通商産業委員会 第13号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/03/07
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 本日の日程に入ります前にお諮りいたします。工業に関する小委員長より、小委員会において参考人より意見を聴取いたしたい旨の申出がありますので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なければさようとりはからいます。なお参考人の人選に関しましては委員長に御一任願います。 次に前会に引続き、繊細に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。高木吉之助君。
○高木(吉)委員 本日は大臣が都合でお見えにならないそうでございますから、ただ一点繊維局長にお尋ねいたしたいと存じます。 昭和二十七年一月三十一日の繊維局長名をもちまして、輸出綿織物の染色堅牢度の向上についての通牒が発せられておるのでありますが、その中で二十七年六月一日以降は塩基性染料に属するものを使用するものに対しては、これを認めないということが載つておるのであります。そういたしますと、今日まで織物の染色の大部分、六五%程度は塩基性染料によるものが用いられておつたのであります。将来これが禁止されるということになりますと、勢い日光、あるいは洗滌や摩擦にも耐え得る染料を使わなかつたならば、輸出ができないことになつて参るわけであります。そういたしますと現在わが国においての堅牢な染料の製造は非常に少うございまして、特に建染染料のごときに至りましては、日本の全製造量のわずかに〇・二%しか生産ができないのであります。アメリカにおきましては、生産量は日本の大体四倍に達しております。その二二%までが建染染料でありまして、米国としてはこれらに対して四五%の関税を付しておるのでありますが、米国自体としてはにれらの建染染料を輸入する必要がないのであります。ただ他とのつり合い上関税を設けておるので、事実輸入はいたさないということになつております。ところが日本におきましては、今後堅牢な染料を使つて参らなければならないということになりますと、勢い建染染料を多量に輸入いたしまして、そうしてこれによりまして堅牢度の強い染色にいたしまして、綿布あるいはスフの輸出を向上し、外貨の獲得に努めなければならないことは、すでに繊維局長が御指摘になつておる通りであります。ところが現在におきましては、建染染料におきまして、日本の製造のわずかに〇・二%、そうして今後もつくり得るところの設備がないという状態にあります際に、これに二〇%の関税を課しておるということになりますと、この二〇%の関税のために、例をインダンスレン染料にとりますと、一ヤードにつきまして五十四円のものに対して九円十銭というものが関税の経費としてかかつて来る。そういうことでありますと、ほとんど輸出が不可能な状態になつて参るのであります。そこでこの場合におきましては、どうしても堅牢な染料を使つて綿布を輸出せねばならぬ建前上、国際価格に合すためには、どうしてもこの関税の撤廃が必要になると存ずるのであります。しかるに仄聞するところによりますと、建染染料に対する関税は二〇%を堅持して行くという大蔵省の考え方でございます。繊維局長といたしましては、この通牒の第八号によりまして、「国産高級染料の増加並びに品質向上に努めるとともに、さしあたり輸入方式の改善、関税率の調整等による必要量の確保及び入手価格の低下をはかる。」ということをいつておるのでありますが、繊維局長といたしましては、この建染染料に対する関税の撤廃ということに対しまして、どういうようなお考えを持つておられるか、お伺いいたしたいと存じます。
○記内政府委員 御指摘の通り、日本の今後の染色は堅牢染めでなければならぬということで、過日声明を発表したわけでございますが、この六月には不堅牢色の積出しを禁止するという手はずで目下準備を進めておるわけでございます。それらの裏打ちとなります堅牢染料の関税の問題につきまして、実は昨年これを一五%の関税ということで御提案を申し上げたのでございますが、衆議院の方はこれの御賛成を得たのでありますが、不幸参議院におきましてこれが反対になりまして、国会最終日におきまして両院協議会の御相談によつて暫定的に二割ということに御決定を願つたわけであります。しかしこれも今年一年ということになりまして、この経過期間が過ぎますと、今後は一般の例にならいまして二五%という高率関税になる次第であります。われわれといたしましては、これはやはり引続き低率のものでなければならないということでいろいろ折衝いたし、できれば昨年の当初案のように一五%にしていただきたいということで、しかもその期間はさらに延長するということで折衝いたしたのでありますが、何分昨年の参議院及び衆議院との交渉の経過等もございまして、一応目下のところでは現行通り二割の関税にすえ置くということで提案されるようになるのじやないかというふうに考えておる次第でございますが、れれわれといたしましてはできるだけこれは低率を望んでおるような次第でございます。いずれ近く関税定率法の改正ということで衆参両院の御協賛を経ることになると思います。その際に十分御審議願えれば幸いだと存ずる次第でございます。
○高木(吉)委員 ただいま述べましたように、二〇%の関税では五十四円六十銭で一ヤードに対しまして九円十銭も上るというようなことになつて参るのでありますから、ぜひともこの関税は極力引下げていただくということが必要でございます。この点につきましてぜひとも通産省といたしましては、大蔵省に対しまして強い要望をしていただきたいということをお願いする次第であります。 次にピグメント・カラーでありますが、これは現在におきましても関税は一五%になつておるのであります。またこれの加工剤といたしますところのエキスレンダに対しましては、三〇%の関税が課せられております。ところが米国におきましては、これの世界的特許をとりまして、他の国では製造ができないという状態になつて参つたのであります。そういたしますと、わが国において製造ができない。それにもかかわらず一五%ないし二〇%の関税をかけて起ります。最近におけるピグメント・カラーの利用というものは非常に広汎になつて参りまして、しかも海外におきましては日本の技術が非常に賞讃されておりまして、アメリカにおいても非常な好評を博しておる。徐々に輸出が進展されつつある際に、日本で製造できないところのものに対して関税を課しておるということは、かえつて不都合な状態になつて参ります。むしろこれらは関税を撤廃いたしまして、これを輸入しそうして加工することによりまして、輸出を促進して行くということが最も必要であろうと存じます。通産省といたしましてはこれらの染料並びに加工剤に対しまして、関税の撤廃を期せられるように要請する意思があるかどうかお伺いいたしたいと存じます。
○記内政府委員 御指摘の通りピグメント・カラーは、最近の染料といたしまして、盛んに使用が行われるように相なつた次第であります。これまた建染染料と同じようにできるだけ低率に持つて行きたいものと思つておる次第であります。
○高木(吉)委員 大臣がお見えになりませんので、大臣の質問を保留いたしまして今日は質問を打切ります。
○中村委員長 田中堯平君。
○田中(堯)委員 繊維問題について一、二お尋ねいたします。朝鮮の戰争に当て込んで、相当過剰に原料を輸入し、手持ちの繊維製品も相当ストツクになつてさつぱりはけ口がないという現象であります。これをボンド地域に売出そうとしても、今度のポンドの新しい措置によつてなかなかうまく話が運ばないというので、ほとんど糞詰まり状態です。そこでまずお聞きしたいのは、繊維産業が沈滞状態にあるために、輸出する売り先を考えなければならぬのですが、そのためにはマル公に縛られているためにソ連圏、ことに中国に輸出することができない。この繊維問題の解決は極端に言うならば、中国との貿易を何かの方法によつて打開して行かなければどうにもならないと考えるから、お尋ねしたい。というのは繊維問題の根本的解決策と貿易問題をどうお考えになつているか、大臣にお伺いしたいと思いますが、見えておりませんので繊維局長にお尋ねいたします。
○記内政府委員 繊維業は日本の産業界にとりましては、基本的な産業でございまして、この盛衰は日本の産業の盛衰にも非常に関係が深い。ことに輸出の面から見て参りますと、繊維類の輸出は全輸出の半ばを占めている状況でございまして、今後日本の食糧あるいは原材料の輸入資金を調達するためにも、繊維の輸出はどうしても第一義的に進捗させなければならぬと考えている次第であります。ただ残念ながら今日町英支拂い協定等によりまして、ポンドとドルとの交換を禁止されているのでありますが、残念なことに日本の繊維業界は綿が中心でありますけれども、その綿の原料である綿花はアメリカからドルをもつて輸入しなければならない。しかるに繊維品は九部分がポンド地域に輸出せざるを得ないという歴史的な関係にあるわけであります。それがただいまのポンドとドルとの交換不能ということにひつからみまして、輸出調整の措置を講ぜざるを得ない立場に追い込められてしまつたのであります。しかし今日の状況におきまして、今度調整するにいたしましても、金額的には昨年よりも減つているけれども、これは單価が減つて、相場が下つておりますので、低下しております。数量的には昨年極度の輸出はポンド地域に向けてできるというような事情に相なつておりますので、ポンド対策全般の問題を考えながら、今後の繊維の輸出調整を昨年と同程度で押えて参りたいというふうに考えている次第であります。
○田中(堯)委員 ポンド地域に対する最近の輸出状態の概略の数字がもしありましたら、昨年あるいは昨年の下半期に比べてどのようになつておるかを御説明願いたい。
○記内政府委員 御承知の通り、昨年の今ごろから四月ごろまでは朝鮮ブームの影響で非常に伸びたのでありますが、その後朝鮮事変が解決するというような兆候からいたしまして、せつかくでき上つておつた輸出契約をキャンセルされまして、昨年の夏にはこの輸出キャンセル問題が非常に大きな問題になつたことは御承知の通りであります。その後十月ころまで輸出が停滞いたしておりましたが、十一月ころから輸出が、特にポンド地域に対しましてにわかに盛んに行われるように相なつたわけであります。この原因は、おととしの暮から去年の春にかけて半年間買い進めまして、その後五、六月ごろから十月ごろまで半年間買い進められ、さらにその反動としてまた買い進んだということも予想されますし、また当時喧伝されておりましたポンドの切下げ等のポンドの弱体化を見込んでの買付の増加というようなにとも考えられるかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、十一月、十二月、一月におきましては、輸出契約も、輸出の連日の船積みの実績も相当進捗したというふうな関係に相なつております。
○田中(堯)委員 ソ連圏への貿易は非常に制限を受けておる。ことに中国に対しての貿易が制限を受けておりますが、これは法的にはどういう根拠があるわけでありますか。
○記内政府委員 特にソ連圏に対しまして輸出を禁止するという法的な根拠はございませんが、一般的に、たとえば鉄綱、非鉄金属というふうなもの等につきましては、どの国といわず輸出承認制度ということで、船積みの際に一々政府もしくは税関の許可を得ることに相なつております。その関係でどの国といわず相手国の支拂いの状況あるいは通貨の状況、価格のいかん等によりましては輸出を許可することもあり、不許可にする場合もあるわけであります。ソ連圏につきましては輸出の支拂い状況もはつきりいたしませんし、また国連協力というふうな面からもこの点を制限しているものと考えております。内容につきましては、先方から輸入したいという意向は今までのところないように承知いたしております。
○田中(堯)委員 今の点についてもう一つお尋ねしますが、たとえば中国から注文があれば繊維品は無制限に出してよいということですか。
○記内政府委員 中国、ことに中共地区からの輸入要請に対しましては、まだ支拂いの方法がはつきり確定いたしておりませんので、目下の状態におきましては、繊維製品につきましてはいわゆるバーター・システムによつて取引を承認するというふうにいたしているわけであります。
○田中(堯)委員 国内の繊維産業が大体四割も操短をやつておつて、失業問題、労働問題、あるいは中小新興繊維各社が非常に困つているというような問題がいろいろあるようでありますが、労働問題としては、大体どのくらいの失業者を出すことになるでありましようか。聞くところによれば、三万人くらいはもう即座に労働力が過剰になり、これを何とかしなければならぬということだそうですが、はたしてそういうことであるのかどうか。失業問題について、どの程度の失業者を出さなければならぬことになるか、それをひとつ伺います。
○記内政府委員 減産の通告は最近出したばかりでありますので、またどの程度に失業問題にまで発展するかということは的確にはわかつておりません。新聞情報等によりますと、今お話のような数字も散見いたす次第でございますが、四割操短と申しましても生産高においては十五万梱に相なるわけでございます。これは十月ごろまでの生産実績でございまして、十一月において十六万梱を少しオーバーし、十二月になつて十七万梱をオーバーし、一月において十七万七千梱というふうに急激に増大したわけでございます。従いまして予定の十五万梱をオーバーしたのはつい最近のことでありまして、あるいは今後の事に備えて労働者を手配したということもあろうかとも思いますけれども、十七万梱は経常的に生産された程度においてそれがにわかに十五万梱になつたという立場とは若干違うのではないか、従つて労働者の失業問題もそれほど大きくはないのではないかというふうに考えられるわけであります。なお同じ梱数にいたしましても、たとえば番手を細くするということになりますれば、生産量は減りましても操業時間は長くなるということもございますし、また機械の運転回数を低下させることによつて操業時間を延長するというふうなことも、それぞれ機械設備あるいは各取引の実情に応じて各工場によつて操作して参るようでございますから、計算上の十七万七千梱が十五万梱に減つて一割五分の減産になつたそのままの数字が出るものとは考えておらないような次第であります。現実にどの程度出るかということは目下いろいろ調査はいたしておりますけれども、的確なことはわかつておらないのであります。
○田中(堯)委員 十社というような大きなのは別として、中小の繊維各社は急速に整理されるというので戰々きようきようの状態にあるようでありますが、これに対して政府はどんな対策を考えておられますか。
○記内政府委員 減産によりまして中小の紡績が苦境に立つことも予想せられるのでございます。しかしながらむしろ今減産をしておけば、八、九ごろの端境期にはかえつて減産がなくなる。従つてそういうときにおきましては、全工場の運転を停止しなければならぬというふうな事態が予想せられますので、そういうことも考慮に入れまして今後の減産の勧告をいたしたわけでございます。従つて中小の紡績は勧告によつて苦境に立つたのではなく、経済情勢がそういう事態に追い込まれて来ておるというふうにわれわれは見ておる次第でございます。しかしながら中小紡績の苦境のことも考えられますので、今度の減産勧告に対しても、その生産数量の指示の際におきましても、できる限り中小紡績に大きな負担がかからないように配慮いたしまして、たとえば十五万梱というと一月の生産実績に対して平均一割五分の減産ということに相なるわけでございます。いわゆる十大紡績におきましてはすべてが二割以上の減産をしなければならぬというふうな情勢に相なつておりまするし、十六紡以外の百近い工場については、一割五分以上の減産をしなければならぬ工場は、ごく特殊なものが数工場ということで、大部分が一般の生産制限範囲内にとどまつておる、あるいはこれをオーバーしておるというような状態に相なつておる次第でございます。
○田中(堯)委員 どうも政府の御説明とわれわれがいろいろ調べたり聞いたりしたものとは大分開きがありますが、この中小のいわゆる新興紡なるものは、不渡り手形その他の債務が百五十億程度もあつて、もうにつちもさつちも行かないということです。その数字はどうであつても相当の借金を背負つて虫の息になつておるという状態は間違いないと思います。 それが政府の説明のように、單に減産ということだけではなしに、ほかに理由があるということならそれはそれとしても、とにかく困つておる実情にあるのですが、まず第一に金融面について大蔵省なりと折衝したわして、何とかこれを救済しようというような方策を立てておられるのですか、おられないのですか。
○記内政府委員 今中小紡績が一番困つておりますのは、原綿を輸入したがその代金の支拂いに困つておる。これをとりあえず貿手あるいは工業手形等によつてつないで参つておりますが、これが銀行から返済を迫られ、自然手持の原綿を早く糸にして販売し、現金にかえて銀行に返済しなければならぬという事態が非常に多いのでありまして、その点に対しては、その借金の見返りになる原綿は残つておるはずでございますので、これらにつきましてはできる限りめんどうを見るように、日銀その他と目下折衝をいたしておるような次第でございます。
○田中(堯)委員 今国内における原綿の保有量は、将来たとえば一・四半期くらいを單位に考えて、不足であるのかそれとも十分持つておるのかということに関して御説明願いたい。
○記内政府委員 御承知の通り綿花は収獲時期がございまして、シーズンをはずしますとなかなか手に入りません。従つてわれわれの計画といたしましては、いわゆる綿花年度としまして七月ごろから新綿の買付期に入るわけでございます。それがわが国に到着いたしますのは大体十月の半ばから十一月にかけてということに相なつております。すでに現在の手持ちの量から見ますと、十月ごろまで継続して操業のできる程度の綿花の手持ちがある予定に相なつております。
○中村委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本日は大臣も出席されておりませんのでこの程度にて散会いたしたいと思います。次会は公報をもつてお知らせします。 午後二時三十七分散会