大蔵委員会厚生委員会海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/06/27
会議録
○佐藤委員長 これより大蔵委員会、厚生委員会、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会連合審査会を開会いたします。 協議の結果に基きまして、不肖佐藤重遠が委員長の職を勤めます。 未復員者給与法等の一部を改正する法律案を議題とし、まず提案者より畑旨の説明をお聞きしたいと存じます。提出者参議院議員大谷瑩潤君。 —————————————
○大谷参議院議員 ただいま議題となりました未復員者給与法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。 未復員者給与法は、元の陸海軍に属している者が復員するまでの間、本人に俸給及び扶養手当を支給し、復員傍においては帰郷旅費の支給及び療養の給付等を行うことを規定したものでございますが、従来戦争犯罪人または戦争犯罪人容疑者として逮捕、抑留、処刑された者には、俸給、扶養手当及び帰郷旅費は支給されないことになつておりました。本年四月二十八日に日本国との平和条約の効力発生に伴いまして、連合国軍最高司令官の権限が消滅いたしましたので、今後は新たな戦犯の発生は考えられません。かつ条約発効後においては、戦争犯罪人でありました者の取扱いにつきまして、他の法令、たとえば恩給法におきましても、その権利の復活を認める方向に進んでおりますので、この際未復員者の給与に関しましても、戦争犯罪人に対する特別扱いを改めることといたしたいと存ずるのであります。 改正案の第一条の改正規定は、未復員者給与法中の戦犯関係条項を削除しまして、戦犯を理由とした差別扱いをしないことといたしたのであります。しかしながら、戦争犯罪人の中には、元の陸海軍に属していない者があり、また内地において拘禁中の者がありますため、未復員者給与法の改正だけでは、すべてが救済されませんので、これらの者を特別未帰還者の中に包含させて、特別未帰還者給与法の適用を受けることができるようにいたしました。改正案の第二条はこのことを規定したのでございます。特別未帰還者給与法は未復員者給与法をそのまま準用いたしておりますので、この二つの法律の改正によつて、戦犯者の以前における所属が旧軍関係であるといなと夕問わず、同一の取扱いを受けることになるのでございます。なお従来未復員者給与法の取扱いとしまして、戦犯が確定いたしますると、元の陸海軍に属していた者も未復員者名簿から抹消する手続をいたしまして、未復員者給与法の適用から除外いたしておりましたので、この特別未帰還者給与法の適用によつて救済されることになるのであります。 現在拘禁中の内外地の戦争犯罪人は、その数合せて千二百四十一名でございます。これらの者に対しましては、その釈放に関する民間運動も展開されつつあり、また国会におきましても、さきに戦犯在所者の釈放等に関する決議をいたしております。その輿論にこたえる意味において、この改正案を提出いたした次第でございます。 何とぞ御審議の上御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
○佐藤委員長 次に本案についての発言通告がございますので、順次これを許可いたします。高橋等君。
○高橋(等)委員 提案者及び政府にお伺いをいたしたいと思います。外務関係はおいでになつておりますか。
○佐藤委員長 外務省からの政府委員はちようど今参議院の委員会に出席しているそうでございます。間もなくこちらに来るそうであります。
○高橋(等)委員 それでは外務関係の質問は外務関係の方が見えたときに譲りまして、一応提案者とその他の政府委員に御質問をいたしたいと思います。 この趣旨におきまして、戦犯の家族等をこのままにしておいてはならない、何とかこれに手厚い援護の施策を講じたいということは、これは人道上から考えましても、国民の感情から行きましても、私はごもつともだと考えているのであります。そこで特に一応提案者に伺つておきたいと思いますることは、一般の国民は生活が困られまする場合は、生活保護法によりましてこれを救済いたしているのであります。戦争遺家族等の保障につきましては、生活保護法以外の方法によりましてやつておりますが、これはそうした人に対する国家の補償という観念を持つて来て、やつているわけであります。このたび戦犯者の留守家族の方々に対しまして、こうした給与をいたすというこの考え方の根本はどこにあるのかという点を、一応まずもつて伺つておきたいと思うのであります。
○大谷参議院議員 お答えをいたします。御質問の御趣旨の通り、この法案を提出いたしましたときの心持は、留守家族の援護という点に重点を置くのか、あるいはまた戦争に基因した自由拘束に対する国家補償という建前でこれをやるのか、という二つの立場を考えたのであります。しかしながらこのたびの戦争の終幕は、わが国としては有史以来のできごとでありまして、戦争責任が個人に負荷されるということは、考えられなかつたことでありますゆえに、戦犯者に国家が俸給を与えるということは、いかにも不合理のように考えられるのでありまして、法案の立て方を留守家族援護という理念に置きましても、また戦争に基因した自由の拘束に対する国家補償という理念によりましても、少々割切れぬ感じを持つことはやむを得ないことであると思うのであります。この戦犯者に対する特別処置は暫定的特異現象でありまして、平和発効後の今日といたしましては、むしろ戦犯者は釈放されねばならぬ対象ではないかと考えられるのであります。当然日本国内法としては、拘禁しておく理由がはなはだ薄弱であるのではないか。むしろ無罪と認めてやるべきものではないかと思われるのであります。私どもがかりに戦争犯罪者の今日の地位に置きかえられてその気持を察しますると、強く無罪を主張する気持は同情に値するものがあると存ずるのであります。未帰還者の給与法に準拠して、本人にも家族にも支給してさしつかえないというような考え方で、この給与を与えていただくということに同情を持つての取扱いをこの際していただくことは、そう不当のことでないように考えられましたので、こういうような法律を提出いたしたのであります。 なお家族のない者には支給する必要がないというような議論もございまするが、私は天涯孤独の者であればこそ一層——刑期が満了いたしましたあとに出て参りまして、ただちにその翌日より無一文で路頭に迷わなければならないというような事態が発生しますることは、われわれ同胞といたしましても見るに忍びず、また国家としてもほうつておくことはできないのではないかと存じますると、たとい家族のない者にいたしましても、これをわざわざ外地、現地に給与を送ろうというのではなくて、国家にこれを給与として保管しておきまして、出獄いたしました場合には、更生資金としてこれをお与えくださるような取扱いを、運営の上においてしていただきますれば、本人もどれほど喜ぶかもしれませず、またそれによつて正しい道を踏ますことができ得る手だてになるのではないか、と信ずるような次第でございます。
○高橋(等)委員 提案者の御説明を承りますと、未復員者給与法を改訂いたしまして、ことにこれを戦犯に、留守家族及び本人にこれを適用しようとなさつておられまする根本的考え方は、今承りますと、何か国家補償に近いような考え方をお持ちになつておられるように拝察するのであります。そうだとしますと、むしろ未復員者給与法なんという法律をここでいじりまわさないで、単独法で戦犯者家族なり戦犯者関係の援護法というものを、おつくりになるお気持があつたかどうか、その点を承ります。それとともに厚生省当局のこれに対する御見解を、承つておきたいと思います。
○大谷参議院議員 お答え申し上げます。ただいま高橋委員の仰せられました通り、ほんとうを申しますると、家族援護という特別の法律をつくつて参りたいというのが、われわれの気持であつたのであります。しかしそれをつくりまする上におきましては、国際関係上、いろいろまだむずかしいことが起つて来るのではないかということを考えました結果、とりあえず未復員者給与法、未帰還者給与法に切りかえましての給与で、補つて参りたいという気持でございます。
○田辺(繁)政府委員 お答え申し上げます。戦犯者は特別未帰還者とちよつと趣を異にしておりまするので、その家族の援護をいたしまする際には、従来の特別未帰還者給与法、あるいは未復員者給与法を準用するよりは、法律技術としては特別立法をする方が望ましいのではないかと、理論上は考えられるわけであります。しかしいろいろな関係から、参議院において御提案になつたと考えます。その点については私としては異論は持つておらないのでございます。
○高橋(等)委員 それでは大蔵当局並びに外務当局が見えましたら、もう少し伺わせていただきますが、その先へ進みたいと思います。 これは提案者にお伺いいたしますが、戦犯者に対する医療給付の問題、これは特別未帰還者給与法によりますと、医療の必要のある者は、帰還後六箇年間給付をいたすことになつておるのであります。この点については本法はどういうようにお考えになつておりますか。この法律によりますと、医療給付をやらなければいかぬことに実はなつておるものですから、一応伺つておきたいと思います。
○大谷参議院議員 同じように六箇年の給付をつけることになつております。
○高橋(等)委員 それから戦傷病者、戦没者遺族等援護法との関係を見ますと、援護法の規定には、特別未帰還者が外地におきまして死亡いたしますと、その留守家族は遺族となることになつておるのであります。そうするとこの法律の建前から行きますと、そうした方々はいずれも遺族として、三万円の弔慰金を受取るという建前に相なるのであります。それにつきまして指摘いたしますと、援護法の建前は、外地において死亡した人については遺族とするということでありまして、結局内地へ帰つて巣鴨その他におりまする場合に死亡した人の家族は、一体いかに取扱うべきかというような問題が起つて参ります。この遺族援護法と本法との関係につきまして、どういうようにお考えになつておりますか、それも伺わしていただきたいと思います。
○大谷参議院議員 弔慰金の問題でございまするが、弔慰金の支給はせないという考え方でございます。特別未帰還者については、「昭和二十年九月二日以後海外にある間における自己の責に帰することのできない事由に基く負傷又は疾病」で死亡したときは、三万円の弔慰金を支給することになつておるという援護法第三十四条第三項が、これにかかつて来るように思われるのであります。海外において拘禁中に死亡したときには、弔慰金が支給されることになつておるのであります。弔慰金は死刑囚に対しては支給しないという建前になつておりまして、たとえば山下奉文氏のごとき、現地において死刑執行をされた方でありますが、戦病死者のような国家補償的五万円の公債すらも、支払いを受けておらないのであります。ゆえに、この問題につきましては、次回の国会におきまして、こういう人たち、また収監されておる間に病死等によつてなくなりました人たち、こういう者に対しまする弔慰金につきましては、別に御考慮を願つて参りたいというので、この法案には含まれておらない建前であります。
○高橋(等)委員 提案者は含まれておらないと言いますが、実は法律を読みますと含まれておると私は読めるのでございます。それでは提案者の御趣旨は、そこまでは考えておらなかつたというように、お伺いをいたしてよろしゆうございますか。なお、もし本法で遺族法の関係を適用するといたしますと、本法の施行は四月二十八日以降になつております。四月二十八日以前に外地でなくなつた人——これは死刑を除きます——病死その他でなくなつた人につきましては、何ら遺族法の恩典がないのであります。また内地でなくなつた人にもないわけであります。非常にそこに不公平ができる。そこで、ことに戦犯者で病気でなくなつた方に援護をやるのならば、死刑になつた方の家族につきましても考えなければならないということは、提案者と同感であります。そういたしますと法律は、本法の立て方で行けば、ある一部の死亡者については遺族法の適用があるものと私は考える。提案者はそうでないのだと言われるのですが、私はそう考えますが、政府筋並びに法制局の方のその点の御見解、法律の読み方をひとつお話を願いたいと思います。まず厚生省関係の方からお願いいたします。
○田辺(繁)政府委員 今般特別本帰還者給与法を改正いたしまして、特別未帰還者の範囲を拡張いたしますに伴いまして、戦没者遺族援護法の第三十四条の弔慰金の支給対象である特別未帰還者の範囲も、自然広がるわけであります。しかしながらその場合におきましても、ただいまお話がありましたように、外地において今後なくなる万に対しましては、弔慰金が支給せられるという条文の適用がある。しかしそれ以外の方に対しましては適用がない、こう読むべきであると考えます。
○高橋(等)委員 遺族法の適用があるわけですね。
○田辺(繁)政府委員 一部についてはあると考えます。
○中原参議院法制局参事 原案によりますと、ただいま御指摘になりましたように、外地において死亡した場合にのみ弔慰金が出る結果になつております。そのことは、提案者がお考えになつておられました戦犯者と弔慰金との関係を、的確に表現しておらないのであります。従いまして提案者が弔慰金の支給はしないという御趣旨をはつきりと出すならば、これは修正を要すると考えております。
○高橋(等)委員 大蔵当局にお伺いいたします。この修正を施行いたします際に、予算の面において補正を新たに要するか、あるいは本年度の未復員者給与法の予算でまかなえる見通しがあるかどうか、それをちよつとお伺いしたい。
○岩動説明員 ただいま予定されておりますところで一応の計算をいたしてみますと、この法律改正によつて、これは留守家族なるものだけに適用するかいなかという点については、若干の問題もあつたかと思いますので、その点は除外いたしまして、一応未復員者給与法をそのまま準用するという建前でいたしますと、約千九百万円ほどの予算の増加を来すことになると推定いたしております。それに対しまして予算は全然これを見込んでおりませんので、それだけ不足をするという結果になると思います。但し、予算の実際におきまして、相当数が帰つて来るという予算を見込んでおりますので、その帰還者の数のいかんによつては、予算が若干余裕を生ずるということもあるのでありますが、これは年度末くらいに参りませんと、なかなか的確に幾ら余るという数字は出て参らないわけであります。一方におきまして、現在未復員者給与法の適用を受けております者の療養の給付費が、予算で見込んだ当時よりも相当に増額いたして参つております。その関係で、むしろ現在の制度においても、予算がある程度不足して来はしないかというようなおそれも、私ども考えておるわけであります。
○高橋(等)委員 最後に外務当局に対してお伺いをいたしたいのでありますが、私たちは、戦犯者の留守家族の方方の援護といいますか、これは非常に必要なことだと思います。しかし、それよりももう一つ大切なことは、現在政府が行つておりまするところの、戦犯で死刑を宣告された方々の減刑並びに現在有期刑にたつておられる方々の釈放、これをできるだけ早くしていただくということが根本であろうと私は考えております。これはぜひとも力を入れて、何とか希望を実現せねばならないと考えております。ただいま外国で戦犯の判決を下したその戦犯で、講和条約の十一条によりまして、これに対する義務をわれわれは履行いたしておりますが、そういう戦犯の家族に対して、こういう措置を法的に国家として講ずるということが、はたして現在行われておりまする釈放とかあるいは減刑の交渉に、どういう影響を及ぼすか。もしこれが悪い影響を及ぼすようなことがありますと、これはたいへんだと思う。ことに、ただいま御説明を承りました戦犯者個人、すなわち家族のおらない単身の戦犯者に対しましても、未復員者給与法の第三条の「未復員者の俸給は、これを月額千円とする。」という規定を適用いたしまして、やはり千円の俸給を国家が支払うという形をとることは、現在行つております各種の交渉において、向うの国民感情を刺激するおそれがあるのではないかということをおそれる。私たちは、留守家族のこういう方々の援護は、これは人道問題としてどうしても阪上げなければならぬと思う。これらの点は御了解を得られると思うのですが、戦犯者自体に何か特別の給与をやりたい。今提案者の御説明にもありましたように、出て参りましたときに、何か更生資金の一助とするためにも、こういうものを出したいのでありますが、現在これを出すことが外国に対する影響はどうか。もし、日本がかつてなことをやり出したというようなことで、悪い感情を持つようなことが起りまして、かえつて角をためて牛を殺すというようなことが起つてはたいへんだと思いますから、一応その間の経緯と外務当局の御意見を伺つておきたいと思います。
○三宅政府委員 お答え申し上げます。この問題につきましては先般も参議院の厚生委員会の理事会で御相談がございまして、外務政務次官からお答えをいたしたのでございまするが、ただいまもお話のように、日本は平和条約第十一条によりまして、連合国がいたしました戦争犯罪人の裁判の効力は承認する、尊重するということになつておりまするから、その規定に反するような措置はとれないのでございまするが、他方戦犯者の留守家族の方々、これらの方々はもともと何ら罪はない次第でございまして、それらの方々が生活にお困りになるということは、まことに御同情にたえないのでございます。政府としてもできるだけの措置をいたしたいのでございます。そこで今問題になつておりまする措置が、戦犯者の家族の生活の援護という趣旨でございますれば、外国に対して悪い影写はないであろう、こういう見通しを持つております。従いまして、もし家族のない独身者たる戦犯者に対して俸給を、たとい一銭であろうとも出すような規定がございますれば、これは外国に対しておもしろからざる影響を与える、こういう見通しを持つております。
○佐藤委員長 次は堤ツルヨ君。
○堤委員 まず大蔵省にお尋ねいたしたいのでありますが、ただいまの高橋委員の御質問に対しまして、予算が相当不足して来るであろうという御見解でございますが、そうすれば、この実施に伴いまして、もし必要であるならば補正予算を組むというお心組みを持つておいでになるかどうか。そこまではつきりしなかつたようでございますから、ちよつと伺つておきたいと思います。
○岩動説明員 この法律がかりに成立いたして参りますれば、もちろん政府といたしましては所要の経費を支出することになります。ただ先ほども申しましたように、未復員昔の給与あるいはこれに関する経費全体は、相当に不確定要素を含んだものがあるわけでありまして、従いまして年度の進行をいたして行く過程におきましては、あるいは相当の増額も認め得るというような、実行上の可能性が先になつて出て来るかと思うのであります。従いまして今ただちにこの法律が通つたゆえに補正を組むということは私ども考えておりません。
○堤委員 実はもう少し大蔵当局に、この留守家族援護というものに対する御見解を承つておきたいと思うのでございますが、未復員者給手法、特別未帰還者給与法というものによりまして、実際に救われておるところの留守家族というものは、私たちから言わせれば、非常に不満足でございます。たとえば現在十九億近くの予算で、未復員者給与法の適用を受けておりますところの留守家族は、四万一千世帯となつております。しかし調査によりますれば、未復員者給与法で留守家族として援護されなければならない対象というのは、十一万世帯でございます。すると七万世帯、少くとも適用を受けておる世帯よりも倍に近いと思われるくらいな要援護世帯が出て来るのでございますが、こういうことを考えて参りますと、ただいまのこの未復員者給与法並びに特別未帰還者給与法というものの適用を受けておる実態、また留守家族の生活の国家補償の義務という点などを考え合せますと、非常にこれは間違いがあるのでございますが、大蔵省といたしましては、この留守家族の援護についてどういうお考えを、根本的に基本的にお持ちになつておるか。私たちに言わせますれば、留守家族援護法というものを単独立法いたしまして、そうして戦犯といわず、特別未帰還者といわず、未復員者といわず、一括して国家が補償しなければならぬという建前をとつておるのでございますが、こういう建前をもし大蔵省がおとりになるならば、すでに二、三年前に、これが法的措置によつて、予算の裏づけによつて、留守家族にあたたかい国家の処遇がなされておつたのではないか、かように考えるのでありますが、どうもこの留守家族に対する大蔵省の御見解が、何か少し基本的にはつきりいたしません。従つてこの留守家族全般に対する大きな社会問題に対する大蔵省の基本的な見解を、ひとつ承つておきたいと思います。
○岩動説明員 未復員者の方の留守家族の方々は非常にお気の毒な状態にあります。しかも自分の意思によらないで海外に抑留されておるということは、まことに御同情にたえないところであります。私どももできる限りの援護をやつて行きたいという考え方においては、ただいま堤委員のおつしやつたことにまつたく同感であります。ただ何分にも国家財政の全体の関係において十分なことができない。ただいまの未復員者給与法の金額で、これが留守家族について必ずしも十全な措置であるということは、私どもも考えてはおりません。しかしながら財政の余裕等の関係もありまして、十分にやることはできないにしても、できる限りのことはやつて行きたいということは、考えておるわけであります。
○堤委員 できるだけのことをやらなければならないという考え方、立場がそうでありますからいたし方ございませんが、私は大蔵当局にはつきりと、予算の中に留守家族援護費というものを組まなければならないということを、今の場合御忠告申し上げておきたいと思います。 それから次に厚生省にお伺いいたしたいのでございますが、もしこの法案が成立いたしまして適用されたといたしました場合に、今の戦犯の留守家族のうちで、生活保護法の適用を受けておる家族があつたとすれば、これとの関係はどうなるか、厚生省当局の御見解を承りたいと思います。
○田辺(繁)政府委員 未復員者の留守家族または特別未帰還者の留守家族は、この法律の適用によつて手当を受けておりますが、その取扱いにつきましては、生活保護法との関係においては収入とみなされておるわけでございます。従いまして戦犯者の場合におきましても、この法律の改正の結果、一定の手当が留守家族に行くようになりました際には、生活保護法の関係においては、従来の未復員者の留守家族ないしは特別未帰還者の留守家族の場合と、同様に取扱われるものと思つております。
○堤委員 それではこれは援護庁に承りますが、遺族援護法というものが先般成立いたしまして、その実施にあたつてこの遺族援護法の適用を受けた収入というものは、五百円までは生活保護法の援護を受けておる世帯の収入とみなさないということを、大体おとりきめになつたのでございますが、このような取扱いをなさるような考えはございませんでしようか。あるいはただいまおつしやいましたように、他の未復員の世帯とのつり合いがあるから、遺族援護法のように考えられないというお考えでございましようか。その点を承りたいと思います。
○田辺(繁)政府委員 誤解を生ずるといけませんが、結果においては、未復員者の留守家族あるいは特別未帰還者の留守家族に対しましての、五百円までは収入とみなさないということと同じ結果になるような取扱いをいたしております。生活保護法は私どもの方の所管ではありませんが、これは収入とみなさないという処置ではございませんで、生計がそれだけよけいかかるという考え方をとりまして、その点につきましては他の戦死者の遺族だけにその点は限定されませんので、結果においては同じような取扱いになるというわけであります。
○堤委員 それから、ただいま高橋委員から御発言がありましたが、留守家族の問題と並行いたしまして、すでに処刑された者の遺家族の問題も当然起つて来ると思うのであります。処刑されないで、内外地にただいま服役しておるがゆえに、この遺家族の対象となる。しかしすでに処刑を受けた者は、処刑されたがゆえに、遺家族には何らの補償も援護もなされないという不合理が生れて来るわけでございますが、この点もう一度明確にお答え願いたいと思います。
○中原参議院法制局参事 先ほど提案者からこの法案の立案の理念を申されましたが、もし遺家族といいますか、留守家族の援護という一本建で参りまするならば、今おつしやいましたようなことも救済できるのでございます。ところがそういう特別な立法をすることは、現在の外国との関係から好ましくない。従つて現在ある法律を借りて行こうということで、未復員者給与法、特別未帰還者給与法を借りたわけでございます。その場合に、では立案の理念をどこに置くかということになりますと、留守家族の援護という一本建ではなくて、やむを得ず自分の意思に基かずして、しかも戦争が原因で自由を拘束されておるその事態、その事実は、未復員者の場合やまた特別未帰還者の場合と同様ではないか。それならば同じような扱いをして行こう、こういう二つの理念をからみ合せて立案をしたのでございます。そのために両方から疑問が出て参るわけであります。一つは未復員者給与法、特別未帰還者給与法は、いずれも本人に給与を支給する、扶養手当を支給する、こうなつております。戦犯として拘禁されておる本人に金をやるということは、おかしいではないかということが一方から出て参りますし、他方からは、これでは留守家族援護が徹底しないではないかという異論が出て参るのであります。それは、ただいま申し上げましたような二つの理念をかみ合せまして、しかもほかの法律を借りました経過から生じた問題でございます。
○堤委員 非常にむずかしいと思うのでございますが、ただいま提案者は、処刑者の遺家族に対しては、普通の戦傷病者戦没者遺家族等援護法案と勘案して次の国会で考えたい、こうおつしやるのですが、私といたしましては、戦犯の留守家族の援護を考えるならば、同時に処刑者の遺家族も私たちが処置をつけるべきではないか、こんな考えがあるから御質問申し上げておるのであります。しかし特に誤解のないように私が申し上げておきたいのは、処刑者と申しましてもいろいろございます。これは先ほど高橋委員がちよつとお触れになりましたように、外国に対して非常に考慮しなければならない処刑者もございます。個人的に名前を申し上げることもいかがかと思いますから、皆さんの御想像にまかせますが、かくのごとき処刑者にこの遺家族援護をしては、対外的にどうだろうかという常識を要する遺家族もございます。従つてこれに対してはまた特に考えるといたしまして、私たちはやはりB、C級の方々の処刑者に対しましては、当然今服役しておる人たちと同じ遺家族援護がなさるべきであると考えますので、でき得るならば次の国会を待たないで、今川町にこれをなしてしまうべきではないか、こう考えるのでございます。 そこで次にもう一つ質問いたしたいのは、私本会議の場合にも触れましたが、千二百四十一人の戦犯者のうち、九十六人の第三国人がおいでになる。これは台湾人と韓国人でございます。扶養者を持たない単独戦犯者に対しては、給与はいかがであろうという意見をお持ちになつておる方は、考慮の余地はないかもしれませんけれども、これは給与というにしてはあまりにも少い千円である。これはいわゆる二つのものをからみ合せた意向を多分に持つたものとして、千円というものを了承するならば、補償の意味、従つてお出ましになつたときの更生資金の一助にもという考えをからみ合せて考えますならば、当然このお気の毒な第三国人——法務府の見解としても非常に自信のない、日本の戦犯者と同等の立場において、巣鴨または外地において服役さしておくことが、はたして妥当であるかどうかという議論さえも、弁護士会の方々から法務府に対してやられております今日、私は当然この第三国の方方九十六人に対しては、この給与が支給さるべきようにこの中に盛られなければ問題であると思うのでございますが、この点につきまして、提出者の大谷参議院議員の御説明を承つておきたいと思います。
○大谷参議院議員 お説ごもつともでありまして、われわれもでき得るならば、この際処刑並びに在監中になくなつた方々の御遺族に対して、その援護の取扱いの法律をつくつて、はつきりとそこへ援護の手を延べていただくようにいたしたいという気持は持つておつたのでありますが、御承知の通り講和発効後まだ日が浅いのでありまして、日本に対しまする諸外国の感情がいろいろのように感ぜられますので、この際そういう人たちの問題をただちにここで取上げますことは、他に及ぼします影響が非常にデリケートになるのではないかということを考えましたために、次回の国会まで延ばしていただきたい、こういう考えを持つたわけであります。 もう一つ第二国人の問題は、立案者のわれわれといたしましては、当然やるべきものと考えておるのであります。その理由といたしますことは、戦争に参加をいたしました当時は、もちろん領土内の日本国民としての扱いを受けておることでありますし、またたとい今日それぞれが独立いたしまして、外国人の籍を持つようになりましたといたしましても、実際の取扱いの上におきまして、外地から引揚げて来た場合に、日本人の戦犯の釈放者にはいろいろの手当が出るが、他の台湾人や朝鮮人の人たちには何の取扱いもないというようなことは、人道上から申しましても、また取扱いの面から申しましても、非常にめんどうが起るのではないかということも考えられますので、現在のところではやるという建前のもとにお考えを願いたいと存じます。
○堤委員 そうすると、この法律では当然適用範囲になると解釈してよろしゆうございますか。
○大谷参議院議員 その通りでございます。
○堤委員 それから大蔵当局にもう一度お願いしたいのであります。概算されますと、千九百万円の予算の増加ということに相なつておるのでございますが、これらの留守家族の方々に対しまして千九百万円の予算というのは、私から言わせれば、この額を換算いたしましても、生活保護法の給与基準額の半額くらいにしか満たない手当でありまして、非常に不満足な額であるわけであります。従つて千九百万円の予算の増加ということは、大蔵当局からごらんになればたいへんな増加で、ことに医療給付の方も増加するし、あれやこれや下足々々で、年度末になれば実際心配だというようなお考えをお持ちかもしれませんけれども、私らをして言わしめれば、今の生計指数並びに生活保護法の給与基準額から見ますれば非常に下足である。従つて私は先ほど申し上げました戦犯の留守家族援護のこの基準の額につきましては、なお一層大蔵当局において予算に縛られないで、社会問題として検討していただきたいということを、特につけ加えておきたいと思います。 それからもう一つ外務省の方々にお願いしたいのでございます。先ほどから処刑者の遺家族援護の問題について、処刑者の遺家族を援護するという段になつて来ると、対外的に及ぼす影響——対日感情が悪くなりはしないかという懸念があるというような御意見でございましたが、これは当然私たちとして考えなければならない問題でございますけれども、しかしBC級の戦犯の問題につきましては、この範囲外であるという認識を持つていただきたいのであります。私は一昨日の委員会でも申し上げましたが、蘭印、アメリカなどは、独立した日本が積極的に書類を出して交渉して来るならば、われわれは戦犯を釈放する、減刑するということに決してやぶさかではない。独立をされたならば、当然日本政府の見解において、積極的な日本戦犯の擁護の手を打たれるであろうということを、あの人たちも考えておるのであります。いろいろな委員によつて引揚委員会でも力説されております通り、負けた日本が勝つた国に裁判を受けたのでありまして、もちろん国内の裁判によつて服役しておる方々ではございません。日本の裁判で服役しておらない人たちに対しましては、当然日本政府としましては、ことに人道的な見地から日本国民の輿論と相まつて、この人たちの服役解消、即時釈放、また外地におる人たちの即時内地服役、またひいては釈放ということに積極的にやらなければ、いたずらに外国を刺激することばかりの一念にとらわれて、これを消極的に終らせてもらつては非常に困るということを申し上げておきたいと存じます。
○佐藤委員長 次は小平久雄君。
○小平(久)委員 私は高橋、堤両君によりまして、大体本件に関する問題点は論じられたと思いますが、補充的に若干の質問をいたしたいと思います。 本案の成立によりますところの対外的な影響につきましては、先ほど高橋委員から御質問がございまして、特に外務当局から御回答があつたわけでございますが、それによりますと、大体留守家族の援護という点に重点が置かれるならばさしつかえがなかろう。但し、個人的なる給与というものが行われる際には、影響が心配されるといつたような趣旨に私は聞いたのでありますが、御承知の通り、われわれが巣鴨に現に拘禁されておる諸君の話を聞きますと、これらの諸君は、むしろわれわれよりも——と申しますのは、現に巣鴨に拘禁されておる者よりも、外地に現に抑留されておる君たち、これらの諸君がより気の毒なんだ、これらの諸君が一日も早く、ともかくも内地に帰還できるように心配をしてやつてほしいということを、品をきわめて申しておるのであります。かような点から考えましても、われわれは特に外地にある者、もちろん内地に現に拘禁されておる方も、お気の毒であることには間違いないのでありますが、より一層国民の同情というものは、かりに比較をいたしますならば、外地に現に抑留されておる諸君に注がるべきだろうと思うのであります。そういう点からして、どうしてもわれわれは、法案が成立することを心から望みますが、一面から考えますと、対外的影響ということをどうしても軽視するわけには参らぬのであります。そこで私はこの点につきまして、先ほど提案者は別段独身の方にやられても影響がないであろう、また将来の更生資金等のためにやつてやることが当然だ、この気持はもちろんわれわれもわかるのでありますが、しかし対外的な影響という点について、どの程度のお考えをお持ちか。今回は提案者御自身のお考えを、ひとつ承りたいと思います。
○大谷参議院議員 その点につきましては、外務当局と私どもとの考え方に、多少開きがあるようにお聞きとり願つたと思いますが、私は戦犯というものの取扱いの上に、いろいろ国家が考えて参るということになれば、そのくらいのことで、外国が変に考えるというほどの大きな金額でもございませず、言うてみますれば、外地にこれを送金いたしまして、月給として与えるというような性格のものではないのでありますから、帰りましたときに、これを在監中の積立金として、生活なり更生の面において支給してやるということは、これは当然なされてもさしつかえないのではないか、こう実は考えておるのであります。
○小平(久)委員 提案者の御説明によりますと、大した額でもないのだから、こういうことでありますが、またわれわれ逆に考えますと、大した額でもないものをやつて、それが万が一にも誤解を招くというようなことがあつては、それこそ本人に申訳ない。十分のことをやつて誤解を招くならば、まだしもでありますが、少しばかりの、わずかに月に千円ぐらいのものをやつて、そのことが外国から誤解を招くというようなことがあれば、それこそまことに申訳ないというふうに、われわれは一面考えるのでありますが、これは議論になるからよします。 次になお提案者にお伺いしますが、本法の適用は四月二十八日からいたす、こういうことに相なつております。これは私たち講和発効日をとらえたことと思いますが、申すまでもなく、戦犯というものは国内法の関係ではないわけであります。講和発効日というものが、確かにわが国にとりまして、一つの転機であることは申すまでもたいのでありますが、戦犯がわが国内法の関係でないという関係から考えますれば、この際、ことさらに四月の二十八日までしかさかのぼらないということも、何か割切れぬような面も出て来るのではないかと思うのでありますが、どういう理由によつて、このように四月二十八日から適用するということになされたのか。その点の御見解を承りたいと思います。
○大谷参議院議員 実はその点については、別に深い根拠があつたわけではないのでありまして、大蔵当局といろいろ相談をいたしました結果、わずか三日のことであるから、五月一日にしたらどうかというお説もあつたのでありますが、最後に日割勘定で支払つてもいいというようなお答えをいただいたものでありますから、それでは講和発効記念日を境にいたしまして、実行に移したらよかろうというので、実は提案をいたしたわけであります。もしもこの法律が発布されますときにおきまして、ぜひ法律通過の日からということになりましても、別に異存はないのでございます。
○小平(久)委員 ただいまの御答弁は、若干私の質問の趣旨と違うのではないかと思うのであります。私が申すのは、戦犯というものは国内法の関係ではない。従つてわれわれ国民から考えれば、別段国内法の適用から除外すべき性質のものではなかつたのだという考えからいたしますならば、あえて四月二十八日以後だけ適用するのではなくて、もともと法の建前が、いわば間違つておつたと申しますか、そういう観念から、少くも特別未帰還者給与法なり、未復員者給与法なりが始まつたときまで、さかのぼつてもよろしいのじやないかという一つの考えが出ると思う。それを特に講和発効日からといたしたのは、どういう御見解ですか。これを伺つているわけです。
○大谷参議院議員 在監者の管理が日本政府に移りましたときを記念いたしましてやることが、妥当ではないかということからであります。
○小平(久)委員 その点はその程度にしましよう。それから先ほど堤委員から御質問のありました朝鮮人、台湾人の戦犯者の問題でありますが、先ほどの提案者の御説明によりますと、これは当然含まれるもの、こうお考えになつておられるという御答弁でありました。私はそこでこれは政府当局の——こういう点はどちらが御担当か知りませんが、政府当局から御答弁を承りたいと思うのですが、ここに提案されております法案の通りで、今提案者が御答弁になられたように、当然朝鮮人なり台湾人を含むことに相なるかどうか。これは政府当局からこの際承つておきたい。
○田辺(繁)政府委員 明確を欠いていると思いまするが、解釈の仕方によりましては入るとも読めないことはない。従いまして審議の際に明確になつておれば、あながち読めないわけはないだろう、こういうふうに考えます。
○小平(久)委員 どうもただいまの援護庁次長の御答弁で、私も実は迷うのでございますが、審議の模様によつて解し得ないこともない、こういうことですが、しからば先ほどの提案者の希望、これは明らかに速記録に残つておると思うのでありますが、これだけで含むと解釈することができるのでありますか。これ以上何か速記にとる必要があるというお考えでありますか。
○田辺(繁)政府委員 この法律は国会立法でございますので、提案考及び国会の法制当局及び衆参両院のそれぞれの委員会における審議の過程において、そういうことが何らかの形において明確にされておれば、よろしいのじやないかと思います。
○小平(久)委員 それでは私は法制当局の見解をただしておきたいと思います。
○中原参議院法制局参事 ただいまの御質問の点は、一層明確にするのでありますならば、これこれの裁判によつて拘禁されておる日本国民、括弧しまして、拘禁が開始されたときに日本国民であつた者を含むと、こういうふうにやることが、ただいまの疑問をなくすゆえんでございます。そのことは立案のときから気がついておつたのでございますが、もしそういたしますと、もとになります未復員者給与法、特別未帰還者給与法は、これはそういう括弧書きがないから、朝鮮の人たちには適用がないのだ、あるいは台湾の人たちには、もう帰つて来ても金はやらないのだという反対解釈が生れると困るということを、一つ心配したのでございます。それから今のような規定の仕方をいたしましても、そういう裁判によつて拘禁されている者として、対人的なとらえ方をしておりますので、これは解釈上、その裁判が原因で拘禁されているならば、含ましめ得られるのではないかと考えて、特に注釈を入れなかつたのでございます。
○小平(久)委員 朝鮮人及び台湾人を含むか含まないかという点はその程度にして、そこでこの問題と関連するわけでありますが、その後特別未帰還者給与法によつては、台湾人なり朝鮮人なりを含まないというふうに取扱つておられるようでありますが、特に今度は戦犯に対して提案者の気持、あるいはただいまの法制局の意見からすると、少くともこれは戦犯者の場合には、本法の成立のあかつきには、特別未帰還者扱いをするのであるということになると思うのでありますが、戦犯者以外の朝鮮人、台湾人の特別未帰還者との均衡の問題、これは別段さしつかえありませんか。この点援護庁からお伺いいたしたい。
○田辺(繁)政府委員 特別未帰還者給与法の運用におきましては、第三国人は特別未帰還者の中には入れておらないのであります。これは特別未帰還者給与法が制定されました趣旨、及びその当時の審議の状況から、そういうことがはつきりしておりましたので除いておりました。しかし解釈で今度の戦犯者の中には朝鮮人、台湾人等の第三国人を含むということでありますならば、別段書かなくともさしつかえないが、われわれとしてはその点ははつきりしておいていただくことが、必要であるというふうに考えます。
○中山委員 ただいまお話を聞いておりますと、戦犯に対する、あるいは死刑された者に対する給与の面を考えて行くということは、対外的には悪いのではないかという御意見が提案者の方、あるいは法制局の方からお話が出ましたが、台湾人あるいは朝鮮人等いろいろな方々に何もしてあげないということが、私は対外的に感情が悪いのではなかろうかということを考えるのであります。一視同仁ということであれば、この間朝鮮の人でございますか、もう自分たちは四月二十八日以降日本人ではないのだから、即時釈放をせよという裁判を提起したということも聞いておりますが、これが釈放されないで、刑が執行されるまでそこに拘禁されておるものであれば、ますます私はこの人たちのために何らかの措置をしてやらなければ、まことに——外国人というのならば釈放さるべきである。しかし日本人であつた場合に犯した罪によつてつながれるのだから、やはり拘禁しておくというのであれば、私は日本人同様に扱われるのが当然であろうかと思うのであります。そういうわけで、私はこの点ももう少し親切な気持をもつてお考えできないのか、提案者の方にお尋ねいたしたいと思います。
○大谷参議院議員 今の御質問は、ちよつと私了解しにくいのですが、実は台湾人、朝鮮人は同等に扱うという建前になつております。
○中山委員 それならよろしゆうございます。
○小平(久)委員 さつきの援護庁次長の御答弁ですが、ちよつと聞き違えたかと思いますが、私のお尋ねしたのは、今回提出のこの法案からすれば、朝鮮人あるいは台湾人の戦犯者は、当然特別未帰還者の取扱いを受ける、こういう建前に解釈できるのでありますが、そうなると、戦犯者以外の特別未帰還者——というのか知りませんが、特別未帰還者扱いをされていない朝鮮人、台湾人、それとの均衡がどうなるか、法の執行上さしつかえないかということをお尋ねしてみたい。
○田辺(繁)政府委員 特別未帰還者という、従来の特別未帰還者法によるものと、それから戦犯者というもの等に対する国の関係、責任という度合いにおいて、多少違つたものがあるのではなかろうかと考えております。従いまして従来の未帰還者の中には入らないが、今度の戦犯者の中には入るという取扱いをしても、あながち不合理ではなかろうと思います。
○高橋(等)委員 この特別未帰還者給与法によりますと、今小平君から指摘されたように、朝鮮あるいは台湾の方には給与しないという建前でお運びになつておると思いますが、その通りと承つてよろしゆうございますか。
○田辺(繁)政府委員 従来の特別未帰還給与法の運用におきましては、第三国人は未帰還者の中に含めておりません。従いましてこれらの方にはこれらの給与は支給されないのであります。
○高橋(等)委員 未復員者給与法では入つているが、特別未帰還者給与法では入つておらないという御答弁ですが、この未復員者給与法等の一部を改正する法律案の第二条というものは、特別未帰還者給与法の第一条を書き直しまして、特別未帰還者とはこういう戦犯の者を含むという書き方をなさつておるわけです。そうだとすると、戦犯の人もやはり特別未帰還者として、この特別未帰還者給与法の適用を受けるのが当然だ。ただいま提案者の御説明になつたような御説明は、私は法理解釈から出て来ないのではないかと思うのです。その点はいかがでしようか。もう一度はつきりしておかないと、大分問題になつているようですから……。
○中原参議院法制局参事 特別未帰還者給与法の現在の第一条にあります特別未帰還者の定義は、これは「引き続き海外に在つてまだ帰国せず、」、こういう言葉で表現してございますので、これは日本へ帰るということが前提だから、日本人だけだというように私の方は一応解釈しておるのでございます。それで「及び」以下の方は、先ほど申し上げましたように対人的にとられておりますので、解釈上含め得るのじやないかというつもりで書いたのでございます。
○高橋(等)委員 そうするとこの第一条の読み方は、この法律で特別未帰還者とは、日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判によつて拘禁せられておる者をいう、こういうように読め、こういうわけですね。
○中原参議院法制局参事 「及び」以下は全然独立して特別未帰還者に……。
○高橋(等)委員 特別の次に続く……。
○中原参議院法制局参事 さようであります。
○高橋(等)委員 一応解釈は承りましたが、なおこれはわれわれとして研究の余地があると考えます。そこで実は遺族関係法におきましては、朝鮮人及び台湾の方は遺族として取扱わないということをはつきりと書いてあるのです。この日本国との戦争に従事して、そして倒れた方に対して、その遺族に対する援助も、一方の法律では直接いたしております。そして一方ではこうした方に給与をしようとする。そこに統一的に考えてみて、非常に了解に苦しむ点があるのですが、提案者の方では、その点はどういうように割切つておられるか。この点を承つておきたいと思います。
○大谷参議院議員 実は朝鮮、台湾の人たちは、まず大体において家族をこちらに持つておりません。独立してといいますか、個人的に従軍している人たちが多いわけです。その関係上家族援護だけの面だけで考えますと、この中からはずれてしまうのでありまして、さつき申し上げましたその当時は日本人として従軍をした人でありますから、これを援護の対象の中へ入れようとしまするのには、どうしても家族援護という点に重点を置くよりも、給与という面に重点を置かないといただけないということになる、こういうぐあいになつております。
○高橋(等)委員 よくわからないのですが……。結局本件を考える上におきましては、特別未帰還者給与法の現在の取扱い方、そうして遺族関係法の現在の取扱い方というものと、よく考え合せてやつて行きませんと、どちらかを直さなければいかぬという問題が私は起ると思う。本件の質問はこの程度にとどめておきたいと思います。
○小平(久)委員 私は最後に簡単な点を二点ばかり承つておきたいと思います。その第一は本法による給与でありますが、この給与は一体いつ終るのかという問題です。現に拘禁されておるのですから、始める問題はないかと思いますが、今度は常識的に考えれば、拘禁を終つたときということかと思いますが、拘禁の終つたという解釈は一体どういう事態のときにそうお認めになるお考えかということを、あとで本法の施行上問題が起るかと思いますので、提案者からひとつ承つておきたいと思います。
○大谷参議院議員 出獄したときをもつて区切りにいたしておるわけであります。
○小平(久)委員 ただいまの出獄というのは、監獄法の関係をよく私は存じませんが、たとえば仮釈放になつたとかこういう場合も含みますか。
○大谷参議院議員 含みます。
○小平(久)委員 では第二点として、本年四月分の給与のことについて若干聞きたいと思います。四月の二十八日から適用する、こううたつておるのですが、これだけをもつてするときには、四月分の給与計算というのはどういうことになる建前でありましまうか。これは大蔵省からお伺いするのがいいかと思いますが……。
○岩動説明員 日割計算でやるのがよろしいかと思います。
○小平(久)委員 どうもよろしいかと思うというのでは、実際これは援護庁の方でおさしつかえがあると思いますが、疑問を持つたようなお答えでは、実際問題としては困るのではないかと思います。それで援護庁の方がさしつかえなければ、われわれの方はかまわないと思いますが、援護庁の方の見解をひとつ承つておきたい。
○田辺(繁)政府委員 日割計算でやることはさしつかえないのでございますが、ただ解釈上疑問がございますれば、四月二十八日から支給する。こうはつきり書いていただいた方が事務的にはいいかと思います。
○堤委員 議事進行について……。もうずいぶん意見は出尽したようであります。
○池見委員 まだこちらにはある。
○佐藤委員長 池見茂隆君。
○池見委員 議事進行も適当のところにはいいと思いますが、しかし時間は非常にたちましたから簡単にやります。大体きようは他の同僚議員からの意見をよく承つてわかつたのであります。しかし私はこの修正案は戦犯者の救援とその留守家族の救援という点に、重点が置かれておるように考えるのであります。しかし戦犯者の救援、留守家族の救援ということになれば、むしろ私は処刑者の遺族を救援するという一項をつけることによつて、初めてこれが完全に行われる、目的を果すというように考えるのであります。その点から行けば、私は少くとも提案者が最初説明され、かつまた援護庁の次長から、本法案のごときは単独立法がいいという発言を聞いたのでありますが、まさしくそういうことによつて、戦犯者の救援の目的が達成されると思うのであります。しかしこういつた法律が戦犯者に対しまして、あまり長く続行されることはおもしろくない。むしろ早くこういつた法律はなくなつてしまうということが、私は戦犯者のために最も幸福であるということを考える。この点から見まして、千二百四十一名の現在のこの戦犯者の数から、予算等の関係におきましても、あまりほかの問題に比較して大したものでないということを考えるのであります。従つて私はこの修正案は暫定処置として、いわゆる戦犯関係の人々のために行われるものであるということにつきましては、最近戦犯者に対しましての国家的、国民的関心が非常に多くなつているということは、もう同僚諸君も巣鴨に行つてよく御存じであると同時に、戦犯者のお気持もわかることと思うのであります。 そこで私は本日も会つて参りましたが、最近戦犯者の処刑者夫人連盟という一つの連盟がありまして、これは各議員諸君にもその陳情書が行つておると思いますが、これの中にはまだ靖国神社にも合祀されておらないといつたような一項も見受けるのであります。こういうふうな精神的苦痛と経済的困難ということを考えていただいて、提案者は来国会にはでき得る限り完全なるものを出すといつたようなお気持がありますか。そういうふうな点につきまして、私は提案者としては誠意をもつて、それらのことを国民の納得の行くように、戦犯者の留守家族の気持の慰安されるようにしていただきたいということを、私の要望として申し上げて私の発言を終ります。
○佐藤委員長 以上をもちまして未復員者給与法等の一部を改正する法律案に関する大蔵、厚生、海外同胞の三委員会の連合審査会をとずることといたします。 これにて散会いたします。 午後零時四十四分散会