行政監察特別委員会 第21号
- 発言数
- 312 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1952/04/25
会議録
○内藤委員長 会議を開きます。この際お諮りいたします。国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部関係事件につきましては、すでに証人喚問を終了いたし、過日の理事会において理事諸君と御協議の結果、本日の委員会において結論を出すことに意見の一致を見ましたので、すでに諸君のお手元に配付してある通りの調査報告書原案を作成いたした次第であります。この国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部関係事件調査報告書原案を委員会の報告書として決定するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内藤委員長 御異議なければさように決定いたします。なお字句の整理等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。 なお本報告書を関係当局に送付いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内藤委員長 御異議なければさようとりはからいます。 —————————————
○内藤委員長 次にお諮りいたします。毎月の例に従い、お手元に配付してある通りの簡單なる調査経過の報告書を委員長において作成いたしたのであります。これも議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内藤委員長 異議なければさよう決定いたしました。なお字句の整理等につきましては、委員長に御一任願います。 —————————————
○内藤委員長 これより治安警備状況に関する件について調査を進めます。 これより治安警備状況に関する件について、田中警視総監より証言を求むることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が盧偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものなるときは、その旨を申出を願いたいと存じます。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人田中榮一君朗読〕 宣 誓 書 良心に従つて、真実を述べ、何事も かくさず、又何事もつけ加えないこ とを誓います。
○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証書は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしうございますが、お答えの際は御起立を願います。 田中警視総監は、昨年の十二月以降、警視庁管内において、警察官及び警察機関襲撃事件が頻発しているが、各種事件を通じて、何か一貫したものが見出されなかつたでしようか。
○田中証人 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。 なお答えるに先だちまして、昨年の十二月以降警察官または警察官署等に対するいろいろな襲撃事件等が、やはり警視庁管内におきましても、相当多数事件として発生いたしております。試みにそれらのうちのおもなるものを申し上げたいと思います。十二月十一日夕方、赤羽警察署管下におきましてデモ事件が起りまして、さらに同月二十六日午後十時三十分ごろ、練馬署の印藤巡査が、その駐在所付近の畑の中におきまして惨殺されておつた事件が起つております。これは私どもの捜査の過程から得た資料によりますと、思想的背景を持つ警察官襲撃事件と認定をいたしております。さらに二月二十日、これは全国において行われました反植民地デーの前夜祭といたしまして、東大構内におきましてポポロ劇が開催せられましたときの事件といたしまして、警察官が暴行を受けておる事件があります。それから二月二十二日、駒場の東大教養学部構内におきまして、警邏警察官が多数の学生のためにつるし上げにあつて、わび証文を書かされたという事件があります。それから二月二十一日、これは全国反植民地闘争デーの日でございましたが、蒲田署管内におきまして、北糀谷の派出所が多数の暴漢に襲撃をされ、またある巡査が一名、多数の暴漢に襲撃を受けまして、身に数箇所の負傷を負い、さらに拳銃を奪取された事件があります。それから二月二十八日、荒川署管内におきまして、一警察官が不法にも突然数名の暴漢に襲われまして、警察手帳を奪取された事件があります。それから四月十七日に池上警察署管内矢口派出所におきまして、午前七時ごろでありますが、工員らしい者が七名同派出所を襲いまして、某巡査をだまして屋内の休憩所に導入しまして、いきなり数名の者がこれに襲いかかつて拳銃を奪取いたしました。同巡査も相当格闘いたしたのでありますが、重傷を負い、しかも重傷を負いながら逃走する者を追撃しまして、付近を歩いておりました交通巡査と協力のもとに一名を逮捕検挙いたした事件があります。それから四月二十日第二回東大事件が発生いたしまして、星野巡査が、これも正当なる警邏行為実施中に数十名の東大学生と認められる者に襲撃をされまして、危うく警察手帳並びに拳銃を奪取されんとしたのでありますが、幸いにしてこれは免れたのであります。しかしながら本人は若干負傷をしておるのであります。それから四月二十三日教育大学におきまして、渡辺巡査が多数の者につるし上げを受けた事件がございます。これは何ら負傷はいたしておりません。それから四月二十四日、京橋横町における朝鮮人学生による同種暴行事件が発生をいたしております。そのほかにたとえば署長官舎等にいろいろないやがらせ的の行為をやつておりますが、その一、二の例としましては、二月二十一日志村署長公舎へ催涙弾を投入せられた事件がございます。それから二月二十六日万世橋署長公舎へれんがを投入された事件があります。また三月十日小岩警察署ヘカーバイト爆弾を投入された事件がございます。 以上大体当管内におきまして発生をいたしました事件でございますが、これらの事件を大体通観してみますと、非常に今回の事件は集団的に——必ず一人、二人でなくして、集団的に暴行をなし、しかもその暴行がはつきり権力闘争であり、権力に対していどみかかるという挑戦的な暴行行為であるのであります。たとえば警邏警察官が何ら事由なくいきなり暴行される、あるいは派出所に暴漢が乱入していきなり暴行を加えるというような、きわめて集団的の暴行事件であるということがその第一であります。それからいま一つは、国家権力を代表するいわゆる警察あるいは税務署その他に対して、まつこうから権力反抗闘争を試みるという一つの特徴であります。それからいま一つは、時間的に見て、警備の手薄の点であるとか、あるいはまた一人の巡査が漫然としておつた、そこをいきなり虚をついてやるというような点がきわめてよく似ております。それからいま一つは、いわゆる心理的に警察官にある一つの恐怖心を與えるとか、あるいは警察官の職務執行をにぶらせるとか、あるいは職務を回避させるという気持を起させるべく、あるいは署長公舎に物を投げ入れたり、いわゆるそうしたいやがらせ的の行動をするというのも一つの大きな著しい例でございます。それからさらに最も重要なことは、いわゆる球根栽培法、これは最近球根栽培法がかわりまして、工業便覧とか何とかになつておると思うのでありますが、これらの中に記載されたもの、いわゆる敵から兵器を奪取する、あるいは反動警察官に対して公然と、敢然としてこれに対抗して行くというような、あの球根栽培法の戰術の線に沿うていろいろ行動をとつておるということであります。しかも球根栽培法なり、栄養分析法——これは厚生省衛生試験所という名称で発行しておる秘密文書でありますが、厚生省衛生試験所というのは一つのカムフラージされた偽装の名前でありまして、これはいわゆる軍事行動の具体的な戦術に使うところの武器なり、そうしたものを書いた秘密文書でありますが、これらの秘密文書に書かれたいろいろの火焔手榴弾であるとか、あるいはカーバイト爆弾であるとか、燃燒レポ用紙のつくり方などということは、全部この栄養分析法に従つて、企画の統一した同じような武器が至るところに使用されておるということは、何かこの中にある関連したものがあるのではないかということも一応考えられるのであります。しかもこれらの暴行した者を逮捕すると、申し合せたように、ほとんど一言もしやべらぬ。名前も言わなければ、住所も言わなければ、年齢も言わない。何を聞いても黙否権を行使するという強い申合せと申しますか、そうしたものでありまして、一旦起つた暴行事件を検挙いたしまして、これを捜査いたしますにも、警察といたしましては相当な苦慮をいたしております。しかしながらかりに黙否権を行使いたしましても、傍証を固めて参りますから、かりに本人否認のままでも送検いたしまして、りつぱに犯罪を成立せせる自信を持つて警察側はやつておるわけであります。大体今回のいろいろな事件は、風のごとく来りて風のごとく去る疾風的なやり方をもつて、常に集まるときも三々五々集まり、そして集まつたならば、かけ足でもつてデモをやり、一方においてデモをやつておいて、片つ方において陽動作戦で何か事を起す。しかもそのデモは十分なり十五分間でやつてしまつて、ただちに解散するというような、きわめて巧妙な方法でやつております。これに対して警察側も大体いろいろな方法を講じまして、十分事故防止に当つておるような次第であります。
○内藤委員長 ただいまの警視総監田中榮一君の証言によつて、大体昨年十二月以降からの事件内容等はわかりました。また御説明によつて、そこに一つの一貫した何か背景があつて、その指導によつて動いていたような形が十分に発見し得ると私も考えるのでありますが、ただいま申された事件の中で警備上特に注目されると思うもの、または日本共産党との関連性等があると思うものがありますか。まず印藤巡査の殺害事件につきまして、これは思想的背景がそこにあるということをお認めになりませんか。
○田中証人 この印藤巡査の殺害事件につきましては、警察側といたしましては、当初から思想的背景があるものという一つの目途のもとに捜査に当つて参つたのであります。同時に印藤巡査はその付近のいろいろな執行にあたりましては、相当強い執行をやつておつたのであります。たまたまその印藤巡査の勤務しております駐在所の付近に小田原製紙という製紙工事がございまして、この製紙工場が十一月中旬ころからいわゆる賃上げ闘争が始まりまして、その当時工場労働争議が突発しておつたのであります。その際に、印藤巡査が工場側に加担したとかしないとかいうようないろいろな風評が流布せられました。印藤巡査といたしましては、管内の工場に労働争議が発生をいたしておるのでありますから、警備上の責任を担当しているものといたしましては、当然工場の労働争議をそのまま黙視することはできないのでありまして、経営者並びに労働者の相互のいろいろな生命、身体、財産を常に保護し、またこれを十分に監視をしなければならぬという職責にあるのでありまするが、それがたまたま十二月の中ごろになりまして、経営者側が非常に腰が強くなつて来て、遂に労働者側が敗退をいたしたのであります。この労働者側が争議において負けたというのは、少くも印藤巡査等が大いに加担したのではないかというような一つの邪推からいたしまして、印藤巡査に対しまして、労組員なんかが非常に反感を持つておつたという事実はあつたようであります。そこで労組側におきましては、その後労組の中の外部の団体が常に工場に出入をいたしまして、そうして労働組合を指導する。しかもきわめて過激な思想を持つた外部団体が常に出入いたしまして、労働組合を指導しておつたというような事実はあつたようであります。その後労働争議は完全に経営者側が勝ちまして、一応争議は妥結に至つたのでありますが、妥結したその翌日、すなわち昨年の十二月二十六日に、ある一人の学生から、その付近の畑に行路病人が倒れておるから、すぐ救済に来てほしいというような申出がありました。印藤巡査は何か心中に不慮の災害が起るのではないかというような予感があつたのでありまするが、平素はそうしたことがなかつたので、拳銃を身につけまして、その学生の導くままに、心配することはないからと家族に言い残して行つたのであります。ところが二時間たつても三時間たつても印藤巡査は帰宅しないというので、妻女が非常に心配いたしまして、隣接の駐在巡査に連絡して捜査をいたしました結果、明け方になりまして、約五百メートルほど離れておりました畑の中に惨殺死体となつて現われたのであります。印藤巡査は柔道二段の腕前でありまして、相当武道の自信を持つた男でありますが、数箇所できわめて激甚なる格闘の跡がありまして、最後に鈍器のようなものでしたたか殴打された。それが頭蓋骨折を起している致命的打撃でありまして、この一撃によつて遂にあえなき最後を遂げたのであります。それでただちに捜査本部を練馬警察署に設置いたしまして捜査いたしたのであります。現在までにそのそばにおつたと認められる者、それから共同謀議をしたと認められる者等をそれぞれ検挙いたしまして、一部は自供をしております。一部はいまだ否認のままでございまするが、大体においてアリバイ、それからその場にあつた凶器、それから本人の陳述、それらをいろいろ考察いたしまして、いわゆる小田原製紙工場の第一組合員の一部の者がこの事件に関連し、またこれを外部から使嗾いたしたと認められる、相当はげしい思想を持つた人々が数名加わつております。ただいま本事件は検察庁におきまして調査いたし、起訴されるということになつておりまするが、これらの点から考察いたしまして、もちろん印藤巡査は執行が相当嚴格でありましたので、他の点から恨まれたこともあろうと思いまするが、單に執行がはげしかつたということで、計画的にかくのごとく数名の者が共同謀議して惨殺するだけの恨みを買つている巡査ではないのでありまして、かような点から私どもといたしましては、はつきりこれは思想的背景を持つた一つの、一部の者に指導された惨殺事件であるというように推定いたしておる次第であります。また検察当局におかれましても、同様な推定をいたしておるものと考えます。
○内藤委員長 印藤巡査の惨殺事件は一部凶暴な思想的背景があつたということをお認めになつておるようですが、それからこの蒲田事件というのは大体こちらでもわかつておりますが、現在どういうことになつておりますか、経過だけをちよつと述べてください。
○田中証人 蒲田事件につきましては先ほどもちよつと述べたのでありますが、ちようどこの日は、前回述べましたように、全国的に展開いたしました反植民地デーの日でありまして、警視庁管下といたしましても相当厳重に警戒をいたしておつたのであります。その当日池上警察署を大挙襲撃するという一つの情報を手に入れましたので、警察側といたしましては、少くとも蒲田、大森、池上、あの方面に何か事が起るのではないかというので、相当警戒を厳重にいたしておつたのであります。ちようど二月二十一日の午後三時ごろから大森署管内にあります日本教具株式会社、これは今日本機器株式会社と言つております。この日本教具株式会社に三々五々労働者が集まりつつあるという情報を、警察側といたしましては入手いたしておつたのであります。そこで大森警察署なり蒲田警察署におきましては相当警戒を嚴重にいたしておつたのであります。その者がやがてぼつぼつ電業社の方面に移動するような気配がございまして、これも相当警戒をいたしておつたのであります。ところがこの電業社の付近に、大体五時過ぎごろでありますか、約三百名弱の者が集まつて、隊伍を整えておるという情報がございましたので、蒲田警察署の部長刑事が部下の一名の、その付近を警邏区として責任を持つております巡査に、情勢を見て参れ、そうしてただちに報告しろという命令を與えまして、巡査がその電業社の付近に自転車で参つたのであります、ところが突然にその警察官に暴行が加えられまして、打つ、なぐる、蹴るの暴行が加えられ、しかも拳銃は奪取され、ようやくその巡査は危機を脱してのがれたのであります。その際においてその暴徒の一部は二手にわかれまして、一部はさらにその付近の北糀谷の巡査派出所を襲撃いたしまして、あるいは器具を破壊したり、あるいは窓ガラスを割つたり、相当暴行を働きましたので、居合わせた警察官は、数名の警察官がその場におつたのでありますが、やむを得ず威嚇発砲をいたしまして、ようやくにして群衆は逃走いたしたのであります。一方その暴行を受けました巡査はようやく派出所に引上げたのでありますが、その際に一軒の民家の人が非常に親切に、警察官が今暴行を受けておるからということを本署に知らせて参りました。それによつてただちに署長は四十人近くの署員を率いまして現場に急行いたしたのであります。その際にさらに二手にわかれた群衆は一団になりまして、第二小学校でありますか、第四小学校でありますか、ちよつと記憶しておりませんが、小学校の前でこの群衆と警官隊が漕遇いたしまして、ここに両者の間には乱闘が行われたのであります。その際にこれらの暴徒は手に持つておりました竹やりあるいは棒切れあるいはパンク針、あるいは目つぶしそうしたものを盛んに警察官に投げ、あるいは抵抗いたしまして、ようやく七名の者をその場所において逮捕いたしたのであります。蒲田事件は反ちようど植民地闘争デーの一環として行われたものであります。当日同様の事件が練馬地区にも起つたのであります。これは幸いにしまして警察官が多数参りまして、事前に防止いたしましたので、練馬の方は何ら問題なく未然に防止できたのであります。
○内藤委員長 要するにこの蒲田事件というのは、ただいまの御説明によると計画的なゲリラ戰というようにも思われるわけですな。
○田中証人 私はさように考えます。
○内藤委員長 それから矢口の派出所を襲撃した事件がございますが、この事件について簡單にその経過を述べてくれませんか。
○田中証人 矢口の巡査派出所事件は、四月十七日朝七時ごろでありますが、あそこに東日重工業あるいは北信電気とか、相当大きな工場が多数ありまして、これらの工場に出動する労働者は朝夕多数道路を通行するのであります。今回の事件は目蒲線からおりました一部の者が、この出勤の労働者の中にまぎれ込みまして、約二百名くらいが通勤の労働者と一緒に通勤するようなかつこうをいたしまして、メーデー歌を歌いあるいはまた高唱しながら東日重工業の前まで参りました。その前で、これもはつきりしたことはわかりませんが、そこでインターを合唱いたしました。そのインターを合唱しているのと大体同じ時刻に先ほど言いましたいわゆる陽動作戦で、一方において警戒をそちらの方に集中させておきながら、一方において二人の労働者風の男が矢口の巡査派出所を訪れたのであります。そのときに田中という巡査が一人で勤務しておつたのでありますが、その田中巡査に少しあなたに見てもらいたいものがあるが、見てくれぬだろうかというので、田中巡査は何ごとであるかと思つて、それならば見てもよろしい、しかし通行人のおるところでは見せるわけに行かぬので、ちよつと奧の方へ入つてくれというので、二人の男が奧の休憩所に入つたのであります。田中巡査があとからついて行つて、新聞紙を開いて中のものを田中巡査が見ようと腰をかがめた瞬間に、いきなり外に待機しておりました五、六人の暴漢がどやどやと派出所の中に同時に入り込みまして、いわゆる羽交締めをいたしまして、のどを締めたのであります。そうしてそこにおいて相当猛烈な格闘が行われたのであります。そうしてこれも何か鈍器様のもの、多分石のかけらか何かではないかと思うのでありますが、頭部に一撃食いまして、それがために田中巡査がややひるんだすきに拳銃を奪取いたしまして逃走いたしたのであります。それを目撃しておりました付近の者が、ちようどその付近を通行中の同じく池上警察署勤務の交通巡査にただちに急報いたしましたので、その巡査も現場に行き合せまして、この巡査と田中巡査が共同で一人の逃走中の男を逮捕いたしまして、ただいまこれを追究中であります。近く連累者も検挙を見ることであろうと考えております。これも同様に何ら罪もなく、一般の公衆の保護のために立番中の巡査に、不法にも突然襲いかかりましてかような暴行をし、しかも二人が先に入つて五人が外に待伏せておつて、時期を見てただちに乱入して、五、六人の者が巡査に暴行を加えたということは、今のデモとこの派出所の襲撃とがはつきりと同時に行われたものでありまして、これははつきり計画的の集団暴行事件であるということを私どもは認定いたしておる次第でございます。
○内藤委員長 しかもこの連中が解散するときには、共産党万歳と叫んで解散をしておるようですな。そういうところから考えてみると、どうです。これは目下伝えられている中核自衛隊というようなものの出動だと思われませんか。
○田中証人 本事件におきましてもデモが——これは私も報告を受けたことでありまして、私が現認した事実ではありませんから、はつきりしたことは言えませんが、東日重工業の前でインターを歌い、解散するときに日本共産党万歳と叫んだ、私はそういうふうに聞いておるのであります。従つて本事件が日本共産党の指令によつてやつたかどうかということははつきりいたしておりませんが、何かそこに関連性があるのじやないかという一応の疑惑は持つております。
○内藤委員長 かような印藤巡査殺害事件といい、蒲田事件といい、矢口派出所の襲撃事件といい、まことに狂暴狂悪なる襲撃事件があなたの管内にひんぴんとして起つておるが、この第一線に活動しておられる警察官に與えた影響等はどういうものでしようか。
○田中証人 こうしたひんぴんとして起ります警察官並びに警察官署に対する襲撃事件につきまして、当庁といたしましては、それぞれ警戒警備を厳重にいたしておることはもちろんでございますが、警察官個々の心理状況につきましては、中にはこうした事件に対しまして若干憂慮しておる者もございますが、私の聞く範囲におきましては、全国の警察官に対しましてあるいは迫害を加えたりいやがらせをしたり、そうした事件が起るたびに、警察官全体といたしましては、むしろ逆に強い正義感からこれに対し強い憎悪の観念を持ち、必ず次回は逮捕してみせるというような強い信念に燃えて、むしろ全警察官の士気がこれによつてますます高揚されて行くのじやないか、逆にそういう結果になつておるのじやないかということも私どもは考えます。警察官といえども人間であります。従つてその同僚が不当に迫害を受けたことにつきましては、同じ職場に働く人間としてこれに対して同情を持ち、またそれに対していわゆる同志的な一つの反感な持つということは、人間として当然のことであろうと私は思います。かように考えております。
○内藤委員長 かような事件に遭遇するたびに畏怖、恐怖することなく、かえつて逆効果が現われて来て警官の士気は高揚しておると思われます。 そこであなたは自治体警察連合会の会長をしておいでのようでありますが、自治体警察連合会とはどういうものでございましようか。その会長として、中小自治体警察の警備態勢等も十分であるとお考えになりますか。この点を御説明願いたい。
○田中証人 自治体警察連合会と申しまするのは、自治体警察ができましてから、自治体相互の警察官の待遇改善並びに装備施設の改善を目途といたしまして、相互に連絡協議会をつくろうではないかという議から、全国的に自治体警察連合会というものが結成されたのであります。これを自治体警察連合協議会といつております。この自治体警察長連合協議会の組織は、まず県内の自治体警察が集まつて何々県自治体警察長連合協議会というものが下部組織としてできております。その上に全国を北海道・東北・東京・大阪・中国・四国並びに九州の六警察区にわけておりまして、この六警察区にさらに県の自治体警察長連合協議会が固まつて、警察区協議会ができております。そしてこの六つの警察区協議会がさらに全国一つになつて、全国自治体警察長連合協議会ができております。その会長、副会長は会員の互選によりまして選任いたしておるような民主的な団体でございます。ただいま私が全国自治体警察長連合協議会会長に選ばれまして、その職に当つておる次第でございますが、この自治体警察連合協議会はあくまで自主的な組織でございまして、この下部機構に対しましては何ら命令系統はないのであります。指揮命令権はございません。主として相互の自治体警察官の待遇の改善——待遇の改善は特に政府からの平衡交付金等の財政的援助にまつところが非常に大きいものでありますので、政府に向いまして平衡交付金の増額を要望いたしましたり、あるいは警察の購入いたしまする器具に対する免税の要望をいたしましたり、あるいはまた装備施設の改善につきまして、相互に意見の交換をして改善を期しておるような次第であります。従いましてこれはあくまで相互扶助の自治機関でありまして、命令系統はございません、今のところ民主的な運営によつて自主的な運営をやつておるような次第でございます。
○内藤委員長 どうでしよう、中小自警の警備状態等は、総監として十分だとお考えになりますか。
○田中証人 現在私の方は大きいので、小さなものは個々につきまして十分に了知いたしておりませんが、現在の状況におきましては、ことに小さな町の警察は、昨年の警察法の改正によりまして、一般住民投票によつて国警に編入されることになりましたので、財政的に非常に乏しい町村はそれぞれ国警に編入されました。それでただいまのところでは、大きな町及び市が自治体警察をつくつておるのでありまするが、現在装備施設におきましても逐次向上せられておりますので、十分ではありませんが、大体警備上について遺憾ないと考えております。この問題は政府におきまして、小自治体の財政的の援助の面においていま少し十分に小さな市の財政を勘案せられまして、平衡交付金等も十分に支給されるようにしていただきましたならば、さらに装備施設等も一層改善されるのではないかということを、かねがね小さな自治体警察からも政府に向つて要望いたしておるような状況でございます。結論から申しますと、現在では十分ではございませんが、警備上において大体において支障はない、また万一のときにおきましては、それぞれ国警からも十分に応援をしていただくことになつておりますので、ただいまは各県におきまして国警、自警相互に緊密なる連絡をとつて、警備上遺憾なきを期しておると私は信じておる次第であります。
○内藤委員長 最近集団暴行事件が頻発しておりまするが、これに対して一般市民は協力をしておるかどうか、この点についてあなたのお考えがあるならばお述べ願いたいと思います。
○田中証人 先般来起つております数数の事件に対しては、一般市民は相当警察に同情をし、警察に対して御協力をいただいております。しかしながらこの一般市民の協力につきましては、普通の刑事事件の犯罪が起つた場合、たとえば千住の富士銀行のギヤング事件が起つたとか、あるいは帝銀事件が起つたとか、そうした場合の普通の刑事事件におきましては、一般市民はきわめて活発に、また率先して御協力をいただいておるのでありまするが、ただ思想的背景を持つ集団暴行事件等におきましては、一般市民は何となくあとのいやがらせ的行為がありはしないか、あるいはまたあとで暴行脅迫を受けるおそれがあるのではないかというので、そうした面から思想的背景を持つ犯罪の検挙につきましては、他の犯罪と比較しますると、一般市民の協力の度はきわめて少いと申し上げるほかないのであります。またわれわれの方でも、かかる集団暴行事件等におきまして、市民の御協力があります際は、これはほんとうから申しますれば、公公然と表彰でもして差上げたいと思うのでありまするが、それをやることによつて、かえつてその方に迷惑をかけるようなことがあつてははなはだ申訳ないと考えまして、それすらも差控えておるような次第であります。それからなお将来一般市民の協力に対しまして、万一その市民が迫害を受けたりするような場合も考慮いたしまして、もしこうした場合が起つたときにおきましては、警察側としては最善の努力をしまして、その方々の警戒をする、財産の保護、生命、身体に対する保護に万全の措置を講じつつあるような状態であります。もしこうした市民の方々が身に迫害を受け、あるいは負傷したりあるいは財産に損害を受けたような場合におきましては、何らか国家において十二分に補償する制度をつくることが必要ではないかというように、私具体的の問題からそうしたことが必要であることを現在痛感いたしておる次第であります。
○内藤委員長 集団デモに伴う暴行とか傷害あるいは公務執行妨害等の事犯の検挙は、おおむね犯行が終つてからなされておりますが、この点はどうです。事前にこれを防ぐ方法はないものでしようか。
○田中証人 集団暴行事件その他の検挙の状況でございまするが、これははなはだ遺憾でございまするが、いつもあとになつて検挙するということになつておるのでありますが、もちろん事前におきまする検挙ということは、——これは集団暴行事件等は、現在やはり普通の刑法によつて、いわゆる個人的犯罪を対象とした一般の刑法によつて、これを検挙いたしておりまするので、まだ集団暴行事件にならぬ先に予防的に検挙するということは、現在の建前としましてはできない。従つて勢いそこに暴行事件が起り、被害者があり、損害が起つたということによつて、初めて検挙ということがあるわけでありまして、もちろんこれがためには十分に情報を蒐集いたしまして、そうした集団暴行事件の起らぬ先に、警察側としましては警備に万全の措置を講じまして、こうしたことを今後も十分に防止して行きたい、かように考えておる次第であります。結局警察の警備情報があるいは不十分であつたか、あるいはその場における警察官の措置が十分でなかつたか、あるいは全然警察官がいなかつたということによつて、よくこうした事件が起りますので、今後は十分にひとつこういつたことに注意して、なるべくこうしたことのないように、事前の防止措置を十分にとりたいと考えておる次第であります。
○内藤委員長 この五月の一日には、いよいよ日本独立第一回のメーデーが行われることになつておりまするが、これまで当委員会においていろいろ騒擾事件等について調査を進めて来たところによると、いわゆる民主的な労働階級の真に経済的要求をしようという目的を持つた合法的な会合に対して、非合法的な、しかも何らかそこに他の目的を持つた者が割込んで来て、この行進等を別の方面にひつぱつて行くということが、京都なり、広島なりの実情を見ても、明らかになつておる。この際独立第一回のメーデーは、日本の労働階級といたしましても、厳粛な、しかもその目的を達するために大切なメーデーであると私たちは考えておるが、一部過激分子の扇動、あるいは暴動化する、あるいは騒擾化するというようなおそれ等は、今までのところにおいてはありませんか。
○田中証人 今回のメーデーは、委員長のお説のように、講和発効後における第一回のメーデーでございまするので、メーデー主催者の幹部の方々と警察側と、これまでも十二分にお互いに連絡を遂げておる次第であります。昨日も夕刻まで、メーデー主催者の方々と警察当局と、コースの打合せ、それから解散場所の打合せ、そのほか技術的な詳しい点につきまして、お互いに連絡をとつておる次第でありまして、お説のように、むしろメーデーは労働者諸君のいわゆる一年に一回のカー二バルでありますので、明朗な、しかもはつらつとしたメーデーを行い、もつてメーデーの目的に沿うことが必要であるということは、警察側もかねてから要望いたしておる次第でありまして、かかる点を主催者側とも数回とくと話合つておる次第であります。ただメーデーはあくまで労働者諸君の自主的な運営によつてこれを行わねばならない。メーデーに対して警察官が取締りをするというのではなくて、警察はメーデーの実施に対して、交通上の支障がある場合においては、これに交通上の統制を加えて保護を與える。しかもメーデーの取締りその他は、一切主催者側において責任を持つて、自主的にひとつやつてもらいたい。こういう建前からいたしまして、メーデーの実施につきましては、主催者に全責任を負つていただくという建前をとつております。しかしながら主催者はさような気持を持つておりましても、ときに、中にごく少数の過激不穏の分子が潜入いたしまして、このメーデーを騒擾的に持ち上げようというような計画がないでもないのでありまして、この点につきましては主催者側にも十分に注意をし、また主催者もその点において細心の注意を払つてやつておるようでありまして、私どもにおきましては、今回のメーデーがきわめて円満に、平和裡に実施されることが、労働者大衆の福利のために最もよいことではないかと念願しておる次第であります。
○内藤委員長 ただいま田中総監の証言で、警察のメーデーに対する立場等は十分わかりましたが、しかし單にそういういわゆる理想的なお考えのみを持つておられても、これはどういう者が潜入して来ないとも限りませんから、なお真の労働運動のために、ひとつ十分の打合せと御警戒とを願つておきたいと思います。 他に御質疑はありませんか。
○高木(松)委員 とにかく警察の使命は、先ほどから警視総監の言われるように、りつぱな使命を持つておりますが、各種の事件の起きることは、われわれとしてまつたく遺憾である。そこでこの各種の事件は、現段階において、一般刑法及び刑事訴訟法によつて捜査し、そして検挙しておるのですか。
○田中証人 これらの暴行事件につきましては、主として刑法、あるいはまた暴力行為等処罰に関する法律、あるいはまた政令三百二十五号違反、あるいはまた団体等規正令の違反、あるいはまた都條例に基く集会並びに集団行進、集団示威運動に関する條例、その他の法令によつて、これを処断をいたしておる次第であります。
○高木(松)委員 そうしますと、先ほどから証人のお話によると、うしろに深いものがある、こう言つておられる。そのうしろに深いものがあつて、そして行動隊を動かしておる、刑法上いわば教唆といいましようか、いろいろな法的根拠があると思いますが、その線に沿つて、うしろに深くひそんでおるものまで捜査し、検挙しておるのですか。
○田中証人 これらの東京都内に起りました集団暴行事件はもちろんのこと、そのほか全国各地に起りました集団暴行事件の様相を解剖してみますと、大体いずれにおきましても、一つの方程式にはまり、また一定の様式にならつて、これが同じような形式において繰返されておるというところを見ますと、これは單に突発的、偶発的に発生した集団暴行事件でないということは、これは常識的に考えられるわけであります。しからばどういうようなことになつておるか。東京都内の集団暴行事件を例にとりましても、球根栽培法にいつておるいわゆる闘争戰術を、そのまま地にやつておる。あるいは敵から武器をとれというので、拳銃を奪取したり、あるいはまた目つぶしを食わせたり竹やりを持つたり、パンク針を投げたり、いろいろなことが、この戰術の内容から見まして、どうもそれに該当するのではないかともうかがわれるのであります。 それからいま一つ、先ほど申しましたいろいろな武器の製法——これらの集団暴行をやる者はこれを武器と称しておりまするが、こうした武器の製法等は栄養分析表の中に書いてあるものに全部そつくりであります。それからレポが使つておりまするレポ用紙があるのでありますが、こうしたレポ用紙は、要するに警察官に見つかつてもすぐ焼いてしまうようにできておりまして、これはただちに燒滅する一定の薬品をもつてつくつたものでありまして、これはどこのレポも同様なものを使つております。しかも警察官の手に同様なものが入つておるところを見ますと、これは私はやはり一定の指揮のもとに、指揮と申しまするか、一定の指導のもとに、いわゆる軍事行動の一環としてこういう行為がなされておる、一つの集団暴力行為であるということが一応うかがわれるのであります。
○高木(松)委員 今の証人の証言を承つておると、要するに治安の責任を持つあなたとしては、この根本の問題を一掃しない限り、将来この極事案が連発するということを憂えておりませんか。
○田中証人 こうした繰返される事件を見ますと、私どもといたしましては、まず第一にこれらを防禦する治安立法というものが、今申し上げましたような一般刑法であるとか、団体等規正令であるとか、あるいは政令三百二十五号であるとか、あるいはまた暴力行為等処罰に関する法令であるとか、あるいは條例であるとか、そういうものが一応できておるのでありまするが、これらを根本的に取締る法令というのは、現在では不完全であります。今回政府におかれて破防法というようなものが国会に提案されておるようでありまするが、破防法は、集会並びに示威運動、示威行進、これは正当なる集会、正当なる示威運動、正しい集団行進等は当然認めねばなりませんが、しかしながらこの暴力活動をねらうところの集会、あるいは社会不安をかもし、または社会秩序を乱すような示威運動、示威行進等は、当然法によつて取締りをせねばならぬのであります。ところが現在これらを取締る條例等は、東京都は都條例によつてできておるのでありまするが、地方におきましては、県條例もできていなければ市條例もできていない。さしあたつて四月二十八日に條約が発効いたしますと、不法なるメーデーすら取締るのに完全な法令がないというような状態でありまして、治安維持の面から見て、非常に支障を来すのではないかと思うのであります。かような意味から、現在の治安立法の破防法とかそうしたものは、早急にひとつ成立を希望いたしておる次第であります。そのほか現在の刑事訴訟法の手続におきましても、現在の刑事訴訟法は、一人の人権を尊重するために社会多数の人権が蹂躪されるというような結果にもなるのでありまして、かような点を十分考えられまして、刑事訴訟法の黙秘権の行使のごときは、その一人の黙秘権の行使を認めるために、社会大多数の人々の生命、身体、財産が保護されないというような結果にもなりまするので、こうした刑事訴訟法の規定のごときも、やはり時代に即応しまして、若干是正される必要があるのではないか。要するに治安立法全体として十分に御検討願う必要があるのではないか。警察はかりに都市の警察官でもいなかの駐在巡査でも、警察官としての職務遂行の熱意においてはかわりはありません。身命を賭して祖国の防衛のためにただいま一生懸命やつております。その一身を犠牲に供して祖国の捨石となつて働こうという熱意はあるのでありまするが、残念ながらいろいろな治安立法等におきまして欠くる点があり、残念ながら武器がない。従つて十分に取締りができない。呑舟の魚を逸するというような状況で、警察官全体としては今切歯扼腕しておるような状況なのであります。
○高木(松)委員 それで大体わかりましたが、最後に、先ほど証人は、一般の国民が警察に協力したときに、国家が考うべきことについての思いつきといいますか、実際取扱つていての意見を述べられた。私は先ほどから証人の言われるように、警察官がその職責を自覚して、一般民衆の治安維持のために、一般の利益のために努力せられておるその姿に対しては、まつたく感謝いたしますが、国としてこれらの人に対する待遇、処遇が十分でなければ、少くとも現段階における日本の国情から、これらの人がその精神を生かして職務に精励することはできないと思うが、この点に対する御意見はどうです。
○田中証人 まさに御説の通りでございまして、もちろん警察官といたしましては、こうした続出する不法な行為に対しまして、警察官個人として、人間として憤懣の情やる方なく憤激をいたしておるのでありますが、それにいたしましても、やはり警察官が敢然として職務に邁進して、しかも身を犠牲に供してこれらの暴漢と闘うという場合におきまして、何と申しましても、やはり扶養家族を多数持ち、しかも恵まれざる生活をしておりまする警察官といたしましては、やはり何となく後顧の憂いはあるであろうということは当然でありまして、これに対しまして現在警視庁といたしましては、いわゆる地方公務員法によるところの災害補償に関する規定によりまして、それぞれ職務上死亡、疾病、負傷をしたような場合におきましては、規定によるところの諸給與を給する以外に、警視庁独自の立場におきまして、特別救慰金並びに見舞金給與規程というものを設けまして、これら遺族の葬祭料等につきまして、相当な額を呈上するような措置を講じております。しかしながらとうていこれだけでは足らぬのでありまして、現在国警におきましては今回相当な、百万円から五十万円くらいの見舞金を出すということにきまつたのでありますが、一昨日全国の自治体警察長の代表会議におきまして、地方の小さな自治体におきましては、この百万円の金を出すことが非常に困難でありまして、できれば半分くらいは国家がひとつぜひ援助してほしいというような自治体警察側からの要望がございまして、これは私は無理からぬことと考えております。こういつたことにつきまして、政府として十分御考慮のほどをお願いいたす次第であります。
○高木(松)委員 最後に一言、各種暴動、暴行、殺人等が行われているいわゆる原動力、底の力というものは、世間ではほとんど一致したように日本共産党だと言つておるのですが、あなた方が職務執行の面において、日本共産党がさようなことをしているような証拠もしくは推測等はどういうふうになつておりますか。
○田中証人 われわれは新聞その他によりまして、こうした集団暴行事件なりあるいは思想的背景を持つ殺人または傷害事件の起ります際に、常に思想的背景の点につきましていろいろ捜査をいたしております。ただ警察当局並びに検察当局といたしましては、單にそうしたものであろうという推定とか、あるいは單に常識によつて日共の指導であるということを断定することは、非常に困難でありまして、われわれとしましては、何らかそうしたものがあるのではないかという一応の考えを持ち、またそうしたいろいろな反響もございますので、現在それらに対しまして、非常に周到に、緻密に捜査をいたしまして、何らかそこに確証が上つたならば、それはそれとして処分するというような態度に出たい、かように考えております。
○川本委員 証人は先ほどの証言の中で、弱小自治体警察の現状から推して、平衡交付金の増額を要望されておつたようでございますが、自治体警察の連合会長として、証人は現在の中小自治体警察に対して——昨年度の平衡交付金の交付額で不足なことはわれわれも了承しておりますけれども、少くとも昨年度よりどの程度の増額を要求しておられるか、その点を伺いたい。
○田中証人 ただいまの御質問に対しまして、私今ここに不幸にして資料を持ち合せておりませんが、最近の地方自治体警察の実情を申し上げますと、やはり人件費におきまして、全体としての基準が増額されておりますると同時に、また事件発生の度数が多いために、捜査費なり旅費なりあるいは施設の改善費に相当な額が必要になつております。従いまして少くとも昨年度交付された平衡交付金よりも、相当増額を各自治体警察は要望いたしております。ただそれが警察官一人当り何万円であれば十分であるかというような金額につきましては、今資料を持ち合せておりませんので、私はそれに対してはちよつとお答えできないのでありますが、少くとも相当な増額を要望しておるということだけは、申し上げてさしつかえなかろうかと思つております。
○川本委員 御承知のようにこの交付算定の基準は、平衡交付金法によつてきまつておるものでありますが、幸いに政府は、本国会に平衡交付金の算定基準改正の案を出しております。これらの問題につきまして、自治体警察の方として、自治体関係の方へ何らか要望された事実があるかどうかということと、さらにこれは警察起債の問題等によつて救済されて行かなければ、他に方法はないと思いますが、起債などの点について、本年度の予算の面ではどの程度認められるようになつておるか、その点を証人は御承知であつたら伺つておきたいと思います。
○田中証人 平衡交付金の算定基準が近く改正されるということも、われわれあらかじめ了承いたしておりますので、地方財政委員会並びに自治庁方面には絶えず連絡をつけ、またお願いもいたしておる次第であります。それからさらに大蔵省方面にも要望をいたしておる次第であります。なお今後一層努力いたしたいと考えております。 それから警察起債の関係でございますが、警察起債は、はなはだ残念でありますが、地方財政法の末尾に、自治体警察創設当初、創設のために要する経費については、当分の間起債を認めるということがあるわけであります。この一箇條に非常に制約をされまして、自治体警察創設に関する経費について「当分の間」という規定があるために、もう自治体警察ができてから四年以上ではないか、今さら創設の経費でもあるまいというので、こういう点から昨年は、要望される額はほとんど達成されておりません。全体として二十数億の要望額があつたのでありますが、これに対しまして、わずかに三千万円が二千万円の起債額が特別に承認をされたということでありまして、これらにつきましても、この規定を根本的にひとつ改正していただきまして、たとえば自治体警察の臨時的に要する経費であるとか、あるいは何かそういう文句にかえていただければ、さらに起債の面におきましても、恩恵に浴するのではないかということも考えております。
○川本委員 私としても関係の委員でありますから、でき得るだけ御期待に沿うように努力いたしますが、何を言いましても、こうした最近頻発する事件の様相から見まして、いろいろな立法措置を講じつつ、他面弱小の自治体警察の裝備の不備な点は、早急に完璧を期するようにしなければならないと思いますので、証人としてもその方面で、連合会長として大蔵省並びに地財委方面に、十分ひとつ働きかけられるように要望して、私の質問を終ります。
○内藤委員長 藤田義光君。
○藤田委員 最近の東京における各種事件を通覧いたしまして、この際警視総監に二、三お伺いしたいと思います。 まず第一は、最近の治安状況にかんがみまして、警視庁では機構改革を断行されたようでございますが、この改革の根本的なねらいをこの際お聞かせ願いたいと思います。
○田中証人 今回警視庁におきましては、四月十五日付で警視庁の全機構を改革いたしたのであります。そのねらいといたしましては、第一に警備重点主義であります。首都の警備を全うすることこそ、日本全国の治安を全うすることである、という考え方からしまして、警備重点主義にいたしまして、警備に第一部、第二部を設けたのであります。警備第一部は警備実施方面を担当し、警備第二部はすなわち集団暴行事件、団体等規正令の関係、その他外国人の保護及び外国人登録令、出入国管理令等の取締りというような点に重点を置いて、警備第一主義でいたします。それから第二は、すなわち国会並びに政府その他都議会、都庁というような方面との緊密なる連絡を保持する必要からして、新たに総監室を設けまして、総監の補佐としまして総監室長がそういうことに十分活動ができるような措置を講じたのであります。そのほか新しい情勢に応じまして、いらなくなつた課を廃止したり、新たに課をつくつたり、そうした機構改革を実施いたしました。
○藤田委員 現在国会で審議中の破壊活動防止法が成立いたしました際におきまして、当然公安調査庁との連繋ということが非常に重大問題になつて来ると思いますが、この公安調査庁との連繋はどこでどういうふうにおやりになる予定でありますか。この点はわれわれの審議にも非常に重大な関連がありますので、この際お伺いしたいと思います
○田中証人 破防法が成立した場合におきまして、公安調査庁が設置される。それに対しまして当庁といたしましては、主として警備第二部に公安第一課、公安第二課、公安第三課というのができておりまするが、大体におきまして公安第二課が、この破防法の関係でできる公安調査庁と接触することになるのではないかと考えております。必要によりましては、公安第一課もこれに加わると考えておりますが、大体において公安第二課、必要によつては公安第一課が関連を持つということになると思います。
○藤田委員 独立後の東京の治安が、全国民の非常な関心の的になつております際におきまして、種々重大な事件等が続発いたしております。現在警視庁の一角にもMPの本部がありまして、東京の治安維持に協力いたしておりますが、大体進駐軍関係のMPの完全に引揚ける時期はいつころになつておりますか。講和條約の効力発生と同日に実施されるのであるか、あるいは相当先に繰越されるのであるかお伺いいたします。
○田中証人 現在の警視庁の中には、MPの休憩所みたいなものが一箇所階下にできておる以外は、警視庁本部にはかつて国際裁判所の法廷が設けられたことがありますが、これはすでに引揚げられたのであります。それから現在の警視庁の中にありまするMPの休憩所も、近くこれは引揚げることであろうと考えておりまするが、まだこれは具体的になつておりません。しかしこれはごく小さなものでありまして、警視庁全体の活動には何ら支障がございませんので、われわれの方としましては、いずれ近く何らか話をつけたいと思つております。そのほか先般MP本部から、警視庁の各警察署にMPの休憩所をつくつてほしいというような要望がございましたが、これは私は行政協定の趣旨にももとるし、また講和発効後において警察署にMPが駐屯することは、かえつておもしろくないという立場からこれを私は拒否いたしました。
○藤田委員 現在警視庁の巡査とMPが共同パトロールをやつておりますが、これは独立達成後に街頭でこういう風景を見ますと、非常に悪い印象を與える危険があります。こういうものの解消時期は大体いつごろになつておりますか、この際お伺いいたしたい。
○田中証人 現在共同パトロールは御承知のように、東京都内には相当多数の進駐軍がまだ生活し、また都内におきましても、相当多数の進駐軍が往来をし、また出入りをいたしております関係上、パトロールのジープにも現在日本の警察官が同乗しておつた方が非常に仕事がやりいいという單なる便宜上の理由から、現在共同パトロールをやつておるわけであります。これも必要があるならば残す、なければ廃止したいという考えでこれもMP側と今交渉中でございます。早晩これも廃止されるであろうと考えております。
○藤田委員 現在の警視庁の法的な性格という問題に関しましては、政府でもいろいろ研究中のようであります。この問題は最近の各種事件と照し合せまして、将来の公安調査庁あるいは国家警察との法的な関連性をかえる必要があるのじやないか、たとえば首都警察というようなものをつくりまして、都議会の制肘を受けない独特の性格というようなものをつくる必要があるのじやないかということが言われておりますが、この点に関しまして、総監何かお考えがありましたら、この際お伺いしたいと思います。
○田中証人 現在の警視庁の法的性格といたしまして、これは自治体警察ということになつておりまして、その経費一切は地方費であるところの都費をもつて支弁をいたしております。しかしながら、実際におきましては、單に自治体警察としての面と、また国家的性格を帯びた二つの面を持つております。現在の警視庁を單にこれを全部国警にしていいかどうかという問題も相当あると思うのでありまするが、ただこの六百万の都民生活というものは、警察と大きな密接な関係があるのでありまして、そういう点からやはりこの六百万の都民生活に直結した、いわゆる民主警察というものも一面においては必要であろうと同時に、また東京は政府の所在地でもあり、また重要な警備対象もございまするので、やはり国家的の性格も多分にこれを含まねばならぬという二面の性格を持つているのであります。この点につきましては、首都警察というものができた方がいいか、あるいはまたそうでなくして、経費を分担して現在のままにしておいた方がいいか、それらの点につきまして、私どもいろいろ研究はいたしておるのでありますが、おそらく法務府におかれましても、あるいは法務総裁におかれましても、いろいろ御研究になつているのじやないかと思います。私といたしまして、ここで具体的にどうであるかという意見を申し上げることはちよつと差控えたいと思います。
○山口(武)委員 田中総監にお尋ねしますが、警視庁の管内に、これまでの警備係、あるいは特別捜査班というようなものとは別に、特別警備班というものが現在つくられてあるのでしようか。
○田中証人 現在警視庁の管内には、今の御説のような特別警備係というようなものはありません。警備係あるいは特捜班というものはありますが、特別警備係というようなものは現在ありません。
○山口(武)委員 それではさらにお尋ねいたしますが、昨年の六月一日から創設された特別警備班は、警備課の第二係長の管轄だと申しますが、現在ではほかの管内の十の警察の署長のもとに、それぞれ特別警備班というものがつくられて活動をしておる。この活動というのはいわゆる特高活動を行つている。それでこれは共産党を非合法にするというような事態に備えて、あるいは特別に操作するというような任務を持つて組織的系統的な特高活動を行つているといううわさを聞いておるのでありますが、そういう事実はまつたくないのでしようか。
○田中証人 そういう事実はございません。私は警視総監ですから全体を統率しておりますが、私自身が知らないのです。そういう事実はありません。
○山口(武)委員 それではさらにお尋ねいたしますが、警察手帳というものは、これは特別な手帳でありまして警察部内の規程に基いてつくられている。従つてそれに記載されるものは、特別に職務上の事項であるとか、あるいは警察官のその任務に関係のあることが記載されるものである、このようにきめられている、この点はいかがですか。
○内藤委員長 山口君、ちよつと事件からはずれておるように思いますが……。
○山口(武)委員 関係があるんだ。
○田中証人 警察手帳は警察官の職務上必要と認めた事項を書くわけでありまして、何を書こうがこれは警察官の自由であります。
○山口(武)委員 ただいま言われましたのは、職務上に関して何を書こうがかまいませんとおつしやつたわけですね。 さらにお尋ねいたしますが、先日いわゆる東大事件に際して警察手帳が取上げられた、この内容というものは新聞紙上にも発表されているのです。この新聞紙上における記事を見ますると、そこに書かれているものは、ほとんどいわゆる特高活動というものに関するものが書かれている。こうなつて参りますると、その警察手帳の性格の上から見まして、これらの警察官の諸君が特高の活動を行つていた、このように推論できるわけでありまするが、この点はどうでしようか。
○田中証人 お答えいたします。今特高活動と仰せになりましたが、御承知のように特高警察というものは一定の思想そのものを犯罪として、その思想を持つているだけでもつて処分する、取締る、その思想を発表するだけで取締るということがいわゆる特高警察の一つの重点であります。ところが現在では国民がいかなる思想を抱こうが、いかなる思想を発表しようが、それはそのものだけでは犯罪にならないのであります。従つてこうした前提がないところに特高警察というものは絶対に存在できない。従つて現在では特高警察はないと同時に、またいかなる事態を書きましても、従つてそれが特高活動にはならぬということでございます。
○山口(武)委員 ただいまの話ですと、犯罪の取締りということを前提とした場合に特高活動が成立するんだ、思想を持つことが犯罪の前提になつた場合にそうなる。しかしながら今の言葉によりますと、田中警視総監は個人の思想の問題や個人の生活の問題、あるいは個人のいろいろな日常の行動の問題に対して調査するのは、これは特高活動には入らないという意味で言われたのでしようか。
○田中証人 お答えいたしますが、個人の思想を警察が取調べをする必要は現在全然ございません。何となれば、いかなる思想を持とうがその思想そのものを犯罪として処分する規定はないのであります。従つて、どんな思想を抱いていようが、これを取調べる必要は警察には毛頭ない。また警察官がそういうことを調べることは、これは権限外でありまして必要ないと思います。また一般に、たとえばある所に犯罪が起つた、殺人事件が起つた。どうも容疑者の生活が非常に犯罪に関係があるといつた場合においては、これは個人の生活様式その他についてはあるいは内偵したり、視察したりすることはあるが、しかし思想だけではそういうことは全然ありません。
○山口(武)委員 そういたしますと、公表された警察手帳の内容で、個人の思想の傾向とか、あるいは生活上の日常の行動というものを調べましたのは、何のために調べたのでありますか。
○田中証人 その点につきましては、すでに国会等におきましても、いろいろな席上ではつきり答弁してございますから、その速記録をごらんになれば、同じようなことが何回も質問がありまして、何回も答弁申し上げておりますのて、参議院、衆議院の法務委員会の速記録を全部ごらんを願いたいと思います。それには同様の御質問に対して何回も各委員会で答えておりますので、その点で御了承を願いたいと思います。
○山口(武)委員 今お尋ねいたしましたのは、最近の東大の数次の事件にしろ、あるいは教育大学における事件にしろ、警視庁側の特高活動というものがあつて、あるいは特高的な活動というものがあつて、これに対する学生の憤激というものが現われたのではないか、こう考えてお尋ねしたのでありますが、この点はいかがお考えになつているか。
○田中証人 これらの事件におきまして、私はほんとうに学生の憤激したのは全体の学生でないのでありまして、ごくほんの一部の学生が憤激したのであります。全体の学生としては、こういう問題についてはあまり関心を持つておりません。
○山口(武)委員 なるほど全体の学生が直接的にその問題に関與するということはなくも、しかし居合せた者、あるいは地理的関係、そういう幾つかの事情からあり得ると思います。しかしながら数十名あるいは数百名、数千名の人がこの問題に関して直接間接に関心を持ち、関與して来ている。あるいはこの問題に対する警察に対する見解の発表という形においても少くとも関與している。こういうような問題になつて参りますと、たまたま一名、二名で起つたということはありませんので、そこに起るだけの社会的な條件というものがなければならないのではないか。これについて警視総監はどう考えておるか。
○田中証人 お答えいたします、こういう問題につきまして、最近は学生の内部において批判が行われておりますが、われわれとしましては学生自体としてこうした問題をお互いに話し合う、むしろ学生自体において批判し合つてもらうことが必要じやないか、こういうことを私は考えている。東大内部におきましても、現在の一部の学生のやつている行動に対して相当批判が行われている。むしろ私はそういう傾向を希望しているわけであります。
○山口(武)委員 それはそれなりで、あなたのお考えとしてはけつこうだろうと思います。しかし警察の学校に対する干渉、というとあなたは怒るかもしれませんけれども、そのような事態が少くとも問題の紛糾の直接の原因になつている。さらに先ほど来のあなたの証言にありましたように、そういうものを今後強める、あるいは法規上の取締りを強化して行く、こういうことは問題を解決することでなくて、より深刻な問題を起す原因を深める、大きくしはしないだろうか、こう考えますが、この点はいかがですか。
○田中証人 警察は、学校の自治なり、学問の自由とか、学園の自治を十分尊重いたしておりまして、何ら学校に対しまして干渉する意思も、またそうした気持もございません。ただ学校内に起りつつある一部のフラク活動に対して関心を持つておるわけであります。それから法規上の取締りを強化したらかえつて悪くなるのじやないかと言いますが、私どもはいわゆる破壊的、暴力的な活動をするものに対する取締りを希望しておるのでありまして、健全な労働組合を取締るとか、そうしたものの取締り法規じやなくていわゆる破壊的な活動を防止するための法規を希望している、こういう意味であります。
○山口(武)委員 あなたの言われる——破壊的、暴力的という言葉がありましたが、エジプトにおける学生、あるいはイランにおける学生、あるいはその他の植民地各国における学生の行動にも、おそらくあなたの言葉がそのまま適用されるのじやないか、と私はこう思うのです。それはそういうものが起るだけの社会的な條件があるからであると思う。先ほどあなたは権力への反抗闘争と言われましたが、これが権力への反抗闘争というようにあなた自身も認められているとしますならば、それ自体重大な問題だ。何のために権力への反抗闘争が起るのか。たまたまだれか少数のものが起そうと思つて起るものではない。かりに少数のものが起したとしても、それは起るだけの社会的條件があるから起つたのだ。あなたの言われるような意味におきましては問題は解決されませんし、警視総監の考え方に問題があるのではないかと思いますので、念のためお尋ねしておきます。
○田中証人 私が警察に、すなわち権力に対して反抗闘争と言うのは、それは私が言つておるのじやなくて、暴力行為をやつた者がポケツトに持つている秘密文書にそう書いてあるのです。それからとらわれたものが言つておるのです。それを代表して申し上げたのであります。
○内藤委員長 田淵君。
○田渕委員 おさしつかえがあつたら発表願わなくてもよろしいのですが、国家警察において拳銃を奪取された数はほぼわかつておるのでありますか。たとえば最近においても二ちようの拳銃を奪取されております。総監は全国の自治体警察連合協議会会長として、全国の自治体警察でどのくらい奪取されたという報告があります。それが捜査上、取締り上おさしつかえがなければその数字を、発表していただきたい。
○田中証人 現在全国の国家地方警察並びに自治体警察の拳銃に関する限りは、国警において全部まとめて取扱つておりますので、かりに警視庁で拳銃がとられましても、国警本部にそのことを報告してございますから、その点はむしろ国警本部からお聞きとり願つた方が正確な数字が出るのじやないかと思います。
○田渕委員 昨日当委員会で証言されました広島民団の金在賢君の話を伺いますと、北鮮系と民団側、いわゆる南鮮系との関係は、現在の国警、自治警の取締りを待つておつては、もうわれわれの生命財産が保護できない。よつて日本政府並びに取締り機関が彼らに対する対策を立ててくれないならば、みずから防衛するために打つて出ようと思う。むしろこちらから攻撃に出ようと思うというようなお話がありましたが、実際いろいろな制度、機構、法律の欠陥、また総監が述べられた事後検挙というような点から、あるいは事前にこれができない、結局事後になる、事後になつて、出て来た者が英雄視されておつてこれがはびこる、こういうような状態においては、民団のみならず、われわれ国民としてもこの点非常に不安でありますが、まず伺いたいのは、民団の昨日の金在賢君の思想を伺いますと、日本に来ていることは、あたかも家を借りて同居しているようなものである。そこの家風、あるいはまたそこの主人の一つの掟に従わなければならないのだ、大きく言えば、われわれ朝鮮民族として日本国におる以上は、日本の風俗、習慣を尊重し、法律を守らなければならない。それを片つぱしから日本共産党の指揮によつて破壊して行くのが北鮮系である。この北鮮系も、ごく教育の程度の低い者ばかり朝鮮語をもつて指導するので、聞いておれぬようなことまで罵詈讒謗をしているのだというようなお話がございましたが、もしも民団が治安当局の取締をあきたらずとして行動に出るようなことがあつた場合のことを予期するならば、非常にゆゆしき問題でありまして、これらに対して、内地人の生命財産のみならず、第三国人の生命財産も十分御保護なさつていましようけれども、なおこういうようなことを伺いますと、何だか目前に第三国人同士の暴動が起るような気がいたしたのであります。こういう点に対する考えあるいは対策等がありましたら伺いたいと思います。
○田中証人 現在日本に多数の朝鮮の人々が在住いたしておりますけれども、これらの大部分はきわめて善良な朝鮮人であると私は考えております。そこで現在朝鮮人のうちのごく一部の、非常に左傾的な思想を持つた連中が直接行動に出まして、民団側を襲つたり、あるいはまたこれに対して民団側が自衛上の手段から、北鮮側の事務所等を襲つたりしたような事件が、現在都内においても数回起つていることは事実でございます。そこで今後講和発効後において、警察といたしまして、もちろん善良なる鮮人の保護に対しましては万全の措置を講じたいと考えております。ことにまた民団側で特に警備、警戒等において必要があるならば、十分警察側に連絡をとつて、事前の警戒に対しましては何ら惜しみなぐ警察官を派遣もするし、また十分に便宜を供したいと考えております。それからなお民団側の団体的な統率の点におきましても、従来私は若干遺憾の点があつたように思うのであります。従つて民団側のいわゆる幹部級におきましても、十分ひとつ行動を自粛自戒されて、徳をもつて衆を率いるというような人が出て民団側を統率していただきたい、こう思つております。それから同時に、また現在の団体に対しましては、もちろん政府においても何らか指導し善導するような方策が必要ではないか。單に朝鮮人であるからといつてこれを蔑視するようなことなく、あくまでこれは第三国人になつたのであるから、十分に指導し、善導するような政府としてもお考えがほしい、かように考えております。それからなおまた非常に悪質な鮮人はやはり本国に送還をしていただくことが必要ではないか、これは抜本塞源的のいい方法ではないかと考えております。
○田渕委員 私たちもそう考えておるのであります。ところが昨日広島民団の金在賢君の話では、これは日本政府が強制送還をするというから、非常に幼稚ないわゆる無知な連中には非常に刺激が強くなるのである。日韓條約成立後においては、韓国政府が日本取締り当局の力を借りてみずからが送還する、こういうふうに行くならば刺激がないと思うのですというようなことを言われた。私はこれは非常にいい考えであり、またそういう対策も取入れなければならぬと思うのであります。しかし金在賢君の話によりますと、無知な者を扇動するからというような話でありましたが、なかなかそうではない。少くとも先般四月十八日に当国会に陳情に参りました連中はみな学生であります。先ほどの総監の証言として、昨年の十二月十一日からこの四月二十四日の槇町の学生の暴動事件の中に、国会内における暴行事件を一つお漏らしになつておるのであります、これを私は目撃いたしておるのでありますが、決して無知な北鮮系統ばかりではない。りつぱな東大もしくは高等学校の相当な学生が二百数十名参りまして——ここに取締りに来ておるのは警視庁と思いますから、あなたの部下であろうと思いますが、中村警部補を私の目前において数分間殴打暴行、打つ、けるをやつております。私親しく見舞に参つて状況を聞きますと、まずいきなり髪の毛をつかまえてうしろにひつくり返され、ネクタイをとられた。ただ、持つている拳銃をとられることは困るから、それに手をかけておるうちに、先生のおかげで警察の援助を受けたのだというようなお話でありましたが、非常に重体なのであります。相当教育ある者もこれをやるのであつて、決して無知な者ばかりがやるのじやない。しかも国会の面会室内においてそれがやられているのであります。中村警部補は今警察病院に入つております。相当体格のいい方でございますが、少くとも四、五分間踏んだりけつたりされたので——きのうもお見舞に参りましたが、眼をほうたいしておつて、あるいは眼が一つ失明するかもわからぬと言つておりました。こういうようなぐあいで、打つ、ける、なぐるの傍若無人で、とうてい私たちには手が及ばぬのです。これは全部共産党の学生です。林君が学生以外の者は出てもらいたいと言うと、ただちに、ここに一匹おつたと言う。侮辱もはなはだしい。そうしてこれは何者か、中村警部補だということを知つておる者が指揮したものだ。これは中村警部補が柴又事件の証人に出ていたので、つけておつてやられたものだ。実に国会の中で学生があれをやるのだから、教育のない者は何をやるかということがわかるのでありますが、これは衆議院の院内の警察及び秩序に関する小委員会において本日も調べることになつております。こういうような暴行を事前に防止するということ、事後に検挙するということの問題でありますが、こういう場合にやはり相当待機させておいて、一ぺんに同時にその現場でもつてやつてしまわなければならぬが、あそこで五十人も六十人もで囲んでしまつて、スクラムを組んだ中で打つ、けるをやるのでありますから、どうすることもできない。これは検挙されておる者がどうなつておるか、取調べがどうなつておるか、私はまだその報告を受けておらぬのでありますが、こういう警察をねらつておる者に対して、一人活動ということは非常に危険である。これらに対して、三人でも五人でも、あるいは二人なら二人の共同パトロールと申しましようか、こういう方法を講じてやらぬと、一人で歩かしていることは非常に危險だと思うのであります。こういう点に対して、現在、パトロールもしくは国会内の取締りにおいても、団体行動以外に、個人が動いているような場合には、あとをつけてやるというような方法をしてやらぬと生命が守れないと思う。見舞に行きますと、田淵先生にも林先生にもおけががなくてよかつた。私のからだはどうなつても先生方にけががなければよいと思つておりますと言う。その職務に誠実なのに私はまことに感心したのでありますが、これらの方に対する見舞、処遇の点については、高木委員からも今後の対策についていろいろ言われましたが、十分ねぎらつてやつていただきたいと思うのであります。とにかく一人歩かせることは危うい。彼らのねらうところはそこなんですから、費用をふやしても二人ないし三人でやらせなければならぬ。矢口でも巡査一人のところに行つてやつた。あるいは練馬の印藤巡査も一人でいたときにおびき出されてやられた。北海道の札幌の白鳥警部も一人歩きをしていてやられた。まことに危険な状態になつて来つつあるのでありますから、こういう一人歩き、單独行動をさせないというようなことにするようお考え願いたいと思うのでありますが、これらのことをするについての費用は相当増すかどうか、伺つておきたいと思います。
○田中証人 先般衆議院の第一面会所において起つた事件は、まことに遺憾なことでありまして、議員の方々にも御迷惑をおかけしましたことをおわびする次第であります。中村警部補は非常に責任感の強い男でございまして、何か騒動でも起つて他の者にけがをさしては申し訳ないというような気持から中に入つたのでありますが、出ろというので出ようとしたところが、押しもどされて、遂に、そこに犬が一匹いるということで非常に暴行を受けまして、ただいま入院加療中でございます。今後、警備員の身辺警戒については、みずからも十分注意してもらうと同時に、またわれわれといたしましても、警邏員はもちろんのこと、交番の勤務の者及び今の警備係の連中にも細心の注意を払うように注意をいたすと同時に、何らかの対策を考えておる次第であります。
○内藤委員長 ちよつと申しまするが、まだ他に発言を求めておられる方が四名おいでになるのでありまして時間も相当にたちましたので、要点を簡潔に御質問されるように希望しておきます。中川君。
○中川委員 最近頻発している集団暴行事件について、先ほど来警視総監のお話をいろいろ拜聽したのでありまするけれども、私は一つふに落ちないことがある。それはむろん先ほど来のあなたの御説明のように、国会におきましても、刑事訴訟法を改正するとか、あるいは治安立法をするとかいろいろ対策は考えておるのでありますが、現在治安の任に当つておられるあなた並びにあなたの部下が、先ほどあなたがおつしやつたように真に身命を賭してやつておられるかどうか。先ほどからあなたがおつしやるように、実際に治安の任に当つている者も、その家族も、そういうような点から後顧の憂いがあるからできない。かつて木村法務総裁が自由党の代議士会において、特審局員も月給取だからというような暴言を吐いたことかあるのであります。私はそのときにも木村法務総裁に対して質問をいたしたことがあるのでございますが、ほんとうに身命を賭してやつているのは警視総監初めいわゆる幹部の方々であるか、あるいはその下におられる部下の人々であるかということについて、私は一つの疑念を持つている。本朝も、あなたの部下である警官が私のところにやつて来たが、この警官の話を聞いていると、自分らはまつたく身命を賭してやつているのであるけれども、警部補以上の人は身命を賭してやつているように考えないということを率直に私に披瀝している。こういうような点について、私はあなたに決意のほどを聞いておきたいが、先ほど来あなたがお話のように、いよいよ講和が発効して、進駐軍が日本に対して、あまり従来のようなやり方をしないようになつた場合に、はたして現在の警察機構でもつて治安が守られるかどうか、こういうことのお話があつたようでありまするが、治安が守られない場合には、あなたとしてはどういう決心を持つておられるか、この点についても聞いておきたいと思うのであります。 なお先ほどこういう集団暴行事件なんかは共産党じやないかという質問を高木君が発せられたように私は伺つたのでありまするが、それに対するあなたの御答弁ははなはだあいまいである。先日も法務委員会において木村総裁が同様の質問に対してお答えになつたことは、はつきり共産党ということを言われなかつたけれども、それはあえて否認しない、こういうことを言つておる。否認しないということは、ある意味においては肯定していることになるのでありまして、共産党がやつておるということをはつきり木村法務総裁が認めておられる。しかるにあなたの先ほどの御答弁を拜聽しておりますと、どうもその点あいまいである。共産党がやつておることははつきりしておる。広島事件を見ても、三鷹問題を見ても、北海道の白鳥事件を見ても、どれを見ても背後には共産党がおることははつきりしておる。ゆえにあなたとしては、もうはつきり共産党がその背後におるという御確信を持つて当つていただきたいということを、私どもは希望するのであります。先ほど来伺つておると、いろいろな法律の改正、治安立法、さらに待遇上の問題、そういうことにつきましては、大蔵省や関係方面に対して善処しておられるということでありまするが、私どもから申しますと、善処のされ方が手ぬるい。何といつてもあなた方は第一線に立つて一番よく事情を知つておられるのでありますから、こういう点はこういうようにしてくれ、こういう点はこういうようにしなければわれわれとしてはやれないじやないか、こういう点をもつと率直に大胆にしつこいくらいに言つてもらわないと、国家の財政も非常に貧困でありまするから、せつかくあなた方のお申出があつても、その申出に応ずることができないようになる。ただ一片の書類を出されて、それで大蔵省に連絡しておる、関係方面に連絡しておるということはりくつになりません。ゆえにそういう点につきましては十分に緊密な連絡をとつていただいて、日本共産党が現在やつておる——そこらにおるのは雑魚だから問題じやない、こういう点につきましては……(発言する者多し)
○内藤委員長 静粛に願います。
○中川委員 緊密な連絡をとつていただきたい。実は先ほども帝都の警視総監が見えておるというので、制服をきていかめしいかつこうをしておられるだろうと思つてここへ入つたら、そういう瀟洒なかつこうで来ておられる。あれはどなたかというと警視総監だ、——民主国家における民主警察として瀟洒なかつこうをしておいでになることもけつこうかもしれませんが、とにかくそういう服装の問題のことは別として、要するに精神の面において緊張した気持を持つてやつていただきたい。これは私いつかも話したのでありますけれども、食うか食われるかの段階に来ておる。あなたなんか共産党の天上になつたら首なんかありやしない。実際のんきに考えておられるけれども、われわれもむろんそうなんだ。自由党の代議士なんというものは、全部銀座を引きずりまわされたり代々木の原でやられてしまう。(笑声)食うか食われるかの段階に来ておる。この際ちつとも遠慮する必要はない。やつておることは全部共産党だというはつきりした確信を持つてやつてもらいたい。共産党かどうかよくわからないというような、そんなことで帝都の治安が守れるか。そういう点については笑いごとじやなく、実際私は重大な段階に来ておると思う。だから、どうか緊密な連絡をとつていただいて、法律でも改正すべきものは大いにこういう点を改正せい、こういう法律をつくらなければいかぬじやないか、また待遇もこういうようにしてもらわなければわれわれとしてもできない、こういう点につきましては政府を鞭撻していただかなければならぬ。また国会に対しても、あなた方の経験に基いて十分なる注意を喚起してもらつて、そうしてあなた方の職務が完全に行えるようにしていただきたい。これは帝都の治安を守る責任者としてのあなたの当然の義務だと考えております。私はあえてあなたの御答弁を要求しようとは思いません。そういう点についてはつきりした気持を持つてやつてもらいたいということをここで要望しておきます。
○竹村委員 お伺いいたしたいのは、警視庁管内で今まで政令三百二十五号あるいは団体等規正令違反あるいは公務執行妨害や暴行傷害によつて検挙された人員は、一体どれくらいありますか。
○田中証人 今ここでお答えするだけの資料を持ち合せておりませんので後ほど調べて……。
○竹村委員 何人ということがはつきりおわかりにならなかつたらもう一度伺いたいのでございますが、相当数に上る人間が検挙されていることは事実でございますか。
○田中証人 御趣旨の通りであります。相当数の人員が検挙されております。
○竹村委員 そういたしますと先ほどから委員の質問に対しまして、現行法においてはそういう取締りは不可能だと言つておられますが、事実検挙されておる、この事実から見まして、どういう点が不完全であり、どういう点が不可能であるか。
○田中証人 現在の治安立法下においても相当数の者が検挙されるのでございますから、もし完全な治安立法ができたら、もつと多くの人間が検挙されるだろうと思います。
○竹村委員 先ほど総監の証言によりますと、たとえば個人の思想、そういう面については取締りの対象にならない。これは当然なことでありますが、思想の自由が憲法に保障されて、いかなる思想を持つておりましても、そういうことで取締りの対象にならないことがはつきりしておる以上、現行刑法から考えましても、これ以上に出ること自体が、個人の思想の領域にまでその取締りを伸ばすことになり、もつと多く検挙されることになる。その点はどうですか。
○田中証人 私の申しておる取締り法規を整備するということは、思想を取締るというのではなくて、破壊活動や暴力活動その他群衆的な暴力行為をもつと徹底的に取締るような法令がほしい、こういうことであります。
○竹村委員 この問題については議論になると思いますが、あなたはもつと徹底した形において、たとえば群衆心理によるあるいはその他のことによる取締りを拡大する、こう言われますけれども、思想やその他の点については取締りの対象に置かないといたしますならば、現実に起つた事態において取締られる、そのことだけで十分であつて、それ以上に伸ばすこと自体が、知らず知らずのうちに思想やその他の形にまで取締りの領域を伸ばすことになると私は思うのであります。なお私の伺つておきたいのは、こういう形で取締られあるいは検挙された場合に、常にあなたの方で政党の所属というようなものもお調べになつておるのでございましようか。
○田中証人 御質問の趣旨がよくわからないのでありますが、検挙された者は、その者のやつた行為が現在の法令にどの程度に抵触しておるか、それによつてどういうような処罰の法規を適用したらいいかということを調べるのがわれわれの目的であります。それと同時に、もしこれがある方面からの指揮のもとにやられた、使嗾のもとにやられたというならば、やはりその根源をつく必要がある、それだけはわれわれいたしたいと思つております。
○竹村委員 それでは従来検挙された者に対しましては、その政党の所属というものを十分お調べになつているわけでございますか。
○田中証人 もしその指揮した者が政党であるならば、当然これはその政党を取締らなくちやいかぬと思います。しかしその政党が指揮さえしなければ問題ないと思います。もしその政党がこうした群衆犯罪を指揮したとすれば、これはゆゆしき問題であります。これは徹底的にやらなくちやならないと思います。
○竹村委員 私はそれを聞いているのではないのでありまして、検挙された人間の政党的所属をお調べになつておるかどうかということをお伺いしておるのです。
○田中証人 政党的所属は私どもは調べておりません。しかし必要があれば調べもいたします。
○竹村委員 もう一ぺん伺つておきたいのですが、先ほど田渕委員に答弁された中に、たとえば朝鮮人側の民団の幹部の中にもいろいろ反省を願わなければならぬ点があるということを言われたのでございますが、それはどういうような点でございますか。
○田中証人 私の申し上げましたのは、この民団の幹部の中で、あるいは個人的な自分の地位を確保するために、あるいはその自分の名誉を確保するために、いわゆる名誉欲のために、もしかりに民団の幹部が闘争するとしたならば、衆はついて参りません。やはり自己を捨てて、そうしてほんとうに在留鮮人の福利増進のために地位も名誉も金も捨てて、ほんとうに犠牲的になつてもらう者に対してのみ、おそらく私は在留の鮮人は全部それにつくだろうと、かように考えております。
○竹村委員 もう一点お伺いいたしますが、たとえば警視庁の管内におきまして、最近いわゆる再軍備をやれというような活動、運動が公然と行われ、しかもそういうような演説会等も公々然と行われているわけでございますが、その反面いわゆる再軍備に反対する集会等がある程度抑制され、禁止せられているような状態でございますが、この点は今日の憲法から考えまして、警視庁の取締り方針というものが、私はたとえば再軍備のための運動を許すというようなこと自体が、今日の憲法から考えまして間違いではないかと思うのでありますが、この点の見解を伺いたいと思います。
○田中証人 現在警視庁におきましては、演説の内容が右であるとか左であるとか、白であるとか黒であるとか、そういうような内容によつて演説会を許可するとか不許可にするということはやつておりません。そういうことはありません。ただ場所が不適当であるとか、あるいは手続上に欠陥があるからいけないということは言つておりますが、演読会の内容が再軍備であるとか再軍備に反対であるとか、そういうことによつて許可、不許可とかいうことは絶対やつておりません。
○竹村委員 それではもう一点伺いますが、たとえば国民の中で今日世界の平和を念願するために、平和署名等をやられた場合においても取締られておる事実があるのでございますが、これはどういうわけでございましようか。
○田中証人 平和署名の場合におきましては、これは一般の民衆が自由に歩くのに往来のじやまになるような場所でやるときは、これは絶対に許可しておりません。そのほかの場合においては許しております。
○佐竹(新)委員 二、三点証人にお伺いいたしたいと思いますが、いろいろ他の委員から質問された点に対しては簡單にいたします。ただ私がお聞きしたいのは、こういつたような委員会において三日間にわたつて京都の事件、広島の事件というものを、いろいろ非合法活動の調査の対象として調査をしておるのでありまするが、この非合法の活動を行つておる的確な証拠があるというようなことで、これを検挙せられるという場合、いわゆる未然に防止するという建前から、あるいは事実やつておるから襲うというようなときに、よく新聞でも書いておりますが、警視庁では情報はすぐ漏れてしまつて、目的のところに行つてみたらもう何にもないというようなことになる、こういうようなことをよく言われるのでありますが、警視庁内部の思想的問題をどういうようにあなたは観測しておられますか、その点をお伺いいたします。
○田中証人 警視庁内部におきましては、警察官といたしまして警察官の本分を十分に体得させる、また警察官の任務はいかなるものであるか、その職分を十分に教養いたしまして、警察官の職分に背反するようなことのないよう常に注意をいたしております。 〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 従いまして現在におきましては、警察官の中でまつたく警察の職分に違うような考え方を持つている者はおそらくなかろうと私は考えます。ただ従来いろいろな取締りをする場合におきまして、確かに情報等が事前に漏れたようなことも二、三ございました。それは決して警察官が漏らしたというのではなくして、やはりある検挙をやり、また大量の取締りを一斉にするような場合におきましては、やはり一つの動きがあるわけです。その動きというものは、少し経験のある者だつたらすぐわかるのであります。こうしたことから、あるいは警視庁が今回大量の検挙をするのではないか、あるいは一斉の取締りをするのではないかというようなことも、未然に漏れることがあるのであります。最近は本庁におきましても、相当経験を積んで参りましたので、そうしたことのないように相当巧妙に実施いたしておりますので、現在ではそうしたことはほとんどないと私は確信しております。
○佐竹(新)委員 証人が証言されておりますように、わが国の憲法は思想に対しては自由でございます。しかしながら一旦ある特定の思想に基いて、それが破壊活動に移つた場合においては、これは日本の憲法においては絶対に許されぬのでありますが、そうした場合に、ある特定の思想に基いて破壊活動に移つて行くところの過程というようなことを、この取締りをする者に対してよく頭の中に教育しておられるかどうか。その教育の方法はどういうふうにしてやつておいでになるか、その点をお伺いいたします。
○田中証人 ある特定の思想を持ち、その思想を根拠にして破壊活動に移るという過程の問題につきましては、これは先ほど私がるる申し述べましたいろいろな具体的な事件がございまして、この事件をいろいろ分析解剖してみますと、おのずからそこに特定の思想を持つた者がどういうような方法でもつて、どういうような径路でもつて、破壊活動に移るかということがある程度自然にわかるわけであります。こうした今までの事件を分析解剖し、またこれに最近のいろいろな秘密文書等を入手いたしておりますので、これらのものを一つの参考資料といたしまして、その一定の計画があると思う場合におきましては、それに対しましてそれぞれの警備計画を立てるというような絶えず訓練をし、また教養もいたしております。またある一定の事件に対しまして判決があつた場合、その判決の理由並びに判決の要旨、いかなる証拠資料が集められたか、その証拠資料によつてどういうように犯罪が成立したかというようなことまで、いろいろと分析解剖いたしまして、そういうデータを集めて常に教養いたしております。従つてある特定の思想から破壊活動に移るという過程につきましては、われわれも今までの体験、経験から相当な資料を持ち、またこれらによつて相当な認識も得ているのであります。
○佐竹(新)委員 私も過去においては社会運動をやり、また当時の特高警察から取締りを受けた一人でありますが、情報活動というものは相当に慎重に考えて、またそれを取締る警察官の教養なんかも考えていただかないと、ただいわゆる事件の点数をかせぐというようなことを、上司に対する自分の活動を裏づけるような功名心からやりますと、とんでもない情報間違いが起るのであります。先般も破壊活動防止法は是か非かという討論会がありましたときに、人権擁護会会長である海野普吉氏が、たくさんな学生、聴衆を集めての討論会の席上におきまして言われたことは、ある日海野普吉氏は共立講堂で講演会をやつておつた。その日にはそこでずつと講演会をやつて、それから東京地方裁判所に行つて、うちへ帰つた。そうすると、警視庁の警察の人もよくそれを知つておられたが、その人が来て、海野さん、あなたはちようどその時間に、ある労働組合の幹部の葬儀に行つて、弔辞を読まれたという情報が入つているということを言いましたので、自分はあなたが知つておるように、あそこの会場におつて、人権擁護の演説会をやつて、何らそういうところに行つた事実はないと言つた。こういうように警察の情報が捏造されて、捏造された結果、第三者が非常に迷惑するような情報が、最近たまたま入るようになつた。これはいわゆる警察国家の復元である。特高警察の復元というような形になる。そういうことを討論会で言つて、これはラジオを通して全国の国民が聞くことになるのでありますが、こういつたようないわゆる情報の間違いということが——間違いでなくして、一つの情報をこしらえるというようなことになりますると、破壊活動防止法というような、非常に解釈を拡張しますると広汎に拡張のできるような法律が、もし本国会を通過いたしますと、それこそ民主主義のいわゆる基本的な人権というものが、非常に取締りの拡張解釈によつて支障を来す、人権に対して非常な迫害を與えるというような結果になるおそれがあると思いますが、その点に対しては警視総監はどういうようにお考えになりますか。
○田中証人 警察官の情報でございまするが、現在の警察官はいろいろ基礎知識等も十分に教養をいたしておりますので、今お読のようなそうした間違つた虚構の情報をとるということは、おそらく私はなかろうと思います。あるいはまた多数のことでありますから、多少の間違いはあつたかと思いますが、現在はさような上司に提出するいわゆる点取り主義のようなことは、われわれの方自体としても十分注意いたしておりますので、そうした間違いは今後なかろうと思います。ただこの破壊活動防止法ができましたら、これが濫用されたりすることは、これはもうもとより愼むべきでありまして、こうした破防法は、あくまで破壊活動を目的とした一つの団体の行動を規正し、またそのやつた個人の行動を取締るのが目的であろうと思います。従つてこれを濫用したり、あるいはこれを悪用するようなことは、絶対にこれは愼むべきものと私は信じております。そうしたことは十分に今後も注意して参ります。
○佐竹(新)委員 最後に、これは答弁をいただかなくてもよろしいのでございますが、警視総監に要望しておきたいのでございます。旧憲法におきましては、よく警察官は国民に向つて、おれは天皇の警察だ、こう言つていたけだかになつたものであります。しかしながら終戰後におきましては、民主主義に基きまして、いわゆる国民に親しまれる警察、愛される警察というように、今だんだん警察官の態度もかわつて来たことは事実であります。しかしながら最近におきましては、また何か占領が解除されまして、独立国家となると、警察官がやつぱり昔の夢が忘れられないで、国民に対してときに、今までは進駐軍の占領治下にあつた、しかし今度はおれらが国を守る第一線になるんだ、こういうような官僚意識がだんだん芽ばえままと、結果においてはまた国民から警察国家のそしりを免れない。警察官というのは人を縛る役目だ、こういうような考え方へ逆行して来るおそれがある。これは民主主義の基本に対して相当警戒しなければならない問題であると思うのであります。こういう点に対して、今後独立国家における警察官の教育、民主主義の徹底につきまして、多くの部下を持たれるところの総監は、警察官の思想教育はあくまでも民主国家としての基本の線をはずれないで、いやしくも特高警察的な考え方、いわゆる国家の安寧秩序を守つておるのはおれらだという、昔の官僚意識を復活するようなことがないように、特に教育されることを要望しておきます。
○浦口委員 公安委員会の存在は、警察の運営をいわゆる民主的にする、こういうことで成立したと思うのでありますが、そこで私お尋ねしたいのは警視総監は警視庁管下の警察行政を運営される実際の面におきまして、公安委員会の問題について、その有力な存在、並びにその存在しながら、はたしてそこにそうした存在理由があるかということに、一つの疑問をもしお持ちになるならば、そういう欠陷と功績の両面について一応承りたい。
○田中証人 現在の民主警察制度におきましては、国家地方警察、また自治体警察、双方とも公安委員会制度というものが存在いたしまして、公安委員会によつて警察長が任命され、また公安委員会によつて警察が行政管理、運営管理を受けているわけであります。そこで現在のこの公安委員会は、すでに御承知と存じますが、警視庁の例をとつてみますると、公安委員は少くとも毎年交代いたします。それから都議会の同意を得たものを知事が任命する。もしこれを国家警察に例をとりますならば、議会の同意を得た者に対して、内閣総理大臣がこれを任命するという形式をとつています。従つて議会が公安委員の任命に同意を與えるという意味におきまして、少くとも国民の意思を公安委員の任命の上に代表させておるわけです。従つてその国民の意思を受けた公安委員会が、警察長を任命するのでありますから、従つて昔の内務省式の、内務大臣が警察部長を任命するのとは、非常に形が違いまして、そこに民衆の意思を入れた任命の形態が存在するわけであります。従つて今度の民主警察は、そこに大きな民主的なねらいがあると私は思つております。従つて警察長は公安委員会の任命を受け、しかも公安委員会が行政管理、運営管理をいたしておりますので、常に公安委員会の指揮下にあるわけであります。公安委員会は少くともそれぞれ実業家なり、あるいは学者なり、あるいはまた相当社会運動をした方も公安委員になつております。従つて国民大衆の意思を、公安委員会を通じて警察長に反映させ、また警察行政に反映させるという点において非常に有効ではないかと私考えております。ただ現在の公安委員会におきましては、その任命の資格要件におきまして若干制限を受けておりますので、従つてときによりますると、学者か僧侶かお医者さん、あるいは実業家しかなれない。そのほかもつと有能な方があるのだけれども、資格要件が制限されてなれないというような、そこに公安委員会としましては、若干の欠点があるわけであります、そこで私どもは公安委員会の任用資格というものを拡充いたしまして、もう少し任用の資格を拡充したならば、もつと自由に任命ができるのではなかろうか、そうしてもつと国民の意思を代表した人が公安委員に任命せられれば、それが警察行政に反映させることができるのではないか、かように考えております。
○浦口委員 組織としては、警察の場合において心配する行き過ぎなどを是正される意味で、たいへん私はけつこうだと思うのであります。ただ実際問題としていろいろな事実が出て来るわけであります。たとえば松阪の大火の場合においては、一人の公安委員は病気であつた、一人は自分の工場が焼けるのを防衛するために全然動けなかつた、やつと一人の委員が出て非常対策に参画した。こういうような事実も出ているわけであります。それから数日前にこの委員会でやりました広島県の騒擾事件につきまして、ここへおいでになりました公安委員長も、情報ということについて、一つの非常に遺憾の意を表された。それはただいま佐竹委員からもお話がありましたが、警察の情報にもわれわれやはり体験いたしました過程において、必ずしもまともでない情報がある。これは故意ということはございませんが、そこで公安委員長は、たとえばデモ行進とかこうしたものを機会として、革命暴動的なものに対しては未然に防ぎたい、しかし未然に防ぐには情報というものをはつきりつかんでいなければならない。ところが現在の公安委員会といたしましては、警察から受けている情報を肯定してそれに基いて対策を立てるよりほかに方法がない。だから何とかして公安委員あるいは公安委員会としては、独特の情報を常時にキヤツチして、それによつて未然にこうした事件を防ぐような方法がほしい、こういう意見を漏らされているのでありますが、そういう点について警視総監の御意見を承りたいと思います。
○田中証人 警察のいろいろな情報につきまして、あるいは妥当を欠く点が若干あるかも存じませんが、私はそれがために公安委員会が独特の情報網を持つということは、かえつてこれは弊害があるのではないかと考えております。要するに、公安委員会と警察長というものがぴつたり連結して、相互に緊密な連絡がとられて、しかもあらゆることが公安委員会の手元に行つておつたならば、私は公安委員会が独特のそうしたものを持つことはかえつて弊害がある、それはむしろ公安委員会と警察長との間にある程度溝があつたのではないか。溝がなくとも連絡が不十分であつたのではないか、かように考えております。
○浦口委員 その点われわれも検討いたすことにいたしまして、次に今一つの問題は、先ほど警視総監から御答弁があつたのでありますが、警察官に対する不法行為が頻発しておりますので、警察官が一身を犠牲にしてその尊い職責に対して敢然と士気が上つておる、こういうことを承りましてたいへん心強く思うわけであります。ところが最近の傾向といたしましては、札幌の白鳥事件などの事実を見ましても、警察官自身に対する脅迫、迫害というものよりも、むしろ家族に対する脅迫あるいはそうしたものが非常に多くなつて参りました。これは非常に私は問題だと思うのであります。警察官自身は非常にみずからを犠牲にしてこうしたことに当ろうという確信を持つておりましても、家族が牽制されるということは、非常に士気が落ちる大きな原因だと思うのであります。今軍隊がないから、軍隊のことを言えばおかしいようでありますが、結局軍人も家庭にいろいろ悩みがあり、家庭に後顧の憂いがあつた場合には十分にその働きが発揮できなかつた。ましてや警察官は日夜家族と起居をともにしておられるのでありますから、その家族が非常に恐怖心に襲われるということは、私は大きな士気を落す原因だと思うのであります。聞くところによりますれば、吉河特審局長夫人はこのごろ神経衰弱になつているということを聞いておるのでありますが、そうしたことは末端の警察官には非常に大きな影響があると存じます。実は白鳥事件は私の地元でありまして、私の家から五、六町のところに起きた事件でありますので、私は私の立場において、いろいろそうした問題を研究してみたのでありますが、札幌市の自治警察の相当責任ある方のお話を承りましても、でき得ればやはり集団的な警察官のアパートあるいは集団的な官舎というふうなものをつくつてもらうことが好ましい。それでなければ非常招集をかけた場合に、家族に対する憂いによつてなかなかはかばかしく招集の実が上らない、こういうことを率直に申し述べられたのでありますが、これもわれわれ大いに聞くべきところがあると思うのであります。警視庁管下にそうした事態があるか、またそうしたことに対して警視総監はどういうお考えと対策をお講じになつているか、それを伺います。
○田中証人 まつたくお説の通りであります。警察官そのものはこうした事件があるたびに、いよいよ士気は上つて、一種の憤激をもつて臨んでいるのでありますが、やはり何と言いましても、女子供の家族に対しまして、あるいはいやがらせ的な行動があつたり、あるいは脅迫がありますると、やはり家族の面からある程度士気が沮喪するということも一応考えられないことはないのでありまして、これらに対しましては、民衆の方々が警察官の職務をよく御認識願い、またそれとともに警察官の家族に対して、同情ある態度をもつて臨んでいただくということが必要であろうと思うのであります。 それからいま一つは、やはりできれば今お説のように集団アパートをつくる、またはなるべく集団的に住居させることが非常時の招集等の場合におきましても適切な処置であろうと考えまして、現在警視庁におきましては、できる限り集団家族アパートを現在相当つくつております。これになるべく集団的に住居させるというようなこともやつておりますし、また必要があるならば、特定の警察官の住む付近において、警邏警察官を頻繁に警邏させるとか、あるいは必要によつては特別警備の警察官をさらにつけるとか、あるいは往復等におきましても、十分に警察側において警戒させるとか、そうした警戒的な措置も現在十分にわれわれのところでも講じております。そのほか家族によつては中には親戚のところへ移住するとか、そういうふうな者もなきにしもあらずでありますが、私どもとしては、郷里に帰るとか、移住するというようなことを避けて、なるべくそこに住んで安心して生活をさせるためには、警察自体が十分に警戒してやる、あるいはパトロール警察官が絶えずまわるとか、夜中でもまわつてやるというようなことで、安心してそこに生活させるというような方法を現在講じております。そのほかまだ研究が不十分でお答えができないのでありますが、現在ではそうしたこともやつております。ときには上司なり警察署長なり幹部が絶えずその警察官の家庭をまわりまして、異常がないかどうかということを確めるというようなことも現在やつております、
○大森委員 いろいろ総監のお説を承りましたが、何を申しましても人権の擁護、これは今各地に起つておりますが、さらにまた地方で治安の維持に当る人々のそのまた擁護をせなければならないというがごときことは、まことに遺憾なことである。それはどういう結果であるかというと、人権の擁護あるいは民主主義に名をかつて悪の増長、いわば親を殺して平然としておる、子供を殺して平然としておる。また何とかしてのがれられればのがれることをもつてすべての目的が達したのだということでやつておる今日の事態、そういう悪人がはびこつて来た、だからこれに対しまする法の取締りというものがなければ、私ども全都紳士であつて、法律のいらないような国を要望するものでありますが、この野蛮的行為をとつた者に対しては、これを取締るものがなければ、国民が安心ができない、私はこういうふうに考える。今いろいろのお説ありましたからくどいことは申しませんが、まず黙秘権のごとき、黙つておればのがれられるのだ、こういうことを今国民がどういうふうに考えておるか、私どもはこれをもつて非常に遺憾に思うのです。何か悪いことをしておつても、何を問われても黙つておれば、それによつてすべての法網からのがれられるというがごときことであつてはならぬので、刑事訴訟法の改正もあなた方はどう考えておられるか。これに対する御意見と、さらに黙秘権のごときは、これをどう処置すべきものであるかということも伺いたい。先ほど証言をする前に宣誓をいたされたように、ものを尋ねられたときにそれを答えない場合には、どういう処分をするというようなことも宣誓書にある、そういうようなことで、やはりこの黙秘権に対しましても何らか一つの方法を設けなければ、今後あなた方の取締りの上において、運営が不可能なことがないか、法律の運営が、そういう方面において、全体が阻害されておるのじやないか、こういうことも私は考えるのであります。どうせ今の破壊防止法によつて、いろいろなものが含まれて出ましようが、なお刑事訴訟法に対しまするあなた方のお考えを伺つておきたい。これは国民全体が不安にかられておる。人権擁護というのは正しい人の人権擁護であつて、どうぼうや強盗や国を破壊させるがごとき者の人権擁護は決してあり得ない、私はこういうふうに考えるのでありますが、この点をはつきりお答え願いたい。
○田中証人 先ほど刑事訴訟法の点について申し上げましたが、現在警察におきまして、いろいろこうした集団暴行事件で検挙いたしました容疑者を調べる場合に、いずれも申し合せたように、絶対に氏名、職業、住所、年齢、何も申しません。従つてあるイならイ、トならトという一つの符号によつてその者を確認する以外にはないのであります。しかしながら幸いに現在では指紋の方法もございますし、また現場写真をとり、あるいはまたそれをかたわらにおつて目撃しておつた者、そのほかアリバイの関係、そうしたあらゆる証拠物件をもちまして、かりに本人が黙秘権を行使して、罪状を否認いたしましても、本人が確実にその場におつてこうした暴行をやつたという確証のある以上は、それを否認のまま現在送検し、これを処分いたしております。ただこの黙秘権を濫用するがために、非常に労力と時間と費用をかけてやる関係上、一人の人権を擁護するために多数の人権がかえつて逆に蹂躙されるという結果になるのでありまして、この黙秘権につきましては、当然改正すべき必要があるのではないかと私どもは考えております。そのほか現在の刑事訴訟法におきましても、警察の取調べる手持時間、また検事の取調べをする手持時間が非常に少いために、十分なる証拠物件を収集できずに送つたために、起訴もできない、はつきりした犯罪があるにかかわらず、証拠不十分のために遂にそれが無罪になるというような場合も起り得るのでありまして、こうした不合理な点につきましては、講和條約発効後におきまして、治安確保の上から何らか修正の余地があるかと考えます。
○高木(松)委員長代理 他に御発言はありませんか。——御発言がなければ、田中証人に対する尋問は終了いたしました。証人には長時間にわたつて御苦労さまでした。 午後は二時半より再開することとして、暫時休憩いたします。 午後一時四十五分休憩 ————◇————— 午後三時七分開議
○内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 これより治安警備状況に関する件について、齋藤国警長官より証言を求むることになりまするが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二一五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものなるときは、その旨お申出を願いたいと存じます。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人斎藤昇君朗読〕 宣 誓 書 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしうございますが、お答えの際は御起立を願います。 国家地方警察本部長官の齋藤君としては、昨年十二月以降全国で警察その他に対する襲撃事件が頻発しておるようですが、各種事件を通じまして、事件の状況その他性格等において、何かそこに一貫したものが見出せませんか。
○斎藤証人 ただいまお尋ねの通り、昨年十二月以降、警察その他、そういつた関係の官庁あるいは職員等に対しまして、相当の不法事件が発生をいたしておるのでございます……。
○内藤委員長 ちよつとその前に、今あなたの方の国家警察として、どれくらい件数がありましたか、もしお持ちならば、お述べを願いたいと思います。
○斎藤証人 警察機関に対するものといたしまして、これは自治体警察の区域を含めてでありますが、私の方で報告を受けておりまする分は、百八十六件に達しております。このうち検挙いたしましたのが六十一件で、検挙人員は三百八名ということになつております。 これらの事犯を通じまして、従前と著しく違つておりまするのは、いわゆる凶器、特に火焔びんでありますとか、あるいはカーバイト彈というようなものを使用いたしておるのでありまして、それがすでに五十三件に相なつております。これらを見ますると、日本共産党の非合法機関紙といわれておりまする「平和と独立」の全国一斉取締りに際しましても、発見いたしたのでありますが、いわゆる「栄養分析表」という秘密印刷によりまして、そういつた武器の使用方法、製作方法その他を詳細に示しておるのでありまして、それに書かれておるものが、現実にここに現われておるように見られるのであります。御承知のような、共産党の軍事方針として知られております「球根栽培法」でありますとか、あるいはこれらに類する印刷物で、すでに相当広く頒布されておる中に書かれておりますような事柄が、現実に行われつつあるように見受けられるのであります。
○内藤委員長 集団的に来るとか、あるいは権力闘争とか、または時間的に見て、警官の警備の手薄なところに来るとか、そういつたやり方は一貫性があるようにお思いになるわけですな。
○斎藤証人 さようであります。
○内藤委員長 それらの事犯のうち、警備上特に注目されねばならないと思われるものを、ここで二、三実例として御説明を願いたいと思うのですが、まず長野県下の南佐久郡田口村に起りました警官に対する集団暴行事件のその後の取調べ状況はどうなつておりますか。またその事件の内容等を簡單に御説明願いたいと思います。
○斎藤証人 長野県田口村の事件と称せられておりますのは、本年二月三日の事件でありますが、当日警戒中の警察官が、一名の挙動不審の者を職務質問いたしましたところ、二、三十名の者にとりかこまれまして、袋だたきにされ、二名は重傷を受け、二名は軽傷でありましたが、その際警察官の拳銃と手帳を強奪された事件であります。当日は事前の情報によりまして、田口村の党員の宅あるいは山林内で、朝鮮人を含めた日本共産党の、武器を所持しての軍事訓練が行われるという情報がありましたので、警戒中であつたわけであります。ただいま申し述べましたこの警察官に対する暴行事件は、きわめて巧妙であつたのであります。相当訓練をされなければ行われないようなやり口であつたと私は記憶いたしております。その後捜査の結果、被疑者二十二名を検挙いたしまして、現在そのうちで七名が起訴せられておる状況であります。これは今裁判所において裁判中でございます。
○内藤委員長 長野県は全国でも特に思想的に非常に進歩したというか、社会主義的な思想が昔から強かつたようでありますが、この田口村というのは、特にそういう共産党系もしくは共産思想を持つた者がたくさんおるような村じやなかつたのですか。
○斎藤証人 田口村は、長野県の南佐久郡のうちでは最も戰鬪的な分子が多いといわれておるところでございます。届出党員が二十二名ということになつておると思いますが、ここの世帶数が千百五十三戸でございます。そのうち同調者等を入れて約二百名くらいおると思います。
○内藤委員長 さいぜんの証言のうちにあつたが、ともかくその襲撃の状況等を見ると、相当に軍事訓練のようなものを受けなければできないほどの巧妙なものであつたということである。それは、そういう共産党員がたくさんいる村だから、軍事訓練等に類似した訓練をやつておつたということが、何か事前にわかつておいでになりましたか。
○斎藤証人 この村で訓練をやつておつたということは、事前に知つておりませんし、またこれはわかりません。だが当日は他からも朝鮮人等も相当入つておりました。某住宅においてひそかに会合を続けておりました中に、相当訓練を受けた朝鮮人等もまざつておるようであります。
○内藤委員長 村民のみではなく、朝鮮人等も加わつておつたわけなんですね。
○斎藤証人 さようであります。
○内藤委員長 次に、東京都下の西多摩郡の小河内村に起つた工作隊事件というのはどういうのでありますか、その内容を簡單にお知らせ願います。
○斎藤証人 この事件は、三月二十九日に検挙いたしました事件でございます。当時小河内村の山の中の飯場等に、土地の人でない青年たちが相当入り込みまして、付近の立木を切り倒したり、あるいは無断でそういつた飯場のあいているところに入りましたり、また村民に対しましていわゆる政令三百二十五号違反になるような文書の頒布をいたしましたり、いろいろと工作をしておつたのでありまするが、たまたま三月七日に、その隣村でありまする山梨県の丹波山の巡査つるし上げ事件も起りました。そこで先ほど申しました非合法文書を頒布している者をも合せまして、政令三百二十五号違反と、それから窃盗と居住侵入の罪名で検挙をいたした事件でございます。検挙いたしましたのは二十三名でございます。このうち十八名は起訴猶予と相なりまして、五名が起訴になつておるのであります。これらが正式の共産党員であるかどうかは、默秘権を行使しておりまするので、今のところ判明いたしておりません。
○内藤委員長 それから福井県下で武器を摘発しておるようですが、この事情を少し御説明願いたいと思います。
○斎藤証人 お尋ねの点は、多分本年の三月十日に福井の国警本部で捜索押収いたしました事件であろうと思います。これは丹生郡の立待村の野端常吉という者を検挙いたしたのでございまするが、押収の武器は拳銃が二挺、拳銃の実包が三十発、日本刀で一振、三八式の歩兵銃銃剣が一つ、旧陸軍の歩兵銃が一つ、それから凶器として使用するように見られまする自転車のチエーンが三本、これを押収いたしたのであります。本人は福井県の南越の日本共産党の地区委員だと称している模様でございますが、ただいま取調中に属しておるわけであります。
○内藤委員長 しかし本人は共産党であることを自供しておるわけですね。
○斎藤証人 さようであります。
○内藤委員長 それから天下の耳目を騒がした北海道の札幌の白鳥事件のその後の捜査の状況はどうなつておりまするか、簡單に御説明願います。
○斎藤証人 白鳥事件の捜査が相当難澁をきわめておりまして、いまだ最後的の解決に至つておりませんのは、きわめて残念に存ずる次第でありますが、現在までに、これらに関係したと見られるいわゆる脅迫文書の送付者、あるいはビラの頒布者等十八名を検挙して、ただいま取調中でございます。これらの被検挙者は、自由労組員でありまするとか、あるいは札幌大学の共産党の細胞員でありまするとか、どうも共産党関係の方から指導をせられている人たちと見られるのであります。白鳥警部を射殺いたしました真犯人がこの中にありまするか、あるいは外部でありまするかは、今まだ決定的な段階として申し上げる域に達しておらないのでありますが、これらと全然無関係とは考えられない、私はさような心証を持つております。
○内藤委員長 かように昨年十二月以降からでも、全国百八十六件のこういう暴動あるいは襲撃という問題が起つておりまするが、第一線に働いておる警察官に與えたこれらの事件の影響というようなものについて、少しくお述べを願いたいと思います。
○斎藤証人 第一線警察官といたしましては、直接身体に危險を感ずる脅迫文書を受取るとか、あるいは石を投げ込まれるとか、いろいろな事件がたくさん起つておるのでありまするが、幸い全体的といたしましては、第一線の警察官はむしろ志気が高揚していると私は考えるのであります。ただ家族たちがこのためにおびえるということも相当ありまするが、先ほど申し述べました小河内村の事件を検挙いたしました直後に、駐在巡査が警邏に出ておりまする際に、留守中に夜数名の者がやつて参りまして、お前のおやじにああいうことをやらせないように誓約書を書けというようなことを言われたりして、相当脅迫されたのでありますが、この細君のごときも敢然としてこれをしりぞけておるのであります。従いまして私らの見ておりまするところでは、むしろ志気が高揚していると考えるのであります。ただ中には気の弱い者も生ずると思うのであります。私らといたしましては、本来気の弱い者は、こういつた事態に警察官として不適当でありますから、適当なポストにかえるとか、あるいは他に職を求めさせるとかいうふうにして行くしかないと考えております。一面志気の高揚をはかりまするとともに、さらにまた危害を加えられて死亡をいたしますとか、あるいは不具廃疾になるというような場合に、その遺族なり、不具廃疾になつたあとのめんどうを相当見るという措置がありませんと、ただお説教だけでは必ずしも十分でありませんので、先般政府の御方針を受けまして、一般の法律による公務災害の場合の扶助のほかに、死亡した場合には五十万円以上百万円以下、不具廃疾になつた場合には、その程度いかんによつて二十万円以上百万円以下の見舞金を與えるというように、先般われわれの方の規則としてきめまして、今後こういう事態には、そういつた本人なり遺家族の援護に欠くるところのないようにいたしたい、かようにいたしておる次第であります。
○内藤委員長 これらの事件を通じて第一線の警察官はむしろ志気が高揚しておる、国警長官としては、さらに第一線の警官諸君が後顧の憂いのないように対策を講じている、かようなわけなのですね。そこで集団示威運動に伴う暴行傷害とか、あるいは公務執行妨害等の検挙は、おおむね犯罪が行われた後にやつておりまするが、これはどういうわけでありまするか。
○斎藤証人 お尋ねのごとく、犯罪が行われた後に検挙をいたしておるものも相当あるのでありまするが、われわれの指導なりまた実際といたしましては、警察官がそこに立ち会つてすぐ逮捕ができるという場合には、これはもちろんただちに逮捕をする、しなければならない。現行犯として逮捕をいたすように指導し、また現実に相当数現行犯でその場で逮捕いたしておるのであります。しかしながら、ときどき問題としてただいま仰せられたようなことが起るのでありますが、またまた警察官がその場に居合せない、あるいはおりましても、たとえば集団で火焔びんを投げたという場合に、四、五十名の中からだれかが投げたというので、全部逮捕してしまうわけには行かない。従つてそういう場合には、だれが投げたかを後になつてよく捜査をいたしまして、令状によつて逮捕をいたすということになるのであります。逮捕できるにもかかわらず、ただ傍観をしているというようなことがあるとすれば、これは職務の怠慢でありますが、さような場合はほとんどないと考えております。
○内藤委員長 そういうデモについて、別に恐怖を感じて傍観をしているのではない、要するに、それを現行犯として捕えるまでの程度に至つていないから、さようなこともあるというわけですね。
○斎藤証人 さようでございます。
○内藤委員長 税務署あるいは職業安定所等に対する集団示威運動のごときもよく行われますが、一体かようなものを未然に防止する方法はないものでしようか。
○斎藤証人 事前情報等によりまして、わかり得る限りは事前に警備態勢を整えまして、そうして未然にこれを防ぐということを相当いたしておるのであります。ところが、そういうことが事前に察知することなしに行われるという場合には、こういう事態が起ることも今日としてはまことにやむを得ないと考えておるのであります。一方、こういう事柄を起すことがきわめて正当であり、またこのことがまことにいいことであるというように勧め、扇動するというような事態がありますることは、きわめて遺憾でありまして、かような点を根本的につかなければ、ただ末梢的に起つておりまする個個の事件を検挙しておるというのでは、とうてい盡し得ないのではないかと私は考えます。
○内藤委員長 第一線に立つておられる警察官の諸君の行政上あるいは司法上の不始末、あるいはまたその人の素質の不適格性からこの種の事件が利用されているというようなことはありませんか。
○斎藤証人 本人の不始末とか何とかいいますよりも、たとえば白鳥警部のごとく、敢然として職務を遂行し、そのために自由労組の人たちが検挙をされて恨みに思つている、そういう恨みでありまするとか、あるいは税金が高いという声によつて、税務署をやれば何か喜ぶ者がありはしないかというような点を利用するようなことが、あるいは考えられるのではなかろか、かように思うのでありますが、しかし最近の事例を見ますると、必ずしもそればかりではなしに、いわゆる権力機関といいますか、治安担当機関といいますか、警察とか検察とかいうものに畏怖の念を與えて執行力を弱める、それによつて治安に関しての一般の信頼感をなくするというようなことがねらいであるようにわれわれには思えるのであります。
○内藤委員長 たとえば、第一線の国家警察の署長になる前に、多年刑事のようなことをやつておつた。そういう人が何十年か勤めて、論功行賞のような意味ででもたとえば署長を拜命したという場合に、その前の役目をしているときにいろいろの因果関係ができたりして、署長となつても、そこにほんとうの権限を振い得ないような立場が出て来る場合がないでしようか。
○斎藤証人 この種事件に対して警察官として職務を執行するについて、いろいろの因縁関係がまつわつているということは、ことに警察の署長とかそういう者には、ほとんどないと私は考えます。朝鮮人関係の人たちから何か悪い点を握られておつて、そのために職務の執行が適正にできないということも、あるいは例外的には絶無だとは申しがたいかもしれませんが、私はさして取上げて申し上げるほど、そういう人たちがあるとは思いません。
○内藤委員長 第一線に立つておるこの国家警察の署長におきましては、少くとも正義観念においても、愛国の気持においても、やはり純真なそして若い気魄のあるそういう人たちを採用することが私はよいと考えておるので、おそらくさような方針もお立てになつておるとは思いますが、三十年も勤めておつたから、今度はこのポストがよいのであろうという、さような意味において署長等をきめた場合には、こんなことが起るのではないかと、こう思うから一言お聞きしたのであります。この国家警察管内には、たいていの市に公安條例というものが制定されております。町村等には制定されていないところも多くあるのですが、何かそこに不便をお感じになりませんか。
○斎藤証人 お尋ねの通り、市におきましてもこれをまだ設けていない市もあるわけであります。もちろん県の條例で設けているところもありまするが、これは半数にも達しておりません。従つて、ことに農村地帯等におきましては、こういつた示威運動的なものから発展する事項に対して取締るものが現在ないのであります。これらにつきましては、目上われわれの方でいろいろと愼重に研究をいたしておる次第であります。不便は確かに感じておるのであります。
○内藤委員長 統一した何か法律をもつて、さようなことでも決定した方がよいとでもお思いになつておりますか。
○斎藤証人 統一した法律をもちまして、行き過ぎず、また取締りに不便でないものをつくつた方がよろしくはないだろうかというので、私ども目下成案を得たいと努力いたしております。
○内藤委員長 来る五月一日には、御承知のように講和発効後第一回のメーデーが全国各地に行われると思いますが、京都市なりあるいは広島市の実例を見ますると、そういう民主的な、まじめな労働運動に便乗して、そこへもぐり込んで、尖鋭分子といいますか、不健全分子がその意に反した方向ヘメーデーを持つて行くようなことになつたら、これは労働運動の前途に対して、講和発効後第一回の運動に、いわゆる一大汚点を残すものであると私たちは懸念をしております。事前においてさような動きが全国にはありませんか。
○斎藤証人 ただいまのところ、さようないわゆるメーデーを利用して、そこに何らかの不法事案の発生を企図するという計画につきましては、まだ確実なものは入手いたしておりませんが、われわれといたしましても、ただいま仰せのような事柄が起り得るということを前提といたしまして、警備取締りに万全を期しておるのであります。そういつた抽象的な事柄は、一、二情報を入手いたしておりますが、確定的なことはまだ入手いたしておりません。事前の内偵を嚴にいたしまして、ただいまのような事柄をできるだけ未然に防止すべく、警備態勢を十分整えなければならぬ、かように考えております。
○内藤委員長 特に国警長官としてこの点に十分御留意になつて、メーデーがいわゆるほんとうの労働者のメーデーに終るように、ひとつ御処置されんことをお願いしておきます。 それでは質疑の通告がありますから、通告順によつて順次これを許すことにいたします。まず高木松吉君。
○高木(松)委員 証人が自分の権限内で処理した事件は百八十六件のうち幾つありますか。
○斎藤証人 これは自警、国警両方まとめた数字でありまして、国警管内は幾らであるか、ただいまちよつと記憶いたしておりません。
○高木(松)委員 そこであなたの取扱われた事件自体で、球根栽培法や栄養分析表に影響されてやつていると合理的に判断できる事案は、そのうちどれくらいの比率になりますか。
○斎藤証人 大部分をさように判断をいたしております。
○高木(松)委員 そうしますと、とにかく現在の治安を守る責任者としてのあなたは、この球根栽培法や栄養分析表の出場所を追究しておりますか。
○斎藤証人 共産党の非合法の出版物の検挙の際に得ました資料、及び検挙をいたしました人たちというものを中心といたしまして、さらにまたその他の捜査によりまして、極力これを確かめたいと思つて努力をいたしております。
○高木(松)委員 あなたはその立場において、この球根栽培法及び栄養分析表、こういう地上的な指導がなかつたならば、現段階において、今のような事件は起きないとお考えになりますか。
○斎藤証人 球根栽培法、栄養分析表のみではありませんが、この種の文書、この種の指導がなければ、かようなことにはなるまいと思います。
○高木(松)委員 そこでお尋ねしたいのですが、とにかく講和條約も今月二十八日に発効するということになりますが、そうしますと、占領治下において依存しておる法律のある部分は効力を失うことになる。こういう状態になつた場合に、少くとも国民大多数の仕合せを根本的に破壊するこの球根栽培法、栄養分析表のような地下運動をはつきりとつかんで、一掃するためには、そういう状態になつた場合においてのいわゆるよるべき法律がなくて、治安維持ができないというような窮地に陥ることはございませんか。
○斎藤証人 私どもといたしましては、さような意味合いからいたしましても、ただいま提案をいたしておりまする破壊活動防止法の成立の一日も早いことを希望いたしておる次第であります。これがありませんと、取締り上著しい不便を来すものと考えております。
○高木(松)委員 現在だれが地下でこういう不逞な、まつたく国民の仕合せを根本的に破壊するような行動をしているかわからないが、しかしこのままこれを掘り下げて、一掃することができなかつたとするならば、日本国家が独立した後に、大きな不幸がわれわれの前に待つているようにわれわれは予感するのです。あなたは責任ある立場において、われわれ同様にそういうふうに感じられますか、その点はどうですか。
○斎藤証人 私といたしましても、まつたく同様に考えます。いかに警察官が第一線におきまして、個々に起つて参りましたこういう犯罪を検挙いたすことに努力いたしておりましても、さような根本がなおざりにされておりましては、とうてい一々その労にたえない、まことに治安上憂慮すべきであると考えております。
○高木(松)委員 そこでただいま検挙されているものが三百八名と承知したのだが、その三百八名のうち、日本共産党員である者が何人で、同調者が何人くらいいるか、はつきりわかつておりますか。
○斎藤証人 先ほどの三百八名は、直接警察機関に対して襲撃等を行つたものの被検挙者であります。そのうち百六名が朝鮮人であります。正式に共産党員となつておるのは三十名くらいで、爾余の者はほとんど同調者と考えて間違いなかろうと考えております。
○高木(松)委員 ただいままでのお話を承つて、地下で指導しているものが共産主義者であるというような感じ——というよりもずつと進んで、合理的にそうだという判断はつきませんか。
○斎藤証人 われわれの判断といたしましては、共産党の非合法活動を指導しているところであろうということは、間違いないものと考えております。
○内藤委員長 山口君。
○山口(武)委員 先ほどの証言によりますと、長野県の南佐久郡田口村事件につきまして国警側で警戒をした。その警戒の原因になりましたものは、田口村で朝鮮人を交えた共産党の人たちが軍事訓練をやるということがうわさとして入つたので、こういう警戒をしたというようなことでありまして、これはその後二十二名の被検挙者を出したという話でありまするが、そこにおける取調べの際に、そういうような事実があつたことが判明したでしようか。
○斎藤証人 何らかの集会をしたということが明らかになつております。
○山口(武)委員 何らかの集会をしたということと、軍事訓練を実行したということとは根本から違う。軍事訓練をしたという事実はなかつたのです……。
○斎藤証人 そういう情報を得まして、どういう会合か集まりがあるということで、警察官がたまたま不審な人に出会いましたので職務質問したのであります。この事件は警察官に対する集団暴行の事件となつておりますので、事件といたしましては、その集団暴行の事実をいろいろ取調べておるわけであります。どういう関係で集まつたかということは、刑事事件といたしましては、今日の法律上では大した問題ではないのであります。
○山口(武)委員 これはおかしな証言です。先ほどのお話によれば、軍事訓練をやつているというので警備を行つた。このことが目的で警備をやつていながら、そこで検挙された問題があつたときに、この点についての取調べというものはなかつたのですか。
○斎藤証人 今日の法律では、軍事的な集まりをする、そこで軍事方針を協議するということだけでは、刑罰の対象にはならぬのであります。
○山口(武)委員 それではなぜそのために警備の必要があつたのですか。
○斎藤証人 どういう人たちがそういうことをやるかということをわれわれは知つておりますことは、今後それが現実にどういう不法行為として現われて来るかということを見なければなりませんから、ふだんからそういうものはよく知つておかなければならぬのであります。
○山口(武)委員 それだからその事実の有無を知つのたかと聞いた。
○斎藤証人 黙秘権その他によりまして、はたしてどの程度の打合せをしたかはわかつておりません。
○山口(武)委員 それからなお白鳥事件でありますが、この白鳥事件につきまして、現在被検挙者が相当数あるという先ほどのお話でありました。ところがなお証人の証言によりますると、真犯人がその被検挙者の内にあるか外にあるかについてはいまだなお判明しない、このように言つておられる。そうすると、この被検挙者というものは、真犯人の容疑で検挙されているものであるかどうか。それともそれ以外の問題で検挙されているのか。もしもこれが真犯人という容疑で検挙されたとしまするならば、その内にあるか外にあるか確信がないということになりますと、基本的人権の重大な侵害の問題がありますので……。
○斎藤証人 先ほども申しました通り、白鳥警部殺人容疑者として検挙はいたしておらぬのであります。ただいま検挙をいたしておりますのは、事前の暴行事件でありますとか、あるいはこれに関連した脅迫文書の頒布、これらによつて検挙をいたしておるのであります。犯人としてはまだ検挙はいたしておりません。
○山口(武)委員 だとすると、白鳥事件というのは、現在なお真相かいもくわからないというのが、少くとも現われた実情なのである。それなのに、ここに共産党の関係があるということ自体は、これは国警長官としてはなはだ軽率ではないだろうか。なおこの白鳥警備課長についてお尋ねいたしたいのですが、この白鳥という人は外国関係の人と何か関係があつたでしようか。
○斎藤証人 外国関係の人との関係というのはどういうことでありますか、具体的に……。
○山口(武)委員 その警備課長という職務におきまして、あるいはそれに関連した仕事におきまして、アメリカとの関係がある、あるいはアメリカからその他の措置を受けるというような関係があつて、その当事者であつたかどうかということをお尋ねしておる。
○斎藤証人 直接アメリカ関係とどうこうということはないと考えますが、われわれ役人でありますから、仕事の上で連絡する場合もありますけれども、特に白鳥君がどうであつたということは聞いておりません。
○山口(武)委員 田口村の問題にしましても、あるいは小河内村というのですか、そういうところでこのような問題が起ります際に、ここで幾人かの関係者が出ておるわけでありますが、この人たちが先ほどからの証言のような問題が起されたとしますると、そこには何らかの主張とか、あるいは一定の目的というものがあるわけでありますが、この点はいかがでしよう。私の今言う目的というのは……(「みんながわかるようにやれ」と呼び、その他発言する者多し)たとえば現在日本が外国の軍事的な支配のもとにあり、あるいは日本が外国の軍事基地になりまして、このために日本の独立と平和が脅される、こういうものに対する独立と平和を要求するというような、一貫して流れるものはなかつたのかどうか、この点をお尋ねしたわけです。
○斎藤証人 これらの事件において現われておりまする点から見ますると、現地においてやつておりました行動から判断するしかないのでありますが、さような意味合いの宣伝というよりも、むしろやはりいわゆる球根栽培法等に書かれてあります事柄の実現を目標にしているというふうに私は考えます。
○山口(武)委員 その球根栽培法に書かれている目的と言いますが、それは何と書いてありますか。「君らがよく知つているじやないか」と呼び、その他発言する者あり)
○斎藤証人 簡單に言えば、暴力革命が最終の目的であつて、それに至るまでの諸段階の組織及び訓練、これを達成して行くというのがこのねらいであると存じます。
○山口(武)委員 暴力革命と言われますが、何のために暴力革命をやると言われているのですか。
○斎藤証人 共産主義社会と申しますか、共産党の目途としておられるような社会の実現ということであろうと思います。
○山口(武)委員 たとえば、考えられますのは、一つの手段がとられるといたしますならば、日本の平和と独立を要求するために幾つかの行動が起つており、それらの行動を阻害する国家権力の動きがあるから、そこで必然的にそういう実力的なものが巻き起される、こういうようなことは一般的には考えられませんか。(「それは一体何だい」と呼び、その他発言する者あり)
○斎藤証人 もう一度おつしやつていただきたい。
○内藤委員長 山口君、もう一度説明を聞かないとおわかりにならぬそうです。(「ほら、だれでもわからぬ」と呼び、その他発言する者あり、笑声)
○山口(武)委員 国家権力との衝突という問題が起つているのでありますが、国家権力が、日本の独立と平和という国民の要求に対して、不当な圧迫を加えている、あるいは実力的な圧迫を加えている。そういうことから、民族的な憤激というものと国家権力の衝突というものが、実力的な形をとつて現われて来るということは考えられないのか、こう言つているのです。
○斎藤証人 そういうような指導をこういつた文書等でしておられるようでありますから——民族的の憤激をそういうように持つて行くというような指導のように聞いております。しかし現実は、さような憤激が国民の中に多くあろうとは私は考えておりません。
○山口(武)委員 国警長官はそのように考えるかもしれませんが、しかしながら世界の歴史を見ても、現在の世界の状態を見ても、その国の主権が失われ、あるいは外国の軍事基地になつているというところの植民地におきましては、そうしたことが例外なく起つているので私はお尋ねしたわけなんです。 なおさらにお尋ねいたしたいのは、過般当委員会におきまして、あなたの部下である警備第二課長平井學君の証言があつたのでありますが、その際、こうした事件——やはり同じ事件です——こういうものが将来増加するものであるか、それとも現在だけでなくなるものであるか、この見通しはどうなのかということをお尋ねしたわけなんです。ところが、平井君はこれに対しまして、私どもは見通しということは考えません。あるいは事の起る原因というものも考えません。ただ起つたことを処理するだけなんです。これが警察のあり方です。このような証言をなさつたのですが、これが警察のあり万として正しいのであるか。国警長官もやはりそのように考えておられるのか、これをお尋ねいたします。
○内藤委員長 山口君に申し上げますが、そのときになおつけ加えて、こういう警察のあり方等を御説明を申し上げ、また論ずるには、わずかの時間ではとうてい申し述べられない。だから私の今の簡單な答弁をもつて私の長官にぶつつかられても、それは私の真意ではないということを明瞭につけ加えておる。
○山口(武)委員 さらに私もつけ加えます。それは委員長の言うように、ここで答えられないと言つたのではないのです。数分間の答えをもつてしたのでは、私は責任を持つわけに行かないと言つた。そうだとするなら、どの一同一答も数分以内でなされた。従つて平井君の証言というものは全部責任が持てないことになるのか、こう言つた。これに答弁がなかつた。しかし、いずれにしても、責任を持つまりというような逃げ口上はありましたが、ここで言明をした事実には間違いない。だから私は国警長官にお尋ねしたいと思う。
○内藤委員長 それは長官はそのときに傍聴しておつたわけでもなし(「長官の弁護人か」と呼び、その他発言する者あり)速記録をお読みになつたかどうかもわかりませんから、それは答えられないかもしれないが、どうですか。
○斎藤証人 私は平井警備第二課長がどういうお答えをいたしましたかは存じませんが、第一線の警察官あるいは課長としての職務という面から考えますと、今日の法律違反をどうして内偵し、どうして検挙するかということがその職務であると、もし答えたとすれば、私は正しいと思つております。治安の不安定がどういうところから原因しているか、どうであるかという事柄につきましては、私はいろいろと考えております。今日の御質問に対する答弁といたしましても、私の職務の上から得られた知識から、個人としての判断という意味をも含めて述べた意見もございます。 (「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕
○山口(武)委員 それでは国警長官がここでお答えがないというなら、それでよろしいですから、当委員会の速記録ができましたら、それを調べてみていただいて、さらにあとで機会がありましたらお答え願いたい。
○斎藤証人 私ただいまお答えいたしたつもりであります。
○大森委員 私は今山口君の発言を聞いており、まことにどうもわれわれはどこを聞けばよいかわからぬので、そこで議事進行で立つたのであります。今の事案も、大体共産党以外の人は——全国民は、共産党のためにはなはだ迷惑しておる、こういうふうに考えておる。その共産党の人たちがここへ出てかれこれ論ずることは、やはり共産党の心臓でなければできない。また非常にあつかましい。穴でもあつたら入りたいというのがほんとうだ。われわれのやつたことで非常に迷惑をかけておるという良心がなければならぬ。それがこの席上へ出て、堂々と共産党のやつたことでないようにいろいろ言つているが、まつたく盗人たけだけしいとはこのことだ。私どもならば、大体こういう問題はわが党の関係で起きたのだということになれば、はずかしくて委員会へは出て来られない。けれども共産党のためにみな迷惑しておるのに、共産党の人たちに限つてここへ出て来て、ああでもない、こうでもないと言つておる。こんなことをここでやつておることは国家的に損失であるから、私は議事進行に名をかりて、そういう人たちの発言は聞く必要はないということを委員長に申し上げたいのです。根本は何であるかというと、警視総監からもお答えがあつたように、共産党なんだ。今後は何とか靜かにやりたいから御容赦願いたいと嘆願しておれば、私は何にも言わない……。
○内藤委員長 大森君、議事進行でなければ困る。議事進行に名をかりて意見を述べたりしては困るから、いずれ正式の発言を求めてその点はおやりを願いたいと思います。 それでは田淵君。
○田渕委員 いろいろ数日間にわたる審査と本日の齋藤国警長官の証言によりまして、日共の球根栽培法あるいは軍事活動の極端な現われが、全国的に百八十六件という統計が出て参つたのであります。その最も顯著なものが札幌の白鳥事件だと思います。やるぞやるぞという日共党員の脅迫状が百何通それから日共札幌地区委員会のビラ、日共札幌地区委員の新聞記者団との会見、 〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 あるいはまたその後に発行されたあらゆる文書等によりまして、はつきり日共党員がやつたということがわかつておるのに、これが黙否権を行使されて、何ともいまだにわからぬということでは、百八十六件の事件の審理、あるいは今後の検挙に非常に影響を来すと思うのであります。もちろん取調べは愼重でなければならないと思いますが、あれほど歴然たる証拠があれば、黙否権を行使しても日共党員の尾谷豊がやつたということははつきりしており、われわれもそう断定しておる。あの拳銃のたまの科学的な捜査等、あらゆる手をやつておると思いますけれども、自警がやつておるからわからぬのであるか、国警が調べたらわかるのであるか、これは別問題としまして、ただいまの齋藤長官の御証言では、合同でやつておるけれども、札幌市警当局が調べておるということでありますが、札幌市警当局が断定を下されずにおるその報告によつて、国警も下されないというのであるか、こういう点はいつごろ見通しがつくということがおわかりになりますかどうですか。
○斎藤証人 白鳥事件は、北海道の国警と札幌の市警と一体になつてやつておるのでありまして、最後のきめ手という点も、市警の報告というのではなく、一緒になつてやつておるわけであります。にもかかわらず、まだ若干の日時をかしていただかなければ、最後のきめ手は、軽卒に過ぎてはいけないと思つて、愼重にいたしておるわけであります。
○田渕委員 そこでまず白鳥事件は時日をかすといたしましても、白鳥事件のほかに現われた事件でも百何十件、つまり日共の指導による球根栽培法にある軍事行動の陽動作戰というものが各地区々々で行われておりますが、独立後において全国的な陽動作戦をとられて、最も手薄な県、あるいはブロツク的にいうならば、東北なら東北で一つの問題を起し、ただちに中国、四国で起し、九州で起す、こういう陽動作戦のために翻弄されるようなこともなく、中央が全国の情報網あるいは通信網等によつて絶えず適所に臨機応変の処置をとつて、全国の治安が維持できるという御確信がおありになるかどうか、この点をお伺いしたい。
○斎藤証人 こういつた類似のような事柄がなお若干起り得る、また若干ふえるかもしれないという考えは持ちますが、しかしこのために全面的に治安が乱れて、警察の統一あるいは国の部分的な統一を害されて、そこに解放地区ができてしまうということにはならないという確信を持つております。
○田渕委員 そこで、全国的な陽動作戦が行われても取締りできる確信があるという証言をいただきまして、安心いたしたのであります。治安はもちろん国警並びに地警の取締り機関でこれを維持していただかなければならず、またそれあるがゆえに、われわれ善良なる国民は国家再建に働きつつ、人命財産を維持しておるのであります。われわれは第一線警官が寝ずに夜パトロールされておる姿を見ると、菩薩のような感じがいたしまして、ほんとうに感謝いたしておるのであります。しかし治安は志気を高揚させてやつている治安取締り当局ばかりの責任でなく、たとえば昔の自警団あるいは隣組というような式で、一般大衆が協力するような国民運動が展開されて来てこそ、私はほんとうに確保されると思います。いわゆる民間協力であります。ここまで来れば、もう民間も立つでありましよう。いろいろなわれわれに対する投書、激励等によりましても立つと思います。しかしこういう事態になつて来ても、一部には結局さわらぬ神にたたりなしで、思想問題に関する限りは、他の窃盗あるいは重なるけんか等の事件に対する協力と違いまして、後難が恐ろしいというわけで、幾分でも非協力の方面に進むことをわれわれは憂えるのであります。国民と取締り当局との一致した、ほんとうに祖国愛から燃え上るところの治安対策というようなものが民主的に起きて来なければならず、また起きて来るでありましようけれども、まず国家警察としては、国民の協力を求めなくても行けるのか、また国民との間を離反しようとする策動に対して、どういうようなお考えを持つておられるか、特にSOSを発せられなくても、やはり国民が立つてくれることを希望しているか、あるいは現在の機構、制度上の欠陷をすみやかに是正して、一線の警官が十分動けるようにやつてくれなければ——私らはずつと調べて来ました関係上、現在の機構、制度、法律では手足を縛られているように感じて来たのであります。これは緊急に財政的な、予算的な措置をとると同時に、後の憂いなきような立法措置を講じなければ——われわれ政治家だけでも強く出ましようが、保守政党も甘過ぎます。また経済界の産業人も甘過ぎます。この真相を知つておりません。ほんとうに国民の輿論を喚起して、知らしめて、こういう毒牙がはえつつあるのを未然に防止するためには、やはり民間の協力を仰がなければならぬ。こういうことについて、何かわれわれに参考になる点お気づきでしたら御証言願いたいし、また書類によつてでもけつこうです。本日でなくてもけつこうであります。こういうような点で行かないと、私は持たないと思う。すでに今日では自界叛逆佗国侵逼と申しましようか、とにかく日共の扇動、その他によるところの北鮮系統の動きというようなものは、決して官公署の破壊とか、権力階級に対する反抗ではありません。私の選挙区である和歌山県などにおきましては、すでにこういうことをやつておる。県会議員の発言に対して日共が策動いたしまして、和歌山県の教育委員会が全県下の小学校、中学校、高等学校を三日間休校している。学校を休むのが第一にあらずして、彼らの勢力をようせしめるのが目的である。昨日私の湯浅町から陳情に参りましたが、町長、町会議員が出発するのに際して、暴行を加えてこれを禁止するというようなことをやつて、それでよう立たない。教育問題でもすでに民心を畏怖せしめておるのであります。結局権力階級に対する闘争とか破壊、暴行よりも、そういうような教育機関までも利用して民心を畏怖せしめておる、こういうような行動が起つて来ておるのであります。あの手この手と来ますので——私は全般的な陽動作戦に乗らずに行けるということを伺つて安心したのでありますが、決して彼らは破壊だけではありません。民心を恐怖せしめる行動をやつているのはすごいものです。先日も和歌山県において日共がそれをやつております。 こういう意味で、自界叛逆佗国侵逼というのは、目の前でも南朝鮮民族があの始末で、これが一朝誤れば壱岐、対馬へ上つて来るということは、あの元寇の戰いを見てもよくわかります。きのう広島の民団長の金君の証言を伺つてもその通りです。実際一線を守つているのは韓国、いわゆる南鮮である。こういうような意味からも、ほんとうに治安は——国内において自界は叛逆する、佗国は侵逼するというようなときに、講和が発効する。そこで自治警、国警だけで十分行けるという自信を伺いましたが、なおかつ国民の、いわゆるわれわれの祖国愛の大衆の協力がなければいかないのじやないか、もう一つあれば強化するのじやないか、私はこう思うので申し上げたわけであります。かような点において、決して権力階級、あるいは官公署の破壊、暴行だけでなく、あらゆる手段で教育方面にまで伸びて来ておる。それに政界も財界も甘過ぎるのじやないか、取締り当局からすればそう思いやせぬかと思うので、いろいろ申し上げたのです。それらの点についてお気づきの点がありましたら、本日でなくてもけつこうでございます。何とか参考になる材料をお示しくだされば、われわれとして結論を出すのに非常に参考になると思います。この点を申し上げておきます。
○斎藤証人 ただいまの御説、まつたく私も同様に考えるのでありまして、こういつた暴行、不法行為等を捜査し、検挙をいたしますのは、警察あるいは検察関係の仕事でありますけれども、こういう事態が起るということ、また直接そういう不法行為にわたりませんでも、集団的な力によつて自由な言論が押えられるとか、正当に主張すべきことを気の弱さから主張しないで、一方の要求をいれざるを得ないようにさせられるとかいうような弱さであつては、まことに困ると私は思うのでありまして、一般国民の方々、ことに有識者の方々、あるいは事業家の人たちにおかれましても、強い堅実な民主体制を維持し、さらにこれを進めて行き、これに反するものに対しては、どこまでも強く立ち向うという心がけをはつきりと持つていただかなければならないと思うのであります。それにつきましては、たとえば軍事方針の内容であるとか、あるいは球根栽培法の内容であるとか、こういうことをどういうように宣伝しているかということも、やはり皆さんに知つていただき、またいろいろな事件の内容につきましても、できるだけ真相を皆さんに知つていただいて、そうして強い決心を持つていただくということが、まず第一に必要であろうと思うのであります。また事件が起りました場合におきまして、ただいまお話の通りに、これについて自分が証言をすれば、あるいは目撃した点を語れば、あとで非常な災厄をこうむる、さわらぬ神にたたりなしというので、そのまま黙つておられるという点も多いのでありますけれども、こういうことは、結局われわれの健全な体制の破壊に自然落ち込まされてしまうのだということを、はつきり認識していただく必要があるではなかろうかと、かように考るのであります。 〔高木(松)委員長代理退席、委員長着席〕 またわれわれの捜査、検挙等に協力をせられたために、けがをしたり、あるいは死亡されたりというような場合もありまするので、さような場合には、少くともわれわれが職責上やつた場合に国家から受けるであろうような補償を、民間の協力者にも国が補償をするということが望ましいと考えまして、議会の関係の方々にお願いをいたしまして、議員立法の形で、ただいま衆議院の地方行政委員会でその法案の御審議を願つておるのであります。ただいまの御所見にはこちらもまつたく同感であります。
○内藤委員長 竹村君。
○竹村委員 先ほどの証言によりますと、たとえば今まで暴力関係で検挙したものはおおむね共産党員である、こういうふうに証言されているのであります。それでお伺いいたしたいのは、いろいろな事犯で、たとえばこの問題だけではなしに、いろいろな暴力関係、あるいはその他の詐欺、横領、いろいろな関係において検挙された場合におきまして、取調べにあたられましては、一々政党の所属をお調べになつているのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
○斎藤証人 政党所属は別に調べておりません。たとえば自由党の方であるか、社会党の方であるかというような点は、これは取調べる必要はありません。しかしながら、先ほどから申し上げておりまするように、軍事方針その他から、いろいろな点が打出されておりますので、われわれといたしましては、そういう方に特に御関係を持つておられる人であるかどうかということば、これは一応調べなければならないということを申し上げたのであります。
○竹村委員 それでは事犯が起りまして取調べにあたつては、ともかく政党所属をはつきり調べたことはない、また調べる必要もない——私は調べる必要はないであろうと思うのですが、今の証言によりますと、大体先ほど言われたのは、そういういろいろな方針が出ているから、そういうふうではないかという推定に基いたものであつて、はつきり自由党員であるとか、社会党員であるとか、共産党員であるとかは調べない、こういうように伺つていいわけですか。
○斎藤証人 こういう事案につきましては、共産党に正式に入党しておられる人かどうかということは、できるだけ調べるわけであります。その方面については、すでに届出がしてある人もありますから、それでわかるわけであります。これはそういつた政党に直接あるいは間接に関係している人が特にこういう事件に多いということでありますならば、勢いその方面の調べをしておかなければならないわけであります。
○竹村委員 もう一つお伺いいたしたいのでございますが、少くとも今日の憲法下におきましては、言論や集会、出版の自由が保障されておるのでございますが、われわれが地方に参りまして、たとえば演説会一ついたすにしましても、相当の制限と、そうしていわゆる国警管下における警官の演説会場に対するところの大量な派遣があるのでございます。こういうことは、少くとも私は各政党にはやつておらないことと思うのでございますが、この点はどうでありますか、
○斎藤証人 過去の例によりましてそういつた演読会でいろいろな不法事案が起る場合が多いのでありまして、そういうような場合の事前防止の意味で、警察が警備することもあるであろうと、かように考えます。
○竹村委員 国会議員が国会の報告をやる場合においても、そういうことがあり得るのでございますか。
○斎藤証人 演説会の内容によりまして、あるいはその内容において、あるいは外部からの勢力によつて、不法事案が起るかもしれないというときには、警備といたしまして、さようにいたしますことがわれわれの責任であろうと考えます。
○竹村委員 しかしながら問題は、たとえば国会の報告をやるという場合に、事態がそういうことに発展するとは考えられないのでございますが、そういうような考え方を持つ前に、たとえば国警管下の各警察においては、いろいろな形における個人的な思想的な調査までもおやりになつているように考えるのですが、その点はどうですか。
○斎藤証人 思想的な——どういう思想を持つてどうだという意味ではありませんが、先ほどから申しますように、共産党の機関紙とされておりますものの中に、いろいろこういつた不法事案を扇動するような記事が非常に多いのでありますから、従つてこれを読んでおられる人たちは、その方針にのつとつて、いろいろな不法事案を起すのではないだろうかということを事前に知る必要がありますので、さような関係から、そういつた方面に特に密接な関係のある人であるかどうかということを、警備の確保という意味から調べる場合が多いのであります。
○竹村委員 私はここで一つ伺つておきたいのでございますが、たとえば先ほど委員長の質問の中にもあつたように、職業安定所に対するいろいろな問題が起つている。それに対して、これを将来いろいろな形で取締るということを言われているわけでございますが、しかしその取締る前に、その取締らなければならないような事態が起る社会的な原因があるとお考えになるのでございましようか、どうでございましようか。
○斎藤証人 社会的な原因のある場合もありましようし、あるいはそういう社会的な原因をことさら生み出すようにして、そういう事態が起るという場合もあろうと思います。
○竹村委員 そういうようなものは、單なる扇動、單なる少数のものによつて起り得るものではないと、私たちは考えているわけであります。少くともそういう起り得るところの原因は、その最も根底をなすものは、国民の貧困であり、窮乏であると思いますが、少くとも国警の長官として、国内の今日の国民の貧困の状態、たとえば人身売買一つにいたしましても、あるいはその他のいろいろな問題にいたしましても、起り得る社会的な原因が、政治の貧困から起つているということをお考えになりませんか。
○斎藤証人 そのように、以前にも米騒動だとか、あるいは一揆だとかいうようなものも、ときどき起つた場合があるのでありますが、今日の状況は、さような自然発生的な事柄から自然に起つて来たというよりは、むしろそういうふうに指導されたがために起つて来たというのが多いようであります。
○竹村委員 たとえば、かつての日本の農村の歴史を調べてみましても、長い問いわゆる百姓一揆その他の事案が起つていることば、歴史の示すところであります。こういう事案は、單なる一人や二人の扇動その他によつて起るものではなしに、その当時の——たとえば農民暴動等の歴史的な考察におきましても、少くともその当時の社会的な條件、その当時の農民の貧困、あるいは領主の苛酷な搾取、こういうようなことが理由となつて起つていることは、これは史家の一斉に認めるところでありますが、現在のこうしたいろいろな問題が起るところに、起り得る社会的條件があるということを考えなければ、單に取締りだけを強化することによつて、あるいは法律をつくることだけによつて、私は問題は解決しないと思う。その点を特にこの事案を取締るという立場の人は考えなければならぬと思うのですが、そういう考えはありませんか。
○斎藤証人 もちろん政治は必要であります。しかしこういう事態が現にあるわけでありますから、取締りも一面にいたさなければならぬのであります。
○大森委員 私は簡單に、現実の社会情勢を憂慮いたしますので、伺いたい。現在の至るところにひんぴんとして起ります直接行動に対して、これに当るのには、警察の十二万五千のみでは非常に心もとない。そこで、今日本全国に有しております消防団というものは二百万いる。以前は情報を持つております警察と消防団とが一体となつて当つておつたのである。しかしながら今日はどうなつたかというと、その消防というものを分離して町村長の部下に入れた。その後というものは警察との関係はまつたく疎遠になつているのであります。今でもそれはいろいろな関係で、この間も京都などで消防が水をかけて鎭圧したという話も聞いておりますので、これは長官あたりはどういうふうに考えておられるか。私はどうしてもこれを一体となつた形のものをつくるにあらざれば、現在の日本国民は安心がならないと思うのであります。さらに共産党の方々はよく御承知でありますから申し上げるが、共産党の人は警察官に向うと非常に強いのである。これは何かやはり昔からの習慣で、ねこにねずみというようなことを言うが、何かそういうことで、警察官はまた共産党にかかると弱い、だから、そこにいつも警察官がいじめられるという形を見るので、私ども実に遺憾に思つておる。われわれなら共産党何やるんだ、この野郎というわけで、ただちに地方における共産党などは、必ず消防などで解決つけるのであります。だから、こういう点はやはり国民に安心感を與える上においては、何かこうしたものと団結をするか、何か連繋をとるかということが、私は将来最も大切なことでないかということを考えておるのでありまするが、長官はどういうふうに考えておられますか。消防と警察が両々相まつて治安に当るということが一番いい、こう私は考えておりますが、どうでありますか。
○斎藤証人 今日におきましても、広い意味におきまする治安の維持は、警察、消防互いに手を握り合つてやるという建前になつておるのでありまして、二年ばかり前でありましたか、平事件、日鋼事件あるいは三鷹事件等が起りました際に、消防の方と協定いたしまして、非常の場合には消防の応援を受けて、そうして消防には消防に適するような警備面を受持つてもらうというような協定をいたしておるのであります。この際も、相当共産党の方々から国会でもつるし上げを受けたのでありまするが、日常の今日の警察業務におきましては、(「つるし上げとは何だ」「国会の質問がつるし上げか」と呼びその他発言する者多し)ただいまのは国会においてではありません。陳情その他において相当やられたのであります。国会においては質問を受けたのであります。国会においてつるし上げではございません。今日日常の業務におきましては、私は消防の応援を受ける程度ではないと思つております。しかしながら消防と警察の機構を今のままでよろしいか、さらにもう少し連繋をよくする方法が必要であるかどうかということにつきましては、いろいろと研究をいたしておるような段階でございます。
○内藤委員長 他に御発言がなければ、斎藤証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでございました。 —————————————
○内藤委員長 引続き木村法務総裁より証言を求むることにいたします。 これより治安警備状況に関する件について、木村法務総裁より証言を求ることになりまするが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人またば証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものなるときは、その旨申出を願いたいと存じます。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人木村篤太郎君朗読〕 宣 誓 書 良心に従つて、真実を述べ、何事も かくさず、又何事もつけ加えないこと を誓います
○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしうございますが、お答えの際は御起立を願います。 木村法務総裁にまずお尋ねしたいことは、市以外の農山村方面、主として国警管内等において、暴力を伴う集団示威行為が敢行される場合、公安條例の定めのないところが多いのでありますが、これは不都合ではないでしようか。
○木村証人 お答えいたします。公安條例の定めのないところにおきましては、取締り上非常に不便を感じております。
○内藤委員長 そこで公安條例を統一するような何かお考え等はございませんか。
○木村証人 これは各地の情報を今取調べまして、その必要に応じて統一的の取締り方法を作成いたしたいと考えております。
○内藤委員長 最近頻発する税務署とか、市町村役場、あるいは職業安定所等に対する集団のデモに伴ういわゆる公務執行妨害、あるいは暴行、傷害等の事犯は、おおむね事件が起つたその後に検挙されておる、これを事前に防止しなければ何にもならぬと思いますが、その点はいかがでございましよう。
○木村証人 事件が起つてからこれを検挙しても、これは時期遅れという感があるのであります。もとより国家治安の面から見ましても、さようなことは事前に防止することが最良の策と考えております。しかしながら事前に防止するということにつきましては、非常に困難な事情があるのであります。あらゆる面からこれがどういうことをやる気配があるかというようなことを逐一探索しなければならぬ。それに基いて情報を得れば、それに基いての検挙に行かなければならぬ。これは非常な細心の注意と努力を要する次第であります。しかしわれわれ治安をあずかる者といたしましても、ぜひとも事前にさような行為を防止する必要ありと考ておりまて、ただいまいろいろその研究をして案を練つておる次第であります。しかしそれと同時に、すでに起つた事犯につきましても、これはもとより看過することはできない。現行犯につきましてはただちにこれを検挙する。またすでに行われて、これらの者がどこかに逃走をする事態が生じた場合においても、でき得る限り手を打ちまして検挙に努める次第であります。
○内藤委員長 ただいまの御証言のうちに、未然にこれを防遏するための法的処置をお考えになつておるということですが、具体的にどういうことをお考えになつておりますか。
○木村証人 法的処置と申しましても、これに対する手はただいまのところ打ちようはないのであります。ただこれをいかに実行するかということであります。それにつきましては、一番の方法としては、その取締りの任に当るべき者を十分に訓練しなければならぬ。そうしてあらゆる情報網を持つこと、そうしてその任に当る者の訓練、さような点からいたしまして万全を期さなければならぬ、こう考えております。
○内藤委員長 数日のうちに待望の講和條約発効の日も来るように聞いておりまするが、独立後の治安対策に空白の状態を生ずるような不安があると思われます、これが応急策等はございまするか。
○木村証人 この講和発効直後の治安の問題に関しましては、われわれといたしましては細心の注意を払つております。これにつきましては国警はむろんのこと、東京におきましては警視庁、各地の自治警察、それらのものと十分の連繋をとりまして、ある種の態勢は整つておるつもりであります。
○内藤委員長 応急対策は十分にお持ちになるという確信がおありになるわけですね。 目下本院において審議中でありまするいわゆる破防法と同時に、特審局の拡充をはかろうとしておるようですが、これがために関係官庁との摩擦を惹起したり、あるいは警備態勢を低下する結果を招来するようなおそれはございませんか。
○木村証人 お答えいたします。さような懸念は毛頭ないと考えております。特審局におきまして、世間往々多数の人員をふやすのじやないかということが言われておるのでありますが、さようではないのであります。地方へ分局を設けますので、その手当としては多少の増員はいたします。しかし大幅の増員ということは考えていないのであります。しこうして特審局の機構といたしましては、これは御承知の通りいろいろな関係上、人権の蹂躙というようなことを言われるかどがあるのでありますから、いやしくもさような人権の蹂躪の疑いを抱かせたり、あるいは事実さようなことをこれからなくするために、特に法務府といたしましては、来るべき公安調査庁の付属機関として研修所を設けまして、十分な訓練をいたさせたい、こう考えております。しこうして摩擦の点におきましては、最近におきましては、国警と警視庁、特審局、検察庁の関係は実に円満に行つております。これは私は確信をもつて言えるのであります。きわめて連繋を密にいたしまして、何らの摩擦なく、運営の面においていささかの懸念も私はないと考えております。ことに今後考えられることは、特審局、国警あたりの人事の交流、こういうようなことも考えまして、その間の調整をうまくとつてやりたい、こう考えております。
○内藤委員長 新刑事訴訟法における勾留理由の開示公判は、日共関係の事件においては、この公判廷を通じて宣伝の機会を與えるような結果となつておる。また傍聴人よりの被疑者に対する激励を與える機会の場所ともなつて、法廷を侮辱しておるような場合が多いと聞いておりますが、現状でよろしいとお思いになりますか。
○木村証人 私は現状は非常に不満を感じておるのであります。私、法曹生活約四十年、常に法廷の神聖を叫んで来た一人であります。法廷は厳粛なる場である。その点においてむろん被疑者であつても、傍聴人であつても、弁護士であつても、検事であつても、裁判官であつても、一体となつてこれを保持しなければならぬ。この建前を堅持しております。われわれといたしましても、その点については常に同僚にも、法廷の厳粛を持するような方法を考えようじやないかと話合つております。近時ややともすると法廷の厳粛さが非常に失われておることはまことに遺憾に感じております。私は裁判官に対しても、もう少し何かやり方があるのではないか、いわゆる法廷指揮権を十分に行使して、これらの点についてもう少し考えるべきじやないかということを言つておるのでありまするが、裁判官によつてはなかなか思うように行かない。ことに信念のない裁判官におきましては、心理的状態が乱れまして、法廷の指揮権を十分に行使し得ないうらみがあるのであります。これらの点につきましては、私はまことに遺憾だと考えております。そこで新刑事訴訟法の改正問題が起つておるのでありますが、この改正にいたしましても、思うような改正ではないと私は断言いたします。かような改正だけでもつては、今の裁判官において法廷の厳粛を維持し得るかどうかということについて疑いを持つのであります。根本的の改正策も私は持つていないわけではありませんが、それは実行がなかなかむずかしかろうと考えております。しかし今後は先刻申し上げました通り、弁護人も、検察庁側も裁判官側も一体となつて、法廷の厳粛を持するように努むべきであろうと私は考えておる次第であります。
○内藤委員長 黙否権というのが非常に濫用されて、むしろそのために法廷なりあるいは検察庁方面においては事件の真相をつかむのに非常なる苦心をされるようです、黙否権が審理に相当な支障を與えておるということは間違いないと思うが、これに対してはどういうお考えをお持ちですか。
○木村証人 まことにごもつともなお尋ねと考えております。この黙否権を行使いたしまして、それがために審理が思うように進まない、これは事実であります。そこで黙否権の問題でありまするが、憲法におきましては單に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」こう規定してあるにとどまるのであります。供述を拒む権利があるとは言つていないのでありますが、なるほど被疑者は犯罪事実の内容については陳述しないのは自由であります。しかしながらそれは権利と申すことはできないと思います。自由であるが権利であると申すことはできないと思います。一方において取調官が被疑者を取調べのために呼び出しておきながら、お前は言わなくてもいい権利があると告げてから尋問を進めるということは、はなはだ矛盾した行き方じやないかと私は考えております。黙否権の内容については、法律的にもいろいろ疑問の点があるのでありますが、先般法制審議会の議を経まして、目下本国会に提案中の刑事訴訟法の改正法案におきましては、被疑者に対しては單に憲法通りの文言、すなわち前に申しました自己に不利益な供述を強要されない」旨を告げればよいのではないかと私は考えております。この改正案が通りますると、今後は運用の実際におきまして、多少は違つて来るのではないかと私は考えております。
○内藤委員長 当委員会において調べましたこと、あるいは最近の新聞等には、いろいろ日共に関係のある事件の背後には常に一部の悪質な朝鮮人が存在し、あるいはこれをリードしておるという事実が現れて来ましたが、かような悪質な者に対する対策等はどうでございましようか。
○木村証人 お答えいたします。この悪質犯罪者に対しましては、十分な用意を持つて検挙しておるのであります。しかしこれがある種の団体と背後関係があるかどうかということにつきましては、いまだ実証はあがつておりません。私はこの朝鮮人の問題について非常に考慮を払つております。一部尖鋭分子のために善良な在留朝鮮人が非常な迷惑をこうむつておることは事実であります。かような人のためにも、過激な在留朝鮮人については何とか処置しなければいけない、こう考えております。また国家治安の面からも、これははなはだ憂慮すべき点があるのであります。これらに対する対策については十分研究いたしたいと私は考えております。
○内藤委員長 終戰直後国民は第三国人としての朝鮮人等より非常な侮辱を受け、あるいはまた残虐な行為をとられ、私自身もさような経験を持つておりまするが、これらの人々の横暴なる行為に対しましては、われわれは泣いてこれを忍んでおつたこともあります。しかしながら当委員会に現われましたところから見ましても、日共と深き関係を持つておる悪質な朝鮮人が相当におるということが明らかになつております。かような悪質な者に対しましては、独立を迎えてさらにわれわれはかような人々が日本において暴威を振うことをそのまま見のがすわけには行かぬというのが、国民的な感情だと思う。この点について総裁はどうお考えでありましようか。たとえば一例を申しますると、おそらくわれわれ国民の中にもさような決心をしておる者が多いとは存じまするが、朝鮮人の中でも、いわゆる大韓国民と称せられる南鮮系の朝鮮人で、昨日も当委員会に証人として出ましたこの人は、もはや日本の今の警察官の保護程度ではわれわれの生命財産があぶない、われわれみずからも武器を持つて立たねばならぬ段階に入つておる、という悲壮な証言をここでして行つたのを実は委員長は聞いております。かような意味において、こういう悪質な朝鮮人に対して何か徹底的な方法等をお持ちになるかどうか、もし当委員会でお漏らしになり得る程度のことがございましたなら、ひとつお漏らしを願いたい。
○木村証人 まことに御同感であります。一部凶悪なる朝鮮人の行動は実に目に余るものがあるのであります。国民の憤激もまことに私は理由がないと考えるものではありません。かような凶悪な一部朝鮮人に対する措置につきましては、これは出入国管理令によりまして強制送還の手続もとり得るわけであります。しかしそれは事が起つてからのことであります。事の起らない前においてどう処置するかということにつきましては、これは先刻も申し上げました通り、特審局あるいは国警あるいは警視庁その他において、十分の連絡をとつてやるよりほかに方法はないと考えております。しかし今仰せの通りに、国民的憤激にまで行つておるのでありまして、場合によつては相当な危険なこともあり得ることと考えております。さようなことがあつては私は申訳ないのでありますから、政府において十分責任を持つてそれらの点については処置をいたしたいという考えで、いやしくもそれらについての反逆というか騒動でも持ち上るというようなことがあつては、まことに私は申訳ないと考えております。しかし今仰せのごとく、事態はそこまで進んでおるのではないかと考えておりますので、十分な用意を持つてこれらに対して善処をいたしたい、こう考えております。
○内藤委員長 なおその反面において善良なる大部分の朝鮮人に対しましては、日本は厳然たる法をもつてこの人人の生命財産を守ることを、これまた十分に政府として御考慮を払つてもらいたい。 ちよつと各委員にお願いしておきたいことは、法務総裁はここにおいでになつておりますが、ただいま法務委員会では破防法の審査を休憩しまして法務総裁に特に当委員会に御出席を願つておるというような状態でありますから、どうかそのおつもりで、質疑はなるべく簡單に要領よくお願いいたしたい。
○高木(松)委員 日々新聞を拝見し、またいろいろの問題のあることを国民が知つて、まつたく日本の治安に対し相当の危険を感じておる。そのもとを調べてみると、大体において球根栽培法という一つの本を出して、それに指導原理を書いて、地下運動の動きが見える。それから栄養分析表と称するものでいろいろの軍事行動を指示している。先ほどから国警長官及び警視総監を証人として尋ねると、やはりこれらの地下運動が大きな作用をして、現象的なものが現われているんだ、こういうことを言われております。そこで法務総裁は日本治安の大元締めでありまするから、こういう状態でこのまま推移して、もし講和條約の効力発生と同時に客観状態がかわつたならば、はたして日本の治安がはつきりと保てるのであろうかなかろうかという見通しについての見解を承りたい。
○木村証人 われわれといたしましてはそれに対処すべく万全の処置を講じておるつもりであります。しかしながら国民にもまたこの情勢を十分に認識していただいて、ともどもこの国家の治安問題について協力をお願いいたしたい、私はこう考えておる次第であります。これは国民の一部があまりにも日本の現状というものを閑却しておるんじやないか、こう考えております。われわれといたしまては全力をあげてさような憂いのないように肝胆を砕いておる次第であります。ただいまのところは各方面の連絡を十分にとりまして、さような憂いのないようにしておる次第であります。
○高木(松)委員 法務総裁の治安に対する見通しはわかりました。そこでただいま法務総裁が提案になつている破防法が、万が一にも通らないような場合において、総裁は治安責任者として講和発効後の日本の治安を維持して行ける自信がありましようかどうか。
○木村証人 お答えいたします。ただいま提案中の暴力活動防止法案が万一通過しないようなあかつきにおきましては、日本の治安は私は責任持てぬと考えております。
○佐竹(新)委員 二、三点証人に質問したいと思いますが、きようで四日間にわたる京都並びに広島地方のいわゆる破壊活動に対する調査をいたしたのでありますが、こうしてここに委員会で調査に当つておりますると、いかにも日本は暴力革命の前夜にあるような考え方、神経戰に降るというか、そういうような非常に悲壮な感じを持つのでありますが、しかし私は日本においては暴力による革命は断じて成功しない、暴力によつて革命政権をとるということは断じて成功しない、かように考えているのであります。それはどうしてかと申しますると、あの終戰当時の非常に社会の秩序を失つて、取締りの方面の秩序も失つて、また連合軍も来て間もないころの日本における左翼思想の活発な活動は御承知の通りであります。しかもその当時には農村といわず都市といわず、敗戰によつて建物は都市において破壊され、物は非常に不自由である、こういうときにこそ暴力をやつて一応革命が成功するので、やればこういうときである。しかしながら今日のごとく秩序が治まつて来て物も大体潤沢になつて来た。こういう時代において幾らこういう破壊活動が部分的にありましても、むしろ国民大衆から孤立化の方向に持つて行くので、今法務総裁の証言されたように、破壊活動防止法が議会を通らなければ治安、秩序に責任が持てないと考えるという、この考え方は、あなたみずからがいわゆるそういう一つの神経戰に陥つておられるのである。もう少し法をあずかる者は、秩序をあずかる者は、自信を持ち、日本の民族の伝統的な立場というものを考えられて、そうして法律というものに対しても厳粛であるべきではないかと思うのであります。法務総裁は暴力革命が日本で達成されると思うか、されないと思うか、こういう点についての御答弁をお聞きしたいと思います。
○木村証人 お答えいたします。私は必ずしも暴力革命とは言わないのであります。御説の通り暴力革命というようなことは、あるいはそういう憂いはないかもしれません。暴力革命以外の日本の治安をどうするかということであります。いわゆる法案に規定されてありまするように、いろいろの犯罪を扇動したり幾多の例があるのであります。しこうして今御説の通り私は日本人は賢明であると思います。しかしながらこの情勢は今仰せのこととは違つているのでありますして、最近は国際間の関係が非常に多いのであります。これを十分に認識していただきたい。ただ国民間の関係では私はないと思います。国際的のつながりを持たないとも限らない。その点から考えましても、私はこの暴力破壊活動防止法案というものはぜひとも通過を希望するのであります。これは暴力革命というようなことは別問題といたしまして、日本の治安を維持するという観点から申しましても、必要であろうと私は信じているものであります。
○佐竹(新)委員 今証人の言われたような国際的な関係もあるということは、われわれ一応了解できます。しかしながら過去の例に照しましても明らかなごとく、いたずらに思想というものを強く圧迫しますとその反動性がまた強く現われて来るものであります。昨日の法務委員会において、この法律をつくつて、日本共産党をいわゆる結社の禁止の対象にするものではないという総裁の御答弁があつたように新聞で見ておるのでありまするが、もしそういつたような団体を地下に追い込んでしまうと、その反動はむしろ法律をつくつた以上の反動が出て来ると思うのであります。いま一つの問題は、今の日本が、いわゆる民主主義国家としての基本的性格から申しまして、こういう法律によりまして広く解釈を拡張いたしますると、たとえばストライキをやる、ストライキはいわゆる與えられた団結権によつて罷業をする、こういうような場合に、この取締りの末端の解釈の拡張によりまして、これに左翼分子が潜入しておるという場合、せつかく一つの団体が合法的な罷業権によりまして要求をしておるにもかかわらず、手入れをされるということになると、かえつて暴動化のおそれがある。これは解釈の拡張がどのようにでもできるということになりますと、民主主義の基本的な問題をむしろ破壊に持つて行くことも考えられはしないかと思うのでありますが、法務総裁はどういうふうな御見解を持たれるか。
○木村証人 さような御懸念はごうもないのであります。法案を十分に御検討くださいますれば、そのお疑いは解消してしまうと思います。ただいまの労働組合はさような目的でもつて活動しておる団体ではありません。正常な組合活動については、この法案は少しも対象にしていないのであります。要するに内乱を企図したり、あるいは騒擾を企図したり、そういう国家的な基本秩序を乱そうというような団体を規制することを目的とするのであります。いやしくも労働組合ともあろうものがさようなことを考えるというふうなことは、われわれは夢にも思つておりません。この法案において十分にそれらの点のお疑いを持たないような手当はしておるつもりであります。十分にこの法案を御熟読願つて御研究を願えば、その点のお疑いは晴れるだろうと私は確信しております。
○内藤委員長 山口君。
○山口(武)委員 先ほどの法務総裁の証言によりますと、公安條例を全国統一的なものとして制定することを考えている、このように言われておりましたが、これは地方自治を制限するものではないか、あるいは国民の権利を縮小することになりはしないかと思うが、これはいかがお考えですか。
○木村証人 私はさように考えておりません。
○山口(武)委員 考えておりませんと言いまするが、事実は公安條例を制定する権利というものを地方自治体から奪い去り、これを決する地方における住民の権利というものを制限する、縮小するということになる。これでなお制限と考えていない、こういうのですか。
○木村証人 ただいま研究中でありまして、さような点のないように十分の考慮を払つておるつもりであります。
○山口(武)委員 答弁がはなはだ論理的でないように受取りましたが、もともと木村法務総裁は、原子爆弾でなければ武器として認めないというような論法を持つておられる方ですから、まずこれはやむを得ないだろうと了承しておきます。 それはそれでいいのでありますが、先ほどの証言によりますと、破防法がなければ日本の治安について法務総裁として責任を持てない、このようにおつしやつておられますが、だといたしますと、このことは裏を返して申しまするならば、破防法というものを、政府の考える治安の安定ということにおける最大の武器にしておる。こういう考えこそ警察力をもつて日本国力を規制するという考えになるのではないか、このことは警察国家を実現するという考え方をその基定としているものではないかと思うのですが、これはいかがでありましようか。
○木村証人 さようなことは毛頭ありません。これによつて警察力を強めようなんという考えはありません。ただただ破壊的暴力団体を規制するという目的にすぎないのであります。
○山口(武)委員 破防法のみによつて国内の治安を守るというような方式は、近くは蒋介石によつてとられ、あるいは南鮮における、あなたによく容貌の似ておられる李承晩によつてとられて来たのであります。これが治安問題を解決するかぎではないのであります。この道を選ぶものは警察国家の実現をはかつているものだ、このように世間は批評しておるのであります。たとえば国民が実力的行動の必要性を強調するという場合にどうなるかということになる。それは現政府が外国の指示によつて日本を戰争に巻き込もうとする、しかも憲法の改正もやらない、法規も無視して戰争に日本をかり立てようとする場合、日本の全国民がこれを阻止しようとすると、やはり破防法によつてこれが取締られ、処罰されるとしますならば、これはまさしくかつてヒトラーが行つた道であります。あるいは東條もやつて来た道であります。このような事態が起りました場合に、やはりあなたたちはこの破防法をもつてこれを抑制しようというふうに考えておられるのでありますか。
○内藤委員長 山口君に申し上げますが、破防法は法務委員会において目下審議中でありまして、当委員会にも関連なしとはいたしませんけれども、それは主たる審議の議題ではございませんから、他の点から質疑を進めたらいかがでございましよう。ことに今法務委員会が休憩をしておるのでありまして、向うも法務総裁に対して相当に時間を急いでおるそうでありますから、この点御了承願いたいと思います。その意味において御質問願いたいと思います。 竹村君。
○竹村委員 私はただ一点だけ伺つておきたいのですが、先ほど委員長の質問に対して、いろいろな事犯が起るために、これを未然に防遏する方法を考えておるというお話でありましたが、それは破防法でありますか、その点を伺いたいのであります。
○木村証人 破防法ではありません。
○竹村委員 それではどういう法でございましようか。
○木村証人 先ほどの委員長の御質問は、講和條約発効即時の事態にどう処するかということの御質問のようでありました。それは治安を維持すべく、われわれといたしまては国警、自警その他と十分連絡をとつて善処いたしたい、こう申したのであります。
○内藤委員長 竹村君に申しますが、私の質問も総裁と同じく、独立直後の問題を聞いておつたのであります。
○竹村委員 それでは私は伺つておきたいのでありますが、先ほどから法務総裁の言われるように、日本の国民はその生活の基本を憲法に置いておる。従つて憲法が為政者によつて曲げられた場合、これを直す方法として、国民がいろいろな形において活動をやり運動をやるということは、私は当然だと思いますが、未然に問題を防遏する根本問題としては、少くとも今日の日本の憲法を政府みずからが守ることであり、そのためには再軍備やその他をやめ、あるいはまた外国軍隊を日本国内に駐留するようなことをなくすべきであり、それからもう一つは、国内における国民の生活の問題をまず根本的に解決することであると思うのであります、これなくしていかなる法律をおつくりになつても、この治安の問題は解決できないと私は考えておりますが、こういう生活、少くとも毒されている、あるいは破壊されているところの国民生活を、いかに建直すかという施策を考えることが根本的な問題だと考えますので、この点法務総裁はどういうふうにお考えになりますか。
○木村証人 政府におきましては国民生活の安定のために十分の施策を研究し、また実施しつつあるところであります。
○浦口委員 委員長の御注意もありますし、法務委員会の関係もありますので、簡單に二点だけお伺いいたします。 先ほど法務総裁から御証言がありましたように、われわれはいわゆる暴力革命がすぐに起る、こういうふうに考えてはおりませんが、治安上相当重大な事態が起きるということは、これまた総裁の証言通りである、こう思うのであります。そこで日夜それについてのご心配もわれわれよくわかるのであります。北海道における治安状態でございますけれども、これにつきましては総裁もすでに御承知とは存じますが、一部の人たちによつては、いわゆる暴力革命のすべての準備が整つて、講和発効とともに北海道には人民民主政府が成立する、こういうふうな宣伝もされておりまして、そういう宣伝によつて若い人たちが命の三つや五つは惜しくないというふうな、非常に果敢な運動を展開している、こういう面もあるのであります。でありますから、こうした事態が一体北海道にあるのかどうかということを一つお聞きしておきたい。 それから第二番目には、こうしたことは私は結局情報というものに非常に関係があると思います。そこで先ほど法務総裁は特審と警察との関係について御証言があつたわけでありますが、私実は北海道でありますので、両方の情報をあらゆる機会に聞いているわけでありますが、警察の情報と特審の情報が非常に食い違つている面が多いのであります。たとえばもうあすにも北海道に人民民主政府ができるというふうな情報は、どちらかというと警察の方の情報に多い、私はそういう事実を知つているわけです。いろいろ内容を方し上げる時間はありませんが、いわゆる各地にすべての準備が整つているというふうな情報を聞くわけです。ところが特審の方に伺つて見ますと、必ずしもそうした切迫した危機があるとは考えられぬ。そこで先ほど総裁は非常に両者が密接な関連を持つていてそこに何の齟齬がない、こういう御証言がありましたが、日ごろにおいて、特審と警察方面とのそういう情報について、どの程度話合いと意見の交換があり、その結果によつて統一された情報が流されないと、ここに非常に誤解が起きる。その点についての法務総裁の御見解を伺いたい。 いま一つは特審局の職員の問題でありますが、われわれが経験いたしますところでも、二十二、三あるいは四、五の、非常暑い人がよくわれわれの接触の対象になるのでありますが、どうもそういう人たちは一つの軍備なら軍備という問題についても、非常に結論をあせる、すぐ白か黒かということを返答させなければやまないというふうな態度が非常に多いわけでありますが、こういう点について逆の効力が出て来る面があるのじやないか、こういうふうにわれわれは考えますので、その点と、三点についてまず御意見を承りたい。
○木村証人 まつたく適切な御質問であります。北海道の治安状態は相当緊迫しておるように伝えられておるのであります。しかし世間でいわれていることがはたして真実性があるかどうかということについて、われわれ十分にこれを検討しなければいけない、こう考えております。これは北海道に限つたことではありませんが、特に北海道においてはその感を深くするのであります。ただいま御質問の国警と特審局の連絡云々のことでありますが、これは御承知の通り、私は最近両方を受持つことになつて、終始その連絡調整をはかつておるのであります。まあ上層部においては大体いいのでありますが、末端におきましては必ずしもそうじやないと考えております。ことに今仰せの、特審局の連中がはなはだ年若くして、結論を急ぐということ、これはもつともなことと考えられます。それで特審局の人間については特に考慮を払わなくちやならぬと考えております。頭の関係もありますし、体の関係もありますし、ことにそういう面から行きますと、相当年令をとつた人がいいのじやないかと考えられる節があるのであります。一面においてこれに十分な教育を施さなければならぬ、その点について従来欠点があつたのじやないか、こう私は考えておりまして、再教育の点について今十分の考慮を払つておるつもりであります。近くそれらの点についても満足の行くような結果を来すのじやないか、こう私は考えておる次第であります。なお北海道の治安につきましては、われわれといたしまして最善の注意と努力を払いたい、こう考えております。
○浦口委員 この際いま一つ伺つておきたいと思います。この破防法が共産党禁止令でないということは承つたのでありますが、しかしこうした法案が出る場合に、必ずおつきあいにあげられるのがいわゆる右翼団体であります。そこで私はこの際右翼団体に対する法務総裁の御見解を承つておきたいと思うのであります。いわゆる右翼団体というものは、單なる国粋的な主張を持つておるとか、あるいは保守的なものであるとか、そういうことでなしに、われわれの考えております、また当局が共産党と対立的に考えられる右翼というのは、いわゆる極右的な存在であつて、直接行動、いわゆる暴力主義に出るものがこうした法案の取締りの対象になるべきものであつて、單にその主義主張が国粋的であるとか保守的であるとか、そういうことによつて共産党と並べられて考えられるものではない、こういうふうに考えるわけでありますが、法務総裁の共産党と対立されて考えられる右翼というものに対する御見解と、そうした右翼団体が今現実にあるのかどうかということを承つておきたいと思います。
○木村証人 封建的の考えを持つておつて、それらの人が集まつて団体を組織した、そういうものは世間で往々右翼団体と称せられるようになるのでありますが、そういう団体はこれは自由であります、決してそういうものはただいまの破壊活動防止法案の対象になりません。ただただ暴力によつて事をはかろうとする団体を規制しようとするのであります。全然別個の関係であろうと考えております。
○中川委員 時間が切迫しておりますからごく簡單にお伺いいたします。昨日の法務委員会における破防法の審議の過程で、最近頻発する集団暴行事件の背後に、共産党があるかどうかというような質問があり、これに対して総裁は、そういうことは否認しないというような御答弁をなされたということを聞いたのでありますが、否認しないということは是認されることでございますか。実は最近頻発しておるところの集団暴行事件の背後には共産党が扇動しておるということは、これは明々白々たる事実であります。これはもう広島の日鋼争議の事件を見ましても、北海道の白鳥事件を見ましても、またその他いろいろな問題を見ましても、その背後にはみな共産党が動いておる。きのうなぜ法務総裁ははつきりと共産党がやつておるということをおつしやらなかつたか、こういうことに対して私は実に不満を持つておるのであります。実際にやつておられることは、総裁はそういうような非合法運動に対しては相当な決意を持つておやりになつておられることは、私ども認めておるのでありますが、同時にそういう決意をああいう席上においてはつきり表明していただきたかつたのであります、今もなお総裁はそういう点についてははつきり明言をされようとしないのかどうか、この点を伺つておきます。
○木村証人 これは実に臆病のようでありますが、私は法律家なのであります。確実な実証をあげて、そこに提供をいたしたいと考えます。疑いは十分あるということを申し上げます。そこで私はこれを否認しないというのはその点であります。
○中川委員 今日まで、ただいま私申し上げましたような問題について、確実な証拠は上つていないのでありますか。
○木村証人 現在のところでは、これは何とも申し上げかねるのであります。
○中川委員 それではそういうことにしておきまして、先般広島の特審局襲撃事件がございましたが、それに基いて広島の麦局長が証人としてここに出頭されましたけれども、広島の支局長の話を聞きますと、いかにも支局の機構が貧弱である、もう少し機構を拡充してもらいたい、こういうことは全国の各支局から異口同音に法務府に対して要望しておるのであるが、なかなか機構を拡充してもらえない、こういう点について御不満のように私どもは拝聴いたしたのであります。もちろん予算が伴うことでありますから、そう簡單に機構を拡充するということもできないでありましようが、今日の事態というものは、私は今日午前中も言つたのでありますが、まつたく食うか食われるかという重大な事態に立ち至つておるのであります。国会といたしましても、こういう点については十分なる審議を遂げて、そうして予算を増強すべきものは増強しなければならぬということは、私はおそらく共産党の諸君を除いてはみんな一致した意見だろうと思つておるのでありますから、どうかそういう点に対しては勇敢にひとつ機構の拡充をやつていただきたい。これに対して今日まで各地方からそういう要望があつたことに対して、法務府はどういうふうな御回答をなされておるのでありますか、伺つておきたいと思います。
○木村証人 お答えいたします。ただいま提案中の公安調査庁設置法案が通りますると、それに基きまして手当ができると考えております。
○中川委員 これは総裁として御答弁になるかどうか知りませんが、もし答弁ができましたら答弁を願いたいと思いますことは、法務府の機密費の問題であります。これはかつて殖田法務総裁時代は総裁が握つておられたように伺つておるのでありますが、今日は伺うところによれば、特審局長がこれを握つておるということであります、機密費の問題については、かつていろいろないかがわしい問題も起きたように聞いておるのであります。しかしそういうことは別として、この機密費は現在どのくらい法務府にあるか、これはいわゆる機密に属することでありますから御答弁できないかもしれませんが、どういうふうに使われておるか、こういう点につきまして、もし御答弁ができましたら伺つておきたい。
○木村証人 ある程度のことは申し上げてもよかろうと思います。機密費というのじやなく、報償費というのであります。私は機密費というのがあることは存じておりません。いわゆる報償費と聞いております。私の建前といたしましては、これは最高の責任者が持つべきじやないと考えております。大臣が一々持つておつて、そうしてそれを動かすということはどうかと私は思います。これは個人の考え方であります。そこで直接の責任者にそれを持たせておく方がいいのじやないかという考えのもとに、私はその点については少しもタツチいたしておりません。全部信頼いたしてそれを使用させておる次第であります。内容のことについては、私は申し上げかねます。
○内藤委員長 高倉君。
○高倉委員 簡單にお尋ねしたいと思いますが、最近頻発するところの暴行事件に対処いたしまして、自警と国警がしつくりしていないということ、また特審局の人員が不足であるということは、過般京都事件の調査をいたしましたときに、これははつきりとは言えませんけれども、その奥底にはそういうようなことがわれわれには感じられたのであります。従つてこれに対して、自警と国警を一つにして国警にする意思があるかないか。また特審局の人員が不足であるために、捜査その他に大きな支障を来しておるというのでありまするが、これらに対して人員をふやすところの意思があるかどうか。それからもう一つ、これで最後でありまするが、先ほど総裁は国民の協力を望むということを言われておるのでありまするが、なかなかこれは容易じやないと思います。そこで戰時中にありましたところの自警団のようなものを組織して、そうして国民に協力を求めることがたいへんにいいことではないかと思うのでありまするが、これに対していかなるお考えであるかをお聞きしたい。
○木村証人 お答えいたします。自警、国警を一本にする考えがないかということでありまするが、ただいまのところでは、自警、国警を一本にする考えは持つておりません。十分に連絡調整をはかつて行けば、その機能は発揮できるものと考えます。今お説のありました自警、国警の間がとかく円満を欠きまして、その機能の発揮が十分でなかつたという事実は相当聞いております。また事実あるのであります。それらの点について詳細われわれ研究いたしまして、自警、国警の間、特に特審局との関係、それが三位一体となつて機能を発揮するように今考慮中であるのであります。もうしばらく時期をかしていただけば、その間の調整は十分にとつて行けると考えております。ことに最近私は自警の公安委員会の方々の会議に列席いたしまして、相当の熱意をもつてやられておるのを見て、これで私は心配ないというような感じが実はしたのであります。国警の公安委員あたりも、実に涙ぐましいほどよくやつていただいておりますから、この調子で行けば、国警、自警の連絡の調整は、十分とつて行けると考えております。 それから特審局の人員の点でありまするが、先ほど申し上げました通り、今ただちには行きませんが、公安調査庁設置法が通過いたしますると、これによつてある程度のまかないはできると考えております。 それから自警団のことは非常に大きな問題であります。私は国家といたしましてこれを指導するということは好みませんが、自発的に各地に自警団が組織されて、ほんとうに自分たちの手で祖国を守り、またみずからの郷土を守つて行くんだという熱意のもとに、自然発生的にできることにおいては、私は双手をあげて賛成いたしたいと思います。
○内藤委員長 他に御発言がなければ木村法務総裁に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでございました。 次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十八分散会