郵政委員会 第14号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/04/24
会議録
○尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。 簡易生命保險法の一部を改正する法律案を議題とし、前金に引続き質疑を許します。山本猛夫君。
○山本(猛)委員 郵政大臣にお尋ねを申し上げます。当改正法案につきましては、審議を開始いたしましてから相当な日数が経過をいたしております。よつてわれわれは原案を廃案にしようという考えがあるわけではありません。しかし私どもの所属いたしておりまする自由党の考え方といたしましては、昨年の十月の三十一日に行われました総務会におい二十万から三十万までの間で数字を結論づけようというようなことで、時の政務調査会長、時の郵政委員長の両名によつて合議を進めることに栢なつておつたのであります。そうしてその数字が決定をせられまして、過ぐる一月の半ばに開かれました自由党の全国党大会におきまして文書をもつてこれを公表し、全国の党員にその承認を得ております。従つて天下に自由党の考え方が表明せられ、そして自由党は相当額のものを決定いたしておるのであります。ところが自由党が天下に表明をいたし、全国の党員が納得いたしましたその数字が、政府原案に一つも入れられなかつたというような結果を生んで、八万円という数字が現われて参りましたことは、郵政大臣がしばしばわれわれに納得をせられるようにといつて御説明をなさつておられるのでありますけれども、われわれはこれを納得することはできない。従つて郵政大臣がこの原案をどこまでも固執なさろうとするならば、われわれはこれを廃案にしようというような考え方は毛頭ないわけでありますから、きわめて近い機会において増額の御意思がおありになるかどうか。問題は、民営に対する官営であるとか、あるいは民業に対する官業であるとかいつたようなことを中心にいたしました議論がしばしば出ておるのでありますまるけれどもわれわれは簡易生命保險というものは民営に対する官営、民業に対する官業であるとは考えておりません。簡易保險の性格は、零細な経済生活をする大多数の国民の民心の安定のために設けられた社会保障制度の一環を行くものであつて、これは断じて営業ではない。民間の生命保險との性格の相違はまつたくそこにあるのであります。しからばどこにこの数字の焦点を合せなければならないかということに相なりますが、当委員会におきましててもしばしば申し上げましたように、問題は国民生活の数字の目標であります。たとえば昭和三十年に簡易保險の最高額が二千円であつたといたしますならば、昭和二十年の物価指数から今日を比べますと、百二十倍以上に相なつておりますことは御承知の通りであります。しからば二つ十万でもよろしいのであります。それがしかし郵政大臣の御説明もあつて、民間業に対する影響その他のことを勘案して、かような数字が現われたのであるというようなことでありましたので、われわれは歩を譲つて郵政大臣のお考えを承つて参つたのでありますけれども、政府原案の八万円ではどうしても納得が行かない。われわれはこれを了承するのに苦しむのであります。問題は、要するに零細な経済生活をする人たちにもし万が一のことがありました場合口に、取残された人々がその跡始末をして、子供をかかえて何箇月生きられるかといつたところに数字の焦点を合わすべきものでありますことは、簡易保險の性質上明白な事実であります。でありますから、郵政大臣はもしこの原案をどうしても通さなければならないというような実情がおありになるのでありますならば、きわめて近い機会において、次期国会とでもいいますか、あるいはまたこの法案は衆議院を通過いたしましても参議院にまわつて行くのでありますが、今国会をも含めてきわめて近い機会において増額の意思かおありになるかどうか。これをまず承つておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 このたび簡易生命保險法の一部を改正する法律案を提案いたしまして御審議をいただいておるわけでありますが、今までの御審議の途上におきまして政府の考え方はるる御説明申し上げましたので、特に重ねてその説明をいたすことを省略さしていただきたいと思います。ただいま話がありましたように、自由党におかれましては昨年、御指摘になりましたような総務会等の決議も、私ども政府におります者といたしましては十分承知いたしておるわけてございますか、政府はこれらの党の考え方等をも考慮に入れまして、ぜひともこの限度の引上げは実施したい。金額を幾らにするかという問題は、昨日も申し上げましたように時期的な要素をも考慮に入れていたさなければならないのでありまして、今回は八万円ということにいたしておるのであります。ただいま御指摘になりましたように物価指数等の観点に立ちますれば、いわゆる庶民階級の保險といたしましては、これ一つをもつてはその保險の目的を達し得ない状況にあると思います。ただ民間の保險の制度等をもあわせ考えて参りますると、いわゆる庶民階級の保險の目的をも達するのではないか、かように考えておるのでありますが、本来の制度そのものから見ますれば、その制度だけで所期の目的を達成することに特思ういをいたすのは当然のことだと思います。従いましてただいま御指摘になりましたごとく、私どもは経済界の事情が許しますならば、もつとこの限度を引上けるということをも考え一しかるべきではないか、かように考えておるのであります。今回は時期的な点から見まして、とりあえず八方円にいたしたわけでありまするが、将来必要が生じますればそれに対しましてこの限度をまた改正し、皆様方の御審議を賜わる機会も参るのではないか、かように考えておるような次第であります。
○山本(猛)委員 郵政大臣のお答えは、政府原案の八万円では政府も必ずしも満足するものではない。経済事情その他のことを勘案して、きわめて近い機会において増額の意思がおありになるというような意味合いのお考えをここに表明せられた、さように解釈してよろしゆうございますか。
○佐藤国務大臣 時期的の問題は今後の問題でありますので、ただいま御意見のうちにありましたきわめて近い機会にと申されることがいかような意味でありますか、私どもといたしますれば経済界の事情が許しますならば、そたは遠い近いにかかわらずそういう処置を講じて参つりたい、かように考えておるのでございます。おそらくお尋ねになりました事柄と同様な観点ではないか、かように私は理解しておるような次第であります。
○山本(猛)委員 さようなあいまいなことでは断じて了承できません。でありますから、どうかきわめて近い機会において増額のお考えのあるようにおとりはからいを願いたい。本問題は、自由党の立場におきましては、政府のお考えになつておりまするより以上に強く取上げられました。自由党の政調会におきましても、大蔵部会、郵政部会から小委員をあげて、そうして検討をいたしました結果、大蔵部会から選出せられました小委員に。きましても、郵政部会から選出せられました小委員はもちろんでありますが、いずれも政府原案では了承しておらないのであります。最低十万——十五万という数字が持ち出されまして、そうしてぎりぎりのところ、最低額といたしまして十万円というようなところを政調会においても決定せられております。代議士会においてはむろんのことでありまして、さつように強く全党員の意思がこの問題に反映せられましたことに対して、政府が了承できないというようなことはあり得ないと考えます。でありますから、どうかただいまのようなあいまい模糊たる御答弁ではなしに、きわめて近い機会において、増額の御意思があるかどうかというようなことを承つた次第であります。 なお議題外ではありとまするけれども、先般の当委員会において改進党の椎熊委員から、保險年金の運用権の問題が質疑応答の形でなされたのでありますけれれども、保険の運用権は前々回の国会以来しばしば論議をされましたように、例の七月二十五日の閣議決定によりまして、この運用権が大蔵省から郵政省へ返つて来ることに決定せられたのであります。その後十一月二十一日に発せられましたドツジ書簡によつて、それが一時停止せられたのであります。このドツジ書簡の内容につきましても当委員会において論議を重ねられましたことは、記録に明白でございますが、しかしその当時委員会に表明せられた当局の意見といたしましては、ドツジ書簡というものは、占領治下にあつて、占領当局が日本政府に示唆した、過渡的現象下の占領当局の一本唆であつて、このドツジ書簡によつて、七月二十五日決定せられました閣議決定事項は断じて消滅するものではない。当委員会でこう結論が出ております。その後衆議院、参議一院におきましては、決議案がものせられておることは御承知の通りであります。ところが本問題がたまたまこの保險最高制限の問題と相からみまして、椎熊委員より、個人的にか、あるいは党代表の建前か知りませんけれども、自由党の政調会長が反対の意思を表明したという声が出て参つたつような次第でありますけれども、国民の大多数か関心を持つております事柄に対しまして、政府は今後とも十分なる誠意を示していただきたいと思うのであります。私どもはこりの保險の最高額につきます政府原案に対しては、まつたく不満であります。不満でありますが、私どもの不滿が全国民の不滿であるということを郵政大臣はお認めになつて、これをきわめて近い機会に暴圧なさる御意思がおありになものとわれわれは了解しますたします場合において、これ以上くだくだしたことを申し上げるものではございません。なお他の委員からの質疑応答もあることでありますから、私の質問はこれをもつて打切ります。
○尾関委員長 椎熊君。
○椎熊委員 簡易保險の問題は、当委員会で長い間の研究を積んだ問題でありまして、今この段階に至つて私は議論めいたことを言う必要はないと思います。政府原案は今度八万円になつております。これは常識的に見てもその程度の増額では、一向簡易保險事業の本質を振興せしむるような効果はないということを、私は断言できると思うのであります。大臣の説明の中に、民間保險業者に対する影響を言われましたが、これは民間保險業界に対する研究がやや不足なのではないかと思う。政府当局の説明によると、民間の無審査保險があまり振つておらぬということですが、それを簡易保險の影響だと言われるようなことは、まつたく違つた角度から見ておる。それは間違いなのです。民間では今十万円以下の保險などは、手数と費用だけかかつて非常にめんどうだ。そんなものは眼中に置いてない。高額保險主義なるのです。もうこのごろでは百万、二百万という保險は、民間では平気なもので、地方における保險勧誘員のごときも、この節では一箇月に五百万ぐらい契約をしなければ、一人前の勧誘負ではないのです。従つて保險会社は三万だの五万だというような保險はむしろ拒絶したいぐらいの態度です。従つてそういう零細な保險をやるのは、国家保險でなければ振興して行かない、そういう事実は明白になつております。けれども一たび簡易保險の契約高を増額するという問題が起れば、歴史的にいつでも民間側は反対するのです。簡易保險の創設以来反対して来ておる。私は去年でありましたか、簡易保險制度の三十五年の地方の式典に参列した経験を持つておりますが、その席上、保險会つ社の人もみな記念式典に参列していた前で私は言つた。日本の生命保險に関する限りにおいては、簡易保險ができてからり、国民大衆は保險というものを知るに至つた。徹底したのです。この簡易保險三十五年間の功績、日本における生命保險界について、国民に理解を深めさせた功績は実に絶大なるものがある。民間保險濃では、日本人は保險制度というものをなかなか理解しない。死んでから金をもらつても、自分には利益でないように考える。そもそも保險とは、個人の災審を多数によつて分担するということなんです。そういう社会保障制度のことを日本人はなかなか理解しにくかつた。それで險会社では保險勧誘員なる制度を設けまして、これがあらゆる宣伝をし悪質のものはだましてまで募集する、そういう迷惑が地方ではひんぴんとして起りまして、民間保險業者については、どんなに失業しても保險の勧誘員にだけはなるなという言葉さえある。勧誘員の顔を見るのは一番いやだという声さえある。このとうとい仕事をやつておるにもかかわらず、そういう不信を抱かれておる。それがだんだんそうではない。保險というものは社会的にも個人的にも家庭的にも国家的にも必要なんだということが、今日ではほとんど理解されておる。その理解を深めたのは簡易保險の制度が起つてからなのです。日本人はどうもそこがはなはだ遺憾な点であるが、官尊民卑の思想が今でも徹底しておるようです。地方などではことにしかりです。不信用な勧誘員がまわつて歩くよりも、郵便局の職員が来たということが、絶大なる信用を博しておる。しかもこれらの人々は、勧誘員のようなぜいたくな服装をしたり、酒食をごちそうして勧誘したりはしない。まじめに着実にやつて行く。そういう行動でだんだん保險に親しみを持つて来たのです。それですから民間保險業者の側といえども、日本の簡易保險制度、官営の保險制度が発展して行くことをそねんではいけないのです。むしろこれを発展せしむることによつて、民間保險業は非常に振興して来るのです。そもそもこういう労金保險のごときは、全部国営にするのが本質だと私は思う。これは私の個人的な考え方です。けれども日本に民間保險制度が許されて今日まで発達して来ました沿革から見ますと、今日厖大なる資金を擁し、日本の財界、金融界の中枢、王座にすわつておる保險業界を全部国営にしてしまうことは、今の日本の国力ではできません。それはこの段階においてはしてはならぬと思う。そこでこういうものがある以上はそれも発達せしむべし、しかしながら国家経営の簡易保險が、それなるがゆえに遠慮しておつてよということではない。またこれがいかに契約高を増額いたしましても、それがただちに民間保険に影響するなどということは、実にけちくさい考え方だ。ただいま山本委員からのお話を聞きましても、自由党でも熱心におやりになつたということで、わが党でももちろんその通り、それ以上です。従つて絶対多数を持つ政党内閣の今日の内閣が、この党の公約を裏切り、党の意思を曲げてこういう原案を、出して来るということは、私はそこに何かあると思う。私はいろいろ調べてみたときに、はたしてそういうことがある。この内閣に関係の自由党の議員の中には、みずから立つてこの増額に反対しておるものがある。実にけしからぬことである。側近政治の弊害を私はこう、いう点に見出す。そしてそのことが巷間に伝えられて、佐藤郵政大臣の職責上にまで世間のうわさが及んでおる。私はこれは日本の政治の堕落だと思う。私は佐藤さんのごとき前途ある若き政治家は、敢然としてこれと闘うべきであります。積立金運用権の郵政省返環の問題のごときも、ここでほんとうに闘つてくれるならば、結果はどうありましても、佐藤大臣の政治的手腕、力量というものが認識せられるのだ。今側近などに災いされて、身辺のことまで何とか巷間に流布されるような状態のままであつて、こんなけちくさい増額案などを出すようでは、せつかく信頼申し上げた佐藤さんの今日の状態は私は気の毒だと思います。けれども諸般の事情があつて、政府ではそういうふうにやむを得ないということなんでしよう。もう実にこんな政治の随落はありません。自由党の諸君には聞きにくいことでしようけれども、これはよくないことですぞ。吉田総理大臣はシンマンと言われる人だそうだが、こういう問題にまで側近の利害などを考えて、大臣の行動を制肘するようなことがあつては吉田さんらくしくもない。それはもうつ断固としてあなた闘いなさい。私どもはあなたとは反対党ではあるが、この問題に関する限り、あなたの心中、あなたの闘いぶりというものには、私どもは全幅の敬意を表して応援したい。そういう強い人が一人ぐらい郵政関係に出て来ないと、いつまでたつても郵政省というものはためですよ。経営は独立採算制でやれ、もうかるものは、今度は国際電信などは会社をつくる、電気は持つて行かれる、航空は持つて行かれる。日本の基礎商業の根幹をなす一番大事な問題はまず逓信省から始まつて、せつかくよくすると言つてもよそにとつて行かれる。もうあぶなく電通省なんというものは吹つ飛んでしまう。実に私は残念だと思う。旧来逓信大臣というのは、日本の閣僚中でも政治力の一番強い人がなつた。それほど大事な役所であつた。歴代の大臣の顔ぶれをごらんなさい。それは犬養先生でも、ああ言いう偉い後藤新平でも、浜口雄幸さんでも——浜口さんなどは元は大蔵省の人ですけれども逓信省の次官までやつた。それほど逓信省というものは有力な人材を集めて、国家の基礎のために闘つてくれた役所なんだ。戰後になつて郵政大臣が幾人かわられましたか知りませんけれども、次から次へとかわつて、かわり方も少し早過ぎた。今度はまあ佐藤さんがたつたのですから、あなたは大政党の幹事長までやつた人だし、今度こそ郵政省従來の懸案はことごとく佐藤大臣の手腕によつて解決すると私は期待しておつた。それがこんな状態では私は残念だと思うのです。大臣の苦衷もわかりますが……。そこで本案を自由党の多数によつて原案通り通過せしめたとしても、この案の運命は一体どうなると思いますか。参議院では必ず修正します。現に言明しております。参議院が増類の修正をして本院に回付した場合、本院は三分の二で原案を固執するだろう。断じてこの修正をのまざるを得ない状況なんです。結局本日は、この委員会はこの原案のままで通るかもしれぬが、案の運命から言うと、これは最終的には増額できまるものです。そういう見通しの明らかな問題を、どういう都合かここで修正を拒絶するに至りましては、私は実に残念だと思う。私が先ほど委員長に交渉したのは、自由党はこの原案で行くそうだ、先般来の議論の仕方とまるで違うじやないか、それでは私は單独でも修正案を出す、無理な修正案ではない、私はとりあえず十万円にしよう——ほんとうは私は十五万円くらいでもさしたるさしつかえはないと思いますが、十万円くらいだとそのまま参議院ものむということは、私打診して参つたのです。おそらく参議院はそれ以上の主張もいたしましようけれども、修正の場合はその点におちつくのではないかという見当がつきます。そして案の運命さえもそうなるなら、われわれみな増額に賛成しているなだから、そうしてやつた方がきれいだ。そうしてこの案をほんとうにスムーズに建設して行くことができる。そういう状態から私は修正案をだすということを委員長に交渉したところ自由党側の人から別席で内談がありました。これは実に私いい話を聞いて喜んだ。どうかこのままで通してくれと言う。どういうわけか、それは、積立金の問題はこれをこのままのむときに、こつちの郵政省へとれそうだ。これならもう八万の、十万の、たつた二万円で争つていることはないのです、これは私は原案の五万円でもいい。確かにこつちによこすならほんとうの條件がある。けさから自由党内部ではそのために非常な御研究があつて、そういう確信を持つておる。私に対する資料ではありますけれども、私はこれは政治家としての重大なる発言であると心得ます。同僚の人格を尊重し、発言を尊重いたしまして、私はその修正案を出すことを遺憾ながらやめる決意をしたのです。思えば私も逓信省の飯を半年ばかり食うたのですが、それ以来この積立金運用権の問題では、三年半にわたつて私は闘つて参つた。このことは忘れることができない。そうして地方の自治体などにおきましても、昨今大蔵省方面の悪辣きわまる運動等があつて、ほんとうにのどから手が出るほどほしい自治体が、むしろ郵政省に返ることに反対だという、その申告をしなければならぬように追い詰められておりますぞ。これはみんな地方の財務局長などが言つておる。この問題をどう考えるか、君ら郵政省から金を借りたいと言うのなら、大蔵省の方では考えがあるぞと言うのです。もつと露骨なことを言つておる、地方ではどつちからでも金を借りたいのですから、大蔵省のきげんをそこなつて、平衡交付金を減らされたり、地方起債の制限を加えられたりしてはたまらぬものですから、ほんとうは腹では郵政省に返してもらいたいものを、このごろではいやいやながら郵政省に返るとは反対だという陳情をする者が出て来た。これは実にそこまで行つたら政治の紊乱だ。同じ内閣のもとにあつて、郵政大臣は運用権をとらんとし、大蔵省は何の面子にかかわつておるのか、あれほど閣議で決定した問題ですら、金を使つてかくのごとき悪辣なる妨害をしておる。こんな政治の紊乱がどこにあるか。しかし本朝共自由党では決意するところがあつて、この法案を原案通り通してくれるならば、確かにこつちへとつて来るのだということですから、私は遺憾ながら修正案を遠慮いたしまして、心ならずも原案に賛成をいたします。そして私は自由党の責任ある政治家の御言明を信頼いたします。あなた方の言質を信頼すると同時に、この際その問題に関する佐藤大臣の決意を伺つておきますれば、一層私は信頼性を深めると思います。これがあなたの政治家としての値打のきめどころです。ほんとうに腹を割つて、きようは私どもに言質を与えていただきたい。そうすれば私は文句を言わずに原案通りこれをのみます。
○佐藤国務大臣 運用権の郵政省への復元の問題についてのお尋ねであります。この問題につきましては、せんだつてのこの委員会の席上におきましてもお尋ねがありましたごとく、衆参両院におきましてこれが実現を期すべく御決議もいただいております。従いまして私ども郵政省といたしましては、かねてから熱望している問題でもありますし、一度は大蔵当局との間で話がまとまつたものでもあります。これが占領下やむを得ない事情のために、その際は実現ができなかつた、こういう経過もありますので、早急にこの問題を解決すべく、私どもいろいろ用意を進めておるような次第であります。従いましていずれこの原案と申しますか、研究の結果私どもの意見がまとまりますれば、皆様方の御審議を賜わりたい、かように考えておる次第でございます。早急にそれぞれの手続を済まして参る考えでおります。
○椎熊委員 いろいろ関係する方面があつて、佐藤大臣は非常な政治的な、言葉を慎重に使つておられるようですが、大体私は今日の段階ではその程度でもよろしい、あなたはやるのだな、震撼を感じます。(笑声)それを私は信頼いたしまして、本日はこれ以上申し上げません。どうぞあなたの御健闘をお祈りいたします。
○尾関委員長 受田新吉君。
○受田委員 ただいま椎熊委員から峻烈なる御意見の発表並びに政府鞭撻の言があつたわけでありまするが、私は椎熊委員の述べられた政府に何かうしろ暗い面の存することに対しては、まことに遺憾にたえません、またこの法案が出されて二箇月以上たつてもなお解決を見ず、しかも審議を打切ること一箇月有半にわたつておるというような未曽有の大失態を演じたということに対しても、政府がこの案を非常に不用意な間に出し、与党との提携に事を欠いていたということを露出したものとして、繰返しまことに遺憾に思うのであります。しかもこの問題は民間保險業者も、政府側あるいは国会側に対し種々働きかけをしてはおりますけれども、要するに政府の決断一つでこの法案が提出された問題であつて、これを高い立場で国の財政経済政策の観点から、政府が十分自信を持つて当るべきであつて、他のいろいろな角度への気がねにより、また政治的な圧力によつて、その既定方針を変更するとか、あるいは与党との折衝に事を欠くとかいうことは、政治の非常なまずさであつて、繰返し残念にたえないのであります。しかしもう事すでにここに至り、先ほど以来政府の御意見も拝聴しまして、また与党の委員各位の御意見も拝聴いたしまして、どうやらこの問題とあわせて積立金の運用権の問題が常道に復するほのかな希望が持たれたようでありますので、この点に関していささか愁眉を開いたのであります。 私はきようここで最後に一言申し上げておきたい点があるのであります。それは昨日資料の提出を要求いたしまして、本日さつそく詳細にこの材料を出していただきましたが、これを一瞥いたしますると、民間保險事業と国営事業である簡易保險との比較検討が、非常に明瞭にされるのであります。そうして民間保險の無審査定額保險よりは簡易保險の方が、ある点において一非常に有利である箇所がしばしば見受けられるのであります。有利な箇所といいますのは、たとえば支拂い免責の條項の中にある事柄とか、あるいは高齢者の拂込み免除の規定とか、もしくは振替貸付の利子が非常に低率であるとかいう点で、簡易保險のほうが一歩有利性を持つておると思うのであります。しかもこの覇約の解除、すなわち失効に当るところの数字を見ますると、民間保險と簡易保險の比率は最近三年間の数字では、平均して民間保險の方が三倍も失効率が多いのであります。民間保險は零細なこの小額保險に重点を置くといえども、簡易保險の三倍も信用率が薄いということは、あるいは無理をしてこの加入を奨励したために、途中で失効に陷るようなことが発生するのではないか。これは民間保險の非常な欠陷を物語るものであります。この点は、国という最も強い主体を対象としている簡易保險と、会社経営あるいは相互組織によるところの民間保險とのその信用の程度がいかに違うかということを示しておると思います。ただいま椎熊委員から言われたように、地方のすみずみまでこの簡易保險事業の徹底が期せられておつて、これらの従業員の行動と民間保險従業員の行動との上において、信用の差があるというようなことが手伝つてこの結果になつたと思うのであります。従つてこれを今同じ角度から八万円に押えなくても、民間保險と自由競争をやつても、結果から見たならば、これは決して対象が零細なる保險の吸收にあるのではなくて、大口の保險の吸收に重点が置かれるということがはつきりこの結果に現われて来ると思います。特に先般政府がこの案を出したときに、本年度の保險の実施目標額十三億という案を出している以上、この八万円がたとい十万円になろうと十五万円になろうと、結果から見たら、やはり十三億ということに政府は考えているように思うのであります。従つてこの保險の十三億目標達成という線から行つたならば、最高制限額にさようなお気がねをなさらなくてもよいのではないかと考えております。 最後に、せつかく政府がここで与党と連絡折衝されて、八万円の線までこぎ着けたのでありますけれども、私も参議院の委員長をしている岩崎君と連絡しておるが、参議院側は、椎熊委員の言われた通り、十万円案の修正案に持つて行こうという伏線を持つていると伺つておるのであります。昨日以来の私の意見をこの際まとめて申し上げますならば、この国家事業によつて大衆の生活保障の道が少しでも広げられるという点において、たとい三万円の増額であつても、それは上げないよりはけつこうであると考えるものであります。同時に積立金の運用権が復元されるというそのはつきりした見通しが立つておるならば、簡易保險事業の前途に必ず光が見出せるということを確信して、政府が最後に与党との間に連絡折衝をされた結果の八万円の最高制限額の決定に対しある程度の了承を与えざるを得ないとも考えております。以上政府が非常に苦慮された点もよくわかりますし、また与党の内部において二つの線があつて、これ以上われわれ野党側から刺激を与え内閣の打倒にまで及び、あるいは総辞職にまで導かれてはたいへんお気の毒であるとも考えますので、その一歩手前でそのほこ先を転換したいと思います。政府としては、一全国の簡易保険事業の従業員たちが、懸命に第一線で契約の獲得に努力しているが、その人たちの強い叫びを十分これから後の施策に現わしていただくように、そうして国民のほとんど大多数が念願をしているこの国営である簡易保險事業の普及化、徹底化を十分推進されんことを希望しておきまして、きのう以来申し上げた意見の終結をしたいと思います。
○尾関委員長 田代文久君。
○田代委員 同僚議員から、増額の問題につきましていろいろ質疑がなされましたが、この問題は郵政従業員並びに民間保險の従業員の労働に関しまして、きわめて密接な関係を持つておるのであります。その点をはつきりさせなければ、そういう従業員の方々に対してはなはだ相済まないと思う。それでその点を二、三質問いたしたいと思うのであります。本日の政府の答弁などによりますと、将来これもまたなお引上げられるという見通しを持つておられるようでありますが、当然これはただいま申しました郵政従業員並びに民間保險の従業員に対する労働強化という面が強く出て来るのじやないかというふうに危惧するわけでありますが、これに対して政府はどういうふうに考慮されているか、またそういう労働強化は全然ないのだというふうに考えておられるか、その点の御説明をお願いします。
○佐藤国務大臣 簡易生命保險の限度を引上げるということは、労働強化云云ということは全然関係がありません。
○田代委員 それははなはだ形式的な詭弁であつて、実際に政府の説明によりましても、本年度における努力目標は十八億であると言われたように私は思つているのです。そうすると努力目標がそれだけ非常にふえている。しからばそれに対して従業員をふやすかどうかという点に対しましては、むしろ整理するという逆の方向をとられていることは、政府の答弁によつて明らかであります。そうしますと実際上における量がふえ、しかも人員が減るということになれば、当然これは労働強化にならざるを得ない。従つてただいまの大臣の答弁は、まつたく形式的なごまかしであると思うのでありますが、全然そういう労働強化はないというふうに御確信されるかどうか、御答弁願います。
○佐藤国務大臣 限度の引上げは、絶対に労働強化という問題とは別であります。重ねて申し上げます。 〔「かえつて逆によくなるのだよ。」と呼ぶ者あり〕
○田代委員 そういう非常に認識不足の意見があるので、なぜ逓信関係の従業員を呼んで公聴会を開かないかというような点にもなつて来るのであります。当然これは労働強化になるということは、單に私の主観的な考えでなく、実際に働いている郵政従業員の諸君から聞いている。郵政従業員はこの点を非常に心配されている。またこの点をはつきりこうだということを言つて大問題を起しておるのであります。 なお私は質問しますが、それによつて労働強化あるいは実質上における賃金の切下げというような結果になることを思うのでありますが、保險外務員の固定給が廃止され、非常勤制、歩合給による出来高拂いというような面が非常に強くなるのじやないかと思うのであります。この点に対するお考え方はどうでしようか。
○佐藤国務大臣 先ほど幾分簡單なお答えをいたしまして、あるいは不親切であつたかもわかりませんので、もう少し申し上げてみますが、限度の引上げの問題は、労働強化には絶対に相なりません。しかしながら先ほど来議論しておられますように、保險契約高を幾らにするか、こういうような問題になりますれば、その結果非常な労働強化になるのじやないかというような御疑念が生ずるのではないかと思います。限度は非常に低くて、その取結ぶべき契約高が非常に高いとなりますと、なかなか骨が折れることだと思います。しかし今回のごとくこの限度を上げて参りますれば、これらの点についても御懸念なさるような問題はないように私どもは考えている次第であります。次にただいま御指摘になりました出来高拂いという方法はないかというようなお尋ねでありますが、この簡易生命保險の契約につきましては、募集について種々努力して参りますので、募集手当という手当を支給する方向で、予算も計上いたしております。従いまして過去の経過等とこの運営上におきまして何ら差異はないのでありますから、この点もまた御了承を願いたいと思います。
○田代委員 その点が非常に懸念なわけでありますが、一種の強制募集という性格がだんだん強くなつて来る。そこから募集手当という制度を非常に強く取上げて来られているというのですが、募集手当の具体的な内容を御説明願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいまいろいろお尋ねがありまして、募集手当の金額等は必要があらば事務当局から説明させますが、ただいまの募集目標というような問題につきましては、従業員の勤労の状態ともにらみ合せていたしますので、管理者だけがかつてに目標をきめるというわけのものでなしに、部内におきましては十分關係の事務担当の方とも話合いを進めまして、その了解のもとで募集目標をきめ、あるいは実施をやつておるわけであります。この点については特に組合側とも相談をいたしておるような次第でありますので、別に御慰問なり御懸念を生ずるような点はないやうに私ども実は考えて参つております。
○田代委員 募集手当の内容を事務当局から……。
○白根(玉)政府委員 公務員でありますので、固定給は一般の公務員と同じであります。それ以外に募集手当というのがありまして、募集手当は普通局においては第一回保險料の六割程度出しております。特定局は第一回保險料の十一割出しております。ただ普通局と特定局とこういう差等を設けたかと申しますと、特定局地域は御説のようにいなかでありまして、加入者の散布状況が非常にばらばらであります。従つてキロ行程その他の関係を見まして、そういうふうにやつておるので、あります。
○田代委員 募集手当の中に功顕者手当というようなものがあるやうに聞いておりますが、そういうものはございませんか。
○白根(玉)政府委員 募集手当と申しますのは、功顕者手当以外のもので、ありまして、功題顕者手当と申しますのは、その企画面に対するものに出すのであります。指導面に対してある程度出しております。
○田代委員 それは外務員の諸君が実積を上げられ、それに対する手当の一部がそちらにまわるというようなことはありませんか。
○白根(玉)政府委員 そういうことは絶対にございません。
○田代委員 これと関連するのですが、固定給が廃止されて実績本位なものになるとか、あるいは臨時雇制が非常に拡大されるという点から、結局郵政省としては相当の人員整理が計画されていると思う。大体どの程度の整理をされる御意思であるかどうかを伺いたいと思う。
○佐藤国務大臣 私ただいま記憶しておりませんが、御承知のようにこの前新定員法の御審議をいただきまして、それを実施しておるだけであります。限度を上げるからそれで減員するというようか計画は別に持つておりません。
○田代委員 強制募集の点で政府は非常に楽観しておられるようでありますし、強制ということは全然ないという御答弁のようでありますけれども、実際にたとえば東海地方のある郡とか、東北などは、郵便局長がこれは軍費集めのためだというようなことを言つて、公然と外交員に募集さしておるということがいわれておるが、こういうことを御存じであるかどうか。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたような、仕事に熱心のあまり、見方によりましては非常に勤労を強化しておるんじやないか、こういうような話はときどき聞くのであります。私ども管理者としては、かような誤解を生じないように、よく注意をいたしておるようなわけであります。なお田代委員からいろいろ御心配があるやに聞くのでありますが、そういうような具体的なものがありますれば、特にまたお話を伺いまして、善処いたして参つります。
○尾関委員長 石原登君。
○石原(登)委員 私は実はいろいろ質疑をしたい点もありますけれども、委員会の空気はわかつておるのでありますから、この際議論になるような質問はいたさないことにします。但し一点息だけ政府に申し上げて今後善処していただきたいという点がありますので、それだけ申し上げたいと思います。 本日の委員会の空気を見ましても、またこれまでたびたび開かれました委員会の論議を見てみましても、今回の政府の原案が非常にまずいものであつたということは、おそらく政府としてもお認めであろうと思う。われわれももちろん民間事業の育成に考慮を拂うことはやぶさかではないのでありますが、われわれが今日まで審議した経過から考えて見ますと、どうも民間事業の育成のために、大多数の国民に非常な迷惑をかける。同時にこの簡易保険事業自体もいろいろな迷惑をこうむる。こういうような結果がはつきりと現われて来たと断言ができると思います。そこで政府のこれまでの説明をいろいろ聞いておりますと、結論は、民間事業の育成と、もう一つは民間事業から出るところの保險金、いわゆる金融面における機動性、これが今日の日本の再建に非常に重要であるのだ、こういうような説明に盡きると思う。この点われわれは素直に認めるのでありますけれどもただ單に一民間事業の育成のために、全国民の犠牲によつてそれを解決する、あるいは金融上の操作のためにそれを解決するということは考えられないのであつて、こういう問題については、その根本を考えて行かなくてはならない。たとえば簡易保險の資金についても、当然民間事業に劣らないような機動性を発揮するような方法を考えなければならぬ。率直に申し上げまして、こういうような零細な人々の貯蓄によつて集まる金が、国家資金の目的として非常に低利で使われて、金を持つており、高額の保險契約のできるような人の金は、かえつて高い利息で運用されておるということは、社会政策上から考えてもおかしなことである。こういうような人々の犠牲によつて国家資金がまかなわれるということは、おかしなことである。従つてこの問題解決の根本は、簡易保險の金も機動性のあるように運用されなくてはならぬ。そこで先ほどから問題になつておる運用権を郵政省に復帰させること、この問題については十分お考えを願いたい。御努力を願いたい。さらにもう一つは、先ほど申す通りただ單に民間事業育成のために、いつまでも国民が犠牲になつており、あるいは共産党の言うような簡易保險事業の労働強化がいつまでも継続される。この犠牲はなおざりにできませんので、政府は早急に民間保險の育成については、別の面から検約をしていただきたい。私の感じますところから見ますと、民間保險に勤めておる人たちの経済状態と、郵政省職員の経済状態というものは、生活程度に相当開きがあるんじやないか、こういうことも考えられます。また民間保險の経営については、われわれが見たり聞いたりしておる面でも相当なロスがあると思う。こういうようなロスを慢然と見過しながら、いつまでもこういう犠牲をしているということは、当委員会としても断じて見のがすわけには行きませんので、政府としては、そういう面の民間事業の反省を促していただいて、一日も早く簡易保險事業と対等に太刀打ちできるような経営態勢をつくつてもらうように、ぜひとも警告を発していただきたいと考えます。 私は以上申し上げたような趣旨をさらに強く申し上げまして、われわれは今回のこの委員会においては、遺憾ながら了承ができたかつたのでありますけれども、やむを得ず一応政府原案に対して賛成することになると思うのでありますが、これはいつまでもこのままにしておきたくございません。もし政府が近い機会に、この限度引上げの修正をされて来たならば、委員会が独自の立場に立つてこれの修正をいたしたいと考えます。ですから民間業者はりこういう全体の国民の犠牲によつて自分たちの経営を持続して行こうというような考え方を、一日も早く排していただきたい。このことを強く政府から警告されんことを要望する。私の希望的な意見を申し上げて質問を終ります。
○尾関委員長 受田新吉君。
○受田委員 委員長に伺いますが、この法案の討論採決を、本日おやりになりますか。
○尾関委員長 本日やります。
○受田委員 そういう差迫つた委員会でありますので、討論採決を敢行なさるにあたつて、さらにもう一、二件念を押しておきたい点がありますので、質問を追加いたします。 簡易保險の実績目標額を十三億としておられるのでありますが、この法案が三月一日から実施される予定でこの目標を立てられたと思うのであります。ところがこの法律の施行の技術上の問題といたしまして、今からこの法案の実施をいつにするかという問題を險討するときに、参議院の事情のその他を考えて、五月一日ないし六月一日ころになろうと思うのであります。そういう時期的なずれに対して、目標の完遂がどう調節されるかを伺いたいのであります。
○白根(玉)政府委員 目標を設定する際において、現行の五万円が八万円になるかならぬかは、議会の御審議をまたなければならないのであります。従いまして私ども目標設定をする際においては、八万円が三月一日に実施されるということを前提といたしまして目標を設定したのではないのでありまして、多分そういうことになるかもしれぬという期待は、従業員側にも持たせつつやつたのでございますが、当然三月一日から八万円になるという前提で目標を設定したのではございません。
○受田委員 法律の施行期日の問題でありますが、これは私が繰返し過去において出された法案の審議の都度申し上げたごとく、ある程度の周知期間を必要とする。ところが保險のごときは、事前にこれほど輿論化した問題であるから、非常に国民の中に周知しておる。こういうことになれば、施行期日をなるべく早める必要があると思うのでありますが、政府として旅行期日をいつにしたらいいか、これは技術的に見国会の審議状況に関連するのですけれども、本日衆議院を通過し、参議院の審議状況などを考えた上で、いつとして施行期日をきめるべきか、政府側の意見を伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 御指摘のように原案は三月一日になつております。本日衆議院で議決を見るといたしまして、あと参議院の御都合等をもいろいろ伺つてみなければならないのでありまするが、私どもとしては、三月一日が遅れておるのでありますから、できるだけ早くやりたい。参議院の方の審議が非常に進みますれば、五月一日ごろであれば非常に仕合せではないかと実は考えておるわけであります。しかしいずれにいたしましても、参議院の方の審議の御都合もあることだろうと思いますので、その期日はもう少し考えなければならないのではないか、かように考えております。
○受田委員 簡易保險の契約高において、最高制限額の五万円を越えて、しばしば十万円ないし二十万円の契約をしたのが見受けられるということを伺つております。これは法律違反である。政府そのものが法律違反をやつておつた。この問題について、八万円に引上げがなされるとともに、ある程度今後の募集にはそうした不届きがないであろうと思うのでありますが、今後政府は限度引上げとともに、この法律違反をやらないと声明ができるかどうか、これを伺つておきたいのであります。
○佐藤国務大臣 過去におきましても、御指摘のような点につきましていろいろ問題があつたわけであります。従いまして政府はその都度郵政省職員を督励いたしまして、嚴守いたすような処置をとつて参つておるわけであります。今後におきましても、もちろん今日まで郵政省がとつております態勢にかわりはないのでありまするから、この点はさように御了承をいただきたいと思います。
○受田委員 最後に一つ、最近、三月の初めでしたか、民間保險はその料率を引下げておるようであります。その引下げた率が、簡易保險よりも下まわつておるという結果になつておると思うのでありますが、こうなりますと、民間保險は料率を下げた、簡易保險は現行で行くということになると、この民間保險の低額契約者との調節が十分とれるかどうか、これに対して政府は自信を持つているかどうか、あるいはこれに対して必要によれば料率を引下げる、大衆に対するサービスとして料率を引下げる用意があるかどうか、こういう問題も大臣よりあわせて答弁いただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 先ほど来民間保險業に対しての改善要望が出たり、またすでに民間保險でとりました処置をただいま受田さんからごひろうになりまして、これについて簡易保險の方でさらに考えることはないかというお話でありますが、民間の保險業者は、御承知のように多数の会社がありまして、それぞれ扱い方も、基本的のものは同一でありましても、こまかな点においてそれぞれ違つておるわけであります。ただいまの御意見の点もさようでありまするが、同時にまた相互保險の観点に立ちましての配当等の問題もあるわけであります。私どもの簡易保險におきましても、さらにこの運用の点についてもう少し考えて行かなければならないのではないか、かように考えまして、ただいま申し上げました配当等の問題も、今後の研究問題と申しますか、今後実施すべきものとして積極的に研究したらどうかということで、事務当局も熱意をもつていろいろくふうをこらしておるような次第でございます。従いましてただ單に金利だけの問題でもないのでありますし、ただいま、申し上げるような配当の問題もありましようし、また勧誘をする人たち、あるいは掛金の徴收をいたします職員自身の気持が加入者にそのまま伝わる、こういうサービス第一で取扱つて参りますれば、また別な一つの分野においての仕事もできるわけでありまして、かような意味合いをもちまして、なお制度そのものといたしましてもくふうをこらす点もありましようが、日常の取扱い等につきましても、さらに加入者本位の考え方で仕事をして参るように一層注意して行くつもりでございます。従つてかように考えますれば、民間の事業等とも比較いたしまして、簡易保險の特質は十分発揮し得る、かように実は考えておる次第でございます。
○受田委員 料率の問題は変更しませんかどうか。
○佐藤国務大臣 ただいま料率をかえるような考え方を持つておりません。
○尾関委員長 これにて質疑は終了いたしました。 ただいま委員長の手元に、飯塚委員より簡易生命保險法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。この際飯塚君よりその趣旨の説明を求めます。
○飯塚委員 本法律の施行期日は三月の一日ということになつておりましたが、同僚議員よりも再々申されましたように、すでにその期日を経過しております。この際これを次のように修正したいと思います。すなわち附則第一項中「昭和二十七年三月一日」を「昭和二十七年五月一日」に、「昭和二十七年四月一日」を「昭和二十七年六月一日」に改める。以上の修正をいたしたいと思います。
○尾関委員長 これより簡易生命保險法の一部を改正する法律案を議題とし、原案及び修正案を一括して討論を省略するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾関委員長 異議なしと認めます。討論は省略されました。 これより原案及び修正案について採決をいたします。修正案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○尾関委員長 起立多数。よつて修正案は可決すべきものと決しました。 次にただいま修正すべきものと決しました部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○尾関委員長 起立多数。よつて原案は修正議決すべきものと決しました。なお本案に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾関委員長 御異議なきものと認めます。さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十分散会