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13回国会衆議院1952/03/08

水産委員会 第18号

発言数
101
登壇者
12
会派数
3
開催日
1952/03/08

会議録

川村善八郎自由党

○川村委員長 これより水産委員会を開きます。  まず公海漁業に関する件につい調査を進めます。この際本日出席の政府委員並びに説明員をお知らせいたします。水産庁よりは水産庁長官塩見友之助君、漁政部長伊東正義君、第二課長高橋清三郎君、外務省は欧米局長土屋隼君、條約第三課長重光晶君であります。なお農林大臣には委員長より直接出席方を連絡いたしたのでありますが、あいにく本日は風邪のため病臥中とのことで、月曜日には出席できるとのことでありますから御了承のほどを願います。本件について質疑の通告がありますから順次これを許します。鈴木善幸君。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 土屋欧米局長にお尋ねをいたしたいと存じます、公海漁業の出漁につきましては、講和発効後におきまして、関係国との漁業條約等が締結されない段階におきましては、国際法並びに国際的な慣例に基いて、わが国の漁船が公海においては自由の原則に立つて操業できるもの、こういうぐあいに私ども了承いたしておるわけであります。しかしながら昭和二十六年二月七日、吉田首相はダレス特使との間に書簡を交換いたしております。この吉田・ダレス書簡の趣旨が、一応日米加におきましては、漁業條約が成立するまでの間、この書簡の趣旨によつて規制される、こういうことに相なるわけでありまして、そこで現在わが国が当面しておりますところの、北洋に対する出漁にあたりまして、この吉田・ダレス書簡の趣旨が非常な重要性を持つて来るわけであります。今回証に工船漁業につきまして、政府は諸般の情勢を考慮に入れまして、昨日廣川農林大臣は、わが国が自発的な立場から今年はその出漁を断念するという談話を発表いたしておるのでありますが、これは法律的あるいは特に吉田・ダレス書簡の精神に背馳するとか抵触するとかいう意味合いから、政府は今年のかに工船の出漁を断念したものではなく、もつばら日米間の今後の外交上の大局あるいは国際的配慮からそのような結論を出したものであるというぐあいに私どもは解釈をいたしておるのでありますが、これに対する外務省当局の御見解はいかようでありますか、その点をお尋ねいたしたいと思うのであります。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 講和條約発効後におきまして、日本の漁業が従来占領下におきまして課せられていたマツカーサー・ラインをはずされまして、自由に漁業ができるということは、法律上今御質問にありました趣旨とまつたく私も同様の見解を持つておるのであります。従つて講和発効後におきましては、ダレス・吉田書簡に約束されたあるいは声明されたこと以外に、日本には国際的に義務として課せられる制限というものはないというのが、法律上では、正しい見解だと解釈しております。この北洋漁業の問題につきましても、ダレス・吉田書簡は、この点について明らかに日本政府が国際的権利の放棄をしないということを意味しておりますし、また吉田・ダレス書簡によつて、日本が自発的に自制いたします條件につきましても、すでに保存措置が講ぜられており、かつ一九四〇年に日本が実績がなかつたという條件を付しているのでありまして北洋漁業、特にかに工船の問題については、保存措置も当時課せられていなかつたし、また一九四〇年に日本は実績がなかつたということも、臨時的な現象とも考え方によつては考え得るわけで、この点から日本は法律的には制限を受くべき性質のものでないと解釈いたしております。従つて昨年十一月から十二月にかけまして日米加で漁業会議を開きました節にも、この点は日本の委員の方、特に水産庁の方から強くアメリカ側に意向を確かめた事情もあります。当時の会議録を、ごらんいただけば明瞭かと存じますが、その際アメリカ側も日本が法律的に権利があるということを決して否定はしなかつたのであります。最近私はこの問題がやや現実に近い問題になりますし、業者の間にもいろいろの御心配があるということを聞きましたので一応非公式にアメリカ側の事信を聞いてみたいというので、数日前でございますが、今度外交局に漁業担当官として参られましたネヴィル氏を訪問いたしまして非公式に当人の意見をたたいて見ましたが、法律的に日本が権利があるという点については、ネヴイル氏もまたこれを否定しなかつたのであります。ただ、今お話にございましたように、日米間の問題は、單に法律的のものだけで今後規律するという関係だけでなくて、大局的な、政治的な考慮を加えるという必要が多分にありますし、またかに工船だけでなく、漁業全体の問題として、対アメリカとの関係、日本の将来の漁業の発展という点を考慮しなければならなかつた点もあるわけでございます。この点におきまして、法律上日本が権利を持つておりますが、この権利の行使については、日本側の業者の間に他の考慮を加えて、これを大局的見地から考える必要があるのではないかということを、私は当時水産庁の方に通じたわけであります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 ただいまの土屋局長の御答弁によりまして、吉田・ダレス書簡並びにそれに伴う法律的な点からいたしまして、日本がかに工船漁業の出漁を今年断念する何らの制約なり根拠がない。日本はそういう制約を受けるものでないという明快なる御答弁がありましてこの点私ども非常に意を強ういたした次第であります。ただここでお尋ねいたしたいことは、かに工船漁業を今年は出漁を見合せる、断念するという判断の基礎になりましたアメリカ国内における諸情勢、政治的あるいは経済的な情勢について、外務省当局はどういう状況判断をされ、あるいは情報を収集しておられますか、このかに工船漁業の出漁に関連して、アメリカ関係漁民の輿論、あるいはそれに伴うところの経済的あるいは政治的な諸情勢につきまして、御報告をいただければ仕合せだと思うのであります。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 御質問が非常に明確でございますので、実は数言明確な御返事を申し上げる必要があると思いますが、私は明確な御返事を申し上げる前に、こまかい事情を申し上げられるだけ申し上げてみたいと思います。そこで委員長のお許しを得て速記をとめていただきたいと思います。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めてください。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 私は、現在のアメリカの政治情勢、また経済情勢、これと対日本との関係における政治関係、経済関係ということから見ますと、これは相手方の好まざるものを権利によつてしいるという関係を確立せずして、相手方との話合いで——その国が行使してもよい権利であつても、相手方の意向と話合つた上で、日本側においても場合によつては自制することが、両国間の関係を一番緊密にし、また円滑に運転して行くゆえんかとも思いますが、この漁業の問題につきましては、アメリカ側にもいろいろの危惧があり、また日本側としても考慮すべき点があるのでありますから、この点につきまして、單に法律上の権利義務という関係にせず、政治的に、大局的に、長い目で見ての日米間の問題でございますので、日本の将来の漁業権の発展という見地から考慮を加える必要があると考えております。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 土屋局長からきわめて詳細に、アメリカにおける政治的並びに経済的諸情勢につきまして参考になる御報告があつたわけでありますが、さらに今後わが国が国際漁業に出場いたしますこの過渡的段階におきましては、漁業行政と外交とは不離一体の形において推進しなければ、国家の政策としていろいろな齟齬す心配がそこに生じて来るわけであります。この点につきまして水産庁並びに外務省におきましは、万々遺憾ない御連絡をとつておられることとは思いますが、さらに私どもは、わが国の外交上における、国際漁業における漁業問題の重要性、非常に国際的に関心のある産業であるというような観点からいたしまして、アメリカ等のおもな在外事務所に、漁業問題に非常に詳しい、専門的な知識を有するところの係官を配置なさる御意思がないかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思うのであります。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 漁業問題が、日本の将来の外交政策と緊密な関係を持ち、また両者が緊密な関係を持つて推進されなければいけないという御意見は、私どももありがたく拝聴するわけであります。もちろん漁業問題だけではございません。漁業の問題は、少くとも今後においては外交政策に全部響くということに実際がなつて来ますので、漁業問題も、特にその点については対外国との問題ということを考えまして、私どもも今後水産庁とは深き緊密なる関係と、また意見の交換等によつて万遺憾なきように努力したいと考えております。これに関連いたしまして、在外事務所などに漁業問題のわかる専門的な人たちを配置したうどうかというお考えも無理からぬ考えでございますし、私どもも賛成なのでございます。ただこの点につきましては、外務省予算は限られた予算でございます。また外務省で漁業その他のものを専門にする係官を表に出すという場合においては、人の問題でもそこで一つの難点に遭遇いたします。私どもは、そういう意味から今後この問題をよく考えまして、必要なところに漁業専門家をでき得れば配置したい。もしできない場合におきましては、少くともその在外事務所におる人たちで適性のある人たちを、漁業については専門的な知識を持つようにという要請をして行きたい。これによつて在外事務所におきましても、国内の漁業、対外国との漁業問題につきまして、十分に活機な活動ができるようにということを考えてみたいと思つております。私も上司にこの点をはかりまして今後、今開陳せられました御希望に沿うように、一日も早く実現を見たいと考えております。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 土屋局長に以下数項お尋ねをいたします。  今回のかに工船等の出漁は、講和條約成立にあたりまして日本の漁民が海外へ進出するところの第一歩でありまして、いわゆる日本の関係漁業者は非常にこれを期待し、前途に望みを嘱し、勇躍出漁に従事せんとして、それぞれの関係者は勇んでその準備に従つておるのであります。その準備のための経費は、今日まで相当かさんでおると思うのであります。そうしてまたこれが出漁するものは一部でありまするけれども、いわゆる国際漁場へ進出するということのために、日本全国の漁民が非常な元気を増し、楽しみを持つたということは事実であります。元来終戦以前より不振に不振を重ねて意気銷沈しておるところの日本全国の漁業者を、この機会に大いに元気を増さして、引立たして、そうして漁業の振興をはかり、国民の生活の安定を期さねばならぬという、いわゆる第一歩であります。この第一歩の場合において、万一伝わるがごとく、農林大臣の声明のごとく、突如としてこれを断念するというようなことは、実にもつてのほかであり、また全国の漁民の落胆、失望はいかばかりであろうかと思うのであります。これを納得せしめるということは、なかなか容易ならぬことであると思う。今月の六日にネヴイル氏が開陳せられた理由、要するに米国のアラスカ出漁の漁民等を含む米国の世論は、相当騒然たるものがある、こういうことを言うておるのであります。その騒然たるということはどういうことなんであるか。外務省は逐一実地についてお調べになつたのか、なつたならば、その詳細を御説明を願いたい。またこのネヴイル氏が末尾において、本年出漁を断行するかいなかは、当然日本の自由裁量で決定し得る問題である、こういうことを言うておる。つまり別段法律的に支障がないということを、アメリカの漁業の代表者が述べておるのであります。それを、一部の漁業者が地方的に騒ぐとか、騒然であるとか、そういうようなことに外務省を初め水産庁が驚くということは、これは風声鶴映に驚くものである。さようなことで、日本の漁業者が世界の漁場へ進出しようという第一歩の、最も幸先を祝わなければならぬ、重じなければならぬ場合に、何を根拠としてこれを見合すということを決定したか。せぬか知らぬが、ただいま欧米局長のお話では、局長そのものも同意の意見らしいので、これははなはなだわれわれの不可解とするところである。條約はできた。しかも向うのネヴイル氏が、これをやるやらぬは日本の自由である、不法ではない、正当であるということを言うておる。それにもかかわらず、みずからこれをとりやめるとか、断念するとかいうことの根拠は、一体どこにあるのか。外務側としてそれを詳細に御説明願います。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 平和條約が有効になりましたあとで、日本の漁業関係の方が海外に進出を一日も早くということで熱望されていた国民的感情は、私もまた同じように見受けるわけであります。そうして一日も早く従来のように、四つの海に自由に出られるということは、日本国民の熱望でなければならないはずでございます。私どももその点については、何ら疑いを持つておりません。従つてこの機会に日本が各公海に出まして漁業をするということは、最も望ましいことと考えております。ただ問題は、長い目で見て、日本が公海の漁業におきまして、自由活動が将来長く、問題なくできるということと、さしあたり講和條約ができたから、あしたから出て行くということについては、必ずしも同じに私どもは見ないわけでございます。ネヴィル氏はこの問題につきまして意見を開陳されまして、今お述べになりましたようなことを、一部述べられたように見受けられますが、私はたまたま別の機会にネヴイル氏に会いましたので、ネヴイル氏の言われたことを簡単に御報告いたしますと、ネヴイル氏は、法律の上から日本が漁業に出て行くということについては、日本に当然の権利があるので、これをアメリカは否定をしない、ただ問題は、実際上、漁業というものは公海に出ますから、相手国の沿岸の近くまで寄るわけで、その点からアメリカの業者との間にいろいろないざこざが起つてはいけない、現に戦争前において、日本はアメリカその他の国からいろいろ漁業につきまして非難を受けましたが、権利義務の問題は別といたしまして、こういう非難が将来あるということは、国交上おもしろくない。そこでこういう非難がなく、和気あいあいと漁業ができないものだろうかというのが、ネヴイル氏のまず第一に目標にしていた見解であつたと私は聞いたのであります。そうしてネヴイル氏は、その問題から日、米、加漁業協定というものができることになつておるのは、両国のために非常に慶賀にたえないことだが、遺憾ながら漁業協定はまだ正式に日本、アメリカ、カナダの三国によつて批准されていない関係上、有効にはなつていないわけであります。そこでネヴイル氏は、こういう関係になつておるから、アメリカの業者は、昔と同じようにまた日本の漁船があそこに出て来ると、問題を起すという心配が出て来る。特にアメリカの中におきましては、今日本の水産関係といたしまして、まぐろ関税その他が朝野の視聴を集めておるやさきに、またこの問題でアメリカの業者との間に意見の衝突を来すということになれば、事は日米関係に影響して来ますし、アメリカの業者にも不幸でありますし、日本の業者のためにもとらないところだ。そこで何とか日本側において善処されないか。このように、法律上日本に権利があるということは認めながらも、日本側の善処をまちたい、自由裁量にまちたいというこの言葉の中に、実はネヴイル氏は含みを多分に持つておるように、私としては聞いたわけであります。この点は私は水産庁の方に決して、ネヴイル氏がこう言つたから、日本は権利はあるけれどもおやめになる必要がありますということを言つた覚えはございません。私は、こういう事情にあるから日本側で自主的にきめなければならないと思う、またきめるべきだと思う。しかしそういうことになりますと、今年出て行くということで、もしそこにいきさつが起きますと、この日米加漁業協定というせつかくできた漁業協定も、調印するかしないかわからないことになつてもいけないし、また今後こういう会議が再び開けないということになりますと、両者がただにらみ合いをするということになるから、この際大きな見地から、このかに工船の問題が問題を起さないというには、何が一番いいか。これはもちろんやめるということが一番いいのでありますが、しかしやめるという場合においては、軍にやめるのではいけないので、やめればどうなるかという先を考えることはもちろんであります。そうすればやめるということと、やめないことによつて起るいろいろな問題とを考量しまして、両方天びんにかけてみて、そうしてやめた方が大きな目から見て日本の漁業の将来の発展のために、日米関係のためによいということであれば、業者はおのずからそこに一つの結果を生み出して来るのではないか、これが私の希望だつたのであります。そこで私は、今このかに工船を見合せに決定したとか、あるいは一見合せにするとかいう問題は、実は業者と水産庁と私たちが寄つて考えなければならない問題で、私どもとしては、どうもこれは今の情勢では、今年一年待つて、来年はなばなしく、日本の漁船はりつぱに日章旗を掲げて、その権利を行使するということが、長い目で見て日本のためによくないか。従つて今回かりにやめるということに決定を見たとすれば、私は業者のためにも、また日本国民のためにも遺憾千万にたえないのでありますが、この際は将来の大きな目途のために、涙をのんでもやめなければならないという事態もあり得る、こう考えて、私はアメリカのネヴイル氏が言つた情報その他私どもが在外事務所から得ました情報を、水産庁にお伝えしたというのが私の心持であります。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 ネヴイル氏はいわゆる進駐軍の水産代表として、長く日本に駐在しておられた人でありまして、その間にわれわれは立法的な方面よりもしばしば折衝いたしましたが、まことにりつぱな人格者であります。そうして日本の漁業のため水産のために、非常な御協力をくださつたということは私は感謝をしておるのであります。またその人格には敬服をしておるのであります。しかしながら今度は立場がかわつて、ネヴイル氏はアメリカの代表であります。今日までは占領軍として日本を指導監督しておつたのであるが、その立場においては、十分日本の漁業のため水産のために御協力御援助をくださつた。しかし今回は立場をかえて、アメリカの代表者としてお越しになつたのであります。その場合においてアメリカの利益を擁護する、アメリカの輿論を代表し、あるいはまたよりよくアメリカの希望に沿うべく努力をするということは、ネヴィル氏として当然であります。この立場がかわつたことを、水産長官も欧米局長もよく御理解をなさつているのか、従来長くおられたから、同一の立場でやつておられるというような考え方であつたならば、これはあなた方の大きな錯覚であります。そういう見地からこれを方針をかえるということになれば、われわれは水産長官も欧米局長も、農林大臣も外務省も信頼できない。なぜならば、欧米局長は長い目で見よということを申される。しからば長い目で見て、ことしはやめるが、来年は必ず確信があるのか。また今回のアメリカとの関係はこれであるが、この後起るべき、さしあたり台湾の政府、朝鮮その他各方面と多数の協定をしてそうしてこれを実行に移して行かなければならぬ、その前提として二の問題であります。これを長い目で見たならば、諸外国とのどの條約もみな長い目で見なければならぬという前例をつくるものである。私はこれを憂うるものであります。その長い目で見るというところの内容は、一体どういう点になるのか。しかもネヴイル氏は、條約は合理的であるから、やるやらぬは日本自体の方針次第だと言つておる。そのものを遠慮してやめるということは、要するに長い目で見るという一つのさしあたりの安易主義であつてこれは外務省の常套的手段じやないかと私は思うのであります。こういうことでは、日本の全沿岸を取巻いている漁民の将来は不安にたえないのであります。もしでき得るならば、この際方針を確固としてネヴイル氏を初め、また外務省その他より、現地及びアメリカの関係諾方面とも十分調査し、研究もし、折衝もして、時期が遅れても、まず今年から——たとい行つてすぐもどつて来るにしても、出漁の実現を本年かちやつてもらうことを切に希望するものであります。その点についてなお手段がないものか、何らかこ二に打開の道がありそうなものだと私は思うのであります。また先刻單に水産庁と外務省のみでこの方針をきめられるように申されますけれども、これは日本漁民の将来にかかつておることでありまして、かかる重大なることをきめる場合は、先だつて各方面の意見も聞き、また公聽会等も開いて、ほんとうの日本の漁民の声をお聞きになり、またそれが従つて外国にも知れ渡るような手段をとることが、これは行政官として最も妥当にして、最も親切なやり方であると私は思うのであります。そういう点についていかにお考えになつておられるか、もう一応お伺いをいたします。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 ネヴイル氏がアメリカの代表であり、従つてネヴイル氏の最も関心を持つことがアメリカの権益であるという、今の御質問で申されました趣旨は、私どももよく承知しておるつもりでございます。と同時に一面逆に、私どもはかりにネヴイル氏が長い間漁業担当官として占領行政に携わられた方であるにいたしましても、日本の利益を守ることが私どもの責務かと存じておりますので、この点ではかりにネヴイル氏の立場がかわり、またネヴイル氏がどういう考えを持つたにいたしましても、私どもの最も関心を寄せる問題は、日本の権益でございます。この点だけはひとつ御信頼をいただきたいのであります。また私は個人的なことを申し上げますと、ネヴイル氏とは実は大した面識もございません。従来占領行政官としておいでになつた間に、コクテル・パーテイで一、二度お会いしたという以外には、ネヴイル氏をよく存じ上げていないというのが、私の立場でございます。従つて今回のネヴイル氏とのこの漁業の問題につきましても、ネヴイル氏は国務省の役人であり、アメリカの権益を代表するアメリカの官吏だということを、十分頭に含んで話をしているつもりでございます。今年こういう事情でかりに見合わせるとして、来年確信がなかろうという御質問でございますが、これは来年のことでございますから、私があまりここで言うのはどうかと思いますが、私の個人的の見解をここで述べさせていただきますと、私はこの漁業協定は、講和條約発効後間もなく三国がおそらく採択をしてくれるだろうと考えますので、講和條約発効後間もない時期において、調印を見るだろうと思います。調印のあとで国会の承認を得て批准されますというのは、どう考えましても半年か八箇月のあとにはできるわけであります。そうしますと、ここにできました日米加漁業協定というものが、三国の漁業問題を規定する憲法になります。私はこれがおそらく来年の漁期までには必ずできよう、少くとも九分通りまではできるという考えでいる。そしてそのできたあとにおきましては、アメリカもおそらくこの認めた権益によりまして、日本が、かに工船を送り、そしてその他の船を送ることについてさけ、ます、ハリバツト、にしんという、規定されたものについて日本が約束を守るということさえ確実あれば、そしてわれわれは守るつもりでおりますから、その意味においては、アメリカ側も、われわれが行くほかの権利は十分これを尊重してくれるだろうと考えるのであります。今まで日本とアメリカの漁業問題で一番いけません問題は、やはりお互いが疑いを持つということだつたと思います。日本の漁船は何ら向うの権利を侵していないにもかかわらず、向うは侵しておると思う。その侵しておると思うという疑いが、日本側に来て、日本側を激昂させる。こういう関係でお互いに——先ほどのお話にございましたが、いわば影に驚いたというようなことではなかつたかと思うのであります。ですからこういう法律関係でお互いの関係を規律して来れば、ここにはつきりした限界ができますから、これによつて両国の間は、おそらく漁業問題につきましては大した問題は起らない。起れば、三国の委員が出席している委員会で取上げて、そこにお互いの話もつき得るという目途ができて来ておるのであります。従つて来年の二とになりますが、私の個人的な意見を申し上げますれば、来年は大丈夫、日本のかに工船は日本の国旗を掲げて堂々とアメリカの近くまで行つて、かにがとれると私は考えておるのであります。またどうもその時々を糊塗して、来年は来年のことだというふうな考え方を持つのが、外務省の常套手段だというおしかりを受けましたのは、私もはなはだ残念でございます。私どもも日本人です。私も日本の公務員でございます。だからそういうことによつて一時を糊塗すれば、日本の政策はそれでいいのだという考えは毛頭ございません。やはり長い目でと私が申し上げましたのは、これから先何十年と続く日本の漁業権というものにつきまして、確立された強固な基礎の上に立つて、各国との間において摩擦を起さないこと、しかもそれがほかの外交政策なり、あるいはほかの日本の政策というものに響きを持つて来ないようにということを考えることが、一番大事な問題と考えておるわけで、私は今回こういう事情で業者、水産庁、並びに外務省、その他関係者が会つて、まあ今年はそういう考えであれば見合せた方がよかろうという考えに立ち、そうして来年りつぱに日本が出て行くという方が、長い目で見て日本の漁業権のために利益ではないか、それが日本の国策にも利益をもたらしはしないか、どうもそういう気がするというのが私の考えであります。業者との連絡その他の点は、水産庁の方でもせつかく御努力をしていただいておると、私は確信しておるわけであります。

石原圓吉自由党

○石原(圓)委員 私は今回とりやめにするというところの根拠の問題を納得が行かないから、自然こういう意見を出すのであります。根拠なるものが、すでにネヴイル氏も日本の方針次第でやると言われておる、ただアメリカの一部の刺網業者か何か騒然としておるというようなことが理由でありますが、それだけで納得するというわけには、私はどうしても行かない。納得のでき得る範囲までの御努力、御配慮が足らないように私は思う。これはひとり外務省のみではない。水産庁も両方がその点が足らないように思う。こうこういう根拠だという、われわれの納得できるところの根拠がないと私は思うのであります。その点で心配するのは、長い目で見ても、明年またどうなるか。ことに来年のことを言えば鬼が笑うという日本のことわざもあるのであります。であるからして、この来年のことが、本年のこのとりやめによつて一層心配になるという反対的な考え方が起り得るのであります。であるからこれはやめるならば、日本全国の漁民が納得するように、また外交的にも今後に影響のないような、明年的確にやるということの確実性を持つた理由でなければ、軽率にやめることは私はよくないと思うのであります。ことに一部では、この問題を荒立てたらまぐろの税金に影響するだろう、これはもつてのほかだと私は思うのであります。そういう功利的な考え方では、堂々たる外交でないと私は思う。まぐろはまぐろであります。税は税であります。漁業権は漁業権であります。おのおのの分野において、当然なる正しい主張をすることにおいて、日本は将来平和を保ち、また諸外国と親善関係が持つて行けると、私はかたく信ずるものであります。その点に対して御答弁がいただければけつこうであります。御答弁はいただかなくともよろしいが、ただここに一つ、特になお切望することは、まぐろの税金とかなんとかいうことにかかわることなく、漁業條約は漁業條約として、あくまでも正しく強く進むべきである。それに対して本年とりやめるということは、これはいけないから、なお努力をして続けるようにしていただきたい。もしできなければ、明年的確にでき得るという根拠を、公の席でなくともよろしいから、せめてわれわれにだけでもそれをお漏しを願いたい。こういう点を御希望を申し上げて、時間の関係上質問を一応これで終ります。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 一々ごもつともな御意見で、私どもよく胸に聲んで、御趣旨に沿うように努力いたします。機会がありまして、今の御質問にお答え申し上げることもあるかと私も考えております。ちよつと速記をやめて……。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をやめてください。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 永田君。

永田節自由党

○永田委員 外務省にお伺いいたしますが、マ・ラインが撤廃になりまして公海の自由の制限というものが、なくなります。同時に講和の効力が生じて参りますと、漁業関係にしばらくのギヤツプを生じて参る。このギヤツプというものは、伝えられるところの吉田・ダレス書簡によつて効力を生じて参る、かように了承したのであります。まつたく私はその御意見には賛成いたします。特にまたアメリカ沿岸の漁民の好まざることを、日本の漁民の権利の当然の行使によつて、両国の友好関係を傷つけるということにつきましても、特段の考慮が拂われているということについて、むしろ私は感謝いたしております。外務省のかような御努力は、一にかかつて本漁業協定のすみやかなる調印を希望しての御処置であろうと私は考えるのであります。しかるに不幸にして国内漁業におきましては、いろいろと輿論が沸騰いたしまして、私もまた去る二月十三日に水産庁に対しましては、目下のところ仮調印の時期であるので、愼重に事を運ぶべしということを御注意申し上げてあります。また外務省の御説明の中に……ちよつと委員長速記をとめて……。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めて。

永田節自由党

○永田委員 そこで私は外務省にお伺いしたいのは、かりに農林省がすみやかに適当の処置を講じまして、世界の水産資源を保護するという大方針のもとにこの北洋漁業の許可をかりに二月一日に出したとしたならば、その後における、今日アメリカ側から何らかのサゼスチョンがあつた場合に、外務省はこれを撤回なさる御意思がありますか、お伺いいたします。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 今かりに二月一日に出た場合において、外務省はこれに対してどう勧告するかというお話のように伺いました。私はこれは一に水産庁と業者は、日本では水産関係では専門家なのでありますから、この御両者が相談の結果、当然出すべしという結論に達し、これには水産庁も單に水産の面だけではなくして、外交関係も当然に考えられて決定されたものだと思いますから、その際に出されたものについて、われわれは水産庁がだしたのは外交上おもしろくないから、とりやめてほしいということを申し上げるだけの材料は現在のところ持つていないのであります。ただ事は占領下にございますので、今の仮定の問題を現実に当てはめますと、水産庁がそういう決定を下すこともできますまいし、またする前に一応外務省に御相談があつたものと、こう考えますから、おそらく結論としては、アメリカ側の輿論もかみ合せて、大体出しましたところがよかろうというので水産庁はお出しくだすつたであろうと思うのであります。従つて仮定の問題に仮定の御返事を申し上げましたが、結論的に申しますと、やはり私はあらゆる情勢をかみ合せてみると、現在水産庁がお考えになつたような見合せ論というのが、おそらくだれのためにも一番妥当な全体として考えられる線であつたのではないかと考えます。

永田節自由党

○永田委員 ちよつと委員長速記をとめて……。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めて。

永田節自由党

○永田委員 仮定の問題でございますので、なかなかむずかしい問題であろうとは思いまするが、外務省のお話を承ると、すでにこれに出漁を許可した後であつたならば、法律的に何らなすべき処置はない、かように了承いたしました。残る問題は業者自体がその許可に基く権利を行使するかいなかというこの一点であろうと思うのであります。  以下農林省に御質問を申し上げますが、この北洋漁業の問題に関しまして、ブリストル湾方面のかに工船の出漁にあたつては、法律的には何らの制約を受けるものではない、これが正しい見解のように了承いたしております。ところがここに吉田首相とダレス大使との往復の書簡がございます。これは日本が独立して漁業協定が締結されるまでは、自発的処置として暫定的に東部太平洋、ぺーリング海水域の漁場を初め、各種制限漁場には出漁しないというふうな意味合いのものであろうとは了承するのでありますが、かような政府の御処置の過程において吉田・ダレス書簡の往復があつたという事案を、農林省はお考えにならなかつたのでありますか。と同時に、もう一つは、北洋漁場の出漁の取消しは、今朝の新聞に報じられております通りに、今年は出漁を断念するということは農林省の決定の事実でありますかどうか。この二点について御質問申し上げます。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 吉田ダレス書簡には、東部太平洋、ぺーリング海の漁場に出ないということは言つておりません。これは漁業協定が結ばれるまでの間は、日本政府は濫獲から保護するために、国際的または国内的処置によつて、措置がすでにできているすべての水域における現保存漁場で、かつ日本国民または日本船が一九四〇年、すなわち昭和十五年でございます。この一年に操業していなかつた漁場では、自発的措置として日本の居住国民及び船舶に漁業の操業を禁止します。すなわち保存漁場であつてしかもその漁場には日本船が一九四〇年に出ていなかつたという漁場、それは自発的措置として操業を禁止する、こう言つてあるので、広汎に東部太平洋、ぺーリング海の水域に出ないということは言つておりませんし、今般の問題になりましたかにについては、保存措置はとつておらぬわけでありますが、一九四〇年には出ておりません。一九三九年までしか出ておりません。しかし保存漁場でないという点からいつて吉田総理からダレス大使あての書簡より見て、出られるという判断を下してあるわけでございましてこの点についてはネヴイル漁政官も同意見であります。それは十分確かめておるわけでございます。  なおもう一つ、農林大臣が断念すると申し上げましたのは、私もただちにはつきりとそういうふうに政府の意思がきまつたということを確かめております。断念しております。ちよつと速記をとめてください。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めて。

永田節自由党

○永田委員 いろいろ御懇篤な説明をいただきましたが、問題は、許可していけないものなら、初めから愼重に考えて、許可する方針で行かなければよかつたのです。ときには農林省の——廣川農林大臣の談話というものはしばしば新聞に発表になつておる。また業界の新聞にも委員会におけるところの御発言、特に二月十一日の参議院水産常任委員会におけるところの塩見長官の御答言の中にも、しやにむにこの許可を與えるべく、三社に談合をしいて、強硬にこの許可をおろそうとした。承るというと、いろいろと御答弁があつたのでありまするが、少くとも一国の権威ある政府の行為として、各省の連絡がまずく、一方においては取消し、一方においてはさかのぼつて許可を業者に慫慂しておる。ここにわれわれが納得のできない点があるのであります。さらにアメリカと日本とのこの問題は、アメリカの輿論と日本の輿論の摩擦である。アメリカの輿論というものは、先ほど私が説明を申し上げましたが、しからば日本の輿論というものはどういうものであるか。私どもは水産議員連盟の決議案に基きまして、水産庁に対して、水産資源というものは世界民族の水産資源である。従つて世界の民族はこれを保護しなければならない。かような理想のもとに、許可をおろす業者に対しましても、愼重に考慮を拂わなければならないということは、しばしば御注意申し上げた。ところが何ゆえか、信じられるところの情報によりますと、一部の権力に農林省が圧迫を受けてあるいはその圧迫におののき、あるいは恐れ、今日まで許可を遅らした。これがすなわちアメリカにそのまま——アメリカにおいては日本のごうごうたる輿論と言つておるでしよう。この輿論が伝わつて日本の侵略漁業というものを思い起させて、さらにアメリカ業者の輿論を刺激した、かように私は判断をするのであります。かような場合において、アメリカの輿論を刺激せしめたということは、一体何人の責任であるか、かように断ぜざるを得ない。昨年十一月五日各国代表部による議題の開陳の際における日本代表の意見というものがあります。実に切々たる意見を述べておる。「議長並びに各国代表各位の御許可を得まして、日本代表はこの会議の議題に対して次のような意見を開陳いたします。漁業は日本にとつて死命を制する重要な産業である。漁業に依存する度合いは諸外国に比してきわめて大きい。すなわちそれは八千万余の国民の生命を維持して行く上に欠くことのできない動物性蛋白の大部分の供給源であるばかりでなく、狭められた領土にあつて、他の天然資源に恵まれない日本にとつて、その消長はただちに財政経済に大きく影響する。」かように切々として悲痛な血の叫びを上げておるのであります。また業者においても許可がおりるものなりと、御懇切に水産当局が御指導くださるので、すでに着業の準備をなさつておられる業者もあるやに承つております。かような重要な問題にあたりまして、農林省は、あなた方の今日までおやりになつたことについて、どういうふうにお考えになつておるのか。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 あの当時に、政府の方で、業者が出たいというものであれば、政府ももちろん一緒になつて出したい、こういう決意をもつて推進して行くというふうな情勢下にあつた。こういう点について、その判断は今でも、あの当時の状態のもとではあのような態度を政府がとつたということは、私は間違いではないと考えております。

川村善八郎自由党

○川村委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕 川村委員長速記を始めてください。

永田節自由党

○永田委員 今長官の御答弁を承りますと、私が御指摘申し上げましたことについて、処置は誤つていない、かようにお答えになつておられます。あなたは処置が誤つておらないとおつしやるが、私はあなた方の処置が誤つておる、かように申し上げておるのであります。そのいずれにしてもよろしい。現実の問題としては、あなた方が判断なさいましてこれをもつて可とするならばその方に向つてすみやかに許可をなされば問題はなかつたのです。今日まで遅れたことがすなわちかようなアメリカ側から注意を受けるという好ましからざる事態に入つてしまつたのであります。これでもあなた方はこの処置を誤つていない、かようにお考えになつておられるならば、それでよろしい。あえて追究はいたしません。私は長官にこういうことを申し上げた二とがある。これはわれわれの申し上げるところの一部の企業会社というものは好ましからざる業者である、かように申し上げた。あなた方はこの業者は好ましからざる事業者ではない、かようにお答えになつたのです。この業者に対する非難また違反の事実というものは枚挙にいとまがないのであります。ここで速記の上でこの業者の批判をすることは省略さしていただきますが、われわれ水産議員連盟の決議というものは、三箇国漁業協定の精神にのつとつて、実績と適格性を尊重すべしという申入れをしておる。この申入れに対して、あなたは速記においてきわめて妥当な御意見であるとお答えにたつておられます。この漁民の渇望する北洋漁業、また日本経済の自立から行きまして、避くべからざるこの機会に、政府の至らざる、おろかなる処置によつて、かくも各般にわたつて迷惑をかけておる。一に国際信義とその友好を傷つけ、日本自立経済を危うくせしめ“日本の食糧政策をみずから破壊し、日本水産業界を混乱に陷らしめ、日本政治の民主化をみずから毒し、しかも輿論を否定して権力にたわむれるがごときは、まさにその罪万死に値いするものであろうと私は考える。よろしく農林大臣に御相談くださいまして、月曜日においては、それぞれの責任者の態度をはつきりしていただきたいと思います。

川村善八郎自由党

○川村委員長 井之口君。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 この北洋漁業の出漁に対して、今年は見合せると廣川農相も声明しておられるし、ただいまの農林省の御当局からのお話もありましたが、その問題については、先ほどから石原委員も、いろいろ納得の行かない点を指摘されております。まつたくその通りであります。今まで話された観点をいろいろ総合してみますに、吉田・ダレス往復書簡においても、当然出漁が可能なものであるということを言つておられます。なるほど吉田・ダレス書簡に対して、われわれはこうした書簡の持つ日本の漁業に対する大きな制限性について反対はいたしましたが、なおこの書簡でさえも出漁が認められる、可能のものであるということが言われておる。のみならず、さらに今度結ばれた平和條約においても、なおかつこれが発効いたしましたら出漁が可能であるということを認めておられる。この条約に対して、われわれの不満のある点はるる国会において述べているのでありますが、いよいよ日米加漁業協定が結ばれた。これを見ても、さらにこれが可能であることを証明いたしておられます。それであるにかかわらず、なお一漁業担当官としてのネヴイル氏が何か言われたというので、それでもつてすぐ外務省において意見をかえてしまう。せつかく業者が張り切つて、そうして和解と信頼の條約だとさんざん今まで国民を欺瞞してやつておつたが、ここに大きく暴露した。また暴露しそうになつて来て、そうして日本の政府自身から、自分でアメリカのかかる不当な、まるで條約を無視するような勧告に対して、自分自身でへりくだつて、みずから出漁を停止するというようなことは、言語道断の話である。先ほどのお話を承つておると、太平洋に大きくまん中に一線を画して、それより東の方へは日本の漁船は行かないというふうな要求さえも最初のころあつた。それに対してわれわれは闘つて、やつとこれを撤回させたと言いますが、こうした大きな日本の漁業に対する制限を持つておるところのアメリカが、将来またこいつを要求して来ないとも限らない。一歩譲ることは次から次へと大きく譲ることであつて、ただ向うの業者の一部が、ブリストル湾に来てもらつては困るというふうな意見を出したというだけで、国際間に結ばれておるところのこうした公約が弊履のごとく捨てられ、自分自身でへりくだつて向うの意思に従うということになれば、完全にアメリカの植民地になつてしまつたことを立証するものであつて、これでは政府としては、自分自身で、その言つておるところの対等のつき合いということを、自分から裏切つておることになるのであります。それというのも、第一に日米加の漁業協定というもの、こうしたものをわれわれは国際條約と認めるのでありますが、これを仮調印しておいたが、国内的に国会にかけるのかどうか、これをかけないでただ一部のあなた方だけでもつできめておかれるから、これを守ろう、また向うに対しても守らせよというような意思がないのであつて、これを国会にかけて国会の承認を得て、自由党の絶対多数、横暴なところで腰がくだけるかもしれませんが、とにかく国会にかけて国会の承認を得てこうした條約を締結せられるべきものだと思うのだが、その点はどうなさるおつもりでありますか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 この漁業條約は、仮調印を済ましたようだが、このまま議会その他にかけないで、これを一体発効させるかさせないかという御質問に対してまずお答えいたしますが、今回の漁業協定は各国の代表が集まりまして、各自国の政府に勧告をする勧告案についての署名をしたわけであります、従つてこの勧告案は、各国政府から別々に採用される必要がありますし、採用したあかつきに各国代表があらためて調印をする必要があります。従つて條約に調印するのでありますから、憲法上の規定に従いまして国会の審議を経べきこと当然であります。決議の方、これはお手元にあるいはないかもしれませんが、この條約集のうちにこう書いてございます。第十一條でございますが、この條約は、締約国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。批准書は、なるべくすみやかに東京で交換されるものとする。」とございますので、国会の御承認を得ることはもちろんのこと、国会の承認後批准が一箇所に寄託されまして、寄託の事実が各国に通知されまして、初めて有効だということになるわけであります。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 それでは日本の方はそうなると思いますが、アメリカ、カナダの場合も同様にそれが実行せられ、向うの国会において責任をもつてこれが可決せられた場合は、向うの政府は当然それを実行することの義務を負うものでありますか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 お説の通りでございます。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 それならば、そういうふうな手続を済ました後に、なおかつ一人の漁業担当官が日本に対して、それを実行しないでその権利を放棄したならばどうかというような勧告をなし得るところの権能があるのかどうか。この点を聞いておきたい。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 実は御質問の漁業担当官がそういう権限があるかということは、仮定の問題としてお答えいたします理由は、私はネヴイル氏からそういう権限を持つての発言というものを聞いておりませんから、仮定の問題についてお答えいたしますと、そういう権限が漁業担当官にあるとは存じません。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 ネヴイル氏にそういうことを日本に要求する権限はない。これは正しいことと思います。しかるに何かやみ取引なのか知らぬが、何か宴会の席上においてやられたのかどうか知らぬけれども、そうしたものを日本の政府がまじめに取上げて、そうしてやれ将来まぐろのカン詰の税金が上りはせぬだろうか、雑貨の関税が上りはせぬだろうか、あるいはまたその他の問題についているくな不利な点が起りはせぬだろうかというようなとを一々考慮して、そういうために外交というものをそれによつて左右されるということになつたならば、一体日本の外交というものは何だ。正式に條約を締結しても、はたしてその内容が守られるのかどうか。絶対にそういうことはできないと思う。日本の外務省がアメリカの出張所であることになつてしまつたならば、そういうことも言えるでありましようが、そうでないとしたならば、これはどんどんそういうものは、あなた方の條約は責任を負うておるのだから、そういうことはできないと言うて、明瞭な拒絶ができるものではなかろうか。われわれが向うの関税の引上げに対して、今年出漁しなかつたならば関税の引上げをこれから先してくれないであろうというふうな、何らかの保障があるのか。全然保障はないと思うのですが。その点はどうでありますか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 この條約は一つ御記憶をいただきたいと思いますことは、まだ正式の調印もできていないわけで、将来こういう約束のもとに、この約束をお互いに果しましようという勧告を各国政府にするという、ややごしいのですが、まだ法律上は海のものとも山のものともつかないのであります。ただ各国の代表が集まりまして、将来こういう関係であればお互いに権利が主張できるという意思をここに表示したものがこの條約案だというふうに、ひとつ御解釈をいただきたいのであります。その観点に立ちますと、この條約ができました後では、おつしやいましたように各国が自由にこの條約内においての権利を行使するわけであります。ただ條約ができてないものでありますから、今の段階におきましては、アメリカから言われたということではなくして、日本の事情とアメリカの事情と、そして実際上直面する漁業問題とを考慮に含ませまして、本年はあらゆる角度から見て、もしこれに概括的に決心をするとすれば見合せた方がよくはないかという意味で、水産庁並びに業者の方がお話合いを済んだものだと私は了解しておるわけであります。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 それでは日米加漁業協定が條約としてきちんと結ばれない前にも、講和條約が効力を発生して来たならば、出漁して権能上国際間の何らの違法にならないのですかどうですか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 法律上は違反になりません。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 そういうりつぱな根拠がありながらこれを主張し得ない。そうして一年間の出漁を自分自身から見合せるということになる根本的な根拠は、先ほど言われた関税の引上げ、あるいはその他の雑貨の関税の引上げのおそれがあるというのは中心的な理由になるのでありますが、どうですか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 それも考慮の一つの材料ではございますが、それだけではございません。ほかのいろいろの関係を見合せまして、私どもは、どれが中心ということを個別的に申し上げることは少しむずかしいのじやないかと思いますが、全体的な関係から、まだ條約もできない、従つて條約ができれば当然の権利でありますが、そうでない間にいろいろ権利を行使することについて両者が誤解があつてはいけない。ここらは話合いで行こう。アメリカの空気はどうだ、誤解は招きやすくはたいか、場合によつて考えてみようというので考えた結果が、今回の見合せになつたのではないかと私は了解するわけであります。つまり権利というものは法律上の権利でありますから、当然行使してさしつかえないのでありますが、権利の行使につきましてはお互いの間でよく話合つて、その権利の行使はお互いよいよ理解することが一番大事だと思うのであります。ですからそういう意味で、この條約ができない前においては、そういう点についてもお互いが考慮し合うということは、私はさしつかえないのではないかと思う。

川村善八郎自由党

○川村委員長 井之口君にお願いいたします。あと質問者もありますし、議題が二つ残つておりますので、できるだけ時間を短縮して御質問を願います。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 それでは簡単にいろいろな点をもう少し進めてみたいと思います。これは外務省でありますから、皆さん方が條約を取扱う場合に、このほか将来いろいろな国との漁業協定の締結の基本になるだろうと思うので、この点についていろいろ質問するわけでありますが、権利として一ぺん国際間に條約の形で結ばれたならば、これはその他の事情によつて、これを自心自身で抑制するというふうな点を広汎にやられるということになりますならば、これは條約としての何らの意義がなくなつて来る。もしそういう考えをもつてこれを処理されるとすれば、百七十五度以西の方面におけるところのさけ、ますの出漁に対しても手控えなければならないということにもなつて来ます。この点はどうであるか。しかるに他方においては、いまだ権利として何ら設定されておらぬ。條約も締結されていない。そういう方面、たとえば中国との沿岸並びに朝鮮、それからソ同盟との沿岸等の方面においては、盛んにいろいろな拿捕船が起つているような状態である。そういうものに対しては、政府としてはむしろ放擲しておいて、当然権利として行かれる百七十五度以東の方向で、なおかつブリストル湾なんかでは、もういずれの方面からでもこれを見合せるような理由のないようなものに対して、單に具体的なカン詰の関税が上るとか、雑貨の関税が上るというふうな考慮のためにこれを手控えるということになつたならば、その方面に進出する日本の漁業が、当然その他の不法な方向へ追いやられて、しわ寄せされて来るという、かえつて政治上の重大問題を招いて中ることなる。われわれは何のために日米加の漁業のいろいろなこういう協定をやつて来るか。こうした紛争が紀らぬために、向うの主張も入れ、こつちの主張も入れて、そしてそこに條約というもの、あるいは勧告なり何なりが成立したものだと思うのでありますが、それを遂行して一体何が悪いのだ。なぜもつと度胸をきめ、腹をきめ、先ほどから、われわれは日本人だと言われる。日本人なら日本人らしく、そういうものをなぜ度胸をきめ、当然主張すべきところのものは、堂々となぜ主張されないのか。そして一個のネヴイル氏の、これも勧告か何か知らぬが、そういうふうな意見にすぐ冒従してしまつて、従来の計画でも何でもみなかえてしまうというふうなやり方は、これはわれわれとしては承認できぬと思うところでありまするが、全般的な外交方面にもこういう心構えで行かれるつもりかどうか、ちよつと……。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 権利を堂々と主張すべきだという御意見、まことにごもつともで、この漁業協定につきましても、私どもは法律上の権利は堂々と主張して行くつもりで、いまだ捨てた意思は毛頭ありません。ほかの問題について権利を捨てるかという話でありますが、権利は捨てません。ただ権利の行使につきまして、場合によつて日本があらゆる考慮から自制することはあり得るわけで、これは相手方の承諾を必要といたしません。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 それならばそういう日米加條約を締結する場合に、協議をする場合に、ことしはいつごろからこれを実施するものだということを、政府は当然そのときに主張して、またみずから自制するならば自制するように、向うとの間にも協定を結んで、そうして現に実際できるようなものをやるべきであつて、摩擦のために自分らの権利を放棄するというふうなことになつたならば、この條約に一つの権威も何も生じなくなつて来るのじやなかろうかと思いますが、この調子で全部やられるつもりでありますか、どうです。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 これは具体的な問題に遭遇いたしました節に、その程度、その性質、その影響という点を十分に考慮に入れる必要があると思いますので、今回漁業協定が結ばれない前に、あるいは漁業協定が結ばれてからも、日本が当然に行使できる権利を自制したから、ほかの條約についても全部そうかということを言われましても、私どもはそういう考えで言つておるわけではないので、條約があれば條約の権利は当然日本にあります。これを行使する権利は日本に十分あります。百パーセント実施できます。しかしほかの考慮から日本が自制するということはさしつかえございません。あるいはほかの国策との考慮から日本自体が決定すべき問題なのであります。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 その根本が先ほども返事がよくなかつたのでありますが、カン詰の関税の値上げ、雑貨の関税の値上げその他等々といいますが、そういう点も明らかでない、アメリカからの要求に対しては、実にこういう腰の弱さを示しておるかわりに、今度は中国並びにソ同盟の方面とのいろいろな漁業政策に対しましては、政府はいまだに漁業協定を結ぶところの方針へも進んでおらぬし、平和條約を結ぶというような方針にも行つておらぬ。

川村善八郎自由党

○川村委員長 井之口君に再びお願いします。時間を短縮してどうぞ御質問願います。

井之口政雄日本共産党

○井之口委員 こうした一方的な弱さ、一方的の日本の隷属ということを強めて行くようになつたならば、日本の漁業というものは、将来まつたく植民地漁業になつてしまうとわれわれは考えるのでありますが、その点に対しましては、これを防ぐ方法を、何かはかに具体的に持合せがありますか。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 私は不幸にしてただいまの方と見解を異にしまして、漁業協定がこうなつたから日本が隷属されたという結論は、私はどこからも見出し得ないと思います。またソ連並びに中共との漁業協定をなぜ結ばぬかという御意見に対しましては、結ぶ時期が来れば日本は喜んでソビエト並びに中共と漁業協定も結びましよう。しかしその前提は、国交問題を全般的に見まして、漁業協定をし得る状態になるということがまず第一段階なのでありますが、その段階に遺憾ながらまだ達していないということは、やはりそちらからのお認めもいただかなければならないのであります。

川村善八郎自由党

○川村委員長 川端君。

川端佳夫自由党

○川端委員 先ほどから委員と関係当局との質疑がかわされまして、私はこの質疑応答を拝聽いたしまして、かいつまんで結論的な問題と簡單に伺いたいと思うのであります。  まず先ほどからの意見が再三出ておるのでありますが、今回のかに工船の打切り、断念ということになりましたこの経緯について、私たちも十分にこれを納得しかねる点があるのであります。私はここに今回断念をせざるを得なかつたということについては、これが情勢の急変であるか、先ほども法律的な根拠がない、あるいは漁業官の権限でもない、しかし日本政府側においては、このためにあらゆる努力を拂つて用意をいたして参つて来たことは事実である。水産庁長官はこれを急変として、諸情勢が急変した、特別事情が起つたために、従来の行きがかりをかえて断念をせざるを得ないのだ、こういうふうに御答弁をなさいますかどうか、伺いたいと思うのであります。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 その点に対しては、われわれの判断いたしおつたところは、結果として誤つておつた。その誤つておつたということが、急にわかつたということであります。その点について判断が誤らないようにというふうな意味で、できるだけの努力は拂つたということは、先ほどから申し上げました通りに、日米加協定にとにかく参画しておられた方々全部が、そういう判断をしておつたわけで、だれ一人として法律上もできるし、事実上もできる。できないという判断をしておつた人は一人もなかつたわけで、それに基いて、われわれは判断をし続けて来たし、それに反対の事実が出るかどうかというところについては、できるだけ外務省とも連絡をして、それで情勢は見きわめつつあつたわけですけれども、その点について、結果としては違つた判断であつたということは、現実に認めます。

川端佳夫自由党

○川端委員 水産庁長官も最初からそういう率直な意見を聞かしてもらつておると、くどくどしく伺う必要はなかつた。今率直に御答弁を伺つたのでありまするから、私はこの点をもうあえて追究はいたさない。私は、外務省当局も見合わすが妥当だつたろうという意見もあり、平塚さんからも、これは公式にどういう立場で言つておられるかはともあれ、雲行きは悪いというような情報をすでに入手しておられながら、われわれのこの委員会に対しても、何のそういう意思表示も聞かしておられなかつた。こういう点あたりも追究をいたしたかつたのでありますが、先ほどの率高なる御意見で、それでは一応次に移ります。  それでわれわれが懸念をいたしますのは、その情勢の急変、條件の突発、この中にあるいはかに工船の認可を得るためにこの三社が競合し、それが大きく対外的の刺激になつたというような事実はございませんか。私はこの点が最も懸念をされておると思うのでありますが、この点について、私は簡單に質問いたしますから、率直な御意見を伺いたいと思うのであります。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 ネヴイル氏の話の中には、そういう問題を原因として一つも出してはおられません。それ以外のことは、私のところでははつきりとはわかりません。しかしネヴィル氏が日米加協定について、これは太平洋岸の米国民に相当不満の声が強い。それを十分に調査した上で日米間の国交調整に当る必要があるというので、一月末に帰られたわけです。そうしてワシントンに行かれて、それからしばらくして日本が三船団を出すという誤報が伝えられた、これが非常にアラスカの漁民を刺激した。それは申されておるのであります。しかしながらこれは、日本の新聞にはどれ一つとして三船団というようなことを書き立てたものもございませんし、政府の方としては、ただちに一船団ということは申してあるわけでありますから、その誤報は訂正されたと思つておりますけれども、聞くところによりますと、アラスカヘのそういうような報道やその他の伝わるのが、非常な辺鄙なところでもあつて、非常に徹底しにくい、こういうことはあります。ですから三社競願ということを、三船団というように誤報された、それがひとつアラスカの漁民を刺激した、こういうことはありましようけれども、その他の原因としては、ネヴイル氏は何らあげておられないのであります。ちよつと速記をやめてください。

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めて。

川端佳夫自由党

○川端委員 ただいま、三社の競合のことが刺激をいたしたという点を多少お認めになつた御答弁があつたのでありますが、私たちはこれが今回の大きながんになつているのではないか。われわれの情報から参りまして、ネヴイル氏も日本の事情をよく知つている人であります。私たちはもう少しこの問題について、あるいは曲解かもしれませんが、ここに私は今回のかに工船の取扱いのネックができて来た、ここにウェイトがあるのだとさえも思わざるを集いいろいろな話を聞いております。私はここで、先ほども三船団が参つたという話があり、なおここで委員会からは一企業一社、こういう申入れもいたして注意もいたしておる。しかるにこの取扱いについて国内で意見がまとまらない。水産庁当局、農林大臣もこれに非常に困つた。こういうような点あたりは、多くを申し上げませんが、私は当局のあいまいな態度によつてかなり迷惑をいたした。この大事なかに工船の前途にあるいはさしあたつての出発の幸先を、非常に悪くいたしたという結果になつたのではないかと思つているのであります。  そこで時間の関係もありますから次に移りますが、しからば今年は断念をいたすということになりましたが、来年は必ずやるのだ。先ほども言明がございましたが、決定的なアメリカの強い拒否によつて出漁ができ場ないというわけではない。先ほどもお話に出ておりましたように、吉田・ダレス書簡において認められた、いわば公約である。こういう問題でありますから、私は今これを急変せしめる諸條件と水産庁当局が考えられたこの諸條件、こういうものは必ずしも決定的な断念の要件になるとは思わない。私はこの諸條件は、また期限は迫つておるとはいえども、今日ここで断念せざるを得ないというまでのことでもあるまいという感じを持つのでありまするが、このネツクになつた、断念せざるを得なくなつた條件というものを、私が一々説明申し上げると私の考え方がわかるのでありますが、簡単にお伺いしますれば、水産庁長官はこれを打開することは絶対にできない、こういう御見解でございますが、私はこれを打開することはできるのじやないかという感じを持つのであります。出漁の自信もあるということでありますから、もう一ぺんここで水産庁長官は、責任長官として絶対にこれは断念すべきものである、しかもその各種の條件はここで打開することができない、こういうはつきりした見解がおありであるかどうか再確認しておきたいと思います。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 三社の競願が今度原因になつたというお話ですけれども、私の説明は、競願が原因になつたのではなくて、競願を三船団出漁というふうな誤報にしたところに——これは日本の新聞にはそういうふうな誤報は全然出ておりません。そこに一つの原因がある。こういうことをネヴイル氏が申されておつたということを申したのであつて、そこは訂正しておきます。それから断念をどうしてもしなければならないかというお尋ねでありますけれども、これはもちろん私個人の判断できる問題ではなくして、政府全体の責任の問題でございますから、これは総理及び農林大臣の方で判断をされたわけで、それは断念した方がよいという判断になつた、こう思います。速記をやめてください。

川村善八郎自由党

○川村委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めて。

永田節自由党

○永田委員 長官の言われる通り、この問題は、日本側で水産庁の言われる三社をまとめて一社に許可を與えるということが、あたかもアメリカに三社三船団、かように誤り伝えられたものと私は思うのであります。それよりも、さらにあちら側においても、底びきその他によつて昨年の約四倍にひとしい隻数の船が出て、盛んに今日漁をやつておる。この二つがこの根本問題として、にわかにアメリカの輿論を刺激した、かように私は考えるのが妥当であると思うのであります。三社三船団が誤り伝えられて、かような結果になつたのであるというあなたの御意見は、いかにも視野が狭過ぎる。それならば政府の試験操業をやつたらどうか。これに切りかえる、このことを外交的にアメリカと交渉したならば、政府は責任をもつて船のトン数、馬力を制限し、さらに独航船も制限し、水揚げも制限するそして政府が試験操業するのだ、これに外国のオブザーヴアーも乗つていただく。こういうことにしたならば、必ず私は実現するのじやないかと思います。三船団が誤り伝えられた根本問題がそこにあつたとするならば、政府の試験操業に切りかえたらどうですかということが一つ。もう一つは、われわれが常に勧告しておるのですが、この陰に重大な利権が伴つて、醜悪なる活躍が続けられておる、この事実はわれわれは認める。かような事実によつて長官自体も委員会でしばしばおつしやつたように、経験と実力という大スローガンをあなた自身が掲げていながら、その実力と経験を持つておる中枢的な一社にまとめることができなかつたということ、しかもその認可をすみやかに、勇気を振つてできなかつたというところに大なる原因があるということを、あなたは反省しなければならないと思うのであります。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 試験操業の点については意見はありましたわけで、それで私の方でも検討したわけです。しかしこれはカン詰をつくるところの工船をもつて試験操業をするということは、試験操業としてあまりに費用がかかり過ぎるということ、またやるとすればトロールで試験操業をするということでありますけれども、トロールの操業は、一番初めに日本が出漁するときにロールでやつたわけであります。これはその当時の経験者及び三社のそれに関連のある人々にすべてが口をそろえて、トロールの試験操業は価値はない、あちらのかにはトロールにかかるのは、すべてくぼみに休んでいるところの脱皮がにであつて、あるいは非常に老齢なかにであつて、刺網でとる場合のかにと全然種類が違う。刺網にかかるようなかにはほとんどとりにくい。だからこれからのあちらでのかに漁業というものは、刺網でとる工船漁業であるということを前提とするならば、やはりそれは刺網でやらないと試験の意味がない。アメリカも初めトロールでやつたようでありますが、同じような結果で失敗しておるようであります。トロールでやるかにの漁業というものは、大体価値がないという結論なのであります。それでそういう試験操業は、予算も今ございませんけれども、予備金等の手続をとつてまでやる価値がないというのが一般の意見でございます。それからただいま実力と経験とによつて出漁する企業体というようなものをとにかく決定するというようなことは、仰せの通りでありますけれども、これは最初長官談にも申してあります通りに、私の方としては、競願の三社が一本になつて出るというようなことを希望しておるわけであります。これは先ほどからも問題になつたように、アメリカの方の沿岸漁業者というようなものが、この漁業に対してはやはり日本と競合関係にある、そういう点も考えましたところに、これが単なる一社ではなくて、日本の関係業者というものが一体になつてしかもそれには輿論の支持もあるという強いものでないと、向うへ出す場合に力強くないというような点等も考慮しまして、それでなるべく一本に持つて行く、それで出ることが望ましい。こういうような声明をしておるわけであります。

永田節自由党

○永田委員 あなたは三社をまとめて一本にすることを業者側が希望しておられる。こうおつしやいましたが、それはとんでもない話である。あなた自身が各業者にお話をなさつて、はたして各業者がこれに喜んで応じましたか、応じていない。すなわち希望していない。またまとまつていないということは、二月の八日の東京新聞に、廣川農相語るという記事が出ておる。日本水産があくまで一社案に賛成しなければ、除外して共同会社をつくる。かように強硬に申し述べられておるということは、とりもなおさず、あくまでも三社まとまらないものをあなた方が故意に統制しよう、いわば自由党の自由主義政策にまるきり反対の意見を持つておる。こういうことは歴然としてわかつておる。議論は今日すでに盡されておる。ただ当局が過失を犯した、その過失を認めるか認めないか。そうして三十万全国漁民にいかなる、ごあいさつをなさるかということだけが残つておるのであります。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 私の談話というふうなものに対して、企業の自主性と創意とそれから非常に機敏な判断というふうな点からいつて、それで統制力がある形というような意味で、一社がいいというような議論はもちろんございます。傾聴すべき議論だと私は思つております。ただ私どもの判断としましては、それは母船を一体とした漁獲から製造まで、これは確かにそうでありますが、ほかの部分はある程度マイナスが起り得る場合があつても、非常に少なければ必ずしも一社でやらなければならぬということもないというふうな意味で永田委員の御議論にも傾聽すべきものはもちろんあると思うので、私も実力、経験というふうな点は尊重するというふうな意味で、御回答申し上げておつたわけでございますから御了承願いたいと思います。

川村善八郎自由党

○川村委員長 川端君、簡単にお願いします。

川端佳夫自由党

○川端委員 私の先ほどの質問に対しての答弁を承りまして、要するに将来の国交を大きく再開いたして行く大目的のために、あるいは犠牲にならざるを得なかつた、こういうお話であつたのでありますが、これはごもつともな話でありまして、大きな国交再開の意義のために、あるいはそういう措置も考えられなければいかぬ場合もあります。今ここにこのかに工船を断念いたすという場合に、それだけのことで私はまだまだ納得ができない。先ほども共産党の委員から、彼らがスターリンの指令に隷属しなければならぬという身につまされている立場から、あるいは今度はアメリカ側の意見に従うんじやなもか、こういうふうな話が出るのも、私は当然のような気がいたすのであります。そこで私はかりにことし断念せざるを得ないということに私の意見を讓つたとして、来年度の出漁については、こちら側は十分な用意もできるのであろうと思いますが、私は今度の條件の焦点が、実ははつきりしないのでありまして、向う側が拒否をいたしておるということでもない、あるいは條件としては、三社が競合したことで、向うが思惑で漁民が反対しておるのでもない。あるいは法律的な根拠もない。ただ国交再開のために多少こういうことが役立てばというふうな意味にしか、われわれは率直に受取れないのでありまするが、本年度は必ず——私が先ほどもあるいは少し極言いたし過ぎたかもしれませんが、三社が災いしたのではないかというふうな点等も打開をいたしまして、そうして国内的には方法を講ずると同時に、先方に対しましては、十分なる打合せをいたしてもらいたい。そのために、契約などということはおこがましいかもわかりませんが、何か適当な措置をとつてもらいたいということと同時に、この問題が鮭鱒流し網の方へ全然影響しないというお見込みであるかどうか、これが水産庁当局に伺いたい点です。  それから委員長に伺いたいのでありまするが、われわれは、将来ネヴイル氏は国交再開後の日本におけるアメリカ大使館の漁業担当官、こういうような立場にすわつて行くのではないか、こういう考え方を持つておるのでありまして、ここに十分なる日本の漁業の代表あるいは国会の、この意見を反映さしておく必要が十分にあると思う。しかも今回この問題に関して国会側、要するに国民代表としてのわれわれの意見もネヴイル氏に聞かしたこともない。こういう重要問題でありますから、一度ネヴイル氏にこの際会つて、一ぺん意見を交換する機会を持つことをお考え願いたいと思いまするが、委員長はいかがにお考えでございましようか。これで私の質問は簡単ながら打切ります。

塩見友之助水産庁長官

○塩見政府委員 第一点は今後の保障の問題でございまするけれども、それは日米加協定が結ばれ、それが調印され、批准されて東京において交換される。そうして十一條によつて効力を発生するわけです。それが法的な最も強い根拠です。われわれとしては、その促進に十分努力しなければならぬ、こう考えております。  それからこれが鮭鱒に響くかどうかというふうな点でありまするけれども、断念した方がよいという決定はマイナスに響くことは絶対ございませんし、それから日米加協定の締結促進にももちろんプラスに影響する、こういうことは断言できると思います。

川村善八郎自由党

○川村委員長 川端君の委員長に対する要望に対しましては、ネヴイル氏と連絡をとりまして承諾を得られればそうした機会をつくりたいと存じております。  佐竹君。

佐竹新市日本社会党

○佐竹(新)委員 私は簡単にただ一点だけお尋ねしたいと思います。日米加の漁業協定、われわれの解釈によりますと、確固不動なものだ、かように考えておりましたが、ただいま欧米局長の説明によりますると、これは日本側あるいはアメリカ側、カナダのこの三国の、いわゆる内容は勧告のようなものである。これが将来もし各国の国会にかかりましたときに、これを修正するというようなことはあり得るのでありますかどうか、その点だけまずお伺いしたい。

土屋隼外務省欧米局長

○土屋政府委員 この問題は法律上の問題と事実上の問題と二つにわけて返事をさしていただきたいと思います。法律上は各国政府に対する勧告でございますから、各国政府がその勧告を受けないということも考えられます。また受けてかりに調印いたしましても、国内の憲法上必要とせられる機関すなわち議会にかけました際に、議会で修正ということもあり得るわけであります。従つて批准が済みましてその批准が寄託せられるまでこの條約は確定的なものでないということは、そういう意味から法律上言えると思います。ただ事実問題として、各国の代表が一応各国の政府の意向を体しまして、四十日にわたつて各方面から検討して、政府は大体これを受けようという想定のもとに、この決議案に調印したのでありますから、おそら政府としてはこのまま受けましよう。議会におきましても、各方面を網羅いたしまして議決したこの協定については、おそらく本質的な変化なくして承認されるものではないかというふうな事実上の見越しは、別につけているわけでございます。

川村善八郎自由党

○川村委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 速記を始めてください。  本件につきましては、次会、明後月曜日に、廣川農林大臣の出席を求めた上、さらに継続することといたします。なお外務省土屋局長及び重光課長の退席を願うことにいたしたいと思います。また塩見水産庁長官は、中央海区漁業調整審議会に出席をしなければならないので、退席をさせることにいたしますから、御了承を願います。     —————————————

川村善八郎自由党

○川村委員長 次に浅海増殖に関する件について調査を進めます。質問を許します。永田君。

永田節自由党

○永田委員 わが国の食糧資源の開発という面から行きまして、浅海増殖の振興はすこぶる重要な問題であると考えるのであります。私、昨年よりしばしば委員会におきまして発言をいたしました結果、水産庁においても、画期的の事業として大幅に、全国的にこの事業が開始されることになりましたことは、発案者の私といたしまして、まことに欣快にたえないのであります。二十七年度予算が大体八千万円というふうに決定を見ておると了承いたしておりますが、この八千万円は、それぞれの適所に公平に配分されることと思いますが、この中から種苗費と称するものは一体どのくらい見積りがありまして、その種苗費というものによつてまかなわれるところの種苗のみによつて用が足りるのでございますか。それをお伺いいたします。

高橋清三郎農林技官(水産庁漁政部漁業調整第二課長)

○高橋説明員 お答えいたします。種苗関係の経費として予算に計上されておりますものは、千二百八十万円でございます。需給関係につきましては、予算に計上しておる千二百八十万円のねらいとしております。主として二枚貝でございますが、あさり、はまぐり、藻貝、あるいは帆立貝というものにつきましては、この予算で当面必要としております種苗の需要は、ほぼ充足できるものと考えております。

永田節自由党

○永田委員 青森県に一箇所、北海道に二箇所、新規のものがありますが、従来この新規の予算というものは、継続事業の約二分の一程度の調査費ということにとどまつておつたのが例でございますが、この二箇所に対する予算の配分ということについて、その御意向を簡単に承りたい。

高橋清三郎農林技官(水産庁漁政部漁業調整第二課長)

○高橋説明員 先ほど申し上げました千二百八十万円のうち、前年度から踏襲のものが約七百三十万円相当額ございまして、なお残額が二十七年度に新規に計上されました分になりますので、その分につきましては、今お話のように、新規の場所に配分される予定になつておりますが、その金額等につきましては、ただいま検討中でございまして、今幾らということを申し上げかねる次第であります。

永田節自由党

○永田委員 その新規の分に配分するところの予算というものについては、さらに愼重に当局において御検討を願つて、あやまちのないようにお願い申し上げます。  次に、機械購入費の国庫補助率というものが、全額の三分の一ということになつておるのでありますが、たまたまこの企業の推進上から考えまして、各所ともいろいろと諸般の情勢から資金に悩んでおられます関係上、一応この補助率を、たとえば二分の一というふうに修正される御意思はございませんか。

高橋清三郎農林技官(水産庁漁政部漁業調整第二課長)

○高橋説明員 永田委員のお説の通り、三分の一の補助率というものは、漁民に対してはかなりきびしいものと私どもは存じております。予算計上の当初から、私どもといたしましては、国会の御協力も得まして、大蔵省に相当強くこの点を交渉したつもりでございますが、従来同様な形で計上されております農機具補助費等の関係もございまして、やむを得ずこういう形で了承せざるを得なかつた次第であります。従いまして、この使い方等につきましては、なるべく漁民に苛酷な負担にならないような形、たとえて申しますと、県費をできるだけこれに附加していただくというような形で、漁民の負担額を軽くするようにして行きたいというふうに考えております。

永田節自由党

○永田委員 なるほど農機具その他に準じまして三分の一の補助率はやむを得ないという御説、まつたく私は了承いたしましたが、問題は各漁区におけるところの事業の促進というものについて、当局の御指導が適切であるかどうかということになつて来ると思うのであります。そこで地方の漁区関係の県当局に、仮借なき態度でもつて予算の編成を強要していただきたいとお願い申し上げるのであります。  次に客土の費用でありまするが、底質の組成の変更ということがいわゆる客土の意味をなすものと了承いたしておりまするが、海面から見ますと、この客土の実態調査というものはなかなか困難であろうと考えられます。しかしこの調査もある程度——十二分とまでは行かないまでも、的確な調査をなさらないと、たまたま配分の適正を誤るようなことになるのじやないかと思うのであります。これに要する資材といたしましては、もちろん人が第一でありますし、船、砂というふうなことになると思われまするが、この実測は正確に行われておるでありましようか、この一点をお伺いいたしますと同時に、もう一点は、その後の地元の調査結果の変更によつて生じた問題でありまするが、豊前海におけるところの駅館川と寄藻川の中間、すなわち長洲町、和間村の海岸線は、その後客土の面積が優に三十二万坪あるということが、的確な権威ある調査によつて報告されておるのでありまするが、これらの変更の事実に対して、水産庁はお認めに相なりまするかどうか、お伺いいたします。

高橋清三郎農林技官(水産庁漁政部漁業調整第二課長)

○高橋説明員 お説の通り、この使い方につきまして、ことに客土等につきましては、地域の状況あるいはまた仕事の緊要度というようなものから調査いたしまして、誤りのないような使い方をすべきであると私どもも考えております。ただいまお話のございました豊前海におきましては、ことに広汎な干潟が未開拓のままで残されておる。その原因の一つに、底質が悪いというものがかなり大きく作用しておるというような点から、客土等の措置によつて開拓し得る面が相当大きいだろうという点を承知いたしておりますので、今その詳細な数字は申し上げかねますが、十分注意して、考慮して使つて行きたいと考えております。     —————————————

川村善八郎自由党

○川村委員長 次にまき網漁業取締規則に関する件について調査を進めます。質疑を許します。田口長治郎君。

田口長治郎自由党

○田口委員 まき網漁業の問題につきましては、過般これに関する法律を通過させましたときにおきまして、小型底びきが非常に急ぐというような事情からいたしまして、実際の内容を盛りますところの省令が間に合わない。やむを得ず法律だけ急いで通すが、しかし省令制定については議会において相談をするというようなことで、川村委員からその当時念を押してあつたように存ずるのであります。きのうときようにわたりまして、中央漁業調整審議会に対しまして、まき網漁業取締規則の省令案について諮問をしておられるということを承つておるのでありまするが、今この案を見ますと、非常に内容が多岐にわたつておりまして、條文のみを見ましても三十二簡條、これに附則がついておる、こういうような事情でございますから、この内容につきましてはあらためて詳細に説明を聞きたいと思うのでありまするが、ただ一点だけその後の経過はいかようになつておりますかという点を、当局にお伺いいたしたいと思うのであります。先般の委員会におきましてまき網漁業の海区設定の問題については、各県の條件が非常にばらばらである。また各県の考えも非常に違つておるというような点からいたしまして各県の考え方なり、條件をある程度地ならしした後において海区を設定すべきものである、さような御努力を願いたい、こういうようなお願いをしておいたのでございまするが、ここに審議会に諮問になるところまで行きましたとすれば、各県の地ならしということについて当局でいかように御努力になり、またその結果が、各県別々にこの問題に対して現在どういうような気持でおるか、その実情について詳細お伺いいたしてみたいと思います。

伊東正義農林事務官(水産庁漁政部長)

○伊東説明員 私よりお答えいたします。お手元にまき網漁業取締規則の案がたしか配付してあると思いますが、これは今田口委員からお話になりました通り、きのう、きようの中央漁業調整審議会に諮問をいたしておる案であります。これを諮問いたしました期日の問題でありますが、実は御承知の、先般の国会で漁業法が一部改正になりまして、中型まき網漁業につきましては三箇月の規定については、三箇月を越えない期間内に施行するという附則がついております。それで行きまして中型まき網漁業関係の規定は、三月十四日に——これは府県知事の許可するものでございますが——施行になります。それと関連いたしまして小型まき網、中型まき網が当然問題になつて来るわけであります。そういう観点からいたしまして、私どもとしましては、中央漁業調整審議会にこれをきのう、きようにわたりまして諮問をいたしておる次第であります。今申し上げましたように期日は非常に限られておりますので、そういうような関係で諮問いたしております。  それからもう一点海区制の問題でございますが、田口委員がおつしやいましたように、これは関係県同士で話合いがついておるかというお話でございますが、二ページにございますように、北部太平洋海区、中部日本海海区、西部日本海海区と、海区を一応三つに参わけております。それで中央漁業調整審議会にこの案を諮問いたしますときにも、西部日本海海区につきましては留保の條件をつけて出しております。それは北部太平洋海区、中部日本海海区につきましては、関係府県全部話合いが一致しておりますので、この海区につきましては問題は今のところございません。ただ西部日本海海区につきまして問題がありましたので、これを保留にして諮問いたしたわけであります。どういうわけかと申しますと、これは先般の委員会で私が御説明いたしましたような事情なのでありますが、実は昨年の末より本年の初めにかけまして、長崎の対馬漁場を中心にして非常に紛争が起つておる。これは今まであそこにあじ、さばのきんちやくが佐賀、福岡、鳥取、山口、島根あたりから、長崎県知事の許可証をもらつて入つていたのでありますが、昨年の暮れに許可証が切れましたとたんに、長崎県では他の県からは入れないというような方針をとられました関係上、非常な問題を起したわけであります。それで農林省といたしましても、先般申し上げましたように、何とか関係県で話合いをつけていただきたいということで待つていたのでありますが、なかなか話合いがつきませんので、先月の末に関係県当局、それから業者の方々に集まつてもらいまして話合いをしたわけであります。そうして結局一番の大きい問題として残りました山口、長崎につきましては、来週の月曜日でありますが、十日までに日を切りまして農林省の最後の案を両方にお示しいたしまして、おのおの御筆をいただき、それで話合いがつかなければ、結局ほつておきますと、ちようど今日韓の漁業協定の話合いが進んでおるのでありますが、朝鮮を前にいたしまして物情騒然たる事情になることは火を見るよりも明らかおります。われわれといたしましては、今片方ではそういう日韓の漁業協定をやつておる際に、目と鼻の間でそういう事態を引起すのははなはだ遺憾でありますので、何とか話合いをつけて解決してもらいたいということで、この十日の日を切りまして、両県に、特に長崎県でありますが、話合いをして、穏便に解決をしてほしいということで反省を求めておる次第であります。それでそれをいつまでもほつておくわけにも行きませんので、この西部日本海海区につきましては、そういうような問題で今のところは完全に話合いはついておりませんが、ほつておけば今申し上げたような事情にありますので、話合いがつかなければ十四日を期してこれを施行いたしまして、農林大臣の指定中型の許可にした方がよいのじやなかろうかという判断で私どもはこれを考えております。そういうような意味の留保條件をつけましてこれを審議会に諮問いたしました。それで各條を詳細に説明しろというお話でありますれば、いつでも御説明いたしますが、私どもといたしましては、話合いがどうしてもつかない場合には、その海区の内容で十四日にぜひこれの省令を施行したいという方針を持つております。

田口長治郎自由党

○田口委員 鳥取、島根の方を説明してください。

伊東正義農林事務官(水産庁漁政部長)

○伊東説明員 鳥取、島根について申し上げます。鳥取、島根はこれはこの前御説明いたしましたが、実は西部日本海海区の方で考えておりますあじ、さばとは関係なくて、これはいわしの問題でありますが、長崎のいわし船が鳥取、島根へ入つておりましたのが、鳥取、島根が断つて来た。そのかわり自分の方の県も長崎へ行つては操業をしないというようなことになつておりまして、鳥取、島根はおかしいじやないかということで、われわれの方もそういう態度は捨てるようにということは勧奨はいたしておりますが、この点はまだ解決いたしておりません。しかし今の点はいわし、まぐろでありまして、一応西部日本海海区で考えておりますのは、あじ、さばの関係でありますので、若干問題は違う。しかし本質的な問題としては非常に似た問題であることは考えております。

田口長治郎自由党

○田口委員 まず第一点の、先般の漁業法の改正で、結局知事の許可をするまき網が三月十四日までに限定されておるから、それに関連する指定中型のまき網も、やむを得ず十四日までやる、こういうことでございますが、関連はしておりますけれども、少くとも法律といたしましては、指定中型を除くというふうになつているから、私らは必ずしも全部のものをこの三月の十四日までに片づけてしまわなければならぬ、こういうふうにも考えないのであります。  それから第二点は、各府県で協調を期しているが、まだ一部の協調ができない、こういうお話でございますが、昨日の情報によりますと、東京でこの話ができておつたわけでございますが、佐賀と福岡と長崎は、完全に三県業者が集まつて、佐賀県で協定ができた、こういうことを言つております。山口県との関係も、いろいろ折衝しておつて何とか話がつくつもりだというようなことでございますが、ただ農林省から、三月の十日までに話がつかなければ、農林省としては独自の方法をとる。こういうことで、非常に錯綜した重大なる問題を、わずか一週間か十日の短期間に話がまとまらなければ適当な方法をとるという、この短期間ということが、どうも両県の話合いについて非常に無理になつているように考えるのでございますが、きのうの情報によりますと、何か話がつきそうだ、また主として長崎県の回答を待つているというようなことでありますが、その当時の東京での話によりますと、山口県も長崎県と同様に夜間の操業を認めてくれ、長崎県同様にしてくれれば、山口県が希望する船が長崎に来て操業してもかまわない、従つて問題はむしろ山口県にあるので、山口県知事が山口県の沿岸漁業者との間に、まき網の夜間操業ができるような話をつければ、山口県が希望する隻数を長崎県で操業してよろしい。山口県知事としてはそういうことに努力をしようということでわかれている次第でございますから、むしろ長崎県の回答よりも、山口県の知事の、自分の沿岸漁業者に対する折衝が問題の中心になつているように考えるのでございますが、この点について水産庁もその当時の会議、つまり最後の日の午後六時からぐらいの会議でございますが、それに御列席になりましたかどうか、御列席になつたとするならば、そのときの話はさような話であつたと思うのでございますが、いかがでございますか。真相を御返事願いたいと思います。

伊東正義農林事務官(水産庁漁政部長)

○伊東説明員 順序は逆になるかもしれませんが、十日の日を切つたということは非常に短かいというお話でありますが、実は私ども中に入りまして最後になりましてからの十日でございまして山口と長崎とは昨年末から話合いをやつておりまして、もうすでに二箇月余になるわけでありますが、なかなか話合いがつきせんで、われわれも中に入つて、東京で四日間か五日間やりました。その結果なかなか話合いがつかぬで、それから十日にしたのでありまして、十日が短か過ぎると言われるその前の方もあることは、ひとつ御承知願いたいのであります。  それから最後の山口県の返事を待つているという話でありますが、われわれの最後の日の六時というお話でありますが、それには入つておりません。それでわれわれが出しました案ついて申しますと、長崎県ではいわしの揚操網は認めておる。ところが山口県は戦争前からそれを認めていないという状態であります。これは県によつて違うのであります。それで山口県は従来から、さばの業者が行つて電探でやつていたというような過去の実績を持つておるのであります。ところが山口県の県内の事情は、山口県の県の業者も夜たきは沿岸の関係でやつておらぬ。山口県に夜たきをするいわしの船はないのであります。そこで長崎県から入つて来て夜たきをやるというのであります。問題の性質は若干違うのでありますが、われわれとしましても、山口としまして何とか誠意を示したらどうか。われわれが出しました案文にも、積極的に善処したらどうかというような言葉で書いております。これは山口県だけの問題にしますと、この前も言いましたように、沿岸と揚操の対立ということになつて、あまりこれを強行しますと、また越佐のような問題になるという性質のものなのであります。その点は山口県当局もおそらく苦慮しておるであろうと思うのでありまして、今おつしやいましたように、山口県も今海区調整委員会などを開いて相談をしておる。明日山口県が長崎県に行きまして、向うで相談をするというような情報も入つております。今長崎、山口両方でせつかく御相談中とわれわれは思つております。われわれも、できればこれは円満に話合いがついてやつてほしいというように考えておることは、さつき申し上げた通りであります。  それから法律の問題でありますが、おそらく田口委員も取締規則の中で海区制を一番問題にされると思うのでありますが、今申し上げましたように、三月十四日に中型まき網の法律が施行になりますと、やはり従来通り長崎県知事が許可をするという形になるのであります。これを許可しませんで今のようなことをずるずるやつて行きますと——われわれの方では、山口に許可のないうちは絶対操業してはいかぬと言つて押えておるのでありまして、いつまでも押える自信は持つておりません。そこで先ほど申し上げましたように、そうやつておると、対島と朝鮮の目先で問題が起るという見通しを持つておりますので、そういうことははなはだまずいという考えからしまして、話合いがつかぬ場合には、やはりこれはこの海区制に入れまして、農林大臣の方でやつて行くということが適当ではなかろうかという見通しでこれをやつておるのであります。

田口長治郎自由党

○田口委員 先ほどの話の、山口県で善処するということにつきましては、山口県のさばきんちやく網業者も一緒になつてぜひ県の方でそういうことをする、こういうことで知事とも強く折衝し、知事もまた沿岸漁業者とその点について懇談するというようなことになつておると思うのでございますが、最後の六時からの会議に水産庁から御出席になつておりませんでしたから、実際の様子を十分に御承知ないと思うのでございます。最後に、中央漁業調整審議会に、西部日本海海区については保留の形で諮問をしておる、こういうような話でありますが、その保留という意味が、十日までの回答いかんということで保留しておるので、十日までに回答がまとまらなければほかの海区と同じようなことで進むのだ、こういう意味なのでございますか、あるいは西部日本海海区はいろいろ問題があるから、実施については一応西部日本海だけを除いてほかの二区だけの海区を設定するのだ、こういうような意味でございますか、その点を明確にひとつ御答弁願いたいと思います。

伊東正義農林事務官(水産庁漁政部長)

○伊東説明員 はつきり申し上げます。保留をつけましたのはこういうことてあります。話合いがどうしてもつきません場合には、私の先ほど申すような見通しになりますので、これは西部日本海海区としてはつきりして、個個の許可は農林大臣が許可するという形にしたいというつもりでございます。話合いがついた場合につきましては、今おつしやいましたように、長崎県としてはまだこの海区制をのむなんということは言つてないのでありまして、もう少し時間をかけて海区制の問題を御相談してもいい。その場合には一応これから落す。話合いがついておるなら落して、もう少し時間をかけてやつてもいいというつもりでやつております。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 このまき網の調整問題は非常に重要な問題であります。漁業法の一部改正の際も、その省令の公布にあたつては本委員会と十分協議をして公布したいという当局からの言明もあつたほど、漁業法一部改正法律案の審議にあたりましても非常に重視されて来た経過にかんがみまして、三月十四日以前に、本委員会に水産資源の保護増殖及び漁業取締に関する小委員会もあるわけでありまするから、そこに御協議をする。小委員会を開催いたしまして、ひざを交えてゆつくりいろいろと懇談的に協議を重ねて参つた方がいいのではないかと私は考えるのでありまして、このことを提議いたしたいと思います。

永田節自由党

○永田委員 この旋網の取締りについては、いろいろと海区の調整でややこしい問題が起つて来るのであります。よほど愼重ににやらないと、たいへんな問題が起ると思います。一応水産資源の保護増殖及び漁業取締に関する小委員会にこれを移しまして、愼重に検討して、すみやかに結論を出すようにやつてはいかがでありますか。

川村善八郎自由党

○川村委員長 ただいま鈴木君並びに永田君から、まき網漁業の許可問題については、非常に重大な問題であるから、本委員会において設置されておりますところの水産資源の保護増殖及び漁業取締に関する小委員会に付託をいたしまして、水産庁ともよく協議をして決定したいとの御発言がありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川村善八郎自由党

○川村委員長 御異議ないと認めまして、さようとりはからいます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明後十日、月曜日午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。     午後五時九分散会

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