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13回国会衆議院1952/04/22

大蔵委員会 第55号

発言数
86
登壇者
11
会派数
4
開催日
1952/04/22

会議録

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  本日はまず国有財産特別措置法案を議題といたします。本案に対しましては、修正案が提出せられておりますので、この際修正案提出者より、修正案の趣旨弁明を聴取いたしておきたいと存じます。修正案提出者佐久間徹君。

佐久間徹自由党

○佐久間委員 ただいま議題となりました、国有財産特別措置法案に対する修正案につきまして、修正の趣旨を御説明いたします。修正案の案文は、お手元に配付いたしてありますので、これをごらん願うことにいたしまして、この際朗読を省略させていただきます。   この法律案の第三条第二項の規定によりますと、普通財産を社会福祉法人に対して減額譲渡または貸付ができるのは、災害によつて施設が破損し、これを緊急に復旧する必要がある場合に限られているのでありますが、普通財産というのは、主として土地とか建物等の不動産でありまして、現在これらはすでにほとんどが何らかの用に供されている状況でありますため、災害復旧の場合に、これらを新たに譲渡または貸付を行うということは、きわめてまれであろうかと考えられ、従いまして、現に普通財産を社会福祉事業施設に供している大部分の社会福祉法人が、この法律による特典に浴しない結果となるのであります。また現在社会福祉法人の経営する社会福祉事業施設に対する国家の助成は、災害復旧の場合のみに限られておらないのでありまして、生活保護法におきましても、児童福祉法におきましても、その施設が修理、改造、拡張または整備を行う場合に、一定の補助を与えることができることとなつておりますので、この法律による社会福祉事業施設に対する助成が、災害復旧の場合に限られますのは、その取扱いに著しい不均衡を生ずる結果となり、その意味におきましても、適当であるとは申し得ないと存ずるのであります。  以上の理由によりまして、第三条第二項を修正いたしまして、社会福祉事業施設の災害復旧の場合のみでなく、その修理、改造、拡張または整備を行う場合におきましても、普通財産の減額譲渡または貸付ができることといたそうとするものであります。なおこれに伴いまして、憲法第八十九条の趣旨に基きまして、これらの助成を受ける社会福祉法人につきまして、これを公の支配に属せしめるため、附則中に生活保護法及び児童福祉法につきまして、所要の改正を行うことといたした次第であります。  以上が修正案の大要でありますが、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 同じく修正案提出者宮原幸三郎君。     —————————————

宮原幸三郎自由党

○宮原委員 ただいま議題となりました、国有財産特別措置法案に対する修正案につきまして、提出の趣旨を弁明いたします。修正案の案文は、御手許に配付いたしてありますものをごらん願うことにいたしまして、ただちに修正案の内容を御説明申し上げたいと存じます。  まず修正の第一点は、原案の第二条において、公共団体に国有財産を無償貸付ができる場合の臨港施設としては、防波堤と岸壁が例示されているのでありますが、桟橋と上屋につきましても、これを法文上明記しておきまして、行政末端の取扱い上できるだけ疑義を避けるようにいたすのが適当と考えられますので、これらを追加することといたしたのであります。  次に修正の第二点は、原案の第九条において、旧軍用財産たる機械器具の交換について規定を設け、交換について必要な事項は政令で定めるということになつているのでありますが、交換機械器具の評価に関しては、はたして政令で定めることができるかどうか、若干疑義がありますのと、特に評価については単に手続規定だけでなく、中小企業の合理化を推進するという本条の立法趣旨に照して、真に実情に即した評価を行うことがきわめて肝要と考えられますので、評価基準等についても政令で定めるということを、法文上明確に規定することといたしたのであります。  また原案の第十一条では、延納の特約は国有財産の売払い代金についてのみ認められているのでありますが、中小企業者の金融難は周知のところでありますので、機械器具の交換により生じた差金につきましても、延納の特約ができることといたし、幾分でも中小企業者の負担を緩和することにより、今回行う交換に支障を生ずることのないようにいたしたのであります。  最後に修正の第三点は、この法律は原案では四月一日から施行することとなつているのでありますが、すでに時日も経過しておりますので、施行期日を「公布の日」に改めるとともに、これに関連しまして、附則中の大蔵省設置法の一部改正の部分を修正いたしまして、社寺境内地処分中央審査会の設置に関する規定を設けることといたしたのであります。  以上が修正案の大要であります。何とぞ御賛成あらんことを希望します。     —————————————

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 次に、国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、昨日の委員会において利害関係者たる千代田区の責任者を参考人として選定いたしましたので、本日はまず参考人の方々より参考意見を聴取いたすことといたします。本日の参考人は、千代田区長の村瀬清君、及び千代田区役所教育課長の大竹武三君のお二人であります。参考人におかれましては、忌憚のない御意見の開陳をお願やいたしたいと存じます、それではまず千代田区長の村瀬清君にお願いします。

村瀬清東京都千代田区長

○村瀬参考人 皇居外苑の一角にあります千代田区営のグランドにつきまして、簡單にお願い申し上げたいと存じます。  あのグランドは、昭和二十二年に、あのあたりが非常に荒廃に帰しておりましたのを、皇居前といたしまして非常に不体裁でありましたので、本区におきまして数十万円をかけまして、きれいに整備をいたしまして、丸の内一帯に集まつております二十数万のサラリーマンのリクリエーシヨンの揚といたしたいと存じまして、野球場及びバレー、テニス揚四面を設置いたしまして、今日に至つておるのでありますが、幸いにいたしまして昼の時間あるいは退庁以後におきまして、一月約九千人の使用者を見ておりまして、都心地における唯一のリクリエーシヨンの場としまして、非常に親しまれておる次第であります。しかもあの場所は旧内閣庁舎のあとでありまして、皇居外苑としましては一番すみにあり、ホテル・テイトのすぐ裏になつておりまして、私どもの方といたしましては、場所柄できるだけ体裁のよい運動場にいたしたいと心がけまして、爾来二百数十万円をかけまして、りつぱな金網で囲みまして、今日に至つておるわけであります。ところが聞くところによりますと、今回普通国有財産から公共福祉財産に編入をされることを伺いまして、実はあのグランドがなくなるのではないかと非常な心配をいたした次第でありまして、私どもの方では、あれがどういう財産に編入され、また所管の官庁がどういうふうに変更されてもかまわないのでありますが、ただ区民の要望として、また全都から区内へ集まつて来る数十万のサラリーマンその他の要望を代表いたしまして、あの一角にぜひ今後とも一つの公共福祉施設として、ああいうスポーツの場を存置していただきたいと思うのであります。今回の財産移管によりまして、ああいう公共施設がなくなるということであれば、私どもとしては非常に残念に思う次第でありまして、反対もいたしたいと思うのでありますが、そうでなくして、所管がかわり、公共福祉財産に編入されても、その目的に沿う施設でありますから、存置されるということに相なりますれば、私どもは何ら異議のないことでありまして、もしそれができないとすれば、やはり従来通りの財産種目として、国税局から区がお借りをして行きたいと思うのであります。私どもの方では、所定の地代も国税局へお払いをして、お借りをしておるような次第でございまして、ああいう国民に親しまれる施設をぜひ存続するように、希望をいたす次第であります。皇居の外苑は、地元の区長の希望するあり方といたしましては、復古主義といいますか、荘厳も非常に希望するところでありますが、しかし新しい日本の象徴としての皇居の外苑は、やはり何か親しみのある明るいものを、その一角に存置する方がいいのではないかという希望を持つておるのでありまして、どういう計画があそこになされるか、まだ詳しく伺つていないのでありますが、あそこに十数万坪のりつぱな緑地がありますので、松林一色にするよりも、あの一角に一つくらいは、ああした国民の親しく利用するスポーツの場があつてもいいのではないかと考えておりますので、その辺もぜひ御考慮いただきまして、あれが存置できるようにお願いいたしたいと思います。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 ただいまの御意見に対して御質疑があれば、これを許します。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 ただいままでに荒れ果てていたのを、いろいろ整備したり、グランドにいたしましたりするために、どのくらいの経費を区としてかけましたか。

村瀬清東京都千代田区長

○村瀬参考人 維持管理費が百二十四万六千八百円、それから地代が七十八万二千円ほどかかつております。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 これはそこでいろいろのことをやつたり催しをやつたりしまして、区として収入をあげたというようなことはないのですか。

村瀬清東京都千代田区長

○村瀬参考人 あそこに管理人を一人置きまして、始終手入れをしたり人件費を払つておりますので、それと見合う程度の若干の使用料をとつております。現在野球場は、一試合約二時間でありますが、二時間以内に五百円、それからバレー、テニス・コートが百円をもらつております。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 この使用は広く一般都民に開放されておつたのですか。区民だけに限られておつたのですか。

村瀬清東京都千代田区長

○村瀬参考人 これは制限いたしません。だれでもけつこうです。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 それでは厚生省の方にお伺いいたしたい。ただいま区長さんからいろいろお話がありましたが、これに対しまして、厚生省として今回これを取上げなければならぬようなことになりましたのは、どういうような理由から来たか、御説明願いたいと思います。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 私の方といたしましては、現在の千代田グランドの使用しております地域が、皇居外苑のほりの内側にございまして、いわば皇居外苑を公園として経営している中にありますので、同じ維持管理をするならば、大蔵省所管から厚生省所管に移していただいて、経費の点から行きましても、一体として整備した方がよろしかろう、かように考えて要望いたしたわけであります。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 そうしますと、これを厚生省の方では公共福祉財産として一轄管理した場合に、現在のグランドは行く行くはつぶして、ほかの方と同じように、いろいろな植木を植えたりしまして、現在の形を全面的にかえて行く、こういう方針ですか。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 私どもの方の公共福祉財産になつた場合、これからの問題でございますが、この皇居外苑については、旧皇室苑地運営審議会の答申がございまして、あの皇居外苑を昔の姿に返すということを第一にうたつておりますので、もし移管になりましたならば、和田倉門、あるいは和田倉門に行く橋でございますが、現在橋げただけが残つておつて渡れないような状況になつておるのではないかと思います。そういつたものをだんだん復旧して行くというようなことも考えております。なお現在のグランドをどういうぐあいにするかということについては、さらに今後地元の千代田区長さんなり、その他の関係の方々の意見なりを聞いて、それぞれ計画を立てて行きたいと思います。さしあたつては予算も別に組んでございません。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 ただいま言われました皇居外苑運営審議会ですか、その構成などについて、もう少しこまかく御説明願いたい。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 これは昭和二十二年片山内閣当時、旧皇室苑地の運営に関する件という閣議決定に基きまして、旧皇室苑地運営審議会というものが設けられまして、それぞれ各方面の権威者が集まつていろいろ検討した結果、昭和二十四年の四月二十日に、内閣総理大臣あてに答申がございまして、その中にそれぞれうたつてございます。ちよつと朗読いたしますと、由緒ある沿革を尊重し、努めて原状の回復保存をはかること、各苑地の特性を生かし、国民生活に適合した整備運営を行うこと、各苑地の特性に照し、これと関連のない施設は、これを設けないことといつたような、それぞれ細部にわたつての答申がございます。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 その運営審議会というのは、何名で構成されておりますか。またどういう方面から委員を選ばれておりますか。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 ただいまちよつと委員名簿を持つて来ておりませんが、造園関係の学者、一般知識人の関係、その他関係各省の方が委員になつておつたと記憶しておりますが、その名簿を持ち合せておりません。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 それには始終あの付近を使つておる近傍の区長さん、その他自治体の関係者は入つておらないのですか。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 入つておらないと思います。

内藤友明改進党

○内藤(友)委員 二十四年にそういう答申が出たというお話でありますが、そういう答申が出たにかかわらず、これを大蔵省の国有財産の方の責任者が千代田区へお貸しになつておられたというのは、どういうことなんですか。しかも大蔵省は地代までとつておられるというのですが、そこが少し私ども合点が行かぬ点があるような気がするのですが……。

村瀬清東京都千代田区長

○村瀬参考人 今のグランドのある一部だけは、皇居外苑の地域から除外されてあるわけなのでございます。つまり審議会の答申の対象になつていない地域と思われるのであります。と申しますのは、あれは片山内閣で皇居外苑に編入する当時、たしかあそこは復金の建物の建築用地か何かに予定されておりまして、私ども地元として猛烈に反対しまして消えたのでありますが、その後国際ホテルの建築用地になりまして、非常に大きなホテルが建つということで、大体オーケーになつておつたのですが、これもまた立消えになつて、現在に至つておるようであります。大体あめそこは戦前までは内閣庁舎があつたりして、昔からあそこは植込みから除外されておつた地域なのであります。そういう一つの沿革を持つている地域であります。

内藤友明改進党

○内藤(友)委員 そうしますと、先ほどの管理課長の話の、答申が出たから、公共福祉財産として全体一貫してやるのだということにはならぬですな。答申と関係ないですね。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 私の方へ所管が移つた場合は、同じ皇居外苑の中にありますので、同じ方針で運営して参りたい、かように申し上げたのであります。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 ただいまの内藤委員に対する説明で大体明らかになりましたが、この答申は必ずしも拘束力があるわけではないし、またそれ以後相当の年月を経過しておる古い答申でありまして、答申の内容もちよつと伺いましたが、必ずしも元の通りにしろということでもないし、場合によつてはいろいろな事情をしんしやくしてやつて行くというような答申でもありますし、非常に漠然とした答申でありますので、必ずしもこれに拘束されて措置したということではないと思うのです。ただいまお聞きしたところによりますと、元からその所は植込みなんかから除外されて、内閣庁舎があつたり、その後は復金の建物とか国際ホテルとか、いろいろ建築用地に予定されておつたというような関係上、ここを大体前の通りにかりにするとしましても、必ずしも植込みをするということにはならぬのでありますから、せつかく相当の経費をかけて、最も時宜に適し、場所柄一番適当な用に供しておるのでありますから、これをしいて取上げてやらなければならぬという強い理由はない。その思いつきがどうもちよつと常識的に合点が行かないのでありますが、もう少し納得の行くような何か特殊な理由がありますか。最近になりましてから、特別どこかそういつたような方面から強い意見でも出されたのか、何かあるのではないかという気がするのでありますが、厚生省のこういうふうにやりました動機について、念のために重ねて承つておきたい。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 詳しい事情は、大蔵省の方が見えておりましたら、そちらからお話願つた方がいいかと思いますが、私どもの方は、従来荒れておつた皇居外苑をだんだん整備して参りまして、整備するにつれて、あの千代田グランドの一部だけが一緒に維持管理できないということでは、方針としてもまずいと思いますし、また、ほりや石垣は私の方が草を取つたり、あるいは手入れをいたしたりいたしておるようなわけでありますので、できれば一貫して運営した方がよろしいのではないか、かように考えて所管がえを要望したのでございます。

宮原幸三郎自由党

○宮原委員 今の管理課長の御説明は行き当りばつたりのようで、まことにわれわれ聞いていて、野党の諸君とともに何だかふに落ちない。外苑については何か基本計画を立ててあるのですか。何か行き当りばつたりで、グランドになつたものを、草をとるとか石垣を掃除するとかいうようなつけたりの理由で取上げようという、そんな考え方は、おそらく厚生省の方針ではないだろうと思う。厚生省には厚生省として外苑に対して多少長期にわたる、将来まで見通した計画がなくちやならない。それを御説明願いたい。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 この皇居外苑の整備については、先ほど申し上げました旧皇室苑地運営審議会の答申を基礎にして、だんだん整備して参つております。千代田グランドについては、まだ確定した計画は出ておりませんが、先ほどちよつと申し上げましたやぐらを復旧するとか、橋を直すとかいうような程度のことは今考えておりますが、大体五千万程度の経費がかかることでありますので、今年度の予算にも別段計上はしてございません。いずれ私どもの方に所管がえになりましたならば、千代田区なりその他関係者の御意見も聞いて、公園として皇居外苑の一環として、一体としての運営計画を漸次つくつて行きたい、かように考えております。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 どうもはつきりしないので、一体として運営するといつても、一体として運営するというからには、何かやはりそういうものがあつてはだめなんで、これを全部一緒にして、大きく全体をこういうふうにしたいという計画があるからこそやるのではないか。さつきちよつとあなたも言われたと思うんですが、橋を直すとか、やぐらを復活するとか、江戸城時代の面影をつくるとか、いろいろなことが新聞にも出ているのですが、何かそういつたあなた方の持つている計画の中では……、ここをグランドにしておいてはまずいということになつておるのではないか、こういうことをお聞きしておるわけです。

甲賀春一厚生事務官(国立公園部管理課長)

○甲賀説明員 ただいまの千代田グランドが厚生省所管に移りました後においては、いろいろそういう計画はございますが、まだはつきりきまつたものはございません。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 大竹教育課長の御意見は別にございませんか。

大竹武三東京都千代田区役所教育課長

○大竹参考人 特別ございません。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 これをもつて参考人の方々よりの御意見の拝聴を終ります。御苦労でございました。     —————————————

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 次にお諮りいたします。ただいま本委員会におきまして審査中の閉鎖機関令の一部を改正する法律案につきまして、小山委員より朝鮮銀行、朝鮮殖産銀行、東洋拓殖株式会社等の利害関係者を、参考人として招致してほしい旨の御要求がありましたが、本案につき参考人を招致することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 御異議ないようでございますから、さよう決定いたします。     —————————————

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 次に国有財産特別措置法案、長期信用銀行法案、国民貯蓄債券法案、設備輸出為替損失補償法案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件、貸付信託法案の八案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつて許可いたします。宮幡靖君。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 きようは久々で大蔵大臣の御出席を得ましたが、まことに御苦労さまでございます。きのうから金融のことを少し始めたのでありますが、金融全般の政策的な方面を一わたりお伺いいたしたい。ただいまかかつております法律案については、銀行局長初め事務当局の細目にわたる御答弁でけつこうでありますが、基本的政策について、ぜひ一度、ちようど事態も独立に向つておるのでありますから、明らかにしておきたいと思います。かような観点で御出席を煩わしたわけであります。ちようど同僚夏堀委員からも、閉鎖機関令に関しまして大臣にお尋ねをいたしたいそうでありますので、しかも午前の時間ももうわずかでありますから、一点だけ基本的なことについてお尋ねをいたしまして、その後はまた午後なり明日なり、委員会の運営上適当なる時期に伺わさしていただくことにいたします。  そこでまず第一番にお伺いいたしたい基本的な問題は、独立後の日本といたしましての金融政策の転換という問題を、検討してみたいと思うのでありまして、ただいま当面いたします不況解決の総合対策というようなことが安本あたりでも言われておりますし、民間でもあらゆる経済団体においてこれらが考えられております。あるいは産業機構の全面的構想というようなことにつきまして、これもやかましくいわれております。しばらくこれらの問題は、関連して来るたびにお尋ねするといたしまして、基本的の金融政策として考えるのは、ただいままで日本が幸いにして再建の過程を無事に通して参りましたいわゆるドツジ方式というもの、この功績に対しましては、世人何人も異論がないであろう。しかもこれを忠実にとり行つて参りました現政府の御苦労のほども、察せられるわけでありますが、今や一大契機にあたりましては、この方式をかえなければ、あるいは民間の声が間違つておるか、あるいは特殊産業人あるいは特殊金融人というような方面の声が、間違つておるのかもしれませんけれども、感覚といたしましては、この際何らかの転換をしなければならない、こういう時期にぶつかつておるものと思うのであります。大蔵大臣といたしまして、このドツジ方式をこの後も、将来長くとかあるいはいつまでとかいう期限付の問題ではありませんが、何か方向をかえなければならぬということにつきまして、お考えがありましたら、この際明らかにしていただきたいと思います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 世間ではよくドツジ・ラインとかドツジ方式とかいつておりますが、はつきりした定義はございません。私の考えるところでは健全金融、健全財政、これをドツジ・ライン、ドツジ政策と言つておられると、こう思うのであります。ことに金融の方は別にいたしまして、財政面ではとにかく健全財政、こういうことであるといたしまするならば、健全財政はここしばらく続けて行かなければならぬと思います。金融方面でドツジ政策というふうなものは、はつきりいたしません。実は健全財政をとつております建前から、金融の方はある程度ゆるめざるを得なくなつて、いわゆるオーバー・ローンの問題も出て来ておるのでありますが、これはさきに委員会でお答え申し上げましたように、敗戦後の日本を立て直す上において、健全財政を守つて行く場合において、ある程度のオーバー・ローンはやむを得なかつたと、こういう考えでおるのでありまするが、今後は財政も、また金融も、やはり健全であるべきだと考えております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 非常にうまい御答弁で、実は私にはわからぬのでありますが、堅持なさるという意味であるか、まあその方がよかろうと、こういうように承つたのでありまするが、ただいま国の内外を、と申しますか、国際的な経済事情を勘案いたしますと、いわゆる平和時の経済あるいは戦時経済とかいうような、大きなわくの中のいずれにも入らない部分であろう。平時経済にあらず、戦時経済にあらず、その中間を行つておる。戦時経済もこれを捨てることもできない。特に国際環境から申しますと、軍備の拡張などというものが依然として継続されておる。しかし一面におきましては、平和的な進行を続けて行くと、こういうことになりますと、そこに経済的な沈滞の時期が参るのでありまして、しかもそれがじりじりとやつて参りまして、急角度のいわゆる経済危機などという現象にあらずして、いつとはなしに栄養失調になつて行くような経済の事情が、起きて来るであろうと想像いたします。さような場合におきまして、ドツジ方式というのは民間でつけたことであつて、そういうものを言うならば健全財政主義、このことには私どもは異論はないのでありますが、これがもちろん固定いたしましたドツジ方式でないといたしますならば、大蔵大臣としての独創の感覚におきまして、何かこの国際的経済事情、これに支配されまする日本の経済事情に沿つた財政金融政策というものを、必ず大蔵大臣としてお持ちであろうと、私は信じておるのであります。どうかその点につきまして、現在でありますから速記をとめてお伺いするような事態もなかろうと思います。抱負ゆたかな大蔵大臣の今後の見通しをまじえましたところの財政金融政策について、しばらく御所見を開陳していただきたいと思うのであります。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 別に特に申し上げるようなことはございませんが、こういう問題についてはどう考えておるとか、ああいう問題についての意見はどうだとか、こうお聞きくださると非常に仕合せに思います。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 大蔵大臣にあまりこまかいことを聞くのは、すぐれた銀行局長もそばに控えておるのでありまして、実は差控えたいのであります。しかし具体的に言えということになつて参りますと、一、二伺います。それと関連いたしまして、大蔵大臣の豊富な経論がわかつて来るであろう、そういう意味でお尋ねいたします。     〔委員長退席、佐久間委員長代理着席〕 ただいまの健全金融ということ、健全財政主義というものを守つて来る中に生れて来ました一つの方針として、財政と金融の分離ということを画然とやつて参つたわけであります。しかしながら現在の時勢は、もし私をして自由に言わしむることが許されるといたしますならば、もはや財政と金融の分離を截然とせず、ここにかつての財政と金融の分離によつて起りましたところの、いわゆる財政のしわ寄せが民間資金に行つたという非難を解消するか、あるいはこれとまた違つた方向によりまして、何らかこの間の調和をはかるべきだと考えますが、この点についての大蔵大臣のお考えはどうでありますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 むずかしい問題で、財政のしわが金融に寄つたと言いますが、これはどういう事情を言うのか、はつきりいたしません。ただ私の想像するのでは、健全財政をやつたから、そのために金融の方が金詰まりになると、こういうのでありまするが、これは一国の経済を立て直すのには、どうしても健全財政で行かなければならぬ。これをしわが寄つたとかいう表現が、私はいいか悪いかわかりません。敗戦直後のように復興金融金庫をこしらえまして、これは財政資金と申しますか、金融資金と申しますか、一応財政資金とすれば、ああいう急速な貸出しをやる。それをやめて行つた。しかも今まで外国の援助をやみからやみに使つておつたものをはつきりさして、そうして見返り資金制度を設ける、こういうふうなことは、財政をはつきりさす意味である。また健全財政のねらいでございまして、それはしわが寄るとか寄らぬとかいう問題じやないと思います。今後財政が金融面にどうするかという問題になつて来ますと、さしむき見返り資金というものは、ほとんど新たなる財源はなくなりました。回収金と利子だけということになりまするから、財政と金融とのつながりが、よほど少くなる。財政と金融のつながりが、今後は資金運用部資金の問題と、それから税金で徴収したものを政府投資として出す、これだけの問題になると思います。そこで私は方向といたしまして、租税で徴収してこれを投資に充てるということは、これは私はあんまりほめたやり方じやない。敗戦後の状態からやむを得ざるものであつて、これは将来多くを期待できないと思います。ただ資金運用部の方はできるだけ貯蓄を奨励いたしまして、これは財政資金と申しますか、金融資金と申しますか、実際的には金融資金、ただ政府が金融をやつているのだ、こういう方面に力を入れて行きまして、この資金源を確保して、いわゆる財政と金融との中間的のあれといたしまして活用して行きたい、こういうので理論的には財政と金融というものは、正常の状態といたしまして当然わかるべきものである。経過的には今までごつちやになつておつた場合があることは、やむを得ないと考えております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 そこでさらに具体的に、それでは従来昭和二十五年度あたりからとつて参つたと思いますが、インヴエントリー・ファイナンスの方式は今後御継続なさる意思か。もしなさらないとするならば、それに対しまするお考えをあわせてお伺いいたします。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 インヴエントリー・ファイナンスは、これはいつの世でも健全財政主義を建前とするときには、やつて行かざるを得ない。しかしインヴエントリー・ファイナンスをやらなくてもいいような方向に、持つて行かなければならぬと思います。しかしその方向は、大体でき上つて来たのでありまして、今までインヴエントリー・ファイナンスをやつております外為関係、それから食糧管理特別会計、それから貴金属特別会計、貴金属特別会計は昭和二十七年度からやめます。それから食糧管理特別会計の労も昭和二十七年度はやめております。ただ問題は、外為の方のインヴエントリー・ファイナンスにいたしましても、昨年度の八百億円に対しまして三百五十億円と減つておるのであります。こういうことは正常な状態に返つて来れば、なくなりますのが当然です。今外貨の活用をはかろうということは、インヴエントリー・ファイナンスをやめて行く方向の現われであるのでございます。こういうものは徐々になくなつて来ると考えております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 不況対策の一環といたしまして、外貨貸付の制度を取上げられたことは、これはそれによつて不況が全部解決するわけでもございませんが、不況対策の一環として特筆すべきものであろう、こう考えております。さらには外債処理のためにイングランド銀行にもポンドの預託をし、将来米国に対しましても同様なドル預託をしようというような方式は、これは外資法の改正等とにらみ合せまして、あるいは外資導入を促進するというような面におきまして、すぐれたものがあると私は思うのであります。しかしながら一面これに対する国内金融というものを考えて参りますと、ただこれに対しまして讃辞を贈るだけではとうてい満足ができない、こういう関係にあるのであります。しかもただいま審議の過程にあります長期信用銀行法、これはいわゆる民間機関でありますが、かような長期貸付をいたしまする銀行を法律的に設定して行こう。そしていわゆる預金銀行と長期貸付の銀行とを截然と区別して、いわゆる金融の常道に返そう。この趣旨には私どもは絶対に賛成するものであります。しかしその過程におきましては、まず財政資金でまかなうとまでは私は断定いたしませんけれども、政府機関による長期金融機関というものは、もつと育成強化された後でもつて足りると思う。長期金融機関が政府機関として、ほとんど開発銀行以外には認むべきものがない、こういう事態におきまして、民間に長期信用銀行というものをつくるということは、むしろ理論は正常であつて、実際の実情に沿わない一つの構想ではなかろうか。法律の細目につきましては、事務当局から伺いますが、財政と金融の分離の問題と思い合せますと、何かまだここに政府として金融的の手を打つべきものが残つておるような気がいたしますが、これについて大蔵大臣の御構想を、ぜひひとつ聞かしていただきたいのであります。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 御質問の点がはつきりいたさないのですが、今民間におきましても長期金融機関を主とするものがあるのであります。これは御承知の通りに、日本興業銀行がそれでございます。日本勧業銀行は両方のわらじをはいていると申しますか、両方やつている。建前は商業銀行でありながら、実体的には長期金融業務をやつておる。こういう姿がいいか悪いかという問題を考えますると、お話にもありましたように、やはり短期の金融と長期の金融はおのずから性質が違いますので、わけて行つた方がいいのではないか。しこうしてその場合におきまして、長期金融は民間だけでいいかという問題になりますと、私は今の状態から申しまして、政府機関と申しまするか、政府の関係のある機関も必要である。それを開発銀行と日本輸出入銀行にいたしておるわけでございます。当分の間は、私は政府の特に関係のある開発銀行あるいは輸出入銀行と民間の長期金融機関、こういうふうな方向で行きたいと考えておるのであります。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 質問がよく徹底しておらなかつたようでありますが、御答弁の方は私にもわかる点があります。しかしながらそれだけしか大蔵大臣が考えておらないとは私は思つていない。もつと深いお考えをお持ちになつておると思うのであります。これはすでに予算総会の場合においても、大蔵大臣がしばしば言明されておりますように、昭和二十七年度の予算というものは、インフレ的要因を含んでいないとは申し上げられない、けれどもこれをインフレに拍車をかけるように運用しないのだ、こういう意味の御説明があつたように思うのであります。しかしながら昨日も事務的の問題として、若干お伺いいたしたのでありますが、行政協定に基きますところの日米共同関係の処理の問題等は、事務当局としてはそれ以上はお話ができないということでありましたから、それ以上は伺つておりませんが、共同勘定の円資金の部分は一体どこに管理されまして、そうして日本でこれを直接処理できるのか、あるいは駐留軍の方でこれを処理するのか、この資金も大体五百五十八億程度であろうと思われますので、一方的に健全財政、及び健全財政にのつとりますところの金融調整ということを御構想なさつておりましても、これらの資金の運用いかんによりましては、金融の混乱ということも当然起きて来るであろう。そこでこれらにつきまして、大蔵大臣から確たる御方針をぜひ承りたいのであります。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 日米行政協定によりまする駐留軍の費用は、お話の通りに六百五十億円のうち五百五十八億円を、これに支出するのでありまするが、これはアメリカの方でこの金の使い方をきめまして、そうして日本と共同でやつて行こう。でまず四半期ごとと申しますか、三箇月ごとに予定を合意の上できめて、そうしてどういう品物をこの期間に買おう、こういうことにするわけであります。そうして支払いの実績は、毎月日本政府に報告する、こういうことにいたしまして、前の終戦処理費と同様、あるいはそれ以上にはつきりして来ると思います。しこうしてこの金の使い方は、われわれどんぶり勘定と申しまして、両方から出した金を、いる都度と申しまするか、あるいは一箇月、二箇月分くらいを円資金として日本銀行に預けさせまして、そうして日本銀行でこれを取扱わさす、こういう考え方のもとに今両方で研究をいたしております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 これは事務的なことでありますが、五百五十八億の金は、一時に全部日本銀行に預け入れる方針でありますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 今米国の方で、この支払いについての会計規則を立法いたしておるようであります。でその勘定から日本銀行へ一応預け入れて、支払い手形を切ります都度日本銀行から出す、こういうかつこうになると思います。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 大蔵大臣の努力をおもな要因といたしまして、順次経済もよくなり安定し、いわゆる向上の過程をたどつて来たことは、先刻も申した通り認めるのでありますが、それにいたしましても健全財政のうちに、いわゆる財政の収支の季節的波とでも申しますか、季節的波は決して小さくないのであります。そういう意味におきまして、これらの資金の調達は、なるほど相談の上でこの資金は日本銀行に預けると言つておりますが、この日本銀行に預かつておる預金の歩どまりと申しますか、さようなものは、これは日米共同勘定であります。私しろうとくさいことを申すのでありますけれども、札には別に障子はないのでありますから、預金の歩どまりから生じて参ります資金の調整ということは、なかなか困難な事態があろうと思います。それと特に最近現われて参りました情報によりますと、まだ確定したのではありますまいけれども、労務以外の物資は米軍の特別調達、こういうことになつて来まして、日本はおもに石炭だとか鉄鋼とか、さようなものについてのみ国家的計画に乗つてひとつ要求して行こう、こんなふうな作業が続いているようでありますが、これらの関係につきまして大蔵大臣の御承知の範囲で、どんなふうにするか伺いたい。     〔佐久間委員長代理退席、委員長着席〕

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 金融の季節的波につきましては、われわれ当局者は常に意を用いておるのであります。五百五十八億の金は一ぺんに出すのではございません。お話申し上げましたように、四半期ごとに計画をきめまして、そうしてその特別勘定の方に入れて参りますので、今までとあまりかわりはないと思います。  次に物資の調達につきまして、米軍の直接調達になる場合が多いのでございまするが、これも行政協定の何条でございましたか、日本の経済に非常な不利不便を与えないように、両方で相談してやる、こういうことになつております。これも物資別に、時期別に、そうしてまた地域別にいろいろな点があると思いまするが、こういう物資の調達につきましても、両者極力合意の上で進んで行きたい、こういう考えで話合いをいたしております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 大蔵大臣の御弁明のような方向に話が進んでおるとするならば、何をか申さんであります。けれども巷間伝わつて参りまするところによりますと、しばしばこれと異なつた——これは誤り伝えられておるのかもしれませんが、たとえて申しますと、駐留軍の調達する物資は、従来の占領下におきましては、日本人優先という観念で取扱つて来たが、今度は独立してしまつた日本は、外国のメーカーなり商人なり、日本のメーカーなり商人なりという立場において、まつたく平等である。従つてどちらから調達しようとかつてである、こういうようなことを言われておるのでありますが、これが日本の産業に及ぼしまするところのいわゆる特需といいますか、新特需といいますか、従つて日米経済協力の方向として示されました一点、二点にかかわりまする問題でありまするが、これらの日本におります駐留軍の物資調達というものは、おおむね日本の商人機関を通じて調達を行うという方向には、話合いは進んでおらぬのでありましようか。これはかなり誤解を世上に招いておるのでありまするから、大蔵大臣といたしまして、この点についてのお考えを、ひとつお知らせを願いたいと思います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 どんな注文をいつ出しておるか、具体的なことは知りませんが、通産省その他におきましては、そういう問題について話合いをしておると思います。私の所管でございませんから、詳しくは存じませんが、向うの方でも陸軍、海軍、空軍が、今まで別々に調達しておつたのを例としておるのであります。今後陸海空軍別々にやるか、あるいは合同の上、向うの機関を置いてやるかという問題が論議せられまして、聞くところによりますと、当分の間は合同して一手に発注をしようかということに、まとまりつつあるようでございます。しかる場合におきまして、こちらの方で受入れ態勢をどういうふうにして行くか、通産省だけでやつて行くか、あるいは特別調達庁の方で特別の機構を置くかということは、研究せられておると思いますが、直接私の財政金融の方面でないので、われわれといたしましては金の使い方、割当の問題、金融の問題等につきましては話合いをいたしております。個々の物資につきましては、通産省その他でひとつお聞きを願いたいと思います。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 通産省の方へも伺うことにいたしますが、やはり金のことが一番重要でありますから、きんちやくを持つておる大蔵大臣に伺うことが一番確実であります。そこでさらにこの問題はこまかくなつて参りますが、駐留軍の調達物資が、おおむね日本に入りますのは、あらゆる点において無税であります。日本の商人が納品いたします物は、輸出されます物は別問題として、やはり原則としては日本の国内税がかかるようになつております。これは不平等な関係がそこに生れて来るのであります。この場合において、日本でできない物はいたし方がありませんけれども、従来の慣例上、それぞれの工場や事業場に勤務されております者が、やはり前の習慣を踏襲して、日本に注文してもらうともらわないとによりましては、日本の経済、金融等にも大きな支障を来すのであります。従いましてこの問題は、単なる通産省の所管だけとしてなおざりにもできなかろう。結局きんちやくを持つておりますところの大蔵大臣に、十分その面において御干渉を願わなかつたならば、不況打開のための金融政策などというものは生れて来ないだろうと思う。しかも駐留軍の予想されます費用と申しますか、なかなか莫大なもののように伺つております。これが全部国内に使われるわけでもございますまいけれども、もしもその大部分が国内に使われるといたしますと、日本の経済、財政、金融に及ぼす影響というものは非常に大きかろう。従つて大蔵大臣もこの点について、所管外といえどもぜひ御関心をもつて、ひとつお願いいたしたいと思います。  次にもう一点お伺いいたしますが、これは前にも私一度聞いたことがあると思いますが、今度は国民貯蓄債券法によりまして債券を発行する。これは百億を限度としてやつて行くということも、法律で明らかになつております。このことが悪いことだと申すのではありませんが、何かこういう一つの財政資金的なものを調達して、運用部の資金としてまわして行く、こういうようなことをだんだん敷衍して考えますと、将来の財政金融政策におきまして、いわゆる財政法の第五条を改めるか、あるいは改めなくとも特別の但書の規定等によりまして、赤字財政と率直には申しませんが、赤字公債式の公債でも発行して、日銀の引受とか日銀の借入れとかによりまして、大分ちまたの経済学者や、あるいは実務家によりまして議論されました、オーバー・ローン解消等の問題とあわせ考えられるというようなことが、私はあえてひもをつけるわけではありませんが、観念的に浮んで来るわけであります。この点につきまして大蔵大臣はどういうふうなお考えを持つておりますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 初めのお話の金の使い方につきましては、十分注意はいたしております。御質問の点がはつきりしなかつたので、ああいうふうにお答えしたのでありまするが、個々の物資の調達というものは、昔の終戦処理費とあまりかわつて参りません。労務費は大体同様でございます。あと石炭なんかもそうかわりはございません。いわゆる備品その他につきましても、あまりかわつて来ないだろう、こう思う。ただ問題はいろんな特需関係——終戦処理費とかあるいは防衛支出金というのではなしに、特需と申しますか、新特需と申しますか、別の日米経済協力に基く産業につきましては、これは物資その他の稀少性等と、考え合せなければならぬ問題だろうと思います。  第二の貯蓄債券等の発行が赤字になりはしないか、赤字財政の宙に進んで行くのではないかという御懸念でございますが、これはもう全然私はそういうふうには考えておりません。赤字財政というのは、日本銀行が国債等を引受けて、そうして信用を造出するというのが赤字財政でありますが、民間資金をあげまして、それを産業資金にまわすということは、私は赤字財政とは心得ていない。郵便貯金が集まりましてこれを商業方面、公共団体へ出すのを、同じ郵便貯金のかわりに貯蓄債券でまかなつて行く、こういうのでございます。赤字財政に入る一歩とは考えていないのであります。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 それは基本的な健全財政主義から言つて、ごもつともなことだと思います。これは率直に拝承いたしておきます。そこで、大蔵大臣の一つの諮問機関とまでは行かなかつたかもしれませんが、臨時の金融制度懇談会、これは累次会議をおやりになつたようでありますが、おもなる問題は、日本銀行法の改正及び一般銀行法の改正、臨時金利調整法に関します問題であつたのでありますが、これに対しまして、いかなる答申がございましたか。あるいは答申がなかつたといたしますならば、どの過程までお進みになつているか。しかも日銀及び特に政策委員会の存廃問題、臨時金利調整法に対しまする大蔵大臣の権限強化等の問題等につきまして、大蔵大臣が、今後こういう方法をとるというその確たる御所信を、ひとつお示し願いたい。と申しますのは、今国会におきましては、一般の銀行法と日銀法の改正法案が期待されておつたわけです。少くとも大蔵委員会においては、この御提案が政府からあるべきことを期待しておつたのでありますが、いまだに少しも現われて来ない。どういう過程になつておるか、この間の経過と今後のお考えを、ひとつお知らせいただきたいと思います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 お話の通りに昨年秋臨時金融制度懇談会というものを設けまして、日本の金融制度につきまして御検討を願つたのであります。学識経験者、衆参両院議員あるいは産業界、金融界の人々が集まつて、そうして金融全般の問題について御検討願つたのであります。そのうち結論といたしまして、いろんなものが出ております。たとえば長期金融機関を設けるとか、貯蓄債券の発行だとか、あるいは預金に対する課税の問題等々、結論の出たものもあるのでありまするが、お話の普通銀行法の改正、また日本銀行法の改正、あるいは金利調整法等につきましては、事重大でございますので、そう急いで結論が出なかつたのだと思います。私も結論を急いでもらうようにはいたしません。十分御審議を願いたい、こういうので行つておるのであります。しこうして大体中間報告的のものは一応出るかとも考えておりますが、まだ聞いておりません。この問題につきましては今後も検討を続けて行つて、平和回復後の五、六箇月の状態を見まして来年の国会と申しますか、今度の通常国会くらいには出してみたいという気持であります。問題点は大体審議の結果出て参りましたそれの結末を、どうするかという問題であります。私も実は自分としての意見は持つておるのでありますが、大蔵大臣が意見を先に申しますと、りつぱな結論が出るのをじやましてもいけませんので、意見はただいまのところ差控えておりますが、次の通常国会までには何とか結論を出したいと考えております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 その点はよくわかりました。そこで時間の関係がありますので、あと一点だけにいたしますが、先ほど私のお尋ねしました言葉のうちに、財政資金のしわ寄せがあつたという言葉を使いましたら、そういうことを言うが、どういう意味かおわかりにならぬということを、大蔵大臣が言われております。それはごもつともだと私も思う。ところがこういう言葉はどこから出るかと申しますと、大蔵大臣と日本の金融政策について緊密な連絡をとつておる、一万田日銀総裁が創設された言葉であります。こういう財政資金のしわ寄せというものが民間資金に行つたということは、一万田さんが初め言い出したことである。そこでその言葉をかりて言つたのでありますが、大蔵大臣はもとよりそういう言葉をつくり出した方ではありませんので、そういう御疑問があろうと思います。そこでこの点に関連して一点だけ伺いますが、最近日銀総裁は大阪、神戸あたりの方面へ御出張になりまして、通貨制度の確立を期するということを言つておる。一体通貨制度の確立という言葉ですが、それこそ私にも意味がわかりません。兌換券制度でも復活するのか、あるいは国際的に一つの硬貨として登場させようと考えておるのか、あるいは名目的な貨幣の建値でも改正して、国内経済の安定をさらに促進しようとするお考えであるのか。しかしながらこの言葉の解釈によりますと、かなり不安を投げておるわけであります。これは大蔵大臣に御連絡と御協議の上、諸般のことを行つておると大蔵大臣も認められ、また一万田総裁もみずからそう言つております。この点につきまして通貨制度の確立と、一万田総裁が発表しておりますことは、どういうことでしたでしようか。御存じの範囲でけつこうでありますから、お教えを願いたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 関西へ九日間ばかり貯蓄奨励のために行つて来る、こういう了解を求めに来られました。けつこうでしようと申しました。また最近の金融情勢を聞いたり自分の意見を言つたことはございますが、一部新聞に出ておりましたような通貨制度の問題は、二人の間で一つも話題になつたことはございません。私は通貨制度の確立ということは、あなたもおつしやる通りに、一万田君がどういう意味で言つたのか知りませんが、今の管理通貨制度がいいんだ、これで行くんだという気持を持つております。一万田君も多分そういう気持だろうと思います。通貨制度についてかえるというようなことは、これは大蔵大臣のきめることでございますから、一万田総裁が何と申しましても、政府の考えできまることであるのでございます。そういう意味におきまして、今の管理通貨をかえようという気持は、一万田君ももちろんないと私は考えております。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 大体それで安心をいたしました。言葉の言いようによつては、一万田さんのたわむれだというくらいに軽く聞いておけばよかろうと思いますが、とにかくこういう大蔵大臣が当然考え、当然言わなければならないことが、たとい中央銀行にいたしましても、日銀総裁からそう言われるということは、どうもあまりうれしくないということだけは御記憶にとどめられまして、こういうあぶない言葉が出て来ないように、今度お話合いのときは、ぜひこうしたお話合いを願いたいと思います。きよう幸いにいたしまして大蔵委員会を通じまして、大蔵大臣の明快なる御答弁をいただきまして、もしこれが新聞等に発表されることになりますれば、非常に好影響ががあると思いますので、それによつて私は今回は安んじておるわけでありますが、どうもときどきこういうことが出て参ります。そこでなお関連してお伺いしたいのでありますが、ちようど同僚夏堀委員から閉鎖機関について、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいという御要望があります。これで私は終えたわけじやありませんので、また愚問で恐縮ですけれども、大蔵大臣にも御出席を願いまして、もう少し当面の提案されておる法律案を中心といたしまして、大臣の御意見を伺いたいと思います。本日はこれで終ります。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 高田富之君。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 私は大臣がお見えになりましたこの機会に、重要な金融関係の諸法案の提出されておる際でもありますので、伺つておきたいのであります。すでに貿易商社を初めといたしまして、繊維業界はもちろん、その他関連する各商業にわたりまして、相当憂慮すべき不況の状態が漸次深刻化しつつあるという状態でありまして、通産省等におきましても新聞等を見ますると、各産業別にこの不況打開の具体策を立てて、これを近く発表するように伝えられておるときであります。かりに通産省方面あるいは安本等でいろいろ考えられましても、金融方面その他総合的に大蔵大臣のところで、明確なこの不況対策についての基本的な方針が確立されて、これにマツチしておりません限り、実際問題としては何らの有効な対策は出て来ないと思うのであります。     〔委員長退席、佐久間委員長代理着席〕 最近におきましても繊維界その他におきまして、相当金融問題につきましては、強い救済措置等についての要望があるのでありますが、これらにつきまして大臣は恐慌に関しまして、どういう基本的な態度、見解をもつて処するかという点につきまして、これは概論的でありますが、ひとつ簡潔に御説明を承つておきたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 御質問が漠然としておりますので、答えるのに困りますが、いろいろな不況対策と、こう言うておられます。しかしこれはやはり程度の問題でございまして、お話になりました繊維関係でも、イギリスの方でも操短をいたしておる。アメリカでもストツクが多くて困つておる。こういう状態である。私は不況というよりもこれは経済の正常化への道だと、こう考えております。綿糸が一こり九万円を割つたという場合におきまして、それじや九万円というものが非常に安いかどうか、こういうことを調べてみますと、一般商品に比べまして、また戦前に比べて九万円という綿糸はかなり高い。戦前の四百倍程度であります。食物は大体戦前の二百八、九十倍から三百倍、綿糸は高い。しこうしてそれなら綿糸が非常に商品が過剰かと申しますと、日本人の繊維の消費量は、戦前の半分くらいにしかまだ達しておりません。こういうことを考えてみると、綿糸が絶対不況かということになりますと、これは一昨年から昨年の春にかけまして、糸へんと言われたころに比べれば非常な不況であります。しかし私はこういうものは正常化への一つの道だというように考えております。しかし倒れるものをほつておくわけに行きませんから、今のお話の商社につきましても、日銀、市中銀行を督励いたしまして、私としても跡始末を早くするようにという措置をとりまして、大体商社の方の始末もついておるのであります。一ぺんに損をしたものをよくするわけには行きませんが、案を立てまして徐々に回復するような方向に進んでおります。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 戦前と比較いたしまして、消費水準は確かに仰せの通り、まだ七〇%ぐらいしか回復しておらないのでありまして、決してその点で絶対的に過剰であるとはわれわれも考えておらない。しかし問題はむしろそこにあると思うのでありまして、一般にまだそれほど消費するところまで回復していないにかかわらず、相対的にはすでに非常な過剰生産の状況を呈しておりまして、これはイギリスにおきましてもアメリカにおきましても、特にわが国におきましては四割、五割の操短、さらに一層の操短をやらなければならぬというような実情に追い込まれております。これを正常化というふうなお考えで対処されるということになりますと、こういう状態を全然放任というわけではなく、部分的には救済するというわけでありましようが、そういう考えでの救済ということになりますと——実際今そういうふうに現われておると思いますが、政府の施策は一部の生産をずつと減退させ、整理した後に残すべき特定の工場なり商社に対しましてのみ、当面の応急的救済融資をやる、その他のものにつきましては、むしろこの機会に整理を促進するといいますか、整理されるのを傍観するということによつて、経済の状態を正常化するというお考えで、今の不況——われわれは明らかにこれは恐慌だと思いますが、この状態に対処されるというお考えであるとすれば、これは今日の実際不況にあえいでおります繊維を初めとする一般産業界におきましては、相当大きな出血、自然淘汰というものを覚悟しなければならぬということになると思うのでありますが、さように理解してよろしいのでありますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 高田君はどうも事あれかしのような気持で、御質問になつておるようでありますが、われわれは経済界に事なかれかしというふうに考えて言つているのであります。操短の問題にいたしましても、四割、五割、六割とか言つておられますが、どこでそんな操短をいたしておりますか。これは表現の仕方でございまして、昨年の十月、十一月ごろは十四万こりであつたのであります。しこうしてこの一月、二月が十七万こりぐらいになつたのであります。十七万こりでは輸出関係その他を考えまして少し多い。しかもまた輸入綿花の方から考えまして、十七万こりをどんどん続けて行くほどの綿花がないのであります。従いましていろいろな点から考えまして、十七万こりを十四、五万こり、昨年の十月、十一月くらいの程度にとどめておこう、こういう考え方でございまして、四割減つたということになると、十七万の六がけになりまして、十万こりくらいに減つたというふうに考えられるのでありますが、そうではない。実態をよく見て行かないといけないと思います。そこでこの操短がどの程度が適当であるかという問題を考えるにつきまして、これはやはり国民の消費を考えなければならぬ。純然たる資本主義経済から申しますと、価格のために操短をして価格を維持するという考え方もありまするが、国民経済全体から見た場合において、先ほど申し上げましたよりに、綿糸がほかのものよりも高いという場合におきまして、いたずらに操短ばかりに行かずに、綿糸価格を下げて行くということも、やはり業者は考えてもらわなければならぬ、こういうので、私は操短もさることながら、生産金融を、一定のストツクは持つているように、こういうふうな気持で、通産大臣に話したこともあるのであります。昔から綿糸というものは非常に上り下りのするもので、繊維品というものは、あなたは今あの言葉を言つておられますが、もう二、三箇月か三、四箇月たつて、綿糸の状況をひとつ振り返つてごらんになつたらわかるでしよう。一昨年の三月に私は放言として不信任案を出されたのでありますが、そのときにも綿糸は下つた。あのころにスフが原価を割つておる。しかしこれは一時的な現象だからじたばたしなさんな、こう言つておつた。四、五月あるいは二、三月が危機だと言われたのが、四、五月ごろになつたら暴騰して、じたばたした人が損をしておる。じつとがまんしておつた人は相当の利益があつた。その後ずつとよくなつておるではありませんか。だから物事というものは悪くなることを想像してやることは、これは経済の正常化、健全化に害がある。だからじつと動きを見ながらこれに善処して行くことが大切だと考えるのであります。最近におきましても輸出がぼつぼつでき出した。また綿糸にいたしましても、九万円というのは、これは大きい会社のごときは九万円程度で採算がつく。それも雑綿を入れなければ……。困つておるのは一万錘前後、あるいはそれ以下の連中がかなり最近の設備で困つておる。しかしこのことにつきましても、綿糸価格の状態と綿花の価格の変動等から私は立ち直り得る、こう考えておるのでございまして、いたずらに新聞に出た数字で五割、六割今でも出血を見るといいますが、そうたくさん出血は見ておりません。私は鐘紡の八百人の整理ということは聞きましたが、その後非常な整理があるとは思えません。声におびえずにじつと対策を考えて行くことが、政治の基本だと私は思つております。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 業界を安心させて、おれの言うところについて来いというのは、政治家として当然そういう態度をとることはきわめて理由はわかります。しかし現在の不況の状態は、いささか通常の値段の高下というふうなものとは違いまして、かなりよつて来るところが深いということは、通産省あたりから出ると称せられる白書の中にも、冒頭に書いてあるそうでございまして、いずれにしてもこれはわが国だけの問題ではないのであります。ことに今回繊維に始まりまして鉄鋼に及ぶところの全般的の不況は、かなり深刻なものがあるというのは、すでにもうあらゆる方面の一致した見解であろうと思います。従つていたずらなる楽観ということになりますれば、結局対策なしというふうに考えざるを得ないのであります。  そこでお伺いいたしたいと思いますが、現在ここに提案されておりますいろいろな金融関係の法案を見ましても、あるいは国民貯蓄債券でありますとか、貸付信託でありますとか、いろいろな方法によりまして、徴税によつて国家財政の資金を獲得する以外に、その他の方法で資金を民間から集める。さらにまたこれを投資する方針にいたしましても、最近もずつとやつておられるようでありますが、今度さらに制度を改正いたしまして、輸出銀行なり開発銀行なりあるいは長期信用銀行なり、その他の方面にたくさんの資金を入れる。これが結局全体を通じて考えられますことは、やはり今後の資金の運用は非常に重点的な運用になる。電源開発等にも、相当莫大な資金を予定しておられるようでありますが、そういうふうな特殊な長期の金融機関を充実いたしまして、これに国家的な援助を与えて、どんどん重点的な投資をやつて行くということが、このただいまの恐慌下におきましてとられようとしておるわけであります。そうなりますと、私はこういうふうな金融政策の結果、むしろ今実際に救済を要する非常な取引の停滞、恐慌状態で、運転資金等にも窮しておるたとえば繊維であるとか、ゴムであるとか、皮革であるとか、その他一般の雑多な広汎な人々の関係しておる産業方面に対しましては、従来より一層金融的な逼迫を来し、その反面におきまして特殊な鉄鋼であるとか、電気関係であるとか、造船というふうな、ほんとうに開発銀行あたりが対象としておりますような特殊の方面にのみ、一切の資金をあげて法人するということになります結果、恐慌状態が非常にそういつた方面には部分的に緩和されるといいますか、むしろ軍需景気のようなものを部分的に現出するかもしれませんけれども、一般的にはかえつてそうした政策の結果、恐慌状態を深化するのではないかということを考えざるを得ないのであります。そういうふうな方式で今回提案されました金融政策なり、当面とられておりますところの金融上の不況対策というものを、われわれは理解してよいかどうかという点をひとつ御答弁願いたい。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 現在の事態を恐慌と見ておられるから、そういう議論になると思います。恐慌時代ではないのでございますから、おのずから結論がかわつて来ます。私はいろいろなものを正常化すると申しましたが、この金融関係につきましても、制度の上におきまして、また金の使い方におきまして、そのときどきの情勢に応じてやつて行つておるのであります。貸付信託にいたしましても、長期金融機関にいたしましても、日本の経済をより高度のものにしよう、正常化しながら高度のものにして行く、こういう現われでございまして、恐慌を前提としての議論にはくみし得られません。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 端的にお伺いいたしますが、結局ただいまはもうより高度な、あるいは正常化というような言葉で、大臣は表現せられておるのでありますが、わが国の従来の産業の構成を、この際思い切つて重化学工業の方向、さらにいいかえれば日米経済協力等に沿う方向に、編成がえをして行くということをねらいとしての財政金融政策を、おとりになつておるというふうに理解していいのでございますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 そうはいたしておりません。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 今後政府の期待しておる独立後のわが国の経済の行き方という点につきましては、すでに私どもは常識的に、政府の行き方を国民一般はこれを理解しておると思うのでありますが、主としてやはり日米経済協力に依存して行く。そして結局日本の軍需産業等もどんどんこれから最大限度に拡充し、またその基礎産業になる鉄鋼、アルミ、その他のそういつた方面の重化学工業を拡充して行くというところに、今後の政府のいわゆる経済自立のねらいを置いてやつて行くというのが、根本的な政策ではないかということを実は伺つたわけであります。そうでないという御答弁でありますが、それは何としても受取れないのでありまして、これは一々の法案等についても明白に出ておることであります。こういうことになりますと、結局はアメリカの軍需産業がどんどん殷賑を続けて行くという見通しのもとに立つて、それにくつついて、それとの関連において、わが国の軍需産業並びにその基礎産業を振興して行くというところへ、やはり重点を置きまして、一般の貿易等の方面よりもむしろ特需を中心とした方面、貿易にしましても、東南アジア等への軍需的な方面へ主力を注いで行く。これをバツク・アツプするためのいろいろな金融的な施策を講じ、今回提案されたような諸制度を拡充して行くということになると思うのであります。そうなりますれば、結局は今回の行政協定によつて現われましたように、直接調達の関係でありますとかいろいろな関係で、前のわが国の軍需化学工業とはいささかその様相を異にする。非常に不利な条件のもとにおいて、一部の軍需産業が、しかも非常に不安定な状態で部分的に殷賑する。しかしその反面には、非常に広範なわが国の一般的な産業の基礎がくずれて行くのではないかというふうに、考えざるを得ないのであります。もしこの点につきまして、さらに御説明があれば伺つておきたいのであります。  最後に私は、これとの関係においてひとつ大臣の明解な御見解の御発表を、この際願つておきたいことは、こういうふうに非常にむずかしいところへ立ち至つて参りましたやさきに、今般モスクワにおきまして国際経済会議が開かれ、これが非常に大きな反響を及ぼしておりまして、わが国では代表者を出さなかつたわけでありますが、アメリカにおきましても、あるいはイギリスにおきましても、西ドイツにおきましても、相当数の代表者が出たことが報道せられております。このことはわが国の全国民、特に財界関係者といたしましては相当強い関心を持つておる。特に繊維業関係では非常にこれに対して関心を持つております。私自身も繊維業関係者の一人なのでありますが、非常に大きな関心を持つておるのでありまして、これは単なる政治的な問題ではないし、また政治的なことで押えようとしましても押えられるものではない。実際わが国におきましては、今後の貿易の発展という見地からいたしまして、中国あるいはソビエト関係諸国との貿易なしには、立つて行かないというところへ来ておりまするし、またそれに関連いたしまして、繊維界のごときは、これは通産省の報告にも出ておりまするけれども、相当数量の生産能力を持つておりながら、どうしても中国あたりへ売る以外にない。幸いにして今回具体的な提案があちらからありまして、すでにイギリスあたりは繊維の輸出を筆頭といたしまして、一千万ポンドの実際の契約もやつたというようなときであります。わが国といたしましても、絹や紡績製品その他のものにつきまして、具体的な購入の申込みもある。石炭その他につきましても、有利な販売の申込みもあるのであります。こういうときに幸いにして高良氏が向うへ行かれまして、非公式ではありましたが、わが国の立場を世界各国に知らすこともできたでありましようし、今後の顔つなぎというものが、高良女史によつてやられたということにつきましては、業界一般が非常に高良氏のお帰りを期待して待つてもおりまするし、今後の政府の打つ手を注視しております。実は私もこの新聞を見ましてちよつと感じたのでありますが、これはまだ正式に出たものかどうかわかりませんが、新聞によりますと、中国に対しまして繊維機械の輸出をやりたいということを、通産省あたりで文書にして今度の報告書の中へ出すというような報告も出ておるのでありますが、いずれにいたしましても事ここに至りましては、政治的な問題を一応度外視いたしました世界中の参加するこういつた貿易の振興のための会議、しかも今度は恒常的な貿易拡大委員会が設置されるそうでありまして、わが国からもおそらく何らかの形で、これに参加しなければなるまいと思うのでありますが、そういうところに立ち至つておりますこの際、大蔵大臣として、政府の、いわゆる独立を前にいたしまして自主性のある、まつたく客観的に妥当性のある立場に立つて、この会議の今後の発展については、従来とはいささか異なつた態度なり考え方をもつて処せられるのが、私は当然だと思いますし、おそらく大臣もこの点については相当のお考えを持つておられるのではないか。もう世界各国の新聞等におきましても、今回のモスクワにおける国際経済会議は、最近における最大の事件である、大きな問題だということを筆をそろえて書いておるのであります。わが国におきましては、今回わが国一国だけがはからずもここから抜けるというような、まことにおもわしくない状態を現出したわけでありますけれども、今後におきましては、わが国の平和的な経済の振興のために、経済のいわゆる真の意味における自立発展のために、大臣は世界に大きな反響を呼び、国内においてもとうてい将来押え切ることのできないであろうところの経済的な必然的な要望に対しまして、どういうお考えを持つて処せられんとしておるかということを、この際明確にお伺いしておきたいと思うのであります。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 モスクワ経済会議を非常に宣伝しておられるようですが、各国代表が帰国してからの意見を見ますると、あまり効果はなかつたという意見が多いようであります。私はそう見ております。正常な国交が回復いたしますれば、正常な取引も出て来ると思います。今私は何も急いで手を打たなければならぬときではない。中共貿易が復活すれば日本経済にはいいということは、機会あるごとに言つておりますが、これがなければ日本は立ち行かぬ、そうは考えておりません。

高田富之日本共産党

○高田(富)委員 最後にもう一点だけお伺いしたいのです。そうしますと、大臣としても経済的な観点から確かにそれを希望しておられる。けつこうだということは認めておられる。そこで政府と政府との間ということになりますと、政治上の問題やいろいろな問題があると思いますが、実業界自身、あるいは労働組合なり民間人自身が、積極的にそういつた方面で商取引を取結ぶというような機運が増大して行くことは、非常にけつこうなことであつて、むしろそれが政治的か障害を一つ一つ打破して行く効果があるかもしれない。私はあると思います。そういう意味におきまして、政府の立場は一応度外視しましても、いわゆる民間人による民間外交といいますか、一種の商売と申しますか、近いうちにおそらくアジア方面の経済会議も開催されるというようなことが伝わつておるのでありますが、そういう民間人の自主的な、国際的な通商の隘路の打破ということにつきましては、イギリス等においてもそれは非常にけつこうなことだというので、政府自身は積極的に口火は切らぬまでも、民間人をしてやらせることには、非常に好意的な態度をとつておるわけであります。わが国におきましても、少くとも民間人によつてそういう機運が促進されるということについては、政府としても今後大いにこれを喜ばしいこととして見て行く態度をとられることが、絶対に必要であると思いますが、その点についてはどうお考えになりますか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 御意見は承つておきますが、ものによりけりです。

佐久間徹自由党

○佐久間委員長代理 松尾君。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 簡單に二点ばかりお尋ねいたします。  第一には、国際貸借の問題についてお伺いしたいのですが、独立後の日本経済の確立とか、国民生活の安定とかいうことは、三点にかかつていると思うのです。その三点は、今後特需をどのくらいとるかという問題と、それから中東あるいは東南アジアの開発、あるいは外資導入であると思うのですけれども、その特需は二十七年度にどのくらいとれるか。あるいは外資はどういう形で、どんな量が入つて来るか。それから中東並びに東南アジア開発といいましても、日本のような経済力のないものが、それ自体開発をすることはできませんので、私の考えではアメリカがこれらの国に対して、どのくらいのクレジツトを与えるかという問題と思うのです。それでこれは、日本がその場合にこのクレジツトを決済資金として、どのような業種にどんな商品の取引をして、どのくらいの外貨を獲得できるかということによるのではないか、こういうふうに思うのですけれども、この点の政府の見通し、それから大臣個人のお見通しがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 みな相手のあることについての見通しを聞かれますので、なかなか答えにくいのですが、特需というお話でございますると、今までは大体月に三千万ドル程度でございます。今後もその程度はあることを期待いたしております。これは朝鮮事変がどうなるかによつて影響は受けまするが、私は、この月三千万ドル程度のものは朝鮮事変がどう解決いたしましても、将来一年間は大して動かないのではないかと思います。  それから日米経済協力によりますいわゆる新特需というものにつきましては、これは今までの実績がありませんので、予想は差控えたいと思います。  それから外資の導入につきましても、これはいろいろな形態のものがありますので、どういう外資の形態を御想像になつているのかわかりませんが、民間同士の外資の導入は今まで以上に相当期待し得ると考えております。  それから向うの輸出入銀行からの分は、綿花借款で四千万ドル来ておりますが、まだ二千万ドルばかりしか使つておりません。日米経済協力の進むにつれて、輸出入銀行からの外資の導入は相当期待し得るのではないか。たとえば設備の近代化ということによつて向うの機械を入れますと、輸出入銀行はその機械の輸入資金の一部分を負担することを例としております。そういう場合があるのでありますが、こういうことも期待し得ると思います。また世界開発銀行、すなわち国際通貨基金へ加入した場合におきましても、開発銀行からの導入につきましては、政府は極力やつて行きたいと考えておりますし、また政府の保証によりまする電源開発等の外資につきましても、できるだけ早くたくさんの外資が来るように努力いたしておりまするが、こういう問題は一に日本の経済力の進む度合い、信用の高まる度合いによつてきまることと考えているのであります。  また東南アジアの開発につきましても、これは外資の導入とも関係がございますが、日本独自の力でも相当の開発をして行つているのであります。日本輸出銀行の投資も相当に出ておりますし、また日本輸出銀行ばかりでなしに、アメリカとタイアツプして開発するということは一つのよい方法でありますので、二、三の産業につきまして向うと折衝を始めているのもございますが、東南アジアの開発は、日本の経済自立にぜひとも必要なことであり、また国際平和を確立する上においても、ぜひともやらなければならぬ問題でありますので、われわれの資金の許す限りにおいて、しかもまたその資金が米国の投資の呼び水になるように、努めて行きたいということで進んでおります。私はこれも相当できることと考えております。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 独立前と独立後の日本経済は、一体どのくらいのパーセンテージ復興するでしようか。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 これは私がどうやる、こうやるというのではなしに、国民全体がかせぎ上げることであるのであります。大蔵大臣、総理大臣がいかに笛を吹きましても、国民がおどらなければいけない。大蔵大臣がいかに金を貸してくれと言つても、日本が信用し得られるものにならなければ金も来ない、こういうことでございますので、私は今までの状況を見まして、これは国際関係にもよりますが、今までよりよい条件になることは確かでございます。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 次に徴税問題について、いつもながらちよつとお尋ねしたいのです。二十七年度は徴税状況がよかつたように思われますけれども、どうも景気が低落しているような様子、大臣は大臣の責任におきまして、経済の正常化をはかつて行くことに努力していらつしやることはわかりますけれども、日銀の貸出しの面を見ましても、だんだん減つて来ておりますしするので、一時に経済の停滞を直して行くというわけにも行かないでしようと思いますが、かなりの時間的ずれがあると思う。そういつた時代において、二十八年度は徴税が十分に予算通りおできになるかどうか。こういうことを聞きますと、大臣は政府側に立つてできるとおつしやることはあたりまえなんですけれども、たとえば徴税する場合に、とれる状態でとるのか、それともとれない状態でも無理にとるのかという問題です。たいへんおこがましい例題ですけれども、みかんの栽培者がみかんをとつて、来年もより多く収穫を得るようにとるというのでなくして、枝や木までも折つて持つて行つてしまつて、来年は減収どころか他の苗を植えなければならないというような状態になると心配なので、この点をお尋ねいたします。

池田勇人自由党大蔵大臣

○池田国務大臣 御質問は一年ずれておりますが、昭和二十六年度では大体三百億円程度の自然増収、この前も補正予算で千五百億円の追加収入を見込みましたら、これは水増しだとかどうとか言われましたが、その水増しがまた三百億円あれよりふえました。しかしてちまたには昔ほど苛斂誅求の声は聞きません。これは私はいばるわけではありませんが、日本国民が努力されまして所得がふえて来る。減税いたしましてもそういうふうに所得がふえて来ているのであります。昭和二十五年度は百二十億円の自然増収でございました。それから昭和二十四年度も相当の自然増収をいたしております。大臣になりまして三べん決算いたしましたが、いつも自然増収、これで昭和二十七年度がどうなるかということを御想像くだされば、決して無理な税金をとつたり何かしなくても、自然に入つて来るのであります。

松尾トシ子日本社会党

○松尾委員 商売の実態とか台所というものは、大体政府のデータとか一万田さんのいろいろな発表の通り、なかなか行つておらないのです。それで私どもの聞く範囲では、産業なども非常に低落しておりますし、従つて購買力もないというわけで、ある一面には貯金にまわつているという声も聞きますけれども、この点を強行しないと、なかなか税金も納まらないのではないかしらぬと考えておりますが、これは大臣と私との考えの相違だと思いますから、この程度で私の質問を終ります。

佐久間徹自由党

○佐久間委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十二分散会

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