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13回国会衆議院1952/02/04

大蔵委員会 第6号

発言数
70
登壇者
9
会派数
1
開催日
1952/02/04

会議録

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず税制改正に関する件を議題といたしまして、前会に引続き質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。奥村委員。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 こまかい質疑は本法案が提案されてからいたしたいのでありますが、先般の主税局長の御説明に関連して、大まかな御質問をしてみたいと思います。  御説明の要綱の二ページの(3)の「自家用住宅及び自作農地」、これは新たに制度を今度なさるというわけでありますが、自作農地の場合は、これは農地の交換分合に際して、譲渡所得の免税の措置をとろうというので、まことにけつこうと思います。自家用住宅の場合も同じように取入れる。そこで一年以内に新たにこれら同種の資産を取得したというのは、自家用住宅を売つた日から一年以内に新たに取得した場合、自家用住宅というのは同一人で三つもあるというようなこともありますが、それはすべて自家用住宅として見られるか。それから新築あるいは中古の住宅を譲り受けた場合でも受けるのか。それから自家用住宅の売渡し価格と、新たに所得した住宅の価格と、これは全然関連しなくともいいのか。百万円の住宅を売つて二十万円の住宅を買つたという場合もそれで行けるのか。そういう点をもう少し詳しく、政府のお考えを御説明願いたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今お尋ねの問題につきましては、今お話になりましたような事柄を法文化する場合におきまして、問題にいたしておるわけであります。最初に問題にされました三つ持つているといつたような場合にどうするか。これはちよつと私どもの方も最終的に決定いたしていないのでありますが、ほんとうに自分で住宅として使つているという事実があれば、その場合に該当するようにしたいと考えております。それから使わずに遊ばしているような場合には、若干問題があるかと存じます。  それから第二番月の売つてから一年後に取得する家は、古い家を買われてもよろしゆうございますし、新しい家を新築されてもよい。それはどちらでもいいことにいたすつもりでございます。  それから最後の件の百万円の家を売つて、二十万円の家を買つたという場合におきましては、二十万円を限度としましてこの譲渡所得税の課税をしない。結局そうしますと、計算しました譲渡所得の金額を十分の二までは非課税にしまして、十分の八だけは課税することにいたしたらどうかと思つております。百万円の家を売つて五十万円の家を買つて場合は、譲渡所得は半額だけ課税しないことにしたいと思います。それから反対に、百万円の家を売つて百五十万円の家を買つた場合は、全額見ることにしたい、大体こういうふうに考えております。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 この制度を新たにつくろうとした理由を承りたい。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 こういう場合におきましては、資産の單にとりかえと申しますか、Aの資産からBの資産に置きかわつたにすぎない。別段その間譲渡いたしまして、その際うまく売り渡して利益を得ようとかなんとかいうことにも、全然関係が、ございませんし、Aの資産からBの資産に置きかわつたにすぎませんので、その際は課税しないでおきまして、あとで実際に売却しました場合に課税する、こういうふうに考えております。従いましてこれは実は免税しつぱなしではないのでありまして、前の家の原価をあとの家の原価に見るわけでございます。従いましてあとの家を、今度は現実他人に処分しました場合におきましては、その場合は讓渡所得税がかかるようになつて立る、こういう関係におかれるかと存じます。ちようど今度相続の場合につきましても、同様に現在は直続の場合も、全部譲渡所得を計算いたして課税しておるのでございますが、この場合も、相続の場合は課税しないでおきまして、後に実際に不動産を売却しました場合におきまして、その際に課税しよう、課税する場合の取得原価は、前の被相続人の取得価格による、こういうことにいたしたいと思つており申すが、それと同じようなことを住宅と農地の一種の交換の場合に適用しよう、こういう考えであります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 そうしますと、自家用住宅を買いかえたという場合においての讓渡所得は、実際に売り放したときまで課税しない、こういう取扱いをするというわけですか。そういたしますと、かりに、古い住宅を売つて新築した。その新築した家の原価を、古い住宅の取得価格にしておる。これは実際上はそういうことができますか。第一古い住宅の取得価格というものが、売却してから後いつまでもそういうことが調べられるかどうか。実際上困難ら点があろうと思いますが、その点はどうなりますか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 実際上困難な点は、とらないでいた場合とまつたく同じでございまして、長くたつとなかなか取得原価がわかりにくいということは、譲渡所得税一般に通ずる一つの問題にすぎない。今のお話のような場合は、新しい家を建てた際に、その家の建築費によらないで、古い家の取得価格によりまして、今度新しい家を建てた際に取得原価を見るということでございますので、その関係は家をずつと引続き持つておりまして、あとになつてから売つた場合と大差がない。むしろ実際問題としましてはそういう手続が行われました場合に、新しい家の取得価格が幾らかということを、その機会にはつきりさしておくのも一つの方法かと存じますが、しかし別段そういうことをしないでも、引続きずつと長く持つている場合と、かわりはないと考える次第であります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 それじや自家用住宅を百万円で売つた、それから百五十万円で新築したという場合、その新築した家の取得価格は幾らになるわけでございますか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 その場合もしも前の家の譲渡所得の計算の際に、控除されますところの取得原価と申しますか、それがかりに二十万円であつた。それを百万円で売つた、こういう場合におきましては、百万円から二十万円を控除した残りがこの譲渡所得になるわけですが、今申し上げましたように、新しい家を買つたのが百万円でありますと、その新しい家の取得原価は昔の二十万円で見るということで解決するわけですが、お話のように半分の家を買つた場合におきましては、その場合には半分は課税いたしますので、残余の部分は十万円——二十万円の半分でございますが、最初百万円で売つた家の……。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 いやそうではございません。百万円で売つて百五十万円の家を建てる。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 五十万円で売つた場合、五十万円の家を買つた場合……。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 いや百万円で売つて、百五十万円の家を買つた。むしろ五十万円余分に金を拂つたのです。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 そのときのことを申しますが、今五十万円で半額の家を買つたような場合、従いまして前の家の取得価格を半分にしまして、それを新しい家の取得価格と見るということにすればいいのじやないか。それからまた逆に大きな家を——大きな家と申しますか、つまり百五十万円の家を買つた場合におきましては、それとちようど逆に、まだ全額課税しませんので、前の家の二十万円百五十万円の新しい家の百万円に相当する部分については、二十万円が取得原価、それを越える部分については五十万円が取得原価、つまり百万円の部分につきましては二十万円が取得原価、百万円を越えまする五十万円は、実際の五十万円が取得原価、そういうことで実際は計算いたしております。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 そういう措置まで講じて、譲渡所得税の課税を延ばすということは、相続の場合にも当てはめる、こういうことに今回なさるのですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 相続の場合はもつと簡單でありまして、相続された機会においては、現在は譲渡所得を計算して課税しておりますが、その際は課税しないでおくということにしておきますれば、簡單だと思うのであります。相続人がその家を後で売りました場合において、被相続人が幾らでその家を取得したか、その取得した原価で見て譲渡所得税をかけて行くということで、問題は簡單かと存じます。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 その点はこの要綱の中に出ておりませんが、自家用住宅の相続の場合は譲渡所得税はかけない、こういうことになさるわけですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 その点は若干問題がございましたので書かなかつたのであります。四項に「拡張する等できる限り課税の簡素化をはかる」ということにしてありますが、負担の軽減をはかる趣旨から申しまして、法律で追加いたしたいと考えておるのであります。ただその際若干問題になりましたのは、贈與の際はやつぱり課税した方がいいだろうと思うので、贈與は課税するつもりですが、相続の場合と、それから潰贈によりまして、相続人に財産を渡した場合、その二つの場合には譲渡所得税は課税しないでおこう、こういう考えでございます。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 その場合に、これは山林などの譲渡所得と、それから自家用住宅の譲渡所得と、相続の場合の取扱いが全然かわつて来ることになる。私どもはこの際山林その他の不動産の譲渡所得、これは相続の際にはかけない、こういうようにすべきだということをかねて主張しておつたのですが、どうも政府としては、この際はこれを実現しないということであります。これは理論上非常に不公平なことになろうと思うので、ひとつ二、三これに関連したことをお尋ねしておきたいと思います。  今度の改正要綱を見ますると、相続税にしても、まず退職金の場合、退職金に対して二十万円の控除を認めるということをしております。それから退職所得に対しても、課税の方法はこの前の臨時措置法をいよいよ恒常的な措置にする、あるいはまた、保險金に対しても十万円を二十万円にする、こういう金銭的な財産については非常な控除の措置をとつておられる。山林その他の不動産に対しては、今回十万円の控除ということになりますが、この十万円の控除の恩典というのは、大した意味はないと私は思うのであります。これは相続税と所得税と関連して行きますから、総括して申し上げますが、相続税の場合にしましても、金銭的な財産であれば、相続人を何人もふやして、それぞれ三十万円の基礎控除、それから保險金にしてみれば、それぞれ二十万円の控除、こういうことになります。ところが山林やその他の不動産の財産相続という場合には、これは簡單に分割して相続するということは事実上は困難である。そこで山林、不動産の相続について、これは分割して相続する場合は、あくまでも分割して登記しなければ、分割相続とは認められぬことになろうと思う。たとえば自家用住宅、これが百万円の財産だ。これを三人で分割して相続しよう、こういう場合、これはどういう方法がとれるとお考えになりますか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今相続の際に譲渡所得税はかけないと申し上げましたのは、これは山林、林地の場合も同様でありまして、特別扱いするつもりはございません。今譲渡所得税をとつております山林も、同様にとらないことになる考えでございます。  それから相続の場合におきましては、これは御指摘の問題は確かにあると思うので、つまり分割しやすい財産は、それぞれ分割すれば相続税の負担が安くなる。分割しにくい財産は分割しないで、だれか一人の相続にしてまいますと、それだけ相続税は高くなる。これは相続税法の根本原則から、そういう建前の相続法を実は二十五年度から実行したわけでありまして、立然の帰結だと思いますが、ただお話のような場合、相続税の負担の調整等の関係におきまして、住宅のほかに動産を持つておるような場合におきましては、私はやはり民法の趣旨に従いまして、長男が家をもらえば、その他の財産は次男、三男にわける、こういうことに自然になるのじやないかと思うのであります。またそれが新民法の趣旨なので、それを否定するという考え方になると、新民法の原則がおかしくなつて来るのじやないかと思います。そういう方法でできる限りの調整ができるのではないか。またかりにそういう処置がない場合におきましても、共有という形にしますれば、共有の持分だけについて取得したものとして、それぞれ課税して行くということになるわけでありまして、その辺のところは実際におきましてどういうふうに相続の財産が各相続人に配分されるか、それによつてきまつて来ると考える次第でございます。  それから登記は、その場合の一つの証拠資料になりますが、必ずしも登記だけによるのではなくて、実態において相続財産が、民法の規定に従つてどのように配分されたかということが、相続税をきめる場合の最終的な基準になると存ずるわけでございます。もちろん登記で明らかになりますれば、それは有力な資料になるという関係になると思います。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 ただいまの御答弁によりますと、必ずしも登記のみによつて証明せられるのじやなくて、そのほかの方法でやつても共有ということが証明されるならば、たとえば同一の財産でも三人で分割して相続することができる、こういう御答弁のように承ります。特に私は山林その他不動産のことで痛切に感じておりますが、山林など一筆でもつて何十町というのがある。これを分割して相続するということは事実上至難だ。そうすると、基礎控除の恩典というものは受けられぬということが間々ありますので、そうしますれば——これは念を押してお尋ねしますが、登記においては一人の名前で登記して、そうして実際は共有財産であるということを証拠立てることができれば、これは分割した相続として課税の基礎控除の恩典を受けられる、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。またそういう共有ということが、税法上認めてもらえるような証明の方法はいかにしたらよろしいか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 お話のように、相続を開始された機会におきまして、はつきりもう登記をかえてしまいまして、長男の名前に全部してしまうということが行われますれば、これは民法の相続分を変更いたしましてその人だけが相続したというふうに認定せざるを得ないのではないか。ただ名義がまだかわつていない、相続財産について特別に民法の例外を設けるような協定もしていない、こういう場合におきましては、民法の原則の相続分について相続したものとして課税する、こういうことになつております。  それから今御懸念のような場合は、一応やはり共有の登記をしてもらえれば、一番簡單ではないかと存じます。その際に、あとで共有の持分を放棄しますと、その際に贈與として課税するという結果になるわけであります。相続した機会におきまして、共有、分割できないものは、相続分について持分をきめまして共有するということでありますれば、これはそれによつてやつて行くということになると思います。ただはつきり相続直後におきまして長男なら長男だけの多義にしてしまつたということになりますと、これはよほど判定の確実な証拠がない限りにおきましては、やはりそのものは民法の相続分に対しまして一応変翼を加えまして、その人一人が財産を取得したというふうにせざるを得ないのではないかと思うのであります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 それでは先ほど御答弁がありましたのでお伺いいたしますが、山林などの讓渡所得も相続の場合かけない、そういう措置を今度なさる。そういたしますと、その場合の相続財産は、時価でもつてやるのですか。取得価格でやるのですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 相続の場合は全部相続開始当時の時価によるわけでございます。今までは時価で、評価しまして、その際に時価で売つたものとみなしまして、取得価格と比較しまして、譲渡所得税を課税して、譲渡所得税を引いた残りのものに相続税をかける、こういう行き方をやつておるわけでございますが、それを譲渡所得税を課税しないで、時価で相続税をかけて後に、そのものを実際に処分したときに、相続人が取得したときの時価と比較して譲渡所得を課税しく行く。現在は相続の場合は一ぺんに課税してしまいますので、一ぺん譲渡所得税を課税いたしました後におきましては、その財産の取得価格を相続の際の評価額とするということに、現在はなつておるわけでございます。それを評価額いとうことにして、その際は課税しないでおきまして、取得価格は評価額ということで、相続人が実際に取得した価格でございます。それをもとにして計算しておるわけでございます。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 相続の際の譲渡所得、これは山林も不動産その他についても、譲渡所得はかけないという措置をなさるというただいまの政府の方針は、われわれ年来の主張であつたので、これを実現するということは、まことに喜ばしいと思います。  それから退職所得に対する臨時軽減措置、これはいよいよ恒常化するのでありますから、特にお尋ねしておきますが、退職所得については十五万円の控除、その他の譲渡所得、一時所得は十万円の控除、五万円の開きをつけたのはどういうわけですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 これは、退職所得はまつたく勤労の集積たる所得でありまして、担税力の上において一番退職所得の方が弱い。その他の所得は、いずれも資産所得的の要素をその中に含んでおりますので、退職所得と差別をつける方がよろしかろう、こういう考えであります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 それは了承いたしますが、この半額は控除して半額は課税所得とする理由はどういうことですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 退職所得につきましては担税力も低いし、それから一々五箇年平均課税するのはなかなかめんどうであるので、むしろ累進税率の負担の間を半額控除という方法によりまして、なるべく簡易な方法で解決をはかりたい。源泉だけでほとんど退職所得の問題は解決する。申告の際はほとんど問題にしなくてもいいというふうにするために、特にこのように分離して課税するし、半額控除して課税する、こういうことにいたしたわけであります。これは退職所得だけについてでありまして、一番担税力も低いので、なるべく源泉だけで行いまして、再び申告する必要のないようにしよう、こういう考え方であります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 私は今の半額は課税対象にしないということをお尋ねしたのですが、しかもその次に今度はこれは総合にしないで分離にする、その分離にするという理由はどういうことですか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 先ほど申し上げましたように半額にしまして、たとえば五百万円ある年に退職所得があつた。これが毎年生じておるものでないとすれば、とても最高税率の適用を受けるような結果にはならない。従いまして、やはり半額にしないと累進率の負担が非常に高くなる、そういう結果になるので半額にするという考えであります。それとほとんど同じことですが、総合すると、やはり半額にしましても一番高い税率の適用を受けることになりますから、これは半額にしまして課税したらどうか。もう一つは総合しますと、どうしてもまとめて申告してもらわなければならないようになりますが、なるべくこの種類の所得に対しましては、源泉だけで相当な負担ができるようにしたいということで、そういうことを考慮しまして、二つの点から特別控除を行つたという趣旨であります。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 退職所得を受取る方が、職を離れてほかに收入がないという方に対しては十分の手当をして、なるべく課税を減らすということは当然であります。しかしほかに職があり、あるいはほかに收入があるという方であつたならば、少くとも十五万円を控除し、また半額を控除するが、残りの所得については総合課税をするのが、累進課税の制度の原則に従うものであると思う。総合して困るという人は、ほかに所得があるなら総合しては困る。そういうほかに所得のある人なら、そういう退職所得に対しては幾分がまんしていただかなければならぬ、こういうふうに考える。これはなぜかというと、山林譲渡所得、一時所得、これに対しても分離課税するならわかる。しかし退職所得のみに分離課税するということは筋が通らぬ、こういうように思うのであります。どうもそれは意見の相違で理論倒れになるのでありますが、いつそ退職所得を分離課税するなら、譲渡所得、一時所得、山林所得、これらも分離課税すべきである。もともと譲渡、一時、山林というものは、シヤウプ勧告によつて総合課税にまで無理に持ち込んで来たので、これは心離すべきであると思う。この際なぜこれだけを切り離したのか。近いうちにこれを分離課税になさるのか。これを私は分離課税にしたいと思うのですが、政府の御方針を承りたい。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 変動所得につきましては、所得の性質にかんがみまして、一つは普通の所得よりも若干負担を軽くしてもいいのではないかということと、今の五年五分五乗してやる方法がいかにもむずかしいですから、なるべく簡潔化をはかりたい、こういう趣旨で考えておる。ただ問題は、その中で退職所得は担税力が一番低いので、思い切つた処置を講ずる。しかしこれに反しまして、譲渡所得、山林所得は何と申しましても資産から生じた所得でありますから、担税力が退職所得に比べますと、相当多いと見なければならない。そうなりますと、課税の原則から行きまして、現在の制度は公正の点から一番いいのですが、私ども二十五年に改正しました源泉所得に対する課税というものは、担税力の見地から行きますと、これが一番いい制度で、ほんとうを言いますと、将来適当な機会がありますれば、こういう制度にもどすのもいいと思つております。ただいかにも日本の現在の実情からむずかしいという点と、累進税率が非常に高いというような点からいたしまして、実情に即しないので、例外を設けよう。例外を設けるとすれば、担税力が一番いいものについて一番例外をつけてもいいのではないか。そうでないものにつきましては、課税の根本をくずさない意味におきましてできるだけの簡素化と負担の公平化をはかる、こういう趣旨でできております。従いまして両者の間に若干の差が出て来るのは、所得の性質からいつても、認められないわけではありませんが、私どもといたしましては、今としてはこの程度でよいのではないかと思います。讓渡所得その他についてはどうするかという問題は、これは確かに問題でございます。お話の問題もなお一応研究してはみたいと思いますが、今の段階といたしましては、まずこの程度のところが妥当ではないかと思います。今奧村さんは、退職所得について、ほかの所得があればいいのではないかというようなお話ですが、一回限り五分五乗いたしますと、一月やめた場合と十二月やめた場合で負担にえらい差が出て来る。五年間にならしますと、その関係はよくなる。一箇年五分五乗で行きますと簡單ではありますが、一月でやめてその年だけは所得がない。十二月月給をもらつていて、翌年ではないけれども、その年は所得があるという場合には、担税力がえらく違つて来る。それを五箇年にならしますとよくなるが、五箇年にならしてやるということは、いかにもめんどうでありまして、こういう方法をとりますと、もう少し納めていい人でも負けてしまうことになる。完全に所得がなくなつた人の場合には、まだ負け足りないかもしれません。しかしそういうことを抜きにしましても、退職所得金に対しては、全体としては甘いことになるが、簡單な方法をとろうというのが骨子であります。山林、譲渡の場合は資産所得的要素があるのでありまして、担税力が退職所得よりも多いので、なかなかそこまでは折れ切れないというところに、問題の所在があるように私は考えております。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 今度生命保險の保險金に対して、相続税の面において十万円の控除を二十万円にした。これはこの前も私が申し上げておいたのですが、生命保險の整除を認めるということは、これは資本蓄積の線にも沿うてけつこうではあるが、この前実施してすぐまたそれの金額をふやした。しかし一体生命保險会社の今の実情が、はたして資本蓄積の線にそのまま沿うような経理内容になつておるか。その点をよく御研究になつていただきたいということを、主税当局にお願いしておいた。最近情勢がかわつて、内容がよくなつたかどうかお調べになつたことと思うのですが、その点、この次に法案を提出されるまでに、その生命保險会社の内容をお調べになつたものを、一諸に加えて出していただきたい。それから最近、特に造林については政府では積極的に援助指導をやつております。御存じの通り農林漁業特に造林資金を非常にたくさん出しておる。日本の山林における植林は緊急重大な政策であると思うのですが、この生命保險において二十万円の控除をつけるということをするならば、山林の譲渡あるいは山林の相続という場合に、何とか適当な恩典の措置を行われたらどうか、そういう御用意があるかどうか、お尋ねしておきます。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 生命保險の優遇がはたして値するかどうかということで、前回も奧村さんから質問を受けたのでありますが、昨年新しく設ける制度といたしまして十万円控除にいたしたのであります。今度は全般的に基礎控除を上げるということになりましたので、保險につきましても引上げる。それと、保險金額の平均額と申しますか、新規契約の額というものがだんだん増加する傾向でございまして、二十万円程度ぐらいまでなら、やはり今として認めてもいいのではないかという考え方で、改正いたした次第であります。何と申しましても、インフレで一番犠牲を受けましたのは、実は保險会社——というよりも保險契約者が非常にきつい月にあつている。むしろ保險会社の方はあるいはそれほどでもないかもしれませんが、とにかく保險契約者というものは、インフレによりまして切り捨てられたと同じ結果になつている。しかし保險思想を発達させ、保險を大いに優遇するということは、社会的な意味におきましても、これは相当な意味があるだけではなく、長期資本の蓄積という点から言いましても、これは非常に望ましいことではないかと考えまして、この際引上げることにいたしたのでありますが、保險会社の資産の運用状況その他につきましては、適当な機会にさらに御説明申し上げたいと思います。  それから山林につきましても、今お話のような要望も私ども聞いておりましたので、あちこちで、できるだけそういう趣旨に即するような改正を行いたいというのが一つのねらいで、譲渡所得の十万円の控除もその一つ、それから今申しました相続の際の譲渡所得は課税しないというのも、追加してやる一つの措置であります。さらにこれも技術的に若干問題になりまして、まだ最終結論に到達しないのでありますが、山林、不動産の再評価税につきましても、再評価された額から十万円控除するということによりまして、軽減をはかるようにしたらどうか、そういうことも追加して考えておる次第であります。できる限りそういう趣旨に即するようにしたい。それから相続税におきましても、とにかく山林所有者は、奧村さんも御承知の通り、農地の所有者よりも、あるいは農地改革等の一関係からしまもて、比較的まとまつた財産を持つておられる方が多いようであります。その結果、山林所有者は相続税率の高いブランケットに該当する人が相当多い。そういう人に九〇という税率を課税したのでは、いかにもおもしろくないというような点を考慮しまして、相続税の税率も、今回ここにお示ししましたような上の方の税率を、特に緩和するというような考え方をとつた次第であります。山林につきましては特にどうこうということはございませんが、制度の仕組みからしまして、山林につきましても実情に十分即し得るようにという趣旨で、いろいろな制度を考える際に、これを頭に入れて考えておるということを、御了承願いたいのであります。  それから物納の点につきましても山林、不動産等の場合には、今まで延納五年でございましたのを十年に延ばす。それから利子税も今まで四銭でありましたのを二銭に下げる。これはいずれも主として山林が一番利用関係が多いと思いますが、そういうものを頭に置いて、こういう制度を考えることにしたのだということを、御了承願いたいと思います。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 相続の際の山林その他不動産の譲渡所得は、課税しないということでありますので、私も実はそうでなければ大いに議論したいところでありますが、これはもう議論する必要がなくなりましたので、あと二、三簡單なことをお尋ねいたします。  説明書の(2)の、旧軍人軍属の遺家族である寡婦及び老年者、並びに旧軍人軍属で戦傷のため不具者になつた者に対しては、これらの控除を六千円に引上げるということに今回初めてなさるわけです。軍人遺家族に対する援護対策は、今国会で審議中でありますので、税の面で特に二千円控除を引上げるというこの理由はどういう理由ですか。援護対策と関連して考えなければならぬので、その理由をお尋ねいたします。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 お話の通りこれはもちろん援護対策と関係するかと思いますが、どうも諸般の財政の事情からいたしまして、なかなか十分な援護の措置が講じにくいという事情もございますので、あちこちでできるだけ理由のつく限り考えたらどうか。未亡人の場合なんかでも、現在未亡人控除が、自分の自由意思でわかれたような人の場合でも、これが適用になるわけですが、そういう人と遺家族に該当するところの未亡人との場合は、やつぱり担税力の見地から言つても、少し差をつけるという考え方をとつてもいいんじやないかと考えられますし、広い意味の援護対策の一つといたしまして、普通の控除よりも少し多くいたしたい。両者をあわせ考えまして、四千円を六千円に引上げるということにいたしたいと考えておるのでございます。そして法文の技術といたしましては、これはやはり援護に関する法律と、六千円の控除します範囲をなるべく一致せしめなければおかしいと思いますので、あの法律ができましてから、あの法律の附則で、所得税の改正をするようにしたらどうかというふうに考えておる次第でございますが、いずれにしましても、援護対策の一環としまして、このような特別の措置を考えている次第であります。

小山長規自由党

○小山委員 ちよつと関連して……。ただいまの旧軍人軍属の援護対策と関連しての所得税の軽減、これは非常にけつこうでありますが、年金その他の場合には、非常にめんどうと申しますか、非常に金額がふえるというので、削除することになつているかと聞いておりますところの、学徒動員だとか勤労奉仕とかあの当時申しましたが、軍需工場あたりに動員されて、それで爆撃を食つてけがをし、かたわになつた、こういう人たちも税の面において、少くとも軍人軍属の遺家族と同じように取扱うべきではないか、というように考えるのでありますが、法案上はどういうふうに相なりますか。それをちよつと伺つておきたい。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 税の上におきましては、一般的に四千円の控除がございますので、やはりここで特別控除をいたしますのは、援護対策で年金等をもらう人、そういう人と範囲を一致せしめた方がいいのではないかと考えている次第であります。     —————————————

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 ただいま税制改正に関する件について質疑を行つておりますが、西村大蔵政務次官が出席されましたので、この際一昨二日本委員会に付託になりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府当局より提案趣旨の説明を聴取するとにいたします。西村大蔵政務次官。     —————————————

西村直己自由党大蔵政務次官

○西村(直)政府委員 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  国民金融公庫は、昭和二十四年六月発足して以来、国民大衆の資金需要に応ずるため、五回に及び増資を行い、昨年十二月末までに、普通貸付約百二十一億円の貸付を行つて、一般の金融機関から融資を受けることが困難な、国民大衆の生活の再建と経済の復興とに寄與して参つたのであります。昭和二十七年度におきましても、公庫に対する資金需要は、依然相当の額に上ることが予想され、この種資金の円滑な疎通をはかることは、きわめて緊要であると存ぜられますので、明年度予算におきまして、公庫に対する出資金として三十億円を計上いたしたのでありまして、これに伴い公庫の現在の資本金七十億円を百億円に変更するため、この法律案を提出いたした次第であります。なお明年度におきましては、この増資額三十億円のほかに、資金運用部からの借入金二十億円、及び従来の貸付金の回收金を加えて、少くとも約百十六億円の新規の貸付資金が確保されることとなつているのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 税制改正に関する件について質疑を続行いたします。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 ただいま小山委員から関連質問で中断されたのですが、私の元の質問、軍人遺家族の問題です。これはかなり政策的に考えておられるようですが、私は税法の面であまり政策的に規定を盛られるということはよくないと思う。その観点からお尋ねしておきたいと思うのです。もちろん軍人遺家族に対する援護対策は、私どもも、どうも今国会に出ている政府提案の援護対策のあの金額は、非常に不満であります。だから何とかして援護対策はもつと行き届くように実現したいと思いますが、税法の面でこれを扱うということは、はたしていかがなものか。ただいまの御説明によると、特に軍人遺家族に二千円の控除を引上げるということは、軍人遺家族の方々が特別に担税力が低いから、こういう御説明に盡きるように思うが、これははたしてその通りかどうか、疑問があると思います。すなわち軍人遺家族と申しても、それは年に何百万円も所得税を納められるような軍人遺家族もおられる。これもやはり同じように遺家族として控除を受ける。ところが軍人遺家族の援護対策として、最もわれわれが大いにいたさなければならぬのは、むしろ所得税を納めない、つまり所得税の納税階級以下の方です。それで所得税を納められる方は、むしろ遺家族対策の第二次的な面で、特に厚生省の生活保護の考え方によるところの遺家族対策から行くならば、むしろこの控除をするくらいなら、控除の恩典を受けない方々に、むしろ政府からもつと援護金を差上げる、こういうふうに考える。従つて援護対策とこれが一貫となつて、適切な対策であるかどうかということを考えると、私は少し疑問に思う。軍人遺家族の方々が、特に負担力がないという理由は成り立たぬと思う。その答弁では私は不満足でありますが、いかがでありましようか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 中には今奧村さんが御指摘のような方もおられると思うのでありますが、そういう人の場合は税額控除で二千円ふえるだけでありまして、所得控除ですと、所得が多くなると大分税金が低くなりますが、そうではなくて、所得の多寡にかかわらず同じ額を軽減することでございますので、それほど弊害はないと思います。私はやはり未亡人でありまして、一生懸命内職等をして働いている、そういう場合については所得がある。そういう人の場合には、やはり援護費で十分見れば別でありますけれども、十分見きれない場合におきましては、税の上におましてもある程度の考慮をしてやるというのが、やはり筋の通つた考え方ではないかと思う。税だけの見地から行きますと、こうやりますと、税法がめんどうになり複雑になり、申告書でも普通の人と遺家族たる人と二段にわけて、いろいろめんどうなことをしなければならないので、そういう見地から行くと、制度をあつちこつちあまり変更しますことは、考え方としましてどうかと思うのであります。しかし相当つらい思いをして働いて收入のある人、またそう働かなければ、なかなか援護費だけではやつて行けないという人が相当多いと思いますので、そういう人を中心に問題を考えたい。例外的な人よりも、そういう人がこういう際の制度の考え方の基本になるのではないかと考えます。そういう点から行きますと、税の上におきましても、やはり考慮するということは成り立ち得るのではないか、私はかように考えております。

奧村又十郎自由党

○奧村委員 私が特に政策的にこの税法をあまりなぶつちやいかぬということは、まだ政府の方で遺家族対策が真に確立しておらぬ。また厚生省の方から、今回の予算に関連している遺家族援護対策の法律が出て来ておらぬ。大蔵省にもそういうことについての具体的な予算の折衝はあつたでしようが、立法措置としての折衝はおそらくまだなかつたはずである。にもかかわらず、一気に税法の面で先に援護対策を行う。そうすると、厚生省の援護対策と総合一貫した援護対策はできぬ、こういうふうな不安を持つから、特にみだりに税法を政策的になぶつちやいかぬというふうにお尋ねしたのでありますが、これも議論になると思いますので、この程度で私はやめておきます。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今の点を補足して申し上げておきますが、大体基本的にどの程度の援護ができるかということは、政府としましては、大体の大筋は予算が確定しまして、ほぼきまつている。ただ具体的にどうするかという細目につきましては、御承知の通りまだきまつていない点もあるようでありまして、そういうことを中心に、今援護に関する法律案が練られている。従いまして、先ほど申し上げましたように、これは所得税の要綱を掲げます際に、実はそういう法律案も早くきまるものとしまして、こういう要綱を掲げたのでありますが、若干技術的に問題がありまして、遅れるそうでありますので、この規定は先ほど申し上げましたように、援護に関する法律案の附則で、所得税法を改正するという形で国会に提案することにしたらどうか。そういたしまして今御疑問のように、両者のふつり合い、あるいは不調整がないようにして行つたらどうかと、考えておる次第でございます。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 他に御質問もないようでありますから、頂戴しました税制改正の要綱につきまして、こまかい点はいずれまたゆつくり法案を拝見してから、総括的にお伺いいたしたい。税の方では大蔵大臣は主税局育ちでありますが、少ししろうとのようでありまして、平田主税局長の方がまことに簡易明快、適切なる御答弁をいただいておるように思うのでありまして、少し政策的なことでありますから、あるいはそれはおれに聞いては無理だというような深い事情がありましたら、それは例のうまい言いまわしで、しかるべく御回避願つてさしつかえありません。  そこで私は二十七年度の税制改正の要綱を拝見いたしますと、この中に書かれておる一番大きな流れは何かと申しますと、大幅減税主義の退却というか、あるいはもつとよい言葉でいえば消極化というか、国民負担の軽減をはかる、大幅減税をして行くぞと言う。これはあえて政党としての自由党が申すのではなく、大蔵省といえども昭和二十四年来、現内閣ができて参りまして以来、踏襲して来た一つの根幹的政策であります。しかるとき今度の要綱を拝見いたしますと、どうも大幅減税主義の、残念ながら放棄という言葉を使いたくないのでありますが、もし立場をかえて私が野党であるとするならば、放棄ではないか、こういう言葉で言いたいような感じのするほど消極化しておる。この点につきまして国会の審議を通ぜず、一般的な状況から判断いたしまして、大蔵当局の言い分を承りますと、制度的に考えると、改正をたびたび繰返してやることは、納税者も、税務当局も混乱を来して思わしくないので、まあこの程度で昨年の十一月の臨時国会においてやつた制度の恒久化、永年化をはかるということがいいではないか。これには現にそういうことが書いてあります。あるいはまた今までやつて来た改正が、実績を十分見きわめるだけの日数をかりていない。今後実績を十分見きわめてから、改正を考慮しなければならないという理由をあげて、ひとつ検討してみたい。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕 さしあたつては資本の蓄積、課税の簡素化というようなものを現行制度へ加味して、昭和二十七年度の税制を進めて参りたい、こういうようなことであります。言葉の言いまわしは違いましても、大蔵省の御説明はそんなようにとれるのであります。そうなりますと、この説明は私どもは一応納得するのに少しもやぶさかではありません。これは一応了とするのでありますが、これらのことを聞いただけでは、従来唱えて参りました大幅減税主義が消極化した真の理由だとは、認めがたいにおいもあるわけであります。これを少しつつ込んで考えてみますと、昭和二十七年度以降の複雑な国際的情勢は、私がるる申し上げるまでもない。こういう状況下でありますと、将来財政負担の増加ということが、どうも目の前にちらついているわけです。従つてこの際減税を積極的にやるということは、なかなか踏切りのつかないことである。こういうようなことがその言葉の中に——これは私の悪い推量かもしれませんが、うかがえて参るのであります。しかして大蔵大臣の財政演説を伺つていると、増税もせず、減税もせずと、力を入れて言つております。一体税は必要に応じて増減さるべきものであります。国際情勢の変転によりまして、たとい日本が貧乏であり、資本の蓄積はいまだしといいましても、もし日本が国際情勢に対応するために、国民負担の増加を要求するならば、これは断固行うべきである。むしろ私は大蔵大臣の将来にわたつて増税をせずということは、大幅減税主義が消極化して来たことをカモフラージユする言い訳であつて、はなはだ残念に思う。むしろ積極果敢に、国民がたれでも納得するように、税負担を増さなければならない情勢になつたならば、増税をするのだ、このことを言つてほしかつた。もちろん内容的に早くそういう意見を申し入れて、財政演説の一環に加えてもらうという用意と配慮ができたとすれば、さようなことはなかつたでありましようが、私は生きた国の経済財政をまかなう上において、減税もしなければ増税もしないで、そのままで行けるなどという税制は、存在するわけはないと思うのであります。もしありとするならば、それはきわめて短かい期間停止した状態であつて、経済が生きて動いております以上は、やはり財政も生きて動いている。動いて行くには増もあれば減もあるのが必然のことである。しかもそれが合理的であつて、国民の納得の行く方向に行くということは、これは議会政治の根本であろう。その際に減税もいたしません。増税もいたしませんと、こう言つてしまつたならば、一体大蔵大臣の財政の考えは、ずつとそのまま、どういう情勢があつてもかえないのだということになる。たとえばよくあげられます、独立後におきましても、決して日本の財政規模というものは、これよりかわつて行かないというような、何かコンクリートづけるような気持がございまして、私個人の感覚かもしれませんが、残念ながら納得が行かないのであります。またことに昭和二十五年から実施を命ぜられましたシヤウプ勧告案というのは、当時の状況におきましては、まつたく税の法典としてわれわれは敬意を表し、これに讃辞を贈るのにやぶさかでありませんでした。けれども時移り星かわり、生きた経済のまにまに、固定的な静止状態で勧告を受けましたところのシヤウプ勧告というものは、これが永久的な法典であり得べからざることは、あえてシヤウプ博士でも御存じであろうと思います。最近問題になりました附加価値税のごときは、所得課税主義の事業税の方が、当時の状況においては、はなはだ負担の不均衡を来す。従つて事業量課税主義の附加価値税の方がまさつておることは、議論の余地がなかつたのであります。ところが糸へん景気、金へん景気等が現われて参りますと、逆なことになる。事業税の方が妥当性がはるかにあつて、事業量に課税する附加価値の方が、むしろ負担の不均衡であり、利益の大きい大企業には比較的軽くいたしまして、利益の少い、あるいは欠損状態にある中以下の中小企業と申しますか、それらの階級に重き税負担をしいるというような結果になる。こういうことが、学説としてもまた事実としても言い得るようになりまして、残念ながら附加価値税というものの実施は、なかなか簡單に行えない、こういうような状況になつております。従いまして、根本的に日本の税制改正というものを考えれば、ある意味においては——これは言い過ぎになるかもしれませんので、もしさしつかえがあるならば、委員長のおとりはからいによつて、その部分は速記をお消し願うことは少しもさしつかえありませんが、あるいはシヤウプ勧告案というものを参考文書程度にいたしましてこれを実施しようということを十分考慮してかからなければならない、こういう時代ではなかろうかと思つております。すなわち大蔵当局といたしましても、今度は富裕税を廃止いたしまして累進税率の最高も一つ引上げるということによつて、富裕税もまた所得税の課税の中に、その精神と実際を織り込みたいということをしばしば仰せられおるが、これも今度の改正には見えません。それから譲渡所得、退職所得にも——これは公式のことでないのでありまして、そういつたものをうそをついたという意味では毛頭ございませんが、半額課税をするのだというようなことを、譲渡所得についても、退職所得についても言つて来ておる。ところが今度の改正案を見ますると、一定の金額の控除制ということが、制度として嚴然と浮かんで来た。こういうような点につきましても、何か今のところシャウプ勧告案を全部否定——否定という言葉は不適当でありますが、それに従わないような御了解を得ることも、ちよつと見通しも困難であるので、まあまあひとつ一時的にこれをやろう、こういうことを言うために、制度はしばしばかえない方がよろしい。新しい制度をやつてみて、まだほんとうの実績を見きわめておらないのであるから根本的なことはその後でいいのではないかというので、改正法律ができたというふうに——これは悪い解釈でありますが、私は非常にそういう考えが強いのであります。しかもそれをいろどつておりますものが、従来の大幅減税主義の消極化ということになつて現われて来た。これでは私は、もつと有力な御説明がない以上は、少くとも個人大蔵委員宮幡といたしましては、納得が行かないのであります。どうかこの点につきまして、おさしつかえの点等は速記をとめてけつこうでありますが、ひとつ平田主税局長のゆたかなる抱負に訴えまして、御明快なる御答弁と御説明を賜りたいのであります。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 なかなかむずかしい問題でありまして、その中にいろいろ問題があるかと思いますが、まず減税、増税の問題、これが一つ今御指摘になつた問題だと思います。この点につきまして、宮幡さんは大幅減税の考えを捨てたのではないかというお話でございましたが、全面減税はこの際しないということでしたら、私どもと同じでありますが、所得税と相続税につきましては、実は大幅の減税をやつたのであります。私はこの案でも相当大幅な減税だと存じます。ただ二十五、六年を通じまして、ほとんど地方税については、若干例外がございますが、国税につきましては、全面的に減税を行つて来たのです。しかし二十七年度といたしましては、そのようなどの税でもとにかく下げるという、こういう方針がとれなかつたという意味におきましては、宮幡さんの御指摘になつた通りと存じます。すなわち法人税につきましては、臨時国会で増徴しましたのをそのまま持つて来ますし、それから問題の多い間接税につきましても、今までは毎年減税して来ましたが、この際は減税しない、こういう方針をとつておりますので、従来の二回の改正とよほど違つて来ておるということは、私も認めるにやぶさかではございません。ただ所得税と相続税につきましては、いかにも日本の負担の実情からしまして、やはりどうも重過ぎるきらいがあるので、この二つにつきましては、とにかくできる限りの大幅な減税をはかろうという趣旨で、立案しておりますことを、御了承願いたいと存じます。  それから今後の見通しがどうなるかという問題がそこにございますが、これは私どもなかなかそういう問題につきまして、どうも責任のある御回答をいたしがたいと思いますが、大臣がお話になりましたのも、今後国際情勢等に著しい変化がない限り、また経済情勢等につきまして、よほどかわつた事情がない限りにおきまして、やはり増税もしない、あるいは減税もできないのではないか、こういう考え方であろうと思います。私はそういう前提を認めるとしますれば、これはやはり一つのりつぱな考え方でありまして、現在の国民の負担の実情等からいたしますると、そういう方針が、私は個人的にも一番いいのではないかと思います。ただいかなる場合も、いかなる変動がありましても、常にそういう方針を堅持するんだという意味でございますならば、少し言い過ぎかと存じますが、そのような意味合いにおきまして、お聞きとり願えればどうだろう。しかしこの辺は大臣がいずれお見えになると思いますので、その際さらによくひとつ御質問願つたら、どうであろうかと考えております。国民の生産がふえ、所得がふえますと、自然増收というものがある程度期待できるわけでありまして、別段税法の改正をしなくてもいいので、問題は経済力の発展いかんによりまして、歳出もある程度ふくらまし得るし、あるいは発展しなかつたら、ふくらますことができない。そういう事情でございますので、その辺のところと総合勘案いたしまして、適当な結論を出すべき問題じやなかろうかと、私は個人的に考える次第であります。  それから、よくそれに関連しまして、至るところで来年また間接税を増税するのじやないかという声が聞えるのですが、私は今のところ、まだそういう見通しを立てると申しますか、具体的にその必要があるとは実は考えておりません。従いまして、今申し上げました一般論を申し上げるくらいのところが、現段階における実際の状況じやないかと考える次第でございます。  その次の問題は、税制の根本的改正に対してどういう態度をもつて臨んだか、こういう問題だと考えますが、この点につきましては、実はいろいろ考え方があるのであります。やつてみて、すぐでも、どうもぐあいが悪ければ根本的にかえてしまつたらどうかという考え方と、今お話になりましたように、そう著しい実害がない限りにおきましては、あまり短兵急に結論を急いで、前にもどしてみたり、またかえてみたりするのはどうであろうか。これはひとり納税者や税務署がなれないということだけじやなくて、そういうことによつて経済自体に相当な影響がございますので、そういう点を考慮しますと、あまりひんぴんと根本的改正をやるのはどうであろうか、こういう二つの見方があるわけであります。われわれとしましては、愼重にいろいろな問題を考究いたしました結果、この際としては後者の見方で考えたらどうかという結論に、到達いたした次第であります。もちろんその中途におきまして、いろいろな問題を取上げまして、愼重に研究したことは御指摘の通りであります。いろいろ考究した結果、そのようにいたした次第であります。たとえば富裕税の問題だとか、あるいは譲渡所得を根本的にかえてしまうとかいつたような問題は、これはやはり税制の根本の構成に影響して来ますし、ことに地方税の根本システムをどうするかというような問題になつて来ますと、あまりそう短兵急な結論を下さない方が、今としてはいいのじやないかという考え方であります。しかし、これらの問題につきましては、いずれ問題がありますことは私ども承知いたしておりますので、引続きよく検討いたしまして、適当な機会におきまして妥当な結論を下すように努めて参りたい。今回改正いたしまする点は、そのような見地を一方において考えつつ、同時にやはりできるだけ簡素化をはかり、目下資本の蓄積ということが非常に重大でございますので、そういう点につきましても、できる限りの措置を考えるという点で、必要な修正なり改正を行う、こういう基本的な考え方でございまして、その辺のところはいろいろ御意見がございましようが、今の段階としましては、こういうふうに考えるのが一番妥当ではないかという結論に到達しましたことを、御承知願いたいと存ずる次第でございます。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 ただいまの御説明では、これは納得せざるを得ないのでありまして、十分なる説明だとは申し上げませんが、納得するのに決して躊躇するものではありません。増税もせず減税もせずという大蔵大臣の財政演説なるものに前提があつて、今の状況においてはということがその前提條件であつて、減税もしない、増税もしないというならば、これはもう何をか言わん、ごもつともの限りだと思います。しかして主税局長の説明されますように、国税は労時屡次、ことに所得税を中心としての負担の軽減をやつて参つたではないか。このことは私どもはその通りだと思います。ところが今度のやつも昨年やつたものを今度平年化する。先ごろのは臨時措置であつたから、平年化するのだということになれば、そういう言葉は、税の術語の上におきましては、だれにもわかる。今度またおよそ七百何十億かの減税になる。このことは資料によつても明らかだし、またそうなることを予想される。このままやつたならば、八百億程度の所得税の軽減にはなるであろうということを、昨年の臨時国会においても期待してやつた臨時措置であります。それでありますけれども、これを受けます国民の方は少しもその気持になれない。そこで大蔵大臣の、この間残念ながら本会議で現われました答弁を聞いてみますと、もし減税でないとおつしやるなら、あなたが北海道に帰つて農民に聞いてください。     〔小山委員長代理退席、委員長着席〕 聞いたら実際所得税が安くなつたことがわかりますという答弁をされた。これは売り言葉に買い言葉ではありましようけれども、いやしくも税のごとく合理的であり、しかも計算も綿密であり、あくまでも国民の納得納税を要請する現在の制度におきましては、わからなかつたら北海道の農民に聞いてみたらわかるというようなことは、はなはだ私どもは與党議員といたしましても賛成しにくい。それほど減税というものが、説明しにくいようなものにできておるのかどうか。はつきり減税になるではないか。今までの臨時に考えてやりましたところの昨年の措置というものをやつてみたが、実績はわずかではあるが、実際において低額所得者に対する税負担の軽減というものの目的は達成せられておる。一応よい見通しであるから、これを今度は根本的に昭和二十七年度の税制の改正として取上げたのだ。昨年の臨時国会でやつた臨時措置なるものの所得税その他の改正というものは、暫定的なものであつたが、よいという見きわめのもとに今度やるから、やはり七百数十億の減税となるのだ、こういう説明があつて私はしかるべきだと思うのであります。これを單にやつてみて、減税になるからわかるじやないかという言いぐさですと、これは何かそこに含みがあるので、はなはだもつて了解に苦しむようなことになるのであります。この問題は各法律案を拝見いたしまして、その内容の逐一につきまして、細目にそれぞれの委員の方が、専門的の立場において御検討なさつてくださるのでありましようが、もつと減税というもののありがたみ——というと、はなはだ間違つた言葉かもしれませんけれども、なるほどなあ、減税されておるのだというようなことがわからないと、やはり巷間流れております大幅減税主義の消極化、残念ながらよき意味の減税が消極化して来る、こういうことを私はおそれるものでありまして、さような意味から税をまけてやるのだから、まからないと思うやつはかつてに思えというような気持でもつて、税の研究を、たとえば暫定的にいたしましても、恒久的にいたしましても、御検討をしないようにしていただきたい。納得の行くもので、承知するものでひとつやつていただくということが一番大事なことであることを、私はあえて申し上げます。これは他の機会におきましても、大蔵大臣に率直果敢に私は申し上げるつもりでございますが、くれぐれも税務当局においてはさような投げやりな、せつかくよいことをやつて、そのよいことがわからなかつたら、どうでもお前かつてにしろというような、言い分にならないような言いまわし方をしていただきたい。私自身といたしましては、これは引続き減税になるというとうとい法律であり、これはわれわれの自由党が中心になつておりまする吉田内閣の性格であることを現在も誇りたいし、将来にわたつてもこれはよく国民に納得せしめたいという希望を持つております以上、その本山の大蔵大臣が、減税にならないと思うなら農民に聞いて来いなどと言わなければ、説明のできないような貧弱なものであつてはいけない。なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、これはいずれ予算委員会なり何なりにおいて、必ず出て来る問題であるが、いつも與党は遠慮しておりまして、大蔵大臣に世辞追従的なことばかり申し上げておりますので、どうも後手にまわります。従つて私はあえて党内野党などとは申しませんが、厳然たる政党の存在といたしまして、こういう言葉は大蔵大臣に愼んでいただくことを、まず第一に警告したいと思うのが私の気持であります。  さらには制度の問題について若干お話もありましたが、税の根本というものは、やはりあくまでも財政需要に応じまして、増税されることもあり、減税されることもあるのだから、こういうことをやはり国民に納得せしめておく必要があるのであります。一体、主税当局はみな自分が税のはえぬきでありまして、税のことは頭にこびりついている。国民大衆はそんなに専門ではありません。税金は安い方がいいのだという気持しかないのが、ほんとうの国民大衆であります。それなのに、これらの資料によつてこれでわかるではないかというようなことでなく、もつと一々、全然知らない人間に、なるほど、そうだなあとわかるような気持で、御指導を賜わらなければならない。国会の説明はそれでよろしいのでありますが、街頭に出ましてほんとうに国民大衆に納得いたさせる税制というものに対する説明としては、現在の状態におきましては私はまだ足りないと思う。これは政府與党といたしまして、あえてこれも警告申し上げる。国民所得がふえたから税金の額は多くなる。しかしながら收入がふえたのだから、負担の率は安くなる。大体国民総所得に対して一七%程度になるならば、戦争前の日本の経済の平常時ぐらいの状態においても一三%程度がよかつた。それが、敗けた国であつてわずかに四%の違いではないか。四%ふえているだけである。これで税金が高いといえるか。英国の税金は大体九〇%以上を越えている。アメリカも戦争前の三倍から四倍、五倍、六倍となつておる。しかもトルーマン大統領は百億の増税案を出して、そうして議会で五十億に切られ、また総額五十億本年も教書においてこれを要求しておる。かような状況から見たら、日本の税金が高いなんぞとは言えないじやないかといつて、これを納得せしめようとしてやつて参りましたのが、日本が長く占領下に置かれる状況におきましてのみ言い得る言葉であります。日本が自主独立の国家として財政の切盛りができるといたしますならば、財政負担の増加もありましよう。国民は分に応じた奉公もしなければなりません。そこで納税思想を指導いたしますためには、占領下にあります納税観念と、独立後におきますところの観念との間には、相当大きな懸隔があることを知つていなければならない。そうすれば優秀な方々がそろつている大蔵省でありますなら、文章の書き方だつてもつとかわつて来ると私は思う。この文章が悪いとか下手だとか言うのではありません。この表現の仕方がもつとかわつて来るのではないか、こう思うのであります。この点につきましては賢明なる主税局長に十分御検討を願いまして、もつともつと国民が納得いたしますまで——減税をしても、あれは水増しで減税ではないというような、あながち野党がつけるところの反対せんがための反対論ばかりではありません。むしろこちらにもう少し透徹した指導力がないということを、私は自己反省をいたしたいくらいに考えておるのであります。大体におきまして先ほどの主税局長の御答弁は、この問題に対する御答弁として、決して不満足に思つてはおりません。ただこれは触れない方がいいかもしれませんが、シヤウプ勧告案に対しまするながめ方というようなものにつきましては、御答弁がありませんでした。これはしない方がいいかもしれません。そこで委員長にお願いいたしますが、もし何なら秘密会でもけつこうでありますから、シヤウプ勧告案をどうするかについての忌憚ない意見を、速記をとめて、一分でも二分でもけつこうでありますから、お話をいただきたいと思います。質問としてはこれで終ります。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今減税の説明の問題について、いろいろ御注意を承つたのでありますが、農民に聞いてみればわかるということは、私本会議へ出ておりませんでしたので、どういうことでありますか知りませんが、今まで政府はたびたび減税をやつたといつても、一向軽くならぬじやないか、こういう質問が出たとすれば、これに対しましては、昨年の実際の農民の負担はどうであつたか、個々の農民の実際をよくお調べになつたら一番わかります。こういうお答えだつたとすれば、私はそれは実にいいお答えではないかと感ずるのであります。これは率直に申し上げまして、数字で申し上げましても、はたしてそのようになつているかどうかわからぬということで、私もこの国会でも終始野党の方々とお話しまして、これは大丈夫なりますと申し上げるのですけれども、なかなかその場でお聞きにならない。その際には、選挙区へお帰りになつて、農民の実情をよくお調べになれば、それで私の言つたことがうそであつたか、ほんとうであつたかよくわかるはずです、こういうことを実は申し上げたいくらいでございまして、過去の減税がはたして減税になつているか、なつていないかという問題に対する答えといたしましては、これは私非常に適切な一つの答えの仕方ではないかと存ずる次第でございます。しかし今度の改正でどうなるかという問題になりますと、これは宮幡さん仰せの通り、なかなかそういうわけに行かぬと思う。今度の改正で昨年の八月にさかのぼつて実行することにいたしました関係上、その関係が特にこんがらがつて来ているわけでございますが、大体私どもは歳出に著しい変動がない限りにおきましては、できる限り二十七年分におきましては、どういう税率を盛るか、控除をするかということを中心にして、実は最初から考えていたわけでございます。ただ歳出の方がきまりませんので、最終的にはきめがたかつたということは御承知の通りでございます。平年化すると申し上げておりますが、ほんとうの改正はむしろ二十七年度の改正が目的でありまして、それをいつから実行するか、なるべく早く、財政事情の許す限り実行したいというので、十一月から実行し、さらに源泉所得税等については、八月にさかのぼつてこれを適用する、こういうことをいたしたわけでありまして、実は前回と今回の税制改正の計画は、一体のものというふうにお考えになつて御判断願えれば、非常にいいのではないか。そういう点から申しますと、二十六年分に比べまして、今年はさらに所得税等は相当な軽減になるということになると思います。八月にさかのぼつて実行しました結果、二十六年においても減税したが、その減税額と比べたらどうかという問題になりますと、これはそういう意味で特につけ加えておいたのでございますが、要綱の六ページに、事業所得の場合の負担額を出しております。勤労所得は月税でありまして、月税の場合は、昨年の八月から五万円を適用いたしておりますので、年末調整の際の税額はまつたくこれと同じになる。二十六年の年末調整の税額と、二十七年の年末調整の税額は大体同じ関係になるのでありますが、年税であります申告所得税の場合は、それが非常にはつきりなつて来る。二十六年は基礎控除は三万八千円で、五万円でございません。二十七年は基礎控除を五万円に引上げる、そういうことを平年化するということは、言葉がいかにも正直過ぎて変じやないかというふうにおとりになるかもしれませんが、そういう点はよく御説明すればわかることと思いまして、そういう言葉を使つているのですが、現実に違う。たとえば二十万円の事業所得がありまして、夫婦及び子供二人の場合、これは昨年の臨時特例で改正する前の税額は、二万九千七百円でございます。それが二十六年の臨時特例で二万四千七百円に下り、この二万四千七百円というのが、臨時特例でやりました二十六年の実際の税額、つまり今年の二月に申告します税額でございまして、それに対しまして、今年の所得税法改正案が実行に移されますと、一万八千五百円に下る。これはひとり二十万円のブランケットだけじやなくて、下の場合はもつと軽減が多いのであります。二十七年は、今度の改正によりまして二十六年よりもさらに実は下るのであります。その辺の事情はよく宮幡さんに申し上げる必要はないかと思いますが、私どもあちこちで説明する際には、注意することを怠つておりません。ただ二十七年におきましても、大体五万円を控除するということを前提にして臨時特例を出して、そのとき方針がきまつておつたので、その方針をきめたときよりも、さらに一層のことはやらなかつたということは言えると思いますが、これはやはり二十六年、二十七年を通ずる所得税の減税というふうに御了承願つて、一向さしつかえないのではないかと、私どもは感じておる次第でございます。  それからなおシヤウプ勧告の問題がございましたが、シヤウプ勧告の税制の基本に対する考え方は、私先ほど申し上げた通りでございまして、シヤウプ勧告の基本的な税制の構成に関する問題に関しましては、今申し上げたように二つの考え方がございますが、これはやはりいろいろ検討しました結果、なお今後愼重に研究した上で結論を出すがよかろうということで、問題をあとに残したというふうに申し上げた次第であります。その点御了承願いたいと存じます。

宮幡靖自由党

○宮幡委員 それではただいまのお答えに関連して、ひとつお願いいたしておきますが、最近資本蓄積の一環といたしまして、貯蓄債券の発行とか、あるいは新種の無記名預金の復活というような問題が起つておりますが、これはいずれも税の根本的問題に重大な関連がある事項であります。従いまして、本日はここでそれに対する御答弁をいただこうとは思いませんが、資料等をとりまとめられまして、今日まで進んでおります段階について、日をあらためて当委員会に、大蔵当局から自発的の御説明を頂戴いたしたいことをお願いいたします。どうぞ委員長のおとりはからいを願いたいと思います。これをもつて終ります。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 了承いたしました。  関連質問があるというお申出がありましたので、これを許します。佐久間君。

佐久間徹自由党

○佐久間委員 ただいま宮幡委員からきわめて構想雄大な質問が、ございました。それに対して平田君はまことに要領のいい答弁をせられた。ここいらに行きますと、議会政治の極致とでもいいますか、少しおせじが過ぎるかもしれませんが、たいへんけつこうな話を聞かしていただいて、ありがたく思つております。そこに持つて来て、私がきわめてしろうとのような質問をすることは、赤面の至りなのでございますけれども、一つ聞かしていただきたいことがあるのであります。というのは、今まで政府は数度にわたりまして、減税ということを申しておりました。これは国民に対して非常にいい響きを與えておつたし、実際において減税をやつて来ましたことは承知しておるわけでございます。ところがわれわれが地方に参りますと、国家においては確かに減税をしていただいてけつこうだということを言つて、やはり感謝しております。ところが反面地方税はべらぼうに上つて、これはどうも非常に困つたものだという声を聞くのであります。それは実際において国家の減税の割合以上に、反対に上つているとは思いませんけれども、そういう印象を與えておるということは事実なんです。してみると、政府が非常な犠牲と努力をもちまして、せつかくそういう善政をしいておるのに、地方税によつてこれが消されてしまうような考えを国民に起させておるということは、政治の面の非常に悪い影響があると私は考えておる。そこで国税と地方税との関連、大蔵省のそれに対する立場というものは、ただ平衡交付金のつながりだけであるのかどうか。将来やはりそのままで行くのか。私は組織の上に非常に欠陷があるのじやないかというような気持がするのでございますが これについて大蔵省の立場から、御意見を伺つてみたいと思うのであります。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 非常にごもつともなお尋ねでありまして、一方において国税を相当に減らしておりますが、地方団体の財政を充実するという意味におきまして、ことに市町村税においてでありますが、直接税たる市町村税を大分ふやしておりますので、全体として減らないじやないか、こういう意見の人が実は大分あつたのであります。しかしこれは農林省等で農家の負担の実際を調査しておりますが、そういう調査にはつきり出て参つておりまして、たとえば国税が一〇〇軽減になつて、地方税の増加は一〇〇にあらずして三〇か四〇、差引六〇か七〇は軽減になる、こういう関係になつているのが農村の一般の実情であると存じます。もちろんそれは仮定の数字を申し上げたわけでありまして、実際はいろいろところにより地方によつて違いますが、概して申し上げますと、そのようなことになつておるのが実情ではないか。その辺の資料につきましては、なお後ほど正確な数字を申し上げて御参考にしてもいいと思いますが、事実はそうであろうと考えております。しかし地方の税があまりふえるのはどうか、その点に対して何かもう少し考え方がないものか、こういう問題は確かに一つの問題だと思います。しかし地方団体をできるだけ地方自治の精神に従つて盛り立てて行くということになりますと、やはり課税権を認めるというのが一番の基礎でありまして、財政権なくしてはそれぞれの団体が強固な団体にはなり得ない。これはから念仏で地方自治をとなえるということよりも、やはり自分で財政をまかなうという仕組みに行くのが一番大事ではないか。そういう点から行きますと、二十五年度の改正というものは、やはり相当な効力を発揮しているのではないかと考えます。ただあまり行き過ぎではないかという点は確かに問題がございまして、そのような問題につきましては、大蔵省としましても将来さらに考えてみたいと思つております。しかし今のところといたしましては、今申し上げました地方自治の拡充、地方財政の充実という見地から申しますと、そういう方向に行くこともやはり正しい方向ではないか。どのようにして今御疑問にしておられるような問題の調整をはかるか、これが問題かと思います。そういう問題につきましては今後なおよく研究してみたいと思いますけれども、大体の基本的な考え方としましては、やはり正しい方向に行きつつあるのじやないか。ただ税務行政等につきまして非常に重複しているという点がございます。こういう点は私将来適当な機会に、もう少し反省してみたいと考えております。それから府県の財源と市町村の財源がはたして適切に配分されているかどうか、これも確かに問題があるように思いますので、そのような問題をいろいろ研究いたしおりまするが、さてしからばシヤウプ勧告案と違つた非常にいい案があるかとなりますと、やはりなかなか簡單にはないというところで、これならばという名案がなかなか見つかりませんので、まだ国会に提案できていないような事情であります。しかしそういう問題につきましては種々よく検討いたして、根本の目的を達成し、かつ日本の実情に即する案は何かということで、研究してみたいと思つております。  それから平衡交付金の問題につきましては、これも実は相当各種の補助金と分與金をぶち込みまして、厖大な平衡交付金をつくつたわけであります。配分標準としては、基準財政收入を目途とし、それに対する基準財政支出を測定して、その差額を支給することになつておるわけでありますが、收入支出、なかんずく支出の見方という問題になりますと、これまたなかなか問題があるようであります。しかしこういう制度も一年、二年くらいで一ぺんに理想的に行けるかと申しますと、やはりなかなかそうは行かないので、ある程度実行してみまして、経験を積んだ上で直すところは直す、あるいはどうにも目的の通り行かぬ場合には、根本的に考えるという問題として、研究してみたらどうかと考えております。

佐久間徹自由党

○佐久間委員 非常に親切な御答弁をいただきまして、私が税務行政の重複の問題もお尋ねしようと思つていたら、聞かないうちに説明していただいたので、それ以上何もお聞きする必要はないわけでございますが、そういう点にわれわれは実は非常な疑問を持つておるわけでございます。どうかひとつ十分研究して、重複しているような現段階を何とか改善して一本にするとか、あるいはまた明確な一線を画して疑惑を持たれないような方法にするということも、受ける身になつてみると希望せざるを得ないと思うのであります。どうかひとつその辺の御配慮をいただきたいと思います。  それからもう一つ私がお尋ねしたいのは砂糖の関税率です。粗糖とか精製糖を倍ぐらい上げることは明らかなんですが、この理由をちよつと御説明願いたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 砂糖につきましてちよつといきさつを申し上げますと、砂糖は御承知の通りこの四月から統制をやめになります。現在は配給の砂糖はたしか一斤六十七、八円、自由販売の砂糖はたしか百十何円かしていると思いますが、統制がやめになりますとこれが一本になります。その際税としてどのくらいを砂糖で負担してもらつたらいいだろうかと、いろいろ研究してみたのですが、まず砂糖の小売価格の三割くらいまででしたら、消費税、関税を通じて砂糖に対する課税は妥当ではないかということを考えました。そうしますと、消費税だけを上げますと一斤十円、百斤千円くらいになるわけでございます。従つて最初は、百斤について千円、一斤十円の砂糖消費税の税率を二倍に上げまして、百斤二千円、一斤二十円の税率にするというのも、一つの考え方かと実は思つていたのでございます。ところでよく考えてみますと、何と申しましても日本全体の供給量から行きますと少いですが、北海道に甜茶糖がございます。それから黒糖等のものもございまするし、それからあめ、ぶどう糖みたいなものもございます。そういう広い意味の砂糖及び砂糖代用物の国内の生産を、どうして保護して行くかという問題が、一つの重要な問題になりまして、ことに最近砂糖の国際相場が下りましたので、特にその傾向が強いのでございますが、そういう問題とあわせて考えますと、やはりある程度関税率を上げるという考え方をとりまして、国内の工業の方を保護して行くという意味で、関税率をかえることにいたしたのでございます。その際といたしまして、しからば今関税率をどの程度に盛るかという問題を、実は研究してみたのでございますが、現在の一割、二割というのは、統制時代でありまして十分な資料等もなく、どうも少し低過ぎる。それでわが国としましては、大体精製糖三五%、粗糖二〇%、この程度まででしたら大体関税率を盛りまして保護しても、国際的に行きましてもそうむちやに日本が高率関税をかけるという非難なくして行き得るのじやないか。そういう限度におきまして、できる限り関税率を高くすることにいたしまして、そうしてその限度におきまして、国内の砂糖の消費税を調整して引上率を下げるという考え方で、こういう両建で砂糖の関税をかえるということにいたした次第でございます。もつと等級を保持するために関税率に差をつけろ、あるいは内国消費税にも、国内糖と外国糖と差をつけたらどうかといつたような議論がございますが、関税率としましても、この程度以上にするのはガットの協定の趣旨からしましてもどうかと考えられますし、また国内の砂糖の消費税の税率に、国内糖と外国糖との差をつけるというのは、何と申しましても理由が相立たぬ。そんなことがわかりましたら、一ぺんに国際会議等でペしやんこにやつつけられるくらいの性質のものでございますので、そういう方法でなくして、堂々と関税率で行ける限度におきましてそれをしたらどうか、こういう考えで率をきめております。

佐久間徹自由党

○佐久間委員 ただいまの御説明で考えられることは、砂糖がどんどん入つて来る。また国際砂糖価格というものが非常に暴落している。この際これらがどんどん入つて来るということになると、国内の砂糖について北海道の甜集糖なんかが壊滅の状態になるのではないか。これに対して政府としては多少保護を與えてやるというような気持でなければならぬとは思いますけれども、反面におきまして消費者の側から見ると、非常にこれは困る問題でございまして、あまり高くされますと非難が起きて来るのではないかと思うのです。また反面におきましては砂糖が自由販売になるために、大きな犠牲を拂わなければならぬ事業がある。澱粉業者あるいは水あめ業者というようなものが、まつたく今は倒産の一歩手前にいるということは御承知だろうと思う。これらについても十分ひとつ御考慮を願わなければならない問題でありますが、巷間伝うるところによりますと、政府は莫大な砂糖の保有があり、これが非常に高い価格で買つてあるので、この処置に困つているというようなことを聞いているのです。そのために無理にこれと合わせるために、こういう税金を考えたのじやないか——と考えるのはどうかと思うけれども、そういう気持も多少あるのでございますが、そういうことはなかつたのでございますか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 全然そういうことはないのでございまして、私どもそんなに高いのをたくさん買つているかどうか、承知いたしていないのでございますが、四月現在で日本にある砂糖に対しましては、例のストック課税と申しますか、それをやはりこれにいたしますので、関税だけは別ですが、消費税に関する限り、政府の手持のものに対しましても、税はかかつて来るということに相なるかと思います。今お話のような趣旨から、特にこのようにいたしたわけではございません。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 私は一昨日の委員会の直後夜行で郷里に帰りまして、名古屋並びに刈谷市、安城町、岡崎市の四箇所をまわつて来ました。そのとき聞いた、なまなましいことを申しまするから、それについて承りたいと思います。  高橋長官がおいでになりませんから、従つて平田さんに伺うことになるわけですが、会社の配当につきましては源泉徴收いたしまして、総合からはずしたらどうか。無記名定期もできた関係もありまするから、これとにらみ合せまして、株式の配当には相当高額な配当所得に対しますものを取上げまして総合はしないという線を堅持した方が、税收入が確保されるのではないかと思います。その理由なるものは、はなはだ失礼な話でありまするが、中には架空な名義あるいは分散いたしているもの等があるわけでありまして、総合には不適当であるという株式もあるわけでありますから、ちようど俸給、給與を出しますると同じように、源泉一本にしたらよろしいのじやないかという考えもあるわけですが、当局はどういうふうに思つていますか。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 お話はどの程度の税率で、どういうふうに源泉一本にしたらいいというお考えでありますか。その具体案を承りました上で、御答弁申し上げたいと思います。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 明細なことは詳細に研究いたしまするが、一応そういうふうにしてほかに漏れないようにしたい。こういう線を堅持したいというのが私の意見でありますから、私はもちろん研究いたしまするが、当局の方でも御研究願いたい、こういうふうに考えております。  次は税務署のことでありまして、末端の方の税務署でありますから、雲の上の方の主税局長もしくは国税庁長官は、すぐにおわかわにならぬかもしれませんが、私が現実に聞いた話でありまするから申し上げます。というのは、愛知県碧海郡安城町でありましたが、今度は五割はみな上げる、そういうつもりでもつて皆さんは心配なさい。最近お知らせが参りますが、どなたも五割見当は上げてもらわなければならぬ。これは平均と言つております。私は金へん等におきましては、五割も十割もあるかもしれませんが、糸へん、ことにガラ紡におきましては崩壊に瀕している。そういうようなわけでありますから、平均という言葉を使うことは行き過ぎであります。おそらく末端の官庁におきましては、昨年よりは五割は上げなければならぬと言つているわけでありますが、今季田さんのお示しになりましたこの税法改正要綱におきましても、またその予算の内訳におきましても、個人所得におきましてはそうべらぼうに上つているわけではない。こういう点は末端を監督する意味におきましては、場合によつては五割上げるものもあるかもしれませんが、大体は昨年の二割か三割しかしらぬというようにおつしやつた方が、はつきりするだろうと思います。平均五割と申しますと、一般の国民あるいは商人等はびつくりするわけです。そういう点についてよく御監督願いたいと思います。平田主税局長は国税庁長官とよく打合せの上、そういうことのないようにしていただきたいと思いますが、これに対する御感想を承りたい。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今の問題は国税庁の方からお答えした方がいいかと思いますが、私どもも重大な関係があるので、よく承知しているのでありまするが、ことしは——ことしはと申しましても、昨年度分の所得税の課税につきましては、でき得る限り実際をよく調べる。納税者のいわゆる收支調査、あるいは收支調査ができないものにつきましては、少くも基本だけの調査、その調査のできないものにつきましては、でき得る限り戸ごとにまわりまて、精密個人調査とこのごろ称しているようですが、できる限り個人の調査をよくいたしました上で妥当な税率をかける、こういうようなことで一生懸命やつているようであります。その結果大体まとまりまして、税務署はこの程度に調べておりますが、御申告願えないでしようかという筋のいろいろの話合いを、実はそろそろ始めるころかと存じます。それに関連してのお尋ねだろうと思うのですが、今まで調べました結果によりますと、聞くところよると一昨年に比べまして、昨年は四割から五割くらい所得がふえる人が一番多い。もちろんそれ以上ふえる人もありまするし、それ以下にしかならぬ人もありまするし、また中には欠損の人もおありになるだろうと思いますが、その辺が一番多いようには聞いております。しかしこれはそういう一つの資料にすぎませんので、もちろん個個の納税者につきまして折衝します場合におきましては、調査の結果に基ふまして、それぞれ妥当な所得をお話合いできめるということになると思うのであります。その点御了承願いたいと思います。四割から五割くらいまでふえる納税者が、今まで調べた結果によりますと最も多いということは、私ども承知いたしております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 今のお話でございますが、さらにつつ込んで申しますと、国民の方からいたしますと所得がそうふえたわけでもない。いわゆる申告所得税については、この予算書につきましてもたくさんふえているわけではございませんから、大体一割から二割くらいのところならば、がまんするという空気もあるわけであります。急激に四割、五割平均ということになりますと、これは法人の方には確かにあるかもしれませんが、個人の方にはそれほど行つていないのじやないかと、われわれは思つておるわけであります。当局はそういうふうにお思いになつていらつしやらないかもしれませんが、どうか実情をよく把握していただきたい。しかる後に話合いということはたいへんけつこうであります。どうかその線を堅持いたしまして、下の方にもよく徹底するようにしていただきたい。ただ四割、五割必ず上げなければならぬと言われますと、今申したように国民の方では心配のあまり、はなはだ思わしくない考えになるわけであります。  もう一つつけ加えて申しまするが、よく地方に行きますと、自由党の三宅さんは大蔵委員でよく説明してくれるが、政府は減税々々と言つておるけれども、実は三割も四割も上げられたのではちつとも減税にならない。基礎控除をふやしたりあるいは扶養控除をふやして、五人家族の場合は十二万五千円くらいは免税という線は堅持したけれども、上げる方で五割から六割も上げた場合においては、さつぱりそういう恩典がない、こういうことを言われるわけでありますから、そういうことを言われないように——幅が十二万円ないしその前後の者で、あるいは免税になるかあるいは上に課税せられるかの境目の者が、非常に心配しておるわけであります。この辺を納得の行くようにもう一度説明してやりたいと思いますが、当局の御感想を承りたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今きめようとしている所得は、実は昨年一ぱいの所得でございます。それから比較になります前年の所得というのは、一昨年一年の所得であります。つまり朝鮮動乱が一昨年六月に起りましたが、その前の所得、それも半分入つておりますが、個人の場合は朝鮮動乱の影響は、少し遅れて現われたかとも思います。ともかく二十五年一箇年に対する二十六年一箇年の所得の比較でございますので、去年と最近との比較から行きますと、私も四割、五割ふえるのは少しどうもおかしいと思いますが、一昨年と昨年の比較でありますと、物価も大分上つておりまするし、生産も非常にふえておりますことは御承知の通りでございます。従いまして売れ行きも、一昨年と比べれば昨年は大分ふえておる。しかし人々の感覚はどうも若干先走りすると申しますか、もう一年前と昨年の状況とを比較しなければならぬのを、昨年と最近の状況との比較において判断しまするから、やはり若干ギヤツプが出て来るのですけれども、課税の上におきましては、やはりあくまでも一昨年と昨年の比較ということになります。そういう見地から行きますと、四割、五割ふえるのが多いというのはそうふしぎではない。補正予算におきましても、二十五年に比べまして、二十六年の営業所得は四割何分かの増を見て計算いたしております。これは私はそう不自然ではないと思います。法人のごときは二倍以上になつたのはざらです。三倍、四倍になつた会社が二十五年と六年と比較いたしますとざらでありまして、法人税の收入のごときも相当ふえております。個人はもちろんそこまではないと思いますけれども、二十五年と二十六年をとりますと、現在としては相当ふえて来るということは、否定できないことではないかと思います。それと、今まで状況がよくないが調査の所得査定が低かつたのが、調べられてはつきり出て来たためにふえた。こういう人の場合は、どうも自分としては一つもふえたつもりはないのに、所得の査定だけふえて来た、こう思われるのはもつともだと思いますけれども、これは今まで低かつたのを直す必要があるわけで、それを正しい所得に置きかえて、初めて負担の公平が期し得られるわけでありますから、そういう人の場合はいたしかたがない。今までがよ過ぎたということになるかと存ずるのであります。そういう点から行きますと、やはり四割から五割くらいふえる人が一番多いという結果になりますことは、私も大体それがいいところに来ているのではないかという感じなのでございます。しかしこれはもちろん一つの通常の場合にすぎませんので、悪くなつた場合には下るのはあたりまえのことであります。あるいは動乱以後うまく当りまして三倍ないし五倍になつたという人もあるかもしれないと思いますが、そういう人はそういう人で所得を査定して行くということが、しごく当然のことでございます。あまり画一に走つてはいけないという意味でございまするならば、ごもつともだと思いますが、しかし大体の結果がそのようなことになる人が多いという意味でございますると、大体いいところに来ているのではないかと、私はかように考えております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 最近のお話によりまして、五人家族の場合十二万五千円は大体免除されるということになつているのでございますが、その境目あたりの人、申告するか申告しないかという境目の人があるわけであります。私どもの構想では、前年收めた人は、前年の実績に対する三分の一だけ納めたならば、申告はしなくていいというふうに考えておつたのでありますが、境目の人もあるのでありますから、これは国民全部が全部申告するという制度になさつた方が、明らかになると思うのであります。しかしそれでは煩雑にもなるわけでありますから、その辺の調節はどういうふうになさる考えであるのか。なるべくならば簡にして要を得たいというふうに考えております。十二万円以上の人はなるべく申告するというふうになつておりまして、八万円くらいの人でも、家族の少い人ならばなるべく申告するということにしておるのであります。農村あたりでは八〇%あるいは九〇%ぐらいまで、申告しなくていいということになつたと思いますけれども、この点についてもう一度承りたいと思います。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 今までは基礎控除した結果、納税義務がない人は申告はいらなかつたのでありますが、扶養控除は申告して初めて扶養控除を認めていたのであります。しかしこの間の臨時特例法で改正いたしまして扶養控除の結果納税義務がなきに至る人、つまり失格する人、この人は別段申告しなくてもいいということにいたしております。従いまして家族数によつて違うわけであります。家族の多い人は十一万円くらいの所得のある人でも申告しなくてもよくて、家族の少い人は八万円くらいでも申告しなければならないかもしれないが、数によりまして申告の限度が違うということになつたのであります。これは、農村方面におきましては、家族控除で失格する今が多しのにいたずらに申告させ、申告書だけ出してもらうということで、相互に非常にめんどうになるから、その手数をけるのを省こうというので、前回のような改正をいたしたのでありまして、これはこの次の恒久法にも織り込むつもりであるということを申し上げておきます。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 たびたび質問いたしたことでございますが、これは地方へ行くとよく言われることでありますら、あらためて申し上げます。と申しますのは、在来二十三年、二十四年度のものは、御承知の通り政府の方から命令があつたのであります。お前のところはどのくらいとれというような指令があつたのでありますが、その後は、平田さんの御説明によりますと指令はしないということであります。各国税局から、このくらいはとれるだろうという自発的な見込み申告は、もとよりするかもしれないけれども、政府の方からこのくらいとれというような指示は、絶対しないというようなことを言われたのでありますが、末端に行きますとそうは解釈しておりません。やはり上の方からとれと言われるから、とらなければならぬというようなことを、末端の官吏は言つておるのでありますが、そういうことは、ここでおつしやつた事柄と実際の面とは違つておるわけであります。そういうふうに、画一にとれとかあるいはこのくらいとらなければならぬということは、政府の方では指令していないにもかかわらず、上の方から指令があるから、このくらいとらなければならぬというふうに言われることがありまするから、これを打破しなければならぬと私は思うのでありまするが、何かよい方法をもつて上の方から指令を出しまして、絶対に指令はしてない、お前たちの方で実際を調べて出せというふうに、税務官吏を指導することこそ、末端行政の公平を期するゆえんであると思うのでありまするが、主税局長はどう考えておられますか承りたい。

平田敬一郎大蔵事務官(主税局長)

○平田政府委員 税務署ごとに幾らとらなくちやならぬということは、最近は絶対に言つておりません。それは努力した結果幾ら入つて来ますか、そういう結果の数字であつて、予定すべき数字ではない。ただしかし税金をとらなくてもいいということではないのであります。税法を適正に執行するのが、税務官吏の重大な任務でございますから、法律に従つてできるだけ租税收入の確保をはかることは当然な職責であり、それを怠りましたら、税務官吏としては勤まらないのであります。幾らなくちやならぬということを、事前にきめてやるようなことはいたしておりません。

大上司自由党

○大上委員 資料の要求をいたします。さいぜん三宅委員から平均四割または五割という発言がありまして、それに対する平田さんの御説明は、でき得る限り本年は実地の調査をしたいということで、その意図もよくわかつたのですが、そこで前年度の徴税経費、これをたとえば百万円あたりの税收入を得るについての事務官の費用を、事務費あるいは出張旅費というようにして計数的に出してもらいたい。それから二十七年度に見込んでおるところの徴税費の内訳も詳しく頂戴したい。それの配分によつて、大体主税局長がいかなる意図であつて、いかなる方法でこれから活動して行くかということがわかつて来るのでありまして、これを特に資料として頂戴いたしたいということを、お願いいたしておきます。

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 ただいま議題になつております税制改正に関する件につきましては、ほかに御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤重遠自由党

○佐藤委員長 ほかに質疑の御要求もないようでありますから、本件につきましては、いずれ税制改正案が提出されました際に、詳細検討することといたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は明五日午後一時より開会いたします。     午後三時四十三分散会

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