予算委員会 第8号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/02/04
会議録
○塚田委員長 会議を開きます。 本予算の各案を議題に供します。これより質疑を継続いたします。小峯柳多君。
○小峯委員 大きい荒骨の問題で運輸大臣に二つ、三つお聞きいたしておきたいと思います。 最初に新線建設に関する大臣のお考えを承りたいのでありますが、新線建設の審議会のその後は、そう活溌に動いておらぬように聞いております。しかし予算では、ことしは新線に対する予算が相当ふえております。また前に通過しております鉄道公債等の問題もありますが、これも実際問題としては、財政金融政策との兼ね合いもあつて使われていないように思いますので、そういう問題等を含めて、新線建設に関する大臣のお考えを承つておきたいと思います。
○村上国務大臣 新線建設につきましては、過去においては年々二、三百キロずつ進行しておつたことは御承知の通りであります。しかし戦後は戦時中荒廃しておる車両その他一般の設備の復旧ということに重点をおいて経営をして参りました。そういう関係上終戦後まつたく建設工事は進まなかつたのでありますが、本年度におきまして、とにかく経済自立なり国土の総合開発というような見地から、相当進捗をはかる必要があるということで、津軽線、赤穂線、窪川線この四十八キロ、三線の工事に着手しまして、大体昨年末に、いずれも開通を見るに至つたのであります。二十七年度は御承知の通り資金運用部の資金から借り入れる金額の中で二十億を限度として、建設をすることに相なつておるのであります。この具体的の路線の選定は、お話のごとく建設審議会の答申を待つて、尊重して決定するということに相なる次第であります。昨年の夏以来今までに数回本審議会また部会等を開かれまして今日に至つておりますが、今数名の欠員があります。その充実を待つておるような次第でありますが、近く欠員の充実もできると思いますので、そのあかつきにはただちに審議会を開いていただき、路線の具体的決定をしてもらいたいと考えておる次第であります。なお御承知の通り露骨に申せば、今後建設さるべき新線は、大体において不経済線たるを免れないのであります。自然独立採算制をとつております国鉄の財政に、相当の圧迫をもたらすものであると大体言えると思うのであります。従つてお話の建設線の資金はぜひ政府の出資によるか、あるいは鉄道公債によるか、しからずんば一般財政からの借入金によるかにして行かなければならぬと思うのであります。今後できる限り国土の総合開発なり、経済自立の観点から見まして、相当推進する必要はあると考えておりますので、進めたいと思つておるのであります。しかし御承知の通り鉄道敷設法の別表に予定線というものが列挙されております。これは七千キロからにわたつておるものであります。帝国議会の当時に予算を付して議会の協賛を得ておる線、すなわち建設線と称せられておるものであります。このいわゆる建設線なるものは四十八線あるのであります。延長にしまして大体二千六百キロあるのであります。この中で今日までに開業せられたものが九百二十キロであります。戦争熾烈なころに工事が中止になりまして今日に及んでいるものが、四百八十キロあります。未着手の分がその残り約千二百キロであるのであります。要するに、千六百八十キロというものが、建設線のうちでなお完成しておらない線であります。かりに一キロ当り五千万円を要する——大体平坦線は五千万円でできるはずでありまするが、かりに五千万円といたしますと、この千六百八十キロで八百四十億程度を必要とするのであります。もしこの建設線を五箇年間に仕上げるとするならば、百六、七十億の金が年年いる。十年計画でやるとしましても、八十四億円を要するというような次第であります。この資金をいかに捻出するかということが、この建設を進める上においての最も中心的な課題だと思うのであります。前刻申し上げました趣旨で今後盡力をしたいと思つておる次第でございます。
○小峯委員 一昨日大蔵大臣といろいろ話合いました中で、私は建設的なものはそろそろ公債引当てで考えてもいいのじやないかということを申しておいたのでありますが、大臣も財政政策と経済政策との関係は、経済政策が優位に立つべきものだというふうな言葉で言つております。但し今年の予算は御承知の通りのわけでありますが、大臣は非常に運輸に関しましては専門家の経歴を持つておる方でありますから、今言いましたような点で、特に建設財源として国債を強力にひとつ主張して実現するように努力していただきたいと思いますが、そういうことに対するお考えを伺いたい。ことに鉄道公債はほかのあれと違いまして、国有鉄道の信用等もありまして、割合に消化の点でも考えやすいのではないかと考えております。なおまた新線のお話がございましたが、二十七年度で着手しようとする新線の数は、どのくらいに予定しておられますか、合せて伺いたいと思います。
○村上国務大臣 建設工事資金の捻出につきまして、まつたく小峯さんと同じ考えを持つておるのであります。ただひとつ政府の出資という問題も考慮して行きたいと考えておるのであります。できる限り努力をしたい。そうして一般国民の要望に沿いたいと考えておる次第であります。なお二十七年度の建設線の数についてのお尋ねでありまするが、建設審議会がどういうように答申を御決定になるか、今のところまつたく不明であるのであります。ただ合理的な工事を進めるという見地からいいますならば、二十億円の建設費では六、七本というところが——まあ線の性質にもよります、工事の性質にもよりますが、多くも十本くらいが合理的ではないかと考えておる次第であります。
○上林山委員 関連して運輸大臣に一言お尋ねしておきたいのでございますが、二十六年度に、一般会計から二十億円の新線予算として繰入れてあつたものは、その後どういうふうに使われたか。聞くところによると、新線建設のために二十億円を一般会計からとつた金は、他の方面にも流用したかのごとく聞いておくのでありますが、そういう事実があるのかどうか。この点をお尋ね申し上げます。第二点は、帝国議会当時に建設線として予算を伴う決定をした線の話がありましたが、その後の経済情勢あるいは交通の情勢、その他を勘案して、これらは変更してさしつかえのないものであると、われわれはこう考えるのであるが、これはそのまま踏襲して行かなければならぬ性質のものであるかどうか。この二点についてお尋ねをいたしておきます。
○村上国務大臣 二十六年度の分につきましては、調査をしてからお答えいたしたいと存じます。 それから建設線をどの程度まで尊重して行くかということについては、これは審議会の御意向によることだと思いまするが、私個人の考えとしては、ただいまのお説とまつたく同感であります。
○小峯委員 次にこれからの航空活動についてのお尋ねなんでありますが、これはいずれ航空協定を結んで、もちろん平和的なものに限つてではあると思いますが、航空活動も許されて来るようになると思います。航空協定をどういう国々と結ぶお考えになつておるか。そうしてまたその協定の中で、航空に関する日本の動き方を、どの程度まで認めていただくようなおつもりでおるか。日本の航空活動に対する今後の見通し等を伺つておきたいと思います。
○村上国務大臣 ただいまの航空事業は国内航空運送事業会が一昨年公布せられまして、きわめて狭い範囲で今日行われておるのであります。飛行機の製作にしましても、修理にしましても、組立てにしましても、特に運航等につきましても禁止されておることは御承知の通りであります。今後平和條約が発効いたしましたあかつきには、何らの制限がないと申してさしつかえないと思うのであります。ただこれは諸外国と同じ制限と言えば制限なのですが、国際民間航空機構の様式、方法についてのとりきめが、国際間にはあります。これには準拠して行く義務がもちろんあります。それでこれらのことを内容とした航空法を制定する必要があると考えまして、今せつかく調整中であります。近く本会議に提案をして御審議をお願いしたいと思つておる次第であります。
○小峯委員 航空機の制限等についても、自然制限はなくなるという見通しであると思いますが、通産大臣お見えになつておりますから、航空機生産事業というものに対して、どういうお見通しを持つておりますか伺つておきたいと思います。
○高橋国務大臣 むろん私個人の考えでは、わが国に航空機の組立て工場、修繕工場、進んでは航空機の建設工場なども必要と存じますが、今何もそういう交渉は起きておりません。ただいまのところでは修繕工場が必要であろうという話くらいな程度であります。
○小峯委員 それから運輸大臣にもう一つ……。営業用貨物自動車の認可、免許に関することなのであります。御承知のように戦争中から貨物自動車の営業をいわゆる統合いたしまして、各県で一社、その後これが多少分解されている傾向にあります。まだ営業貨物の仕事に関しましては、きわめて制限された形でしか免許のやり方が進んでおりません。法律の規定からいいますと自由にやれるようになつておるのでありますが、実際上の運営ではまだ非常に制限があるように承知いたします。もちろん事柄の性質上、非常に弱い、託送貨物の破損に対する補償等もできませんような弱いものではいかぬと思うのでありますが、しかし同時に現在行われておるような制限的な営業免許の形もどうかと思うのであります。現にそのためにいろいろな弊害が出ておりまして、ナンバーを権利金でもつて貸すような傾向もあるのであります。あるいはまた、自家用車の名において実際営業活動をしているような面もありまして、貨物自動車の営業というものは、非常に乱脈をきわめておるのであります。そういう意味合いで、この営業貨物の状態というものを整備する必要から、少しこの営業貨物の行政に関して——少しどころではない、相当改善しなければならぬ面があるだろうと思うのでありますが、これに対して大臣どういうふうにお考えになつておりますか、伺つておきたいと思います。
○村上国務大臣 御承知の通り運送営業につきましては、これはすべての機関について言えることであります。荷主の信頼を受けて、委託を受けて、一定区間を輸送するのであります。従つてトラックによる荷物運送事業におきましては、荷主さんの期待、信頼を裏切らないような最小限度のものでなければならぬと思うのであります。そこでまた一方において非常に常業が乱立して不当な競争が行われるために、サービスが低下するということもまた避くべきことであろう思うのであります。そういう見地から今日の法制かできておると思うのであります。ただ、それに関連しておると申しますか、法の運用を誤つて御指摘になつたような問題も起つておるということは、私も承知いたしておりまして、ひとつ弊害をなからしむるように、格段なる考察と努力をいたしたいと思つておる次第であります。
○小峯委員 営業権獲得同盟とか、あるいは営業権獲得運動とかいう名前において、かつて営業貨物の仕事をしておつて、今それができない諸君の集まりが、かなり全国的に広がつて動いておるのでありますが、今大臣がおつしやつたような線をもう少しつつ込んで、こういう問題に明快な線を立てていただくように、努力する、考えるという程度でなしに、さつそくお帰りになつて自動車局長とも御相談の上、しかるべき手配を願いたいと思うのであります。重ねて御意見を承つておきます。
○村上国務大臣 ただいま御指摘になりました運動と申しますか、動きは承知いたしております。承知するとただちに種々研究を進めておるような次第でございます。しばらくお待ち願いたいと思います。
○小峯委員 通産大臣に少し貿易の問題でお話を承りたいのでありますが、日本の産業構造から言つて、輸出の問題が自立経済との結びつきにおいて、非常大きく出て来るわけでありますが、その経済の目標も一昨日来質問いたしておりますように、講和に伴う、独立に伴う新しい経費負担の問題があつて、日本の経済の盛上げ方をよほど積極的に持つて参りませんと、実はかじが取切れぬと思うのであります。ところで最近の貿易界には、いろいろな問題が御承知のように山積いたしております。そこで通産大臣といたしまして、こういうとき、こういう環境の中で、輸出の伸展、貿易の拡大をどういうふうに進めて行くか、いわば新しい貿易政策とでも言うべきものに関しまして、御構想を承りたいと思います。
○高橋国務大臣 お答えいたします。ただいまの御指摘の、輸出入とも、貿易は現在非常に重大なる問題が山積しておりまして、私もはなはだ憂慮いたしておる次第であります。たとえばポンドの蓄積の問題にいたしましても、研究すれば研究するほどむずかしいのであります。単にだれでも簡単に、今輸入がドル区域から来ているものをスターリング・ブロックの方に移す、あるいはドル区域への輸出を増進するというようなことは、これはもうぜひやらなくちやいかぬことでありますが、実際にはなかなか困難でありまして、はたしてそれがどの程度できるかということは非常にむずかしい。要するにこれはポンドの信用が悪くなつて来たというのが原因なのでありますから、日本だけの力でこれを解決するということは、なかなかできないのであります。 それはそれといたしまして、ただいまお尋ねの、現在の貿易について、私どもが今どういうふうに考えておるかという貿易政策と申しますか、お尋ねに対して、一応今私どもが考えておることをお答えしてみたいと存じます。お言葉の通り、講和後におけるわが国の経済の最大の課題は、自主経済のすみやかなる達成と、民主自由諸国との経済協力の強化であると存ずるのであります。この課題を解決するために、生産を増強するとともに、貿易の拡大発展をはからねばならないのでありますが、そういう観点から、今通産省で通商産業政策の重点をどこに置くかと申しますると、第一には電力、石炭等の基礎的動力源の強化拡充、第二には国際収支の拡大的均衡、第三には企業合理化の促進と工業技術水準の向上であると思うのであります。むろん第四に取上げなくちやならぬのは、中小企業の振興だと存ずるのであります。まず基礎的動力源の強化拡充につきましては、電力開発の緊急性が第一に取上げられるのであります。せんたつても私北陸の方へ視察に参りまして、北陸の大工場五、六を視察いたしましたが、どの工場もどの工場も、電力さえ豊富にあれば、現在の設備で二割あるいは四割の増産ができるはずであると考えておるといことであります。しかし、資本の蓄積も非常に窮乏いたしておりますし、資源も乏しく資材も乏しいのでありますから、施設の拡充強化ということが、なかなか困難なのでありますが、現在ではそういうふうに、わが国には遊休施設が相当あるのでありますから、電力さえ開発されまして豊富になりますれば、それらがそのまま生きて働くことになるのでありますが、この電力開発の緊急性にかんがみまして、政府は政府資金を最重点的に電力開発に投下する決心であります。さらにこれに加うるに、民間資金の活用と相まつて、事業用及び自家用を通じまして、急速に電源開発を促進する方針で、関係各省の間でこれが具体的措置を講じておる次第であります。次に、石炭の供給量の増加についてでありますが、石炭は二十六年度は二十五五年度に比しまして、五百六、七十万トンぐらいの増産になつております。この一箇年に五、六百万トンという増産は、今まででもほとんどなかつたことでありますので、幸いに順調に進んで来たのでありますが、しかしこれではまだ足りませんので、さらに増産を考えております。そのために、開発銀行の資金活用、採炭方法の改善、合理化などによつて、石炭の増産を促進し、本年度におきましては、大体二十六年度の一割増、四千九百万トンの生産を達成したいと考えておるのであります。これは二十六年度の増産の模様から考えますと、割合に楽に達成せらるるものと思います。むろんこれに必要な資金の供給を前提として考えますと、まず安心してこのくらいのものは増産ができるかと存じます。なお将来二十八年度にどのくらい増産になりますか、大体これは石炭の埋蔵量などから考えますると、五千三百万トンくらいがまず限度かと私は存じます。しいて出しますれば、まだ百万トン、二百万トンは出すことができましよう。またその年の事情によつて、ぜひ石炭が必要であれば、そのくらいはできましようが、あまり出しますことは結局長い目で見ますと、濫掘になるわけなのでありますから、わが国としては、大体五千三百万トンくらいが適当な出炭量かと私は見ております。ところで二十七年度に五千万トン近く四千九百万トン出すといたしまして、なおかつ需給の状況から見ますと不定するのであります。本年三百五十万トンぐらいの輸入ができて、初めて需給の均衡がとれるかと存じております。もつとも三百五十万トンの輸入の大部分は粘結炭なのであります。鉄鋼の方に使いまする特殊炭なのであります。 その次の国際収支の拡大、均衡についてでありまするが、最近におけるわが国輸出入の状況は、一方においてはドル不足の傾向を示し、他方においてはポンドの累積並びにオープン・アカウント諸国に対する出超傾向を示しております。これが解決をはかることは、焦慮の急務になつておるのであります。政府は常にわが国貿易の拡大発展を期しておるので、輸出を抑制する措置は極力これを避けまして、輸出振興外貨資金制度の有効適切な運用、輸出信用保険制度の拡充その他の施策によつて、この問題の解決に努力すべきだと存じております。スターリング地域に輸出市場を強力に展開するとともに、東南アジア地域の経済開発に協力することも、またこの展開策として重点を置く問題であります。また自由世界諸国なかんずく米国の軍拡計画の進展に伴いまして、わが国の経済の協力が要請せられておりまする今日、わが国としても国際的不足物資について、不要不急の消費を節約して、これらの輸出を確保することにより、経済協力の実を上げるとともに、ドル不足の緩和に資したいと考えておるのであります。 第三の企業合理化の促進、工業技術水準の向上についてでありますが、わが国企業の実績は、その技術、機械施設、生産能力、すべて著しく国際水準に立遅れておる状況でありまして、輸出振興のためには、基礎産業の生産設備を急速に整備充実することが必要であり、そのために政府はさきに重要機械器具の輸入について、今年三月までに輸出入の援助措置を講じておるのでありますが、その効果にかんがみまして免税期間をさらに延長することを考えております。なお本国会において審議されておる企業合理化促進法案も技術の向上、機械設備の近代化を促進することを目的としておるのでありますから、急速に御審議成立することを希望してやまないのであります。大体私の考えておるところは、そういうところであります。
○小峯委員 どうか簡潔にポイントだけお答え願えればけつこうです。昨日の新聞に一斉に輸出管理権を日本政府に委譲するというような記事が出ておりましたが、正式に政府にそういう示達があつたかどうか、またその記事によりますと、管理権は政府に委譲になつても、戦略物資等は依然として制限を続けるであろうというふうなことでありますが、はたしてそうか、そうだとすると、どういう根拠法によつてそれをやられるのか、その点を伺つておきたいと思います。
○高橋国務大臣 土曜日の午後にそういう通達を受取つております。しかしながらまだ占領下でありますから、実際の取扱いといたしましては、全然自由になるというわけにはいかんであろうと思います。
○小峯委員 それでは委譲されたということの効果はないと称してよろしいのですか。
○高橋国務大臣 実際の取扱いにつきましては、意見をサウンドするくらいのことはやつて行かなければならないと思いますが、将来は向うのそれに対する態度も非常に違つて来ると思いますから、相当に効果はあるだろうと思つております。
○小峯委員 三月危機というふうな言葉があるのですが、金融に関しましては大蔵大臣から心配ないという御答弁を得ております。しかし内容はむしろ弱体商社を中心とするいわば貿易上の問題で、この問題が相当大きく出ておるように思います。私どもの考え方では、戦後急速にふえました商社の信用参が非常に小さい、これは一般的の現象ではありますが、自己資本の割合に大きな商売を振りまわし過ぎておる。しかも先般来の安いときに安く先約したものを、いわばデリヴアリしなければならないような時期に来ております。そういう意味で弱体商社の問題を通産省はどういうふうに考えておられるか。これの改善策あるいは強化策を何かお考えになつておられましたら、お伺いしておきたいと思います。
○高橋国務大臣 三月危機とか、あるいは先の十二月危機とかいうような話が各地に起つておりますが、私は三月危機という意味をどういうふうに解釈するか存じませんが、大きなパニックが起るというような危機は、私はあり得ないのだと思います。そういうと私が楽観視しておるように聞えますが、しかし決して楽観税しておるのではなくて、日本の経済状態がほんとうの整理はできていないのですから、なしくずしに整理して行くというのが、ここ数年来の政府のやり方で、ことに金融というものを極度に調整しておるものでありますから、パニックというようなものは、起り得ないのだと思います。しかし楽観視するというのではなくて、日本の経済界は、三月危機でない、年中ある程度の危機はあるので、まだ数年は続くんだと私は信じております。
○小峯委員 もう二つ三つ題目だけ聞きますが、賠償機械、賠償工場の処理の問題であります。これは平和條約の中で賠償を役務賠償ときめておりますから、條約の発効と同時にこの賠償機械、賠償工場等は自由に使えるものと存じますが、お考えはどうですか。
○高橋国務大臣 たいへん実際にはむずかしい御質問なんですが、私もそう信じております。信じておりますが、現在ではまだそうは行つていないので、日本政府の方針をきめますというと、一つ一つの賠償工場につきまして一応向うの同意を求めておる、そういう手続をとつておるのであります。間もなくそういうことはなくなるだろうと思います。
○小峯委員 私は確信だけでなしに見通しを伺いたいのであります。先ほど申し上げますように、賠償を役務賠償とうたつておりますから、この設備の賠償はしなくともいいのだ。従つてそういう方針で確信を持つておられるのでしようか。実際問題としてもそういう見通しは持ち得られるかどうか、その点重ねてお尋ねしたい。
○高橋国務大臣 私もそう考えております。確信しております。
○小峯委員 もう一つ、輸出組合の問題をどうお考えになつておりますか。これは御承知のように、最近の貿易の状態を見ますと、日本の市価が不当に安い、また先安を思わするような状態でありますがゆえに、海外の買い方を控えさしている、こういう感じがするのであります。従つてこの問題に対して、ある程度の組合的なものを考えてやることの方が貿易を伸ばすゆえんにもなるし、また海外で心配しておるダンピング等に対して自発的に日本で手を打つというゆえんにもなるように思うのでありますが、かたがたこれがまた独占禁止法等にも触れます。どういう形のものをそういう環境の中でお考えになつておられるか。たとえばあなたの車中談か何かで読んだように記憶しておりますが、御構想を承つておきたい。
○高橋国務大臣 私は昨年入閣以前、民間におる時分から事業者団体法はもう廃していいだろう、独禁法は大幅の改正をすべきだという意見を持つておつたのですが、なかなかこれは私の期待しておるように進みません。従つて輸出組合というものは、これらの法令に抵触するので、まだ成立を見ることができないのでありまするが、私は仰せの通り輸出組合というものは、ぜひ必要だと痛感しておるのです。私はこれにつきましては、本国会中にぜひ何かの方法で皆様の御協賛を受けるような提案に進みたいと考えております。その時期等は今何とも申し上げかねます。私はこれはそういう決心を持つております。
○小峯委員 輸出組合に関する成案を得て国会に審議を依頼するようにする、こういう意味でございますな。
○高橋国務大臣 これは現在ではまだ政府の意見だけで、そういうものを提出するわけには行きません。非常にデリケートな問題もありますが、適当なときに私はぜひそういうものを提案したいと考えております。これはまだ閣議できまつているとか何とかいう問題ではなく、私の意見であります。
○小峯委員 どうか私の意見をひとつ固められて、閣議におはかりになつて、その許される範囲のものでいいのでありますが、至急その方向に進んでいただきたいと思います。それから先ほどいろいろお話の中に企業合理化の問題が出て、企業合理化促進法を早くやつてもらいたい。参議院で今やつておるわけでありますが、その法律が通りますと、政令かなんかでどういう業種にはこれを適用するということをきめることになつていると思います。もう参議院も間もなく上げていただけるのだと思つておりますが、その政令で指定する業種の種類、これをどういうふうに通産省としましてはお考えになつておりますか。
○高橋国務大臣 まだ関係各省の間できまつておりません。なるべく私は基礎産業の重要な面には、広く適用することにしたいと考えております。
○小峯委員 多分そんな御答弁じやないかと思いましたが、しかし通産省としてはこういうふうな線に持つて行きたいというような構想があると思つて承つたのであります。どうか早目にそれをおきめになつて——実はこれが相当大きく日本の商業の盛り上り方に影響があると思います。一昨日も大蔵大臣といろいろ企業の資本蓄積の問題でお話し合つたのでありますが、そういう角度から申しまして大切な問題と思いますので、遅滞なく案を固めてもらいたいと思います。 大蔵大臣が見えましたから、少し大蔵大臣にお話を承りたいと思うのでありますが、一昨日のお話で金融の長期金融と短期金融とのわけ方、またそれをだんだんれ仕訳して参りたいというお考えを伺つたのであります。私は長期資金の問題に関連して、少し証券市場の問題で筋道を立てて伺つてみたいのであります。大臣は長期資金市場としての証券市場というものの重さというものを、よく知つておられると思うのでありますが、この問題を国民経済的な意味で、もつと積極的に系統的に取上げて行くお考えがあるかどうか、これを最初に伺いたいと思います。
○池田国務大臣 産業資金の調達に、預貯金増強によりまする金融機関を通じてのやり方もさることでございますが、やはり長期資金といたしましては、自己資金を中心とし、社債発行等によつて調達することが本筋であろうと考えます。しかし何分にもインフレ時代には、えてして株価の上昇はないのが普通でございますが、今までも実際の会社の実力よりも相当低目の株価である。従つて増資もなかなかむずかしかつた。しかもまた経済力が非常に薄弱でございますので、急に増資をいたしますと、一昨年のように株もたれになり、また増資を阻害する、こういう関係がありますので、やはり金融界、経済力の情勢を見ながら、徐々とは申しますが、できるだけ早目に自己資本の増加をはかるような方法を講じて行かなければならぬと思います。幸いに株価も相当上向いておりますし、経済界もだんだん発展して行く段階でありますので、また外資導入——株価に対しまする外資導入等も言われておりますので、こういうことともにらみ合せまして、適当な方策を立てて行きたいと思います。
○小峯委員 株価の位置が割合高くなつて来ておりまして、増資もひところよりはしやすくなつておると思うのであります。大臣はこの株価の位置というものを、どういうふうにお考えになつておりますか。言いかえますと、この株価というものは、どういう原因でささえられておるというふうにお考えになりますか。私の考え方では、貨幣減価というふうな面が、株式の無償交付というような形で一つ現われておりますのと、最近投資信託というものがあつて、これをささえておるように思うのでありますが、そういう見方でさしつかえないでありましようか。
○池田国務大臣 お話の通りでございまするが、まず最近の法人の収益状況が、朝鮮動乱後相当上つて参りました。収益状況が上つたために、将来の見通しもある程度つきまして、お話のように、再評価を資本に繰入れるということができるわけでございます。しかもまた、投資証券で百四、五十億円の株式が、凍結と申しまするか、市場外に一応置かれることになりましたので、株もたれも解消する、こういうことがみんな兼ね合つて、今の株価に返つて来た、こう考えるのであります。
○小峯委員 私は今のお話の中で、投資証券によるささえというものは、このままの調子でどんどん続いて行くものだと、なかなか思いにくいのであります。御承知の通り期限もありまして、むしろ凍結しましたものをほどかなくてはならぬような時期もあると思いますので、そういう問題とも関連して、証券に対する考え方を固めておく必要があるだろうと思います。またそれとは別個に、お話になりました固定資産の再評価の問題でありますが、今の程度の固定資産の再評価で、大臣は大体所期する程度にまで行つておるとお考えになつておるか、あるいはこれをもつと進めて、固定資産の評価をあるいは価幣減価を、正式に企業会計の中に現わさなければならぬとお考えになつておりますか、伺いたいと思います。
○池田国務大臣 固定資産の再評価は、御承知の通り、取得当時と今の物価指数と比べまして、まだ一ぱいに行つていない。私はこの程度が適当ではないかと思います。しこうして今の問題は、再評価せられたものを資本に繰入れるか繰入れないかが問題であります。私としては、今の程度の再評価ならば、おおむねほとんどの会社は自己資本に繰入れるべきではないかと考えるのであります。しかし何と申しましても今の産業人は、よほど巧者と申しますか、内気と申しまするか、われわれが考えておるほど積極性が割合少いようでございます。そこで機会あるごとに産業人に、せつかく再評価したのであるから、しかもまた八割とか六割とか不当な、一見常識をはずれたような配当をせざるを得ぬということから考えてみて、再評価したものは早急に資本に繰入れるべきだという考えのもとに指示いたしております。
○小峯委員 私もまつたく同感であります。たとえば資本の蓄積が償却を通してしやすくなるという面からも、最近の配当が形の上では高率配当であるが、実際の資本の値打からいうと、そうでないということもありますので、今の御方針で積極的に進めていただき、どうか大臣の持つておられる積極性くらいのものを、少し教えてやつていただきたいと考えます。 関連しまして、株式の無償交付の問題でありますが、現在やつておる方法は、みな株数をふやしております。私はどうも株数をふやすというやり方でなしに、額面に載つけるような方法が考えられていいのではないかと思います。と申しますのは株式という商品は、これは消粍する商品ではございません。累積する一方でございますから、もし株数だけ重ねて参りますと、そのこと自体が株式の需給の圧迫になる原因をつくつておるわけであります。しかも国際的な経済に入りまして、コンマーシャル・ベースということが盛んに言われておりますが、今日本の株価の額面というものは、アメリカのドルに換算すれば、額面は十三セント幾らにしかならない。しかも同じ大の男が株券に対して払う手数、あるいは事務量にかわりはないわけであります。国際的な競争からいいましても、あちらで額面五十ドル、百ドルになつておりますのに対して、十何セントのものを扱つておつて、業者の営業が成り立つかどうか、実はここにも問題があるわけであります。そういう意味合いで、株数をふやすだけでなしに、額面に載つけることの方が、いろいろな意味で私は合理的なように考えておるのでありますが、こういうことはあまり言つておる人はないかと思いますけれども、大臣はどんなふうにお考えになつておりますか。
○池田国務大臣 まつたく同感でございます。昔は二十円株あるいは五十円株に限られておりましたが、今の増資のやり方は、株数をふやすというやり方がおおむねでございます。しかし中には電力会社のように、一株五百円株も出ておる。また映画会社でも五百円株が出ておる。こういうかつこうで行く方が、あらゆる面からいつて都合がいいのではないかという気持を持つておりますが、先ほどから申し上げますように、なかなか巧者な人が多いものでございますから——御説の通り、やはり株数をふやすのも株金額をふやすのも同じことで、方法としては私は御説に賛成いたしたいと思います。
○小峯委員 私は今まで証券に関する問題を勉強して参りまして痛感いたしますことは、証券に関する問題は、そのときどきに適当な対策の手が打たれて参りましたが、一貫した証券の政策というものにおいて欠けるところがあるのではないかというように考えております。私の認識不足かもしれませんが、大蔵省の部局の中に、この証券政策を担当するようなところがありません。証券取引委員会というものは、これは監督機関でありまして、ポリテイツクな意味で政策を立案して行くというような形になつておりません。従つて証券の政策というものは、大臣の頭の中、あるいは次官の頭の中にあるだけで、常時この問題を系統的に勉強して行つてくれるような部課がないではないかというふうに考えておりますが、証券政策というようなものの確立の必要と、それに応ずるような仕組みでお考えになつたことはありませんか。
○池田国務大臣 証券政策ということは、産業金融政策の中核をなすものでございます。私は最も重要な仕事の一つとしまして、毎日の株の動きとか、あるいは取扱数、こういうようなものは、何をおいても実は見ておるという状態であります。事務的には監督行政としての証券取引委員会がございまするが、大蔵省自体として、ことに大蔵大臣といたしましては、最も重要な仕事の一つとして、毎日見ております。しかし将来の問題を考えまして、やはりこういうのを一つの事務の仕事としてやつて行くことは適当と思います。従いまして証券取引委員会の問題と兼ね合せまして、常設の機関を置くかどうかということは、ただいま検討いたしておるのであります。従来証券の仕事は、相当の部門を持つておつたのでありまするが、証券取引委員会ができまして、まま子扱いのよりになつておるきらいがあるのであります。監督ということと、助成ということは、別個の問題であります。今のところは監督かたがた助成の方もやつていないことはございませんが、監督の方が強過ぎて、助成の方が弱いという点もありますので、今後の問題として検討いたしております。私は十分その方に頭を入れておる考えであります。
○小峯委員 助成の政策も、今の取引委員会の機構の中で実施できるというお考えでございますか。
○池田国務大臣 これはえてしてああいうものは先走りがちです。そこで監督機関というふうに思われるようでございまするが、取引委員会の方におきましても、取引と信用供與の問題、こういう問題につきましては、検討いたしております。
○小峯委員 産業資金政策の中の重要な一環だというお話で、私も同感でございますが、現状を考えますと、長期資金すなわち産業資金を担当すべき市場というものが、商業金融という、いわば短期金融とのつながりにおいて、むしろ商業金融、短期金融に首根つこを押えられておるような気がするのであります。そういう意味で、ひとつ担当する部局等もお考え願つて、積極的にお考えくださいませんと、今株価が割合に調子がいいのでありますが、これは先ほど来申しますように、特殊な投資信託というようなつつかい棒が、一つの原因になつておると思います。そういう意味で、ぜひそれをお考えいただきたいのでありますが、この機会に証券取引法という法律を改正するお考えはありませんか。なぜかといいますと、これも御承知のように、大分あちら様の好みが強く反映しておりまして、どうも少し実情から離れておるような面があるのじやないかというような気がいたします。証券取引所法というものを検討し直すお考えはありませんか。
○池田国務大臣 現在の証券取引所法制定の当時におきましては、非常な議論がございました。アメリカの制度を引きうつしにしているので、日本の実情に沿わないという議論が強かつたのでありますが、その後今の制度になれて参りましたのと、また向うの市場のいいところを実地見聞して来まして、従来の戦争前の日本の取引方法にまで返るということはよくないのではないかという中間論が相当出て来たのであります。私はまだ何と申しましても、証券市場その他金融等の方は、組織あるいは力が十分に行つておりません。そこで取引方法を今急に根本的に改正するという気持は持つておりませんが、こういうものはやはり経済力の充実発展の過程とにらみ合せて、適当な措置を講じなければいかぬ。根本的にかえるという気持を持つておりませんが、信用供與の問題あるいはこまかい点でかえる点は、私はあるのじやないかというので、検討をいたしております。
○小峯委員 今の信用供與の率の問題でありますが、現行のものを改善あるいは改正するお考えはございますか。
○池田国務大臣 これは私は今のところ研究の題目にいたしております。できればかえた方がいいのじやないか。しかしこれも御承知の通りいろいろな問題がありまして、今はちようどよくても、過当投機になればまたかえなければならぬし、証券関係の問題は、信用供與の割合とか、あるいは手数料の問題とか、いろいろな点がありますので、これで行かなければならぬ、これで三年も、五年も続くんだというふうなことは、これは実情に沿わないので、そのときどきかえ得るような制度にしたい。しかし御承知の通りに、なかなか今の状態としては、大蔵大臣の一存で行かない、一存で行かないときに変なかえ方をいたしましても困ると思いますから、もう少し様子を見て五、六箇月ぐらいしたら、ひとつ考えたいと思つております。
○小峯委員 取引の仕法の関係でありますが、清算取引の問題はどういうふうにお考えになつておりますか。
○池田国務大臣 清算取引の問題でございまするが、私はただいまのところ清算取引をやる気持はございません。やはり今の制度の実物を主体にしたもので行きたい。ただ受渡し期間におきまして、今十五日ぐらいになつておりまするが、大体いいのじやないかと思いまするが、受渡し期間の長短によつて、ある程度まかないがつくのじやないか。原則はやはり清算取引はやらないという原則で進んで行きたいと思つております。
○小峯委員 私は長期資金市場というものを充実する意味で、この証券市場というものは、ある程度まで自主的に運営する必要がありはしないか、今日のような金融状況ですと、先ほども触れましたように、短期の金融が長期資金の調達すべき市場を縛る、そこで市場独自の方法で信用を増加するような形を考えるとするならば、清算取引より方法はないと思うのであります。この内容につきましてもいろいろありまするし、また逝去の問題等もあるのでありますが、あたかも一般の商取引において手形を使うような意味において、この証券取引における清算取引というものが必要だ、今あなたも取引の受渡し期間についてもアローアンスの御答弁がありましたが、そういう精神で、こういうふうに金融の詰まつておるときこそ実は考えなければならぬと思うのでありますが、重ねて御意見を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 清算取引の問題はやつかいな問題でありまして、私はただいまのところ原則的に清算取引を認めるという考えは持つておりません。
○小峯委員 証券の話に関連してでありますが、連合国財産補償費の中に、株式の問題が百十四億とかいうように書いてあります。どういうことか、私今読みかねているのでありますが、どういうことでございましようか。
○池田国務大臣 これは私は正確に金額をおぼえておりませんが、たとえば東芝とかあるいは日本電気とか、連合国人が日本の会社の株を相当持つておつたのであります。それを返還する金額だと思つております。
○小峯委員 その連合国で持つておつた株式は、一応有償か何かで払い下げておるのではないかと思います。それを補償するとすれば、その払い下げたものを買いもどす価格と、払下げ価格の違いか何かということになるのですか。
○池田国務大臣 連合国人の持つておりました日本法人の株は、実は売つておるのであります。民間に出ております。それを買いもどしいたしまして、向うに渡すのでありまして、しこうしてただいま申し上げました会社につきましても戦争損害を受けております。また増資等の関係もありまして、そういうものを積算してそういう金額になるのだと思います。
○小峯委員 外資の問題を少し伺つておきたいのでありますが、外資導入の問題もありますが、最初に関連かありますので、外債の現在高、これを貨幣別に、フランでどう、ポンドでどう、ドルでどうというようにして、外債の現在高はどうなつておりますか。
○池田国務大臣 外債の方はドルで六千五、六百万ドルと記憶しております。それからポンドでこれまた六千四百万ポンド、それからフランが五億フランでございます。このうち問題になりますのは六千四百万ボンドのうち一九〇七年発行のポンド公債はドルとコンヴアートできることになつております。この一九〇七年にポンドで発行いたしました千八百万ポンドの外債は、ドルで払うことになると思うのであります。どつちで払つてもいいということになつておりますが、一ポンド四ドル三セントが二ドル八十セントになりましたから、英国で持つている人はポンドで払つてもらつては損だからドルで払つてくれ、こういうように主張して来ると思います。約款がそうなつている。そういたしますと、それがドルの方へかわつて参りますると、ドルが八千四五百万ドル、ポンドが四千六百万ポンド、こういうふうになると思います。今まで大蔵省で計算しておりましたポンド債というものは六千四百万ポンド、払うときにはドルの方へそれだけかわつて参りますので、そういう計算に相成ると思います。
○小峯委員 どうか資料として正確な数字を出していただいて、ドルで全額で幾らになるという御発表を願いたいと思います。 それから外債の処理の方針でありますが、買いかえができるものが相当あるとお考えになつておりますか。減債に関する賃金等も一部予算に組んでおるようでありますがどういう基本方針に沿つてあの数字を出しておられますか、伺つておきたい。
○池田国務大臣 外債の償還方針は、私の腹だけでだれにも言つしおりません。総理にも言つておりません。これは、これから外国との交渉でございますから、大蔵大臣がどういう考えを持つているということになりますと困りますから、一言も他へは言つておりません。ただ適当な方法で、適当な金額を払います、こういうことだけで、その償還の方法についての私の腹づもりは、ひとつお聞きにならないように願います。 〔「国会無視だ」と呼ぶ者あり〕
○小峯委員 これから先を追つかけますと野党になりますから……。 外資法の改正の問題、この問題は、先般大蔵大臣は何か御答弁の中でありましたか、予算の説明で外資法を改正したいとおつしやつておりましたが、外資法の改正の要点、どういうところをかえて行くのか、そのお考えを承つておきたい。これは伺つてもさしつかえないと思いますが……。
○池田国務大臣 先ほど国会無税だとおつしやいますが、今借りております外債の支払い方法についていろいろな方法がある。しかも安くして、條件は甘くしてもらうことがいいような場合もありますが、悪いような場合もある。たとえばイタリーは、外債の支払いにつきましては、アメリカとイギリスに対しその支払い方法をかえました。しかもアメリカ債権者の意向を聞かずに政府できめてしまつた。こうやつてみますと、イタリアは三十五年、三分の利子というので、非常に條件がいいようでありますが、イタリアの国債を持つておつたならばあとでひどい目にあうから、ああいうものは持たぬという空気が現われたならば、外資導入をわれわれ叫んでおる者として、條件をよくすればその場合いいようですけれども、あとで信用を失墜してはいけない。今まで世界各国で日本とノルウエーは、借金をデフォールトしたことはない、棒引とかまけてくれと言つたことはないという信用のある国として、日本は立つておる。そこでわれわれは日本のことも考え、また将来の外資導入のことも考えなければならぬので、いろいろなやり方はありますけれども、大蔵大臣がこれで行きたいと言つても、相手が聞くか聞かぬかわからない。相手のあることです。これはまけてもらおうと思つているのでありますから、それを大蔵大臣がここでどういう考えを持つているか、言わない方がいい。私は決して秘密外交ではありません。まだ一ぺんも話をしたことはないのでございます。話をする場合には、有利に考えて行かなければならぬと思います。 それから外資導入につきましての外資法の改正の要点は、今まで外資が入つて参ります場合のいろいろな條件があります。出て行く場合の條件もあります。今外国の方で日本へ入れたいという分は、貸付金よりも主として株式投資の方が多い。株式投資の場合におきましては、入つて来て、そうして配当をどれだけ出すということについて、出る場合の基準を何も設けてない。極端に申しますと、入つて来ることは認めるけれども、出て行くことはその都度々々だ、こういうことで、一役人のかつてになるような法律になつているのであります。ちようと蝶つがいなどで、入つて来るままで、出るときは戸があかぬというようなかつこうになつているのであります。今度は基準を設けて、入つて来るときの基準、出るときはこういう基準で出しますという基準、たとえば一千万ドルの投資があつたというときに、配当は適正な配当はもう許可なしにできる。一定の限度を越える配当については許可がいる。それからまた元本の送金については二年とか三年とか一応すえ置く。しかし四年目に千万ドル出るということは困るから、ある程度分割して出て行く。その分割の程度以内ならば政府の許可はいらない。こういうふうにはつきりした限度を設けて、その限度に従つて向うが投資を考えて行く、こういうふうにして行きたいと考えております。
○小峯委員 それは四月からやる御予定でございますか。
○池田国務大臣 さようでございます。本国会に出したいと考えております。
○小峯委員 それから今のお話の中に、適正な配当と適正を越える配当という意味のことをおつしやつておりますが、それはどういうことですか。
○池田国務大臣 ここがむずかしいところでございまして、先ほど触れられましたように、一株五十円だが、実際の価格は五百円も六百円もする。一株五十円で年八割の配当とすれば、五百円ならば八割でも八分である。そこで今までのように、一株五十円で配当が五円のときであるならば、その一割程度が出て行くことが適当の状態である。またものによつて一割二分ということになりましよう。今度は配当の一割とか二割とかいうことは、五百円も七百円もしているときに、配当の三分の一くらいしか出さぬということになると、五十円株が五百円で買われたという場合におきましては、買つた価格の何割ということにきめざるを得ない。今のような状態ですと、日本の配当率というものが実際に沿わないようになつておるので、経過的には一株についてなんぼ、投資金額についてなんぼということになると思います。
○小峯委員 最後に、国際通貨基金に加盟の時期、国際開発銀行に参加の時期、この時期をどういうふうにお見通しを立てておられるか。あまり早くない方がいい、もつと為替の実力をつかめるまで待てという意見も一部にはあるようでありますが、その時期を大蔵大臣はどんなふうにお考えになつて、どんな見通しを立てておられますか、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 この通貨基金の加入について、今お触れになりました、為替レートの問題がどうこうだから遅らすという気持は、私には全然ございません。三百六十円レートでけつこうであります。ただ問題は、先ほど触れられた日本のクオータ、割当の問題でございます。これは少くとも三億ドルのクオータをもらいたいということを主張しておるのでありますが、ある国等では二億ドル以上には行かない。やはり国際関係の微妙な点がありまして、二億五千万ドルならばいつでも入れましよう。しかし私は三億ドルを今主張してがんばつておるのであります。そこでクオータの問題もありますし、クオータがきまつたあと、現物のドルの払込みの問題がある。ドルの払込みにつきましては、私は今五千万ドル程度、五千数百万ドルを見込んで、さきの国会で二百億円の出資額を御決定願つた。その程度のものならいつでも入れますが、しかし聞くところによりますと、これは新聞だけでございますが、六千何百万ドル、こういうようになりますと、クオータを低くきめられて、出資をたくさんきめられるというふうなことでは、われわれとしては困ります。向うの言いなり放題になればいつでも入れると思いますが、そういう点がありますので、今あまり急がずに、できるだけ有利な條件で入つた方がいいのじやないか。自分は二月、三月に入れるという見通しを持つておつたのでありますが、今のところそういう問題がありますので、少し遅れそうだ、遅れてもできるだけ有利な條件で入りたい。二億ドルでは二等国と申しますか、三等国くらいになりますので、そういう点で今腹の探り合いをしておる状態でございます。
○小峯委員 そのクオータの折衝は現在やつておる過程にあるわけですか。そしてまた結果において、上半期中くらいにはかつこうがつくとお考えになつておりますか。
○池田国務大臣 極力三億ドルを主張いたしておりますが、これは各国が寄り集まつてやるのでありまして、たとえばアメリカは全体の投票権の三十何パーセント、イギリスは二〇%、濠州は何ぼ、こういう投票権できまる問題でございます。ある国々においては二億ドルを主張し、ある国は三億ドルを主張しておりますが、なかなか時日を要すると思います。二億五千万ドル程度ならば、もうすぐ行けます。しかし私は三億ドルを今主張してやつておる状況でございます。問題は、今の五千数百万ドルの二百億円で済めばよろしいのでありますが、二百億円以上の出資ということになりますと、補正予算を組まなければならぬということになりますので、そういう基金の払込みも、今まで御審議願つた程度で済ましたい。それは、国によりましては、払込みの金額がきまつても、弱小国などは払込まぬ国もあります。しかし私はそういうことはしたくない。はつきりきまつたものは払込みをしたい、こういう方針でやつております。
○塚田委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時三十分より委員会を再開して、質疑を継続することといたします。これにて休憩いたします。 午後十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後三時二十一分開議
○塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 岡委員より発言を求められております。この際これを許します。岡良一君。
○岡(良)委員 私は議事進行に関しまして動議を提出いたしたいと思います。 それは衆議院規則第五十三條にのつとりまして、前厚生大臣橋本龍伍氏を証人として、本委員会の決議をもつてその証言を求めるという動議であります。 その理由は、申し上げるまでもなく、戰争犠牲者、なかんずく戰歿者の遺族と、傷痍軍人、その他の国家補償の問題は、單にわが国だけではなく、国際的にも重大な戦後の跡始末の問題といたしまして、すでにイタリアや西ドイツにおいても一昨年十月にその法制化が終り、昨年度の予算においては相当大規模な予算措置をもつて国家補償の全きを期しておるのであります。従いまして、われわれ衆議院といたしましても、すでに数次にわたつて各党共同の決議で、院議をもつてその国家補償の徹底を要望いたして参つたことは御存じの通りでありまするが、なかんずく昨年五月以来厚生常任委員会は、特にこの問題のための小委員を設置いたしまして、無慮三十数回にわたる小委員会の議を経て、昨年十一月二十八日には厚生常任委員会の決議をもつて、強く厚生省当局にその決定の実現を要望いたしたのであります。その案を簡單に説明いたします。遺族の国家補償に関する要望書、戰歿者の遺族に対しては国家補償の観念に立脚し、援護を與えるものとし、左の事項に留意するものである。第一、その対象は軍人、準軍人、軍属、または未復員者にして、公務のため負傷し、または疾病にかかり死亡した者の遺族、なおこの要望書に関連いたしまして、中でも特に重要な点は援護の種類でありますが、その援護の種類といたしましては、まず第一に年金の支給、特に遺族年金の支給に関しましては、その支給の対象たる遺族の範囲及び順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母というきわめて広汎な範囲を含めておいたのであります。そのほか遺族一時金の支給や、また生活の実態にかんがみまして、増加加給の実現等を強く要望いたしたのであります。その結果といたしまして最近、昨年の終りから本年の初めにかけて厚生省原案なるものが、新聞で示されております。これを拝見いたしますると、戰歿者に対する国家補償の建前から、妻、十八歳未満の子供、孫、六十歳以上の父母、祖父母には年金を與え、それ以外の遺族には公債を支給する。補償基準の伍長の線において、年金は妻二千円、未成年の子供人につき千円、六十歳以上で扶養義務者のない両親は四千円、片親二千円、未亡人と同居する両親、祖父母、孫は一人につき五百円云々、この予算は総額三百九十億でありまして、その他に交付公債の一千余億円が見込まれております。この原案にいたしましても、先ほども申し述べました遺族援護に関する各党一致の小委員会の決定とは、おそろしく隔たつておりまして、たとえばこの原案によるところの補償の基準を伍長の線においていたしまするときに、戰争中における営外居住の伍長の月の所得は約五十円であります。これをベース・アツプいたしまして、それに対しまして適当なる遺族扶助率を加算いたしまするならば、当然三千円を上まわる数字が出るのでありまして、委員会といたしましては、一致した見解には到達いたしませんが、われわれはその委員会においても、かかる数字を強く主張したことは、委員長の高橋さんもよく御存じのことと存じます。そういうようなわけでありまして、われわれといたしましては、超党派的な気持からいたしまして、戰争犠牲者の援護に関してはできるだけ納得のいく方法を講じてもらうということが、今後国家が独立をして、経済自立のために国民が相携えて大きく奮い立つためにも、最も適切なる方途といたしまして政府の善処方を強く要望いたしておつたのであります。ところが今度提出されましたところの遺族援護の予算は、きわめて低調子であります。すでにこの予算書にも見えまするように、総額といたしまして、たとえば二百三十一億余円の障害年金、あるいは遺族年金その他更正援護なり、あるいは遺兒の育英資金というものが要求されておりますが、こういうことではなかなか容易に現在の遺族、ひいてはこの問題に対して重大なる関心と同情を示している国民を納得させることはできないと存ずるのであります。大藏省のただいま予算に提出されておられます数字を拝見いたしますると、れれわれはすでに衆議院の小委員会においても、遺族援護に関してはあくまでも国家補償の観念に立つてもらいたいということを、強く要求いたしておるのであります。しかしながら、依然として予算書に提出されておりまする政府の遺族に対する底意は、單なる一片の援護にすぎないのでありまして、この国のために強制的に尊い一命を失い、あるいはまた不治の疾患あるいは不具のために、生産能力を奪い去られ出た諸君に対する報い方は、援護というようなそういう考え方ではなく、あくまでも国が国の責任において、その一切のめんどうに対して補償に立とうという思いやりが、当然あろうと思うのでありますが、それが言いならわされている援護という言葉になつていることは、まことに遺憾にたえないのであります。しかもその内容におきましても、あるいは遺家族の年金が一千円であるとか、あるいは身体障害者のうちで特に重症なる者で、両眼を失つた者については年五万六千円であるとか、あるいは予算書を見ますると、七千六百人の高等学校や大学の遺兒に対して、育英資金が供されるのでありますが、われわれの調査によれば、一万四千人を上まわる大学、高等学校の遺兒がおるのでありまして、現在残されている母や、あるいは死に去つたところの父親にいたしましても、子供の育英ということは、ほんとうに心からの念願であつたろうと思うのであります。しかしながら、これは予算的にも、またその調査においても、きわめて粗漏であることは遺憾千万であります。そういうようなわけでありまして、われわれ衆議院の常任委員会で決定いたしまして、昨年十一月二十八日政府に送達いたしましたるわれわれの要望とはおそろしく違い、かつまた新聞紙の報ずるところによれば、その問題に関連いたしまして、厚生大臣の橋本龍伍氏は、その職を辞しておられるのであります。厚生大臣の橋本龍伍氏は厚生行政の主務大臣といたしまして、強くわれわれの要望に沿わんと努力されたのであるが、それがあえなくその職を辞されたのでありまして、これは決して一橋本龍伍氏の問題ではなく、国がこの問題を大きく取扱わんとする段階に立つて、厚生大臣たる国務大臣の職責において、その職を賭してまでも強く国家補償の線を維持されたことに対して、政府の中においてとうとうこの意見が用いられずして捨て去られたということは、われわれはこの重大なる問題を審議いたしまする場合におきましては、当然重要なる参考といたしまして、橋本龍伍氏の所感を十分に承りたいと思うのであります。(「その通り」)この点におきまして私は、衆議院規則第五十三條に基きまして、委員員が、委員会の決定をもつて橋本龍伍氏をこの席に証人として出頭を求め、その証言を要求されるところの決議に到達せられんことを希望いたす次第であります。(拍手)
○塚田委員長 討論の通告があります。これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 私は前厚生大臣橋本龍伍氏を、この国会の予算委員会に証人として出席を求めて、証言を求めるという動議に対して賛意を表するのであります。 大体この動議に対して反対を唱えておる自由党の諸君の一貫した考えは、この遺族問題について全然誠意がないということであります。第一に遺族の気持が——これは卑俗な出版物でありますが、これで見ましても遺族の気持がどんな気持か……。 〔発言する者あり〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○林(百)委員 たとえばこういう……。(発言する者多し)静かにしてください。ぼくの言うことが聞えないじやないか。
○塚田委員長 御静粛に願います。
○林(百)委員 たとえば私の見ました雑誌の中にも、この未亡人の苦衷として「現し世は苦しきものぞ生ることのただにうとまる今日このごろは」「火の気なく餅ひとつだに無き吾が部屋に鐘鳴り渡る除夜を告げつつ」あるいは「母の苦しみを知らで嬉々と戯れるいとし子の姿はまぶたはなれず」こういうようなのがおそらく遺族の全部の気持だと思うのであります。この遺族の気持を思うならば、だれを呼ぼうと、いかなる人であろうとこの委員会に呼んで、この一切の経過について明らかにするのは、国会議員の義務であります。このわれわれ国会議員の当然持つている義務を妨げるような自由党の諸君は、この問題については全然誠意を持つておらないか、あるいは吉田総理が自分の自動車の中へ犬を乗せて、遺族が前の晩から寒い夜、徹夜で砂の上にすわつている前を平気で通るような党主を持つておるから、諸君はここへ橋本龍伍氏を証人として呼ぶことに反対しておると思うのであります。しかもなぜわれわれが橋本氏を呼ぶかと申しますと、橋本氏は辞任するときにこういうことを言つています。「私の提議した案は單に予算の面からだけ見るならば、大蔵省案との相違は約八十億円であつて、敗政的にも措置が可能であり、また心配されている賠償交渉への影響も五十歩百歩というべきである。しかし両案の重大な相違点は、單なる金額の問題ではなく根本観念の問題にある。」(発言する者あり)君たちの同僚が言つているのだよ。自由党の入はよく聞いておけよ。「戦死者の妻や子と老父母に対して戰死者に代つて扶養の責任を果すことは、また傷痍軍人をしてその日の生活に窮せしめぬことは、独立国家の果すべき最小限の義務でなければならぬ。占領下既に七年、安易に慣れ責任所在の不明確になずんで、政策の決定に真劍味を欠いていると思われる。」これが橋本厚生大臣の辞任の際に表明した所信であります。 〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○林(百)委員 この、かつての国務大臣自身が……。 〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御静粛に願います。——御静粛に願います。 〔発言する者多し〕
○林(百)委員 静かにしろ。
○塚田委員長 御静粛に願います。——御静粛に願います。
○林(百)委員 われわれが橋本氏を証人として呼ぶ大きな理由は、かつて吉田内閣の国務大臣であつた人がみずから、吉田内閣は「占領下既に七年、安易に慣れ責任所在の不明確になずんで、政策の決定に真劍味を欠いていると思われる。」と、かつての国務大臣自身が、吉田内閣に対して、こういう重大な政策の批判をしているのであります。従つてわれわれはこういう重大な発言をしている人をここへ呼んで、そうしてかつて橋本氏が持つておつた遺族に対する国家補償の観念が、いつの間に池田蔵相のいう、單なるお燈明料代というような、こういう遺族を侮辱したような政策に変更されたかということを、ここで明らかにすることは、われわれ国会議員の責務であります。(「その通り」)またもう一つの問題は、池田大蔵大臣は占領下だからやむを得ないと言いますが、たとえば昭和二十七年一月二十四日の日本経済新聞によりましても、同じ占領下にある西ドイツでは全予算の二割を出して、この戰争の犠牲者に対して、全幅的な社会復帰のあらゆる方法を講じているのであります。しかるになぜ同じ占領下にあるドイツと日本が、このように遺族の問題に対して微弱であるかという批判に対しては、ドイツの国際的地位が日参本より高く、戰勝国に対する発言権が日本より強いということ、産業経済力が強く、復興がわが国より早いことと見る向きが多い。要するに池田大蔵大臣自身が、占領当局に対する発言権が弱いということ、植民地的な池田大蔵大臣であること、このことが遺族を苦しめておる。あなたが司令部には屈服していながら、日本の遺族に対してはお燈明代だといつてごまかしている本質がここにあると思うのであります。さらに財源がない、財源がないと言いますけれども、防衛出費あるいは警察予備隊費、安全保障費、一千何億に及ぶ厖大な予算を、新しい戦争犠牲者をつくるための費用に、あなたはつぎ込んでいるのであります。要するに、遺族の人たちの唯一の念願は、自分たちの苦しいのを助けてもらいたいということと、もう一つはこうした苦しいことを再び…。 〔発言する者多し〕
○塚田委員長 林君、討論の範囲を逸脱しないように御留意願います。
○林(百)委員 こういう戰争犠牲者を再びつくりたくないというのが、戰争犠牲者の唯一の念願であります。池田大蔵大臣並びに吉田内閣の一党は、再びこの戰争犠牲者をつくるような政策をとり、このために厖大な予算を組んでいるのであります。われわれはこの予算を当然戰争犠牲者にまわすべきものであるということを主張するのであります。従つてなぜこの厖大な軍事予算が組んであるにもかかわらず、單にお燈明代しか出せなかつたかという経過について、橋本氏と現厚生大臣を呼んで、ここで明らかにすることは、国会議員の当然の責務であります。だからわれわれはこれを要請するのであります。 最後にもう一つわれわれが申し上げたいことは、政府は戰争の犠牲者だけを苦しめているけれども、しかしかつての大将、中将、こういう戰争の大きな責任者は、自分の戰争責任を明らかにすることもなくして、またがつて鬼畜米英(発言する者あり)鬼畜米英ととなえて、若い者の命を捨てさしたこの大将、中将、高級将校たちが司令部と晩餐をともにして、再び日本の軍隊の復興のために協力することを誓つているのであります。(「取消せ」と呼び、その他発言する者あり)われわれはこういう新しい戰争政策を立てようとする現内閣のこの政策に対しては、徹底的に究明し、あらゆる方法を講じなければならないと思うのであります。しかも最高の戦争の責任者である皇室に対しては、ことしは八千万もの余分な予算を組んでいるのであります。こうして若い者を殺し、遺族を苦しめておる戰争の責任者に対しては、何らの責任を追究しなくて、遺族に対しては單にお燈明代で苦しめておる……。
○塚田委員長 林君は討論の範囲を逸脱しないように御留意願います。
○林(百)委員 ……吉田内閣を、予算委員会は徹底的に究明しなければならない。
○塚田委員長 もし御注意がなければ、発言を禁止いたします。
○林(百)委員 そのために橋本前厚生大臣を呼んで、この吉田内閣の売国的政策を徹底的に究明しなければならない。従つて私は、岡良一君の、橋本前厚生大臣を呼んで、この問題を徹底的に究明しようという動議については、もろ手を上げて賛成するものであります。これに反対するものは売国奴以外にはないと、私は結論をいたすのであります。(拍手)
○塚田委員長 討論は終局いたしました。 これより採決いたします。ただいま岡君より提出されました動議に賛成の諸君は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○塚田委員長 起立少数であります。よつてただいまの動議は否決されました。質疑を継続いたします。早川崇君。
○早川委員 私は民主党を代表いたしまして、戰争犠牲者の国家補償問題について質問いたしたいと思います。 第一に、過般の予算委員会におきまして、池田大蔵大臣は、自由党の尾崎委員の質問に対しまして、国家の防衛力の基礎は国民生活の安定が先だと、こういう発言をされました。私のお聞きしたいのは、国家の防衛力は、国民生活の安定だけではなくて、ほんとうに公共のために犠牲となつたかような人たちに対して、十分な国家補償を講ずることによるにあらざれば——二千億になんなんとする厖大な防衛予算、治安予算を計上しておるのでありますけれども、今後の日本の再建、国内治安の防衛はとうてい望むべくもあらずと確信するのであります。かような観点からいつて、一体今度の遺族援護と称する予算は、きわめて微々たるものであります。私は最初に大蔵大臣に、日本再建、治安防衛の根本である問題は、この公共的な犠牲になつた人に対して、十分な国家補償をすることから出発するのが、政治の根本であると思うのでありますが、その所見をまずただしておきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 防衛力の強化の問題から申しまして、国民生活の安定向上がその根底をなす——愛国心を鼓舞する上におきましては、どうしても国民生活の安定向上ということがなければなりません。また私はそのときも申し上げましたように、国民生活を安定させ、向上さすのには、やはり自分の国の治安を確保するということも、またうらはらで必要であるのであります。そういうことから、うらはらの問題をこの前お答えしたのであります。しこうして国民生活の安定向上、あるいは防衛力の漸増という問題からいたしましても、長い問われわれの希望が押えられまして、軍人遺家族あるいは傷痍軍人の方々に対しまする援護の手続が、いろいろな事情で遅れておつたのでありますが、今回昭和二十七年度から本格的にスタートできるということになつたのは、まことに喜ばしいことでございまして、私財務当局といたしましては、財政の現状並びに将来の国民の負担を考慮に入れつつ、最大限度の努力をいたしたのであります。戰争犠牲者には、お話のようにまずもつて軍人遺家族あるいは傷痍軍人の方を考えなければなりませんが、しかしあるいは軍人恩給の問題とか、在外財産の問題とか、また国内的にも戰争犠牲者は相当あるのであります。しかし私どもとしては、とりあえず何をおいても軍人遺家族の援護措置をできるだけ早く、多くとらなければならぬという考えのもとに二十七年度予算に、御審議を願つておるような金額を計上した次第であります。
○早川委員 今大蔵大臣は、この戦争犠牲者の本格的な援護という言葉を使われましたが、これはどういう意味なのですか。
○池田国務大臣 御承知の通り、終戰直後からこの問題を取上げまして、議会でも相当議論したのでありますが、連合軍司令部の指令がありましてできなかつたのであります。しかるところ昨年の八月ごろから、この問題が相当大きくクローズアツプいたしまして、そうしてまず一億円の調査費を出して調査して、昭和二十七年度から本格的な案で行こうとしたのであります。しこうして本格的と申しますのは、軍人遺家族並びに傷痍軍人、また軍人遺家族の中でも、母子の関係、父母の関係等につきまして、一応の考え方をきめて予算を計上して行く、これを本格的にと申します。
○早川委員 今日まで遺族については、いろいろな対外関係あるいはまた占領軍の関係で、十分な援護ができないということを理由にしておつたのであります。ただいま大蔵大臣は、本格的にこの問題と取組むことができるようになつたという、きわめて重大な発言をされたのでありますが、この遺族援護の予算並びにそれに伴つて生ずる法案に対して、一切、関係当局がどうこうとかいう理由は、私は了承いたしません。 そこで次に私は、この戦争犠牲者問題の根本的な観念の問題から質問を展開し行きたいと思うのであります。大蔵大臣の本予算委員会における説明要旨を読んでみますると、その中で、この問題は援護という言葉であらゆる説明をいたしておるのであります。ここに現政府のこの戰争犠牲者問題に対する根本的な観念の誤りがあると私は信ずる。橋本君が辞任されたのも、先ほど林君の賛成討論にもありましたように、八十億の問題じやない。根本観念の問題だと、この声明にも載つておりましたが、私はここに全国二百万になんなんとする、それに伴う一千万に近い戰争犠牲者が、政府のこの案に心から同調できない根本の原因がひそむと思う。そこで私はこの問題について、まず法律的観点から質問をいたしたいと思うのであります。昭和二十一年二月一日のポツダム勅令六十八号というものが、この戰争犠牲者の援護の給付を停止しておるのであります。そこで私は、池田大蔵大臣——政府のだれでもけつこうですが、このポツダム六十八号勅令の意義を聞きたいのであります。言いかえれば、ポツダム六十八号は独立と同時にこれは失効するものであります。失効するものかどうか、それをまず伺いたいのであります。
○吉武国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘になりましたように、現在のところでは昭和二十年十一月二十四日に出ておりまする指令によつて、そういう軍人、遺家族等に対する年金はとめられております。しかしながら独立いたしましたあかつきにおきましては、当然こういう問題は取上げて行かなければならないかと思うのであります。
○早川委員 取上げて行かなければならないということは回答にならない。これは占領軍が軍人並びに遺家族に懲罰的な意味を持つた政治的な一つの絶対命令だ。当然講和独立後、これは停止が解かれると見るのが穏当であつて、これに対する御見解を聞いておるのであつて、それをお答え願いたい。
○吉武国務大臣 ただいま申し上げましたごとく、独立いたしましたあかつきにおきましては、これらに対する停止は解除して行かなければならない処置をとるべきだということを申し上げたわけであります。
○早川委員 しからば軍人、遺家族の恩給法上の権利は、私は当然復活するものと考える。という理由は、恩給法の昭和二十一年の法律第三十一号の附則第二條にこういう言葉がある。ちよつと読んでみますると「従前の規定による公務員に準ずべき者については、なお従前の例による。」となつておる。従前の例によるということは、この恩給法以前の従前の例によるという解釈が、衆議院の法制局においても、あるいは参議院の法制局においても、私の調べたところでは、軍人、軍属が入るんです。従つて今の吉武さんのお答えは当然ポツダム勅令六十八号によつて停止せられておつた。遺族扶助料というものは、今のお説でこれが全部効力を失うから、当然遺族扶助料というものが既得権として復活すると解釈すべきものだと私は思うのだが、政府の御見解いかん。
○吉武国務大臣 独立後に特別の処置を講じませんければ、あるいは復活をして来るかもしれません。しかし先ほど大蔵大臣も申しましたごとく、遺家族の問題以外に軍人恩給等の問題もございますし、ただちにこれらをそのまま復活いたしますることは、今日の日本の財政におきましては相当困難かと思います。従いまして今回われわれのとりました処置は、さしあたりこれらの遺家族の方々に対してあまり放置することは許されませんから、暫定的な措置として援護の方法を講じたのでありまして、根本的な問題につきましては、できるだけ早い機会に何らかの機関を通じまして、根本的な措置を講じなければならない、さように思つております。従いまして、かような根本的な処置を講じまするまでは、暫定的に恩給は一時停止、あるいは現状のままで行かなければならないかと思いますが、これらの問題は、先ほど申しましたように、いずれ根本的な研究をいたしました上に取扱いたいと思つております。
○早川委員 ただいま厚生大臣はポツダム勅令が廃止になると、当然既得権としての恩給法上の遺族扶助料が復活する、復活するから何らかの措置を講じたいと言われるが、どういう措置を講ずるのですか。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたごとく、措置を講じませんと、遺家族の問題なり、あるいは軍人の恩給の問題ももとのまま復活して参ります。それは現在の状況においてはできませんから、しばらくの間停止をされた状態に置きます。しかしながらそういたしますれば、皆さんがお話になりますように戰争犠牲者の遺家族の方にはお気の毒であります。われわれはできるだけ早い機会に、これらの方々に対して何らかの処置を講じなければならぬ。それがようやく許されまして、昨年の補正予算において、一億ではありましたが、調査費を組んで、そうして調査がだんだんと進んで参りましたから、来年度予算においては、わずかではありますけれども、わが国の財政の許す範囲において、遺家族年金及び一時金を計上いたした次第であります。
○早川委員 しからば法律上はそういつたものが当然復活するから、それは既得権であるけれども、国家の財政しただちに百パーセントの支給ができないから考える、こういう意味でありますか。
○吉武国務大臣 さようでございます。
○早川委員 私は全国一千万に近い戰争犠牲者に対して、きわめて重要な発言をされたと思うのであります。言いかえれば、ポツダム勅令六十八号がなくなると、当然恩給法の附則第二條によつて軍人並びに主として遺家族がもらうべき遺族扶助料をもらう既得権ができるのです。またあるということを御表明になつたのであります。しかし財政上の理由で云々ということになるわけでありますが、私はこの発言は池田大蔵大臣の援護とかいうことと、根本的に違う観念だと思うのです。言いかえれば、国家補償の観念を率直に厚生大臣が法律上認めたことになる。当然遺族はとる権利があるのだけれども、しかし財政上の事情で、全額が給付できないということの表明でありまして、私はよほどこの問題は慎重に考えなければならないと思う。なぜならば憲法に関係するからであります。憲法二十九條を御存じかと思うのでありますが、国民の財産権の規定があります。今吉武厚生大臣は軍人遺家族の恩給法上の既得権をお認めになりましたが、今予算に出ておる二百三十一億では、おそらくその財産権の侵犯になるのではないか。ほとんど給付し得ないところがあるのではないか。もし公共の福祉と言われるのであれば、納得し得る説明が必要である。私はこういう意味において池川大蔵大臣並びに吉武さんが、今までとつておられました援護という概念が、この委員会において根本的にくつがえつたと思うのですが、どうですか。
○吉武国務大臣 私が先ほど申しました発言を誤解されておると思います。現在恩給は停止されておりますから、既得権は発生いたしません。これが復活をいたしますれば、そのときから権利が発生するでありましよう。従つてそれは、先ほど申しましたごとく、何らの処置を講じませんければ、そういうことになるでありましよう。そこで今日の状態においては、遺家族ばかりでなく、軍人その他についての恩給をそのまま復活をするだけの余裕がございませんから、しばらくの間援護いたしまして、その間に根本的な問題を考えてやろう、こういうことであります。従いまして今のお話になつた憲法上権利の侵害ということにはならないと思います。
○早川委員 私は別の観点から伺いますが、たとえば文官の例をとつてみますと、追放解除になつた人は、ただちに恩給権が復活をして、それを仮定俸給に直して、多大の扶助料なり、あるいは恩給による給付を受けるのであります。もしポツダム勅令が失効いたしました後において既得権ができた、ところが、百パーセントでなくても、少くとも全国の遺家族なり傷痍軍人が納得する国家補償でなかつた場合に生ずるもう一つの大きい問題は、憲法第十四條に、すべての国民は法の前に平等である、こういう規定がございます。法の前に平等であるというこの規定から考えましそ、私は追放にまでなつたいわゆる戰争の責任者——戦争責任者として追放になつた人までが、追放を解除されたら、いわゆる恩給法上のいろいろな給付を受けるが、一般の兵隊さんは追放になつていません。一部の職業軍人あるいは戰犯者を除いて、追放になつておらぬ。言いかえれば戰争責任というものはないのです。ただ占領軍の高等政策の懲罰的な意味において、ポツダム勅令六十八号によつて停止されておつた。そうして今度はそれが失効になつた後において既得権が復活する。その場合に文官と非常な大きな差のつくような——今予算に上つている二百三十一億というものは、こんな大きな差がつくのです。法の前に平等であるべきものがそれほど大きい差をつけて、あなたは憲法違反にならないと思うのでつすか、一ぺんその意見を聞きたい。
○吉武国務大臣 法の前に平等といわれましても、やはりその現状に応じて竹かなければなりません。従いまして憲法違反とは私は考えておりません。
○早川委員 どこが違うのですか。国民の納得行くような説明をしたまえ。どこが違うのですか。その理由を聞きたい。憲法違反じやないか。
○吉武国務大臣 憲法違反ではございません。
○早川委員 大蔵大臣は、ただいま厚生大臣が既得権である、既得権が生ずるのだという見解を示しましたが、大蔵大臣はどういう御意見ですか。
○池田国務大臣 ただいまのところポツダム政令によつて恩給権は停止せられておるのであります。従いまして請求権はございません。平和回復後におきましてこの権利が復活する場合において、いかなる措置をとるかということにつきましては、ただいま厚生大臣がお答えした通りであります。
○早川委員 それではあなたの援護思想というものは、国家補償というものにこの委員会でかえられたのですか。
○池田国務大臣 私は弔慰金を出すということにしておりますので、その弔慰金が援護になるか、何か共産党の連中はお燈明代だというようなことを言つておりましたが(「失礼なことを言うな」と呼び、そう他発言する者多し)そういうものになるかは別として、弔慰金として予算の種目は援護費として出しておるのであります。 〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○早川委員 もう一つ、それではさらにつつ込んで厚生大臣あるいは木村法務総裁にお聞きしたいのですが、ポツダム勅令が失効する後に何らかの法的措置を講ずるという意味は、ただいま申されました既得権というものを認めた上で、その百パー七ントが給せられないから、何らかの措置を講じたいというわけでありまするが、私が申したいのは、憲法第十四條の平等権を侵さない程度の、あるいは遺族が納得行く程度の国家補償をするような内容の法律案を、このポツダム勅令の失効直後に出すという、こういう意味でありますか。私はこれをなぜ聞くかというと、今予算に出て来ている二百三十一億というものは、私は池田大蔵大臣が本格的に遺族問題を取上げられる権限があるにもかかわらず、あまりにもこの既得権というものは月とすつぽんほどのひどい差のある案だから、あなたのポツダム勅令失効後出そうというその法律の内容は、もう少しましなもの、いな、遺族すべてが公共の福祉の上から納得し得るものでなければ、これをどうしても憲法違反になると思うので、その内容の概略をお聞かせ願いたいと思うのであります。
○吉武国務大臣 大分誤解があるようでありますが、私は先ほど申しましたごとく、今日恩給が停止されておりますから、既得権が出るのではありません。そこで復活すれば復活したときから、その内容に基く権利が発生するのであります。従いまして、今回とりました処置は、そういう根本的な問題を取扱いますのには日にちがかかりますし、差当つて遺家族の問題をほうつておくことは、われわれに許されないと思いますから、今日の財政の許す範囲において、一時金として八百八十億の公債を交付し、そうして年金その他の処置として二百三十一億円を支給することにすべく、今予算案を出しているわけであります。
○早川委員 あなたは講和條約がいつ発効するか、ポツダム勅令がいつなくなるかということをお忘れになつたような議論をしておられる。もうすぐ失効するのですよ。もう批准は、おそらく通常国会が開催されている間において批准されれかもしれない。しからば、私はその権利が生じたときに考えるというのであれば、当然補正予算を考えるということにもなろうと思う。ところが池田さんは片方で補正予算は組まぬと言つておられる。もう一年延ばすのですか、その間はほつておこうというのですか。これは一番大事な問題だ。
○吉武国務大臣 ただいまお答えいたしましたごとく、その間ほうつておけませんから、さしあたり一時金として八百八十億の公債を出して、そうして二百三十億の予算を計上したわけであります。
○早川委員 しからば何ゆえ恒久的なにおいのする年金とか、ああいう言葉を使われるのですか。それこそポツダム勅令が失効するまでのほんとうのお燈明料として全部にばらまくべきもので、年金とか恒久的なものを、何でこの法案において出されようとするのです。その根本的の観念が違つておる。ごまかさないでください。
○吉武国務大臣 毎月々々何がしかの手当を出すことがいいのではないかと思いまして、そういう案を考えて予算を出しております。そうしますと、これを普通の観念では年金と言つてさしつかえないと思います。
○早川委員 あなたはこの前の遺族大会で、もうしばらくお待ちください……。最敬礼をして、遺族諸君に、まことにお気の毒だが、もうしばらくお待ちくださいと言われた。私はその意味はポツダム勅令失効後は、ただいま遺家族が非常に不満を持つておるこの案を改めて、納得する年金なり、遺族扶助料なり、あるいは家族加給をやられるという意味だと思つておるのですが、その点はどうですか。
○吉武国務大臣 私はそういう意味もございますので、根本的な問題は、将来考えるほかない、従つてわれわれは、審議会等をも設けまして、そういう基本的な問題は、至急に研究をするということを言つておるわけであります。
○早川委員 池田大蔵大臣にお聞きしますが、あなたは補正予算は組まないと言つておる。今の御説明では、何らか考えて、当然補正予算は組まなければならぬ。大蔵大臣と厚生大臣と意見が違うじやないですか。
○池田国務大臣 違わないのでございます。お考え願わなければなりませんが、軍人恩給の問題と、遺家族の方、傷痍軍人の方々と重複する場面もありますし、また必ずしも重複しないのがある。そこで私は現在の生存軍人の方にも、まことにお気の毒でございますが、何をおいてもまず遺族の方々に敬弔の意を表するために、弔慰金を出さなければならぬ、こういうので、予算を組んだのであります。従いまして、軍人遺家族の方には、とりあえず今申し上げましたような金額でスタートいたしました。しかし残つておられる遺家族でない軍人の方、またなくなられた軍人の遺家族の方の恩給法の問題は、また別途に調査を始めようというので、昭和二十七年度には調査費を一千万円組んでおるのであります。従いまして軍人遺家族または傷痍軍人の方は、昭和二十七年度から本格的にスタートいたしまするが、軍人恩給の観点から見た場合において、これは軍人恩給の支払い方法をどういうふうにきめるかによつて、また軍人遺家族の今度の分がある程度かわることも起つて参りましよう。軍人恩給のあの規定を施行いたしますると、私の計算で八百億円いるのです。しかしそれだけでは参りますまい。軍人遺家族の弔慰金を考えなければならぬというので、本格的なスタートを遺家族と傷痍軍人の方方に対して出しているのであります。この点は将来の財政の問題から申しまして、よほど御考慮願わなければならぬと思います。二百三十億円はちつぽけだ、八百八十億円は少な過ぎるとおつしやいますが、それでは昭和二十八年度に今御審議願つております昭和二十七年度の予算を平常化したら、四百億近くなる。そうして軍人恩給をどういうふうにやつて行くかということは、これは国民経済の上から、財政の上から、重大問題であります。こういう点をよくお考えをいただきたい。日本の今の税負担の問題、将来の問題等から、私は精いつぱいの援護資金を出したつもりであります。しかし将来は一時恩給の問題もありますので、われわれは誠意をもつて、遺家族の方々あるいは軍人の方には、財政の許す限り、国民経済の許す最大限度に、やることをここに申し上げます。
○早川委員 この問題は、既得権が復活した後にいろいろな審議過程を経て、この既得権者が大体納得し得る、しかも国家財政の見地からいつて無理 のないものという結論が出た場合に、今のこれを二十八年の四月までほつておかないで、何らか予算措置を講ずるということは、お認めになられますか。
○池田国務大臣 私は原則として、本予算を組む場合におきまして、補正予算を組むということは、今までも言つたことはありません。しかし財政経済は生き物でございます。必要あらば補正予算を組むことあるべきでございましよう。しかしこの軍人遺家族の問題で相当議論がありますと同じように、軍人恩給の問題につきましても議論があると思います。従しまして審議会を設けて、愼重に審議をして行きたいと思います。しかしこれはやらなければならぬことでございますし、できるだけ早くやるに越したことはありません。少くとも昭和二十七年度中には結論を出して、しかも二十八年度からやるとすれば、二十七年の秋ごろまでには出してもらいたいという考えであるのであります。
○早川委員 木村法務総裁に法律的な立場からお聞きしたいのですが、ポツダム勅令失効後ただいまのようなひどい保障ということは、與党の方は知りませんけれども、明らかに既得権が復活しているものに対して、憲法第二十九條、憲法第十四條、両條の侵犯である。現在の政府はあるいは再軍備の内容を持つておりながら予備隊と言い、あるいは先般の予算委委員会の継続審議の問題も、とうとう憲法違反でないと言つてつつぱねましたけれども、私はこの問題は、政府のお考えになつているような、そう簡單な問題ではないと思うのであります。なぜなれば、ほんとうの法律専門家がこの委員会においても既得権を認めたのであります。同時に、ただいまは権利は発効しておりませんけれども、もう二、三箇月すれば、当然法律上権利が出て参る。これに対してほとんど盡すべきものを盡さないで、一年間ずつと審議するという理由でほおかぶりをして、遺族その他が満足するかどうか、私は疑問だと思うのであります。何ものにも増して政治の根本は、法を守り、法の趣旨に沿わねばならぬのに、それとは月とすつぽんほども違うことをやつて、池田さんは公共の福祉のためにこの程度でやめるのだ、国家財政の上でやれないと言うのだけれども、ドイツはやつているのです。先ほども話がありましたように、二二%も出しておる。四千七百万のドイツ人がそれだけ出しておる。さらに今度の予算を見ましても、あるいはインヴエントリー・ファイナンスに三百五十億組んでみたり、あるいは防衛費という全然わけのわからぬ費目があつたり、五百何十億という安全保障費を出してみたり、これで国民は納得すると思いますか。法律の解釈というものを、そうかつてに何・度でもまた法律をつくつて、審議会を設けて一年延ばすというように、そこまで法律の解釈をでたらめにして、これが法治国家と言えますか。木村法務総裁の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 いろいろ御議論がありますが、すべてものというものは簡單に行くものではありません。この問題についてはわれわれも真剣に考えておるのであります。あとでゆつくりと具体案について詳細にお述べしたい。それはおそらく遺家族の方々も満足されるであろうと思つております。いずれ詳細に述べますが、この憲法解釈の問題でありますが、これはいわゆる国家財政、公共の福祉、その他あらゆる観点から見て、そうして愼重審議して、それをいずれにすべきかということであれば、これは必ずしもすべての人に平等に行かなくとも、これは憲法違反ということにはなりません。
○早川委員 大蔵大臣は現在の財政上二百三十一億よりは絶対に給しないという御意見でございますが、まことに残念ながらこの予算の中に盛られておる遺族援護費を見ますと、わずかに総予算の二・七%、あるいは公債をも予算総額に含めますと、予算の中で二・三七%がこの遺族の受取る現金でございます。これに対して私は先般ドイツへ行つたときに、実地にシユトルヒ労働大臣にお会いして、向うの戰争犠牲者の予算を見ますと、予算の二〇%を占めております。従つて日本は戰争未亡人一人に対して千六百円の案になつておるけれども、ドイツは日本の円価に直して七千七百四十円、四千七百万のドイツ国民が、これだけの援護を戦争犠牲者に與えておるにかかわらず、八千五百万の人口のわが日本が——しかも戦死者の数はドイツと日本は同じ二百万であります。どうしてこんなに大きい差ができて、なおかつ二百三十一億がぎりぎりの限度であるか……。 〔委員長退席、苫米地(英)委員長代理着席〕 厚生省案すらのめないということは、私は予算全般の観点からいつても、国民が納得できない。片一方においてはそういうインヴエントリー・ファイナンスとか、いろいろつつつけばつつつけるこの予算案をたくさん出しておる。私はその点が大蔵大臣の予算編成に対する、遺族の問題に対する熱意の不足ではないかと思う。最初に申し上げたように、日本再建の根本は單に経済の安定だけじやない。公共的な犠牲になつた者に対して、十分の国家補償をするということが、家庭をつくり、村をつくり、国家をつくる根本精神だ。そこに少しお考えの違いがあり、あまりあなたはそういう問題について、何といいますか、少し独善的なように私も思うのですけれども、どうしてそういう点をのめないのか。私はあなたの財政の配分に対して疑問を持つのであります。その点大蔵大臣の御意見を伺いたいと思うのでございます。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。一国の予算というものは、毎年毎年てのひらを返すように予算はかえられるものではございません。もしかりによそに例をとるならば、イギリスは社会保障費として予算の三十七、八パーセント出しているのだから、日本も社会保障費を三十七、八パーセント出したらどうか。ドイツは数年前から軍人遺家族等についての措置を講じておつたのであります。そしてドイツは終戦直後からやつておりましたし、そのころの状況からマルクの切下げとかいろいろな方法をとつた財政で、そういうふうにしておるのであります。日本も将来これをしないというのではありません。私は軍人遺家族の方々に対しましても、できるだけのことは今後考える。また軍人の恩給につきましても、遺家族と兼ね合いの問題がありますから、今後考える。こういうのでありまして、賠償も、あるいは防衛の強化もしなければならぬ日本として、スタートから今ただちにドイツの並に出せというのは、これは無理でございまして、これは国民所得も違いますし、また経済の状況、予算の立て方等も違つておるのであります。いろいろな観点から、私はスタートとしてはこの程度で行きたいと思います。インヴエントリー・ファイナンスの問題は、さきの国会でもあなた議論になりましたが、こういうものを置いて、日本の経済を生成発展させるためにやる、インフレの危機を除くためにやつておるのであります。ドイツのように終戦後インフレになつて、十マルクを一マルクに切り下げる、こういうような措置をとつた国と、徐々に確実にやつて行こうという国の財政とはおのずから違つております。 〔苫米地(英)委員長代理退席、委 員長着席〕
○早川委員 私はドイツと同じようにこれをやれというようなばかなことを言つておるのではない。そのことにもあまりにも大きい開きがある場合には池田さんの御議論は当らない。これが二〇%と一〇%の相違だとか、あるいは二〇%と一五%の相違だというくらいになれば、あなたの議論は当りますけれども、少くともこんなに大きい差があるということは、何といつても池田大蔵大臣のこういう問題に対する認識の不足といわざるを得ないのです。さらに各国の経済事情を言いますけれども、私は吉武労働大臣に申したいのだが、ストリー労働大臣と会つたときに、向うの戦争犠牲者の補償援護に対する基本的な考え方は、夫が戦死しないで生きておつたならば得べかりし収入よりも——未亡人で子供二人、三人ある標準世帯をとつた場合に、なおかつ収入が一割ないし一割五分多いということを基準にとつて、この戦争犠牲者の援護問題を片づけているのであります。しかるに政府のこの予算に盛られた内容を見ますと、未亡人一人に千円、それに六百円加給がついて行くというようなことで、何らの理論的根拠もありません。未復員者給與法による基準をもとにしていると言われるが、どんな根拠があるのですか。少くとも今ただちに全額国家補償ができないというのであれば、一応国家補償を認めて、しかし財政事情で無理だというのであれば、少くともその暫定措置は、たとえば標準家族——伍長が標準だと厚生省は言つておりますが、伍長の未亡人で子供が二人ある場合、あの恩給法上の遺族扶助料のあれをかけて計算いたしますと、四千四百円内外というところが、妥当な線におちつくのであります。それでもまだ不足だとわれわれは感じますけれども、少くともそれに近い数字を基準にするというのであれば、なるほど暫定措置としての恩給法上の基本線は納得させ得る理論的根拠と基準が出て参ります。ところが單なる未復員者給與法に準じて、一人千円の何らの理論的根拠のないものを国民に押しつけて、これでしんぼうしてくれというようなことで、はたして政治が成り立つか。日本再建の精神的基盤ができるか。私は率直な吉武労働大臣の御意見を聞きたい。私はその点についてぜひ明快な答弁を願わなければ、この問題は單なるごまかしであつて、たいへんな問題が起る重要問題だと思いますので、ひとつ御見解を伺いたいのであります。
○吉武国務大臣 お答えをします。私どもも今回とりました処置は、決して十分なものとは考えておりません。ただ今日置かれた日本の財政の実情からしてやむを得なかつたのでございまして、将来国力の充実とまちまして、お話のごとく改善せらるべきものだと思つております。
○早川委員 しからば、ただいまの予算に出ております未亡人千円というこの基礎数字は何らの根拠のないものであつて、ただ財政上間に合せのために一時的にやつたという意味ですか。
○吉武国務大臣 決して何らの根拠がないわけではございませんで、今御指摘になりましたごとく、未復員者の方方、留守家族につきましても、この給與法によつてやつておるわけであります。これとても決して十分だとは私どもは言えないのでありますが、これらも日本の財政上やむを得ないから、この程度でやつておるわけでありまして、全然無根拠で今回の予算をつくつたわけではございません。
○早川委員 近ごろ池田さんが非常に独裁的な——何でも大蔵大臣の財政的見地というものがオールマイティーのように思うのです。私はこれは日本再建における非常ながんじやないかと思う。なるほど財政上ということも、これは動かせない一つの線であればいいのでありますけれども、憲法上あるいは恩給法上、当然既得権として要求し得る権利すらも、財政上の理由からてんで問題にならぬ線に押しつけて、しかもポツダム勅令が失効した後に補正予算を組むなり、あるいは本年度内にただちに結論を出すというのであれば、これは私も了承します。しかし一箇年もこういう財政的理由から、当然憲法上保障された財政権の保障という問題を引延ばすという理由がわからない。私は先ほど木村法務総裁がじつくり話したいという御意見でありますから、私はその意見をまず聞きたい。法律上あるいは財政上両方から、ひとつお聞かせを願えれば幸いであります。
○木村国務大臣 この政府案についての成行きを一応御説明申し上げます。 まずいわゆる橋本案なるものは、御承知の通り国家補償という線を強く出したい、こういう案でありますところが、私の考えでは国家補償といつても、現在のあの金額では、実質上国家補償にはならぬと思います。それでこういう金額でもつて、国家補償という建前で行くということは、これはよくない。むしろこれは、遺族に対して最大の敬意と感謝の念を捧げる精神的の線で行くべきが、当面の問題として至当じやないか、こういう考えを持つたのであります。いわゆる遺族に対して最大の感謝と敬意の念を持つべきである。国家補償の線は、さらに国家財政の許すときにやるべきだ、これが根本の相違であります。そこで私自分の経験からして、遺族は何が一番心配かというと、子供の教育であります。橋本案については、子供の教育ということは何もいつていないのであります。そこで私は子供の教育ということについて、まず第一に考えなければならぬ。つまり育英であります。これを考えてもらいたいということが第一の点であります。その次には、どうしても未亡人、つまり残された妻に対しては一番関心を持つのである。これをどうするか、これをまず考えなければならないのじやないか。それについては、私は困つている方には生活保護法、これを活用しなければいかぬ。生活保護法の活用が十分でない。遺族の中でどれだけの人がほんとうに困つておるかということを、くまなく調査して、そして生活保護法を極度に活用して行こうじやないか。その上に今問題になりました一世帯一千円、そして子供一人には六百円、妻が六百円、あとの子供については幾人あつても四百円という線を出して行つたのです。いわゆる生活保護法の活用と、今の基本給との活用でもつて、とりあえずめんどうを見て行こう、これが第二であります。その次に問題になつたのは、老人に対しては、橋本君は一律五万円、但しこれは五十五歳で打切ろう、五十五歳以下の者には交付しない。五十五歳以上の者にのみ交付する。大蔵省案によれば、六十歳で切りたい、こういうことでありましたが、それではならぬ、親である限りはたとい四十歳の者であつても、三十歳の者であつても、これは一律にくれるべきものである。この線をはつきり出そうじやないかというので、大蔵大臣と大いに交渉して、大蔵大臣は率直にそれを認めたのであります。私はこの点において、大蔵大臣に感謝しております。それで一人当り親に対しては五万円ずつ、二人の場合は十万円、そして祖父母に対してもくれようじやないかというので、最高二十万円まで出すという線まで行つたのであります。それからもう一つは、未亡人に対してはどうしても所得税を減免してもらえぬだろうか、これを大蔵大臣に交渉して、大蔵大臣もこれは一つ考えようということで、これを認められた。それからもう一つは、これは生活保護の面と違つて、講和條約発効後におきましては、国民的の一大慰霊祭をやろうじやないか。それに対しては、政府から相当のめんどうを見よう。この線を強く打出せば、遺族もおそらくわれわれの精神を認めてもらえるであろう。しかし将来の国家補償という線については、よほど考えなくてはならぬ。それは後日の問題に延ばそう。今言う審議会にかけて、そしてこれで今後の問題を十分に検討して、国家補償の線を強く打出そうじやないか。しかしとりあえず今精神的の面で行こうということで、われわれは仲裁案を出したのであります。これについても政府としても重大に考えて、小委員会をつくつて、小委員会で検討し、その後になつて廣川農林大臣と私に、何とかして仲裁案を出さないかということで、二人が十分練りまして、今の案になつたのであります。さような次第であつて、大蔵大臣としてはできるだけのことをやつたと私は考えております。それで問題は、橋本君の国家補償百の線を強く打出すか、あるいは精神的の面を打出すか、この二つの問題でありますが、われわれは国家補償という線では今十分じやない。この国家補償の線については、将来の問題として十分に考慮しよう。ただ暫定的に、今のときにおいては精神的の面で、遺族に対して最大の敬意と最大の弔意を表しようじやないか、この線を強く打出したのであります。
○早川委員 橋本厚生大臣は辞職の声明で、八十億の問題じやない、遺族問題に対する根本的な観念の相違である。言いかえれば、片一方はお燈用料、援護という観念だが、自分は国家補償という観念だということを声明せられまして、辞職されたように新聞で拝聴するのであります。私は木村さんから、今非常に異なつた御意見を聞いたのでありますが、結局それでは木村法務総裁に聞きたいのですけれども、先ほど吉武君が、ポツダム勅令が失効した場合には、当然何らかの法律的な措置を講じなければ、既得権として遺族扶助料その他が復活するという、言いかえれば遺族の既得権をお認めになつた御見解かと思うのでありますが、この点私は念を押してお聞きしたいのであります。
○木村国務大臣 これは今申し上げました通り、既得権とか何とかいう問題を離れて、国家補償ということで、十分に将来検討して行こう。それは国家財政の許す範囲内においてやらなければならないのでありまして、国家財政が許さなければ、これはただ空論に終るのみでありますから、それでポツダム勅令は御承知の通り、講和條約発効後、そのままほうつておけば、三月で失効してしまうのであります。それは今後の問題として、どういう処置をするかということは、今遺族に対する問題として審議会をつくつて、それで十分検討してやろうということになつておるのであります。
○早川委員 既得権を認めるか認めぬかということをお聞きしている。
○木村国務大臣 私の考えとしては、講和條約発効後、ポツダム勅令が失効すれば、あるいは(「あるいはとは何だ」と呼ぶ者あり)今申します通り、恩給の権利は復活すると思います。
○早川委員 あるいはじやなくて、これは認めるか認めぬかの問題である。その点明確に御答弁を願います。
○木村国務大臣 現在としては、これは認めるわけには行かないのです。ポツダム勅令失効後になつて、これは復活することになると考えます。
○早川委員 先ほど労働大臣は、法律がもしできなければ認めると言われたのです。それに対してまた閣内不統一……。
○吉武国務大臣 お答えいたしますが、何度私が答弁をいたしましても、早川さんは誤解をして御意見をお述べになつております。原則は、ポ勅によつて中止をされておりますこの政令が、そのままなくなつて放置されれば復活するでありましよう。従つてそれに対して特別の処置を講じなければ、今日の財政では、遺家族ばかりではない、軍人についても、そのまま認めることはできないであろう。従つてこれに対する特別の処置を講じます。しかしながら根本的な問題はすぐにはできません。その間遺家族の方々を放置することは許されませんから、その根本的な問題ができるまでは、現在予算で御審議いただいている方法によつて援護を申し上げる、かように言つておるわけであります。私はポ勅が廃止になつて、すぐそのあと恩給がそのまま復活いたしますと答えた覚えはございません。
○早川委員 速記録を見られたらわかりますが、私はポ勅が失効になつた後に、ポ勅にかわる法律を出さなかつたら、当然既得権による遺族扶助料は復活する、こう言われた、この点木村さん間違いありませんか。
○木村国務大臣 それでは申し上げましよう。ポツダム勅令は、講和條約発効後三箇月たつてそのままであれば、既得権は復活するのであります。しかしながらその間に措置をとればこれは別問題である。
○早川委員 私は池田大蔵大臣も、吉武厚生大臣も、さらに木村法務総裁も、ポツダム勅令が失効すると、もしそれにかわる法律を出さなかつたならば、当然恩給法による遺族扶助料その他が復活をするということをお認めになつたことで満足いたします。と同時にポツダム勅令にかわる法律を出すときには、あらためて、これは憲法上の重要な問題になりますから、とくとひとつ憲法論議を展開したいと思うのでありますが、それは法律を何らかお出しになる——私はその内容を存じませんから、この論議は後日に譲ることにいたしたいと思うのであります。 そこで私はまだ少し時間がありますから、具体的な予算化された遺族援護の内容について、政府の所見と疑義をただしたいと思うのであります。第一に私は非常に不満に思うのは、年金を本来ならば遺族全体に給すべきものでございますにもかかわらず、大蔵省案——私は大蔵省案というのがおかしいと思うのです。実際はこれは恩給局がありますから、官房長官案なり、あるいは厚生省案なりというものであるべきですけれども、大蔵省案なるものが出ておるから、それをもとに論じますが、第一の欠点は年金を未亡人とその子供に限定しておる。私はこれは実情に合わないと思います。たとえばつえと頼む自分の一人むすこがなくなつた父母のことをお考えになつてください。私はそういう父母に対して一時金でつつぱねる、あとは生活保護法で行けというようなことはもつてのほかなんだ。私は、これは一人むすこなりほんとうのつえと頼む、長年育てた自分の子弟がなくなつた父母にも、当然一時金を供給すべきものだ、その原則の上に立つて、あるいはいろいろな差別をつけるということは、やむを得ないかもしれませんが、その根本の考え方が、この戦争遺家族の実情に合わないと思うのですが、その点はどうお考えになるのですか、私はまずこの点をお聞きしたい。
○吉武国務大臣 もし日本の財政が許しまするならば、お話の通り未亡人及びお子様以外に父母、租父母等にも年金を支給すべきでありましよう。しかしそういたしますると、相当多額の予算になるのであります。先ほど早川さんが御指摘になりましたごとく、未復員者の給與の例によりましても、未亡人、お子さんだけでも、今回出しておる予算の額になるのであります。これを全部に支給するということになりますと、相当の予算になるわけであります。そこで私どもといたしましては、そのうちで最もお気の毒なところから、すなわち未亡人の万々及び残された遺族の方々だけでも、年金を支給しようということで始まつたのであります。従いまして父母、租父母等の方々に対しましても、何らかの、われわれの気持を現わしたいというところで、一人五万円の公債という案になつたわけであります。
○早川委員 そもそも公債の一時金がまた不合理なんです、今一番欲しているのは現金なんであります。大蔵大臣は、この一時金を割引いて現金化する道を、新聞では考えておるとか考えていないとか書いておりますが、どうですか、この問題は。
○池田国務大臣 私が一時金と年金との両方で行きました考えの根本は、増税もせずに、インフレも起さずに、とにかくできるだけたくさんお上げしなければならぬという一策であります。年金ばかりにいたしますよりも、やはり年金と一時金と両方でやつた方が、遺家族の方々に便利がいい、しかも財政上やりやすい、金額が多く出せるというので、一時金ということを出したのであります。しかし八百八十億の一時金が一時に現金化されますると、それだけインフレーシヨンになる、しかし今の年金をお上げしないという両親の方々が、そのもらうべき交付公債の利子だけでやつて行くことが、なかなか困難の場合におきましては、私は木村法務総裁の言われるように生活保護費で行くべきだ、しかし実際上の問題といたしまして、軍人遺家族の方々が、生活保護費を受けておられる数は実情はごく少い、こうなつたときに、それでは年金の利子ではいかぬから、生活保護費にすぐ行きなさいということは、実際問題としてできません。従いまして八百八十憾円の公債は、一年すえ置きで、十年償還のつもりでおります。しかし実際生活にお困りになる両親の方々につきましては、五年償還の方法もあります。また実態に沿いまして、早く換貨し得るようにいたしたい、たとえば妻の、未亡人一人の場合は、月千六百円で、年一万何ぼということになる、しかし今度母親の方だけだつたならば、五分五厘ということになりますと、二千七百五十円でございますから、未亡人の方と比べるとこれは二千七百五十円と一万八千円ですから、よほど額が違います。そういうものにつきましては、五万円の公債につきまして、五年償還をただちにやれば、一万円、毎年入ります。こういうふうなことで、実際に沿うようにやつて行きたい。八十億円しか違わぬとか何とかいうことを言つておりますが、実際は先ほど申しましたように二百三十一億六千六百万円に、来年度は百数十億円の国債償還によるものを確保しなければならぬ、こういうところから考えて、来年度は四百億円近くにならないとも限らない。少くとも三百数十億円にはなる。こういうことを考えまして、一時金でもらうのはいやだとおつしやいましても、私は妻一人の場合に一万八千円年にもらいますから、お母さん一人の場合においては、二千七百五十円に五年償還で年一万円を加えて行こう、しかしお母さんでも、よほど自分の職がありまして、食つて行ける人は別であります。そういうふうに適当の方法で、しかも財政に一度に大きい負担をかけない。そうして後年度、その次の将来のことを見る。また軍人の恩給のこともあるということで、私は今年度できるだけたくさん盛れるように、そして来年度からふやして行く、こういう考え方で行つておるのであります。
○早川委員 今大蔵大臣は戦争犠牲者、遺家族、その他生活保護法で世話になるということは非常に少い、こういうお話でありまして、それは私は非常な誤りだと思います。彼らはプライドを持つておる。そこに国家補償の問題が出て来るのであります。たとえば戦争未亡人をも含めて、ある種の統計をとりましたら、生活保護法の適用を受ける二四・六%までが何らかの意味の戦争犠牲者遺家族であるという表も出ておるのです。そういう事実をよく頭に入れていただいて、たとえば年金、私はこういう額の妥当は論じないまでも、少くとも今の御言明では、全般的に割引をして現金化する道はちよつとむずかしいが、その緊急度その他に応じて割引してもよろしいという言葉もお聞きしたのであります。私は大蔵大臣が、戦争犠牲者で生活保護を受ける者は非常に少いということは、もう少し統計なり実情をお調べ願つたなら、決してそんなものじやないと思う。よし受けておらなくても、救貧法的な性格の生活保護を、民生委員に頼んでやつてもらうことをいさぎよしとしない人がかなりあるということは、賢明な池田さんは御存じだろうと思う。実態に沿つて、この公債の割引という方法を真剣にお考えになつていただきたい、かように思うのであります。 さらに厚生大臣にお伺いいたしたいのでありますが、生活保護法の適用を受けておる人が、年金なりあるいは公債をもらつて、これを割引いたといたしましよう。割引かなくとも、利子をもらつたといたしましよう。これは生活保護法における一つの所得のうちに入れて適用されるのかどうか。この点をひとつお伺いいたしたい。
○吉武国務大臣 お話の点は、現在の法律の建前からいえば、やかましくいうとそういうことになります。しかしながら遺家族の方は特にお困りのようでございますから、運用の点におきましては十分考慮して行きたいと思つております。
○早川委員 それは先ほどの国家保障の観念から申しまして、本来ならば国家が給しなければならない。権利による財産権でありますから……。その点も運用の上でというお話でありますけれども、全般的にわずかなものでありますから、そういうものは本来ならば生活保護法のうちから差引かれるべきものだという御意見は、私は当らないと思う。思い切つてそれからの適用をはずすべきだと思うのです。そもそもこの扶助料、年金が少いのですから、私は思い切つてはずすのが妥当と思うが、どうでありましようか。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたごとく、やかましくいえば差引かなければならぬのでありますが、実情を考えまして、特に運用の上において考慮を払いたいと思つております。
○早川委員 という意味は、厚生省として何か政令でも出されますか。
○吉武国務大臣 別に法律は出しません。
○早川委員 法律とは言わない。何かの示達なり政令みたいなものを出されますかと言うのです。
○吉武国務大臣 別に法的措置は講じません。
○早川委員 しからば運用上それができるという解釈の上に立つて、これは非常に貧困に陷つている未亡人なり戰争犠牲者の重大問題でありますから、私は厚生大臣が運用の上でやるということにおいて、その実施を私は見守りたいと思うのであります。 あと四、五分よりございませんので、若干老兵の問題がございまするが、これは戦争犠牲者というものと、直接のつながりはございませんけれども、たとえば日露戦争時代の老兵が、片一方は追放にまでなつた文官が恩給法上復活してただちに恩給をもらうのと、いかにも公平の原則に反すると思うのでありますが、特に何歳以上というふうに、五十五歳あるいは六十歳、七十歳と、こういう年齢に限つてでも、同時にこの遺家族戰争犠牲者の問題を考慮すべきものと思うのでありますが、これに対してどういう構想を持つておられますか。
○吉武国務大臣 御指摘になりました老兵の方々にはお気の毒だと思います。しかしながらまだいろいろの問題がたくさんございまして、どれもこれも一ぺんにというと、今申しましたような戦争犠牲者の遺家族の方の問題が長引くことになりますので、われわれとしてはさしあたつて最も手をつけなければならない遺家族の問題を取上げたのであります。老兵の問題は、先ほど申しましたごとく、恩給の基本的な問題にも関連のある問題でありまするから、審議会等において至急に検討をいたしたいと思います。
○早川委員 障害年金の問題でありますが、足を失い、手を失つた人に対して、わずかな年金を支給しようというわけでありますが、子供のある場合、何ゆえに扶養加給というものを設けないのですか、これも筋が通らない。
○吉武国務大臣 障害年金の問題でございますが、これも根本的には恩給から考え直して行かなければならぬ問題であります。それは時間をとりまするし、この障害者も放置を許さない状況でございまするので、さしあたり今度の予算的な処置を講じまして、特項傷は年金六万円、そして六項傷が二万四千円、その間において段階を設けて行く、大体私どもの考えでは恩給に近い、またはある程度恩給よりも上まわる程度になるのではないか、しかしながらこれを扶養の加給によつてやるかやらないかというような、こまかいところまで議論をしておつたのでは、日にちがかかりまするので、さしあたり先ほど遺家族に対して申し上げましたと同じに、暫定的に今回の処置をしたわけであります。根本的には恩給の問題と合せまして、審議会等において十分論議をしていただくこととしたいと思います。
○早川委員 更生援護の強制割当制を設けようという、まことにおもしろい案がございますが、何ゆえに戦争未亡人に対してもこの適用をしないのか、単なる傷痍軍人だけということは、これまた筋が通らない。ドイツの例などから見ましても、片手落ちだと思うのであります。
○吉武国務大臣 傷痍者に対しまする強制雇用の問題もございますが、私どもとしては、法律によつて強制をして雇用させるということは、まずいのじやないかと思います。従いまして今回の処置は、予算的な処置によりまして、でき得る限りわれわれの手であつせんを申し上げたいと思つております。法律で強制することは、一見楽なようではございまするけれども、そういうけがをされた方を快く使つてくれればいいのでありますけれども、法律の強制で押しつけて使わすということは、私は本状にとつてもお気の毒じやないかと思つております。それよりも、われわれ日本人同士のことで、これはわれわれの手によつて努力をいたしまするならば、法律で強制しなくても、雇用の道はあるのじやないか、かように考えておるわけであります。
○早川委員 時間がありませんので、私は質問を終りたいのでありますが、まずその既得権をお認めになつて、今後出される法律の審議において、憲法問題をさらに論じたい。さらに支出の面において、財政が許さぬということは、これは予算の審議の過程において、われわれは池田さんの言うことが絶対的なものじやないと思う。むしろ熱意さえあれば、厚生省はあるいはそれ以上のものが出し得るという確信に立つております。 さらに私は最後に厚生大臣に不満を感ずるのは、あなたはほんとうに遺族の側に立つて努力しなければならぬにもかかわらず、何でも私の質問に対して、財政が許さぬから、財政が許さぬからと言われるが、少しこの財政の内容でも十分御検討になつて、ほんとうに一千万遺族の代表として、ひとつ強く要求するところは要求するという点で、橋本さん以上の元気を出して、遺家族の要望にこたえる熱意が、実は欠けておるのを残念に思いますが、質問の時間もありませんので、一応この程度に私の質問をとどめておきたいと思うのでございます。
○塚田委員長 本日の会議はこの程度にとどめまして、明五日は午前十時より委員会を開会して、質疑を継続することといたします。 これにて散会いたします。 午後五時一分散会