内閣委員会 第21号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/05/14
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 本日の議題は保安庁法案外八法案について、公報所載の諸法案を議題といたしますが、まず午前中は保安庁法案、海上公安局法案、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行います。 保安庁法案につきまして、江口次長より補足説明をいたしたいとの申出がありますから、これを許します。江口次長。
○江口政府委員 保安庁法案の提案の趣旨及びその要点につきましては、先日国務大臣より説明がありましたので、以下私からは本法案の内容について、順を追つて御説明申し上げたいと存じます。 本法案は、第一章総則、第二章組織、第三章職員、第四章行動及び権限、第五章雑則、第六章罰則の六章と、附則よりなつており、本文九十三条、附則二十一項であります。 第一章は総則で、この法律の目的、保安庁の任務、権限及び定員、並びに長官、次長等について規定しております。 まず保安庁は、総理府の外局として設置されるのでありまして、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する保安隊及び警備隊の部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備、救難の事務を行うことを任務とするものであることは、先日国務大臣より説明があつた通りであります。ここで保安隊と申しますのは、次に出て参りまする保安庁長官、次長、長官官房及び各局、第一幕僚監部並びに第一幕僚長の監督を受ける部隊、その他の機関を包括する観念でありまして、警備隊と申しますのは、保安庁長官、次長、長官官房及び各局、第二幕僚監部並びに第二幕僚長の監督を受ける部隊、その他の機関を包括する観念であります。次に長官及び次長につきましては、他の類似の機関におけると大体同様の規定を置いております。ただ、長官には国務大臣をもつてあてることとしており、また、部隊等に対する指揮監層の統一をはかり、これが執行を能率的ならしめるために、第一幕僚長または第二幕僚長の監督を受ける部隊その他の機関に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行うものとしております。 次に保安庁の職員の定数は、海上公安局に勤務する職員を除いて十一万九千九百四十七人でありまして、うち十一万人が保安官、七千五百九十人が警備官で、その残りの二千三百五十七人が次に述べます長官官房及び各局や附属機関、部隊等において勤務するいわゆる制服を着ないその他の職員であります。 第二章は、組織に関する規定であります。保安庁には、内部部局として長官官房、保安、人事、経理及び裝備の四局並びに第一及び第二の各幕僚監部が置かれるほか、附属機関、部隊その他の機関並びに海上公安局が置かれるのであります。 まず内部部局について申しますと、長官官房及び各局は、保安隊及び警備像に関する方針の策定及びその一般的監督について長官を補佐することを主たる任務とする機関であり、第一及び第二の各幕僚監部は、それぞれ保安隊または警備隊の隊務に関し專門的助言を行い、かつ部隊等に対する長官の命令の執行に関する事務を行う機関であります。このように各幕僚監部は、部隊等に対して長官の命令を執行する機関でありますが、保安隊及び警備隊の方針の策定及び一般的監督に関しては、すべて長官は、長官官房及び各局の補佐を受けてその職務を行うものとしたのであります。そこで先日国務大臣の説明のありました趣旨に従いまして、長官、次長を初め、長官官房及び各局の職員のうち課長以上の職員は、特に旧正規陸海軍将校または三等保安士以上の保安官もしくは三等警備士以上の警備官の経歴のない者のうちから任用するものとしております。これと同時に他面、長官官房及び各局に、保安隊及び警備隊の隊務の実情を反映させるとともに長官官房及び各局と幕僚監部、部隊等との緊密な連絡を保持するために、幕僚監部または部隊に所属する保安官または警備官を長官官房及び各局に勤務させる道を設けております。 幕僚監部は、前述のごとく保安隊担当の第一幕僚監部と警備隊担当の第二幕僚監部があります。幕僚監部の長は、幕僚長でありまして、これはそれぞれ保安官または警備官をもつて充て、保安隊または警備隊の隊務に関し、最高の專門的助言者として長官を補佐するものといたしております。保安隊及び警備隊の指揮権は、すべてもつぱら長官に属するのでありまして、幕僚長は、部隊等に対してただ長官の命令を執行するものであります。また幕僚長は、幕僚監部の長として、長官の指揮監督を受けてそれぞれの幕僚監部の事務を掌理し、保安隊または警備隊の隊務及び所部の職員の服務を監督するものといたしております。なお、幕僚監部には、部及び課を置き、幕僚副長その他の所要の職員を置くこと等について必要な規定を設けております。 次に保安庁の附属機関でありますが、一として保安隊及び警備隊の管理運営に関する基本的な調査研究をするとともにその幹部職員を訓練する保安研修所、二として将来幹部保安官または幹部警備官となるべき者を訓練する保安大学校、三として保安隊及び警備隊の裝備品等について技術的研究を行う技術研究所を置くこととして、これに必要な規定を設けました。 次に保安庁に、前述のごとく保安隊及び警備隊の部隊を置くほか、第一幕僚長または第二幕僚長の監督を受ける訓練施設その他の所要の機関を置くこととしこの部隊の組織及び編成並びにこれらの機関の組織及び所掌事務は政令で定めることといたしております。 前述いたしました保安庁の任務のうち、海上における警備救難に関する事務を担当する機関として海上公安局を置きます。この組織、所掌事務、権限等については、先日国務大臣より説明があつたごとく海上公安局法をもつて規定することとせられておるのであります。 第三章は、海上公安局に勤務する職員を除いた保安庁の職員についての任免、分限、懲戒、保障及び服務に関する規定であります。この職員の給與に関しては、別に提案いたされます保安庁職員給與法案にゆだねております。 この保安庁の職員は、その任務の特殊性からいたしまして、現在の警察予備隊及び海上警備隊の職員と同じく、これを国家公務員法上の特別職といたしましたほか、職員の身分取扱いについてはおおむね現在の警察予備隊及び海上警備隊の職員の身分取扱いにならうことを建前として規定しております。 まず保安官及び警備官の階級は、現在の制度をそのまま踏襲して、保安官については二等保査以上保安監まで十四階級、警備官については三等警査以上警備監まで十五階級を設けました。また職員の服制、任免等についてもおおむね現在の制度にならつて規定いたしました。ただ、保安官のうち保査長、一等保査及び二等保査は、二年を期間として任用されることとなつておりますので、後に述べます内閣総理大臣の命令により出動を命ぜられている場合その他二年の任用期間が経過したことによりこれらの者が退職することが、保安隊の任務遂行上に重大な支障を及ぼすと認めるときは、長官は、六箇月以内の期間を限つて二年の任用期間を延長することができるという特別の規定を設けました。 職員の分限、懲戒及び保障についても、おおむね現在の警察予備隊及び海上警備隊の例にならつて規定したのでありますが、ただ、停年制については、海上警備隊の例にならい、警備官のみならず保安官についてもこれを設けることといたしました。 また保安大学校の学生は、一般の職員とはその身分取扱いを異にする必要を認めますので、その分限及び懲戒について特例を規定しております。 次に職員の服務につきましてもおおむね、現在の警察予備隊及び海上警備隊のこれに関する規定にならつて規定いたしました。ただ、保安庁の職員の職務の特殊性にかんがみまして、その団体的規律を保持し、その職務を全うせしめる見地から、勤務態勢、服務遂行の義務、指定場所に居住する義務等を明確に規定することといたしました。そしてこれらの服務に関する規定に関連して、第六章において、上司の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者、後に述べます長官の出動待機命令を受けた者で職務の場所を離れまたはこれにつかないで一定の期間を過ぎたもの、正当な権限がなくてまたは上司の職務上の命令に違反して部隊を指揮した者、争議行為、怠業行為をした者等に対する罰則を規定いたしました。なお、後述いたします内閣総理大臣の命令による保安隊または警備隊の出動の場合は、事態最も重大で、まさに職員がその職責を盡し、使命を全うすべきときでありますので、この場合においては、上述しましたような行為をした者に対する刑を加重しまたはその所罰の範囲を広げる等の措置を講じております。 第四章は、保安隊及び警備隊の行動及び権限に関する規定であります。まず保安隊及び警備塚の行動すべき場合についてでありますが、これには、内閣総理大臣の命令による出動、都道府県知事の要請に基く出動、海上における警備行動及び災害に際しての救援のための派遣の場合を規定しております。 内閣総理大臣の命令による出動は、非常事態に際して治安の維持のため特別の必要があると認める場合に行われるものであります。この場合においては、内閣総理大臣は、出動を命じた日から二十日以内に国会の承認を求めることを要し、もし国会が閉会中であるかまたは衆議院が解散されているときは、その後最初に召集された国会においてすみやかに、その承認を求めなければならないこととしております。そして不承認の議決があつた場合はもとより、出動の必要がなくなつた場合には、すみやかに出動した保安隊または警備隊に対して撤収を命じなければならないことといたしております。 なお、これと関連して警備隊にこの出動命令があつた場合において特別の必要があると認めるときは、長官は、海上公安局の全部または一部を警備隊の統制下に入れることができること、及び事態が緊迫し、この出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、長官は、内閣総理大臣の承認を得て、保安隊または警備隊の全部または一部に対して出動待機命令を発することができることを規定しております。 都道府県知事の要請に基く出動は、都道府県知事が治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合において、当該都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に要請し、内閣総理大臣もまた事態やむを得ないと認めて、部隊の出動を命じた場合に行われるものであります。この場合におきましては都道府県知事は、事態の收まつた後すみやかに当該都道府県の議会に報告しなければならないものといたしております。また、都道府県知事から撤収の要請があつた場合はもちろん、出動の必要がなくなつたと認める場合には、内閣総理大臣は、すみやかに部隊の撤収を命じなければならないこととなつております。 海上における警備行動につきましては、現在の海上保安庁法中の海上警備隊に関する規定にならつて規定されたもので、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため緊急の必要がある場合に、長官が警備隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命じたときに行われるものであります。ただ、長官は、この命令を発するには、内閣総理大臣の承認を得なければならないものといたしております。 災害に際しての救援のための派遣でありますが、これは、天災、地変その他の災害に際して人命または財産の保護のため必要がある場合に、都道府県知事その他の者の要請に基き、あるいは特別の事情のあるときはこの要請をまたないで、長官またはその指定する者が救援のため部隊の派遣を命じた場合に行われるものであります。 以上いずれの場合にも、部隊は行動に際して、その関係ある都道府県知事、市町村長、警察機関その他の国または地方公共団体の機関と相互いに密接に連結し及び協力するものとしてこれを明白に規定いたしました。 以上述べました冬行動の場合において、保安隊及び警備隊がその本来の任務を最も有効適切に遂行するため必要な権限、武器の使用等について規定したのが、第六十八条から第七十五条までの規定であります。 内閣総理大臣の命令により出動した場合には、保安官または警備官は、その職務の執行については、警察官または海上公安官と同じく警察官等職務執行法または海上公安局法中海上公安官の現場付近の人または船舶に対する協力請求、船舶への立入り、船舶停止命令等の職権に関する規定によることにいたしております。また現在の警察予備隊の警察官及び海上警備官と同様この場合には現行犯人のほか、被疑者の緊急逮捕ができることといたしております。保安官及び警備官は、この出動を命ぜられた場合には、これらの規定によつて任務を遂行するのでありますが、ただこの場合の武器の使用については、警察官等職務執行法の規定によるほか、職務上警護する人、施設または物件が暴行または侵害を受けまたは受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか他にこれを排除する適当な手段がない場合、及び多衆集合して暴行もしくは脅迫をしまたは暴行もしくは脅迫をしようとする明白な危険、があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧しまたは防止する適当な手段がないと認める相当の理由がある場合において武器の使用を認めることといたしております。もつともこの場合においても、武器の使用は、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で許されるにとどまることとしております。なお、武器の使用については、一般に正当防衛または緊急避難に該当する場合を除き、当該部隊指揮官の命令によらなければならないものとし、正当の理由なく武器を使用した者に対しては、第六章において罰則を規定しております。 都道府県知事の要請に基く出動の場合における保安官または警備官の職務の執行についても、前同様警察官等職務執行法または海上公安局法中海上公安官の現場付近の人または船舶に対する協力の請求、船舶への立入り、船舶の停止命令等の職権に関する規定によるのでありますが、この場合、現行犯人のほか被疑者の緊急逮捕ができることも前同様であります。ただ武器の使用については警察官等職務執行法の規定の範囲にとどめて認めることといたしております。 海上における警備行動の場合の警備官の職務執行については、海上公安局法中海上公安官の現場付近の人または船舶に対する協力請求、船舶への立入り、船舶の停止命令等の職権に関する規定並びに警察官等職務執行法第七条の武器の使用に関する規定によるものであります。なおこの場合においても前同様現行犯人のほか、被疑者の緊急逮捕の権限も認めております。 災害派遣時の権限としては、ただ海上においてのみ、三等警備士補以上の警備官の職務執行について海上公安局法第十一条の規定を準用して現場の付近にある人または船舶に対し必要な協力を求めることができることとしております。 以上は保安隊または警備隊の出動の場合における権限でありますが、このほか保安官または警傭官については、次のような権限を認めることとしております。 その一は、保安官または警備官が保安隊または警備隊の武器庫、彈薬庫または火薬庫を警備するにあたり、人または武器庫等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができることとしたことであります。但し、正当防衛または緊急避難に該当する場合を除き、人に危害を與えてはならないものと規定しております。 その二は、保安官または警備官のうちで部内の秩序維持に專従する者は、現在の警察予備隊または海上警備隊について認められていると同様、保安官及び警備官等に関する犯罪、保安庁の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪、保安庁の所有しまたは使用する物件に対する犯罪について司法警察職員として職務を行うことができるものとしたことであります。 第五章は雑則でおります。本章中には募集事務の都道府県知事及び市町村長に対する一部委任等に関すること、保安庁の礼式及び表彰に関すること、現在海上保安庁の航路啓開所で行つております機雷その他の爆発性の危険物の除去及び処理を警備隊が行うこと、保安隊の訓練目的に適合する場合において国または地方公共団体の土木工事を引受け得ること、警備隊と水路官署及び航路標識官署との関係に関すること、保安庁の使用する船舶、航空機の標識に関すること等についての必要な規定が置かれております。 以上述べましたところのほか、本章中にはなお他の関係法律の適用除外及び特例について規定を置いております。すなわち保安隊及び警備隊の現状及びその任務の特殊性にかんがみまして、現在の警察予備隊または海上警備隊についてと同様、労働組合法、船員法、船舶安全法、船舶職員法、電波法等の適用を除外することとしたほか、銃砲刀剣類等所持取締令、火薬取締法及び航空法について必要な除外及び特例の規定を設けることとしておるのであります。 第六章についてはそれぞれ関係のところで概略を述べましたので、最後に附則について御説明申し上げます。 この法律は、昭和二十七年七月一日から施行するのでありますが、既に国務大臣から御説明がありましたように、警察予備隊は、本年十月十五日に廃止することとしております。従つて保安庁は、七月一日から発足いたしますが、この法律中保安隊及び保安官にかかる部分は、原則として十月十五日から施行することといたし、それまでの間は、警察予備隊を保安庁の機関とし置き、保安庁長官が同時に警察予備隊の長として、次長、長官官房及び各局並びに第一幕僚監部の補佐を受けてこの事務を行うこととし、この趣旨百をもちまして警察予備隊令の改正その他の必要な規定を設けております。 次には、この法律の施行に伴う職員の身分取扱いについてでありますが、警察予備隊及び海上警備隊の職員は、それぞれ原則としてこの法律施行の日において保安庁の相当の職員になるものとし、ただ、本年十月十五日以後においてなお警察予備隊の警察官としての任用期間の残つております者については、保安官となつた後においても、その任用条件、身分及び服務並びにこれらの者に対する罰則の適用については、その間、なお従前の警察予備隊の警察官に関する規定の例によるものといたしております。 その他本年七月一日以後十月十四日までの間において警察予備隊の警査長以下の警察官に採用されまたはこれに再任用される者の任用期間並びに本法の施行に伴い必要となる地方自治法等の一部改正の規定を置いております。以上をもちまして本法案の内容の概略についての御説明を終ります。
○八木委員長 質疑の通告がありますから、順次これを許します。松本君。
○松本(善)委員 ただいま保安庁法案の提案の理由を聽取いたしたのでありまするが、まことにけつこうなことであると思います。なかんずく、わが国の平和と秩序を維持して、人命及び財産を保護するため特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し運営する、及びこれに関する事務を行う、あわせて海上における警備、救難の事務を行うことを任務とするものである、かような御説明があつたのでありまするが、まことに今日独立のときにおいて、またその実際に移らんとしておるときにおいて、むしろおさきに失する感があるのでありますが、その中において二、三ただしたいことがあります。 まずその第一点といたしましては、旧来警察予備隊というもののあり方は、私どもが今日考えておる考え方とはちよつと違いはせぬか、独立後における警察予備隊というあり方を考えて提案に相なつておりまするところの保安庁というもののあり方を考えて、今までやつておつたような訓練でいいかどうか。精神的な訓練というものが、少くともわれわれとしてはもつとこれを強調して考える必要があると思います。なぜかなれば、たとえば予算の範囲において退職金がどうなる、あるいは今後保安庁が発足した場合においては退職金が出ないのじやないか、かような点が今後の大きな問題として取上げられる一端じやあるまいかと思う。その意味において、いわゆる保安隊なり警備隊なりの精神的なあり方をどうすべきであるか、これがまず第一点としてお尋ねしたいのであります。 次に、現在わが日本が独立をいたしましたけれども、外務省の外局でありましたところの入国管理庁のやつておりましたるところのこの仕事は、もちろんあるいは法務省の主管に属すると言われる節もありますけれども、私の個人の意見を、もしも申し上げる場合においては、この保安庁の中に入れてもらつた方が非常に治安関係におきましてもよかつたではないか、かような考えはあるのでありまするが、この点についてもただしたいのであります。 第三点といたしましては、現在わが国の独立後の治安は、少くとも私どもがいわゆる第三国人と称する朝鮮人の対策、これがいかなる面において保安庁の分野に関係するか。たとえば入国管理庁のあり方から非常に朝鮮人の諸公は密航者が多い。健全なるところのパスポートを持つておらぬ、かように私はしばしば考うるものであります。また実際の面において、かつて内閣委員会で派遣せられたわれわれが、秋田と新潟を視察しました場合においても、かようなにせのパスポートがあるということを耳にしたのであります。その際におきまして、私どもが研究として取出したるものは、いわゆる検察庁とそれから予備隊と海上保安隊と入国管理庁、かようなものが一体となつてその密航者またはにせのパスポートの捜査に当るならば、完全になし得るというような結論を見出されたようであつたのでありまするが、ただいま提案に相なつておりまするところの保安庁案によりますれば、私はこれのみでは十分になし得ないのではないか、かような懸念を抱いておるものであります。 最後に私たちが今後この海上の関係において、警備救難の事務というようなものを取上げて、もう少し積極的な面がここに考えられればよいというのが私の考えでありまするが、この点についてはどういうように保安庁の案で盛られたか、かようにただしたいのであります。
○大橋国務大臣 松本委員にお答えを申し上げます。御質問の第一点は、警察予備隊の精神訓練については、従来必ずしも十分であつたとは言えないのではないか。従つて独立な契機として、これについては特に力を入れる必要があるが、それについていかなる点を主眼として今後の精神訓練に留意するつもりであるか、かような御質問の御趣意と承つた次第であります。すべて機関を運営いたしまする場合におきまして、機構がいかにできておるかどうか、またその裝備がどうなつておるかということは、もとより大切なことでございまするが、しかしながら特にこれに従事いたしまする職員の精神的な心構えというものが非常に大切であるという御意見につきましては、まつたく同感に存ずるところでございます。ことに警察予備隊あるいは保安隊、警備隊のごときは、その任務の性質といたしまして、特別の必要のあつた場合に出動すべきものである、従つて平素は職務の執行というよりはむしろいつあるか知れないところのできごとに備えまして、不断に訓練を続けて行くということでございます。このことは、平生いつあるか知れない仕事について、長期にわたつて不断の訓練を続けるということでございまするから、非常に困難なことであり、その基礎にはどうしてもしつかりした精神的な基盤がなければできないということは申すまでもないところでございまして、警察予備隊創設以来今日まで、この点につきましては、当局といたしましても、いろいろ苦心をいたして参つたのでございます。特にこれらの部隊において注意しなければならぬ点は、必要のある場合において行動する責任があるのでありますが、その場合の行動というものは至つて危険の程度の高いものであるということでございます。従つてこの自己の一身に降りかかつて来るところの危険を冒してその職責を実行いたすということにつきましては、よほどのしつかりした心構えを養成しなければならない、こういうことはもとより申すまでもないところなのでございます。これらの点につきまして、精神的な訓練を重視しろという御意見は、これはまことにごもつともな点でございまして、今後保安庁設立後におきましても、訓練において最も重点を置くべきところであると存ずるのでございますが、かような精神的な心構えの基本といたしまして、いかなる点に留意をすることが適当であるかということにつきましては、今日まで私どもの研究といたしまして、おのずから二つの点を眼目にいたして行くことがよかろうという考えに到達いたしております。その一つは、この国家の治安を維持するということは、ひつきよう憲法の精神となつておりまする民主主義また法治主義というものを、あくまでもこれらの機関が実力をもつて維持することによつて憲法を守り続けるということなのでございまするから、憲法擁護という強い精神がその基礎になるべきであり、特にわが国の実情から申しますると、民主主義を守つて行くということが、この精神的な訓練の眼目となるべきものであろうと存ずるのであります。次に危険を冒して自己の職責を遂行してもらわなければならぬという点から考えますると、愛国的な熱情というものを強く持つて行かなければ、かような困難なる仕事はなかなか完全に遂行することができないのではないか、こう考えまして、現在まで警察予備隊の精神的な訓練の目標といたしましては、民主主義をどこまでも守つて行く同時に祖国及び民族を愛し、そのためにはいかなる危険を冒しても犠牲的に奉仕して行くという愛国的な情操を養つて行く、この二点を眼目として訓練をいたして参つたのであります。このことは今後においても必要があることであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。 第二の点は、保安庁に入国管理庁を統合することが、治安機構の全体の構想からいつて適切ではなかろうかという御意向でございます。保安庁の一部をなしまする海上公安局は、海上におきまする法令違反の取締り、特に入国に関する法規の違反の事案についても取締りをいたして参るのでございまするからして、入国管理の事務にはきわめて密接な職責を持つものであることは申すまでもございません。しかしながらこの入国の管理という仕事は、よく考えてみまするというと、不法に入国いたしまする者を実力をもつて予防するということも一つの仕事であり、またこれに違反したる者を検挙するということも一つの仕事でありまするが、同時に入国した者が国内においてわが国の治安あるいは内政の面において好ましくないという人物でありまする場合においては、これを調査いたし、これに対して退去命令を発するということもあるわけであり、また不法入国者を逮捕いたしましたる場合におきましても、その実情に応じましてこれを強制退去せしめるということがあるわけでありまして、これらの行政処分は單に実力をもつて行動をするという面だけではなくして、その関係者のありました場合にこれを逮捕いたしますると同時に、諸般の事情を詳細に取調べまして、そして退去命令を発するのでありまして、当然退去命令を受けました者が退去ということを強制されることによりまして、日本国内における居住権を制限せられる、あるいは財産権その他についても重大なる影響をもたらすことに相なるわけでございまして、自然人権の侵害という結果をまぬがれない事柄なのでございます。従いましてかように人権に対して重大な影響のある事柄につきましては、実力行使の機関が直接にその権限を行うというよりは、別に調査機関を設けて、別にその調査に基く判断の機関を設けまして、あらゆる角度から慎重に審議、調査、決定いたしまして、いやしくもみだりに人権の不当な制限を招くようなことのないようにいたさなければならぬ、こういうふうにも考えられるわけなのであります。今回の行政機構の改正にあたりましては、政府といたしましては特にただいま私の申し上げました第二段の点を重視いたしまして、民権の保護を使命といたしておりまするところの法務府において、これらの行政事務を所掌いたしますることが、現在の段階としては適当ではなかろうか、こう考えまして、一応入国管理庁はこれを法務府の所轄にいたします。そして保安庁におきまする出入国の取締りに当りまする機関でありまするところの、海上公安局並びにこれと協力いたしまする警備隊というものは、この法務府所掌の入国管理庁と十分なる連絡をとりまして、仕事を推進いたしまする上に支障なからしめるようにいたしたい、かような構想で一応考えたわけでございます。もとより行政のことはその当時の実情に応じてそれにふさわしい機構を考えるということが、しかるべきことと存じまするので、私どもといたしましては現在の段階においてはまず保安庁でなく、一応法務府に入国管理庁を置くことが適当であろう、かような見解のもとにこの案を考えたわけでございます。なお当局といたしましては、非常に錯綜いたしましたる行政機構でございますから、今後とも十分双方連絡をとつてこの目的を達するように努力はいたすつもりでございまするが、同時にはたしてかような機構が運用の実際に当つて所期の効果を上げ得るかどうかということについても十分に観察をいたします。将来において必要があるならば重ねて十分に研究を続けて参りたい、かように考えておる次第でございます。 それから第三の御質問は、第三国人、ことに朝鮮人と保安庁の関係はどうであろうという点でございまするが、朝鮮から相当な密入国があるということは、従来の検挙の実績から申しましても肯定できるところでございまして、わが国における密入国の実情は、朝鮮からいたしまするところの者が最も多いように今日までの結果では現われておるわけでございます。従いまして海上公安局並びに警備隊において、これらの密入国の取締りをいたすことが職責と相なつておりまする関係上、この朝鮮人の国内に不法に入国して来るという問題につきましては、保安庁としても多大の関心を持つておるわけでございます。ただ上陸いたしました後における取締りというものは、今日一応警察が第一次にその職責を持つという建前になつておるのでございまするので、今後も海上におきまする保安庁の機関は、警察あるいは入国管理庁と十分な連絡をとりまして、この問題を取扱つて参るはもちろん、また今日国内治安の面におきましても、また将来予想されまするところの国外からの不法な破壞的な活動という面から申しましても、朝鮮人の動向というものについては十分に注意をする必要があると存じておるのでございます。しかしながら、このことは朝鮮人の一部に危険分子が相当あるということを意味するのみでありまして、今日国内にあるところの大部分の朝鮮人諸君は、すでに終戰後朝鮮に帰ることを認められました際において、みずから朝鮮に帰るよりも日本国にとどまりまして、日本国とともに自己の運命を開き、日本国とともに繁栄したいという念願を持つてとどまつておられる方が大部分でございますから、これらの大部分の方々は、治安の面についても十分今後とも協力を願い得ると確信をいたしておるのでございます。ただしかし不幸にして一部破壞的な分子がありまするから、これについては相当注意を続けなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。 最後に、警備、救難事務の積極化が必要であるという御意見でございます。今日海上保安庁の持つておりまする施設も決して十分でございません。このたび海上警備隊が新しくできまして、ここに米国より貸與を受けましたる船舶を相当数持ち、そしてこれが警備、救難の事務についても、必要な場合には応援をするという態勢を整えて参つたわけでございます。しかしなお日本の近海は、国際的な関係から、また地理的な関係から、海難とかあるいは海上の不法行為というものが相当に多いところの海面である、こういうことが考えられまするので、今後とも御説の通り警備、救難の事務は、保安庁といたしましても、決してこれは外局で片手間にやつておる仕事であるというふうな考えでなく、他の仕事と同様に重要な仕事であるという考えのもとに、研究を進め、施設の拡充に努力をするという心構えで進むべきものである、かように考える次第であります。
○松本(善)委員 ただいまの御説明了承いたしまとたが、もう一点だけただしたいのであります事が、それは都道府県知事の要請に基きます部隊の出動の認定でございます事が、やむを得ない必要があると認める場合、かようなことであります事が、実際問題として、どのような方法で、内閣総理大臣が事態やむを得ないと認定されるか、その範囲であります事が、この一点をただしておきます。
○大橋国務大臣 御指摘のごとく、この規定はきわめて漠然といたしてあるのでございまするが、ねらつておりまする趣旨は、保安隊あるいは警備隊というものの、国内治安の面において引受けるべき役割というものは、これは常時、普通の場合に、一般的権限として国内治安のため必要な仕事に携るということではなくして、一応国内の治安を維持する責任は一般警察にある、すなわち国家地方警察並びに自治体警察が、通常の場合においては、その地方々々の治安の確保の責任に当る、これが国内の治安の体制である、こういうふうに考えておるのでございます。かような場合におきまして、警察力というものは、一般的な状態というものをまず基準にして定員を定め、裝備を定めております事から、非常の場合において、警察力が不足をするということは十分に考え得ることでございます。もちろん一地方において警察力が不足をいたしましたといつて、すべての場合に警察予備隊が出動すべきものではなくして、その地方の警察力が足りなければ、一応その地方の警察といたしましては、まず他の余裕ある地方から警察力の応援を頼んで、警察力によつて治安を維持して行く、これが本来の考え方なのでございます。かような方法を講じても、なお事態がきわめて重大でありまして、警察力をもつてしてはとうてい事態の収拾不可能である、こう認められた場合には、やむを得ず他に方法がございませんので、警察予備隊を出動せしめるということもやむを得ないことではなかろうか、こう考えるわけでございます。従いまして、ここに事態やむを得ずということは、いかにしても通常の警察力をもつていたしましては、事態の収拾が不可能であると認められるような場合、こういう意味に御理解願いたいと存ずるのでございます。もちろん運用上もさようにいたすべきものと考えております。
○八木委員長 船田享二君。
○船田委員 ごく簡單に二つ、三つ御質問申し上げたいと思います。実は私大橋大臣が提案理由の御説明をなさつたこの前の委員会にやむを得ない用事で出席いたしませんで、その御説明を承らなかつた。その提案理由の説明の原稿を見たいと思つたところが、この法案に限つて提案理由の説明の原稿がわれわれに配られておらない。大体が、政府側から提案理由の説明がある場合には、それより前に原稿が配られておるのが例でありまして、また今われわれの委員会にかかつている三十件足らずの法案のほとんどすべてについてそういう例が守られておるのですが、この法案についてだけ特に政府がそういうことをおやりになつたその趣旨がよくわからないのです。ようやくけさ委員会が始まる前にここへ来て受取つたようなわけで、従つて大臣の御説明をまだよく熟読するに至つておりません。そんなことで、すでに御説明があつた点を繰返しお尋ねすることになるかもしれませんし、また十分に調査研究がなされておりませんので、さしあたり二、三点御質問申し上げるつもりです。 第一に、政府はつい先ごろ海上保安庁法の改正法律案を国会に提案されまして、もちろんわれわれは、この海上保安庁法の改正法律案に対しては反対したのでありますが、多数でもつて政府は押し切つて、改正法律案を成立せしめてしまつたのでありますが、それがわずか五十日足らずの間に、この海上保安庁法の改正法律案とは非常に趣旨の違う、まつたく性質を異にする保安庁設置法を今度提出しておられるのであります。大臣の提案理由の御説明の最初の方を見ますと、今度のこの法案を提案するのは、行政機構の改革の基本的構想に基いて現在の警察予備隊と海上警備隊及びこれと密接の関係にある海上保安庁の機構で水路、燈台等に関する部分を除いたものを統合をするためにこういう法案を提出するのだということになつております。つまり行政機構の合理化、簡素化の趣旨で保安庁を設置しようという御説明のように解釈できるのであります。大体行政機構の改革とか合理化とかいうことにつきましては、すでに現政府は成立以来何度となくこれをやるのだということを声明して、その準備を進めて来てあるはずなんです。従つてこの前に海上保安庁法の一部改正の法律案を提出するときには、すでに現在の保安庁法案のようなものを提出するということの構想はあるはずだと私は想像するのであります。ところがその想像とは違いまして、海上保安庁法の改正法律案が提出されて、それが成立して間もなくこういうような保安庁法案が出て来る。私から考えますと、非常に政府の無方針乱雑ぶりが発揮されているのではないかというふうに考えられるのでありまして、こういうふうに何らの方針なしに思いつきのような法案をぽつりぽつり出したからといつて、国会が一々審議しなければならないというようなことは考えられないことであるというふうにも私は思うのであります。そういうような点について、海上保安庁法の改正法律案というようなものを成立せしめたあとで幾ばくもたたないうちに、なぜ今度のような法案を御提出になつたのか。その事情についてこれに対する国務大臣の御意見をまず承りたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 船田委員の御質問はまことにごもつともに存ずるのでございます。お話の通り、ついこの間海上保安庁法の改正をやつたばかりであります。この際その海上保安庁の機構について根本的な改編を加えておりまするところの本法案が出て来た。これは前後考えてみると行き当りばつたりでおかしいではないか、こういう御意向でございます。確かにそういう非難は免れないと存ずる次第でございますが、しかし御指摘になりました通り、すでに海上保安庁法を提案いたしまする際にも、行政機構の改正ということについて政府はある程度調査を進めつつあつた。そして当時法案の御審議の際にも、御質問に対しまして、保安庁法を立案中であるが、それができ上つた場合にはいずれ海上保安庁の事務の一部はこの保安庁の方へ移り、また機構もその方へ移るようになるであろうという御説明は、当時から申し上げておつたつもりでございます。従いまして結果的に申しますると、短期間に矛盾した法案が提案される、これはまことに行当りばつたりのように見えますが、当時から大体構想の結論として出て来る形については御説明を申し上げ、御理解を願つておつた次第なのでございます。それではそれをなぜそういうふうに二段にわけて提案しなければならなかつたかという点でございますが、この点も前回御説明申し上げました通り、実は米国から海上警備隊のために貸與を受けますについての船舶が、四月早々に日本に到着いたしました。そうして日本政府としては、将来の海上の治安維持並びに警備、救難の仕事のために、この船はぜひとも必要でありますので、できるだけ早くこれを受領する必要があつたわけでございます。しかしてこれを受領いたすということになりますと、現在の要員をもつては手不足と相なりまするので、従つて増員をしなければならぬ、その増員をするに当りましても、あらかじめ人を採用し、これにこの新しい型の船を操作するだけの訓練を前もつて積んでおかなければならぬ。こういう事情をもちまして、実は関係職員の募集を取急ぎましたので、そこで全体の構想についてある程度のまとまりはできておりましたが、しかし諸般の取調べ並びに打合せ等の関係上、具体的な法案をつくり上げるに至らない間に、一応海上保安庁の職員の増員だけは提案しなければならぬ。こういう状況にあつたわけでございまして、そのために非常に取急いで前回の提案をいたし、今回準備の終りましたところで新しく提案をいたしたということになつた次第であります。事情はさような次第でございまして、ぜひとも御了承ないただきたいと存ずるのでございます。ただ結果的に見ますると、まことに不手ぎわであつた。これは事務手続として不手ぎわであつたという非難は私どもも免れないところであろう、かように存ずるのでございます。ただ実情を申し上げて御了解を得たいと存じます。
○船田委員 その次にこの法案によつてつくらるべき保安庁という機構の性格をどういうふうにお考えになつておるかについてお尋ねしたいのですが、法案の第四条を見ますと、「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」というふうになつておりまして、海上における警備救難の事務というのが非常に二次的、従属的な取払いを受けておるように見えるのであります。つまり何と申しますか、警察補助、警備補助の機関として保安庁をおつくりになろうというお考えなのか、それとも一つの防衛機構をつくり上げようとなさるのか、この法案の第四条を見ますと、どうも防衛機構としての保安庁をつくろうとする御意思のように見受けられるのでありますが、その性格について御答弁願いたいと思います。
○大橋国務大臣 これは保安隊及び警備隊の性格にも関係して来る事柄であると存じますが、第四条の趣旨といたしますところに、保安庁は保安隊及び警備隊の管理に関する機関である。と同時に海上における警備救難の事務を行う機関である。この二つの使命をうたつておるわけでございます。これはどちらが主でどちらが従ということはないのでございまして、どちらも保安庁の大切な使命であるのでございます。そこでこれが防衛の機構であるか、あるいは警察的な機構であるかという御質問の核心に触れて参るわけでございますが、このことは保安隊及び警備隊というものが防衛機構であるか、警察機構であるかということと不可分の問題のように考えられるのでございます。 そこで保安隊及び警備隊についての政府の考え方を申し上げますと、保安隊、警備隊というものは、これは政府といたしましてはわが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するために特別の必要ある場合において行動する部隊である。こういうふうに観念をいたしておるのでございましてこの特別の必要がある場合において行動するということは、すなわち平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するというのは、これは国の基本的目的でありまする治安目的すなわち警察の一部である。そうしてその警察につきましては、すでに国といたしましては、警察法によりまして一般的な機関を設けておるのでございます。通常の場合においては、この警察機関が平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護する職責を負うわけでございます。ただその力の足らざる場合に、これを補うために特別の部隊を設ける必要があると政府としては考えまして、そのために保安隊、警備隊を設けた次第なのでございます。さような保安隊、警備隊が警察機構でおるか防衛機構であるかということに相なりますと、これはここに掲げます通り、平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するという、国内治安のための機関として政府はこれを設けるわけでございます。しかしながら国外からの不法な侵略あるいは国外と通謀いたしました内乱、こうしたいわゆる直接、間接の侵略ということを考えますと、かような直接、間接の侵略というものは、ひとしくわが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護する上から申しますと、重大なる障害をなすことは、一般警察の対象となつております犯罪と同様でございますから、どこまでも平和と秩序を維持し、人命、財産を保護し、国内治安をどこまでも維持するというためには、かような直接、間接の侵略に対しましても、これに対応する措置をとらなければ治安の目的は達し得たい、そういう状況におるわけでございます。従いまして、保安隊、警備隊は一般治安のために設けられたものでございますが、直接、間接の侵略に際しましても、当然その場合に撹乱されますところの国内治安をあくまでも守り通すために行動する特別の必要がある、こういうふうに思つております。
○船田委員 ただいまの大臣の御説明では、保安庁は防衛事務と同時に警察事務を取扱う、その二つの間に主従の関係がない、軽重の関係がないというお話で、つまり保安庁は防衛機構であると同時に、警察補助機構であるということになると思うのでありますが、そういうようなことは、この防衛事務とそれから警備事務と申しますか、この二つはその事柄の本質上性格が、まつたく相反するというわけではおりませんが、非常に違う性質のものなのであります。この二つの非常に性格を異にすものを一つにまとめてしまうということは、今度政府がおやりになろうとする行政機構の改革——改革というのは、言うまでもなく、合理化であり、簡素化でなければならないわけなのでありますが、その趣旨と必ずしも一致しないで、むしろ事務の混乱を来すおそれがあるのじやないかというふうに考えられるのでありますが、それについて御意見を伺わしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 これも私どもある程度までごもつともに存ずるのでございます。防衛と一般普通警察というものは、できるだけこれを区分した方がよろしいという考え方につきましては、政府といたしましても、一般的の考え方としては、まつたく同感に存ずるのでございます。従いまして陸上におきまする機構につきましては、保安庁においては保安隊だけを管理する、一般警察は警察法によつて別個の機関において管理をするという考え方にいたしております。この陸上における考え方をそのまま海上に及ぼしますならば、保安庁においては警備隊だけを管理すればよろしい、海上公安局の関係の警備救難事務は、別の海上警察機関というものな設けるか、あるいは他の機関においてその事務をやるがよろしい、これは理論上その通りだと私ども存ずるのでございます。但しここで考えなければなりません点は、何分にも海上においては、警備隊においても、警備救難事務の関係においても、どちらも船舶を必要といたすものでございます。ところで船舶は、御承知の通り、今日わが国といたしましては、国力に比して非常に長い海岸線を持つておる、そうしてこれに対して十分なる船舶な配置するに至つておらないというような実情でございまして、そのために警備隊のごときは、さしあたりはもつばら米国から船舶を借り受けるというような措置を講じなければならぬ状態であるわけでございます。従いまして船舶が非常に少い現在の状況といたしましては、行政機構の面におきましても、單に理論の面からのみこのあり方を決定するということはできかねる場合もあるのでございまして、船舶がなければどうしても執行不可能な行政事務につきましては、この船舶をできるだけ能率的に、経済的に運用し、限りある船舶をもつてできるだけ仕事の需要に応ぜしめるというくふうが一面から言つて実際上必要である、こう考えなければならぬ面もあると思うのでございます。政府といたしましては、仰せのごとく、理論上この両者を分離するということが適当であるという原則は十分に了承心たすのでございますが実際的、経済的な面からいたしまして、限りある船舶をもつてできるだけこれを能率的に多角的に利用をいたすという点から、当分のうち警備救難の仕事も保安庁にあわせて所掌せしめることは、この場合号適当の処置でおる、こう判断をいたした次第でございます。
○船田委員 最後にこの法案によりますと、海上保安庁というものを解体してしまつて、警備救難の事務と水路、燈台等に関する事務とをわけてしまいまして、あとの方の事務を運輸省に属させるということになつておりますが、こういうように警備救難事務と水路、燈台の事務と衣分離してしまうということは、防衛ということをあまりに強く考えて、人命を救助し、国民の財産を保護するという海上の保安業務の方を軽視したきらいがあるのではないかというふうに考えられるのでおりますが、その点についての政府の御意見を承りたいのですが、関連しまして、こういうふうに国民の生命、財産の保護ということを、防衛のために犠牲にしかねないような機構をつくるということ、ことにそういう機構をつくつて治安機構とは別に、警察予備隊と海上保安庁とを統合してしまうというような趣旨で、こういう機構をつくるということは、海陸合同の防衛態勢をつくりあげるということになるおそれがおりまして、それを軍備と言うことが適当かどうか、これは單なる言葉の争いでおりまして、実質的に申しますと軍備といれれてもしかたがないというふうに私は考えるのであります。これまで政府は常に再軍備はしない、憲法は改正しないという方針を明らかにしておりますし、大橋国務大臣も、この委員会などにおきましてもしばしばそういう趣旨のことを並べておられるのでおります。はたしてそういうような立場を政府が常に堅持しておるというならば、むしろせつかく三年、四年かかつてようやく整備されて参りました海上保安庁をまず強化して、そうして将来必要があればはつきりと憲法の改正を行つて、そういうような点について何かもやもやした点をなくして、防衛機構の確立を期するというふうな行き方をした方がいいのではないか、こんなふうに私は考えるのでおります。こういうような点について、ことに憲法といわゆる再軍備と申しますか、現在政府が行つておるような方向への防衛態勢の強化ということとの関係について、これはたびたび問題になつたことではありますが、重要なことでありますので、繰返しお尋ねする次第であります。その点について大臣の御説明を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 警備救難の上から申しまして、警備救難の船舶の仕事と、水路、燈台の仕事とが非常に密接な関係のおることであり、また海上警備隊の活動という上から申しましても、ひとり警備救難だけでなく、水路、燈台の事務ということが不可分の関係を持つておることでございまして、この点は事実御指摘の通りでございます。従つてせつかく海上保安庁においてコースト・ガードとして一体になつておる水路、燈台を警備救難の仕事と切り離すということは、この点においては非常に不便を冤がれないと存ずるのでございますが、しかしただこの法案におきましては、警備隊の任務遂行上特に必要ありと認める場合には、水路官署または航路標識官署に対して、保安庁長官から協力を求める、水路官署または航路標識官署はこの協力の要請に応じなければならないという趣旨の規定を第八十二条に置くことによりまして、今後の運用上支障なきを期したい、こう考えておるのでございます。要は一般の警察的な仕事と、海上警備隊の仕事はこれは陸上における保安隊、警察の仕事が分離されておるように、分離をしておくということが、理論上は適当である、但し実情やむな得ざるために、現在の段階においては船舶の運用を伴いまするところの警備救難事務だけは、この保安庁に一緒にしてやるという趣旨でございまして、この扱いは、将来におきましては、なお十分に研究を続けて、適切なあり方に帰着せしめるようにしなければならない、こう考えておるわけでございます。またこれらの点から見まして、当分の間保安庁をつくつても、海上保安庁は海上保安庁として、現在のように別個に置いておく、将来再軍備をはつきりするというような場合において、あらためて考えるということがいいではないかという御意見でございます。この御意見につきましても、まことに道理あることと存ずるわけでございますが、ただわれわれは保安に対しましても、警備隊に対しましても、今後これを拡充いたして参りますると、十分に将来のために考えておかなければならぬ点がございます。その点はどういう点であるかと申しますと、たとい国内治安維持ということが主眼となつてでき上つたものにいたしましても、これらの陸上、海上の部隊というものはいずれも部隊である、そうしてある程度の武器を持つておるという点から見ますると、これは最近の各国の軍隊に比較すれば微々たるものかもしれませんが、しかし数十年前の軍隊から見まするならば、相当な威力を持つておるものでございまして、これは国内の政治の上から申しますると、軍事的機関と同じような注意をもつてこの機構というものをくふうしなければならぬ。国内においてはそれが軍隊であるか軍隊でないかということよりも、とにかく最強力な実力機関である、こういう点に着眼いたしまして、これが運用に関する機構というものを十分民主的に運営することの可能なような仕組みを考えておくことが必要であろうと思います。ことにわが国のごとく新憲法施行後日も浅く、また旧憲法のもとにおいてはかような国内における最大の実力部隊でありました陸軍、海軍というものが、国政の上に大きな影響を及ぼした、これが民主化を妨げた、こういうような点から考えますと、今後保安隊、警備隊というものの増強を考えまする以上は、今日においてこれに対する管理の行政的な機関というもののあり方をしつかり確立しておくということが、将来のために必要である、これが民主主義憲法を守るための大切なことである、こう存ぜられるわけなのでございまして、かような点から政府といたしましては、将来の増強ということを予想される今日の段階において、これらの実力的な防衛にも用いられ得るような機構、また国内においてはかつて軍隊が担当したような内乱、暴動の際における最後の実力行使機関、こういう実体にかんがみまして、この際に民主的な機構を確立するという意味において、少くとも海上警備隊はこれを新しい機構において管理せしめることが適当である、こう考えたわけなのでございます。かような事情からこの法案の提案をいたした次第でございます。 それから再軍備と憲法との関係につきまして、重ねて御質問があつたのでございますが、この保安隊及び警備隊というものが現在の警察予備隊及び海上警備隊の名称をかえて誕生することになつておりますが、しかしこれは提案の説明においても申し上げましたるごとく、現在の警察予備隊また海上警備隊が持つておりまするところの任務なり使命というものをそのまま引継いでこれを拡充強化すると同時に、特に警察予備隊につきましては、二年間の経験に基いて、規定上不備と認められる点を補充するという趣旨でありまして、保安庁法の規定というものは、現在の警察予備隊並びに海上警備隊の性格任務を何ら変更するものではないのでございまして、これは再軍備とは関係ない国内治安機関の拡充強化である、こういう趣旨で、政府としてはこの法案を立案いたした次第でございます。
○船田委員 もう一、二点確かめたいところもあるのでございますが、時間があまり長くなりますから、一応これで打切ります。
○八木委員長 木村榮君。
○木村(榮)委員 最初ちよつと委員長にお伺いしたいのですが、私は相当たくさんな質問をしたいので、きようは時間はどのくらいおやりになるか、その点を聞いて、時間がなければ簡單なことだけ聞いておきたいと思うのです。
○八木委員長 お答えいたしますが、関係法案が三十余にも及びますので、理事会において決定を見ました日程に住いまして、一走り総括的な質疑は一通り済ましたい、そしてなお必要な点をとらえて、重点的に公聽会後に質疑を行う、こういう方針で審議を続けたいと思いますから、本日は日程に従いまして短時間に切り詰めてお願いいたします。
○木村(榮)委員 それではその御方針に従つて要点だけお伺いしたいと思います。最初にお尋ねしたい点は、アメリカの駐留軍と共同行動をとる場合の指揮権はどこにあるかという点です。
○大橋国務大臣 警察予備隊、海上警備隊につきましては、いずれも現在完全なる日本政府の指揮下にあるわけでございます。従いまして将来の保安隊、警備隊につきましても、それは日本の機関でございまするから、その指揮は当然日本の固有の機関がこれを行うものであります。但し日本の機関が警備隊、あるいは保安隊を指揮いたしまする場合におきまして、将来他の機関と協力する場合においては、一応協議し決定した方針がありまするならば、その方針に従つて指揮するということは、これは部隊の運用上当然の要請であると存じます。たとえば警察の力が足りません場合において保安隊が出動をする、この場合において、保安隊がいかなる行動をとり、また普通の警察機関がいかなる行動をとるかということについての指揮は、警察については警察の指揮官、保安隊については保安隊の指揮者がこれを指揮するわけであります。しかしこの双方の機関というものは、共同の目的のために協力をするということになりますというと、おのずから指揮者相互の間において打合せをし、その打合せをした共同の方針に従つてそれぞれが指揮をして行くということは、これは国内の警察との協力の場合においても同様でございます。まだ行政協定によりまして警察予備隊あるいは保安隊、あるいは警備隊が将来米軍といかなる協力関係に入るかということにつきましては、何ら具体的なとりきめをいたしておりませんから、従つて具体的なお答えはいたしかねまするが、抽象的、理論的なお答えを申し上げまするならば、ただいま申し上げましたるごとく、指揮者相互が協議をして、それによつてきまつた共同の方針に従つて、それぞれの機関がそれぞれの部隊を指揮して行く、こういうことが建前でございまするから当然いかなる場合においても保安隊の指揮は、保安隊みずからが行うということに相なるわけであります。
○木村(榮)委員 そういたしますと、アメリカ軍と共同行動をとる場合の具体的な問題に当面した場合は、大体行政協定の線において、双方の責任者が協議をして決定する、かように解釈してさしつかえございませんか。
○大橋国務大臣 協議をして決定いたします。そうして特別のとりきめのない場合においては、当然それぞれの機関がそれぞれの部隊を指揮するという建前である、こう存じます。
○木村(榮)委員 この保安官とか警備官とかいうものを、十四階級とかまたは十五階級といつたような、ちようど昔の軍隊のような階級にわけなければならない理由を、さつき大橋国務大臣は、民主的な防衛機構をこさえるのだという御説明があつたのですが、それと関連をいたしまして、御承知のように、現在の日本の警察の階級はあまりたくさんにわかれていない、ただこの保安隊や警備隊に限つては、ある場合には十四階級、十五階級というふうに区分なさつておりまするが、こういつたことがどういうわけで必要かという点を簡潔にひとつ御説明を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 簡潔に申します。保安隊あるいは警備隊はいずれも部隊でございます。従つて部隊編制の必要からいつて、かような階級が必要でございます。 次にこれらの部隊においては、部隊の行動を的確に処理いたしまする上から行つて、規律を嚴守する必要がありますので、この規律を確保いたしまする上から申しまして、指揮系統を明らかにするために、上級、下級の別を簡明直截にしておく必要がある、この編制上の必要、並びに規律の必要、この二つの必要から階級を設けた次第であります。
○木村(榮)委員 そうしますと、言葉をかえてこれを解釈いたしますと、防衛といい、またその他の行動において、近代戰に耐え得るような部隊を編制するということが主目的だ、こう解釈してさしつかえございませんか。
○大橋国務大臣 近代戰に耐え得る部隊というのは、どういう意味でございますかわかりませんが、これは一つの部隊でございまするからして、部隊というのは近代戰に耐える部隊でございましようとも、あるいは近代戰に耐える程度の武器を持つておらない部隊でございましようとも、まず部隊というものは、小さな單位から漸次大きな單位に編制して行く、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊というふうになつております。これらの部隊に規律ある統制を保つ上からいつて、階級制度が必要である、こう考えたわけであります。
○木村(榮)委員 従つてさつき船田委員のときの御答弁に、大橋さんは間接侵略または直接侵略に対しては、おもに防衛隊としての任務を発揮する場合があり得るといつたような意味合いの御答弁があつたと思う。そういたしますと、このことを逆に考えますと、そうした場合には現在の世界情勢を見ますと、いわば近代戰を戰い得る能力のものが、直接または間接に迫つて来る、こう政府はお考えでしようから、それと戰う、それを防衛するという建前になれば、政府の側からいえば、近代戰に耐え得る強力な部隊の編制の必要上、このような階級をもつて部隊を編制する、こういうふうに御答弁なさつたと同じことになると思うのですが、その点を、大橋さんはなかなか言いまわしが上手であつて、うまいことを言われますので、ちよつとつかみどころがないようですが、簡單に直截に私流に言いますと、大体そのように解釈してさしつかえないかどうか。論争にならぬようにひとつ……。
○大橋国務大臣 近代戰に耐え得るような実力を持つた部隊を組織するということは、これは憲法上再軍備をするということに相なるわけでございます。これは明らかに憲法の禁止をいたしておるところであります。政府といたしましては今日の国力の段階において、また今日の国民の感情の上から申しまして、再軍備をする時期にあらず、こう考えておるのであります。従いまして政府は警察予備隊あるいは海上警備隊というものを、近代戰に耐え得る実力ある部隊とする、すなわち再軍備をするということは、全然考えておらないわけであります。しかしながら、たといそれほどの力はなくとも、この部隊を編制し、これを運用して参る上から言いますると、編制上の便宜に従つて階級を定める必要がある。また規律を保持する上から言つても、階級を定める必要がある。そこでかような階級を定めたという次第ございます。
○木村(榮)委員 この問答はこのくらいにいたしまして、そこでこまかい点でございますが、保安大学に在学中の学生は、これは定員外になるのですか、あるいは定員の中に含まれるのですか。
○大橋国務大臣 学生は定員外と考えております。
○木村(榮)委員 大体今のところ、常時どのくらいの学生の入学の予定になつておりますか。
○大橋国務大臣 実は保安大学の規模につきましては、なお研究中でございまして、的確な数をもつて、入校者の数を申し上げる段階になつておりませんが、この保安大学の目的は、保安隊及び警備隊の将来の幹部を養成するということを、眼目にいたしておるわけでございます。しかして幹部といたしましては、すべての幹部をこの保安大学の卒業生で充足するということは、これは理想ではありましようが、しかし実際問題としてはそこまでする必要はなかろうと思つておりますから、幹部の中心となるべき者は、ここの卒業生をもつて充てるように、将来して行きたい、そういう考えを持つております。数といたしましては、できるだけたくさんすればよろしゆうございますが、しかしおのずから学校の教育の能率という面から言いまして、規模が限定されると思いますので、まずさしあたりは、一学年について三、四百名程度の数をもつて出発するというふうに考えております。
○木村(榮)委員 定員外の者をもつて保安大学といつたふうなものをこさえて、今御説明があつただけでも、相当高度な訓練をなさるということになれば、これは相当な部隊になると思いますが、そこで今さしむき考えられます保安塚の裝備並びに部隊の編制のあり方、または日常の訓練というふうなものについて、大ざつぱでけつこうですから御説明を願つておきませんと、この法案を審議いたします上に不便を感じますので、きわめて大ざつぱでさしつかえございませんから、御答弁を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 部隊の全体の編制でございますが、まず保安隊について申し上げますと、保安塚は現在七万五千人、これの全体を管理いたしますために総隊総監部というものができております。この総隊総監部は、保安隊の全体を管理し、これを指揮する司令部に相当するわけでございます。この保安隊総監部の指揮下におきまして、四つの管区隊というものがございます。この四つの管区隊は一つ一つがおのおの一万五千程度からなつておるのでございます。このほかに若干の総隊総監部直轄の部隊がございます。直轄の部隊は各管区隊の指揮下になく、直接総隊総監部の指揮下にある部隊でございます。そこで管区隊というものは先ほど申しました約一万五千の部隊でございますが、これはどういう部隊から成り立つておるかと申しますると、普通科連隊三連隊、それから特科連隊一連隊であります。それから偵察中隊一中隊、施設大隊一大隊、補給中隊一個中隊、通信中隊、武器中隊各一個中隊、衛生大隊一個大隊これが各管区隊の編成になつております。このうち普通科連隊は三連隊でありますが、これは主として小銃、軽機関銃あるいはロケツト発射筒等を裝備いたしております。それから特科連隊は、小口径の火砲を裝備するということになつておりますが、現在火砲はまだ裝備の段階に至つておりません。それから偵察中隊でございますが、これは管区隊全体が行動いたします際の先遣部隊として、偵察任務を遂行いたします軽車両部隊でございます。それから施設大隊というのは、主として土木的な技術を担当する部隊でございます。それから補給中隊は各隊の需要いたしまする材料、被服等の補給任務を担当いたします。通信中隊は固定通信機あるいは無線通信機による部隊に必要なる通信を担当いたします。武器中隊は故障を生じました武器の修理を担当いたします。衛生大隊は読んで字の通りでございます。こういうものが各部隊でございます。このほかに直轄部隊がございますが、直轄部隊といたしましては特科部隊あるいは偵察部隊、施設部隊、補給部隊、通信部隊、武器部隊、衛生部隊、こういうもので全国的な任務を担当するためにございます。これが七万五千の現在の配置でございますが、これを十一万に増強する法案が現在国会において御審議中でございますが、十一万に増強いたしましたる場合におきましては、新しく方面総監部というものを設けまして、北海道に方面総監部及び方面総監部の直轄部隊を新設いたしたい、及び総隊総監部の直轄部隊の中で特殊任務に当りまする後方部隊を拡充いたすということにいたしまして、普通の管区隊は現状通り四管区をもつてやつて参る、これが十一万の場合の計画でございます。
○木村(榮)委員 そこで大隊輪郭はわかつたわけでございますが、この裝備は、この間海上保安庁の方を水産委員会で聞きますと、最近六十そうぐらいの小型艦船がアメリカから貸與になるというような御答弁があつたわけです。海上保安庁の方はそうでございましようが、今大橋さんの説明なさつたような保安隊の裝備、これはアメリカの方から大体貸與されたものであるか、あるいはまた購入したものをもつて充当される御方針であるか、この点を承つておきたい。
○大橋国務大臣 武器について申しますると、武器は現在まで全部アメリカのものを使用いたしております。増員をいたしますれば、当分の間アメリカが引続きそれに必要な武器を使用させてくれる、こういうふうに考えております。
○木村(榮)委員 もう二、三点で済みます。たくさんあるけれども、きようは時間がないようですから……。そこでまたこまかいところに帰つて来まして、保安官及び警備官の中から、部内秩序に專従する者を置くというふうに書いてございますね。あれは大体どのくらいの程度予想されておりますか。大ざつぱでいいのですが……。
○大橋国務大臣 十一万人の場合において、約六百ばかりになる計算でございます。
○木村(榮)委員 それからもう一つは、このごろいろいろ問題がございますが、演習地は全国でどのくらいの予定地が予想されていますか。
○大橋国務大臣 演習地といたしましては、大中小三通りに考えておるのでございまして、大と申しますると三、四千町歩の荒蕪地、これは管区隊の全部隊が集合して訓練ができるような土地を求めたい。今日管区隊が四つございます。従つて少くとも各管区隊に一箇所ずつほしいものであると思つております。それからそれよりも小さな程度の部隊の演習、すなわち先ほど申しました普通科連隊、これはいろいろな付属の部隊等を入れますと約三千くらいの部隊になりますが、この程度の人員で訓練のできるようなものがほしい。これはやはり各連隊に一つずつあれば申分ないのでございまして、理想としてはその程度を求めたいと思いますが、しかし実際は幾つかの部隊が共通で使うということもやむを得ないと思います。これは一管区ごと二、三箇所でございますから、全国に十数箇所程度持ちたい。それからあとは日常訓練に使用いたしまする小型の訓練場でございますが、これは二十万坪から四十万坪程度のものを、できれば各部隊の駐屯地ごとに持ちたい、こう思つております。
○木村(榮)委員 それから、今はまだ何でしようが、将来航空機なんかが配備されるような見通しはございませんか。
○大橋国務大臣 海上保安庁におきましては、その仕事をやる上からいつて、航空機が必要でありますので、できるだけ早い機会に航空機を購入して使つて行きたいという計画がございます。しかし警察予備隊といたしましては、まだ航空機について、具体的な計画を立てる段階になつておりません。
○木村(榮)委員 大体私はこの順番で、順を追つて質問いたしました結果、大橋さんは盛んに、これは警察だとか何とかおつしやつていますが、ちようどアメリカの機械化師団そのものの様相を端的に示した、きわめて近代的な軍隊であるという点が明白になつて、たいへんけつこうに喜んだわけであります。(笑声)そこでそういうことを前提といたしまして、きようはもう時間がございませんから……。これはどこまでも、大橋さんがいかに抗弁されようとも、私に対する答弁ではつきりしたように、もう完全な軍隊である。しかもその裝備編制一切をあげて、まつたくうまくこしらえ上げてあるわけでございまして、名前はかりについておりましても、これは大橋さんはその点はかぶとを脱がなければいかぬ。こういう御答弁をなさつたわけでございますので、そういうことを基礎にいたしまして、将来のこれの運営についての質問を次にいたしたいと思いますが、最後に一点伺いたい点は、御承知のように、海上保安庁にいたしましても、あるいは予備隊にいたしましても、はなはだ好ましからざる不正事件、汚職事件といつたふうなものがたくさん起つておる。これは奨励なさつておるわけではないと思いますが、起つておるわけでございます。将来そういつた汚職、不正、こういつた点の防止は、大体どのような方法でこれをやろうとお考えになつておるか、この点を最後に伺つておきたいと思います。
○大橋国務大臣 警察予備隊の経理につきまして、いろいろな批判がございいました。これは二つの事柄が一緒になつておると思います。一つは御指摘になりましたように、経理に関連し、あるいは物品の購入に関する不正事件でございます。これは決して絶無ではございません。このほかにもう一つ経理上から、あるいはそれ以上に遺憾なことであると言わなければならぬと思いますが、不当な品物の購入が行われておるという点でございます。これはたとえば購入いたした品物がどうも高過ぎはしないだろうか、あるいは不必要な品物が不必要に多量に購入され、しかもそれが使い道がそれほどない、数年分が一時に購入されておるというような結果になつておる、こういう点があります。これは大体において、結果はきわめて重大な問題であり、遺憾千万なことではありますが、しかしこのことを生ずるに至つたその取扱者について見ますると、善意をもつて努力したにもかかわらず、不幸にして右申し上げたような結果になつたということが、相当多くの場合においてあるように見受けられるのでございます。これは弁解申し上げるというわけではございませんけれども、ただ事実について御理解を願いたいという趣旨において申し上げるのでございますが、一昨年警察予備隊が発足いたしました当時におきましては、警察予備隊の創設について、マツカーサー元帥の書簡が出ましたのが七月の初め、それからその後いろいろ法制的な準備をいたしまして、警察予備隊令の公布になりましたのが八月の上旬、そして八月の中旬には早くも全国的に募集が行われ、そうして八月の末には一部の者を早くも入隊さした、こういうような状況でございます。これは朝鮮動乱その他の関係から、米軍が朝鮮に移動する。国内法安を日本側の機関において確保するための占領軍当局の要請に基きまして、普通の場合にはきわめて無理であると思われる短期間に、いろいろな準備をいたしたわけでございまして、このために非常に短い期間に七万五千人分の洋服から帽子、靴、それから寝とまりをしまする寝具、被服、宿舎それから炊事道具から全部のものをつくり上げた、こういうような実情でございましたので、この間日本側においてこれを担当する機関は、本来のものはまだでき上つておらなかつた。そこでやむを得ず、一応国家地方警察が全国的に機構を持つておるから、国家地方警察にこれらのものを調達さしたらよかろうということで、国家地方警察の援助を仰いだのでありますけれども、国家地方警察といえども、かような大量な物資の調達ということについては、全然経験もございませんし、また地方機関において扱つたこともないような仕事が多かつた。それでアメリカの占領軍当局において、物資の購入についても相当応援をしてくれたわけでございます。これらの関係で、はつきりした責任機関——日本側における本来の予備隊の個有の機関ができ上つておらずに、いろいろな関係機関の協力をお願いした、また非常に時期がなくて急ぎであつた、それからまた将来の部隊の配置なり編制なりについても、確たる案をつくり上げ、早く実際の人を募集しなければならぬ、こういうような事情で、今日から見ますると、かなり不当な支出であると見られるようなものも相当あつたと思います。予備隊の不当支出と言われるものの大部分は、そうした特殊の事情の場合に、係員の善意の努力にもかかわらず、生じたものが相当あると思つております。先ほど申し上げました汚職的な事件は、予備隊は一般官庁から見ますと数的には非常に少いように見ております。少いということが自慢ではございませんが、この上とも間違いのないように、厳重に監督したい。最近そういう点が非常に改善せられつつおると考えております。
○八木委員長 これにて午前中の会議は終り、午後は二時より再開いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分開議
○八木委員 これより内閣委員会を再開いたします。 経済審議庁設置法案、経済安定本部設置法の廃止及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律案、資源調査会設置法案、自治庁設置法案、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、地方制度調査会設置法案を議題といたし、質疑を行います。質疑は通告順にこれを許します。船田享二君。
○船田委員 経済審議庁設置法案につきまして、ほんの一つ、二つ周東長官に御意見を伺いたいのですが、法案の三条の二号にこの審議庁のつかさどる事務として、「他の行政機関の所掌に属さない総合的経済政策の企画立案」と、特に「他の行政機関の所掌に属さない」という制限的な文句が加えられておりますが、逐条説明の方によりますと、国土総合開発とか電源開発あるいは国際経済協力の推進、物価、そういうようなものが例にあがつておりまして、そういうほかの行政機関の所掌に属さない、しかも総合的な経済政策の企画立案ということになつておりますが、この例にあげられているようなものを見ましても、考えようによつては、たとえば国土総合開発というようなものは建設省とか、あるいは電源開発は通商産業省とかいうようなところに属するとも考えられるのでありまして、そうすればそういう建設省とか通商産業省とかでこういう政策の企画立案等をするということも起つて来るんじやないか、そういうことを考えますと、わざわざこういう制限的な文句をつけ加えておきますと、設置せらるべき経済審議庁でもつて企画立案し得る総合的な経済政策というものの範囲が非常に狹くなつてしまうおそれがあるんじやないか、こんなふうに考えるのですが、こういう制限的な文句を付した理由につきまして御説明願いたいと思います。
○周東国務大臣 お尋ねの点、ごもつともな御質問でありますが、考え方といたしましては、審議庁においては今後長期な経済計画というようなものにつきましては、これは他の行政機関に関するものといなとを問わず、総合的な計画の策定をするということにいたしております。ただ時期的に、その年年の計画というような短かい計画については、むしろ各担当の行政機関において、これを立てしめることを原則として行きたいという考え方であります。この三条の二号の書き方から見まして、その点はそういう意味合いに考えておりますが、多少この二号の書き方におきましては、他の所掌に属さないという排他的に出ておりますが、むしろ属さないもの及びぽつぽつ一部分的に関係のあるようなもので、どの行政官庁が主としてやるということにはつきりきまらぬものもありますから、そういうふうなものも含めてこの二号に考えております。従つて、あとの方の条文で出て来る物価等に対しまして、具体的な米の価格を今度はどうするかというような問題については、その年々の米麦の価格を決定するのは農林省でありますが、その決定の仕方いかんが全体の物価政策にどういうふうになつて行くかという立場から、物価の基本政策についてはこちらでやる、こういうふうな考え方をとつておるわけであります。個別的な物の価格の決定等に対しては各省で担当しますが、そのよつて来る物価の方向というものが国民生活にどうなつて行くかというような総合的な立場に立つての物価政策をどつちへ持つて行くかということは、こちらでやる。こういうふうな立て方に考えております。従つて、そういう考え方をいたしますと、はつきりと他の行政機関に属しておるものが別々に立つたときに、その間において争いが起ると調整をとらねばならぬことが起るから、そういうことを考えて三条の一号の、「経済に関する基本的な政策の総合調整」というところで調整をして行く、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。
○船田委員 私が今申し上げたようなことを質問申し上げたのは、実は今までの経済安定本部の仕事と、他の各省のそういう調査的な方面の仕事とが、どうかすると重復しているようなところがあつたきらいがあると思うのでおります。というのは、せつかく経済安定本部があるのにかかわらず、各省でのいろいろな調査立案が、そのまま安定本部がなかつたときと同じような、あるいはそれ以上にたくさんになつて来ているんじやないか、で行政機構の改革、簡素化というようなことを求めてこういう法案の提出がおつたというところから考えますと、この際せつかく経済審議庁というようなものをつくるんだつたらば、各省のいろいろなこういう総合的な経済政策の企画立案というようなものを、できるだけこのつくられるべき審議庁にまとめてしまつた方がいいんじやないか、そんなふうに考えるからなのでありますが、特に大蔵省あたりでは、非常に調査事務が多過ぎて、提案された行政機構改革の案を見ますと、大蔵省関係が案外整理も何もされておらないのでありましてこれは周東長官にお尋ねする筋合いではないので、またいずれ所管大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、ことに問題は、予算編成に関して、いわゆる予算局というようなものを内閣直属のものとするかどうかという問題がおり、これについては、昨日も野田大臣からもお話がありまして、いずれそういう方に向つての改革をするつもりだというようなお言葉があつたと思うのでおりますが、いずれというのがいつごろになるかわからないにしても、そういうようなことになるといたしますと、経済政策と密接な関係のある財政政策と申しますか、あるいは税制政策と申しますか、そういうふうなものについての調査というようなものも、むしろだんだんに大蔵省から切り離して審議庁へ持つて行つた方がいいんじやないか、少くともそういう調査をすることのできる、またそれについての練達な公務員を、こういうところにいわばプールしておいた方がいいんじやないかということも考えられますので、なるべくこういうような制限的な文句を付さずに、総合的な経済政策を一般的にここで取扱うというような建前をとつて行つた方がいいのではないか、こんなふうに考えるのであります。ことに例をあげました予算局その他との関係などにつきましては、これはいずれまた別な機会に他の大臣に対してもお聞きしたいと思うのでありますが、ことに安本長官としての周東君から御意見を承れれば幸いだと思います。
○周東国務大臣 御意見ごもつともな点もずいぶんあると私は思います。しかし機構の改革にいたしましても、段階的に物事を考えて行くつもりでありまして、今お話の出ました予算局のごときを大蔵関係から離して内閣に置くということの議論は、ずいぶん出ておる問題であり、これに対しては、私どももかなり同感の意を持つものであります。それは、予算というものはあくまでも総合計画の遂行に関連する道具と私は考えておるのであります。大きな立場から総合計画を立て、それにどういう予算を盛つて行くかということが計画の一環として立てられるのが、ほんとうは一つの行き方だろうと思います。しこうして計画を立てたものを、財政当局としての收入の面から、それだけ出ないから全体的にこれだけの範囲でやりくりするということで、総合計画を調整する立場においてこれをまとめて行くようにすることが一つの理想だと思います。しかしそれには、日本の置かれた現在の地位からいたしまして、一足飛びに行くことはなかなか困難な事情がありますので、一応ここでその点だけは切り離されておるわけであります。従つて残された問題として、ただいま私の申しましたように、この経済審議庁において、あくまでも長期の計画として、総合的にどういうふうに今後の経済を持つて行くかということについての計画を立でることが一つの大きな中心になつている。しこうしてそれを立てるについては、当然一、二箇年先の見通しを立てなければなりませんから、お話のような意味において、各方面の調査をこの機構の中においてやることになつておりまするし、ことに占領中にGHQの方において完備された統計の方法がありますが、そういうものも引継いでここでやることになつております。そういうふうなことで、統計調査の面においては十分な準備をいたしまして、それをもととしての長期な、二、三年先を見通しての計画左総合的に立てるということが一つの大きな任務であります。もう一つは、お話の点もごもつともでありますが、大体の点において、考え方としては、具体的な個別的な政策についてはそれぞれ所掌の官庁に立てさせて、そうしてそれらの各省にまたがつているもの、あるいは全然関係のないものについて別に計画を立てて行くということにいたしたことは、今お話の総合企画官庁と各所管官庁の間における権限の紛淆を来さないためにはつきりさせたのであります。そして別々の所管官庁において立てられた政策等についてどうも折合いがつかぬという場合においては、企画官庁としてのこの官庁において総合的に調整を行う、そういうふうな建前をとつて権限をはつきりといたしたわけであります。将来に向つての御意見については多分に同感の点があります。しかしこれは漸進的に、段階的に進んで行きたい、かように考えております。
○八木委員長 田中啓一君。
○田中(啓)委員 私は、最初に経済安定本部長官にお尋ねいたしたいと思います。まことに質問になれませんのでたどたどしくて恐縮だと思いますが、どうぞ答弁は明確にお願いをいたしたいと思います。
○八木委員長 田中君にちよつと申し上げます。あと野田長官の方にも質問の通告がおりますが、野田君は参議院の関係がありまして、連合審査の中から抜けて来ておりますから、先に野田君の方へお願いします。
○田中(啓)委員 かしこまりました。それでは行政管理庁長官にお尋ねを申し上げます。 今回の行政機構改革を見ますると、何やら今までの行政機構というものは、すべて占領軍から押しつけられてやつておつたけれども、それがなくなつたならば何もかも復元するのだ、こういうような空気が各省の間にあるように私は思われ、かつまた、卒直に申しますと、議員の間にもそういうような空気があるようにも思われるのであります。そこで一体日本の今の国民経済というものが、そういう政治、行政で臨んでやつて行かれるようなやさしい状態かどうか。今後自衛力の漸増とかあるいは賠償、外債の支払い、こういつた国民経済に多大の負担を及ぼすもの大解決して行かなければなりません。それには国際收支の面あるいは産業、貿易の面につきましても、総合的かつ相当長期にわたる見通しを立てて、公共事業等の財政投資と税金との関係についてどういう方針で臨むか。私は、この国民経済をどう持つて行くかということにつきましては、各省が分担しておられるものを全部総合して、そうしてその総合のもとにそれぞれ分担をして進んで行く、こういうような行き方でなけらねばならない、かように思うのであります。従来さようなことを行つておりました経済安定本部を廃止されまして、経済審議庁をおつくりになるわけであります。そこでこの二つの機関は、今申しました点と関連いたしましてどういう関係になるのか、御所見をいたいと思います。
○野田国務大臣 今回の行政機構の改革につきまして、田中委員は非常に復元的な考えでしたのではないかという御疑問を持たれたようでおりますが、別に復元という考えを持つてわれわれは起案をしたのではないのでありまして、これからの日本の姿というものと考え合せまして、一番適当と思われる形態を選んだ、こういう点はひとつ御了承をいただきたいと思います。もちろん意見の中にはいろいろ復元的なものもたくさんありましだが、われわれは、單なる復元ということは極力これをしりぞけまして、新しく日本がこれから門出して、独立日本としてそれにふさわしいものをとるという方針を中心にして進めて来たという点をひとつ御了承願いたいと思います。 それから経済安定本部という問題につきましては、御承知の通り経済安定本部なるもののできました動機、それから今まで営んでおりました機能その他から考えまして、われわれは今後はこれを廃止いたしまして、いろいろな経済の施策につきましては、もちろん長期の経済計画等を必要とするものはあるのでありまして、そういう点につきましては、新しく経済審議庁をつくりまして、それに作成をやらせる。それから各種の経済の基本政策につきましては、各省でたくさんあるのでありますから、その各省々々におきまして、十分知惠をしぼつて、また関係の民間の知能を動員し、また関係各省の意見を聞いて、責任をもつて案を立てて行く。こういうふうに行つて各省が十分にその知能を働かせていただく、そうして各省間におきましてどうしても議がまとまらぬというようなものにつきましては、今度設けられます経済審議庁におきまして、総合調整に乗り出し、そうしてそれをとりまとめて行く。最終の決定は、今日におきましては閣議でもつてこれをきめるということは御承知の通りでありますが、その前の段階におきましても、意見のまとまらぬ、きまらぬ点は、審議庁においてとりまとめをさせるというような方向で処理して行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○田中(啓)委員 私どもは従来から経済安定本部のやつておりました仕事のうちで、いわゆる経済統制の仕事というものは、ほとんど廃止をしておりますので、その部分はなくなるわけでありますけれども、しかし長期でもまた短期でも、基本的な経済全般にわたるような計画は、やはりこの総合を経済審議庁のごときところで立てて、かつまたその面から各省のやつておるところを総合調整して行く。しかも積極的にやるべきじやないか。各省の設置法を見ましても、たいていみなその省所管の物資とか、その省所管の事業とかというふうに、みな頭に制限がついておるのでありまして、これは当然のことだろうと思います。従つて今日の国民経済という有機的な一つのものは、そう一つの所掌の点だけから、総合的な基本的な計画は立てられないのじやないか。むろんどこの役所でも、なるべくは国民経済の立場に立つてものを考えて行くのは当然でありますから、やれるつもりではありましようけれども、その点は事実上困難だ。この経済安定本部がなかつた前の、私ども役所におりました時代を顧みてみましても、そういうつもりで立てるけれども、他の役所とは衝突をする、こういうようなこともしばしばあつたのでありまして、どうも今度の経済審議庁の任務なり権限の書き方を見ますと、非常に消極的になつてしまつておりまして、かようなことで、はたして内閣というものが統一おる仕事ができるであろうか、こういう実は心配をするのであります。むろん閣議が最高の機関であることについては、私ども異議がございません。総理大臣主宰のもとに策を練られることはけつこうでありますが、しかしそれにはやはり事務的にもある程度そういつた立場から案がつくれるところがないと、非常に困難じやないか。現に今日でも、閣議できまるのかどこできまるのか知らぬけれども、きめられないので、なかなかものが進まないようなことがあるのであります。どうも私どもはもう少し計画の策定あるいは「企画立案」と書いてあるところに当る点、あるいは「総合調整」と書いてあるところに当る点等、もつと経済審議総合庁が力を発掘するようなふうに進めらるべきでないかと思うのでありますが、これに丸する御所見を伺いたい。
○野田国務大臣 田中委員のお説の総合の問題でありますが、私はたとえば、具体的に申しますと、金融政策なら金融政策、あるいは食糧政策、あるいは中小企業政策、あるいは貿易政策、あるいは運輸政策、あるいは自動車政策、あるい飛行機政策、いろいろなものがある、そういうものをやる場合に、やはりそれを所管している役所が一番ものをよく知つておるわけです。また責任もある。そういうものを各省が全知全能をしぼつてやる。しかしもちろん各省、たとえば金融政策は大蔵省だけでやるわけじやありません。大蔵省はその仕事をやる場合に大蔵省の全知能を発揮すると同時に、民間の機関も使いましようし、あるいは日本銀行等も使いましようし、あるいは関係各省の知惠もまた動員して、全責任をもつてそれの立案に当るわけなんです。大蔵大臣がそれを指導して、全責任をもつてやるわけです。たとえば食糧政策といえば、農林大臣がみずから責任をもつて全知全能をしぼつて食糧政策を立てるわけです。そういうものが私は一番権威があつてしかるべきものだ。経済審議庁という役所は人数から申しましても何百人、農林省だけの人間でも何万人といわれる、そういうものがやはり全知全能をしぼつてやる方が、より適切にできるじやないか。どうせ審議庁として資料を仰ぐにも、農林省に仰がなければ資料はないわけです。でありますから、もし審議庁が、他の省をして承認させるような、他の省よりも以上のものをつくろうとしますと、尨大なる機構を持たなければできぬのであります。またこういうような実情から申しましても、金融政場策については、まず第一に大蔵大臣に責任をとつてもらわなければならぬ、食糧政策についてはまず農林大臣に責任をとつてもらわなければならぬ、通商産業政策につきましては、まず通商産業大臣に責任をとつてもらわなければならぬ、こういうように考える。要するに閣僚を重視し、閣僚がそれぞれに最善を盡すということを要求したのでありまして、その結果ある閣僚とある閣僚の間において意見が違う、あるいは所管の行政についていろいろと意見が合わないということが起りますれば、それは最後に閣議でもつてその調節をはかるべきでありましようけれども、その前に一応事務的の段階の問題として、審議庁においてそのあつせんを極力する、そうして事務的に片づけばそれでよろしい。しかしそれでも事務的に片づかぬということになれば、次官会議とか閣議とかいうところで最後的に決定をいたしまして、国策の遂行をはかつて行きたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、田中委員のお話の線を今まで上りもより強力に、よりはつきりした責任のもとにおいて実行したい、こういう趣旨でありますから、その点十分御了承願いたいと思います。
○田中(啓)委員 私の申し上げるのは、今のような各省が政策を立てることを阻止することはないということについては、行政管理庁長官と同感であります。ただこれまで食糧政策というものを、あるいは増産政策と申しますか、それを立てましても、おそらくはそれは予算とかあるいは金融とかというような裏づけがあつて初めて絵に描いたもちでなくて、実行性のあるものになつて来るわけなのでありますが、どうもこれまで各省の立てるものについて、片寄るかあるいは実行性がないか、結局新聞で見てもなかなかその通りには行かない、こういうようなうらみがありまして、結局国民としてはついて行くところに迷うようなことも、実はしばしばであつたと私は思う。でありますから、よるしく農林省は食糧増産政策を立つべきでありますが、やはりその上にこれが今後の国民経済運営の一環として何もかもそろうて、そうして国民がついて行ける、というふうなものにならぬかと、こういうところから、少し論は抽象的でありますけれども、そういう力を経済審議庁に持たせて行つたならば、政府としては非常に強力なる政策の遂行ができるのじやないか。こんなふうに考えるから私は申したのでありますが、その辺の御所見を伺いたいと思います。
○野田国務大臣 これは田中委員も役所におられまして十分御経験になつておられることですし、私も役所で十分経験しておることでありますが、経済安定本部というような性質のものができますと、大蔵省なら大蔵省、あるいは農林省で基本的な政策を立てるために非常に遠慮が入る。ああいう機関のないときには、大蔵省は全面的に金融政策については責任があると思うから、全知全能の限りを盡して一生懸命やる。しかしながら別に経済安定本部のようなものがあつて、それで何とかすることになりますと、あまりやり過ぎては経済安定本部の仕事を侵すようなことになるというような遠慮も手伝いまして、何となしにそこに、何と申しますか十分力を持ちながら驥足を延ばさないで、これは少し経済安定本部で仕事をやつてもらうようにはかつて行かなければならないというような気分が多分に働くのであります。私はああいう機関ができた前と後との各省の働きを見ますと、やはり各省がもつと力を持つておれば、もつと活発な働きができるはずなのにもかかわらず、それを十分延ばしておらないという感じを非常に受ける。それはなぜかというと、行政において重複を避けるという意味合いから、どうしてもそうなるわけでございます。今後はできるだけ各省大臣に各省の責任をもつて十分やつていただいて、その間におけるいろいろな調整のできない点、ただいまのお話でありますと、食糧政策を立てても、あるいはその中で予算的措置あるいは金融的措置が必要だというような場合におきまして、当然農林省は大蔵省とよくお打合せになつて、いわゆる実情から遊離したような計画を立てられるということはもちろん避けるべきであつて、十分御折衝になつて、足が地についた計画を立てる必要があるのじやないかと思います。従来の計画を多く見ますと、どういうものか、予算の請求の基礎になるというような意味合いもありましてか、計画はすべて厖大でありまして、実現性を欠くものがきわめて多い。これは一言にして言えると思う。この風習というものは、官庁の弊害でありまして、これはどうしても改めなければならない、そうしませんと、計画自体がいつも計画倒れになるということになるのであります。これは何省が立てましても、あるいは経済安定本部のようなものが立てましてもどこが立てましても、同じことでありまして、あくまでも計画は地についたまじめなものでなければならぬ、これを私は強調したいと思う。その気持をもつて臨めば、今お話の点は解決がつくと思いまして、大蔵省と農林省と、食糧政策の点につきまして予算的、金融的措置等について、どうしても意見が合わぬということになれば、そのときに、ただいま申し上げましたように、経済審議庁が乗り出して行つて、両方の言い分を聞いて、そこに仲裁役、周旋役を勤める、そうして総合してやるという機能を発揮されるのでありまして、あくまで各省の持つておる力を一〇〇%、さらに欲をいえば一二〇%発揮いたしまして、活発に運営されるということを念願する、こういう趣旨でありますので、その点御了承を願いたいと思います。
○田中(啓)委員 この問題は、これ以上やりましても、いささか意見の相違になりますが、むろん管理庁長官のお気持もわからぬことはないのでありまして、これはまた、具体的に設置法をどうするかというような個別的な問題に入りましてから御質問を申し上げたいと思いますが、きようは総括質問でありますから、この程度にいたしまして、次に移ります。資源調査会設置法のことでありますが、これは総理府の附属機関として御提案になつておるわけでありますが、どうも設置法を読んでみましても、所掌事務の「資源の総合的利用のための方策」でありますとか、あるいはまた「各行政機関が樹立する資源の利用計画の総合調整」というふうに書いてありまして、まず事務としては経済審議庁がやる事務のように思われます。むろんりつぱな委員をつくつて資源調査会というものがその上にあることはけつこうでありますけれども、中身を考えますと、総理府の外局と申しますか、附属機関にされるよりも、経済審議庁の方へ持つて行かれた方がよかつたのじやないかという気がいたします。まだ調査不十分でありますが、一ぺんここの御趣意をあらかじめ伺つておきたいと思います。
○野田国務大臣 ただいまの点については、経済安定本部の官房長官から一応説明をしていただきたいと思います。
○平井(富)政府委員 資源調査会の点につきまして、たいへんごもつともな御質問だと存じます。現在においては安定本部の附属機関、こういうことで技術的な面、特に資源に関する技術的な面から、経済安定本部の総合計画に参画して行く、こういう立場をとつて参つたのであります。今般経済審議庁が総理府の外局として設けられまして、その経済審横庁の性格と申しますか、仕事の運営の仕方自体が、ただいま行政管理庁長官から御説明申し上げましたようなことになつております関係、及び全体といたしまして同じく総理府の機関になるわけであります。従いまして資源調査会の会長は審議庁の長官がこれを兼ねるということを法律に明記いたしまして、両者の業務の連絡という点につきましては、形式こそ別の機関になつておりますが、実際の運営におきましては、長官がこれを兼ねる、こういうことになつておりますので、その間の実質的な点はそのまま運営できるのではないか。かように考えまして、別の機関にいたした次第であります。
○八木委員長 鈴木義男君。
○鈴木(義)委員 前の委員が質問したかもしれませんが、念のためにお伺いいたします。 予算を組むことは、決してこれは大蔵省の專管に属すべき性質のものではない。その内閣全体の総合的政策の表現であると思うのでありまして、従つてこの行政機構の改革において特に内閣に経済審議庁を設けるというような案があるならば、なぜいま一歩進めて総合企画庁を内閣につくつて、それに予算の編成に当らせるというようなことにしなかつたかと思うのでありますが、この点について管理庁長官としてはどういうふうなお考えであるか、承りたいのであります。
○野田国務大臣 予算は国の政策の総合的な表現であるという観点からいたしまして、予算を編成する部局を総理府に設けたらいかがであるかという御意見も、今回の機構改革の審議の過程におきまして出て参つたわけでおりますわれわれといたしましても、この問題を十分検討いたしたのであります。しかしながら、この予算編成の部局を総理府に置くか、あるいは現状のように大蔵省に置くかということにつきましては、いろいろとそれに関連する各種の問題がありまして、これを十分に検討いたしまして、これに対するそれぞれの必要な手だてを講じて奉りませんと、かえつて制度として改悪になるおそれもありますので、十分検討したいということに相なつたのであります。今回の機構改革には入らなかつたのでありますが、政府としては、引続きましてこの問題を愼重に十分力を入れて研究いたしたいということにいたしたのであります。御承知のように、この制度につきましては、大きくわけますると、アメリカ的なやり方と、イギリス的なやり方とあつて、両々それぞれの特色を発揮いたしまして、二つの大きな流れとして存在いたしておるわけであります。日本はむしろイギリス的な制度を採用いたしておるのでありまして、これをアメリカ的な制度に切りかえてはどうかという問題が、最近は各方面にあるわけであります。それぞれの長所と欠点を持つておるのでありまして、これはそれを包んでおるところの各種の議会の問題であるとか、あるいは憲法であるとか、すべてのことを比較検討して参りませんと、簡單に結論が出ないのであります。こういうふうに考えておるのであります。事重大でありますので、迅速かつ慎重に研究いたしまして、この次の閣議において検討したい、こういうふうにおもつている次第であります。
○八木委員長 次に岡野国務大臣に対する質疑を許します。木村榮君。
○木村(榮)委員 いろいろな問題があるのですが、最近特別市制の問題などについていろいろ賛否両論があるようですが、自治庁の方針は、いずれの方の側を御支持になつておるのですか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。特別市の問題につきましては、御承知の通りに、特別市をつくりたいということと、それからそれに反対しまして、特別市にならんとする候補の市の存在する府県側がこれに対し反対の運動を起しておることは、すでに御承知のことと存じます。しかし私の考えといたしましては、特別市はいろいろの必要上あつてしかるべきだという意味におきまして、自治法には特別市の制度が設けてございますけれども、しかしながら一面地方財政の立場から見まして、残存郡部というものが、特別市がもし実現しますならば、あと財政的に立つて行けない、そのほかいろいろございますけれども、これが一番重大なることでございまして、その調整がつかない以上は、特別市をにわかに実現するという運びには参らぬという考えを私は持つておりますので、特別市の問題も残存郡部の問題も両々相まつてこれをよく調整しまして、もしその調整がうまく行きますならば、自治法所在の法律の精神を生かして、特別市を実現してしかるべきだと考えております。しかしこれは地方制度調査会設置法を出しまして、ただいま御審議を願つておりますが、もしこの設置法が通過いたしますならば、その場合に特別市並びに府県残存郡部の問題、もう少し大きくわれわれといたしましては、その調査会で研究いたしたいことは、今日ありますところの市町村並びに府県の仕事並びに区域なんかのあり方にも相当な根本的なメスを入れて、太く検討した上で結論を出していただきたい、こういうふうに考えております。
○木村(榮)委員 大分前にアメリカの地方行政なんかの視察をして帰られた神戸さんなんかの御報告があつたわけなんですが、その後そういつた問題が——私は今地方行政委員会にいませんからよく存じませんが、いろいろな日常の新聞なんかで拝見いたしましても、ああいつた問題が、最近はあまり問題にもならないようでございます。今度の自治庁の設置法なんかに関連いたしまして相当今までよりも権限が強化されるではないか、こう見ておるわけなんであります。そこでそのことを関連いたしまして、この前勧告が出ておりましたようなものは、どのような方向へ向つておりますか。もし……。
○岡野国務大臣 ちよつと質問の要旨がよくわかりませんが……。
○木村(榮)委員 こういうことなんです。あれで見ますと、道州制の問題とか、町村合併の問題とか、あるいはまた行政事務の再配分の問題とか、たくさんあつたわけですね。そういつた関係で、今度改正なさる自治庁の権限強化の問題との関連はどのようなことになるのでございますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。今度の自治庁の設置法については、自治庁の権限が強化されたといいますよりは、財政委員会とか選挙管理委員会とか、地方自治庁とかいうようなものをあわせて、今までありました通りの仕事を一緒にして行く、こういうようなことが今度の自治庁の設置法でございます。同時に、お説のように、神戸委員会がいろいろ地方の事務の研究をいたしまして、そうして事務の再配分の報告を出しております。しかしながら、これは不幸にしてまだその事務の再配分の勧告に対して何ら手が打つてございませんし、実現の域に達しておりません。それでこの自治庁の設置法とは別に、もう一つ地方制度調査会の設置法を追つてこちらで御審議願うことと存じますが、その制度調査会ができました上で、神戸委員会の勧告も基礎にいたしますし、それから地方制度の一般的の検討をして行きたい、こういうような考えを持つておる次第であります。
○木村(榮)委員 野田さんがおいでにならぬが、これは野田さんに関連があると思いますが、神戸委員会から、事務の再配分とかいろいろ相当厖大な勧告があつたわけですが、こういつた関係と、今度行政管理庁の方で考えております行政機権改革とは、どのような開通があるか、また従つて今大臣の御答弁なさつたような方向で万一将来事務の再配分とかその他のことが実際問題として神戸委員会の方向で、ある程度改革されるといたしますと、また今度やろうとしております行政機構の改革といつたふうなものが、もう一ぺん相当改革されなければならぬといつたふうなことになるのじやないかと思うのですが、そういう点の調整は、大体どのようにおやりになつておりますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。神戸委員会の勧告は、主として地方行政の問題でございまして、中央の行政の機構とかいうものはあまり関連はございません。しかし関連するところも出て来ると思いますけれども、主たる点は、むしろ地方の行政事務を府県とか市町村とか、そういうものにいかに配分するかということが主題となつて神戸勧告が出ておるわけでございますから、今後出ましても、今度の行政機構の改革というものとはそう大して関係はない、地方の行政制度が神戸委員会によつて非常に動かされて行く、こういうことになります。
○木村(榮)委員 それは御説明の通りですけれども、しかしそうとはいつても、国の委任事務とか、そういつたものの関係、あるいは今までやつておりました出先機関の問題、こういつたものが相当あると思うのです。今度行政機構の改革によつてそういう出先機関といつたふうなものが、今の自治庁関係の末端行政との間において調整のとしれますようなものが何かございますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。もし神戸勧告を忠実に実行して行つて、それで中央の事務を非常に縮減して行きたい、こういうことになりますれば、自然中央官庁の地方における出先機関というものも整理を受けるということになつて来るはずでございます。
○木村(榮)委員 そうしますと、大体今度の行政機構改革に伴つて、各県または町村の事務内容と申しますか、行政区分といつたものにも、相当変化があると見ていいわけですね。
○岡野国務大臣 将来地方制度調査会を開きまして、そして神戸勧告を実現するにつきましては、地方の行政制度というものが相当の変化が来るということはお説の通りであります。
○木村(榮)委員 話が少し横道に入るようですが、きのうかきようかの新聞に、青森県の県会議員の方が除名処分になつた。それから青森の地裁の方へ不当処分に対して訴訟を起したが、異議の申立てを行つて除名の執行停止が決定された。これに対して自治庁の方では、総理大臣の名前で異議の申立てを行うというふうなことが出ていましたが、私は法律家じやございませんので、その法的根拠はわからないですが、常識的に考えましても、行政権が司法権に干渉するような傾向と、もう一つは、末端の県でやつた自主的な——除名がいいか悪いかは別問題として、一応決定しておるわけなんです。そこで裁判になつておるわけですが、こういつたことに対して、自治庁あたりがそういつた干渉というと語弊がありますが、今のような御措置をなさるというのは大体どういう御方針から出ておるわけですか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私自治庁の長官といたしまして、地方の自治が確立し、同時に、地方の自治行政が円満にやつて行けることをわれわれは常に指導、援助しておる次第でございます。そこで先般の問題は、青森県の県会におきまして、ある一議員が、その議会の内部の秩序を乱し、もしくは品位を傷つけるとかまたあるいは——自治法に、無礼の言葉を使うという場合にはとにかく懲罰をし得るということになつております。自治法には、地方の議会においてそういう意味において秩序を保つことができるように議会の規則をつくりまして、そして懲罰の規則をつくつておるわけでございます。そこで青森県会といたしましては、ある一議員を、少くともこの議会の品位並びに秩序を保つためには除名をしなければならぬ、こういうような結論に到達しまして、そして合法的な手続をとつて除名をした次第でございます。そこで除名せられましたところの一議員は、それは除名に値するものでないというような意味で裁判を起して、その本訴が地方裁判所に受付けられたという話でございます。そこでその本訴を受付けると同時に、その除名処分の執行停止ということができるわけでありまして、執行停止を裁判所に依頼してその裁判所が執行停止をしたのであります。ところが私ども自治庁当局者といたしましては、地方の議会は地方制度の最も重要なる機関でおると同時に、その議会が円満に秩序正しく運営せられて行かなければ地方行政というものは完璧を期することができない、こういう立場を持つております。そこで地方議会が合法的に懲罰をして、その懲罰をしましたところが——裁判所が本訴で受付けるのはこれは司法権の発動としてしごくけつこうであります。その判決にまたなければなりませんけれども、その判決の下らない前に一応執行停止をされたということになります。そういたしますと、今までのような事案から考えまして、執行停止をしている間に——実際は判決が非常に延びまして、その懲罰をいたしました結果というものが無意味になつてしまう。そういたしますと、地方議会の秩序を保たんがために懲罰規則を設け、その懲罰規則を合法的にやつてしたことがいつもくつがえされてしまうという結果になりまして、地方の自治というものは安全にやつて行けない。また円満にやつて行けない。こういうような意味におきまして、総理大臣がこれに対して異議を申し立てる。そうすれば、その裁判所が出しました執行停止は一応取消すことができる、こういうことになつておりますので、私どもの立場といたしましては、地方自治の確立の意味におきまして、地方議会の秩序を保たせる、円満に地方行政がやつて行けるというような立場から、合法的にやつた懲罰というものは、一応判決が確定するまではそのまま議会の意思を尊重してやつた方がよいだろう、こういう立場から総理大臣の異議を申立てて、その執行停止を除いてもらいたい、こういうようなことをしようと思つているわけであります。
○木村(榮)委員 これは、社会党の鈴木さんの方が專門家だから御意見を承つてもよいと思うのですが、そういつた御報告を聞きますと、何か法律上に不備な点があつて、私たちしろうとから見ましても、妙な争いが起つて来るような印象を受けるわけです。青森県の議会議長がそういつたことをやるなら話がすぐわかるのですが、だしぬけに総理大臣にまで持つて来なければならぬということはどうもおかしいのです。これは法律上幾分欠陥があるのではないでしようか。鈴木さんあたりの御意見を伺つた方がよいかと思いますが……。
○岡野国務大臣 私ども法律專門家ではございませんから、そういう点に対しては御満足の行く答弁はできないかと思います。しかしながら、判決は司法権として尊重しなければなりませんが、執行停止ということは、裁判所の方の一つの法律行為でございます。そこで、やはり行政事件訴訟特例法という法律が出ておりまして、執行停止もできる。その執行停止が、国の行政の必要上から、これはやめた方がよいだろうというような場合には、やはり行政の農高責任者であるところの総理大臣がこれに異議を申し述べることができるような法律上の規定になつておりますから、そこでお説のように、司法権に行政権が關與するような形にも見えますけれども、私はそうは認めないで、一つの裁判所の法律行為に対して行政の最高責任者たる総理大臣が異議を申し立てること、ができるというような法律が出ておりますので、それによつて私どもはやつておるわけであります。
○木村(榮)委員 この問題は、木村法務総裁は意見が違つておつた。ところが反対派の大橋君あたりがどんどん横車を押しまして、そうしてとうとう吉田さんの異議の申立てが成立したように新聞紙が報道している。そういつた点を見ますと、法の解釈なんかでは正しい解釈があるのを、相当政治的に利用されたんではないかと考えるわけなんです。最近、こういつたことではありませんが、何かというと平衡交付金の問題なんかをめぐつて府県が中央官庁の万から相当牽制を受けるような状態が多くて、陳情なんかもそういつたのがたくさん来るのです。この点せつかくの行政機構改革の場合ですから——根本的には国家行政組織法なんかの改正も必要になつて来ると思いますが、もう少し明朗化といいますか円滑化といいますか、そういつたような御構想は、岡野さんは相当長期の專門家でいらつしやいまして御構想があると思いますから、もしそういう点がありましたら承りたいと思います。
○岡野国務大臣 御質問の問題よく私には受取れなかつたのでございますが、中央の機構改革をやりますときに、地方自治を担当する私からいろいろまた構想があるだろうというような御質問でございますか。
○木村(榮)委員 私は言い方がへたなものですから……。各省の機構改革をやる場合に、各府県なんかで折衝とか、いろいろな事務の分配、所掌範囲とかいつたものは、ただ自治庁だけに集まつているわけじやなく、各省は各省なりに連絡があるわけでしよう。そういう機構改革をやる場合に、たとえば便利の悪い点はあなたの方から意見をお出しになつて各府県との連絡調整といつたことも加味して改革した方がいいのではないか、そういつて場合の御意見を行政管理庁なら行政管理庁の方へあなたの方からお出しになることができますか、またお出しになつたことがありますか、こういうわけです。
○岡野国務大臣 御承知の通りに市町村も自然間接的な影響は受けますが、都道府県の仕事と申しますものは、その七、八割が中央から委任された事務を取扱つているのでございます。でございますから地方の行政をいろいろ検討いたしますと、各省から出て来るいろいろな委任事務がどう改正されたらいいだろうということになるのであります。その点につきましては、われわれ地方行政簡素化本部でいろいろ、研究した結果、各省のこういう法律をこう直したらいいだろう、ああ直したらいいだろうという、ある程度の腹案ができております。しかしながら今回の中央の行政機構改革は機構をとにかく改めるのでありまして、事務の整理は後日に残されておる次第でございますから、まだそういうことがほんとうにでき上るかどうか知りませんが、われわれといたしましては、事務整理を主とする法令の研究を中央でやることになつております。われわれは地方から見たところの中央の政治の地方への流れ方について相当の意見を持つておりますから、それができますときには、われわれは両方合せまして事務を中央地方共同で整理して、そうして都道府県と各省とのつながりに対して相当な調整をつけて行きたい、こう考えております。でございますから、今回の機構の改革と事務の整理とは別のこととお考えくだすつてけつこうであります。
○木村(榮)委員 午前中保安庁法の説明を受けたのですが、これを見ますと、将来保安隊の隊員を募集いたします場合に、市町村へ割当といいますか委任といいますか、そういうふうなことをやるようになつておるようでございますが、これは県へ行つて、県から市町村へ行くのですか、直接市町村に行くのですか。
○岡野国務大臣 私、詳しい手続は存じませんから、事務当局が知つておれば、ちよつと事務当局の方から……。
○鈴木(俊)政府委員 警察予備隊の隊員、海上保安庁の保安官、警備官の募集に関する事務は、都道府県知事と市町村長が行う、市川村に対しては都道府県知事が指揮監督をする、こういう形になつておるわけであります。
○木村(榮)委員 今度できます保安庁なら保安庁の方から各都道府県の方へ連絡するわけでしようが、これはあなたの方の自治庁の手を経てやるのでなくて、直接やるわけですか。
○鈴木(俊)政府委員 各省所管の事務につきましては、それぞれ各省が直接都道府県知事なり市町村長に対しまして指揮をし、あるいは指導、助言をするわけであります。
○木村(榮)委員 これはまあ聞いたつて御答弁なさらないでしようが、このごろ各村をまわつてみますと、また徴兵検査みたようなことをやらなければならないので兵事係を置かなければならないというようなことを言つておる。このことが今のようなことと関連しておることではないかと思うのです。ところで保安隊といえば軍隊だということは、何人も大体認識しておるという時代に現在なつて来ておりまして、再軍備反対とか徴兵反対とかいう気持が非常に大きく出ておるのですが、そうした情勢の中でそういつたことが円滑に行くと岡野国務大臣はお考えでございましようか。大橋国務大臣は円滑に行くと思つたからやつたのだと思いますが、今度は立場をかえて岡野さんの方ではそういう点がうまく行くかどうかお考えになつたことがあるか、御答弁を願いたいと思います。
○岡野国務大臣 ちよつと私予想がつきませんが、都道府県知事に委託して、元の徴兵ではなくて志願募集をして志願者を受付け、その志願者を中央に伝達するというような仕事は、都道府県知事とし、また市町村長としてもできると私は思います。
○木村(榮)委員 もう一つだけ、そういうことの費用は、平衡交付金から出るのですか、それとも警察予備隊の費用から出るのですか。
○岡野国務大臣 あれは国の委託事務でごいまして、余類国庫負担でやりますから、地方の財政にはしわ寄せたせぬことになつております。
○鈴木(義)委員 簡単に二、三点承つておきたいと思います。この自治庁が今度設けられることになりまして、地方自治に関する事務を総合統一するようでありまして、やや前の内務省が復活する感を抱かせるのですが、ことに選挙部を設け、中央選卒管理委員会をこの中に接收してやつて行くことは、選挙はできるだけ政党政治の時代になつて行くのでありますから、内閣、ことにその官庁の一部局に委員会を置く、さしずは事実上しないかもしれませんが、ある種の影響を與え得るような地位に置くことは適当でないと信ずるのでありまするが、その点政府の所見はいかがでありましようか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。御承知の通りに、参議院の地方選出議員とか、参議院の議員とかいうようなものは、従来通り都道府県の選挙管理委員会がこれをやつて行くわけであります。今回残りましたものは、参議院の全国選出の議員のお世話をする、こういうことでございます。しかしそのやりまするところの中央漢学管理委員というものは、国会が御指名になつたのを総理大臣が任命するということでございまして、ニユートラルな次第でございまして、自治庁が特にそれに關與することはございません。ただどこへそういうような機関を附属さしておいたらいいかと申しますれば、日本の民主主義を確立して行きますものは、やはり地方の自治から始まる。また選挙ということもやはり自治の一番大事な仕事でございますから、関連上自治庁の附属機関とした方がいいだろう、こういうことでやつておる次第でございます。性質はどこまでもニユートラルなものでございます。
○鈴木(義)委員 これは自治庁に直接関係がありませんけれども、新聞紙などの伝うるところによると、町村を合併し、府県を併合して、道州制、それから市町村の單位をもつと大きくしたいという案があるということを承つておりますが、その点はいかがでありますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは案ではないのでございまして、そういうようなことを研究させようという研究題目として、われわれは考えております。と申しますことは、今地方自治をやつておりますが、新しい観念から新しい自治の確立を、この四、五年来にいろいろばらばらな法律によつて、ほぼ法制上はできておるわけでございますけれども、時を異にして、統一のとれていない公務員法であるとか、地方税法であるとか、自治法であるとか、いろいろなものがございますが、そんなもので新しい自治観念だけはできておりますけれども、これをやはり総合して、国情に合つたように調整して行かなければならぬ。そのために地方制度調査会というものを設けまして、その総合調整をしていただきたい、こう私は考えたのであります。そうしてわれわれ過去の経験によりまして考えますと、この新しい時代の自治をやつて行きますのには、何さま市町村の規模が小さ過ぎる、そうしてわれわれは地方自治の根幹は市町村に置きたい、こういう理想を持つておる。またそれがほんとうだろうと思います。そういたしますと、明治二十二年ぐらいにきまりました市町村の区域がそのまま市制とか、町村制とか、幾たびも改正せられたのでございますけれども、その区域はやはり従前の区域によるという言葉でずつと引継がれまして、ちようど六、七十年前、まだあまり経済の発展もありませんし、また今日のような文明の恩沢も受けておらないときにありました日本の市町村の区分というものが、今日これだけ発達した自治行政、同時に経済情勢のかわつておりますにかかわらず、その区域が元のままであるということは、住民の幸福を増進するゆえんじやなかろう、こう考えまして、この市町村の規模もやはりある程度大きくして行きたい、こういうことも考えております。市町村を大きくし、同時に市町村に地方行政の根幹であるところの仕事をやらして行こうとすれば、今度は府県というものをいかに処置するかということが、やはり疑問になつて参ります。そうしますと、この府県制もまた二十二年以来の従前の区域によつておりますものですから、再検討をしなければならぬ。そうすれば、今まで世間の論議に上つておりまする道州制などもやはり考えの中に入つて来るのではないか、こう自然に考えられるわけであります。でありますから、われわれといたしましては、そういうふうな新しい自治行政を円満にかつ能率的にやつて行く制度を考えるそのテーマの中に、道州制も一応考えに入れなければならないんじやないか、こういうことで、そういうことを地方制度調査会にかけて御審議を願いたい、こう考えておる次第でございまして、われわれが道州制をこうしたいとか、府県をどうしたいとか、こういうふうなことはまだ成案も何も持つておらない次第であります。
○鈴木(義)委員 それから自治庁と地方制度調査会との関連上においてお尋ねをするわけでありますが、自治庁の方では参與十人を置く——参與というものがどういうことをやるものでありますか、ほぼ察するに足りるのでありますけれども、それから地方財政審議会というものが置かれる。その構成員も法律に明らかなところであります。それから地方制度調査会でありますが、これは委員五十人、臨時委員二十人、しかも国会の両院議員その他が任命されるというのであります。ずいぶん複雑な機構になるように思うが、こういういろいろな制度を設けなければならない必要性について御説明願つておきたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。自治庁の参與と申しますのは、今自治委員会議というものがございますが、この自治委員会議は、性格といたしましては、自治庁長官が地方行政を指導し、また助言をするという場合、また地方に対する法律の立案とか企画とかをいたします場合に、地方自治団体の十分なる意向をくみとつて、その実情に合い、同時に諮問をしてやつて行きたいというために自治委員会議というものを今自治庁長官の諮問機関として持つております。それには学識経験者も入つておりますが、今回その自治委員会議というものを廃止いたしまして、地方の現職の、すなわち知事とか市長とか、または府県会議長、市議会の議長、町村長並びに町村会の議長、こういう六団体はみな各団体ごとに会長を置いておりまして、知事会議の会長とか、市長会の会長とか、府県会議長会の会長とかいうものがございます。そういうふうに、ずつとすべての六団体の代表者をあわせてわれわれの仕事の参考になるアドヴアイスをもらつているわけです。その自治委員会議を、今度は名前をかえまして参與ということにしまして、そして機会あるごと、また必要のあるたびに自治庁においでを願つて、そしてわれわれが地方の実情を聞き、並びに地方と連絡するために参與というものを自治庁長官の諮問機関として置くことになつております。それから財政審議会と申しますのは、御承知の通りに、今まで地方財政委員会というものがございました。これは自治委員会議は法律の立案とか何とかいう方面に参與しますが、財政委員会は財政の調整ということを職務にしております。この財政委員会を自治庁と独立なものでなしに、自治庁に併合いたしまして、同じ一本の機関としてやる。しかしながら自治庁長官がその財政委員会の仕事を担当することになりましても、公平を期する意味におきまして、やはり地方の団体の推薦した者三人、学識経験者二名をもつて独立の審議会をつくりまして、その審議会の意見を自治庁長官は尊重して仕事をして行く、こういうことにするために、これは両方とも自治庁の附属機関であります。それから行政制度調査会は、これは総理大臣の諮問機関でございまして、国会で設置法をおつくりくださいまして、そしてその中に五十人ばかり、すなわち両院の議員の方、また各省の役人、また先ほど申し上げました六団体の選抜者、それからまた学識経験者というようなものを合せまして、そうして地方自治全体の制度の改革をするために総理大臣の諮問機関としてできるわけであります。こういうように、三つの性格にわかれております。
○鈴木(義)委員 最後の地方制度調査会——行政制度調査会じやないのです。行政制度なら、内閣の諮問機関として学識経験者、その他あらゆる者を集めて大規模なことをやるのはもつともでありますが、自治庁がちやんとできてこういうふうに発足するのですから、参與が十人もあれば十分であろうと思われるのに、さらに地方制度調査会ですか、五十人、二十人などという委員をつくることは、いわゆる総花主義の、船頭多くして船山に登る体の、あまり実益の上らないものをおつくりになるのではないかということを懸念してお尋ねをいたしたわけであります。 それから最後に、先ほど木村君が質問されました青森県の問題に関して、念のために承つておきたいと思います。地方自治体に起つたことは、原則としてできるだけ自治体の行為にまかせることが自治の原則である。総理大臣が差止権を行使するというようなことは、非常事態やむを得ざる場合でなければやるべきことでない。法律上できるということと、政治上やるべきであるかないかということは別問題であると思う。私はあの事件の内容をほぼ承知いたしておりますが、かりにその議員の発言が不穏当であつたとしても——この国会でも始終起ることでありますが、このごろ懲罰ばやりであつて、多数党横暴である。何か気に食わぬことを申し上げるとか、あるいは野人礼にならわざる発言があると懲罰に付する、そうして陳謝文を朗読させる。朗読しなければ、院議無視で、除名と、簡單に死刑の執行をやるわけでありまして、そうなりますと、元来これは裁判所に訴えるなんということはよろしくない、不見識なことでありまして、われわれやるべきでないと思いますけれども、多数党の横暴を阻止する道は裁判所に訴えるよりほかなくなつて来る。青森県の場合もそれである。裁判所に訴えた。裁判所事由ありとして、仮処分で一応議員たるの権利の行使を許しておる。それを総理大臣が無理にとめる。この裁判所のやつた判断が正しいかどうか、これは別問題です。私は議論の余地はあると思います。ことにそういうことについて、仮処分を許すことが妥当なりやいなやということは議論があると思いますが、しかし裁判所が間違つたことをやつたら、最高裁判所がこれを是正するのである。そのために司法権と行政権は分立しておるわけです。それに介入して行くことは好ましからざることだと思うのですが、自治庁長官としてどういうふうにお考えになつておるか、いま一度承つておきたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方自治を尊重していただけるといろお言葉をいただきまして、私としては満足限りない次第であります。その意味におきましてわれわれといたしましては、議会の合法的の決定に対しては、できるだけこれを尊重して行きたい、こういう念願であります。そこで先ほども仰せのごとく、あの除名処分がいいか悪いか、すなわち除名してしかるべき原因があつたかどうか、またそういうことに対して司法権がこれに干興して、そして司法権が独自の立場においてこれの判決を下されることについては何らの異論がないわけであります。しかしながらあの執行停止の法律行為によつて、地方の議会の決定したことが無意味になつてしまうというおそれが出て来ては、これは地方自治を満足に尊重して行くわけに参りません。こういう行政的の立場から、われわれといたしましては総理大臣に異議を申し立てた。それからまた法制上から行きましても、一方行政事件訴訟特例法において裁判所は執行停止をすることができるし、同時にその同じ条文に、総理大臣は行政の最高の長官としてこれに対して異議を申し述べることができるのでございますから、これは両方とも——片方は行政の立場から、片方は司法権の立場から、両方とも法律行為をし得るということになつております。われわれといたしましては、不幸にしてその裁判所と見解を異にいたしました。その見解を異にしたということは、地方自治を尊重するという意味において総理大臣に異議を申し立てることが適当であろうと思つてやつたことで、裁判所の方では、これは停止した方がいいだろうということでやつた。その両方の対立が当然予想されればこそ、片方にあの同じ法律の中に執行停止という規定を置き、同時に総理大臣に異議を申し立てる権限も残しているということで、私は行政上の立場から異議を申し立てて、地方議会の円満なる運営を生かして行きたい、自治を尊重して行きたい、こういうことから総理大臣の異議申立ての権限を発動したわけであります。
○鈴木(義)委員 これ以上は議論になりますから略しますけれども、それは非常に違うと思うのであります。総理大臣が行政処分の執行を停止する権限を持つているのは、これは内閣各省のやつた行政処分に対してでありまして、立法の精神はそうなんです。総理大臣が青森県会議長のかわりをやることは間違つたことであると信ずる。むしろそれは青森の県会議長が裁判所に向つて反対の提訴をしてやるべきことでありまして、そういうことは出過ぎたことである。それだから、自治というものを尊重しないことになると私は考えるのであります。意見を闘わすことが問題でありませんから省略いたします。いろいろ聞きたいことはありますけれども、私もちよつと約束がありますので、これで打切つておきます。
○八木委員長 次会は明十五日午前十時半より開会いたします。本日はこの程度にて散会いたします。 午後三時五十八分散会