水産委員会 第14号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1952/02/29
会議録
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。 公海漁業に関する件を議題とし、質疑を許します。
○鈴木(善)委員 北洋漁業の問題につきまして、長官にお尋ねしたいと思うのです。長官から、しばしば当局の基本的な御方針につきましては、御説明を承つておるのであります。また本委員会といたしましても、慎重にこの問題を取扱う観点から、小委員会におきまして方針を決定し、委員会を通じて当局に委員会の意向を申し入れ、要望いたしておつたわけであります。その後この国会側の意向等も十分尊重されるという長官の御言明があつたのでありますが、いかように具体的にこの出漁の諸準備炉進められておりますか。その経過について一応長官から御説明を承りたいと存じます。
○塩見政府委員 お答えいたします。かにの方につきましては、早いだけいいという時期に入つておりまするので、今再三再四私の方からも慫慂いたしまして、業者の方の相互の了解点を、重要な事項についてだけでも、早急にとりきめるようにということで、協議を重めて参つておるわけでありますけれども、幾らかずつ歩み寄りつつある状態でありますが、まだ具体的な内容に至つてまで確定するというところには入つて来ておりません。 鮭鱒につきましては、北海道の北洋出漁組合と北洋漁業組合は関東、北陸の代表ということになつておりまして、三者の間に覚書ができておりまするが、まだこれについては北海道の北洋出漁組合及び北洋漁業組合はこの大綱をきめる意味での代表という形で入つておるわけで、その大綱がきまつてから、船がきまつて来るという形で、あらためてその代表を確認した上で、具体的な細目協議に入つてもらうというふうな考え方で進めております。あろいは非常に大ざつぱ過ぎろ話かもわかりませんけれども、一応のお答えといたします。
○鈴木(善)委員 もう少し具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、かに工船漁業につきましては、さきに本委員会の当局に対する要望として、実績と適格性とに基いて一企業一社を原則とすべきであるという委員会の基本的な考え方を長官にお伝えいたしておるわけであります。これは本委員会としては、かに工船企業の実態からいたしまして、今年度はあくまで単独一社によつて行つた方がよろしいという観点から、漁業法における指定遠洋漁業に対する許可方針の基本的な考え方にのつとりまして、実績と適格性によつてその事業担当者を決定すべきであるという考え方であつたのでありますが、ただいまの長官の御説明によりますと、委員会側の考え方とその構想を異にされ、あくまで三社の共同出願に対し共同許可を与えるという御方針で、何か役所の方からその形を強要しておるような感を私ども受けるのでありますが、これは本年は共同出願に対する共同許可の形で、三社一体になつて操業したという業界側の自主的な要請によつて御当局はそれを採用されんとなさつておるのでありますか、私どもが危惧いたしておりますように、本委員会の当局に対する要望意見と異なる観点に立つて、三社の共同出願に対し共同許可の形でこれをやれというぐあいに、強く当局の方針を業界に押しつけておられるのでありますか、かりに当局がそういうことであるといたしますならば、委員会の考え方と根本的に違うわけでありますので、もう少しその間の事情を長官からこの際明確にしていただき、委員会側としてもこれに対する対策を協議いたしたいと考えます。
○塩見政府委員 かにに関しましては、諸般の関係からして、国内のそれに関係あるものは一体となつて、全体が協調的に一本にまとまつて出漁するという方向が最も望ましいという考え方をとつておりまして、これは国際的な関係等も十分考慮しなければなりませんので、そういう方針はなお政府の方としては持ち続けております。そういう形で業界の方には懲悪を続けておるわけでありまして、私が知つております範囲では、かなり前から三者とも腹のうちではそういう方針はいいという考え方を持つているように感じております。ただそのやり方、内容等につきましていろいろ利害関係等もありますので、表面的には必ずしもそういう線で一本になつておらないように感ぜられるかもわかりませんが、基本的な方針に対しては異議はないと私の方では考えておるわけで、別に強要するという考え方ではなく、慫慂を続けておるわけでございます。
○鈴木(善)委員 三者も基本的な考え方においては当局の方針を了としておる、ただ具体的にその仕事を進める際における利害関係等において必ずしも意見の一致を見てないというお話でございましたが、これはかに工船事業の実体からいたしまして、鮭鱒流し網漁業等と異りまして、母船と川崎船というものは不離一体のものでございます。従つてこの仕事を三者一体となつて実施するといたしましても、事業遂行上において仕事を分離するということは、企業の性格から言つて困難ではないか、こう考えるのが私ども委員会側の考え方であります。そういう企業の実態を無視して、関係者の共同企業の形でこれを実施するといたしましても、それは単なる見せかけだけの共同であつて、実態においては単なる利権、極端に言いますれば、不在地主的な不労働所得がそこに生れまして、今後の国際漁業進出に対しまして非常に悪い前例を残すものではないかということを私どもは憂慮しておるわけであります。この漁業法の精神にのつとつて、指定遠洋漁業の許可方針として堅持されて参りました、実績あるいは適格性というようなものによつて許可をするということが、国際漁業の進出にいかなる悪影響があると御当局は考えているか。その点がわれわれは非常に理解いたしかねるわけであります。むしろ私が今指摘いたしましたように、見せかけは共同であつても、企業の実態からいつてそれは単なる見せかけに終つて、内部的な利益の配分その他において不労所得的な、利権的なものがそこに生れて来るということは、今後の民主的な日本の漁業の発展の上に、一大暗影を投ずるものではないかという見解を私どもは持つているのでありますが、これに対して長官は、かに工船漁業の企業の実態に即して、そういう心配がないというようにお考えになつておりますか。その点の御見解を承りたいと思います。
○塩見政府委員 母船を中心といたしまして川崎船というものを付属させて行くかに工船のような漁業は、鮭鱒と違つて、一本にまとまつて仕事をしなければ能率も悪いし、いろいろの点で不都合が起りやすいというような点についてはまつたく同感でございます。そういうふうな生産の部面については、ただいま御意見にありましたような方向で、できるだけ企業の能率も、それから資源保存、その他あらゆる面における国際的な関係から来る要請を満たせるように、指揮命令系統が一本になつて動くというようなことは非常に大事なことだと私も存じております。その部分はその部分としてこわさない、できるだけ一本に動けるようにというふうなことは、共同でやる場合にも基本の線ではないかと考えております。しかしながらなおそれをくずさないようにしながらも、不在地主的な不労所得というふうな形ではなくて、共同でやるという範囲も十分に考えられるようでありますので、そういう点での話合いを、より具体的に進めてもらうように慫慂をしているわけであります。
○鈴木(善)委員 長官のただいまの御答弁で、私ども委員会側のかに工船漁業に対する基本的な考え方と、長官のお考えの根本においては、ほとんど食い違いがないということが了とされるのであります。(「ある」と呼ぶ者あり)今松田委員から食い違いがあるという御指摘がありましたが、その食い違いという点は、かに工船漁業の企業の輿態からいつて、一本でやるべきだという根本の問題ではなくて、当局が背後におけるある政治的な圧力によつて、どうしても三社に共同の形で許可しなければ水産当局が行政を推進することができないというような事態に置かれているのではないか。今長官のおつしやる通り、かに工船企業はあくまで母船と川崎船とが一体不離の形で操業し、しかも国際漁業の違反等を未然に防止する観点から、指揮命令も明確にすべきであるという点からいたしますならば、本委員会が当局に要望した一企業一社という基本的な考え方と完全に一致するものである。ただそれを何か他の面において、三社の共同の形をとつてそこにそれぞれの立場を緩和するといいますか、そういう要請を満たしてやらなければならぬような、ここに政治的なある圧力が長官の上にかかつているといたしますならば、わが国の今後の国際漁業を強力に、しかも国民の納得するような形において推進するこの門出において、国家のためにきわめて不幸なことであると私どもは考えます。また長官においても、そういうような政治圧力に屈して、長官が腹の中で今抱懐するところのはつきりした行政の方向をゆがめるようなことがありますならば、長官に対する全漁民の期待というものは、今日このときをもつて張るのではないかと私は考えるのであります。私はこのかに工船の問題につきましては、大体当局の意図が那辺にあるかということをただいままでの御答弁でわかりましたので、この程度にとどめるものでありますが、次に母船式さけ、ます流し網についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 母船式さけ、ます流し網の問題につきましては、先般長官の御答弁によりまして、独航船は五十隻とする、また調査船は十二隻以内とする、その適格性は四十トンないし五十トン以上の漁船であつて、ディーゼル・エンジンであり、無電及び方探を持つた優秀な装備のものであるということについては御答弁があつたのでありますが、この五十隻の独航船について、その後北海道側と内地側との間に、その配分についていろいろ折衝が行われておるやに私ども承つております。当局はこれに対して北海道何隻、内地側何隻、こういう形で独航船の配分を割当なさる御方針でありますか。私どもの見解をもつていたしますならば、今回のアリューシャン海域におけるところのさけ、ます流し網の操業は、北千島や北海道の沖合いでやる操業ではありません。千数百海里あるいは二千海里近いような国際漁場に近出する漁業でありますから、北海道の漁船も内地側の漁船も、ほとんど距離的に言いましても五十歩百歩であります。何がゆえに津軽海峡において線を引いて、北海道と内地側の隻数をそこに区分しなければならないか。しかもわれわれの伝え聞くところにおきましては、この両者の割当の話合いがつかぬために、非常な混乱を来しておるということを仄聞いたしております。この点につきましても、本委員会はすでに明確なる方針を当局に提示いたしております。それは実績と適格性によつて、各都道村県の希望船の中から選考の線内に入るものが何隻あるか、それがもし五十隻の数を上まわります場合には、按分比例によつてそれを五十隻にしぼる。そうして各府県を通じてあくまで、政府当局の責任において適格性と実績とによつてこれを選抜をするということについて、本委員会ははつきりと方針を当局に呈示いたしておるはずであります。ここに北海道の水産委員の諸君も多数おられますが、北海道の委員諸君といえども、このような国際漁業については、国家的大乗的な立場からお考えになつておる委員各位だけであります。川村委員長初め、この水産委員会の決定というものは、どこに出しても筋の通つた堂々たる方針であるということで、あくまでこの線によつて、鮭鱒流し網漁業の本年の出漁を、国民の納得する形においてこれを推進すべきであるというのが、全水産委員のかたい決意であります。当局はそういう点をお考えになりながらお進めになつておるとは考えますが、鮭鱒流し綱のこの独航船の選抜方法、あるいはどういうぐあいにこれを各府県に割当て、どういうぐあいな選抜方法をなさる御方針であるか、その点を承りたいと思うのであります。
○塩見政府委員 五十隻の独航船の配分について、北海道、内地というふうなものをまず区分して決定するという方針はとつておりません。これはやはり都道府県を通じまして、北海道がきまるときには内地の各府県の割合もあるいは隻数も一緒に決定するというふうな形で進めておるわけであります。ただ今協議に加わつておりまする団体が、たれが北海道と内地が一本にまとまつておらないというために、そういうふうな形での問題が巷間いろいろ風評に上るかとも存じますが、政府としましては、都道府県を通じて一緒にきめるという形で進めるべきだと考えております。それからなおこのきめ方等につきましては、具体的にはやはり十分協議をしてきめて行く必要もありますので、今のところ政府の方で、一挙にこういうやり方というふうな形で押しつける形はとらないで、できるだけ相互了解を遂げた上で、円満に解決して行きたい、こう思つておりますが、大体この委員会等で決定されたことは、さけ、ます工船に関する限りは、われわれの考えておるところとほとんど差はないかと思つて、そういう方針で進めて行きたいと思つておるわけであります。
○鈴木(善)委員 もう一点だけお伺いいたします。この際独航船の選抜というものは、約一千隻に及ぶところの沿岸の中堅漁業家が、これに対して非常に出漁を念願しておるだけに、重大な関心事であります。従いまして、この選抜はあくまでガラス張りの中で公平に行われなければならないと私どもは考える。そこでお伺いしておきたい点は、今北海道及び内地側に組織されておりますところの二つの団体の構成員のみからこの五十隻の独航船を選抜なさる御方針であるのか。また協同組合等に対すり加入脱退自由の原則というものは、民主的な団体構成の一つの方式でございますが、この団体等に不満を持ち、適格性と実績を持ちながらそれらの団体に加わらない数多くの漁船、船主も相当あると私は見ておるのであります。そういうような、たとい二つの団体に加入しなくとも、実績と適格性を有するものについては、県当局を通じて、農林大臣の責任においてそういうような人たちも当然選考の対象となるべきものであると考えるが、この点についての長官の御見解を承つておきたいと思うのであります。 もう一点は、この独航船の選考にあたりまして、その選考の基準等について、この両団体に御諮問をなさることはけつこうだと思うのでありますが、あくまで選抜の責任は農林大臣及びそれを補佐されるところの塩見長官にあると解釈してよろしいかどうか。この二点を承つておきたいと思うのであります。
○塩見政府委員 前にもお答え申し上げましたように、都道府県別の隻数の大体の内識がきまりましたならば、これはもちろん都道府県知事に入つてもらう。それでその具体的な船名等については、やはりある程度沿岸漁業との関係、あるいは東北等においては、北海道に入会うというふうな関係等もございましようししますから、そこらの関係を総合的に見て決定してもらうというふうなことがいい、こう考えております。まだ道府県を呼び出すまでにその数字はきまつておらないので、そういう手続になつておりませんけれども、方向としては、前お答え申し上げましたように、そういう方針をとるのがいいと考えております。 またその決定の責任というのは、これはおそらく私は母船式の漁業のやり方としまして、やはり付属漁船の承認というふうな形になると思います。それは権限としては農林大臣の権限でございますから、責任も農林大臣及びその下で命によつて補佐をして行く私にある、ころ考えております。
○永田委員 ただいままでの鈴木委員並びに長官の質疑応答は、もちろん重要な問題に間違いないのでありますが私はさらにそれよりさかのぼつて根本問題に触れなければ、本委員会の使命とするところを果すことができない、かように考えるものでございます。日米の漁業の條約の線から考えてみますと、不幸にして、日本の過去の濫獲の漁業が、米加協定にあたりまして、日本の漁業があくまでも侵略であるという烙印を押された。その烙印が将来にも災いをいたしまして、今日たいへん不幸な條約をやむを得ず締結しなければならなかつたという原因になつたと思うのであります。たとえばかつお、まぐろの問題にしてもそうです。日本のかつお、まぐろの漁業は、アメリカの米式きんちやく網と異なつておる。そこで資源の枯渇、資源の保持というふうな面から行きましたならば問題にならない。続いてアラスカ半島の尖端から東方にかけてのにしん、ハリバツトの漁にしても、講和條約が効力を生じましたならば日本の漁業は禁じられるというようなことになつて来るのでありますが、これらの問題から考えましても、何ら日本の漁業はアメリカの漁業を圧迫しておらない、また将来も圧迫するという見通しはない。しかしながらアメリカの日本の水産に対する神経というものはすこぶる尖鋭化しておる。このたび日本の水産が北洋に進出できるということは、日本にとつても最も重要なことでありますが、またアメリカにとつてもこれが非常に重要になつて来た。この狭められた貧弱な日本の水産技術から行きましてさえ、今日アメリカでは相当問題にして来ておる。かような状態にあるのは、日本とアメリカの北洋の問題を考えてみましても不利な條件にあると考えられるのであります。長官も御存じでありましようが、このたびウィリアム・ネヴイル氏が漁業官として日本に赴任されるのでありますが、これはおそらくアメリカの歴史が始まつて今回が初めてだろうと思います。日本に漁業官という名前のついた役人を任命して、長く日本に駐在せしめて、日本の駐日大使の補佐官として今後国際漁場の交渉にもその衝に当られることであろうし、のみならず日本の将来の水産に対する監視の任に当る恐るべき役割を持つ人であろうと私は思うのであります。日本の将来の漁業というものは、過去の侵略漁業であるかどうかということを大きく権力を持つた人が監視をする、この監視を受ける日本側としては、北洋に出漁する参加メンバーについて、当然厳重に議論しなければならないという責任が長官としてあると私は思うのであります。この北洋漁業に参加するメンバーの中において、先ほどから承つておりますと三社というお言葉がありますが、われわれ委員会は二社であろうが三社であろうが、五社であろうがかまわない。悪辣な、漁業秩序を乱した、われわれの納得の行かない団体、会社は当然たれに参加させることができないということなのであります。それを長官みずからは百も承知しながら、この憎むべき団体を無理やりに入れようというところに、この問題が起つておるところに、この問題が起つておると私は思うのであります。いかにその水産漁業団体が国際的に誇るべき技術を持つておるとしても、オリンピックに参加するチャンピオンであるとしても、それが恐るべき、憎むべき前科者であるとしたならば、われわれはこれを国際の漁場に送り込むことは慎まなければならないと思うのであります。この団体に対して、長官はどうしても許可を与えなければならないのか、その御決意を承りたいのであります。
○塩見政府委員 日米加協定に基きますところの監視、取締り等につきましては、昨年の二月七日の総理大臣からダレス大使あての書簡にございますように、これを遵守することを日本政府が責任を持つ。政府及び業界代表者で構成する委員会を設立する。そして関係各国政府で正当に任命された代表者がオブザーヴアーとして、委員会に出席するように招請するということになつており、それに基きまして委員会は過般閣議決定を見ておるわけで、監視取締りは日本政府の責任でやらなければならぬということになつておるのでございます。そういうふうな事態にもかかわらず、反則その他いろいろと国際的に問題のある企業体が、国際漁場に入るのはどうかというような点についてのお尋ねでありますけれども、それの判断という点につきましては、過去においてはやはりそういうふうな企業体については非常に厳格に解釈をして、それで適用していたというふうには考えておらないのでありまして、今後ともその点は過去における判断と大体同じような形で判断をして行くようになるのではないかと考えておりますが、はなはだしい場合ということになりますれば、この委員会の結論等によつてその判断が下れば、かなりはつきりした措置をとらなければならなくなるということも考えられますし、そういう点については今後とも業界全体の自粛を、われわれとしては希望せざるを得ないと考えているわけであります。
○川村委員長 ちよつと速記をとめてくだざい。 〔速記中止〕
○川村委員長 速記を始めて……。
○永田委員 長官はさすがに迷長官である。私から迷つておると言われたら、長官はおでごに手を当てて赤い顔をしておられるが、彼自身は悟つておる。一つは政治的圧力というものが加わつておるからここではつきり言えない、こういうふうに私にはとれるのでありますが、そういうことは抜きにして堂々とした議論から行きます。あなたは、われわれが長い間研究して、特に石原委員長が壇上において血涙をのんで可決するのだと言われたとあの歴史的漁業法の精神を御存じでございますか。この漁業法というものは、申し上げるまでもなく、日本の過去の漁業を一切合財清算して、民主的な漁業に切りかえようというきわめて新しい画期的な法律でございます。また日米加の漁業協定も、日本とアメリカとの過去の古い実績によつて生まれておるのであります。日本の実績というものは、すなわち北洋における各業者の実績であります。言いかえれば、日本の漁師たちの実績が日米加の協定の基礎になつて参つたのでございます。そこで北洋を開放するにあたつては、かつての実績者に一応この権利をわかつというのが当然の行き方でなければならない。しかるに長官の案から行きますと、最初は実績主義というふうなことを言われたが、その後転じて三社案というふうにかわられた。ところがこれがある法律に触れるのでよろしくないということになつて、今度は三転して共同出願、共同許可というふうに、許可の方針が三回もかわられた。この間実に一箇月を要しておる。一箇月の間に三回もこの大方針がかわつたということは、一にかかつて長官それ自体が日本の将来の水産に対して真剣にお考えになつておらない証拠であろうと私は思う。そこで私はあなたが先ほどから速記をとめてお話になりました話に返ります。日本の水産の民主化、日本の国際漁場への進出は、この機会においてスタートするのでありますが、このスタートを誤るならば、将来日本の水産は、日の目を拝んで堂々と外洋に出漁する機会はなくなるので、この重大なポイントをあなたはお忘れになつてはいけない。いかなる政治的圧迫も決して恐るべき問題でもないしこびる必要もない。あくまでも日本政府の忠実なる長官として、この法律の趣旨にのつとつて、また国際漁業協定の精神にのつとつて、将来の日本の水産を誤たないようにしなければならないと思うのであります。あなた自身が、先般一月二十八日の委員会における松田委員の、「さてこの北洋漁業というものは、われわれの論議せんとするところは、日本の漁民が第六国会で制定された漁業法の精神を世界に称揚する一番大きな問題であり、」云々というふうに全体をお説きになつて、「ここに出漁するようなことがあつたならば、日本の水産業及び日本の国際的に関係するあらゆる面からいつて、非常な大きなマイナスになるのではないか、かように考えておるのでありまして、当局といたしましては慎重にこの点を考慮されんことを願うものであり、」云々という質問にあなたがお答えになつておられることは、「十分漁業法を中心とした終戦後における漁業立法の精神に即応した形態で、即応した資格を持つた日本の水産業者の選手というものが第一歩を印し、それで第二歩、第三歩というふうな国際漁場への発展の基盤を固めるという必要もあるし、出る人間については、国際的にもまた国内的にも、日本の水産業者、漁民というふうなものを代表して、その責任を持つて行くという覚悟がなければならないものだと存じております。」かようにお答えになりまして、さらに「その趣旨が十分に貫徹され、日本の漁業のチャンピオンとして、第一歩から遺漏なしに第二歩、第三歩」とかように繰返しておられますし、また資格と構成という言葉を使つておられます。また間違いのないという言葉を二度も繰返しておられる。それから二月十三日の私の質問に対しても、同じくあなたは、委員会の意見はよく尊重して、必ずあやまちのないようにということをしばしばお誓いになつておられるのでありますが、あなたはわれわれ委員会の意思もよくわかり、かつて水産議員連盟において決議をいたしました、三国漁業協定の精神に基き、実積と適格性を検討して一企業一社を原則とするという、この決議案を最も妥当な正しい御意見であるというふうにあなたはお答えになつておられるのであります。この問題について一つの会社を出漁させるのか、させないのか、この問題をここではつきり御言明をなさる必要があろうと私は思うのであります。そのほかの議論はまずこれが決定してから後の問題であろうと私は思います。母船が三つであるとか、あるいは独航船が五十ぱいであるとか、試験船は十二はいにするというようなことは、むしろ枝葉末節だと思う。従つてこの一つの企業団体を参加させるのか、させないのか、まずここでお答えになつていただきたい。
○塩見政府委員 公務員の心得としての御注意が今ございましたが、私も十分こういう重大な問題につきましては、心に入れてやつて行く必要があるとは存じておりますし、そのつもりでおります。 それから農林省の方の方針が三転したというお話でございますけれども、これは新聞等に現われております私の談話には、相当幅の広い線を出しておりまして、それで十分関係者、業界等の意見も取入れた上に、その範囲内において具体化する場合において、いくらかの変更ということはあり得るという前提で、われわれとしてはわれわれの考えております幅を広く考えながら進めて行く必要が、この問題についてはあると考えたわけです。こういうふうにしたらいいじやないかという弱い慫慂の線もありますし、ここはこうしてもらつた方が、日本漁業全体のためにいいという意味で、ある程度強く要望する線もありまするし、そういうふうな点によりまして、いくらかその後全体の意見というふうなもの、あるいはその後法制的な研究というような点も加わつて、いくらかその幅の中で転換はしておりまするけれども、基本としましては日本の関係の漁業者が一体になつて行くということが、国際的な関係から見てもいいというふうな意味での方針で、慫慂をし続けておるわけでございます。 それから一番最後の最も重要な点の質問だと思われるわけでありますが、ある特定の企業体が、漁業法の精神から見て、指定遠洋漁業の許可を受けられる資格のないものを入れるか入れないかという問題は、資格がないと認定されれば、法律的には入れないということが、漁業法の精神から見れば、もちろん必要でありますけれども、漁業法というものを法律的に検討いたしますと、その範囲というものはなかなかむずかしい解釈の問題になるんじやないかと思つて、先ほどお答えしましたような範囲で解釈をして行くというのが、最も妥当じやないか、こういうふうに考えられるわけであります。
○永田委員 一企業者に対して許可を与えるのが妥当であるかどうかということについての質問に対しては、すこぶるあいまいな御答弁でありまするが、私は具体的な例をあげて長官に伺つて、はたしてかような行為が犯罪であるかないかという長官の御判断をこの委員会において御発表願いたいと思うのであります。 かつてある企業団体が船団を組んで、故意に船印あるいは煙突のマークを隠蔽して、堂々と密漁に出漁した。ところが進駐軍の飛行機から室中撮影をされて、その写真を引伸ばしてみたところが、はつきりとその船印が出て来た。そこでこれらの五十数はいの船は停船命令を食つておるということを聞いておるのでありまするが、これらの団体がありましたかどうか。もしあつたとしたならば、これは奨励すべき行為であるのか。その御判断を承りたいということが一つ。 次に、かつて吉田総理が、講和條約調印の目的でアメリカに行かれたときに、某社がまぐろを鉄船に一ぱい持つて行つた。ところが、先ほど私が述べましたように、アメリカも相当まぐろの漁はあるのでありまするが、日本のまぐろ来れりというので、国内的に、政治的にたいへん微妙な影響を与えまして、ただちに四五%の関税をかけた。眠つておるアメリカの国民に対して、みすみす日本のまぐろに四五%の税金をかけさせたという罪は、われわれ国民から考えまして、決して等閑に付すべき問題ではない。しからばこの関税をかける動機となつた日本の某業者の行為というものは、かりに法律には触れないとしても、徳義的には長官自身はどういうふうにお考えになつておられるのか。 もう一点は、アメリカの関税が酷に失するというので、日本の業者がアメリカに陳情にそれぞれ行くようになつた。このときに司令部側からその某社の代表に対して、あなたはアメリカに行く資格がないから、行かないでくれと言われた。この某社というのは、私は三つあげましたが、まつたく同一の某社でございます。その同一の某社は、あなたが許可を与えんとするところのその某社に匹敵するのですか、しないのですか。それをお答え願いたい。
○塩見政府委員 第一の具体的な事例については、私まだ詳細に知りませんが、そういう行為があれば、もちろん、違反としてこれは処罰すべきものだろうと考えております。 第二の問題値つきましては、私は道義的にはやはり責任を感じてしかるべき行為ではないかと思います。 第三の問題及び最後の問題については、これは具体的な話になるので、この際お答えはお許し願いたいと思いまするが、法律的に考えますると、漁業法第五十六條ではつきりと適格性がないという認定をやつた例はまだ聞いておらないのでありまして、五十七條に「漁業に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者であること。」と、非常に幅があつて具体的な解釈は非常に問題があると存じまするし、またその次に「労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者であること。」ということで、これも具体的に解釈する場合には、非常に問題が多いと思います。そういう点で今なお指定遠洋漁業で、とにかく許可をもらつておるものにつきましては、今までの取扱いとしましては、もちろん、そういうふうな処罰に値するような行為をはなはだしくやり、反省の色がないという場合には、五十七條の一号、二号というふうなものに該当するのだろうと考えまするが、その適用についてはなかなかむずかしい問題もありますので、これはできるだけ慎重に考えながら進めて行かなければなるまいかと考えられるわけです。
○永田委員 長官の苦しい御答弁を伺いまして、人間永田といたしまして謹んで敬弔の辞を申し述べます。五十七條の例をあなたはお引きになつておられますが、五十七條の「指定遠洋業の許可又は起業の認可について適格性を有する者は、左の各号のいずれにも該当しない者とする。」という規定があります。「漁業に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者であること。」または「労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者であること。」「許可を受けようとする船舶が主務大臣の定める條件をみたさないこと。」という場合とかいろいろありまして、最後には「主務大臣は、前項第三号の條件を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない」ということがあるのであります。まだ中央漁業調整審議会の意見を聞くという段階ではないのですが、問題はこの不正な反則行為のおそれのある、重要な監視を要する一会社をそのメンバーに参加させて、もしあやまちがあつたときには、日本の水産というものが将来まつたく日の目を見ることのできない悲惨な状態に陥るのであります。そのときの責任は、どなたがどういうふうにお負いになるという見通しでありますか。
○塩見政府委員 そういう事態に立ち至れば、私はもちろん責任を負います。他のあれに対しては、それは関係する軽重によつていろいろかわると思いますけれども、私はもちろん責任を負わなければならぬと考えております。
○永田委員 まことに話がとんがらがつて来て、非常に感情に走つて来ておるように思うのでありますが、かような大きな問題について、一水産長官塩見なる者が首をくくつたからといつて、職を辞したからといつて、はたしてそれが日本の水産のためにどうなるか。やめなくてもよろしい、やめてもよろしい、川に飛び込んでもけつこうです。問題は日本の全漁民、日本の光輝三千年の歴史があるとしたならば、この名誉をどうするか、これを言うのです。だからそういうあやまちをわれわれは親愛なる塩見長官に繰返したくない。われわれ今日まで三人の長官を首にしておる今度君を首にすると四人目だ。私どもはそんなことはやりたくない、静かにして行きたい。われわれ委員会は、むしろ塩見長官に協力しておる。この声はすなわち神の声だ。この神の声を聞く耳が君にはないのか。どうぞ人間塩見として長官塩見としてまじめに見て、危険性のある業者をこれに加えるということはよほど慎重に考えてもらいたい。これが天下のためである。そうすることが最も正しい忠僕である、かように私は考える。これについてあなたの基本的態度をひとつはつきりしてもらいたい。
○塩見政府委員 先ほどの私の答弁は別に感情に走つたわけではないのであつて、そういうふうな責任の問題について、私だけが責任をとつて済むというふうな程度のものでないことも考えられますが、私としては、その程度以上の答弁はちよつとできかねるわけだということを申し上げたわけであります。そういう点については、許可に当る私としては、十分慎重に考えながら行動しなければならないと存じます。ただあと具体的な問題について、これが法律上どうこうというふうな点になりますれば、ちよつと簡単にここで今の御質問の趣旨に同意するとか、意見をはつきり申し上げるとかいうふうなところまでは無理ではないか。こう考えられますので、この程度で御了承を願います。
○永田委員 長官にお伺いしますが、あなたは白洲次郎という人を御存じでございますか。またどういうふうな御関係で、どういうふうにおつき合いに相なつておられますか、ここでひとつ御発表を願いたい。
○塩見政府委員 私は、白洲次郎さんは新聞等で存じておるだけであつて、まだお会いしたこともございません。
○永田委員 白洲次郎と廣川弘禪の関係は、あなたは御存じでございますか。そうして廣川弘禪の宅で白洲次郎とお目にかかつたことはありませんか。あつたとしたならばどういうお話をおかわしになりましたか、ここで御発表を願いたい。
○塩見政府委員 そういうことは、私には一ぺんもございません。
○永田委員 長官は本委員会において、大体においてわれわれの主張が正しいということをお認めになつておられる。これがただいままでの結論であると私は考えます。後日速記録等を調査したならば、この結論ははつきり出ておると思うのであります。私はここで結論に入りますが、悲しいかなわが自由党においては、かつては旭冷蔵という幽霊会社に不正の融資をしておる。これも同じく広川農林大臣のときでございました。このたびのごの北洋漁業の許可に当りましても、業界にむいて蛇蝎のごとくきらわれており、世界において札つきとされておるところのある企業会社を、あなた方は天下の耳目に反して、実績のないこれらのものを一枚加えさせようとしておる。これまた皮肉とも言うべし、廣川弘禪農林大臣のときであります。われわれは自由党の党員である。従つて自由党にかようなあやまちを繰返させるということを警戒しなければならぬ。この意味において私は党人といたしまして、かつ広く国会議員、水産常任委員として重ねて御注告申し上げるのでありますが、ちようどわれわれ国会は宇佐八幡宮、あなたは和気清磨だ、廣川弘禪坊主は弓削道鏡である。君はもつと勇気を振つて、この国会の神勅をそのまま坊主に伝えるべきだ、そうして責任を果されんごとを希望して、私の質問を打切る。
○松田委員 私はきようは発言しないつもりでおりましたが、今までの鈴木委員並びに永田委員と長官とのいろいろの質疑応答について、私も一言申し上げておきたいと存ずるのであります。 まず鈴木委員からはつきり指摘されましたこの北洋問題に対しては、漁業法の適格性によつてすべてが論議され、また三国漁業協定そのものの精神も、この北洋漁業問題の出漁に対する大きな役割を果すことである。この点は私ども前の委員会においても同じ感覚を持つておるものであり、またこの感覚は決して曲げ得るものではないのであります。長官もこの点に対してはよく認識されていろいろと調査をされておるのでありまするが、どうもその答弁の中に、ややもすれば心ならずか、われわれには気の毒な言辞がたまたま見えるのであります。それはどういうことからいつてそういうことになるかと、私は実はよく考えてみておるのでありまするが、永田委員から指摘されたような問題が、かりにあつたとしたならば、これはまことにゆゆしき問題であり、また私もそのあることをはつきりと認識して話をしておる者であります。しかしもはや時期も迫り、一日も早くこの問題の解決することをわれわれは待望してやまないものであります。しかしその待望してやまないわれわれは、どうも今日いつまでたつてもぐずぐずしておるこのきようの天気のような状態をなげくものであります。しかして委員会の決議は、かにに対しては一企業一社が適当であるという議論は、ただいままで申し上げた漁業法の精神、三国漁業協定の骨子、及び団体規正法から行く日本の法律の上からさような意見を述べておるのであり、また経済の原則からいつて、さもなければならないとわれわれは信じておるものであります。しかしてその形態は、この原則を守つて行くという面子にとらわれることによつて、ある場合においては三者共同出願の形をわれわれに了解を求めるものであつたならば、これまたその方法としてやむを得ないこともわれわれは了承するものでございまするが、そうしたこともなくして三社がまとまろう、まとめようというところにほんとうの苦しい水産庁の苦難があるものと私は考えるものであります。われわれは委員会で発言するときは、妥協を前提として発言するものではありません。議論において正々堂々とやる。われわれが設定した漁業法の精神、また三国漁業協定を行つたその精神は、要するに沿岸漁業の育成強化を目指しての漁業協定であつた。この点からいつて十分委員会においても議員連盟の意見をもまとめ、決議として出したものであり、この線に逆行しているような行き方が見受けられる点について、議論が行われておるものと考えるのであります。そこで水産庁は、三社に対してかにの出漁について強要しているものではないという長官の御意見があつた。私どもの情報から見ると、非常な強要をしておるように聞くのであります。ゆえに三社の会合している責任者を当委員会に招致して、今までの水産庁の指導方針と、三社の人々がどういう事柄によつてかに工船の問題を論議しているか、これをわれわれはまず正しい感覚から知らなければならないので、明日もう一回委員会を開いて、この三社を招致いたしまして、今までの経過をよく聞くことによつて、初めてこの問題の解決点ができると信ずるのであります。この点が一番のポイントであるとかたく信じているのであります。この点について委員長並びに各委員の御意見を承りたいと思います。
○川村委員長 委員長としてお答え申し上げます。ただいまの松田君の発言はまことに重要な発言であります。もちろんこのたびの北洋漁業については、先ほど来各委員から発言がありました通り、非常に監視のもとに行われなければならぬという漁業でありますので、委員会としては慎重を期さなければならぬので、よく相手方とも話し合つて、ぜひ本委員会に出席を求めてその意を尽したい、かように考えております。
○松田委員 委員長の御意見は、相手方と話合いをして、その後において当委員会に出席をしていただくというのですか。
○川村委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○川村委員長 ただいまの松田君の御発言に対しては、理事会に諮りまして、できるだけ近い委員会に招致することにいたします。
○松田委員 私はただいまの委員長のお答えは合法的なことと存じますが、私は理事会に諮つてというのでなく、当委員会に諮つてそのとるべき手段をとつていただきたいと存ずるのであります。ただいま諮つていただきたいと存ずるのであります。
○川村委員長 先ほどの、理事会に諮つていずれ三社を呼ぶという私の発言に対して、松田君はさらに本委員会に諮つて招致するということであります。本委員会に諮つてその方針をとれというお話でありますが、本委員会としては皆さん御賛成だと思いますので、人選その他につきましては委員長に御一任を願いますれば、明日委員会を開いて招致することにいたしたいと存じます。
○松田委員 長官にお尋ねいたしますが、今三社の会議に出席してこの問題を論議されておられる方々は、三社のどなたとどなたでございますか。
○塩見政府委員 日水、日魯の社長及び大洋の副社長でございます。
○松田委員 責任ある立場から日水、日魯の社長及び大洋の副社長を御出席願えるようにお願いしたいと思います。他の者であつたならばまた話の食い違いがあつてもいけないと思いますから……。
○川村委員長 ではさようとりはからいます。
○松田委員 かにの問題は明日に譲ります。鮭鱒の問題は先ほど鈴木委員からいろいろと論議されたのでありまして、この点に対してはもはや論議の必要はないと思いますので、一日も早く当局は先ほどの鈴木委員の発言のよう、また長官の御答弁になつた線において御決定されんことを希望するものであります。
○永田委員 水産庁長官にお伺いします。実は安全保障條約は、昨日その施行細則ともいうべき行政協定の調印を見たのでありますが、幸いに講和條約の効力が生じて参りますときを契機といたしまして、水産業界においてもマ・ラインという公海自由の制限が撤廃になつて来るのであります。ついては北洋漁業の、この漁業協定に基きましても、並びに将来予想されるところの韓国並びに国民政府並びにインドネシア、かような問題も近く解決を見るのでありますが、これについて、陸にはそれぞれ安全保障條約があつて、旧日本人の生命、財産が保たれて行くのでありまするが、海においての日本人の漁業家の生命財産というものは、法律によつてどの程度に守られ、またその国の予算はどのくらいに見積られているのであるか、御説明を願いたい。
○塩見政府委員 海洋において日本国民がどの程度に保護されているかというふうな点につきましては、これは主として條約のない国に対して問題が起るかを思いまするが、水産庁の方では、できるだけ紛争を起さないように、條約がない場合には事実上の問題で解決せざるを得ない。もちろんその最後的な解決が得られないとしても、それは各種の国際法あるいは国際慣行というふうなものに基いて処理されることと思いまするけれども、主として事実上の関係になつて参りまするので、できるだけ紛争を起さないような形でやつて行くということが非常に大事じやないか、こう考えております。北洋等におきましても、そういう配慮のもとに船隊行動等をとる必要があると考えておりまするし、東支那海、黄海等における漁業についても、容きるだけ相互に連絡をし合つて紛争を起さないような処置をとるとともに、政府の持つておりまするところの監視船等にも、監視だけでなくて、そういうふうな使命を十分加えてやつて参る必要があるだろう、そういう方面についてもできるだけ協力をするというふうな形で運用して参る必要があると思います。水産庁としてはそういうふうに処置してありまするが、あとは主として海上保安庁関係の方になりまするので、海上保安庁関係の詳細な点については、むしろ海上保安庁をお呼出し願つて、海上保安庁の方からお聞取り願う方がいいのじやないか、こう考えております。
○永田委員 非條約国との紛争の問題についてもちろん質問しておるのでありまするが、要は海上保安庁に質問しろというふうな御趣旨でございまするが、海上保安庁に対するが、海上保安庁に対する質問は別といたしまして、当該所管庁といたしまして、水産庁においては、一応独自の建前から、どの程度まで責任ある行動をとつておられるかということを伺つたのであります。これに対して何ら具体的のお答えがないということはまことに遺憾に思うのでありまするが、條約が結ばれておらないところのソ連並びに韓国であるとか、インドネシアであるとかいうふうな、これらの諸国に対しまして、どういう交渉をなされつつあり、目下どの程度まで進んでおるとか、停滞しておるとかいうふうな状況について、この機会に承りたいと私は申し上げておるのでございます。
○塩見政府委員 インドネシアとの交渉につきましては、この間の会談は一応今後に問題を残して終つておるわけでございまして、これは過般外務次官の談話として発表された内容のものに尽きておるわけであります。国民政府及び濠州、フィリピンというふうな所からは、まだ外務省の方に正規な交渉として漁業の問題を提起されているというふうなことにはなつておりません。韓国との関係は、過般から協定の交渉に入つております。昨日までの状態は、当方の提案に対する韓国側の質疑というものがずつと続行されておる、こういう状態であります。ソ連、中共に関しましては、全般的な外交関係の一部として考えられるわけでありまして、それについての御答弁であれば、やはり外務省当局の方からお答え願うのでないと、要点は、私からお答えするのはむずかしいだろうと思います。
○永田委員 公海自由の制限が撤廃になりまして、かえつて日本の遠洋漁業が危険にさらされるのではないか、むしろマ・ラインが存置される方が漁がやりよいのではないかというような問題も起つて来るわけなのでございます。たとえば九州方面でございますと九州を基地にいたしまして百海里の円周の外の硫黄島方面は、マ・ラインの中にあつても、日本の海上保安庁の目が届かないことになつております。今日の国際連合の保護の状態にあつてすら、わずかに百海里以外においてはどうにもしようがないというようなことでは、将来このマ・ラインが撤廃になることによつて、かえつて危険にさらされるという結果になるが、このギヤツプを政府当局はどういうふうにお考えになつておられるのか、私はその判断に苦しむのであります。北洋漁業が百七十五度線までというようなことで待望の国際漁場に出られるとしても、そこには一歩誤るとソ連の侵略があるかないか知りませんが、もしあつたとしたならば——ないことを切望します。親愛なるソ連のことでありますからなかろうと思うが、どういうふうにしてそれを守るのか、集団で出漁せしめて海上保安庁が集団で保護するのか、あるいはアメリカの駆逐艦が保護するというのか、そのくらいの考えがなくてこの條約に臨めるということは、政府の責任者としてよく言えるものだと私はあきれている。中共とかインドネシアとかいうことは問題ではない。問題はあのやさしいソ連だ。ソ連のお方がどういうことに出られるか、それに対する政府の態度と考えとを聞きたいのです。
○塩見政府委員 非常にむずかしい質問ですが、その関係につきましては、全体の外交関係の一部になるわけでございますので、條約を結べない国との漁業については、事実上の関係になると思いますから、私から見通しその他についは、はつきりとお答えしにくいと思います。マッカーサー・ラインの撤廃によつてかえつて悪くなることがあり得るというようなお話もありますが、これはやはり一応形式上は、操業は制限されないので非常に楽になると思います。マツカーサー・ラインの撤廃と同時に、全体の外交関係というようなものが今よりも非常に悪化するということになれば、それは御指摘のような結果に事実上なることが想像されますけれども、水産庁といたしましては、できるだけ紛争を起さないような形で、監視船等もそういうような面に協力をさせて、業界の方にも、できるだけそういう点で、そういう態勢で漁業をやるようにしてもらう、あとはそれぞれそういうふうな関係は、外務省あるいは海上保安庁というようなところと連絡をして、できるだけ有効適切な方法をとつて処理するということ以上には、お答えがむずかしいわけであります。これは詳細な点についての御答弁ということならば、やはり外務省及び海上保安庁と十分な連絡をとつた上でないと、お答えしにくいし、むしろ私よりもいろいろ行政協定につきましては——私も昨日初めて見たようなわけでございますので、それをめぐつての問題あるいは今後の運用等につきましては、やはり直接責任者をお呼び出し願つて、お聞取りを願う方が間違もないし、より的確を期し得られると考えます。
○永田委員 私の質問に対するお答えでは、水産庁長官は、これには責任がないような御見解のように承るのでありますが、私は外交の問題は必ずしも水産庁長官に責任がないとは思わないのであります。なるほど所管大臣は外務大臣でありますが、その担当の任に当る人の所管事項としては、それぞれ所管大臣に具申する責任を持つておる。この場合にすなわち水産庁長官の責任が生じて来ると思うのであります。これ以上長官に御質問するのはくどくなるのでやめますが、少くとも私の質問の要旨は、陸に日本人の生命、財産を保護する法律があり、予算措置がある以上、同じく海にも当然あつてしかるべしではないかというのが、私の持論でございます。それに対してあなたは、責任者は外務大臣であるから、外務省の方で聞けということでございますが、次の委員会には、外務省の適当な人を本委員会に招致してもらいたいと同時に、海上保安庁からも責任者の出席を求めて、それぞれ私の質問に対してお答えを願いたい、かように委員長におとりはからいを願いたいと思うのであります。 ついでに私の質問を申し上げて、それぞれ外務省並びに海上保安庁に御連絡を願いたいのは、安全保障処置といたしまして、日米安全保障條約に基くところの防衛分担金は、アメリカ側が一億五千五百万ドル担当の五百六十四億に、さらに八十六億をプラスいたしまして、日本側は二十七年度の予算に六百六十億というものを計上しておるのであります。そのうちに現在の総司令部が専用しておるところの第一ビルを、朝霞のキヤンプに持つて行くという米軍の移駐費が、約四百億見積られておる。それからいろいろとあります。器材費はアメリカ側から日本に貸与される兵器その他の修理費と解されるのでありますが、それですらも百五十億が見積つてある。それから将来日本の再軍備というものが考えられまして、それに関しましてアメリカに日本の兵隊を送るとかいうこんな小さな問題でさえ、三億を見積つておるのであります。この中にも少くとも海上の日本人の生命財産を保護するにあたつては、若干の予算処置ぐらいはあつてしかるべきだと思う。これはなければないでいいから、かような事由でないのだから、安心してくれというような答弁を願いたい。それだけのことをひとつ御連絡を願いたい。
○塩見政府委員 連絡いたします。
○川村委員長 なお永田君の御発言については、次の委員会に日水の社長、日魯の社長、大洋の社長を参考人として呼ぶことになつておりますから、この次の委員会に招致いたしたいと思います。
○石原(圓)委員 先の本委員会におきまして、水産行政機構に関することについて特に委員長にとりはからい方を委託をしてあるのであります。最近聞くところによれば、運輸省の港湾局を国土省に移すというようなことに類似した、たくさん機構改革があるようであります。そういう状態であるから、この際一時も早く水産庁内の行政機構に関する内容をわれわれに知らしめる機会を与え、なおそれに対する強化拡充の方策をとるように、格段の善処あらんことを委員長に強く要望いたします。 次に近来電源開発がいよいよ具体化することになつて参つたわけであります。この電源用開発による漁業との関係がどういうことになるか。私は大きな河川の元の川下に流れ出るべき水が放水路がかわつて、他の沿岸に水が放水される場合には、必ず漁業に影響があると思うのであります。また放水路のみならず、河川の変更その他いろいろの問題で必ず大きな影響が漁業に起ると思うのであります。これに対して、水産庁は具体的な調査をしておるかどうかということを、まずお尋ねをしたいのであります。 とにかく国は厖大な投資をし、外資を導入して、一国一会社の電源開発会社をつくるというようなもくろみであるが、水産関係に及ぼす影響については、現在のところ政府は少しも考慮していないように思うのであります。したならば電源開発のために、一つの産業が起つても、水産が衰微するとか、場漁業が振わないという結果を招来しないとも限らないのであります。ゆえに水産庁においては、この点は十分具体的な調査をしておるものと私は信ずるのであります。であるからその程度を説明求めると同時に、政府が開発せんとする各河川の電源開発ダム等をつくるための変更等について、全国の具体的な調査書をそろえて、本委員会へ提出することを要望するものであります。 次に日韓漁業協定でありまするが、これは私がしばしば申しまするように、日米加漁業協定よりは、日韓漁業協定の方が日本の国民の将来のために一層重大であると思うのであります。日米加の漁業協定にあたつてもわれわれ委員会よりもオブザーヴアーもしくは顧問の名称において参与させた。しかるにこの日韓漁業協定は、日本の案を提示したというのみで、何らわれわれにその内容を説明しない。私はこれを非常に不安に思うのであります。なぜならば、日米加漁業協定のときは、内容において少くも議員側の態度のいかんによつては、非常な不利益を招くのであつたという感じがするのでありまして、それ以上の日韓漁業協定に対して、われわれ水産常任委員をつんぼさじきに置くということは、はなはだ不條理でないかと思うのであります。よつて、私はわが国が提示しているところの案を示されているところの案を示されんことを、本委員会の決議において要望したいのであります。もつとも秘密を要することでありますから、公にするという意味ではないのでありまして、本委員会には委員長及び公海に関する小委員会の小委員長、その他適当なる方法があると思うのであります。われわれも国民の代襲であり、秘密を漏らしてよくないことは漏らすはずはないのでありまして、日本の漁民のためによりよき協定を結ぼうというために、衆知を集めるという意味において、この点を要求する次第であります。
○川村委員長 ただいま石原委員より御要望がありました水産庁の機構についての問題でありますが、農林大臣の帰京を待つて北洋漁業の問題について当委員会に出席を求めることにいたします。その際水産庁の機構についても御質疑が願えればけつこうだと思います。 それから第二の問題については、公海漁業の小委員会にこれが付託になつておりますので、事秘密に関する問題等については、小委員会等で懇談会を開きたいと思います。
○塩見政府委員 電源開発の問題は非常に大事な問題だと思います。過去において御指摘の通りに、それによつていろいろ影響を受ける漁業者、十分保護されていないというふうな点もあるかもわからないと存じます。その調査書等について提出の要望がありましたが、帰りまして至急取調べてこちらへ提出したいと思います。
○石原(圓)委員 この電源開発につきましては、一つの電源開発の法律のうちへ、漁業に被害があつたらどうする、たとえばそのもよりの漁獲高が三箇年もしくは五箇年平均して、電源開発のために減つたならば、その減つた程度のものを電源開発の部分より補償するとか、そういう一般的な法律を電源開発法の中に加えて置くことが最も必要であると感ずるのでありまして、この点をつけ加えて申し入れておきます。
○川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。これで散会いたします。 午後零時五十五分散会