農林委員会 第15号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/03/19
会議録
○河野委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。 御承知のように、松浦委員長は、御尊父葬儀のため帰省中でありますので、本日私がかわりまして委員長の職務を代理いたします。 昨日本委員会に内閣提出農地法案及び農地法施行法案が付託になりました。これより両案を一括議題といたし、審査に入ります。まず両案の趣旨について政府の説明を求めます。
○廣川国務大臣 農地法案及び農地法施行法案の提案理由を御説明申し上げます。 御承知の通り、わが国の農地改革は、戰後占領政策の重要な一環として取り上げられ、すでに小作地の自作地化は二百万町歩、創設されました自作農は四百二十万戸を数える輝かしい成果を収め、世界的に高い評価を受け、ほぼ所期の目標を達成したわけであります。しかしながらこれは自作農を急速かつ、広汎に創設するという農地改革の第一段階を終つたということでありまして、この成果の維持というきわめて困難かつ、重要な事業は、なお今後の課題として残されているのであります。 この課題を解決して参りますためには、農地はその耕作者みずからが所有することを原則とし、しかも農家経営の零細化を防ぎ、望ましい中堅自作農を育成して参りますことが肝要でありまして、この農地改革の原則を制度的に従来同様維持して参りますことが第一の方途となるわけであります。 このためには、農地の所有権の移動を制限いたしまして小作地の自作地化を一層促進し、自作地が再び小作地化しないよう措置いたしますとともに、小作関係を調整して耕作者の地位の安定をはかることが必要であります。なお経済的な困難からする自作農の転落については、低利長期の農地担保金融制度の実現が今後の課題としてきわめて重要であることは申すまでもないところであります。 さらに積極的な農地造成といたしまして、未墾地開拓の問題があります。すでに百二十万町歩の未墾地を取得いたしまして、四十万町歩の開墾が行われたわけでありますが、この問題は、食糧増産の見地からも、また農家の二、三男対策、過小農対策の一環といたしましても重要な意義を持つわけでありまして、農地改革の成果維持の方策の一部門としてきわめて重要な内容をなすものと考えるのであります。 以上申し上げましたところを実施して参りますためには、これらを経済的に、かつ法律的に確立いたしますことが必要でありまして、従来農地改革の法律的基盤となつておりましたのは、農地調整法、自作農創設特別措置法及びいわゆるポツダム政令であります自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令の三法令でありますが、御承知の通り、講和條約の発効により、ポツダム政令は、国内法に切りかえることとなりましたため、この政令にかわる新たな立法措置を必要とすることになつたわけであります。なお従来の三法令は、その構成が錯雑しておりまして、難解な点も多くありましたので、これを機会に、三者の内容を整理統合いたしまして、農地改革の成果維持のための基本法として新たな立法措置を講ずることといたしたわけであります。 従いましてこの農地法案は、内容的には、従来の三法令のそれと大差ないわけでありますが、そのおもな内容について御説明申し上げますと、第一に既墾の農地につきまして、権利の設定、移転及び転用に許可制をとり、地主の小作地保有に制限を課しておりますのは従来と同様でありますが、この制限に抵触する土地が生じましたときは、一定期間内に譲渡するよう義務づけ、これを果さない場合にのみ国が買収すると簡易な方式に改めております。 第二に、小作地につきましては、耕作者の生産意欲を失いませんように賃借権の解除解約の制限、小作料の統制等は継続して行うこととしており、また採草地、薪炭林等につきましても、従前通り利用権設定の調整を措置いたしております。さきに申し上げました農地担保金融は、新たな制度として法制化するに至りませんでしたので、今後の実現にゆだね、さしあたつては自作地を国が買収し、ただちにこれを売りもどし、その代金を年賦払いとすることにより金融同様の効果を収めるよう措置いたしております。 第三に、未墾地につきましては、従来その買収売渡しの手続の法制化が十分でない点がございましたので、都道府県開拓審議会を全面的に關與せしめることといたします等、その手続を慎重、かつ明瞭にいたしますとともに、売渡し後一定期間までは自由な処分を禁止いたしまして、開拓の成果の維持を保障することとしております。 第四に、農地改革によつて創設されました農地は、従来その他の農地と取扱いを異にしておりましたが、これを原則として同一の取扱いをいたします等全般的に諸手続の簡素化をはかりますとともに、極力理解しやすい表現によることに留意いたしたのであります。 第五に、国が現在までに取得いたしました未墾地のうち一部開拓に供し得ないものがありますので、これを旧所有者に返還いたすよう措置することといたしました。 以上がこの農地法案の主な内容でございますが、この法律案の施行に伴います経過措置と関係法律の改正を行う必要があるわけでありまして、その内容が多岐にわたりますので、これを別に農地法施行法案として立案いたしたわけであります。 農地法案及び農地法施行法案の概略は、おおむね以上の通りでございますが、冒頭に申し上げました農地改革の成果の維持のため必要な措置の法制的部面を担当するものでありますので、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。 —————————————
○河野委員長代理 ただいまの両案に対する質疑は次会より行うことにいたします。
○河野委員長代理 次に土地改良事業に関する件について調査を進めます。農林公共事業に関する小委員長より小委員会における調査の中間報告をいたしたいとの申出があります。これを許します。
○坂本(實)委員 公共事業に関する小委員会は、設置以来数回小委員会を開催いたし、当面いたしておりまする各方面からのいろいろな要望事項であります小規模土地改良事業に対する国庫補助並びに農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助率の改訂の二つの問題を取上げまして、農林省より資料の提供を求め、また農林、大蔵、経済安定の経済関係者の出席をも求めまして、愼重に検討を続けて参りましたが、ここに一応の結論に到達いたしましたので、経過並びに結果の大要を御報告いたしたいと存じます。 まず小規模土地改良事業について申し上げます。暗渠排水、客土、農道等の小規模土地改良に対する国庫補助は昭和二十四年度以降打切られたのでありますが、この国庫補助の復活につきましては、全国各地の農民から非常に強い要望が寄せられていたのであります。幸いにも本二十六年度の補正予算におきまして、積雪寒冷單作地帯につ、いては小規模土地改良事業に対する国庫補助が認められ、また明二十七年度予算におきましても約十億円余の経費を計上いたし、農民多年の要望にこたえるととができまして、生産意欲の高揚に多大の貢献をいたしているのであります。しかるに他方一般の地帯に関しましては、暗渠排水、客土及び農道の小規模土地改良事業を大蔵省は現在認めておらないのであります。このため農林省といたしましては、団体営土地改良事業費中から一億六千四百万円、小規模土地改良事業の中で現在認められている区画整理費中から四千二百万円、計二億六百万円ほどを流用して暗渠排水、客土及び農道の小規模土地改良を行いたいというので、これを承認するよう目下大蔵省と協議中であります。 これら小規模土地改良事業の対象となります農地は主として秋落ち田、用排水不良田等でありまして、比較的小規模な改良工事によりまして増産を期することができ、食糧増産上からはもちろん、農家経済の安定上からもぜひとも国庫補助を與えまして、大いにこれを推進する必要がございますが、現在実施されております小規模土地改良事業で、国庫補助の対象となります受益面積は二十町歩以上となつております。これを十町歩くらいにまで引下げて、さらに積極的に推進すべきものであるとの御意見も多くの委員からございましたので、十町歩に引下げた場合の利害得失について農林省側の意見をもただしましたところ、現在農家一戸当りの水田面積は四反余りとなつておりますので、十町歩は二十数戸分の耕作面積に相当し、大体一部落当りの農家戸数になりますので当該一部落全体を対象とすることとなり、事業の実施上非常に好都合であると賛意を表されました。しかしながらこの場合には当然予算の増加することも予想され、また事業主体の数も自然増加することになりますので、予算上はもちろん、施行技術者や事業監督上の問題もございますので、対象面積引下げの点につきましては今後なお検討いたすことといたしました。 現在一般地帯の小規模土地改良については、大蔵省としては国庫補助を認めようとしていないことは先ほどもちよつと触れたのでありますが、この点につきましては、特にこの小委員会の席に大蔵主計局長並びに経済安定本部交通建設局長の出席を求め、その理由をただしたのでありますが、その理由といたしましては、小規模土地改良事業は対象面積が小さく、公共性が少いので国庫補助の対象からはずして、農林漁業資金融通法等による金融措置によるのが妥当である。国家の資金を投下するのであるから監督を嚴重にすべきであるが、かような小規模改良事業は、自然小さく各所に広く散在することになつて、十分な監督ができない。農道については、現在建設省においても市町村道に対しては補助を與えていないので、農道に対する補助を全面的に復活すれば一この市町村道との均衡がとれなくなる。積雪寒冷單作地帯については、他の地域に比して生産が低いので、これら小規模改良事業を認めることにしたので、單作地帯と一般地帯とを区別するのは温床苗代及び小規模土地改良事業に対する補助があるためなので、一般地帯のものにも小規模土地改良事業に対する補助を認めることにすれば、この両地帶の差異はほとんどなくなつてしまうという、以上の理由により両省の事務当局といたしましては、国庫補助の復活を認めがたいというのであります。 次に農林水産業施設災害復旧事業費に対する国庫補助率の引上げの問題について申し上げます。この補助率の引上げにつきましては、政府におきましても深い関心を払い、改正案も準備をいたしているのでありますが、小委員会といたしましてもこの必要性にかんがみまして、独自の立場からこれを取上げて審議をいたしたのであります。御承知のごとく、わが国はしばしば異常の災害をこうむつております。昨年一箇年について見ましても、不連続性梅雨型豪雨による水害、ルース台風による風水害等があり、また東北、北陸、北海道方面におきまする雪害も、部分的には非常な損害を與えているのであります。さらに本年に入りましてからは北海道の大震災がございまして、農家に激甚な被害を及ぼしているのであります。これらの災害に対する復旧につきましては国庫補助が與えられるのでありますが、現行法によりまする補助率は、被害のいかんにかかわらず一律に十分の五ないし十分の六・五となつているのであります。非常に激甚な災害をこうむつた場合、この補助率では経済力の脆弱な農家は容易に再起し得ないのであります。従いましてある一定の額以上に大きな被害を受けました災害部分につきましては、高率補助を適用して農家の負担軽減をはかりまして、農林水産業施設の災害をすみやかに復旧させますことが、農家経済の安定上からも、また食糧増産途行上からもきわめて肝要なことでありますので、この点につきまして農林省農地局災害復旧課長に見解をただしたのであります。同課長の見解によりますと、現在の農家経済の実態から見て、災害を受けた当該市町村における被害総額を被害農家戸数で除した額が八万円となる線が一つの基準となるのではないか、この八万円程度までならば現行の国庫補助率でどうにか復旧もできようが、これ以上の災害をこうむつた場合は、とうていその負担にたえ得ざるものがあるとの理由を、資料に基いて説明がございました。これにつきまして御出席の委員から、八万円の線ではなお被害農家の負担は過重でありますので、少くとも五万円の線まで引下げ、五万円以上の災害をこうむつた場合は、その部分につき高率補助の適用をするよう現行法を改正すべきではないかとの御発言がございました。五万円以上にするか、あるいは八万円以上にするかは一応別問題といたしまして、ともかく激甚な災害を受けた農家を救済する法的措置を講ずべきであるとの点につきましては、各委員一致した意見でございました。 以上をもちまして本小委員会におきまする審議の経過を御報告いたしたのでありますが、特に小規模土地改良事業に対する国庫補助の復活が農民の熱烈な要望でございますので、この際本小委員会の結論といたしましては、別紙のような決議をいたし、政府の善処を要求いたしたいと存じます。委員長においては、しかるべくおとりはからい方をお願いいたします。 決議の案文を朗読いたします。 小規模土地改良事業促進に関する件(案) 小規模土地改良事業に対する国庫補助に関し、積雪寒冷單作地帯については一応実施を見るに至り、農民多年の要望に応へ生産意欲の昂揚に資すること大なるものがある。 よつて秋落ち田、用排水不良田畑等、農地の條件が類似の悪條件下にあるものについては、一般地帯においても、左記基準により畑地かんがい、暗渠排水、客土及び農道に対する国庫補助を復活し、もつて食糧増産に資すべきである。 一、補助対象事業畑地かんがい、暗渠排水、客土及び農道 二、事業主体は原則として土地改良法に規定するものによること。 三、事業の必要性が明かであり、且つ大なること。 四、補助の基準 1 受益面積一団地概ね二十町歩以上農道にあつては一キロ以上 2 石当事業費は一万三千円以上三万円未満のものを基準とする。但し反当事業費三千円未満のものは原則として補助しない。 3補助率 畑地かんがい 四〇% 暗渠排水及び客土 三〇% 農道 二〇% 五、右以外の小規模の改良事業、又は特に経済効果の著しいものについては、農林漁業資金融通法による金融措置によつて推進を図ること。 右決議する。 以上であります。
○河野委員長代理 ただいま坂本君の提案になりました小規模土地改良事業促進に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河野委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決します。 なお本件の関係各大臣に対する参考送付につきましては、委員長に御一任願います。 —————————————
○河野委員長代理 次に農地及び開拓地の接収及び使用に関する件について調査を進めます。坂本君より発言の要求がありますので、これを許します。坂本實君。
○坂本(實)委員 ただいま議題になりました駐留軍または予備隊に接収されております開拓地の問題につきましては、さきに本委員会におきましていろいろと愼重審議をいたしたのであります。そうしてその結果決議を行いまして、これを議長に報告し、かつ政府に参考送付をいたしまして、善処方を要望して参つたのであります。しかしながら條約発効後におきます新しい事態に処しますためには、さらにこの際いま一段の対策を講ずる必要があると存じまして、本委員会の意思を明らかに表示いたしたいと考えます。この際お手元に配付をいたしました決議の案を議題にして御審議を願い、これを重ねて政府に要望いたしたい、かように存ずるのであります。 ここにその案文を朗読いたします。 駐留軍の用に供する農地等の処理に関する件 不動産を駐留軍の用に供するため提供することは、日米安全保障條約の規定に基き当然とするところである。 しかるにまた、財産権の保護は、日本国憲法の保障するところであつて、右條約の遵守と財産権との調整については、充分なる考慮が払われなければならない。特に農地は、我が国経済自立達成のため要請せられている食糧増産の達成上、その生産基盤に影響を及ぼすこと多大であり、就中開拓地においては、多額の国費を投下しておるのみならず、入植者の特殊性にかんがみて、その損失を最小限度に防止し、やむを得ない場合においては、正当な補償を行うようあらゆる努力がなされなければならない。 衆議院農林委員会においては、さきに本件に関する調査に基いで決議を行い、これを議長に報告し且つ政府に参考送付し、もつて善処方を要望したが、いまだその措置に適正を欠くうらみなしとしない。 近く條約の発効するに伴い、政府がこれを履行するにあたつては、駐留軍用に農地等を使用収用するについて、特に左記諸点に亘り愼重な考慮を払い適切な措置を講じ、もつて民生安定、食糧確保のため万遺憾なきを期することが必要である。 記 一、駐留軍の用に供するため不動産の使用又は収用を行うときは、公益保障、国民経済上の利害得失、他の国内諸法規との調整等の考慮の下に、その目的及び対象認定等についての規準を明らかにすると共に個個の施設、区域の決定に際しては愼重な配慮と手続のもとに行うこと。 二、使用収用に関する手続については財産権保護の見地から土地収用法の規定を適用するの原則を確立すること。 三、行政機関の裁量によつて土地を使用するが収用するかを任意に決めることは被使(収)用者に対して重大な不利益を強いる結果となるので、土地を使用収用する場合にその何れの形式によるかは使(収)用の処分当初において土地の所有権者(その他の権利者を含む)に対し選択の権利を與えること。 四、損失補償については、使用収用の処分によつて受けた損失を十分に補償する趣旨のもとに補償の範囲、基準等を明確にすること。 特に不動産の使用収用による直接の損失のほかこれを伴つて通常受ける農業経営上の損失をも十分に補償すべきことを明確にすること。 五、損失補償金はすべて課税免除の対象とすること。 右決議する。 よろしく御審議を願います。
○河野委員長代理 ただいまの坂本君の提案に対しまして御意見があれば、この際発言を許します。竹村君。
○竹村委員 私は大体坂本氏の提案された、その意図するところについては一応わかるのでありますが、しかし私がはつきりしておきたいことは、この決議は先般の農林委員会で行いました決議と原則的な点において相当矛盾しているのではないかと考えます。というのは、かつて前の農林委員会で満場一致決議しましたのは、基地あるいは駐留軍の用に供するため、あるいは警察予備隊等に使う場合には少くとも原則としては開拓地あるいは農地等を使用しない、万やむを得ない場合という條件がついているわけです。ところがこの決議を今拝見いたしますと、大体もうやむを得ないのだ、従つて一応前の原則は撤回するような考えが含まれていると思うのであります。しかもその取上げる場合においては、たとえばここにおいて、使用、収用に関する手続については土地収用法の規定を準用するような原則を認めるというようなことになると、この土地収用法なるものもまた問題になつて、そのことが検討されなければ、私は事実上において耕作農民の利益というものはなかなか守られ得ないのではないかと考えるわけであります。しかも現実に行われているところをわれわれ静かに見ますと、こういう決議をいたしましても、現在の政府はそういうものに拘泥されたいような実情が非常に多いのであります。なおまた嚴然と法律になつておりますところのこの法律を、駐留軍だけではない、少くとも日本の政府において実施しておる、つまり警察予備隊筆におきましても、嚴然とあるところの農地関係法規その他を現在無視して、至るところにおいて土地取上げを実効的にやつておる。このことは先般この委員会においてこれの調査の際におきましても、農林省の農地局長は警察予備隊の土地取上げに対しまして、農林省の許可したものは全国でわずかに一、二件であるということをはつきり言明しておる。しかもこれが、しからば警察予備隊の土地取上げというものが一、二件に終つておるかといいますと、そうではない。ここに出されましたところのいろいろな資料を見ますと、実に厖大な土地に上つておる。つまり一万五千町歩以上に上るところの土地がすでに実質上日本の国内法律というものを無視して取上げられて、演習地等に使用されている。しかもこれに対するところの補償の基準も、われわれの質問に対するところの資料として出されたものを見ますと、ごくわずかな、しかも今日の経済状態から見て、ほんとにすずめの涙というよりも、むしろこれはほとんど申訳的な、いわゆるそれに対する補償の基準を示しておる。こういうことを平気でやつておる政府に対して、しかも一応原則として取上げないという観点をゆるめるような決議をいたしますならば、ますます政府としては意のままに土地取上げをやつたり、あるいは一片のこういう決議をいたしましても、たとえば行政協定の中に現われておる二條、三條等を見てみますと、至るところにおいてもう原則的に土地使用を許しておる。しかもその上において單なる一片のこの決議においては、この目的を達成することはできないと思うのであります。まず問題の中心は、やはりわれわれは原則的に言うならば、安全保障條約そのものであり、しかもそれに付随して生まれましたところの日米行政協定の内容にさかのぼるものであります。先般この委員会におきましても、私はこの行政協定に伴ういわゆる農地や、あるいは開拓地の取上げの問題について若干の質問をいたしまして、委員長にもお願いして、最も責任ある大臣であるところの岡崎国務大臣の出席を要望しておるのでありますが、そういう点を明らかにしていない。そういう原則的な問題を明らかにした上において、この決議がなされるというのであるならば、われわれはまだその内容において考えられるかもしれませんけれども、しかし單にほんとの土地取上げ、あるいは開拓地等を収用するに至るところの原則であるところの行政協定、われわれ国民にとつて重大な問題であるところの行政協定について、当委員会においては、いまだにその関係大臣である岡崎国務大臣を呼んで聞いていない。そういうような状態のもとにおいて、單に土地収用法等によつてその補償等を考えるというようなことになりますならば、実質上の農民の利益というものはほんとうの意味において守られるものではない。従つて本農林委員会では、この決議をする前に、少くともまず岡崎国務大臣を呼んで、この行政協定の内容をもつと検討し、しかもその上にあつてその問題を扱うという日米合同委員会の点についても詳細に聞き、その上に立つてもし必要とすれば、それに対するもつと具体的な問題を検討しなければ、單にこの決議の中にあるように、あるいは土地収用法等が問題になりましても、土地収用法によるといいましても、その土地収用法の内容、それによつて補償するところの内容等を現在の経済的な実情に応じた形において変更しなければ、決してわれわれは取上げられる人々のほんとうの意味の補償にはならないと考えるわけであります。従つて私は遺憾ながらこの決議に対しては反対せざるを得ないものであります。
○河野委員長代理 お諮りいたします。ただいまの坂本君の提案になりました駐留軍の用に供する農地等の処理に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○河野委員長代理 起立多数、よつて本委員会の決議とすることに決します。 なお本件の関係各大臣に対する参考送付の件につきましては、委員長に御一任願います。
○河野委員長代理 この際政府より肥料問題に関して報告いたしたいとの申出があります。これを許します。野原政務次官。
○野原政府委員 肥料の輸出につきましては、先般本委員会におきまして、国内価格が現在の水準を越えるようなことがあつてはならぬ、またそれを越えないことであるならば——この際国内の需給事情等を十分勘案した上で輸出をするならば、この点を考えて輸出をすべきであるという御決議をいただいておつたのであります。そこで政府といたしましては、その点はしばしば、特に農林省といたしましては当然のこととしてその御趣旨を十分に体しまして、いろいろ関係省間と協議いたしました結果、すでにこの委員会で御報告申し上げましたように、経済安定本部並びに通産省との間に話合いができまして、御回答を申し上げましたような線で国内価格の水準は上げないということにいたしました。国内価格を上げないような適切な措置をとるという方針のもとに、この際輸出をいたしたいということで御報告申し上げたわけであります。それに関しましていろいろとまた委員会で活発な御意見がございまして、單なる価格を上げないといつたような漫然とした希望的な考え方であつてはいけない。従来もしばしばそれによつて価格の高騰を来した例もあるのであるから、この際ははつきりとその点について考慮をしておく必要があろうということでありました。爾来いろいろと協議いたしました結果、政府は三省間におきまして肥料の生産業者等に勧告をする、その勧告に対しまして十分約束を守らせる、勧告の趣旨を十分遵法せしむるという確約をする必要が生じましたので、先般いろいろと話合いました結果、経済安定本部長官あてに日本硫安工業協会の方から会長莊野君を代表といたしまして、硫安の輸出と国内価格につきまして政府の勧告を十分了承して御希望に沿うようにいたしますからという回答を寄せられました。われわれは硫安工業協会が誠意をもつて勧告に従うということがよくわかりましたので、この際メーカーの方が国内価格の高騰に関しましては、あくまでも自粛して政府の勧告の線に沿うて行うということであるならば、この際は三省間の話合いのような線で肥料の輸出の問題は進めたい、さように考えている次第であります。その点よろしく御了承願いたいと思います。
○河野委員長代理 この際委員長から政府に重ねてお願いしたいと思います。硫安工業協会から参りました回答の本文をひとつこの際御朗読願いたいと思います。
○野原政府委員 それでは硫安工業協会からの手紙を読みます。「昭和二十七年三月十八日、日本硫安工業協会会長莊野精二郎、経済安定本部総務長官周東英雄殿、去る三月十二日経済安定本部総務長官官邸において硫安の輸出と国内価格につき御懇請の趣十分了承し御希望に沿うことをここに御回答申し上げます。」以上であります。
○河野委員長代理 本件に関しましては、回答の内容等につきまして質疑があることと思いますが、都合によりあとまわしにいたします。 —————————————
○河野委員長代理 次に閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭糸価格安定資金の処分に関する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。小淵光平君。
○小淵委員 ポツダム宣言に基くところの閉鎖機関令が、講和発効と同時に効力を失いまして、新しい閉鎖機関令が出て参ると承知いたしております。けれども、この新しい閉鎖機関令の案というものは、およそどんな時分に提案される予定であるか。またこの新しく生れるところの閉鎖機関令の内容の中には、私どもの知る範囲内においては、従前の姿に復活するようなことが強く盛られておるというふうに聞いておりますけれども、これらに対してどのように承知されておられるか、時期、それから内容のおもなるものについてもしおわかりになりましたらお話を承りたいと存じます。
○堀口説明員 お答えいたします。ただいまの質問でありますが、閉鎖機関令の改正は二つにわかれておりまして、第一の改正は、従来ポツダム宣言の受諾に関する政令、それに基く政令として出ておりました閉鎖機関令を、講和條約の発効以降において法律としての効力を持たせる法案、これが出ておるわけであります。それの内容は実質的な改正を含んでおりませんので、單に閉鎖機関場の指定というものは、従来は連合国最高司令官の命によつて指定するというような文句があつたり、そのほか若干強権的な規定もあり、それからすでに不要になつた部分もありますので、それらを整理するという程度の改正でありまして、これは現在審議をお願いしておりまして、三月中には公布になるのではないかというふうに予想しております。 それから改正の第二でありますが、その後におきまして実質的な改正を検討いたしまして、現在関係方面との手続を行つております法案の内容は、その主要なものは閉鎖機関の指定の解除に関するものでありまして、従来閉鎖機関は千八十八指定されましたが、本年度末に大体三百程度を残しましてほとんど清算を結了いたしますので、大体閉鎖機関制度の所期の目的を達したものと認めまして、講和條約の発効というような事態にも即応いたしまして、残りました閉鎖機関につきまして、指定を解除してさしつかえないと認められるものについては指定を解除いたしまして、通常の商法及び民法による清算に移行できるようにしたいという目的を持つておるわけであります。その内容のおもなる点は、閉鎖機関の指定を解除いたしまして、新しく当該閉鎖機関の株主総会というような議決機関を復活させまして、その総会において新しい清算人を選任せしめるわけであります。その新しい清算人が選任されますと、その清算人に閉鎖機関の整理をやつておりました旧特殊清算人はその事務を引継ぐ、そうして新しい清算人が任命されるまでの仕事については、善良なる管理者の注意をもつて仕事をやつて行くというような点がおもなる内容であります。全体の考え方といたしましては、政府といたしまして新しく解除になる閉鎖機関の解除の問題についてあまり干渉をしない。その解除したあとにつきましては、そういう株主総会なり何なりの議決機関によりまして、自由な議決に基いて行動してもらうというふうなことを建前に考えております。その提出の時期等でありますが、これは法制局の審議は終りまして、今関係方面の最終的な了解を得ておりますので、ここに二週間程度で上程になるのではないかというふうに考えております。
○小淵委員 近い将来にこれが提案になるという見通しのようでありますが、その内容の一つとして、ただいまお伺いいたしたいのは、指定解除という問題が取入れられておる。これも新しい来るべき時代にある程度当然のことと考えるわけでありますけれども、なおこの指定をされておる機関等について、指定解除をされた場合等については、ある程度特典的なことが取上げられてはおらないか。具体的に申しますならば、免税措置等が何らかの形でその中へ取入れられてはおらないものかどうか、この点をお伺いいたしたいと思うわけであります。 さらに指定機関として存続をされて行く場合には、一つのブロック形態で残された機関が整理を続行して行くというようなことに相なるということも聞いておりますけれども、そういう場合には、当然その会社に支出すべき資金を持つておるもののみが負担を加重せられるというようなことがあるのではないか、これらについてはどういうふうに今後とられて行くか、この点をお伺いいたしたいと思います。 さらに指定解除が行われますと、当然新しい清算人ができてこれを処理して行くのだということになることはただいま拝聴いたしましたけれども、そうしますと、当然その会社が指定された当時に一応もどるという端的な考えでよろしいのではないかと思いますけれども、そうすれば当然その会社の憲法であるところの定款はそのまま生きて、定款の命ずるままに、その会社は解散登記が行われるまではやつて行くべきものであると承知してよろしいかどうか。その場合に財産処理等については、もちろん定款の命ずる通りにやつて行かれるということになると思うわけでありますけれども、この点についてもお伺いをいたしたいと思います。 なお先回の委員会のときに、これは日本蚕糸統制会社の問題でなく、これと類似しておるところの蚕糸業会の問題について、小林委員から質問がありましたけれども、この小林委員の質問のときに、蚕糸業会が持つておるところの資産の配分等については、これは当然その業会を構成しておる者の意思に基いてやるべきものであろうという蚕糸当局からの御説明があつたわけでありますけれども、この場合もしこの業会等が解散をされるときに、蚕糸業法との関係はどういうふうになつて行くか。蚕糸業法の施行令を見ますと、「組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ」ということが、その内容に示されておりますけれども、そうしますと、その構成員の意思に基いて全部が処理できるということには、法の命ずるところと摩擦を生じて参りますので、この辺の見通しについてはどういうふうに考えられるか。この間の小林委員の質問に対して、構成員の意思に基いてやれるのだというお答えと蚕糸業法との関係を、わかりやすく御説明をお願い申し上げたいと存じます。以上四点についてお伺いいたします。
○堀口説明員 お答えいたします。 まず御質問の第一点でありますが、今度提案になる法律の中で、過去に閉鎖機関であつたものに対して、今後特別な課税上の恩典があるかどうかという点でありますが、これにつきましては今度の法律の内容といたしまして、指定を解除して、新しい清算人に渡し、新しい清算人は民法なり商法なり、通常の税法上の規定によつて清算をやつて行くという建前でありまして、特に解除後における課税についての特典を設けておりません。 それから第二点の、今後閉鎖指定機関としてそのまま存続して行く場合に、どういうことになり、その経費はどうなるかという点でございますが、これに関しましては、御指摘の通り幾つかの閉鎖機関をまとめまして、特殊清算人を任命して、その特殊清算人が従来の閉鎖機関令、今度法律の効力を與えられます閉鎖機関令によつて、清算をやつて行くことになるわけであります。その場合の経費でありますが、原則といたしまして、収入のない、あるいは資産のない閉鎖機関はただちに清算結了をいたしまして、結了の登記をする。もしたとえばそこに債権が残つておりましても、その債権等を取立てるために、債権の徴收額以上の経費を要するという見込みでありますれば、その債権は一応打切りにいたしまして、閉鎖機関そのものの結了をする。従いましてそういう機関が残つておりますために、他の資産を有する閉鎖機関に経費を加重するというふうなことはない制度になつております。それからこの経費の課し方についても、直接費と間接費にわけまして、総務的な庶務的な共通費につきましては、その閉鎖機関について行つた事務の内容等によつて比例的に見ますし、それ以外の直接経費、たとえばどの債権をとるためにどの程度の仕事があるかということは、直接その労働時間を計算いたしまして、割当制度によつて課しておりますので、従来もまた今後も、特に資産がある機関が特別に他の機関の経費を負担することのないように注意いたしております。 それから第三点でありますが、今度の法案が通りました場合に閉鎖機関の指定が解除になりますと、民商法による清算が行われるのであります。この場合に過去の法人そのものがそのままの形で復活するのであるかどうかという点でありますが、これは全面的に復活するということは言えないと思います。と申しますのはあくまで閉鎖機関に指定されて清算をやつて来ました建前上、今度復活しますのは清算法人として復活するわけでありますし、閉鎖機関として指定せられ、その間になしました行為については、それを全部元にもどすこともできない。それから閉鎖機関令によります清算についても、ある程度一般の清算と異つた制度も含んでおる点がありますので、これらの調整をはかる必要があるわけであります。従いまして、たとえば従来の定款等につきましても、解除後における株主総会におきまして、若干過去の数年間における閉鎖機関指定後のやり方等との調和をとるために、変更を必要とするというようなことも起るのではないかというふうに考えられます。 最後の蚕糸業法の問題につきましては、農林省の方から答えていただきたいと思います。
○寺内政府委員 蚕糸業会の清算の最後の残余財産の配分につきまして、この前お答えいたしましたのは、現在の閉鎖機関令を適用いたしますれば、閉鎖機関令によりまして残余財産は出資者に配当するという規定になつておりまして、これが特別法でありますのでこの方が先に適用になります。それを前提としてお答えいたしたのでありますが、もしかりにただいまの大蔵当局からの御説明のように、蚕糸業会が閉鎖機関の指定を解除されまして、元の法律によるということになりますれば、これはただいま研究中でありますが、非常にむずかしい規定なのでありまして、蚕糸業会に関する法律が蚕糸業法の修正によりまして削除されております。しかもその施行会によりまして、その清算の場合に蚕糸協同組合の規定を準用することになつておるのでありますが、またこの蚕糸協同組合が法律の方では削除してあるのであります。従いましてかりに指定が解除された場合に、この蚕糸業法の適用があるのかないのか、法律上まだ非常な疑問がありますので、目下研究中であります。もしかりにこれが適用あるといたしましても、「組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ」という規定は、これはもちろん協同組合の規定でありますが、同時に施行令の最後の方の九十條によりまして蚕糸業会にも準用になるのでありますが、しかし「持分ヲ共有スルコトヲ得ズ」というこの規定は、蚕糸協同組合への出資一口を持つ場合に、これを二人以上で共有してはいけないという規定でありまして、これが残余財産の配分にまで及ぶというふうには私は解釈いたしておりません。
○小淵委員 そうしますとこれは、もちろん疑義が出て来ますれば裁判所の問題になつて参りますので、行政官としてただ考えを述べたというふうに聞く以外にはないと思うのであります。主管当局としての局長の考えでは、蚕糸業法施行令に基き「組合員ハ持分ヲ共有スルコトヲ得ズ」というこのことは、もし指定解除がなされた場合蚕糸業会のたとえば七億なら七億という金については、その構成員の意思に基いて合法的な処分がなされて行くのだ、こういうふうに承知しておきたいと存じます。 なお蚕糸業会のことについてでありますが、これは前にこのことについてある程度小林委員からも御質問になられたようでありますけれども、この金はもともと繭糸価安定の措置がなされるときに、政府の方にこれは繰入れをしようということになつておつたわけであります。このいきさつ等については現在どのようになつておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○寺内政府委員 蚕糸業会の残余財産についての処分をどうするかということでございますが、三億五千万の指定寄付というのはとりやめになりました。
○小淵委員 前回の委員会では七億内外というふうに言われたのでありますが、そうしますとこれは、指定寄付等はとりやめになつておるから、現在のところは蚕糸業会の残余財産としてそのままそつくりあるのだというふうに了解をいたして進みたいと思います。蚕糸統制会社は昭和二十三年八月指定を受けたのでありまして、今日なお清算中であります。同時に蚕糸業会も昭和二十二年の十一月一日に閉鎖機関に指定をされまして、爾来今日に至つておるわけでありますか、この両機関ともに清算中におけるところの毎月の貸借のトータルを示す試算表というようなものはつくつておられるかどうか、これをお伺いいたしたいと存じます。
○堀口説明員 お答えいたします。それは毎月つくつております。
○小淵委員 この清算中に、蚕糸統制会社または蚕糸業会等について、未収金あるいは貸付金の返済未了といつたもので特に目立つものがあるかどうか、もしあるという御記憶がありましたらお話願いたいと思います。
○堀口説明員 ちよつと御質問の要旨がはつきりしなかつたのですが、過去の清算中に未収金、貸付金等について、その処理で目立つものがあるかどうかということですか。
○小淵委員 閉鎖機関に指定された日から今日までの間の清算中、特に大きい未収金勘定あるいは貸付金の返済未了になつておるものがあるか、これについて御記憶がありましたらお話願いたいと思います。
○堀口説明員 お答えいたします。割合に清算の事務は円滑に進んでおりましたので、特にそういう問題はないと記憶しておりますが、共助金あたりである県につきましては一県、二県くらいそういう問題があるかもしれません。詳細はあとでまたお知らせしてもよろしいと思います。
○小淵委員 もちろん古いことでありますから、ここで記憶があつたらというように御質問申し上げましたのは、そう詳しくおわかりにならないのが当然でありますから、そう申し上げたのですが、これについては、蚕糸業会では昭和二十二年十一月一日から、蚕糸統制会社においては二十三年八月から先月末までの、毎月の試算表をひとつ提出をしていただきたいと思います。これを要求いたしまして私の質問は終りたいと思います。
○堀口説明員 ただいまの御要求、毎月でけつこうだと思いますが、枚数にして三十枚くらいになつて相当厖大なものになると思いますので、四半期なり、あるいは半年くらいにしていただけば、もう少しまとまつたものができると思います。
○小淵委員 大体大きい変化がなければ一年四回でよろしいと思いますから、そういうように要求いたします。
○寺内政府委員 先ほどの蚕糸業会の剰余金の問題について、念のために申し上げておきたいことがあるのでございますが、総残余財産はこの前お話申し上げた通り、六億九千六百七十万五百八十四円でありますけれども、これは税込みでございますから、これから清算税を納めなければなりませんし、そのほか配当にいたしましても、再建整備法に基いて国庫に納めなければならぬ金がありますので、それらを差引かなければなりませんから、これが全部出資者へ配当できる金ではございませんことを御了承願います。
○小林(運)委員 この問題につきまして二、三補足的な御質問を申し上げたいと思います。 製糸業法の施行に関してでございますが、製糸業法は制定以来相当の年月を経ておりますが、この製糸業法で一番大切な点は製糸の免許制度でございます。この免許に関してはなはだ明朗を欠いている点が二、三あるのでございます。と申しますのは、現在産繭額に対して製糸設備は相当過剰になつております。従つて製糸の免許を新しく得ることはなかなか困難な事情にあることは明らかで、従つて新しく製糸業を行うこともほとんど困難である。ですから製糸業を新しく始める人は、今までの業者でやつておつた権利を継承して、すなわち権利の売買等が行われまして、製糸を、新しくと申しますか、業者がかわつてやるということになると思います。ところでこの製糸業の免許に関して方針が一貫していないという点が多々あるのであります。たとえば昔の産業組合法によつてできた組合製糸のごときは、自分の繭を自分で処理するのであるから、これはかま数が多くなつても当然だというような理論も一応成り立つのでありますが、その辺の解釈は非常にあいまいになつております。それからもう一つ、機械製糸の問題については、大体今申し上げたようなこと、その他いろいろありますけれども、政府は製糸業法の免許を昔と同じような考え方でやつて行くかどうか、結論的に御答弁を願いたい、それが一点です。 次に機械座繰りの問題でありますが、機械座繰りはその規定が非常にあいまいでありまして、給汽、給水あるいは動力によつてわくを回転するというような三原則をもつて機械製糸とし、そのうちの一つが欠けたものが機械座繰りというようなことになつております。この免許の問題ですが、普通のいわゆる機械生糸の免許については、これらの売買があれば、これはほとんどどんな場合でも許しておりますが、機械座繰りにおいては、府県において取扱いが非常にまちまちであります。その点についてどんな方針でやつて行かれるか、詳細な御説明を承りたい。
○寺内政府委員 機械製糸の免許の方針でございますが、御承知の通り終戦以来繭の生産量が非常に減りまして、それに比較いたしましては機械製糸の方の設備が過剰でありますので、ただいまのところはあまりふやさないような方針でやつておりますけれども、幸いに五箇年計画実施以来、昨年も相当の繭の増産がありましたし、今後相当繭の増産が期待できますので、繭の生産増加に対応いたしまして、機械製糸の免許の方も、少しその方針をゆるめて参りたいというふうに考えております。 それから機械座繰りの点につきましては、一時これを内免許という方法で操業を許しておつたのでありますが、これをだんだんに本免許に切りかえております。これもただいま申しましたような情勢によりまして、あまりふやさないという方針でございましたけれども、本免許いたす際にしましても、その地方の産繭の事情を考慮いたしまして、だんだんに産繭量がふえておるとか、将来ふえる見込みがあるとかいうような所はこれを許して参りたいと考えております。
○小林(運)委員 前段の方でございますが、製糸業法の免許方針というものは大体昔のかま数で行つておりますが、座繰の場合と機械多條の場合とはおのずから違つておりまして、多條の場合は十緒をもつて一かまというようになつておりますが、最近新しく自動繰糸機というものが出て参りまして、この自動繰糸機の能率は非常に高くなつております。こういうものをどういう基準で一かまと認めるか、われわれの考えからすれば、大体今までいわゆる座繰、多條という点で、座繰に対して多條が十緒をもつて一かまとするというのは、一かまの繭の消費量を目標としての認定だと思う。ところが今度新しく自動繰糸機なるものができますと、一台の生産能率というものは非常に多く、従つて所要繭の量が非常に多くなる。こういうようなものについては、今後どういう考えをもつて免許の対象にするか、すなわち今までの多條を自動繰糸機にかえるような場合に、どういう根拠をもつてこれを認めて行くか、その点をお伺いします。
○寺内政府委員 ただいまの点につきましては、技術的にも目下研究中でありまして、今ここでこういう方針であるということを御説明できませんが、研究してきまりましたならばお話しいたしたいと思います。
○小林(運)委員 大体繭の消費量を目標としてかま数の單位をきめるか、あるいは一台なら一台何千貫やつても一台だというように考えるか、この二つであつて、別に技術的なことではないと思いますが、その点はいかがですか。
○寺内政府委員 大体ただいまの私の考えは、繭の数量によりましてきめて行つたらよろしかろうと思います。
○小林(運)委員 では私が先ほど申し上げましたように、かつては座繰りから多條になつた、多條は六緒をもつて一かまの単位とするというのは、繭の消費量を單位として考えた、これは技術的な問題ではなく考え方の問題である、それと同じように自動繰糸機にあたつても繭の消費量を考えて免許の対象にして行く、こういうふうに了解してよいですね。 ではその問題はそれでよろしゆうございますが、次は先ほどお尋ねしました機械座繰りの免許であります。実例として、これは局長も御存じの通り、ある県で機械座繰りの権利を他の県の業者に売り渡した。これは自由に業者間において売買が成立しておるにかかわらず、その免許の移動に対してある県の当局は、この免許の移動を認めないと同じような措置をとつている。しかもこれは法律的に何らの根拠がないのに、業者に対して移動を認めないような態度をとつております。これははなはだもつてけしからぬと思います。これに対して蚕糸行政の一番の責任者である蚕糸当局は、どういうふうにされますか。事実問題としてこれは非常に大きな問題でございますので、はつきり御答弁を願います。
○寺内政府委員 その問題につきましては、前に具体的なお話がありましたので、ただちに関係の県に対して嚴重に行き過ぎのないように注意いたします。なおこの問題につきましては、聞いてみますと、何か手続に多少の疎漏があつて遅れているようでありますが、行き過ぎのないように十分嚴重に注意いたしておきます。どうぞよろしく御了承願います。
○小林(運)委員 その点ですが、実は手続に遺漏も何もない、従つてその移動に対してその証明を府県の蚕糸課長が與えるのが当然である、それに対しては法律的に何の拒否する理由がないというので、この買つた方の業者がそれに詰め寄ると、それは手続の関係で待つてくれと言うが、いくら待つていても返事がない。そこでさらに売つた方の業者に追究したところが、今度は売つた方の業者は、県の当局から逆にその売買契約を取消すようにと強要されているという事実があります。こういうような事実を十分ひとつ調べてもらいたい。そうしてこういう法律に何ら規定のないことを官憲が圧迫するというのはとんでもないことで、これは十分注意をしてやつていただきたい。なおこれについて、あなたの方で正確な資料でもありましたら、ここで御発表願いたい。
○寺内政府委員 ただいま御発表申し上げる資料は持つて来ておりませんので、御必要とあればあとで別途お届けいたします。この点につきましては、係の県の課長と先日会いましたので、私は嚴重に注意いたしておきました。よろしくお願いいたします。
○小淵委員 関連して。ただいま小林委員の質問の中の、かま数の免許について蚕糸局はどう考えるかということについて、繭の増産五箇年計画がすでに樹立されて、着々その方向に沿うて実現しつつあるから多少ゆるめて参りたい、かようなお話があつたのであります。このことはもちろん私が喋々するまでもなく、現在は製糸技術の向上と、さらにこれが科学化、機械化によりまして、すでに一かま当りの繰糸量というものは四百五十匁から五百匁であつたものが、現在できておる自動繰糸機等によつては、一かまと称するものから一貫二百匁を平均として繰糸がなされておる事実は、蚕糸局では御承知のことだと存じます。さような進歩がありますと、現在五万かま全国にあるといたしまして、五百匁で算出いたしまするならば、二千五百万貫で一箇年の原料は足りるのでありますが、かりに一貫目繰糸するということになりますと、今の設備でもちようど倍の繭がなければならない。そこにやはり原料と設備のアンバランスが、極端に反比例をした数字が現われて来るという原因があるわけであります。このときに、五箇年計画がすでに樹立されておるから、多少ゆるめて参りたいという基本的な考え方について、私は非常な疑問を持つたのであります。ただそのあとで、一体一かまというものを繰糸量によつて考えておるのか。繭の消費量を單位として考えておるかということについては、繭の消費量を基準にして、一かまというものを考えて行きたいという話であつたのであります。そうしますと、かま数というものについての観念は、一体どういうふうに考えておられるのか。この基本的な考え方についてお伺いをいたしておきたいと存じます。
○寺内政府委員 先ほど繭の生産量がふえれば、それに応じて製糸の方の免許もゆるめて参りたいと申し上げましたが、もちろん繭の生産の絶対量がふえれば、それに応じてまたふやして行くということではございませんで、小淵さんも仰せられました通り、一かまの繭の消費量が上つて来るということももちろん勘案いたしまして、その地方の産繭事情と製糸の事情とを勘案いたしまして、ふやしても混乱が起らないという見きわめをつけまして、免許をいたすのでありまして、一かまに対する産繭の数量の増加その他の点についても、十分考慮を払つて行くつもりであります。
○小淵委員 その地方の繭の増産という意味が私にはわからないのであります。たとえば日本の国以外のその地方ということであれば、これはわかるのでありますけれども、現在の企業形態あるいは原料の不足を補うという業者間の措置は、すでに全国を対象にしてある程度緩和をされて、均霑するように措置がとられておるわけであります。そのときにたまたまたとえば群馬県なり、あるいは特にかま数に対して生産が多くあるという地方に許可するということになりますと、これは結局全国的に見た場合には、不足の所はさらに不足の度を加えるということになりますので、特に増産される地方を勘案してという、そのところが私にはちよつとわからないので、その辺のことを、すつきりわかるようにお話を願いたいと思うのです。
○寺内政府委員 ただいまその地方の産繭の増加ということを申し上げましたけれども、もちろんその地方においてできました繭を、従来慣行あるいは慣例によりまして、他府県に出すという事情がございましようが、それらのものを乱してまでやるということは申し上げておるのではございません。その地方の他へ出る繭は出し、なおかつその地方で余るという事情を勘案するのでありまして、もちろん繭の生産と設備のバランスを全国的に考えなけばなりませんので、そういう点を考えまして、なおかつ余るということであれば、許可するということを申し上げたのであります。
○小淵委員 それでは全国的ににらみ合せて、当然そのバランスをとつて、正常な消化が行われて行くことを基本として考慮しておると、こういうふうに了承いたしたいと思います。そういう考えで進めていただきたいことを希望申し上げておきたいと存じます。 —————————————
○河野委員長代理 残余の質疑は次会に行うことにいたしまして、先ほど留保いたしました肥料に関する質疑を行います。通告がありますので、これを許します。中馬辰猪君。
○中馬委員 先ほど硫安協会長から経済安定本部総務長官あてに「硫安の輸出と国内価格につき御懇請の趣十分了承し、御希望に沿うこと、ここに回答申し上げます。」こういう回答があつたようでありますけれども、この御懇請の趣の内容並びに御希望に沿うことについての、さらに具体的な問題を三つだけ御質問を申し上げたいと思います。 一つは、現行価格水準というのは、過日本委員会におきまして政府答弁によつて、卸売価格九百九十二円、これは農協の場合におきましては、全購連、県連の口銭はこの九百九十二円の中に含んでおるのでありますけれども、卸売価格九百九十二円に間違いないかどうか。これ以上に上り得ないとわれわれは解釈していいかどうかということが、第一点であります。 それから、本価格について硫安協会あるいは政府において責任を持たれるという先ほどのお話でございましたけれども、その責任を持たれる時期についてでございます。これは本肥料年度、すなわち本年七月までと解釈していいかどうか。 第三点は、もし九百九十二円以上に価格が高騰した場合においては、政府はいかなる手段を講ぜらるる予定であるか。以上三点について御質問を申し上げたいと思います。
○野原政府委員 御質問の第一点の、現行価格水準というのは、御説の通り、全国平均九百九十二円ということに考えております。 それから価格の自粛をするのはいつの時期かということにつきましては、仰せのごとく、本年の春肥についての考え方であるというふうに了承しております。 それから万一価格が高騰した場合は、どういうことにするのかということでございまするが、これにつきましては、先日来農林、安本、通産の三省間に話合いがありましたときには、適切なる措置を講じまして、価格の高騰しないようにするということでありまして、その具体的な方法等につきまして、万一上つた場合のことでございますので、万一に備えての相談はまだきまつておりません。しかし硫安工業協会から、政府の勧告に対して十分誠意をもつてわれわれはこたえるつもりであるという回答も寄せられており、また安本長官官邸における話合いでは、いろいろと話合いもあり、業者間においても緊密なる連絡をとつて、政府の考え方に全面的に協力するという考え方で回答があつたやに聞いておりますので、価格がこれ以上高騰するというふうなことは万一にもないということを私どもは確信をしております。万一価格が上つた場合におきましては、その際こそ三省間におきまして、あらためて十分措置を講じたいと考えております。
○吉川委員 時間が大分なくなりましたから簡單に御質問をします。ただいまの政務次官のお答でございますが、協力するということについて、非常に誠意のある回答があつた、その価格の上つた場合には何らか適当の措置をとると言うのですが、具体的にどういう措置をとられるのか。今までわれわれは、業者が協力をしてくれたというような例を見ないと思います。それから政府と申しましても、通産省と農林省とが、生産行政をやるところと配給の方の関係とがいつも緊密な関係がとれていない。そこでいろいろ問題を起した過去の事例もあるのです。そういうことを考えますと、どうも誠意ある回答というだけでは、われわれは納得ができないのでございます。何かそれに対してもつと具体的な措置の内容でございますね、そういうところをひとつお聞かせを願いたい。
○野原政府委員 この三省間におきまして、肥料輸出に関しましていろいろ話合つて、現行価格水準を高騰せしめない、またそのための適切な措置をとり、業界の協力を求むべく勧告をし、それに対して業界の自粛を願つて、現行価格水準を上げないようにしなければならぬということで進めているわけでありまして、それに対しまして、業界は政府の意図するところを十分了承いたしまして、この勧告の線に従つて自粛をするという申合せをし、会長からそのことを正式に文書として安本長官に念のため出した。もちろんこれは紳士協定でありまして、文書をかりに出しましても、かつてなことをするようなことが万一にもないとは限らない。しかしそういうことは絶対にしないということをはつきりと言明をされているのであります。われわれは一応業界の諸君の誠意にまず信頼をするという考え方で行きたい。従来苦杯をなめさせられたという事実につきましては、私どももその苦い経験を持つております。今回特に念に念を入れまして、今までは單に話合いくらいであつたのでありますが、特に安本長官もこの点をいろいろと御心配をされまして、官邸に業界の代表の方たちの御参集をいただきまして、そうして話合いをした。なおそれを文書として残しておこうということで、先ほど朗読しましたような文書として、自粛をするという申合せになつているのであります。一応誠意に信頼をいたしたい。そして万一われわれの信頼を裏切るようなことが——自粛をすると言つておきながら政府の勧告に従わなかつたという場合が起つたならば、そのときこそ、先般私がこの委員会で申しましたように、断固たる措置をとるということを考えなければならぬと思います。その内容等につきましては、いずれまたそういう場合が起つたときに、とくと相談をして行かなければならないというふうに考えております。従つて何をやるのかということを今具体的に聞かれましても、はなはだ遺憾ながら、これに対しましては明快にはお答えできない。これで御了承いただきたいと思います。
○吉川委員 野原政務次官はたいへん苦しいお答えで、お察しができるのでありますが、これは今までにわれわれが苦杯をなめさせられた経験がなければいいのですが、あるのですよ。だからそれをまた紳士協定で、やられたときには断固たる措置をおとりになるとおつしやるのですが、それはいくら断固たる措置をとると言つたつてだめなんです。これはやはり法的な裏づけがなければだめなんです。昨年その苦杯をなめさせられた農林省は、肥料需給調整法案というものを用意されたのです。だからそれをやればいいのです。それをやる御意思があるかどうか。これはむしろ農林大臣にお伺いすべき問題かと思いますけれども、ひとつ断固たる措置の内容として、この法的な措置をとらなければ意味はないのですから、どうか再びなめられないように、そうして六百十七万農家が安心して、食糧事情のきわめて重大なときに生産にいそしめるような、そういう強力な配慮があつてしかるべきだと思うのですが、その用意があるかうどか。それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○野原政府委員 仏の顔も三度ということがありますが、農林省も決していつもそうなめられているわけには行かないと考えておりまして、一応われわれはこの際三省間の話合いと業界の協力、自粛というまじめな態度に対して敬意を払つておるわけでありますが、われわれの期待をはなはだしく裏切るというふうな事態が起つた場合におきましては、農林省としましては、今度こそは十分御質問の御趣旨にこたえるような態度で行きたいと考えております。
○吉川委員 法案の用意はございませんか。
○野原政府委員 法案の問題につきましては、すでに前にも一応の検討を終つております。また必要に応じては閣議にお諮りの上で、いつでも出せるような態勢もすでに前にあつたのであります。その点はまたあらためて、その場合になつて再検討をいたしたいと考えております。
○吉川委員 この輸出についての措置のところで、至急総司令部へ回答するとございますが、これは総司令部から何か照会があつて回答なさるのか。それからこの計画を見ますると、三月、四月、五月、六月とありますが、大体四月ごろ平和條約が効力を発生すると予想されるのですが、その條約が効力を発生した五月以降も一々総司令部の了解を求めなければならないのか、その点を伺いたい。
○野原政府委員 御承知のように肥料の輸出につきましては、特にこれは総司令部からの要請があつて出すという問題なのでございまして、こちらから特に出したいから出すというのではなくて、台湾、朝鮮等に対して、何とかひとつ日本における肥料の増産をして、増産ができたならばつとめてあの地帯に出してやつてくれという懇請によつて出すわけであります。どんなふうになつたろうかと再三あちらから連絡があるということで、こちらの方としましては、司令部に連絡をとりましてやるわけであります。今回だけでありまして、もちろん講和発効後におきましては、一々司令部の許可を得るとかいうようなことはなくなる。いろいろ日米経済協力の面で連絡の必要はあると思いますが、そういうような許可ということではない。今回は前の関連もありますので、今のところはそういうふうな連絡をもつてあちらに回答したり、許可を受けたり、そういう態度を多少講じておるわけであります。
○河野委員長代理 竹村奈良一君。
○竹村委員 いろいろ先ほどから答弁をされておるわけですが、現実に農村においては、現在実際に農家の手に入る硫安は千五十円あるいは千五十円を上まわつておるわけでございますが、これに対して輸出をするということになりまして、政府は大体適正価格としてどういう価格で——いろいろ小売価格もありますが、現実に農民が買い得る価格をどの程度で押えようとしておるのか。まずその点を伺いたい。
○小倉政府委員 お尋ねの卸売価格の水準を九百九十二円程度にいたしますと、大体小売価格は千三、四十円というところと存じます。小売価格の調査が遅れておりますので、正確なものではございませんが、私ども推定いたしますと、たとえば三月十日の調査におきましては九百九十三円になつておりますが、そのときの小売価格は千四十三円というふうに推定いたしております。
○竹村委員 そのくらいに推定している、こういうのですが、しかし実質的に農林省は今後輸出を認めるということになりますと、どういう処置をするかということを考えておやりにならないと、何がなしにそれくらいだと言われましても通らないと思う。また最近千三十円くらいだ、こう言われますけれども、たとえば関東と関西では今相当値が違うわけです。こういう事態は結局において、輸出をするというだけで買いあさるとか、あるいはその他のいろいろな関係でそういうことになつて来ると思いますが、もしこれを現実に農林省が発表されるならば、おそらく私はまた上ると思う。こういう場合に農林省が手をこまぬいて見ているということであつたならば輸出をすることは、国内の農民ははなはだ迷惑する。従つてこれ以上げない、どれだけで売るという確信ある御答弁を願いたい。大体このくらいだと言われるけれども、また四、五十円どんどん上つて来ても、現在そうなりましたというのでは話にならない。従つてこれ以上げないという確信ある御答弁を願いたい。
○小倉政府委員 小売価格に参りますまでには、メーカーから元卸、小売といつたようなルートを通ずることは御承知の通りでございますが、大体卸マージン、小売マージンというのは、私どもの推定ではほぼ一定の率をもつて今後行き得るのではないかと考えておるのであります。従いまして、メーカーの売値ということを先ほど政務次官から説明がありましたような水準をもつて限度とするということになりますれば、おのずから小売価格も大体それに従つたところで納まるだろう、こういうふうに考えておるわけであります。もつともそれだけ野放しにしておくというわけではございませんで、肥料の取扱い業者、すなわち全購連系統の組織ないし全肥商運といつた関係の業界も、メーカーが自粛しておるのだから、マージンも今後上げないようにといつた自粛を促しておる次第であります。
○竹村委員 私は現実に農民の入手する問題を考えるわけですが、たとえばここでこれだけのものを輸出に決定される、一方におきましては御承知のように、また電燈料の値上げの要求が会社から出ており、農民は結局において買いあさりすることは事実であります。これは政府が何と言おうとも、将来肥料の価格は上るだろう、従つて今のうちに買うておけ、これが農民の心理であります。片方ではそういう悪材料がそろつている。それに対して大体このくらいであろう、しかも現在行政措置としておそらくこのくらいでとめようとしたつて、私はとまらぬと思うのですが、それをそのままに野放しにされるのか、あるいは何とかするのか、この点について政務次官からお聞きしたい。あなたから確固たる措置をやつてもらわぬと、おそらくこれをやつたということだけで、一週間のうちにまた四、五十円は上りますよ。この点をはつきり聞いておきたい。
○野原政府委員 竹村委員のお話のように、現行価格をこれ以上げたくない、上げないということのために、実はわれわれとしましては肥料の輸出についてもおいそれとは承諾をしない。十分われわれの意のあるところが了承され、現行価格水準を絶対上げないという確約がなければ、われわれとしては賛成できないということで、そうして三省間と話合いがあり、業界も自粛をし、政府に協力するという態勢になつて、初めてそれならばやむを得まいということでやつているわけであります。農林省といたしましては、まつたく竹村委員の御主張に同感であり、その線に沿うて極力努力をしている最中であります。
○竹村委員 その誠意はわかりました。それでは上つた場合にどうされますか、上つた場合にほんとうに迷惑するのは農民です。もしこういうことを言うてすぐ四、五十円上る。ところが政府は努力しているが、上つたものはしようがないということになると、その誠意はわかりますけれども、現実に損するのは百姓である。従いまして、現状の一千三十円程度と言われますが、もしこれより上つた場合、農民に対する補償を考えておられるかどうか、その点を聞いておきたい。
○野原政府委員 肥料の末端における価格等はこれ以上上らないことをわれわれは確信をし、望んでいるわけであります。ただ時に輸送の事情とかいろいろな関係で、多少のでこぼこは起り得る問題であります。そういう個々のケースについて、多少地域的に上る所があつたということでもつて全部を推定するわけに行きませんのですが、ただ何としましても大元を押えて、肥料の値段はこれ以上には上らないという態勢にいたしまして、そうして進めて行く。これ以上上つた場合にはどうするかということにつきましては、先ほど御回答申し上げましたように、またあらためてそういう事態に対しては十分措置を講ずるような手配になつております。この点でひとつ御了承を願いたいと思います。
○河野委員長代理 足鹿君。簡單に願います。
○足鹿委員 簡単に他の委員の御質問と重複しないように、二、三お尋ねいたしたいと思います。 肥料の統制が撤廃になつたときに、全購連が大体統制撤廃に賛成をした。その当時のいわゆる配給ルートについての全購連の意図というものは、大体配給ルートについては農業協同組合一本やりの構想を確立し得られるものという前提に立つて、政府が農業協同組合の育成強化の面なり、消費規正なり、価格の抑制なり、いろいろな点もおそらく農業協同組合の面を通じてやるであろうという考え方に立つて賛成したものだと、そう私は解釈しておつた。ところがその後の配給の実態というものを見ておりますと、中央においてはメーカー五割、全購連五割というような形で出ているが、実際に末端に行つて見ると、その比率を見ると農協系統が七ないし八、商人筋が二ないし三、地方によつていろいろ違うでしようが、全国的に集計して見ると、多分そういう数字になつていると思います。そこで中央の流れる元は五対五でありながら、末端では七対三、あるいは八対二になるというところに現在問題があると思います。私は常に農林大臣なり、政府は農業協同組合を育成強化して行くということを言つておられますが、事実この肥料の取扱い方についても、本来ならば、実態が末端でそういう姿が出ておるならば、配給の実権というものは協同組合が中心になつて樹立しているわけでありますから、それに沿うた配給操作が行われて行けば、勢い肥料の問題につきましては、ある程度——本質的には解決つかぬが、安定への線が出て来るのではないかと思う。その点について、抽象的に農業協同組合を育成強化しようというようなことをおつしやつても、事実上そういうメーカーから見れば、やはり商権擁護の立場から、ある程度、メーカーにつながる地方の商人筋の配給量というものを確保したいでしよう。しかし実際においてはこういう状態では協同組合の配給権というものは非常に不安定である。勢い農民の要望に沿おうと思えば、ある程度無理をしなければならぬ。それがまた値上りの一つの條件をなす、こういうことが現実にありはしないかということを私は心配するのですが、政府が常に口にしておられる協同組合の育成強化の面において、肥料のいわゆる流し方、その量についてどういうふうなお考えを持つておられますか、この点をひとつお伺いしておきたい。
○野原政府委員 協同組合等の機関を通じまして、低廉な肥料が必要な時期に農家に流れるという仕組みが一番好ましいことであり、また当然そうなくてはならぬと考えておるのでありますが、ただいまのお話のように、まだ協同組合が十分なる機能を発揮していないことは、遺憾ながら事実であると思うのであります。それに対して今後いかにしてやるかというふうなことにつきましては、ひとつ愼重に検討いたしまして、御要望に沿うように善処いたしたいと考えております。
○足鹿委員 協同組合が機能を発揮しておらないとおつしやいますが、機能を発揮できるのですよ。現在の協同組合が肥料の一手配給をやるような、大半の量が協同組合を通じて流されるような措置を、政府が行政措置でおやりになるならば——あるいは別途に法律でおやりになるならば別でありますが、協同組合はけつこうやれますよ。ぼくはそんなことは決して御心配はいらないと思う。ただいわゆるメーカー側は、商権擁護の立場から全部これを協同組合側にまかせたくない心境にあることは、これは業者としてはそう考えるのはやむを得ないでしよう。しかし、そこに先刻私が指摘したように、中央においては五対五のものが、地方に行くと協同組合が実際においては配給上の絶対権を持つている。その絶対の線に沿うように地方においても流して行くような措置を、行政的な措置としておとりになるかならないかということで、協同組合はいくらでもやれます。それは野原さん心配はいりません。今の価格の点、いろいろな点で触れ合いましたが、そういう点をおやりになれば、実際問題として私はやれると思う。現在農民の要望にこたえ得るような量を、協同組合を通じて農家へ流して行くという措置をおとりになることが、私は非常に大事な問題ではないかと思う。それは協同組合育成の線とも矛盾しないし、当然政府がいつも口にしておられる理論に即応したやり方ではないか、その点について私は聞いているのである。ところが協同組合は何ら能力がないので、今後はそういうふうに持つて行きたいというような野原さんの御忌見でありますが、そうではない、やれます。やれるが、協同組合に配給の指導権をお與えになるような措置を講じ、メーカーに対しても手を打たれ、また商権侵害だとか何とかいうことのないように、どしどし協同組合育成強化の線に沿い、協同組合から配給を受けたいという農民の意思に沿うた措置をお講じになることが、やはり肥料価格安定の重大な條件ではないかと思いますから申し上げておるのであります。その点について伺いたい。
○野原政府委員 私の申し上げたことをあるいは誤解されたかと思いますが、私も協同組合を通じて行くならば、協同組合が十分その機能を果して行ける態勢にあるということは存じております。ただ協同組合の実力と申しますか、力がまだ十分でない。まだ協同組合は理想な姿に発展して行く過程にあるのであるというふうに考えておるのでありまして、その協同組合を育成強化するという面から行きましても、当然協同組合にできるだけ多くのものを流して、十分その機能を発揮してもらうという方向に努力をいたしたいと考えております。ただこれは肥料ではありませんが、他の問題について私が一、二関連をしたことがありますが、たとえば協同組合にせつかく扱わせようと思つて扱わせたところが、どうも実力がないために、どうしてもやれません。たとえば塩の問題、塩なども大いに協同組合に扱つてもらうべく努力したところが、やつてみた結果が、どうしても力が弱いというか、協同組合の手によつて末端の配給機関としての力が発揮できなかつたというために、きわめてわずかなものだけを今日扱つておるというような事例もございます。これは政府がやらせるといつても、やはり受けた協同組合の力そのものが十分にありませんとできない場合があるのであります。その点は少くとも協同組合もひとつ力を持つて、いろいろな中間業者等の寄りつく余地のないような強力なものにしなければならぬ。これはうらはらな問題になると思いますが、やはり協同組合の育成強化が第一だ、そのためにはできるだけ多くのものを流すような行政措置も強くやる必要があるという点は、まつたく御同感でありますので、その点は今後もひとつ十分検討しまして、協同組合に対しては、肥料をできるだけ多く流すような措置を今後も考えたいと思うわけであります。
○河野委員長代理 この機会に私から一言政府にお尋ねいたします。先ほど来各委員の方々から、今後の価格につきましての質疑があり、これに対する政府の答弁を聞いておりますと、要約するに九百九十二円の問題であります。これは商人の方面におきましては、土地により、人により、その信用力によつて、九百九十五円もあり、また千円もあり、一方において九百七十円もあるということになると思いますが、全購連に関しましては、全国を一本にして買つております関係上、この平均価格の九百九十二円の線を越えた価格というものは、本肥料年度中すなわち春肥の終了するまではあり得ないというふうなことに、要約すればなると私は思うのであります。そういうことに間違いがないかどうか。重ねて申し上げますが、全購連がもし今後春肥として手当てする場合には、卸口銭が内容に含まれておりますから、全購連の口銭並びに県購連の口銭を内口銭として九百九十二円以上のものは全購連対メーカーの間では取引はあり得ない。もしあつた場合には、政府が先ほど来申されるところの、その際は断固たる措置をとる、私は政府の答弁を具体化すればそういうことになると思いますが、それでよろしゆうございますかどうか、これをひとつ伺つておきたいと思います。
○野原政府委員 ただいまのお話の線になると考えております。
○河野委員長代理 それでは農林省は先ほど来の断固たる措置をとる、その断固たる措置をとる時期は、九百九十二円をかりに上まわらなければ全購連が買えないというような事態が生じたときはその時期である、こういうふうに解釈してよろしゆうございますね。 他に御質疑がなければ、本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後一時十二分散会