人事委員会 第15号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/05/24
会議録
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。 ただいまより保安庁職員給与法案を議題として、質疑を継続いたします。平川篤雄君。
○平川委員 一昨日の委員会で江口政府委員から、いろいろ御答弁をいただいたので、重複する点が多々あると思いますが、一応国務大臣にお聞きしておきたいと思うのであります。 この人事委員会は、保安庁の職員、隊員、こういう人たちの給与をきめることになつておりますが、政府の提案理由の説明というものには、私は根本的に大事な眼目が抜けておると思います。それは、一体保安隊に属する人たちは、どういう具体的な任務に応ずるのであるか。特にわれわれの一番危惧いたしておりますことは、本来の職責上、生命の危険をかけてやらなければならない性質の仕事であると思うのでありますが、一昨日の政府委員の御答弁によりますと、その点が実に曖昧模糊といたしておるのであります。座談の申に出て来たのでありますが、保安隊の隊員は、何も毎日バレー・ボールやラグビーをやるために置いてあるわけではないのでありまして、言葉は当らないかもしれぬが、非常な緊急事態に際した場合に出動して国の治安維持に当る、あるいはわれわれの想像によれば、外国の侵略さえもこれを引受けて立つ、こういう仕事を持つておるはずなのであります。ところがその一番大事な出動の際の給与については、別に法律をもつて定めるので、その出される時期というものは今はつきりわからない、さような事態になつたときに出すというような御答弁であります。私はこれは本末を転倒しておると思います。そういうことが本来の任務であるなら、まず出動に対する手当というようなものが第一番に出されて、初めて保安隊の幹部並びに隊員の給与というものが完全になる——完全になるというのはそれが中心になるという意味であります。こんなことを考えますと、私はこの提案には根本的に抜けておるものがあると思うのであります。 その次に、非常に不親切だと思いますのは、日々の勤務を命ぜられておりますところの仕事の内容というものは、これはもちろんわれわれが見に行かなければならないことは当然でありますが、やはり一応明らかにせらるべきであると思うのであります。今までの海上保安庁並びに警察予備隊、それと何らかわりがないといつてそのままにしておかれるべきものではないと思うのであります。これは国民全体が知つておりますように、当初のときよりもだんだん訓練は外から見かけまたところだけでも違いが来ておるのであります。世間では一般的に昔の軍隊と違いがないということを言つておるのであります、そういうようなことになると、戰争中あるいは戰前の壮丁の検査などを考えてみましても、相当きびしい試験、検査をくぐつて参りました者にも、これは重労働になるのであります。かような点についての疑問がわれわれにあるのでありますが、そういう点は何らお示しにならない。そうして給与を審議しろしろと言われるのであります。私はこういう点について非常に不満を抱かざるを得ないのであります。 私はあらためてここで戰力の問題であるかどうかというようなことを繰返すばかなことはしたくないと思います。この点につきましては大橋国務大臣と私とは永遠に平行線であつて、一致するときがないと思うのです。けれども最小限度最近の国内の情勢を考えてみますと、相当暴力的な集団行動が行われそうな危険というものが現にあるのでありまして、それにつきしてはただいまの国家地方警察の力では、とうてい押えることができないということは私も認めるのであります。私の基本的な立場は、給与の問題を通じても何とかほんとうに正しく正当に支拂われ、かつ来る者もそれ相当の覚悟を持つて入つて来る、従つてその任務にたえるような、優秀な人物が集まるようにお考えになるのが至当ではないかと思うのでありますが、そういう点についてこれからまた繰返すようでありますけれども、一応国務大臣の御見解をお聞きしておきたいと思うのであります。 一番に、この保安隊の人たちは、生命の危険にさらされるということは、初めから覚悟の前で来なければならないし、また政府もそのつもりでお集めになつておるのであるかどうであるか、これをまずお聞きしておきたいのであります。
○大橋国務大臣 国家の治安関係の業務に従事いたしております職員というものは、業務の内容上一般の公務員に比較いたしまして、生命の危険が多いということは、これはやむを得ないことでございまして、給与につきましてもそういう点を考えて、特別な扱いをするということが従来からの実情と相なつております。すなわち従来からありまする一般の公務員のうちにおきましても、警察職員、監獄職員というような人々は、一般よりも身体、生命の危険が大である、こういうふうに考えられます。従いましてこれらの業務に従事する職員は、その当然なすべき業務の執行にあたりまして、生命の危険が当然予見せられる場合におきましても、なおかつ忠実に任務を遂行しなければならぬ特別の義務があるわけでありまして、この点は、今回の保安隊、警備隊についても同様のものであります。もとより同じ警察官と申しましても、その担当業務のいかんによりまして、その危険の程度は具体的にはいろいろ差があろうと存じます。また一般警察と保安隊の隊員との間に差があるということも、これは当然考えられることでございます。従つてこういう点から考えて、給与については特別な措置が必要となつておるわけでございまして、現在御審議を願つておりまする給与法案におきましては、まず原則的に警備隊、保安隊の隊員というものは、一般公務員よりもある程度生命の危險が大であると認められておりますところの警察職員の給与に大体の基準をとる、これより多少手厚い待遇をするということが建前になりまして、本来の給与ができておるわけであります。これは一昨年警察予備隊を創設いたしましたる当時におきまして、当時の給与を決定するに際しまして、そうした基準で各級の給与の金額を決定した次第でございます。この基本的な考え方は、今日まで引続き維持されておるわけでございます。但しこれは平常の業務でございまして、平常の業務というのは、訓練であるとかあるいはそう大した特別の危険のない業務でありますが、それは大体警察官に準じて、多少手厚いというところを基準にして定めてあることは今申した通りであります。これがさらに進みまして、外国の侵略であるとかあるいは内乱、騒擾等の暴動が起つたという場合において、これを鎭圧することが保安隊、警備隊の任務と相なつております。これらの場合におきましてはすでに相手方はある程度の武器を持つておる。そうしてこれで危害を加えるという明らかなる意思を示しておる。それを鎭圧するのでございますから、この場合における生命の危険は、一層大なるものがあるということはもちろんでございまして、こうした場合に出動をいたしまするならば、その給与もまた特別な考慮を加える必要があるということは、お示しの通りでございます。政府といたしましてもその点を考えまして、第三十條において、将来別の法律で定めるという規定を置いてあります。この規定は、将来現実にそういう場合が起つたときに初めて制定するという考えでは必ずしもございませんので、これはもちろんできるだけすみやかに制定するのが当然であると考えております。 ただ申訳ない次第でございまするが、ただいままでこの法案をつくりまする準備が進んでおりません。従つて今回あわせて御審議を願う機会がないことは残念でありますが、政府といたしましては、今後でき得る限りすみやかにこの給与についても調査研究を遂げまして、御審議を願いたい、こう考えております。 〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
○平川委員 私は今回の募集の成績の不振な原因の重大な一つの理由がそこにあると思うのです。一昨日も申したことでございますが、そのことを通じて政府自体がこの保安隊員に課します任務というものの限界がはつきりいたさないということが一つございます。従つて逆の方向から言えば、それを志願して参ります者も、はつきりした決意を持つてやつて来ない。江口政府委員のお話によりますと、農村で遊んでおる人口が都市へ流れて行つておるとか何とかという、失業救済が関係があるような原因で少くなつておるようなお話でありますが、まさにそうでございましよう。おそらく失業しておるのよりか、勤めた方がいいというような気持でやつて来るだろうと思うのであります。それでは十分に行かないと私は思う。ですから、今の出動に関する給与というものをまず定められるのがほんとうだと思うのであります。今も警察官より多少いいとおつしやつておりますが、私の考えでは、警察官と保安隊というのは、性格は同じだとおつしやいますが、事実同じではない。訓練をやつております状況を見ましても、明らかに相当大規模な、しかも武器を持つた部隊に対抗する訓練をしておるのであります。こういうようなことを考えてみると、そこをはつきりさせなければいけない。 そこで原則論を話しておつてもしかたがありませんから、ひとつ具体的にお聞きをしたいのでありますが、ただいま訓練をいたしておりますが、使い道になるのに一体どのくらいの時日を必要とする訓練計画をお持ちなんでありますか、そのことをお聞きしたいのであります。
○大橋国務大臣 警察予備隊は現在七万五千でございまして、さらに増員をいたして十一万と相なるわけでございます。使い道になるというお言葉の意味でございますが、これはいろいろな使い道がありますから、その使い道によりまして、使い道になる時期もかわつて参ると思います。訓練といたしましては、一昨年採用以来、まず約数箇月を費しまして、新規に採用いたしました隊員に対して、部隊行動の基礎になります各個動作の訓練をいたして参りました。これは十三週間の訓練でございまして、その目的は、服装の整備、それから武器の——武器と申しましても、個人の持つております武器の使用の仕方、それから進退動作、こういつたことについてやつたわけでございます。その後、一通り基礎的な各個の動作の訓練が終りましたので、逐次部隊としての行動の訓練をいたして参りました。今日まで大体六期間にわかつて訓練をいたしておりまして、各一期ごとの訓練期間が十三週、あるいは長いのは十八週というようなものになつております。これで逐次大部隊としての行動の訓練をするように進んで参つております。すなわち各個教練から始まりまして、分隊訓練、小隊訓練、中隊訓練、大隊訓練、今日大体の訓練といたしましては、大隊單位の団体行動の訓練を一応終了したという段階でございます。 この内容といたしましても、武器を持つて対抗いたして参ります相手に対する、こちらも武器をとつての行動という訓練もいたしておりますし、いわゆる群集と申しますか、モップと申しますか、そういう大した正規の武器を持たずに群集しているものに対抗する鎭圧作業というものの訓練などもいたしておりまして、同じ部隊單位の訓練といたしましても、内容は今言つたようないろいろな態様があるわけでございます。 そうして今後の訓練といたしましては、今年夏ごろまでには、連隊單位の訓練を一通り終るようにいたしたい、そうして来年になりましたならば、管区隊單位の団体行動の訓練を完了するようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。それ以上今回の増員の中におきましては、北海道に方面総監部を新設する計画をいたしております。そういうものができますと、自然方面單位の団体行動の訓練ということもやる必要があろうと思います。これは北海道におきまして相当規模な侵略があるということを予想して、それに対抗するというような措置をも含む訓練でございますから、なおそこまで訓練が運びますには、再来年くらいまでかかるのではなかろうか、こういうふうに思つております。従いまして一概にはお答えはできませんが、ただいまの答えによりまして御推測を願いたいとつ存じます。
○平川委員 大橋さんにばかりこまかいことをお聞きするのもお気の毒でございますから、適当に政府委員をしてお答えいただいてけつこうだと思いますが、今まてありました七万五千人というものは、今お話のように三年ぐらいにわたるかと思うのですが、六期間でも一年半ばかりかかるわけです、そうすると、それはどういうふうに組み合せて、その年度々々においての新規に入隊をついたしましたものを訓練して、いつ起るかわからないそういう事態に即応するようにお考えになつておるのか、その計画をひとつお聞かせを願いたい。
○大橋国務大臣 この訓練には二通りの考え方がございまして、またそれを組み合せて訓練が進んでおるのであります。一つは団体としての訓練を高度に進めて行くということであります。それから一つは個人としての訓練を進めて行くということでございます。これは適当な例かどうかわかりませんが、ちようど生物学におきりまして、個体発生と系統発生という言葉を用いておりますが、かりにその言葉をかりて申しますならば、警察予備隊全体の強化をはかりまするために、予備隊全体の訓練をはかり、予備隊全体の力を推し進めて行くという意味の、系統的な発展というものが一つあるわけでございまして、その中において二年で交代するところの個人の個体発生的な訓練が進められて行くわけであります。従いまして、かつての陸軍においてもおそらく同様であつたろうと思いますが、たとえば新しい装備を採用し、新しい戰術を考え出すと、その装備になれ、その装備を使用しての新しい戰術の訓練を進めて行くということは、これは陸軍全体としての進歩を意味するわけであります。しかしそれとは別に、そうした陸軍全体の進歩の基礎になるところの各個人の訓練というものが、やはり現役の二箇年間にそれぞれの個人について完了して行く、こういうふうな行き方であつたわけでありまして、今後の警察予備隊の訓練におきましても、やはりそうした訓練の仕方でもつてやつて行くよりしかたがないと思つております。逐次に交代いたします個人につきましては、新しい要員を補充し、この新しい要員については、急速に個人の訓練を終了しながら、団体としての訓練に適合せしめるようにする。そうして今度は団体としての全体の訓練を一層高度たらしめて行く、こういう行き方をとるべきものと考えております。
○平川委員 七万五千人の元徴募いたしました人員は、引続いての勤務を希望してどの程度残つておるのでありますか。
○大橋国務大臣 どちらかと申しますと、引続いて勤めるという希望者が多いと思つております。現在までは第一回に募集いたしましたる七戸五千の要員のうち、約一万近くが昨年秋までに退職をいたしました。そこで昨年秋に一万人募集いたしまして、まだ七万五千を維持しておりますが、これは両方ともこの秋に一応任用期間が満了いたします。その際に、ただいま事務当局の予想といたしましては、約二方人種度が退職をするのではだかろうか、残りの五万人以上の者が引続きさらに二年間勤務をするという意思表示をしてもらえるのではなかろうかと予想をいたしております。
○平川委員 先ほどのお言葉の中の言葉じりをつかまえるようですが、大事なことですから伺いたい。北海道の方面隊の問題について、これは外国の相当大規模な侵略を予想して訓練をしておるというお言葉があつたのですが、前の内閣委員会における審議の際に、初めからさような侵略を相手に考えておるものはもう警察ではなくて、これは明らかに軍であるというふうに大臣はおつしやつておるのであります。しかしこれはこの際あまり詮索しないことにいたしますが、一体北海道に方面隊を必要とするような、直接便略というものがもし考えられるとすると、ただいまの方面隊の現在員でそれを押えることが可能であるとお考えになつておるのであるか。向うからやつて来る規模を考えることなくして訓練をなさつておるとは、何としても受取れないのでおりますが、万全の措置をおとりになる責任を持つておる大臣としては、一体どの程度のものを予想しておられるか、お聞きしたいのであります。
○大橋国務大臣 直接侵略に対しまする対策といたしましては、政府はすでに日米安全保障條約によりまして、駐留米軍の力に依頼するという考え方をいたしておるわけでございます。そこでこの警察予備隊の訓練といたしましては、実はそうした侵略が現実に行われた場合において、独立した部隊としてこれに対処し得る段階にまでまた成長いたしておりません。従つて直接侵略が仮定された場合に、これに警察予備隊が対処していかなる作戰に出るかどうかということを考える程度まで、まだ予備隊はたつていないわけでございまして、そういうことを考える段階にまで警察予備隊の力を伸ばすように、今せつかく努力中であるという段階でございます。
○平川委員 これは仮定の問題でありますが、現実にそういう事態が起つたときには、政府のしばしばの御言明にもかかわらず、内閣総理大臣の統帥下にあるのではなしに、結局駐留米軍の作戰計画の中に含まれざるを得ない。それによつて動くよりほかには、自主的な動きはできたいということに了解をしてよろしいものであるか。
○大橋国務大臣 今私の申し上げました意味は、そうした侵略に対処する実力單位たるところまで予備隊はまだ成長していない。従つて駐留米軍が侵略軍に対して防衛計画を立てる場合に、向うはまだそれを防衛計画のうちの一つの單位として行動できるものとして計算に入れていないと思います。従つて統帥権とかなんとかいうような問題は、まだ発生の余地がないのでありまして、防衛力的意味においては、米軍と協力して現実の防衛にあたるという上において、それだけの力をまだ持つておらない。早くそこまで持つて行かなければならないというので、現在訓練を進めつつあるといつた段階であるということが申し上げたかつたわけであります。 統帥の問題につきましては、ただいま御質問がありましたが、私は先ほどの答えにおいては、統帥の問題に触れてお答えした意味ではなく、ただまだ訓練中であつて、一人前の防衛力になつておらぬ。従つて言葉をかえて申しますならば、米軍が日本の防衛計画を立てるにおいても、現在程度の予備隊では、まだそれを米軍側で計算に入れて米軍自身の防衛計画を立てる状況にない。また現実にそういうものを入れて立てていないであろうと思います。しかしこれは将来訓練を積みまして、そうしてその程度まで成長いたしましたならば、そのときには現実の日本の防衛計画というものについて、予備隊の担当すべき役割というものは、日米両国政府が話合いをいたしまして決定する。そうして、決定された範囲における警察予備隊の統帥、指揮ということは、むろん内閣総理大臣の指揮下に置かれるわけでございまして、統帥権の所在はあくまでも日本政府にあることは、これはもとより申すまでもないことと考えております。
○平川委員 せつかく一人前になるところまで持つて行きたい、その努力中だとおつしやるのですが、そうすると目標があるはずなのですが、一体、どの程度のものをお考えになつておるのか。十一万人で十分だとはお考えになつておらないということは今まではつきりしておるのですが、どの程度までお考えになつておるか。独立後の日本といたしましては、アメリカの駐留軍を必要としないような事態に至るまでは、いろいろ複雑な因子はございましようが、ひとまず、日本が独自で計画を立てるべきであると思う、政府にはこれに対し何らかの御腹案があるはずである。そこで一体何箇年計画でどの程度のものにするのがいいとお子えになつておるのか、お示し願いたいと思います。
○大橋国務大臣 單に机上計画といたしましては、一応どのくらいの数があれば国土を防衛できるというようなことも、これは言えるかもしれません。しかしその机上計画を立てまする場合においても、相手の侵略勢力をどう推定するか、また侵略手段をどう推定するかというような、いろいろの不確定の要素が多分にあるわけでございまして、このことだけでもなかなか容易に決定できないと思つております。また政府といたしましては、そうした問題についてここで申し上げる程度に——数によつてお示しする程度に調査は進んでおりません。かりに、そうした机上計画としてこの程度まで必要だという数、あるいは勢力というものが計算できましても、これを政策として取上げまするには、これを支えるべき日本の財政力なり、あるいはまたこれに協力するところの国民の感情なり、そういう経済的政治的な要素というものをあわせて計算に入れなければなりませんので、ただいまはその前提となる机上計画すらまだ申し上げる段階に達していない状況であります。どの程度の計画があるということについて申し上げる程度の計画は持つておらぬ、こう申し上げるわけでございます。
○平川委員 あぶないあぶないと、直接侵略を受けるおそれがあつてあぶないということだけは一生懸命にお言いになつて、それに応ずる計画ということについては、皆無である。これは責任のある政府として、私どもは少々納得ができない問題であります。 それはそれといたしまして、また先ほどの御答弁の中へ帰つて参りますが、訓練をやるのに、個人訓練と団体的訓練とを、昔の軍隊がやつておつたようにやるとおつしやつておる。まあ、そういうものであろうと思います。しかし、昔の軍隊というものは、予備役に編入した者もまたこれを動員をして、訓練を積んだ者を当然一つの資格者として、再び国の権力をもつて集めるということを前提にして考えられておるわけです。ただいま二年の期間ということで、その日になつてみなければ、隊員がそれ以上に勤務するかどうか、意思決定をするのを見なければわからない、こういうことではやはり訓練の計画は立たないと思うのであります。今のお話を聞いておりまして、そういうこととにらみ合せて考えると、一旦訓練を受けました者は、再び使うということを前提としてお考えになつておるように響くのでありますが、そういう点はどういうふうにお考えになつておるのでありますか。
○大橋国務大臣 御質問にお答えいたしまする前に、ただいま御発言にありました——直接侵略の危険があるということを政府はいろいろな場合に唱えながら、対策は皆無である、こういうふうな御批判をいただいたのでございますが、私は直接侵略に対する対策についてお答えしたのではないのでありまして、直接侵略に対する対策としての予備隊の対策はどうかという御質問でございましたから、予備隊に関する限り、まだ、直接侵略に対して予備隊が單独に対策を立てるということはできない。従つてそれはないと申し上げたのであります。政府といたしましては、直接侵略に対する対策の基本となるものは、日米安全保障條約による駐留軍の協力というものでありますから、目下、これに全面的な信頼を置いておる。またそれ以外には、みずからの力を頼む段階になつておらぬ。私の申し上げましたのは、その駐留軍との対策に触れずに、みずからの力についてはまだ対策がないという状態にあるのだということを申し上げたわけです。もちろん、この点は誤解がないと思いますが、御発言がございましたので一応申し上げます。 それから、予備役制度のごときものを考えておるかどうかという御質問でございますが、保安隊につきましては、今回の保安隊法においても、一応の任用期間は二年ということにいたしております。しかし、せつかく二年間かかつて訓練をいたしました人を、二年が来たならば全部退職させてしまうということは、せつかく今まで訓練をいたして参りましたことから考えまして、非常に不経済でございますから、本人の希望があればさらに続いて任用するということは、むろんこれは道が開かれておることでありまするし、これは望ましいこととも思つておるわけでございます。現に今年の退職者につきましても、先ほど申し上げました七万五千人のうち、五万人以上は引続き二年間また就任してもらえるものという予定を立てておる、こういう状況でございます。 それからもう一つ、実際現実に事件が起りまして、出動いたしておりまする最中に任用期間が満了する、そうして、退職して行くというようなことでは困りますので、その際には六箇月以内は期間を一方的に延長するという法的措置も準備いたしておるわけでございます。この六箇月の延長期間内にさらに新たなる要員を訓練して、これに職務を引渡させる、そういう準備が保安隊法の中に規定をいたしてあるわけでございます。 これに関連してもう一つ御理解を出たいと存じます点は、かつての軍隊の予備役制度というものは、これは二年の現役を終りました者を原則的に至芸予備役に編入し、そうして数年間の守備役年限、またその後においては後出役というような年限をきめまして、その間応召義務を課している。これはういうためであるかと申しますと、中隊の兵力量に常備兵力量と動員兵力量というものがあつて、これが違つておるわけでございます。この動員兵力量の全部を常備兵力量として維持することはできませんので、そこで、予備役制度、後備役制度というものが、この動員兵力量を確保するための手段として使われておつたわけでございます。今日、警察予備隊におきましては、平面の隊員数と非常時に召集する隊員数、かりに昔の言葉を使いますれば、動員兵力量といいますか、あるいは戰時兵力量といいますか、そういつた観念は警察予備隊においてはとつておりません。従いまして警察予備隊の隊員掛というものは、十一万ときめてありますれば、それは平時でもまた事件の語つた出動の際においても同様である、もしこれを増加する必要があれば、法律をもつて定員増加の定めをしなければならない、こういうことになつておるわけでございまして、この点において昔の予備役制度というものを今日の予備隊においては採用する必要がないわけであります。採用することは必ずしも適当でないわけであります。もちろん警察予備隊においても、事件の規模において十一万で間に合わないしいう場合には、これを一時的に増加する、昔の動員のようなそうした制度を考えたからといつて、これは理論上考えられないとではありません。十分考える理由はあり得るとは思いますが、現在の制度としては、そういう制度は採用いたしておらぬわけであります。
○平川委員 将来そういうことをお考えになつておるのじやないですか、そこはもうひとつはつきり……。それからもう一つ、先ほどの直接侵略の問題ですけれども、安保條約によつてはつきり漸増するということを政府は約束しておいでになる、国が約束しておる。だから現実にはそれはそのまま駐留軍にたよつておるといいますけれども、約束を独立国として果す義務は持つておるわけなんです。それが漸増ということでありまする以上は、これは警察予備隊としては何もないかもしれませんが、国務大臣として御答弁が多少もう少しはつきりしたところがあるのじやないか、こういうふうに思うのです。
○大橋国務大臣 将来において予備役的な制度を採用する意思があるかないかという御質問につきましては、警察予備隊というのは、憲法上軍隊ではないわけでございまして、これは国内治安のためにあるわけでございますから、こういう形式において予備役的なものを考えるということにつきましては、法的な強制措置もいるわけでありまして、はたして現在の制度において適当かどうかという重大な問題もございますので、政府といたしましては、今のところそういうふうな点もございまするので、かたがたそういう意思は持つておらないわけでございます。 それから安保條約においては自衛士漸増の約束がしてあるではないかという御質問でございます。その通りでございまして、それあればこそ政府といたしましては七万五千を今年度においては十二万に増加しました。これはその約束の一端を果したことになるものと思います。それでその漸増の将来の計画ということになりますが、約束は、これを果す場合に、将来の計画まで立てておいて果せば、それはもう申し分ないと思いますが、今の日本の実情から見ますると、約束を果すについて現在年次計画を立てるような経済的、政治的な段階にない、こうわれわれとしては判断をいたしておるわけでございます。従いまして、約束は必ず果す、従つてでき得る限り来年度においても必要な増員を行うように努力はしたい、こう考えておりますが、しかし具体的な計画を立てる段階に至つておりまん。
○平川委員 この保安隊の将来の計画というものは、今おつしやつたことでははつきりしないのでありますか、それはそれといたしまして、先ほどのお言葉であるが、出動の最中には六箇月間それを一方的に延長して、その間急いで補充をするというお話である。一体ただいま御提案になつております給与のような問題で、現実に命のとりやりをやつております状態、しかも六箇月くらい延長するということで、相当大規模の場合も予想しておられると思うのでありますが、その際に確信がおありですか、一体集めることができるという確信がおありなんでしようか。 またもう一つお聞きしておきたいことは、そういう出動を必要とする場合というものは、これは今日でも起り得る——これは極端な言い方ですが、今日でも起り得るとお考えになつておるか、あるいは当分まだ一、二年は大丈夫というようなお見通しであるかどうかということであります。これをなぜ聞くかというに、一応大橋国務大臣にお話をしておかなければならぬのでありますが、江口政府委員は、ただいまそういう時期ではない、まだそういうような状態には来ない、ということをお答えになつているのですが、私はそうは思わないのであります。政府がおつしやつているのは、独立国家になつたからはもうすぐその必要が生じているのだというふうにお考えになつているものと私は考えるのですが、この点を大臣から明かにしていただきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 出動期間中の任用期間の満了の際に、六箇月の延長の期間内に欠員補充の準備が完了できるかどうかというお話でございます。これは現実にこの六箇月を延長しております間に、任用期間の満了する間に、できるだけ募集をするということになるわけでありますが、現実にその間に充足できるかどうかということになりますと、これはそのときの実情によつてどうなるかわからないと思います。そういう場合に必要な人員を維持して行くということをあくまでもやりとげるためには、どうしてもこれを無期限に延長するというようなことにするか、あるいはもつと一年なり二年なり延長期間を延ばすか、これが一番確実な方法だと思うわけでありますけれども、現在の警察予備隊の性格というものから見まして、これは憲法上軍隊とは根本的に異るわけでありますから、そう非常に長期にわたつて退職を制限するというような措置をとることは適当ではない、こういうふうにわれわれは考えているのでありまして、募集できてもできなくても、六箇月程度で一方的な延長は打切りにしたい、こう思つております。それ以上そういう場合にどうするかということになりますれば、これはなたおのずから憲法上のいろいろな問題に触れて解決策を考えて行くよりしかたがないと思います。 それから予備隊が出動するような事態が現在あり得るかどうか、これに対して江口政府委員から、現在はそういう事態の起る可能性はないというお答えをいたしているのでありますが、この点は私も江口次長の答弁を肯定するものでございます。なるほど小規模なる間接侵略であるとか、あるいはまた動乱であるとか、そういうことのために出動する可能性は、これは必ずしも今日否定いたすものでございませんが、しかし外国の直接侵略に対して予備隊の出動する可能性というものは、現在の情勢下においては考えられない、こう私は確信いたしております。
○平川委員 そうすると、動員の際の手当というものは、そういう直接侵略に対する際の手当を規定せられようとお考えになつておるわけですか。
○大橋国務大臣 これは直接侵略の際ばかりでありません。予備隊の出動いたした場合においては、一般の給与と違つた手厚い待遇をする必要があると考えられますので、そういうすべての出動の場合を網羅した手当規則を研究いたしておるわけであります。
○平川委員 先ほどのお答えの中から、私の予想を申し上げると、とにかく六箇月を延長をしても、なかなかこれはうまく行かないかもしれない。しかし現在の憲法下の制度である以上は、これはやむを得ない、動乱の最中でも、その期間が満了したら解除するということをおつしやるということは、これは憲法を改正してででも、やはり十分な防衛を完備しなければならない事態が来るということをお考えになつておる、こういうふうに了解をして正しゆうございますか。
○大橋国務大臣 私の答えは、理論上必ずしも平川委員の言われたような結論には導かれないと思います。しかしその結論を全然否定するわけではございません。と申しますのは、かような事態を解決する方法といたしましては、政府が一方的に強制的に期間を延長するだけが唯一の解決手段ではないわけであります。すなはち現実に働いておりまする隊員が、六箇月以後においてもさらに新しい任用期間、引続き在職するという自発的な希望を述べていただきまするならば、少くとももう一期間はその人たちは在職することになります。そういう方法によつても、この問題は解決し得るわけであります。しかしこれは今も申し上げましたように、本人の自発的意思にまつものでございますから、従つて自発的意思というものは、あくまでも自発的でなければならないので、その自発的意思が起きるような、何らかの間接強制的な措置を政府が講ずるというようなことがあつては、これは法律をみだることであります。しかしそういう自発的意思が起きるようなぐあいに勧誘する、誘奨をする——強制力を伴わない、強制手段を伴わない方法で勧奨するということは、一向さしつかえないと思います。やむを得なければできるだけそういうことによりまして、目的を達するように努力する以外に道がなかろう、こう思います。そうしてそうした手段ではどうしても事態が処理されないということが十分予想され、しかもそうした場合において、引続さ一定数の警察予備隊というものを維持し、これがその使命を完遂しなければならないのだということになれば、あくまでも憲法改正といつた問題を考えて来なければならないようになるのではないか、これは理論上そういうようなことになり得ると思います。
○平川委員 給与とがいろいろな日常と生活におきまして、そうした際になお延長をして働こうというような、早く言えば、喜んでその任務に精励をする、進んでは命までも投げ出すというような点になると、私は今度の給与案なんか見ましても、そういうふうなにおいはどこにも出ていないように思われるのであります。一昨日は江口さんから、いろいろ精神訓練という点で、どういう努力をしておられるかということを聞いたのでありますが、この点もただいまのところは、予備隊の指導精神なんかはないらしい。そうすると全然そのような出動の危険というものは、ただちにはないにいたしましても、いつあるかわからないと考えておられるから予備隊を置いておられるに違いない、またこれが保安隊になるのであります。そうすればいつでも応じられるような準備をなさつておるのが私は当然であると思うのでありますが、それが見えないのであります。大橋さんは直接現在の予備隊、あるいは将来の保安隊というものについて、そうした精神面に転換するようないろいろな具体的な計画、精神的な奮起を要求し得るような具体的な計画というものについて、何かお持ちになつておるならばお示しを願いたい、これは当然あるものと考えるのであります。
○大橋国務大臣 警察予備隊の訓練において、精神指導を全然やつていないというようなお答えを江口次長から申し上げたというふうに……。
○平川委員 指導原理というものがまだない……。
○大橋国務大臣 指導原理がないということを申し上げたのではなくて、指導原理はございます。それは何であるかというと、警察予備隊というものは、日本憲法の精神をあくまでも守つて行く、民主主義というものをあくまでも守つて行くところの国の不可欠の組織である。そうしてこの要員たる者は、民族及び祖国に対する大きな愛国心というものの基礎の上に立つて、職務を遂行すべきものである、それが予備隊の隊員に対する要請である、こういう趣旨をもつて常に精神指導をいたしておるのでございます。ただその精神指導について、具体的な課業時間を設けて、精神指導訓練というような銘を打つて特別な指導はいたしておりません。この精神指導は警察予備隊のあらゆる訓練を通じて、不断に実施せられるべきものである。こうした考え方で指導をいたしておるわけでございます。
○平川委員 それではひとつこの委員会に対しまして、現在警察予備隊あるいは保安庁に属する人たちを、どういうふうに訓練なさつているかというようなものを、具体的に何時間勤務で日課はどういうふうであるとか、各個訓練はどういう程度のものであるとか、そういうような資料がありますならば、やはり当然のこととして御提出を願いたいと思うのであります。それを見まして、また質問することがありましたら質問することにいたします。私本日はこの程度で打切りたいと思います。
○藤枝委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十二分散会