内閣委員会 第15号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/04/23
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 本日は統計報告調整法案、内閣提出一四七号を議題といたします。まず法案について提案理由の説明を聴取いたします。菅野官房副長官。
○菅野政府委員 ただいま議題となりました統計報告調整法案につきまして、その提案理由及び要旨を説明いたします。 現在政府各機関及び地方公共団体が民間から求める各種統計報告は、それぞれの機関の立場から見れば、いずれも正当の理由を持つものでありますが、往々にして類似した統計報告の徴集が重複し、またはせつかく徴集した統計報告が徴集方法または様式が適当でないためごく一部の目的にしか適さない場合があります。 政府といたしましては、これにつき、民間経済団体の要望及び昨年来日しました統計使節団長ライス博士の勧告等を取入れ、各種統計報告の徴集について、事前に適切な調整を行い、もつて国民にかける手数の軽減をはかり、かつ行政能率の向上に資するため、今回この法律案を提案することとしたのであります。 この法律案の目的である統計報告の徴集について必要な調整を行うために、本法律案はまず、統計委員会が、特定の統計報告の徴集に対して承認その他の調整を行うことといたしたのであります。ただ、各種機関の特殊事情等に応じて、この委員会の調整につき特例ないし適用除外を設けるべきものについては所要の規定を設けてあります。 また、この法律の実施により、各行政機関の権限が不当に侵害され、その統計活動の独自性と政策の実施を阻害することのないよう、特に法律中に運用の基本を明らかにし、統計委員会はもつばら統計技術上の見地から調整に当るものとし、各種機関の異議申立ての道を開くことといたしました。その他、各行政機関と統計委員会との緊密な連絡をとるため報告調整官を置くこととし、所要の規定を設けました。 なお、この法律の施行に伴う過渡的な混乱を防止するために経過的規定として、現に報告様式を定めて徴集している統計報告は、この法律施行後三年間は、原則として統計委員会の承認を要しないことといたしたのであります。 以上本法律案の提案理由並びに内容の大略を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○八木委員長 これにて提案理由の説明は終りました。 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。今野君
○今野委員 議事進行について。この質疑に入る前に内閣委員会の議事について委員長にちよつとお伺いしたいのですが、それは先般政府から破壊活動防止法、並びに公安調査庁設置法、それからもう一つ公安審査委員会ですか、これの設置法に関する重大な法案が提出されておるのでありますが、これの審議について、何でもこれは関連があるから法務委員会でやる、その他は適宜合同してやるというようなことがきまつたように聞き及んでおるのでありますが、そういう合同審査の手続とかその他については、いかがになつておるのでしようか。非常に重大なこでありますから、ちよつと先に聞かせていただきたいと思います。
○八木委員長 お答えいたします。機構改革に関連を持ちます諸法案、諸案件につきましては、あらためて議題となし御協議をいたしたいと考えております。ただいま御指摘の点に関しましては、理事会をもつて御相談の上、決定いたしたいと思います。
○今野委員 そうすると、ただちにこれの質疑に入つてよろしいでしようか。それともほかの方が先にありましたら……。
○八木委員長 質疑を許しました。
○今野委員 それでは質疑をいたします。 これの提案理由の説明を見てみますると、何かこれは実際に拘束力を持つて行われるのは三年後だというふうに考えられるわけであります。そうすると、もう少し機構の問題や何かとあわせて、十分練つてからでも遅くはないんじやないかと申しますのは、この調整の問題、特に民間団体なんかで各方面からいろいろな調査が来て、そのために非常に迷惑しておるというような事情等については十分了承いたしておるのでありますが、しかしこれを実際に行うためには、趣旨は非常にけつこうだけれども、相当これは研究を要する点があるんじやないかと思うのであります。でありまするから、やはりそのための統計事務—これは非常に重大な仕事でありますから、その仕事の機構といつたようなものを一緒にあわせて審議をした方が、われわれとしては首尾一貫した審議ができるんじやないか、そういうふうに考えられるわけですが、その点政府としてどういうふうに考えておられるか。いつその機構については提案されるのか、その点をまずひとつお聞きしておきたい。
○菅野政府委員 お答え申し上げます。ただいま三年間は調整を行わないことができるというふうに御説明申し上げましたのは、この法案の附則の二項にありますように、「この法律施行の際現に徴集方法及び報告様式が法令に基いて定められている統計報告でこの法律施行後同一の徴集方法及び報告様式により徴集を行うものについては、政令で定める場合を除く外、」云云とありまして、法律施行の日から三年間を限つて承認を受けないでもとれる、こういうことでございまして、これは統計報告の全部ではないのでございます。結局この調整は非常に科学的に、カード式によりまして調整をして行かなければならないのでありまして、現在行つておるものを全部一時に承認するということは、非常な手数であるばかりでありませんで、また非常に時間を要します。その間すべての報告統計をストップするというようなことは、統計報告の趣旨からいたしまして、まことに妥当でないと考えられるのであります。従いまして、一定の法令によつて、様式とか、あるいは徴集方法がきまつておりまする現在行われておりまする統計報告については、便宜上三年の余裕を認めたのでございまして、今後新たに徴集するものであるとか、あるいはこの範疇に属しない統計報告等につきましては、もちろん承認を経なければこの法律施行後はできないのでありまして、ほんの一部分、しつかりした法令の根拠を持つ徴集方法とか、あるいは報告様式がはつきりときめられたものにつきましては、あとに調整をするとして、余裕を持つたのでございます。従いまして、この法律が施行になりますと、新しい報告とか、あるいはまだ完全な様式とか方法がきまつておらないものにつきましては、すぐ適用があるのでございます。 それから第二の点で、この調整をする行政機構との関係について御質問があつたのでございまするが、行政機構の点につきましては、目下政府内でもつていろいろ検討中でありまして、この統計の調整をいたす行政機構につきましても、この法案を提出して御審議を願つておるということを十分念頭において、この仕事をするのに最もふさわしい機構を考えております。これは遠からずして提案になると思いまするが、今のところ、ほかの行政機構との関係もありまして、いつということは申し上げられませんが、近く国会に提出する予定でございます。
○今野委員 二つのことを一ぺんに聞いてしまつたので、従つて今度は少しわけてお伺いしたいと思います。第一は、ほんの一部分というが、三年間延ばされるのだというお話でしたが、大体行政をやつて行く以上、日々行政ということは行われておる。日本の政府というものは今できたわけではない、ずつと長い間できているのです。相当重要なものがずつとこのところ統計調査報告をやつているはずであります。そういうものが、一部分だけがしつかりした法的根拠をもつて行われているというお話でしたが、はたしてさようであるかどうか。これから新しくやる方が多くて、今までのは少いのだというようなことになりますと、今までの行政が、まつたく基礎を持たない行政をやつたということにもなりかねないわけでありますから、その点もう少しはつきりと、どういうものがそうであるか、どういうものがそうでないかというような点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○菅野政府委員 私のお答えがあるいはあいまいであつたために、誤解があつたかもしれませんが、お説のごとく、行政をやる上におきましては、たとい統計報告の徴集にいたしましても、法律上の根拠がいることは当然でありまして、統計報告をとること自体は、すべて直接あるいは間接に法律の根拠があるのでございまするが、この附則の二項にございますように、徴集方法とか、あるいは報告様式が法令によつて定められておる統計報告ということでございまして、これは必ずしも全部ではないのでございます。従いまして新しく徴集方法あるいは報告様式をきめるという場合におきましては、ほかの統計報告との関係上調整をするのでございまして、それは法律の施行後すぐ適用になる、こういう意味でございます。
○今野委員 具体的に言うと、今までどういうものと、どういうものがそういうふうになるのか、その点もし一覧表でもできたら、ひとつ提出していただきたいと思います。というのは、これは相当重要なことだと思うのです。実際の民間団体の迷惑、要望云々ということがありまするけれども、しかしながら、実際上の問題としても重要な問題であります。であるから、どういうものがそういうものであるか、ひとつ具体的にお示し願えれば幸いだと思います。 それからもう一つ、こういう法律を急いで出さなければならないとすると、今おつしやつたように、つまり新しくこれから統計調査をやつて行く必要が非常にたくさん生じて来て、そのためにこういうものを出さなければならないということにもなるのだろうと思いますが、即刻にそういうことをやつて、そうして新しい方式によつてやつて行かなければならないものは何と何と何でおるか、そういうような具体的なことをひとつお知らせ願いたいのです。
○大内政府委員 ただいまのお話につきましては、統計委員会は、全部の省の数字を今持つておらないのでございますが、しかし具体的に最もおもな数省の調査をいたしまして、大体の見当をつけております。それによりますと、大体似たような比例になりますが、たとえばある省におきましては、現在この法律の範囲に該当すると思われる報告書は百八十六種あります。そのうちで法律に基くものが二十六で、規則に基くものが二十七、前者は全体の一四%、後者は全体の一五%ということになり(合計いたしまして約三〇%が、すなわち現在法律及び規則に基く根拠を持つているという理由で三年間猶予されるものでありまして、あとの七〇%は新しくとる。すなわちこの法律に即座に適用される部分になります。それから前の三〇%のうちでも、行政官庁の方で直接に考えられて、新たに形式をかえた方が適当であるというふうに思う場合には、即座に統計委員会の承認を経て、新しいこの報告調整法の規定に基くということになりますから、実質的に新たに即座に適用されるものは、大体七十何パーセントになるという見当であります。
○今野委員 大内先生にお伺いしたいのですが、そうすると、これは一つの省でございますか。全体で大体そのくらいになると推定されるのでありますか
○大内政府委員 今私の持つているのは、そして今申し上げたのは、一つの省の例でありますが、われわれの持つているのは、政府全体の省をまだ調査しておりませんが、数省について調べたところでは、大体同じようなことになつております。
○今野委員 それは比較的新しくできた省ですか、それともちやんと歴史のある、古くからあるものですか。
○大内政府委員 今申し上げたのは、日本の省が歴史の順序に今並んでおりますが、そのうちでは、まん中よりちよつとあとのところであります。
○今野委員 大体大よそのことはわかつたのでありますが、そうすると、この推定はあとで訂正されるかもしれないわけでありますが、かりに七〇%は新しくやるというようなことで推定が成り立つといたしますと、そのために相当いろいろな仕事が必要じやないか。機構がどうなるかということについては、先ほど来どうもよくわからない。まだきまつていないということでありましたが、しかし大体こういうことにかかる人手とか予算というものは、おわかりになつておるはずであります。こまかに機構のことはともかくとして、そういう点についてはどんなふうでしようか。つまりお聞きします意味は、こういうことをきめて、そして実際に実行できるかどうかというような点を見定めたいためにお聞きするのです。
○菅野政府委員 この法律の実施につきましては、お話のように相当いろいろ手数がかかりますが、現在の統計委員会の職員をもつて十分やり得るという自信を持つております。また行政機構の改正によりまし、てどういう機構になりますか、近く国会に提出するつもりでございますが、その機構によりましても、もちろん先ほど申し上げた通り、この統計報告調整法に基く仕事は十分やれるという必要な人員と予算は準備してやりたい、かように考えております。
○今野委員 次にお伺いしたいのは、統計委員会の委員並びに事務局でもつて、そういう仕事を責任を持つておやりになる。今まででも各省に相当責任を持つてこれらの仕事をやつていた人があるわけであります。そうすると、今まで能力がない人がまさかやつていなかつたと思うのでありまするが、今度はその能力に応じた責任を持たされないことになつて、政府全体としては、統計事務において責任を持つてやる人の数というものは、非常に減るように思われるのですが、大体そういう全体としての数、その他についてけどんなふうになつているのでしようか。数字があげられたら、概略の数字でもあげてお答え願いたい。統計官がどのくらいおつて、そのうち今度こういうことでもつて責任を持つてやるのが何人くらいになるか、今までとはどのくらいになるか、こういうふうにお答え願いたいと思います。
○菅野政府委員 この統計報告調整法に基く仕事は、先ほど御説明申し上げました通り、各省がそれぞれ自分で最善と思う方法なり様式でもつてやつております統計報告のその間の調整をするのでございまして、従来各省のどこでもやつておらないところでございます。従いまして各省としては、自分のある政策なり行政事務をやつて行く上におきまして、最も適当と思う統計の徴集方法なり、あるいは様式をきめて、そうして統計委員会の方に承認を求めるのでありまするか、紡割委員会はその省自体の都合、あるいはその省自体の要求ということはもちろん考えないでもありませんが、それは第二段のことでありまして、それは各省がそれぞれ考うべきことでありまして、統計委員会の考えることは、それとほかの省の統計報告との間の調整、言いかえれば、これを受ける方の立場になつた民間側の立場に立ちまして、重複とか、あるいはむだなことがないようにというような意味の調整でございまして、従来からとれはやつておりません。従いまして、この方法をとりましても、別に各省の人員がこのために減るというようなことは考えられません。もつともこの法律にございますように、報告調整官というようなことを各行政機関に置くことになつておりまして、これは統計委員会と緊密な連絡をとつて、その省の統計についての連絡あるいは調整を行うことになつておりますが、これは別にふえるわけではないのでございまして、従来のものがこれに当るということになるわけであります。
○今野委員 さらにお伺いしたいのですが、これは菅野さんの方でおわかりになると思いますが、前に各省の統計調査局というのをやめたわけですね。大体統計調査部というものが、各省の局あるいは官房の下につくられて来ている。そうすると、今度はこういうふうになつて来て、やはり依然としてそういう形でやつて行くのか。つまり統計調査局あるいは統計調査部、こういうものは存置するわけでございますか、それともそういうもの存置しない方針であるか、その点お伺いしたいと思います。
○菅野政府委員 各行政機関の統計報告を徴集する機構につきましては、先ほど申し上げましたように、一般の行政機構の改正とにらみ合して目下検討中でございます。従いまして、この法律の施行と関連してどうこうということは今考えておりません。といいますのは、この法律による調整というものは、先ほど申しました通り、様式あるいは徴集方法について調整をして承認を与えるのでありまして、その実際の徴集を行いますこと、あるいはまたどういう統計をとるかということをきめるようなことは、各省の従来の職員がやるのでございますから、この法律施行と直接因果関係を持つて、部をなくなすとか、あるいは局を部にするというようなことは考えておらないのでありまして、もしそういうようなことがございましても、これは行政機構全般の問題として今検討しておる次第でございます。
○今野委員 ますます何だかよくわからなくなつたのですが、新聞によると、保安庁を除いては、行政機構のことについては閣内で意見が一致して、それでもうはつきりしておるというように書いてございます。新聞記者にははつきりしておるのかもしれませんけれども、一般国民にははつきりしないし、これはわれわれにもはつきりしないわけです。ですから私どもとしては、やはりこういう法律を実施するに当つては、その官庁機構がどうなるかということが、実際面においては非常に大きな影響があると思うのですが、菅野さんの方ではその影響はないというふうにお考えなんですか、その点をもう一ぺんお伺いしたい。大内委員長の方にもひとつその点をお答え願いたいと思います。
○菅野政府委員 行政機構の改正につきましては、新聞紙でいろいろ報ぜられておるのでございまして、保安庁以外はきまつたというようなことが出ておりますが、ある意味から言うと、そういうことも言えると思いますが、御承知の通り、法律案としていよいよきまるというのは、その法律案を国会に提出する直前に閣議でもつてきまるのが、これがほんとうにきまつたといえるのでありまして、それまでのことは、法律案を立案する大体の荒筋を閣議で話し合つてきめるのでございます。なるほどいろいろの点につきましてきまつた問題もありまするが、今行政管理庁を中心といたしまして法律案の立案を急いでおります。従いまして、法律案全体としましては今後どういうふうにかわるかわかりませんし、ことに行政機構の改正ということは、一つの庁あるいは一つの省だけの問題でなく、全体の問題として一見きまつたようなことが、またほかとの関連上動くということもございまするので、これは最後に法律案として国会に提出する前に閣議決定をするまでは、どうもはつきりきまつたということは申し上げられないのでございます。新聞紙等に言われておりまするのはその骨組みといいますか、大略のところがきまつたことをそういうふうに報道しているのじやないかと私は想像するのでございます。 なおこの法律の実施に当りまするところの統計委員会がどうなるかということにつきましても、その一連の法律案の中ではつきりすると思うのでございまするが、いずれにいたしましても、先ほど私が冒頭に申しました通り、この法律が国会の審議にかかつている、そう一、てこの法律が国会を通りました一ときにはこの仕事があるということは十分念頭に置きまして、機構なりあるいは職員をきめているのでございまして、いかなる機構になりましても、よくなればとて悪くなるようなことはないというふうに確信している次第でございます。
○大内政府委員 ただいまの菅野さんからの御説明の通りでありますが、かりに統計に関する各省の定員あるいは官制が多少変化いたしましても、現在やつている統計及びこれから予定されている統計の数あるいは統計をとること自体がそんなに急にふえたり減つたりするというふうには考えられないのであります。統計委員会の方はその各省のやる統計を一度統計委員会の方に集めて、そうしてその様式を審査するのであります。従つて今仮定されている、あるいは今予定されている統計の数というものは、統計機構がいかようにかわりましても大差ないものと考えております。
○今野委員 まあその点は私としてはさつき申したように、こういうふうに調整するということ—調整と言うと非常に言葉がやさしいし、その理由のおもな点として述べてあることの一つである民間経済団体の要望というような点、そういうようなことだけでこの重要な統計という問題が左右されるものでは決してないと私どもは思つているわけです。従つてこういうような統計に関する報告様式に関する改正がなされるというのは、様式だけの問題でなくして必ず実体があり、そうして、その実体にふさわしい機構もやつぱり一つくらなければならない。つまり統計をもつとちやんと内容を豊富にしてやるか、あるいはもうあまりそんなものはやらなくていいのだ、まあいろいろな問題があるわけです。そういう点について十分な見通しを持つてやつておられるのだろうと思うのであります。従つてその点については、やつぱり審議の過程で適当な機会に明らかにしていただく方が私どもとして判断しやすいのじやないかと考えられるわけであります。しかしその点については先ほどからいろいろ応答がつて、十分まだ答えを得ないのですから、次の問題に移つて行きたいと思います。 この提案理由の説明の中にこの法律案を出したもう一つの理由として、「昨年来日した統計使節団長ライス博士の勧告等をとりいれ、」というふうになつておりまするが、ライス博士の勧告というのは一体どういう意味でなされた勧告であるか。日本の今までの統計に対するどういう見地をもつて、また将来どうしなければならないかという点から勧告されたものか。その点を一応、お伺いしたいと思います。
○大内政府委員 お答えいたします。ライス博士の勧告と申しますのは、日本の統計制度に関する第二回目の勧告ということになつております。第一回目は、終戦の年の暮れに、日本が民主的な政治を行うためには特に統計を改善する必要があるというのが、多分進駐軍と言つていいだろうと思いますが進駐軍の意向であつたと見えまして、アメリカのいわば統計委員長、統計基準部長といいますか、そのライスを団長としましてて数人の人が日本に参りました。その勧告をするつもりで来たわけであります。ところがそれより前に日本の統計学者がそのことを—そのことというのは日本再建のためには統計を整備する必要があるということを強く認識しておりまして、そのことは、前の第一次大戦中において、すでに統計学会が、日本政府が統計を無視するのははなはだけしからぬということを政府に申し入れておりましたが、政府はそれについて学会に何らの返答をしなかつた。そこで戦後どうしてもそのことが必要であるというので、われわれ統計学者の団体がそのことを政府に申し入れて、やはり統計を整備しなければならぬということをちようど申し入れておりましたそのときにライスが参りまして、そのわれわれの案とライスの考えておつたところが一致いたし’まして、ライスは報告書を書きましたけれども、その報告書には非常にたくさんないろいろの日本の統計をよくしなければならぬということを述べたが、しかし大体の線は日本の統計学者が考えていることでいいということでありました。それから四年間たちまして昨年来たときは、進駐軍がいよいよ撤退するについて、将来一言も日本の統計のために発言しなくていいようにするのには、やはりこの際進駐軍が—ライスは国際統計会議の会長でありますから、国際統計会議の今日までの成績、世界中の成績における最善のものと照して、日本の将来のことを考えて意見を出すことが必要であるというのが一つ、もう一つはおそらくは進駐軍が日本に滞在中、これはやむを得ざる必要でもありましたでしようが、日本政府から非常にたくさんの統計を要求した、そのことの中には多少進駐軍において顧みるべき点、あまり多くを、要求したことがあるということを考えられまして、その二つのことからつまりこの際進駐軍が引揚げる前に意見を出しておいて、その意見に従うように日本には勧告はするが、しかし干渉はしな、い一切発言はしたいという意味において第二回目の報告書ができたわけでもります。それがライスの第二回報告書の一般的性質ですが、その中ではこういうような総括的批評であります。日本の統計は終戦後非常に進歩した、しかし進歩しても、まだ批評する余地はないことはない、つまり改善する余地がないことはないというのが、彼の見解の基礎でありまして、その批評の基礎は、日本は統計を尊敬するという意味が—たくさんな統計をとるが、しかしそれを何の目的にとり、またとつた統計を利用するという点において理解が十分ではない、それらのことを詳細に考えるべきであるということが語論でありました。 それから今度は、各省の統計、統計局のやり方あるいはまた国際統計との関係、それから府県統計、それから町村統計、そういうことについての意見もずつと述べておるわけであります。そのうちの一つといたしまして、アメリカにおけるレポート・コントロール・アクト、すなわち一九四二年以来の経験に基いて、民間から統計をよけいとるということを政府みずから節制して、なるべく少くとるべきであるということの実験に照して、日本もまた統計調整法をつくつたらばいいのじやないかということを書いてあるのであります。それらの点について、必要ありまするならば具体的に、詳細に説明いたしますが、大体の精神はそういうことにあつて、ライス・レポートとこの統計報告調整法との関係は、概要右のごとくであります。
○今野委員 今のお話ですが、これがやはり、前に六・三制の問題が文部委員会で問題になつたときもそうでありますし、あるいはシヤウプ税制改革のことが問題になつたときもそうでありますが、どこでも行われていない理想的なものを頭で考えて、そうしてそれがたとい専門家であろうと—とかく専門家の場合にはそれが出て来るわけです。教育の専門家、あるいはその他の専門家という場合にはこれが出て来るわけですが、そうしてそれを日本にやらせようという試みはおおむね私は失敗であつたと思う。この六・三制の問題がそうでありますし、それからシヤウプ税制についても批判があるわけですから、私どもとしては、率直に言つて失敗であつたと思うわけです。かりに六・三制についても、アメリカでどこでやつているのかというと、アメリカでもやつていない。それではどこの州—カリフォルニアとか、その他の州によく似ているということでありますが、そうやつて、いろいろなその国々の現実の事情というものに合せないでやると、これは相当ほかでも失敗した例があるのであります。統計の場合には、そういうようなことがかりに行われましても、みんなに対する影響はそれほど強くは表面に現われない。それだけにまた長くその影響が残つたときには、これは非常に困ることになりはせぬか。そういうことをごく大ざつぱに心配するわけであります。その点について、大内さんとしてはどういうふうにお考えになつているか、自信を持てるかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
○大内政府委員 六・三制並びにシヤウプ勧告についての御意見、全部ではありませんが、大体の見当において私は所感をひとしくするものであります。確かにアメリカの最初の日本におけるいろいろな制度を勧告したそのものの中には、あまりにも理想主義的なところがあつたと思います。しかし幸いにして統計の方は、すでにライスが来たときに、先ほど申し上げたような意味におきましてたいへん驚いて、日本の方がよく考えておる、それならば何ら言うところはないけれども、自分たちの方で考えていることを言つておこうということで、そういうことになつております。今回のでもやはり非常に向うの方で遠慮して物を言つておるという点をごらんくだされば、大体のところわかると思います。ただこの問題につきまして、特にこの委員会の御了承を求めたいと思うのは、日本では、アメリカよりは、戦時中統制経済の形が、政府のやり方が国民にとつては非常にまずい形になつております。その点はアメリカにおいても傾向は同じであるけれども、程度が非常に違つております。そういう意味において、アメリカのレポート・コントロールの必要と、日本の各省の統計報告要求を政府自身が統制しなければならぬ必要というものは、たいへん程度が違うのでありまして、われわれの力がそれらの点において今新たに強く発揮されなければ、やはりデモクラシーのためにも非常に不利益であります。また政府の統計をつくり、報告をつくる上からいつても、非常に不経済であります。またむだな努力をしてつまらぬものをたくさんつくるということは、特にわれわれが今日考えるべき問題である、そう思つております。
○今野委員 そこでそのライスさんが言われたと大内さんのおつしやることの中に、非常に重大な問題、全体として新たに統計をとることを抑制するという方向に向つておると思う。それから目的を理解していない、利用を知らないというようなお話でありまするが、統計というものは各官庁でやり、またいろいろ国全体としてもやるわけでございまするが、そういう統計というものは、一体だれが使うものであるか、その点をひとつお伺いしたいと思うのです。政府だけがもしかりに使うものである、そういう目的でやるとすれば、これは非常に民主政治というものを、ことによると破壊するような利用のされ方をするかもしれない、そういう危険が多分にあるわけであります。そういう点、民間の学者あるいはいろいろな—われわれ議員も含めてでありますが、国民がひとしくこれを使えるのが目的でやるのか、それとも政府が使うためにやるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○大内政府委員 まつたく適切な御指摘でありまして、統計は最初もしくは最初でなくても、統計の起つた由来でなくても、日本におきましては、統計は多く官庁が使う目的のために発達して参りました。そのことが統計を公正にすること、またりつぱな統計をつくるということを非常にまずくいたしました。言いかえますと、ライス博士の言つておることはこうだと思います。日本はそういう目的でたくさんな統計をつくつたけれども、民間が統計を利用する力を持たなかつた。そのために役人が一生懸命統計をつくるのに、ほんとうの目的を理解していない。そのほんとうの目的というのは、やはり民間の人々が、あるいは国民生活のために、あるいは産業経済発達のために利用することであるが、その利用の程度が少いから、そこで日本はせつかく統計が多くても、りつぱな統計ができていないということにあると思います。今、今野さんの御指摘の通りでありまして、私どもは正しい統計をつくるという考えを持つておりますが、しかしその正しい、正しくないという問題の中心は、やはり使つてみて、国民経済あるいは国民生活の改善にほんとうに役立つているかどうかということに最後はなるのでありますが、それらについてわが国の統計は、従来そんなによく利用されていなかつたということが、今ライスも非難しておるような問題であつたと思います。これから統計をつくる目的は、つくるのは政府でありますけれども、使うのは民間であるということに主力を置きたいと思つております。レポート・コントロールも、またそういう趣旨を、同じ金でよく果したいというところにあるのであります。要するに労働問題でも、あるいは政策の立て方でも、皆さんが十分統計をお使いくださるというと、統計はよくなるということに標準を置いております。
○今野委員 そこで統計の目的という問題について、もう一つお伺いしたいと思います。政府が使うのではなくて、民間が使う。民間が使うとすれば、これは商売上に使うこともありましようし、その他あらゆる目的に使うことと思いますが、この利用とかこれを使うということを、かりに非常に広い全部の使い道をあげれば、これは統計の性格というものは、非常に客観的な真実を明らかにしなければならないということになるわけです。しかしながらもし狭い意味にこれをとりますならば、これはつまりできるだけある種の目的、当時の政府がある政策を遂行しよう、その政策に都合のいいように、統計をこしらえ上げるということも、これはできるわけであります。これは大内先生よく御存じの通り、ケトレの有名な格言まであることでございます。統計はあらゆることを根拠づけるものだ、どんなことでも統計によつて根拠づけることができるということが言われているくらいでありまして、従つてかつてなりくつをこれから引出すことができる。そういうようなことになりますると、これは非常に弊害が多くなるように考えられるのであります。ですから客観的な真実を明らかにする、こういう目的でつくられるのかどうか、そういうふうにまた法律や、あるいは全体の機構、あるいはそこにいる人間、それを運用する人、そういうような面で、そういうようなことが保証されるように現在なつているか、あるいはそれをそういうようにすることができるか、その点を一つお伺いしたい。
○大内政府委員 それらの点につきましては、問題が非常にむずかしいことを含んでおります。一つは、技術的に、なるべく今の技術で許す限りにおいて、正しい、いい統計をつくるというふうに、統計委員会はやつて行つております。しかしながらあらゆる問題に必要なすべての統計を、日本が現在つくつておるか、そういうふうな御質問でありますならば、それはよほどむずかしいので、つくつておるということは言えない。また次に、今政府のつくつておる統計のすべてが、一番重要な統計の順序に従つてできておるか、すなわちある意味においては無用なものがないかということになりますと、やはり今野さんの疑問のような点があります。そこですべての統計を合せて、現在ある統計が日本の客観的、社会的事実をちやんと現わすようにできておるかという御質問、あるいはそういうふうなことがないようにできるかということになりますと、私はそれは自信がありません。そういうことはできないと思います。つまり今の世の中の要求に従つてできておる。というのは、現在の世の中の要求が、今野さんの御理解くださる言葉で言うならば、資本主義的なその社会の要求に従つて、どうしても統計は作成されますから、技術的になるべく正しいものをつくりましても、それらの点において、反対側の人々のすべての要求を満たすというような統計を全部整えるということは不可能でありまして、それは今の限られた力ではできません。ただ統計をつくるものを監督する委員会といたしましては、そういうふうな場合でありましても、なるべく国民の全部のよけい利用できるような統計を先につくるということに努力したいと思つておりますし、もう一つは、すべての統計について、日本の技術の許す限り、客観的に間違いのない統計、つまり統計自体としてはうそを言わない統計をつくりたいと思います。もう一度申し上げますと、今野さんに対して釈迦に説法かもしれませんが、やはり現在の社会の特色というか、欠点というか、そういうものを統計も持つておるのであります。しかしそういう統計の中からでも十分偉い人は、たとえばレーニンは、いわゆるブルジヨア統計の中からあんなりつぱな著作をし、あんなりつばな結論を得たというようなことがありますから、そういうふうに御利用くださいますと、統計もますます発達するというふうに考えております。
○今野委員 では少し具体的例についてお伺いしたい。日本の農業が非常に零細農業であるということは、昔も今もかわらないようです。それでそういうような実態、あるいは日本でどのくらい耕すことのできる土地があるかというようないろいろな問題、農業についての根本的な問題を明らかにしようと思つても、戦前なかなかできなかつた。ところがたまたま昭和二十六年の農林省の統計などでは、相当詳細にこの耕作規模別農家数とその他のいろいろなものが載つておりまして、非常にいろいろな問題を考えるのに楽長つたと思います。ところがその後またそういうものはなくなつてしまつて、農林統計に関する限り非常に退化しておるように考えられます。それから賃金の問題あるいは雇用の問題等につきまして、労働統計の面などでも、やはり今まであつた統計がなくなつてしまつて、非常に不便を感じておる学者もあるのであります。これは単なる学者だけのことではございません。それからまたこの前に、事務局長さんに対して質問をしたわけでございますが、たとえば内閣統計局でやつておるCPIなどを見ましても、それが実際に利用さ刷れ、あるいは各種の人事委員会その他一国会の委員会において論議されておる形と、それからそれがつくられておる実態とは、たいへん食い違いがあるということ、卒直に言えば、ごまかして使つておるということ、CPIというものは、たとえば一九四八年の十月のCPIは非常に下つておる。ぽこんとカーブを描いて下つておる。そのところで主食が特に下つておる。そのために全体が下つておる。そこでいかにもCPI、つまり消費者価格指数が横ばいであるかのような印象を与える。ところが事実そのときには、主食の配給はずつといもであつて、従つてそういうような下り方をしたということは、当時の事情を調べてみると明らかであります。そうすると生活内容—これはそういうものばかりではありません。石けんにしろ、その他あらゆる日用品について同じことが言えるわけであります。生活内容が悪くなる。そうすると、CPIが非常に下つて来て、生活が楽になつたような印象を与える。こういうような統計は、真実を明らかにするというよりは、むしろ真実のあり方をごまかしておるようなことにもなるわけであります。私も人事委員会でそういう問題に対してやつたこともあります。あるいは労働委員会その他の委員会で賃金、給与等の問題を論議するときには、そのCPIが援用される。最近では労働組合ではその事実ががはつきりして、もうCPIを当てにしない、あれはだめだからあてにしない。こういうような傾向が総評などに強く出て参つて来ております。こういうようなことになると、せつかく国費を使つてやつておる、それがかえつて国民の大部分を占める勤労者にとつて有害なものであるという判定を下された。そうしてこの日本の労働者の大部分を含んでいる総評議会において、そういうものの価値を認めぬというようなことになつて来ておるとすれば、これもまた非常に一方的なある種の目的を持つた—ある種のというよりは、はつきりと勤労者の生活を引下げようという目的を持つた統計であるというふうに、判定せざるを得ないわけであります。これらの事柄が最近ずつとあまりに多くなつて来ている。そこへもつて来て、統計を節約するというようなことが一般的にやられますと、なおさらもつて民主的な政治というよりは、むしろあべこべにそれに逆行するような方向に行きはしないかということがはつきり出て来るわけであります。しかも最近においては日本の産業のかなり大きな部分が、いわゆる特需関係とかその他のことになつて来ておる。運輸関係とか通信関係はもちろんそうである。こういうことになりますと、そういうところにおける調査が軍事上の機密であるというようなことでもつて拒まれるということは毎度のことであります。はなはだしきに至つては、横浜で二つばかりの例があるのでありますが、労働者が賃金の要求をする、会社側では赤字だと言う。いやそうじやない、これだけの仕事を現にしている、それでこれだけもうかつているはずだというデータを出したら、それはスパイ活動だということで組合の役員が首切られておる、こういうことも起つて来ているわけであります。こういうことになりますと、民間から統計をとるのを節約する。これはアメリカの場合には民間会社というものの力が非常に強くなつて、先般辞職されたあのウイルソン氏が、事実上の大統領であるとまで言われておるところから見ても、いわゆる民間会社が自分のところのデータを秘密にしようという意図は、資本主義の最後の段階としてよくわかることです。それをやはり日本の国内にも持ち込んで来るのではないか、それが最返の統計がだんだん減つて来る、あるいは歪曲されておる、そういう結果になつて来ているのではないか、こういうふうに考えられるわけです。その点について大内先生としてはどういう御所見があるか伺いたい。
○八木委員長 答弁者にも質問者にも申し上げますが、なるべく簡潔にお願いいたします。
○大内政府委員 今の農業統計がどういう統計がなくなつたかということが問題です。終戦後における日本農業統計の発達ということは、これはもうだれでも御承認くださることでありまして、近藤博士が統計局長として特に米の供出その他の必要上からまた農業改革の必要上から、あらゆる面にわたつて日本農業統計が長足の進歩をしたということは、だれでも認めてくださつていることと存じます。 それからその次にCPIの問題でありますが、CPIにおける今の問題はお説の通りでありますが、これは統計が決して間違つているわけではなくて、一九四八年十月にいもをよけい配つたから、そうして米を配らなかつたからそのとき食糧費が安くなつておる。その安くなつておるという事実が統計にちやんと現われておる。それを統計を使う人が知らないで、食糧費と書いてあればこれを米であると解して、それをごまかして使つたということはあるかもしれぬ。もしあるとすればその方が悪いのであつて、いもを配給して食糧が安くなつたなどということが統計の数字として表われているということは、何も統計の間違いではない。もしそう現われなかつたら統計の間違いであります。つまりその点を利用する人が、両方から批判していただかないと、それをごまかしてはいかぬということが一つでありますし、ごまかしておつたならばそれを十分に指摘してもらいたい。そうすると初めて統計の正しい利用方法ができる。それは統計のつくり方の問題ではなくて利用方法の問題であります。それからこの法律によつて政府が統計を節約するというようなことは決してしません。減少させるということをする意図は少しもありません。ただむだなことを政府がやつておる、二重になつておる、むだなものを省略することによつて生れた金を使つて、ますますよい統計をつくろう、そういう考えであります。私はその意味においてこの法律に力を入れておるのであります。
○今野委員 そこでさつきのCPIの点ですが、これはなるほどお説の通りなんです。私もそう思います。統計自身は真実を語つている。けれどもそれを利用する方が悪い。ところが給与法その他の給与関係の法律あるいは内規的なもの、そういうようなものが、やはりそのCPIを基準にして行われておるということです。このことは私の考えではCPIの非常に悪い使い方であろうと思います。その点はいかがでしようか。
○大内政府委員 これは具体的な場合によつて違うと思いますが、悪く使つたときは悪いと思います。私は今それについて何ら意見はありません。
○今野委員 そうすると、だれが考えてもCPI、消費者価格指数というものを立てる場合には、生活内容を同じにするということが当然だと思うのです。生活内容が同じで、しかもその価格がどのくらい変動するか、それが数字に表わされておるべきであろうと思います。そうすれば当然給与とかいろいろな問題に役立ち得るものができる、これはもうだれが考えてもわかることであります。従つてそうしないで、現在のようなとり方をしておるとすれば、これは実際給与とかいろいろなものをきめるのには役に立たないことになるわけであります。そうすればやはり統計のとり方が適切でありやいなやという問題に、結局は返つて来るわけであります。その点はどういう御意見でしようか。
○大内政府委員 それは非常にむずかしい日本の現在の統計問題に触れられたことになります。つまりCPIの基礎になつておる物品、すなわち消費者価格の基礎になつておる物品は、生計に必要なものではありますが、しかしある具体的な典型的な生計費を基礎にしていない。その意味においてCPIは生計費調査とは違うのです。そこに問題があるわけであります。生計費調査の方を中心にすべきか、一般的消費物価を中心にすべきか、この二つの統計のいずれを重んずべきかという問題は、われわれの非常にむずかしい問題であります。今野さんのはあとの方にした方が適当ではないかという御意見であります。それも確かに一つの有力な御意暑あります。しかしわれわれがCPIをつくつたのは、日本の物価が今とは違いましてあんなに変動しておりまして、どのくらいの変動をしておるかということを中心に調べたのでありまして、あれを直接に労働者の生活水準を示すものとして使うのが適当かどうかということについては、私も疑問を持つておるわけであります。
○今野委員 そのほかさつき軍機関係ということの質問から入つたのですが、その点についてはどういうお考えですか、産業調査ということはほとんど不可能になりはしないかと思う。従つてそういうものに対する客観的な資料というものは、もはや国民には明らかにされなくなるんじやないか、今度の行政協定などによつて、占領と同じような状態がずつと延長されることになる、そういうふうに考えられるし、また現実にさつき言つたようなことになると思いますが、その点はいかがでございますか。
○大内政府委員 そういう客観的な事実についてはいろいろな見方があろうと思いますが、私はやはり今野さんと同じように、そういうことがないように統計委員会としては希望しますし、また政府でそういう話がありましたら、統計に関する限りはなるべくそういうことをしてもらいたくないということを申し述べるつもりであります。
○今野委員 大体質問を終りたいと思うのですが、最後に私として申し上げたいことは、やはり先日も労働委員会でもつて失業の問題と臨時工の問題があつたそうです。そうすると臨時工の数は労働省としてわかつていないということであります。これは非常に重大な問題がたくさん含まれている。それで失業者の数や何かについても、現在の失業統計のやり方ではほんとうに失業しておつても失業者の中に入らぬというような、率直に言つて確実な数字が出ていない。人為的に数を減らすために見せかけの数字を使つていると言つてあえて過言でないような統計のとり方をやつている。それからその他最近また別な面では懲兵検査がありはしないかというようなことが青年の間で大分妻になつております。いろいろな各種の調査、前にどういう兵種であつたか、その他いろいろな統計—これは必ずしも統計ばかりには限りませんが、調査がなされ、内閣統計局あたりでもまた国勢調査や何かの場合に、そういうような実際戦争に動員できる人たちがどのくらいかというような、当りをつけることを先にやらされておるというようなことも、私たちとして調査して大体聞き知つているわけでありますが、そのようないろいろな事実について、これは必ずしも政府でお認めにならないと思いますが、ともかくそういう事実がたくさんにできて来ている。そういう際に統計を中央に集約して報告様式を統一する、そういうことは様式だけのコントロールにとどまらずに、やはり内容のコントロールにどうしてもなつて行く、こういうようにしか考えられないわけです。現在の状態ではそれが大多数の国民にとつては不利に、そうして政府の再軍備の目的とかその他の大資本家の軍需産業や何かをやつて行く上の目的とか、そういう点について有利になつて来ている。こういうふうな傾向が少からず見えるように私どもとしては思われるわけです。この点は一つ一つ事実をあげて、私としては重大な問題ですからはつきりさせる余裕がほしいわけですが、統計委員会として、できるだけ良心的にわれわれは日本の平和をほんとうに保つて行く、日本としての独立性をはつきり保つて行く、こういう見地からやはりやつてもらわなければならぬと困ると思う。今の政府のもとでそれができるというふうには思いませんけれども、私たあとしてはそういう希望を強く持つて、あくまでそういうふうにしたいと考えている。この点だけを申し上げて私の質問を打切ることにいたします。
○八木委員長 これにて質疑は終りました。 本日はこれにて散会いたします。次会は二十六日土曜日午前十一時より開会いたします。 午後三時十五分散会