郵政委員会 第13号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/04/23
会議録
○尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を許します。受田新吉君。
○受田委員 この簡易生命保険法の一部を改正する法律案が国会に提出されまして、すでに相当の日子を経過しておるのでありますが、特にこの法律の施行時期は、政府原案によれば昭和二十七年三月一日としてあるのであります。しかるに約二箇月を経た今日、荏苒としてこの解決を見ないということは、まことに政府側自身の不用意と、与党の内部における不統一を物語つておるものであつて、われわれ国会の野党側の議員としてはまことに不愉快きわまる現状であります。従つてこの法律案が出されてすでに二箇月以上も経た今日、政府が依然として原案を固執するのかどうか、施行期日についても、この三月一日としてあること、この施行期日を附則としてあげたことに対して、政府はあまりにも不用意の結果がこうなつたということを反省しておられるのかどうか、政府側の御意向を確かめておきたいのであります。
○佐藤国務大臣 政府は原案の成立を心から希望いたしております。但しただいま御指摘になりました施行期日の問題につきましては、もうすでに三月一日を経過しておる今日でありますので、これはできるだけ早い日に施行に移すように、その点は御審議を賜わりたいと存じます。
○受田委員 この政府案の中心をなす第十七條第一項の五万円を八万円に改めるという、この八万円の数字的な基礎はどうして出されたか、これをあらゆる角度から御答弁をいただきたいのであります。物価指数その他のいろいろな統計は出ておりまするが、八万円が適当であるという結論に導かれた政府側のあらゆる角度からの基礎的な用意を、ここにさらけ出していただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 その点については昨日も山本委員から詳細なお尋ねがあり、お答えを申し上げた次第であります。御承知のように簡易保険の限度を幾らにするかということを決定する場合におきまして、物価指数の変動ももちろん一つのその條件だと思いまするし、さらにまたこの制度が持ちます社会保障的な性格等も十分考えて行かなければなりません。同時にまた官業と民業との間の調整ということも考えて参らなければなりません。と申しますのは、民間資金が使われております経済面、並びに資金運用部資金に繰入れられます国家資金がいかに融資されておるか、これらの点も考慮に入れて参らなければならないのであります。この簡易生命保険という制度だけで、社会保障的な目的を達するというわけにも実は参らないのでありまして、あらゆる制度等とも関連を持ちまして、社会保障的な目的も達成して参る。もつとはつきり申せば、民間の保険制度等ともあわせて、そういうような目的を達することもいいのではないか、こういうように実は私ども考えて参りました。そうして民間保険が今集めております民間資金と、国家資金との間の調整をとるという観点に立つて考慮いたしますと、まず八万円が適当なりというような結論に到達いたした次第であります。同時にまた私ども簡易保険事業を経営しております面から申しますれば、現在の簡易保険の性格等から見ましても、すでに五万円の限度に近い平均を示しております状態から申せば、事業遂行上からもこれが限度の引上げを必要といたしておつたような次第であります。これらの点を種々勘案いたしました結果、総合的に見まして八万円が適当なり、かような結論を出したような次第でございます。
○受田委員 今の大臣の御答弁で、その根本的なものの理解はできたのでありますが、ここはわれわれ国会といたしましては十分政府の意図を確かめて、これに対する賛否を決定しなければならないのでありまして、ただいまの第一の御答弁の中にあつた民間資金との調節という面でありますが、民間資金との調節の実情がどうなつているのか、できれば概数の数字的なものでもあげて、国会が納得するように、どうして八万円という数字が出たのか、その根拠を納得せしめますように、諸般の事情を考慮してというような漠然とした御答弁でなく、それは国会を無視したやり方でありますから、はつきりした数字的な根拠を示して、なぜ八万円になつたかということをわれわれ国会議員を納得させた上で、われわれはこれを審議しなければならぬのでありますから、この点要領のいい答弁でなくて、親切なきわめていんぎんをきわめた御答弁をいただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 民間保険は御承知のように、元は有審査の保険を主といたしておりました。民間保険事業と申せば大体高額保険のように考えられたわけでありますが、戰後の経済実情等から見まして、民間保険も無審査保険に力を入れて参りました。ことに団体保険等の新しい制度を設けて参りまして、この民間のやつております事業のしぶりから申しますと、簡易保険と民間保険との間には、簡易保険を制定いたしました当時は画然たる区別があるやに理解しておつたわけでありますが、ただいま申すように最近の民間保険は、やはり少額の資金を吸收するように相なりまして、その分野は簡易保険の分野に民間保険が入つて来ておる、こういうことが言えるように実は思うのであります。先ほど申しましたように簡易保険が少額收入者を対象にする、こういうことを特に専売のような言い方をして参りましたのですが、最近の民間保険もその点に非常な力が入つておるということが指摘できるのであります。私どもの調べによりますと、民間の有審査の保険は、有審査だけで見ますと二十三万円程度になるのではないかと思います。しかしただいま申しました無審査の民間保険の平均を見ますと、七万二千円程度のように記憶いたしておるのであります。双方の平均が十二、三万円というようなところに相なつておるのであります。民間の保険は一般の経済界の実情等から見まして、非常に総額が伸びたときもありまするが、戰後のインフレの波に乗りますと、なかなか保険というものは、募集も困難でありまして、なかなか思うようにできないのであります。大体私どもが考えておりますところでは、民間保険は昨年度あたりが五百億程度の資金を集めたものではないかというように見ております。従いましてことしの簡易保険の募集達成見込みと比べてみますると、まず匹敵するものであります。御承知のように民間資金である民間の保険業者が集めました資金は、これはただちに民間事業に対しまして、銀行等を通じ投資されるわけでありまして、この点は経済界の実情に応じて動いておるわけでありまするし、特にこの資金自身は保険の契約に基く資金でありますだけに、長期融資の対象になるわけのものであります。ところが国家の方のこの簡易保険の資金は、資金運用部資金に入つて参りますので、政府が融資いたしますのには、非常に限られた使い方をいたしております。従いまして民間の活発な需要には、なかなか応じかねるわけであります。こういうような状況になつておるのであります。この点を特に勘案いたしまして、金融政策的な効果を相当ねらうのが望ましいのじやないかというのが、政府としての考え方の一つの筋に相なつておるわけであります。
○受田委員 その筋から編み出されたものが八万円というようになつた。今ここで幾つものある程度の数字は出たのでありまするが、民間保険の平均十二、三万円と、簡易保険の今度の八万円というものの比率は、どういうところから割出したのであるかということ、それからもう一つ、長期融資の対象とする民間の保険の資金も、それから政府資金の一部をなすところの資金運用部の資金も、ともに国全体の総合経済政策の立場から考えなければならぬ問題であつて、これが十二、三万円と八万円の比率にどう影響しておるのかという問題、それから今大臣の御答弁の中に、最初は簡易保険は小口の零細な資金の吸收という点で出発をしたが、後に民間保険までがその分野を侵すようになつて、現在では無審査の小額保険がたくさんできた。従つてその面からの区別はなくなつたということでありますが、民間保険はもともと有審査というものが、その中心をなしておつたものでありまして、それが無審査へ入り込んだということは、簡易保険事業に食い込んだわけでありまするが、もう有審査の高額保険は限度に達したという経済情勢がそうさせたのか、あるいは相続税その他の税の問題でこれを、巧妙にその裏をくぐるために、この民間保険の事業が大衆の零細資金に方向転換をして、その相続税の重圧が、民間保険をそういう方面へ走らせたのではないか。こうなれば民間保険にその保険事業の本質を発揮させるために、相続税を減免するという道もあると思うのでありまするが、そういう問題をあわせ御答弁いただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 先ほど民間保険の平均十二、三万円ということを申しましたが、今日簡易保険の八万円と、その十二、三万円と比べるのは、これは基礎が違うように考えるわけであります。やはり有審査の部分を除きまして、無審査の範囲で考えて参るのが筋のように思います。従いまして現在無審査の平均が七万二千円程度であるといたしますれば、これとほぼ同額と考えられる八万円という金額が、一応考えられるわけであります。従いまして十二、三万円のところと均衡をとつたわけではないということであります。それからもう一つは、先ほど申しましたように元は民間のやらなかつたことを民間が始めた、これは民間の業者の方の説明を聞かないと、はつきりしたお答えはできないかと思います。私がただ想像いたしてみますのに、あの保険の契約を結びます際の手続が非常にむずかしいというか、複雑でありますると、この種のものはなかなか普及はしにくいのだろうと思います。従いまして簡易な方法でやはり保険契約を結ぶべきだ。ことに団体保険等の制度等を考えますると、これらの点は無審査の方向に相当出て参るものだろうと考えるのであります。ここらに民間保険業者の経営上の問題が一つあると思います。また国民大衆から見ますれば、一つの機関だけが一つの制度を専門にやるばかりではなしに、いろいろの各会社等もやり、そうしてそこに競争が行われることは、国民全体の利益の問題だと考えるので、あながち民間保険がこの範囲に入つて来た、こういう意味で、民間ばかりを責めるわけにも実は行かないのじやないか。国民大衆から見ますれば、そういうような窓口が幾つもあることは、これは仕合せのことじやないか。私はこれは個人の考え方でありますが、さように実は考えておるのであります。それから先ほど言われました相続税との関係はないかというお話でありまするが、相続税の問題は、確かに一部におきましてはあると私は考えます。従いましてこの保険自身が、保険契約が伸びて行かないのには、いろいろの理由がありましようが、戰後の特殊事情として特にあげるべきものはこれは何と申しましてもインフレだろうと思います。そのインフレーシヨンの影響というものは、非常に大きく響いておる。そうして今後三十年なりあるいは終身なりというような、貨幣価値の変動が予想のつかない時分の問題を、非常に戰後の苦しい状況のもとにおいて保険をかけて行くどいうことは、かける方から申せば、非常なまれな例にも実は相なるのじやないが。むしろこの身体検査その他等を非常に簡易な方法でやられる小額のものでありますならば、比較的加入も容易かと思いまするが、このインフレの時代に、貨幣価値が非常に変動する、こういう観点に立ちますと、なかなか保険契約を結ぶ、あるいは保険に加入するということは困難だろうと思います。同時にこの相続の問題ももちろんあるだろうと思います。今までは政府といたしましては、簡易保険の方は金額も小額でありますので、もちろん課税の対象にならないわけでありまするが、民間の有審査の保険でありますと、在来の例は、実際の実情と申しますか、取扱い上から申せば、大体十万円程度までは相続税を課さない、こういうような実際の扱い方をいたしておるようであります。そこで今回の相続税法の改正にあたりましても、私はこういう考え方をいたしておるのでありますが、保険というものについては、これは官民ともに合せまして、競争の立場にあつてお互いが競争し合つて相手を苦しめると、こういう考え方のものじやなしに、官民一緒になりまして、この保険事業が発達するということが、経済の基礎を強固にするゆえんであり、国民の生活を安定さすゆえんである、かような観点に立ちますれば、一応の競争の立場にはあるが、それぞれの分野におきまして、十分その使命を達成し得るように政治をやつて行くべきじやないか、かように考えれば相続税の免除ももつと金額を引上げてしかるべきじやないか、こういうような考え方を実はいたしておるのであります。最近の相続税の方につきましては、相続税の控除額をたしか相当引上げて、今までの十万程度のものが三十万程度に相なつたのではないか、かように考えますが、こういう事柄は総体の保険事業が発達することになりますし、民間資金その他金融上非常に利益することではないか、かように実は考えております。ただただいま申し上げましたように、民間保険についてこの際特に考慮を払つておりますゆえんのものは、先ほど申したインフレーシヨンの影響をこうむり、最近ようやく安定しつつあるやに見受けますこの業界に対しまして、この機会に非常な圧迫になるようなことは、できるだけ避けて行くべきがいいじやないか、先ほど申すその資金の運用の面等を勘案いたしますると、そうすることが最も適当ではないかというので、この民間保険との間の均衡ということも、一応考えて参つておるような次第であります。
○田代委員 関連して……。ただいま大臣の説明によりますと、これは以前から私はその感を深くしておつたのですが、無審査の民間保険の平均が大体七万二千円見当で、今度八万円にするという政府原案も、これとの関連において考慮されたということが、非常に有力な根拠にもなつておりますし、私たちとして、また国民としましては、この簡易保険という性格をはつきり依然として現在持たすべきじやないか、また政府自身も簡易という性格を依然としてお持ちになるという建前でしておられるのじやないか。ところが実際におきますと、民間保険も無審査で大体その見当までやり、あるいは十万円、場合によつて十二、三万円見当まで無審査で行かれている。簡易保険の方は当然そうですが、そうすると民間保険と簡易保険との性格が全然区別できなくなる。それからまた保険料の面から見ましても、簡易保険の方が非常に安くて、また民間の方が高いというようなことはなくて、聞くところによりますと、民間の方が場合によつては安いのではないかということになつておるそうですが、そうしますと、結局簡易保険という性格がすでになくなつてしまつていることになると思うのですが、このように政府はお考えになつておるかどうか。そういう性格がなくなつて来るというと、大体何をねらつてこういうふうな引上げをされるのか、結局窓口が多いことがいいというような先ほど説明でしたけれども、どうもそれでは納得ができないわけでありまして、この点をひとつはつきりさせていただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 先ほどこれを引上げます理由のうちに、幾つも申しましたが、そのうちの最後に、私ども簡易保険事業の現状等から見ましても、限度は引上げなければならないということを申し上げたと思いますが、一つの事業をやつておりまして、現在までの簡易保険の最高限五万円という観点に立つて、そうして簡易保険がどの程度にまで伸びているかということを考えますると、四万円前後に実は相なつておるのであります。簡易保険といたしましては頭打ちをしておるわけであります。従いまして新しい加入はなかなか困難になつております。また過去の保険契約を実施して行くということになつて参る。こういう場合におきましては、やはり事業といたしましては、新しい分野を考えるのも、これは当然であります。従いましてこの点もやはり考慮のうちに入れて行かなければならない。先ほど来お話になり御指摘がありましたように、社会保障の観点に立つとか、あるいは物価指数の変動等の観点に立ちますれば、これは八万円では低いという問題も起るでありましよう。また民間の保険との調整だけを考えますならば、現状のままでもよろしいじやないかという議論も成り立つかと思いますが、われわれの方にもわれわれの方の実情があり、それらのものをいろいろ勘案いたしまして、ある程度の変更はこの際必要だ、この際やるものといたしまして、どの程度がいいだろうかということが、先ほど来申します八万円ということに相なるのでありまして、この八万円をそれでは今後どのくらい続いて堅守して行くのか、こういう問題になりますれば、これはまた別なそのときどき応じて考えて参らなければならないのでありまして、もつと保険加入の能力あり、こういうような状況になつて参りますれば、これは私ども当然引上げてしかるべきだと思います。この八万円を長くすえ置くというような考え方は、毛頭持つわけのものでない、民間なりまた保険加入をされる国民の利益なり、あるいはまたこの制度の目的を達成するというような観点等から立ちまして、この限度というものは、やはりそのときに応じまして変更して参るということが、適当なように思うのであります。今までのお話を伺いましても、おそらく限度の引上げは必要ない、こういうような御議論ではないだろう、もつと高く上げたらどうだというような御意見ではないかと、実は私も拝察をいたしておるのでありますが、それらの点は現在のままにすえ置けと言われるならば、先ほど申しますような、事業自身の持つ性格から見まして、この際に限度を引上げる要ありというのが、私どもの実は結論であります。それから民間保険がこの際にやつて来て、同じようなことをやつておる。そこにおいて料金なりその他等もいろいろ違う、あるいは簡易保険が高いのではないかという御意見もあるやに実は聞くのでありますが、私どもは現在までのこの郵政省がやつております簡易生命保険事業の信用というものは、国民の間において絶大だと思います。従いまして民間の保険業者との競争等におきましても、これで破れるような考え方は毛頭持つておりません。またこの掛金その他金利等の問題につきましても、一層私どもといたしましてもくふうをこらしまして、民間業との競争には十分耐え、またその競争を貫き得る。実はかような信念を持つておるような次第であります。
○田代委員 今の説明によりまして、はつきりしたことは、民間保険と簡易保険のその性格的な区別が大体なくなつておる。そうしますと、大体何をねらつてこれを引上げをされようとするか。ただいまの説明では八万円では少し安過ぎるから、五万円を八万円、八万円を十万円というような意見が圧倒的だ、支配的だとおつしやいましたけれども、私たちはそうではないのでありまして、簡易保険の性格はやはり依然とし持つべきであり、社会保障という制度、性格は依然として貫く、それを貫くとすれば、こういう民間保険との競合というようなことで、これに破れると思わないという大臣の断固とした確信でありますが、それは当然だと思う。それはちやんと政府が非常にいろいろな面で育成し、便宜一を与えているというようなことで、当然これはそういう面からいいますと、民間保険は太刀打ちできないということになつておるのでありまして、従つて私は結局政府のねらいとしては、いかにして零細な民間の資金を政府が集めるかというところに、一切が集中されているのではないかというふうに考えるわけですが、この点どうでしようか。
○佐藤国務大臣 だんだん共産党式な御質問になつたようで、私まことに遺憾に思います。簡易生命保険は、これはどこまでも加入者、国民の利益を第一に考えての制度でありまして、国が資金獲得上必要な方法としてこの制度をやつているものでないということだけをはつきり明言いたしておきます。
○受田委員 大臣の御答弁の中に、ただいま田代委員からただされた問題、すなわちこの保険金額の八万円決定は、民間保険との関係において特に強く考えられたというような印象を受けたのでありますが、「最近における民間保険の状況等を考慮いたしまして」と、この提案理由の説明の中にもあるのでありますが、民間保険の実情に重点を置いてやつたということが最も大きな理由になつているのでありますか、それを伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 重点といわれることはいかがかと思いますが、先ほど申しまように、いろいろの條件から金額引上げの要を痛感いたしております。限度を引上げる場合に、一体どの程度にするかということになりますと、この際はこの程度が適当だろうということにいたしたわけであります。
○受田委員 まことに漠然とした答弁で、われわれはこれを審議する種がない。何かのれんに腕押しのような感じがして、あなたのお考えになられた民間保険の実情というものが、われわれにははつきりつかまれていないのでありますが、たとえば民間保険は契約上において簡易保険とどういう相違があるか、契約者に対する負担はどうさせているか、告知義務に関してはどういう相違を持つているかとか、こうしたものについて現在の民間保険のとつている道、及び簡易保険のとつている道との比較検討が第一になされなければならぬのに、それが全然資料で出されておりません。大臣が言われた七万二、三千円平均の無審査契約保険が各社を通じてどれくらいあるか、民間保険と簡易保険の比重がどういうふうになつているかというようなところまで、今の大臣の御答弁であるならば、資料をいただかないと、われわれは国会で審査するわけに行かない。この点において民間保険の漠然とした数字をいただいただけでは不十分であります。せつかく簡易生命保険法改正案に簡易保険側の数字が出ているのですが、民間保険の方の数字もあわせてお出しいただいたら非常に仕合せだと思います。これはひとつ資料提出要求をいたします。 次は八万円という限度に対しても、これは高きに過ぎるという案もあるのでありまして、これは田代さんのみならず、民間保険の方では、五万円の現状でもまだ高過ぎるのだという声があるのであります。これはわれわれとしては、民間企業をこの際圧迫しようとは考えていないのであつて、民間保険業者がこの五万円を主張される理由についても、いろいろお聞きしたのでありますが、しかしこの点一歩進んで、民間企業が政府事業である簡易保険と競争する道は、まだ他に幾らでも見出し得ると思うのです。従つてこの簡易保険の最高制限額を八万円に上げると民間企業を圧迫するのだという御懸念は、この点、民間企業を保護する他の対策に、よつて補われるのではないか、その道があるのではないか。たとえば先ほど申し上げた相続税の減免のわくを広げるとか、いろいろなことがあるので、そういう点で政府は民間企業を助成すればいいのである。簡易保険そのものの最初政府事業としてスタートした当時からの歴史をながめるならばこの簡易保険がいまさら三万円くらいの増額で事足りるということに対しては、われわれとしては非常な疑念を抱かざるを得ない。わけて政府自身が提案理由の説明にも述べておられます、薄資勤労者階級の老後における生活安定、あるいは最終医療費、葬祭費、及び被保険者の死亡後における遺族の生活保障に必要な額を基準として定められたものであつて、今日における医療費、葬祭費、遺族生活費並びに物価指数等にかんがみて、これを相当程度に引上げることが必要となるのである、こうあるのです。ところがこの相当程度というのはどういう程度なのか、八万円をどのくらい上まわつている程度であるか。その次に、最近における民間保険の状況等を考慮いたしまして、これを八万円に引上げることとしたとあつて、結局民間保険の状況がその中心になつて八万円ときめたというので、政府は民間企業に非常な掣肘を受けて、事実は相当程度に引上げなければならぬのであるが、これを八万円で押えたという提案理由の説明がしてあるのであります。相当程度に引上げることが必要とされるというのは、これは普通であれば、どのくらいであればよいと初め見られたのか。それが民間保険の状況等で八万円ときめられたというのですから、相当程度と提案理由に説明されたのを、具体的な数字でお示し願いたいのであります。
○佐藤国務大臣 先ほど来お尋ねがありましたように、物価指数というものを基準にとつてみますると、これは相当程度上げなければならない。あるいは二十万円前後とか、あるいは十五万円程度とか、あるいはもつと見方によりますれば三十万円程度とか、いろいろの見方があるのではないかと思うのであります。問題は、物価指数だけでこれをきめるわけにも行かない。同時に国民の收入状況等から考えますると、加入者が一番手ごろに加入できる金額というものもあるわけであります。今言われるような社会保障的な性格だけでこれをはじきますれば、私は先ほど申し上げましたように相当の金額に相なるだろうと思います。しかし政府が特別な措置を講じますならばこれは別でありまするが、この加入者の掛金によりましてこの制度が運用される、かように考えますると、今保険事業として持つております網等の関係から見ますれば、これはまた一面に弊害等をも生ずるのであります。それらの点もやはり考慮に入れなければ相ならなかつた、こういう問題は実は依然としてあるわけであります。従いまして、この金額自身を幾らに上げるかという問題と、それから時期的な問題と、二つの要素は当然考慮いたさなければならないのであります。いろいろ御審議をいただいておりまするが、この時期的な問題も一つの要素であることは、ぜひとも御判断のうちにお加えを願いたい。私ども民間事業に対しまして、特に利益するというような考え方も持つてはおりませんが、特別に民間企業に圧迫を加えるとか、あるいは加入者が非常に入りにくい状況にこの制度を持つて行くということも、これはくふうをいたさなければならない。りくつから申せば、限度は二十万円にいたしましても、二十万円以下ではないか、だから幾らで入つてもよろしいじやないかという問題もあろうかと思いまするが、これは実際の扱い方としては、そのりくつ通りには現実には参らないのであります。そこらにも事業遂行上には実は苦心が存するのであります。これらの点はよく御理解が賜わることだと思いますが、私どもこの限度自身を長くすえ直くというような考え方を持つわけのものではない。今日のこの際においての限度といたしましては八万円が適当なり、かような考え方をいたしておるのであります。
○受田委員 私は八万円と出された数字が、ちよつと思いつきでやられたように、どうしてもとれるのです。これは民間保険の無審査七万二千円などを考えた結果それにしたのだ、こういう御答弁になると、より一層その感を強くするのでありますが、法案というものは、政府が自信を持つて出さなければならないのであつて、現在の経済情勢、国際経済の問題、こういうものなども一応判断に入れて、もう一つは、今度は民間企業と政府企業との調節などを判断に入れて、八万円という科学的な数字が出たのだ、政治的な数字でなくて、科学的にこういう数字が出たのだということまでわれわれは示していただきたいのです。わけていろいろな社会保障的な感覚から言うと、相当程度に引上げなければならぬということを政府自身が必要を認めておられる。この認めておられるのが、民間保険の状況などによつて動かされた、こういうことになるので、民間保険の助長を策しつつ、これを八万円という線におすえにならなくても、簡易保険本来の使命を達成するという道は幾らでもあると思うのであります。第一この簡易保険というものは、零細な民衆には非常に今まで魅力があつた。それは先ほど大臣が御答弁になつたような、国家という大きな母体によつて保障されている点である。ところが民間保険の方にはそういう裏づけがない関係上、保険会社そのものはどうしても営利事業に走る。相互組織であつても、やはり幾分そういう傾向が起つて来るのです。この点において、民間保険は簡易保険との争いの方に重点を置かないで、もつと大きな線で祖国再建の経済に参画すべきである。政府がいたずらに民間保険にばかり気がねをされて、簡易保険本来の使命をまげて行くということは、これからの日本の経済を大いにリードして行こうとする現在の自由党政府としては、まことに心細さを感ぜざるを得ないのであります。従つてほんとうに日本の経済をどう再建するか、政府事業をどうするかというはつきりした信念があるならば、おおよそ八万円くらいでよかろうというような、そういうもうろうとした立場でなくして、はつきりと八万円、こういう線を私はお示しいただきたかつた。この点について大臣といたしましては、この民間保険を相当程度に引上げるという社会保障という問題では今何万円になるのか。それから民間保険との調節においては、民間保険は無審査で今七万二千円平均をとつているが、たとえば契約はしたが、かけ得られないで失効した数字がどのくらいあり、簡易保険の失効との比率がどういうふうになつておつて、民間保険と簡易保険はこういう今の関係を続けて来ておるのだというところまでも、はつきりとわれわれに材料を示してもらつて、そうして本日ここに八万円の改正案を出したのだという結論へ持つて行つていただきたいのであります。このようにして私は八万円という限度引上げが、漠然とした基礎でなくして、はつきりした基盤の上に立つた、政府の自信ある答弁を要求いたしまして、質問を終りたいと思うのですが、できればこの点、政府自身の意図が民間保険の状況によつて八万円と決定されたという結論が出ている以上は、民間保険との関係についてのたくさんの資料をここに用意していただいて、明日でも明後日でもよろしゆうございますから、この法律案が出されてすでに二箇月以上もたつてまだ解決を見ていない以上、もはやこれが少々遅れても五十歩百歩でありますから、慎重審議をしてわれわれは民衆の声にこたえたいと思うのです。この点について、さらに大臣の御答弁にあつた、政府の意図を決定した重大なるかぎになつた民間保険の状況の詳細な資料提出の要求をいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○佐藤国務大臣 御承知のように民間保険の監督官庁は大蔵省でありますし簡易生命保険を幾らの限度にするかという場合に、民間保険の状況等を参考資料としてまとめたものがありますから、これを送付することに私ども何ら異存はない次第でございます。しこうして先ほど来の御議論でありますが、私どもの見方といたしましては、先ほど田代委員にも申し上げましたように、民間保険だけでこの案が決定されておるものではないのでありまして、民間保険だけで決定されておりますならば、受田委員からも御指摘になりましたように、五万円でけつこうだという議論がそこに成り立つことに相なるのであります。この点は誤解のないように願いたい。私どもはやはり保険事業を経営いたしておりますから、当然その観点に立つての結論を出しておるわけであります。その場合に、民間保険と官営保険との調整をとることも、これまた政府の当然やることであります。先ほど来種々申し上げましたのは、これは別に保険業者自身をどうこうするという考え方で調整をとるわけではない。国の金融政策という観点なり、経済政策の基本等から見まして、民間事業に対する非常な影響はこの際は避けるべきだというのが、私どもの到達いたした結論であります。この点を先ほど来るる御説明申し上げておるわけであります。政府といたしましてはこれらの観点に立ちまして、八万円がこの際は適当なりということで案を決定いたしまして、御審議をお願いいたしておるような次第であります。従いましてこれらの点については、先ほど来るるお尋ねがあり、また同時に受田委員の御意見も伺つたのでありますが、私どもの見るところは、先ほど来申し上げますような観点に立つて、その一つのポイントだけからこの八万円を決定したものでないということだけをはつきり申し上げておきます。
○受田委員 もう質問を終る予定でしたが、ちよつと御答弁の中で重ねてお尋ね申し上げたい点が発生したのであります。それは提案理由の説明の中に、「最近における民間保証の状況等を考慮いたしまして、これを八万円に引上げることにいたしたいと存じます。」とありますが、「最近における民間保険の状況」と書いてあります以上は、それが第一であつて、あとの「等」という方が副次的なものになるというのが、普通の常識であろうと思うのであります。そうしますと、最近における民間保険の状況を第一に考慮して決定したと結論をお出しになりますかどうか。
○佐藤国務大臣 どうも言葉の問題で議論にわたることは申し上げたくないのでありますが、この簡易生命保険事業の限度の引上げは簡易保険事業ということの立場がまず根本になつているのでありまして、この点は文章の上には書いてありませんけれども、これは私どもが提案する限り、まずその事業自身の立場においてこれを考えて行く、これが基本になつている。これは別に書かなくてもはつきりしているように実は私どもは考えておるわけであります。
○受田委員 それは簡易保険本来の事業は、その御説明のすぐ前に書いてある「本事業創設以来、薄資勤労者階級」云々とずつとあげてあつて、この線から行くならば、相当程度引上げることが必要になるのであるが、最近における民間保険の状況等を考慮して八万円としたのであつて、ほんとうであればうんと引上げなければならぬのであるが、民間保険の状況等によつて八万円にしたということになると、これは民間保険を第一に考えたということになると思うのでありますが、この点第一は民間保険の状況、もしそれが政府の説明がいるならば——言葉じりをとらえるわけでないけれども、「民間保険の状況」次に何々とあげて「を考慮いたしまして」と書いていただく方がはつきりするのですが、これが第一と見てよろしいかどうか。つまり八万円と決定した第一の理由は、民間保険の状況であるかどうか。
○佐藤国務大臣 先ほど来その点はしばしばお答えをいたしておりますので、いまさら文字についての議論は私さしひかえたいと思います。先ほど来るる御説明申し上げましたので御了承は願えるんじやないか。重ねてしからば申し上げておきますが、保険事業といたしましてとにかく限度を引上げざるを得ない理由に到達しておる。しかもその書いてあります事柄から申せば、物価指数等から見て、社会保障的な目的を達成するとすれば、これは相当の多額に引上げざるを得ない。しかしその通りにも行かない。そこで今民間事業の現状というようなことが勘案されるわけであります。そのいずれがどうというわけのものではないのであります。おそらく民間の業者からも反対陳情といたしましては、この際に限度を引上げること一切賛成しかねるというのが、民間業者の真の声だと私ども聞いております。非常な反対を聞いておるわけであります。しかしながら私どもは事業自身の現状等から見まして、この限度を上げることは当然である、またその使命から見ましてもこれは引上げるのが当然だと思う。しかしながらそのままにも行きかねる、こういう点、この苦心の存した点が鏡の文章になつておる次第であります。
○受田委員 それで一応終ります。
○尾関委員長 本日はこの程度にとどめ散会いたします。明二十四日は午後一時より会議を開きます。 午後三時五十一分散会