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13回国会衆議院1952/02/01

法務委員会 第6号

発言数
14
登壇者
7
会派数
3
開催日
1952/02/01

会議録

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 これより会議を開きます。  ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案及びポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案、以上の二案を一括議題として質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。北川委員。

北川定務自由党

○北川委員 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、二、三点お伺いしたいと思います。  すでに他の委員からも前委員会で御質疑があつたと思うのでありますが、私はこの法律のうちの第三條につきましてお伺いしたいと思います。第三條は法律によつて廃止されます第二條について、占領期間経過後にもなお処罰するという規定であると思うのでありますが、この條文を設けられました理由は、占領中の違反行為について、占領後も処罰するということを明確にするために設けられていると思うのでありますが、占領中に犯されました犯罪は、なるべく占領後には特に罰則を設けてまでも処罰する必要はないのではないか。この法律がありますために、占領が終りまして後数年間、この法律が活用せられることになりまして、占領はすでに済んでおるにかかわらず、法律だけはいつまでも占領が継続されているような感じを国民に持たせる。おそらく国民感情としましても、占領のために設けられた法律であるならば、占領後には特に條文までも設けて処罰する必要はないじやないか。すでに最高裁判所の判例にもありまするし、また刑法第六條もございまするので、裁判所の権限にまかしておいてさしつかえないのではないかと考えるのであります。立法理由につきましてさらに政府の御回答を願いたいと思います。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 御質問の国民感情が、かような法律の移りかわりの際に、二様に働くことは、私どもも十分考慮いたしまして、ここに並べました諸法令はいずれも占領政策遂行の目的を達するためにできたものでございますけれども、同時にそれは軍に占領軍の都合のためにのみ設けられたものではないのでありまして、日本の国内の法秩序を全般的に維持するために必要やむを得ざる限度においてそれぞれ制定された命令でございます。さようなものは今回の占領終結とともに、いかに働くべきかということは、一つには立法技術の問題であり、二つには刑事政策の問題でございます。この立法政策の問題といたしましては、私どもしさいにこの諸命令を検討いたしましたけれども、この相当数のものがいわゆる限時法の理論をもつて律せられるものもございます。しかしながらそれはともかくといたしまして、一つのかような命令がある時期を境にいたしまして、別の法律体系に移つて行くということから考えてみますると、ただいまの命令本来の制定の趣旨から考えてみなければならぬと思うのでございます。この占領政策に即応するために出されました諸命令は、先ほども申しました通りに、われわれ日本側といたしまてもこれを置かなければならない命令であつたのでありまして、それが占領が終結したからといつて、ただちにその既往の効力まで全般的に抹殺するということにつきましては、これまた別個の国民感情が働くのではないかと存じます。さらに法律の一つの体系が他の体系に移りかわる、つまり占領終結と同時にと言いますか、講和條約発効と同時に一つの法律体系から新しい体系に移るにつきましては、その移りかわりというものは事の性質上スムーズに行かなければならぬのでございます。従いましてもしもただいま議せられておりますような命令が、その一つの時期を前後いたしまして、完全にその適用をうらはらにするということに相なりますると、たとえばわかりやすい例で申し上げますると、この法律発効の割合に近い直前におきまして、この命令違反の事実をたとえばいかに大規模にやつたといたしましても、これを検挙し裁判の段階に至るまでには、條約が発効してこの法律が施行される。従つてもし第三條のごとき規定を置きませんと、すでに現在存在する法秩序というものが、全般的にくずれ去るというふうな結果に陥ることを心配するのでございます。さような次第からいたしまして、従来かような法律の動く際には、この罰則の適用につきまして、私どもといたしましていろいろ検討いたしました。従来とてもこの種の規定を置いた例がたくさんございますけれども、今回の立法の際にはそういう観点からして、やはりこれを置くことが必要であろう、かような結論に達した次第でございます。  なお次に刑事政策的な面から申し上げますと、先ほど御指摘の国民感情というものは確かに存在するのでございまして、これは私どもといたしまして無視できないところだと存じます。従いまして今後かような事件が発生いたします場合には、その点を十分考慮いたしまして、具体的な事案の処理に当りましては十分考慮して行きたい、かように存じておる次第でございます。

北川定務自由党

○北川委員 大体了解できまするが、この法律の規定がなくても、裁判所ではその事件によりましては、違反行為についてそれぞれ処罰をなし得るのではないかと思うのであります。むしろかような規定を設けずして、裁判所の裁判にまかせるという行き方の方がかえつて国民の意思に合致すると思うのでありまするが、どうしてもかような規定を設けなければ秩序の維持ができないという理由がありましたならば、さような点についても御説明を願いたいと思います。

岡原昌男検事(法務府検務局長)

○岡原政府委員 ただいま御指摘の点でございまするが、この規定を置きませんと、なるほど裁判所の判断によりまして右か左かの結論は出るわけでございます。さりながらこの法律ができました際に、一般国民が一体これは適用されておるのかいないのか、その点について終局的な裁判所の判断があるまでたいへん迷うわけでございます。一方罪刑法定主義という大きな建前もございまするので、この点を明確に規定の上に設けまして、国民の向うべき道を示したい、かように存じまして、この規定を置きました次第でございます。

北川定務自由党

○北川委員 この法律で廃止されまする第二條に列挙されている勅令などを見ますると、占領目的達成のためにのみつくられている法律であつて、広義の政治犯とでも申しまするか、かような性質を帯びている犯罪が多いと思うのであります。講和発効と同時に恩赦が行われることを伺つているのでありますが、この種の第二條に掲げられているような犯罪につきまして、どの程度に恩赦を行われる御意思であるかを伺いたいと存じます。

龍野喜一郎自由党法務政務次官

○龍野政府委員 ただいまこの法案に関して恩赦について御質問があつたのでございますが、恩赦に関しましては、前法務総裁でありました大橋総裁もしばしば言明されたのでありまするが、政府といたしましては、講和発効の機会になるべく広い範囲において恩赦を実現いたしたいという構想のもとに、目下法務府の外局である中央更生保護委員会において鋭意調査立案中でございます。今日の段階におきましては、むろんその範囲なり程度なりを皆様方にお示しするまでに至つていないのでございますけれども、方針はただいま申しましたような方針で参りたいと思います。従いまして具体的にこのポ政令違反の件について恩赦が及ぶかどうかということは、今日言明するわけには参りませんけれども、この方針だけは堅持するという意味合いにおきまして御了承願いたいと存ずる次第でございます。

加藤充日本共産党

○加藤(充)委員 私の方でお尋ねしたいのは、内閣提出第四号という名前のつけられている法案ですが、その第二項の問題です。これは先日来——というよりも先般来、ずいぶん各委員によつて問題として取上げられた点であります。第一項の関連からいいますと、繰返しになつて恐縮とは思いますけれども、ポ宣言の受諾に伴い発する命令、いわゆるポ政令というものは全面的になくなるのだ。それを使われた言葉で言えば、殺される手続を経て殺されるか、あるいは当然失効すべきものであるという理論的な立場に立つかは別問題といたしまして、なくなるのだということ、これは第一項にその精神がうたわれていると思うのであります。ところが第二項になりますと、これが巧みな方法でころつと裏返しになつて生きかえさせられておつて、第一項の立場というものは殺されてしまつておる。結局廃止しないのだということに、第二項は裏から見るとはつきりそういうふうになつておると思うのであります。すなわち効力がなくなる。しかし百八十日間に処置をすれば、全部これはどうにもなるのだということが書いてありますし、そのほかのごまかしといたしましては、当然百八十日間にとられる措置としては、新しい憲法の制度のもとに審議されるのであつて、国会が唯一の立法機関であり、それは法律という形式を、ポ宣言の内容が持つたようなものはとらなければならないことは当然でありますから、これは表からばかり見ますと、法律として国会の十分なる審議を盡して、国民の意の存するところを十分に取入れるという形で、すなわち法律で存続をきめるというようなことになつておるのであります。ところがただいま一括上程されて審議されております法務府関係諸命令の措置に関する法律案、こういうようなところになつて来ますと、第一條を見まして一目瞭然でありますように、これはポツダム政令そのものを、題目だけ並べて羅列しておる、こういう形なのでありまして、これは前に問題になり、理論的にもその基礎から相当有力な立場、立論の基礎を與えております五百四十二号、問題になる五百四十二号のむし直しということにすぎないのでありまして、これはまつたくほおかむりのずるいやり方である。そこでお尋ねするのですが、私はその第一点でお尋ねしますけれども、こういうようなやり方では、今すでに私どもの立場を申し上げましたように、これは何のことはない、前の通りのポ政令の、すなわち占領政治、占領制度の骨格というもの、骨組みというものをそのまま維持するのだということを、この立法の形の中に残しておる。こういうふうに言われても私は答弁の余地がないものだと思うのですが、念のために今申し上げたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律の二項を、実質上国会の審議ということを重んじて、五百四十二号のむし返しにならない立場から言えば、二項のうたい方と、それから今指摘しましたような法務府関係のポ政令の措置に関する法律案という法案の出し方、ここに私は矛盾があり、その矛盾のうちにこそ、廃止すると言いながら存続を意図するというふらちな、反憲法的な立場が貫かれていると思うのですが、この点をお伺いしたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 きのうもたしかその点に多少関係のある事柄について御説明申し上げたつもりでございましたけれども、私口下手でありますために徹底いたさなかつたかと存じます。きようあらためてお答えいたしますが、この第二項を中心としての御質問でございますが、この五百四十二号が第一項によつて廃止される。それに伴つて五百四十三号に基いて出ておるたくさんのポツダム政令というのはどうなるかという始末を立法的につけたい。そこで今引用されました法務府関係の諸命令の措置に関する法律というようなものを二十件ばかり提案をいたしまして、そこでおのおのの存続あるいは廃止をきめておるわけであります。そうして元の第二項をごらんいただきますと、「別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合においては、」と書いてございます。すなわち今申しましたような立法措置が遂に間に合わなかつたというものについては、施行の日から起算して百八十日だけは生かしておいて、その間に所要の立法措置をとる。これはもちろん唯一の立法機関たる国会において所要の措置をとつていただきたいというのがねらいでございまして、その点についてはもう当然おわかりと思います。そこであとにお話がありました名前を列挙して云々というお話でありますが、これは実はきのうもたしか一応お尋ねがあつたと思います。これらの政令はすでに申し上げました通りに、全部現行法としてとにかくあるものであります。それゆえに法律としての確認を與えていただこうというのがわれわれの趣旨でございます。やり方といたしましては、一一これを書きおろしの法案にいたしまして、この国会に、百数十件の法案にいたしまして、御提案申し上げるということも、それは理論上はもちろん可能でございますけれども、われわれの方の立場としてはそれだけの手数はもちろん能力の方からできません。いわんや先ほど申しましたように、現行法をそのまま確認していただこうというだけのことでございますから、この点は何ら恥ずるところはないのみならず、御承知のように憲法実施の際に、昭和二十二年法律七十二号というのがございまして、旧憲法下における命令について同様な措置をとつたわけでございます。その際におきましてもこういう方針をとつて処置しております。その点は御了解願えると確信いたしております。

加藤充日本共産党

○加藤(充)委員 今のお話では、理論的には処置できるけれども、役人の手配の関係で、手続が煩瑣な手続になつて、書類などまとめるのに、印刷やその他に困るからというのですが、それもあなたの立場では一応そういう立論もできるでしようけれども、先般来問題になつておりますように、これは代議士どもが勉強すればいいことだということにも、事務官僚からは指摘されるかもしれませんけれども、実際上こういうふうなやり方になりますと、先ほど指摘しましたように、あなたがそれを主張しておるように、五百四十二号のときにもそういうふうにやつたのだということで、五百四十二号もそういうようなことにやつたということを認めておるように、反対論として、有力な違憲論としてこれが成立つ基礎であつて、ポ政令そのものの本質上の効果いかんということが問題になつているんだということを、あなたもお認めになつておると思う。これはさつきから前の五百四十二号のむし返しになつておりはしないか。こういうことのために、さらにこういう立法は必要でないという理論が立つほどの問題を残しておりますのに、相かわらず前の通りで五百四十二号のむし返しをやるというようなことは、いやしくも国会というものの憲法上與えられた権限なり、地位ということから見て、ただあなたの方の印刷の手間がたいへんだというようなことだけでは、提案者の責任を免ずる根拠にはならないのだと思う。もう一つは、そういうようなやり方で、国会にさらに確認させる、のんでくれというようなやり方自体が、私はあなた方の扱いとしましてもさることながら、国会でそういうことをうかつにやつたのでは、これは国会としても、代議士連中としても、たいへんな義務の懈怠になる、こう思うのであります。というのは卑俗な例をとつて恐縮に存じますが、国民感情といたしましては、何といつてもこれはしようがないから、いわゆる占領下にあつて、最高司令官からの意思に基いたことでしかたがない、不本意ながらも承服しなければならないんだという、占領下状態の特別な遵法の基礎づけをしておりますような心理状況があつたと思うのであります。従つて一面においては、さつきから繰返して言うのですが、五百四十二号の憲法論議が問題になつているときに、こういうやり方でやつて参つて、国会がうのみにいたしますると、国会はそれを確認したという形になつて、先ほど申し上げましたように、卑俗な例を申し上げて恐縮でありますけれども、たとえば天くだりに納税の命令が来た、あるいは更正決定が来た。それに対して異議の申立てをした税務署へ行つた。そうすると、来年から何とかするから、そのうち何とかしてやるから判を押せと言う。再審査の申請なり、異議の申立てをしに行つて、手前の判を押してそれを取下げて来たということになつては、あとで取返しのつかないことになつてしまうのであつて、五百四十二号の政令の違憲論をむし返すこともできないし、国民感情も手前の方でやつたんだから、しかたないという形になつて、こんりんざい救われざる気持になつて来る。これが日本の国民感情として、国民のさらに整理された意思として、占領政治の一日も早き廃止、あるいは独立の一日も早き完全なる回復という、この念願、悲願からほど遠いところにわれわれ国会が追いやつてしまうという、重大なる国民に対する議員としての、あるいは国会としての義務に違反するということに相なるのであります。従いまして、以上申し上げましたような二つの点から見て、煩瑣ではございましようが、十分にそういうふうな方向をとるべきであつて、煩瑣というようなことで一括上程して、この法律として確認を與えるというようなことをわれわれはなすべきじやないと思うし、提案者はそういう煩瑣をいとわずその措置をなすべきである、こう思いまするが、その点についてはいかがですか。あなたの方から出された資料というものも、あなたの方でお断りになつたようでありますが、まことに抜萃的なものであつて、これを資料にして、今第二番目に指摘した本法案の審議をしろと言つたつて、これでは国会の十全なる審議の方式が相なつたということを期待することはできません。またわれわれは勉強しなければならぬのでありましようけれども、しかしそこは立案者の、提案者の責任であり、あるいはまた心組みとしても、あれだけの資料でこういうふうなことを押しつけるというのは、まつたくこれはもつてのほかであると私は考えるのですが、人員の配置、審議の方法、あるいは提案の仕方について、提案者としての、政府側の、以上私のあげた諸点についての御答弁をもう一回願いたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 先ほど私が先例と申しましたのは、五百四十二号ではありませんので、昭和二十二年の法律七十二号のことを申し上げたのでございます。その先例を引いてそれと同じ形になつておるという趣旨で申し上げました。今の後のお話の点は、これはやり方として二通りあるということでございまして、書きおろしの法律案として出すということも一つのやり方であり、またかように列挙いたしまして、先例にもありましたような形で御審議を仰ぐということもこれは正しい方法であると思います。事務的の弱みをちよつと吐きましたが、あれは撤回いたします。どちらも堂々と正しいやり方である。あとは国会の御審議によつて御承知を願うよりほかないという気持であります。御了承を願います。

加藤充日本共産党

○加藤(充)委員 これで私の方の政府に対する要望並びに委員会に対する希望を述べて発言を終りたいと思うのであります。そういう関係でありますので、これは親法の問題をまずまつ先にきめてかかるというのも一つの立場ではございましようが、このあとに述べました、当委員会におきましては、法務府関係の政令の改廃に関する措置、こういうふうな問題を十分に審議した上で、その上に立つて親法をどうするかというような、当世はやりの逆コース的なものになるという非難もあるかもしれませんけれども、国会の審議という実体を重んずれば、一括上程になつておる二法案の審議というものは、今申し上げましたように、各親法から発せられたこの政令を十分に審議した上で、親法をどうするかという措置に審議の方向を持つて行つていただきたいと思います。

猪俣浩三日本社会党(第二十三控室)

○猪俣委員 今の議論に関係するかもしれませんが、このポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件という勅令五百四十二号それ自体について、今まで非常に議論があつたことは、長官も御存じであると思う。憲法違反だという議論、そうしてこれには相当の論拠があると思うのであります。日本の憲法の精神といたしまして、この五百四十二号という法律は、字の数で四十字しかない。一々私は勘定した。たつた四十字の規定において、国民の権利義務に関する国会を通過せざる法令が三百幾つも出ておる。ここに百幾つになつたらしいのでありますが、これは異常のことであります。正常の姿ではない。そこで裁判にまで相なつたのでありますが、占領後の混乱した時代に、占領軍の命令を確保しなければならぬ当時といたしましては、正常の状態ではないけれども、やむを得ざる不可抗力のように私どもは考えて涙をのんでいた。これは占領状態という異常な状態、しかもこれは憲法を越える権力と私どもは理解したがゆえにこれに服従した。但し学者間において、これが憲法違反であつて、無効のものであるということで、相当の議論があることは御存じの通りである。この問題につきまして、いつの国会でありましたか、私は本会議で質問をいたしました。これはどうしても憲法違反の法律であるから、制定当時は緊急勅令としてやむを得ざることと認識するけれども、もう占領後数年たつた今日においては、これを国会に諮つて、法律として正常な姿に返してはどうだ。こういう包括的な四十字の字数の緊急勅令によつて数百の法令を出すというようなことは異常なことであるから、これは法律に改めてはどうかという質問をいたしました。時の殖田法務総裁は、御説の意見も相当聞くべき点があるが、しかし今この事態でこれを法律に直すということは容易ならざることであつて、今これを法律に直す意思はないという答弁でありました。先般また大橋法務総裁に、五百四十二号は憲法違反の緊急勅令であるという質問を私がいたしましたところが、そんな議論があることを初めてここで聞きました、こういう答弁でありました。こういう五百四十二号というものが日本の憲法に違反しているところのいかに常態を欠いたものであるかということに対して、何らそういう議論のあることも聞いておらないこの法務総裁の当時に、本件のような立案がなされたんだろうと思うのであります。私は今この五百四十二号の効力問題を論じましても始まらないと思いまするが、それはしかしそういう前提の上に事を考えなければならない。この五百四十二号をたてにとりまして一体どういう法令が出ましたか。食糧確保臨時措置令であります。それなども遂に参議院で通過することができず、これが握りつぶしに相なりますると、この五百四十二号に便乗いたしまして食確令として政令で出した。なおまた警察予備隊令のごときに至りましても、国会の開会中私がいくら質問いたしましても、それはまだきまつておりませんから答弁ができない、まだはつきりきまつておりません、かような重大な場合によつては日本の性格を変更するような重大な法令を国会の開会中なぜ法律として出さぬのか、いや、立案中でありますがまだ結論が出ておりませんということで、およそ警察予備隊に対しましては、大橋法務総裁は終始ほおかむりをして通してしまつた。これは速記録をごらんくださればわかるのであります。そうして国会が終了いたしますると二、三日して、ぱつと予備隊令というもので出した。かようにいたしまして、今日この五百四十二号を母法といたしまして生れましたる政令は、国会の意思を無視いたしましたるところの政令が多多あるのであります。今これを廃止するにあたりましては——もう今日は独立せんとする直前であり、この廃止する理由そのものも日本が独立国家となるがゆえにと、それが最大の前提であろうと思う。さようなときに至りましては、この独立前のどさくさまぎれにやむを得ず出しましたる幾多の法令につきましては、これを再び正常に返しまして、国会において愼重審議すべきものである、かように私は考えるのであります。そこでただいま加藤君が質問いたしましたように、この廃止に関する法律の二項「別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合においては、」というのであつて、これは一応国会の審議において廃止または存続するということで、われわれの精神に沿うやに見えるのでありますが、事実問題といたしまして、提案されたものは、今加藤君が指摘しましたようにまことに法令を羅列いたしまして一括上程、こういう形なんです。内容について何らわれわれは審議することができない。涙をのんで私どもはこれに服従しておつた。まるで国会を素通りいたしまして、故意に国会を素通りした法令がたくさんある。国会の意思がまともに反映したならば、これは握りつぶしかあるいは否決になるような内容を含んだものが政令の形で出ているのであります。これは私どもは今日やむを得なかつたとは讓歩いたしますが、独立するがためにこの法令を廃止するのだということに相なりますならば、今こそ愼重審議をしなければならない機会が到来した。そこで法務府関係の政令と申しましても幾つもないようであります。これはやはり具体的なその法令の内容をここでやはり審議いたしまして、そうしてその存廃を決すべきことが、憲法政治の常道だと考えるのであります。しかるにあなた方のやり方で十ぱ一からげでみなこれをさつさつとやつてしまうということでは、政府としては御便宜でありましよう、しかしながら今までの恨みをわれわれははらす場がない。(笑声)恨みですよ。何人を恨んでいいかわからぬが、敗戰の結果でございましようが、審議を盡さなかつたという恨みが残つております。これを審議を盡させるように、幾つもないのです。個々の法令は法律案として提出する御意思を今からでもおそくないからお持ち願いたいと思いま  するが、これは事務官僚である諸君にお尋ねしても始まらぬと思いまするが、こういうような趣旨で明日法務総裁に私は質問いたしますから、今御答弁なさらぬでもよろしゆうございます。皆さんは私の質問の要旨だけをお伝えくださいまして、法務総裁から忌憚なき御意見を私は承りたいと存じます。

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 本日はこの程度にいたし、明日は午前十一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会

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