大蔵委員会通商産業委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/04/25
会議録
○佐藤委員長 これより大蔵委員会、通商産業委員会連合審査会を開会いたします。 本日これより議題といたします案件は長期信用銀行法案であります。まず政府当局より提案趣旨の説明を聽取いたします。政府委員河野銀行局長。 —————————————
○河野(通)政府委員 ただいま議題になつておりまする長期信用銀行法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。わが国現下の経済事情にかんがみ、長期資金を確保いたしますために、政府は従来とも格段の努カを傾けて参つておるのであります。一昨年来政府機関といたしまして、日本開発銀行並びに日本輸出銀行——これは先般の改正によりまして日本輸出入銀行に改まつたのでありますが、この銀行を設立いたします等、政府資金の活用をはかつて参つたのであります。しかしながら政府機関等によりまする長期資金の供給は、民間機関の行いまする長期金融等に対して、いわば補完的な立場に立つべきものでありまして、民間金融機関の整備強化が証券市場の育成と相まちまして、長期資金の確保のための根本義であろうと考えられるのであります。民間機関によります長期資金の供給に関しましては、従来銀行等の債券発行等に関する法律によりまして、銀行等に対し債券発行の特例を認めまして、その充足をはかつて参つたのでありますが、最近におきまする欧米諸国の事例並びにわが国制度運用の経験等に徴しまして銀行の制度といたしましては、その業務の分化により、おのおのその特色とする機能を発揮せしめ、一面長期資金等の円滑な供給を確保いたしまするとともに、他面預金者の保護に万全を期し、あわせて普通銀行の融資面における負担の軽減に資することが、適当と認められるに至つたのであります。以上のような理由によりまして、長期金融を専門に行う長期信用銀行を制度として確立することについて、先般来各界の方々にお集まりをいただきまして、いろいろ御検討をいただいて参つたのでありますが、今般ここに成案を得まして、法律案として御審議を願う運びとなつたのでありますが、以下簡單に内容の基本的な点を申し上げます。第一に、長期信用銀行業務を営もうとする者は、大蔵大臣の免許を受けなければならないことといたしたのであります。かつ資本の最低額を五億円と定めることにいたしまして、その規模の適正と、内容の堅実をはかることといたしたのであります。 第二には、長期信用銀行の業務は設備または長期運転資金に関する貸出しを主とし、なお動産担保の長期金融のほか有価証券の応募、引受その他の業務を認めた反面、預金の受入れ、短期資金に関する貸出しの制限を行う等その業務上の特色を明確にし、機能の発揮に遺憾のないようにいたしたのであります。 第三に、資金源といたしましては、預金の受入れにかわるべきものといたしまして、債券発行について特例を認め、資本及び準備金の二十倍までを限度として、その所要資金の確保をはかることといたのであります。 第四に、本法の施行に伴いまして、銀行等の債券発行等に関する法律を廃止することといたしておりますが、制度切りかえの円滑をはかり、かつ新長期信用銀行の育成をはかる等のために、所要の規定を置いておるのであります。第五に、新制度実施のため、準備に多少の時日を必要といたしますので、この法律の施行は、公布後一年以内において、適当な時期に政令で定めることといたしております。長期信用銀行法案につきましての提案の理由は以上の通りでございます。何とぞ御審議の上、御賛成をいただきたいと思います。
○佐藤委員長 これより本案に対する質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。通商産業委員小金義照君。
○小金委員 今議題になつておりまする長期信用銀行法案につきましては、実は非常に事が重大でありますので、大蔵大臣に出席を求めて、わが国の金融政策の一環としての長期信用銀行の計画、あるいは運用について伺いたいのでありますが、御都合で出席がありませんので、その筋の専門家の銀行局長からお答えを願うことといたします。この私の質問の中には、産業界の要望も相当入つておるのでありますから、銀行局長におかれては、その要点を大蔵省全体としてよくお考えを願いたいのであります。戰後の混乱とその後のインフレーシヨンの結果、資本の蓄積がほとんどなくなつてしまつた。そうして金融のうち特に長期の安定した資金が枯渇いたしまて、われわれの産業復興上非常に苦しんだことは、皆さんすでに御承知の通りでありますが、この要請にこたえて設立せられましたのが復興金融金庫であります。ところがこれはいろいろな事情がありまして、その運営が十分うまく行かなかつた。また世道人心の頽廃も伴いまして、実際にはこの復金は、相当日本の産業経済の復興のために役に立つておつたにもかかわらず、いわゆる復金インフレーシヨンというような悪声を浴びまして、多額の貸付を残したまま、その機能を停止せざるを得なくなつた。爾来わが国の産業界は著しい復興を遂げたとはいいながら、深刻な資金不足の様相を呈して、経済事情は著しく收縮したという現象も出ました。また不活発となつて来たというような様相も呈しておるのであります。世上の論議が政府財政資金、なかんずく対日援助見返資金及び預金部資金等の、民間への還元というところに集中いたして参つたのであります。この時期において、旧特別銀行法が廃止せられて、爾来特銀が債券を発行して、長期資金を調達しておつた機能が失われ、そのかわりとして銀行等の債券発行等に関する法律が公布せられて、施行されて来たのであります。この法律の出現によりまして、産業界の要望であつた長期資金獲得に、多大の成果を收めたのではおりますが、これは預金部資金の資金運用部への改組を条件といたしまして、債券発行銀行等の発行する金融債の預金部引受ということが認められたわけであります。この政府資金の民間への還元の措置と相前後して、政府機関として日本輸出銀行、今では日本輸出入銀行でありますが、さらに日本開発銀行が一昨年ですか、それぞれ設立せられて今日に至つたことは周知の通りであります。その他こまかいことは省略いたしますけれども、その間住宅金融公庫、中小企業信用保険、輸出信用保険、農林、商工二つの中央金庫の資金源の拡充、見返り資金の中小企業に対するわくの拡大、その他さまざまの産業金融の補完作業が行われて参りましたが、一般産業界の実情は、以上のようないろいろな方策をもつては、どうしても講和条約発効後の自主経済の目的達成にはなおほど遠いという意見が一般に行われているのであります。すなわち復金の新規貸付停止、均衡予算の編成、厳格なドツジ・ラインの展開は、一面において見事にインフレーシヨンを收束せしめましたが、他面において、産業各界の萎縮を招くような現象も併発しております。さらに輸出貿易の前途も必ずしも楽観を許さないありさまであるし、また産業界唯一の望みの綱であると言われておる世界のいわゆる軍拡景気も、幸か不幸か、将来の明るい見通しも十分つけておるとは言えない。こういう状態であれば、事態は非常に重大であると私どもは考えるのであります。以上のような客観情勢の中にあつて、今回のこの法律案の意義と内容を注意深くわれわれは検討いたしまして、その結果次に述べるような疑問を、われわれは抱かざるを得ないのであります。以下私の展開する質問に対して、懇切明快なる答弁を得て、真の本法提案の理由を明らかにすると同時に、法の運用を的確明瞭にしておきたいと思うのであります。今やわが産業界は、生産の拡充、輸出の振興ということを盛んにとなえてもおるし、またこれをわれわれは実行して参りましたが、今日の経済界の実態を見ますると、産業技術の方面においては、欧米に比して十年以上の遅れをとつておる。そのために私どもは企業合理化促進法などを考えて、その方面を促進して参りたいと考えて、先ほど衆議院でもその法案が通つたのであります。時代は生産拡充を遂行しりつつ、なおもう合理化の時代に入つておる。第一次世界大戰後も、数年を経て産業合理化の時代に入りました。これはドイツがトップを切りまして、世界に産業合理化の風潮をみなぎらした。今度の第二次世界大戰のあとも、引続く米ソの対立によつて、あたかも軍拡軍拡というような声で押されて来ましたけれども、事態は今日になつてはもう日本としては企業の合理化の時代に入つている。また産業の設備の方から行けば、近代化の促進時代に入つておるのであります。そうするとここに大きな産業合理化資金あるいはまた産業の近代化資金というような需要が、非常に大きいものとして現われて来ることを、われわれは現に体験しておるのであります。この法律案を私ども見まして、一応うなずけるのでありまするが、ここに問題をわけて、私はこれから質問いたしまするから、お答えを願いたい。まず根本的な問題の一つとして、このたびこの法律案提出の大蔵省の腹は、オーバー・ローンの克服であるというふうに世間でも言われておるのであります。この法律によつて興業銀行が長期信用銀行になる、あるいはまたその他のものが二、三長期信用銀行にかわつて行くという程度のことでは、一体実効がはたして期待できるものかどうか。また巷間しばしば伝えられるところによると、大蔵省がかねてから考えておる銀行法改正の重要課題となつておりまする、大口貸出し制限の反対論を解消させるというようなねらいで、この法律案がつくられたというふうに批評が行われております。すなわち日本の銀行は、みないずれもオーバー・ローンで苦しんでおる。大蔵省が銀行法の改正を企てようとすれば、民間から相当の反発を食つて、これが実行できなかつたので、それにかわるべきものとして、こういう長期信用銀行法案という形で出して来たのだというのだが、これらについての真相をまず承りたいのであります。一体銀行等の債券発行等に関する法律を施行した二年前の客観情勢と今日のそれと、はたして根本的な変化があつたのかどうか。また変化があつたとすれば、すなわち私が今申し上げたように、今日の日本の産業界は合理化時代に入つておる、近代化を促進すべき時代に入つておるというような見地から、これが考えられたかどうか。元来金融というものは、それ自体が自己目的を持つておるというよりも、むしろすべての産業界、経済界の真の姿が投影せられるのが、金融の実勢であろうと私は考えております。経済の根本的な基礎や、政府の指導方針において、二年前と今日ではどういう違いを認識して、この法律案を考えられたかどうか。これをまずお伺いしたいのであります。
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。御質問の点は、金融の問題に対するきわめて根本的な点に触れると思います。御意見の通り平和条約の発効を間近に控えまして、今後の金融の問題には、きわめて多くの問題がございます。今後におきまする金融の問題は、決して平坦であるとは申し得ないのであります。金融はお話のように産業経済全体を円滑に動かして行くための、一つの血管としての作用を営むわけであります。日本経済全体を堅実に再建し、発展させて行きますための一つの大きな力として、金融の問題を解決して参りたい、かように考えております。お尋ねの具体的な問題についてお答えを申し上げますが、まず第一に、この新しい法案は、オーバー・ローンの克服について、いろいろ対策として考えられたのではないかという点であります。先ほど来御説申し上げましたように、この法案を提出いたしました趣旨は、経済がだんだん正常化いたしますに応じまして、金融の制度も正常化して参りたい。そのためには、長期の金融は長期の資金源をもつて調達された資金でまかなうべきものである。短期の金融は預金等の短期のもので集められた資金源からまかなわるべきものである。こういう本筋の道を立てて奉りたい。あわせて現在資本の蓄積が足りません。特にそのうちでも長期資本が足りない。この点をできるだけ新しい銀行を強力に育て上げることによつて、解決をはかつて参りたいという点にあるのであります。従いまして長期資本に対する現在の預金銀行のオーバー・ローンは、これによつてできるだけ解決を進めて参りたいと考えておる次第であります。しかしながら基本的には、何分にも日本の経済というものが、戰争によつて資本蓄積を失いました結果、その後あらゆる力を傾けて、資本の蓄積を進めて参つたのでありますけれども、何分にもまだ十分でありません。企業自体の自己資本の蓄積がきわめて少い点等から考えましても、現在のオーバー・ローンの状況を一挙に解決するということはなかなか困難である。これがため私どもは、先ほどもお示しのように政府機関、開発銀行とか輸出入銀行とか、あるいは資金運用部とか、見返り資金、そういつた政府機関ないしは政府資金を、できるだけ長期の産業資金に投資をすることにいたしまして、一般民間の金融機関の長期資金によるオーバー・ローンを、できるだけ解決する一助といたして参つたのであります。それにいたしましても、民間の金融機関といたしましても、できるだけ長期の資金源を拡充することによりまして、長期資金のオーバー・ローンいわゆる預金銀行による長期資金のオーバー・ローンを一挙に解決することは、先ほども申しましたようになかなか困難でありますけれども、徐々にできるだけこれを解決するような方向へ進めて参りたい、こういう考え方から、この法案を提出した次第であります。 なお尋ねの第二点の、銀行法の改正案との問題であります。これは必ずしも銀行法による改正の試案——これは実はごく非公式な試案であつたのでありますが、これにはお示しのように預金銀行の大口の貸出しについて、ある程度の制限措置をとろうという考え方があつたのであります。これは先般来金融制度懇談会というものをつくりまて、いろいろ角界の権威者の御意見を承つたのでありますが、いまだ結論に到達いたしておりません。否決されたわけでもございませんが、さらに検討を続ける必要があるということで、その問題は今後さらに検討を続けることに相なつておるわけでありますが、この問題と長期信用銀行の法案との関係は、必ずしも直接には関係はございません。しかしながら先ほど申し上げましたように、預金銀行つまり普通の銀行でありますが、その預金銀行の長期資本に対するオーバー・ローンを、できるだけ肩の荷を軽くして行くようにして参りたいという趣旨から、この新しい法案が立案された一つの理由になつておることは、先ほど来申し上げた通りであります。その意味におきましては、やはり銀行法の改正試案というものと関連があることは事実であります。次に債券発行法との関係でありますが、昭和二十五年にあの法律をつくりました当時と現在は、事情がかわつておるかというと、私は事情は相当かわつておると思うのであります。当時はオーバー・ローンとかいつたような問題よりも、とにかくあらゆる金融機関が、できるだけ長期の資本を集めて、それを長期の金融にまわして行くことがいい、そういうふうな努力をして行くことが適当であつたと思うのであります。従いましてあの法律は、どの預金銀行でも、債券を発行しようと思えば、届出一つでできるようになつておつた。事実はそうたくさんの銀行が発行はいたしておりませんが、できる建前になつておつたわけであります。しかしその後経済一般の問題、特に金融が逐次正常化の方向へ向つて参りますに応じまして、金融の制度、ことに銀行の制度といたしましても、できるだけ正常な状態に持つて行きたい、そのためには先ほど来申し上げましたように、長期金融をいたしますものは長期の資金源によつてやつて行く、短期の金融をいたしますものは、短期の資金源によつてやつて行くという制度を、逐次整えて参ることが必要であろう。現在はすでにその段階に来ているというふうに、私どもは認識いたしておるのであります。そういう考え方からこの法案を提出いたしまして、この法案が施行いたされますと同時に債券発行法を廃止いたし、これによりまして金融制度の分化と申しますか、分化の態勢を整えて参りたい、かように考えておる次第であります。しかしながらこの切りかわりの時期におきまして、過渡的に長期の金融が疏通を妨げられることのないように、極力配慮をいたして参らなければならぬ。そのためには、できるだけこの法案にもございますような経過規定を設けまして、その切りかわりのギャップをなくするように、極力配慮を加えて参りたいと考えておる次第であります。なお新しい長期信用銀行が発足いたします場合におきましては、長期資本に対する需要が産業界にきわめて旺盛なことは、お示しの通りであります。これらを十分に満たすために、民間からの長期資本の吸收ももちろんいたしますが、それと相まちまして資金運用部等の政府資金を、この新しい金融機関に対して事情の許す限り多額に投入いたして参りたい。これによりまして、これらの新しい銀行の資金源の拡充に、極力政府としてもバツクをして参りたい、かように考えておる次第であります。
○小金委員 この法案に関する説明並びに今の河野銀行局長の御説明は、私は納得できるのであります。しかしながらオーバー・ローンの問題は、何ゆえにオーバー・ローンになつているか。これは日本の経済状態、特に蓄積の貧弱さから来ておるので、急激にこれを解決しようとしてもなかなか困難でありましよう。が、何ゆえにオーバー・ローンの現象が著しくなつておるかということについては、ひとり銀行政策ばかりではいけない。金融関係の所管をされておる銀行局長が、一生懸命になつてもらいたいことはもちろんでございますが、たとえば、税制だとか、そのほか資本が蓄積されましてオーバー・ローンを打消すような状態の育成を、私は考えていただかなくてはならぬと思うのであります。大蔵大臣の諮問機関か何かである臨時金融制度懇談会というようなものがあつて、いろいろそこで御審議をされたように聞いておりますが、それらの内容はここで承ることはやめまして、ただ今銀行局長は、この長期信用銀行については資金運用部の引受といいますか、こういうようなことも考えているということで、これはぜひそういうような掩護射撃をしないとうまく行かない。むしろ今日の産業合理化時代、産業の近代化時代に多額の、しかも長期の資金を必要とするような時代には、もつと政府がこういう特別の銀行には関心を持つて掩護したらいいんじやないか。たとえば金利のコストたんかにしても、相当考慮を払つてもらいたい。これはどういうお考えを持つておられますか。一応私はこれを注文いたしておきます。 次にこの法律案は、巷間、旧特別銀行法、具体的に申し上げますれば旧日本勧業銀行法、旧日本興業銀行法等の復活、といいましても、これは全然同じものが復活するのではないのでありますが、その復活であると見られるような批評もございますが、現在普通銀行になつております興業銀行などが、自動的に本法に基く長期信用銀行に改組せられた場合に、昔の日本興業銀行と実質的に一体どう違うものになるのか、これをひとつ承りたい。また現在の興銀が持つておりまするところの、短期貸しの相手方の今後の取引銀行はどうなるのか。また現在の興銀等の長期貸付は、この期間満了前に新銀行に改組せられた場合に、以前の条件のまま新銀行に引継がれるのか。その辺の経過規定が附則に一応あるように思つておりますが、債権債務の引継ぎ事項等については、きわめて重要でありますので、その要点を伺いたいのであります。
○河野(通)政府委員 御指摘のように、新しい銀行ができました場合口には、この銀行の資金源を拡充いたしますために、政府といたしましてもできるだけこれをバツクして行くように努力はいたします。なおこの法律の附則にもございますように、政府は場合によりましては、この新しい銀行に対して出資をする道も開いて参ります。このことも規定を設けております。なお次に金利の問題でございますが、これはきのう大蔵委員会でも御質問があつたのでありますけれども、できるだけ長期産業資金の疏通をはかつて参りますために、金利は許す限り低い方がいいと思います。しかしながら何分にも債券発行ということによつて、資本を調達するわけでありますから、債券は、御承知のように資金コストが、普通の預金より非常に高いという点もございます。従いまして、貸出し金利をできるだけ下げたいことは、やまやまでありますけれども、おのずからそこにどうしてもコストの関係上、金利については下げられる限界もございます。少くとも現在一般の銀行が出しております長期資金の金利水準、これは大体御承知のように現在三銭一厘から二厘くらいだと、思いますが、これよりも上まわるというようなことは、少くともないようにして参りたい。なお許す限り金利は低いことを望んでおります。それから次に、お示しのようにオーバー・ローン問題、これによつて来た原因及びこれの対策というものは、きわめて大きな問題であります。軍に銀行政策あるいは金融政策だけの問題ではございません。この点はお示しの通りであります。しかし私の担当いたしまする部門につきましても、極力この点については努力をいたして参らなければならぬと考えております。なお資本蓄積を大いに進めて行くということが、何といつても根本問題でありまして、インフレーシヨン政策をやるなら別でありますが、そうでない健全なる財政金融の基礎に立つて、今後の資金をまかなつて行くということにいたしますならば、どうしても資本の蓄積を促進することが必要であります。資本の蓄積ということは必ずしも金融機関の預貯金あるいは資本だけではございません。企業等の自己の蓄積を増加するということが、どうしても必要になつて参るのであります。このために税制上いろいろな配慮はいたして参つております。この点は小金さんも十分御承知いただいておると思います。また議員提案によつて出て参りました法律等におきましても、この点について十分な配慮が加えられるようになつておると承知いたしております。もちろん程度といたしましては、まだ不十分という非難は免れないと思いますが、今後においても資本の蓄積を促進いたしますために、障害となるような税制上の措置はできるだけ排除して行くというふうに努力をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。次にこの新しい銀行は、今興業銀行という例が出たのでありますが、もし興業銀行がこの新しい銀行にそのまま転換いたしました場合に、一体、旧特別銀行たる日本興業銀行法自体の興業銀行と、どこが違うかということでありますが、この点は、私どもはこの新しい法案は、決して特殊銀行法とは考えておらないのであります。一般の民間銀行のうち、一つのカテゴリーとしての法案であつて、ただ一つの銀行を目的とした特別銀行法ではない、というふうな考え方に立つておる次第であります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、この長期金融というものは、いろいろな点でなかなか困難がありますので、政府としては資金的にもあるいは行政上の措置といたしましても、できるだけこれにバツクをして行く、援助は加えて参りたいというふうに考えております。それから経過的な問題でありますが、この点はいかなる銀行が新しい長期信用銀行に転換されるのであるか、あるいはどういう態様で転換されるのであるか、これはまだ少くとも公式には私は話を伺つておりません。この法案が通過いたしますれば、その上で各当事者がいろいろな観点から御研究をされることと思います。その場合におきまして、新しい銀行に古い銀行が、どういうふうにして債権債務を引継ぐかというような問題でありますが、いかなる態様によりましても、この点の円滑な切りかえができるように、附則の規定を設けてございます。態様はいろいろな形があります。私たちが考えましてもやはり六つ、七つくらいの態様が実はあるわけであります。どのような態様をとりましても、一応この附則によつてカバーができるというふうなことになつております。なお附則につきまして、もし必要がございますれば、詳しく銀行課長の方から御説明を申し上げます。
○小金委員 具体的な問題は、また別にあとで伺うことにいたしまして、今銀行局長の御発言によりますと、大体これは特別銀行法ではない、普通銀行のうちの特殊なカテゴリーであるという考え方、従つてこれは複数を目当にしておられることもはつきりいたしております。この附則の第二項で、この法律公布の日において、大蔵大臣に対して書面をもつて、長期信用銀行となることを希望する旨の届出があつた場合には、それぞれこの法律案に規定しておるところの条件を備えておれば、自動的に長期信用銀行になる、こういうふうに私は承知いたしますが、その通りでよろしゆうございますか。
○河野(通)政府委員 そうでございます。
○小金委員 そうしますと、具体的にちよつと私は伺いたいのでありますが、これは世間の常識でありまして、銀行局長はそのお立場上きわめて公平な、白紙の立場で論議をされるのはやむを得ないのであります。けれども世間では、またわれわれの予想するところでは、興業銀行は当然これになつて来るだろうと予想をいたしております。またかつての業歴といいますか、いろいろな伝統等から考えて、むろん勧業銀行もこれに入るのではないか、また入る場合にはどうしたらいいかということが議論されております。勧銀等から相当多額な融通を受けている産業界としては、これは相当な関心の的になるのであります。日本勧業銀行の短期、長期がもし二つにわかれて、いわゆる第二会社のような形で長期信用銀行ができるといたしますると、今日あまり健全であるとはつきり言い切れない——これはオーバー・ローンはどの銀行でもあるというのでありますから、あまり健全だとは言い切れない。勧業銀行が二つにわかれた場合に、長期金融のみをめどとして、はたしてその第二会社というものが採算がとれるかどうか。従つて健全なる第二会社としての長期銀行が成立するかどうか。勧銀が長期信用銀行に入るのか入らぬのかは、これは勧銀の自由である、こういうことももちろん言い得るのであります。しかしながらそれではあまりに、長期信用を必要とする産業界から見ますると、野放図に過ぎはしないか。銀行当局としては日本勧業銀行について何とか考えておるんじやないか。もし考えておられるならば、一体どういうふうな構想で勧業銀行を長期信用銀行にかえて行かれるか。これはなかなかデリケートな立場であられると思いまするけれども、おさしつかえない限度において、勧銀について一応のお考えを承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 お尋ねの点は、私からお答え申し上げる段階に実はまだ来ておりませんので、せつかくのお尋ねでございますけれども、この際申し上げることは差控えたいと思います。ただ一般論として申し上げますならば、ある銀行が長期部門と短期部門と左分離して行きます場合に、その短期部門もうまく成り立つて行くように、また長期部門もうまく成り立つて行くように、十分なる配慮をいたし、またその見通しがつかない限りは、これを認めて行くわけには行かない。そのためには、大体新しい長期信用銀行というものは、先ほど来申し上げましたように、資金のコストが非常に高いとい点等から、なかなか採算上もむずかしい。ことに長期金融というものの技術、能力、伝統等の問題もございます。これらの点から、資金選は非常に大きいものを要する。そうしないとなかなか採算ペースに乗らない。きのうも大蔵委員会で申し上げたのでありますが、大体普通の預金銀行でありますならば、最低二十億程度の預金資金が集まれば、大体最低のべースには乗るだろう、二、三十億あればいいと思いますが、長期信用銀行の資金量は、やはり少くとも二百億から三百億程度のものがないと、なかなか採算のベースに乗らないと思います。そういつた点から言いましても、新しい長期信用銀行の資本力というか、資金量の拡充、確保については、先ほどから申し上げておりまするように、政府としても特段の配慮をいたさなければなりませんし、また新しい銀行を経営される方々も、この点については十分な配慮を持つて、将来のめどがつかない限り、なかなかこの銀行の設立ということはお認めできない。そういう観点から一般論としては考えておりますが、くどいようでありますけれども、勧業銀行の具体的な問題につきまして、私から申し上げるまだ段階にございません。勧業銀行当局からも正式に御意見もまだ承つておりませんし、できるだけ当局者の発意、自主的な判断を尊重いたして行きたいということだけは申し上げられますけれども、具体的な問題につきましては御答弁を差控えたいと思います。
○小金委員 非常に愼重な態度で臨まれるということはけつこうでありますが、私がここで申し上げたいのは、長期資金を必要とするその量が相当多くなる、一つぐらいで一体やれるのかやれないのか、支店網の関係もありますので、その点を私は心配いたしておるのであります。勧銀については——ひとり勧銀ばかりではありませんが、長期信用銀行に移らんとする、また長期信用銀行を設立せんとする場合には、十分考慮するということがありまするから、私はそれを信願いたしまして、その点は了承いたします。勧銀とちよつと似たようなものでありますが、北海道の拓殖銀行というのがあります。今後北海道の地位が産業的にも相当重要になつて来る。日本が四つの島にとじ込められて来ると、もう地下資源なり工場の設置なり、割合に発展性のあるのは北海道であると私どもは考えております。この北海道拓殖銀行のようなあまり大きくない銀行、なかんずく拓銀というのは地域的にも、その営業の中心が北海道という特定の地域に一応局限されております。短期、長期の二本建になつた場合に、この営業は一体できて行くのかどうかというようなことも心配であります。この拓銀についても、おそらく銀行局長は勧銀についてと同じようなお立場をとられ、また考えを持つておられると思うのですが、ただ北海道については、今後北海道の開発を促進せなければならないという重要な役目があります。そこで長期信用銀行がもし一つでもできれば、支店か何かを置いて十分その支店の活用を期するというようなことを、必ず考えておられると思いますが、私は北海道の産業の今後を考えますと、支店くらいではだめなんで、やはり北海道の拓殖銀行が長期信用銀行か何かになつた方がいいと思うのですが、これも今いろいろな銀行局長が一般的に言われた制約が私はあると思います。北海道拓殖銀行についても、私は相当考慮していただかなけばならぬと思います。これは今明確に答弁をすべき時期ではないと言われるだろうと思いますが、一応現段階においてどの程度のお考えを持つておられますか、承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 北海道拓殖銀行につきましても、非常に申訳ないのでありますけれども、同じ御答弁を申し上げざるを得ないのであります。しかしながら北海道拓殖銀行がどの道を選ぶにいたしましても、北海道というところの特殊性ということは十分頭に置いて、ここの産業開発のための資金の供給につきましては、あらゆる努力をいたして参りたい。これがためには開発銀行も新発足をいたしまして以来、早々にまず支店を設けて、ここへ新しい活動を開始するように準備をいたさせております。またその他の銀行にいたしましても、興業銀行でありますとか、その他の長期金融をやつておりますところの銀行も、相当に北海道については活動いたしております。ただ問題は、御承知のように北海道の産業のうちでも、大きい産業につきましては、金融は大体実は東京で行われておるのです。従つて北海道に店のある銀行が関係はいたしますけれども、必ずしも北海道で金融をしているというものは分量的には割合に少いのです。数字は手元にございますけれども、大体金額的には大部分東京で実は金融されておる。むしろ北海道で金融をされなければならぬものは、小さい地場の産業であろうと思います。これらにつきましては、やはり中小金融の問題もありましよう。また一般の銀行の対象になる金融もございましようが、北海道の経済上の特殊性を十分考慮いたしまして、これらの金融の措置につきましては、極力努力をいたして参りたい。開発銀行の活動につきましても、北海道については極力重点を置いて行くように配慮いたしたいと考えております。かように考えておる次第であります。ただ私どもといたしましては、そのために北海道に特殊の金融機関をつくる、あるいは日本開発銀行のようなものを、地域的にさらに政府機関として北海道につくるといつたような構想は、この際としては私どもはまだその時期ではないのではないかと考えております。
○小金委員 北海道の開発に関係しては、大きなものは大体中央といいますか、東京で資金繰りなどをきめる。私は今銀行局長が中小の企業について、やはり相当関心を持つておられることを聞いて、非常に私はうれしく思うのであります。この法律案を読んで行きますると、大体これから受ける感じは、長期信用銀行というのは大部分は大企業あるいは中小企業のうちでも、中の方の大きい企業が相手になるような長期金融を行うようなふうに必然的になつて来る、こう思うのであります。そうすると、私はここに日本の産業の、ことに日本の企業の数から行きますと、非常に多数を占めておりまする、また重要な役割を演じておる中小企業に対する長期金融、たとえば中小企業の設備資金、設備の改良資金、それから店舗、工場等に対する不動産金融の機関、こういうようなものとしては、この長期信用銀行はあまり役に立たないというおそれがあるのではないか。市中銀行といえども、中小企業に対する長期資金などを融通する余裕はほとんどないであろう。ほとんどないというのは言い過ぎかもしれませんが、十分な余裕はないだろう。またこれを期待することができないということを、われわれははつきり認めておるのであります。おそらく大蔵当局は、中小企業に対しては商工組合中央金庫もあり、信用金庫もあり、また信用保証協会などもあるのではないか、こういうふうに考えられましようが、しかしながらわずかばかりの増資とか、あるいはまたこの附則の第十五項ですかに掲げているように、発券の程度を二十倍までにするというような程度で、一体満足できるのかどうか。全般が長期資金を必要とする際に、この長期信用銀行法では、私は相かわらず中小企業に対する長期資金は救われない、これを非常に心配しておるのであります。一般の市中銀行もまたこれを口実にして、長期貸付の点は新しい長期信用銀行ができるから、そちらでやつてもらいたいというようなことで、逃げる口実を與えるような心配があるのであります。附則十五項で、あるいはその他の金庫などで、一体中小企業に対する金融が十分に行くのかどうか、非常に心配であります。銀行局長からその点についてのお話を承りたいのであります。
○河野(通)政府委員 中小金融につきましては、一般論として非常にむずかしい問題がございます。いつも委員会でおしかりを受けて、また鞭撻を受けているわけであります。ただ中小金融と申しましても、お示しのように商工中金でありますとか、あるいは国民金融公庫でありますとか、そういつたものだけが実はやつているわけではございません。本筋はやはり一般の金融機関、相互銀行でありますとか、あるいは信用金庫でありますとか、これらはもう中小金融の専門機関であります。それから銀行の中でも、地方銀行等は大体私ども承知いたしておりますところでは、百万以下の貸出しというものが、半数近くを占めているような状態でもあります。半数というのは金額でありまして、件数でははるかに多いわけであります。また興業銀業、勧業銀行等、長期金融をやつておりますこれらの金融機関にいたしましても、中小向けの金融というものは相当行われております。従いましてただ商工中金とかあるいは国民金融公庫だけで、中小金融をやつているというわけではないのであります。これはよく御承知のことと思いますが、ただその上に出ている一番困難な問題は、結局しわがそれらの金融機関に寄つて来ている。これらの金融機関の資金源を拡充することにつきましては、従来もいろいろの努力はいたして参りましたが、今後におきましても、この点については財政の許す限り、あるいは金融状況の必要といたします限りにおいて、資金源の拡充については十分努力をいたして参りたい。余談になりますが、そういうふうな趣旨で、先般の政府の余裕金を指定預金にいたしました際にも、商工中金等にはきわめて大幅な指定預金をいたしているわけであります。総額百五十億のうち、商工中金には大体二十八億程度指定預金している。そういつたふうな配慮をいたしますかたわら、今後におきましては資金運用部による商工債券の引受等についても、政府がこれを多額に引受けるように配慮をいたして参りたい。もちろん御満足の行くような十分なことはできかねるのでありますけれども、これは日本経済、ことに資本が不足しているこの際でありますから、できるだけのことはいたしたいと思いますけれども、その程度でお許しをいただきたいと、かように考えておる次第であります。
○小金委員 中小企業に対する金融については、おそらく河野銀行局長は就任以来、もういやになるほど通産委員会に呼び出されて小言を言われているだろうと思います。ただ私どもは銀行局長あるいは大蔵省に、しばしばこの問題についていろいろな注文をいたしまするが、それはいずれもわれわれのところで十分濾過して、やむを得ない問題だけを実は持ち込んでおる。実態は非常に苦しいこと、これはもうちやんと御推察はしていただいていると思いますが、この問題はなかなか大事な問題でありまして、この長期信用銀行法案を読んでみますと、大体この新しい長期信用銀行というものは、本質的に大都会中心あるいは大企業中心にならざるを得ない宿命を持つておると、私は思うのであります。今日一般の地方銀行において、長期信用銀行たらんとするようなものがあつても、ただいまの銀行局長の御説明によれば、なかなかそれは客観的條件を備えるわけに行かない。すなわちこの長期信用銀行法が規定しておるところの條件を、また大蔵省が考えておるような條件をそろえるようなわけに行かない。こうなるとやはり依然として中小企業に対する設備資金、企業合理化資金、近代化資金というものに行き詰まる、こういうことを私は非常に心配しておるので、さらに一層よくこの点について考慮を煩わし、かつ実効のある金融政策をとつていただきたい、こういうふうに私はここで強く御注文を申し上げておきます。 新しい長期信用銀行が発足した場合においては、この債券発行によつて自己資金の募集を認められます。そうすると結局は市中銀行あるいは地方銀行にも、債券の引受を一部依頼せざるを得ないことになるのではないか。そうした場合には結局地方の預金が、中央の大きな長期の信用銀行に吸い上げられてしまつて、あげくの果ては大都市の大きな企業にこれが向けられてしまうということになると、長期の資金についてはむしろ中央に集まり過ぎるので、地方が困りはしないか。今銀行局長が言われたような作用が鈍くなるのではないか。商工中金などは別としても、一般銀行が行つておるところの中小企業に対する長期的な資金源が、これによつて災いされるのではないか。こういうふうに私は考えるのです。今日中小企業問題のがんは、一にも二にも資金の問題であると言われております。すでに中小企業から見ますると、税金の問題、これもずいぶん苦しんでおりますが、これももう今となつてはすでに限度に来ておる。合理化にも金がたくさんいる、近代化にも金がいるということになると、どうしてもここに中小企業が無理をする。勢い長期資金の欠乏が、短期資金で工場の施設やまたその不動産の抵当などに入つて行く。この現象はまことに私は寒心すべき状態であつて、最近の繊維工業を見ましても、繊維工業を中心とする中小企業の実態を私どもがずつと見てみますると、中小企業の手形決済が非常に苦しいのであります。この手形決済が非常に苦しいのは、長期資金によつてまかなわるべきものが、ほとんど短期の手形によつて操作されておる、こういうことが、手形の交通整理をじやまいたしておりまして、たいへんな災いの種になつておる、こういうふうに私どもは考えます。この点についてさらに私は大蔵省のといいますか、銀行局の一考を煩わしたいのであります。この点を重ねて伺いますが、銀行局長の考え方を述べていただきたいと思います。
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。新しい長期信用銀行は、必ずしも大企業だけに融資をするということではございません。現に興業銀行等についても、先ほど申し上げましたように、中小の金融はいたしております。今後におきましても、中小金融の重要性にかんがみまして、大企業だけに偏重するような金融方針は、できるだけ是正して行くつもりでおります。 それから第二点の金融債の引受者が地方銀行等になつて来るであろう。そうすると地方における長期資金源を枯渇させることになるのではないかというお説であります。この点はやはり具体的な問題であります。現に金融債の引受は中央銀行等、これは大銀行もそうでありますが、相当に金融債の引受をやつております。これらはもちろん自力でもつて金融をすべき資金源に支障を来すことのないような範囲において、現在でもやつて来ておるわけであります。今後におきましても、その限界というものは守つて行かれるものと思います。これは地方銀行がどの程度の金融債を持つのがいいか、その資金量のうちのどの程度の分量を、金融債の引受にまわすのがいいかということは、個々の銀行の事情によつて違います。従いまして、ここで一律に申し上げるわけには参りませんが、地方における融資のための資金源に支障を来さない範囲におきましては、極力地方銀行はこういう新しい金融債を持つことによりまして、間接的に長期資金を出す。みずからが長期金融をやるかわりに、金融債という形を通して間接的な長期金融をやるという形に持つて行くことが、預金銀行と長期信用銀行の分化を助け、あわせてその資産構成をだんだん正常化して行く上において、資するところがあるというふうに考えております。問題は具体的な問題でありますが、地方の資金に支障を来すようなことのないような限界において、金融債を持たれるということにいたしたいと思います。
○小金委員 この法律案の提案の理由を承りましても、時代に即応して銀行の分化といいますか、経済産業がおちついて来たから、こういうふうなカテゴリーにわけた銀行をつくつて、日本の金融の円滑化をはかろう。私はこの点はまことにけつこうだと思います。けれども私どもは今るる申し上げますように、いろいろ心配があります。銀行が、ことに大事な長期信用銀行というようなものが、新たなカテゴリーとしてここに発足する場合におきましては、それだけの十分な効果を攻めていただきたい。中小企業に対してこれは決して戸を締めておらないのです。これはまことにけつこうなことでありますが、しかし日本開発銀行の例を見ましても、小さいようなものはなるべく受付けるなというような取扱いでありましよう。大蔵省の方針では決してないでありましようが、たとえば鉱山の開発、あるいは特殊鋼というような小さい製鋼業、金属工業の立場から行きまして、長期の資金をどうしても開発銀行から借りたいと言つても、通産省なりあるいはその他の官庁がこれを推薦しない、こういう実態はこれは大蔵省に小言を言うべき筋合いではありませんが、これは何ゆえこういうことになつておるかというと、やはり中小よりも大きい方が大体話もわかるし、計画もはつきりしております。それにとりつくのは、これは自然であります。また金融のコストから行きましても、そういうものを大体主にしないと、收支が償つて行かないという点もありましようが、今銀行局長が言われたことが真実であるならば、私はこの長期信用銀行の資金の何割かは、必ず中小企業に向けるというような大体心組みを持つておつていただきたい。私はこれだけ注文を申し上げまして、同僚の質問もあるようでありますから、これでやめます。
○佐藤委員長 次は通商産業委員加藤鐐造君。
○加藤(鐐)委員 小金委員からいろいろ御質問もありまして、大体私のお聞きしたい点も重複いたしておりまするので、時間もありませんし、なるべく重複を避けて、きわめて重要と思われる二、三点をお伺いしてみたいと思います。 私どもは企業の合理化が非常に焦眉の急とされておりまする現在、長期金融を主たる目的とした金融機関がでまたということはまつたく賛成でございまして、業界のために非常にけつこうだと思うわけであります。今の質疑応答を聞いておりましても、大体長期信用銀行についての政府の構想というものは、興業銀行であるとかあるいは勧業銀行を短期と長期と二つにわけて、第二会社をつくるというようなふうでその他きわめて少数の中央における銀行が、長期信用銀行に切りかえられるというような構想であるように、大体看取できるのでございます。そういたしますると、今も御質問がありましたように、資金の供給というものが中央に限定される危険があるということ中小企業方面が閑却されて、どうしても大企業に集中されるということになると思うわけであります。今銀行局長は決して大企業のみを目途としてない、中小企業も相当の貸出しをするのだということをおつしやいましたが、私は実際にはそうは行かないと思うわけであります。特に金融機関というものは、従来いろいろな機関がいろいろな目的を持つた銀行が設立されましたけれども、その趣旨、設立目的の通りにはなかなか行つておらない現状から見ましても、私はこの長期信用銀行というものがそういう傾向を持つことは、必至であると思うわけであります。特に銀行の資金源というものが、主として債券の発行に求められるということでありまするが、そうなりまするとまず第一に考えられることは、一般市中銀行の長期資金というものがここに吸收せられる。先ほど来の話のように、これを口実にして長期金融を瀞けるという傾向が現われて参りまするし、また長期資金を債券の引受に振り向けるというような傾向が、必ず現われて来ると思うわけであります。そういたしますると、さらに地方におきまするところの長期資金が枯渇するのみではなくして、短期資金にも相当影響して来るというふうに思うわけであります。それと同時に地方の資金が都市に吸收されて、地方に沸ける資金源というのが、非常にきゆうくつになつて来るというふうに思いまするが、その点についてどう考えられるか承りたい。
○河野(通)政府委員 先ほど小金さんの御質問にお答え申し上げましたところと重複いたすかもしれませんが、金融債の引受につきましては、現在のところでも、勧業銀行の例をとりましても、地方銀行が引受けている割合というものは必ずしもそう多くはございません。できるだけやはり金融債というものの性質から言いまして、金融機関以外のもの、いわゆる個人と申しておりますが、そういつたものの引受も、今後はだんだん通貨が安定して参りますに応じまして、長期的なものがだんだん持たれて来る。個人によつて持たれる部分が相当多くなつて来ると思います。なお先ほど申し上げましたように、資金運用部におきましても、できるだけ事情の許す範囲において、これらの金融債を持つて行くということもいたして参りたい。なおそれで足りない部分を、地方銀行が持つということにいたして参りたいと思うのであります。地方銀行は現在でも持つておりまするし、今後におきましてもその資産の構成を正常化するという意味におきまして、ある程度の有価証券というものはどうしても保有して行かなければならぬ。その保有する一つの体系としてもちろん一般の社債等もございますが、金融債は一番投資物件として適当なものであろうと思います。そういつた意味において、地方銀行が地方の資金に支障を来さない限度内において、金融債の引受にその資金を向けるということは決して悪いことではないし、むしろそういうことによつて資産の構成をだんだん正常化して行くということは、けつこうなことだというふうに考えております。それがためにくどいようでありますが、地方の資金の枯渇あるいは障害を来さないように、ここに十分注意はいたして参りたいと思います。銀行自体は私どもが申すまでもなく、十分その点は配慮して考えるであろうというふうに考えます。
○加藤(鐐)委員 地方におきまする金融に支障を来さない範囲において、債券の引受をするということは、これは一応りくつとして言われることであります。政府もお考えになることでありましようが、私はそこに何か特別な処置が行われなければ、やはりそういう傾向が現われて来ると思うのですが、それについて何らかの処置を考えられておられるかということと、もちろん今おつしやいました従来の実績から見てということは、やはりその数字を伺わなければ、実際にわれわれもこの通りであるかどうかということは、にわかに信じがたいのですが、そういうような点についてお考えがあるかどうかということと、さらに今おつしやつた預金部資金をこちらへできるだけ振り向けるということも、やはりそこに大きな問題を含んでおると思う。預金部資金というものが零細な大衆預金の集まりであることは、申すまでもないわけでありますが、それはやはりこうした中央におきまするところの、大企業を目途とした金融機関に集まる相当の部分をそこに投ずるということも、やはり相当重大な大衆預金としての性格から影響を持つものであります。従つてそういう点も十分考慮のうちに入れてお考えになるかどうかという点を、もう一応承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 第一点のお尋ねでありますが、昭和二十六年度下期における勧業銀行の発行しました金融債の消化の状況を申し上げますと、総額を百といたしまして、銀行で引受けましたものは七・八%弱であります。従いまして金融債全体のうちで、勧業銀行について申し上げますならば、銀行の引受けている割合というものは、割合現実において少いわけであります。今後においてどういうふうになりますかという点につきましては今申し上げましたように一般論として、できるだけ地方の資金に支障を来さない範囲においてということでありまして、これを資金量の何パーセント以上引受けてはならぬといつたようなことは、個個の銀行の事情によつて違いますので一律にこれを縛るわけには参らぬと思います。現に金融債を引受けております地方銀行におきましても、非常に多額に金融債を引受けているものと、金融債はあまり持たないで、その他の社債等を持つておりますものと、その銀行の経営方針によりまして、おのおの違つたやり方をいたしております。これらは地方銀行といたしましては、結局投資物件としてこれを考えておるのでございまして、金融債だけを何パーセント以上持つてはならぬということを言つてみるのも、実際意味がないわけであります。支払い準備、あるいは投資物件としての有価証券として、どの程度のものを持つのが適当であるかということは、一応は申し上げられると思いますけれども、そのうち金融債はどの程度持つてはいかぬということは、どちらかと言えばあまり意味がないことだろうと考えております。なおこの新しい銀行の金融債を政府資金で引受けた場合に、それは大企業へまわつてしまうのじやないか、従つて大衆から集められた資金というものが、結局大衆の方へ返つて来ないのじやないかという点でありますが、私どもは一概にそうは考えないのでございまして、大企業とは限りませんが、ある特定の企業にこの金が金融債を通して融資されました場合に、その企業は必ずしもみな東京にかたまつているわけではありません。各地域に工場等が分散しております。これらの事業が動くことによりまして、この地域の産業活動というものがやはりおのずから促進されて来ると思うのであります。そういつた関係で金融債を引受けることは、大衆から集められた資金を一部のものにだけまわすということになるので、適当でないということには必ずしもならぬと考えております。また長期信用銀行はその人員、構成その他の関係から、店舗の数はお示しのように割合多くないと思いますけれども、地方の産業に対する資金の供給をないがしろにすることのないように、極力配慮はいたしております。その一つの方法といたしまして、各地方銀行等を代理店として、代理貸しの制度等も十分活用して行く。これらに対しまして、地方産業に対する資金の融通についても、十分寄與するように運営上考えて行きたい、かように考えております。
○加藤(鐐)委員 それからこの長期金融というものはもちろんあくまで設備資金に限られなければならぬものであると思いますが、私はこれが往々にしてそのあるわくをはずれて、あるいは滞貨融資等に流用される危険がありはしないかということを、心配するわけであります。ことに最近紡績業界が、朝鮮ブームに便乗して非常な設備拡充をはかつたのが、一ぺんに今日の不況を来して、そうして操短をしなければならぬ。それから滞貨融資の獲得についていろいろ狂奔しており、また政府においてもいろいろな融資のあつせん等をやつておるわけでありまするが、そういうような際にこうしたものが流用されはしないか、従来もそういうことがあつたようにわれわれは見ておるわけでありますが、そういうことはあくまでもしないようにということが、政府として言明できるかどうかということについて、一応承つておきたい。
○河野(通)政府委員 長期信用銀行が発足いたしますれば、この法律に書いてあります目的の範囲を逸脱するような運営は、させないようにいたして参りたいと思います。ただ今お断りしておきますが、長期信用銀行は必ずしも設備資金だけを対象にいたしておりません。長期の固定的な運転資金も、もちろん融資対象にいたしております。またある程度限られた範囲において、預金吸收も認めておりますので、認められました範囲におきましては、短期の融資も例外的にできるようにいたしております。この点は御参考までに申し上げておきます。なお資金が目的通り流れるかどうか、その点は加藤さんもよく御承知のように、いわゆる金にしるしがないというわけで、なかなかその金がどう流れて行くかということは、押えることはむづかしいのであります。しかしながらこの点は専門的立場にある銀行当局というものが、十分その点の経験によりまして、その金の流れの筋通ということはわかるはずでありますので、その法律の定めておる範囲を逸脱するような運営方針は、絶対にとらせないようにいたします。銀行自体としてもやらないと確信いたしております。
○加藤(鐐)委員 長期資金は設備資金だけでなく、流動資金にまわされるという危険があることは、今おつしやつた通りであります。私はその点が非常に危険だと考えるわけでありまして、もちろん長期資金というものが設備資金に限られるということでは、非常に不便が生じて来ると思いますが、しかし相当の部分が流通資金にまわされるということになりますと、これは必ず今いつたような滞貨資金であるとか、要するにいゆる産業の発展的の面において使われないで、一時のつなぎ資金とかいうような、あるいは救済の肩がわりというような面にまわされる危険が、非常に多いと思うわけでありますが、この設備資金と流通資金の割合というものを考えておられるか。それから短期融資をあくまでも預金の範囲内に限るということは、厳守されるかどうか。その点について……。
○河野(通)政府委員 前者の設備資金と長期運轉資金との割合を定めるということは金融の常識からいいましてもなかなかむずかしい問題であります。設備を要しない事業もあるわけであります。設備は要しないが、長期運轉資金がいるというものもありましよう。長期運轉資金はいらないが、設備資金だけいるというものもございます。従いましてこの割合をきめるということは、お考えいただいてもわかるように、一律に押えるいうことは非常にむずかしいと思います。この点は民間銀行であります長期信用銀行が、その良識によつて判断されることが適当だろうと思います。それから短期融資は預金の範囲に限るということは、この法律の六條の二項に規定を設けておりますので、この点は嚴に守られるものだと思つております。
○加藤(鐐)委員 設備資金と流通資金との割合を規定するということは、それほどむずかしいことではないと私は思うのであります。やはりそういう点をある程度厳格にしておかないと、今日のかような日本の経済状態においてはこの銀行の設立目的に沿わない方向に逸脱する危険が非常に多い。これは過去のいろいろな特殊な銀行の運営の面においても、繰返されておるところでございますので、私はこの点はさらに一応御考慮を願いたいと思うわけであります。それから、時間がありませんからいろいろ伺いたいことも省略いたしまするが、最後にもう一つ承つておきたいことは、開発銀行ができまして、今日までのやり方を見てみますと、大体救済の肩がわりが大部分であつたというふうに、しばしば新聞等に報道されております。もちろん救済の肩がわりということも、場合によつては必要な面もあるでありましようけれども、しかし開発銀行のような性格を持つた銀行が設立されて、それが救済の肩がわりに終始しておるというようなことであつたならば、その意義が非常に失われると思うのでおります。私はそういう面から考えて、この長期信用銀行というものができまして、当分そういうような役割に終つてしまいはせぬかということを、非常に心配するものでありまするが、この点についてどういうお考えを持つておられますか。
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。先ほどの答弁に若干補足して申し上げたいと思いますが、御承知のように各企業が金融機関から資金を仰ぎます場合には、必ずしも一行からのみ仰いではおりません。特に長期運轉資金等につきましては、長期信用銀行だけではなくて、他の銀行からも資金を仰ぐという場合もございます。従いまして長期信用銀行だけにつきまして、そういうふうな数字的な割合等を定めることはなかなか困難だと思いますが御趣旨の点は十分運営上配慮をいたしまして、弊害のないように努めて参りたいと思います。それから第二のお尋ねの開発銀行の運営でありますが、救済の肩がわりに開発銀行の資金がまわつておるというお示しでありますが、これは何かのお間違いではないかと思います。現在開発銀行が出しておりまする資金の大部分が、新規の設備資金に投資されておりますことは、これは間違いない。ただ一部救済の肩がわりを実行いたしておりますものがございますが、これは大体総資金量の一割程度をこれに出しておるわけであります。これも肩がわりというのはむしろ例外的な措置でありますので、できるだけ新規の設備資金に出して、なお資金の余裕があります場合に肩がわりをして行く、こういうような措置をとつております。従いまして今後の長期信用銀行につきましても、同じような方針で行かれることを私どもは期待しております。
○佐藤委員長 ほかに本案に対する御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようですから、以上をもつて大蔵委員会と通商産業委員会の連合審査会を終ることといたします。これにて散会いたします。午後零時三十三分散会