文部委員会地方行政委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/05/24
会議録
○竹尾委員長 これより文部、地方両委員会の連合審査会を開会いたします。 審査会の議事運営の都合上、義務教育費国庫負担法案に対する質疑は、あらかじめ委員長まで御通告を願い、通告順に質疑をお許しいたします。なお本日は午後一時ごろまで開会し、質疑の残余は、二十六日に開会予定の連合審査会でお許しいたします。 それでは義務教育費国庫負担法案を議題といたします。提案理由の説明をお願いいたします。若林義孝委員。
○若林委員 義務教育費国庫負担法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 申すまでもなく、義務教育は憲法に定められた重要な国民の義務であり、同時に権利であります。従つて、国といたしましても、この義務教育につきましては、その一定の規模と内容とを、すべての国民に対して保障すべき責務を負つているものといわなければなりません。そして、この責務を果すためには、まず、国が義務教育について確実な財政的裏づけをすることが何よりも必要であると考えるのであります。 従来、義務教育費に対する国の保障といたしましては、義務教育費国庫負担法という法律がありました。この法律は、周知の通り、地方財政において最も大きな地位を占める義務教育費を地方のみにゆだねることが、結局は義務教育の進展を阻害するのみならず、地方財政を危うくするおそれがあるという認識に基いて、昭和十五年に別に法律をもつて義務教育に従事する職員の給與を都道府県の負担とするとともに、この法律によつてその半額を国が負担することな定めたものであります。 この制度によつてそれまで教員の俸給の不払、遅払い等の事態があつたものが解消され、爾来、この制度は義務教育の支柱となつて来たものであります。ところが、この制度はシヤウプ使節団の勧告に基いて地方財政平衡交付金制度が創設されるに及び、遂に昭和二十五年度から廃止され、現在に至つているものであります。すなわち、現在は、義務教育については財政上国の特別の保障というものはないのであります。その反面、義務教育費はどうなつているかと申しますと、再三の給與ベースの改訂及び物価の上昇等によりまして、飛躍的に増大しているのであります。特に教職員の給與費は、昭和二十四年当時の二倍以上となつており、都道府県の一般財源に対して三五%から四五%に膨脹し、地方税収入の七五%を占めるに至つたのであります。このため、地方公共団体独自の税収入で義務教育費をまかなうことのできるのは、わずかに九都府県にすぎず、中には義務教育費が税収入の二倍、三倍に達している県すら少くないことが報告されているのであります。そこで、各府県間の教員の待遇及び定数はますます不均衡がはなはだしくなるとともに、全般的に低下の傾向が顯著となつているのであります。 他方、学校の維持運営費につきましても、その三分の一は父兄の寄附金にたよらざるを得ないのが実情であり、しかもようやく建物はできても、その中味が伴わないのが六・三制の現状であります。これでは憲法に保障する義務教育の無償も、またシヤウプ使節団の勧告に基いて、寄附金を解消するために大幅な市町村税の増税を実施した意図も、有名無実となつているというよりほかはないのであります。 さらに学校の建物につきましては、戰時中は荒廃のまま放置され、また戰災によつてその多数を失い、その上六・三制の実施によつて戰後校舎の不足は大きな政治問題化したことは周知の通りであります。現在すでに耐用年数四十年を越えた校舎は、実に二百八十万坪の多きを数え、そのうち使用禁止を命ぜられている危険校舎が四十四万坪にも達しており、なお年々これが累増の傾向におるという憂うべき状態にあるのであります。 このように重大な段階にある義務教育につきまして、その財政的な裏づけをする制度は、いわゆる六・三制建築補助及び若干の補助起債を除けば平衡交付金制度のみという状態であり、これではとうていこの緊急の事態を解決するわけには参らないのであります。そもそも平衡交付金制度と申しますのは、ニューヨーク州の教育平衡交付金制度の構想を日本において地方行政全般に及ぼしたものでありまして、この制度がアメリカで成功いたしましたのは、單に財政力の相違からばかりでなく、これが教育費のみを対象としており、しかも教育費の算定も税収入の測定も容易だからであります。ところが、わが国におきましては、地方のすべての行政費を対象としており、複雑な地方税体系のもとで国がその行政全般について財政上の責任を負うという制度でありますので、そこにはどうしても無理と欠陷が伴い、交付金の額の決定は常に政治問題化し、義務教育費のような額の大きいしかも重要な経費が圧迫されるという結果を招来しているのであります。従つて義務教育費のように憲法上国がその最終的責任を負うことを要請されており、しかも地方財政においてきわめて大きな地位を占めている経費につきましては、どうしても平衡交付金制度とは別に国庫がこれを補償する制度を確立し、義務教育の妥当な規模と内容とを国民のすべてに対して保障いたしますとともに、地方財政の安定をはかることが必要であると考えるのであります。 以上がこの法律案の提案理由であります。 次にこの法律案の骨子を申し述べますと、まず、この法律案は、昭和二十八年度から実施すべき義務教育費国庫負担制度等につきまして必要な規定を設け、附則においてこの趣旨を実現するため、昭和二十七年度についてさしあたり地方財政平衡交付金制度の特例に関して所要の規定を設けております。御承知のように本年度はすでに予算も定まり、また国庫負担制度を実施いたしますためには、なお相当の準備も必要でありますので、このような方法をとつたわけであります。 次に逐条御説明いたします。 まず第一条は、ただいま御説明いたしましたような、この法律案の基本的な理念及び目的を定めてあります。 次に第二条は、教職員給與費及び教材費の国庫負担について規定してございますが、その第一項には、国が義務教育費のうち、現在都道府県の負担している義務教育に従事する教員、寮母及び事務職員の給與費及び市町村または都道府県の負担している教材費につきまして、それぞれ、その総額の二分の一を下らない額を負担することを規定いたしております。 第二項は、教職員給與費の総額の算定方法を定めてありますが、それは、教職員一人当りの給與費の平均單価に教職員の総数を乘じて算出するという方法をとつております。教職員の総数は、まず全国の公立の小学校の兒童数に五十分の一・五を乘じて小学校の教員数を算出し、次に全国の公立の中学校の生徒数に五十分の一・八を乘じて中学校の教員数を算出することになつております。この五十分の一・五、一・八という数字は、従来の義務教育費国庫負担制度においても用いられて来たものでありますが、これは実際に一学級について教員が一・五人あるいは一・八人必要であるということを意味するものではなく、一学級の兒童生徒数を五十人と仮定した場合の数字でありまして、実際には一学級の平均兒童生徒数は小学校で四十四八弱、中学校では四十五人弱となつております。またこの教員数のうちには、校長、養護教諭、産前産後の教員及び病気、事故、研修等の補充教員も含まれているのであります。次に全国の公立の盲学校及びろう学校の小学部の兒童数に十分の一・五、中学部の生徒数に十分の一・八を乘じてその教員数を算出し、また、全国の公立の盲学校の寄宿舎に寄宿する兒童及び生徒五人に一人、全国の公立のろう学校の寄宿舎に寄宿する兒童及び生徒八人に一人の割合で寮母の数を算出することにいたしております。さらにこうして算出いたしました義務教育諸学校の教員及び寮母の数に百分の二・四四六を乘じて結核教員の数を算出いたします。従来の国庫負担制度におきましては、この率は百分の一・三三となつておりましたが、その後の結核教員数の増加によつてこの率を変更する必要が生じたのであります。最後に、結核教員を除いた教員及び寮母の数に三十分の一を乘じて事務職員の数を算出いたします。この数は大体現在置かれている事務職員の数を基準にしたものであります。 以上の算出方法によつて算出される教職員数の昭和二十八年度の推定は、教員約五十三万四千人、うち結核教員約一万三千七百人、寮母約千五百人、事務職員約一万七千人となる見込みであります。また、教職員給與費の総額は、昭和二十八年度において約九百八十億円程度となる見込みであります。 第三項には、教材費の算出方法が規定してあります。教材費の内容は、図書、地図、掛図、オルガン、顯微鏡、映写機、幻燈機その他国語、算数、理科、音楽、保健体育等の各教科の学習に必要な教材教具のすべてを含み、その総額は、教職員給與費に百分の十を乘じて算出することにしてあり、昭和二十八年度におきましては約九十八億となる見込みであります。 第四項は、国庫負担金の各地方公共団体に対する配分基準その他その配分に関し必要な事項を法律で定めることを規定しております。国庫の負担金は多額に上り、地方公共団体の財政に重大な影響を與えるものでありますのでそれをいかに配分するかは、地方税の改正と関連して考慮しなければならないので、後に法律で定めることにしたのであります。 第三条は、教職員給與費の平均單価の算定方法を規定いたしております。その方法は毎年度国立学校の教職員の例に準じて給料諸手当等の教職員一人当りの平均單価を合理的に算出し、これらを合算して算出するのであります。 第四条は、義務教育諸学校の校舎の建設にかかる地方債に関して地方財政法の特例を規定し、毎年度老廃朽校舎を順次更新できる道を開いております。まず第一項は、地方財政法第五条において地方債を発行できる場合が限定されておりますので、義務教育諸学校の校舎の建設事業費は、その特例として扱うものであることを定めております。 第二項は、その地方債の総額の算定方法を定めております。すなわち小学校は一・一坪、中学校は一・四六坪、盲学校及びろう学校は八・一八坪にそれぞれ全国の公立の学校の兒童、生徒数を乘じて算出した坪数を、五十年で更新するものとして五十分の一を乘じた坪数を建築するために必要な額によつて起債の総額を算出するという方法をとつております。なお、各学校の坪数は各学校に必要な最小限度の教室その他の建設の坪数を合理的に算出し、これを兒童生徒一人当りに換算したものでありまして、盲ろう学校におきましては教育上欠くことのできない寄宿舎の坪数をも含んでおります。こうして算出されました地方債の昭和二十八年度における総額は約九十億円となり、毎年約四十万坪の校舎が更新できる見込みであります。 第三項は、この地方債をもつてまかなわれるべき校舎の建設に関する事業計画の基準その他必要な事項、すなわち危険な校舎とか使用年数の古いものから順次地方債を認めるというような基準を法律で明確にいたしまして、地方債の効率的な使用をはかろうとしております。 第五条は、戰災及び災害を受けた校舎の復旧費について国がその半額を負担することを規定しております。この措置によりまして、従来復旧が遅れ義務教育の実施に支障を来していたような事態が解消されることが期待されるのであります。 次に。附則におきましては、まずこの法律のうち第二条から第五条までの規定は昭和二十八年四月一日から施行し、第一条の基本的な理念に基いて、昭和二十七年度は地方財政平衡交付金制度の特例を設け、第三項から第六項までにおいて義務教育に従事する職員の給與に関する基準財政需要額の合理的な算定基準を定めるとともに、第七項において、地方財政委員会が各都道府県の基準財政需要額を算定する場合には、あらかじめ文部大臣に協議することといたしたのであります。 次に、第八項におきましては、盲ろう学校の義務制が現在小学部の五年までとなつており、これが昭和三十一年に完成することになつておりますので、その経過措置を規定しております。 第九項におきましては、当分の間第四条に定める地方債のほかに六・三建築補助に伴う地方債が存続するわけでありますから、その点を明らかにいたしております。 最後に勢十項におきまして、この法律の施行に伴い地方財政法に改正を加える必要がありますので、所要の改正を行うことにいたしております。 以上がこの法律案の骨子であります。この法律案は、教職員の給與費を確保することにより、教職員の生活を安定させ、教職に専念せしめるとともに、教材費の確保により、校舎はできたが中身の整わない学校に教材を整備し、百億に上るPTAの寄附金を解消し、千三百万人の父兄の要望にこたえ、起債によつて二百八十万坪に上る老朽危険校舎の解消をはかり、市町村長及び住民の熱烈な要求にこたえんとするものであります。従つてこの法律案は最小の国費をもつて最大の効果を上げるものであります。独立日本の門出にあたり、憲法に保障された義務教育が国策の根幹であることを明らかにし、防衛力漸増と相並んで、教育文化を尊重するゆえんを中外に宣明するもので、その意義はきわめて大なるものがあると確信するものであります。 議員各位におかれましては、義務教育の重要性と地方財政の実情を十分御理解をいただき、愼重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
○竹尾委員長 次に、通告順に従いまして質疑をお許しいたします。
○立花委員 ちようど地方財政委員会の連中が来ておりますので、あわせて地方財政委員会の意見を聞いた上で質疑をやつた方が、よいではないかと思います。地方財政委員会は、たびたび意見書を出しておりまして、昨日も私ども意見書を受取つたのですが、重大な意見だと思いますし、せつかく来ておりますので、それをあわせて聞いた上で、質問させていただきいたと思います。
○竹尾委員長 そういう御意見が出ましたが、いかがいたしましよう。
○河原委員 質問の途上でよいでしよう。
○前尾委員 総括して聞いてからがいいでしよう。
○竹尾委員長 総括してという意見と、質問の途上という意見がございますが、いかがいたしましようか。最初に地財委の意見を聽取いたしますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹尾委員長 それではさよう決定いたします。奥野説明員。
○奧野説明員 地方財政委員長から、義務教育国庫負担法案に関しまして意見書を提出しておりますので、その意見吉の順序に従つて、考え方を申し上げてみたいと思います。 義務教育費の負担をどうするかという問題は、地方行政、地方税制、地方財政全般にわたる問題でありますので、これらの総合的改革の一環として検討すべきであるという考え方を持つているわけであります。従いましてこれらと引離しまして別個にこの種の法案を制定しようとすることにつきましては、以下掲げますような理由で反対である旨を申し述べているわけであります。三ページ目の「義務教育費国庫負担法案に対する反対理由」と書いてありますところの順序に従つて申し上げます。 第一に、この法案はいたずらに中央政府の権限を強大ならしめ、官僚の手による地方行政に対する統制支配を可能にし、地方行政の中央集権化を誘致して、住民による地方自治を抑圧するというふうに考えているわけであります。現在のわが国にとりまして最も大切なことは、国民の考えに基いて政治、行政を運営して行かなければならないということであると考えているわけであります。国民の考えに基いて政治、行政を運営して参りますためには、国民に身近な行政から、国民のそれぞれがその必要の有無や、適否を判断いたしまして、かつ、これを決定する慣習を養つて行かなければならない。そこにまた、地方における行政は、地方住民みずからのくふう、判断に基いて行わせようとする地方自治拡充、強化の方策を、わが国の政治の基本方針として確立されて来たゆえんがあるものと考えているのであります。いろいろな問題が起りました場合にも、国民はいたずらにそれらの一部の行動に幻惑されないで、みずからが進むべき方向を自覚して行かなければならない、かような考え方を持つているわけでありまして、そのような意味合いから、これらの基礎をなします地方自治拡充強化の方策を推進して行きますためには、地方自治制度と表裏一体をなします地方税財政制度において十分自主的であり、かつ地方自治体の総合的な判断に基く弾力ある運営が保障されなければならないというふうに考えているのであります。一般に国庫負担金制度というものは、国が地方団体に財源を與える手段でありますと同時に、これを通じて国が意図する行政を地方団体をして行わしめる政治的手段でもあるわけであります。従つて、国税であれ地方税であれ、ひとしく住民の負担にかかります租税収入を直接地方団体の収入として、その使用を住民みずからの決定にゆだねる方法をとりませんで、一旦国の収入といたしまして、政府官僚の手を通じて地方団体に配分し、その示すところに従つて使用を義務づけ、使途の監督を加えることによつて、地方行政の運営につきまして、政府官僚の統制支配を可能とする手段であります。方法であります。このためにその行政費が、全国普遍的に存し、その算定が客観的に明確であり、かつその行政について地方住民が深い関心を寄せているものに対する国庫負担金は、可及的にこれを廃止した方がよろしい。地方住民が深い関心を持つておりませんもの、あるいは必ずしも全国普遍的に存しない行政につきましては、個々の行政費を見合いまして国が負担金を出すことも一つの方法であろうと考えるのでありますが、義務教育費はその種のものではないという考え方を持つているわけであります。従つて、地方財政全般の上における国庫負担金の額を減少し、それだけ地方税収入その他の自主的な財源の増加をはかつて行きますことは、戰後ことに地方財政政策の基本としてとられて来た方針であります。 しかるにこの法案は、その提案理由とあわせ検討いたしますと、ことに昭和二十七年度の義務教育費の算定について特例を定めておりますが、その特例からも明らかに推測できると思うのでありますけれども、その経費が全国普遍的に存し、その算定が客観的に明確であり、かつ、その行政について地方住民が深い関心を寄せているものでありまして、地方財政制度として総合的な地方財政調整制度を持ちます限りにおいては、本来国庫負担制度を必要としない義務教育につきましてあえて国庫負担金制度を復活し、政府の手により各地方団体ごとに義務教育費の額を算定し、これを基礎として国からひもつきの財源を交付することにより、地方団体の予算中に義務教育費のわくを設定しようとするものであると考えるのであります。このように、あたかも国の出先機関に対するがごとく、国から地方自治体において費消すべき義務教育費の額の割当を行いますことは、第一には、住民のくふう検討に基く地方団体の弾力ある総合的財政運営を阻害し、この措置を通じて官僚による地方団体の統制支配を強大にし、再び地方自治行政の中央集権化をもたらすことになるのでありまして、わが国政治の基本方針に逆行すると考えているのであります。第二に、さらにこれを現在の地方団体と教育委員会との関係について顧みますときは、このことが教育委員会ごとの予算を、中央において割当を行いますこととなる結果、いたずらに地方行政機構を分裂せしめ、地方行政の総合的推進力を弱化せしめることとなると考えているのであります。第三に、しかのみならず、この法案は、これによつて義務教育の施設の維持及びその経費の支出責任は、道府県や市町村に置いているにもかかわらず、この経費の配分について中央政府の干渉を見ることになりまして、地方教育行政についての責任の帰属を不明確にすると考えるのであります。中央政府にあるのか、地方団体にあるのか、不明確になると考えているのであります。 次に、反対の理由として考えております点は、この国庫負担金制度の創設により、この法案に企図するがごとき義務教育水準の向上及び地方財政の安定を期待することは困難であるという点であります。この制度を必要とする理由は、先ほど若林さんからお話がございましたその説明によりますと、以下揚げておりますような三つの点に、主たるものがあると考えるのであります。 くどいようでありますが、第一には、昭和十五年に創設された義務教育費国庫負担法のもとでは、それまであつた教員俸給の不払い、遅払いは解消し、爾来この制度は義務教育の支柱となつて来たのでありますが、交付金制度のもとにおける義務教育費では、各府県間の教員の待遇及び定数はますます不均衡となり、全般的に低下の傾向が顯著となつており、また学校の維持運営費は、その多くを父兄の寄付金にたより、施設の内容は著しく未整備であるということであります。第二に、これは交付金の総額の決定が常に政治問題化し、義務教育費が圧迫されるから、交付金制度とは別に、国がこれを補償する制度を確定し、義務教育の妥当な規模と内容を保障し、地方財政の安定をはかる必要がある。第三に、この制度を設けることにより、教職員の給與費は確保され、教材は整備し、百億円に上るPTAの寄付金を解消し、最小の国費をもつて最大の効果を上げることができるというようなところにあつたように思います。 これに対しまして、地方財政委員会の見解は、第一には、義務教育費の問題はその性質にかんがみ、またその沿革に徴しまするも、個々の地方財政制度の問題ではございませんで、総合的な地方財政制度上の問題として解決すべきものであると考えているのであります。かりに、半額について国庫負担金制度をとりましても、残りの半額もまた地方財政上重大な問題でありますから、その問題が解決されない限りにおきましては、やはり依然として義務教育費の問題は解決されないという考え方を持つているものであります。ただ新しい行政や、地方団体が独り立ちで十分こなして行ける段階に立ち至つていない行政について、すなわち十分同化していないような行政につきまして国が補助負担金を交付し、その交付を通じて、国がその地方行政を指導監督し一定の水準まで向上せしめますことは、十分意味のあることであります。またこれが補助負担金制度の本来の目的でもありますけれども、義務教育のごとく、十分地方団体の事務として同化し、地方住民の最も身近な行政として深い関心を寄せているものにつきましては、これに対する国庫負担制度は、特定の地方行政水準の維持向上のための機能よりも、むしろ地方財源供與の手段としての意味の方が大きいのであります。地方住民が非常に関心を寄せているわけでありますから、どの程度の人数の先生を置くべきである、あるいはまた、学校ごとにどの程度の教材を置くべきであるということを、国会の意思をもつて明示いたしますならば、地方住民は、おのおのそれを目標として、義務教育の水準の向上に努めるだろうと思うのであります。地方住民が深い関心を持つておりません行政については、あえて割当負担金の制度をつくらざるを得ないかもしれないと考えるわけであります。現在わが国における諸行政のうち、義務教育のごとく、長い沿革を持ち、しかも早くから全国津々浦々に普及している行政はないのであります。このため義務教育費は、従来常に地方財政上に大きな問題を提起して来たのでありますがその問題のとらえ方は、義務教育行政の水準をいかにして向上せしめるかということよりも、地方財政全般の窮乏をいかに打開して行くかということにおいて行われて来たのであります。 昭和の当初、市町村において負担されておりました教員俸給について、不払い、遅払いの存したことは、指摘される通りでありますが、これは当時の農村不況と地方税財政制度の欠陷とに伴う一つの現象であつたのでありまして、従つて、当時論議された国税である地租及び営業収益税の地方委譲論も、要するに地方団体に財源を與えるべきである、それがために国税を地方に委譲しよう、それによつて自主的にくふうをしながら、あらゆる行政を推進しようと考えたのであります。そのような地方委譲論も、義務教育費全額国庫負担論も、地方財政改善策として論議されたものであります。教育の水準を向上するために、義務教育費の全額を国庫で持とうとしたのではございません。やはり地方財政改善策として論議されたのであります。この両論は、手段こそ異なるのですが、ある意味においては、ひとしく義務教育費問題の解決策であつたのであります。そうして実際にも、当時の不完全な地方財政制度のもとでも、すでに義務教育費国庫下渡金の制度が存したのでおります。しかも財政貧困な団体には、この義務教育費を若干豊富に交付するように運用されたのでありますが、なおかつ教員給料の不払い、遅払いの現象が見られたのであります。しかしながら、その後昭和十一年度から昭和十四年度まで行われた暫定的な地方財政調整制度であります臨時町村財政補給金、あるいは臨時地方財政補給金の設けられることによりまして、初めてこの遅払い、不払いの現象が一掃せられたのであります。それまでは、市町村間、府県間に財源の不均衡がある、その財源の不均衡を調整するような一般的な制度は、わが国には存していなかつたのであります。そこに一つの問題があつたのでありますが、それらの解決策として昭和十一年から、微温的ではありますが、このような制度がとられ始められるようになつてから、遅払い、不払いの問題も解消したのであります。昭和十五年の義務教育費国庫負担法によりまして、この現象が解消したというような御説明があつたようでありますが、それは事実の誤認であると考えております。しかして、昭和十五年の画期的な地方税財政制度の改革は、国税と地方税との税源分離と恒久的な地方財政調整制度の創設を根幹としたのでありまして、両者の欠陷を国費、地方費の負担区分の確立により、補完することをもつてその構想として、多年の懸案を解決し、これによつて地方財政の基盤を確立することができたのであります。この際制定された義務教育費国庫負担法は、この総合的改革の一環として行われたものでありまして、この制度自体がそれだけで独立して、義務教育費の確保や、地方財政の安定にとつて意味を持つたものではないのであります。大体同額程度のものは、すでに昭和十四年ごろにも国が義務教育費国庫下渡金として負担しておつたのであります。なお地方財政平衡交付金制度が、アメリカでは成功したかもしれぬが日本では成功しないものだというふうな若林さんのお話もございましたが、私にはこの意味がまつたく理解できないのであります。ことに地方財政調整の制度を必要とするかしないかといえば、あくまでも必要とするだろうと思うのであります。その中で、もしあらゆる行政費の算定が困難であるといたしますならば——もし義務教育費の算定だけが困難であるならば、これを取出したところであとの問題は依然として解決できないわけであります。義務教育費の問題が、もし算定が困難でありますならば、これを取出して計算を別個にいたしますことによつて、あるいは十分な額を確保できるかもしれませんが、算定の容易なところを取出しましたところで、地方財政の改善にはならないと考えるのであります。いわんや残りました半分は、やはり地方団体自体で負担して行くわけでありますから、この問題が解決されなければ、やはり全体としての義務教育費の解決にはならないわけであります。 二番目に、地方財政平衡交付金制度のもとにおいて、なお一言さしはさんでつけ加えておきたいと思いますが、昭和十五年に設けられました地方財政調整の制度は、いわゆる地方配付税制度であります。この制度においてどのような財政調整の仕方をしたかといいますと、総額の半分は、大体人口に按分したわけであります。あとの半分はある一定の人口を一人当りの課税力——その団体の税収入を人口で除しましたものが課税力であります。ある一定の課税力にその団体の課税力が達しない場合には、その総額を補うような配分の仕方をしたわけであります。非常に荒つぽいやり方で財政調整をして来たわけであります。非常に荒つぽい財政調整の仕方をして参りますと、必ずしも個々の行政について、十分な財源がどの地方団体にも確保されるということには参らないおそれがあるわけであります。そこで、財政調整が荒つぽいだけに、個々の特定の行政運営につきまして、半額国庫負担の制度をとるというようなやり方をして来たわけであります。そこに義務教育費国庫負担制度の意義があつたわけであります。 二に、地方財政平衡交付金制度のもとにおいて、義務教育の水準が低下したとは考えられない。昭和二十五年に行われた地方税財政制度の改革は地方独立税収入を強化するとともに、地方配付税の持つ調整機能を押し進め、非常に荒つぽい財政調整の仕方を一段と押し進めまして、一層徹底して地方財政均衡化の機能を持つ地方財政平衡交付金制度を創設したのであります。先ほど申し上げましたように、財政調整の制度が荒つぽければ、個々の行政につきまして、一部国が負担するというやり方をせざるを得ない。しかしながら、補助金を出しておりますと、あまりにも官僚の権限が強大になり、官僚の官僚による地方自治行政の干渉、支配が行われますので、これを避けようとして、財政調整は、そのかわり緻密な制度をとろうとしたわけであります。従来の地方配付税制度の持つ財政調整機能の補充的な役割に重点が置かれた国費地方費負担区分理論に基く国庫負担金制度の多くは、特殊のものを除き、その存在意義を失い、地方自治行政に対し、不当な干渉、支配を行うという、地方自治にとつては弊害の面のみを持つことになつたので、廃止せらるべくして廃止せられたと考えておるのであります。 しかして、この新しい制度の下において、義務教育費がなおざりにされ、またその水準がはたして低下したかというと、決してそうではないと考えておるわけであります。 まず、地方団体の一般財源のうち、常に四〇%になんなんとする部分が、義務教育教員の給與費に振り向けられておるのであります。 地方教職員の給與は、文部省の調査によれば、国家公務員の教職員の給與よりも、七千九百円ベースにおいて、平均本俸において三百七十五円だけよく待遇されておるということであります。今若林さんから、一般的に低下したという御意見もあつたようでありますが、これは私は事実と違つておると考えておるのであります。しかも、この高とされておる額は、給與改訂に際し、調整を加えることなく、そのまま新給與水準に移行したので、現在では一層国家公務員よりもベースが上つておるだろうと考えております。 地域差が大きくなつたということにつきましては、教員構成のいかんによつて、一概には言えないのであります。正教員が多いかどうかというような問題等いろいろあるわけであります。本来地方職員の給與は、国や他の地方団体の職員給與との均衡のほか、その地域における民間給與の水準との均衡もあわせて考慮して決定せらるべきでありまして、地域的な不均衡があるかいなかは、にわかに断定できる性質のものではないのであります。かつて国庫負担制度のもとにおいて均衡化されていたとするならば、それは国から府県ことの平均給與額を指示することによりまして、悪平等が強行された結果といえないこともないと考えるのでありまして、実質的にはかえつて不均衡であつたかもしれないのであります。すなわち昭和二十三年から、文部大臣が府県ことの義務教育職員の平均給與額を指示したわけであります。指示する場合には、あまり府県間に均衡を失したようなきめ方もしにくいであろうと思います。指示された以上は、大体それに並行して行くのが、当然の傾向だろうと考えておるのであります。その指示が昭和二十五年度からなくなつたわけであります。それにもかかわらず、なおかつ府県間に給與差があつてはならないとするならば、教職員の地方公務員たる身分を国の官吏に切りかえまして、国の官吏でありますならば、文部大臣が一方的におきめになればよろしいと考えるのであります。その場合、はたして現在の勤務地手当の差を設けるだけで、地方ごとの実態に即することが可能であろうか、疑問に思つておるのであります。たとえば青森、岩手と東京都の間におきまして、一般的にいいますと、勤務地手当の差が二五%ございます。このような一般的な差で、はたして適当であろうかどうかということにつきましては、非常に問題があると考えております。 次に教職員数は、兒童または生徒の数を五〇で除して得られた仮の学級一に対しまして、昭和二十四年度、すなわち義務教育費国庫負担制度のありました最後の年度でありますが、小学校は一・三九であります。文部省から指示されておりました数字は一・三五であります。中学校は一・八六でありまして、文部省から指示されておりました数字は一・七であります。それ以前は一・五、一・八でありまして、二十四年度に、引下げるような試みが行われたわけであります。それが昭和二十六年度は、それぞれ一・四二、一・八七となつておるのであります。これを終戰前の小学校について見ますと、昭和六年は一・〇七、十年は一・〇九、十二年は一・一二というふうに、漸次伸びて参つて来ておるのであります。現在は終戰前に比べますと、非常に向上していると考えるのであります。また実学級当りの兒童、生徒数は、昭和二十四年度におきまして、小学校は四四・四人でありまして、中学校は四四・八人でありましたものが、昭和二十六年度におきましては、実学級当りの兒童、生徒数は四四人、四四・八人と、むしろよくなつておるわけであります。さらに教員の質的構成は相当改善され、全般として教育水準は向上こそすれ、決して低下していないと考えておるのであります。この点について、事実についての認識が相違しておるようであります。しかして、これらについて、地域的な不均衡があるということについては、地方々々の種々な条件もあることでありまして、一律に論ずるわけには行きませんし、またかりにこの事実が存するものといたしましても、これについて国が一定の基準を定め、これを明示して教育行政の運営上の明確な資料を與えることに、怠慢であつたといわなければならないのであります。もし地方団体の水準が低下しておるとするならば、維持さるべき水準を国会の議を経て明確に示さるべきであると考えるのであります。 次に、かりに低下したという現象があるとしても、問題は総合的な地方税財政制度の問題として検討すべきであつて、地方税財政制度の一の既存の制度を批判し、ただちにこれにかえて国庫負担制度を導入し、これをもつて教育の水準の維持確保を期待するがごときは、きわめて一方的な見解であると考えるのであります。 義務教育費国庫負担制度の主張は、義務教育について、一般の地方税財政制度とは別に、国がその財源を補償することによつて、義務教育の妥当な規模と内容とを保障することを基調としているのでありますが、この主張は、義務教育費の全額国庫負担制度をとることによつて、初めて貫徹されると考えるのであります。全額国庫負担制度がいいと申し上げているのではありません。その主張はこの制度によつてのみ貫徹されると考えるのであります。義務教育費の地方財政中に占める割合は、非常に高いのでありますから、かりに二分の一を国が負担いたしましても残りの二分の一の地方負担は、地方財政にとつては依然として問題なのであります。従つて、義務教育の確保のためには、国庫負担制度をとるといなとにかかわらず、それが部負担の制度であります限り、地方財政全般の基礎が確立していることが先決なのであります。もし、現行制度により、地方財政が確保されないといたしますならば、地方財政がよつて立つ地方税制と交付金制度そのものを検討すべきでありまして、これを切り離して国庫負担金の制度を設けても、何らの地方財政の改善でもなく、また義務教育費の補償ともならないのであります。いたずらに地方教育行政を政府官僚の統制支配下に置く以外の何ものでもないと考えるのであります。いわんや、教育費の確保により、校舎はできたが、中身の整わない学校に教材を整備し、百億に上るPTAの寄付金を解消し得るような効果は、この負担制度からは期待し得ないと考えるのであります。戰いに敗れましてから間もなく、六・三制新教育制度が採用されまして、全国の津々浦々に、国と市町村との折半負担によつて、新制中学校が建設されることになつたのでありますが、その際にこそ、国庫負担金を豊富潤沢に交付して、これが整備充実を期すべきでありましたものを、あるいはきわめて不十分にしか交付せず、あるいは交付せずしてこれを既存の地方団体の財政力にゆだねたことに、施設の内容は不均衡となり、あるいはPTA負担の増高を招来せしめた原因が存するのであります。新制中学の建設費は、市町村と国とが二分のずつを負担し合うことになつておつたのであります。しかしながら、その基準でありますところの生徒一人当り〇・七坪の基準が、あまりにも小さ過ぎるのであります。また地方団体としては、学校を建設しなければならなくても、国の出し分が非常に遅れて来るという関係があつたのでありまして、もし新制中学の整備の有無が言われるならば、むしろ二分の一国庫負担制度が確実に履行されなかつたところにあるのではないか。市町村としましては、それ以上の努力を払つたことは、私はだれにも了解していただけるのだろうと考えているのであります。市町村に二分の一負担をゆだねたから悪かつたのではないのでございまして、二分の一負担を国が十分に履行しなかつたところに、問題があるのではなかろうかということを考えるのであります。新制中学を建設する、義務教育をやるということは、地方住民にとりましては、非常な関心事でありまして、あとう限りこれをよくしたいと努力しているものであろうと考えるのであります。PTAの負担を解消することは、従来国及び地方の財政外に処理されていた公費負担が、正規に地方財政の中に取入れられることにほかならないのでありまして、この百億円に上るというPTA寄付金相当額は、地方財源にそれだけ追加しなければならない。その財源の捻出は、結局国税または地方税の増徴か、あるいは他の国費または地方費の圧縮かに求めるよりほかはないのでありまして、單に教材費に対しまして国庫負担金を交付するがごときで解決できる底の問題ではないと考えるのであります。 なお、国が義務教育費を補償するものといたしまして、地方財政平衡交付金その他おつしやいましたが、私は根本は地方税にあるのだということを申し上げておきたいと思います。地方税のことをおつしやらなかつたようでありますが、府県や市町村が実施すべき行政に要します経費は、原則として一旦国のふところに入れてから、国から地方団体に渡しませんで、その金を使うところの收入に、言いかえれば、府県で使うものは府県税として收入させる、市町村が使うものは市町村税として收入させる。住民は、自分たちの出しました市町村税や府県税の行方を通じまして、行政のあり方を監視し批判する。そこに自治行政を活発ならしめて行きたい、民主政治を確立して行きたいという考え方を持つておるものであります。 第三に、この法案は、国民の租税負担を増加せしめるか、しからずんば、他の地方行政費に不当な圧迫を加えると考えるのであります。中央地方を通ずる財政需要の増高と、国民の租税負担過重の現状とにかんがみまして、租税收入、公債收入等の諸收入は、できるだけ効率的に配分されなければならないことは、いうまでもないと考えるのであります。貧乏な国であれば貧乏な国であるほど、効率的に国民の負担を使つて行かなければならない。最も効率的に使う方法としては、地方財政平衡交付金制度というものが、その意味においても重要な意義を持つておると考えるのであります。しかるに、国庫負担金制度は、一般にこれが運営のための行政事務を増加せしめ、あるいは行政を画一ならしめるために、それぞれ行政事務を増加せしめ、あるいはれ行政費を増加せしめるばかりでなくさらに、この制度の性質上、すべての地方団体に対して交付する必要があるのであります。義務教育の水準を高めようとしますならば、財政力のいかんにかかわらず、地方の団体に交付すべきであると考えるのであります。従つて全体としての地方財源の効率的な配分を阻害するものであります。しかして、これを義務教育費国庫負担制度につきまして、この法案に示されているところによつて見ますと昭和二十八年度における教職員数は、昭和二十六年度に比し四万四千人を増加し、義務教育費の総額は昭和二十七年度地方財政計画額に比しまして、百四十億円を増加せしめるばかりではございませんで、負担金制度を実施し、地方財源の効率的配分を阻害することそれ自体によりまして、七、八十億円にも上る地方財源の増加を要するものと推定されるのであります。国庫負担金の財源及びこのような増加所要財源がいかにして捻出されるかは、全然明らかにされていないのでありますが、もと既定の地方財源に影響を及ぼさないようにするためには、当然この増加所要額相当額の地方財源の追加を要し、それだけ国民の租税負担を増加せしめるものでありまして、もし国民の租税負担の現状にかんがみ、これが増加を避けようといたしますならば、他の地方行政費の財源に圧縮を加えて、所要財源の捻出を行わざるを得ないのでありますが、現在の国民の租税負担は、戰前に比べまして非常に過重であると考えているのであります。 終戰後、地方行財政を混乱せしめた最大の原因は教育制度の改革と、これがための経費の増加及び新制中学校建設費の半額国庫負担制度が地方的必要経費の半額を満たすに至らなかつたことにあつたと考えるのであります。しかしながら、今やようやくにして六・三制新教育制度も安定しようとしていますことは、慶賀にたえないのでありますが、今また教職員の待遇も全きを期していないままに、さらに多数の教職員の増加をはかりますことは、財政の運営に新たなる問題を投げかけることになるのであります。
○竹尾委員長 ちよつと御発言中ですが、微に入り細をうがつて御説明けつこうでございますけれども、相当御説明が長くなるようにも思われますし、質疑の時間の関係がございますので、これは地方行政委員会の委員の諸君にお諮りしなければなりませんが、もう少し簡單に御願いしたらどうかと思いますか、いかがですか。 〔「ここまでやつたんだから続けてやつたらどうだ」「簡單々々」と呼ぶ者あり〕
○奧野説明員 それではなるべく簡單に申し上げます。 第四に、この法案においては、国庫負担金の総額の決定方法のみを定め、その配分方法は明らかにしていないのみならず、さらに、この制度を矛盾なく地方財政制度に導入するための、何らの具体的な配慮が加えられていないということであります。この制度をどうするかということは、地方自治をどのように持つて行くかということと深い関連がございますので、やはり配分制度の内容が非常に重大な意義を持つと考えているのであります。だから、配分方法と一緒でなければ、この問題を検討するわけにはいかないというふうな考え方を持つているわけであります。 第五に、この制度の実施のために、中央地方を通じ、行政事務を増加せしめろということであります。中央地方を通じ、行政事務の簡素化、簡捷化をはかり、行政費を節して国民負担の軽減をはかることは、現下行財政運営の基本方針と考えているのでありますが、この制度実施いたしますためには、第一に、負担金の申請、交付、使途の報告及び監督のため、行政事務は増加し、かつ煩雑となり、第二、地方団体がこの負担金獲得のため、陳情その他に多くの労力と経費とを浪費することは、他の負担金、補助金の例に徴するまでもなく、明らかであります。第三に、負担金の使用状況の監査、監督は、当該地方団体の議会及び監査機関が当るほか——地方自治団体でありますので、監査機関があるわけでございます。——会計検査院と主管行政官庁とが、また別個にそれぞれの立場から行うので、これがために、地方行政事務を澁滞せしめると考えているのであります。 第六に、以上のほか、かりに義務教育費について国庫負担の制度をとるといたしましても、その内容には、いろいろな技術的な欠陷があると考えております。これは技術的な点でありますので、一応遠慮いたしまして、十九ページの第七の点について申し上げます。 現行の地方財政平衡交付金制度の運用により、この法案の持つ種々の欠陷を回避しながら、この法案の究極において企図するところの目的を達成せしめることができると考えるのであります。この法案は、上述のように、いろいろの欠陥を持つているのでありますが、このような法案をあえて成立せしめなければ、その企図する義務教育水準の維持確保がせられないかというと、そうではないと考えるのであります。現行の地方財政平衡交付金制度は、すべての地方団体に対し、それぞれが合理的かつ妥当な水準において、地方行政を行うための財源を保障することを、本来の機能としてもつばかりでなく、その使途を特定せず、従つて使途についての監督を伴わないので、地方自治をそこなうことなく、またその配分は、各地方団体の財政需要に比し、財政收入の不足するところに交付されるのでありますから、国民の租税負担が最も経済的に配分されるわけであります。現在この交付金制度を批判し、国庫負担金制度の復活が主張される主要な原因は、一つには、地方財源が この方法では確保されがたいということと、二つには、国の必要な行政の遂行が保障されないということにあるようであります。しかしながら、一につきましては、交付金制度は、創設後いまだ日浅く、現在完成への過程にある、いわば過渡的な事情にあるために、このような危惧を持たれるのであつて今般單位費用を法定する——行政費を計算いたします基礎は、たとえば人口で測定いたしますものは、人口一人当り何円という額を法律できめることにしているわけであります。引続き算定の要素を法律で定めて行くことになりますので、総額の算定方法はおのずから確定いたして参りまして、各地方団体の毎年度の交付額も予測が可能となつて参りまして、この制度は、いよいよ客観的かつ権威ある基礎の上に立つて、その円滑な運営は十分に期待することができるのであります。二については、今般の改正案中に取入れましたように、国が地方団体にその確保を要請する地方行政の規模と内容とを、法律または政令で定めまして、交付金制度を通じて、その所要財源の確保を保障することといたしますならば、地方自治を侵犯することなく、目的を達成することができるのであります。義務教育費の問題につきましても、地方団体の確保しなければならない行政の規模と内容とを、法律または政令できめられることを期待しているのであります。法律、政令できめられて、やらないということは、この種の行政については、まずなかろうと考えているのであります。由来教育の問題は、地方自治における中心問題であり、地方住民のきわめて関心を寄せているところであつて、このことは、種々の悪条件のもとに、幾多の犠牲を払いながら、新教育制度を曲りなりにも育成整備し来つた成績に顧みても明らかであると思うのであります。しかるにもかかわらず、地方団体において維持すべき教職員の数、教材その他施設の基準を、法律で定めることもなく、ただちに地方自治に対する不信を基調として、中央政府が不必要に国民負担を増加せしめ、あるいは他の地方行政費に圧迫を加えてまで、教育行政に対する地方団体の自主的運営を制約するような国庫負担金制度を創設する必要は、まつたく存しないと考えるのであります。 第八に、昭和二十七年度の地方財政平衡交付金の義務教育費にかかる基準財政需要額の算定方法の特例につきましても、やはり次に掲げておりますような理由で反対であります。これも技術的な問題でございますので、説明を遠慮させていただきます。
○竹尾委員長 質疑に入るに先だちまして、井出一太郎君から議事進行に関して発言を求められております。これた許します。井出一太郎君。
○井出委員 私の発言は議事進行に関連をし、若干質疑の部分もございますから、これについては願わくは委員長からお答えを願いたいと思いますが、場合によつたら提案者からでもけつこうであります。 この法案が竹尾委員長を初めとする與党文部委員十六名の名前をもつて提出せられまして以来、文部委員会においては、数次にわたつて論議を重ねて参つたところであります。本日は地方行政委員会との連合審査会でありますから、でき得るだけ時間を地方行政委員諸君にさきたいと思いますので、きわめて簡單に申し上げてみたいと思います。 この法案の提出にあたつて、野党側に対しては、事後に相談をされるという程度であつて、あらかじめ何ら打合せされるところがございませんでした。しかしながら、その間委員長を初め非常な御努力をせられ、この法案をぜひともものにしたい、こういう信念的な努力を払われたことは、われわれも承知をしておるところでございます。私どもは、これをもつと前進せしめた、いわば憲法に保障された義務教育無償の原則にのつとつて全額国庫負担という線まで望んでおるのであります。しかしながら、現状よりも一歩前進であるという点においてはこの法案に対して協力をするのにやぶさかではないのでございますけれども、文部委員会の審議を通して、その間いろいろといきさつがあつたように仄聞をしておるのでございます。たとえば、與党の内部において、政調会あるいは総務会等において、異論が出て来たというような話も聞いておる。また、ただいま奥野政府委員のるる御説明をせられた地財委の立場というものから見ますれば、まつたくさつきの提案者の御説明に対して、完膚なきまでの反撃を加えておられる、こういうふうにも見えるのでございます。これは一体何たることであるか。與党の委員諸君が共同提案をなされておるこの法案に対して、與党内部の調整がまだできておらない。さらにまた、政府部内においても、文部省はどういう意見を持つておられるか存じませんが、同じ政府の中において、地財委はまつこうからこれに反対をしておられる。あるいは大蔵省もこれに対しては反対だというふうにも聞いておるのであります。その間、手続的に見ましても、あるいは法案の内容を見ましても、どうもはなはだ不完備な点が多いと思うのでございます。こういう点は提案者におかれては一体どう考えておられるか、そうして本日こういつた連合審査会まで持ち込まれたその間の経緯というものは一体どうなつておるか。どうも私どもつんぼさじきに置かれている者から見ますと、まことに奇々怪々でございます。従つて、この法案に対して、委員長あるいは提案者は、どういう信念をお持ちになつているのか。先ほど提案者若林委員は、きわめて力強く提案理由の説明をお述べになられましたけれども、どうもこの空気を見ておりますと、なかなかこの法案は難航しそうな感じがいたします。しかしながら、もしこれが審議未了になるとか、途中において葬られるとかいうことになれば一体提案者であるところの、ここに名を連ねておられる竹尾委員長以下、どういう面目があるのか、そういう場合にどう処置をなさるのか、いかなる信念をもつてこの法案突破のために努力をされようとしておるのか、こういう一連の経過並びに信念のほどを、私はこの連合審査会に入ります冒頭に、委員長並びに提案者からまずもつて伺つて、それから審議に入りたい、かように考える次第であります。
○竹尾委員長 それでは、まず私から一応お答え申し上げます。本義務教育費国庫負担法案につきましては、私自身に対しましても、日を経るに従いまして、いろいろな避難を加えられる度数が多くなつて参つております。委員長は、文部省の課長や局長におだてられてこういう法案に対して努力をしておるのだ。それから、何にも知らない文部委員長や——これは同じことでありますが、何にも知らない文部委員をいろいろに使いまわして、この法案の通過にいろいろ陰で踊つておる者があるこういうような非難がいろいろ私自身に加えられておりますけれども、私はこの義務教育費国庫負担法というものは、いろいろの理由から絶対に義務教育のために必要である、こういう固い信念を持つて私はこの提案に賛成をしたからこそ、提案者の一人になつたのでございます。この法案貫徹のためには、全力を盡しまして努力をするということを申し上げておきます。固い信念を持ちまして、通過させるということを申し上げておきます。 それからいろいろの事情があつたであろうが、こういう連合審査会にまで持込んだのは、どういう理由かというようなお尋ねがございましたが、これはただいま奥野政府委員の説明によつてもおわかりの通り、現実の問題として、こういう政府部内にも反対の意見がある、従いましてそれに関連する地方行政委員会との連合審査をしなかつたならば、これは公平に見て片手落ちである。こういうことを考えまして連合審査会を開くことになりましたのでこれは正しい議事運営の仕方だと私は考えております。 なお、政府與党間のいろいろないきさつというようなお尋ねでありますが、そういう点については、私はどうも答弁が下手でございますので、御納得の行くように、提案者の一人であります若林委員から、ひとつ御説明をお願いしたいと思うのであります。若林委員。
○若林委員 ただいま地財委関係の方から、いろいろな御意見が述べられたのでありますが、御承知のごとく、義務教育費国庫負担に関する大方針という事柄は、この平衡交付金制度が設けられます当時から、すでにこれに関係する御説が起つて来ておつたであります。第一番に平衡交付金制度というものと並んで審議さるべきはずで、すでに閣議を通りました標準義務教育費法というものは、御存じの通り、一旦閣議で決定したのでありますけれども——いろいろな説は聞くのでありますけれども、これが立消えになりまして今日に至つておるのであります。爾来平衡交付金制度の実施に伴いましていろいろな欠陥を見るのでありますので、これは自由党といわず、改進党といわず、社会党といわず、あるいは共産党でさえも、この義務教育費確保という気持には、各党をあげて検討を進めて来られたのであります。單に義務教育費だけに限らず、地方自治財政の確立という面から、太く地方財政付交金制度というものの再検討という声まで起りつつあるときであり、また地方財政委員会の存立自身をも論議せられるようになつたのでありまして、各党をあげまして、この義務教育費国庫負担法というものが論議せられ御検討せられておる姿には、深甚なる敬意をわれわれとしても払つておつたのであります。わが自由党におきましても、この点から文部関係の議員ばかりでなしに、地方行政に熱意を持つておられます各委員、また予算関係全般を見ておられます方同士と、愼重審議を政務調査会において遂げつつあつたのであります。まず最初に検討いたしましたのは、いわゆる教育担当の所管であります文部省から提出されるであろうと思われる法案を骨子として検討をいたしたのでありますが、事務的にながめましても、大蔵省あるいは地財委のただいまの奥野君あたりにもたびたび意見を聽取いたしまして、どうしても文部省案そのままでは提出は困難であろう、またいわゆる妥結は困難であるというので、われわれはこの見通しのもとに、政務調査会におきまして、いわゆるこれの妥協案とでも申しますか、中間案とでも申しますか、お手元に出しましたものが、これならば地方財政委員会の関係の方たちも、あるいは大蔵省といたしましても、協力を願えるだろうという最低線を出して來たわけであります。こういう意味において各党の諸君の御協力を願うことはもう人後に落ちない。特にこの文部省関係の諸法案は、いろいろたくさん出されたのでありますが、ことごとく共産党を除きます各派共同提案の形式をとつておつたのでありまして、今度もぜひそういう立場で進めたいと思つておつたのでありますが、この法案が自由党自体で非常にまとまりがおそかつたがために、各党におかれましても、出て参りました線が義務教育費国庫負担というのではなしに、幼稚園から高等学校の教育までも含めるというような、非常に、何というか、完璧を期した法案が論議されておるときに、非常にもの足りない感じをお持ちくださるだろうと思う、遠慮に遠慮をしておるようなこの法案をもつて各党の間を調整するということは、時間的にもきわめて困難であるということを認めたものでありますので、とりあえず、われわれ自由党の議員のみの名を連ねまして提案の運びに至つたのでありますが、その間提案します事前に、了解を求めて申し上げたような次第なのであります。依然この法案に関しましては、内閣のいわる閣議その他においては、まだ妥結点には達しておりません。過般衆議院の文部委員会の審議の過程において申し上げたのでありますが、国会の意思によつて大蔵省、地財委、その他に対して、国会の意思として強くこれを反映せしめていただいて、妥結の点に到達するように、過般岡野国務相がこれに列席せられて、大同小異、これに対する御意見の大綱が述べられたのでありますが、一応立場からは述べるけれども、国会の意思と御決定があるなれば、欣然これに同調をして行く意思でありますと述べられておるのであります。この地財委、大蔵省あるいは文部省、この三者が、まず井出さんの先ほどの表現から申し上げますならば、しのぎを削つてこれに対する抗争が続けられておるようにも言われると思うのでありますが、これは、單なるセクシヨナリズムにあらずして、自己の職責に熱心なる余り、そういうような行動に現われて来るのでありまして、おそらく閣議でも、円満な妥結は私は至難であると思うのであります。ここで国会の意思を表明せられまして、国会の意思は行政府がこれを行うのは当然のことでありますので、そういう意味において、この法案が提出されました。皆様方の御協力を得ることになつておるのであります。 なおわが自由党といたしましては、これは單なる文部関係の者の法案ではございません、自由党が命をかけての法案でございまして、いろいろな点から、御検討はあると思うのでありますけれども、わが党といたしましては、自由党の文部関係の者の法案では断じてないのでありまして、政調において作成をしましたところの法案でございますので、自由党の内部におきましては、一応内輪ではいろいろな意見は述べられましようとも、表面に対しましては、全面的支持を受けておる法案であることを御報告をいたしておきたいと思います。
○井出委員 それでは、これ以上私は言を用いません。ただいま御両者から、その御決意のほどを伺つたわけでございますが、これはある意味において、議員立法の危機とでも申しますか、今後とも議員立法というものに関連をして起るいろいろな問題を包蔵しておるモデル・ケースと申してもよかろうと思います。おそらくまた教育立法としたら、今国会における最大のものであろう、こうも思うのであります。委員長並びに若林委員は、おそらく政治的生命をこれにかけていらつしやる、ただいまの御答弁から私はさように拝察をしております。きわめて重大でございます。どうかひとつその決意を持たれまして、これはあに一自由党の面目などというものじやない、非常に重大であります。そのような意味で目的貫徹に揮身の努力を払われるように希望をいたしまして、私の発言を打切ります。
○小林(進)委員 質問に入る前に、議事進行をお許し願いたいと思います。
○竹尾委員長 時間の関係がございますので、井出君一人にお許しいたしたのでございますが、特に御熱心なお尋ねのようでございますから、小林進君一人だけにお許しいたします。
○小林(進)委員 これは重大な問題でありますので、実は質疑に入る前に、ぜひお許しを願いたいという私のお願いをいれられたので、まことに感謝にたえないのでありますが、実はただいまの財政委員会の一公務員である奥野君の説明をるる承つたのでありますが、私は奥野君の説明は、地方財政委員会の委員長の代理として、委員会の総意を私はお話になるものと思つて謹聽いたしておつたのであります。ところが、そのお話の中に、しばしば、ただいま若林さんのお話に上れば云々というお言葉とともに、私は云々、私としては、あるいは私の意見としては、あるいは私はとかいうように、非常に私が多いのであります。若林さんのお言葉は、これは言葉としてもけつこうでございましよう。その若林さんの言葉の中には、個人若林をさすものではなく、この提案者であります、提案者を代表いたしての公人としての芸林氏左さしていられるものと、私は了承いたしたのでありますけれども、奥野氏の言わるる私という言葉、これはどのように解釈いたしましても、地方財政委員会を代表いたしての私ということには判断できないのでありまして、これはあくまでも奥野氏個人をさしての私と解釈しておるのでございます。これが日本語としての正当なる解釈でございます。それならば、私どもはこの席上で、一奥野個人の意見を聞いていなければならないというような権利も義務もないのでありまして、実にそういう点からいえば、私はこの連合委員会を侮辱するもはなはだしいと思う。特に奥野氏は、私が申し上げるまでもなく、地方財政委員会における義務教育費国庫負担法の反対の最も急先鋒とされて、いわば地方の民衆の反対運動の激発のために、公務員としては相当行き過ぎた行為をしばしば繰返されておるというような風評を、われわれは耳にいたします。そういうことから、この前には、私は名前は具体的に申し上げませんでしたけれども、岡野国務大臣に文部委員会においでを願つて、一公務員が、いわば自分の職場にいて、その立場からかくありたいという意見を述べることはよいけれども、公務員が政治的行動に移つて、地方住民を煽動教唆するがごとき行為があるとすれば、これは破壊活動防止法案第四条第一号に該当しなくちやならぬ重大問題ではないかということを、あえて私は御忠言申し上げておく。そういうような何かすれすれの行き過ぎた行為がある。われわれ国会といたしましては、まさに札つき第一号である。そういう人が、この前岡野さんのときも、岡野国務大臣のうしろにいて、あるいはつついたり、ひつぱつたり、意見を申し述べたりしておられましたが、これは政府委員として、大臣を補佐する当然の行為であろうと思つておつたのであります。ところが、きのうのごときは、実に私という言葉を使われまして氏個人の意見がとうとう一時間有余に及んだ。これはとてもわれわれの耐え得るところではないのでありまして、しかもその発言の中には、しばしばいわゆる公務員を逸脱した政治的発言が多分にあつたということを、私は認めざるを得ないのでありまして、この席でどうして一体個人の意見を述べられたのか、この点を委員長から明確に、私は本人におただし願いたいと思います。そうして、願わくは、こういう汚れた個人意見は困るのであります。どうもむだな時間を費しましたが、野村委員長なり、真に財政委員会を代表する代表者をもつて、私はあらためてこの意見書の説明をお聞きいたしたい、こういうことを委員長から特別よろしくおとりはからい願いたいと思います。
○立花委員 私は奥野君の説明を要求した何がありますので、ちよつと発言したいと思います。私、奥野君に説明を要求いたしました場合に申し上げました言葉は、私ども地方行政委員会といたしましては、地方財政委員会から、たびたび書面で意見書を受取つておる。しかも、これは法律的に確固たる根拠のある書類でございまして、当然私どもは審議しなければいけない。それを受取つておるにつきましては、本日は責任者は来ておりませんが、地方財政委員会の者が参つておりますので、それについての意見をお伺いいたしたい、こういうことを提案したのであります。従つて、代表者の意見という意味で申したのではありません。書類を受取つておりますので、それについて出席しておる地方財政委員会の者の意見を承りたい、こう申しましたので、これは私という言葉が入りましても、あるいはその他の個人的の言葉が入りましても、これはあくまでも地方財政委員会が正当に提出いたしました意見についての、地方財政委員会の政府委員としての御意見だと思いますので、この点で問題はないと思います。
○奧野説明員 議会の応答が不なれなために、いろいろ誤解を起しておりますならば、これは恐縮だと思います。地方財政委員会の意見は、お手元に書面で差上げてありますので、それと食い違つたことは、少しも申し上げなかつたつもりでありますけれども、その意見が地方財政委員会の意見であると、御了承願つておきたいと思います。なお、小林さんから、非常に行き過ぎた行動があるやに聞いておるというふうなお話がございましたが、国会における権威ある論議でございますので、風評だけをおつしやいませんで、具体的に一々指示していただくようにお願いしたいと思います。
○竹尾委員長 もうこの辺でいいでしよう。
○小林(進)委員 もう一問。地方財政委員会のただいまの説明が、この委員会に配付された書類を、いわば代理として私どもに説明されたのならば、私という言葉は一言も出て来るはずはないのであります。しかも、このままを私どもに御説明されたのではないのでありまして、私という言葉で表現せられて、この書類以外に非常に多くの言葉がつけ加えられておるのであります。これがうそであるならば、速記もあることでありますから、はたしてこの配付せられた書類の通りであつたかどうか。あとで速記録でよく比較対照して見ていただきたいと思う。それをもつて、なおかつ私という言葉で多分の言葉をつけ加えておいて、私見一つもなし、これが地方財政委員会のままの言葉であるというがごときは、私どもをつんぼさじきに置くものである。私はまことに言語道断の言い分であると思います。財政委員会の奥野氏の行き過ぎか、行き過ぎでないかということは、私はあらためて証拠をもつてあれします。それは挑戰されるまでもありません、大いにやりたいと思つております。けれども、この説明がどうしても個人の意見でない、財政委員会の委員長のそのままの説明であるということは、私は承服できない。もしそうであるならば、速記録をいま一度つき合せて私は研究いたしたいと思います。
○竹尾委員長 それでは多少時間がございますので、通告順に従いまして質疑を許します。河原伊三郎君。
○河原委員 まずこの法案の経緯、または輪郭、大要について、お伺いいたしたいと思います。この法案につきましては、関係の方面は文部、大蔵、地財委とあるわけでありますが、地財委の方は強裂なる反対をいたしておる。文部省の方面におきましては、必ずしも反応のようではありませんが、また賛成のようでもないようでございます。文部省の態度はいかがでありますか、明確に承りたいと思います。
○田中政府委員 文部省といたしましては、すでに標準義務教育費の問題以来、特に国庫負担については、非常なる関心と熱意と努力を持つて研究をいたして参りました。私どもで用意をいたしました当初の案からいたしますと、先ほども御説明がございましたように、相当の開きはございますけれども、しかし、自由党において関係方面の意見を聞き、そうして大体この線でという案を得て私どもにも御相談がございました。当初の案からいたしますれば、非常に不満な点も、むろんないではございませんけれども、事情を考えます場合に、この案について了承をいたし、なおその実現を望んでおるような現状でございます。
○河原委員 文部当局におかれましては、当初の案と非常なる隔たりのある案であつて、当初の案に比較すれば、はなはだ不満であるが現在においては賛成である。そこで文部省の初めの案というものは、大きな間違いであつた、この案がほんとうに妥当なものである。実情とかいろいいな点からすれば、これがよいのであつて、前の文部省の案は大きな過誤があつた、こういうことをさとられての結果であるか。もしくは文部省に確信がないので、とにかくふらふらしたものであるから、まあまあというので賛成なのか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
○田中政府委員 ただ確信がなく、ふらふらしているという意味ではございません。当初の案についても、私どもは非常な熱意を持つて、その実現を期待はいたしておりますけれども、これはしかし将来にその望みを嘱すべきで、当面現実の問題としてはやむを得ないと考えておる次第でございます。
○河原委員 今の御答弁で、百段の上り段を一段上るということも、目的地へ達する一つというくらいな軽い意味で、反対ではない、やや賛成というふうに了解してよろしいですか。
○田中政府委員 百段の階段の一段と、まことに軽い意味での賛成かというお話でございますが、私どもは現状からいたしますれば、相当な理想への前進でございまして、まことに意義のある、現在の地方教育にとりまして、まことに価値のある案だと考えまして、賛意を表しておる次第でございます。
○河原委員 本案の提案理由の説明によりますと、地方財政の安定の上にも、非常に効果のあるようにうたわれておるのでありますが、具体的にどれほど地方財政にプラスになるか、この点を承りたいと思います。
○若林委員 この例が御納得行けます例になるかどうか、御参考に申してみますと、昨年ベース・アップに伴います義務教育関係の費用は、ベース・アップだけで二百億を増加する算定になつたわけです。これがもし一般平衡交付金制度の中に生かされております半額程度を国庫が負担をするという精神がそのまま数字の上で生きて来るとすれば、義務教育費関係だけで、半額といたしますと百億を平衡交付金で増加するわけでありますが、これが他の一般行政費のベース・アップをも含めまして、わずか五十億の増額であつたということは、すでに各市町村長、地方長官などが、その当時の地方平衡交付金制度の増額を要望いたした中にもはつきりいたしております。もしも、これを平衡交付金の中からこの法案の基準に従いましてわく外に出しておつたとするならば、百億が当然切り離され、他の行政費の面においても増額をされて来ると思うのでありますが、漠然とした、理想的にいえば、まことにいい制度である平衡交付金制度でありますけれども、融通のきく一般行政と、伸縮をあまり許しません義務教育関係の教育費とが、同じようなわく内に入れられておりますために、他の行政費の面においても非常に圧迫が強くなつて来ておる、こういうように私たち考えるのでありまして筋道の立つた教育費で明確にいたしておきますと、これに伴つて他の行政費面におきましても、非常に有利に平衡交付金などの増額が主張できるのではないか、こういうように思うのでありますし、なおこの法案によりますと、学校建築などの起債その他も容易にできるのでありましてまたこの法案をもとといたしまして、地方財政の半ば以上を占めておりますものを確立することによりまして、地方財政の強化をはかつて行くのに、非常にはかりやすいのじやないか。この法案だけで完全を期して行くというわけには行きませんが、この法案を一歩踏み出すことによりまして、他の地方政の強化をはかられる方途が種々講財ぜられる礎になるのではないかという気持がいたしておるのであります。
○河原委員 ペース・アップの問題を、一つの例としてあげられたのでありますが、私の質問の要旨は、そういつた個々の場合でなく、本年度といたしまして、全般的にどれだけのプラスになるかということを尋ねておる次第であります。
○若林委員 これは提案理由の御説明にも申し上げておきましたように、本年度におきましては、教材費の面におきましては、ここに数字に現われておりますだけの地方財政の負担が軽減になると思うのでありますが、すでに予算が通過した今日でございますので、今年度の分については、地財委、大蔵省、その他で算定基準を設けられました分を基礎といたしておりますから、ただ結核療養の教職員につきます分についての増額はありまするけれども、他に対しましては、現在の地方税制あるいは財政を根幹としたところでございますので、さほどの変化はないと思つております。
○河原委員 プラスにはなるが、さほどの変化はない、大したプラスにはならない、かように了解してよいと思いますが、一面国庫の負担は、これによつていかような増になりますか、その額を示していただきたいと思います。
○若林委員 先ほど申しましたように、二十七年度の分については、さほど変化はないわけであります。二十八年度におきましては、総額におきまして六十億ばかりの国庫が負担増加になるわけであります。
○河原委員 地方財政の方にも若干のプラスがある、そして国の方は六十億の負担増になる。そうすれば、実際に教育費の方にまわるものは、六十億から地方財政にプラスの分を引いたものだけが教育費のプラスになる、こういう勘定になるわけであります。そこでこの提案理由の御説明によりますと、いろいろなよいことがうたわれております上に、百億のPTAの寄付金がいらなくなる。そうしますと、その勘定が合わぬのでありますが、その勘定はどういうふうに算出されたのでありますか、その点をお伺いいたします。
○若林委員 教材費九十六億、大体百億の半額を国庫が持つことになつております。これが五十億、だから地方におきましては、PTAその他で負担をいたしておりました分が五十億軽減をされるのであります。それから療養その他の分については、十億増すことになるだろうと思いますが、差引きまして来年度から四十億地方は軽減をされる。それがPTAから出るか、あるいは県、市から出ますか、この間は数字的に出ておりますから、この数字をもつて御了得を願いたいと思います。
○河原委員 私は数字によつてお尋ねしているわけであります。PTAの寄付金は、地方財政のプラスでもマイナスでもありません。地方財政というのは、地方自治団体から支出するものをさすのであります。その面において、国が六十億の負担をして、そこの分から地方財政のプラスになる。そういたしますれば、少くともその六十億は減るわけであります。その減つたものが、一面においてPTAの百億をカバーする、その差金はどこから出て来るかということをお尋ねしているわけであります。
○若林委員 私の説明が下手なのか、御了得が願えないようでありますが、いわゆるPTAで持たないとするならば、これは地方財政で当然持たなければならぬ。場所々々によりまして、PTAが全部持つておるところもありましようし、地方財政でお持ちになつておるところもありましよう。ですから、私どもは全体的にながめて申し上げておるわけでありまして、国から出します分だけは、当然地方の負担が軽減されているものだ、こういう解釈をいたしております。
○河原委員 それではこの提案理由の御説明は、PTAの寄付金というものも、地方公共団体の財政面から出ておりますものも、みそとくそとを一緒にして御勘定になつているものと考えてよろしゆうございますか。
○内藤説明員 ただいまの若林さんの御説明に、ちよつと補足させていただきます。従来のPTAの寄付金が百億——正確に申しますと百六億あつたわけでありますが、そのうち洗つてみますと、四十七億が教材費関係であつたわけであります。そこでこの法案のねらいとしては四十六億を新たに解消するという考え方で、給與費の百分の十が約五十億ございますから、これを新しく国庫が出すことになりますので、PTAの寄付金が解消される、こういう意味でございます。今御質問者のお考えは、何か平衡交付金からこれだけ引抜くのだというふうにも受取れたのですが、そうではございませんで、市町村関係の分は、新しくそこに五十億を国庫が捻出するわけで、いわゆる財政にそれだけプラスになる、こういうことになると思うのであります。
○河原委員 私の質問は、平衡交付金とは関係がないわけでありまして、地方財政の面の負担——足りないものは、平衡交付金の方でもらう町村もありましようし、またもらわない市町村もあると思いますが、とにかく平衡交付金というものに限つての話ではないのであります。個人のふところから任意に寄付されるもの、そうして地方自治団体の当然の負担、すなわち予算を通しての負担というものと混同されてのものかどうかということを尋ねたわけであります。その方はそのくらいにいたしておきまして、一面におきまして、今まで聞いておりましたのでは、平衡交付金をひもつきにしてほしい、どうも平衡交付金で、教育費がどれだけ占めているかわからないままで送られると、そこで地方自治団体の当局では、教育費を食い込んでほかの方にまわすから困る。それで明確に平衡交付金に、教育費はこれだけということを示してほしい、こういう要望をよく聞いたのでありますが、ただいまの御提案理由によりますと、これをはつきりすることによつて地方財政がプラスになる、こういうふうな御説明でありますので、従来の平衡交付金で行つておつた場合に、義務教育費が食われておつたというのは、これは一片の風評であつて、そういうふうなことはなかつた、かように認めてよろしゆうございますか、その点承りたいと思います。
○内藤説明員 私どもは、今日の地方財政の窮乏は、これは国、地方を通ずる財政事情全般にもよることではあると思いますが、一つの大きな原因は、やはり平衡交付金制度に基くものではなかろうかと考えるのであります。平衡交付金は当初千五十億でございましたが、それが現在千二百五十億、わずかに二百億の増加にすぎないのですが、かりに義務教育費国庫負担制度が存続しておるとしますならば、二十五年度に平衡交付金に組み入れた額が、半額で二百五十億あつたわけであります。それが現在では、少くとも九百億ですから、半額で四百五十億、平衡交付金の二百億の増額は、義務教育費の半額国庫負担の増額にひとしい、かように考えられるのであります。そういう意味から、この法案が通過しますならば、地方財政は非常に安定して来るのでなかろうか。地方財政のうちで一番大きな経費は、何といつても義務教育費でございますから、この義務教育費を根本的に解決することによつて、地方財政が非常に身軽になる、そういう意味で安定に資するということを申し上げたわけであります。
○河原委員 義務教育費を、はつきりと国庫が半額負担する、こういうふうになりました場合、地方自治団体と教育関係との間柄の密接さというものが、今までよりは冷たくなるというようなおそれはないと、かようにお考えですか、もしくは、あまりはつきりすることにより、お前さんらかつてにやりなさいというように水くさくなるというお考えですか、その点伺いたいと思う。
○田中政府委員 お話の点につきましては、いろいろ心配をされる向きもあるのでございますが、大体主としては、地方における行政の運営によることが大なるものと考えますけれども、なお制度といたしましても、これを実施いたしました場合に、教育委員会、地方自治当局との間におきまする関係が、御心配のないように円滑に運びますような措置を考えるべきだと思つております。
○竹尾委員長 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとめておきまして、次会は二十六日午前十時より開きたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会