大蔵委員会 第40号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/03/27
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 一昨二十五日本委員会に付託に相なりました国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案、及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨の説明を聽取いたします。政府委員西村大蔵政務次官。
○西村(直)政府委員 ただいま議題となりました国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 この法律案は、事務の簡素化に資するため、国庫出納金の端数計算について若干の改善を加えようとするものであります。すなわち地方税の延滞金及び加算金につきましては、これまで国税及び地方税の本税についてと同様な端数計算方法によらないで、一般の国及び地方公共団体の出納金の端数計算方法により、一円未満の金額を四捨五入することといたしていたのでありますが、今回これを国税の利子税及び加算税についてと同様の方法に改め、收納の場合には十円未満の金額を切り捨て、還付の場合には一円未満の金額を一円に切り上げて計算することといたしました。また外国為替等を基礎とする收入金、支出金及び国債証券の利子につきましては、これまでは一銭未満の金額を切り捨てる方法をとつておりましたが、これを一般の国庫出納金の端数計算と同様、一円未満の金額について四捨五入する方法に改めることといたしたのであります。 以上がこの法律案の提出の理由であります。 次に国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 現行の旅費の定額は、一昨年四月に定められたものでありますが、その後における国内の経済事情は相当変化いたしており、また近く日本国との平和條約の発効に伴いまして外交も再開されることとなりますので、この際実情に適合するように、内国旅費及び外国旅費の定額を改訂増額いたしますとともに、あわせて規定の整備をはかることが必要であると認め、この法律案を提出いたした次第であります。 次に本法律案の大要を御説明申し上げます。 第一に、内国旅費の基本定額につきましては、これを現在よりおおむね一五%ないし二〇%引き上げることといたしました。なお現行法律では、右の基本定額を基礎とし、これに旅行者の職級に応じた数段階の割増し歩合により計算した額を加算して支給する建前でありましたが、事務簡素化の見地からこれを改めまして、その段階区分を整理するとともに割増額を含めた定額で表示することに改めました。 第二に、外国旅費の定額につきましては、その基本定額は、従来諸種の名目で支給されていたものをあわせて整備いたしますとともに、旅行者の職級に応ずる割増し区分及び割増額は、ほぼ内国旅行の場合と権衡をとつて定めることといたしました。 第三に、外国旅行の場合の鉄道賃、船賃及び支度料につきまして、外交再開後の実情に適合するように、その支給條件を合理的なものに改めることといたしました。 以上申しましたほか、制度運用の実情にかんがみて若干の規定の整備をはかることといたしております。 なお今回の定額改訂による旅費の増加額につきましては、すべて既定予算の範囲内においてまかなう方針でございます。 以上が国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由でございます。御審議の上すみやかに御賛成いただきますようお願いいたします。 —————————————
○佐藤委員長 次に租税特別措置法等の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、及び災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の四税改正案、及びポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律案の五つの法案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。松尾トシ子君。
○松尾委員 ただいま議題となりました五つの法案のうち、少しばかりお尋ねを申し上げてみたいと存じます。 住宅のはなはだしい不足の折から、特別償却を認めたり、あるいは登録税を軽減したりすることは、まことにけつこうでございますけれども、これらの特定の住宅すなわち住居に充てたり、あるいは貸家や会社等の従業員の居住に用いるもののみにこれが適用されるのでありますけれども、その場合に建物の総建坪数とか、あるいは一人で何軒建てても制限がないのですか、その辺をひとつ……。
○平田政府委員 これはお話のような御趣旨で設けることにいたしたのでありますが、やはり庶民住宅に中心を置くのが妥当と考えられましたので、償却の方は坪数が二十坪以下くらいの家にいたしたい。但し鉄筋コンクリートづくり等の場合におきましては、一世帯当り二十坪以下の場合は、該当するようにいたしたい。 それから登録税をもう少し緩和いたしまして、一般住宅の促進をはかつた方がいいのではないかという考えからいたしまして、この方につきましては、住宅でございますれば特別の制限を加える必要はなかろう、こういう考えでございます。
○松尾委員 ところで会社の従業員に充てると称して大きなものを建てた上に、あとから会社の個人の財産に切りかえて、アパートにするというようなことがもしあつたと仮定したら、またあり得ると思うのですけれども、そうした脱法行為をいかに防ぐというお考えでございますか。
○平田政府委員 今申しましたように、特別償却を認めますのは、二十坪以下くらいの住宅に限られますので、そういう問題はないかと思います。それで登録税の場合だろうと思いますが、これは居住の用に供する家屋ということになりますれば、おのずから限定されまして、お話のように何かクラブ等に使うようなものにつきましては、これはもちろん該当しないように措置いたしたいと考えておる次第でございます。
○松尾委員 住宅の問題に関連いたしましてお尋ねをしたいのですけれども、旧来から現物給與式にあてがわれておりました社宅に、固定資産税がかかるというので陳情を受けたことがございます。さきに政府もおつしやつたのを記憶しておりますが、住居しておる者がこれを拂うのが妥当だと言われたように思いますけれども、これは所有が自分のものではないのでございますし、また源泉課税を拂うような階級の人でしたら、固定資産税を拂うというのは不穏当ではないかと私は思うのです。こうしたことを言い出した原因と、今後この現物給與を受けているような人たちに、いかなるケースにこれが波及して行くかということについて、お伺いしたいと思います。
○平田政府委員 国定資産税の方は、お話の通りこれは所有者が負担すべきものでございますので、税金自体を借主から拂わせるということは、あるべきことではないと思います。ただ御承知の通り地代家賃の統制令で、地代家賃が統制されておりますが、この統制額につきましては、固定資産税が上りました場合におきましては、引上げを認めるという従来からの方針にいたしまして、従いまして、間接に借家人の方に固定資産税が転嫁される。これはあり得ることでありまして、それはやめるわけに行かぬというふうに考えております。それからもう一つは、たとえば住宅をただで入れているような場合の現物給與の問題だろうと思いますが、これも所得税法の建前で、金銭以外の收入といえども、利益を得た場合は所得に見ることになつておりますので、普通の家賃の半分以下くらいの非常に安い家賃で入れたり、あるいはただで入れている場合におきましては、適当な家賃相当額を見積りまして、それを所得に見る。これも所得税法の建前上、私ども当然の行き方ではないかと考えておる次第でございます。
○松尾委員 その場合に何か公務員の住宅はただというようなお話を伺つておるのですけれども、そういうことはございますか。
○平田政府委員 公務員の住宅も、普通は役所が家賃をとつてやつておりますので、その問題はございません。ただ例の義務的な官舎と申しますか、一定の場所にどうしても居住させなければならぬというので、いわゆる義務官舎と称する分で、これはそこに住むことが事業の経営、あるいは公務の執行上必要だ、こういう理由で、無理に住ましておるわけでございますので、その分は見ておりません。それはひとり役所だけでなくて、会社の場合におきましても、事柄の性質が、どうしてもその家に住ませなければならない、むしろ業務経営の必要上、家屋を提供してそこに住ませる、こういう場合におきましては、所得を見ない方が妥当ではないか、こういう考えでいたしておる次第でございます。
○松尾委員 次に、讓渡所得課税の合理化をはかるために、宅地や農地を売りましたとき、前後一箇年の間に、それと同類のものを購入した場合には課税しないとございますけれども、実際には、これをいろいろな事情から売りまして、他に小さいものなりを買おうとしても、買えない事情のある場合が多いのです。そのために一箇年間ではちよつと無理ではないかと私は思うのですけれども、もう少し延ばすお考えはございませんか。それから法人でも個人でも、同じようにこれを適用されますか。
○平田政府委員 この期間をさらに延ばすということになりますと、実は課税が非常にやつかいになりまして、前に売りましたときの課税を一応留保しておくわけでございますので、その期間が長くなりますと、因果関係がはつきりしないで、手続も非常にやつかいになりますので、前に買つてもいい、あとに買つてもいい、そうしますと、二年になりますが、先に家を買いまして、一年あとに売つてもいい、一年以内に売つてもいいし、先に売りまして、一年以内に買つてもいい、こういうわけでございますので、なかなかむずかしい場合もございましようが、大体はこれで治まるのではないかというふうに考えておる次第でございます。あまり長くいたしますと、どうも課税関係が非常にやつかいになりまして、因果関係もはつきりしないということになりますので、まずこの程度が妥当ではないかと考えておる次第でございます。それから法人の場合は、ちよつと事情が違いますので、こういう規定を適用しないことにいたしております。特別にこういう措置は講ずることにいたしておりません。
○松尾委員 昨日の御説明で、民間航空事業を保護するという意味から、ガソリン税を向う一箇年ばかりとならないというふうに御説明なさいましたけれども、このあたりから大量のガソリンがやみに流れて、民間のハイヤーに使われるということはあると思うのですけれども、これをどういうふうに防止なさいますか。
○平田政府委員 その点は少し嚴重にいたしておりまして、單に航空用ガソリンということだけでなく、実際におきまして航空機会社が購入したものという、両方から縛ることにいたしております。つまりオクタン価の高い、一定の程度以上という制限と、それからそういうものを現実に航空機会社が買う、こういう二つの條件をつけておりますし、大体ガソリンの消費量というものは、割合にはつきりいたしますので、お話のような弊害は大体なかろう。対象も非常に少うございますし、またそういうものにつきましては、嚴重な監査等もできますので、御心配のようなことは、この点に関しましてはなかろう、こういうふうに考えておる次第であります。
○松尾委員 現実にはなかなか流れて、ガソリンがないときでも、すぐに持つて来ると言う人があるのですから、むずかしい問題だと思います。 その次にお尋ねしたいのは、生産奨励用の特殊用途の酒は、加算税を課さないというふうにここにうたわれておりますけれども、一体どのくらいこれに該当するものか。同時に今後はどんな方面におもにこれを出すかそれからまた所得税の自然増がたいへんあるというときにあたつて、その自然増の中に酒税もまざつておると聞きました。それで奨励用の酒の値段をもつと下げるお考えは、ございませんですか。何か酒の税金はとれて、自然増の一項目になるということを聞きましたのでお伺いいたします。
○平田政府委員 この規定をかえましたのは、今までは物調法に根拠を置いておりましたのが、物調法がやめになるので、租税特別措置法を根拠にして、加算税を除きました安い酒を供給して行きたいというので、この規定を設けようというのが改正の趣旨でございます。大体それをどういうところに配給する見込みかというお話でございますが、大体におきましては、私どもはやはり農林に対しまする増産奨励及び供出の完了のための奨励に向けたい。そのほかに非常災害の起きた場合におきまして、復旧事業等に非常な重労働を要するような場合におきまして、非常災害用としましてある程度の配給は続けて行きたい。その二つが主でございます。なおしかし問題は若干ございまして、工場、鉱山等に対しましても現在配給しておりますが、この方はどちらかと申しますと、配給の意義が最近はよほど少くなつて来ている。従いまして、原則としましてはこれをやめたいと思つておつたのでございますが、しかしこれも大分各方面から御意見なり要望がございますので、鉱山で穴の中に入つて働くような人々、そういう人々についてだけ残すか残さないか、なお若干検討することにいたしております。石数は大体十七、八万石程度、やはり本年度におきまして、安い酒としまして供給して行きたいと考えております。 それからもう一つのお話は、もつと値段を安くしたらどうかという御意見でありますが、これも確かに一つの考え方でございますけれども、どうもやはりこういうものを長く安い値段で供給するというのは、だんだん正常化されて行きますると、少しいかがであろうかというふうに私どもは考えておる次第でありまして、値幅はどちらかと申しますと、接近するという方向に行くのが、筋から行きますと本筋ではないか。現在大体二割程度値段が安くなつております。税率ではもつと安いのでありますが、公定価格では一割五分から二割程度低くなります。今の段階におきましては、まずこの程度が適当ではないかと考えておる次第でございます。
○佐藤委員長 関連質問の申出がありますのでこれを許します。武藤嘉一君。
○武藤(嘉)委員 今松尾委員から酒の税の問題が出ましたから、きようは国税庁長官と主税局長と二人ともいらつしやるので伺いたいのですが、最近非常に問題になつているのは、酒の販売のびん付の問題であります。これは一年以上も業者の間でいろいろ議論百出の結果、大蔵省で最近容器付販売ということになされたようでありますが、実際これは大都会においては、これでけつこうな方法であろうと思います。ことに今日では、ガラスびんというものが非常に出まわつているかのごとく思われますが、しかし地方の山間僻地では、まだ非常に戦争当時の慣習が残つておりまして、びんを非常に貴重なものだと考えているのであります。ことに農村の人たちはそう考えておりますので、びんを持つて酒を引取りに来る場合が非常に多い。いわゆる昔でいうリンク制がまだ跡を絶たないのであります。そこで最近この問題については、全国的に御統一になるような御趣旨ではもちろんあると思いますけれども、末端へ参りますると、容易にこれが行われておらない。そのために容器付販売ということをはつきりうたわれるとよかつたのでございますが、私が聞くところでは、何でも物価庁で発表されたのには、一升びん一本四十円加算ということをうたつてあるそうであります。そこでどうしても四十円引いたものが中身である、こういう値段で売ろう、こういうことになつて来る気配があるのであります。ところで役所の方では、それはならぬ、小売では二十円、あるいは卸売では三十円、あるいは生産者が引取る場合には三十五円というふうに、おきめになつておるのでありますけれども、これは励行されておらない。そのために実は酒の販売について大蔵省は非常にやかましくおつしやられて、何とか取引の正常といいまするか、現金取引を励行されておるのでありますが、最近びんの問題について一種の値引きをして、競争して品物を売る。また値段もそれがためにまちまちです。容器の加算のためにまちまちになつておる。これは実は大蔵省の御趣旨ではなくて、物価庁の方が十分大蔵省の御意向をしんしやくしないで、容器加算四十円というようなことを告示に書いたそうでありますので、これがとんだ弊害を生じておると私は聞いておるのでありますが、とまれ、その問題で非常に値段の高低ができて、やみ取引の原因がここにあるわけであります。これは何とか大蔵省におかれては、無理でもこれを政令で強行せられるか、あるいは自由にしてしまわれるか、どちらかにきめないと、この問題は非常に全国的な問題になつておりますので、きよう幸い主税局長並びに高橋長官から御意見を承りたいと思います。
○高橋(衛)政府委員 ただいま御質問の酒のびん付価格の問題につきましては、ただいまもお話の通り、ずいぶん前からびん付の価格にした方がいい、あるいは中身の酒の価格にした方がいいということが、論議されて来たのであります。ところが私どもは、最近びんの供給も非常に円滑になつて参りましたし、またびんをつける場合には幾ら、それで引取る場合には幾らというふうな一つの基準を示して、従来はいわゆる取引の正常化という面において、不正競争が行われないようにという趣旨から、それぞれ販売関係の方、あるいはメーカーの方について御協力を願つて参つたのでありますが、その後ずつと情勢を見ておりますと、だんだんびんの供給が非常に円滑になり、しかもそういうふうにびんのリンクをするということによつて、かえつて各方面に非常な負担を増す、また経済の正常な運営から申しましても、それがかえつていろいろ運行を阻害するというふうな面もございまするので、これは各方面の意見を全部総合調整いたしました結果として、どうしてもびん付価格にすることが妥当であるという結論に達しましたので、先般の酒の公定価格改訂の際におきましては、物価庁とも協議いたしまして、びん付価格を原則といたした次第であります。もちろんその際におきまして、ただいま武藤さんの御心配になられるような点がありはしないかということを十分予想いたしまして、それに対してもいろいろと研究いたしてみたのでございますが、これは理論上の問題としては、そういうふうな懸念もある程度あり得るかと思いますが、全国的に見ますれば、きわめて小さな数量のものにある程度限定されると思いまするし、今後大勢が順次リンク制を離れて行くという現状にもございますので、私どもは、それほど心配したことはないのじやないか。これを悪用されるという面があれば、その悪用されるという面において、それぞれ自粛をお願いし、取締りをお願いするということによつて、解決され得る問題ではないかというふうに考えております。
○佐藤委員長 武藤君、どうか簡單にお願いいたします。
○武藤(嘉)委員 お説の通りで、私も賛成でございます。それならばうんとこれは励行するように、ひとつ御指示ありたいと考えます。なお短かい時間でありますが、先ほど出ました配給酒が残つておりまする関係上、今甲と乙というこの卸の機関に区別があるのでありますが、これは今すぐ廃止して甲、乙の区別をなくしてしまうという議論が、大蔵省の一部にあるやに拝聽いたしておるのでありますが、私どもは今すぐこれをおやりになるならば、相当に取引の混乱を来すものであると考えておるものであります。従つて、これをおやりになるようなお考えがありやいなや。もしおありになるといたしまするならば、混乱期を乗り切るために、猶予期間とか何かで、一瀉千里に、抜打ち的におやりにならないことが、私は必要であると考えておるのでありますが、御所見を承りとう存じます。
○平田政府委員 これは御指摘の通り、私どもは将来はやはり二本建にいたしますのが、どうもあまりおもしろくないのじやないか、一本に行くべきものじやないかと考えておりますが、御指摘の通り一ぺんに行きますと、いろいろ卸機構等に影響がございますので、漸進的にある程度の期間を置きまして、順次そういう情勢を確立しました上で、実行に移すようにいたしたいと考えておる次第であります。
○佐藤委員長 内藤友明君。
○内藤(友)委員 簡單なことでございますが、一、二お尋ねいたします。この前米の超過供出の問題が出ましたときに、これに対する奨励金について、課税を免除するということを考えようということになつて、この前話がついたのであります。今度の特別措置法を見ますと、それがどこにも書いてないのでありますが、あのお約束はどういうふうなことになりましたのか。それをひとつお尋ねしたいと思います。
○平田政府委員 あの問題は、先般もお答えいたしましたように、二十七年分の課税の問題でございますので、なるべく行政的措置で行きたい。しかしどうしても行政的処置で解決つかない場合におきましては、立法的措置を講ずる、こういうようなことで、とにかく課税しないことは、はつきりいたしましたが、その方法につきましては、なお検討の余地を残しておりますことは、内藤さんも御承知の通りだと思います。従いましてその問題につきましては、私ども間に合うように、最終的にはどちらかの方法で処置いたしたいと思いますが、なお若干結論に達しておりませんので、今回の措置法には出しておりません。しかしいずれにしましても、結論をかえるようなことは、政府としましてはないということで、御了承願いたいと思う次第でございます。
○内藤(友)委員 実は、農林省で至急に超過供出を、全国をお歩きになつて勧めておられるのですが、頭打ちになつておる。というのも、やはりこの問題を政府がはつきりなさらぬということが、一つの原因になつておるのであります。そこでお尋ねしたいのでありますが、行政的処置で行かない場合は、立法的処置をとるというお答えでありますが、行政的処置で行かない場合というのは、どういうことなんでありますか。それなら法的措置で、今度の特別措置法の中へ入れた方がいいんじやないかと思うのでありますが、行政的処置ができない場合が予想されるならば、もうここへ入れた方が簡單しごく、それによつて全国の超過供出が出まわることになりまするし、農林大臣がわざわざ方々お忙しいとき御苦労願わぬでも、いいのではないかと思うのでありますが、それはどういうことなんでございますか。
○平田政府委員 この問題は、内藤さんも御承知の通り、今度は一種の手数料と申しますか、出す名目も、従来と若干かわつているようでございまするし、実費弁償的な手数料だと、事実解釈できるようでございますれば、全体は多うございますが、各個人々々で申しますと、額も比較的少い額でございますので、まあ私ども大体行政的処置で行き得るのではないかとも思うのでございますが、その辺のところは、なお事実をもう少し確かめた上でないと、結論をつけがたい。そういう点からしまして、解釈上いかにも無理だということでありますれば、これは立法的処置によらなくちやならぬということになりますが、いずれにいたしましても、課税しないという結論はきまつておりますので、供出等に影響のあるようなことはあるまい。私も先般いろいろ農民組合の方々からもお話を承つたのでありますが、前回匿名供出をやりました際には、内藤さんも御承知の通り、課税上は特別な考慮はしない、大蔵省ははつきりそういうことで農林省とも話しまして、実行に移したのであります。主として翌年の供出の関係におきまして、匿名供出にするんだ、こういう趣旨でありましたのが、若干誤り伝えられまして、課税上も何とかなるというような、農民に影響を與えたかのような結果がありまして、その結果、政府は約束した通りのことをやらぬ、こういう不信を受けた節があるかに聞いているのでございますが、その点は前回と今回と全然違います。前回は、大蔵省としましては、あくまでも匿名供出は供出の関係でありまして、課税上は経費の見方はできるだけ見るが、課税しないというようなことは、全然あの当時は言つていなかつたのでございます。そういう事情がございますので、前回と今回はよほど違いますから、私はお話のような心配は、まずなくてやつて行けるのではないかと思うのでございますが、なおそういう点はこういう機会におきましても、はつきり言明いたしまして、そのおそれのないようにいたしたいと存ずる次第でございます。
○内藤(友)委員 それはひとつ早く何らかの結論を出していただくことといたしまして、そこで、これはまたいつもの主税局長に対するお頼みでありますが、今度のこの特別措置法によりまして、住宅を何とかふやさなければならぬということから、特別な措置を考えられた。これはまことにけつこうであります。こういうふうなことが、一つのりつぱな政治だと思うのであります。そこで私ども考えますのは、今日私ども一番心配いたしておりますことは、実は食糧の不足、この問題であります。政府が二十七年度の予算の中にも、はつきりと価格調整費二百七十億、これに見合う輸入食糧は、三百五十一万トンというものを入れることにいたしておるのであります。ところが、ことしはこの三百五十万トンというものが、なかなか実は入りません。これは私はことしの十一月ごろへ行きますれば、少くとも四百万石は足らぬ、手を上げるのじやないかと思うのであります。そこで何とかやはり国内において増産の方途を考えなければならぬのでありますが、今日の増産を一番はばんでおるものは、税金であります。増産すればするほど税金をとられるから、やめておこうじやないかといつて、自給生活に入つてしまうのであります。だからこの際思い切つて、私はこの国の今日のあり方から考えて、農業所得のうちの米代金を、ひとつ課税の対象からはずすということを思い切つてやつてみる。これは税金では大したことはございません。正直に申しますと、日本は七反平均の農家でありますから、農業所得を納めておるのはごく少いのでありますから、そう大きいものじやないと思うのであります。そこで農業所得全部やめろということは申しませんけれども、農業所得の中でこの米代金を、何とか課税の対象からはずすという思い切つたやつをやりますれば、農民の諸君は増産をやり、そのことによりまして、幾らかでも不足食糧を補えるのじやないか。ことに三百五十万トン、トン二百ドルといたしましても、七億ドルの金がいる。ドル不足のときに七億ドルといえば、たいへんな金であります。ことに今日、タイ、シヤムを見ましても、なかなか食糧はそう入つて来ないのであります。そういうふうなことを考えると、思い切つたそういう処置をおとりになれないものか。この次、租税特別措置法というふうなものをお考えなさるときに、こういうやつをひとつお入れいただきますと、政府は今日の日本のこの国情をよく認識しておられるということになるのでありまして、日本の国はそれによつて救われるのではないかと思うのであります。これはお頼みでありますが、近い将来にそういうお頼みを実現できますかどうか。平田さんのお答えを願いたいと思うのであります。
○平田政府委員 なかなか大問題でございますが、御指摘の通り所得税、直接税というのは、どちらかと申しますと、もうければもうけただけよけい納めてもらう、利益があればよけい納める、所得があればよけいに納める、それが非常に多額なら、累進率で高く課税する。これが例の税制の理論上の一番重要な点でありまして、いわゆる応能負担の原則という点から来る一般の重大な原則でございますので、こういう原則でやりました直接税のシステムが、増産という見地から申しますと、どうもどうであろうか、こういう点に実はぶつかつて来るのでありまして、これは一般的に、ひとり農業、食糧増産だけでなくて、全体にある問題でございますが、そこはやはり程度の問題で、税金というものは力のあるものからとるという根本は捨てるわけに行かない。従いまして根本を修正するというようなところまで行くということになりますと、これはなかなか問題は解決しにくい。ただしかしそういう事情もございますので、まだ一般の所得が低く、増産の必要がある場合は、あるいは全体として何か間接税のシステムに移つた方がいいのではないか、こういう議論もございます。これも確かにそういう見地からする一つの検討に値する事柄ではないかと思うのでありますが、そういうことは、そういう事柄だけからきまりませんで、全体の租税政策を立てる上における総合的見地からきめなければならない。食糧増産の必要があるから、米だけにつきまして、非常にそういう税制の大原則を根本的にくつがえすようなことをして行くことは、どうもこれは少しどうであろうかと考えておる次第であります。ただそういうことが大分ございますので、私ども農業所得税はできるだけ軽くなるように、全体の仕組みを考えておる。所得税におきまして基礎控除、扶養控除を引上げます結果、一番利益を受けますのは実は農民でございまして、これは内藤さんよく御存じの通りに、農業所得税の納税者は毎年減つております。統計も出しておりますが、昭和二十三年が三百七十三万九千人、二十四年が三百二十万五千人の納税者でありましたのが、二十七年の見込みでは百二十八万一千人、約三分の一くらいに納税者の数が減る。税額も昭和二十四年は四百二十一億円程度課税いたしたのでありますが、それに対しまして、二十七年度は百二十五億円程度に減る。それで国民所得の中に占める農業所得に対しまして、所得税の負担がどうなるかということを調べてみますと、二十三年は一五%程度の負担、二十四年度が九%程度の負担でございましたのが、ことしは一・四%の所得税になつて、これに市町村民税がかかりますので、一・四%の二割くらい市町村民税を通じましてふえまして、それでも二%くらいになる。すなわち国民所得の中における農業所得に対しまして、所得税の形で国と市町村に納めてもらつておる分は、二%くらいに低減されて来た。従いましてここまで行きますれば、お話のような点から行きましても、私はよほど緩和されて来ておるのではないか、というふうに考える次第であります。もちろんそういう問題は税制全体を通ずる大きな問題でございますが、さつき申しましたような事情もございますので、今すぐそういう措置を講ずるということは、少しどうもどうであろうか、かように考えておる次第でございます。
○内藤(友)委員 二十七年が百二十八億というのでございますから、正直申しますと大したことはないのでございます。けれどもただ感じの上で、百二十八億の農業所得をとるかわりに、価格調整金二百七十億拂つておるという始末なんですから、もうちよつと考えると、日本ではこの食糧の増産ということが相当できるので、もう大したことではないのであります。おやりなすつても決してこれは国家が收入が減らぬのでありますから、思い切つてそこまでやつてもらわぬと、この際の国の政治じやないと思うのでございます。それはひとつお願いいたしまして、その次に土地とか家屋とかの評価でありますが、この評価が、登記所では何かカードのようなものを持つておられるようでありまして、ほんとうに連中がどれだけに売ろうが、それが自分の方のものさしに合わないと、これだと、こういわれますが、あれは法律か何かによつておるのでありますか。それともただ事務を円滑にするために、これはやはり高橋さんの方かどうかは存じませんが、そういうことになつておるのか。実はこういうことがある。大蔵大臣が認可した土地家屋の価格、それを証明を持つて行きましても承知しない。その登記所の自分のところのものさしに合わないものだから登記しない。こういうことがあるのでありますが、それは一体どういうことなのか、ひとつ教えていただきたいと思うのであります。
○平田政府委員 これは御承知の通り登記する場合には、概して実際の売買価格よりも低いところで届け出る場合が大分ある。従いまして登記所におきましてはやはり一定の標準的な価格、これも時価よりも少し低目に見ておるようでございます。そういうものさしを持つて参りまして、それで原則としてはやつた方が、結局登記価格の適正を期し得るのじやないか、こういう趣旨で実行いたしておるかと思います。それが非常に高過ぎるかどうかということになりますと、これは問題だと思うのでありますが、私どもいろいろ聞いたところによりますと、そう一般的に高過ぎないと思つておるのでございますが、もしもそういうのがございましたら、現場におきまして税務署と相談した上で、登記所としましても適正なものによるべきではないかと、考えておる次第でございます。
○内藤(友)委員 それは大蔵大臣が認可した価格なんです。この田というものはこれだけだ、ことにこのごろいろいろな団体が整理されまして、それを売るときには、すべて大蔵大臣の認可をとつて売つておるのがあるのですが、それとその登記所の持つておられるのと——どうしても登記所のやつで行かなければならぬというのがあるのです。大蔵大臣はいいかげんな認可をしているということになるのですが、それはどちらをどうというふうに考えればいいのか。
○平田政府委員 どういう場合にどういうものに対して認可いたしましたのか、それが問題でございますが、国有財産等で特別な場合には、時価より低く拂下げできるという規定もございまして、そういう場合でございますと、問題が違うと思いますが、要するに問題は、はたして登記所の評定価格がいいかどうかという問題でございますので、これはやはり個別的にできるだけ適正を期すべきものでありまして、具体的にその問題につきまして、よくひとつ登記所とお話合い願うようにしたらどうであろうかと考えますが、何かあるいは相当全国的にあるようなケースでございますれば、よくお聞きしておきまして、十分参考にしまして、適正価格にするようにしたいと思う次第であります。
○内藤(友)委員 特別措置法の十九條でありますが、ここに交換分合のことが書いてあります。この前お互いにお話合いしておりました差額金は、五万円までは行政的措置としてかけないぞということになつたのですが、やはりあの精神は、こういう法律が出ますけれども、生きておるのでありましような。
○平田政府委員 今回はその措置をさらにはつきりいたしまして、十万円まで控除し、再評価税も譲渡所得税も両方ございますので、今までよりもさらにはつきり法律で、もつと大きな額が引けるということになるかと思います。
○佐藤委員長 小山長規君。
○小山委員 租税特別措置法について一点だけ確かめておきたいのであります。先般所得税法の改正法案が出ました際に、外国技術等を使用するものに対する使用料に対して、源泉徴收をするということにつきまして、租税特別措置法では緩和の措置をとるという言明を得たのでありますが、現在その出ました法案を見ますと、重要産業につきましては所得税法にかかわらず、この源泉徴收の率二〇%というものを、今年の十二月三十一日まで延期するという法律案になつておるのであります。十二月三十一日まで延期するということになつた理由について、当局の御説明を承りたいのであります。
○平田政府委員 この点は先般も申し上げました通り、一〇%に下げるということは最初から考えていたのでございますが、それを四月から実行したらというふうに私ども見ていたのでございますけれども、実情を調べてみますと、特許権等の使用契約の中に、日本で課税する税金は使用者側の負担にするといつたようなとりきめをしておる例が相当多い。これは日本で課税しまする額は、相手国の法人税、所得税等から控除されることになりますので、当然そういう契約は改訂できるというふうに考えていたのでございますが、それにいたしましても、そういう交渉が始まる前から課税するのでは、どうもやはり実際に即しない点もございますので、ある程度余裕期間を與えまして、契約の改訂をよりスムーズにしよう、こういう意味合いで、ことしの十二月末まで課税を待つということにいたした次第でございます。
○小山委員 特許権等の使用料について、税の負担が日本の法人に課せられるという実情を考えられて、その契約の更改までの余裕を置くために、十二月三十一日まで延ばしたという御説明でありますが、しからば十二月三十一日までに、その目的とするところの更改契約ができないような事情が生じました場合には、当局としてはさらにこれを延期されるようなおつもりがあつて、十二月三十一日まで延ばされたのでありますか。その点を確かめておきたいのであります。
○平田政府委員 この問題を先般も申し上げましたように、今度所得税の課税の建前をかえたのでございますが、これは最近の国際慣例に従つて各国の採用しておる措置でありまして、各国に対しまして日本が異を立てるわけじやない。国際的に認められました一般慣習に従おう、こういう趣旨でございますので、私は当然この契約の更改というものは、実現できるものと考えております。実現できないとすれば、今までのものが低かつたので、何かこの機会に特別に上げる理由があるという場合、これは別だと思います。特に特許権の使用料を引上げなければならぬという実質的な理由がない限りにおきましては、当然改訂になり得るものだと考えておるのでございまして、今のところまだできない場合を予想してどうするということは考えておりませんが、万一そういうことができないような事情がありました場合におきましては、もう一ぺん問題を見まして考えたいと思います。しかしこれは建前といたしましては、当然法律は課税するという趣旨でございますので、何も特別に日本が各国の例に反しまして、よけい税金をとろうという精神ではございません。その点必ず予期通り行くものだと考えておる次第であります。
○小山委員 十二月三十一日までの余裕期間があれば、私どもも大体その程度で目的を達成するのではないかと考えておりますけれども、十二月三十一日まででまつたく打切るのであるということであつては、非常に不安な方面もあろうかと思いますので、十二月三十一日に至つてなおかつ契約の更改ができないというような事情の場合には、さらに考慮してもいいのであるということについて、政府のお考えをさらに伺つておきたいのであります。 さらにもう一つは、ただいま申されましたように、国際慣習でありますが、実際はたとえば日米租税協定のように、日本で課税したものを相手国で控除するのであるというようなことがある場合に、初めて日本人の負担も相手方に転嫁されるというのでありますけれども、現在まだ租税協定のないところ、たとえばドイツとかあるいはベルギーとかいう国との間における租税協定の問題、これができていない場合には、十二月三十一日においてもなおかつただいまのような問題は、解決されないであろうと思うのでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになつておるか。それもあわせて伺つておきたいのであります。
○平田政府委員 今のところアメリカとの関係は、御指摘の通り向うの税法で條約を結ぶ前から引くことにいたしておりますので、これは話合いをするというだけの問題で、それ以上はいらぬと思います。二重課税の條約を結びますれば、アメリカ側がやはり拘束される、国内法はかつてにかえられない、こういうことになるわけでありまして、より一層目的を達成すると思いますので、二重課税の條約を私どもはなるべく早く結ぶようにいたしたい。その他の国々との間におきましても、やはり引続き二重課税の條約を結びたいと思います。これはアメリカと各国との間に結んでおる例がたくさんございまして、その例に従つてやりますれば、大体話が早く済むのではないかと考えております。従いまして実質問題としましては、大体におきまして問題はないと思うのでございます。ただどうにも行かなかつた場合におきまして、当然それじや延期するかというお話でございますが、当然延期するということは私は申し上げられません。これはやはりその場合におきまして、課税すべきでないものを課税するなら、これは当然延期してしかるべきだと思います。日本において生じた所得でありまして、その所得に対しましては、当然各国の税法の上から行きましても、課税すべき問題でありまして、その負担は結局においては外国の居住者が負担すべきものでありますが、反対にそれが国内の業者に転嫁された場合があると仮定いたしましても、これも課税の趣旨から行きましたら、ある程度課税せざるを得ぬ場合も出て来ると思います。あるいは課税することが当然だという場合も出て来ると思います。従いまして今申し上げましたように、そういうことにつきまして十分検討するということは、申し上げていいと思います。できなかつた場合には、当然延期するということまではどうも申しがたいということを、御了承願いたいと思う次第でございます。
○小山委員 できなかつた場合に当然延期するのかというのではなくして、十二月三十一日まででもうこれ以上は延ばさないと考えておるのか、あるいは場合によつては延ばさなければならぬ場合も生ずるかもしれぬ、その場合にはさらに考慮する余地を残しておるのかどうか、そう聞いたのでありまして、当然に延期するのかと聞いたのではないのでありますから、その点あらためて御答弁を願いたい。 もう一つは、一〇%に課税を軽減したのでありますが、特許料の内容等によつて、これを五%のものとかあるいは無税のものとした方がいいというものがあつたのではないか。あるいはそういうものについてお考えがあつたかどうか。また考えた結果一〇%でいいのであるという結論に達せられたのであるかどうか。その点もあわせて伺つておきたいのであります。
○平田政府委員 お話のように当然延ばすかという趣旨ではなく、よく検討するかと言われたのでありますれば、もちろん私どもはその際に今申しましたように、検討はしてもいいという趣旨であります。 それから一〇%以下にさらに下げるということでございますが、これは御承知の通り外資に対しまして拂いますところの配当の利子、社債の利子等も二〇%の税率を措置法で一〇%に下げておりますが、一〇%以下にまで下げるというのは、どうも私どもとして行き過ぎではないかと考える次第でございまして、一〇%程度が一番妥当であり、それ以上下げるのはどうも行き過ぎだというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤委員長 深澤義守君。
○深澤委員 この租税特別措置法によつて、今度減税措置が講ぜられるのでありますが、この減税の額は大体総額どのくらいになりますか。
○平田政府委員 措置法によります減税の額は割合に少いのでございまして、住宅の関係が約二億一千万、農地の住宅の交換の場合の軽減が一億三千万、工業所有権等の減税が五億四千万、その他一億前後が大体各項目とも減税になりまして、総額におきまして約十七億円程度減收になるわけであります。
○深澤委員 これは大体において私はいいと思うのですが、ただ一点外国の技術導入のために、工業所有権の使用料について一般の源泉徴收二〇%を一〇%にするというところに問題があるのであります。これは日本経済の再建のために緊急な事業に使用するということで、優遇措置を講ずるのでありまして、御承知のごとく金属、石炭、あるいは原油、その他化学繊維等に工業技術権を導入いたしまして、それを日本経済のために大いに役立てるということになつております。しかしその性格を見ますと、アメリカの軍拡経済に基くところの日本産業の軍事化の方向をたどつている。こういう意味において、これは日本経済のほんとうの再建でなくて、結局日本経済を軍事的方向に発展することを助長する結果になることを、われわれは指摘しているのでありますが、大蔵当局としては、そういう傾向に動いておるということをお考えになつているかどうか。これがほんとうに日本経済の平和的な再建のために役立つているのだ、だからこういう優遇措置を講ずるのだというような考えを持つておるのか。その点をお伺いしておきたい。
○平田政府委員 この優遇措置自体は、今のお話の軍事的見地その他から来たものでは全然ないことを、御了承願いたいと思います。要するに、経済全体の望ましい発展に資しようというのが、この税法改正の趣旨でございまして、このことからしまして、軍事的云々ということにはならぬと考えておる次第であります。
○深澤委員 先ほど主税局長が小山委員の質問に対して御答弁されておつたのでありますが、幾多の外国の事例よりも非常に悪い條件で、この工業技術導入についての契約が行われておる。その契約が変更されることを望むと言つてはおられますが、それは当事者間の意思の問題であつて、政府の強権によつて、それをかえろとか、あるいは勧告するとかいうことはできないと思う。そういう状態において、日本経済の中に外国の技術を導入するにおいては、ざつくばらんに申し上げますと、非常に多額な超過利潤を外国へ持つて行かれるということが現実の問題になるのです。そういうような観点がありますので、日本経済再建のために向うの技術を導入するということは、決して日本再建のためではなくて、結局は日本経済から相当の超過利潤を外国に持つて行かれるという結果になることを、われわれは指摘しているのでありますが、その点はどういうぐあいに考えておりますか。
○平田政府委員 これは具体的に個々のケースに当てはめますと、あるいはいろいろの問題があろうかと思いますけれども、全体といたしましては、日本からある程度の収益を外国に拂いましても、それよりもさらに数倍、数十倍のいい結果を生んで参りましてそれによつて望ましい生産もふえますし、日本の国民所得もふえますし、雇用もふえますし、それによつて全体としての経済の発展ができるということでございますれば、ある程度の報酬を拂うのは当然のことではないかと思います。そういう望ましいことでございますので、従いまして、租税特別措置法である程度の軽減をして、そういう目的に資し得るようにしようというのは、私は当然やつてしかるべきではないかと考えておる次第でございます。
○深澤委員 それによつて数十倍の利益を得るということになりますれば、何も源泉徴収において一般が二〇%があるのを一〇%にする必要はないと思う。たとえて申しますれば、石油の問題において、日本で生産しておるところの石油を事業にする帝国石油のごときは、今非常に窮境にある。しかも政府補助が本年度から打切られてしまつて悲鳴をあげております。ところが外国の原油を入れて、外国の技術で製油をやつている外国資本とつながる石油会社は、非常に有利な條件になるという状態であります。こういうことでは、日本の中だけの産業は疲弊し、外国の技術を導入するものは繁栄するという結果になりまして、従つて日本の経済は自滅するという結果になると思う。石油の例をとつてみてもはつきりそれが出ておると思う。そういう條件の中で、外国の技術を導入するものにだけ優遇措置を講ずるということは、日本経済の発展じやない、むしろ日本の経済を隷属化させて行く方向を助長するものであるというぐあいに考えるわけですが、特に石油問題等に関しましてどういうぐあいに当局は考えておるか。
○平田政府委員 石油の問題でございますが、石油につきましては、国内の産油を極力ふやさなければならぬということは、これはもう御承知の通りでございまして、私どももその点は同様な考えでございます。税法におきましても、重要物産といたしまして、原油の採掘に対しては三年間免税いたしております。その他償却等につきましてもできるだけの措置を考えておりまして、それによつて国内産油の保護助長をはかりたい。また関税等につきましても、できる限りの措置を講ずることにいたしておることは、御承知の通りでございます。しかしそれだけでは日本の石油はやはり足りませんので、相当の数量の原油を輸入しまして国内で精製しなければならぬ。その場合におきましても、精製されましたがガソリン等を持つて来るのでは、これまたやはり望ましくないので、できる限り日本における精製設備を改善し能率化しまして、日本の国内で精製されることが望ましい。そういう見地から行きまして、租税上いろいろな優遇措置を講じてやるのは、やはり当然のことでございまして、特に国内の産油に不公平にするということは全然ございません。その点はひとつ誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
○深澤委員 こういう外国の工業所有権の使用料に対して減税措置を講ずるということは、これは日本政府独自の考えでおやりになつたのか。あるいは総司令部等の強い要請によつてやられたのか。その間のいきさつをひとつお聞きしたい。
○平田政府委員 これはもつぱら日本経済の発展という、日本のために考えられていることでございますので、まつたくこちら側が自発的にやつたわけでありまして、関係方面からこの点に関しまして、特別の注文を受けたことはございません。日本が自己の利益のために特別な措置をやろう、こういう考えでいたしておる次第でございます。
○深澤委員 先ほど主税局長が小山委員に対して御答弁になつた、国際慣例にないような條件によつて契約をしておるという不利な契約でありますが、そういうものが改められるという機運があるかどうか。その点をひとつお聞きしたい。
○平田政府委員 これはもう少し敷衍して申しますと、今までは税法の建前上、こういう工業所有権等の所得に対しては、日本は課税していなかつたわけです。しかしこれは日本において発生した所得でございまするし、今御指摘の通り日本の企業の利潤の中から拂われるものでございますので、これはやはり日本で課税した方が妥当だ。各国の税法もそうなつているので、そうかえたい。ところで今までそういう課税がなかつたものでございますから、契約の際におきまして、日本で課せられる税額は使用者側の負担になるという條項に対しまして、使用者側は関心を示していなかつた。そういう気持で協議していたのじやないかと思います。しかしこういうふうに課税になるということがはつきりいたしますれば、そういう條項についてはあらためて検討しまして申し入れる。これはもう理の当然のことではないか。法定いたしましても、日本で拂う税金はアメリカの税額から引いてくれますので、向うとしましても損はない。従つてその更訂には当然応ずべき筋合いのものではないか。値上げするというなら別でありますが、値上げしないということでございますれば、当然更訂さるべきものではないか、こういうふうに考えておりますので、重ねて申し上げておきたいと思います。
○深澤委員 ところがこの一〇%でもなおかつこれは困る。これを全廃してくれという機運が動いているそうでありますが、大蔵当局はこういう要求あるいは要望に対して、今後どういう方針を持つておられるか。その点をひとつお聞きしたい。
○平田政府委員 これはよほど大事をとつた民間の意見だろうと思います。あらゆる心配を全部なくせということなら、そういう要望が出て来るかと思いますが、そこまで心配しなくても、さつき言いましたように大体実現できるのではないかと考えておりまするので、先ほど小山さんに申し上げた通りのことで、私どもとしましても今後進みたいと考えておる次第でございます。
○深澤委員 それから災害被害者に対する減免あるいはその他徴收猶予に関する法律の問題でございますが、この災害を受けた場合の免税あるいは減税の認定は、これはやはり個々の税務署が個々の納税者についてやるのか。それとも今度の北海道のような一つの地域は、大体そういう方針で一般的にやるというようなことになるのか。その認定は個々にやるのか。あるいは範囲をきめてやるのか。あるいはその認定は個々の税務署がやるのか。あるいは大蔵省自体がやるのか。そういう点をひとつお聞きしたい。
○平田政府委員 これは災害の実情によつておのずからきまると思いますが、比較的小災害でありますれば、比較的小地区だけで個々の納税者ごとにきめてしまう。大きな災害になりますと、やはりこれは相互の公平をはかるという関係がございますので、国税局等が十分税務署と一緒になりまして、調査しまして適正を期する。さらにまた大きな災害等がございますれば、もちろん国税庁の本庁におきましても、十分よく具体的に指導いたしまして、適正化を期して行くということに相なるかと思います。この減免は比較的簡單な方法でやることになつておりまして、甚大な被害を受けるかどうかによることになつております。しかして甚大な被害というのは、住宅なり家財の半分が滅失毀損したということを條件といたしておりまして、住宅を持つていない人は自分の家財道具だけでもいいのでございますが、過半が滅失毀損しますれば、この條件に該当する、こういうことになりますので、今までの実績から申しましても、大体目的を達成しているように見ております。もちろん税務署が調べます場合におきましては、市町村、警察等とよく連絡をとりまして、適正化を期するようにして運営しているようでございます。
○深澤委員 それから災害のそういう減税、免税措置を受けるためには、たしか災害の起つたときから二箇月以内に、被害者——納税者が申請しなければならないということになつているのでありますが、これはその被害の場合、大被害になりますと相当混乱いたしまして、そういう措置を講ずるという心理的な余裕もないと私は思うのですが、これはやはり納税者の請求によるのでなくて、税務署の調査によつて、減税あるいは免税処置を講ずるという方が、親切なやり方であると考えるのですが、そういう点は今後どういうぐあいにおやりになりますか。
○平田政府委員 実際問題としましては相当な災害がありますれば、市町村、警察ともよく連絡をとりまして、税務署として十分納税者に対しましては同情的態度で臨みまして、必要な調査の事項、申請の事項等も積極的にお世話いたしまして、出してもらうということになつていますので、大体におきましてお話のような御心配はなくて、運用できるものだと考えておる次第でございます。過去におきましても大体うまく行つているように見ておる次第でございます。
○大上委員 一点だけお尋ねします。内藤委員の米の超過供出についての質問に対する御答弁の中に、いわゆる立法処置でやるべきか、あるいは行政措置でやるべきか、まだ考案中であるというような御答弁があつたかのように承つております。それについて、どういうふうな基礎的な條件を持つものについては、いわゆる立法的に行くのだ、それからどういうふうな基礎條件のものについては、これは行政的な処置で施行できているのだというような、何らかの限界があるように、これは私が勉強してないためかもしれませんが、察知できる。これをもつとうがつて言うならば、国会の開会中であるならば立法的な処置に持つて行きたい。国会開会中でない場合は、法の解釈上、これはいわゆる行政的な処置ででき得るのじやなかろうかというようなことがあるかもわからない。そこでわれわれとしても非常に重大な関心を持たなければならぬ、特別に感覚を働かせねばならぬ点は、立法処置と行政処置との区分といいますか、その基礎的條件をお聞かせ願いたいと思います。
○平田政府委員 その問題につきましては、今国会でもたびたび御注意がありましたように、私どもはやはり行政的処置を濫用してはいかぬと考えております。でありまするが、先ほども申し上げましたように、たとえば手数料として徴収する。そうすると経費的なものが入つて来るのが一つ考えられる。それから額が非常に少いという場合でありますれば、従来も、大上さんよく御承知の通り、零細なものに対しましては更正決定を要せざるものとす、というような運用もやつておりますが、そういう一般の運用からいたしましてはみ出るか出ないか、その辺が私は行政的処置で行き得るかどうかの、判断をする要素だと思うのであります。その点をよく考えました上できめたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○大上委員 そこで大体わかつたのですが、金額も少額とか、あるいは更正決定その他の点もあるのですが、問題はいやしくも課税対象にし得べきものか、あるいは非課税にもどすべきものかは、当然私は立法的処置でやつて行くのが至当ではなかろうか、このように思うのですが、さらにその点について、金額じやなしに、いわゆる非課税あるいは課税という点から見て、これは当然法律にのつとつて行くものだ、このように考えるのですが、主税局長はどのように考えられるか、承りたいと思います。
○平田政府委員 重ねて申し上げますが、経費的なものが大部分である、こういうものでございますれば、これは解釈上当然非課税にすべきものだ。それから必ずしもそういうりくつはつかぬが、金額が非常に少いものにつきましては、実情に応じまして従来もしいて調査しないという方法で、実際上課税されない結果に終るようなことをやつておりますことも、これは御承知の通りと存じます。そういつたような従来やつておりまするような考え方から、著しく逸脱することになりますれば、これは私はやはり立法措置を必要とするのではないか。しかし大体従来から税務の慣行としてやつておりますような方法に乗つかつてやるならば、これは行政的措置で行きましても、そう弊害はないのじやないか。その辺をよく検討しました上で結論を下したいということで、御了承願いたいと思う次第でございます。
○宮幡委員 時間も追つて参りましたので、質問は省略したいのでありますが、おとといでありますか質問しましたことについて、結論が出ておらない。そこであるいは将来にわたつて考慮すればよい問題でありますから、ごく簡單に当局の御意見を伺いたいと思います。それは賠償施設が返つて参りまして、特別損失として処理いたしました帳簿価額も復活して、法人の利益が生れて来るわけであります。これに対しましては、その利益の三割を越えるものに対して延納措置によつて、ないしは旧帳簿価額に達するまでの間は、未償却の減価償却もひとつ認めて行こう、こういう御趣旨であることまでははつきりいたしました。ところが帳簿価額の復活しましたことが、これは課税上から見た利益であることには異存はないのですが、特別損失として消した部分が、当時の法人税の課税を免除するに相当した部分と、通常の計算もやはり損失である上に、さらに損失を加算されたのみだという場合もあるわけであります。従つて一律にこれを利益として課税することは、どうも負担の公平を欠くように思われるのであります。さらに嚴密に検討して参りますと、もしかようなものに税をかけるといたしましても、当時特別損失に落されましたことによつて、軽減された法人税の税額を限度とするということが、これは常識であろうかと思います。この点について、これは最初申し上げましたように、この特別措置法は、全般としてそれぞれよい着想を持たれておりまして、まことにけつこうだ、賛成討論ではないからそういうふうにはつきり言わないが、内容的に見てむしろ賞讃すべきものだと思う。思うけれども、この法人益のことについては、まだもう少し深く掘り下げて今国会でできなければ次の国会でもけつこうでありますが、同じ特別損失に消えましたその利益が復活しましても、損失に加算された特別損失と、真に当時の法人税の課税の軽減をされた損失とがあるわけであります。これらを一律平等に帳簿価額の復活によつて、現在の企業経理の上にプラスして行くということにつきましては、私はいまだ十分得心が行かないわけであります。しかもこれに対します課税の限度は、あくまで当時救済されましたところの法人税を限度とする。あるいは物価の指数もかわりましようし、あるいは税率もかわつております。従いましてこれもなかなか簡單な問題ではないと思いますが、この観念だけは私は正しいと思う。それで今国会には間に合いますまいから、これは今国会ではどうしろとは申しませんが、一応ただいまお持ちになつております当局の御意見を伺いまして、将来の御研究に訴えたいと思います。
○平田政府委員 今の問題は大体二つにわけて私ども考えておるのであります。一つは再建整備が債権者に迷惑を及ぼさないで解決いたしまして、つまり借勘定だけの会社でございますが、この会社の場合は、私はやはりゼロにいたしておりますのを復活する場合においては、これは当然利益になつてしかるべきものだと思つております。特損がありまして、なお借勘定が残つておる、こういう場合におきましては、実はこの賠償指定施設は旧勘定に——旧勘定と申しますか、借勘定に所属するということになつておりますので、その際は帳簿価額を引上げましただけやはり借勘定の利益になつて、この限度におきましては、借勘定の損がありますれば、それと相殺されまして課税されないということに相なりますので、宮幡さんのお話のような趣旨に、大体におきましては、結果がなるのではないかと見ておりますが、なお若干あるいは例外的な場合があるかもしれません。概して申し上げますと、まず私どもこういう措置を講ずることによりまして、大体解決して行くのじやないか。非常に例外的な場合におきましては、なお考えてみたいと思いますけれども、大体そのように行くと思います。
○小山委員 ただいま議題となつております五法案中、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、すでに質疑も盡されたと思われますので、この際右四税法改正案につきましては、質疑を打切り討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
○佐藤委員長 ただいまの小山君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議ないようでありますから、ただいま議題となつております五法律案中四税法改正案につきましては、この際質疑を打切り、討論を省略してただちに採決に入ることにいたします。 これより採決に入ります。まず通行税法の一部を改正する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案の三案を、原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よつて右三案はいずれも原案の通り可決されました。 次に租税特別措置法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○佐藤委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なおただいままでに採決いたしました税改正四案に関する報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。 —————————————
○佐藤委員長 次に信用金庫法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。
○小山委員 ただいま議題となりました信用金庫法の一部を改正する法律案につきましては、この際質疑、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
○佐藤委員長 ただいまの小山君の動議のごとくに決定するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なきようでありますから、信用金庫法の一部を改正する法律案につきましては、この際質疑、討論を省略して、ただちに採決に入ることにいたします。 これより信用金庫法の一部を改正する法律案を議題として採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○佐藤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決せられました。 なお本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願います。 午前中はこの程度にとどめまして、午後一時半より開会することにいたしまして、これで休憩いたします。 午前零時四十分休憩 ————◇————— 午後二時五十四分開議
○佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律案を議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつて許可いたしますが、ちよつとお諮りいたします。議員松本善壽君から委員外発見を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議ないと思いますから、松本議員の委員外発言を許可することにいたします。松本善壽君。
○松本善壽君 ポツダム宣言の受諾に伴いまして、警察力充実を拘束するようなことはないかどうか。この点をお尋ねしたいのでございます。
○堀口説明員 ただいまの御質問でありますが、ことに閉鎖機関関係の法令につきましては、従来司令部といたしましては、経済民主化の一環といたしまして、相当強力な命令によりまして法規をつくつて参りました。従いましてある程度強権的な規定が相当入つておつたわけでありますが、むしろ今度はそれを改正いたしまして、日本の独自の立場からものをやつて行くというふうに、いわば強権的な面をのけまして、日本自体でやれるように持つて行くという趣旨が、相当盛り込まれておりますので、御質問の点はむしろ従来に比べて改善されるというふうに考えております。
○松本善壽君 次にお尋ねしたいのでありまするが、閉鎖機関関係につきまして、閉鎖当時に起りました刑事事件についての取扱いはどうなつておるか。この点をただしたいのであります。
○堀口説明員 お答えいたします。御存じのように閉鎖機関は、大体系統にわけてみますと、たとえば満州鉄道とかあるいは北支開発というふうに、外地で活動した会社、戰時中戰争に寄與して外地で活動した会社とか、あるいは朝鮮銀行、台湾銀行のような外地の金融機関、それから非常に数の多いのは内地の統制機関であります。たとえば食糧営団、あるいは薪炭関係の配給機構、これは各県にわたつておりまして、閉鎖当時がちようど終戰直後でありましたために、相当経理の乱れておつた点もありました。ことに一部には重役間の不当な金円の分配というようなものもありまして、ある程度刑事事件を起しております。これにつきましては、関係方面から検察庁に対して、相当強くそれの摘発及び処理を要請されております。幸いに検察当局の好意及び御努力によりまして、調査その他も円滑に進み、検察庁との関係もうまく解決しまして、現在においては、二、三件を残しまして大体解決いたしております。
○佐藤委員長 次は夏堀源三郎君。
○夏堀委員 本案につきましては、昨日来質疑を行つております。昨日の政府委員の御答弁はちよつと要領を得ませんので、今日あらためて質疑を続行したいと存じます。 私の質疑のねらいと申しますのは、たとえば昨日——閉鎖機関整理委員会が、これまで整理のために要した費用が五十八億円という莫大な経費を要しておるのであります。これは人件費及び管理費ということでありますが、今後この閉鎖機関整理委員会が閉鎖された場合に、大蔵省へ引継ぐのであるか。またそうした場合に、大蔵省が直接にこれを所管するということは、おそらく困難であろうと思います。そういたしましたならば、どういう機関にまた仕事をさせるのであるか。これまで五十八億円に及ぶ莫大な費用がかかり、今後もこの整理のために相当に費用もかさむということも考えなければなりませんので、そうした際に、一体いつその片がつくのか。いわゆるだんだんに食つて行つてしまうのじやないかということを考えられるので、これに対する見通しがあるのかどうか。この辺をあらためてお伺いしたいのであります。
○堀口説明員 お答えします。ただいまの御質問の第一点でありますが、閉鎖機関整理委員会が廃止されて、あとはどうなるかということにつきましては、こういうふうに考えております。閉鎖機関整理委員会は、ポツダム政令に基いて、委員会令によつて設置された政府機関ということになつておりまして、従つて予算も一応政府機関予算として載つております。しかしその歳入の財源は、全部各機関から嚴密な比率によりまして徴收しておりまして、国庫からの歳出は全然ありません。それから将来閉鎖機関整理委員会が廃止されたあとには、現在残つておる閉鎖機関を、その性質とか従来の経緯等にかんがみまして、幾つかの集団にわけまして、これに一人ずつの清算人を任命いたしまして、そこで清算をやつて行く。それから経費につきましても、従来の通りおのおのの閉鎖機関から徴收するのであります。 それから第二点でありますが、その経費が厖大である、それから将来の経費をどうするかという点についてですが、二十七年度の予算書によりますと、約八億四千万円ばかりの経費を組んでおります。そのうち俸給及び諸給與が二億一千万円ばかりであります。前年度が六億一千万円のうち俸給、諸給與が二億三千万円。そこでこの予算の姿と申しますか、仕事の性質に相当影響するわけでありますが、現在までに五十何億かかつたという場合の五十何億につきましては、当初は人件費その他よりかも、むしろ保險及び管理その他の直接費が、非常に多いわけでありまして、現在はすでにそういう仕事の処理を一応終りましたので、比較的人件費が比率を多く占めるようになつております。そこで約六億のうち、本年度を見ますと、二億三千万円ばかりが俸給及び諸給與ということになつております。それから今後この経費がどのくらいかかるかということは、今後のやり方によつて影響されるわけであります。 御質問の第三点でありますが、まず閉鎖機関として指定されたものは千八十八であります。そのうちさつき申し上げましたように、在外関係の金融機関、及び戰時中国策に順応して働いたような会社というものが約六十くらいあります。それから国内の統制機関が約九百八十ばかりあります。それからそれを除いたものは一般の法人でありますが、主として戰時中に国策に寄與したというような性格のものを、一まとめにして指定してあるように見られます。そこでその千八十八のうち、どのくらい終つたかと申しますと、三月三十一日現在で、約残るものは三百内外じやないかというふうに考えております。そしてその三百を、現在の考えでは四つにわけて清算をして行く。大阪関係が約八十ばかりありますが、これを一つのブロツクにする。それから東京のうち外国関係の、さつき言いました五十なり六十というものが一つのブロツクになる。それから政府出資とかあるいは何々会社法というような特別法によつて設立された法人が、二十ばかりありますが、これを一つのブロツクにする。それからそれ以外の一般の法人を一つのブロツクにする。そういうふうにして各清算人を任命してやつて行きたいと思います。ただ残りました約三百の閉鎖機関を、ずるずるといつまでもやつて行くというようなことは考えておりません。それは今度御審議をお願いしますもう一つの閉鎖機関令の改正によりまして、閉鎖機関の指定というものを解除できるようにいたしたいと思います。そこで将来も政府がどうしても見なくてはならないような、対外的な関係の非常にある会社とか、あるいは特殊な法律によつて設立された会社というようなもの以外は、適当なものと認めたものはどんどん解除して、一般の民法なり商法なりによつて、解散をやるようにして行つたらどうか。その場合にはこの経費も、一般の清算会社になりまして、その清算人が責任を持つてやつて行くということになります。現在ちよつと考えてみたところによりますと、解除できるものがやはり五十や六十はさしあたりあるのじやないかと思います。それから三百のうちでも全部がまだ清算の初期の段階にあるのでなくて、相当程度進んでおりますので、これもそう長くはかからないのじやないか。従いまして今年の九月あたりに相当程度終つて、大体本年度一ぱいくらいには何とか目鼻がつくのではないか。ただあとに残る心配のあるのは、在外関係の機関でありまして、これは外国との折衝、たとえば日韓会議なり日華会議なり、そういうものが進んで行かないと、それをどうするかという最終的な問題が解決しないわけです。それが済めば全部が済むので、長くても一年半なり何なりという期間で、全部が終了するのじやないかというふうに考えております。
○夏堀委員 閉鎖機関が三百まで整理されたということは、たいへんけつこうです。従つて予算も減少されているということもけつこうですが、予算は減少されておつても、その整理される諸会社が、人件費その他の管理費というものを、その比率によつて負担をするのであるから、やはり結局同じことです。であるから、すみやかにこの整理の完了する方法はどうすればいいかということを、なお一層十分御研究になつて、すみやかに整理完了するようにすることが望ましい、こう私は考えております。私のこの問題に対する質疑の目標というものも、すみやかに整理を完了して、そして一体どれくらい資産内容が残るのかどうか。その数字によつて、日本経済の復興のために役立つように持つて行かなければならないということが、主として私の質疑のねらいなのであります。 そこで昨日日本銀行への債権債務の関係はどうなつておるかとお伺いいたしましたが、債権債務と申したことがちよつと間違つておりましたので——たとえばこれは債権債務にはならぬだろうと思いますが、登録公債と申しましようか、いずれ朝鮮銀行もあるでございましようが、朝鮮信用金庫あるいは台湾銀行、あるいは朝鮮殖産等の資産の内容が、登録公債というものがあつて、これを日本銀行に保管されておるのが、私の調べたところによりますと六、七十億というような相当な金額であるようであります。台湾銀行の分はそのほかに二十億とかいうことをちよつと聞いたこともありますが、そのほかのいろいろな数を合計いたしますと、相当な金額になるだろうと思います。それを一体どうするのか。昨日の御答弁のうちには、法律をつくつてこれを適当に操作するような答弁でありますが、もしそうであれば、先ほど申し上げました整理をすみやかに完了して、今国会中にその法律によつて新しく出発する、日本経済の復興のためにこれが役立つように持つて行くことが望ましい。けれどもそれが一体今国会中にできるのかどうか。できないとすれば国会は一体どういうことになるか。また明年になるということになれば、これはたいへんな損になりますので、できるだけ早くこれを整理完了して日本経済に役立てようということが、私の質問のねらいでありまするので、その点をお含みの上で、簡單でよろしゆうございますから、この点に対する御説明を願いたい、こういうことであります。
○堀口説明員 お答えいたします。現在閉鎖機関の持つております資産は、大体土地建物とかあるいは商品というようなものは処分が済みまして、現金及び国債が多いわけであります。現在日本銀行に持つております国債が約九十億あります。それからそのほかに現金として口座勘定に約百億前後を入れております。要するに総計二百億程度の現実の流動的な資産があるわけであります。但し朝鮮銀行、台湾銀行等、そういうような機関のものだけでしたら、さつき夏堀委員が申されましたように、六十億なり七十億なりということになります。そこで国民経済と閉鎖機関の清算との関係ですが、従来閉鎖機関に指定されたあと、その会社の持つていた資産等は、すぐ国民経済に役立てなければいけないということで、それをすぐ処分するなり何なりして動くようにする。それから現金その他につきましては、なるべく早くさしつかえないものは株主に分配いたしまして、その資金を産業方面に流すというようなことに、特に留意をしておるわけであります。有体資産はそのまま産業その他に早く運用できるように、金銭その他はなるべく早く債権者に支拂い、あるいは株主に分配する等の措置によりまして、それを金融的に役立たせるというふうにして参つたわけであります。 そこでただいまの御質問の御趣旨は、おそらくそういうふうになし得ない、ある程度長期にたまる資金をいかに使うかという御趣旨と思います。そこで現在二百億ばかりありますが、そのうちやはり百何十億程度のものは、税として支拂つたりあるいは債権者に支拂つたり、それから純粋な国内の法人であれば、株主にどんどん支拂いをして行く金が相当入つておるわけであります。それはそのまま従来通り拂つて行く以外には、方法はないのじやないかと思いますが、ただもし第二会社というようなことを考えますれば、その資金を分散せずに、株主の意見なりあるいは債権者の意見をいれまして、第二会社というふうなものに切りかえることも可能であります。そこで閉鎖機関から第二会社をつくるようなことを考えたらどうかというようなことを、検討して参つたわけでありまして、構想だけを申し上げますと、まず資金のある閉鎖機関について、その債権者の何分の一あるいは株主の何分の一というような、ある一定の人から申出があつたときは、現在の清算人が中心になりまして、まず会社の整備計画というようなものをつくつてもらいます。それを認可して新しい会社を立てて行くというような、再建整備法なりあるいは会社更生法なりというようなものと同一の考え方であります。そこで本国会に最初提出する予定でありましたが、日韓会議等の結果もあまりはつきりしませんし、その交渉の経緯が相当微妙な点もありまして、そういう資金を使つて、ただちに第二会社をつくるような法律案を国会に上程することは、どうかというような相当強い意見もございましたので、一応今国会には御審議をお願いしないことになつたわけであります。将来その資金等の帰属が交渉の結果はつきりするような事態になりましたならば、至急にそういう法律を準備して、審議をお願いしなければならぬというふうに考えております。
○夏堀委員 第二会社を設立する手続のことを御説明になつたのですが、これはそういう措置ができなければならぬだろうと思います。ただいま申し上げましたように、株主に分配するというようなことは避けて、まとまつたその資力を、できるだけ日本経済に役立つように持つて行くことがほんとうじやないか。これを私の希望としてこの際申し上げておきます。 それから委員長にお願いいたします。はなはだかつてでありますけれども、実は私きようどうしても郷里にちよつと帰つて行かなければなりませんので、これに関連した法律、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国財産及びドイツ財産関係諸命令の措置に関する法律案が出ておりますが、これに関しての質問をしてよろしゆうございましようか。
○佐藤委員長 けつこうでございます。
○夏堀委員 外国財産を敵産管理委員会が処理した場合に、その金は日本銀行にあるのかどうか。そうしてこれらの物件の件数、及びその当時処理委員会において処理された総金額がもしおわかりになつておれば、お知らせ願いたいと思います。
○佐々木説明員 御説明いたします。 実は数字的な資料をきよう持つて参つておりませんのが、概括的に申し上げます。御質問にありましたように、開戰直後敵産管理法が施行されまして、敵産が売却処分にされました代金と申しますのは、当初正金銀行の敵産管理勘定に預入されておりました。終戰後、正金銀行が閉鎖機関に指定されるに及びまして、この勘定はそのまま日本銀行に移されました。現在のところ日本銀行にその代金が入つておるという形になつております。そこで日本銀行に残つておる現在の金額でございますが、一億八千万程度と記憶しておりますけれども、今資料のないところで数字を申し上げて間違うと失礼でございますから、調べてから御報告申し上げます。なお敵産管理に付されました物件は、総額においてその当時の評価といたしまして、四億四千万ということになつております。そのうちのあるものは売られ、あるものは敵産管理人の管理に付せられたまま、終戰時まで来たものもあります。本日は連合国財産及びドイツ財産関係諸命令の措置に関する法律案に及ぶように伺つておりませんでしたので、準備がはなはだ不足で申訳ございません。追つて御説明申し上げます。
○夏堀委員 それでその物件というものはどういうものかわかりませんが、これを売却して金で保管するという面もあるということでありますか。
○佐々木説明員 敵産管理に付されました財産と申しますのは、連合国個人または連合国の法令に基きましてつくられておりました会社、その他連合国人が株を所有して、形態は日本の法律によつてつくられておる会社というふうな、財産の主体は普通の日本人とかわらないものでございますから、持たれておる財産も、また土地、建物、株式、机、いすの動産から衣類に至るまで、いろいろのものがあるわけでございます。そのうちで戰争中戰争に役立たすために必要であると思われましたものは、売却処分が行われました。そうでありませんものは、そのまま持たれて参つたということでございます。
○夏堀委員 物件が残つておればそのまま要求に応じて返せばよろしい、こういうことになるだろうと存じますが、それが売却したということになりますと、その当時と現在のインフレ下では金額に相当の差があると思いますので、これを評価する方法はどういうことになるのか。これは問題として研究されるであろうと思いますが、何かこのたびの行政協定の合同委員会というようなもので、これが審査されるものであるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
○佐々木説明員 戰時中敵産管理に付されました財産を返せという規定は、御承知でありますように、平和條約の第十五條のa項にあるわけでございます。その中味といたしましては、敵産管理人の管理に付されたまま現在に至り、敵産管理人の管理に付されておるがゆえに、連合国人が処分その他の権限を認められていないというものにつきましては、お話の通り敵産管理人を解任いたしまして、連合国人にその財産の処分権を回復させてやるということで十分でございますので、あまり問題を生じておりません。敵産管理人が、管理中に日本人に売つてしまつたものにつきましては、條約の建前では、売られたものが日本国内にあります場合においては、これを追究して返せということを申しております。従いまして、たとえば石油会社の油送車が、日本人の石油の配給業者に売られておつたという場合におきましては、その行先を追究して現物を捕捉しまして、これを返しておるわけでございます。この点におきましては連合国人に元あつたものを返しておりますので、連合国人との関係におきましては、評価の問題は生じないかと思います。ただ評価の問題に関係がございますのは、連合国人にあれば返すべきところを、それが戰災によつて焼けておつた。あるいは動産のごときものも、もう日本人が使つてしまつておつて返せないというものにつきましては、これを代替物で返すということは條約上要求されておりません。従いましてそのかわりに、それと同じものを買うだけに必要な金額を補償するという建前をとつております。これは先国会において御承認を願いました連合国財産補償法の規定するところでございます。ただ評価の問題としてございますのは、返すために取上げられた日本人についてどうするかということが、問題としてはあるのでございます。
○夏堀委員 物件に対する評価の金額が、その当時と今とは大分差があるということは当然であります。前臨時国会におきましても、外国財産の補償の法律の審議の際に、先方の要求金額を下まわらないように措置しなければならない、こういうことになつておつたのであります。もしこれがこのたびの合同委員会というようなもので審査されて行くことになつた場合には、合同委員会でなくても、そういう法律をつくつたのでありますから、そうした場合に、いわゆる委員会であれば、一方的な相当な要求のあることも覚悟しなければならない。それから委員会でなくとも、前の議会に法律としてこれにうたわれておりますので、相当上まわつた金額を補償しなければならない、こういうことになるだろうと存じます。そうした場合に、今御説明になつた売却された物件及び金額は、どれくらいあるのでありましようか。
○佐々木説明員 売却金額といたしまして、正金ないしは先ほど申し上げました通り日本銀行に移されました勘定に拂い込まれました金額は、二億八千万ほどであつたと記憶いたしております。しかしながら補償いたします場合におきましては、売却金額を返すだけでは承知いたしませんので、物が残つておればその物を返す。物が残つておらなければ、それと同等なものが買えるだけの金額を補償しろというのが、條約の規定する要求でございます。これにつきましては先ほどお話がありましたように、合同委員会のようなものが設けられるのかというお話でありましたけれども、ヴエルサイユ條約によりましてこれと同じようなことを実行いたしました節には、特別請求権裁判所というものがたしか設けられましてそこにおきまして連合国人に補償すべき金額をきめていたと思われます。しかしながら日本の場合におきましては、補償いたします場合には連合国財産補償法の規定によりまして、これを行うことになつております。その規定では條約の條文の書き方は、日本内閣が決定した連合国財産補償法に定めるよりも、不利でない條件で補償するということになつておりますけれども、先ほどお話になりましたような、向うの請求額を下まわつてはならないということではないのでございます。補償の原則は元連合国人が持つていたものを、その補償を受けて買えるような金額を渡してやるということでございます。その原則に従うためには、連合国人の請求が過大であれば、査定すべきものと考えているのでございます。なおあの法案を御審議願います際に、あの法律によつて補償すべき金額につきましては、一応日本政府が査定をいたしますけれども、それについて異議があります場合においては、イタリアの平和條約、ドイツの平和條約の例にならいまして、あるいは各国の委員の入る混合委員会がつくられるかもしれないというお話を、申し上げたかと思つております。連合国人はある金額を補償すべきだと要求し、日本政府においては、法律できめられたことによつて、條約において委任されておる原則に従つて計算するときには、それだけの補償をする必要はないと主張いたしまして、紛争になりましたときには、合同委員会のようなものにかけられることが考えられますけれども、初めから合同委員会にかけられるということはないという建前になつているのでございます。
○夏堀委員 大体わかりました。だが上まわるとか上まわらないというようなことは、新しくこれからこの物件をつくつてやらなければならないという場合には、やはり今のインフレの金によつてつくらなければならぬのであるから、内容においては同じことである、こうなるだろうと存じます。しかしこれも負けた国と勝つた国であるからやむを得ないのでありましよう。今の御説明で、前臨時国会で通したいわゆる外国財産の補償の法律ということは、そう深く考えなくてもよろしいという御説明であつたのであります。そこをちよつと私は聞きもらしましたが、そうするとその法律によらないで下まわらないといつたところで、やはり下まわらない程度の内容においては、相当な金額を持つていなければならないという結果になるだろうと思います。これはちよつと無理な質問であるかもしれませんけれども、そういう物件、そういう金額、そうしてその差額、これはどれくらいになりましようか。
○佐々木説明員 前国会において数字の資料を差上げましたかと思いますが、それには二百六十九億円という金額をお示しして、お配りいたしたと思つております。返せなかつた物件を、今の物価水準でそれを買うに必要な金額を計算するとすれば幾らになるか。損害を受けたものを元に直すだけの修理費を計算すれば、幾らになるかというような計算をしてございますけれども、日本側の計算によれば、二百六十九億という数字になるという概算を立てておるのでございます。
○夏堀委員 大分大きな金額になつて来ましたが、こうしたようなことは予算の措置において、適当に処理されるだろうと存じます。これはやはり向うの要求もありましようけれども、たとえば二十七年度においてどうとか、あるいは二十八年度においてどうとかいうようなことは、これは向うの要求によつて決定するものでありまするか。日本政府の考えによつて決定するものでありましようか。
○佐々木説明員 補償法のうちには規定を一條入れまして、一会計年度における補償金額の支拂い総額は、百億を越えないということに書いてございます。
○夏堀委員 わかりました。これで私の質問を打切ります。
○佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十八日午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会