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第13回国会衆議院1951/12/13

法務委員会 第1号

発言数
39 件
登壇者
3 名
会派数
1
開催日
1951/12/13

会議録

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前に一言ごあいさつ申し上げます。このたび不肖私が当法務委員会の委員長の重責を汚すことに相なりましたので、この際皆様に一言ごあいさついたしたいのであります。元来浅学非才、特に議事その他についても不なれな点が多いことと存じまするので、委員各位の御協力によりまして大過なくこの重責を全うすることができれば幸いと存じます。どうかこの上とも御支援、御協力を賜わりたいことをお願いいたす次第であります。(拍手)  本日の日程に入ります前にお諮りいたしたいことがございます。衆議院規則第九十四條によりまして、前国会同様国政調査をいたしたい旨議長に申出をいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 御異議がなければさようとりはからいいたします。なお所要の手続につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 それでは次に本日の日程でございますが、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案を議題といたし、政府よりその提案理由の説明を求めます。佐藤法制意見長官。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 ただいま議題となりましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  今回日本国との平和條約が調印され、その効力発生を目前に控えて、占領継続中の特殊の事態に基き制定されましたいわゆるポツダム緊急勅令とこれに基くいわゆるポツダム命令の処理をいたす必要を生じたのであります。  御承知の通り、昭和二十年九月、わが国の降伏後における事態に即応して、当時の憲法第八條に基く緊急勅令としてポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件という勅令第五百四十二号が制定され、連合国最高司令官のなす要求にかかる事項を実施するため、特に必要のある場合には命令をもつて所要の定めをなし、及び必要な罰則を設けることができるという旨の規定が設けられたのであります。このいわゆるポツダム緊急勅令は、その後の第八十九回帝国議会において事後承諾を得、法律としての効力を持つて現在に至つております。  このポツダム緊急勅令に基く委任命令いわゆるポツダム命令は、この六箇年間に相当多数制定されたのでありますが、現在において効力を存しているものは、勅令、政令、府令、省令等を合せまして、百四十数件と相なつております。なおこのほかに既存の法令を廃止した命令でその附則がなお効力を有しているものが若干あるのであります。  ところで、占領の終止とわが国の主権の回復に伴いまして、このポツダム緊急勅令及びこれに基いて制定されました諸ポツダム命令についてとるべき処置でありますが、まず、ポツダム緊急勅令五百四十二号は、占領の終止に伴い連合国最高司令官が存在しなくなる以上新たに発動する余地はないものでありますから、当然廃止の措置をとるべきものと考えます。  次に、ポツダム緊急勅令に基く各個のポツダム命令の措置については大きく二種類にわけて申し上げるのが妥当であると存じます。すなわちその第一は、命令の内容上連合国軍の存在を前提としているもの及び占領が終りました後に将来に存続させることを不適当とするものであり、第二は内容上将来に向つて存続させることを適当とするものであります。  前者については、この際廃止の措置をとるべきものであり、後者については、内容に従い、全面改正を行うものと、一部改正を行うもの及びそのまま存続するものと、三つの区別にわけて措置すべきものと存じます。  そこでこれらの個々のポツダム命令の処置につきましては、右に述べました廃止、存続等の措置をおおむね各店各省別にとりまとめまして、その法律案を別途提案することといたしております。なお、全部改正を要するポツダム命令につきましては、これらの各店各省別のポツダム命令の措置に関する法律案とは別に単独の法律案として提案いたすつもりであります。  以上申し上げましたところがポツダム命令の措置に関する政府の方針の大要でありますが、次に本法律案の内容について簡單に御説明申し上げます。  この本文は三つの項にわかれておりますが、まず第一項は、基本法令たるポツダム緊急勅令を平和條約の最初の効力発生の日限り廃止するもので、前に申し上げました通りいわば当然の措置であります。  次に第二項は、右のポツダム緊急勅令に基くもろもろのポツダム命令は、他の法律で廃止または存続の措置がとられない限り、平和條約の最初の効力発生の日から百八十日間を限つて法律としての効力を有するものと定めたのであります。個々のポツダム命令をどう処置するかは、先ほど申し上げました通り、別の法律案で、それぞれの措置を定めているのでありますが、万一これらの法律案が平和條約の最初の効力発生の日までに成立しないようなことがあつた場合等に備えまして、いわば念のための規定として設けたものであります。  第三項は、これこそまつたく念のための規定でありまして、過去においてポツダム命令をもつて他の法律または命令を改廃した効果についてこの際いささかの疑念の生じないようにとの配慮に基いたものであります。  以上簡單でございますが、この本法律案の提案理由を説明しましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。鍛冶君。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 これにつきまして、前々幾たびも聞いておつたのでありますが、なお明瞭にならないところを承りたいと思います。  第一に、「平和條約の最初の効力発生の日」とありますが、具体的にどういうときに効力を発生するか。これはこの前お聞きしたのですが、はつきりしておりません。国民全体にとつても重大なる関心事であると思いますので、この際明瞭に御説明を願いたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 この法案の中に、「平和條約の最初の効力発生の日」ということをうたつておりますが、先般批准されました平和條約の中に、こういう文字が数箇所使つてあるのであります。それと同じ文字をここに持つて来たわけであります。そこでお尋ねの、この「最初の効力発生の日」というのはいつかということになりますと、平和條約そのものにきめてあるところ、それを押えてのものでございます。従いまして、あれはアメリカを含んでの六箇国が批准して、その最後の批准書が寄託された日ということが、平和條約自身において最初の効力発生の日と定められておりますので、その日がすなわちこの法律案に申します効力の発生の日ということになるように考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 よくわからぬのです。向うで何箇国かが批准になつた。これで日本政府へ通知があるだろうと思いますが、その通知のあつた日でありますか、それとも向うへ行つた日なのか、こつちへ通知があつた日なのか、これからまず……。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは、條約そのものの條文から申しますと、今申しました六箇国が批准すれば最初の効力を発生するわけですが、最後の六番目の国がアメリカの政府にその批准書を寄託した日が効力発生の日ということになります。そこでその寄託を受けたアメリカとしては、ただちにわが方にもその旨の通知をするというふうに考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そこで通知がありますれば、私の言うのは、アメリカ政府で六箇国の批准があつたということを聞いたときが効力を発生するのか、日本政府へ到達したときに発生するのか、そこなんです。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 それはアメリカ政府に寄託のあつた日ということが條約の成文からきまつているわけであります。従いまして、間髪を入れずにその通知が日本にある。その通知が事実の通知であるというふうに考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そうしますると、日本国では知らない間に効力発生が行われており、この法律がただちに適用になつたということになると、非常におかしなことが起らぬかと思う。アメリカで効力を発生したのを日本では知らない。これを見ると、最初の効力の発生の日というのだから、きようアメリカで効力を発生して、あす日本に来るとすれば、きのうでもうこの法律が施行になつているということになりますが、これは日本国民は知らない。それでいいでしようか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 理論上は、土地が離れておるわけでありますから、知り得ないということにもなりましようが、実際の扱いにおきましては、外務省当局も、その点については非常に留意をしておられるようでありまして、大体の見込みというものも、事前にわかると思いますし、その通知そのものも、今申しましたように、間髪を入れずに通知があるということにおいて、これは適当に処置されるものと考えております。こういう関係は、昔から條約の関係におきましてはままありましたことでありまして、それは実際の運営において適切に行われておつたと思います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 日本の法律に対して重大なる関係のあるものが、日本国民が知らないうちに効力を発生するということは、相当考えものじやないかと思うのです。これは一日くらいで来るからいいようなものの、これが二日、三日かかつたら、日本国民はまだ効力があるものと思つていろいろなことをやつておるにもかかわらず、もうとつくに有効がなくなつておつたんだということになる、こういうことになりますと、法律そのものに対する国民の従う意思というものが、非常に違つて来ることになると思うのですが、これは電報があり、無線電信があるから、きようあればきよう来るのだというのではなくして、もつとそういうところを法律論的に考えてみたらさしさわりが出て来るのではないかと思うので、これは明白にしておいてもらいたい。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 とにかく現実の問題としては、全然支障のないものと私思いますけれども、先ほど申し上げましたように、平和條約そのもので、その最初の効力発生の日をきめておるわけでありますから、今の占領軍の最高司令官の存在というものも、結局その日からなくなるということになれば、それを受けての法制としては、今御提案申し上げたような形にすることが法律的には最も正確なやり方であつて、これを前にずらし、うしろにずらすということは、ちよつと成り立ち得ないことでありますから、すべての責任を平和條約に押しつけたようでたいへんお聞き苦しいと思いますけれども、そういう内容によつて平和條約はできておるわけでありますから、この法律案としてはそれを忠実に受けまして、今御指摘のようなことのないように、実施上保障するということは、それ以外に方法はないというふうに考えております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 もう一つ、さらに進んで疑問を持ちまするのは、これは條約でありますね。日本と交戦国との條約。そうしますると、憲法第七條に基きまして、天皇の国事に関する公布ということが必要ではないかと思うのですが、これはどうお考えになつているか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは効力発生の、その日の日付で官報に登載して公布するというつもりで、事務的にはすでに官報の版をちやんと組んでおりまして、すぐ日付さえ入れればいいようにして、その日の日付で官報に載せるということにいたしておるわけであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そうすると、公布があつて日本国民がそれに従うのでありまするか、公布がない先にもう日本国民は従つておることになるのですか。これは観念上重大なる隔たりがある。われわれは公布というものは、日本国民がこれに従う、従がわないということの、一つの宣言だろうと思う。あなたの読法だと、もう前に従つているのだ、当然おまえら従つておるのだ、こういうことが公布になるのか、これは重大なことであると思う。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 まことに重大なことで、学問上の問題としては、実は残つておる問題だと思いますが、まず実際の今までの政府のやつておつたところを申しますと、條約が国民を拘束するような内容を持つておるという場合には、その国民を拘束する部面の事柄を取出して、並行して法律をつくつていただいて、そうしてその法律と條約とが並行して公布されるという形が、一応の正道としてとられておつたところであります。その面から申しますと、今回の平和條約につきましても、近く御提案申し上げる種々の法律案もございます。私どもは実は、国民を直接拘束するような部面は、別個の法律案として、條約と並行した国内法をつくつていただこうというつもりでおりますから、今御指摘のような問題は、実際的には起らないと思いますけれども、理論上の問題としては、国内法を別につくらない以上、條約即国内法という例の理論、あの理論を持ち出して処理した例も過去にも若干ございまして、そういう観念上の問題はありますが、その場合においては、今までの政府の大体考えておつたところは、やはり公布によつて国民を拘束するのだという考え方をとつて来ておつたように思います。それが学理的に正しいか正しくないかということを研究しますと、私自身実は若干迷いを持つておりますけれども、今までの政府の考え方は大体そういう考え方であります。従いまして、今回の條約につきましても、実際は別に国内立法をしますから、條約がそのまま国内法として働く部面がないのではないかと思いますけれども、かりにあるとしてもその條約は、先ほど申しますように、最初の効力発生の日に、その日の官報で出しますから、ちようどこの法律の附則について先ほどお話があつたのと同じ問題になると思います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 まだわかりませんが、もう一ぺん、これは裏から聞きましよう。公布がなかつたら日本国民は拘束されないだろうと思うのですが、これはどうですか。公布がなくとも国民は拘束されるのですか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 條約については、今申しますように、公布によつて国民を拘束する、すなわち條約即国内法という、その即国内法の部面においては、公布によつて国民を拘束するという建前において、その公布について十分心がけて今まで遺憾なきを擬してやつておつたということであります。今お尋ねのような趣旨で、政府も今まで考えておつたということを申し上げてよかろうと思います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 これはまた逆に聞くと明瞭になる。公布で初めて日本国民はこれに拘束される。しかし公布は、アメリカから通知がなかつたら公布ができませんでしよう。そうすると、アメリカから通知があつて、その通知を受取つて、公布はそこで初めて効力が出る、そういうことになりますね。そうすると公布の前に通知の時間がございますな。その間はまだ効力を発生せぬものとわれわれは考えるのですが、先ほどのあなたの説明から言うと、六箇国からアメリカに寄託になつたときにはすぐ効力が出るのだということになりますと、この間の空間が出て来ますが、それはどういうことになりますか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは先ほど申しましたように外務省あたりでよほどよく考えて、アメリカの政府の方との連絡も緊密にとつて、おそらく最後の六箇国目の批准はいつころある予定だというようなことで、最後の六箇国目の国の当局者と事前の打合せがあつて、批准の寄託の日はいつだという一応の予定に従つてやることだろうと思います。これは日本ばかりではない、関係国みな起る問題であります。いつから効力を発生したか、いつの瞬間から発生したかということは、すべての批准国においても重大な利害を持つものでありますから、それくらいのことはみな向うも考えますから、従つて、実際の処置については万遺憾なきを期せられるだろうという確信を持つております。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 実際上においてはそうであろう、またそうでなければならぬと思いますが、観念上においては、効力を発生した、日本国民はそれに従うんだ、こう言われれば、効力が発生したときはアメリカに六箇国が寄託したときだと言われると、日本国民は、知らぬ間に効力が出て、これに拘束される。さらにその次に公布ということになる。なるほど條約においてはそういう建前であろうけれども、日本国民にとつて、効力を発生したとしてこれに従うということは、向うから通知がある、その通知を受取つて、公布のあつたそのときに初めてわれわれはほんとうにこれに効力あるものとして拘束される、服することになる、こういうことでなければいかぬように思いますが、その点はどうお考えですか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 最初の効力発生の時期というものは、客観的にきまつている。その日から実施されるということになると思います。お尋ねの問題は掘り下げて考えますと、実に深淵なる学理上の問題につながつておるのでありまして、国内法の問題でも、たとえば公布の日から施行するとあります、その公布は何でやるか、官報でやる。その官報は九州の鹿兒島県に一体いつ現実に届くか。公布の日といえば、官報のちやんと日付の日の印刷所の門を出た日か、学問上の問題があります。掘り下げるとわれわれ神経衰弱になるようなむずかしい問題がありますけれども、とにかく今の提案申し上げた法律案については、そういう心配のないように、批准国もみんな協力して、みんな利害関係のあることですから、万遺憾なきを期することはわかり切つているのではないかということで安心をしているわけであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 それじや私からつけ加えて結論にいたしますが、日本国民を拘束するのは、公布があつたときだ、従つて観念上においては、効力の発生と公布とには隔たりがあるが、事実上においてなるべく隔たりのないようにする、こういうことで納得してよろしゆうございますか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 観念上においては隔たりがあり得るが、実際上においてはそういうことはないということでございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 次に承りたいのは、第一項を読んでみますと、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、勅令第五百四十二号を廃止する。これも何べんも議論したところでありまするが、もしこの法律が出なかつたら、五百四十二号は効力あるものでしようか。出ぬでも、占領政策というものがなくなつた以上は、当然効力がなくなるものじやなかろうか。この点もう一度念のために明らかにしていただきたい。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 だんだんむずかしい問題になつて参りましたが、効力という言葉ですが、緊急勅令五百四十二号というものが出ておりますから、その五百四十二号の存在の問題と、それからその緊急勅令の働きの問題と、二つにわける方が便利だと思いますが、これは廃止しない限りは存在はします。存在はしますけれども、さて平和條約発効の後に、連合国最高司令官というものはおりませんし、その司令官が要求を発することもありませんから、その要求を実施するために必要な命令を発するという必要は考えられないわけであります。その意味で将来に向つて働きはなくなるということは当然であろうと存じます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そうしますと、出ている以上は、廃止すると言わなければ始末にならないが、実質上においては効力はなくなるのは当然だ、こういうふうに考えていかがでしようか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは廃止をしないでほつておいても、一向廃止した場合とかわらないのです。しかしこの際けじめをはつきりつけますために廃止して、法令集のページも減らそうということであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そこで五百四十二号がそうだとすれば、これに基いて出ましたここに書いてある諸命令も、同じ理論で当然なくなるものであるのだ、しかし出ておるからこれをどうするかという問題があるが、なくなることが大前提であろうと思います。この点はどういうように考えておられますか。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これは前にこの委員会で鍛冶委員からお尋ねがありまして、お答えしたところで実は盡きていると存ずるのでありますが、これを完全にほつて置いた場合に、今まで出ておるポツダム政令は、当然に消滅してしまうのかどうかという問題は、これはりくつの問題としては両論立ち得ると思います。この間も触れましたように、たとえば独占禁止法というものは、たまたま法律の形になつておるけれども、実は司令官の要求に基いてできておる。あの独占禁止法は占領の終止とともに当然死ぬと思う人はだれもいないわけであります。そういう点これが正当の緊急勅令に基いた委任の政令であり命令であるということであれば、それと同じことで、当然死なないのではないかという議論も十分立ち得ると思いますけれども、しかしそういう疑いを避けるために、この際法律案によつて、国会においてはつきりとすべてのけじめをつけるというのが一番適当であろうと思つて御提案申し上げた次第であります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そういうことで出ておる以上は、何かここでけじめをつけなければならないけれども、実質上においては効力はなくなるのが当然だ、こういう前提になると、第二項を読んでみますと、ちよつと違うのです。「百八十日間に限り、法律としての効力を有するものとする。」これは今の議論から言うならば、五百四十二号を廃止したのだが、百八十日に限り効力があるのだ、こういうことになれば百八十日だけは効力があるのだが、あとは効力がなくなるのだ、こういう建前で出べきがほんとうではないかと思う。親法律がなくなつたのですから、子供もなくなるのだが、便宜上というか政策上というか、百八十日だけは効力あらしめるという考え方だろうと思います。そうすると百八十日たつたらこの法律は効力を失うのだということが私はほんとうだと思います。効力はある、こう言われると、考え方が違つて来るように思うのです。これは何べんも議論をするのですが、われわれの考えとあなた方の考えと、考えが違うのではないかと思いますから、この点を明確にしてもらいたいと思います。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 ポツダム政令の運命についてのりくつの問題としては、先ほど申しましたように、実は私個人は当然死なぬものだと思つておりますけれども、両論あることは当然であり、いろいろ誤解を生ずる問題でありますからして、今のこの法案において、はつきりけじめをつけよう、はつきりけじめをつけるについて、第二項の例を引かれましたが、たとえば百八十日経過した後は効力を失うという書き方も考えられますし、この案のように、百八十日間に限り効力を有するという書き方も、どつちも考えられるわけであります。これはこの文章をお読みになつてただちに結論が出て来ることであつて、その基本にひそんでおるところの観念は右の方にあるのか、左の方にあるのかということをせんさくしなくても、第二項を読んでいただけば、どなたでも結論においては間違いないと存じます。従いまして、そういう観念の面にはあまりここではとらわれずに、率直にわかればいいという趣旨で、すべて二項三項も同じでありますが、そういう建前で立案いたした次第であります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私はそう簡單には考えられないのですが、第一項を見ますれば、五百四十二号は平和條約の効力が発生すればこれはなくなるのだ、こういう考え方、従つてその子供であるこれに基いて出ている諸命令もなくなるのだ、こう言わなくちやならぬものだと思う。それを、そうじやない、これは親がなくなつても子供はまだ生きておるのだどこまでも生きるのが建前だ、こういう考え方なのか、なくなるが、そこでいいか悪いかを今度はあらためて百八十日の間にきめるのだ、こういうお考えなのか、それとも黙つておればみな効力はあるのだ、こういうお考えなのか、これを明らかにしておきたいのです。どうもこれを読んでみますと、みな効力はあるのだ、こういう建前から来ておるように思うのです。廃止になつたら効力はなくなるのだというなら、百八十日間だけ効力はあるが、百八十日過ぎたらみな効力はなくなるのだ、こう出て来べきものじやないかと思いますが……。

佐藤達夫法制意見長官

○佐藤(達)政府委員 これはどうも考え方の問題で、私ははつきり割切つたお答えはできませんけれども、この前の委員会でたしか申し上げたと思いますが、例の旧憲法から新憲法に移りかわつたときの法律第七十二号が、ちようど同じようなことをきめておるのです。私ちようどここに持つております。「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律を以て規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律と同一の効力を有するものとする。」という先例がございますので、議論はともかくとして、この先例に文字を合せて、しかも結論においてはこの出たところをお読み願えれば、結果においてはちつとも間違いの生ずる余地はないという確信を持つておりますので、かようにいたしたわけであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 今言われた憲法のときとこれとはよほど違うと思います。憲法のときは、前に日本国民はその法律に従つておつたのですから。これは占領政策上発せられた命令なんですから、占領政策がなくなつたら当然なくなる。だからなくなるのだが、百八十日だけ効力をあらしめる、こういう考え方だろうと思うのです。そうでなくて、これは当然残るのだけれども、百八十日の間に何か始末するから、それは当然あるのだという考え方か、なくなるのがほんとうなんだから、しかしすぐなくなつちや困るから、百八十日だけ効力をあらしめるのだ、こういう考え方か、これで議論はわかれて来る。私の聞かんとするところは大前提の問題だ。あすまたひとつ答弁を承ることにいたします。

佐瀬昌三自由党

○佐瀬委員長 本日はこの程度にいたし、明十四日午後一時より質疑を続行いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会

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