行政監察特別委員会 第5号
- 発言数
- 644 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1952/02/01
会議録
○内藤委員長 これより会議を開きます。国有財産管理処分関係事件中、第四港湾建設部関係事件について調査を進めます。 ただいまお見えになつておられる証人は前田二君ですね。
○前田証人 はい、そうです。
○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御了承ください。 これより国有財産管理処分関係事件中第四港湾建設部関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。 宣誓または証言を拒むごとのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を重んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人前田一三君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得て、なされるようお願いいたします。こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。 証人の現在の職務は何ですか。
○前田証人 名古屋港管理組合の副管理者であります。
○内藤委員長 あなたは名古屋港管理組合副管理者になられる前に、第四港湾建設部長をしておられましたか。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 いつ退職されましたか。
○前田証人 本年の一月五日付をもつて退職いたしました。
○内藤委員長 その退職の理由は何ですか。
○前田証人 一身上の都合によりまして退職を願い出た次第であります。
○内藤委員長 一身上の都合で退職を願い出て、一月五日付でそれが認められたというわけですな。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 それから引続き、すぐ名古屋港の管理組合副管理者になつたのですか。
○前田証人 いいえ、本年の一月十一日付をもちまして副管理者になりました。
○内藤委員長 その間わずかに五日か六日ほどですな。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 名古屋港管理組合というのは、どういう仕事をするところですか。
○前田証人 名古屋港管理組合と申しますのは、港湾法によりましてできました名古屋港の管理主体でありまして、名古屋港の開発、発展の中心をなす機関でございます。
○内藤委員長 あなたは第四港湾建設部長時代に、北九州財務局から——当時は福岡財務局といつたかもしれませんが、第五号起重機船の一時貸付を受けましたね。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 その受けたいきさつを詳細に述べてください。
○前田証人 第四港湾建設部は、九州並びに山口県内の港湾工事をやつておりまして、あまたの起重機船を持つておりましたのでありますが、戦災のため幾多の損害を受けまして、おもな起重機船を喪失するという事態になりました。当時港湾作業を進めます上に五十トン程度のクレーンがありませんと、何かにつけまして仕事の進捗に支障がありますので、ぜひ五十トン起重機を港湾工事用にほしいという考えを持つおりました。たまたま北九州財務局で保管しておられる五号起重機船があることを聞き及びまして、ぜひこれを運輸省に所管がえを受けまして港湾工事に使用したいというので財務局の方へ願い出ました。
○内藤委員長 港湾工事には五十トン級のものでなければならなかつたのですね。
○前田証人 三十トンあるいは二十トン程度でも、それぞれの仕事によりましてはさしつかえないのでありまするが、でき得れば能力の五十トンくらいあるものがありますれば、港湾工事もそれに適応した仕事が進められるという事情がありますから、ぜひ五十トン起重機がほしいという考えを持つておりました。
○内藤委員長 二十五トンあるいは三十トンというものと五十トンというもの、これはトン数が違うだけ能率も違うと思うが、大体において能率の違う関係上、やはり多い能率を持つたものを要求したわけですね。
○前田証人 大きな能力の起軍機がありますれば、その起重機船を使うということを前提にいたしまして、港湾構造物、たとえば岸壁とか船揚場の設計が考えられるわけであります。そうしますと、いろいろ仕事の進捗その他にも便宜がありますので、ぜひ五十トンの起重機船を持つておりたいというふうに考えておりました。
○内藤委員長 そうすると、トン数が違うだけ能率も違うし、仕事が進捗するというわけですか。
○前田証人 そういうことでございます。
○内藤委員長 これからは第四港湾建設部を略して四建と申しますが、この四建は昭和二十四年四月福岡財務局と五号起重機船の所管がえについて下協議をしたはずですね。ただ単に願いだけで来たのでなく、下協議をして、その上で貸してもらつたということになつておりますね。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 その協議事項の大体のことを御説明願いたいと思います。
○前田証人 あいにく私その資料を持ち合せておりませんので、記憶によつて申し上げますれば、北九州並びに山口県下の港湾工事にこの起重機船をぜひ使いたいから、無償でもつて運輸省に所管がえしてもらいたいという書類であつたと思います。
○内藤委員長 ただいまお手元に資料はないわけですね。記憶の程度ですね。その下協議によりまして、あなたは昭和二十四年の五月の二十日、運輸大臣官房会計課長あてに、普通財産所管がえについて稟申をしておるはずですね。
○前田証人 はい、いたしております。
○内藤委員長 その稟申の内容をちよつと読んでくれませんか。
○前田証人 朗読いたします。 四港第五七七号 昭和二十四年五月二十日 運輸省第四港湾建設部長 前田 一三 運輸大臣官房会計課長殿 普通財産(船舶)所管換について 当部において本年度既定港湾修築 工事用船舶としてかねて申請中の五号起重機船(五十トン捲)所管換のために、福岡財務局長と下協議の結果、別紙写の通り同意を得たので、左記物件の所管換を所管大蔵大臣と御協議願いたく、関係書類添付稟請いたします。 記 一、普通財産(船舶)所管換協議書二通 一、同意書 二通 一、所管換船舶調書 二通 普通財産(船舶)所管換協議書 一、普通財産(船舶) 種目 五号起重機船 主機 五十トン 副機十五トン 構造または細分鋼製、レシプロ単筒型 尺度 長さ 三二・五メートル 幅 二二・七メートル 深さ 九・九メートル 数量 総トン数 三百七十トン 台帳価格 船体 十六万四千五百九十円八十銭 特殊設備 五十二万円 総額 六十八万四千五百九十円八十銭 旧口座名 旧里所管 沿革 目下占領軍の命によつて日本サルヴエージが一時使用中 二、所管換を受けんとする事由当部は本年度既定港湾修築工事に加えて、産業諸施設港湾工事等の予算額七億に上る実に厖大なる諸工事の施行にあたつておるところ、港湾工事に不可欠の起重機船に不足を来し、円滑な工事の遂行に支障を生じている現状であるので、旧軍所管の前記船舶を当部に所管換を受けたい。 三、本件については無償をもつも所管換を受けたい。なお該船は長期間にわたり、民間事業会社において使用しているため、約二百七十万円程度の修理を要する見込であるが、この経費については、本年度作業船整備費、施行費、請負費中に計上できる見込である。 四、その他参考事項該船は目下日本サルヴエージが一時使用認可を受け、門司港において使用中である。
○内藤委員長 それはその稟申の中に書いてあるのですね。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 この二百七十万円の修理を要することは、どうしてわかつたですか。
○前田証人 これは係員を出しまして、現状を調べさせたと思つております。確かな記憶はございませんですが……。
○内藤委員長 係員が現場に行つてそういう計算を出したんですか。
○前田証人 さようです。
○内藤委員長 何と言つて……。
○前田証人 それもその当時のことをよく記憶いたしません。はなはだ申しかねますけれども。
○内藤委員長 日本サルヴエージが一時使用認可を受けて使用中ということは、どうしてわかりましたか。
○前田証人 これは、これを受けます前に、よく記憶いたしませんが、これより約一箇年くらい前だつたと思いますが、そのころ門司港に五号起重機船がありましたことを覚えております。それからその後この動静に注意しておつたのでありまするが、目下日本サルヴエージの方で一時使用をしておられるということを聞き及びましたので、これにあげたと思います。
○内藤委員長 あなた自身が聞いたんですか、または係の者が……。
○前田証人 私もそのことは聞いております。
○内藤委員長 下協議するときに財務局が、一時使用を認可しておるというようなことは言わなかつたですか。
○前田証人 的確に財務局に照会しておりません。
○内藤委員長 下協議中に、その起重機船をどこに今使用しておるかということくらいは、当然話題に上るべきことですが、上らなかつたですか。
○前田証人 日本サルヴエージが一時使用の認可を受けて使用中であるということは耳にしておりましたのですが、それ以上のことにつきましては、承知いたしておりません。
○内藤委員長 昭和二十四年の九月三十日、福岡財務局から一時貸付の通知を受けてから、同年十二月二十一日の現物引渡しまでに、約二箇月半かかつておりますね。どういうわけでさように引渡しが遅れたのでしようか。
○前田証人 その事情はよく存じません。
○内藤委員長 事情はわからない。二箇月半もかかつておるのですがね。現物引渡しについて立会いの門司港工事事務所長菱田英三は、昭和二十四年一月十八日福岡財務局より日本サルヴエージが預託を受けた当時の原姿のまま受渡しを完了したという受渡しをつくつておりますが、これは事実に相違ないでしようか。
○前田証人 はなはだこれは恐縮でありまするが、おそらく一つのありきたりのやり方に従つただけで、昭和二十四年一月十八日、福岡財務局から預託を受けた当時の原姿のままであるかどうかということは、確認してないのじやないかと想像されます。
○内藤委員長 そういうことは普通ありきたりにやつておるのですか。
○前田証人 普通やつて来ておるというわけではございませんけれども、この際はおそらくやむを得ずこうしたのではないかと思います。
○内藤委員長 そうすると、引渡しを受けた当時の船の実際の状態は、自分は知らなかつた、こういうわけですね。
○前田証人 そういうわけです。
○内藤委員長 日本サルヴエージから引渡しを受けたまま、長い間繋船しておいたようだが、その船はつないだまま置いたのかどうか。
○前田証人 つないだまま置きました。
○内藤委員長 この間貸付期限が切れておるはずなのです。それにもかかわらず、ただ単に繋船したままにほうつておいたということはどういうことなのです。財務局から何とも言つて来なかつたですか。
○前田証人 はなはだ申訳ないことを申し上げますのですが、これに関しましては、私も失念いたしておりまして、その後財務局からの御注意によりまして、さかのぼつてこの使用継続の承認をいただきました。
○内藤委員長 うつちやつておいて、そして気がついて使用継続の手続をした……。
○前田証人 私の方は失念いたしておりました。そして財務局の御注意によつて使用継続の認可申請を出したと記憶いたします。
○内藤委員長 それはいつごろですか。
○前田証人 昭和二十六年の十二月十九日付でこの使用継続認可を受けております。
○内藤委員長 その時分には船がありましたか。使用継続をする船がどこかにありましたか。
○前田証人 沈没いたしておつたわけであります。
○内藤委員長 長船のないものを一体……。
○前田証人 しかし沈没の状態のままありますので、そのままやはり四建でもつて責任があるわけだと解釈いたします。
○内藤委員長 沈没したその責任は四建にあるのですか。
○前田証人 いいえ、船は沈没いたしておりまするけれども、保管なりいろいろの責任は四建にあるわけです。
○内藤委員長 まあ一応聞いておきましよう。それで修理に着手いたしましたか。
○前田証人 その一時使用の許可を受けてからですか。
○内藤委員長 そうです。
○前田証人 修理にはほとんど着手いたしておりません。
○内藤委員長 修理もしなかつたということですか。
○前田証人 そういうことであります。
○内藤委員長 昭和二十五年九月十八日、山九運輸とこの起重機船の賃貸契約を締結しているようですが、その締結した事情、契約の内容等を簡単に説明してください。
○前田証人 当時連合軍の門司港におきます港湾荷役が非常に輻湊しておりまして、再三連合軍の現地駐屯指揮官から五号起重機船を連合軍の荷役に従事さしてもらいたいという交渉を受けたのでありますけれども、成規の手続その他を踏んでもらいたい。非常に貸借関係がやつかいなので、できればお断りしたい。それからまた、そういうことでお断りして参つたのでありますけれども、九月八日、ますますその荷役が逼迫している状態にありましたが、すぐさま動ける状態で連合軍の荷役に従事してもらいたいという非常に強硬な指示がありまして、やむを得ずこちらの四建の従業員を乗せたまま、そうして円建の材料その他をとりあえず積載したまま、向うの仕事に従事さしたのであります。そうしてその実際の契約その他をどうするかということは、いろいろ研究したのでありますけれども、当時こんとんとしておりまして、向うもはつきりした返事をしないというような状況であります。ところがこちらの従事員なり、あるいはまた材料を乗せたまま出しました関係もあり、また材料の補給の関係もありまして、至急に何とか手配をしなくてはならぬというような事情も迫つて参りました。そこで当時その進駐軍の、連合国の荷役を一手に請負つておりました山九運輸と、この五号起重機船の貸借契約をしたというような実情にあります。そうしてその契約の大体の内容といたしましては、貸借期間を昭和二十五年九月十八日から昭和二十五年十月七日までといたしまして、使用料は一時間につき金三千二百四十円、但し本船修理、手入れ等のために休役した期間の使用料は無償とする。本船運転に要する作業員及び運転材料は、すべて四建の方で負担する。受渡し場所は、若松港内の四建の指定の場所とする。その他五号起重機船の管理については、すべて四建の係員の指示に従つ(もらいたい。それからこの起重機船使用期間中の四建の従業員の傷病もしくは死亡等に対しましては、この借受人の責任負担において、その責任を持つて一切を処理する。それから使用期間中に生じた各部の破損、滅失及び海難、その他事故によつて本船を毀損、喪失したときは、借受人において遅滞なく原形に復旧または新造の責任に任ずる。それから他人との紛議を生じた場合は、借受人においてその責任に任ずる。大体おもな項目はそういうことであります。
○内藤委員長 その契約中に、使用料の金額を明記しなかつたのですか。
○前田証人 使用料は一時間につき金三千二百四十円也……。
○内藤委員長 その算出の基礎は、どこから出たのですか。
○前田証人 算出の基礎は、これは私の方で勘定いたしましたのですが、この石炭、用水、油類などの運転材料、それから乗組員の給与金、それから手当、それから修理費の分担金というものを基礎にいたしまして、使用一時間当りが三千二百四十円という数字をはじき出しております。
○内藤委員長 それはあなたの方で算定したのでございますね。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 その計算基礎によつて、九月の十八日から二十七日までの使用料として、六十九万九千八百四十円を受取つておるそうですが、そういう事実はありますか。
○前田証人 あります。
○内藤委員長 受取つておりますね。
○前田証人 受取つております。
○内藤委員長 それは山九から受取つたのですか。
○前田証人 この九月分の使用料六十九万何がしの金を受取つておりますが、そのときの受渡しの実情は、大体これを四回かにわけて受けとつております。そのうち第一回に十八万六千円でございますか、これはたしか山九から受取つたと記憶しております。それからその次に十万円、十五万円、それから二十六万三千八百四十円、こういうふうにわかれて受取つておりますが、これは直接には桝谷海事工業所を通じて受取つております。
○内藤委員長 それでは山九からではないじやないですか。
○前田証人 これは当時山九と桝谷海事工業との話合いによりまして、山九の支払うべき金も、桝谷を経由して支払うからという申出がありまして、それを了承して受取つたものだと記憶しております。
○内藤委員長 それは山九からの申出ですか。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 その六十九万九千八百四十円のうち、諸経費として四十八万一千六百四十二円は、それぞれの債権者に支払つたと、こういうのですが、それぞれの債権者とは一体どういうものですか。
○前田証人 これは四建の従業員が乗つて参つておりますので、それのいろいろ給与関係、また石炭代だとか油代というような、いわゆる運転材料の代金であります。
○内藤委員長 そこで、そういう運転材料とか、あるいは給与とかいうものを、だれに幾ら、だれに幾らというような、明細のものを説明する資料を…。
○前田証人 今手元にその資料を持ち合せておりません。総括的の、たとえば石炭が何トンで幾らという金額だけの内訳は持ち合せておりますが、だれに幾ら、だれに幾らという証憑書類は持ち合せておりません。
○内藤委員長 残額二十一万八千百九十八円は現在どこにあります。
○前田証人 これは結局修繕費の分担金と解釈すべきものでありまして、現在銀行に預託中であります。
○内藤委員長 どういう名義で預託してありますか。
○前田証人 これはたしか山九の名義で、別段貯金と申しますか、両方合意の上でなければ動かせないというようなかつこうで預託しております。
○内藤委員長 ただいま証人のおつしやつたごとく、それは修理分担金の性質を持つている金ですね。
○前田証人 そういうことであります。
○内藤委員長 この六十九万九千八百四十円は、九月十八日から二十七日までの分で、このほか十月二日から七日までの分が、山九より支払いを受けることになつておりますが、この金額はどのくらいになりますか。
○前田証人 十月二日から七日までの金額が、約二十二万六千八百円ほどであります。
○内藤委員長 その計算の基礎は何です。
○前田証人 その間の使用時間に、先ほどの一時間あたり三千二百四十円でございますか、これを掛けた数字だと思います。
○内藤委員長 そうすると、そのうちの修理分担金というものはどれほどになりますか。
○前田証人 それはほとんど全部が修理分担金に該当すると思います。と言いますのは、この九月分の六十九万九千八百四十円の金をもちまして、山九に貸与しておりました間の、そういう運転材料なり人件費は全部決済いたしまして、今の二十何万残つておりますので、この十月分の二十二万六千八百円という金は、全部修理分担金に充当すべき金と存じます。
○内藤委員長 それは今どこにありますか。その金は……。
○前田証人 これはまだ未徴収になつております。
○内藤委員長 それは四建から山九に強硬に請求すべきものですね。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 一体今日まで未徴収になつておるものを、請求しない理由は何ですか。
○前田証人 再三請求しておるのでありますけれども、まだ残念ながら収まつておりません。
○内藤委員長 それは公文書をもつてやつておりますか。
○前田証人 公文書というわけではありませんけれども、再々こちらから請求いたしております。
○内藤委員長 口頭をもつて請求しておるのですか。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 文書ではありませんね。
○前田証人 文書ではありません。
○内藤委員長 そういうものは普通口頭でやるのですか、文書ですか。
○前田証人 口頭でもやり、また文書でも最後はやるべき性質のものだと思いますが、文書ではまだやつておりません。
○内藤委員長 これは当然口頭ですべき性質のものじやないですね。どう考えてみても……。
○前田証人 ちよつと申し上げますが、当初は修理の分担金といたしまして、修繕の起きたときに払わせるというような考えもありましたので、この催促を幾らか遅疑しておつた実情もあるのですが、しかしああいうふうに沈没いたしまして、修繕がいつになるかわからないというような状況に相なりましてからは、盛んにこの納入方を督促しておつたわけであります。
○内藤委員長 二十五年の十月八日に、山九との契約が桝谷組に肩がわりされておるというのですが、それは一体どういう事情ですか。
○前田証人 申し上げます。これは当初は、先ほども申し上げましたように、連合軍からの強い要求で、即刻動ける状態でもつて連合軍の荷役に従事させよというような、非常に強硬な指示によりまして、とりあえず四建の従業員を乗せ、また四建にとりあえずありました運転材料を乗せて出したような実情でありましたのですが、その後連合軍の作業は昼夜兼行で行われておるような状況でありまして、とてもこの四建の従業員をもつてこのまま継続するということは、いろいろな点困難を感じました。できればこれを裸用船に切りかえまして、人間その他材料も全部請負人持ちにしたいという考えでもつて、この山九にもいろいろ相談したのでありますが、結局山九の下請をしております桝谷組にそれならばやらした方がいいんじやないかというようなことになりまして、このときに桝谷組に切りかえました。
○内藤委員長 その切かえたとき、山九からあなたの方へ請書が入つておるはずだが……。契約書というか請書というか。
○前田証人 このときに切りかえましたので、これから先は桝谷組との契約になります。それ以前は山九との契約でありまして、やはり九月十八日から二十日までの間は山九の請書が入つております。
○内藤委員長 山九から入つておりますか。
○前田証人 はあ、入つております。
○内藤委員長 そうすると、この山九の請書はどうなつておりますか。
○前田証人 先ほど申しましたのが、いわゆる山九の請書の内容であります。一時間三千二百……。
○内藤委員長 それはもう無効になつたわけですな。
○前田証人 いえ、無効になるわけではございません。
○内藤委員長 肩がわりするのだから、無効にならないですか。
○前田証人 いえ、この当時、九月十八日から約二十日間の予定で、十月七日までという期限で、山九から請書をとりまして、山九に貸与したのでありますが、ちようどこれは先ほど申しまするように、こちらの人間を乗せ、またこちらからもいろいろ……。
○内藤委員長 それはわかつた。私の聞こうとするのは、正そうの起重機船に、そうすると二つの契約があるわけですか。
○前田証人 いえ、十月七日で切れまして、この切かえのときから以後を桝谷組に切りかえたわけであります。
○内藤委員長 その山九の書類をどういう扱いをしました。そのまま……。
○前田証人 これはそのまままだ生きておるものと考えております。十月七日までの期限で、山九から請書をとりました。これでもつて山九の契約はまだ生きておると考えております。
○内藤委員長 山九の契約が生きておる。
○前田証人 はあ。
○内藤委員長 十月八日から十一月十日までの使用料は、桝谷組からこの契約に基いてもらう勘定になつておるが、それはどれほどになります。
○前田証人 十月八日から十一月……。十月分が三十一万五千円、十一月分が十七万五千円、合せまして四十九万円に相なつております。
○内藤委員長 その支払いを受けましたか。
○前田証人 これも受けておりません。
○内藤委員長 それはどういうわけで受けておらないか。
○前田証人 これも山九の場合に申し上げましたように、非常に督促いたしておるのですが、遺憾ながらまだ納入になつておりません。
○内藤委員長 やはりその督促も口頭でやつたのですな。
○前田証人 はあ。
○内藤委員長 そうすると、四建が現在まで受取つておる修理分担金というものは、この前にあつた二十一万八千百九十八円だけですか。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 それじやお聞きしますが、桝谷組は占領軍の作業が終了後、修繕と称して、この船を宇部港に回航しておりますね
○前田証人 はい。
○内藤委員長 それは桝谷組の言うごとく、修理のため回航しておつたのでしようか。
○前田証人 その事情を全然知りませんでしたものですから、私の聞きますところでは、修理のために回航したということに聞いております。
○内藤委員長 それはいつ聞いたのですか。
○前田証人 それは回航しましてその帰途に沈没したという事実を聞きました後であります。
○内藤委員長 そうすると桝谷組は、この起重機船をあなたの方へ何の了解もなく、かつてに修理と称し、修繕と称して宇部港に回航した、こういうことなんですな。
○前田証人 さようでございます。
○内藤委員長 あなたの方は現地について、宇部港に行くときは、その船にあなたの方からだれか乗組員でも乗つて行つたですか。
○前田証人 宇部港に回航するというようなことを、実は当初は予想しておらなかつたわけでありまして、関門港内で使われるという考えでございましたので、桝谷組に切りかえますときに、こちらから一応推薦する人間を一人ぜひ雇つてもらいたいということで、長年起軍機の操縦なり、機械の手入れなんかに詳しい男で、現在役所をやめておりまするが、その男を推薦して、機械の手入れ、保守というようなことに当らせようと考えまして、一人推薦いたしました。
○内藤委員長 いずれその点については、委員諸君からも詳しくまた尋問があろうと思います。 そうするとこの起重機船が桝谷組の契約條項違反あるいは過失によつて沈没したのですな。
○前田証人 そういうことでございます。
○内藤委員長 しからば契約に基いて、あなたの方から桝谷組に引揚げ修理を厳重に申し込みましたか。
○前田証人 これはたし仏に桝谷組の過失によつているということを確認しまして以来、口頭でもまた書類でも厳重に申し込んでおります。
○内藤委員長 書類でやりましたか。
○前田証人 書類でも、至急にこの引揚げ作業をやつてもらいたいという、そしてまたこちらへ、これを下関港内の方に回航しろということをやつております。
○内藤委員長 それは幾日づけの書類ですか。
○前田証人 昭和二十六年の七月二十一日に第五号起重機船引揚げ作業についてという書類が……。
○内藤委員長 それ一回ですか。
○前田証人 それ一回です。
○内藤委員長 そうすると、そう別に厳重にやつたわけではないですね。
○前田証人 申訳ありませんが、書類で出しましたのはこれ一回でございます。
○内藤委員長 あなたは、まあ書類で申訳的に一回そういうものを出したにすぎないということをお認めになりますな。
○前田証人 はあ。
○内藤委員長 昭和二十五年の十二月二十二日に、この件に関しまして本省に対して、あなたは上申書を出しておられるな。
○前田証人 はあ。
○内藤委員長 その上申書をひとつ読んでください。
○前田証人 昭和二十五年……。
○内藤委員長 十二月二十二日。
○前田証人 その書類を持つて参つておりませんですが……。
○内藤委員長 それではこちらの事務局で調べたものがありますから、これがあなたの記憶と違つておるかどうかを後で聞きます。ちよつと聞いてください。こういうものであります。 四港第二三四〇号 昭和二十五年十二月二十二日 運輸省第四港湾建設部 次長 港湾局機材課長殿 第五号起重機船の引揚復旧について 去る十一月三十日四港二一二七号をもつて港湾局長宛報告した第五号起重機船(鋼製、推力五〇瓲北九州財務局より一時使用中)の触雷については、その後現地において状況調査中であるが掃海区域外にある関係上海上保安本部より海中作業を禁止されているため現在のところ詳細は判明しないが諸状況綜合の結果引揚可能と認められ、目下これが準備中で、引揚復旧費として大体一千万円を要する見込であるが現在この費用捻出は到底不可能のためこれが予算的措置については何分の御配慮、御尽力を煩わしたく御依頼する。 こういう文書ですが御記憶ありますか。
○前田証人 あります。
○内藤委員長 これに対して本省はどういうことになりました。
○前田証人 これについてちよつと前からのいきさつを説明さしていただきたいと思います。
○内藤委員長 簡単に……。
○前田証人 第五号起重機船に関しましては財務局から引継ぎを受けました。その後港湾工事用として使用しますためには、相当の改造費がほしいということを、かねがね本省の方に申し出ておつた次第であります。そうしてたまたまこの警護を起しまして沈没いたしました次第でありまするが、これが引揚げ復旧に関しましては厳重に桝谷組に対しまして、責任を持つて引揚げ復旧をせよという折衝を続けておつたのでありまするが、当時私一人でいろいろ考えて会するに、あるいは万一何かの事情により桝谷組の引揚げがだんだん遅延するというような事態になりますると、現状のまま沈没した状態で長く放置いたしますことは、まことに耐え忍びがたいことであります。それからまた財務局に対する責任もありますし、これも一つの方法といたしまして、とりあえず国の予算をもちまして引揚げ復旧作業を行いまして、そうしてそれに要しました費用に対して桝谷組から返済させるというというような、いわゆる代執行というような方法も一つの形式じやないかということを考えました。本省に相談いたしまする第一の手がかりといたしましてその予算約一千万円を考えてほしい、たまたま予算編成の追つておる時期でありましたので、とりあえずその書類を出しました。詳細はまた直接本省と口頭なり何なりでそういうことについて御検討願いたいという考えでおつたのでありまするが、とりあえずのところその書類をもつて申し入れた次第であります。従いまして予算要求といたしましては、改造費の予算を当初から一千三百万円ということをかねかね本省に申しておりましたのと、それにまたあわせまして約一千万円の引揚費を考えてほしいとこういうことを申し出た次第であります。しかしその後の経過は後ほど申し上げます。
○内藤委員長 ただいまあなたの話を聞いておりますと、当の責任者である桝谷組に対してただ一回の文書を突きつけただけなんですね。それを再三再四強硬な交渉をやつておるということはどうもただいまの証言では受取れない。ことに一時便法として国費をもつてこれを引揚げて、あとで桝谷組からこれを返済するというが、一体桝谷組は財産を持つておりますか。
○前田証人 これはまたたまたま予算編成の時期も迫つておりましたので、深くそこまで研究してやつたわけではなかつたのでありまして、その点はなはだ申訳ない次第だと思いまするが、桝谷組には片一方で非常に引揚げ復旧方を、書類はもちませんでしたが、絶えず至急に引揚げろということを申しておりました。その方のまだ沈没して間もないときでもありますし、桝谷自身の態度もはつきりしておらぬときであります。そうしてかたがた一方そういう万一の場合をおそれまして、第二段の構えをしたというつもりでございます。
○内藤委員長 一昨日の桝谷組の責任者を当委員会において喚問して調べましたが、非常に熱意をもつて自分はこれこれの資産がある、いつ何どきでも、裸になつても国家に損害はかけないつもりであると、きつぱりと明言している。ちよつとあなたの話が違つておりますね。桝谷の態度がきまらぬというのは……。
○前田証人 書類を出しましれのは、沈没後まだ一箇月たつかたたないくらいでありまして、その当時におきましては桝谷組もそこまではつきりした態度は聞いておらなかつたのであります。
○内藤委員長 それからあなた、さいぜん山九の契約は有効に生きておると証言しましたが、山九に対してどうしました。その契約に基いて何か……。
○前田証人 山九の契約は、いわゆる九月十八日から十月七日までが山九の契約になつておりまして、それから十月八日以降は桝谷の契約に切りかわつておりますので、従いましてこの沈没事故に対しましては、山九に対しましては何ら話しておりません。
○内藤委員長 山九は責任ないというわけですか。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 桝谷が責任を持つ。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 いずれ委員の方からこの点については詳細な質問が出ると思いまするが、要するに本件は国有財産をめぐつて役人が一部業者に不当の利益を与えている典型的な事例であると私に思われる。こういう反面には、必然的に官紀の紊乱、あるいは不正行為を誘発する危険性があると思うが、あなたどうで十か。
○前田証人 はなはだその点に関しましては、私も申訳ない次第だと思います。もう少し厳重にその監督をして行くべきであつたと思うのであります。ことに私の監督不行届のために非常に貴重な国有財産を沈没させましたことは、返す返ずも申訳ないことでありまして、深くおわび申し上げる次第であります。
○内藤委員長 当然これは契約しました業者が引揚げ復旧すべきもの、これは当然なことである。それを国費をもつて支弁せんとするようなことを計画するがごときは、これは国家予算の執行上着通しがたい大きな問題であると考えざるを得ない。証人らの行為は、まことに国家公務員として、これは国民からきびしく批判され、非難されるものであると私は考える。ことにあなた、一月の五日付をもつてこの事務局が調査にかかつてから職をやめて、そうして現任の職についておられる。その地位を去つたからといつて責任が解除されるというような簡単なものじやないと私は思う。どうですか、この点について証人は国民の前に率直にあなたの心境を述べてもらいたい。
○前田証人 その前に今の予算の問題につきまして一言つけ加えさせていただきたいと思います。先ほども申し上げましたように、予算は改造費と引揚復旧費二本建で要求しておつた次第であります。その後本庁におきましても審議の結果、代執行ということは法的にも疑念があるということで、約一千万円の引揚げ予算というものは認められなかつたのであります、そして千三百万円の改造費だけが認められた次第でありまして、この点お含み置きを願いたいと思うのであります。 それから私第四港湾建設部長として在職中の監督はなはだ不行届きでありましたために、先ほども申し上げますように、非常に重要な国の機材を損傷させるという事故を起しましたことは、何とおわびしていいか私非常に言葉にも苦しむくらいであります。職にあるとないとにかかわらず、この責任はあくまで私にあるものと考えておりまして、この点国民の代表であります皆様方の前で心からおわび申し上げたいと存ずる次第であります。
○志田委員 私他に予算委員会を持つておりますので、一、二点お尋ね申し上げたいと思います。先ほどからお伺いしておりますと、銀行に預託しておるという話でありましたが、しかも山九名義でその金を預託しておるということにつきましては、当時それはさしつかえないと思つて預託したかどうか、それを聞きたいと思います。
○前田証人 これはいろいろ考えたのでありますが、銀行に特別預金ということで、山九名義で預託いたしておきました。そして山九だけの自由にもならないどいうような制度にしておくのが一番いいのじやないかと思いまして、そういう措置にしたわけであります。
○志田委員 どうしてそういうことが一番いいと思われるのですか。当然この金は国庫の金にならなければならぬわけでありますが、それを銀行に預託して、加えて山九名義になつておる。あなたたち公務員として長らく会計その他について御経験もあると思うのでありますが、支出担当官として、こういうものを処置する場合に、それを銀行に預託して、山九名義でやつておつた。それが一番いい方法であると考えられる根拠を承りたいと思います。
○前田証人 いわゆる五号起重機船の修繕をする場合に、山九なら山九が使つた期間なり、時間に応じまして修繕を分担すべき性質のものと考えまして、つまり損料と申しますか、そういう金とはちよつと趣を異にいたしまして、修繕を分担するということに該当する金でありますので、普通ならばこれは歳入にとるよりも修繕の起きたときにその修繕の一部分を山九なら山九に分担させるというふうに持つて行くべき筋合いのものと考えております。
○志田委員 そういう筋合いのものと考えておるところに私はあなたの大きな誤解があるのじやないかと思います。それは知つてやつたか知らずにやつたかは別といたしまして、非常に大きな問題があると思います。現にあなたたちは、これは貸付使用料としてこれに対しましては相当算出基礎をも計算して出されたと思いますが、いずれにいたしましても、これは貸付使用料として国がとるものであります。国が貸し付けて国がとるものであります。その修繕分担金というものは、他の款項目において支出すべきもので、会計法上の非常な違反をあなたはなしておると思うのでありますが、そうお考えにならずにやつておるのでありますか。
○前田証人 この場合の貸付使用料の内訳を考えますと、いわゆる乗組員の給料なりあるいは運転材料の代金、それから船というものは普通の修繕が年に一回くらい定期的にありますので、その修繕費をそれぞれ使つた日数によつて使つたところで分担する、その金と、それからもう一つは、普通の場合ですと、ほんとうの自然損耗に該当いたしますような損料をそれにもう一つ加えるべきだと考えるのであります。このときの仕事はやはり日本政府から出ている荷役サービスの金に入つているようでありますので、これはとらないことにいたしまして、修繕の起きましたときのそれの分担金と、それから運転材料あるいは人件費だけを見ることにいたしたわけであります。
○志田委員 あなたがおつしやるように、裸用船の場合の一昼夜についての分には自然損耗の修理分担金ももちろん入るでありましようけれども、それはそれといたしまして、こちらが貸付使用料としてとる金は国として見ておかなければならぬ。またそういう使用船の修理費の分担というようなことは、他の項目でこれはまた当然国の予算において支出するということを考えるべきである。そういう場合に、あなたたちは入つて来た金をかつてに預託している。しかも山九の名義で預託している。両方の合判がなければとれないことにしておいたと言いますけれども、銀行にそういう金を預託している。あなたは当時第四建設部長としてそういう権限があると思つてやつておられたかどうか。
○前田証人 これは確かに会計法から言いますと、現金を預かるということはいけないことになつているわけであります。実際ならば修繕そのものを分担さすべき性質のものだと思うのでありますが、何とも処理のいたし方がありませんのでそういたしたわけであります。
○志田委員 今あなたはいけないことをやつたと言つているのですが、先ほど私の質問に対してはいけないことをやつたとは言つていない。それは当然だと思つてやつている。今私が追究して行くといけないことをやつた、そういうようにお言いになるのですが、あなたはこれはやはり会計法上の違反であるということを指摘されて、これに承服してその通りであるというふうにお考えになるかどうか、それだけお尋ねいたします。
○前田証人 これは進駐軍がむりやりに出されたことから来ている無理がございますので、確かにそれはあると思います。
○井上(良)委員 大事なことを証人は何しております。今のお話を承つていると、修繕分担金として二十一万八千余円の金を山九の名義で預けている。ところが山九から桝谷組に対して契約を切りかえておりますね。そうしますと、桝谷組へ切りかえたときまでに修繕の必要があるかないかということが発見されなければならぬ。修繕の必要がある場合に、修繕分担金というものは当然あとへ残るが、山九から桝谷組に切りかえたとき桝谷組がその船を使つている、何ら修繕せずに、しかもそれまでは乗組員や四建の資材を貸しておいて、桝谷組に切りかえるときに裸用船にしているわけです。そうでしよう。
○前田証人 さようでございます。
○井上(良)委員 そうするとあなた、修繕分担金という名前が成り立たないじやないですか。
○前田証人 いいえ、船というものは、先ほども申し上げますように、普通の航海船ですと大体一年に一回なり、定期修繕と申しましてドックに入れまして、船底をすつかり検査あるいは悪いところをとりかえるというようなことをやりますし、それからボイラーその他の機械にいたしましても、そのときにすつかり分解手入れをいたすのであります。これがどのときの損傷によつて起きたかという性質のものではなくて、一年間の、いろいろ使つた間の自然破損といいますか、そういうものを年一回、あらためてこのときに修繕するというようなことをしておるのでありまして、それはそれぞれの使つた先に分担させるというふうに取扱つて来ている次第であります。
○井上(良)委員 そうしますと何でございますか。それは最初山九とそういうことでちやんと契約されて……。
○前田証人 そういうことから山九への使用料の内訳の一つの要素として織り込んでおるわけであります。
○井上(良)委員 織り込んでおつたわけですね。
○前田証人 はあ。
○井上(良)委員 そうするとこれは山九と契約を解除した今日、当然その金は、あなたの方の責任において、今度山九と桝谷組との話合いで桝谷組に名義を切りかえたでしよう。切りかえた以上は、当然今度はあなた方の方の責任においてその金は所有せなければならぬ立場にありましよう。
○前田証人 山九から桝谷組に切りかえまして、引続き、つまり山九の使つておりました間のそれに相当いたします金があるわけでありまするが、それを結局国が直接預かる、四建が直接預かるということは、法規的には確かに幾らか疑義があると思うのでありまして、これは修繕の起きたときに山九そのものがその修繕を分担すれば一番いいわけだと思うのであります。しかしだんだん時期もたつて参りまして、いつその定期修繕ができるかわからぬという事態になりましたので、それだけの金を四建で確保したい、こういうふうに考えたわけであります。
○鍛冶委員 私ちよつとおそく来たの で、初めに言われたろうと思うが、まず聞きたいのは、あなたの方と北九州財務局長の間の、五号起重機船第一次貸付に関する條件の要項だけ聞かしてもらいたい。
○前田証人 借受人は許可を受けないで貸付け物件を前項による目的以外の用途に供することはできない。
○鍛冶委員 その目的とはどういうことです。
○前田証人 使用の目的は港湾工事用と相なつております。
○鍛冶委員 それから。
○前田証人 借受人は借受けに関する権利を他人に譲渡することはできない。 借受人は借受物により、他に障害を及ぼすおそれあるときはその障害を予防し、また障害を及ぼしたときはその障害を除去して原状に復せしむる義務に任じ、これによりて生じた一切の損害に対して政府に賠償の請求をなさないこと。 借受物に対し保存利用改良その他の行為をなすため支出すべき経費は、借受人の負担とし、これによりてその価格が増加することがあつても借受人はその増加額に対して政府に何らの請求をなさざること。 借受物不可抗力その他破損の場合は借受人は修理の義務に任じ、経費は政府に請求することができない。
○鍛冶委員 よろしい。借受け期間は。
○前田証人 借受け期間は最初に受けましたのが昭和二十五年の三月三十一日までに相なつております。それから第二回目に、これは先ほども非常に申訳ないことをいたしたのでありまするが、さかのぼつて申請をいたしまして十二月十九日付で許可を受けましたのは、この所管がえの完了の目までと相なつております。
○鍛冶委員 そこで第一番に聞きたいのは、港湾工事の使用というのはどんな工事があつたのですか。
○前田証人 この間に、連合国軍の作業に貸与いたします前は、港湾工事のものといたしましては、若松港におきまする海底の除却物を除去する作業を約一箇月ほどやつておりました。
○鍛冶委員 やるつもりであつた……。
○前田証人 やつておりました。
○鍛冶委員 この起軍機を使つてそれをやるつもりだつたのですか。それを聞いておるのです。
○前田証人 いいえやつておりました。
○鍛冶委員 起重機を使つたのですか。ただ工事をやつておつたからそこで使おうというつもりだつたのですか。
○前田証人 いいえ、その起軍機を使つて若松港のそういう仕事をやりました。
○鍛冶委員 私はどうもそうとれぬのだが、これはさつきの話を聞いておると、あなたの方で借受けたのは、二十四年の九月三十日であつたにもかかわらず、十二月二十一日まで持つて来ないんだが、黙つておつた……。
○前田証人 そういうことであります。
○鍛冶委員 三箇月黙つておつた。それからまた約二箇月半ほどほおつたらかしてあつた。それでは一体、さようなことをして使わぬであつたものを、それを工事用に使つたというのは、そのあとで使つたのですか。
○前田証人 そのあとで使つたわけです。
○鍛冶委員 そうすると、前は使わぬでもよかつたのですか。
○前田証人 その前は、おそらく仕事の都合その他で使わなかつたと思いますが、まあずつと停船しておりまして、その点はなはだちよつと申訳ないと思いますが……。
○鍛冶委員 申訳ないじやないんだ、私の言うのは、ほんとうに使うつもりだつたかどうかということなんだ。私の聞くのは、あなたの方で使うつもりではないのだろう、もつと率直に言えば……。
○前田証人 いいえ、私の考えといたしましては、四建の管内の大型の起重機船というものは、ほとんど戦災を受けてなくなりましたので、せひ大型の起重機船を一雙持つておりたい。そうしてぜひ運輸省の方に移管を受けまして——この船も荷役用といたしましては非常にけつこうな船でありますが、港湾工事用といたしましては必ずしも適格な船でありませんので、できればこれを先ほど申しましたように、一千三百万円ほどの予算をかけまして、船体その他を改造いたしまして、港湾工事用に長く使いたい、こういう考えを実は持つておつたわけであります。
○鍛冶委員 それくらいの大切なものならば、一日も早く引取つて、一日も早く使いそうなものだが、まる五箇月半もほつたらかしておいていいものを、今になつてあなた方がそれをほしがる理由かわからない。何のためか、率直に言うてみなさい。それが第一の問題だ。
○前田証人 実は当座の問題といたしましては、先ほども申しましたように、若松港などで航路筋などに横たわつておる沈没船などを除去しなければならぬというような仕事もありましたし、それからまた若松港の港外の防波堤だとか、その他下関の防波堤だとかいうような工事を控えておりましたので、ぜひそれに使いたいというふうな考えでおりましたのですが、それに本格的に使いますには、どうしても先ほど申しましたように、ある程度船体を改造したいという考えを持つておりまして、それで千三百万円の予算を何とか本省の方で心配してもらいたいということを強く要望しておりましたが、それができ次第、何とか本格的な使用を開始したい、それまでは五十トンなら五十トンの能力までの性能は港湾工事としては発揮できない実情に実はあつたわけであります。それできわめて短時日にどうこうという目安はなしに、長期間を考えまして、有効な港湾工事を設計し、また実施して行きたい、こういうふうな考えを持つておつたわけであります。
○鍛冶委員 まあ承つておきましよう。われわれはさようなことは納得行きません。五箇月もはおつたらかしておいていいものを、ほしがられた理由は納得できない。 次に、先ほど聞いておると、日サルからあなたの方で引受けられた当時、非常にいたんでおつたということだが、いたんでおつて、二百七十万円ほどの修理費を要するということをあなたの方から言うて来ておるんだが、その点は間違いなかつたのですか。
○前田証人 その当時の詳しい実情は、はつきりどうも記憶にないのでありますが、私の方の係官が調べての話でありまして、港湾工事用としてさしあたり使えるようにするのには、二百七十万円ほどの修繕費を加える必要があるという報告を受けた記憶があります。
○鍛冶委員 それは日サルで使つたがゆえに、このようにいたんだんじやないのですか。
○前田証人 その点はどうも今判然とここに申し上げる資料もまた記憶もございません。
○鍛冶委員 そこで次に承りたいのは、先ほど聞くと、二十五年三月三十一日で一時使用の期限が切れておりますね。それが沈没したのは、二十五年の十一月で、沈没して問題になつたのは、こちらの調査にかかつた後であつて、二十六年十二月に継続使用の書類を出された、こういうのですか。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 そうすると、その間期限が切れてから、二十五年の三月から二十六年の十二月までですから、一年九箇月間、約二箇年、財務局も黙つておるし、あなた方も黙つておるのはどういうつもりでおつたのか、二箇年もこういう貴重なものを……。
○前田証人 これは何とも申し上げる言葉もありませんで、まことにこれは失念しておりまして、申訳ない次第と思います。
○鍛冶委員 申訳ないじやないんだ。ぼくらが聞きたいのは、あなた方借りたと思つておるのか、もらつたと思つておるのか。
○前田証人 これは財務局から確かに借りたものだと思つておりました。
○鍛冶委員 借りたものなら期限が切れたら、放つておかないで……。しかもあなた方は官吏だよ。民間だつたら、そんなことは許しはしませんよ。官庁なるがゆえにそういうことを許すということが合点が行かない。あなた方も黙つておるし、貸しておる財務局も黙つておる。それゆえにこういうことが起つたのじやないですか、そうは思いませんか。
○前田証人 確かにその通りであります。
○鍛冶委員 それが第二の問題だ。それから第三の問題ですが、いろいろの事情はありましたろうが、一時使用とは賃貸しですね。
○前田証人 使用した時間に対しまして、その使用料をとるわけであります。
○鍛冶委員 賃貸しでしよう。
○前田証人 そうです。
○鍛冶委員 そこで、第一番にその点で聞きたいのは、先ほどあなたに財務局長の契約で聞いたときに、他の目的に使用してはいけない、この一時使用の権利を他に譲渡してはいかぬ、この両方の禁止規定があるということをおつしやいましたね。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 山九にあなたが賃貸しするときには、その規定に違反しないのですか。
○前田証人 これは確かに違反しておりまするが、当時の状況といたしまして、国連軍の揚塔作業にとにかく即刻出せということで、再三お断りいたしたにもかかわらず、即刻出せという非常に強い要望に基きまして、やむを得ずいたしたわけでありまして、それの契約といたしまして、山九と実際の契約を取結んだ次第でありまして、はなはだその点はこの契約條項には違反いたしますけれども、何ともいたし方なかつたのではないかと思うのであります。それと同時に財務局の方へ連絡することをまた失念いたしまして、この点何ともおわびのいたし方ない次第だと考えております。
○鍛冶委員 失念じやないでしよう。なるほどあなたの方でどういう事情があつたか知らんが、事情があつたら、そういう事情を言うて、やむを得ないからこういうことをする。こういう何か手続がありそうなものだ。それをやらぬで、かようなことをして、失念で通りますか。
○前田証人 何とも申訳ありません。
○鍛冶委員 その次に聞きたいのは、国有財産の一時使用というものは、官庁間でなかつたらできないものだと聞いておるが、これはその通りですか。
○前田証人 一時使用の点は私はよく存じませんですが。
○鍛冶委員 あなたはほんとうに知らぬのですか。
○前田証人 その点はよく存じません。
○鍛冶委員 官庁の間でなかつたら、一切のものが一時使用をやつておらぬのじやないですか。それゆえ日サルが預託であるといつて使つておるものを、あなたの方でとつて来たのだろう。それは官庁間だというので、あなたの方で借りたのだろう。そんなことを知らぬで、官吏が通りますか。 もう一つ聞くが、官庁間でなければいかぬが、しかもその官庁間で貸すのにも、財務局だけではできぬで、本省へ認可を仰がなければならぬ、こういう手続があることは御承知でしよう。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 それほど重大なものであるにもかかわらず、契約條項に違反して、貸すべからざる民間へ本省の許可なしにあなたが貸して、それであなたは官吏として勤まりますか。
○前田証人 その点も、たとい連合軍から強く言われたにしましても、何とも申訳ありません。申し上げる言葉はありません。
○鍛冶委員 それから先ほど問題になつた賃料だが、これは今私が申しました通り一時使用料とは賃貸料ですね。間違いないですね。
○前田証人 賃貸料と申しますか、つまり山九なら山九に貸しましたときに、乗組員の給料と、そのときの材料費、それから年間一回なら一回の修繕の分担金、その二つからはじき出したものになつております。
○鍛冶委員 つまり賃貸料を算定する基礎、俗にいう減価計算の基礎は、その内容を見ますと、運転資材費、乗組員の給与、それから超過勤務手当、自然消耗及び修理分担、こうなつておりますね。
○前田証人 そういうことになつております。
○鍛冶委員 それらのものを減価計算の基礎として、一時間三千二百四十円の賃貸料になつておるわけですね。
○前田証人 そうです。
○鍛冶委員 そこで賃貸借をすることの不法であることは先ほどから明瞭になつたが、不法であろうが何であろうが、あなたがいやしくも責任を持つて賃貸借をせられた以上は、賃料は要求して受取るべき権利があり、かつ義務がありますね。これは間違いありませんね。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 従つて賃料をとりましたら、これは第四建の金ですね。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 そうですね。
○前田証人 ええ。
○鍛冶委員 第四建とは個人でありませんから、国家の収入でありますな、どうだね。
○前田証人 やはり国家の歳入にすべきものだと考えます。
○鍛冶委員 そうでしよう。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 国家の収入であるならば、同家は金をとるときには収入の手続をせなければならぬ。しこうしてその金を出すときには、支出の手続をせなければならぬ。それをやらなくて官公吏として国家の金をかつてに使うことの不可能であることは御承知でしような。どうです。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 そこで賃料として、六十九万九千八百四十円をあなた受取りましたね。
○前田証人 受取りました。
○鍛冶委員 国家の収入ですね、今言つた通り間違いないでしよう。
○前田証人 国家の収入ということには、そういうふうな意味のあれにはならないと思いますが……。この中には、先ほど申しましたように、これに従事した乗組員の給料も含めたものでありますから、乗組員の給料などは当然これから支払うべきものだと考えるのであります。
○鍛冶委員 その通り、だからそれはあなたが支払うべきものだ。あなたと言つたつて、あなたじやない、国家の官吏としてあなたが払うべきものだ。あなたの方で雇つているんだから。これは特別会計か何かにしてやつておるというわけですか。
○前田証人 そういうわけではありませんけれども、たとえばこの船に人夫なら人夫を乗せまして、こちらで、四建であつせんして船を貸したわけでありまするから、人夫賃なり何なりは当然その使つたところで支払うべきもの、だと思います。
○鍛冶委員 そうだとますます合点が行かない。何ですかあつせんして山九なり桝谷組の使用人にした者の給料だというのですか。
○前田証人 そういう性質のものもあるわけでありまして、たとえば四建で使つております人間にいたしましても、ほんとうの公務員から公務員でないところのいわゆる日傭人夫なども使つておりますが、こういうのをかりにその船に乗せてやりました場合には、当然山九なら山九からその賃金を本人に払うべき性質の金がこの中に実は含まれておるわけです。
○鍛冶委員 とんでもないことをあなたは言うね。四建で使つておる人間の給料を払うのが基礎になるからこそこの賃料の中に入れるのだ。山九が雇つておる者に山九が払うので、あなたは関係ない……。
○前田証人 実際は私の方で雇つておりますけれども、その間山九の仕事に従事しました間は山九の方で当然それを払うべきものでありまして……。
○鍛冶委員 それなら賃料じやないか。向うがかつてに払つてやつたので、あなたは人間を周旋しただけじやないか。
○前田証人 周旋したということになりますけれども、多年こちらの四建の仕事に従事しておりました人間でありますから、乗せてやつたわけでありまして、これはどうしても中に立つてめんどうを見てやるべき性質のものだと思ううのであります。
○鍛冶委員 驚いたな、四建で雇つておるのか、山九で雇つておるのか、どつちなんだ。
○前田証人 ふだん四建で船なら船に乗せて使つておる人間でありまするけれども、船に従業員を乗せてそのままで山九の仕事をしたときには、これは当然山九の方でその人間に払うべき金だと思うのであります。
○鍛冶委員 四建で使つている公務員ではないのか。
○前田証人 正式の公務員ではございません。公務員ではない場合の人間のことを言つておるのであります。
○鍛冶委員 そうすれば山九の雇い人か。
○前田証人 その間だけは正式には山九の雇い人。
○鍛冶委員 それでは山九が払うんじやないか。
○前田証人 それが算出の基礎の中にそういう人間の給料も入つております。そういう給料をやはり払わせる。
○鍛冶委員 そんなことを言つて通るかね。山九の雇い人の給料を、君がとるべき賃料の中に入れて、それで世の中が通りますか。山九の雇い人なら山九が払うのはあたりまえじやないか。君の方で払うからこそ原価計算の中に入れたんだろう。そうすると、君は雇わぬものに給料を払つておるのだな。
○前田証人 そういうわけではございません。山九のとつた金の中から支払うべきものであります。かりに材料の場合にいたしましても、たとえば石炭なら石炭を使つた代金だけは、山九の方で当然払うべきであります。そのときにとにかく船に石炭を積んで出しておりますから、こちらから炭水の補給なんかも全部しておつたわけであります。その間、便宜山九の仕事を一部やつておつたというようなかつこうになつているわけであります。
○鍛冶委員 だからあなたの方で払つたんでしよう、そういうものを払うんでしよう。だからこの中に入るでしよう。
○前田証人 そういうものも入つて算出の基礎になつております。だから六十何万円のうちから、そういうものに相当するものを決済いたしまして、ほんとうの修繕費の分担に充てるべき金だけ残つたわけであります。
○鍛冶委員 私の言うのは、あなたは山九と賃貸借したのだから、賃貸借して賃料をとつたんだろう、四建部長として賃貸借したんでしよう、そうして賃料をとつたんだろう、とつた賃料は四建の所有物になるのはあたりまえじやないか。四建の所有物とは国家の所有物だろう、それだから国家の収入になるだろうというのです。それからあなたの方で払う、四建が払つた、あなた個人で払つたのではないでしよう、国家公務員として払つたんだろう、国家の支出ではないですか、その手続をしておらぬことが第一、その次の問題は、いやしくも国家のものになつたものをまた別のものだという考えを持つておられることがふしぎでならぬ、手続をしなかつただけではない。いわんやその残りである二十何万円を山九の名義で預金したとは何事だ、これは山九と相談の上でやつたんですか。
○前田証人 山九にももちろん話して両方の名義で預金したわけでありまして……。
○鍛冶委員 相談の上で……。
○前田証人 はあ。
○鍛冶委員 明らかに共謀して公金を横領したものである、こう言われたら何と申します。
○前田証人 しかしこれは山九の自由になる金ではございませんでありますから……。
○鍛冶委員 もちろん山九の自由になるべきはずはない。君自身の自由にもなるべきものでもない。国庫に帰属すべきものだ。それから桝谷組に契約させたことも、先ほど事情はわかりましたが、同じく山九と同様に禁止條項に違反し、国有財産を処理すべき手続をふまない不法のものであるということは、お認めになりますね。
○前田証人 まことに申訳ありません。
○鍛冶委員 それともう一つ合点の行かぬのは、これは進駐軍の仕事、進駐軍の仕事と言われるが、実質は進駐軍ではなくて、調達庁から請負つた仕事ですね。調達庁が取扱い人であつて、山九が請負い人ですね。
○前田証人 さようでございます。
○鍛冶委員 これはよくおわかりでしようね。そのうち請負人である山九に貸したというのならば、これは不法であつたといつてもまだ聞えるのだが、さらにその下請である桝谷組に貸すということにした、その根拠がわからない。
○前田証人 これは実は山九と契約しておつたのでありますが、その当時は四建の人間がとりあえず乗つて出まして、それからまた炭水の補給その他も四建でやつておつたのでありまして、そういうことが、進駐軍の作業をやります場合に、四建といたしましてはとてもいろいろな困難を伴いまして、耐えきれなくなりまして、これをぜひ裸用船にいたしまして、借主の方の人間で、また借主の方で薪炭補給その他をやつてもらいたいという考えをもちまして、それには実際的に仕事をしている桝谷がいいんじやないかということで、その桝谷組と契約を切りかえた次第でございます。
○鍛冶委員 そういうことであるかしらぬが、桝谷組は何もできないんじやないか。われわれの聞かんとするのは、どうもかようなことをして、山九という請負人の責任を免れさせて、桝谷組にすべてやつて、こういう事件を起さしたように感ずるのですが、下請負人でも何でもない、何の責任のないものじやないか。そんなものにそういう大切な国家の資材を、しかも国法に違反してまでやらなければならぬ理由は、一体どこにある。
○前田証人 その点は何ともおわびの申し上げようもございません。
○鍛冶委員 それから今度は沈没してからだが、沈没の原因についても聞きたいけれども、長くなるから省略しますが、あなたが、さつき本省に対してとりあえず約一千万円の引揚費を要求したのは、代執行をするつもりだと言明せられましたが、先ほどのこれを読んでみると、さようなことは一つも出ておらぬ。あなたが言われる通りだとするならば、これは桝谷組の責任において沈めたものであつて、桝谷組に引揚げさせなければならぬのだ。けれども、そういうことを言つておつてはおそくなるから、一時立てかえてくれ、そうすれば、あとで桝谷組から取立ててお返しします、こういうのがあたりまえだが、そんなことは一つも書いてない。ほんとうにあなたの言われる通りですか。
○前田証人 ほんとうにその通りであります。
○鍛冶委員 それならなぜその通り書かぬ。
○前田証人 ちようどその作文をつくります際に私の主張が通らなかつた点は、私のはなはだ手抜かりでありまして、確かにその代執行という一つの方策——これがはたして合法的に行けるかどうかという幾多の疑問がありましたものですから、そういう点は一応ぼやかしまして出しまして、そしてさらにその点を研究して、話を固めて行こうという考えで、とりあえず出した書類でありまして、その辺はまことに何とも……。
○鍛冶委員 はなはだどうも、あなたからそういうことを聞いては涙が出る。国費をまやかしてとろうとしたのだね。
○前田証人 それを、一応代執行の方法もあるのじやないか。それを本省でも検討していただきたいという第一歩としてとりあえず出した書類であります。
○鍛冶委員 そんなことちつとも出ていやせぬ。目下これが準備中で、引揚復旧費として大体一千万円を要する見込み、この費用捻出不可能のため予算的措置をしてもらいたい——そんなこと書いてありやしない。
○前田証人 これは私まつたく盲判を押したようなかつこうになりまして、責任をのがれるわけでも何でもありませんけれども、ありきたりの文句で係員が出したものと思います。何ともそれは申訳ありません。
○鍛冶委員 それからこれがかわつて改造費として千三百万円の予算をとつたのですね。
○前田証人 改造費は、その話の起ります前から問題になつておつたものでありまして、改造費の方だけが認められまして、金を受けました。
○鍛冶委員 現に沈没しておる船の改造費ですね。
○前田証人 そうであります。
○鍛冶委員 引揚費をとらずに、改造費だけとつてそれは何になる。
○前田証人 引揚げは、何とか私の考えとしましても、それからそういう書類を出しまして、本省でいろいろ研究いたしました結果といたしましても、やはりこれは桝谷に引揚げはやらせようという方針にきまりまして、爾来掃海隻なり、あるいはまたいろいろな方法で桝谷を督促して参つたのでありまして、桝谷の方で引揚げさえできますれば、改造はすぐかかれるような性質のものであります。
○鍛冶委員 引揚げできるどころではない、ほつぼつちやつた、海底へ行つて改造するのか、沈んだやつを。
○前田証人 そう言われますとどうも……。
○鍛冶委員 そう言うよりほかはない、そこでどうしたのだ、一千三百万円を。
○前田証人 これは年度末も迫りまして、施行できないというので、四建といたしましては返上いたしました。
○鍛冶委員 いつ返上の手続をしました。
○前田証人 これは私の退職ごろに大体その具体的の話がありましたので、恐らく一月の五日か六日ごろ返事をしておるのじやないかと思います。
○鍛冶委員 ことしの……。
○前田証人 はい。
○鍛冶委員 桝谷組がこれはとてもできませんと、ほつぽつたのはいつです。
○前田証人 これはできませんといつて、ほつぽられたというまでは行つていないと思います。私の方に対してはそういうはつきりした態度は全然示しておりません。
○鍛冶委員 いろいろやつて見たが、台風で破損したりして、とてもできませんと桝谷がこの間いつておるのだ、何とも不可能でございますといつておる。
○前田証人 台風で遅れましたことは、桝谷自身もいろいろ災害を受けまして、仕事が頓挫しておるということは聞きましたが、これを全然引揚げないという意思表示は聞いておりません。
○鍛冶委員 引揚げないとは言いません。引揚げられないと言つておる。ないとは言わない、不可能でございますと言つておる。それはあなたは聞いておらないのですか。
○前田証人 聞いておりません。不可能であるということは聞いておりません。
○鍛冶委員 それなら可能なりと思つておりますか。
○前田証人 今でも可能なりと思つております。
○鍛冶委員 ここにも書いてあるじやないか、引揚げとうてい不可能なりと書いてある。そうして不可能だということがわかつたら、その一千三百万円はただちに国庫に返納すべき金だと思うが、こちらから調査に着手したる後、あなたが退職された後、初めてこれを返されたことにはなはらわれわれは了解に苦しむものがある。
○前田証人 そういう点は本省の方といたしましても、本省の方へ返すという話は、去年の墓前から実はありましたが、まだ桝谷の引揚げに一縷の望みを託しておりましたので、われわれといたしましては、もうしばらく待つてもらいたいということを、去年の十一月、十二月、様子を見ておつたのでありますが、ルース台風などでとうてい今年度はむずかしいのじやないかという見通しがつきましたので、私といたしましても返すということに同意したのであります。
○鍛冶委員 ルース台風はいつでした。
○前田証人 あれは十一月じやなかつたかと思います。
○内藤委員長 それから証人に一言言責つておくが、桝谷はそういうあなたの方から厳重な督促は受けていない、こう言うのです。それにもかかわらず、国庫の予算を請求しておることは、まことにふかしぎで、どうにもしかたがないと言うて笑つておりますよ。
○前田証人 これは桝谷には全然こちらからもそういうことは言つたことはありませんが、私の考えとしましては、筋道といたしましては、桝谷を督促いたしまして、桝谷が引揚げれば一番それが筋道にかなつた話でありますが、万一何かの都合で桝谷の引揚げ作業が遅れるというような事態になりましたときに、いつまでも海底に沈めておくということは、耐え忍びがたいので、代執行という方法も一つの方法として考えられるのじやないかということを気づいたわけであります。そうしてそれを検討してもらいたい、こういう考え方であります。
○鍛冶委員 ルース台風は十月十四日だつたのです。ルース台風は十月だつたから、もうこれはいけませんと言つて、とうに返すべきものを、こちらから調査せられて、調査せられたらかなわぬと、自分で辞職して、そうしてそれで金を返したのだ、もしここの調査がなかつたら、この金がどんなになつたろうとわれわれは想像ができる。
○前田証人 私は絶対にそういうことは考えません。初めから改造費は改造費に使うべきものだと言つております。
○内藤委員長 一体沈んでおるものに、引揚費から先にとらなければならぬものでしよう。沈没しておるものに改造費をとるなんということは、常識で判断できますか。さような答弁はいかぬ。
○竹村委員 まず第一にお伺いいたしたいのは、第四港湾建設部という、ここの仕事の内容でございますが、一体どういうことをおやりになつておるのでありますか。
○前田証人 山口県並びに九州におきまずる主要な港湾の直轄工事をやつております。
○内藤委員長 竹村君に注意しますが、なるべく重複しないように……。
○竹村委員 私はなぜこういうことを聞くかというと、どうもおかしいのですが、そうしますと、その仕事をされる指示は、やはり運輸省からそういう指示があつておやりになつておるのか、あるいは先ほどからたびたび質問の中に出て参るわけでございますが、連合軍からの非常に強硬ないろいろな指示があつたということを常々証言されているわけでありますので、その仕事のうちに連合軍から指示されてやつておられることが、これ以外の仕事であつたのでありますか。
○前田証人 第四港湾建設部といたしましては、連合軍から仰せつかつてやつたというような仕事は全然ございませんで、これがただ一つでございます。連合軍から仰せつかつたといいますか、これは向うの非常に強い要望によりまして、起重機船を向うの揚搭作業に従事さした、こういうわけであります。
○竹村委員 そうしますと、この起重機船の、たとえば山九にこれをやつて、一番初め一箇月仕事をやらしたというときにも、連合軍の強い指示があつて、そうして山九にやらした、こういうことを常々言つておられる。それから今度は桝谷と契約をしかえられたときも連合軍の指示によつてやられたのでございますか。
○前田証人 切りかえますこと自身に対しましては、直接指示は受けておりませんでしたけれども、あるいは連合軍の方の指示を受けたかどうか、その辺はつきりいたしません。
○内藤委員長 証人に申しますが、聞いていると、いかにも連合軍の名に隠れて、強硬にやられたから云々というように聞えますから、それは少し不穏当です。連合軍云々はあまり触れない方がいいんじやないかと思います。注意しておきます。
○竹村委員 今委員長から注意があつたわけですが、実際のことを正直に言つてもらわぬと、どうもぼやつとしてわかりにくいのです。 それでもう一つ聞きますが、大体私の考えでは、さつきから聞いておりますと、少くともあなたの方が直接連合軍から指示があつて、そうして山九とのいろいろな運輸計画を、進駐軍かどこか知らぬが、ともかくやつておる。そこでこの起重機船が必要になつて来て、仕事をどんどん始めてしまつた。仕事をどんどんやつておる後にこの契約書ができた。さつきからのあなたの答弁を聞くと、こういうふうに受取れるのですが、その事実はどうですか。
○前田証人 山九運輸との契約につきましては、確かに仕事が始まつてから後の契約になつております。それを大体二十日という予想で山九と契約をいたしましたのですが、それが先ほど申し上げましたように、乗つている人間の問題、あるいは薪炭の補給というような問題で行き詰まりまして、これも請負者の方の負担でやりたいという考え方から、山九、それから実際の作業をやつておりました桝谷ともいろいろ相談の結果、桝谷に請負わしたわけであります。切りかえましたその契約は、あまり遅れてなかつたと思います。
○竹村委員 もう一つ伺いますが、あなたは、さつきの委員長の質問に対して、たとえば六十九万九千八百四十円を受取つたのは、第一回には山九から受取つて、あとの三回は桝谷から受取つた、こういう答弁をしておられる。そうしますと、三回はすでに二箇月の契約の前からでも桝谷から直接金を受取つておる。そういう慣例があるのに、わざわざ一箇月たつてから後に桝谷と契約をしかえるということ自体、私はちよつとおかしいと思う。 同時にもう一つ聞きたいのは、大体前の契約書というのは、請書の形であなたの方に出されている。おそらく、官庁に請書が出されたならば、その請書に対する受付の月日というものは官庁の受信簿にはつきりしなければならぬし、その請書の中にはそういう判が押されてなければならぬと思いますけれども、私の手元に調査部から来た調査表にはそういうものは載つていないが、そういうことは請書にできてありますかどうか、これを聞いておきたい。
○前田証人 先ほどお話のありました第二回目山九分の金を桝谷経由で受取りましたのは、これは桝谷との契約が成立したあとでございます。 それから今のお話の受信簿その他の面は、これは私ははつきり確認しているわけではありませんが、確かに受付簿その他を通つているものと私は信じております。
○井上(良)委員 さいぜんから承つておりますと、一番大事な点は、これを山九なり、桝谷にあなたの方で契約をやります場合に、いろいろ契約條件がとりかわされておりますが、そういう国の財産を民間に貸します場合、またそれが将来沈没、修繕、いろいろな事態が起ることを予想して保証金というものをとるべき性質のものではなかつたのですか。
○前田証人 それが相当長期間にわたるということが予想されますれば、何らかそういう措置を考えたと思いますが、短期間で済むのではないかという考えに支配されておりましたので、その点につきましてもはなはだ不行届きで、私は申訳なかつたと思います。
○井上(良)委員 その船を民間に貸すという場合に、財務局に相談したり、あるいはまた上司である港湾局長ですか、これなんかに当然指示を仰ぐべき性質のものではないかと考えますが……。
○前田証人 これは今の財務局に対しましては、重々手抜かりでありまして、これは何とも申し上げようもありませんが、上司に対しましては三箇月以内の短期間の貸借ならば、これは部長権限としてまかされることになつておるわけであります。
○井上(良)委員 あなたはお聞きいたしますと、本年の一月早々に退職されておるのですが、この船が沈没いたしましたときにその責任は考えなかつたのですか。
○前田証人 十分痛感いたしておる次第であります。
○井上(良)委員 そのときに上司に沈没したことを報告し、自分の不行届であつたということをここでもあなたは申されておりますが、その不行届が国民に大きな損害を与えておるのです。あなたが要求されたこの船がこういうことになつたということから、国が大きな損害を受けておるのです。この損害は国民の血税から来ておるのですぞ。税金を払うためにどれだけ多くの国民が苦しんでおるか、その国の重大な財産をみずからの監督不行届と失態のためにどうにもならぬことにしておつて、しかもその責任を感ぜずに現職のままにおつたというのはどういうわけです。
○前田証人 何ともおわびの言葉がありません。
○井上(良)委員 沈没したときに沈没いたしたという報告をあなたはだれから受けました。
○前田証人 私の方の担当官から受けました。
○井上(良)委員 担当官とはどなたですか。
○前田証人 これを受けましたのはその方の担当課長であります。たしか機械課長から聞いたと思います。
○井上(良)委員 それからその船が沈没をいたしましたことから、その引揚げについて、あなたはたびたび相手方の桝谷組に話をされておるというのですが、それはだれに会つて話をされたのですか。
○前田証人 これは私が直接会つて督促したわけではないのですが、機械課長あるいはまた私の直接下におります次長を主にいたしまして、もつぱら桝谷組との交渉に当らせておりました。
○井上(良)委員 これだけ大きな損害が当然国にかかつて来、あなた自身の責任にもかかつて来る問題を、どういうわけで桝谷社長みずからに会いませんでしたか。
○前田証人 どういうわけと申しましても何でありますが、桝谷との直接の折衝にあたりましては、すべて次長または機械課長またはその担当官に、私もいろいろ協議にあずかりまして、次長あるいは機械課長を通じてもつぱら交渉に当らせておりました。
○井上(良)委員 桝谷の方で沈没せしめた責任を負つて、引揚げの準備をし、すでに百万円からの金額を、引揚げ準備のために資材その他の購入にかけておつたということをあなたは御存じですか。
○前田証人 それは聞いております。
○井上(良)委員 そうしますとそれを聞いておつて、どういうわけで十二月二十二日付で引揚げ及び修繕に要する経費を次長名で本省に稟請をしたのですか。
○前田証人 桝谷が実際に引揚げに着手したのは、そのずつとあとでございます。翌年の十月ごろの話であります。
○井上(良)委員 翌年の十月ごろの話と申しますが、もし翌年の十月ごろ引揚げに着手されておるというのが事実の場合には、すでに予算的処置を講じられて金はあなたの方に来ておつた……。
○前田証人 それはいわゆる引揚げ費ではございません。改造費の分の配付を受けておりました。
○井上(良)委員 そういたしますとここで問題になりますのは、沈没しておる船を改造することを本省で認めて、いわゆる引揚げ費——修繕費とは行かぬけれども、改造費ということで、あとで費目がかわつたといいますか、目的がかわつた……。
○前田証人 いえそういうことではございません。初めの予算要求のときから引揚げ費と改造費という二本建で考えたわけでありまして、引揚げ費の一千万円の方は本省といたしましても認めずに、予算はつけなかつたわけであります。いわゆる改造費の方だけ配分を受けました。しかしその桝谷の方の引揚げ作業が遅れていましたために、改造費の予算の施行も自然とずつと遅れておつたわけであります。
○井上(良)委員 桝谷氏は先日本委員会において引揚げに対して五、六百万円からの予算をもつてやつた。ところが引揚げても修繕費用に多額の金を要するので、資力が続かぬということであなたの方へたびたび陳情しおるということを証言しておるのです。そうなつて来ますとあなたの今の話と違うて来るわけです。桝谷自身は引揚げる、ところが修繕はできぬ、そこでよし修繕はわしの方でもつてやろう、こういう話になつたのと違うのですか。
○前田証人 いえそんなことは全然初めから考えたこともございません。改造計画というのはもう初めから計画的に考えておつた仕事でありまして、沈没の前から……。
○井上(良)委員 あなたは妙なことを言うのですね、あなたは私をなめたらあかぬですよ。なぜかというと、あなたがさいぜんから証言をしておることをずつと聞いておると、あなたの一番大きなミスは、この沈没した当時はあなたのものでもなければ、財務局のものでもないものになつておる。あなたは契約の更新を財務局にしてないのです。してないものを、在籍のないものを、どういう理由でそういうことを要求するのですか、あなたの方の所有になつておると言えるかね、契約期間が切れた以上あなたのものではないですよ、あなたのものでない架空なものに改造費を要求するというのはどういうことですか。
○前田証人 その点は何とも弁明のしようがございませんが、契約更新をすつかり失念いたしましたことは重々おわび申し上げるよりほかないと思います。
○井上(良)委員 おわびじやありません、あなたは当時の予算の執行官である、そうでしよう。現にこういう契約のもとにこういう船を財務局から借りておりまして、こういうものを港湾設営事業に使うのにはこういうように改良しなければなりませんから、これだけの改良費が必要でございますということで問題が起きて来るのです。そのかんじんかなめの船があなたの責任の範囲からなくなつておる、もう契約は切れてしまつておる、契約が切れたらもうあなたのものではないのですよ、この予算を本省に要求したときには四建のものでなくなつておるのですよ、なくなつておる架空なものにどういうわけで一体予算を請求するのですか、それはすみません、あやまりますではいけません。あなたは予算の執行官ですから……、そうでしよう。何といつたつて、あなたは架空なものを国に請求しているのじやないか。現実にあなたが契約書を持つておつて、それであなたが今いろいろ御説明になりますように、実際これは荷役船としては役立つ船だけれども、港湾工事用としては不向きであるから改造しようという気持はいいのです。それはわかるが、あなたは現実に改造する対象がないのじやないか。あなたのものでなくなつているじやないか。それをあなたは忘れておつたと言う。忘れておつたとしたつてあなたは船を貸しておるじやないか。貸して料金を請求しておるじやないか。要するに自分のものでないものを貸して、しかも一方において料金を請求しているじやないか。これはどんなことを言われたつてあなたは言いようがない。これは架空の予算横取りだ。詐欺ですよ。まつたく私に言わせればこんなむちやな話はございませんぞ。あなたが契約書をはつきり握つておる上でやつているというなら、これは私がさつきからお話を聞いておつて、港湾用に改造するのはあなたの任務だから、それは改造の予算を通してもらうことは必要でしようが、現物がないのじやないか、どうです。
○前田証人 何とも申訳がございません。財務局への手続が遅れまして……。
○井上(良)委員 そこで問題は、桝谷組に使用料その他は請求したけれども、くれぬのでそのままほつたらかしてある、こういうのですね。
○前田証人 はい。
○井上(良)委員 そういう跡始末もせんと、自分だけ自分の都合のいいところにかわつて行つて、それであなたはいいと考えるのですか。公務員の任務がそれで果されたと考えておりますか。
○前田証人 今になつてみると重々何とも……。
○井上(良)委員 それから最後にもう一点だけ聞いておきますが、一千二百万円というのを本省に請求したのですね。それで最初引上げ修繕をどういうわけで本省は認めなかつたのです。
○前田証人 引上げ修繕は、私の考えでは、いろいろ本省へ相談いたしましたのも、代執行したい。そうしてあとで弁償させるという方法は、法律的にもまだはつきりいいというわけにも行かないし、疑念があるので……。 それともう一つは、これはあくまで桝谷にこの引上げ復旧をさすべきだ、これはもちろんでありますから、それを強行しようという方針に相なりまして、予算は認めないということに相なつたわけであります。
○井上(良)委員 そうすると、これは認めないが、沈没しておるということは本省は知つておるわけだね、その場合は……。
○前田証人 そうであります。
○井上(良)委員 妙なことになるものだね、さきにも鍛冶さんが質問しておつた通り、沈没しておるものを、原型も見ず、設計もわからず、改造にどのくらいの経費がかかるということがどうしてわかります。
○前田証人 それはその前から改造したいという考えを持つておりましたものですから、この計画は実はできておつたわけであります。
○井上(良)委員 その計画はどこへ頼んでさしたのですか。
○前田証人 これは四建でつくつた計画があつたのです。
○井上(良)委員 四建は修繕、造船をいたしておりますか。
○前田証人 修繕、造船は直営の船を持つておりましてやつております。
○井上(良)委員 その設計書は本省へ出ておりますか。
○前田証人 本省にも出ておると思つております。
○井上(良)委員 出ておるね。
○前田証人 出ております。
○井上(良)委員 出ておる……。
○前田証人 はあ。
○井上(良)委員 出ておりますね。
○前田証人 はあ。
○井上(良)委員 よろしい。
○大森委員 私は同僚委員から非常にこまかくお尋ねになつたので、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。この船の使用料を時間的にとつているという問題でありますが、これは時間的に貸しますとどういうふうにして使われるのでありましようか。これは何か伸縮性を持つためにこうした時間貸しをしておるのじやないかと思うが、一時間で作業をやめるものとしても、一日幾らという契約をいたすのが妥当でなかつたかと考えるのです。さらにまたこの修繕費を予測して二十何万円というものをとつたんだと仰せられるが、官庁の場合ならばそういうことはできるかもしれませんが、民間人に貸した場合に、すでに沈んでおる船を揚げることについても、もはや責任者がないようなぐあいになつている、しかるに使つたあげくに修繕費の割当をとれるというようなあまい考え方、それであなた方は適当と考えられたかどうか、この点をお尋ねいたしたい。
○前田証人 起重機船という船け性格的に——今度の場合は非常に仕事が忙しゆうございまして、昼夜兼行で継続的に使つておりました関係で、運転時間も二十時間とかあるいは十八時間という連続時間がありましたが、大体起重機船の性質といたしましては、一日に二時間使うとか一時間使うという程度の場合が多いのでありまして、そういう関係で起重機船の貸借は普通運転時間を基準に考える場合が多いように考えられます。そういう点から運転時間ということで来たんじやないかと思うのであります。
○大森委員 その破損のために二十数万円をさいたとおつしやるが、そう簡単に破損の割振りと申しますか、割当と申しますか、そういうことができるのでありましようか。
○前田証人 これはいろいろ技術的に検討いたしまして、あの程度の船が一年ごとにやる修繕にどのくらいの費用がかかるという数字を立てまして、そうして一年間に大体何時間くらい利用するかということから割出した数字になつております。
○大森委員 それはどうも受取れないのであります。先ほど同僚からお話があつたから詳しくは申しませんが、沈没したその船は、あなたは何か引上げができるようなことをおつしやるが、これは不可能だ。そういう場合に、貸して沈んでしまつた、仕事は済む。そのあとから修繕費を差引いてとるというようなことは可能かどうか。この点はあなたの答弁でよろしい。そこでこの六十九万九千八百四十円という使用料に対して、領収書をもらつてありますか。
○前田証人 領収書をもらうと申しますと、こちらが使いましたいろいろな石炭代とか、そういうものでありますか。
○大森委員 そうでなく、使用料です。これは一日幾らの貸し料でしよう。六十九万九千八百四十円というものに対して領収証を出してありますか。
○前田証人 これが先ほどからも御質問を受けましたのですが、建前といたしましては、山九なら山九から直接債権者に払つてもらうということを建前と考えておりましたので、役所としての請求書は出してありませんです。
○大森委員 これは金をもらつたんでしよう。
○前田証人 金の預かり証は出してあります。
○大森委員 領収証ではない、預かり証ですね。
○前田証人 そうです。
○大森委員 そしてこの二十一万八千百九十八円です。これは何か山九か——ここへどういう名義でそれを預けてありますか。またいずれの銀行へこれを預けてあるかというようなことを……。
○前田証人 現在のところでは山九の門司の支店長の名義にいたしまして、下関の東京銀行支店に預けてあります。
○大森委員 東京銀行の支店ですね。
○前田証人 はい。これも先ほど申しますように、特段貯金と申す特別の貯金で預託してあります。
○大森委員 そこでもう一つお尋ねいたしたいのは、二十五年の十月の八日から十一耳の十日までの使用料を四十九万円といわれておつたが、これは日数に計算いたしますと三十二日になります。これを三万円と計算しても九十六万円となるが、これはどんな関係でありますか。
○前田証人 これも先ほど申しましたように、この使用時間、二十四時間というふうに解釈いたしておりますので、この間の使用時間に二十四時間について三万円、実際に運転いたしました時間につきまして算出いたしております。
○大森委員 そうすると、これは使つた日は三十二日であるけれども、時間を計算するとこうなるのですか。
○前田証人 そういうことなんです。時間を算出いたしまして……。
○大森委員 そこで先ほどの問題でありますが、この六十九万九千八百四十円の預かり証の写しを委員会に提出してもらいたい。
○前田証人 何でございますか。
○大森委員 この預かり証をです。
○内藤委員長 それは大森委員に申しますが、三回にわけてそれを預かつておりますから……。
○大森委員 ああそうですか。
○前田証人 この預かり証は向うへ提出した分ですか。
○大森委員 これは受取だね、わかりました。 それから山九の仕事をして、山九が国家の公務員として使用して、そうして山九に対して一割の何か納金のようなものをしておるが、国家は山九の下請をしておつたのかどうか、この点をお尋ねいたします。
○前田証人 一割という点はどういう意味か、私よくわかりません。
○大森委員 何か国有のものでしよう。この山九に対して仕事をやらしておつた。国家が直接やつておつたのでしよう。この仕事は。
○前田証人 はい。
○大森委員 そうすると、それについて山九に対して一割を出しておつた、そういう事実があるというのはどういうことですか。
○内藤委員長 そういう事実があるかないかということだ。
○前田証人 山九の一割云々という話は私よく存じないのでありますが……。
○大森委員 山九が省の仕事を請けて、四建がその仕事をして、それから受取つたものから一割をはねたという事実がありますが、これはどういうことなんですか。
○前田証人 そういうことは全然私知りませんですが……。
○大森委員 こういうようなことはあなたは知つているとは申されぬでしようが、そういうことがあつたといたしますと、どうお考えになりますか。
○内藤委員長 大森委員に申しますが、そういうことはないと言つているのですから、仮想に基いてどうとも返事ができないじやないかと思います。
○大森委員 いろいろ尋ねたいことはあるけれども、時間の関係もありますから、最後にあなたの良心的に伺いたいのは、大体この船はどのくらいの価値があるものか、国家の財産として、今求めれば幾らくらいするものか。そうしてこの船を預つたところの責任というものに対して、あなたはさつきからいろいろ申訳ないとおつしやつているが、ただいまいかなる考えを持つておられるか。先ほど同僚議員からもいろいろ申されたが、これを掘り下げて検討いたしますと、われわれの言葉にも言い尽されないような非常な醜悪なことがあるのではないかというふうに私は考えて遺憾に思つておりますが、あなたの良心にとつて恥じるようなことはないでしようか。
○前田証人 申し上げます。この起重機を今新しくつくるといたしますとどの程度の費用になるかという点でありますが、おそらく五千万円ないし六千万円くらいはかかるのではないかと私は考えております。 それからこの問題につきまして、私先ほどからいろいろおわび申上げている通り、この国家の貴重な財産を損傷いたしました責任は実に甚大でありまして、衷心よりおわび申し上げます。 なおこの問題に関連いたしましては、私は天地神明に誓いまして、誠心に恥ずるところはないと思つております。
○内藤委員長 ちよつと天地神明にどうしたというのですか。
○前田証人 私の誠心に反するといいますか、疑惑という問題に対しましては、私何ら恥ずるところないと思つております。
○大森委員 あなたが天地神明に誓つて恥じるところがないと仰せられるならば、この二十一万八千円という金は一体そういうところに——山九に預けて置くべきかどうか、置くべき性質のものであるかどうか。これらの点を真に明らかにしたならば、あなたは天地神明に恥じることがないということは言われないと私は思う。これらの金は、こちらへとつておいて修繕費に充てるならば、当然のことである。しかるに向うに預けておくという理由は一体どこにあつたのか。この二十一万八千円という金はおそらく擬装のものである、預かり証というものはあとからできるものである、また銀行もあとからできたものであるというふうに私は考えるのでありますが、あなたそれでも天地神明に恥じるところはないとおつしやるのでしようか。この二十一万円の金というものはそうしておくのが適当であるかどうか。この点……。
○内藤委員長 ちよつと証人にお伺いしますが、あなた天地神明云々ということは、金銭的には自分はさような不正なことはしておらぬから、天地神明……。
○前田証人 疑惑という問題につきましては……。
○内藤委員長 天地神明に恥じないというのですか。
○前田証人 はい。
○内藤委員長 しかしながら天地神明に恥じぬとここにふんぞりかえつても、あなたが今までこういう国家の財産を無責任に沈没さして、大損害をかけたということはどうなんですか。
○前田証人 その点は十分……。
○内藤委員長 それではさような天地神明というようなことは——ここを何と心得ておる。ここは国会ですぞ。さような大言壮語をして——とうです。その点取消しなさい。
○前田証人 その点はなはだ失言いたしました。取消します。
○内藤委員長 他に発言がなければ、前田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労さまでした。 —————————————
○内藤委員長 引続き黒田靜夫証人より証言を求めることといたします。 ただいまお見えの証人は黒田靜夫君ですね。
○黒田証人 そうでございます。
○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御了承願います。 これより国有財産管理処分関係事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祈祷の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の祕密に関するものであるときは、その旨申出を願いたいと存じます。 では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人黒田靜夫君朗読〕 宣誓書 良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはへその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。 証人黒田靜夫君は港湾局長の職に現在あるのですね。
○黒田証人 さようでございます。
○内藤委員長 いつからおなりになりましたか。
○黒田証人 昭和二十五年の七月の下旬だと存じます。
○内藤委員長 第四港湾建設部長から福岡の財務局所管の第五号起重機船の所管がえの稟申をして来たときに、大蔵省管財局とどういう折衝をされましたか。簡単でよろしゆうございます。
○黒田証人 それはございません。国有財産の管理につきましては、第四港湾建設部長に委任してある事項になつております。
○内藤委員長 港湾部長の委任事項であるから、局長としてはさような折衝はしなかつた、こういうわけですな。
○黒田証人 さようでございます。
○内藤委員長 四建の申出は、四達自身の港湾工事用というより、むしろ地元業者の要望にこたえたものではなかつたでしようか。
○黒田証人 そのことはこの事件が起きてから聞いたのでございますが、港湾工事用々主といたしておつたように聞いております。
○内藤委員長 港湾工事用と称しながら、五箇月もうつちやつてあるようなさいぜんの証人の証言もあつたんですが、むしろ地元業者の要望にこたえて、かような申出をしたのではないかと思われる節があるのですが、さようなことは考えられませんか。
○黒田証人 私はそういうことは聞いておりません。
○内藤委員長 四建がこの起重機船を作業上ぜひとも必要とするならば、一体なぜそれをすぐ修繕して使用しなかつたのでしようか。あなたの今のお答えにありますように、港湾工事用として四達が必要であつたから申し出たものであるといたしますと、その起重機船を、その作業上ぜひとも必要な程度になぜすぐ修繕をして使用しなかつたのでありましようか。
○黒田証人 この作業船は扛力五十トンということになつておりますが、五十トンもあるような重量物を港湾工事に使うことはちよいちよいあるのでございます。そのときはまだ五十トンをつるような工事がなくて、五十トン以下の本数トンとか、あるいは数トンのものをつり上げておつたがために、特にそういつたような大きなものの修理をする必要がなかつたのだろうと考えます。
○内藤委員長 あなたのただいまの証言とさいぜんの前田一三君の証言とは、たいへんな大きな食い違いがここに発見されました。前田君の証言は、港湾用としてぜひとも五十トンの起重機船が必要であつたということを証言しているが、その点はいいでしよう。いずれまた明瞭になるでしようから。 そうすると、あなたはこの船を日本サルヴエージ会社から受取つて、そうして六箇月もつなぎつぱなしにしておつたという事実はお認めになるのですな。
○黒田証人 そのことは、当時は知りませんが、あとで報告を受けて知つたような事情でございます。
○内藤委員長 いつごろでありますか。
○黒田証人 それは昭和二十六年の十二月ごろかと思います。
○内藤委員長 それでは、この起重機船を山九運輸やあるいは桝谷組に貸したという事実は御存じでありますか。
○黒田証人 それも去年の十二月ごろに知つたような実情でございます。
○内藤委員長 どうでしよう、これは常識のあるあなたとしておかしいと思う。あなた個人は知らなかつたと言うかもしらぬが、港湾局長としてそういうことは知らなくてもいいのですか。
○黒田証人 国有財産の管理等につきましては、その財産を三箇月以上にわたつて他に貸付をするような場合には、大臣の承認を受けることになつておりますので、私の方で目を詳細に通します。しかし三箇月以下のものにつきましては、出先の長から報告を受けることになつております。その報告は、あとで調べると出ておつたのでございますが、いろいろな書類がたくさんありまして、私はその報告を一つ一つ覚えていなかつたのでございます。
○内藤委員長 この起重機船に対し、山九運輸や桝谷組は、民間と同様の使用料を福岡SPBから受けながら、四建にはほんの一部分しか修理分担金として支払つていないが、証人はその間の事情はどうお考えですか。
○黒田証人 その間の事情は私は存じません。
○内藤委員長 報告も受けておりませんか。
○黒田証人 貸付の報告だけを受けております。
○内藤委員長 使用料等に関しては、報告も受けないというわけですな。
○黒田証人 さようでございます。
○内藤委員長 現在どうです、そういう事実があつたということを。
○黒田証人 いろいろ実情を聞き取りまして、よく知つております。
○内藤委員長 これは国有財産が業者に利用され、一部業者に不当な利益を与えたことになると私は思いますが、その裏には必然的に不純な関係が生じて来ると思われるが、あなたはそんなふうに考えませんか。
○黒田証人 私はその事実をあとになつて知つたものでございますから、そういつたような不純な事実があるとかないとかいうことも存じませんでした。
○内藤委員長 そうすると、その短期間の貸付等については、部長の権限でやれることであるから、局長は知らぬという建前ですね、あなたの御答弁は。
○黒田証人 さようでございますが、報告を受けることになつております。報告はたくさんの書類がございますので、私一つ一つ覚えてあらなかつたのでございます。
○内藤委員長 報告というものは、どれほどの期間であなたの方へ参りますか。
○黒田証人 これは直後に参る場合もありますし、また一月、二月遅れて参ることも間々あるかと思います。
○内藤委員長 これは直後にしなければならぬ性質のものじやないですか。
○黒田証人 期限は別に限定してないと考えます。
○内藤委員長 触雷事故について四建より、桝谷組が修理と称して宇部港に回航し、その乗組員の過失によつて沈没したとの報告をあなたの方で受けておられますか。
○黒田証人 触雷事故によつて沈没した報告は受けております。私もよく存じております。その直後にあつたものですから、これははつきり覚えております。
○内藤委員長 それに対してあなたは何か現地というか、実地の調査をせられましたか。
○黒田証人 現地の長にどういう状態であるかということを聞いておりますが、当時まだ未掃海の区域であるために近寄れないのだが、触雷のときの乗組員の話によつて引揚げは可能である、そう困難ではないという報告を聞いております。
○内藤委員長 その引揚げが困難ではないというのは、その触雷した当時のことなんですな。
○黒田証人 さようでございます。
○内藤委員長 昨年のルース台風は御承知でしような。
○黒田証人 存じております。
○内藤委員長 そのルース台風の後はどうでしようか。何か報告は受けませんか。
○黒田証人 ルース台風の後は相当被害があつて、だんだんと引揚げ困難にはなつておるけれども、引揚げは可能であるというようなことを聞いております。
○内藤委員長 現在でも……。
○黒田証人 現在でもさようでございます。
○内藤委員長 四建は沈没一箇月後、昭和二十五年十二月二十二日付で、引揚げ復旧費一千万円を本省に要求しておりますが、証人はこれに対してどう いう処置をとられましたか。
○黒田証人 引揚げ復旧費は当時の四建と桝谷組の請書によりまして、予算として計上することはむずかしいと申し述べております。
○内藤委員長 あの契約によれば、当然桝谷組か責任を負うべきものである。それであなたとしては、そういうものを計上することはむずかしいという立場をとられた、こういうわけですな。
○黒田証人 さようでございます。
○内藤委員長 沈没原因が桝谷組の契約違反であることはもちろんである。また乗組員の過失によつたことももちろん明瞭であるが、なぜこれを国費をもつて修理をするというような豪申があつたのでしようか。
○黒田証人 これは国費で引揚げ修理をすることはむずかしいのじやないかということを私ども言つておるのでありまして、現地からそういう申入れ書類が参りましたのですが、現地の方では、どう申しますか、不可抗力のような事項と考えて、ほつて置くとこれは引揚げがだんだんできなくなるのではないか、それで国の費用でひとまず何とかして揚げた方がいいのじやないかというような、国の財産を愛護する意味からそういつたような要求があつたのではないかと想像するのであります。
○内藤委員長 いろいろ証人を調べて参りますると、ともかく契約違反であるということ、あるいは原因等が明瞭になつておつて、桝谷組へ当然強硬な引揚げを要求すべきところであるのに、ただあり来りの文書を一ぺん突きつけておいて、あとは口頭でやつた、こういうのですが、しかしどうもそういうことではわれわれ了承するわけには参りませんが、あなた方としては四建に対し、桝谷組に対して引揚げ修理するよう何か強硬な態度に出るような指示でもされましたか。
○黒田証人 この点につきましては、四建の部長を通じて、引揚げを早くやれということを命令いたしたのでございます。四建といたしましても、その都度いろいろと折衝はいたしておつたことと思うのでございますが、私どもの指導監督が徹底しなかつた点につきましては、まことに私の不徳のいたすところでありまして、この点は申訳ないと思つておる次第であります。
○内藤委員長 どうです、証人はこの問題をどう処理し七行かれる所存ですか。
○黒田証人 この問題につきましては、支払い未納の金額が山九にも桝谷組にもまだ残つておるように聞いておりますが、この額につきましては、会計検査院とも協議いたしまして、これを正式に国庫に納入せしめて、できるだけ早い機会に納入せしめることにつきましては、山九も桝谷組も誠意をもつて納入することを誓つておるように聞いております。また引揚げにつきましても、同様にできるだけ早くこれを桝谷組の責任において引揚げせしめるように、こちらから督促なり指導をいたす、かように考えております。
○内藤委員長 一昨日の証言で、桝谷組の代表者が、引揚げは不可能だときつぱり証言しておるのですが、本省としてはどうですか。
○黒田証人 そういうことをはつきり桝谷の方で証言しておるというただいまのお話ですが、私どもといたしましては、その証言が技術的に的確なものであるかどうかということをなおよく調査いたさせて、引揚げが不能なる場合は放棄せざるを得ないと思いますが、引揚げが可能なる場合には、関係各庁、たとえば会計検査院その他の関係の官庁と緊密な連絡をとりまして、どういう方法でやつたらいいか、国の財産でありますので、引揚げられるものなら引揚げる、費用がかかつたといたしますならば、これを引揚げた後において桝谷組に求償するというような方法がとれるものかどうかということを研究してみたい、かように考えておるのであります。
○大泉委員 証人は一昨年七月に就任されたようでありますから、あるいは時間的におわかりないといえばそれまででありますけれども、予算編成について大蔵省などに折衝されるのは、やはり港湾建設部関係は一切あなたがやつておられるわけでありますか。
○黒田証人 私が最終の責任者として、この予算は公共事業費でございますので、安本と直接の折衝をいたしております。
○大泉委員 自己の所管、所有にないものに対する改装費とか改善費とかいうような予算を計上するということは——自分の財産目録あるいは財産になつているものであつたならそれでよろしいが、他から借用しておるもの、あるいは賃貸しておるようなものに対する予算編成をするということは、私どもの常識ではとうてい考えられないと思いますが、そういう自己の所有にないものに金をかけるというようなことがあり得るのですか。
○黒田証人 これは財務局から港湾建設部の方に移管を受けまして修理をするのが正当でございます。あるいはその場合に無償になりますか有償になりますかわかりませんが、とにかく移管を受けまして修理をするのが正当な進め方と存じますが、その手続は実は私どもの方が、出先によく徹底しておらなかつたがために、怠慢でございまして、この点は申訳ないと思うのでございますが、実際はまだ改造にかかつておらないのでございまして、改造にかかります場合には、当然そういう折衝が開始さるべきものと思います。
○井上(良)委員 ちよつと伺いますが、この四建の所長が本年の一月五日ですかに辞職をいたしておりますが、この所長の更迭というものは、あなたの権限でおやりになるのですか。
○黒田証人 私の意見が主として採用される場合が多うございます。
○井上(良)委員 この船が沈没いたしましたときには、所長の責任をあなたは追究しませんでしたか。
○黒田証人 これは実情をよく聞き取りまして、事後の処置なり、戒むべき点は戒め、改むべき点は改めるように指導いたしております。
○井上(良)委員 あなたは先ほど、国有財産を民間等に貸し付ける場合といいますか、そういう移動をいたす場合、三箇月以内は出先の責任者に責任を持たしてやるが、それ以上の場合は大臣の許可を要する、こういうお話でございます。その大臣の許可とはすなわちあなたの査定による許可ですか——私はそう判定をいたしておりますが、そうなりますと、この五号起重機船は財務局から借り入れまして、それからまたさらにこれを見聞に貸し付けて、相当長い間貸付のままになつていますが、その場合あなたの方へ貸し付けたという許可をとりに来ましたか。
○黒田証人 桝谷組に貸しましてから、桝谷組との契約は、私ちよつと期間を覚えてないのでございますが、三箇月はかからない。短期間であるという予定で契約がとりかわされて、その契約、下請書の期間が満了にならないうちに触雷事故で沈没いたしたのでありまして、その沈没の報告があつて爾来そのままになつておるのでございます。
○井上(良)委員 この船を大蔵省の福岡財務局から借り受けた。借り受けて相当日にちがたつておりますが、その間に最初の契約期間が完了いたしておる。船が沈没してから再び契約書の更新をしておるということは、あなたは御存じですか。
○黒田証人 私はそのことは存じません。
○井上(良)委員 そのことを存じてないのに、どういうわけでこの船の改装予算を組んだのですか。
○黒田証人 お答えします。この船は効力五十トンで、非常につり上げ高さの高い起重機でありまして、この意味では特異な起軍機でありますが、港湾の工事に使うために五十トンあるいは四十トン程度の重量貨物を積むのには非常に不安定な船でございまして、改造を要するということをかねがね現地の方から要求がありまして、予算にこれを計上して安本等と折衝を進めておつたのでございまして、私が参りました七月初めには、もう大体のわくの折衝が始まつておりまして、十一月の上旬あるいは中旬ごろには大体の線が出ておつたのでございます。その後に沈没いたしまして、一体予算は二十六年度に計上されておるんだが、沈没の状況はどうかということをただしたのでございますが、先ほども申しましたように、引揚げが可能であつて、引揚げて原形に復するには一箇月もあればいいだろう、改造は二箇月程度であろうというようなことを聞きましたので、それではというので一応予算に計上して、在来進んでおつた通りに進めたのでございます。
○井上(良)委員 そうすると改装の予算——改造といいますか改装か、専門語はわかりませんが、改装の予算一千二百万円の計上を考えたのが先で、そのあとから引揚げ修繕費の一千万円という申請があつたのですか。
○黒田証人 そうでございます。
○井上(良)委員 ところがさいぜん前田証人は、昭和二十五年の十一月二十二日付の港湾局機材課長あて第五号起重機船の引揚け復旧についてという申請書を出した。ところがこれは通らなかつた。ところがそれが後に改装費になつて認められた。こういう証言をしているのですが、あなたの言うのと違いますね。
○黒田証人 お答えします。五号起重機船の改造に要する費用は七月、八月ごろから要求がありまして、予算に組み入れて折衝を続けておつたのでございます。その大体固まつた時分に、改造とは別に沈没による引揚げ修理の要求があつたのでございますが、これは先ほど申したいろいろな契約の條項からも、予算として計上するわけには行かないというので、その引揚げ修理の一千万円は認めませんで、改造の一千三百万円だけを計上いたしたのでございます。
○井上(良)委員 そこで問題になつて来るのですが、あなたはさいぜん桝谷組との契約はあつた、こういうお話、もちろんありました。桝谷組との契約は期間を三箇月と切つてない。三箇月以上にわたつておる。期間が定めてないのです。ただ内容はいわゆる占領軍の作業終了までということになつている。
○黒田証人 お答えします。これはあとから、去年の暮れに出先の方から聞取りをしたのでございますが、それによりますと、山九と契約をいたしましたのが二十五年の九月十八日から十月七日までとなつております。桝谷と貸付の契約をいたしましたのはその翌日の十月八日からになつておるのでございまして、十一月の二十六日に沈没いたしておるのでございます。この間は一箇月半程度だと思います。三箇月は超過していないのじやないか、かように考えられるのであります。
○井上(良)委員 私は、契約がさきに申します通り三箇月以上にわたります場合はということになつておつて、桝谷組との契約では期間を切つてない、切つてあればいい、切つてない契約ができているというところに問題がある。それといま一つ伺いたいのは、あなたは引揚げと改装とは別だ、こういう考え方で御説明されておりますが、私どもこれを調べておりまして非常におかしく思いますのは、あなた方が改装する対象の船は、あなたの方の運輸省所管の第四港湾建設部の船であつたと考えておりますか。先のお方が質問したように、これは運輸省に借りておる船であるということではないのでしよう。あなたの借りておる船——それを自分の船と考えておりましたか。
○黒田証人 お答えします。この船は財務局から一時使用を受けておりますので、改造をいたしますときには、当然これを有償なり無償なりで財務局から運輸省の方に移管を受けてやるべきだ、かように考えております。まだ改造に着手しなかつたものですから、その手続をあらかじめ早くやつてなかつた怠慢の点は、これは私の指導も十分でありませんでしたし、また現地がそこまで積極的に出なかつたということは、まことに申訳ないというふうに考えます。
○井上(良)委員 えらいしつつこいようですけれども、私さいぜん前田さんに伺いましたところによりますと、財務局からいわゆる貸借契約ですか借受契約ですか、第一回目にそういうものを結んでおります。ところがその期間が切れてしまつておる。期間が切れたものは当然新しく契約を結ばない限り、運輸省の所管のものでなくなりますね。それはどうです。
○黒田証人 御指摘のように、期間が切れますればこれは更改の手続をとらない限り財務局のものに移るべきかと思いますが、これは手続が遅れたがためにそういうことになつておるのでございまして、借りておる方も、当然期間が切れてもなおしばらくは貸してもらいたい。貸す方でも、しばらくは貸したいという気持があつたことと思います。手続をしなかつた点は、これは手続をしなかつた当事者の建設部が実に怠慢であるのでございまして、この点は十分戒めたい、かように存じておる次第であります。
○井上(良)委員 少くとも今伺いますると、この船は時価に見積つて約五、六千万円のものだ。建造するとすれば、そのくらいの金はかけなければできまいというような大きな国有財産です。そういう国有財産を何でもなしに、今あなたがおつしやるように、期間が切れても向うが使いたいから使うておるわ、こつちもまあ契約を更新せなぬでもいいわ、そういう、あなたの方はあらゆる民間やその他役所間の契約というものがずさんなものでございますか。
○黒田証人 お答えいたします。そういうつもりは絶対にないのでございまして、期限が切れれば当然契約を更改すべきものであります。契約を怠つておりましたのはまつたく怠慢に基くものでございまして、この点私どももその非なる点を十分認めまして、今後かかることのないようにいたしたい、かように考えます。
○井上(良)委員 問題は、私が聞いておるのは、あなたが予算的措置を改造費として組まれた場合に、その対象になる第五号船は運輸省の所管のものではないわけでしよう。そのときは契約を結んでいない。結んでいないとすると、架空のものに対して予算を組んでおることになつておる。沈没して初めてびつくりして契約の継続をやつておるわけでしよう。予算を組んだときにはあなたの所有物じやないでしよう。架空のものに改造費が組まれておるわけです。あなたの方はお借りになつて、はつきりした、こういう船がおれのところのものだという証拠になるものがあるならいいけれども……。
○黒田証人 お答えいたします。財務局から借り受けて以来、引続き出先において借り受けておるものと確信いたしまして、借り受けておるものだから予算を計上して、予算が通れば、これは事前に移管の手続をとるべきだ、かように考えておつたのでございます。
○井上(良)委員 あなたはさいぜん、この船は港湾工事用として必要な船として、財務局から借り受けたと考える。ところがそれを民間へ貸し付けたと報告を受けておる。しかもそうなつて来ると、直接自分の港湾工事の進捗の上にこの船が非常に急に必要であつて、これを改装しなければ予定の予算執行が遅れてしまう。工事の進捗が遅れてしまうというところから、これを改装して工事をただちに早く済ますようにしよう、こういうことになるのじやないですか。ところがあなたの言うのをさいぜんから聞いておると、これは貸し付けておるという報告を受けておる。民間に貸しておる船を、今さしあたりすぐあなたの方で工事用としてこの船が急に必要であつて、改装しなければならぬという事態の急を要する問題ではなくなつておるのじやないですか、現実は。
○黒田証人 お答えします。予算に計上いたしましたのは、二十六年度の予算として計上いたしたのでございます。いろいろの貸付がありましたのが二十五年度でございまして、二十五年度におきまして貸付けたものも短期間であるという見通しでありまして、これは現地の報告でもそのように聞いておりますので、短期間であれば従つて早く返つて来る、そうすれば二十六年度の予算としてこれを計上しても無理ではない、かような見解をとつたような次第であります。
○井上(良)委員 これ以上あなたと何しておつてもどうもならぬが、問題の大きな失態は、これは架空の予算が組まれておるという事実がわかつて来た。あなたは現地が当然継続の契約をしておるであろう、こう考えておつた。ところが現地は、船を貸しておるわ、貸した金はもらえておりはせぬわ、それを契約違反のところへ船を出して、沈没さして、沈没した後にあわててあなたの方に報告したり、しかもあなたが信頼しておつた前田さんという人は、それだけ大きな事件を起しながら、かんじんの相手の責任者に一ぺんも会うていない。そういう不誠実なことが一体許されるとお考えになりますか。
○黒田証人 この点につきましては、私の部下の指導監督上まことに遺憾な点が多かつたのでございまして、まことに責任を感じておる次第でございます。
○井上(良)委員 そこで問題は、この船が沈没をいたしまして、引揚げることに関して全然部長みずからが——あなたは引揚げ命令をした、こういうことを言うのでございますけれども、つまりこの引揚げ命令をしたというのは、この前田部長にでありましようが、前田部長は今申す通り全然相手に会うていないのですね。桝谷組の社長やその責任者に会うていないのです。
○黒田証人 それは私はここで初めて伺うのでありますが……。
○井上(良)委員 そういうような現状で、まつたくあなたの方の命令は聞いていないわけです。ただ部下をして相手方に当らせたと、こう言うだけなんです。それから非常におかしく思いますのは、あなたはこれは二十五年度の事件であつて、この予算を考えたときは、まだ山九や桝谷組等の間において契約されて船が使われているときであるから、この仕事が済めばひとつ改装しよう、こういうことでございますが、この予算は昨年の秋の追加予算として計上されておるのですね。何で通常予算に出さなかつたのですか。
○黒田証人 通常予算であります。追加予算ではありません。
○井上(良)委員 追加予算ということですが……。
○黒田証人 それは間違いございません。通常予算であります。
○井上(良)委員 私の方の調べが誤つておるかもわかりませんが、そうすると、これが沈没をしたということからして、引揚げたらその金を使おうという考えですか。
○黒田証人 沈没した後において、引揚げは可能である、しかも一箇月くらいで引揚げて原形に復することができるというような現地の状況でございましたので、引揚げさえすれば、改造は二箇月程度でできる。しかしながらルース台風によつて引揚げが延びる延びになりまして、もはやこの五号起重機船に対して改造ができなくなりましたので、ほかの次に緊急な作業船の修理に、これを成規の認証変更の手続を経ましてまわしました。
○井上(良)委員 引揚げても改造はできぬということをきめたのはいつです。
○黒田証人 お答えいたします。それは沈没した報告があつたすぐあとでございます。
○井上(良)委員 この引揚げについて当の責任者であります桝谷組は、全力をあげて引揚げようと考えておる。ところが引揚げてみても、修繕費その他に莫大な経費がかかるという予想であるから、とても経費が続かない。しかし引揚げるだけは引揚げなければならぬということで、いろいろ準備をしておつた。もちろん台風の影響やいろいろございましたが、そのときに、さきに申します引揚げに対する経費の本省への申請、それからあなた方の方に、別個の費目でありますけれども、改造費の予算編成といいますか、そういうことが出て参りましたために、桝谷組の方では急に硬化して、どうにでもしてくれという投げ出しの状態に置いておるのですが、これはまつたくあなた方のこの事態に対する善後処置を誤つた結果が、相手方の責任に対しても十分な責任を負わすことができ得ない事態を生んでおるのですけれども、それをどうお考えになりますか。
○黒田証人 桝谷組が、国がやるのだという安易な考えで、自分が引揚げを怠つておつたのではないかというような御指摘と解釈いたすのでありますが、このことは私は今まで全然考えておりませんでした。また聞いてもおりません。現地の方はどんどんと早く引揚げろということを督促しておつた、さように聞いておるのであります。ですから、引揚げ修理に対する予算を組むなんということは毛頭考えておりませんでした。
○竹村委員 他の委員がいろいろ聞かれましたので、私は一点だけ伺つておきたいのですが、大体あなたの方では四建、いわゆる現地に対して、たとえば賃貸料その他を受取る、それの自由操作を認めておられるのかどうか。賃貸料を受取つておれば、それは国庫に入るべきものと考えるのですが、それをもかつてに必要な金はどんどん出して、また別な機関でこれを受入れさせておくというような制度を認めておられるのかどうか、これだけ伺つておきたい。
○黒田証人 貸付料は、当然会計法によりまして国庫の歳入といたすべきものと解釈いたしまして、そういうふうに現地に対して指導いたしておりますが、今回現地がその手続をとらなかつた点は、私の指導の至らない点で、この点は今後十分戒めて行きたい、かように考えております。
○竹村委員 もう一点は、先ほど井上さんからも質問があつたのですが、どうもはつきりしないので重ねて伺つておきたいのです。先ほどのあなたの話によりますと、国有財産は三箇月以内の賃貸をする場合においてはよいが、それ以上になると大臣の認可を要する、こう言つておられます。その認可されるいろいろな点については、あなたがおやりになるのだと思いますが、そういたしますと、桝谷組に契約しましたのは、あなたの先ほど申されましたように、二十五年十月八日から占領軍使用終了日まで、こういう期間のない契約と称しているわけです。そういたしますと、占領軍使用終了の日まで、それを三箇月以内だと断定された理由について、少くとも占領軍は講和條約が成立するまでいるということを言つているのですから、三箇月以内だと断定された理由が一体どこにあつたか、これを伺つておきます。
○黒田証人 この三箇月という断定は、現地の第四港湾建設部がいたしたのでございまして、私どもはそういう報告を受けて、それを信頼しておつたのであります。
○竹村委員 それではあなたは、現地の報告をそういうふうに一応信頼されたが、あなた自身といたしましては、占領軍使用終了の日までとは、三箇月以内に済むとお考えになりましたか。
○黒田証人 これは現地がそういう見解を下しておりますれば、私東京から遠めがねで見るよりも、現地で実際よく把握している方が確かだと思つたのでございます。
○竹村委員 これはえらいしつこいようでございますが、現地を信用した、遠めがねで見られない、それは遠めがねで見られないでしよう。しかしあなた自身は本省におられて、しかも重要なる港湾局長ともあろう者が、進駐軍が三箇月以内で、必要ございませんといつて引下るとお考えになつたのかどうかを聞きたい。
○黒田証人 現地におきまして、どういう性質に使つているかということは、現地が一番よく知つておりますので、これは現地が短期間で終ると解釈して貸し付けたものを、そのまま私の部下がやつたことに対しまして信頼をいたしたのでございまして、その信頼をいたしたことが、こういう結果になつた不明につきましては、私監督上の責任は十分感じております。
○竹村委員 もう一つ聞いておきたいのは、前の前田氏は名古屋港管理組合副管理者に現在はなつておられるわけですが、この組合とあなた方の本省の関係はないのでございますか、あるいはまたこの組合というものを監督するような立場におられるのでございますか、その点を伺います。
○黒田証人 新しい港湾法の制定によりまして、各地に港湾の責任体でありますところの管理者ができまして、六大港にもそれができたのでございまして、名古屋港におきましても、昨年の八月にその管理体ができ上りまして、これが県と市の組合の形式をとつたのでありますが、でき上りましたときに、その管理組合から適当な人を管理者として推薦してもらいたいという依頼がございまして、前田二二君が最も適任と思いまして推薦したのでございます。
○竹村委員 私は異なことを聞いたと思うのですが、大体国有財産を個人が無償というより、簡単な形で貸して、それを沈没させた。こういうような重大な過失を犯している人な、あなたが一応監督の地位にある名古屋港湾管理組合副管理者に適当だとして推薦されるということ自体は、あなたはこの前田氏のやつたことが正しいことであつて、国家に損害をかけていない、こういう観点に立つておられるのですか。
○黒田証人 さようなことは考えておりません。
○竹村委員 そうすると、あの人は公務員として最も職務を忠実に実行した、だから信頼できて、これはりつぱな人だからといつてこの組合に御推薦になつたのですか。
○黒田証人 私は自分の信頼する人を推薦したのでございます。
○竹村委員 それでは現在でも、こういう過失を犯した前田氏を信頼になつておるのでございますか。
○黒田証人 お答えします。人間は過失はありがちのものでございまして、私は信頼すべきものは信頼いたしておるのでございます。
○竹村委員 それだけ信頼する人でありましたならば、私らの考え方からいいますならば、この問題が解決つくまで元の第四港湾建設部長に置いて、この人が有終の美を収めるために、この問題の解決に当らして、その上で推薦すべきであると私は考えるのであります。しかしながらこれは私の考えとあなたの考えと違えば別でありますけれども、この問題が起つてここで取上げることになつてから、自分の管轄するところにお世話をして、これは信頼する人だからとして転勤させてしまうということには、われわれとしてはそれは公務員として、また信頼する人間に対するところのほんとうの意味の信頼ではない。少くもこの問題を解決せしめて後に転勤させるなり、あるいはそういうところにお世話するのが私は当然と思うが、それをやられないというこの関係は、まあともかく現地の責任者さえ、そのときの責任者を何とかほかへやつてしまつたならば、あとは何とかなるだろうというような考え方が、あなたの方にもあつたのではないかと疑わざるを得ないと私は思うのでありますが、その点はどうです。
○黒田証人 お答えいたします。この五号起重機の問題が起きます以前から、名古屋港の港湾管理者を推薦してくれという話を聞いておつたものですから、それでそれによつて話を進めたのでございまして、これが問題になりましたのは昨年の暮れのことでございまして、話が進行したのはそれより前からでございます。なお名古屋港の管理組合は地方の公共団体でありまして、国の公務員ではございませんので、その点は補足的に御説明申し上げておきます。
○志田委員 証人にお尋ね申し上げますが、先ほど証人は、支払い未納額については国庫に納入せしめる手段を講ずるために、会計検査院及び関係機関と打合せをしておる、こういうお話でありましたが、打合せの状況をひとつお尋ね申し上げます。
○黒田証人 数日前かと思いますが、検査院の方も現地に一応事情を調べに行くと言つておりますし、また歳入として納入さすべきだという見解を私の方に通達して来ております。
○志田委員 それではもし支払い未納の額が国庫に納入されない場合に対しましては、どういう処置をお考えになつておりますか。その点をお伺いいたします。
○黒田証人 国庫に納入されない場合と申しますと……。
○志田委員 たとえば山九運輸も桝谷組も誠意をもつてやるからと言つておる。誠意をもつてやるかもしれないが、実力においてどうしてもできない。引揚げは桝谷組がやるとは言つておりますけれども、他の話によりますれば、とうていできないというふうにいわれておる状態もあります。それやこれやを考えましても、山九運輸にしても桝谷組にしても、どうにもならない状態になつた場合におきましては、どういう処置をお考えになりますか。
○黒田証人 山九の支払い未納額は二十三万円程度と聞いております。桝谷組は、私の聞いておりますところでは四十九万円程度で、山九におきましては二月の七日までに国庫に納入するということをかたく約束をいたしております。また桝谷組の方も、当人は支払う誠意を言明しておりますし、四十九万円程度のものであれば、支払いの能力がありはせぬかと思いますが、もし万一かりにこれが納入できないような場合につきましては、会社の財産等をよく調べまして、どういう処置をとるかということ等につきましては、またあらためて関係の官庁等ともよく連絡をとつてやつて参りたいと考えております。
○志田委員 金額の多少は論ずるところではございませんが、この問題は、先ほど来当委員会において各委員からも御質問を申し上げておる問題でありまして、国の費用をもつてやつた、つまり国の予算の執行の上におきましていろいろ問題が出て来ておつた。あるいは預金の関係で、銀行に山九名義でもつて預金しておるというようなことにつきましても、今黒田局長は、まことに遺憾であつた、会計法上の落度があるように自認されましたので多くを追究いたしませんが、ただ先ほど他の委員からも御質問申し上げましたように、対象物が運輸省の所管でなくて、他の所管に属しておるものである。それに予算をつけて、さらに認証変更の手続を了して予算の執行を中止したということでありますが、これは財政法に背反するとお考えになりませんかどうか、その点をお尋ねいたします。
○黒田証人 認証の変更は、いろいろ工事の状況によりましてときどきある問題でございまして、認証の変更は別段財政法上に違反するとは私は考えておりません。
○志田委員 私の申し上げたのは、認証変更の問題いかんではないのでありまして、たとえば他の——つまり大蔵省でありますが、国家機関に所属しておるこの対象物を改装する、あるいは修理するということにあたつての予算を要求してこれを直そうという場合におきましては、一応運輸省がそのものを有償あるいは無償によつて運輸省の所管に移さなければならぬということを、先ほど黒田局長は言われておるのであります。それをなさずしてそういう予算を執行しようとしたことにつきましては、財政法上の背反になるのではないかというふうな気持がいたすのでありますが、その点をお尋ね申し上げておるのであります。
○黒田証人 この問題につきましては、事前に移管を受ける手続をとるべきでありまして、現にいろいろ口頭をもつて無償で移管はできぬだろうかという折衝も進めておりますので、了解があるのでございまして、私のただいまの見解では財政法上犯則とは考えません。
○志田委員 最後にお尋ね申し上げますが、会計検査院は現地調査その他をなしました結果、検査報告においてこれは著しく不正であつたというふうな事実が現われました場合におきましては、先ほど局長が信頼して推薦申し上げておるという元第四港湾建設部長、現在名古屋港湾管理組合副管理者の前田二二その他に対しましてはどういう御処置をとられますか、その点をお尋ね申し上げます。
○黒田証人 この点につきましては、まだ事実がわかつておらぬのでありまして、事実がわかりましたときに処置をとりたい、かように考えております。
○井上(良)委員 あなた、ちよつと問題になる点はそれですね。事実はわかつておる。第一、運輸省が当然もらわなければならぬ金をもらわずにおいてあつたということ、第四港湾建設部長の名前で預けておかなければならぬ金を山九の名前で預けたままほつたらかしてあつたということ、これは本人みずからまことに申訳ありませんということを何べんもあやまつておる。それで契約違反をして、通つてはいかぬところへかつてに船を持つて行かせたという監督上の責任はのがれられない。航行区域がきまつておる。関門海峡から外へ出ちやいかぬということになつておる。それについては契約書にはつきり出ておるのです。それをかつてにうつかりしている間に行きましたということでさつぱり守つてない。さつきから私があなたに聞いておる通り、この処置に関してもまつたく誠意を欠いておる。あなたにここへ証人として出てもらわなければならぬような大事件になつておる。本人が在職中にこのことについて桝谷組、またその前の山九が責任を持つてこの問題の解決に努力をして、あなたに迷惑のかからぬようにするのがあなたの最も忠実な部下だ。それをやつておりはせぬ。あなたは信頼したと言うておるけれども、そんな部下が信頼できますか、それでもかまわぬといえますか、そんなことをしてもあなたの部下として非常にりつぱな部下だとお考えになりますか。あなたの言質は今後公務員を監査する場合に重大な言質ですよ。国はあなたを絶対信頼して、必要な仕事をしてもらおうと思つて必要な予算を与えておる。当然あなたの使う部下においても絶対信頼のできる者を使わなければなりませんでしよう。ところが今私が申し上げるのでもわかるように、あなたの言うことをちつとも聞いておりやせぬじやないか、あなたの言うことを聞いておれば間違いは起りやせぬ、聞いてないところに問題がある。だからそういう者を非常に信頼しておられたということになると、あなたの責任ものがれられないことになる。単に一前田だけをやめさせて、それであなた事が済むとは考えられません。何としてもあなたに対して私の一番遺憾と思うのは、今申しました通り、あなたにしてもどうもおかしいなと思つておられたような人を相手にして、これが計画されておる。また事実今も質問のありましたように、実際にないものを一千三百万円も金をかけて改装するという考え方なるものがそもそも間違つておる。改装する相手はありはせぬ。改装の予算を組んだときには、あなたもさきに証言せられたように、下では契約をしておることだと思つておつた。何ぼ思つてもいかぬ。実在しないのにそんなでたらめなことで予算を組まれたのではたまつたものじやない。この点私は前田さんによく聞いた。改装費改装費と改装費にしておけば、追究をのがれると思つてやつていたに違いないと私は思つている。改装する相手の船が運輸省の所有の船じやない。契約の切れた以上は当然これは財務局のものになつてしまう。これは不可抗力です。継続を申請しない以上は運輸省の所有権はないということははつきりしている。もしやあなたが使おうとすれば継続の申請をしてなければならぬ。しておると思うてあなたは予算を組んでおる。そこにあなたの落度がある。これを落度と認めませんか。
○黒田証人 この点につきましては、私の不明のいたすところでありまして、非常におわびをするような次第でございます。
○井上(良)委員 あなたみずからが不明のいたすところであつたと言う以上は、私は言う必要はないが、特に申し上げます。これがために国会はどれくらい迷惑しておるか、かくのごときずさんな無計画な予算を組まれておる。国会を欺いて予算をとつておる。そういうことを何とも思いませんか。国会の審議権を欺いておる。あなたみずから架空な予算を組んでおる。あなたはこういうことをして、それで自分の部下一人だけに責任を負わして、しかも今のお話によると、あなたは非常に善良な見込みのある男だというのでよそへ栄転させて——栄転ということはないでしようが、よそへ出しておる。そういうものの考え方はやはり改めてもらわなければいけません。国会としてはこのままほうつておけませんよ。まつたく架空な予算を運輸省は国会を欺いてとつたのですから、この責任は大臣まで行きますよ。あなたはそれをどう思いますか。
○黒田証人 お答えします。この点につきまして、私もいろいろ至らなかつた点は十分反省して行きたいし、また責任を感じておる次第であります。
○内藤委員長 なお証人に一言申しておきますが、今委員会の空気は、ごらんの通りあなたの信頼をしておるということが問題になつておるのですから、本委員会は調査の結果に基き、必要と認めたときは所管の機関に対し必要適切な処置に関し勧告することができるという権限があるのです。もし勧告された場合に、あなたの一番信頼しておると称する者があなたの意見と大きな食い違いが生ずる場合があるかもしれません。これは私今ここで委員長として申すのではないのですが、あまり信頼した信頼したと言う。現に信頼できない。本人が平身低頭して陳謝しておる。いかに部下をかばうといえども、あまり極端にかばうとまた問題が生じて来るということを私から申し上げておきます。
○黒田証人 御指摘のことはよくわかりました。
○内藤委員長 他に御発言がなければ、黒田証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長い間御苦労さまでした。 次会は公報をもつてお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十九分散会