厚生委員会海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会連合審査会 第2号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1952/04/01
会議録
○青柳委員長代理 これより厚生委員会海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会連合審査会を開会いたします。 都合によりまして厚生委員長が不在でございますので、協議の結果に基き私が委員長の職を勤めます。 前会に引続き戰傷病者戦没者遺族等援護法案についての質疑を続行いたします。 本日は逐條的な審議であります。まず最初に第一條ないし第六條、すなわち第一章総則につきまして御質問ございませんか。
○苅田委員 第二條の軍人軍属の点なんですが、この点につきましては、総括質問の際にも、昨日関連質問の際にもお聞きいたしましたのですが、私といたしましては、この法案が遺族並びに戰傷病者に対する援護法案である以上は、当然当時国家の強制的な命令によつて出られました学徒であるとか、徴用工であるとか、船員であるとか、そういう人はもちろん、戦争犠牲者一般に、願えればとつてもらいたいというような措置なんですけれども、とりわけて、今言いましたような国家の強制的な命令で職場に出された人に対しましては、当然国の補償があるべきだと考えて、数々質問いたしたのです。これに対しまして、大臣の方といたしましては、現状では不可能だというお話なんですが、この点は、もう一ぺん私どもとしては、やはり確認がいたしたいので、こういう問題に範囲を適用するということに対しまして、政府としては、ここでその御用意はないかどうかということを、イエス、ノーだけでよろしいが、御答弁願いたいと思います。
○木村(忠)政府委員 趣旨といたしては、できるだけ援護を要しまする範囲につきましては、広くいたすのが適当であろうかと存ずるのでありますけれども、一定の予算の範囲内においてやりまする場合におきましては、浅く広くやる方がいいのか、ある部分につきましては特に深くやらなければならぬかという点の問題があるわけでございまして、現在援護いたしております程度のものを、さらに薄くいたしまして、これを広くするということは、おそらく困難じやないかと思う。従いまして、やる必要はある。これは現在の援護をもう少し広くするといいますか、深くすると申しますか、程度は厚くすることが必要である、同じようにこの範囲は広げる必要はある。どちらを先にするかということが問題であろうかと存じますが、現状の予算の範囲内におきまして仕事をするといたしますれば、この範囲を広げまして、援護の内容を薄くいたしますることは、適当でないじやないかというふうに考えるわけでございます。
○苅田委員 御答弁として伺つておきます。私どもは、それには承服できないということを申し上げておきます。 次に、第五條につきまして、公務傷病についての援護の種類の中の二番目に更生医療の給付ということがあるのですが、私は、これは単に更生医療というふうに限るところに、同じ公務傷病にかかりながらも、完全に治療を受けられない人ができて来る点の不公平なことを指摘いたしまして、この医療を全般的に給付するということに、政府としてお改めになる意思があるかないかということについて、お聞きしたいと思うのです。たとえて申しますと、結核その他の内部疾患でもつて、症状が固定いたしまして、退院いたしました人が、その後になりまして、その同じ病気が再発いたしましたときに、内部疾患である場合には、この更生医療の給付の範囲に入らないわけなんです。そういう場合は、一体どこで治療を受けたらいいか、こういう点が私は非常に不合理だろうと思うのです。あるいはまた、傷を受けました人で、両足がなくて松葉づえをついておるような人たちは、そういう不具な状態になつたことが原因いたしまして、どうしても結核を併発しやすいということを訴えられておるのでありますが、こういう場合には、足の方の治療はしてもらえましても、結核の治療はしてもらえない、こういう状態にあるわけです。ですから、私はこの際は、そういつた公務傷病は、すべて国家の責任でもつて、完全に治療するという建前の方が、より合理的じやないかと思いますので、この点につきまして、政の御意見を伺いたいと思います。
○木村(忠)政府委員 傷病者の傷病の再発に対しまする医療の給付をどうするかという問題は、きわめて重要な問題でございまして、われわれといたしましては、再発いたしました場合の医療の給付をするという方策をとることが、適当であろうと考えますが、今回の法案におきましては、予算の関係上、これが認められておらないのであります。しかし、その必要なことは考えておるのでありまして、これにつきましては、今後も十分に研究いたしまして、これが実現されるように努力いたしたいと思つておるのであります。なお更生医療の面につきましては、これは更生医療と申しますものは、従来普通の医療として考えられていなかつた新しい分野でございまして、これにつきまして認めたということと、従来のいわゆる一般医療をするかしないかということとは、全然別なことになつておるのでございます。従いまして、一般医療を再発の場合にやるかどうかという方針がきまりますれば、われわれとしましては、その方はぜひやつてもらいたいと思つております。新しい更生医療というものが、身体障害者に対しまして、ここで新しい分野を認めるということは、一つの新機軸であろうと私は考えておるのであります。これとは別個に、一般医療の問題につきましては、今後努力いたしたいと思つております。
○苅田委員 援護庁長官がおつしやいますように、確かに更生医療というものの範囲をここに設定していただいたことに対しましては、私どもも、これはたいへんよい道が開けたというふりに考えて賛成しておるわけなんですが、更生医療の範囲には入らないけれども、しかし明らかに公務傷病としてそういう内部疾患があるということも事実なんで、そういうものが、この法律の中で当然その解決の方法を認められなければならないということも、また同じ章の中でなくても、この法律のどこかでそういうような人たちのからだを元に直すという処置がとられなければならぬということも、私は妥当な考えだろうと思うのです。長官は、今は更生医療の部面には入らないけれども、それは必要だから、後にその点は研究するとおつしやつたのですが、これはその法律とは離れて存在すべき建前であるとお考えになつておるのですか、それともこうした同じような公務傷病者として、やはりこの法案の中でそれが解決されることが、建前としては筋が通つておるというようにお考えになつておりましようか、この点をひとつお聞きしたいのです。
○木村(忠)政府委員 この法律の中には、五條にあります援護の種類といたしましては、一から六まで書かれてあるのでございます。一と五と六は年金、一時金の支給という形をとつておるものであります。これは、一つの権利として認めるというか、権利としての一つの方法であります。二から四までは、純粋の援護でございまして、二、三、四の援護につきまして、そのほかに一般医療をやるかどうかという点が出て来るわけであります。従いまして、これをやるという方針がきまりますれば、その援護の一つといたしまして、この中に入るということは考えられるわけであります。
○苅田委員 そういたしますと、長官もやるということであれば、この法律の中に入るという御答弁なんです。そしてしかも先刻のお話では、当然それも考えてもよろしいことだというふうな御答弁もあつた。そういたしますと、政府は更生医療だけで、医療一般のことを同時にお出しにならなかつたということは、特別何かのお考えがあつての上ですか、そのこともお聞きしたいと思います。
○木村(忠)政府委員 再発の場合におきます一般医療をどうするかという問題につきましては、予算的に、どの程度のものまでを再発と見て一般医療とするかということをきめなければなりませんが、これらにつきまして十分な話合いがつきませんので、現在予算的な措置が講じてございません。従いまして、従来の未復員者給與法によりましてやれます範囲のものだけを、引続き今後もやるということにいたしまして、それ以外のものについては、一応再発であるかどうかということについての認定等が、いろいろ技術的なむずかしい問題もございますので、それらがはつきりいたしませんと、この法律の中に入れるということにつきましては、予算的な措置が十分とれないのじやないかというふうに考えます。
○苅田委員 大体予算措置、それからそれに対するいろいろな研究がまだ足らないために、今すぐ問題にならないとおつしやるのです。そういたしますと、ただいま研究して、早い機会にそういうふうなことをしたいという御答弁ですが、長官のお考えでは、大体いつごろまでにそういうふうな処置が講ぜられますか。たとえば八月の補正予算までには、そういうふうなことも十分研究して入れるお心構えであるかどうか、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
○木村(忠)政府委員 御承知の通りに、またお気に召さぬかもしれませんけれども、事務的に申しますと、われわれの方で一応の意見がございまして、これが財務当局の側との間に話合いがつきますれば、それでいいわけであります。その話合いがつきましたならば、できるだけ早い機会に出したいと思います。われわれの方といたしましては、一応研究はいたしておるつもりなんでございますけれども、財務当局の十分なる理解が得られなかつたというのが現状でありますので、できるだけ理解を得るように努めたいと思つております。
○苅田委員 そういうお話であれば、非常にいきさつがはつきりしたわけですが、結局これは、やはり財政上の都合で、入れたいものが入れられなかつたというようなお話なんです。そういたしますと、今回遺族の法案が出るにあたりまして、十分な法案の審議をしない先に、政府が予算のわくを区切つてしまつたということのがんの来るところが、このわずかな予算措置だと思うのです。こういうふうなものをするために、何十億も金がいるわけがないのに、そういうものさえできなかつたというところに、私は根本的な間違いがあると思うのです。おそらく、私はこれの適用を待つている患者も、多くいるに違いないと思う。そういう点で、特にそういうものを完備しないで措置をされるということは、非常に遺憾だと思うわけですが、しかしそういうことでありますれば、できるだけ早くこういう不十分な点を直すように、御努力をしてもらいたいと思います。 さらに、第四條の援護審査会のことにつきましてお聞きしたいのです。これはどういう構成でやるというふうなことにつきましては、まだこの法律では明らかにされておらないのですが、どういうふうな構成人員でおやりになる御予定ですか。わかつておりますれば、そういう点につきましてお聞きしたいと思います。
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、恩給法との関係もございますので、その構成につきましては、恩給の審査会に準じてやりたいと考えております。
○苅田委員 恩給法との関連があつて、同じように審査をするということですが、私はその方のことはよく知りませんので、簡単でけつこうですから、恩給法の場合はどういうふうにしてあるかということを、お聞かせ願いたいのです。
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、御承知のように恩給法によりまして、公務と認定せられましたものは、公務疾病、傷病と認めることになつておるわけでございます。その恩給法におきましてやれなかつたもの、恩給法ではできない分につきましてはこれでやるわけでありまして、同じ構成でございませんと、その間の見解が相違するということになりまして、法律運用上困りますので、恩給法の恩給審査会と同じ範囲で、同じくらいの人数でもつてやるというふうにいたすのが一番よかろうと思います。向うの審査会につきまして、どういうふうになつておるかということにつきましては、ここに申し上げられる正確な資料を持つておりませんので、本日は答弁を控えさせていただきます。
○苅田委員 私は希望といたしまして、この審査会になるべく民主的に、直接利害関係のある人の意見も反映するような方法で、ぜひやつていただきたいと考えるので、現在の機構がどういうふうになつておりますか。これはすぐおわかりになると思いますから、午後あるいは明日の機会にでも、一応御報告を願いたいと思います。
○丸山委員 きよう大臣がお見えになりませんので、ただ事務的なことをちよつとお伺いしておきたいと思います。第三條の一項の二号に、軍属については、いわゆる太平洋戦争の昭和十六年十二月八日以後と、こういうふうに時期的に区切つて、それ以前のものは、満州事変の戦没者の特別賜金、日華事変の戦没者特別賜金という形で出ているから、今度は除外せられた、こういう御趣旨だと私どもは了解するのでありますが、この数字を拝見しますと、これらの対象になつている数は、特別賜金の賜與の概算でございますから、正確な数字でないのかもしれませんけれども、陸海軍を合せて、日華事変による特別賜金の賜與の総人員が十八万四千八百六十名となつております、ところが、他の予算の資料を見ますと、その間に若干の食い違いがあります、七千三百六十八名の食い違いが生じている。この七千三百六十八名というものは、この受給すべき対象となる遺族がなかつたから行かなかつたのか、あるいはこれは何らかの手違いのために、脱漏して行かなかつたのであるかというようなことがおわかりになりましたら、お聞かせを願いたいと思います。
○田邊(繁)政府委員 第三條の二号につきまして、軍属については、昭和十六年十二月八日以後に限定いたしましたのは、小委員会等におきまして御説明申し上げました通り、昔の陸軍または海軍の軍属で内地勤務の者につきましては、今日年金制度というものがあるので、その年金制度が設けられましたのが、終戰の直前でございまして、それは太平洋戰争に限定されておるわけでございます。従いまして、死没者特別賜金の範囲がそれ以前ということでなしに、むしろその殉職、障害年金が、内地の者については大太洋戰争に限られておる、こういうところに均衡をとるように合せたわけでございます。 それから御質問の第二点の、資料として差上げておるものに、七千名程度の違いがあるということでありますが、ごもつともであります。実はこれは調べてみましたのですが、どうもその間の事情がよくわかりません。今日、死没者特別賜金をもらつておる人の名簿というものが、全部焼失しておりますので、調べる方法がございません。どういう事情によつて違つておりますか、あるいは当時遺族等がなかつたために請求できなかつたのかどうか、その間の事情がはつきりいたさないので、ただいま御納得の行くような説明ができないのであります。一方日華事変の方の賜金をもらつたのは概数でございますので、あるいは一部は太平洋戰争の死没者特別賜金として出ておるものの中にまじつて入つておるのもあるかもしれないのであります。その間、今調べる資料がないので、ちよつとはつきり申し上げかねるのであります。
○丸山委員 資料がなければ、やむを得ないことと考えますが、次に、やはり同項によりまして、内地勤務の学徒の、いわゆる戰没者と当然考えられるものが除かれておるわけでございます。それの概数は、この前御答弁がありましたでしようが、おわかりになつたら、なおもう一ぺん伺つておきます。
○田邊(繁)政府委員 これもお手元に差上げました資料の中にあげてございますが、文部省で今日まで判明しております数は、一万九百名であつたと思います。これは当時の学徒勤労援護会の方から見舞金の支給せられた人数でございます。しかし、そのほかにもまだ支給されなかつた数もあるという見込みで、その数がおおむね賜金支給者の倍ぐらいではないかという推定でございますので、従いまして、お手元に差上げました資料では、推計でございますが、約二万と算定しております。
○丸山委員 ただいまの数字は、どうも出て来る資料ごとにたいへん違つておる。先般の公聴会におきましても、いわゆる学生の代表者などの言われた広島、長崎等における学徒の罹災者の数、それからその他広島の任都栗さんですか、その方のあげられました数字等においても、食い違いが出ております。また政府から出されたものによりましても違つておりますし、文部省と厚生省においてもまた違つておる、こういうことなんです。これは、しかし私どもの考えといたしまして、内地勤務の徴用せられた学徒というものは非常に気の毒な状態に置かれておりますので、ぜひこれをこの法律の適用の中に入れたいという希望を私どもは持つておるわけであります。その場合、対象になる者が非常に漠然としてわからないということになると、非常に困りますので、これに関して、もう少し何らかの正確な数字をつかむような御努力が、これから願われるかどうか。これは学生の方からもそういう申入れがあつて、そういう申入れをしたところ、文部大臣が非常にすげないあいさつをしたというような感情的ないきさつもあつたやに聞いております。こういうようなことは、当然そういうことでなく、もう少し誠意をもつて御調査を願いたいと思うのでございます。何らかの御調査の御意図がおありになりますか、また正確な数字を、ほぼつかまれるであろうという見通しがつきますかどうか、あらためてお伺いしたいと思います。
○田邊(繁)政府委員 この法律の対象に学徒が入るか入らないかということによつて、実は調査をするかしないかということをきめようという態度を、正直に申しますと、とることになつております。文部省といたしましては、数字はわからない、非常に複雑な調査をしなければわからないということでありまして、その間にだんだん法案の方が進んで参りまして、一部それから除外されたという関係もありますので、今のところは、調査の手がそこまで伸びておらない状態であります。従いまして、今後これを対象として取上げるかどうかという問題に関連いたしまして、できるだけ正確な数字をつかむように、われわれの方で努力したいと考えております。
○丸山委員 御努力願うことは承知しましたが、大体できるというような御確信を持つて進められますか、とてもわからないのじやないかというふうなお見通しでございましようかどうでございますか。
○田邊(繁)政府委員 文部当局の話によりますと、当時の学校が残つておる限りは、その学校に調べさせれば、ある程度わかるという話でございますが、なお文部当局と十分話合いを進めて参りたいと思います。
○丸山委員 これは事務当局にお伺いしてはいかぬと思いますが、大体この第一條の、遺族を援護するということが目的である。さらにまた、提案説明において補償という言葉が使われております。私どもはこれを何とかしたいと考えておりますが、この問題は、今事務当局にお語いたしましても、しかたがないことだと思いますので、第一章に関する質問は、それだけにしておきます。
○青柳委員長代理 第一章に関しては、他に御発言もないようでございますので、第一章はこの程度に済ませまして、次に第二章援護、そのうち第一節、第七條から第二十二條までが戰傷病者等に対する援護であります。これを議題に供します。御質問を願います。
○玉置(信)委員 ちよつとその前に、第一章でお伺いしておきたいことがあります。それは第六條の裁定の問題であります。これは項によつて障害年金遺族年金、または遺族一時金を受ける権利の内容が定められておるはずでありますが、そこで厚生大臣が裁定をしなければならない面は、どういうところに生じて来るか、この点をちよつとお伺いしておきます。
○木村(忠)政府委員 これはこの法律によりまして権利の内容は明らかになつておるわけでございます。従いまして、この援護を受けようとする者が請求いたしました場合に、その者がその援護を受ける権利を持つている者であるかどうかという点の認定をいたしまして、裁定をいたすわけであります。
○玉置(信)委員 法律によつて標準がきめられてあるものによつて、申請するはずでありますが、そういう申請の点に疑義を生じた場合に、裁定するということになるわけですか。
○木村(忠)政府委員 その請求をいたします者は、自分は権利を持つているというつもりで請求いたしますが、それがこの法律に規定しておるところに該当いたしておりますれば、当然その者がその権利を有するものとして裁定をいたすわけであります。疑義のある者だけについてのみ裁定するのでなくして、請求がありました者に対して、当つておりますれば全部裁定する。当つていない者につきましては、これは裁定しないということになります。従いまして、権利があるかないかということは、法律の方できまることと思いますが、それが事実のある場合に、具体的な事実につきまして、当つておるかどうかということを裁定いたすわけであります。
○玉置(信)委員 そうすると、これは大臣だけが、大臣の権限において裁定をするということになりますと、多少私は疑義を持つわけです。こういう裁定をする場合に、審議会等において審議をすることが公正を期することになりはせぬかと思うのでありますが、こういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、その事実に当てはまつておるかどうかという点をきめるだけでございますから、別にそういうことはなくていいのじやないかと思います。
○青柳委員長代理 それでは第二章、第一節、第七條から第二十二條の間につきまして御質問を願います。
○丸山委員 第八條の障害年金の額でございますが、特別項症というのは、常時に介護を要するような重い程度であると考えます。そういう人が六万六千円、月額五千五百円という金額では、ややその生活を維持するには不足であるように私どもには感ぜられます。また昔の恩給法から今の物価指数等で換算して参りますと、これは少し少額に過ぎると思うのでございますが、ただこの予算をかえるということは相当困難を伴うと思いますので、私どもはこれの各項症にわたる人員の数—対象となる数が、はたして政府が予想している数と予算とぴちんと合つておるかどうか。そういうふうにして、もし合つておらないような部分ができて、若干の余裕を生ずるのではないかと思うのでございます。それと申しますのは、たしか予算から見ましても、最初の予算を組みましたときと、その後の調査とにおいて、数に若干の開きがあるように思う。従つて、若干の余裕ができるように思いますので、その場合にはこの金額にもう少し変更を加えるような御意思はないかということをお伺いいたします。これは事務当局にお伺いするのは無理かもしれませんが、そういう余地があるかないか、あるいはその数についての見通しをちよつとお伺いしておきたい。
○木村(忠)政府委員 一応戰傷病者の数といたしまして、特項症五百六十八名というのが現実の数であります。これに対しまして、予算といたしましては、このほかに軍属が加わるものといたしまして、これの二割をふやして計算いたしておりますが、はたしてそれだけのものがあるかどうかという点につきましては、一応の推定でございまして、現在のところそれだけおるかどうかということはわからないのでございます。現在社会局におきまして、この点について調査いたしておりますので、その数字はいずれ明らかになると思うのでございます。なお法律において一応六万六千円と書いてしまいますと、途中で法律を直さずにやる方法がちよつとないわけでございます。
○丸山委員 第十四條でございますが、第十四條で、障害年金を受ける権利を有する者の失格條件があるわけです。死んだとき—これは当然でありましよう。死刑—これもまあ当然でありましよう。無期三年を越える懲役もしくは禁錮の刑に処せられたときには、その権利が消滅するとなつております。十五條では三年以下の懲役の場合には、その執行を受けている間だけ一時停止せられて、執行が終つたときにおいてはまたその権利が復活することになつております。すべて、人が罪を犯しまして刑に処せられる、刑に処せられて刑が終つた場合には、その人の罪というものはそこで消滅する性質のものだと思います。いわゆる前科者というふうな扱いをするという観念は、少しおかしいんじやないかと考えます。そうしますと、たといその刑の期間が長くとも短かくとも、その執行中は停止せられるけれども、その執行が終つた場合においては、当然その権利は復活する、つまり消滅するということはおかしいじやないかという考え方を、私どもは持つておるのでございますが、これに対して、どういうふうにお考えになりますか。
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、いろいろな見解が立つんじやないかと思うのでございます。そういう刑を受けました者の、刑を終つたあとをどういうふうに扱うかという問題につきましては、刑事政策の方からいいましても、また国民に対しまする一つの基本的な権利の問題から申しましても、いろいろと問題があるのじやないかと思うのでございますが、これにつきましては、十分なる御検討を願つた上で御決定になるのが、至当なのじやないかと思います。現在の恩給法によりまして、こういう原則をとつておりますので、さしあたりこういう原則に従つたのでございますけれども、これにつきましては、今後恩給法につきましても、どういうふうに扱うかという一般的な問題について、十分御検討を願いまして、その上でもつて、これに対する措置をお考え願うのが至当じやないかと考えます。
○丸山委員 次に十八條でございますが、「指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例によるものとする」というふうな規定があるわけでございます。診療報酬の金額を健康保険に一致させるということは、よく理解できます。ところが、診療方針を一致させるということは、どういう意味なんでございましようか。私にはどうもちよつとわかりにくい。と申しますのは、これに規定せられておりますのは、病気の治療は含まれておらぬのでありまして、いわゆる更生医療でございます。症状の固定したものに関してやるところの診療でございまして、これは医療ではございません。いわゆる健康保険に名づけておるところの診療ではございません、全然その性質を異にしておるものでございます。その全然異にしておる診療方針を健康保険に一致させるということは、どういうことをおねらいでこういうことが入つて来たのか、それをお示ししてください。
○木村(忠)政府委員 これは私の方からお答えいたしますのが適当であるかどうか、ちよつとわからないのでありますが、一応ここに入れました趣旨といたしましては、診療方針及び診療報酬でもつて、健康保険の例により得るものが一部ある、そういうところでこういうことにいたしたのでございまして、それができないときにおきましては、仰せの通り更生医療というものは特殊なものでございますので、あると思いますが、二項の規定を設けてやることにいたしたのであります。これにつきましては、どちらが多いという点が問題だろうと思うのでありますけれども、今のところ、やはり診療によるものが多かろうというところでもつて、こう規定したものでございます。
○玉置(信)委員 総括質問のときに、ちよつと公用があつて出ましたので、この場合申し上げておこうと思いますけれども—援護政策になるかもしれませんが、御承知のごとく戰傷兵あるいは不具廃疾にひとしき人たちが、今日列車の中で禁止されているとはいいながら、なお更生資金の強制募集をやつておることは御承知の通りであります。本法が成立したあかつきにおいては、こういうものは一体なくなるかどうか。本法によつて援護される面において、とうてい自立するだけのものが得られないことは、これまた御承知の通りであります。しかし、独立国家として立つて行く上において、なおああした白衣をまとうた気の毒な戰傷者が、街頭に立つて大衆に募金を呼びかけるという姿は、あまりいい印象を與えるものではないのでありますが、これらの点に関して、政府はどうお考えになつておりますか。これが将来全然その姿をなくするような何か手を打たれる基本的な考えを持つておられるかどうか、この点についてお伺いいたします。
○木村(忠)政府委員 傷痍軍人の方が、列車あるいは街頭等に立ちまして、募金をされておることにつきましては、われわれとして、そういう状態であるということははなはだ遺憾に存じます。この法律ができまして、それがなくなるかという点でございますけれども、これにつきましては、われわれとしまして、これが出ましたからなくなるという自信は、全然持つておらないのであります。御承知の通りに、現在街頭に立つております者の数というものも、傷痍軍人の全体の数からいたしますと、そう多くの数の者が出ておるわけではないのであります。また諸外国の例を見ましても、相当手厚く援護しておる国々におきましても、そういう事例がないわけではありません。従いまして、これが全然なくなるかということは、私どもの方としては、全然なくなるということは考えておりません。これにつきまして強権を用いてどうこうということにつきましては、厚生省といたしまして考えたくないつもりであります。あくまでも生活援護を十分にやりまして、またこれに対します生活の手段を得るように努力いたしまして、そういう方法によつてこれをなくするように努力いたしたいと考えております。
○若林委員 ちよつと関連して—ただいま玉置委員からお話の、白衣の者の街頭進出ということは、今局長からもお話になつたように、これが徹底いたしましても、あると思うのでありますが、国民の側から申しますと、やはり政府の援護の手が薄いから、ああいうことをやつておるという感じを持つのであります。なお、われわれが仄聞するところによりますと、もう療養が終つて復員してもいい者が、病院になおとどまつておつたり、家賃もいらずに、生活費も出してもらつているというようなことで、なお列車の中で集めます金が相当の巨額に上つて貯金を持つておる、もうこじきを三日すれば一生それが忘れられぬというような感じで、全国的に計画的になされておるということを聞くのでありますが、それが事実でありますか、当局はどういうような御調査をなさつておりますか。
○木村(忠)政府委員 これも、私がお答えいたしてよい問題であるかどうか、若干疑問があるのでありますが、私の方では、その点につきまして調査をいたしておらないのであります。これにつきましては、いろいろの話もあるわけであります。またいろいろな事情の人もあろうかと思います。すべてがみなそうだというような一律な言い方はできないのであります。中には、今おつしやつたような状況にある者も、全然ないということは申されないじやないかと思うのであります。しかし、そうだと申しましても、すべての人がそうだということは申せないのではないか。これについては、われわれとしては、国民と相協力いたしまして、これらの人々が生活が安定いたしますように努力いたしまして、こういうことがなくなりますようにしなければならぬというふうに考えております。
○苅田委員 第八條の傷害年金の額のことにつきまして、丸山委員の御質疑にお答えがあつたわけなんですが、なおその点についてお伺いしたいのです。私も丸山委員と同様に、この額が非常に少いということと、同じような公務員でありました場合、文官の諸君の傷病の場合に比べまして、やはり著しく低額であるということは、だれしもすぐわかることなんですが、なぜこのような額に御査定になつたか、そういうことの理由につきましてひとつお伺いしたいと思います。 〔青柳委員長代理退席、大石委員長着席〕
○木村(忠)政府委員 大体六項症から一項症までの金額の開きにつきましては、従来の恩給法の増加恩給でやつておりました場合の開きに準じております。特別項症につきましては、その性質によりまして、その開きを少し大きくいたしまして、ちようど倍にしたという形をとつております。これで十分であるかどうかという点につきましては、十分であるとは申されないと思います。しかしながら、遺族の年金等と比べますと、この点につきましては、相当厚くなつておるということも、言えるのじやないかというふうに考えております。従いまして、これで十分であるかどうかという点につきましては、この法律全体が不十分なわけでございまして、一応この辺でもつて参る以外にはないじやないかということで、そういうふうにきめた次第でございます。
○苅田委員 この法律全体が不十分だということは、おつしやるまでもなくそうなんですが、私がお聞きしているのは、なぜこのように差等がついているかということの理由なんです。従来の障害年金に比較しますれば、これは格段の相違なんです。しかし両足がなく両眼がないような人が、兵隊さんで月に二、三百円しかもらえないというのは、実際べらぼうな話なんで、それから見れば多額にはなつておりますが、しかし文官は、そういう場合には普通恩給があります上に、障害の手当がついておりますので、同じ項症にいたしましても、はるかに多い額になつているわけなんで、今回は軍人恩給を復活しないのだからという建前をとられたにしましても、とにかく一年間でも、特項症月五千五百円でもつて、この人たちが全部まかなつて行かなければならないということになつている以上、やはりこの障害年金の中に、生活できるものも含めて出すのが当然だと私は思うのです。そういう点から考えますと、文官の場合とこれほどの違いがあるということは、だれが考えても納得が行かないことなんで、どうしてそういうような査定になりましたかということを、お聞きしたいわけです。
○木村(忠)政府委員 御承知の通り、一項症以下につきましては、従来の割合でやりまして、そして特項症だけはこれの比率を非常に高く上げたのでございますが、これでも一般の恩給と比べますと、上げ方が少いということは、言われる通りだろうと思うのであります。ただ、従来の軍人の増加恩給でやつておりました部分、やり方に比べますと、この開きは大きくしてあるということであります。従いまして、これで十分であるとは申せませんけれども、一応この程度でいたさなければならないのではないかと思うのであります。なお、その点につきましては、御承知のように保養所を設置いたしまして、ここで生活費全部を見るようなことでもつてやつて参りたい、かように考えております。その場合に、この特別項症の場合におきまして、どういうふうに年金のうちから引くかということでございますが、これらの点につきましても十分考慮いたしまして、その間に遺漏のないようにいたしたい、かように考えております。
○苅田委員 そのことにつきまして不十分だというお話ですが、私は不十分だと言わないで、不当だというふうに考えるのですが、政府の方では不当だとはお考えになつていないかということが一つと、それから今お話になりました病院に入つて治療をする場合に、年金が全額もらえない、減額してもいいという規定になつているのですが、これも非常にはつきりしない文面なんです。それにつきまして、具体的にどういうふうな減額の方法が講じられるのかということも、あわせてお聞きしておきたいと思います。
○木村(忠)政府委員 病院に入つている場合ではございませんで、保養所に入つている場合でございます。保養所に入つております場合に、どういうふうに引くかということでございますが、保養所におきましては、その人の全部の生活をそこで見るわけでございまして、そのほかにどれだけの経費がその人に必要であるかということを考えまして、その必要な金額を残さなければならぬのではないかというふうに考えております。
○苅田委員 前の方の御返答は、この次の答弁のときになおしていただきたいと思いますが、あとの方も必要ということだけでは、はつきりしないと思うのです。文化的な健康な生活といいましても、実際に千五百カロリーでよいというふうな必要の基準もあるわけなんで、そういう必要でやられたんでは困るわけなんで、その点、もう少し明確に、どういう標準でもつてその必要な経費というふうなものが考えられるのか、この二点についてお伺いしたいのです。
○木村(忠)政府委員 現在では千五百カロリーでよいというような基準は、どこにもないのでありまして、大体飲食物のカロリー基準につきましては、相当高い程度のものを当然考えると思います。保養所におきましては、その生活全部を一応見ることに相なるわけであります。その人の家族の関係はどうなつているか、そこで一緒に生活するものはどうなるか、あるいは家族は別な生活をするのかというような点もざいますので、これにつきましてどのくらいということは、ただいま申し上げるわけに行かないのであります。従いまして、これについては、減額することができるようになつておるだけでありまして、減額しなければならないものではないのであります。従つて、その取扱いといたしましては、その実情に応じた措置ができるようにいたしたい、かように考えております。 なお前段の問題の、これが不当であるかどうかという点でございまするが、不十分であることを不当であるというふうにお考えであるならば、あるいは不当であるかもしれません。これに差ができておりますが、この差をつくつたことが不当だとは思つておりません。その差のつくり方は、あるいは不十分であつたかもしれませんが……。
○苅田委員 前段の問題は意見になりますから、政府のお考えを承つただけでけつこうです。あとの問題は、こまかしい問題ですけれども、病人にとりましては、自分がそこで愉快に治療や暮しができるかできないかという問題なので、聞くのですが、一体この査定は、どこの機関でやられるのですか。
○木村(忠)政府委員 これにつきまして、われわれといたしましては、特にひどい扱いをして困らせるようなことをいたす気持は持つておりません。従いまして、これにつきまして、われわれとしては、一つの標準をつくりまして、その標準によつて決定するようにいたしたい、かように考えております。なお、今申しましたように、その実情に応じた措置をしなければなりませんので、非常にこまかいものになろうかと思つております。
○苅田委員 その標準は、やはり政令とかなんとかいうふうな、一応きまつたもので御発表になるわけですね。 それと、なお一つお聞きしたいのは、六項症以下は打切つてあるわけですが、それでは六項症以下の人たちは、どういうふうにして生活して行つたらよいか。この法律が出ますと、街頭募金なんかは、当然禁止されることになるだろうと思いますが、六項症以下の人たちは、いかにして生活すべきやということにつきまして、具体案をお尋ねしたい。
○木村(忠)政府委員 前段の問題につきましては、仰せられますように、政令でもつてこのやり方をきめなければならぬと思います。 それから後段の七項症以下の問題でありまするが、これにつきましては、どうして生活しなければならぬか。これは完全に生活能力を奪われている者ではないわけであります。普通の状況でありますならば、ある程度の生活の手段を得る道が、その人に残されているというふうに一応考えているのであります。私は、さつきから申し上げますように、この案そのものが全体として十分であるとは考えていないのでありまして、不十分ながらも七項症以下の者でありますならば、みずから生活し得る道が全然ないということは言えないのではなかろうかと思います。なお、列車や街頭等におきまして募金をいたしますことについて、法律をもつて禁止するかどうかというお話でありますが、厚生省としては、この法律が出たからというので、禁止するというような考えは全然持つておりません。
○苅田委員 七項症以下の人は、働くのに困らないんだという御断定でございましたが、私は、それはたいへんな認識の間違いじやないかと思うのです。今は、からだの満足な者が、御承知のように失業して街頭にあふれておるわけなんで、ましてや親指がない人とか、視力が片方だけしかきかない方、あるいは片方の耳が全然聞えない方、また話に聞きますと、現在脊髄の病気で松葉づえにすがらなければ歩けない人も七項症に入つておる。—脊髄をとつてしまつた人は別でございますが、そういうような状態の人が、あなたのおつしやるように、普通の五体のそろつた人に伍して、生活の険しい中に入つて、自分で生活の道を得ることは、できないと思う。そうでないようにお考えになつておりますかどうか、その点をお聞きしたい。
○木村(忠)政府委員 私は完全な能力があると申したわけではないのであります。この法律そのものが、もともと不十分なものでございます。従いまして、完全な能力は持つておらないでございましようが、能力が全然ないものとは全然違う。その能力の欠けておる程度がいろいろになつておる、そこで、あるところで線を引きまして、それから下のものつにきましてはここではやらない。もしやるといたしますれば、まだこの程度を上げなければならぬことに相なるわけであります。その比較、均衡の問題もあります。もちろん個々の具体的な問題になつて来ますと、従来のわけ方が適当でないという点もございましようから、いろいろ問題があるだろうと思います。しかし、一応従来のわけ方によりましてわけますれば、こういうふうな措置をとるのも、またやむを得ないのではないかと思います。
○苅田委員 働く能力が曲りなりにもあるということと、働けるということとは、同じじやない、これは長官もお認めだと思うのです。そういう人たちが、強制的にどこかで働かれるような処置をつけておけば、あなたのおつしやるように、何とか働けるだろうということも言えますけれども、そうでなくて、その人たちには何らかのそういう措置をしないでほうりつぱなしにすることは、かつてに生きる者は生きればいいし、悪いことをする者は悪いことをすればいいし、生きられない者は死んだらいいということに、極言すればなると思うのですが、いかがですか。
○木村(忠)政府委員 この人たちに対しまする職業のあつせんにつきましては、現在労働省で考えております身体障害者の雇用を促進する方法によりまして、この程度以下のものについて、全然ほうつておるというお考えではないように伺つております。従いまして、これらの方々につきましても、その就職先をあつせんすることについては、同じように努力をされるだろうと考えております。しかもその場合におきましては、こういう傷の程度の軽い人の方が、やはり就職が容易じやないかと考えられるわけであります。また先ほどおつしやられましたように、死ぬ者は死ねということは、われわれ全然考えておらない。生活保護法は最後の生活権を擁護いたしておるのでありますから、死ね者は死ねなどとは考えておらないことを、御了承願いたいと思います。
○苅田委員 私どもは、生活保護法の実情がどういうものかを、よく知つていますから、そういうことを申しましても、決して過言でないということをさらに断言いたします。やはり七項症以下に対しましても、政府がこの人たちをそういう傷ついたからだにしたのですから、当然国の責任で、そういう人の生活が立つて行くように、特別な考慮をしなければならない。もちろん、一般の社会保障制度で、こういう人が全部救われるような措置があれば、あなたのおつしやることもいいと思いますけれども、そうでないのですから、やはり特別の措置を講ずべきだと思うのです。それから文官とのこういう差のあることは不当だということを申したい。しかしこれにつきましての御答弁はいずれ同じだろうと思いますから、この点はこれ以上追究いたしません。 次にお聞きいたしたいのは、十一條、二十九條におきまして、重大な過失によつて公務上負傷したり病気になつたりした人は、本人にもあるいは遺族にも手当が出ないという箇條があるわけなんです。この点は、小委員会のときにも問題にいたしまして、こういうものの実例はない、しかし従来の恩給法の建前として必要なんだから、こういう條項を残しておくのだという御説明があつたのでありますけれども、もし該当者がほとんどないというのであれば、新しい例を開いて、こういう條項はこの援護法案からはつきりのけていただきたい。わずかばかりの金を出すのに、しかも死んだ人に対してまで、あの人は自分のあやまちで死んだのだとか、酔つ拂つて死んだのだとか、なまけて死んだのだとかいうように詮議立てをすることは、私は死んだ人に対する冒涜だと思います。大した金も出せないのですから、該当者がないなら、当然こういうものはのけるべきだと思うのですが、この点につきまして、どういうふうにお考えになりますか。
○木村(忠)政府委員 重大な過失によりまして、負傷、疾病にかかつた場合におきまして、これを普通の公務上の負傷、疾病と見るべきであるかどうかという点につきましては、大きな問題があると思います。重大な過失によりましてやりましたものにつきまして、一般の公務上で負傷した者、疾病にかかつた者、あるいは死亡した者と同じように扱うということは、妥当でないのではないか。従来の諸立法例によりましても、重大な過失によります場合には、一般の場合と同じような扱いをしておらないのが、あらゆる場合の通例でありまして、そういう特別な新例を開かなければならないという理由は、どこにも存在しないと思います。
○苅田委員 小委員会のときには、該当者はないけれども、法律の建前上残しておいてもいいじやないかとおつしやいましたので、私はそう申したのですが、自分の過失で死んだ者は、公務上のものとして認めないというような御答弁であれば、私はやはり戦争という、ああいう非常に過労もしておりましようし、精神的にも普通でない状態におけることを、一々本人の責任としてとがめ立てることが妥当かどうかということを、考えていただきたいと思うのです。もし、そういう御答弁でありとすれば、私はその点について、非常に文句があります。
○木村(忠)政府委員 過失全部の場合がそうだと申したのではないので、重大なる過失ということです。重大なる過失というのは、ほとんど故意及び重大なる過失と並べて申されるようなものでありますから、非常に重大なものであります。従いまして、そういうものを、普通の何も過失のない場合、あるいは軽微のない場合、あるいは軽微な過失の場合と同じように扱うかどうかという点については、相当に問題があると思います。われわれといたしましては、重大な過失によりました場合を除くことについて、ただいまのところ、妥当なる理由があるとは考えておりません。
○苅田委員 私は、こんなことで何度も質問するのははずかしいくらいですが、故意にやつたのは過失ではないですからね。過失である以上、しかも死んだ人に対して、一々本人を傷つけるようなとがめ立てをして、あれはどうだこうだ、出すとか出さぬとか、大した金を出すわけでもないのに、言うということは、私はどうもふしぎでならない。しかも聞いてみますと、実際には実例としてはほとんどないということを、はつきり恩給局の人もおつしやつておるのでから、私はそういうように申し上げておるのであります。
○木村(忠)政府委員 実質上あるかないかということは、別問題だと思います。また金額が多いとか少いということと、筋を通すとか通さぬとかいうこととは、別問題だと思います。金額が少いから筋を通さなくてもよろしいということは、法律論としては通らないと考えております。
○受田委員 関連して—今の過失の場合ですが、戦犯は過失として取扱われますか、いかがですか。
○木村(忠)政府委員 戦犯で負傷、疾病というものは、まずなかろうと思います。戦犯でもつて死亡した人はございますが、戦犯そのものの刑によつて負傷、疾病ということは、あり得ないと思います。
○受田委員 それでなくて、公務による障害を受けまして、その後戦犯に問われておる者です。
○木村(忠)政府委員 この問題は、そこの問題じやないのでございまして「死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁この刑に処せられたとき」に該当する十四條二号の話ではないかと思いますが、これにつきましては、戦犯そのものの刑が、日本の普通の刑であるかどうかという、刑事法上の措置がおきまりになりますれば、当然きまつて来るのではないかと思います。
○受田委員 しからば、これは将来の問題になるわけですね。同時に私は、この障害の問題で、公務に服している途中において脳溢血で倒れたとかいうような場合に、原因が公務に基くかどうかわからない者に対しては、どういう措置をとられるか、お伺いしたいのであります。
○田邊(繁)政府委員 これは個々のケースをよく審査いたしまして、そうしてこれが公務に基くかどうか、相当因果関係があるかどうかを判定する以外にはないと思います。これは従来、恩給局でいろいろそういう具体的な例があるようでありますので、それとよく歩調を合せるようにいたしたいと思つております。
○受田委員 そうしますと、この基準は、将来の問題として考えられることになりますと、この場でただちに恩典に浴することができない者が、相当できて来ると思うのでありますが、その基準は早急に恩給局においても審査され、また今度の審議会においても考えられるということになるのですか、あるいは何か基準がこの法律の施行と同時に、ただちにつくられるようになりますか。
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、従来恩給におきまする同一の取扱いの事例があるわけであります。恩給法と同一に取扱うというふうに考えております。
○受田委員 もう一つ、この重大なる過失という問題でありまするが、この判定は、今苅田委員のおつしやつた点も関連するのですが、戦時中軍の紀律という点で、法律に、当時の陸軍、海軍刑法に該当する重過失というふうな場合と、現在の角度から見た判定というものとで、多少食い違いがあると思いますが、当時の法律を基準にした判定に基くものでありますか。
○木村(忠)政府委員 刑法上の過失とかなんとかいう問題ではないのでございます。その負傷または疾病にかかつた原因に関して、過失が重大であつたかどうかということであります。
○苅田委員 その問題は、私は自分の説を主張するということにして、政府はこれはけしからぬ。国のためだと言つてひつばり出して、死ねば死に方が気に入る、気に入らないというので、年金を出す出さぬというようなことを言つているのですから、とんでもない話だと私は思うのです。だから、当然これは全部に及ぼすべきだと思います。 次に、これは丸山委員も御指摘になつたのでありますけれども「死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁この刑に処せられたとき」も、全然権利は消滅すると書いてあるのでありますけれども、私は、やはり普通の場合と違つて、戦後七年もたつて出された措置でありまして、七年間のうちに当然国から補償されて生活ができ得べき人が、生活に詰まつて心にもない犯罪を犯すというようなことがあつても、これは往々あり得ることですから、いまさらそういう過去に、自分たちが何も責任を果さなかつた期間にまでとがめ立てをして、全然権利を消滅させるということは不当だと思います。やはり、これは丸山委員も御主張になつたように、その期間は停止するということにいたしまして、その罪の償いを出て来た人にまでこういうふうなことをさせるということは、私は間違つていると思います。この点もさようだということを申添えておきます。御答弁は、丸山委員のときにありましたから、よろしゆうございます。 私は、さらに十七條に関連いたしまして、この前の五條の更生医療のときに質問し要求したように、更生医療に限らないで、内部疾患も含む全般的な医療でなければならぬことを、私は主張したいと思うのです。
○玉置(信)委員 期限つきの障害年金についてお尋ねいたしますが、第九條によりますと「障害年金を受ける権利に五年以内の期限を附する」ということになつておりますが、この五年ということをきめた根拠は、どういうところにありますか。
○木村(忠)政府委員 これは恩給法にその例があるわけでありまして、恩給法の例にならつたわけであります。
○玉置(信)委員 これと第十條とは、表裏をなすものでありますが「障害年金の額の改定は、援護審査会の議決を経て行わなければばならない」ということになつております。そこで、この期限を付する問題については、恩給法の例にならつたとは言いますが、これも相当重要な問題と思います。その裁定は、大臣が行うのでしよう。そうすれば、やはりこの第十條とひとしく援護審査会で決定すべきではないかと思うのですが、こういう重要な問題はいかがですか。
○木村(忠)政府委員 九條の場合は、その不具廃疾の程度が、なおつたり、あるいは低下すると、あらかじめ予想される場合でございます。これにつきましては、一応期限をつけまして、もう一ぺん期限が来ましたときに、不具廃疾の状態が同じであるかどうかということをもう一ぺん見ようというわけでありまして、この場合におきましては、その期限の際にもう一度審査をするわけでございます。それから十條の場合は、そうではないのでございまして、年金を受けておりまする者が、その後障害の状況が、前の場合は低下する場合を考えておりますが、今度は増進した場合を考えております。たとえば、更生医療等をやりますと、その結果低下する場合も考えられる。そういうようなことがありました場合に、その程度に応じて年金の方は改定する、つまり従来の権利を動かすわけでございます。これにつきましては、そういうような審査会の議決を要する、こういうことにいたしております。前の場合は、五年以内の期限が定められまして、この期限が来ましたときに、もう一ぺん審査するということになるのであります。これは最初からそういうものが予定される場合でありますので、こういうことになつております。
○玉置(信)委員 第二項において、回復しない場合においては、さらにこれを引続き相当の障害年金を支給するということになつておるので、これは予想したものが当てがはずれる、見通しが誤るという場合も起きて来ると思う。やはり第十條とうらはらの関係を見ると、この條件というか、重要性というような点については、同じ見方になるのではないかと思いますが、この点をお伺いいたします。
○木村(忠)政府委員 これは期限をつけまして、そうしてその期限が来ましたときにもう一ぺん再審査するというだけでございます。従いまして、最初の認定の場合と、大体同じでございます。その認定をするというようなことになつておりますのは、これは恩給法等も同様な規定になつております。それから第十條の場合は、恩給法に全然ない場合で、その後程度が重くなつたときには、こうするということになつておるのであります。
○受田委員 この第十二條に掲げる第二項の後段の「既に受けた傷病賜金又は障害一時金の額に相当する額の全部又は一部を控除することができる」という規定のところでありますが、すでに受けた傷病賜金や障害一時金の額に相当する額の全部または一部という場合の全部の場合と一部の場合は、いかなる場合ですか。
○田邊(繁)政府委員 これは障害一時金の場合に例をとつて申し上げますと、障害一時金というのは、一定の月数を一定の金額に、仮定俸給なら仮定俸給にかけましたものを基礎として、一時金で拂うのであります。つまり、長い間かかつて年金的に拂うものを、まとめて拂つたという形式をとつております。従いまして、きようかりに査定になつた——きようならきようは四月一日ですが、先月中に査定を受けたという者については、向う何箇月間のものをもらつておるわけであります。従つて、その場合には、これからの分が差引かれる、こういうことになるわけであります。しかし、この法律、施行の際までに、その算定の基礎になつた月数が経過しておれば、全然差引かなくてよろしい、こういうことになるわけであります。従つて、障害一時金の算定の基礎となつた金額を月数に延ばしまして、それで障害一時金をもらつた時からこの法律施行の時までに、その月数を経過しておるかどうかによつて、残つた月数を計算して、その残つた月数だけを差引いて行く、こういう計算になつております。
○受田委員 この未復員者給與法の第八條の四に「未復員者が自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷した場合において、復員の際治ゆしているとき、復員後三年」云々とありますが、このところに掲げてある障害一時金をもらつた者が、実はその後病気が再発して、現に国立病院その他で治療を受けておるけれども、障害一時金をもらつたために、その後の治療費をいただくことができなくなつております。これらはそのときは治癒したと判定できたけれども、それがまた原因で再び病気になつておるのでありますから、当然公務障害の継続と見るべきでありますが、ここに何か法律改正の要があるのじやありませんか。途中で中断をした期間中は、民間で治療を続けておるとか何かの証明によつて、これが継続されるような措置をとる用意が、当局にございませんかどうですか。
○田邊(繁)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、先ほど苅田委員の質問に対して、詳細木村長官からお答えになつたと思います。
○受田委員 これはお答えしておるそうですが、この問題について、現に国立病院で治療している諸君が、非常に多数治療費を継続していただけないために、犠牲を受けておるのであります。これは何らか早急に措置がとられなければならない。 もう一つは、この障害の判定が、当時軍医その他がその場にいなくてそのままこちらへ帰つておるような場合もあるし、判定をする際に、その当時の軍医が、当時確かに診察を受けて、こういう病気であつたことを認証するというような証明があれば、当局は今度の障害年金を交付するところの対象と見るようにするのか、あるいはそういう証明をしてくれる者が何もない場合には、公務による障害だということがはつきりしていながら、証明書がないために、この恩恵を受けることができなくなるのか、この点をお伺いしたいのであります。
○田邊(繁)政府委員 実はこの軍人の増加恩給につきましては、制限はされておりますが、今日恩給金の査定がありまして、もらつておるわけであります。こういう方々に対しましては、すでに恩給金の査定があるわけでございますので、症状の区分もできておるわけであります。従つて、その区分に応じまして、この障害年金をお渡しする、こういうことになるのであります。従つて、そういう方々に対しては、あらためてそういつた当時の事情なり、あるいは証明書なりをとる必要はないのでありまして、この附則に書いてあります通り、増加恩給の裁定を受けておる人は、もう何らの処置を要せずして、自動的に厚生大臣の裁定があつたものとみなす、こういうことが書いてありますので、軍人につきましては、そういう御心配になる点はないと思います。
○受田委員 そういう証明があり、また査定を受けている者は、それでよろしゆうございますが、新しくここに査定を要する者が出ると思うのです。それは、この恩給とか査定の対象にしなかつた者で、戦時中の公務による障害が原因で、現に何らの恩典に浴することなく、病床に呻吟しておる者が、まだ残されているのが相当ある。これは幾つも例を知つておりますが、それが手続をしないばかりに、そういう状況にある者が相当あります。従つて、この未復員者給與法によるところの障害一時金をもらう手続を、今からしようかというのが、相当あるのであります。これをこの法に切りかえることになる場合に、その判定を、非常に厳格なわくにはめすぎて、当時の医師の何かの証明がいるとかいうことになると、非常に困難な事情が伴うと思いますが、この点何か基準にはめるときに、ここに特殊の事情があつた者に対して、便宜措置をとるところの用意はしておられますかどうか、お伺いしたいのであります。
○田邊(繁)政府委員 御質問の点は、その病気なり障害が公務によつたものであるかどうかという認定の基礎資料がない場合に、どうするかということであります。これはできるだけ資料を集めまして、そして、できれば、お話のように、軍の証明書、あるいはその他部隊長の証明があれば一番望ましいのでありますが、そういうものがない場合におきましても、一応書類は受付けまして、十分審査をいたしまして、その事実がはつきりいたしますれば、それは当然に障害年金の対象として取上げて行くつもりであります。問題は、そのときどきの個別的なものについての判定の問題でありますので、抽象的に、どういう基準でやるかということは、ちよつとお答えしかねるのであります。
○大石委員長 他に御発言はありませんか。—なければ、本節は打切りまして、午前中の連合審査会を散会いたします。 午後零時三十八分散会