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13回国会衆議院1952/05/16

農林委員会 第35号

発言数
25
登壇者
5
会派数
3
開催日
1952/05/16

会議録

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。  委員長がさしつかえがありますので、かわつて私が委員長の職務を行います。  農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法案及び農業共済基金法案の三案を一括して議題といたします。前会に引続き質疑を行います。足鹿君。

足鹿覺日本社会党(第二十三控室)

○足鹿委員 昨日触れなかつた点につきまして、引続いてお尋ねをいたしたいと思います。共済組合の組織体系なりその運営の問題についてでありますが、先日私がお願いをいたしました資料を拝見いたしますと、私が指摘しました通り、町村の単位共済組合の運営は、事実上単位農業協同組合が名実ともに運営に当つておることが、この古い二十五年十一月末の調査によつても明らかであります。たとえば事務所が農協と同一なものについて見ましても、八三%の多きに達しておる。組合長の兼務しておるものが六六%に達しておる。あるいは職員の兼職等につきましても、協同組合の職員との兼務が圧倒的に多いというふうに実際はなつておるのであります。これについて私は、先日も意見にわたる点がありましたが、この兼務をしておる協同組合長の場合を申し上げますと、共済組合長になりたくてなつたものではありません。ただ協同組合に職を奉じておる者としては、農民のお世話をする立場上、あまりいい役目ではないけれども共済組合のお世話をして行くということになつておるのであつて、いわゆる協同組合の仕事をしておれば、当然共済組合の仕事をするのはあたりまえだという農民の要請によつて、これはなつておる人々がほとんど全部と言つてよろしいと思うのであります。従つて私は、現在県なり、国の場合には、共済組合連合会とか、あるいは全国協議会というような専門的な一つの機関の生れることは、現段階においてはやむを得ないと思いますが、末端におきましては、共済組合を別個につくるということよりも、むしろ協同組合にこれを受入れるというように若干組合法の改正をいたしまして事実上現在においても一体化しておるものであるから、当然法規の上においても、名実ともに協同組合がこの衝に当つて行くようにかえて行くことによつて、あるいは人件費の面において、あるいは現在の協同組合に対するところの国のいろいろな援護の強化の面におきましても、相当農村の実態に即した運営ができるのではないか、私はかように考えておる次第でございます。この点について当局は、組織体系と運営の問題についてはどのようにお考えになつておりますか。まずこの点からお伺いをいたしたいと思います。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 協同組合と共済組合の関係について、お話のようなことも十分考えられる節があると思います。ただこれは建前の問題でございますが、補償制度が現在のような建前になつております関係上、自主自由な協同組合組織というものとそこで若干制度上ちぐはぐな点があるのであります。従いまして共済事業そのものを協同組合が営めるということにいたしますならば、協同組合が今の制度から相当制度として改革を受けなければならぬのじやないかということが考えられます。しかし制度として一元化をしなくても、実際問題として現実に事務所なり役員の方々なりが一緒であるという実態も無視することができませんので、そういうふうなところにおいては、たとえば協同組合が共済事業をやり得るといつたようなことを考えたらどうかということになると思うのでありますが、その場合におきましても協同組合の建前が——これは建前の問題でありますが、建前が非常に自由で、設立も加入退脱も自由であるということと、相当長期の共済事業をやつて行くということの間に、やはり割切れないものがありはしないかということで、今のところ別に相なつておるのであります。もちろん将来団体制度について再検討をするというようなことがありますれば、これはおのずからまた話が若干異なつて来るとは思いますけれども、さしあたりのところは、組織としては別に扱うことが適当ではないかというふうに考えておるのであります。

足鹿覺日本社会党(第二十三控室)

○足鹿委員 実質が一体であるから運営上においてそう不自由はないのじやないかという御答弁でありますが、私はそうではないと思う。実質は一体でありましても、やはり組合が別個であるという立場になつておれば、勢いそれに関連する役員も、必ずしも協同組合なりその他と一体化して行くわけにはならない。やはり建前が別個であるということになりますと、一応は門戸を張つた形になりますので、それに付随するいろいろな経費も必要になつて来るし、またそれぞれの手続の上においても、所要の手続をいろいろなことをやる場合にやつて行かなければなりません。従つて協同組合としては、そういつた実情でお引受けをしておるけれども、農村を私ども歩いてみますと、非常に迷惑がつておる。といつてこれをやめるわけにも行かない。先日も申しましたように、未拂いの掛金も農民自身の拂うものがだんだん減つて来るから、勢い協同組合で立てかえて行く。それは決算の場合に必ず借勘定に出て参りまして、一体これは何だということになると、これは共済組合の掛金の立てかえ拂いであるということになる。しばしばこれが問題になつて来ておる。そうした場合にこれが同じ組織の中の、当然組合の事業としてこれが取上げられた場合には、そういつた組合員から非難を受けたり、あるいは総会を切り抜けて行く場合に困難を生じたりすることはあり得ないのでありまして、そこに組織が別になつておれば無用の問題が起きて来、ひいては共済事業そのものに悪影響を及ぼすのではないかと憂えるのであります。昔私どもがこの仕事をやつておつた際にも——元は農会がこの仕事をやつておつたことは御承知の通りであります。それで何ら支障がなかつた。でありますから、現在の協同組合が強制加盟でないということを言われますけれども、今村において協同組合に加盟しない農民というものはありません。形は加入脱退の自由でありますけれども、事実上においては全村加盟であり、全村が一致して仕事に当つておるのでありまして、私はそういうことは理由にならないと思うのです。いわゆる加入脱退の自由の原則が共済事業をやつて行くということと相一致しないという御意見でありますが、しかしこのいただいた統計の中にも、強制加盟を必要とする組合であるにもかかわらず、相当数の未設置の組合があるわけなのです。それから解散状態にある組合もある。これに対していろいろな対策が講じられてあろうとは思いますけれども、事実上においてそういう組合が全国に十ばかりもある。資料をいただいてわかつたのでありますが、そういうことに対しましても別に制裁規定もありません。といたしますならば、私はこの際にもう少し、この運営上の面につきましても、この共済組合の組織体系の面には改善をする余地があると確信をいたして、意見にわたりますけれども、この問題をしつこく申し上げておるのでありますが、そういつた面で、もう少しこの問題を掘り下げて御検討願いまして、テストケースとしての特例法案のごときものよりも、むしろこういつた組織体系と運営上にもつと当局が対策をお練りになることが、ひいては共済事業を発展せしめて件き、そうして現在非難を受けている共済事業そのものに農民の信頼を集めて行くことができる措置ではないかと田う。問題はここにあるのであつて、別な特例法案などをつくつて、全国で五、六百ぐらいのテストをして、よかつたらやるが悪かつたらやめるというような行き方よりも、現実にこの体系そのものを、実情にマッチしたようにして行かれることが正しい、私はこう考えてこの問題を特に申し上げておるのでありますから、一層御検討を願いたいと思います。今度小委員会等においても、この問題が具体的に取上げられると思いますから、これ以上は申し上げませんが、私はその点について、農政局長の御見解とは大分意見を異にしているものであります。そこで、農協との問題について、強制加入組織の農業共済団体が、任意加入の原則の任意共済事業を現在行つておる。それから協同組合側におきましても、一方において建物共済事業等を行いまして、それが一方においては、農林省の農業協同組合課では妥当なものとしてその許可が行われて、一方は農業保險課において主管しておられる関係上、これが是認されて今日に至つておりますが、根元は農政局で一本にされて行かなければならぬ筋合いのものであろうと思いますが、この問題に対して先般来私どもがいろいろお話を聞きますと、なぜこういう紛争が起きる前に政府自体としてこの問題に対する調整をおとりにならなかつたかというと、同じ局でありながら、法律がそういうふうになつておるからというので、何らの調整策も講じないで、この事業を競合させて、しかも迷惑を受けるのは末端の農民であります。上の方では別個な組織になつておるかもしれませんが、下へ掘り下げて来るならば農民でありまして、そういう点においては、この競争によつてあるいは利益を受ける面もあるかもしれませんが、あまりそういつた点は大きく期待することはできないと思うのであります。この点について、これを合理化して行かれる方策はどういうふうにお考えになつておりますか。今私が申しました、末端においては共済組合でも協同組合でもほとんど一本である、こういう立場から考えてみますると、そこに何らかのこの不理を是正して行かれる一つの考え方というものは、私はあるはずだと思いますが、この点いかがでしようか。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 任意共済につきまして協同組合関係と共済事業関係との競合と申しますか、この問題につきましては、もう経過は御承知だと思いますので省略いたしますけれども、農林省といたしましても、これをただ対立のままにまかせておくという趣旨ではございませんので、協同組合が共済事業を行う場合、どういうところに重点を置き、どういつた点に注意をすべきかということにつきましては、かねがね通牒も出し、希望もいたしております。ただ両法案によりまして相当広範囲に任意共済ができるということになつておりますので、画然とそこで活動分野を決定するということも、言うべくしてできない状態であります。従いまして、これは今後制度上の問題といたしまして考えなければならぬというふうに思つておるのであります。先ほどお話のございましたように、末端の組合においては、これは実質上一体のところが大部分でありますので、そこにおいてはさほど問題はないと思いますが、そういう末端の組織の問題と相からみまして、任意共済の事業についてもむだな重複がないように措置したい。かように考えておる次第であります。

足鹿覺日本社会党(第二十三控室)

○足鹿委員 農政局長の答弁は非常に抽象的ですが、局長としてそれ以上仰せられない場合には、農林政務次官もおいでになつておりますので、根本方針について、局長でむりでありますならば、政務次官からもう少しこの点についてつつ込んだ御答弁をお伺いしたいと思います。

野原正勝自由党農林政務次官

○野原政府委員 この問題は非常に重大な問題であります。足鹿委員の御主張は十分私としても謹聽しておるわけでありますが、実は私農業共済につきましては、十分勉強した上でないとはつきりした答弁を與えるたけのものを持つておりませんので、いずれ十分検討した上でお答えいたしたいと思います。

足鹿覺日本社会党(第二十三控室)

○足鹿委員 よく御検討になることはけつこうでありますが、現実にこれくらい大きな摩擦が起きておるのに、これから研究しようというようなことでは、私どもとして少したよりない感じを受けるのでありますが、いろいろな調整についての具体的方針というものが政府にはないのです。従つてとにもかくにも程度の差こそありましようが、確かに摩擦は起きておる。同じ事業を二つの異なつた団体が、しかも一つの農民に対して行つておるのでありますから、これは事実において、程度の差はありますが摩擦が起きておるのであります。そういうことについて私は、末端の立場から考えて行く場合には一本であるはずのこの問題を、故意に摩擦がないかのごとくに見られて行くということは、実情に反する問題であると思いますので、申し上げておるのであります。いずれにも言い分はあろうと思います。あろうと思いますが、その言い分を、同じ局で両方とも許可をされたその責任上これをどう調整して行かれるか。これは一昨年からの問題でありまして、非常に大きな問題になつておる。双方が全国大会まで開いて、この問題に対しては正面衝突の形が来ておるのでありまして、これは農業共済事業の根本に触れる問題とは思いませんけれども、事実上においては、同じ事業をするものが相対立するというようなことは、私は非常に遺憾なことだと思いますので申し上げておるのでありますが、調整上については、政務次官はこれから検討するとおつしやいますし、農政局長は愼重対策を立てたいというような抽象的な御答弁でありますが、全然これについての基本的な考え方はないのでありますか。両方を御許可になり、そして実務をすでに進めておる現状から見られて、これ以上放任して置かれるということは、私はよろしくないと思う。いずれかにこの問題は調整されなければ、実際においておもしろくない結果が出て来ると思いますから、しつこく申し上げるのであります。慎重はけつこうでありますが、大体の御構想というようなことについて伺いたいのであります。  それからさつきの組織体系の問題に関連してでありますが、最近農事会とかいうような構想が発表されて、農業団体の再編成が相当やかましく論議されて今日まで来ております。従つてこの技術を伴うところの共済事業というようなものは経済事業を行つている協同組合が取扱うことはどうかという考え方もあるようであります。しかし今申しましたように、それは町村以外の上層機関の場合であつて、末端の場合はさようなことはないと私は思います。協同組合には現実に技術員がおつて、損害評価については、具体的に共済組合の仕事を分担してやつておるのでありますから、そういつた点においては、協同組合以外の何と申しますか、昔の農会的なものの末端における共済事業をそういうものにやらせて行くということについて、私は非常に疑義を持つておるのでありますが、そういつた点とも関連をして、当局はどういうふうにお考えになつておりますか、この点もあわせてお尋ねを申し上げたいのであります。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 まず任意共済についてでございますが、この点につきましては、活動分野についてある線を引くということが一つの案として考えられると思うのであります。御承知のように、協同組合は共済事業をやり得るということになつておりますけれども、共済事業そのものについての事業法的な制度が全然ございません。そういうような点がございますので、やる場合には非常に愼重を要することと、事業分野についても、何でもかんでもやるということよりは、さしあたり組合の建物共済に重点を置くといつたようなことが一つの方法ではないかと思うのであります。なお将来の問題といたしましては、共済事業の事業法的なものは、災害補償法で一元的にやる、やり得る団体ということになりますと、先ほどの末端の団体論とも重なりまして、これはある程度任意共済といつたようなものにつきましては、自由でもいいではないかと考えておるのでありますが、この点はもちろん私見に属することでございまして、お話のように小委員会におかれまして十分御検討された結果が出ますならば、それを尊重して行政上に反映してもらいたい、かように考えておるのであります。  なお第二点の団体の問題でございますが、最近団体の再編成といいますか、再検討といつたようなことがいろいろ各方面で出されておることは承知をいたしております。しかしこれは農林省といたしまして、必ずしも結論を得ておるわけではございません。若干の団体におきましてさような点が論議されておりますので、私どももごく事務的に、末端の団体の活動の状況とか、あるいは団体制度の調査といつたようなことをいたしておりまして、将来の事態に備えて準備をしておるという段階でございますので、農事会といつたような構想に対して、とやかく言い得るほどの資料も方針も持ち合しておらないのでございます。

足鹿覺日本社会党(第二十三控室)

○足鹿委員 最後にお尋ね申し上げて質問を打切りたいと思うのであります。先刻もちよつと触れましたが、共済組合の未設立の町村及びその理由を、この間要求して資料をいただきましたが、その際に要求しました掛金の未納額に対する資料がまだいただけません。その点お調べになつておりましたら、口頭でもけつこうでありますからひとつお聞かせいただきたいと思います。これが保険金と相殺されておるような場合が相当あるので、末端ではいろいろ問題があるのであります。協同組合が未納金を、農民にかわつて相当立てかえて支拂つておるという事実も私耳にしておりますが、そういつた未納額の問題をひとつ御答弁いただきたい。  それから農業共済組合の設立を見ない町村とその理由についてみますと、いろいろな理由が掲げてありますが、共済の対象になる農業がきわめて少い。漁村であるとかいうような場合はやむを得ないと思いますが、村の幹部に設立の意欲がないためにできていないというものも若干あるように見受けます。そうしますと、これは強制加入でありますけれども、つくつてもつくらぬでもいいという事実になるのでありまして、災害のないほとんど掛けつぱなしのような所は、別に加入しなくても罰則もなければ、どんどん脱退することも自由になると思うのです。強制加入という点で相当締めつけておきながら、一方においては、村の幹部に設立意欲がないからできておらない。できておつてもほとんど開店休業の状態であるというようなことがあり得るとするならば、私ども現行共済組合に対して疑念なきを得ないのでありますが、一体こういうものについてはどういうふうに処置をされますか。またやつておつても長いこと保険金ももらわないし、掛金も掛けつぱなしだし、あるいは不時もどしの金もほんの霧雨のようなもので、農家経済に大して裨益するところがないというようなことから、やめたいという希望の村が、特に私どもの地方には多いのであります。私どもは、そういつたものではないというので、極力共済組合の精神を説いて、今日までいろいろ農民の人々に理解してもらうようにやつて参つたのでありますが、未設立の理由及びその町村名を承つて私は驚きました。こういう事情でありますれば、私どもも考え方をかえて——ほんとうに四年間というものは一文も保險金をもらわない。一軒の農家で四千円、五千円の負担金を拂つて、びた一文の拂いもどしもないようなことであるならば、農民の言い分は私はもつともだろうと思うのです。四、五千円といえば、都会の人にとつては大したことでありませんが、農家にとつては大金であります。農民自身にとつてみれば、安い米麦価で、今日特に肥料がどんどん値が上りますし、どうも保険の掛金が目につくのです。従つてもうやめたいという声は切実な声です。こういうふうに、つくつてもつくらぬでもいいということになりますならば、私どももこの運営の合理化について何ら期待できないし、自信を失わざるを得ないのであります。これでは農民の言うことももつともだという気持にならざるを得ないのであります。その点この未設立の町村に対しては、どういうふうな対策をお講じになつておりますか。また今後農民がこの共済事業に熱意を失つて解散する、また事実上掛金を拂わない町村がたくさん出て来ると思います。こういうものに対しては、一体どういうふうに御指導になりますか。この点をお伺いいたしたいと思います。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 最初の未収金の問題でありますが、これは実は末端の共済組合関係についての資料が農林省にはまとまつて入つて参りませんので、正確な数字は集計しにくいのであります。ただ今までの掛金の徴収のぐあいから見ますと、大体こういうことが言えると思うのであります。たとえば水稻で申しますと、田植のときに引受けをいたしまして、そのときに掛金を拂うということが建前になつておるのでありますが、農家経済の実情から参りまして、実は簡單にそうは参りません。どうしても米のできる時期というようなことに相なるのであります。そこで秋になりますと大体のところが共済掛金が入つて参る。十二月ごろになりますと大部分入つて、ほとんどそこで徴収が終るということに相なるのでありますが、これまでは、御指摘のように年度を過ぎてもなお残つておるというふうな実情が実はあつたのであります。しかし少くとも出来秋の販売した代金からは納めていただくように、十分指導、督励を今後いたしたいと考えておるのであります。  次に組合の未設立のことについてでございますが、これは今お話のようにいろいろ原因がございます。全国一万余の町村のことでございますから、いろいろの事情で今日までなお二十三余りの所で組合が設立されていないということは、はなはだ遺憾のことだと存じておりますが、これはもちろん制度的に申しますと、最後には設立の命令をするというようなこともあり得るのでございますけれども、設立を命令するというような手段よりも、災害補償制度というようなことを地方の方々に納得していただいていわば指導によつて設立をしていただくという方針で今日参つておるのであります。その結果現在は二十三町村に相なつております。これは過去を調べれば、未設立の町村はもつと多かつたのでございますが、さような指導のもとに、今日では二十三町村になつておるのでございます。ここにありますように、村の幹部に設立の意欲を欠くというような原因のために組合ができないということは、それは必ずしも十分な理由ではないということも私どもよく承知いたしております。今後ともこういう未設立の町村がないように、十分指導を続けて行きたいというふうに考えておるのであります。被害の少い地方だからといつて、必ずしも組合ができていないわけではございませんが、原因の中にはさようなものも一、二あるようでございますけれども、こういう場所については、災害補償制度自体の改善によつて解消して行くということもできるのであります。  最後にお話のありました掛金についても、掛金の負担が過重であるということは、これは制度全体についても御意見があり得るかと思うのでありますが、それよりも個々の組合に当てはめてみた場合に、どうも個々の組合の掛金が被害実態に合つていないというようなことがむしろ大きな原因ではないかと思いますので、地方的にそういう問題は、被害統計が整備いたして参りますとともに、たとえば今度の水稻の掛金の料率の改訂にあたりましても、地方の危險階級の区分、従つて掛金率の違い方というようなことについても、十分各町村の実情に合うように直して行くということを、今度の掛金の改訂の重要な方針としておるのであります。なお今後ともこういう点に努力を重ねて参りますならば、さような点はだんだんと解消して参るというふうに考えております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長代理 井上君。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 多少重複する点があるかもしれませんが、二、三伺つておきたいのは、一つは特例法による農家単位とした場合の損害評価の問題ですが、この場合でも、現行の一筆対象の場合でも、損害評価の上には、現行の損害評価のやり方をひとつも改めずにおやりになることになりはせんかと思いますが、その点どうですか。現行の一筆の場合の損害評価の制度を、農家單位に改めました場合においても、やはりそのまま使つて行くということになると思いますが、何かそこに別に新しい損害評価の対策をお考えになつていますか。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 損害評価の仕方そのものは、これは農家單位にすることによつて、今度の実験によつて、当然かわつて来るというふうには考えておりません。大体今まで通りに行くと考えておりますが、これはいろいろお話がございましたように、損害評価自体のやり方については、今後とも農家單位のいかんにかかわらず改善して参らなければならぬ問題だというふうに考えております。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 問題は、さきに足鹿君からもお話がありましたように、一つは無被害地の農家の経営を一体どう合理化するかという問題と、年々災害を受ける地帶に対してはどうするかという問題、一つは制度の運営を合理化して行くための損害評価を、一体どう適正にやるかという問題が解決されなければならぬと考えるのです。そのかんじんの損害評価に対して、政府では少しも改正する対策を考えてないというところにわれわれの納得の行かない点があるのです。ただ一部改正におきまして、多少監督を強化するといいますか、その程度でお茶を濁して、かんじんの損害評価に対して新しい対策なり方策を全然考えられていないというところに問題が残つておると思います。そこで現在の情勢下において共済保險を続けて行こうとします場合は、どうしても損害評価に対する基本的な明確な線を打出しておくことが、絶対に必要になつて来はせぬか、そういう点で、たとえて言いますと、生命保險やあるいはまた火災保險等は保險者の責任において事故の原因を調べておりますけれども、共済保險においては、被保險者が損害の実態を調べておるというまつたく反対の立場に置かれておる。だからこの際損害評価を国の責任の範囲においてやる。そういう立場を明らかにされる必要がありはせんか、私はそういうふうに考えるのです。そういう点から、ここに国が独立した一つの損害評価の機関を設ける。たとえば現在の農林統計の末端の機関をもつと拡充する。現在郡單位までの調査機関が整備されておりますけれども、これを町村単位までおろしてしまう。そうしました場合一体どのくらい経費がかかるか。單に共済保險の被害に対する損害評価のみならず、他のいろいろな農作物の調査を担当さして、その一環としてこの損害評価もやつてもらうということにいたしました場合に、一体どのくらいの経費がかかるかということも、大よそ見当をつけてみる必要がありはせんかと思いますが、そういうことについて、農政局として検討をされたことがありますか。それを伺いたい。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 損害評価のやり方についてでございますが、これは御承知の通り現在の建前では、いわば組合なり連合会なりないし国の特別会計が保險者であるというふうに考えていいと思いますが、さような意味から組合ないし連合会が損害評価をやつておるのであります。それを国といつたようないわば第三者が評価するというふうに改めた方がより公正に合理的に行くのではないかというお話でございますが、その点はもちろんそういう御意見も十分あり得ることと存じます。ただ費用の点はもちろん国がやつておりますし、連合会の保險事業につきましても、共済保險料を国が相当部分負担しておるということに相なつておりまするけれども、国自体が共済事業を営んでおるわけではございませんので、その点から国が損害評価を全面的に引受けるということはいかがかと思われる節もあるのであります。もつとも国が調べます損害評価、被害調査と、団体関係が調べる損害評価とを比べまして、そうして団体側、あるいは農家側の損害評価の仕方が公正であるかどうかという審査に使うことは十分できるのであります。現在も、さような意味では相協力して損害評価をやつておると言うこともできると思うのであります。  さらにそれを一歩進めましてたとえば作物報告関係の仕事の一環として被害調査をやり、それを損害評価自体に使うということになる場合には、一体具体的にそれをどうするかということについて、非常にむずかしい問題が生じて来ると思うのであります。たとえて申しますれば、現在は一筆調査でありますが、一筆單位の損害額がわからなければ、農家として、組合としては納得しない。ちようど供出の割当につきまして、上から来る割当と村の見込みとが相当違つて、そこにいろいろ複雑な問題が惹起するというふうな事態が、今度もし被害調査というものをまつたく国がやるということになりますと、おのずからそういう問題が派生して参る。そこを円滑に処理するためにはどうするかということが、くふうを要する点だと思うのであります。また国がやる場合にも、被害調査を県單位にやるか、郡單位にやるか、あるいは町村單位にやるか、あるいは末端の農家の個々の筆についてやるかということによりましても、どの程度の規模の事業になるかということは相当違つて参るのであります。そこで保險との関係において、一体どういうふうに被害調査をやつて行くかということについて、ただいま統計調査部の協力を願つて、多少検討を進めておる次第でありますが、それが一体どういう程度でどういうものであるかという大体の見当がつきませんと、また従つて人員の関係なり、予算の関係も見当がつかないということになりますので、ただいまのところ、大体どういうふうであるということを申し上げる段階ではないのでありますけれども、供出の関係で町村別の収穫高統計をつくるということだけでも、一時二万人内外の人員を必要としておつたというふうなことを考えますと、非常にラフな計算では一応の見当がつくのではないかと思います。しかしそれは被害調査のやり方、ことにどの程度の規模においてやるかということによつて、非常に違つて参りますので、その方法を検討した上でないと明確な御答弁はできないように考えます。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 もう一つ、今は大体これは三割、これは四割、これは五割というような、被害程度別の共済保険金の支拂い方式がとられております。しかし実際は、收量を押えてみませんとどのくらい被害があつたかということは確実ではございません。ここにやはり大きなミスが介在し得る原因が横たわつておりはせぬかと私は考える。そういう点についてはどうお考えですか。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 もちろんこれは現在の一筆單位でありましても、被害を出すには、実收量がどの程度であるか、それを基準牧量と比較しまして率を出すということに相なるのでありますが、やはり現実の減收量、被害量が問題であるのでありまして、ただいきなりその被害の程度が出るわけではございません。しかしながらおつしやる意味はおそらくこういうことだろうと思うのであります。個々の筆につきまして基準收量というものができておりますので、この基準收量とことしの出来高を比べまして、たとえば一石と基準收量がきまつておりますならば、一石八斗ならば一割減收ということで、一割だからこれは共済の対象にならないということでありますので、その点は今おつしやることがそのまま行われておるというふうに考えてよろしいのでありますが、もともと共済金額に問題がございまして、たとえば反当二石ということが村一律にきまるわけでございますので、その点から共済金額に被害率をかけて参りますので、直接には被害率が問題になる。そこで十分に補償されないということに相なります。その点が不都合ではないかということではないかと思うのでありますが、その点を是正するには、共済金額を村の内部においてもかえて行く、收量の非常に高い部落では共済金額を上げる、收量の非常に低い部落では共済金額を下げるといつたような方法も一つの方法でございます。さらには農家單位といつたようなことをやつてみました結果、それがよければ、いろいろの條件を考えた上でやる。そういたしますれば減收石数がそのまま共済金として拂われるということになりますので、その点は一層明確になるのではないかというふうに思う次第であります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 その次に共済組合の検査の問題ですが、今度の法案によると、従来組合側から要求があつた場合検査をしておつたのを、今度はこちらの方から臨時的に検査をするように改める、こういうことに改正をいたしておりますが、これによつて一体どの程度検査ができる見込みでございますか、その点を一応伺つておきたい。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 検査につきましては、従来府県にほぼ二名程度の人がおるのが建前になつておりました関係上、なかなか手がまわりません。従つて厳密な検査はなかなか至難でございまして、ただ一応帳簿を当るとか、あるいは地方事務所あたりで帳簿を持つて来てもらつて、そこでいわば集合的な検査をするというような方法でやつて参つたのであります。今回は地方の職員が若干増員に相なりましたので、検査の程度、いかなる検査かということによつて非常に違つて参りますが、大体各組合とも二年に一度ぐらいは一応の検査はしたい、かように考えておるのであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 もう一ぺん元にもどりますが、特例法のことでございます。これを一筆單位から農家單位に改めて一応見本的にやつてみる。これは一筆單位というのが何か非常に共済保險制度の上に欠陷が出て来た、保険制度を実施した結果、保險制度としては農家單位の方がいいということから、こういうふうに切りかえることになつたのですか。つまり一筆制を改めるという根拠ですね。ここに何かこれをやることに大きな不合理があつて、共済保険制度としては、こういうものはよくないということから出発をしておりますか、その点を伺いたい。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 これは非常にりくつめいたことになるのであります。と申しますのは、一筆單位を現実にやつた場合に——判断する的確な資料がありませんので、非常に恐縮でございますが、現行の一筆軍位と農家單位を比べてみました場合に、農家單位の方がより合理的ではないかというふうに考えられる点が一、二あるのであります。その一つは、共済金の支拂いを合理的にするということであります。一筆單位は、農家のほかの筆の方で豊作であり、平年作でありましても、たまたま一筆が三割以上であるというときには、共済金がもらえる。ところが農家の全筆が二割の減收であるというふうな場合には、一筆が三割以上の場合よりも、農家に與える影響は非常に大きいにもかかわらず、現行の制度の場合には、実際に共済金をもらえないのであります。従つて当然補償されなければならないときに補償されず、補償されなくてもいいときに補償されるという制度を直すには、農家單位がいいのではないかということが考えられるのであります。これが第一点であります。  第二点は、共済掛金をより合理的ならしめるという二とであります。一筆單位でやります結果、共済金をもらえる農家の数は非常に多いのでありますけれども、実際上考えてみると、わずかな金をもらうということで、その点が不合理な上に加えまして、最近のようにだんだんに被害が多いと、だんだんに掛金率が多くなるのじやないか、掛金が多いということで、農家経済に非常に圧迫を加えるということは、いろいろ御議論のある通りでございます。それでは掛金を下げるかという場合に、一つは国庫負担ということもございますが、現在以上に国庫負担を増すことも、財政上の実情を、災害補償といつた趣旨から見てなかなか困難ではないか、こうすれば、今の共済金の支拂い関係と相並びましてそれに応じて掛金もある程度下りやしないか、今までは薄く広く共済金を拂つておつたのを、厚く狭くするごとによつて、農家の掛金もある程度減りはしないかというふうに考えたのであります。もつともこの点は、補償の限度を災害の二割程度以上にするかどうかというような点を相からみまして必ずしも的確には申し上げられませんが、今までの若干の事例的な調査によりましても、掛金はある程度下るのではないかというふうに考えられますので、この掛金の負担を少し合理的にしたいというのが第二のねらいであります。これがいわば農家單位でやつてみた方がいいのではないかという根拠であります。そうして一旦やつた上で、いろいろ問題が出て来ましてその問題にいろいろ対処する方法がありますならば、将来はこれに移るというふうに考えておるのであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 次にこの基金を三十億と限定をした根拠は一体どういうところにありますか。  それからこれはすでに他の委員からも質問があつたと存じますが、強制保險の建前から申しますと、当然全額政府負担とすべきものを、どういうわけで十五億を農家負担にしたかという点です。たとえていいますと、確かにこれは開拓者資金融通法という法律がございまして、開拓者にもそれぞれ一定の資金のわくを設けて金融の道を講じておるのであります。これと性質は違いますけれども、やはり保險の支拂いを迅速ならしめ、保險に対しての信用を高めるという必要から、ここに基金をもつて運営をうまくやろうというので、この基金法が設定せられるのであります。これは一つの基金でございますから、赤字を補填するとか、または損害補償の補助金を出すとかいうような性質のものではないのでありまして、全額政府が持つて一向さしつかえないにもかかわらず、どういう理由でこの十五億円を農民の負担にさせたかという点について御説明を願いたい。  それから第三番目は、すでにこの連合会関係で二十八億からの赤字が出ているという話でありますが、この赤字は、政府の方では一体どう処理されるつもりか。これは連合会の赤字であるから、政府は何らこれについては救済の道は考えないというのか、それとも救済の道を講ずるというのか、そういう点について一応伺つておきたい。以上三点について伺います。

小倉武一農林事務官(農政局長)

○小倉政府委員 この基金を三十億にした理由でありますが、これは、農業災害の最近の実情を見ますと、少い額であります。この基金の性質上、もともとここ数年間の不足分が、一体どの程度最悪の場合には出るかということを当然基礎にすべきでございますが、料率の改訂が、水稻においては五年、家畜は四年ということになつておりますので、そういう新率改訂の期間をとりまして、最悪の事態にはどの程度の不足金が出るかということを概算してみますと、ほぼ六十億近くに相なるのであります。従いまして料率の改訂とにらみ合せて考えますと、少くとも六十億の基金がなければ、ここ四、五年の事態に対処できないということに相なるのであります。しかしながら、これはいわば最悪の事態を仮想したにすぎないのでありまして、最悪の事態の仮想のもとに六十億の資金を寝かすことはとるべきことではございません。さしあたりのこの一年の場合をとつてみると、これが大体十八億程度になりはしないかと思います。そういたしますと、十八億程度ということになりますれば、これは三十億の基金といたしまして、十五億は政府が負担し、あと残りの十五億は農家が数箇年にわたつて分納するということで、さしあたりの問題としては十七、八億は集まると思いますので、それで対処する、こういうことで三十億ができております。従つてこれは恒久的ないし数年間これで大丈夫ということを意味しておるのではないのであります。  次に十五億の負担の点でございますが、これは補償制度における国家的な援助という点を強調すれば、三十億全体を国庫で持つべきだという御意見も生じ得ると思いますが、私どもの考え方は、この補償制度は、国と農家とのいわば共同でやつている共同事業である。その点は掛金の負担においてもほぼ半分ずつ農家と国が負担するということにも現われております。あるいはまた超異常の際は国が全部責任を持つてやるというようなことにも相なつておるのであります。そういう点からいたしまして基金の資本金につきましても、国と農家とが半々ずつ出すというのが、この制度の本旨に合つているのではないかという考え方から、農家の方も十五億を出資していただくということにいたしたのであります。  それから現在の連合会の不足金が二十八億でございますが、お尋ねの趣旨は、おそらくこの二十八億に限らず、今後あるいは出得る不足金の処理についてどうするかということも、御質問の趣旨に入つておるのじやないかと思います。この二十八億の処理は、いわば国というものとは別の連合会の不足金であるから、国はまつたく関係のないことであるということで、放任するという性質のものではないのであります。国と連合会側とがその二十八億その他の不足金の出て来ました原因を追究して最終的な処理をするべき問題であると思うのであります。しかしながらこの作物保險といつたような、いわば非常な長期的にバランスを見るべき企業あるいは事業として見ますならば、この不足金の処理は、必ずしも出たからすぐどうするという問題ではなく、もつと長期的に考えて処理すればいい問題ではないか。さしあたりといたしましては、たとえば基金といつたような制度を利用してこの不足金は絶えず基金から融資をする。帳簿の上ではもちろん連合会の不足金ということになつておりますが、そのために共済金の支拂いに不円滑を来すといつたような事態が生じないような制度を講じておけばいいのではないか、かような考え方をいたしておるのであります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員長代理 本日はこの程度にいたしまして散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五分散会

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