法務委員会 第15号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/02/18
会議録
○佐瀬委員長 これより会議を開きます。 検察行政及び国内治安に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを許します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 政府は今回暴力破壊活動取締法というような法案を提出するやに新聞に報道されております。前には団体規正法なるものが出るということで、前の法務総裁大橋氏も再三それを言明されておりましたが、今度は暴力活動取締法というようなものを出すというふうに聞いておるのでありますが、かような新聞の報道のごとき法案をお出しなさるのであるかないか、もしお出しなさるとするならば、いつごろ国会へ提案されるのであるかそれをお尋ねいたします。
○木村国務大臣 政府は暴力破壊活動を行い、または行わんとすることを目的とする団体を規正する法案をただいま立案中であります。近く成案を得まして、なるべく早急に国会へ提出いたしたいと考えておりまするが、ただいまのところでは、その日時のほどは正確に申し上げかねるのであります。ただなるべく早く提出したいという考えだということを申し上げておきます。
○猪俣委員 今立案中だということでありまするが、新聞にも大分内容が発表されておるようでありますが、今立案の内容の骨子について承りたいと思うのであります。
○木村国務大臣 大体今申し上げましたように、破壊的活動を現に行い、または行わんとすることを目的とする団体を規正するのでありまするが、主としてその内容は、暴力主義的破壊活動とはいかなるものであるかということの定義、それから破壊団体の規正の種類、手続條項、その必要な捜査権及び所要の罰則を内容といたしておるのであります。
○猪俣委員 一体治安の取締りにつきましては、刑法に相当の規定があるのでありまして、今法務総裁が御答弁になつたような、そういう暴力破壊活動を取締るということでありまするならば、現行の刑法で十分まかなうことができると思うのであります。法は三章をもつて足るということは、理想でありまするけれども、現在の複雑なる国家活動の面から見まして、さような簡素化はとうてい望まれませんと思いますけれども、一体基本的人権に関係ありまするところの取締法規というものは、なるべくこれを統一いたしまして、法それ自体の中に組織と機能とを十分発揮させるようにすべきものであつて、いたずらに屋上屋を重ねるような法案をつくつて、そうして労働組合その他の民主団体に対しまして、いたずらなる刺激を与えるということは、日本の現状といたしまして、ことさら私どもは好ましくないことだと考えるのでありますが、この新聞に伝えられまするような内容でありますれば、刑法で十分取締り得ると考えるのでありますが、この刑法の規定で破壊活動が取締れないような規定が、この特別法に盛られるのであるかどうか、現行の刑法あるいは暴力行為等処罰に関する法律、そういうものでどんな点が一体取締れないので、この特別立法をなさるのであるか、その点をひとつ納得行くように御説明願いたいと存ずるのであります。
○木村国務大臣 この法案の内容については、近く御審議を願うわけでありまするが、もちろん今猪俣君の仰せになるように、基本的人権は、どこまでも守つて行かなければならぬ、これは私も同感であります。この法案の内容についてはきわめて嚴格に、いやしくも基本的人権を侵害するようなことについては、十分の考慮を払つておりますつもりであります。そこで申すまでもなく、刑法については一定の処罰規定を設けておりまするが、それのみをもつてしては足りない箇所がありまするので、その点等について十分考慮した上で、新しい法案を作成中であるのであります。もちろん刑法と重複するようなことをなるべく避けて、できる限りの範囲において、治安の維持の任務を全ういたしたいと、こう考慮しているわけであります。
○猪俣委員 私の質問にお答えになつておらない。あなたもさように基本的人権は尊重し、いたずらなる取締りの法規をつくることには御賛成でないという御趣旨であるならば、そういう見地からしても、この刑法の規定だけでは取締り得ないと思うところがあるから、そこで、今立案中である、立案の全体についてはまだまとまらぬというなら、私しいて質問はいたしませんけれども、いやしくも立案中であるならば、この刑法の規定でまかない得ない点があるということでお始めになつたのであるから、どこが一体まかない得ないようなことがあるのであるかは、十分御研究の上で立案にかかられたと思うのであります。そこで私が今お尋ねいたしましたことは、今あなた方がお考えになつて、どういう破壊行動がこの現行の刑法ではまかない得ないとお考えになつて、立案なされつつあるのであるか、その立案の動機をお聞きしているのであります。どういう一体破壊活動がある場合においては、この刑法ではまかなえないか、刑法でまかない得るならば、そんな二重、三重に治安立法をする必要はないことは、法務総裁も今お考えになつているようでありますが、そうすると、この刑法でまかない得ない点が必ずあるということの認識の上に立つて立案されておると思うのでありまするから、そこで私どもは、どうも政府の構想の一端なりを、新聞紙上に伝えられるがごときものであるといたしましても、この刑法以外の立法をなさる趣旨がよくわからないので、そこで一体どういう活動がこの刑法ではまかない得ないのであるかということを、御説明願いたいと思うのであります。
○吉河政府委員 総裁の御指名によりまして、簡單にお答えいたします。目下この法案は立案中でありまして、最終の結論に達しておりません。立案の構想といたしましては、この法案の主たる内容は、暴力主義的な破壊活動を行い、またはこれを行うことを目的とする団体に対しまして、行政上必要なる規正措置を定めることにあるのでありまして、刑法におきましては、個々の行為につきまして刑事上の罰則を定めたものでございますが、この法案はかような団体に対しまして、必要最小限度の行政上の規正措置を行うことを主たる内容とするものでございます。
○猪俣委員 そうすると、この特別立法をなさる根本的な理由は、そういう暴力行動をする団体あるいは暴力行動をするおそれのある団体に対して行政処分、すなわち解散というようなことをすることが精神で特別立法をするのだというふうに今承つたのでありますが、日本の現行の民法の規定その他によりまして、こういう集団を解散できる、行政処分できる根本法が、現行の法の中に私はあると考えるのでありますが、法務総裁はさようなことはないとお考えになつておるのでありますか、そこを承りたい。
○吉河政府委員 現行の法律におきましては、民法において法人の解散あるいは宗教法人法における宗教法人の解散等の規定があるように承つております。
○猪俣委員 そうすると、法人にあらざるある集団を解散するために特別法が必要だという結論になるようであります。法人でありまするならば、これが公序良俗に反する場合におきましては、解散を命じ得る規定があるはずであります。そうすると、法人でないところのある集団を解散せしめるために、特別立法が必要だというふうに理解されるのでありますが、さようでよろしゆうございますか。
○吉河政府委員 先ほども申し上げました通り、この団体に対する行政上の規正処分の根拠は、この団体が暴力主義的な破壊活動を行い、またはこれを行うことを目的とする点にあるのでございます。
○猪俣委員 そうすると、今立案中の中には、この前団体規正法の草案の中にありましたような団体の届出ということをお考えになつているのであるか、団体は届出制をとるというようなことを今度ははずされたのであるか、承りたいと思います。
○吉河政府委員 現在の立案の構想といたしましては、政治団体の届出制というものを考えておりません。
○猪俣委員 そうするとある集団が暴力行動をした場合において、その集団に対して行政処分をやるという御処置のようであるが、それが一定の集団であるかどうかということは、どういうふうにして認定されるか、たとえば偶然多衆が集合したような場合、集団には違いないが、それを一体集団であるのか、多衆の集合であるのかというようなことは、どういうふうにして認定されるつもりでありますか。
○吉河政府委員 一定の暴力主義的破壊活動が団体によつて行われたこと、または団体がこれを行うことを目的とすることが、調査によりまして、証拠によつて立証されなければならないと考えております。
○猪俣委員 そうすると、ある騒擾事件があつたが、それが集団的な団体行動であるかどうかは、やはり摘発する方で立証責任があるということに承つてよろしいですか。
○吉河政府委員 現在のところさように考えております。
○猪俣委員 それから暴力行動をなすことを目的とする集団ということは、何によつて判断なさるのであるか、まだ暴力行為をしていない、しかしその集団が暴力行為を目的としているのであるということの判定はどこでなさるか。
○吉河政府委員 調査によりまして、証拠を収集して認定することになると考えております。
○猪俣委員 しかし一体暴力行動を目的とするというようなことを文書として明らかに掲げている団体はないと思う。そうなるとこれはその集団の構成人員、あるいは役職員の心の問題となるのでありますが、従つてある集団が暴力破壊行動それ自体を目的とするというようなことを、一体調査によつて認定するということに私どもは非常に危険があると思う。そんなことを一体調査できると思つておられるのであるかどうか、それを承ります。
○吉河政府委員 調査によつて証拠資料を収集いたします。これをいかなる機関によりまして認定するかということにつきましては、目下立案を進めているところであります。
○猪俣委員 なおこれはまだ新聞の発表だけでありまして、詳しい法案が出ておりませんから、私ども詳しく議論をいたしますることは、いずれ法案が出ましてからにいたしますけれども、しかしこれは世人に与えまする影響が非常に大きい法案でありまして、あらかじめどういう意気込みで当局は立案されておるかを承つておきませんと、私どもやはり判断の資料を集めるにつきましてもさしつかえまするのでお尋ねしておるのであります。新聞に報道されまするこの取締りの範囲と称しまして掲げられておるものを見ますと、破壊活動の地盤となる集会または集団行進の禁止ということが、取締りの範囲として出ておるのであります。破壊活動の地盤となる集会または集団行進の禁止という意味でありますが、これは今言つたように、破壊活動を目的とすることが証拠によつて明らかになつた集団が、集会したりあるいは集団行進をしたりする場合に適用するというのでありますか、あるいはどういう団体についても、その集会または集団行進それ自体の中に破壊活動的な色彩があるとこれを禁止するということに相なるのでありますか、その点を御説明願いたい。
○吉河政府委員 かような破壊団体に対する規正処分の内容につきましては、目下愼重に検討中でございます。まだ結論には到達しておりません。
○猪俣委員 大体の構想を御発表願えませんか。
○木村国務大臣 これはそういう破壊活動をなし、または破壊活動をなさんとする目的を持つて組織された団体を規正して行きます。その規正の一つの現われとして、今言うデモその他の集会を禁止するということでありまして、初めから集会やデモを禁止するという意図に出たものでないということを申し上げておきます。
○猪俣委員 そうすると、今総裁の御答弁を伺いますれば、結局ある集団が、暴力的な目的を持つておる集団だと思われるものが、その目的遂行のために集会したり集団行進をしたりする場合を取締るのであるか、言いかえればそういう暴力活動的な、暴動活動を目的とした集団だと認定せざる限りにおいでは、その集会があるいは破壊活動的な活動をするのじやないか、あるいはその集団行進がはなはだ危険的な行動じやないかと思われても、それは取締りしないというふうに承つてもよろしいのですかどうですか。
○吉河政府委員 この破壊活動の中には、ただいま総裁からも御説明申しました通りに、暴力主義的な破壊活動を行つた団体またはこれを行うことを目的とする団体というものが含まれておるわけでございますが、こういう団体につきまして、いかなる場合にその活動を部分的に制限するか、または解散の措置に出るか、この辺の点につきましては目下立案研究中でございます。
○猪俣委員 その大事なところを今研究中ということでありますならば、私どもこれ以上質問しても上かたがないと思います。そこでなお一応承りたいことは、今アメリカの軍隊が日本に駐留する、安全保障條約に従つて行政協定のもとに駐留するということに相なつておりまするが、このアメリカの兵隊の駐留を安全ならしめるというような処置から、あるいはアメリカとフィリピンの協定のような趣旨に基いて、そういう意味をこの暴力活動取締法案の中に織り込まれる意思があるのであるか、ないのであるか、それをお尋ねいたします。
○木村国務大臣 そのようなことはございません。
○猪俣委員 それではこれはまだいずれ法案が出ましてからにいたします。 その次にお尋ねしたいと思いますことは、前総裁の時分におきまして、当委員会においても言明せられたことは、この団体等規正法並びにゼネスト禁止法というものを提案したいという御答弁をなさつておつたのでありますか、現法務総裁はゼネスト禁止法は提案するつもりはないような意思発表を新聞になさつておつたと思いまするが、最近労働省側からゼネスト禁止法を制定してもらいたいということが閣議に要求されたというふうに聞き及んでおるのであります。法務総裁はこのゼネスト禁止法のようなものを提案なさる意思が現在おありになるかどうか、お尋ねいたします。
○木村国務大臣 このゼネスト禁止法案提出の意思ありやいなやという問題でありまするが、労働法の改正が今取上げられておるのであります。御承知の通り労働省において、労働法規の改正を今計画いたしまして、労働関係法令改廃審議会に諮問中であります。これは今後のことと思いますが、おそらく近くその委員会から答申があることと考えられるのであります。それでその答申の結果とにらみ合せまして、労働省と協議の上に、諸般の情勢を総合考覈して愼重に検討いたしたいと、こう考えておる次第であります。
○猪俣委員 そうすると、その労働三法諮問委員会の答申、なお労働省の意見、そういうものを参酌して、あるいはゼネスト禁止法なるものを提出することがあり得るという御答弁でありますか。新聞の報ずるところによりますれば、木村法務総裁は最初ゼネスト禁止法は出さない御意向であつたというのでありますが、やはり私が先ほど申しましたような労働省あたりからの何か注文があつたようである。そこで今のような答弁になられたのではないかと思うのであります。そうすると、なおお尋ねいたしますが、今諮問委員会の答申あるいは労働省の意向によつては、ゼネスト禁止法も提案することがあるというふうに承つてよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 私がこの答申案を見て労働省と協議の上にそれを愼重考慮したいと申しましたのは、なるべくはそういうゼネスト禁止法を出したくないという気持は明らかでありまするが、しかしその答申いかんによりまして、あるいは諸般の情勢を考慮して、出さなくちやならぬ情勢になるかもしれぬと考えられるのでありますから、今それをはつきり出すとも出さぬとも断言はできないのであります。
○猪俣委員 そうすると、その諮問案あるいは労働省の意見を聞く、そこで禁止法を出すか出さぬかというような最後の決定をなさるのは、一体いつごろの見通しでございますか、それを承りたい。
○木村国務大臣 今のところでは、見通しはちよつと申しかねます。
○猪俣委員 これは私は法務総裁に希望いたすのでありますが、どうぞかような法案は、あなたが閣内におかれまして極力阻止するようにしていただきたいと思うのであります。その理由につきましては、法務総裁もなるべくならば出したくない方針であるということを承りましたのであまり詳しく申し上げる必要もないと思いますが、どうかその趣旨を貫いていただきたい。今国家が実に重大な危機に際しておる際、いたずらに労働組合を刺激いたしまする立法をいたしますることは、これは決して国全体の公益と合致いたしません。もし私のこの忠言をおいれなさらぬで、かような反動立法をおとりになるとしますならば、これは非常に大きな問題と相なつて、後に悔いましでもおつつかないことが起るのではないかという心配を私どもはしておるのであります。ゼネストと申しましても、これは憲法に保障せられておりまする労働者の権利の最も重大なものでありまして、そのゼネストに追い込むような状態にまで立ち至らせるということは、これは非常な場合であります。今の民主的労働組合が、ただむやみにゼネストするなどということはとうてい考えられず、それを考えることは、労働組合に対する非常な不信でありますが、今の労働組合はさような一部の人間の煽動によつて、ただむやみにゼネストなんというものを起すような状態ではありません。もつと発達いたしております。ただこういう非常手段が出るに至りましては、出させる方の側にもそこには失態があるはずであります。それを一方労働組合側だけを責めまして、そこに落ち込ませる側の方に対して何らの責任を問わぬような立法でありますならば、これは実にゆゆしき問題だと申さなければなりませんので、かような法案はどうぞなるべくつくらぬように、法務総裁の御努力を願つてやまぬのであります。 なお時間が十二時までということでありましたので——私は憲法問題について法務総裁の御意見を承りたい点が二、三あるのであります。それはどうも予算委員会その他におきまして現法務総裁の御答弁は、前の同じ吉田内閣におきまする法務総裁でありました殖田氏あたりの当委員会におきまする答弁と多少違つておる点がありまして、その点についてなお明らかに御意見を承りたいと思うのでありますが、時間がありませんので後にいたしたいと思いますが一、二緊急の点だけお尋ねいたしておきたいと思う。暴力破壊活動取締法のこと、それからゼネスト禁止法のことは今お尋ねしましたが、次に刑事訴訟法の改正について政府で案を練つておるやに聞くのでありますが、現行刑事訴訟法の改正案をおつくりであるかどうか、あるいはこの国会におきましてそれを提案なさる意思があるかどうか、あるとするならば大体どういう点において改正しようとお考えになつておるのでありますか、われわれも研究の必要もありますので大体の構想をお聞かせ願いたいと思うのであります。
○木村国務大臣 ただいま法制審議会で熱心に討議中であります。近く結論が法制審議会で得られることと考えて、おりますが、まだここしばらくの時間がかかるかと思います。大体私の聞いておりますところによりますと、最も重要な点は勾留期間の延長と聞いております。これはなかなか問題になつておるように思います。あと詳しいことは政府委員から御説明申し上げます。
○猪俣委員 それでは詳しいことは政府委員にお尋ねいたしますが、もう一つお尋ねいたしたいことは、きようの新聞の発表を見ますと、アメリカとの行政協定の中に、当法務委員会といたしましては黙視できないことが報道されてあることは、われわれがかねがね心配いたしておりました治外法権の問題でありますが、きようの新聞の報ずるところによると、アメリカ軍がその駐留地以外において犯罪を犯した場合におきましても、全部アメリカの軍の裁判になるというふうにきめたと相なつておりますが、はたしてしかりであるかどうか、この点法務総裁としての御答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 まだ折衝中でありまして、きようの新聞に報道されておるようなことはきまつたとは聞いておりません。
○猪俣委員 これは基本的人権の大本をつかさどり、司法の大本をつかさどつております法務総裁といたされまして、かようなことに一体賛意を表されるのであるかどうか、こういう行政協定の内容というものは閣議には全然報告されないものであるかどうか、閣議で相談なさる際には法務総裁はかようなことに対して御賛成なさるのかどうか、それを承りたい。
○木村国務大臣 こういう治外法権なんかの点については、私は相当の発言をしております。それで、岡崎国務相もこの折衝につきましては十分に努力しておるようであります。猪俣君の御心配になりますような裁判権の問題、これは重要問題でありますから、相当岡崎君は努力を払つて今折衝中であるということであります。
○猪俣委員 そうすると、これは岡崎氏が閣議に諮らずに向う様とかつてにきめるようなことにはなつておらぬのですか。岡崎氏に、そういうことは全権委任されておるのでありましようか。今、法務総裁がこれに対して反対だという意思が、どこかに現われるような状態になつておるのでしようか。さようなことを承りたい。
○木村国務大臣 今申し上げました裁判権の問題については、猪俣君同様重要な問題と考えております。そこで今申し上げました通り、岡崎国務相はその点について大いに努力をして折衝中であるということを申し上げたのであります。
○猪俣委員 それではなお一点だけ、これは差追つた問題でお聞きいたしますが、今ロシヤのモスクワに世界経済会議というものが開かれようとして、招請された人たちが渡航する意思があるのでありますが、何だか政府はこれを妨害しておるやに聞いております。そこで旅券法第十三條には、法務総裁の権限も書いてあるのでありまするガ、このモスクワの経済会議に日本人が渡航するということにつきまして、法務総裁はいかなるお考えを持つておられますか。お尋ねしたいと思います。
○木村国務大臣 これは、御承知の通り法規の規定に基きまして外務大臣から法務総裁に協議があるわけでありますが、現在のところまでは、外務大臣から私に対して何らの協議の申出はありません。
○佐瀬委員長 猪俣君にお諮りしますけれども、法務総裁は……。
○猪俣委員 大臣に対してはこれでやめますが、吉河特審局長にお尋ねしたいと思います。新聞の伝うるところによりますと、先般特審局長は、自由党の議員秘密総会に出席せられまして、共産党の活動その他につきまして、るる御説明があつたようであります。われわれとして、ここに明らかにしていただきたいと思いますることは、これは新聞の報道も区々でありまするがゆえに、はたしてかような発言をされたかどうかはつきりいたしませんけれども、共産党のビューローというか、こういう活動分子が左派社会党の内部、あるいは総評の内部に活動しているかのごとき発言をなされたやに見受けられるのでありますが、さような発言をなされたかどうか、その問題についてお伺いしたいと思うのです。御承知の通り、社会党は右と左に分裂いたしました。今私ども区画整理で大わらわの際であります。そうしていわゆる右と称される人たちは、左派社会党は容共だというような宣伝を、これ努めておるという際におきまして、特審局長のかような発言に対しましては、党といたしまして重大なる影響を及ぼすのであります。そこであなたはかようなことを言うたか言わぬか、言つたといたしまするならば、的確なる証拠を出していただきたい、この意味において私は質問を申し上げます。これは左派社会党としては致命的なことであります。一政府機関たるあなたが、われわれから見れば反対党であります自由党の議員総会に臨んで他党を傷つけるがごときことを、軽々に揚言するとは思われない。またさような揚言をしたとすれば断じて許すことはできません。あなたはいかなる証拠に基いてさような発言をきれたか、それを承りたい。
○吉河政府委員 本年二月五日、私は法務総裁の御依頼によりまして、補助者として法務総裁のおともをし、自由党秘密議員総会に参つたことがございます。しかしこの議員総会の秘密会の内容につきましては、私から申し上げる立場ではないと考えております。御了承願いたいと思います。また私がこの議員総会で発言したものとして、御質問に関するような事項が新聞紙上に掲載されておるのでありますが、かような記事に対しましては私として、また法務当局者として、責任を負う限りではないと考えております。
○猪俣委員 すでに新聞に発表されて、全国の読者が読んでおる。そこであなたがかようなことを言つたか、言わぬか、言わぬなら言わぬように、ここに取消してもらわなければならぬ、言つたなら言つたようにわれわれとしても態度を決定しなければなりません。これは党の運命にかかわる重大問題であります。そこであなたは、かような左派社会党の中に、共産党の活動分子が入り込んでおるようなことを言うたのか言わぬのか、あるいは左派社会党の有力な友誼団体であります日本における労働組合の総本山であります総評の内部に、はたしてさような共産党の活動があるべきものであるかどうか、あるとすればわれわれ党内におきましても、また労働組合としても組合内におきましても、ここに十二分なる警戒と粛正をやらなければならぬと思う。レッド・パージでも何でもやらなければならぬ、それほど事は重大であります。で、また新聞にも発表せられたことは事実なんだ、あなたも認めておられるから、もしさような発言がなかつたとすれば、打消してもらいたい。あつたならあつたように証拠をあげてもらいたい。
○吉河政府委員 一部破壊的な共産分子が、社会党左派並びに総評をねらつておるというような情報があることは、特審局として申し上げてさしつかえないと思います。しかしながら現在左派の社会党あるいは総評の内部に、具体的にかような分子が組織的な活動を展開しておるというようなことにつきましては、何ら私の方としては、具体的に申し上げる情報資料を持つておりません。
○猪俣委員 そうすれば、なお念を押しておきます。そうするとあなたの発言内容は、破壊的な共産党の分子が、左派社会党ないし総評をねらつておるというふうな情報を御発表になつたので、その内部におつて活動しておるというようなことじやないのだということになりますね。それは間違いありませんか。
○吉河政府委員 現在お答えしているところは、その通りであります。
○猪俣委員 まあ私は共産党でありませんから、共産党がどこをねらつておるのであるか、そういうことには責任を持てませんから、共産党はかつてなところをねらつた方がいいと思う。だからただあなたがねらつておるということならば、これはしかたがない。ただ特審局長に申し上げたいことは、自由党の要請があつて、あなたがかような発言をなさり、いろいろの報告をなさつた。これは何党でも要求があれば、国家機関として当然のことだと思うのでありますが、ただ私は不可解に存じますことは、たとえば共産党の徳田球一氏以下幹部の諸君が、何か地方ビユーローの中で大いに活動しておるというような、これも新聞でありますが、そういう報告をあなたはなさつた、こうなつておるのであります。そこで私どもは思うことは、一体徳田球一氏がそういうふうな地方のビユーロー組織で活動しているというような足取りまでが、おわかりになつたとすれば、どうしてこれをおつかまえなさらぬのであるか。そこがはなはだどうもわからぬのです。あなたがこう発表をなさつたように実に詳しくおわかりになつておるとすれば、こいつをつかまえることが先決問題じやないかと思うのです。そこでまた、実際事実つかまらぬのだとすれば、みなあなたの報告というものは臆測じやないか、こうも考えられる。情報だけは、そういう地方のどこどこで活動しているというような情報は出している。これは確かにそれに違いない。しかしつかまえることができないとなると、なおまたここに疑問が出る。わざとつかまえないのじやないかという疑問も出るのであります。そこで徳田その他の行動につきまして、一体的確なる、あなた方は認定を持つておるのかおらぬのか、それを承りたい。 〔「予想だよ、競輪、競馬の予想屋にすぎないよ」と呼ぶ者あり〕
○佐瀬委員長 加藤君御謹聽願います。
○吉河政府委員 現在追放された元共産党幹部の所在につきましては、鋭意その所在の追究に努力いたしております。しかしながらどうも私ども職員の能率、訓練未熟な点も多々ありますので、まだその所期の成果をあげていないことは、何とも申訳ないことと考えております。
○猪俣委員 私は特審局の現在の機構その他におきまして、ことに人権の擁護がやかましい現在におきまして、昔の特高のような働きをなされないこともぼくは理由があると思う。それをあまりいじめ立てましてやると、今度は昔の特高になつてしまつて、無理な人権蹂躙問題を引起すことになる。ここに非常に苦労のおありであることは私十二分に同情いたします。いたしますが、実はこの公の席上では言えないことでありまするけれども、実にあなた方の調査というものはでたらめで、まつたく天気予報よりも当らないものであることは、私自身につきまして実によくわかるのです。これはよほど愼重に調査をなさり、従つてこの発表をなさる際におきましては、よほど御注意になつて発表していただきたいと思う。いいかげんの予想を発表なさると失敗する。先般の上村進君以下六名か七名の共産党の幹部と称せられる方々の逮捕事件のごときは、これは実に日本の憲法の一大汚辱であると私は考えるのでありまして、これらの人たちは逮捕監禁せられた上に、何らのはつきりした証拠も示されないで、今釈放されておりますが、しかし代議士である地位は永久に葬られたような形になつておる。これが立場をかえて考えてごらんなさい。実に重大問題ですよ。こういうことをおやりになつておつたのでありまして、ここに反省していただきたいと思う。でありますから、外部にこれを発表なさる際には、いたずらに民心を迷わすような御発表はよほど御注意願いたい。自由党の諸君は、あなた方の活動がなお足らぬといつてお責めになつているようであります。どういうことでお責めになつたか、私はわかりませんが、これは特審局の立場というものに対しましては相当やはり考慮しなければならぬと思うのであります。昔のように、怪しいと思えばどんどんしよつぴいて拷問にかけて審理が進められるときと非常に違うのでありますから、これをあまり責めるということも考えものであるが、あなた方もよほど御注意なさつて、いいかげんの情報によつてすぐ活動なさらないように御注意願いたいと思う。私どもは償うべからざる損害を、実はこの前の自由党の秘密議員総会の発言なりとして受けたのであります。そういうふうなねらつているというようなことであるならば、そんなところであなたが発表なさる必要は一つもなかつた。これは天下公知の事実、共産党はどこでもねらつています。自由党もねらつています。特審局もねらつています。国家警察、予備隊、みなねらつております。何か左派社会党と総評だけをねらつているような発言をなさつたのは、不謹愼きわまると思う。これが新聞に出る場合に、どういうふうな影響を及ぼすか。あなたはお考えなさらぬが、公党といたしまして実に迷惑しごくであります。共産党のねらつているのは日本国民全体であります。そのうちからただ左派社会党と総評だけを持ち出されたことは、はなはだあなた方に悪意あることをわれわれは推理しなければならぬ。でありますから、その点につきまして実に私は不愉快だと思うのであります。さような発言はよほど確固たる証拠を持ち、しかる後に発表なさるべきものだ。しからざればこれに関して天下の公党を傷つける、損害これより大なるものはない。これはあなたに私は警告を発しておきます。あなたの立場に十分同情はいたしまするけれども、少し軽はずみのところがあるような気がする。ねらつているということをわざわざ反対党の自由党に、あなたは御気嫌をとりに行つたのかもしれませんけれども、さようなことを言うべきじやない。これがため私たちは非常な迷惑をこうむつておる。しかもいつ総選挙があるやもわからぬというような状態です。さような言動はその影響というものがどういうようにわれわれに及びますか。 なおお尋ねいたします。ねらつているということはいいが、それをねらつているという情報だけで、ほかは何もありませんか、はつきりここで言つてください。
○吉河政府委員 現在のところございません。
○佐瀬委員長 本日はこの程度にとどめ、次の会議は二十日午後二時より開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十六分散会