農林委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/05/13
会議録
○松浦委員長 これより農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法案及び農業共済基金法案の三案に関する公聴会を開会いたします。 開会にあたりまして公述人諸君にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず御出席いただき、厚くお礼申し上げます。御承知の通り、農業は他産業と異なり、自然の恩恵によつて営まれるものではありますが、その半面、特にわが国は地理的、気象的條件によつて、風水害、旱害あるいは冷害等の災害もまたひんぴんたるものがあります。従いまして、従来からこれらの災害による損失を補填して、農業経営の安定をはかるため、農業共済及び保険制度が実施されて参つておりますが、今回政府は農業災害補償法を改正して、共済掛金の一部国庫負担制度を恒久化し、共済団体の運営、監督検査の規定を整備し、また農業共済基金法を制定して、農業共済基金の設立によつて、保険金支払いのための準備基金を設け、罹災農家に対する共済金の迅速、円滑なる支払いを保証しようといたしております。さらに政府はこの補償制度の根本的な改革の準備のため、現行の一筆単位による引受け方式を改めて、農家単位に引受け、農家単位に補償する農作物共済制度を試験的に実施することを考えております。 以上が今回提案せられました三法律案の骨子でありますが、なほそのほかに、災害による損害評価をいかにして適正にするか、共済金額及び共済掛金率は、現在の農家経済から見て、はたして妥当であるかどうか、共済金の支払いは、いかにすれば迅速、円滑になし得るか、その他任意共済のあり方等の基本的な問題がありまして、これがいかに運用されるかは、本制度の任命とも言うべきでありましよう。 本委員会は、すでに先般来三案につきまして、愼重なる審査を進めておりますが、本日は、特にたび重なる災害に耐えて農業に精進されている方々、また親しく共済関係の事業に携わつておられる方、さらに学識経験者の御出席を煩わしまして、それぞれのお立場、御経験からする農業共済制度改正に関する忌憚なき御意見なり、御批判なりを承り、本制度の改善に資したいと思う次第であります。 それではこれより逐次御意見を承ることにいたしますが、一応全部の御意見を伺つた上で、委員各位より公述人各位に対する質疑を行うことにいたします。 なおこの際、念のため公述人各位に申し上げますが、衆議院規則によりまして、各位の発言は委員長の許可を得ること、またその発言内容は、意見を聞こうとする問題外にわたつてはならないこと、公述人から委員に対しては質疑してはならないことになつておりますので、お含みおき願います。 なお御意見の発表の順序は、かつてながら委員長指名により、かつお一人当り大体十五分程度にお願いいたしたいと思います。 それでは最初に東京大学助教授大内力君にお願いいたします。
○大内公述人 私、東京大学の大内でございます。私はこの問題について特に専門家でもございませんし、またこまかい技術的なことに関しましては、ほかの公述人の方々の方が深い知識を持つておられると思いますので、むしろ基本的な問題について二、三の私の考えておることをお話申し上げて、御参考に供したいと思います。 ここに提案されておりますのは、今委員長からお話のございましたように、三つの法律案が出ておるわけでございますが、この三つの法律案の中で、臨時特例法案を除きますと、ほかの二つの、つまり一部改正法律案と、それから共済基金法案、この三つにつきましては、もし現行の農業共済制度というものを前提といたしますならば、一応適当な措置ではないかというふうに私は考えております。と申しますのは、まずこの一部改正法律案の方から申しますと、従来から、農業共済掛金の一部を国庫が負担するということは、事実上行われていたわけでございます。御承知のように本来の建前から言えば、これは食管特別会計が負担いたしまして、米麦価の中に繰入れられることになつておりますが、事実上それがほかの理由から行われていなかつた。それを今日恒常化するということでありますから、その点には問題がないと思います。 それから共済基金をつくる方でございますが、これも御承知の通り、都道府県の共済組合連合会というものにおきましては、非常に赤字が出ておりまして、そのために共済金の支払いその他の円滑性を欠いておるわけでありますが、これに適当な基金をつくるということは、当然なされなければならないことであろうというように考えられるわけであります。 ただこの点について私の一、二の疑問を申し上げますならば、この一部改正法律案の方につきましては、特にこの十二條の改正が問題になると思うのであります。今度の改正法案におきましては、十二條を改正いたしまして、国と農民の間の負担の割合というものは、従来政令でやつて参りましたものを、そのまま踏襲する、こういう考え方をしております。しかしこれは、ほかの公述人からもお話があるかと思いますが、現在におきましては、共済掛金が非常に高過ぎるという不満の声が農民の間で相当高く出ておるのであります。従つてこの問題は、根本的には、あとで申し上げますように、もつと基本的なところから考え直さなければならないと思いますが、さしあたつての措置として考えましても、国庫負担部分をもう少しふやす方が、農家の負担を軽くするという意味において適当ではないか、こういう問題が考えられるのであります。そういたしますと、十二條の一項の一号及び二号に出ております二分の一というその率を、たとえば三分の二とか、四分の三とかいうふうに改めるということにつきましては、国会において十分御検討をしていただきたい点だと思うのであります。 それから基金法につきましては、これを設けること自体はけつこうだと思うのでありますが、ただその総額が、政府の案では一応三十億ということになつておりますが、現在すでに府県連合会の赤字は二十八億円ある。約四年間に二十八億円くらい赤字を生じておるといわれておる。それから考えますと、三十億円の基金を持つただけで、はたしてこの制度が将来円滑に行き得るものであるかどうかという点に、多少の疑問が残される。あるいはもつと大きな基金を持つ必要があるのではないか、この点もまた一つ検討の必要があると思います。それからこの案によりますと、三十億の半額を連合会が出資をし、半額を政府が出資する。こういう形になつておりますが、現在の連合会の資金力から申しますと、この十五億円を出すということは、相当大きな負担だと考えなければなりません。農民にそれをまた負担させて徴収するという形になりますと、農民の負担はますます過重になるということが考えられる。その点から考えますと、この十五億というものをどこから出すかということについて、相当愼重な研究をしておかねばならないと思う。あるいはむしろ全額国庫負担という考え方が望ましいのではないかというふうにも、私は考えるのであります。前の二つの法案については、一応その点が多少疑問として残されるのでございます。 次の臨時特例法でございますが、これは言うまでもなくまだ試験的にやつてみようというものでございますから、その試験の結果を待たないと、これがうまく行くものかどうかにつきましては、ほんとうのことがわからないわけでございます。しかし、現在出されておりますこの特例法案の考え方につきまして、私は次のような疑問を抱いたのであります。 第一は、今度のこの特例法の考え方によりますと、従来一筆単位でやつておりました被害の査定を農家単位にしようという考え方でありますが、御承知の通り一経営当りの筆数は相当多数になる。二、三十筆にもなる場合が相当多いのであります。そういたしますと、経営単位で被害状況を調査するということになりますと、相当たくさんの筆数を調査した上で、その全体を通じて合算しなければならないという問題が出て参りますので、事務的に相当煩雑になるということを考えなければならないのであります。現在におきましても、この共済制度は事務が相当煩雑でありまして、そのために事務費が相当かさんでいる。これがいろいろな面で農民の負担を重からしめ、また国庫の負担も大きくするということになつております。これ以上に事務を煩雑にするということは相当考えなければならないであろうということなのであります。 第二の疑問は、今度のこの制度で補償する共済金額でありますが、その算定に際しまして収量の八割を一方でとり、それから米麦価の八割を他方でとりまして、それをかけ合せた範囲において補償する、こういう考え方をしております。従つて基準の収穫量に対しましては、補償される限度が六四%ということになるわけであります。現在行われている共済制度におきましては、御承知の通り基準収量の価格の五〇%以下を補償するという考え方をしており、その点から申しますと今度これが六四%になるということは引上げられるように見えるわけであります。しかしよく考えてみますと、従来の制度では経営の中のたとい一筆でも三割以上の被害を受ければ、とにかく補償が行われたのでありますが、今度は経営全体として二割以上の災害がなければ補償が行われないという形になるのであります。その点を勘案いたしますと、この六四%という率はどういう理由で出て来たかということを別問題といたしまして、農家にとつてはむしろ従来の五〇%より不利になりはしないか、少くとも不利になり得る場合がありはしないかと考えられるわけであります。その点から考えますと、むしろ価格の八割とかあるいは基準収量の八割をとるという考え方を捨てまして、なるべく被害を受けたときには基準収量の全額を補償するという考え方の方に近づけて行く方がいいのではないか、この収量の八割というのをとりましたのは、おそらく一応モラル・リスクを見込んだものだと思いますが、しかしモラル・リスクをどの程度見込むかということは、実は基準収量の調査と災害の被害率の調査が厳密に行われればモラル・リスクを大きく見込む必要はないわけでありますから、むしろその方を厳密にする方策を考えるべきであつて、モラル・リスクをあまり大きく見込むということには疑問がありはしないかと考えられるのであります。 それから第三点は、この制度を実行いたしますと、最初に申しました評価や計算が非常に複雑になるという点に関連するわけでありますが、あとでもちよつと申し上げたいと思いますが、現在でも村の共済組合というものにつきましてはいろいろな專門的な技術の不足もありますし、それからいろいろな勢力関係その他でかなり不明朗なことが行われている例が多いわけであります。その点から考えますと、いたずらに計算を複雑にして恣意的な條件の入り得る余地が多くなればなるほど、ますますそういう不明朗なことが行われる傾向が強くなるというおそれを私は持たざるを得ないのであります。そういう意味においてなるべく計算は簡単になし得るものの方が望ましいと考えられるわけでありまして、その点から申しますと、多少不合理な点があつても、むしろ一筆ごとの方が簡單明瞭でいいのではないかと考えるわけであります。 以上申しました三点は、これを試験的にやつてみた結果を判定いたしませんとほんとうはわかりませんが、将来これが全国的に広げられるという際には、ぜひあらためて御検討を煩わしたいところなのであります。そういうわけでさしあたり出されておりますこの三つの具体的な改正案につきましては、私は以上のように考えておりますが、翻つて考えますと、この三つの改正案によつて、現在農業共済制度が持つておりまする根本的な矛盾というものがはたして解決できるかどうかということについては、私は大いに疑問とするのであります。むしろこの制度では、結論的にいえば、現在の農業共済制度の難点と申しますか、矛盾というものは解決できない、これを解決するためには、もつと抜本的な対策が考えられなければならないのではないかと私は思うのであります。 現在の共済制度の難点ということにつきましてはいろいろな問題が考えられますが、まずさしあたつて問題になりますことは、先ほどちよつと申しましたように、一方では共済掛金が相当重くなつております。ことに地方によつてはかなり重い所がありまして、それが農家経済に対して相当な圧迫となつておるということであります。これが農民の立場から申しますと、この共済制度に対する最も大きな不満ではないかと考えられるわけであります。ところが他方におきましては、それにもかかわらず連合会やそれから国庫の赤字が相当大きくなつており、しかもその赤字がだんだんとかさむ傾向が出ているということであります。一応政府は、長期均衡の建前から赤字をさしあたり問題にする必要はないという考え方をしておりますが、少くとも今までの経験から判断いたしますと、長期的にも均衡しそうには見えないのでありまして、このままで行きますならば、むしろ赤字が累年かさんで行くという方向に進まざるを得ないのではないか、こう考えられるわけであります。従つて問題は、国庫の負担をもつとふやすか、あるいは農民の掛金をもつとふやすか、いずれかをやらない限りは、近いうちに連合会も破産いたしますし、国庫もやれなくなる、こういう事態にならざるを得ないのであります。その場合に農民の掛金をもつと高めるということになれば、今以上に農家経済の困難は大きくなると考えられるわけであります。そうなりますと、その点に現在の制度の一番基本的な難点があるのではないかと考えられるわけでありまして、これを解決するためには、相当根本的に考え方をかえなければこの問題は解決できないのではないか、こう私は思うのであります。今申しましたような矛盾と申しますか、難点がこの共済制度に出て来ているのはなぜかと申しますと、これはいろいろな理由があると思いますが、基本的に申しますならば、現在の共済制度というものがあまりにも大きな役割を背負わされ過ぎておるというところに由来しておるのではないかと考えるのであります。現在の共済制度は実に非常な複雑な役割を果しておるわけでありまして、一面ではそれは損害保険という意味をもちろん持つておりますが、しかしそれだけではなくて、他方に一種の農民の生活の困窮を緩和するという社会保障制度的な意味も持たされております。さらにそれは増産政策とか、あるいは農産物の価格政策というものとの関連において一定の役割をしなければならない、こういう点も織り込まれておるわけであります。こういういろいろ異なつた意味をもつたものが一つの農業共済の制度というものの中に織り込まれておりますために、いずれから見てもこの制度がうまく動かなくなつて、半身不随になつておるということにならざるを得ないのではないか。そこで抜本的な解決を考えます場合には、こういうおのおの異なつた面をそれぞれ独立させて、それぞれに適当な政策のあり方というものを考えて行くことが必要ではないかと考えられるわけであります。 そこでこれは単なる個人的な私案でありますが、現在の共済制度というものを次のような形で解決して行けば、私はもう少し合理的になるのではないかと考えるのであります。 まず第一に、損害保險という現在の共済制度の持つております面につきましては、この損害保険という建前から申しまして、当然農民の掛金によつて運営されるべきものであると考えられることであります。それにつきましては、言うまでもなく危険率によつて掛金の高さに変化を與えるというのが損害保険としては正しいあり方だと思います。それにつきましては、せいぜい国は事務費の程度のものを補助してやるということで足りるのでありまして、それ以上のものを国庫が負担するということは、純粋の損害保険として考えれば理由のないことだというふうに考えるのであります。しかしそういう損害保険という建前に立ちますならば、それは当然任意保険という形をとるべきでありまして、現在のように義務保険という形をとる必要はないのではないかと考えられます。そしてこれを任意保険という形にしてしまいますならば、現在やられておりますように、共済組合が一方では義務保険と任意保険の二つをやり、その上に農業協同組合が任意共済をやつておるというような、非常に複雑な重複ということも避け得られるわけであります。その場合に、その任意保険の主体が今の共済組合がいいか、あるいは協同組合がいいかということにつきましては、いろいろと検討の余地があることだと思いますが、本来の考え方としては、やはり農業協同組合になるべく事業を集中して、村の段階でいろいろな組合をやたらにつくつて、組合費の負担をいたずらに大きくするということは避けるべきではないか、こう私は考えるのです。 但し今申しましたような意味における損害保険というものにつきましては、次の点を考えなければならないのであります。というのは、現在のように米麦価が統制されておりまして、麦の統制は近々はずされる予定でありますが、しかしはずされても大体政府の統制価格というものが大きな支配力を持つわけでありますから、価格につきましては米麦価は今後も統制されておる、こう考えられるわけであります。しかもその統制されております米麦価というものは、御承知の通り大体において最低水準に押えられるという傾向を持つております。そういう状況で考えますと、農民が共済掛金として負担し得る範囲というものは、当然非常に狭い範囲になります。これを理論的に考えますならば、農民は一方で豊作の年に得ただけのプラスの部分をもつて、他方における凶作の部分のマイナスをカバーする、こういう形で考えなければならないようになります。従つてこの損害保険としての共済金というものは、もしそれを全国農民の掛金によつて運営するという建前に立ちますならば、大体において平年作を基準にいたしまして、そしてその上下に豊作と凶作の振幅が出て来るわけでありますが、この振幅の平均的な大いさの範囲のみで損害保険は活動し得るということにならざるを得ないのであります。平年作を基準にして上下の振幅の平均的な大いさというものは、これは相当長期的な統計をとれば大体出て来ると思います。およその見当から申しますと、おそらく全国平均で申しますと、一割内外ではないかというふうに私は考えておりますが、少くともその範囲においては損害保険という形で十分救済ができるのじやないかと思います。現在の共済制度では、御承知の通り三割以上の被害がないとこれが問題にならないわけなのですから、従つて現在の共済制度では、この部分はほとんど落ちておると考えなければならないのであります。 それから第二のいわゆる慢性災害地とでも言うべき、つまり生産性が普通よりも低くて、絶えず災害を受けて生産性が低くなつておるという土地がかなりたくさんあると考えられるのですが、これにつきましては、理論的に申しますと次のように考えるべきだと思うのであります。すなわちもしこういう低生産性の土地というものを、耕作をやめてしまうということなら別でありますが、現在の日本の食糧事情その他から申しまして、こういう低生産地もぜひ耕作しておかなければならない。こういう事情が一方にあるといたしますと、本来ならば、農産物の価格というものは、その最低の生産性の土地、従つて逆に申しますと最高の生産費というものを償うところできまるのが、理論的に言えば当然のことになるわけであります。ところが現在の米麦価の統制価格というものは、そういう最大生産費というものでは決してきまつていないのであります。むしろ平均的な生産費、あるいはそれよりもさらに低いところにきまつている、こういうふうに考えられるわけであります。そうなりますとこの慢性的な災害地、そういう低生産性土地というものは、当然毎年恒常的に赤字が出て来るという形になる。それを救済して、しかもそこでの生産を維持するということになりますならば、当然そこに一種の価格差補給金的なものが考えられなければならないが、現在におきましては、この農業共済保険が一種のげたをはかせる意味を果しておる、つまりそういう価格差補給金的な役割を果していると思うのであります。しかし本来こういう部分まで、いわば価格政策の補充をなすものまで共済制度に請負わせるということは無理でありまして、これは当然共済制度からはずして、別な価格差補給金という形を考えなければならないと思うのであります。この価格差補給金の財源は、本来の考え方から申しますと、当然他の農産物とプールいたしまして、消費者価格の中に繰入れて行くというのが正しい考え方だと思うのであります。 それから第三に、以上二つ申し上げました範囲を越える大きな災害というものでありますが、この大きな災害につきましては、これは共済保険という単位では、私は解決できないと思うのであります。むしろそういう大きな災害に対しましては、農民の生活を一方では保障しなければならない、また農業の再生産を確保する必要がある、こういう社会保障的な意味及び生産政策的な意味から考え直さなければならないと思うのであります。従つてそれは本来の考え方からすれば、むしろ全額国庫負担という形でその損失を埋めて行くという考え方をすべきであろうと思うのであります。かりに国の財政上の理由から全額国庫負担というものができないといたしますならば、その費用の一部分を国民全般が負担すべきだ。従つて農民だけから徴収するのではなくて、むしろ一定の租税の中にそれを繰入れるという考え方をすべきだと思います。かりに農民にある程度よけい負担をさせるという場合にも、それは現在のように被害率によつて計算をして料率をきめるべきではなくて、むしろ各農家の負担能力というものに応じて徴収しなければならない。これはそれが社会保障費であり、あるいは生産政策費であるという意味からいつて、当然の結論であろうと思うのであります。 およそ以上申しましたような三つに現在の制度をわけて考えて、それぞれ異なつた対策を講じて行く。こういう考え方をすれば、今の共済制度よりはもう少し筋の通つた考え方ができるのではないかと考えられるのであります。現在の共済制度におきましては、御承知の通り国がある程度の補助をしておりますために、村の共済組合では、概して申しますと、かえつて損害を過大に報告いたしまして、それによつて連合会からよけいの共済金をもらつて、それを補助金のように適当に配分してしまうというようなことをやつている村がかなり多いと思うのであります。こういうようなことになると損害保険という意味がなくなるわけでありまして、実は補助金の形のかわつたものにすぎないということにならざるを得ない。こういうような弊害が出て参りますのも、今申しましたように、共済制度というものが今の制度では筋が通らないという面があるところに由来するのではないかと考えるのであります。 最後にもう一つだけ申し上げておきますと、先ほど委員長もおつしやいました損害評価の問題でありますが、これにつきましては、御承知の通り現在では作報の調査が一方にありますし、それから共済制度のための調査がありますし、そのほかいろいろな目的をもつて、国や都道府県が同じような調査を各所でダブらせてやつております。しかもふしぎなことには、おのおのの調査によつて作付面積とかあるいは収量が、同じ年の同じ地方におきましても非常に違つて現われるということになりまして、どこに信懸性があるかということを、はなはだ疑わざるを得ないような結果が出ておるのであります。こういうことははなはだ不合理でありまして、私の考えとしては、むしろ作付面積とか、あるいは収量とか、あるいは被害率というようなものの調査は、そういう特定の目的に結びつけるとどうしてもゆがみやすくなるから、そういう特定の目的に結びつけないで、どこか一箇所が全部の調査をする。そうしてあとのそのほかの統計なり、あるいは共済制度なりが、全部その結果を利用してやつて行く、こういう考え方をすれば、もう少し客観的なものがつかめはしないかと考えられる。その場合に、どこに一元化するかということはいろいろむずかしい問題があると思いますが、現在の調査能力あるいは調査の人員という点から考えますと、現在の作報をむしろ強化して、そうして作報に全筆調査をなし得るような機構、体制を整える、こういう考え方をするのが、さしあたつては一番いい方法であるというふうに考えております。私の申し上げたいことは以上であります。
○松浦委員長 次には農業技術協会理事安田誠三君にお願いいたします。
○安田公述人 私は農業技術協会の安田でございます。この農業災害補償制度の改正について、今問題になつております三法案につきまして、私は若干今日までいろいろな点でこの問題に関係して参りましたこともありますので、その点から、ごく私見を申し上げてみたいと思います。 今日問題になつておりますこの三法案は、ちようど農業保険法が昭和十三年に成立しまして、十四年に実施されるときから問題になつておつた点に、すべて関連しておる問題でありまして、そういつた意味において、今日の三つの法案は、農業保険法成立当初から問題になつておつた点だということを申し上げてさしつかえないかと思うのであります。ただこういう一つの国家制度としての農業災害補償制度のごとき問題は、生れましてから漸次実施の過程を経ながら問題が出て来ることによつて、その最も必要な問題を順次解決して行くというようなコースを大体とつて来るのではなかろうかと、私は思つておるわけであります。 最初に、この法律案の国庫負担に関する規定に関しては、皆さん御承知のように、大正十一年の第四十六議会だつたと思いますが、議員提出法案として小作保険法案というものが出ておりますが、当時の考え方からいたしますと、やはり農業災害については社会保険的な性格を持つて生れて来ておると思うのです。その当時の案を見ますと、大体保険料といいますか掛金については、政府、地主、小作人、この三者の共同負担というよ不在な案が出ておるのであります。最初に小作保険法がスタートしますときには、当時のいわゆる小作争議対策の一環として行われた関係もございますので、国が相当この問題に対して負担をする、同時に地主もこの問題に参画する、こういう関係が今日農地改革の後においては、政府と農民の間において、両者が折半的に負担するという程度のことは当然に行われてしかるべきではなかろうか。これはただいま大内教授からお話がありましたような観点に立つても、農業災害補償制度に対する一つの国家の力の入れ方というものが、ひいては農民のこの問題に対する考え方にも非常に影響して来るのではなかろうか、かように私は考えるのであります。 それから第二点の、従来の一筆単位の保険を農家単位の共済に切りかえるという問題は、私はまた別個の考え方を持つておるのでありまして、農業災害補償制度がほんとうにスタートしたのは、御承知のように、戦後農地改革のあとを引受けて本格的にスタートをした、こういうふうに考えてもいいのじやなかろうかと思うのであります。その以前は、小作制度を根底にして日本の農業保険法が伸びて来てたのでありまして、その根本には、御承知のように、小作の場合には減免という慣行が非常に根強く小作制度の一環として大きな問題になつて来ておるわけであります。従つてあらゆる問題がそこで解決されて参りました関係上、どうしても農業保険法に対する農民の一般的な関心も非常に薄かつた。こういうふうなことを一つの基本的な問題として考えなければならなかつたと思うのでありますが、戦後いわゆる小作料減免という問題なんか、農地改革によつて一応解消したような考えの上に立つては、その問題をどういうふうに扱つて行くか、こういう点が非常に重要な問題になつて来ると思うのであります。今までの農業災害補償法は、ただいま大内さんからもお話がありましたように、いろいろな意味において非常に弱い農民経済の土台の上に立つて行われている問題であり、しかもいろいろなほかの農業政策上の欠陥といたしますか、そういつた問題がこの補償法の上に総合的に現われて来ておる。たとえて申しますと、供出が非常に強化されて来るということになると、この問題のかたがきがやはり農業災害補償制度の上においてとられる。あるいは公定価格といいますか、供出価格が適当でなければ、この問題がやはりどこかの面において現われて来る。それは農業災害補償法の上にやはり姿をかえて現われて来る。こういうふうなことが今日までの実相ではなかろうかと私は考えておるわけであります。従つて農業災害補償制度の実際の運営というものは、これのみの運営ではなくして、いろいろなほかの農業関係の制度と相関的に行わるべき問題ではなかろうか。その相関関係をにらみ合せながら、この制度の実施に当つて行くことが非常に大切な問題のように思うわけであります。そういつた観点から申しますると、今まで一筆を中心にして共済事業をやつて来たということは―今までの小作地についての地主小作の減免という問題が、その一筆の土地を中心にして非常に利害相対立して、そこで争われる。従つて片方からいえば災害を大きく言い立てる。片方は、これを小作料の収入の面からなるべく少く見よう。こういう点が一筆の耕地を中心にして、非常にするどく利害が相対立するといいますか、そこで取引が行われる。こういつた関係は、やはり全般的に見まして、災害を大きく伸ばして行くといいますか、そういう小さいものの累積が、全体としては非常に大きなものの集計の結果として現われて来るのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。従つて、戦時中、戦後を通して今日まで、供出制度は大体一筆を見ながら、全体の農家の供出量を見て行くというふうなことで進んで来ている、それにもかかわらず、この農業災害補償制度では共済單位というものを一筆によつてやつている、こういう矛盾は、制度上から見ましても当然に改むべき時期に来ておるように思うのであります。この一筆単位の考え方をかえるということは、今日のほかの農業制度、農業の実際の政策面における問題と、大体歩調を合して進んで行くべき性質のものではないかと私は考えるのであります。 またもう一点、この農家単位の問題について申し上げてみたいと思いますのは、今日この補償制度に対するいろいろな批判というものの一つは、やはり掛金が大きく出て来る。これが農家経済の上においては税金に次ぐものであると言われるようになつて参つておるわけであります。これは農家の立場から見ますると、大体やはり出すことは少くて、共済金としてもらう方は大きいという、これは農民の偽らない心理であると思います。そういう点を考えてみますると、一面に農家の負担を合理化して行くという点から見まして、確かに一筆の共済に比べると、農家單位の共済にかわつて参りますと、農家のこれに参画する利益といいますか、この共済制度によつて受けるチャンスというものは若干減つて来ると思いますが、しかしこれは農民の負担軽減、いわゆるこの共済掛金の負担軽減というものが單に軽減ではなくして、一つのやはり合理的な線の上に立つての軽減でなければならぬということを考えて参りますと、やはりこの農地改革のあとを受けての日本の農村の土地制度というものの土台の上に立つて考えてみるとき、また同時に供出制度というものが今日このような状態に立ち至つておる点からいいますると、私は農家の共済単位というものは一耕地だけに限られるものではない。やはりその農民の持つておる耕地全般についての収穫を問題にすべきじやないかというように考えます。この点は今日問題になつておりますように、この補償制度に対して非常に財源のないところから問題になつておりますとともに、今日この災害共済制度に対して問題になつておる点をいろいろ考えてみますると、災害のない農地を持つておる農民からかなりこの問題が出て来るように伺つております。それは根本的に言えば常習的な災害をどういうふうに解決するかというただいま大内さんからお話がありましたが、今日この無災害地といいますか、災害を受けない農家から起つて来るこの制度に対する批判というものも、一面この農家単位を採用することによつて、ある程度問題の解決ができるのではないか。というように考えますのは、大体農村でわれわれが若干の所で調べたところによりますと、耕地は今までのところ大体分散して、戦後の土地の動き方を見ておりましても、農地はやはり災害のある所、ない所というように、いろいろ災害の状態によつて耕作しておるというようなところが相当あり、これは要するに危険の自己負担というふうな方法をとつておるわけでありまして、そういつた点から見ましても、私は自己保険という考え方を農業共済単位の上に取入れて来るということは、やはり今日の時代においては当然なすべき問題じやなかろうか、こんなふうに考えておるわけであります。 それから第三点のこの基金法の問題については、確かに諸外国の立法例によつてみましても、こういつた制度のスタートにおいては、当然当初からこの基金の問題が考えられなければならない問題であつたろうと思いますし、また当初からこの問題が多くの人々によつて提案されて参つたのでありますが、先ほど申しますように、ようやく補償制度というものが本格的に農民の関心を高めるようになつて来たのは戦後のことでありまして、戦前の保険法が行われました昭和十四年以後の問題は、農民があり関心を持つていなかつたと言つていい程度の内容のものでありまして、ようやく補償法という問題についてこの数年来農民が関心を持つて来た、その関心を持つて来た焦点というのは、やはりこの制度に対する基本的な問題としての基金法といいますか、金融措置というものがとられていないことに対する制度の運営上の欠陷に対する不満が相当農民の中にある。たとえて申しますと、損害額が決定いたしましても、なかなか共済金は来ない、こういつたことは現在の補償制度の仕組みの上から見ますと、これは当然な面を持つておるのでありまして、それに対する一つの補強的な施設として、私はこの基金法案に対しては、内容的にまだ非常に問題にされるべき点がたくさんあると思いますけれども、この問題はすみやかにスタートを切つていただく必要があるという考えを持つているわけであります。 最後にこの補償制度に対して、いろいろ今日問題になつておる点を伺つてみますと、農民のこの制度に対する不満という点は、これに対する農民の掛金が非常にふえて来たということと、この補償制度というものが、実質上農民の関心を高めて来ているという問題からスタートしていると思いますけれども、ただ今後の問題として申し上げてみたいと思いますのは、この補償制度がその成り立ちから見まして、農民と国家との、いわゆる組織上においても、両方の合作的な制度のようになつているわけであります。ところが一番大切な問題は、土台を農民の上に置いていながら、農民にとつてこの制度の理解というものが十分になされていないという点から起る問題が相当あるように思うのであります。この点はぜひ今後の運営の問題として、趣旨の徹底という問題にも手をゆるめてはならないと思うのであります。 さらにもう一つそれと同時に、この制度の運営を通して、農民がこの制度に対する功罪、利害という問題を判定して参りますので、町村の第一線における共済制度の運営というものが、実は非常に大きな農民の批判の対象になるわけであります。そういう点から見ますと、なお今日共済制度実施上の問題として考えらるべき問題が多々あるのであります。たとえば、一例として先ほど申し上げましたように、災害のない農家、ある農家、こういう問題を、どのようにして合理的な線の上に乗せながらこの制度を充実させて行くか、こういう点になつて参りますと、今日全国の町村の内部においても、この危険の段階というものを考えなければならないにかかわらず、その町村においては同じような掛金をとつている、こういう点について、利害が同じ町村の内部においても相対立するといつた問題が出て参つているようであります。これらの問題は、また第一線の共済事業といいますか、町村における共済事業というものを実際的に確立して行くという過程において、岐路に立つている問題のように思うのであります。そういつた問題がありますし、またその農民の方から言いますと、どうしても掛金はかけ捨てであるといつたことに対する不満がある。それは相当な税金に次ぐ共済掛金を納めていながら、どうも納めきりだ。農村の隣り同士のおつき合いはしても、二重の掛金でだんだん掛金が重なつて来ると、それに対する利害関係が非常に高まつて来る。そういう点から、これに対してひとつ適切なる処置、方法というものを考えるべきではなかろうか、かように考えるのであります。たとえば現在の農家単位を切りかえて参ります場合において、そういつた点も一応運営上の問題として、とりもどしということも小さいながらも問題として考えて行くべきことのように思うのであります。大体この補償制度自体というものは、非常に保険的な形式をとつております関係上、どこをどういうふうにいじつて行くかという問題は、非常に制度全般の問題と関連をして来る問題です。ただ私がここで申し上げておきたいのは、わずか五年、十年、補償制度を通じての、いわば実績というものは、何らか今後の問題に示唆を與えておる。そういう点から一歩々々その制度の実施の過程を通して、この制度の拡充、内容の充実という問題の線に沿つて、制度の改正をお考えいただくという点から考えてみますると、ここに今日問題となつております三つの法案も、最初に申し上げましたように、いずれも立法当初から問題になつておつた点でありますが、そこまでみんなの全国的なこの問題に対する関心が高まつて来なかつた。こういつたふうな点が見られるのでありまして、どうかこの問題については、私は三法案ともいまだ十分な内容―ほんとうに農民の立場から申し上げますと、あるいはそれらの点についてなお不満の点があると思いますが、とにかくその線においてこの三法案を踏み出していただいて、次にどういつた問題を改めて行くかというふうな考え方で進んで行くのがよいのではなかろうかというふうに思つておるわけでございます。 なおもう一つ最後に、この補償法ができるときに私が若干その責任者の地位にもおりました関係上申し上げておきたい問題は、今日問題になつております任意共済の問題であります。いろいろな点において今日客観的な情勢がかわつて来ておる点も考えられますけれども、この法案のできました当初におきましては、司令部との打合せの場合において、問題はとにかく最初の立案の中からは、こういつた任意共済という問題は落すべきだというふうな主張があつたわけです。それはそのときの全国の共済関係の方々の意向なり、あるいはわれわれも当初の考えとしましては、この任意共済の問題は、全体のこの補償制度というものが、一面に非常に―農作物、蚕繭、家畜の共済については、かなり国家事業的な色彩がどうしても強くなる危険性がある。従つてこの問題があまりはつきりと前面に出て来ると、地方の農民の考え方は、この補償制度になかなか結集して来ないというような点を考えますと、どうしても地方的な、農民の関心を持つておる問題はこの任意共済の中に吸収すべきでなかろうか、こういうふうな角度で司令部の方と折衝したことがございますが、とにかくこの問題は国会において問題になれば別問題だ、政府立案の場合の法案としては、第一義的にはこの問題は控えてもらいたい、こういうふうな話で、当時全国的な希望があつたにかかわらず、この問題は、私の関する限りにおいては、国会が問題にしてこれを解決すれば司令部としてまた考えよう、こういうふうな考え方で、この補償制度における任意共済の問題は、スタートにおいては問題にならなかつたということを申し上げておきたいのであります。 なお、当時戦争後の非常に混乱した状態で、地方では共済団体の間で、ぜひいろいろな任意共済をやりたい、そういうことによつて農村の総合的な災害補償制度というものを打立てたい、こういう希望がありましたけれども、その当時においては、そういつた一つの司令部の意向がこの法案成立のときに反映をしておつたということを、一言申し加えておきたいと思うのであります。 非常にまとまりがございませんでしたが、私のこの三法案に対して感じておりますことを率直に申し上げて、終りといたします。
○松浦委員長 先ほど公述人全部の御意見を聞いてから委員よりの質疑を行う旨申し上げましたが、ただいまの大内君、安田君の両君は急ぎの御用があるそうでありますから、両君に対する質疑をこの際行いたいと思います。
○河野(謙)委員 この際大内先生に伺いたいのですが、先ほど通常の場合好凶の差一割程度というようなお話を伺いましたが、これは水田、畑作を含めての計数でありますか。それとも水田の場合だけを意味しておるか。 もう一つは、慢性的な不毛の地帯と申しますか、反収の低いところ、こういうところについては別に切り離して考えて―伺つた意味はこうではないかと思うのです。そういう場合は別な高い価格で買つてやる、そうしてそれは消費者の負担すべきだ、こういうふうに伺つたのです。そうしますと、現在たとえば米の供出価格の場合に、米の供出価格を二つにすべきだ、こういうふうな御意見であつたのではないかと思うのですが、この点を伺いたいのが第二点。 第三点は、今の共済制度におきまして掛金率に差等がつけてありますけれども、御承知のように東北、北海道、北陸地帯の農業経営と、関東、近畿、九州、中国の農業経営とは根本的に著しく違う、東北、北陸、北海道地帶がその他の地帶と違うところは、この辺へ行きますと、大体農家自体において一つの危険分散をやつて、自己保険をやつているような形で農業経営をやつております。そういう地帶と、それをやり得ない地帯、こういうように根本的に農業経営の本質が違うのです。こういうものについて、ただ掛金率にある程度差等をつけるということだけでは是正し切れないと思いますが、こういう点について先生の御意見をこの際伺いたい。 それから安田さんに伺いたいのですが、今ちよつとお話がわからなかつたのですが、この法案出発の当時、あなたはたしか保険課長で当の責任者だつたと思うのですが、司令部との折衝において強制加入で行くのだけれども、もし国会の意見が任意加入にしろというのなら任意加入でいい、こういうふうな意味ですか。それとも任意加入でよいのだが、国会の意思によつて強制加入の方にかえるということになつたのか。そのところが私よく意味がわからなかつたのですが、これを両先生にお伺いしたいと思います。
○大内公述人 今の第一点でありますが、これは私正確に計算をした結果申し上げたわけではないので、およそ日本全国の米の生産量から判断いたしまして、全国的、平均的に言えば年々のフラクテユエイシヨンをプラス・マイナス一割内外に認められるのではないかという程度で申し上げたのであります。正確な計算、ことに地方的にどう計算するかということについては、統計技術上いろいろ問題があろうと思いますが、その点につきましては深く考えておりません。 それから第二の点でありますが、これは私も大体今の御質問の通り考えております。供出価格を二本建ての形にすべきか、それとも供出価格は一本建てにしてそれ以外に、そういう災害地に対する特別の補助金を交付するという形でやるか、どちらの方が適当かということは、技術的にいろいろ問題があるのではないかと思います。むしろ私は後者の方、つまり供出価格は一応全国的に一本にしておきまして、あと個々に漫性的な災害地について、補助金の形で救済策を考えて行く方が適当ではないかと考えております。 第三点の、単作地帶とそうでない地帯について、危険分散ができるかできないかという点に差があるということも、今の御意見の通りだと思います。それで単作地帯につきましては、従つて危険率が大きいわけでありますから、それを今のような共済保険、つまり先ほど私が申しましたように、いろいろな意味を含めた共済制度でやつて、しかもそれを掛金率の差等という形で出して参りますと、どうしても單作地帶の農民は、非常に負担が大きくなつて不利だという傾向は救えないのであります。従つて先ほど私が申しましたように、むしろ保険という形で救済する部分を比較的小さいものに限る。大きいところは保険以外の方法で解決する。こういうことにすれば、多少の差はそれでもできると思いますが、しかし今ほど大きな差が出ない。こういうふうに私は考えます。
○安田公述人 ちよつと言葉が足りませんでしたから、誤解を受けたかと思いますが、先ほど申し上げました任意共済と申しますのは、農作物、蚕繭、家畜を一応除いた、たとえば家屋の火災の共済、それから地方的な共済、そういつた共済のことを申し上げたのであります。
○河野(謙)委員 私古いことを知らないのですが、すると今の米麦につきましては、政府原案が当初から強制加入で出発したのですか。その裏においては、御承知のように司令部の要請というか、司令部の意見によつて、強制加入で出発したのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○安田公述人 これは当初司令部の考え方は、とにかく強制的な考えの上に立つた制度は否定すると言いますか、そういう空気もありまして、農業災害補償制度のときは、農作物共済についても、その問題は当初は任意で行くべきではなかろうか、こういう意見がありました。その点について数回にわたつていろいろ話合いをした結果、強制制度という結論におちついたのであります。当初はアメリカでも、農業保険という考え方で行くのなら、当然これは任意に、農民の自発的意思によつて参加するようにすべきではないか。但し、反面に国が農民に対して強い農業上の要請をするという立場なり、あるいは農民に対する一つの保障をするという考え方をこの制度の根幹に強く持つならば考え方はまた別だ、こういうような考え方で、当初アメリカの日本の保険制度に関する理解は、アメリカにおける会社などでやつております考え方のつもりで、向うは考えておつたようであります。
○井上(良)委員 大内さんにちよつと伺います。今河野氏から質問をいたしました点に関連をするのですが、先生の考えでは、損害率の高い地域の保険は任意保険の制度がいい、それから低位生産地の場合は保険から除外して、公定価格のほかに一定の補助金を出した方がいい、こういう考え方のようです。そうしますと問題は、損害率の高い地域では任意保険によつてでも保険に加入をしてその被害を救済しようという手が打たれると思いますが、日本のように非常に自然的、地理的條件が異つておる所において、災害やその他の被害の多い地方は大体きまつております。今問題になつております保険金が高いとか、あるいはこの保険に対していろいろ問題を起しておるのは、そういう制度の恩典をあまり受け得ない地方の農民が多いのでありまして、そこでいまひとつ自然的地理的條件というものが一応考えられなければならぬじやないか、損害率の非常に高い地方とそうでない地方とがあります。そうしますと、損害率の少い地方で、毎年毎年保険金をかけておる地方は、先生のお話で行きますと、任意加入によつて保険の恩恵を得ようとする農民が非常に少くなつて来はせぬか、そうすると損害率の多い地方だけで任意保険による制度が成り立つか成り立たぬかという問題が起つて来はせぬかと思うのです。任意保険になります場合は、損害率の低い地方は加入しないということになります。それで損害率の多い地方は、任意保険による場合は保険自体が成り立つか成り立たないかという問題が起つて来ますが、そういう場合どういう処置をお考えになつておりますか。それから任位生産地というものが、先生のお見込みでは、大体全体のどのくらいのパーセンテージを押えておりましようか。たとえば三百万町歩の水田があると仮定いたしまして、このうち特に危険率の高い、低位生産地と言われる冷害地帶、あるいは山間部地帯、あるいは非常に灌水の悪い特別な地帶というようなことを考えて、大体全体のどのくらいの割合いを低位生産地と見込めばよいのでしようか。その点おわかりでしたならば、御説明を願いたいと思います。
○大内公述人 今の第一点でございますが、任意加入にいたしますと、今おつしやつたような現象は必ず出て来ると思うのであります。その場合に、割合に災害の頻発する地帯で保険がうまく行くかどうかということが、当然問題になると思いますが、これは次の低位生産地というものをどのところで限度を切るかということと関連するのではないかというふうに考えられます。私の考えでは、損害保険という形で救済し得る範囲は、割合に狭くしなければとうていできないのじやないかというように考えられますので、たとえばこれはまつたくのたとえで何も根拠のない数字でありますが、平均的な収穫に対して上下二割なら二割の範囲については保険で救済する、こういう考え方をいたしますならば、災害の割合多い所でも、その限度でありますならばそれほど高い保険金をとらなくとも保険金の範囲でやれはしないかというふうに一応考えます。 それからその低位生産地はどのくらいの面積であるかということにつきましては、これは私全然統計も調べておりませんし、またおそらく調べても、今の日本の統計ではなかなか正確な数字は出て来ないのじやないかというふうに感じております。従つて根拠のあるところは何ら申し上げられませんが、たとえば米生産地調査というようなものの分布を調べてみますと、一応算術平均をすれば、平均よりも上のものが半分、下のものが半分ということになるわけでありまするが、その下のものの半分を一応低位生産地と考えることもできるわけでありますが、しかしむしろその算術平均をとりますよりは、たとえばモードをとるとか、そういうような方法で比較的多い所、山を画いてその山の一番高い所を日本の標準的のものと考えますと、それ以下のものがどれくらいあるか、こういう問題でおよその見当がつくのじやないかと思います。今正確な数字は覚えておりませんが、そういう一つの線を引いてみますと、算術平均よりはかなり低いところに大きなものが集まりますので、それ以下をとりますとおそらく全農家の三割くらいになるのじやないかと思います。但し今申しましたように正確な数字を覚えておりませんので、数字そのものについてはあまり確信がございません。その点は御了承願いたいと思います。
○小淵委員 大内先生にお伺いいたしたいのであります。先ほどのお話の中に、農業共済基金法案の三十億の基金の問題については、すでに府県連の赤字が二十八億ほどあるから、もし三十億の基金ができても、これはその方にまわつて行くおそれがあるのではないか、そういうふうな場合には、農民の一五%のプール資金の出資はかえつて農民負担の加重になりはしないか、むしろこういう金は全額国庫負担でプール資金をこしらえて行くことがよろしいのではないかというふうに私聞きましたのですが、もしこのプール資金ができましても、その赤字の方にまわるのが、きわめて加速度的にまわるとすればさような結果になると私は思うのでありますが、こういうことを意味して全額国庫負担がよろしいとか、あるいは三分の一農民負担、二分の一農民負担というふうに農民の負担を軽減しようということを仰せられた理由というものは、この金が短かい期間にその使命を果し得ずに、赤字の方にまわるというようなことを想定してのお話でありますか、その点をお伺いいたします。
○大内公述人 先ほどの私の言葉が足りなかつたので多少誤解があつたようでありますが、私の申し上げた意味は、三十億の基金がすぐに従来の赤字の埋合せに使われるという問題ではございませんで、そういうこともあるかもしれませんが、むしろ私の考えておりましたのは、従来わずか四、五年間に二十八億の赤字が出たわけでありまして、今三十億の基金を持つたとしても、今後また四、五年たつと、今の調子で行けばその基金全部がなくなつてしまうという問題が起りはしないかという点をまず申し上げるのであります。それから全額国庫負担にした方が望ましいのではないかということは、それとは直接関連がないのでありまして、今の連合会の資金状況から申しまして、この十五億円という基金を捻出するのは相当困難ではないか。もしそれを新たに農民にかけてそれで十五億円を捻出することになると、農民の負担は非常にふえる、一時的であつてもふえることになる。しかもその基金がなくなつたときにもう一度そういう形で農民からとることになると、結局保険金は重くなつたということとあまりかわらなくなつて、そこにいろいろな問題があるので、むしろ連合会の今の資金の能力から申し上げましたならば、全額国庫負担をする以外にないのであります。こういう意味で申し上げたのであります。
○吉川委員 大内先生と安田先生にお伺いしたいと思います。今の御質問に関連があるのでございますが、大内先生のおつしつた基金制度の問題について、非常に私も賛成しているのです。今府県で二十八億、国で六十億を超える赤字があるのでございますが、それで再保険の制度をとる以上どうしても基金が必要ですが、大体どの程度の基金を必要とするお見通しをお持ちでございますか、それを大内先生にお伺いいたします。 それから、安田先生にお伺いしたいのは、先ほど司令部との交渉の経過を伺つたのでありますが、この制度で行きますと、国家的な性格が非常に強いから、組合員である農民に共済制度に対するもつと強い関心を持たせることが共済事業を発展させる上に必要であるというので、地方的な性格といいますか、もつと自覚の上に立つての民主的な行き方でなければならない。そうするために任意共済の部分も含めて行くべきではないかという考え方で司令部と御交渉なさつたやに伺うのでありますが、私はそれとは全然逆で、この制度で参りますと、むしろ封建的な農村では、強制的な制度で上からやつて来るものに対してはいやおうなしに応ずるのです。だから強制共済をやつている団体機関があわせて任意共済のものをやるということになるし、しかたなしにこれに従うという結果になつて、農村の封建制をいやが上にも増長させて行く結果になることが現実に考えられるのです。そこで、そうじやないのだということでおやりになつたとするならば、そこに少し御検討が足らなかつたか、それとも他の御意図があつたか、私のほかに聞くところによりますと、非常に共済関係の諸経費がきゆうくつなので、そのきゆうくつな経費を補填するために任意共済によつて相当の收入をあげて、これをもつて補填して行こうというようなお考えがあつたのではないかということを聞くのございますが、その辺の経緯を伺えたら幸いだと思うのであります。
○大内公述人 この基金を何十億にするのが適当かという御質問でありますが、何十億であるべきであるか、私すぐお答えするだけの用意をして参りませんでしたが、基本的な考え方から申しますと、これは共済掛金の問題とも関係があるのでありますが、一応赤字が出ないような形で掛金率がきまつているという前提に立ちますと、あとの問題は年によつて多く出る年と少く出る年がありまして、その差額を直すという点と、それだけのものが基金としてあればいいということで一応言えるのではないか、従つて過去の経験から推しまして、最大に保険料を支払つたときと、最少に支払つたときの差額がどれだけあるかということを一応検討いたしますならば、およそ掛金の大きさというものは出て来るはずであります。それが具体的に何十億であるか、今計算しておりませんので申し上げることはできません。考え方としてはそれでいいのだと思います。
○安田公述人 今御質問の点は、実はこういうふうに考えておつたわけです。この任意共済の問題は、昭和十三年の保険法ができます当時においても、保険的な制度で国が援助するという問題に非常に制限がございまして、たとえば米麦とかあるいは災害についても非常に制限がございまして、なるべくそれを広範囲に、共済制度として総合的に事業を伸ばして行きたい、こういう角度から、国が再保険をしない問題については、国が再保険をするような状態になるまで任意共済でひとつ育てて行こう、こういうような考え方で、この法律上設けられました任意共済の問題をわれわれ考えておつたわけであります。従つて今お話のような点は、あるいは人によつて違つた考え方があるかもしれませんが、一方の当時の考えとしては、そういう考え方を持つては進んでおらなかつたということを申上げます。
○松浦委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、休憩いたします。午後一時より再開いたします。 午後零時二分休憩 ――――◇――――― 午後一時十四分開議
○松浦委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 それでは埼玉県北足立郡北本宿村鈴木敬君に御意見の御発表をお願いいたします。
○鈴木公述人 私は埼玉県の一農民として、公聴会の公述人として参加しましたことを無上の光栄といたします。 実は去る十日、電報をもつて「十三日午前十時までに公聴会公述人として出席されたし。なお資料は別便にて送つた。農林委員長。」との通知に接し、しかして資料は十一日に届きましたが、公述要点の文書が間違つて来なかつたので、はたして本日どういうことを申し述べてよいか、いささか当惑しておつたのであります。本朝公述要点を見まして、それぞれこれに準拠して私の考えを申し述べたいと思います。 あなたはいかなる種類の農業経営をなされているか。私は埼玉県北足立郡北本宿村でございますが、これは従来の中丸と石戸を合併して北本宿村となつたのでございまして、麦の埼玉、麦の石戸として麦の産額が多く、またかんしよの産地でございます。私は現在畑作二町八反、これに大小麦、かんしよ、陸稻ときわめて平凡な主穀式の経営でございます。水田はわずかでございまして、五反八畝、いずれも混田、一毛作田で、植田栽培でなくつみ田栽培といいまして、五月の二日、八十八夜を中心として直接まきつける方法でございます。家族は六人の働き手で、私たち夫妻、長男夫婦とさらに次男の夫婦の三夫婦でございます。次男夫婦は当地に平地林がありますが、県の開拓課によつて開拓入植地に指定され、四世帯の開拓入植地ができたのでありますが、入植者の一人としてやがて入植する予定になつており、昨年の十一月一日付をもつて二町歩の耕地を買い受けたのでございます。そして十一月十五日から約百日にわたりまして一町歩の開墾を完成いたしまして、これには陸稻をまきつける予定で着々準備をしておるのでございます。かくのごとく私は真の農民として、食糧増産に対して燃ゆるがごとき熱意と意気と努力とをもつて奮闘しておるのでありまして、昨年度は大小麦の供出百三十俵、米三十俵。また従来かんしよの供出のあつた当時は、五百俵から七百俵の供出を完了したこともございました。 次にあなたの村の人たちは現在農業共済制度に関していかなる感想を持つているかということにつきましては、この農業共済制度は、農業者が不慮の事故によつて受ける損失を補慎して農業経営の安定をはかり、農業生産力の発展に資するという意味においてはわれわれ農民が安心して生業に励むことができる制度であつて、われわれはまずもつてこの制度によつて全農民か生きられるのだと思うときに、最もいい制度であると思うのでございます。 次に廃止した方がいいかという意見がありますが、あるとすればその理由ということでありますが、この問題につきましては、中には掛金が高くて、かけつぱなしで何ら恩恵に浴さない農業共済保険と健康保険は全面的にやめてもらつた方がいいというような意見を持つ者もございます。しかし善良なる農民として、何人も不慮の災禍にあうこともあるのだから、これはけつこうな施設であつて、私は継続してやつてもらいたいと思う。私は大小麦におきましても二町四反、陸稲におきましても一町歩、それから水稻の五反八畝、全部加入しておりますが、いまだかつて共済金をもらつたことは――昨年水稻の病虫害がはなはだしかつたときにわずかをいただいたのみでございます。なお大小麦におきましても、私の方は中仙道沿線でありまして、先ほど入植地の話も出ましたが、これら開墾地も多いので風旱害等もあるのでございますが、なかなか損害評価に該当はしない。しかし私はあくまでもこの政府の施設である農業共済事業は、万一の場合これはどうしても入つておかなければならないのだ。こんな農民の気持から、ぜひ継続してほしいと思います。 次に、現在の強制加入制度を任意加入制度にした方がいいという意見があるか。あるとすればこの理由。しかし現在の強制加入制度を任意加入制度としたならば、結局先ほど言つたように、国民健康保険と共済保険とは全面的にやりたくはないというふうな意見が台頭したとするならば、任意加入制をとつたならばほんとうに加入者がなくなつてしまつて、この共済事業ができ得なくなると思いますので、現在のこの強制加入制度を採用していただいた方がいいと思います。 次に、あるいは運営上の欠陥を是正して現行の制度を継続すべきだという意見がありますか。あるとすればいかなる点を改むべきであるか。これは運営の欠陷を是正して現行制度を継続すべきであると思います。 なお、現在の共済掛金が高いと思うか、安いと思うか、また適当と思われるか。これはもちろん私たち農民は今非常に疲弊しております。特に終戦後疲弊の極に達しておりまして、幾分でも掛金は安い方がいい、これを念願しております。 あなたの村の損害評価は適正に行われておりますか。適正でないとすればいかなる点に欠陷がありますか。しかしていかに改善すべきと思いますか。私たちの村の損害評価は、村に損害評価委員というものがありまして、それぞれ熱心に評価委員が評価されまして、そして郡あるいは県の方に提出されるのでございますが、すべてまたこの共済につきましても支払いのわくがある。こういうようなわけで、いかに綿密に評価を行い提出いたしましても、別に過大価評しなくても思つたように評価されないというのは、これをもつてやむを得ないと思つております。 なお基準収量を三段階にわける現在のやり方を適当と思われますか。それはそれでけつこうと思います。 なお次に被害の限度を三割以上とし、共済の限度を五割で切る現在の制度をやむを得ないものと思いますか、改善すべきものと思いますか。改善するとせばいかに改善すべきか。私はこの点につきましても別に意見はございません。 なお、現在の一筆単位共済から農家單位共済に移行せしむべきと思われますか、いずれがあなたの村の実情に照して有利と思われますか。これは現在一筆単位共済でやつておられますが、さらに今回新しく農家単位の共済に移行する、試験的にこれを行つて、将来その結果によつてはやつてくれるというお話でございますが、これは農家単位共済に移行されることが望ましいと思つております。 次に、あなたの村の共済組合の事業は順調でしようか。また過去一年間の受取り額と支払い額の差はどの程度でありますか。掛金はどの程度ですか。これにつきましては、私の村の共済組合の事業はたいへん順調に進んでおると思います。私の方の共済組合は中丸と石戸と元の旧村の関係で農協も共済も二つになつております。石戸農協と言い、石戸共済組合と言つておりますが、私の方は石戸共済と石戸農協に属しておるのでございます。そして荒川がありまして荒川の沿岸は洪水地でもつて、たまたま洪水に見舞われることがあるのでございますが、私の方は中仙道の沿線で、これは水害はない、しかし風害、旱害、これは微々たるものでございますが、そんなような関係で、非常に荒川沿岸におきましてはたまたま水害地としてこうした不慮の災禍にあうこともございますので、この過去数年間におけるところの受取り額と支払い額の差というものが大分あるようでございます。その数字を村の方から聞いて来ましたからここに参考までに御報告申し上げます。 まず水稻におきまして、二十二年が共済掛金が三万七百十九円、共済金が三十五万五千五百七十二円、指数が一一五七・四%、保険料が二万六千二百六十三円、保険金が三十九万五千八十円、指数が一五〇四・三。二十三年が共済掛金二万八千四百二十一円、共済金が一万八千七百十四円、指数六五八。保険料二万四千二百九十九円、保険金一万六千八百四十三円、指数六九三。二十四年が共済掛金三万三千六百八十四円、共済金が九万九千百八十二円、指数が二九四・四。保険料が二万八千七百九十九円、保険金が八万九千二百六十四円、指数三〇一。二十五年が共済掛金三万六千五百六十五円、共済金二十九万三千九百二十円、指数が八〇三・八。保険料三万一千二百六十六円、保険金が二十六万四千五百二十八円、指数が八四六・一。二十六年が共済掛金が五万四千八百四十八円、共済金九万八千五百二十円、指数が一七九・六。保険料が四万六千九百円、保険金が八万八千六百六十八円、指数一八九・一。以上合計いたしまして、共済掛金が十八万四千二百三十七円、共済金が八十六万五千九百八円、指数四七〇。保険料十五万七千五百三十七円、保険金八十五万四千三百八十三円、指数五四二・四。これは水稻であります。陸稻の方は被害がたいへん少かつたものでして、指数にいたしまして、二十三年が六五・七、二十四年が一五四・一、二十五年が八六・九、二十六年が一七であります。大体以上であります。 それから共済金を受取つている農民は、全農民の何パーセント程度であつて、いかなる階層に属しますか。また共済金をもらう農民が一方に片寄るような傾向はありませんか、あるとすればいかなる理由によるものと思いますか。これはどうしても水害地あるいは非水害地といつた形で、水害地の方へ片寄るのは当然であると思うのでございます。 次に、共済組合の役員と、農協の役員とは兼任しておりますか。事務所は別になつていますか、一緒になつていますか。これは共済組合の役員と農協の役員とは、別に兼任しておりませんが、事務所は同じ農協内にありまして、一緒にやつておるのでございます。 なお次に、両組合の経理が相互に融通され過ぎて、農民に不満を與えている事実はないでしようか。別にこういう点につきましても、不満を與えているような点はないと思います。ただ共済金の支払いが遅れるというようなことが大分あるのでございますが、これはやがて共済基金の設立により、農民の待望するように迅速にやつていただけると思うのでございまして、これに期待を持つておるものでございます。なおこの共済基金につきましても、三十億の出資によりまして、国家が十五億、農民から十五億、この線を出されておりますが、先ほども申し上げましたように、農民は非常に疲弊しておりますから、ぜひもう少し、国家で七割くらいまで出していただきたい。こういうふうに私要望する次第でございます。 なお建物共済の面につきましても、ここに建物、農協や農家の各戸は農協保険に入れておりますか、共済組合の保険に入れていますか。いずれにかけた方がよいと思いますか。これにつきましては、やはり共済組合の方で、建物共済を本年は実施いたしまして、農協の方は別にやつておりません。すべて共済組合の方において取扱つておりまして、本年これが実施に当つたのですが、すでに九〇%の成績を、当石戸共済組合においては納めております。郡下としても第一位の成績であるというお話を聞きました次第でございます。いずれにいたしましても、この建物共済の面やなんかにつきまして、中央におきましては共済農業協同組合とか、あるいは共済連合会とか、建物共済やなんかをめぐりまして、非常に論争をされておるとかいう話も聞きますが、これは真にくわ、かまをとらないところの農民の方々のやられることで、われわれ末端におきましては、ほんとうになごやかにうまく行つておるのでございまして、真にわれわれくわ、かまを持つておるところの農民は、こういうことは迷惑千万であると思いますので、どうか政府におきましても円満なる指導督励をお願いしたいのでございます。 なお、家畜保険や蚕繭共済に関する農民の考え方は。これは家畜保険におきましても蚕繭共済におきましても、全部共済組合においてやつております。また酪農組合の方では、その村の共済のみならず一方互助組合を設けまして、さらに助け合う、こういう精神を持つてやつておるのでございます。なおわれわれはあくまで農民といたしまして、さらに共済事業のみならず、食糧増産の上におきましても、あるいは土地改良の上に、農村救済の意味におきまして努力されておりますところの廣川農政に対しまして衷心から感謝の意を表する次第でございます。われわれはあくまでもくわ、かまを持つて邁進したい、こう念願する次第でございまして、ぜひともわれわれ農民に対しまして御指導、御鞭撻のほどをお願いしたいと思うのでございます。 はなはだぶしつけでございますが、以上をもちまして私の公述を終る次第でございます。
○松浦委員長 次は山形県東村山郡金内村の田中正助さんにお願いいたします。
○田中公述人 私の方はただいま申されたようなこまかいところまでは調査して参つておりませんので、私としては一々お答えする資料を持つておりません。しかしわれわれ農民としては、この共済保険制度というものは、今後いかなる時代にもかわらずにますます農民を保護する立場において存続してもらいたいと思います。従つて三法案とも私は賛成です。むしろもつと強化していただきたいと思います。その点は皆さんからも申されたように、制度は非常にけつこうだが、その掛金が高いということがどこでも出る言葉であります。私の村の方も聞いてみましたが、今度二十七年度から改正になるというもので、私の村の負担は農家の方が一反歩当り水稻で百六十円であります。政府の方の補助となる分が百二十二円であります。これを逆にしてもらえぬかというのが私どもの組合の要望であります。非常に努力されまして大分ふえたことはたいへんありがたいことでありますが、まだまだ個々の村々に行くといろいろ問題がある。また私の県のある地方から聞いたことでありますが、五箇年間ちつとももらわぬという村もあるのです。しかもさらに三町歩もつくつておるというような単作地帶の親玉のような村でありまして、そうしますと、百六十円の掛金から行きますと、二町歩つくれば六千四百円、三町歩つくれば約一万円であります。現在の農家で農協で借りなければ暮して行けない単作地帯で、三町歩つくつて一万円の捨金では相互扶助といえどもこれはいやだという感じがあるのは無理はないと思います。この点は運用問題になるかと思いますけれども、何とかこういう町村には特別な方法を講じてもらわなければならないと思います。これは三年間続けてもらわなかつたら貯金になるような方法で払もどしてもらうとか、あるいは五年間の場合はどうとか、あるいはそうでなかつたら一万円くらいの宝くじを十本とか十五本やるとか、少し喜ばせて、いやな気持を持たせないでやることが望ましいと思います。そうするとそういつた不平が多少なくなるのではないかと考えるのであります。そうでなければ、もらうところの町村だけもらつて、それで補助しているのだというような感じを持たれては、せつかくのこの法律がうまく農村に徹底しないのではないかという感じがします。そういう点もひとつ考えていただきたいと思います。 それからこれはなることかならぬことかわからないけれども、私の考えでは、不可抗力の災害は別といたしましても、それ以外のもの、あるいは防除とかいう関係によつてある程度増産ができる方法があれば、もつと増産させて被害反別を少くすることが掛金を少くする一つの方法ではないかと考えます。私は一つの方法として共済組合の中に技術員一人ずつ置きまして、事務をとらせないで専門にまわらせたら、防除関係やいろいろの問題を未然に防ぐことが容易だと思います。一人で各村を受持たして義務としてまわらせたら相当にまわれる。農村によく言われる指導相談相手があつたら、被害面積を少くすることができて、また増産もできると思います。こんなことを言つてはいけないかしれませんけれども、普及技術員を共済組合の中に織り込んでもらつたらどちらもいいのではないかという感じもするのであります。要点はいかにして掛金を安く、長く続かせるかということでありまして、これが農民の要望にこたえ、しかも法律のありがたさを徹底させることになるのであります。まだこれは年数も少いからやむを得ないと思いますけれども、いま少し農民にこの趣旨を徹底させたら、まさかいやだという者は私はないと思いますので、そのような制度をつくつてもらいたいと思うのであります。あとは皆さんの申し上げた通りでありますから、これだけ申し上げておきます。
○松浦委員長 次は神奈川県中郡土沢村第一酪農組合小巻俊三君にお願いいたします。小巻俊三君。
○小巻公述人 私は酪農関係の仕事をしておりますので、農家個々に面接する機会が多いのでございまして、従つて最末端の声はよく聞いているのでございます。ところが一般農業、つまり米麦作の共済にしても家畜の共済にしても、いずれも現行制度は非常に評判が悪いのであります。どこへ行きましても、共済の話がありまするとみな不平を言つておるのであります。実はそういうような関係から、私は酪農協同組合長をしておるのでありまして、本組合員は約二千人、出資金は五百万円、乳牛頭数は三千七百であります。それがためにどうも現在の共済が気にいらないから、ともかくわれわれの力で共済をして行こうじやないかというような意見が非常に強かつたのであります。そこでここ二、三年前から、それについてあらゆる検討を加えたのであります。ところがどうやりましても三千や四千の乳牛では維持ができない。病気にかからないようにしなければならないというので、技術者を絶えず派遣して注意をしてやつておりましても、どうしてもできない。昨年度のごときは三千七百に対して百六十八頭の牛が倒れた。これに対して現在は組合相互の関係上、一頭五千円の共済見舞金というような形で出しております。そんなわけで任意組合ではどうしても成り立つて行きませんので、私どもはどうしても成り立たないのだから、国家の共済組合に加入するに限るということを言いましても、末端に行きますと、現行制度ではとうてい耐えきれない、それは何ゆえだと聞きますと、牛が倒れてもその保險金が半年も一年もたたなければ来ない、これが第一番の不平でございます。農家に一箇月でも二箇月でも動物がないとたいへんなのです。そういうような姿になりますので、どうしても任意組合ではだめだ、みなそろつて共済組合に加入することに限るということで、全戸加入せよということが組合員の間できまつた。ところが何といつても従来の掛金が非常に高い。もちろんそれに対しては国家もめんどうを見てくださるが、なかなか農家の要求通りには行かない。しかし私どもは倒れれば一大事になるのでありますから、よほど考えなければならない。政府が何とかしてくれないかということはだれもが考えておる。ところが今回このことについてここに三つの法案ができ、特にこの基金の設置については、ほんとうに待つてましたということでございますので、この点についてはぜひ農林御当局は一はだぬいでいただきたいとおもうのでございます。ただいまも山形からお話がございましたが、率直に申しますと、それは掛捨てだということになると非常にまずいのでございます。これに対して私どもは、相互の共済の意味において無事故の村、無事故の組合に対しては奨励金を出すのです。私どもは家畜をやつておりますが牛を倒さなかつた優秀なものには奨励金を出すという方法をとつております。この共済法においてもそういう規則があつても悪くはないじやないかという考えがあるのであります。その点も農林当局においてはお考えおきを願いたいと思います。 それからほんとうに農家を完全な線に乗せるためには、やはり直接共済事業に携つていらしやる職員の方に、ほんとうに奮発していただかなければならないのでございます。その職員の方、指導者の方によつてずいぶん違うと思います。私ども各農家をまわつてみたところでは、それが徹底しておりません。ところが私の県に参りますと非常に努力していらつしやるけれども――当初郡に家畜保險組合があり、県に保険の組合があつたのであります。ところがそのときの掛金が低かつたものですから、今の掛金が非常に目立ちます。しかし牛も高騰しておる、すべての点に経費がかかるということで一応納得しております。ですからそういうことも一応御納得になつて、ぜひよく指導をしていただくということと、了解せしめるということ、そして国で基金の設置をしていただくならば、今度のこの新しい三つの法案を達成してくださるならば、おそらくほんとうに順風に帆をあげて行くのじやないかと私は考えおります。いろいろ前から公述者の方々もお話がございましたので、私ははなはだ簡単でございますが、これだけ申し上げまして失礼いたします。
○松浦委員長 次は愛知県知多郡常滑町八反田瀧田次郎君にお願いいたします。
○瀧田公述人 初めに私の立場を申し上げておきたいと思いますが、私は愛知県の伊勢湾の方に出ております知多半島の中部に位しておる常滑という所の農業協同組合の組合長を過去四年間勤めて参りました。その関係で、郡あるいは県の段階で二、三役を仰せつかつておりますので、組合、ことに日本の中部における農協の組合員の意向を御聴取相なりたい、こういう御意向でお呼び出しに相なつたものと存じます。従いまして埼玉県の鈴木さんのおつしやつたように、この委員会から逐條書に質問書が出ておりますので、それにお答えいたしました方が実情を最も率直にお伝えできるかと存じます。ごく簡単に申し上げまして、最後に一、二意見を開陳いたしたいと思います。 初めにお断りいたしますが、公述人の名簿に篤農家と載つておりますが、これはとんでもない間違いでございまして、郷里の者がこれを見るとさだめし憤飯いたすことと存じます。惰農の中の惰農であります。従いまして私の個人的なことは省略しまして、あなたの村の人たちは現在の農業共済制度に関していかなる感想を持つておるか。これを一口に申しますと、中部農民のこの共済制度に関する関心はゼロと言つても過言ではないのでありまして、まつたく関心がうすいのであります。現にこの公聴会に出席しますために四、五十人の農民に、お前どう思うかという質問を、私並びに協力者によつて発しましたところ、大多数がどつちでもいいじやないか、さあ。こういう返事であつたのであります。賛成、反対はほとんど相半ばいたしておりますが、これまた以上のような理由で、正確な根拠に基いて反対するとか、数字をもつて賛成をするとかいう者はないようでありますが、賛成者は小農に多いようでございます。反対者はいわゆる専業農家、ことに中以上の農家に多かつたのが事実でありまして、この点はあとでも申し述べるつもりでありますが、保険金の給付状態によつてこういう声が出て来たものと存じます。 廃止した方がよいという意見がありますか云々ということに対しましては、先ほども申しましたように、意見があつて反対するとか、根拠に基いて賛成するとかいうのは少いのであります。しかし当然常習災害地を一般の耕地と区別して掛金を徴収すべきだ、今のままでは、一般の農民が限られた農民の犠牲になつている状態だ、こういう理由をもつて反対した者が二、三あります。 現在の強制加入制度を任意にしたらいいと思うかどうかということでありますが、これは先ほども鈴木さんが申されましたと同様で、任意にしたらこの保険制度は成り立たないから、当然強制にしなければならない。ただ現在の制度というわけではなく、農家としてこの共済制度というものは当然存続すべきであるから、強制でよろしいということでありました。 運営上の欠陥を是正して、現行の制度を存続すべきだという意見があるかということでありますが、これはあります。われわれの要望したいことは、事務費の賦課金がたいへん多いのでありまして、私の地方では米において十二・五ですが、麦においては実に保險料金の四〇%に相当する金が賦課金として、すなわち事務費として徴収されている現状であります。これは強制という建前から、当然国庫がもう少し負担してもいいのじやないか、あるいは言をなす者は、全額国庫負担とすべきではないか。もう一つは、本年は大分改善をされて農民も喜んでおりますが、今までは保険の支払いが忘れられたころに来たわけでありまして、これをもつと早く支払うようにしたい、こういう二つの意見が一番強いようでごさいました。 現在の共済掛金は高いと思いますか、安いと思いますか。ということに対しては、高いという声のない者はないのでありますが、その根拠を言う者もなかつたのであります。しかし最高保険金の二%程度にすべきじやないか、たとえば私の方の地方では、水稻につきましては反当六千円の最高保険金であります。さすれば農家の支払額は百二十円くらいに押えておくのが至当ではないか、もつともこれは、先ほどの大内助教授のように根拠をもつて申し上げるわけではないので、農民の感じでございますから、この点御了承おきを願いたいと思います。 あなたの村の損害評価は適正に行われておるか。これについては、私が組合長と同時に共済の方の組合長もしておりますので、組合長という立場からは適正に行われておると返答せざるを得ないのでございますが、少くとも私の村の範囲におきましては、先ほど埼玉の鈴木さんのおつしやつた通りに、大体経験者が三十名程度、半日を費しましてそれぞれの段階の災害地をまわりまして、目をそろえて、このあとで三班なら三班にわかれてまわります関係で、村内においてはほとんど不平を聞きませんが、一歩対外的になりますと、ごくひどいのは、たんぼが隣合つておりまして災害も同じようだというのに、片方の村に多額の保除金が支払われたにかかわらず、自分の村は少かつたという声を聞くことはしばしばであります。あるいはまた、こういうことは口外していいか悪いか存じませんが、率直に申し上げますと、私の村なら村が郡へ集計を届け出る際、あるいは郡が県へ自分の集計を届け出る際に、相当の水増しが行われておるのは事実でありまして、そのために届出の量を知つておる個々の農家は、お前たちの政治力が足りないからこの村は届出の六割くらいしか保険金がもらえなかつた、あるいはあの村は幹部がうまくやつたから届出通りにもらえた、こういう声を聞くのであります。このことは私どもが担当しておつて一番困る問題でございます。 基準収量を三段階にわける現在のやり方を適正と思うかどうか。これは適正と思います。 被害限度を三割以上とし、共済限度を五割で打切る現在の制度をやむを得ないものと思うか、改善すべきものと思うか。これについては、限度を三割程度にする現行を可とする。しかし共済限度はもう少し引上げる必要があり、かつただいまの支払い状況は三割、五割、七割と二割飛びだけれども、これを一割飛びくらいにしないと農家の不平が起る、こんな程度であります。 現在の一筆単位共済から農家単位共済に移行すべしと思われるか。いずれがあなたの村の実情に照して有利と思いますか。これは私の地方では、全部口をそろえて一筆ごとの共済を続けてほしい、一筆ごとの共済のみならず、さらにその一筆に等級をつける方が至当だ、こういう意見が圧倒的でございました。これば今回の改正法律案にも一部試験的に行われようとする案が出ておりますが、そういう意味では、この案は不必要だというのが私どもの意向でございます。その理由は、つまり中部地方では、先ほど委員の方からも御発言がありましたけれども、多角経営をいたしておりまして、危険分散を自家でやつておるような状態でもありますし、比較的富裕でもありますので、あまりこの共済金にたよらないという気風もございますけれども、もう一つは、中部地方は災害が少うございますので、これは農民といたしましては、自分たちのおる立地條件を感謝しなければならぬことではありますが、この共済に関しましては、ただでさえなかなか保険金の支払いにありつけないのに、さらに農家単位にすれば、何年に一回もらえるようになるのやらわからないから、一筆ごとにして、常に農民と農業災害補償法による共済との連絡を保つて行かなければ、今に糸が切れてしまうのではないか、こういう意味でございます。 あなたの村の共済組合の事業は順調でしようか。これは可もなく、不可もなしとでも申し上げるよりいたし方ないのでありまして、ぼつぼつやつておる程度でございます。 なお先ほども、今までの掛金と保険金との率についての詳細な報告がありましたけれども、私の方では、二十五年までは全部掛金が多いのでございます。二十六年は御承知のようにルース台風によりまして、中部日本一帯が被害を受けましたので、俄然多額の保険金をいただくことになりまして、総額で言いますと、私の村ですと百五十何パーセントに相なります。すなわち二十五年までは全部出す方が多かつたものが、二十六年だけで今までの分を取返し、なお五割程度掛金より多かつた、こういうことでございます。なお賦課金は先ほど申しましたように、麦においては三十三円六銭が掛金でありまして、そのほかに十三円の県、郡及び組合への賦課金があります。米は百二十八円でありまして、そのほかに十五円の県、郡、組合への賦課金がございます。 共済金を受取る農家が片寄るかという御質問でございますが、これは今までの例でございますと、大体三〇%、すなわち私の方では水害は皆無というほどではございませんが、ほとんどありませんで、山の中腹以上のところが旱害を受ける。だから片寄つて、しかも三〇%程度しかもらわない、こういうのが実情でございます。 それから組合の役員と農協の役員がどうか云々ということですが、これは事務所も役員も全部一緒でございます。従いましてこの法律の一部を改正する案の中に、任期の件がございますが、この件はそういう意味合いで賛成をようしないものでございます。ほとんど私の中部ではそうでありまして、たまたま一部は、各町村の中で組合がわかれておりますると、どこの組合へ持つて行つていいかわからないから、町村長がいたしているのが実情でございます。 両組合の経理が相互に融通され過ぎて、農民に不満を與えているか。これにつきましては、両方の組合長をやつておりますので、ないと申し上げる次第であります。但し共済組合の方の人件費はみんな農協の方で持つておりまして、共済組合は、私の村自身では人件費を入れますれば赤字になる。それを農協の方から補助しておる実情でございます。 建物云々。これは農協の建物は農協の保険に入り、農家個々の建物はただいまでは共済の方の保険にほんの少し入つておりますが、これは愛知県でも最近始めましたので、共済の方はほんの少しというのが実情であります。この際申し上げたいのは、われわれ農協の組合長をいたしておりまして、ことに銀行が担保にとりません農家の宅地でありますとか住宅というものが、農協の担保の唯一の対象になつている現状から見まして、これは農協の方でやりたいものだということをいつも考えるのでございまして、必ずしも共済の方を排撃する意味ではございませんが、簡単に農協で火災の方が扱えたならば、安心して、銀行もとらぬような家屋、建物を担保に、楽に貸し出せるのじやないかという考えを始終抱いておるものでございます。 御質問の要旨の回答は以上にいたしまして、一言だけ意見としてつけ加えたいことは、共済といい農協といい、下部組織は、ことに末端の農家というものはどこにもかわりがないのでありまして、たつた一人の農家、それを共済組合あるいは農業協同組合、さらに郡の段階になりますと、さらに小さくわかれて来ますが、県の段階になりますと、これがまたわかれます。これが中央の段階になりますと、さらにまたこまかくわかれまして、こういう過激な言葉を使うのはたいへんはばかられますけれども、農民がそういう上部組織のために、ちようど中世紀時代の農家が貴族と僧侶の重荷に耐えかねたという状態がもし進行して来ますれば、農民の不平は、かのフランス革命のことく、いつ勃発せんものでもない、かように思いますので、為政者は心をここに置かれまして、組織はなるべく簡素化されまして、農民の負担が少しでも軽くなるように、また農民でもごく簡単に利用できるような、筋道の通つた組織にしていただきたい。これが私ども末端の者の最も要望するところでございます。 以上をもちまして公述を終ります。
○松浦委員長 実際農業を営むとか、または末端の実情に詳しい立場から公述されました鈴木、田中、小巻、瀧田の四君に対して、質疑があれば、この際これを許します。
○井上(良)委員 鈴木さんに伺いたいのですが、あなたは共済組合の役員をしておりますか。
○鈴木公述人 別に役員はしておりません。
○井上(良)委員 あなたはさいぜん水稻の保險料をもらつたと言つておられましたね。水稻の保険料を初めてもらつて、幾らもらいましたか。その作付はどのくらいでしたか。
○鈴木公述人 作付は五反八畝ですが、そのうち約三反でした。
○井上(良)委員 金額はどのくらいですか。
○鈴木公述人 正確なところは失念しておりますが、金額は三千幾らだつたか、いただきました。
○井上(良)委員 それから一番最後の瀧田さんに伺いたいのですが、村から郡へ、郡から県へ、損害評価の申告をする場合、水増しをするような話をされておつたのであります。あなたの方は非常に正直にやるために、隣りが水増しをして、その影響を受けて、農民に説明をするのに、非常に立場に困るというお話でございますが、そういうのは村の損害評価をした被害高を途中で直すのでございますか。どこでそういうことが行われるのでありますか。
○瀧田公述人 お答えいたします。先ほどお断りをいたしたように、こういうことをこの席で申し上げるのはいかがかと存ぜられますが、率直に申し上げるならばといつて、あえて私の村とも私の郡とも申し上げなかつたつもりであります。しかし、実情は、組合長は町長と相提携をして、供出のほとんど責任者であります。事、供出になりますと、あまり大きな被害がありますと、村に割当てられました供出量に満たないのでございますから、その点は厳格なと申しますか、実情より以下のように災害を見積るわけであります。これによつて辛うじて供出につじつまを合せる。しかし災害に対する報告においては実情通り報告をする。そこに食い違いがある。これが、あるいは水増しという言葉で表わしては悪いのでしようが、表わせないこともないかと、かように存じます。
○吉川委員 簡単なことをお尋ねします。初めの埼玉県の鈴木さん。あなたの村では、事務所は農協内にあるが、役員は兼任していないということでございましたね。
○鈴木公述人 そうでございます。
○吉川委員 すると、これは埼玉県全体でありますか、あなたの村だけでありますか、それから役員以外の職員は、どういうふうになつておりますか、
○鈴木公述人 結局、組合長は別の方がやつておられます。職員は、やはり農協内の方が一緒に仕事をされております。それから私の地方全体がそういうわけでもないのでありまして、農協の組合長さんが共済組合長さんをやつておられる所もあります。
○吉川委員 鈴木さんにもう一つお尋ねしますが、あなたのお話を伺つておりまして、こういうことをお伺いしたくなつたのです。努力する者は損をして、なまけている者が得をするということが、あなたの村にはございませんですか。
○鈴木公述人 結局、そういうふうにも考えられます。
○吉川委員 瀧田さんにお尋ねいたしますが、ただいま埼玉県の鈴木さんのあとのお答えでありますが、努力する者は損をして、なまけている者は得をするということ、あなたの町において、賛成者は小農に多くて、反対者は中以上に多いというお言葉と、何か関連がありますか。
○瀧田公述人 私の村だけについて申しますと、先ほども申し上げたように、評価委員がごく厳正にいたしておりますし、狭い村内のことでございますので、だれのたんぼの地方はどれだけだのに、その人の勤怠によつて、これだけの収穫を見たということを、だれしも知つておりますので、私の村に関する限りは、共済によつて、たとえば悪く言う人は、共済田をつくつておいて、いつでもそれによつて現金をもらうというような風評も聞きますけれども、私の地方では、こういうものがありませんから、従つて鈴木さんとは関連性がない。かように考えております。
○吉川委員 瀧田さんにもう一つお伺いいたしますが、あなたのお話の中に、任意共済にしたら成り立たないから強制制度でなければならないというお話がございましたが、これは賦課金や掛金が高過ぎるということに基因するというように私は受取つたのでありますが、そういうことでございますか。
○瀧田公述人 先ほども申し上げましたように、私の地方は比較的恵まれておりますので、先ほどの回答には、保險掛金が高いとお答えはいたしましたが、個々の農家につきましては、掛金を出し得ないほど掛金が高いと思つておる者はないようでございます。従いまして、事強制、任意に関しますことは、それよりも農家全体から見て、やはり国家のバツクによつて共済制度を続けてほしい。また続けてほしいのだが、これを任意にしては、ことに中部のような、災害が少くて、保険料金の支払いにあずかる機会が少いわれわれにとりましては、掛金の徴収その他に困難を来すであろうから、強制の方が農家全体から見れば利益だ、こういう意味でございます。
○吉川委員 瀧田さんにもう一つ伺います。農協の設備は農協の共済に入つている、農家の建物は共済組合の方に入つているということでございました。ところがあなたの農協では、農手のほかに何か組合員に対する金融を実施しておいでになるようでございます。その金融の対象として、農家の土地や家屋を担保にとつているようでございますが、そうでございますか。
○瀧田公述人 御質問の御趣旨があまりよくわからなかつたのでありますけれども、私の方の町の特性といたしまして、たいへん兼業農家が多うございますので、それに対する融資といたしまして、無担保でなくて、ある一定の額以上は有担保の融資をいたしております。それには、銀行が対象としない土地―土地と言つても宅地に限られますが、宅地と農家の建物、これを対象に貸し出すわけでございます。それでよろしゆうございますか。
○吉川委員 はい。ありがとうございました。
○原田委員 私は小巻さんに伺います。あなたの所は酪農地帶で、酪農組合長をなすつておられる、そうして乳牛の頭数が三千七百頭、死亡率が百六十七頭ということであります。百六十七頭と言いますと頭数の約〇・〇四五くらいであります。そうして任意保険はぐあいが悪い、死亡率が多いから強制でなければいけない、こういうようにお聞きしたのでありますが、一体重要な乳牛が三千七百頭もおりますものを、どういうようにやつておられますか。私の見方からしますと、若干死亡率が多いように思います。その点からいたしますと、はたしてその乳牛は自分の村だけのものであるか、あるいは隣村も含めたものであるか。なおまたその乳牛の健康診断などをどうやつておりますか。それを治療いたしますところの獣医師の配置はどうなつておりますか。その点を伺いたい。
○小巻公述人 一番重大な影響を受けます治療その他につきましては、これは職員である獣医と嘱託獣医と、両方でやつておるのであります。また獣医ばかりでなく、酪農の指導をする者も二人ばかりございましてやつておりますが、現実そういう数字が出てしまつたのです。しかも二十六年度ばかりでなく、二十五年度も二十四年度も大体〇・〇四五くらいのものが出てしまつた。ましてや二十五年度におきましては、その数字も倍になつたわけであります。そんな事情で、それに事務の職員などを考えますと、どうしても任意の共済では立ち行かぬ。そういう数字が出ましたので、先刻も申し上げましたように、どうしても国の共済でやつていただくよりしまうがない。それについては、先刻も申しました通り、現在の制度では非常に不満である、ぜひ何とかしてもらいたいということは強く言つておる。やむを得ず現在組合といたしましては、一頭に対して予算を五千円ずつ置きまして、そうして万一の場合倒れたものに対しては、それだけを出しておるのであります。そんなわけでありますので、一切任意の共済をすることを計画しますと、どうしても相当大きな赤字が毎年出てしまうわけであります。ですから、さつき私ちよつと申し上げそこねたのでありますが、乳牛のごときああいう動物に対しましては、二十五年度当時のことく猛烈な流感が来た、あるいはその他非常な伝染病が来たような場合に、家畜共済としては何らか特殊の方法を考えていただきたいことも、私はこの際お答えすると同時に、議員の皆さん方に御考慮願いたいと思います。
○原田委員 よくわかりましたが、結局死亡率の問題が赤字の最大原因をなしていることは争えない事実だと思います。なお保険金以外にも総合共済の組合をつくつて、五千円ずつやられて、それでもなおかつ足りないというお話であります。私はこれを考えました場合に、いろいろ体験をいたしておるのでありますが、千頭くらいのところで同じ保険金をそこで積み立てまして、それによつていろいろ仕事をした結果は死亡率はきわめて少い、むしろ五年目には保険金は、五割以上かけなくても貯蓄ができたというような実例もあるわけであります。要は今の高い乳牛の死亡率を下げるというのが根本問題だと思う。そうしますのには、流感とか伝染病とかおつしやいますが、流感とか伝染病のうちに入りますと国が直接これを助成する。それはそれで、カバーすることができる。私どもはむしろ死亡率について、もう少し御検討の必要があるのではないかと思う。われわれの方は大体〇・〇二くらいで、普通の疾病というものは食いとめております。〇・〇五に近い死亡率というものは、ちよつと実質的には多過ぎるような感じがいたします。これは乳牛の少い場合にゆゆしき問題とも考えますので、その辺は技術の優秀な者並びに常に健康診断を怠りなく指導監督なさることによつて、私はこれがよくなるのではないかと思う。今お話の通りそのために強制加入ということもけつこうでありますが、強制加入であつても任意加入でありましても、いずれにしても死亡率の低下をはかることに努めることは、私どもの義務ではないかと思います。そういう意味から一言お尋ねをいたしたわけであります。
○小巻公述人 死亡率につきましては、ただいま二分というお言葉も承つたのでありますが、一体乳牛の死亡というものは、多くの場合濃厚飼料を主として牛を飼育する場合より、牛は草を食つて育つている動物である関係上、自然の草を多く食つて飼養なさるところの死亡率の方が非常に少いのであります。そういう関係じやないかということを、ちよつと頭に浮びましたのでお話する次第であります。
○河野(謙)委員 ちよつと田中さんに伺いたいのですが、先ほど掛金を少くする方法として、あなたは災害防除並びに積極的に増産という点について、現在改良普及員であるとか、村の技術員とかいろいろありますが、そういうものを一手に共済の中に入れてやつたらどうかというような御意見のようでしたが、これはまた逆のことも言えるわけですね。共済の方のそういうような仕事を全部普及員なり技術員に持つて来るということも考えられるが、あなたが共済の方にこれらの災害防除、増産、改良というようなものを全部まとめると言うのは、特に何か強く主張される御見解がありますか。
○田中公述人 これはいずれもの仕事がまじめにやられておれば摩擦というものはないかもしれませんけれども、むしろ必要なものを一つにまとめた方が責任もあるし、その方が非常に適しやすいのじやないか。私の考えは、共済という問題は、掛金をかけても掛け捨てになるといつたようなことから来るいやみという問題を解決するためには、むしろ増産させて喜ばせた方が得じやないか、そういう観点からそう申し上げておるわけであります。はたしてそれが実行できるかできないかわかりません。しかしそうなつたら、実際の面において、これは私らもまわつて見ますが、事務の方に忙殺されて、全然農家の相談相手になれません。だから事務はとらずに、専門の技術員が専門に各農家の相談相手をしてもらうということが、どれほどプラスになるかということであります。そういう考えで申し上げたわけであります。
○河野(謙)委員 田中さんにもう一ぺん伺いたい。それは増産をするとか、あるいは災害防除をやるとか、そういう事務に追われないで、そういうものを積極的にやらなければならぬ、これはわかつておるのです。そういう面を共済の中に全部統一したらいいだろう、こういう御主張でありましたが、その御主張の根拠がどこにあるか。逆に言えば、それらのことをあげて、普及員なら普及員の充実をはかつてやつたらいいという議論も立ちますが、この二つの組織を置いて、両方に中途半端なことをやつておるという現状においては非常に批判があるので、どこかにまとめなければならぬという意見もあるのであります。あなたが共済の中にまとめるということをことに強調されたのは、どういうところに根拠があるのか、その点を承つておきたいと思います。
○田中公述人 それはただいま申し上げた通りであります。
○河野(謙)委員 それではもう一つ、鈴木さんなり田中さんなり、瀧田さんなり、皆さんから任意加入か、強制加入かの問題で、いろいろ御意見があつたのでありますが、大体一致した意見は、任意にしたら共済が持たないだろう、だから強制で行くべきだ、こういうようなことのようでしたが、御承知のように、国が百億以上の金を出して喜ばれないというのは、どこに原因があるのか。りくつから言えば、これは任意にしようが、強制であろうが、むしろ好んでみんなが飛び込んで来るようにしなければならぬと思うのですが、それが行けないのは、掛金が高いから行けないのか。それとも運営が悪いから行けないのか。それらの問題はいろいろからみ合つておると思いますけれども、どこに一番の欠陥があるか。要するに、強制加入を任意加入に民主的にかえた場合に、どこが重点的に一番いけないのかということを教えていただきたいと思います。
○瀧田公述人 事中部地方に関する限りは、先ほど申し上げましたように、自体日本でも災害が少い地方でございますので、農民が災害補償に対する切実な要求が少いからだと私は存じております。しかし一方中部の農民は割合進歩しておりまして、全国的に見て、こういう災害補償法というものを存置して、相当の援助をし、万一の場合の安心を與えるということは必要だから、強制でやつたらよかろう。ことに、これは私個人の考えでございまするが、農家同士が助け合うというところまでの自覚とか、あるいは犠牲というものを払う意思もなければ、これを要求する根拠もないと存じますが、地方行政に平衡交付金のあります通りに、それぞれの分に応じてある程度の保險金をかけて、その程度の保険料金の支払いにあずかる。それ以上のものは国家が支出をして、たとえば例をあけますと、おかしいんですが、北海道とか東北のように冷害などの頻繁に起るような所は、国家の出す分で支払えはいいのではないか。事中部地方に関する限りはわれわれの掛金程度でけつこうだ。但し事務の方は国家で持つてはしい、こういう意味でございます。これは私個人の意見でございます。
○松浦委員長 四人の公述人に対する質疑はこの程度にしまして、その他の公述人の御意見を聞くことにいたします。次に農業委員会全国協議会理事西外居君にお願いいたします。
○西公述人 全国農業委員の西であります。私は石川県の農業委員を勤めておりまするし、また粟の保村の村長を勤めております。ただいま五年目であります。 先ほど来からいろいろ農業共済事業につきまして御意見がありましたように、農業共済事業につきましては従来とも相当多額の経費を使いながら、農家には評判が悪い、これが一つの現実の問題であります。たくさんな金を使うということは、二十六年度におきましても、政府と農家で少くとも百七十億以上の金を使つている。過去において政府の赤字が六十四億もあり、連合会の不足金が二十八億にも達しておるということをもつてしてもわかると思うのであります。また評判が悪いということにつきましては三つの理由がありまして、負担金が重いということと、共済金の流れがおそいということと、それから被害に対しまする共済金が少いということであります。 負担が重いということにつきましては、先ほどからいろいろ御意見がございましたが、たとえば村におきまするいろいろな負担を考えてみますれば、固定資産の再評価をやりまして、地租が現在私の村でも反当り三百三十円であります。畑が大体百六十円くらいであります。それから農業協同組合の負担金が反当り四十円くらいになつています。それに対しまして共済組合の負担金が共済掛金といたしまして反当り百円、二十六年度は、特に事務費も多かつたのでありますが、事務費が約八、九十円になつておりまするので、従つて共済組合に出します掛金は反当り百六、七十円になつております。そういうような点で農家経済の全体的な問題もあるでしようが、現在の地租とかほかの農業協同組合の負担金等に比べますと、確かに総体的に高いのであります。そういう面からいたしますと、ちようど地方税の引上げというようなかつこうに農家に響いておりますので、負担金が重いという意見は当然出て来ると私は思うのであります。 それから共済金の流れがおそいということでありまするが、私の県は早場地帯であります。八月の二十日、九日になりますると、すでに米が出て来るのでありますが、二十六年度の共済金が流れて参つたのは二十七年の三月二十八日であります。現に書記が一生懸命に計算しておりまして、まだ個人のふところには入つておりません。この五月二十日になりますと、すでに田植えが始まります。そういう意味で、翌年度の田植えが始まるころまでも共済金が流れて来ないということは、おそいということに相なるわけであります。 それから被害に対しまして共済金が少いということでありますが、これは各市町村におきまする野帳統計を支部に出された場合に、支部はそれを否定するのでありますが県全体といたしましての一応の申請額が出て来るのであります。石川県等で二億四千万円の申請額に対しまして、政府に認められましたものは一億一千二百万円、つまり四四%程度であります。従つてそういう意味で、相当野帳について県が査定したものについて、さらに査定をされたものが四四%、こういうことで共済金が少いという農家の意見が当然出て参つて来るのであります。こうした状況下にありまして、三つの法案が出て参つたのでありますが、一部改正法につきましては、大内先生が言われましたように、財源を明確にしたということにつきまして私ども賛成であります。それから基金法につきましては、この基金を設置するということについて賛成でありますが、その額並びに負担歩合等につきましては、あとから意見を申し上げたいと思います。それから特例法につきましては、現在のところ賛成いたしかねまして、むしろ一筆制度の完成に努めてもらいたいというのが農業委員会におきまするところの意見であります。 この一部改正法に対しまする私どもの意見といたしましては、一般会計を財源にされるということにつきましては、先ほど申しましたように賛成でありますが、やはり負担金が重いということになりますと第十二條にかかわつて来なければならないのであります。これは数字的には先ほど申しましたように地租とか、あるいは協同組合の負担金との関係において相当高いものであるということでありますが、日本農業全体といたしましても、私は三つの特別な條件があると思うのであります。と言いますのは、御承知のように日本農業は零細でありまして、かつ水稻等につきましては、水がその生産するに必要な條件になつております。それにかかわらず水に対する調節作用ができておらない。あるいは気候風土の関係上病虫害が非常に多い。これに対する対策が十分でない、そういうような意味で、日本の農業につきましては、まつたく自然との闘争における施設が完備しておらないということが災害を起す基本的な原因であります。特に終戦後山林等の濫伐のために一時に水が出て来る。そういう意味で洪水が非常に多い。あるいはまた堤防の修理が長い間ほうつておかれたために堤防の決壊が起るというふうに、いろいろの施設につきまして不十分なために災害が多いということが、日本農業の現在の一般的な情勢であります。こういう悪い環境にありまして、農民は国内食糧の自給度を高めるために努力いたしているのでありますが、災害が起つた際に、これを放置しておけば農家の再生産はできない。できないものを放置しておけば国内食糧の自給度が落ちる。国の要請として、どうしても農家に食糧をつくつてもらわなければ行けない、そういう意味で農家の再生産を可能ならしめるというような立場から補償制度がしかれている。これは強制加入であつて、特に米等につきましては、生産されたものは強制的に買い上げられている。つまり非常に不安定な生産條件下にあつての強制加入であり、生産されたものが強制的に供出をさせられる。もちろんこの保険の対象には、家畜のように供出の対象にならないものもありますし、最近またこの統制が解かれるというような立場にある麦も対象になつておりますが、やはり一番おもな共済事業は水稻であるわけでありますが、この水稻につきましては、やはり今申しましたような三つの條件が、現在の日本農業の共済制度の関係において考えなければならない問題であると思うのであります。そういうように劣悪な條件下にあつて、国の要請のもとに食糧の増産にも励んでいる農業に再生産をさせなければいけない。国内食糧の自給度を高めなければならない。こういうように考えて参りますと、やはり第十二條におきまして、現在の負担区分が、もう少し国の方に持つていただいた方が農家に生産意欲を出させることになるのではなかろうかということであります。結論といたしましては、この第十二條におきまして、普通災害並びに異常災害については国家が三分の二の負担をしてもらいたいというのが、大体私どもが考えております意見でありますが、その理由はただいま申し上げましたように、国家的な要請に基いて食糧増産を行わなければならないというような、こうした客観情勢を十分考えた上におきまして、もう少し国の負担を多くしてもらいたいという結論でございます。 なおたとえば今年度は率の改訂がありまして、麦等におきましては従来政府が四七%、農民が五三%を持つておりました。昭和二十七年度におきましては、政府が四五%、農民が五五%というように、水稻においては政府負担がふえておりますが、麦においてはむしろ農家負担がふえているということは、今後麦の生産過程におきまして、統制が撤廃せられる。従つてこの麦作が落ちるであろうというような一般的な予測がなされておりますときに、この麦作についての保険事業も農家に不利になつているということは、ますます麦作についての農家の生産意欲を減退せしめることになりはしないかということをあわせて考えますと、ますます第十二條におきますところの政府と農家の負担区分を、さらに政府において分担していただきたいということでございます。 それからこの基金法におきましては、政府が十五億、農家が十五億でございますが、この基金の性格から申しまして、これは連合会の不足金に対しますところのプールであります。従つてこの分はもちろん農家と関係はありますが、また農家とは別個な関係でもございます。そういう意味におきまして、これはむしろ先ほど申しましたような日本農業の一般的な三つの条件から考えますならば、やはり農家に負担をさせないで、この負担を全額政府の方でしていただきたいということでございます。特にこの負担金が重いという意見があるというところへ持つて来まして、十五億の負担を農家にかぶせるということは、結論からいいまして、やはりこの負担金の増ということになるのでありまして、自分たちが金をよけいに出して末端への流れを早くするということは当然なんでありまして、それを国にしていただくところに農家がほんとうに増産に励むゆえんがあろうと私は思います。そういつた意味で、この基金法案の考え方につきましては賛成でございますが、もう少しこの基金全体についてのわくを広げると同時に、全額国家において負担していただきたいというのが基金法に対する私どもの意見であります。 それから第二の特別法についての意見でありますが、これは特例法によりますと収穫物価格の八割、八割の共済金、つまり収穫皆無になつた場合の政府の補償が六四%であります。もし農家の再生産をどこまでも補償するというような考え方でこの農業共済事業が行われるとしますならば、収穫皆無で六四%というのはまことに低い率でありまして、とうてい再生産ということは望み得べくもないのであります。また二割以上の収量の減収について、この保険の対象にするということになつておりまするが、農家全体といたしまして二割ということはなかなかたいへんな量でございます。一筆ごとにおいて多少の被害ということは、これは認識は相当正確でございまするが、全体として二割減収したかどうかということになりますると、非常に議論が多くなる。もし議論の結果二割あつても、一割七、八分というふうに査定された場合には、この農家は一銭の金ももらえないという結論に相なるのであります。しかしながら一筆ごとに行きますると、一枚、二枚が、そういう査定において落ちましても、農家経済に及ぼす影響というものは、比較的小さい。そういう意味で、現在二割を保険の対象にするということについても、やはり農家経済に及ぼす悪影響を考えまして、不適当であると私どもは考えますが、そのことがこの特例法によりまして実験農家ができるわけでありますが、もしこの実験部落農家につきまして一筆調査、一筆制度よりも條件が悪くなつた場合に、この法律によりますとどうされるかという問題が出て来るわけでありまするが、そういう意味で、これについて何らこの装置がしてない。全体といたしまして、この今度の特例法によりますところの農家単位のものは、農家に対する補償をますます少くする。従つて先ほど申しました不平の一つであるところの、補償が少いということについて、ますます拍車をかけるものであるがゆえに、かつまたこの特例法の考え方を、ある県に希望者を募りましたところ、一部もそういう希望を申し出るものがなかつた、こういうような資料もございます。そういうような関係から、特例法につきましては、これはむしろ賛成しかねるのでありまして、現在の一筆制度を完成するように御努力願いたいというのが、特例法に対しまするところの私どもの意見であります。 そういう意味で現在の不評判であるところの負担金が高いということ、それから流れ方がおそいということ、それから被害に対するところの共済金が少いということ、この三つに対しまして基金法案が成立いたしますれば、共済金が早く流れるということにはこれは一応想定されますので、従つてこれに対するところの装置はできておりまするが、あとの負担金が重いということについての不平、被害率に対するところの共済金が少いということについての不平は満たされないというように私ども考えまして、この点ひとつよろしく農家の希望を十分尊重されまして、この法案に対しますところの措置を考えていただきたいと考えるものでございます。
○松浦委員長 次には全国養蚕農業協同組合連合会理事佐藤善太君にお願いいたします。
○佐藤公述人 私福島県の者でありますが、養蚕と一般農業の経営をしておるのであります。私どもの県は昔から養蚕県であるというようなところから、養連の理事にもされたのではないかと思つております。実は共済の主たる目的でありますところの米麦等の生産におきましても、他府県に劣らない生産を持つている県でありますので、この問題には相当私ども関心を持つているものであります。 まず主たる私の立場から養蚕関係の問題でありますが、これは全国におきましてもきわめて蚕繭の生産量が少かつたのであります。大体において一千万貫程度の蚕繭しかなかつた時代におきましては、共済関係においてもあまり重く取上げられることがなかつたように考えております。それが最近になりましてぐんぐん増産を続けて参つております。ことに輸出の関係から、政府におかれましても非常に増産を奨励して参り、従つて共済関係の問題もたいへん業者の仲間でも考えて参つたのでありますが、本年度におきまして、養蚕関係の蚕繭共済の問題につきましては、国が一応調査の上決定をするということになりまして、国から相当経費を流していただきまして、現在調査の過程にありますので、私ども組合といたしましても、今後の改善すべき点につきましては、今申し上げるような資料の持ち合せがないのであります。しかしながら現在蚕繭の共済の模様から申しますと、水稻に比較いたしまして蚕繭の掛金が非常に高いというようなことが叫ばれているようであります。これにつきまして、私大分前に調査いたしたのでありますが、粗雑なものでありまして、詳細を申し上げる段階に入つておりませんから、お許しを願いますが、水稻の共済金が反当五千七百円に対して農家負担が百五十七円三十七銭の場合において、蚕繭は共済金が六千四百円に対しまして二百八十五円二十四銭かの掛金をしている状態でありますので、水稻に比較いたしまして桑園の百反当に換算いたします場合、どうも高いのではないかという議論がありまして、こうしたことも目下調査中に属している次第でありますから、どうぞこの点につきましては、本年度の調査の結果によりまして、何らかの御方法をお願いいたしたいと考えている次第であります。 それからお示しになりました三つの案でありますが、これにつきましては、私どもこうした改正を望むものでありまして、賛成するものでありますが、しかしこの中におきましてもただいま申し上げましたように、地方におきましては、どうも農民のくせかもしれませんが、どこへ行つても掛金が高いという叫びがありますので、本年度の水稻の料率改正等におきましても、いろいろ政府は是正の手を打たれたようでありますけれども、それでもどうもまだ納得の行かぬ点があるというようなことを申しているようであります。 なおこの基金法の問題でありますが、どうもこの基金法は、赤字補填の基金のごとく言われるように聞こえますが、これは赤字補填でなくして、今後の事業の運営に、保険金の支払いの遅延等のないような準備に使う金としての基金になつてほしいと思うのであります。そうでありませんと、現在福島、宮城、山形等に起つておりますあの霜害につきましても、非常な霜害なのでありまして、これは桑、果樹、ばれいしよ等が相当ひどくやられているのであります。こういうものに対して収穫皆無と認めた場合、仮払いの措置をとられるようなことにはなつておりますけれども、金がなければお題目だけに終るようなことになつてしまうと思うのであります。こういうときにおきまして、この基金がありますれば、損害の程度を認定いたしますれば、ただちに金の支払いをしていただきまして、そうして再生産をなし得ることもあるのであります。ことに霜害などにつきましては、春先の一年中の作付に要する各種の費用を吐き出してしまつた、農手も何も使い切つてしまつて、これからそろそろ事業にかかるというときに起つて参りますので、これらの善後対策といたしましては、新しく資金をくふうせねばならぬことに相なります。こういうときでありますので、これを仮払いの措置によりまして何とかしていただきますならば、これは農家がたいへん助かることなのであります。こういうことも基金がない場合、政府ではいろいろの手続がありまして、たいへんめんどうなことをやつておりますうちに、大切な時期を逸するようなことに相なると思いますので、この基金を、赤字補填のためという意味合いでないようなことにお願いいたしたいと考えるのであります。しかしながら、共済団体はたいへん赤字があるのでありますが、これらにつきましては、運営の悪いために生じた赤字でなくして、これは政府の定められました保険の料率その他も影響したと思いますが、こういうものは何とか解消させる道をお考え願いまして、基金は今後の運営のために使い得るような御心配をお願いいたしたいと思うのであります。 それから先ほどもお話があつたようでありまするが、建物の共済の問題であります。私ども養蚕地といたしましては、非常に大きい建物があるのであります。結局住宅と申しましても、人間の住むための住宅というよりも、むしろ養蚕業をやるための大きな建物の中に住んでおる、いわゆる住宅兼用の蚕室が多いのであります。こういうことでありますので、建物の共済につきましても私ども大きな関心を持つているわけなのでありますが、地方の農民といたしましては、この保険はこちらの団体、あの保険はあちらの団体といことが適当である。こういうような結論からいたしまして、私の福島県におきましては、農業協同組合は手を出さぬで、單位農協がすつかり共済組合の建物の中に入つておるような状態でありますので、こうしたことも、あまり混乱を起さぬようにしたい。今日までやつて来たものにそのまま継続的にやらせて行くということで、初めて農民が安心をして行く、こういうふうに考えまして、私の地方の農村の方々は、全部かようにいたし、単位農協の建物の共済まで、共済組合に全部入つておるような状態に相なつておりますので、なし得べくんば、こうしたことに対していろいろな紛争の起らないように、ひとつおとりはからいを願いたいと思います。これにつきましても、地方でいろいろと納税問題などがありますと、どうも耕作農民の声を聞くことが少くて、そうしてビルディングに住んでおる農民の画策がいろいろ現われて来るので、われわれの利益を阻害するというようなことを言われておるようでありますが、こういう点は、農民をお呼出しくださいまして意見を聞いてくださいますことを、ほんとうに感謝するわけであります。 農民の希望している二、三の点を申し上げたのですが、これらについて何分ともお願い申し上げておきたいと思います。
○松浦委員長 次に日本畜産協会会長岸良一君にお願いいたします。
○岸公述人 私の立場は、ただいまお話がありましたように畜産協会会長でありまして、畜産関係に対してだけお話を申し上げます。なおもう少し時間がありましたら、各会員間のいろいろの意見をまとめましてお話を申し上げれば、非常に御参考になると思いますが、ここでしばらく手元にある事実をもとにしてお話を申し上げますから、さよう御了承を願いたいと思います。 家畜保険、家畜共済に対して、今まで私ども陳情その他を受けておりますのは、やはりただいま各位からお話になりましたように、結局料率が高い。共済掛金が高いということが一つの大きな非難でございます。その次は、やはりただいまお話のありましたように、共済金の支払いが非常に遅れておる、こういうことが第二でございます。これはあとで申し上げます。この法律の関係ではございませんが、無事故に対して何ら報いるところがないと、結局保険に対するところの興味を失わせる一つの原因になる。こういうような三つの点がおもな点でございます。 今回の法律の改正を見ますると、農業災害補償法の一部を改正する法律案、これは家畜共済におきましても、その料金の一部を国庫負担にするというのでありまして、これは現在の制度が通りました以前におきまして、畜産関係団体の非常な熱烈なる希望によつて御要望申し上げ、実現を願つたのでありまして、これを恒久制度化することは、われわれ非常に歓迎をするところでありまして、この法律案につきましては、ぜひ国会を通過し、実現されるように希望する次第であります。 その次に第二の、共済金の支払いの遅れるという点をからみ合せまして、農業共済基金制度のことを申し上げます。これも金額につきましてはいろいろ御意見もありましようが、とにかく三十億の基金をもちまして支払いの延びるのを円滑にするということになりますれば、第二の従来の支障が取除かれるのでありますのでこれもぜひやつていただきたい。ただこれの中を見ますると、乳牛その他一般農家に飼われておる牛馬になつておりますが、種牡牛、種牡馬、ろば等につきましても頭数はそう多くないのでありますから、あわせてお考え願いたいと考えております。中小動物につきましては、まだ基本的な数字も出ておらぬだろうと思いますが、現在の中小動物の掛け金率は非常に高いのでありまして、やぎのごときは、二〇%程度も金をかけて保檢にかかるということは、ちょつと考えられないのであります。これはさらにお調べを願つて、適当なものをきめていただくことも必要ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、中小動物は除きましても、大動物についてはお入れいただいたらいいのではないかと考えております。いずれにいたしましても基金制度が成立しまして、これによつて従来非難された共済金の支払いが円滑に行きますならば、畜産関係の者は非常にこれを徳とするであろうと思つております。なおこの基金を出すことについて今いろいろお話がありました。私ども正確に基礎を置いてお話することはできませんが、今の農村の実情からいたしますれば、民間の負担を少くして、国家負担をふやしていただきたい。あとの運営がうまく行けば、決して国家が損をすることはなろうと思いますので、そういうふうにくふう願いたいと思います。 なお無事故の場合に対しまして、何か方法を考えていただきたい。これはもちろん共済掛金で払うことはできないかもしれませんが、これらに対して国家が奨励の方法を講ずるとか、あるいはこれを救済する方法も考えられると思いますので、そういう点に御留意をいただいたらけつこうだと思います。 なお全体の制度といたしましては、私どもも現在の制度を推進していただきたいと思います。いろいろ問題はあると思いますけれども、農村における問題は、相互補助、共協の思想を基礎にしてやつておるのであります。これに資本的にいたずらに競争が入り、いろいろな複雑な條件が入つて参りますれば、農村の考え方についても、いろいろ悪影響が生れて来るだろうと思います。こういうような点から申しまして、安んじて農村が増産に励めるように御配慮を願うことが必要じゃないかということをつけ加えまして、私の公述を終ります。
○松浦委員長 次は全国共済農業協同組合連合会副会長、山中良造君にお願いいたします。
○山中公述人 私、ただいま委員長さんから御紹介にあずかりました山中でございます。北海道で、農業災害補償法でやつております農業共済組合連合会長と協同組合法でやつておりますところの共済農業協同組合連合副会長を兼務しておる者でございます。きようの三つの補償法の改正につきましては、私、皆さんの御意見通りに非常に賛成をしておるのでございまするが、そのことにつきまして、二、三意見を持つておる者でございます。 料率の問題につきましては、水稻、麦におきましては、本年度におきましては、多少掛金が少くなつて参りまして、過日の総会におきまして、農民も非常に喜んだ次第でございます。二十三年度からの共済金と農家負担の掛金と賦課金につきましてお話いたしますると、二十三年度におきまする水稻の共済金は反当り――これは平均でございますが、八百円、それから組合員の負担の掛金は四十一円六十八銭、それから連合会に納めるところの賦課金が十円でございます。麦につきましては、二十三年度は共済金が三百円、組合員の掛金の負担金は七円十一銭になつております。連合会に納めるところの賦課金は六円でございます。翌年度の二十四年度になりまして、水稻の共済金は反当り二千円、組合員の掛金は百四円二十四銭、賦課金は前年度と同様十円でございます。麦の方におきましては、共済金は反当り千円でございます。掛金は二十三円五十九銭、賦課金は前年度同様六円でございます。それから二十五年度分になりますと、共済金は水稻二千円、組合員の掛金の方におきましては百四円九十一銭になつております。賦課金は前年度同様十円であります。麦は共済金が千二百円、組合員の掛金が二十八円二十八銭、賦課金は前年度同様やはり六円でございます。二十六年度におきましては、水稻は共済金が三千二百円であります。掛金が百六十七円九十一銭であります。賦課金が十三円に上つたものであります。麦におきましては、二十六年度は共済金が千二百円であります。掛金は五十二円二十六銭であります。賦課金が七円であります。本年度の予算におきましては、水稻はただいま新料率に改訂になろうといたしておりますものを予算にいたしまして、平均が五千七十二円でございます。その掛金が百六十九円四十八銭になります。この賦課金におきましては、当初われわれが提案したものは二十四円でありましたが、非常に賦課が高いというので、十八円二十銭という端数をつけております。それから麦におきましては、共済金が千六百円であります。掛金が七十円七十九銭になります。この賦課金につきましては、当初十二円を出したのでありますが、これも減額になりまして、決定いたしましたものは九円八十銭というような状態になりまして、共済金が多くなり、農家の負担の掛金は非常に少くなつたのでございまして、このたびの改訂につきましては賛意を表する次第でございます。 それから家畜の面におきましては、従来非常に実態と合つておりませんでした。グツドウインという向うの共済係の婦人が、二十四年の九月九日にうちの牧場に参りまして、この家畜共済の問題について質問を受けた次第であります。その折に、連合会の会長をしておるそうだか、家畜の任意共済を改めて義務加入である強制的加入にするという日本政府の意見に対して、あなたはどういう意見だと言つて私に質問をした次第であります。当時私は農業共済組合の方の協会の役員をやつておつたものでありますが、この強制加入については、総会の決議によつて義務加入になるのだということになつておるから、どうも強制加入ということを申し上げてはうまくないと感じましたので、そのときに私は、ただいまうちの牧場に六十以上の牛馬がおるが、この中で一頭かりに事故が起きても、うちは数十頭でその被害を埋めるのであるから別に痛痒を感じないが、一頭の牛馬を持つている農家が、事故のあつたときにすぐにかわりのものを求めるのには非常に困る、こういう災難のときに最もよい制度があるから皆さんひとつこれに加入したらどうだと私は勧めていると申し上げたのであります。そうしたならば、けつこうな言い方だと非常に喜んでおりました。こういうわけでありましたが、そのときに聞きますと、二十四年の七月と私は記憶いたしておりますが、任意共済であつた家畜共済が義務加入ということに改まつたのであります。それについては天然資源局でありましたか、向うでもやはり相当問題があつたそうであります。そういうようにどうしても農作と家畜の面においては、強制的に加入をさせなければ、私は絶対に成り立たぬと思つております。それは御承知の通り、農作においては自然の力によつて事故が生じます。また家畜においても、流行性のものもございましようし、その他突発的事故によりまして非常に事故が多くなるのであります。二十四年においては家畜の死亡廃用のときには、政府できめられました料率は二・八%でありましたのが、実態は五・四九%になつております。連合会の赤字はそのとき三千九十万円の赤字を生じたように記憶しております。かように料率が実態と合わなかつた。そこで政府でも非常に考えてくださいまして、昨年の料率は変更していただきまして、現在では四・七%と記憶いたしております。それが実態はと申しますと、四・九%の事故が発生しておりまして、その差が非常に少くなつたということを農民は喜んでおります。それでありますから、この制度につきましては、皆非常に喜んでおる次第でありますので、この点皆様方に厚くお礼を申し上げる次第であります。 それから基金の問題でありまするが、これは大内先生以下皆さんがいろいろと申されたように、どうも毎年七億から八億の赤字を生じておりますところの共済組合でございまするので、これは今後もおそらくマイナスが出るのではないだろうかと私は思つております。こういうことでは農家の負担において、半額の十五億というものを負担することが、私は絶対にできないと思うのであります。これはやはり政府において、将来こういう問題が出るというような御心配のもとに、基金制度をお考えくださつたのでございまするから、この三十億はぜひとも政府が全額負担をしてくださいまして、今後起るべき災害の折に、一時資金を融通していただくような制度にしていただきたいと思つております。そうして今日までできましたマイナスの二十八億何がしというものは、これはわれわれの仕事の面において不結果を来したわけではございません。自然の力によりまして二十八億何がしという赤字を出した次第でございますから、これは何とか政府におきまして、全額負担をしていただきたいと私はお願いする次第でございます。 それから調査の問題でありまするが、一筆単位、農家單位の問題であります。これは地方によつて私は違うと思つております。単作地帶と多角経営農業をしておる所では非常に異なつておると私は思つております。この点につきましては単作地帯、ことに冷害凶作地帯でありますと、やはり多角経営の方面のように一筆ごとでなく、総合的に行くことがいいように解しておりますが、しかしこれにつきましても、調査その他これを実施する面につきましては、非常に容易でないと私は思つております。この点、実施するような折には十分な検討を要するものと思つております。 以上のようなわけで、今日の三つの問題につきましては、私は皆さんとほぼ同じ意見を持つておる次第でございます。 最後に、私は北海道で共済事業を災害補償法でやりまするようになつた経路を一言お話申し上げて、御参考に供したいと思つております。この災害補償法ができなかつた昭和二十二年の暮れまででございますが、その折には作物――水稲でございますが、これは農業保険というので取扱つておりました。その事務は農業会に委託しております。家畜の方におきまして、家畜保険の方は、私の方では馬匹組合でこれを扱つておりまして、ちようど自由党の小川原先生が会長でございまして、この家畜保険の方を扱つてくださつた次第でございます。その後二十二年の十二月と記憶しておりますが、そのときに災害補償法ができまして、二十三年になりまして、この災害補償法における水稻と麦が強制加入でできました。それから任意加入といたしまして家畜が生れた次第でございます。その後二十三年の八月におきまして、協同組合法におきまして、生命共済と家屋共済をいたしますところの連合会を組織いたしまして、そうして二十三年の八月からただいま協同組合でやつております仕事をいたしておる次第でございます。その後二十四年になりまして、家畜の方は義務加入ということに、三月でありましたか、なりました。そうして二十四年の十一月か十二月と思つておりますが、任意共済として災害補償法の方で家屋の共済事業を営むようになつた次第でありまするが、北海道におきましては、役員並びに総会によりまして会議をいたしましたところが、協同組合法によつて認可をとつてすでにいたしておつて、何ら不都合を感じないから、これで行くのである。当時、今ででもありまするが、役員は全部兼職をいたしております。その当時職員を兼職いたしている者もあつたのでありまするが、農林省の農政局の方から、省令と記憶しておりまするが、二十五年の三月の幾日かに、職員の兼職を許さない、禁止するという通達が出ました。そこで私の方では、はつきりと職員の職務をわけてしまつておりました。ところが職員の採用の折には、災害補償法の方では農林省に認可をとることになつておりますので、私の方の参事が高等小学校の学歴であるがゆえに、この参事に対しましてなかなか認可が出なかつた。そこで私はかつて道庁の畜産課におりました北大出の技師をお願いしまして、ただいまでは農災法の方の共済組合の参事をお願いしている次第であります。現在でははつきりと職員はわけております。そういうふうな状態でやつておりまして、別に農民としましては、これを災害補償法の方の共済事業としてやるべきだという声が出ないのでございまして、今日なお災害補償法の方の定款には載つておりません。協同組合法の方の定款に入れております。そういうような状態で参つておりまして、三月四日のあの十勝沖の大震災におきまして、われわれは即座に調査をいたし、十五日間のうちに全額を支払いまして、約六百万円ほど支払つた次第でございます。農民としては非常に喜んでおります。ただ先ほどの方々も申されましたが、農災法の家畜の共済金の支払いが非常におそいという関係がございますので、なかなか農家の方々も喜んでいなかつたようなわけでございますが、協同組合でやつております家屋の災害に対しては、六百万円を十五日以内に支払いをいたし、非常に喜んでいる次第でございまして、支払い基金もおかげさまをもちまして決算時には約一億ほどの支払い予備金を持つと思つております。二十三年の決算時におきましては、これは二十三年の八月から翌年の三月三十一日までにやつた仕事で、期間的にずれがございますが、二百六十万の赤字を出したのであります。しかし翌年においてはその二百六十万をカバーいたしまして、なおかつ二十数万円の黒字を出した。昨年の決算におきましては九十二、三万の黒字と記憶しております。そして組合員に配当を支払つているような次第でございまして、本年の決算もこの月末においていたすのでありますが、おそらく百万ほどの黒字を出すのではないかと思つております。こういうような状態でございますので、協同組合法でやつております共済事業、また農民がやつております共済事業の趣旨というものは、農民は喜んでおりますが、やつている方々のいろいろの意思によつて農民が非常に迷惑をすると私は思います。そういうような状態でございまして、この問題はとにかく農民にまかすのが最もいいことであると思うのであります。最後に、農民の団体があまりに多いということが、農民を迷わすもとであると私は思います。このことは、ひとつこういうような折に皆さんが十分に御研究くださいまして、農業団体の統合というようなことを御指導くださらは、非常に仕合せと思う次第であります。
○松浦委員長 最後に全国農業共済協会常務理事下山一二君にお願いいたします。
○下山公述人 私は全国農業共済協会の下山でございます。 農業災害補償制度におけるいろいろな問題は、本日午前中から権威者あるいは経験者からるるお話がありましたので、私どの程度に申し上げてよいか。と申しますのは、大内先生のような非常に根本的と申しますか、原則論的の話があるかと思いますと、また相当末端の実務についてのお話もありますので、どういう点を申し上げていいのかちよつと躊躇するのでありますが、ただこういうことは原則的に申し上げられると思います。今までやつて来ております農業災害補償法は、日本のような自然的災害の多い国ではぜひ必要なんだ。しかもこれは今までの例に見ても、一般の民間の営利会社が手をつけることができない。それにはいろいろな意味がありまして、営利会社は損をすることがあつてはいけない、どうしても利益にならなければいけないということが一番のもとでありまして、これは大きい理由であります。その反対論として、必要であるものが営利会社でできないということは、国がこれをやらなければいけないということを裏づけるものでございます。本日午前中にも元の農業保険課長であつた安田誠三氏から、いろいろ沿革的な話もございましたが、現在の農業災害補償法が新法になりましたのは二十二年からでございますが、そのもとの旧法と申しますか、筋を引いておる農業保険というものは、相当古い歴史を持つておるのであります。これに昭和十四年に施行されたのでございますが、その施行にあたりましてはいろいろな問題がありまして、日本のような災害国にはこういう施設がなければどうしてもいかぬというので、農林省が本格的に手をつけたのが昭和三年からでございます。それから十何年間あらゆる研究をやり、その間に衆議院、貴族院、その他各方面の朝野をあげての審議会も二回以上ありまして、ようやく昭和十四年に農業保険というものがうぶ声をあげたのであります。もちろんそのできたときのいきさつは、非常に問題が残してあつたのであります。きようの終りにちよつと申し述べようと思いますが、強制共済あるいは任意共済という問題も当時から問題になつたことであります。当時強制共済的な性格を持つたものは農産物関係で、家畜は昭和四年からできておつたのでありますが、広く農家の各方面の災害を救う方法を日本の国がとらなければいかぬということから発足しまして、だんだん研究して来て、とりあえず家畜の方はできているのだから、農産物の収穫面から手をつけよう、収穫面についても米、麦、養蚕その他いろいろありますが、まず全国的に生産が普及しているもので甲、乙のないもの、いわゆる恩典に浴せるものからというので、これを第一義の共済ということでやつたのであります。その他まだ統計的の調査も行き届いていないし、また被害関係もよく調査できてないものを第二義というような形で持つて来、あるいはもつと極端なこまかい災害、あるいは地域的に限つたものを第三義というような形で発慰したのであります。これはもとの農業保険法の三十六條の第二項に規定してあるのであります。そういういろいろな問題を残して発足したのであります。それがようやく七、八年たつて終戦になり、そこに根本的に新しい思想を取入れて改正したのが現在の農業災害補償法であります。それでその農業災害補償法は今度は強制的なもので、農作物、蚕繭、家畜、そういうものを一体にして来たのでありますが、まだいろいろな点からこの共済制度というものは徹底しておりません。共済制度がいいか悪いかということがよく言われるようになつたのはごく最近、去年から今年にかけて言われて来たのであります。まだ全体の農家にはこれのいいか悪いかがはつきりわからぬと思います。きよう供述された愛知県の方その他の方がお話になつおりましたが、実際普通の耕作農民に会つて、現在の共済制度がいいものかどうかということを聞けば、ほとんど誘導的に、いいだろうと言えばいいと言うし、悪いだろうと言えばそうだというように、おそらく言うだろうと思います。そういうような状態で共済の趣旨の徹底を欠いておるのでありますが、とにく農業保険を通じて十何年間、この災害害補償法になつて、四、五箇年の経験に経て、ようやくいわゆる共済というものが認識され、批判がだんだんできるようになつたのであります。それで今日もいろいろな御指摘がありましたように、この災害補償法については現在の内閣あたりで非常に御心配を願つて、二十六年度には相当の大きい予算、また二十七年度予算におきましては、思い切つた、百六億というような予算か計上されているのでありまして、この際において実際為政者も、あるいはいろいろな人も、この大きな予算を見てびつくりしたことと思うのであります。実際思恵に浴する農家も、説明を聞かされて、なるほどこういうふうなものかということで驚いたことと思います。問題はここに起つたのでございます。従つていろいろな問題が出たのであります。 私貴重な時間に沿革的なことを申し上げて、非常に相済まなかつたのであります。私がここで申し上げたいことは、現在の保険という形態では、一番完備しております生命保険におきましても、あるいは保險数理的に見ても、あるいは保険理論からいつても実行しやすい一般火災保険におきましても、現在まで過去五十年ないし八十年程度の歴史を持つているのであります。そういうような保険が、新聞でごらんになりますように、昨日あたりも損害保険の火災保険あたりでも、料率がとり過ぎたから低減しようというような問題が絶えず起つて来ているのであります。一番保険として原理的に筋も通り、やりやすいような生命保険のごとき、あるいは火災保険のごときも、五十年から八十年の歴史を経てようやく一本立ちの形でやつて行けるという状態でございます。ところがこの収穫保險と申しますか、農業保険というものを母体とした今度の農業災害補償法、特に家畜も入つた複雑な農業災害補償法というものは、非常に困難でございます。これはなかなか一口に言えないのです。たとえばごく簡単に農作物の災害の性格から申し上げても、非常に集団的に来る災害を持つている。旱魃とか、冷害のごときはそれであります。それから非常に急性にやつて来るようなひよう害とか、霜とか、あるいは数時間内に襲つて来るような災害もある。また来た場合に全滅するというような水害などもあるかと思えば、その他災害が分散性を持つているもの、いろいろな性格を持つたものを取上げて、これを一つの保險的な意味で共済というような名をつけてやつて行く制度でありますから、つつつけばいろいろな問題があります。しかしこれをどうしても育てて行かなければならぬのが、日本のいわゆる農業政策の宿命と申しますか、国に課せられた大きな使命だと思います。従つてごの農業災害補償法というものは、政府の災害に対する補助金政策の一元化であるということが一つと、農家の生産の失敗を裏づけするための、農家の独立性を認めたものだ。これは災害があつた場合に、掛金をしておけば、普通であれば権利として要求できるという立場から、農家を独立の立場に認めたものであつて、これは戦争に負けた日本が農家を救済する制度を認めたと言うよりも、その前からできている、制度としては一番古い歴史がある、貴重な制度だと私は考えます。そういうような貴重なものでございますが、いろいろ個個の問題がたくさんあります。赤字を多く出して来たということから、昨年までおつた総司令部、アメリカの方も、この問題は日本農業にとつて非常に重大な問題であるが、なかなかしろうとがちよつとやそつと研究してもだめだということで、今日も北海道の山中さんからお話があつたように、司令部にグツトウイン女史という共済の方の主任がおりましたが、この人が手をあけてしまつて、総司令部に頼んで、アメリカからほんとうの権威者をよこしてくれという要請があつて、総司令部の要請に基いて、アメリカ政府から、向うの連邦政府収獲保険局の計画部長ウィリアム・エッチ・ロー博士をよこしたのであります。わざわざ日本の保険制度を根本的に改革するために勧告を日本政府にするというので、ウィリアム・エッチ・ロー博士をよこしたのであります。それが昨年の三月に来まして、三箇月間みつちり研究調査して、そしてこの点を改正してもらいたいというような貴重な勧告を残して帰つたのであります。 その後、昨年の連合会の赤字が約十九億というような問題にからみまして、これを何とか補助してもらいたいとか、あるいは帳消ししてもらいだいとかいうような農業共済団体の動きがありましたが、政府としても、あるいは議会としても、こういうようなものは枝葉末節で、根本から改正しなければどうしても毎年赤字が出るのだということで、政府においても昨年あたり非常に研究されまして、その結果まとまつたのが、御承知の昭和二十六年三月二十三日の農業災害補償法に関する閣議決定の線でございます。これは大蔵省とかその他あらゆるところで研究して、結論的にまとめて、政府はこういうふうに改正すべきだという案をつくつて、これを大蔵省なり関係方面へ示して、その了解のもとに十九億何千万円の去年の赤字の融資をしてもらつたことがあるのであります。従つて今問題になつております農業災害補償法の一部改正の問題とか、農業共済基金制度の問題とか、あるいは農家単位共済の問題は、その研究された閣議決定の線に基いておるということが一つ、それからなお、来て研究して勧告したその権威者であるウィリアム・エッチ・ロー陣士の重大な勧告がこの三案に入つております。特にあとで申し上げるような農家単位共済あたりは、ひとつどうしてもこの法でやつて行こうというような勧告が入つておるのであります。その他帰りました農業関係の専門家であつたウイリアムソンも、この三法案についての示唆でどうしてもこういう基金制度とか、あるいは農家単位制度の問題を解決しなければならぬというような意見を残して帰つておるのでありまして、今回政府が出されている三法案というものは、いずれも非常に研究された結果、しかもそれにいろいろアドヴアイスされてでき上つたものでありまして、私はその立場から、この三法案ともぜひひとつ御了解を願つて、通過させていただかなければならぬ、当然さようにしてもらうべきだと言うぐらいに私は強い自信をもつております。 ただ今までの公述人の方から、現在の制度を総括的に見て、非常に不評の理由は共済掛金が高いということと、それから共済金の支払いがおそ過ぎる、共済金が少いということ、この三つの点をあげておられましたが、特に共済掛金が高いということは、今度の農業共済補償法の一部改正において相当出ておるのでありまして、政府がいかに努力して農家のために、この要望にこたえて、だんだん国の負担を多くしておるかという何らかの努力が、私はよくわかるのであります。きようもそういうお話がありましたが、全国的に見て国と農家の負担は、昨年は水稻におきまして農家が五割五分、国が四割五分であつたのが、今度の改正率では、農家負担は現状の三十九億にとどめて、国の負担を四十四億というふうに、比率が国は五割三分、農家が四割七分というふうに逆転して来たのであります。こういうふうに国が非常に犠牲を払つているのでありますが、ただ何でこれがふえるかということになりますと、これはその内容がいろいろ複雑になるので遠慮いたしますが、料率をわけて通常の料率と、異常と、超異常というような内容になつておつて、国の負担する内容の区分がかわつているのであります。超異常は全部国が持つ、異常は国と農家が半々、それから通常の場合は、全国の最低線は全部農家が負担するが、最低線とそれとの差額を半分わけにするというような、なかなか複雑な、農家の人に話したのではわからぬような方式でやつておるのであります。ただそういう問題をわれわれの団体といたしましては、その割り方を、災害の低い所も相当国の恩恵が厚く受けられるように、最低線を国に持つてもらう。今全国的な最低線をとつておりますが、とつておける分は全国的に農家が全部持つておるような形になつておりますから、それを下まで縦割りにしてもらえば、現在よりも災害が少くて、掛金だけとられ損で恩恵に浴する分が少いというような地帯が、非常に恩恵に浴することになるのでありまして、われわれとしては、できればそういうような通常の料率の分を、国が縦割りにして持つというようなことを要望するのでありますが、そうすればこの点は問題が緩和されると思います。ただ共済掛金が高いからこれを安くせいというのと、共済金が少いというのは相反する一つの矛盾であります。しかしこれは人間の欲望として当然でありましてその両方の矛盾を何とか解決しなければいかぬというところに非常にむずかしい点があるのでありまして、それを何とか解決するのが、いわゆる農家單位共済であります。農家單位共済というものは、掛金を比較的安くして、そうして災害のある所は相当恩恵に浴して多くもらえる。災害のない所はどうせもらえつこないのだから、非常に料率を安くして行くというような点を考えてみたのが、この農家単位共済ということの一つの現われに相なつておるのであります。いろいろな意見がありまして、一筆の方がいいのじやないかという意見も相当聞きます。この公述ばかりでなく、いろいろな地帶をまわつても聞くのでありますが、これはすでにアメリカあたりで実験的にやつて成功を収めておりまして、向うでは一筆単位が進んで農家単位共済になつております。これがまた進んで、農家単位ではなしに、農家の総合的の各種作物を一括して、しかも各災害を一緒にしたいわゆる総合作物保險にまで進まなければいかぬという、農家単位よりまた一歩進んだ意見をアメリカあたりでは持つており、それをだんだん実行して来ておるような状態であります。日本では共済掛金が高い、あるいは共済金の支払いがおそいという問題を解決して一歩前進するための研究機関として――今度この農家単位共済を実現に移さんとするときに、これをいいとか悪いとかいうことをもつて実験もさせぬということは、共済制度に対してどの辺に理論があるかということを疑うのであります。改正すべきために研究したものは、すべからくやらしてみて、その結果を見てから考えなければならぬ、かように思います。ただ少い資料で農林省が昨年あるいはその前やつた結果を見ますと、昨年あたりは、わずか九県で三十三組合かについてやつた結果によりますと、われわれの予想に反して、農家単位共済と一筆共済でやつてみますと、一筆共済で恩恵に浴する農家の数は一万幾ら、それから同じ地帯を農家単位でやつた場合に恩恵に浴する農家は五千幾らで、いわゆる恩恵に浴する農家の数は、一筆単位よりは戸数においては半減しておりますが、共済金はかえつて農家單位の方が多くもらつておるという結果も出ておるのでありまして、これは一概にやらぬ前からいいとか悪いとかいうことま言えない問題であります。しかも今申し上げたように、農林省も相当研究し、アメリカの権威者がやつてみるべきだという有力なる勧告をしておつたものを、單にいいとか悪いとか言うことは、非常に早計ではないかという意見を私は持つのであります。 その他いろいろな問題がございますが、このいろいろな問題について、ここまで来た議論は、共済事業の趣旨の徹底を非常に欠いておること。これは役所にも責任がありますし、われわれ農業団体のお世話をしておる者も大いに責任があることでありますが、外人の人もこれを指摘しておりまして、地方をまわつてみても、この認識が非常に薄いということを言つておりました。これはその通りでありまして、今後総力をあげて共済制度の趣旨徹底ということに行かなければならぬと思います。今申し上げたように、一般の火災保険会社あるいは生命保険会社がやつてみたところで、保険にかかれば死ぬとか、家が焼けるというようなことを言つて、なかなか入らぬ人があります。ところが政府が例の簡易保険をやつたときに、国が民間事業を圧迫するものだといつて業界で非常に反対したのでありますが、国が簡易保険事業をやることによつて趣旨徹底をはかつたので、かえつて生命保険も火災保険も発展して来た。これは趣旨の徹底ということがあつたのでそうなつたのでありまして、特にむずかしいこういう農作物の関係については、どうしても趣旨の徹底に力を入れなければならぬ、かように考えるものであります。 それからこれはちよつと行き過ぎた話になるかもしれませんが、山形の田中さんからも御意見があつたように、共済団体の掛金が高い、あるいはもらう金が少い、それからもらう共済金がきまつてもこれが非常におそい、またこれに関して、災害のないときに掛金だけとられるという非難は、どうしてもいろんな運用のやり方においてこの内容を直して行かなければならぬと思うのです。それとあわせて、もう少し積極的に農業共済団体は防災対策、いわゆる災害を未然に防止するような方面に力を進めて行けば、農家の関心も高まるし、非常に喜ばれると思うので、どうしても防除態勢にまで進んで行かなければならぬ、かように考えております。その意味において普及技術員関係の顧慮を要する。普及技術員の関係は、国から金をもらつて、相当の専門家がおるのでありますが、末端に浸透させる手足がないために、浮いてしまつておる。それをもう少し末端に浸透できる組織を持つたものに結びついて――あるいは協同組合でもいいと思いますが、結びついてやることによつて、さつきも山形の田中さんがおつしやつたように農家はもつと積極的に技術というものを進めることができる、かように確信するものであります。 それから北海道の全国共済農業協同組合連合会の山中さんの御意見がありましたが、任意共済の問題が最近非常にやかましくなつております。これはきようの公述人の方で、末端の農家はあまり騒いでおらぬ、中央の団体が騒いでおるという話がありましたが、私も同感であります。これも沿革的に申しますと時間が長くなりますからやめますが、さつき申し上げた昭和十四年の旧農業保険法においても、三十六條でこの任意共済を取上げるという根本方針ができておつたのでありまして、すでに昭和十四年ごろから二十一年ごろまでに、各連合会の調べによりますれば、相当程度この火災の共済をやつて実績を上げておる例があつたのであります。それが災害補償法のどさくさでちよつと中途切れになつて、あらためて今度第五臨時国会で正式にやれるようになつて、現在においては全国で約二百万戸の農家が入つております。しかして農業協同組合の建物あたりも、棟を入れて約三万戸、実績においてもう押しも押されもせぬ、農家の立場から見ても、この任意共済というものを認めておるのであります。ただ強制共済は国から助成金をもらつてやつておるので、任意とは違う。それで強制的に縛る、あるいは農家に圧力を加えるようなことがありはせぬかということであります。これは私の議論の端でありまして、さつき申し上げたような、旧法の時代からだんだん下の第三類から第二類、第二類から第一類に育つて行く。言いかえれば、農家の災害を網羅したところの一つの災害対策に来るということが、昭和十四年の農業保険法以来の一つの思想であります。それがだんだん現在まで進んで来ておるということを申し上げておる次第であります。 その他、これもまた非難があるかもしれませんが、政府から職員の助成をもらつておれば、共済組合が火災保険をやりましても、人件費がかからぬから料率は安いだろう。ほかの団体がやれば、人件費分だけはまた保険料で食わなければならないから、どうしても料率が高くなる。これは農家の立場から見ました場合には、安く行けば一番けつこうであります。しかも農作物、蚕繭、家畜のひまなときに、特に農作物、蚕繭等が重複しないときの冬ごろの一番ひまなときに入つておけば、これは一番いいことなんで、仕事の上からもちつとも重複したり、煩雑にならぬと考えておるのでありまして、沿革的に見ましても、あるいは実績から見ましても、これは何も強制と任意という言葉にとらわれないで、取上げてやつていいと思います。もちろんほかの団体がやることについて、私は少しも反対ではございません。ただやるについては。私は、私の方の団体でよく話しておりますように、私どもは御承知のように、すべて共済関係には非常に厳密な商法の適用を受け、また損害保険法の適用を受けて監督規定も相当入つて、料率のきめ方、いろいろなことにおいても、共済団体のやつておることは厳重にやつておるのであります。従つてそういうような立場から見て、どの団体でもやる場合においては、十分そういう内容を整備した形において、対等な資格において、被保険者に迷惑をかけない形においてやつて行かなければならぬ、かように考えるわけでありまして、そのことは、すでに昭和二十六年の二月でしたか、農林省の農政局長の通牒においても明らかにされておることでございまして、私が喋々ここで申し上げることもないと思います。大体私の申し上げたいことはこの程度で終ります。
○松浦委員長 それでは、西、佐藤、岸、山中、下山君の公述に対しまして、御質疑があれば、この際これを許します。
○吉川委員 私は西さんと佐藤さんと下山さんに、ごく簡単な質問をいたします。 最初に西さんに伺います。西さんのお話に、共済負担が、パーセンテージから見て麦に不利益である。だから麦作に悪影響があるということをおつしやつておられましたが、そのパーセンテージの不利益な差の出る理由を明らかにしていただければ幸いでございます。それはむしろお教えを願いたいのです。 それから山中さんにお伺いいたしますが、共済事業を担当している人と申しますか、これは職責というよりもむしろ役員だろうと思いますが、そういう人々のやり方によつて、農民がはなはだ迷惑をしている向きがあるということをおつしやたのでございますが、それに対して、具体的にどのようなことだか、それをちよつとお示しを願いたいと思います。 それから最後に下山さんにお伺いしますが、下山さんはさすがに全国農業共済協会の常務理事をしておいでになるし、りつぱな著述も持つておいでになつて、この方面の権威者であられるだけに、政府の提案理由の趣旨弁明よりは、もつと詳しく御説明をいただきまして、非常に参考になりましてありがとうございました。ただここでアメリカ農業と日本農業との構造の相違ということについての御認識を少し超越しての御意見のように私は思うのでございます。私も実は少しばかりきわめて浅い経験があるのであります。日本人としての主観をもつてよその国にある政策を押しつけて失敗をした経験を持つております。アメリカの連中が日本へ来て、アメリカのあの大陸的な農業の構造を頭に描いて、この主観をもつて日本の農業の構造というものを見られた事実が幾つかございます。それが占領下におけるところのいろいろの政策になつて現われて来ていたことは事実でございますが、ただいまの御説明を伺いますと、何かそういつた臭みがあるような気がするのでございます。もはやわが国は完全と申していいかどうかわかりませんが、とにかく独立国家になつたのでございますから、自主的にまず日本の政策を立てて行かなければならない、こういうように私は考えるのでございますが、私のこの見方が誤つているとするならば御教示を仰ぎたいと思います。そうしてそれを今後の審議の参考にして行きたい、こんなふうに考えますので、ひとつお願いをいたします。
○西公述人 麦の共済の方が不利益であるということでありますが、これは過去の一応の災害の状況から見まして、通常災害が多くて、異常並びに超異常災害が少かつた、従つて今回改訂になりました部分は、通常災害の掛金率が上つて、異常災害並びに超異常災害が減つて来た、従つて結論といたしまして、通常災害につきましては農家負担が多くなつているような法律でありますので、農家負担が多くなつて国家負担が少くなつた。結論はこういうことでございますが、これは現在の法律がある以上やむを得ないことでありますので、従つてこういう面でお考えを願いたいということを申し上げたわけであります。
○山中公述人 農業災害補償法でやつております共済連合会長の協同組合の役員と、それから専任の会長さんのパーセンテージを見ますと、専任の会長さんは二〇%余だと記憶しております。そういう方ですと、協同組合に対して一つの反感のようなものを持つておりますから、常にトラブルを起しております。そういうために、この災害補償法の真髄を農民に話さないで、自分の感じを非常に入れて行くというようなことが多いようであります。北海道の単位組合の組合長もやはり一七%くらいの専任でございます。そういうところは共済事業をしておりまして、ことに家畜共済は北海道は進んでおりまして、獣医とそれから共済の獣医とのトラブルが非常に起きて来るのであります。そういうことも組合長の行き方によつて非常に問題があります。それがために北見のある村におきましては、開業獣医が農業災害補償法でやつております家畜共済と同じような仕組みで、約二百頭ばかりの馬を対象にしまして、その馬持ちの連中を集めまして、そうして共済事業に似たようなことをやつておりまして、過日農林省の保険課の係の人にもわざわざそこへ行つていただいたような始末であります。何かとそういう面において非常に不便であるということであります。
○下山公述人 ただいま吉川先生からの御意見に対して御答弁申し上げます。先ほど申し上げましたように、農業災害補償法は、名前は違いましたが、共済の精神というものの大体の形は昭和十四年からずつと続いて来ているのでありまして、アメリカに助長されていろいろなものがかえられた中で、少くとも共済制度のみ厳然と残つた形は御承知の通りであります。それから制度上のいろいろ具体的な面をとられまして非常に御教示いただいたのでありますが、この間もアメリカを視察して来たインドのマドラス州の州政府顧問のナタラジヤ博士が本年一月に日本各地をまわつたのであります。そのときにお会いしたのでありますが、アメリカでは同じ七五%くらいを補償するのだが、アメリカはどこまでも生産費補償である。自分はインドでは同じ七五だが、農家の生産費よりももつと進んだ一つのウエルフエアーである農家生活と直結した補償をしたい。その点において日本にも非常に合つておるのではないかというような意見を言われたことがあつて、私も非常に同感だつたのであります。御承知のように、アメリカは収穫保険に対しては助成を出しておらない、ところが日本は出しておる。そういうような形で必ずしもそれらの点について無條件で農林省あたりも受入れていないし、私らの団体としても受入れていない。ただそういうような共済金の高いという問題を解決し、あるいは共済掛金の非常に不足している問題を解決する一つの方法としてそういうような問題が提起されたら、これはひとつ実験的にやつてみることには大いに賛成であり、非常に同感である。ぜひやつてみたいという気持を持つているわけであります。
○河野(謙)委員 私この際西さんに、農業委員会の立場で、場合によつておさしつかえがあれば個人の立場でけつこうですから、お伺いしたい。先ほど食糧増産は国の要請から発しているものである。従つて農家に対してできるだけ国家の負担をふやして、便宜を與えなければならぬ、これはまつたく同感であります。しかし本年度の予算から行きまして、国の財政全体から行きまして、われわれの考えから行けば、他の予算から見て、農業共済にはむしろ今でも国は予算を非常によけい出しておると思つております。一般農家の負担を軽くする意味で、共済の経営そのもの、組織の内容に入つて、もう少し負担を軽くする方法があるのではないか。その一つの方法として、午前中大内先生から意見がありましたが、あの大内先生の、平常の被害の場合の一割前後の上下、これを保険の対象とする、その他の分については別個の方法をとる、こういう御意見に対して西さんはどういうふうにお考えになるのかということと、もう一つは、火災共済の面ですが、午前中からの公述を承つておりますと、瀧田さんは、これは農協でやるべきだと理論づけて言つておられる。下山さんは立場もありましようし、またなかなか自信たつぷりで、これは農協ではいけない、おれの方でなければいけないとおつしやる。また山中さんはこれは農家の自由にしたらよろしいだろう、こういうような御意見ですが、一体西さんは、農業委員会の立場に立つてどういう御意見を持つておられるか、私は、少くとも農家の自由にしたらよいだろうということは、これは必ずしも国の政治として親切ではない、やはり一番よいというところにまとめるのが政治だと思う。そういう意味において、どうしてもこれは五分々々で、裁判のしようがないという場合には別ですが、これは多くの人の意見を聞いて、大体どちらかにまとめるというところに行くのが私はほんとうの政治だと思つておりますので、農業委員会の立場でおさしつかえがあれば、個人の立場でけつこうですから、御意見を伺いたい。
○西公述人 国が二十七年度において共済事業に対して予算をたくさん出しておる、これはごもつともであります。特に水稲関係につきましては昨年よりも十七億以上も多く予算を組んでおられますが、これは先ほどの麦と同様、過去の実績におきまして、通常災害並びに異常災害が少くて超異常災害が多かつた。こういうことから通常災害並びに異常災害の掛金率が狭まつて、超異常災害の掛金率がふえた。その結果といたしまして国家の負担が増になり、農家負担が減になつたということであり、かつまた共済予算といたしましてもふやさざるを得なかつたということだろうと私は解釈しております。そういう意味で、私の申し上げましたのは、こういうように予算面では国家負担がふえておるけれども、しかしながら法律の建前上何らこの改正がなされておらないということを申し上げたのです。先ほどの大内先生の御意見で一割前後ということは、あれは国全体といたしましての統計上の考え方であつて、地方に行き、かつまた個人的に見ますれば、あの通りには私は行かないと解釈いたしますので、従つてそういう意味での節約はできないのではないかと考えます。 それから任意共済でございますが、これは委員会といたしましては現在まだ結論に到達いたしておりません。私、公の立場から申しますると、執行部の案が総会で可決されましてから初めて外部に意見を出さなければならぬという建前でございますので、ここで個人的な意見を申し上げましてもそれは意味がないと思いますから、ごかんべん願いたいと思います。
○河野(謙)委員 岸さんにちよつと伺いたいのですが、地方で家畜の保険の場合、特に乳牛の場合、岸さんは専門家で非常に詳しいのですが、今ごろ三十万、四十万という乳牛はざらにあるのです。ところが法の限度は今十万とか八万とかで押えて、それ以上はかけられなくなつている。それに対して非常に不満があるのです。この点についてどういうふうにお考えになるか。現在の四十万であろうが五十万であろうが、そういう牛は別個のものであつて、どこまでも法の限度は現行の八万なり十万で押えて行くのが妥当だという御意見か。農民がよく不満を言うところの、牛の価格に従つてもう少し限度を上げたらよかろうという意見について、この際岸さんの御意見を伺いたい。
○岸公述人 河野先生のお尋ねについては、私も同じような感じがいたしております。それはやはりこの家畜の共済について同じく要求があるのであります。それの料率をもつと上げろということは、結局その地方の現実及びその価格から出て来る共済金の関係になつて来るのでありますが、はたしてそれを負担してやつて行けるかどうかという問題を愼重に研究して行かなければならないのではないか。その限度は一応は押えますけれども極力その方法を講じて行くというような道へ持つて行かなければいけないのではないか。私それについて特に研究したことはありませんが、何とかそういう面に進んで行かなければならぬのではないかということを考えております。
○河野(謙)委員 具体的に何かございますか。
○岸公述人 まだ具体的にはございません。
○井上(良)委員 これは西さんでも下山さんでも山中さんでも、これらの全国的な規模における団体の代表者の意見を聞きますと、いずれもが農家の負担が重い、掛金をもつと安くして国庫の負担をふやせ、こういう要求でございます。これは農家の立場から率直に申しますと、そういう声があることは事実であります。しかし同時にわれわれは、国全体の財政というものを見て行かなければなりませんので、一方そういう要求をしておきながら、一方では基金制度を拡充せよ、しかもその基金制度においても農家の負担は重い。一方赤字は国が負担せよ、何もかにも全部国へ持ち込むということになれば、共済制度自身の意義というものは失われてしまう。そこで問題は、確かに山中さんでしたか、今度の料率改訂によつて、共済金が米の場合で昨年は三千二百円で、農家負担は百六十七円九十一銭、本年は共済金は五千七十二円で、約千八百円から千九百円の値上げになつておつて、農家負担金が百六十九円四十八銭で、わずかの負担しかふえていないのです。この負担でもこれは重いということになりますか。そういう点で私どもこれらの全国的団体の代表者の意見を聞いて変に思いますのは、もし負担金を減らせというのならば、どのくらいの負担金が妥当であると考えますか。現在の農家経済の実態において、また引続く災害の被害に応じて、どのくらいの負担金なら農家は安んじてかけられるが、しかしこれ以上は現在の農家経済の実態から見て困るという線を出してもらいませんと、ただ負担が重い重いと言つておつただけでは、具体的に事がまとまりませんので、その点に対する御意見がありましたならば、ひとつどなたでもよろしいから伺いたいと思います。 それから下山さんは基金法案に賛成でありますが、この場合下山さんも依然として農家の負担はごめんだ、農家が半分負担することは困る。三分の一も困る。そうすると全額国からといいますか、この三十億は全部政府が出せという御意見ですか。これも一応伺つておきたいのです。 さらに下山さんにこんなことを聞くのはおかしいのでありますが、一応伺つておきたいのは、農業共済協会というのは、農業共済組合連合会を組織單位としてつくつた一つのクラブ式な団体でありますか。法的にどういう性格を持つておられますか。それからこの組織的な構成は、今申します共済連合会が参加をしてつくつておりますのか、そして実際おやりになつております仕事は、あなたが強調されました農業共済の趣旨徹底、啓蒙、そういうことが大きな仕事ではないかと思いますが、そうなつて来ますと、これに関連します経費の出どころはどこから出ておりますか。また年間どのくらいの予算をもつてこの協会は運営されておりますか。これを一応お伺いしたい。
○西公述人 負担額が重いという問題でありますが、これは相対的な意味、絶対的な意味二つかけて私ども申し上げておるわけでありまして、大体日本の財政の点からいいますと、国民の負担能力は一ぱい一ぱいだ。それについて所得税を減らしてそのかわりに、地方税がふえております。もちろん減り方は所得税の方が多いのでありますが、全体としてやはり負担が重いというのは、地方の一般の声であります。今回固定資産が再評価になりまして、国の固定資産税が反当三百三十円になつております。畑が私どもの、所におきまして百六十円であります。それから農業協同組合の負担が、反当りに直しますと約四十円程度であります。そういうものをいろいろ比較いたしますと、共済組合におきましては百円以上の掛金であり、かつまた事務費等におきましても七、八十円のものをとつておる。そういたしますと共済組合を維持するという意味におきまして、百七、八十円の負担金を出さなければならぬ、こういうことから農家におきまして、相対的な意味でも重いという考え方が出て来ることは当然でありますし、絶対的には先ほど申しましたように、一応負担力は底をついたものであり、改正されているけれども、しかし農家の経済は困つておる。そういう点から重いという声が出て来る。さように私は解釈いたします。
○山中公述人 私先ほど二十六年度と二十七年度の共済掛金についてお話申し上げましたが、二十六年度百六十七円九十一銭で、二十七年度は百六十九円四十八銭、共済掛金は大して上らなくて、共済金が非常に多くなり、農家は喜んでおるということは申し上げましたが、これで高過ぎるということは言わないつもりであります。この程度ならよいではないかということで、総会のときも、農家はこれで承認しておりました。
○井上(良)委員 この程度について西さんはどうお思いになりますか。それから他の公述人の方はどうでございますか。この程度でもまだ重いとお考えでございますか。北海道はこれで大体いいというが、他の地方はどうですか。
○西公述人 私は、先ほど申しましたように、固定資産税というようなものを頭に置いた場合には、やはり高いという考え方を持つております。
○下山公述人 私は大体災害の非常に少い、不平を言うておる地帯は、共済のおつき合いをするのには私のいろいろの関係で聞いておりますのでは、掛金は大体米一升ぐらいまではがまんできるのではないか、そういう見当を持つております。その他のことにつきまして、基金制度の関係の十五億、これは高いかということ、それに賛成かどうかという御質問ですが、私は農家の負担の関係から見て、この十五億を農家が負担することは非常に残念だ、できれば国に出してもらいたい。この基金制度の建前から見ても、こういう基金というようなものは、国が初めから用意してやるべきではないかとも考えておるのであります。井上先生のお話のように、国の財政にも限度があつて、そう何もかにもというわけには行かぬが、最大限度の協力をするということでありますれば、そのかわり、われわれの希望とすれば、これは農家が出してしまうということではなしに、どこまでも持ち分、出資という形でこれを考えてもらいたいという希望を持つておるわけであります。 それから協会の性格でございますが、これは社団法人となつておりまして、全国の農業共済組合連合会を会員としてやつております。それでおもなる仕事は、今井上先生のおつしやつたように、この共済事業の精神の普及徹底ということを最も中心としております。もう一つ、その普及徹底のために「村と共済」という新聞と「農業共済」という雑誌を発行しております。総経費は昨年は三千万円程度で、このうち連合会の負担が約一千万円程度、あとは新聞雑誌の編集経費でございまして、これは収支パーでございます。
○小淵委員 西さんと下山さんにお伺いしたいのです。最初に西さんにお伺いをいたしたいと思います。 先ほど西さんのお話で、一箇年間に国の方の負担と、それから掛金として徴收するものが大体百七十億。そのほか昭和二十二年から今日に至るまで町村が六十四億、連合会が二十八億の赤字を出しておる、こういうふうに私承つたのでありますけれども、もし数字がおわかりでしたら、昭和二十二年から国の方で負担したもの、あるいは掛金として徴収したもの、それからただいま六十四億、二十八億というものを足したものがどのくらいの金額になるのかということが、もしおわかりでしたらお伺いいたしたいと思います。 それから下山さんにお伺いしたいと思いますことは、私ども地方に参りまして座談会を開きますと、共済の問題は任意であるならばよろしいけれども、強制共済はやめていただきたい、私どもは災害もないしもらう金もないのだ、そういう声が非常に強いのであります。もちろん先ほどの西さんのお話のように、相当額の犠牲が払つてあるにもかかわらず、その地方にほとんど保険金の支払いがなされることがなかつた地方がこういうことを言つておるのだと私は承知いたしますので、西さんの方でもしおわかりでしたら、これだけの金額の細分というものは、一体どのように支払われておるのか、アウトラインでけつこうでありますけれども、保険金の支払い額とその事務経費というものがどのくらいになつておるのか、こういう点をお伺いしたいと思います。またある地方においては、非常に災害が多いので、掛金の何十倍という保険金を年々集中的に交付されておる地方があり、一方ほとんど保険金がもらえないというような地方があるのかどうか、こういう面ももしおわかりでしたらお伺いいたしたいと思います。 それからいま一つは、先ほど最低線の縦割りをするような制度にしたらよいと思つておるというお話でありましたけれども、これはもちろん一般災害のときの農家全員担の問題、あるいは地方異常災害というような段階におきまして、それぞれ二分の一あるいは政府が全額というような段階があるのでありますが、この縦割りという意味は、あるいは無事もどし制度というようなものを考えて、最低の負担をしておる所に何か国で払う犠牲のものを還元するようなことにしたらよろしいのではないか、こういうことを考えておられるのかどうか、この縦割りということはどういう構想であるのかということについて、お伺いいたしたいと思います。
○西公述人 ただいま御質問になりました統計を私今実は調べたのですが、はつきり伺つてなかつたものですから二十六年度一つだけをとつて百七十億と申し上げたのですが、政府の方の特別会計の収支純計というものはここに持つておりまして、六十四億四千八万二千円となつております。御参考までに私の村の事務費と保険の掛金との出納だけの分を申し上げますと、昭和二十四年度は掛金が十二万八千百円、事務費が六万四千三百円、昭和二十五年度は掛金が十五万一千六百円、事務費七万七千円、昭和二十六年度は掛金が二十一万六千七百円、事務費が十七万八千四百円となつております。従つて二十二年度より今までの分を合せますと、掛金は五十九万五千七百円、事務費は三十七万七千七百円になつております。
○下山公述人 お答えいたします。共済関係と地方災害の少い所はどうするかということについて対策があるかという御質問であつたと思います。われわれの希望とすれば、今日もいろいろな意見が出ていますように、もう少し保険の個別化と申しますか、一箇町村なら一箇町村を同じ掛金率にすることでなしに、県としては十二段階にわけておりますが、町村なら町村の中を数段階にわけて、災害のときにひどい所と軽い所と無災害地というように、料率を相当個別化して行けばいいと思います。それでも問題になるところは、もう少し無事もどしの制度を徹底させてもらいたいということをわれわれは要望しているわけであります。そうすれば料率に対する不平は相当緩和されるのではないかと考えております。 それから掛金の縦割りの問題でございますが、農林省が今度の法律改正で出しておりますあの内容においても、やり方によつて全国最低線を、全部共同の農家負担だということでなしに、最低線まで国がおりて、国で負担ができるような割り方を考えてやればやれぬこともないとわれわれは希望しておつたのでありますが、農林当局の認めるところとならなくて、その点が私ども残念に思つております。新たな金をこの際持つて来なくても、現在の予算の範囲内においてやれば、その点は縦割りはできるということであります。
○松浦委員長 時間も大分たちましたから、これをもつて本日の公聴会は終了したいと思います。 終りにあたりまして公述人各位にお礼を申し上げます。本日は長時間にわたり貴重なる、しかも御熱心なる御高見の御開陳を賜わりましたことについては、本委員会として厚くお礼を申し上げます。 なおこの際委員各位にお知らせいたしますが、先般臨時石炭鉱害復旧法案につきまして通商産業委員会に連合審査会の開催の申入れをいたしておきましたが、明五月十四日午後一時から開会いたす予定でありますから、お含みおきを願います。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後四時四十八分散会