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13回国会衆議院1952/06/09

文部委員会 第29号

発言数
120
登壇者
12
会派数
5
開催日
1952/06/09

会議録

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 ただいまより会議を開きます。  まず連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律案を議題といたします。質疑を許します。浦口鉄男君。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 前会に引続きまして、連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律案について、質疑を続けたいと思います。  この法律案は、五月十五日の参議院の委員会において、多数決をもつて通過しておりますが、その委員会における各党代表の賛成並びに反対論を見ますと、必ずしもこの法律案の可否両面について、徹底した見解が示されているとは思えないのです。柴田課長は、著作権について二十年以上非常に苦労されている方でありますが、われわれは、この法律案が出て、まだやつと一週間か十日しか研究していない。たいへんむずかしい法律でありますので、私も勉強しておりますが、なかなか徹底した質疑ができないと思います。その点ひとつ御了解の上懇切簡明なる御答弁をお願いしたい、こう思います。  そこでまずこの法律案の條文の一つ一つについて二、三お尋ねしたいと思います。それは第七條の最初の「申請書の提出、手数料の支拂その他一切の手続又は條件を課さない。」これは平和條約の條項に従つて、それをここに規定してあるのでありますから、当然と思いますが、その後段において「登録税法の規定の適用を妨げない。」こういう條文があるのであります。これはもちろん登録によつて効力が発生することでありますので、その登録によつて登録税を徴収する、こういうことになると思いますが、この点が、第三者すなわち連合国並びに連合国人に対して、登録税を徴収するというよううことが、このままこの法律をもつて対抗実施が可能であるかということ、それからこれがいわゆる平和條約のあらゆる條件を課さないという点に違反しないか、その点をまず伺いたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 最初の御質問の、対抗できるかということにつきましては、対抗できると解釈いたします。  第二段の、平和條約の十五條に違反しないか、こういうふうな御質問でございますけれども、この平和條約をお読みになると、期間の除算については、その手続等はいらないということなんでございます。それで期間の除算は、登録しようがしまいが、それは権利者の意思でございまして、登録しなくても、しても、いわゆる期間の除算はされているのでございます。登録ということは、第二次的な第三者対抗の要件でありまして、別に除算のために登録が必要だと規定しているのではございません、権利が移転していれば、移転したと同時に期間も除算されているのでございますから、この平和條約には違反しないと解釈するのであります。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 登録しなければ、第三者に対抗できないと思いますので、これは必ず登録がなされる、こういうふうに実際問題として考えられますが、この点いかがですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 著作権が移転されて、権利者が判明している場合は、日本の利用者は、その明白な権利者と契約することと思います。それで必ずしも何人も登録をするということは必要でもなく、また考えられないのであります。しかし米英の風習を見ると、登録をすることとは思いますけれども、しかし絶対にしなければならない、しなければ移転が証明され、移転が明白にならないのだというようなことはございませんから、それは登録しなくても、移転が明白なものはやはり明白なのであつて、利用者は、その当事者と契約することになると思います。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 登録した場合に、日本の登録税法によつて向うに登録税を課すと思うのでありますが、将来そうした実際問題が起きたときに、格別なトラブルが起きなくて、スムーズに行くというお見し通ですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 そういうふうに解釈いたします。しかし、トラブルの問題は、すでに平和條約の解釈によつて、利用国の間には起るものと、條約では常に解釈されるのでございますから、その問題は、常に平和條約の中に内蔵されている問題だと思います。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 次に、第六條は「連合国及び連合国民以外の者の著作権」こういう見出しで規定になつているのですが、おそらくこの特例法は、連合国及び連合国民以外の著作権者に適用されるということではないと思うのです。そこで「以外の者の著作権」という表題が、非常にふさわしくない、というより、この六條の規定は、どう考えてもあまり適切な規定でない、むしろ不要な規定のように思うのですが、これを立案された文部省の方の考えを、もう一度はつきり聞いておきたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 この六條を規定しました理由は、次の通りでございます。この十五條の(C)項の規定によりますと、連合国民の著作権が保護されるということになつております。ですから、かつて連合国民の著作権であつたものも保護されるのか、そういうふうな疑問も出て来るわけでございます。たとえば、イギリス人の著作権、いわゆる連合国民の著作権であつたものが、非連合国民、いわゆるスイスの国民あるいは国へ移つたときに、そういうふうに、かつて連合国民の著作権であつたものも保護するのか、こういうふうな疑問が十五條の(C)に含まれておるのでございます。しかし、その非連合国民に移転した著作権は保護しない、平和條約発効のときに連合国民の手にあつたものを保護する、こういうふうな解釈を規定したのが、この第六條の趣旨でございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 私、第六條が、どうしてもはつきりわからないのですが……。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 それでは、もう一度敷衍して申し上げます。たとえば、戰争前にイギリス人が著作権を持つておるといたします。それがずつと戰争中も続いていた。ところが、戰争中にそれをスイス人の手に移してしまつた、あるいは譲渡してしまつたという場合がございます。そういうふうな著作権は保護する必要がない、こう解釈したわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 私は、むしろ第六條よりも、そういう意味を含めるならば、これは私の考えで、決定したものじやないのですが、この特例に規定がないか、または定めていない事項は、すべて日本著作権法の規定による、こういうふうな條項を第一條の二項にでも入れた方が、むしろ明確でないかと思うのですが、その点、文部省の意見を聞きたいと思います。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 たいへんごもつともな説でございますけれども、たとえばイギリス人の著作権が、著作権に関する條約や協定のない国民に移つた場合は、それでもよろしいのでございます。しかし、連合国民でなくても、著作権の條約あるいは協定のある国民に著作権が移つた場合、ただいまの例で申しましたスイス——これはベルヌ條約に入つておりますが、そういうふうな国民に移つた場合は、その規定ではやはり除算して行かなければならぬ、免れるというところまで行かないだろうと考えられるのであります。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 この法律が適用される範囲は、ベルヌ條約の中のローマ規定を遵法している国国家であり、しかもそれが連合国であり、日本との平和條約を批准した国家である、それ以外の国家には、この特例法は適用されない、こういうふうに、もちろん考えていいと思うのですが、まずそれをお聞きしておきます。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 お説の通りでございます。ですから、その連合国その他の国民という範囲は、非常に少いものでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 そういたしますと、中立国、あるいは日本との平和條約の未調印国との関係は、一体どういうことになるかということを伺いたいのですが、私の考えでは、未調印国は、今後日本との間の平和條約によつて、著作権についてどういうふうに規定されるか。未知数のことであると思いますが、少くとも中立国あるいはベルヌ條約ローマ規定の加盟国でないもの、そうした国との関係は、日本著作権法の二十八條を適用することによつて、今後実際問題を取扱つて行く、こういうふうに一応考えてみたのですが、その点いかがですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 著作権の條約、協定のない国、国民との関係においては、著作権法の二十八條の「但し」以下、及びベルヌ條約のローマ規定の四條及び六條が適用されて保護を受けると解釈します。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 それから、死後五十年の問題と非常に関連があるのですが、これは柴田課長も、四月十五日と思いますが、参議院の委員会における答弁において、ベルヌ條約のブラツセル規定は、一九四八年七月十六日ですか、この日にできたのであつて、その当時の日本は、これに何も賛否の回答を與える立場でなかつた。だから、これは三十年の責任を負う以外に、五十年ということは考えていないし、そういう事実はない。しかし、それは当時の占領軍の直接行政によつてやつたということは、私どもいろいろな意味から肯定するわけですが、ただベルヌ條約に加盟しているということにおいて、日本は負担金を負わされている。それを敗戰後の占領下の負担金も、現在まで全部さかのぼつてこれを拂えという要求を受けて、日本がこれを拂つたということは、一体どういうことを意味するかということを、私はお聞きしたい。占領下も、日本はベルヌ條約に加盟国としての負担金をずつと拂つておつたということは、ローマ規定を日本が遵法しておることはもちろんですが、一九四八年にできたいわゆるブラツセル規定をも、自然に日本は承諾しているという結果になるのかならないのか、その点を伺つておきたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 事務局の維持費として、日本が分担金を拂うということは、ブラツセル條約の規定を受けるというふうなこととは、関係ございません。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 そういたしますと、やはり日本として、ブラツセル條約の規定を守るかどうかということは、今後の外交交渉あるいは通商協定その他による交渉の結果であつて、現在はこのブラツセル規定に全然拘束ざれる必要はないと考えてよろしゆうございますか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 現在のところそう解釈しております。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 次に、四月十五日の参議院における参考人中島健藏氏の参考意見の中にあるわけですが、結局一九四一年十二月七日から講和発効日までは、著作権の行使は全然不能であつた。そのために、その間の期間十一年が除算される、あるいはそれだけ平和條約発効後の著作権の中に加算されるということになるので、非常に問題があるということを言われておるのです。しかし事実は、占領軍の直接行政によりました結果、またその裏づけとなつた文部次官通牒、あるいは局長通牒によつて、連合国並びに連合国人の一部の著作権は、この占領下において、講和発効日までの間において相当その権利が行使されていた。全然行使されていないということはなく、一部は行使されているのです。その点私はそういうことからいつて、十一年というものを全面的に除算して将来に加算するということは、非常に不合理なように考えられるわけです。占領下の直接行政とは申しましても、いわゆる私契約において契約書をかわして、そしてその違反の疑いのあるものについては、ロイアルテイを拂つているという事実からして、こうしたものは当然除外さるべきではないかと考えるのですが、どうですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 この戰争中の期間を除算するという意味合いは、戰争中の期間、連合国及び連合国民が権利の行使ができなかつたからだというふうな理由に立つて解釈すれば、そういう解釈ができるのは当然だと私たちも思います。そして私たちも、この法律を考えますときに、実はそれを考えたのでございまして、戰争中に権利の行使のできたものは、何も除算する必要がないのではないか。それを何らか特定事項として盛れないかということを、実は考えたのであります。しかしこの戰争中において、はたのて権利の行使ができたかどうか。GHQの調査によると、契約を結んだもので、七〇%以上日本人は金を拂つていないそうです。契約だけを結んでも、実は金は抑えなかつたというものが大部分であつたように、私たちは聞いております。それから、特定の著作権について期間を除算するという場合を考えましても、その除算契約期間が、はたして契約を結んだ時からなくなるのか、あるいは金を受取つた時からなくなるのか。ごく少数の著作権について、そういうふうな除算期間を減らして行くという考え方はなかなか困難でございまして、GHQの方の話を聞きましても、七五%も不履行のものがあるということで、契約を結んで、金をとらずに引揚げてしまつたわけでございますが、はたして戰争期間中に権利の行使ができたものがどれだけあるかということになると、なかなか困難でございまして、しかもそれらの考えは、除算ということが、戰争中に権利の行使ができなかつたという解釈のもとに立つているわけでございまして、それ以外にもまた何らかの理由があつて除算というものがあるのかどうか。これは平和條約を結んだ当事者にも、またそれ以外の意味があるものと考えまして、解釈を本特例法に盛ることを省いたのでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 この問題は、占領行政下の日本として、当然とはいえないかもしれませんが、まあ受けなければならなかつた一つの不利なこととして、われわれは一応事実を認めざるを得ないのでありますが、それに対する次官通牒、局長通牒の問題は、私、繰返して申し上げるような当時の文部省の立場は、了解したのでありますが、この当時の処置としてわれわれは非常に遺憾であつたということは、繰返さざるを得ないと思います。その結果が、私契約上に一部の翻訳者、あるいは翻訳著作権者その他これの利用者が不利をこうむつたということでありますが、それは今後の外交交渉、通商協定その他によつて善処していただきたいということを、当局にもお願いをしておきます。  そこで、次に翻訳権の問題でありますが、翻訳権の場合は、一九四一年十二月七日から講和発効日までの除算期間に、なお六箇月を加算するということになるのですが、この六箇月というのが、除算して加算されるということになると、一九四一年十二月七日以前の六箇月にまたさかのぼるという解釈が出て来ませんか。そうすると、私は非常におかしいことになると思うのですが、その点はどういうように解釈されますか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 戰争前にさかのぼつてという意味ではございません。ですから、戰争期間プラス六箇月ということにすぎないので、たとえば、戰争の五年前に発行されたものがあるとします。そのあと五年ございまして、その五年にプラス六箇月が講和條約発効後に頭を出す、これだけのことであります。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 この四條の一号と矛盾して来ませんか。翻訳権の除算期間について六箇月の相違があるということは、四條の一項と矛盾して来るように思いますが、矛盾しなければその理由を承りたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 矛盾しておりませんです。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 どういう理由で……。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 四條では、すべて戰争中の期間を加算する期間として見る、こう言つておりまして、第五條では、その加算が、翻訳権の場合は六箇月多く加算してもいい、こういうふうなことを規定しているのでありますから、矛盾しないと思います。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 翻訳権について、六箇月の加算を別に規定しているという條文の面においては、矛盾しませんが「そのいわゆる連合国並びに連合国民の著作権の特例を認めるという本質的な意味において、六箇月を加算したということは、どういう理由によつて加算したか。実際問題として、矛盾するように考えますが……。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 この期間の除算につきまして、なせ翻訳権だけは六箇月多くなつているかということは、日本の著作権法の第七條の二項に「前項ノ期間内ニ」——すなわち、著作権者が著作物を発行のときから十年以内に——「著作権者其ノ保護ヲ受ケントスル国語ノ翻訳物」——いわゆる日本語の翻訳物——ヲ発行シタルトキハ其ノ国語ノ翻訳権ハ消滅セス」こうなつているところから、これが出ているわけでございます。いわゆる六箇月の間に連合国人に日本で翻訳物を出す猶予を認めよう、これが翻訳権にだけ六箇月多く加えられている理由なのでございます。たとえば、四月の二十八日に平和條約十五條の効力の発生した国、たとえばイギリスとかフランスの場合を考えてみますと、この六箇月がなければ、四月二十八日以後、戰争が始まつた年のあれは十二月の八日でございますから、あとの二十四日間だけで切れてしまうものがございます。ですから、五月の早々に翻訳権が切れてしまうものがあるわけです。そこで、それではそういうふうな権利者に不利である、こういうので六箇月多く見て、その間に日本に翻訳物を出せる猶予をつけようとしたのが、六箇月だけ翻訳権が多いわけでございまして、それは、たとえば音楽や何かと建つて、特別に権利者の立場を保護してやらなければならぬ。その六箇月加算の理由は、この七條の二項によつて出て来たものであります。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 次に、権利計算の方は日数で行つていますが、著作権法では、あくる年の一月一日からと、こういうふうに年で計算になつていて、その点食い違いがあるようですが、実際問題として、どういうふうに扱うつもりですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 著作権法は翌年から起算するということになつております。これはいわゆる利用者の起算することの便利を考えたわけであると考えられます。利用者が便利であるということでございます。このことは、あまりよその著作権法にはない考え方でありまして、今度のブラツセル條約には、このようなことが新しく出ておるのではないかと思います。日本の方では、特にそういうような利用者に便利なやり方になつているわけであります。ただ連合国の特例法の場合は、いわゆる加算期間なんでありまして、どこから数えるということを考えた法律ではないのでございます。ですから、嚴密に何日間だけか、その戰争中が何日間あるか、この日によつてそれだけが加算されるということを特例法で言つているわけでございまして、どこから数えるというようなことではないのでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 その点まだちよつと疑義がありますが、次に進みます。  アメリカとの翻訳権の問題でありますが、これは従来自由契約によつて、いわゆる無條件でアメリカの著作物に対しては、日本は翻訳権を行使した。ところが、これは平和條約成立とともに、元のそういう状態に返るのかどうかという見通しの問題です。日本は、とりわけ文学その他については、大体アメリカ関係を考えても、非常に輸入の面が多いわけです、ほとんど片貿易というような形になつて来ます。しかも今後日米の交流、そういう面が非常に強化されて来るということになりますと、日本人のこうむる被害は、翻訳者あるいは翻訳著作権者、出版業者ばかりでなしに、一般のわれわれ広汎な読者に非常に大きな影響が来ると思いますので、その翻訳権に対する米国と日本の関係は、従来通り講和発効後は自由契約にもどるのかどうか、その見通しをまずお尋ねします。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 日米著作権関係につきましては、日米間の著作権の保護に関する條約の効力は、現在停止しているものと解釈しております。そうして、その日米間の著作権についての将来はどうなるかということは、かかつて平和條約第十二條によるものと解釈いたします。平和條約第十二條によりますと、連合国が著作権について内国民待遇あるいは最惠国待遇を與えるその限度において、日本はその連合国に対しての最恵国あるいは、国民待遇を與える義務が生ずる、こういうようになつております。アメリカ大使館の顧問から、四月の末だと思いますが、日米著作権條約を今後続ける意思はないということを申しましたが、これは平和條約十二條を利用しまして、内国民待遇の方法で行くのではないか、こういうふうに私たちは解釈しております。内国民待遇によるということは、従来の日米著作権條約に比して、どういう点が不利であるかというと、いわゆる翻訳権について日本側が不利なんでございまして、今までは翻訳権については、日米とも内国民待遇でございます。純粋内国民待遇をとつて来ておりました。ただ翻訳権については、相互に著作権者の許諾なしに自由に翻訳できる、こういう自由があつたのでございますが、今後はすべてを内国民待遇にする。そうすれば、アメリカの著作物は、日本で発行後十年間だけは保護してやらなければならない、こういうような状態になります。その平和條約十二條が適用されて来るのではないか、こういうふうに私たちは解釈しておりますが、もしそうなれば、翻訳権の点で、そういうような日本側に不利な点が出て来る。従来の点に比して、文化輸入という立場から見れば損害して来る、こういうようなことは考えられると思います。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 これは講和発効後一年以内において、アメリカが従来の日本との間にとり結ばれた著作権に対する協定を復活する、あるいは破棄するという申出があつて、それが日本国家との間の交渉によつて、廃止あるいは存続が決定するというように解釈していいと思いますが、今の御答弁ではおそらく存続がむずかしい、こういうように解釈されると思うのであります。そこで伺いたいのは、占領下においても、日本とアメリカとの間の翻訳権については、自由契約であつたと思うのですが、その点はどうですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 自由に契約したものもございますし、またGHQを通じて契約したものもある、こう思つております。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 ところが、そのアメリカの著作権に対する日本の翻訳権も、当時のいわゆる次官通牒によつて、特別の契約書がとりかわされ、特別の責任を負わされた、こういう事実があると思うのですが、その事実があるとすれば、お伺いしたいと思います。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 確実な契約や何かがあつても、次官通牒によつて承認したものではなく、いわゆるGHQの直接管理によつて承認したものと解釈いたします。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 そういう事実があることも承知しておりますが、そういう問題でなしに、こういうことなんです。アメリカと日本との間の翻訳権は、従来は自由契約であつた。ですから、講和後一年間においてそれを廃止するとか継続する、こういう意思表示がない限りは、占領下においても、やはり従来の協定に基く自由契約の事実はあつたと私は思うのです。それがいわゆる直接行政によつて、そうした自由であるべき翻訳権も、五十年というふうなことで契約をさせられた、こういう事実があることは非常に不合理でないか、そういう意味です。この点いかがですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 翻訳の自由であるアメリカの著作権も、実は契約を結び、金を拂つて翻訳した。こういうふうな管理行政につきましては、私たちは日本人として、やはり條約的に、條約上あるいは、法律上、はなはだ疑問を持つております。しかし、著作権を一つの財産と見まして、その連合国財産を管理する、こういう立場から、連合国が日本国内において自国民の財産を管理したものと、ごう解釈しております。しかし、先ほど言いましたように、條約上あるいは法理論からいつて、自由に翻訳できたものを、GHQがそういうふうな処置をとつたことについては、われわれとしても、非常に不平を持つておるわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 例をあげますと、御承知と思うのですが、新潮社のジイド全集なんかについては、占領下において、五十年ということで契約をとりかわして、登録されておると思うのです。ところが、実際に聞きますと、翻訳権の期間である十年は、すでに経過しているという見方もある。そうなれば、今後自由契約で、どんどんジイド全集を出そうという出版業者があると、新潮社は、占領下の直接行政による文部省の援護措置によつて五十年契約をしている、そこに不利な面が出て来るわけです。そうしたことに対して、これは私契約だから、文部省としては責任がないということを、たびたび言われているわけですが、実際において、そういう私契約の問題でなく、さつき申し上げたように、平和條約十五條の根本趣旨にも非常に反したやり方でないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 アンドレ・ジイドの場合は、これはフランスでございますから、アメリカよりは、少しは日本の方として保護してやらなければならぬものと思います。しかし、いずれにしても、権利のないものと契約を結ばされた、こういうふうなことについては、われわれとしてはやはり疑問を持つものであります。ただしかし、前回のときにも御説明申し上げましたように、権利のないものと契約を結ばされたということは、GHQのオールマイテイをもつてしたのでございまして、文部省としては、極力それを阻止しようとしたのでございます。しかし、実はその阻止ができなくて、GHQの注意事項として出したわけでございまして、そういうふうな私契約が残つたものは、次官通牒によるというよりも、注意事項としての次官通牒が出る前に、すでに既成事実ができておりまして、そういうふうな措置によつて契約ができたものと、私たちは解釈いたします。ただ、そういうふうなものにつきましては、先日も御説明申し上げましたように、翻訳懇話会等にデータを出すようにしておりますから、そういうふうなものを調べまして、外務省と連絡をとつた上で、大使館あたりと交渉して行こうと思つております。これは理論が立つことでありますから、交渉次第によつては、よい結果が出て来るのではないかと思つております。あるいはまた、現にアメリカのものについては、具体的に交渉しているのもございまして、そういうような占領中に、GHQの行政によつて、條約あるいは法律以上の恩恵をこうむつた金あるいは契約、そういうものは返還をしてもよろしいというようなものも、二、三できておりますから、今後それを続けたいと思つております。ただ、占領中のそういうふうなことにつきましては、この十五條の(C)とは切り離して考えまして、この十五條の(C)にはそれを盛らなかつたわけでございます。また経過規定として盛るのも、はなはだ困難でございますから、この十五條の(C)だけに限つて除算の期間を考えたわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 外務当局もおいでのようでありますので、きようの質問はなるべく先を急いで、あと問題の第四條の二項について一、二伺つておきたいと思います。  参議院の審議の経過を見ましても、この四條二項を肯定される人の意見として、もしこれがなければ、一九四一年十二月七等から平和條約発効の日まで十一年の全期間を、これは加算しなければならぬ。そこで、その間に取得日を決定したことは、一面非常に有利のようだが、これが非常に紛争のもとになるというように、肯定している意見を述べている。それについて、異議のあるときは国際裁判所に訴えるということを文部省も言われておりまして、そういう道も開かれていると思いますが、それは容易でないと思います。相当の費用がかかり、年月がかかる。ですから、最初の質問でも申し上げましたように、この四條の二項は、一面非常に有利なように見えて、むしろ大きな紛争の原因をつくつたことになるのではないか、こういう考えが私はどうしても抜けないのです。それで伺いたいのは「取得した著作権」、それから第三條にも「連合国民が取得するはずであつた著作権は、その取得するはずであつた日において有効に取得されたもの」と「取得」という言葉によつて表現されておりますが、日本の著作権法にも、またベルヌ條約にも「取得」という言葉はないと思いますし、また平和條約第十五條の(C)も「取得」という言葉によつて表現されておりません。すなわち、生じまたは生ずべき、こういうふうに表現されているのですが、これをあえて「取得」というふうにはつきりした言葉で表現さたたのは、どういうところにねらいがあるか、それをまず文部省にお尋ねいたします。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 平和條約やベルヌ條約には、いわゆる発生となつておりますが、この場合主語が著作権になつております。ところが今度の特別法では、人が主語になつておりますから「取得」となつたわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 その答弁には、ちよつと私納得行かぬのです。人が主体だから取得と言われたと思うのですが、発生する、あるいは生ずべきというふうに表現されなかつたことによつて、こちらにとつてどうした有利な面があるか、この点、もう一度聞いておきたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 いわゆる主語がかわつたから表現がかわつたのでありまして、実際は同じであります。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 それでは四條二項の問題の本質になるわけですが、これは結局起算日を決定したことが、非常に有利なようであつて、運営上非常にむずかしい。しかも、そうした実際問題は、この法律だけでは完全でないので、当事者が協議して、いつが起算日になるかは話し合つて決定すべきだということを、柴田課長は言われているのですね。そうすると、取得日ということを、こういう不明確な法律で決定しておかなくとも、それは私契約に基く協議できめて行くへきだ。こういうことになると、法律をつくる本質からいつて、翻訳権者あるいは著作権者を保護するのが法律の建前であるのに、文学上は保護されているように見えて、実際はむしろそこに紛糾のもとをつくつている。これは法律としては不備きわまるものだ、こういうふうに思うわけであります。しかも、ベルヌ條約の加盟国においての著作権の発生というものは——課長は専門家ですから申し上げるまでもないのですが、無方式主義であり、著作者自身の立証方式をとる。こういうことからいつても、あえてこういう確定的な言葉を使いつつ、事実の確定がむずかしいという法文をつくられたことは、私は法の本質から、どうも非常に遺憾だ、こういうふうに思うわけでありますが、なぜそうした不明確をあえてしてまで、これをつくらなければならなかつたか、もう一度文部省の確信をお聞きしておきたい。

柴田小三郎文部事務官(管理局著作権課長)

○柴田説明員 この戰争中に発生した著作権につきましては、すべて戰争期間中だけを除算しなければならない、こういう解釈は、條理上とれないところでございまして、そういうふうな著作権につきましては、その著作権が発生した日から講和條約が発効するまでの期間だけを除算すればいい、こういうふうな考えであります。ただ、その場合、著作権の発生した日ということは、いわゆるベルヌ條約加盟国としては、その著作物がなされた時から発生する、こういう考え方でございます。それを発行日だとか、あるいは上演、興行された日というふうに、はつきり明示をすると、使用者の加算の立場からすると、これは非常に都合がよいのであります。文部省としての最初の案としましては、戰争中に著作権が発生したものは、その著作物の発行あるいは興行された日から平和條約の効力が発生するまでの期間を除算する、そういうふうな一つの案を考えたわけであります。しかし、先ほど申しましたように、ベルヌ條約加盟国の著作権の発生という言葉は、著作物がされた時に発生するのでありまして、発行とか興行ということは、やはり正確な著作権の発生した日から、何箇月、あるいはものによりましては何年あるいは数十年と遅れるわけであります。ですから、平和條約は、その期間をも要求しているのでございまして、それを考えないことは、平和條約の違反になりますから、文部省の最初の案は、どうしても平和條約違反ということが考えられるので、明確な規定を実はあげることができなかつたわけでありまして、はなはだ漠然とした表現でございますけれども、著作権の発生した日、こういうふうになつたわけでございます。そしてただいま浦口先生、これはあるいは紛糾のもとになりはしないか、こういうふうな御質問でございましたけれども、しかし戰争期間中全部を加算する、こういうふうなところから考えますと、実はもともと損をしないのでございます。ただ、こういうふうな解釈がある。たとえば、一年間だけ加算すればいいものが、あるはずでございます。それは十何年も加算しなくても済むのだ、こういうふうなことが、ここにできておるわけでございまして、そういうふうなものを防ぎたい。一年間だけ加算すればいいものを、十何年も加算するようにしては困りますから、ここでこういうふうな解釈規定を設けたわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 外務省の方が来ていたようですが、いなくなりましたが……。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 あの人は外務省ではありません。ちよつとお知らせいたしますが、ただいま外務省は、突然の要求だつたので、條約局長も課長も、きように都合が悪いそうですから、次会にお願いいたします。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 それでは外務当局がおいでになつていないそうでありますから、次会に外務省関係は申し上げたいと思いますので、さようおとりはからいをお願いいたします。それからいま一つ委員長にお願いをいたしまして理事各位にお諮りを願いたいことは、この著作権の問題は、国会にこの法案が出ましてから、毎日、新聞の論説あるいは投書においても、非常に問題にされているわけであります。何か一部翻訳者とか、限られた出版業者とか、そういうふうな人の利害関係だけというふうに解釈もされている面がありますが、これは日本の今後の文化輸入ということにおいて、たとえば文学書を見ましても、非常に輸入をする面が多い、むしろめくら貿易、片貿易というような形で、一般の日本の読者にも非常に大きな影響を持つた法律案でございます。しかも内容が複雑であります。参議院の参考人三人の意見を聞きましても、また参議院の委員諸君の質疑を速記録で見ましても、非常に難解でわからぬということを、みなおつしやる。柴田課長は、二十何年間著作権と取組んでいられるので、おわかりかもしれぬが、参議院の議員がみなわからぬ。それから専門家の著作権協議会の中島健藏氏あたりも、こういうむずかしい法律案は、かつて知らないということを言つております。そこで、私はお願いしたいのは、外務省を呼んでいただくことと、当委員会におきましても、参議院とは別な面の参考人をお呼びいただいて、ぜひ意見をお聞取りいただくことが非常に必要だ、こういうふうに思うわけであります。参考人の人選については、私も一、二考えておりますので、あとで申し上げたいと思いますが、とにかくこれは外国人の著作権を、平和條約十五條に基いて、日本が国際信義としては、なるべくこれを紳士的に、道義的に有利に取扱つてあげなければならぬという面と、いま一つ、それによつて生ずる日本人の受ける利害についでは、なるべく日本人に有利にこれを扱いたいという、非常に微妙な問題をはらんでおります。しかも、この法律案の成立によつて、これを対外的にこのまますぐ実施が可能なのかどうかというふうな点について、外交交渉にまつべきものが非常に多いと思います。国内法と違いますので、どうぞひとつ参考人ことを御相談願いまして、参考人の御意見もお聞きの上、慎重に御審議を願いたいと思います。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 承知しました。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 委員小西英雄君より文部大臣等に対し緊急質問をしたいとの申出があります。この際これを許します。小西英雄君。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 昨年、講和に先だちまして、インドのニユーデリーにおきまして開かれましたアジア競技大会に、わが国よりも選手団を送りまして、国民外交の実績をあげたことは、皆さんも御承知のことと存じます。また今年七月十七日より、北欧の都ヘルシンキにおきまして開かれるオリンピツク大会に、日本といたしましても、新聞の伝えるところによりますように百余名の選手団を送る運びになり、着々と進行いたしております。また予選におきましても、日本新記録が読出いたしまして、われわれこの選手団によつて日章旗のあげられる日を、大いに期待いたしております。政府も、これら派遣団に対する援助といたしまして、率先国費より千五百万円という厖大な金を出すことを決定いたしましたことも御承知の通りであります。この千五百万円という金額は、一応昔の数字から見ますと、相当金額的には厖大なように考えられておりますが、実際にこれらの選手団を派遣することにつきましては、九千万円ないし一億円という金が絶対必要なのでありまして、それに対しまして、今日非常に差迫つた問題になつておりますが、まだ派遣費は幾らも集まつていない。これは今日の朝日新聞によりましても、報道いたしております通りであります。これにつきまして、飛行機代が四千万円あるいは四千五百万円ともいわれておりますが、これを拂います場合には、現在集まつておる金を合せましても、一千万円そこそこしかない。これでは、とてもオリンピックの選手団を安心して送ることができない。戰前におきましては、政府は選手団に対して五割内外の補助をいたしておつた実績にかんがみますならば、もしその費用が集まらない場合においては、文部省としては、何かこの増額の方法を考えておられるかどうか。この点、まず文部大臣にお尋ねいたしたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 政府としては、これ以上の配慮はむずかしいと考えております。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 スポーツも、昔と行き方がかわりまして、日本が民主国家として発足以来、原則的にはこれが愛好者あるいは友好団体等の寄付でもつてやつて行きたいという考えを持つておりましたが、最近における日本の貿易の不振、あるいは国内産業の不振等がたたりまして、非常に難航いたしております。選手団は、すでにおおむねきまつたようにも承つておりますが、私たちこの後援会の理事の立場といたしまして、各会社あるいは協会、団体等に連絡をいたしてみますと、この寄付金の集まらぬ理由といたしましては、ただいまも申しました国内産業の不振といろ点が、最大なもののように思われますが、少しスポーツを今まで理解してくださいました団体あるいは会社等は、今年の派遣選手七十余名に対して三十余者の役員が便乘して行く、二人に一人の役員、監督を送ろうとしていることを指摘しております。この役員、監督の数は、世界各国の選手団の構成から見ましても非常に多い。これは各地の輿輪の示す通りであります。選手団の役員は、一回は少しきめでおきまして、順次便乘組が出て参りまして非常に激増して行つた。こういう点につきまして、文部省は何とか監督する方法があるかないか。あるいは、そういうものはまつたく文部省の関知しないところであるかどうか、大臣の御答弁をお願いいたします。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 オリンピック派遣団の中に、選手団に比して役員数が非常に多いというお話でありますが、この点につきましては、もともとオリンピック派遣は、日本体育協会の責任において派遣者の選任等をやつておるのでありまして、私どもとも、もちろん相談をしながらやつておるのでありますが、できるだけ御趣旨に沿うように、実質的に必要な人だけを派遣してもらう、根本方針としては、そのつもりでやつて来たのであります。しかしながら、競技種目につきましても、いろいろな種類の競技がございまして、それについてコーチ、監督というふうなものが必要でありますし、また本部の人間としましても、あるいは会計の仕事を担当してもらう、あるいは会議等に出席してもらう、あるいはその他の庶務をやつてもらうというようなことで、ぜひこの人だけはやむを得まいという人だけを選ぶようにいたしまして、構成をいたしておるのでありますが、いろいろかかわりも多いことでありますので、つい相当の人数になつておるというような事情でございます。なお、今日派遣がきまつております人につきまして、あるいはそれほどの必要がないのじやないかというようなことがありますれば、注意もいたして行きたいと思いますが、現在のところといたしましては、大体今日選任をしておる程度で、やむを得ないのじやないかと考えております。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 九千万円必要であるにかかわりませず、現在五千五百万円しか集まつていない。もう日にちも非常に切迫をいたしておりますので、できない場合においても、現在文部省は、二人に対して一人の監督をつけてまで、その構成をやめぬという理由について、私たちは非常にふしぎに思うのであります。またその集まらぬ原因といたしましては、昨年のアジア競技大会に出席の際に、淺野団長がその人選に当つたのでありまして、淺野団長の意見はもつともらしく、第一番に、選手団に加わる役員選手ともに、まず人格高潔であり、そうして第二は、国際水準に近い者、第三項目といたしましては、国際人として応対できる人、この三項目をあげまして人選の基準にいたしたのでありまして、ちよつと酒を飲んであばれるというような場合には、これを除名までしたにかかわりませず、この淺野団長は、私たちがインドにおいて選手団から聞かされたのでありますが、刑事被告人といたしまして、医者の立場でありながら、麻薬の販売等の罪に該当いたまして、第一審には懲役八箇月、それに罰金が加わつておりました。第二審に参りましても、さらに懲役四箇月、現在は上告中か、あるいは恩赦に浴したかどうか知りませんが、こういう団長を送ることについて、当時文部大臣は、それを知つての上でこういう人を団長として派遣したかどうか、こういう点について、大臣の御答弁をお願いいたします。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 一体日本体育協会というのは、民間団体でありまして、文部省は、そうこまかいことまで、一々さしずはいたしておりませんのですが、今の団長のことについては、全然存じておりませんでした。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 民間団体に対しまして、国費を充当する場合における権限というものは、当然文部省にあると私自身では考えております。そうして、これは国際的な重大な一つの国民的行事でありますのに、今の文部大臣の答弁からいたしますと、小さい問題に関係は、もとより大臣はないと思いますが、運動厚生課長というものは相当出席いたしまして、それらの人選に当つておるようにも考えております。これらの課長あるいは局長等から、そういう報告があつたものかないものか。また現在それに対して、私たちはそういう事故があつたので、スポーツ議員連盟でも、寄合いの際に、協会に対して、今まであつたことはやむを得ぬが、今後こういうことがあつた場合に、選手団に対するいろいろな不満、寄付行為等につきましても、われわれは大ぴらに言えないのであるから、こういうような済んだ点には追究しないが、今後考慮されたということを申しておきましたにかかわりませず、その淺野団長は、初めの人選には本部役員として載つていなかつたが、ごそごそつと、あとから追加々々ということで、現在役員がふえておるのであります。このままでほうつておくならば選手より役員が多くなるのじやないかとまで、スポーツに関心を持つておる者は考えておるのであります。こういう点について、大臣は、今後なおもこの前の団長を本部役員として送るかどうか、そういう点について御答弁をお願いしたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 国費をもつて補助をいたしておりますから、その限りにおいては、文部省が発言権を持つておることは、おつしやる通りでございます。ただ私は、その団長のことについては、これまで何も聞いておりませんでした。しかし、今おつしやつたことについては、今日伺いましたからして、よく調査をさせてみたいと思つております。なお詳しいことは、御必要でしたらば、局長から答弁をいたさせます。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 局長においては、直接の部下の課長より、そういう詳細な点について私は聞いておると思うのであります。もし聞かないといたしましたならば、その課長は職責を十分に果していないというても過言でないのであります。局長からそれに対する答弁をお願いしたい。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 今度派遣の予定になつております淺野均一氏でありますが、この方の問題につきましては、終戰直後のころの麻薬取締り関係の問題といたしまして、実は裁判問題になつておつた次第であります。論点は二つでありまして、麻薬を持つておつたものを申告しなかつたということと、その麻薬を処理したということでありますが、これについて、最初第一審におきましては、取調べは非常に大まかだつたのだろうと思いますが、有罪になりました。第二審の高等裁判所の関係におきましては、第一点の麻薬を申告しなかつたという形式犯の関係は無罪になり、それから処理の問題につきましては、四箇月の懲役ということになつて、執行猶予がついておつたのであります。これを検事と弁護人と両方から上告いたしまして、最高裁判所において最近、三月二十八日に判決が下つたところにおきましては、実質的な麻薬処理の関係においては、無罪ということになつたのであります。これは旧法を適用するか新法を適用するかというふうな論点からいたしまして、最高裁においては、はつきり罪がないということになり、また届出の関係の、形式犯の関係におきましては、もう一度高等裁判所において再審をせよということで、さしもどしになつておるのであります。そういうことでありまして、現在のところ形式的にも実質的にも責任がない、一方はなお審理の必要があるという形になつておるわけでございまして、いろいろ実質的に人格等を云々されるほどの重大な問題ではないかとも思いますけれども、しかし、とにかく一応裁判事件になつておることでありますので、なおよく経過を見なければ、派遣するについての当否を判断するわけには行かないと思います。しかし一方淺野氏は、陸上競技連盟の関係で、また前のアジア大会のときに、日本の筆頭の評議員といたしまして、代表的な活動をされた関係にあるのでありまして、今度の大会において、一九五四年のアジア大会についての打合せ会議が行われる予定になつておりますので、それに出席する方といたしましては、最も適任である立場におられるのであります。そういう関係からいたしまして、もしそういう裁判の関係等がなければ、ぜひ派遣したい立場にあるのであります。そういう点をにらみ合せて、なおよく体育協会と相談をいたしてみたい。実は今日も相談を進めておるような事情になつております。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 社会教育局長の私たちに対する答弁たるや、まつたく不誠意というか、体育協会を非常にかばつての言い方であります。体協の立場をかばう連中からいたしますならば、あれは法律の方が誤つておるのだ。そういうふうな日本の法律が誤つたごとき宣伝すらしておるところを、ちようど請売りしたような、文部省が何らこれに対して責任を感じたような答弁ではない。そういうふうな考えで、あるいは寄付、あるいは選手団を派遣するとしたら——これは前体育局長が現在向うにおるため、あるいは前任の課長が体協の幹部をいたしておるために、体協内におけるとやかく言われておる問題が、今日まで表面に出ておりませんが、この寄付金に国民が相当な不満を持つておるということは、事実でありまして、私たちスポーツ議員連盟の一員といたしましても、スポーツ団体の一員といたしましても、これについては重大関心を持つておりますが、こういう点について、現在の答弁では不満であります。こういう問題は、国際的行事であるので、もつと監督権の強化、あるいはこれに対する再考を促したい。先ほど来の社会教育局長の答弁では、満足しません。裁判官のはつきりした判決理由を、われわれは読んでおるのでありまして、これに対して、さらに深く追究したい点がありますが、私の質問といたしましては、この程度にとめておきます。しかし、再度文部委員会に、その代表者である淺野氏、あるいは当時の日本体育協会長等をも呼びまして、私たちはあくまでこれに対する明快な答弁をお願いしたい。そうしてヘルシンキ大会を前にして、ほおかむりで行きたくない。われわれのところへ、何とか妥協点を見出すべく個人的に連絡もありますが、私たちは承服できかねるのであります。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 委員浦口鉄男君より、オリンピック等に対して、文部大臣等に対し緊急質問の申込みがあります。これを許します。簡單にお願いします。浦口君。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 明年の二月、北海道の札幌で開かれる予定になつております世界スピード・スケート選手権大会について、文部大臣にお尋ねをいたします。これは申し上げるまでもなく、今年の二月、オスローで開かれた世界氷上連盟総会予備会議において、昭和二十八年二月上旬開催の世界スピード・スケート選手権大会は日本でやつたらいい、こういうことがあらかじめ決定されておるわけであります。もちろん、本決定は、来る六月ブラツセルにおける総会において決定されるのでありますが、今年の予備会議において、十七箇国参加国全部が賛成をいたしております。ソ連邦も、数十名の選手を派遣するということを、当日の会議において非常に喜んで声明をしておるそうであります。そこで、この問題については、文部当局も、運営費における国庫補助の問題と設備費の起債の問題について、陳情をお受けになつておると存じます。これは大蔵省あるいは地財委の方面にも、各方面から運動が続けられておりまして、国会におきましても、林議長を中心として、星島氏、西村大蔵政務次官、今村文部政務次官その他が、非常に努力をされていただいておるのでありますが、現段階において、文部当局といたしましては、これにどうした措置をされようとしておるか、お見通しを一応承りたいのであります。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 北海道においてスピード・スケート選手権大会が行われる予定になつておるのでありまして、これについて、その設備費その他運営費の国庫補助、あるいは起債認可の申請があるのであります。これは予算的に、実は昨年の時期には考慮されていなかつた問題であるために、予算的措置がとられておらなかつたのでございますが、ただいま浦口委員のおつしやるように、世界的な規模で行われるもので、各国も非常な熱意を持つて参加するという事情になつて来ておりますし、日本といたしましても、こういう世界的権威のある大会のことでありますから、ぜひこれを実施できるように、財政的措置を講ずべく、事務的折衝を続けておるような事態になつておりまして、私どもとしましては、でき得るなら、これが実現を期したいと考えております。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 もう一言——世界選手権大会が、戰前においても、また戰後においても、初めて日本において開催されようということでありまして、この点、文部当局といたしましても、予算その他において、たとえば大学学術局における研究費が非常に少いとか、振合い上から申しますと、いろいろ御議論もあると思いますが、こうした独立後、文部大臣も、日本人はどうも独立心がはつきりと確立したという踏み切りが見えない、こういうふうにおつしやつておりますし、こうしたスポーツを通じて、日本の独立性というものを、日本国民がはつきりつかむということは、私は非常に意義があることだと思います。しかも、大蔵当局においても、外貨が相当落ちるということも予定をいたしまして、大蔵大臣は、予備費によつて何とかしたいというようなことも言明されておる段階でございます。起債につきましては、現在の地方財政法では、わくに入つておりませんが、別わくをもつてつくりたいということを、努力していただいておる現段階でございます。しかし補助は、結局最後は文部当局の費目になると思いますので、そうした点で、文部当局に、決定に至るまで特段の御努力をお願いしたい、こう思わけであります。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 緊急質問の申出がもう二件ございますが、これ以上はちよつと時間の関係で、とうてい許されませんから、御了承願います。  委員坂本泰良君より、教科書問題に対して、文部大臣等に緊急質問の申出がございます。これを許します。坂本泰良君。

坂本泰良日本社会党(第二十三控室)

○坂本(泰)委員 せつかく大臣がおいでになりましたから、お聞きしたいのは、一昨土曜日の七日の東京新聞に「教科書に不正取引?」という大きい見出しで出ておるわけでございますが、その内容は、展示会について、相当の饗応その他が行われた、そこで公正取引委員会から教科書懇話会という団体に警告を発した、そうしてその旨を文部省に通達をした、そういうようなことが載つておりますが、この教科書の問題につきましては、昨年の、第何回が忘れましたが、教科書の出版に関する保証金の三分を、一分に軽くするという際に、教科書の原価計算というものが出されまして、その原価計算の中に展示会の費用が含まつている。われわれは、営業政策上やる展示会の費用を、公然と教科書の原価計算の中に入れるのは不当であるという見解を持つていたのですが、原価計算の中に入れて、そうしてなお相当の利益を得るから、それによつて競争ができて、饗応その他が行われる、こういう状態になつておるのではないか。そうしてまた、教科書懇話会の河村幹事長の談話が載つでおります。今年は大丈夫だと思つたが遺憾だということが載つておりますが、今年は大丈夫だと思つたということは、以前には相当いろいろなことがあつたということが推察される。従つて、この問題について、大臣はどう考えておられるか、またどういうな処置をされるか、承りたいのであります。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 教科書の重要性ということについては、申すまでもないことで、教科書についてこういう不正が行われるなどということは、確かに困り切つたことだと思う。私はまだ局長によく会うひまがありませんものですから、十分尋ねませんが、これはよく調べて、そういうことのないようにやらなければいかぬと、強く考えております。

坂本泰良日本社会党(第二十三控室)

○坂本(泰)委員 教科書懇話会には、倫理綱領があるにかかわらず、そういうことをやつた。倫理綱領というのがあるわけですが、これは懇話会の業者間内部の倫理綱領か、文部省においてもこれを知つてやつておられる、関係をしておる倫理綱領か、その点ひとつ伺いたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私の了解しておる限りでは、それは業者の中の自粛協定でございます。

坂本泰良日本社会党(第二十三控室)

○坂本(泰)委員 この点については、私もまだ調査が十分できておりませんが、こういう問題が四段抜きで大きく出ているというのは、われわれ文教の汚辱だと思うのでありますが、教科書というのは教育の根本の資料でありますから、この制度の問題並びにこういう問題が発生した以上は、これは相当厳格に調査をお願いしたい。これで終ります。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 委員松本七郎君より、新潟大学新発田分校の問題について、文部大臣等に対し、緊急質問の申出がございます。この際これを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ごく簡單に、委員長から一つだけと言われましたが、一つつけ加えて、二つほどお伺いいたします。  最近、新潟大学の新発田分校を廃止して、警察予備隊に接収されるというような問題が起つて、新潟から陳情が来ておるのですが、国会といたしましては、教育施設の優先返還並びにこれを他に流用しないという決議案を、全会一致で先般通過させたばかりのやさきだけに、重大な関心を持つておるわけです。詳しいことは、また他の機会に讓るといたしまして、大臣の聞かれておるこの問題に対する経過と、今後どういうように処置をされる御方針であるか、決定されておるならば、これを明らかにしていただきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 こういう点について、まず御了解を得ておきたいのです。私は、学校施設、教育施設が警察予備隊に使われるというようなことが、今後あつてはいけないということについて、大橋国務大臣とよく話してあります。それからまた、地方では、警察予備隊を誘致したいという希望のあることがありますが、そういう場合にも、まず私に連絡してもらいたいということを、大橋国務大臣と御相談を申して、その二つのことを前からはつきりさせております。この新発田の問題は、決して学校施設を警察予備隊に流用するということではないのであります。なぜそうかと言いますと、新発田の分校を新潟大学に併合する、統合するということ、文部省の中にあります大学設置審議会において、すでに決定して、昨年新潟大学の方にそのことを連絡してある事柄なんです。そういうように、以前からきまつておることなんです。そこへ警察予備隊という問題がからんで来たということを、私どもは非常に遺憾に思つているわけであります。だから、その方針はかわらない。これは全国にわたつて行われる大学の整備統合計画の一環をなすものでございます。しかし、こういう問題が起つて来た以上、あたかも警察予備隊が学校施設をとるような疑い、あるいは誤解を世間に起すことはいけませんから、そういう点については、十分注意をいたしたいと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この問題は、大臣御指摘の通り、私の調査したところによつても、二つの面があると思うのです。元来統合しようという方針で進んでおるところに、警察予備隊の問題がからんで来たというので、より複雑になつておるように思うのですが、統合すること官体についても、非常に広いああいう県の特殊事情から、現在その分校に入つて遠くから通つておる学生の実情などから考えて、相当の猶予期間を持つて実施して行かなければ、やはり無理があるのではないかというような点もいろいろございますが、この問題は長くなりますから、また別の機会に譲りたいと思います。  もう一つの問題は、これは直接文部省に関係することではないのですが、教育ばかりではなしに、いろいろな問題とからんでおりますので、何らか文部省として調査なり処置をやつていただけるものかどうかということを伺いたいのです。実は、本社が大阪市にございます近江絹糸紡績株式会社というのが、私立の高等学校を持つておるわけです。これは私立の定時制高等学校でございます。場所ははつきりしたことはちよつとわかりませんが、彦根市でございます。ですから、これは県の教育委員会が教育行政を担当しておると思うのですが一問題を簡單に申し上げてみますと、その中の教育課程の問題等にも、いろいろ問題があるようでありますが、とにかく認可されて、私立学校として二十三年ですか、発足して、非常に実習が多いというので、そこに紡績会社に働きながら通つておる生徒が、よその普通の公立学校に転校する者が非常に出て来た。そうすると、表面は勤務成績が悪いというようなことになつておりますが、いろいろな寮長から学生に対する働きかけ等を見ましても、明らかに、転校したことを理由にして馘首しておる事実が上つておるわけです。これが最近問題になつでおりますので、こういう問題が起つた場合に、その行政を担当しておる県の教育委員会あたりにまかせきりにされるのか、あるいはこういういろいろな問題を含んだ教育上の問題が起つた場合には、かりに私立の高等学校であつても、文部省として何らか乘り出す御意思がおありかどうか、そういう点を伺つた上で、今後われわれはこれに対処して行きたいと思う。この点をひとつ伺つておきたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 これは私立学校でございますから、直接の監督者は、教育委員会でなくて知事でございます。だからして、直接文部省がそれを監督するわけではございませんけれども、教育に関することでございますから、一応調べてみて、私の方から知事の方に何かの申出をする必要があれば、申出をいたしたいと思います。

小林進社会民主党

○小林(進)委員 今の前の新発田の問題でございますが、これは昭和二十五年の三月に、新潟県の県会では、どうしても存置してもらいたいという決議をいたしております。今年の一月、またその決議が県会で再確認をせられ、特に国会にもその問題の御協力を願いたいということで、われわれもその存置の問題の請願書に署名をいたしておりまして、存置方に関して、住民に対する一つの責任を持つているわけでありますが、それが今の文部大臣の御答弁で、何かもはや既定の事実であるかのごとく御答弁になつております。時間がありませんので、私はそういう言葉を省略いたしますが、ともかく、この問題は、住民をあげて、あるいは大きくは国家的に関心を寄せられる非常に大きな問題でありますので、文部省も慎重に考えていただきたい。その一つの具体的なお願いといたしまして、現に参議院では、参議院の文部委員諸君が出かけて行つて現地を見て来て、そうして参議院の委員会で取上げている形でございまするが、ところが文部委員会で出て行きました調査の仕方にも、われわれ聞くところによりますと、何かはんぱ的である。視察に行つた国会議員が、一方の反対陳情のそういう大会に飛び上つて演説をぶつて来たというようなことで、その視察自身にも多くの疑問があるような形でございますが、こうした一つの争いのうず巻の中に、文部省がただ中央部にいて、とかくの意見を闘わしているのは、非常にもの足りないのでありまして、できれば文部省でも、大臣がおいでになれないならば、次官あるいは当面の局長等々の権限のある方が一応現地に行つて、率直に現地の空気、輿論の空気というものを視察していらつしやるだの熱意とお親切が一体おありにならないのかどうか。できれば私は、行つて現地を見て来ていただきたいと思うのであります。これに対する大臣の御返答を承りたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 小林委員のおつしやるように、私どもは、これを非常に慎重にやろうと思つております。目下局長が向うに滞在して取調べております。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 今緊急質問が、小林信一委員よりも出ているのですが、小林委員の質問は教育委員会法の一部改正に関することだそうでありますから、これはこの次の委員会で質問を始めていただこうと思うので、その際にひとつお願い申すことにいたします。  そこでもう時間がないのですが、ほんとうに短かくやつてください。

若林義孝自由党

○若林委員 ただいま問題になつておりますことで、二点だけひとつ御参考資料として申し上げておきたいと思います。  第一点は、新発田の問題でありますが、非常に大問題だというお気持で御発言になつておりますけれども、過般前文部委員長である方と、それから前々々文部委員長である方と、党の文部部長をやつております私とが三人、新潟で工業高等学校会議がありましたので出かけたのであります。私は有力ではないのでありますけれども、他のお二人はきわめて有力な、力を持つておられる方でありますから、大学当局へ、来ておるが、半日時間があるからということを連絡いたしたのでありますが、見てくれとも、車をよこそうとも、あいさつにも、何らの陳情がないのであります。そのことだけを一点、ここにはつきり申し上げておきます。  それから、警察予備隊の校舎に関連してのことでありますが、非常に有力なりつぱな御発言を、松本委員からせられたのでありますけれども、私はここに文部当局に御注意を促しておきたいと思いますのは、校舎は接収はしませんけれども、その大学などのそばに警察予備隊を設置するということは、きわめて重大な影響のあることを、将来の問題として考えていただきたいと思うのであります。同じような年ごろの、同じような性質の——教育と警察予備隊とは違いますけれども、一種の警察守備隊としての教育を施さなければならぬ、一つの学校のような感じがするのでありますが、そういうものが同じ場所に、あるいは近くにあるということは、教育を行う上において、非常に影響があると思うのです。東京の小学校などで、特飲街が問題になつたと同じように、非常に教育を阻害するおそれがある。一つの例をとつてみますと、京都の大学の伏見分校と申しますか、あれは火薬工廠を使つての校舎になつておるのでありますが、決して大学の使つておる分を、接収しようとするのではないのでありますけれども、余分の余つたところの同じ建物を使つて警察予備隊が存置せられた。これがその周囲の社会環境にも影響を與えますとともに、ひいて学生の心理的な面にも、非常に影響を及ぼしておる。将来もこういうことが多々起ると思うのでありますから、そういうようなことのないように、また避けるように格段の御努力をしていただきたい。そういうことに関連しまして、当面の問題になつております京都の大学などを、一応御調査くださいまして、こういう影響があるから、将来これは慎むべきことだ、避けるべきだという結論などを出していただきまして、御善処あらんことを希望しておきたいと思います。     —————————————

小西英雄自由党

○小西(英)委員 この際われわれは、今度のヘルシンキの大会の派遣費について、大体見通しがあるような、ないようなことが、毎日の新聞にも出ておりますが、非常に不安がつております。われわれ代表を送るのに、不安のもとに行つてもらいたくないので、政府がいろいろ答弁いたしましたように、千五百万円以上を補助せぬというならば、足らない場合には、どういう考えで日本体育協会は選手を派遣するのであるか、その点について、まず東体育協会長、それから今度の派遣団長に予定されております田畑団長、それから前団長の波野氏、今回派遣されんとする三役員を当委員会に参考人としてお呼びくださらんことを、委員長にお願いいたしておきます。  それから文部当局に対しては、今の社会教育局長の答弁では、現在一方的に——裁判の記録を読んでもらいたい、これは弁護士的立場から述べておるのであつて、大して何もそういうような法律というものは、どうも形式的なものであつてというふうな関係になつておるように、私たちは聞えたのでありまして、それともう一点は、そういうような形式犯等においても、この際は無罪になつておるのであるから、派遣することについては何らさしつかえないと言われるかどうか。それによつて私たちは、スポーツ議員連盟団、あるいは私たちの国会対策等において、これは一つの重大なる国際行事であるので、政府は関知しなくとも、われわれ国民の一人として相当関心を寄せておるので、その点について明快なる答弁をお願いいたしたいのであります。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 三月二十八日に行われましたこの問題についての最高裁判所の判決の主文を申し上げますと、原判決は破棄する、本件を東京高等裁判所にさしもどすということになつておりまして、その理由は相当長いのでありますが、結論的に「原判決は法令の解釈適用を誤つた違法あるものというべく、右違法は判決に影響すること明らかであるから、論旨は理由があり、判決は破棄を免れない。」ということになつておる次第でございます。そこでなお淺野氏を派遣することの当否については、現在体育協会と協議中でございます。  それから、オリンピックの資金が集まらないで、非常に不安であるというお話がございましたが、これについては、私どもも心配いたしておりますけれども、その資金は各地方庁が中心で集めまして、地方庁の方で相当集まつており、また集まる可能性を持つておるのでありますが、中央に対する報告を実はわざと差控えておるといいますか、他の方の振合い等を見まして、まだ中央に報告をしていないというような事情があるようでございます。実際派遣するというまぎわになれば、相当額が集まり、またその点の不安がなくなるであろうという見込みを一応持つておる次第であります。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 資金の面については、まだ結論が出ていないとのことでありますが、もし私たちが必要な九千万円という費用が集まらなかつた場合においても、現在の役員、選手合せまして百名を送ることについては、文部省は決定的なことを考えておられるかどうかという一点と、日本の選手七十余名に対して三十余名という役員が、あまりにも多いので、この点については、文部当局はわれわれが考える以上に、よく事情を知つておられると思うので、国際的に、敗戰国の日本が選手を出すごとには何ら異議はないが、あるいは役員とかいう名目のもとに便乘して行く三十余名の者に対しては、相当世間は注目しておりますので、各国の役員、監督との比例等について御説明を願いたい。それは一昨年アメリカから参りましたキツパス監督以下の水泳団というものにいたしましても、ほとんど監督というものは一人であつた。それに、わが国のみが非常に選手に対する監督、役員等が必要のようにあたかも宣伝されて、それを文部当局はうのみにしておるような趣が多いので、その点について、今後どうして三十余名というのが絶対必要であるかという根拠を、国民の前に明らかにされたいということを特に要望いたしまして、見通し等についての答弁が文部当局にできないならば、この体育協会長である東氏、派遣団長であるところの田畑氏、前派遣団長であり、今回副団長格で行かれるところの淺野氏等の答弁をここにおいて求めたいのであります。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 答弁は、この際ないそうであります。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 非常にこれは逼迫した問題で、答弁がないということは、おかしいと思うのでありまして、七十何名の選手に対しまして、三十何名というものは多く思うか思わぬかということを、ひとつ関係局長から聞きたいと思います。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 この役員と選手団の比率がどうであるかということについては、ただいまちよつと御答弁申上しげました通りでありまして、説明を聞きますと、相当理由がある役員の方が行く予定になつておるように、現在のところ考えております。

小西英雄自由党

○小西(英)委員 体育協会の理事の中にも、選手団役員追加については、相当反対の空気があるが、そういう点について、文部省は運動厚生課長をいつも派遣もておるのであるが、そういうことについて、何ら回答はされないのであるか。そういうことについて、ひとつ御答弁を願いたいと思います。

寺中作雄文部事務官(社会教育局長)

○寺中政府委員 派遣事情につきましては、運動厚生課長からいろいろ聞いておりまして、こまかい点まで、一応その人のやる仕事、責任等について必要と思われる方が派遣されるような形になつておるように聞いております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 委員長にもお願いしておきたいのですが、小西さんの緊急質問は、非常に国民の中にも関心を持つておる問題で、外国の例からいつても、日本のこういうふうな派遣の場合に役員が多過ぎるということは、間違いがないわけであります。文部省として、これはいろいろ理由はあるだろうと言われるのですが、これも国費で援助しておる点から、もう少しこういう点は国の立場に立つてやつて行かなければならぬと思うのであります。民間団体である体育協会できめて来るものは、いろいろ理由づければつけられるので、これを文部省はこれだけに減らせということは、実際問題としてなかなかむずかしい。従つて、やはり小西委員から提案されたように、われわれ国会で、淺野さんその他に来てもらつて、そういう点は国民の声をもう少し考慮して、役員選考をやつてもらうように検討する必要があると思う。そういうおとりはからいを委員長にお願いしておきます。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 この際お諮りいたします。連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律案につきまして、参考人を招致して審議の参考にせられたい旨の発言がありましたが、参考人を招致することに決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお期日及び人選に関しては、委員長に御一任を願います。  次に社会教育に関する件のオリンピック問題について、参考人を招致せられたい旨の発言が、小西委員等よりありましたが、本件に関して参考人を招致することに決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお期日及び人選につきましては、散会後に御相談することにいたしたいと存じますので、委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 次に文化財保護法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を許します。若林義孝君。

若林義孝自由党

○若林委員 前会に本法案に関とまして、事務当局の御意見を伺つたのでありますが、事務当局といたしましては、明瞭に立場上、その御意見をお述べになることを遠慮せられておつたようでありますので、文部大臣からこの際お聞きいたしておきたいと思うのであります。委員の数を三名に減らしておるのでありますが、これは行政整理、その他経費の節減ということもあるであろうと思うのでありますが、この三人の委員、一人ほ委員長ということで、重要な国家の文化財保護というようなものをきめる会議が成立すると、文部大臣はお思いになつておるかどうかを伺いたいのであります。一人が、もし事故でもございまして欠席いたしますと、二人になるのであります。二人の会議ということが、こういう重要な問題について成り立つかどうか、この点ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 これは行政簡素化の線に沿うてきめたことでございまして、私は三人でも、他にも例があることでございますし、やれると思つております。

若林義孝自由党

○若林委員 それを理想とお考えになつておるかどうか。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 現在は、すべてのことが理想的でないのでございます。から、これも理想的なことをいつたならば、いろいろあるかもしれませんが、現在はこれでよいという考えでございます。

若林義孝自由党

○若林委員 次に、経費の問題について、ひとつ観点をかえて大臣の御所見を承つておきたいと思うのでございます。この法案が成立いたしますときにも、種々論議がかわされたのでありますが、大体五人を常勤として、これが非常に重要視されるために、しかもその待遇などにつきましても、大臣とかわらないところの待遇をする、しかもこれは常勤ということが條件であつたのでありますが、今度それが三人に減らされたわけであります。私は、この会議自身、これはとにかく無報酬ということにいたしまして、五人の委員を存置いたしておいて、そうして委員長だけ常勤ということにして、会議の都度実費を弁償をするという行き方でやる方が、この文化財保護委員会というものの重要性から考えまして、この方が経費も少くて済むし、なお委員会としての実績をあげるのに、また慎重を期する立場から申しましても、この方を理想的と考えるのであります。なお経費の点から行きましても、十分経費節減という点にも沿い得ると考えるのでありますが、この点、大臣の御所見を伺いたいのであります。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 ただいまの御意見は、私も一応ごもつともなことと思います。けれども、三人の委員でも、専門審議会というものをつくることができますから、三人の委員で運営して、さしつかえが起るということはない、原案の通りでよいと私は考えております。

若林義孝自由党

○若林委員 この費用の点においては、どちらが節減になるかということを承つておきたいのであります。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 それは一人の人だけを有給にして、ほかの方を無給にするということにして、りつぱな方々を得るということは、あるいはむずかしいということもありはしないか。いろいろな観点から考えると、やはり得失があるように私は思います。でありますから、三人の委員をみんな有給にして——そこに専門審議会というものは幾らでもつくれるのですから、そうしてこれを運営するということでよいという考えでございます。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 次に水谷鼻君。

水谷昇自由党

○水谷(昇)委員 これも若林委員からもう質問せられて御答弁がありまして、大体御意思はよくわかつたので、重ねて聞く必要はないと思いますから、ただ私は希望だけ述べておきたいと思うのであります。文化財保護の任務の重要件に照して、文化財保護委員会という行政委員会をして、その行政上の責任を負わしめておるということは、大臣も御説明になつておるのであります。そこで、今回の政府全般を通ずる行政機構の改革にあたりましても、文化財保護行政の特殊性に基いて、文化財保護委員会は存続するということになつたということでありますから、それだけに、文化財は多種複雑なものであるということが言われるのであります。ところが、機構の簡素化という点で、第一に、委員の数を三人に減らすということ、第二番目には、事務局の総務部、保存部の二部制を廃して次長制とする——この第二の方は、私はこれでいいと思うのでありますが、第一の、この委員の問題に関しては、文化財保護の任務の重要性から生れたこの委員会、しかも、この文化財保護行政の特殊性に基いて存続することになつたこの委員会としては、減らすことは適当でないと私は考えるのです。現に、委員長であります高橋さんの御答弁によりますと、過去の経験上からいつて、三人に減らしては困るということを申し述べられておるのであります。もし三人と決定した場合は、この文化財の多種複雑なものを処理するためには、その人選にも困ることだろうと考えるのであります。また適正な判断をするためには、少くとも五人あることが、円滑な処理ができると私は思うのであります。ただいま文部大臣は、三人でも、ほかに審議会を運用して行くことができるというお話でありますから、その点一応ごもつともだと私は考えますが、結論から申しますと、ただいま申しましたような重要性から考えて、最小五人が適当だ、かように考えるのであります。できたら、そういうことにしてもらいたい。  それから、もう一つお尋ねしたいことは、本年度から京都の国立博物館が誕生したことでありますが、これはまことに御同慶にたえない。それについて感ぜられますことは、奈良市にある現在の東京国立博物館の奈良分館のことであります。規模から見ても、歴史から見ましても、奈良分館と京都国立博物館とは、ほぼ相似た立場にあつて、地理的には、東京と京都の距離と、東京と奈良との距離も大した差異がない点から申しましても、奈良分館は、むしろ京都と同様に、独立の国立博物館とすべきではないかと考えるのであります。ことに大和文化は、わが国文化史上にも特別の重大な地位を有し、奈良博物館がその中心地域にあること等を思い合せますときに、いよいよこの分館たる地位を引上げまして、独立の一国立博物館たらしむべきであると考えるのでありますが、大臣のお考えはどうでありますか。予算措置につきましても、東京国立博物館の分の中を区分することによつて、さして困難ではない、即時にでも独立させることができるように思うのでありますが、この点も御見解を伺つておきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 前の御質問については、若林委員にお答えした通りでございます。  次の点につきましては、私も奈良博物館を独立させることは、けつこうなことだと思つております。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 先ほど文部大臣は、行政簡素化の立場からこれを提案したと言われたのですが、行政簡素化も必要でありましようけれども、わずか五人の委員を三人にするということになれば、その影響も非常に大きいということが第一点。それから先般の高橋委員長の御答弁によりますと、どうしても三人にされたのでは困る、ぜひ五人のままにしておいてもらいたいという強い御意見がありました。それから第五條の第二項を削除するについても、森田局長の御説明では、行政委員会が独自な立場でやるということは当然のことで、むしろ一切文部省と連絡しないでいいというような誤解を生ずるおそれがあるので、これを削るのだというような御説明があつたのですが、しからば、今まで何らかそういう連絡をしないでやつた弊害があつたかということになれば、そういう例はない、こういう御説明だつた。そういう点から考えると、むしろこの項を置いておく方が、文部省もよけいな干渉をしない保証になりはしないかという質問に対して、高橋委員長も、その通りだ、ぜひこの項もこのまま置いてもらいたい、こういう御答弁だつた。そういう委員長自身の御意見から考えてみましても、それから文化財というような非常に金目の多い大切なものを扱う委員会が少数であるということは、これが私物化される危険が非常に大きいわけで、普通の委員会とは違いまして、こういう非常に高価な、金銭に関係するような委員会は、なるべく多い方がいい。三人ということになりますと、どうしても私物化の危険が私は出て来ると思う。そういう重大な点を、ただ行政簡素化の立場からだけで簡單に考えられるというところに、私は大きな危險があるように思う。そういう点まで考えられて案を出されたのだとするならば、当然高橋委員長あたりと、相当懇談をされた結果だろうと思うのですが、高橋委員長あたりの御意見をどこまで考慮されての上であるか、その点を伺いたい。私がおそれますのは、第五條第二項を削るということも関連いたしまして、何かこの委員会を私物化しようという意図のある者が、文部省に圧力を加えて、そうして現在の責任者である高橋委員長なんかの意向を無視して、強行にこういう改正案を押し切ろうというような動きがあるのじやないかということさえ私疑つておるのです。そういう点は、大臣に御答弁を求めるわけではないのでありますが、以上の経過から、そういう点御考慮になつての上かどうか、一応はつきりした御答弁を願いたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 ほかの行政委員会はみんな整理されるというのに、この委員会を保存するということは、非常に問題だつたのです。しかし、文化財保護ということの重要性からして、ぜひ保存してもらいたいということで、これを保存するに至つたわけでございます。しかし、二人減らして、それで運営できないというのならば、どこまでも三人では困るのですが、先ほども申しましたように、専門審議会というものは幾らでもつくれるのですから、十分運営して行ける、こういう考えを持つておるのでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 私の聞かんとするところは、大臣は三人でやれるというお話のようでありますが、高橋委員長は、これでは困ると言つておられるので、これを出されるまでに、どの程度御協議をなさつたのか、大臣自身が三人でやれるという結論のもとに、高橋委員長あたりの意向を無視してこれを提案されたのか、その経過であります。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私が高橋委員長から伺つたところによると、どうかしてこの委員会を保存したいということを強く伺つていて、内部の構造ということについては、希望は伺つたかもしれませんけれども、ぜひそうなければいけないというまでには、伺つておらないように記憶いたしております。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 浦口鉄男君

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 簡單に二点ほどお尋ねいたします。この文化財保護委員会の行政簡素化も、全体の行政機構の簡素化と、もちろん密接な関連を持つたものだと思うわけです。どうも今までのこうした機構の改革を見ますと、文部省が非常に弱いということを感ずるのであります。寺中社会教育局長も、そこにおられますが、かつてどうもおつき合いで整理しなければならぬということになるだろうと言われたこともある。私は、それはじようだんだろうと思うのですが、どうもそういうおつき合いでみんな整理しなければならぬということは、おかしいと思う。  そこで伺いたいのは、若林委員、水谷委員の御質問と同じで、五人を三人に減らすことには反対であります。それともう一つは、われわれ聞くところによりますと、これは松本委員の御発言にもありましたが、数を減らすことによつて、これが私物化されるという危險が多分にあるということ——、事実そうした動きをわれわれは聞いております。そうした一部の人が、この委員会を私物化せんがために文部省に圧力をかけておる。これがどういう種類の人かということは、ちよつと申し上げかねますが、そうしたことも、世間では相当強く言われておりますし、文化財という性質からいつても、骨董屋との結びつきとかいうことから考えて、そういうことは非常にあたりがちだと思う。そういう点からも、私は減らすということは、非常に考えなければならぬと思う。  いま一つは、今まで五人の有給委員が、次官級の俸給をとりながら、あまり精勤でなかつた。全体とは言え思ないといますが、ある種の人は非常に出勤もなまけていた。だから、これは減らしてもいいんだ、こういう意見もありますが、私はこれは逆に考えます。そういう人は、どんどんやめてもらわなければならぬと思いますが、むしろそういう弊害があればこそ、人間はかえても、またかりに俸給がなくて実費弁償であつても、こうした文化財に熱意を持ち見識を持つておる方は、私は幾らでもあると思う。要は人選の問題になると思うのであります。それであればこそなおさら、もし予算の面で支障があれば、予算の方は減らしても、人材は集められると思う。文部大臣は、有給でなければいい人が来ないだろう、こう申します。これも一面の見方でありますが、従来の委員が、有給でありながら非常に不勉強であるということが言われるので、私はこれは必ずしも有給、無給の問題ではないと思う。その点について、大臣の御意見を伺いたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私はどこからも圧力などは受けません。圧力を受けて、そうして、できないことをかまわずやれ、そういう考えはございません。三人でできると思つたから、これでやつたのです。ぜひ文化財保護委員というものをこのまま存置したい、ここに私の力点があつたわけでございます。従つて、専門委員を置きさえすれば三人でできると思うから、それで私は三人ということにいたしたわけでございます。

浦口鉄男第三倶楽部

○浦口委員 第五條の二項を削つたことにつきましても、われわれいろいろ疑問を持つております。そこで承りたいのは、この改正全体についてでございますが、聞くところによりますと、国宝の指定は第二回を終つたと言われておりますが、あとどの程度残つておるのか。また文化財保護委員会の特殊性は特殊性として認めるが、その使命が一段落したから、これは一般の行政機構の改革ともにらみ合せて、ある程度の権限縮小、人員の削減はいいのだ、こういうふうにお考えになるのか、どうしてもおつき合いでしかたがないと言われるのか、実質的に減らしても使命は達成できる段階に来たんだ、こういうことであるのか、この点を伺つておきたい。

天野貞祐文部大臣

○天野国務大臣 私は、もうここまでやつて来たから、ここで人数を減らしてもいい、そういう考えではございません。三人にしても、専門委員をつくればできるという建前と、これを存置したいから、それで三人にしたわけでございます。

長野長廣自由党

○長野委員 大分、数の問題があるようですが、委員の数を五名にすることにつきましては、本法案の成立当時において、よほどこれはやかましい問題もありましたが、結局五人がよかろうということで、五人になつたのであります。今ただちにこれを三人に減すということについては、よほど考えなければならぬ点がありはせぬかと思います。たとえば、文化財の問題は、浦口君も言われたように、あるいは質屋を設けてこれをどうこうするとか、あるいは古物商や骨董屋との関係云々とか、よほど微妙なところに糸を引いて行くことにもなりやすいのでありまして、そういうことも、この問題の当時には、小委員会などでいろいろと論議されたこともあります。それで私考まるのに、こういうきわめて微妙な問題に触れることは、心理的に考えても、人の心の動きから考えましても、三人ということは、これは政治上、たとえば西洋史をひもとき、東洋史をひもといてみても、独裁制に至つたところの問題であります。三人では、必ずこれはけんかになる。それだから、こういう政治的の問題は、五奉行とかいうふうに、五という数字が必ずいる。五人いるということは、一番円満に問題を解決することができる。最近某政党でも、五人以上の委員を出した場合は、現に失敗に終つております。私は最も穏健な、最も合理的な自然的な五という数字は、できるだけひとつ保存をせられるように、文部大臣も御盡力を願いたいと思います。およそ世の中、人間についてもそうです。指でも必ず五本です、四ということではうまく行かない。どうかこの辺のところは、よくお考え願いたい。

竹尾弌自由党

○竹尾委員長 他にございませんか。  次会は明後十一日午前十時より始めたいと思います。会期も切迫しておりまするし、どうぞ皆様方の十分なる御協力を期待しております。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十二分散会

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