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13回国会衆議院1952/02/12

法務委員会 第11号

発言数
132
登壇者
10
会派数
3
開催日
1952/02/12

会議録

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 これより会議を開きます。  この際本日の日程に入る前にお諮りをいたします。戦争犯罪者の刑の執行に関する件について菊池覚君及び黒田重徳君を参考人として招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお参考人招致の日時は、来る十四日午前十時といたしたいと存じますから、さよう御承知願います。     —————————————

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 次に検察行政及びこれと関連する国内治安に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを順次許します。鍛冶良作君。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 先日私から要求しておきました組織的集団的暴力事犯についての一覧表をちようだいいたしまして見ましたところ、このうち特に目立つて最近大きくなつております問題は、いわゆる自由労働者の過激なる労働運動並びに朝鮮人の強制送還反対運動というものが、全国各地にわたつて起つておるのであります。これらはおそらく組織的の事件であろうと考えまするので、取締り当局においてこれらの事件をどのようにながめておられるか、またその組織等がわかつておるならば、わかつておることだけをできるだけ詳細に御報告願いたいと思います。     〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいま御質疑の集団的な暴力事犯につきましては、前回差上げました表並びに本日追加いたしまして差上げました一枚書きの分によつて御承知願いたいのでございます。そのうち御指摘の自由労務者の暴行事件並びに朝鮮人の暴力事犯は、特にその数の多いことと、それから一回の暴力事犯の集まりの数が多いという、この二点において特色があるようであります。この種の暴力事犯は、昨年秋ごろから特に目立つて頻発するようになつたのでございます。その原因が那辺にあるかにつきましては、私どもいまだ確たる報告に接しておらないのでございますけれども、これを通覧いたしまするに、朝鮮人の暴行事犯につきましては、いわゆる強制送還反対運動に関連するものが一つ、他はその他の強制措置に対する反対運動、たとえば密造検挙に対する反抗といつたような形で起つておるようでございます。他のもう一つの自由労務者の騒ぎは、これは各地に頻発しておるのでありますが、この事件を通じて見ますると、この自由労務者がてんでんばらばらに集まつたのではなくて、やはり何かの中核体を中心にいたしまして集まつて来て、職安闘争を始めるといつたような形のものが多いように考えられます。なおこの事件の検挙対策並びに予防対策等についてでありますが、この種事犯は、割合に数多く各地で頻発いたしたのと、それから若干の事件発生のきざしはありましても、それが非常に早く大きな騒ぎに転化する関係上、この事前の防遏というものは必ずしも容易ではないようでございます。従いまして、各地の警察あるいは検察庁におきましては、この種事犯の事前の防遏等につきましていろいろ苦心をしながら、なお完全なる対策は立つていないというふうな実情であろうと思います。さりながら、その他のあるものにつきましては、いろいろと事件の動きを見ておりまするうちに、いつ幾日かような企てがあるらしいというふうなことを聞き知りまして、これによつて若干事前に手配をいたして、これを防遏したものもございます。さようなものはこの表の中には現われて来ないわけであります。なおその他についての一つ一つの事件につきましては、たとえばきようお配りいたしました表の最後にありまする、水戸の労務者の警察官並びに県吏員に対する集団暴行事件というふうなものにつきましては、事件の概要を第三段に掲げておきましたし、その後の検挙並びにすでに起訴その他の処分の結果のわかつておりまするものは、現状までの状態を相当詳しく一覧表に書き出してございますから、これによりまして御承知願いたいのであります。なおこの表は少し古い、昭和二十四年の六月から取上げてございますけれども、特に二十六年秋ごろからの事件は、割合に詳細に掲げておいたつもりでございます。御参考までに申し添えておきます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私の承りたいのは、自由労働者の暴行につきましても、全国にわたつて起つておりまするが、この暴行の、俗に言う手口その他等も軌を一にするものがあると心得るのであります。従いまして、これはたれか、どこかに指導者があつて、組織的にこれを行つておるものと考えるがゆえに私は質問するのでありますが、そういう組織的のもであるかどうか、そうすればそれを体してたれかが指令しておる者があろうと思うが、あるかどうか。あつたらどういう者が指令しておつたか、この点を具体的に当局から承りたい。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、自由労務者関係の事件は、大体全般を通じまして先ほど申し上げました中核体というものが存在するようでございます。そうしてそれらの人たちがその付近の労務者を集めまして、その当時問題になつておる問題、たとえば年末の年越しのもち代をよこせといつたようなことを取上げまして、それぞれ関係機関に陳情する。まあ最初のうちは陳情でありますけれども、その回答が満足に行かぬと、これに対して暴行するというふうな形で現われております。しこうしてその中核体となりまするものの中には、相当多数の共産党員がおるということは事実でございますけれども、その共産党員がいかなる指令に基いてさようなことをしたかというふうなお尋ねの趣旨の点につきましては、私どもとしてはさような事実を明確に起訴はいたしておりません。証拠上さようなものははつきりいたしておらぬ、かような事情であります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 それから朝鮮人送還に関する騒擾につきましても、先ほどちよつとお述べになりましたが、これは表看板は送還反対ということになつておるが、実際の目的はそこにない。われわれの考えから言うならば、これをきつかけにいたしまして騒擾を起し、人心を惑わしめる、かようなことが目的であろうと思うのでありますが、さような点が認められたかどうか、そうしてそういうものはどういう者が指導してかような目的を達成するように努めておると見ておられるか、それらの点を具体的に聞きたいのであります。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 朝鮮人の騒擾事件につきましては、先ほど申し上げました強制送還反対運動というふうな形をとり、あるいは平和擁護運動、あるいは先ほど申しました税務署等に対する反抗、もう一つ、さきにちよつと申し忘れましたが、いわゆる北鮮系と南鮮系の争いといつたような形で現われております。そのうち送還反対デモは、多くいわゆる北鮮系の朝鮮人が中心となりましてやつておるように通観されるのであります。これらの事件の特徴といたしましては、北鮮系の朝鮮人が、たとえば出入国管理令の改正の際、あるいは改正の機運が新聞紙上等で報道されました際に、強く自分たちの立場からして、当然日本から送還されるんだろうというふうな認識のもとに運動に入つておる。また一方南鮮系の者に対しましても誘い合せまして、その運動に参加させるというふうな形をとつておるものが多いようであります。これらのいわゆる北鮮系と申しますのは、元の朝連系統でございます。その運動を指導する者の中に若干の共産党員のあることも事実でございますけれども、これまた共産党からの指令に基いてかようなことをしたかどうかという点について明確な証拠のもとにこれを起訴したというふうな事案はないように考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 国警長官がお見えになりましたから白鳥事件についてお聞きしたいと思います。これは北海道にもお行きになつたようでありますからよくおわかりと思いますが、事件の内容とその後の捜査の進展についてもお聞きしたいのでありますが、それよりも、私が最も憂うべき事実だと思うことの一つは、現地で調べた人の報告によりますと、北海道における共産党員は、間違いなくソ連軍が入つて来るのだ、入つて来ればわれわれの世界になるのだ、少くとも北海道だけはわれわれの世界になるのだ、この確信を持つていろいろの行動を起しておる。さらにまたそれを非常に宣伝いたしまするがゆえに、北海道の一般民衆も、万一そういうことになると、われわれが今反抗しておるとしまいに行つてどんなひどい目にあうかもしれぬ。ゆえに今日は黙つて彼らの言うままになつていた方が身の安全だ、こういう不安感を持つて、警察その他捜査機関に対する協力をもたせない実情にある、かようなことを聞いたのでありますが、それが事実であるとすればまことにゆゆしきことだと思われるのであります。まずこの点に対して長官の方でどのように見られたか、またいかなる情報が来ておるか、それを承りたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 北海道において、共産党が、ソ連の兵隊が近く入つて来るという宣伝をし、またその確信に基いて行動をしておるのではないか、また一般住民もそれを信じておるのではないかというお尋ねだと思います。私も二週間足らずでありましたが北海道をまわつて参りました。なるほど今のお話を伺いまして、あるいは共産党員の中にはそういうようなことを言つて、党勢の拡張といいますか、そういうようなことを言いふらしている者があるかもしれませんが、私は直接には耳にいたしませんでした。しかし何とはなしに、そういう場合もあり得るのじやないだろうかという道民の杞憂は皆無とは言えないであろうと考えます。しかしさように確実に入つて来るというふうに考えている者はむしろ少いのじやないか、私はかように考えております。根室、釧路、網走、あの方面にも参りましたが、土地の市町村長あるいは責任者なども、さような懸念を持つておるようには見受けておりません。むしろ自由世界の強い連帯的な考えのもとに立つていると、私は頼もしく思つたような次第であります。また白鳥事件にいたしましても、そういう関係から協力を惜しむというようなことは、私は考えられないように思います。実際面におきましても、最近相当市民の協力を得まして、いろいろな聞込みその他にも便宜を受けております。少し杞憂にすぎるのではないだろうか、かように感じております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そうであればよろしいのですが、またあとで承りますけれども、長野県の田口村の事件等も同様な感じがいたします。  そこで、ついでですから、白鳥事件のその後の捜査状況について、おさしつかえない限りの御報告を願いたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 白鳥事件の捜査はその後着々と進んでおりますが、これは今非常にデリケートな捜査の段階にありますので、ちよつと具体的に申し上げますことはごかんべんを願いたいと考えます。札幌の市警、国警、検察庁一体になりまして、捜査は相当進んでおるということだけ申し上げます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私がかような質問をするのは、人心に非常な不安を與えておるということのきざしがあるがゆえに申し上げますので、これは徹底的に捜査を進められて、その根源までも明白にせられんことを、われわれ法務委員会の名において希望いたしておきます。  それからついでですが、長野県の例の田口村の警官に対する暴行事件でありますが、これも聞くところによりますと、あの近在の農村でも非常に共産党の勢力が浸透いたしておりまして、あの暴行事件が起りますときには、すでに近在の農民は皆知つておつた、それにもかかわらず警察へも案内せずにああいうことになつた、かような現地における人々からの報告でありますが、これらについてはどのように見ておりますか。またそういう事実があつたかどうか、承りたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 あの田口村及びあの地方は相当共産党の活動の強いところであります。従つていわゆる農村拠点といいますか、そういつた意味で相当活動の活発なところであることは、私らの方でもさように認めておるのであります。ただあの事件につきまして、共産党が——と申しますか、あの暴行を加えた連中が事前に計画的にやつたというのではなくて、たまたま警察官の職務質問を受けたために、そこでああいう事態になつたという問題であります。しかし警察から職務質問を受けた場合にはどういうふうにするかというようなことは、これは事前にお互いに研究していたことであろうと考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 ここにも地元の代議士が見えておるのですが、これは事実においてあなた方のおつしやるのと違うようです。われわれはあの付近に共産党が活発に動いておるということを憂えるのではありません。その動きに恐れをなして地方農民の気が萎縮し、もしくはあべこべに、共産党の言うことを聞いておらなくてはわれわれの身があぶない。かような不安を感じまして、かようなことが事前にわかつていても知らなせない。また捜査にあたつてもこれに協力しない。かようなことは根本的に治安の撹乱であると思いますから、かような事実があるかどうか。もしあつたとすればゆゆしきことであるがゆえに、これはあなた方としてどのような手段をもつてかような不安をなからしめる方法を講じておられるか、この点を承りたいのであります。もし本日さようなことがないというなら、いま一ぺんよくお調べになつて、その具体策を考えられて御答弁になつてもよろしゆうございます。本日わかる程度でお答え願えればけつこうであります。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ただいまお述べになりましたように、個々の町村民の人たちが、まつたく共産党に恐れをなしておる状態であるという点については、また私は承知をいたしておりません。十分取調べました上でお答えをいたしたいと思います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 次に承りたいのは、一昨日、十日の富山から発行しております北日本新聞、これにはたいへん重大なことが載つておるのでありますが、見出しはこういう大きな特号で「日共実力行使を指令」、「県国警へ警戒通達」、「大阪、非常態勢に入る」かような見出しであります。そしてその内容は日共大阪府委員会の署名入りで「二月十日の日共に対する弾圧を実力をもつてはね返せ」という表題で宣伝ビラ及び壁新聞等を市中にはりまわして、非常な不穏なる形勢が現われた。そこで国警大阪本部では大阪警視庁と連絡の上非常態勢をしいた。さらにこれが東海、北陸二府十県にも同様の危険性があるからというので、国警隊長宛に日共の動きに対して万全の警備態勢をとるように緊急指令をして来て、そのような手配をとつた、こういう記事が載つておるのであります。これが事実であるかどうか、また事実であつたとすれば、どのような動きであつたのか、まずその点から承りたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 二月十日に共産党を大弾圧するだろうというようなデマ情報がどこから出たのか知りませんが、共産党内部に伝えられたものと見えます。たとえば二月の九日お晝過ぎに大阪の警視庁管下の数警察署及び大阪の豊中の市警とか吹田の市警に対して四、五名ないし二十名前後のものが参りまして、二月十日に共産党に対する大弾圧をやるとのことであるが、そういうような弾圧はやめろというような抗議をした事実があります。それからその前の八日には青森の市警、それから国警の青森県本部に共産党の青森の県委員長及び朝鮮人を交えた十数名が参りまして同様の趣旨の抗議をした事実があるのであります。これらを見ますると、そういうような、警察が二月十日に共産党に対して大弾圧をやるだろうというようなデマ情報を発したところがあるのだろうと考えます。われわれのところにおきましてはそういう事実は全然ないのであります。そこで今デマ情報を前提にして、こういう抗議が各所になされておるという情報の交換は、お互い警察同士いたしたであろうと思います。しかしそれに応じまして別段警察において非常態勢をとつたというようなことはございません。こういうデマ情報に基いて互いに抗議に来ておるということは警察に知らせて、警察におきましてはそれぞれその心構えでおつただろうと思います。しかし外見的な非常態勢をとつたということはございません。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 情報の交換でもよろしいが、私の一番聞きたいのは、いわゆる実力行使をやる憂えがある、こういうことを認められるかどうか。また実力行使とはどういうことを指しておるのか。これらの点は常にあなたたちが実力行使をやるであろうと考えておられるのか。これは私は最も重大なことだと思いますので、かようなことに対する国警としての考え方を承りたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 共産党が実力行使をやるかどうか、それについてどう思つているかというお尋ねであると思います。実力行使と申しましても、これにはいろいろな行使の形があるわけでありまして、たとえば警察官に対して暴行を加えるというのも実力行使であり、こういう面においては現にときどき起つているわけでありますが、しかし何と申しますか、共産革命の段階に入るような、そういう実力行使をするというようなことは、私の方はただいまのところは迫つているとは考えておりません。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 さらにこの新聞に出ておりますし、またほかの情報からもわれわれは知つておるのでありますが、かようなことが出ております。「当局が八日京浜地帯某所で入手した日共秘密文書は「血には血を!死には死を!」の見出しで、民族解放中核自衛隊の結成宣誓文を掲載している。」そうしてこれは日共機関紙の「解放の旗」の後継紙に明らかにこの点が載つている。一月三十一日号で「国民は無数の抵抗自衛闘争をもつて吉田の暴力支配にこたえ、実力によつて民族の解放をかちとろうとする愛国者が次々と生れている」、こういう前置きをして、某所で行つた若い中核自衛隊〇〇名の結成宣誓文を掲げておつた、かようなことまで載つておるのでありまするが、かような事実はあなた方の方へ知れておるのでありますか、いかがでありますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ただいま具体的にあげられましたことと、そつくりの情報は私はまだ握つておりませんが、いわゆる中核自衛隊というものは共産党で今後つくつて行こうという方針であることは、大体私らの方では間違いない、かように考えております。従いましてただいまおあげになりましたようなものと類似の情報はよく耳にし、手に入れるところであります。ただそれが実行の方法になりますと、実力行使と申しましても、いわゆる法に触れるようなものと、触れないものといろいろ段階もあり、ただいま申しましたように最後の目標に到達するための手段としていろいろ各段階がある行為を徐々に現わして来るものと、かように考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 国警の中における情報は今承りましたが、特審局でも同様の情報を得ておられるだろうと思いますが、その点はいかがでございますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 ただいまお読み聞けのことと大体内容が同じような文書は、情報としては入手しております。しかしながらその確度並びにその出所等については、いまだ未確認でありまして、内容について目下調査中であります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 さような情報があるとすれば、これはまことにゆゆしきことと言わざるを得ません。これが共産党から出ておるいわゆる日共機関紙の後継紙から出ておる。かようにして、今また確実でないと言われまするが、それは確かに共産党の出したものであるということになりますると、いわゆる団体等規正令に言う、暴力行為を煽動する一つの団体であると認定せざるを得ない重大事だと思います。かような大きなことでありまするがゆえに、今後はこの点について特段の捜査及び調査をせられ、それに対する国家としての対策おも断固として考えていただくことを希望いたしまして、この点に対する質問を終ります。  次に承りたいのは、先日お尋ねしておいたのですが、富山における暴行脅迫事件、これは自由労働者の運動から出たのでありまして、県の職員が非常に脅迫せられまして、ついに発狂いたしました。それが暴行脅迫であるというので、確か一月の十日か十一日だつたと思いますが、十数名の者が検挙せられた事実を知つておりますが、その後その事件がどうなつておるか。また私が知つておつた範囲では、それらの客疑者はほとんど全部共産党員であつたと心得ておりますが、どういう者がさようなことをやつた容疑者になつておるか、この点をひとつ詳細に御報告願いたいと思います。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 御指摘の富山県の事件は、私の方に報告が参つております分で五件ございます。その概略を申し上げますと、大体昨年の年末から今年一月の二日までの事件でございますけれども、最初は県知事の部屋に乱入した事件がございます。これは十二月十二日午前十時過ぎころ、県庁の本庁舎内の知事部屋に、多数の自由労務者が越冬資金の要求のために参りまして、知事が不在だつたので、かぎのかかつた正面の扉をけつて、これを壊して中の方に入つて行つた。知事がおらないので、そのまま知事には何のことなしに、退去いたしました。この事件は、うち一名暴力行為の所為に出た者が暴力行為並びに住居侵入として、十二月二十九日起訴になつております。目下公判中であります。  次は十二月の十二日、富山市の県の総合運動場建設事務所の事務室に、木原という県の土木技師が勤めておつたのでございますが、この部屋に暖房用のまきの支給等の要求をひつさげまして、三十数名の労務者が無断で侵入いたしました。出入口を閉鎖して内外の交通の遮断した上、すわり込みを続行した。そうして木原という事務所主任に対しまして、先ほどの要求を、強硬かつ執拗に要求し、土下座をしろ、きさまら一人くらい殺しても平気だということを言いまして、多数の威力によつて脅迫した。この事件につきましては、首謀者たる者四名が住居侵入並びに暴力行為等処罰に関する法律で起訴されております。二月二日起訴されまして、目下公判中でございます。うち二名は共産党員で、他の二名はシンパというふうに相なつております。なお御参考までに申し上げますと、木原技師はその後一月九日に発狂いたしまして、ついに脳病院に入るというふうなことに相なつておるのでございます。  次は十二月三十日、富山市の復興都市計画事務所失業対策係事務室に十数名の自由労務者が賃金支拂いの件その他で参りまして、結局話がつかずに、係の者から退去の要求を受けて、退去せず、ネクタイをつかんでつるし上げる等の暴行をして、多数の威力をもつて脅迫した。この事実につきまして三名検挙され、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反で三名とも二月二日起訴されております。うち二名が共産党員であり、一名はシンパということになつております。  次は集団暴行といいますとちよつと語弊があるかもしれませんが、県の成田副知事、佐藤経済部長、山崎職安課長らに対しまして、一月の年賀状に事寄せまして、殺すぞ、あるいはお前の子供から先に殺す、あるいは奥さんをなぶり殺し、その次はお前が殺されるだろう、というような黒わくつきのはがきを出し、あるいはしやれこうべを描いて、年賀状にしたというふうな脅迫の事実がございます。目下捜査中でございます。  次は一月二日に、十数名の自由労務者が県の経済部長あるいは職安課長の居宅に押しかけまして、それぞれ細君に対しまして、今年はお前の命をもらうことになつているから、そのつもりでおれ、というふうなことを言つて、みんなでおどかしたという事実が、暴力行為等処罰に関する法律違反ということで、十一名検挙されまして、ただいまのところ一月二十五日までに二名起訴されております、うち一名は共産党員ということになつております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私が聞いているところでは、二十二日だつたと思いますが、県庁の煙突に上つて、いわゆる煙突男をやつた者があります。それは自由労働者にあらざる共産党員であつたというのです。かようなことから見ますと、自由労働者がみずから進んでやつたものではなくて、自由労働者にあらざる共産党員がこれを煽動している事実が明らかであります。しこうしてこれらが日本の各地において一齊に行われていることから見ますと、その党員の属しておる共産党の指令であると、われわれは常識上判断せざるを得ないのであります。これらに対してどのように見ておられるか、これをお聞きしたい。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいまの点につきましては、ほかの事件についてもそうでございますが、一応さような見方もあるかとも存じますけれども、私どもといたしましては、さような点を証拠上明らかにするという段階には至つておりませんので、先ほど申し上げました通りの理由で起訴いたした次第でございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私はこれで質問を打切りますが、調査中ということでありますが、もちろん調査はやらなければなりませんが、かようなことは日本の民心に及ぼす影響すこぶる重大なものがありますがゆえに、これは特段の力を注がれて、これを明白にし、この根源を断つように、ぜひともこの際やられんことを希望いたしておきます。

北川定務自由党

○北川委員長代理 世耕弘一君。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 国警長官に二、三点お尋ねいたします。警察予備隊は長官の指揮下にありますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 私の指揮下にはございません。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 次にお尋ねいたしますが、重要な地位にある人がかなり脅迫されているということをときどき聞くのでありますが、あなたのところへも脅迫状が大分来ておりますか。法務総裁その他の関係者は命がけでというようなことをちよいちよい聞いておるのですが、その点はいかがですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ときどき頂戴しております。一時はちよつと読むのにいとまのないくらい参つたこともありますが、朝鮮人送還問題を扱つたものが一番多かつたと思います。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 長官以前から見て大分やせているようだから、ずいぶん苦労が多かろうとお察しいたします。(笑声)ただ先ほどの問答の中に、デマと真実という問題が出ましたが、デマが案外真実に化する場合が多いのです。しからばデマの出どころを突くことが非常に大切じやないか、これを私は特に警告しておきたいと思います。  それからこれはとつぴな議論だけれども、私の次の論議の中心になるのですが、警察に大砲がいるということをあなたは今お思いになりませんか。また将来もそういうものはいらぬとお思いになりますかどうか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 私どもの方でやつております普通警察の面におきましては、大砲は将来といえどもいらないと考えております。これはそうしたものを使わなければならぬ事態には予備隊の出動を願つて、もつぱら警察予備隊の方でそういう方を整えてやつてもらつた方が効果的である、こう考えております。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 それでは次に飛行機はいりませんか。これをお尋ねする理由は、万一北海道に事件が起つたときに、あなたがかりに指揮に行くというときには間に合わぬでしよう。行く時分には済んでしまつている。もしあなたの手元に飛行機があれば、ただちに指揮し、監督ができるでしよう。飛行機の御用意があるかどうか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 そういう意味におきまして、将来は若干のヘリコプターくらい持たしてもらえれば非常に仕合せだと考えております。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 予備隊にばかりまかせていないで、戰車なんか必要じやありませんか。これはじようだんじやないですよ。かりに一万か二万集団して騒動を起しておるときに、一台の戰車が行けば間に合うでしよう。一戰車を見ただけで治まる。これは各国の事実から見ておわかりでしよう。あなたはそういうことをお感じにならないかということなんです。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 先ほども申し上げましたように、そういう場合には予備隊等の協力を得てやる、かように考えております。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 予備隊ばかり当てにしないで、予備隊が間に合わなかつたらどうなるのです。これが国民は不安なんです。国警というと、国民は予備隊以上に期待しておりますよ。それが戰車もない、飛行機もない、大砲はもちろんない。それで事件が起つたら、国警長官が出て来る時分には、国民はどうなつているかわからぬ。そんなことではたして治安確保ができるということが言われますか。はなはだ不安じやありませんか。おそらくそういう点を苦労なさつておられるので、だからやせられておるのだと私は考えるのだが、もう少し真剣にものを考えていただきたい。  もう一つ、さつき鍛冶委員からの北海道の問題についてあなたから御答弁ありましたが、非常に楽観的であり、けつこうなことだと私は思いますが、一部悲観的に思つております。私のとつた情報によると、赤い旗と日本の旗と二本用意しておる。赤い国からもしやつて来たら赤い旗を出す、それでなかつたときには日本の旗を出す。二本用意しておるということを言うております。そんなうわさを聞いたことはございませんか。私は今ここで聞いた、聞かぬの争いをするんじやない。そういううわさが東京にいる私の耳に入るということは、これは特に愼重を要しなければならぬ。  その理由をもう一つ申し上げましよう。これも御調査願いたい。釜山から門司までの直線が百二十マイルと私は踏んでおります。樺太の南端から北海道の稚内までが三十三マイルであります。そうしますと、ロケツト砲が今五百マイル飛びますから、樺太の南端から北海道が攻撃できるじやありませんか。私がかりに作戰をやるとしたら、それくらいのことはすぐ想定の中に入れます。これは半径の中に入る。そういうことを考えたら、北海道が住んでおるものはロケツト砲がいつ飛んで来るかもしれないのにのんびり暮らせることができるか。それはあなたのような神経の太い人なら別だが、神経の細い人は何によつて頼るか。だから、私は大砲が必要だ、あるいは飛行機が必要だと言う。見張りに飛行機がなくちやならぬじやないですか。手遅れじやないですか。だから、国警が世間の言うように、こつけいに笑われぬことを希望する。この距離の上から見ても、もうすでに目標の中心に北海道が置かれている。これは望むことじやありませんよ。けれども、予想してみれば、いざという場合、北海道はもうすでに相手の勢力圏内に押えられておる。九州も同様でありますよ。ただいま申しましたように、釜山から門司まで直線百二十マイル、こうなつておる。九州、北海道の備えが完全なりや。私はこう申し上げたい。それについてはまた、いやそれは予備隊がある。予備隊が何です。あれは警察の予備隊でしよう。その警察がどつちかというと、近ごろ怪しいでしよう。共産党の諸君に怒られるけれども、共産党の諸君が逃げまわつておつて、いまだにようつかまえられない。だから、ああいう警察を使うよりは犬を使いなさい。警察犬の方がよつぽどましだ。そこまで極端に言うのですよ。これは私の口から言うのじやない。国民がそう叫んでいる。いや、斎藤長官がいる限りは安心して可なり、こうひとつ腹をたたいて国民に安心感を與えるようなところを見せていただきたい。国民は非常に神経をとがらしている。私は奇妙な説を立てて、国民を刺激するのじやない。心ある人は地図をはかつてごらんなさい。そして大砲の着彈距離をはかつてごらんなさい。ここに不安があることがすぐわかる。最近の雑誌によりますと、ただ原子爆彈ばかりでなしに、細菌爆彈までもすでに実際に使用されるという現状に来ている。そうなつたらどうなるんでしようか。そういうことは予想であるといたしましても、九州と北海道がよその手に渡つたら、手足をとられた本国はどうして守れるか。これは私は再軍備論になるから申しませんが、再軍備論する前に、国警が完全だから再軍備不要じやということを、私はあなたの口から聞きたい。これを言い切つてください。そうしたら、国民はおそらく安心するだろうと思う。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 北海道の不安につきましては、私も北海道の北端から今は他国の管理下にある地域を直接ながめて参つたのでありますが、日本の国境が非常に身近になりましたためにそういつた不安を一部に持つ者もあることはやむを得ないことだと考えますが、私そこでもつくづく考えたのでありますが、まだこれでも日本の国境は海を隔てているのであります。陸続きの国境のところであつたならば一体どうであろうかと考えてみたのであります。さような考え方からしますならば、私は今も仰せられますように、そう戰々きようきようとしないで、神経を太くしてしかるべきだと考えております。外国の直接侵入に対する防備の問題は、これはもつぱら予備隊なり、現在におきましてはさらに連合国の軍隊がやつてくれております。われわれ警察といたしましては、直接侵入に対して、どう直接に防備をするかということではなくて、さような直接侵入を受けるような国内態勢をつくらせないように、日本の平常の治安の維持ということをまず完璧に考えるべきである、かように考えております。この見地に立ちましては、先ほどからいろいろ例にあげましたように、相当矯激なる行動に出る者も、ときどきこういうカーブを打つて、上り下りはいたしておりますけれども、しかし私はこれらは、われわれ力が足りませんが、幸い国民の方々の協力を得て、だんだんとそういう行動に対しては、一時非常に尖鋭化しましても、国民の批判を受けて、そういう行動に対してかえつて信頼を失うということになつて参つておりますので、国民の協力といいますか、国民と協力一致の態勢を警察もとりながら、そういつた治安の万全を期して参りたい、またそれにつきましては、やはり国民の方々に、御心配になられるよりは、むしろ神経を太くしていただきたい。そして自由世界を守るという信念を固めていただいておることを感謝いたしておるのであります。

世耕弘一第三倶楽部

○世耕委員 もう質問はやめるつもりでありましたけれども、一言疑問があるからお尋ねしなければならぬが、あなたは海があると言う。その海はどこの海をさすのです。日本海は海じやありませんよ。昔のような観念から見れば、海があると言えるかもしれないが、海上から打出す大砲がどれくらいの距離を飛んで来て、日本海を荒すかくらいのことは、あなたは御承知のはずだ。大砲を打出してから行つたのでは間に合わない。せめて大砲が飛んで来たときの用意くらいは、心構えが必要である。備えあれば守り固しということを昔から言つているが、私たちはその場合になつてあわてることがきらいなんだ。神経が太くなるということは、備えがあるから神経が太くなるのでありませんか。備えがなかつたらどうして神経を太くしていられますか。いらいらするでしよう。この点について、もう一ぺん私は考え直していただきたい。私は決してあなたを責めるのではありません。あなたは国警の代表者としての責任があるから、私はある意味において国民の要望がここにあるということをあなたにお願いして、できることなら、予算が必要であつたらどんどん予算をとりなさいということを言いたい。われわれの目、この目がすなわち飛行機、耳がかりに電波探知機と考えてごらんなさい。平和の生活をする人間ですら、目や耳を働かして、われわれの身体を擁護し、また相手を守つてやつているのです。今の警察の状態は盲である。うろうろしているじやありませんか。だから犯人があつても、追つ拂うことはできるかしらんけれども、捕えることはできません。この点が非常に国民は不安だ。だから神経衰弱になつて来た。神経衰弱はむしろあなた方の立場から神経衰弱をなくするように御努力くださることが私は必要じやないか、こう思うのであります。海の守りと申しますけれども、潜水艦がどれくらい数があつて、いざとなるときはどういうような潜航状態をして、どういうような作戰軍隊が来るということくらいは御承知でしよう。私はこの間法務総裁並びに大橋君にも聞きました。もうすでに司令部では、細菌爆彈並びに原子爆彈の待避訓練を日本で始めたじやありませんか。命令が出たじやありませんか。国民は何の用意ができているのです。それはなるほど進駐軍に勤めている人だけに爆彈が注文通り落ちればけつこうですが、そうは行きますまい。巻添えを食つたときにどうする。アメリカでは原子爆彈の訓練は、もうすでにニユース映画で御承知の通りありましたけれども、日本で始まつたら、そのときに国警はいかなる準備をしておられるか。準備がないまでも、心構え、心の武装ということを国民にさしておいていいのじやなかい。これは決して神経を刺激するのでなくして、神経を太くする心構えになるのじやないかと、私はかように考えます。こういう点について親心ある気構えがあつていいんじやないか、かように考えるのであります。この点は私は厚生大臣にも強く主張しておいたのであります。卑近な例を申し上げてみましよう。かりに東京市民を立ちどころに葬ろうと思えば、細菌爆彈を村山貯水池に落して、ごらん。今のようにぼんやりしておつたら一週間のうち東京市民の半分はやられるでしよう。そんなことはないというけれども、警備とか防備ということは、ないことを予想して、さらに二重の用意をするところに安全感が出て来るのではないかと思う。あつちで暴動が起つた、ここでは人殺しがあつたという今日の現状ではありませんか。そういう場合にどういう対策をなさるか、これは非常に大切じやないかと思う。国民はだんだん国際情勢が悪化するに従つて神経質になる、神経を太くしろといつてもそういうわけには行きません。神経を太くさせるには、守りあるからお前たちは心配するなということを長官からおつしやつていただいて、初めてわかる。それはなるほど予備隊は守つてくれる、その後にはアメリカさんがいる、こうおつしやる。私もそれは見ていますけれども、アメリカでもよその国である。いざという場合は危くなれば逃げるかもしれない。逃げないということは保証できない。朝鮮で逃げたり攻めたりしておる。もしもアメリカさんが今の作戰はまずいといつて一旦引揚げて、また出かけて来るというような場面が不幸にもあつたとしたらどうなる。われわれはついて行くわけにはいかない、置き去りになる。これははなはだ悪い夢でありましようけれども、一応こういうことも想像して万全の策を適当にとるべき必要があるのではないか。吉田さんに言わせれば予算がない、金がないと言う。しかし金がない貧乏人には貧乏人なりの心構え、備えがあるはずだ。これ以上お尋ねをいたしませんが、長官として何かのお考えがあれば、心配するなという何かひとつお話を承つておけば、けつこうだと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ただいまの点はまことに、ごもつともだと思います。ことに今後日本が独立をいたしまして、日本自身で自衛をやつて行くという場合の対策として、きわめて重要な御発言だと考えております。関係当局ともよく連絡を密にいたしまして、今後万全に参りまするように、さらに協議を進めて参りたいと思います。この程度でお許しを願います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 先ほど自由党の鍛冶委員から質問をされておつたのですが、委員長に第一にお聞きしたいのですが、この「組織的集団的暴力事犯一覽表」というのはだれの要求で、どこがつくつたものですか。     〔北川委員長代理退席、田嶋(好)   委員長代理着席〕

田嶋好文自由党

○田嶋(好)委員長代理 これは委員長にお尋ねですから、私お答えいたします。先般の法務委員会におきましてただいま取上げられております検察行政、及びこれに関連する国内治安に関する件で、関係当局の意見を聴取いたしました。これは速記録記載の通りであります。そのときに調査資料の提出がありませんでしたので、委員会から調査の資料を詳細に提出せよ、こういうことによりまして、関係当局がつくつて提出したものと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 提案者はだれですか。

田嶋好文自由党

○田嶋(好)委員長代理 提案者は鍛冶委員だつたと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうしますと、この中にたとえば三鷹事件みたいな、公判で一応無罪になつているもの、それからそのほか、たとえば富山県の十八のように一名検挙、一名不起訴、要するに全員不起訴のもの、二十二の京大事件、全部不起訴の事件、三十一の大分若草公園事件、全員不起訴、富山県庁事件、四名のうち三名不起訴、一名未報告、こういうようなもの、それから私はこれはあとで聞きますが、たとえば長野県の田口村の事件など、まだだれがやつたのかわからないのが、どうして組織的集団的暴力事犯として国会に対しての資料として出したのか、その見解を聞きたい。

田嶋好文自由党

○田嶋(好)委員長代理 私に対する……。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 いやいや法務府の資料をつくつた人、全員不起訴だとか、裁判で無罪になつたのが出ている。     〔田嶋(好)委員長代理退席、委員長着席〕

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいま御質問の点でございますが、私どもといたしましては、昭和二十四年の六月ごろから最近に至るまでの集団的な事件の報告を見まして、それらについての受理報告を基礎といたしまして、この表をつくつた次第であります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 まだよくわからないのですが、少くとも国会へこれが資料として出れば、たとえば三鷹事件のようなものも——第一、三鷹事件というのは、竹内が一人でやつただけで、あと全部無罪になつて、一審も二審も無罪になつて、今最高裁に係属しているでしよう。これではまた無罪になつた連中までやつたような印象を與えるでしよう。検事ですら全員不起訴処分にされるのがあるでしよう。こんなのが、いかにも組織的集団的暴力事犯で、しかもこれが、共産党がやつたということになれば、共産党に対する欺瞞的な資料になるじやありませんか。なぜもう少し権威のある——だれが見ても集団的に行われたというものなら、これはわかりますよ。あなた自身、全員不起訴になつているものや、裁判で無罪になつているものや、目下捜査中のものまで、こんなものを出して、しかもこれは共産党がやつたというような挑発的な質問をやつたら、こんなものが資料になつて、共産党が暴力団体だというようなことになつたらどうするのだ。あなたは責任を負つてくれますか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいま申し上げました通り、これらの表はいずれも検務局に参りました全国的な資料の中から拾つたものでございます。従いましてその結果がたとえば一部不起訴になり、あるいは全員不起訴になり、あるいは一部無罪になるというようなことはあり得ることでありまして、それは処分結果の欄にそのまま明記してある通りでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 裁判で無罪になり、検事が全員不起訴にしているものを、どうして組織的集団的暴力事犯として、あなたは個人的に認定するのですか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 先ほどから何度も申し上げました通りで、当局におきまして、あの種の事件として取上げました報告を基礎にしたものでございます。(「無責任だ」と呼ぶ者あり)

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そんな無責任なものを、あなたはこんな国会の資料として出すことはやめてもらいたいと思う。こんなものが資料になつて、共産党やあるいは自由労組の諸君の労働運動に不当な弾圧を加えられるならば、その方が暴力的ですよ。たとえば一例を申しますと、責任のある事件だけ申しますると、たとえば長野地方裁判所の事件がここに載つておりますが、この中で労働者の方が頭を割られて死にかけたようなものはどうしてくれるのです、そういう責任は……。そういう経過が全然書いてないじやないですか。労働者の方が頭を割られて、やむを得ず警官と衝突している場合に、まつたくあなたは労働者だけの責任みたいに書いてあるじやないですか。もし事件の経過を報告するというのなら、責任ある事実そのままのものを報告しなかつたら、あなたの報告はまつたく無責任なものになるじやないですか。たとえば越冬資金を要求して市役所に行つたところが、これが不退去罪だ。それから今度公判へ行つてみたら、公判廷を警察官が取巻いていた。中へ入ろうとしたら自由労働者が頭を割られた。やむを得ず警察官と自分で自分のからだを防ぐために衝突した。これが組織的集団的暴力事犯なんてことがあなた言えますか。もし資料を出すなら事の経過を、たとえば警察官が何名動員された、労働者の方もこれだけの負傷があつた、こういう不慮の事態であつたということを書かなかつたら、正確な資料にならないじやないですか。(「書いてくれと注文せい」と呼ぶ者あり)委員長、それでは私の方で注文します。この全部の事件に動員された警察官の数、これをぜひ次に資料として報告してもらいたい。それから労働者側で負傷した者の数、これを全部報告してもらいたい。それからなぜ警察官がそういうように動員される必要があつたかということですね、こういう詳しい資料を全部ここに報告してもらいたい。この資料については私はそう思う。  それから私が、実は最近調査に行つた事件ですが、たとえばあなたの方で言う三十八です。長野県南佐久郡田口村、これが一体組織的集団的暴力事犯だという証拠はどこにあるのです。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 この件は、新聞紙等で報ぜられましたる通り、本年二月三日の夜、長野県南佐久郡田口村の地内におきまして発生いたしました警察官に対する集団暴行事件でございます。本件はその後現地から若干の報告が参つておりまするが、ただいままでのところ七名検挙いたしました。目下引続き捜査中でございます。事件の詳細は捜査の段階にありますので、今ただちには申し上げかねるのでありますけれども、相当多数の者が集団的に暴行したことは事実でございます。その件は目下捜査中、かようなことに御承知願いたいのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 集団的に犯罪行為をしたというのは、検挙された者がそういうふうに言つておるのですか。自分が手をくだしたと……。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 各被疑者の自供内容その他につきましては、私から答弁いたす段階に至つておりませんけれども、その当時の被害者の言、その他を総合いたしまして、かようなことは事実であろうという報告は所信するに足るものと認定したのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、あなたの情報は、警察官の言つておることだけと聞いておいていいのですね。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 それぞれの証言なり、あるいは事実に対する報告の根拠その他は、ただいまの段階では申し上げかねますけれども、單なる警察官の報告だけでないということは明言いたすことができると思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そのほかどういう資料があるか、報告願いたい。資料だけでいいのです。警察官の被害者の供述のほかに、どういう資料からそういう認定をしたかということ、資料の名目だけでもいいから、ここで発表願いたい。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 先ほど申し上げました通りで、捜査の最中でありますので、ごかんべん願いたいのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、当日その事件が起きる前に、百二十戸くらいの農村の小さい部落ですが、そこへ百二、三十名から二百人の警察官を動員したのはどういう理由からです。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 さようなことにつきましては、私どもとしては今のところ何とも答弁の限りでございません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたの出した資料にも関係しますが、そういうように起きた事象だけを見て、わずか百二十戸くらいの農村の一部落に二百人——晝食のパンを二百個注文していますから、二百人くらいの警察官を事件の前に動員して、夜は二時間おきくらいに警察からその村へパトロールの警察官をトラツクで運搬し、それから村には四箇所の検問所を設けて子供のランドセルから弁当箱を調査し、老婆の帶まで解かして調べるという権限が一体どこにあるのです。どういうことからそんなことをする必要があつたのです。たとえばもう少し例を申しますと、あなた方は警察がやられたことばかり言いますが、村民や一般の労働者や農民がどんなに警察に苦められているかということを言はなくて、そのために起きた結果ばかり報告しておるじやないですか。私が事実調査をして来た結果を申します。小さい一部落に四箇所の検問所を設け、百人以上の警察官を動員して、そこを通る小学生を、学校の往復にカバンと弁当箱の中を全部調べている。清川という部落のある老婆は下着一枚にまで脱がされて調べられている。三日の夜南佐久の臼田警察の署長宅を暴徒が襲つたといつて、何らの根拠もないのに半鐘を鳴らして消防を集め、署長の宅を護衛させている。ところが次の晩実際に火事があつたので、このとき半鐘をたたいてもまた署長の家を守るのかといつて消防の人はだれも出て来ない。検挙されている大塚辰紀という村会議員で区長さんでありますが、この人の長女と長男は田口の小学校の中で二名の刑事から調べられて正直に言わなければお父さんはいつまでたつても帰られませんよと、学校へまで行つて子供の取調べをしている。それからこの被疑者の夫人は、刑事から、あなたは毒薬を飲めといつてここへ毒薬を持つて来てもしやべりませんかといつて取調べを受けている。こういうように子供を小学校へ行つて調べたり、検問所を設けて学生のカバンの中や弁当箱の中を調べたり、通つている老婆を裸にしてジユバン一枚で調べるという法的根拠はどこにあるのです。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 私の方を向いて御質問になるので私に対する御質問かと存じますけれども、さようなことは少くとも法務府に関する限りは直接の所管ではございませんので、しかるべきところからお答えをお聞きとり願いたいと存じます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたがこういう資料を出すから私はそういうことを言いたくなるのですよ。何も事がないのにただ警察官をなぐつたりいろいろすることはないのです。やはり労働者が生きなければならぬために越年闘争をするとか、たとえば田口村のもそうです。部落有の村林を解放して、この村の木を売つて一戸当り平均一万円ずつの金をほしいという村民の要求を押えて、部落の林を一部のボスが支配して製糸会社と取引をしようというような対立があつて農民の運動が起きているとか、あるいは繭の代金の未拂金があつて製糸家に要求して、製糸家から繭の未拂金の精算を受けておる。こういう農民運動のはげしいところへ、また農民が当然自分の要求すべきものをもつて立ち上つておるところへ、警察官が百人も二百人も行くから、農民としては自分の要求を弾圧されたということで、こういう事態が起きるわけです。そういうことの半面も考えないで、ただ警察官がやられたやられた、こういうことだけ言うから、あなたの出しておる資料に関連して質問しておるわけです。あなたも大分恐縮しておるようですから、これ以上あなたを責めません。  そこで私は国警長官にお聞きしたいのですが、一体小学校の子供まで検問所を設けて、そこでとめてカバンや弁当箱の中まで調べる権限が警察官にあるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 私はそういう点は全然まだ報告を受けておりませんので、詳細取調べました上でお答えをいたしたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは私が調査して、みんな村の人たちから聞いて来たのでありますから、これは間違いないのです。どうかひとつ田口村の現場へ照会を出して、事実の有無を確かめて、そういうことは絶対させないようにあなたから注意してもらいたいと思う。  それから二時間おきくらいにこの小さい部落の中へ夜中に大きな音を立ててオートバイやトラツクが来て村の人が眠れないという。そこへ警察官を置けばまたどうなるかわからないという不安を理由にしておるらしいが、こういうのも適当なところに待機させて、万一のときには連絡をとるということにして、せめて夜は村民が眠れるような方法を、捜査の途中にあつても私は講じてもらいたいと思うわけです。  それからもう一つ先ほどの法務府の方にお聞きしますが、これは目下調査中であつて、これが共産党の計画的な行動であるのか、偶発的な事件であるのか、そういうことは目下まだ結論が出ていないというように聞いていいのですか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 大体その通りでいいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 この問題はこれで打切りまして、先ほどの世耕委員の質問に関連して二、三点お聞きしたいと思います。安保條約の中に、日本に大規模な内乱、騒擾が発生した場合にアメリカの駐留軍を行使することができるという規定があるのでありますが、これに対しては、国警長官としてどういう場合が日本に駐留するアメリカの軍隊の出動を仰ぐような規模の内乱、騒擾と考えられますか、その点あなたの考えていることをお聞きしておきたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 これは私の権限外のことでございますので、その点は御答弁いたしかねます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それではあとで法務総裁が来たときに私か田中君が聞きますが、もしアメリカ軍が出動する場合に、日本の警察予備隊とそれから国家警察との協力関係はどうなるのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 事実に即応した協力関係を持たなければならぬと考えます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 具体的に言いますと、日本の国家警察の指揮権がアメリカの軍隊の指揮権の中へ一時編入されるというような場合もあり得るのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 そういうことは私は存じておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうするとそういう場合は絶対ない、指揮系統はあくまでアメリカの軍隊はアメリカの軍隊、日本の国家警察は国家警察、警察予備隊は警察予備隊、こういう三本の指令系統で動くのであつて、これがどつかの命令系統に一本に集約して出動するということはないというようにあなたは考えている、これでいいのですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 今の点につきましては、これは私の権限外の点でありまして、どういうようになりますか私は存じておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 いずれそういう問題は法務総裁あるいは大橋国務大臣が来てからお聞きしたいと思います。  先ほど防空問題が出たのですが、すでに東京駐留のアメリカの軍隊は原爆の防空訓練をしているのですが、日本の国民に対する防壁の問題については、一体日本の治安の任にある国警長官として何か考えているのですか、考えておらないのですか。新聞で見ると何だか地方防衛局というようなものを設けて、これで防空の働きをさせるというようなことでありますが、アメリカ人ばかり訓練していて、われわれが何もしなかつたら、原子爆彈が落つこつたらわれわればかり死んでしまうことになる。これに対して、あなたは共産党の彈圧ばかり考えないで、万一の場合日本国民の大事な生命をどう保障するかということを考えておりますか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 防空問題も、ただいま、普通警察の仕事でありませんので、私の権限外であります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、万一の場合の治安関係については何も考えていないというのですか。結論として言いますが、あなたはみんな人のことだと言いますが、たとえば大規模の内乱、騒擾が起きた場合にはアメリカの駐留軍が出動する、それに対して警察予備隊がどういう協力態勢をとるか、その場合日本の国家警察はどういう態勢をとるかということを考えない国警長官なんてあるんでしようか。それからすでに日本に駐屯しているアメリカの軍隊が防空訓練をして、原子爆彈の避難訓練をしているというときに、われわれ日本国民の治安と、生命と、財産の安全をになつているあなたが何も考えていない、人のことだから知りませんと言われるのですが、それでやせたつて私はちつとも同情しない。うんとやせた方がいいと思う。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ただいまのアメリカ軍隊との問題は、政府の別の窓口でやつておりますので、私の方にはわかりません。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 これは特審局でつくられたのでしようか。「第一、組織的集団的暴力事犯一覧表」第一とありますが、第二、第三と出すつもりでありますか、それをお伺いしたい。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 この資料は特審局ではつくつておりません。先ほど検務局長が述べておられる通り、検務局で作成されたものです。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 第一、第二というふうにまだ続いて出すつもりですか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 お配りした資料の最後の方に第二がございます。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 第三、第四というふうに出すのですか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 御要望があればまた別個の資料も出します。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 国警長官は先ほどの答弁の中で、国民の協力を得なければ警察事務の円滑なる執行もできないというふうな趣旨のことを言つた。それからまた鍛冶委員等からも盛んに言われていることは、北海道の白鳥事件にしても、あるいは長野の事件にしても、地元住民の協力が得られないということをかこつておつた。そこでお聞きしたいのは、そういうふうに地元住民の大多数が政府の警察行為に対して至つて冷淡である、あるいは反感を持つているという事実があるならば、その原因はどこにあるとお考えですか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 私は、国民の全面的な協力を得ておることを感謝しておると申し上げたのであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 それではさらにお聞きしたい。この一覧表を見ましても、それは失業者が年末押し詰まつて、もち代がないので、何とかもち代がほしい、越冬資金がほしいというような要求から、立ち上つたというのが原因です。六十万人以上の在日朝鮮人が本国へ強制送還されて監獄へぶち込まれるか、殺されるというあぶない運命にありますことをみな知つておりますので、命がけで、強制送還をやめてくれ、こういう要求を出すことはもつともな話で、一口に言うならば、働く階級が命がけで要求しておる。これに対して政府は一向に求めるものを與えようとはしない。そこで背に腹はかえられないので、いわば自救行為と申しますか、人間は生きる権利があるから、何とかしなければならないというので立ち上る。そうするとあなたの方ではだんびらを振りまわす。そうすると、何と悪いことをやる政府だ、かつてにしやがれという態度を示すのはやむを得ぬ措置である、こういうふうに思いませんか。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 あらゆる要求あるいは団体行動は、法律の許す範囲内でやつていただきたい。法律の域をふみはずされた場合に取締ることはやむを得ないと思います。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 法律々々と言われるが、そういうことでは答弁にならぬ。法律というものは人間の生活のためにあつて、法律を守るために人間が生れて来たんではありません、ここで説教するまでもなく……。だから法律云々ということは二の次であつて、人間がどうやつて生きるかということが大問題である。そういうことは一切おかまいなしに、悪法であるが法律があるからといつて、これによつてふんづかまえるという態度をとつたんでは、地元住民も国民も協力いたしません。そうして何か不穏な形勢が起きて来ると——これは全国民的な不安でありますが、そういう不要な情勢が起きて来ると、共産党がやる、共産党を彈圧しなければならぬ。現に今ここで自由党の諸君が一生懸命やつているのは共産党に対するだんびら、あるいは団規法というような名前で暴力取締りあるいは禁止の法律をつくつているでしよう。そういうものをつくるための地固めです。そういうことにあなた方は一生懸命になつて協力している。そういうことでよいのですか。そういうことでは国民も地元民も協力しませんよ、よほど覚悟してかからんと……。そこで長官お急ぎなら最後の質問をします。あなた方は法律々々と言われるが、法律がまだ不備であつて、どうもよくないというので、最後のだんびらを用意しようとしているようであるが、それは一体どういう内容で、どういう指向のものであつて、いつごろ出すつもりでありますか、これをお尋ねしたい。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 今団規法の話が出ましたが、団規法は法務総裁の所管でありまして、私の方の所管ではありません。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 それではその点は保留しておきます。国警長官に対する質問はこれで打切ります。  そこで最初の方にまたもどりますが、この一覽表等は結局共産党に関係ある証拠として出されたわけでありますか、どうですか。共産党と関係ないというのでありますか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 この表は、先ほどから数回申し上げました通り、いずれも組織的あるいは集団的な暴力事犯を取上げたもので、ございまして、共産党と関係あるなしは別個の問題でございます。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 共産党と関係ある集団事件、そういう認定で出されたのですか、どうですか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいまお答えいたしました通りで、さような見地からつくつたものではございません。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 内容について二、三聞きたいのですが、京大事件、これはわずかばかり説明がしてあります。またもつと内容は御承知でもあろうと思うのですが、これは天皇が京大に行つたときに、これに対して学生諸君が天皇は平和を愛好されるかという趣旨の質問書を出したということが事件である。これが集団暴力事件になりますか。その結果を見ても全員不起訴となつておる。また京都の市警の言うにも、これは問題にならぬ事件だ。ずいぶんと騒いで、新聞紙も騒いだし、政府は大いにこれを騒いだ。けれども、地元ではこんなものは問題にならぬと言つておる。そういう事件ですが、わざわざここに集団暴力事件の一例としてあげられておるが、どこが暴力事件でありますか。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 本件も当初暴力事犯としての嫌疑ありとの報告がございまして、さような見地から掲げたのでございますけれども、最後に書いてありまする通り、処分結果の欄に、全員不起訴になつておるのでございます。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 大体こういうものをここに載せるというのは、どう考えたつて、これは自由党の要求に応ずるべく、あなた方が何とか共産党に不利なような材料を並べて差上げましようという、そういう精神がありありと見えるわけだ。まつたくこれはけしからぬと思います。  それからきよう出された、特別審査局員の受けた暴行及び脅迫事件の実例というのがあります。これは何か証拠があるのでありますか。こういう脅迫事件とか、暴行事件というものがあつたというわけで、ことこまかしく書いてありまするが、何か証拠があつたのでありますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 いずれも的確な客観的な事実があつたものだけ、ここに摘示したわけであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 その事実というのは、特審局の事務官の口伝えによつての証拠でありますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 特審局の職員並びにその関係者等の供述等を合せた報告がありまして、それに基いて摘示したわけであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 それではまるでむちやだ。それは特審局の役人はいろいろと自分はこうされた、ああされたということを、あるいはないことを言うこともあろうし、あるいはうわさばかりのことを針小棒大に報告をして、自分の手柄にしようということもあるかもしれません。そういうことだけで、権威ある国会へこの通り暴行を受けておる、脅迫を受けておるというような資料として出されるのは、はなはだ迷惑である。こんなものによつて、自由党の乱暴な諸君が、共産党はけしからぬ。これも共産党、あれも共産党、全部共産党、共産党は暴力団である。つぶしちまえという材料に使われることは、はなはだ迷惑である。責任を持つてちやんとだれが見ても疑うことのできない証拠をくつつけて出さなければ、資料にならぬじやありませんか、けしからぬ。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 いずれも明確なる事実の報告によつて、これだけを摘示したのでありまして、なおそのほかにケースとしては多数にあります。そのうちで最も明瞭なるものだけを摘示して、ここにあげたわけであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 さらにこの特審局事件について聞きますが、この内容を見ると、ほとんどみながいずれも特審局の事務官が、家宅捜索をやつておる。それでもつてつるし上げを受けたり、文句を言われたり、そこで脅迫事件とか、暴力事件だということになつておるわけだ。ところでお尋ねしたいというのは、一体特審局の事務官は、そのように人のうちに入つて行つて、家宅捜索をやつてみたり、いろいろと調査に名をかりて強制的な、いわば特高警察のようなことをやつてよろしいのでありますか。そういうことはもう国際的にもちやんと禁止されておる。早い話が極東委員会の十六原則にもそういう制度はいかぬ、かの特高制度のごときは、いち早く打ちこわさなければならぬというので、占領直後にこれは廃止されたはずだ。それをあなた方は行つておる。その結果がこのような暴行事件であつたり、あるいは脅迫事件になつて現われておるが、その特高制度的なやり方、これは一体どういう根拠でやつておられるか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 ここに摘示してありますいわゆる捜索的なものは、いずれも例の昭和二十五年六月二十六日並びに七月十八日付のいわゆるマ書簡、「アカハタ」並びにその後継紙同び同類紙に関する停刊措置の委任に基きまして、必要なる措置としてやつておるのであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 しかし、それはそうであつても、実際の捜査に当るについては、ちやんと捜査を行うところの一つの国内法規がなければならぬじやありませんか。そういう指令に基いて何でもできる。だれでも人を調べ、あそこには後継紙があるかもしれぬから、それ行つてみろというような、乱暴な捜査が無制限に許されるという解釈は成り立ちますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 特審局といたしましては、きわめて愼重に調査をやつております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 関連して。特審局がマ書簡によつてそれを停止するときに強制捜査をする権限があるのですか。差押えをしたり、没収したりして、いろいろする権限があるのですか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 当時の書簡に、これの停刊に必要な一切の措置をとるべしというのがありまして、最高司令部との折衝の解釈がかようなふうになつております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 停刊に必要な措置というのと、証拠を押収して行つたり、全然発行停止になつておる当該出版物以外の出版物まで押収して行く権限といのは、どこにあるのですか。強制捜査をする権限というのは、刑事訴訟法によつて司法警察官に與えられている以外に、法務府の事務官にそんな権限はないはずですが、ちようど司法警察官が刑事訴訟法によつて行うと同じ捜査を行われておるのですが、その法的根拠はどこにあるのですか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 特審局の職員がやつております処置は、司法処分でありませんで、いずれも両指令に基く行政処分としてやつておるのであります。法的根拠はいずれも二つの指令内容によつて根拠づけられております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それは行政的な処分でなくして、証拠をどんどん押収して行くのです。それから捜査もする。たとえばたなの中を探すとか、天井を探すとか、床下を探すとか、あればみな持つて行く。はなはだしいのはインキつぼから、スタンドから、みな持つて行くわけなんです。それから写真もとつて行く。そんなことが発刊停止に何で必要なんです。しかもそれが裁判には証拠としてちやんと使われておるわけです。そんな権限は私は特審局の役人にはないと思うのです。もともと根本的にいえば、先ほど田中君が言つたように、こういう秘密警察、特高警察は廃止すべしというので、みな追放になつた。あなただけがどうして生き残つたか知りませんが、それがまた最近大きな顏をして特高が元へもどつて来て、きのう田口村に行つたら、追放になつた特高の人がまた組織をつくつて、田口村の事件が共産党か何かわからないのに、四、五人も押しかけて来て署長と懇談しておるのです。特審局がなぜ復活できたのか、またその特審局の事務官が司法警察とまつたく同じ権限を行使する権限はないと思うのです。マ書簡の中にもそんなものはないし、もしそんなものがあるとすれば拡張解釈です。それはどうなんですか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 われわれは両指令の正当なる解釈として、妥当なる適正なる措置として現在も引続きやつておるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 大分苦しい答弁ですが、しかし政府の部内にも、あなた方にそういう権限を與えないと、今のままではちよつと行使しにくいから、立法的な措置をしようという意見があるのだから、正直に言つたらどうです。そこで私はあななたにお聞きしたいのですが、将来やはり特審局の事務官に強制捜査権を持たせ、それから団体の解散などに関して強制調査を行う権限を立法的に與えるようなことを考えているのじやないですか。正直に言つた方がいいですよ。きようの議院運営委員会で、ちやんとそういう法律が出るようになつているのだから……。それはどうなんです。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、上層部において目下検討中でありますので、私としては十分に存じません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたは上層部じやないのですか、特審局次長といえば上層部でしよう。ですからもう少し親切に——どうせわれわれはそんなものは根本的に否認しますがね。しかし一応われわれも自己を防衛するためには、あなた方の考えも参考までに聞いておいた方がいいと思う。そこでもう少しよくお聞きしたいのですが、一体あなたも特審局の上層部なら、どういう立法的な措置を具体的に考えているか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 私はこの立法関係についての責任を担当しておりませんので、責任ある答弁はお答えできません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 大分逃げているようですが、そうすると、強制捜査権、団体解散に関する強制調査を行う権限、こういうようなものを将来立法化そうという検討を上層部でしておられるという話を聞きました。そこでそういう場合に、府県の警察もしくは自治警察、こういうものに対する指揮権とか協力態勢は、どういうような方向を考えていますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 ただいまの御質問も、いずれも法務総裁その他最高首脳部の間において、目下審議中でありますので、われわれは存じておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると審議中ということは、府県の警察隊あるいは自治警察は、事実上団体解散という場合には、特審局の指揮下に入るというような方向の検討をしておるというように解釈していいですか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 いずれともわかりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それからもう一つ聞きたいのですが、将来治安機構の改革の場合に、特審局あるいは国警の警備課、こういうものの相互関係はどういうように考えておられますか。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 その点につきましても、新聞等ではいろいろ報じておりますが、まだ本ぎまりになつたとは聞いておりませんから、私から答弁できません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、だれに尋ねたら責任ある答弁が聞けるか、それを聞きたい。それから大体どういう方向をたどろうとするかを私は聞きたいと思うのですが、あなたに答弁ができなければ、責任ある人に出席してもらつて答弁を聞きたい。それまで私の質問を留保しておきます。

吉橋敏雄検事(法務府特別審査局次長)

○吉橋説明員 法務府の最高責任者である法務総裁に質問を願いたいと思います。

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 他に質問がなければ、本日はこの程度にとどめます。  明十三日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時五分散会

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