たとえばどういう種目をもつてなさるのであるか。現に戦争中には、いわゆる健兵政策としての国民体力法というものがあつて、事実上法律は存在しながら、敗戦後施行を見ておらないのでありますが、この国民体力法と、文部省がおやりになろうとする体力テストというものとは、何らか関係があるのかどうか、またそういう法律との関連についてお考えになつたことがあるかどうか、こういう点を承りたい。なお主査にお許しを得たいのでありますが、御答弁によつては、さらに一、二点伺いたいと思います。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 昭和二十七年度におきまして、予算を八十万円計上いたしまして、体力検査を実施いたしたいと考えております。その目的は、一般の学徒につきましては、学校において身体検査を行うのでありますが、学徒以外の社会人については、何らそういうものがございませんので、学徒の資料を類推いたしまして、いろいろ体育的な指導をいたすのでありますが、それでははなはだ薄弱でありますので、計画といたしまして、大体山村、農村、漁村それから大都市、各府県四箇所ずつを選びまして、二十歳の男女各百名につきまして、この検査を実施するつもりでございます。その検査の種目は、身体測定といたしまして、身長、体重、胸囲等をはかります。そのほかに能力検査といたしまして、百メートルの走法、それから幅跳び、ジヤンプ、ソフトボール投げ、懸垂それから巧緻、巧緻というのは器用さのテストですが、これは腕立てと直立不動をいたしまして、巧緻のテストをするのであります。そういう種目でやるのでございます。ただいま戦時中にございました国民体力検査法との関係について御質問がございましたが、国民体力検査の方は現在実施をいたしていないのでありまして、事実上これは活用をいたしていないのであります。それと全然関係なしに、文部省として勤労者の体力関係を調べまして、いろいろ職業補導あるいはその職場における必要な体育の指導に適当な資料を得るために、この検査を実施するつもりでございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 目的は、その職業ないし職場における今後の指導というところにあるというお話であります。しかしながら今度は予算も少いようでありまするから、ごく小規模なものでありまするが、将来これを全国的に広く大きな予算をもつて実施される御構想があるかという一点と、もう一つは、満二十歳という年齢を対象としての男女について、さらにもつと、各府県でも成人検査などと申しまして、いろいろ疾病嵐係についても総合的なテストをやつているところもあるようでありますが、そういうことになれば、これは当然やはり厚生省がやるべきものであつて、文部省がそれをお試みになるということは、どちらかというと少し筋違いじやないかという点についてのお考えを承りたいことと、なお関連してこの際、これはさつき聞き漏らしたので、お許しを願いたいのでありますが、国民健康保險の再建整備費四億は、どういう條件でこれを單位の組合に流されるのであるか、その條件のはつきりしたところを、これは保險局長あたりから承りたい。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 この体力検査を将来ますます拡充するかというお話でありますが、文部省といたしまして、現在二十歳だけを対象として実施いたしますのは、やはり部分的資料だけしか得られませんので、でき得れば十七歳、十八歳、十九歳、三十歳ぐらいまで、適当な年齢をとつてやり、また人数も、ある程度その資料によつて、普遍的な材料が得られる程度の人数にしてやるというようなことを考えておりますが、しかし今のところはまだいわば試験時期でございますので、二十七年度にやりました材料をもとにいたしまして、その結果によりまして、この部面も見たいという、必要に応じた部分に拡充して行くというふうに考えて起るのでありまして、ただちに法律をもつて全国的に、大々的にやるというようなことは考えていないのであります。それから文部省の仕事でなくて厚生省の仕事ではないかというような御意見もございましたが、文部省は社会体育の指導という意味で、一つの仕事の分野を持つておるのでありまして、現在やつております体力検査は、社会体育指導の、指導要綱等をつくります材料というような意味で考えておりまするので、目下のところ文部省として、その責任があるものと考えております。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 保險局の問題についてお尋ねでございましたが、国民健康保險再建整備費の貸付といたしましては、次のような要件で貸出すことにいたしております。まず第一は、貸付の対象となる保險者要件でありますが、この制度の建前が、昭和二十六年度末に存在いたしますいわゆる赤字につきまして、その半額を貸付けて、健康保險の再建に資したいという考え方でありますので、そういう意味合いにおきまして、昭和二十六年度末におきまして、保險料の徴収不能額を持つておるということが第一の要件であります。これを具体的に申し上げますと、昭和二十七年度に貸付をいたします場合には、昭和二十六年度中におきまして、次のような四つの要件に当てはまるものに貸し付けたいと思うのであります。その第一は、保險料の徴収決定額が、療養給付総額の五割五分以上である、第二は保險料の徴収割合が七割以上である、なおこの七割以上というのは、昭和二十八年度にはさらにその八割以上でなければならぬ、二十九年度には九割以上であるというふうに、逐次要件としての徴収割合を高めるようにいたして起ります。第三は一部負担割合でありますが、これが五割以下であるということを要件といたします。第四は、受診率が百分の五十以上であることを要件にいたしております。こういうふうな前年度の実績が四つの條件に合いますものに貸付をいたすのでありますが、なお貸付の額は、二十六年度末に存在いたします赤字の半額を限度といたしましてこれを徴収の成績によりまして、三箇年にわけまして貸し付ける予定でございます。こまかいところは省略いたしますが、例をあげて申しますと、昭和二十六年度中に保險料の徴収割合が、九割五分以上でありましたものにつきましては昭和二十七年度におきまして、今申しました貸付は、すなわち赤字の半分の全額を貸し付ける予定でございます。九割五分未満のものにつきましては、逐次貸付の率を七割、五割、四割五分というふうに下げまして、その不足の分につきましては、翌年度に徴収率が上りましたならば貸してやる、こういうようなことにいたしまして貸し付ける予定でございます。

岡良一日本社会党

○岡(良)委員 もう一点、七割以上の徴収率額というのは、この再建整備費を支給する上からいつて、かなり苛酷な條件ではないかと思いますが、一体こういう條件を設けて、来年度この四億何千万円の再建整備費がこなされますか。そういう点について、こなせると言われるならば、現在の国保の大体推定される本年度末における貸付を必要とする組合はどれだけあるか、一応の推定でもけつこうですから、数字をひとつ出していただきたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下政府委員 昭和二十五年度の徴収の実績から、昭和二十六年度中の保險料の徴収割合七割以上のものを推定いたしますと、まず保險者総数が五千四十五でありますが、そのうち四千五十七の保險者が七割以上の徴収率を上げ得るものと見ております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 吉武厚生大臣は、労働組合や患者同盟が要求しても、それがすぐ受入れらるべき筋合のものじやないというふうにして、その労働組合や患者同盟が実際実情に即して、先ほど私が申したような主張をやつておるその内容に対して、あなたはこの問題をほんとうに答弁することなく、そういうふうな者が言つて来たとろこで、それが通用するものじやないというふうに逃げております。そうしてこの前の予算委員会においても、私が生活扶助を必要とする人たちの実情についていろいろ聞いても、数字もさつぱり御存じない。こういうような不誠意きわまる厚生大臣なんです。今日また今厚生省からもらつたこの資料によつて、独立採算制の問題の弊害がここにも露骨に出ておるということを、ちやんと私は言つておるわけなんです。これに対して、やはり独立採算制に対する何らの見解をあなたは示しておらない。これは明らかに社会保障制度と矛盾しておる。先ほど数字の問題が出ましたが、驚くべきことには、この病院収入が、病院の経費として計上せられておるものよりも四億も上まわつておる。だから私は独立採算制へ移行の問題だと言つた。結局病院のもうけでまかなえということなんだ。経費に計上してあるもの以上にもうけなければならぬ。こういうことは今国立病院が果さなければならない社会保障的な役割と、いかに矛盾するかということは明らかであります。これ以上私は問答する必要はなかろうと思う。あなたはきようの答弁において、それは今までの答弁においても同様でありますが、厚生大臣の抱負といいますか、厚生大臣としては少くもこうやりたいのだ、社会保障制度の確立ということは、今全国民が、特に困窮者が最も要望して達成せられていないことなんだ。そういう点について反省されるところがないというその態度は明日になつておる。しかしながら私は、今の実情はとうてい見るにしのびません。ですから大蔵省がどうしても予算を削るというならば、これは国民を味方にしてともどもに——前厚生大臣はその一部にやつたと私は思いますが、少くとも橋本前厚生大臣にならつて、そうして国民の要望にこたえてもらいたい。それくらいの腹がなければ、とても厚生大臣なんか勤まるものではない。この問題に関連して、ついでに大事な国民健康保險の問題に触れておきたい。これについては三十一億の赤字が見込まれております。そこで給付の二割を国庫で負担しろというこの要求が、これは社会保障制度審議会においても出ておるわけです。衆議院においても決議がなされております。しかるにこれに対して、ただ整備費四億、奨励金四億というようなことでごまかしておる。これは事実です。こういうはつきりした公的の機関がこれを決議し、衆議院もまた決議しておるこの要求に対しても、きわめて冷酷無比な態度をとつておるのです。これに対して、大体あなたの今までの御答弁から私はあまり期待いたしませんが、しかしながら厚生大臣である限りは、ひとつ責任ある答弁をしてもらいたい。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 風早さんのおつしやるように、二割が三割でも四割でも、負担する財政の余裕があれば、もちろん望むところでありましよう。しかし今日の日本の状態においては、一方国民の負担も軽減しなければならぬ状況であります。従いまして目下のところでは二割を負担するということはできない事情であります。

風早八十二日本共産党

○風早委員 そう言われれば一応話はわかるのです。今まででもそう言わるべきなんだ。しかしそのことはまた大きな間違いを前提にしておるのです。あなたは今の財政の必要上こちらへまわせない。これは一応正直なところです。それではそれは克服できない実情かといえば、そうではないのです。今日一体幾ら警察予備隊やその他防衛分担金だの、こういつた非生産的な、また有害な費目に対して莫大な金を出しておるか、この国民健康保險の充実にしても、今の問題にしても、また先般私が触れました兒童局の問題にしても、これは大幅に削つておる。これらの額は実はわずかなものです。幾らでもそちらからまわすことができる。しかしその根本の前提をとつていらつしやる限りは、今あなたが言われたのは正直なお答です。しかし今の健康保險に対しては、日雇い労働者というものは、わずか十五億の金がないために、健康保險が適用されておらない。こういうことがまだ放置されておるのです。それでいてなお三十一億の赤字を見込まれておる。この健康保險というものを、もしもあなたが厚生大臣として、この充実をはかるというその責任を考えられるならば、できないじやなしに、もう少し何とかこれについては努力をされなければならぬと思う。そういう努力の跡がちつともうかがわれない。ただできないということを聞くだけなんだ。そういう点でもう少し厚生大臣らしい明るい答弁をしてもらいたいのです。どういうことを一体考え、どういう見通しがあるか。ことに日雇い労働者の健康保險の問題については、今後は一体どうするつもりであるか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 日雇い労務者はその性質上臨時的なものでございまするので、今これに健康保險を適用するということはできないと思います。

庄司一郎自由党

○庄司主査 風早君、どうですか、この程度で……。

風早八十二日本共産党

○風早委員 これでやめます。ただ日雇い労働者の問題一点だけでやめます。日払い労働者は臨時的だと言われますが、これはこの間予算委員会でも問題になつたのですが、職安で今カードを求めるということは非常にたいへんなことです。われわれも実際に職安に行つて、このカードをもらえない人たちを見て知つておる。なかなかもらえない人がたくさんあるのです。カードをもらつたならば、一応これは定着しておるんだ。これは臨時ということは決して言えません。これはやはり職業安定所との契約によつてこれができておる。あのカードというものは契約書なんだ。でありますからこれを臨時だというような、いわゆる三百代言的な論議で、これの責任をのがれるということはどうかと思う。第二には実際上の問題なんです。臨時であるとか定時であるとか、労務契約を持つておる者でなければ健康保險は適用されないというのが、今の健康保險制度の建前なんだ。それが間違つておるのです。実際はどこにも勤められない人、ますますそういう人はふえております。どこにも勤められない人たちこそが、むしろ健康保險のほんとうは対象なんです。これが社会保障制度の本旨なんです。そのことをあなたは全然度外視して、この間も答弁をしておられたようです。私はその点を考えてもらいたい。でありますから、これはよほど根本的に考えなければならない。どこの国でも、フランスでもイギリスでもそうでしよう。われわれもこれで議員を失業すれば、その日から健康保險はほしいが、これはもらえないでしよう。そういう人たちがたくさんいるわけです。一番要求しておる人たちがもらえないというのが、今の日本の健康保險制度そのものの欠陥なんです。それ々改めるということを含めて私は健康保險制度の充実を言つておるわけなんです。でありますから、今の制度の運営すらも赤字を出して、しかも顧みないというような態度では、とうていこれの改善は望まれない。これに対しては根本的にあなたの頭が切りかわるか、やめるかしなければ、とうていこの問題は解決しない。今のような日雇い労働者の考え方、これに対する健康保險の考え方には絶対に不満であります。

稻村順三日本社会党(第二十三控室)

○稻村委員 国立病院の地方移譲に関連して、簡単に二、三の点を質問したいと思います。  まず第一に、これは国営から地方自治体の経営に移譲するということになりますと、一番問題になるのは職員の身分保障の問題です。これは厚生大臣は、大体全部身分は保障するという言明をなさつているようでありますが、身分を保障するという意味は、たとえば国立病院に働いている職員を他の国立のいろいろな医療機関その他に全部吸収するということを意味するのか、それともまた地方の経営に移譲したときに、そこに必ず引継ぐことを保障するという意味なのか、その点がはつきりしないと、ほんとうの保障ということにはならぬと思うのであります。たとえて申しますならば、もしも保障するということが、地方移譲にのみ関係しているということになれば、引受けを地方に折衝した場合に、もし地方自治体がこれを引受けないというような問題が起りますと、これらの人々は身分をいくら大臣が保障しようとしたつて保障しようがない。そういうときには必ず他の国立の病院なり、あるいは他の国立の医療機関なりに、これらの人々を全部吸収するということでなければ、保障ということにならぬと思うのでありますが、その点に対する見解をお尋ねしたいと思うのであります。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 私は身分を保障するということは申したことはございません。しかし現在勤めておる者を、移管したとたんに職を失わせるということは、これは常識上考えてもあり得ないことでございます。従つて私といたしましては、移譲すれば当然継続をして、その方に職員は移つて行くというふうに考え、またそう努力したいと考えております。

稻村順三日本社会党(第二十三控室)

○稻村委員 そうしますと、もしもここに地方がこれを全部引継ぐというぐあいに行つた場合はよろしゆうございますけれども、たとえば地方が引受ける場合でありましても、先ほど大臣が言われました通り、府県に新しい病院を設立しようとしているときに、国立病院が余つているのだからしてというような話がありましたが、しかし少くとも私が地方において見た限りにおきましては、国立病院の位置必ずしも府県が要求している位置と一致していない。第一位直の点においてそうであります。それから設備、規模の点においても一致しておらない。こういうものがしばしばあるのであります。そのために実は国立病院をなかなか引受けないという傾向がある。ことに私の聞いているところによりますと、県会あるいは府会というようなところにおきまして、現在あるところの国立病院が、どちらかというと病院の経営上、また県民の治療ということにとつては、非常に不適当な所にばかりあるから、これは引受けないという決議をしたところさえあるというふうに聞いておるのです。大臣はその点を御存じでありますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 稻村さんの御指摘になるような事情はあろうと思います。それは現在の国立病院が、必ずしも国が一般国民の必要で建てたとか、あるいは県が県下一般県民の必要に応じて建てたというよりも、軍の持つていたものを引受けたのですから、多少規模については、新しく建てる構想と必ずしも一致しない。むしろ一致しない場合が多いのではないかと思います。ですからなかなか容易じやないと私は思います。しかし今日の実情というものは、国でも地方でも財政がきゆうくつなのですから、位置が気に食わない、規模が気に食わないからといつて、そうして県民の負担で、新しく病院を建てるということはできないのです。それよりも国は今度の移管につきましては、相当安く移譲しよう、大体時価の三割くらいで移譲しよう、こう思つておるわけでありますから、そこは私は話合いで、多少不便だけれども、まあかつこうはおれたちが設計したよりも多少違うけれども、まあ三割くらいで病院がやれるのなら、新しいものを建てるよりこの方がよいというかもしれない。私はやはり同じ日本人のことですから、話がつくのではないかと考えております。しかしこれは具体的に見ませんと、お話のようなことはあるとは思いますけれども……。

稻村順三日本社会党(第二十三控室)

○稻村委員 実はこの点重要なことなのでありまして、私も実はかつて医療組合に関係したこともあるのです。ところがただ市内から十町くらい離れた所に新しく病院をつくりましたところが、われわれはほとんど経営をやることができなくて、遂に他の団体にこれを讓り渡した。ところが他の団体では、町の中に空地を求めてそれを移転した。そうするととたんに黒字になつた。こういうようなことがある。従いまして同じ市でありながらも、ちよつとした位置においてそういう関係がある。しかも国立病院が、ことに手放そうというような国立病院は、実は外来の患者の診察だとか、あるいは簡単な町の人の入院などには不適当な所にある。新しく建てますと、実は先ほど独立採算制の問題があつたけれども、比較的低廉に診察してもなお独立採算ができるのだけれども、国立病院を引受けると、独立採算の見込みがない。だから金をかけても県としては適当な場所に新しく建てるならば、ただちにかけたものを——全部とまでは行かなくとも、相当回収の見込みがあるけれども、国立病院を引受けたならば、永久に赤字だというところから、引受けないような地方が非常に多いと思う。しかしながら私はそういうものがなくなるということは、これはやはり医療施設をそのまま減らすことなのでありまして、この点私はやはり地方財政との関連でありますけれども、地方はおそらく、九十九のうち六十護るとしても、その大半は引受けないのじやないか、こういうふうに考えております。すでに私の調査したところによりましても、八県は国立病院を引受けない。しかも相当有力な陸軍病院や海軍病院のあつた府県であります。そういうものが八県も引受けないという決議をしておる。しかも引受けまいというような機運のあるところを入れると過半数に達すると思う。こういうような状態のもとに、地方移譲というようなことを無理にやりますと、これは国においても、先ほど申されました通り三割で売るところを無理するのですから、時価の材料代で売つてしまうか、その材料をよそへ持つて行つて移転しても、その方が安いというような値段で売り渡すか、そういうような形に行かなければできまいし、またできたとして病院を引受けても、相当規模を縮小する傾向になると思う。そうすると今まで国立病院に働いておりました職員の失業問題も起りましよう。これは非常に大きな問題でありまして、ことに今日のような時代において失業しますと、就職口を探すのは、なかなか困難だと思うのであります。そうなりますと私はやはりこの際多少の経費がかかつても、この職員を失業させないという意味から申しましても、また多少不便であつても、今日の機構なら機構として、ある程度患者を引受けておる状態でありますから、これに国庫からの補助があつてもやつた方が、全体として見れば利益じやないか、こういうふうに感ずるのでありますが、その点どう思われますか。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 お話の点ごもつともな点もあると思いますし、不便な点もあろうと思うのでありますが、不便だという点になりますれば、国が持つておりましても不便でありますし、府県が持つておつても不便であります。ただ府県の側、引取る側から見れば、とにかく便利の方がよりいいということは私はあろうと思います。実はこの間、相模の国立病院を見て来まして相模のあんな辺鄙なところに病院があつて、はたして患者が来るのだろうかということを聞いてみますと、やはり横浜や平塚あたりからもずいぶん来ます。それは今日ではそう大したことはありませんということで、実は私も意外に思つたくらいで、町のまん中に病院かあれば非常に便利のように思われますけれども、私は必ずしもそうでないと思います。ですから、これはそう山の真中に病院があるというわけでもございませんので、比較の問題ではないかと思います。その際に稻村さんの今のお話のように、職員の多少の心配の点はあろうと思います。だからこれはできるだけ引継いで、困るようなことのないように努力はしますが、ただ職員の自分の希望、自分の立場から、この国立病院を移管する、移管しないということが決定されるということであつてはならない。そういう点から行けば、行政機構の簡素化も、国民の一般の要望としては、厖大な機構はなるべく縮少しなければならない。縮少すれば、その縮少した結果として一部の職員には犠牲者が出るでしよう。その犠牲者が反対するにきまつている。しかしその職員興が反対するからといつて、国の根本的な行き方というものをほつておくということでは、これは政治にならない、かように存ずるわけであります。私はそうだからといつてこれら病院に勤めておられます職員がどうなつてもいいということは絶対に考えません。しかしその点はひとつ御考慮願いませんと、——私のところにも職員がずいぶん来て希望を申しております。またそれも無理からぬことであります。しかしその職員の希望に引きずられて、大きい国の行き方というものを曲げるということではならないと私は考えております。

稻村順三日本社会党(第二十三控室)

○稻村委員 一応りくつの上からはそうでありますが、病院の職員というのは、かけがえのない、そうざらにあるところの職員とは違うのであります。一種の技能者です。人間の生命というものを預かつていただくものでありますので、技能者の熟練ということが非常に重要です。その意味からこういうものは大事にしなければならぬということが一つであります。こういう技能者も、都合によつたらただちに首を切つてしまうというような不安な状態に置くということは、やはり文化国家としての日本の将来にとつてあまり喜ばしいことではない。独立採算制の問題が先ほどから問題になつておりますが、独立採算制を強要するのあまりに、たとえて申しますれば、生活保護あるいは健康保険でもつて来ている患者に対して、今までは外部から付添人がついて来ることを認めておつたものが、最近になつてからそれを認めないということになつた。しかも看護婦も病院の経営上定員よりもむしろ圧縮しなければならぬということで、看護婦が付添人の役までもしなければならぬというようなところが、ずいぶん国立の療養所にあるようであります。現に私は新潟県の柏崎市に行きまして、その点を言つて、そこの院長さんからも実情を実に詳しく開かされたのであります。それからまたなお独立採算制という意味から申しまして、患者の交代というか、たとえば長い間の療養生活、ことに復員軍人などは、療養生活の間に非常に世間からうとくなつて来ている。こういう人たちが、まだなおりもしないのに、十分なおり切るというところまでおり切れないで、まあ、これくらいなら退院させたらいいだろうというので、遂にそういう人たちが無理をして働くとか、あるいは働くような何らの訓練なしで出たために、路頭に迷うというような問題も起きて来ているようであります。これは地方にこういうような問題のめんどうを見ろと言つても少し無理なことでありまして、やはり国が見てやらぬとならぬのであります。ことに九十九箇所を療養所に転換するということがありましたが、先ほど大臣からお話のあつた佐賀の問題などは、佐賀なら気候がいいから行こうかということもあろうかと思うのでありますけれども、そこで私は実を言うと、むしろ病院を減らすとか何とかいうことよりも、適当なものを療養所にもつと大規模に転換するとか何とかして、やはり国が責任をもつて国民の健康を守るという方式の方が、地方移譲よりも重要な問題ではないかと思うのですが、その点御所見を伺いたいと思います。

吉武恵市自由党厚生大臣・労働大臣

○吉武国務大臣 相模原のは療養所ではございませんで総合病院です。お話のように私ども今度移譲する中から十五箇所くらい療養所に残します。療養所の機能も発揮したいと思いまして、全部これを移譲してしまつて、国はやらないという考えはございません。それからまた国が地方に二十四箇所の総合病院を持つということは相当だと私は思います。それで先ほど来申しましたように、九十九箇所を国が直轄で持つてやるというよりも、府県なら府県知事のもとに県立病院を持つという方が、国民の側から行けば行き届くと思う。これは国民常識であつて、あなたと常識が違うと言われればそれまででありますが、私の常識はさようであります。国がやつていれば非常にいいが、府県がやれば、府県は国家公共のために経営しないで、もうけ主義で経営するのだという前提に立たれると、そういう議論になりますけれども、私は今日の府県というものをそういうふうには考えておりません。現に結核にいたしましても、御承知のように、結核療養所はそれでは国が直接に管理してやつているかというと、そうではございません。今度一万ベッドの病床をふやすにしても、国立よりもむしろ地方の方が多いというふうに、現在でも府県が県立で結核の療養所を持つてやつている。これには相当の金がかかつているのです。決して金もうけに府県でやつているわけではない。でありまするから、こういう問題は、国もやり、それから府県もやる、自治体もやる。そこで初めて国民に行き届いたところの医療が行われるのであつて、国がやるのは非常に社会政策的にやるが、府県がやるときには社会政策的にやらないという前提に立たれると、議論が大分むずかしくなる。こういうように思うのです。

稻村順三日本社会党(第二十三控室)

○稻村委員 府県がやりますと、いかに善意をもつてやりましても、府県の今日の財政状態から見ると、黒字が出ないとその病院は持つて行けない。ところが国でやりますと、比較的それが大世帯になりますので、従つてある程度まで助成したりなどいたしましてやつて行けば経営ができて来る。それが府県にまわつたら、現在の府県の財政では、黒字にならなければ、とてもやつて行けないのが現状だと思う。だから府県に行きますと、結局は独立採算制から、逐には営利といつてはおかしいが、少くとも自分自身のところで赤字が出るようだつたら閉鎖するというところまで行つてしまうのではないか。従つてそれだけ医療設備というものが減つて来るのではないかということなのでございまして、もう私の時間もあまりありませんので、この程度にとどめておきますけれども、そういう地方財政と国の財政との本質的な相違と申しましようか、これを考えて、そして経営主体が県である場合と、地方自治体である場合は違うのだということを條件として考慮していただきたい。以上の問題につきましてもぜひ慎重なる御考慮を願いたいということを申しまして私の質問を終りたいと思います。

庄司一郎自由党

○庄司主査 本日は文部関係の残及び厚生関係は一応全部分科会の質疑が終つたように思われます。なお明日は労働省関係の審議に移りたいと思いますが、明日は労働関係の政府委員もまたわれわれ委員も定刻のジャスト十時に参集いたしまして、でき得るだけ皆さんの論議の詳細を盡していただくことにいたしたいと思います。本日はこれをもつて散会いたします。    午後五時二分散会

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