大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1952/02/15
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。本日は前会において政府当局より説明を聴取いたしました所得税法の一部を改正する法徒案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案の四法案を一括議題として、質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
○三宅(則)委員 本日議題になつておりまする所得税法の一部を改正する法律案以下諸法案につきまして、御質疑申し上げたいと思うのでございます。第一にお伺いいたしたいと思います事柄は、わが党の政策の一環といたしまして減税に次ぐ減税、こういう線を出されましたことはわれわれは了とするのでございますが、一番問題になりつつあります問題は、この十二、三万円の所得の人であります。この人方は大郷分勤労階級であり、また零細なる農業もしくは商工業の従事者であると信ずる次第でございます。この人方に対しましては、大体五人までは減税ということになり、免税に相なつたのでございますが、その所得を算定する方法につきまして、昨日も大蔵大臣に申し上げた次第でございまするが、末端に参りますると、この適用を十分そんたくしないで、むしろ自分の感覚のみに重点を置きまして算定いんしまする結果、ややもいたしますると上の方にまわりまして、三割ないし四割、五割というふうに上まわつて決定するということがあるのでございます。その方針はもちろん今までの状況によりまして、政府の方から指示はいたしていない。しかし予定申告と申しますか、各税務署が国税局に対して、このくらい收入があるだろうという見積りを、出しておるはずであると思つておるのでございます。主税局長はもちろん各国税局並びに国税庁の報告を聴取せられまして、これに対する立法とせられたことと存じまするが、その辺の所見をお伺いいたしたいと思う次第でございます。
○平田政府委員 三宅さんにはたびたび申し上げておると思いますが、やはり所得税法の適正な実施と申しますか、單に税法だけの合理化にとどまらないためには、どうしても所得を的確に把握すると申しますか、各人ごとの所得が税法の規定に従いまして正しく計算され、それが申告され、かつ政府が決定する場合におきましても、正しく調査しまして決定する。このラインが維持できなければ、お話のように私は所得税というものは公正にならぬというふうに考えておるのでありまして、先般からも三宅さんからお話がございましたが、ことしは一律にこれだけ所得がふえるだろうといつたような考え方は、私どもといたしましてもとつておりませんし、またとるべきものでないというふうに考えておるのでございます。各納税者につきまして実態をよく調査いたしまして、個別的にその人の所得が幾らであるか、正しいものを見出す。これがやはり調査にあたりましても一番重要なことでございまするし、私ども税法を立案するにあたりましても、そういうことに努めるということを前提にいたしまして、税の法律の改正を考えておるということを、重ねてこの機会に申し上げて、おきたいと思うのであります。
○三宅(則)委員 はなはだ末端のことでありますから、平田さんはよく御存じないかもしれませんが、実情を私から申し上げます。その調査にあたりましては、一般の農業者にはほとんど帳面がございません。また零細なる商工業者についても、ほとんど記帳らしい記帳はないわけであります。ただ領收書もしくは売上帳、仕入帳、こういうものはあるわけでありますから、仕入帳、売上帳を基準に考えまして、あとの金銭の出入り等は、職工の人数でありますとか、従業員の人数でありますとか、あるいは人の経費等を勘案することにいたしまして、あまりに帳簿のみに重点を置かないという方針をお持ちになることの方が、的確に把握できると思うのでありますが、零細なる農業者、商工業者等を中心としていかなる所見を持つているか、お伺いいたしたいと思います。
○平田政府委員 零細なる納税者の場合におきましては、お話の通り帳面が完全にできておりませんので、やはり営業者の場合でございますと、少くとも今お話の売上げをつかむ、それによりまして比較的帳面の備わつておる人の所得をよく調べまして、大体どれくらいの利益率があるか、所得率と申しますか標準率と申しますか、そういうものを用いまして、売上げにその標準率を乗じまして、所得を算定する。それに対しまして、なお間接に業況がどうか、業況がよくなつているか悪くなつているか、一般的な事情をよく考慮しまして、その人の所得は幾らであるかということを、間違いないように努めておるわけでございます。それから農業者の場合でございますと、これまた大体実收は幾らかということをよく調べまして、それに対しまして幾らの收入金額があるか、それに対しまして、これもやはり比較的帳面のよく整つております人について、收入金額当りの所得は幾らになるかというのを調べまして、その率を適用して所得を算定する。もちろんこれは一応間接の推定方法でございますので、個別的にそれと違う事情のある人につきましては、その事情に応じて酌量、増減するということは当然だと思いますが、そういう方法によりまして、できる限り各人の所得の実態に即するような調査決定をするということに、努めておる次第でございます。
○三宅(則)委員 今のお説の一端でありますが、私は最も平易に算定します方法といたしまして、各町村に模範営業者、模範農業者、模範工場、こういうものを選定いたしまして、それには相当金をかけてもよろしいわけでありますから、收入なり支出なり経費なりをしつかり調べて、これを基準にいたしたい、こういうことを前から言つておつたわけでありますが、坪来ともそういうような模範調査ということによりまして、一般の人がこれにならうようにという線を、出したいと思つておるわけであります。その一環といたしまして、私どもはめんどうの起りましたものについては、その土地の町村長、あるいは農業協同組合長、あるいは業種団体の代表者、もしくは従業員の代表者というような、いわゆる各層の代表者の意見を総合いたしまして、税務署なり職員なりが決定するような方法をとつた方がよろしいであろう。いわゆる模範営業者並びにそれに類する人格者の意見を聞く、こういう線を堅持せられたいと思いますが、主税局長はどう考えておられますか、承りたいと思います。
○平田政府委員 この問題につきましても、たびたび申し上げたと思いますが、お話の通り、所得の標準をきめます際におきましては、農業者の場合ですと、最近はよほど農業団体の意見を十分よく聞いていると思います。また私どももできる限りよく聞いて、実情に即応するようにした方がいい。営業者の場合でございましても、しつかりした公正な団体等があります場合におきましては、そういうことにつきまして十分よく事情を聞いた上で、妥当な決定をした方がいい、かように考えております。ただ農業者と違いまして、営業者の場合におきましては、御承知の通りあまり適格と認める団体が、現在はまだ少いように見受けられるのでございます。しかしできる限りそういう方面の意見を十分参考にしまして、妥当な決定をするということに努めた方がいいと、私ども考えております。 ただ戰後の一つの基本的な考え方といたしまして、各人ごとの所得を、直接そういう団体からの意見を聞きまして、団体に責任を転嫁するような方法で、所得を調査決定するというようなことは、これは避けるという基本的な考え方にいたしているのでございます。これは事業者団体法等の基本的な一つの考え方に即応いたしまして、課税の上におきましても、同様な考え方で臨んで来ておるわけでございます。やはり今後の進歩した税の行き方という点から行きますと、そういうふうに行くのが正しい方向ではないかと考えておるのでありますが、ただ実際問題として、なかなかそういう進歩した行き方が、現実は今間に合わないという場合において、どうするかという問題につきましては、なお将来とも少し検討を加えてみたいと思つております。今申し上げたように、個別的に各人の所得が幾らであるということを、団体等と話合いまして、責任を団体に転嫁するような方法において、所得額を査定するということは、これは私どもはやはり避ける。そういうことに至らぬ範囲内におきまして、いろいろ資料を頂戴し、実情を聞いて、それで責任は役所の責任においてきめる、こういうことでございますれば、できる限り実情に即するような方向で、問題を解決するようにして参りたい。基本的には大体そういうふうに考えておるのでございます。農業者の団体等の場合におきましては、最近はよほど現場におきましても、連絡のいいところが大分ふえておりまして、実際に即応するような行き方が、漸次多くなつて来つつあるものと考えておる次第でございます。
○三宅(則)委員 関連をいたしまして、主税局長の所管外かと思いますが、しかし重大な関係があると思いますから、申し上げます。この事柄は地方税にも影響することでございまして、所得が基準になつて地方税がかかつて来る。住民税等がそこにあるわけであります。大都会におきましてはそういう所得税を中心に考えまして、それに賦課するというような建前の地方税もけつこうでありましようが、農村部落あるいは山村等におきましては、所得を基準にしますよりも、むしろ町村長、協同組合長、議員、名誉職等の意見の方が実情に分うと思うのであります。これは所得の算定上、平田さんの所管外かもしれませんが、関係がありますから、ぜひそうしたような見立割と申しますか、地方は地方に即したように、住民税等は算定いたしたいと思いますので、これと相並びまして、所得の方も大部分は農村あるいは山村等においては、わかつておることでございますから、第三者の意見、たとえて申しますと、再調査の場合等におきましては、税務官吏ばかりではなく、地方の有力者の意見、あるいは業種団体の代表者の意見を取入れてやりましたならば、再調査も割合円滑に行くのじやないかと思いますが、その方法をおとりにならないかどうか。戦争前には各郡に二、五名所得税調査員というものがありましたが、戦時中は廃止されました。そこで再調査をなす場合におきましては、そうしたような意見を取入れて、いわゆる第三者の調査員もしくは審査員というようなものの意見を取入れてやることが、私は穏健妥当であると思います。今度お出しにならなかつたようでありますが、その線をどう考えておられますか。私は出していただきたいという説を持つているものであります。
○平田政府委員 お話のように、市町村におきまして市町村民税を課税することになりまして、それが大体所得税の基本になりますところの所得と同じものが、結局課税標準になるということになりましたので、最近は市町村と税務署と、所得の調査に関しまして、ことに地方におきましては緊密な関係に漸次なりつつあるようでございます。これは非常に望ましいことでありまして、極力市町村等の意見をよく聞き、市町村等から積極的に資料の提供その他も求めまして、妥当たる所得がきまるように努めたい、そういう方向におきましては、今後一層さらに改善されるように行くことを、われわれとしても希望いたしておる次第であります。市町村の側といたしましても、自分の課税に重要な関係がございますので、最近はやはり進んでそういうことについて、税務署に協力しようという傾向が、大分ふえて来つつあるようでございます。これは私は非常によい傾向だと存じておる次第でございまして、市町村長等の会合があります場合においては、私は事あることにそういう趣旨を申し上げて、御協力を求めておるような次第でございます。 それからもう一つは、今お話の民間の委員を、再調査等があつた場合において参加せしめるかどうかという問題ですが、これは率直に申し上げまして、私どもも研究いたしております。ただ問題は、市町村ごとに置くということになりますと、これはまた非常に厖大なものになりまして、なかなか問題が複雑でございますので、もう少し大きな單位において何かそういうものを考えてみたらどうかということで、いろいろ案を練つておるのでございますが、そういう制度を立てるとしますと、どういう人をどういう方法で選定するか、これはなかなかむずかしい問題でございます。やはり人選がよろしきを得なければ、かえつて悪い結果を来すおそれがある。これは非常な適格者が出て来るようなうまい方法が見つかりますと、お話のように帳面もはつきりしない、どつちかと申しますと、むしろ常識でさばいた方がいいようなケースの場合は、私もそういう人の意見を聞いてきめた方が、いい場合が相当あるのじやないかということを感じておる次第であります。しかしその方法等につきましてなかなか問題がございますので、もう一年研究さしていただきまして、この次の機会までにもつとはつきりした、採用しないならばなせ採用しないか、またどういう理由で、どういう方法でやつたから採用するようにしたのだ、ということをはつきり申し上げるように、進めて参りたいと考えております。なかなか地方により、所によつて異なつておりまして、制度としてしきますと、やはり都会もいなかも同じ制度をとらなければならぬ。そうすると、どういう方法でやるか、これはなかなかむずかしい事情がございますので、これは三宅さんもよく御存じのことと思いますが、そういう点をよく検討いたしまして、妥当な結論をくだすようにしてみたいと考えておる次第でございます。
○三宅(則)委員 平田局長のお話は了承いたしましたが、ぜひ私は近い機会にそうしたような第三者の關與し得るという制度を確立いたしますことによつて、納税者の意欲を増してやろう、こう考えますから、ぜひ急いで立案していただきたいと思います。次にこれもしばしば質問することでありますので、局長の耳にも入つておることと思いますが、納税者の所得は一本であります。ところが場合によりますと、国の税務署、地方の方は地方税務署が来る。区の方は区役所の税務係が来るというように、同じ所得に対しまして、三べんも呼び出しがありましたり、あるいは調査に来たり、同じ所得にかかわらず、そうしたようなめんどうをこうむることによつて、営業者もしくはその他の所得者は迷惑する。でありますから、私はこの際所得を一本国家の方で決定いたしたならば、それを基準にいたしまして、あとは各人の家には戸別に来ないというふうにした方が、納税者にも便利でありますし、所得を決定する方も真劍にやれる、こう考えるのでありますが、当局の意見として、どういうふうにそれを扱おうとするか伺いたい。今のままでは煩雑で困る。これが民間の意見であります。
○平田政府委員 最初にさきの問題に関連して、ちよつとつけ加えて一点申し上げさせていただきたいと思います。御承知の通り、協議団の制度を二十五年から設けまして、現在やつておるのでございますが、先般有田委員からお話もありました問題でございますが、税務署が協議団にかけることをあまり好まないで、書類をにぎり込んでいる、こういう非難がありまして、私どもも調べてみましたら、やはりそういうことがところによつてある。従いまして今回は法律をかえまして、審査の請求をします場合は、面接税務署長を経由しないで、国税局長あてに審査の請求は出せる。今までは必ず署長を経由して出すことに法律がなつておりましたが、それが直接出せることに今回の改正案でいたしております。それから再調査の請求をいたしましてから、三月たつて税務署がきめない場合におきましては、納税者の自由意思で審査するかしないか、きめてもいいことにしておるのでございますが、これを当然審査の請求があつたものとみなして、当然協議団にかけて行く。そういうふうに、今回法律案をかえることにいたしておりまして、それによつて極力正しい納税者の主張を擁護しようという趣旨の改正を加えておりますことを、つけ加えておきたいと思います。これによりまして一部非難がありましたような、税務署が自分できめたものを協議団に直されるのはくやしいものですから、ついしまつて処理を怠つておるというふうなことが、よほど防げるようになるのではないかと考えますので、そのことを一点、先ほど再調査の話が出ましたので、申し上げておきたいと存じます。 それから今お話の問題は、国税と地方税との関係におきまして、課税標準の調査決定を一木にしたらどうか、こういう御意見であります。これはまだ私の個人的の意見の段階にすぎませんが、実はそういう御意見には賛成なんです。課税標準の決定というものは、国でもやり府県でもやり市町村でもやる三つがばらばらになつたのでは、どうも日本みたいなところではおかしい。だから所得の調査決定というものは、少くともどこか一本のところでやつた方がいい。一本のところでやつた方がいいとするならば、やはり国の所得税を担当する役所でやつた方がいいじやないか、そういう考えを私どもは持つております。ただこの問題は、地方自治の根本と申しますか、地方財政の独立性、地方団体のそれぞれの個有り権限らの関係におきまして、観念的に相当問題がある事項でありまして、そういう点を強調しますと、やはり府県税は自分で調べて自分で決定するのだ、市町村はやはり自分で調べて自分で決定するのだ、そういう傾向がどうも思想的に強いのであります。その点の調整をどうするかということが、やはり問題なのでございますが、私としましては府県、市町村はそれぞれきまつた課税標準をもとにして、税率を幾らにするか、それからそれに基いて出て来た税額を、今度自分で徴收する。その段階をそれぞれやればいいのであつて、課税標準の調査決定まで自分りところでやらなければ、独立性が云々ということはないと思います。それも一つの理想的な考え方と思いますけれども、日本のようなところで、あまりそういうことをやりますのは、どうも経費の節約の点から行きましても、それから納税者の迷惑という点から行きましても、やはり私は一本でやつた方がいいのじやないかというふうに考えでおる次第でありまして、これもこの次の問題としまして、何とかひとつ解決するように、私としましても努力してみたいと考えておる次第であります。
○三宅(則)委員 ただいま局長のお話がありましたが、シヤウプさんが二十四年においでになりました際は、国は国、地方は地方というようなわけ合いで別々に調査をいたしまして、お互いに間違つた場合には直し合えというような意味が、含まれておつたと思うのでありますが、その後の経過から考えますと、私の主張いたします通り、国が一本で基準をきめまして、これに地方は附加と申しますか、あるいはこれを算定の基礎といたしましてやるという事柄が、一番便利であると思いますから、ますますその意見を堅持されまして、早く立案に着手していただきたい、かように要望する次第であります。 次にもう一つ、これは立ち入つたことを伺いますが、今度三万円から五万円に上げられましたことは、決して悪くはないのです。私はもう少し——いつもよけいなことを言うようでありますけれども、もうちよつと上に上げてもらつたならば、なお国民は喜ぶのではないか。予算の関係もありますから、かつてなことは言えませんが、月少くとも五千円、年にいたしまして六万円というように上げられなかつたものであろうか。当局といたしましてはどういうふうに考えられますか。その辺をもう少し具体的にお話願いたいと思います。
○平田政府委員 基礎控除を幾らにするかということは、実は所得税の負担をどうするかという問題に関連する重大問題でありまして、私どもいろいろな角度から検討いたしておるのでございますが、やはり一つは、いつも申し上げておりますように、国民の低い方の生活に対しまして、あまり圧迫にならないと申しますか、最低生活費と申しますと、なかなかまたこれはむずかしいので、そういう言葉は避けたいと思いますが、どうしても生活のためにいる費用と申しますか、そういうものにつきましては、できるだけ控除しようという一つの考え方と、それからもう一つは、それをやつた結果財政收入にどう響くか、所得税の收入がどういうふうになるか、この二つの点から、基礎控除額を妥当にきめるという考え方で参つておるわけでございますが、今回三万円から五万円に引上げましたのは、私どもといたしましては、相当奮発と申しますか、譲つておるつもりでありまして、所得税が約一千億の減税になりますが、そのうち基礎控除の引上げだけによつて、五百七十五億の減税になるのであります。所得税の減税の半分は、大体基礎控除の引上げによりまして減税になるのであります。従つて低い所得者に対する非常な減税になるわけでございます。目下の財政状況等から考えますと、この程度のところが適当じやないかと考えておるのでございます。それからこの基礎控除は、独身者の場合に課税最低限になるわけでありまして、普通の世帯の場合は決してそうではなくて、扶養控除を入れて考えなくてはならない。先般予算委員会で中山博士は、昔は千二百円の免税点があつたが、それを今の物価に延ばすと二十四万円、今の基礎控除は五万円、こういう比較をしていましたが、これは私は非常に正しくないと思います。以前は扶養控除の金額が非常に少かつた、最近は扶養控除を非常に多くしております。従つて普通の納税者の場合におきましては、大体家族がございますので、実際は扶養控除を入れたところが免税点になり、控除になるわけでありまして、その点から申しますと、要綱の表にもつけておきましたように、実際の免税点は、昔に比較するとしますれば、五万円で比較すべきではなくて、やはり家族何人かによつて比較すべきでございます。扶養親族が奥さんと子供三人あります場合におきましては、今回の改正で十二万五千円の免税点に実はなるのであります。勤労所得でありますと、そのほかに勤労控除がございますので、もう少し高くなります。事業所得は控除がございませんので、そのままになりますが、十二万五千円まで実は免税になるのでございまして、昔の免税点と比較します場合には、そういう角度で御判断願うようにお願いしたい。しかし昔よりなおそれでも低いことは事実でございます。従つて所得税の收入も、昔と比べますと相当厖大な收入になつております。財政事情その地とかみ合せまして、適当なものにきめて行くということに相なるかと存じます。
○三宅(則)委員 それでは扶養控除についてお伺いいたしますが、この前の一万五千円が二万円に上つた。これもまことにけつこうなことでありまするが、三人までを二万円にとめておいて、四人目は経費がかからぬというわけでございましたようが、一万五千円にいたした、こういうふうな御説明かと思いますが、実際は産児制限ということがこの中に入つているのじやないか、そういう想像をするわけですが、立案者としての平田局長は、どういうふうにお考えになつているか承りたい。
○平田政府委員 私どもいろいろ実例を調べてみますと、やはり家族数が多くなりますと、一人当りの生活費は少くて済むというはつきりした計数が、たくさんあるようでございます。そういう点を考えまして、三人までは引上げるが、三人以上は一万五千円程度でよろしかろう、こういうことにいたしたのでございまして、これを人口政策と結びつけるか結びつけないかということは、批評する人の御自由だと存じますが、かりにそういうことを抜きにいたしましても、十分理由があるのではないかというふうに、考えておる次第でございます。
○三宅(則)委員 地方に参りますと、これは戦前のことでございますが、産めよふやせよというわけで非常に人間の増産をした。ところが自由党になつて、急に制限されては困るという苦情もあるわけでありまするから、もう少しく、三人ということを言わないで、四、五人まで伸ばしたらどういう計算になりますか、これも承りたいと思う次第であります。
○平田政府委員 これも実は大分收入にも影響があるのでございますが、今申し上げました通り、まず現在の生活費の実情からいたしまして、扶養控除をできるだけ上げるとするならば、三人まで上げるということの方がいいのじやないかという考え方で、このようにいたしたのであります。なほ将来財政事情等が十分許すようになりますれば、あるいはお話のような点につきましても、さらに考慮の必要があろうかと思いますが、現在のところは、これでいいのじやないかというふうに考えておる次第であります。
○三宅(則)委員 今度の改正によりまして、中堅の層と言われる三十万ないし四十万円のところも、大分安くなつたように思いますが、まだ一般的に見まして、三十万ないし五十万のところがどちらかというと負担が重過ぎる、こういうふうにも思うわけでございまして、もう一段とこれに対する考慮を拂う余地がなかつたかどうか、これを承りたい。
○平田政府委員 三十万程度の所得者の場合におきましても、実は相当な減税になります。たとえば所得が三十万円で夫婦、子供二人の場合におきましては、改正前に比べまして二割七分の減税になるのございます。改正前の税額が六万四千六百円に対しまして、今回の改正で四万七千円に下るのでありまして、お話のような点につきましても、できる限り負担の軽減をはかるという意味におきまして、單に控除の引上げのみならず、税率の調整を行いまして、お話のような趣旨に即するようにいたした次第であります。もつとも下げたらどうかという御意見も、確かに一つの御意見かと思いますが、やはり所得税は租税收入の根幹をなしておりまして、比較的所得が中以下の所得者が多く、大所得者が昔と比べしまて戦後非常に少なくなつております。金額から申しますと、一千万円と申しますとびつくりするようでありますが、昔の貨幣価値に直しますと、一千万円の所得者も、二百分の一にしますと五万円ですか、それくらいの所得者になつてしまいますので、これは大した所得者では実はないわけでありまして、大所得者が非常に少くなつておりますので、勢いやはり中、小の所得者もある程度負担してもらわなければ、所期の收入が上つて来ない、こういう点がありますことを御了承願いたいと存じる次第であります。
○三宅(則)委員 今度の税法改正によりまして、所得額から引くのではなくして、不具者、老年者、寡婦及び勤労学生等につきましては、税額控除になつたわけであります。一万五千円ずつ前のものは所得額から引いておつたのでありますが、税金の方から引くということになりますと、ちよつと見るとわかりが悪いのではないか。それをどういうふうにお考えになりましようか。それが一点。 次は戦災者、旧軍人もしくは軍属で戦傷にあつた者あるいは遺家族等につきましては、よほど多く引いてもらいたいという陳情をたびたび受けるわけでありまして、自由党の政策はまだなまぬるいとしかられるわけであります。六千円の税額控除ということになつておりますが、これは所得の方から引いた方がはつきりするのではないかと思います。これはどういうものでしようか。技術的には平田主税局長のお考えの方がいいかもしれぬが、一般の方に言わせれば、所得額から引いた方がはつきりすると思いますが、いかがでしようか。
○平田政府委員 これは二つの理由がございまして、一つは、大所得者も小所得者も税額で同じ金額を軽減した方が、制度の趣旨に即するというのが一つです。所得で引くこととになりますと、大きな所得者の場合は非常に大きな減税になり、小所得者の場合はあまり減税にならないのでございます。これはおわかりかと思いますが、たとえば所得からかりに二万円を控除するということになりますと、小所得者の場合は税率が一番低いですから、四千円の控除にしかならないで、大所得者で税率が五〇%くらいのところになりますと、一万円も軽減になる。こういうことになるわけですが、これは制度の趣旨から見まして、むしろそういうものよりも、税額で同じ額を軽減した方が、より趣旨に即応するのではないか。そのためには税額控除にした方が、そういう結論を来すわけであります。従いまして税額控除にいたしました結果、小所得者の場合には、所得控除の場合よりもより有利になりますし、大所得者の場合にはそれだけ不利になる、そういう結果になりますが、これはこういう制度の趣旨からいたしまして、望ましいのではないかというふうに考えておるのでございます。 もう一つは技術的な理由でございますが、最近いろいろ保險料の控除その他をやることにいたしましたのと、もう一つは、扶養控除につきまして三人まで二万円といたしました関係上、簡易税額表をつくります際において、所得控除にいたしますと、非常に複雑な簡易税額表になつて、簡易税額表が複雑税額表になつてしまうおそれがございますので、その点を避けるという点も考慮しまして、税額から控除するという方法を採用したのでございまして、私はこういう制度の趣旨からいたしまして、この方がやはり合理的ではないかと考えております。 それから遺家族に該当される人の場合におきましてどうするかという問題を、いろいろ研究してみたのでございますが、りくつを申しますと、所得税において差をつける理由がはたしてあるかどうか、これは問題があるところだろうと思います。先般も奥村さんからお尋ね願つたのでありますが、まあやはり担税額におきましても若干差をつける理由があるだろうということも考え、同時に遺家族の援護がなかなか完全に行きがたいという点もあわせ考えまして、この控除の面におきましても特別の考慮を拂う。そうしますと、やはり現在の控除額を普通の人の場合よりも五割増と申しますか、それくらいの控除にした方がいいのじやないか。これは別にむずかしい根拠があるわけではありません。常識的に判断いたしまして、この程度が妥当じやないかということで六千円の方にいたした、こういうことであります。
○三宅(則)委員 私は昨日も大臣に御答弁を願つたわけでありまするが、主税局長が当局者でありますから、もう一度伺いたいと思うのであります。青色申告が非常によろしいというのでありますが、聞くところによりますと、あまりにやかましく言われるというようなことがありますから、青色申告が減つて来ておるという。青色申告制度の普及発達には私は賛成であります。ただ、その帳簿の取扱いあるいはその調査方法等について、多少手かげんをする必要があると思う。そこで今度の改正によりまして、専従者には年額五万円までの給料を引く、こういうことになつたわけでありまして、この前もちよつと御質問したわけでありまするが、ほかにもうちよつと、十分というところまでは行きませんが、何らか勘案する余地が相当あると思います。私どもがいつも主張しておるところによりますると、正確に申告いたしたのでありまするからして、なるべくゆるやかにするためには、従来は一割ないし一割五分というようなものは手かげんをし得たわけでありますが、そういう線を堅持するようにいたしたいということを、しばしば主張いたしておるわけであります。これは税の基本といたしまして、所得のあつたものからはみんなとるというのが基準であると言つてりおますが、恩典といたしましては、何らか別の方法を考慮する必要があると思うのですが、あなたはこのほかの方法について、もう一度何か御説明していただきたいと思います。あるはずだと思いますが、もう一ぺんお話を承りたいと思います。
○平田政府委員 青色申告者につきましては、いろいろの得点を認めておることは御承知の通りでありまして、普通の納税者に比べまして、おそらく十以上の特典がくつついていると思います。その表をあとでお配りいたしたいと思いますが、今回さらに追加しますところの家族の控除は、これは小納税者の場合におきましては、実は相当な負担の軽減になるのであります。所得で若干しんしやくするどころの騒ぎではございません。これはおそらく單作地帯の農民の方々の場合は、青色申告をなさると、今までと比べて非常に軽くなる。小営業者の場合も同様に専従者の家族を控えておられる方々におきましては、今までと比べまして相当な軽減に実はなるのでございまして、むしろ一部ではこういう措置をやると、もう農民の人はほとんど免除してしまうことになりはしないかということを、心配しておる方もあるのでございますが、その心配が出るほど相当な効果があると私は思う。もう少し中以上の農業者の場合になりますと、今度は先般から例の退職積立金を積み立てた際に損金にするという制度を、実は前国会でお認めを願つたわけでありまして、あれによりまして、また非常に課税取得が減つて来るというような次第でありまして、私はこれをやりますと、青色申告につきましては相当考慮したというようなことに、結果においてはなるのではないかというふうに考えておるのであります。なお一般的に経費の見方等につきまして、青色申告者の場合におきましては、特によくひとつ実情に即するような経費の見方をやるということにつきましても、法令の上においてもそのような改正をいたしてありまするし、運用におきましても、そういう趣旨をよく徹底させまして、青色申告の普及ということには、われわれとしましてできるだけ努めるようにいたしたい。先般もある会合で申したのですが、私は青色申告がむしろ普通になりまして、白色申告が例外になるように、一刻も早く持つて行きたいという理想で臨んでおることを、御了承願いたいと思います。
○三宅(則)委員 具体的な話になりまするが、法人の方は、私どもの承るところによりますと、大体五〇%は青色申告になつていると聞いております。個人の方はわずか四・五パーセントしかないというようなことを聞いておりまするが、実際はその通りでありましようか。むしろ平田さんのお説で行きますと、逆に青色が五〇%になるように指導してもらいたいと思いまするが、その辺はどうなつておりまするか。実情でありまするから具体的にお話願いたいと存じます。
○平田政府委員 お話の通り最近の実情は、営業者の場合が約八%、農業者の場合は一%ぐらいでございます。これはやはり実際から申しまして、全部の人が青色申告になるということは、私はこれは理想として申し上げたのでございまして、まあ何年かかるか、こういうのは一ぺんにはなかなか解決は期しがたい。それで相当息長くやりますと、今申しました理想の方面に必ず行き得るのじやないか、また行かなければ税務行政もうまく行きませんし、また経営の方も合理化されないということにもなりますので、ぜひそういう方向に持つて行きたい。今回、専従者の控除を認めることになりましたので、これでおそらく来年度はよほど増加するのではないかと実は見ております。少々めんどうでもつけるのと、つけないのとでは大分差が出て来ますので、小納税者の青色申告というのは、よほど増加するのじやないか、それがまた非常に望ましいことである、かように考えておる次第であります。
○三宅(則)委員 他の委員からも質問があつたと思いますが、根本のことですから、ひとつ伺いたいと思います。 今度の税法改正を通じまして、前からのシヤウプ勧告案を基準になすつたことは当然だと思いまするが、シヤウプ勧告の中には、もちろんりつぱな案もありまするし、また多少実情に沿わない点もあると思うのでありまするが、この方針はかえない方針であろうかどうか。講和條約発効後におきましては、多少大幅にいじる決心を持つておられまするか、持つておられないか、このままずつと行くような御方針でありましようか、その辺を最初に承つておきたいと思います。
○平田政府委員 二十五年度に改正しましたシヤウプ勧告に基く改正というのは、私が先般海外を旅行して来ました際にも、大分学者に会つてサウンドしてみたら、米国の学者は大体異口同音に非常にほめております。すばらしい改正だというわけです。ところがヨーロツパ大陸に行きますと、必ずしもそうじやない学者の人に私は一、二ぶつかりました。それで私は制度としましては、二十五年度の改正というのは、ほんとうに理想的なりつばな制度だとで今も考えております。ただ日本の社会と経済が遅れておる、そこに少しギヤツプがあるのじやないか。今、社会と経済と申しましたが、もう一つは国民の感情と申しますか、国民性、そういうものと比べますと、税制の方が少し進み過ぎておる感じがある。それを今後どういうふうにして調整して行くか。これがやはり問題であろうと思いますので、こういう点につきましてはよく考えまして、実情に即するようにしたい。しかし目標は、われわれとしましては、あくまでも合理的な理想制度に将来は行くということを、前提にして考えるようにいたしたい。ただ一挙に、一足飛びに行きますから、なかなか問題が多いので、漸進的にそこに行くようにしまして、徴税機関におきましては適当な、実際に即応するような措置を講じてやつて行く、こういう考え方で行きますれば、税制としましては、非常にいい税制ができ上つて行くことになるのではないか、かように私は考えております。
○三宅(則)委員 具体的な話でありまするが、これは前々国会に有田委員からも質問があつたことでございまするが、たとえて申しますと、東京のような大法人をかかえました大きな税務署も、いなかの農村を含めました小さい税務署も、同じような機構でありまして、比較してみますと、大きい税務署の方が割合に人が少つい、こういう矛盾があるわけであります。そこで大きな法人を持つておりましたり、あるいは納税者を持つておりますようなところにおきましては、もう少し人員をふやすか、もしくは税務署を分轄するかということが問題になると思うのでありまするが、主税局長の今の方針といたしましては、どういう方針を持つておられまするか。私はなるべく個別的にまわつてよく調べてもらいたいと思いまするがために、大きい税務署よりもむしろ、小さい税務署の方が能率が上る、こういうふうに思うわけですが、どういうふうに思つておりますか、承りたい。
○平田政府委員 今お話の点は税務機構の上におきます一つの大きな問題でありまして、どうもやはり画一に流れ過ぎるという傾向が、どうしても中央政府の官庁の場合には出て来ます。地方と都会といろいろな経済活動のボリユームなりレベルが違う場合におきましては、率直に申し上げまして役人ですから、月給の上においてもあまり差がつけられないというようなわけで、なかなかそこに解決しにくい問題がたくさんあるのでございます。しかしその中におきましても、できる限りそれぞれ納税者の実態に即応するような、税務機構を打立てるということが大事なことでございまして、それゆえにこそ私どもは、やはり大納税者は調査課所管という制度もやつてみたわけでございます。これは私はある程度成功いたしておると思う。近ごろ神田橋とか麹町とか日本橋においでになりますと、その辺の一流の会社の調査権は実は税務署にあらずして、みな国税局が持つておるのでございます。そこに相当専門の有能な調査官をそろえまして調査に当らせる。いなかの税務署に行きますと、税務署所管のものばかりで、国税局調査課所管の人はほとんど納税者にはいない、そういうことも、お話になりましたようなことに関する一つの調節方法でございます。それはもつと考えたらどうかという御意見もございます。私どもそういう点につきましてもよく考えてみたい。たとえば地方の税務署等につきましてはできる限り簡素化する。やめるということになりますとなかなかまた問題がございますが、やめてもいいところは、やはり行政整理の趣旨から行きましてやめるし、やめると非常に納税者が不便な場合は、私は出張所みたいな程度でやはり残してやつて行くというような行き方をとつたらどうか。そうしまして差をつけるところはつけまして、実態に即応するようにして参りたいというふうに考えておるのであります。ただ何と申しましても一番大事なのは、やはり税務官吏の素質と申しますか、今日の段階におきましては、数よりもむしろ質だと思う。やはりむずかしい仕事をやるものは、相当経験を積み、知能もあり、常識も発達した、年齢としましても相当の年齢に達した諸君が直接調査をやる、そういうふうにしなければなかなか問題は片づかない。組織も大事でありますが、むしろ直接調査に当るところの税務官吏の素質を向上する。これが私はやはり一番大事なことではないかと考えておるのでありまして、そういうことにつきまして、今後一層われわれといたしまても努力してみたいと考えておるのであります。
○三宅(則)委員 この前も高橋長官に伺いましたが、平田さんがおいでになりましたから、もう一ぺん繰返してお尋ねいたします。前にもお語いたしたからお聞きになつと思いますが、私は二十七年四月からは、ぜひ調査の方法は、限界点を法人では五千万円くらいにしてもらいたい、こういう希望なのです。今までの二百万円というのでは、ほんとうの同族会社でありまして、どちらかというと、はなはだおそまつなものでございますから、これは調査課もけつこうですが、調査課は四千万円、五千万円というように程度を高めて、あとは税務署の修練しましたものにやらせるというように、限界を定めてもらつた方がよろしいと思うのですが、主税局長はどういうふうに思つておられますか。ぜひ五千万円を限つて、上は国税局、下は税務署、こういうふうにする。百歩譲りまして、いなかの方は三千万円を中心にいたしまして、上は国税局、下は税務署というふうになさつた方が、あなたがお話なさつた趣旨が徹底すると思うのですが、いかがですか。
○平田政府委員 現在きめておりますのが、少し低過ぎるのじやないかというお尋ねでございますと、私もそのように考えておりまして、ある程度引上げた方がいいのじやないかと考えております。ただ三宅さんの先ほどお話になりました趣旨を敷衍しますと、やはり大納税者のケースは、国税局の調査官が調べた方がいいのじやないか。税務署に行くと、どうしても人がそろわない。分散されまして、能率よくやりにくいということになりますし、調査官が仕事をしますと、ややもすれば机上だけに終るというおそれもございますが、しかし専門的に帳面等を調べる能力、それから一般的な経済知識等も養成する機会が多くて、非常に専門的になり得るというところもあります。あまりまた引上げるということも逆もどりで、先ほど三宅さんがお話になりました方向にマツチしなくなるので、その辺両者を考えまして、適当なところに引上げる。何か特に税務署に大幅に譲つた方がいいという積極的な御理由がございましたら、承つた上でお答えいたしたいと思いますが、大体そういう角度から考えまして、妥当なところに考えたいと思つております。
○三宅(則)委員 今のお説でありますが、平田さんも税務行政を担当する最高の地位におられる方といたしまして、適当な線を設けまして、ある程度より上は国税局の調査課がやり、下は税務署にまかせる、こういう線を堅持せられたい。なぜならば、税務署の方は二百万円以下でして、昔の五万円か十万円の小さい会社です。そればかりを相手にしてやつておりますと、税法の運用上あまりよくないと思いますから、ぜひ線は上の方に持つて行くようにしていただきたい。 もう一つ、この前も伺つたことでありますが、譲渡所得、退職所得等については、今度の軽減によりまして、十五万円を控除し、残りの半額に課税する。それはけつこうでありますが、山林所得の方につきましては、この前も質問いたしましたように、十万円ということでありますが、大山林には十万円、二十万円じや困るのです。三十年、四十年たたなければ山林は成長しませんから、むしろ三十分の一ずつこれを年賦で拂うとか、あるいはほかの方法にした方がよろしいと思いますが、どういうふうに考えておりますか。私は成長年数に割つて負担した方がよろしいと思いますが、いかがでしようか、承りたいと存じます。
○平田政府委員 山林の課税はなかなかむずかしい問題でありまして、今回できる限り実情に即するように改正いたしたつもりでございますが、いろいろな場合がある。大経営の場合でありますと、どちらかと申しますと、年々所得があまり変動しない人が多い。と申しますのは計画を立てまして輪伐等をやる、毎年一定の数量を切るというような場合が多いのでございまして、そういう場合におきますれば、実はあまり特例を認める理由はないのです。ただ山林所得はそういう所得ではなくて、ある年は相当たくさん切る、ある年はほとんど切らない、あるいは全然切らない、そういうことになる結果、たくさん切つた年は非常に累進税率の高い負担を受ける、少く切つた年は少くて済む、そういう不合理を直すのが、山林所得の場合の根本的な一つの所得税の課税の際における考え方でありまして、そのために変動所得の平均課税というむずかしい方法をとりまして、できる限り実態に即応するようにする。これをいつそ思い切つて半分くらいに課税してみたらどうかということも、研究はしてみますが、半分にして課税しますと、軽減しなくてよい人まで軽減してしまう。それでは十分目的を達成しがたい場合も出て来るわけでありまして、やはりその辺は将来なお研究の余地があろうかと思いますけれどもう、今回のような改正をいたしますれば、まず相当なところに行くのではないか。十万円を控除します結果、小山林所有者の場合はよほど軽減になる。しかし大山林所有者でありまして、年々輪伐しているというような場合におきましては若干の軽減になりますが、それほど大きな軽減にはならない。そういうのが所得税法の本来の建前からいたしますれば、穏当なところではないかというふうに考えておる次第であります。その他山林につきましては、相続税その他につきましてもできる限り緩和したいと考えますが、まず今といたしましては、こういうふうにいたしますれば、従来に比べますとよほど改善になるのではないか、かように考えているわけであります。
○三宅(則)委員 今のお話に関連いたしまして、山林を持つております者が、相続が始まりますと、とても納まらぬということに相なりまして、今度の改正で大分緩和されたようでありますが、相続税が二百万円もかかりますと、山を切つて売つてもまた足らぬというようなことを聞いたことがあります。それらに対しまして、相続税も今度は十年ということに延期になつたわけですが、こういうものを考えまして、山林所得につきましては、今後も改正のたびごとによい案を練り直して、委員会に出していただきたいと思います。もう一つ御所見の一端を承りたいと思います事柄は、三十万円とか五十万円とかあるいは百万円とか、いろいろあるわけですが、山林は持つておつても——得になることもありましようが、金に困るということもありますから、融通する法案もできたことと思いますが、結局山林の所得の算定が高過ぎる、あるいは相続財産が高過ぎる、こういうことになりはしないかと思いますが、その辺を承りたいと思います。
○平田政府委員 まず相続税の問題ですが、相続税というのはどういう税であるかということを、少しお考え願いたいと思うのです。これはやはり相続の機会に、ある程度財産の一部を納めてもらう。これは必ずしも現物で納めてもらうという意味ではなく、金銭で納めてもらうことが前提でありますが、それが実は相続税なんであります。所得から拂う税ではないのです。財産の一部で支拂うという建前のものが相続税でございまして、だからこそ五〇%とか六〇%という高い税率も妥当になるのでございます。従いまして相当巨額の財産を有しておられる方は、その相続税を全部所得で拂つてしまうというようなことを考えられるのは、これはもともと無理なんで、そういう意味なら何も相続税をかける理由はない。所得税と富裕税でけつこうなんであります。特に相続税を課税する理由は、相当巨額の財産を持つている人が相続しました場合におきましては、相続した機会に、ある程度財産の一部を国に納めてもらう、これが相続税の基本的な一つの考え方でございます。従いまして所得で全部拂えないような相続税はだめだという議論でありますと、実はこれは相続税を無視する議論で成り立たない。しかしさればといつてて何でもかでも少い財産を相続の機会に取上げてしまう。これはやはり適当ではないと考えるのでありましてそこにはおのずからやはり限界がなければならぬ。そういう点から考えまして、二十五年度に設けました相続税は、どうも限界を越えておるのではないかということを実施の状況等から見まして、今回最高九〇%を七〇%に下げる、中間の方も大分緩和しておりますが、そういう改正を行おう、そうしてできますならは納税者も売らないで納めてもらうことができれば仕合せであります。相続財産の一部を売らないで、全部所得で納められるようにしろということですと、相続税自体の存在を否認することになるので、その辺のことをあわせお考えになつて、御判断願いたいと思います。 それから山林の場合に少しきつかつたのは、相続が開始されますと譲渡所得税を課税されまして、その残りに対しまして相続税を課税する、こういうやり方をやつておつたが、どうもこれもやはり行き過ぎだと感じましたので、相続の場合におきましては、ひとり山林のみならず不動産も同様でありますが、譲渡所得税は課税しない、あとで現実に処分したときに課税する、こういう建前にいたしておりますから、現在と比べますとその点もよほどよくなるかと存ずるのでございます。しかし何でもかでも所得で納め得る限度の相続税にすべきだということでございますと、相続税自体を否認してかかる考え方になりますので、両者をあわせ、考えまして適当なところできめて行くということで、御了承願いたと存ずる次第でございます。
○三宅(則)委員 時間がありませんから、きようはもう一点だけ伺います。今山林所得を中心に考えまして相続税についの話があつたのでありますが、私は山林は治山治水の関係上最も必要と思いますし、またそれにつきましては特別の融資の方法もできたわけでございますが、そういうものにつきましては、実情によほど即応して改正しなければならぬ、かように考えますから、今回の改正もけつこうでありますが、さらに一段と納税者にも有利になり、国損にもならぬという線を堅持せられたいと思う次第でございます。 次にもう一点だけ伺つておきますが、今までの変動所得というものは非常に悪い制度でありまして、専門家でなければわからぬ、こういうことを言われておりましたが、ああいうものをやめてしまつて、もう少し簡單な変動所得に対する計算はないものだろうかということを聞きまして、きようは打切りにいたしたいと思います。
○平田政府委員 変動所得の課税方法が悪いという批評は当らないと思います。非常にいい制度だ、ただめんどうでしろうとにはいかにもわかりにくい、こういう批評でしたら、私はまつたく正しいと思うのであります。従いましてなるべく簡單化するということにつきましては、私ども考えておるわけであります。今まで五箇年間の変動平均を課税しなければならぬというところに、むずかしさがございましたが、今度は一年限りでいい。一年限りでいいというのは、昔も山林所得につきましては五分五乗の方法でやつていたが、同じことです。その範囲を擴大いたしまして、五十万円以下でございますれば、一年限りでいいことに今度かえることにいたしております。ただ漁業の所得とか原稿料の所得になりますと、それが主たる所得者の場合でございますが、主たる所得者の場合にそれをやりますと、ほかの所得者と非常にアンバランスになります。それで半分以上占めます場合には、これは毎年やつていただかなければならぬ考えでございますが、そうじやない場合におきましては、五十万円以下なら一年間限り五分五乗の方法で計算してもらえばいい。簡單化につきましては者きる限り考えております。同時にむずかしい制度ですが、だんだんやつて行きますと今度は簡單になるというか、実は覚えてしまうと大したことはない。これをいきなり半分引くとか三分の二引くということになりますと、また負け足らぬ人が出て来ると同時に、負け過ぎの人が出て来まして、おもしろくない場合が出て来るのであります。従いまして今回の方法としましては、こういう方法でできるだけ簡單化をはかることにいたしたのでありますが、しかしもつと思い切つて簡單にしてしまつたらどうか、こういう意見もございますので、私ども将来なおよくそういう点につきましては、十分研究してみたいと考えております。
○武藤(嘉)委員 今三宅委員から相続税に対する質問がありましたので、関連して大蔵省にお伺いしたいと思います。過去におきましては法人組織になつておりましても、その株式が取引所で上場されないような株式につきましては、個人と同一の扱いになつておつたようであります。そこでたとえば財産を相当持つております場合に、一流株あるいは二流株、たとい三流株でありましても、とにかく上場されておりますれば、取引所で公定相場が立つておりますので、それに準拠しておる。ところがそうでないものは資産内容が相当よいものも悪いものも、取引所に名前が出ていないというだけの理由でもつて、片方はその取引所の相場表で資産の詳価をなされるが、一方は資産を洗いざらい計算して、純資産と純負債を差引した結果を株式で割いて評価をする、こういうことに過去はなつておつたのであります。最近は大蔵省ではかわつたようでありますが、著しい不平等が相続財産の場合において起つて来るのであります。株式の方はずいぶん上り下りがはげしいのであるけれども、たとえば一流会社で何十億もの資産の含みを持つておるようなりつぱな会社の株式でも、株式相場に出ておりますものは、その公定相場以外にはこれを評価する方法はないのでありますが、いわゆる同族会社の場合におきましては、非常に内部を洗いざらいして、これを株式数で割るものでありますから、一株の価値が何百円とか何千円とかいうおそろしい評価になつて来るのであります。一流会社の株といえども五百円以上しかしらぬのに、上場されておらない同族会社の株式におきましては、八百円とか千円とかいうような大きな数字が出て来る。そこで何か最近大蔵省では類似の上場会社の建相場をおとりになつて、資産評価の基準にされておる。この会社に似たようなものだろうというようなことでおやりになつていらつしやるのでありますが、業態によりますと、大体上場会社というものは、資本金が最低五千万円から一億の相当大きな会社で、含みも相当にある優良な会社である。しかもこれが上場されておればせいぜい百円とか二百円、三百円も出るものはまれでありますが、同族会社についてはこれに準拠して、相続税の場合においても、富裕税の場合においても、これに課税せられるとすると、大きな会社の上場されておる株式を持つておる者は非常な得をし、これに反して同族会社の株式を持つておる者、あるいは同族会社を営んでおる者の財産の評価については、著しく不平等だと私は考えておるものでありますが、これは主税局においてどう考えておるか、一応お聞かせ願いたいと思います。
○平田政府委員 今お話の問題は、昨年富裕税を初めて実行いたしました際におきまして、特にそういう問題が顯著に出て参りましたので、すでにお話のようにできる限り類似株式の市価を求めまして、それと兼ね合せる方法で妥当な評価をする、こういう方法でできる限り実際に即応するような評価をすることにいたしております。ただしからば上場株と全然類似なものに評価していいかということになりますと、これはまたいろいろ問題がありまして、個人の営業者の資産を評価する場合にはどうするか。それからはたしてそういう評価で、その人が企業資産一切を売買されるかどうか、そういう問題もございますので、やはり両方兼ね合せまして妥当な評価をすべきじやないかという考え方で、現在は、お話の通り、正味資産で出て来た一株当りだけで評価するという方法は、採用いたしておりません。今すでに御指摘になりましたような新しい見地を取入れまして、妥当な評価をすることに努めておる次第でございます。
○武藤(嘉)委員 ありがとうございました。しかし私の申し上げたいのは、何しろ日本では最近資本金の小さい同族会社式の法人が相当数ありますので、大蔵省川がそこへお気づきになつたことは税制の均斉あるいは平等という建前から非常にけつこうには存じますが、どうもまだ税務署の評価の場合においても、あるいはその他におきましても——私の申し上げんとするのは大会社の上場株を持つているのは、かりに一流会社の株を何千株持つておつても、これはもう上場株の株式しか——一方においては大体において財産を洗いざらい出される。しかもこの場合においてはほかにいろいろの、たとえば貸倒れになつておるようなものでもなかなかお認めにならない、さようなものであつて株式の時価をお出しになる。しかるに一流会社の株式を持つておる場合においては、非常に有利な資産評価が行われる。この結果はいわゆる中小企業を営んでおる者は非常に不利な立場に置かれ、これに反して他人に仕事をさせて利子で食つておるいわゆるランチエ式な、何といいますか、しもたや式の生活をしておる財産家においては、非常に楽な評価を受けて、相続もしくは富裕税を納めるという結論に現在なつておるんじやないか。これはむしろ小さなものをいじめて、大きなものに寛大であるというふうに私は考えておるのですが、ひとつ御意見を承りたいのであります。
○平田政府委員 大きな会社の現在の株式の時価というものが、会社の正味資産で割つたものに比べまして、著しく低くなつておるということは御指摘の通りでございます。株が徐々に上つて来ておるようでありますが、私はまだ上るんじやないかという個人的な観測を持つておるのです。昔はそういうことはなかつたのですが、戦後の変態期におきまして、特にそういう傾向が顕著につ出て来ておるようでございます。しからばといいまして、そういう際におきまして、株主としては全部の株式を独占して持つておるわけではございませんので、結局やはり取引所でその値段で売買せざるを得ない。そうなりますと将来はその株価に非常に含みがありまして上るかもしれません。そのとき売るとすれば、やはりその値段でしか売れないということになりますと、これはやはりその株価で評価するよりほかない。従いましてこれをさらに高くするいうことは、どうも私はやはり理由がないんじやないか。しかし大会社全部独占的に持つております株主の場合などになりますと、どうなりますか、あるいは少し違つた考え方が成り立ち得るかもしれませんが、普通の会社の場合におましてはそうであると思います。そういうふうにしたから大会社を擁護したということには、必ずもならぬのじやないかと思います。従いましてそういう事情がございますので、小企業の場合におきましても、同族会社の資産を評価する際におきましては、純然たる正味資産だけで、今言つたような事情がございますので、類似株式の時価等をよく参酌いたしまして、妥当と考えられるようなところで評価するということに、最近特に努めておるような次第でございます。今の段階といたしましては、経済的に見てそこに非常に割り切れない点がございますので、評価にあたりましてもそれをできる限り実態に即応して、妥当な結論を出すように努めてみたいと考えておりますことを、重ねて申し上げておきます。
○小山委員 ただいまの武藤さんの問題は、私も先々国会かで申し上げたことでありますが、その同族会社の株式を評価する場合に、上場株式を参酌してこういう漠然たるお話でありますが、これは何か通牒でも出されてこういうふうな方式で参酌するということをやつておられるのか。もしそうであるとすれば、その内容をここでお聞かせを願いたい。
○平田政府委員 これは通牒を発しまして、税務署で相当詳細にその基準でやるように言つておりますので、この次の機会にその通牒を持つて来ましてよく御説明申し上げます。
○佐藤委員長 本日はこの程度にとどめたいと存じます。 この際御報告申し上げておきます。昨日の委員会において御決議願いました公聴会の件につきましては、本日の理事会におきまして、大体今月の二十二日に開会することに決定いたしました。なお公述人の選定につきましては明日議長の承認がありました場合、御報告いたすことといたします。それから税法審査方針としは、大体今月の二十八日に討論採決の予定で質疑を進めたいと存じます。そうして自由党三日、改進党二日、日本社会党、共産党及び日本社会党二十三控室がそれぞれ一日、そのほか予備に一日の割当で質疑を行うことに決定いたしましたので、あわせて御報告申しておきます。次会は明十六日午前十時から開会の上質疑を続行いたすことにしまして、本日はこれにて散会いたします。午後零時二十九分散開