法務委員会 第24号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/03/25
会議録
○北川委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が所用のため、暫時理事である私が委員長の職務を行います。 本日の日程に入る前に連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。 現在外務委員会に付託となり審査中の、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、外務委員会へ連合審査会開会の申入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北川委員長代理 御異議なければさよう決定いたします。 なお開会の日時につきましては、委員長において外務委員長と協議の上決定いたしたいと存じますから、さよう御了承願います。 —————————————
○北川委員長代理 それでは本日の日程に入ります。行政協定締結に伴う法制並びに裁判管轄権等に関する件について、前会に引続き質疑を続行いたします。加藤充君。
○加藤(充)委員 順序が不同になりますが、まつ先にお尋ねいたす点は、二十六条に関連してであります。この一の規定を見ますと、合同委員会の権限といいますか、が書かれておりまして、1の前部の方には一般的に「この協定の実施に関して相互の協議を必要とするすべての事項に関する」両国間の「協議機関」それからそのあとに続きまして「合同委員会は、特に、合衆国が安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に当つて使用するため必要とされる日本国内の施設又は区域を決定する協議機関として、任務を行う。」、こう出ているのであります。これは前文にあります日米安全保障条約の第三条に基いて行政協定をなすものであるという、行政協定とはどういうものであるかという意義づけ、位置づけが書かれているのであります。しかるにそういう意味合いを持つた行政協定であるにかかわらず、きわめて一般的な、言葉をかえていうならば、同条約第三条に規定された範囲をはるかに立ち越えた問題が行政協定によつてとりきめられているのであります。先ほど指摘しました二十六条のこの合同委員会の権限というものは、今申し上げました点と関連があつて、二十六条の規定の仕方が出たものだと思うのであります。そこで合同委員会というものは、「特に」と先ほど指摘したうたい方があります分、こういう点できわめて、本来の行政協定以外の分まで立ち至つて二十六条で合同委員会の設置をやつている。これは、繰返して申しまするが、前文にうたつてあります行政協定というものは、日米安全保障条約の第三条に基くものである。そうしてその範囲というものも、それにうたわれているものに限定づけられる。そういう性格のものであるのですが、行政協定はそれ以外のことについても協定をいたしておりまして、本来行政協定によるその協議機関として、すなわち二十六条に「特に」云々といわれているところが本来の合同委員会の機関としての位置づけであるはずです。長くなりましたけれども、二十六条というものは、1合同委員会の権限をはるかに逸脱して規定されておりますし、またそういう規定を前段に持つて行つて、「合同委員会は、特に」というような規定の仕方をしておりますのは、大体において本行政協定なるものが本来の安全保障条約第三条による行政協定を逸脱しており、きめ得べからざるものをきめているということに原因を発するものだと思うのでありますが、その点についてまず承りたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御懸念のような点は毛頭ないと考えております。合同委員会は、二十六条に明文規定がありますように、行政協定の実施についての単なる協議機関でございます。行政協定の目的は、安全保障条約第三条にはつきり言つておりますように、安全保障条約に基いて米国軍が日本に駐屯するについての必要な条件を成文で定める目的のものであります。一々各条項を当りまして御説明申し上げる煩は省きますが、この協定に含まれている事柄は、日本にいる米国の軍隊の日常生活について、当然伴つて起る事項の範囲を出ておる事柄は一つもございません。しかも合同委員会の性格といたしましては、協議機関ということにいたしてありまして、その性格も比較的重要性を置かれないものになつております。これは安全保障条約の問題が起りまして以来、日本の新聞では合同委員会というものを非常に大きくフレームーアツプされた傾向がございますが、当初から昨年の春以来そういうような考えは両政府間に毛頭ございませんでした。単なる協議機関にとどむべきである、こういう考えでございます。その考えが第二十六条の中の第一の文章に明白にうたつてあるわけであります。権限はこの協定の実施に関する事項に関する、性格は協議機関であるという点のその次に「特に」言つてありますのは、第二条をごらんになればわかりますように、第二条にアメリカ軍隊が日本にいるのは安全保障条約に基いておりますし、その目的は安全保障条約第一条に規定されてある通りであります。従つて日本にいる以上は、いるについて土地、建物が必要であるということは、これは三歳の童子といえどもわかつていることであります。理想論からいいますれば、この行政協定ができると同時に、日本の政府が米軍の使用に提供する土地、建物の決定を完了しておくことが理想的でございますが、遺憾ながら時間的余裕がこれを許しませんでしたので、第二条及び交換公文で行政協定実施に関する協議機関であるこの合同委員会に、土地、建物決定についての協議の任務を特に負わせることにいたした次第であります。御懸念のような、合同委員会に、安全保障条約第三条から生れて来る行政協定の目的ないし範囲を逸脱いたすような権限を付与いたす考えは、日米政府間に毛頭ありませんと同様、また二十六条の規定の仕方にも、その趣旨はちつとも出ていないと思います。御安心あつてしかるべしと考えております。
○加藤(充)委員 私はこの日米行政協定なるものが、本来の日米安全保障条約に規定されておりまする範囲をはるかに逸脱したものを持つておる、従つてそれは日米安全保障条約を具体化し、それを遂行して行くためのいわゆる行政協定であつて、国会の承認、批准を要すべき筋合いのものではない、こういうような口実や言いのがれを構えておりまするその不当さが、二十大条の合同委員会のうたい方の中にはつきり露呈されておる、こういうことを申し上げたい。そしてそのことを今言つたような点で質疑して明らかにしたいと思つたのであります。それでお答えによりますると、合同委員会というものは重要なものではない。従来重要な機関であるという宣伝がされたり、あるいはそういうふうに考えられてねつたりしたけれども、それは誤解もはなはだしいものであるということで触りました。私はそのお答えは、それは二重の意味でやはり合同委員会というようなものが注意されなければならない諸点を持つているということを決して消やしてはおらないと思う。重要な機関だとするならば、そして協議機関だとするならば、協議の実質、実体という意味合いからいつて、一対一の構成を持ち、しかも武力的な背景を持つた占領から駐留に切りかえられたというだけにすぎない。米国政府というようなものに対して、どれだけの協議の実体をなすか、協議といつたつて協議の実体を備えないではないかということで問題だと思うのであります。しかし御説のように、単なる協議機関で重要性はないというのでありまするから、その点からこれを検討いたしますれば、私は二つの意味で問題があると思うのであります。一々条文を指摘するまでもなく、第三条は「施設及び区域に隣接する土地、領水及び空間又は前記の施設及び区域の近傍において、それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な権利、権力及び権能を有する。」そして区域外においては必要に応じ、合同委員会を通じ協議しなければならない、というようなことがあるのであります。そうすると権利、権力、権能を絶対的に有するということになれば、協議の余地は実質的にはないのであります。しかも区域外においてどうなるかと言えば、合同委員会を通じて協議しなければならないというのであるが、その協議がいわゆる単なる協議機関であつて、重要性がない協議機関ということになりますれば、合同委員会を通じて協議しなければならないというような意味合いのものは、ほとんど協定上日本国の意思あるいは利害関係あるいはそれに基く主張というようなものが、われわれは合同委員会の協議を通じて、十分に発揚し具体化される機会を与えられているものだとせめても思つたのでありますけれども、この点がお答えによればこれは意味はない、言葉の言語的なものから言つても、協議と訳されておるけれども、カウンシル・トゲザーというようなものは、どうもそういう先ほど指摘したような協議というような意味の実質を持たない。なるほどそれはお説のようにあまり重要性を持たないというならば、結局前面に出て参りますのは’権利、権力、権能を有するといういわゆるオール・マイテイー的なものであつて、それがすべてそれを持つた一方的な実行、実施がなされてもしかたがないということを御答弁は意味しておると思うのでありますが、そういう点はいかがなものですか。また具体的に言えば協議が整わないというような場合を私が質問するのは、今のお答えで単なる協議機関であり、重要性はないというのでありますから、あまり意味は持たないと思うのでありますが、それじやその単なる協議機関にもせよ、協議が整わないというような場合にはどうなるものなのか、そういう点をお尋ねしたいと思います。
○西村(熊)政府委員 私の答弁が少し薬がきき過ぎたようであります。協議機関であると申しますのは、その機関に決定権がないという意味であります。協議機関において協議をして、それを決定いたす場合には日米双方の委員はそれぞれ日本においては日本の国内、米国においては米国の国内の慣例がございますから、それに応じてそれぞれ所要の手続をとつて、日本政府の最後的の意思決定となり、米国側の最後的な意思決定となるわけであります。協議機関の委員は一人であります。この一人が委員である協議機・関には、この行政協定の実施に関連して起るほとんど日常生活の万般の事態が協議の題目となる次第であります。その一人の委員同士の間の協議の結果をもつて最終的の決定となすということは、私どもは不可能と存じます。不可能ではなくても少くともおもしろくない事柄であつて、日本国内にとつて言いますれば、あるいは主管大臣が大臣限りで決裁し得る事項もございましようし、閣議に対する報告ないしは閣議の了解を必要とする事項もございましようし、または事柄によつては閣議の決定を必要とする事項もございます一協議の対象となる事項の性質に応じて、日米それぞれ国内において所要の手続をとつて、そうして政府の最後的意思決定を見ることにいたしてある次第であります。その点は第二十六条の最後の項をごらんになればすぐわかります通り、注意規定といたしまして、合同委員会で意がまとまらなかつたときには政府間で適当な方法を通じて協議することができる、協議するとありまするが、その規定から見ましても、協議機関は協議機関である、従つて同委員会で相談すれば問題はそれで終るという意味ではなくして、それでまとまりましても両政府の意思決定はそれぞれ両政府でやるという趣旨でございます。事柄の性質上そうあることが日米双方にとつて最も妥当だと私どもは判断いたす次第であります。政府の権限を協議機関をもつて最終的にコミツトさせないという必要は皆様も御了承をいただけると思います。またこの委員会が委員は一人ずつ同数である、しかるに相手方は軍隊の背景がある、日本側には軍隊の背景がないから、規定の上では平等的であつても実際的には平等にならないではないかという御懸念をお漏らしになりました。その点については私は断言いたします。日本人は敗れたりといえどもなおかつ相当のりつぱな独立国の国民であると自負いたしております。われわれが日米双方の間のいろいろな案件について奪いをいたすときに、場自分たちが同じ立場に立つておる、自分たちの発言することは、ひとしく政府のために発言しておるという自信をみじんも動かしたことはございません。また米国の軍隊が日本にあるという事実からして、不当な精神的ないし肉体的影響を受けたということも一度もございません。その点は御懸念を漏らされることそれ自身が、私は日本国民にとつて不名誉な事柄であると存ずる次第であります。
○加藤(充)委員 そうなると、権利、権力、権能を全面的に与えた、こういうような事柄なれば、権限を与えた以上は協議も大した意味がない。それに動かされざるを得ない。それに決定されなければならないことになると思うのであります。しかし私どもは今まで合同委員会というようなものがあつて、合同委員会で協議するというようなことがある。そうすると何かここに双方の対等な意思の合致あるいは合致までの協議というようなものが行われる。それでそれに意味がある。こう考えておつたのでありまするけれども、今の御説明によれば、結局において権利、権力、権能を持つ、あるいは権能を与えられた米国政府の一方的な意思、あるいは決定、あるいは意思決定に基く行動というものが、日米行政協定においては中心的な実質を持つものである、こういうふうに理解せざるを得なくなりました。それでそういうよなことと関連いたしますると、二十四条の点についてお尋ねしますが、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」こういうようなものの認定、日米のそれぞれの認定だけれども、結局において行動に移つて行き、認定の統一がある場合においては、この認定は一方的なアメリカの認定というものが基本的になるのではないか。それから協議しなければならないというけれども、これは合同委員会の協議というようなものではないのか。しかもここで協議するというけれども、いわゆる一旦緩急あれば、いわゆる非常事態の宣言あるいは戦争宣言というような、アメリカにおけるアメリカ大統領の権限というようなものと、こういうふうな協議というようなことの関連はいかに相なりますのか、承りたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御質問の点につきましては、予算委員会その他の委員会で、総理大臣または岡崎国務大臣から御答弁になつておる事柄であります。一条約局長が御答弁することによつてかえつて総理または担当国務大臣の御答弁に対する御趣旨とあるいは扞格いたすような、あるいは扞格したというような誤解を招くおそれなきにしもあらずと存じますので、私は御質問に対する御答弁を差控えさしていただきたいと思います。総理または国務大臣に対して御質問くださいますようにお願いいたします。
○加藤(充)委員 私は政治的に幾たびか取消しや訂正をするようなことをあなたに答弁を求めているのではありません。条約局長として二十四条の条文解釈をどういうふうにするのかという問題であります。なお、ついでですからお尋ねしますが、二十三条におきましては、第一文の次の方に「日本国政府は、その領域において」云々とあり、二十四条、今お尋ねした条文の目頭には、「日本区域において」云々ということがありますので、こういう点の字句解釈あるいは実際上の適用の問題についてあわせてお尋ねをしておきたい。
○西村(熊)政府委員 たつての御希望でございますが、私は二十四条に対する御質問については、私からの答弁は御容赦願いたいと思います。何となれば、私はこの国会が始まりまして以来、予算委員会その他の外務委員会等におきまする総理、国務大臣の答弁の要旨を毎日注意深くフオローいたす時間的余裕を持たなかつた次第であります。他に重要案件を控えておりましたので、そのために専心いたしました関係上、政府の担当大臣が責任をもつて答弁せられた事柄についてはつきりと存じておりませんので、一事務当局から、たとい解釈論といたしましても申し上げることはくどいと思うからであります。 最後の一点、第二十三条には「領域」とあり、第二十四条には「区域」とあるから、その点はどういうふうに違うか、説明するようにとの御質問でございます。その点は簡単であります。 〔北川委員長代理退席、委員長着席〕 二十三条にいうのは、領域でございますので、国家の領域につきましては、これは国際法上の原則でございます。領土及び領海、地理的に明確に限定いたされておるわけであります。二十四条にいうのは日本区域でございますので、これは地理的にいわゆる明確に緯度をはかつて限定し得ない常識的観念でございます。私どもとしては安保条約にたびたび使つてあります日本国内及びその付近においてという文句がありますが、大体それと同意義と解釈して間違いない常識的な観念であると解釈いたしておる次第であります。
○加藤(充)委員 二十四条というのは、いろいろ問題になつおりまするほかの条文よりは二行ほどの問題で、一番言葉も少く、そうして表現も文章として見れば、一番簡単な表現を持つたものであります。しかもその点について、解釈が異なつたり、あるいはそのような場合に、答弁が紛議を生ずるということになりますと、一番簡単明瞭に書かれておるような体裁をとつておる第二十四条は、最もあやふやな不明確なものであつて、いわゆる区域も日本区域において云々もきわめて常識的なものである。あいまい模糊たる法律的な言葉でないものがここに使われている。その説明が明確にできないというようなことになりますると、これは日本の再軍備の問題、あるいは警察予備隊の出動の問題、あるいは駐留軍の出動の問題などに関連して、国民が一番不安に思い、一番関心を持つている点が常識的に一番不明瞭だということを御確認なすつた御答弁だと思うが、それでよろしいですか。
○西村(熊)政府委員 ただいま御指摘になりました諸点につきましては、当議院及び参議院におきまして、総理、法務総裁、及び岡崎国務大臣が、たびたび同様の質問を受け、たびたび同様の御答弁をなさつております。新聞の評によれば出がらし答弁と言われるくらい同じ趣旨のことを答弁しておられます。政府といたましては、すでに黒当責任大臣から御答弁がありましたことでございますので、一下僚たる条約局長はそれに補足する何ものも持つておりません。もし、たつて御希望でございましたならば、どうか本委員会におきまして担当国務大臣から御答弁があるようにおはからいを願います。
○梨木委員 関連して。この二十六条の合同委員会の問題に関連して二十四条の問題を今質問したのでありますが、まず伺いたいのは、二十四条においては「日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」とあります。この「直ちに協議しなければならない。」というのは、日米合同委員会にかけるという趣旨でありますかどうか。この点をまず聞いておきます。
○西村(熊)政府委員 私は二十六条に関連する御質問につきましては、担当国務大臣から御答弁があるべき性質の事柄と存じまするがゆえに、条約局長からの答弁は差控えさしていただきます。
○梨木委員 あなたはこの日米安全保障条約第三条に基く行政協定の折衝に立ち会つておるはずだ。そしてその詳細を知つておるはずです。私がこれから聞こうとすることは、何も総理大臣兼外務大臣吉田茂氏やあるいは法務総裁、それはまた別に聞きますが、しかしあなたは先ほども私は日本人の誇りを捨てないでこの協定の交渉に参加したと言つておつた。それならば一体この重要な非常時が起りますれば、日本の国民があげてアメリカの指揮官のもとに戦争にかり立てられるやもしれないというような条文なんだ、きわめて重要な条文なんだ。この条文の解釈にあたりまして、あなたがその折衝に参加しておる。十分承知しておるはずなんだ。それを何やかやといつて責任を回避するような、そういう態度で臨まれるということは、先ほどの、あなたは日本人の矜持を失つたということにはりませんか。そういう自分の一身上り責任回避のためにこの重要な問題について委員会で質問されたことに対して答えないということこそ、きわめて卑屈な態度であると思う。私は重ねてのなたのそういう上の総理大臣や外務大臣が何と言われようとも、あなたが日本の公務員としてこの協定の締結に参加しておる以上、自分の信念のもとに立つて、この条文の解釈あるいは政府のとつておる考え方について委員の月間に答えたらいいじやないか。何がそれがこわいのですか。そういう卑屈な態度であるからこそ、われわれはこ一条約を結んだ諸君の心胆を疑いたくなる。重ねて私は日本人の矜持を失われないならば、この委員の質問に答えてもらいたい。
○西村(熊)政府委員 私は安保条約その他行政協定に関しまして交渉にあたりましては、むろん事務当局の最高責任者として十分責任をとつておりますし、また責任を持つて行動いたしたつもりでございます。しかし私の負う責任は対国会関係ではございませんので、外務省の条約局長として外務大臣、外務大臣を通じて内閣総理大臣に対する責任関係でございます。国会に対しましては政府を代表いたしまして、それぞれ総理、外務大臣、法務総収、対外問題担任の国務大臣から責任持つて解釈問題についてたびたびすでに御答弁になつております。御答弁の資料につきましては事務当局としての私どもが責任をとつております。この立場は決して私卑怯な立場ではないと存じます。
○梨木委員 あなたはここへ政府委員として出ている。そしてきようは外務大臣も、それから法務総裁も出て来ておらない。あなたはなるほど上の外務大臣やそういう人たちに責任を負つているかもしれません。しかしながらまた公務員として国会に対しても、国民に対しても責任を負うはずなんだ。しかもこれから私が聞こうとすることは、決してこれは今日までの国会における質疑に出ておらないことを聞くのです。だからあなたに答えてもらいたい。第一に日本区域の防衛のため必要な共同措置をとる。つまり日本の区域において敵対行為あるいは急迫した事態が生じた場合に、必要なる共同の措置をとるというのは、これは私はおそらく戦闘行為だろうと思うのであります。戦闘行為でありませんか、これを答えてもらいたい。そういう問題についての御質問は出ておりません。私は各委員会の質疑をずつと検討しておりますが、これは出ておりませんから答えてもらいたい。
○西村(熊)政府委員 私の記憶する限りにおきましては、同様の質問はすでに安保条約の批准にあたりまして前国会においてたびたびありまして、たびたび総理、政務次官、ある場合は私もやむを得ず御答弁申し上げたところでございます。本国会に入りましても両院におきましてたびたび同趣旨の質問が出ておりますし、現に出つつあります。それに対しまして担当国務大臣が毎日御答弁を繰返されております。従つて私は御答弁は担当国務大臣から御答弁あつてしかるべきだと判断いたしまするがゆえに、御答弁を差控えさせていただきます。
○梨木委員 あなたは安保条約審議の当時にこういう問題について答えたと言われるが、私は行政協定の第二十四条の問題について聞いているのであります。それではあなたは安保条約のときに一体どういうふうな答弁をしたのですか。こういう日本区域の防衛のため必要な共同の措置をとるということにどう答えられたか、もう一ぺん繰返してここで答弁してください。それはちつともさしつかえないでしよう、どうです。
○西村(熊)政府委員 委員はこの国会になりましてから一回も同趣旨の質問はないとおつしやつております。私が新聞で拝見する限りにおきましては、衆議院におきましても、ことに参議院におきましては、その点につきましてはたびたび御質問が出ております。
○梨木委員 なぜ答弁できないのです。
○西村(熊)政府委員 その答弁に対しましては責任ある国務大臣がずつとしておられますので、びようたる一条約局長の答える筋合いのものでないと御答弁申し上げた次第であります。
○梨木委員 あなたが非常に戦々きようきようとして答弁を回避されるゆえんのものは、この日本区域の防衛のため必要な共同措置ということは、これは明らかに戦闘行為である。この戦闘行為を日本がとるということをきめるようなことは、明らかに憲法第九条に違反している。あなたはそう思いませんか、どうです、それを答えてもらいたい。
○西村(熊)政府委員 日本のような立憲国におきまする立憲政府におきまして、自己の存在の根源となつておりまする憲法を無視するような措置を約束するような政府はないと私は存じます。現在の日本政府もそういう政府でないということを私確信いたしております。
○梨木委員 それではもつとはつきりした憲法違反が出ているからあなたに聞きますが、この条約三条を見ますと、三ページでありますが、「合衆国は、また、前記の施設及び区域に隣接する土地、領水及び空間又は前記の施設及び区域の近傍において、それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な権利、権力及び権能を有する。」合衆国にこういうものを与えてしまつた。権利、権力、権能を与えてしまつた。ところが憲法の前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、」となつておりますのに、これはアメリカに権力を与えてしまつておる。こういうことを国会に諮らぬで一体どうしてできるのです。アメリカが日本で権力を行使するということの権利を与えてしまつた。権利ではなくて権力を与えてしまつた。権力というのは主権の一部ではありませんか。そういうようなまつたく憲法を無視したようなことをあなた方がやつているのじやないですか、これは憲法に違反しないとあなたは考えるのですか、それをひとつ承りたいと思います。
○西村(熊)政府委員 憲法に違反するところはさらさらないと存じおります。安保条約第三条によりまして、安保条約実施のため、米国軍の日本国内における配備条件は、政府間でとりきめる行政協定できめてよろしいという条項が置いてございます。その条項の置かれた趣旨もその当時政府から十分説明いたし、それに対しては相当ひどい御批判をいただいておることを忘れません。しかしながら第三条の趣旨については、明確な御了解を得た上で、安保条約全体といたしましては国会の御承認を得ております。従つてもし民主政治の大原則が守られる限りは、安全保障条約が合憲的にりつぱに成立いたしておりまする以上は、同条約第三条に従つて、行政協定の軍の配備の条件に関する限りの事項を規定いたすということは、決して憲法の趣旨に反するところではないと存じます。第三条が考えておりますのは、施設、区域がある、そこに出入りするについて、必要な道路、送油管、ないし電線等を施設することができるという趣旨の規定でございます。私どもは、そういう趣旨の規定が置かれ、そういう施設をすることができるということによつて、アメリカが一種の権利を日本において行使し得る事態になつておるという事実を否定はいたしません。しかしそういう事態が生ずる段につきましては、根本の安全保障条約があり、根本の安全保障条約は憲法の手続に従いまして、国会上下両院におきまして御賛同を得ておるという事実をお忘れにならないように願いたいと思うのであります。
○加藤(充)委員 二十七条に関連して聞きますが、二十七条の2の方には「この協定の各当事者は、この協定の規定中その実施のため予算上及び立法上の措置を必要とするものについて、必要なその措置を立法機関に求めることを約束する。」こういうことですが、わが方にとりましては、予算上の問題についてはすでに協定の二十五条のbにはつきりとうたわれておりまするし、立法上の措置につきましては二十三条にきちんとうたわれておるのであります。どういうものについてどうしなければならないかというようなことまで書かれております。しかるにアメリカ側にとつては、こういうような規定はこの協定にはどこにも明確にされていない。こういうふうな点で、必要な措置をそれぞれその政府、その立法機関に求めるというようなことは、いかにも当然のように規定されているが、実体ははなはだしく一方的だと思うが、これに対する御意見を承つておきたい。
○西村(熊)政府委員 二十七条第二項の規定が日本にとつて一方的ではなかろうかという御質問のように存じます。二十七条第二項が入りましたのは、安保条約の御批准を国会に付議いたされましたときに、第三条が先刻申し上げましたように国会側において多大の御懸念を持たれた条項でございました。何となれば米国軍隊の日本国内におきまする配備の条件の中にあることは、当然日本国民の日常生活に影響の深い事柄ばかりであります。しかもての中には国に対する財的負担が伴うものもありますし、また国民の権利義務に関係いたして来るものもございますし、日本の既存の法制に影響して来る事柄もあります。言うまでもなく予昇及び立法につきましては、国会が国の最高の機関として、国会の権限に属しておる事柄でございます。従つて第三条の結果結ぶ行政協定によつて、もし国家が引受ける予算義務ないしは立法義務を最終的に確定いたすような協定の仕方をいたしまするならば、それは国会の権限を侵すという御批評に当ることになります。その当時大橋総裁ははつきりと——私は大橋総裁のわきにおりまして、それをよく今でも覚えておりますが、そういうふうな事項が行政協定の内容に入る場合には、行政協定によつて確定させないで、国会の権限を十分留保し得るようにとりまとめる方針で交渉をいたしますと、数回にわたつて明言いたされた次第であります。従いまして行政協定の話の途中に、その点繕えずわれわれの頭の上にありましたので、二十七条の第二項の中に、この行政協定の条項を実施するために予算措置または立法措置が必要な場合には、予算措置または立法措置がとり行われてから当該条項を実施することができる、裏から言いますれば、そういう措置が立法機関によつてとられるまでは、当該条項は実施されないという趣旨の規定を置くことを話した次第であります。先方はその話合いに対してきわめて同感の意を表わした次第であります。何となれば、アメリカといたしましても第十八条によつて、たとえばある種の損害に対しては、合衆国政府で補償義務を負うことを規定されております。その場合にその補償額に当るべき予算措置が米国としても必要であります。また第二十五条、経費分担に関しまする条項に関します議事録をごらんになるとわかりますが、二十五条についての日米双方の話合いによる会計経理法を実施するためには、合衆国政府といたしましても法的の改正を必要とする立場にあります。従つて立法措置、予算措置の必要性については、日米両政府とも全然同じ立場にある次第であります。従つてこの第二項が置かれましたような次第でございまして、この二項が置かれたことそれ自体が、すなわち政府といたされましては前国会における安保条約第三条に関しまする国会側のお気持に、最大限度に沿うよう努力されて挿入されたものでございまして、この第二項について御質問のような御批判をいただくことは、やや心外に存ずる次第でございます。
○加藤(充)委員 行政協定がまとまらなければ批准をしないとか、中華人民共和国を相手にしないで台湾政府と取引するとかいうようなことで一札とつたりというようなことを批准にひつつけたり、条件にしたり、あるいはその他一々指摘する必要はないと思うほどのことをやつておる。こういうようなことでは、アメリカ側に立つたあなたは弁護人としてアメリカ側の弁護をやつているだけの話で、この協定の中に盛られた条文のうたい方、すなわち予算上の措置についてわが方で負担すべき数額を出すという二十五条、あるいはこれこれしかじかについて必ず立法措置をとりますということをうたつた二十三条、これは明らかにあなたが代弁するようなものじやなくして、精神はいずれにあろうとも、実際の措置あるいは行政協定の内部のうたい方それ自体がもう一方的なものだとわれわれは考えるのであります。 それでお尋ねしますが、第十二条、一体これはどういうことなんです。そのほかにもありますが、第十二条を摘出するだけにとどめます。十二条によれば「合衆国は、この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより」といつてきわめて包括的、全面的あるいは広汎な目的のために「日本国で供給されるべき需品又は行われるべき工事のため、供給者又は工事を行う者の選択に関する制限を受けないで契約する権利を有する。」これが基本であります。そして第二に行きますと「必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは、日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。」こううたわれております。「不利な影響を及ぼす虞があるものは」という認定は、先ほど来の説明によると一方的にきめられるもので場ある。終局においては協議したり何かする余地がない。結局第一の「制限を受けないで契約する権利を有する」というこの条文のうたい方の中にも、二十七条に関連したことと一体になつた一方的な権限、一方的な押しつけがはつきりうたわれていると思う。そうして十二条の五の方に行きますと「別に相互に合意される場合を除く外」という但書がついておりまして、「賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」これはあたりまえのようですが、「別に相互に合意される場合を除く外」ということが全文を殺しております。PD管理工場その他における実情は、ここで指摘するまでもなく条約局長も御存じの通りである。また十五条の四に行けば「別に相互に合意される場合を除く外、賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるととろによらなければならない。」これは表現のマジツクであり、ずるさであります。「別に相互に合意される場合を除く外」ということで殺されれば、日本の労働者は単に従来の特調関係の労働者ばかりでなしに、一般の労働者も全部日本人で日本の工場に働きながら、広汎な行政協定あるいは日米安全保障条約の目的というようなことで工場あるいは企業が運営されまする場合におきましては、日本の法律の保護を受けることのできない実態ですでにできておりまするし、先ほどの二十四条のこういうふうな状態になつて来ますならば、ますます日本人は日本の法律の保護を受けることができないということに相なると思うのでありまするが、その点について確かめておきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御質問の点は、今日の実態を私ほとんどわきまえておりませんので、私から御答弁申し上げることは不適当かと存じますが、一応御答弁申し上げます。第十二条第一項は合衆国の軍隊が日本で物資並びに建設工事のために雇用契約または請負契約を自由にすることができるという規定でございます。この規定は極端にいえば特に置く必要もないくらい当然のことでございまして、個人が契約の自由を持つておる今日、個人の契約の自国を外国人なるがゆえに一方的に制限を設けるというがごときことは容認できないというのが国際通念でございます。ここにうたつてありますのは、むろん個人関係ではありませんので、日本防衛のために安保条約に基いて日本におるアメリカ軍隊が、生存のために必要な資材の購入または工事を実施すりために契約を結ぶことができるということでございまして、この契約の自由がないようでは、日本にいるアメリカの軍隊は安保条約によつて与えられた目的を達成することが不可能であろうと存ずる次第であります。従つて第一項の規定については、何ら私どもは懸念を持つ必要はないと考えておる次第であります。第二項の御質問の点でありますが、これは物資調達に関する条項でございます。物資調達をいかにすれば一番いいかという事柄につきましては、前会も鍛冶委員の御質問に対しまして御答弁申し上げましたように、日本の当業者間におきましても、または日本の政府部内におきましても、今日まだ一致した結論が出ていない次第であります。従つてこの協定におきましては将来最もいいと思われる方法がとり得られるように極度にゆとりを持つた規定を設けることによつて満足いたした次第であります。その中に日本の経済に悪影響を及ぼすおそれある場合ということをたれが認定するかという御懸念のようでございましたが、これはむりんアメリカが認定するとも日本が認定するともありませんので、常識から行えまして双方でそう認定した場合という意味に解釈すればよろしいと考える次第であります。 第五項の労務調達の形式でありますが、この労務調達につきましても私は実情を明らかにいたしておりませんが、この条項を設けるにつきましても、実際米軍の労務調達に当つておられる特調、また日本におきまする労働行政の責任者であります労働大臣の意見によりまして、この五項のような条文が挿入された次第であります。この条項の実際の運営につきましては知から答弁するよりも、日本労働行政の担当国務大臣である吉武大臣から御答弁あつてしかるべき事柄であると思いますので、私は遠慮させてもらいます。 第十五条の四項でございますが、これはいわゆるPXその他に雇用される者についての給与支払いに当つて、源泉課税については控除をする、また労働関係については日本の法令で定めるところによるというものでございまして、今申し上げました第十二条の第五項の原則をPXにおける使用人についても適用しなければならぬという趣旨でございまして、御懸念とは反対に、将来合衆国軍隊に雇用される日本労務者の権利の保護のために置かれた条項でございます。
○加藤(充)委員 あなたは東日本重工の下丸子工場において行われた不当首切り、団体協約があるにかかわらずその協約を無視した管理人の、アメリカ側の一方的な首切りというふうな問題、あるいは相模原の軍需工場において賃上げ要求の際に、工場はこれだけの生産量をあげているから賃上げを要求すると言つたところが、これだけの生産量を当該の工場があげているということを対外的に言うのは——対外的というよりは、資本家に要求する中に加えるというような事柄は、軍機の保護上いかぬというようなことで軍裁にかけられた事例など、枚挙にいとまないのでありますが、そういうような事例を少しも考えずに、あるいは事例に目をおおつて、いいようなことばかり一方的な側の弁護人のような答弁をしているのですが、そんなものは実際上から、またこの解釈上からいつておめでた過ぎると私は思う。
○佐瀬委員長 加藤君、時間がありませんから御意見は別の機会にして、質疑を願います。
○加藤(充)委員 十六条ですが「日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動」はいかぬということが書いてあるわけであります。そこにまた「特に、政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。」こういうことが言われておりまするが、これに関連いたして第十五条の一のb、「合衆国の軍当局が公認し、且つ、規制する新聞が一般の公衆に販売されるときは」云々という問題、及び二十二条の「合衆国は、日本国に在留するすべての適格の合衆国市民を合衆国軍隊の予備役団体に編入し、及び訓練する権利を有する。」これらの点についてお尋ねいたします。大体無窮限的に拡大されるかもしれないこのアメリカの軍隊の駐留ということ自体が、何といつても日本の諸般の政治、内政に大きな影響を持つものであることは明らかであります。ところが今指摘したようなことで在郷軍人ができる、それが町中で訓練を始める、こういうふうな問題、それから出版活動の問題ですが、これはイギリス人の権威のある人の書いた一文で、それを御紹介しますと、アメリカは最近海外における弘報活動を再編強化しておる、一九四八年のスミス・ムント法云々、こういうふうなことを言つております。アメリカの人は、他の諸国民の幸福と進歩はそれらの国民の習慣、道徳並びにその政治、経済制度がアメリカの型に一致する程度によつてきまると信じ込んでいるようだ。こういうふうな世界の良識ある人の、最近のアメリカの動き方に対する批判である。そこで軍隊のほかにも在郷軍人ができ、あるいは新聞発行もされるということになつて来ますと、せつかく十六条に政治活動を慎むことというようなことがありましても、実際上は政治、経済、文化面で、軍隊駐留のほかに全面的に日本の自主性が喪失されて行く結果になると思うのでありますが、この点についてはどうか。 それからもう一つそれに関連して第十七条の三のbですが、私どもは三鷹、松川あるいは下山事件というような例におきまして、一方的にきわめて政治的なデマ宣伝の被害にさらされ、そして結局共産党がやつたというようなことになつて来た。そういう宣伝がされておつて、また事実下山事件のごときは犯人があがつておりませんが、私はこの十七条の三のbというようなものがこういう大きな社会不安の原因になり、政治的な破壊工作の具に供せられる余地がありはしないかと懸念するものであり、その必要を指摘せざるを得ないのであります。外国人の場合は問題外にいたしましても、日本人がそういうふうな不遇なことをたくらみましたときに、明らかにこれは破壊工作や殺傷その他治安の擾乱をやり、またその他の犯罪をやりました場合に、あとはしりをぬぐつてくれるというようなことでその基地に逃げ込んだ場合、日本政府が要請をしなければこれは引渡さぬでもよろしい、こういうようなことになつて参りますと、とんでもないことになると思うのであります。こういう点についての配慮はいかがなものでありますか。
○西村(熊)政府委員 いろいろご質問が、ございましたが、第十六条につきましては、別に御答弁申し上げる必要はないと思います。私は、十六条が置かれたことはまことにけつこうなことであつて、事実こうでなくてはならないと思います。われわれの希望するところは、将来日本に駐屯いたします米国軍隊の人々が、一人残らず十六条の精神を体して行動されることが、すなわち安保条約及び行政協定の目的を完全に達成するゆえんであると信じております。 第十五条の一のbの新聞、米国軍隊が発行しておる新聞が、日本の一般公衆に頒布される場合の条項についての御懸念、御質問でございました。この条項が入りましたのは、現在米国軍隊によつて発行されておりまするスターズ・アンド・ストライプスが、ある有力新聞社との特契によりまして、その新聞社の手によりまして合衆国軍隊以外の一般読者、特に日本人の読者の間に相当広く頒布されておる事実がございます。この事実を将来にわたつて容認するにつきましては、その分に関する限りは一切日本の法制に服しなければならぬという趣旨でございまして、言葉をかえて言いますれば、スターズ・アンド・ストライプスは日本新聞社との契約の結果、日本の新聞社によつて日本読者に頒布される限りにおいては、日本の新聞紙と同じ立場に立たねばならぬという趣旨を明らかにした規定でございます。従つてこの規定がありまする以上は、日本新聞に対してわれわれが何ら危惧を抱かないと同様、スターズ・アンド・ストライプスの日本人読者に関する限り何ら懸念を抱く必要がない、こう思う次第でございます。そういつた意味で十五条の一のbは、置かれた趣旨から見て、当然しかあるべき事柄である、こう感じておる次第でございます。 十七条の三のb、施設及び区域内では逮捕権を合衆国軍隊がもつぱら持つておる、その結果施設区域外で犯罪を犯した日本人がかような施設や区域の中に逃亡することによつて、日本官憲の逮捕を免れることが起りはしないこかという御懸念でございます。これはの協定のどこを見ましても、いわゆる庇護権というものがないということは明々白々でございます。そうして軍隊は、日本の法令を尊重しなければならぬという趣旨も明らかに出ておりますし、司法共助についての規定も置かれております。そういうふうに日本の司法ないし検察当局と合衆国軍隊の司法または検察当局との間には、緊密な協力関係が予見されておりますので、御懸念のような事態は起らぬように十分措置し得ると信じますし、またさように措置しなければならぬと存じております。現に予備作業班の一つの班に刑事及び民事に関する作業班というものがありまして、その面での協力互助の具体的方策について話合いをいたし、作業を進めておりますので、御懸念のような事態が起らぬように確保することができると考えておる次第であります。
○加藤(充)委員 第十六条の協定の精神というものは反共精神なのか。それからもう一つ松川、三鷹、下山の犯人が日本人であるというような場合、しかも政府が共産党だということで共産党に嫌疑を着せて、空中楼閣をやつて起訴しているという場合に、その真の下手人が区域あるいは施設の中に逃げ込んだような場合になると、てんでその犯人は永久に明るみに出て来ないはめになりはしないか、その点を私はもう一度だめを押しておきたい。それから十七条の三の(h)の項について実例をもつてお尋ねいたします。昨年の六月二十一日に警視庁の軍事法廷で金宝聖という朝鮮の人が裁判にかけられておりました。そのときに検事側から、韓国の某高官の要請により被告人の起訴は却下されたいという申入れがあつて、その動議が入れられて、裁判長は即座に釈放した。釈放と同時に、警視庁では密入国の疑いありとして、再逮捕の形をとつて、その後昨年の十月三十日に出入国管理庁の決定として本国送還になつたのであります。ところが日本においてスパイ事件に関連した疑いで軍裁にかかつたことがあるというだけで、帰国というよりも、李承晩政権に引渡された被告人の金宝聖君は、さつそくそこで死刑の判決を受けて、死刑の執行を下された。こういうような問題があるのですが、今お尋ねした十七条の三の(h)の項はどういうふうなものなのか、お尋ねいたします。 〔委員長退席、眞鍋委員長代理着席〕
○岡原政府委員 御質問の第十七条三項のbに関する点は、先ほど条約局長から御答弁がありましたような次第で、もしさような犯人が向う側に逃げ入るような場合がありましたら、当然こちら側からかけ合いまして、その犯人を出してもらうような協力を要請することになると思います。この点につきましては、先ほど西村局長から御説明のございました通り、目下具体的な作業をいたしておりまして、大体円満に行く見通しでございます。 同じく第十七条三項のhの死刑の判決の執行の規定でございますが、これはただ死刑の執行を日本の国内でやつてはいかぬというだけでございまして、一つの事件がありました場合に、それを甲の国でいかように判断するか、裁判するか、また同じ事件を乙の国でいかように判断するかという問題は、日本の刑法と韓国の刑法なりあるいはアメリカの軍の刑法なりとの関連でございまして、行政協定とは直接に関係のない事項でございます。
○眞鍋委員長代理 加藤君に申し上げますが、まだほかに三人もあるのですから、簡単に一問だけ許します。
○加藤(充)委員 第十七条の三の(f)には、大体日本の政府が外国人、特にアメリカ人の好ましからざる者の国外追放が保障されておらないということで重要だと思うのであります。行政協定の九条には、無制限といつていいほど入つて来る者に対しては旅券並びに査証が必要条件になつていないのに好ましからざる者の国外追放ができないというようなことは、これはとんでもないことだと思うのですが、そういう点はどうなるのか。 それからもう一つは二十八条に、「この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする。」とあるのですが、事実上厖大な軍事力を背景に駐留を続けておつて、在郷軍人まで配置されるというような問題になつて参りますと、事実上これの廃止とか、改正というものは事実困難であります。これはエジプト、イラン、その他の条約改訂あるいは条約破棄という、民族の意思といいますか、国家意思というものが軍隊によつてずいぶん妨害がされ、弾圧されて民族自主権の回復、独立の回復というものが非常に困難な事実は、歴史の証明するところでございまするが、「適当な経路を通じて交渉するものとする。」というようなことの実体をひとつ御説明を願いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御質問の第一点は、十七条の3の(f)の規定でございます。むろん国はその国に在留いたしておりまする外国人に対して、正当の事由がある場合に、強制退去の措置をとる権能を持つております。日本におきましても、そういう法制がすでにあるし、また新たな立法も考慮されている段階にございます。しかしたびたび申しますように、国際慣行上特殊の待遇を与えられなければならない部類のもの、言いかえますれば、外交使節、それから条約に基いて異国に駐屯いたしまする外国の軍隊、関係者につきましては、強制退去権を一方的に行使し得るという法制をとつておる国はどこもございません。北大西洋条約の関係におきましても、また今回の行政協定の関係におきましても、日本側におきまして、日本の法制から考えて正当な退去処分をとり得る事由があると認めたときには、1退去をさしてもらいたいという要請をいたし、その要請があつた場合には、軍隊の方で好意的に考えて、みずからの負担において退去の措置をとるということによる解決以外にない次第であります。この点は、これ以外に合理的な解決の方法がない問題であると御了承願いたいと思います。 もう一点は二十八条の規定でございます。二十八条が置かれましたところは、こういう意味から来ております。行政協定というものは合衆国軍隊の日本国内に滞留される条件をきめておる次第であります。この条件の中にはたびたび申しますように、実に複雑多面な問題を包含いたしております。この一つの行政協定、三十箇条足らずをもつて規律し得るとは考えられません。またこれらの諸条項に設けられておる規定の原則が、実際運用してみて必ずりつぱな効果を上げ得るということも、あるいは期待し得ない事態が起らないとも限りません。そういうふうな性質の事柄でありますので、これは何どきでも必要を認めたときには、政府の方から相手方に対して修正の要請をいたすことができ、要請があつたときには好意的に考えて、いかにしてこれを修正するかということを考える。こういう趣旨の規定でございます。この規定は北大西洋条約にも入つております。「これはこの協定が規定している事項の性質上、当然こういうふうな規定がなければ駐屯軍隊と駐在国の国民との日常生活の関係におきまして、円満な効果を上げるということが期しがたいからであります。具体的にどういうふうな手続をもつて修正を実現するかということになりますが、この協定の一つの特徴は、北大西洋条約とは違いまして、合同委員会という協議機関があること、だと思います。従いましてそういう問題につきましては、日米両国から絶えず遠慮なく協議問題として題目を出し、その協議の結果、具体的な意見の一致を見たときには、すなわち政府と政府との間におきましてこの協定を修正するという手続がとられる、こういうことになると私は考えております。二十八条と合同委員会の存在の両方から見て、この行政協定は今後実施の経験に照しまして絶えず改善の策を講じられることになつている次第であります。
○加藤(充)委員 ちよつと今の答弁について……。
○眞鍋委員長代理 あとで時間があつたら、許します。成田君。
○成田委員 先ほどからの質問を承つ七おりますと、重要な問題になると局長は非常に謙遜ぶりを発揮されて、一局長では答弁できないと言われておりますが、私の見るところでは、西村条約局長は非常に有能達識の大局長だと思う。しかも今度の行政協定を事実上なした推進力であると考えております。しかもこの行政協定でとりきめている内容は、客観的な事実があるのです。その客観的な事実について率直に御答弁願つたら、いいと思うのです。二、三重要な問題についてお尋ねしたいと思うのですが、先ほど局長は行政協定の第三条の解釈としまして、アメリカ軍隊の配備の条件を規律する非常に複雑怪奇ではないでしようけれども、複雑多岐なものを含んでいる、こう御答弁になりましたけれども、その配備状況の中に兵力量は当然重要な問題んだから、配備の条件の中に入ると思いますが、どうですか。
○西村(熊)政府委員 それは配備される軍隊の量の問題であつて、配備に仲つて生ずる、どういうふうにして置かれるかという、その条件には入らないと考えております。また昨年の春以来、過去一年以上になりますけれども、兵力量という問題について話をしたことがあつたことを一度も私は耳にしておりません。
○成田委員 配備の条件に兵力量の決定は入つていないという御答弁なのですが、今度の行政協定で一番問題になりますのは、どれだけのアメリカの軍隊が日本に駐留するかということが問題だと思うのです。ところが配備の条件には入らないという御答弁なので、行政協定を見ましても、合同委員会で兵力量の決定をすることはもちろんできないと思いますし、行政協定のどの条項にも、たとえば両政府間のとりきめできめるということも規定していたいのです。といたしますと、最も大切なのは、何十万、何百万のアメリカの軍隊が日本に来るかという問題です。これは新しい別個の条約できめるのだと解釈してよろしゆうございますか。
○西村(熊)政府委員 兵力量について日米両政府の間に別個の条約ないし協定が締結せられるであろうという話は、いまだかつて一度も聞いたことがございません。
○成田委員 行政協定によつても兵力量のとりきめはしない、また日米両国政府間の条約その他によつても兵力量のとりきめをしないということになりますと、日本に来るアメリカの軍隊の兵力量というものは何できまりますか。
○西村(熊)政府委員 正直のところ私にもわかりません。
○成田委員 アメリカの軍隊がどれだけ日本に来るかということは、国民の関心の的だろうと思う。現在は占領下にありますから、これはアメリカの一方的な意思で何十万よこすか、日本としてはとやかく言うべき筋合いではないと思いますが、講和条約が発効して、いわゆる独立国になつたとすれば、どれだけの兵力量が日本に配備されるかということは、日本が当然関与しなければならない。ところが、局長がどれだけの兵力が来るか一向にわからないということになると、非常に問題だと思います。これは一体どこできめるのか、どこできめるとお思いになるのか、御答弁願いたい。
○西村(熊)政府委員 条約局長としては、正直のところを申し上げて、わからない次第であります。一度もそういう話を耳にいたしたこともございませんし、私どもとして考えてみたこともございません。
○成田委員 わからないと言うのですが、それでは条約局長として、これは筋としてどういう形でとりきめるのが正しいとお考えになりますか。
○西村(熊)政府委員 私、自分でそういう問題について結論を出すべき性質の問題であると考えたことは一度もございませんし、今日まで一回もその問題について考えたことはありません。全然わからないのでございます。
○成田委員 この問題は、二十九日の行政協定に関する本会議の質問で私触れてみたのでありますが、これに対して岡崎国務大臣は、これはアメリカの一方的な意思できまる、こういうような御答弁だつたと私記憶するのですが、これはなぜアメリカの一方的な意思によつてきめるのか、アメリカの信義に信頼する、こういうことを言つた。この大切な兵力量の問題が、アメリカの一方的意思に白紙委任されるのでしたら、むしろ行政協定なんかやらないで、何でもかんでもアメリカの信義に信頼してやればいい。岡崎国務大臣はそういうふうに答弁なさつたのですが、それは正しいと局長はお考えでしようか。
○西村(熊)政府委員 その問題は、私としては自分の印象ないし意見を持つべき性質の事柄でないと考えておりますので、岡崎国務大臣の御答弁に対しましても、何の印象も持ちません。
○成田委員 どれだけの兵力量が日本に配備されるかということは大切な問題だ。条約局長ともあろう者が、行政協定でもきまつてない、ほかの条約できめるかどうかということもわからない。それでは何できめるかということは、国民関心の的だろうと思う。筋合いとして、どこでこの日本に駐留するところの兵力量は決定されるか。局長の外交通の御意見として、純客観的な立場で御答弁願いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 私の職責は、私の職責外のところできめられる兵隊が日本に来ておる場合に、そのおる条件をいかにきめるかというところにあるわけであります。いかなるものが日本に置かるべきかという点につきましては、御指摘の通りすでに岡崎国務大臣から責任ある御答弁があつた次第でありますから、それが政府のお考えであると私も了承いたしたいと思います。
○成田委員 そういたしますと、アメリカの一方的意思で何十万、何百万日本にアメリカの軍隊が来ようともいたし方ない。それが今回の安保条約なり行政協定のとりきめの趣旨だ、こう解釈してよろしゆうございますか。
○西村(熊)政府委員 私の答弁の趣旨は決してそうではありません。岡崎国務大臣の答弁が政府のお考えでありましようと考えますということだけを申し上げる次第であります。それ以外に何にもありません。
○成田委員 岡崎国務大臣の答弁で私たちは納得できないのです。少くとも政府の言う独立国ならば、どれだけの軍隊が日本に来るかということは、当然日本の意思が関与しなければならない。あなたも政府の局長として、政府委員として国会に出ておられる政府の一員だ。ことに条約関係を担当しておられる。私たちはこういう重要な兵力量の決定というものは、新しい条約できめるべきだ、そのためにわざわざ行政協定ではきめない、こう解釈しておる。条約局長として、こういう問題は条約できめるのが正しいとお考えになるかどうか、御答弁願いたい。
○西村(熊)政府委員 ただいままで御答弁申し上げた事柄に何もつけ加えることはございません。
○梨木委員 今成田君から出ている質問は、要するに幾らの兵力が日本に駐留するかという問題が配備の条件の中に入るかどうかという質問に対しましては、配備の条件の中に入らない、こういうわけです。しからばこれは、何らかの形においてアメリカとの間に協定を結ばなければならない性質のものでしよう。しかもそれが十万駐留するのと百万駐留するのによりましては、分担する費用も違うわけでございましよう。こういう問題につきまして、これを協定するについて条約によつてきめるべきか、それともその他の、今度政府がかつてなことをやつた、こういうような行政協定で結んでいいものかどうかという憲法上の解釈を聞いておるのであります。それをあなた、答えられないということはないでしよう、条約局長としてその点を答えてもらいたい。
○西村(熊)政府委員 もし御質問が憲法の解釈の問題でございまするならば、条約局長として御答弁の限りでないという私の答弁以外にないと信ずる次第であります。
○成田委員 憲法の問題にも関連しますが、私は行政協定の解釈の問題として御質問申し上げておるのです。先ほど局長も言われたように、配備の条件というものは非常に複雑多岐にわたつておる、しかも国の負担にも関連がある、国民の権利義務、日常生活にも密接な関係がある、こう言つておられる。そういたしますと、アメリカの軍隊が側十万来るか何百万来るかということは国の負担、国民の権利義務、日常生活に重大な関係がある。そういう意味におきまして、どこでこの兵力量が決定されるかということは、明らかにされなければいかぬと思う。その点について責任を回避される。責任を追究しはしませんが、局長の客観的な意見というものを明示していただきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 私ども決して責任を回避しようとするものではないのでありまして、私は答弁すべき責任の地位にないから答弁いたさない次第であります。答弁すべき地位にある岡崎国務大臣がすでに答弁していらつしやいますから、それが政府の御方針として御了解いただけばよろしいし、私もそう考えますと申しただけであります。この行政協定に関する限りは配備の条件でありますから、配備されるについては、まず問題になるところはどこにおるかということで、ございましよう。どこにおるかということは第二条で規定いたしました。おると多少金はかかるでしよう、その金は二十五条の経費分担のところで規定いたした次第であります。二十五条では、日本政府が提供する土地、建物の賃借料と、その所有者に対する補償料、それ以外には年額一億五千五百万ドルに相当する額、それ以外は負担いたしませんということになつておるわけであります。この答弁で御了承を願いたいと思います。
○成田委員 今二十五条の問題をあげられたのでありますが、この年額一億五千五百万ドルは、最初政府がこの行政協定の案文を示されたときには毎年となつていたはずであります。それが正誤表の訂正か何かで年額になつたのでありましようが、原文はどうなつておるのでしようか。
○西村(熊)政府委員 原文はパー・アナムであります。年について。
○成田委員 年についてでございますね。そうすると期限を限りまして年額一億五千五百万ドルを日本国が負担する、こうなるわけですか。
○西村(熊)政府委員 そうではありません。来年度は一億五千五百万ドルとなつております。そうして議事録で一よく覚えておりませんが、将来は日本の負担が重くなるについて、二十五条の一億五千五百万ドルが軽減されることを期待するという要望を述べて、先方はこれを了承しておるということになつております。
○成田委員 二十七年度一億五千五百万ドルで、二十八年度からは日本の負担が軽減されることを希望するというのですね。
○西村(熊)政府委員 そうです。
○成田委員 そういたしますと軽減されるとしても、日本側がある程度の負担をしなければならないことはこれは事実だと思います。このことは二十五条のbも「定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日までの間」云々ということになつておりますから、毎年ある程度の負担があるということは当然予想される。そうしますと私たちは、この行政協定というものは、国会の承認を得なければ効力が発生しない、条約の一部であるという解釈をしておりますが、政府は国会の承認は必要でない、当然行政機関のとりきめとして効力を発生する、こういう解釈になつております。そうしますと憲法八十五条の国の債務負担行為は国会の承認を必要とするという規定とどういう関連を生ずるか、将来も毎年負担するということになりますと、当然国会の承認を得なければ憲法違反になると考えますが、いかがでありましようか。
○西村(熊)政府委員 私の了解しておる範囲におきましても、毎年予算として提案して、国会の御承認を得ることになつておると考えております。
○成田委員 毎年予算として国会の承認を得るというよりは、その事前にこの行政協定が効力を発生するといたしましたならば、当然政府は債務負担行為をやるのだという意味で、憲法八十五条の国会の承認が必要なのだ。毎年毎年予算の形で承認を得るから必要ではないというのは八十五条の趣旨ではないと私は思う。国が債務負担行為をやる場合には、国会の事前の承認が必要だということになるわけですから、当然これは国会の承認が必要だと思い、ますが、いかがでしようか。
○西村(熊)政府委員 今申し上げましたように、二十八年度については幾ばく予算に必要となるかは、その予算編成期に入りまして、日米両政府の間の話合いの結果で、日本としてはいわゆる減額を期待している立場になつております。従つてこの協定によつて負担しておるのは、いわゆる長期にわたる債務負担行為でなくて、今年、二十七年度については年額一億五千五百万ドルに相当する円貨を提供いたしましようということになつておりますので、お考えのように債務負担行為として、財政法でございましたか、憲法ですか、その当該条項によつて国会の承認を必要とする性質のものではないと考えております。
○成田委員 そういたしますと年額というのは昭和二十七年度のみを指していらつしやるのでありましようか。
○西村(熊)政府委員 さようであります。
○成田委員 そういたしますと、先ほども読み上げました「定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日までの間」云々という文句から行きまして、どうも表現がおかしいのではないかと思う。この原文があるといたしましたならば、やはり毎年債務を負担するのだという解釈をせざるを得ないという読み方を私たちはするのでありますが、いかがでありましようか。
○西村(熊)政府委員 そう考えませんのは、議事録でも毎年日本の負担は減額したいという要請をして、先方は了承いたしておりますので、その当時当時に交渉の結果、日本の支出額は決定されるわけになるのであります。長期にわたる債務負担契約とは考えておりません。
○成田委員 二十八年度から減少するといたしましても、幾ら減少してもゼロになることはないと思います。二十七年度は一億五千五百万ドル、二十八年度以降はそれに近いある程度の債務負担をこの協定で約束したわけであります。そうしますと、憲法の八十五条の債務負担行為に明確に該当すると思います。金額は明示されておらないけれども、債務負担行為をやつたことは間違いないと思います。そういう意味におきまして、八十五条との関連で国会の承認が必要だ、こう私たちは解釈するのでありますが、いかがでしようか。
○西村(熊)政府委員 私は御意見の通りには考えません。もつともこの問題は主管官庁である池田大蔵大臣から御答弁があつてしかるべきだと思います。外務省の条約局長としては、そう考えないということだけを御答弁申し上げたいと思います。
○成田委員 次に十八条についてお尋ねします。これは本会で、社会党右派の鈴木義男氏が質問したのでありますが、「各当事者は、その軍隊の構成員」云云とあります。各当事者の軍隊ということになりますと、各当事者というのはアメリカと日本でありますから、日本の軍隊もあるということ、あるいは将来できることが予想されるということになります。これに対する岡崎国務大臣の答弁は何を答弁されたかわからないのでありますが、この原文と軍隊の意味について御答弁を願いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 その点は原文を申し上げるまでもなく、日本とアメリカとの関係を行政協定で規定いたした次第であります。ある一つの事柄についての原則を日米双方に適用あるように規定する場合には、アメリカは兵隊と公務員を持つておりますが、日本の方は兵隊がなくて公務員だけであります。従つて一つの原則を双方に適用あるような条項に書こうといたしますれば、どうしても、日本には兵隊はありませんが、当事国の一方の軍隊または公務員がその公務の執行中他方の云々ということにならざるを得ないのです。法律ではそういう問題は起りませんが、これは条約の起草上絶えず起る問題であります。その問題は御指摘に及ぶまでもなく、私どもがこの起草をいたす場合にちよつと首をひねりましたところであります。しかし同じことをアメリカ側について規定し、そうしてまた同じことを第二項に日本側について規定いたして、日本のときには軍隊を落して公務員だけを言つて、アメリカのときには合衆国の軍隊またはその公務員がという方が御丁寧であります。しかしそれをそうせずにこういう表現をいたしましても、日本が現に軍隊を持つておる、ないしは将来日本叶軍隊を持たなければならぬという条約上の誤解も条約上の義務も政治的の意味もないということは、これ国際間の通念です。特に悪意を持つてこういう文字が一つあるから、日本は将来軍隊を持とうとしておるのだというような御意見をおつしやるのは、それはあまりに牽強附会の御議論だと私は信じます。その点は起草当時に、起草責任者として私は十分首をひねつたところであります。(「消したらいいじやないか」と呼ぶ者あり)消してはならないのであります。これは同じ文字を繰返すかどうかといういわゆる起草法上の問題です。だから私は決して、悪意がない限り、この一句に、日本が軍隊を持とうとしておるとか、ないしは日本が現に軍隊を持つておるというような御解釈または御懸念をお生み出しになるのは、それはあまりに行政協定のあらをお探しになるからだと思うので納得いたしかねます。
○成田委員 行政協定のあらを探すと言われるのでありますが、また悪意を持つて解釈されると言われるのでありますが、私たちは悪意にならざるを但ない、神経過敏にならざるを得ない。たとえば安保条約の第三条の問題五も、先ほど局長は行政協定のすべてを委任したのだと言う。その当時私たちはもちろんこれに反対しておる。賛成した人も、政府の答弁によりますと、行政協定というのは非常に事務的なことだというので、改進党の諸君などは賛成したのだろうと思います。ところが今回の行政協定を見ますと、事務的な問題どころか、国民の基本的な権利義務、また国の主権に関係するようなことが決定されておる。こうなりますと軍隊の構成員ということも私たちは考えざるを得ない。国際間の慣例だとか通念だとか言われますが、日本に今軍隊はない。日本は軍隊を持つてはいけないということが新しい憲法できめられたので、今までの国際間では前例のないことです。従つて従来の国際的な通念でこういう重要な事項を規定すべきじやないと思います。やはり今言われたように、両当事者の関係を規律するならば、何も条文をそんなに節約する必要はないのですから、明確に文民と軍人とを区別して、この一項を二項にわけて規定すべきだつたと思います。それを規定せずして各当事者の軍隊云々ということになりますと、今の政府のやり方、あるいはやつたことから考えまして、軍隊を持つこと、あるいは将来持つであろうことを予想しておるというように解釈せざるを得ないのであります。
○西村(熊)政府委員 御懸念は御無用だと思います。日本が軍隊を持たないということ、また交戦国にもならないという性格の国家であるということは列国はよく知つておりますし、列国の中でも特に合衆国はよく知つております。そういう憲法のもとにある日本国であり、また軍隊を持つことを考えていない政府であればこそ安全保障条約ができ、その安全保障条約に基いて行一政協定も生れた次第であります。
○成田委員 次に第七条についてお尋ねいたしたいのでありますが、第七条で、合衆国軍隊は、日本国政府の公益事業その他の公共の役務の利用について用いておる条件、その条件よりも不利でない条件で日本の公益事業を利用することができるという権利が与えられておりますが、その末尾に、「その利用における優先権を享有する権利を有する。」こう規定してあります。この優先権というのは、日本政府が一般民間よりも優先権を持つておるときに初めて優先権を持つのか、それともそういうことと無関係に、あらゆる意味において合衆国軍隊は公益事業の利用において優先権を持つのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 条文の意義は、疑問なく公益事業について日本政府が利用の優先権を持つておる場合には、同じ優先権を合衆国軍隊にも与えますという趣旨であります。実際問題として、この種事業について政府機関が一般公衆よりも優先的に利用する権利がある条文は、私の知つておる限りにおいては思い当りません。
○成田委員 将来日本政府が優先権を持つ場合がこの協定に関連して出て来るかもしれないのですが、そういたしました場合に、日本政府が優先権を持つておる、合衆国軍隊も優先権を持つておる、両政府の1両政府と申しましてもアメリカの場合は軍隊でありますが、優先権が競合した場合に、どちらが優先権を取得するのか。たとえば国内で風水害があつた、鉄道を日本政府で優先的に使いたい、ところが一方アメリカの軍隊も北鮮に出動するのに鉄道を使いたいという場合に、どちらが優先権を取得するかということを明確にしていただきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 この規定の趣旨は一日本と同等の条件、同等の優先権であります。なお議事録に先方の申しましたことが記録してございますが、将来は公益事業の利用については、日本の警察予備隊と同じ条件で認められることを希望する、こう申しました。それは日本の警察予備隊が日本の警察と同じ低い料金で電話を使用しておりますので、その点の関連から、先方からそういう要望があつた次第であります。議事録に残してございます。
○成田委員 警察予備隊が一般民間よりも安い料金で使用しておる、そういうことを例にあげられたのですが、その不利でない条件というものは、高い安いという不利でない条件であろうと思います。優先権の問題でないだろうと思いますが、もし日本政府のそういう公益事業を利用する優先権と合衆国軍隊の優先権が競合した場合にどちらがさらに優先するか、これについてどういうお考えでありますか。
○西村(熊)政府委員 先刻御説明申し上げましたように、この種事業の業務の利用について、政府は現在優先的に使用する権利を持つておりませんし、一般利用者と同等の条件で利用いたしております。さように了解いたしております。規定の趣旨は日本政府と同じ条件、同じ優先権を認めてもらいたいという趣旨でございまして、日米双方の間には先後優劣の差はございません。一同じでございます。
○成田委員 最後に二十四条についてお尋ねしたいのですが、この問題については先ほど申しましたように、客観的なこの条項の規定している事実だけをひとつ御答弁願つたらいいと思うのです。この後段で「且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」こう書いてあります。第一条の目的というのは三つあると思うのです。東洋の平和と安全を維持するため、外国から武力侵略を受けた場合、内乱、騒擾の場合、この三つだろうと思うのですが、前段においては敵対行為が発生した場合に丁必要な共同措置をとる、こう書いてある。それから後段はその目的を達成するためにただちに協議しなければならない、こう書いてあるのですが、これは協議してただちに共同措置をとるというところまで発展するものであるかどうか、御答弁願いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 二十四条については、私先刻もたびたび御答弁申し上げましたように、責任ある国務大臣の答弁があつたあとでございますので、条約局長として答弁を許されないものでございますから、御了承願いたいと思います。 二十四条の読み方でございますが、必要な共同措置をとるためただちに協議しなければならないという趣旨でございます。
○成田委員 担当大臣が答弁されたと言われますが、これは私本会議で岡崎国務大臣に質問いたしましたときに、答弁がなかつたわけであります。従つて御答弁願いたいと思いますが、この共同措置をとる場合、たとえば東洋の平和と秩序維持のために、米国軍隊が朝鮮に出動する場合、岡崎国務大臣の答弁されたのは、この共同措置というのは日本の警察予備隊が朝鮮にまで行つて、海外出動の形で協力するということは現在のところ考えていない、こういう御答弁であつたのであります。それは当然のことだろうと思うのですが、この共同措置の中に、警察予備隊が海外に出動して共同措置をとる場合と、アメリカの軍隊が海外に出動するのに対して日本内地においてこれに緊密に連繋し共同措置をとる、この二つの場合があると思います。この二つの場合の一つの問題については岡崎国務大臣は答弁されたのです。すなわちあとの場合であります。あとの場合でも、これはアメリカの軍隊の軍事行動に緊密に連繋し共同措置をとるのでありますから、当然戦力の一部になる、こう解釈しなければいけないと思います。これについては岡崎国務大臣から答弁がなかつたのでありますから、ぜひ局長の御答弁を額いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 たびたび申し上げますように、たつての御要求でございますが一御質問の事項は、私察するにまさしく総理、法務総裁ないしは岡崎国務大臣から御答弁あつてしかるべき事柄でありますし、また私のうすうす感じるところではたびたびすでに御答弁になつておる事柄のようでございます。どうぞごかんべんを願いたいと思います。
○成田委員 終りました。時間通りでやめます。
○眞鍋委員長代理 梨木君に申し上げますが、世耕君の質問は短かいそうですから、世耕君が済んだあとであなたに許しますが、どうでしようか。
○梨木委員 いや私用事もありますし、簡単に終りますから……。
○眞鍋委員長代理 では梨木君。
○梨木委員 逐条的にやつて行きたいのでありますが、時間がありませんから、それはできません。そこでまず聞きますが、この前文に「また、日本国及びアメリカ合衆国は、安全保障条約に基く各自の義務を具体化し、」とありますが、一体アメリカはこの行政協定でどんな義務を負つておるのか、具体的にお示しを願いたいと思います。
○西村(熊)政府委員 第一条からずつと拾つて参りますのもめんどうでございますから、顕著な例を申し上げますと、十六条の大きな義務もございます。二十五条の経費分担につきましても、日本の負担以外は全部先方で負担する義務がございます。十八条の民事管轄に関する部分につきましては、損害補償について経費を負担する義務だとか、特別の見舞金を出す義務を持つております。十七条の刑事裁判権につきましても、日本側に協力いたすべき筋の義務を持つて、おります。また物資調達、労務調達に関しまして、第十二条でございましたか、そこにおきまして、日本の法令その他に準拠して、課税上の問題だとか、労働保護の条件について、日本の法制に従うというような義務を持つております。ほとんど各条ごとに義務を持つておると申してもさしつかえないと存じます。
○梨木委員 そういうでたらめを言つてはだめですよ。そういうことはあたりまえのことです。あなたの今おつしやつたことは、国際法上から言つても当然のことだ。不法行為のあつた場合に賠償の義務がある、そんなことはあたりまえです。そんなことを言つているのではなくて、国と国との間の協定でどういう義務を負うているかということを私は言つておるのでありまして、しかもアメリカにおきましては、平和条約、安保条約の審議にあたりましては、アメリカの側では全然義務を負うておらない、こう言つておるのであります。そういうようなあなたの答弁というものは、あたかもアメリカが何らかの義務を負担しているかのごとくに国民に幻想を与えて、そうしてこの行政協定の屈辱的な、売国的な正体を隠蔽しようとしているにほかならない。私は、そういうような程度の義務であるならば、これは義務ではないということをはつきりしておきまして、その次の質問に移ります。 第三条でありますが、第三条を見ますと、「施設及び区域に隣接する土地、領水及び空間又は前記の施設及び区域の近傍において、それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な権利、権力及び権能を有する。」というように規定しておるのであります。ところでこの権利、権力、権能という内容でありますが、これはわれわれに配付された議事録の第三条の欄に出ておりまして、「施設及び区域を構築し、運営し、維持し、利用し、占有し、警備し、及び管理するごと」その他たくさん書いてあります。この議事録第三条でラスク氏が述べた権利、権力、権能に関する陳述、しかもこれを岡崎氏は、日本政府は、この点について了解する、同意を与える、こう言つておるのでありますが、この通りであるかどうかを聞きたいと思います。
○西村(熊)政府委員 議事録にある通りでございます。
○梨木委員 施設及び区域内だけではなく、これに隣接する土地、領水、空間その他これらの近傍においてということになりますと、東京におきましては、立川、横田にいわゆる区域、施設というものが設定されております。そうすると東京も近傍ということになりますが、東京においても、こういうような広汎な権利、権力、権能をアメリカが行使することができるという筋合いになると思いますが、そういうことも可能なのかどうか聞いておきたいと思います。
○西村(熊)政府委員 御指摘のようなそんな広い範囲を近傍とは言えないというのが私どもの考えでございます。しかも施設、区域の外で与えられた権利を行使する場合には、日米合同委員会を通じて協議してこれを行使することになつております。従つて御指摘のような区域外の権利の内容については、全然懸念する必要はないと信じております。
○梨木委員 それでは横田、立川の近傍は、どこまでが近傍になるのですか、お示しを願います。
○西村(熊)政府委員 具体的な事態が起りましたときに、合同委員会で決定して適当な範囲はきめられる事柄であります。一方的に決定されることではございません。また事の性質上横田から周囲何キロとか、立川から周囲何キロとかいうように機械的にきめられる性質のものではございません。
○梨木委員 あなたは協議すると言いますが、一体こういうことを協議すると言つて、協議がまとまらなかつた場合にはどうするかという問題です。さらに相手方は、軍隊をもつて日本にその同意方を要求するという現実ではありませんか。しからばこういう協定を結ず場合に、近傍というのは何キロ以内とかそういう保証がない限りは、どこまでが近傍だということになつて非常な広汎な地域を包含され、それを要求される、そういう危険性は、あなたの答弁自体から明瞭ではないか。あなたは心配はいらない、みな合同委員会できめるのだと言いますが、合同委員会できまらない問題は両国政府とい、ことになる。両国政府の場合、現在われわれがこういうひどい協定を結ばされているこの経験から見ましても、また現にわれわれがこの安保条約あるいは講和条約を結んだあとにおきまして、一体アメリカはわれわれにどんなことを要求して来ているか、かの漁業協定にいたしましても、まぐろの関税にいたしましても、まつたくこれは国際常識では了解できないようなひどいものをわれわれに押しつけ棄ておるのではありませんか。そういう現状が出て来ているときに、そういつたような抽象的などこまで範囲が拡大されるかわからないような協定を結んで、どうしてわれわれは安心できるか。それでもあなたは、この協定を結んだ責任者といたしまして、絶対に東京都をこの近傍の範囲内に包含させるようなことはないということが断言できますか。
○西村(熊)政府委員 御意見はすべて政治的御意見であります。御意見では、軍隊というものについて非常な恐怖心をお持ちのような印象を受けました。ことに外国の軍隊に対して強い恐怖心をお持ちのようであります。しかし今日の日本人は、そういう感じはもう持つてはいけないし、持つてもいないと思つております。平和条約発効後安保条約に従つて日本に駐在する合衆国軍隊は、日本の防衛のためにいてくれる友邦の友軍でございます。この行政協定は、日米両国民間の信頼と友好の感情が存する限り、また日米両政府間に同様の友好関係と信頼関係とがある限り、御懸念のような事態は決して起らないと確言できると思います。
○梨木委員 軍隊に対して恐怖を起すなとあなたは言われますが、軍隊は武器を持つておるのですよ。今B二九が飛んでおるじやありませんか。そしてB二九が落ちたり爆弾が落ちておるじやありませんか。これが恐怖をしないでおられますか。そういうばかげたことを国会で言えた義理でありますか。そういうことは意見にわたりますから、これ以上言いません。 さらに第一条の軍属でありますが、この議事録を見ますと、まつたく驚いたことには、この軍属の中に第三国国民である高級熟練技術者をアメリカ軍隊が雇用する場合、これを軍属の中に含めることを承知してもらいたいとラスクが言つておるのに対して、はい、よろしゆうございますと同意しておる。一体これはどういうことなんです。第三国人にまで軍属としての特権を与えるというようなこと、これは特権を与えることになるのですか。
○西村(熊)政府委員 御意見は議事録の文句の読み違いでございます。おそらく故意に読み違えておつしやつておると思うのです。この問題は十四条の関係でございましたが、合衆国軍隊としては、日本で特殊の建設工事をする必要がある場合がある、ことに航空機関係だという話でございました。その面については非常に高度の技術を必要とするので、日本国内においては、日本人の技術家をもつてしても不可能であり、現在日本にいる合衆国の技術家をもつてしても不可能な場合が予見される。そういう場合には、特に特殊の専門家と、その特殊の専門家が作業するに必要な従業員を合衆国本国から連れて来る必要がある。こういうことについてはある種の特殊の待遇を与えてもらいたいということから特殊の条文が置かれまして、この行政協定のある種の条項の利益をはかる者に与えることにしたわけであります。最後の会談が終る数日前になりまして、ラスク氏からこの話が出た次第でありますが、そういう特殊の技能を必要とするような事柄については、どうしても高度の技術を必要とする関係上、アメリカの国籍の者だけでは間に合わない。第三国というのはもちろん合衆国の友邦の第三国だと私は考えますが、第三国の特殊の専門家を日本国に連れて来て働いてもらう場合があるかもしれぬというお考えから、この問題を合同委員会に提起して、この種第三国人に対して軍属のような取扱いを与えることの可否、与える場合にどういうふうな条件をもつてするか、その他を合同委員会で協議したい。従つてその合同委員会で他日議題に供したいということを議事録に残しておきたいがどうであろうかという話がありました。私そばにおつて知つておりますが、国務大臣は即座に、それは日本側として異存はありません、こういう返事をされたわけであります。ここに言つておるのは、その問題を合同委員会の協議の一題目として取上げましよう、その協議の結果必要であればまた新たにとりきめをいたしましよう、こういうことであります。現在日本政府の立場は、ただ協議に応じますという約束をしただけであります。別に御懸念になるようなことはないと存じております。
○梨木委員 第十四条の「通常合衆国に居住する人及びその被用者で合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行のみを目的として日本国にあるものは、本条に規定がある場合を除く外、日本国の法令に服さなければならない。」ということになりまして、これらのものにその第二項でいろいろの特権を与えておるのであります。この通常合衆国に居住する人には、もちろん法人も含む、こう御丁寧に書いてあります。こうなりますと、これはイギリスだとかフランスだとか、こういう国の商社でアメリカに支店を持つている商社が日本にやつて来た場合に、その商社の被用者は全部特権を受けるということに、この条文からは了解されるのでありますが、そういう扱いをすることになつておるのですか。
○西村(熊)政府委員 第十四条に予見しておりますのは、先刻御説明申し上げました通り、合衆国人、合衆国の法律に従つて組織された法人であつて特殊の専門技術を持つておる者を見ておるだけでございまして、御懸念のような点はカバーされておりません。従つて第三国人の場合は、合衆国の方から合同委員会の問題として将来相談したい、こういうことになつておる次第でございます。 〔眞鍋委員長代理退席、委員長着席〕
○梨木委員 しかしそれはこの条文から見ますと、そういうような解釈にはならなくて、やはり通常合衆国に居住するという条件がある限りは、どこの人間であろうと特権を与えざるを得ないように、条文からはそういう取扱いを受ける結果になる。そうならないという了解がどこかにあるのですか。あなたはそういうぐあいに言われますけれども、この条文からはそういうぐあいになりませんよ。そうでないという何かの了解があるのですか、それを伺います。
○西村(熊)政府委員 それは第一条に書いてありますように、第三国人が第十四条でカバーされないから、第三国人については後日合同委員会で協議いたしましようという趣旨が議事録に入りましたところから当然に出て来ると考えております。しかも十四条で第二項に列挙いたしてありまする特殊の待遇というものは、主として合衆国の軍人、軍属、家族について規定しておる事柄を準用しておりますので、そこからも第三国人を含ませるような考え方は両当事者に全然存在しなかつた次第であります。
○梨木委員 今度は条文を離れて聞きたいのでありますが、われわれはこれは非常な屈辱的な不当な協定であると思つておるのですが、政府はこの行政協定では治外法権というものは与えておらないということを言つておる。一体西村さんは治外法権というものをどういうぐあいに考えておられるのですか。ひとつそこのところをお聞きしたい。
○西村(熊)政府委員 私は大した学者でもございませんので、治外法権をどういうふうに考えておるかという御質問に対してお答えをすることは非常にむずかしいと存じます。ただ私が漠として考えておるところを申し上げたいと思います。 治外法権という言葉はある学者によりましては領土外資格とも訳されております。むしろ領土外資格という日本語の方が正確に表わしておると存ずる次第であります。こういう観念が生れましたのは割合に古い時代であります。その時代におきましては、国際慣行上外国にいる場合に特殊の待遇を受くべき者、言いかえれば一国の元首、一国の外務大臣、一国の外交使節、それから条約に基いて、ないしは合意に基いて外国に駐在する軍隊、こういうものは、その駐在国にあつてもあたかも駐在国の国外にあるかのごとき立場に立つものであるという説明を国際法学者が与えまして、そういう資格を言い表わすために領域外資格、日本では治外法権と訳しておりますが、そういう用語を使つて観念が生れて来たわけであります。その後国際法の発達と同時にだんだんその点についての考察も深くなつて参りまして、現在では領域外資格または治外法権という言葉から、すぐ通俗的に受ける印象とは違つた意味しか持たないものであるということになつて来ております。その点は各国際法学者の意見でも一致しております。それでは今日の国際法の通念で、今申しましたような特殊な人々が外国で享有する特殊の権利は、いかなる性質のものであるかという点につきましては、大正十年三月の大審院の判例を引きまして、御説明いたしました通り、法律の外に立つという観念は毛頭なくて、こういう人たちといえども駐在国の法令は尊重すべきものである。そういう前提のもとに外国に入つておるのであつて、ただこれらの人々は一種の特定の目的をもつて外国にある、それからもう一つは国家の機関として国家の威厳を代表しておる、この二つの理由からして国家の威厳に対する尊敬及びそのある目的の達成に必要な条件を保障するために特殊の待遇を駐在国は与えなくてはいけない、そういうことにとどまる。従つて領土外にあるとか法権の外にあるとかいう観念でなくて、こういう人たちも全部その国の法令を尊重しなければいけない。従つて法令に反する行為を犯したときは、これは犯罪を構成する。但し今申し上げましたような二つの理由かちして、駐在国の裁判所はこれを訴追して処罰し、執行することはできない。要するに裁判権を行使することはできないことが一つ、その次は課税のような行政権の直接の対象とならない、その次は道路清掃とか通行、そういつた行政行為の直接的行動の目標とならないというだけの意味を持つものであつて、こういう人たちが犯した行為というものは、依然としてその国の犯罪が構成する。従つて反対に、その人々がその国を離れて、今度はそういう身分を持たないで、個人としてその国に来たときには、公訴事項が消滅していない限り、その国の裁判所はこれを起訴して、処分して、刑を執行してよろしいというのが、国際法上の通説です。従つて現在はそういうところに国際法の段階はありますから、現段階での元首なり外交使節なり外務大臣なりないし外国軍隊の享有する、裁判されない、ないし税を納めないないし行政行為の直接の行使の対象にならないという、その地位を領土外資格というような、または治外法権というような非常に広い範囲の特権であるかのような表現で表わすことは、おもしろくないというのが通説であります。従つてその点を学者によりましては不可侵権というような行為で説明した方がよろしいというような説をとられておる先生もあるようでございます。ただ通俗的には、何と申しましても、十八世紀以来治外法権という言葉が絶えず使われて来ておりますので、つい治外法権ということを使いがちでありますが、その趣旨は、治外法権とあるがゆえに、非常な広汎な特権を与えてあるかのごとき誤解を与えて、学一問的に見て私はおもしろくない、こう考えております。この行政協定において治外法権を認めていないのだぞということを岡崎国務大臣その他が御答弁になつておられるのは、私はいわゆる通俗的に考えて、従来の国際法で考えられていた領土外資格という意味での治外法権、こういうものはこの協定によつて合衆国軍隊の軍人、軍属、家族には全然与えていないという意味に解釈いたしておる次第であります。
○梨木委員 うまいこと言つて、何かアメリカの弁護しておるようでありますが、結局、あなたの言われるところを聞いておりましても、十八世紀的な治外法権は、やはりこの行政協定で与えたということになるわけです。
○西村(熊)政府委員 ならないんです。
○梨木委員 なる。
○西村(熊)政府委員 ならない。
○梨木委員 それじや聞きましよう。領事裁判権ということが治外法権の最も特徴のあるものと言われております。この場合日本で基地の中はもちろんのこと、外で行つたアメリカ人のすべての犯罪について日本が裁判権を持つていない。こういうものを通俗的には治外法権と言つているんです。これは違いますか、われわれはあなたの言うようなむずかしい法理論的な学説とかそういうものを問題にしておるのではない。今まであなたの言われたような十八世紀ごろからいわゆる治外法権として植民地、半植民地の国民が帝国主義国家のために圧迫を受け、人権を蹂躙されてきた。その場合のいろいろな特権というものはここに与えておらないとあなたは言えますか。そういう意味合いにおきまして治外法権を与えているんじやありませんか。この点についてあなたは十六条か何かをひつぱり出して来まして、日本の法令を尊重する、それは日本におればあたりまえです。そういう条文があるからといつて、専属的な裁判権を持つておるということは否定できないでしよう。これは十六条によつて専属的な裁判権を持つておるということを否定しておらないでしよう。またかれらに対して非常な広汎な課税権を免除しておる。これは一つの特権ではありませんか。日本人ならば当然課し得るいろいろな課税の権利、こういうものを全部免除しておる。これは今あなたが言われた課税権というものに対しての特例ではありませんか。こういうふうに数え上げて来ますれば、これは明らかに、学問的にはともかくも、通俗的な意味における治外法権ではありませんか。どうですか。
○西村(熊)政府委員 私は国際法上の確立した慣行といたしまして、条約または合意に基いて、一国の軍隊が外国に駐在する場合には、その軍隊について裁判上、課税上の特権を有するということは当然の確立した慣行であります。もしそういう特権的な地位を認めないようであるならば、外国軍隊の自国内における駐留ということは事実上不可能です。だから裁判や課税について合衆国軍隊にある種の特権を認めるということがすなわち国辱的であるとおとりになるのには、私は賛成いたしかねます。今日北大西洋条約加盟国十三箇国の間には、相互の国の軍隊が入り乱れて駐屯いたしております。お互いに一九四二年の協定の原則に従いまして、この協定と同じく属人主義的の裁判管轄権上の特権を享有いたしておりますし、むろん課税も免除されております。それゆえに私はフランス、ドイツ、イタリーその他の西欧諸国が国辱的な条約を結んでおるというような観念は成り立たないと思います。
○梨木委員 あなたは今北大西洋条約なんかの例をひつぱられて来た。これは議論になるから私は長く言いませんけれども、それは独立国家と独立国家との約束でありますよ。一体日本は独立しているのですか。まだ武力的に占領されているじやありませんか。武力的に占領されたこの状態のもとに、胸もとにあいくちを突きつけられたこの状態のもとに、この協定を結んだのじやありませんか。じようだんを言つては困りますよ。それが一つと、一体こり協定で軍隊だけに特権を与えておりますか。軍隊だけでなくて、第三国人までも、また軍人、軍属の家族にまで与えている。そして家族の中でも二十一歳未満ということをいつておりますが、二十一歳以上についても生計の半月を扶養されている者を家族と認め。こういうふうに広汎になつてお。しかもそれだけではありません。公認調達機関というようなものにまでも特権を与えておりますよ。こうなつて来ると、日本に来ているほとんどのアメリカ人に特権を与えることになるのですよ。これはみなこの条文に入つしおります。あなたはそういうことをここで言われますが、ほんとうにもう一度日本人的な良心に立ち返られましんならば、そんなことは言えたはずではありません。約九十年前に日本がやはりアメリカの強圧のもとに結ばれた安政条約を見ましても、わずかに四つの港だけですよ。そして江戸と大阪、これも居留地というものを限定されて、しかも百七十何箇月という期限つきで結んでおる。そのときは関税というもりは無税ではありませんよ。ある程度の制限をされておる。そういう条約でも不平等条約、屈辱条約といつて、どれほど長い期間われわれの祖先がこの条約撤廃のために血を流したか、あなたは知つているでしよう。それを思うとき、この協定がどんなに今後われわれの子孫に対して大きな屈辱と苦痛をなめさせるようなものであるかということは、あなたはわかるはずだ。こういう条約、これは期限が無期限で、無制限に日本のどこでも軍事基地にできることになつておるじやありませんか。一体これをどうして破棄するのです。あなた方の話によればこれは協議によるというが、アメリカが同意しますか。他国に軍隊を持つている国が、これを破棄してくださいといつてもそうやすくと破棄しますか。結局は中国の例を見るように、武力的に破棄するよりほかに方法がないじやありませんか。エジプトの例を、ごらんなさい。私が言うまでもなく、あなたはよく知つているはずだ。そういう状態にさせられておつて、しかも大西洋条約の例を引いて来られるということは、今後半年、一年後においてあなたがこういう答弁をされたことがいかにあなたの生涯に大きな汚点として、屈辱として、日本国民を裏切つた言動として残るかということを銘記していただきたい。私はこれ以上の質問はやめます。
○佐瀬委員長 世耕弘一君。
○世耕委員 時間がないようでありますから、数点簡単に西村局長並びに調達庁の政府委員にお尋ねしておきたいと思います。 安保条約の二条並びに三条によりますと、二条には「基地」という言葉が使われております。それから第三条には「配備」という言葉が使われておりますが、これは何か理由があつて使いわけられたものと思われるが、御見解はい かがでありますか。
○西村(熊)政府委員 第二条の規定は日本とアメリカの関係を直接規定しておるものではありませんで、日本がアメリカ以外の国に対して軍事上の利益を与えないという趣旨の規定でございます。与える場合には合衆国政府と相談をして事前の同意を得てから与える、こういうことであります。従つて与えない権利を具体的に例示する意味におきまして「基地」という字が使われておる次第であります。第三条には配備の条件とありますが、配備というのは軍隊用語でございますが、配置といいますか、ディスポジシヨンという意味に当る言葉で、合衆国の軍隊が日本に配置されるについて必要な条件を政府間のとりきめで具体的にきめることにしようというのが、第三条の趣旨でございます。安保条約、行政協定を通じて、合衆国の方では米比基地協定、米英基地協定にあるような基地を日本に持つという考えはとらない。理想とするところは北大西洋同盟諸国の間における軍隊の配置に関する条約関係と同じ関係をもつて規律したいという趣旨で話合いを進めたような次第でありました。
○世耕委員 そうすると第三条の「配備」という中には基地が含まれておるかという問題が出て来るわけであります。基地が含まれてない配備ということはちよつと想像できないのです。この点はどうでありましようか。
○西村(熊)政府委員 むろん御意見の通り、配備の条件の中で、何人にとりましても第一に大事な点は、どこに置くかという点であろうと存じます。それが行政協定の第二条で、この施設と区域は両国政府の間の話合いの結果、日本の方で提供するということになつておる次第であります。だからこの話合いの結果、日本側から提供いたします施設の中にアメリカの軍隊が入つている、その状態を基地と見るか見ないかという水かけ論になると考えるわけであります。私どもとしては、いわゆる一定の地域を限つて九十九箇年間軍事的使用に供する、その間はその国に対する国家の管轄権を全面的に譲渡するのが、いわゆる基地協定にいう基地でございますので、そういうふうな性格の施設や区域はこの行政協定の中に全然考えていない。こう説明申し上げた次第であります。
○世耕委員 わかりました。ただ問題は、先ほど他の委員と局長との質疑応答の中に、軍隊の数等に関して知つているか、知らないか、知らなくはないじやないかという応答があつたようでありますが、配備ということがこの条文にある以上、勢い基地という問題が出て来る。そうすると配備の数によつて基地の大小がおのずからわかれて来るわけでありますから、あなたの御答弁はちよつとこの点あいまいな点があつたように思うが、しかし先ほど御説明の中に、本協定並びに条約は決して満足なものではない。適当な機会に修正する用意ありというお話がありましたから、私はこの点について追究してお尋ねいたしません。 次にお尋ねいたしたいのは、これは特別調達庁の方からも御返答願えればけつこうだと思いますが、十二条の条文の中に、米国から軍需品を注文する場合は税金をとらぬ、こういうことになつております。今日の国際情勢から見て、あるいは日本の立場から見れば、これはいたし方ないと思いますが、もしアメリカから日本が軍需資材といいますか、防衛に必要な資材を購入する場合も同様な手続をもつて輸入できるのかどうか。この点のつり合いはどうかということを承つておきたいと思います。
○林政府委員 ちよつとただいまの御質問の趣旨をあるいは取違えているかもわかりませんですが、「日本政府がアメリカから軍需品を輸入する場合というお話でありましたが、日本政府が軍需品を輸入することはおそらくないのではないかと思うのでありますが、どういうことでしようか。
○世耕委員 日本内地で駐留軍が軍需品を調達する場合は無税ということになつている。あるいは関税も同様な取扱いがこの規定の中にありますが、しからば日本が将来防衛に使う、1軍需ということが適当でなければ防衛に使用する物資をアメリカから買う場合に、同様に税を無税にしてもらえるようになつているかどうか、この点です。
○林政府委員 それは将来の問題であろうと存じます。現在においては別にそういう協定はないと思います。
○世耕委員 この点が私は相当今後に残された重要な問題ではないかと思います。それをなぜ申し上げたかと申しますと、こちらの方がアメリカに売るときには無税にし、アメリカからこちらが融通してもらうとぎには税をかけられるということになれば、これは五分五分の勘定にならぬでしよう。あるいは政治的に考えれば、こつちは大きい腹を見せるということも一応言えるけれども、行政協定そのものはビジネスだと思うのであります。行政協定そのものがビジネスであるとするならば、遠慮なくそろばんをはじいて折衝すべきではないか。私はこう考えるのであります。これは条約局長からひとつ次の機会にこういう問題も処理したいお考えがあるのか、これは将来のことだから今考える必要はないとおつしやるか。この点を伺いたい。 時間を省略する意味においてもう一つ伺つておきたいのは、二十五条の経費の問題であります。これも関連した問題であります。お互いに経費を出し合う。出し合つたが、相手の出して来た勘定書を審査する権利が日本に保留されているかどうか。この点も大きな問題だと思うのであります。なぜそういう問題を言うかということについては、御返答によつては私はその事情を指摘してあらためて返事を承りたいと思うのであります。
○西村(熊)政府委員 御質問の点は第二十五条の実施方法に関する問題でございますので、主として大蔵省当局の方から御説明申し上げた方があるいはよかろうと存じます。いずれにしましても二十五条の実施方法につきましては、予備班の一班としまして経費に関する条項の実施方法に関する作業班がございまして、具体的に目下折衝作業中のようであります。それ以上私どもとしてお答えいたしまする材料を持ち合せておりませんので、お許しを願います。
○世耕委員 ちよつと私がお尋ねしたのと見当がはずれておつたかもしれませんが、二十五条の経費の問題です。双方分担すべき経費、その分担すべき経費の計算が正当なりやどうかということの審査権を日本側が持つておるかどうか。アメリカからいい加減な経費をつけられては五分々々にならぬ。ここにビジネス的処置が必要ではないか。私の申し上げたいのはそこなんです。条文に現われておりますから、条約局長がお気づきであつたら御返答を承りたいと思うのであります。
○西村(熊)政府委員 先方と話合いという、その点まで立ち入つて意見を交換しておりませんので、ちよつと御答弁申し上げる資料を持ち合せておりません。
○世耕委員 岡崎長官はそれに触れておるようであります。私の得た資料によりますと、むしろアメリカの会計検査院の提出した資料によつて云々ということになつて、アメリカから出した資料に対して、日本が正当なりやどうかということの審査権を持つということがこれに明記されていない。だからかりに百万円のものを百二十万円で受入れるという結果にならぬとも限らない。質問を簡略にする意味において一つの例を申し上げたい。将来はおそらくは飛行機も輸入するでしよう。飛行機をかりに輸入する場合、われわれはそれに対して代金を支払わなくてはならぬのだが、古物を売りつけられたらどういう結果になるか。近ごろはプロぺラのついている飛行機は骨董品として扱われる時代が間近に来ておる。あるいはバズーカ砲のごときも同様であります。これは高いか安いか、あるいは正当なる計数に当つておるかどうかという審査権が、今後の日本の財政処理上重大な影響を持つものだと私は思う。この点について条約局長直接御関係なき、大蔵省の方の所管であれば、あえてお尋ねすることは無理と思いますけれども、この点を実は御考慮願いたい。最近の実例、これはアメリカ側から買つたとは私は申しませんが、私の手元に入つている資料によりますと、現在の予備隊が使う三十年分ぐらいの綿——脱脂綿を買い込んだという。どこから何の必要があつて買つたか、これは一つの例であります。かようなことがビジネスとなつて、向うが現われて来たときには、もうかりさえすればいいということが出て来るわけであります。そういう場合に、厳格な計数を持たなければいけないのじやないか、あるいは日本人は、金の勘定をすることは外国に対してエチケットを欠くから、そういうことをしない方がいいだろうという考えが、往々にして日本の国民の側にあるのでありますが、むしろさような場合に、それを厳格な計算を出して審査することほど、かえつてアメリカ側は日本人に対して敬意を持つものだという経験を持つた一人であります。この点について何かお考えがあれば承つて、おきたい。私のお尋ねしたいのはそれだけであります。
○西村(熊)政府委員 御質問の点一々ごもつともだと存じますが、ただ残念ながら話合い中は、世耕委員も御指摘になりましたように、第二十五条について議事録がございまして、二十五条の実施方法について日本側はこういうようなやり方でやつて行きたい、それに対する先方側の意見も残してございます。それによりましても明らかになると思いますが、日本の財政当局といたしましては、予算の使用でございますので、厳格なる会計規則もあるし、また会計検査院による事後検査というものも受けなければならない事柄でございますので、その要請に十分沿い得るような二十五条の実施方法を、日米双方間に協議の上まとめたいという趣旨を強く日本側から申出まして、向うもそれには異存がなかつた次第であります。その次第が二十五条に載つております。またこの趣旨によつて、現在は、予備、作業班の一班がその問題を取上げまして、具体的に審議作業をしておる段階であると、私、了解いたしております。御指摘の諸点は、十分財務専門家の方々の頭にはある事柄と存じますので、御懸念のないように努力されるものであろうと存じております。はなはだ不完全な答弁でございますが、御了承願います。
○佐瀬委員長 他に質問がなければ、本日はこの程度にとどめ、明日は午後一時半より会議を開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十三分散会