通商産業委員会 第12号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/03/05
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 本日は先日に引続き繊維に関する件及び貿易に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。阿左美廣治君。
○阿左美委員 私は繊維関係について当局に質問いたしたいと思うのでありますが、大体において輸出関係はあとまわしにして、国内関係におきます絹、人絹の業者関係から一般的に質問をいたしたいと思います。御承知の通り、最近の繊維業者は最悪な状態に追い込まれまして、その事業は経営困難な立場にあるのであります。その原因を研究いたしますと、決してこれは簡單な問題でないと思うのであります。希望のない経営を今日やつておるような状態でありまして單に一時的の資金の融通をすれば解決するという問題ではないのではないか。これは相当掘り下げてわが国繊維業界のために施策を講ずる必要があると確信をするのであります。その原因は決して近きにあるのではないのでありまして、もともとわが国の繊維業者というものは中小企業が大部分なのであります。この中小企業の大部分の人たちは、過去の戦争当時工場も機械も全部供出をしたのでございます。そしてその代価は特殊預金において政府より支拂いを受けたのであります。その特殊預金は五万円で打切られたのでございまして、これは各位も御承知のはずであります。何百万円の特殊預金を持ちましても、一応五万円で打切られたわけであります。その後戰争もやみまして、復興するにあたりましては、自己資金はもとよりない。すべての設備を新たにいたしたのでございますが、資金のない、力のない中小企業は、借入れにまつ以外には道はないのであります。しかしながら、当時設備資金として貸し出す方法はないのでありまして、單に復金よりわずかの資金を貸し出しておりましたが、これも中途においてやみまして、長期にわたる資金の貸出し方法は当時なかつたのであります。業者は、やむを得ず市中銀行その他の援助を受けまして、短期資金をもつて設備をいたしたのでございます。運転資金であれば短期で回収がつくはずでございますけれども、設備資金は、そう一時的に回収すべきものでない。長期にわたるということは当然のことと思うのであります。その後それを解決するところの方法はないのでございまして、つまり、短期資金を借入れて、長期でなければ返済のでき得ないところの設備にこれを投入したということが、現在災いをなしておる原因になつておるのであります。あくまでも貸出しは短期である。その解決は運転資金において現在まかなつておるのであります。その後の経済状況は、インフレも一応收束いたしまして、現在は非常な不況に追い込まれた。かりに二十六年度の中小企業の内地ものの生産実績を見ますと、生産総額は約一千億、これに要する運転資金といたしましては、これを四期にわけて、二百五十億を要すると推定をいたすのであります。そのうちの百億は自己資金、借入金が八十億、その他を七十億と推定をいたしまして、二十六年度の採算割れにおきまして損失をこうむつたものが五十六億、商社の投産において被害を受けたものが三十三億、大体において百億の自己資金というものは一文もなくなつたような状態である。さような内容でありまして、もともと自己資金のあるはずのない中小企業、ことにその後の財界の変動によりまして、こういうような自己資金もすでに失うというような状態、最近においては輸出商社の倒産が陸続と各地に現われまして、それらの関係から、内地の商社にもいろいろの関係を及ぼしまして、現在中小企業といわず、大商社といわず、業界はほとんど同じような運命になつておるということは、御承知の通りであります。こういう状態をこのまま放任しておくならば、わが国の経済が破滅するに近いような時代が来るおそれがないとも言えないと思うのであります。單に現在の状態を軽く考えて、このまま放任するならば、後に悔いを残すような事態に立ち至るのではないかと考えるのであります。 しからば、これだけの内容の悪い状態が、比較的平穏に見えるように考えられるのはどういうわけかと申しますと、困る人と困らない人があるならば、その間に非常に優劣があるのでありますが、現在ではほとんど全部が同じ境遇にあるのではないか。商社といわず、メーカーといわず、中小企業といわず、大商社といわず、同一の運命にあるということが、今日比較的平穏である。お互いに助け合つておるのである。内容は非常に危險状態であるけれども、同病相あわれんでおる、境遇を察し合つておる。手形の不拂いも問題にしない。拂わない方があたりまえであるというような認識を持つておるために、現在の経済界が、表面から見ると比較的平稔無事のように見えますけれども、内容を知るならば、一日も安心しておられるときでないと私は思うのであります。こういうような時代において、私は実は大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのでございますが、おいでがないようでございますから、またあとで御出席をいただきまして、この問題はよほど真剣にお互いに研究し、また考えていただかなければならないと思うのであります。一体こういう実情を御承知になつておるかどうか、またこれに対しどういう施策を今後お持ちになつておるかということを、一応通産大臣にお伺いいたします。
○高橋国務大臣 ただいまの御所見——今繊維業者が非常に苦境に陷つておる、その根本の原因が、短期資金、運用資金をもつて長期資金に充てることのやむを得ない状態が根本の原因でないかという御所見は、私も同感です。また業界が現在非常に窮境に陷つておる実情も私認めます。私この問題については非常に苦慮いたしておりますがどういう解決方法どういう具体的考案を持つておるかというお尋ねにつきましては、これらの問題はしばしば大蔵大臣とも懇談をいたしておりますが、非常にむずかしい問題でございまして、まだ私結論に達していないことを非常に遺憾に存じます。
○阿左美委員 私も確かにこれはむずかしい問題だと考えます。しかしむずかしいからといつて放任をするということは、現段階においてでき得ないのではないか。ただちに何らかの施策を講ずる必要があると考えます。現在のすべての取引の状況を見ますと、各商社が自分の実際の力以上の仕事をしている。先日も京都の繊維関係商社が、三十五社で資本金は一億六千万円、振出し手形は四十五億振り出しておる。そしてこれらの手形操作に専念しておつて、現在の商売はもうけるとか、資本を蓄積するとかいうような規模をもつて各商社はやつておらない。やることができないのである。結局いかにして手形操作を行うかということにあるのです。実にこれは内容危險千万である。こういうような金繰りをそのまま放任しておくならば、その被害はどこに及ぶか、健全なるところの商社は助かり、不健全なるものが倒れるというなら、これは理の当然でありますけれども、健全なるところの商社、メーカーにまでもその被害を及ぼすことになるのでありまして、決して火事は火元だけ燒けるのではありません。もらい火でも焼けるのでございます。そういうような意味から、現在ではどこが健全であつてどこが不健全であるというようなことの見境のつかないような段階でございます。これから研究してどうこうということでなく、ただちにこの繊維業者に対しては一つの手を打つていただく必要があるのではないか。私ども関東産地はいわゆる中小企業の繊維産地でありまして、御承知の通り関東、信越、北陸方面に繊維業者は多いのでありますが、これらの産地の実情を現在調査してみますと、実に危險千万である。そして今問屋に対して信頼のできる問屋はない。中小企業がこの金繰りにこんなに困難をして生産した一つの製品を商社に売る場合に——もちろんこれは手形取引でなければ現在買うことも売ることもできない状態でありますので現金をもつて大いに取引を慫慂するのでありますけれども、現金の取引は不可能でありまして、結局手形をもつて取引をする現状でございますが、この手形が現在非常に長いのであります。普通商手というものは六十日以内が原則でございます。それが七十日になり、八十日になり、九十日になり、現在では百日以上の商事を使つて取引が行われる。ところがその長い手形を発行する店が比較的信用のある店である。それは一体どういうわけであるかと申しますと、支拂いの自信のない期日の手形を発行することはできない。当店ではとても六十日の手形では支拂いはできない、八十日にしてもらいたい、百日以上にしてもらいたい。そうでなければ支拂う自信がないというような現状であるのであります。そこでその百日の手形は銀行では割引きません。中小企業はその長い手形で泣く泣く取引をいたしましてその手形を二箇月所持しておつて初めて割引いてもらうというような状態で、これでは中小企業がやつて行けるはずはないのであります。これは関東、信越、北陸方面みなそういう状態でございます。よくも業者はこの金繰りの中で商売をやつていられるものであるというようなことで、実情を知るならば驚くような状態であります。また驚くよりもむしろ危険で取引はできない。売る場所も買う場所もないというのが現在の状態であります。実に冒險的に考えなければ現在の商売は継続できない、こういうような現状でございます。比較的金融業者は、中小企業その他の状態において協力が少い。現在までの調査によりましては銀行はほとんど被害を受けておらぬ。むしろ銀行の被害は大商社の関係において被害はあるといたしましても、中小企業に対してはおそらく倒産者からも銀行は被害を受けておらぬ。こういうような現在の状態でありまして、何も知らなかつたならば非常に無事と考えておりますが、実際の問題を熟知いたしますれば、商売をやめること以外には道はないのでございます。ただいま商売をやめますれば、手形の処置ができ得ない、金繰りができないがために、泣く泣くやれるところまでやつて行こうというような状態で現在商売をやつておるのでありまして、ただこれからその施策に対してもちろんいろいろ御研究はしていただくことと思いますが、即時この繊維業者に対しては何らかの手を打つ必要があると思います。ただ私の希望するところは、一体その原因が短期資金をもつて、長期にわたらなければ支拂いのできないところの設備資金にそれを投入したということが原因であるのでありますから、これを何らかの方法において短期資金を長期に繰りかえるというような御処置を一日も早くとつていただければ、これは解決をするのではないか。それができない以上はどう繰返しても結局同じことを繰返すのである。また現在の危急を救うために多少の融資を受けるといたしましても、それは一時的のものである。燒石に水である。そういうような施策で助かるべきものでない。これは恒久的に考え直す必要がある。ただちに短期資金を長期に繰りかえる、またそういうような何らかの施策を講ずることによつて解決いたすのだと思うのでありますが、こういうことに対して通産大臣はどうお考えになつておるか。
○高橋国務大臣 今のお話は、私も元来役人でなくて商売人ですから、よくわかるのです。よくわかるのですが、根本の問題は、その救済策としても金融が第一、これはあなたの御発言のうちにもそういうことがうかがわれるのですが、私は、それをどういうふうに解決するかという答弁を私に御要求になるのは少し無理でないかと思うのです。これは大蔵大臣の所管ですから、ひとつ大蔵大臣に十分御質問をお願いいたしたい。よくその事情は私了解いたします。手形のことも何も、私はあなたのお言葉はよくわかるのです。
○阿左美委員 あるいは大臣にそういうような質問をいたすのは無理かも存じませんが、しかし大臣は業界の方でありまして、むしろ私の申し上げることは大蔵大臣よりも通産大臣の方がよくおわかりになると思います。所管大臣としてそういうことがわからないとか、そういうことはできないとかいうことをどうぞおつしやらずに、一等われわれが信頼をしているところの高橋通産大臣は、業界の人であるために私はこういうことを申し上げるのであつて、業界人でなければ、実際の商売の金繰りなんというものはわからぬと思います。むしろ実際に私どもが言わんと欲することを聞いていただくのは——いよいよこの問題を実現するというときになりまして、もちろん大蔵大臣の御承認をいただかなければならぬと思いますけれども、まずもつて通産大臣にひとつ御認識をいただいて、大臣から大蔵省の方へ御交渉を願うということ以外には道はないと思うのであります。これは繰返して申し上げましても、現在の短期資金が長期資金とまるで混血してしまつたのですからどれが長期資金だかどれが短期資金だかわからない資金のもとに、銀行より融資を受けていることになる。ですからどうしてもこれをわけまして、この分は長期において解決をつけるのだということをやつていただかない以上は、これは解決しない。またこのままにしておいて中金なりあるいは市中銀行なりの御融資を受けて貸し出そうとしても、これは貸出しべースに乗らぬと思う。結局貸すところはないと思う。あるいは政府預託を中金にいたしましても、中金自体がその金を業者に貸そうといたしましても貸すことはできないのではないか。いわゆる貸出しベースに乗らないと思うのであります。ですから結局これは解決をつけた後に御融資をいただかなかつたならば、業者は助からぬ。でありますからこれは、現在は中金とかあるいは市中銀行の方に向つて政府預託をするとかしないとかいう問題ではないと私は思う。どうしても今までのことを、市中銀行なり中金なりその他の関係金融業者との間において短期資金を長期に切りかえる、そうして支拂い計画を立てたその分については特別にこういう方法で扱うのだ、これからの運転資金というものはこういう方法においてやるのだということになれば、これは貸出しもできまするし、生きることもできると思いますが、現状のままを繰返したのでは、これはいかなる人がやりましてもでき得ないのではないか。また金融業者に対しても、現在の中小企業その他の業者に貸出しをせよと言つても、政府が全部保証するならばいざ知らず、その金融業者に責任を負わせる以上は、これは無理だと思います。どうしてもこれを長期資金に繰りかえるということができない以上は、 これは道がないのではないか。その道を一日も早く立てるということが現在の事態を解決する道だと思いますのでどうかそれは困る、わからないと いうことでなく、主管大臣として一応これはお考えを願いたいと思うのでありますが、いかがでありましようか。
○高橋国務大臣 私は、そういう実情を承ることは非常に喜んで承るわけなのです。これは現在の経済の状態が、軍に繊維業者のみならず、みな無理な仕事をしておる。金融的に言うと非常に無理な——ノルマルの仕事をしていないのですね。その根本の原因が、あなたの御指摘されたような点にあることも私は同感です。もう一つ広げて言いますれば、よく問題になりまする銀行のオーバー・ローンの問題ですね。これがまた一つのがんになつているのですよ。またあなたの御指摘のように、現在の問題は商工中央金庫の資金を幾らかまわすとか、やれ政府資金をどこへ預けるとか何とかいうようなことで解決される問題でない。それはもう大火事にバケツの水を注ぐくらいの効果しかないのです。もう一つ言葉をかえて言えば、このオーバー・ローンの問題を解決しなければ短期資金が長期資金に向つて行くということはできないのですから、よく私、その御意見の趣意はわかるのです。ところで大蔵大臣ともしばしば話し合つております。大蔵大臣もこのオーバー・ローンの問題は非常に苦慮しておるように思いますが、私に対して、この解決案としてどういう対策を持つておるかというお尋ねにはちよつとお答えできないと申し上げたので、その御答弁を回避する意味ではないのです。お話が私にはあまりよくわかり過ぎるためにお答えに苦しむわけなので、どうか私の精神を十分御了解願いたいと思います。
○澁谷委員 ただいまの大臣の御答弁はよくわれわれにもわかります。しかし私の一番心配することは、御研究中なりあるいは御考慮中ということはよくわかりますが、あまりこれを長くほつておきますと、後に収拾のつかないような大問題が起りはせぬか。これは先ほどオーバー・ローンのお話もありまして、むろんオーバー・ローンに間接的にいろいろむずかしい問題が入つて参ることは当然であります。そこで銀行の立場からいつてもオーバー・ローンの問題から非常にやはり苦慮されておると思うのです。一方において銀行はオーバー・ローンをしなければならないような立場にある。一方におきましては、現在では中小企業とばかりは言えません、大、中、小の各企業がほとんど全部、いわゆる商社と言われる方々、その他昨年の一月—三月のときにいわゆる政府の慫慂によつて、高い物資を輸入した業者の痛手が、全部ここに一ぺんにしわ寄せをされておるのでありますから、これの破綻が、少しずつ起るのでありますれば問題は比較的少いかもしれませんが、これをほつておいて一ぺんに連続的に破綻が起るような場合があつたと仮定いたしますれば、それこそ収拾のつかない事態が招来されるのではないかということをわれわれは非常に懸念するわけであります。従いましてこの問題は今日まで比較的話題にならなかつたのでありますが、少くともわれわれ通商産業委員会としては、連続的にでも、徹底的に究明しながらお互いに研究に研究を重ねて適当な打開策を樹立するという強い信念と、それを必ず実行するという自信とがなければ、とうてい目的は達せられないではないか、こういうふうに考えるわけであります。今阿左美委員からのお話もありましたが、現実はもつともつとひどいのではないかと思うのです。阿左美委員は相当によいところだけを見ておるのではないかと思うのです。のみならず今阿左美委員は繊維の専門業者としてるるお話をされておるのでありますが、ここに喬木委員もおられます。その他の委員の方々からも、それぞれ専門的にそれらの問題について十分検討されておると思つておりますが、今日唐で大きな発言がなかつたということは、これはいかなる方法を講じたならば何とか打開の道がつくだろうかということを、現在までいわゆる暗中摸索をしておつた。しかしこのままに放任しておいたのでは、とうてい収拾がつかなくなるのではないかということを相当に自覚されて、そうして積極的にこの問題の解決に当らなければならぬという時期にそれぞれ到来しておるのではないか。いわゆる一月—三月の危機だと言われて参つておりますが、六一体において三月の危機は辛うじて突破されるかもしれない。しかしその後にどういうふうな問題が起つて来るか、こういうことを冷静に考えましたならば、一時も安閑とすることのできないような現在の実情ではないか、こう考えるのであります。従いまして私はこの問題につきましては、ことに商社の問題が多いと思いますが、積極的にこの問題を掘り下げて、そうして根本の解決策を樹立することがぜひ必要ではないか、こういうふうに考えまして、特に一言づけ加えたわけであります。
○山手委員 今大臣から御答弁がありました。私も今日本の経済界の実情を見まして、これを憂慮しておる一人でありますが、繊維の関係で操短が起きる、鉄鋼関係でそういう事態が真剣に取組まれて考慮されておる、ゴム工業界においてしかり、一時盛んで殷賑をきわめておつたパルプ工業においてもその余波を受けておる、製造工業部門に選てもいろいろな事態が起きつつある。こういうことを私は実際に率直に見て行つて、この付近で何か手を打たなければどうなるであろうかということをいろいろ考えておるものであります。それにつきましても、私はきよう材料を持つて来なかつたのでありますが、国際連合の列国の工業生産指数の調査を調べてみますと、戰勝国であるアメリカは一九三七年を百として、一昨年の五〇年あたりの指数をとつてみますると、百九十四、五ぐらいに伸びておる、英国も百二、三十まで行つておる、フランスも百四、五十まで行つておる。戰敗国のドイツにおいても百三十、イタリアにおいても百二十まで行つておる。しかし日本は国際連合の調査を見ますると、一昨年の暮れに約九十四ぐらいまで行つておるという数字が調書に載つておつたと思うのであります。ここまで来るのに日本の諸工業は非常に無理をして来ておる。今阿左美委員からおつしやつたように、政府の何か小手先のような金融政策、産業政策によつて、産業人はこの不利を忍びながらとにかくここまで来ておる。しかしイタリアとかドイツなんかの例を見ましても、相当伸びておることを実際の数字の上から国際連合の統計の上に私は見るのであります。しかも今日の段階において、ようやく伸びて来たものが大きな半恐慌状態で詰まろうとしておる、それが今日の状態だと私は思う。紡績のごときは四割操短をすると言うておる。それだつたらもう少し計画的に、一万錐当り二億円もかけており、国家が必要資材の資金を投入しておつて、政府が操短を強制しようという段階に来ておるのだから、私は通産大臣が私一人の責任では今御答弁申し上げられぬというふうな段階ではないのではないかというふうな気がするのであります。非常に御正直な厖大臣をつかまえて、とつちめるようなふうに聞いていただいては困るのでありまして、私ぜひ大臣が大蔵省なり各業界とひざをつき合して、ひとつ日本の経済界の再建のためにさらに渾身の努力を振われたいと思うのであります。大臣から御所見を承りたいと考えます。
○高橋国務大臣 大体御趣意はごもつともで、あなたの御発言も私ごもつともに承りますが、私はこの問題を放棄しておるのではないのです。これは大蔵大臣にも、日銀の総裁にもしばしば懇願しております。しかし今私にこの解決案をここで説明せよとおつしやるのは無理だろうと思うのです。私はこの上とも努力いたします。そのお約束はいたしますけれども、これは今の御発言のように、このまま捨てておけばどんなことになるかわからぬ。せつかく戰後国民が努力して今日まで回復して来た産業も、また崩壊するかもしれぬというような重大な問題であるだけに、私一大臣の責任で解決せられる問題ではないのです。それは業界の皆様はおわかりだろうと思う。それを申し上げておるのです。私は一層努力をすることはお約束をいたしますが、ここでお答えをするのはその辺でひとつお許しを願いたい。
○阿左美委員 わが国の繊維業者の織機台数でありますが、広幅の織機におきまして約十五万台、小幅の織機四万台、つまり十九万台という織機の設備が現在あるわけであります。それらの資金として百三十億近い金が設備資金、となつておりまして、これが運転資金と設備資金との混血をなしておる。この設備資金を長期の低利資金に切りかえてもらう方法がありますれば、これは一応安定をいたしまして、それからは堅実な経営ができ得ると思います。この方法を立てない以上は、不安なる、ところの状態において経営せざるを得ない立場に置かれるわけでありますが、この設備資金を長期低利資金に切りかえるような方法、またお考えを持つておいでになるか、銀行局長さんがお見えになつておりますので一応御所見を承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 この問題はなかなかむずかしい問題でございます。先ほど通産大臣からお話がありましたように、これは金融界のオーバー・ローンの問題をいかにして解決するかということの一環として考えなければならない問題だと思います。短期の資金でもつて長期の設備資金に固定をしてしまつたという、事のよしあしは別として、事実としてそういうことになつておることはお示しの通りであります。この処置につきまして、ただちにそれをしりぬぐいの意味で全部長期のものに、しかもそれを低利に借りかえてしまうという措置がはたしてよいことであるかどうか、これは十分研究に値する問題とは思いますけれども、今私からそういう措置をとることが適当であるというところまで御返事申し上げる段階にはございません。十分研究はいたしたいと考えております。
○阿左美委員 どうもまだ天下泰平のようなふうにお考えになつておるのじやないか。そういうことがよいか悪いかは別問題としてこの問題をそうすることはよほどむずかしい問題だ、こういう御意見でありますが、しかしもうこの段階を離れておるのじやないか、もしこれがむずかしくてできなかつたらどういうことになるかというような一つの結果論を研究する必要があるのではないか。先ほど大臣からオーバー・ローンのことを非常におつしやられましたが、現在とすればオーバー・ローンはやむを得ないと思います。これは貸出しがマッチするはずはないと思います。ますます今後はオーバー・ローンに行くのじやないか。預金をする人がなくなつて金を借りる人ばかりになるというような現状において、ここれをこのままで置けばオーバー・ローンは解決しないと思います。ところが御筆をいろいろお聞きしおりますと、まだそう大した問題じやないのだ、よく研究をまるとか、そういうことはできるとかできないとか、こういうような御答弁でありますが、私どもの考え方ではそうではないのです。もうできるとかできないとかいうことでなくて、このまま放任しておいたならば結果としてどういうことになるか。今まではこの不健全なるところの商社にしてもメーカーにしても、そういうような経営は一応倒れてもやむを得ないのだ、またそれを整理することで常態になるのだという御意見も聞いておりますし、またわれわれもそれはそうだろう、あるものはどうもやむを得ないのではないかというような考えも持つておつた時代があるのですが、現在はどれが健全なる経営であつて、健全なる商社か、メーカーかということはわからないのです。どれも不健全なのです。よいものを残すとか、悪いものは整理するとかいうのではなく、一つ残らず整理をなさるのかということである。全部が倒れたらどういうことになるか、最近の状態を見ますと、むしろ健全と思つておるものが倒れており、不健全だと思つているものの方が社会に害毒を流しておらない。健全と思つた信用の厚いのれんのあるものが、社会に非常な迷惑をかけて害毒を流していることは事実である。どれが健全でどれが不健全なのかという線はほとんど引けないと思います。全部がだめだということは言い得るが、そういうときにあたつて、それはむずかしくてできないのだということで済むか。これは確かに少し御認識が浅いのではないか。また現在の実情をほんとうにお知りになつていないのではないか、まだできないことはできないと言つてさしつかえないし、間違つたことはそれはやれないのだという法理論で行けるのだというようなお考えではないか。しかし事はもつと重大である。ただちに何とかこれに対する措置を講ずる必要があると思うのですが、いかがでしよう。これからまだよしあしを研究しなければできないとお思いになるのですか。なるほどそういう問題は重大問題であるから、ただちに何とかしなければならないというようなお考えはないものでしようか。一応御所見を承りたいと思います。
○高橋国務大臣 何とかすべきだということは私十分感じておりますが、この根本はオーバー・ローンの問題でしよう。オーバー・ローンが解決されれば相当銀行から短期資金も出て来ます。私、銀行のことは多少関係して知つておりますが、このオーバー・ローンの解決について近ごろ一、二の案が出ておりますが、それらの意見を読んでみても、解決案としてはどれも大して値打がないように思うのです。それだけ非常にむずかしい問題で、大蔵大臣は私と直接話合つたときには、いつも冷淡ではないのです。大蔵大臣も非常に苦慮しているのですが、解決が非常にむずかしいという点で悩んでいるわけ。これらの点は度大蔵大臣に直接所見をお尋ねになつたらいかがでございますか。抜本的に今こういう方法をとつて一時に解決するという案がないので非常に苦しんでいるようであります。私も実情はお察し申し上げておるのであります。
○阿左美委員 幾度聞き返しましても同じようなことになるわけでございます。私は大蔵大臣よりはむしろ業界の大先輩商橋通産大臣にお願いをいたしたいのです。これはもちろん大蔵大臣も御研究をいただかなければなりませんが、むしろ業界の大先輩の通産大臣の方が御研究が深いのじやないか。だから業界はこういう状態であつて、こういう事情があるから、これこれこういうふうにせよということを通産大臣から大蔵大臣に御指示を願うのがいいのじやないか。大先輩でございますから、大蔵大臣も通産大臣に対しては敬意を表すると思うのです。しろうとではないのでございますから、われわれが大臣にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法みたいなものであつて、これはよく御承知のことですから、決して通産大臣は、これの解決策はないとか、それはわからないとかいうことはないと私は思います。もちろんよくおわかりになつておるし、これは解決策はあると思います。これはよい悪いは別といたしまして、実際問題としてそういうことができておるのですから、できておることを解決するにあたりまして、その素因が悪いとか、いいとか、そういうわけだからそれはだめなんだということではこれは解決しないと思います。どうしてもこれは現実に沿うて解決してもらう必要があるのです。この設備資金というものが、実際に運転資金の名においてなされておるということは天下の事実なんです。それをしたのが悪いのだと今日言つておつたのでは、これはいつまでたつても解決しない。かりにもしこれを解決しておかなければ、それは自然に解決できるでしよう。自然に解決するとどういうことになるかというと、とれないものはとれないということで解決することになると私は思うのです。百三十億という設備資金は、今よこせと言つても、とると言つても、これは拂うことはできないのであります。拂えるようにしてとる、また抑えるようにして拂うという方法を講じられないことはないと私は思うのです。それがもしかりにできないというのであるならば、拂えるものは拂うべし、拂えないものはやむを得ないという自然の解決以外に方法はない。それは愚の骨頂である。それはいたずらに業者をつぶし、財界を混乱させ。オーバー・ローンどころの騒ぎではなくなつて来る。そういうことを考えるとき、これはどうしても一日も早く解決の手を打つてもらう必要があると思う。どうもこれではおうむ返しみたいなことで、いくら同じようなことを繰返してもいたし方がないのでありますが、銀行局長さん、どうでしようか、この問題に対してもう少し真剣にお考えになつて御答弁がいただきたいと思います。これはできないことはないと思います。またできなければ自然の解決以外には方法はないと思います。自然の解決をするということは、それが実際財界においてよい影響をもたらすかどうか、こういうことになると思います。業界はもうそこまで行つております。決してそういう余地はありません。最近綿糸の暴落によりまして大商社に非常に影響が起きて参りました。その影響が、今度は中小企業の方へもいろいろな関係が出て参りました。このままにしておきますと、これはだんだんと拡大をして参りまして、ある時期を過ぎれば、どういう施策を講じても手の施す道がないというような重大問題が必ず起きないということは断言できないと思います。どうも少し甘く見ておいでになるように考えるのですが、もう少し真剣にこの問題をお考えいただくことはできないのですか、
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。事態につきましては、私ども決して軽く見ているようなことはいたしておりません。真相の調査については極力努力をいたしております。それから今の具体案として、短期の手形で借りた資金が長期に固定している、従つてそれを一種のたな上げ的な長期化をすることはどうかというお話でありますが、これは先ほど申し上げましたように、もちろん研究は十分すべき問題だと思いますけれども、そういうふうな問題は、必ずしも今繊維関係だけではございません。先ほど申し上げましたように、オーバー・ローン全体の問題として短期の資金が結局長期に寝ている。これはあらゆる業界についてそういう事実がございます。この問題をどう処理するかという問題とつながつております。もちろん緊急の度合いの相違はございましようけれども、全体の問題としてはやはり検討を加えなければならぬ問題であろうと思う。ただ繊維の関係だけについてこういう措置をとることがよいのかどうか、この点は今、ごろそんなことを言うのは大体考え方が甘いというおしかりを受けるかと思いますけれども、全体の問題としてやはり私どもとしては考えて参らなければならぬと思います。しからばオーバー・ローンの対策としてどういうふうな方法があるかという点につきましては、これも先ほど来申し上げるように、なかなかむずかしい問題でありまして、いろいろ研究はいたしておりますけれども、まだどうも私どもとしてはつきりした解決の方法は見出し得ない状態であります。いろいろ真剣に検討を加えている段階であります。 なお事実問題として短期の資金が結局長期に固定している現実に対して、これは個々の問題としてその長期化という措置をしないにしても、事実上長期のままになつて寝ている状態はあちらこちらに続出しているわけであります。それが結局手形の期限が来ることに督促をされたり、いろいろ回収を迫られたりするという問題は事実としてあるかもしれません。事実問題として結果においてはそれらの金は長期に寝ているわけです。これをただ長期化するということは、金利の問題とか、一々手形の期限が来るときのうるささという問題を除けば事実上長期化している、金融の問題はもちろんありますけれども、長期化しているということも言えるのではないかと思います。現在問題になつております大阪を中心とした商社の金融問題の処理につきましても、その個々の事情に応じまして事実上何らかの形でその資金を長期化するような方途も講じて参らなければならぬとせつかく具体案を練つているような次第であります。個々については、そういう態度で臨んで参つておりますし、今後も必要に応じてそういう措置はとつて参りたい、かように考えている次第でございます。
○中村委員長 ちよつと申し上げますが、大臣は他によんどころない所用があるそうであります。いかがでございましよう。他の政府委員でよろしゆうございますか。
○阿左美委員 やはりこれは同じことを繰返して質問をいたしましても、責任ある御答弁をいただかない以上は結局むだになりますので、明日大蔵大臣の出席を求めまして、大臣から責任ある御答弁をいただくことにいたしまして、私の本日の質問は一応保留しておきます。
○高橋国務大臣 いろいろ私に激励を賜わつたことは感謝いたします。なおこの問題については、真剣に努力をいたします。
○中村委員長 次は高木吉之助君。
○高木(吉)委員 繊維の問題についてお尋ねいたしたいと思います。通産省では、原綿の割当を受けている綿紡機でもつてほかの繊維を紡出することは違反である、月産十五万梱の勧告のわく内で綿紡機で紡績するところの製品を全部含んでいるということを言明しておられるのでありますが、操短による過剰設備で混紡糸あるいは特紡糸などを増産するという傾向が生じておりまする折から、この処置はきわめて注目されておりまして、業界では非常な強硬措置と見ておるのであります。実際においてはほとんど生産統制の復元であるという声すらあるのであります。政府はかかる措置を講ぜられまして将来元にもどすお考えがあるのかお伺いいたします。
○記内政府委員 最近繊維事情が非常に悪化しておりますので、その対策の一部といたしまして綿につきましては減産を過日勧告をいたしました。それに引続いて一種の警告的な措置といたしまして、予定以上に増産を続いて行われるところに対しましては、今後業界の渇望しておる米綿の買付資金の割当に対して手心を加えて参るということにいたしたわけでございます。あくまでもそういうふうなことによつて減産を実行したいという観点でございまして、米綿割当との見合いによつてどう措置するかということは、業者が自分の利害得失を十分に考えて実行していただけばけつこうだと思います。われわれはそれによつて生産統制を実施しようという考えまでは持つておらないのであります。
○高木(吉)委員 なおまた通産省ではすでに綿紡機で紡出したところの実績にさかのぼつて原綿の割当を削減するというような考え方を持つておられるというように聞くのでありますが、そういたしますと、従来から紡績機をもつて紡績しておりました新紡あるいは新々紡というものが非常な打撃を受ける結果になるのでありまして、このような措置をおとりになるお考えでございますか。
○記内政府委員 だんだんと業界の実情を調べて参りますと、たとえば原綿の割当が百数十梱であるにかかわらず、純綿糸の生産が数十梱しかない、これは食い延ばしをやつておるのか、あるいはスフとかほかの繊維をひいて、原綿をほかに転売して利益を得ておりますのか、その辺のところは的確ではありませんが、そういう実情も見受けられますので、いつまでもこういう状態を放置するわけには参りません。今度減産を勧告しました機会に、本来綿糸をひくと称して確認を受けて原綿を割当ててもらつておりましても、それでもつてほかの繊維をひいておる分に対しましては、今後それに相当する部分は綿糸をひくものではないという認定のもとに、原綿の割当を削減しようというふうに考えておりますが、しかし過去にさかのぼつてまでこれを適用しようというところまでは考えておりません。
○高木(吉)委員 今回綿紡の操短を完全に行うためには、弱小の紡績も操短に協力せねばならないと考えるのでありますが、操業率の低下いたしますことはコスト高にもなり、また金詰まりになつて参ります。そういたしますと、操短によつて金詰まりになることについて、積極的な措置を講じてやらない限りは、小さい紡績はこれに協力ができぬ結果になると思うのですが、これに対して政府はどのようなお考えをお持ちになつておりますか。
○記内政府委員 中小の紡績については、せつかく米綿の割当を受けてこれを買いつけても、貿手の期限が切れますとそれは工業手形に振りかわるわけでありますが、工業手形に振りかえがなかなかむずかしい、あるいは工業手形がさらに非常に期間が短くなつて、いわゆる單名に切りかえが、困難であるという面もあるようでございますので、これらの方に対しましては、いわゆるケース・バイ・ケースでありますけれども、十分金融のめんどうを見てもらうように、日銀なりその他関係の金融機関の方に折衝いたしたいと考えて、寄り寄り協議を進めておる次第であります。 〔委員長退席、阿左美委員長代理着席〕
○高木(吉)委員 綿花の不足から、スフ、綿を混紡するということになつて参りますと、その混紡糸が市場に現われて参る際においては、かえつて市場を混乱するような結果になり、また一般消費者といたしましては混紡糸の粗悪なものを使わされ、また一面海外の市場にも悪影響を及ぼすというようなことが起つて来ると思いますので、この混紡糸に対しては、強制的な検査をして行く御意思があるか伺つておきたいと思います。
○記内政府委員 スフと混紡することはドル資金不足の折からある程度はやむを得ないかと思うのでありますが、その結果市況に混乱を来す、あるいは海外の信用を低下するというふうなことがあつてはならないと思いますので、過般局長名をもつて紡績会社に対して、今後混紡するときには必ず混紡であることを表示するように、またそれはできるだけ市販しないで、自分の責任で自家用と混紡糸を使つて織物をつくる、あるいは委託製織等によつて、自分の責任ではつきりと混紡糸を使つた綿布であるということを明示するようにという通牒を出しておるわけでありますが、単なる通牒だけではなかなか困難でありますので、それらと並行して、現在行われておる検査を受けさせるということも考えたいと思いますが、何分いろいろな方面の支障もございますので、目下のところはそういう通牒で注意を喚起すると同時に、関係の取引者に対して無検査物は扱わない、扱つても相当値引をするというような商慣習をつくることを勧奨いたしておるような次第でございます。
○高木(吉)委員 今回の操短の勧告は、大体法的根拠がないと思うのでありますが、もしそれに従わない場合、政府の勧告が守られぬという場合に対してはどのような制裁と申しますか、それに従わしめる処置をお考えになつておりますか。
○記内政府委員 これはわれわれ官僚が統制をやるためにこういう方法を実行するのではないのでありまして、最近の繊維事情から見まして、この程度の減産勧告をし、それを確保するために行政的な措置をすることが、結局業界自身のためでもあり、また日本の国民経済全体のために望ましいことであるという観点から、これを実施いたしたわけでございます。しかし業界の方の意見が、われわれの見るところと違いまして、これに従わないというようなことであれば、これもいたし方ないと思つておりますが、私どもといたしましては、その点は紡績その他の関係方面も事態を十分認識しておりますので、万々そういうことはないものと考えております。
○高木(吉)委員 政府はポンドの過剰対策として無謀な輸出抑制をやるような措置を強行せられるように伺うのでありますが、今回の行政措置で、一番打撃を受けるのは、おそらく紡績業者だろうと思うのであります。昨年の一月から十一月までの間におけるポンド地域に対する繊維の輸出は、大体三億二千百万ドルというような数字を示しておりますが、その強硬措置によりまして、おそらく二億ドル程度に減退するということが予想せられておるのであります。これは單に、そういたしますと、輸入商社のみの負担ということよりも、生産会社にまでその負担が及ぶという結果を招来すると思うのであります。政府はこの点につきましてどのようなお考えをお持ちになつておりますか、お伺いをいたしたい。
○記内政府委員 ポンドの輸出抑制の措置につきましては、いろいろ議論もあるわけでありますが、結局現在のポンドの累積、また今後とも引続き行われそうなけはいに対する措置というような観点に立つて参りますと、ある程度やむを得ないかというふうに考えた次第でございます。ただ今回計画されておる抑制の程度によりましては、もちろん金高は減つて参りますが、数量的に言いますと、昨年の輸出実績をあまり下まわらないという程度になつておるわけであります。業界の意見あたりでは、むしろほつておいても出ないのじやないかというような意見すらあるわけであります。従いまして数量的に申しますと、あまり大幅な削減にはなりません。ただ幸か不幸か、昨年一年を通じての輸出の単価と現在の市場の相場とを比較して参りますと、約一割五分から二割程度の低下を示しておりますので、数量的には同じであつても、輸出の金高におきましてはやはり相当の減少になるわけであります。しかしその結果が、いわゆるポンドの累積に対しまして、かえつて好結果になるというふうな現象にもなるわけなのであります。従いまして繊維業界にとりまして輸出抑制は売上げ金高の減少になつて参りまして自然それに伴う利益の減少というようなことも予想せられますけれども、数量的には、海外の事情さえ許せば去年程度の輸出ができる。われわれが抑制を考えております程度の輸出ができるものとすれば、大きい影響はないのじやないかというふうにも考えております。
○高木(吉)委員 輸出を抑制いたしますことは、輸出市場を失うという結果になるわけでありますが、綿糸布のごときものは、昨年におきましてはインドの紡績というものが非常に振興いたしております。それのみならず、今日まで英国の繊維の輸出の状況というものから考え合せてみますと、日本が輸出を控えたというために、今日まで獲得した輸出市場が彼らに奪われるという結果になりましてこれは将来日本経済の上に大きな影響があると考えるのでありますが、政府においてはどういうぐあいに考えておるか、御所見を承りたいと思います。
○記内政府委員 ただいま申しましたように、数量的にはそう減つておらない、むしろ業界の方面ではほつておいても出ないのじやないかというような意見すらあるわけであります。そうなりますと、今までのような毎年飛躍的な輸出を見るということはないかもしれませんが、市場を喪失するということは、金額は減りましても、数量が相当出て参りますれば、あまり考えなくてもいいんじやないかというふうに考えております。但し今後とも市場の転換——本来出なくてもいいような香港、シンガポールあたりまで中継地を通じて出ておるというような現象も多分に見受けられますので、こういう方面からほかの地域への転換ということによりましても、まだまだ市場拡張の余地もあり得るのじやないかというふうにも考える次第であります。
○高木(吉)委員 次は生糸についてお尋ねいたしたいのでありますが、生糸に対しましては、糸価安定法が設定されまして、最高二十三万円、最低十八万円というように決定を見まして、現在におきましては二十一万円前後に安定をいたしておるのであります。安定をすれば、アメリカ方面からも相当な注文があるだろうというような政府の見通しであつたようでありますが、今日におきましては生糸も絹織物も依然として米国においては不評である。これには何か原因がございましようか。その点を政府委員からお伺いいたしたい。
○記内政府委員 御承知の通り、生糸戰争中に輸出がすつかりとまつておりまして、その間に例のナイロンが出て参りました関係上、くつ下をつくる細番手の生糸の輸出はほとんど望み得ないというようなことも言われておるわけでありますが、同時に戰争中輸出がとだえた間に、生糸を知らない、絹織物を知らないという趨勢が現われたという関係で、生糸の輸出は思わしくないわけであります。終戰後になりましてからは、これも逐次出て参り、ことに向うの流行の変遷等によりまして、マフラー等は非常な勢いで出たと、いうこともあるわけであります。ただその後におきまして、糸価の変動が相当はげしかつたというふうなこと、また流行の変遷というふうなことから、停滞ぎみを見せておるわけであります。ただ今度の繭糸価格安定法が実施になりまして、糸価が安定しますれば、漸次この方面の需要も増大するのではないかというふうにわれわれは期待いたしておるわけであります。ただこちらで手を打つたからといつてただちに効果が現われるとも考えられません。これはやはり長い期間努力して、漸次増大に持つて行く方法よりほかないと思つておるわけであります。
○高木(吉)委員 最近綿糸のみならず、人絹、スフにつきましても相場は著しく下つて参りまして、ほとんど取引所開設以来の不振な線にまで下落しているのでありますが、この化繊の価格につきましても、繭糸同様糸価の安定法を制定せられる意思がございまするか、お伺いいたしたい。
○記内政府委員 糸価安定法に準じて化繊方面についても一種の買上げの法をきめたらどうかという声も耳にいたすのでありますが、いろいろな過去の、また海外等の経験によりましても、こういう方面の動きに対しましては、片一方に生産の制限あるいは調節ということがなければ、なかなか実行はむずかしいのではないか、あるいは不可能であります。また値段の低落するときに価格をてこ入れするというためにはきわめて適切な方法でありますが、一旦これが安定して上昇期に向つて参りますと、かえつて買い上げてストックにしたものが頭打ちになりまして、相場の上騰を押えるという結果にもなるわけでありまして、技術的にもこの面の問題は相当むずかしい点が多分にあるわけであり事。われわれとしましては、目下検討はしておりますが、今ただちにこれを実施するというところまでは考えておらないような次第であります。
○高木(吉)委員 人絹織物が非常なストックに悩んでいる。従つて今後輸出の面におきましてはダンピングということも考えられるわけでありますが、綿織物につきましては、チエツク・プライスを設定しております。人絹織物に対してもチエツク・プライスを採用すべきであると考えておりますが、政府の御所見はいかがでございますか。
○記内政府委員 綿につきましては、去年の夏以来実施しておるわけでありますが、化繊についてはいろいろな事情がありまして、今まで差控えておつたわけであります。最近の趨勢にかんがみまして、あるいは実施しなければならぬのじやないかということで、今その実施の利害得失等を検討しておるところであります。
○高木(吉)委員 人絹糸につきましても、将来綿と同じような過剰生産に陷つて参ることは火を見るよりも明らかであります。従つて綿紡に出しましたと同じような勧告を通産省は化繊に対しても行う意思がありますかお伺いいたしたい。これはまた糸のみならず、織物にまで及ぼすお考えがあるかどうかについてお伺いいたします。
○記内政府委員 御説の通り、そのままでほつておけば増産を来すおそれもあるかと思います。糸価の安定をはかるためにはどうしても供給を減少せしめるということが必要であろうと思いますので、昨年の暮れあたりから寄り寄り話合い進めておつたわけでありますが、化繊会社はそれぞれわれわれの気持に同調されまして、十二月は終戦後最大の生産を上げておりましたが、一月において人絹は二割弱、スフは一割弱の減産を来しております。二月もおそらく同様のテンポで同様の数字ではないかというふうに考えておりますが、さらに三月におきましては、人絹はほぼ同程度かと思いますけれども、スフについてはさらに一層の減産を確保しておるのではないかと考えております。今のところ綿に出しましたと同じように文書をもつて減産を勧告するということは考えておりませんが、個々の注意を喚起することによつて、数も少いことでありまするし、個々のメーカーの良識にまつて減産の効果を上げて行きたいというふうに考えておるわけであります。絹、人絹の機屋の方面につきましては、これは数も多いことでありますので、結局組合を対象にということで話を進めざるを得ないと思いますが、その方面に対しましては機会あるごとにいろいろ注意をいたしておるわけであります。ただ実際問題といたしまして、これを確保する方法について相当難点もございます。われわれはあらゆる方法を講じてこれの実現に努力したいと考えて、せつかく努力を進めておるのであります。ただ綿と同じように文書をもつて勧告するというようなことは今のところ差控えたいと考えております。織物につきましては技術上の勧告でやつて参りたいと思います。
○高木(吉)委員 先ほど阿左美委員の言われた通り、繊維界は相当に金融の危機に直面しておりますが、ことに繊維貿易商社の状態は破産一歩手前に来ておることはすでに御承知の通りであります。この解決策として今日までとられて来ました経過並びに今後のこれに対する方針につきまして、銀行局長よりお答え願いたいと思います。
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。商社、ことに繊維を中心といたしました商社の整備の問題でありますが、先ほど来お話もございましたように、実は今日突然として起つた問題ではございませんで、昨年の春以来からの問題がずつと延びて今日に来ているので、それまでの間に、去年の夏もある程度の措置はとつて参つたわけであります。その後いろいろな原因、ことに市況の状況、海外関係等から見まして、状況が必ずしも回復して参りませんために、これら過去における赤字、損失というものがだんだん表に出て来たということになつたわけであります。この問題につきましては通産省の方もいろいろ御心配になられまして、かねて具体的な案について御提示をいただき、私どもの方としましても、日本銀行を交えましていろいろ具体的な対策について研究はいたして参つたのであります。現在までのところでは、大体大阪を中心とした大きな商社について個々に再建計画を立つております。この再建計画に従つて将来の見通しのつきましたところについては、銀行と紡績商社と、これに日本銀行が入りまして、個々に適当な措置を講じて行くという方針で現在進めておる次第であります。これがためには日本銀行としてもできるだけ金融上のしりを見て行くことについて努力はいたさなければなりませんし、金利上の問題につきましても、こういう特殊の性質のものである点にかんがみまして一般の問題とやや異なる取扱いをして行かなければならぬという配慮のもとに、現在具体案を研究しております。まだはつきりしたことを申し上げるまでに至つておりませんが、一般の金利とは若干異なつた金利の措置をとつて参ることになると考えております。そういうことで、個々に商社自体の再建の計画、整備状況、経理の内容をはつきりいたしました上で必要な措置をとるということで、現在日本銀行の大阪支店が中心になつて、現実に具体的に処理を進めておる次第であります。
○高木(吉)委員 ただいま銀行局長から説明を聞いてわかりましたが、大体においてそれは無難に遂行して行ける見込みですか、その点の見通しを伺いたいと思います。
○河野(通)政府委員 その計画の内容がはつきり出て参りませんと、実は何とも申し上げにくいかと思いますが、将来必ず再建できて行ける見通しがはつきりしたものにつきましては、極力金融上の措置は講じて参りたいという所存でございます。金利だけ先に申し上げましたが、期間等につきましても、できるだけ実情に沿うような方途を講じたい、かように考えております。
○高木(吉)委員 大商社の金融難が今や中小企業の面にしわ寄せられておるのが実情であります。まつたく中小企業金融というものは梗塞しておりまして、業者はまさに壊滅寸前にあるという状態でございます。そこで大商社も助けていただくということはけつこうでございますが、中小企業に対しましても一段と救済の手を伸ばしてやらねばならないという現状であります。従いまして商工中金あるいは国民金融公庫その他中小企業金融機関に対して、政府資金の預託をして、これを緩和して行くということが考えられるのでございますが、この点について大体中金の十三億は、三月の返済期限を延ばすというのでございますが、これ以外にいかなる面から中小企業の、預託をいたしますところの資金を準備せられておるのか、この点について銀行局長のお考えを承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 中小企業に対する金融措置といたしましては、当委員会でもたびたび私から御説明申し上げたかと思いますが、いつもおしかりを受けるような答弁になりまして、実ははなはだ徹底した措置も講ぜられないのであります。本筋といたしましては、できるだけ一般の金融機関が自分の資金を集めて、これで中小金融についても極力努力をして行く。これに対してどうしてもうまく行かない点を、たとえば国民金融公庫等について、これを補完して行くという建前に相なつておるわけであります。政府資金の預託の問題につきましては、ただいまお話がございましたように、商工中金に対して三月の中ごろに引上げる予定になつておりました十三億を、数箇月延ばすことにいたしましたほか、新たに九億程度の預託をいたしましたので、合計商工中金に対する預託金は二十二億ということで当面措置をいたしたのであります。また国民金融公庫に対しましては、その資金の性質からいいまして、資金量が多ければ多いほどけつこうだと思います。この点もいろいろ検討を加えたのでありますが、今国会に御提案申し上げましたようなことで、国民金融公庫の資金源といたしましては、来年度三十億の政府の出資、二十億の資金運用部資金からの借入れ、この五十億の資金をもつて当面来年度にかけての資金の需要に応じたい。さしあたりの本年度に対する問題としては、先般の臨時国会で御決議をいただきました増資及び資金運用部資金からの借入金、この五十億をもつて何とか進めて参りたい、かように考えておる次第であります。
○高木(吉)委員 商工中金を初め中小企業金融から金を借りるということになりますと、その手続が非常に煩瑣でございますが、これに対していま少しく借入れの方法を簡素化してもらいたいという声がございますので、この点について銀行局長としてどうお考えになつておるか。なおまた今日まで簡單に借りられました不動産金融が、現在はその作用をいたしておりません。中小企業金融の最も簡便な融資方法といたしましては、簡單に借りられる不動産金融というものがまことに時宜に適したものであると考えられるのでありますが、早急にこれらの金融措置を講ぜられるお考えがあるか、この点をお尋ねいたします。
○河野(通)政府委員 商工中金及び国民金融公庫等につきまして、貸付に手続上非常な手間がかかり、あるいは時間がかかるという御批判はたびたび承つておりまして、非常に恐縮に存じております。できるだけ手続は簡素化いたしまして、なるべく短かい期間に、少くとも貸せるものか貸せないものかということの結論は早く出すように、各金融機関に対しては申しつけてあるわけであります。国民金融公庫につきましては、何分にも事業分量に対して人手が十分でないという点もございまして、相当長時間にわたつて夜勤をして事務処理をやつているわけであります。何分にも人員が十分でないということもございまして、御迷惑をかけていることと思うのでありますが、今後一層馬力をかけさせまして、手続の簡素化とともに迅速な処理ができるように配慮いたして参りたい、かように考えております。 なお不動産金融の問題でございますが、お尋ねの点はおそらく狭い意味の不動産金融ではなくして、いわゆる不動産担保金融と申しますか、中小の事業金融の対象になる不動産担保の金融の問題じやないかと思います。この問題につきましては、現在商工中金におきましてもそういう措置をとつております。先般の国民金融公庫の資金の拡充にあたりまして、従来は全体で百万円までの貸付額になつております。これを全体で二百万用まで貸付ができるようにいたしました際に、百万円から二百万円までの間のものにつきましては、不動産担保の金融、こういうふうな道をつくつたのですが、発足いたしましてからまだ期間が短かいものでありますので、十分な実績は上つておりません。今後これらの形におきまして、いわゆる不動産担保金融というものは国民金融公庫を通じて促進して参りたい。ただ国民金融公庫は、御承知のように零細な金融も一方においてぜひともやつて参らなければなりません。資金量の制限の問題もありますので、これらの方へあまり多くの金が行きませんために、一般の零細な金融の方が片手落ちになることがあつてもいけません。計画的に資金の配分については十分配慮して参らなければならぬと考えております。そのほか不動産担保金融のために特別の金融機関をつくるとか、あるいは特別の制度をつくるということは、ただいまのところは考えておりません。ただ御案内のように、政府といたしましては近く長期信用銀行の制度を拡充して参りたい、国会にも御提案申したいと考えているのであります。これらの制度ができますれば、これらの機関によりまして不動産担保の金融も相当活発に行つて参りたいと考えている次第であります。
○高木(吉)委員 商工証券の担保金融制度の考え方におきまして、その適用範囲に絹織物、人絹織物というものが除外されておりますが、現在のようなストックが相当にたまつて参ります場合におきましては、一つの金融策といたしましても、ぜひこれらの適用範囲に対しまして絹、人絹織物を指定すべきであると考えておりますが、銀行局長はどのようにお考えになつておりますか。
○河野(通)政府委員 この問題もかねてから各方面より御要望がございまして、実情はまことに今日の状況から見まして必要な措置かと考えられます。現在日本銀行においてこの問題と検討さしております。近く結論が出ると思いますが、今のところまだ研究の途中でございます。はつきりした結論までには至つておりませんが。できればそういう制度をつくつて参りたい、かように考えております。
○高木(吉)委員 大臣に対する質問を保留いたしまして、私の質問はこれで終ります。
○阿左美委員長代理 この際お諮りをいたします。地下資源開発及び合理化に関する小委員長より、小委員会において参考人より意見を聽取いたしたいという旨の申し出がありますので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿左美委員長代理 御異議なければさようとりはからいます。なお参考人の人選については委員長に御一任を願います。 本日はこの程度にとどめまして、次会は明後七日午後一時より開会をいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十二分散会