内閣委員会 第33号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/06/16
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 本日は、南方連絡事務局設置法案、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。両案を一括して質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。平川篤雄君。
○平川委員 現在の琉球政府立法院及び住民が日本復帰について強い要望を有しておるとわれわれは聞くのでありますが、そういう点について政府はこれを御確認なさつておいでになるかお聞きしたいのであります。
○和田説明員 政府としましては確認している次第であります。よく存じております。
○平川委員 信託統治協定を結ぶ提案の権利というものをアメリカが保有しておるとわれわれ承知しておるのでありますが、われわれとしては何とかして、米国が自発的な立場からこの権利を放棄してもらいたいということを、強く念願をしておるのでありますが、そういう点について御要求になつたことがあるか、あるいは要求しておられないにいたしましても、将来そういうことを考えておいでになるかどうかというようなことについてお聞きしたいのであります。
○和田説明員 御承知のように、サンフランシスコ会議の調印の際に、吉田総理は、琉球の領土権が單に潜在的に残るということにとどまらずに、名実ともに一日も早く日本に復帰することを希望するということを明瞭に希望されておるのであります。われわれとしてはその希望にはかわりなく、それを推進いたしたいと思うのでありますが、ただいまのところ、その点に関して具体的に外交交渉を起しているということはございません。
○平川委員 信託統治協定が結ばれるかどうかという見通しにつきましては、まだそれがどうなるかということは全然わかつていないという御答弁が前回の委員会であつたのでありますが、さしあたり米国の管理下にあるわけであります。もしそういうふうな信託統治協定を結ぶ提案の権利を放棄してもらうというようなことができないにいたしましても、事実米国の管理下にある行政を、何とか米国と交渉して、事実上日本に委任してもらうというようなことができれば、たいへん現地の住民は満足をするわけであります。そういう点について可能性があるか、あるいは御要求をなさる御意図があるか、こういうようなことについて御答弁を願いたいと思います。
○大江政府委員 ただいまの御質問の信託統治に関しまする先方の方針につきまして、わが国がこれを放棄するように要求するというようなことは、これは先方の国内問題でもございますし、なかなかデリケートな問題だろうと思いますので、この点はよほど情勢の進展その他を見きわめなければ、軽々に何とも言えない問題だろうと思うのであります。そこでただいまお話の島民の要望にこたえて、日本側に徐々に行政権を委讓してもらうというような点につきましては、これは今後日本政府としてでき得る限り現地の情勢あるいはその他の国際情勢の推移とも間連いたしまして努力いたしたい、こういうふうに考えております。
○平川委員 ただいま全般の地域について申したのでありますが、特にもと鹿兒島県に属しておりました奄美大島で詰りますが、私聞くところによりますと、なかなかここはもういわゆる平衡交付金制度というようなものもないわけで、元来鹿兒島へ出かせぎをいたしましたり、その方の仕事によつて、あるいは補助によつてやつておつたようなところであるために、非常に自治団体として独立をする力が現になくて非常に困つておるということを聞くのであります。ことに内地との関係が非常に密接であつて、ただいまのように沖繩に政府ができて、いわばこの奄美大島というものは沖縄に対する地方という関係になつておる。ところが元来はこれは鹿兒島に対する地方でありましたために、いろいろ風俗、慣習その他経済事情一般にずいぶん違つた特殊事情があるわけであります。こういうようなことを考えてみましたときに、那覇に中央庁があつて、支局でありますか、それが那瀬にできるにいたしましても、そこらの根本問題を解決するのには非常に困難であるのではないか、こういうふうに考えられるのです。鹿兒島県に実際行政が委任せられるということになると、一番これがいいわけでありますが、そのような交渉もただいままでの御答弁を聞いてみますと、すぐやれるとかなんとかというようなお答えはできないように思われるのです。ひとつその暫定的な措置としまして、いろいろな事務を扱いますところの支局と申しますか、あるいは出張所というか、分室というか、そういうものを鹿児島市に置かれる方が、奄美大島及びその周辺の島々との関係は、仕事が非常にうまく行くのではないかと思われます。そういう点についてどういうふうなお考えを持つておられるか、お聞きしたいのであります。
○大江政府委員 ただいまのお話は、現在のところまだ実は考えておらなかつたのでございますが、現実問題として那覇あるいは那瀬にそういう出張所を出しまして、さらに内地との連絡、ことに中央とも連絡の関係もございまして、もしお話のような、鹿兒島にそういう事務所を置くことが非常に便利であるということになりますれば、これは研究すべき問題だろうと思つております。将来の研究の課題にいたしたいと思つております。
○平川委員 特につけ加えておきますが、沖縄本島那覇へ奄美大島から通う船は非常に少いのですけれども、逆に鹿兒島市へ向けて通う船というものは非常に多いのです。いろいろな島民の生活は、那覇との関連でなしに鹿兒島との関連において強いように思われますので、ひとつこの点は至急に御研究の上善処されたいと思うのであります。それから琉球在留民がいろいろな点で内地と一体化をはかつてもらいたいということを強く希望しておりまして、ことに教育問題や何か、内地並にやりたいということを非常に強く要望しておるわけであります。こういうような問題を事務局が解決いたしますのにどのくらいの権限を持つておるのか。あるいはその事務局が今からいろいろな行政面にタツチして行く過程において、さような問題を解決して行こうという御意図が今回の設置に含まれておるのではないか、こういうふうに私どもは善意にも解釈をいたしてみたいのでありますが、さような点でどういうふうな御見解であるかお聞きしたいのです。
○大江政府委員 ただいまのお話で、そういう各行政面、ことに教育の面につきまして、内地と一体化になりたいという現地の御要望はきわめてよくわかるのでございますが、今回設置いたしまする事務所におきまして、ただちにそういう措置をとり得る、あるいは先方と交渉するというだけの実は権限はないわけでございまして、これは将来そういう方向に持つて行く一つのステツプとして事務所をおき、いろいろな先方との連絡その他十分研究した上にやりたい、現在ではそういう権限はないものというふうに考えております。
○平川委員 本案に対しまして特別に討論をいたさないつもりでございますが、私どもこれに賛成したいと思います。それにつきましては、ただいま外務当局の方にお聞きしました六つの問題は、私どもの要望事項としてお受取りを願いたいのであります。この事務局が将来くさびになりまして、ただいま申し述べたような点が一日も早く解決せられますように要望いたしまして質問を打切ります。
○八木委員長 これにて両案についての質疑は終局いたしました。この際引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案に対し、青木正君より修正案が提出されておりますので、修正案の趣旨説明を求めます。 —————————————
○青木(正)委員 私は引揚同胞対策審議会説置法の一部を改正する法律案に対して修正の動議を提出いたします。修正案の内容につきましては、お手元に配付いたしておりますので、朗読を省略いたしまして速記録にとどめさしていただきます。提案の理由といたしましては、きわめて事務的な修正でありまして、御承知のごとく、今回の行政機構改革によりまして引揚援護庁がなくなりまして、内局となるのであります。そこで引揚援護庁長官を原案によりますと、引揚援護庁長官が委員になることになつておりますので、これを削除するというだけのことであります。つまり行政機構改革に対応して條文を整理しよう、こういう内容であります。何とぞ御賛同をお願いいたします。
○八木委員長 これにて修正案の趣旨説明は終りました。 これより南方連絡事務局設置法案及び引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案、及び同修正案を一括して討論を行います。討論の通告がありますからこれを許します。井之口政雄君。
○井之口委員 ただいま議題になりましたところの南方連絡事務局設置法案並びに引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案並びにその修正案、この三法案に日本共産党は反対いたします。 その理由は、元来琉球諸島、小笠原島、奄美大島等々は、これはポツダム宣言によりましても、なおかつヤルタ協定等々によりましても、国際的に日本に帰属すべきごとが公約として認められているころである。アメリカ自体においてさえもこれは認めたところのものである。そうして当然、サンフランシスコの講和條約が締結されるあの場合でありましたら、日本政府は強力にこれの日本への復帰を主張いたしまして、そうして日本の内地同様に取扱われなければならないところの島々であります。それが国際的に言つても当然でありまするし、また日本の民族といたしましても要求するところでありまするし、一切の点から見てこれは当然なのであります。しかるにこれらの諸島は、一体日本の領土なのか領土でないのか、これも不明であるし、ここに住んでいるところの住民は約百万に達しておりまするが、この人たちが日本人であるのかないのかもわからないというふうな状態に放置してある。この根本的な問題を政府は一向に解決しようとしないのであります。そうしておいて、今度アメリカから去る四月十四日に渡航、貿易、恩給の支拂い、戰没者遺骨の処理等に当るために早急にこうした機関を設置しろという命令が出て、そうしてそれに従つてこうしたものをつくるというのですが、これでは島民自体の要求を満足せしむるものでもなく、また日本民族が統一して、そうして彼らが祖国へ帰りたいという要求、並びに帰したいという日本全国民の要求にも一致するものではない。わずかにちよつとした便宜をはかるところの事務局を置いて、そうしてお茶をにごして、それでもつて重大な根本問題をごまかしてしまおうということになりましたならば、いつの日にかこれらの諸島が日本に帰属するか帰つて来ることは不可能になつてもまうのであります。われわれはここは大胆に、これらの諸島が日本に復帰することをまず前提に置き、そうして復帰のための根本的な政策というものを立て、そうして今日これが実質上軍事的な信託統治になつていることに対して反対し、ここからアメリカ軍隊の撤去を要求いたしますならば、これらの諸島からの国民の往復ということも自由になりますし、通信その他の連絡も自由になりまするし、それから今まで多くの、ここの島民が日本に置いておきました郵便貯金であるとか、その他の凍結された財産というものの送付も自由になりますし、かつ今アメリカがこれらの島々において軍事基地としていろいろな設備を施し、島民の自由を奪い、政治的な隷属を強制しているような状態も、みななくなつてしまうのであります。しかるにそういうことはやらないで、單に連絡事務所というふうな、こうしたものを設けて、そうしてますます隷属をしいる、ごくわずかな改良的な要求のために大きな根本的な問題を日本から失わせてしまうというのがこの法案のねらいなのでありましてこういう法案に対しては、日本共産党としては、賛成することができないのであります。全島民の要求通り祖国日本へ復帰せしめよ、そのためにアメリカ軍隊をこの地方から撤去させ、自由なる日本の領土としてわれわれの同胞としてこれらの人たちを迎え入れるという方策に進んで行くべきものであります。 さらに後者の引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案に対しましては、もう今までこの引揚同胞対策審議会がやつて来たところの事業の内容を見ればわかるのであります。今日海外からの引揚者というものは、明確にもう引揚げて参つております。しかるにソ同盟にまだ約三十数万の残留者がいるなどという、そうしたデマを振りまくところのためにしか活動していないというような状態であります。むしろ南方地域からまだ最近帰つて来ておりまするが、そうした未引揚者の数でさえも発表しない。そういう方面はサボつておつて、ひたすら明確に千数百人の戰犯者しかいないと向うも責任のある声明をなしているソ同盟の残留者に対して逆宣伝を放つというふうな仕事だけしかやつていないのであります。もし三十数万人が向うにいるとするならば、それらの未帰還者の府県別、それから生死別等日本において明確に発表するがよろしい。今自由に手紙の往復はできるのでありまするから、向うに残留している戰犯者であつても、許される範囲において通信はできておる。でありまするからして、それを発表して、そうして確かに明確にこれだけのものがいる、あるいはその他の地区に対しても、まだどんどん帰つて来るところを見ますると、現実にいるのでありまするからして、そういうものを正確に算定して発表し、国民の疑惑を取除くというふうな仕事はやらないでおいて、ひとえに政治的な意図のもとにこの審議会が使われているということに対しては、われわれは反対せざるを得ぬのであります。最近、なるほど中国人民共和国に大分残留邦人がいるようでありまして、そういう人たちから手紙がどんどん参つております。のみならず日本の民主正義の運動に対して、これらの人たちが、向うにおいて民主主義的な発達を遂げていろいろな送金なんかもどんどん送られて来ております。たとえば松川事件のあの被告が、これが全然無罪であるにかかわらず死刑が宣告されているということを聞いて、向うにいる日本人のわが同胞の残留者が、これはけしからぬ裁判である、こういう裁判を日本において今でも行わしめるということは、われわれは見るに忍びない、どんどん社会運動を起して、これの救済をしなければならぬというので救済金なんかが送つて参りました。なお残留遺家族に対しても中国から送金をこの人たちはばかつている。しかるにそれがイギリスの香港政庁によつて差押えになりまして、そうして日本へそれが渡つて来ないというような状態になつておる。ところがそれならば日本の政府は審議会においてこれらの問題を問題とでもしたことがあるかと申しますと、それらの問題も何ら問題にしてない、こないだの委員会において私が質問いたしましても、そういうことは初耳だというふうなことである。これではやるべき仕事をやらないでからに、單に反共反ソの宣伝にこの審議会は利用されているということをわれわれは認める。こうしたものに対してわれわれは賛成しかねるのであります。なお日本の遺家族の方々、または引揚げて来られた後のいろいろな援護をこれが協議するというふうなことも目的になつておりまするが、今日政府のやり方を見てみますると、あの戰傷病で白い着物を着ている兵隊さん、あれの救援でさえもできておらない。やはり汽車の中なんかで今でもこじきしているという状態、遺家族に対しては線香代しか出さないということを大蔵大臣自身も言つているような状態、そうした方面から見てみましても、引揚者でぴんぴんしている人たち、またはからだはぴんぴんしていても家財を失い、今までの職を離れ、失業のうき目に泣いているような人たちに対して、何らの施策を施していないのが、これまでの実績なのであります。こうした審議会をまた一年も延期して、国費二十七万円も使つて 單にそこに集食うているところの官僚が職を得ているということになる結果を現実にもたらしているような状態であるのでありまして、それに対してわれわれは賛成して将来もそれを継続させるということにはどうしても忍びないのであります。これはもう役割を勤め終つているのだから、むしろ新しい別個の法律をもつて引揚者に対して、職がない者、あるいは家財を失つて生業をめちやめちやにされた人たち、そうした人たちに対してそれを徹底的に保護すべき別個の法律をつくるまた未引揚者に対しましては何もこうしたものを持たぬでも政府がやろうと思えばいろいろな機関において十分なされ得るのでありまするからして、問題は要するに誠意の問題になつて来ている。今の政府の階級的立場ということに問題はなつて来ているのでありますから、こうしたものをこしらえて逆宣伝に使われることに対してわれわれは反対せざるを得ぬのであります。 修正の案はただ字句を修正しただけで、根本的な点において何ら改正をされておりませんから、同様にこれに対して反対せざるを得ぬのであります。以上をもちまして、われわれの反対の理由を明らかにしておきます。
○八木委員長 鈴木義男君。
○鈴木(義)委員 日本社会党は、御承知のように平和條約を審議いたしまする際に、信託統治ということには賛成できない。共産党の井之口君が申しましたように、われわれはやはり琉球も西南諸島も日本の領土と考えておるのであつて、もし軍事的にアメリカがこれを利用する必要があるためにということであるならば、日本内地も同じように利用されておるのであるから、これをしいて別個の統治形態に持つて行く必要はないということを主張したことは御承知の通りであります。今もその主張はかわりがないのであります。ただ信託統治にはまだなつておらないようでありますが、とにかく日本内地とは違つた外国の管理下に置かれておるいうことは遺憾でありまするが、事実としては認めざるを得ない。そうでありますならば、一応連絡機関を設けることはやむを得ない必要でありまするから、これには賛成はいたすのでありますが、一日も早く正規の日本の領土として取扱うことのできるようにすることを希望いたしまして、賛成の意を表しておく次第であります。
○八木委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決を行います。まず南方連絡事務局設置法案について採決を行います。本案について賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○八木委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 次に引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案について採決を行います。 まず青木正君提出の修正案について採決を行います。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○八木委員長 起立多数。 次に修正部分を除いた原案について採決を行います。修正部分を除いた原案に御賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○八木委員長 起立多数。よつて本案は青木正君提出の修正案通り修正議決いたしました。 ただいま議決いたしました両案についての委員会報告書の作成については委員長に御一任願います。 本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後二時四十四分散会 ————◇—————