文部委員会 第34号
- 発言数
- 152 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1952/06/16
会議録
○竹尾委員長 これより会議を開きます。 それでは日程を変更いたしまして、義務教育費国庫負担法案を議題といたし、質疑があればこれを許します。 〔「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕 —————————————
○竹尾委員長 ただいま松本七郎君外八名より、委員長の不信任案が提出せられました。本動議は先決問題でありまするし、私の一身上の問題でありますから、退席をいたします。若林理事を委員長代理に指名いたします。 〔委員長退席、若林委員長代理着席〕
○若林委員長代理 松本君より提出されました委員長不信任動議について、提出者の趣旨弁明を求めます。松本七郎君。
○松本(七)委員 竹尾委員長の不信任につきまして、その趣旨を弁明いたしたいと思います。 実は、教育委員会法案が、内閣提出で参議院に最初提出されました。その中には、五月十日で期日の切れる項目を含んでおつたわけでございます。この法案は、すでに参議院で可決されまして、衆議院に一箇月以上も前にまわつて来ておつたのであります。五月十日という期日がありましたので、私どもは特に急いでこれの審議を開始すべきであるという要求を、再三竹尾委員長に要求したのでございます。それにもかかわらず、政府の提案理由さえも求めずに、委員長はこれを議事日程に載せず、放置いたしておつたのであります。私どもが、こういう重要な、期日の少いものについては、すみやかに審議を開始すべしという要求を続けました結果、やつと文部大臣及び政府委員の提案理由の説明が行われましたが、その後この案について、政府原案と反対の意見が、委員長の属しております与党である自由党の中に起つておるということでございました。このこと自体は、議院内閣制の問題を含んだ、いろいろ重要な点がございますが、そういうことはさておきまして、私どもはこの反対意見について質問のしようがない。与党の中から起つた反対意見というものについては、当然これは委員会の議事を円満に進行する責務を持つている委員長が、その反対意見というものを的確に把握しておらなければならない。われわれは、それを委員長に要求いたしましたところが、委員長は、何ら反対意見の根拠というものを知らないということでございます。いやしくも反対意見を述べようとする者が、反対意見がどういうものであるかということがはつきりしないで反対するということは、ナンセンスであります。委員長は、そういう反対意見がどこにあるかということを、的確につかむ重大な責務があるということで、私は委員長に再三申し上げました。私がそれを要求いたしましてから、まだ自分は知らないが、すみやかにその反対論というものをはつきりつかみましようと言つておられましたにかかわらず、その後私が再び委員長に質問申し上げても、これに何らの答弁がなかつたのでございます。 もちろん他の党の内部情勢について、私どもはとやかく申すのではございません。場合によつては、内閣が出した法律案についても、その与党の中から反対意見が出て来ることは、情勢の変化その他で、あり得ることです。しかし、委員会を円満に進行させるためには、その間に立つて、委員長は、もつと積極的にその反対意見の論拠なり、あるいはすみやかに調整のとれるように、あらゆる努力を傾けて行かなければならぬ責務があると思うのであります。そういう点について、私どもの要求には、もちろん努力はされたでございましよう。しかし見るべき成果が少しもあがつておらないのであります。こういう点が、私どもこの国会の権威を保ちながら、文部委員会の権威を保ちながら、法案を審議するについて、竹尾委員長を信任せざる第一の理由でございます。 さらに、こまかいことになりますから、私は多くを申し上げませんが、従来、われわれが不満に思つておりましたのは、竹尾委員長は、議事の運営についての知識と申しますか、あまりに認識が欠けており過ぎる。(「失敬なことを言うな」と呼ぶ者あり)それはわれわれが経験しておるのだ。(「人格者だ」と呼ぶ者あり)人格は確かにりつぱであります。しかし、この委員会の運営についての能力というものを、われわれははなはだ疑うのでございます。(「名委員長だ」と呼ぶ者あり)われわれは疑うのであります。たとえば、文部委員会は、今まで一致協力して、非常に長い審議をしばしば重ねて参りました。終りごろになつて、ある委員が発言を求めると、時間がない場合に、これを許さないで散会するということは、あり得ることである。しかし、そういう場合には、一応発言を求めた者に対して、こうこういうわけだから、きようはもう散会したいということを一言言うべきである。それを、その発言者に対して何ら説明もしないで、いきなり散会を宣するということが、今までしばしばあつたのでございます。そういうやり方では、この重要な法律案の山積しておる今日の委員長としては、われわれは信任することができないのであります。 以上、はなはだ簡単でございますが、不信任の趣旨弁明をいたした次第でございます。
○若林委員長代理 本動議に対する討論の通告がありますので、これを許します。委員長不信任動議に対する賛成討論として小林信一君。
○小林(信)委員 ただいま松本委員から提案されました竹尾委員長不信任の動議に対しまして賛成するものであります。 今、この文部委員会において山積しておりますたくさんな法律案の検討に際しまして、竹尾委員長が、教育そのものをよく理解し、文部委員会の使命というものを重大に考えて今日まで来られたことは、われわれ委員としても、非常に敬意を表するものがあるわけであります。また竹尾委員長の個人的な人格識見というものに対しましては、私たちも今まで非常に尊敬しておつたわけであります。しかし、本委員会におきまして、教育委員会法等一部改正の法律案が上程されますと、これに対しまして、まことに私たち委員として理解の行かない措置が、たくさんにあつたのでございます。まず、これが参議院からまわされましたときには、すでに五月十日で職員団体の問題は期限が切れるというので、全国的に、教育委員会、県会、人事委員会あるいは教職員組合、町村というふうなところに、非常な波瀾を巻き起し、この事態がいかに推移するのか、非常に混乱しておつたのは事実でございます。この法案が一日も早く審議されて、十日までに、たといそれが否決されようとも、可決されようとも、委員会の責任として一日も早く議決されねばならなかつたのでございますが、委員長はこれをいかなる考えであるか、委員長の権限において握りつぶしておつて、この委員会に上程しなかつた。その当時は、委員長がこれを単なる作為でしておるとは、私は判断しなかつたわけでございます。それは、自由党の党内の意見が一致しないという理由で、私たち委員にいろいろ説明があつたので、私は一応それで了解しておつたのでございます。その都度、委員長の申すところでは、必ず善処いたします、二、三日待つてくれという話であつた。それがようやつと、五月十日の期限が過ぎてから委員会に上程されたのでございますが、しかしこのときには、もういろいろ新聞等でも、文部委員会はすでに国民の信頼を失つておるかのような報道が幾多なされておつたし、また私も個人的ではございますが、文部省の官僚諸君と、この点をいろいろ話合いをいたしますときに、文部委員会の存在というものは、——われわれは文部省を相当に支持し、今日の段階におきましては与野党その立場を超越し、文部省を激励して、今日の教育行政を確立しなければならぬという立場でやつておるのでございますが、そうした私たちの立場すらも理解されずに、そこにおられる相良課長等は、君らの働きじやないのだ、もちろん与党、委員長の働きじやない、文部大臣が一生懸命にこうはかつたからこそ、努力したからこそ、ようやつと委員会に上程する運びになつたのだ、その審議も文部大臣が今努力しておるからこういう形になつたので、委員会の働きじやないのだと、一文部官僚からこういうようなそしりさえも受けなければならぬような、非常に情ない状態に追い込まれたということは、やはり委員長がそういう努力をしておつても、その努力が、ほんとうに自分の文部委員長としての重大な責任を自覚しておらなかつた点にあるのではないかと私は思うのでございます。ましてこれが今全国に及ぼしておる影響というものは、非常なものであります。私は憂慮すべき事態だと考えるわけであります。先日より、この委員会の審議は教育委員会法に集中されまして、ようやく本筋に運んで参つたのでございますが、その間におきましても、私は委員長から発言停止を二度まで食い、さらに一昨日の委員会におきましては、重大な問題が論議されておりましたので、私にも発言が許さるべきだと考えておつたのでありますが、これも私の発言寸前において停止をされたような形になつておる。まことに委員長の、この教育委員会法等一部改正法律案につきましての措置というものは、その責任を自覚し、あるいは委員会の使命というものを全うさせるような運びをしてくれなかつた遺憾な点が多々あるのでございます。先日来、文部委員会が、その伝統的な性格を一応破壊されまして、とかく議事が混乱いたしますのは、委員長のかかる自分の責任を真に自覚しない点から来ておるのではないかと、考えざるを得なかつたわけでございます。たまたま本日当然この教育委員会法等の一部改正法律案を審議すべき日程であるにもかかわらず、急遽予定を変更して、あえて義務教育費国庫負担法に審議をかえようとする、これは今までの委員長の責任をいよいよ忘れ、委員会を無視する態度としか考えられないのでございます。これは私たち野党の立場ばかりでなく、与党の諸君におきましても、これに対しては相当な御批判があると思うのであります。かかる意味から、松本委員の提案されました竹尾委員長に対する不信任案は私は、委員長個人につきましては、まことに忍びないものを感ずるのでございますが、しかし教育行政の重大なこの段階におきまして、委員長の責任を果すことができないという確信のもとに、私はこの動議に対しまして賛成の意を表するものであります。
○若林委員長代理 圓谷光衞君。
○圓谷委員 ただいま松本委員並びに小林君より、委員長不信任の提案理由として、委員長が教育委員会法等の一部改正の提案を故意に遅らせたかのごとき理由を述べられたのでありますが、諸君は、いやしくも政党政治に関係しているのであるから、政党の内部は御承知のことと思うのであります。この法案が五月六日に提案された場合の党内の事情は、政調会においてもまとまつておらなかつたし、さらに総務会へは、この法案は一度もかかつておらなかつた。しかも、文部省はどういう考えであつたか、参議院にこれを突如として出した。なるほど、閣議は通つたでございましよう。ところが、参議院は、わずか十分かそこらでこの法案を通して、衆議院に向つて、十日でこの法案が切れるから、すぐにこれを通してくれということを参議院から申入れがあつた。しかし、これはすでにこの委員会も発足いたしまして、委員会の本則としては、各末端の市町村まで置かなければならぬと規定してある。延ばすことこれで三回、はたしてこれが国家のため、また文教政策のために、この法案をまた再び三たび延ばす方がいいか、そういうことについて、われわれはほんとうに慎重に審議しておつたために、委員長は誠意をもつてこれを上程しようとしても、委員長の職責として党内をまとめなければならない。この点を御了解願いたい。 もう一つの問題は、この委員会法なるものが、教職員特例法案と一緒に出て来た。これは別個の法律であつて、一つは五月十日に切れる法案であり、委員会法は十月十日まで、これはまだ幾らも時間はある。これを何ゆえに一緒に持つて来たか、ここにわれわれは疑義を持つている。(「不可分のものだ。」と呼ぶ者あり)たとい不可分の関係にあつても、別個のものである。しかも、違うものを一つの法案の中に盛り込んで、しかも参議院先議をなぜやつたか。衆議院に先に提案すべきである。審議の遅れた事情もそこにある。 しかも、小林君も言う通り委員長は実にりつぱな委員長であるとほめておる。単にこの法案を上提するかしないかによつて、この委員長を不信任することは、私は野党の諸君にもう少し雅量と誠意を持つてもらいたい。私は自由党を代表いたしまして、絶対この名委員長を支持するものであります。
○若林委員長代理 坂本泰良君。
○坂本(泰)委員 ただいま提案になつております委員長不信任案に対して、賛成の意見を述べたいと存ずるのであります。 ただいま自由党委員圓谷氏は、本法案が五月六日に提出されたときは、自由党の党議がまとまつていなかつた。まとまつていない先に参議院に出して、衆議院にまわつて来たのだから、本法案が委員会に付託されても審議が遅れた、こういうことを言われたのであります。しかるに、本法案は五月六日に参議院に提出されまして、翌七日に、自由党も含めて全会一致でこれが通過をいたしまして、しかして衆議院に送付されたところの法案であるのであります。従つて、この法案が、自由党内部において、当時意見がまとまつていなかつたから、この審議が遅れたということは、その理由にならないと存ずるのであります。この法案が衆議院におきまして、本文部委員会における審議が遅れましたのは、自由党内部が、五月七日には、うつかりかもしれませんが、いやしくも天下の公党であり、二百八十名を擁しておる自由党が、まとまつていないということは、参議院で賛成しておる事実から見て、公党の面目上いえるものではないと確信をいたすものであります。従つて、かように解するならば、五月七日当時は、自由党においても賛成であつたけれども、その後の党利党略その他の関係から、百八十度の転回をいたしまして、これに対して異論が生じた。これは一般に言われておりますが、一般に言われることを、私は正当であると信ぜざるを得ないのであります。従つて、この教育委員会法の、十一月までに市町村に教育委員会をつくるというようなことは、客観情勢上、また事実上、あり得ないことであります。従つて一年間延期をする、しかも参議院では賛成をしておつた。どうしてこれに自由党が躊躇をし、悪辣な遷延策を講じておるかというと、教員組合に対する対策を考えるからであります。圓谷氏は先ほど、この教員組合の特例法の一年延期が、委員会法の一年延期と一緒になつておるから、われわれは賛成できないと申されましたが、この教育委員会と教職員特例法によるところの府県を主体とする教職員組合とは、地方公務員法が昨年制定されたときの関係からして、不可分の関係にあるのであります。従つて、内閣においてこの点を一緒に延期に持つて参つたのは正当であります。従つて、自由党の方におきまして、この教員組合に五月十日以後は法的の根拠を与えないために、しかして近く控える総選挙に際して、この教員組合に恐れをなしたかどうか知りませんが、その教員組合の団体交渉権その他の組織体を弱めんがためになした陰謀であると考えざるを得ないのであります。かような点からして、自由党の内部における関係から、委員長はこの法案を文部委員会の審議にかけることができなかつたという状態にあるのであります。われわれはこの法案につきまして、自由党の内部に対する批判はできないのであります。従つて、われわれがここに委員長に対して強力にこの上程を迫り、この審議を早くやり、そしてこれを終結いたしたいと望んでいるにかかわらず、自由党の私的の力によつて委員長の権限が弱められておる。しかしながら、委員長がこれを押えて、公平無私に、はえあるこの衆議院の文部委員会の運行ができということでは、われわれはこの委員ない長のもとに審議をやることは絶対にできないのであります。 また自由党の諸君は、一昨日からようやく内容についての審議を始めたのであります。しかしてその言うところは、すべて教職員組合に対するいろいろな問題にあるのでありまして、教育委員会法をいかにしてやるか、いかなる運用において日本の文教対策を確立するかという大方針は、少しもないのであります。われわれは、日本の文教政策は、政党政派を超越して、真に日本の国情に沿う文教対策を確立しなければならぬ、いやしくも一党の党利党略によつてこれを云々せらるべきではない、かような立場において、われわれは真にこの教育委員会法と義務教育費国庫負担法の問題については、重大なる決意をもつてこの委員会に臨んでおるのであります。従つて、五月十日にこの法案は衆議院を通過しまして、来年の五月までにりつぱなるところの教育委員会をつくりまして、そうして日本の文教振作をやらなければならない客観情勢がここにある。一昨日の文部大臣の私に対する答弁におきましても、文部委員会のこの区域の問題、 〔若林委員長代理退席、岡(延)委員長代理着席〕 それから文部委員会の構成の問題、こういう問題についても、教育審議会の議を経て、そうして独立後のりつぱな日本の文教対策を確立するために一年間延ばすんだということを、一昨日答弁になつたことは、自由党の委員の各位もよくお聞きのことと存ずるのであります。 かような情勢にありますところのこの法案において、もう一つつけ加えますならば、天野文部大臣は、内閣の全部の賛成によつてこの法案を提出をしておる。しかして、この法案の審議が遅れておるから、吉田総理大臣にもその促進方をお願いした。従つて、現在も閣僚のうち一人もこれに対して反対の方はないということを、本委員会において天野大臣が答弁をいたされておるのであります。かような情勢にありますところのこの法案を、本日審議をせずして、義務教育費国庫負担法案に対して自由党の骨抜きの修正案が出たからといつて、これをきようやろうとこの法案をあとまわしにしようという委員長は、何と申しましても、われわれは信任できないのであります。
○岡(延)委員長代理 若林義孝君。
○若林委員 委員長が義務教育費国庫負担法案を上程することを宣言せられました瞬間、間髪を入れず、委員長不信任の動議が提出せられたのであります。また各委員のこれに関するところの賛成討論が出たのであります。私、謙虚な気持で、各賛成討論を拝聴いたしておつたのでありまして、委員各位の御心情は十分わかるのでございます。なお圓谷委員から、これに対する反対討論がございましたが、また圓谷委員の委員長信任に対する真情をるる述べられましたことにも、おそらく野党のこの不信任案を提出されました委員各位といえども、首肯せられるところだと考えるのであります。 しかし、考えてみますのに、委員長が教育委員会法の改正案を今日だけあとにまわしたのでありましてこ今日の議題としては、義務教育費国庫負担法案を上程するという決意に基いたわけである。義務教育費国庫負担法案は、野党の諸君も、すでに修正案を提出せられておるごとく、刻下の急務である。教育委員会法の改正も必要であり、相当輿論も関心を持つておる法案でありますが、それと劣らざるところの関心を寄せられておるところの法案がこの義務教育費国庫負担法である。しかも会期は迫つておるとき、教育委員会法は衆議院において議決するならば、ただちにできるわけであります。義務教育費国庫負担法案は、これから参議院へまわして、参議院でも慎重審議を願わなければならぬ重要なる法案であるとするならば、委員長としては、当然ここに義務教育費国庫負担法案が野党諸君の協力を得つつ——正面反対はせられるかもしれません。与党の中にでも、今日提出せられようとする修正案のごときは、だれ人といえども満足はしておられぬと思うのでありますが、とにかく義務教育費国庫負担法については、歴史的に一歩を踏み出す大法案であるのでありまして、これを一刻も早く上程をして参議院にまわすというこの委員長の御真情こそ、文化国家として日本が発足しようとするとき、私はとるべき当然の態度であると考えるのであります。また日ごろ私的におつき合いになつておるときにでも、委員長は、私たち大勢おつき合いを申し上げておるのでありますが、決して今日野党諸君から不信任案を提出せられるような方ではないのでありまして、おそらく野党の諸君も、不本意ながら、いわゆる党できめられました、教育委員会法案を先にやつて、そうして義務教育費国庫負担法案をあとにまわすと言うならば、義務教育費国庫負担法案の結論を早く出すだろう、結論が党で出ないのを促進してくださる御好意ある心持から、教育委員会法案を先へという意味の態度であろうと思うのであります。決して心からの不信任にあらずして、義務教育費国庫負担法案を早く上程するということの御好意からの不信任であると私は考えるのであります。 いずれにいたしましても、この義務教育費国庫負担法案あるいは教育委員会法案にいか渾身の力をそれぞれ注いで参つたかということは、与野党ひとしく委員長に対して敬意を表しつつ感謝しておるところでございます。私は今日この誠意ある上程ぶりに対して、不信任を出された野党の諸君の教育を思う真心にも、限りなき敬意を表するのでありますが、まあ私たちとして、義務教育費国庫負担法案が、今申しましたように一刻を争うものでありますので、私たちは今日まで委員長のおとりになりました事柄は、信任の理由にこそなれ、不信任の理由には何らならないことを明言いたしまして、ただいま御提出の委員長不信任案に対しまして絶対反対、委員長絶対信任の意思を表明する次第でございます。
○田渕委員 議事進行について——委員長不信任の動議が出されまして、野党からも賛成の討論があり、与党からも反対の討論が終つたのであります。この際ただいま若林委員も言われました通り、参議院に送り込んで法案を会期中に成立させようとするならば、一秒一刻を争う問題であります。討論は十分尽きておりますから、ここで討論を打切り、ただちにこの動議を採決されんことを望みます。 〔岡(延)委員長代理退席、若林委 員長代理着席〕
○若林委員長代理 ただいま田淵委員より、討論打切りの動議が出ております。これを採決いたします。取上げるに御異議ございませんか。 〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長代理 賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○若林委員長代理 よつて討論は打切られました。 ただちに委員長不信任の採決をいたします。委員長……。 ただいま渡部義通委員より若林委員長代理を信任せずという動議が出ておりますが、若林委員長代理は委員長竹尾弌君の不信任案を処理するの権限を与えられております。 ただちに委員長竹尾弌君の不信任に対する……(「違う」「そうだ」と呼びその他発言するものあり)動議を採決いたします。(「違う」と呼び、その他発言する者あり)賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 〔「違う違う」「無効だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○若林委員長代理 起立少数。よつて……。 〔「権限なし」と呼びその他発言する者多し〕
○若林委員長代理 暫時休憩をいたします。 午後三時三十二分休憩 ————◇————— 午後三時四十四分開議
○若林委員長代理 開会いたします。 ただいま渡部君より、委員長代理不信任の動議が提出されました。本動議は先決問題でありますが、すでに委員長不信任の動議が提出せられ、本動議が先決問題でありますので、この松本君の委員長不信任の動議を採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○若林委員長代理 起立少数。よつて竹尾弌君の不信任の動議は否決されました。(拍手) 〔若林委員長代理退席、委員長着席〕 —————————————
○竹尾委員長 義務教育費国庫負担法案を議題とし、審査を進めることに決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつて本案を議題に供するに決せられました。 本案の審議を進めます。質疑のある方はこれを許します。 質疑がないものと認めまして、質疑を打切るに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹尾委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は打切られることに決しました。 小林信一君外七名より、野党(共産党を除く)各派を代表して修正案が提出せられております。また若林義孝君より修正案がそれぞれ提出せられております。 これより修正案について趣旨弁明を求めます。松本七郎君。 —————————————
○松本(七)委員 義務教育費国庫負担法案につきまして、ただいま委員長から申されましたように、われわれ修正案を提出いたしましたので、その趣旨弁明を私よりいたしたいと思います。たいへん長くなりますので、なるべく要点だけにとどめたいと存じます。その内容はこのまま速記録にとどめていただくことにいたしまして、私は要点をかいつまんで申し上げたいと思いますが、案を読み上げることは省略さしていただきます。私どもがこの義務教育費国庫負担法案の審議にあたりましてとつて参りました態度は、せつかくこういつた何とかして義務教育費を確保して行こうという趣旨から、できるだけこういうものが大幅に認められるという観点から、少々不満はありましても、早くこういうものを成立させたいという希望であつたわけでございます。そういう観点からわざわざ地方行政委員会とも連合審査をいたしますし、それから提案者に対しては、詳細にわたつた質疑応答を繰返して来たわけでございまして、その提案者の意向というものもよくわかつたのであります。ただ今日までの審議の経過からいたしますと、先ほど委員長も申されましたように、提出者自身から再び修正案が出されたわけでございます。その修正案についても、われわれはこの義務教育費を何らかの形で確保する、一歩前進の姿を少しでも現わすことに、できるだけの協力をしたいという気持であつたのでございますが、提案者のお言葉を——非公式なお言葉ですが、卵のきみ、しろみをすつてしまつて、からだけのものができそうだというお言葉もありましたので、われわれとしては、そうい言うふうな結末につくのであるならば、これは残念ながら認めるわけにいかない。この際もう少し徹底したものを出したいということで、研究を進めて参つてできたのが、ただいま提出いたしました修正案なのでございます。 この修正案のおもな点は、まずこの原案では義務教育費だけに限つておるわけでございますが、私どもは、やはり高等学校、幼稚園を含んだところの教育費を、できるだけ国庫で負担して行こう、この点がかわつておるわけでございます。それら対象となりますところの教育費が、原案では入つておりませんが、私どもは、どうしても義務教育の無償促進という建前から、教科書、給食費、そういうものをこれに含めて行こうという考えに基いておるわけでございます。それから国の負担金につきましても、原案では二分の一になつておりましたが、私どもは無償促進費は、もちろん読んで字のごとくこれは全額でございますが、その他のものにつきましても、五分の四だけの負担をしようというわけでございます。その他教職員の給与費の問題、そういう点につきましても、科学的に検討した根拠に基きまして、それぞれ相当大幅な修正を試みたわけでございます。その他校長あるいは養護教諭、こういう者はどんな小さな学校でも、一人は必ずいなければならない。そういう今の学校教育の実情に即した修正を試みたわけでございます。給与単価につきましても、やはり現在の実際の給与を下まわらないように、そうして現在の諸情勢に適応できるような根拠に基いてこれをきめるべきであるという観点から、修正をいたしておるわけでございます。 大体おもな項目だけをあげますれば、そういう点に尽きるのでございますが、あとこまかいところは、お手元に差上げてございます案文についてごらんをいただきたい。なおそれについてのいろいろ御疑念がございますならば、御質問をいただきまして、お答えさせていただくことにしたいと思いますが、私どものこの真意を御了解くださいまして、多数御賛成くださらんことをお願いいたしまして、私の趣旨弁明を終る次第でございます。
○竹尾委員長 次に若林義孝君より提出されました修正案の趣旨弁明を求めます。若林義孝君。 —————————————
○若林委員 ただいま上程にたりました義務教育費国庫負担法案に対する修正案につきまして、その骨子及び提案理由を御説明申し上げます。 案文はお手元に差出したようなものでありますが、速記録にとどめていただいて、朗読を省略いたしたいと思います。 まず第一に、憲法上の重要な国民の権利であり義務である義務教育について、国が明確にその財政上の責任を負うという大原則にのつとり、国は、各都道府県の教職員給与費について、その実際の支出額の二分の一を負担する趣旨を明らかにいたしております。なお、この場合、国が各都道府県の教職員給与費について無制限に半額を負担することが、財政上困難な場合も予想されますので、都道府県ごとの国庫負担額の最高限度は政令で定めることができることにしたのであります。 第二に、教材費につきましては、これが従来の国庫負担制度にかつてなかつた新しい構想でありますので、国家財政との調整をはかる必要もあり、今回は国がその一部を負担するという原則を明らかにするにとどめ、児童、生徒一人当りの国の負担額その他その配分に関し必要な事項は、政令に譲つたのであります。第三に、学校の校舎の建設事業費並びに戰災及び災害復旧費につきましては、別に措置することとし、この法案からは一応除くことにいたしたのであります。 第四に、この法案の施行期日につきましては、地方税制度の改正が予想されておりますので、昭和二十八年度を目標としてはおりますが、地方税制度の改正とも関連するという意味で、一応政令で定めることとしたのであります。 第五に、昭和二十七年度における義務教育費の算定基準に関する平衡交付金法の特例は、削除することにいたしました。 以上がこの修正案の骨子でありますが、難航を続けた義務教育費国庫負担法案は、関係各省の意見が十分調整されなかつた点もあり、今回はこの程度にとどめ、他日を期してその完成に邁進したいと考える次第であります。なお、この程度の案では、御不満もあることとは思いますが、この際教育財政確立への第一歩を築いたものとして教育史上画期的な意義を有するものと考えるのであります。各位におかれましては、これらの事情を十分御賢察の上、何とぞこの修正案に御賛成くださるようお願いいたします。
○竹尾委員長 ただいまの両修正案につきまして、質疑の通告がありますので、これを許します。
○小林(信)委員 議事進行について……。今野党の方からも、この内容につきまして非常に検討した修正案が出たわけであります。さらに与党の方からも、提案者が再び修正案の提案者になつて出られたわけでありますが、これもまた内容に非常に大きな動揺があるのでありまして、われわれはここですぐに審議に入ることは、内容等から検討いたしまして、非常にむずかしいのであります。よつて、本日はこれで打切りにして、十分今晩勉強させていただいて審議に入つていただきたい。これは与党の諸君の、われわれの提出しました修正案をごらんになるとわかりますように、非常に複雑なものであります。以上の点からして、ぜひとも審議は明日に移されるようにお願いいたします。
○竹尾委員長 ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○竹尾委員長 速記を始めて。 ただいまの議事進行の発言は正式の動議として採決いたします。 ただいま提出されました小林信一君の動議、すなわちもう一日延ばしてもらいたいという動議に対して反対の方は御起立を願います。 〔反対者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつてただいま小林信一君より提出されました動議は否決されました。 本修正案に対する質疑の通管がございますので、これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 若林委員から御説明になりました修正案は、教職員給与費の国庫負担額の最高限度を、政令で定めるというお話であります。またそういうふうになつておるのでございますが、政令でそういうものを定めるというのは、一体どういう程度のことを考えておられるのか、政令でどの程度のものを定めようとされるのか、そのお気持を伺いたい。
○若林委員 原案におきましては、すでに御存じの通り、平衡交付金の制度の精神にのつとつて配分をするという精神であつたのであります。修正案におきましては、提案理由の説明にも申しましたように、地方税制度の改革が予想せられておりますので、その予想せられておりますところにかんがみまして、平衡交付金制度の精神による配分によらずして、全額の二分の一を各府県平等に現在の実情から二分の一を下まわらないという精神で配分をしようとするものでありまして、それはただいま申し上げましたように、地方税制度の改革とにらみ合う必要がありますので、政令に譲つた次第であります。
○岡(延)委員 議事進行について、誤解のないように皆様の心構えとして申し上げます。と申しますのは、この修正案の提出というものは、法案に対する質疑が終つたあとで持ち出すのが普通でございまして、これに対する質疑というのは、きわめて異例でございます。修正案が出た場合に、修正案に対して質疑することができるということの消極的規定がある次第でございます。でございますから、この修正案に対して質疑を行うということそのこと自体が、われわれが多数でもつて横暴にやるというようなことを言われますけれども、非常に民主的な運営をやつているということの証拠でございますから、そういう心構えのもとに質疑を続けていただきたい。
○松本(七)委員 最高限度を政令で定める場合に、どの程度のものを御希望されておるかということであります。
○若林委員 現在やつております各都道府県の実績を中心として、二分の一ということを予想いたしております。
○松本(七)委員 そうすると、現在の各都道府県の実績を下まわらないようにその最高限度をきめる、こういう意味ですか。
○若林委員 さようでございます。
○松本(七)委員 そうしますと、非常に高いところがあるわけですね。その最高限度をそこできめて、ずつと低いところはうんと引上げられるということになりますか。
○若林委員 地方の自主性にかんがみまして、その地方の実情を根拠に入れて考慮されると思います。
○松本(七)委員 そこで、その最高限度を高いものできめた場合に、低いところは、うんと引上げられることになるかという点を聞きたいのです。
○若林委員 引上げることは可能であります。
○松本(七)委員 それからこの修正案によると、施行期日を政令で定めることになつておりますが、政令で施行期日をきめると、いつになつて実現するか、さつぱりわからぬという不安が非常にありますが、その点はどうですか。
○若林委員 提案理由の説明にもございますように、二十八年度を目ざしているのでございますが、地方税制の改革が予想せられ、これが実現を見ることと相伴うて行われることと思います。しかし極力二十八年度から実施するという気持で政令で定めるということになつております。事実その根拠となります地方税制改革が相伴うて想定せられておりますので、ここに「政令で定める。」としたのであります。
○松本(七)委員 そうしますと、地方税制改革の結末がつくまでは、実施の見込みはないというふうに考えていいのですね。
○若林委員 逆に行きますならば、そういうように御解釈になると思いますが、政府といたしましては、二十八年度を目ざしまして地方税制改革の準備を整えておりますので、それと相伴うて行くことになつております。
○松本(七)委員 政府がそういう計画であるならば、原案通り二十八年度からこれをやると、はつきり指定するのが、ほんとうじやないかと思うのです。
○若林委員 それと相伴うことを精神といたしまして、提案者といたしましては、今日この案をまとめますのに、相当苦心をいたしたのでありますが、この案が円満なる妥結を見ます上の一つの手段としてこの表現方法をとることが賢明なりと心得ましたので「政令で定める。」といたしたのであります。
○竹尾委員長 次に、渡部君。
○渡部委員 第一に給与の実績の二分の一を国家が負担するということが、最高限度が政令によつて規定されてしまうことによつて、実際上規定されることがあり得るというのは、地方において義務教育の内容の充実をはかる場合に必要な経費を支出した場合に、国家が最高限度を規定してしまつているならば、その充実を地方的に強化することが不可能になりはしないか、この点をどういうふうに考えておられるか。
○若林委員 今日行つております実質というものを、基本として考えておるのでありますが、各地方とのバランスもあり、また他の公務員とのバランスもあると思いますので、これだけを特異に取扱うことには行かぬと思うのでありますが、とにかく一応国家の財政力というものとにらみ合せまして、無制限にこれを認めるということは、他の貧弱町村への影響するところもあるのでありますから、その妥当な線を政令で定めるというのであります。しかしながら、他の同じ地方におきまする公務員とのバランスもあると考えますので、それらとにらみ合せて、妥当な線をもつて政令で定めるということになると思うのであります。従つて御懸念になるようなことはないと考えております。
○渡部委員 原案との差異は、最高限度を政令で定めるという点にあるわけですが、なぜこういうふうに原案を改正する必要があるのか、この点についての修正案提出者の御意見を伺いたい。
○若林委員 原案におきましては、ひとまず平衡交付金の精神を生かす、それに基礎を置くという配分の方法であつたのでありますが、これに対しては、現在におきましても、平衡交付金全体に対しまして相当の論議があるのであります。中央集権その他の懸念を抱かされるおそれがあるのでありますが、今度の修正案におきましては、実支出の二分の一ということになつておりますので、中央において政治的な勘案が加わりにくい行き方にかえて参つた次第であります。
○渡部委員 教材費の点でありますが、教材費が、原案では教員給与費の十分の一というふうに算定されているが、今度の修正案においては、算定の標準がいろいろかわつているばかりでなくて「一部を負担する」というふうに、漠然とした形で出ておるところに、教材費の支出を自由に加減する余地が残されておる。そうであつては、せつかく教材費を確保しようという原案の趣旨が、この場合非常に弱められてしまう。なぜ原案の根拠が失われて、新しい修正案が提出されなければならなかつたのか。同じ提案者が、どういう考えの変化から、こういうふうに内容を修正されたのか、この点をお伺いしたい。
○若林委員 原案におきましては、教職員給与費の十分の一を教材費に充て、その二分の一を国庫が負担するという精神になつておつたのは御承知の通りでありますが、これは各方面に相当難点があつたのであります。しかし現在の実績から考えまして、昨年、また一昨年の実績から考えまして、ちようど今日充てられております教材費の率が、給与費の十分の一に該当するものでありますから、算定方式をさようにとつた次第なのであります。ところが、これに対する異論が相当ございます。ベース・アップその他によつて、相当これを上昇して参りまして国家の財政の現状から考えまして、非常に危惧の念を抱く方面もあるのであります。そこで大体三分の一、いわゆる三十億を下らざる程度においてこれを算定する基礎を定める、こういう精神がこの修正案に盛つた精神でございまして、大体平均いたしまして児童、生徒一人当り二百円を想定いたしますと三十二、三億になるということになるのであります。これはまだ厳密な計数は出ておりませんが、大体三分の一を下らざる限度という見通しのもとで、修正案ができておる次第でございます。
○渡部委員 今説明された内容が、すなわち教材費の三分の一、三十億を下らざるものを基礎とするということが政令によつて確保されるという保障はありますか。
○若林委員 十分折衝をいたして、見通しはついております。
○渡部委員 次に、校舎の建築費及び復旧費でありますが、これが原案では、起債によるということになつておるのに、ここでは単に別に措置するということになつておるが、別に措置するということはどういう方法によつて措置するのか。またそれが措置された結果が、原案において法律的に規定された結果と、効力において同じような内容が実現されておるのかどうかという点についての見解を承りたい。
○若林委員 これは、地方財政法の起債の部面におきまして、十分原案に盛り込まれました精神に基いて、充当されることになつておるのであります。しかしながら、原案に明示いたしましたような金額になる、ならぬは、これからの関係者の努力が相当いると考えるのでありますが、現在のところ、一応六・三の建築補助費にいたしましても、法律によらずして政令で行われておるわけでありますから、そういう意味で、この点地方財政法の根拠に基きまして確保に努力いたしたい、こう考えております。
○渡部委員 今日まで法律によらないで行われて来たところに、いろいろ校舎の建築費や復旧が実現できなかつた問題があり、この問題を解決するためにこそ、起債の問題等が取上げられておつたはずだと思う。そういうことの保障のために、起債が法律的に取上げられたものが、今ここで法律的な根拠を失うということになれば、依然として同じ結果が来るのではないか。これについての方法と見通しを、確実に述べてもらいたい。
○若林委員 ただいまの御説は、われわれ提案者といたしまして同感でございます。そこで、この点相当折衝を重ねたのであります。今日、この法案から削除されるのでありますけれども、かわつて先ほど申しましたように、老朽危険校舎等の起債につきましては、すみやかに地方財政法の第五条を改正いたしまして、原案の趣旨の実現をはかりたいと思つておるのでありまして、これも大体折衝の過程におきまして、見通しがついておるのでございます。
○渡部委員 一般に、原案そのものが非常に薄弱な、貧弱な性格を持つておつたところへ、今度の修正案は、それに輪をかけた、基礎の薄弱な、かつ無内容なものにかわつて来ているように思う、たとえば、最も重要とされなければならぬ実際上の事柄を、すべて法律によらず政令によつてきめることになる。もし、そのようなことがなされるならば、委員会の教育に関する精神というものを、委員会の意思において貫くことができなくなるわけです。すべて、このように政令によらなければならないというふうな法律というものは、私ははなはだ理解しがたい、なぜ、これらの限度が考え得られるならば、その程度のことをさえも、法律によつてきめておくという法案にされなかつたのか、この点についての見解を伺いたい。
○若林委員 折衝の結果、かく規定するのが本法律案成立に有効適切であると思考したからであります。御質問にこもつております御趣旨は、われわれとしても十分体しておるのでありますが、この法案成立の折衝の過程において、かく規定する方が有効適切であると考えたからであります。
○渡部委員 提案者が、義務教育費の国庫負担を通じて、義務教育における機会均等という精神を貫こうとするならば、こうした諸項目に関してよりも、さらに重要な一点、貧窮者の教育上における機会均等を果させる要件を実現できるように考えらるべきであると思う。それで私たちは、この前の原案のとき以来、その点を強調して、学用品、それから交通費等に至るまで、実際上国庫によつて負担せられることが実現されないならば、たといこのような法律が成立したとしても、貧窮者の子弟たちは実際上教育を受けることができない。長期欠席者がますますふえて行つておるという現状が、このことを実証しておるのだ。だから、その点をこそ強調されなければならないし、法案の上で実現されなければならないということを主張して来たのでありますが、その主張が、どういう意味合いで取上げられなかつたか、この点をひとつお聞きしたい。
○若林委員 御発言になり御主張になるその根本精神、理念においては、異なるところがあると思うのであります。しかしながら、ねらいますところの、表面に現われて来ます御発言については、同感でございます。しかしながら、諸般の事情、現在のわが国の財政上の見地から勘案いたしまして、今日この程度が、はなはだ不満足ではありますけれども、まず適当ではなかろうかという気持でございます。これを第一歩といたしまして、この基礎に基いて、ただいま御希望の御趣旨をお漏らしになりました点に、極力邁進いたしたいと考えております。
○渡部委員 最後に、義務教育費国庫負担法案に関するこの修正案は、だれが見ても、原案よりもその内容が一層貧弱化され、憲法の精神からむしろ遠ざかつて来たという印象を与えるように思う。この点について、提案者はそういうふうには考えておらないのかどうか、伺います。
○若林委員 渡部委員より以上、われわれは考えておるかもしれぬと思うのであります。しかしながら、折衝の過程におきまして、妥当な線をという気持で、提案理由の説明にも申しましたように、はなはだ不満足な点であろう思うのでありまして、われわれも不満の理由が多々あるのでありますが、この点をひとつ御賢明な渡部委員におきまして、御認識くださいまして、御審議を願いたいと考えます。
○渡部委員 義務教育を正しい形で発展させるには、当然義務教育に対する国庫の負担ということを実現しなければならぬと同時に、他面では、いわゆる教育の民主化、進歩的な教育の発展、あるいは教育が自由な精神のもとで行われるということが当然考えられなければ、義務教育という問題は考えられないと思う。この点について、この案の提出者は、国庫負担を、義務教育の自由な発展という問題との連関において考えられたかどうか。これは根本問題だと思うので、お聞きしたい。
○若林委員 憲法の趣旨に基いて、立案をいたしたのであります。
○竹尾委員長 次に、小林信一君。
○小林(信)委員 この前の原案についても御説明を願つたのですが、第一条の「妥当な規模と内容」という言葉が、修正案にも同じように載つておるわけであります。これに対して、修正を提案された方は、何ら疑義を感じておらないのかどうか、お尋ねしたい。
○若林委員 過般の御質疑の中でも御説明をし、本提案者の意のあるところを表明いたしておいたのでありますが、すでにきよう御提出になりました野党各派からの修正案は、過般参議院におきましても、小委員会におきましてお考えになつておつたものでございまして、まことに妥当なものだと思うのであります。国家財政の許す限り、この精神に基いて行くべきだと考えるのであります。私、今日野党の皆様方から御提出になりました修正案につきましては、いわゆる憲法の条章に基く理想の案として、きわめて敬虔な気持で敬意をささげる次第であります。なおわれわれが提出いたしましたものも、その意味において折衝を重ねて参つたのでありますが、現在の段階におきましては、不本意ではございますけれども、縮小と申しますか、しりぞくと申しますか、諸般の事情から、やむを得ずこの修正案を提出したのであります。将来国家財政の基礎の確立とともに、原案に近づくよう、また野党諸君からお出しくださつた修正案の精神により邁進をして行きたい、こう考えております。
○小林(信)委員 提案者の気持は、よくわかるのであります。ただその法案の内容がどうあつても、この「妥当な規模と内容」というような言葉を使つておられるところに、提案者も非常に苦しいものを感じておられると思うのであります。しかし、これは単に提案者の苦しみということでなくて、日本の教育を考えておる者の心構えはこうであるということになるわけでありまして、私どもといたしましては、提案者の気持は察するに余りがあるのですが、当然これはかえらるべき内容と言葉である、こういうように私は思うのであります。(「もうよいじやないか」と呼び、その他発言する者あり)自由党の諸君から盛んにやじが飛んでおりますが、心中苦しいあまりそういうやじが飛んでおるので、そういう心中を察しておる次第であります。そこで私も簡単に質問いたしますが、第二条につきまして、質問が多々あつたのでありますが、やはり最後に書かれてあります「その実支出額の二分の一を負担する。」この「実支出額」というのは、どういう意味でお書きになつておるわけですか。とにかく原案におきましては、この点非常に詳細になつており、現在の日本の教育を刷新する意図からして、りつぱな内容を盛つておられたのですが、そういう点について、どういうふうに配慮されておるのですか、お伺いいたします。
○若林委員 今御質問がありましたように、私たち提案者におきましても、法律的の言葉から申しますならば、支出額だけで十分だと考えるわけです。実際支出したものが支出額なのであります。ところが、今御質疑がありましたような精神に基いて、御安心をしていただく意味において、単なる支出というのでは、国家の方できめて、これだけ支出せいというような額であつてはならないから、自由な地方の自主性に基いて支出せられましたところの額、実際に支出せられたいわゆる実績支出という意味を強調するために、この文字を使うたのでございます。
○小林(信)委員 現在の地方の教育事情におきまして最もあげられる点は、教員数の確保の問題であります。原案等でも、その点は詳細御検討になられまして、産休の補助職員がどうしても必要である、病欠、事故欠の補充が必要である、また事務職員が必要であるということを、こまかく検討なさつておられたようでありますが、そういうものも当然織り込んだ実支出額であるか。あるいは問題になりましたように、教員の俸給は一般公務員よりも三百七十五円高い、しかしこれについてほかの方がどういう御意見を持つておられても、とにかく教育に関係して今日までいろいろ検討して参つた委員会としては、教員の一般公務員よりも高い点は——高いか安いかという点は、今のところはつきりしておらないのですが、高いと称されるならば、その高いということは、当然教職員にあり得べきであるという結論を持つておるわけであります。そういう点も御了解の上で、これを考えておられるかどうか。しかし、考えておりましても、考えておるということだけでは、この法律案の内容からして、非常に微力なんです。それがはたして確保できるかどうかという点についての見通しというものが必要だと思いますが、そういう点につきましては、関係するところに了解を得ておられるのかどうか、詳しく御説明願いたいと思います。
○若林委員 今の御質問は、この法案全体にわたります心臓部をつく名質問だと私は思います。前の原案で申しますならば、相当詳しく細目にわたり規定いたしておるのでありますが、今度のものは、それも基礎となつてはおるのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、地方の自主性に基いて実際支出せられましたものについて、二分の一をということになつておりますから、この点は、原案よりも、より進歩をしているのではないかと考えております。実際支出せられておりますものの二分の一を下らない額、そういうことになつております。この点は、きわめて重要なる箇所でございますので、関係方面とも打合せをいたして、了解済みであることを、御了承願いたいと思います。
○小林(信)委員 今の若林委員の御説明が、ほんとうに信頼できるものであるならば、私はこういう表現は使わないと思うのです。今までの実情から考えて、教員数は確保できないのであります。その教員数を確保することが、目下の急務なんです。またこれに対する給与も、原案におきましては、りつぱに旅費等が幾ら幾らと計上されておつたのです。このようなものは、やはり法律でもつて制定してやらなければ、完全に支給されない状況なんです。これを、より進歩だとおつしやいますが、私は、当然そういう内容を網羅して正しく法律に規定してこそ、初めて良心的な法案になるのではないかと思います。ただいまの御説明を承ると、できるとおつしやいますが、私はあぶないものだと思うのです。 もう一つ、進歩であるという説明で問題が出て参りますのは、その府県で実際支出しておる半額を負担するのだというお話なんですが、しかし、平衡交付金制度の内容から、私たち考えておかなければならないのは、どこどこの府県へは半分ずつ渡すというのではなくて、全国の半額を国家が負担する。これを今度は、貧しい県にはよけいにやるとか、財政のゆたかな県へは少くやるとかいうふうなあんばいをしまして、初めて少い予算の中で、教育の機会均等という仕事ができておつたわけなんです。今のような考えで参りますと、第一条に大きく掲げてある教育の機会均等ということや、また憲法にも明示されている問題に、かえつて逆行するのではないかと考えられるのですが、この点いかがでございますか。
○若林委員 この点に関しましては、二分の一を国庫が負担いたしまして、他は——平衡交付金がどういうふうな精神で残るか、今日のところ予想はできませんけれども、現在の精神で、平衡交付金制度で一部でも残るといたしますならば、その部面におきまして、より貧弱なる府県市町村には多くまわる、平衡交付金制度で考慮せられることになつております。この点も、先ほど提案理由の説明の中で申しましたように、地方税制度の改革に伴つて、平衡交付金の精神も、幾分影響を受けることだと考えるのでありますが、この点地方財政の強化を根幹として、地方税制の改革が企図せられることだと思いますから、いかように改革をされましようとも、地方財政を圧迫しない程度に平衡交付金で考慮せられることに、打合せができておる次第であります。
○小林(信)委員 だんだん御算が、まことに納得の行かないようになつて行くのですが……(「質問も悪いからだ」と呼ぶ者あり)はつきりしないので、質問も悪くなるのですが——実支出額、これは結局、ここに文部省の方もおいでになるし、考えがあると思いますから、そちらからお伺いしてもいいのです。こういう案が通れば、定員、定額というものをやはり縛つて行かなければならぬ形になるのじやないかと思うのですが、その点はどうですか。
○内藤説明員 実支出額は、都道府県の実績の半額を負担するという原則でございまして、従前の国庫負担法と精神は同じなんです。ですから、都道府県で、かかればかかつただけ、幾らでも半分は見る。あとの半分は、昔は配付税で考慮したわけでありますが、今回は平衡交付金で見るわけであります。従いまして、貧弱な府県には、平衡交付金の方でなお三割なり、四割なりが参る勘定になるわけであります。ただこの場合に、たとえば東京、大阪のように非常に裕福な府県もございまして、現在非常に高い基準を持つておる。その場合に、東京、大阪の基準まで全部を引上げるかどうかという点は、若干問題があると思う。その場合に、大部分の府県は、ある一定の限度までは引上げが可能でありますが、東京、大阪というような場合には、多少国庫負担の限界というものがきめられはせぬか。ですから、この場合でも、できるだけ実績を尊重していただきたい、かように考えておるのであります。
○小林(信)委員 ただいま文部省の方からもお話があつたのですが、平衡交付金で一部見るということは、これはどこでそういうことが各府県にできるのですか。
○内藤説明員 半額国庫負担ということになりますれば、従来は、あとの半分は当然に地方の基準財政需要に入ることになつておるのであります。これは、すでに御承知のように、生活保護法の八割補助の場合、国が八割出して、あとの二割は平衡交付金で考慮されるわけであります。ですから、平衡交付金と地方税で考慮される。この法案の修正案で残つております最後の条文に、地方財政法の十条第一号の中に義務教育に従事する職員及び義務教育の教材に要する経費がはつきり入つておりますので、半分は国、あとの半分は地方で見る。地方で見る場合に、足らないときは平衡交付金で補償する、こういう考え方なのであります。
○小林(信)委員 それは第十条の第一号に次のようなものを加える、こういうふうにおつしやつて、これが成立するわけですが、今までの自由党として、提案者の方たちが各省に折衝されておることを、私たちもひそかに伺つておつたわけなんです。もしこの法律案が通つたならば、今までのあの過程から考えてみて、はたしてそこまで理解ができて来るかどうか、私は非常に疑問だと思うのです。この点、はたして確信ありやいなや。まあ確信があるとおつしやるだろうと思う。しかし、今までの過程では、おそらくもうこれでもつて半額負担しておるのだ、そんなぜいたくは言わせないぞ、こういうふうに出て来ることは、火を見るよりも明らかなことです。そうすれば、かえつてこういう法律を出すことによつて、いよいよ教育財政がきゆうくつになつて来ると私たちは心配をするわけです。ことに、そうなつて各府県で支出する半額は国庫で見てやることになれば、優勝劣敗は明らかなことで、金持ちの県は、教育制度の内容は充実するかもしらぬけれども、貧乏県は、いよいよ教育の内容は貧弱になつて来るおそれがある。こういうことで、単に実支出額の半分と出ておることに、私たちは心配するものがあるのですが、それはありませんか。
○内藤説明員 その点は、お話のように、地方財政委員会とは十分話し合つておるのです。地方財政委員会からの希望によつて、この一律半額負担にした。なぜそうしたかと申しますと、この点については、共同の利害がある。あとの半分を地方財政需要の中に入れませんと、向うの平衡交付金がふえない。これだけ引抜いてしまうと——半分は国、あとの半分を基準財政需要に打込まないと、地方の平衡交付金制度の筋金が半分なくなつてしまいますので、むしろ地方財政委員会からの希望で、この一律半額にしたわけであります。ですから、そういう御心配はないと思います。
○小林(信)委員 おつしやるところをお聞きしておれば、その通りなんですが、しかし、なぜ地財委がこの法案をつくることに対して最後まで反対したか。これすら、私たちの聞くところによれば、岡野国務大臣が反対をしたというようなことまで聞いておるのです。それが、こういうことを言つたら必ずいいだろうというのは、あくまでも、こういう法案でも何でも、通したい、通さなければ面子が立たないというような気持だろうと私は思うのです。しかしここで画期的な——若林委員もおつしやつたように、大法案と称しておられる。実際そういう大法案そのものからいえば、それがそういう不明朗なところをたくさん持つておつて、はたして教育の機会均等とか、義務教育を無償でやる原則、こういうような問題が敢行できるかどうか、私は非常に疑問に思うのですが、若林委員に、何か御意見があるようでしたら、お伺いいたしたい。
○若林委員 非常にいいところをついていただきましたので、疑義のところが明瞭になりました。これは最初、私から御説明しておけばよかつたと思うのですが、すでに地財委と地方行政委員会との合同審議の際に、地財委当局がこちらに参りまして、平衡交付金制度による原案には反対だけれども、二分の一国庫補助というような負担形式ならば賛成であるという御発言があつたわけであります。だから、こういう点におきまして、修正案は一歩地財委に譲つたのでございます。この点、釈然として、地財委のこの法案に対する協力を得ることになつております。それを御報告いたしましたならば、あくまで反対を続けておると思う地財委の状況は、解消されると思いますから、御了承を願いたいと思います。
○小林(信)委員 そこで最後にお伺いします。その第二条についての最後ですが、そうすると、幾らでも無制限に各府県に対して半額の負担をするのかというような形にもなるのですが、第二項で「最高限度は」というふうな妙なものをくつつけて、また問題をあいまいにしているわけです。ここのところは、どういう意味でもつて「最高限度」をつけ加えたのか。以上のような御見解ならば、こういう蛇足をつけ加えなくて、従来の半額国庫負担法の精神をそのまま生かして行つたらいいと思うのです。何かこれにつけ加えて、これでもつて相当にあんばいして、地方の実情は無視される。先ほど私が質問しました定員の問題が非常にやかましくなつて、一・五、一・八というものは、おそらく実現できるとおつしやるかもしれませんが、こういうものは非常に圧縮されて来るのじやないか。ある府県は一・五が一・八、一・八が二・〇になるかもしれませんが、相当の県はこの制限によつて必ず圧縮されて来る。日本の教育というものは、機会均等でなくて、ほんとうにばらばらの教育が出て来るのじやないか、こう思うのですが、その点の御心配はありませんか。
○内藤説明員 この点につきまして、むしろ低いところは上げられるということが考えられるのであります。ですから、非常に高いところに、必ずしも二分の一というわけには参らぬかと思いますが、大部分の府県については、救われる限度が、ある程度までは引上げになる。しかし、非常に高いところまでは、国庫負担としてはつき合いかねるという事情はあると思いますが、今お話のように、各府県ますますアンバランスになるということでなくて、ある程度の妥当な規模までは引上げ可能である。それ以外のものは、国庫負担の対象にはならないかと思うのでありますが、文部省としては、この点につきましては、できるだけ原案の趣旨を体して交渉したいと思つております。
○小林(信)委員 結局、この「最高限度」という言葉を使つておることは、特別事情のいい府県において、非常な教育費がその府県として支出されておる。従つて、半額国庫負担という形だからというので、半額要求された場合に、最高限度を一応抑えて行けば、そういうところに予算がよけいに行かないというようなことに、表面はなつておりますが、お前の県としてはこれくらいの教員数でよろしいのだ、あるいはこれくらいの標準でいいのだというふうなことが、やはり適用されるのじやないか。ほんとうに最高のものをきめて、高いところだけを削る役目をするのか、あるいは一つの標準をこしらえて、定員、定額というようなものをまた再びこしらえて、各府県とも、これが利用されて押えつけられて行くのじやないか。そうすると、文部省が予算をとつたことによつて、地方には文部省の権限は強化されるけれども、しかし実際においては、予算的にはそれによつて非常に拘束されるというような形ができて、かえつてこれでは平衡交付金で教育費がまかなわれた方がいいんじやないかということも心配されるのですが、この点いかがですか。
○内藤説明員 平衡交付金でも、本年度は法律ではつきり単価をきめてありまして、この前奥野財務課長が御説明由し上げましたように、当初の財政計画よりは約五%ないし一〇%くらい削減をしております。むしろ地方では、非常に迷惑に考えておると思うのでありますが、今度のこの考え方は、あくまでも地方自治の侵害にならないように、きめる場合にも実績の二分の一でありますから、地方の自主性に基いて半分がきめられる。しかし、その場合、非常に高いところまではおつき合いができないから、ある基準をきめなければならぬ。その基準を政令できめることになりますので、決してここで文部省が各県別に予算を査定するというようなことにはならないと思う。ですから、最高限度をどこできめるかという場合に、実績を見て、高いところを基準にいたしますならば、低いところはそこまで上げ得ると思うのでありまして、原案の趣旨を生かしていただくならば、そういう御心配はないかと思いますが、そこに多少問題はあると思います。私どもは、あくまでも原案の趣旨を生かしまして、最高限度のところ、実績の高いところに限度をきめていただきたい。かように思つております。
○小林(信)委員 もちろん、それは「政令で定めることができる。」というふうに制限しておるわけで、この政令をどういうふうに考えておるかということが問題なんですが、おそらくこれはあなたまかせで、提案者も、おそらく文部省としても、この提案をするに際して、かくかくであるというふうな御見解はないと思うが、やはりそれほど心配が終生つきまとうものだと、私たち思つております。この法案は、おそらく通つて行くでしよう。そのとき 一番心配になるのは、この文字からすれば、ある一定の何億とか何十億とかいうふうなところで切るのでなくて、やはりこれをきめるには、生徒数何人とか、地方の税収入何ぼとか、基準を幾つも幾つも並べて、そこの生徒数が何人であるから、幾らが妥当であるというふうなことでもつて、きめられて来るのであつて、決して高い東京とか大阪というところだけに適用されるのでなくて、必ずこれはいろいろな基準がきめられて、地方の教育は、これによつていろいろ制限されてくる。その場合に、はたして原案が意図しておるような一・五、一・八というふうな教員数とか、あるいは教員が一般公務員と同じような待遇を確保できるかどうか。現在多少でも高い三百七十五円というふうなものが生きて来るかどうか、私は非常に心配に思うのであります。今お聞きいたしましても、政令というふうな言葉は、大蔵省とか、地財委等から押しつけられたことであつて、おそらく皆さんの御意図じやないと思う。それだけに私はこの法案の前途に非常に不安を感ずるものであります。 さらに、第三条についてお伺いいたしますが、「義務教育諸学校の種類ごとの児童又は生徒一人当りの教材費の国の負担額その他その配分に関し必要な事項は、政令で定める。」とあります。これは単に一人当り二百円というふうなことでなくて、やはりこれには中学校は幾らとか、小学校は幾らとか、盲学校、ろう学校は幾らとかいうふうに、こまかく学校種別によつて内容は複雑に制定されるのじやないかと思うのですが、そういうことも御考慮の上でこの「必要な事項は、政令で定める。」ということになつておるのですか、お伺いいたします。
○内藤説明員 教材費については、文部省といたしましても、目下十分検討しておりまして、どういう教材が小学校の場合にはいるか、どのくらい個数がいるかという各科の教材について検討を加えておるのであります。これは学校の種類別によつて違いますので、この点について総額をどの程度見積るか、その場合に国庫負担を三分の一にするか、あるいは二分の一にするかという問題は、今後に残された問題でありますが、学校に必要欠くべからざる教材については、網羅して行きたいと考えておるのであります。
○小林(信)委員 それと同じように、ここには貧弱県とゆたかな県との考慮はなされますか、なされませんか。そういう点は、皆さんの御意思通りには行かないのですか、行くのですか、お伺いします。
○内藤説明員 この考え方も、国が義務教育について責任を持つという考え方から、教職員の給与費と同じように、一律に負担して行く。あとの不足分は、先ほど申し上げましたように、平衡交付金と地方税で操作してやる。文部省は一律に配分して、あとの足りない分を平衡交付金で補う、こういうことになります。
○小林(信)委員 平衡交付金をたいへんたよりにしておるようですが、はたして平衡交付金というものが認められるかどうか疑問で、この二百円というものは、今までの平衡交付金の配分状況から考えれば、やらなくてもいい県があるはずです。そこへもあえてやるのですか。
○内藤説明員 この点は平衡交付金でやらない場合というよりは、むしろ、今どこの府県でも——裕福な県でも、一様にPTAの寄付金がございますが、その寄付金を洗つて見ると、大半が教材費であります。教材費を国が負担いたしますならば、それだけPTAの寄付金が解消されるでしよう。ですから、足らぬ分は、もちろん一定の限度までは国が見る、あとは交付金やあるいは配付税、何らかの意味の財政調整の機能は必ず残る。平衡交付金がいかように改正されましても、必ず残り得ると考えておるのであります。
○小林(信)委員 どうもこの三条に該当する原案を考えてみますときには、大体今まで父兄が負担をしてくれたその教材費を、なるべく一文も負担をかけないようにというような御意思で、非常に父兄の諸君を喜ばせておつたわけですが、今回ここに修正されて来たものは、内容が漠然としておつて、今お聞きするところでは、三分の一になるか二分の一になるかわからぬ。しかも、それは一人当り二百円程度が支給される、そうすれば三十二億で、三分の一なら十億、これを一応自分たちも主張したのだ、ないよりはある方がよいという最近の自由党の御主張で、この点もやはりやつて来たのだと、こう思うのです。その十億くらいの教材費は、やはり各府県とも同じように父兄が負担しているので、同じように犠牲になつておるのだから、当然わけなければならぬというふうなお考え、これも正しいかもしれませんが、しかし、今の事実から考えて参りますときに、農村、僻村、こういう所の学校は、都会の子供に比べて教材費が非常に問題になるわけなんです。負担はされておると申しますけれども、ほんとうに必要なものに限つてのみであつて、この教材費が今六・三教育の死活の問題になつておるわけです。加うるに、教育地方財政は今非常に苦しい状態にあるので、この教材費が実は今回の自由党諸君が御提案になつた義務教育費国庫負担法の一番重大な生命なんです。これをなくしたら、もう自由党諸君の提案された権利を持つておつたものが、かえつてその権利が大きな教育上の重大段階に害毒を流すことになる。こここそ慎重にがんばつてもらわなければならなかつたところなんですが、今の御説明等からでは、非常に名目的なものになつてしまつて、必ずしもこれは今の地方の窮迫しておる学校の教材費を救済することにはならぬと思うのです。この段階に至つたということは、この法案審議には何ら意味がないかもしれませんけれども、われわれは若林委員の同僚委員として一応責任を感ずるものであるから、今日までの段階をつぶさに御説明願いたいと思うのです。
○内藤説明員 ちよつと誤解があるようでありますが、教材費は、一応の計算としては、やはり従来通り百億と見積つておるのであります。それで若林委員からお話になつたのは、国庫負担額が三十億を下らない、こういう意味でありまして、百億の三分の一程度という意味におつしやつたと思います。その点ちよつと誤解ではないかと思いますので、つけ加えさせていただきます。
○小林(信)委員 しかし、この教材費というものは、おそらくわれわればかりでなくて、自由党の諸君も、一番生命に考えておつたものだと私は思うのです。一人当り二百円とすれば、大体三十億くらいの見当じやないですか、これが百億になるのですか。若林委員の御説明では一人二百円、三十二億というようなお話だつたのです。
○内藤説明員 これは国庫負担額が二百円とおつしやつたのです。国庫負担ですから三分の一にしますと二百円になります。
○小林(信)委員 その点は了解しましたが、ひとつ経緯を説明してください。
○若林委員 先ほど、どなたかの御質疑にもお答えいたしたと思うのでありますが、原案におきましては給与費の総額の十分の一、その二分の一を国家が負担するという意味合いで、大体五十億を予想いたしておつたのが教材費なのであります。それで、折衝の過程におきまして、つぶさに申しますと、大蔵省で一番難点のありましたのはこの点であります。経済状態の実情は、さほど変動はないと思いますけれども、もしインフレその他が起りましても、この給与費というものは、想像するだもはだえにあわを生ずるごとき結果になつて来るわけでありまして、あるいは国家財政の基礎が固まるにつれまして、いの一番に増さなければならぬのは給与費だと思うのでありますが、給与費を上げるたびごとに教材費が増大する、これが相当の難点になつたわけでありますので、一定の限度をここに明示し得るような行き方が適当だというふうに考えまして、このようになつたわけでありますから、ひとつ苦心の存するところを御了承願いたいと思うのであります。
○小林(信)委員 最後のお言葉の苦衷を察しろということは、まことに党内事情混乱きわまりない中でもつて、御活躍なさつたことにつきしては、私たちも敬意を払つております。しかし、それがこれからの日本の教育のほんとうの基礎をなすものでありまして、その点は、われわれいかにこれに対して批判を加えようとも、国民の将来を考える意味からして、やはりお聞き願わなければならぬと思うのですが、ただいまの二百円、三十二億。これは計数上の問題は、私の聞き方が悪かつたので改めます。 そこで、先ほどどなたかの質問の中で、建築費、災害復旧費、こういうふうなものは地方財政法の第五条の修正によつて何とかできるというふうなお話で、その内容として、おそらく起債が認められるというふうなことでおつしやつたのですが、起債等によりまして、はたして現在の小学校の老朽校舎の建築問題——あるいは新制中学もまだ未完成の状態にあるので、こういう点がおそらく大蔵省とか地財委とかの折衝の過程で、問題になつておつたと思いますが、これに対しては、どういうふうに了解しておられるか、お聞きいたします。
○若林委員 この点は、小林委員もよく御存じだと思いますが、六・三にいたしましても、老朽校舎にいたしましても、今日の段階におきましても別途に相当考慮されておるわけであります。これを原案におきましては、法的の根拠をひとつ求めておけばという気持で、原案にこれを盛つたのでありますが、現在の折衝の過程におきまして、これを法律化しておくということは、非常に困難を感じましたので、削除いたしたのであります。しかしながら、地方財政法の第五条を改正することによつて、これを明確にすることができ、また他の一方におきましても、補助の形式で文部予算にこれを拡充して行くことに邁進いたしたい、こう考えておるのであります。
○小林(信)委員 原案におきましても、地方はおそらく、こういうものをあの状態で他省と折衝されておつたのだから、これを出した以上、六・三建築予算は打切る、あるいは起債は認あるけれども、それに対して何ら国庫としては補助金を出さないというふうなことは、地方においてもその点を相当憂慮して予想しておるわけですが、今の若林委員の御説明では、何とかなるだろうという見通しなんです。私はこれは非常に心配でありますが、そういうふうにおつしやられる以上、この法案をその意味では信頼する以外にないと思つております。そこで附則の第一項に「この法律の施行期日は、政令で定める。」まことに意外な言葉なんですが、これはどういう見通し、どういうお考えであるのでありますか、お伺いいたします。
○若林委員 これは松本委員の質疑に対してお答えしたと同様でありますが、提案理由の説明にも申し述べましたように、地方税制の改革を前提といたしておりまして、政府も早急に二十八年度を目標に地方税制の改革を企画いたしておりますので、それと相伴う意味のものであるのであります。そういう意味でこれを政令に譲るとしておるのでございますけれども、根本精神は二十八年度からこれを実施するということでございます。しかし、この法案にこれを明記しないのは、折衝の過程において、この方が折衝が円滑に行くと心得ましたので、政令に譲つたわけでございます。
○小林(信)委員 もう簡単に申し上げますが、それだつたら、なぜ二十八年四月一日から実施するというふうに書かなかつたか。これはやはり今のような御説明で現状をごまかそうというふうにしか、国民はきつと受取らぬと思うのです。ここら辺に大きな責任が私はあるのじやないかと思う。ここら辺こそ、昭和二十八年から実施するというように明言されなければならないところなんです。何かこの法律が、御説明を聞いておるときは画期的な法案であるとか、日本の教育をここで初めて確立する法案であるとかいうふうにおつしやるのですが、その期日は政令によつて定める、何々は政令で定める、何々も政令で定める。まことに怪奇な表現の仕方が行われておるのです。この点、若林委員としても、御説明はしておりますけれども、非常に良心的には苦しんでおられると思うのです。こういうことで、現在地方がこの法案に期待をかけておることを満足させ得られるかどうか、私はその点は非常に疑問だと思います。 私の質問は以上で終ります。
○竹尾委員長 次に坂本泰良君。
○坂本(泰)委員 この法案は、わが国の文教対策の根本をなすものであります。やはりわれわれ文部委員といたしましては、慎重審議やつておかないといけないと存ずるのであります。第二条の問題でありますが、各委員ともいろいろ質問されましたが、答弁者からは確答が与えられていない。もちろん与えられないような修正だから、やむを得ないかとも思いますが、そこでお聞きいたしたいのは、第二条の今度の修正と申しますのは、原案の第二条の第二に、教員の数の問題、いろいろ具体的に第一号から第五号まで規定してありましたのを、全部削除されまして、修正案に現われて出た言葉はわずか四字であります。「実支出額」という四字に含まれるように、五号が全部削除されておるのであります。この実支出額というのが、先ほど来問題になつておるのであります。原案の第一項の「二分の一」というのはこの通りでありますが、第二項の、前項のこれこれという点が「実支出額」という四字に集約されたわけであります。そこで、実支出額というので、原案の第二項の一号から五号までの点が完全に保障されまして、国家が二分の一の負担ができるかどうか、この点が心配であります。この点についての御見解を承りたい。
○若林委員 どういうようにお答えしたら、御満足が願えるかと、先ほどから苦慮いたしているのでありますが、私の考えを率直に言うことをお許し願えますれば、先ほど小林委員にお答えいたしましたように、今までの原案に盛つておりますいろいろなものよりも、実際に支出をしたという意味から、地財委その他におきましても、いろいろな反対の理由が述べられておつた事柄を解消いたしまして、地方の自主性を認めまして、実際に支出せられました二分の一を負担するということになるのでありますから、その点、地方の自主性を認め、また原案に盛つております限度を明確にすることの精神も盛られておるわけでありまして、一歩、二歩の進歩であるというように考えております。地方の自主性を重んずるという点において、かえつてこの表現の仕方、またこの負担の仕方の方が、妥当ではないかと考えるのであります。但し、先ほど提案理由の中に申しましたように、平衡交付金の制度並びに地方税制の根本的の改革を前提といたしておることの上に立つた法案であることを、銘記していただきたいと考えるのであります。
○坂本(泰)委員 これが進歩であるか退歩であるか、あるいは地方自治体の自主性を認めておるかどうかという点は第二といたしまして、この一項と関連します二項の規定でありますが、「各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度は、政令で定める」、こういうふうになつているのであります。従つて一項と二項とを合せてこれを解釈いたしますと、各都道府県ごとによつて最高限度を政令で定めるということになりますと、先ほど来問題になつておりましたが、貧乏な府県と裕福な府県との関係におきまして、貧乏な府県におきましては、やはり定員、定額の問題について、非常に圧縮されることになるのが当然の帰結であります。従つて、その定員、定額を、教育の機会均等の立場から、圧縮させないという建前からいたしまして、原案の第二条の第ニ項は、第一号から第五号まで詳しく規定して、裕福な府県も貧乏な府県も、やはり生徒の数によつて先生の数をきめる、校長は一校に一人置かなければいかぬ、こういうふうに詳しくきめて、教育の機会均等の建前から、児童の数を基礎といたしまして定員、定額がここに割出されたのでありまして、その給与の二分の一を国家が負担する、これが原案であつたのであります。ところが第二項のこの規定がなくなりまして「実支出額」という四字に集約されました。貧乏な府県は、この定員、定額の点をずつと圧縮されますと、この法案の第一条の、法律の目的である教育の機会均等が、この法案によつて破壊されるという危険性があるわけであります。従つて、この実支出額というものについては、文部省においても、こういう法律の解釈で行けば、どうしても政令に支配されて行つて都道府県の監督権その他も全然なくなる。そういう結果になりますならば、ただ二分の一を国庫が負担するというのは名前だけでありまして、実に第一条の目的である教育の機会均等は破壊されて、保持されないという結果になるのであります。従つて、この点についての提案者の御説明と、かりに、これが法律となつて実施される場合において、はたして第一条の教育の機会均等の目的が達成されるかどうか。客観的に定員定額というような基礎の上に立つところの見通しを持つておられるか、その点を文部当局から承りたいのであります。
○若林委員 課長から補足をしていただくことにいたしまして、私から大綱だけの御報告をいたしておきたいと思います。原案に盛られております算定の基礎は、大蔵省にしても、地財委にしても、根本的にこれを否定しているのではございません。ただこれを法文化してここに明記するということは、いろいろ他との振合いもございまして、今日の段階においては、これを避けた方が賢明であり適切であると考えて、削除いたしたのでございますけれども、平衡交付金の財政基礎の算定にも、また大蔵省が算定する基礎に関しましても、原案に盛られております精神で、その方式で行われるのでございます。 次に、各府県ごとの限度ということでございますが、御懸念があるために「実支出額」というように「実」の字をつけたのであります。しかしながら、あまり標準を度外視して、もし無制限にその額がふえるようなことがございますと、他の府県との振合いもあるのでありますから、その最高限度をきめるという趣旨でございまして、各府県の支出を全部一律に押えて行くという意味ではないのであります。先ほど内藤課長が御説明いたしましたように、無制限にふえることのおつき合いは、国家財政の現状からできない。他の公務員との振合いもありますし、また他の地方との均衡もあることでありますから、一定の限度は政令できめるということであつて、制限を受ける府県よりも、その高いところを標準として引上げられるところの方が多くなる現状であるというように、文部当局が説明いたしているわけでありまして、その精神をひとつおくみとり願いたいと考えます。
○内藤説明員 ただいま若林委員が御説明になりましたことと、同様な見解を持つております。
○坂本(泰)委員 法律が制定されますと、その法律の条文によつてこれが執行されるのであります。従つて、法文が制定された最初の一年かあるいは二年は、やはり地財委とか大蔵省との交渉の過程があつて、相当尊重されるのでありますが、法律が廃止になるまでは、これは永遠のものであります。従つて、生徒数などのことにつきましても、現在の地方公務員と同じに、生徒数に応じての教職員の給与額がここにきまつておりますから、それを尊重してやるでありましようが、総選挙があり内閣がかわれば、その精神的な妥協とか、あるいは申合せというものは実行されなくて、やはり法律の解釈によつてこれが運用されて行くことになるのであります。従つて、各都道府県の教育費の問題も、地方財政が困窮いたしますと、やはり最初の申合せとかいろいろのことは、もう忘れまして、現実の問題としてこれを解釈して、それによつて実行するということになるのでありますから、法律を制定するにつきましては、その客観的事実についての法の明文をここにはつきりいたしまして、その上に立つものでなければ、真の法律、国民が遵法する法律ではないのであります。従つて、算定の基礎がやはり原案の第二条第二項のようにはつきりしていませんで、単に「実支出額」というような抽象的なものになつておりますと、自分の県はこれだけしか財政がない、実支出は地方公務員との関係からこうしなければならぬというようなことで、圧縮されるということを私は先ほどから申しておるわけであります。またこれを単に二分の一といたしましても、決して教育費は無制限に増加するわけではないのであります。教職員の給与額は、生徒数を基礎にいたしますから——もちろん児童の自然増加はあるのでありますが、しかし極端に増加して地方財政を破壊するというようなことは、ないのであります。従つて、国家がこれを負担するといたしましても、急に二倍になり十倍になるという無制限の増加ということは考えられない。だから、第二条第一項のように、国家が機会均等の目的で二分の一の負担をするということになつたならば、それではその二分の一の負担の基礎はどこであるという、原案の第二項のような基礎がなければ、修正案の第二条のような「実支出額」という文字で統一して法律ができても、これはかえつてない方がいいという結果になるのであります。こういう点について、文部省は、議員提出の法律案だからといつて、単に計数的のことも考えず——二十八年度はこれでいいかもわからぬが、二十九年度、三十年度というふうになつたならば、文部省は責任を持つてこの法律の実行に当らなければならぬのであります。単に実際の府県の支出額の二分の一を負担するんだということで満足していて、文部省が今後四年なり五年なり先の二分の一の負担が、はたして維持できるかどうか。もう少し真剣にやらなければ、この法律ができても何にもならぬ。この点について、文部当局はもう少ししつかりした答弁を願いたい。
○内藤説明員 実支出額といいますのは、実際の支出額でありまして、原案にありました算定の基準は、実際の支出額を大体基礎にしているのであります。実際の支出額が確保できますれば、原案の趣旨はある程度生きると思つております。そこで、その場合に、お話のように、それでは裕福な県と貧弱な県が、非常にアンバランスになるではないかという御懸念でありますが、それを第二項で、ある程度までの負担は国が無条件に引受けますので、低いところの県はそこまで上げ得るという基準がきめられると思うのであります。そういう意味で、この修正案で大体原案の趣旨も生かされ得ると考えるのであります。もう一つは、文部省がどういう学校に定員がいるかということは、学校の設備編成の基準という、これに関する法律案を準備しておりますので、その法律案で教員の定数などは確保いたしたいと考えております。
○若林委員 この件に関します坂本委員の御発言は、われわれも同感でございます。御趣旨の通り進まなければならぬと思うのでありますが、現在の段階においては、これが賢明だと心得まして削除いたしたのであります。しかし、この法案が成立いたしました後においても、次の国会その他において、御協力を得まして折衝を円滑にいたした上、行く行くはぜひともこれを法律化して行きたい、こういう念願に燃えておりますから、御了承を願います。
○坂本(泰)委員 今の答弁でも、なおこれの了解に苦しむのでありますけれども、文部当局の方で、まだ教員の定数定額などについては、これから法案を準備してやるというのを予想して、現在のこの問題を、実支出額という抽象的な言葉に包含させて、これでけつこうでございますと言うのは、その実施に当る当局の行き方としては、まことに国民を無視していると考えるのであります。従つて、第二条が、どうしてこの修正案でこういうふうになつたかと申しますと、この原案のようにやりますと、この教育費というものが、第二条が通過いたしますと、第二項による詳しい五項目の規定によつて、地方財政の方が全部干渉ができずにこれが離れてしまう。従つて、この点の妥協によつて「実支出額」というので、この第二項を全部抹殺したのではないかというふうに私は考えるのであります。そういたしますと、地方財政委員会との間の共同審議の際に、地財委の奥野課長が申しましたように、こういう法律をつくろうよりも、現在の平衡交付金制度で行つた方がよつぽどよろしいのだ、こういうふうになるのであります。われわれがここに強く義務教育費国庫負担法というものを主張いたしますのは、あの地方財政委員会が中央集権的に独占している平衡交付金から、この教育費を負担法で引離しまして、そして日本の教育の機会均等の実現をはかりたい、その目的で教育費の国庫負担法というものがここに出て来たのであります。ところが、第二項がなくなりましたから、そういたしますと、結局は財政のゆたかでない県も半分負担いたしますから、それまで引上げられるというように言いますが、先ほどだれかの質問にありましたように、やはり平衡交付金の基準財源の方から仰がなければならないということになりましたならば、この教育財政の独立というものは決して確立されるものではないと思います。でありますから、この第二条においては、原案の二項の規定が加味されていなければ、これは意味がない。国庫負担法で国家が二分の一を負担するという、ただ二分の一ということに国民が魅惑をされて、ただやあやあ案ずるだけで、実質は決して全国の各児童が機会均等の教育は受けられないということになる、その点を非常に心配いたすのであります。われわれは、この二分の一の額の点についても異論がありますけれども、やはりこれを基礎づけるためには、第二条第二項のこれがなかつたならば、この法律が意味をなさない、こういうふうに考えるのであります。この点について、最後に一言だけ提案者と文部省にお聞きしておきたいと思います。
○若林委員 御質問の趣旨、精神においては同じでありますけれども、地方財政平衡交付金制度はもう不変のものであるという建前、あるいは地方税制は現在よりかえることができないのだという意味においては、坂本委員の御趣旨に賛成をするのであります。ところが、この修正案を出しました折衝の過程におきまして、地方財政平衡交付金というものが根本から再検討をされ、地方税制というものが根本から改革をされようとする機運に乘つておりますので、その上に立つてこの修正案を出したのでございますから、御了承を願いたいと思います。
○内藤説明員 ただいまの坂本委員のお話の中で、私どもが懸念いたしましたのは、二条の中の「教職員給与費について、その実支出額の二分の一を負担する。」その算定基準を全部政令に譲つてしまいますと、お話のように心配があるのでございますが、実際の支出額の二分の一を出すということになると、都道府県が各県とも相当教育費に熱心でございますので、それについて二分の一を出せますならば、かえつて国の方から定員定額できめるよりは、地方の自主性を尊重しながら、教育費を確立することができるのではなかろうかと思うのであります。それで、さらに二項の方で最高限度まできめておりますから、原案の趣旨をくんだ最高限度がきめられますならば、低いところはそこまで上げ得るという見通しもございますので、この案で責任を持つて行政を遂行することができると考えておるのであります。
○坂本(泰)委員 二条の質問はそれで打切ります。 それから提案理由の第三に説明してあります、学校の校舎の建築事業費、それから災害、戰災復旧費の点が、削除されたのでありますが、その削除については、別に措置することとして一応これから除くことにした、こういう提案理由になつております。別に措置することにしたとは、どういう措置をされるのか、その措置についての腹案をお聞きしておきたいと思います。
○若林委員 これは現状におきましても、別箇に文部予算におきまして計上を見ておるのであります。その方でも措置をいたしておりますし、なお法律化する点におきましては、地方財政法の第五条を改正することによりまして、この足らざるところを補おうということになつておるのであります。
○坂本(泰)委員 そういたしますと、この校舎の建築費、それから災害復旧費は、結局従来通りの地方財政にまかせる、こういうことになると思うのでありますが、われわれはこの第二条の国庫負担をやると同時に、やはり教育はその設備がなければ完全にできないのであります。ことにまた戰災によつて焼かれた校舎があり、また老朽校舎で四十年も五十年もたつて、授業中に、風が吹いて来たら天井が落ちて児童が死傷をしたという前例もあるわけでありまして、従つて教育の機会均等の目的を達するためには、校舎の建築も、やはり第二条と同じような重要性があつて、これをやらなければならないと思うのであります。そこでこの点を引離して、結局地方財政にまかせるということは、地方財政委員会の反撃にあつて、文部関係が負けたというようなことになるのでありまして、自由党のりつぱな文部委員の方がおられまして、涙をのんでではありましようが、そういうものを削除された、これはまことにもつて国庫負担法の真髄をなくすものである、かように考えられるのであります。しかしながら、別に措置をするという文句はけつこうですけれども、ただ文句があるだけであつて、地方財政にまかせるということは、私は、法の目的が那辺にありやということが非常に疑われるのでありまして、まことに遺憾であるのであります。まだいろいろありますが、これで打切ります。
○内藤説明員 ただいまの災害復旧については、地方財政法に、国で負担するということがはつきり出ております。それから六・三の建築費につきましては、地方財政法三十四条に、義務教育の年限延長に関する国の負担分がきめられておるのであります。ただ、ただいまの老朽校舎の起債については、地方財政法の第五条の改正について、先ほど若林委員からお話があつたのであります。
○坂本(泰)委員 だからわれわれは、従来のように地方財政の方にまかせずに、文部当局の文教予算として独立してやろう、だから、この第五条が出ておるではありませんか。国庫負担法に納めて、第五条でやろうということにしておる。それを削除するから、地方財政でやるということになる。法律の規定で地方財政の方にまかされておるから、それでは地方の一般の費用と混同されて、教育の独自性というものがなくなる。ここに独立をしてやろうというのが、負担法の目的でしよう。法律にあるということは知つております。その法律をここにまとめるというのが、この国庫負担法の目的であるから、その点がまことに遺憾であるという私の見解を言つたのです。それに対してあなたはどう思つておるのですか。
○内藤説明員 この点については、地方財政ではなく、国の負担になるということは、文部省予算にはつきり載つておるのであります。
○竹尾委員長 これにて両修正案に対する質疑は打切りたいと思うのでありますが、両修正案に対する質疑を打切るに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。質疑は打切られました。 これより原案並びに小林信一君外七名提出の修正案及び若林義孝君提出の修正案の三案を一括して議題とし、討論に入りたいと思います。右三案を一括議題として討論に入るに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつて討論は通告順によりこれを許します。小林信一君。
○小林(信)委員 私は改進党を代表いたしまして、若林委員の提案した修正案に反対、それから私ほか野党全体で提出いたしました修正案に賛成して、その修正部分を除く原案に賛成いたします。以下その反対並びにわれわれの提出した修正案に対する賛成意見を簡単に申し上げます。 本法案は、現文部大臣も、その大臣としての重大な責任において就任以来御努力なさつておつた問題であります。現文部大臣に限らず、前の文部大臣におきましても、標準義務教育費確保に関する法律というふうな名前で、閣議まで通つて実現に努力したのでございますが、残念ながら、これは水泡に帰してしまつた。これは単に文部大臣、文部当局のみに限らず、この委員会に席を置く者、ひとしく文部省と意向を同じくいたしまして、その実現方をはかつたのであります。地方におきましても、教育委員会制度というようなものができた以上、この教育財政の確立ということは、教育委員会と並んで、確立しなければならぬ問題だとして、多年要望されて来たのでございます。今回文部大臣が、文部省全体をあげまして、この法案の作成とその実現のための折衝に当られておつたことを、私たちは深く感謝し、敬意を表しておつたところでございます。これに対しては、見解を異にする各省があり、その努力は、われわれの常に敬意を表しておつたところでございますが、しかし、残念ながら、文部大臣もその当初の意図を貫徹することができずに、遂に自由党の文部委員の方たちによつて提案される段階に至つたということは、一つは、局面を打開するためには、必要であつたかもしれませんけれども、大臣が、文部大臣としての責任においてこれが敢行できなかつた点は、非常に遺憾なものがあると、私は心中ひそかに感じておるものでございます。自由党の諸君が提案者として、原案が本委員会に上程されたのでございますが、これすらも、私たち検討いたしますときに、この法案の使命から考えて、独立した日本のこの大事な教育を、今後いかにして運営するかという日本再建の基盤になる問題でございますので、これに対しては、われわれ野党といえども、ほんとうに協力してこの法案審議に当つて来たのであります。たまたま当初の委員会の提案意図が貫徹できずに、今日修正案として上程されるようなものになつて来たことは、まことに私たち今日までの経緯を考えますときに、遺憾なものがあるわけでございます。この修正案を提案し、これを強行して、今通過させようとする方たちの御意図は、これほどまでに重大な問題が、最後の一線である、平衡交付金の中から教育費を分割することができるのだ、こういう点で御満足のところが見受けられるのですが、この法案は、そんな簡単なものではない。この法案の持つものは、ほんとうに義務教育は無償であるべきだ。そうして教育は機会均等であるべきだ。われわれが多年要望して満足することができなかつた大使命というものを、この法案によつて貫徹しなければならない。単なる自分たちの面子とか、あるいはかかる苦難が伴つてここまで運び込んだというような自己満足で、この問題を解決すべきではないと私は思う。もしそうした自己満足の立場でこの問題を解決しようとするならば、日本の教育史上に大きな禍根を残すものである、私はこう皆さんに申し上げたいのでございます。 本日も、当初におきまして、委員長のことついてわれわれが……(「心ならずも」と呼ぶ者あり)確かに心ならずも、あえてとらなければならなかつた問題は、何のために教育財政の確立をわれわれがするのか、教育委員会というものをわれわれが設置して、その教育委員会に対して真の力、実力というものを今日まで与えることができなかつたのである。つまり、これは両者一体になつて、初めて日本の教育の基盤というものをつくることができるのだ。ところが、教育委員会法におきましては、自由党の諸君が、これに対して、努力したとは申しますけれども、進捗しない。この事態を無視して、あえてこの法案だけを強行しようとする。われわれはこいねがわくば、両者一体これを解決して、今国会の最終の美を飾りたい、こういう念願でおつたのでありまして、われわれの意図というものも単なる野党の与党に対するところの簡単な企てでないことは、御了解ができるであろうと思うのであります。まして今日この法案が可決されましても、これのみによつて、自由党の諸君が満足することはできない。教育委員会法で、ほんとうに全国の人たちの納得するような態度をもつてこそ、初めて、いささかでも教育に誠意があるということが言えるのでありまして、これだけをもつて、あとはほおかむりをするというような行為にもし出るならば、自由党の掲げた法案というものは、売物にせんがための法案、誠意のない法案ということになるのであります。私は常に申し上げますように、この法案は、文面が整つておつて、それだけで教育立法だと言うことは許されないのだ、われわれは、その教育立法を考究し、検討する過程において、ほんとうに誠意を披瀝し、努力してこそ、初めてその法律は生きて来るのだ、そこに日本の教育の出発があるのだということを申し上げたのでありますが、提案者の皆さんにおかれましても、そういう両者一体の性質であることを十分知つていただきたいと思います。 そういう意味から、私はこの法案の修正案を検討いたしますときに、龍頭蛇尾という言葉がありますが、この法案こそ、まさに龍頭蛇尾である。修正案におきましては、第一条に「義務教育無償の原則に則り」というような言集を掲げ、しかも、妥当な規模と内容とを保障するため、その内容を検討して、さらにそれによつて教育の機会均等をはかるというような、りつぱな言集がうたつてあるのでございまして、これはわが国終戰以来の大きな法案でございます。にもかかわらず、内容を見ますときに、原案よりもへだたること非常に遠く、しかも、すべて重大な段階に至りましては「政令で定める。」、こういう法案をつくつて、はたしてこの法案が持つところの使命が今後遂行さされるかどうか。われわれは今日の日本の教育のあり方から考えて、非常に遺憾といわなければならぬのであります。 ことに、最後の「この法律の施行期日は、政令で定める。」——何ごとであるか。あまりに良心のない法案の提出の仕方に対しまして、私たちはその教育的な理解があるか、見解があるかを疑わざるを得ないのであります。こういう折衝があつたんだ、こういう約束があつたんだというようなことで法律をつくることは許されないのが常識ではないかと私は思う。もしこれが許されるならば、いつこれは実施されるかわからない、こういうことが言われると思う。そういう無責任な法律を出して、しかも、当初には大きく義務教育の無償を考えるのだとか、あるいは機会均等を考えるのだとか、その内容においてはもつとも妥当な規模であり内容である、こういうことを言われておるのでありますが、これをもつてして、私たちは現在の父兄が、あるいは先生方が協力し合つて、今日までようやく持ち続けて来た六・三制というもののその完全な実施を、この法律によつてなさなければならぬのでございますが、とうていこれは望み薄ではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。それで、われわれは、この点につきまして、今日この段階において、どんな障害があろうとも、あらゆる努力をいたしまして、その教育の本来のものを実現しなければならないという態度で、この修正案を出したのでございます。その修正案の内容につきましては、御承知だと思いますから、申しませんけれども、われわれは、まず内容として、現在の教育事情から考えて、給与、教材費、それから建築費——この建築費にいたしましても、原案に掲げておりますものは——老朽校舎等で、地方は今非常に困窮しておるのでございまして、これに対して、われわれは当然何とか処置しなければならぬ段階に入つたのでございますが、単に起債をもつてこれを補うということだけでは、ほんとうに老朽校舎の復旧ということはできないのであります。少くとも半額ぐらいは、国庫の負担でこれを補つてやらなければいけない。あるいは災害復旧の問題にいたしましても、原案におきましては、二分の一というようなことが標傍されているのでございますが、一般災害はすべて三分の二である。教育費だけ讓歩する必要はないという点も掲げ、さらに義務教育の無償という問題は、まだまだわれわれは多面に考えて行かなければならぬのでありまして、ただいま給食費等は、文部大臣がかつてこの委員会の席上で、私に、どこから出てもいいじやないかということで、現在農林省から出ております給食費に該当するものをもつて満足されているのでございますが、この際この負担法の中に入れて行かなければならない絶好の機会なんです。あるいは教科書の問題にいたしましても、同じようにこれだけを別個に私たちが存在させることは、非常に責任を感じないことだといつてもさしつかえないことでありまして、ああいう形で置く以上は、当然この国庫負担法の中に入れて行くべきである。さらに、私たちはいつもこの委員会におきまして問題になる点は、六・三制の六・三が、とにかく一般の関心が持たれて、ようやく今日までこぎつけて参りましたけれども、その間、その制度の中で等閉視されている、しかもそれが日本の産業に、あるいは青少年の教養の問題というようなことで、いつも論議されますところの青年諸君の、ことに働く青年諸君の問題も、この機会に考えなければならない。あるいは高等学校の問題が、中間的な存在で、今まで完全に果されていない。これに対しても、中央地方を通じて問題になつていることでございます。やはりこういう問題も、大きな問題とはいえ、これほど重大な法案がつくられる段階でありますので、これは考慮されなければならない問題だと思う。単にここで一応平衡交付金のわくの中からこれだけ摘出して来たということでもつて、満足すべき問題ではない。もし、これで満足するようなことがあつたならば、日本の教育というものは、依然として父兄あるいは教師あるいは子供の犠牲で、その命脈を保つて行かれるにすぎない。文部大臣も、新聞等で見ますと、文部大臣のすべてを賭してこの問題に当つて来られたようでございますが、残念ながら、その所信を貫徹することができない。私は、文部大臣の心中をお察しするものでありますが、できるならば、自由党の諸君も、ただ自分の面子を通すというようなことにこだわるのでなくて、ほんとうに日本の教育の現状を考え、この法律ができるその大きな責任というものを感ぜられて、われわれの提案しおります修正案に賛成していただくならば、私は父兄の方もほんとうに満足して、その期待したものを喜ぶし、また現場に働く教職員の方たちも、ほんとうに心魂を打込んで教育に従事することができるのではないか。そこに育てられて行くところの子供は、日本再建の力として育成されて行くのではないか。こういうことを考えるものでありまして、一党の面目というようなことに、当初からこだわつておられたような感が多多あるのでありますが、大乘的な見地に立ちまして、私たちの提案した修正案に賛成せられんことを要望いたしまして、私の討論を終ります。
○竹尾委員長 次に坂田道太君。
○坂田(道)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提案されました松本七郎君外七名からなる修正案に反対し、若林君より提案されました修正案に賛成を表するものでございます。 松本七郎君外七名からなる修正案は、義務教育の学校以外に、さらに高等学校、幼稚園等にも範囲を拡大し、その給与、教材費及び校舎の建築事業費等につきましても、五分の四を下らない額を国が負担することを規定し、さらに義務教育の児童及び生徒の教科用図書並びに給食費につきましても、全額国庫負担をはからんとするものでございまして、これは修正案と申しますよりも、新たな法案と見られるのでございます。しかしながら、その趣旨とその理想は、われわれといたしましても同感の点があるのでございますが、現在の国家財政の実情及び地方財政制度の現状から考えますならば、多少無責任な御提案のそしりを免れないのではないかと思うのでございます。従いまして、松本君外七名からなるところの修正案に対しましては、反対をするものでございます。 次に、若林君から提案になりましたる義務教育費国庫負担法案の修正案に対しまして、賛成の意見を申し述べたいと思います。その理由は、申すまでもなく、憲法上重要な国民の権利であり、義務であるのみならず、わが国文教政策の根幹でございます義務教育について、国が明確に財政上の責任を負担することにより、義務教育の基礎を確立し、わが国文教の振興をはかりますことは、田本教育史上画期的な措置であります。従来の義務教育費国庫負担法は、都道府県の給与費だけでございまして、しかも、その負担も都道府県の負担するすべての給与を対象としたものではなかつたのでございますが、この修正案によりますれば、都道府県が負担する諸給与のすべてが、国庫負担の対象ともなつたのでございまして、さらに学校教育上、教職員の給与費と相並びまして最も重要でございます教材費につきましても、新たに国が一部を負担する原則をここに明らかにしましたことは、義務教育無償の原則を実現し、あわせて義務教育の振興をはかる上から、まさに画期的な法案であり、わが国全教育界の要望であると思うのでございます。従いまして、将来国家財政及び地方税制の改革等とにらみ合せまして、早急にわれわれの抱いておりますところの、また野党諸君の考えておられますところの理想的義務教育費国庫負担制度が、一日も早く確立されることをここに要望いたしまして、賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
○竹尾委員長 次に松本七郎君。
○松本(七)委員 松は日本社会党を代表いたしまして、小林信一君外七名提出にかかります修正案に賛成し、若林君提出にかかります修正案に反対、並びに若林君提出の修正案を除く原案に反対の意思を明らかにするものでございます。 〔「義務教育に反対か」と呼ぶ者あり〕
○竹尾委員長 私語を禁じます。——御静粛に願います。
○松本(七)委員 提出者並びに自由党の文部委員の諸君が非常に熱心に、その趣旨を貫徹されるために御努力されたことは、われわれも十分認めるものでございます。ただこの審議の経過におきまして、特に地方財政委員会等の答弁などを聞いておりますると、現在の平衡交付金制度そのままでもやれる建前になつておる、またやれるはずである、こういう論を一貫して主張されておるわけでございます。これは政府当局の意見でございます。ところが、自由党の文部委員の方の意見を聞いてみましても、現在までに経験して来たこの制度では、実際に教育費というものが確保できておらない。そういう事実に基いて、せめて義務教育費だけでも、平衡交付金のわくからはずして、そうして教育費を確保したい、こういう精神にのつとつて最初の原案は出て来ておるわけでございます。そういう建前が守られる限りは、私どもも、そういう精神を生かすのに一歩前進するために、できるだけの協力をして行こうという協調的な態度をとつて来たわけでございます。しかしながら、この現在若林君から出されました修正案を見ますると、なるほどその精神をなお生かそうとする意図は出ております。しかし、すべて大切な点を政令にゆだねておる。特に、いつからこの法律を実施するかということについてまで政令にまかせる、こういうことになりますると、これは行政府に対する信用の問題になつて参ります。私どもは、文部委員の各位が努力されたその熱意は、よく了承するのでございますが、その熱意が、行政府に対してどれだけ実行させる成果を収めるかということについて、非常な不安を感ずるのでございます。(「自由党内閣だ、安心しろ」呼ぶ者あり)それは自由党の諸君は、不安を感じられないかもしれません。しかしわれわれは、それに不安を感ずるのは当然でございます。こういう重要な箇条にわたつて、これを政令にゆだねるということでごまかさなければならなかつたこと自体が、われわれにそういう大きな不安を与えるのは、当然なことでございます。特に地方財政委員会の答弁を聞いていましても、全額国庫負担なら賛成だと言う。それならば全額国庫負担でやる意思があるのかといえば、それはもつと反対だ、こう言つておるのであります。そんなばかな答弁はないのであります。そうして文部委員の各位の御努力に対してとられた大蔵大臣の態度のごときを見ていましても、私どもは、今の政府に政令でまかせるというような骨抜きの法律案、修正案には、絶対に賛成することはできないのであります。 その修正案を除いた部分につきましては、一番大切な点をそういうふうに政令にゆだねておりますから、すでに非常な不安があるわけでございますが、私どもは、そういう状態ならば、ここでもつとはつきりした、われわれが最初考えた、この程度ならよかろうと思つておつたより以上のものを政府に要求しなければ、この教育費の確保は将来むずかしいという観点に立ちまして、その残る部分についても、大幅な修正案を小林信一君外七名で提出したような次第であります。そういうわけで小林信一君外七名提出の修正案に賛成いたします以上は、若林君の修正案並びにそれを除く原案に反対することになるわけであります。
○竹尾委員長 次に坂本泰良君。
○坂本委員 私は日本社会党二十三控室を代表いたしまして、松本君以下わが野党提出の修正案に賛成し、若林君提出の修正案並びに原案に対して、反対をなすものであります。以下その理由を申し上げます。 わが国が、戰負には負けましたけれども、日本の八千万の国民が、文化国家として立ち上り、真の平和を確保いたしまして、再びかような敗戰のうき目を見ることなく、共存共栄の文化国家建設のために、われわれは憲法九条によつて軍事的な一切の武力を廃止し、戰争を撲滅し、そのかわりにこの文教政策を確立いたしまして、戰争には負けましたが、われわれ八千万国民が真の平和国家、文化国家建設のために立ち上つて七年に至つたのであります。しかしてこの教育の問題に対しましては、六・三・三・四制の大きなる学制の改革がありまして、敗戰後の日本の国民の窮乏の中におきましても、われわれは一意専心努力をいたして参つたのであります。しかして今日に至りまして法律的にも、日本の文教政策の確立を期しまして、その目的に邁進するために、文部当局におきましても、ここ数年来、義務教育費国庫負担法について、真剣なる検討がなされ、本年に至つてややその完結を見ました。ところが、文部大臣の政治力はあつたかもしれませんが、自由党の再軍備政策その他によつたのでありましよう、この国庫負担法は、内閣提出案として提出することが困難な状況になつたのであります。しかるに、敬意を表する自由党文部委員諸君の努力によりまして、竹尾委員長以下文部委員諸君の共同提案によるところのこの国庫負担法が本国会に提出されたのであります。しかして、この法律案の審議にあたりましては、地方財政委員会から強力なる反対がありまして、地財委と文部委員会の共同審議にあたりましても、われわれはこの法案の内容は、またその期待するところは第二といたしまして、いやしくも義務教育費の国庫負担ということの大きい目的のためには、これを地財委から奪取いたしまして、この国庫負担の実現を期して、文教政策の確立をはかるために努力をいたして参つたのであります。しかるに、この法案、さらに再修正をされまして、先ほど来いろいろ討論をいたしたのでありますが、この討論の際にも申しましたように、この眼目であるところの二条が、その基礎が失われて、ただ観念的の二分の一の国庫負担ということになつてしまつたのであります。われわれはそのような国庫負担法の、趣意には賛成をいたしまして、真に努力をいたしたのでありますが、その内容におきましては、これでは足りないといたしまして、われわれ野党は連合して修正案を出したのであります。この修正案の内容については、小林君、松本君から言われましたから、私は省略をいたしますが、この国庫負担法のこの目的を達するためには、われわれの修正案でも十分ではないのであります。少くとも義務教育費国庫負担法という打出しで言うならば、これぐらいは獲得しなければ、われわれは国民に対して相済まないと思うのであります。しかるに、この原案に対する若林君の修正案は、それをまた骨抜きにいたしまして、ただ観念的に国庫負担について国庫が二分の一負担するぞといつて、ちようどたこをあげて、たこが国民のためにやりましたと示して、その実質はこの一本のたこの糸にも値しないような脆弱な法律案にしたのであります。そのような修正案に対しましては、われわれは断固として反対をしなければならないのであります。この点については、自由党の諸君がいかに抗弁をいたしましても、もちろん選挙の演説なんかは、二分の一を獲得したといえば、それでだまされるかもわかりませんけれども、真に教育の府にあり、また真に子供を教育させておるその父兄は、その内容を知りましたならば、この自由党の提出しておる法案に対しては、まことに失望を感じ、また日本の文教政策の今後に対して非常に憂うるものであります。 私はかような見地におきまして、この若林君の修正案並びに原案に対し反対をいたしまして、われわれ共同修正案に、ぜひとも自由党の諸君も賛成をしてもらい、この通過あらんことをこいねがう次第であります。
○竹尾委員長 次に渡部義通君。
○渡部委員 義務教育費国庫負担法案及び自由党提出の修正案に反対し、小林君外提出の修正案に賛成であります。 この義務教育費国庫負担法案及び自由党側の修正案は、法案そのものの内容、ことに質疑応答の中に現われた中において、これは一貫してごまかしであり、また言い訳であることが非常に明白であります。今至るところで学校が非常に荒廃状態にあり、教材、教具もその通りであります。教員等は、定員が不足であるばかりでなくして、非常に安い賃金で労働が強化されておる。他方国民全体の窮乏から、長期欠席者がどんどんふえるという状態にある。このような状態を打開して教育の危機を救うためには、どうしても憲法の精神によつて義務教育費の全額国庫負担がなさるべきであるというのが、国民の非常に強烈な声であり、動きであつたわけであります。だからこそ、自由党の諸君といえども、これをつくり上げざるを得なかつたのであります。 ところが、諸君はごまかしをやつて来た。なぜならば、その根本は、このような法案が出され、あるいはこのような修正案が自由党の諸君によつて出されたことだ。結局国家財政の現状の困難さからいつて、やむを得なかつたのだということが、繰返し繰返し説明された。しかしながら、国家財政の困難というのは、諸君自身が認められておるように、これは日本の再軍備政策に基くものであることは、明らかであります。ところが、国民は再軍備に反対であり、徴兵に反対であり、日本の政策がアメリカに従属することに反対である。日本の経済が、軍事産業のために崩壊することに反対であります。だから、このようなアメリカに従属する、アメリカの傭兵となるような軍事的なやり方を廃して、この費用を、この血税を、当然自分たちの子弟のための教育に向けろ、これが文化国家として立つゆえんであるというのが、国民諸君の大きな要求であり、声であり、また行動であつたことは御存じの通りであります。ところが、諸君はそのことをごまかしておる。それのみではない。教育の内容自体が、この軍事目的のために今日従属させられておる傾向は明らかであります。これは詳しくここでは申し上げませんが、天野式な教育、天皇制的な教育の復活ということも、客観的にはそれに資するものになるのであり、また学生諸君その他が、学問の自由、研究の自由、学園の自治というようなことのために立ち上つておる運動に、徹底的に弾圧をしておるという、諸君の毎日目の前に見ておるこういう事実こそ、今の教育の内容であります。このようにして、教育が軍事的目的のために従属され、その犠牲にされておる。今国民の強く要求しているところのものは、すでにこのようにアメリカの軍事的目的のために従属させられておるという現状をどうしても廃しなければならぬ、教育を国民自身のものにしなければならぬという国民大衆の決意に基くものであります。義務教育というものは国庫の負担において国民に機会均等を与えなければならない。言いかえれば、国民の教育上の機会均等のために、物質的な基礎を与えなければならぬということの反面、こういうように教育が軍事的な方向に向けられておるという現実を無視しては、義務教育の発展を考えることは断じてできないのであります。この点も諸君はごまかしておる。従つて法案そのものがこのような性質と、このような精神に基くものであるからして、法案の内容も当然この義務教育費の国庫負担というようなところに近づくこともできなければ、決して国民を満足させるような性質でもないということは、現在ここに目で見る通りであります。たとえば、この国庫負担が、単に給与の二分の一あるいは教材費の一部というような形で規定されておるということ、このことによつては、貧しい国民の義務教育における機会均等というものを保つことは断じてできません。さらにそれだけではなしに、多くのものが依然として地方財政及びPTAの負担にかかつておる。このことが地方財政を一層困難ならしめて来ておるということは、この点では私は地財委の意見というものが認められなければならないと思います。こういうふうにして、財政的にも国民の困窮を解決するための内容はこの法案は持つておらない。同時に、この法案によつて教育財政を文部官僚がつかむことになるならば、その財政を通じて、ことに、文部省の今日の官僚的な性格と、文部省の軍事的な天皇制的な教育の方向ということを考え合せて行くならば、この法案によつて、財政上の文部省による教育一般の官僚化を促進するに役立つであろうということは明らかであります。こういう意味において、私はどうしてもこの法案に賛成することはできないのであります。 同時に、憲法の精神に基く義務教育を実現して行くためには、私が申しました内容をも含めての全額国庫負担、そのために軍事費をそちらにまわすべきである。さらに、日本の民主化、日本の独立平和のための教育内容を持つべきである。この教育内容をほかにしての義務教育を考えることはできないのであります。こういう根本的見地から申し上げますならば、私は、小林君以下提案の修正案にも、非常に多くの基本的な点において不満があり、批判的な立場をとつているものであります。しかしながら、今日教員組合等がこの修正案の通過を要望しているのであれば、今日の段階においてその要望を急速に実現せしめて、また来るべき時期に、さらに根本的な大衆の要求の基礎の上に立つて、徹底的に義務教育に関する憲法の精神を貫いて行くという立場において、修正案には賛成するものであります。
○竹尾委員長 次に浦口鉄男君。
○浦口委員 第三倶楽部といたしましては、義務教育費国庫負担法に対する小林信一君外七名の修正案に賛成いたしまして、若林義孝君提出の修正案並びにその修正部分を除く原案に反対の意見を申し述べたいと思います。この反対は、私といたしましては、まことに心ならずも、たいへん遺憾な意を表しつつ反対しなければならないと思うのであります。 実は、義務教育費国庫負担法案につきましては、われわれは、従来からその成立を非常に期待いたしまして、文部当局の立案過程において、微力ながら何とか促進をしたいと考えておつたのであります。一般の輿論にこたえます場合におきましては、現在日本の置かれている立場、あるいは財政その他において、われわれの希望するがごとき憲法通りのりつぱな法律案ができるようなことを、われわれは現実に考えていたわけではございません。しかし、国家が独立という大きなチヤンスに際会いたしまして、今まで占領下において制約されておりました日本の自主性を、少くとも民主的にして、文化的な国家をつくるというその基盤となる教育、財政の確立ということに、われわれ大きな期待をしていたわけであります。そこで、いろいろ変遷はありましたが、文部省が成案を得られましたその後、これが文部委員会の与党委員の各位による共同提案になつたときにおいても、われわれは、その内容については必ずしも満足だと思つたわけではございません。これが五月七日、本委員会に提案されましたときにも、私は、従来の経過から申しまして、提案者の若林委員に対しまして、なぜ野党の共同提案も認めてくれなかつたかと異議を申し立てたような次第でございます。これに対して、若林君は、非常に親切に答弁をしていただいたのであります。それには、いろいろ困難な事情があつて、野党といたしましても、この時機をはずすと、別な義務教育費国庫負担法案が提案されるということも聞いている、であるから、与党としてはこれに遅れないように出さなければ、また与党の内部においても賛否両論があるので、非常に不満足ではあるが急速にこれを通してもらうには、この範囲でなければできないという、非常に腹を割つた話がありましたので、われわれはそのことを了承したわけでございます。 しかし、この内容から申しますならば、これはもちろん本委員会は通過をいたしましても、参議院においてはたしてこれがどういうことになるか、当時において、われわれは必ずしも楽観をしていたわけではなかつたのであります。しかし、そういうことは別といたしましても、従来の経過から見まして、急速にこれを通してほしいという提案者の御意見もございまして、われわれも、参議院の方ともにらみ合せまして、急速にこれを通すことにはやぶさかでないということが、野党各派の意見であると私は了承をいたしております。 そこでこれが五月七日に提案をされまして、五月二十日の本委員会におきましては、その後いろいろ自由党内部あるいは政府、あるいは大蔵、地財委からも意見が出て来まして、このままで遷延いたしますならば、ますます通過が困難になるであろうということから、委員長初めこの委員会の与党、野党を問わず、委員会全員の名において何とかこれを通過させようというような御意見のわれわれは看取いたしましたので、何とかこれをその日に通過させて、あとは与野党こぞつて参議院の通過に協力をしたいというふうなことを考えたのでありますが、たまたまその瞬間において、委員長初め幹部の方が、いわゆる自由党の三役に呼ばれまして、問題がそれ以後非常に紛糾して来たことは御承知の通りであります。その当日は、午後五時十分まで待つておりまして、いろいろ細目的な意見は別としまして、われわれはいつでも結論が出次第、一挙に通過に協力しようという態勢で参つたのでありますが、不幸にして午後五時十分に至つてとうとうこの委員会は開かれずに散会に至つたという事情があるのであります。私はそうしたその後の事情につきましては、ここでいろいろと批判することは差控えますが、本日の修正案によりまして、内容はわれわれが最低に考えました以上に、非常な骨抜きになつてしまつた。他の委員のお話によりますと、卵のきみもしろみもなくて、からばかりだというお話がありましたが、なお実施上についても、これだけの重要な画期的な法律案の実施がきまるや、政令にまかせられるということについては、われわれとして、どうしても良心において、これは国民に喜んでもらうわけに行かないということから、私は心ならずもこれに反対せざるを得ないのであります。
○竹尾委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決に入りますが、まず採決の順序を申し上げます。第一に小林信一君外七名提出の修正案、次に若林義孝君提出の修正案、次に原案の順序でございます。まず小林信一君外七名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立少数。よつて小林信一君外七名提出の修正案は否決せられました。 次に、若林義孝君提出の修正案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつて若林義孝君提出の修正案は可決せられました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いた原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつて原案は修正議決いたしました。本案修正議決の結果、整理を要しますものがありますときは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹尾委員長 御異議がなければさよう決しました。この際、水谷昇君より附帯決議を付するの動議が提出せられておりますので、本動議の趣旨弁明を求めます。水谷男君。
○水谷(昇)委員 ただいま議決いたしました若林議員提出の修正案とこれを除く原案、すなわち義務教育費国庫負担法案に関して、附帯決議を付する動議を提出いたします。まず附帯決議案をお示しいたします。 義務教育費国庫負担法案に対する修正案に関する附帯決議案 一、教職員給与費の国庫負担額の最高限度を政令で定める場合には、その限度の基礎は、原案の趣旨を尊重し、少くとも各都道府県のその年度の実積を下まわらないように定めること。 二、老朽危険校舎の起債については、速かに地方財政法第五条を改正して原案の趣旨の実現を図ること。 三、本法案の施行期日は政令で定めることになつているが、これを昭和二十八年度から実施すること。 次に、義務教育費国庫負担法案に対する修正案に関する附帯決議案の提案理由について御説明申し上げます。 第一は、修正案によれば、教職員給与費については、各都道府県ごとに、実支給額の半額を負担することになつていることは、はなはだけつこうでありますが、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を、政令で定めることができることになつております。この限度が政令で定められる場合に、低くきめられますと、半額国庫負担の原則がくずれるおそれがありますので、限度をきめる場合には、原案の算定基準の趣旨を尊重し、少くとも各都道府県のその年度の実績を下まわらないように定めることにしたい。 第二に、老朽危険校舎改築に要する起債につきましては、原案から削除され、別に措置することになつておりますが、義務教育諸学校の校舎の現状にかんがみ、すみやかに地方財政法第五条の改正を行い、義務教育諸学校の校舎の建築については、無条件に起債が認められるように原案の趣旨の実現をはかりたい。 第三に、施行期日は、地方税法の改正と関連がありますので、政令で定められることになつておりますが、昭和二十八年度を目標としているとの提案者の説明もありますので、この際昭和二十八年度から必ず実施するようにしたいと存じます。 以上の三項目は、野党の諸君もそれぞれ質問をいたしまして、これが実現を希望しておるのでありますから、おそらく賛成だと考えますが、どうぞ満場一致御賛成あらんことを希望いたします。
○竹尾委員長 ただいまの附帯決議案につきまして、討論の通告があります。これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいまの決議案に反対の意見を表明するものでございます。 この案の案文そのものだけを、ただ見てみますと、なるほどけつこうなことが書いてあるわけであります。ただ反対したというのでは、その理由がはつきりいたしませんから、どうしてもこの際反対の理由というものを明らかにしておきたいと思います。 第一に、形式的に、どうしても反対しなければならぬようにできております。「本委員会は、義務教育費国庫負担法案に対する修正案について、次の附帯決議を附して賛成する。」、こうなつておるが、私どもは、この修正案に反対したのでございますから、賛成するわけには参りません。これが形式的な点でございます。 その次は、本質的な問題で重要な点でございますが、この決議案に「老朽危険校舎の起債については、速かに地方財政法第五条を改正して原案の趣旨の実現を図ること。」となつております。しかし、これは最初の案によりますと、はつきりと「地方財政法第五条の規定にかかわらず」云々という規定ができておるので、何もこういう決議をしなくても、修正案の中に明記することはできるはずでございます。なお、二の施行期日につきましても、若林さんの答弁によりますと、地方税法の改正に歩調を合せるが、それも二十八年度までにはできる見込みだ、政府はそういうつもりでやつておる、こう言つておるわけであります。それですから、これも当然この修正案の中に明記すべきことであろうと思います。 要は、こういうものを提案して来て、修正案をつくつて出したものが、決議案を付して通過させなければならぬということ自体がナンセンスなのであります。そういう決議案を同じ人が出すくらいならば、修正案の中にはつきり規定すればよいのであります。それを私どもは非常に重大に考えるのでございます。結局これは、行政府に対する信頼の問題でございますから、与党の諸君は、今まで努力して来てできなかつたが、今後継続努力すれば、あるいはできるであろう、そういう期待と信頼があるわけなのであります。私どもはその期待が持てない。特に今までの経過から参りまして、さいふを握つておる大蔵大臣を、われわれは最も信頼しないのでございます。そういう状態のときに、こういう欺瞞的な決議を付して、表面だけ糊塗する修正案に賛成するわけには参りません。
○竹尾委員長 ただいまの動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹尾委員長 起立多数。よつて動議のごとく、附帯決議を修正された原案に付することに決定いたしました。 次に、本法律案の委員会報告書等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますがいかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹尾委員長 御異議なければさよう決しました。 この際委員長より一言ごあいさつを申し上げます。本案の審議にあたりましては、種々困難な問題もございましたが、与党野党の委員各位におかれましては、一致して終始御熱心なる御審議をいただき、また委員長ふなれのため、議事運営の諸問題につきまして、各位の御不満がありましたにもかかわりませず、当委員会の使命遂行に御協力を賜わりましたことにつきまして、深甚なる感謝の意を表する次第でございます。今後も相当重要法案が山積しておりまするから、なお一層の御協力御鞭撻をお願いする次第でございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十三分散会 ————◇—————