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13回国会衆議院1952/02/12

予算委員会公聴会 第2号

発言数
64
登壇者
15
会派数
7
開催日
1952/02/12

会議録

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 これより昨日に引続き公聴会を開会いたします。  昭和二十七年度総予算につきまして、公述人の御意見を伺います。まず帝国銀行社長、佐藤喜一郎君に御意見をお述べ願います。

佐藤喜一郎帝国銀行社長

○佐藤公述人 私は帝国銀行の社長の佐藤でございます。金融界におります関係上、今度の予算に関連いたしまして二、三所感を述べて、呼び出されました責任を果したいと考えます。あとで最後に申し上げますが、まずわれわれとしてちよつと考えられます点を、二、三簡単に皆さんに申し上げておきたいと思います。  第一は収入の面であります。二十七年度の予算の面に現われております法人税の総収入が千八百七十九億、ほとんど千九百億に近いものですが、その見積りが、われわれの勘から言うと、少し過大のような気がしてならぬのであります。実はどういう基礎のもとに計算されたのであるか、まだ私も資料を集めるいとまがないのでありまして、はなはだ無責任なことを申し上げるようではありますが、昨年の法人税率に比較しまして、ことしは税率が上つたということもあるであろうと思います。しかしながら同時に、法人につきましては償却の面で相当合理的な償却を認める。言葉をかえれは、要するにそれが減税の面に現われるのであつて、あるいはよく資本蓄積の精神を税法の上にくみとられまして、いろいろな面で合理的に償却を認められるならば、あるいは三五%が四二%に上つたということは、償却の限度あるいは範囲の擴大によつてむしろ相殺されて、事実上はこれが上らぬのではないかとすら思えるのであります。これは資本蓄積の内部蓄積を十分にする意味からけつこうなことでありますが、税収の見積りの上では、税率が上るということだけでは、考えられないではないかというのが一つでありますし、また最近の経済の情勢を見ますと、これは昨年の春、夏以降のことでありますが、一般的に原料高の製品安という趨勢が非常に強いのであります。従いまして各種企業に通有な傾向は、生産費と販売価格とのマージンが減つておるということであります。これは特殊の業種を例示すれば著しいものがあるのでありますが、一般的にこういうことが言えるのではないか。なかんずく最後に好況の影響を受けているもの、あるいは初め受けてもはやよくないというもの、いろいろな業種によつて響きが今日においても違いますが、とにかく全般的の傾向として、今年はやはり生産費のマージン、つまり利潤が少かろう。原料高の製品安の趨勢がかなり強いのではないかと思われる。かつ二十六年度の企業の収益というものは、御承知の朝鮮動乱の影響を受けておりまして、異常な高収益に恵まれた産業がかなりあつたようであります。この中には本年も続くと思われるものもありまするが、著しくこの収益が減退しはしないかと思うものもございまして、どちらかといえば二十六年度の企業の収益というものは、平均してややアブノーマルなものではなかつたか、こう考えますと、これらの三つの事情から考えまして、どうも私がここに頂戴しておりまする大蔵省主計局の予算の説明書によりますと、昨年の法人税が約千五百億、これに対して四百億近くふえるということが見込み得るだろうか、どうだろうかという点に疑念を持つのでありますが、先ほど申し上げますように、資料を持ち合せておりませんので、ただ私の勘だけであるということをお断り申し上げておきます。  それから歳出の面でありますが、平和回復の経費というものが、新聞などで拝見しますと、たいへん問題になつておりますが、私自身はこれが生活水準引上げに全部なるものとは思わないのでありまして、これはむしろ雇用あるいは有効需要の喚起ということに役立つようにお使いなさることを希望して、簡単にこの問題には触れまいと思うのでありますが、ただこの面につきまして、特に防衛費関係というものが早くおきまりになつて、年平均して政府が支出なさるのかどうか、あるいはいろいろな問題のために、後半に集中するということがありますと、前半の政府の支拂い収入の面、後半における対民間収支の面で、著しい跛行状態を生ずることがないように、ぜひとも予算が運用されることを望むわけであります。つまりいろいろな問題が未確定である限り、年度の後半に至つてこの費用が集中して出るということになり、前半にちつとも出ないということになりはしないか、こう財政収入というものがどしどし行くとしますと、アンバランスがここに起りはしないか。年度を通じてはかりにそうであつても、途中でそういうことのないように運用されることを、ぜい希望したいのであります。  第三は公共事業費であります。先ほど申し上げました平和回復関係の経費といふものの中には、多分にこの公共事業費が持つておりまする目的を兼ねる面があるのではないかと思います。こういうような関係で平和独立回復に伴う費用が生じた場合において、いきおい何か節約するならば——公共事業費というものが逆にふえておるということは、どういうことであろうかというふうに思うのであります。これはまあ私どもから見ると、むしろ目的がはつきりしない公共事業費というようなものは、こういう特殊な費用が出て来たときには、少し削るべきではないかというふうに感ずるのであります。これは適当な例かどうかはわかりませんが、昨年度におきまして、特需というものが約五億ドルほど出ておるということを聞いておりますが、これは邦貨に直しまして約千五百億と思います。これを中央地方を通じまして使用される公共事業費というものとは、ほとんど匹敵したところの数字であるのであります。この産業界に及ぼします影響から考えますと、一方は何となくどこかへ消えてしまつておるような感じがいたします。また片一方は、いかに日本の産業界に雇用の速度を與え、好ましい需要も増したかといつたようなことからしますと、どうも目的によつてはつきりとした経費の使い方の方が、資金が有効に使用されておるのじやないか。この意味において、公共事業費が削られなかつたということは、われわれから見ると残念なことのように思うのであります。  その次は出資、投資の関係でありますが、この問題は、財界としては一番関心のある問題なのでありますが、一番先に私が感じますことは、予算の説明にその年度の収支計算というものがあるのでありますが、何か貸借対照的な資料がはつきり出ないものだろうか。たとえば食糧管理特別会計、あるいは外国為替特別会計、あるいは資金運用部等におきましても、年々の政府の出資というものがこれにつぎ込まれておりますので、集計した残高がいかになつておるかといつたような資料がわれわれはほしいのであります。こういうものも十分できたならばまた各方面からこれに対する御意見なり、希望も出るのではないかと思います。年々の運用の状態だけが出て、過去の成績の何がないという点でわれわれは何かそういう資料を、しよつちゆう政府の方に御用意が願いたいと思うのであります。これはちよつと余談かと思いますが、外国為替特別会計への繰入れは昨年は八百億、私の持つております資料は、今年は三百五十億となつております。これらの点につきましては、結果的に見て今年は昨年より減少した方が私は適当だと思うのでありますが、問題は減少した理由にあると思うのであります。この説明によりますと、貿易の見通しが一億ドル以内にとどまつておる。九千何百万ドルとかいうのでありますが、一億ドル以内であるから、ここで三百五十億の繰入れで、いわゆるインヴエントリー・ファイナンスでありますが、さしつかえないというふうに書いてあるのであります。これではもしもつと収支が減つた場合、あるいは幸いにして輸出が三億ドル、四億ドルとなつた場合に、このインヴエントリーをどうされるか。このところがはつきりしないかと思うのであります。昨年中におきましては、しばしば外国為替特別会の円資金の不足が伝えられまして、その都度財界は何となく一種の不安を持つたのであります。そういう意味からいいまして、もつと何か適当な方法によつて、この外国為替特別会計の弾力性を、はつきりしていただくことができないだろうか。つまりこれは貿易の収支面に多分に関係のある事項でありますので、生きものである対外貿易というものが、予算で固定しておるというようなことのないように願いたいと思うのであります。もちろん一方において借入れ限度というものもあるようでありますから、これを伸縮することによつてできるとは思いますが、昨年貿易の八百億という巨額なものが、これに入りましたことについては、私は趣旨として賛成であつたのであります。何となれば、昨年はいわゆる朝鮮特需、アメリカの軍需景気といつたものの影響が、相当大きく日本の貿易面に現われ、これくらいのものもインヴエントリーとして、インフレ対策としてはきわめて適当な処置ではないかと考えられます。しかるに本年につきましては、先ほど申し上げましたように、結果的に見てこれが減つていることは賛成であるのであります。なぜ賛成かと申しますれば、収支関係が一億以内にとどまるから賛成であるという意味ではなくして、本年の日本の貿易の性格がなかなかなまやさしい努力では貿易の進展が困難であろうという面から考えまして、あまりこれをインフレ対策として、外貨の面に大きな考慮を拂う必要がないのではないか。この意味で金額が減つておるということにつきましては、結果的に見て賛成をする次第であります。  次に資金運用部のことでありますが、この説明書を拝見いたしますと、資金運用部及び見返りを込めてでありますが、電力関係に三百億と六十億が計上されており、また海運に百四十億円がありまして、それにアルフアーがあるかと思うのでありますが、今日電源開発あるいは造船というものが、日本の産業として非常にネツクでもあり、ぜひとも開発に努力しなければならぬということについては、異議はないのであります。海運についても昨年すでにその事態が現われた通りに、百四十億円で幾らの船ができるかということを計算されておらないで、一方において昨年の第七次、後期の例を申し上げますと、十五万トンというふうに政府がおきめになるが、一方において出す金は七十億であるというようなやり方をおやりになると、要するに仕上げようという仕事に対しまして、その五〇%あるいは四〇%だけの財政資金の手当をつけて、そうして他は市中でしかるべく適当にやつたらよかろう、ということになるのが実は困るのでありまして、これが銀行のみならず、広い意味の金融機関の中に資金の蓄積が非常にありますときには、それでちつともさしつかえない。ある場合には財政資金を出さないでもいいかと思うほどでありますが、今日の情勢において半分あるいは半分に足りない財政資金を出して、あと全部引上げるといつたようなやり方をしていただきますと、市中としてはそこに非常に困る面が出て、いわゆるオーバー・ローンの原因もここから来ておると思うのであります。電力関係についても、私は同様なことがやはり言えるのではないかと思う。つまり財政資金として三百六十億があるのであります。なお資金運用部の方から出るとは思うのでありますが、やはりここに七、八百億の本年度の電力開発の費用を、一応政府がおやりになろうと考えておる場合に、このくらいの金額では、また市中の産業資金の面にしわが寄つて来はしないか。国策という言葉は適当かどうか存じませんが、現在の情勢下にぜひとも達成したいと思うような仕事がありましたときには、先ほども申し上げましたように、公共事業費のようなものを削つてもいいから、目的のはつきりしたものに全額出して、これの達成をはかるというような徹底したやり方の方がいいのではないかと、私は思うのであります。銀行は昨年の夏ごろでありますが、自主的融資規正委員会というものをつくりまして、当分の間設備資金は、市中銀行としては貸し出すことを一切差控えるという、一つの申合せというと語弊がありますが、そういう意見書をもつて意見が一致したわけでありますが、この意味も何も長くそういうふうな態度でおるというわけではなくして、昨年の情勢から見て、朝鮮動乱その他から少し過剰投資があつたから、これでぜひ設備資金は控えたい。別に設備が何であるかということを、われわれが特に言わないゆえんもここにあるわけであります。これに協調していただく意味からいいましても、財政資金の面で余裕のありますものが、電力あるいは海運というものにさかれることは、われわれも非常に賛成なのでありますが、その資金が中途半端なものでないように、ぜひ願いたいというふうに考えられるのであります。  私が申し上げたいことは、項目としてはそのくらいでありますが、結論といたしまして、ことしの予算は昨年に比べれば超黒字の面がありまして、大体対民間収支から見ましても、ほぼ均衡がとれた予算であるということにおいては、賛意を表してさしつかえないと思うのであります。ただ総合的の均衡ということは、一般会計、特別会計、あるいはその他の政府機関の対民間収支を込めたものであるということだけではとどまらなくて、むしろ日本の産業全体の二十七年度の動向ということを多少勘案されて、総合的の均衡という意味であるならば、考える必要があるのではないか。かりに二十六年度が異常な好況に恵まれた年であつて、二十七年度がその反動の年であると仮定をしたような場合におきまして、財政の組み方は、二十六年度においては自主的であるということが当然でありましようし、二十七年度ではそれがそのまま踏襲されては困るのであつて、むしろインフレということはありませんが、産業助成の面で何らかの政策がいつでもとれるような態勢が、予算に盛られているということを、私どもは切に希望するわけでございます。どういう形でそれが盛らるべきかということは、具体的に申し上げるのではありませんが、そういう心構えでこの予算がはたしてできておるかどうかということになりますと、私はやはり昨年と同じように、財界は非常な好景気を持続するのである、こういう予想のもとに立てられておるのではないかという感を深くするのであります。  はなはだ簡単でありますが、私の公述はこれで終ります。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの公述人の御意見に対しまして、御質疑はございませんか。

水谷長三郎日本社会党

○水谷(長)委員 ちよつと佐藤さんにお尋ねいたしますが、あなたに帝国銀行の社長として、また市中銀行の権威ある代表者として、オーバー・ローンの問題に関しましてお尋ねしたいと思います。この問題も原因はいろいろありましようし、また今の池田財政の一つのしわ寄せとして、ああいう問題が起つたのでありましようけれども、大体限度一ぱいに来ておるのではないかと思うのです。これに関しては、あるいは石橋氏あるいは木内氏なんかからも意見が述べられて、またそれに対してのいろいろの批判が経済雑誌なんかに現われておるのでありますが、私はこのオーバー・ローンの悩みのうちに非常に呻吟しておる市中銀行の立場から、このオーバー・ローンという問題に対する根本的なお考え方、なかんずくこれをばどのようにして解決して行くかという問題を、私はざつくばらんにお聞かせ願えれば、非常にけつこうだと思つております。

佐藤喜一郎帝国銀行社長

○佐藤公述人 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。大体世間に伝えられております石橋構想というものは、ある意味から申しますと、問題の核心をついておるのではないかと思いますので、これをどういうふうに私が見ておるかということをお答えすることによつて、今のお答えになると思います。  今日の銀行のオーバー・ローンの発生いたしました原因を大ざつばに考えますと、これは二つあると思うのであります。一つは復興金融公庫のオペレーシヨンでありまして、もう一つは朝鮮動乱であると思います。私が復金をなぜあげたかと申しますと、大体あの政府機関はピーク千四百億まで貸したのでありますが、当時の情勢をもつてすれば、必要な資金はもう少し出るはずであつたと思います。従つて、これを予期していろいろな工事に着手されたという面を考えますと、復金の操作がインフレ要因であるというために突如として打切られてしまいました結果、しかけた工事が非常にたくさん残りましたので、それがなお不足資金として市中に降つて来たという面まで考えますと、おそらく千二百億では足らずして、もつと大きな金をまいたのではないかと思うのです。しかるにその結果はどうであるかと申しますと、先般開発銀行に引継いだようでありますが、五百数十億というものをすでにそのピークから回収しておるのであります。本日私は資料を持つておらないので、はなはだ恐縮でありますが、五百三十億であつたと思いますが、このうちほんとうに資金が調達できて借り受けたというものが何パーセントあるか、割合に少いと思うのであります。大部分はやはりこれが市中の融資によつて肩がわりされたに違いない。なおかつ当時出ておりました復金債というものの八十何パーセントというものは、日銀の引受でありましたから、それは言葉をかえていえば、資金信用増資によつて資金が出ておつたわけであります。これを見返り資金でもつて全部償還してしまつたわけであります。従いまして、簡単に申し上げますと、千四百億、あるいはしかけた工事の影響まで考えますと、それよりも一、二割多い金額というものを出して工事が着手されて、あとで全部これを回収してしまつたという結果になつておるのでございます。これが非常に大きな市中のオーバー・ローンの原因。もう一つは朝鮮動乱でありますが、これについては設備に好況の持続を過信して投下されたというもの、及びいろいろな輸入不振といつたようなもので思惑的に開始した。この二つの面がありまして、過剰投資——投資というのは広い意味になりますが、そういうものが朝鮮動乱の結果起つたことであります。これは私は政府にも重大な責任があると思う。指導が間違つておつたと思うのでありますが、何と申しましてもこれは産業界自体の黒星だと思う。そこでもしこの二つの原因から起つたうち、まつたく財政資金のオペレーシヨンというものから、関係したものをもう一ぺん時計の針をもどすがごとくもどされるというのならば、私は趣旨として賛成なんであります。残るところはその方法だけではないかと思うのであります。  なお石橋さんが指摘しておられることの中には、市中の手形も、また産業の資金を調達して行く方法も、はなはだ不安定であるということを指摘されております。この不安定であるということはまさにおつしやる通りでありまして、非常にいい点をついておられるのでありますが、不安定の原因というものは、今御質問の方もおつしやいましたように、ここでオーバー・ローンが今限度に来ているから不安定でなくして、財界自体に存在している不安定がそこに現われておるのではないかと思うのであります。こういうふうに指摘していいかどうかわかりませんが、たとえば商業手形といつたようなものによつて、何か資金流通の道をはかろうといたしますと、それが著しく濫用されて来ておる。あるいは貿易手形というものによつて、貿易促進をはかつて輸入しようとしますと、また貿易手形が着しく濫用される。こういう面はやはり戦後の商業道徳というものの水準の問題にもかかわりまして、いろいろな施策が実施されると間もなく、また障害にぶつかるというような面で、不安定な状態を生じておるかと思うのであります。それでありますので、この点はなかなか産業界、あるいは日本の経済の弱さというものがなくなるまでは、どういう方法によつても、不安定というものを解消することは困難ではないかと思うのであります。それで結論的に申し上げますと、先ほど申しましたように、財政上はつきりそこへ出ております部面について、政府がこれをおやりになるということは、われわれは決して反対では、ございませんが、われわれ自身としてそれを希望するということはいたしません。ただ今日のオーバー・ローンは、大勢の方がおつしやつておられるように、産業界の資金不足が反映したのにすぎませんので、やはりほんとうの解決方法というものは、法人が産業活動の主体であるとすれば、その法人の内部蓄積がうんとできるようにとりはかろうということが、主眼であると思います。また一方において、国民に通貨に対する安心感を與えて、貯蓄の奨励を全国的に展開していただく、こういつたやはり常道の方法によつて、多少時をかけてこれをやるのが本筋じやなかろうか。われわれとしては、先ほども公述のときに申し上げましたように、ことしは一切設備資金を貸さないのだということを申し上げておりますゆえんも、その是正に時をかけて、自然の方法でもつて解消したいと心がけておるから、ああいうような決議をしたわけであります。従いまして私としては、今のオーバー・ローンの状態が決して満足な姿ではないと思いますが、同時にこれを急遽療治するということは、そう深い意味がないのじやないかというふうに考えております。

水谷長三郎日本社会党

○水谷(長)委員 ただいまのお話を聞きまして、根本対策は、これはだれが考えましても少し時をかせいで、今あなたのおつしやつたような方法しかないと思います。そうしますと、さきに申されましたように、市中銀行は今後設備資金を貸さないという申合せをして、そしてただいまのお話から聞きますと、設備資金あるいは長期金融、別の言葉でいえばそうなりましようが、それのためには、今度の国会で池田さんの言われましたところの、投資銀行というようなものが新たに生れることを、あなた方の立場から御希望されておるかどうかという点を、ちよつと聞いてみたいと思います。

佐藤喜一郎帝国銀行社長

○佐藤公述人 投資銀行につきましては、まだ具体的の方法をよく伺つておりませんけれども、私の端的な結論から申しますと、機構をつくることによつては、なかなか当面の長期資金の捻出ということはできないのであつて、どこに資金源があるか。投資銀行なるものをつくれば、その資金源の発掘ができるということであつて、初めて意義があるのですが、どこに資金源があるかという点について、具体的に私は聞いておりません。あるのならばいいのでありますが、むしろ資金源の培養ということが急務であつて、どこに資金源があるかということによつて、この投資銀行のメリツトというものはきまるのじやないか、こう思つております。

田口長治郎自由党

○田口委員 佐藤さんに一、二お伺いいたします。昨年の九月三十日末の日本全国の預金者の状態をいろいろ調べてみますと、預金者が三千七百七十六万人といいますから、日本の国民の中で半分だけが銀行に預金をしている。その金額が一兆二千億程度に達すると思うのであります。一方この金をどういう人が借りておるかということを調べてみますと、大体借りている人の数が百八十万人、借りている金額が一兆三千何百億、こういうことになつております。この借り方の内容を調べてみますと、五十万円以下の預金者の預金というものは、なお一千百億程度の預金残になつている。これだけの材料からいろいろ考えてみますと、結局今日の銀行は、たくさんの者から金を集めて、そして一部の人に金を貸しておる。なお極端に申しますと、大口企業に対してあまりにたくさん資本を出し過ぎておるのじやないか。こういうような点からいいまして、銀行の堅実性という点から考えましても、一つの事業がつぶれた場合におきまして、結局共倒れになつて、こういうような心配も多分にあると思うのであります。また中小企業の金融なんかにいたしましても、これは金融ベースの問題もありますけれども、いま少しくこの方面への金融ということについて、銀行は公共性をも多少加味されて、お考えにならなければならない問題ではないか。こういうような点も考えますし、あるいは貯蓄奨励というようなことも、むしろ大口の方に何とか強く奨励する、こういうようないろいろな問題が考えられると思うのでございますが、まず第一に大企業に偏しているのは、銀行の経営上あぶないじやないかというこの問題について、佐藤さんの御意見を承りたいと思います。さらに中小企業に、いま少しく金融ということをお考えにならなければならぬじやないか、こういうふうに考えるのでございますが、この点についても、佐藤さんの御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。先ほどからオーバー・ローンの問題も出ておりますが、昨年の十二月二十日のオーバー・ローンを考えてみますと、千三百億程度になつておるように考えるのでございますが、こういう問題も、あるいは先ほどの話のように、銀行自体が資本蓄積あるいは預金集め、こういうことに努力をされることが必要じやないかと思うのでございますが、以上の四点について、簡単でよろしゆうございますから、御意見を承りたいと思います。

佐藤喜一郎帝国銀行社長

○佐藤公述人 お答えをいたします。都市銀行が大口企業に融資が偏在していはしないかというお考えでありますが、これは数字の上で現われておりますよりも、実際は少いのであります。なぜかと申しますと、たとえば、これは実例を申し上げると一番いいと思うのでありますが、一昨年の暮れであつたと思います。たしか石炭鉱業の未拂いが非常に累増いたしまして、傘下の物を納入しておる中小の圧迫がはげしかつたために、われわれといたしまして、大手五社に対して数十億の融資をしたのであります。これはひもつきにして融資をしたのであります。こういうような例によつても御了承願えると思いますが、わずか五社だけ出るのでありますが、その出しました趣旨は、全部関連の中小の——中小でないものももちろんございますが、その中小の方へ金が流れる結果になつておるのであります。御承知と思いますが、造船業のごときも、たいていの造船業は、三百ないし六百くらいの傘下の下請工場を持つておりまして、最近におきまして、やはり造船の未拂いを何とか解消した方がよくはないかというふうに考えて、さような手段があるいはとられたかとも思う。これはまた余談になるかと思いますが、地方へ伺いましたときに、土地の銀行は、地方の金を吸い上げて東京で使おうじやないか、といつたようなお考えもよく伺うのですが、これなどもいろいろな機構の関係から、東京に本社がありますもの、あるいはその他の関係から中央で融資されました金を、また地方の工場所在地に還元されておるようなわけでありますが、あまりにもしわれわれとしてそういう傾向が強ければ、それぞれの所在地でもつて融資をすれば、すぐ形は解消してしまうのであります。そういうことをするよりも、よくその土地の人に実際はそうではないということを、御説明申し上げているような次第であります。それで一番初めに、預金者の数及び金を借りておられる人の数といつたようなものを比べて、お話があつたのでありますが、その通りの数字は出ておるのであります。ただわれわれとして申し上たいことは、市中銀行及び地方銀行を通じまして、貸出しの件数から申し上げれば、大体九〇%内外の件数が中小に属する融資先であります。ただ大企業に著しくある大きな数字がかさまりますことは、ただいま申し上げましたような事情からして、一番それが金詰まりあるいは当面のいろいろな資金の問題を、スムースに解消する具体的な方法として、しばしばとられておるようなわけであります。表向きの数字に出ておるよりも、間接融資がされていると御承知願いたいと思います。  それから中小自体につきましては、しばしば問題が起つておるのでありますが、銀行の方でも中小企業金融対策委員会をつくつて、しよつちゆう研究しておるのであります。ただいま申し上げました大口へ流すことによつて、中小へ金を流すということのほかに、直接もちろん中小に対しましては、諸種の努力はいたしておるのであります。ただ中には受入れ態勢が十分でないために、やりたくてもできないという場面がございます。それからまたややもすればいわゆる緊急産業、あるいは昨今でいえば——これは政府側がおつしやることであるが、鉄鋼、石炭、電力、造船、こういつた面だけをとつて緊急と言われる、そういつた緊急というような面から考えますと、中小にどうも規格にはまらないものが、ややもすれば出て来るといつたようなことがありますが、われわれとしては取引先の数からいえば、九〇%近くを占めておる中小というものを、決して閑却するわけがないのであります。かつまた銀行の運営から申しましても、中小の方が実際においては、大企業よりもオーバー・ローンになつておりませんので、われわれとしてもこれが好ましき面であるということは、十分頭に入れながらやつておる次第であります。なおしばしば銀行がもう少し預金を集めることに努力をしたらどうか、というふうに言われることがあります。ただいまその点を御指摘だつたと思いますが、われわれとしてはこれ以上やれば、同業者間の過度の競争になりはせぬかと思うほどやつておると、私は考えておる次第であります。  それから貯蓄奨励を大口の方にやつたらどうか。これは御趣旨は大口企業だろうと思いますが、現在の資金繰り状況、たとえばオーバー・ボローイングになつております大企業に貯蓄を奨励するということは、何と申しますか、一面において両建の預金、貸金が多いということに撞着いたしまして、ずいぶん納税積立てのために、いろいろな面で大企業に資金の蓄積は絶えずやつておるのでありますが、何分にも今日の産業資金の状態から、産業自体に自己資金が非常に足りませんので、おつしやられるまでもなく、銀行としては、十分これには努力をしておるのでありますが、なかなか実効が上らないというのが現状であります。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 佐藤公述人からは、あと五分程度というお申出でありますから、簡潔に……。それでは風早君。

風早八十二日本共産党

○風早委員 第一にこの際お尋ねしたいことはアメリカの政府当局のスポークスマンの言明では、大体現在九百億ドルの未実行予算があるという話であります。そのうち特に五十一年度、五十二年度の分だけでも、七百億ドルの未実行予算がある、こういう話なのです。これは純粋の予算技術上のからくりもあるわけでありましようが、それにしても、あまりに大き過ぎる額です。そこでなぜこういう実行されない予算がたまるかということについてどういうふうに見ておいでになるか、この点をお尋ねしたい。  それから第二には、この二十七年度の本予算でありますが、これも今度は駐留軍の費用もふえるし、また予備隊、海上保安庁、いずれも大擴充せられるというので、いわゆる軍事予算なるものが組まれておるわけでありますが、またこれの実行について実際これは実行はできるという見通しがあるかどうか、こういう点について産業界を握つておられる金融界の大御所として、御観測を承りたいわけです。政府の計画、あるいは一般の産業資金の需要というものは、非常に莫大なものに上つておるわけでありますが、その中でかんじんの政府が出す国家資金というものは、非常に限られておる。従つて金融にたいへんなしわ寄せが来ておるということは、はつきりわかりました。それから中共やあるいは日ソの貿易が禁止せられておるというようなこまら、いろいろコスト高の問題もあるでしようし、いろいろな点を総合しまして、どういう見通しを持つておられるか。これについて、ちよつとお尋ねしたいのです。この際特別に労働者や農民やまた一般の国民の相当多数が、この軍事予算、再軍備、さらに戦争への胎動を望んでいないという問題は別問題にしまして、経済面から見て一体今度の予算が、それらの條件で実行できるかということです。その点についてお伺いしたい。

佐藤喜一郎帝国銀行社長

○佐藤公述人 先ほど御質問の前の方の、米国のことでありますが、私は実情をよく知りませんが、いろいろの雑誌、新聞その他の記事によりますと、このごろは月に大体四百億ドルぐらいの進行度でもつて、軍需生産が行われるとか聞きました。従つておそらくやはり年度内にこれを使うことはできないのではないかしらんというふうに、私はただ想像しているだけであります。何となく、アメリカとしては生産能力の確保充実ということに、主力が置かれておるようであつて必ずしも軍需品そのものの生産を、あたかも大東亜戰争当時のように、やつきになつてやつているとも見えないのでありますが、あるいはそういうように使い残しが起るであろうということは、私としても当然予想されるのであります。ただ戦争しておるときと違いますから、インフレ対策というものに、かなりの考慮が拂われておるというふうに感ずるわけです。  第二の防衛関係のことでありますが、どういうふうに使われるのであるか私もよく存じませんが、金額その他から推察いたしましてこれをお使いになるのであつたならば、十分日本の産業界はこれを消化する能力があるので、決してアメリカの軍擴のような、あの大きな経済能力をもつてしても、消化し切れないような大きなものであるとは、毛頭思われないのであります。私としてお答えできるのは、大体そのくらいかしらんと思います。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 なお質疑がおありのようでありますけれども、時間の関係もありますので、次に移ります。次は一橋大学学長、中労委会長中山伊知郎君より、御意見を伺うことといたします。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 一橋大学学長、中労委会長中山伊知郎であります。  本二十七年度の予算の性格は、一言に申しますと講和実現の予算ということができると思います。二十六年度の予算が、補正予算をも含めまして講和後の経済自立を中心としたと言われておりますが、その場合の講和はいわゆる見込みの講和でありまして、この二十七年度に初めて講和の実現を迎えた。そういう年の予算が組まれたわけであります。そういう意味においてわれわれはこの予算に非常に重大なる関心を持つておるのでありますが、その中の問題は、必ずしも正確に予算面に出ているというわけではないように思われます。言葉をかえて申しますと、八千五百二十七億という形で組まれましたこの予算は、予算として非常にバランスのとれたものであると考えられますが、実はその中には、講和実現とは申しますが、同時に防衛関係その他で、強い言葉で申しますと、一つの非常時的な性格を含んでおります。それは予算の面においてはただ萌芽的な形で出ている。従つてこの予算がはたして講和実現のほんとうの予算として実質的に成立するかどうかという問題はこれらの問題を含めて考えなければならないものであろうと思われます。  そういう意味から第一に問題になりますことは、何と申しましても二千三十三億に上ります平和回復の費用、特にその中心をなしております千八百二十億の防衛費ということになりましよう。この問題はすでにたびたび取上げられておりますし、おそらくこの予算委員会においても十分に取上げられておるものと思いますので、私はここではきわめて簡單に触れておきたいと思います。金額といたしましては、二十六年度の補正予算をも含めてこのような関係の費用、いわば渉外の費用に比べますと、五百億程度の増加であります。その意味においては、日本の国民経済が、この二千三十三億あるいはその内容としての千八百二十億の防衛費の負担ができないということは、おそらくありますまい。ただ問題は、この費用がこのままの金額ではたして行けるか、あるいは二十七つ年度においてはそうであつても、二十八年度はどうなるか、こういうことを国民一般は非常に関心を持つておると申しますか、一歩進めて心配をしておるというのが実情でございます。従つて予算面における金額の問題といたしましては、われわれはこれ触れる必要がないと思いますけれども、しかしこの予質の性格、特に防衛費の性格は、やはりその予算の金額を検討する場合に明白にしていただきたい。これがはたして国連の共同防衛の負担金とどういう関係にあるのか、それからそれはどのような増加の可能性を持つているのか、そういう点はやはり性格として明確にしていただきたい、このように考えます。  次に予算の内容に入りますが、もしこの全体の予算が、防衛費をも含めまして日本の国民経済の負担能力の限度にあるといたしますと、この建前から問題になりますことはこの予算の全体が自然増収に期待しているという一点であります。この自然増収がどのように読み込まれ得るかということは、これは実質的、形式的に両面から問題がございます。実質的には財界がはたしてこのような自然増収を期待できると考えているか、また実際にこのような予算を組まれた政府当局が、このような自然増収の基礎をどこに置かれているか、こういう点はわれわれにも十分の見当がつきかねます。ただ形式的に申しますと、若干の不安なきを得ない。と申しますのは、二十六年の当初予算においては、御承知のように四千四百億の税収入が予定されておりました。ところでその途中で四百億の減税があり、しかも結果においつては一千二百億の税の増収がございまして、税収入は二十六年度を通じて結局五千六百億になつたのであります。これは二十六年という非常に異常の年の、やむを得ない結果といえば言えるのでありましようが、しかし税収の何割に当りますか、このような大きな計算の違いというのが、はたして計算の違いだけとして見のがすことができるかどうか。われわれはこういう技術について、十分の知識を持つているということは言えませんけれども、しかしこのような形の計算を基礎にして、自然増収というものが見込まれているといたしますれば、非常な危險を感ぜざるを得ない。日本の経済のこれからの数年について、私は決して悲観的な見解を持つているものではありません。ありませんが、しかしこのような税收の見込み違いというものを基礎にして今度の自然増収が見込まれておりますならば、その点はひとつ再考をと要する問題があるというふうに考えるのであります。  そこで第二に、全体の予算の点について日本経済のそのような実情から何が望まれるか、あるいは何が期待されるかという点からこの予算を拜見しますと、私どもとしましては日本経済の今までの特質を、このような講和実現の予算において、何とかして是正して行くという方法をとつてもらいたいということを、痛切に感ずるわけであります。それは何かと申しますと、ここで詳しく統計は申しませんが、日本経済の一番大きな経済的な特質、技術的ではない、また風土的でもない、人口的でもない、経済的な特質は、私ども一は生産力の発展の率と生生活程度の上り方との間に、非常に大きな矛盾があることだと考えております。大ざつぱに申しますと、明治初年以来七十年間に日本の純国民所得、それはちようど十倍くらいに伸びております。ところが日本の国民生活は、ときによつて異動はございますが、二倍程度の伸び方であります。生産力の発展は今日非常に発達いたしました。国民所得の計算からいたしましても決して世界に負けておりません。年発展率、年成長率と呼ばれているものは、われわれの研究所で最近到達しました結論によりましても、大体三五%ないし三六%となつておりまして、イギリスの年率一%ないし一五%というようなものに比べましても、あるいはアメリカの発展率に比べましても、劣つておりません。これは日本経済の、特に工業を中心とする発展が、非常に急速に行われている証明でありましてこのことは一つの経済の強みだと思います。特に工業だけをとつて発展率を計算いたしますと、これはまだ正確には数が出ておりませんが、約九%の発展率が数えられるという見込みが立つております。ところが一方生活水準、これのはかり方は国民所得のうち個人消費所得、これをとつて計算をしておるのでございますが、この個人消費所得の伸び方は七十年間に約二倍、そうして現在の消費水準は、御承知の通りまだ戦前には回復していない。これが実情でございます。もし日本の今度の予算が、はたして講和実現後の新しい日本経済の発展を画する予算でありますならば、われわれはこのような日本経済の長い間の矛盾を、少くともある一つの面から是正して行くという方向に、これを持つて行つていただきたいということを、強く希望するわけであります。そういう点から申しますと、たとえば公務員の船脚、これは予算の面に直接に現われておりますから、つけ加えて申し上げますが、公務員の給與のごとき、これは現在一万六十二円というのが平均の給與の額になつておりますが、こういうものは大ざつぱに申しまして、戦前に比べてちようど百倍の高さであります。そうして物価は、御承知の通り農業パリティにいたしましても、あるいは卸売物価指数にいたしましても、二百五十倍ないし三百倍近い数字を数えなくてはならない。このような状態で、はたして公務員がほんとうにその能力を発揮し得るかというような、そういう能率問題はしばらく別といたしましてこのような低い水準を公務員の面からでもこれを切り上げて行くということは日本の一般の生活水準の問題にとつても大きな影響のある問題だと思います。もちろんこれはそのほかの行政機構の問題と関連いたしますから、簡單には結論は出ないかと思いますけれども、われわれは太い線から、そのような結論は当然に出て来るものと考えられてよいと存じます。  そこでその問題を延長いたしまして第三に国民生活における税金の負担の問題ございますが、これは今度の予算におきましては一般会計の地方方財政を除きまして国の税金として最初に統計表が出ており、それによりますと一七%であります。二十六年度の一七%という国民所得に対する負担率を、そのまま二十七年度も守つて行くから、国民生活に対する国の税金の区圧迫は増加していない、こういう説明がございます。確かにこれは国民所得の推計にも依存いたしますので、簡單には申せませんが、あの国民所得の推計が正しいといたしますれば、一応その通りであります。しかしそれは国の税金だけのことでございまして地方税を加えますとずつとその比率は大きくなり、大体今日においても二〇%という負担率が、地方税を加えた場合には下つていないのであります。国民所得に対する二〇%の負担率、これを單に数字の上で他の国と比較いたしますと、必ずしも日本だけが特に高いというわけではありますまい。けれども実はそのような計算は單に比率だけではいけないので、この租税負担を取り去つた後の生活資金がどうなるかということを考えて行かねばなりません。そうなりますと、もともと国民所得水準の低い日本におきましては二〇%の租税負担というのはやはり依然として高率である。戦前には地方税を合せまして御承知のように一三%というのが大体の水準でございましたので、それから見て相当まだ高率であるということが言えます。高率である一つのことを、特に所得税だけについて申しますと、所得税は国税及び地方税を合せまして今申しましたように二〇%でございますが、その一例として昭和九年から十一年ごろの免税点は千二百円でございました。この千二百円という免税点を、これを物価指数をかりに低くとりまして二百倍といたしますと、今日二十四万円になります。ところで今度のこの予算の説明にございます基礎控除は、五万円、三万円が五万円に引上げられた。このほかになお扶養家族の控除その他がございますから、五万円以上土にはむろんなりますが、しかし二百倍という最低の率に押えた二十四万円のあの基礎控除に当るものと比べまして、今日の税負担がどのくらい重いかということは、これで証明できるのではないかと思います。減税という問題がすぐその場合に問題になつて来るのでございますが、この減税というのは、説明によつて私どもの承知いたしますところではもし国民所得の増加がそのまま行つてそうして税率が今まで通りであつたらとれるべかりし税金と、それから今日新しくできた税率でとつた場合の差額を減税と、こういうふうに言われておるわけであります。確かにそれは減税の一つの解釈であり、十分理解できるのでありますが、しかし減税のほんとうの意味は、国民生活の上でどのくらい生活の余力ができるか、そういう負担の軽減を感ずることができるか、こういう問題でありましてそういう点から申しますと、実質の負担という点では七百五十億と言われております減税はそのまま七百五十億がいわば生活の余裕になるというわけではない。いわんや、その中には、最初申しました自然増収云々の問題が含まれておりますので、そうはならないということも、やはり考えておかねばならない問題と存じます。そこで、そのような所得税の負担というものを特に考えますと、これはあとからお話しますように、費用はたくさんいるのでありますから、税金の軽減だけを一方で考えるわけに行かないといたしますれば、私は今日の状態では所得税一本という考え方を、もう少し間接税にかえることができるのではないか。つまり所得税という直接税一本を、間接税にある程度かえることができるのではないか。これは社会政策的な立場からりは、間接税は悪税である、特に大衆課税を意味しているという点で、十分攻撃が予想される問題でございますが、しかし今日の所得税ではずつと所得税自体が大衆課税の性質を帶びて来ておりますので、必ずしも間接税というものがいきなり大衆課税であり、所得税はそうでないという議論は成り立たないと思います。程度の問題はございますが、私は酒とかタバコとか、そういうような間接税収入というものにある程度依存して、所得税の軽減をはかるということも、全体の税収というものを減らすことができないとなれば、一応考慮すべき問題ではないか、あまり公式論にとらわれて所得税一本で非常に重い負担をかけるという印象を與えることは、必ずしもよくないのではないかというふうに考えられるのであります。  それから第四の点は、今度は税収の方面ではなくて支出の面であります。支出の面からも、国民経済の再建という点を中心に考えて参りますと、やはり資本蓄積というのが中心の論点になると存じます。資本蓄積のこの予算書に現われております金額は、特別会計をも含め、また資金勘定も加えまして千百八十五億となつておりますが、これは産業投資の金額としては二百五十億の減額になつております。産業投資の金額がそのように減額になりましたのは、いろいろ説明があつて、一応は了承できるのでありますが、たとえば運用部資金が二百五十億減つている。あるいは輸出入銀行の出資が五十億減少している。こういうことが大きな影響を持つておると存じます。それにはたとえば金融債の引受を削減することによつて新しい電力開発に影響がないかというような危惧も考えられるのでありますが、しかし一般的に申しまして、私は産業投資の面は、これは国民経済の発展のためにもう少し重視さるべきではないか。こう申しますと、すぐ財政面と金融面との関係が問題になりますが、総括して、私は今日の日本経済の情勢では、政府がこの財政を通じてやるべきいろいろな仕事を、今日ではあまりに金融面にまかせ過ぎているのではないか、ということが考えられると思います。これは復金の制度がやめられたというようなこと、その他いろいろな事情あると思いますが、終戦前の状況と比較いたしますと、長期資金の金融機関が一応その機能をストップして、そうして、それを非常時的に肩がわりした復金というものもまたやめらた、これにかわるものが興つていない。そのことが一部はオーバー・ローンの問題になつておつたり、あるいはその他の金融混乱の原因になつておるので、従つて今日あらためて投資銀行を設立するというような考え方が、出て来ておると思いますが、私は、すべてのそういう資金の供給面を政府の機関でもつてやるということは、必ずしも賛成いたしません。しかしそのような政府の機関で今までやつておつたこと、そうして当然やらなければならないこと、これはさつそくそのような形で、政府資金をもつて運営する機関で始めらるべきものである。それを市中銀行を中心とする一般金融界にまかせるというのは、いかにも自由経済のいいところを発揮するように見えるのでありますけれども、実はそうではなくてやはりその場合にはある程度まで政府にかわつて日本銀行が金融統制の役割をやることと、政府が直接にやる場合と、はたしてどちらがいいかという段になりますと、私は疑問なきを得ない。やはり長期の必要な資金の供給その他については、政府が十分に責任をもつてこの投資をやるべきである。従つて市中銀行が一般金融でやるべき部門と、財政的な金融でやるべき部門とは、明確にこれを区別すべきであるし、また財政的にやる部面の重要性は、今日の国民生活の姿、つまり財政が国民経済における比重を増加した状態のもとにおいては、もつと重視されてしかるべき問題である、このように考えるのであります。  それから最後に、こういう問題を収入の面、支出の面から述べておりますと、非常にこまかなりますので、最後に一つだけ、一般的な調査研究機関の問題について述べたいと思います。それは今までお話しましたように、一方では税の負担が重い。他方においてしかし必要な経費はこれからもどんどんどんふえて行くし、産業投資の一面だけをとりましても、これはむしろ増加しなければならない傾向にある。一体このような経費の必要と収入とを、どうバランスするかという点に一つの大きな問題がある。それからその中にもう一つ、日本経済の問題としては貿易という問題が入つて来ている。これをどう調整するか。これも基本的な問題である。そういう問題について一般的にわれわれが感じますことは、政府の国民経済全体に対する、いわば計画的な考え方というものが、もう少し出てほしいということであります。たとえば具体的に申しますと、電源開発ということが一つの産業国策の中心と考えられている。しかしこの電源開発に関係のある金の出道というものを考えますと、この予算書だけから見ましても、項目として公共事業費のところに一つ、それから運用部資金のところに一つ、これは金融債の問題でありますが、そこに一つ、それから開発銀行に対する出資百三十億の中に一つ、見返り資金の中に一つ、この電源開発の一つの問題に対する金の関係は、この予算書の関する限りにおいても、四つのところに頭を出しておる。むろんその相互の間には十分の関連があり、そして一つの統一的な計画に基いて行われているのだとは思いまするけれども、しかしそのような印象を與えるような金の出し方が、はたして合理的、計画的であると言えるか、そういう点は、やはりもう少し徹底的にその態勢を整える必要があるのではないか。  実例を重ねて参りますと、その第二は貿易の点についてあるいはインヴェントリーファイナンスの問題、あるいは輸出銀行を輸出入銀行に改組する問題、あるいはドルとポンドとの換価の問題、そういう問題がたくさんあります上に、実質的に新しい市場の開拓という問題がその上にある。しかしそういう問題を総合的に考えるところは今のところ一つもない。伝えられるところによりますと、外務省が独立することによつて通商関係がもとの通産省で扱われますか、それとも外務省の中の新しい一局で——あるいはもとの通商局でありますか、そういうところで扱われますりか、まだ機構的にもはつきりしていないと言われている。そういう機構問題はしばらく別といたしまても、われわれとしては日本の今後の経済に、基本的な関係を持つている貿易対策を、ひとつほんとうに考えるような調査機関というようなものが、ぜひ必要であるように思われるのであります。  第三に例を重ねますと、学術の振興費——これは私どもは直接関係を持つておることなのでありますが、この説明書にありますように、本年度二十七年度の予算における科学研究費と名づけられるものは、約五億であります。それは前年の二十六年度に比べて、わずかに一億を増加しているにすぎない。日本のこの大きな全体の予算として一億の増額というのは、何といいましてもこれは少し少な過ぎるのではないか。そうして総額が五億でありますから、一億といいますと、今までから見ると二割ふえたと言えますけれども、しかしその総額そのもの、それからふえた一億の金額も、これは何と貧弱な金額であるかということを痛感せざるを得ないのであります。国立大学には全体として三十五億金額では増加いたしました。そのうちの十七億は、これは給與の改訂が今年度分に延びて来た分の増額のようであります。あとの十七億が物件費、これもおそらく物価騰貴によつて吸収されてしまうでありましよう。およそ科学振興には留意したということが、一般的な説明のところにあるのでありますけれども、どこへ留意されたかということを探すには、非常に骨の折れる予算であります。その点は少しお考えを願いたい。  そこでこの三つの実例を集めまして総括して申しますと、これは直接予算には関係ないかもしれませんが、もう少し全体としての計画を明確にするような準備が、やはりなされなくてはならないのではないかというふうに考えます。予算全体としましては、最初申しましたように、金額的にもあるいは形式的にも非常に整つた予算でありましてそれ以上表面から申し上げることは少いと存じました。しかしこれも最初に申し上げましたうよに、この中には講和実現の予算とはいいながら、非常時態勢が頭を出しておる。そしてそのような非常時態勢が頭を出しておるという点をわれわれが考慮してこれを見ますと、この予算の中には当然日本の国民経済の今後のあり方に対する構想が読みとられなければならない。その点については先ほどから申し上げておりますように、日本経済の長い間の特質から見て相当の問題があるというのが私どもの見解でございます。簡単でございますが。これで私の公述を終ります。(拍手)

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの中山公述人の御意見につきまして質疑はございませんか。

水谷長三郎日本社会党

○水谷(長)委員 ただいまのお話はまことに明快なお話で、非常に参考になつたのです。予算と直接関係はありませんが、ちよつと中山さんにお聞きしたいのですが、私が非常山に六味を引いたのは、日本経済の経済的特徴として、明治以来、生産力の変遷上昇の率と、国民生活の上り方の率がマッチしないということは、これは私も調べたのでありますが、その原因として私ちよつと頭に浮ぶのは人口の問題なんです。生産力をふえるが、人口のふえる方も大きいということなども、一つの例に私はちよつと考えたのです。そこで私がお教えを願いたいのは、この矛盾の原因は一体どこにあるか、その矛盾の原因の対策はどういうようなことであるかということは、これは非常に大きな問題ですから、特にお教えを願いたいと思つております。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 その問題が注意され出したのは、もう戦争前からで、これは特に日本の経済にラジカルな批評的立場をとつておりましたマルキシズムの人々が、最初に手をつけた問題だと思います。しかし戦後には單にそういう人々だけでなしに、統計的な研究をやつております者が、だんだんこの問題に注意をいたしまして最近では先ほどちよつと申しました一橋大学の経済研究所は、この問題の究明に全所員が一つのテーマに集中して若干の労作を次々に発表しております。それからそのほかにも、経済安定本部の一部でもやはりこういう研究が進められておまりす。従つてその原因についてもたくさんの説がございます。今人口という点を指摘されたのでありますが、これはもちろん非常に大きな原因でございます。しかし人口の増加率で割りましても、すぐにこの生産力の増加を人口で水ぶくれさせましても、あのような低い生活水準にはなつて来ないのであります。かりにそう割りましたところで、先ほど申しました生活水準ということは消費水準なんでありますが、消費水準の前に私的所得水準があります。ところがその私的水準が低いのに、なおかつ平均いたしまして個人だけを申しますと一割、全体を申しますと二割ですが、日本の貯蓄率はプライヴェートの個人だけを申しますと、約一割の貯蓄がずつと続いて行われております。こういう一割とか、一割五分という貯蓄が行われますのは、御承知のようにアメリカの過去三十年間あの富裕な国で、平均の貯蓄率は国民所得に対して一四%、ほとんどそれに近い金額がこの貧乏な日本で貯蓄されておる。この事実はちよつと人口では説明ができませんので、人口だけでもございません。  第二の原因は農業であります。日本の大体半分が農民である。農民の生活は非常に低い。そうしてその低い農民が工業に対して労働力を提供し、また必要によつては過剰の労働力をまた自分で引受ける、こういう循環がありますから、結局日本の生活水準はあの多数の農民の生活に規制される、これが第二の考え方であります。しかし農民だけというわけにも参りませんので、これも一つの考え方でありますが、それだけで説明はできません。  第三の説明の要因は、日本の国民経済そのものの性格が初めから戦争的であつた。つまり軍事国家というものを目的としておつた。そういう点から申しますと、当然生活水準が低くても生産力が上つて行くのは当然だ。これが一つの考え方であります。そうしてそれはアメリカの戦略爆撃団の調査報告書などには、大体そういう見解をとつているようであります。特に太平洋戦争前の十年間くらいの日本の工業の進歩というものは、全部その目的でやつたということを明白に指摘しております。これを長い七十年間にそのまま延長することができるかどうか、少し疑問がありますが、これも一つの非常に有力な考え方であります。  それから第四番目には、日本はもともと後進的な国なんだから、後進国の型というのはそういう型になるのであります。つまり、進んだ工業国に追つかけるためには、無理をしても資本蓄積をしてつ近代産業設備を整えなければならぬ。ところがもともと乏しい資本をそつちに使えば、生活の改善なんかに使えないのはあたりまえなんで、従つて後進国の型はそういう発展の形をとるのだ、こういう説明もございます。そういう説明のどれが一体正しいか、どれがどの程度のパーセンテージに当つているかということは、残念ながら今日本全体の学界で問題にして研究中なのでございます。これは一方的な結諭をくだすにはまだ時期が早いように思われます。対策という点になるとなおさらちよつとお答えができませんので、どうぞ……。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 ちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、公務員の平均給與が一万六十二円というふうに私承つたのですが、これは消費物価並びに一般物価と対比いたしますと、半分食えないということに結論が出て来るのです。そうすると、公務員はみんなやせていなくてはならない。ところが公務員と名のつくものが、相当いい洋服を着、いいくつをはいてある程度中以上の生活をしているというのが標準であります。そうするとここに何か疑問が出て来なければならぬ。第一に考えられることは役得ということなんです。役得がどの程度の収入をしているか。そこで役得のある公務員と、役得のない公務員と区別して考えてやらなければならぬ。政治のあり方はそこに必要じやないかと思うのです。私は役得というものを分析してみますと、一つは純粋の役得というのがある。それからもう一つは、役所にいるがために、その役についているために、共済会とかなんとかいう名目で、特別な便利を與えられる消費面がある。それから世間に問題になつている収賄事件、こういう三つがあるわけです。今純粋な役得ということまで分析すると問題になりますから、問題にしません。共済会もある意味においてこれは役得の部類に入るだろうと思いますが、収賄が結局今日の問題で、一昨年は公務員のつかまつた者が九千人、二十六年は一万人と数がふえている。今年は減るか減らないか、それは別でありますが、そういうような統計になつている。だからお説の数字からいいますと、公務員はみな食えない、半分やせていなければならないのに、やせないで太つているのはどういうわけか。必ずこれは聰明なあなたのような学究者は、すべからく見のがしていないだろうと思います。そこで問題を簡單に取扱う上において申し上げますが、私の周辺の者でちよつと調べたところによると、最近は夜鳴きそばをやると、一晩に千五百円くらいの売上げがあつてその半分の収得があるという報告が来ております。それで私は、他の大学卒業生に、夜鳴きそばを君なぜやらないか。むしろ安い月給で、下つぱで働いているよりも、夜鳴きそばをやる方が収入がある。独立の経営ができてより民主主義にふさわしい職業だ。なぜ公務員なんかになつて、冷たい弁当を食べながら行くのかというと、いろいろな説明が出て来まして結局公務員がいいのだという結論になる。そうすると、安い月給をもらつてでも公務員になろうとするところに、役得のおかげがあるという結論が出て来る。この点について何か御見解があれば承りたい。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 私も公務員の一人でありますので、たいへん適切なことをおつしやつたと思うのでありますが、私ども今考えておりますのは、そういう食える、食えないという形から申しますと、日本の全体の勤労者がまだ完全に食える状態には達していないのであります。それにもかかわらず食つているのはどういうわけだ。これは一つにはやはり前の蓄積を食いつぶしているということが、非常に大きな事由であろうと思います。その蓄積があるかないか問題でありますけれども、しかし何といいましても、祖先伝来といいますか、親類もあれば友だちもあります。そういうものを全部加えて蓄積ということに考えますれば、その蓄積が、今日のような低い公務員の給與をまかなつているということは、非常に大きな事実だと思います。われわれがまだ学校を出ました時分で考えましても、学校を出たとたんの公務員は、どこに入りましても自活はほとんどできませんでした。これは洋服をつくるにしても、くつを買うにしても、ある程度は倒金をするか、あるいは広い意味の親がかりであるか、どちらかでございました。それはその給與では完全には食えなかつたという事実なんでございます。そういうことが今日では非常に大きく、一般的に行われているということを認めますと、必ずしもそのような一つ一つの事実が、一万円で食えているという証明にはならない、私はこのように思います。ことに給與の問題は、やはりバランスの問題でありますので、公務員と、実業界における給與やその他と比べまして仕事の面の検討は先ほど保留しましたように重要な問題でございますが、その仕事をほんとうにやつてもらう公務員を考えますれば、今日の一万円の給與、少くとも人事院の勧告した程度までは、これも十分ではありませんが、お認めになつてもよいのではなかろうかというのが私の見解でございます。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 お説はよく拜聴いたしました。ただ先ほど御説明の中にもありましたように、実質論、形式論ということで、あなたのお説を二つに取扱わなければならぬと思うのでありますが、議論になりますから申し上げません。  もう一点だけ簡單にお伺いいたします。これは非常に矛盾があると思うのですが、次の公述人の方にもお聞きする機会があろうと思いますけれども、中山さんの御意見をぜひ承つておきたいと思うことは、銀行がりつぱな建築を至るところにやる。外国でも銀行は相当大きな建築を持つというけれども、銀行がりつぱな建築を持つというのについては、私は少し疑問がある。それだけの余裕の金があつたら、なぜこれを一般金融のために潤させぬかということが一つの疑問。すでに東京都内においても、りつぱな建築といえばまず銀行が先に目立つ。建物で信用を得るようなり銀行というものは、私はまじめな銀行だとは言えない。もつとまじめに、一文でも多く民間に融通するという建前でにあれば、この建築は考えなくちやならぬではないかということが一点と、これに類しまして映画館の建築とか、あるいは最近は役所がまた大きな建築を始めたのが目につく。それから世間で問題になつている東京温泉、そういう問題は私はこの機会に言いたくないので、もつと別な機会に申し上げたいと思うが、いわゆる不急の建築をして庶民階級で、むしろの屋根で、むしろの窓を張つて寝ているあの実情を見たならば、そういう方面にむしろ融通する方法があるべきだ。それについてあなた方のような第三者の立場で御研究を進められておる方は、必ずりつばな御批判があろうと思いますから、ちよつと承りたい。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 銀行の建物が非常に大きいということは実はもう少し深い理由があるように私どもは考えております。つまり、もしローマにはコロセウムが残り、中世のドイツにはゴシツクのあの寺院が残るといたしますと、資本主義文化を残すものは、銀行の建物じやないか、(笑声)これは少し言い過ぎでありますが、文化と申しますか、資本主義体制というものとの非常に深い関係がありますので、必ずしももうかるから建てているというふうには解釈できない問題と考えております。ただそれにつけ加えてお話になまりした不急の建築という点になりますと、これはわれわれが申し上げるまでもなく、むしろ政府及び議会の責任じやないかと思います。というのは、議会も含めまして一般に申しますれば、たとえばこの前の調査で明白になりましたように、届出が完成してしかも金融措置がつくまでになつている建築物の全部の鉄骨を合計いたしますと、日本の製鉄能力の一年間のちようど十倍、このような建築が現に許可され、ことにそれが金融的に措置されているというような状態は、これは非常な計画上のロスなのでありましてそういう点が、先ほどもう少し全体の計画をとつて国の産業政策が行われなければならないと申し上げた一つの例になるかと思います。

石野久男労働者農民党

○石野委員 中山公述人にお尋ねいたします。先生は中労委の会長をせられておりますので、この本年度の予算の中に組まれております給與の点でありますが、私たちから見ますといろいろな点で相当問題があると思うのであります。ことに本年度の予算が相当程度軍需的な予算であるという点からしまして日本の産業の上に及ぼす影響も非常に多い。そういうことを一応見合いにしましてつ、この給與のペースがはたして政府の企図しているように、すべての予算を十分に遂行するようなものになるかどうか、相当程度大きな問題が出て来るのじやないかというふうに思われますが、それについての御見解をひとつ……。  それから第二番目にはこの予算は公述の際にもおつしやられたように、講和の実践形態として出て来ておる。そのために日米安全保障協定というようなものの中に盛り込まれている点が、非常に多く出ておるわけであります。そうしてそれらのものを政府は一方的に——われわれからすれば一方的に、いろいろと国民の意思を無視したような形での諸方策を誘導して来ております。私たちの心配しておるのはそれが相当程度労働者階級や勤労者の面に対して悪法を導き出すのじやないかということなのでございます。最近は特に団体等規正令の問題、あるいはまた労働三法等の問題が、相当に問題になつて来ておるように承つておりますが、先生は中労委の会長としてそういうような問題が世間に騒がれているような形でもし出て来るとした場合に、日本の憲法上の立場からいたしましてこれらの問題をどのようにお考えになるか。この点についての御見解をひとつ承りたいと思います。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 第一の公務員の給與の問題につきましては先ほど申しましたので省略いたしたいと思います。私は公務員の給與は非常に低いと思いますので、これをぜひ引上げなければならない。そうしてこれも抽象的に申しますとはてしがありませんので、私の具体的の提案は人事院の勧告のあつた場合には政府はこれをなるべくそのままのむようにしていただきたいということを、申し上げたいのであります。  それから第二の、この中に行政協定の問題が織り込まれておるという問題、この問題は最初に申しましたように、私どもといたしましては、そういう問題がございましたら、やはり国民といたしましても、それを非常に関心を持つて知りたいのでありますから、お知らせを願いたい、その点を明確にしていただきたいということを申し上げるだけで、私どもこの問題についてこれ以上申し上げる材料を何も持つておりません。  それから第三の労働法規の改正問題につきましては、これは現在中労委、つまり私どもの立場をも代表してたくさんの委員が入つて審議会ができております。この小委員会案というのが最近ようやくでき上りつつあるようでありますが、私はその小委員会案を支持するものであるということをここで申し上げます。

小林進社会民主党

○小林(進)委員 簡單にお伺いいたしたいと思うのであります。一つは国民所得の問題でありますが、政府の発表によりますと、二十七年度が五兆二百七十億、あるいは安本はそれを少し上まわりまして五兆三百億円、こういうふうに言つておるのでありますが、私どもの研究が足りなくてそれを追究して行く材料がないのであります。しかし何が直感的にこの数字はどうも当てにならないような気がしてしかたがない。これに対しましては、何か世間のいうところによりますと、このほかに一橋方式とかいう所得の計算方法がある。政府の発表は官庁方式、こういわれておりますので、もし先生のところでこういう所得の統計的な計算方式あるいはその結論がありましたら、お聞かせ願いたいということが一つであります。  第二問は、先ほど言われました免税点の問題であります。戦前の千二百円は、公定価格で見積つて三十四万円ということを言われたのでありますが、これに関連して私どもの調査によりますれば、現在アメリカは一千ドル——三十六万円に対して〇・四%の課税、英国は一七%、日本は特に上まわつて三二%くらいに行つておるというのであります。日本に次いで英国が一七%で非常に高いのでありますが、これについては英国は徴税の面において累進課税制度を用いて最高は九七五%まで、いわゆる多額の所得には累進課税をする、そうして社会保障制度を非常に強化しておるという形が、現われておるように聞くのでありますが、日本は税金だけが世界一で、社会保障制度の方はまつたく放任せられておるというような形にあります。この徴税方法の問題についてでありますが、日本としては基礎控除といいますか、免税点を一体どこに置くのが妥当であるかということが一つ。それからいま一つの方法として先ほど先生は何か間接税の方で税をとる余裕が、まだあるのではないかというようなお言葉がございましたが、その間接税の方法で解決した方がいいのか、やはり英国式に直税で累進課税的にある者からよけいとる、こういう方法がとるべき妥当な方法かどうか。この点をひとつお伺いいたしたいと思うのであります。以上二問でございます。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 第一の国民所得統計の件でございますが、これは今疑問を提出されましたように、世界学会でもまだこれが確実な方式であるということは、確定的ではございません。しよつちゆう研究が行われてその改訂がなされております。しかも日本の場合に一番困りますことは資料が正確な統計として得られないということでありましてかりに方法で一致いたしましても、その方法を適用する場合に、どの数字をとるかということで違つて参ります。従いまして現在まだこれがこういう数字だということを申し上げるようなものになつておりませんが、しかし結論的に申しますと、今お話になりましたほど、個々の推算というものは違うものではございません。なるほど金額では何百億と違つて参りますから、大きな相違ということになりますけれども、しかし方法の点から申しましても、その他の点から申しましても、そんなに見解の相違が、天地雲泥の差というようなものは、今日ではなくなつて来ております。それから一橋方式とおつしやいましたが、これはわれわれの方で特に都留重人君が中心になりまして国民所得の研究をやり、かつ実証的にその数字を出しておることを言われておりますので、これはその研究雑誌であります「経済研究」という雑誌に全部発表しておりますから、いつでもごらんになれますけれども、別にそういう方式というようなものをきめてこれを独善的に振りまわしておるという意味では決してございません、一緒に研究しておるのでございますから、御了解を願いたいと思います。  それから第二の免税点の問題でございますが、これは今御指摘になりましたように、社会政策の施設という問題もございます。先ほど申し上げましたように、税金を納めた後の生活という問題もございます。もう一つつけ加えて申しますれば、だれがそういう税金を一番納めているか。たとえば今日では勤労所得者が大体四五%くらいの税金の負担をやつている。そうしてかつて非常に大きな二〇%くらいの負担をしておりました財産所得が、今日では非常に少くなつてわずか三、四パーセントの負担しかしていない。そういう重みが勤労所得及び小さいものを含めて業種所得の方に来ておりますので、こういう税を拂う人の階層という問題も考えなければなりません。従いまして一律に国民所得の何パーセントが適当な金額であるということをきめましても、そういう状況を考えますと数字は無意味になります。無意味でもありますまいが、非常に疑問の多い数字になります。そういう点を考えまして、そして適当な数字を考えて行かなければならないと思います。私はさしあたり一般会計及び特別会計を含めて国民所得の一七%、それから地方税を含めて先ほど申しましたように二〇%くらいがもう限度で、少し高過ぎるのじやないか、このような感覚以上にお話申し上げる材料を持つておりません。

風早八十二日本共産党

○風早委員 私もこの税金の問題をちよつとお尋ねしてみたいのです。免税点が戰前千二百円のが、今かりに二百倍とし二十四万円と言われましたが、私どもの推算では、おそらく日用必需品については四百倍くらいになつていはしないかと思うのであります。しかしこの点はどつちでもけつこうです。とにかく免税点をかりに二十四万円に引上げるにしましても、そうすると所得税収入というものは半減すると考えられるわけであります。しかしながら他方、だからそれをやめて間接税負担にしわ寄せするということになりましても、やはり消費能力の関係から、これもまた決して見通し通りとれるものじやないと思います。結局減税という、あなたのおつしやるようなほんとうに国民の生活水準を引上げるという形で実質上の減税を行う限りは、どうしても歳出の方を問題にしなければ、この問題は解決しないように思うのであります。つまり大砲や軍艦や飛行機に金がどんどん出るようでは、どうしたつてこれは税金は重くならざるを得ない。どこかでとられる。またかりにいよいよ税金の提案までも、今度は公債を出す、こういうことになるのであります。そういう意味におきましてきようお話くださいました減税は、国民生活水準と生産の問題をマッチさせるという立場からいいますと、今度の予算全体の問題、歳出の問題について当然一つの方向、規範がなければならぬと思う。そういう予算全体の根本的な性格の問題につきまして大体結論は出ておると思いますが、このいわゆる再軍備予算なるものに対してどういう御見解であるか、最後に承りたい。

中山伊知郎一橋大学学長中央労働委員会会長

○中山公述人 それでは最後としてお答え申し上げます。  第一点は、非常に重要な点をお聞きになつたのでございますが、私が税負担の問題をここで取上げて特に日本経済の特異性までいわばさかのぼつてお話申し上げましたのは、今度の予算で減税が七百五十億行われておるといわれるけれども、それは数字上の計算のことで、実質的にはそうではないということを、特に申し上げたかつたのであります。そういう意味でこの予算の負担が、日本国民経済にどういう影響を持つかということは、この予算が今後どういう性格で発展して行くかということに関連するのでありましてその点については私は性格を明瞭にしてもらいたいということを、先ほども申し上げたのであります。  そこでこのままの生産力でこのままの国民所得で、そうしてこれだけの税金を今後どうしてもとつて行かなければならないということになりますれば今明日に御指摘になりましたように、どう考慮をいたして行きましても、ごくわずかばかりの国民生活の向上にしかならない。これを根本的に引上げて行くということはおそらくできますまい。それは計算の上から当然出て来る結論であります。しかし国民生活というのは他方から見ますと、今度はそれを規制するものは税金ではなくて、むしろ生産力の発展自体にある。私はその意味において日本の国民経済全体の発展率を保持されるような、計画性を持つた経済が行われますれば、そうして逆に今日の状態で申せば、これ以上の負担を国民経済に與えない保証を得られますれば、なお日本経済の生きる道はあるだろう、必ずしも全面的に悲観すべき問題ではない、このように考えております。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 午前の公聴会はこの程度にとどめまして午後は一時二十分より公聴会を再開することといたします。  これにて休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開議

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 休憩前に引続き公聴会を開会いたします。  まず山一証券社長小池厚之助君より御意見をお述べ願います。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 私はただいま御紹介をいただきました山証券の小池でございます。ただいまから昭和二十七年度の予算につきまして私の意見を申し述べてみたいと思うのでありますが、時間がございませんので、全般にわたる問題は語ることができないと思います。従つて自分の職業に関係のとる観点から見た予算の批評と申しますか、私の考え方であります。明年度の予算の特色は、申すまでもなく防衛関係、講和に関係いたします費用と、それから自立経済関係の費用との調節ということが問題の根本であると思います。そのほかに一応バランスのとれているように見える予算の裏に含まれまするインフレーシヨンの要素、これをどう考えるかという問題があると思うのであります。私はその後者すなわちインフレーシヨンの要素の問題につきましては、時期がないので触れないで、最初の防衛費と講和関係費と自立経済関係費との調和という点についていささか意見を申し述べたいと思うのであります。  講和関係費でありますが、これにつきましても、私は問題をごく限定してみたいと思うのです。これは多いか少いかいういろいろのこまかい点に立ち至りまして考えを述べますと時間がなくなりますので、ただ一つだけ考えを述べたいと思いますが、防衛関係だとか、あるいは税の関係、この数字につきましてこのごろ国民所得と比較いたしましてそのパーセンテージを述べられてるのをしばしば聞くのであります。これは一応ごもつともであります。欧米諸国においては、予算と税の関係あるいは国防費の関係を、盛んにこのパーセンテージをとつて論じますが、日本におきましては、多少私は事情が違うと思うのであります。特に戦争で大きな打撃を受けたわが経済、今後一人立ちをして行くために資本の蓄積をして行かなければならない日記本の経済、この日本の社会におきましては、国民所得と税の関係あるいは防衛費の関係を、ただパーセンテージだけで外国と比較して論ずるのは、少し無理だと思うのでおります。すなわちほかの言葉で申しますれば、日本ではまだ余裕がございません。個人生活におきましては、生活費におけるエンゲル係数が、御承知の通り非常に高うございますので、現在の税の負担を單に国民所得とのパーセンテージだけでもつて論ずるのはいかがかと思うのでおります。結論だけ申しますれば、この防衛費関係の費用あたりは、諸外国に比較して決して高くはないのでありますけれども、日本の社会においては、もうこれ以上負担をかけるならば、もう一つの重要な要素である自立経済関係に大きな影響が来る、負担の極度に達しておるということを、私は一言だけ申し上げたいのであります。税のパーセンテージにつきましても同じであります。防衛関係の問題は、ただそれだけのことを申し上げましてこの数字をやむを得ざる数字として考えて議論を進めたいと思うのであります。  平和條約が調印されまして明年度におきましてこの防衛関係、講和関係の費用を負担しつつ、底の浅い日本経済がいかにして自立経済のために準備を整えるか、こういうことがいかに予算に盛られているかということを研究してみたいのであります。御承知の通り朝鮮事変勃発以後、わが国の経済はたいへん恵まれまして大いに力がついたのでありますが、この趨勢はなお少くとも一、二年は続くと思うのであります。日本といたしましては、この趨勢にぜひともこの際層の力をつけなければならない、政府としてもその助長をなさなければならないと思うのであります。この予算に盛られておるところが、はたしてその方向にあるかどうかということが、私はひとつ問題だと思うのであります。自立経済関係においてこの予算を検討いたしますのに、私は三つほど問題を分類してみたいと思います。  第一は、自立経済のためには、申すまでもなく日本の産業の諸設備の近代化、能率化、合理化ということに力を盡さなければならないのでありますが、政府は政府資金をはたしてその方向に有効に使つておるかどうか、あるいはその方向に十分金を向けてむだづかいをしていないかどうか、これが一つの検討を要する問題であります。  第二は、資本蓄積の問題であります。今申しました自立経済を確立いたしますには結局根本的において資本蓄積ということが問題になりますが、明年度の予算にはたしてこの資本蓄積のために十分の助長的政策を盛り込んであるか、これが第二の問題かと思います。  第三の問題は外資の導入の問題であります。何と申しましても資本蓄積は、まだ日本においては少いのでありますから、ここしばらく自立経済を確立するために、外資の導入があれば、非常に力強いことになるのでありますが、この外資導入に対してはたして政府はどういうふうなお考えを持つておられるか、これも考えてみたい問題であります。この三つにつきまして一つ一つ考えを申し上げたいと思います。  最初の、自立経済のために予算が適当に使われておるかどうか、あるいは政府は相当産業投資をしておられますが、これが十分であるかどうか、この問題を考えてみたいと思うのでありますが、私は遺憾ながらこの点におきましてまだ満足すべき数字だと申し上げることはできないと思うのであります。政府資金による産業投資の数字だけをとつてみても、二十六年度には千四百三十七億であつたものが、二十七年度には千百八十五億となつて約三百億の減少になつております。自立経済の達成のために政府はあらゆる施策をしなければならないにもかかわらず、この重要なる産業投資に対しまして減額をしております。これははなはだ残念に思う点であります。私は政府といたしましては、この際にあらゆるむだな費用を節約してその剰余をもつて自立経済達成のために政府資金を有効に使うべきだと考えるのであります。はたしてしからば、そのいかなるものが冗費かということ、これはみなおのおの御専門家が御研究と思いますが、私どもしろうとから考えましても、なおなお行政関係においては節約の余地があると思います。現に政府関係の運営費というものは昨年は七百十七億でありました。しかるに明年度は七百六十八億であります。五十一億の政府機関の運営費がふえております。政府は大いに行政整理をやるとおつしやつていたにかかわらず、逆に明年度は五十億の政府機関の運営費がふえております。これははなはだ遺憾に思う点であります。  次に公共事業費、これが本年度に比べまして明年度は約二百三十億の増額であります。これは見方によりましては、その公共事業費が産業振興のために使われるというので、これが有効にさえ使われれば文句はないのでありますが、はたしてこれが全部有効に使われるものかどうか私は疑問に思つております。この公共事業費の膨脹の中には相当のむだがあるのではないか。  第三には、地方税の問題でありますが、大蔵省から発表されておりますこの予算の説明書を拝見してみましても、地方税につきましては大いに検討を要する、改革を要するということを言つておられますが、確かにそうでありまして地方財政の平衡交付金のごときも膨脹しております。地方財政においてやはり大きなむだがあると私は考えざるを得ません。これらを総合いたしますると、私ども財界人といたしましては、政府はこれらの冗費をできるだけ節約して、産業振興のために有効に使つていただきたい、こういうことを考えるのであります。  それから次に先ほど申しました資本蓄積の問題、これについて政府はいかなる助長的のことをこの予算に盛り込んであるかということについて考えてみたいのであります。この資本蓄積につきましては、私は大よそ三通りの大きなルートがあると思います。一つは法人自身が蓄積する、いわゆる内部蓄積——内部留保であります。それからもう一つは法人が株式だとか、あるいは社債を発行いたしまして自己資本をふやす、それを国民が投資する、この方法であります。第三は、一般の銀行預金だとかあるいは郵便貯金だとかいうようなものに投資するとか、その他いろいろ投資物件ありますが、大ざつぱに私はその三つに分類して考えて見たいと思います。  第一の法人自身の蓄積、内部留保、これにつきまして私はこのたびの予算につきましては、たいへん不満に感ずる次第であります。と申しますのは、御承知の通り今度は政府は法人税の引上げをしようとしております。これははなはだ遺憾なことであります。今日本の経済の大きな命題であるところの自立経済を達成するためには、まだまだ法人に大いに力をつけなければならぬ、一般的には法人の設備は、大体一応設備の擴張というものが終つたという議論もありますが、私はそうは思いませんまだまだ現在の日本の専業会社の諸設備というものは、戦争のために大いに遅れております。どうしてもこれをとりかえてリプレイスしなければならない時期であろうと思います。そのためにどうしても多大な資金がいるのでありますが、その資金の調達方法といたしまして法人自身の内部留保にまつということがすこぶる大きいと思うのであります。それでありますから、法人税をこの際上げるということは非常にぐあいが悪いことだと私は考えます。むしろ私の理想論をここで申し述べることをお許し願えますれば、この際自立経済の確立のために、もつともつと法人の内部留保をふやさせるために、大きな特別償却を認めさすべきだと思います。御承知の通り大体今度の予算の中にも入つておりますけれども、わが国は本年のうちに国際通貨基金——モニタリーファンドに加入するということになつておりますが、そうしますとわが国の通貨というものも一応ここでもつて安定するのであります。おそらく三百六十円にきまると思うのでありますが、その三百六十円という円の価値でもつて現在のすべての法人の設備と資産を私は再再評価すべきであると思うのであります。そしてその再評価したものを、ごく短日月の間に償却する、そしてその償却資金をもつて、事業本会社はその設備を近代化すべきである、こう私は考えるのであります。昨年度は法人の利益金が償却前六千億を越えたといわれておりますが、もしほんとうの意味の再評価をやる——もちろん税などをその際とつてはいけません。再評価をして近代的の経済戦争に耐えられるだけの近代設備にかえて行くために償却をいたしますれば、この六千億の利益というものはずつと減つてしまうものじやないかと私は思うのであります。そして政府といたしましてはその償却を許して事業会社の設備の近代化を急ぐべきだと思うのであります。そういう時期に法人税の引上げをするということは、むしろ時代逆行の感があるような気がいたすのでありますが、法人税の税率につきましては、なるほど現在の三五%あるいは今度改正されようという四二%は英米のそれに比して低いのであります。しかし率だけが低いからといつてこれが甘い税であるということは私は考えられない。今申し上げました通り、この設備を切りかえる——リプレイスのために、どうしても早く十分の償却を法人にさせましてその資金によつて 一刻も早く生産設備の切りかえをやらなければならぬ時期だと思います。この点につきまして今回の法人税の引上げはたいへん遺憾に思うのであります。  それからその次には法人、事業会社が有価証券の、面をもつて自己資本を調達する、この問題であります。御承知の通り現在の日本の事業会社の資産構成は、すこぶるアンバランスであります。これを一日も早く是正したいのでありますが、なかなか急激に参りません。しかしながら私はことしは過去の終戰後の数年よりも、この面においてややお役に立つのではないかと思つております。すなわち言葉をかえますれば、本年度は増資によりまして、事業会社が資金を調達することが、過去よりよけい望んでよいのではないかということを考えております。最近の数字をあげますと、二十五年度におきましては法人の増資は三百九十億であります。それから二十六年度の見込みは八百四十億であります。しかしながらことしは私はもう少し望んで、千億を越えたものを望んでいいのではないか。少し甘く考えますれば、千二百億くらいのものを望んでいいのではないかという気がいたします。これと社債の三百六十億くらいを加算いたしますと、有価証券面におきまして千三百億から千五百億くらいのものが調達できるのではないかと思います。なぜことしそういう楽観論ができるかと申しますと、株式の方面におきにましては、二、三年前と非常に様相が違つて参りまして事業会社の内容が非常によくなりました。いずれも相当の配当ができるようなところに立ち至りました。現在東京の証券取引所に上場されております銘柄の五百五十何種のうち約九割くらいのものが配当しております。その配当の平均率というものは、二割六分を越えております。利回りで申しますと、現在約一割二分ないし一割四分、すなわち大体二割から三割の配当をしている会社が大多数でありますから、これが増資をいたしますれば、旧株の持主は喜んで拂込みに応ずるのであります。しこうしてもしその資金のない場合は、親株を売りましても、その親株が一割二分とか一割四分にまわつておりますれば、十分これは肩がわりする人が出て来る、こう思うのであります。でありますから過去の二、三年前と違いましてことしはある程度まで株価におけるところの資本調達というものがやさしいということを私は考えております。しかしながらそれにつけましても、政府といたしましても有価証券面につきまして、助長的の政策をとつていただきたいのであります。株式投資を阻害するような、これのじやまになるような税制その他は、ぜひひとつ改善していただきたいと思うのであります。しからばどういうものが、現在の税制の上からいつて株式投資を阻害しているかと申しますと、第一番に御承知の譲渡税であります。これは非常に株式のいわゆる民衆化を妨げております。われわれも非常にこのためには苦心しておるのでありますが、これを廃止してくれということは、実はななか理論的には正直に申しまして弱いものがあります。ことにシヤウプの税制体制におきましては、この譲渡税を廃止するということは、税制理論の方からいいますと弱いのでありますが、私はその税の理論というよりも、資本の蓄積というものが現在の日本の経済の上には、非常に大きな命題であるために、その税制理論を超越したところの政治行為でもつてこの譲渡税についての何らかの考慮を加えていただきたいというのが、私の考え方であります。開くところによりますと、今度約十万円だけ特別な考慮を拂つてくださるという話でありますが、どうもそれでは不徹底のような気がするのであります。願わくはこの日本の自立経済が確立するまでの数年間でよろしゆうございますから、この譲渡税につきましては、撤廃なりあるいは施行を延期するというようなことをお願いしたいのであります。  それからその次に株式の投資家にとりまして非常に打撃になりましたことは、所得税の源泉徴収の問題であります。このたびの国会で、この前の臨時議会に臨時措置として施行されておりますところの配当の二割源泉課税ということが一般化されるようであります。これは御承知でもありましようが、少額の所得者に非常に不利であります。現在は少額の所得者は株式の配当につきましては非常に恵まれておりまして相当の配当が来るまでは、ほとんど程を納めなくてもよろしいということになつております。これはシヤウプ案に盛られたアイデアでありましてシヤウプさんの根本的な考え方はやはり資本蓄積が日本で今一番大切な問題である。だからして株式投資の面を通じての資本蓄積を奨励する意味においてこういう措置をとられたと思うのであります。ところがこの配当所得に二割の源泉課税をいたしますと、税制の上ではあとで返すという建前になつておりますけれども、実際問題としてはおそらく返さないと思います。おそらく少額所得者は泣き寝入りになつてしまうのだ。それでこれは実質的に配当が二割かよけいに税をとられるということでありまして株主にとりまして非常な打撃であります。従つて株式を通じての資本蓄積がそれだけ阻害されると私は思うのであります。  なおこの点に関しまして今の二割を一応徴収してあとで返すという建前の中に、所有期間だけのものに限つて返す、こういう問題がございます。どうもそういうふうにきまりそうだと聞いているのでありますが、もしそうだとしますと、これは非常に投資家にとりましては都合の悪いことでありましてはたしていつ買つていつ手放したかというようなことは非常に証明が困難であります。ことに証券業者の立場から申しますと、毎日のように動いているのでありますから、われわれの受けるところの配当というものは、ほとんど今の二割とられつばなしということになる。聞くところによれば、それを値段に織り込むからいいじやないかという御論議のようでありますが、実際はそういうふうに値段に二割源泉を考慮して織り込むことは不可能でありまして、この点も非常に投資家の不利になつておる。こう思つております。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 公述人に申し上げますが、大体予定の時間になりましたから、結論をお急ぎください。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 それでは大体私の申し上げたい点のおもなものは申し上げましたから、あと、どういう方法をとりましても、資本蓄積の根源をなす国民の力、これを何によつて養うかということが一番の問題だと思いますが、私はこれは減税が一番だと思う。減税によつてこの力を養うことが一番いいと思うのでありますが、もし減税ができないならば、一面減税をしておきながら、強制貯蓄をする方法はないか。現実は政府資金で貯蓄をやつておりますが、政府資金でなく、国民に減税しておいてその分だけのものを貯蓄債券でも持たせるという方法はないだろうかということを考えるのであります。  時間がないようでありますから、申し上げたい点はたくさんございますが、このくらいにしておきますが、私はこの一資本蓄積につきまして株主方面を優遇していただきたいという主張は決して資本家のためのみに言つておるのではないのでありまして御承知の通り、配当というものはわずかなものであります。明年度の国民所得が五兆三百億と聞きますが、そのうちの配当所得というものは千億を越えません、わずかなものであります。これを勤労所得の二兆二千億に比較いたしますと、ごくわずかなものです。しかしその株主を優遇することによりまして日本の事業会社の設備というものが近代化されるということになりますれば、結局労働者のために、国民大衆のためになりますから、自分の商売で田に水を引いてこの議論を申し上げておるのではないということだけは御承知願いたいと思います。  それから最後に外資導入のことでありますが、外資導入につきましては今後の議会で外資法の改正があるのでありますが、まことにこれは喜ばしく感じております。ただ私の感じております点を一口申し上げますと、外資導入につきましては大蔵大臣の演説の中にもございましたが、私のこれは感じでありますからして、もし誤つておればいつでも訂正いたしますが、電源開発に約三億ドルの外資を導入するということを期待しておるようであります。この考えは少し甘い考えではないかと思つております。なかなか普通の方法をもつてしましては、電源開発あたりには外資は入つて来ないと私は見通しております。但し政治的にアメリカが金を使つて来る場合は別であります。政治問題として交渉される場合は別ですが、政治問題の交渉がここまで進んでおるかどうかということについては、私は詳しいことは知りませんけれども、容易に進まないのではないかとしろうと考えをしております。昨年アメリカに参りまして商売柄この方面の研究をしました結論でそういうことを私は感じておるのであります。  はなはだ時間がないので急ぎましたので意を盡しませんが、もし御質問でもございましたらお答えいたします。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの小池公述人の御意見に対して御質問はございませんか。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 非常に現実の構想に基く御意見を拝承したのでありますが、その中で一、二お伺いしてみたいのは、この予算を見てむだが相当にある、節約ができる部面が相当にある、こういう観点から行政費の節約が中央、地方を通じて相当部分できるのではないか。こういう御意見でありますが、この点については私も若干同じ意見を持つておるのでありますが、どういう点に行政費の節約のできる点があるかというのが一点。第二点は、われわれは公共事業はまだ日本においては不徹底である。もつと公共事業を積極的にやらなければならぬ。こういうことでこの予算の擴大につきましても相当政府に強く要望したわけでありますが、これについても検討すればむだが相当にある。こういう御意見のようでございましたが、この点についてどういうところにあるか、その要点をひとつ示していただきたい。それからついででありますから申し上げますが、確かに地方の行政費というものは事業の再配分等によつてこれを節約して行かなければならぬ点があると私どもは考えておりますが、平衡交付金は昨年度に比して五十億円増しておる。増しておるのだが、これでもしかし今日の地方財政というものは非常に困つておるというので、あらゆる点から検討されてむしろ一時的にしろ平衡交付金の増額を当分やらなければならぬという御意見もあるわけでありますが、これについてもう少し何か具体的な、単なる勘ではなしに、第三者として指示できる点があるならば承つておきたいと思います。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 お答えいたします。実は私は今の御質問に対しましてお答えすべくすこぶるしろうとでございます。單なる私の勘を申し上げたのであります。それで一番初めに私が申し上げました通り、今の日本経済の一番の問題、今度の予算の一番の問題は、なけなしの金をどう使つて行くかということなのであります。私の申し上げましたのは、ただいまの御発言の通り、確かに公共事業費あたりも有効に使われていると思うのでありますが、しかしこの際日本の経済としてより急ぐべきものは、あるいは電源の開発だとか、あるいは鉄鋼関係の設備の改良だとか、造船だとか、あるいはほかの諸産業、日本が食つて行くために、自立して行くために必要な資金をこの方へまわす考えをなすべきではないかという考えであります。ただ今の公共事業費だとか、あるいは地方財政につきまして私もしろうとで、單なる勘以上のことを、具体的にこの点ができるということを御指摘できないことを遺憾に思いますが、私どもしろうとの常識的一考えで、何らかそこにむだがあるように思います。むしろこの際ちようどチャーチル内閣のバトラーが国民に耐乏生活を説いておる。その手始めにチャーチル初めみんな閣僚の減俸をした。閣僚の減俸ぐらいわずかなことでありますが、それによつて国民の耐乏生活を要望したと同じように、政府みずからがまず範を垂れて行く、そうしてその浮かんだ金を産業設備の改善にまわすことが急務ではないかという一般論を申し上げたのであります。具体的にこれを示せと言われましても、私のしろうと考えをもつてお答えすることができないのであります。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 具体的に少し第三者としての立場から承りたかつたのでありますが、ただいまの御意見の通りでありますから、これ以上この問題には触れないことにいたしたいと思います。  次にお伺いいたしたいことは、最近投資信託が大分健全な方向に向つているやにわれわれ伺つておるのでありますが、これは暫定的な現象であるのか。ここ当分ただいまのような状態が一、二年続くものとの見通しであるか、この点を簡單にひとつお答え願いたいと思います一。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 先ほど申し上げませんでしたが、実は資本蓄積に投資信託というものがお役に立つているということに対しましては、これは昨年この制度を施行していただきました国会並びに政府に私どもは感謝しておるのでありますが、実はこの投資信託の制度そのものがまだ未完成である。こういうことを申し上げたいのです。現在投資信託は百五十三億結成されておりまして、ただいま募集中のものを入れますと、百十三億になつております。昨年の七月からでございますが半年でもつてこの成績でありますが、今後この勢いでもつて伸びるか、伸びないかということは、多少の疑問がございます。少し速力が落ちるのでないかと思います。  それから今の御質問の御趣旨かどうかわかりませんけれども、制度そのものにはもう一度再検討を加える余地があるのであります。御承知の通り現在の日本における投資信託は、ユニット型と称するものでありますが、アメリカあたりでもつて最近どんどん発達している制度は、会社型、いわゆるフアンド型と称するものでありまして、むしろ今後はそういう方向に助長して行くべきものではないかと私ども考えております。昨年募集しました第一回のものが、明年の七月に期限が参ります。それまで十分われわれも研究いたします。国会並びに政府御当局でも研究していただいて、この投資信託の制度をもう一段と完璧なものにして行くことが望ましい。私どもといたしましても、現在の制度そのものが十分とは考えておらないということだけを申し上げておきます。

早川崇改進党

○早川委員 簡単に二点だけお伺いしたいと思います。たいへん御専門のいいお話を承つたのでありますが、第一は、賠償その他も含めた防衛費というものが高過ぎる、こういう御意見でございます。そこで国民所得と予算に対する防衛費の比率というものは常に問題になるのでありますが、大体二つの方法が考えられておるので、一つは国民所得に対して大体何パーセントというはじき方、これはアメリカの、ダレス氏その他のよく言われるところでありますが、これらになりますと、確かに日本の防衛費は低過ぎる。ドイツ、イタリア、フランス、イギリス、全部平均したつて非常に低過ぎる。この問題のもう一つの目途は、予算に対する国一防費の比率という目途があるのです。予算は国民所得に沿うような予算でありますから、その中で何パーセント——大体欧州諸国は三〇%になつておる。今度予算に提出された防衛費は大体二四%になつているのです。そういう点でも若干低いということは言えるのですが、そこでもう一つわれわれの目途としては、過去の日本の国防費の比率と比較いたしますと、満州事変前までは大体四%ないし五%、それ以後は六、七%というわけでありますから、大体満州事変前の国民所得に対する四%というのが今度の予算の国防費に相当するわけでありますが、私のお聞きしたいのは、防衛費がいかにも多過ぎるというのは、そこに何かもう少し客観的な算定方法、これくらいが妥当だという線をお持合せになられるかどうか、これがお聞きしたい点であります。  第二は資本蓄積について、資本蓄積のためには租税の公平をも一部犠牲にすべし、私もこれはその必要を十分痛感するのでありますが、それに伴つてぜひお聞きしたいのは、シヤウプさんが来て以来、日本の税制全般が直税本位になつてしまつた。言いかえれば、英米本位の、直税を主とした税体系になつてしまつた。従つて直税六割、間税四割というようなバランスになつているのですが、非常に資本蓄積の高度なアメリカの税体系は若干不適当ではないか。むしろドイツ、イタリア、フランスという欧州大陸のように、これはまた極端に間税が六割、直税が四割という逆な税体系なので、私はそういう面において法人税その他の直接税はむしろ減税して、逆に資本蓄積の目的のために、消費を押える意味で、間接税を若干上げ、あるいは新税を行つて、直税、間税の並行主義、欧州と英米の中間くらいの税体系に一ぺん再編成するのが、今後の資本蓄積、消費を押えるという目的からいつて妥当だと私は思つているのですが、専門の資本蓄積に留意されておる小池さんの御意見を聞かしていただければけつこうだと思います。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 最初の防衛費のパーセンテージの問題、これは私の先ほど申し上げましたところが十分意を盡していなかつたと思うのでありますが、もう一ぺん申し上げますと、私は高過ぎるということを強調したつもりではないので、日本が独立国家として立つ以上は、面子にもかけて、ある程度のものは置くべきだ。ただ問題は、一方その負担を負いながら日本が経済的に自立して行かなければならぬ。その準備をして行かなければならぬ。現在幸いにして特需その他のものが恵まれていますけれども、これは何年か後にはなくなつてしまつて、ほんとうの自立になる。今その準備をしなければならぬ、その方に金を注ぎ込まなければならないという一つの問題があるのです。そのつり合いの上から行きまして、まずこの辺をもつて最高じやないかということを申し上げたのです。もう一つ申し上げましたのは、英米では盛んに国民所得に対して防衛費の割合が幾ら、予算に対して幾らという率が説かれますが、それを今直接日本の予算なんかに比較するのはどうかと思うという意味であります。というのは、日本は敗戦という大きな変化のあつた国でありまして、もう一つは一般国民の生活から見まして、エンゲル係数の方からいつて、やはりこの辺あたりが頂上だろう、こういうふうに申し上げたのであります。そういう意味で、あるいはちよつと意を盡さなかつたかもしれません。  それからその次の間接税と直接税のお話、私はこの御議論は全国的に御賛成申し上げる次第であります。私もまことにごもつとな御意見と拜聴いたしました。

石野久男労働者農民党

○石野委員 小池さんにお尋ねいたしますが、特に資本蓄積のことにつきましていろいろとお話がありました。我田引水ではないのだという建前からお話があつたのでございます。しかし小池さんはこの予算を見られて、冒頭に、防衛費の関係の支出というものは、これはやむを得ないものだというような観点に立つて見られているわけでございますが、今の資本蓄積が日本においてできにくいという大きな理由は、やはり予算の中に、これは私たちの見方もあると思いますけれども、防衛費といわれる、いわゆる消耗生産といいますか、非生産的生産の方面への支出が非常に大きいということが、端的に言つて大きな原因じやなかろうかと、実は思うのでございます。そういうことを具体的に目の前に見ながら、そして資本蓄積をして行こうという場合に、たとえば法人関係で特別な償却を認めてもらいたい、そのためには、再評価は早くしてというようなことをおつしやられたわけでございますが、もちろん設備の近代化ということは、非常に重要なことでありますけれども、他面また資本蓄積のために、税そのものの均衡性というものを破つては、またこれは困るというふうに、私ども思うのであります。ことに日本における生活の状態というものが、エンゲル係数の上から行きましても、あまりよくない、こういうふうな観点から見まして、資本蓄積というものをむしろ支出の面でもう少し何か考慮する必要があるのじやなかろうかということを、まず私は考えるのでございます。皆さんのように、特に業界の代表といたしまして、そういう立場から、そういう点をどういうふうにお考えになりますかということが、まず第一点でございます。  それから第二点といたしましては、エンゲル係数が示しているように国民の生活水準というものは、非常に低い程度にあります。ことにそういうときにおきまして、先ほど早川君からもお話がありましたように、間接税をむしろふやして行つたらいいんじやなかろうかというような意見もあるようです。あなたは今直接税よりも、むしろ間接税の方向へ持つて行くことがいいというような御意見も漏らされたようでございますけれども、そういうようなことをもしされましたときに、一層強く勤労者階段——むしろやはり勤労所得の面に対しての圧迫が強く出て来るだろうということの懸念がありまして、そのことはかえつて株式投資等を阻害するというようなことになりはせぬかということの懸念も——懸念というよりも、むしろ私は弊害の方が多くて出来るのじやないかというふうに考えるのですが、その点についての御意見はどうですか。

小池厚之助山一証券株式会社社長

○小池公述人 最初のお尋ねの、支出の面でございますけれども、私はそれはごもつともだと思います。あらゆる意味において、支出に検討を加えるべきだ。国家におきましても、国家財政、地方財政の支出のむだをまず省くべきだ、会社におきましても、償却や内部保留なんかを認めていただくかわりに、会社の支出については、大いに厳格に取締るべきだ、このごろいわゆる社用族とかなんとかいう言葉がありますが、そういうことでもつて、むだな交際費でも使つているものなら、これを損失と認めないという意味でもつて、ぴしぴしやられることは、私は賛成なんです。要するに、先ほども何回も申しました通り、なけなしの金をどこへ有効に使つて行くことが、日本の今後に一番いいかということなのでありますから、私は設備の近代化ということにまず金を使つて行くことが非常に大切だと思うので、先ほどからの議論ができておるのであります。支出の面におきましては、それは会社でもあるいは国家でも、すべて十分これに検討を加えて行くということは、私は大賛成であります。それから間接税、直接税の点につきましても、これも先ほど私の説明が足りなかつたかもしれませんですけれども、間接税の方へ傾けてというつもりではございません。ちようど先ほどの早川さんの御発言は、現在のシヤウプ案は少し日本の社会には高級過ぎるじやないか、進歩的である。現在の日本の社会状態においてはそのウエートを少し間接税の方にかける、ちようど中間くらいのところがいいのじやないかという御発言のように拜承したので、私賛成申し上げた。間接税に切りかえろというのではない。確かに間接税の方にあまりにウエートをかければ国民大衆に大きな荷がかかつて、もちろん私もそれはとりません。それで私どものこいねがうところは証券の民衆化でありまして、できるだけたくさんの方に証券を持つていただきたい。その意味におきましては国民大衆に力のつくことが何よりかにより望ましい。その意味においては私はできるならば減税をして、国民大衆に力をつけるべきだということを先ほど申し上げたつもりでございます。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 質疑も大体終了したと認めますので、次に移ります。次は武蔵大学教授芹澤彪衛君の御意見を伺うことといたします。

芹澤彪衞武蔵大学教授

○芹澤公述人 私ただいま御紹介いただきました武蔵大学に教えております芹澤彪衝と申します。簡單に公述をいたします。  大体今まで財政一般については朝から伺つておりまして、ほとんど言い盡されているような感じがいたしますので、私は少し方向をかえましてあまり主観的なことは申しませんで、ごく客観と申しますが、ありのままにここ四、五年の財政の歴史を顧みて、かつ将来どう動いて行くかについて私流の見通しを申し上げてみたいと思います。時間が短こうございますので、あまりこまかくはできませんが、ちよつと今お話を承つておりまして小池さんのお話非常におもしろいように思いましたのは、最近証券界の方面が非常にがつちりして来たというお話があつたようでございます。事実その点財政から見まして非常に興味のありますのは、昭和二十四年に例のインフレ牧東、ドツジさんの指導で超均衡財政が行われ、そのごろずつと財政の動きを拜見いたしますと、二十六年の当初予算までは非常に財政が健全に行つておつたじやないかという感じがいたします。それはいろいろの点から感じが違うけれども、特に税負担の点については前の公述人の方からお話が、ございましたが、私は所得税について計算したのであるいは間違つているかもしれませんが、一番戦後ひどかつたのは昭和二十三年でございまして、これは全体の国民の課税所得に対する負担額が一六六%まで上つております。これは所得税だけであります。それがだんだんと下りまして、二十六年の当初予算では九六%というところまで落ちております。ところがこれが補正で一一・四%になつた。ことしのは今ちよつと走り書きで計算したので誤算があるかもしれません、が、一一二%で多少軽いかと存じております。しかしこれは所得の捕捉の仕方によりまして違いましようが、あるいは私ども専門でございませんので、一応参考書類を拜見いたしますと、ほぼそのくらいじやないかと思います。でありますから、つまり二十六年の当初予算までは財政の均衡が非常にうまく行つて来たのではないか。特に二十四年度には予算は非常に黒字を出した。一般会計全体で二十五億からの黒字を出し、資金会計だけでも八億のものを出しております。つまり収入が多くて支出が少い、いわゆる超均衡予算であります。それと同時に一般会計のほかの公企業関係でありますが、特別会計が政府関係機関、つまり国鉄とか独立した会社、公企業に改組されて、独立会計について赤字をなくするということであつた。そのために二十四年は税金をあまり軽くしないで金を余す。そこでおちついて来たから二十五年にシヤウプ税制で税金を順次下げて行く。その後も今日まで——一応これは午前中に中山先生からお話がありましたように形式的な減税ではあるが、ともかくも一応税率は下げていただいております。ただ実質的には先刻申し上げましたように昭和二十六年、つまり去年の当初予算においては、税負担も順次軽く済んでおる。  それから国内財政関係を見ましても、二十四年度は御承知のように復興金融金庫のあれを政府が肩がわりして返済して、民間銀行、民間金融機関に金をまわしまして、いわゆる自由主義的な金融制度をやらせる、こういう政策をおとりになり、同時に補給金を漸次拂つて行く、二十六年には補給金の減額が非常に多うございました。補給金の減額に応じてシヤウプ税制による減税というものは、ほぼ足並をそろえて行かれたわけであります。その間二十五年の補正でちよつと様子がかわりまして、ここで初めて例の外為会計その他特別会計における運転資金、インヴエントリーが問題になり、これが百億であります。これは御承知のように朝鮮動乱の影響がぼつぼつとで始まつておるわけでございます。ともかくも二六年の当初予算はきちんと予定通りにずつと縮小を続けたわけであります。引続き補給金をだんだん減らされた。つまりドツジさんの言われた竹馬の足を全部拂つて日本経済がおちついて行くようにした。この関係は支出面におきましても、いわゆる財政資金に関係する種々のものが先年より三百二十億くらいふえております。社会政策関係も百二十億、多くはございませんが、非常に貧乏な国で割合におちついた方向へと向けておりました。  しかるに二十六年の補正予算から大分様子がかわつて来た。これも午前中に中山先生が言われましたように、講和準備という形でありましようか、ともかくも再び予算がふえて来るという傾向を示して来た。但しこの点で興味がありますのは、補正予算ではいわゆる防衛関係というものがじかに面を出して来る。これは百五十億前後でございますが、それよりやはりインフレクツシヨンと言われておりますインヴエントリーが非常に問題でありまして、輸出入の均衡がとれない。そのために外為の資金が非常に不足した、その三百億円があるということ。それからさらに国際通貨基金というものが二百億、これはいわば座ぶとんで、弾力性のあるものでありまして予算はふえておりますが、一応いざというときにインフレーシヨンが食いとめられるだけのクツシヨンは用意されておつたということは考えられるわけでありまして今後の方向、これも中山さんその他ここにおいでなさつた方々が御指摘なさつた点であります。     〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕 そういう点はもちろんございますが、同時にこれを押えよう、ブレーキを加えようというものがある。ですからいわば補正予算は中性的な性格のもので、右に行くか左に行くか、まだはつきりしないというものじやないかという感じがいたしますが、二十七年度に至りましてかなりその点が明瞭な形になつて来ておる。つまりいわゆる講和ないし防衛関係の費用が、前々からお話がございましたが、二二%前後くらいふえまして内政費が減つて来る。特に注意を引きますのはいわゆる資金関係の経費、これはさつき申しましたインヴエントリー、つまり政府がなさるいいろな事業の追加運転資金であります。これはインヴエントリーという言葉が使われておりましてそれが二十六年度当初では一九・九%でありますが、これが順次減りまして、補正で一〇%になり、二十七年度のパーセントをとりますと六七%になつて、非常に激減いたしております。これもすでに昨日からお話があつたと思いますが、要するに財政の弾力性が非常になくなつて来ておる。それを業界の方々が批判なされば、資本蓄積の余力がなくなつて来たんだという論が出るかと思います。それから納税者の方から青青、ぎりぎりの担税能力に来たんだという考えが出て来るだろう。つまり国民か見ますと負担がだんだんと重くなる。それから受取る方といいますか、これは必ずしも国民でございませんで、事業関係の方でございますが、これはまわりまわつて国民全般にもまわると思いますが、その方の投下分がだんだん減つてくるじやないか、こういう問題がこの二十七年度の予算では出て参つております。この点まだはつきりは出ておりませんが、官庁の方の調査される方々の資料を見ますと、おもしろい数字がある雑誌に出ております。それは二十六年と二十七年と比べまして、交付公債まで入れますと、いわゆる差引剰余蓄積分というもの——これは専門的な数字で、私もまだはつきりわからぬ点もありますが、そういう財政の経営収入と支出の剰余、交付公債その他を加えまして差引勘定して国民経済に対してプラスになるもの、蓄積に向けらるべきものというのが一二十六年度は二千五百億であつたという計算であります。それに対して二十七年度は千四百億で、千百八十五億減つておる。つまりこの点から政府のお使いになる金のうち、蓄積にまわる分が減つて来ておるだろうというようなことが一般の常識でございましよう。皆様も十分このことはお考え及びになつていらつしやると思います。  そういうような状態につきまして今後單に四、五年——長期のことは申し上げません、今後どうなるかという問題でございます。これにつきましては結局第一は防衛費の問題でございましよう。それから賠償、その他講和及び防衛に伴ういろいろな経費、軍人遺家族の経費とか、あるいは今後どうなりますか、軍人恩給を復活するとかしないとかいうことが新聞紙上で散見しておりますが、こういう直接支出に関係する問題が一つあります。それからもう一つは予算外の問題、交付公債その他がございます。  防衛費の問題につきましては、すでにここで繰返してお話しがございましたし、私といたしましてはこまかい内訳は勉強もいたしておりませんが、ただ経済的に考えて、この防衛費というのはある特殊の法則があるのではないかと思います。これはどういうことかと申しますと、防衛費は相手あつての経費であります。国内における国民経済のためであるとか、生活の向上というような性格の経費ではありません。これをはつきり言えば仮装敵国という言葉が一般に使われております。仮装敵国に対する軍備の場合において防衛費が使われておるのが常識であります。私は、経済外の問題なのでこまかく存じませんが、そういうものの強弱が批判されるのは、ほぼ物的な力でございます。物力の比率の問題によつてきまつておるようであります。そういう場合には今までの歴史を見ましても、そういう防衛費は国内の経済力と無関係に膨脹する傾向を持つております。これは第一次大戦のあとの軍縮会議の例を見ても十分御理解できると思いますが、向うが軍艦を一隻よけいつくればこちらも軍艦一隻つくらなければならない。向うが三隻つくればこちらも三隻つくらなければならない。向うの方は自動車一台節約して電車に乗るというときに、こちらは三度の飯を二度にしなければならない。これは防衛の上からいつて、りくつではなくて事実としてこれが起る、今年度の予算についてはまだそういう問題は起つておらないようでございます。おらないようでありますが、今までの歴史の教えるところでは、一度産み落した子供がだんだん成長して、子供を産んだ親の方から見れば、こんな子供を産んだりつもりでなかつたというようなことがしばしば起つておりまが、そのときにはたいてい小言を言う親の方が子供に押し倒される傾向になつております。この点は数字よりか、長い歴史を見まして、皆さんも特にお考えおきを願いたい点じやないだろうか、これが一つであります。  賠償費につきましては、これも皆目見当がつきませんが、なるべく早く、外国からの負担額も、われわれ国民とつしてもきめていただきたいと存じております。これが今の、当初おきめになります予算で行くか行けないかということも、国民全体が心配していることじやないかと思います。  それから遺家族援護の問題でありますが、予算外の問題として八百八十億くらいの交付公債とか、いろいろな政府の援助に関する発表が新聞に出ております。これは交付公債で一年すえ置きの十年償還だとちよつと新聞に出ておりましたが、それについてこまかいことは一切存じません。五、六分で三千円くらいずつ出す——これはその範囲なら予算に組まれておりますから問題ございません。ただそれを取急ぎ現金化するということが、どういう形をおとりになりますか、今後の問題だろうと思いますが、そのとり方いかんによつては、これが一つ大きなインフレーシヨンの原因になる。もちろんそれは純粋学問的に——学問というほどのこともございませんが、まあ数字の上から申すだけのことでございまして、軍人遺家族の方々の援助をどうするかということは、いかにも道徳的な、あるいは国、国民全体の気持といたしましても、考えていただかなければならぬことだと思いますが、ただ経済的に申しますれば、インフレーシヨンの起らぬような方法でやつていただかなければならない。  それからもう一つの問題は、やはり当面一番問題になつておりまする外国為替資金のインヴエントリーでございましてこの方が御承知の通り去年八百億が今年は三百五十億ということになつております。これは新聞紙面で拝見いたしますと議会の御説明では、大体今年は貿易その他の外貨収支勘定が九千七百万ドルくらいで、これを日本の円貨にかえても三百五十億円で間に合うだろうということで計算なさつたようでございます。その計算の基礎が私どもよくわかりませんですが、二十七年度の経済安定本部が査定なさいましたのが、最初の計算では非常に少くて三千九百万ドルくらいの受取り勘定、二度目のが一億六百万ドルくらいあります。三度目の最近の発表されましたのは一億三千九百万ドル、約一億四千万ドルくらいになつております。邦貨に換算いたしますと、五百億円くらいになるかと思います。そういたしますと、最初四百億円予算を組んでおられたのを三百五十億に減らされまして、しかも安本の方の計算は五百億くらいいるだろうという計算になつておりますが、これはどういうふうにして今後のやりくりをなされるか、これがインフレーシヨンが起るか起らぬかの非常に大きな問題になつております。きようの日本経済新聞を今拝見して参りましたが、この九日にもう外為資金が十三億円しかないので、あど金を借りようということになりましたそうですが、去年の金がこれは全部なくなつておりまして今年まで外貨として用意してございます二百億の国際通貨基金にお入りになる費用でありますが、その引当てになる二百億円はこれを担保にして、要するに日銀から外為がお借りになる金でございます。日銀からお借りになる担保でございます。担保といつては悪いのですが、よく言えば二百億。それからインヴエントリーの方が来年度の予算三百五十億もすでにこれも担保に入つておる。それでも足りないのでどうしようかというので、来年の貸出しの限度を今度は三百億かそこらお広めになるそうでございまして、そのうちから担保ということで百八億十一日にスワツプでお借りになつたということが新聞に出ております。こういう状態でございますと、四月の初めにはこのインヴエントリー、予算はありますが現金は何もないという状態になつておりますので、この際対外収支につきましては、何かよほどかたい統制をなさいまして収支がきちつとなりますれば、一文もなくても間に合いますし、逆に輸入が非常に将来多くなりまして輸入の金の方が、つまり国内の輸入商なり注文主の方からの外為支拂いがふえて参りますと、逆に受取り超過になりますから、資金がふえて参ります。     〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕 これがいいかどうか私どもにはわかりません。いいかどうかわかりませんが、今ごろから来年度に予定された金を使い込みなさつていらつしやるときに、このくらいの限度で、来年は日銀の方からの貸出しが出ないということになるときに、われわれ国民として安心しておられるかどうかということは、これは非常に問題でないだろうかと考えておるわけであります。そのほかにオーバー・ローンの問題なども午前中にお話がありましたので、これには触れません。  すでに時間も来ておりますから、ただ御参考までに蓄積の関係で、自分がひまにまかして戦前との比較を計算してみたところを一応申し上げてみたいと思います。昭和九——十一年の株式社債の増加額と預金増と積立金の増——これは社内留保が最近ふえておりますが、これらの数字と国民所得と比べますと、大体五二・八%となつております。この五二八%が正しいか正しくないかわかりませんが、同じ数字を比較すれば大した間違いはないと思います。それで二十六年の数字を見ますと、それが一七・一%となつておりまして、いかに蓄積が減つておるかということが言えると思います。それで二十七年度も同じようなことになりますが、一六・二%となるわけであります。戦前は国民全体として五二・八%の蓄積ができたので、これに対する国民所得との割合は半分以上はあつたわけであります。これはあるいは国民所得が少く出ておるかもわかりません。それに対して、戦後はだんだん減りまして、二十六年は一七・一%、二十七年度は一六・二七%という計算になつております、これでどうして資金が足りるのか、非常にふしぎだと私は思つておりますが、ただ気がつきますのは、二十六年には日銀の貸出しが、新聞紙に最近発表されました数字を見ましても、千五百二十八億ふえておることになつております。去年の春安本で推定なさいましたのがたしか年間百五十億ふえるという計算になつておりますが、ちようど十倍以上にふえておるわけでございます。これはおそらく資金の足りないところはどうしても業者としては銀行にせかつく、銀行の方は苦しいからこれまた日本銀行にせかつくことになつて、日本銀行は出させるところがないから、しまいにはお札を出すということになりまして、これが千五百億ふえたのではないかと思いますが、これを合計いたしますと二二・二%で、かなり蓄積がふえて来るわけであります。しかしこのことは、学問的に私も少し研究してみたいと思いますが、なぜこんなことを申し上げたかと申しますと、今年の蓄積が、総合資金計画の第一回の発表がございましたが、これは政府の関係は大体千四十億前後でございますか、それから日銀の貸出しは百七十億の貸出増ということになつております。去年は百五十億ふえるという予定が年度末には千五百二十八億。今年は百七十億で資金は一切お締めになるという御計画でございますが、百七十億でとまるだろうかということの推定は、非常な不安があるというわけでございます。それから結局そのことは最後に補正予算が出やしないかという心配と結びついて来ることになりますので、歳出の関係につきましても、防衛隊関係十月切りかえのことがどうなるか、施設ができなくなりはしないかという問題、賠償も諸外国と交渉をなさつている間に、どうもそれ以上負けてもらえないから、これも何とかしなければならぬということが起りはせぬだろうか。また軍人援護の問題も、ただ十年の交付公債で、見せ金だけではやはりそういう方々にお気の毒だから、何とかして現金を渡したいということが予算に出はしないだろうか。もう一つは地方財政の方でもたいへんお困りのようでございますが、これもまた平衡交付金を増してもらいたいということが出はしないか、そうなりますとまた補正予算に行きはしないか、こういう心配がございますので、この当初予算の御審議は、去年の例もございますので、どうかよく慎重に御審議くださいまして二度と予算の組みかえのないように、特に予算の組みかえはなさらないつもりでございましても、通貨面の方が出て行くなら自然そうなる。午前中から伺つておつてしみじみと感じましたことですが、業者がこのごろは金を借りつぱなしであるとか、不渡り手形を出すとか、道義の頽廃したところがたくさんございますが、これは無理ないのでございまして大体十年金を借りておりますと、今までの例で行くと、金の値打はその間に百分の一ぐらいに落ちるのであります。そうすると百万円借りて返すときには一万円返せばいいわけになります。だから物を買つてためておけばいい。金は銀行から借りて来ればいいので、これは蓄積というものは自分でしなくて借りた金で蓄積ができるというのが日本の実情であります。それならば業界の方々としては、なるべく、これを拝み倒してでも、料理屋に連れて行つてでも金を借りなければならぬということになる。そうすれば黙つて居眠りしておれば、十年たてばただになるのだ、これはなぜそうなるかというと、結局通過ががたがたしている、今までもそうだつたから、これからだつて十年間に貯金はどうなるかという気持が、これが一番基本でございまして、これに対する政府の御態度なり、国会の御態度がしつかりとなさいませんと、それに対する信用がなくなる。そうするといかに業界の方がだらしがないとか、国民が濫費をするとかということをおつしやいましても、馬耳東風になるのじやないかということを私一番心配しておりますので、一言それだけのことを特に御注意をお願いいたしまして公述を終りたいと思います。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの芹澤公述人の御意見に対して御質疑はございませんか——御質疑がなければ次に移ります。  次は日本労働組合総同盟総主事菊川忠雄君より御意見を伺うことといたします。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 私はかつて委員の皆様のようなところにすわつておつたこともございますので、お聞きくださる立場も十分に考慮いたしまして、簡単に申し上げてみたいと思います。きようは労働組合の立場において申し上げてみたいと思うのであります。  昭和二十七年度の予算面につきましては、いろいろと考えさせられる点があるのでありますけれども、一口に言いますれば、この予算案の性格と申しますか、これは金融資本偏重の自由主義的な傾向が具現されたものであつて、かつまた言葉は妥当でないかもしれませんが、軍事費的な支出が重点になつている。その反面において民生安定その他の費用が圧縮されている。しかも悪いことには、この収支のバランスというものを、主としてインフレの進行に便乗して、勤労国民大衆の收奪というような形でもつて糊塗しておるというふうに、私どもは見て参つたのであります。そういうことにつきましては、いろいろここでは御議論のあることと思いますが、大体そういうような見解に基いて、これから二、三の点につきまして意見を申し述べて、御考慮を煩したい、こう思うわけであります。  その一つは政府の予算案の説明書を拝見いたしますと、民生の安定及び文教振興などの歳出予算が、実質的には昭和二十六年度よりも相当に圧縮をされておるということは、私どもはどうしても事実として認めないわけに行かないのでありまして、この点について考慮をお願いしなければならない、こう思うわけであります、たとえば予算案の説明書によりますと、政府におかれては民生安定についても、積極的な施策を講ぜられたということでございますけれども、しかしながら生活保護、社会保険、結核対策、失業対策、こういうふうな主要経費を合せて、前年度の約四百六十億円から、今年度は五百二十七億円ほどに増加しておりますけれども、これはしかしながら名目的にはなるほど一割二分程度の増率にはなつておりますけれども、この一年の間におきまして、物価及び諸経費の値上りということを計算に入れますならば、実質的には切下げになつているのではないか、こういうふうに思われるのであります。私十分な計算はいたしておりませんけれども、たとえば一年間におきまして、卸売物価においては一割方上つておるのでございまして、この予算は二十七年度において消化されます途中におきましてのインフレの進行ということを見込みますならば、やはり実質的な切下げを行つたことになつておるというふうに考えて間違いない、こう見ておるのであります。およそ民生の安定のないところには、民主主義の花が咲かないし、従つてまた平和の実は実らないのでありますから、待望の独立を迎えまして、そして出発するところの第一年度の予算のこういう編成の方針ということに対しては、私ども国民勤労大衆の立場においてこれを考えます場合において、せつかくの期待に反するのではないか。そうしてまたせつかくこの待望の独立を迎えての協力の熱意というものに欠くる点があるのじやないか、こういう精神的な面においても、非常に大きな欠陥があるのじやないか、こう考えておるのであります。  一々の民生安定の主要項目についてのことは申し上げる時間がありませんがたとえば失業対策費のごときものを見ますると、名目上におきましてもすえ置きになつておるのであります。前年度までの日本の失業対策が十分であつたとは、だれもお認めにならないのであります。さらにことし今後の雇用と失業ということを見通して参ります場合において、実質的に切り下げられたところの失業対策費で、はたしてどのような事柄が職業安定所その他を通じてやれるかということを、私どもは今から非常な危惧の念を持つて見ておるのであります。現にすでに一部には、この予算の操作の結果起ることでありましようが、新年度からは、従来の日雇い労務者などに対する失業対策としての給付金額を減額しなければならぬというふうな事柄が問題になつておることは、御承知の通りでございます。私はこういう点からいたしまして、これは一つの根本的な検討を要する問題ではないか、こう思うのであります。ことに私ども労働組合の運動をやつておる者から見ますと、日本の失業状態というものほど、つかみにくいけれども、また現実にはわかりやすい問題はないのであります。現に朝鮮事変以来日本の生産は急カーブをもつて回復いたしまして、なるほど戦前に比べれば百三、四十パーセントというふうな高い数字を示しております。朝鮮事変以来一年間を通じましても、鉱工業生産におきましては、倍ほどの率の増加を示しております。けれども一方において、雇用量というものは御承知のようにほとんど数パーセントしかふえていないのであります。その原因はどこにあるかというと、いわゆる労働時間の延長、その他の実質的な労働強化の面において行われておる。さらにまた半失業状態にあるところの労働者が、いわゆる臨時雇用制度というものを濫用される結果、そのときどきに産業職に動員される。東京都下におきましても、雇用量はわずかに朝鮮事変以来、一年間に八%程度しか上つておりません。一方、臨時工の方は一八%以上もふえておる、こういうのが常態であります。これがやはり今日の日本で進行中の失業対策から起るところの、労働階級への大きな負担になつて参つておるということを見のがすことはできないのであります。でありますから、こういうふうな失業対策の費用が、二十七年度予算においても名目的にすえ置かれ、実質的には大きな切下げを受けるということは、失業問題としても非常に重要な問題が今後惹起されるということが心配されるのであります。のみならずこの大事な自立経済下において、生活の安定の上に能率と技術を高めなければならない。それによつてコストを引下げなければならない。こういう面に日本の労働対策を向けなければならぬ際において、逆にかえつてこの失業対策の機能の欠陥ということが労働者に常に不安を與え、あるいは低賃金の脅威を與えるというふうなことになると思うのでありまして、こういう点におきまして、これは失業対策費だけの一例でございますが、私は重要な問題がひそんでおるのではないかと思うのであります。言葉は非常に過ぎるかもしれませんが、かつてナチスドイツの当時におきましては、失業者の登録資格を制限する、そして失業予算というものを予算面から減額し、これをなくして行くという形において、その数字の操作によつてナチスドイツは失業者がなくなつておることを発表いたしておつた時代がございます。今日日本では、一方におきましては内外のいろいろ重要な情勢に対して、自衛あるいは国防という面に、一つの大きな問題を持つておる際において、やはり何となしにそこにそういう失業対策なり民生安定なりこういう面においては、かつてナチスドイツあたりでやつたようなにおいのするようなものが現われ始めているのではないか、こういう点が私どもは非常な警戒をもつて見守らなければならぬ点だと考えておるのであります。同様なことは文教振興その他の関係のことについても言えるのでありますけれども、これは省略いたします。  次の点は平和回復に伴う支出、私どもは今日の内容からいたしまして、防衛費関係と申しますけれども、むしろすでに軍事予算的な性格をもつて現われておるのではないかというように見るのでありますが、この点につきまして私どもは考慮をお願いしなければならぬ、こう思うのであります。先ほど申しましたような民生安定あるいは文教振興あるいは経済力増強、こういうふうな面の予算が、非常な圧迫を受けておるのも、この軍事予算的な支出が過大になつておるということが原因であるということは言うまでもないのであります。従つてこの点については、私どもは今日が非常に大事なときではないか、こう思うのであります。先ほど芹澤教授から子供を育てて、それが早く言えば鬼子になつてしまつて、親が逆にもてあますというような適切な例証がございましたが、私どもはやはり日本の独立ということには、自衛を確立しなければならぬ、これが急務であるということは十分認識しております。また日本の安全と平和というものにつきましては、最大の関心を拂つておるのであります。それはただいまも進行しておるような、なしくずし的な再軍備の方針であつては、所期の効果をあげ得ない点があるのみならず、かえつて危険である、かように考えておるのであります。山門に入るのに葷酒ではなくて、般若をいとうというような、こういう行き方につきましては、私どもどらも賛成できない。こういうことにつきましては、問題がむしろ根本的な一つの問題でございますから、いろいろと議論のわかれる点だと思いますが、従つてここで深く触れるということも避けねばならぬと思いますけれども、私どもやはり今日のところでは防衛関係の費用はせいぜい従来の警察予備隊、海上保養隊なども、現状以上には出ないで、そうして賠償その他の費用につきましても、当面日本の国際的な信用を回復する、あるいは保つということに必要な最小限度にとどめるものであつてほしいのであります。でありますから、本来あるべき日本の安全保障態勢というものが、なるべく早く国連協力のもとに解決をされるまでは、再軍備的な予算編成にそのまま移つて行くというようなことは押えてもらいたいというふうに、私どもは考えておるのであります。また将来国連の安全保障の態勢のもとに、これと取組んで、日本が応分の義務を負担するということでありますれば、当然日本の国民生活、経済再建というようなことをあとまわしにして、日本に応分ならざるところの義務が押しつけられるということも、われわれは考えなければならないのでありまして、そういうふうなところに、今回の予算については区切りのつかない、われわれから見れば納得の行かないものがある、かように感ずるのであります。私どもは今日もまた将来も日本の労働階級が、民主的な労働組合の組織を中心といたしまして、そうして世界の民主主義諸国の労働運動とお互に提携して、日本の今日の国民生活なり、あるいは経済自立の当面する重要な問題について、十分理解と協力を得るというふうに努力をいたしたいのでありまして、現在も微力ながらやつておるのであります。でありまするが、たとえば今日かような立場に立つ国際的な労働者の運動といたしまして社会主義インターなり、あるいは国際自由労連、こういう組織が現に活躍をいたしておりますけれども、そうしてこういう団体は御承知のように民主主義の上に平和を守つて行くという立場から、昨年それぞれの大会その他におきましても、全体主義的な軍事的侵略に対しては、軍事的な防衛にも協力するという積極的な方針を決議をいたしていることは御承知の通りであります。けれども、これは現にそういう決議において十分に盛り込んでおりますように、国内の国民生活の自由と生活水準の向上ということがあくまでも先決條件でなければならない。特に後進諸国においては社会保障制度というものが確立されるということなくしては、その軍事的防衛ということも効果を発揮し得ないということも強調いたしておるのであります。かような点から申しまして、今申しましたような観点から考慮をお願いいたしたい、こう思うわけであります。  最後にいま一つの点は、私ども特に今日当面いたしておるところの困難な問題でございまするが、中小企業の行き詰まりの打開であります。これは今回の予算案を拝見いたしましても、なるほど間接的ないろいろの影響は、中小企業の行き詰まり打開なり、あるいは振旧という面に及ぶのであろうということも推察はできまするが、しかも当面やはり三月危機というような声もございますし、またそういう危機が参るかどうかは、私どもにはわかりませんけれども、またこういうものが野放しで来るはずもございませんし、いろいろの対策もあると思いまするが、しかし現実になしくずし的に、中小企業の多くは危機状態に昨年の秋以来入つておることはいなむことができないのであります。ところがそれについては直接対症療法的なものが今必要だと思いまするが、中小企業の振興をいうことが叫ばれていながら、それがほとんど予算面に出ていないのであります。この点につきましてはひとつ考慮をお願いいたしたいのであります。たとえば私どもが直接に経験いたしておるところの例を申し上げますならば、昨年は御承知のように日立製作所が約五百万ドルの特需を引受けました。ところがその実情を見ますると、百二十七ほどの下請工場がこれによつて仕事を受けております。けれどもそのほとんど全部が例外なく金詰まりでありまして、仕事はしたが、賃金の遅配、欠配の不安におびやかされておりまして、経営者も労働者も追われなければならないという状態にあつたので、これはいろいろと原因はありますけれども、その中心をなすものはなるほど親工場には支拂い証明付の手形でありますから、すぐ現金化されますけれども、しかし下請工場は、親工場へ拂われた現金化される手形の中に、自分の受取分を含んでおるわけでありましようが、事実はこれがまわつて来ない。結局それは普通の手形で三箇月間、あるいは実際に手に入れるまでには四箇月、五箇月かかる手形でございまするから、それを割引するところの能力のない今日の中小企業の行き詰まつた現状におきましては、仕事には追われるし、仕事はしたいけれども、その月月の賃金にも困るというふうな状態が起つて参つておるのであります。結局これは親工場といたしましては、やはり銀行にいろいろと割引をされる場合に、一割なりあるいはそれ以上のものを、今までのこげついた借金として一部は差引かれるのでございましよう。結局今のオーバー・ローンその他のことに対する金融筋の警戒からいたしましても、そういう摘置もやられましようから、結局下請工場の経営者と労働者の非常な犠牲において親工場が運営され、そうしてその一部が今日の金融資本筋に吸収をされておるというふうなことに、大きな原因があるのであります。私どもこういうものを見ます場合に、そういう工場におきまして、いろいろの遅配欠配の問題を解決するために交渉いたしまして、結局先付手形で十万か二十万の金を受取りますけれども、それを組合の立場から現金化して、従業員に渡さなければならない、こういうふうなことまでやらなければならないのが、今日の中小企業におるこ労働組合の内容にもなつておるのであります。こういうことは日立の一例でございますけれども、たとえば地方に参りますれば、もつとひどいのでありまして、地方では特に地方銀行が、預金は吸収いたしますけれども、そのうちの三割ないし四割方のものは地方で使うでありましようが、結局中央に本社を通じて動かされておるというふうなこともありまして、特にこういう状態がひどいのであります。たとえば岐阜県の中津川にある三菱電機という工場は、そこの従業員だけはなるほど世間並の一万数千円の賃金べースを獲得いたしております。しかしそのまわりのほとんどの機械・金属の中小工場は今なお七、八千円の賃金、それもいかにして遅配欠配を解決するかという状態で苦しんでおります。でありますが、結局仕事がないのじやなくて、三菱さんの仕事をやりたいけれども、やつてもすぐ金にならないから、やれない、こういう状態にあるのであります。要するにこういうふうな問題が起つておるのは、日本の産業全体から申しますれば、大きい工場であればあるほど、そのまわりに衛星的な中小企業の工場がなければ、日本の経済はやれないのだから、その数字は御承知のように、労働者の数におきましても四割を占めておりますし、工場数におきましては百人以下の工場が九十二、三パーセントを占めております。生産においては日本の生産の四割を占めておる、しかも金融はその分におきましてはすべての金融のわずか二割がそこにある、こういうような状態であるのでありまして、これを打開しないことには、再建後の日本経済の自立をいかに叫びましようとも、ただ基幹産業あるいはそういうところの大企業のみをいくら助成いたしましても、あるいはそれに投資いたしましても、健全な日本経済の再建ができるものでないと考えるのであります。でありますから、この措置といたしまして、私どももいろいろ昨年来地方をまわり、中小企業の経営者、あるいは経営者の団体、あるいはこれと関連あるところの官庁の人々と一緒にいろいろ協議をしておるのでありますが、結局帰するところは、現在これに必要な運転資金の融資のわくをもらいたい、これに盡きるのであります。現に国民金融公庫が、もう三倍あるいは四倍の資金の融資があれば、今のように申込んでから一月以上もかかるということなしに、的確に中小企業の運転資金をまかない得る。しかも中小企業は、このとりはぐれその他の危険があるようでありますけれども、調査も厳密であるし、その危険むしろ少いとわれわれは見ておるのであつて、むしろ政府投資をやられるところの過去の大企業などにおきましてこそ、いろいろと国民は忌わしい話を聞いておるのであります。でありますから、ここに少くとも二百億なりあるいは三百億ほどのこの面についての金融のわくを設け、そしてこれに対するところの中小企業の特殊な事情に応じた金融機関を設ける、かような予算措置を講ずることが緊要な問題ではないか。このことはただ経営者のみならず、労働者の問題なり、さらにまた日本経済自立というものを正しい方向に導く問題であると思うのであります。これによつて初めて中小企業というものは融資といろ線に沿うて来て、合理化もできましようし、あるいはまたもつと能率化もできましようし、そうして健全な労資関係も生まれて来るであろう、かように考えておるのでありますが、毎年こういうことが叫ばれるけれども、相かわらず予算面には対症療法的なものが出ていないのでありまして、こういう点につきましての考慮をお願いいたしたい、こう思つておるわけであります。ことにこれと相まちまして、やはり中小企業の面におきましては、結局税金のしわ寄せがここに集まつて参つておることは御承知の通りであります。現にこれは今年度の更正決定でありますが、やはり最初は、たとえば三十万円という更正をし、それがその次には三十五万円になり、今度最近は四十万円になつて、更正決定をして、判を持つて来てくれ、こういうことでありますが、結局その理由はどこにあるかといえば、そういう末端の税務署員の話によれば、税率も下つたのだし、ことにこれからは大きな予算が組まれて、国民所得もまた四兆台から五兆台になつたのであるし、税率は去年より下つたのだから、今まで通りではあなた方は税金が安くついて、もうかつてしかたがないだろうから、やはり税率は下つたが従来通り、あるいはそれ以上の税金は納めてもらわなければならぬのだから、その操作はやはり所得の水増しであるけれども、上の方がそうするから下の方もそうせざるを得ないのだから認めてもらいたい、これでございます。もしも御不満があるならば帳面も調べましようか、こういうことでございますから、結局二度も三度も天くだり税金をかけられて、泣き寝入りしなければならぬ、こういうふうに今日のいわゆるインフレの進行に便乗して、収支のバランスを合わされて、結局このしりが中小企業者の税金のしわ寄せとなつている、こういう大きな犠牲を受け込んでおりまするが、しかもそこに働くところの労働者は、何ら社会保障というものがあるわけではなし、あるいはまた企業者には、何ら特殊な金融措置があるわけではない。大きな銀行になりますれば、二十万、三十万という金は戰前でいえば千円程度の金高でありますから、こういう金をわれわれの銀行が扱つてはペイしないのだということでもつて、あしらわれております。こういうようなことにつきまして、ぜひともひとつ御考慮を願いたいのであります。おそらくこういう問題がこのままで置かれまするならば、あるいは今年のインフレの進行過程におきましては、何らかの措置を講ずる必要上、結局帳面合つて銭足らずでもつて、あるいは補正予算その他の問題が起るのではないか、かように考えますので、そういう点をお願い申し上げる次第であります。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの菊川公述人の御意見に対して御質疑はございませんか。

早川崇改進党

○早川委員 一問だけ菊川さんにお尋ねしたいと思います。防衛問題に関しまして、コミスコの線と民主的労働組合の線をはつきりお出しになつたということに対して敬意を表したいと思います。ただもう少しはつきりお聞きしたいのは、いわゆる共産主義の全体主義の脅威に対して防衛しなければならぬということについて、全面的に協力をするという線を述べられたのでありますが、同時にこれは私も同感なんだが、なしくずし的な——実体は再軍備のようなものであるけれども、そうは言わない今の行き方に対しては反対せざるを得ない、こういうお話でございました。そこでお聞きしたいのは、今後の防衛のための軍備とか、そういう問題に対して、なしくずし的でないものに対しては、コミスコの線に従つて協力を惜しまないのか、あるいは現在はまず民生安定が先だから当分はそういう時期ではないのだという御意見か、さらに国際連合に入れば、日本の国民が過重負担になるような再軍備は押しつけられまい。しかし実際の問題として国連に拒否権がある以上、なかなか入れない現状において、コミスコ並びに民主的労働組合の全体主義の脅威に対する防衛力という問題は、菊川さんは具体的にどうお考えになつておられるのか、われわれ立場が違いますが、現実に全体主義の脅威が迫つておるのだから、防衛のため自由と民主主義のための再軍備の必要をわれわれは説いておるのでありますけれども、そういう立場を離れてもう少し具体的にお聞かせ願えれば幸いだと思うのでございます。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 この委員会に面接の問題でないと思いまして、簡単に結論的なことを申し上げて、言葉足らずでいろいろお尋ねを受けたのでありますが、私どもは今の国際情勢におきまして平和を要望する、これはどこかから平和を脅かす戦争の脅威が忍び寄つているからであります。たとえばわれわれは決して今空気をくれとは言いません。空気には満足しておるからでありますが、坑内で窒息すれば空気をくれと言うに違いない。でありますから、われわれは單なる平和という名のもとに軍備の問題、防衛の問題を考えるわけではないのであります。従つて今われわれ日本において戦争の脅威はどの方から、いかなる形で忍び寄つておるのかということを、厳密に決定をしなければならないのであります。そういう点におきましては、私どもはいろいろの情勢の分折のことは省略いたしまするが、結論的には、今国際共産勢力のいわゆる間接の侵略というものが、われわれの平和の当面の問題であろう、こう見ておるのであります。でありますから、それ以上の脅威ということは、私は今日の国際情勢においては、当面日本の場合においては考え過ぎではないか、こうすら思つております。でありますからこういうものに対処するための日本の安全と平和ということでありますれば、私はやはります国内におけるところの国民生活の安定と、それに伴うところの国民の精神的な自主性の確立、これが先決問題でなければならない。この問題に何らかの不安を與え、あるいはマイナスを與えるという形においてなされるところの防衛的な措置というものは、その二つのものをかけ合せてみますならば、その総計というものはかえつてマイナスになるであろう、こういう一般的な考えをいたしておるのであります。でありますから、そういう点からいたしまして、私どもが当面必要とするものは、まず民生の安定なり、あるいは一方においてはそれでもある程度の軍事的な負担は伴うのでありますから、それをカバーし得るだけの国民負担の均衡を保ち、同時に社会的な安心感を與えるという社会保障制度といつたような面の確立がまずなされないで、一方に防衛的な問題のみを議論することは、これはむしろ危険でないか、こう考えておるのであります。でありますから、そういう点におきまして、私は今日の段階においては、まずわれわれがなすべきことは、先ほども申しましたように、日本経済自立という中において、その経済の水準を高めながら、われわれの国民生活の水準を高めるということが、当面最大の問題であるといたしますならば、それに重点を置くものだ。そうしてまた面接の侵略というものに対しましては、幸いにしてわれわれは今日のところ警察予備隊あるいは海上保安隊という、こういつたもので決して不安を感じないのではないか。もしもそれ以上の不安がどこかにあるということを仮定いたしますならば、その不安というものは、いかに今のなしくずし的な再軍備的な行き方をいたしましても、結局それでは間に合わない問題についてわれわれは心配し過ぎていやしないか、こう考えておるのであります。でありますから、そういう段階においてむしろなしくずし的に再軍備をするというようなことは、結果においては日米安全保障條約を背景として、そうして足りない部分は、特定国の軍隊あるいは戰力によつてプラスをしようというのでありましようけれども、結局足りない部分というのが、実は日本のそういう防衛的な一切のものを最後には引きまわすところの決定的な要素にかわりつつあるのでありまして、結果におきましては、その足りない部分を当てにするために、それに依存しなければならないという形に追い込まれる大事な危機に立つておるのではないか、こうすら考えるのであります。でありますから、かような情勢の判断が誤りないといたしますならば、私どもは今むしろ問題を——将来の再軍備その他の問題は自衛態勢の強化というものと相まつて、そうして日本の防衛という問題は、われわれ自身の問題であるが、われわれ自信で解決できない段階に入つておりますから、これは国際的な機構において安全保障体制という問題に飛び込んで解決を求める以外にない、こう考えておるのであります。それではそういうものが間に合わないときに、もし国内に何らかの予想以上の事態が起つた場合にどうするかということでありますれば、これは私どもが今予想し得ざるところの事態でありまして、私どもはそういうものは今は思い過ぎである、こういう情勢の判断のもとにこういう行き方をいたしたい、こう考えるわけでありますでありますから、将来再軍備というものについて、あるいは国防上自衛力の戦力化というものについて賛成か反対かということでございますれば、われわれはそういう場合においても、われわれ自身の自衛力なり、あるいは防衛力の戦力化というものが、はたしてそのときの国際情勢においてどれだけの意義を持つかということは、そのときの情勢に応じて具体的に解決しなければならないと考えておるわけであります。でありますから、一般的な方向といたしまして、先ほど申し上げましたような社会主義インターナシヨナルあるいは国際労連がうたつておるところの方針に基いてわれわれは進みたい。こういう方針でわれわれが進みます以上は、世界各国の勤労国民大衆の理解のもとにおいて、われわれの考えておるようなことは、單なるわれわれだけの考えでなくして、世界すべての国の勤労階級の心と心を通じて実現し得るものである、こういう信念と確信を持つておる次第であります。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 予算を検討するには、数字の背景となるものを慎重に考えて検討しなければならぬことはもちろんわかるのでありますが、できるだけイデオロギーを離れてありのままの御意見を伺いたいと思います。  まず第一点は、ただいまのあなたの御意見によりますと、社会保障的な経費が四百数十億円であつて、わずか百数十億円の増である、こういう見方をされたのでありますが、社会保障的経費を生活保護費、社会保険、結核対策費、大体これだけに限定されての数字であつたように思いますが、私どもはこれに加えて遺家族の援護費及び障害年金あるいは未帰還者援護費あるいは公営住宅費、生業資金、育英資金、こういうような程度のものは、これは狭い意味の社会保障的経費である、私はこういうふうに考えておるのでありますが、これを合せますと、約八百四十億程度になるのであります。これに対しましてあなたの御見解は、これは社会保障的経費もしくは広い意味の社会政策的費用、こういうふうにはごらんにならないのかどうか。これを伺つてからさらに二、三お尋ねをいたしたいのであります。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 今のお話のようにすべては社会政策的な経費と思います。私が申し上げたのは、政府の予算説明書の中において、民生安定のための主要経費という中に四、五項目あります。そのことがありますので、これを一例として申し上げたにすぎないのであります。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 そういうふうに御訂正になれば、非常にすなおな御意見だと思うのでありますが、さらにお尋ねいたしたいのは、失業対策の問題であります。御意見によりますと、この予算では今までとほとんど同じである、こういうふうな御見解のようでございますが、それは数字を離れての御意見ではないかと思いますので、これまた数字についてはお尋ねをいたしますが、公共事業費だけを見ましても。本年度は一千八十億円、それが二十七年度は一千四百五十億円でありまして、約三百七十億円のプラスであります。これからあなたのおつしやる物価の一割の値上りをかりに引いてみましても、相当の雇傭量がこれでまかなえる、こういうふうに考えるのでありますが、これに対してどういう御意見でありましようか。  さらに、これはイデオロギーの問題で論ずると、いろいろ意見もありますが、私はこれも失業者を雇用するという端的な意味から申上げますと、無視できない問題であると思うのは、講和関係費の中に失業者を雇用する面が多大にある。私どもはこの予算の半額くらいは、そういうような方面に使われるものがある、こういうふうに考えておるのでありますが、そういう面から考えまして、依然として本年度と同じような失業対策に終るのだ、これは事実を事実として御意見を伺いたいのでありますが、この点に対してどういうようにお考えになつておるか、あとさらに一点だけお伺いいたします。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 今三つの点があつたようでありますが、一つはいわゆる民生安定の主要経費の中に含まれておる失業対策費というものを考えます場合において、これが前年度とほとんど同様であります。これは上林山さんもお認めくださるだろうと思います。ところがそれでもつて従来やつておつた仕事がやれないということは事実でありまして、現にこれは職業安定所では最近すでに日雇い労務者の單価を引下げなければならないというような問題が起つておる事実を見てもおわかりと思います。でおりますから單に公共事業費その他の面でふえたから、失業対策の費用はこれでよろしいということにはならないであろう、こう考えておるのであります。それから公共事業費につきましては、私まだ専門的に十分検討いたしておりませんから、あるいは上林山さんの御指摘のような点があろうかと思います。けれども公共事業が従来行われて来た事例から見ましても、その部分によつて従来のいわゆる半失業状態にある、そうして事実上は職業安定所に行つても仕事がないからというので、あきらめておるところの潜在の失業力というものがそれほどに吸収されないのでありまして、これはいろいろ従来の土木その他の事業をごらんくださればおわかりになると思うのであります。それから従来の終戦処理費関係において、いわゆる進駐軍労務などはいろいろと雇用されておりまして、それがはたして今後行政協定その他の内容によつて、今度の予算によつて平和回復関係の諸経費として、何ほど雇用量がふえるかということは、私は検討いたしておりませんけれども、それだから私の申し上げた失業対策費が、そのまま横すべりであつてもよろしいという理由にはならないだろう、こう考えております。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 決して公述人と議論はいたしませんが、私どもはできるだけ事実をすなおな気持で検討してみたい、こういう意味で御意見を伺つておるわけでありますから、誤解を避けていただきたいと思いますが、公共事業費関係だけでも三百七十億円ふえておる。それからかりに一割の物価の値上りを見ましても、相当の事業分量である。しかも講和関係の費用は行政協定の内容がはつきりしなければわからないけれども、大体において政府側の当議場その他においての意見によりますと、相当の事業量があるものといわれておりますので、こういう面を総合的に考えて、失業対策全体を私どもは見て行くのが、最も事情に適した見方じやないか、こう思います。これは私の意見になりますからこれ以上申し上げません。  そこで次にお伺いいたしたいことは、民生安定はもちろん大事なことで、われわれもできるだけの協力をしておるつもりでございますが、この中でただいまの中小企業に対するいわゆる税金のお話がありましたが、これは多少意見は違いますけれども、この事情に対してはわれわれも再検討して、これを是正して行かなければならない、こういうように考えております。勤労所得税に対する考え方は、二十六年度の補正予算で、さらに勤労所得税を引下げることにいたしまして、そうして免税点を三万円から五万円に引上げ、家族控除を一万五千円を二万円に引上げて三人まではこれを認める、こういう行き方をいたして、これは私どもは実例についてすべて検討したのでありますが、勤労所得税に関する限りにおいては、これは相当の減税になつておる。決して名目上の減税ではない、こういうふうに考えておるのであります。そこで物価の値上り等のはね返りを考えてみましても、将来の事情は別として、現段階においては大したことはない、こう見ておるのでありますが、物価のはね返りのパーセントをあなたはどのくらいにごらんになつておりますか、その御見解をお伺いしておきたいのであります。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 きようそういうお尋ねに用意をいたしておりませんで、数字的なことは御返事できないので残念であります。たとえば今お話のように私本年度のものは十分計算をいたしておりますので、たとえば二十五年の勤労所得は名目的に一兆四千八百十億円であります。ところが二十六年度におきましては、名目的には一兆九千百二十億にふえておりまして、一二九%に当つております。ところがこれを当時の物価の値上りによつて割つてみますれば、二十六年度は実質的には一兆五千八百三十一億円であります。従つて実費的には勤労所得は約六・九%ほどしかふえてない。それに対して税率が下りました結果、なるほど従来の名目の所得に対する割合から申しますれば、税率は下つても税金は増収になる。それで結果におきましては自然増収が本年度も五百七十九億というものが勤労所得税としてふえておる。でありますから結局これを生活の面にはね返りを計算いたしてみますと、なるほど税率は下つたけれども、実質的な賃金並びに物価の値上り、こういうものから見ますれば、それほどの言われるような大きな生活の均霑は受けてないということを私どもは認めるのであります。これはきよう数字を持つて参れば私の計算したものがあるのでありますが、もし必要であれば後刻これを提出させていただいてもけつこうである、こう考えております。でありますから、ことにお考え願いたいのは、今日なるほど賃金は物価が上るにつれてスライドいたして上つております。けれどもこれは日本の労働者の中で昨年末にいわゆる歳末闘争で越年資金その他をとることができたのは御承知のように二割ないのでありまして、他の労働者はほとんど例外なく年末だからせめて今までの遅配、欠配を何とかしてもらいたいということで努力いたしておるのであります。そういうふうな部分に物価が上つたからというのでペース・アツプがありましても、必ずその反面においては先ほど申しましたような、いわゆる労働時間延長とか、あるいは残業ということもございますので、こういう形でやられておるこの増収に対しては税率は下つたけれども、実質的にはその均霑を受ける者が少いのじやないか、こう考えております。

上林山榮吉自由党

○上林山委員 私はもう少し内容に入つてみたいと思いますけれども、時間の関係があるので遠慮申し上げますが、ただいまの勤労所得税の増収というものは、賃金あるいは給料等の値上りに対する増収であつて、もちろん物価は上つたけれども、税率を変更したから、実質的には何らかわりがないのだというふうには、ごらんにならないわけですね。結局おつしやるのは、物価が上つたから、その上つたものだけの待遇改善をやつたにすぎないのである。それでちようど大体においてバランスは合うのだ。それならば、勤労所得に対する実際の減税は、すなおに統計でお認めになりませんか、ひとつ正直にお答え願いたいのですが。

菊川忠雄日本労働組合総同盟総主事

○菊川公述人 いや初めから正直なんですが——それは認めますが、しかしそれを認めたからといつて、かつて安本その他で御発表なさいましたように、物価は上つても税率は下つたから、実質生活はわずか二%程度上つているという計算にはならないのでありまして、私の方では、かえつて実質生活は下つているという事実は、事実としてお認め願わなければならないのです。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 なお質疑もおふりのようですが、時間の関係もありますので、次に移ります。  次は近畿地区戦死者遺家族代表の吉信英二君の御意見を承ることにいたします。吉信英二君。

吉信英二近畿地区戰死者遺家族代表

○吉信公述人 御紹介いただきました吉信英二でございます。私は遺家族の一員といたしまして所見を述べさせていただきまして、今までも深甚の御配慮をいただいておるのでございますが、重ねて一段の御配慮をお願いいたしたい次第でございます。  私は本問題を解決するに対しまして、次のような根本的な要望を持つておるのでございます。その第一番は、ヒューマニズムの立場に立つてあたたかい心を持つていただきたいということであります。この間、私の町で慰霊祭がありましたが、そのときに若い僧侶が、皆さんは秋になりまして、赤い柿の実が大きく実つておるのをば、よくごらんになるであろう。ところがその柿は、花のときにも、赤い実のときにも、ぽつりぽつりと多くの実が犠牲になつて落ちたのである。そのおかげで赤く実つたのある。今日われわれが生を得、生き残つた喜びを持つておるが、その裏に二百万の帰らぬ人のあることを、また八百万の遺族の非常な困苦を忘れないようにすることが、最も大事なことであるというような話をなさいまして、非常な感銘を與えたのでございます。今日日本は大分混乱しておりますので、遺族の立場から申しますと、具体的ないろいろの不愉快なこともございますが、どうしてもこれは皆様のあたたかい御同情によりまして、ヒューマニズムの立場につて、この問題の解決の一つのねらいとしていただきたいと思うのであります。  次に本問題は国家が政治的、道徳的な責任を十分に負うていただきたいということであります。従つて生活援護というような面ではなくして、その犠牲に対しては国家補償の考えで徹していただきたいということであります。生命の尊さは人々によつてかおるのではなく、みな平等であります。従つて補償の点におきましても各人平等な補償をお願いしたいのでありまして、所得のいかんや年齢のいかんによつて、その補償を受ける人に差をつけないようにお願したいと思うのであります。国家は国家の絶対命令で兵隊を召集いたしまして、その兵隊はこれに拒否権を持つておりません。さらに職場におけるところの選択権も持つておりませんし、危険に対する逃避権も持つておりません。まつたく死の谷に追い込まれるような至上命令によつて遂に帰らなかつたのであります。そういう立場におるものでございまするから、どこまでも国家的補償という気持を十分に現わしていただきたい。  次には、遺族の実態は非常に複雑なものでございまするので、これを十分に考慮されまして、ただ一人も片手落ちの起らないようにお願いしたいと思うのであります。兄が戰死をいたしまして、続いて両親がなくなつた、あとに弟妹だけ残つておるという実例がございまするが、今度の補償案によりますと、これにはその補償の手が延びないのではないかと思われるのでございます。以上の三点によりまして、政治的、教育的な措置の万全を期していただきたい。この点に関する感覚が不十分であつた、あるいはその時機を失するということになりますと、国民は政治に対して信頼をしないようになり、国家を信じないということになりまして、そのしまいはみんな利己的な考えになつて行くであろうと思います。そこでこの予算措置におきましても、物を惜んで精神的な大きなものを失うということのないようにお願いしたいと思います。国が盛んになるときにはまず精神的に興り、国が滅びるときには精神的に滅んで、物質的にも滅びて行くものであります。真にこの問題をりつぱに解決するかいなかということは、日本の運命に関する大きい問題であるということを考えております。そういうような観点から考えまして、私は政府のおつくりくださいました案に対して所見を述べたいと存じます。  率直に申しまして、私はこの政府案に対して次の二点に落膽をいたしております。それは補償という精神に徹することが、私どもから見ると、まだ何だか物足りないという感じがするのでありまして、ごく小さいことでございまするけれども、政府からの御関係の言葉の中に、やはり遺家族援護という言葉を今日でもお使いになつているようであります。ごくわずかなことでございまするけれども、これはもし私の申しますところの考えに徹しておられるならば、必ず遺家族補償というお言葉になると思うのであります。一つ一つの案につきましても、先ほど申しましたように尊い命を失つた、それに対する補償を平等にというところが欠けているような感じがするのです。第二番目の落膽の項目は、補償額のはなはだ少いということであります。この点につきましては後ほど各部分々々で申し上げたいと思います。  次に私は弔慰金のいただけなかつたということについて落膽をいたしております。第二回の全国遺家族大会におきまして、一率に一柱二万円の弔慰金を支給していただきたいということをお願いしたのでありますが、この根拠は多少ありますが、これは抜いておきます。その心持と申しますのは、遺族としては墓一基は立ててやりたい切ない気持を持つているのであります。私の町におきまして、私の調査によりますと、まだ八〇%は棒ぐいを立てたままでございます。慰霊祭のときにも、せめてあれは一代墓であるから、墓一基でも立てて最後のはなむけにしてやりたい、また自分の慰安にしたいというのが、二万円をいただきたいというほんとうの心持であるのであります。まことに切ない気持を持つているのであります。これがオミットされたということはまことに私どもとしては残念に存じます。  次に第二回遺族大会におきまして、その決議によりますと、お願いによりますと、一柱について四千円の基本年金をいただきたい。その上に老幼、職業の無能力者に対しては、おのおの一千円づつの増加年金を御配慮願いたいと申したのでありますが、今回の政府の御案によりますると、父母の遺族に対しては年金はなし。両親には十万円、片親の場合には五万円の公債を公付する。そのために八百八十三億円を計上してくださつておりまするが、これは私どもの考えておりました弔慰金とは、まつたく異なつたものでありまして、これが父母に対する補償の全部で、言いかえてみやすと、二百五十円の利子でしんぼうせよという案であります。父母の大部分は六十六才前後の老齢者でございまするから、公債を換金していただく場合には、ほとんど多くは死んでいるのでなかろうか。そういうように考えましたときには、まことにもう一つ考えていただきたいというような感じがするのであります。  さらにこの今の案によりますると、次のような不合理が起つて来るのであります。これは先ほども申しましたように、遺族の実態は実に複雑であるからであります。私の家内のいとこに七十二のお婆さんがございます。これは一人子をばやつと骨折つて関西学院を卒業させて、そのとたんに戦死をいたしまして、今日までまことにみじめな暮しをいたしております。これが五万円の公債をいただく。私はそれよりも健康でありまして、またそれよりも少しは生活程度がよろしいのでございますが、家内が生きているというので十万円をいただくのであります。そういうように考えてみますと、私はどうしてもこれは私の良心としてはいただけないというような感じがするのであります。この問題につきまして、私は四、五人の未亡人の方のところに行つて、私の気持は言わずに批判してもらつたところが、みな異口同音に——これは別々に行つたんですが、そのお婆さんがかわいそうだ、できることなら、片恨みのないようにして上げてほしいものだ、こういうようなことを申しておりました。  第二番目の例といたしまして、二人以上死なせた方で、父が死んで母親の片親となつた場合でもなおかつこれは五万円であります。二倍も三倍もの苦しみをした人がそういうようになるということは、まことに不合理なことであろうと思うのであります。私の近所に湯川儀平という七十二のおじいさんがございます。これも一人子をなくしまして、おばあさんが六十くらいでありますが、いかにもみじめであるので、私は民生委員をいたしております関係上、三年にわたつて湯川さん生活扶助を受けたらどうかということを相談いたしましたけれども、律儀な湯川さんはどうしてもまあやれるところまでやりましようと言うて受けてくれないのであります。私としては非常に苦しい立場におりますけれども、この一月も行きましたら、まあ四月になつたら、何とか息つくことができるからそれまでがんばりますというお話でありました。この方は十万円の補償をいただくことになりましようが、それでも六分の利子として五百円しかいただけない。こういうように考えてみますと、この案は父母としての遺族としては容認するのにはむずかしい感じがいたすのであります。さらに母子家庭から考えた場合には、私らにはどうしてこの公債十方円というような、あるいは五万円という公債をくれないのであろうかというような考えも起るのでないかと思うのであります。そこで私はこの案のかわりに、せつかく計上してくださつておりますところの八百八十三億円は、むしろ弔慰金として一柱五万円ずつ平等にいただけましたならば、母子家庭も喜びますし、また私どもが心配するような片親の人にも心配をかけずに済むというように考えますると、一旦オミットされたこの弔慰金問題もそれで解決がつきますし、だれも不平なしに行くのでないかと思います。それで私は、もしそういうことがお考えできるのならば、今のようにひとつ御考慮を願えぬものかということを思うているのであります。  次に年金について意見を申し上げます。この年金は遺族の最も期待しておりました項目でありまするが、ふたを開けてみると父母には與えられない、母子遺族だけだということになつております。さきの湯川さんのごとき、あるいはさきのおばあさんのごときは、二百五十円あるいは五百円という利子しかいただけないとするならば、これはやはりそういう人たちにも年金を與えるというように行かぬものであるかと思うのであります。この額につきましては、やは私どもは低いと思うのです。百五十六億円というのを計上していただいてございますけれども、なお低い。これは新聞紙上あたりで伺つておりますようにドイツでは予算の二〇%をとつておるといいますのに、百五十六億円でありますと、年金は二・三%というように私は感じておるのでありますが、これはまあよその国との比較でございますけれども、やはり低いように思います。そうしてこの案によりますと、基本年金が基本給が千円、年金は、母と長子がおのおの六百円、次子以下は四百円というのであります。政府案の、母に六百円を加給されておるということには私は満腔の感謝をする次第であります。この点は、夫を失つて人に言えない苦しみがあると思うのであります。それにこの六百円を與えてやつてやつていただいたという点は、まことに私はうれしく存じます。ここに私の申し上げるヒューマニズムの点が現われておるということは、まことに私はうれしいのであります。これによりますと、未亡人と子供二人ならば二千六百円、妻であつた未亡人一人ならば千六百円という勘定になりまするが、これを静かに考えてみますと、未亡人一人に千六百円、それで主人が帰らないということになると、これはちよつと割切れないところがあるのじやないかと私は思うのであります。なぜそういうことを申すかといいますと、昨年の四月に私の知つておる公務員が退職をいたしましたが、六十万円の退職金をいただいてその上に月額一万円ほどの恩給をもろうたように記憶をいたしております。また私の弟が昨年の秋に死にましたが、二箇年の間病気をいたしましたが、その間やはり俸給を規定によつていただいた。そうして退職をいたしました。何でも四十万円くらいいただいたらしいのであります。そうして恩給は十万円くらいありましたから、本人はその後死にましたけれども、その家族に妻にはやはりその半額を給付せられてあるのであります。先ほど申しましたように、遺家族の主人は、最も尊いところの人間の命を危険なところへ行つて捨てたのに、公務員は、比較的安全なところで生活の保障を受けながら、一定の年限を勤めた場合にはそれだけの保護を受ける。そういうような意味からいつて、遺家族の場合は非常に少い。こういう部面を政治の場面において次々と是正をしていただきたいと思うのであります。そういう意味におきまして、この父母にもやはり年金を與えるようにお願いしたいと思います。母子にも與えていただく、但しこの額は別として、——母子に與えるこの與え方はいいが、ただ額だけはもう少し考えていただきたい。その額につきましては、厚生省でおつくりくださいました案は母が二千円、子が一千円、それからあとは、三子目からは六百円。これによりますと、母と子供二人で四千円いただけることになつておりますが、これは第二回の遺族大会における四千円の基本年金を、それだけの増加年金をいただきたいということとは大分幅がありまするけれども、政府関係の案といたしましては、まことにありがたい案であると思います。その点におきまして、今年の予算ではなかなかそういうことはできないと思いまするので、私は、その厚生省の案を元にいたしまして、政府、国会、それから遺族の最も公正なる意見を持つ方とで審議会をつくつていただきまして、その遺族の要求と厚生省案との間に、何とかそこにもう一つ打開の点をば考えていただくような措置をお願いしたいと思います。これはやはり早急にはできませんから、二十八年度からでもけつこうだと思うのであります。結論といたしまして、本年度におきましては、先ほど私がお願いを申しました弔慰金は一柱について五万円の公債、これを平等に與えること、この線を要求したいと思うのであります。これにつきましては、さきに二万円の現金でいただきたいということであつたのですけれども、二万円といいますと、二百万の犠牲者であるというと四百億円いりますから、年金でさえ百五十六億しかないのに、弔慰金を四百億円出すということは、とうてい望むことのできないことであります。そういうふうに考えまするというと、そういうことはお願いできぬのでありますが、二万円を五万円の公債でいただけるということになれば、たいていそのところにおちつきができるのじやないかと私は思います。第三回の遺族大会におきましては、十万円の公債を一律にいただきたいという要求をいたしております。そうして、そのかわり二十八年度から私のさきに申しましたようなしかりした措置をお願いしたいというのでありまするけれども、この点につきまして、御当局と日本遺族更生連盟の案と適当な御折衡をいただきましたならば、ここのところに適当な落合い点が見つかるのではないかと私は思うのであります。それから年金につきましては、先ほど申しましたように、審議会をつくつて、二十八年度からしつかりした一つの案を作つくつていただきたいけれども、それは本年に間に合いませんから、今年は今年度限りの暫定案といたしまして、政府のおつくりくださつておるところの年金の原案による基準によりまして、未亡人、母子家庭に與えていただく。そうしてさきに申しましたように、父母遺族につきましても適正な基準額をおきめいただきまして、これに與えていただけるならば、まことにさきに申しました湯川さんのような方が救われるのではないか。これに要する額はどれだけいるかということにつきましては、私は計数がありませんのでお答えできませんけれども、相当の増加が起ると思うのでありますが、この増加につきましてひとつ御心配をいただきたいと思います。そうすると予算措置におきまして、八百八十億円の方は弔慰金で交付するから、これの方にはそう大した増加がないと思います。予算措置に御心配願うのは、個々の父母遺族に対して適正な支給金、これだけがふえるのでありますが、この点だけお考えをいただきましたならばいいと思うのであります。この点におきまして、さき申し上げました三点の精神によりまして、皆様の政治的措置をお願いしたいのであります。さらにその間におきまして生活扶助を受けておる者があります。これは将来は別といたしまして、本年度限りはやはり生活扶助は続けてやつていただけたならば、まことにけつこうと思います。  私の申し上げたいことは大体そうでありますが、もう二点、この点につきまして御配慮を願いたいと思います。生活保護法におきましては二百四十六億円だつたと思いまするが、これだけを計上していただいてありますが、私の町のデータによりますと、和歌山県の田辺市でありまするが、市全体の生活扶助を受けております者の二十三%が、戰歿者の世帯数になつております。もつともその中でも万呂とか秋津とかいうところは——万呂は五〇%になり、秋津は二十何パーセントというようになつておりますが、平均して二十三%になつております。西牟婁郡におきましては、これは地方事務所の調べによると三〇%というのでありますが、私はそれをずつと内輪に見積つても二〇%くらいにはなるのではないかと思います。これは政府の御研究いただきましたのとは大分開きがありますが、この点につきまして御研究をいただきましたら、その生活保護法の二百四十六億円の中から、その五分の一くらいはこの遺家族の問題の方へまわすことができるのではないかというような感じがするのであります。  それからもう一つ、この年金がふえまして日本の財政のがんになるのではないかというようなことを聞くのでありますけれども、もう子供も一番小さいので六歳になつております。十八歳になつたら與えられないということになるならば、もう十年もたつと、これはずつと減ります。私どものような者は、もう五、六年もすればみななくなるのでありますから、そういう点から考えてみまして、比較的長く残りますのは、今二十代ぐらいの未亡人の方がもらうくらいの程度でありまして、これは加速度的に漸減いたすものであります。そこらの点につきましても、将来非常に多額にいつて来るというあるいは御心配をお持ちになつておるかもしれませんけれども、これはそういうところに行くのであるから、来年度あたりは思い切つてひとついただきたいと思うのであります。  大体私はお願いいたしたいことを申し終つたのでございまするが、どうかみんなはこの四月には何とかなるというて期待をいたしておりますので、あまりに落膽をすることのないような措置をいただきまして、私どもは終戰以来お互いに励まし合い励まし合つて来ておりますので、今後もまた力添えをし合うて行きたいと思うのであります。先ほどお願いいたしましたようなお気持で、何とか納得の行くように、安心のできる、しかもいただいた者同士の中に片恨みの起らないような措置をお願いいたす次第であります。失礼いたしました。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 ただいまの吉信公述人の御意見に対し御質疑はございませんか。

水谷長三郎日本社会党

○水谷(長)委員 ただいま非常に切々たるお話を承りまして、私たち政治家として力の足りないことを恥じるものであります。そこで私端的に御質問いたしますが、この戰死者遺家族問題に関しては、当事者のあなた方からは言うまでもなしに、担当の大臣も気勢をあげられたのですが、ところが二十七年度予算で一番大きな論議の問題は何であるかといえば、再軍備かどうか、再軍備がよいかどうかということが大きな問題である。そこであなた方の戦死者遺家族の立場から、ざつくばらんに言つて、再軍備問題に対しては賛成か、反対か、これをひとつ簡単にお答え願います。

吉信英二近畿地区戰死者遺家族代表

○吉信公述人 その問題につきましては、私は家庭内におきましても、むすこと今までよく話し合うた問題でございますが、私どもやはり再び戦争をしないようにしたいというふうに考えております。そうして子供といつも話し合つたしまいに、結局はわれわれは戰おうとする国に対して、戰わないように日方の知識階級が呼びかけてもらいたい。あるいはインドのネールのような方、ああいう第三勢力と結んで、しつかりそういうような運動をして、われわれが戰わぬというだけではなしに、世界を戦わないようにしていただきたい、こういうような考えを持つております。しかしながら私は、われわれがいよいよということになつたならば、われわれがみずから戰いに出るということ、そういう侵略的なことは一切やめたいと思いますけれども、自分らの国はやはり自分で守るということだけは、堅持して行きたい、私の気持はそうなつております。

石野久男労働者農民党

○石野委員 今戰いしたくないけれども、自分の国は自分で守りたいというお話ですが、先ほどの公述の中に援護ではなくして、補償とはつきり言うべきだという強い御意見がございました。この補償という考え方でございますが、これは私どももこういう問題はでき得る限り社会保障というような意味で、ただ旧軍人だけではなしに、全体としての戰争犠牲者というものに国の政治が及んで行かなければならぬ、こういうふうに思つておるのでございます。実は私は補償ということをそういうふうな意味であなたの公述をお聞きしたわけであります。そういう立場からいたしまして、旧軍人に対する八百三十億の公債、八十何億かの公債利子というものだけでは物足りない。それから百五十何億では足りない。これは同感です。同感でございますが、生活保護費の二百四十億のうちの五分の一か四分の一かを、こちらにまわしていただいたらという御意見がございました。これは実は私ちよつとそのときの話がわからなかつたのでございますけれども、その御意見は、新たに設けられた援護のほかに、すでに今まで生活保護法でもらつておつたもので、これは既得権益だから、それも減らさないようにという意味のことでございましようか、どういうことなのでございましようか。

吉信英二近畿地区戰死者遺家族代表

○吉信公述人 本年度に限り、今までの通りに扶助を続けていただきたいと思います。私どものところで母子家庭がございますが、二人の母子家庭では、これは貝ボタンの女工をしておりまして、今受けておりますのは千百四十円であります。それが今度は二千六百円いただくことになります。それから三人の母子家庭では三千円いただく。これは千二百六十五円の生活扶助をいただいております。けれども実際生活扶助という面は、中に入つて考えてみると、ほんとうに最低生活でありまして、まだ私は不十分だと思うのであります。これは理論的にはそういうことはないのですけれども、なかなか電力の問題なんかで、毎月三千円なら三千円の収入があるという大体の見込みをつけますけれども、実際にそう行かぬものがあるのであります。そういうように考えますと、今年はそのままにしておいていただいて、来年度から——私ども扶助を受けておる方の気持を聞いてみたのでありますが、扶助を受けておることにほんとうに肩身の狭い思いをしておりますので、できるだけ早く出したい。私どももまた、なるべく早く自力更生するように激励をいたしておりますので、そういうような点からいいますと、今の五分の一ぐらいあるのをば、こちらにまわしていただいて、そうして戦争犠牲者に対しては、そういう心配をせず、比較的気軽な気持で受けさせてやつたら、そういうふうに願えたらという感じで、まわしていただいたらと考えておるのであります。

塚田十一郎自由党

○塚田委員長 公述人の意見の開陳は終了いたしました。この際公述人各位に一言申し上げます。本日は御多忙のところ御出席くださいまして、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べくたされ、本委員会今後の審議上、多大の参考になりましたことを厚く御乳を申し上げます。  これにて公聴会は終了いたしました。明十三日は午前十時より委員会を開会して、一般質疑を継続することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十五分散会

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