人事委員会 第14号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1952/05/22
会議録
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。 ただいまより保安庁職員給与法案、内閣提出第二百二十八号を議題として質疑を行います。質疑は通告の順によりこれを許します。平川篤雄君。
○平川委員 保安庁職員給与法案に関しまして、原則的にどうしてもわかつていなければならないのは保安庁というものでありまして、保安庁というものを明らかにしないでは、この給与法というものを論ずる資格はないように思われる。私まことに不勉強であつてただいま提案になつておりますところの保安庁法案について、まだ詳しく知らないので、当然これに勤務をいたします職員の仕事の内容、それが非常に危険なものであるかないものであるか、そのようなことまで含めて見なければ、給与を論ずることはできないだろうと思われるのであります。そこで、これははなはだめんどうな問題かもしれませんが、人事委員長にお願いすべき筋合いのものであると思いますけれども、保安庁の任務というもの、従つてそこに勤務する者の仕事というものを、できるだけ詳しく人事委員会において説明をせられる機会を与えられたいのであります。本日は、いずれ内閣委員会との合同審査というような方法もとつていただくようになると考えますけれども、ひとつせつかく質問の機会を許されたのでありますから、きよう御列席になつておる政府当局から、ひとつ私が今申しましたような点を概略御説明願いたいと存じます。
○江口政府委員 保安庁の任務に関しましては、その基本的な任務は今お話になりました保安庁法案の第四條に規定してあります。読んでみますと、「安保庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」この規定の結果保安庁に勤務いたします職員の任務というものが自然にきまつて来るわけでありますが、概括的に申し上げまして、保安庁職員の勤務は一般公務員の勤務と非常に違つた特殊性を持つておるのであります。たとえばいついかなる場合において出動を命ぜられるかもしれないという態勢に備えるために、勤務は二十四時間勤務という原則をとつております。従いまして給与の面におきましても、部隊が行動することがあるという場合を想定いたしまして、一般の国家公務員と違つたきわめて簡潔な給与体系をとる必要があるのではないか。出動いたしました場合において、一般官庁で支払われておりますような給与形態をとりましたのでは、はなはだ事務の処理が不都合でございますので、給与体系がきわめて簡潔になつております。そういう点におきまして、給与の額面上を見ますと、一般公務員よりは多少上まわつておるような感じもございますが、たとえば一般公務員に支給されます超過勤務手当、あるいは移動ということが頻繁に行われますので、勤務地手当というものも、特に保安庁の職員に対しては支給されないことになつております。それかといつて一般公務員よりその分だけ給与が少いというわけには参りませんので、一般給与の中にそういう点を織り込んであるというような点が、一般公務員と異なつた点でございます。従いまして保安隊あるいは警備隊の職員の給与に均衡をとりまして、制服を着ない職員の給与も、またこれに準じてきめられるというような体系をとつておるのであります。そういう点が保安庁の職員が特別職ということになつております一つの理由でもございます。またただいま制服の方の職員について申し上げたのでありますが、保安庁の本部の方の内部部局の次長以下の職員につきましても一般の官庁とは違つた特殊性を持つております。と申しますのは、一般の官庁におきましては、いわゆる中央の官庁というものが厖大な機構を持ち、たくさんの職員を擁しておるのでありますが、現在警察予備隊におきましては、本部の職員はわずかに百名、このたび保安庁が発足するにあたりましても、その本部に当ります職員の数は、わずか二百十八名でございます。こういうわずかの職員をもつて、大部隊の保安隊あるいは警備隊の職員の根本的な方針の策定をやるとか、あるいは一般的な監督の責めに任ずるとかいうことになつておりますので、その職務の内容が一般の官庁と異なりまして、きわめて根本的な、あるいは政府の政策的な問題に触れて来るという点が、保安庁の内部部局における職員の任務と、ほかの官庁の職員と異なつて来る点であります。従いましてその内部部局の職員の任命に関しましても、一般の国家公務員のように、あるいは職階制をとるとか、あるいはその役所において五年、十年とその職務に従事した者が、だんだん上に上つて行くという形はとりにくいのであります。人数が少いために、ほかの官庁において、あるいは民間において、相当そういう方面の仕事に習熟した人を持つて来て、任命するという形態をとらざるを得ない役所でございます。そういう意味から申しまして、やはり特別職にしておく必要がありはせぬか。ことにただいま申しましたように、政府の根本的な政策を体して部隊を動かして行くという点から申しますと、多少政治感覚的色彩と申しますか、そういうものも考虜し得るのでありまして、そういう点から他の官庁の公務員と非常にかわつた性格を持つておる点が、特別職といたしました理由でございます。保安庁の任務に関連しまして、ただいま御審議になつております保安庁職員の給与の特殊性について、概略御説明申し上げた次第でございます。
○平川委員 前回の委員会におきまして、加藤さんから要綱についての御説明があつたのでありますが、ざつと聞きますところでは、元の海上保安庁並びに警察予備隊と、ほとんどその給与はかおらないと言われておるのであります。退職金の六万円が二万円程度になるというような違いであろうかと思います。ところが一般の国民が感じておりますのは、かような給与形態をとる方向とは逆のものを感じておる。つまり繰返すようでありますが、だんだんと軍隊化して来る、こういうふうに思つておるのであります。ただいま私が特に聞きたいと思いますのは、そういう点なのでありまして、抽象的にお話を聞きましてもしようがありませんから、具体的にお聞きしたいのであります。まず最近の新聞やラジオは、予備隊の募集にあたりまして、志願者が非常に少い、からだの悪い者を除いてしまつたら、もうあとはとれないのではないか、質がいよいよ悪くなるということを言つております。この間の早稲田大学の事件なんかを新聞で伝えるところによりましても、いろいろ学生側にも問題があつたかもしれませんが、相当実情にうとい、はなはだ低級な警察官が、暴力団みたいに動いておるということも、見のがすことはできないのであります。警察予備隊が、さような思想とか、性格とかいうものを考えずに、ただからだだけ普通であれば、それを任用するということになりましては、非常に国民はこれを恐れるのであります。このような結果が出て参りましたのは、一体どこにあるのか、六万円の魅力とのみは言えないのでありまして、ひとつ当局のこれについてのお考えを伺いたいのであります。
○江口政府委員 御指摘の通り、今回の三万五千八の増員に関しまして、そのうち幹部が大体二千五百人と見まして、二万二千五百人の一般隊員の募集をやつたのであります。その結果は、応募者が全部で九万人をわずか越えております。この九万人対三万二千五百人の比率と、一昨年の七万五千を採用する際にありました三十八万人の応募者並びに昨年一万人ほど補充しました際の応募者の数五万二、三千人だつたと思いますが、これらの比率とを比べてみますと、今度の採用人員と応募者の比率は少し下つております。下りました理由について、いろいろ研究をいたしますれば、一昨年募集いたします際には、十八歳以上三十五歳までというように年齢層を広くとつたのであります。それが今回は十八歳から二十五歳までというように年齢層の階段が狭まつた。と申しますのは、最初に採用いたします際には、若い者からあるいは幹部級になり得る者まで、採用する必要があるということを考えたわけでございますが、今回はすでに幹部級が大体配属されておりますので、一般の若い隊員だけを募集すればいいという理由で、年齢層の募集の範囲が狭まつたのであります。しかも一昨年採用しました場合には、三十五歳までの間の者で、その軍歴あるいは学歴、職歴等によりまして、幹部になり得るという希望を持つて入つた者が多数あつたのであります。今回は一般の隊員で、ほとんど幹部になるチャンスは二年の間にはなかろうということを考えて入る者が多数ありましたがために、その意味におきましても、応募者の数が減つたということが言えると思います。もう一つは、御指摘の六万円の退職金が、今度はわずか二万円程度に下つたということであります。そのほか間接的な原因といたしましては、やはり農村の人口が相当減つて、都市に流れつつある。都市の受験者の数は、入口割合から申しまして比較的少うございます。これはその性質上、あるいは近ごろの青年の思想動向上、当然な結果ではないかと思います。農村八口が減つて参りましたことが一つ、それから失業者の数も非常に減つておるようであります。それらの理由が原因となりまして、応募者の数が比率から申しまして減つて参つたとは存じます。しかしながら、三万二千五百人を採用しますのに九万人ございますれば、それほど質の悪くない青年が採用できるもの、かように考えております。
○平川委員 六万円の退職手当が、二万円に減少されなければならなかつた理由というのは何でありますか。り
○江口政府委員 もともと六万円の退職金を條件にして、こういう種類の機構に人を募集するということ自体が、はなはだおもしろくない事態だと存じます。できるだけみずから進んで国家のため、あるいは同胞のために尽そうという精神を重んすべきでありまして、給与によつてそういう人を勧誘することは、はなはだおもしろくないのであります。ことに予備隊に入りましてから後も、世間の見る目が、あの隊員は六万円もらつて二年後には退職するのだということを申しますと、それが隊員自体に与えます影響も、はなはだおもしろくないのであります。従つて時期が来れば、こういう制度はできるだけ廃止して参りたいというふうに考えておつたのであります。ところがやはり今回の募集にあたりましても、相当の退職金が出なければ応募数はうんと減るであろうということが考えられまたので、いろいろ財政当局とも折衝の上、全然廃止するわけには参るまい。ただ二万円と申しますのは、二万円の金額ではございませんで、やめまする際の、最終の俸給日額の百日分が大体二万円前後になるということになつております。従いまして従前のような特別の退職金というものはない。一般の公務員がやめまする際の普通の退職金に、多少色をつけた程度の退職金がもらえろ、こういう制度に改めたのであります。
○平川委員 いよいよ海上保安庁、警察予備隊が保安庁になるのでありますが、この保安庁に性格がかわつて来たことについては、大分時間をかけてこれを聞かなければならぬと思うのであります。大体今までの警察予備隊、海上保安庁と性格のかわつたものでないということを、大橋さんなかんはしばしば言明しておられる。私も二、三度そういうことを直接答弁をもらつておる。しかしながら実際は今もつてそれがどうしても納得でないのであります。あなたはこの性格が違つたということについて、どういうふうにお考えになりますか。
○江口政府委員 私も、事務的に処理しても性格上かわつた点はない、かように考えております。ただ名前がかわりましたし、そのほか今までの経験から申しまして、こうした方がよかろうと思うような條文などを織り込みましたがために、そういう御懸念を持つておられる方も多いかと存じまするが、先ほども読み上げました保安庁の任務から申しましても、この性格に何ら変化はない。事務的に考えまして字句上から読みましても、そういうふうにわれわれ解釈いたしております。
○平川委員 事務をおとりになつておるので、御承知ないかと存じますが、かつて例の安全保障條約を審議いたしました際には、警察予備隊は警察の予備である。補充的な任務をやるものである。従つてこれは警察以外の何物でもないということを、しばしばはつきりと公式に言つておる。しかるに今度の国会になると、直接侵略を受けた場合にもこれに当るのだということを言つておられる。ちようどあなたも御臨席であつたろうと思いますが、この前の海上保安庁法の一部改正の問題のときに、私が例の第一方面隊というものを問題にいたしたのであります。その前に大橋さんは社会党の鈴木義雄君の質問に対しまして、明らかに警察予備隊は戰力ではないが、場合によつては戰力になり得るのである。国土防衛をするという目的を持つたものはすでに軍であつて、警察ではないのであるという定義を一応下した。そのあとで私が方面隊のことを聞いたのであります。なぜことさらに北海道に方面隊を置くのかと聞いた。そうしたらあなたであつたかどなたであつたか記憶いたしませんが、それは遠いから置くのである。東京から遠いので、応急のときに何ともできないから置くのだ、こう言われた。それなら九州も北海道も遠いということになれば同じじやないかと、私が申しましたら、大橋さんが助け舟に立たれて、いやそれだけの意味ではない。特に北海道は孤立しやすい地形であると言われた。孤立するというのはどういうことだ。外敵の侵略があつた場合以外には、北海道が孤立することはないではないかと言いましたならば、まさにその通りであると言われるのであります。そうなりますとこの方面隊というのは、はつきりと海外からの直接侵略に備えてあるもので、私は反対討論のときに、特にそれを指摘したのであります。最初は、明らかに警察の予備である、警察の手に負えないときにやるのであつて、どこまでも警察であると言つておつた。そうすると、人命の殺傷を目的とするのは警察ではないので、警察はさようなものを目的としておつてはならない。しかしながらただいまの予備隊は、明らかに人命の殺傷をある程度目的にして、その訓練をやつておる事実がある。しかも方面隊というものが明らかに海外からの侵略を予想して置かれておるといたしますならば、この前の安保條約審議の際に言われた政府の言明とは、よほど性格のかわつたものといわなければならぬのであります。私はそういう意味で警察予備隊、海上保安庁と、ただいまの保安隊との間に、重大な性格の変化があると、あなたの御言明にもかかわらず信ぜざるを得ないのでありますが、その点をもう一ぺんはつきりさしていただきたいと思います。
○江口政府委員 ただいまお話のありましたその当時大臣からどういうふうに御答弁申し上げましたか、ちよつと記憶しておりませんが、われわれといたしましては、保安庁となつても第二次的な国内治安維持の機関であるという点については、かわりがないと今考えております。字句上はあるいは警察という字がとれたかもしれませんが、第一次的な治安責任者である警察の力が及ばないときに、警察予備隊あるいは警備隊の活動ということになるのは、たとい字句の上でそうなくても、性質上補充的なものでありまする以上、私は当然ではないかと考えております。それから方面隊を置くことがどうも警察の色彩から飛躍するのではないかというお話でありますが、方面隊を置きまする理由は、北海道は地域も広汎でありまするし、九州と違いまして、汽車で連絡するという場合も、容易に連絡し得る地域でもございませんし、やはり直接指揮を上級機関においてとりまするために、一々東京にまで指揮を仰ぐということをする必要がないような方法を講じておく必要もあろうかと考えまして、方面隊というものを考えた次第でございます。従いましてその方面隊を置くこと、あるいは警察を補充するというような字句がなくなつたこと等によりまして、この性格がかわつて来たもの、こういうふうに私は考えておりません。
○平川委員 議論はしたくないから、いいかげんでやめますけれども、ただいまのお話をもつてしても、私の方ではなぜそんなふうに強く御弁解になるのであるか、かえつて腹を疑うのであります。そういうことだけ申し上げておきたいと思うのです。この前皇居前広場における騒擾事件があつたのでありますが、そのときは警察予備隊は出動しなかつたと聞いておるのです。あの程度なら出ないのであるらしい。そういたしますと、それ以上危険な大規模な場合には出て行くということになる。そうなると将来保安庁に志願をいたします者は、そうした自分の身命の危険というものをかけて出なければならないことになります。その点は間違いがないかどうか、はつきりさしていただきたい。
○江口政府委員 警察予備隊は——保安庁になりましても同様でありますが、最後の日本の治安維持のとりででございまするので、これが軽々しく出動するようなことがあつては絶対にならぬ、かように考えております。従いましてこの前の皇居前広場の騒擾事件に対しましても、予備隊は出動いたしておりません。われわれの考えておりまする出動の原因は、もつとあれよりもずつとはなはだしく、あるいは広汎に、あるいはもつと暴動化したようなときのことのみを想定いたしております。そういう場合におきましては、あるいは多少の職員に対する危険というものが起る場合も想定されるのであります。しかしその場合に危険があるであろうということは、予備隊を志願いたしまする者におきましては、覚悟の上でそういう事態にも処し得る、そういう事態に対処するのが、また保安庁の職員を志望するゆえんであるということを、十分わきまえて応募する者ばかりだと考えておりますのでいざという場合にも、その後の訓練いかんによりましては、十分にその目的を達することができるように持つて行けるものだというふうに考えております。
○平川委員 実際に隊員の訓練をしておいでになるときに、一体何を精神的な根拠にやつておいでになるのか。ただいまおつしやることを聞いておりますと、その中にどうもふに落ちない点があるので、警察予備隊と性格がちつともかわらないで、別に大した変化がない。警察の予備という点については違わないのだ。言葉を使わなかつただけだ、こうおつしやるかと思うと、国を守るために非常に熱烈な精神を持つた者を集めなければならぬ。それには六万円でつるのはいかぬ。いかにもそうした精神的な基礎が国民の中にもあり、またあなた方の指導精神の中にもあるかのようにおつしやつておる。しかし私はないと思う。今表面でおつしやつておるあなたのお言葉を聞きますならば、さようなもので士気を鼓舞することもできなければ、また国民に犠牲をしいる力はないと思うのでありますが、私は、ただいま十分だとおつしやるが、今回九万人程度しか応募者がなかつたということの原因は、やはり保安庁自体の性格が、一面においてあいまいであつて、そうしてしかも非常に危険が予想せられる。そういう反面、一つも国民の中には、国を守ろうというような意識がない。また政府も全然それを指導していない、こういうことにあると考えざるを得ないのでありますが、どうでありますか。
○江口政府委員 予備隊員に対しまする精神的支柱と申しますか、またそれに対して協力していただく国民の国を愛する愛し方、その守り方というものに対する根本的なものの考え方についての御意見等もありますが、われわれといたしましては、警察予備隊の隊員といたしまては、われわれの同胞を守り、わが国が平和に秩序を維持して行けるように、暴動がありましたような際の、最後の防壁となつてその鎮圧に当るという事柄を強く隊員一同に、しみ込ませるような精神的な指導と申しますか、そういうようなことも各部隊の階級を通じて行つておるわけであります。しかしそれも現在のところは実地訓練というものに重きを置きまして、そういう精神的な指導というものに対しましては、それほど詳細なものを持つていないのであります。これは予備隊の創設されました当時から、予備隊の基本精神である、言いかえますならば予備隊綱領と申しますか、あるいは予備隊精神とかいうものを、至急に、まず最初に確立する必要があるのではないかというような議論もほかにもありましたし、また内部に入りました幹部におきましてもそういう考え方を持つておつた者も多々あるのであります。しかしながら予備隊は急速に発足いたしましたので、入ります者の年齢、職歴、学歴、軍歴すべて違うのでありまして、ものの考え方も百人百様であると申し上げても、さしつかえないような募集の仕方をいたしたのであります。従いまして予備隊自体の精神的基盤というようなものは、予備隊が相当年月がたちまして、そういう違つたものの考え方の者がだんだん予備隊を去り、同じ考えのもとに統一された隊員だけが残つたというときに、初めて予備隊の精神というものが、内側から沸いて出るのであります。昔のようにやれ何々精神、何々精神と上でつくつたものを予備隊に押しつけるということでは、再び失敗を繰返すことは明瞭なのであります。従いましてわれわれの方といたしましても、精神教育ということは非常に重要なことであります。まだ文字の上に項目的なものとしてはつくつていないのでありますが、自然に予備隊の隊員の団結力もできて参りますし、協同意識というものが、だんだん発達して参つておりますので、近くわれわれはその中から凝結したものを取上げて、これがわれわれの精神のよりどころであるぞというものをお示しする時期が、間もなく来るであろうと考えております。それによつて一般国民の方にも、予備隊はこういう考え方で進んでおるのだぞ、こういう線に沿つたものの見方で進んでいるのだぞということを明らかにして、国民の皆さんに御協力いただきたいということを、具体的に申し上げられる時期が来る、かように考えております。
○平川委員 そういう時期が来るまでに、できるだけほおかむりしていたいという気持だから、なかなかうまく行かないのであります。訓練しておるのを見ても、戰車相手の訓練をしてみたり、飛行機を相手の訓練をしてみたり、この間の皇居前広場の騒擾事件のような、あんな小さなものではない、最後の騒動のときに出るのだということになると、これはまさに命がけで、あのときには棒切れとか、釘を指したプラカードの柄であるとかいうものでも、相当の死傷者が出ておる。まして今訓練をなさつておるような戰車がやつて来たり、飛行機がやつて来るという状況が起るとすれば、命がけに違いない。しかるに警察予備隊と海上保安庁の当時の給与と、ただいまの保安庁になりましてからの給与との間に、ほとんど差がないというのは、やはり人が来ない原因であります。何だかんだといつて、命ほど大事なものはないのであります。それを精神的な支柱もなければ、給与の面は、片方は命がけで来い、しかしながら出すものは前と違う、これでは来るはずがないと私は思う。私はこれがいいとは思いませんのですよ。たくさんの人間を集めることはいいとは思わない、けれどもただ給与の面からいつて、それは矛盾があるのではないでしようか、その点をどういうふうにお考えになつておりますか。
○江口政府委員 予備隊といたしましては、まだ一度もいわゆる出動ということをいたしたことはございません。出動いたしました際には、あるいは相当の危険が伴うということも予定されるのでございます。しかしいまだ出動した経験もないのに、その出動した場合の危険というものをあらかじめおもんぱかつて、特別の給与制度をこしらえておくということもいかがかと存じますので、ただいま御審議をお願いしておりますが第三十條に、出動を命ぜられた場合における職員の給与等に関して必要な特別の措置については、別に法律で定める、こういたしております。従いましてわれわれがただいま申し上げましたような想定のもとにおいて、どういう程度の特別の給与を保安庁の職員について考えなければならぬかということにつきましては、ただいま慎重に研究中でございますので、それらの問題につきましては、別途法律で御審議をお願いする際に、いろいろとまた御意見を承りたい、かように考えております。
○平川委員 ただいまの特別の規定というのは、一体いつごろ出されるのですか。それが一緒に出て保安隊の職員は、自分の考えをきめることができるだろうと思つております。その大事な本来の目的であります出動、その点に関する給与の方が、目下研究中であるということでは、これは非常な片手落ちというよりか、仏をつくつて魂を入れない、その魂を入れない方になるのではないかと思うのですが、一体いつごろそれをお出しになるのですか。
○江口政府委員 一度もまだ出動をいたしませんので、どういう場合に出動をするかということは、具体的には申し上げかねるのでございまして、きわめて抽象的な事例しかあげられないと思うのであります。従いまして今後具体的にどういう場合に真に出動する必要に迫られるというような時期が、まともに切迫いたしましたようなときにおきましては、具体的な想定に基いて、この程度の特別措置は講じなければならないということが、かたまつて来るであろうと思います。現在ただ架空の出動自体を想像して、こういう場合には金何百円の手当を出すのだというようなことをきめるにあたりましても、財政当局の見地から申しましても、そういう全然架空な前提に基いての給与というものを、今から想定するのは早い。これは財務当局といたしましても、当然の考え方ではないかと存じます。もとよりわれわれの方の研究も、具体的にかたまつておりませんので、それをできるだけいろいろな例を材料といたしまして、かたまりました上で法律の形にして、御審議をお願いいたしたいと考えておるのでありますが、その時期につきましては、今ここでいつごろまでには御審議願えるということを申し上げるところまで達しておりません。
○平川委員 保安隊を軍隊といわれるときが、その時期であろうと私は思おざるを得ない、というのは、そういう出動というものを予想することができないというならば、ただいまの予備隊というものを置くことそれ自身が、もうすでに間違いであります。それは架空のことであります。もしこの間の皇居前広場における騒擾事件のようなものを予想するならば、現在でも特別の規定というものはつくれるものであります。しかしあなたの今おつしやつた言葉を聞いておりますと、何だかこれは国際情勢に関係があるような響きを持つ、これは思い過ぎかもしれません。一体そんなのろのろしておるようなものならば、今は警察予備隊ないしは保安隊そのものを否定をなさる方が理論的には正しいと私は思いますが、どうでございますか。
○江口政府委員 もちろんわれわれ日本国民といたしまして、予備隊を出動して、場合によつてはわれわれの同胞をいためるというようなことが、ないことが理想であることは申し上げるまでもないのです。従いましてこういう備えはするが、そういう事態の起らないことを希望する。これはむしろ矛盾した気持かもしれませんが、これはだれの心の中にもあるものの考え方ではないかと思うのでございます。できるだけ出動しない事態が続くことを希望するが、しかしそういう事態が破れて、わが国の平和と秩序が非常に乱されるというようなときには、それを鎮圧するだけの組織は、備えて置かなければならぬじやないか、こういう二元的なものの考え方からいたしまして、われわれは、平和はできるだけ維持したいものであるが、しかし万一の場合にはやはりこういう予備隊というような、あるいは保安隊というような組織をもつて備える。理想は理想でありますが、現実の問題といたしましては、やはりこういう組織を持つておらなければならない、かように考える次第であります。
○平川委員 ただいまは必要ないのでありますね。それではただいまは警察予備隊のごときものは必要ないのに、ただ置いてあるのでございますね。
○江口政府委員 警察予備隊が必要であるということは、一昨年から政府におきましてもそう判断されて、この予備隊の発足に当つたわけでございます。その必要性は一昨年以来いまだに続いておる、また今後も相当続くものである、かように考えます。
○平川委員 中国の台風のあとの救助に出たり何かするようなために、置いてあるのでありますか。
○江口政府委員 出動はいたしておりませんが、この前山口県で水害がありました際に、そこの救助の援護作業あるいは道路の復旧作業というようなものに、予備隊が——これをわれわれは出向と申しておりますが、出たことがあります。しかしこの出向も民生救護に役立つということもありますが、一面におきましてはそういう混乱しておる事態の中に飛び込んで、そこでいろいろな作業をするということ自体が、予備隊の目的に合致する訓練の一つではないか、かように考えておりますので、今後におきましてもそういう事態が生じた際には、できるだけお手伝いをいたしたい。そうしてそれを総合いたしまして、訓練の一つとして、今後万一出動しなければならぬというときの行動の基準を、だんだんかためて行きたい、かように考えております。
○平川委員 出動の必要を認める、出動の際の給与の規定をつくるというような考え方がありながら、そうした事態の起らないことを国民として願つておるから、その両面の意味で、このま、まの状態でしばらく待つのだというようなりくつは成り立たない、警察予備隊というものは、何にいたしましてもあなたのおつしやるように、皇居前広場の騒擾ぐらいでは出ないのであります。それ以上のことの必要があつて置いてある、のんべんだらりと訓練ばかりしておるのではありますまい。ただいま十分な国土防衛にはならないかもしれませんが、しかし現在でもあろ種の任務を持つておることは事実であります。ただそういう時期が来ないだけの話なのであります。しかし私はそれは突発的に起り得ると思うのであります。しかも突発的に起らないで、そういう時期が来るまでということをおつしやるならば、それは内乱よりもむしろ直接侵略を受けるような場合をあなたは考えておられる、この前の皇居前広場の場合におきましても、相当にいろいろの情報が入つていたようであろ、さような危険も予知せられておつたようであります。よほどぐうたらな警察舌ない限りは、ある程度のことはわかりましよう、国内のそういう計画ならば。あなたのおつしやることを聞いておると、私はどうも外国からの侵略を考えておられるように思われる、というのは、そういうことをやはり感ずるからであります。私は納得できません。名前がかわつただけで大したことはないと言われますが、それにしてはへたな名前をつけられたものだと思う。保安隊という名前は、中国の保安隊、フィリピンの保安隊などを連想するのであります。日本の保安隊は特別の定義だと、こうおつしやろでしよう。しかしながら保安隊と言いう名前を、わざわざそうした神経過敏な政府ならお使いにならないで、もう少しお考えの上で、警察予備隊でもよかつた、警察隊モもよかろうと私は思う。わざわざそうして危険をおかしてまでも、普通中国の保安隊、フイリピンの保安隊といわれておるような名前をおとりになつたということは、私はやはりよほどの理由があると思う、中国の保安隊、フィリピンの保安隊というのは、御承知の通りにちやんと国連の戰カの中に加えられておるものモある。ですから保安隊という名前は、決してあなたのおつしやるように軍隊的のにおいを持たない性格を現わしたものであるとは受取れない、新しくつくつたといわれても、そういうものであります。もつと違つた名前を選ぶべきではなかつたかと思いますが、その点はよほど御研究なすつたことと思うのですが、どうしてこういう名前になつたのですか。
○江口政府委員 性格についてかおりはないということを申し上げました。かわりがないものについてなぜ名前がかわるのかというお尋ねでございますが、一つには警察予備隊と海上警備隊というものが合併して、一つの機構を形づくることになるわけでございます。従いまして警察予備隊本部とか、海上警備隊本部という名前がとれないことは、御了解行くと思います。従つてこれらを包括するところの名前がほしいが、名前はあるいは防衛隊でも保安隊でも、そのほかいろいろ考えられろと存じます。しかしそれをどういう字句にするかということは、政治感覚の問題だと思います。結局保安庁という名前がいいという政治上の感覚の上にこういう字句がきめられたものだ、かように考えますので、その点につきましては、大臣に御伺い願いたいと存じます。
○田中委員長 ほかに御質疑はございませんか——別に御質疑はないと認めます。本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十四日午前十時半より開会することにいたします。これにて散会いたします。 午前十一時五十九分散会